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技術 非晶性米粉を含む混合米粉とそれを用いた米粉麺生地、米粉生麺、米粉麺の製造方法

出願人 国立大学法人山形大学
発明者 西岡昭博齋藤亜紀
出願日 2017年6月13日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-116188
公開日 2019年1月10日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2019-000016
状態 未査定
技術分野 穀類誘導製品3(麺類)
主要キーワード フリッジ リングイネ クスクス ロングパスタ 卓上試験 糊化状態 圧縮テスト 揚げ油中
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年1月10日)のものです。
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図面 (5)

課題

「こし」の食感を示す高品質米粉麺を容易に製造することができる新規な技術を提供する。

解決手段

本発明の混合米粉は、米粉麺生地または米粉生麺に使用される混合米粉であって、非晶性米粉を含む。また本発明の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴としている: 前記混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程;および 前記生地をそのまま米粉麺生地とするか、または前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とし、あるいは前記生地を成形してそのまま米粉生麺とするか、または前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする工程。

概要

背景

日本で一般的な麺類原料は主に小麦粉である。小麦粉は水を加え捏ねることでたんぱく質内にグルテンを形成する。このグルテンが粘り気を示すため、麺を作る際に、粉同士をつなぎ合わせる“つなぎ”としてはたらく。しかし、グルテンはアレルギー症状を引き起こす物質である。アレルギー反応を示す人は小麦が原料である種々の麺類を食べた場合、命の危険に関わる。そのため、近年では小麦を使用しない麺の開発が進められており、原料の代替としては米が注目されている。

グルテンを形成しない米粉の場合、水を加えて捏ねても粘り気を示さない。そのため、小麦麺と同様の操作で米粉麺を作ることはできない。そこで従来の米粉麺には、米に含まれる澱粉性質を利用することで製麺される米粉麺、グルテンや海藻加工澱粉など増粘剤として働く成分を添加することで製麺される米粉麺の2種類が存在する。前者の場合、原料を米粉のみに限定した100%米粉麺を作製することができる。製法の一例を図1(b)に示す。

図1(b)に示す通り、米粉に水を加えた米粉麺生地は、米粉麺への成形後に加熱の工程を行う(図1(b)において、加熱は成形後に示されているが、これらの工程は前後することがある)。米に含まれる澱粉は加熱処理を行うと糊化し、高い粘り気を発生する。この粘り気によって米粉同士は粘着し、米粉麺としての形状を保持することが可能となる。加熱処理については様々な方法が存在し、例えば、特許文献2では原料米粉に対してお湯を加えて湯練りすることで米粉麺の25〜35%を糊化させている。また、特許文献3では混練後に蒸気で蒸すことで、麺線化前の米粉麺生地を全体的に糊化させている。さらに、特許文献1および特許文献4で成形後の米粉麺を、熱湯若しくは揚げ油中に垂下、若しくは蒸気で蒸すことで米粉麺全体を糊化させている。

これら従来の加熱工程は非常に複雑であるのに加え、特別な装置が必要とされてきた。

澱粉を糊化させた米粉麺は、表面が著しくべたついてしまう。そのため、図1(b)に示すように、加熱処理の後に冷蔵あるいは冷凍などを施す必要がある。澱粉は糊化させた後に前記の工程を行うと「老化」することが知られている。緑豆澱粉馬鈴薯澱粉等を主原料とする春雨の製造においても、加熱により澱粉を糊化させた後、冷蔵あるいは冷凍という工程によって「老化」させているものが一般的である。澱粉が「老化」すると、糊化で発生した粘り気は低減し、米粉麺の表面のべたつきという問題が解消される。しかし、多量に水分を含有した糊化状態からの老化となると、単に低温保存と乾燥を施すだけでは、十分な老化度まで達しない。例えば特許文献1では原料米粉に対し老化しやすいとされる澱粉を50〜70重量部添加した上で、冷凍、解凍、乾燥の工程により製造されるインスタントの米粉麺が提案されている。また、特許文献4では通常の米よりも老化が起こりやすいアミロース含有量25〜35%の米を原料に用いた上で、冷凍を行って製造される生麺、若しくは、乾燥を行って製造される乾麺が提案されている。

一般的な米粉のみを原料とした米粉麺において、小麦粉麺のような「こし」の発現は従来不可能とされている。

以上のように、従来の米粉100%麺の製造方法では、米澱粉の糊化および老化工程が必要不可欠とされている。具体的には、米粉生地あるいは成形した米粉麺への加熱処理(糊化)と、冷凍および乾燥処理(老化)という一連の工程が必要不可欠である。

さらには、グルテンを含有しない米粉麺には、小麦粉麺のような「こし」の食感がない。

概要

「こし」の食感を示す高品質な米粉麺を容易に製造することができる新規な技術を提供する。本発明の混合米粉は、米粉麺生地または米粉生麺に使用される混合米粉であって、非晶性米粉を含む。また本発明の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴としている: 前記混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程;および 前記生地をそのまま米粉麺生地とするか、または前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とし、あるいは前記生地を成形してそのまま米粉生麺とするか、または前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする工程。なし

目的

本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、「こし」の食感を示す高品質な米粉麺を容易に製造することができる新規な技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

米粉麺生地または米粉生麺に使用される混合米粉であって、非晶性米粉を含む混合米粉。

請求項2

非晶性米粉の含有量が、混合米粉100重量部に対して25重量部以上である請求項1に記載の混合米粉。

請求項3

以下の工程を含む、米粉麺生地または米粉生麺の製造方法:請求項1または2に記載の混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程;および前記生地をそのまま米粉麺生地とするか、または前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とし、あるいは前記生地を成形してそのまま米粉生麺とするか、または前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする工程。

請求項4

非晶性米粉の含有量が混合米粉100重量部に対して50重量部以上であり、前記生地を調製した後、前記生地を低温下で保存せずにそのまま米粉麺生地とするか、あるいは前記生地を成形して低温下で保存せずにそのまま米粉生麺とする請求項3に記載の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法。

請求項5

非晶性米粉の含有量が混合米粉100重量部に対して70重量部以下であり、前記生地を調製した後、前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とするか、あるいは前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする請求項3に記載の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法。

請求項6

混合米粉100重量部に対して水30〜55重量部を配合する請求項3〜5のいずれか一項に記載の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法。

請求項7

以下の工程を含む、米粉麺の製造方法:請求項3〜6のいずれか一項に記載の米粉生麺か、あるいは米粉麺生地を成形した米粉生麺を用意する工程;および前記米粉生麺を茹でるか、前記米粉生麺を乾麺または即席麺とするか、あるいはこれらの乾麺または即席麺を茹でる工程。

技術分野

0001

本発明は、米粉原料として麺を製造する技術に関する。

背景技術

0002

日本で一般的な麺類の原料は主に小麦粉である。小麦粉は水を加え捏ねることでたんぱく質内にグルテンを形成する。このグルテンが粘り気を示すため、麺を作る際に、粉同士をつなぎ合わせる“つなぎ”としてはたらく。しかし、グルテンはアレルギー症状を引き起こす物質である。アレルギー反応を示す人は小麦が原料である種々の麺類を食べた場合、命の危険に関わる。そのため、近年では小麦を使用しない麺の開発が進められており、原料の代替としては米が注目されている。

0003

グルテンを形成しない米粉の場合、水を加えて捏ねても粘り気を示さない。そのため、小麦麺と同様の操作で米粉麺を作ることはできない。そこで従来の米粉麺には、米に含まれる澱粉性質を利用することで製麺される米粉麺、グルテンや海藻加工澱粉など増粘剤として働く成分を添加することで製麺される米粉麺の2種類が存在する。前者の場合、原料を米粉のみに限定した100%米粉麺を作製することができる。製法の一例を図1(b)に示す。

0004

図1(b)に示す通り、米粉に水を加えた米粉麺生地は、米粉麺への成形後に加熱の工程を行う(図1(b)において、加熱は成形後に示されているが、これらの工程は前後することがある)。米に含まれる澱粉は加熱処理を行うと糊化し、高い粘り気を発生する。この粘り気によって米粉同士は粘着し、米粉麺としての形状を保持することが可能となる。加熱処理については様々な方法が存在し、例えば、特許文献2では原料米粉に対してお湯を加えて湯練りすることで米粉麺の25〜35%を糊化させている。また、特許文献3では混練後に蒸気で蒸すことで、麺線化前の米粉麺生地を全体的に糊化させている。さらに、特許文献1および特許文献4で成形後の米粉麺を、熱湯若しくは揚げ油中に垂下、若しくは蒸気で蒸すことで米粉麺全体を糊化させている。

0005

これら従来の加熱工程は非常に複雑であるのに加え、特別な装置が必要とされてきた。

0006

澱粉を糊化させた米粉麺は、表面が著しくべたついてしまう。そのため、図1(b)に示すように、加熱処理の後に冷蔵あるいは冷凍などを施す必要がある。澱粉は糊化させた後に前記の工程を行うと「老化」することが知られている。緑豆澱粉馬鈴薯澱粉等を主原料とする春雨の製造においても、加熱により澱粉を糊化させた後、冷蔵あるいは冷凍という工程によって「老化」させているものが一般的である。澱粉が「老化」すると、糊化で発生した粘り気は低減し、米粉麺の表面のべたつきという問題が解消される。しかし、多量に水分を含有した糊化状態からの老化となると、単に低温保存と乾燥を施すだけでは、十分な老化度まで達しない。例えば特許文献1では原料米粉に対し老化しやすいとされる澱粉を50〜70重量部添加した上で、冷凍、解凍、乾燥の工程により製造されるインスタントの米粉麺が提案されている。また、特許文献4では通常の米よりも老化が起こりやすいアミロース含有量25〜35%の米を原料に用いた上で、冷凍を行って製造される生麺、若しくは、乾燥を行って製造される乾麺が提案されている。

0007

一般的な米粉のみを原料とした米粉麺において、小麦粉麺のような「こし」の発現は従来不可能とされている。

0008

以上のように、従来の米粉100%麺の製造方法では、米澱粉の糊化および老化工程が必要不可欠とされている。具体的には、米粉生地あるいは成形した米粉麺への加熱処理(糊化)と、冷凍および乾燥処理(老化)という一連の工程が必要不可欠である。

0009

さらには、グルテンを含有しない米粉麺には、小麦粉麺のような「こし」の食感がない。

先行技術

0010

特開2007−066391号公報
特開2007−174911号公報
特開2009−247224号公報
特開2012−10617号公報
特開2012−223097号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、「こし」の食感を示す高品質な米粉麺を容易に製造することができる新規な技術を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0012

上記の課題を解決するために、本発明の混合米粉は、米粉麺生地または米粉生麺に使用される混合米粉であって、非晶性米粉を含むことを特徴としている。

0013

本発明の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴としている:
前記混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程;および
前記生地をそのまま米粉麺生地とするか、または前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とし、あるいは前記生地を成形してそのまま米粉生麺とするか、または前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする工程。

0014

本発明の米粉麺の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴としている:
前記米粉生麺か、あるいは米粉麺生地を成形した米粉生麺を用意する工程;および
前記米粉生麺を茹でるか、前記米粉生麺を乾麺または即席麺とするか、あるいはこれらの乾麺または即席麺を茹でる工程。

発明の効果

0015

本発明によれば、「こし」の食感を示す高品質な米粉麺を容易に製造することができる。

0016

特に、非晶性米粉の利用により、グルテンや海藻、澱粉、加工澱粉などを一切用いない米粉と水のみからなる生地によって、従来必要不可欠であった生地の作製時における加熱処理を省いても、「こし」の食感を示す高品質な米粉麺を製造することができる。

図面の簡単な説明

0017

図1(a)は本発明の方法による製麺工程、図1(b)は従来の方法による製麺工程を示した図である。
実施例1において小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を示す写真である。
実施例2において小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を示す写真である。
実施例3において小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を示す写真である。
比較例1において小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を示す写真である。

0018

以下に、本発明を詳細に説明する。

0019

本発明の混合米粉は、非晶性米粉を含む。混合米粉は、非晶性米粉と、通常の米粉(以下、非晶性米粉と区別して結晶性米粉と呼ぶことがある)を使用することができる。

0020

混合米粉としては、粉末化した米粉を使用することができる。非晶性米粉と結晶性米粉のいずれの米粉も原料は、粳米あるいはもち米粉砕、粉末化した米粉を使用することができる。例えば、粳米としては、ジャポニカ米、インディカ米ジャバニカ米等の各種のものでよく特に制限されるものではない。また、粉砕する前の生米は、精白米玄米屑米古米など特に制限されるものでなく、粉砕後の粒度一般に市販される上新粉の程度であれば通常に使用することができる。

0021

また、本発明で用いられる非晶性米粉は、例えば粳米あるいはもち米に対して炊飯機械的処理を行うことにより、粳米あるいはもち米に含有される澱粉を非晶化するとともに、粉砕して粉末化した米粉を使用することができる。その製造方法や原料は特に限定されることはなく、従来公知のものを含め、各種の方法によって製造された非晶性米粉を採用することができる。特に一般に市販される粳米を炊飯した後に乾燥して粉砕して得られる非晶性米粉は、含まれている澱粉のほぼ全量が非晶化されている点で好ましい。

0022

また、米粒を炊飯することなく機械的処理により非晶化して粉砕した非晶性米粉を使用しても同様の米粉麺を製造することができる。このような非晶性米粉については特許第5769053号等に記載されている。なお、特に機械的処理により非晶化した米粉については、その製造条件により必ずしも全ての澱粉が非晶化されておらず、結晶性米粉と非晶性米粉の混合物になっているものが製造される。このように部分的に非晶化された米粉を用いる場合には、当該非晶化がされている割合(非晶化率)に応じて非晶性米粉と結晶性米粉が混合しているものと扱うことで本発明に係る米粉麺生地の製造に用いることができ、非晶化率制御、経済性などからより好ましい。

0023

本発明の混合米粉において、非晶性米粉の含有量は、混合米粉100重量部に対して25重量部以上である。あるいは、非晶性米粉の含有量は、混合米粉100重量部に対して30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上、45重量部以上、50重量部以上、55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、80重量部以上のうちのいずれかであってもよい。

0024

本発明の米粉麺生地または米粉生麺の製造方法は、本発明の混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程;および、前記生地をそのまま米粉麺生地とするか、または前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とし、あるいは前記生地を成形してそのまま米粉生麺とするか、または前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする工程を含む。

0025

本発明の方法によって製造される米粉麺生地または米粉生麺の引張破断応力は、30kPa以上が好ましく、40〜80kPaがより好ましく、40〜75kPaがさらに好ましい。その中でも40〜80kPaは品質の良い「こし」の発現に特に適している。

0026

なお、麺の「こし」の強さを指標化する方法として、圧縮テスト、引張テスト降伏強度弾性率、破断応力)等があり、そのいずれの方法でも指標化できるが、引張破断応力は簡便で差が出やすい。上記の破断応力が60kPa程度は、通常の小麦粉を用いたパスタが示す、こしの強さに対応した値である。

0027

混合する水の量が多く、茹でた後の引張破断応力が小さ過ぎると「こし」がなく食感が悪い麺となる。反対に、混合する水の量が少なく、茹でた後の引張破断応力が大き過ぎると硬過ぎてしまい噛み切りにくい麺となる。

0028

本発明においては、混合米粉における非晶性米粉の割合に応じて、米粉麺生地または米粉生麺の製造方法として好ましい2通りの方法がある。

0029

第1の方法は、非晶性米粉の含有量が混合米粉100重量部に対して好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下、最も好ましくは60重量部以下の混合米粉を使用した場合に適用される。この場合、前記生地を調製した後、前記生地を低温下で保存し米粉麺生地とするか、あるいは前記生地を成形した後、低温下で保存し米粉生麺とする。

0030

図1(a)には、「新規製麺法1」として非晶性米粉の割合を60重量部以下とした場合を例として示している。

0031

混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程では、非晶性米粉の割合を上記範囲に調整した混合米粉に対し、加水を行う。具体的な水の配合量は、米粉および非晶性米粉(混合米粉)の合計100重量部に対し、30〜55重量部の範囲内が好ましく、例えば36重量部を例示することができるが、非晶性米粉の添加量や、製麺方法に応じて範囲内で適宜変更することが可能である。混合する水の量が少な過ぎると、米粉麺生地の流動性が著しく低下するため、米粉麺生地から米粉麺への成形方法によっては製麺が困難となる。

0032

非晶性米粉は、通常の米粉(結晶性米粉)よりも結晶構造崩壊している米粉である。そのため、結晶性米粉よりも水との結びつきが容易であり、加熱処理を行わずとも加水のみにより糊化状態となる。図1(b)に示すように、従来製法では通常の米粉を用いた米粉麺生地に粘り気を付与するためには、加熱処理が必要不可欠であった。しかし、非晶性米粉の特性を利用することで、加水量の調整により、米粉同士を粘着させるための粘り気の付与を容易かつ簡便に行うことができ、米粉100%麺が麺としての形状を保持することが可能となる。

0033

生地の粘度制御も可能となることから、加水量の適切な調整により、機械を用いない米粉麺を成形することもできる。したがって、手打ちのうどんやそばなど、所望の麺を作製することができる。

0034

上記各原料および水を混合した生地は、通常の小麦粉を用いた麺の製造方法と同様に押出成形により麺線化され、粉末粒子が互いに吸着した良好な形状の米粉麺が製造できる。しかし前記に記述した通りに生地を配合することで、押出成形を用いずとも手打ちにて麺を成形することができる。

0035

このようにして成形した麺を、低温下で保存する。例えば、冷蔵庫内または冷凍庫内にて、好ましくは冷蔵庫内にて老化させる。保存時間は、好ましくは1〜72時間である。これにより、熱湯中で3分間茹でた後の引張破断応力が前述の範囲、例えば60kPa程度を示す、良好な食感の米粉麺となる。

0036

従来の米粉麺製法では米に含まれる澱粉を老化させるために、冷凍が行われる方法が最も一般的である。従来の米粉麺は成形前後に澱粉を糊化するための加熱処理が施されており、老化前の米粉麺は水分含量が非常に高い。そのため、冷凍を行うことで形状を保持させた後に解凍、続いて乾燥が行われる。なお、定説では、澱粉の老化は0〜4℃の温度領域でのみ起こるとされている。したがって、冷凍工程では実質澱粉は老化しておらず、解凍工程にて0〜4℃の領域を経る間においてようやく澱粉は老化するのではないかとされている。東アジアで一般的な米粉麺であるビーフンフォー、また緑豆澱粉や馬鈴薯澱粉などを主成分とする春雨も同様に、澱粉の老化の際は冷凍が行われる。本発明において「低温」とは、好ましくは10℃以下、最も好ましくは5℃以下である。また、好ましくは−5℃以上、最も好ましくは0℃以上である。

0037

本発明で用いる非晶性米粉は、米に含有される澱粉が非晶質であるため、糊化のために加熱処理を行う必要がなく、更に米粉麺生地の含水量を必要最低限まで抑えることも可能となる。そのため、本発明においては米澱粉の老化を促進させる工程として、冷凍および解凍の代わりに冷蔵を行うことが好ましい。2℃前後の温度域を示す冷蔵庫を用いることで、老化の効率化が期待できる。

0038

以上の工程により製造した米粉麺は、老化した米澱粉が「こし」の食感を示す高品質な米粉麺となる。

0039

第2の方法は、非晶性米粉の含有量が混合米粉100重量部に対して好ましくは50重量部以上、より好ましくは55重量部以上、最も好ましくは60重量部以上の混合米粉を使用した場合に適用される。この場合、前記生地を調製した後、前記生地を低温下で保存せずにそのまま米粉麺生地とするか、あるいは前記生地を成形して低温下で保存せずにそのまま米粉生麺とする。

0040

図1(a)には、「新規製麺法2」として非晶性米粉の割合を60重量部以下とした場合を例として示している。

0041

混合米粉および水を配合して混練し、生地を調製する工程では、非晶性米粉の割合を上記範囲に調整した混合米粉に対し、加水を行う。具体的な水の配合量や、生地の粘度調整、米粉麺への成形方法については、上記第1の方法と同様であるが、この第2の方法では成形した麺を老化させるための冷蔵あるいは冷凍の工程を省略することが可能となる。つまり、混合米粉と水の混練および成形のみの工程により、熱湯中で1〜4分間、好ましくは3分間茹でた後の引張破断応力が60kPa程度を示す、良好な食感の米粉麺となる。

0042

以上の工程により製造した米粉麺は、非晶性米粉の割合によっては、老化不要で「こし」の発現が可能となる。

0043

本発明の米粉麺の製造方法は、以上の方法によって得られた米粉生麺か、あるいは米粉麺生地を成形した米粉生麺を用意する工程;および、前記米粉生麺を茹でるか、前記米粉生麺を乾麺または即席麺とするか、あるいはこれらの乾麺または即席麺を茹でる工程を含む。

0044

生地の粘度制御も可能となることから、加水量の適切な調整により、成形方法によることなく、様々な形状の米粉麺が作製できる。したがって、切出法による(日本の)ラーメン、うどん、蕎麦切り、縄そば、烙麺、切り麺や、水中で引っ張って細長紐状にする水引餅、水餅子や、撚延法によるそうめん、稲庭うどん、中国の拉麺、掛麺、ビャンビャン麺、中央アジアの拉条子、押出法による 六衛、冷麺、ビーフン、スパゲッティマカロニ、日本のラーメンの一部、中国の蕎麺、酸湯子、スリランカのイディアッパなどや、切り分けた生地を指先でよって細く伸ばす一本うどん、中国の搓麺、搓や、生地の塊を削ることで作られる 刀削麺、撥魚など、所望の麺を作製することができる。

0045

本発明によれば、片栗粉麺、黍麺、葛切り、鉄絲麺、粟麺(粟とでんぷん)、ライスヌードル、お米めん(米を主原料とした麺の総称)、ビーフン、フォー、クイティアオ、バンティアオ、絲、イデアッパ、缶詰麺、低カロリー麺、糸こんにゃく、六兵衛、地瓜麺、春雨、頭麺、半島の冷麺(ネンミョン)の麺、ピッツォッケリ、朝鮮半島の冷麺(ネンミョン)の麺、黄豆麺加水すべて白大豆豆乳を使用した麺、黒豆麺、韃靼蕎麦、酸湯子、稗麺、紅麺、薯蕷麺、春雨、太平燕、豆箕麺、涼粉を容易に作製することができる。

0046

上記のスパゲッティはロングパスタ一種であり、他にもスパゲッティーニ、フェデリーニ、ヴェルミチェッリ、カッペリーニ、リングイネブカティーニ、キラッタ、タリアッテレ(フェットチーネ)、パッパルデッレ、ビーコリ、ピッツォッケリ、パッサテッリ、ストロンカッテリ、タリオリーニ、トレネッテなどのロングパスタや、マッケローネ、ペンネリガトーニ、ファファーレ、コンキリエ、フリッジ、ルオーテ、オレッキエッテ、ガルガネッリ、ガッセ、ステッリーネ、ツィーテ、カサレッチェなどがある。

0047

さらに、上記のマカロニにはショートパスタ、ラビオリ、トルテッリ、トルテッリ—ニ、アリーニ、カルツォニッキ、カンネッローニ、カソンセイチャルツォンス、クリンジョネス、パンツェロッティなどがある。

0048

またロングパスタやショートパスタ(マカロニ)以外のパスタとして、ラザーニェ、ニョッキクスクスリゾーニ、マルタリアーティ、パスタ・ミスタなども含まれる。

0049

以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0050

非晶性米粉には、新規粉砕法(特許第5769053号)により、平成27年度山形県産はえぬきを粉砕したものを用いた。以下、便宜的に上記の米粉をA粉とする。非晶化させていない通常の米粉には、気流粉砕装置(山本製)を用いて平成27年度山形県産はえぬきより作製したものを用いた。作製した米粉は生米を粉砕したものであって、澱粉が非晶化していない通常の米粉である。以下、便宜的に上記の米粉をB粉とする。

0051

上記A粉とB粉を表1〜4に示す割合で混合したものを主原料の米粉とした。米粉麺生地の混練および米粉麺の成形には不二精機株式会社製の小型パスタ機を用いた。表1〜4に示す量の水を加え、混練は5分間行った。麺線上に押出成形したものを表1〜4に示す老化時間で冷蔵保存し、これを米粉麺とした。

0052

引張応力の評価に際して、米粉麺は3分間熱湯で茹でた。

0053

なお、破断応力は島津製作所製の小型卓上試験機を用いて測定した。試料の米粉麺は上下幅が100.0mmとなるように冶具に挟み、200.0mm/minの速度で引っ張った。米粉麺が破断する瞬間に示した応力の値を破断応力とした。
<実施例1>老化時間の検討
非晶性米粉40重量部に対して、非晶化させていない通常の米粉を60重量部配合し、水を36重量部混合したものを主原料とした米粉麺を、成形後に1〜72時間冷蔵保存させた際の、老化時間に伴う茹でた米粉麺の破断応力への影響について検討した。実験図1(a)で示す「新規製麺法1」によって行った。具体的には、表1に示す通り、作製したA米粉40重量部およびB米粉60重量部に対し、水を36重量部混合し、麺状に押出した後、冷蔵庫内で1〜72時間保存したものを米粉麺とし、引張破断応力の評価を行った。

0054

検討の結果を表1に示す。また、小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を図2に示す。

0055

0056

非晶性米粉を40重量部用いたことで、米粉麺生地および米粉麺は成形に良好な粘着性を示した。老化時間1〜72時間の領域では、3分間茹でた際に良好な「こし」を示す米粉麺となった。
<実施例2> 非晶性米粉の配合率および老化時間の検討
非晶性米粉に対して、非晶化させていない通常の米粉を適宜配合し、水を36重量部混合したものを主原料として製麺し、その後24、72時間冷蔵を行い作製した米粉麺の非晶性米粉の配合率および老化時間に伴う破断応力への影響について検討した。実験は図1(a)に示す「新規製麺法2」によって行った。具体的には、表2に示す通り、作製したA米粉40〜100重量部に対してB米粉を適宜配合したものに水を36重量部混合し、麺状に押出した後、冷蔵庫内で24、72時間保存したものを米粉麺とし、引張破断応力の評価を行った。

0057

検討の結果を表2に示す。また、小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を図3に示す。

0058

0059

非晶性米粉の割合が40重量部以上のサンプル4〜8の米粉麺において、24、72時間の冷蔵は破断応力に良好な影響を与えた。
<実施例3> 非晶性米粉の配合率および老化時間の検討
非晶性米粉に対して、非晶化させていない通常の米粉を適宜配合し、水を36重量部混合したものを主原料として製麺し、その後の冷蔵保存を省略した工程により作製した米粉麺の非晶性米粉の配合率に伴う破断応力への影響について検討した。実験は図2に示す「新規製麺法2」によって行った。具体的には、表3に示す通り、作製したA米粉40〜100重量部に対してB米粉を適宜配合したものに水を36重量部混合し、麺状に押出したものを米粉麺とし、引張破断応力の評価を行った。

0060

検討の結果を表3に示す。また、小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を図4に示す。

0061

0062

表3に示す通り、非晶性米粉の割合の高い組成では冷蔵工程を行わずとも良好な破断応力を示した。非晶性米粉の割合の高さは、米粉同士を粘着させる粘着力の強さに直結する。そのため、非晶性米粉の割合の高い米粉麺は、構造的に強固であり、茹での際に煮崩れを起こすこともなく、澱粉の糊化による表面のベタつきも小さかった。
<実施例4> 非晶性米粉の配合率および老化時間の検討
非晶性米粉に対して、非晶化させていない通常の米粉を適宜配合し、水を36重量部混合したものを主原料として製麺を行い、非晶性米粉の配合率に伴う破断応力への影響について検討した。実験は、サンプル12のみ図1(a)に示す「新規製麺法2」によって行い、サンプル13〜15については「新規製麺法1」によって行った。具体的には、表4に示す通り、作製したA米粉40〜100重量部に対してB米粉を適宜配合したものに水を36重量部混合し、麺状に押出した後、冷蔵庫内で0〜72時間保存したものを米粉麺とし、引張破断応力の評価を行った。

0063

検討の結果を表4に示す。

0064

0065

実施例3で示したように、非晶性米粉の割合の高い米粉麺においては「新規製麺法2」によって作製、つまり冷蔵を行わなかった場合においても良好な破断応力を示した。一方、同様に「新規製麺法2」によって作製したサンプル12の米粉麺は、破断応力が60kPaを大きく下回った。非晶性米粉の割合が低い場合には、良好な「こし」の発現のために冷蔵工程を省くことができない。しかし、非晶性米粉の割合の高かったサンプル13〜15については、冷蔵を行ったことにより破断応力が高くなりすぎてしまった。非晶性米粉の割合が高いほど、老化によって硬化する澱粉領域は広がるためである。
<比較例1> 水量の検討
非晶化させていない通常の米粉100重量部に対し、水を28、52重量部混合したものを主原料として製麺を行った際の、加水率に伴う茹でた米粉麺の破断応力への影響について検討した。実験は表5に示す通り、作製したB米粉100重量部に対し、水を28、52重量部混合し、麺状に押出したものを米粉麺とし、引張破断応力の評価を行った。

0066

検討の結果を表5に示す。また、小型パスタ機から押出した米粉麺の様子を図5に示す。

0067

0068

図5に示す通り、加水率28%の米粉麺生地の流動性が著しく低下したため、連続的に米粉麺を押し出すことが困難となった。押し出しにより米粉麺を作製できたサンプル17、19においては、破断応力が60kPaを大きく下回った。最も加水率の高いサンプル19の米粉麺は大変脆く、茹での際に切れてしまう麺も多かった。

実施例

0069

以上の通り、通常の米粉に対して所定量の非晶性米粉を混合することにより、米を原料とした米粉麺が、グルテンや海藻、澱粉、加工澱粉などを一切使用しないにもかかわらず、簡便な工程により製造可能となった。また、混合米粉100重量部に対しある程度の量以下の非晶性米粉を混合し作製した米粉麺を、冷蔵庫にて所定時間保存し、米に含有される澱粉を老化したことで、あるいは、混合米粉100重量部に対しある程度以上の非晶性米粉を混合したことで、小麦粉麺のような「こし」を示す米粉麺の製造が可能となり、米と水のみを原料とする米粉麺の商品性を向上とすることが可能となった。

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