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技術 電子線照射装置

出願人 岩崎電気株式会社
発明者 井出崇伊藤昌好
出願日 2017年6月15日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2017-117315
公開日 2019年1月10日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2019-002784
状態 特許登録済
技術分野 基本的包装技術VIII(熱収縮包装・殺菌包装) その他の放射線取扱い
主要キーワード 開口無し 照射空間内 端部側領域 実験開始直後 筒状筐体 フィラメント列 発熱抵抗線 中央領
関連する未来課題
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図面 (7)

課題

エリアビーム電子線照射装置を連続して使用した場合に、フィラメントから発生する電子の量が次第に低下するのを簡単な構成で防止する。

解決手段

電子線発生部は、内部空間に電子銃を有し、底部に電子線取出窓を有する真空チャンバからなる。電子銃は電子線取出窓に略平行して延びるフィラメントをターミナルが筒状に包囲した構造を有し、ターミナルの底部にはフィラメントから放出された熱電子が通り抜けるグリッドが設けられ、フィラメントはグリッドを挟んで電子線取出窓と対向するように設けられ、グリッドから見てフィラメントの背面側に背面プレートが設けられる。フィラメントを流れる電流経路は、フィラメントと直列に接続された背面プレートを含む。

概要

背景

電子線照射は様々な目的に用いられているが、コーティング剤印刷インキ接着剤などの硬化、あるいは食品用ないし医薬品用包装材料容器滅菌のような、表面ないし表層の処理には300keV以下の低エネルギー電子線照射されることが多い。低エネルギー電子線であれば、X線管に用いられる程度の小型電源を使用することができ、また、プローブ状の電子線で被照射物照射エリアを二次元的に走査する走査型の装置を用いる代わりに、エリア状に形成された電子線シャワーの下をくぐるように被照射物を搬送するタイプの所謂「エリアビーム型」の装置が利用できることから、大面積の照射エリアに対する電子線照射処理を簡便に効率よく行うことができる。近年、エリアビーム型の電子線照射装置に対し、小型軽量化保守の簡素化を狙った改良がさかんに行われている。

例えば特許文献1は、エリアビーム型の電子線照射装置に用いられる電子ビーム加速器を記載している。特許文献1には、電子ビーム加速器が、真空チャンバ内に電子発生器を有し、該電子発生器を構成するフィラメント電流を流すと該フィラメントが加熱されて熱電子を発生し、発生した熱電子は、該フィラメントを包囲するハウジングの一方の側に該フィラメントと平行して設けられた開口列から、該真空チャンバの該開口列に対向する位置に設けられた電子ビーム放射窓に向かって加速され、加速された熱電子(電子ビーム)が該電子ビーム放射窓をシールする窓箔を透過して外部へ放射されるように構成されている。特許文献1は、電子ビーム加速器全体を小型化したモジュールとして一体的に構成することにより、電子ビーム加速器全体を簡便に交換できるようにして、電子線照射装置の保守の簡素化を図っている。

一方、エリアビーム型の電子線照射装置には、上に述べたように小型電源を用いて簡便に効率よく電子線照射処理を行うことができるというメリットがあり、このメリットを生かすには電力消費量に対する照射電子線量すなわち電子線生成効率を高めることが好ましいことから、従前より、フィラメントやターミナル(ハウジング)に印加する電圧を制御することによりフィラメントが発生した電子の取出し効率を高める工夫がなされている。例えば特許文献2は、ターミナルを構成するシールド電極グリッドとを電気的に絶縁し、グリッドにはフィラメントより高い電圧を印加し、シールド電極にはフィラメントより低い電圧を印加することにより、フィラメントから発生した電子の大部分をグリッドから取り出すようにして、ターミナルからの電子の取出し効率を高める手法を開示している。

また、特許文献3は、電子線シャワーの幅方向(X方向、被照射物の搬送方向)に延びるフィラメントを長さ方向(Y方向、照射幅方向)に複数並設してY方向に延びる筒状のシールド電極で包囲し、該シールド電極の該フィラメント列に対向する側に設けたグリッド(引出し電極)を通して引き出された電子が真空容器の開口部(照射窓)に向けて加速されるように構成された電子線発生部において、個々のフィラメントの中央部から放出されグリッドを通して引き出された電子が加速されて電子線取出窓(照射窓)を透過する際に、窓箔を支え長手衝突して消費されるロスを低減するために、引出し電極を湾曲させて電子線を長手桟を避けるように偏向させる手法を開示している。

概要

エリアビーム型電子線照射装置を連続して使用した場合に、フィラメントから発生する電子の量が次第に低下するのを簡単な構成で防止する。電子線発生部は、内部空間に電子銃を有し、底部に電子線取出窓を有する真空チャンバからなる。電子銃は電子線取出窓に略平行して延びるフィラメントをターミナルが筒状に包囲した構造を有し、ターミナルの底部にはフィラメントから放出された熱電子が通り抜けるグリッドが設けられ、フィラメントはグリッドを挟んで電子線取出窓と対向するように設けられ、グリッドから見てフィラメントの背面側に背面プレートが設けられる。フィラメントを流れる電流の経路は、フィラメントと直列に接続された背面プレートを含む。

目的

本発明の目的は、エリアビーム型電子線照射装置を連続して使用した場合に、フィラメントから発生する電子の量が次第に低下することを簡単な構成で防止することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電子線を発生する電子線発生部と、該電子線発生部で発生した電子線を被照射物照射する電子線照射部とを含んでなる電子線照射装置であって、前記電子線発生部は、減圧可能な内部空間を包含する真空チャンバと、該内部空間内に配置されて電子を放出することができる電子銃とを有し、該真空チャンバは、該電子銃が該内部空間に放出した電子を電子線として外部へ取り出すための電子線取出窓を有し、前記電子線照射部は、前記電子線取出窓に隣接する照射空間を形成し、被照射物を搬送する搬送手段を該照射空間内に有し、前記電子銃は、電流を流して加熱すると電子を発生する線状のフィラメントと、良導体からなり該フィラメントと導通した背面プレートと、導体からなり該フィラメント及び該背面プレートを包囲するターミナルとを有し、該ターミナルは、該フィラメントが発生した電子を前記電子線取出窓に対向する側に引き出すグリッドを有し、該グリッドは、該フィラメントに沿って設けられ、該背面プレートは、該グリッドから見て該フィラメントの背面側に設けられ、前記電子線発生部は、前記電子銃が前記内部空間に放出した電子を前記電子線取出窓に向けて加速するための加速電圧を、該電子銃と該電子線取出窓との間に印加することができるように構成され、前記フィラメントを流れる電流の経路が、該フィラメントと直列に接続された前記背面プレートを含むことを特徴とする電子線照射装置。

請求項2

前記グリッドがステンレス鋼からなり、前記背面プレートが銅からなる請求項1に記載の電子線照射装置。

請求項3

前記背面プレートが開口を有する請求項1または2に記載の電子線照射装置。

技術分野

0001

本発明は、エリア状に形成された低エネルギー電子線被照射物照射対象物)に対して照射するエリアビーム型の電子線照射装置に関する。

背景技術

0002

電子線照射は様々な目的に用いられているが、コーティング剤印刷インキ接着剤などの硬化、あるいは食品用ないし医薬品用包装材料容器滅菌のような、表面ないし表層の処理には300keV以下の低エネルギー電子線が照射されることが多い。低エネルギー電子線であれば、X線管に用いられる程度の小型電源を使用することができ、また、プローブ状の電子線で被照射物の照射エリアを二次元的に走査する走査型の装置を用いる代わりに、エリア状に形成された電子線シャワーの下をくぐるように被照射物を搬送するタイプの所謂「エリアビーム型」の装置が利用できることから、大面積の照射エリアに対する電子線照射処理を簡便に効率よく行うことができる。近年、エリアビーム型の電子線照射装置に対し、小型軽量化保守の簡素化を狙った改良がさかんに行われている。

0003

例えば特許文献1は、エリアビーム型の電子線照射装置に用いられる電子ビーム加速器を記載している。特許文献1には、電子ビーム加速器が、真空チャンバ内に電子発生器を有し、該電子発生器を構成するフィラメント電流を流すと該フィラメントが加熱されて熱電子を発生し、発生した熱電子は、該フィラメントを包囲するハウジングの一方の側に該フィラメントと平行して設けられた開口列から、該真空チャンバの該開口列に対向する位置に設けられた電子ビーム放射窓に向かって加速され、加速された熱電子(電子ビーム)が該電子ビーム放射窓をシールする窓箔を透過して外部へ放射されるように構成されている。特許文献1は、電子ビーム加速器全体を小型化したモジュールとして一体的に構成することにより、電子ビーム加速器全体を簡便に交換できるようにして、電子線照射装置の保守の簡素化を図っている。

0004

一方、エリアビーム型の電子線照射装置には、上に述べたように小型電源を用いて簡便に効率よく電子線照射処理を行うことができるというメリットがあり、このメリットを生かすには電力消費量に対する照射電子線量すなわち電子線生成効率を高めることが好ましいことから、従前より、フィラメントやターミナル(ハウジング)に印加する電圧を制御することによりフィラメントが発生した電子の取出し効率を高める工夫がなされている。例えば特許文献2は、ターミナルを構成するシールド電極グリッドとを電気的に絶縁し、グリッドにはフィラメントより高い電圧を印加し、シールド電極にはフィラメントより低い電圧を印加することにより、フィラメントから発生した電子の大部分をグリッドから取り出すようにして、ターミナルからの電子の取出し効率を高める手法を開示している。

0005

また、特許文献3は、電子線シャワーの幅方向(X方向、被照射物の搬送方向)に延びるフィラメントを長さ方向(Y方向、照射幅方向)に複数並設してY方向に延びる筒状のシールド電極で包囲し、該シールド電極の該フィラメント列に対向する側に設けたグリッド(引出し電極)を通して引き出された電子が真空容器の開口部(照射窓)に向けて加速されるように構成された電子線発生部において、個々のフィラメントの中央部から放出されグリッドを通して引き出された電子が加速されて電子線取出窓(照射窓)を透過する際に、窓箔を支え長手衝突して消費されるロスを低減するために、引出し電極を湾曲させて電子線を長手桟を避けるように偏向させる手法を開示している。

先行技術

0006

特開2010−164582号公報
特開平3−2600号公報
特開2006−201046号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献2や特許文献3に開示される手法は、フィラメントが発生(放出)した電子のうち真空チャンバの電子線取出窓(照射窓)から電子線として照射されるものの割合、すなわち発生した電子の利用効率を高めようとするものである。

0008

これに対し、本発明の発明者らは、電子線照射装置を連続して使用していると、フィラメントから発生する電子の量が次第に低下してくる場合があることを見出した。そして、その原因を調べたところ、フィラメント電流がフィラメントと直列に接続されているグリッドにも流れるとき、グリッドの温度上昇により抵抗値上がり、同じ電流を流そうとして電圧を上げようとするが、フィラメント電源能力不足しているため、フィラメントに流れる電流が不足し、フィラメントの加熱不足が起こる。もちろん、電圧と共に電流を上昇させることのできる電源を用いれば、上に述べたような問題は回避できるが、それでは電源回路の構成を新たに構築しなくてはいけなくなり小型の電源を簡便に用いるメリットがなくなる。

0009

そこで、本発明の目的は、エリアビーム型電子線照射装置を連続して使用した場合に、フィラメントから発生する電子の量が次第に低下することを簡単な構成で防止することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、
電子線を発生する電子線発生部と、該電子線発生部で発生した電子線を被照射物に照射する電子線照射部とを含んでなる電子線照射装置であって、
前記電子線発生部は、減圧可能な内部空間を包含する真空チャンバと、該内部空間内に配置されて電子を放出することができる電子銃とを有し、該真空チャンバは、該電子銃が該内部空間に放出した電子を電子線として外部へ取り出すための電子線取出窓を有し、
前記電子線照射部は、前記電子線取出窓に隣接する照射空間を形成し、被照射物を搬送する搬送手段を該照射空間内に有し、
前記電子銃は、電流を流して加熱すると電子を発生する線状のフィラメントと、良導体からなり該フィラメントと導通した背面プレートと、導体からなり該フィラメント及び該背面プレートを包囲するターミナルとを有し、該ターミナルは、該フィラメントが発生した電子を前記電子線取出窓に対向する側に引き出すグリッドを有し、該グリッドは、該フィラメントに沿って設けられ、該背面プレートは、該グリッドから見て該フィラメントの背面側に設けられ、
前記電子線発生部は、前記電子銃が前記内部空間に放出した電子を前記電子線取出窓に向けて加速するための加速電圧を、該電子銃と該電子線取出窓との間に印加することができるように構成され、
前記フィラメントを流れる電流の経路が、該フィラメントと直列に接続された前記背面プレートを含むことを特徴とする電子線照射装置、を提供し、
それにより前記課題を解決するものである。

発明の効果

0011

本発明によれば、所謂エリアビーム型の電子線照射装置を連続的に使用したときのフィラメントに流れる電流量経時的低下が抑制され、大面積の照射エリアに対する電子線照射処理を簡便に効率よく安定して行うことができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の電子線照射装置の内部構造を例示する模式的正面図である。
図1に示す装置を同図のA−A断面で見た模式的側面図である。
図1に示す装置の背面プレートの一例を示す。
図1に示す装置のグリッドの一例を示す。
図1に示す装置のグリッドの別の例を示す。
図1に示す装置のコネクタ電源プラグを示す斜視図である。

0013

以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子線照射装置の内部構造を例示する模式的正面図であり、図2は、図1に示す装置を同図のA−A断面で見た模式的側面図である。図1及び図2に示す電子線照射装置は、電子線を発生する電子線発生部1と該電子線発生部で発生した電子線EBを被照射物Xに照射する電子線照射部2を含む。

0014

電子線発生部1は、真空排気システム3により減圧可能な内部空間10を包含する真空チャンバ11と、該内部空間内に配置されて電子を放出する電子銃12とを有する。真空チャンバ11は、中心軸が略水平になるように配置された円筒形状の筒状筐体11aと、その筒状筐体の両端の開口をそれぞれ閉封するエンドキャップ11b、11cからなる。電子銃12は、基本構成要素として、線状に延びる発熱抵抗体であるフィラメント13とその周りを筒状に包囲する導電体であるターミナル14とを有する。

0015

真空チャンバ11の底部には、電子銃12が放出した電子(熱電子)を加速して外部(照射空間20)へ電子線EBとして導入するための電子線取出窓15が設けられている。電子線取出窓15は、真空チャンバ11の筒状筐体11aの中心軸に平行な方向を長手方向とする矩形状をなし、その長手方向の長さを長さ、それに直交する方向の長さを幅とする断面矩形状の電子流(電子線シャワー)を形成する。

0016

電子線取出窓15は、真空チャンバ11の底部に取り付けられた窓枠体15aと、該電子線取出窓の開口16を塞ぐことで密閉された内部空間10を形成する金属箔15bとを備える。金属箔15bは、チタンマグネシウムアルミニウムベリリウム等からなり、電子線EBを透過させる一方、内部空間10を真空排気したときの真空チャンバの内外圧力差に耐える必要がある。用いる材料にもよるが一般的には3〜20μm程度の厚さを有する。このとき、金属箔15bを内側から支える支持体15cを設けることにより、所望の耐圧性をもたせながら金属箔15bの厚さを抑えることができる。

0017

電子銃12の基本構成要素の一つであるフィラメント13は、通常、タングステンのような高温に耐える金属からなる発熱抵抗線であり、これに電流を流して高温に加熱すると熱電子が放出される。フィラメントが細いと切れやすくなり寿命が短くなるが、一方、太すぎると長さ方向に均一に加熱されなくなり熱電子の発生バランスが悪くなる。タングステン製のフィラメントの場合、フィラメントの線径は0.15〜0.5mm程度が好ましい範囲である。フィラメント13は、電子線取出窓15に対向して該電子線取出窓の長手方向(すなわち電子線シャワーの長さ方向)に略平行して延びるように設けられることが好ましい。

0018

電子銃12の基本構成要素の他の一つであるターミナル14は、フィラメント13の周りを囲んで該フィラメントを電磁的シールドする役割を果たすとともに、フィラメントから放出された熱電子を電子線取出窓に向けて送り出す役割を果たす。このため、ターミナル14の底部(フィラメント13と電子線取出窓15とがターミナル14の当該部位を挟んで対向する領域)には、電子を引き出す複数の開口部が配列して設けられたグリッド17を形成する。

0019

また、フィラメント13の上方(グリッド17から見てフィラメント13の背面側)には背面プレート(リペラともいう)18が設けられ、フィラメント13から上方に放出された熱電子がグリッド17の方に向けて撥ね返されるように構成される。背面プレート18は、図3に示すように、最も高温になるフィラメント中央部の上方に位置する部分をくり抜いた形状にすると、背面プレート自体が加熱されて抵抗が増大するのを回避することができ、また、グリッドが加熱されるのを抑制する効果もあるので好ましい。

0020

フィラメントに沿って設けられたグリッド17を構成する複数の開口部は、フィラメント13が延びる方向に配列されていることが好ましい。図4及び図5は、本実施形態の電子線照射装置に好ましく用いられるグリッドの開口部の配列を示すものである。図4円形の開口部が3列に配列されたものを示し、図5は円形の開口部が5列に配列されたものを示す。円形の開口部の場合、その直径は2.0〜8.0mm程度とすることが好ましい。ただし、グリッドを構成する個々の開口部の形状は円形に限られるわけではなく、矩形、六角形長円形など任意の形状であってよい。また、複数の開口部は必ずしも3列または5列に配列されていなくてもよく、更にいえば規則的に配列されていなくてもよい。図4及び図5に示されるグリッド17では、その長手方向(フィラメント13が延びる方向と平行な方向)に関してグリッドの中程に位置する領域(以下「中央部領域」という)における開口率(当該領域の面積に対してその領域内の開口部の面積の総和が占める割合)が、該中央領域を両端側から挟む領域(以下「端部側領域」という)における開口率よりも小さくなっていて、フィラメントから放出される熱電子の分布不均一性(中央部領域からの熱電子放出量が多い)が是正されるように構成されている。ただし、本実施形態のグリッド17は、必ずしも図4又は図5に示されるように構成されていなくてもよい。

0021

フィラメント13が発生した電子は、グリッド17からターミナル14の外側(電子線取出窓と対向する位置)に引き出される。このとき、ターミナル14に電子線取出窓15に対して負の電圧が印加されていると、引き出された電子が電子線取出窓15に向かって加速されて電子線EBとなり、電子線取出窓15を塞いでいる金属箔15bを透過し電子線シャワーとなって、電子線照射部2の照射空間20内に導入され、照射空間20内を当該電子線シャワーと交差する方向に搬送されている(あるいは当該電子線シャワーが照射する位置に支持されている)被照射物Xに照射されることになる。

0022

通常、フィラメント13とターミナル14(及びその一部を構成するグリッド17)とは電気的に導通しており、このため、フィラメントを電流が流れる際の電圧降下(フィラメント両端間電位差)を無視すれば、これらは略同じ電位にある。このため、電子銃12で発生した電子を電子線取出窓に向けて加速するためにターミナル14に印加される負の加速電圧(電子線取出窓15側は接地される)は、電子がグリッド17からターミナル14の外側に引き出されるまでは当該電子の移動に殆ど寄与しない。ただし、特許文献2に記載されるように、グリッド17の方がフィラメント13よりも高い電位になるように構成したり、ターミナル14や背面プレート18の方がフィラメント13よりも低い電位になるように構成してもよい。そのような場合には、ターミナル14の内部でもフィラメント13から放出された熱電子をグリッド17に向けて誘導する力がはたらくため、それにより電子銃12の電子線発生効率が向上することもある。

0023

電子線照射部2は、電子線取出窓15に隣接して照射空間20を形成し、該照射空間内に被照射物Xを搬送あるいは単に支持するための不図示の搬送手段を有する。被照射物を照射空間内で搬送する場合、断面矩形状の電子線シャワーの長さ方向と交差する方向に被照射物を搬送すれば、一度の搬送動作で当該長さ(の当該搬送方向に垂直な成分)に相当する幅で電子線シャワーによる照射が行われるため、効率よく広い面積に対して電子線照射処理を行うことができる。そして、本発明によれば、当該装置を連続的に使用したときのフィラメントに流れる電流量の経時的変化(低下)が抑制されるため、大面積の照射エリアに対する電子線照射処理を安定して行うことができる。

0024

なお、上でいう照射空間20とは、電子線取出窓15を通過した電子線EBが十分な強度で到達する範囲を意味し、照射空間が大気圧下にあり電子線取出窓を透過した時点で100keVの電子線を照射する場合では、電子線取出窓13から最大14cm程度離れた距離までの空間がここでいう照射空間20ということになる。照射空間20自体は必ずしも筐体21で囲われていなくてもよいが、被照射物Xに電子線を照射する際に制動X線が発生するため、電子線照射部2全体を鉛等の遮蔽壁で覆ってX線被曝を防止することが好ましい。なお、深い凹凸のある表面形態をもった被照射物の滅菌処理を行う場合のように、電子線の到達距離を大きくしたい場合には照射空間を減圧することが好ましく、その場合には照射空間を封止するために筐体で囲う必要があるのは当然である。

0025

本実施形態の電子線照射装置の電子線発生部1における真空チャンバ11の一方のエンドキャップ11bには、真空チャンバ11の中心軸と同心的に貫通孔が設けられ、そこに挿入された電力供給用のコネクタ40が電子銃12に接続している。フィラメント13に流す電流やターミナル14に印加する負の加速電圧(小型電源を用いる場合は最大100kV程度)は、高電圧ケーブル4の先端に設けられた電源プラグ42をコネクタ40に設けられたレセプタクル41に挿入することで、高電圧電源から電子銃12に供給される。

0026

図6は、コネクタ40と電源プラグ42の構成を示す斜視図である。真空チャンバ11に挿入されたコネクタ40の外側に露出した表面の中央部には、レセプタクル41が窪み状に形成されている。コネクタ40は、一体に形成された樹脂性であり、大径部43と小径部44とを備えている。コネクタ40が真空チャンバ11に挿入されたとき、小径部44は該真空チャンバの内側に位置し、大径部43は該真空チャンバの外側に位置する。また、大径部43と小径部44の間にはフランジ部45が備えられ、これら全体が一体に形成されている。フランジ部45は、真空チャンバ11の一方のエンドキャップ11bの外面に締結されて固定され、真空チャンバ11を密閉するように構成されている。レセプタクル41はコネクタ40の大径部43の端から小径部44の途中まで延びており、レセプタクル41の底面(図では右側の面)からは小径部44を構成する樹脂の内部を通して電源線46a、46bが延びている。

0027

フィラメント13を流れる電流は一対の電源線46a、46bを介して供給される。すなわち、電源線46a、46bの一方(例えば46b)はフィラメント13の一端に接続しており、他方(例えば46a)はフィラメント13の他端に接続している。そして、フィラメント13は筒状のターミナル14の内部を線状に延びているため、フィラメント13の一端はコネクタ40に隣接し、他端はコネクタ40から離れた位置にくる。従って、コネクタ40から離れている端(ここでは「他端」の方)とコネクタ40とをつなぐ配線部材が必要になる。このとき、ターミナル14の内部にはフィラメント13に沿ってグリッド17と背面プレート18とが存在するため、これらを上記配線部材として利用すれば、別途、配線部材を設ける必要がないので有利である。

0028

グリッド17も背面プレート18も通常は導体である金属で作られているので、フィラメント13の上記他端をいずれかの部材の当該他端側(コネクタと離れた側)に接続し、その部材の反対側(コネクタ側)を電源線46aに接続すれば、フィラメント13を流れる電流の(電源線46bからフィラメント13を経て電源線46aに至る)経路が構成される。ここで、グリッド17はフィラメント13に近接して設けられているため、フィラメント13からの輻射熱を受けて温度が上昇しやすい。グリッド17の温度が上昇するとその部分の抵抗が増大するため、フィラメント13の上記他端から電源線46aまでの経路におけるフィラメントを加熱するための電流量が低下することになる。

0029

このため、本実施形態においては、フィラメント13の上記他端を背面プレート18の当該他端側(コネクタと離れた側)に接続し、背面プレート18の反対側(コネクタ側)を電源線46aに接続しており、フィラメント13を流れる電流の経路が、該フィラメントと直列に接続された背面プレート18を含むように構成されている。背面プレート18はグリッド17よりフィラメント13の輻射熱を受けにくく温度が上昇しにくいので、そこを流れる電流に対する抵抗が増大しにくい。また、背面プレート18自体が良導体からなる、すなわち少なくとも加熱されて温度が上昇したときのグリッドより抵抗が小さくなるように構成されている。そのため、フィラメント13を流れる電流の経路が背面プレート18及びグリッド17の両者をともに(並列的に)含むように構成されたとしても、グリッド17の温度が上昇して抵抗が増大したときには、電流は背面プレートを優先的に流れることになるので、グリッド17の温度上昇によるフィラメント13の上記他端と電源線46aまでの経路の電流量の低下は大幅に低減される。

0030

背面プレート18を構成する「良導体」としては、抵抗率が小さい金、銀、銅などの金属やこれらを含む合金が好ましく、コストを考慮すれば銅が特に好ましい。ニッケルの抵抗率は銅の4〜6倍程度であるから多くの場合に使用可能であるが、ステンレス鋼(SUS304)の抵抗率は銅の20〜40倍にもなるので一般に使用可能であるとはいえない。もっとも、材料としての抵抗率が大きくても背面プレートの厚みを大きくすれば、電流経路としての抵抗値は下がるので、必ずしも全く使用できないわけではない。

0031

以上、図1図6に示す本発明の実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本願の各請求項の記載に基づいてその範囲が規定されるものであることはいうまでもない。

0032

図1及び図2に示す電子線照射装置の電子線発生部1に相当する実験装置製作し、電子線発生実験を行った。フィラメント13としては長さ150mm、線径0.2mmのタングステン線を用いた。また、グリッド17としては、図4に示すものと同様の、フィラメントが延びる方向に沿って円形の開口部を3列に設けたSUS304製のものを用いた。このときのグリッドとフィラメントの間の距離は10mmである。また、フィラメントの上方に40mm離してフィラメントに平行に銅製又はSUS304製の背面プレート(幅40mm、厚さ3mm)を設け、フィラメントのコネクタから離れた側の端とグリッド及び背面プレートとを接続して、フィラメントに対して直列に接続されたグリッド及び背面プレート(グリッドと背面プレートとは互いに並列)に含むフィラメント電流の経路を構成した。背面プレートは、開口を有しないものと図3に示すような開口(28mm×110mm)を有するものを用意し、開口の効果を調べた。

0033

(実験1)
100kVタイプの小型電源を用い、加速電圧を50kV、フィラメント電流を3.2A(初期値)とした。背面プレートとしては、SUS304製のもの(開口無し)を設けた。フィラメントの電力供給はグリッド側から供給した。実験開始直後ビーム電流は1.65mA、連続して3時間照射を行った時点での電子線出力は0.93mAであった。

0034

(実験2)
背面プレートを開口を設けたSUS304製のもの(開口28×110mm)にした以外は実験1と同じ条件で実験を行った。実験開始直後のビーム電流は2.71mA、連続して3時間照射を行った時点での電子線出力は1.76mAであった。

実施例

0035

(実験3)
背面プレートを銅製のもの(開口28×110mm)にし、かつフィラメントの電力供給を背面プレート側から供給した以外は実験1と同じ条件で実験を行った。実験開始直後の電子線出力は3.42mA、連続して3時間照射を行った時点での電子線出力は2.24mAであった。

0036

本発明の電子線照射装置は、大面積の照射エリアに対して均一に電子線照射を行う必要がある、コーティング剤の硬化処理や包装材料の滅菌処理等を簡便に効率よく行う用途に好適に用いることができる。

0037

1電子線発生部
2電子線照射部
3真空排気システム
4高電圧ケーブル
10 内部空間
11真空チャンバ
11a筒状筐体
11bエンドキャップ
11c エンドキャップ
12電子銃
13フィラメント
14ターミナル
15電子線取出窓
15a窓枠体
15b金属箔
15c支持体
16 電子線取出窓の開口
17グリッド
18背面プレート
20照射空間
21 照射空間の筐体
40コネクタ
41レセプタクル
42電源プラグ
43 大径部
44小径部
45フランジ部
46a電源線
46b 電源線

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