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技術 IGF−1R発現癌の処置のための組成物

出願人 ピエール、ファーブル、メディカマン
発明者 アレクサンドラ、ジュアンオーリリアンヌ、ゲシュマチュー、ブルサーシャルロット、ボー−ラルボールティエリー、シャンピオンアラン、ロベールジャン−フランソワ、アウーイアン、リラットミシェル、ペレ
出願日 2016年10月26日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2018-521369
公開日 2018年12月20日 (11ヶ月経過) 公開番号 2018-537425
状態 未査定
技術分野 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 変化特徴 シングルサイクル 結合区域 二水和塩 非可視化 再循環経路 両センサー 勾配係数
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課題・解決手段

本発明は、IGF−1R発現癌の処置のための方法ならびに前記処置のための組成物およびキットに関する。一つの態様から、本発明は、癌のIGF−1R状態の決定のための第1の抗体と前記癌の処置のためのADCとして使用される第2の抗体の併用に関する。

概要

背景

IGF−IR(または時にはIGF1RもしくはIGF−IR)と呼称されるインスリン様成長因子受容体は、チロシンキナーゼ活性を有し、インスリン受容体IRと70%の相同性を有する受容体である。IGF−IRは、分子量が約350,000の糖タンパク質である。これは、ヘテロ四量体の受容体であり、その半分はそれぞれジスルフィド架橋によって連結しており、細胞外α−サブユニットおよび膜貫通β−サブユニットからなる。IGF−IRは、極めて高い親和性(Kd#1nM)でIGF1およびIGF2と結合するが、同様にインスリンとも100分の1〜1000分の1の親和性で結合し得る。逆に、IGFは100分の1の親和性でしかインスリン受容体と結合しないが、IRは極めて高い親和性でインスリンと結合する。α−サブユニット上に存在するシステイン富む領域とβ−サブユニットのC末端部分にそれぞれ相同性の低い区域が関係しているが、IGF−IRのチロシンキナーゼドメインとIRのチロシンキナーゼドメインとは極めて高い配列相同性を有している。α−サブユニットに見られる配列の差異リガンド結合区域に存在するため、それはIGFとインスリンのそれぞれに対するIGF−IRとIRの相対的親和性の基となっている。β−サブユニットのC末端部分における差異は、2つの受容体のシグナル伝達経路における相違をもたらし、IGF−IRは細胞分裂促進作用、分化作用および抗アポトーシス作用を媒介し、一方、IRの活性化は主として代謝経路のレベルでの作用に関与する。

細胞質チロシンキナーゼタンパク質は、リガンドが受容体の細胞外ドメインに結合することによって活性化される。キナーゼの活性化は、次に、IRS−1、IRS−2、ShcおよびGrb10を含む種々の細胞基質刺激に関与する。IGF−IRの2つの主要な基質はIRSおよびShcであり、これらは下流で多くのエフェクターの活性化によって、IGFのこの受容体への結合に関連した増殖および分化作用の大部分を媒介する。従って、基質の利用度がIGF−IRの活性化に関連した最終的な生物学的作用を決定し得る。IRS−1が優勢である場合には、細胞は増殖し形質転換する傾向にある。Shcが優勢である場合には、細胞は分化する傾向にある。アポトーシスに対する保護作用に主として関与する経路は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼ)経路であると思われる。

発癌におけるIGF系の役割は、ここ10年で集中的な研究の対象となってきている。この関心は、IGF−IRが、その細胞分裂促進性および抗アポトーシス性に加えて、形質転換された表現型確立と維持に必要であると思われるという事実の発見に従ったものである。実際に、IGF−IRの過剰発現または構成的活性化が、多様な細胞において、ウシ胎仔血清を含まない培地補助に依存することなく細胞を増殖させ、ヌードマウスにおいて腫瘍を形成させるということが十分に確認されている。成長因子の多数の受容体を含む、過剰発現した遺伝子の多様な産物が細胞を形質転換し得ることから、このこと自体は固有の特性ではない。しかしながら、IGF−IRが形質転換において果たす主要な役割を明らかに立証した重要な発見は、IGF−IRをコードする遺伝子が不活性化されたIGR−IR−細胞が、ウシパピローマウイルスのE5タンパク質などの、通常は細胞を形質転換することができる様々な物質、EGFRまたはPDGFRの過剰発現、SV40のT抗原、活性化したras、またはこれら最後の2つの因子組合せなどによる形質転換に全く不応であるということを立証している。

IGF−IRは、多様な腫瘍および腫瘍株において発現し、IGFは、それらのIGF−IRへの結合を介して腫瘍増殖増幅する。IGF−IRの発癌における役割を支持するその他の論拠は、受容体に対するマウスモノクローナル抗体を用いた、またはIGF−IRのドミナントネガティブを用いた研究から得られる。実際には、IGF−IRに対するマウスモノクローナル抗体は、多くの細胞株培養増殖およびin vivoにおける腫瘍細胞の増殖を阻害する。同様に、IGF−IRのドミナントネガティブが腫瘍増殖を阻害し得ることが示されている。

多くのプロジェクトが、癌の処置のためののIGF−1R抗体の開発に着手している。しかしながら、現時点でこれらのプロジェクトに成功したものは無く、上市している抗IGF−1R抗体は無い。

さらに、これらの抗体にKRAS突然変異患者治療できたものは無かったので、EGFRとIGF−1Rの両方を標的とするために抗EGFR抗体と組み合わせた抗IGF−1R抗体に関する一連臨床試験は成功を見ていない。

結果として、IGF−1Rは今や主要な標的とは見なされず、潜在的治療抗体の研究では、IGF−1Rはもはや特に注目されるものとは考えられていない。

適切な診断または予後ツールとして使用することができる有価な抗体を開発するため従前の試みが報告されているが、これらのものに満足のいくものはない。

以下の例から明らかなように、本発明者らは、驚くことに、IGF−1R発現腫瘍のスコア化に現在慣用されている市販の抗体は、それらが偽陽性および/または偽陰性を示すことから適切でないと思われることを実証した。この問題がおそらく、一部には、患者の不適切な選択のために、IGF−1R抗体を用いた臨床試験の失敗をもたらした。

さらに、市販の抗体を用いて行われた最初の試験は、IGF−1Rスコア化と標的化ADC療法の抗腫瘍活性との間に矛盾を示した。

しかしながらやはり、IGF−1R抗体を作製するための努力は、裸の抗体、すなわち、それらの固有の特性により有用な抗体に焦点が当てられたことにも留意しなければならない。この意味で、IGF−1Rは、IGF−1Rは血管を含む正常な細胞によっても広く発現される標的として記載されているので、抗体−薬物複合体(antibody-drug-conjugate)(「ADC」と呼称)などのADCの作出には好適とは言えない標的と考えられる。この意味で、より最近のIGF−1R抗体、すなわち、AVE1642は、薬物で武装されていない裸の抗体として開発されていることに着目できる。それは現在開発中の他のIGF−1R抗体でも、また、臨床試験で成功しなかった総てのものでも同じである。

概要

本発明は、IGF−1R発現癌の処置のための方法ならびに前記処置のための組成物およびキットに関する。一つの態様から、本発明は、癌のIGF−1R状態の決定のための第1の抗体と前記癌の処置のためのADCとして使用される第2の抗体の併用に関する。

目的

本発明は、診断抗体としての第1のIGF−1R抗体および治療抗体としての第2のIGF−1R抗体の、優先的にはADCとしての使用に基づく、IGF−1R発現癌の処置のための新規な方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

IGF−1R(+)状態を有する対象における癌の処置に使用するための組成物であって、前記組成物が、下記式(I)の抗体−薬物複合体:Ab−(L−D)n[式中、Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;Lは、リンカーであり;Dは、薬物部分であり;かつnは、1〜12である。]またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなり、前記対象のIGF−1R(+)状態が、前記対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて決定されており、前記第1のIGF−1R抗体が、i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;またはii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16の配列のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメントであることを特徴とする、前記組成物。

請求項2

前記第1および第2の抗体が、同じIGF−1Rエピトープと結合しない、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記第1のIGF−1R抗体が、i)配列番号7の配列の重鎖可変ドメイン、もしくは配列番号7の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列;および/または配列番号8の配列の軽鎖可変ドメイン、もしくは配列番号8の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列を含んでなる抗体;あるいはii)配列番号17の配列の重鎖可変ドメイン、もしくは配列番号17の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列;および/または配列番号18の配列の軽鎖可変ドメイン、もしくは配列番号18の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列を含んでなる抗体である、請求項1または2に記載の組成物。

請求項4

前記第1のIGF−1R抗体が、i)2014年9月17日にI−4893番としてCNCM、パスツール研究所、パリに提出されたハイブリドーマにより分泌される抗体810D12ハイブリドーマ;またはii)2014年9月17日にI−4894番としてCNCM、パスツール研究所、パリに提出されたハイブリドーマにより分泌される抗体816C12である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。

請求項5

Abが、i)配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−のエピトープと結合する抗体から選択される、IGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。

請求項6

Abが、a)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;b)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号30、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;c)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および32の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはd)配列番号28、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。

請求項7

Abが、a)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57もしくは59と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖可変ドメインと;配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;b)配列番号34、37および60または配列番号34、37または60と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の軽鎖可変ドメインと;配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;c)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖可変ドメインと;配列番号34、37および60から選択される配列または配列番号34、37または60と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインとを含んでなる抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。

請求項8

Abが、a)配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58および61または配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58もしくは61と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖と;b)配列番号36、38および62または配列番号36、38もしくは62と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の軽鎖とを含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。

請求項9

Abが、i)抗体208F2、212A11、214F8、219D6および213B10、ii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。

請求項10

薬物部分Dが、アルキル化剤代謝拮抗剤抗腫瘍抗生物質有糸分裂阻害剤クロマチン機能阻害剤、抗血管新生薬抗エストロゲン作用薬、抗アンドロゲン作用薬、キレート剤鉄吸収刺激剤シクロオキシゲナーゼ阻害剤ホスホジエステラーゼ阻害剤、DNA阻害剤DNA合成阻害剤、アポトーシス刺激剤、チミジル酸阻害剤、T細胞阻害剤インターフェロンアゴニストリボヌクレオシド三リン酸レダクターゼ阻害剤アロマターゼ阻害剤エストロゲン受容体アンタゴニストチロシンキナーゼ阻害剤細胞周期阻害剤タキサンチューブリン阻害剤血管新生阻害剤マクロファージ刺激剤、ニューロキニン受容体アンタゴニストカンナビノイド受容体アゴニストドーパミン受容体アゴニスト顆粒球刺激因子アゴニスト、エリスロポエチン受容体アゴニスト、ソマトスタチン受容体アゴニスト、LHRHアゴニストカルシウム増感剤VEGF受容体アンタゴニストインターロイキン受容体アンタゴニスト、破骨細胞阻害剤、ラジカル形成刺激剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ビンカアルカロイド抗ホルモン剤もしくは免疫調節剤、または細胞傷害剤もしくは毒素活性基準を満たす任意の他の薬物から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。

請求項11

薬物部分Dがオーリスタチンドロスタチン10、またはそれらの誘導体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。

請求項12

薬物部分Dが下記式(II):[式中、R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリルであり;R3は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;R9は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;mは、1〜8の間に含まれる整数であり;波線は、Lとの結合点を示す]のものである、請求項11に記載の組成物。

請求項13

Lが、下記式(III)のリンカー:[式中、L2は、(C4−C10)シクロアルキルカルボニル、(C2−C6)アルキル、(C2−C6)アルキル−カルボニルであり、Wは、アミノ酸単位であり;wは、0〜5の間に含まれる整数であり;Yは、PAB−カルボニルであり、ここで、PABは、であり;yは0または1であり;アスタリスクは、Dとの結合点を示し;かつ波線は、Abとの結合点を示す]である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。

請求項14

前記抗体−薬物複合体が式:[式中、Abは、i)抗体208F2、212A11、214F8、219D6および213B10、またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体である]を有するか、またはそれらの薬学上許容される塩である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。

請求項15

a)i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2、および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;またはii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12の配列のCDR−H2および配列番号13の配列のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16の配列のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントからなる第1のIGF−1R;ならびにb)下記式(I)の抗体−薬物複合体:Ab−(L−D)n(I)[式中、Abは、i)配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択されるヒトIGF−1Rと結合し得る第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;Lは、リンカーであり;Dは、下記式(II)の薬物部分:[式中、R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリルであり;R3は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;R9は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;mは、1〜8の間に含まれる整数であり;波線は、Lとの結合点を示し;かつnは、1〜12である]またはその薬学的に許容可能な塩を少なくとも含んでなる、IGF−1R発現癌の処置において使用するためのキット

技術分野

0001

本発明は、IGF−1R発現癌の処置のための方法ならびに前記処置のための組成物およびキットに関する。一つの態様から、本発明は、癌のIGF−1R状態の決定のための第1の抗体と前記癌の処置のためのADCとして使用される第2の抗体の併用に関する。

背景技術

0002

IGF−IR(または時にはIGF1RもしくはIGF−IR)と呼称されるインスリン様成長因子受容体は、チロシンキナーゼ活性を有し、インスリン受容体IRと70%の相同性を有する受容体である。IGF−IRは、分子量が約350,000の糖タンパク質である。これは、ヘテロ四量体の受容体であり、その半分はそれぞれジスルフィド架橋によって連結しており、細胞外α−サブユニットおよび膜貫通β−サブユニットからなる。IGF−IRは、極めて高い親和性(Kd#1nM)でIGF1およびIGF2と結合するが、同様にインスリンとも100分の1〜1000分の1の親和性で結合し得る。逆に、IGFは100分の1の親和性でしかインスリン受容体と結合しないが、IRは極めて高い親和性でインスリンと結合する。α−サブユニット上に存在するシステイン富む領域とβ−サブユニットのC末端部分にそれぞれ相同性の低い区域が関係しているが、IGF−IRのチロシンキナーゼドメインとIRのチロシンキナーゼドメインとは極めて高い配列相同性を有している。α−サブユニットに見られる配列の差異リガンド結合区域に存在するため、それはIGFとインスリンのそれぞれに対するIGF−IRとIRの相対的親和性の基となっている。β−サブユニットのC末端部分における差異は、2つの受容体のシグナル伝達経路における相違をもたらし、IGF−IRは細胞分裂促進作用、分化作用および抗アポトーシス作用を媒介し、一方、IRの活性化は主として代謝経路のレベルでの作用に関与する。

0003

細胞質チロシンキナーゼタンパク質は、リガンドが受容体の細胞外ドメインに結合することによって活性化される。キナーゼの活性化は、次に、IRS−1、IRS−2、ShcおよびGrb10を含む種々の細胞基質刺激に関与する。IGF−IRの2つの主要な基質はIRSおよびShcであり、これらは下流で多くのエフェクターの活性化によって、IGFのこの受容体への結合に関連した増殖および分化作用の大部分を媒介する。従って、基質の利用度がIGF−IRの活性化に関連した最終的な生物学的作用を決定し得る。IRS−1が優勢である場合には、細胞は増殖し形質転換する傾向にある。Shcが優勢である場合には、細胞は分化する傾向にある。アポトーシスに対する保護作用に主として関与する経路は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼ)経路であると思われる。

0004

発癌におけるIGF系の役割は、ここ10年で集中的な研究の対象となってきている。この関心は、IGF−IRが、その細胞分裂促進性および抗アポトーシス性に加えて、形質転換された表現型確立と維持に必要であると思われるという事実の発見に従ったものである。実際に、IGF−IRの過剰発現または構成的活性化が、多様な細胞において、ウシ胎仔血清を含まない培地補助に依存することなく細胞を増殖させ、ヌードマウスにおいて腫瘍を形成させるということが十分に確認されている。成長因子の多数の受容体を含む、過剰発現した遺伝子の多様な産物が細胞を形質転換し得ることから、このこと自体は固有の特性ではない。しかしながら、IGF−IRが形質転換において果たす主要な役割を明らかに立証した重要な発見は、IGF−IRをコードする遺伝子が不活性化されたIGR−IR−細胞が、ウシパピローマウイルスのE5タンパク質などの、通常は細胞を形質転換することができる様々な物質、EGFRまたはPDGFRの過剰発現、SV40のT抗原、活性化したras、またはこれら最後の2つの因子組合せなどによる形質転換に全く不応であるということを立証している。

0005

IGF−IRは、多様な腫瘍および腫瘍株において発現し、IGFは、それらのIGF−IRへの結合を介して腫瘍増殖増幅する。IGF−IRの発癌における役割を支持するその他の論拠は、受容体に対するマウスモノクローナル抗体を用いた、またはIGF−IRのドミナントネガティブを用いた研究から得られる。実際には、IGF−IRに対するマウスモノクローナル抗体は、多くの細胞株培養増殖およびin vivoにおける腫瘍細胞の増殖を阻害する。同様に、IGF−IRのドミナントネガティブが腫瘍増殖を阻害し得ることが示されている。

0006

多くのプロジェクトが、癌の処置のためののIGF−1R抗体の開発に着手している。しかしながら、現時点でこれらのプロジェクトに成功したものは無く、上市している抗IGF−1R抗体は無い。

0007

さらに、これらの抗体にKRAS突然変異患者治療できたものは無かったので、EGFRとIGF−1Rの両方を標的とするために抗EGFR抗体と組み合わせた抗IGF−1R抗体に関する一連臨床試験は成功を見ていない。

0008

結果として、IGF−1Rは今や主要な標的とは見なされず、潜在的治療抗体の研究では、IGF−1Rはもはや特に注目されるものとは考えられていない。

0009

適切な診断または予後ツールとして使用することができる有価な抗体を開発するため従前の試みが報告されているが、これらのものに満足のいくものはない。

0010

以下の例から明らかなように、本発明者らは、驚くことに、IGF−1R発現腫瘍のスコア化に現在慣用されている市販の抗体は、それらが偽陽性および/または偽陰性を示すことから適切でないと思われることを実証した。この問題がおそらく、一部には、患者の不適切な選択のために、IGF−1R抗体を用いた臨床試験の失敗をもたらした。

0011

さらに、市販の抗体を用いて行われた最初の試験は、IGF−1Rスコア化と標的化ADC療法の抗腫瘍活性との間に矛盾を示した。

0012

しかしながらやはり、IGF−1R抗体を作製するための努力は、裸の抗体、すなわち、それらの固有の特性により有用な抗体に焦点が当てられたことにも留意しなければならない。この意味で、IGF−1Rは、IGF−1Rは血管を含む正常な細胞によっても広く発現される標的として記載されているので、抗体−薬物複合体(antibody-drug-conjugate)(「ADC」と呼称)などのADCの作出には好適とは言えない標的と考えられる。この意味で、より最近のIGF−1R抗体、すなわち、AVE1642は、薬物で武装されていない裸の抗体として開発されていることに着目できる。それは現在開発中の他のIGF−1R抗体でも、また、臨床試験で成功しなかった総てのものでも同じである。

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、診断抗体としての第1のIGF−1R抗体および治療抗体としての第2のIGF−1R抗体の、優先的にはADCとしての使用に基づく、IGF−1R発現癌の処置のための新規な方法を提供することによりこの問題を改善することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

発明の概要
本発明は、癌の処置のための方法であって、それを必要とする対象がIGF−1R(+)状態を呈する場合に、その対象をIGF−1R標的療法で処置することを含んでなり、
前記対象のIGF−1R状態は、前記対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて決定されており、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
である方法に関し、
その処置は、下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩を用いて実現される。

0015

本発明はまた、対象におけるIGF−1R(+)癌を下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩で処置する方法であって、
処置前に、第1のIGF−1R抗体を用いた方法により前記対象の癌はIGF−1R(+)であることが決定されており、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
である、方法にも関する。

0016

もう一つの代替様式では、本発明は、対象において癌を診断および処置する方法に関し、その方法は、
a)前記対象の癌をIGF−1R(+)として診断すること第1のIGF−1R抗体を用いて診断すること、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
であり;および
b)工程a)で診断された前記対象を下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩で処置することを含んでなる。

0017

本発明はまた、IGF−1R(+)状態を有する対象における癌の処置のため、または癌の処置に使用するための組成物であって、下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなること、および
前記対象のIGF−1R(+)状態は前記対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて決定されており、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
であることを特徴とする組成物に関する。

0018

本発明はまた、
A)対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて対象のIGF−1R(+)状態を決定する工程;および
B)前記対象がIGF−IR(+)状態を呈する場合に、その患者に抗体−薬物複合体を投与する工程
を含んでなり、
・前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
であり;かつ
・前記抗体−薬物複合体は下記式(I):
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
を有するか、またはその薬学的に許容可能な塩である、
対象におけるIGF−1R発現癌の処置において使用するための抗体−薬物複合体に関する。

0019

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、「抗体、またはその任意の抗原結合フラグメント」は、特にIGF−1R抗体、またはその任意のIGF−1R結合のフラグメントを呼称することを意図する。

0020

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、第1および第2の抗体は、同じIGF−1Rエピトープと結合しない。

0021

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号7の配列、もしくは配列番号7の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の重鎖可変ドメイン;および/または配列番号8の配列、もしくは配列番号8の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体;あるいは
ii)配列番号17の配列、もしくは配列番号17の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の重鎖可変ドメイン;および/または配列番号18の配列、もしくは配列番号18の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体
である。

0022

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、第1のIGF−1R抗体は、
i)2014年9月17日にI−4893番としてCNCM、パスツール研究所、パリに提出されたハイブリドーマにより分泌される抗体810D12;または
ii)2014年9月17日にI−4894番としてCNCM、パスツール研究所、パリに提出されたハイブリドーマにより分泌される抗体816C12
である。

0023

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Abは、i)配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択されるIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントである。

0024

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Abは、
a)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;
b)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号30、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;
c)配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および32の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;または
d)配列番号28、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体
である。

0025

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Abは、
a)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57もしくは59と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖可変ドメインと;配列番号29、25および31の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;
b)配列番号34、37および60または配列番号34、37もしくは60と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の軽鎖可変ドメインと;配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;あるいは
c)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57もしくは59と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖可変ドメインと;配列番号34、37および60または配列番号34、37もしくは60と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の軽鎖可変ドメインとを含んでなる抗体
である。

0026

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Abは、
a)配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58および61または配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58もしくは61と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の重鎖と;
b)配列番号36、38および62または配列番号36、38もしくたは62と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列から選択される配列の軽鎖
を含んでなる。

0027

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Abは、i)抗体208F2、212A11、214F8、219D6および213B10から選択される抗体、ii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体である。

0028

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、薬物部分Dは、アルキル化剤代謝拮抗剤抗腫瘍抗生物質有糸分裂阻害剤クロマチン機能阻害剤、抗血管新生薬抗エストロゲン作用薬、抗アンドロゲン作用薬、キレート剤鉄吸収刺激剤シクロオキシゲナーゼ阻害剤ホスホジエステラーゼ阻害剤、DNA阻害剤DNA合成阻害剤、アポトーシス刺激剤、チミジル酸阻害剤、T細胞阻害剤インターフェロンアゴニストリボヌクレオシド三リン酸レダクターゼ阻害剤アロマターゼ阻害剤エストロゲン受容体アンタゴニストチロシンキナーゼ阻害剤細胞周期阻害剤タキサンチューブリン阻害剤血管新生阻害剤マクロファージ刺激剤、ニューロキニン受容体アンタゴニストカンナビノイド受容体アゴニストドーパミン受容体アゴニスト顆粒球刺激因子アゴニスト、エリスロポエチン受容体アゴニスト、ソマトスタチン受容体アゴニスト、LHRHアゴニストカルシウム増感剤VEGF受容体アンタゴニストインターロイキン受容体アンタゴニスト、破骨細胞阻害剤、ラジカル形成刺激剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ビンカアルカロイド抗ホルモン剤または免疫調節剤または細胞傷害剤もしくは毒素活性基準を満たす任意の他の薬物から選択される。

0029

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、薬物部分Dは、オーリスタチンドロスタチン10(dolostatin 10)、またはそれらの誘導体である。

0030

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、薬物部分Dは、下記式(II):



[式中、
R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリルであり;
R3は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R9は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
mは、1〜8の間に含まれる整数であり;
波線は、Lとの結合点を示す]
のものである。

0031

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、Lは、下記式(III)のリンカーであり、



式中、
L2は、(C4−C10)シクロアルキルカルボニル、(C2−C6)アルキル、(C2−C6)アルキル−カルボニルであり、
Wは、アミノ酸単位であり;wは、0〜5の間に含まれる整数であり;
Yは、PAB−カルボニルであり、ここで、PABは、



であり;yは0または1であり;
アスタリスクは、Dとの結合点を示し;かつ
波線は、Abとの結合点を示す。

0032

本明細書に記載の方法、組成物またはキットによれば、本抗体−薬物複合体は






およびその薬学的に許容可能な塩であり、
式中、Abは、i)抗体208F2、212A11、214F8、219D6および213B10から選択される抗体、またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体から選択される抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択される抗体である。

0033

本発明はまた、a)
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2、および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12の配列のCDR−H2および配列番号13の配列のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16の配列のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、またはその任意の抗原結合フラグメント
からなる第1のIGF−1R;ならびに
b)下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、i)配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択されるヒトIGF−1Rと結合し得る第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、下記式(II)の薬物部分:



[式中、
R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリルであり;
R3は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R9は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
mは、1〜8の間に含まれる整数であり;
波線は、Lとの結合点を示し;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩
を少なくとも含んでなる、IGF−1R発現癌の処置において使用するためのキットに関する。

図面の簡単な説明

0034

図1A:rhIGF1RELISAにおいて第1のIGF−1R抗体816C12(A)で得られたOD値グラフ。データフィッティングおよびEC50決定は、Prismアプリケーションを用いて行った。
図1B:rhIGF1R ELISAにおいて第1のIGF−1R抗体810D10(B)で得られたOD値のグラフ。データフィッティングおよびEC50決定は、Prismアプリケーションを用いて行った。
図2A〜2D:第1のIGF−1R抗体816C12(2A)、第1のIGF−1R抗体810D12(2B)、G11抗IGF−1R抗体(Roche Ventana)(2C)またはAF−305(R&D system)抗IGF−1R抗体(2D)によるパラフィン包埋腫瘍MCF−7の認識の免疫組織化学(IHC)パターン
図3:MCF−7異種移植モデルにおける抗IGF−1RADCのin vivo活性。
図4A〜4D:第1のIGF−1R抗体816C12(4A)、第1のIGF−1R抗体810D12(4B)、G11抗IGF−1R抗体(Roche Ventana)(4C)またはAF−305 (R&D system)抗IGF−1R抗体(4D)によるパラフィン包埋腫瘍SBC−5の免疫組織化学(IHC)パターン。
図5:SBC−5異種移植モデルにおける抗IGF−1R ADCのin vivo活性。
図6A〜6C:FACS分析によるヒト天然IGF−1Rに結合する抗体。図6Aは、MCF−7細胞株における力価測定曲線を表す。MFIは、蛍光強度の平均を表す。図6Bは、MCF−7細胞株におけるマウスおよびキメラ両方の抗IGF−1R抗体のEC50を表す。図6Cは、MCF−7細胞株におけるキメラ抗IGF−1R抗体のBmaxを表す。
図7A〜7B:トランスフェクト細胞と非トランスフェクト細胞を用いたhIGF−1R認識の評価。図7Aは、IGF−1R+細胞株における1つのキメラ抗IGF−1R Abの力価測定曲線を表す。MFIは、蛍光強度の平均を表す。図7Bは、ヒトIGF−1R−細胞株におけるキメラ抗IGF−1R Abの結合を表す。
図8A〜8B:トランスフェクト細胞を用いたIGF−1RとhIRに対するAbの特異性の評価。図8Aは、hIR+トランスフェクト細胞株におけるマウス抗IGF−1R Abの結合を表す。図8Bは、IR+細胞株におけるキメラ抗IGF−1R Abの結合を表す。MFIは、蛍光強度の平均を表す。GRO5抗hIR Mab(Calbiochem)は、陽性対照として導入された。
図9IM−9細胞株におけるマウス抗IGF−1R Abの結合。MFIは、蛍光強度の平均を表す。GRO5抗hIR Mabは、陽性対照として導入された。
図10A〜10C:サルIGF−1Rの認識の評価。図10Aは、COS−7細胞株に対するキメラ抗IGF−1R Abの力価測定曲線を表す。MFIは、蛍光強度の平均を表す。図10Bは、COS−7細胞株における、マウスおよびキメラ両方の抗IGF−1R抗体のEC50を表す。図10Cは、NIH 3T3トランスフェクト(transfected)細胞hIGF−1R+およびCOS−7細胞株の両方におけるキメラ抗IGF−1R抗体のEC50を表す。
図11カルボキシメチルデキストランマトリックス化学的グラフトされたマウス抗Tag His抗体の11000RU超で活性化したCM5センサーチップを用いたSPR技術に基づくBiacore X100で得られたセンサーグラム実験は、ランニングおよびサンプ希釈バッファーとしてHBS−EP+を用い、25℃にて30μl/分の流速で行った。図は、分析物の最初の注入の開始時にx軸上に、また、この最初の注入直前に定義されたベースラインによりy軸上に並べた4つの独立したセンサーグラムの重畳を示した。組換え溶性IGF1Rのヒトに基づく配列のキャプチャーで得られたセンサーグラムを菱形で示す。組換え可溶性IGF1Rのカニクイザルに基づく配列のキャプチャーで得られたセンサーグラムを三角で示す。白い記号ブランクサイクルランニングバッファーの5回の注入)に相当し、黒い記号は漸増濃度範囲のc208F2(5、10、20、40および80nM)の注入に相当する。
図12:IGF1と比較した場合の受容体リン酸化に対する抗hIGF−1R抗体の固有の効果の評価。
図13:マウス抗hIGF−1RによるIGF−1に応答したIGF−1Rリン酸化の阻害。
図14:抗IGF−1R抗体の細胞表面シグナル強度は、37℃での細胞インキュベーション後にダウンレギュレートされる。MCF−7細胞を4℃または37℃で4時間、10μg/mlのAbとともにインキュベートした。図は、ΔMFIを表す。
図15A〜15B:抗体表減衰。細胞表面結合抗体を37℃で10、20、30、60および120分後に評価した。図15Aは、4℃で測定したシグナル強度と比較した残留IGF−1R%を表す。図15Bは、Prims Softwareを用い(usinf)、指数減衰フィッティングを用いた半減期計算を表す。
図16:抗hIGF−1R Abは内部移行される。細胞を10μg/mlのマウスAbとともに37℃で0、30または60分間インキュベートした。細胞に透過処理を施し、または施さず、二次抗マウスIgG−Alexa 488とともにインキュベートした。膜は、シグナル強度w/o透過処理に相当する。全体は、細胞透過処理後のシグナル強度に相当し、細胞質は、内部移行したAbに相当する。各評価抗体名称を各グラフの上に示す。
図17A:Ab内部移行のイメージング図17A:m208F2とともに4℃で20分間インキュベートし、インキュベーション前(W)、37℃で15分(X)、30分(Y)および60分(Z)洗浄したMCF−7細胞。細胞を固定し透過処理を施した。m208F2 Abは抗マウスIgG Alexa488を用いて、Lamp−1はウサギ抗Lamp−1抗体を二次抗ウサギIgG Alexa 555とともに用いて可視化した。
図17B:Ab内部移行のイメージング。図17B:MCF−7細胞を37℃で30分間抗hIGF−1Rマウス抗体とともにインキュベートし、上記のように染色した。共局在はImageJソフトウエアの共局在ハイリター(highliter)プラグインを用いて確認した。
図18:抗体分解におけるリソソーム経路の関与。
図19酸性pHは5種類のマウス抗IGF−1R抗体の結合能を低下させる。
図20A〜20D:c208F2 Mabの第1のヒト化型結合特徴。hz208F2 mAbの結合特性ヒト細胞株MCF−7(A)、サル細胞株COS−7(B)およびヒトインスリン受容体を発現するトランスフェクトマウス細胞株(C)で評価した。マウスおよびキメラの両208F2 mAbの結合を並行して評価した。トランスフェクト(transefected)細胞株(D)でのhIRの発現を確認するために抗hIR抗体クローンGRO5を用いた。
図21:hz208F2抗体表面減衰。
図22:両フローセルにて、流速30μl/分でランニングバッファーとしてHBS−EP+を用い、カルボキシメチルデキストランマトリックスに化学的にグラフトした12.000RU前後のマウス抗TagHisモノクローナル抗体で活性化したCM5センサーチップを用い、25℃の温度でSPRに基づくBiacore X100装置で得られたセンサーグラムの重畳。各センサーグラム(第1のものを三角で示し、第2のものを菱形で示す)は全サイクルに相当する。 1−第2のフローセルへの組換えh−IGF1R(10μg/ml)の溶液の1分間の注入 2−第1のセンサーグラムでは:各90秒で5回のランニングバッファーの注入。 第2のセンサーグラムでは:各90秒で漸増濃度範囲での抗IGF−1R c208F2抗体溶液の5回の注入 3−解離動態速度の決定のための300秒の減衰 4−10mMグリシン、HCl pH1.5バッファーの45秒の注入による表面の再生
図23:漸増濃度範囲の抗IGF−1R c208F2溶液で得られたセンサーグラムに対するブランクセンサーグラム(HBS−EP+の5回の注入)の減算に相当するセンサーグラムを灰色で示す。下記パラメーター:kon=(1.206±0.036)×106M−1.s−1、koff=(7.81±0.18)×10−5s−1、Rmax=307.6±0.3RUを用いた1:1モデルに相当する理論的センサーグラムを細い黒線で示す。c208F2の算出濃度をグラフに示す:最高濃度(24nM)のみを定数と見なす)。
図24解離定数は各抗体に関して行った4回の実験の平均に相当し、pM単位で表される比:koff/kon×1012に相当する。エラーバー標準誤差(n=4)に相当する。
図25:半減期は、各抗体に関して行った4回の実験の平均に相当し、時間の単位で表される比:Ln(2)/koff/3600に相当する。エラーバーは標準誤差(n=4)に相当する。
図26:3つの異なる化合物カップリングされた抗IGF−1Rの細胞傷害性。5種類のキメラ抗体、抗IGF−1RをE−13、G−13またはF−63のいずれかとカップリングさせた。無関連抗体c9G4もまた同じ化合物とカップリングさせた。
図27A:MCF−7異種移植モデルにおけるc208F2−E−13(図27A)のin vivo評価。
図27B:MCF−7異種移植モデルにおけるc208F2−G−13(図27B)のin vivo評価。
図27C:MCF−7異種移植モデルにおけるc208F2−F−63(図27C)のin vivo評価。
図28A:MCF−7異種移植モデルにおけるADC対照(c9G4−E13およびc9G4−G−13)と比較したc208F2−E−13(図28A)のin vivo評価。
図28B:MCF−7異種移植モデルにおけるADC対照(c9G4−E13およびc9G4−G−13)と比較したc208F2−G−13(図28B)のin vivo評価。
図29A〜29B:酸性pHは、ヒト化IGF−1R抗体hz208F2 H026/L024(A)およびhz208F2(H077/L018(B)の結合能を低下させる。
図30:正常細胞におけるc208F2−G−13の細胞傷害性の評価。
図31:G−13とカップリングされたhz208F2のヒト化変異体の細胞傷害性。無関連抗体c9G4もまた同じ化合物とカップリングさせた。
図32:MCF−7異種移植モデルにおける208F2−G−13とc208F2−G−13のヒト化形態のin vivo評価
図33Aおよび33B:MCF−7異種移植モデルにおける1回の注射に比べて、4回注射したc208F2−G−13(33A)またはhz208F2−4−G−13(33B)のいずれかのin vivo評価。
図34Aおよび34B:CaOV−3異種移植モデルにおけるc208F2−E−13(34A)およびc208F2−G−13(34B)のin vivo評価。
図35A〜35D:カルボキシメチルデキストランマトリックスに化学的にグラフトされた抗ポリヒスチジンマウスモノクローナル抗体の12000RU超で活性化したCM5に捕捉された可溶型のh−IGF1R(30μg/ml)のキャプチャーに相当するセンサーグラム。この注入の後に、Ac1として、ランニングバッファー(HBS−EP+)(AおよびC)または50μg/mlの濃度で使用したHz208F2−4(BおよびC)のいずれかを注入した。この注入の後、Ac2として50μg/mlの濃度のHz208F2−4(AおよびB)または50μg/mlの濃度のm810C12(CおよびD)を注入した。実験はBiacore X100にて25℃、流速10μl/分で行った。
図36:Ac1不含(白いバー)のまたはAc1の存在下での(黒いバー)注入後20秒におけるAc2の結合レベル
図37:2+NCI−H2122異種移植モデルにおけるG−13化合物に結合された208F2抗体のin vivo活性。
図38:208F2−G−13の注射前のMCF7腫瘍におけるIGF−1RおよびKi67染色レベル
図39:208F2−G−13の注入後のMCF7腫瘍におけるIGF−1RおよびKi67染色レベル。

0035

発明の詳細な説明
本発明は、癌の処置のための方法であって、それを必要とする対象がIGF−1R(+)状態を呈する場合に、その対象をIGF−1R標的療法で処置することを含んでなり、
前記対象のIGF−1R状態は、前記対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて決定されており、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
である方法に関し、
その処置は、下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩を用いて実現される。

0036

本発明はまた、IGF−1R(+)状態を有する対象における癌の処置のため、または癌の処置に使用するための組成物であって、下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなること、および
前記対象のIGF−1R(+)状態は前記対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて決定されており、前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
であることを特徴とする組成物に関する。

0037

本発明はまた、
A)対象の生体サンプルから第1のIGF−1R抗体を用いて対象のIGF−1R(+)状態を決定する工程;および
B)前記対象がIGF−IR(+)状態を呈する場合に、その患者に抗体−薬物複合体を投与する工程
を含んでなり、
・前記第1のIGF−1R抗体は、
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;または
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12のCDR−H2および配列番号13のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント
であり;かつ
・前記抗体−薬物複合体は下記式(I):
Ab−(L−D)n
[式中、
Abは、ヒトIGF−1Rと結合し、かつ、そのIGF−1Rとの結合の後に内部移行される、第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、薬物部分であり;かつ
nは、1〜12である]
を有するか、またはその薬学的に許容可能な塩である、
対象におけるIGF−1R発現癌の処置において使用するための抗体−薬物複合体に関する。

0038

本発明はまた、
a)
i)配列番号1のCDR−H1、配列番号2のCDR−H2、および配列番号3のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号4のCDR−L1、配列番号5のCDR−L2、および配列番号6のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、もしくはその任意の抗原結合フラグメント;又は
ii)配列番号11のCDR−H1、配列番号12の配列のCDR−H2および配列番号13の配列のCDR−H3を有する重鎖と;配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2、および配列番号16の配列のCDR−L3を有する軽鎖とを含んでなる抗体、またはその任意の抗原結合フラグメント
からなる第1のIGF−1R;ならびに
b)下記式(I)の抗体−薬物複合体:
Ab−(L−D)n
(I)
[式中、
Abは、i)配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択されるヒトIGF−1Rと結合し得る第2のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントであり;
Lは、リンカーであり;
Dは、下記式(II)の薬物部分:



[式中、
R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリルであり;
R3は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R9は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
mは、1〜8の間に含まれる整数であり;
波線は、Lとの結合点を示し;かつ
nは、1〜12である]
またはその薬学的に許容可能な塩
を少なくとも含んでなる、IGF−1R発現癌の処置において使用するためのキットに関する。

0039

I−定義
用語「抗体(単数)」、「抗体(複数)」、「ab」、「Ab」、「MAb」または「免疫グロブリン」は、最も広義互換的に使用され、それらが所望の生物活性を示す限り、モノクローナル抗体、単離された、操作された、または組換え型の抗体(例えば、全長または完全モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体多価抗体または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびまたその抗体フラグメントが含まれる。より詳しくは、このような分子は、ジスルフィド結合により相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖とを含んでなる糖タンパク質からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(またはドメイン)(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)と重鎖定常領域とを含んでなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含んでなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)と軽鎖定常領域とを含んでなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLを含んでなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼称されるより保存された領域が散在した相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域にさらに細分できる。各VHおよびVLは、3つのCDRと4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4に配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。

0040

本発明で使用する場合、「IGF−1R抗体」という表現は、「抗IGF−1R抗体」と同様に解釈されるべきであり、IGF−1Rと結合し得る抗体を意味する。

0041

用語「モノクローナル抗体」または「Mab」は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、その集団の個々の抗体は、わずかな量で存在し得る潜在的な自然発生突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一のエピトープに向けられている。このようなモノクローナル抗体は、B細胞の単一のクローンまたはハイブリドーマにより生産され得る。モノクローナル抗体はまた、組換え型であってもよく、すなわち、タンパク質工学または化学合成により生産され得る。モノクローナル抗体はまた、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。加えて、一般に種々の決定基またはエピトープに対する種々の抗体を含むポリクローナル抗体の作製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一のエピトープに対するものである。本明細書のモノクローナル抗体は、後述されるものなどのマウス、キメラ、およびヒト化抗体を含む。

0042

用語「組換え抗体」は、生きた細胞内での組換えDNAの発現から生じる抗体を意味する。本発明の組換え抗体は、当業者に周知の遺伝子組換え実験法を用いて生物には見られないDNA配列を作出することにより得られる。

0043

本発明によるADCの抗体の「抗原結合フラグメント」または「IGF−IR結合フラグメント」とは、抗体の標的(一般に抗原とも呼称される)との結合能を保持するいずれのペプチドポリペプチド、またはタンパク質も示すことを意図する。一つの実施形態では、このような「抗原結合フラグメント」は、Fv、scFv(scは一本鎖)、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv−Fcフラグメントもしくはダイアボディ、またはポリアルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレン)グリコールの付加(「ペグ化」)(Fv−PEG、scFv−PEG、Fab−PEG、F(ab’)2−PEGまたはFab’−PEGと呼称されるペグ化フラグメント)(「PEG」はポリ(エチレン)グリコール)などの化学修飾により、または本発明による抗体の特徴的CDRのうち少なくとも1つを有する前記フラグメントをリポソーム内に組み込むことによりその半減期が延長されている任意のフラグメントからなる群において選択される。好ましくは、前記「抗原結合フラグメント」は、それらが由来する抗体の可変重鎖または軽鎖の部分配列から構成されるか、または含んでなり、前記部分配列は、それが由来する抗体と同じ結合特異性、および標的に対して十分な、好ましくは、それが由来する抗体の親和性の少なくとも1/100、より好ましい様式では少なくとも1/10に相当する親和性を保持するのに十分なものである。より好ましくは、前記「抗原結合フラグメント」は、それらが由来する抗体の可変重鎖の3つのCDR CDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3と可変軽鎖の3つのCDR CDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3から少なくとも構成されるか、または含んでなる。

0044

「結合」または「結合する」などとは、抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントが、生理学的条件下で比較的安定な、抗原との複合体を形成することを意図する。特異的結合は、少なくとも約1×10−6Mの平衡解離定数を特徴とし得る。2分子が結合するかどうかを決定するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析表面プラズモン共鳴、および放射性標識アッセイなどが含まれる。疑念を避けるため、それは前記抗体が別の抗原と、低レベルで結合または干渉できないことを意味するものではない。しかしながら、一つの実施形態として、前記抗体は前記抗原のみと結合する。

0045

CDR領域またはCDRとは、IMGTによって定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を示すことを意図する。IMGT独自ナンバリングは、抗原受容体であれ、鎖型であれ、または種であれ、可変ドメインを比較するために定義されている[Lefranc M.-P., Immunology Today 18, 509 (1997) / Lefranc M.-P., The Immunologist, 7, 132-136 (1999) / Lefranc, M.-P., Pommie, C, Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V. and Lefranc, Dev. Comp. Immunol, 27, 55-77 (2003)]。IMGT独自ナンバリングでは、保存されているアミノ酸は、常に同じ位置を持ち、例えば、システイン23(1st−CYS)、トリプトファン41(CONSERVED−TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン104(2nd−CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)などである。IMGT独自ナンバリングは、フレームワーク領域の標準的な画定(FR1−IMGT:1〜26番、FR2−IMGT:39〜55番、FR3−IMGT:66〜104番およびFR4−IMGT:118〜128番)および相補性決定領域の標準的な画定:CDR1−IMGT:27〜38番、CDR2−IMGT:56〜65番およびCDR3−IMGT:105〜117番を提供する。ギャップ占有されていない位置を表すので、CDR−IMGT長(括弧内に示され、ドット仕切られる、例えば[8.8.13])は重要な情報となる。IMGT独自ナンバリングは、IMGT Colliers de Perles[Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., Immunogenetics, 53, 857-883 (2002) / Kaas, Q. and Lefranc, M.-P., Current Bioinformatics, 2, 21-30 (2007)]と呼称される2Dグラフ、およびIMGT/3Dstructure−DB[Kaas, Q., Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., T cell receptor andMHCstructural data. Nucl. Acids. Res., 32, D208-D210 (2004)]における3D構造において使用される。

0046

本明細書に相反する記載がなければ、相補性決定領域またはCDRは、IMGTナンバリングシステムに従って定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を意味するものと理解されるべきである。しかしながら、CDRはまたKabatナンバリングシステム(Kabat et al., Sequences of proteins of immunological interest, 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH, 1991,および後続版)に従って定義することもできる。3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDRが存在する。ここで、用語CDR(単数または複数)は、場合に応じて、抗体が認識する抗原またはエピトープに対するその抗体の結合親和性を担うアミノ酸残基大多数を含むこれらの領域の1以上もしくはさらには全体を示すために使用される。本出願の通読を簡単にするために、KabatによるCDRは定義しない。しかしながら、IMGTによるCDRの定義を用いてKabatによるCDRを定義することは当業者には自明であろう。

0047

用語50%有効濃度(EC50)は、ベースラインと明示されたある暴露時間後の最大値の間の中点の応答を誘導する薬物、抗体または毒物の濃度に相当する。それは薬物の効力尺度として慣用されている。従って、漸増用量反応曲線のEC50は、その最大効果の50%が見られる化合物の濃度を表す。素量的用量反応曲線のEC50は、明示された暴露期間の後に集団の50%が応答を示す化合物の濃度を表す。濃度尺度は一般に、比較的小さな濃度変化で急激に増加するシグモイド曲線を描く。これはベストフィットライン導出より数学的に決定できる。

0048

用語「エピトープ」は、抗体により結合される抗原の領域である。エピトープは、構造的または機能的として定義され得る。機能的エピトープは一般に構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接寄与する残基を有する。エピトープはまたコンフォメーション的でもあり得、すなわち、非直鎖アミノ酸から構成される。特定の実施形態では、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な表面分子群である決定基を含み得、特定の実施形態では、特定の三次元構造特徴、および/または特定の変化特徴を有し得る。

0049

本発明の意味において、核酸またはアミノ酸の2配列間の「同一性」または「同一性パーセンテージ」は、最適なアラインメントの後に得られる、比較する2配列間の同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは、純粋に統計学的なものであり、2配列間の差異はそれらの長さに沿ってランダム分布している。2つの核酸配列またはアミノ酸配列の比較は、それらを最適にアラインした後に配列を比較することによって慣例的に行われ、前記比較はセグメントにより、または「アラインメントウインドウ」を使用することによって行うことができる。比較のための配列の最適なアラインメントは、手による比較の他、Smith and Waterman (1981) [Ad. App. Math. 2:482]のローカルホモロジーアルゴリズムの手段によるか、Neddleman and Wunsch (1970) [J. Mol. Biol. 48:443]のローカルホモロジーアルゴリズムの手段によるか、Pearson and Lipman (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444]の類似性検索法の手段によるか、またはこれらのアルゴリズムを用いるコンピューターソフトウエア(the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、または比較ソフトウエアBLASTNRもしくはBLAST Pによる)の手段によって行うことができる。同一性パーセンテージは、アミノ酸ヌクレオチドまたは残基が2配列間、好ましくは、2つの完全配列間で同一である位置の数を求め、その同一の位置の数をアラインメントウインドウの位置の総数割り、その商に100を掛けて2配列間の同一性パーセンテージを得ることにより計算される。例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlのサイト利用可能なBLASTプログラム、「BLAST2配列」(Tatusova et al., “Blast 2 sequences - a new tool for comparing p
rotein and nucleotide sequences”, FEMS Microbiol., 1999, Lett. 174:247-250)をデフォルトパラメーター(特に、パラメーター「オープンギャップペナルティー」:5、および「エクステンションギャップペナルティー」:2に関して;選択されるマトリックスは例えば、このプログラムにより提案される「BLOSUM 62」マトリックスである)とともに使用することができ、比較する2配列間の同一性パーセンテージがこのプログラムにより直接計算される。参照アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示すアミノ酸配列については、好ましい例として、参照配列、特定の修飾、特に、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加もしくは置換末端切断または延長を含むものが挙げられる。1以上の連続または非連続アミノ酸の置換の場合、置換アミノ酸が「等価な」アミノ酸により置換される置換が好ましい。ここで、「等価なアミノ酸」という表現は、構造アミノ酸の1つに関しておそらく置換されるが、対応する抗体の、また、以下に定義される具体例の、生物活性を変更しないいずれのアミノ酸も示すものとする。等価なアミノ酸は、それらが置換されるアミノ酸との構造的相同性か、または生成される可能性のある種々の抗体間の生物活性の比較試験の結果かのいずれかに基づいて決定され得る。限定されない例として、下表1は、対応する修飾抗体の生物活性に有意な修飾をもたらさずに行えると思われる潜在的置換をまとめたものであり、同じ条件下で逆の置換も当然可能である。より好ましい実施形態では、CDRを含有する抗体の参照アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは、85%、90%、95%および98%の同一性を示すアミノ酸配列に関して、好ましい例としては、参照配列内に含まれる非修飾CDRを少なくとも含む。

0050

0051

本明細書において互換的に使用される用語「核酸」、「核配列」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、非天然ヌクレオチドを含有するまたは含有しない核酸のフラグメントまたは領域を定義し、二本鎖DNA一本鎖DNAまたは前記DNAの転写産物のいずれかである、修飾されたまたは修飾されていないヌクレオチドの厳密な配列を意味する。

0052

本明細書で使用する場合、「IGF−1R療法の投与から利益を受けるであろう対象」および「IGF−1R療法で処置され得る対象」などのは、例えばIGF−1Rの検出のため(例えば、診断手順のため)のIGF−1R療法の投与から、および/またはIGF−1Rと結合するIGF−1R結合分子を用いた処置、すなわち癌などの疾患の軽減もしくは予防から利益を受けるであろう哺乳動物対象などの対象を含む。本明細書にさらに詳しく記載されるように、IGF−1R結合分子は、非複合体型で使用することができ、または例えば薬物、プロドラッグ、または同位体と複合体を形成することもできる。

0053

「IGF−1R発現癌」とは、IGF−1Rを発現、過剰発現、または異常発現するいずれの癌も意味する。特定の実施形態では、それは前癌病変、異常な細胞増殖良性腫瘍悪性腫瘍を含んでなり、または「癌」は、IGF−1Rを発現、過剰発現、もしくは異常発現する細胞を含んでなる。

0054

疾病を「診断する」とは、本明細書で使用する場合、IGF−1Rの発現に関連する、またはIGF−1Rの発現により媒介される病的過剰増殖性腫瘍形成障害の存在を同定または検出する、疾患の進行を経過観察する、およびIGF−1Rの発現に関連する障害指標となる細胞またはサンプルを同定または検出する方法を意味する。

0055

「予後」は、本明細書で使用する場合、疾患からの回復の見込みまたは疾患のあり得る発症もしくは転帰予測を意味する。例えば、対象由来のサンプルがIGF−1R抗体による染色に関して陰性であれば、その対象の「予後」は、サンプルがIGF−1R染色に関して陽性である場合よりも良好である。サンプルは、以下のより詳説されるように、適当な尺度でIGF−1R発現レベルに関してスコア化され得る。

0056

「生体サンプル」は、対象から採取可能ないずれのサンプルであってもよい。このようなサンプルは、本発明のバイオマーカーの発現レベルの決定を可能としなければならない。従って、サンプルの性質は腫瘍の性質に依存する。好ましい生体サンプルは、癌が液性腫瘍である場合には、血液サンプル血漿サンプル、またはリンパサンプルなどのサンプルを含む。好ましい生体サンプルは、癌が固形腫瘍である場合には、生検サンプルまたは外科切除療法から採取されたサンプルなどのサンプルを含む。好ましくは、生体サンプルは、血清、全血細胞などの体液組織サンプルまたはヒト起源生検である。サンプルは、例えば、生検組織を含み、これはIGF−1Rの発現に関連する病的腫瘍形成障害の存在に関して好都合にアッセイすることができる。

0057

「IGF−1R状態」は、本発明の意味の範囲内で、免疫組織化学(IHC)、蛍光活性細胞選別FACS、または当業者に公知の他の方法などの任意の方法によって測定されるIGF−1Rの発現レベルの決定に基づく、IGF−1R陽性[IGF−1R(+)]またはIGF−1R陰性[IGF−1R(−)]種への腫瘍の分類に関する。

0058

II−第1のIGF−1R抗体
本発明の実施形態において、第1のIGF−1R抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントは、
i)配列番号1の配列のCDR−H1、配列番号2の配列のCDR−H2および配列番号3の配列のCDR−H3を有する重鎖と;
ii)配列番号4の配列のCDR−L1、配列番号5の配列のCDR−L2および配列番号6の配列のCDR−L3を有する軽鎖と
を含んでなる。

0059

第1のIGF−1R抗体は、配列番号7の配列、または配列番号7の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の重鎖可変ドメインを含んでなることを特徴とする。

0060

第1のIGF−1R抗体は、配列番号8の配列、または配列番号8の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなることを特徴とする。

0061

前記実施形態によれば、810D12と呼称される第1のIGF−1R抗体は、配列番号7の配列もしくは最適なアラインメントの後に配列番号7の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の相同性を有する配列のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなること;ならびに/または配列番号8の配列もしくは最適なアラインメントの後に配列番号8の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の相同性を有する配列のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなることを特徴とする。

0062

本発明の別の実施形態では、第1のIGF−1R抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントは、
i)配列番号11の配列のCDR−H1、配列番号12の配列のCDR−H2および配列番号13の配列のCDR−H3を有する重鎖と;
ii)配列番号14の配列のCDR−L1、配列番号15の配列のCDR−L2および配列番号16の配列のCDR−L3を有する軽鎖
を含んでなる。

0063

第1のIGF−1R抗体は、配列番号17の配列、または配列番号17の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の重鎖可変ドメインを含んでなることを特徴とする。

0064

第1のIGF−1R抗体は、配列番号18の配列、または配列番号18の配列と少なくとも90%の相同性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなることを特徴とする。

0065

前記実施形態によれば、810D12TP呼称される第1のIGF−1R抗体は、配列番号17の配列もしくは最適なアラインメントの後に配列番号17の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の相同性を有する配列のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなること;ならびに/または配列番号18の配列もしくは最適なアラインメントの後に配列番号18の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の相同性を有する配列のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなることを特徴とする。

0066

本発明の特定の態様は、第1のIGF−1R抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントがインスリン受容体(IR)と結合しないというものである。

0067

別の実施形態では、本発明の第1のIGF−1R抗体は、モノクローナル抗体からなる。

0068

別の実施形態では、本発明の第1のIGF−1R抗体は、組換え抗体からなる。

0069

別の実施形態では、本発明の抗体は、化学合成抗体からなる。

0070

「IGF−1R抗体」は、(相反する明示がなければ)前記IGF−1R抗体のマウス、キメラおよびヒト化型である。

0071

より明確にするために、下表2にIMGTに従って定義される抗体810D12(表2a)および816C12(表2b)の配列を示す。

0072

0073

一つの実施形態では、本明細書においてモノクローナル抗体は、マウス、キメラおよびヒト化抗体を含む。

0074

第1のIGF−1R抗体は、微生物培養物の仏国コレクション(CNCM、パスツール研究所、パリ、仏国)に提出されたマウス起源のハイブリドーマに由来してよく、前記ハイブリドーマは、Balb/C免疫マウス脾細胞リンパ球骨髄腫Sp 2/O−Ag 14細胞株の細胞との融合により得られたものである。前記ハイブリドーマは、i)2014年9月17日に番号I−4893としてCNCM、パスツール研究所、パリ、仏国に寄託されたマウス起源のハイブリドーマ、またはii)2014年9月17日に番号I−4894としてCNCM、パスツール研究所、パリ、仏国に寄託されたマウス起源のハイブリドーマから選択することができる。

0075

前記ハイブリドーマI−4893により分泌される、本明細書で810D12と呼称される第1のIGF−1Rモノクローナル抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントは、本発明において明らかに使用可能である。

0076

前記ハイブリドーマI−4894により分泌される、本明細書で816C12と呼称される第1のIGF−1Rモノクローナル抗体、またはその任意の抗原結合フラグメントは、本発明において明らかに使用可能である。

0077

別の実施形態では、前記第1のIGF−1R抗体は、以下のヌクレオチド配列:
i)重鎖可変ドメインとしての配列番号9および/または軽鎖可変ドメインとしての配列番号10;
ii)重鎖可変ドメインとしての配列番号19および/または軽鎖可変ドメインとしての配列番号20
によりコードされ得る。

0078

以下の表3に、抗体810D12(表3a)および抗体816C12(表3b)に関する種々のヌクレオチド配列をまとめる。

0079

0080

本発明の第1のIGF−1R抗体のバイオマーカーとしての使用も開示される。本方法は、限定されるものではないが、前立腺癌骨肉腫肺癌乳癌子宮内膜癌膠芽腫結腸癌(colon, cancer)、胃癌腎臓癌膵臓癌頭頸部癌またはIGF−1Rの発現に関連する任意の他の癌により例示されるIGF−1Rの発現に関連する種々の過剰増殖性腫瘍形成障害を検出または診断するために使用可能である。当業者により認識されるように、特定の障害に関連する抗体発現のレベルは、既存の病態の性質および/または重篤度によって異なる。

0081

IGF−1R状態の決定は、当業者に知られた、または当業者により現在使用されている任意の方法または技術によって行うことができる(一般に、IGF−1Rの発現レベルの決定に基づく)。しかしながら、いくつかの非限定例を以下に示す。

0082

病期の決定は、潜在的予後値を含み、最適な療法を計画するための基準を与える。Simpson et al., J. Clin. Oncology 18:2059 (2000)。例えば、固形腫瘍の処置選択は腫瘍の病期分類に基づき、通常、米国癌合同委員会(American Joint Committee on Cancer)(AJCC)からの腫瘍/結節転移(TNM)検査を用いて行われる。この検査および病期分類体系は患者において固形癌が診断された病期に関するいくつかの有価な情報を提供するが、それは不正確で不十分であることが一般に認識される。特に、それは腫瘍進行の最も早い病気を特定することができない。

0083

ある実施形態では、in vitroまたはex vivoにおいて対象の腫瘍細胞のIGF−1Rスコアを決定するための方法は、
(a)前記対象由来の生体サンプルを上記のような第1のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程;
(b)蛍光活性化細胞選別(FACS)または免疫組織化学(IHC)により、前記生体サンプル中のIGF−1Rに対する前記第1のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントの結合レベルを定量する工程;および
(c)工程(b)で得られた定量レベルを2つのパラメーター、すなわち、染色の強度および陽性細胞のパーセンテージに基づく適当な尺度と比較することにより、前記腫瘍細胞をスコア化する工程
を含んでなり得る。

0084

ある実施形態では、第1のIGF−1R抗体は、組織サンプルが、ホルマリン固定ホルモール置換固定、Glyco−fixx固定、パラフィン包埋および/または凍結されている場合に、IGF−1R結合能を有する。

0085

いずれの従来のハザード分析法をIGF−1Rの予後値を評価するために使用してもよい。代表的な分析方法としてはコックス回帰分析が含まれ、これは打ち切りがある場合の生存またはイベントまでの時間のデータのモデル化のためのセミパラメトリック法である(Hosmer and Lemeshow, 1999; Cox, 1972)。例えば生命表またはカプラン・マイヤーなどの他の生存分析とは対照的に、コックスは、モデル内に予測因子変数(共変量)の包含を可能とする。慣例分析法、例えばコックスを用いて、原発腫瘍のIGF−1R発現状と、疾患再発無病生存期間、もしくは転移性疾患までの時間)または疾患による死亡までの時間(全生存期間)のいずれかの発生までの時間との相関に関する仮説を検証することが可能となり得る。コックス回帰分析は、コックス比例ハザード分析としても知られる。この方法は、患者の生存期間に対して腫瘍マーカーの予後値を検定するために標準的である。多変量様式で使用する場合、独立した予後値を有する個々の共変量、すなわち、最も有用なマーカーが同定され得るように、いくつかの共変量の効果が並行して検定される。陰性または陽性「IGF−1R状態」という用語はまた、[IGF−1R(−)]または[IGF−1R(+)]として表すこともできる。

0086

サンプルは、癌の診断または経過観察の際に「スコア化」され得る。その最も単純形態で、スコア化は、免疫組織化学によるサンプルの視覚的検査によって判断して明確な陰性または陽性であり得る。より定量的なスコア化は、染色強度サンプル採取された染色(「陽性」)細胞の割合の2つのパラメーターを判断することを含む。

0087

ある実施形態では、標準化保証するために、サンプルを種々の尺度に対するIGF−1R発現レベルに関してスコア化してもよく、それらのほとんどは反応生成物の強度および陽性細胞のパーセンテージの評価に基づく(Payne et al., Predictive markers in breast cancer - the present, Histopathology 2008, 52, 82-90)。

0088

別の実施形態では、前記スコア化は、染色の強度および陽性細胞のパーセンテージに基づく適当な尺度を使用することを含んでなる。

0089

第1の例として、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体のIHC評価に関するQuick Allredスコア化と同様に、サンプルは、反応性の強度および染色細胞の割合に関するスコアを合わせた0〜8の包括的尺度で、IGF−1R発現レベルに関してスコア化され得る(Harvey JM, ClarckGM, OsborneCK, Allred DC; J. Clin. Oncol. 1999; 17; 1474-1481)。より詳しくは、反応性強度の第1の基準は0〜3の尺度でスコア化され、0は「反応性無し」に相当し、3は「強い反応性」に相当する。比例反応性の第2の基準は0〜5の尺度でスコア化され、0は「反応性無し」、5は「67〜100%の比例反応性」に相当する。次に、反応性の強度のスコアと比例反応性のスコアを足して、0〜8の合計スコアを出す。合計スコア0〜2は陰性と見なされ、合計スコア3〜8は陽性と見なされる。

0090

この尺度によれば、本明細書で使用する腫瘍の陰性または陽性「IGF−1R状態」という用語は、それぞれAllred尺度のスコア0〜2または3〜8に相当するIGF−1Rの発現レベルを指す。

0091

以下の表4は、IHC結果をAllred法に従って解釈するための指針を示す。

0092

0093

本発明によれば、前記適当な尺度は、0〜8の尺度であり得、反応性無しは0点であり、67〜100%の割合の強い反応性は8点である。

0094

言い換えれば、in vitroまたはex vivoにおいて対象由来の腫瘍の状態を決定する方法が記載され、前記方法は、(a)対象由来の腫瘍をAllred尺度に従ってスコア化する工程;および(b)Allredスコア3〜8で、その腫瘍の状態が[IGF−1R(+)]であることを決定する;または(c)Allredスコア0〜2で、その腫瘍の状態が[IGF−1R(−)]であることを決定する工程を含んでなる。

0095

本発明の特定の態様では、Allredスコア3で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0096

本発明の特定の態様では、Allredスコア4で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0097

本発明の特定の態様では、Allredスコア5で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0098

本発明の特定の態様では、Allredスコア6で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0099

本発明の特定の態様では、Allredスコア7で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0100

本発明の特定の態様では、Allredスコア8で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0101

本発明の別の特定の態様では、Allredスコア3〜8で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0102

in vitroまたはex vivoにおいて対象における腫瘍細胞のIGF−1R状態を決定するための、本明細書に記載の別の特定の方法は、
(a)IGF−1R腫瘍細胞を上記のようにスコア化する工程;および
(b)スコア3〜8で腫瘍細胞のIGF−1R状態が[IGF−1R(+)]であることを決定する工程;または
(c)スコア0〜2で腫瘍細胞のIGF−1R状態が[IGF−1R(−)]であることを決定する工程
を含んでなることを特徴とする。

0103

第2の例として、例えば、HER−2受容体のIHC評価のための従来のスコア化と同様に、染色の強度(優先的には、膜性染色)および染色を示す細胞の割合を統合して0〜3+の複合尺度とするややより単純なスコア化法でサンプルをIGF−1R発現レベルに関してスコア化してもよい。

0104

簡易尺度と呼称されるこの尺度では、0および1+が陰性であり、2+および3+が陽性染色を表す。しかしながら、各陽性スコアはスコア0(陰性)に比べて有意に高い再発リスクおよび致死性疾患に関連付けられ得るので、スコア1+〜3+は陽性と見なされ得るが、陽性スコア間の強度の上昇はさらなるリスク減をもたらし得る。

0105

一般的に言えば、本明細書で使用する腫瘍の陰性または陽性「IGF−1R状態」という用語は、簡易尺度のそれぞれスコア0〜1+または2+〜3+に相当するIGF−1Rの発現レベルを意味する。浸潤性腫瘍の完全な周辺の膜性反応性のみを考慮すべきであり、しばしば「金網」の外観になぞらえられる。現行の指針の下では、IGF−1Rに関してボーダーライン(スコア2+または3+)としてスコア化されたサンプルは、さらなる評価を受けることが要される。非限定例として、対照が予想通りでなく、アーチファクトがほとんどのサンプルに伴い、サンプルが正常乳管(内部対照)の強い膜性陽性を有し、過度抗原賦活示唆される場合には、IHC分析は拒絶され、繰り返されるか、またはFISHもしくは他の任意の方法により試験されるべきである。

0106

より明確にするために、以下の表5にこれらのパラメーターをまとめる。

0107

0108

適当な尺度は0〜3+の尺度であり得、ここで、腫瘍細胞の膜性反応性無しはスコア0とされ、10%を超える腫瘍細胞の強い完全反応性はスコア3+とされる。

0109

より詳しくは、上記のように、前記適当な尺度は、0〜3の尺度であり、ここで、腫瘍細胞の膜性反応性無しはスコア0;10%を超える腫瘍細胞でのかろうじて認識できる膜性反応性はスコア1+;10%を超える腫瘍細胞での弱い〜中等度の完全膜性反応性はスコア2+;および10%を超える腫瘍細胞での強い完全反応性はスコア3+とされる。

0110

言い換えれば、in vitroまたはex vivoにおいて対象由来の腫瘍の状態を決定する方法が記載され、前記方法は、(a)対象由来の腫瘍を上記のような簡易尺度に従ってスコアする工程;および(b)スコア2+または3+で、その腫瘍の状態が[IGF−1R(+)]であることを決定する工程し;または(c)スコア0または1+で、その腫瘍の状態が[IGF−1R(−)]であることを決定する工程を含んでなる。

0111

本発明の特定の態様では、スコア2+で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0112

本発明の特定の態様では、スコア3+で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0113

本発明の別の特定の態様では、スコア2+または3+で、腫瘍は[IGF−1R(+)]である。

0114

別の実施形態では、対象においてin vitroまたはex vivoにおいて腫瘍細胞のIGF−1R状態を決定するための方法は、
(a)前記対象由来のIGF−1R腫瘍細胞を前記の方法に従ってスコア化する工程;および
(b)スコア2+または3+で、腫瘍細胞のIGF−1R状態が[IGF−1R(+)]であると決定する工程;または
(c)スコア0または1+で、腫瘍細胞のIGF−1R状態が[IGF−1R(−)]であると決定する工程
を含んでなり得る。

0115

一般に、検査またはアッセイの結果は、多様な形式のいずれかで提供することができる。これらの結果は定量的に提供することができる。例えば、検査報告は、特定のポリペプチドが検出されたかどうかのみを、おそらくはまた検出限界の表示とともに示すことができる。結果は半定量的として提示してもよい。例えば、様々な範囲を定義してもよく、それらの範囲は、ある程度の量的情報を与えるあるスコアに割り当てることがきる(例えば、使用する尺度に応じて0〜3+または0〜8)。このようなスコアは、種々の因子、例えば、IGF−1Rが検出される細胞の数、シグナルの強度(GF−1RまたはIGF−1R保持細胞の発現レベルを示し得る)などを反映し得る。これらの結果は、例えば、IGF−1Rが検出される細胞のパーセンテージとして、タンパク質濃度としてなど、定量的に提示されてもよい。

0116

当業者により認識されるように、検査により提供される出力のタイプは、その検査の技術的限界およびそのポリペプチドの検出に関連する生物学的重要性に応じて異なる。例えば、特定のポリペプチドの場合、純粋に質的な出力(例えば、そのポリペプチドが特定の検出レベルで検出されるかどうか)は有意な情報を提供する。他の場合、より定量的な出力(例えば、サンプル中のポリペプチドの発現レベルの比が、通常レベルに対して検定される)が必要である。

0117

本発明の別の態様では、IGF−1R状態の決定は、IGF−1R経路を標的とする療法の投与に応答したIGF−1R発現のモニタリングのために行い得る。このようなモニタリングは、前記療法がIGF−1Rのダウンレギュレーションおよび/または分解を標的とする場合に極めて有用であり得る。

0118

また、腫瘍形成性障害がIGF−1R標的療法による処置に感受性があるかどうかを決定するための方法を記載することも本発明の目的であり、前記方法は、
(a)in vitroまたはex vivoにおいて対象の腫瘍細胞のIGF−1R状態を上記の方法に従って決定する工程、および
(b)腫瘍細胞のIGF−1R状態がIGF−1R(+)であれば、前記腫瘍形成性障害はIGF−1R経路を標的とする抗体薬による処置に感受性があることを決定する工程
を含んでなる。

0119

特に、細胞表面のGF−1R発現のモニタリングは、臨床試験および「個別化」療法の際の処置の有効性を評価するための重要なツールとなり得る。

0120

IGF−1Rレベルの上昇または低下は、IGF−1Rに関連する癌の進展の指標となる。よって、IGF−1R発現細胞の数の増加または種々の組織もしくは細胞に存在するIGF−1Rの濃度の変化を測定することにより、IGF−1Rに関連する悪性腫瘍を改善することを目的とした特定の治療計画が有効であるかどうかを決定することが可能である。

0121

また、本発明のもう一つの目的は、前記障害に罹患している対象においてIGF−1Rに関連する腫瘍形成性障害を緩和するように計画された治療計画の有効性をin vitroまたはex vivoにおいて決定するための方法であり、前記方法は、
(a)第1の生体サンプルにおいて上記のようなIGF−1Rの第1の発現レベルを決定する工程、前記第1の生体サンプルは、前記処置の第1の時点に相当する;
(b)第2の生体サンプルにおいて上記のようなIGF−1Rの第2の発現レベルを決定する工程、前記第2の生体サンプルは、前記処置のその後の第2の時点に相当する;
(c)工程(a)で得られた前記第1の発現レベルと工程(b)で得られた前記第2の発現レベルの比を計算する工程;および
(d)工程(c)の比が1より大きい場合に前記治療計画の有効性が高いと決定する;または工程(c)の比が1以下の場合に前記治療計画の有効性が低いと決定する工程
を含んでなる。

0122

好ましい実施形態では、前記障害に罹患している対象においてIGF−1Rに関連する腫瘍形成性障害を緩和するように計画された前記治療計画は、前記対象へのIGF−1R経路を標的とする療法の投与を含む。

0123

また、IGF−1Rの発現に関連する腫瘍形成性障害のイメージングのin vivo法を提供することも本発明の目的である。このような方法は、腫瘍細胞をin vivoで限局する、ならびにそれらの浸潤性を経過観察するために有用である。同様に、本方法は、IGF−1R介在性癌と従前に診断された患者において進行および/または処置に対する応答を経過観察するためにも有用である。

0124

一つの実施形態は、対象においてIGF−1R発現腫瘍細胞の位置を検出するための方法であり、前記方法は、
a)第1のIGF−1R抗体、またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与する工程;および
b)前記第1のIGF−1R抗体の結合を検出する工程
を含んでなり、
前記結合は腫瘍細胞の存在を示す。

0125

発現腫瘍の存在の検出については、当業者に公知の多くの技術が使用できる。しかしながらやはり、好ましい手段はIHCおよびFACSである。

0126

III−抗体薬物複合体(ADC)
III.1−第2のIGF−1R抗体(Ab)
ある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、組換え抗体からなる。

0127

別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、化学的に合成された抗体からなる。

0128

本出願のある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abのエピトープは、優先的には、ヒトIGF−1Rの細胞外ドメイン(IGF−1R ECDとも呼称される)に位置する。

0129

特定の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Ab、またはその任意の抗原結合フラグメントは、10×10−10〜1×10−10の間、より優先的には8×10−10〜2×10−10の間に含まれるEC50でIGF−1Rと結合し得る。

0130

好ましい実施形態として、本発明で決定されたEC50は、ヒト腫瘍細胞上に露出しているIGF−1R ECDに結合する抗体の効力を特徴付ける。EC50パラメーターは、FACS分析を用いて決定される。EC50パラメーターは、ヒト腫瘍細胞上で発現されるヒトIGF−1Rに対して最大結合の50%が得られる抗体濃度を表す。各EC50値は、4パラメーター回帰曲線フィッティングプログラム(Prism Software)を用いて用量反応曲線の中点として計算された。このパラメーターは生理学的/病理学的状態を代表するように選択された。

0131

IGF−1Rとの結合に関する競合は、限定されるものではないが、放射能、Biacore、ELISA、フローサイトメトリーなどの当業者に公知のいずれの方法または技術によっても決定可能である。「IGF−1Rとの結合に関して競合する」とは、少なくとも20%、優先的には少なくとも50%、より優先的には少なくとも70%の競合を意味する。

0132

同じエピトープへの結合の決定は、限定されるものではないが、放射能、Biacore、ELISA、フローサイトメトリーなどの当業者に公知のいずれの方法または技術によっても決定可能である。「IGF−Rの同じエピトープに結合する」とは、少なくとも20%、優先的には少なくとも50%、より優先的には少なくとも70%に競合を意味する。

0133

上述のように、一般的知識に反して、本発明は、IGF−1R結合後に高い内部移行能を示す特定のIGF−1R抗体に着目する。本明細書で使用する場合、「内部移行される」または「内部移行された」抗体(これらの2つの表現は同様である)は、哺乳動物細胞上のIGF−1Rに結合した際に細胞により取り込まれる(それが入ることを意味する)ものである。このような抗体はADCの一部として着目され、従って、それは連結された細胞傷害剤を標的癌細胞アドレスする、または向ける。ひと度、内部移行されると、細胞傷害剤は癌細胞死を誘導する。

0134

驚くことに、本発明による第2のIGF−1R抗体Abは総てCDR−H2、CDR−H3およびCDR−L2に関しては同じ配列を示し、他の3つのCDRは異なる。この所見は、抗体の結合特異性に関して、CDR−H3が最も重要であり、エピトープの認識に最も関連があると記載されている一般的知識の一部であるので、一貫性があると思われる。

0135

ADC療法で成功するための重要な鍵は、標的抗原の特異性と抗原−抗体複合体の癌細胞への内部移行であると思われる。明らかに内部移行しない抗原は内部移行する抗原よりも細胞傷害性薬剤送達効果が低い。内部移行プロセスは抗原によって異なり、抗体により影響を受け得る複数のパラメーターに依存する。

0136

ADCでは、細胞傷害剤が細胞傷害活性を付与し、使用する抗体が癌細胞に対する特異性、ならびに細胞傷害剤を適正にアドレスするよう細胞内に入れるためのベクターを担う。従って、ADCを改善するために、抗体は標的癌細胞への高い内部移行能を示し得る。抗体により媒介される内部移行の効率は、標的とされるエピトープによって有意に異なる。強力な内部移行性IGF−1R抗体の選択には、IGF−1Rのダウンレギュレーションだけではなく、IGF−1R抗体の細胞への内部移行後を研究する様々な実験データが必要である。

0137

ある実施形態では、第2のIGF−1R Abの内部移行は、免疫蛍光もしくはFACS(フローサイトメトリー)(本出願の下記に例示される通り)または内部移行機構に特異的な当業者に公知の任意の方法もしくはプロセスによって評価することができる。好ましい実施形態では、本発明によるADCの抗体は、IGF−1Rとの結合後に少なくとも30%、優先的には50%、より優先的には80%の内部移行を誘導し得る。

0138

複合体IGF−1R/第2のIGF−1R抗体Abは、前記IGF−1RのECDへの第2のIGF−1R抗体Abの結合の後に内部移行され、細胞表面のIGF−1R量の減少が誘導される。この減少は、非限定例としてのウエスタンブロット、FACS、および免疫蛍光などの当業者に公知のいずれかの方法によって定量することができる。

0139

一つの実施形態では、このように内部移行を反映するこの減少は、好ましくはFACSにより測定可能であり、第2のIGF−1R抗体Abとの4時間のインキュベーション後に、4℃で測定された平均蛍光強度(MFI)と37℃で測定されたMFIの間の差またはΔとして表すことができる。

0140

非限定例として、このΔは、i)第2のIGF−1R抗体Abとの4時間のインキュベーション後の乳癌細胞MCF7と、ii)Alexa488で標識された二次抗体を用い、非処理細胞および第2のIGF−1R抗体Ab体で処理した細胞で得られたMFIに基づいて決定される。このパラメーターは、下記式:Δ(MFI4℃−MFI37℃)で算出される通りに定義される。

0141

MFIは細胞表面で発現されるIGF−1Rに比例するので、このMFI間の差異は、GF−1Rのダウンレギュレーションを反映する。

0142

有利な態様において、本抗体は、MCF−7上でΔ(MFI4℃−MFI37℃)を惹起する少なくとも280、好ましくは少なくとも400の抗体からなる。

0143

より詳細には、上述のΔは下記の方法に従って測定することができ、それは例示的な非限定例と見なされるべきである:
a)対象とする腫瘍細胞を低温(4℃)または温かい(37℃)完全培養培地中、第2のIGF−1R抗体Abで処理し、インキュベートすること;
b)工程a)の処理細胞および並行して非処理細胞を二次抗体で処理すること;
c)本発明の抗体と結合し得る二次標的抗体で処理した細胞および非処理の細胞のMFIを測定すること(表面に存在するIGF−1Rの量を代表する);および
d)Δを非処理細胞で得られたMFIからの、処理細胞で得られたMFIの減算として計算すること。

0144

このΔMFIから、内部移行パーセンテージを
100×(MFI4℃−MFI37℃)/MFI4℃
として求めることができる。

0145

ADCの第2のIGF−1R抗体Abは、好ましくは、MCF7に対して、50%〜99%、70%〜90%、優先的には75%〜87%の間に含まれる内部移行パーセンテージである。

0146

第2のIGF−1R抗体Ab特定の利点は、それらの内部移行速度によるものである。

0147

ADCの場合、使用する抗体は急速な、好ましくは、抗体の投与から24時間以内、より好ましくは12時間以内、いっそうより好ましくは6時間以内の内部移行速度を示すことが望ましいと一般に知られている。

0148

本発明では、細胞表面結合抗体減少または細胞表面抗体減衰とも呼称される内部移行速度は、t1/2(半減期)として表され、ΔMFIの50%の低下を得るために必要な時間に相当する(この態様は、下記の例に関して明確に理解される)。

0149

特定の利点は、第2のIGF−1R抗体Abは、5〜25分の間、優先的には10〜20分の間に含まれるt1/2を有する。

0150

第2のIGF−1R抗体Ab、またはその任意の抗原結合フラグメントは、配列番号22の配列のCDR−H2および配列番号23の配列のCDR−H3を有する3つの重鎖CDRと、配列番号25の配列のCDR−L2を有する3つの軽鎖CDRとを含んでなり得る。

0151

第2のIGF−1R抗体Ab、またはその任意の抗原結合フラグメントは、配列番号21、22および23の配列の3つの重鎖CDRと、配列番号24、25および26の配列の3つの軽鎖CDRとを含んでなり得る。

0152

ある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Ab、またはその任意の抗原結合フラグメントは、配列番号21、22および23の配列、または配列番号21、22もしくは23と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、またはからなる3つの重鎖CDRと;配列番号24、25および26の配列、または配列番号24、25もしくは26と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなるか、またはからなる3つの軽鎖CDRとを含んでなり得る。

0153

別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Ab、またはその任意の抗原結合フラグメントは、配列番号21、22および23の配列を含んでなる3つの重鎖CDRと;配列番号24、25および26の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRとを含んでなる。

0154

特定の態様によれば、第2のIGF−1R抗体Abは、インスリン受容体(IR)と結合しない。この態様は、本明細書に記載の抗体は、インスリン代謝を意味する、IRに対する負の影響を持たないので注目される。

0155

別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abのさらに別の有利な態様は、ヒトIGF−1RにだけでなくサルIGF−1Rにも、より詳しくは、カニクイザルIGF−1Rにも結合し得る。この態様もまた、それが臨床試験に必要とされる毒性評価を容易にするので注目される。

0156

さらに別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、モノクローナル抗体からなる。

0157

第2のIGF−1R抗体Abは、好ましくは、微生物培養物の仏国コレクション(CNCM、パスツール研究所、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、仏国)に提出されたマウス起源のハイブリドーマに由来し、前記ハイブリドーマは、Balb/C免疫マウス脾細胞/リンパ球と骨髄腫Sp 2/O−Ag 14細胞株の細胞の融合により得られたものである。

0158

前記マウスハイブリドーマは、それぞれ2013年5月30日、2013年6月26日、2013年6月26日、2013年4月24日および2013年6月26日にCNCM、パスツール研究所 仏国に寄託されたハイブリドーマI−4757、I−4773、I−4775、I−4736およびI−4774から選択され得る。

0159

特定の態様では、第2のIGF−1R抗体Abは、i)それぞれ2013年5月30日、2013年6月26日、2013年6月26日、2013年4月24日および2013年6月26日にCNCM、パスツール研究所 仏国に寄託されたハイブリドーマI−4757、I−4773、I−4775、I−4736もしくはI−4774により産生される抗体、またはii)IGF−1Rとの結合に関してi)の抗体と競合する抗体;またはiii)i)の抗体と同じ、IGF−1Rのエピトープと結合する抗体から選択される。

0160

ある実施形態では、本発明の第2のIGF−1R抗体Abはマウス抗体からなり、従って、m[抗体の名称]と呼称される。

0161

ある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abはキメラ抗体からなり、従って、c[抗体の名称]と呼称される。

0162

ある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abはヒト化抗体からなり、従って、hz[抗体の名称]と呼称される。

0163

疑念を避けるため、以下の明細書において、「IGF−1R抗体」および「[抗体の名称]という表現は同等であり、前記IGF−1R抗体または前記「[抗体の名称]」のマウス型、キメラ型およびヒト化型を含む(相反する記載がない限り)。必要であれば、接頭辞m−(マウス)、c−(キメラ)またはhz−(ヒト化)が使用される。

0164

より明確にするために、以下の表6aに好ましい第2のIGF−1R抗体Abに関してIMGTに従って定義されるCDR配列を示す。同じ特徴を示す他の任意の抗体も本発明の汎IAに含まれ得る。

0165

0166

上記のような6つのCDRのいずれの組合せも本発明の一部と見なされるべきであることは当業者には自明であろう。

0167

この表6aから見て取ることができるように、本明細書に記載の第2のIGF−1R抗体Abは総て、CDR−H2、CDR−H3およびCDR−L2に関して同じ配列を有し、この特性は上記のように特に注目される。

0168

所与の態様では、第2のIGF−1R抗体Abは、マウス(m)抗体である。

0169

別の態様では、第2のIGF−1R抗体Abは、キメラ(c)抗体である。

0170

キメラ抗体は、所与の種の抗体に由来する天然可変領域(軽鎖および重鎖)を前記の所与の種とは異種の抗体の軽鎖および重鎖の定常領域と組み合わせて含有するものである。

0171

キメラ抗体は、組換え遺伝子の技術を使用することにより製造され得る。例えば、キメラ抗体は、プロモーターおよび非ヒト、特にマウスのモノクローナル抗体の可変領域をコードする配列および異種、好ましくは、ヒトの抗体定常領域をコードする配列を含む組換えDNAをクローニングすることにより製造することができる。1つのこのような組換え遺伝子によりコードされている本発明によるADCのキメラ抗体は、例えば、マウス−ヒトキメラであり得、この抗体の特異性はマウスDNAに由来する可変領域により決定され、そのアイソタイプは、ヒトDNAに由来する定常領域により決定される。

0172

より明確にするために、以下の表6bに、キメラ型の第2のIGF−1R抗体の種々の変異体に関するVHおよびVL(可変ドメインおよび全長)の配列の非限定例を示す。

0173

さらに別の態様では、第2のIGF−1R 抗体Abは、ヒト化抗体である。

0174

「ヒト化抗体」は、非ヒト起源の抗体に由来するCDR領域を含み、抗体分子の他の部分は1つの(またはいくつかの)ヒト抗体に由来する抗体を意味する。加えて、骨格セグメント残基(FRと呼称される)の一部を、結合親和性を保持するように改変することができる。

0175

ヒト化抗体またはそのフラグメントは、当業者に公知の技術によって作製することができる。このようなヒト化抗体は、in vitro診断またはin vivoにおける予防的および/もいくは治療的処置を含む方法におけるそれらの使用に好ましい。PDLにより特許EP0451216、EP0682040、EP0939127、EP0566647またはUS5,530,101、US6,180,370、US5,585,089およびUS5,693,761に記載されている例えば、「CDRグラフト」技術などの他のヒト化技術もまた当業者に公知である。米国特許第5,639,641号または同第6,054,297号、同第5,886,152号および同第5,877,293号も引用することができる。

0176

本発明の特定の実施形態として、限定されるものではないが、hz208F2からなる第2のIGF−1R抗体Abが本明細書に記載される。このようなヒト化は、本発明の他の抗体部分にも当てはまり得る。

0177

ある実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
i)それぞれ配列番号27、22および23の配列のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3と、
ii)ヒト生殖細胞系GHV1−46*01(配列番号86)に由来するFR1、FR2およびFR3と、
iii)ヒト生殖細胞系IGHJ4*01(配列番号88)に由来するFR4と
を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含んでなる。
好ましい実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
i)それぞれ配列番号29、25および31の配列のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3と、
ii)ヒト生殖細胞系IGKV1−39*01(配列番号87)に由来するFR1、FR2およびFR3と、
iii)ヒト生殖細胞系IGKJ4*01(配列番号89)に由来するFR4
を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでなる。

0178

限定されるものではないが、本発明の好ましい実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
a)それぞれ配列番号27、22および23の配列のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3、ならびにヒト生殖細胞系IGHV1−46*01(配列番号86)に由来するFR1、FR2およびFR3と、ヒト生殖細胞系IGHJ4*01(配列番号88)に由来するFR4を有する重鎖と;
b)それぞれ配列番号29、25および31の配列のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3、ならびにヒト生殖細胞系IGKV1−39*01(配列番号87)に由来するFR1、FR2およびFR3と、ヒト生殖細胞系IGKJ4*01(配列番号89)に由来するFR4を有する軽鎖と
を含んでなる。

0179

別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
a)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59から選択される配列、または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57もしくは59と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する任意の配列の重鎖可変ドメインと;配列番号29、25および31の配列3つの軽鎖CDRとを含んでなる抗体;
b)配列番号34、37および60から選択される配列または配列番号34、37もしくは60と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインと;配列番号27、22および23の配列の3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;ならびに
c)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57および59から選択される配列、または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55もしくは57と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する任意の配列の重鎖可変ドメインと;配列番号34、37および60から選択される配列、または配列番号34、37もしくは60と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する任意の配列の軽鎖可変ドメインとを含んでなる抗体
から選択される。

0180

別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
a)配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55および57から選択される配列、または配列番号33、39、41、43、45、47、49、51、53、55もしくは57と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号34の配列、または配列番号34と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖とを含んでなる抗体;
b)配列番号33、41、45および55から選択される配列、または配列番号33、41、45もしくは55と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号37の配列、または配列番号37と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖とを含んでなる抗体;ならびに
c)配列番号59の配列、または配列番号59と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号60の配列、または配列番号60と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖とを含んでなる抗体
から選択される。

0181

さらに別の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、
a)配列番号35の配列、または配列番号35と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
b)配列番号35の配列、または配列番号35と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号38の配列、または配列番号38と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
c)配列番号40の配列、または配列番号40と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
d)配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
e)配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号38の配列、または配列番号38と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
f)配列番号44の配列、または配列番号44と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
g)配列番号46の配列、または配列番号46と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
h)配列番号46の配列、または配列番号46と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号38の配列、または配列番号38と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
i)配列番号48の配列、または配列番号48と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
j)配列番号50の配列、または配列番号50と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
k)配列番号52の配列、または配列番号52と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
l)配列番号54の配列、または配列番号54と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
m)配列番号56の配列、または配列番号56と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
n)配列番号56の配列、または配列番号56と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号38の配列、または配列番号38と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;
o)配列番号58の配列、または配列番号58と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号36の配列、または配列番号36と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体;および
p)配列番号61の配列、または配列番号61と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖と、配列番号62の配列、または配列番号62と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖を含んでなる、またはからなる抗体
から選択される抗体である。

0182

言い換えれば、本発明は、第2のIGF−1R抗体Abが
a)配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58および61から選択される配列、または配列番号35、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58もしくは61と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列の重鎖と;
b)配列番号36、38および62から選択される配列、または配列番号36、38および62と少なくとも80%の同一性を有する任意の配列の軽鎖と
を含んでなる抗体である、方法に関する。

0183

より明確にするために、以下の表6cに、ヒト化抗体hz208F2の種々の変異体に関するVHおよびVL(可変ドメインおよび全長)の配列の非限定例を示す。

0184

0185

III−2−薬物(D)
薬物部分Dは、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、クロマチン機能阻害剤、抗血管新生薬、抗エストロゲン作用薬、抗アンドロゲン作用薬、キレート剤、鉄吸収刺激剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、DNA阻害剤、DNA合成阻害剤、アポトーシス刺激剤、チミジル酸阻害剤、T細胞阻害剤、インターフェロンアゴニスト、リボヌクレオシド三リン酸レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト、チロシンキナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、タキサン、チューブリン阻害剤、血管新生阻害剤、マクロファージ刺激剤、ニューロキニン受容体アンタゴニスト、カンナビノイド受容体アゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト、顆粒球刺激因子アゴニスト、エリスロポエチン受容体アゴニスト、ソマトスタチン受容体アゴニスト、LHRHアゴニスト、カルシウム増感剤、VEGF受容体アンタゴニスト、インターロイキン受容体アンタゴニスト、破骨細胞阻害剤、ラジカル形成刺激剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ビンカアルカロイド、抗ホルモン剤または免疫調節剤または細胞傷害剤もしくは毒素の活性基準を満たす任意の他の薬(dolostatin 10)、またはそれらの誘導体である。

0186

好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物に従う薬物部分は、下記式(II)を有し、



式中、
R2は、COOH、COOCH3またはチアゾリル(例えば、チアゾール−2−イル)であり、
R3は、Hまたは(C1−C6)アルキル(例えば、メチル)、特に、(C1−C6)アルキル基であり、
R9は、Hまたは(C1−C6)アルキル(例えば、メチル)であり、
mは、1〜8の間に含まれる整数であり、かつ、
波線は、Lとの結合点を示す。

0187

本発明において「アルキル」とは、直鎖または分岐型飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、メチル、エチルプロピルイソプロピルブチルイソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル基が挙げられる。

0188

本発明において「(Cx−Cy)アルキル」は、x〜y個の炭素原子を含んでなる上記に定義されるようなアルキル鎖を意味する。よって、(C1−C6)アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である。

0189

(C1−C6)アルキルは、有利には(C1−C4)アルキル、好ましくは(preferably) (C1−C2)アルキルである。

0190

本発明の化合物のうち、一つの特に好適なクラスの薬物部分は、R2がCOOH基を表す式(II)の薬物部分に相当する。

0191

別の特に好適なクラスの部分は、R2がチアゾール(特に、チアゾール−2−イル基)である式(II)の部分に相当する。

0192

別のクラスの特に好適な部分は、R2がCOOMeである式(II)の部分に相当する。

0193

本発明の一つの特定の実施形態によれば、R2は、より詳しくは、COOH、COOMeまたはチアゾール−2−イル基である。

0194

第1の好ましい実施形態によれば、R2はCOOHである。

0195

第2の好ましい実施形態によれば、R2はCOOMeである。

0196

R3は、特に、(C1−C6)アルキル、有利にはメチル基を表す。

0197

mは、1〜8の間、特に1〜6の間、有利には1〜4の間に含まれる整数であり、好ましくは、1または2である。

0198

好ましい実施形態では、R2はCOOHであり、R3はメチル基であり、かつ、mは1または2である。

0199

本発明の薬物部分のうち、一つの特に好適なクラスの薬物部分は、R9がメチル基または水素である式(II)の薬物部分に相当する。

0200

好ましい実施形態では、
R2はCOOHであり、R3はメチル基であり、R9はメチル基であり、かつ、mは1または2であるか、または
R2はCOOHであり、R3はメチル基であり、R9は水素であり、かつ、mは1または2である。

0201

好ましい実施形態によれば、NR9基は、フェニル環上の、(CH2)m基に対してパラ位に位置する。

0202

有利には、薬物部分は、以下の部分の中から選択される。




(式DH)の薬物の製造:
本薬物は以下の合成スキームに記載される一般法を用い、場合により、必要であれば、文献に記載されている、または当業者に周知の、または実施例のその実験の部に記載される任意の標準操作により補って製造することができる。



スキーム1は、薬物を製造するために使用することができる第1の一般法を示す。上記の一般式において、R1=H、R2およびR3は式IIに関して従前に定義されたものなどであり、R4は、



を表し、R4aは、場合により保護形態の、従前に定義されたものなどのR4基を表し、かつ、Gは保護基である。

0203

第1の工程は、そのアミン官能基で保護基Gにより保護された化合物(II)と化合物(III)の縮合からなる。Xは、塩素などの脱離基を表し得る。この場合、第1の工程は、酸塩化物アミンの間の反応からなる。この反応は、当業者に周知の方法および技術を用いて行うことができる。一つの特に好適な方法では、これら2つの実体は、特に−20℃〜100℃の間の温度で、THF、ジクロロメタンDMFDMSOなどの溶媒中、有機または無機塩基、例えば、Et3N、iPr2NEt、ピリジン、NaH、Cs2CO3、K2CO3の存在下で反応される。Xはまたヒドロキシル(OH)であってもよい。この場合、第1の工程は、カルボン酸(II)とアミン(III)の間の縮合反応である。この反応は、当業者に周知の方法および技術に従って行うことができる。一つの特に好適な方法では、これら2つの実体は、特に−15℃〜40℃の間の温度で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オンなどのカップリング剤第三級アミンジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で反応される。別の特に好適な方法では、これら2つの実体は、−15℃〜40℃の間の温度で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中、ジエチルホスホロシアデート(DEPC)、第三級アミン(トリエチルアミンなど)の存在下で反応される。別の特に好適な方法は、これら2つの実体を−15℃〜100℃の間の温度で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートHATU)、第三級アミン(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で反応させることからなる。

0204

当業者に周知の技術(<< Protective Groups in Organic Synthesis >>, T.W. Greene, John Wiley & Sons, 2006および<< Protecting Groups >>, P.J. Kocienski, Thieme Verlag, 1994)を用いたこの中間体の脱保護の後、上記の方法および技術に従って化合物(IV)を化合物(V)と縮合させて、脱保護工程の後に化合物(VI)を得ることができる。次に、この化合物は、中間体(VII)との縮合および任意選択の脱保護の後に薬物の形成に至り得る。化合物(VI)はまた、R’3がR3の前駆体、特に、保護基によって保護されたR3基である化合物(VII’)とカップリングさせることもできる。カップリングとその後の基R’3の脱保護によるR3の取得は、従前に記載したものと同じ手順に従って行うことができる。



スキーム2は、薬物を製造するために使用することができる第2の一般法を示す。上記の一般式において、Gは保護基であり、R1=H、R2、R3およびR4aは従前に定義されたものなどであり、かつ、R4bは、



を表す。

0205

第1の工程で、そのアミン官能基において保護基Gによって保護された化合物(IX)が化合物(VI)と縮合される。Xは、脱離基、例えば塩素を表し得る。この場合、第1の工程は、酸塩化物とアミンの間の反応からなる。この反応は、当業者に周知の方法および技術を用いて行うことができる。一つの特に好適な方法では、これら2つの実体は、特に−20℃〜100℃の間の温度で、THF、ジクロロメタン、DMF、DMSOなどの溶媒中、Et3N、iPr2NEt、ピリジン、NaH、Cs2CO3、K2CO3などの有機または無機塩基の存在下で反応される。Xはまたヒドロキシルを表してもよい。この場合、第1の工程は、カルボン酸(IX)とアミン(VI)の間の縮合反応である。この反応は、当業者に周知の方法および技術に従って行うことができる。一つの特に好適な方法では、これら2つの実体は、特に−15℃〜40℃の間の温度で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、第三級アミン(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で反応される。別の特に好適な方法では、これら2つの実体は、特に−15℃〜40℃の間の温度で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中、ジエチルホスホロシアニデート(DEPC)、第三級アミン(トリエチルアミンなど)の存在下で反応される。

0206

当業者に周知の技術を用いたこの中間体の脱保護の後、得られた化合物(VIII)は、R4Yとの反応後に薬物となり得る。この場合、Yは、Cl、Br、I、OSO2CH3、OSO2CF3またはO−トシルなどの脱離基である。この反応は、特に−20℃〜100℃の間の温度で、ジクロロメタン、THF、DMF、DMSOなどの極性無水溶媒中、Et3N、iPr2NEt、NaH、Cs2CO3、K2CO3などの有機または無機塩基の存在下で行われる。別の特に好適な方法では、化合物(VIII)は、R4bがR4の前駆体に相当する式R4b−CHOのアルデヒドと反応される。この場合、この反応は、特に−20℃〜100℃の間の温度、酢酸などの酸の付加により制御できるpHで、任意選択のチタンイソプロポキシド(IV)の存在下、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、THF、DMF、MeOHなどの極性溶媒中、NaBH4、NaBH3CN、NaBH(OAc)3などの還元剤の存在下での還元的アミノ化である。

0207

上記合成スキームにおいて、薬物は、例えば、当業者に周知の方法を用いた鹸化などの付加的反応工程後に別の薬物となり得、それにより、エステル(COOMe)を表すR2基はカルボン酸(COOH)を表すR2基に変化する。

0208

少なくとも1つの塩基官能基を含有する薬物を酸付加塩の状態で単離することが臨まれる場合には、これは、その薬物の遊離塩基(少なくとも1つの塩基官能基を含有する)を、好ましくは等量の、好適な酸で処理することにより可能である。好適な酸は特にトリフルオロ酢酸であり得る。

0209

III.3−リンカー(L)
「リンカー」、「リンカー単位」、「L」または「連結」は、本発明において、共有結合を含んでなる化学部分または抗体を少なくとも1つの薬物に共有結合させる原子の鎖を意味する。

0210

リンカーは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオプロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートSMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイルヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、2,6−ジイソシアン酸トルエン)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製され得る。炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)が、細胞傷害性薬剤とアドレス指定系のコンジュゲーションのための例示的キレート剤である。他の架橋試薬は、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、およびスルホ−SMPB、ならびに(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.、ロックフォード、Ill.、U.S.Aから)市販されているSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホンベンゾエート)であり得る。

0211

リンカーは、「切断不能」であってもまたは「切断可能」であってもよい。

0212

好ましい実施形態では、リンカーは、細胞内での薬物の放出を助ける「切断可能リンカー」からなる。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカーが使用可能である。リンカーは、好ましい実施形態では、リンカーの切断が細胞内環境において抗体から薬物を放出するように、細胞内条件下で切断可能である。

0213

例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断因子により切断可能である。リンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素(限定されるものではないが、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含む)により切断されるペプチジルリンカーであり得る。一般に、ペプチジルリンカーは、少なくとも2つの連続するアミノ酸もしくは少なくとも3つの連続するアミノ酸を含んでなるか、または少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断因子はカテプシンBおよびDおよびプラスミンを含むことができ、これらは総て、ジペプチド薬誘導体を加水分解して標的細胞内で活性薬物の放出をもたらすことが知られている。例えば、癌組織で発現の高いチオール依存性プロテアーゼカテプシン−Bにより切断可能なペプチジルリンカーが使用可能である(例えば、Phe−LeuまたはGly−Phe−Leu−Glyを含んでなる、またはそのものであるリンカー)。特定の実施形態では、細胞内プロテアーゼにより切断可能なペプチジルリンカーは、Val−CitまたはPhe−Lysを含んでなる、またはそのものである。薬物の細胞内タンパク質分解性放出を使用することの1つの利点は、薬物がコンジュゲートされた場合には一般に減弱され、かつ、その複合体の血清安定性が一般に高いことである。

0214

他の実施形態では、切断可能なリンカーはpH感受性、すなわち、特定のpH値での加水分解に対して感受性である。一般に、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾンセミカルバゾンチオセミカルバゾン、シス−アコニットアミドオルトエステルアセタール、またはケタールなど)が使用できる。このようなリンカーは、血中などの中性pH条件下で比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0未満では不安定である。特定の実施形態では、加水分解可能なリンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して薬物と結合されているチオエーテル)である。

0215

さらに他の実施形態では、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。種々のジスルフィドリンカーが当技術分野で公知であり、例えば、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)を用いて形成可能なものが含まれる。

0216

特定の好ましい実施形態では、リンカー単位は、下記一般式:
−(T)a−(W)w−(Y)y−
を有してよく、式中、
Tは、延伸単位であり;
aは、0または1であり;
Wは、アミノ酸単位であり;
wは、0〜12の範囲の整数であり;
Yは、スペーサー単位であり;
yは、0、1または2である。

0217

延伸単位(T)は、存在する場合に第2のIGF−1R抗体Aを、存在する場合にアミノ酸単位(W)と、または存在する場合にスペーサー単位と、または直接的に薬物と連結する。天然にまたは化学的操作を介して第2のIGF−1R抗体Ab上に存在し得る有用な官能基としては、スルフヒドリルアミノ、ヒドロキシル、糖鎖アノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが含まれる。好適な官能基はスルフヒドリルおよびアミノである。スルフヒドリル基は、存在する場合、第2のIGF−1R抗体Abの分子内ジスルフィド結合の還元により作製することができる。あるいは、スルフヒドリル基は、第2のIGF−1R抗体Abのリシン部分のアミノ基と2−イミノチオランまたは他のスルフヒドリル生成試薬との反応により生成することもできる。特定の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、1以上のリシンを有するように操作される。より好ましくは、第2のIGF−1R抗体Abは、1以上のシステインを有するように操作することができる(ThioMabs参照)。

0218

ある特定の実施形態では、延伸単位は、第2のIGF−1R抗体Abの硫黄原子と結合を形成する。硫黄原子は、還元型の抗体のスルフヒドリル(−SH)基に由来し得る。

0219

他のある特定の実施形態では、延伸単位は、抗体の硫黄原子と延伸単位の硫黄原子の間のジスルフィド結合を介して第2のIGF−1R抗体Ab抗体に連結される。

0220

他の特定の実施形態では、延伸部の反応性基は、第2のIGF−1R抗体Aのアミノ基に反応し得る反応性部位を含む。このアミノ基は、アルギニンまたはリシンのものであり得る。好適なアミン反応性部位としては、限定されるものではないが、活性化エステル(例えば、スクシンイミドエステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル)、無水物、酸塩化物、塩化スルホニルイソシアネートおよびイソチオシアネートが挙げられる。

0221

さらに別の態様では、延伸部の反応性官能基は、第2のIGF−1R抗体Ab上に存在し得る修飾糖鎖基に反応性のある反応性部位を含む。特定の実施形態では、第2のIGF−1R抗体Abは、糖鎖部分を提供するように酵素的グリコシル化されているか、または天然にグリコシル化されている。糖鎖は過ヨウ素酸ナトリウムなどの試薬で温和酸化されてもよく、結果として得られる酸化糖鎖のカルボニル単位は、ヒドラジドオキシム反応性アミンヒドラジンチオセミカルバジド、カルボン酸ヒドラジン、またはアリールヒドラジドなどの官能基を含む延伸部と縮合させることができる。

0222

特定の実施形態によれば、延伸単位は下記式:



を有し、式中、
L2は、(C4−C10)シクロアルキル−カルボニル、(C2−C6)アルキルまたは(C2−C6)アルキル−カルボニル(前記シクロアルキルまたはアルキル部分は、マレイミド部分の窒素原子に連結される)であり、
アステリスクは、存在する場合にアミノ酸単位との、存在する場合にスペーサー単位との、または薬物Dとの結合点を示し、かつ
波線は、第2のIGF−1R抗体Abとの結合点を示す。

0223

「(C4−C10)シクロアルキル」は、本発明において、4〜10個の炭素原子を有する炭化水素環を意味し、限定されるものではないが、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどが含まれる。

0224

L2は、有利には、下記式のペンチル−カルボニルなどの(C2−C6)アルキル−カルボニル:



であり得、式中、
アステリスクは、存在する場合にアミノ酸単位、存在する場合にスペーサー単位、または薬物Dとの結合点を示し;かつ
波線は、マレイミド部分の窒素原子との結合点を示す。

0225

存在する場合にアミノ酸単位(W)は、存在する場合に延伸単位(T)を、またはそうでなければ、第2のIGF−1R抗体Abを、スペーサー単位が存在する場合にはスペーサー単位(Y)に、もしくはスペーサー単位が存在しない場合には薬物に連結する。

0226

上述のように、(W)wは存在しないか(w=0)、またはジペプチド、トリペプチドテトラペプチドペンタペプチドヘキサペプチドヘプタペプチドオクタペプチドノナペプチドデカペプチドウンデカペプチドもしくはドデカペプチド単位であり得、ここで、ペプチドを形成するアミノ酸は互いに異なり得る。

0227

よって、(W)wは、下記式:(W1)w1(W2)w2(W3)w3(W4)w4(W5)w5により表すことができ、式中、各W1〜W5は互いに独立にアミノ酸単位を表し、各w1〜w5は0または1である。

0228

いくつかの実施形態では、アミノ酸単位(W)wは、天然に存在するものなどのアミノ酸残基、ならびにシトルリンなどの希少アミノ酸および非天然アミノ酸類似体を含んでなり得る。

0229

アミノ酸単位(W)wのアミノ酸残基としては、限定されるものではないが、アラニンバリンロイシンイソロイシンメチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリンアセチルまたはホルミルで保護されたまたは保護されていないリシン、アルギニン、トシルまたはニトロ基で保護されたまたは保護されていないアルギニン、ヒスチジンオルニチン、アセチルまたはホルミルで保護されたオルニチン、およびシトルリンが挙げられる。例示的アミノ酸リンカー成分としては、好ましくは、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチド、特に、ジペプチドまたはトリペプチドが挙げられる。

0230

例示的ジペプチドとしては、Val−Cit、Ala−Val、Ala−Ala、Val−Ala、Lys−Lys、Cit−Cit、Val−Lys、Ala−Phe、Phe−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Ile−Cit、Trp−Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Argが挙げられる。

0231

例示的トリペプチドとしては、Val−Ala−Val、Ala−Asn−Val、Val−Leu−Lys、Ala−Ala−Asn、Phe−Phe−Lys、Gly−Gly−Gly、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lysが挙げられる。

0232

例示的テトラペプチドとしては、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号93)、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号94)が挙げられる。

0233

例示的ペンタペプチドとしては、Pro−Val−Gly−Val−Val(配列番号95)が挙げられる。

0234

特定の実施形態によれば、(W)wは、Val−Citなどのジペプチド(すなわち、w=2)であり得、またはリンカーはアミノ酸単位を欠いている(w=0)。リンカーがアミノ酸単位を欠く場合、好ましくは、それはスペーサー単位も欠く。

0235

好ましい実施形態によれば、w=0(すなわち、(W)wは一重結合である)またはw=2(すなわち、(W)wはジペプチドである)および従って、(W)wは



から選択することができ、特に、Val−Citであり、式中、
アステリスクは、存在する場合にスペーサー単位との、または薬物Dとの結合点を示し;かつ
波線は、L2との結合点を示す。

0236

アミノ酸リンカー成分は、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に関するそれらの選択性において設計および最適化することができる。

0237

リンカーのアミノ酸単位は、限定されるものではないが、腫瘍関連プロテアーゼを含む酵素により酵素的に切断されて薬物を遊離し得る。

0238

アミノ酸単位は、特定の腫瘍関連プロテアーゼによる酵素的切断に関するその選択性において設計および最適化することができる。好適な単位は、その切断がプロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、ならびにプラスミンにより触媒されるものである。

0239

存在する場合にスペーサー単位(Y)は、存在する場合にアミノ酸単位を、または存在する場合に延伸単位を、またはそうでなければ、抗体を薬物に連結する。スペーサー単位は、自壊的および非自壊的の2つの一般的タイプのものである。非自壊的スペーサー単位は、抗体−薬物複合体からのアミノ酸単位の酵素的切断後にそのスペーサー単位の一部または全部が薬物に結合して残るものである。非自壊的スペーサー単位の例としては、限定されるものではないが、(グリシン−グリシン)スペーサー単位およびグリシンスペーサー単位が挙げられる。薬物を遊離させるためには、非依存的加水分解反応がグリシン−薬物単位の結合を切断するように標的細胞内で起こるべきである。

0240

特定の実施形態では、非自壊的スペーサー単位(Y)はGlyである。

0241

あるいは、自壊的スペーサー単位を含有する抗体−薬物複合体は、独立した加水分解工程の必要なく薬物を遊離することができる。これらの実施形態では、(Y)は、p−アミノベンジルアルコール(PAB)基の窒素原子を介して(W)wに連結され、かつ、エステル基炭酸基カルバミン酸基またはエーテル基を介して薬物に直接接続されたPAB単位の残基である。

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