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図面 (10)

課題・解決手段

(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシフェニルシクロプロピルアミノメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用して多発性硬化症処置する方法を本明細書において提供する。

概要

背景

多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性、免疫媒介脱髄疾患である。免疫系は、CNSの神経を覆っているミエリン、および神経線維自体を攻撃する。MSは、CNSを冒す最も一般的な自己免疫障害であり、若年成人における身体障害の主因である。この疾患は、通常は20から50の間に発症する。2015年には世界中で約230万名の罹患者がいた。

MSは、新たな症状が孤立発作として起こる(再発型)か、または疾患が典型的な再発なしに時間をかけて徐々に進行する(進行型)の、いくつかの型を呈する。進行型は、一次進行性MSおよび二次進行性MSを含む。

徹底的な調査にもかかわらず、病因メカニズムは不明のままであり、FDAによりMS用に承認されている薬物は多数あるが、いまだに治療法がない。これらの薬物のうち、大部分は再発寛解型MSの処置用に承認されており、その一方でFDAにより一次進行性MSの処置用に承認されている薬物は1つしかない。再発寛解型または進行型いずれかのMSを処置するため使用されている現行薬物療法は、効き目は穏やかではあるのに、重篤副作用を有するまたは忍容性が低いことがある。加えて、これらの薬物の多くは、非経口経路により投与しなければならず、これは、MSのような慢性疾患に関しては患者にとって不便である。

概要

(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシフェニルシクロプロピルアミノメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用して多発性硬化症を処置する方法を本明細書において提供する。

目的

本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用することにより多発性硬化症を処置する新規方法を提供する

効果

実績

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請求項1

多発性硬化症処置における使用のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシフェニルシクロプロピルアミノメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンである化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物

請求項2

前記多発性硬化症が、慢性進行性多発性硬化症である、請求項1に記載の使用のための化合物。

請求項3

前記化合物が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンである、請求項1または2に記載の使用のための化合物。

請求項4

前記化合物が経口投与されることになる、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。

請求項5

処置されることになる患者がヒトである、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための化合物。

請求項6

患者における多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与するステップを含む方法。

請求項7

前記多発性硬化症が、慢性進行性多発性硬化症である、請求項6に記載の方法。

請求項8

治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンを前記患者に投与するステップを含む、請求項6または7に記載の方法。

請求項9

前記(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が経口投与される、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記患者がヒトである、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

多発性硬化症の処置用医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。

請求項12

前記多発性硬化症が、慢性進行性多発性硬化症である、請求項11に記載の使用。

請求項13

(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンが、前記医薬の製造に使用される、請求項11または12に記載の使用。

請求項14

前記医薬が、経口投与のためのものである、請求項11から13のいずれか一項に記載の使用。

請求項15

前記医薬が、ヒトの処置のためのものである、請求項11から14のいずれか一項に記載の使用。

請求項16

多発性硬化症を処置するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。

請求項17

前記多発性硬化症が、慢性進行性多発性硬化症である、請求項16に記載の使用。

請求項18

(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンが、多発性硬化症の処置に使用される、請求項16または17に記載の使用。

請求項19

前記(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、経口投与される、請求項16から18のいずれか一項に記載の使用。

請求項20

処置されることになる患者がヒトである、請求項16から19のいずれか一項に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、一般に、多発性硬化症処置の分野に関する。

背景技術

0002

多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性、免疫媒介脱髄疾患である。免疫系は、CNSの神経を覆っているミエリン、および神経線維自体を攻撃する。MSは、CNSを冒す最も一般的な自己免疫障害であり、若年成人における身体障害の主因である。この疾患は、通常は20から50の間に発症する。2015年には世界中で約230万名の罹患者がいた。

0003

MSは、新たな症状が孤立発作として起こる(再発型)か、または疾患が典型的な再発なしに時間をかけて徐々に進行する(進行型)の、いくつかの型を呈する。進行型は、一次進行性MSおよび二次進行性MSを含む。

0004

徹底的な調査にもかかわらず、病因メカニズムは不明のままであり、FDAによりMS用に承認されている薬物は多数あるが、いまだに治療法がない。これらの薬物のうち、大部分は再発寛解型MSの処置用に承認されており、その一方でFDAにより一次進行性MSの処置用に承認されている薬物は1つしかない。再発寛解型または進行型いずれかのMSを処置するため使用されている現行薬物療法は、効き目は穏やかではあるのに、重篤副作用を有するまたは忍容性が低いことがある。加えて、これらの薬物の多くは、非経口経路により投与しなければならず、これは、MSのような慢性疾患に関しては患者にとって不便である。

発明が解決しようとする課題

0005

したがって、MSを処置するための新たな薬物が必要であり、特に、この疾患の進行型に対しても有効でありうる、および/または現行の処置より少ない副作用を示す薬物であって、経口経路により投与することができる薬物が必要である。本発明は、これらおよび他の要求に対処する。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシフェニルシクロプロピルアミノメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用することにより多発性硬化症を処置する新規方法を提供する。

0007

したがって、本発明は、多発性硬化症の処置における使用のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。

0008

本発明は、患者(好ましくはヒト)における多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与するステップを含む方法をさらに提供する。

0009

本発明は、多発性硬化症の処置用の医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0010

本発明は、多発性硬化症の処置のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0011

一部の実施形態では、多発性硬化症は、慢性進行性多発性硬化症、特に一次進行性多発性硬化症または二次進行性多発性硬化症である。

図面の簡単な説明

0012

実施例3.1および3.2に記載のマウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAEモデルにおいて化合物1を1および3mg/kg p.o.で用いて得た結果を示す図である。データは、平均臨床スコア(±SEM)として測定した各群についての疾患進行を表す。
実施例3.3に記載のEAEモデルにおける化合物1の0.5および0.05mg/kg p.o.での効果を示す図である。データは、平均臨床スコア(±SEM)として測定した各群についての疾患進行を表す。
実施例3.4に記載のEAEモデルにおける(実施例1においてさらに定義する通りの)「ORY−LSD1」と名付けたLSD1阻害剤の0.06および0.180mg/kg p.o.での効果を示す図である。データは、平均臨床スコア(±SEM)として測定した各群についての疾患進行を表す。
実施例4に記載のEAEアッセイにおける化合物1の0.5mg/kg p.o.での効果を示す図である。データは、平均臨床スコア(±SEM)として測定した各群についての疾患進行を表す。
実施例4に記載のEAEアッセイにおいて化合物1を0.5mg/kg p.o.で処置した動物から処置終了時(免疫処置の26日後)に単離した脊髄病理組織学的分析の結果を示す図である。示されている画像は、クリューバー・バレラで染色した、臨床疾患のピークで選択した頸部(A)および腰部(B)脊髄横断切片に対応する。矢印は、脱髄域および炎症細胞浸潤域を指す。水平バーは、200μmの目盛りを示す。
実施例4において単離した脊髄に対応する腰部および頸部領域における脱髄平均数を示す図であり、この図により、化合物1で処置した動物の頸部および腰部脊髄切片における脱髄の非存在または大いなる低減がそれぞれ実証される。
実施例4に従って化合物1を0.5mg/kg p.o.でまたはビヒクルで処置した動物の脾臓およびリンパ節から単離した免疫細胞の数を示す図であり、この図により、免疫組織からのリンパ球の放出低減を示す、化合物1処置動物の脾臓およびリンパ節に保持たれたT細胞数の有意な増加が実証される。
実施例4に従って化合物1を0.5mg/kg p.o.でまたはビヒクルで処置した動物から免疫処置の26日目後に採取した脊髄におけるELISAにより決定したいくつかのサイトカインおよびケモカインのレベルを示す図である。図8A:IL−4;図8B:IL−6。レベルが組織タンパク質100mg当りのngとして表されている。
実施例4に従って化合物1を0.5mg/kg p.o.でまたはビヒクルで処置した動物から免疫処置の26日目後に採取した脊髄におけるELISAにより決定したいくつかのサイトカインおよびケモカインのレベルを示す図である。図8C:IL−1ベータ;図8D:IP−10。レベルが組織タンパク質100mg当りのngとして表されている。
実施例4に従って化合物1を0.5mg/kg p.o.でまたはビヒクルで処置した動物から免疫処置の26日目後に採取した脊髄におけるELISAにより決定したいくつかのサイトカインおよびケモカインのレベルを示す図である。図8E:MCP−1。レベルが組織タンパク質100mg当りのngとして表されている。

0013

本発明は、より詳細に下で説明するようにおよび実施例で例証されるように、多発性硬化症の処置のための極めて有効な治療剤としての化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンの同定に基づく。この化合物、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンは、実施例および図では化合物1(またはComp.1)と呼ばれる。名称「(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン」、「化合物1」または「Comp.1」は、本明細書では同義で使用される。

0014

したがって、本発明は、多発性硬化症の処置における使用のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。

0015

本発明は、患者(好ましくはヒト)における多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与するステップを含む方法をさらに提供する。

0016

本発明は、多発性硬化症の処置用の医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0017

本発明は、多発性硬化症の処置のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0018

一部の実施形態では、多発性硬化症は、慢性進行性多発性硬化症(例えば、一次進行性多発性硬化症または二次進行性多発性硬化症)である。

0019

したがって、本発明は、慢性進行性多発性硬化症の処置における使用のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物をさらに提供する。

0020

本発明は、患者(好ましくはヒト)における慢性進行性多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与するステップを含む方法をさらに提供する。

0021

本発明は、慢性進行性多発性硬化症の処置用の医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0022

本発明は、慢性進行性多発性硬化症の処置のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用をさらに提供する。

0023

好ましくは、化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)は、経口投与される。経口摂取(または嚥下)により投与することができる例示的な製剤は、下でより詳細に説明する。

0024

上で説明したように、本発明は、多発性硬化症の処置における使用のための化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン、または前記化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。したがって、本発明は、多発性硬化症(例えば、慢性進行性多発性硬化症)の処置における使用のための遊離塩基としての(非塩形態での)化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンに関し、さらに、本発明は、多発性硬化症(例えば、慢性進行性多発性硬化症)の処置における使用のための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンの薬学的に許容される塩または溶媒和物にも関する。

0025

実施例において例証されるように、化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンは、多発性硬化症の動物モデルにおいて明確な治療効果を提供する。特に、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを使用して化合物1を試験した。EAEは、ヒトMSとの病理学的および臨床的類似性を示し、可能性のあるMS治療剤を試験するためのモデル系として広く使用されている。特に、MOG35〜55およびC57BL/6マウス系統を使用する、実施例に記載のマウスEAEモデルは、慢性進行性型のMSの妥当性が確認されている前臨床モデルと考えられる。

0026

慢性活動性EAEに対する化合物1の効果を治療レジメンで、すなわち、疾患症状の開始後に化合物を投与して評価した。実施例3および図1、2および4でより詳細に例証されるように、化合物1での処置は、EAEの発症を阻害し、毎日の平均臨床スコアによって測定される疾患発生率および重症度を低下させた。例えば、化合物1を1または3mg/kg p.o.で投与したEAEアッセイでは、ビヒクル処置マウスは、EAEの中等度から重度徴候を発症し、重度の完全麻痺に起因する死亡率を示したが、化合物1で処置した群では、マウスの40〜70%が軽度の症状を提示し、それらの30%が疾患発症の40日後にはほぼ完全に回復した。化合物1は、実施例3.3および図2で示されるように、このMSモデルでは0.05mg/kg p.o.という低い用量で有効であることが判明した。重要なこととして、化合物1の保護効果は、処置中止後長期間にわって維持された。

0027

化合物1が、例えば図1で示されるように、既に処置開始直後に毎日の臨床スコアに対して有益な効果を示す、疾患の進行に対する迅速な作用開始を示すことは、注目に値する。したがって、化合物1は、MSの急性発作または急速進行性多発性硬化症の早期緩和をもたらすのに有益であり得、特に、コルチコステロイドに対して過敏症またはアレルギーの場合、高用量i.v.コルチコステロイドでの標準処置代わる代替案を提供する。

0028

実施例4ならびに図5および6で例証されるように、化合物1は、EAEマウスにおいて示されるように、免疫細胞の脊髄への浸潤を低減させるのに有用であり、脊髄における脱髄を低減させるのにも有用である。実施例4および図7でより詳細に説明されるように、化合物1での処置は、脾臓およびリンパ節に保持された免疫細胞数の有意な増加によって示されるように、免疫組織からのリンパ球の放出を低減させる。化合物1は、脊髄における炎症誘発性サイトカイン、例えばIL−6およびIL−ベータ、ならびにケモカイン、例えばIP−10およびMCP−1も低減させる(図8を参照されたい)。サイトカインIL−4は、化合物1処置動物の脊髄において有意に増加され、これは、Th2抗炎症応答を示す(図8A)。

0029

重要なこととして、MSにおける化合物1の治療効果を、血液学または循環リンパ球数に対して臨床的に意義のある影響、MS薬における共通の副作用を生じさせない、および/または胃腸毒性の徴候を伴わない用量で、達成することができる。したがって、化合物1を使用して、血液学または循環リンパ球数に対して臨床的に意義のある影響を生じさせることなく、進行性MSを含む、MSを処置することができる。

0030

MSの処置における化合物1の治療効果は、他のLSD1阻害剤の効果と比較しても、予想外に優れていることが判明した。化合物1は、シクロプロピルアミノ不可逆的LSD1阻害剤である。実施例3.1のMSのEAEモデルを使用して、化合物1の効果を、より詳細に実施例1で説明する別のシクロプロピルアミノ系不可逆的LSD1阻害剤(ORY−LSD1と名付けた化合物)と比較した。実施例2でより詳細に説明するように、化合物1は、LSD1に対して90nMのIC50を示すが、ORY−LSD1は、LSD1に対して10nMのIC50を有する。これら2つの化合物は、LSD1に対して異なるin vitro効力を有するので、ORY−LSD1を、in vivoでのLSD1阻害に関して化合物1に使用したものと同等の用量で、実施例3のEAEモデルにおいて試験した。ORY−LSD1は明確な改善傾向をもたらした(図3)が、化合物1のほうがORY−LSD1よりかなり効果的であった。したがって、化合物1は、多発性硬化症の処置における使用に特に適するLSD1阻害剤である。

0031

医薬製剤
化合物1は、治療において使用するためにそのまま直接投与されうる可能性もあるが、活性医薬成分としての化合物1とともに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物の形態で通常は投与される。本明細書における化合物1への言及は、遊離塩基としての化合物およびそのあらゆる薬学的に許容される塩または溶媒和物を含む。

0032

化合物1は、それらの本来の目的を果す任意の手段により投与することができる。例としては、経口、非経口、静脈内、皮下または局所経路による投与が挙げられる。

0033

経口送達のために、化合物1を、薬学的に許容される担体、例えば、結合剤(例えば、ゼラチンセルローストラガカントゴム)、賦形剤(例えば、デンプンラクトース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えば、アルギネートプリモゲル、およびコーンスターチ)、および甘味または着香剤(例えば、グルコーススクロースサッカリンサリチル酸メチル、およびペパーミント)を含む製剤に組み込むことができる。その製剤を、封入ゼラチンカプセルまたは圧縮錠剤の形態で経口送達することができる。カプセルおよび錠剤を、任意の従来の技法で調製することができる。カプセルおよび錠剤は、当技術分野において公知の様々なコーティング剤コーティングして、カプセルおよび錠剤の風味食味、色および形状を修飾することもできる。加えて、脂肪油などの液体担体をカプセルに含めることもできる。

0034

適する経口製剤は、懸濁剤シロップチューインガムウェハースエリキシル錠などの形態であってもよい。必要に応じて、これらの特別な形態の風味、食味、色および形状を修飾するための従来の薬剤を含めることもできる。加えて、嚥下することができない患者における経腸栄養チューブによる従来の投与のために、活性化合物オリーブ油トウモロコシ油およびベニバナ油などの許容可能な脂溶性植物油ビヒクルに溶解することができる。

0035

化合物1は、溶液もしくは懸濁液の形態で、または使用前に溶液もしくは懸濁液に変換することができる凍結乾燥形態で、非経口投与することもできる。そのような製剤には、希釈剤または薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水および生理食塩緩衝液を使用することができる。他の従来の溶媒、pH緩衝剤、安定剤、抗菌剤界面活性剤および抗酸化剤を、すべて、含めることができる。例えば、有用な成分には、塩化ナトリウム酢酸クエン酸またはリン酸緩衝液グリセリンデキストロース、固定油、メチルパラベンポリエチレングリコールプロピレングリコール亜硫酸水素ナトリウムベンジルアルコールアスコルビン酸などが含まれる。非経口製剤は、バイアルおよびアンプルなどの任意の従来の容器で保存することができる。

0036

局所投与のために、化合物1をローションクリーム軟膏、ゲル、パウダーペースト噴霧剤、懸濁剤、滴剤およびエアロゾルに製剤化することができる。したがって、1つまたは複数の増粘剤保湿剤、および安定剤を製剤に含めてもよい。そのような薬剤の例としては、ポリエチレングリコール、ソルビトールキサンタンガムワセリン蜜蝋、または鉱油ラノリンスクアレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与の特別な形態は、経皮パッチにより送達される。経皮パッチを調製する方法は、例えば、参照により本明細書に組み入れられるBrown, et al.(1988) Ann.Rev. Med.39:221-229に記載されている。

0037

化合物1の徐放のための皮下埋め込みもまた適する投与経路でありうる。これは、活性化合物を任意の適する製剤で皮下腔に、例えば前腹壁の真下に埋め込むための外科手技を必要とする。例えば、Wilson et al.(1984) J. Clin.Psych.45:242-247を参照されたい。活性化合物の徐放のために担体としてヒドロゲルを使用してもよい。ヒドロゲルは、当技術分野において一般に公知である。ヒドロゲルは、高分子量生体適合性ポリマー架橋させて網目構造にし、それを水に膨潤させてゲル様物質を形成することにより、概して製造される。好ましくは、ヒドロゲルは、生分解性または生体吸収性である。本発明では、ポリエチレングリコール製、コラーゲン製、またはグリコール酸L−乳酸共重合体製のヒドロゲルが有用でありうる。例えば、Phillips et al.(1984) J. Pharmaceut.Sci., 73: 1718-1720を参照されたい。

0038

化合物1を水溶性非免疫原性非ペプチド性高分子量ポリマーコンジュゲートさせて、高分子コンジュゲートを形成することもできる。例えば、化合物1をポリエチレングリコールに共有結合で連結させてコンジュゲートを形成することができる。典型的には、そのようなコンジュゲートは、向上した溶解度、安定性、ならびに低減された毒性および免疫原性を示す。したがって、患者に投与されたとき、コンジュゲート中の化合物1は、より長い体内半減期を有することができ、より良好な効能を示すことができる。一般に、Burnham (1994) Am. J. Hosp.Pharm.15:210-218を参照されたい。PEG化タンパク質は、現在、タンパク質補充療法でおよび他の治療用途に使用されている。例えば、PEG化インターフェロン(PEG−INTRON A(登録商標))は、B型肝炎の処置に臨床使用される。PEG化アデノシンデアミナーゼ(ADAGEN(登録商標))は、重症複合免疫不全症(SCIDS)を処置するために使用されている。PEG化L−アスパラギナーゼ(ONCAPSPAR(登録商標))は、急性リンパ性白血病(ALL)を処置するために使用されている。ポリマーと活性化合物および/またはポリマー自体との共有結合性連結は、生理条件下で加水分解により分解可能であることが好ましい。「プロドラッグ」として公知のそのようなコンジュゲートは、体内で活性化合物を容易に放出することができる。活性化合物の制御放出は、当技術分野において一般に公知のマイクロカプセルナノカプセルまたはヒドロゲルに活性成分を組み込むことによって達成することもできる。化合物1の他の薬学的に許容されるプロドラッグには、エステル炭酸塩チオ炭酸塩、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体第三級アミン第四級誘導体、N−マンニッヒ塩基シッフ塩基アミノ酸コンジュゲート、リン酸エステル金属塩およびスルホン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。

0039

リポソームもまた活性化合物の担体として使用することができる。リポソームは、コレステロールリン脂質脂肪酸、およびこれらの誘導体などの、様々な脂質で製造されたミセルである。様々な修飾脂質もまた使用することができる。リポソームは、活性化合物の毒性を低減し、それらの安定性を増大させる。その中に活性化合物を含有するリポソーム懸濁液を調製する方法は、当技術分野において一般に公知である。例えば、米国特許第4,522,811号明細書;Prescott, Ed., Methodsin Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976)を参照されたい。

0040

経口および非経口組成物のような医薬組成物を、投与の容易さおよび投薬量均一性のために単位剤形に製剤化することができる。本明細書で使用される「単位剤形」は、対象への投与のための単位投薬量として適している物理的に別個の単位であって、各単位が、1つまたは複数の適する医薬担体共同で所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性成分を含有する、単位を指す。

0041

治療応用では、医薬組成物は、医学技術分野の当業者により決定されるような処置すべき疾患に適した方法で、投与されることになる。適切な用量ならびに適する投与期間および頻度は、なかんずく、患者の状態、疾患の型および重症度、活性成分の特定の形態、投与方法により決まることになる。一般に、適切な用量および投与レジメンは、治療的恩恵、例えば臨床アウトカム向上、例えば、より頻度の高い完全もしくは部分寛解、またはより長い無病および/もしくは全生存期間、または症状の重症度の低下、または臨床医により指摘されるような任意の他の客観的に確認できる向上をもたらす。有効用量は、実施例において例証されるもののようなin vitroまたは動物モデル試験系から導出される用量反応曲線のような実験モデルを使用して、一般に評定または推定することができる。

0042

本発明の医薬組成物を投与についての説明書とともに容器、パックまたはディスペンサーに含めることができる。

0043

化合物1は、実施例3および4で例証されるように、経口活性であり、経口投与されたときMSの処置に有効である。したがって、化合物1をMSの処置のために経口経路により投与することが好ましい。

0044

定 義
別段の定義がない限り、本明細書で使用したすべての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。

0045

以下の定義は、別段の具体的な指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して適用される。

0046

本発明での「患者」または「対象」は、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物、と他の生物の両方を含む。したがって、方法は、ヒト治療応用と獣医学的応用の両方に適用可能である。好ましい態様では、対象または患者は哺乳動物であり、最も好ましい態様では、対象または患者はヒトである。

0047

用語「処置」、「処置すること」などは、所望の薬理学的および/または生理的効果を得ることを一般に意味するように本明細書では使用される。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防する点で発病予防的であることもあり、ならびに/または疾患をおよび/もしくは該疾患に起因する有害作用を部分的にもしくは完全に治癒させる点で治療的であることもある。本明細書で使用される用語「処置」は、患者における疾患のあらゆる処置を包含し、(a)疾患を発症する素因がある/リスクがある可能性がある患者において疾患を予防すること;(b)疾患を抑制すること、すなわち、その発症を抑止すること;または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退縮を生じさせることを含む。本明細書で使用される用語「疾患を処置すること」または「疾患の処置」は、特に、疾患の進行を緩徐化すること、または好転させることを指す。疾患を処置することには、疾患の症状を処置すること、および/または症状を低減させることが含まれる。

0048

本明細書で使用される用語「治療有効量」は、対象において所望の生物学的効果(例えば、治療効果)を生じさせるのに十分な量を指す。したがって、化合物の治療有効量は、疾患に罹患しているまたは疾患の疑いのある対象に投与されたとき、疾患の処置、および/または疾患の発症もしくは進行の遅延、および/または疾患の1つもしくは複数の症状の軽減に十分である量でありうる。

0049

本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」は、指定化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性を保持する塩であって、生物学的にまたは別様に望ましくないものでない塩を意味することを意図したものである。化合物は、薬学的に許容される塩を形成するのに十分に酸性の、十分に塩基性の、または両方の官能基を保持することができ、したがって、多数の無機または有機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれかと反応して薬学的に許容される塩を形成することができる。例示的な薬学的に許容される塩としては、化合物1と無機または有機酸との反応により調製される塩、例えば、塩酸塩臭化水素酸塩硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩亜硫酸塩亜硫酸水素塩リン酸塩リン酸水素塩、リン酸二水素塩メタリン酸塩ピロリン酸塩塩化物臭化物ヨウ化物硝酸塩酢酸塩プロピオン酸塩デカン酸塩カプリル酸塩アクリル酸塩ギ酸塩イソ酪酸塩カプロン酸塩ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩マロン酸塩コハク酸塩スベリン酸塩セバシン酸塩フマル酸塩マレイン酸塩ブチン−1,4二酸塩ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩スルホン酸塩キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩乳酸塩ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩酒石酸塩メタン−スルホン酸塩、エタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩トルエンスルホン酸塩トリフルオロメタンスルホン酸塩ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩ピルビン酸塩ステアリン酸塩アスコルビン酸塩、またはサリチル酸塩が挙げられる。化合物が酸性部分を保有する場合、それらの適する薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;およびアンモニアアルキルアミンヒドロキシアルキルアミンリシンアルギニンN−メチルグルカミンプロカインなどの適する有機リガンドとで形成される塩を挙げることができる。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。

0050

本明細書で使用される「薬学的に許容される溶媒和物」は、溶質と、水、エタノールなどのような薬学的に許容される溶媒とで形成される、可変化学量論組成複合体を指す。水との複合体は、水和物として公知である。

0051

本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬製品の製剤化に使用される崩壊剤、結合剤、フィラーおよび滑沢剤などの非API(APIは、有効活性成分を指す)を指す。これらは、アメリカ食品医薬品局および欧州医薬品により公布されたものを含む、確立された政府標準規格によると、ヒトへの投与に一般に安全である。薬学的に許容される担体または賦形剤は、当業者に周知である。

0052

以下の実施例は、本発明を様々な態様を例証するものである。本実施例が、本発明のある特定の実施形態のみの説明に役立つものに過ぎないこと、および本発明の範囲に対して制限を課すものでないことは、もちろん理解されるはずである。結果を図および図の説明文にも提示し、記載する。

0053

材 料
化合物1は、国際公開第2012/013728号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンである。
ORY−LSD1は、国際公開第2013/057320号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる化合物N−((1R,2S)−2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミンである。

0054

in vitro生化学的アッセイ
2.1LSD1
LSD1に対する目的の化合物の阻害活性は、下記の方法を使用して試験することができる:BPS Bioscience Incからのヒト組換えLSD1タンパク質(カタログ参照番号50100:ヒト組換えLSD1、GenBank受託番号NM_015013、アミノ酸158末端N末端GSTタグがある、MW:103kDa)を使用した。LSD1酵素活性および/または試験化合物によるその阻害率モニタリングするために、ジメチル化H3−K4ペプチド(Anaspec)を基質として選択した。Amplex(登録商標)Red過酸化水素ペルオキシダーゼアッセイキット(Invtrogen)を使用して、好気条件下で、触媒プロセス中に生成されるH2O2の放出を測定することにより、デメチラーゼ活性を推定した。

0055

簡単に述べると、固定量のLSD1を上で15分間、それぞれの阻害剤の少なくとも8種の3倍系希釈物(例えば、阻害剤強度に依存して0〜75μM)の存在下および/または非存在下でインキュベートした。トラニルシプロミン(Biomol International)を阻害についての対照として使用した。この実験中に各阻害剤濃度を2回ずつ試験した。酵素放置して阻害剤と相互作用させた後、KMのジメチル化H3−K4ペプチドを各反応に添加し、実験を30分間、37℃、暗所で放置した。50mMリン酸ナトリウム、pH7.4緩衝液中で酵素反応を起こした。インキュベーション終了時、Amplex(登録商標)Red試薬およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HPR)溶液を、供給業者(Invitrogen)によって提供された推奨事項に従って反応に添加し、さらに5分間、室温、暗所で放置してインキュベートした。1μM H2O2溶液をキット効率の対照として使用した。アッセイ中のH2O2の存在に起因するAmplex(登録商標)Red試薬のレゾルフィンへの変換を、マイクロプレートリーダー(Infinite 200、Tecan)を使用して蛍光(540nmで励起、590nmで発光)によりモニタリングした。任意単位を使用して、阻害剤の非存在下および/または存在下で生成されるH2O2のレベルを測定した。

0056

LSD1の最大デメチラーゼ活性が阻害剤の非存在下で得られ、それをLSD1の非存在下でのバックグラウンド蛍光に対して補正した。各阻害剤のIC50値をGraphPad Prismソフトウェアで計算した。

0057

2.2モノアミンオキシダーゼAMAO−A)およびB(MAO−B)
LSD1は、フラビン依存性アミンオキシダーゼであるモノアミンオキシダーゼA(MAO−A)およびB(MAO−B)との相当な構造類似度およびアミノ酸同一度/相同度を有する。MAO−AおよびMAO−Bに対するLSD1阻害剤の選択性のレベルを決定するために、下記の方法を使用してMAO−AおよびMAO−Bに対する目的の化合物の阻害活性を試験することができる:ヒト組換えモノアミンオキシダーゼタンパク質MAO−AおよびMAO−BをSigma Aldrichから購入した。MAOは、第一級第二級および第三級アミンの酸化的脱アミノ化を触媒する。MAO酵素活性および/または目的の阻害剤によるそれらの阻害をモニタリングするために、蛍光ベースの(阻害剤)スクリーニングアッセイを設定した。非蛍光化合物である3−(2−アミノフェニル)−3−オキソプロパンアミン(キヌラミン二臭化水素酸塩、Sigma Aldrich)を基質として選択した。キヌラミンは、MAO−A活性とMAO−B活性両方の非特異的基質である。MAO活性による酸化的脱アミノ化を受けているときに、キヌラミンは、結果として得られる蛍光生成物である4−ヒドロキシキノリン(4−HQ)に変換される。

0058

キヌラミンの4−ヒドロキシキノリンへの変換を測定することによりモノアミンオキシダーゼ活性を推定した。透明底を有する96ウェル黒色プレート(Corning)において100μLの最終体積でアッセイを行った。アッセイ緩衝液は、100mMHEES、pH7.5であった。各実験を同じ実験中に2回ずつ行った。

0059

簡単に述べると、固定量のMAOを氷上で15分間、反応緩衝液中で、各々少なくとも8種の3倍系列希釈物の非存在下および/または存在下でインキュベートした。クロルリンおよびデプレニル(Sigma Aldrich)をそれぞれMAO−AおよびMAO−Bの特異的阻害の対照として使用した。

0060

酵素を放置して阻害剤と相互作用させた後、KMのキヌラミンをMAO−BおよびMAO−Aアッセイのための各反応にそれぞれ添加し、反応を1時間、37℃、暗所で放置した。50μLのNaOH 2Nを添加することにより、基質の酸化的脱アミノ化を停止させた。4−ヒドロキシキノリンへのキヌラミンの変換を、マイクロプレートリーダー(Infinite 200、Tecan)を使用して蛍光(320nmで励起、360nmで発光)によりモニタリングした。任意単位を使用して、阻害剤の非存在下および/または存在下で生成される蛍光のレベルを測定した。

0061

阻害剤の非存在下でのキヌラミン脱アミノ化から形成される4−ヒドロキシキノリンの量を測定することにより最大の酸化的脱アミノ化活性が得られ、それをMAO酵素の非存在下でのバックグラウンド蛍光に対して補正した。各阻害剤のIC50値をGraphPad Prismソフトウェアで計算した。

0062

2.3 結 果
化合物1およびORY−LSD1についての上記方法を使用して得たLSD1、MAO−AおよびMAO−Bに対する例示的IC50値を下の表に示す:

0063

0064

上記データから分かるように、化合物1は、強力な二重LSD1/MAO−B阻害剤である。ORY−LSD1は、MAO−AおよびMAO−Bより高いLSD1に対する選択性を有する強力なLSD1阻害剤である。

0065

マウスにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎に対する化合物1の効能の評価
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルは、ヒト多発性硬化症(MS)と病理学的および臨床的類似性を示し、MSのモデルとして広く使用されている。詳細には、MOG35−55およびC57BL/6マウス系統を使用する、本明細書に記載のマウスEAEモデルは、慢性進行性型のMSの妥当性が確認されている前臨床モデルと考えられる。

0066

3.1 方 法
能動免疫処置により慢性EAEを誘導するために、4mg/mlの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37 RAを含有する完全フロイントアジュバント(CFA)に乳化させた100μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質MOG35〜55を用いてC57BL/6マウスを免疫処置した。マウスには0日目および2日目に200ngの百日咳毒素のi.p.注射も施した。

0067

処置は、疾患発症(免疫処置後12日目)後の、免疫処置後12日目〜16日目および免疫処置後19日目〜23日目の連続5日間、1日1回の、化合物1の(1mg/kgまたは3mg/kgでの)経口投与で構成された。対照マウスは、化合物1と同じ投与レジメンに従ってビヒクル[2% v/v Tween−80+98%HPβCD(13% w/v)]で経口処置した。n=9であった3mg/kgの化合物1で処置した群を除いて、n=10マウス/群。

0068

マウスをEAEの徴候について次の臨床採点システムに従って採点した:0、臨床徴候なし;0.5、尾の緊張の部分的喪失;1、尾の緊張の完全喪失;2、弛緩した尾および歩行異常;3、後肢完全麻痺;4、後体不全麻痺を伴う後肢完全麻痺;5、後および前肢完全麻痺;および6、死亡

0069

3.2 結 果
未処置対照マウスは、EAEの中等度(動物の30%が、1.5〜3の最大臨床スコアに達した)から重度(動物の70%が3.5〜6の最大臨床スコアに達した)の徴候を発症し、重度の完全麻痺に起因する40%の死亡率を示した。化合物1での処置は、一般に、EAEの発症を阻害し、図1に示すように、毎日の臨床スコアによって査定される疾患発生率および重症度を低下させた。化合物1で処置した群では、マウスの40〜70%が軽度の症状を提示し、30%は、疾患発症の40日後に完全に回復していた。化合物1の保護効果は、処置中止後長期間にわって維持された。

0070

このアッセイで得た結果に基づいて、化合物1は、慢性進行性型の多発性硬化症を含む、多発性硬化症の処置に有用であると予想される。

0071

3.3化合物1は0.05mg/kgという低い用量で有効である
上の実施例3.1で説明したのと同じEAEアッセイプロトコールを使用して、免疫処置の12日後に開始して、1日1回、免疫処置の12日〜16日後および免疫処置の19日〜23日後の連続5日間、1、0.5および0.05mg/kg p.o.で化合物1をさらに試験した。対照マウスは、同じ投与レジメンに従ってビヒクル[2% v/v Tween−80+98%HPβCD(13% w/v)]で経口処置した。実施例3.1で説明した臨床採点システムに従ってマウスをEAEの徴候について採点した。n=10マウス/群。

0072

図2に示すように、化合物1は、0.05mg/kg p.o.という低い用量で臨床スコアを低下させる、EAEに対する明確な効果を示した。

0073

3.4化合物1と別のLSD1阻害剤の効果の比較
実施例3.1のEAEモデルを使用して、より詳細に実施例1で説明した別のシクロプロピルアミノ系不可逆的LSD1阻害剤、ORY−LSD1を試験した。ORY−LSD1は、LSD1の強力な選択的阻害剤である。

0074

実施例3.1において化合物1で得た結果をORY−LSD1で得た結果と比較可能にするために、ならびにこれら2つの化合物はLSD1に対して異なるin vitro効力を有する(それらのIC50値については実施例2を参照されたい)ので、EAEアッセイでは、ORY−LSD1を、in vivoでのLSD1阻害に関して実施例3.1において化合物1に使用したものと同等になるように選択した用量で投与した。ORY−LSD1を0.06および0.180mg/kg p.o.で投与した。ORY−LSD1およびビヒクル(実施例3.1の場合と同じ)を実施例3.1で説明した通りの投与スキームに従って投与した(n=10マウス/群)。

0075

ORY−LSD1で得た結果は、図3に示す通りである。ORY−LSD1は、明確な改善傾向をもたらしたが、化合物1よりかなり効果が低かった。したがって、化合物1は、多発性硬化症の処置のための特に適する化合物として卓越している。

0076

マウスのEAEモデルでの化合物1の治療効果のさらなる特性評価
実施例3のEAEモデルにおける化合物1の治療効果をさらに特性特徴付けるために、化合物1を0.5mg/kg p.o.でさらに試験し、タンパク質および病理組織学的分析を行った。

0077

化合物1での処置は、実施例3.1で説明したのと同じスキーム、すなわち、免疫処置の12日後に開始して、1日1回、免疫処置の12日〜16日後および19日〜23日後の連続5日間のスキームに従った。対照マウスは、化合物1と同じ投与レジメンに従ってビヒクル[2% v/v Tween−80+98%HPβCD(13% w/v)]で経口処置した。実施例3.1に記載のスコアを使用して、マウスをEAEの徴候について毎日採点した。動物を処置の26日後に屠殺し、試料を採取し、下で説明するように処理した。n=10マウス/群。

0078

4.1 方 法
組織採取および細胞単離。免疫処置後26日目に、脾臓、流入領域リンパ節(DLN:頸部、鼠径部および腋窩)および脊髄を除去した。タンパク質抽出、および病理組織学的分析のために、頸部および腰部領域脊椎分節を個別に調製し、処理した。単細胞浮遊液を脾臓またはプールされたリンパ節から得、それらの試料をホモジナイズし、ノイバウアーチャンバーを使用して全細胞数を定量した。

0079

病理組織学的分析のための試料の処理。頸部および腰部脊髄分節を分離し、パラフィンへの封入およびパラフィン切片作成のために処理した。標準的な技術を使用して、直ちに脊髄分節を緩衝10%ホルマリンで48時間固定し、脱水し、パラフィンに封入した。横断切片(4μm厚)をクリューバー・バレラ法に従ってルクソールファストブルークレシルバイオレット、およびヘマトキシリンで染色し、光学顕微鏡(Leica、DM2000)を使用して脱髄域および細胞浸潤域の存在について分析した。

0080

タンパク質抽出およびサイトカイン/ケモカイン分析。タンパク質を脊髄の頸部および腰部分節から溶解緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、0.5mM DTT、および10μg/mlプロテイナーゼ阻害剤PMSF、ペプスタチンおよびロイペプチン)中でのホモジナイズ(50mgの組織/ml)により抽出した。試料を遠心分離(20.000×g、15分、4℃)し、上清タンパク質濃度について(ブラッドフォード法を使用して)アッセイし、以下の抗体および組換えタンパク質を使用して、製造業者推奨に従って、IL−4、IL−6、IL−1ベータ、IP−10およびMCP−1についての特異的サンドイッチELISAを使用することにより、サイトカイン/ケモカイン含有量についてアッセイした:

0081

0082

統計解析:リンパ節および脾臓における細胞数解析ANOVA検定を使用してビヒクルに対する***p<0.001として統計的差異を示す。サイトカイン/ケモカインレベル解析:マンホイットニー検定を使用して*p<0.05、**p<0.005として統計的差異を示す。IP−10レベル解析には対応のないt検定を使用した。

0083

4.2 結 果
化合物1での、長期処置に対するマウスによる忍容性が良好な用量である0.5mg/kg p.o.での処置は、EAEの発症を大いに阻害し、図4にも示すように、毎日の臨床スコアによって測定したときの疾患発生率および重症度を低減させた。

0084

化合物1は、図5に示すように、EAEマウスの脊髄への炎症細胞の浸潤および脊髄における脱髄を大きく低減させた。前記図中の矢印は、脱髄域および炎症細胞浸潤域を示す。複数の脱髄域および炎症細胞浸潤域が、対照(ビヒクル処置動物)試料では頸部試料と腰部試料の両方において観察されたが、化合物1処置試料では炎症細胞浸潤域も脱髄域も観察されなかった。図6は、化合物1またはビヒクルで処置した動物の脊髄の腰部および頸部領域における脱髄斑の平均数を示すものであり、この図により、化合物1処置動物の頸部および腰部切片における脱髄の非存在または大いなる低減が実証される。これらの結果は、図5および6でも例証されるように、化合物1が、多発性硬化症のEAEモデルにおいて脊髄への免疫浸潤を低減させ、脊髄を脱髄から保護することを示す。

0085

図7に示すように、化合物1での処置は、処置動物の脾臓およびリンパ節に保持された免疫細胞の数を有意に増加させる結果となり、これは、免疫組織からのリンパ球の放出低減を示す。加えて、化合物1での処置は、図8A〜8Eで例証されるように、炎症応答および自己免疫応答モジュレートする。抗炎症性サイトカインIL−4は、化合物1処置動物の脊髄において有意に増加され、これは、Th2抗炎症応答を示す(図8A)。脊髄における炎症誘発性サイトカインIL−6およびIL−1ベータのレベルは、化合物1処置で低減された(図8Bおよび8C)。加えて、化合物1は、炎症性および脳炎惹起性Th1細胞の脊髄への動員関与する様々なケモカイン(IP−10(図8D)およびMCP−1(図8E)を含む)の標的器官におけるレベルを低減させた。これらの結果は、化合物1が多発性硬化症の処置のための治療剤として特に適していることをさらに確証する。

0086

本明細書で引用したすべての公表文献、特許および特許出願は、それら全体が本明細書による参照により本明細書に組み込まれている。

0087

本明細書で言及した公表文献、特許および特許出願は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてもっぱら提供したものである。それらの文献が本出願に対する先行技術であることを認めることと解釈すべきものは本明細書にはない。

実施例

0088

本発明を特定の実施形態に関連して説明したが、当然のことながら、さらなる修飾が可能であり、本出願は、本発明の原理に一般に従う本発明のあらゆる変形形態、使用または適応形態を包含することを意図したものであり、そのような変形形態、使用または適応形態には、本発明が属する技術分野内で公知のまたは通例の実施に含まれるような、ならびに上文にて述べたおよび添付の特許請求の範囲における下記の通りの本質的特徴に対して適用することができるような、本開示からの逸脱が含まれる。

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