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技術 切削工具

出願人 株式会社タンガロイ
発明者 相楽勝裕
出願日 2017年9月28日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2017-188012
公開日 2019年1月17日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2019-005888
状態 特許登録済
技術分野 フライス加工 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット
主要キーワード 押さえ駒 曲率一定 締め付けねじ 略直線形状 ホーニング面 所定曲率 複合形状 シャープエッジ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年1月17日)のものです。
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図面 (10)

課題

耐欠損性切削抵抗とを同時に向上できる切削工具を提供する。

解決手段

本発明の切削工具は、端面10と、端面10と交差する第1及び第2の側面13、14と、端面10と第1の側面13との交差稜線部に第1の切れ刃20aと、端面10と第2の側面14との交差稜線部に第2の切れ刃20bとを有する切削工具1であって、第1の切れ刃20aは第1のホーニング面21aを有し、第2の切れ刃20bは第2のホーニング面21bを有する。第2のホーニング面21bの断面形状は、第1のホーニング面21aの断面形状と異なる。

概要

背景

切削加工用切削工具は、切れ刃強化のため、切れ刃にホーニング面を付与することがある。そして、切れ刃の部位によって、ホーニング面の大きさを変化させることがある。例えば、特許文献1に示されたスローアウェイチップは、切れ刃にホーニング面を加工し、コーナR近傍と中央部分とでホーニング量W(上面側の幅)が異なるようにホーニング面を形成している。

概要

耐欠損性切削抵抗とを同時に向上できる切削工具を提供する。本発明の切削工具は、端面10と、端面10と交差する第1及び第2の側面13、14と、端面10と第1の側面13との交差稜線部に第1の切れ刃20aと、端面10と第2の側面14との交差稜線部に第2の切れ刃20bとを有する切削工具1であって、第1の切れ刃20aは第1のホーニング面21aを有し、第2の切れ刃20bは第2のホーニング面21bを有する。第2のホーニング面21bの断面形状は、第1のホーニング面21aの断面形状と異なる。

目的

本発明は、耐欠損性と切削抵抗とを、さらにバランスよく向上させることができる切削工具を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

端面(10)と、前記端面(10)と交差する第1及び第2の側面(13、14)と、前記端面(10)と前記第1の側面(13)との交差稜線部に第1の切れ刃(20a)と、前記端面(10)と前記第2の側面(14)との交差稜線部に第2の切れ刃(20b)とを有する切削工具(1)であって、前記第1の切れ刃(20a)は第1のホーニング面(21a)を有し、前記第2の切れ刃(20b)は第2のホーニング面(21b)を有し、前記第2のホーニング面(21b)の断面形状は、前記第1のホーニング面(21a)の断面形状と異なる切削工具。

請求項2

前記第1のホーニング面(21a)の断面形状は略円弧形状であり、前記第2のホーニング面(21b)の断面形状は、略直線形状、少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせた複合形状略楕円形状、及び複数の円弧を組み合わせた複合形状の中から選択される請求項1に記載の切削工具。

請求項3

前記第1のホーニング面(21a)の断面形状は略楕円形状、複数の円弧を組み合わせた複合形状、及び少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせた複合形状の中から選択される請求項1に記載の切削工具。

請求項4

前記端面(10)と直交する方向を高さ方向と定め、前記第1の側面(13)に対向する方向から見た前記第1のホーニング面(21a)の最大の高さを第1の高さ(H1)とし、前記第2の側面(14)に対向する方向から見た前記第2のホーニング面(21b)の最大の高さを第2の高さ(H2)とすると、前記第2の高さ(H2)は前記第1の高さ(H1)よりも小さい請求項1から3のいずれか1項に記載の切削工具。

請求項5

前記端面(10)と対向する方向から見て、前記第2の切れ刃(20b)は前記第1の切れ刃(20a)に対して内角鋭角をなす請求項1から4のいずれか1項に記載の切削工具。

請求項6

前記切削工具(1)は、前記端面(10)と対向する第2の端面(11)と、前記端面(10)と前記第2の端面(11)とを結ぶ周側面(12)とを有する切削インサートであって、前記周側面(12)は、前記第1の側面(13)及び前記第2の側面(14)を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の切削工具。

請求項7

前記切削工具(1)は突っ切り加工用及び溝入れ加工用の少なくともいずれかの切削インサートであって、前記第1の切れ刃(20a)は正面に配置される正面切れ刃であり、前記第2の切れ刃(20b)は、略円弧形状のコーナ切れ刃(20d)を介して前記第1の切れ刃(20a)と接続する請求項1から6のいずれか1項に記載の切削工具。

請求項8

溝入れ加工をすることができる切削工具(1)であって、すくい面(10)と、第1の逃げ面(13)と、前記すくい面(10)と前記第1の逃げ面(13)との交差稜線部に形成され、溝の底面を加工することができる正面切れ刃(20a)と、第2の逃げ面(14)と、前記すくい面(10)と前記第2の逃げ面(14)との交差稜線部に形成され、前記溝の第1の壁面を加工することができる第2の切れ刃(20b)と、を備え、前記正面切れ刃(20a)には、第1のホーニング面(21a)が形成され、前記第2の切れ刃(20b)には、第2のホーニング面(21b)が形成され、前記正面切れ刃(20a)と垂直な断面上において、前記すくい面(10)と対向する方向から見た前記第1のホーニング面(21a)が形成された領域の幅を第1の幅とし、前記第1の逃げ面(13)と対向する方向から見た前記第1のホーニング面(21a)が形成された領域の高さを第1の高さとし、前記第2の切れ刃(20b)と垂直な断面上において、前記すくい面(10)と対向する方向から見た前記第2のホーニング面(21b)が形成された領域の幅を第2の幅とし、前記第2の逃げ面(14)と対向する方向から見た前記第2のホーニング面(21b)が形成された領域の高さを第2の高さとしたときに、前記第2の幅に対する前記第2の高さの比率は、前記第1の幅に対する前記第1の高さの比率より小さく、かつ、前記第2の幅は、前記第2の高さより大きい、切削工具。

請求項9

前記第1の幅は、前記第2の幅より大きい請求項8記載の切削工具。

請求項10

前記正面切れ刃(20a)と垂直な断面上において、前記第1のホーニング面(21a)は、略円弧状である請求項8又は9に記載の切削工具。

請求項11

前記第2の切れ刃(20b)と垂直な断面上において、前記第2のホーニング面(21b)は、略楕円状である請求項8から10のいずれか一項に記載の切削工具。

請求項12

前記正面切れ刃(20a)に接続する前記すくい面(10)の第1のすくい角は、前記第2の切れ刃(20b)と前記すくい面(10)とで形成される第2のすくい角より大きい請求項8から11のいずれか一項に記載の切削工具。

請求項13

第3の逃げ面(16)と、前記すくい面(10)と前記第3の逃げ面(16)との交差稜線部に形成され、前記溝の第1の壁面に対向する第2の壁面を加工することができる第3の切れ刃(20c)とをさらに備え、前記正面切れ刃(20a)と前記第2の切れ刃(20b)は、前記すくい面(10)と対向する方向から見て鋭角で接続されており、前記正面切れ刃(20a)と前記第3の切れ刃(20c)は、前記すくい面(10)と対向する方向から見て鋭角で接続されている請求項8から12のいずれか一項に記載の切削工具。

請求項14

第3の逃げ面(16)と、前記すくい面(10)と前記第3の逃げ面(16)との交差稜線部に形成され、前記溝の第1の壁面に対向する第2の壁面を加工することができる第3の切れ刃(20c)とをさらに備え、前記第3の切れ刃(20c)には、第3のホーニング面(21c)が形成され、前記第3の切れ刃(20c)と垂直な断面上において、前記すくい面(10)と対向する方向から見た前記第3のホーニング面(21c)が形成された領域の幅を第3の幅とし、前記第3の逃げ面(16)と対向する方向から見た前記第3のホーニング面(21c)が形成された領域の高さを第3の高さとしたときに、前記第3の幅に対する前記第3の高さの比率は、前記第1の幅に対する前記第1の高さの比率より小さい請求項8から13のいずれか一項に記載の切削工具。

請求項15

突っ切り加工にも用いることができる請求項8から14のいずれか一項に記載の切削工具。

技術分野

0001

本発明は、切削加工に用いる切削工具に関する。

背景技術

0002

切削加工用の切削工具は、切れ刃強化のため、切れ刃にホーニング面を付与することがある。そして、切れ刃の部位によって、ホーニング面の大きさを変化させることがある。例えば、特許文献1に示されたスローアウェイチップは、切れ刃にホーニング面を加工し、コーナR近傍と中央部分とでホーニング量W(上面側の幅)が異なるようにホーニング面を形成している。

先行技術

0003

特開平9−19819号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1のスローアウェイチップのように、切れ刃の部位によってホーニング面の寸法を変化させると、切削工具の耐欠損性切削抵抗とを同時に向上させることができる。本発明は、耐欠損性と切削抵抗とを、さらにバランスよく向上させることができる切削工具を提供する。

課題を解決するための手段

0005

本発明の切削インサートは、端面と、端面と交差する第1及び第2の側面と、端面と第1の側面との交差稜線部に第1の切れ刃と、端面と第2の側面との交差稜線部に第2の切れ刃とを有する切削工具であって、第1の切れ刃は第1のホーニング面を有し、第2の切れ刃は第2のホーニング面を有する。第2のホーニング面の断面形状は、第1のホーニング面の断面形状と異なる。

0006

また、本発明の他の側面に係る切削工具は、溝入れ加工に用いることができる。そして、すくい面と、第1の逃げ面と、すくい面と第1の逃げ面との交差稜線部に形成され、溝の底面を加工することができる正面切れ刃と、第2の逃げ面と、すくい面と第2の逃げ面との交差稜線部に形成され、溝の第1の壁面を加工することができる第2の切れ刃と、を備え、正面切れ刃には、第1のホーニング面が形成され、第2の切れ刃には、第2のホーニング面が形成され、正面切れ刃と垂直な断面上において、すくい面と対向する方向から見た第1のホーニング面が形成された領域の幅を第1の幅とし、第1の逃げ面と対向する方向から見た第1のホーニング面が形成された領域の高さを第1の高さとし、第2の切れ刃と垂直な断面上において、すくい面と対向する方向から見た第2のホーニング面が形成された領域の幅を第2の幅とし、第2の逃げ面と対向する方向から見た第2のホーニング面が形成された領域の高さを第2の高さとしたときに、第2の幅に対する第2の高さの比率は、第1の幅に対する第1の高さの比率より小さく、かつ、第2の幅は、第2の高さより大きい。

0007

この切削工具は、溝の底面を加工することができる正面切れ刃に第1のホーニング面が形成されている。また、溝の壁面を加工することができる第2の切れ刃に第2のホーニング面が形成されている。そして、通常は、切れ刃によらず、同じ形状のホーニング面を形成することが一般的であるところ、あえて、第1のホーニング面と第2のホーニング面の形を異ならせた。このようなホーニング面を形成するために、特別な製造プロセスを必要とするが、それぞれの切れ刃の役割に応じて、耐欠損性と切削抵抗をバランスよく向上させることが可能になる。特に、第2の幅は、第2の高さより大きくなるような第2のホーニング面を形成した。このため、第2の切れ刃の耐欠損性を担保するようにすくい面側の幅を大きくし、切れ味が悪くなることを抑制するように逃げ面側の高さを抑えることが可能になる。

0008

さらに、第2の幅に対する第2の高さの比率は、第1の幅に対する第1の高さの比率より小さくしているから、第1のホーニング面の方が、高さと幅の比率が1に近いことになる。このため、正面切れ刃の耐欠損性を、第2の切れ刃のそれよりも向上させることが可能になる。ここで第1の幅は、第1の高さより大きくするように構成してもよい。

0009

なお、このような第1のホーニング面及び第2のホーニング面は、各切れ刃全域にわたって形成されていなくてもよく、たとえば、各切れ刃の半分以上の領域について、上述した条件を満足するホーニング面をそれぞれ形成するようにしてもよい。

0010

また、ホーニング面が形成された領域は、すくい面もしくは逃げ面として機能する面との境界により定義される領域である。断面におけるホーニング面がほぼ直線状をなすチャンファホーニングの場合は、すくい面(または逃げ面)とホーニング面との境界がより鮮明に表れるといえる。丸ホーニングの場合は、ホーニング面から曲率が変化することから、当業者であれば、すくい面(または逃げ面)との境界を認識することができる。楕円状にホーニング面を形成する場合も、すくい面(または逃げ面)との境界で曲率が変化するため、当業者であればその境界を認識することができる。

0011

ここで、第1の幅は、第2の幅より大きくしてもよい。

0012

このようにすることで、正面切れ刃の耐欠損性を向上させて、一方で、第2の切れ刃の切れ味を良くすることができる。

0013

また、正面切れ刃と垂直な断面上において、第1のホーニング面は、円弧状であってもよい。

0014

このようにすることで、正面切れ刃の耐欠損性をより向上させることが可能になる。

0015

また、第2の切れ刃と垂直な断面上において、第2のホーニング面は、楕円状であってもよい。

0016

このようにすることで、第2の高さを抑えることとなり、切れ味が悪くなることを抑制することが可能になる。

0017

ここで、楕円状とは、楕円の円弧のみならず、曲率の異なる複数の円弧から、楕円に近い、すなわち、二つの焦点からの距離の和がほぼ等しい曲線も含む。このような曲率の異なる複数の円弧であれば、楕円よりも製造しやすいという効果も発揮される。

0018

また、正面切れ刃に接続するすくい面の第1のすくい角は、第2の切れ刃に接続するすくい面の第2のすくい角より大きくてもよい。

0019

すくい角を大きくしたほうが、切れ味が向上するため、ホーニングに伴う正面切れ刃の切れ味が悪くなることを、すくい角を大きくすることにより抑制することができる。正面切れ刃は、溝の底面等の加工に用いられるので、より抵抗が大きくかかり、耐欠損性を担保しなければならないが、一方で、切れ味が悪くなることを回避したいという要請もある。このため、すくい角を大きくすることにより、切れ味が過剰に悪くなることを抑制することが可能になる。一方で、ホーニングに伴って切れ味が悪くなりにくい第2の切れ刃については、正面切れ刃より小さいすくい角とする。このように、溝の底面等の加工に用いることができる正面切れ刃と、溝の側面等の加工に用いることができる第2の切れ刃について、そのホーニング及び逃げ面をバランス良く設定することによって、より実用に利した切削工具を提供することが可能になる。

0020

また、第3の逃げ面と、すくい面と第3の逃げ面との交差稜線部に形成され、溝の第1の壁面に対向する第2の壁面を加工することができる第3の切れ刃(20c)とをさらに備え、正面切れ刃と第2の切れ刃は、すくい面と対向する方向から見て鋭角で接続されており、正面切れ刃と第3の切れ刃は、すくい面と対向する方向から見て鋭角で接続されていてもよい。

0021

このように構成することで、第2(又は第3)の切れ刃と壁面との間で切り屑等が挟まることを抑制し、正面切れ刃との接続部の近傍部分を用いて、溝の壁面を好適に加工することができる。

0022

また、第3の切れ刃には、第3のホーニング面が形成され、第3の切れ刃と垂直な断面上において、すくい面と対向する方向から見た第3のホーニング面が形成された領域の幅を第3の幅とし、第3の逃げ面と対向する方向から見た第3のホーニング面が形成された領域の高さを第3の高さとしたときに、第3の幅に対する第3の高さの比率は、第1の幅に対する第1の高さの比率より小さくしてもよい。

0023

このように構成することで、第3の切れ刃についても、すくい面側の耐欠損性の担保を図りつつ、一方で、第3の高さを抑えることにより、切れ味が悪くなることを抑制することが可能になる。

0024

また、切削工具を突っ切り加工に用いてもよい。

図面の簡単な説明

0025

本発明の実施形態に係る切削工具(切削インサート)の斜視図である。
図1の切削工具の部分拡大斜視図である。
図1の切削工具の部分拡大平面図である。
図3のIV−IV切断面による拡大断面図である。
図3のV−V切断面による拡大断面図である。
図1の切削工具の平面図である。
図1の切削工具の右側面図である。
図1の切削工具をホルダに装着した状態の斜視図である。
拡大断面図の別形状の例である。

実施例

0026

以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。

0027

図1は、本発明の実施の一形態に係る切削工具1を示す斜視図である。なお、ここでは切削インサートを切削工具1と呼称している。しかし、切削インサートと、切削インサートが着脱自在に装着されるホルダ2とを含めて切削工具1と呼称してもよい。以下の説明においては、一例として、切削インサートを切削工具1と呼称しているに過ぎない。

0028

図1及び図6に示すように、切削工具1は、略多角形の第1の端面10を有する。第1の端面は、略長方形と見ることができる。また、切削工具1は、第1の端面10と対向する第2の端面11を有する。ここでは、第1の端面10を上面と呼称し、第2の端面11を下面と呼称する。図1及び図7に示すように、切削工具1は、上面10と下面11との間をつなぐ周側面12を有する。図6に示すように、周側面12は、4つの側面部分である第1から第4の側面13、14、15、16を、この順に有する。ここでは、第1の側面13の側を正面と呼称する。切削工具1は、上面10と周側面12との交差稜線部に切れ刃20を有する。切削工具1は、下面11と周側面12との交差稜線部にも切れ刃20を有する。切削工具1は、第2の側面14と第4の側面16とを貫通する穴24を有する。なお、第2及び第4の側面14、16は、上面10及び下面11よりも面積が広い。

0029

図8に示すように、切削工具1は、例えば一方向に長い細長四角柱状のホルダ2に装着することができる。切削工具1は、締め付けねじなどのクランプ部材を用いて、穴24をクランプ部材で押えることによりホルダ2へ固定できる。切削工具1は、例えば上面10と下面11と第4の側面16とがホルダ2のインサート座と当接する。切削工具1の穴24を締め付けねじで押える場合は、穴24が第2の側面14に向かって拡径部を有するように構成するとよい。すなわち、穴24は最小直径部を締め付けねじの軸部が通過でき、締め付けねじの頭部が穴24の拡径部と当接するように構成するとよい。

0030

この実施形態に係る切削工具1は、穴24の中心軸線Cの周りに180°回転対称な形状である。同時に、中心軸線Cと直交する上面10の中心軸線(図示せず)の周りにも180°回転対称な形状である。このため、切削工具1は、4組の切れ刃20を有しており、それぞれの切れ刃20の組が互いに180°回転対称な形状である。したがって、以下では、1組の切れ刃20を中心に説明し、他の3組の切れ刃20については、同様であるため説明を省略する。切れ刃20以外の周辺形状についても同様とする。ただし、図1及び図7に示すように、切削工具1には数字の1や2などの、コーナの使用順序目安となるマークを付す場合がある。このマークのような非対称性許容される。

0031

図1及び図6に示すように、上面10と第1の側面13との間には、第1の稜線17が形成され、この第1の稜線17は第1の切れ刃20aを含んでいる。ここでは、第1の切れ刃20aを正面切れ刃と呼称する。そして、上面10と第2の側面14との間には、第2の稜線18が形成され、上面10と第4の側面16との間には、第3の稜線19が形成されている。第2の稜線18は、他の切れ刃としての第2の切れ刃20bを含んでいる。上面10と対向する方向から見て(平面視で)、第2の切れ刃20bは第1の切れ刃20aに対して内角で鋭角をなす。第3の稜線19は、他の切れ刃としての第3の切れ刃20cを含んでいる。上面10と対向する方向から見て、第3の切れ刃20cは第1の切れ刃20aに対して内角で鋭角をなす。第1の切れ刃20aと第2の切れ刃20bとの間には、第1のコーナ切れ刃20dが配置されている。すなわち、第2の切れ刃20bは、第1のコーナ切れ刃20dを介して第1の切れ刃20aと接続している。第1の切れ刃20aと第3の切れ刃20cとの間には、第2のコーナ切れ刃20eが配置されている。すなわち、第3の切れ刃20cは、第2のコーナ切れ刃20eを介して第1の切れ刃20aと接続している。これらの第1から第3の切れ刃20a、20b、20c、第1のコーナ切れ刃20d、及び第2のコーナ切れ刃20eの5つの切れ刃部分が、1組の切れ刃20を構成している。第1の切れ刃20aの長さは、例えば約2mmであり、第2の切れ刃20bの長さは、例えば約5mmであり、第3の切れ刃20cの長さは、例えば約5mmである。上面10と対向する方向から見て、第1及び第2のコーナ切れ刃20d、20eは、いずれも略円弧形状であり、その曲率半径が例えば約0.4mmである。なお、第1及び第2のコーナ切れ刃20d、20eは、ホルダ2に装着したときに、被加工物に対して円弧形状になるようにすることもできる。切削工具1をホルダ2に装着したとき、加工される溝幅に相当する第1のコーナ切れ刃20dから第2のコーナ切れ刃20eまでの外接寸法は、約3mmである。

0032

切削工具1の第2の側面14から第4の側面16までの寸法を、切削工具1に外接する平行な2平面間の距離(図示しない)で表すと、例えば約4mmである。切削工具1の第1の側面13から第3の側面15までの寸法を、切削工具1に外接する平行な2平面間の距離(図示しない)で表すと、例えば約13mmである。切削工具1の上面10から下面11までの寸法を、切削工具1に外接する平行な2平面間の距離(図示しない)で表すと、例えば約13mmである。穴24の直径は、例えば約5mmである。

0033

図2及び図3に示すように、切れ刃20にはホーニング面21を付与している。第1の切れ刃20aは第1のホーニング面21aを有し、第2の切れ刃20bは第2のホーニング面21bを有している。図4は、図3のIV−IV切断面における第1のホーニング面21aの断面形状を示す。すなわち、図4は、第1の切れ刃20aと直交し、なおかつ上面10とも直交するIV−IV切断面における、第1のホーニング面21aの断面形状を示す。第1のホーニング面21aの断面形状は、曲率半径R1が約0.03mmの略円弧形状である。図5は、図3のV−V切断面における第2のホーニング面21bの断面形状を示す。すなわち、図5は、第2の切れ刃20bと直交し、なおかつ上面10とも直交するV−V切断面における、第2のホーニング面21bの断面形状を示す。第2のホーニング面21bの断面形状は、1つの直線部分22と1つの円弧部分23とを組み合わせた複合形状である。円弧部分23は直線部分22と第2の側面14とを滑らかに接続している。円弧部分23の曲率半径を第2の曲率半径R2とすると、第2の曲率半径R2は約0.02mmである。なお、この実施形態に係る切削工具1は、上面10及び下面11を全体的に見ると、上面10と下面11とが平行であるため、上面10と直交するIV−IV切
断面及びV−V切断面が下面11とも直交する。すなわち、平面視において直線形状で表れるIV−IV切断面及びV−V切断面は、底面視においても直線形状で表される。

0034

図4に示すように、第1の側面13に対向する方向から見たときの第1のホーニング面21aの最大の高さを第1の高さH1とする。図5に示すように、第2の側面14に対向する方向から見たときの第2のホーニング面21bの最大の高さを第2の高さH2とする。この実施形態に係る切削工具1は、第1の高さH1が約0.03mmであり、第2の高さH2が約0.025mmである。すなわち、第2の高さH2は、第1の高さH1に対して、約83%としている。なお、本実施形態に係る切削工具1は、第1のホーニング面21aの高さが一定であるが、これに限定されない。第1のホーニング面21aは、高さが変化してもよい。そのため、第1の高さH1は、第1のホーニング面21aの最大の高さとしている。同様に、本実施形態に係る切削工具1は、第2のホーニング面21bの高さが一定であるが、これに限定されない。第2のホーニング面21bは、高さが変化してもよい。そのため、第2の高さH2は、第2のホーニング面21bの最大の高さとしている。

0035

図4に示すように、上面10に対向する方向から見たときの第1のホーニング面21aの最大の幅を第1の幅W1とする。図5に示すように、上面10に対向する方向から見たときの第2のホーニング面21bの最大の幅を第2の幅W2とする。この実施形態に係る切削工具1は、第1の幅W1が約0.03mmであり、第2の幅W2が約0.05mmである。すなわち、第2の幅W2は、第1の幅W1に対して、約167%としている。なお、本実施形態に係る切削工具1は、第1のホーニング面21aの幅が一定であるが、これに限定されない。第1のホーニング面21aは、幅が変化してもよい。そのため、第1の幅W1は、第1のホーニング面21aの最大の幅としている。同様に、本実施形態に係る切削工具1は、第2のホーニング面21bの幅が一定であるが、これに限定されない。第2のホーニング面21bは、幅が変化してもよい。そのため、第2の幅W2は、第2のホーニング面21bの最大の幅としている。

0036

切れ刃20に接続する周側面12の部分は逃げ面として機能する。図4に示すように、第1の切れ刃20aに接続する第1の側面13の部分の、切削工具1単体での逃げ角を第1の逃げ角A1とする。第1の逃げ角A1は、図4垂直方向となる上面10と直角な方向を基準とし、上面10側から下面11側に近づくにつれ切削工具1の内方に向かう場合を正の逃げ角とする。したがって、この実施形態に係る切削工具1の第1の逃げ角A1は負の逃げ角である。第1の逃げ角A1は約−10°である。図5に示すように、第2の切れ刃20bに接続する第2の側面14の部分の、切削工具1単体での逃げ角を第2の逃げ角A2とする。第2の逃げ角A2は、図5の垂直方向となる上面10と直角な方向を基準とし、上面10側から下面11側に近づくにつれ切削工具1の内方に向かう場合を正の逃げ角とする。したがって、この実施形態に係る切削工具1の第2の逃げ角A2は正の逃げ角である。第2の逃げ角A2は約2°である。なお、この実施形態に係る切削工具1の下面11が上面10と平行なため、上面10と直角な基準方向は下面11とも直角である。

0037

切削工具1は、上面10にチップブレーカを有する。切れ刃20に接続する上面10の部分はすくい面として機能する。図4に示すように、第1の切れ刃20aに接続する上面10の部分の、切削工具1単体でのすくい角を第1のすくい角B1とする。第1のすくい角B1は、図4の水平方向となる上面10と平行な方向を基準とし、切れ刃20から離れるにつれ下面11に近づく場合を正のすくい角とする。したがって、この実施形態に係る切削工具1の第1のすくい角B1は正のすくい角である。第1のすくい角B1は約27°である。図5に示すように、第2の切れ刃20bに接続する上面10の部分の、切削工具1単体でのすくい角を第2のすくい角B2とする。第2のすくい角B2は、図5の水平方向となる上面10と平行な方向を基準とし、切れ刃20から離れるにつれ下面11に近づく場合を正のすくい角とする。ただし図5は、第2のすくい角B1が理解しやすいように、角度を誇張して表している。この実施形態に係る切削工具1の、実際の第2のすくい角B2は約0°である。なお、この実施形態に係る切削工具1は、下面11が上面10と平行なため、上面10と平行な基準は下面11とも平行である。

0038

図3及び図6に示すように、上面10と対向する方向から見て、第1の切れ刃20aの延びる方向は、第2の側面14の延びる方向(長手方向)と直角でない。すなわち、図3において、第1の切れ刃20aの第1のコーナ切れ刃20c側が、第2のコーナ切れ刃20d側より外方に突出している。第1の切れ刃20aは、第2の側面14の延びる方向に対して、内角で約86°の方向に延びている。

0039

切削工具1の切れ刃20周辺の材質は、特に限定されるものではないが、例えば超硬合金サーメットセラミックスおよび立方晶窒化ほう素を含む焼結体等の硬質材料、これら硬質材料の表面にPVD又はCVコーティング膜被膜したもの、又は単結晶ダイヤモンド或いはダイヤモンドを含む焼結体の中から選定するとよい。

0040

[第2実施形態]
本実施形態は、溝入れ加工又は突っ切り加工に好適な切削工具について説明する。本出願の発明者らの実験やそれに伴う考察の結果、切れ刃の耐欠損性は、すくい面側のホーニング幅が大きく影響し、切れ味は、逃げ面側のホーニング高さが大きく影響することが判明した。そして、すくい面側のホーニング幅を大きくし、逃げ面側のホーニング高さを小さくすることで、耐欠損性を保ちつつ、切れ味が悪くなることを抑制することができた。具体的には、正面切れ刃20aのホーニング面21aとして図4に示される構成を採用し、第2の切れ刃20b及び第3の切れ刃20cのホーニング面21b及び21cとして図9に示される構成を採用する組み合わせを溝入れ加工に用いることによって、切れ味と欠けにくさのバランスを好適に向上させることが明らかになった。

0041

図9に示されるように、第2の切れ刃20b及び第3の切れ刃20cのホーニング面21b及び21cは、すくい面10と対向する方向から見たホーニング面21が形成された領域の幅をW3とし、周側面12(逃げ面14及び16)と対向する方向から見たホーニング面21が形成された領域の高さをH3としたときに、W3>H3となるように形成される。

0042

溝入れ加工の場合は、溝の底面を加工する正面切れ刃20aにかかる切削抵抗に比して、内壁加工用の第2の切れ刃20b及び第3の切れ刃20cにかかる切削抵抗は小さい。このため、正面切れ刃20aに設けるホーニング面よりも切れ味を重視したホーニング面とすることで、正面切れ刃20aがまだ十分に使用可能であるにもかかわらず、第2の切れ刃20b及び第3の切れ刃20cが欠損して使用できなくなる事態を回避することが可能になる。

0043

ただし、シャープエッジにするとチッピングが頻発してしまうため、すくい面10側に設けられるホーニングの幅であるW3を、逃げ面12側に設けられるホーニングの高さであるH3より大きくすることで、チッピングを抑制しつつ切れ味を好適に向上させることができる。

0044

W3とH3の比率は、被加工物の材質や溝の深さ、正面切れ刃20aの長さ等に応じて決定されるべきであるが、一般的には、W3がH3の3倍より大きくするようにホーニング面21b及び21cを形成することによって、切れ味をより向上させることが可能になる。

0045

ここで、断面におけるホーニング面21b及び21cの輪郭は、図9に示されるように、楕円状、すなわち、曲率大のホーニング面21b及び21cがすくい面10側を向いて形成され、曲率小のホーニング面21b及び21cが逃げ面14及び16側を向いて形成される。

0046

一方で、正面切れ刃20aに設けられるホーニング面は、より耐欠損性能を重視したものにしなければ、溝入れ加工をした際に、第2の切れ刃20b及び第3の切れ刃20cがまだ十分に使用可能であるにもかかわらず、正面切れ刃20aが欠けてしまい使用できない事態を招く可能性がある。

0047

このような問題を抑制するため、図4に示されるように、正面切れ刃20aのホーニング面21aは、すくい面10と対向する方向から見たホーニング面21aが形成された領域の幅W1に対する逃げ面13と対向する方向から見たホーニング面21aが形成された領域の高さH1の比率が、W3に対するH3の比率より大きくなるように形成される。

0048

W1とH1の比率は、被加工物の材質や溝の深さ、正面切れ刃20aの長さ等に応じて決定されるべきであるが、一般的には、W1がH1の3倍より小さくなるようにホーニング面21aを形成することによって、耐欠損性能をより向上させることが可能になる。

0049

ここで、断面におけるホーニング面21aの輪郭が、図4に示されるとおり、曲率一定の円弧状となるように、ホーニング面21aが形成される。

0050

なお、幅と高さの大小関係は、意図的に、そのような関係を持たせることをいい、製造工程における製造ばらつき等によって、偶発的に、側面切れ刃の一部において、その大小関係が実現するような場合は含まない。幅と高さの比率についても、意図的にそのような関係を持たせることをいい、意図せずに、局所的にそのような領域が存在する場合は含まない。

0051

以上のように構成された切削工具(切削インサート)1は、次のように製造することができる。まず、材料をプレス成形し、焼結することにより、切削工具1の外形成形する。その後、必要に応じて研削加工などを行う。このとき、ホーニング面21を形成する。ホーニング面21は、研削砥石による加工方法の他、ブラシによる加工方法、遊離砥粒による加工方法、ラバー砥石による加工方法、レーザー光線による加工方法など、既知の様々な方法で形成できる。ホーニング面21は、その加工条件を切れ刃20の加工部位に応じて調整することで、その形状を調整することができる。例えば遊離砥粒による加工方法の場合は、遊離砥粒を噴出するノズルの角度、噴出圧力を変化させることで、形成されるホーニング面21の断面形状及び各種寸法を調整することができる。切れ刃部分に直交する方向から端面と側面とにほぼ均等に遊離砥粒が当たるようにすると、例えば略円弧状の断面形状のホーニング面21を得られる。ここから、端面10側に強く当たり、周側面12側に弱く当たるようにノズルの角度を変更すると、例えば複数の円弧を組み合わせた複合形状(略楕円形状)の断面形状のホーニング面21を得られる。ノズルの角度の変更方向は、上下方向に限定されず、切れ刃部分の正面方向から平面内での角度を調整することでも、断面形状を調整可能である。なお、本実施形態の切削工具1は、次のような加工工程によって得られる。まずは、第2の切れ刃20bに断面形状が略直線形状のホーニング面を研削砥石による加工方法などで加工する。次に、遊離砥粒による加工方法などを用いて、第1のホーニング面21aを第1の切れ刃20aに直交する方向から加工し、また、第2のホーニング面21bの断面形状で略円弧形状の部分を、第2の切れ刃20bに対して平面内で斜め方向から加工する。第1のホーニング面21aと第2のホーニング面21bとは、同時に加工することができる。または、第1のホーニング面21aと第2のホーニング面21bとを別々に加工することもできる。なお、必要に応じて、CVD法やPVD法による被覆膜を、さらに付加する。

0052

例えば、ホーニング面21aを形成する際には、正面切れ刃20aと直交し、かつ、正面切れ刃20aと直交する断面においてすくい面10と逃げ面13との二等分線をなす方向から遊離砥粒を噴出させることで、断面が円弧状となるような正面切れ刃20aのホーニング面21aを形成することが可能になる。

0053

また、ホーニング面21b及び21cについては、より逃げ面14及び16の法線に近い方向から遊離砥粒を噴出させて所定曲率の断面となるようにホーニング面21b及び21cの一部を形成した後に、噴射角度をすくい面10の法線に近い方向となるように移動させることで、すくい面10側のホーニング量が大きく、かつ、曲率が大きいホーニング面21b及び21cを形成することが可能になる。

0054

切削工具1は、例えば図8に示すようにクランプ部材を穴24に差し込んで、クランプ部材により締め付けることによりホルダ2に取り付けられる。なお、この切削工具1の固定方法は特に限定されず、押さえ駒やくさびにより固定してもよい。旋盤加工時には、被切削物旋盤チャックに固定し、水平軸周りに回転させる。そして、切削工具1の切れ刃20側を被切削物に近づけて、切れ刃20により被切削物を切削する。なお、切削工具1は、ホルダ2に装着されるときに、第1の側面13の逃げ面として機能する部分に適切な真の逃げ角が与えられるように傾斜配置する。この真の逃げ角は、例えば約7°が好ましい。すなわち、第1の逃げ角A1が約−10°であるため、切削工具1は約17°傾斜するように配置することが好ましい。また、ホルダ2の上面側から見て、第1の切れ刃20aは、ホルダ2の長手方向に直交するように配置することが好ましい。すなわち、ホルダ2の上面側から見て、切削工具1は約4°傾斜するように配置することが好ましい。

0055

次に、この実施形態に係る切削工具1が奏する作用と効果について説明する。また、本発明の好ましい形態についても説明する。

0056

切削工具1は、旋盤を用いた溝入れ加工に適する。溝入れ加工に用いるときは、4組の切れ刃20の内、1組の切れ刃20の第1の切れ刃20aが正面切れ刃として作用するように配置するとよい。すなわち、第1の切れ刃20aが被加工物の加工する溝の底と平行になるように配置するとよい。そのように配置すると、第1の切れ刃20a、第1のコーナ切れ刃20d、および第2のコーナ切れ刃20eによって、加工される最初の溝の幅が決定される。第2及び第3の切れ刃20b、20cは、溝の内壁面に対するさらい刃仕上げ用切れ刃)として作用させることができる。なお、第2及び第3の切れ刃20b、20cは、溝の幅を拡幅するための側面切れ刃として作用させることもできる。すなわち、溝を入れた後に、横方向に切削工具1を送ることで、溝の幅を広げることもできる。切削工具1は4組の切れ刃20を有しているため、1組の切れ刃20が損傷しても、他の3組の切れ刃20と入れ替えてホルダ2に装着し直すことにより、少なくとも4回使用できる。

0057

前述のとおり、第1の切れ刃20aの第1のホーニング面21aと、第2の切れ刃20bの第2のホーニング面21bとは、その断面形状が異なっている。したがって、それぞれの切れ刃部分の切削特性に適したホーニング面21の形状を、それぞれ独立に付与できる。例えば、溝入れ加工において、第1切れ刃21aが正面切れ刃とされるとき、第1の切れ刃20aは、その幅がすべて切削加工に作用するため、欠けにくいことが好ましい。すなわち、第1のホーニング面21aは、欠けにくい略円弧形状の断面形状が好ましい。一方、さらい刃又は側面切れ刃として作用する第2の切れ刃20bは、特に加工面の品位
を高める場合に切れ味が要求される。切削工具1の切れ味は、例えば切削抵抗の低さによって評価できる。又は、切れ味を耐摩耗性で評価する場合もある。第2のホーニング面21bは、切れ味のよい略直線形状の断面形状が好ましい。

0058

ただし、実際には切れ味と欠けにくさとのバランスが重要であり、第1及び第2のホーニング面21a、21bは、略円弧形状と略直線形状との中間的な形状である、略楕円形状、複数の円弧を組み合わせた複合形状、及び少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせた複合形状の中から選択することもできる。なお、複数の円弧を組み合わせた複合形状とは、例えば図9に示すような形状のことである。図9に示す断面形状は、周側面12側から3つの円弧を組み合わせた複合形状と見ることができる。周側面12側から各円弧部分の曲率半径を、第3から第5の曲率半径R3、R4、R5とすると、第3の曲率半径R3は第4の曲率半径R4よりも小さくし、第4の曲率半径R4は第5の曲率半径R5よりも小さくすることが好ましい。すなわち、R3<R4<R5とすることが好ましい。ただし、図9に例示される形状は、あくまでも3つの円弧で近似できる形状であって、近似する円弧の数は2つでも4つ以上でもよく、また、曲率半径が連続的に変化している形状も排除しない。曲率半径が連続的に変化している形状とは、例えばスプライン曲線などである。図9に例示されるような複合形状は、略楕円形状と呼称することもできる。略楕円形状は、長軸図9における横方向に延び、短軸縦方向に延びるような形状であることが好ましい。

0059

略楕円形状などの中間的な形状は、基本的には、略円弧形状に近づくほど欠けにくい形状となり、略直線形状に近づくほど切れ味のよい形状となる。なお、切れ味と欠けにくさのバランスがよく、切削条件にうまく適合させると、欠けにくくてなおかつ切れ味のよい形状が得られる場合がある。すなわち、基本的には、正面切れ刃の第1のホーニング面21aは、略円弧形状または略円弧形状に近い断面形状が好ましい。具体的には、第1のホーニング面21aの断面形状は、略円弧形状、略楕円形状、複数の円弧を組み合わせた複合形状、及び少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせた複合形状の中から選択することが好ましい。第2のホーニング面21bの断面形状は、第1のホーニング面21aの断面形状よりも略直線形状に近い形状が好ましい。具体的には、第2のホーニング面21bの断面形状は、略直線形状、少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせた複合形状、略楕円形状、及び複数の円弧を組み合わせた複合形状の中から選択することが好ましい。

0060

ただし、略直線形状は、上面10に対する傾斜角度を調整することでも、欠けにくさや切れ味を調整することができる。すなわち、ホーニング面21の幅に対する高さを大きくするように傾斜角度を大きくすると、欠けにくい形状になる。逆に、ホーニング面21の幅に対する高さを小さくするように傾斜角度を小さくすると、切れ味のよい形状になる。さらに、略楕円形状などの中間的な形状は、同じ分類の形状の中でも、略円弧形状に近いものから略直線形状に近いものまで、様々な形状に調整できる。したがって、本発明は、同じ分類の形状の中でも、第1のホーニング面21aと第2のホーニング面21bとの断
面形状が異なるようにできる。つまり、略楕円形状などの中間的な形状は、相似形以外の場合は異なる形状と考えられる。すなわち、本発明は、第1のホーニング面21aの断面形状と第2のホーニング面21bの断面形状とが相似形でないことが重要な点である。言い換えてホーニング面21の幅と高さで表現すると、第1のホーニング面21aの高さと幅の比率H1/W1と比較して、第2のホーニング面21bの高さと幅の比率H2/W2が小さいことが好ましい。

0061

ここまで、ホーニング面21の断面形状を、略円弧形状に近いか、略直線形状に近いかを中心に説明した。しかし、実際には、ホーニング面21の幅や高さの寸法の大小なども変更できるため、その組み合わせは、さらに自由度が高い。例えば、正面切れ刃の第1のホーニング面21aの断面形状を直線と円弧とを組み合わせた複合形状とし、第2のホーニング面21bの断面形状を略円弧形状としても、第1のホーニング面21aの幅W1と比較して、第2のホーニング面21bの幅W2を十分に小さくすると、第1の切れ刃20aが欠けにくく、第2の切れ刃20bの切れ味がよい形状を得ることができる。

0062

この実施形態に係る切削工具1は、第1の切れ刃20aの周辺と、第2の切れ刃20bの周辺とで、逃げ角及びすくい角が異なっている。すなわち、第1の逃げ角A1が第2の逃げ角A2よりも負の側であり、第1のすくい角B1が第2のすくい角B2よりも大きい。切れ刃20の損傷や切れ味は、逃げ角及びすくい角とも密接に関連している。被加工物に対する真の逃げ角を適正に設定するとき、真のすくい角を大きくすると切れ味が向上する。また、上面10には様々なチップブレーカを設けることができる。各種のチップブレーカによって、各切れ刃20に接続する部分のすくい角は調整できる。本発明は、これらの逃げ角やすくい角の調整に加えて、さらにホーニング面についても、各切れ刃に要求される特性に合わせて、独立に設定することができるため、切れ味や耐欠損性なのを適正に調整し、切削工具1の切削性能を高めることができる。例えば、この実施形態に係る切削工具1は、第2の切れ刃20bの第2のすくい角B2は小さいが、第2のホーニング面21Bを小さくすることによって、切れ味を向上させることができる。

0063

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の切削工具は、種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態では、第1のホーニング面21aの断面形状を略円弧形状とし、第2のホーニング面21bの断面形状を1つの直線と1つの円弧とを組み合わせた複合形状としたが、これに限定されないことは、説明したとおりである。本実施形態に係る切削工具1は溝入れ加工に適するものであったが、これに限定されない。例えば、主切れ刃とさらい刃とを有する様々な切削工具などに適用できる。また、第2の切れ刃20bは、さらい刃などの仕上げ用の切れ刃にも限定されない。第1の切れ刃20aと第2の切れ刃20bとの異なる2つの切れ刃を有する様々な切削工具に適用できる。

0064

本発明の切削工具は、切削インサートを用いる形態の切削工具に限定されない。チップろう付けする形態の切削工具にも適用可能である。また、旋削工具に限定されず、転削工具穴加工工具等のその他の形態の切削工具にも適用可能である。

0065

前述した実施形態では本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明については、請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることを理解されなければならない。すなわち、本発明には、請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。

0066

1切削工具(切削インサート)
2ホルダ
10 第1の端面(上面)
11 第2の端面(下面)
12 周側面
13 第1の側面
14 第2の側面
15 第3の側面
16 第4の側面
17 第1の稜線
18 第2の稜線
19 第3の稜線
20切れ刃
20a 第1の切れ刃(正面切れ刃)
20b 第2の切れ刃
20c 第3の切れ刃
20d 第1のコーナ切れ刃
20e 第2のコーナ切れ刃
21ホーニング面
21a 第1のホーニング面
21b 第2のホーニング面
21c 第3のホーニング面
22 直線部分
23円弧部分
24 穴
A1 第1の逃げ角
A2 第2の逃げ角
B1 第1のすくい角
B2 第2のすくい角
C 穴の中心軸線
H1 第1の高さ
H2 第2の高さ
R1 第1のホーニング面の曲率半径
R2 第2の曲率半径
R3 第3の曲率半径
R4 第4の曲率半径
R5 第5の曲率半径
W1 第1の幅
W2 第2の幅

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