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技術 4価の二重特異性抗原結合タンパク質及び4価の四重特異性抗原結合タンパク質、ならびにそれらの使用

出願人 アムジエン・インコーポレーテツド
発明者 カナン,グナセカランホーター,ミッシェルベロウスキ,エドワード・ジェイ
出願日 2016年9月15日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2018-532547
公開日 2018年10月11日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-529764
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造
主要キーワード 接触境界 頻度範囲 追加セット 結合境界 等価関係 置換導入 特定位 限定型
関連する未来課題
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、複数の標的に結合する能力を有する4価の二重特異性抗原結合タンパク質及び4価の四重特異性抗原結合タンパク質に関する。二重特異性抗原結合タンパク質を含む医薬組成物、及び四重特異性の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物、ならびにそれらの産生方法も開示される。

概要

背景

現在の二重特異性抗体技術の大部分は、VH(重鎖可変領域)のそれぞれがその同系(cognate)VL(軽鎖の可変領域)に共有結合で連結されたscFv(可変領域の単鎖断片)形式(Coloma and Morrison,Nature Biotechnol.15:159,1997、Lu et al,J.Biol.Chem.280:19665,2005)に依存している。この理由は、Fab形式では、遊離の軽鎖がその同系重鎖のみと特異的に対形成するように導くことができる技術が依然として存在せず、それ故に、異なる抗原特異性を有する遊離の軽鎖が重鎖と無作為に対形成してしまうためである。しかしながら、単鎖抗体発現は、技術的に難易度が高いことが多く、このことは、結合親和性が減少する可能性、タンパク質凝集、安定性の低さ、及び産生レベルの低さに起因するものである(Demarest et al,Curr.Opin.Drug Discov.Devel.11:675,2008、Michaelson et al,mAbs 1:2,128−141,2009)。このことは、出発抗体がハイブリドーマ由来のものであるときに特に当てはまり、ハイブリドーマに由来する出発抗体は、単鎖抗体への再編成が必要である(ファージディスプレイライブラリー由来の単鎖抗体とは対照的である)。一方で、ファージから単離されるscFvの哺乳類細胞での発現は不十分であることが多い。

いくつかの革新的な技術が登場したことで、二重特異性を設計するための骨格を得るためにFcヘテロ2量体をほぼ排他的に構築することが可能になった。こうした技術は、例えば、ノブインホール(knob−in−hole)(Ridgway et al,Protein Eng.9:617,1996)、静電ステアリング(electrostatic steering)(Gunasekaran et al,J.Biol.Chem.285:19637,2010)、及び鎖交換操作ドメイン(strand−exchange engineering domain)(SEED)(Davis,Protein Eng.Des.& Sel.23:195,2010)である。二重可変ドメイン(DVD)−lg手法では、第2の抗体のVL及びVHが、それぞれ第1の抗体の軽鎖のN末端及び第1の抗体の重鎖のN末端に可動性リンカーを介して融合されることで、外側VD及び内側VDと呼ばれる2つの可変ドメイン(VD)が直列創出される(Wu et al(同書))。外側VDが内側VDのリガンド結合部位近接していることによって立体障害が生じることから、内側VDの結合親和性を保持するためには、多数の利用可能なモノクローナル抗体からVDの選択、VDの配向決定、及びリンカーの設計を伴う広範な最適化が必要であり、こうしたもののほとんどが経験的に決定される必要がある(DiGiammarino et al,MethodsMol.Biol.899:145,2012)。

別の方法では、ラットマウスクアドローマにおける重鎖と軽鎖との種限定型の対形成が利用される(Lindhofer et al,J.Immunol.155:219,1995)。しかしながら、産生する二重特異性抗体は、ラット/マウス抗体であり、こうした抗体が治療剤として免疫原性の問題を抱えていることは明らかである。

Crossmab手法は、ノブ・インテゥ・ホール(knob−into−hole)によってヘテロ2量体化される重鎖に基づいており、この手法では、二重特異性IgG抗体の産生を目的とする遺伝子的手法として、免疫グロブリンドメインクロスオーバーが追加で使用される(Schaefer et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:11187,2011)。それにもかかわらず、正しく対形成されたH鎖ヘテロ2量体及び同系Fvは排他的に生じず、精製の間に不要な副産物を除去する必要がある。

CrossmabのC末端に対して、Fab断片とCrossmabのFab断片との追加セットを付加することによって、Crossmabの発展手法を使用して4価の二重特異性抗体が産生されたが(Regula et al,米国特許出願第2010/0322934号)、正しく対形成されたH鎖ヘテロ2量体及び同系Fvを排他的に得るという課題は残されたままである。

二重特異性に対するさらなる手法は、2つの異なる抗原を標的とする単一の結合部位を使用するものであり、この手法は、「two−in−one(ツー・イン・ワン)」抗体によって示された。そのような「ツー・イン・ワン」抗体の1つは、ハーセプチン(Herceptin)という抗体の変異体であり、この変異体は、Her2とVEGFとの両方と相互作用する(Bostrom et al,Science 323:1610,2009)。この手法によれば、通常のIgGと同一の形式を有する二重特異性抗体が得られるため、この手法は臨床用途魅力的である。しかしながら、そのような変異体のスクリーニングは非常に労働集約的であり、対象である両方の抗原に結合可能な単一の結合部位を得ることができるという保証はない。

米国公開特許出願US2011/0076722では、単一セットのFab断片に基づく単一特異性のみを有する安定な多価抗体について記載された。別の技術では、異なる特異性を有するFab断片が事前形成され、当該Fab断片がドックアンドロック(Dock−and−Lock)ドメインの使用によって抗体に連結されることで6価の二重特異性抗体が形成された(Rossi et al,Cancer Res.68:8384,2008)。圧倒的多数の抗体(すなわち、その起源が通常のマウス、ラット、及びウサギであるか、又は遺伝子導入された(ヒト化された)マウスもしくはラットであるか、又は患者であるかを問わず、ハイブリドーマ、Fabライブラリー、及びB細胞クローン化から生じたもの)が、その同系重鎖と対形成した遊離の軽鎖を有するため、二重特異性抗体を得るためのFabに基づく技術であって、軽鎖が無作為に対形成するという問題を回避する技術が緊急に必要とされている。そのような技術があれば、2つ現存抗体からの二重特異性抗体の簡単かつ効率的な産生が促進されることになり、こうした二重特異性抗体は、第1に、二重標的化の潜在的相乗作用を探索するための多用途ツール分子として使用することができ、第2に、治療されることになる疾患状況において完全抗体と関連させて二重標的化を利用する治療剤として使用することができる。

概要

本発明は、複数の標的に結合する能力を有する4価の二重特異性抗原結合タンパク質及び4価の四重特異性抗原結合タンパク質に関する。二重特異性の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物、及び四重特異性の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物、ならびにそれらの産生方法も開示される。

目的

Crossmab手法は、ノブ・インテゥ・ホール(knob−into−hole)によってヘテロ2量体化される重鎖に基づいており、この手法では、二重特異性IgG抗体の産生を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

二重特異性の4価抗原結合タンパク質であって、a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、前記第1の抗体が、第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第1のポリペプチドと、b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、前記第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第2のポリペプチドと、c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、前記第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第3のポリペプチドと、を含む、抗原結合タンパク質。

請求項2

前記第1の重鎖が、ペプチドリンカーを介して前記VH2に融合される、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。

請求項3

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の抗原結合タンパク質。

請求項4

a)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、b)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、c)前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含み、かつd)前記VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。

請求項5

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項4に記載の抗原結合タンパク質。

請求項6

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項4に記載の抗原結合タンパク質。

請求項7

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含む、請求項4に記載の抗原結合タンパク質。

請求項8

二重特異性の4価抗原結合タンパク質であって、a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、前記第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第1のポリペプチドと、b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、前記第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第2のポリペプチドと、c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、前記第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第3のポリペプチドと、を含む、抗原結合タンパク質。

請求項9

前記第1の重鎖が、ペプチドリンカーを介して前記VH2に融合される、請求項8に記載の抗原結合タンパク質。

請求項10

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項9に記載の抗原結合タンパク質。

請求項11

a)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、b)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、c)前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含み、かつd)前記VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含む、請求項8に記載の抗原結合タンパク質。

請求項12

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。

請求項13

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。

請求項14

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。

請求項15

二重特異性の4価抗原結合タンパク質であって、a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、前記第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、前記電荷が前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の前記置換残基のものとは反対のものである、前記第1のポリペプチドと、b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、前記第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、位置38の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、前記第2のポリペプチドと、c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、前記第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、位置38の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、前記第3のポリペプチドと、を含む、前記抗原結合タンパク質。

請求項16

前記第1の重鎖が、ペプチドリンカーを介して前記VH2に融合される、請求項15に記載の抗原結合タンパク質。

請求項17

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質。

請求項18

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項15に記載の抗原結合タンパク質。

請求項19

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質。

請求項20

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質。

請求項21

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質。

請求項22

二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法であって、1)a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、前記第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第1のポリヌクレオチドと、b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、前記軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第2のポリヌクレオチドと、c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、前記軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第3のポリヌクレオチドとを宿主細胞において同時発現させる工程と、2)前記ポリペプチドが産生する条件下で前記宿主細胞を培養する工程と、3)前記宿主細胞から前記抗原結合タンパク質を回収する工程とを含む、方法。

請求項23

前記第1のポリヌクレオチドが、前記第1の重鎖をコードする核酸配列と前記VH2をコードする核酸配列との間に挿入される、ペプチドリンカーをコードする核酸配列を含む、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項23に記載の方法。

請求項25

a)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、b)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、c)前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含み、かつd)前記VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含む、請求項22に記載の方法。

請求項26

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項22に記載の方法。

請求項27

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項22に記載の方法。

請求項28

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含む、請求項22に記載の方法。

請求項29

二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法であって、1)a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、前記第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第1のポリヌクレオチドと、b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、前記第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第2のポリヌクレオチドと、c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、前記第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、前記第3のポリヌクレオチドとを宿主細胞において同時発現させる工程と2)前記ポリペプチドが産生する条件下で前記宿主細胞を培養する工程と、3)前記宿主細胞から前記抗原結合タンパク質を回収する工程とを含む、方法。

請求項30

前記第1の重鎖が、ペプチドリンカーを介して前記VH2に融合される、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項30に記載の方法。

請求項32

a)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、b)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、c)前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含み、かつd)前記VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含む、請求項29に記載の方法。

請求項33

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項32に記載の方法。

請求項34

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項32に記載の方法。

請求項35

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含む、請求項32に記載の方法。

請求項36

二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法であって、1)a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、前記第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に前記第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に前記VH2がそのC末端を介して融合され、前記第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、i)前記VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつii)前記VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、前記電荷が前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の前記置換残基のものとは反対のものである、前記第1のポリヌクレオチドと、b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、前記軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、位置38の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、前記第1の重鎖の前記VH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、前記第2のポリヌクレオチドと、c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、前記軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、前記VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、位置38の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、前記第2の重鎖の前記VH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、前記第3のポリヌクレオチドとを宿主細胞における同時発現させる工程と2)前記ポリペプチドが産生する条件下で前記宿主細胞を培養する工程と、3)前記宿主細胞から前記抗原結合タンパク質を回収する工程とを含む、方法。

請求項37

前記第1の重鎖が、ペプチドリンカーを介して前記VH2に融合される、請求項36に記載の方法。

請求項38

前記ペプチドリンカーが、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む、請求項37に記載の方法。

請求項39

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項36に記載の方法。

請求項40

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

a)前記VH1が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)前記VH2が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)前記VL1が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)前記VL2が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項39に記載の方法。

請求項42

a)前記第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、b)前記第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、c)前記第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含み、かつd)前記第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含む、請求項39に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、4価の二重特異性抗体及び4価の四重特異性抗体、4価の二重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド及び4価の四重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド、ならびに4価の二重特異性抗体及び4価の四重特異性抗体の調製方法に関する。

背景技術

0002

現在の二重特異性抗体技術の大部分は、VH(重鎖可変領域)のそれぞれがその同系(cognate)VL(軽鎖の可変領域)に共有結合で連結されたscFv(可変領域の単鎖断片)形式(Coloma and Morrison,Nature Biotechnol.15:159,1997、Lu et al,J.Biol.Chem.280:19665,2005)に依存している。この理由は、Fab形式では、遊離の軽鎖がその同系重鎖のみと特異的に対形成するように導くことができる技術が依然として存在せず、それ故に、異なる抗原特異性を有する遊離の軽鎖が重鎖と無作為に対形成してしまうためである。しかしながら、単鎖抗体発現は、技術的に難易度が高いことが多く、このことは、結合親和性が減少する可能性、タンパク質凝集、安定性の低さ、及び産生レベルの低さに起因するものである(Demarest et al,Curr.Opin.Drug Discov.Devel.11:675,2008、Michaelson et al,mAbs 1:2,128−141,2009)。このことは、出発抗体がハイブリドーマ由来のものであるときに特に当てはまり、ハイブリドーマに由来する出発抗体は、単鎖抗体への再編成が必要である(ファージディスプレイライブラリー由来の単鎖抗体とは対照的である)。一方で、ファージから単離されるscFvの哺乳類細胞での発現は不十分であることが多い。

0003

いくつかの革新的な技術が登場したことで、二重特異性を設計するための骨格を得るためにFcヘテロ2量体をほぼ排他的に構築することが可能になった。こうした技術は、例えば、ノブインホール(knob−in−hole)(Ridgway et al,Protein Eng.9:617,1996)、静電ステアリング(electrostatic steering)(Gunasekaran et al,J.Biol.Chem.285:19637,2010)、及び鎖交換操作ドメイン(strand−exchange engineering domain)(SEED)(Davis,Protein Eng.Des.& Sel.23:195,2010)である。二重可変ドメイン(DVD)−lg手法では、第2の抗体のVL及びVHが、それぞれ第1の抗体の軽鎖のN末端及び第1の抗体の重鎖のN末端に可動性リンカーを介して融合されることで、外側VD及び内側VDと呼ばれる2つの可変ドメイン(VD)が直列創出される(Wu et al(同書))。外側VDが内側VDのリガンド結合部位近接していることによって立体障害が生じることから、内側VDの結合親和性を保持するためには、多数の利用可能なモノクローナル抗体からVDの選択、VDの配向決定、及びリンカーの設計を伴う広範な最適化が必要であり、こうしたもののほとんどが経験的に決定される必要がある(DiGiammarino et al,MethodsMol.Biol.899:145,2012)。

0004

別の方法では、ラットマウスクアドローマにおける重鎖と軽鎖との種限定型の対形成が利用される(Lindhofer et al,J.Immunol.155:219,1995)。しかしながら、産生する二重特異性抗体は、ラット/マウス抗体であり、こうした抗体が治療剤として免疫原性の問題を抱えていることは明らかである。

0005

Crossmab手法は、ノブ・インテゥ・ホール(knob−into−hole)によってヘテロ2量体化される重鎖に基づいており、この手法では、二重特異性IgG抗体の産生を目的とする遺伝子的手法として、免疫グロブリンドメインクロスオーバーが追加で使用される(Schaefer et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:11187,2011)。それにもかかわらず、正しく対形成されたH鎖ヘテロ2量体及び同系Fvは排他的に生じず、精製の間に不要な副産物を除去する必要がある。

0006

CrossmabのC末端に対して、Fab断片とCrossmabのFab断片との追加セットを付加することによって、Crossmabの発展手法を使用して4価の二重特異性抗体が産生されたが(Regula et al,米国特許出願第2010/0322934号)、正しく対形成されたH鎖ヘテロ2量体及び同系Fvを排他的に得るという課題は残されたままである。

0007

二重特異性に対するさらなる手法は、2つの異なる抗原を標的とする単一の結合部位を使用するものであり、この手法は、「two−in−one(ツー・イン・ワン)」抗体によって示された。そのような「ツー・イン・ワン」抗体の1つは、ハーセプチン(Herceptin)という抗体の変異体であり、この変異体は、Her2とVEGFとの両方と相互作用する(Bostrom et al,Science 323:1610,2009)。この手法によれば、通常のIgGと同一の形式を有する二重特異性抗体が得られるため、この手法は臨床用途魅力的である。しかしながら、そのような変異体のスクリーニングは非常に労働集約的であり、対象である両方の抗原に結合可能な単一の結合部位を得ることができるという保証はない。

0008

米国公開特許出願US2011/0076722では、単一セットのFab断片に基づく単一特異性のみを有する安定な多価抗体について記載された。別の技術では、異なる特異性を有するFab断片が事前形成され、当該Fab断片がドックアンドロック(Dock−and−Lock)ドメインの使用によって抗体に連結されることで6価の二重特異性抗体が形成された(Rossi et al,Cancer Res.68:8384,2008)。圧倒的多数の抗体(すなわち、その起源が通常のマウス、ラット、及びウサギであるか、又は遺伝子導入された(ヒト化された)マウスもしくはラットであるか、又は患者であるかを問わず、ハイブリドーマ、Fabライブラリー、及びB細胞クローン化から生じたもの)が、その同系重鎖と対形成した遊離の軽鎖を有するため、二重特異性抗体を得るためのFabに基づく技術であって、軽鎖が無作為に対形成するという問題を回避する技術が緊急に必要とされている。そのような技術があれば、2つ現存抗体からの二重特異性抗体の簡単かつ効率的な産生が促進されることになり、こうした二重特異性抗体は、第1に、二重標的化の潜在的相乗作用を探索するための多用途ツール分子として使用することができ、第2に、治療されることになる疾患状況において完全抗体と関連させて二重標的化を利用する治療剤として使用することができる。

0009

米国特許出願公開第2010/0322934号明細書
米国特許出願公開第2011/0076722号明細書

先行技術

0010

Coloma and Morrison,Nature Biotechnol.15:159,1997
Lu et al,J.Biol.Chem.280:19665,2005
Demarest et al,Curr.Opin.Drug Discov.Devel.11:675,2008
Michaelson et al,mAbs 1:2,128−141,2009
Ridgway et al,Protein Eng.9:617,1996
Gunasekaran et al,J.Biol.Chem.285:19637,2010
Davis,Protein Eng.Des.& Sel.23:195,2010
DiGiammarino et al,MethodsMol.Biol.899:145,2012
Lindhofer et al,J.Immunol.155:219,1995
Schaefer et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:11187,2011
Bostrom et al,Science 323:1610,2009
Rossi et al,Cancer Res.68:8384,2008

0011

本発明は、二重特異性の抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、第1の標的に対する抗体と、第2の標的に対する抗体に由来するFab断片と、から構成される。このIgG−Fab形式では、二重特異性の多価抗原結合タンパク質は、(i)第1の抗体に由来する第1の重鎖(VH2−CH1−CH2−CH3)を含む第1のポリペプチドであって、第2の抗体のVH2−CH1ドメインを含むポリペプチドに対して第1の重鎖がそのカルボキシル末端で(任意選択ペプチドリンカーを介して)融合されることで改変重鎖を形成する第1のポリペプチドと、(ii)第1の抗体(VL1−CL)に由来する軽鎖を含む第2のポリペプチドと、(iii)第2の抗体のVL2−CLドメインを含む第3のポリペプチドと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗体のCLドメインとCH1ドメインとは、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間で交換してよい。そのような実施形態では、第2のポリペプチドはVL1−CH1を含み、一方、第1のポリペプチドは、VH1−CL−CH2−CH3−VH2−CH1を含む。第3のポリペプチドは、VL2−CLを含む。あるいは、いくつかの実施形態では、第2の抗体のCLドメインとCH1ドメインとは、第1のポリペプチドと第3のポリペプチドとの間で交換してよい。そのような実施形態では、第3のポリペプチドは、VL2−CH1を含み、一方、第1のポリペプチドは、VH1−CH1−CH2−CH3−VH2−CLを含む。第1のポリペプチドは、VL1−CLを含む。さらに別の実施形態では、両方の抗体のCLドメインとCH1ドメインとは、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、及び第3のポリペプチドの間で交換される。そのような実施形態では、第1のポリペプチドは、VH1−CL−CH2−CH3−VH2−CLを含み、第2のポリペプチドは、VL1−CH1を含み、第3のポリペプチドは、VL2−CH1を含む。

0012

1つの態様では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、a)第1の抗体の第1の重鎖(VH1)であって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖(VH2)を含む部分のN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合する第1の重鎖(VH1)と、b)a)に記載の第1の抗体の2つの軽鎖と、c)a)に記載の第2の抗体の2つの軽鎖と、を含む。

0013

別の態様では、本発明は、二重特異性の抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、(i)第1の軽鎖免疫グロブリン可変領域(VL1)及び第1の重鎖免疫グロブリン可変領域(VH1)を含む、第1の抗原に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(ii)第2の軽鎖免疫グロブリン可変領域(VL2)及び第2の重鎖免疫グロブリン可変領域(VH2)を含む、第2の抗原に特異的に結合する第2の結合ドメインと、(iii)ヒト免疫グロブリンFc領域と、を含み、結合ドメインの一方は、Fc領域のアミノ末端に位置し、もう一方の結合ドメインは、Fc領域のカルボキシル末端に位置し、カルボキシル末端結合ドメインはFabであり、ペプチドリンカーを介してFc領域のカルボキシル末端に融合され、Fabは、FabのVH領域のアミノ末端を介してFc領域に融合される。

0014

別の態様では、本発明は、四重特異性かつ4価の抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、a)第1の抗体の第1の重鎖(VH1)であって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第1の重鎖のCH1ドメインが軽鎖のCLドメインによって交換され、第2の抗体の第2の重鎖(VH2)を含む部分のN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合する第1の重鎖(VH1)と、b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖であって、第1の軽鎖のCLドメインが重鎖のCH1ドメインによって交換される第1の軽鎖と、c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖と、d)第3の抗体の第2の重鎖(VH3)であって、第3の抗体が第3の抗原に特異的に結合し、第2の重鎖のCH1ドメインが軽鎖のCLドメインによって交換され、第4の抗体の第4の重鎖(VH4)を含む部分のN末端に対して第3の重鎖がそのC末端を介して融合され、第4の抗体が第4の抗原に特異的に結合する第2の重鎖(VH3)と、e)d)に記載の第3の抗体の第3の軽鎖であって、第3の軽鎖のCLドメインが重鎖のCH1ドメインによって交換される第3の軽鎖と、f)d)に記載の第4の抗体の第4の軽鎖と、を含む。

0015

別の態様では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、

0016

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0017

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0018

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、電荷が第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の置換残基のものとは反対のものである、
第1のポリペプチドと、

0019

b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、

0020

位置38の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第2のポリペプチドと、

0021

c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、位置38の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第3のポリペプチドと、
を含む。

0022

ある特定の実施形態では、第1の重鎖は、ペプチドリンカーを介してVH2に融合される。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む。

0023

ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、a)VH1が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)VH2が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)VL1が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)VL2が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む、請求項15に記載の抗原結合タンパク質である。

0024

ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、a)第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、c)第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質である。

0025

ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、a)VH1が、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)VH2が、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)VL1が、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)VL2が、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質である。

0026

ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、a)第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、c)第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含む、請求項16に記載の抗原結合タンパク質である。

0027

本発明は、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質又はその構成成分のいずれかをコードする1つ又は複数の核酸、ならびに核酸を含むベクターを含む。本発明は、二重特異性の抗原結合タンパク質のいずれかを発現する、CHO細胞などの組換え宿主細胞包含する。

0028

本発明は、二重特異性の抗原結合タンパク質、及び医薬的に許容可能な希釈剤賦形剤、又は担体を含む医薬組成物も提供する。

図面の簡単な説明

0029

本発明の二重特異性のIgG−Fab形式の略図を示す。この形式では、第2の抗体に由来するFab断片のポリペプチド鎖の一方(例えば、重鎖(VH2−CH1))が、第1の抗体の重鎖のカルボキシル末端にペプチドリンカーを介して融合されることで改変重鎖が産生される。完全分子は、2つの改変重鎖と、第1の抗体に由来する2つの軽鎖と、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL2−CL))を含む2つのポリペプチド鎖と、を含むホモ量体である。重鎖−軽鎖の正しい対形成が促進されるように、第1の抗体のFab領域(Fab1)及び/又は第2の抗体のFab領域(Fab2)に対して、電荷対変異(charge pair mutation)(円によって示される)を導入することができる。
免疫グロブリンドメインのクロスオーバーを使用した、本発明の二重特異性のIgG−Fab形式の略図を示す。この形式では、第2の抗体に由来するFab断片のポリペプチド鎖の一方(例えば、重鎖(VH2−CH1))が、第1の抗体のCH1ドメインの代わりにCLを含む重鎖のカルボキシル末端にペプチドリンカーを介して融合されることで改変重鎖が産生される。完全分子は、2つの改変重鎖と、CLドメインの代わりにCH1ドメインを含む第1の抗体に由来する2つの軽鎖と、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL2−CL))を含む2つのポリペプチド鎖と、を含むホモ6量体である。重鎖−軽鎖の正しい対形成が促進されるように、第1の抗体のFab領域(Fab1)及び/又は第2の抗体のFab領域(Fab2)に対して、電荷対変異(円によって示される)を導入することができる。
重鎖ヘテロ2量体との免疫グロブリンドメインのクロスオーバーを使用した、本発明の四重特異性のIgG−Fab形式の略図を示す。この形式では、第2の抗体に由来するFab断片のポリペプチド鎖の一方(例えば、重鎖(VH2−CH1))が、第1の抗体のCH1ドメインの代わりにCLを含む重鎖のカルボキシル末端にペプチドリンカーを介して融合されることで第1の改変重鎖が産生される。同様に、第4の抗体に由来するFab断片の別のポリペプチド鎖(例えば、重鎖(VH4−CH1))が、第3の抗体のCH1ドメインの代わりにCLを含む重鎖のカルボキシル末端にペプチドリンカーを介して融合されることで第2の改変重鎖が産生される。2つの重鎖は、ホモ2量体の形成に対抗してヘテロ2量体が優先的に形成されるように操作することができる。完全分子は、ヘテロ2量体を形成する2つの改変重鎖と、CLドメインの代わりにCH1ドメインを含む第1の抗体に由来する1つの軽鎖と、CLドメインの代わりにCH1ドメインを含む第3の抗体に由来する1つの軽鎖と、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL2−CL))を含む1つのポリペプチド鎖と、第4の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL4−CL))を含む1つのポリペプチド鎖と、を含む6量体である。正しい重鎖−軽鎖の対形成が促進されるように、抗体のFab領域に対して、電荷対変異(円によって示される)を導入することができる。
重鎖ヘテロ2量体の変異残基の電荷が逆転している点を除き、図3のものと同一である四重特異性のIgG−Fab形式の略図を示す。
重鎖の位置230(AHoの番号付け)及び軽鎖の位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−FabCPMv1)の略図を示す。
重鎖の位置230(AHoの番号付け)及び軽鎖の位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv1 N末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置230(AHoの番号付け)及び軽鎖の位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のC末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv1 C末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置230(AHoの番号付け)及び軽鎖の位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域とC末端領域との両方におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv1 両末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv2)の略図を示す。
重鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv2 N末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のC末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv2 C末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置46及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域とC末端領域との両方におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv2 両末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置51及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置141及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv3)の略図を示す。
重鎖の位置51及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置141及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv3 N末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置51及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置141及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のC末端領域におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv3 C末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
重鎖の位置51及び位置230(AHoの番号付け)ならびに軽鎖の位置141及び位置230(AHoの番号付け)への荷電アミノ酸の挿入、ならびに分子のN末端領域とC末端領域との両方におけるCH1ドメインとCLドメインとの交換を使用して構築される、本発明の4価かつ二重特異性のIgG−Fab形式(IgG−Fab CPMv3 両末端側でCH/CL交換実施)の略図を示す。
ドメイン交換形式に基づくIgG−Fabの発現力価の比較を示す。
電荷対変異(複数可)の型に基づくIgG−Fabの発現力価の比較を示す。
ドメイン交換形式に基づくIgG−Fabの純度の比較を示す。
ドメイン交換形式に基づくIgG−Fabの抗TL1A効力の比較を示す。
ドメイン交換形式に基づくIgG−Fabの抗TNFα効力の比較を示す。
電荷対変異(複数可)の型に基づくIgG−Fabの抗TL1A効力の比較を示す。
電荷対変異(複数可)の型に基づくIgG−Fabの抗TNFα効力の比較を示す。

0030

詳細な説明
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」という用語は、1つ又は複数の標的抗原に特異的に結合するタンパク質を指す。抗原結合タンパク質には、抗体及びその機能性断片が含まれ得る。「機能性抗体断片」は、全長の重鎖及び/又は軽鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠くが、抗原に特異的に結合する能力を依然として有する、抗体の一部分を指す。機能性抗体断片には、限定はされないが、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、Fd断片、及び相補性決定領域(CDR)断片が含まれ、機能性抗体断片は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、又はラクダ科動物などの任意の哺乳類源に由来し得る。機能性抗体断片は、標的抗原への結合で未変化の抗体と競合し得るものであり、断片は、未変化の抗体の改変(例えば、酵素的切断もしくは化学的切断)によって産生させるか、又は組換えDNA技術もしくはペプチド合成を使用してデノボ合成してよい。

0031

「重」鎖及び「軽」鎖は、IgGを構成する2つのポリペプチドを指す。重鎖は、N末端からC末端への順序で記載される下記のドメインへと要素分けすることができる:VH、CH1、CH2、及びCH3。軽鎖は、N末端からC末端への順序で記載される下記のドメインへと要素分けすることができる:VL及びCL。CH1ドメインとCLドメインとは相互作用し、その結果、VHドメイン及びVLドメインは機能性の立体構造を形成することになる。

0032

抗原結合タンパク質には、単一のポリペプチド鎖又は複数のポリペプチド鎖に組み込まれた1つ又は複数の機能性抗体断片を含むタンパク質も含まれ得る。例えば、抗原結合タンパク質には、限定はされないが、ダイアボディ(diabody)(例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90:6444−6448,1993を参照のこと)、細胞内抗体(intrabody)、ドメイン抗体(単一のVLドメインもしくはVHドメイン、又は2つ以上のVHドメインがペプチドリンカーによって連結されたもの。Ward et al.,Nature,Vol.341:544−546,1989を参照のこと)、マキシディ(maxibody)(2つのscFvがFc領域に融合したもの。Fredericks et al.,Protein Engineering,Design & Selection,Vol.17:95−106,2004、及びPowers et al.,Journal of Immunological Methods,Vol.251:123−135,2001を参照のこと)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ミニボディ(minibody)(scFvがCH3ドメインに融合したもの。Olafsen et al.,Protein Eng Des Sel.,Vol.17:315−23,2004を参照のこと)、ペプチボディ(peptibody)(Fc領域に1つ又は複数のペプチドが付加されたもの。WO00/24782を参照のこと)、直鎖抗体(1対の直列Fdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)であり、相補性の軽鎖ポリペプチド一緒になることで1対の抗原結合領域を形成する。Zapata et al.,Protein Eng.,Vol.8:1057−1062,1995を参照のこと)、小型のモジュラー免疫医薬(米国特許公開第20030133939号を参照のこと)、ならびに免疫グロブリン融合タンパク質(例えば、IgG−scFv、IgG−Fab、2scFv−IgG、4scFv−IgG、VH−IgG、IgG−VH、及びFab−scFv−Fc)が含まれ得る。

0033

ある特定の態様では、本発明の抗原結合タンパク質は「二重特異性」であり、このことは、それが2つの異なる抗原に特異的に結合する能力を有することを意味する。別の態様では、本発明の抗原結合タンパク質は、「四重特異性」であり、このことは、それが4つの異なる抗原に特異的に結合する能力を有することを意味する。類似の結合アッセイ条件下での他の無関係のタンパク質に対するその親和性と比較して、抗原結合タンパク質がその抗原に対して顕著に高い結合親和性を有し、その結果としてその抗原を識別する能力を有するとき、本明細書で使用されるように、抗原結合タンパク質は、標的抗原に「特異的に結合する」。抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、1x10−6M以下の平衡解離定数(KD)を有し得る。抗原結合タンパク質は、KDが1x10−8M以下であるとき、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。1つの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、5x10−7M以下のKDで標的抗原(複数可)に結合する。別の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、1x10−7MのKDで標的抗原(複数可)に結合する。

0034

親和性は、さまざまな手法を使用して決定され、こうした手法の例は、ELISAによる親和性アッセイである。さまざまな実施形態において、親和性は、表面プラズモン共鳴によるアッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)に基づくアッセイ)によって決定される。この方法論を使用することで、会合速度定数(M−1s−1で示されるka)及び解離速度定数(s−1で示されるkd)を測定することができる。その後、動力学速度定数の比(kd/ka)から平衡解離定数(Mで示されるKD)を計算することができる。いくつかの実施形態では、親和性は、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52−60,2008に記載の結合平衡外法(Kinetic Exclusion Assay)(KinExA)などの動力学的な方法によって決定される。KinExAによるアッセイを使用することで、平衡解離定数(Mで示されるKD)及び会合速度定数(M−1s−1で示されるka)を測定することができる。こうした値(KD x ka)から解離速度定数(s−1で示されるkd)を計算することができる。他の実施形態では、親和性は、平衡/溶液法によって決定される。ある特定の実施形態では、親和性は、FACSによる結合アッセイによって決定される。本発明のある特定の実施形態では、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52−60,2008に記載の方法よって実施される結合平衡除外法によって決定すると、抗原結合タンパク質は、20nM(2.0x10−8M)以下のKD、10nM(1.0x10−8M)以下のKD、1nM(1.0x10−9M)以下のKD、500pM(5.0x10−10M)以下のKD、200pM(2.0x10−10M)以下のKD、150pM(1.50x10−10M)以下のKD、125pM(1.25x10−10M)以下のKD、105pM(1.05x10−10M)以下のKD、50pM(5.0x10−11M)以下のKD、又は20pM(2.0x10−11M)以下のKDで、哺乳類細胞(例えば、CHO、HEK293、ジャーカット)が発現する標的抗原(複数可)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は望ましい特性を示し、こうした特性は、標的抗原(複数可)に対する結合親和性が、kd(解離速度定数)によって測定すると、約10−2s−1、約10−3s−1、約10−4s−1、約10−5s−1、約10−6s−1、約10−7s−1、約10−8s−1、約10−9s−1、約10−10s−1もしくはそれより低い値(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)であること、及び/又は標的抗原(複数可)に対する結合親和性が、KD(平衡解離定数)によって測定すると、約10−9M、約10−10M、約10−11M、約10−12M、約10−13M、約10−14M、約10−15M、約10−16M、もしくはそれより低い値(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)であることである。

0035

本発明のある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、多価である。結合タンパク質の結合価は、結合タンパク質に含まれる個々の抗原結合ドメインの数を示す。例えば、本発明の抗原結合タンパク質に関する「1価」、「2価」、及び「4価」という用語は、それぞれ1つ、2つ、及び4つの抗原結合ドメインを有する結合タンパク質を指す。したがって、4価の抗原結合タンパク質は、4つ以上の抗原結合ドメインを含む。他の実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、多価である。例えば、ある特定の実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、4つの抗原結合ドメインを含む4価であり、これら4つの抗原結合ドメインの内訳は、第1の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが2つ、及び第2の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが2つである。四重特異性の抗原結合タンパク質は4価であり、4つの抗原結合ドメインを含み、これら4つの抗原結合ドメインの内訳は、第1の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、第2の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、第3の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、及び第4の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つである。

0036

1つの実施形態では、4価の二重特異性抗体は、2つの異なる細胞型に存在する2つの異なる標的に結合する。実施形態の例には、腫瘍細胞ナチュラルキラー細胞との間を架橋することでナチュラルキラー細胞を腫瘍へと指向化する4価の二重特異性抗体が含まれる。本発明のさらに別の実施形態では、4価の二重特異性抗体は、同一の分子標的に存在する2つの異なるエピトープに結合する(すなわち、二重パラトピック)。4価の二重特異性抗体の標的の一方又は両方が可溶性であり得るか、又は細胞表面に発現し得ることも当業者には明らかなことである。

0037

本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、「結合ドメイン」と互換的に使用され、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に与えるアミノ酸残基を含む、抗原結合タンパク質の領域を指す。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、標的抗原(複数可)の天然リガンドに由来し得る。本明細書で使用される「標的抗原(複数可)」という用語は、二重特異性分子の第1の標的抗原及び/又は第2の標的抗原を指すと共に、四重特異性分子の第1の標的抗原、第2の標的抗原、第3の標的抗原、及び/又は第4の標的抗原も指す。

0038

本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のある特定の実施形態では、結合ドメインは、抗体又はその機能性断片に由来し得る。例えば、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインは、標的抗原(複数可)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域に由来する1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)を含み得る。本明細書で使用される「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域(「最小認識単位」又は「超可変領域」とも呼ばれる)を指す。重鎖可変領域には3つのCDR(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)が存在し、軽鎖可変領域には3つのCDR(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が存在する。本明細書で使用される「CDR領域」という用語は、単一の可変領域に生じる3つのCDR(すなわち、3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)の一群を指す。2つの鎖のそれぞれにおけるCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されることで、標的タンパク質に存在する特定のエピトープ又はドメインと特異的に結合する構造を形成する。天然起源の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方において、こうした要素は、典型的には、N末端からC末端にかけて下記の順序で存在する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。

0039

Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)に示されるEUインデックスと、AHoの番号付けスキーム(Honegger A.and Pluckthun A.J Mol Biol.2001 Jun 8;309(3):657−70)と、の両方を本発明において使用することができる。所与の抗体のアミノ酸位置ならびに相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、いずれかのシステムを使用して同定してよい。例えば、39、44、183、356、357、370、392、399、及び409というEUによる重鎖位置は、それぞれ46、51、230、484、485、501、528、535、及び551というAHoによる重鎖位置と等価である。同様に、38、100、及び176というEUによる軽鎖位置は、それぞれ46、141、及び230というAHOによる軽鎖位置と等価である。以下の表1、表2、及び表3は、位置の番号付け間の等価関係を示す。

0040

0041

0042

0043

抗体をパパイン消化すると、「Fab」断片と呼ばれ、そのそれぞれが単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片と、免疫グロブリン定常領域を含む残存「Fc」断片と、が得られる。Fab断片は、可変ドメインのすべて、ならびに軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。したがって、「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL))と、1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)と、から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することはできない。Fc断片は、糖質ディスプレイしており、多くの抗体エフェクター機能補体及び細胞受容体との結合などの)を担い、こうした抗体エフェクター機能は、あるクラスの抗体と別のクラスの抗体とでは異なるものである。「Fd断片」は、免疫グロブリン重鎖に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含む。Fd断片は、Fab断片の重鎖成分に相当する。

0044

「Fab’断片」は、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステイン残基をCH1ドメインのC末端に有するFab断片である。

0045

「F(ab’)2断片」は、重鎖間のジスルフィド架橋によってヒンジ領域で連結された2つのFab’断片を含む2価の断片である。

0046

「Fv」断片は、抗原認識及び抗原結合を行う抗体由来部位を完全に含む最小断片である。この断片は、1つの免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)が堅固かつ非共有結合性会合した2量体からなる。この立体配置では、それぞれの可変領域の3つのCDRが相互作用することで、VH−VLという2量体の表面に抗原結合部位を定義する。単一の軽鎖可変領域もしくは重鎖可変領域(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含む半分のFv断片)は、抗原を認識して結合する能力を有するが、VHとVLとの両方を含む全結合部位と比較すると、その結合認識の親和性は低い。

0047

「可変領域」は、「可変ドメイン」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))と互換的に本明細書で使用され、軽免疫グロブリン鎖及び重免疫グロブリン鎖のそれぞれにおいて抗原への抗体の結合に直接的に関与する領域を指す。上で議論したとおり、可変軽鎖領域及び可変重鎖領域は、同一の一般構造を有しており、それぞれの領域が4つフレームワーク(FR)領域を含む。こうしたFR領域の配列は広く保存されており、3つのCDRによって連結される。フレームワーク領域は、ベータシートの立体構造をとり、CDRは、そのベータ−シート構造を連結するループを形成し得る。それぞれの鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によってその3次元構造が保持され、もう一方の鎖に由来するCDRと一緒になることで抗原結合部位を形成する。

0048

「免疫グロブリンドメイン」は、免疫グロブリンのものと類似のアミノ酸配列を含むペプチドであって、少なくとも2つのシステイン残基を含む約100のアミノ酸残基を含むペプチドに相当する。免疫グロブリンドメインの例には、免疫グロブリン重鎖のVH、CH1、CH2、及びCH3、ならびに免疫グロブリン軽鎖のVL及びCLが含まれる。さらに、免疫グロブリンドメインは、免疫グロブリン以外のタンパク質においても見られる。免疫グロブリン以外のタンパク質における免疫グロブリンドメインの例には、主要組織適合遺伝子複合体MHC)、CD1、B7、T細胞受容体(TCR)、及び同様のものなどの免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタンパク質に含まれる免疫グロブリンドメインが含まれる。免疫グロブリンドメインはいずれも、本発明の多価抗体のための免疫グロブリンドメインとして使用することができる。

0049

ヒト抗体では、CH1は、EUインデックスの位置118〜215のアミノ酸配列を有する領域を意味する。CH1とCH2との間には、「ヒンジ領域」と呼ばれる高度可動性アミノ酸領域が存在する。CH2は、EUインデックスの位置231〜340のアミノ酸配列を有する領域に相当し、CH3は、EUインデックスの位置341〜446のアミノ酸配列を有する領域に相当する。

0050

「CL」は、軽鎖の定常領域に相当する。ヒト抗体のκ鎖の場合、CLは、EUインデックスの位置108〜214のアミノ酸配列を有する領域に相当する。λ鎖では、CLは、位置108〜215のアミノ酸配列を有する領域に相当する。

0051

標的抗原(複数可)に特異的に結合する結合ドメインは、a)こうした抗原に対する既知の抗体から得るか、あるいはb)抗原タンパク質もしくはその断片を使用するデノボ免疫化方法、ファージディスプレイ、又は他の日常的な方法によって得られた新たな抗体又は抗体断片から得ることができる。二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のための結合ドメインが得られる抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体組換え抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、結合ドメインが得られる抗体は、モノクローナル抗体である。こうした実施形態及び他の実施形態では、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であり、IgG1型、IgG2型、IgG3型、又はIgG4型のものであり得る。

0052

本明細書で使用される「モノクローナル抗体」(又は「mAb」)という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量に存在し得る天然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。典型的には異なるエピトープを標的とする異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体は高度に特異的であり、個々の抗原部位又はエピトープを標的としている。モノクローナル抗体は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して産生させてよく、例えば、免疫化スケジュールの完了後に遺伝子導入動物から収集した脾臓細胞不死化することによって産生させてよい。脾臓細胞は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して不死化することができ、例えば、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生させることによって不死化できる。ハイブリドーマが産生する融合手順における使用を目的とする骨髄腫細胞は、抗体を産生することはなく、高い融合効率を有すると共に、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持するある特定の選択培地での増殖が不可能となる酵素欠損を有する。マウス融合における使用に適した細胞株の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7、及びS194/5XXO Bulが含まれる。ラット融合において使用される細胞株の例には、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、及び4B210が含まれる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、及びUC729−6である。

0053

いくつかの実例では、標的抗原(複数可)免疫原での動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有する遺伝子導入動物)の免疫化、免疫化動物からの脾臓細胞の収集、骨髄腫細胞株への収集脾臓細胞の融合によるハイブリドーマ細胞の産生、ハイブリドーマ細胞からのハイブリドーマ細胞株確立、及び標的抗原(複数可)に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の同定によってハイブリドーマ細胞株が産生される。

0054

ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して精製することができ、こうした手法は、プロテインA−Sepharose、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーゲル電気泳動透析、又は親和性クロマトグラフィーなどである。ハイブリドーマ又はmAbは、特定の特性を有するmAbを同定するためにさらに選別してよい。こうした特性は、標的抗原(複数可)を発現する細胞に結合する能力、標的抗原(複数可)のそのそれぞれの受容体もしくはリガンドへの結合を遮断もしくは妨害する能力、又は標的抗原(複数可)のいずれかを機能的に遮断する能力などである。

0055

いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインは、標的抗原(複数可)に対するヒト化抗体に由来し得る。「ヒト化抗体」は、ヒト免疫グロブリンに由来する対応領域を含むように改変された領域(例えば、フレームワーク領域)を含む抗体を指す。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物において最初に産生したモノクローナル抗体から産生させることができる。このモノクローナル抗体におけるある特定のアミノ酸残基であって、典型的には抗体の非抗原認識部分に由来するアミノ酸残基が、対応アイソタイプのヒト抗体における対応残基に相同性となるように改変される。ヒト化は、例えば、げっ歯類の可変領域の少なくとも一部をヒト抗体の対応領域の代わりに使用するさまざまな方法を使用して実施することができる(例えば、米国特許第5,585,089号及び第5,693,762号、Jones et al.,Nature,Vol.321:522−525,1986、Riechmann et al.,Nature,Vol.332:323−27,1988、Verhoeyen et al.,Science,Vol.239:1534−1536,1988を参照のこと)。別の種で産生した抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のCDRをコンセンサスヒトFRに移植することができる。コンセンサスヒトFRを創出するために、ヒトの重鎖アミノ酸配列又は軽鎖アミノ酸配列のいくつかに由来するFRのアライメントをとることでコンセンサスアミノ酸配列を同定してよい。

0056

標的抗原(複数可)に対して産生した新たな抗体であって、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のための結合ドメインを得ることができる抗体は、完全ヒト抗体であり得る。「完全ヒト抗体」は、ヒトの生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を含む抗体である。完全ヒト抗体の産生が実現する特定の手段の1つは、マウスの体液性免疫系の「ヒト化」である。内在性Ig遺伝子が不活性化したマウスへのヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の導入は、任意の所望抗原で免疫化することができる動物であるマウスにおいて完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を産生させる手段の1つである。完全ヒト抗体を使用することで、マウスのmAb又はマウス由来のmAbを治療薬剤としてヒトに投与することによって生じることがあり得る免疫応答及びアレルギー応答を最小化することができる。

0057

完全ヒト抗体は、内在性の免疫グロブリンを産生せず、ヒト抗体のレパートリーを産生する能力を有する遺伝子導入動物(通常はマウス)を免疫化することによって産生させることができる。これを目的とする抗原は、典型的には、6残基以上の連続アミノ酸を有し、任意選択でハプテンなどの担体に複合化される。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555、Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255−258、及びBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.7:33を参照のこと。そのような方法の1つの例では、遺伝子導入動物は、マウスの重免疫グロブリン鎖及び軽免疫グロブリン鎖をそこにコードするマウスの内在性の免疫グロブリン遺伝子座を無能化し、ヒトの重鎖タンパク質及び軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含むヒトゲノムDNAをマウスゲノムの大型断片に挿入することによって産生される。部分的に改変された動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座補完が完全には至っておらず、その後に交雑させることで所望の免疫系改変のすべてを有する動物が得られる。免疫原が投与されると、こうした遺伝子導入動物は、その免疫原に免疫特異的な抗体を産生するが、こうした抗体は、可変領域を含めて、マウスのアミノ酸配列ではなく、ヒトのアミノ酸配列を有する。そのような方法の追加詳細については、例えば、WO96/33735及びWO94/02602を参照のこと。ヒト抗体の調製を目的とする遺伝子導入マウスに関する追加の方法は、米国特許第5,545,807号、第6,713,610号、第6,673,986号、第6,162,963号、第5,939,598号、第5,545,807号、第6,300,129号、第6,255,458号、第5,877,397号、第5,874,299号、及び第5,545,806、PCT公開WO91/10741、WO90/04036、WO94/02602、WO96/30498、WO98/24893、ならびにEP546073B1及びEP546073A1に記載される。

0058

上記の遺伝子導入マウスは、本明細書では「HuMab」マウスと称され、内在性のミュー鎖及びカッパー鎖の遺伝子座を不活性化する標的化変異と共に、ヒトの重鎖(ミュー及びガンマ)ならびにカッパー軽鎖の非再編成免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子の小遺伝子座(minilocus)を含む(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859)。したがって、このマウスでは、免疫化に応じて生じるマウスのIgM又はカッパーの発現が低減されており、導入されたヒトの重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子は、クラス転換及び体細胞変異を受けることで高親和性のヒトIgGカッパーモノクローナル抗体を産生する(前出のLonberg et al.、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic AcidsResearch 20:6287−6295、Chen et al.,1993,International Immunology 5:647−656、Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912−2920、Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859、Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49−101、Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579−591、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546、Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845−851に詳細に記載されており、前述の参考文献は、参照によってそれらの全体があらゆる目的を対象として本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、及び第5,770,429号、ならびに米国特許第5,545,807号、国際公開第WO93/1227号、第WO92/22646号、及び第WO92/03918号を参照のこと。すべてのこうした文献の開示内容は、参照によってそれらの全体があらゆる目的を対象として本明細書に組み込まれる。こうした遺伝子導入マウスにおけるヒト抗体の産生を利用する技術は、WO98/24893、及びMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146−156においても開示されており、こうした文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。

0059

ヒト由来の抗体は、ファージディスプレイ手法を使用しても産生させることができる。ファージディスプレイは、例えば、Dower et al.,WO91/17271、McCafferty et al.,WO92/01047、及びCaton and Koprowski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6450−6454(1990)に記載されており、こうした文献はそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。ファージ技術によって産生する抗体は、通常、細菌において、例えば、Fv断片又はFab断片といった抗原結合断片として産生するため、エフェクター機能を欠いている。エフェクター機能は、2つの方針のうちの1つによって導入することができる。すなわち、断片は、望まれるのであれば、操作することによって、哺乳類細胞における発現を目的とする完全抗体とするか、又はエフェクター機能を引き起こす能力を有する第2の結合部位を有する二重特異性抗体断片及び四重特異性抗体断片とすることができる。典型的には、抗体のFd断片(VH−CH1)及び軽鎖(VL−CL)は、PCRによって別々にクローン化され、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリーにおいて無作為に組換えられ、続いて、こうしたライブラリーにおいて特定の抗原への結合を選択することができる。抗体断片は、ファージ表面に発現し、抗原結合によるFv又はFab(したがって、その抗体断片をコードするDNAを含むファージ)の選択は、数ラウンドの抗原結合及び再増幅を行うパニングと呼ばれる手順を介して達成される。抗原に特異的な抗体断片が濃縮され、最終的に単離される。ファージディスプレイ手法は、げっ歯類のモノクローナル抗体のヒト化手法においても使用することができ、これは、「guided selection(ガイド選択)」と呼ばれる(Jespers,L.S.,et al.,Bio/Technology 12,899−903(1994)を参照のこと)。これについては、ヒトの軽鎖ライブラリーと組み合わせてマウスのモノクローナル抗体のFd断片をディスプレイすることができ、得られたハイブリッドFabライブラリーを続けて抗原で選択してよい。そうすることによってマウスFd断片は、選択をガイドするための鋳型となる。その後、選択されたヒト軽鎖は、ヒトのFd断片ライブラリーと組み合わせられる。得られたライブラリーを選択することで、完全ヒトFabが得られる。

0060

本明細書で使用される「同一性」という用語は、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関連性を指し、こうした関連性は、配列のアライメント及び比較によって決定される。本明細書で使用される「同一性パーセント」は、比較分子におけるアミノ酸間又はヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較される分子の中で最小の分子のサイズに基づいて計算される。こうした計算を行うためには、特定の数学モデル又はコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって、アライメントにおけるギャップ(存在するのであれば)に対処しなくてはならない。アライメントされる核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法には、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press、Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press、及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載のものが含まれる。例えば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸位置における類似性を比較するために一般に使用される標準的な方法によって決定することができる。2つのポリペプチド配列又は2つのポリヌクレオチド配列は、BLAST又はFASTAなどのコンピュータープログラムを使用し、そのそれぞれの残基の一致が最適となるようにアライメントされる(1つもしくは両方の配列の全長に沿って実施されるか、又は1つもしくは両方の配列の所定部分に沿って実施される)。プログラムでは、デフォルトオープニングペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティが与えられ、コンピュータープログラムと併せてPAM250(標準的なスコアリングマトリックスであり、Dayhoff et al.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3(1978)を参照のこと)などのスコアリングマトリックスを使用することができる。続いて、例えば、同一性パーセントは、同一一致総数に100を掛けてから、一致スパン内の長い方の配列の長さと、2つの配列のアライメントをとるために長い方の配列に導入されたギャップ数と、の合計で割ったものとして計算することができる。同一性パーセントの計算では、比較される配列は、配列間の一致が最大となる方法でアライメントされる。

0061

GCプログラムパッケージは、同一性パーセントを決定するために使用することができるコンピュータープログラムであり、このパッケージは、GAP(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を含む。コンピューターアルゴリズムであるGAPは、配列同一性パーセントが決定されることになる2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチドのアライメントをとるために使用される。配列は、そのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの一致が最適となるようにアライメントされる(「一致スパン」は、アルゴリズムによって決定される)。ギャップオープニングペナルティ(3x平均対角要素として計算され、「平均対角要素」は、使用される比較マトリックスの対角要素の平均である。「対角要素」は、特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全アミノ酸一致に割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ延長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10倍である)、ならびにPAM250又はBLOSUM62などの比較マトリックスがアルゴリズムと併せて使用される。ある特定の実施形態では、アルゴリズムによっても標準的な比較マトリックス(Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352 for the PAM 250 comparison matrix、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919 for the BLOSUM 62 comparison matrixを参照のこと)が使用される。

0062

APプログラムを使用し、ポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨パラメーターには、下記のものが含まれる:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453
比較マトリックス:前出のHenikoff et al.,1992によるBLOSUM62
ギャップペナルティ:12(しかし、末端のギャップにはペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の許容限界値:0

0063

2つのアミノ酸配列のアライメントをとるためにある特定のアライメントスキームを用いると、2つの配列において短い領域のみが一致する可能性がある。アライメントされたこの短い領域は、2つの全長配列間に顕著な関連性が存在しないとしても非常に高い配列同一性を有する可能性がある。したがって、そうであるならば、選択されるアライメント方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドにおいて少なくとも50残基の連続アミノ酸にまたがるアライメントが得られるように調節されることが望ましくあり得る。

0064

ある特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質は、抗体を含む。本明細書で使用される「抗体」という用語は、2つの軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kDa)及び2つの重鎖ポリペプチド(それぞれ約50〜70kDa)を含む4量体の免疫グロブリンタンパク質を指す。「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端への順序で、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)及び単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドを指す。免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)は、カッパー(κ)又はラムダ(λ)であり得る。「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端への順序で、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び任意選択で免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを指す。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、及びイプシロン(ε)に分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。IgGクラスの抗体及びIgAクラスの抗体は、サブクラスへとさらに分類され、すなわち、それぞれIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1及びIgA2に分類される。IgG抗体、IgA抗体、及びIgD抗体における重鎖は、3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する一方、IgM抗体及びIgE抗体における重鎖は、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)を有する。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプを含む任意の免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間(すなわち、軽鎖と重鎖との間)のポリペプチド間ジスルフィド結合、ならびに抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して共に連結される

0065

特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質は、ヘテロ2量体抗体(本明細書では、「ヘテロ免疫グロブリン」又は「ヘテロIg」と互換的に使用される)であり、これは、2つの異なる軽鎖及び2つの異なる重鎖を含む抗体を指す。

0066

ヘテロ2量体抗体は、任意の免疫グロブリン定常領域を含み得る。本明細書で使用される「定常領域」という用語は、可変領域以外の、抗体のすべてのドメインを指す。定常領域は、抗原結合には直接的に関与しないが、さまざまなエフェクター機能を示す。上記のとおり、抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて特定のアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)ならびにサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1 IgA2)に分類される。軽鎖定常領域は、例えば、カッパー型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり得、例えば、ヒトのカッパー型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり、こうした軽鎖定常領域は、5つすべての抗体アイソタイプに見られる。以下の表では、ヒトの免疫グロブリン軽鎖定常領域の配列の例が示される。

0067

0068

ヘテロ2量体抗体の重鎖定常領域は、例えば、アルファ型デルタ型イプシロン型ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得、例えば、ヒトのアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域である。いくつかの実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、IgG1免疫グロブリン、IgG2免疫グロブリン、IgG3免疫グロブリン、又はIgG4免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。1つの実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、ヒトのIgG1免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、ヒトのIgG2免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。以下の表5では、ヒトのIgG1重鎖定常領域及びIgG2重鎖定常領域の配列の例が示される。

0069

0070

上記の軽鎖定常領域及び重鎖定常領域に可変領域を付加することで、それぞれ完全な抗体軽鎖及び抗体重鎖を形成させてよい。さらに、そのようにして産生させた重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドのそれぞれを組み合わせることで、完全な二重特異性及び四重特異性の抗体構造を形成させてよく、例えば、ヘテロ2量体抗体を形成させてよい。本明細書で提供される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、上記の例示配列とは異なる配列を有する他の定常ドメインにも付加することができると理解されるべきである。

0071

本発明のある特定の実施形態では、本発明のヘテロ2量体分子を形成するために2つの異なる重鎖が使用される。二重特異性及び四重特異性のヘテロ2量体抗体への軽鎖と重鎖と会合を促進するために、それぞれの抗体に由来する軽鎖及び/又は重鎖は、誤った対を有する分子の形成が低減するように操作することができる。例えば、ホモ2量体形成に勝ってヘテロ2量体形成を促進させるための手法の1つは、いわゆる「ノブ・インテゥ・ホール」法であり、この方法では、接触境界面を対象として、2つの異なる抗体重鎖のCH3ドメインに変異が導入される。具体的には、一方の重鎖における1つ又は複数の嵩高いアミノ酸が、短い側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン又はスレオニン)と交換されることで「ホール」が創出され、もう一方の重鎖には、大きな側鎖を有する1つ又は複数のアミノ酸(例えば、チロシン又はトリプトファン)が導入されることで「ノブ」が創出される。改変重鎖が同時発現すると、ホモ2量体(ホール−ホール又はノブ−ノブ)と比較してヘテロ2量体(ノブ−ホール)が高い割合で形成される。「ノブ・インテゥ・ホール」の方法論は、WO96/027011、Ridgway et al.,Protein Eng.,Vol.9:617−621,1996、及びMerchant et al.,Nat,Biotechnol.,Vol.16:677−681,1998において詳細に記載されており、こうした文献はすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

0072

ヘテロ2量体の形成を促進してホモ2量体の形成を除外するための別の手法は、静電ステアリング機構を利用するものである(Gunasekaran et al.,J.Biol.Chem.,Vol.285:19637−19646,2010を参照のこと。当該文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。この手法では、それぞれの重鎖におけるCH3ドメインに荷電残基が導入されるか、又はそこに存在する荷電残基が利用され、その結果、2つの異なる重鎖が、静電気的な引力を引き起こす反対電荷を介して会合する。同一の重鎖は同一の電荷を有し、それ故に反発するため、同一の重鎖がホモ2量体化することは不利である。この同一の静電ステアリング手法を、結合境界面を対象として、反対の電荷を有する残基を正しい軽鎖−重鎖対に導入することによって軽鎖と非同系重鎖との誤った対形成を防止するために使用することができる。ヘテロ2量体の形成及び軽鎖/重鎖の正しい対形成を促進するための静電ステアリング手法及び適した電荷対変異は、WO2009089004及びWO2014081955に記載されており、こうした文献は両方共、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

0073

本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質が、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する第1の軽鎖(LC1)及び第1の重鎖(HC1)と、標的2に特異的に結合する第2の抗体に由来する第2の軽鎖(LC2)及び第2の重鎖(HC2)と、を含むヘテロ2量体抗体である実施形態では、HC1又はHC2は、正に荷電したアミノ酸を負に荷電したアミノ酸と交換するための1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。例えば、1つの実施形態では、HC1のCH3ドメイン又はHC2のCH3ドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のヒトIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸(例えば、リジンヒスチジン、及びアルギニン)は、CH3ドメインにおける対応位置(複数可)で、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)と交換されている。こうした実施形態及び他の実施形態では、370、392、及び409(EUの番号付けシステム)から選択される1つ又は複数の位置のアミノ酸(例えば、リジン)が、負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)と交換される。アミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、典型的には、特定位置のアミノ酸残基の1文字略語と、それに続く、対象の元の配列に対するアミノ酸位置を示す数字と、さらにそれに続く、置換導入されるアミノ酸残基の1文字記号と、を用いて本明細書で指定される。例えば、「T30D」は、対象の元の配列に対する、アミノ酸位置30での、アスパラギン酸残基によるスレオニン残基の置換を記号で表すものである。別の例を挙げると、「S218G」は、対象の元のアミノ酸配列に対する、アミノ酸位置218での、グリシン残基によるセリン残基の置換を記号で示すものである。

0074

ある特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体のHC1又はHC2は、負に荷電したアミノ酸を正に荷電したアミノ酸と交換するための1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。例えば、1つの実施形態では、HC1のCH3ドメイン又はHC2のCH3ドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のヒトIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、CH3ドメインにおける対応位置(複数可)で、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。こうした実施形態及び他の実施形態では、CH3ドメインの356、357、及び399(EUの番号付けシステム)から選択される1つ又は複数の位置のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)が、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、ヒスチジン、及びアルギニン)と交換される。

0075

特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、位置392及び位置409に負に荷電したアミノ酸(例えば、K392D及びK409Dという置換)を含む第1の重鎖と、位置356及び位置399に正に荷電したアミノ酸(例えば、E356K及びD399Kという置換)を含む第2の重鎖と、を含む。別の特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、位置392、位置409、及び位置370に負に荷電したアミノ酸(例えば、K392D、K409D、及びK370Dという置換)を含む第1の重鎖と、位置356、位置399、及び位置357に正に荷電したアミノ酸(例えば、E356K、D399K、及びE357Kという置換)を含む第2の重鎖と、を含む。関連する実施形態では、第1の重鎖は、抗第1の標的抗原抗体に由来し、第2の重鎖は、抗第2の標的抗原抗体に由来する。

0076

特定の重鎖とその同系軽鎖との会合を促進させるために、重鎖と軽鎖との両方に、相補性のアミノ酸置換を含めてよい。本明細書で使用される「相補性のアミノ酸置換」は、一方の鎖に正に荷電したアミノ酸を導入する置換と、もう一方の鎖に負に荷電したアミノ酸を導入する置換と、が対となる置換を指す。例えば、いくつかの実施形態では、重鎖は、荷電アミノ酸を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、対応する軽鎖は、荷電アミノ酸を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、重鎖に導入される荷電アミノ酸は、軽鎖に導入されるアミノ酸とは反対の電荷を有する。ある特定の実施形態では、LC1/HC1の結合境界面を対象として、1つ又は複数の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン、又はアルギニン)を第1の軽鎖(LC1)に導入することができ、1つ又は複数の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、対となる重鎖(HC1)に導入することができ、一方、LC2/HC2の結合境界面を対象として、1つ又は複数の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を第2の軽鎖(LC2)に導入することができ、1つ又は複数の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン、又はアルギニン)を、対となる重鎖(HC2)に導入することができる。境界面において反対に荷電した残基(極性)は引力を生じさせるため、静電相互作用によって、LC1はHC1と対形成するように、及びLC2はHC2と対形成するように導かれることになる。境界面において同一に荷電した残基(極性)を有する重鎖/軽鎖対(例えば、LC1/HC2及びLC2/HC1)は反発することになり、その結果、HC/LCの不要な対形成が抑制される。

0077

こうした実施形態及び他の実施形態では、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸と交換されている。あるいは、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。いくつかの実施形態では、F126、P127、L128、A141、L145、K147、D148、H168、F170、P171、V173、Q175、S176、S183、V185、及びK213から選択されるEU位置で、ヘテロ2量体抗体における第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のCH1ドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。ある特定の実施形態では、負に荷電したアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸との置換の対象となる重鎖残基は、S183(EUの番号付けシステム)である。いくつかの実施形態では、S183は、正に荷電したアミノ酸で置換される。代替の実施形態では、S183は、負に荷電したアミノ酸で置換される。例えば、1つの実施形態では、第1の重鎖におけるS183は、負に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S183E)され、第2の重鎖におけるS183は、正に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S183K)される。

0078

軽鎖がカッパー軽鎖である実施形態では、F116、F118、S121、D122、E123、Q124、S131、V133、L135、N137、N138、Q160、S162、T164、S174、及びS176から選択される位置(カッパー軽鎖におけるEUの番号付け)で、ヘテロ2量体抗体における第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。軽鎖がラムダ軽鎖である実施形態では、T116、F118、S121、E123、E124、K129、T131、V133、L135、S137、E160、T162、S165、Q167、A174、S176、及びY178から選択される位置(ラムダ鎖におけるEUの番号付け)で、ヘテロ2量体抗体における第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。いくつかの実施形態では、負に荷電したアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸との置換の対象となる残基は、カッパー軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかのCLドメインのS176(EUの番号付けシステム)である。ある特定の実施形態では、CLドメインのS176は、正に荷電したアミノ酸と交換される。代替の実施形態では、CLドメインのS176は、負に荷電したアミノ酸と交換される。1つの実施形態では、第1の軽鎖におけるS176は、正に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S176K)され、第2の軽鎖におけるS176は、負に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S176E)される。

0079

CH1ドメイン及びCLドメインにおける相補性のアミノ酸置換に加えて、又はその代替えとして、ヘテロ2量体抗体における軽鎖及び重鎖の可変領域は、荷電アミノ酸を導入するための1つ又は複数の相補性のアミノ酸置換を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロ2量体抗体の重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸と交換されている。あるいは、重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。

0080

VH領域に含まれるV領域境界面残基(すなわち、VH領域とVL領域との会合を媒介するアミノ酸残基)には、EU位置1、EU位置3、EU位置35、EU位置37、EU位置39、EU位置43、EU位置44、EU位置45、EU位置46、EU位置47、EU位置50、EU位置59、EU位置89、EU位置91、及びEU位置93が含まれる。VH領域におけるこうした境界面残基の1つ又は複数を荷電(正荷電又は負荷電)アミノ酸で置換することができる。ある特定の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。いくつかの実施形態では、第1の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G39E)が実施され、第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G39K)が実施される。いくつかの実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。ある特定の実施形態では、第1の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G44E)が実施され、第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G44K)が実施される。

0081

VL領域に含まれるV領域境界面残基(すなわち、VH領域とVL領域との会合を媒介するアミノ酸残基)には、EU位置32、EU位置34、EU位置35、EU位置36、EU位置38、EU位置41、EU位置42、EU位置43、EU位置44、EU位置45、EU位置46、EU位置48、EU位置49、EU位置50、EU位置51、EU位置53、EU位置54、EU位置55、EU位置56、EU位置57、EU位置58、EU位置85、EU位置87、EU位置89、EU位置90、EU位置91、及びEU位置100が含まれる。VL領域における境界残基の1つ又は複数を荷電アミノ酸で置換することができ、こうした荷電アミノ酸は、好ましくは、同系重鎖のVH領域に導入されるものとは反対の電荷を有するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。ある特定の実施形態では、第1の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G100K)が実施され、第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G100E)が実施される。

0082

ある特定の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置44(EU)、位置183(EU)、位置392(EU)、及び位置409(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置44(EU)、位置183(EU)、位置356(EU)、及び位置399(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置100(EU)及び位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の重鎖の位置44(EU)のグリシンは、グルタミン酸と交換され、第2の重鎖の位置44(EU)のグリシンは、リジンと交換され、第1の軽鎖の位置100(EU)のグリシンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置100(EU)のグリシンは、グルタミン酸と交換され、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換される。

0083

他の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置183(EU)、位置392(EU)、及び位置409(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置183(EU)、位置356(EU)、及び位置399(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換される。

0084

さらに他の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置183(EU)、位置392(EU)、位置409(EU)、及び位置370(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置183(EU)、位置356(EU)、位置399(EU)、及び位置357(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置370(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置357(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換される。

0085

定常ドメインはいずれも、ヘテロ2量体抗体の正しい構築を促進するために、上記の電荷対変異の1つ又は複数を含むように改変することができる。

0086

本発明のヘテロ2量体抗体は、例えば、抗体が発現する宿主細胞の型に起因する翻訳後修飾により、重鎖及び軽鎖のいずれか1つに関して、N末端もしくはC末端又はそれらの両方から1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸残基を欠く重鎖(複数可)及び/又は軽鎖(複数可)を含む抗体も包含する。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞では、抗体重鎖からC末端のリジンが切断除去されることが多い。

0087

ある特定の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、(i)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(ii)第2の標的抗原に特異的に結合する第2の結合ドメインと、(iii)ヒト免疫グロブリンFc領域と、を含み、結合ドメインの一方は、Fc領域のアミノ末端に位置し、もう一方の結合ドメインは、Fc領域のカルボキシル末端に位置する。いくつかのそのような実施形態では、第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインはそれぞれ、免疫グロブリン可変領域を含む。例えば、ある特定の実施形態では、第1の結合ドメインは、抗第1の標的抗原抗体に由来する第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1の重鎖可変領域(VH1)を含み、第2の結合ドメインは、抗第2の標的抗原抗体に由来する第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2の重鎖可変領域(VH2)を含む。

0088

本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、未変化の抗体をパパインで消化することによって産生し得る、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、CH2ドメイン及びCH3ドメインという2つの定常ドメインを含み、任意選択でCH4ドメインを含む。ある特定の実施形態では、Fc領域は、IgG1免疫グロブリン、IgG2免疫グロブリン、IgG3免疫グロブリン、又はIgG4免疫グロブリンに由来するFc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1免疫グロブリン又はヒトIgG2免疫グロブリンに由来するCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fc領域は、エフェクター機能を保持し得、こうしたエフェクター機能は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞傷害ADCC)、及び食作用などである。他の実施形態では、Fc領域は、エフェクター機能が低減又は除去されるように改変してよく、このことについては、本明細書でさらに詳細に記載される。

0089

本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質のある特定の実施形態では、Fc領域のアミノ末端に位置する結合ドメイン(すなわち、アミノ末端結合ドメイン)は、本明細書に記載のペプチドリンカー又は免疫グロブリンヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に融合したFab断片である。「免疫グロブリンヒンジ領域」は、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとを連結するアミノ酸配列を指す。ヒトIgG1のヒンジ領域は、一般に、Glu216付近又はCys226付近からPro230付近までのアミノ酸配列として定義される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド結合を形成する最初のシステイン残基及び最後のシステイン残基を同一の位置に配置することによってIgG1配列とのアライメントを実施してよく、こうしたヒンジ領域は、当業者であれば決定可能である。いくつかの実施形態では、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG1ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。他の実施形態では、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG2ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。1つの実施形態では、アミノ末端結合ドメイン(例えば、Fab断片)は、FabのCH1領域のカルボキシル末端を介してFc領域に融合される。

0090

本明細書で使用される「改変重鎖」という用語は、免疫グロブリン重鎖、特に、ヒトIgG1重鎖又はヒトIgG2重鎖と、機能性抗体断片(例えば、Fab)又はその一部分(例えば、免疫グロブリン軽鎖もしくはFd断片)と、を含む融合タンパク質であって、断片又はその一部分が、任意選択でペプチドリンカーを介して、重鎖のC末端にそのN末端で融合される融合タンパク質を指す。

0091

本発明の抗原結合タンパク質の実施形態のいくつかでは、Fc領域のカルボキシル末端に位置する結合ドメイン(すなわち、カルボキシル末端結合ドメイン)は、Fab断片である。そのような実施形態では、Fabは、Fab断片のVH領域のアミノ末端を介してペプチドリンカーを介してFc領域のカルボキシル末端(例えば、CH3ドメインのカルボキシル末端)に融合されるか、又は別の形で連結される。したがって、1つの実施形態では、Fabは、FabのVH領域のアミノ末端を介してFc領域に融合され、その結果、得られる融合タンパク質は、N末端からC末端への順序で、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ペプチドリンカー、VH領域、及びCH1領域を含む。

0092

カルボキシル末端FabにFc領域を連結するペプチドリンカーは、本明細書に記載のペプチドリンカーのいずれかであり得る。特定の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、長さが少なくとも5残基のアミノ酸である。他の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、長さが少なくとも8残基のアミノ酸である。カルボキシル末端Fab断片へのFc領域の連結に特に適したペプチドリンカーは、(GlyxSer)n(x=3又は4であり、n=2、3、4、5、又は6)などのグリシン−セリンリンカーである。1つの実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、L10(G4S)2リンカー(配列番号10)である。別の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、L9又はG3SG4Sリンカー(配列番号11)である。

0093

カルボキシル末端結合ドメインがFab断片である、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の実施形態のいくつかでは、Fc領域のアミノ末端に位置する結合ドメイン(すなわち、アミノ末端結合ドメイン)もまた、Fab断片である。アミノ末端Fab断片は、本明細書に記載のペプチドリンカー又は免疫グロブリンヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に融合させることができる。いくつかの実施形態では、アミノ末端Fab断片は、ヒトIgG1ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。他の実施形態では、アミノ末端Fab断片は、ヒトIgG2ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。1つの実施形態では、アミノ末端Fab断片は、FabのCH1領域のカルボキシル末端を介してFc領域に融合される。

0094

いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、第2の標的に特異的に結合する第2の抗体に由来するFab断片のポリペプチド鎖の一方(例えば、重鎖(VH2−CH1))が第1の抗体の重鎖のカルボキシル末端に融合した、第1の標的に特異的に結合する第1の抗体を含む。そのような実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL2−CL))を含むポリペプチド鎖も含む。本明細書では、この形式は「IgG−Fab」形式と称され、この型の分子の実施形態の1つは、図1に模式的に示される。したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、二重特異性の多価抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、(i)第1の抗体に由来する軽鎖と、(ii)第2の抗体のVH−CH1ドメインを含む第1のポリペプチドにペプチドリンカーを介して重鎖がそのカルボキシル末端で融合されることで改変重鎖を形成する、第1の抗体に由来する重鎖と、(iii)第2の抗体のVL−CLドメインを含む第2のポリペプチドと、を含む。二重特異性の抗原結合タンパク質は、2量体化すると、2つの改変重鎖と、第1の抗体に由来する2つの軽鎖と、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(Fd断片)を含む2つのポリペプチド鎖と、を含むホモ6量体となる。1つの実施形態では、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含み、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCLドメインを含む。

0095

重鎖−軽鎖の正しい対形成を促進するために、本明細書に記載の電荷対変異又は相補性のアミノ酸置換を第1の抗体のFab領域(Fab1)又は第2の抗体のFab領域(Fab2)に導入することができる。例えば、いくつかの実施形態では、Fab1におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換され、Fab1におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換される。他の実施形態では、Fab1におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換され、Fab1におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換される。ある特定の実施形態では、Fab2におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換され、Fab2におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換される。他の実施形態では、Fab2におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換され、Fab2におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換される。

0096

第2の抗体に由来するVH−CH1領域(すなわち、Fd断片)が第1の抗体の重鎖に融合される実施形態では、第1の抗体に由来する重鎖は、S183E変異(EUの番号付け)を含み、第1の抗体に由来する軽鎖は、S176K変異(EUの番号付け)を含み、第2の抗体に由来する軽鎖は、S176E変異(EUの番号付け)を含み、かつ第2の抗体に由来するFd領域(第1の抗体に由来する重鎖のC末端に融合される)は、S183K変異(EUの番号付け)を含む。他の実施形態では、第1の抗体に由来する重鎖は、G44E変異(EU)及びS183E変異(EUの番号付け)を含み、第1の抗体に由来する軽鎖は、G100K変異(EU)及びS176K変異(EUの番号付け)を含み、第2の抗体に由来する軽鎖は、G100E変異(EU)及びS176E変異(EUの番号付け)を含み、かつ第2の抗体に由来するFd領域(第1の抗体に由来する重鎖のC末端に融合される)は、G44K変異(EU)及びS183K変異(EUの番号付け)を含む。前述の例における電荷は、逆転させてよいが、但し、対応する軽鎖又は重鎖に存在する電荷も逆転させ、その結果、重鎖/軽鎖の正しい対が反対の電荷を有することが条件である。

0097

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、

0098

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0099

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0100

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリペプチドと、

0101

b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリペプチドと、

0102

c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリペプチドと、
を含む。

0103

VH2及び第2のCH1ドメインに関する「に対応する」は、リンカーが存在しないのであれば、VH2及び第2のCH1ドメインのアミノ酸残基が第1の重鎖のC末端から数えられることを意味する。ペプチドリンカーが存在するのであれば、VH2及び第2のCH1ドメインのアミノ酸残基は、ペプチドリンカーのC末端から数えられる。いずれの場合においても、当該アミノ酸残基が第1の重鎖のN末端から数えられることはない。そうではなく、むしろ、VH2及び第2のCH1ドメインについては、計数はVH2ドメインの最初のアミノ酸残基から始まる。アミノ酸残基の計数は、EU又はAHoの慣習を使用して実施される。

0104

ある特定の実施形態では、a)VH1又は第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、b)VH2又は第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、c)VL1又は第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含み、かつd)VL2又は第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含む。

0105

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。

0106

ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。

0107

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含む。

0108

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、

0109

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0110

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0111

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリペプチドと、

0112

b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリペプチドと、

0113

c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリペプチドと、
を含む。

0114

ある特定の実施形態では、a)VH1又は第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、b)VH2又は第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、c)VL1又は第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含み、かつd)VL2又は第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含む。

0115

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。

0116

ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。

0117

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含む。

0118

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、

0119

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0120

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0121

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、電荷が第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の置換残基のものとは反対のものである、
第1のポリペプチドと、

0122

b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、

0123

位置38の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第2のポリペプチドと、

0124

c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、

0125

位置38の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第3のポリペプチドと、
を含む。

0126

ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。

0127

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含む。

0128

ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。

0129

ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含む。

0130

ある特定の実施形態では、第1の重鎖は、ペプチドリンカーを介してVH2に融合される。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む。こうした配列は、GGGSGGGS(配列番号933)、GGGGSGGGGS(配列番号934)、GGGSGGGSGGGS(配列番号935)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号936)、GGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号937)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号938)、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号939)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号940)、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号941)、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号942)としても記載することができる。

0131

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、

0132

1)宿主細胞における同時発現であって、

0133

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0134

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0135

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリヌクレオチドと、

0136

b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリヌクレオチドと、

0137

c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、

0138

2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに

0139

3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。

0140

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、

0141

1)宿主細胞における同時発現であって、

0142

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0143

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0144

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリヌクレオチドと、

0145

b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリヌクレオチドと、

0146

c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、

0147

2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに

0148

3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。

0149

1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、

0150

1)宿主細胞における同時発現であって、

0151

a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、

0152

i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ

0153

ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、電荷が第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の置換残基のものとは反対のものである、
第1のポリヌクレオチドと、

0154

b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、

0155

位置38の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第2のポリヌクレオチドと、

0156

c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、

0157

位置38の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、

0158

2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに

0159

3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。

0160

さらに、又はあるいは、重鎖−軽鎖の正しい対形成は、カルボキシル末端Fab結合ドメインにおいてCH1ドメインとCLドメインとを交換することによって促進し得る。例として、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCH1ドメインを含み得、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCLドメインを含み得る。別の実施形態では、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCLドメインを含み得、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCH1ドメインを含み得る。

0161

本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の重鎖定常領域又はFc領域は、抗原結合タンパク質のグリコシル化及び/又はエフェクター機能に影響を与える1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。免疫グロブリンのFc領域の機能の1つは、免疫グロブリンがその標的にいつ結合したかを免疫系に情報伝達することである。これは、一般に、「エフェクター機能」と称される。情報伝達が行われると、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)が生じる。ADCC及びADCPは、免疫系細胞の表面に存在するFc受容体へのFc領域の結合を介して媒介される。CDCは、例えばC1qといった、補体系のタンパク質とFcとの結合を介して媒介される。いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、ADCC活性CDC活性、ADCP活性を含むエフェクター機能、及び/又は抗原結合タンパク質のクリアランスもしくは半減期増進させるための1つ又は複数のアミノ酸置換を定常領域に含む。エフェクター機能を増進させることができるアミノ酸置換の例(EUの番号付け)には、限定はされないが、E233L、L234I、L234Y、L235S、G236A、S239D、F243L、F243V、P247I、D280H、K290S、K290E、K290N、K290Y、R292P、E294L、Y296W、S298A、S298D、S298V、S298G、S298T、T299A、Y300L、V305I、Q311M、K326A、K326E、K326W、A330S、A330L、A330M、A330F、I332E、D333A、E333S、E333A、K334A、K334V、A339D、A339Q、P396L、又はこうしたアミノ酸置換の任意の組み合わせが含まれる。

0162

他の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、エフェクター機能を低減するための1つ又は複数のアミノ酸置換を定常領域に含む。エフェクター機能を低減することができるアミノ酸置換の例(EUの番号付け)には、限定はされないが、C220S、C226S、C229S、E233P、L234A、L234V、V234A、L234F、L235A、L235E、G237A、P238S、S267E、H268Q、N297A、N297G、V309L、E318A、L328F、A330S、A331S、P331S、又はこうしたアミノ酸置換の任意の組み合わせが含まれる。

0163

グリコシル化は、抗体、特に、IgG1抗体のエフェクター機能に寄与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、結合タンパク質のグリコシル化のレベル又は型に影響を与える1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N−結合型又はO−結合型のいずれかである。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖に糖質部分が付加していることを指す。アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)というトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖に糖質部分が酵素的に付加されるための認識配列である。したがって、こうしたトリペプチド配列のいずれかがポリペプチドに存在すると、潜在的なグリコシル化部位が創出される。O−結合型のグリコシル化は、糖であるN−アセチルガラクトサミンガラクトース、又はキシロースのうちの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに付加されることを指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンも使用され得る。

0164

ある特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ又は複数のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域に追加することによって増加する。抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の追加は、(N−結合型のグリコシル化部位については)1つ又は複数の上記のトリペプチド配列を抗原結合タンパク質が含むようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成することができる。改変は、(O−結合型のグリコシル化部位については)1つもしくは複数のセリン残基もしくはスレオニン残基を出発配列に追加するか、又は1つもしくは複数のセリン残基もしくはスレオニン残基によって出発配列を置換することによって実施してもよい。簡便には、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列は、DNAレベルでの変更を介して改変してよく、具体的には、標的ポリペプチドをコードするDNAを事前選択塩基で変異させることによって改変してよく、その結果、所望のアミノ酸へと翻訳されることになるコドンが産生される。

0165

本発明は、エフェクター活性の改変をもたらす改変糖質構造を有する二重特異性の抗原結合タンパク質分子の産生も包含し、こうした抗原結合タンパク質には、フコシル化欠如又は低減しており、ADCC活性の改善を示す抗原結合タンパク質が含まれる。フコシル化を低減又は除去するための方法は、当該技術分野においてさまざまなものが知られている。例えば、ADCCエフェクター活性は、FcγRIII受容体への抗体分子の結合によって媒介され、これは、CH2ドメインのN297残基のN−結合型のグリコシル化によって生じる糖質構造に依存することが示されている。天然のフコシル化抗体と比較して、非フコシル化抗体は高親和性でこの受容体に結合し、FcγRIII媒介性のエフェクター機能をより効率的に引き起こす。例えば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素ノックアウトされたCHO細胞において非フコシル化抗体を組換えで産生させると、ADCC活性が100倍に増加した抗体が得られる(Yamane−Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87(5):614−22,2004を参照のこと)。アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素又はフコシル化経路における他の酵素の活性の低減を介して類似の効果を達成することができ、こうした類似の効果は、例えば、siRNAもしくはアンチセンスRNAでの処理、細胞株の酵素(複数)のノックアウト操作、又は選択的なグリコシル化阻害剤を含めた培養を介して達成することができる(Rothman et al.,Mol Immunol.26(12):1113−23,1989を参照のこと)。例えば、Lec13又はラットのハイブリドーマであるYB2/0細胞株といった、いくつかの宿主細胞株は、フコシル化レベルが低下した抗体を自然に産生する(Shieldset al.,J Biol Chem.277(30):26733−40,2002、及びShinkawa et al.,J Biol Chem.278(5):3466−73,2003を参照のこと)。例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換えで産生させることで分岐型糖質のレベルを増加させても、ADCC活性が増加することが突き止められた(Umana et al.,Nat Biotechnol.17(2):176−80,1999を参照のこと)。

0166

他の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質のグリコシル化は、例えば、結合タンパク質のFc領域から1つ又は複数のグリコシル化部位を除去することによって低減又は除去される。N−結合型のグリコシル化部位を除去又は改変するアミノ酸置換は、抗原結合タンパク質のN−結合型のグリコシル化を低減又は除去することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、位置N297(EUの番号付け)において、N297Q、N297A、又はN297Gなどの変異を含む。1つの特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、N297G変異を有するヒトIgG1抗体に由来するFc領域を含む。N297に変異を含む分子の安定性を改善するために、分子のFc領域をさらに操作してよい。例えば、いくつかの実施形態では、2量体の状態におけるジスルフィド結合の形成を促進するために、Fc領域におけるアミノ酸の1つ又は複数がシステインで置換される。したがって、IgG1のFc領域のV259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332(EUの番号付け)に対応する残基をシステインで置換してよい。1つの実施形態では、特定の残基対がシステインで置換され、その結果、そうした残基対が互いにジスルフィド結合を優先的に形成することによってジスルフィド結合の混成が限定又は防止される。ある特定の実施形態では、対には、限定はされないが、A287CとL306C、V259CとL306C、R292CとV302C、ならびにV323CとI332Cが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、R292C及びV302Cという変異を有するヒトIgG1抗体に由来するFc領域を含む。そのような実施形態では、Fc領域は、N297G変異も含み得る。

0167

例えば、サルベージ受容体結合エピトープの組み込み又は付加(例えば、適切な領域の変異によるものか、又は抗原結合タンパク質のいずれかの末端もしくは中間に融合することになるペプチドタグに対して、例えば、DNA合成もしくはペプチド合成によってエピトープを組み込むことによるものである。例えば、WO96/32478を参照のこと)、あるいはPEG又は多糖ポリマーを含む他の水溶性ポリマーなどの分子の付加によって血清中半減期を増加させるために本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質を改変することも望ましくあり得る。Fc領域の1つ又は2つのループに由来するアミノ酸残基のいずれか1つ又は複数が抗原結合タンパク質における類似の位置に導入された領域をサルベージ受容体結合エピトープが構成することが好ましい。1つの実施形態では、Fc領域の1つ又は2つのループに由来する残基の3つ以上の残基が導入される。1つの実施形態では、エピトープは、Fc領域(例えば、IgGのFc領域)のCH2ドメインから得られ、抗原結合タンパク質のCH1、CH3、もしくはVH領域、又は複数のそのような領域に導入される。あるいは、エピトープは、Fc領域のCH2ドメインから得られ、抗原結合タンパク質のCL領域もしくはVL領域、又はそれらの両方に導入される。Fc変異体及びサルベージ受容体とのその相互作用の説明については、WO97/34631及びWO96/32478を参照のこと。

0168

本発明は、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質及びその構成成分をコードする1つ又は複数の単離された核酸を含む。本発明の核酸分子には、1本鎖形態と2本鎖との両方のDNA及びRNA、ならびに対応する相補性配列が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明の核酸分子には、全長の遺伝子又はcDNA分子、ならびにそれらの断片の組み合わせが含まれる。1つの実施形態では、本発明の核酸は、ヒトの供給源に由来するが、本発明は、非ヒト種に由来するものも含む。

0169

免疫グロブリンもしくはその領域(例えば、可変領域、Fc領域等)又は対象のポリペプチドに由来する関連アミノ酸配列は、タンパク質を直接的に配列決定することによって決定してよく、一般的なコドン表に従って適切なコードヌクレオチド配列を設計することができる。あるいは、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインの由来元となり得るモノクローナル抗体をコードするゲノムDNA又はcDNAは、通常の手順(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力を有するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによるもの)を使用し、そのような抗体を産生する細胞から単離及び配列決定することができる。

0170

本明細書では、「単離された核酸」は、「単離されたポリヌクレオチド」と互換的に使用され、天然に生じる供給源から単離された核酸の場合、核酸が単離された生物のゲノムに存在する隣接遺伝配列から分離された核酸である。例えば、PCR産物、cDNA分子、又はオリゴヌクレオチドなどの、鋳型から酵素的に合成される核酸又は化学的に合成される核酸の場合、そのようなプロセスから得られる核酸は、単離された核酸であると理解される。単離された核酸分子は、独立した断片又は大型の核酸構築物の構成成分の形態における核酸分子を指す。1つの実施形態では、核酸には、内在性の材料は実質的に混入していない。核酸分子は、実質的に純粋な形態、かつ標準的な生化学的方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)において概要が示されるものなど)によってその構成成分であるヌクレオチド配列の同定、操作、及び回収が可能になる量又は濃度で、少なくとも一度は単離されたDNA又はRNAから得られたものである。そのような配列は、典型的には真核生物の遺伝子に存在する内部非翻訳配列又はイントロンによって中断されないオープンリーディングフレームの形態において提供及び/又は構築される。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームの5’側又は3’側に存在し得、この場合、こうした配列がコード領域の操作又は発現を妨害することはない。別段の記載がない限り、本明細書で議論される任意の1本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり、2本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物は、5’から3’の方向で産生し、この方向は、転写方向と称される。RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖に存在し、RNA転写物の5’末端に対して5’側に位置する配列領域は、「上流配列」と称される。RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖に存在し、RNA転写物の3’末端に対して3’側に位置する配列領域は、「下流配列」と称される。

0171

本発明は、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸に対して、中程度の厳密条件下及び高度の厳密条件下でハイブリダイズする核酸も含む。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与える基本パラメーター、及び適切な条件を考案するためのガイダンスは、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11、及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4)によって示されており、こうした条件は、当業者であれば、例えば、DNAの長さ及び/又は基本組成に基づいて容易に決定することができる。中程度の厳密条件を達成する方法の1つでは、5xSSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)を含む事前洗浄液、約50%のホルムアミド、6xSSCを含むハイブリダイゼーション緩衝液、及び約55℃のハイブリダイゼーション温度(又は約50%のホルムアミドを含むものなどの、他の類似のハイブリダイゼーション溶液が約42℃のハイブリダイゼーション温度で使用される)、ならびに0.5xSSC、0.1%のSDSにおいて約60℃で行う洗浄条件が使用される。一般に、高度の厳密条件は上記のハイブリダイゼーション条件として定義されるが、洗浄は、0.2xSSC、0.1%のSDSにおいて約68℃で実施される。ハイブリダイゼーション緩衝液及び洗浄緩衝液において、SSC(lxSSCは、0.15MのNaCl及び15mMのクエン酸ナトリウムである)の代わりにSSPE(lxSSPEは、0.15MのNaCl、10mMのNaH2PO4、及び1.25mMのEDTA、pH7.4である)を使用することができる。洗浄は、ハイブリダイゼーションが完了した後に15分間実施される。ハイブリダイゼーション反応及び2本鎖の安定性を決定する基本原理を適用することによって所望の度合いの厳密性を達成するために、必要に応じて洗浄温度及び洗浄塩濃度を調節することができると理解されるべきであり、こうしたことは当業者に知られており、以下にさらに記載される(例えば、Sambrook et al.,1989を参照のこと)。配列が未知標的核酸に核酸をハイブリダイズさせるとき、ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズさせる核酸のものになると想定される。配列が既知の核酸をハイブリダイズさせるとき、ハイブリッドの長さは、核酸の配列をアライメントし、最適な配列相補性を有する1つ又は複数の領域を同定することによって決定できる。ハイブリッドの長さが50塩基対未満となることが予測される場合、ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)を5〜10℃下回るようにするべきであり、Tmは、下記の式に従って決定される。長さが18塩基対未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A+Tの塩基数)+4(G+Cの塩基数)。長さが18塩基対を超えるハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(G+Cの%)−(600/N)(Nは、ハイブリッドの塩基数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液におけるナトリウムイオンの濃度である(lxSSCの[Na+]=0.165M))。1つの実施形態では、ハイブリダイズさせるそのような核酸はそれぞれ、少なくとも15ヌクレオチド(もしくは少なくとも18ヌクレオチド、もしくは少なくとも20ヌクレオチド、もしくは少なくとも25ヌクレオチド、もしくは少なくとも30ヌクレオチド、もしくは少なくとも40ヌクレオチド、もしくは少なくとも50ヌクレオチド)の長さを有するか、又はそのハイブリダイズ対象となる本発明の核酸の長さの少なくとも25%(もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%)を有し、そのハイブリダイズ対象となる本発明の核酸と少なくとも60%の配列同一性(あるいは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%、又は少なくとも99.5%)を有するものであり、配列同一性は、上により詳細に記載される配列ギャップを最小化しつつ、重なり及び同一性が最大化するようにアライメントを実施し、ハイブリダイズさせる核酸の配列を比較することによって決定される。

0172

カセットもしくはPCRによる変異導入又は当該技術分野においてよく知られる他の手法を使用し、ポリペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異により変異体をコードするDNAを産生させた後、本明細書に概要が示される細胞培養において組換えDNAを発現させることによって本明細書に記載の抗原結合タンパク質の変異体を調製することができる。しかしながら、確立された手法を使用するインビトロの合成によって、最大で約100〜150残基を有する変異CDRを含む抗原結合タンパク質を調製してよい。変異体は、典型的には、例えば抗原への結合といった、天然に生じるアナログと質的に同一の生物学的活性を示す。そのような変異体は、例えば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列内に、残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終的な構築物を得るために、欠失、挿入、及び置換が任意の組み合わせで実施されるが、但し、最終構築物が所望の特性を有することが条件である。アミノ酸の変更を実施すると、抗原結合タンパク質の翻訳後プロセスも改変され得る。こうした変更は、グリコシル化部位の数又は位置の変更などである。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質の変異体は、エピトープへの結合に直接的に関与するアミノ酸残基の改変を意図して調製される。他の実施形態では、本明細書で議論される目的では、エピトープへの結合に直接的に関与しない残基、又はいかなる様式でもエピトープへの結合に関与しない残基を改変することが望ましい。CDR領域及び/又はフレームワーク領域のいずれかへの変異導入が企図される。当業者であれば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列における有用な改変を設計するために共分散分析手法を用いることができる。例えば、Choulier,et al.,Proteins 41:475−484,2000、Demarest et al.,J.Mol.Biol.335:41−48,2004、Hugo et al.,Protein Engineering 16(5):381−86,2003、Aurora et al.,米国特許公開第2008/0318207A1号、Glaser et al.,米国特許公開第2009/0048122A1号、Urech et al.,WO2008/110348A1、Borras et al.,WO2009/000099A2を参照のこと。共分散分析によって決定されるそのような改変は、抗原結合タンパク質の効力、薬物動態薬力学、及び/又は製造可能特性を改善することができる。

0173

本発明の核酸配列。当業者であれば理解するであろうが、遺伝コード縮重しているため、極めて多数の核酸を調製してよく、そのすべてが本発明のCDR(ならびに本明細書に記載の抗原結合タンパク質の重鎖及び軽鎖又は他の構成成分)をコードする。したがって、当業者であれば、特定のアミノ酸配列を同定し、コードされるタンパク質のアミノ酸配列に変更が生じない様式で、1つ又は複数のコドンの配列を単に改変することによって任意の数の異なる核酸を調製することが可能である。

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