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課題・解決手段

本発明は、少なくとも1つのメチオニン残基を含むエラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させることを目的とした、チオエーテルアルキル化法の利用に関する。本発明は、エラスチン様ポリペプチドの誘導体と、その調製方法にも関する。

概要

背景

概要

本発明は、少なくとも1つのメチオニン残基を含むエラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させることを目的とした、チオエーテルアルキル化法の利用に関する。本発明は、エラスチン様ポリペプチドの誘導体と、その調製方法にも関する。

目的

本発明の目的は、化学的修飾を利用して、修飾された組み換えエラスチン様ポリペプチドを提供する

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請求項1

少なくとも1つのメチオニン残基を含むエラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させることを目的とした、チオエーテルアルキル化法の利用。

請求項2

前記エラスチン様ポリペプチドが、以下の式(V):を持つ少なくとも1つの反復単位を含む、請求項1に記載の利用。

請求項3

以下の式(I):(ただしRは、−(C1〜C22)アルキル基;(このアルキル基は、OH、ORa、NRbRc、NHC(O)Rcからなるグループから選択された1つ、またはいくつかの置換基置換することができる(ここにRaは、1つ、またはいくつかのヘテロ原子(O、NH、Sなど)を割り込ませることのできる(C1−C10)アルキル基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルキン基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルケニル基、(C1〜C10)アルキレン−X’基からなるグループから選択され;X’は、以下の式:を持つ基を表わし;RbとRcは、互いに独立に、Hまたは(C1〜C10)アルキル基を表わす))−(C1〜C22)アルキレン−(C6〜C30)アリール基;−(C6〜C30)アリール基;−(C2〜C22)アルキン基;−糖からなるグループから選択される)を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物

請求項4

以下の式(II):(ただし、−nは1〜200の整数であり;−Rは、請求項3において定義した通りであり;−Aは、H、アセチル天然アミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチドタンパク質合成ポリマーからなるグループから選択され;−Bは、OH、NH2、NHAc、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、合成ポリマーからなるグループから選択される)を持つ、請求項3に記載の化合物。

請求項5

Aが、ペプチド、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸からなるグループから選択される、請求項4に記載の化合物。

請求項6

Bが、OHであるか、ペプチド、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸からなるグループから選択される、請求項4に記載の化合物。

請求項7

以下の式(III):(ただし、−mは1〜200の整数であり;−Rは、請求項3において定義した通りであり;−A’は、1〜20個のアミノ酸を含むペプチドである)を持つ、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。

請求項8

以下の式(IV):(ただし、−pは1〜200の整数であり;−Rは、請求項3において定義した通りであり;−A”は、1〜20個のアミノ酸を含むペプチドである)を持つ、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。

請求項9

Rが、−(C1−C22)アルキル基;と−(C1−C22)アルキレン−フェニル基からなるグループから選択される、請求項3〜8のいずれか1項に記載の化合物。

請求項10

Rが、−A1−CH(OH)−A2−O−A3−A4基である(ただし、−A1は、(C1−C4)アルキレン基であり;−A2は、(C1−C4)アルキレン基であり;−A3は、(C1−C4)アルキレン基または−(CH2−CH2−O)i−基(iは1〜4の整数である)であり;−A4は、(C1−C4)アルキレン基または(C2−C4)アルキン基である)、請求項3〜8のいずれか1項に記載の化合物。

請求項11

Rが(C1−C4)アルキル基またはベンジル基である、請求項3〜10のいずれか1項に記載の化合物。

請求項12

請求項3〜11のいずれか1項に記載の化合物を調製することを目的としたチオエーテルアルキル化法であって、以下の式(V):を持つ反復単位を含むエラスチン様ポリペプチドのチオエーテルアルキル化工程を含んでいて、このチオエーテルアルキル化工程が、アルキル化剤との反応からなる方法。

請求項13

前記アルキル化剤が、式(III)R−Xの化合物である(ただしRは請求項3において定義した通りであり、Xは、ハロゲン原子であるか、式(III−1)の化合物:(ただしA2、A3、A4は、請求項10において定義した通りである)である)、請求項12に記載のチオエーテルアルキル化法。

請求項14

エラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させる方法であって、この方法が、以下の式(V):を持つ少なくとも1つの反復単位を含むエラスチン様ポリペプチドのチオエーテルアルキル化工程を含んでいる方法。

請求項15

前記チオエーテルアルキル化工程が、エラスチン様ポリペプチドを式(III)R−Xの化合物(ただしRは請求項3において定義した通りであり、Xはハロゲン原子である)と反応させることからなる、請求項14に記載の下限臨界溶液温度を変化させる方法。

請求項16

以下の式(I’):を持つ少なくとも1つの反復単位(ただし、Rは、−(C1〜C22)アルキル基;(このアルキル基は、OH、ORa、NRbRc、NHC(O)Rcからなるグループから選択された1つ、またはいくつかの置換基で置換することができる(ここにRaは、1つ、またはいくつかのヘテロ原子(O、NH、Sなど)を割り込ませることのできる(C1−C10)アルキル基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルキン基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルケニル基、(C1〜C10)アルキレン−X’基からなるグループから選択され;X’は、以下の式:を持つ基を表わし;RbとRcは、互いに独立に、Hまたは(C1〜C10)アルキル基を表わす))−(C1〜C22)アルキレン−(C6〜C30)アリール基;−(C6〜C30)アリール基;−(C2〜C22)アルキン基;−糖からなるグループから選択される)を含む化合物。

請求項17

以下の式(II’):(ただし、−X1は対イオンであり、1価のアニオン性対イオンから選択されることが好ましく;−nは1〜200の整数であり;−Rは、請求項16において定義した通りであり;−Aは、H、アセチル、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、合成ポリマーからなるグループから選択され;−Bは、OH、NH2、NHAc、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、合成ポリマーからなるグループから選択される)を持つ、請求項16に記載の化合物。

技術分野

0001

本発明は、エラスチン様ポリペプチド誘導体と、その調製方法に関する。本発明は、そのような誘導体の利用にも関する。

0002

タンパク質操作技術は、生物学の基礎研究のほか、バイオテクノロジー医薬産業で一般に利用されて組み換えタンパク質組み換え治療薬を生み出す一方で、ポリマー科学の分野を急速に進展させていて、一次構造、すなわちモノマー配列と、分子量を精巧に制御した精密なタンパク質様ポリマーへの道を開いている。に基づくタンパク質が主にティッシュエンジニアリングドラッグデリバリー(薬送達)のために開発されてきたことに加え、組み換えエラスチン様ポリペプチド(ELP)が、生体医学とバイオテクノロジーの特定の用途のため、刺激応答性自己集合特性を有する精密ポリマーの独自のクラスとして出現しつつある。

0003

ELPは、[−Val−Pro−Gly−Xaa−Gly−]というペンタペプチド(その中のゲスト残基Xaaはプロリン以外の任意のアミノ酸である)の反復配列であり、元々はトロポエラスチン疎水性ドメインから着想された。ELPは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(pNIPAM)などの合成ポリマーと同様、下限臨界溶液温度(LCST)(逆温度転移(Tt)とも呼ばれる)を示す。ELP鎖は、LCSTより低温では水に完全に溶けるのに対し、LCSTよりも高温では不溶状態に切り換わる。凝集は完全に可逆的であり、ELP反復に含まれるXaaゲスト残基の性質、ELPの全分子量モル濃度溶液イオン強度などのさまざまなパラメータの影響を受ける(Meyer,D.E.;Chilkoti,A.Biomacromolecules2004年、第5巻、846〜851ページ;McDaniel,J.R.;Radford,D.C.;Chilkoti,A.Biomacromolecules2013年、第14巻(8)、2866〜2872ページ)。溶解性のこの切り換わりは、細菌ライセートから組み換えELPを精製する際や、個別のELPブロックの自己集合化を制御する際に1つの大きな利点であることが証明されている。

0004

これまでに報告されているELPの重合化後修飾には、たいてい鎖の端部が関与している。さまざまなELP配列が小さな有機分子オリゴヌクレオチド、薬、ポリエチレングリコール(PEG)に共役されてきた。ELPドメイン内のアミノ酸側鎖の位置での修飾に関する報告ははるかに少ない。これら配列内のすべての反復官能基を大きな収率でうまく修飾しようとすると、そのような修飾に高効率の反応を利用する必要がある。こうした修飾では、アミノ酸骨格C末端N末端、他の残基の側鎖基に影響を与えることなく残基特異的側鎖を化学選択的に修飾するのに生体直交型連結戦略を利用することも必要とされる。

0005

本発明の目的は、化学的修飾を利用して、修飾された組み換えエラスチン様ポリペプチドを提供することである。

0006

本発明の別の目的は、Xaaゲスト残基上に修飾されたエラスチン様ポリペプチドを調製するための化学的選択法を提供することである。

0007

本発明の別の目的は、エラスチン様ポリペプチドの誘導体として、その下限臨界溶液温度が、出発時のエラスチン様ポリペプチドと比べて変化している誘導体を提供することである。

0008

本発明の別の目的は、バイオテクノロジーからのいかなる支援もなしにエラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させる容易な方法を提供することである。

0009

本発明は、以下の式(I):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物に関する。ただしRは、
−(C1〜C22)アルキル基
(このアルキル基は、OH、ORa、NRbRc、NHC(O)Rcからなるグループから選択された1つ、またはいくつかの置換基置換することができる(ただし、
Raは、1つ、またはいくつかのヘテロ原子(O、NH、Sなど)を割り込ませることのできる(C1−C10)アルキル基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルキン基、(C1〜C10)アルキレン−(C2〜C10)アルケニル基、(C1〜C10)アルキレン−X’基からなるグループから選択され;
X’は、以下の式:



を持つ基を表わし;
RbとRcは、互いに独立に、Hまたは(C1〜C10)アルキル基を表わす));
−(C1〜C22)アルキレン−(C6〜C30)アリール基
−(C6〜C30)アリール基;
−(C2〜C22)アルキン基;
−糖
からなるグループから選択される。

0010

式(I)の化合物は、エラスチン様ポリペプチド(ELP)の誘導体である。これらの化合物は、少なくとも1つのメチオニン残基チオアルキル化された、修飾されたELPに対応する。言い換えると、式(I)の化合物は、メチオニン残基のイオウ原子アルキル化された(上に規定したR基が存在する)、修飾されたELPである。

0011

本発明は、以下の式(I’):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物にも関する。ただし、
−Rは、式(I)において上に定義した通りであり、
−X1は対イオンであり、1価のアニオン性対イオンから選択されることが好ましい。

0012

X1は、Cl-、Br-、I-、CH3COO-、CF3COO-、PF6-、NTf2-、



から選択されることが好ましい。

0013

本発明によれば、「Ct〜Cz」という表現は、炭素基礎としていてt〜z個の炭素原子を有することのできる鎖を意味する。例えばC1〜C3は、炭素を基礎としていて1〜3個の炭素原子を有することのできる鎖を意味する。

0014

本発明によれば、「ハロゲン原子」という用語は、フッ素塩素臭素ヨウ素のいずれかを意味する。

0015

本発明によれば、「アルキル基」という用語は、特に断わらない限り、1〜22個、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む、直線状の、または分岐した、飽和または不飽和の炭化水素を基礎とした脂肪族基を意味する。例示すると、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基が挙げられる。好ましい一実施態様によれば、アルキル基は、1〜6個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を含んでいる。

0016

本発明によれば、アルキル基は、1個または数個の不飽和も含むことができる。

0017

本発明によれば、「アリール基」という用語は、6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を含む環式芳香族を意味する。アリール基を例示すると、フェニル基またはナフチル基が挙げられる。

0018

アルキル基がアリール基で置換されているとき、「アリールアルキル」基または「アラルキル」基という用語を用いる。「アリールアルキル」基または「アラルキル」基は、アリール−アルキル基であり、アリール基とアルキル基は上に定義した通りである。アリールアルキル基のうちでは、特にベンジル基またはフェネチル基を挙げることができる。

0019

上記の「アルキル」基、「アルキレン」基、「アリール」基は、1個以上の置換基で置換することができる。そうした置換基のうちで挙げることができるのは、アミノヒドロキシルチオールオキソハロゲン、アルキル、アルコキシアルキルチオアルキルアミノアリールオキシアリールアルコキシシアノ、トリフルオロメチルカルボキシカルボキシアルキルである。アルキル置換基は、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルアミノからなるグループから選択されることが好ましく、最も好ましいのはヒドロキシルまたはアルコキシである。

0020

本明細書では、「アルキレン」(または「アルキリデン」)という用語は、1〜22個、好ましくは1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含む2価の基を意味する。この基が直線状であるときには、式(CH2)kで表わすことができる。ただしkは1〜22の整数であり、1〜6が好ましい。アルキレン基の例として、メチレンエチレンプロピレンブチレンペンチレンヘキシレンを挙げることができる。

0021

本発明によれば、「アルキン基」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む炭化水素基を意味する。アルキン基は、−C≡CH基であることが好ましい。

0022

本発明によれば、「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素基を意味する。アルケニル基は、−CH=CH2基であることが好ましい。

0023

本発明によれば、「(C1−C22)アルキレン(C2−C22)アルキン基」という表現は、アルキン基によって置換されたアルキレン基を意味する。

0024

本発明によれば、「(C1−C22)アルキレン−(C6−C10)アリール基」という表現は、アリール基によって置換されたアルキレン基、特にフェニル基によって置換されたアルキレン基を意味する。

0025

本発明によれば、「糖」という用語は、単糖二糖オリゴ糖多糖のいずれかを意味する。

0026

本発明は、以下の式(II):



を持つ化合物にも関する。ただし、
−nは1〜200の整数であり;
−Rは、式(I)において上に定義した通りであり;
−Aは、H、アセチル天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、合成ポリマーからなるグループから選択され;
−Bは、OH、NH2、NHAc、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、合成ポリマーからなるグループから選択される。

0027

本発明は、以下の式(II’):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物にも関する。ただし、
−A、B、n、Rは、式(II)において上に定義した通りであり;
−X1は対イオンであり、1価のアニオン性対イオンから選択されることが好ましい。

0028

本発明によれば、「アミノ酸」という用語は、天然のアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味する。

0029

本明細書では、「アミノ酸」という用語は、天然の20種類のアミノ酸、すなわちアラニンアルギニンアスパラギンアスパラギン酸システイングルタミン酸グルタミングリシンヒスチジンイソロイシンロイシンリシンメチオニンフェニルアラニン、プロリン、セリントレオニントリプトファンチロシンバリンと;生体内に見いだされる翻訳後修飾されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリンホスホセリンホスホトレオニンと;他の一般的ではないアミノ酸(非限定的な例には、2−アミノアジピン酸ヒドロキシリシンイソデスモシンノル−バリン、ノル−ロイシン、オルニチンが含まれる)を含むと理解される。さらに、「アミノ酸」という用語は、D−アミノ酸とL−アミノ酸の両方を含んでいる。

0030

本発明の文脈では、「ポリペプチド」または「ペプチド」という用語は、区別なしに用いられ、元のペプチド(タンパク質分解生成物または合成されたペプチド)のほか、ペプチド模倣体(例えばペプチド類似体であるペプトイドセミペプトイドであり、例えばペプチドを体内でより安定にしたり、いくらか免疫原性にしたりする修飾を持つことができる)を意味する。そのような修飾の非限定的な例には、環化、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合修飾(その非限定的な例には、CH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CH、CF=CHが含まれる)、骨格修飾、残基修飾が含まれる。ペプチド模倣化合物を調製する方法は本分野では周知であり、『QuantitativeDrugDesign』、CA.Ramsden編、第17.2章、F.ChoplinPergamonPress社(1992年)に具体的に記載されている。

0031

本発明によれば、ペプチドは、50個未満のアミノ酸、好ましくは40個未満のアミノ酸、より好ましくは30個未満のアミノ酸、さらに好ましくは20個未満のアミノ酸からなる。

0032

本発明によれば、「合成ポリマー」という用語は、反応性モノマーが関与する重合法(例えばアニオン重合カチオン重合ラジカル重合開環重合)によって得られる任意のポリマーを意味する。最も一般的なポリマーは、ポリアクリレートポリメタクリレートポリスチレンポリエーテルポリエステルポリカーボネートポリアミドである。

0033

好ましい一実施態様によれば、Aは、ペプチド、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸からなるグループから選択される。

0034

一実施態様によれば、Aは、いくつかのアミノ酸の連なりを表わし、その中には特に、1つ、またはいくつかの反復配列−Val−Pro−Gly−Xaa−Gly−を含めることができる。ただしXaaは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。

0035

Aは、特に、1つ、またはいくつかの反復配列−Val−Pro−Gly−Val−Gly−を含むことができる。

0036

好ましい一実施態様によれば、Bは、OH、NH2、NHAc(Acはアセチル基を表わす)のいずれかであるか、ペプチド、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸からなるグループから選択される。最も好ましいのは、BがOHであるか、ペプチド、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸からなるグループから選択されることである。

0037

一実施態様によれば、Bは、いくつかのアミノ酸の連なりを表わし、その中には特に、1つ、またはいくつかの反復配列−Val−Pro−Gly−Xaa−Gly−を含めることができる。ただしXaaは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。

0038

Bは、特に、1つ、またはいくつかの反復配列−Val−Pro−Gly−Val−Gly−を含むことができる。

0039

本発明による好ましい1つの化合物は、以下の式(III):



を持つ。ただし、
−mは、1〜200の整数であり、20〜200が好ましく;
−Rは、式(I)において上に定義した通りであり;
−A’は、1〜20個のアミノ酸を含むペプチドである。

0040

本発明は、以下の式(III’):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物にも関する。ただし、
−A’、B、n、Rは、式(III)において上に定義した通りであり;
−X1は対イオンであり、1価のアニオン性対イオンから選択されることが好ましい。

0041

本発明による別の好ましい化合物は、以下の式(IV):



を持つ。ただし、
−pは、1〜200の整数であり、5〜200が好ましく;
−Rは、式(I)において上に定義した通りであり;
−A’’は、1〜20個のアミノ酸、好ましくは1〜8個のアミノ酸を含むペプチドである。

0042

本発明は、以下の式(IV’):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含む化合物にも関する。ただし、
−A’’、p、Rは、式(IV)において上に定義した通りであり;
−X1は対イオンであり、1価のアニオン性対イオンから選択されることが好ましい。

0043

一実施態様によれば、式(I)、(I’)、(II)、(II’)、(III)、(III’)、(IV)、(IV’)において、Rは、
−(C1−C22)アルキル基;
−(C1−C22)アルキレン−フェニル基
からなるグループから選択される。

0044

Rは、(C1−C4)アルキル基またはベンジル基であることが好ましく、Rは、−CH3、−(CH2)3−CH3、−CH2−C6H5のいずれかであることがより好ましい。

0045

一実施態様によれば、式(I)、(I’)、(II)、(II’)、(III)、(III’)、(IV)、(IV’)において、Rは、基−A1−CH(OH)−A2−O−A3−A4である。ただし、
−A1は、(C1−C4)アルキレン基であり;
−A2は、(C1−C4)アルキレン基であり;
−A3は、(C1−C4)アルキレン基または−(CH2−CH2−O)i−基(iは1〜4の整数である)であり;
−A4は、(C1−C4)アルキレン基または(C2−C4)アルキン基である。

0046

A3が−(CH2−CH2−O)i−基であるとき、A3とA4の間の結合は、最後の反復単位−CH2−CH2−O−の酸素原子とA4の最初の炭素原子の間の結合に対応する。

0047

一実施態様によれば、A1とA2は−CH2−である。

0048

一実施態様によれば、A3は(C1−C4)アルキレン基であり、A4は(C2−C4)アルキン基である。より好ましいのは、A3が−CH2−であり、A4が−C≡CHであることである。

0049

一実施態様によれば、A3は−(CH2−CH2−O)i−基であり、A4は(C1−C4)アルキレン基である。A3は、−(CH2−CH2−O)2−基または−(CH2−CH2−O)3−基であることが好ましい。A3は、−CH3または−CH2−CH3であることが好ましい。

0050

本発明による好ましいR基は、



である。ただし



という記号は、式(I)の中のイオウ原子との結合を示す。

0051

本発明は、本発明の化合物を調製するためのチオエーテルアルキル化法にも関するものであり、この方法は、以下の式(V):



を持つ少なくとも1つの反復単位を含むエラスチン様ポリペプチドのチオエーテルアルキル化工程を含んでいて、このチオエーテルアルキル化工程は、アルキル化剤との反応からなる。

0052

一実施態様によれば、そのチオエーテルアルキル化工程は、式(III)の化合物R−Xとの反応からなる。ただしRは上に定義した通りであり、Xはハロゲン原子である。

0053

一実施態様によれば、そのチオエーテルアルキル化工程は、式(III−1)の化合物:



との反応からなる。ただしA2、A3、A4は、上に定義した通りである。

0054

このような実施態様は、Rが−A1−CH(OH)−A2−O−A3−A4である本発明の化合物の調製に対応する。

0055

アルキル化剤は、式(III)の化合物または式(III−1)の化合物であることが好ましい。

0056

一実施態様によれば、上記のアルキル化工程は、少なくとも1つの溶媒中で実施される。

0057

本発明による好ましい溶媒は、塩化メチレンギ酸DMSO、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)からなるグループから選択される。

0058

上記のアルキル化工程は、20℃〜50℃の温度で実施されることが好ましい。

0059

一実施態様によれば、式(I)の化合物は、周囲温度で調製される。

0060

したがって本発明は、チオエーテルアルキル化法を利用して、Xaaの位置に少なくとも1つのメチオニン残基を含むエラスチン様ポリペプチドを修飾することに関する。

0061

本発明は、チオエーテルアルキル化法を利用して、少なくとも1つのメチオニン残基を含むエラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させることにも関する。

0062

本発明で用いるELPは、上に定義した式(V)を持つ反復単位を少なくとも1つ含むことが好ましい。

0063

本発明は、エラスチン様ポリペプチドの下限臨界溶液温度を変化させるための方法にも関するものであり、この方法は、上に定義した式(V)を持つ反復単位を少なくとも1つ含むエラスチン様ポリペプチドのチオエーテルアルキル化工程を含んでいる。

0064

本発明によれば、「下限臨界溶液温度」(LCST)または「逆温度転移」(Tt)という用語は、ELPが可溶形態から不溶形態へと転移する温度を意味する。ELPは、LCSTより低温では水に完全に溶けるのに対し、LCSTより高温では不溶状態へと切り換わる。特に、ELPの水溶液を加熱することにより、このELPは水に溶けなくなる。

0065

本発明によれば、「変化させる」という用語に、「増加させる」と「減少させる」が含まれる。

0066

実際、驚くべきことに、チオエーテルアルキル化法を利用すると、ELPのLCSTを変化させることができる。

0067

現在まで、ELPのLCSTを変化させるには、ELPのポリペプチド鎖をバイオテクノロジー法によって変化させていた。これは非常に複雑で時間がかかる方法であり、分子生物学バイオプロダクション最適化工程を必要とする。言い換えると、LCSTを変化させるのにXaa残基が関与する化学的方法はこれまで用いられてこなかった。しかし本発明の修飾法は、実施が非常に容易で、しかも精密かつ選択的でもある化学的な方法である。

0068

下限臨界溶液温度を変化させる方法の一実施態様によれば、チオエーテルアルキル化工程は、エラスチン様ポリペプチドをアルキル化剤と反応させることからなる。

0069

一実施態様によれば、チオエーテルアルキル化工程は、エラスチン様ポリペプチドを式(III)の化合物R−X(Rは式(I)において上に定義した通りであり、Xはハロゲン原子である)と反応させることからなる。

0070

下限臨界溶液温度を変化させる方法の一実施態様によれば、チオエーテルアルキル化工程は、エラスチン様ポリペプチドを上に定義した式(III−1)の化合物と反応させることからなる。

0071

本発明は、本発明の修飾されたELP(例えば式(II)のELP)を薬担体として利用することにも関する。

0072

本発明は、本発明の修飾されたELP(例えば式(II)のELP)を利用して本発明の化合物と薬の間の共役体を調製することにも関する。

0073

本発明は、本発明の修飾されたELP(例えば式(II)のELP)を利用してタンパク質を精製することにも関する。

0074

本発明は、本発明の修飾されたELP(例えば式(II)のELP)を利用して汚染された媒体から重金属を除去することにも関する。

0075

材料と方法
材料
LB培地バクト−トリプトン酵母エキスは、BDBiosciences社(ル・ポン−ドゥ−クレフランス国)から購入した。アンピリシンは、Eurobio社(クルタブフ、フランス国)から取得した。グルコースポリエチレンイミン(PEI)は、Sigma−Aldrich社(リヨン、フランス国)から購入した。イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドIPTG)は、QBiogene社(イルキルシュ、フランス国)から取得した。完全ミニEDTAプロテアーゼ阻害剤は、RocheDiagnostics社(マンハイム、ドイツ国)から購入した。脱イオン水(18MΩ−cm)は、自家製の脱イオン水を、MilliporeMilli−QBiocelA10精製ユニットを通過させることによって得た。THFは、ThermoFisherScientific社(ウォルサム、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)から購入した。ヨウ化メチル臭化ベンジル、ギ酸は、Sigma−Aldrich社(セントルイス、ミズーリ州、アメリカ合衆国)から購入した。

0076

実施例1:ELP20の調製
ELP20は、上に定義した式(V)の反復単位を20個含むELPである。

0077

大腸菌において翻訳を適切に開始させるための開始メチオニンと、検出を目的としたトリプトファンと、その細菌宿主におけるELP20の最適な産生のための追加残基を提供するため、リーダーと名づけたアミノ酸13個の長さを持つ配列をELPドメインのN末端に導入した。

0078

配列ID番号1はオリゴヌクレオチド配列に対応し、配列ID番号2は、ELP20合成遺伝子タンパク質配列とポリペプチドに対応する。

0079

組み換えELP20のバイオプロダクション
1つの細菌コロニーを選択し、回転式振盪機上で200rpmにて、100μg/mlのアンピシリンを含む50mlのリッチなLB培地(1%バクト−トリプトン、0.5%NaCl、1%酵母エキス)の中で37℃にて一晩培養した。この種培養物を、グルコース(1g/l)とアンピシリン(100μg/ml)を補足した0.95lのリッチなLB培地に接種し、細菌をマルチバイオリアクターシステムの中で3つの独立な1l容プロセス制御(BIOSTAT登録商標)Qplus、SartoriusStedimBiotech社、ドイツ国)を用いて37℃で培養した。1Mリン酸と1M水酸化ナトリウムを用いてpHを7に維持した。撹拌速度(150〜600rpm)と空気流(1〜1.5l/分)を調節することにより、溶けた酸素の圧力pO2を15%超に維持した。600nmでの光学密度OD600)が1.2という値に達したとき、IPTGを添加して最終濃度を0.5mMにし、培養の温度を25℃まで低下させた。その後、サンプルを1時間ごとに回収してOD600を測定した。

0080

組み換えELP20の単離と精製
IPTGで誘導してから5時間後、培養物を4℃にて7,500gで15分間遠心分離することによって回収した。細胞ペレットを、1錠剤/10mlの完全ミニ無EDTAプロテアーゼ阻害剤を補足した10ml/g(湿潤重量)のリン酸緩衝液PBS;NaCl137mM、KCl2.7mM、Na2HPO48mM、KH2PO42mM、pH7.4)を用いて再懸濁させた。この混合物を−80℃で一晩インキュベートした後、4℃でのインキュベーションによりゆっくりと解凍した。125Wの4秒間パルスを9秒間の休止期間を挟んで合計15分間にわたって続けるという超音波処理を15℃で実施することによって細胞溶解を完了させた。次にPEIを最終濃度0.44%(v/v)で添加して細菌DNAを沈殿させた。溶けなかった残骸を4℃にて16,000gで30分間遠心分離することによって除去した。残骸を除去されたライセートに対してその後逆転移サイクリング(ITC)を3回続けて実施した。簡単に述べると、ELP20ポリペプチドを25℃でNaClを用いて沈殿させ、25℃にて16,000gで30分間遠心分離すること(「暖スピン」)によって回収した。上清に含まれる可溶性タンパク質を除去した後、ELP20含有ペレットを冷たいPBSに再懸濁させた。ペレットに含まれる、大腸菌からの熱変性した不溶性タンパク質を、4℃にて16,000gで15分間遠心分離すること(「冷スピン」)によって除去する一方で、ELP20を含む上清に対して追加のITCを実施した。各「暖スピン」の前に使用したNaClの最終濃度は、1回目、2回目、3回目のITCでそれぞれ1.5M、0.7M、0.5Mであった。次に、可溶性ELP20を、1kDaのMWCO透析管(SpectraPor7)を用いて4℃の超純水に対して徹底的に透析した後、凍結乾燥させた。ELP20の純度と平均MWは、コロダルブルーG250で染色した15%トリス−グリシンゲルを用いたSDS−PAGEによって評価した。

0081

ELP20の質量分析
ESI−Q−TOF(Q−TOFPremier、Waters社、マンチェスター、イギリス国)で質量分析を実施した。使用した溶媒はすべてHPLCグレードであった。凍結乾燥させたELP20をDMSOに再懸濁させた後、H2O/MeOH(1:1v/v)の中で希釈した。この溶液をメタノール/0.1%ギ酸水溶液(1:1v/v)の中で希釈して最終濃度を約10ピコモル/μlにし、エレクトロスプレーイオン化源流速10μl/分で注入した。質量分析器をプラスモードで操作し、アセトニトリル/0.1%ギ酸水溶液(1:1v/v)の中に標準タンパク質アポミオグロビンが1ピコモル/μlの濃度で含まれる溶液を用いて外部較正を実施した。ELP20スペクトル解析を、Waters社のソフトウエアMaxEntにより、最大エントロピーに基づく方法を利用して行なった。ELP20の平均分子量の理論値は10,381.64Daである。実験値[M+H]+=10,382.0。

0082

ELP20のNMR質量分析
位相感受性(phase−sensitive)HSQC実験を利用して2Dスペクトルを取得すると、1H−13C結合に加えてDEPTタイプの情報が得られた。この実験は、BrukerAvanceIIIHDNMRを400.3MHz(炭素に関しては100.7MHz)で作動させて298Kで実施した。使用した1JCHは145Hzであった。リサイクル遅延を2秒にして128回のスキャンを行なった。COSY実験を同じ質量分析器で298Kにて実施した。リサイクルの遅延を2秒にして256回のスキャンを記録した。DMSO信号を参照信号として使用した(δ=2.50ppm)。Topspinソフトウエアを用いてデータ処理を実施した。アミノ酸の化学シフトは文献で周知である。位相感受性HSQCでは、CHnスピンのベクトルは、何個の水素がその炭素原子に結合しているかに応じ、90°パルスの後に異なる変化をする。CHベクトルとCH3ベクトルは、CH2とは位相が逆である。われわれは、バリンのCH3が0.85〜0.90ppm(13Cに関しては18.9〜19.5ppm)であることを突き止め、それを、積分を較正するための基準として使用した。COSYスペクトルを調べた後、各アミノ酸の共鳴を求めた。ELP20の特定は、COSYとHSQCの助けを借りて実施した。

0083

実施例2:ELP20のメチオニンアルキル化
ELP20サンプルをアルキル化剤と反応させた。その目的は、このバイオ接合(bioconjunction)反応がこれらタンパク質基質に及ぼす効果を評価することと、鎖の特性(LCSTとコンホメーション)に対して得られる効果を測定することの両方であった。

0084

一般的な手続
ELP20を0.2Mのギ酸水溶液(20mg/ml)に溶かした。ハロゲン化アルキル(メチオニン残基1つにつき15当量)をTHF中の溶液(50mg/ml)として添加した。反応物密封し、ホイルで覆い、室温で5日間撹拌した。次に、(反応体積のほぼ半分に等しい)ジエチルエーテルを反応物に添加し、過剰なハロゲン化アルキルを抽出した。この二相反応物を軽くボルテックスした後、放置して有機相水相に分離させた。エーテル層ピペットで回収して廃棄した。次にこの反応混合物を2,000MWCO透析管に移し、0.1MNaClに対して24時間透析してすべての対イオンを塩化物交換した後、超純水に対し、水を頻繁に交換しながら48時間透析した。生成物を凍結乾燥させて乾燥状態にすると、白色の粉末が約85%の収率で得られた。

0085

ELP20の化学選択的メチオニンアルキル化反応

0086

ヨウ化メチルを用いてELP20のメチオニン残基を最初にメチル化し、チオエーテル基から正に帯電したスルホニウムへの変化がLCSTに及ぼす効果を測定した。メチオニン1つにつき15当量のMeIを用いてメチル化を定量し、反応を酸性条件(水中の0.2Mギ酸)下で実施して、メチオニンの位置での反応を促進させた。過剰なヨウ化メチルは、ジエチルエーテルを用いた液体−液体抽出によって容易に除去された。合成ポリペプチドに含まれるメチオニン残基のアルキル化は、アルキル化剤が化学量論的量に近いと迅速に進行するが、ELP20は反応がより遅いことが見いだされたため、過剰なアルキル化剤を用いてすべてのメチオニン残基を完全に修飾した。

0087

ELP20(Me)とELP20(Bn)の合成と特徴づけ
上に記載した一般的な手続きを利用し、ELP20(Me)とELP20(Bn)を、10.3mgのELP20と、ヨウ化メチルまたは臭化ベンジルからそれぞれ調製した。

0088

1HNMRによってELP20(Me)とELP20(Bn)の特徴を明らかにした。1HNMRスペクトルをBruker社の質量分析器で500MHzにて周囲温度で記録し、4.78ppmの位置にあるD2O溶媒信号に対して較正した。積分値を、0.9ppmの位置にあるバリンのメチルの6個のプロトンに対して較正した。

0089

上に記載したのと同様にして、15当量の臭化ベンジルを用い、よりかさばるベンジル基をELP20の各メチオニン側鎖の位置に導入した。Et2Oで抽出した後、ELP20(Bn)を過剰なBnBrから分離し、透析と凍結乾燥を実施した。ベンジル化の程度をやはり1HNMR分析を利用して評価した。上記のようにしてバリンのメチル基に対して積分を較正すると、δ=7.47ppmと7.54ppmの位置に共鳴が出現することが観察され、それを積分すると5個のプロトンになったため、それらの共鳴はスルホニウムのフェニル基であると特定した。δ=4.66ppmの位置の共鳴を積分すると2個のプロトンになったため、その共鳴はベンジル基のメチレンであると特定した。メチオニンのメチル基の共鳴は、ELP20でのδ=2.09ppmから、ELP20(Bn)でのδ=2.81ppmへとシフトした。

0090

ELP20(Bu)の合成と特徴づけ



Rは−(CH2)3−CH3(Bu)である。

0091

ブチルトリフラート(CH3−(CH2)3−OTf;BuOTf)の合成:
ピリジン(1.06当量)を不活性雰囲気(N2)下で無水ジクロロメタン(DCM、15ml)に添加し、この溶液を、メタノール/液体窒素浴(−20℃)を用いて2分間冷却した。無水トリフルオロ酢酸(1.01当量)を一滴ずつ添加し、この混合物を5分間撹拌した。ブタノール(1当量)を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を−20℃で数分間撹拌し、次いで冷浴から取り出し、放置してゆっくりと室温に戻した。この反応混合物を同体積のヘキサンで希釈し、DCM/ヘキサン溶媒系(50:50)を用いて50mlのシリカプラグ押しつけて通過させた。生成物の分画を回収し、室温にて減圧下で蒸発させると、無色の液体が得られた。

0092

ELP20(Bu)の合成
A−[VPGMG]20を無水DCM(10mg/ml)に懸濁させると白っぽい分散液が得られた。BuOTf(メチオニン残基1つにつき15当量)を添加し、この反応混合物を室温にて不活性雰囲気(N2)下で48時間撹拌した。この反応混合物をエーテル中で沈殿させ、過剰なブチルトリフラートを除去し、真空下で室温にて蒸発させると生成物が白色の固形物として得られた。この粉末を水とアセトニトリルの混合物(1:1)に分散させた後、2,000MWCO透析管に移し、0.1MNaClに対して24時間透析し、脱イオン水に対し、水を頻繁に交換しながら48時間透析した。次のこの溶液を凍結乾燥させると、ELP20(Bu)が白色の固形物として得られた。ELP20(Bu)であることは、1HNMR(300MHz、D2O、25℃)によって同定された(主ピーク、1つの(VPGMG)反復単位):δ3.45〜3.29(brm,4H,SCH2)、2.92(brs,3H,SCH3)、1.87〜1.77(brm,2H,CH2Bu鎖)、1.54〜1.47(brm,2H,CH2Bu鎖)、1.04〜0.92(brm,9H,CH3Val+CH3Bu鎖)。

0093

実施例3:アルキル化された他のELPの調製
以下に示す修飾されたELP(化合物4〜8)を調製して特徴を明らかにした。

0094

0095

0096

0097

実験の手続き
エポキシドaの合成

0098

の上でジエチレングリコールモノエチルエーテル(1当量)と水(1ml)を混合して撹拌した後、NaOH(2.95当量)と0.4M水酸化テトラブチルアンモニウム(水溶液)(0.05当量)を添加した。この混合物を0℃に戻し、エピクロロヒドリン(2.95当量)を何回かに分けて3分間かけて添加した。この混合物を室温で16時間撹拌した。H2O(15ml)を添加し、この混合物をEtOAc(4×30ml)で抽出した。まとめた抽出液ブライン(30ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。この抽出液を減圧下で濃縮した。残留物を真空下で蒸留すると、aが無色の液体として得られた。沸点は110〜117℃(0.1mmHg)である。

0099

1HNMR(300MHz,CDCl3,25℃):δ3.85〜3.40(brm,12H,CH2O(CH2CH2O)2CH2)、3.22〜3.17(brm,1H,CHb)、2.84〜2.81(t,1H,CHa)、2.66〜2.63(m,1H,CHa’)、1.27〜1.22(t,3H,CH3)。

0100

エポキシドbの合成

0101

氷の上でトリエチレングリコールモノメチルエーテル(1当量)と水(1ml)を混合して撹拌した後、NaOH(2.95当量)と0.4M水酸化テトラブチルアンモニウム(水溶液)(0.05当量)を添加した。この混合物を0℃に戻し、エピクロロヒドリン(2.95当量)を何回かに分けて3分間かけて添加した。この混合物を室温で16時間撹拌した。H2O(15ml)を添加し、この混合物をEtOAc(4×30ml)で抽出した。まとめた抽出液をブライン(30ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。この抽出液を減圧下で濃縮した。残留物を真空下で蒸留すると、bが無色の液体として得られた。沸点は110〜117℃(0.1mmHg)である。

0102

1HNMR(300MHz,CDCl3,25℃):δ3.80〜3.44(brm,14H,CH2O(CH2CH2O)3)、3.37(s,3H,OCH3)、3.15(m,1H,CHb)、2.79(dd,J=6.6,5.6Hz,1H,CHa)、2.61(dd,J=6.7,3.6Hz,1H,CHa’)。

0103

エポキシドc

0104

エポキシドcは、SigmaAldrich社から購入した。
4、5、6、7、8の合成の一般的な手続き
A−[(VPGVG)(VPGMG)(VPGVG)2]n(n=5または10)を不活性雰囲気(N2)下で氷酢酸(26mg/ml)に溶かした。エポキシドa(化合物4)、エポキシドb(化合物5と7)、エポキシドc(化合物6と8)のいずれかを添加し(メチオニン残基1つにつき15当量)、この混合物を室温で3日間撹拌した。この反応混合物を1,000MWCO透析管に移し、0.1MNaClに対して24時間透析し、次いで脱イオン水に対し、水を頻繁に交換しながら48時間透析した。次に、透析バッグの内容物を凍結乾燥させると、アルキル化されたELPが白色の固形物として得られた。

0105

化合物5:1HNMR(300MHz,D2O,25℃)(主ピーク):δ3.40(s,18H,OCH3)、3.04〜3.01(dd,18H,SCH3)、1.00〜0.75(brm,210H,CH3Val)。

0106

MS−ESI:MWの理論値=10012;実験値(M+H)7+m/z=1430.56

0107

化合物7:1HNMR(300MHz,D2O,25℃)(主ピーク):δ3.38(s,33H,OCH3)、3.01〜2.98(dd,33H,SCH3)、1.03〜0.79(brm,420H,CH3Val)。

0108

化合物8:1HNMR(300MHz,D2O,25℃):(主ピーク):δ3.03〜3.00(dd,33H,SCH3)、1.01〜0.93(brm,420H,CH3Val)。

0109

MS−ESI:MWの理論値=18278、実験値(M)11+m/z=1661.72

0110

実施例4:転移温度の測定
PBS中の3通りの濃度(50、100、200μM)のELP20、ELP20(Me)、ELP20(Bn)に関し、スキャン速度を1℃/分にして20℃と80℃の間で濁度を350nmで測定することによって転移温度(LCST)を求めた。Varian社(パロ・アルト、カリフォルニア州)からのマルチセル熱電温度制御装置を取り付けたCary100BioUV−可視光分光測光器でデータを回収した。Ttは、濁度を温度に対してプロットした曲線一次微分最大値に対応する温度として定義される。

0111

ELP骨格のメチル化とベンジル化がLCSTに対して及ぼす効果を調べるため、異なる濃度のリン酸緩衝液の中で濁度アッセイを実施した。

0112

ELP20のLCSTは、濃度(50〜200μM)に応じて27℃〜33℃の範囲であった。メチル化後、得られたELP20(Me)は、調べた温度範囲ではLCSTを示さなかった。実際、このLCSTは高すぎて測定できない。それは、スルホニウムの正電荷が存在していることによりポリペプチド全体の親水性が増大することに起因する可能性が大きい。ベンジル化により、LCSTの挙動を保持したポリペプチドが得られたが、LCSTはより大きな値へとシフトした。これは、ベンジル基の疎水性が、正電荷の親水性効果を一部相殺するほど十分に大きいことを示している。ELP20がアルキル化されると二次構造も変化するかどうかを調べるため、どのLCSTよりも低い20℃で、ELP20、ELP20(Me)、ELP20(Bn)の円二色性(CD)スペクトルをPBSの中で測定した。

0113

これらポリペプチドで通常観察されるように、ELP20は、約197nmと約225nmに位置する2つの最小値をそれぞれ特徴とするランダムコイル構造とタイプIIのβターン二次構造の両方を示した。アルキル化(メチル化とベンジル化)によってランダムコイル構造が全体的に増加し、タイプIIのβターンが減少したため、ELPの親水性が増大して秩序が低下したことが確認される。

0114

実施例5:アルキル化された他のELPの調製
修飾されたELPの化学構造

0115

0116

一般的な合成手続き:
手続きA
MW−[(VPGVG)(VPGMG)(VPGVG)2]5(ELP−M−20)を氷酢酸(20mg/ml)に溶かし、この溶液にN2を1時間吹き込み、次いでN2下で撹拌することによって脱ガスした。このエポキシド(メチオニン残基1つにつき10当量)を添加し、この混合物をN2下で室温にて48時間撹拌した。この反応混合物を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、40mlのDI水で精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、修飾されたELPが白色の固形物として得られた。

0117

手続きB

0118

MW−[(VPGVG)(VPGMG)(VPGVG)2]10(ELP−M−40)をAcOH/HFIP混合物(9/1、v/v)(20mg/ml)に溶かし、この溶液にN2を1時間吹き込み、次いでN2下で撹拌することによって脱ガスした。このエポキシド(メチオニン残基1つにつき10当量)を添加し、この混合物をN2下で室温にて48時間撹拌した。この反応混合物を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、40mlのDI水で精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、修飾されたELPが白色の固形物として得られた。

0119

実施例6:「クリック化学」によるアルキン担持ELPとアジド機能化糖のバイオ接合
この実施例は、以下の反復単位(「クリックされた」メチオニン残基)を有するELPの調製に関する。

0120

0121

アルキン担持メチオニン残基の化学構造

0122

0123

一般的な合成手続き:
手続きA
アルキン担持ELP−M−nを水に溶かし(5mg/ml)、望むアジド糖(1.5当量/アルキン)を添加した。この溶液にN2を2時間吹き込み、次いでN2下で撹拌することによって脱ガスした。それとは別に、アスコルビン酸ナトリウム(0.65当量/アルキン)をCu(II)SO4(0.13当量/アルキン)とペンタメチルジエチレントリアミン(0.13当量/アルキン)の脱ガス溶液に添加することによってCu(I)の溶液を調製した。このCu(I)溶液を注射器で反応混合物に移した。この反応物を室温で72時間撹拌した。この溶液を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、EDTA溶液を用いて精製した後、40mlのDI水を用いて精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、グリコシル化されたELPが白色の固形物として得られた。

0124

手続きB

0125

アルキン担持ELP−M−40を以前に真空中で脱ガスした水に溶かし(5mg/ml)、α−D−マンノピラノシルアジド(1.5当量/アルキン)を添加し、この混合物をN2下で撹拌した。それとは別に、アスコルビン酸ナトリウム(0.65当量/アルキン)をCu(II)SO4(0.13当量/アルキン)とペンタメチルジエチレントリアミン(0.13当量/アルキン)の脱ガス溶液に添加することによってCu(I)の溶液を調製した。この溶液は濃い青色になった。このCu(I)溶液を注射器で反応混合物に移した。この反応物を室温で72時間撹拌した。この溶液を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、EDTA溶液を用いて精製した後、40mlのDI水を用いて精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、グリコシル化されたELPが白色の固形物として得られた。

0126

実施例7:対イオンの交換と転移温度(Tt)のチューニング
ELPの化学構造:

0127

0128

イオン交換のための一般的な合成手続き

0129

MW−[(VPGVG)(VPGMG)(VPGVG)2]10(ELP−M−40)を0.2Mギ酸水溶液に溶かした(20mg/ml)。ヨードメタン(メチオニン1つにつき15当量)を溶液としてTHFに添加した(50mg/ml)。この反応物を密封し、ホイルで覆い、室温で4日間撹拌した。(反応物の体積のほぼ半分に等しい)ジエチルエーテルをこの反応物に添加して過剰なハロゲン化アルキルを抽出した。この二相反応物を軽くボルテックスした後、相が分離するまで放置した。エーテル層をピペットで回収して廃棄した。次にこの反応混合物を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、40mlのDI水を用いて精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、修飾されたELPが白色の固形物として得られた。

0130

以前に合成したメチル化されたELP−M−40を水に懸濁させ、望む塩(NaXまたはLiX、スルホニウム1つにつき5当量)の溶液に一滴ずつ添加した。この混合物を室温で、または大半の疎水性対イオンに関しては10℃で、一晩撹拌した。この溶液を3,000MWCO超遠心分離フィルタ管に移し、DI水で2回精製して過剰な塩を除去した。次にカートリッジの内容物を塩(スルホニウム1つにつき5当量)の新たな溶液に一滴ずつ添加して一晩撹拌した。3,000MWCO超遠心分離フィルタ管を用い、この溶液を40mlのDI水で精製した。その後、カートリッジの内容物を凍結乾燥させると、修飾されたELPが白色の固形物として得られた。

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