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技術 神経疾患を治療する方法

出願人 ユーシービーバイオファルマエスピーアールエル
発明者 ゴダール、パトリスマリーシャルルカミンスキー、ラファルマリアンルクレルク、カリーヌジョゼジャンヌファンエイル、ジョナサンマリーエム
出願日 2016年5月25日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-561376
公開日 2018年8月16日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2018-522826
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 修正特性 事前コーティング 主観的感覚 内側側 歩行分析 選択的反応性 脳波記録法 点頭てんかん
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重要な関連分野

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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、神経疾患治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性阻害剤、ならびに神経疾患の新規治療方法に関する。

概要

背景

神経炎症応答に関連する多種多様神経疾患が存在し、最も重要なものは、例えば、一般にアルツハイマー病筋萎縮性側索硬化症ALS)、自閉症クロイツフェルトヤコブ病髄膜炎多発性硬化症パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳傷害またはてんかんてんかん発作および発作障害および痙攣である。

世界保健機関(WHO)および国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかんを、神経脳細胞における過剰かつ無秩序放電によって引き起こされる発作現象からなる慢性再発性反復性神経障害として定義している。その発生率には、小児期および青年期ピークと2つ目の60以上のより顕著なピークの2つのピークがある。国際てんかん協会(IBE)によると、世界中で約5千万の人々がてんかんに罹患しており、その20〜30%が1か月当たり2回以上の発作を患っている(Forsgrenら、Eur J Neurol 2005;12:245〜53)。

全世界の年間の新規てんかん症例の数は、10万人当たり24〜53症例に及ぶ。欧州では、様々な国および年に実施された有病率調査から、90万人の小児および青年、190万人の20歳〜64歳の成人、および60万人の65歳以上の高齢者がてんかんに罹患していると計算された(Forsgrenら、Eur J Neurol 2005;12:245〜53)。

てんかんは、発作を特徴とする多様な一連の慢性神経障害を含むと考えられている。これらの発作は再発性および非刺激誘発性であり得る、または将来の発作の機会を増加させる脳の変化と合わせて単一発作を構成し得る。てんかん発作は、典型的には、脳における異常な、過剰なまたは過同期性(hypersynchronous)の神経活動に起因する。

てんかんは、世界人口において約1%の有病率を有する最も一般的な神経疾患の1つである。国際抗てんかん連盟によって提供される最も最近の定義によると、「てんかん発作は脳における異常な過剰のまたは同期性の神経活動による徴候および/または症状の一過的発生であり」、「てんかんはてんかん発作をもたらす永続する素因ならびにこの状態の神経生物学的、認識、心理学的および社会的結果を特徴とする脳の障害である」(Fisherら、2014)。

てんかんの原因に関する知識は、全ゲノムシーケンシング技術の出現およびヒトゲノムの理解の増大から急速に進化している。さらに、分子細胞生物学および遺伝学における新しい概念および技術が、てんかん病態生理学の理解に革命をもたらした。神経画像処理技術が現在、発作の発生およびてんかんの進行に関与する脳回路および構造の前例のない理解を可能にしている。最後に、脳波記録法EEG)またはインビトロ電気生理学などの神経生理学的技術が、てんかんにおける神経回路網役割についてのさらなる情報を提供する。

異なるタイプの発作およびてんかん病因、例えば全般発作部分発作および原因不明の発作が存在する。部分発作は、一方の半球大脳皮質の特定の領域を含む)に限定されたネットワーク内のある点から発生するものとして概念化される一方、全般発作は、両側に分布するネットワーク(大脳皮質全体を含む)内のおよびこれらのネットワークを急速に結合するある点から発生するものとして概念化される(BergおよびScheffer、2011)。Bergら、2010によって出版されている国際抗てんかん連盟(ILAE)による発作の現在の分類は、a)特に強直間代(任意の組み合わせ)、欠伸(定型非定型、特別な特徴を有する欠伸、ミオクローヌス欠神眼瞼ミオクロニー)、ミオクローヌス(ミオクローヌス、ミオクローヌス脱力、ミオクローヌス強直、間代、強直、脱力)を意味する全般発作、b)意識または認識の障害を伴うおよび伴わない部分発作、ならびにc)原因不明の発作(点頭てんかん)を含む。

意識または認識の障害を伴わない部分発作は、i)観察可能運動または自律神経性構成要素を有する。これは、大まかに「単純部分発作」の概念に相当し、それによると「焦点運動」および「自律神経性」は、発作症状に応じてこの概念を適切に伝えることができる用語である。または、ii)主観的感覚または精神的現象のみを伴うことに相当する。これは「アウラ」の概念に相当する。

意識または認識の障害を伴う部分発作は大まかに複雑部分発作の概念に相当し、両側性痙攣発作強直性間代性または強直間代性構成要素を含む)に発展している。この表現は、「続発性全般発作」という用語に取って代わる

また、主要な病因が現今ではよりよく定義されている:1)遺伝的原因:発作が障害の核心症状である既知または推定上の遺伝的欠陥複数可)の直接的結果;2)構造的/代謝的原因:てんかんを発症するリスクの実質的な増加に関連することが証明されている明確な構造的または代謝的な状態または疾患;3)未知の原因、根本原因性質を決定することができない場合(BergおよびScheffer、2011)。

さらに、てんかんにつながる過程、すなわちてんかん発作に関する新規な概念が現在導入されており、この分野におけるさらなる研究努力推進している。てんかん発作は、(1)てんかん状態の発症および/または(2)状態が確立された後の進行をもたらす自発的発作を生じさせることができる組織発達および伸長を指す(Pitkanenら(2013))。疾患または症候群修正には、抗てんかん発作および併存症修正の2つの要素がある。

抗てんかん発作は、予防、発作修正および治癒を含む、てんかん発作の効果に対抗する過程である。予防に関して、完全な予防はてんかんの発症を中止する。部分的な予防は、てんかんの発症を遅らせる、またはその重症度を軽減することができる。例えば、発作は起こるが、頻度が少ない、短期である、または軽度の発作型(発作修正)であり得る。抗てんかん発作はまた、既に確立された後のてんかんの進行を予防または軽減することもできる。

併存症修正は、不安、うつ病、身体−運動障害または認知低下などのてんかん関連合併症の症状の発達または進行を緩和または逆転させる治療を意味する。

治癒的治療は、治療を止めた後に発作が起こらないようなてんかんの完全かつ永続的な反転として定義される(Pitkanenら、2013)。

てんかん発症の前または後に疾患修正剤投与することができる場合の、てんかんにおける疾患修正を目的とする新規な治療アプローチが提案されている。このような治療をてんかん発症前に行う場合、てんかん発症を予防または遅延させることができる可能性がある。このような治療をてんかん診断後に行う場合、発作重症度を軽減する、てんかんの進行を予防もしくは軽減する、または発作を薬剤耐性から薬剤感受性に変えることができる可能性がある。

上記の治療概念は、神経興奮機序を標的とし、それによって抗発作効果のみを提供する抗てんかん薬(AED)を含むてんかんにおける現在の標準治療とは根本的に異なる。これらの薬物は、てんかんの根本的な原因または病態生理学に対処しておらず、てんかん患者の30〜40%は、市場入手可能な20種超のAEDという印象的な医療手段(armamentarium)にもかかわらず、この疾患に関連する制御不能な発作および併存症に苦しんでいる。

このため、神経疾患修正特性を有するより有効な薬物を提供するための重要な非充足医学的要求がある。

炎症は、ヒトてんかんおよびてんかん発作の病態生理学において指標的役割を有すると認識される。特に、ミクログリア細胞活性化は、ヒト側頭葉てんかんTLE)、TLEの実験モデルおよびてんかん発作において観察される主要な炎症促進性経路誘導に関連する。これは主に、TLEの患者と齧歯動物モデルの両方から得られた脳組織に対して行われた一定範囲の試験によって示唆されており、いくつかのケモカインおよび炎症促進性サイトカインを含む免疫/炎症経路に関連する遺伝子の強力な上方制御を示している。慢性的に活性化されたミクログリア細胞が、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFa、IL1b)を放出し、次いで、これが神経興奮性を高め、発作を誘因するよう作用すると仮定される。これは、実験モデルで発作活動を悪化させることができるIL1bについて最もよく記載されており、IL1b産生の遺伝子ノックダウンまたは阻害は、抗痙攣効果を有し、実験モデルで疾患の経過を修正し得る。

しかしながら、ミクログリア活性を制御する現在利用可能な有効な薬物標的はむしろ希少であり、既存の治療アプローチは主に新規化学成分(NCE)に焦点を当てている。例えば、小分子化合物PLX3397)を使用してコロニー刺激因子受容体CSF−1R)を阻害した研究を公開したElmoreら、2014は、この受容体がミクログリア機能および生存能の重要な調節因子であることを確認するデータを提供した。

コロニー刺激因子1(CSF−1)および構造的に類似しているが配列の関連性がない分子インターロイキン34(IL−34)は、マクロファージおよびミクログリアによってもっぱら発現されるCSF1Rの2つの内因性リガンドである。マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)としても知られるコロニー刺激因子1(CSF−1)は、種々の細胞によって産生されるサイトカインである。CSF−1は、生物学的に活性な二量体CSF−1タンパク質を形成する2つの「単量体ポリペプチドで構成される。代替RNAスプライシングタンパク質前駆体タンパク質分解プロセシングならびにグリコシル化およびプロテオグリカンの付加を含む翻訳後修飾により、CSF−1は少なくとも3つの成熟形態で存在する(CerrettiDPら、1988、Mol Immunol、25(8)761;Pixley FJおよびStanleyER、2004、Trendsin Cell Biology、14(11)628〜38;Douglass,TGら、2008、Int Immunopharmacol、8、1354〜76参照)。種々の形態のCSF−1タンパク質は、2つの分泌分子を含み、一方はグリコシル化され、他方はより長いアミノ末端配列およびプロテオグリカン修飾を含む。別の変種は、グリコシル化されているがプロテオグリカン部分を有さない膜貫通(TM)分子である。この膜形態は、タンパク質分解的切断を介して脱落されて、活性な可溶性分子を放出することができる。全ての形態は、アミノ末端に32アミノ酸シグナル配列カルボキシル末端に近い約23アミノ酸の推定膜貫通領域および短い細胞質COOH−末端尾部を有する前駆体ポリペプチドとして産生される。その後、前駆体ペプチドはアミノ末端およびカルボキシル末端タンパク質分解切断によって処理され、同一で受容体結合ドメインを構成する残基1〜149を有するCSF−1の成熟形態を生成することができる。インビボでは、CSF−1モノマーがグリコシル化され、ジスルフィド結合を介して二量体化される。CSF−1は、血液細胞の産生を促進する生物学的アゴニストグループに属する。具体的には、これは単核食細胞系統の骨髄前駆細胞の増殖、分化および生存因子として作用する。さらに、CSF−1は、応答細胞上の特異的受容体を介してマクロファージの生存、増殖および機能を刺激する。他の実験により、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)が、難治性TLE患者からの生検後に培養された成人ヒトミクログリアの表現型を変化させることが示された(Smithら、2013)。他の最近のデータは、CSF−1R遺伝子の突然変異が、発作およびてんかんに関連する遺伝性びまん性白質脳症を引き起こすことを示している(Rademakersら、2011;Guerreiroら、2013)。

CSF−1受容体(CSF−1R)は、c−fms遺伝子産物またはCD115とも呼ばれる。CSF−1Rは、III型受容体チロシンキナーゼファミリーに属する165kDaの1型TM糖タンパク質である。さらに、CSF−1受容体は、ミクログリアを含む単核食細胞の増殖、分化および生存の調節を担う。CSF−1Rを欠くマウスは、末梢組織におけるマクロファージの数の減少を示す。重要なことに、CSF−1R欠損マウスはまた脳におけるミクログリアを欠いており、これは致命的な表現型に関連する。実際、ミクログリアは、正常な条件下でCSF−1Rを発現する脳内の唯一の細胞であるが、低レベルのCSF−1Rが培養ニューロンで観察されている。リガンドCSF−1とCSF−1Rの結合は、チロシンキナーゼドメインの作用を通して、1個または複数のチロシン残基上の受容体のリン酸化をもたらす。リン酸化後にのみ受容体に結合する抗体(例えば、Cell Signaling TechnologyのPhospho−M−CSF受容体(Tyr546)抗体#3083)が入手可能であるために、このリン酸化を検出することができる。

CSF−1Rに対する抗体は当技術分野で公知である。Sherr,C.J.ら、Blood 73(1989)1786〜1793には、CSF−1活性を阻害するCSF−1Rに対する抗体が記載されている(Sherr,C.J.ら、Blood 73(1989)1786〜1793)。国際公開第09/026303号パンフレットは、ヒトCSF−1Rに結合する抗CSF−1R抗体および抗マウスCSF−1R抗体を用いたインビボマウス腫瘍モデルを開示している。国際公開第11/123381号パンフレットは、CSF−1Rを内部移行し、ADCC活性を有する抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/123381号パンフレットは、抗マウスCSF−1R抗体を用いたインビボマウス腫瘍モデルを開示している。国際公開第11/140249号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を遮断する抗CSF−1R抗体を開示しており、これはがんの治療に有用であると述べられている。国際公開第09/112245号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、がん、炎症性腸疾患および関節リウマチの治療に有用であると述べられている抗CSF−1RIgG1抗体を開示している。国際公開第11/131407号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、骨量減少およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/107553号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、骨量減少およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/070024号パンフレットは、ヒトCSF−1R断片delD4に結合する抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第15/028455号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、線維症およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。

しかしながら、例えば、抗体などの大きな生体分子血液脳関門(BBB)透過性に関連する深刻な制限および懸念が依然として存在する。今のところ、大きな分子または抗体によって脳の炎症を調節することは成功していない。むしろ、IgG1抗体に融合した臨床的に使用される組換えTNF受容体であるエタネルセプトは、血液脳関門(BBB)を通過せず、齧歯動物において全身投与後に脳におけるTNF−αによって駆動される炎症に影響しないことが示されている(Zhouら、2011)。臨床における典型的な投与経路である全身注射抗体の中枢媒介性の治療効果の可能性については、依然として重大な疑義が存在する。これは、CSF1Rが脳毛細血管内皮細胞においても発現され、その天然リガンドであるIL−34によるこの受容体の活性化がBBBの完全性回復し、その透過性を制限することが示されているため、抗CSF1R抗体にとって特に問題である(Jinら、2014)。

概要

本発明は、神経疾患の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤、ならびに神経疾患の新規な治療方法に関する。

目的

最後に、脳波記録法(EEG)またはインビトロ電気生理学などの神経生理学的技術が、てんかんにおける神経回路網の役割についてのさらなる情報を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

神経疾患治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性阻害剤

請求項2

前記阻害剤は核酸である、請求項1に記載の阻害剤。

請求項3

前記阻害剤は、抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体である、請求項1に記載の阻害剤。

請求項4

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、モノクローナルまたはポリクローナルである、請求項3に記載の阻害剤。

請求項5

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、キメラヒト化またはヒトである、請求項3または4に記載の阻害剤。

請求項6

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、二重特異性または多重特異性である、請求項3から5のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項7

前記抗体が、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子、またはFab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(VHまたはVLまたはVHH)、scFv、二価三価もしくは四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディトリアディテトラボディまたは上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む群から選択されるその断片を含む群から選択される、請求項3から6のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項8

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、1個または複数のエフェクター分子コンジュゲートしている、請求項3から7のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項9

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、CSF−1Rに結合する、請求項3から8のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項10

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、神経疾患に罹患している患者の治療および/または予防に十分な治療上有効量、血液脳関門(BBB)を横切って脳内に到達する、請求項3から9のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項11

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項3から10のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項12

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、前記軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項3から11のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項13

重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、前記軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項3から12のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項14

前記重鎖が配列番号9に示される配列を含む、請求項3から13のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項15

前記軽鎖が配列番号7に示される配列を含む、請求項3から13のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項16

配列番号9に示される配列を含む重鎖および配列番号7に示される配列を含む軽鎖を有する、請求項3から13のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項17

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、10pM以下のヒトCSF−1Rに対する結合親和性[KD]を有する、請求項3から16のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項18

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、100pM以下の親和性[KD]で請求項13に記載の抗体の結合を交差遮断する、請求項3から17のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項19

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、遮断する抗体と同じエピトープに結合することによって前記結合を交差遮断する、請求項3から18のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項20

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、配列番号15のヒトc−fmsの細胞外ドメインへの結合について請求項13に記載の抗体またはその断片もしくは誘導体と競合する、請求項3から19のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項21

請求項13に記載の阻害剤としてヒトCSF−1Rの前記エピトープに結合する、請求項3から20のいずれか一項に記載の阻害剤。

請求項22

請求項1から21のいずれか一項に記載の抗体の重鎖および/または軽鎖(複数可)をコードする単離されたDNA配列である、請求項2に記載の阻害剤。

請求項23

神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するためのCSF−1R活性の阻害剤の使用。

請求項24

前記阻害剤が核酸である、請求項23に記載の阻害剤の使用。

請求項25

前記阻害剤が抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体である、請求項23に記載の阻害剤の使用。

請求項26

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、モノクローナルまたはポリクローナルである、請求項25に記載の阻害剤の使用。

請求項27

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、キメラ、ヒト化またはヒトである、請求項25または26に記載の阻害剤の使用。

請求項28

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、二重特異性または多重特異性である、請求項25から27のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項29

前記抗体が、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子、またはFab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(VHまたはVLまたはVHH)、scFv、二価、三価もしくは四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディまたは上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む群から選択されるその断片を含む群から選択される、請求項25から28のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項30

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が、1個または複数のエフェクター分子にコンジュゲートしている、請求項25から29のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項31

前記抗体またはその断片もしくは誘導体がCSF−1Rに結合する、請求項25から30のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項32

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が神経疾患に罹患している患者の治療および/または予防に十分な治療上有効量、血液脳関門(BBB)を横切って脳内に到達する、請求項25から31のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項33

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項25から32のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項34

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、前記軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項25から33のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項35

重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、前記軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項25から34のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項36

前記重鎖が配列番号9に示される配列を含む、請求項25から35のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項37

前記軽鎖が配列番号7に示される配列を含む、請求項25から35のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項38

配列番号9に示される配列を含む重鎖および配列番号7に示される配列を含む軽鎖を有する、請求項35から37のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項39

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が10pM以下のヒトCSF−1Rに対する結合親和性[KD]を有する、請求項25から38のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項40

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が100pM以下の親和性[KD]で請求項13に記載の抗体の結合を交差遮断する、請求項25から39のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項41

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が遮断する抗体と同じエピトープに結合することによって前記結合を交差遮断する、請求項25から40のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項42

前記抗体またはその断片もしくは誘導体が配列番号15のヒトc−fmsの細胞外ドメインへの結合について請求項35に記載の抗体またはその断片もしくは誘導体と競合する、請求項25から41のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項43

請求項35に記載の阻害剤としてヒトCSF−1Rの前記エピトープに結合する、請求項25から42のいずれか一項に記載の阻害剤の使用。

請求項44

請求項35から43のいずれか一項に記載の抗体の重鎖および/または軽鎖(複数可)をコードする単離されたDNA配列である、請求項24に記載の阻害剤の使用。

請求項45

薬学的に許容される賦形剤希釈剤または担体の1つまたは複数と組み合わせて、請求項1から22のいずれか一項に記載の阻害剤を含む医薬組成物

請求項46

他の有効成分をさらに含む、請求項45に記載の医薬組成物。

請求項47

神経疾患に罹患しているまたは神経疾患のリスクがあるヒト対象を治療および/または予防する方法であって、治療上有効量のCSF−1R活性の阻害剤を前記対象に投与するステップを含む方法。

請求項48

治療上有効量の請求項1から22のいずれか一項に記載の阻害剤または請求項45もしくは46に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記CSF−1R活性の阻害剤が1種または複数の他の治療的に活性な化合物と組み合わせて投与される、請求項47または48に記載の方法。

請求項50

前記他の治療的に活性な化合物が別の抗てんかん治療剤である、請求項49に記載の方法。

請求項51

前記神経疾患がアルツハイマー病筋萎縮性側索硬化症ALS)、アンジェルマ症候群注意欠陥多動障害自閉スペクトラム症、双極性障害脳損傷、脳傷害脳腫瘍中枢痛症候群、大脳萎縮症慢性炎症脱髄性多発ニューロパチーCIDP)、慢性疼痛、複雑な局所疼痛症候群、クロイツフェルトヤコブ病認知症ダウン症候群ドラベ症候群、脳炎本態性振戦フリードライヒ運動失調症脆弱X症候群脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS)、頭部傷害頭痛帯状疱疹ハンチントン病低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎点頭てんかん頭蓋内圧亢進ラフォラ病ランドウ・クレフナー症候群、レノクスガストー症候群、白質ジストロフィー、白質消滅を伴う白質脳症レビー小体病、脳回欠損ライム病神経性続発症巨脳症髄膜炎小頭症偏頭痛小発作一過性虚血発作)、運動ニューロン疾患−筋萎縮性側索硬化症参照、多発脳梗塞性認知症、多発性硬化症乳児ミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、AIDSの神経症状ループスの神経性続発症、神経セロイドリポフスチン症ニューロパチーニーマンピック病、大田原症候群、パーキンソン病経産婦新生物障害原発性側索硬化症プリオン病進行性多巣性白質脳症進行性核上性麻痺ラスムッセン脳炎、下肢静止不能症候群、レット症候群、全身硬直症候群、脳卒中、一過性虚血発作、外傷性脳傷害、振戦、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、鉤状回てんかんウエスト症候群、ウィルソン病からなる群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、請求項23から44のいずれか一項に記載の使用、請求項45もしくは46に記載の医薬組成物または請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。

請求項52

前記神経疾患がアンジェルマン症候群、注意欠陥多動障害、自閉スペクトラム症、脳傷害、脳腫瘍、クロイツフェルト・ヤコブ病、ダウン症候群、ドラベ症候群、脳炎、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS)、頭部傷害、帯状疱疹、低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎、点頭てんかん、ラフォラ病、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、白質ジストロフィー、白質消滅を伴う白質脳症、脳回欠損、ライム病−神経性続発症、髄膜炎、多発性硬化症、乳児のミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、ループスの神経性続発症、大田原症候群、プリオン病、ラスムッセン脳炎、レット症候群、外傷性脳傷害、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、鉤状回てんかんまたはウエスト症候群を含む群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、請求項23から44のいずれか一項に記載の使用、請求項45もしくは46に記載の医薬組成物または請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。

請求項53

前記神経疾患がてんかん(epilepsy)、てんかん発作(epileptogenesis)、発作(seizures)および痙攣(convulsions)を含む群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、請求項23から44のいずれか一項に記載の使用、請求項45もしくは46に記載の医薬組成物または請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。

請求項54

前記てんかんのタイプが全般発作作(generalized seizures)、部分発作(focal seizures)および原因不明の発作を含む群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、請求項23から44のいずれか一項に記載の使用、請求項45もしくは46に記載の医薬組成物または請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。

請求項55

前記神経疾患が側頭葉てんかんTLE)である、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、請求項23から44のいずれか一項に記載の使用、請求項45もしくは46に記載の医薬組成物または請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、概して、神経疾患治療する方法、より具体的には、神経疾患を治療するための抗CSF−1R抗体に関する。

背景技術

0002

神経炎症応答に関連する多種多様な神経疾患が存在し、最も重要なものは、例えば、一般にアルツハイマー病筋萎縮性側索硬化症ALS)、自閉症クロイツフェルトヤコブ病髄膜炎多発性硬化症パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳傷害またはてんかんてんかん発作および発作障害および痙攣である。

0003

世界保健機関(WHO)および国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかんを、神経脳細胞における過剰かつ無秩序放電によって引き起こされる発作現象からなる慢性再発性反復性神経障害として定義している。その発生率には、小児期および青年期ピークと2つ目の60以上のより顕著なピークの2つのピークがある。国際てんかん協会(IBE)によると、世界中で約5千万の人々がてんかんに罹患しており、その20〜30%が1か月当たり2回以上の発作を患っている(Forsgrenら、Eur J Neurol 2005;12:245〜53)。

0004

全世界の年間の新規てんかん症例の数は、10万人当たり24〜53症例に及ぶ。欧州では、様々な国および年に実施された有病率調査から、90万人の小児および青年、190万人の20歳〜64歳の成人、および60万人の65歳以上の高齢者がてんかんに罹患していると計算された(Forsgrenら、Eur J Neurol 2005;12:245〜53)。

0005

てんかんは、発作を特徴とする多様な一連の慢性神経障害を含むと考えられている。これらの発作は再発性および非刺激誘発性であり得る、または将来の発作の機会を増加させる脳の変化と合わせて単一発作を構成し得る。てんかん発作は、典型的には、脳における異常な、過剰なまたは過同期性(hypersynchronous)の神経活動に起因する。

0006

てんかんは、世界人口において約1%の有病率を有する最も一般的な神経疾患の1つである。国際抗てんかん連盟によって提供される最も最近の定義によると、「てんかん発作は脳における異常な過剰のまたは同期性の神経活動による徴候および/または症状の一過的発生であり」、「てんかんはてんかん発作をもたらす永続する素因ならびにこの状態の神経生物学的、認識、心理学的および社会的結果を特徴とする脳の障害である」(Fisherら、2014)。

0007

てんかんの原因に関する知識は、全ゲノムシーケンシング技術の出現およびヒトゲノムの理解の増大から急速に進化している。さらに、分子細胞生物学および遺伝学における新しい概念および技術が、てんかん病態生理学の理解に革命をもたらした。神経画像処理技術が現在、発作の発生およびてんかんの進行に関与する脳回路および構造の前例のない理解を可能にしている。最後に、脳波記録法EEG)またはインビトロ電気生理学などの神経生理学的技術が、てんかんにおける神経回路網役割についてのさらなる情報を提供する。

0008

異なるタイプの発作およびてんかん病因、例えば全般発作部分発作および原因不明の発作が存在する。部分発作は、一方の半球大脳皮質の特定の領域を含む)に限定されたネットワーク内のある点から発生するものとして概念化される一方、全般発作は、両側に分布するネットワーク(大脳皮質全体を含む)内のおよびこれらのネットワークを急速に結合するある点から発生するものとして概念化される(BergおよびScheffer、2011)。Bergら、2010によって出版されている国際抗てんかん連盟(ILAE)による発作の現在の分類は、a)特に強直間代(任意の組み合わせ)、欠伸(定型非定型、特別な特徴を有する欠伸、ミオクローヌス欠神眼瞼ミオクロニー)、ミオクローヌス(ミオクローヌス、ミオクローヌス脱力、ミオクローヌス強直、間代、強直、脱力)を意味する全般発作、b)意識または認識の障害を伴うおよび伴わない部分発作、ならびにc)原因不明の発作(点頭てんかん)を含む。

0009

意識または認識の障害を伴わない部分発作は、i)観察可能運動または自律神経性構成要素を有する。これは、大まかに「単純部分発作」の概念に相当し、それによると「焦点運動」および「自律神経性」は、発作症状に応じてこの概念を適切に伝えることができる用語である。または、ii)主観的感覚または精神的現象のみを伴うことに相当する。これは「アウラ」の概念に相当する。

0010

意識または認識の障害を伴う部分発作は大まかに複雑部分発作の概念に相当し、両側性痙攣発作強直性間代性または強直間代性構成要素を含む)に発展している。この表現は、「続発性全般発作」という用語に取って代わる

0011

また、主要な病因が現今ではよりよく定義されている:1)遺伝的原因:発作が障害の核心症状である既知または推定上の遺伝的欠陥複数可)の直接的結果;2)構造的/代謝的原因:てんかんを発症するリスクの実質的な増加に関連することが証明されている明確な構造的または代謝的な状態または疾患;3)未知の原因、根本原因性質を決定することができない場合(BergおよびScheffer、2011)。

0012

さらに、てんかんにつながる過程、すなわちてんかん発作に関する新規な概念が現在導入されており、この分野におけるさらなる研究努力推進している。てんかん発作は、(1)てんかん状態の発症および/または(2)状態が確立された後の進行をもたらす自発的発作を生じさせることができる組織発達および伸長を指す(Pitkanenら(2013))。疾患または症候群修正には、抗てんかん発作および併存症修正の2つの要素がある。

0013

抗てんかん発作は、予防、発作修正および治癒を含む、てんかん発作の効果に対抗する過程である。予防に関して、完全な予防はてんかんの発症を中止する。部分的な予防は、てんかんの発症を遅らせる、またはその重症度を軽減することができる。例えば、発作は起こるが、頻度が少ない、短期である、または軽度の発作型(発作修正)であり得る。抗てんかん発作はまた、既に確立された後のてんかんの進行を予防または軽減することもできる。

0014

併存症修正は、不安、うつ病、身体−運動障害または認知低下などのてんかん関連合併症の症状の発達または進行を緩和または逆転させる治療を意味する。

0015

治癒的治療は、治療を止めた後に発作が起こらないようなてんかんの完全かつ永続的な反転として定義される(Pitkanenら、2013)。

0016

てんかん発症の前または後に疾患修正剤投与することができる場合の、てんかんにおける疾患修正を目的とする新規な治療アプローチが提案されている。このような治療をてんかん発症前に行う場合、てんかん発症を予防または遅延させることができる可能性がある。このような治療をてんかん診断後に行う場合、発作重症度を軽減する、てんかんの進行を予防もしくは軽減する、または発作を薬剤耐性から薬剤感受性に変えることができる可能性がある。

0017

上記の治療概念は、神経興奮機序を標的とし、それによって抗発作効果のみを提供する抗てんかん薬(AED)を含むてんかんにおける現在の標準治療とは根本的に異なる。これらの薬物は、てんかんの根本的な原因または病態生理学に対処しておらず、てんかん患者の30〜40%は、市場入手可能な20種超のAEDという印象的な医療手段(armamentarium)にもかかわらず、この疾患に関連する制御不能な発作および併存症に苦しんでいる。

0018

このため、神経疾患修正特性を有するより有効な薬物を提供するための重要な非充足医学的要求がある。

0019

炎症は、ヒトてんかんおよびてんかん発作の病態生理学において指標的役割を有すると認識される。特に、ミクログリア細胞活性化は、ヒト側頭葉てんかんTLE)、TLEの実験モデルおよびてんかん発作において観察される主要な炎症促進性経路誘導に関連する。これは主に、TLEの患者と齧歯動物モデルの両方から得られた脳組織に対して行われた一定範囲の試験によって示唆されており、いくつかのケモカインおよび炎症促進性サイトカインを含む免疫/炎症経路に関連する遺伝子の強力な上方制御を示している。慢性的に活性化されたミクログリア細胞が、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFa、IL1b)を放出し、次いで、これが神経興奮性を高め、発作を誘因するよう作用すると仮定される。これは、実験モデルで発作活動を悪化させることができるIL1bについて最もよく記載されており、IL1b産生の遺伝子ノックダウンまたは阻害は、抗痙攣効果を有し、実験モデルで疾患の経過を修正し得る。

0020

しかしながら、ミクログリア活性を制御する現在利用可能な有効な薬物標的はむしろ希少であり、既存の治療アプローチは主に新規化学成分(NCE)に焦点を当てている。例えば、小分子化合物PLX3397)を使用してコロニー刺激因子受容体(CSF−1R)を阻害した研究を公開したElmoreら、2014は、この受容体がミクログリア機能および生存能の重要な調節因子であることを確認するデータを提供した。

0021

コロニー刺激因子1(CSF−1)および構造的に類似しているが配列の関連性がない分子インターロイキン34(IL−34)は、マクロファージおよびミクログリアによってもっぱら発現されるCSF1Rの2つの内因性リガンドである。マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)としても知られるコロニー刺激因子1(CSF−1)は、種々の細胞によって産生されるサイトカインである。CSF−1は、生物学的に活性な二量体CSF−1タンパク質を形成する2つの「単量体ポリペプチドで構成される。代替RNAスプライシングタンパク質前駆体タンパク質分解プロセシングならびにグリコシル化およびプロテオグリカンの付加を含む翻訳後修飾により、CSF−1は少なくとも3つの成熟形態で存在する(CerrettiDPら、1988、Mol Immunol、25(8)761;Pixley FJおよびStanleyER、2004、Trendsin Cell Biology、14(11)628〜38;Douglass,TGら、2008、Int Immunopharmacol、8、1354〜76参照)。種々の形態のCSF−1タンパク質は、2つの分泌分子を含み、一方はグリコシル化され、他方はより長いアミノ末端配列およびプロテオグリカン修飾を含む。別の変種は、グリコシル化されているがプロテオグリカン部分を有さない膜貫通(TM)分子である。この膜形態は、タンパク質分解的切断を介して脱落されて、活性な可溶性分子を放出することができる。全ての形態は、アミノ末端に32アミノ酸シグナル配列カルボキシル末端に近い約23アミノ酸の推定膜貫通領域および短い細胞質COOH−末端尾部を有する前駆体ポリペプチドとして産生される。その後、前駆体ペプチドはアミノ末端およびカルボキシル末端タンパク質分解切断によって処理され、同一で受容体結合ドメインを構成する残基1〜149を有するCSF−1の成熟形態を生成することができる。インビボでは、CSF−1モノマーがグリコシル化され、ジスルフィド結合を介して二量体化される。CSF−1は、血液細胞の産生を促進する生物学的アゴニストグループに属する。具体的には、これは単核食細胞系統の骨髄前駆細胞の増殖、分化および生存因子として作用する。さらに、CSF−1は、応答細胞上の特異的受容体を介してマクロファージの生存、増殖および機能を刺激する。他の実験により、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)が、難治性TLE患者からの生検後に培養された成人ヒトミクログリアの表現型を変化させることが示された(Smithら、2013)。他の最近のデータは、CSF−1R遺伝子の突然変異が、発作およびてんかんに関連する遺伝性びまん性白質脳症を引き起こすことを示している(Rademakersら、2011;Guerreiroら、2013)。

0022

CSF−1受容体(CSF−1R)は、c−fms遺伝子産物またはCD115とも呼ばれる。CSF−1Rは、III型受容体チロシンキナーゼファミリーに属する165kDaの1型TM糖タンパク質である。さらに、CSF−1受容体は、ミクログリアを含む単核食細胞の増殖、分化および生存の調節を担う。CSF−1Rを欠くマウスは、末梢組織におけるマクロファージの数の減少を示す。重要なことに、CSF−1R欠損マウスはまた脳におけるミクログリアを欠いており、これは致命的な表現型に関連する。実際、ミクログリアは、正常な条件下でCSF−1Rを発現する脳内の唯一の細胞であるが、低レベルのCSF−1Rが培養ニューロンで観察されている。リガンドCSF−1とCSF−1Rの結合は、チロシンキナーゼドメインの作用を通して、1個または複数のチロシン残基上の受容体のリン酸化をもたらす。リン酸化後にのみ受容体に結合する抗体(例えば、Cell Signaling TechnologyのPhospho−M−CSF受容体(Tyr546)抗体#3083)が入手可能であるために、このリン酸化を検出することができる。

0023

CSF−1Rに対する抗体は当技術分野で公知である。Sherr,C.J.ら、Blood 73(1989)1786〜1793には、CSF−1活性を阻害するCSF−1Rに対する抗体が記載されている(Sherr,C.J.ら、Blood 73(1989)1786〜1793)。国際公開第09/026303号パンフレットは、ヒトCSF−1Rに結合する抗CSF−1R抗体および抗マウスCSF−1R抗体を用いたインビボマウス腫瘍モデルを開示している。国際公開第11/123381号パンフレットは、CSF−1Rを内部移行し、ADCC活性を有する抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/123381号パンフレットは、抗マウスCSF−1R抗体を用いたインビボマウス腫瘍モデルを開示している。国際公開第11/140249号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を遮断する抗CSF−1R抗体を開示しており、これはがんの治療に有用であると述べられている。国際公開第09/112245号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、がん、炎症性腸疾患および関節リウマチの治療に有用であると述べられている抗CSF−1RIgG1抗体を開示している。国際公開第11/131407号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、骨量減少およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/107553号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、骨量減少およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第11/070024号パンフレットは、ヒトCSF−1R断片delD4に結合する抗CSF−1R抗体を開示している。国際公開第15/028455号パンフレットは、CSF−1とCSF−1Rの結合を阻害し、線維症およびがんの治療に有用であると述べられている抗CSF−1R抗体を開示している。

0024

しかしながら、例えば、抗体などの大きな生体分子血液脳関門(BBB)透過性に関連する深刻な制限および懸念が依然として存在する。今のところ、大きな分子または抗体によって脳の炎症を調節することは成功していない。むしろ、IgG1抗体に融合した臨床的に使用される組換えTNF受容体であるエタネルセプトは、血液脳関門(BBB)を通過せず、齧歯動物において全身投与後に脳におけるTNF−αによって駆動される炎症に影響しないことが示されている(Zhouら、2011)。臨床における典型的な投与経路である全身注射抗体の中枢媒介性の治療効果の可能性については、依然として重大な疑義が存在する。これは、CSF1Rが脳毛細血管内皮細胞においても発現され、その天然リガンドであるIL−34によるこの受容体の活性化がBBBの完全性回復し、その透過性を制限することが示されているため、抗CSF1R抗体にとって特に問題である(Jinら、2014)。

0025

国際公開第09/026303号パンフレット
国際公開第11/123381号パンフレット
国際公開第11/140249号パンフレット
国際公開第09/112245号パンフレット
国際公開第11/131407号パンフレット
国際公開第11/107553号パンフレット
国際公開第11/070024号パンフレット
国際公開第15/028455号パンフレット

先行技術

0026

Forsgrenら、Eur J Neurol 2005;12:245〜53
CerrettiDPら、1988、Mol Immunol、25(8)761
Pixley FJおよびStanleyER、2004、Trendsin Cell Biology、14(11)628〜38
Douglass,TGら、2008、Int Immunopharmacol、8、1354〜76
Sherr,C.J.ら、Blood 73(1989)1786〜1793

発明が解決しようとする課題

0027

結果として、神経疾患の改善された、安全かつ有効な治療的処置および/または予防のための未だ満たされていない医学的要求が現在も依然として存在する。したがって、本発明の目的は、神経疾患、より具体的にはてんかんの新たな治療方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0028

一態様では、本発明は、神経疾患の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤を提供する。

0029

一態様では、本発明の阻害剤は核酸である。さらなる態様では、本発明の阻害剤は、抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体である。

0030

一態様では、本発明は、側頭葉てんかん(TLE)の動物モデルにおける抗CSF−1R抗体の全身注射がミクログリア遺伝子の発現の変化によって証明されるミクログリア機能を調節することができることを示す結果を提示する。結果として、提示された結果は、神経疾患の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤としての強力な実行可能な治療的生物学的実体(NBE)を提供する。

0031

したがって、本発明は、満たされていない必要性に対処し、神経疾患の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤を提供する。本発明はさらに、てんかん、てんかん発作、発作および痙攣の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤を提供する。

0032

本発明の一態様では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するためのCSF−1R活性の阻害剤の使用が提供される。

0033

本発明はさらに、CSF−1R活性の阻害剤を含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、神経疾患に罹患しているまたは神経疾患を発症するリスクがあるヒト対象を治療および/または予防する方法であって、治療上有効量のCSF−1R活性の阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。

実施例

0034

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するために提供されるCSF−1R活性の阻害剤が核酸である。さらなる態様では、本発明の阻害剤は、抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体である。

0035

本発明において、「神経疾患」という用語は以下の疾患を指す:アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アンジェルマン症候群、注意欠陥多動障害自閉スペクトラム症、双極性障害脳損傷、脳傷害脳腫瘍中枢痛症候群、大脳萎縮症慢性炎症脱髄性多発ニューロパチーCIDP)、慢性疼痛、複雑な局所疼痛症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症ダウン症候群ドラベ症候群、脳炎本態性振戦フリードライヒ運動失調症脆弱X症候群脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS)、頭部傷害頭痛帯状疱疹ハンチントン病低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎、点頭てんかん、頭蓋内圧亢進ラフォラ病ランドウ・クレフナー症候群、レノクスガストー症候群、白質ジストロフィー、白質消滅を伴う白質脳症、レビー小体病、脳回欠損ライム病神経性続発症巨脳症、髄膜炎、小頭症偏頭痛小発作一過性虚血発作)、運動ニューロン疾患−筋萎縮性側索硬化症参照、多発脳梗塞性認知症、多発性硬化症、乳児のミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、AIDSの神経症状ループスの神経性続発症、神経セロイドリポフスチン症ニューロパチー、ニーマンピック病、大田原症候群、パーキンソン病、経産婦新生物障害、原発性側索硬化症プリオン病進行性多巣性白質脳症進行性核上性麻痺ラスムッセン脳炎、下肢静止不能症候群、レット症候群、全身硬直症候群、脳卒中、一過性虚血発作、外傷性脳傷害、振戦、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、鉤状回てんかん、ウエスト症候群、ウィルソン病

0036

神経疾患の好ましい例としては、アンジェルマン症候群、注意欠陥多動障害、自閉スペクトラム症、脳傷害、脳腫瘍、クロイツフェルト・ヤコブ病、ダウン症候群、ドラベ症候群、脳炎、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS)、頭部傷害、帯状疱疹、低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎、点頭てんかん、ラフォラ病、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、白質ジストロフィー、白質消滅を伴う白質脳症、脳回欠損、ライム病−神経性続発症、髄膜炎、多発性硬化症、乳児のミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、ループスの神経性続発症、大田原症候群、プリオン病、ラスムッセン脳炎、レット症候群、外傷性脳傷害、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、鉤状回てんかんまたはウエスト症候群が挙げられる。

0037

本発明において、神経疾患の治療は、好ましくはてんかん、てんかん発作、発作障害および痙攣に関連する。

0038

発症時の年齢によって整理されるてんかん症候群の例には、新生児期良性家族性新生児てんかん(BFNE)、早期ミオクロニー脳症(EME)、大田原症候群)、乳児期遊走性部分発作を伴う乳児てんかん、ウエスト症候群、乳児ミオクロニーてんかん(MEI)、良性乳児てんかん、良性家族性乳児てんかん、ドラベ症候群、非進行性疾患のミオクロニー脳症)、小児期(乳児期に発症し得る熱性痙攣プラスFS+)、パナイトポーラス症候群(panayiotopoulos syndrome)、ミオクロニー脱力(旧用語:失立)発作を伴うてんかん、中心側頭部棘波を示す良性てんかん(BECTS)、常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)、遅発性小児後頭葉てんかん(Gastaut型)、ミオクロニー欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、睡眠持続性徐波(CSWS)bを示すてんかん性脳症、ランドウ・クレフナー症候群(LKS)、小児欠神てんかん(CAE))、青年期/成人期若年欠神てんかん(JAE)、若年ミオクロニーてんかん(JME)、全般強直間代発作のみを示すてんかん、進行性ミオクローヌスてんかん(PME)、聴覚症状を伴う常染色体優性てんかん(ADEAF)、その他の家族性側頭葉てんかん)、年齢との関連性が低いもの(多様な焦点を示す家族性焦点性てんかん(小児期から成人期)、反射てんかん)、明確な特定症状群海馬硬化症を伴うまたは伴わない内側側頭葉てんかん(HSを伴うまたは伴わないMTLE)、ラスムッセン症候群視床下部過誤腫による笑い発作、片側痙攣−片麻痺−てんかん、これらの診断カテゴリーのいずれにも該当しないてんかんは、最初に既知の構造的/代謝性疾患(推定される原因)の有無、次に主な発作の発現様式(全般または焦点性)に基づいて識別することができる)、構造的−代謝性の原因に帰するおよびこれらの原因によって整理されるてんかん(大脳皮質形成異常(片側巨脳症、異所形成等)、神経皮膚症候群結節性硬化症複合体スタージ・ウェーバー症候群等)、腫瘍、感染、外傷血管腫周産期脳障害、脳卒中)、それ自体はてんかん型として従来は診断されない原因不明のてんかんおよびてんかん発作を伴う状態(良性新生児発作(BNS)、熱性痙攣(FS))がある。

0039

より好ましい実施形態では、本発明は、てんかんの治療および/または予防に使用するための阻害剤であって、てんかんのタイプが全般発作、部分発作および原因不明の発作を含む群から選択される阻害剤を提供する。最も好ましい実施形態では、本発明は、側頭葉てんかん(TLE)の治療および/または予防に使用するための阻害剤を提供する。

0040

本明細書で使用される「CSF−1R活性」という用語は、CSF−1R、特にヒトCSF−1Rおよびそのアイソフォーム、例えば1、2、3または全てのアイソフォームの活性について当技術分野で理解されている活性のスペクトルを指す。例えば、リガンドと受容体の結合は、特異的チロシン残基でのCSF−1Rのリン酸化を誘導し(Bourette RPおよびRohrschneider LR、2000、Growth Factors 17:155〜166)、その後のシグナル伝達事象カスケード細胞移動、生存、分化および増殖を媒介することができる(Suzu Sら、1997、J Immunol、159、1860〜7;Yeung Y−GおよびStanleyER、2003、Mol Cell Proteomics、2、1143〜55;Yu Wら2008、J Leukoc Biol84(3)、852〜63)。選択されたチロシン残基の代わりにフェニルアラニン残基を含む変異体CSF−1R受容体分子のトランスフェクト細胞における発現は、特異的チロシン残基と生存、増殖および形態などの細胞結果との関連を明らかにした(YuらJ Leukoc Biol 2008年9月84(3):852〜863)。分子特異的抗体と共に抗ホスホチロシン抗体を用いるプロテオミクスアプローチおよび免疫ブロット技術は、受容体のリガンド刺激後にこれらの細胞機能を媒介することに関与するいくつかの細胞内分子を同定した(Yeung Y−Gら、1998、J Biol Chem.13、273(46):17128〜37;Husson Hら、1997、Oncogene 15、14(19):2331〜8。

0041

本発明によるCSF−1R活性の阻害剤は、例えば、CSF−1Rの活性、特に神経疾患におけるCSF−1Rの活性を妨害する、例えば低下させる/阻害する、遮断するまたはこれに競合する薬剤である。アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、てんかん発作、発作および痙攣におけるCSF−1Rの活性を妨害する薬剤が特に好ましい。本発明による阻害剤は、CSF−1R活性を部分的または完全に阻害することができる。本発明において使用する阻害剤には、限定されないが、IL−34、CSF−1もしくはCSF−1受容体(CSF−1R)またはIL−34、CSF−1もしくはCSF−1Rをコードする核酸分子相互作用する(例えば、結合するまたは認識する)ことができる、あるいはIL−34、CSF−1もしくはCSF−1Rの発現を阻害することができるまたはCSF−1RとCSF−1および/もしくはIL−34との間の相互作用を阻害することができる阻害剤が含まれる。このような阻害剤は、限定されないが、抗体、核酸(例えば、DNA、RNA、アンチセンスRNAおよびsiRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドペプチド模倣物および他の薬物であり得る。

0042

適切な阻害剤の例としては、それだけに限らないが、CSF−1に結合し、天然CSF−1受容体への結合を妨害するCSF−1受容体の合成機能的断片、CSF−1受容体に結合し、天然CSF−1受容体への結合を妨害するCSF−1の合成機能的断片、CSF−1受容体に結合し、天然CSF−1受容体への結合を妨害するIL−34の合成機能的断片、CSF−1もしくはIL−34にまたはCSF−1受容体に結合し、CSF−1受容体−リガンド相互作用を妨害する抗体、CSF−1、IL−34もしくはCSF−1受容体をコードするmRNAと特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸分子、またはIL−34、CSF−1もしくはCSF−1Rの活性を阻害する他の薬物が挙げられる。

0043

CSF−1受容体活性の阻害剤は、このような阻害剤を同定および産生する方法であるものとして当技術分野で公知である。中和抗CSF−1抗体は、例えば、Weirら、1996、J Bone Miner.Res.I 1,1474〜1481および抗CSF−lR抗体も記載しているHaran−Gheraら、1997、Blood、89,2537〜2545によって記載されている。CSF−1のアンチセンスアンタゴニストもまた記載されている(欧州特許第1223980号明細書)。

0044

適切な阻害剤であり得る薬剤は、多種多様な候補薬剤から選択することができる。候補薬剤の例としては、それだけに限らないが、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣物および他の薬物が挙げられる。薬剤は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並列固相または溶液相ライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに適しているが、他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物のライブラリーに適用可能である(Lam、1997、Anticancer Drug Des.12:145;米国特許第5738996号明細書および米国特許第5807683号明細書)。

0045

分子ライブラリーを合成するための本記載に基づく適切な方法の例は、当技術分野で、例えば、DeWittら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら、1994、J.Med.Chem.37:2678;Choら、1993、Science 261:1303;Carrellら、1994、Angew.Chem.hit.Ed.Engl.33:2059;Carellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら、1994、J.Med.Chem.37:1233に見出すことができる。

0046

化合物のライブラリーは、例えば、溶液(例えば、Houghten、1992、Bio/Techniques 13:412〜421)またはビーズ(Lam、1991、Nature 354:82〜84)、チップ(Fodor、1993、Nature 364:555〜556)、細菌(米国特許第5223409号明細書)、胞子(米国特許第5571698号明細書;米国特許第5403484号明細書および米国特許第5223409号明細書)、プラスミド(Cullら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)またはファージ(ScottおよびSmith、1990、Science 249:386〜390;Devlin、1990、Science 249:404〜406;Cwirlaら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378〜6382;およびFelici、1991、J.Mol.Biol.222:301〜310)で提示することができる。

0047

一例において、本発明において使用するための阻害剤は核酸であってもよい。特に、CSF−1、IL−34またはCSF−1R核酸分子をアンチセンス分子として使用して、相補的核酸に結合することによってそれぞれのポリペプチドの発現を変化させることができる。CSF−1、IL−34またはCSF−1R核酸は、例えばゲノムDNAもしくはcDNAからの標準的なクローニング技術を用いて得ることができる、または周知の市販の技術を用いて合成することができる。CSF−1、IL−34またはCSF−1R核酸は、CSF−1、IL−34またはCSF−1R核酸のヌクレオチド配列に1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失を含むことができる。例えば部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発を含む当業者に公知の標準的な技術を用いて、突然変異を導入することができる。本発明によるアンチセンス核酸は、それぞれのポリペプチドをコードするRNA(好ましくはmRNA)の一部に対するいくらか配列相補性によりハイブリダイズすることができるCSF−1、IL−34またはCSF−1R核酸を含む。アンチセンス核酸は、このようなポリペプチドをコードするmRNAのコード領域および/または非コード領域相補的であり得る。最も好ましくは、アンチセンス核酸は、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドの発現の阻害をもたらす。本発明はまた、治療上有効量のCSF−1R活性の阻害剤を対象に投与するステップを含む、神経疾患に罹患しているまたは神経疾患を発症するリスクがあるヒト対象の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤であって、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドをコードする遺伝子またはcDNAに対してアンチセンスである少なくとも8個のヌクレオチド(例えば、15、16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチドなどの15〜22ヌクレオチド)を含む単離DNAである阻害剤を提供する。

0048

一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、CSF−1またはIL−34と相互作用する(すなわち、これと結合するまたはこれを認識する)抗体である。別の実施形態では、抗体がCSF−1またはIL−34と選択的に相互作用する。選択的に相互作用する(例えば、認識または結合する)とは、抗体がCSF−1またはIL−34ポリペプチドに対して他のポリペプチドよりも大きな親和性を有することを意味する。適切な抗体の例には、例えばCSF−1またはIL−34とその受容体の結合を妨げることによって、CSF−1またはIL−34が生物学的に活性になるのを防ぐようにCSF−1またはIL−34に結合することによってCSF−1またはIL−34の活性を阻害する抗体がある。

0049

本発明の一実施形態は、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤であって、抗体またはその断片もしくは誘導体がCSF−1Rに結合する阻害剤を提供する。最も好ましくは、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、CSF−1Rと相互作用する(すなわち、これと結合するまたはこれを認識する)またはCSF−1Rの活性を阻害する抗体である。一実施形態では、抗体がCSF−1Rと選択的に相互作用する。選択的に相互作用する(例えば、認識または結合する)とは、抗体がCSF−1Rポリペプチドに対して他のポリペプチドよりも大きな親和性を有することを意味する。適切な抗体の例には、CSF−1Rが生物学的に活性になるのを防ぐようにCSF−1Rに結合することによってCSF−1Rの活性を阻害する抗体がある。

0050

一実施形態では、抗体がCSF−1Rのアイソフォーム、例えばヒトCSF−1Rおよびそのアイソフォームを認識する。

0051

一実施形態では、本発明による神経疾患の治療および/または予防に使用するためのCSF−1R活性の阻害剤がCSF−1と受容体CSF−1Rの結合を遮断する。

0052

本明細書で使用される「遮断」とは、受容体を閉塞するなどの物理的な遮断を指すが、抗体または断片が、例えば受容体に対する天然のリガンドがもはや結合しないことを意味する立体配座変化を引き起こすエピトープに結合する場合も含む。(本明細書ではアロステリック遮断またはアロステリック阻害と呼ばれる)。

0053

一実施形態では、本開示の抗体が、CSF−1Rの全てのアイソタイプ、例えばV23G、A245S、H247P、V279Mおよび前記変異体の2つ、3つまたは4つの組み合わせなどの、ECDドメインにおける変異を有するものに結合する。CSF−1およびIL−34は共にCSF−1Rのリガンドであり、本発明において使用するための抗体は、好ましくは、機能的な細胞スクリーンにおいてCSF−1とIL−34の両方の活性を阻害する。本発明により使用するための抗体はまた、好ましくは、CSF−1R活性化および/またはCSF−1R内部移行を引き起こさない。

0054

CSF−1Rを遮断する抗体の能力を決定するのに適したアッセイは、本明細書の実施例に記載されており、実施例2を参照されたい。

0055

BIAcoreは、結合速度論を測定するために使用されるアッセイの一例であり、ELISAアッセイまたは単球もしくはTHP−1細胞を使用する細胞ベースのアッセイも有用であり得る。CSF−1とIL−34は共にCSF−1Rのリガンドであり、抗CSF−1R抗体はCSF−1またはIL−34とCSF−1Rの結合を遮断し得るが、好ましくはCSF−1とIL−34の両方とCSF−1Rの結合を遮断する。抗CSF−1R抗体はまた、好ましくはCSF−1R活性化もCSF−1R内部移行も引き起こさない。抗体がCSF−1R活性化またはCSF−1R内部移行を引き起こす能力を決定するのに適したアッセイは、実施例に記載されており、CSF−1依存性増殖を測定するアッセイを記載する実施例2を参照されたい。

0056

CSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは前記ポリペプチドを発現する細胞を使用して、前記ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生することができる。

0057

CSF−1、IL−34およびCSF−1Rポリペプチドは、「成熟」ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片もしくは誘導体であり得る。好ましくは、CSF−1ポリペプチドは、生物学的活性にとって重要であると考えられるアミノ酸1〜149を含む。

0058

本明細書で使用されるCSF−1Rは、CSF−1R(配列番号11に示される)と命名されるタンパク質、そのアイソフォームおよびその生物学的に活性な断片を指す。配列番号11は、ヒトCSF1−Rの完全972アミノ酸配列を示し、ここで残基1〜19は予測されるシグナルペプチドである。好ましくは、CSF−1Rポリペプチドは、CSF−1R配列の予測される細胞外領域を表す、ヒトのアミノ酸20〜517を含む。CSF−1Rの代替形態が知られている。一実施形態では、CSF−1Rがヒトタンパク質またはそのアイソフォームである。一般に、本発明で使用される抗体は、CSF−1Rの細胞外ドメインに向けられる。図2(配列番号15)に示されるヒトCSF−1RはUniProtデータベースにP07333で登録されている。

0059

CSF−1およびCSF−1Rポリペプチドは、発現系を含む遺伝子改変宿主細胞から当技術分野で周知の方法によって調製され得る、またはこれらは天然の生物源から回収され得る。一実施形態では、図2(配列番号15)に示される配列が適切な細胞株トランスフェクトされ得、ポリペプチドが細胞表面上で発現され得る。アミノ酸断片をGPIアンカーに融合して前記発現を促進することができる。次いで、細胞を使用して宿主を免疫することができる。

0060

本出願において、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を含む。他に指定されない限り、これらは互換的に使用される。CSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドは、いくつかの例では、例えばアフィニティータグに融合した融合タンパク質などのより大きなタンパク質の一部であり得る。

0061

これらのポリペプチドに対して産生される抗体は、周知の慣習的なプロトコルを用いてポリペプチドまたはこれを発現する細胞を動物、好ましくはヒト以外の動物に投与することによって得ることができる(例えば、Handbook of Experimental Immunology、D.M.Weir(編者)、第4巻、Blackwell Scientific Publishers、Oxford、英国、1986参照)。ウサギ、マウス、ラットヒツジウシまたはブタなどの多くの温血動物を免疫することができる。しかしながら、マウス、ウサギ、ブタおよびラットが一般的に好ましい。

0062

一実施形態では、本発明によって提供される阻害剤が、抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体である。別の実施形態では、本発明によって提供される阻害剤が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である。別の実施形態では、本発明によって提供される阻害剤が、キメラヒト化またはヒト抗体である抗体またはその断片もしくは誘導体である。

0063

モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、1975、Nature、256:495〜497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983、Immunology Today、4:72)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、77〜96頁、Alan R Liss,Inc.、1985)などの当技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。

0064

本発明で使用するための抗体はまた、例えば、Babcook,J.ら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(15):7843〜7848、国際公開第92/02551号パンフレットおよび国際公開第2004/051268号パンフレットおよび国際公開第2004/106377号パンフレットによって記載される方法により、特異的抗体を産生するために選択される単一リンパ球から産生された免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニングおよび発現することによる単一リンパ球抗体法を用いて産生することもできる。

0065

本明細書で使用される特異的とは、特異的である抗原のみを認識する抗体、または非特異的である抗原への結合と比較して特異的である抗原に対して有意に高い結合親和性、例えば少なくとも5、6、7、8、9、10倍高い結合親和性を有する抗体を指すことを意図している。

0066

キメラ抗体は、軽鎖および重鎖遺伝子が異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントで構成されるように遺伝子改変された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる抗体である。これらのキメラ抗体は抗原性が低い可能性が高い。二価抗体は、当技術分野で公知の方法によって作製することができる(Milsteinら、1983、Nature 305:537〜539;国際公開第93/08829号パンフレット、Trauneckerら、1991、EMBO J.10:3655〜3659)。多価抗体は複数の特異性を含み得る、または単一特異性であり得る(例えば、国際公開第92/22853号パンフレット参照)。

0067

本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体分子」という用語は、重鎖および/または軽鎖が、アクセプター抗体(例えば、ヒト抗体)の重鎖および/または軽鎖可変領域フレームワークグラフトされたドナー抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)からの1つまたは複数のCDR(所望であれば、1つまたは複数の修飾CDRを含む)を含む抗体分子を指す(例えば、米国特許第5585089号明細書;国際公開第91/09967号パンフレット参照)。概要については、Vaughanら、Nature Biotechnology、16、535〜539、1998を参照されたい。

0068

一実施形態では、全CDRが移されるのではなく、上記の本明細書に記載されるCDRのいずれか1つからの特異性決定残基の1つまたは複数のみがヒト抗体フレームワークに移される(例えば、Kashmiriら、2005、Methods、36、25〜34参照)。一実施形態では、上記の本明細書に記載されるCDRの1つまたは複数からの特異性決定残基のみがヒト抗体フレームワークに移される。別の実施形態では、上記の本明細書に記載されるCDRの各々からの特異性決定残基のみがヒト抗体フレームワークに移される。

0069

本発明のヒト化抗体において、フレームワーク領域は、アクセプター抗体のものと全く同じ配列を有する必要はない。例えば、異常な残基は、そのアクセプター鎖クラスまたはタイプのより頻繁に生じる残基に変化し得る。あるいは、アクセプターフレームワーク領域の選択された残基は、それらがドナー抗体の同じ位置に見られる残基に対応するように変化し得る(Reichmannら、1998、Nature、332、323〜324参照)。このような変化は、ドナー抗体の親和性を回復するのに必要な最小限に保たれるべきである。変更される必要のあるアクセプターフレームワーク領域の残基を選択するためのプロトコルは国際公開第91/09967号パンフレットに示されている。

0070

CDRまたは特異性決定残基を移植する場合、CDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプ(マウス、霊長類およびヒトフレームワーク領域を含む)に関して、任意の適切なアクセプター可変領域フレームワーク配列を用いることができる。

0071

適切には、ヒト化抗体は、ヒトアクセプターフレームワーク領域ならびにCDRの1つまたは複数を含む可変ドメインを有する。したがって、一実施形態では、可変ドメインがヒトアクセプターフレームワーク領域およびヒト以外のドナーCDRを含む、ヒトCSF−1、IL−34またはCSF−1Rに結合するヒト化抗体が提供される。

0072

本発明において使用することができるヒトフレームワークの例には、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAYおよびPOMがある(Kabatら、上記)。例えば、KOLおよびNEWMは重鎖に使用することができ、REIは軽鎖に使用することができ、EUはLAYおよびPOMは重鎖と軽鎖の両方に使用することができる。あるいは、ヒト生殖系列配列を使用してもよい;これらはhttp://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/で入手可能である。

0073

本発明のヒト化抗体において、アクセプター重鎖および軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来する必要はなく、所望であれば、異なる鎖由来のフレームワーク領域を有する複合鎖を含んでいてもよい。

0074

本発明において使用するための抗体は、当技術分野で公知の種々のファージディスプレイ法を用いて作製することもでき、これにはBrinkmanら(J.Immunol.Methods、1995、182:41〜50)、Amesら(J.Immunol.Methods、1995、184:177〜186)、Kettleboroughら(Eur.J.Immunol.1994、24:952〜958)、Persicら(Gene、1997 187 9〜18)、Burtonら(Advances in Immunology、1994、57:191〜280)ならびに国際公開第90/02809号パンフレット;国際公開第91/10737号パンフレット;国際公開第92/01047号パンフレット;国際公開第92/18619号パンフレット;国際公開第93/11236号パンフレット;国際公開第95/15982号パンフレット;国際公開第95/20401号パンフレット;ならびに米国特許第5698426号明細書;第5223409号明細書;第5403484号明細書;第5580717号明細書;第5427908号明細書;第5750753号明細書;第5821047号明細書;第5571698号明細書;第5427908号明細書;第5516637号明細書;第5780225号明細書;第5658727号明細書;第5733743号明細書および第5969108号明細書によって開示されているものが含まれる。米国特許第4946778号明細書に記載されている一本鎖抗体などの一本鎖抗体を産生する技術を適合させてCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドに対する一本鎖抗体を産生することもできる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物を含む他の生物を使用して、ヒト化抗体を発現させることができる。

0075

本発明の一実施形態は、二重特異性または多重特異性である抗体またはその断片もしくは誘導体であるCSF−1R活性の阻害剤を提供する。本発明のさらなる実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための抗体が、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子、またはFab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(例えば、VHまたはVLまたはVHH)、scFv、二価三価もしくは四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ(diabody)、トリアディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)および上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む群から選択されるその断片を含む群から選択され得る(例えば、HolligerおよびHudson、2005、Nature Biotech.23(9):1126〜1136;AdairおよびLawson、2005、Drug Design Reviews−Online 2(3)、209〜217参照)。

0076

これらの抗体断片を作製および製造する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Vermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181参照)。本発明において使用するための他の抗体断片には、国際特許出願である国際公開第2005/003169号パンフレット、国際公開第2005/003170号パンフレットおよび国際公開第2005/003171号パンフレットに記載されるFabおよびFab’断片が含まれる。多価抗体は、複数特異性を含み得る、例えば二重特異性であり得る、または単一特異性であり得る(例えば、国際公開第92/22853号パンフレット、国際公開第05/113605号パンフレット、国際公開第2009/040562号パンフレットおよび国際公開第2010/035012号パンフレット参照)。

0077

一実施形態では、抗体が、例えば全て参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/040562号パンフレット、国際公開第2010/035012号パンフレット、国際公開第2011/030107号パンフレット、国際公開第2011/061492号パンフレットおよび国際公開第2011/086091号パンフレットに記載されている、免疫グロブリン部分、例えばFabまたはFab’断片、およびそこに直接または間接的に連結した1つまたは2つの単一ドメイン抗体(dAb)を含むCSF−1、IL−34またはCSF−1R結合抗体融合タンパク質として提供される。

0078

一実施形態では、融合タンパク質が、例えば、場合によりジスルフィド結合によって連結された可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)対形成として、2つのドメイン抗体を含む。

0079

一実施形態では、融合タンパク質のFabまたはFab’要素が、1つまたは複数の単一ドメイン抗体と同一または類似の特異性を有する。一実施形態では、FabまたはFab’が、1つまたは複数の単一ドメイン抗体と異なる特異性を有する、すなわち、融合タンパク質が多価である。一実施形態では、本発明による多価融合タンパク質がアルブミン結合部位を有し、例えばその中のVH/VL対がアルブミン結合部位を提供する。

0080

抗体断片およびこれらを産生する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Vermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181参照)。本発明において使用するための抗体断片の特定の例には、天然または修飾ヒンジ領域を有するFab’断片がある。いくつかの修飾ヒンジ領域は、例えば、米国特許第5677425号明細書、国際公開第99/15549号パンフレットおよび国際公開第98/25971号パンフレットに既に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。本発明において使用するための特定の抗体断片のさらなる例としては、国際特許出願PCT/GB2004/002810、PCT/GB2004/002870およびPCT/GB2004/002871(全て2004年7月1日出願)に記載されているものが挙げられる。特に、国際特許出願PCT/GB2004/002810に記載される修飾抗体Fab断片が好ましい。

0081

一実施形態では、抗体重鎖がCH1ドメインを含み、抗体軽鎖がCLドメイン(κまたはλのいずれか)を含む。

0082

一実施形態では、抗体重鎖がCH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、抗体軽鎖がCLドメイン(κまたはλのいずれか)を含む。

0083

存在する場合、本発明の抗体分子の定常領域ドメインは、抗体分子の提案された機能、特に必要とされ得るエフェクター機能を考慮して選択することができる。例えば、定常領域ドメインはヒトIgAIgDIgE、IgGまたはIgMドメインであり得る。特に、抗体分子が治療的使用を意図し、抗体エフェクター機能が必要とされる場合、特にIgG1およびIgG3アイソタイプのヒトIgG定常領域ドメインを使用することができる。あるいは、抗体分子が治療目的を意図しており、抗体エフェクター機能が必要でない場合、IgG2およびIgG4アイソタイプを使用することができる。

0084

特定の実施形態では、本発明の抗体がIgG2またはIgG4抗体である。これらの定常領域ドメインの配列変異体も使用することができることが理解されるであろう。例えば、Angalら、1993、Molecular Immunology、1993、30:105〜108に記載される、241位のセリンプロリンに変化したIgG4分子を使用することができる。単一アミノ酸置換は、キメラマウス/ヒト(IgG4)抗体の異種性を消滅させる。Mol.Immunol.30:105〜108)は、IgG4抗体の半分子形成を最小化する部位特異的突然変異誘発アプローチを記載している。この報告では、コアヒンジS241P内の単一のアミノ酸置換が実質的に少ない半分子形成をもたらした。したがって、抗体がIgG4抗体である実施形態では、抗体が変異S241Pを含み得る。異なるIgGアイソタイプによる示差ADCC誘導は、FcγRに対するこれらの残基の親和性に依存する。ヒトにおいて、IgG1およびIgG3はエフェクター機能を誘導することが知られているが、IgG2およびIgG4はエフェクター機能を弱く誘導する。好ましい実施形態では、本発明において使用するための抗体がADCCを含む、エフェクター機能を弱く誘導するIgG2またはIgG4抗体である。エフェクター機能を有する抗体の使用は、患者における副作用を付加する可能性を有するCSF−1Rを発現する細胞の枯渇増強を引き起こし得るので、本発明の神経疾患の治療に使用するための抗体が、限られたエフェクター機能を有することが特に好ましい。

0085

抗体が種々の翻訳後修飾を受け得ることも当業者によって理解されるであろう。これらの修飾のタイプおよび程度は、抗体を発現するために使用される宿主細胞株ならびに培養条件にしばしば依存する。このような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化およびアスパラギン脱アミド化バリエーションが含まれ得る。頻繁な修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基性残基リジンまたはアルギニンなど)の損失である(Harris,RJ.Journal of Chromatography 705:129〜134、1995に記載)。したがって、抗体重鎖のC末端リジンは存在しなくてもよい。

0086

別の実施形態では、CSF−1R活性の阻害剤が神経疾患の治療および/または予防に使用され得、血液脳関門(BBB)を横切って脳内に到達する抗体またはその断片もしくは誘導体が神経疾患に罹患している患者の治療および/または予防に十分な治療上有効量である。

0087

本明細書で使用される「治療上有効量」という用語は、標的とされる疾患または状態を治療、改善もしくは予防するため、または検出可能な治療的、薬理学的もしくは予防的効果を示すために必要な治療剤の量を指す。任意の抗体について、治療上有効量は、細胞培養アッセイまたは動物モデル、通常は齧歯動物、ウサギ、イヌ、ブタもしくは霊長類のいずれかで最初に推定することができる。動物モデルを使用して適切な濃度範囲および投与経路を決定することもできる。その後、このような情報を使用して、ヒトにおける投与のための有用な用量および経路を決定することができる。

0088

ヒト対象の正確な治療上有効量は、疾患状態の重症度、対象の健康全般、対象の年齢、体重および性別食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ(複数可)、反応感受性ならびに治療に対する耐容性/応答に依存する。この量は日常的な実験によって決定することができ、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療上有効量は0.01mg/kg〜500mg/kg、例えば0.1mg/kg〜200mg/kg、例えば100mg/Kgであるだろう。

0089

別の実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が重鎖および軽鎖を含む抗体またはその断片もしくは誘導体であり、重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む。

0090

本発明はまた、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む阻害剤を提供する。

0091

別の実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が重鎖および軽鎖を含む阻害剤であり、重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む。

0092

別の実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、重鎖が配列番号9に示される配列を含む阻害剤である。

0093

本発明はまた、軽鎖が配列番号7に示される配列を含む、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤を提供する。

0094

本発明はまた、配列番号9に示される配列を含む重鎖および配列番号7に示される配列を含む軽鎖を有する、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤を提供する。

0095

本発明の一態様では、重鎖の可変ドメインが3つのCDRを含み、CDR−H1の配列が配列番号4に示される配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有し、CDR−H2の配列が配列番号5に示される配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有し、CDR−H−3の配列が配列番号6に示される配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有する、抗CSF−1R抗体またはその結合断片もしくは誘導体が提供される。好ましくは、抗CSF−1R抗体またはその結合断片が、軽鎖の可変ドメインが3つのCDRを含み、CDR−L1の配列が配列番号1に示される配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有し、CDR−L2の配列が配列番号2に示される配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有し、CDR−L3の配列が配列番号3に示される配列と少なくとも60%の同一性または類似性を有する、軽鎖をさらに含む。一実施形態では、本明細書に開示される可変領域配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の同一性または類似性を有する可変領域が提供される。

0096

本明細書で使用される「同一性」は、整列した配列中の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。本明細書で使用される「類似性」は、整列した配列中の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で類似の種類であることを示す。例えば、ロイシンイソロイシンまたはバリンと置き換えてもよい通常互いに置換することができる他のアミノ酸には、それだけに限らないが、
フェニルアラニンチロシンおよびトリプトファン芳香族側鎖を有するアミノ酸);
−リジン、アルギニンおよびヒスチジン塩基性側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギン酸およびグルタミン酸酸性側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギンおよびグルタミンアミド側鎖を有するアミノ酸);
システインおよびメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)
が含まれる。同一性および類似性の程度は容易に計算することができる(Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、ニューヨーク、1988;Biocomputing.Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、ニューヨーク、1993;Computer Analysis of Sequence Data、Part 1、Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、Humana Press、ニュージャージー、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987、Sequence Analysis Primer、Gribskov,M.およびDevereux,J.編、M Stockton Press、ニューヨーク、1991、NCBIから入手可能なBLAST商標ソフトウェア(Altschul,S.F.ら、1990、J.Mol.Biol.215:403〜410;Gish,W.およびStates,D.J.1993、Nature Genet.3:266〜272.Madden,T.L.ら、1996、Meth.Enzymol.266:131〜141;Altschul,S.F.ら、1997、Nucleic AcidsRes.25:3389〜3402;Zhang,J.およびMadden,T.L.1997、Genome Res.7:649〜656)。

0097

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、抗体またはその断片もしくは誘導体が、BIAcore法により決定される10pM以下のヒトCSF−1Rに対する結合親和性[KD]を有する阻害剤である。

0098

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、抗体またはその断片もしくは誘導体が、BIAcore法により決定される100pM以下の親和性[KD]で抗CSF−1R抗体の結合を交差遮断する(cross−block)阻害剤である。

0099

本発明の抗体またはその断片もしくは誘導体は、適切には高い結合親和性を有する。親和性は、単離された天然または組換えCSF−1Rまたは適切な融合タンパク質/ポリペプチドを用いた表面プラズモン共鳴、例えばBIAcoreなどの技術を含む、当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて測定することができる。例えば、組換えヒトCSF−1R細胞外ドメインを用いて親和性を測定することができる。使用するための組換えヒトCSF−1R細胞外ドメインはモノマーであってもよい。適切には、本発明の使用のための抗体分子は、約1nM以下の単離されたヒトCSF−1Rに対する結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の抗体分子が約500pM以下の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の抗体分子が約250pM以下の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の抗体分子が約200pM以下の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明は、約100pM以下の結合親和性を有する抗CSF−1R抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、約100pM以下、好ましくは約10pM以下、より好ましくは約5pM以下の結合親和性を有するヒト化抗CSF−1R抗体を提供する。別の実施形態では、本発明は、約100pM以下、好ましくは約10pM以下、より好ましくは約5pM以下の結合親和性を有するヒト化抗CSF−1R抗体を提供する。

0100

親和性の数値が低いほど、抗原に対する抗体または断片の親和性が高くなる。

0101

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、抗体またはその断片もしくは誘導体が遮断する抗体と同じエピトープに結合することによって結合を交差遮断する阻害剤である。適切な交差遮断アッセイの例は、国際公開第15/028455号パンフレットに記載されている。

0102

本発明はまた、抗体またはその断片もしくは誘導体が配列番号15のヒトc−fmsの細胞外ドメインとの結合について、抗CSF−1R抗体の抗体またはその断片もしくは誘導体と競合する、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤を提供する。

0103

同じエピトープについて競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)の文脈で使用される場合、「競合する」という用語は、抗原結合タンパク質間の競合が、試験下の抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能性の断片もしくは誘導体)が参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)と共通の抗原(例えば、c−fmsまたはその断片)の特異的結合を防止または阻害するアッセイによって決定されることを意味する。例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイRIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイEIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliら、1983、Methodsin Enzymology_2:242〜253);固相直接ビオチンアビジンEIA(例えば、Kirklandら、1986、J lmmunol.137:3614〜3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、HarlowおよびLane、1988、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press);I−125標識を用いる固相直接標識RIA(例えば、Morelら、1988、Molec.lmmunol.25:7〜15);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheungら、1990、Virology 176:546〜552);および直接標識RIA(Moldenhauerら、1990、Scand.J lmmunol.32:77〜82)など多数の種類の競合結合アッセイを使用することができる。典型的には、このようなアッセイは、固体表面に結合した精製抗原またはこれらのいずれかを有する細胞、非標識試験抗原結合タンパク質および標識参照抗原結合タンパク質の使用を含む。競合阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を測定することによって測定される。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)は、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質、および参照抗原結合タンパク質によって結合されたエピトープに立体障害が起こるのに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質を含む。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、これは、参照抗原結合タンパク質と共通抗原の特異的結合を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%阻害する。いくつかの例では、結合が少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは97%またはそれ以上阻害される。

0104

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、CSF−1R抗体の阻害剤としてヒトCSF−1Rのエピトープに結合する阻害剤である。

0105

本発明の一実施形態では、神経疾患の治療および/または予防に使用するための阻害剤が、ヒトCSF−1Rのエピトープに結合する抗体である。

0106

ヒトCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドのこの特定の領域またはエピトープは、本発明によって提供される抗体のいずれか1つと組み合わせて当技術分野で公知の任意の適切なエピトープマッピング法によって同定することができる。このような方法の例としては、抗体によって認識されるエピトープの配列を含む抗体に特異的に結合することができる最小の断片を有する本発明の抗体への結合についてのCSF−1Rに由来する様々な長さのペプチドのスクリーニングが挙げられる。CSF−1、IL−34またはCSF−1Rペプチドは、合成的にまたはCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドのタンパク質分解消化によって産生され得る。抗体に結合するペプチドは、例えば、質量分析法によって同定することができる。別の例では、NMR分光法またはX線結晶学を使用して本発明の抗体が結合するエピトープを同定することができる。いったん同定されると、本発明の抗体に結合するエピトープ断片を、必要に応じて、同じエピトープに結合するさらなる抗体を得るための免疫原として使用することができる。

0107

抗体または断片などの生物学的分子は、酸性および/または塩基性官能基を含有し、それによって分子に正味の正または負の電荷を与える。全体的な「観察される」電荷の量は、実体の絶対的アミノ酸配列、3D構造における帯電基局所的環境および分子の環境条件に依存する。等電点(pI)は、特定の分子またはその溶媒接近可能表面が正味の電荷を持たないpHである。一例では、CSF−1、IL−34またはCSF−1R抗体および断片は、適切な等電点を有するように操作され得る。これにより、より強固な特性、特に適切な溶解性および/または安定性プロファイルおよび/または改善された精製特性を有する抗体および/または断片が得られる。

0108

したがって、一態様では、本発明は、最初に同定された抗体とは異なる等電点を有するように操作されたヒト化CSF−1、IL−34またはCSF−1R抗体を提供する。抗体を、例えば、酸性アミノ酸残基を1個または複数の塩基性アミノ酸残基で置き換えるなど、アミノ酸残基を置き換えることによって操作することができる。あるいは、塩基性アミノ酸残基を導入してもよいし、または酸性アミノ酸残基を除去してもよい。あるいは、分子が許容できないほど高いpI値を有する場合、必要に応じて酸性残基を導入してpIを低下させることができる。pIを操作する場合、抗体または断片の望ましい活性を保持するために注意を払わなければならないことが重要である。したがって、一実施形態では、操作された抗体または断片が、「未修飾」抗体または断片と同じまたは実質的に同じ活性を有する。

0109

**ExPASY http://www.expasy.ch/tools/pi_tool.htmlおよびhttp://www.iut−arles.up.univ−mrs.fr/w3bb/d_abim/compo−p.htmlなどのプログラムを使用して抗体または断片の等電点を予測することができる。

0110

本発明によって提供される抗体の親和性を当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して変化させることができることが理解されるであろう。そのため、本発明はまた、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rに対する改善された親和性を有する、本発明の抗体分子の変異体に関する。このような変異体は、CDRを変異させること(Yangら、J.Mol.Biol.、254、392〜403、1995)、鎖シャッフリング(Marksら、Bio/Technology、10、779〜783、1992)、大腸菌ミューテータ菌株の使用(Lowら、J.Mol.Biol.、250、359〜368、1996)、DNAシャッフリング(Pattenら、Curr.Opin.Biotechnol.、8、724〜733、1997)、ファージディスプレイ(Thompsonら、J.Mol.Biol.、256、77〜88、1996)および性的PCR(Crameriら、Nature、391、288〜291、1998)を含むいくつかの親和性成熟プロトコルによって得ることができる。Vaughanら(上記)は、これらの親和性成熟方法を論じている。

0111

所望であれば、本発明において使用するための抗体を1個または複数のエフェクター分子コンジュゲートしてもよい。本発明の一実施形態は、神経疾患の治療および/または予防に使用するための抗体であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が1個または複数のエフェクター分子にコンジュゲートしている抗体を提供する。

0112

エフェクター分子が、単一エフェクター分子、または本発明の抗体に結合することができる単一部分を形成するよう連結された2個以上のこのような分子を含み得ることが理解される。エフェクター分子に連結された抗体断片を得ることが望まれる場合、これは、抗体断片が直接またはカップリング剤を介してエフェクター分子に連結される標準的な化学的または組換えDNA手順によって調製され得る。このようなエフェクター分子を抗体にコンジュゲートさせるための技術は、当技術分野で周知である(Hellstromら、Controlled Drug Delivery、第2版、Robinsonら編、1987、623〜53頁;Thorpeら、1982、Immunol.Rev.、62:119〜58およびDubowchikら、1999、Pharmacology and Therapeutics、83、67〜123参照)。特定の化学的手順には、例えば、国際公開第93/06231号パンフレット、国際公開第92/22583号パンフレット、国際公開第89/00195号パンフレット、国際公開第89/01476号パンフレットおよび国際公開第03/031581号パンフレットに記載されているものが含まれる。あるいは、エフェクター分子がタンパク質またはポリペプチドである場合、例えば国際公開第86/01533号パンフレットおよび欧州特許第0392745号明細書に記載されている組換えDNA手順を用いて結合を達成することができる。

0113

本明細書で使用されるエフェクター分子という用語は、例えば、抗悪性腫瘍剤、薬物、毒素、生物学的に活性なタンパク質、例えば酵素、他の抗体または抗体断片、合成または天然に存在するポリマー、核酸およびその断片、例えばDNA、RNAおよびその断片、放射性核種、特に放射性ヨウ化物放射性同位体キレート化金属、ナノ粒子および蛍光化合物またはNMRもしくはESR分光法によって検出され得る化合物などのレポーター基を含む。

0115

エフェクター分子には、それだけに限らないが、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン6−チオグアニンシタラビン5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシルメルファランカルムスチンBSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファンジブロモマンニトールストレプトゾトシンマイトマイシンCおよびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDPシスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシンまたはデュオカルマイシン)および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)も含まれる。

0116

他のエフェクター分子には、111Inおよび90Y、Lu177、ビスマス213、カリフォルニウム252、イリジウム192およびタングステン188/レニウム188などのキレート化放射性核種;またはそれだけに限らないが、アルキルホスホコリントポイソメラーゼI阻害剤タキソイドおよびスラミンなどの薬物も含まれ得る。

0117

他のエフェクター分子には、タンパク質、ペプチドおよび酵素が含まれる。対象となる酵素には、それだけに限らないが、タンパク質分解酵素加水分解酵素リアーゼイソメラーゼトランスフェラーゼが含まれる。対象となるタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドには、それだけに限らないが、免疫グロブリン、毒素(アブリンリシンA、シュードモナス外毒素もしくはジフテリア毒素など)、タンパク質(インスリンなど)、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子血小板由来成長因子もしくは組織プラスミノーゲン活性化因子血栓剤もしくは抗血管新生剤、例えば、アンジオスタチンもしくはエンドスタチン、または生体応答修飾物質リンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)もしくは他の成長因子など)および免疫グロブリンが含まれる。

0118

他のエフェクター分子は、例えば診断において有用な検出可能な物質を含み得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族蛍光物質発光物質生物発光物質、放射性核種、陽電子出金属(陽電子放出断層撮影に使用するため)、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。診断剤として使用するために抗体にコンジュゲートさせることができる金属イオンについては、一般的に米国特許第4741900号明細書を参照されたい。適切な酵素には西ワサビペルオキシダーゼアルカリホスファターゼβ−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジンおよびビオチンが含まれ;適切な蛍光物質にはウンベリフェロンフルオレセインフルオレセインイソチオシアネートローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドおよびフィコエリトリンが含まれ;適切な発光物質にはルミノールが含まれ;適切な生物発光物質にはルシフェラーゼルシフェリンおよびエクオリンが含まれ;適切な放射性核種には125I、131I、111Inおよび99Tcが含まれる。

0119

別の例では、エフェクター分子は、インビボでの抗体の半減期延長する、および/または抗体の免疫原性を低下さる、および/または免疫系に対する上皮障壁を横切る抗体の送達を増強することができる。この種の適切なエフェクター分子の例としては、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはアルブミン結合化合物(国際公開第05/117984号パンフレットに記載されているものなど)が挙げられる。

0120

一実施形態では、CSF−1Rと独立したエフェクター分子によって提供される半減期が有利である。

0121

エフェクター分子がポリマーである場合、これは一般に、合成または天然に存在するポリマー、例えば場合により置換された直鎖もしくは分枝鎖ポリアルキレンポリアルケニレンもしくはポリオキシアルキレンポリマーまたは分岐もしくは非分岐多糖、例えばホモ−もしくはヘテロ−多糖であり得る。

0122

上記合成ポリマー上に存在し得る具体的な任意の置換基には、1個または複数のヒドロキシメチルまたはメトキシ基が含まれる。

0123

合成ポリマーの具体例としては、場合により置換された直鎖または分岐鎖ポリエチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)またはこれらの誘導体、特に場合により置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体が挙げられる。

0124

具体的な天然に存在するポリマーとしては、ラクトースアミロースデキストラングリコーゲンまたはその誘導体が挙げられる。

0125

一実施形態では、ポリマーがアルブミンまたはその断片、例えばヒト血清アルブミンまたはその断片である。

0126

本発明において使用される「誘導体」は、反応性誘導体、例えば、マレイミドなどのチオール選択的反応性基を含むことが意図される。反応性基は、直接またはリンカーセグメントを介してポリマーに結合していてもよい。このような基の残基は、いくつかの場合、抗体断片とポリマーとの間の連結基として生成物の一部を形成することが理解されるであろう。

0127

ポリマーサイズは、所望により変えることができるが、一般に、500Da〜50000Da、例えば5000〜40000Da、例えば20000〜40000Daの平均分子量範囲にある。ポリマーサイズは、特に、製品の意図した使用、例えば脳、腫瘍などの一定の組織に局在する能力、または循環半減期を延長する能力に基づいて選択され得る(概要については、Chapman、2002、Advanced Drug Delivery Reviews、54、531〜545参照)。したがって、例えば、製品が循環を離れて組織に浸透することが意図されている場合、例えば脳または腫瘍の治療に使用することが意図されている場合、分子量の小さなポリマー、例えば約5000Daの分子量を有するポリマーを使用することが有利となり得る。製品が循環中に留まる用途では、例えば20000Da〜40000Daの範囲の分子量を有するより高分子量のポリマーを使用することが有利となり得る。

0128

適切なポリマーには、ポリ(エチレングリコール)または特にメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体などのポリアルキレンポリマー、特に約15000Da〜約40000Daの範囲の分子量を有するものが含まれる。

0129

一例では、本発明において使用するための抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に結合される。1つの特定の例では、抗体は抗体断片であり、PEG分子は、抗体断片に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を通して結合され得る。このようなアミノ酸は抗体断片中に天然に存在してもよい、または組換えDNA法を用いて断片に操作されてもよい(例えば、米国特許第5219996号明細書;米国特許第5667425号明細書;国際公開第98/25971号パンフレット、国際公開第2008/038024号パンフレット参照)。一例では、本発明の抗体分子は修飾Fab断片であり、修飾はエフェクター分子の結合を可能にするための1個または複数のアミノ酸のその重鎖のC末端への付加である。適切には、追加のアミノ酸がエフェクター分子が結合し得る1個または複数のシステイン残基を含む修飾ヒンジ領域を形成する。複数の部位を使用して2個以上のPEG分子を結合させることができる。

0130

適切には、PEG分子は、抗体断片中に位置する少なくとも1個のシステイン残基のチオール基を通して共有結合される。修飾された抗体断片に結合した各ポリマー分子は、断片中に位置するシステイン残基の硫黄原子に共有結合することができる。共有結合は、一般的にジスルフィド結合、または特に硫黄炭素結合である。チオール基を結合点として使用する場合、適切に活性化されたエフェクター分子、例えば、マレイミドおよびシステイン誘導体などのチオール選択的誘導体を使用することができる。活性化されたポリマーを、上記のポリマー修飾抗体断片の調製に出発材料として使用することができる。活性化ポリマーは、α−ハロカルボン酸またはエステルなどのチオール反応性基、例えばイミドアセトアミド、イミド、例えば、マレイミド、ビニルスルホンまたはジスルフィドを含む任意のポリマーであり得る。このような出発材料は商業的に入手することができる(例えば、Nektar、以前はShearwater Polymers Inc.、Huntsville、AL、米国製)、または市販の出発材料から従来の化学的手順を用いて調製することができる。特定のPEG分子には、20Kメトキシ−PEG−アミン(Nektar、以前はShearwater;Rapp Polymere;およびSunBioから入手可能)およびM−PEG−SPA(Nektar、以前はShearwaterから入手可能)が含まれる。

0131

一実施形態では、抗体が、例えば欧州特許第0948544号明細書または欧州特許第1090037号明細書に開示される方法による、PEG化された、すなわち共有結合したPEG(ポリ(エチレングリコール))を有する修飾Fab断片、Fab’断片またはジFabである[「Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications」、1992、J.Milton Harris(編者)、Plenum Press、ニューヨーク、「Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications」、1997、J.Milton HarrisおよびS.Zalipsky(編者)、American Chemical Society、Washington DCおよび「Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences」、1998、M.AslamおよびA.Dent、Grove Publishers、New York;Chapman,A.2002、Advanced Drug Delivery Reviews 2002、54:531〜545も参照]。一例では、PEGはヒンジ領域中のシステインに結合している。一例では、PEG修飾Fab断片は、修飾ヒンジ領域中の単一のチオール基に共有結合したマレイミド基を有する。リジン残基は、マレイミド基に共有結合していてもよく、リジン残基上のアミン基の各々に、約20000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーが結合していてもよい。そのため、Fab断片に結合したPEGの総分子量は約40000Daであり得る。

0132

特定のPEG分子には、PEG2MAL40K(Nektar、以前はShearwaterから入手可能)としても知られているN,N’−ビス(メトキシポリ(エチレングリコール)MW20000)修飾リジンの2−[3−(N−マレイミド)プロピオンアミドエチルアミドが含まれる。

0133

PEGリンカーの代替供給源には、GL2−400MA3(以下の構造式中mは5である)およびGL2−400MA(mは2である)を供給するNOFが含まれ、nが約450である。

0134

すなわち、各PEGは約20000Daである。

0135

したがって、一実施形態では、PEGが、SUNBRIGHT GL2−400MA3として知られている2,3−ビス(メチルポリオキシエチレンオキシ)−1−{[3−(6−マレイミド−1−オキソヘキシルアミノプロピルオキシヘキサン(2アーム分岐PEG、−CH2)3NHCO CH2)5−MAL、Mw40000である。

0136

以下の種類のさらなる代替PEGエフェクター分子:

0137

一実施形態では、(連続番号付けによる)鎖中のアミノ酸226、例えば重鎖のアミノ酸226またはその付近システインアミノ酸残基を通して結合した、PEG化された(例えば、本明細書に記載されるPEGを有する)全長抗体などの抗体が提供される。

0138

一実施形態では、本開示が、1つまたは複数のPEGポリマー、例えば1つまたは複数の40kDaポリマーなどの1つまたは2つのポリマーを含むFab’PEG分子を提供する。本開示によるFab−PEG分子は、Fc断片と独立した半減期を有するという点で特に有利であり得る。一実施形態では、PEG分子、デンプン分子またはアルブミン分子などのポリマーにコンジュゲートしたscFvが提供される。一実施形態では、抗体または断片が、例えば、半減期を増加させるために、デンプン分子にコンジュゲートされる。米国特許第8017739号明細書に記載されているタンパク質へのコンジュゲートを開始する方法は、参照により本明細書に組み込まれる。

0139

CSF−1R活性の阻害剤を同定するために、いくつかの異なるアプローチが当業者によって行われ得る。一例では、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rと相互作用する薬剤を最初に同定し、その後、これらの薬剤を試験してCSF−1R活性を阻害する薬剤を同定することによって阻害剤が同定される。このような一例では、薬剤が抗体である。

0140

CSF−1、IL−34またはCSF1−Rと相互作用する薬剤または阻害剤は、任意の適切な方法を用いて、例えば、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドを候補薬剤と接触させ、候補薬剤がポリペプチドと相互作用する能力を決定する、無細胞または細胞ベースのアッセイシステムを用いることによって同定することができる。好ましくは、候補薬剤がCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドと相互作用する能力を参照範囲または対照と比較する。所望であれば、複数のCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチド試料を用いて、このアッセイを使用して、複数(例えば、ライブラリー)の候補薬剤をスクリーニングすることができる。無細胞アッセイの一例では、天然または組換えCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチドを含む第1および第2の試料を候補薬剤または対照薬剤と接触させ、候補薬剤がポリペプチドと相互作用する能力を、候補薬剤と対照薬剤との間の相互作用の差を比較することによって決定する。好ましくは、例えば、ポリペプチドをこれを特異的に認識し、これに結合する固定化抗体と接触させる、またはポリペプチドの精製調製物をタンパク質に結合するよう設計された表面と接触させることによって、ポリペプチドを最初に固定化する。ポリペプチドは、部分的もしくは完全に精製してもよい(例えば、部分的もしくは完全に他のポリペプチドを含まない)または細胞溶解物の一部であってもよい。さらに、ポリペプチドは、CSF−1、IL−34もしくはCSF1−Rポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分と、グルチオニン−S−トランスフェラーゼまたはIgGlのFc領域などのドメインとを含む融合タンパク質であってもよい。あるいは、ポリペプチドを当業者に周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals;Rockford、IL)を用いてビオチン化することができる。候補薬剤がポリペプチドと相互作用する能力は、当業者に公知の方法、例えばELIS A、BIAcore(商標)、フローサイトメトリーまたは蛍光微量アッセイ技術(fluorescent microvolume assay technology)(FMAT)によって決定することができる。細胞ベースのアッセイを使用する別の例では、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rを発現する細胞集団を候補薬剤と接触させ、候補薬剤がポリペプチドと相互作用する能力を決定する。好ましくは、候補薬剤がCSF−1、IL−34またはCSF−1Rと相互作用する能力を参照範囲または対照と比較する。細胞は、例えば、真核生物起源(例えば、酵母または哺乳動物)であり得、内因的にCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドを発現することができる、またはポリペプチドを発現するように遺伝子操作され得る。いくつかの例では、CSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは候補薬剤を、例えば放射性標識(P、SもしくはIなど)または蛍光標識(フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニンアロフィコシアニンo−フタルアルデヒドもしくはフルオレサミンなど)で標識して、ポリペプチドと候補薬剤との間の相互作用の検出を可能にする。ELISA、フローサイトメトリーおよびFMATなどの代替方法を使用することもできる。CSF−1R活性を阻害する薬剤を、任意の適切な方法によって、例えば、(i)候補薬剤の存在下でのCSF−1Rの活性を候補薬剤の非存在下または対照薬剤の存在下での前記ポリペプチドの活性と比較すること;および(ii)候補薬剤がCSF−1Rの活性を阻害するかどうかを決定することによって同定することができる。このようなアッセイを、臨床モニタリングまたは薬物開発において使用して候補薬剤をスクリーニングすることができる。上記のように、適当な場合(例えば、抗体)、CSF−1R活性を阻害する能力について、結合する薬剤をスクリーニングする前に、薬剤を事前スクリーニングして、CSF−1、IL−34またはCSF−1Rと相互作用する薬剤を同定することができる。一例では、細胞ベースのアッセイシステムを使用して、CSF−1Rの活性を阻害することができる薬剤を同定する。1つの特定の例では、CSF−1活性またはCSF−1R活性の阻害剤を同定するために使用されるアッセイは、CSF−1がマクロファージコロニーの形成を刺激することができる、Metcalf、1970、J.Cell.Physiol.76〜89の標準的なインビトロコロニー刺激アッセイである。潜在的な阻害剤をアッセイに添加し、マクロファージの増殖を、3Hチミジン取り込みまたはホルマザン色素変換などの任意の適切な方法によって測定する。そのため、阻害は対照と比較して増殖の減少として測定される。

0141

別の例では、CSF−1Rの阻害剤がCSF−1、IL−34またはCSF−1Rポリペプチド、例えばアンチセンス阻害剤の発現を下方制御することができる。このような阻害剤は、当技術分野で公知の任意の方法によって同定することができる。一例では、このような阻害剤を細胞ベースのアッセイシステムで同定する。したがって、CSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸を発現する細胞集団を候補薬剤と接触させ、候補薬剤がCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸の発現を変化させる能力を、参照範囲または対照と比較することによって決定する。一例では、CSF−1、IL−34またはCSF1−Rポリペプチドを発現する細胞集団を候補薬剤または対照薬剤と接触させ、候補薬剤がCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸の発現を変化させる能力を、CSF−1、IL−34もしくはCSF1−Rポリペプチドまたは核酸の発現レベルの差を、処理細胞集団と対照細胞集団間で比較することによって決定する。所望であれば、このアッセイを使用して、複数(例えば、ライブラリー)の候補薬剤をスクリーニングすることができる。細胞は、例えば、真核生物起源(例えば、酵母または哺乳動物)であり得、内因的にCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドを発現することができる、またはCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドを発現するように遺伝子操作され得る。候補薬剤が前記ポリペプチドまたは核酸の発現を変化させる能力は、当業者に公知の方法、例えばおよび限定されないが、フローサイトメトリー、放射標識シンチレーションアッセイ、免疫沈降ウェスタンブロット分析ノーザンブロット分析またはRT−PCRによって決定することができる。

0142

CSF−1Rの活性を阻害する薬剤を同定またはさらに試験して、例えば、1つまたは複数の動物モデルにおいて治療上有効量を決定することができる。適切な動物の例としては、それだけに限らないが、マウス、ラット、ウサギ、サルモルモット、イヌおよびネコが挙げられる。薬剤がCSF−1、IL−34またはCSF−1Rの発現を阻害する一例では、第1の群および第2の群の哺乳動物に候補薬剤または対照薬剤を投与し、候補薬剤がCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸の発現を阻害する能力を、第1の群の哺乳動物と第2の群の哺乳動物との間の発現レベルの差を比較することによって決定する。所望であれば、第1の群の哺乳動物および第2の群の哺乳動物におけるCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸の発現レベルを、対照群の哺乳動物におけるCSF−1、IL−34もしくはCSF−1Rポリペプチドまたは核酸のレベルと比較することができる。候補薬剤または対照薬剤は、当技術分野で公知の手段(例えば、経口、直腸または非経口、例えば、腹腔内または静脈内または全身)によって投与することができる。ポリペプチドまたは核酸の発現の変化は、上に概説される方法によって評価することができる。

0143

アルツハイマー病またはパーキンソン病の齧歯動物モデルの例が、例えば、Wirthsら、2010によって証明されている。アルツハイマー病のAPP/PS1KIトランスジェニックマウスモデルにおけるミクログリア活性化およびIba1の発現増加が証明されている。同様に、Depboyluら、2012は、パーキンソン病のMPTP誘発モデルにおけるIba1発現に関連する強力なミクログリア活性化を示した。重要なことに、強いミクログリア活性化表現型および増加したIba1シグナルが、αシヌクレイン過剰発現を誘導されたパーキンソン病の齧歯動物モデルと非ヒト霊長類モデルの両方で観察された(Barkholtら、2012、Lukら、2012)。

0144

別の例では、CSF−1R活性の阻害を、疾患症状の回復もしくは改善、および/または疾患の発症の遅延もしくは進行の遅延を監視することによって決定することができる。例えば、限定されないが、神経疾患、例えばとりわけてんかん、アルツハイマー病またはパーキンソン病の場合、これは脳または組織培養物中のミクログリア活性化またはミクログリア細胞のマーカーの減少として現れ得るだろう。神経疾患を有する患者におけるCSF−1R活性の阻害はまた、他の原因がない場合、疾患活動の急速な悪化として定義される憎悪の軽減などの臨床事象を監視することによって決定することができる。よって、一実施形態では、CSF−1Rの阻害剤を使用することによって以下のアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アンジェルマン症候群、注意欠陥多動障害、自閉スペクトラム症、双極性障害、脳損傷、脳傷害、脳腫瘍、中枢痛症候群、大脳萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性疼痛、複雑な局所疼痛症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症、ダウン症候群、ドラベ症候群、脳炎、本態性振戦、フリードライヒ運動失調症、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS)、頭部傷害、頭痛、帯状疱疹、ハンチントン病、低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎、点頭てんかん、頭蓋内圧亢進、ラフォラ病、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、白質ジストロフィー、白質消滅を伴う白質脳症、レビー小体病、脳回欠損、ライム病−神経性続発症、巨脳症、髄膜炎、小頭症、偏頭痛、小発作(一過性虚血発作)、運動ニューロン疾患−筋萎縮性側索硬化症参照、多発脳梗塞性認知症、多発性硬化症、乳児のミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、AIDSの神経症状、ループスの神経性続発症、神経セロイドリポフスチン症、ニューロパチー、ニーマン・ピック病、大田原症候群、パーキンソン病、経産婦新生物障害、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性多巣性白質脳症、進行性核上性麻痺、ラスムッセン脳炎、下肢静止不能症候群、レット症候群、全身硬直症候群、脳卒中、一過性虚血発作、外傷性脳傷害、振戦、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、鉤状回てんかん、ウエスト症候群、ウィルソン病の1つまたは複数の減少が提供され得る。

0145

本発明の好ましい例では、阻害剤がてんかん、てんかん発作、発作および痙攣の治療および/または予防に使用され得る。本発明のさらに好ましい実施形態では、阻害剤が、全般発作、部分発作および原因不明の発作を含む群から選択される特別なタイプのてんかんの治療および/または予防に使用され得る。本発明のより好ましい実施形態では、阻害剤が側頭葉てんかん(TLE)の治療および/または予防に使用され得る。

0146

神経疾患に精通した医師に知られている技術を使用して、候補薬剤が疾患に関連する1つまたは複数の症状を変化させたかどうかを判定することができる。神経疾患のいくつかの異なるモデルが当技術分野で公知である。例えば、ミクログリア活性化に関連する神経炎症のモデルは、神経疾患において観察されるミクログリア表現型を模倣するミクログリア活性化を誘導することが報告されているリポ多糖LPS細菌内毒素の全身注射に基づく。このモデルは齧歯動物種で使用することができるが、最近の研究では、LPSモデルをミクログリア活性化の強い活性化にも関連する非ヒト霊長類にも使用できることが示された(Hannestadら、2012)。

0147

神経疾患またはミクログリア活性化状態画像化技術は、活性化ミクログリアにおいて強力な誘導を示す(Hannestadら、2012)、トランスロケータタンパク質(TSPO)に結合する放射性トレースを用いる陽電子放出断層撮影法(PET)であり得る。TSPOは、その誘導がてんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病などのいくつかの神経疾患の経過において報告されているので、ミクログリア活性化の翻訳マーカーとみなされている(Amhaoulら、2014;Hommetら、2014;Edisonら、2013)。

0148

本発明の一実施形態は、核酸である、神経疾患を治療および/または予防するための阻害剤を提供する。

0149

さらなる実施形態では、本発明は、CSF−1R活性を阻害する抗体の重鎖および/または軽鎖(複数可)をコードする単離されたDNA配列である阻害剤を提供する。好ましい実施形態では、単離されたDNA配列が重鎖および軽鎖を含む抗体またはその断片もしくは誘導体の重鎖および/または軽鎖(複数可)をコードし、重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む。

0150

別の例では、阻害剤が核酸である場合、これは遺伝子治療を介して投与され得る(例えば、Hoshida,T.ら、2002、Pancreas、25:111〜121;Ikuno、Y.2002、Invest.Ophthalmol.Vis Sci.2002 43:2406〜2411;Bollard,C、2002、Blood 99:3179〜3187;Lee E.、2001、Mol.Med.7:773〜782参照)。遺伝子治療は、発現したまたは発現可能な核酸の対象への投与を指し一例では、これはCSF−1、IL−34もしくはCSF−IR核酸またはその部分のいずれかである。当技術分野で利用可能な遺伝子治療のための方法のいずれも、本発明により使用することができる。治療用核酸の患者への送達は、直接インビボ遺伝子治療(すなわち、患者が核酸または核酸含有ベクターに直接曝露される)または間接エクスビボ遺伝子治療(すなわち、細胞が最初にインビトロで核酸により形質転換され、次いで、患者に移植される)であり得る。

0151

例えば、インビボ遺伝子治療のために、CSF−1、IL−34またはCSF−IR核酸を含有する発現ベクターを、それが細胞内になるように、すなわち、例えば、米国特許第4980286号明細書またはRobbinsら、1998、Pharmacol.Ther.80:35〜47に記載される欠陥もしくは弱毒化レトロウイルスまたは他のウイルスを用いた感染によって、投与することができる。当技術分野で公知の種々のレトロウイルスベクターは、例えばMillerら(1993、Meth.Enzymol.217:581〜599)に記載されているものであり、これらは、ウイルスゲノムパッケージ化およびその後の宿主細胞DNAへの取り込みに必要とされないレトロウイルス配列を欠失させるよう修飾された。また、非分裂細胞に感染する能力のために有利なアデノウイルスベクターを使用することができ、このような高能力アデノウイルスベクターは、Kochanek(1999、Human Gene Therapy、10:2451〜2459)に記載されている。使用することができるキメラウイルスベクターは、Reynoldsら(1999、Molecular Medicine Today、1:25〜31)によって記載されているものである。ハイブリッドベクターも使用することができ、Jacobyら(1997、Gene Therapy、4:1282〜1283)によって記載されている。ネイキッドDNAの直接注入または微粒子照射(例えば、Gene Gun(登録商標);Biolistic、Dupont)の使用またはこれを脂質でコーティングすることも遺伝子治療に使用することができる。細胞表面受容体トランスフェクション化合物、またはリポソーム、微粒子もしくはマイクロカプセルへのカプセル封入を通して、または核に入ることが知られているペプチドとの結合で核酸を投与することによって、または受容体媒介エンドサイトーシスに敏感なリガンドとの結合でこれを投与すること(WuおよびWu、1987、J.Biol.Chem.、262:4429〜4432参照)を使用して、対象となる受容体を特異的に発現する細胞型を標的化することができる。エキソビボ遺伝子治療では、遺伝子を組織培養を用いてインビトロで細胞に移し、皮下注射、細胞の皮膚移植片への施用および組換え血液細胞(造血幹細胞または前駆細胞など)の静脈内注射などの種々の方法によって患者に送達する。遺伝子治療の目的でCSF−1、IL−34またはCSF−IR核酸を導入することができる細胞には、例えば、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト線維芽細胞筋細胞肝細胞および血液細胞が含まれる。使用することができる血液細胞には、例えば、Tリンパ球Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球好酸球巨核球顆粒球造血細胞または前駆細胞、ミクログリアなどが含まれる。

0152

本発明の一態様は、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するためのCSF−1R活性の阻害剤の使用である。本発明のCSF−1R活性の阻害剤のこの使用および以下のより具体的な使用は、それだけに限らないが、上記のおよび説明によって提供される全ての定義も関連する阻害剤を含む。

0153

本発明の一実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための阻害剤の使用が核酸を含む。

0154

本発明の別の実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための阻害剤の使用が、抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体に関する。したがって、本発明の抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体の使用は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む。さらに、本発明における抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体の使用は、キメラ、ヒト化またはヒト抗体に関する。本発明の一実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用が、二重特異性または多重特異性抗体を含む。したがって、本発明の抗体またはその機能的に活性な断片もしくは誘導体の使用は、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子、またはFab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(VHまたはVLまたはVHH)、scFv、二価、三価もしくは四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよび上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む群から選択されるその断片を含む群から選択される抗体に関する。

0155

本発明の別の実施形態は、1つまたは複数のエフェクター分子にコンジュゲートした阻害剤を含む神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための阻害剤の使用を提供する。

0156

本発明の別の実施形態では、CSF−1Rに結合する抗体である神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体の使用が提供される。

0157

抗体またはその断片もしくは誘導体が神経疾患に罹患している患者の治療および/または予防に十分な治療上有効量、血液脳関門(BBB)を横切って脳内に到達する、抗体であるCSF−1R活性の阻害剤の使用も本発明により提供される。

0158

本発明の別の実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用が重鎖および軽鎖を有する抗体を含み、重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む。

0159

さらに、本発明は、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が重鎖および軽鎖を含み、軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む使用を提供する。

0160

本発明の別の実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用が重鎖および軽鎖を有する抗体を含み、重鎖の可変ドメインが、CDR−H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR−H2について配列番号5に示される配列を有するCDR、およびCDR−H3について配列番号6に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、軽鎖の可変ドメインが、CDR−L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR−L2について配列番号2に示される配列を有するCDR、およびCDR−L3について配列番号3に示される配列を有するCDRの少なくとも1つを含む。

0161

本発明の別の実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用が、配列番号9に示される配列を含む重鎖を有する抗体を含む。

0162

本発明の別の実施形態では、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用が、配列番号7に示される配列を含む軽鎖を有する抗体を含む。

0163

本発明はさらに、配列番号9に示される配列を含む重鎖および配列番号7に示される配列を含む軽鎖を有する、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用を提供する。

0164

本発明はまた、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が10pM以下のヒトCSF−1Rに対する結合親和性[KD]を有する使用を提供する。

0165

本発明はまた、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が100pM以下の親和性[KD]で請求項13に記載の抗体の結合を交差遮断する使用を提供する。

0166

本発明の別の実施形態は、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が遮断する抗体と同じエピトープに結合することによって結合を交差遮断する使用である。

0167

本発明の別の実施形態は、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用であって、抗体またはその断片もしくは誘導体が図2(配列番号15)のヒトCSF−1R(c−fms)の細胞外ドメインへの結合について抗体またはその断片もしくは誘導体と競合する使用である。

0168

本発明の一実施形態は、ヒトCSF−1Rのエピトープに結合する、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用を提供する。

0169

本発明の別の実施形態は、本発明に適した抗体の重鎖および/または軽鎖(複数可)をコードする単離されたDNA配列である、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための抗体またはその断片もしくは誘導体の使用を提供する。

0170

本明細書に記載されるように、CSF−1R活性の阻害剤を神経疾患の治療および/または予防に使用することができる。このような使用のために、薬剤は、一般に医薬組成物の形態で投与される。薬学的に許容される希釈剤賦形剤および/または担体と組み合わせたCSF−1R活性の阻害剤を含む医薬組成物も提供される。本発明の医薬組成物は、他の有効成分をさらに含むことができる。

0171

「治療」という用語は、治療的および/または予防的療法のいずれかを含む。本明細書において、特定の阻害剤または阻害剤の組み合わせを用いて神経疾患または状態を治療および/または予防する方法に言及する場合、このような言及は、神経疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するためのその阻害剤または阻害剤の組み合わせの使用を含むことを意図していることを理解すべきである。

0172

組成物は、通常、薬学的に許容される担体を通常含む無菌の医薬組成物の一部として供給される。この組成物は、(患者に投与する所望の方法に応じて)任意の適切な形態であり得る。本発明における使用の阻害剤は、好ましくは、対象に経口的にまたは直腸内に投与されるが、経皮的、皮下的鼻腔内、静脈内および筋肉内などの種々の他の経路によって投与されてもよい。任意の所与の場合における投与に最も適した経路は、特定の阻害剤、対象ならびに疾患の性質および重症度ならびに対象の身体状態に依存する。

0173

本発明における使用の阻害剤は、例えば、抗神経療法であり得る1種または複数の他の治療的に活性な化合物と組み合わせて、例えば同時に、順次または別々に投与することができる。

0174

医薬組成物は、1用量当たり所定量の本発明の活性薬剤を含有する単位用量形態都合よく提供され得る。このような単位は、例えば、限定されないが、治療している状態、投与経路ならびに対象の年齢および体重および状態に応じて、1000mg/kg〜0.01mg/kg、例えば750mg/kg〜0.1mg/kg、例えば100mg/kg〜1mg/kgを含有し得る。

0175

本発明において使用するための薬学的に許容される担体は、例えば、投与経路に応じて多種多様な形態をとることができる。

0176

経口投与のための組成物は液体であっても固体であってもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、エマルジョンシロップもしくはエリキシルの形態であってもよいし、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクル再構成するための乾燥生成物として提供されてもよい。経口液体製剤は、当技術分野で公知の懸濁化剤を含有してもよい。散剤カプセル剤および錠剤などの経口固形製剤の場合、デンプン、糖、微結晶セルロース造粒剤潤滑剤、結合剤崩壊剤などの担体を含めることができる。その投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投与単位形態となり、この場合、固形医薬担体が一般に使用される。

0177

上に示される一般的な剤形に加えて、本発明の活性剤を、制御放出手段および/または送達装置によって投与することもできる。錠剤およびカプセル剤は、結合剤、例えばシロップ、アラビアゴムゼラチンソルビトールトラガカントまたはポリビニルピロリドン充填剤、例えば乳糖、糖、トウモロコシデンプンリン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤用潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムタルクポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモデンプン;または許容される湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの慣用的な担体または賦形剤を含むことができる。錠剤は、標準的な製薬実務において周知の方法により、標準的な水性または非水性技術によってコーティングすることができる。

0178

経口投与に適した本発明の医薬組成物は、各々が所定量の活性剤を含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの別個の単位として、散剤もしくは顆粒剤として、または水性液体非水性液体、非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、水中油型エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。このような組成物は、薬学方法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法が活性剤を1種または複数の必要な成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、組成物は、活性剤を液体担体もしくは細かく分割された固体担体または両方と均一かつ密接に混合し、次いで、必要に応じて生成物を所望の形態に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、場合により1種または複数の副成分を用いて、圧縮または成形によって調製することができる。

0179

非経口投与に適した医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中の本発明の活性薬剤の溶液または懸濁液として調製することができる。分散液は、油中グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物で調製することもできる。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。注射使用に適した医薬形態には、抗酸化剤緩衝剤静菌剤および組成物を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる水性または非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤およびtWckening剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。即時注射溶液、分散液および懸濁液は、滅菌粉末顆粒および錠剤から調製することができる。医薬組成物は、当技術分野で公知の医療機器を用いて投与することができる。例えば、好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物を、米国特許第5399163号明細書;第5383851号明細書;第5312335号明細書;第5064413号明細書;第4941880号明細書;第4790824号明細書;または第4596556号明細書に開示されている装置などの無針皮下注射装置で投与することができる。本発明において有用な周知のインプラントおよびモジュールの例としては、制御された速度で薬物を分配するための埋め込み可能な微量注入ポンプを開示する米国特許第4487603号明細書;皮膚を通して医薬品を投与するための治療装置を開示している米国特許第4486194号明細書;正確な注入速度で医薬品を送達するための薬物注入ポンプを開示している米国特許第4447233号明細書;連続的な薬物送達のための可変流量の埋め込み可能な注入装置を開示している米国特許第4447224号明細書;マルチチャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示している米国特許第4439196号明細書;および浸透圧薬物送達システムを開示している米国特許第4475196号明細書が挙げられる。多くの他のこのようなインプラント、送達システムおよびモジュールが当業者に知られている。

0180

局所投与に適した医薬組成物は、軟膏クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペーストゲル含浸包帯スプレーエアゾールまたはオイル経皮デバイス散粉剤などとして製剤化することができる。これらの組成物は、活性剤を含有する慣用的な方法を介して調製することができる。したがって、これらはまた、保存剤、薬物浸透を助けるための溶媒、クリームまたは軟膏の皮膚軟化剤ならびにローションのためのエタノールまたはオレイルアルコールなどの適合性の慣用的な担体および添加剤を含んでもよい。このような担体は、組成物の約1%〜最大約98%として存在し得る。より一般的には、これらは組成物の最大約80%を形成する。単なる例示として、クリームまたは軟膏は、所望の粘稠度を有するクリームまたは軟膏を製造するのに十分な量の約5〜10重量%の化合物のを含有する、十分な量の親水性材料および水を混合することによって調製される。経皮投与に適した医薬組成物は、長期間にわたりレシピエントの表皮と緊密に接触したままであることを意図された別個のパッチとして提供され得る。例えば、活性剤をイオン泳動によってパッチからすることができる。外部組織、例えば口および皮膚への施用のために、組成物は、好ましくは、局所軟膏またはクリームとして施用される。軟膏に製剤化する場合、活性薬剤をパラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかと共に使用することができる。あるいは、活性薬剤を、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を含むクリームに製剤化することができる。口内の局所投与に適した医薬組成物には、ロゼンジトローチおよび口内洗浄剤が含まれる。眼への局所投与に適した医薬組成物には、活性剤が適当な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁した点眼剤が含まれる。これらには、上記の局所軟膏またはクリームも含まれる。担体が固体である直腸投与に適した医薬組成物は、最も好ましくは単位用量坐剤として提供される。適切な担体には、カカオ脂もしくは他のグリセリドまたは当技術分野で一般的に使用されている材料が含まれ、坐剤は、軟化または溶融したカピエル(capier)(複数可)との組み合わせの混和、引き続いて冷却および成形によって好都合に形成することができる。これらを浣腸として投与することもできる。

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