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技術 改変酵母−ブラキュリー免疫療法組成物

出願人 グローブイミューン,インコーポレイテッドザユナイテッドステイツオブアメリカ,アズリプレゼンテッドバイザセクレタリー,デパートメントオブヘルスアンドヒューマンサービシーズ
発明者 キング、トーマスエイチ.グオ、ジミンシュロム、ジェフリーパレナ、クラウディア
出願日 2016年8月1日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2018-505476
公開日 2018年8月9日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 2018-522041
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 試行回 pH計 小プレート ハドロン 長期維持 カムパス 物理力 ディジタルイメージ
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図面 (2)

課題・解決手段

改変ブラキュリ抗原を含む改善された酵母ベース免疫療法組成物、ならびにブラキュリーの発現または過剰発現によって特徴付けられる癌を予防および/または治療するための方法が開示される。

概要

背景

「T」としても知られるブラキュリーは、中胚葉転写因子であると共に遺伝子のTボックス複合体のメンバーである。ブラキュリーをコードする遺伝子(ヒトではT遺伝子またはブラキュリー遺伝子と呼ばれる)は、ナディンドブボルスカヤ−ザバドスカヤ(Nadine Dobrovolskaia−Zavadskaia)により、ヘテロ接合動物の尾長および仙椎に影響を及ぼす突然変異を介してマウスにおいて1927年に初めて同定された。ブラキュリー遺伝子は、1990年にハーマン(Hermann)ら(非特許文献1)によりマウスにおいて、および1996年にエドワーズ(Edwards)ら(非特許文献2)によりヒトにおいてクローニングされた。エドワーズ(Edwards)らはまた、ヒトブラキュリーの推定アミノ酸配列も記載した。

転写因子のTボックスファミリーのメンバーとして、ブラキュリーは、パリンドロームコンセンサス配列に結合する高度に保存されたDNA結合ドメインモチーフ(「Tボックス」またはTドメインと呼ばれる)を含有する。ブラキュリーは、他のTボックスタンパク質と同様に、初期発生役割を果たすことが示されており、脊椎動物において背側中胚葉の形成および分化ならびに体軸発生にきわめて重要である(たとえば、(非特許文献3)、(非特許文献4)、(非特許文献5)、(非特許文献6)、(非特許文献7)を参照されたい)。より最近では、パレナ(Palena)らは、ブラキュリーが様々なヒト腫瘍組織および癌細胞系発現されることを実証すると共に、正常ドナーおよび癌患者においてブラキュリーのペプチドを用いてブラキュリー特異的T細胞系を発生させ得ることを示した(非特許文献8)。フェルナンド(Fernando)らによる研究では、ブラキュリーは、ヒト腫瘍細胞上皮間葉転換EMT:epithelial−mesenchymal transition)を促進して腫瘍細胞間葉表現型ならびに遊走能および浸潤能を付与すると共に、腫瘍細胞周期進行を減衰させることが示された(非特許文献9)。したがって、ブラキュリーは癌の転移進行に関与する。

癌は、世界中で主要な死亡原因であり、癌の有効な治療法の開発は、依然として研究および臨床開発の最も活発な分野の1つである。癌を治療および予防するための様々な革新的手法が提案されてきたが、多くの癌は、依然として高い死亡率を有し、治療が困難であるかまたは従来の治療法に対して比較的不応性であり得る。ブラキュリー発現に関連する癌は、乳房小腸腎臓膀胱子宮卵巣精巣結腸、骨(脊索腫を含む)、および前立腺を含めて、様々な組織に見出されることがあり、転移癌および後期癌を含む。加えて、ブラキュリーは、慢性リンパ球性白血病(CLL:chronic lymphocytic leukemia)、エプスタイン・バーウイルス形質転換B細胞バーキットリンパ腫ホジキンリンパ腫などのB細胞由来腫瘍で発現される。したがって、ブラキュリーは多数のヒト癌の一因となると思われる。ブラキュリーは癌免疫療法の標的とすることが提案されてきたが(たとえば、前掲の(非特許文献8)、前掲の(非特許文献9)、および(特許文献1)を参照されたい)、これは比較的新しい癌標的であるため、ブラキュリーの発現または過剰発現に関連する癌を効果的に治療および/または予防する新しい免疫療法製剤の必要性が当技術分野に依然として存在する。

概要

改変ブラキュリー抗原を含む改善された酵母ベース免疫療法組成物、ならびにブラキュリーの発現または過剰発現によって特徴付けられる癌を予防および/または治療するための方法が開示される。

目的

本発明の新規組成物を用いた酵母−ブラキュリー免疫療法は、ブラキュリー特異的細胞免疫反応(CD4+およびCD8+)を誘発するのに有用であり、また、ブラキュリー発現腫瘍を有する対象に投与して、限定されるものではないが、脊索腫、転移癌、および関連病態を含めて、ブラキュリーを発現する癌を予防および/または治療するための新規な療法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

酵母ブラキュリ免疫療法組成物であって、a)酵母と、b)前記酵母によって発現された少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原とを含み、前記改変ブラキュリー抗原が、野生型ブラキュリーの位置42〜229のいずれか1つ以上のアミノ酸欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有し、前記ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーと比較して破壊されたDNA結合部位を有する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項2

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーと比較して破壊されたDNA結合活性を有する、請求項1に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項3

前記酵母が、野生型ブラキュリーを発現する酵母と比較して低減されたフロキュレーション表現型を有する、請求項1に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項4

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーの位置66〜217のいずれか1つ以上のアミノ酸の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項5

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーの位置198〜222のいずれか1つ以上のアミノ酸の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項6

前記改変ブラキュリー抗原が、Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、およびPhe217の少なくとも1つから選択される、前記野生型ブラキュリーの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸残基の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項7

前記改変ブラキュリー抗原が、Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、およびVal175の少なくとも1つから選択される、前記野生型ブラキュリーの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸残基の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項8

前記改変が欠失である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項9

前記改変ブラキュリー抗原が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の前記改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項10

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーの位置66と位置217との間の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接アミノ酸の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項11

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーの位置198と位置222との間の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接アミノ酸の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項12

前記改変ブラキュリー抗原が、前記野生型ブラキュリーの位置198〜222の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項13

前記改変ブラキュリー抗原が、少なくとも1つのアゴニスト細胞エピトープをさらに含むアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項14

前記アゴニストエピトープが配列番号6のアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の酵母ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項15

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項16

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項17

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項18

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号10または配列番号10の位置2〜410を含むアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項19

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号13または配列番号13の位置2〜410を含むアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項20

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号12または配列番号15に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する融合タンパク質である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項21

前記改変ブラキュリー抗原が、配列番号12または配列番号15のアミノ酸配列を有する融合タンパク質である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項22

前記酵母がサッカロマイセス属(Saccharomyces)に由来する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項23

前記酵母がサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomycescerevisiae)に由来する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項24

前記酵母が酵母菌体である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項25

前記酵母菌体が死滅されている、請求項24に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項26

前記酵母菌体が熱不活性化されている、請求項24に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項27

対象への投与に好適な薬学的に許容可能な賦形剤中に製剤化されている、請求項1〜26のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項28

酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であって、a)不活性化酵母菌体と、b)配列番号10の位置2〜415のアミノ酸配列を含むブラキュリー融合タンパク質とを含み、前記ブラキュリー融合タンパク質が前記酵母によって発現されたものであり、前記組成物がブラキュリー特異的T細胞反応を誘発する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項29

前記融合タンパク質が配列番号12のアミノ酸配列を有する、請求項28に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項30

酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であって、a)不活性化酵母菌体と、b)配列番号13の位置2〜415のアミノ酸配列を含むブラキュリー融合タンパク質とを含み、前記ブラキュリー融合タンパク質が前記酵母によって発現されたものであり、前記組成物がブラキュリー特異的T細胞反応を誘発する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項31

前記融合タンパク質が配列番号15のアミノ酸配列を有する、請求項30に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項32

前記ブラキュリー融合タンパク質の発現がプロモータCUP1の制御下にある、請求項28〜31のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項33

前記酵母がサッカロマイセス属(Saccharomyces)に由来する、請求項28〜32のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項34

前記酵母がサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)に由来する、請求項28〜33のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項35

対象への投与に好適な薬学的に許容可能な賦形剤中に製剤化されている、請求項28〜34のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物。

請求項36

ブラキュリーを発現する癌を治療する方法であって、ブラキュリーを発現する癌を有する対象に、請求項1〜35のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を投与することを含む、方法。

請求項37

癌を有する個体において癌の転移進行を低減、停止、逆転遅延、または予防する方法であって、転移進行を起こしているか、転移進行を起こすリスクを有するか、または転移進行を起こし始めると予測される癌を有する個体に、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法。

請求項38

ブラキュリー発現癌の発症を予防または遅延する方法であって、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物を個体に投与することを含む、方法。

請求項39

脊索腫を治療する方法であって、脊索腫を有する対象に、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法。

請求項40

個体が他の癌療法で治療されているかまたは治療されたことがある、請求項36〜39のいずれか一項に記載の方法。

請求項41

前記療法が、放射線療法腫瘍外科切除化学療法、標的癌療法、養子細胞移入、または1種以上の追加の免疫療法組成物の投与から選択される、請求項40に記載の方法。

請求項42

癌を有する患者において腫瘍細胞化学療法耐性または放射線耐性を低減または予防する方法であって、癌を有しかつ化学療法および放射線療法の少なくとも一方を受けている個体に、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法。

請求項43

個体における腫瘍負荷の低減、前記個体の生存率の増加、および前記個体における腫瘍成長阻害の少なくとも一つを行う、請求項36〜42のいずれか一項に記載の方法。

請求項44

前記癌が、乳癌骨癌、脊索腫、小腸癌、胃癌膵癌腎癌膀胱癌子宮癌卵巣癌精巣癌、肺癌結腸癌前立腺癌慢性リンパ球性白血病(CLL)、バーキットリンパ腫ホジキンリンパ腫、およびそれらの転移癌からなる群から選択される、請求項36〜42のいずれか一項に記載の方法。

請求項45

エプスタイン・バーウイルスEBV)感染に関連する疾患または病態を治療または予防する方法であって、請求項1〜35のいずれか一項に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を個体に投与することを含む、方法。

請求項46

ブラキュリーを発現する癌の治療に使用するための、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物。

請求項47

癌を有する個体において癌の転移進行の低減、停止、逆転、または予防に使用するための、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物。

請求項48

ブラキュリー発現癌の発症の予防または遅延に使用するための、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物。

請求項49

癌を有する患者において腫瘍細胞の化学療法耐性または放射線耐性の低減または予防に使用するための、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物。

請求項50

ブラキュリーを発現する癌を治療するための医薬の調製における、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫療法組成物の使用。

技術分野

0001

政府権利
本発明は、保健福祉省の一機関である国立衛生研究所との共同研究開発契約履行時に作成された。米国政府は、本発明に関する一定の権利を有する。

0002

共同研究契約に関する言明
本発明は、2008年5月8日に締結された共同研究開発契約の当事者によってまたは当事者を代表してなされた。共同研究開発契約の当事者は、グローブミューン・インコーポレイテッド(GlobeImmune,Inc.)および国立衛生研究所の研究所、センター、または部門である国立癌研究所によって代表される米国保健福祉省である。

0003

配列表の参照
本出願は、EFSウェブ(EFS−Web)によりテキストファイルとして電子的に提出された配列表を含む。テキストファイルは、「7797−3−PCT_ST25」という名称であり、バイト単位で50KBのサイズを有し、2016年7月26日に登録された。テキストファイルに含まれる情報は、連邦行政命令集第37編1.52(e)(5)の規定により、その全体が参照により本出願に組み込まれる。

0004

本発明は、概して、ブラキュリーの発現または過剰発現によって特徴付けられる癌を予防および/または治療するための改善された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物および方法、ならびに酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の製造および使用を改善する方法に関する。

背景技術

0005

「T」としても知られるブラキュリーは、中胚葉転写因子であると共に遺伝子のTボックス複合体のメンバーである。ブラキュリーをコードする遺伝子(ヒトではT遺伝子またはブラキュリー遺伝子と呼ばれる)は、ナディンドブボルスカヤ−ザバドスカヤ(Nadine Dobrovolskaia−Zavadskaia)により、ヘテロ接合動物の尾長および仙椎に影響を及ぼす突然変異を介してマウスにおいて1927年に初めて同定された。ブラキュリー遺伝子は、1990年にハーマン(Hermann)ら(非特許文献1)によりマウスにおいて、および1996年にエドワーズ(Edwards)ら(非特許文献2)によりヒトにおいてクローニングされた。エドワーズ(Edwards)らはまた、ヒトブラキュリーの推定アミノ酸配列も記載した。

0006

転写因子のTボックスファミリーのメンバーとして、ブラキュリーは、パリンドロームコンセンサス配列に結合する高度に保存されたDNA結合ドメインモチーフ(「Tボックス」またはTドメインと呼ばれる)を含有する。ブラキュリーは、他のTボックスタンパク質と同様に、初期発生役割を果たすことが示されており、脊椎動物において背側中胚葉の形成および分化ならびに体軸発生にきわめて重要である(たとえば、(非特許文献3)、(非特許文献4)、(非特許文献5)、(非特許文献6)、(非特許文献7)を参照されたい)。より最近では、パレナ(Palena)らは、ブラキュリーが様々なヒト腫瘍組織および癌細胞系で発現されることを実証すると共に、正常ドナーおよび癌患者においてブラキュリーのペプチドを用いてブラキュリー特異的T細胞系を発生させ得ることを示した(非特許文献8)。フェルナンド(Fernando)らによる研究では、ブラキュリーは、ヒト腫瘍細胞上皮間葉転換EMT:epithelial−mesenchymal transition)を促進して腫瘍細胞間葉表現型ならびに遊走能および浸潤能を付与すると共に、腫瘍細胞周期進行を減衰させることが示された(非特許文献9)。したがって、ブラキュリーは癌の転移進行に関与する。

0007

癌は、世界中で主要な死亡原因であり、癌の有効な治療法の開発は、依然として研究および臨床開発の最も活発な分野の1つである。癌を治療および予防するための様々な革新的手法が提案されてきたが、多くの癌は、依然として高い死亡率を有し、治療が困難であるかまたは従来の治療法に対して比較的不応性であり得る。ブラキュリー発現に関連する癌は、乳房小腸腎臓膀胱子宮卵巣精巣結腸、骨(脊索腫を含む)、および前立腺を含めて、様々な組織に見出されることがあり、転移癌および後期癌を含む。加えて、ブラキュリーは、慢性リンパ球性白血病(CLL:chronic lymphocytic leukemia)、エプスタイン・バーウイルス形質転換B細胞バーキットリンパ腫ホジキンリンパ腫などのB細胞由来腫瘍で発現される。したがって、ブラキュリーは多数のヒト癌の一因となると思われる。ブラキュリーは癌免疫療法の標的とすることが提案されてきたが(たとえば、前掲の(非特許文献8)、前掲の(非特許文献9)、および(特許文献1)を参照されたい)、これは比較的新しい癌標的であるため、ブラキュリーの発現または過剰発現に関連する癌を効果的に治療および/または予防する新しい免疫療法製剤の必要性が当技術分野に依然として存在する。

0008

国際公開第2008/106551号パンフレット

先行技術

0009

ハーマン(Herrmann)ら著、1990年、ネイチャー(Nature)、第343巻、p.617〜622
エドワーズ(Edwards)ら著、1996年、ゲノムリサーチ(Genome Res.)、第6巻、p.226〜223
ウィルキンソン(Wilkinson)ら著、1990年、ネイチャー(Nature)、第343巻、第6259号、p.657〜659
ベディントン(Beddington)ら著、1992年、ディベロップメント(Development)(補遺)、p.157〜165
シュルテメルカー(Schulte−Merker)ら著、1994年、ディベロップメント(Development)、第120巻、p.1009〜1015
キスパート(Kispert)およびハーマン(Herrmann)著、1994年、ディベロップメンタル・バイオロジー(Dev.Biol.)、第161巻、p.179〜193
ショウェル(Showell)ら著、2004年、ディベロップメンタル・ダイナミクス(Dev Dyn)、第229巻、p.201−218
パレナ(Palena)ら著、2007年、クリニカルキャンサー・リサーチ(Clin.Cancer Res.)、第13巻、第8号、p.2471〜2478
フェルナンド(Fernando)ら著、2010年、ジャーナルオブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.)、第120巻、第2号、p.533〜544

発明が解決しようとする課題

0010

ブラキュリーの発現または過剰発現に関連する癌を効果的に治療および/または予防する新しい免疫療法製剤の必要性が当技術分野に依然として存在する。

課題を解決するための手段

0011

本発明の一実施形態は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であって、a)酵母と、b)酵母によって発現された少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原とを含み、改変ブラキュリー抗原が、野生型ブラキュリーの位置42〜229のいずれか1つ以上のアミノ酸欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有し、ブラキュリー抗原が、野生型ブラキュリーと比較して破壊されたDNA結合部位を有する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物に関する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーと比較して破壊されたDNA結合活性を有する。さらに他の態様では、酵母は、野生型ブラキュリーを発現する酵母と比較して低減されたフロキュレーション表現型を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーの位置66〜217のいずれか1つ以上のアミノ酸の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーの位置198〜222のいずれか1つ以上のアミノ酸の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、および/またはPhe217から選択される、野生型ブラキュリーの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸残基の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、および/またはVal175から選択される、野生型ブラキュリーの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸残基の欠失または置換から選択される少なくとも1つの改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。さらに他の態様では、改変は欠失である。さらに他の態様では、改変ブラキュリー抗原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の改変により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なる。さらに他の態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーの位置66と位置217との間の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接アミノ酸の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーの位置198と位置222との間の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接アミノ酸の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリーの位置198〜222の欠失により、野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。

0012

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの一態様では、改変ブラキュリー抗原は、少なくとも1つのアゴニスト細胞エピトープをさらに含むアミノ酸配列を有する。一態様では、アゴニストエピトープは配列番号6のアミノ酸配列を有する。

0013

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号10または配列番号13に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。さらに他の態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号10または配列番号10の位置2〜410を含むアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号13または配列番号13の位置2〜410を含むアミノ酸配列を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号12または配列番号15に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する融合タンパク質である。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号12または配列番号15のアミノ酸配列を有する融合タンパク質である。

0014

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態のいずれかの以上の態様のいずれかでは、酵母はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に由来する。一態様では、酵母はサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来する。一態様では、酵母は酵母菌体である。一態様では、酵母菌体は死滅されている。一態様では、酵母菌体は熱不活性化されている。

0015

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態のいずれかの一態様では、組成物は、対象への投与に好適な薬学的に許容可能な賦形剤中に製剤化されている。
本発明のさらに他の実施形態は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であって、a)不活性化酵母菌体と、b)配列番号10の位置2〜415のアミノ酸配列を含むブラキュリー融合タンパク質とを含み、ブラキュリー融合タンパク質が酵母によって発現されたものであり、組成物がブラキュリー特異的T細胞反応を誘発する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物に関する。一態様では、融合タンパク質は配列番号12のアミノ酸配列を有する。本発明のさらに他の実施形態は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であって、a)不活性化酵母菌体と、配列番号13の位置2〜415のアミノ酸配列を含むブラキュリー融合タンパク質とを含み、ブラキュリー融合タンパク質が酵母によって発現されたものであり、組成物がブラキュリー特異的T細胞反応を誘発する、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物に関する。一態様では、融合タンパク質は配列番号15のアミノ酸配列を有する。

0016

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかでは、ブラキュリー融合タンパク質の発現はプロモータCUP1の制御下にある。一態様では、酵母はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に由来する。一態様では、酵母はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来する。一態様では、組成物は、対象への投与に好適な薬学的に許容可能な賦形剤中に製剤化されている。

0017

本発明のさらに他の実施形態は、ブラキュリーを発現する癌を治療する方法に関する。一態様では、本方法は、ブラキュリーを発現する癌を有する対象に、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を投与することを含む。

0018

本発明のさらに他の実施形態は、癌を有する個体において癌の転移進行を低減、停止、逆転遅延、または予防する方法であって、転移進行を起こしているか、転移進行を起こすリスクを有するか、または転移進行を起こし始めると予測される癌を有する個体に、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法に関する。

0019

本発明のさらに他の実施形態は、ブラキュリー発現癌の発症を予防または遅延する方法であって、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の免疫療法組成物を個体に投与することを含む、方法に関する。

0020

本発明の他の実施形態は、脊索腫を治療する方法であって、脊索腫を有する対象に、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法に関する。

0021

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの一態様では、個体は他の癌療法で治療されているかまたは治療されたことがある。一態様では、療法は、放射線療法、腫瘍の外科切除化学療法、標的癌療法、養子T細胞移入、または1種以上の追加の免疫療法組成物の投与から選択される。

0022

本発明の他の実施形態は、癌を有する患者において腫瘍細胞の化学療法耐性または放射線耐性を低減または予防する方法であって、癌を有しかつ化学療法および/または放射線療法を受けている個体に、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の免疫療法組成物を投与することを含む、方法に関する。

0023

以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの一態様では、本方法は、個体において腫瘍負荷を低減し、個体の生存率を増加させ、および/または個体において腫瘍成長阻害する。一態様では、癌は、乳癌骨癌、脊索腫、小腸癌、胃癌膵癌腎癌膀胱癌子宮癌卵巣癌、精巣癌、肺癌結腸癌前立腺癌、慢性リンパ球性白血病(CLL)、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、およびそれらの転移癌である。

0024

本発明の他の実施形態は、エプスタイン・バーウイルス(EBV:Epstein Barr Virus)感染に関連する疾患または病態を治療または予防する方法であって、以上にまたは本明細書の他の箇所に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を個体に投与することを含む、方法に関する。

0025

本発明のさらに他の実施形態は、ブラキュリーを発現する癌を治療するための、癌を有する個体において癌の転移進行を低減、停止、逆転、もしくは予防するための、ブラキュリー発現癌の発症を予防もしくは遅延するための、または癌を有する患者において腫瘍細胞の化学療法耐性もしくは放射線耐性を低減もしくは予防するための、本明細書に記載の免疫療法組成物のいずれかの使用に関する。

0026

本発明のさらに他の実施形態は、ブラキュリーを発現する癌を治療するための医薬の調製における、本明細書に記載の免疫療法組成物のいずれかの使用に関する。

図面の簡単な説明

0027

GI−6301(または6301)およびGI−6305(または6305)と記された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の抗原発現と比較して、GI−6306(または6306)として知られる酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の抗原発現を示すウェスタンブロットディジタル画像の図。(「ug」はマイクログラムである)。「YVEC」は空ベクター酵母である。
GI−6306として知られる酵母−ブラキュリー免疫療法組成物が酵母−ブラキュリー免疫療法組成物GI−6301およびGI−6305と比較して低減されたフロキュレーション表現型を呈することを示すディジタル画像の図。

実施例

0028

本発明は、概して、改善された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物、かかる組成物の製造方法、およびかかる組成物を用いてブラキュリーを発現または過剰発現する癌を予防および/または治療する方法に関する。本発明は、免疫療法に使用するために低減または破壊されたDNA結合活性を有する新規なブラキュリー抗原を生成するブラキュリー抗原の特異的改変を含む。本発明者らは、ブラキュリー抗原のかかる改変がまた、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の製造および使用の両方を改善するという驚くべき予想外発見をした。本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、DNAに結合する能力と、したがって天然ブラキュリーと同じように転写因子として作用する能力とが欠如しているだけでなく、驚くべきことにかつ予想外なことに、製造がより容易であり、投与がより容易であり、かつ他の改変(たとえば、アゴニスト突然変異)を導入したときでさえも高レベルでブラキュリー抗原を発現する。

0029

より具体的には、本発明は、改善された酵母ベースの免疫療法組成物(本明細書では、「酵母ベースの免疫療法」、「酵母−ブラキュリー免疫療法」、「酵母−ブラキュリー免疫療法組成物」、「酵母ベースの免疫療法製剤」、「酵母ベースのワクチン」、またはこれらの語句派生語としても参照される)を含み、組成物は、酵母媒体と少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原(ブラキュリーアゴニスト抗原を含む)とを含み、ブラキュリー抗原のDNA結合活性は、(たとえば、野生型ブラキュリータンパク質と比較して)突然変異により(たとえば、ブラキュリータンパク質の天然DNA結合活性を低減または消失するのに十分なブラキュリーDNA結合領域内の欠失、置換、挿入、または他の改変により)低減または消失されている。本発明は、癌を治療または予防するためのこうした改善された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の使用、ならびにこうした改善された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の製造方法をさらに含む。本発明者らは、CD4+T細胞およびCD8+CTLを含めて正常者および癌患者のブラキュリー特異的T細胞を拡大するように設計されたこうした新規な酵母−ブラキュリー免疫療法製剤の構築および製造を本明細書に記載する。本発明の新規な組成物を用いた酵母−ブラキュリー免疫療法は、ブラキュリー特異的細胞免疫反応(CD4+およびCD8+)を誘発するのに有用であり、また、ブラキュリー発現腫瘍を有する対象に投与して、限定されるものではないが、脊索腫、転移癌、および関連病態を含めて、ブラキュリーを発現する癌を予防および/または治療するための新規な療法を提供するのに有用である。

0030

ブラキュリーは、ほとんどの正常(非腫瘍)組織では発現されず、典型的に腫瘍細胞で過剰発現されるため、正常組織に関連するいずれの「オフターゲット」効果も関心事にならず、DNA結合配列を保持するブラキュリー抗原がインビボでいずれの場所で使用されているかは、本発明の時点では観測されていない。しかしながら、本発明の改善された酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、天然ブラキュリーのDNA結合機能を抑止する改変を含み、それにより、転写因子として機能するブラキュリー抗原の能力と、したがって下流でのかかる活性のいかなる影響とを排除する。本発明では、ブラキュリーは免疫原としての作用のみを必要とするため、mRNA転写におけるその天然での役割の不活性化は問題にならない。

0031

本発明者らは、DNA結合活性が抑止されたブラキュリーを酵母で発現させた場合、この酵母がこの改変を含まないブラキュリーを発現する酵母と比較して異なる構造特性を有するという予想外かつ予測不能な発見をした。より具体的には、本発明に記載された改変を含まない酵母−ブラキュリー組成物は、製造プロセス時にロバストな「フロキュレーション」表現型を呈する。すなわち、酵母細胞成長してブラキュリー抗原を発現するにつれて、細胞は凝集して成長培地中またはPBS中の非凝集細胞よりも緻密な大きい多細胞構造になる(より具体的に以下に記載する)。これとは対照的に、本発明の改変ブラキュリー抗原を発現する酵母は、フロキュレーション表現型を呈しないかまたは実質的に低減されたフロキュレーション表現型を呈する。したがって、ブラキュリーのDNA結合機能を抑止することにより、抗原の免疫原性を維持しつつ天然ブラキュリーの生物学的活性が欠如した酵母ベースの免疫療法製剤が提供されるだけでなく、新しい抗原の驚くべき予想外の特性として、改変抗原を発現する酵母でフロキュレーション表現型が消失する。フロキュレーション表現型の消失により、酵母−ブラキュリーでこの特性に適応するように利用される製造プロセスで工程数を削減でき、かつ/または工程を修正できる。

0032

加えて、新規な改変以外は配列が同一であるブラキュリー抗原の発現レベルと比較して、本発明の改変を含む例示的なブラキュリー抗原(実施例を参照されたい)は、酵母で実質的により高いレベルで発現された。本発明に係るブラキュリー抗原の改変により酵母でブラキュリー抗原の発現を促進可能であることも、この結果から示唆された。ロバストな抗原発現は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物のきわめて好ましい特性である。

0033

本発明に有用な酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、運動性の獲得および他の組織への浸潤開始前または開始時に腫瘍細胞を標的とすることにより、転移癌の発症および/または癌、とりわけ転移癌の進行を予防、阻害、停止、逆転、または遅延する。加えて、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、初期癌を有するまたは前癌(前悪性病変もしくは腫瘍を有する個体、癌を発生するリスクが高い個体、特に高い転移率を有する個体、および本明細書に記載されるように癌の他の予防免疫療法と組み合わせて使用し得る癌の予防のための予防剤として正常個体において、転移癌または癌進行を予防または遅延するために使用可能である。

0034

本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物はまた、化学療法および放射線療法を含めて、他の癌療法を受けている個体に利益を提供する。転移癌は、場合により、原発癌よりも化学療法および/または放射線療法に対して耐性であることが知られている。したがって、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、癌においてブラキュリー発現腫瘍を阻害することにより(それによって抗増殖作用を阻害することにより)、転移癌で起こり得る化学療法耐性または放射線耐性を阻害または低減または排除するために使用可能であり、本発明の組成物は、個体において化学療法または放射線療法の性能を向上させ得る。

0035

近年、ブラキュリーは、脊索腫として知られる稀な骨癌の識別バイオマーカになってきた。サイトケラチン染色と組み合わせた場合、ブラキュリーを用いた脊索腫の検出の感度および特異度は、それぞれ98%および100%である(オークレ(Oakley)ら著、2008年、モダン・パソロジー(Mod Path)、第21巻、p.1461〜1469)。したがって、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、脊索腫を予防および/または治療するのに有用である。

0036

本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物はまた、本質的に非腫瘍であり得るまたは悪性形質転換先行し得るブラキュリー発現に関連する病態または疾患を治療するために使用可能である。たとえば、ブラキュリーは、感染因子、たとえば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)などのウイルスが感染した細胞でアップレギュレートされ得る。したがって、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法は、限定されるものではないが、感染性疾患をはじめとするブラキュリー発現に関連するいずれかの疾患または病態、たとえば、限定されるものではないが、EBV関連病態(たとえば、単核球症)をはじめとするウイルス感染症を治療または予防するために使用可能である。

0037

本明細書に記載の酵母−ブラキュリー組成物のすべては、毒性問題を有するものが多い外因性アジュバントサイトカイン、または他の免疫刺激性分子を用いることなく、CD4依存性TH17およびTH1 T細胞反応および抗原特異的CD8+T細胞反応(細胞傷害性Tリンパ球(CTL:cytotoxic T lymphocyte)反応を含む)を含めて、標的抗原(ブラキュリー)に対する先天性免疫反応および適応免疫反応誘導する。加えて、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、調節性T細胞(Treg)の数および/または機能を阻害することにより、たとえば、通常、腫瘍の存在により抑制されると思われるエフェクターT細胞反応を促進する。さらに、抗体反応を引き起こすことにより免疫化する免疫療法組成物と比較して、酵母−ブラキュリー免疫療法により誘発される抗原特異的な広範にわたるかつ強力な細胞免疫反応は、腫瘍細胞を標的とするのに特に有効であると考えられる。実際に、多くの研究から、免疫療法は、MHCクラス分子との関連で腫瘍ペプチドを認識するCD8+CTLを介して腫瘍細胞を標的とする場合に促進されることが示されてきた。

0038

酵母−ブラキュリー免疫療法は、抗原提示細胞の活性化にきわめて有効であり、かつ免疫反応クロスプライミングする特異能力を有し、その結果、たとえ他に抑制的な環境があったとしてもそれに対抗して、典型的に腫瘍に対して有効なCD8+CTL反応を引き起こす。このタイプの免疫療法は、関連免疫原を提示する抗原提示細胞の自然能力を利用するため、本発明に係る効果的免疫療法剤を生成するためにブラキュリーのCTLエピトープまたはMHCクラスIIエピトープがどのようなものであるかを正確に知る必要はない。実際に、単一の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物で複数のCD4+およびCD8+T細胞エピトープを標的とし得るため、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法剤は、短いペプチドの使用に限定されるものではなく、実際に、こうした組成物でより長いポリペプチドおよび融合タンパク質の使用が有効である。したがって、酵母−ブラキュリー免疫療法を使用することにより、推定T細胞エピトープを同定するアルゴリズムおよび複雑な式の使用は回避される。

0039

酵母−ブラキュリーは、外因性アジュバント、免疫刺激剤もしくは分子、共刺激分子、またはサイトカインを用いることなく、免疫化プロトコル(予防用または治療用)で効果的に利用可能であるが、必要に応じてかかる作用剤を含めてもよい。さらに、酵母−ブラキュリー免疫療法は、他のタイプの免疫療法で問題になり得る有効性喪失を伴うことなく、繰返し投与が可能である。

0040

本発明の組成物
本発明の一実施形態は、ブラキュリーの発現または過剰発現によって特徴付けられる癌または他の疾患(初期には検出可能なブラキュリーを発現する細胞を含有し得ないが、癌の発生の後期にはブラキュリーを発現する細胞を含有し得るまたは含有するであろう癌を含む)の予防および/または治療に使用可能な酵母ベースの免疫療法組成物に関する。組成物は、(a)酵母媒体と、(b)1つ以上のブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む酵母−ブラキュリー免疫療法組成物であり、ブラキュリー抗原は、改変ブラキュリー抗原(たとえば、野生型ブラキュリータンパク質と比較される)である。具体的には、改変ブラチュリー抗原は、最低限でも、ブラキュリータンパク質のDNA結合活性が突然変異により(たとえば、ブラキュリータンパク質の天然DNA結合活性を低減または消失するのに十分なブラキュリーDNA結合領域の欠失、置換、挿入、または他の改変により)低減または消失された改変を含む。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、野生型ブラキュリータンパク質を発現する酵母と比較して、最低限でも、低減されたフロキュレーション表現型を有する改変ブラキュリー抗原を発現する酵母(酵母は低減された大きい多細胞構造への凝集を呈する)をもたらす改変を含む。改変ブラキュリー抗原は、追加の改変(すなわち、野生型ブラキュリータンパク質との差異)、たとえば、ブラキュリー抗原中に1つ以上のアゴニストエピトープを生成するタンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基の置換を含み得る(より詳細に以下に記載される)。最後に、改変ブラキュリー抗原は、改変されているとはいえ、免疫反応を誘発する能力、好ましくは、腫瘍細胞により発現されるブラキュリータンパク質などの天然ブラキュリータンパク質に対する細胞媒介免疫反応(T細胞反応)を保持する。改変ブラキュリー抗原は、最も典型的には、酵母媒体により(たとえば、任意選択的に酵母細胞質体酵母ゴースト、もしくは酵母膜抽出物、またはそれらの一部にさらに処理可能なインタクト酵母または酵母スフェロプラストにより)組換えタンパク質として発現されるが、本明細書に記載されるように、1つ以上の改変ブラキュリー抗原を酵母媒体中に充填して、さもなければ酵母媒体と複合体化して、それと結合させて、それと混合して、もしくはそれと共に投与して本発明の組成物を形成することは、本発明の実施形態である。

0041

本発明によれば、「酵母−ブラキュリー免疫療法組成物」は、酵母媒体と少なくとも1種のブラキュリー抗原またはその免疫原性ドメインとを含有し、かつ本発明で以上におよび本明細書の他の箇所に記載の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含有する、特定のタイプの「酵母ベースの免疫療法組成物」である。「免疫療法組成物」は、対象において少なくとも1つの治療効果を達成するのに十分な免疫反応を誘発する組成物である。本明細書で用いられる場合、酵母ベースの免疫療法組成物とは、酵母媒体成分を含み、かつ対象において少なくとも1つの治療効果を達成するのに十分な免疫反応を誘発する組成物を意味する。より具体的には、酵母ベースの免疫療法組成物は、酵母媒体成分と典型的に抗原成分とを含み、かつ限定されるものではないが、T細胞媒介細胞免疫反応をはじめとする細胞免疫反応などの免疫反応を誘発または誘導することが可能である組成物である。一態様では、本発明に有用な酵母ベースの免疫療法組成物は、CD8+および/またはCD4+T細胞媒介免疫反応、一態様では、特に標的抗原(たとえば、癌抗原)に対するCD8+およびCD4+T細胞媒介免疫反応を誘導可能である。CD4+免疫反応は、TH1免疫反応、TH2免疫反応、TH17免疫反応、または以上の任意の組合せを含み得る。酵母ベースの免疫療法剤は、具体的には、TH1およびTH17反応を引き起こすことが可能である。CD8+免疫反応は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を含むことが可能であり、酵母ベースの免疫療法剤は、かかる反応を引き起こすことが可能である。一態様では、酵母ベースの免疫療法組成物は、対象において調節性T細胞(Treg)の数および/または機能を変調する。酵母ベースの免疫療法はまた、たとえば、サイトカイン、抗体の添加により、および/または酵母の作製プロセスの調整により、一方のタイプの反応を他方のタイプの反応よりも促進するように変更を加えることが可能である。任意選択的に、酵母ベースの免疫療法組成物は、体液性免疫反応を誘発可能である。

0042

本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、「予防用」または「治療用」のいずれかであり得る。予防用に提供される場合、本発明の組成物は、個体におけるブラキュリー発現腫瘍の発生の予防、阻害、もしくは遅延ならびに/または腫瘍遊走および/もしくは他の組織の腫瘍浸潤(転移)の予防、阻害、もしくは遅延ならびに/または一般には癌の進行の予防もしくは阻害を目標として、ブラキュリーを発現する癌の発生前または発生の検出前に提供される。本明細書で考察されるように、ブラキュリーは、後期癌を含めていくつかの癌で発現され、転移癌の場合のように腫瘍の浸潤および遊走に関連するプロセスであるEMTプロセスに関与することが示されている。したがって、予防用組成物は、癌でないと思われる個体(健常または正常な個体)、前癌状態(前悪性病変)の個体、および癌を有しているがブラキュリーが依然として検出されていない個体(すなわち、癌中での腫瘍細胞によるブラキュリー発現前)に投与することが可能である。癌、特にブラキュリー発現および/または転移が典型的に関連する癌を発生する高いリスクがある個体は、本発明に係る組成物を用いて予防的に治療し得る。治療用に提供される場合、免疫療法組成物は、たとえば、個体における腫瘍負荷の低減により、個体における腫瘍増殖の阻害により、個体の生存率の増大により、腫瘍遊走および/または他の組織の腫瘍浸潤(転移癌)の発生の予防、阻害、逆転、もしくは遅延により、および/または個体における癌の進行の予防、阻害、逆転、もしくは遅延により、癌を改善することを目標として、ブラキュリー発現癌を有する個体に提供される。一態様では、酵母−ブラキュリー免疫療法は、癌においてブラキュリー発現を阻害することにより、転移癌で起こり得る化学療法耐性または放射線耐性を阻害、低減、または排除するために治療用に使用され、本発明の組成物は、個体において化学療法または放射線療法の性能を向上させ得る。

0043

典型的に、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、酵母媒体と、本発明の改変ブラキュリー抗原を含む少なくとも1種の癌抗原とを含み、この癌抗原は、酵母媒体によって発現されるか、それと結合されるか、その中に充填されるか、またはそれと混合される。いくつかの実施形態では、癌抗原は融合タンパク質として提供される。本発明の組成物および方法に使用するのに好適ないくつか改変ブラキュリータンパク質および融合タンパク質は、以下に記載される。いくつかの実施形態では、癌抗原および改変ブラキュリー抗原は同一のエレメントである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、改変ブラキュリー抗原に加えて他の癌抗原をはじめとする他の抗原を含む。本発明の一態様では、癌抗原として有用な融合タンパク質は、2つ以上の抗原、たとえば、改変ブラキュリー抗原とブラキュリー抗原でない他の癌抗原、または2つの異なるブラキュリー抗原(たとえば、異なるアゴニストエピトープを有する2つの改変ブラキュリー抗原)を含み得る。一態様では、融合タンパク質は、1つ以上の抗原の2つ以上の免疫原性ドメイン、たとえば、改変ブラキュリー抗原の2つ以上の免疫原性ドメインを含み得る(ただし、免疫原性ドメインは本発明の改変を含む)。

0044

本発明によれば、「抗原」という用語の本明細書での一般的使用は、タンパク質(このタンパク質は、天然に存在するか、もしくは合成的に誘導されるか、もしくは設計される)の任意の部分(たとえば、ペプチド、部分タンパク質全長タンパク質)、細胞組成物(全細胞、細胞溶解物、もしくは破壊細胞)、生物(全生物体溶解物、もしくは破壊細胞)、あるいは炭水化物もしくは他の分子またはそれらの一部を意味する。抗原は、免疫系の要素(たとえば、T細胞、抗体)が遭遇する同一または類似の抗原に対する抗原特異的免疫反応(たとえば、体液性および/または細胞媒介性の免疫反応)を誘発し得る。抗原は、単一のエピトープ程度の小さいもの、単一の免疫原性ドメイン以上のものであり得ると共に、複数のエピトープまたは免疫原性ドメインを含み得る。このため、抗原のサイズは、約8〜11アミノ酸程度の小さいもの(すなわち、ペプチド)、および全長タンパク質、多量体、融合タンパク質、キメラタンパク質、全細胞、全微生物体、またはそれらの任意の一部(たとえば、タンパク質断片(ポリペプチド)、全細胞のライセート、または微生物の抽出物)程度の大きいものであり得る。加えて、抗原は、酵母媒体中または本発明の組成物中に充填可能な炭水化物を含み得る。

0045

本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法剤に有用な抗原は、ポリペプチド、全長タンパク質、多量体、融合タンパク質、およびキメラタンパク質であり、これらの態様のいずれでも、抗原は、本明細書に記載の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む。酵母で発現させるために、改変ブラキュリー抗原などのタンパク質である抗原は、酵母で組換え発現可能な最小限のサイズであり、典型的に25アミノ酸長以上、または26以上、27以上、28以上、29以上、30以上、31以上、32以上、33以上、34以上、35以上、36以上、37以上、38以上、39以上、40以上、41以上、42以上、43以上、44以上、45以上、46以上、47以上、48以上、49以上、もしくは50以上のアミノ酸長、または25〜50アミノ酸長以上、30〜50アミノ酸長以上、もしくは35〜50アミノ酸長以上、もしくは40〜50アミノ酸長以上、もしくは45〜50アミノ酸長以上であるが、より小さいタンパク質を発現し得ると共に、かなり大きいタンパク質(たとえば、数百アミノ酸長、さらには数千アミノ酸長)を発現し得る。一態様では、全長タンパク質またはN末端および/もしくはC末端から1〜20アミノ酸が欠如しているタンパク質を発現し得る。融合タンパク質およびキメラタンパク質も本発明で発現し得る抗原である。「標的抗原」とは、本発明の免疫療法組成物が特異的に標的とする抗原(すなわち、免疫反応の誘発が望まれる抗原、たとえば、本発明ではブラキュリー)である。「癌抗原」とは、抗原を標的とすることが癌を標的とすることでもあるように癌に関連する少なくとも1種の抗原、たとえば、腫瘍細胞により発現される抗原を含む抗原である。癌抗原は、1つ以上の腫瘍関連タンパク質を含む1つ以上のタンパク質に由来する1種以上の抗原を含み得る。「ブラキュリー抗原」とは、ブラキュリータンパク質から誘導、設計、または生成される抗原である。本発明に係る「改変ブラキュリー抗原」は、野生型ブラキュリータンパク質と比較してブラキュリータンパク質の天然DNA結合活性を低減もしくは消失し、および/または改変ブラキュリー抗原を発現する酵母のフロキュレーション表現型を低減または排除するのに十分な少なくとも1つの改変(たとえば、欠失、置換、挿入、または他の改変)により、対応する野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含むブラキュリー抗原である(たとえば、改変抗原を発現する酵母は、野生型タンパク質を発現する酵母と比較して低減された大きい多細胞構造への凝集傾向を有する)。改変ブラキュリー抗原は、アゴニストエピトープを生成する1つ以上アミノ酸置換などの追加の改変を含み得る。

0046

免疫反応の刺激について言及する場合、「免疫原」という用語は、「抗原」という用語の一部であるため、いくつかの場合、「抗原」という用語と同義的に用い得る。免疫原は、本明細書で用いられる場合、個体への免疫原の投与により、個体の免疫系が遭遇する同一または類似の抗原に対して抗原特異的免疫反応が開始されるように、体液性および/または細胞媒介性の免疫反応を誘発する抗原を記述する(すなわち、免疫原性である)。一実施形態では、免疫原は、CD4+T細胞反応(たとえば、TH1、TH2、および/またはTH17)および/またはCD8+T細胞反応(たとえば、CTL反応)をはじめとする細胞媒介性免疫反応を誘発する。

0047

所与の抗原の「免疫原性ドメイン」は、動物に投与したときに免疫原として作用可能な少なくとも1つのエピトープを含有する抗原の任意の部分、断片、またはエピトープ(たとえば、ペプチド断片またはサブユニットまたは抗体エピトープまたは他のコンフォメーショナルエピトープ)であり得る。したがって、免疫原性ドメインは、単一のアミノ酸よりも大きく、かつ少なくとも、免疫原として作用可能な少なくとも1つのエピトープを含有するのに十分なサイズである。たとえば、単一のタンパク質は、複数の異なる免疫原性ドメインを含有可能である。免疫原性ドメインは、コンフォメーショナルメインが想定される体液性免疫反応の場合などでは、タンパク質内が線状配列である必要はない。

0048

エピトープとは、本明細書では、免疫系の適切な共刺激シグナルおよび/または活性化細胞との関連で免疫系に提供されたときに免疫反応を誘発するのに十分な所与の抗原内の単一免疫原性部位として定義される。換言すれば、エピトープは、免疫系の成分により認識される抗原の一部であり、抗原決定基として参照され得る。T細胞エピトープが、B細胞エピトープまたは抗体エピトープとサイズおよび組成が異なること、およびクラスIMHC経路を介して提示されるエピトープが、クラスII MHC経路を介して提示されるエピトープとサイズおよび構造属性が異なることは、当業者であれば分かるであろう。たとえば、クラスIMHC分子により提示されるT細胞エピトープは、典型的に8〜11アミノ酸長であるが、クラスII MHC分子により提示されるエピトープは、長さにそれほど制限がなく、最大で25アミノ酸以上であり得る。加えて、T細胞エピトープは、エピトープにより結合される特定のMHC分子に依存する予測構造特性を有する。エピトープは、線状配列エピトープまたはコンフォメーショナルエピトープ(保存結合領域)であり得る。ほとんどの抗体は、コンフォメーショナルエピトープを認識する。

0049

ブラキュリー(「T」としても参照し得る)は、複数の異なる動物種間で高度に保存されたタンパク質であり、まとめてTボックスファミリーのタンパク質と呼ばれるいくつかの異なるタンパク質間共有されたDNA結合ドメインモチーフである「Tボックス」ドメインまたは「Tドメイン」を含有する転写因子である。ヒトブラキュリーは、1996年に初めてクローニングされた(エドワーズ(Edwards)ら著、前掲)。例示的な野生型ヒトブラキュリーをコードするヌクレオチド配列の1つは、配列番号1により本明細書に表される。これはジーンバンク(GENBANK)(登録商標受託番号NM_003181(GI:19743811)から得られたmRNA配列である。配列番号1は、435アミノ酸の野生型ヒトブラキュリータンパク質をコードする。このアミノ酸配列は、配列番号2として本明細書に表される(ジーンバンク(GENBANK)(登録商標)受託番号NP_003172;GI:4507339にも見出される)。配列番号2内で、位置42〜223は、Tボックス領域(Tボックスドメイン)として表され、DNA結合に特異的に関連する位置は、配列番号2の次の位置:63、65、66、67、68、69、70、72、101、162、196、197、198、204、208、211、212、213、214、215、216、217、218、および219として表される。

0050

他の例示的な野生型ヒトブラキュリータンパク質は、配列番号2のヒトブラキュリータンパク質の変異体であり、配列番号4のアミノ酸配列を有する。配列番号4(これも435アミノ酸のタンパク質である)は、配列番号3により本明細書に表されるヌクレオチド配列によりコードされる。配列番号4は、タンパク質の全長にわたり配列番号2に対して約99%同一である。配列番号4は、位置177(それぞれAsp対Gly)、位置368(それぞれThr対Ser)、および位置409(それぞれAsn対Asp)が配列番号2と異なる。Tボックス領域(Tボックスドメイン)は、位置42〜223に位置し、DNA結合に特異的に関連する位置は、配列番号4の次の位置:63、65、66、67、68、69、70、72、101、162、196、197、198、204、208、211、212、213、214、215、216、217、218、および219として表される。

0051

Tボックスドメイン(またはTボックス領域)は、配列特異的DNA結合に必要かつ十分なTボックスタンパク質内の最小限の領域としてすべての「Tボックスタンパク質」内で一般に定義される。Tボックスファミリーのメンバー(このドメインを有するタンパク質)は、DNAコンセンサス配列TCACACCTに結合する(ウィルソン(Wilson)およびコンロン(Conlon)著、ゲノム・バイオロジー(Genome Biology)、2002年、第3巻、第6号、レビュー、p.3008)。ブラキュリーでは、Tボックスファミリーの影響力の大きいメンバーであるネズミタンパク質の位置1〜229(たとえば、位置1〜229)は、全TボックスDNA結合ドメインを含むものして最初に記載され(キスパート(Kispert)ら著、EMBOジャーナル(EMBO Journal)、1993年、第12巻、第8号、p.3211〜3220、キスパート(Kispert)ら著、EMBOジャーナル(EMBO Journal)、1996年、第14巻、第19号、p.4763〜4772)、ネズミタンパク質のN末端の17アミノ酸程度の小さい欠失は、タンパク質のDNA結合能力を顕著に減衰させた(キスパート(Kispert)ら著、1993年、前掲)。様々なTボックスタンパク質間の残基の保存に基づいて、後続刊行物および公共データベースは、約180アミノ酸ドメインに対応する位置41または42の近傍から位置223の近傍まで一般に延在するものとしてDNA結合ドメインをより具体的に記載したが(たとえば、ジーンバンク(GENBANK)(登録商標)受託番号NP_003172を参照されたい)、位置1〜229内に追加のまたはより少ないアミノ酸を有するドメインも科学文献に見出し得る。DNA結合に直接関与するものとして結晶構造を介して同定されたブラキュリーのアミノ酸残基としては、(配列番号2または配列番号4に対して与えられた位置)Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、およびPhe217が挙げられる(たとえば、ミュラー(Mueller)およびハーマン(Herrmann)著、1997年、ネイチャー(Nature)、第389巻、p.884−888、図1を参照されたい)。ブラキュリータンパク質の二量化に直接関与するものとして結晶構造を介して同定されたブラキュリーのアミノ酸残基(タンパク質がDNAに結合する形であるため、これらの残基はまたDNA結合に影響を及ぼし得る)としては、(配列番号2または配列番号4に対して与えられた位置)Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、およびVal175が挙げられる(たとえば、ミュラー(Mueller)およびハーマン(Herrmann)著、1997年、ネイチャー(Nature)、第389巻、p.884−888、図1を参照されたい)。

0052

Tボックスドメインおよび特定のDNA結合残基、タンパク質二量化残基、または他の種のブラキュリー配列を含めて他のブラキュリー配列の活性に重要な他の残基は、これらの配列との比較により容易に同定可能である。本明細書で用いられる場合、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のかつ本発明で利用されるいずれかのブラキュリータンパク質の「Tボックスドメイン」または「DNA結合ドメイン」への参照は、一般にヒトブラキュリータンパク質の少なくとも位置41〜223(配列番号2または配列番号4のこれらの位置により例示される)を意味し、ヒトブラキュリータンパク質の位置1〜229またはドメインのN末端上のブラキュリー配列の追加の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40連続アミノ酸、または定義されたTボックスドメインのC末端上のブラキュリー配列の追加の1、2、3、4、5、または6連続アミノ酸(たとえば、配列番号2または4の位置41〜223のいずれかの側)を含み得る。DNA結合に特に関連する残基としては、ヒトブラキュリー配列に関して(配列番号2または配列番号4により例示される)、位置66、69、70、101、103、147、150、151、162、196、197、198、208、211、212、213、214、215、216、および217が挙げられる。タンパク質の二量化に特に関連し、およびブラキュリーのDNA結合活性に影響を及ぼし得る残基としては、ヒトブラキュリー配列に関して(配列番号2または配列番号4により例示される)、位置87、127、128、129、130、131、132、および175が挙げられる。

0053

本発明によれば、「低減または破壊されたDNA結合活性」を有する改変ブラキュリー抗原とは、野生型(天然に存在する非改変型)ブラキュリータンパク質と比較して、DNAへの改変ブラキュリータンパク質の結合能力またはブラキュリーTボックス領域が標準実験室条件下または生理学的条件下で結合することが知られている配列への改変ブラキュリータンパク質の結合能力が(任意の好適な検出手段により)観測可能もしくは検出可能に、好ましくは有意に、より好ましくは統計的に有意に低減された改変ブラキュリータンパク質を一般に意味する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、その天然DNA標的への検出可能な結合能力を有していない。DNA結合活性は、当技術分野で公知の様々なアッセイにより、たとえば、インビトロもしくはエクスビボで改変ブラキュリータンパク質とDNAとを接触させることにより、またはDNA結合から生じる転写因子活性を検出することにより検出可能である。たとえば、天然ブラキュリーが結合するオリゴヌクレオチドと共に改変ブラキュリーを好適な条件下でインキュベートすることが可能であり、および結合された複合体を免疫沈降させて評価することが可能である。他の例として、改変ブラキュリーをコードするヌクレオチド構築物を用いておよびレポータプラスミドを用いて細胞を共トランスフェクトし、DNAへのブラキュリーの結合能力またはDNAへのブラキュリーの結合能力を必要とする転写因子としての作用能力のリードアウトとしてレポータ活性(たとえば、酵素活性)を測定することが可能である。たとえば、こうしたタイプのアッセイに関して、たとえば、キスパート(Kispert)ら著、1993年、前掲、またはキスパート(Kispert)ら著、1996年、前掲を参照されたい。タンパク質−DNA結合を測定する他のアッセイも当技術分野で公知である。

0054

本発明によれば、「低減された酵母フロキュレーション表現型」に関連する改変ブラキュリー抗原とは、低減されたフロキュレーション表現型を有する改変ブラキュリー抗原を発現する酵母で得られる改変を有するブラキュリータンパク質を意味する。すなわち、抗原を発現する酵母は、大きい多細胞構造への凝集傾向または集塊一体化傾向が低減される。以上で考察したように、野生型(非改変型)ブラキュリー抗原を発現する酵母は、培養時にロバストなフロキュレーション表現型を有する。酵母「フロキュレーション」は、当技術分野で記載されており、酵母を成長させた培地から酵母細胞を分離させる酵母細胞の無性凝集として一般に定義される。フロキュレーション表現型を有する酵母は、酵母が含まれる成長培地中または成長緩衝液中でこの表現型を有していない酵母よりも緻密であり、容易には懸濁液中残留し得ない。フロキュレーションに関与する生物学的機序に関していくつかの理論が存在し、たとえば、ドミンゲス(Domingues)ら著、バイオテクノロジーアンドバイオプロセスエンジニアリング(Biotechnol.Bioprocess Eng.)、2000年、第5巻、p.288〜305)にレビューされている。酵母フロキュレーションが起こる機序にかかわらず、本発明は、酵母においてこの性質をもたらす抗原にし得る改変を記載することにより、ブラキュリー抗原を発現する酵母のフロキュレーション表現型を低減する。酵母におけるフロキュレーション表現型は、限定されるものではないが、結合強度測定、フロックサイズ測定、酵母沈降速度決定、沈降試験原子間力顕微鏡法AFM:atomic force microscopy)、ヘルムアッセイ、および修正ヘルムアッセイを含めて、任意の好適な検出方法を用いて測定可能である(たとえば、ファンハマーズベルド(van Hamersveld)ら著、ジャーナル・オブ・ザ・インスティテュート・オブ・ブリューイング(J.Inst.Brew.)、1996年、第102巻、p.333〜342、ソアレス(Soares)ら著、ジャーナル・オブ・ザ・インスティテュート・オブ・ブリューイング(J.Inst.Brew.)、1997年、第103巻、p.93〜98、ドートコート(D’Hautcourt)およびスマート(Smart)著、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ソサエティー・オブ・ブリューイング・ケミスツ(J Am Soc Brew Chem.)、1999年、第57巻、p.123〜128、ビドグレン(Vidgren)およびロンデスボロー(Londesborough)著、ジャーナル・オブ・ザ・インスティテュート・オブ・ブリューイング(J Inst Brew.)、2011年、第117巻、p.475〜487を参照されたい)。

0055

本発明の一実施形態では、改変ブラキュリー抗原(すなわち、野生型タンパク質と比較してDNA結合活性が低減もしくは破壊されたブラキュリー抗原および/または抗原を発現する酵母が低減されたフロキュレーション表現型を有するブラキュリー抗原)は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個、またはそれを超えるアミノ酸改変(すなわち、ブラキュリーのDNA結合活性を低減もしくは破壊し、および/または改変ブラキュリータンパク質を発現する酵母のフロキュレーション表現型を低減するのに十分なアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、または他の改変)により野生型ブラキュリーのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。好ましくは、ブラキュリー配列に対する改変の数は、低減もしくは破壊されたDNA結合および/または低減された酵母のフロキュレーション表現型の目標を達成するのに必要な最小限の数に抑えられ、一方、ブラキュリー抗原内のT細胞エピトープの保持は最大化される(すなわち、T細胞エピトープを含有するブラキュリーアミノ酸配列を維持することが好ましい)。本発明の一態様では、かかる改変は、ブラチュリーの位置1〜229(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)内で行われる。本発明の一態様では、かかる改変は、ブラチュリーの位置18〜229(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)内で行われる。本発明の一態様では、かかる改変は、ブラキュリーの位置66〜217(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)内で行われる。一態様では、かかる改変は、ブラキュリーの位置198〜222(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)内で行われる。一態様では、かかる改変は、Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、Phe217(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸残基の欠失または置換をもたらす。一態様では、かかる改変は、代替的または追加的に、Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、および/またはVal175(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸残基の欠失または置換をもたらす。一態様では、かかる改変は、ブラキュリーの位置66と位置217との間または一態様ではブラキュリーの位置198と位置222との間(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個、またはそれを超える隣接アミノ酸の置換または欠失である。いずれにせよ、改変は、抗原を発現する酵母の低減もしくは破壊されたDNA結合および/または低減されたフロキュレーション表現型の目標を達成する。

0056

以上で考察したように、本発明に有用なブラキュリー抗原は、以上に記載の改変に加えて、抗原内にアゴニストエピトープの形成をもたらす1つ以上のさらなる改変を含み得る。本明細書で一般に用いられる場合、「アゴニスト」とは、受容体またはリガンドに結合して反応を生成または開始する任意の化合物または作用剤であり、限定されるものではないが、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸結合剤などが含まれ、受容体またはリガンドに結合する天然に存在する物質の作用を模倣または増強する作用剤が含まれ得る。改変ブラキュリー抗原を含めて、本発明のブラキュリー抗原に関連して用いられる場合、「アゴニスト」抗原またはタンパク質とは、「ミモトープ」としても参照し得る少なくとも1つのT細胞アゴニストエピトープを含む抗原またはタンパク質を意味する。ミモトープペプチドは、野生型エピトープの構造を模倣するペプチドであり、アゴニストとして、ミモトープは、天然エピトープの作用(生物学的機能)を模倣または増強する。

0057

たとえば、配列番号5のアミノ酸配列(WLLPGTSTL)は、野生型ブラキュリータンパク質のT細胞エピトープである。配列番号5は、配列番号2または配列番号4の位置246〜254に位置する。配列番号6のアミノ酸配列(WLLPGTSTV)は、配列番号5のT細胞エピトープのミモトープまたはアゴニストである。したがって、本発明の一態様では、改変ブラキュリー抗原は、WLLPGTSTV(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。一態様では、配列番号6の位置4のアミノ酸(プロリンまたはP)は、セリン(S)、トレオニン(T)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)で置換される。

0058

一態様では、改変ブラキュリー抗原は、SQYPSLWSVのアミノ酸配列(配列番号7)を含む。一態様では、配列番号7の位置2のアミノ酸(この配列ではグルタミンまたはQ)は、ロイシン(L)で置換される。一態様では、配列番号7の位置4のアミノ酸(この配列ではプロリンまたはP)は、セリン(S)、トレオニン(T)、ロイシン(L)、またはバリン(V)で置換される。一態様では、配列番号7の位置7のアミノ酸(この配列ではトリプトファンまたはW)は、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、セリン(S)、またはトレオニン(T)で置換される。一態様では、配列番号7の位置9のアミノ酸(この配列ではバリンまたはV)は、ロイシン(L)で置換される。配列番号7にこれらの置換の1つ以上の任意の組合せを有する配列を含む抗原は、本発明により企図される。

0059

一態様では、改変ブラキュリー抗原は、RLIASWTPVのアミノ酸配列(配列番号8)を含む。一態様では、配列番号8の位置1のアミノ酸(この配列ではアルギニンまたはR)は、チロシン(Y)またはトリプトファン(W)で置換される。一態様では、配列番号8の位置6のアミノ酸(この配列ではトリプトファンまたはW)は、バリン(V)、リシン(L)、イソロイシン(I)、セリン(S)、またはトレオニン(T)で置換される。配列番号8のこれら置換の一方または両方の任意の組合せを有する配列を含む抗原は、本発明により企図される。

0060

一態様では、改変ブラキュリー抗原は、AMYSFLLDFVのアミノ酸配列(配列番号9)を含む。一態様では、配列番号9の位置2のアミノ酸(この配列ではメチオニンまたはM)は、ロイシン(L)で置換される。

0061

本発明の一実施形態では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるタンパク質である。配列番号10のタンパク質は、アミノ酸配列が位置198〜222の欠失により配列番号4で表されるヒトブラキュリータンパク質のアミノ酸配列と異なる本発明に係る改変ブラキュリー抗原の一例である(すなわち、配列番号4の位置198〜222は配列番号10に存在しない)。換言すれば、配列番号10は、配列番号4の位置223〜435に直接融合された位置1〜197からなる単一のポリペプチドである。この改変ブラキュリー抗原は、破壊されたDNA結合能力を有し、この抗原を発現する酵母は、配列番号4のブラキュリータンパク質と比較して低減されたフロキュレーション表現型を有する。配列番号12は、配列番号10の改変ブラキュリータンパク質(実際には、配列番号10のN末端メチオニンは以下に記載のN末端ペプチドの付加に適応するように除去されるため、配列番号10の位置2〜410)を含む融合タンパク質である。配列番号12は、N末端からC末端の方向にインフレームで融合された次の配列エレメント:(1)プロテアソーム分解に対する耐性を付与し、かつ酵母において発現を安定化するN末端ペプチド(配列番号16によっても本明細書に表されるMet−Ala−Asp−Glu−Ala−Proのアミノ酸配列を有する配列番号12の位置1〜6)、(2)配列番号10の位置2〜410(配列番号12の位置7〜415)としても記載可能な配列番号4の位置2〜197および223〜435からなるヒトブラキュリー抗原、および(3)ヘキサヒスチジンタグ(配列番号12の位置416〜421)を有する単一ポリペプチドである。配列番号12のアミノ酸配列および配列番号10の位置2〜410のアミノ酸配列は、配列番号11のポリヌクレオチド配列によりコードされる。

0062

本発明の他の実施形態では、改変ブラキュリー抗原は、配列番号13のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるタンパク質である。配列番号13のタンパク質は、(1)位置198〜222の欠失(すなわち、配列番号4の位置198〜222は配列番号13に存在しない)および(2)配列番号4の位置254に位置する(および配列番号13の位置229に位置する)アミノ酸(ロイシン)のバリンによる置換により、アミノ酸配列が配列番号4で表されるヒトブラキュリータンパク質のアミノ酸配列と異なる、本発明に係る改変ブラキュリー抗原の他の例である。換言すれば、配列番号13は、配列番号4の位置223〜435に直接融合された位置1〜197からなり、かつ配列番号13へのアゴニストエピトープの導入をもたらすアミノ酸改変を含む単一ポリペプチドである。位置254(配列番号4に対する)でのロイシンからバリンへの置換は、配列番号13の位置221〜229に配列番号13のT細胞アゴニストエピトープを生成する。理論により拘束されるものではないが、このT細胞アゴニストエピトープは、野生型エピトープ(配列番号4の位置246〜254)と比較して、ブラキュリーに対する増強されたT細胞反応を誘発すると考えられる。このアゴニストエピトープはまた、配列番号6によっても本明細書に表される。配列番号13で表されるこの改変ブラキュリー抗原は、破壊されたDNA結合能力を有し、この抗原を発現する酵母は、配列番号4のブラキュリータンパク質と比較して低減されたフロキュレーション表現型を有し、加えてアゴニストエピトープを含有し、この構築物を酵母−ブラキュリー免疫療法剤で対象に投与した場合、天然ブラキュリーに対するT細胞反応を増強する。配列番号15は、配列番号13の改変ブラキュリータンパク質(実際には、配列番号13のN末端メチオニンは以下に記載のN末端ペプチドの付加に適応するように除去されるため、配列番号13の位置2〜410)を含む融合タンパク質である。配列番号15は、N末端からC末端の方向にインフレームで融合された次の配列エレメント:(1)プロテアソーム分解に対する耐性を付与し、かつ酵母において発現を安定化するN末端ペプチド(配列番号15の位置1〜6、このアミノ酸配列は配列番号16によっても本明細書に表される)、(2)配列番号13の位置2〜410(配列番号15の位置7〜415)としても記載可能である、配列番号4の位置2〜197および223〜435からなり、かつ配列番号4の位置254のロイシンに対するバリンの置換をさらに含有するヒトブラキュリー抗原、および(3)ヘキサヒスチジンタグ(配列番号15の位置416〜421)を有する単一ポリペプチドである。配列番号15のアミノ酸配列および配列番号13の位置2〜410のアミノ酸配列は、配列番号14のポリヌクレオチド配列によりコードされる。この融合タンパク質を発現する酵母ベースの免疫療法組成物はまた、本明細書ではGI−6306としても参照される。

0063

本発明の他の実施形態では、改変ブラキュリー抗原は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24個のアミノ酸の欠失により、野生型ブラキュリータンパク質のアミノ酸配列(たとえば、配列番号2、配列番号4、または異なるヒトブラキュリータンパク質の対応する配列)と異なるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるタンパク質である。ただし、欠失し得るアミノ酸残基は、(1)Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、Phe217、Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、および/またはVal175から選択される1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4に対して与えられた位置)、この場合、位置Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、Phe217の1つ以上の欠失がより好ましい(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、(2)野生型ブラキュリータンパク質の位置1〜229内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、(3)野生型ブラキュリータンパク質の位置66〜217内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、または(4)野生型ブラキュリータンパク質の位置198〜222内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)から選択される。いずれにせよ、改変ブラキュリー抗原は、低減もしくは破壊されたDNA結合活性を有し、かつ/またはこの抗原を発現する酵母は、低減されたフロキュレーション表現型を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、以下に定義される「ほぼ全長」のブラキュリータンパク質であり得る。すなわち、このタンパク質は、野生型配列と比較してN末端および/またはC末端から1〜10個のアミノ酸が欠如し得る。

0064

一態様では、改変ブラキュリー抗原は、少なくとも1つのアゴニストエピトープ(たとえば、配列番号6または任意の他のアゴニストエピトープ、たとえば、以上に記載の配列番号5、7、8、または9の配列のアゴニスト)をさらに含む。

0065

一態様では、改変ブラキュリー抗原は、以上に記載の改変ブラキュリー抗原に加えて、任意選択的に、(1)酵母α因子配列などのN末端ペプチドもしくは本明細書に記載の酵母ベースの免疫療法剤との併用に好適な他のN末端ペプチドで置換されていてもよい、プロテアソーム分解に対する耐性を付与するようにおよび配列番号16で表される発現を安定化するように設計された合成N末端ペプチドであるN末端ペプチド、(2)ヘキサヒスチジンタグなど、融合タンパク質の単離もしくは同定に有用なC末端ペプチド、(3)融合タンパク質内のセグメントを連結するために使用される1、2、3個、もしくはそれを超えるアミノ酸のリンカーペプチド、および/または(4)他のブラキュリー抗原もしくは異なる(非ブラキュリー)抗原であってもよい好ましくは癌抗原である他の抗原も含み得る融合タンパク質の一部である。

0066

本発明の他の実施形態では、改変ブラキュリー抗原は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24個のアミノ酸をその位置に天然に存在するものと異なるアミノ酸残基で置換することにより、野生型ブラキュリータンパク質のアミノ酸配列(たとえば、配列番号2、配列番号4、または異なるヒトブラキュリータンパク質の対応する配列)と異なるアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるタンパク質である。置換し得るアミノ酸残基は、(1)Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、Phe217、Met87、Pro127、Asp128、Ser129、Pro130、Asn131、Phe132、および/またはVal175から選択される1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4に対して与えられた位置)、この場合、位置Lys66、Arg69、Arg70、Arg101、Lys103、Lys147、Asn150、Lys151、Ser162、Thr196、Ala197、Tyr198、Ile208、Asn211、Pro212、Phe213、Ala214、Lys215、Ala216、Phe217の1つ以上の置換がより好ましい(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、(2)野生型ブラキュリータンパク質の位置1〜229内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、(3)野生型ブラキュリータンパク質の位置66〜217内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)、または(4)野生型ブラキュリータンパク質の位置198〜222内に位置する1つ以上のアミノ酸(配列番号2または配列番号4の位置に対応する位置)から選択される。いずれにせよ、置換の結果として、改変ブラキュリー抗原は、低減もしくは破壊されたDNA結合活性を有し、かつ/またはこの抗原を発現する酵母は、低減されたフロキュレーション表現型を有する。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、以下に定義される「ほぼ全長」のブラキュリータンパク質であり得る。すなわち、このタンパク質は、野生型配列と比較してN末端および/またはC末端から1〜10個のアミノ酸を欠如し得る。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、少なくとも1つのアゴニストエピトープ(たとえば、配列番号6または任意の他のアゴニストエピトープ、たとえば、以上に記載の配列番号5、7、8、または9の配列のアゴニスト)をさらに含む。一態様では、改変ブラキュリー抗原は、以上に記載の改変ブラキュリー抗原に加えて、任意選択的に、(1)酵母α因子配列などのN末端ペプチドもしくは本明細書に記載の酵母ベースの免疫療法剤との併用に好適な他のN末端ペプチドで置換されていてもよい、プロテアソーム分解に対する耐性を付与し、かつ配列番号16で表される発現を安定化するように設計された合成N末端ペプチドであるN末端ペプチド、(2)ヘキサヒスチジンタグなど、融合タンパク質の単離もしくは同定に有用なC末端ペプチド、(3)融合タンパク質内のセグメントを連結するために使用される1、2、3個、もしくはそれを超えるアミノ酸のリンカーペプチド、および/または(4)他のブラキュリー抗原もしくは異なる(非ブラキュリー)抗原であってもよい好ましくは癌抗原である他の抗原も含み得る融合タンパク質の一部である。

0067

ヒトブラキュリーは、他の動物種のブラキュリーとの非常に高い相同性を有するため、特にこれらの配列が同一である場合、実質的に相同である場合、および標的抗原(たとえば、腫瘍細胞が発現する天然ブラキュリー)に対する有効な免疫反応を誘発する場合、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の調製時に他の生物のブラキュリーの配列または本明細書に記載の例示的なヒト配列と異なるヒトブラキュリー配列を利用することが可能である。たとえば、ハーマン(Hermann)らにより1990年に初めてクローニングされたネズミブラキュリー(ハーマン(Hermann)ら著、前掲)は、ヒトブラキュリーに対してヌクレオチドレベルで約85%同一であり、アミノ酸レベルで約91%同一である。他の動物のブラキュリーに関して、アミノ酸レベルでは、ヒトブラキュリーは、パントログロディテス(Pan troglodytes)のブラキュリーに対して99.5%同一であり、カニス・ルプス・ファミリアリス(Canis lupus familiaris)のブラキュリーに対して90.1%同一であり、ボスタウラス(Bos taurus)のブラキュリーに対して88.5%同一であり、ラタス・ノルベギカス(Rattus norvegicus)のブラキュリー92.2%同一であり、およびガルス属(Gallus)のブラキュリーに対して80.9%同一である。Tボックスドメインを含有するブラキュリーのアミノ酸1〜223内で、マウスおよびヒトのブラキュリーは、わずか2つのアミノ酸(位置26および96)のみが異なる。

0068

本発明のいずれかの実施形態によれば、「全長」タンパク質(または全長機能ドメインまたは全長免疫ドメイン)への参照は、本明細書に記載の、他に公知の、または公的に利用可能な配列に記載のタンパク質または機能ドメインまたは免疫ドメインの全長アミノ酸配列を含む。タンパク質のホモログタイプでもある「ほぼ全長」のタンパク質またはドメインは、全長のタンパク質またはドメインのN末端および/またはC末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸を欠失または省略することにより、全長のタンパク質またはドメインと異なる。例として、本明細書に記載の融合タンパク質のいくつかは、抗原の位置1のメチオニンを省略してN末端ペプチドを置換するため、「ほぼ全長」のブラキュリー抗原を含む。タンパク質またはドメインまたは抗原への一般的参照は、全長およびほぼ全長の両方のタンパク質ならびにそれらの他のホモログを含み得る。

0069

ブラキュリー抗原または癌抗原に関連するいずれかの実施形態の一態様では、抗原は、酵母による抗原の発現を可能にするのに十分な最小限のサイズである。酵母において発現させるために、タンパク質は、典型的に少なくとも約25アミノ酸長であるが、より小さいタンパク質を発現させてもよく、かなり大きいタンパク質を酵母により発現させてもよい。たとえば、本発明に有用な癌抗原は、酵母により組換え発現可能であり、かつ少なくとも1つの免疫原性ドメインを含有する癌タンパク質の断片である。一実施形態では、本発明に有用な癌抗原は、少なくとも25アミノ酸長、または少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、もしくは410、415、420、425、もしくは430アミノ酸長である。

0070

本発明に有用なブラキュリー抗原(改変ブラキュリー抗原を含む)はまた、本明細書に記載の改変ブラキュリー抗原のいずれかのアミノ酸配列(たとえば、配列番号10、配列番号12、配列番号13、または配列番号15)に対してタンパク質の全長にわたり少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、このブラキュリー抗原は、本発明の改変ブラキュリー抗原の特性を保持する(すなわち、DNA結合活性が低減もしくは破壊され、かつ/または抗原を発現する酵母が低減されたフロキュレーション表現型を有する)。

0071

以上で簡潔に考察したように、N末端発現配列およびC末端タグ、たとえば、本明細書に記載の融合タンパク質に対して以上に記載したものは任意選択であるが、発現、安定性を改良もしくは支援するために、かつ/またはタンパク質の同定および/もしくは精製を可能にするために、本明細書の他の箇所に記載のいくつかの異なる配列から選択し得る。また、酵母で使用するのに好適である多様なプロモータは、当技術分野で公知である。さらに、短い介在リンカー配列(たとえば、1、2、3、4、または5アミノ酸のペプチド)は、様々な理由で、たとえば、クローニングを容易にする制限酵素部位を導入するために、宿主ファゴソームプロテアーゼ用の切断部位として、タンパク質または抗原のプロセシング加速するために、および構築物の将来的操作のために、ブラキュリー抗原を含む融合タンパク質の一部間に導入可能である。

0072

任意選択的に、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の成分として使用されるタンパク質は、融合タンパク質を含めて、酵母における異種抗原の発現の改良または安定化を行うのに特に有用な抗原構築物を用いて作製される。一実施形態では、所望の抗原タンパク質またはペプチドは、それらのアミノ末端で、(a)酵母媒体中で融合タンパク質の発現を安定化させるか、または発現された融合タンパク質の翻訳後修飾を防止する特異的合成ペプチド(かかるペプチドは、たとえば、2004年8月12日公開の米国特許出願公開第2004/0156858A1号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている)、(b)限定されるものではないが、酵母α因子リーダー配列を含めて、融合パートナが酵母においてタンパク質の発現の安定性改良を提供し、かつ/または酵母細胞によるタンパク質の翻訳後修飾を防止する、内因性酵母タンパク質の少なくとも一部(かかるタンパク質はまた、たとえば、前掲の米国特許出願公開第2004/0156858A1号明細書に詳細に記載されている)、および/または(c)酵母の表面上に融合タンパク質を発現させる、酵母タンパク質の少なくとも一部(たとえば、より詳細に本明細書に記載されるAgaタンパク質)に融合される。酵母細胞において抗原の発現の安定性を向上させ、および/または酵母においてタンパク質の翻訳後修飾を防止する例示的な合成配列は、配列M−A−D−E−A−Pを含む(本明細書では配列番号16により表される)。加えて、本発明は、任意選択的に、具体的にはタンパク質の選択および同定に使用するための、抗原コード構築物のC末端に融合されたペプチドの使用を包含する。かかるペプチドとしては、任意の合成または天然のペプチド、たとえば、ペプチドタグ(たとえば、6×Hisもしくはヘキサペプチド)または任意の他の短いエピトープタグが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に係る抗原のC末端に結合されるペプチドは、以上で考察されたN末端ペプチドの付加を併用してまたは併用せずに使用可能であり、その逆も同様である。

0073

本発明によれば、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物で使用される酵母媒体は、本発明に係る組成物(たとえば、療法用または予防用の組成物)で1つ以上の抗原、その免疫原性ドメイン、またはそのエピトープと組み合わせて使用可能な任意の酵母細胞(たとえば、全細胞もしくはインタクト細胞)またはそれらの派生物(以下を参照されたい)である。したがって、酵母媒体は、限定されるものではないが、生存インタクト(菌体酵母微生物(すなわち、細胞壁を含むすべてのその成分を有する酵母細胞)、死滅(死亡)もしくは不活性化インタクト酵母微生物、あるいは酵母スフェロプラスト(すなわち、細胞壁が欠如している酵母細胞)、酵母細胞質体(すなわち、細胞壁および核が欠如している酵母細胞)、酵母ゴースト(すなわち、細胞壁、核、および細胞質が欠如している酵母細胞)、細胞レベル下の酵母細胞膜抽出物もしくはその一部(酵母細胞膜粒子としても参照され、以前には細胞レベル下の酵母粒子としても参照された)、任意の他の酵母粒子、または酵母細胞壁調製物をはじめとするインタクト酵母の派生物を含む。

0074

酵母スフェロプラストは、典型的に酵母細胞壁の酵素消化により作製される。かかる方法は、たとえば、フランズソフ(Franzusoff)ら著、1991年、メソッズ・イン・エンイモロジー(Meth.Enzymol.)、第194巻、p.662〜674(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。

0075

酵母細胞質体は、典型的に酵母細胞の除核により作製される。かかる方法は、たとえば、クーン(Coon)著、1978年、ナショナル・キャンサー・インスティチュト・モノグラフス(Natl.Cancer Inst.Monogr.)、第48巻、p.45〜55(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。

0076

酵母ゴーストは、典型的に透過化細胞または溶解細胞の再封により作製されるが、その細胞のオルガネラの少なくとも一部を含有し得る(その必要があるわけではい)。かかる方法は、たとえば、フランズソフ(Franzusoff)ら著、1983年、ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(J.Biol.Chem.)、第258巻、p.3608〜3614およびブッセイ(Bussey)ら著、1979年、バイオシミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim.Biophys.Acta)、第553巻、p.185〜196(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。

0077

酵母細胞膜粒子(細胞レベル下の酵母細胞膜抽出物またはその一部)は、天然の核または細胞質が欠如している酵母細胞膜を意味する。粒子は、天然酵母細胞膜のサイズから、超音波処理法または当業者に公知の他の膜破壊法およびそれに続く再封により作製されるマイクロ粒子までの範囲内のサイズを含めて、任意のサイズであり得る。細胞レベル下の酵母細胞膜抽出物の作製方法は、たとえば、フランズソフ(Franzusoff)ら著、1991年、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Meth.Enzymol.)、第194巻、p.662〜674に記載されている。また、酵母細胞膜部分を含有する酵母細胞膜粒子の一部と、酵母細胞膜粒子の調製前に抗原または他のタンパク質が酵母により組換え発現された場合には対象の抗原または他のタンパク質とを使用してもよい。対象の抗原または他のタンパク質は、膜内、膜のいずれかの表面上、またはそれらの組合せに担持可能である(すなわち、タンパク質は、膜内および膜外の両方にならびに/または酵母細胞膜粒子の膜をまたいで存在可能である)。一実施形態では、酵母細胞膜粒子は、膜の表面上にまたは少なくとも部分的に膜内に埋め込んで少なくとも1つの所望の対象の抗原または他のタンパク質を含む、インタクトの、破壊された、または破壊かつ再封された酵母細胞膜であり得る組換え酵母細胞膜粒子である。

0078

酵母細胞壁調製物の例は、動物に投与したときに酵母細胞壁調製物が疾患標的に対して所望の免疫反応を刺激するように、その表面上にまたは少なくとも部分的に細胞壁内に埋め込んで抗原を担持する単離された酵母細胞壁の調製物である。

0079

任意の酵母株を用いて本発明の酵母媒体を作製することが可能である。酵母は、3クラス:子嚢菌担子菌、および不完全菌の1つに属する単細胞微生物である。免疫変調剤として使用するための酵母タイプの選択の一考慮点は、酵母の病原性である。一実施形態では、酵母は、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)などの非病原性株である。非病原性酵母株の選択により、酵母媒体が投与される個体に及ぼすいかなる悪影響も最小限に抑えられる。しかしながら、当業者に公知の何らかの手段により酵母の病原性を打ち消すことが可能であれば、病原性酵母を使用してもよい(たとえば、突然変異株)。本発明の一態様によれば、非病原性酵母株が使用される。

0080

本発明に使用し得る酵母株の属としては、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)(病原性の場合もある)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、およびヤロウイア属(Yarrowia)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一態様では、酵母の属は、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ピキア属(Pichia)、またはシゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)から選択され、一態様では、サッカロマイセス属(Saccharomyces)が使用される。本発明に使用し得る各種の酵母株としては、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ケフィア(Candida kefyr)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、クリプトコッカス・ラウレンティイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ハンゼヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・マルキシアナス変種ラクティス(Kluyveromyces marxianus var.lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、およびヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの種のいくつかは、以上に挙げた種に含まれるとみなされる様々な亜種、タイプ、サブタイプなどを含むことを認識すべきである。一態様では、本発明で使用される酵母種は、S.セレビシアエ(S.cerevisiae)、C.アルビカンス(C.albicans)、H.ポリモルファ(H.polymorpha)、P.パストリス(P.pastoris)、およびS.ポンベ(S.pombe)を含む。S.セレビシアエ(S.cerevisiae)は、操作が比較的簡単であるため、かつ食品添加物として使用するうえで「一般に安全であると認められる」または「GRAS」であるため(GRAS、FDA提案規則62FR18938、1997年4月17日)、有用である。本発明の一実施形態は、特に高いコピー数プラスミド複製可能な酵母株、たとえば、S.セレビシアエ(S.cerevisiae)cir°株である。S.セレビシアエ(S.cerevisiae)株は、1つ以上の標的抗原および/または抗原融合タンパク質および/または他のタンパク質の高レベルでの発現を可能にする発現ベクター支持可能な株の1つである。本発明に有用な他の酵母株は、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)W303αである。加えて、N結合グリコシル化を増加させる酵素中の突然変異のように、発現された標的抗原または他のタンパク質の翻訳後修飾の低減を呈する株をはじめとする任意の突然変異酵母株を本発明に使用することができる。

0081

酵母ベースの免疫療法組成物を作製するための、酵母媒体の作製方法および発現方法、酵母媒体と、抗原および/または他のタンパク質および/または対象の作用剤との組合せ方法および/または会合方法は、本発明により企図される。

0082

本発明によれば、「酵母媒体−抗原複合体」または「酵母−抗原複合体」という用語は、酵母媒体と抗原との任意の会合を記述するために総称的に用いられ、かかる組成物が以上に記載したように免疫反応を誘発するために使用される場合、「酵母ベースの免疫療法組成物」と同義的に用いられ得る。かかる会合は、酵母による抗原の発現(組換え酵母)、酵母中への抗原の導入、酵母への抗原の物理結合、および緩衝液中または他の溶液中または製剤中などでの酵母と抗原との混合一体化を含む。これらのタイプの複合体は、以下に詳細に記載される。

0083

一般に、酵母媒体および抗原(および/または他の作用剤)は、本明細書に記載のいずれかの技術により会合可能である。一態様では、酵母媒体は抗原を細胞内で充填した。他の態様では、抗原を酵母媒体に共有結合または非共有結合により結合させた。さらに他の態様では、酵母媒体および抗原を混合により会合させた。好ましい実施形態の他の態様では、酵母媒体により、または酵母媒体が誘導された酵母細胞もしくは酵母スフェロプラストにより、抗原を組換え発現させる。

0084

本発明の一実施形態では、酵母媒体中で抗原または他のタンパク質を組換え発現する代わりに、タンパク質もしくはペプチド、あるいは抗原として機能し、および/または本発明に係る免疫変調剤もしくは生物学的反応修飾剤として有用である炭水化物もしくは他の分子を酵母媒体に細胞内充填する。続いて、この時点で抗原および/または他のタンパク質を細胞内に含有する酵母媒体を個体に投与可能であるか、または樹状細胞などの担体中に充填可能である。ペプチドおよびタンパク質は、当業者に公知の技術により、たとえば、拡散能動輸送リポソーム融合、エレクトロポレーション食作用凍結解凍サイクル、および浴超音波処理により、本発明の酵母媒体に直接挿入することが可能である。ペプチド、タンパク質、炭水化物、または他の分子を直接充填可能な酵母媒体としては、インタクトの酵母、ならびに産生後に抗原および他の作用剤を充填可能なスフェロプラスト、ゴースト、または細胞質体が挙げられる。他の選択肢として、インタクトの酵母に抗原および/または作用剤を充填し、次いでスフェロプラスト、ゴースト、細胞質体、または細胞レベル下の粒子をそれから調製することが可能である。

0085

本発明の他の実施形態では、抗原および/または他の作用剤は、酵母媒体に物理結合される。酵母媒体への抗原および/または他の作用剤の物理結合は、当技術分野における好適な任意の方法により、たとえば、限定されるものではないが、酵母媒体の外表面への抗原および/もしくは他の作用剤の化学架橋、または抗体もしくは他の結合パートナを用いるなどによる酵母媒体の外表面への抗原および/または他の作用剤の生物学的結合をはじめとする、共有結合および非共有結合による会合方法により達成可能である。化学的架橋は、たとえば、グルタルアルデヒド結合、光親和性標識、カルボジイミド処理、ジスルフィド結合連結可能な化学剤による処理、および当技術分野で標準的な他の架橋化学剤による処理を含む方法により達成可能である。他の選択肢として、酵母の外表面が特定の電荷特性を有する抗原および/または他の作用剤に融合または結合しやすくなるように、酵母細胞膜の脂質二重層の電荷または細胞壁の組成を変化させる化学剤を酵母媒体に接触させることが可能である。また、抗原を酵母媒体に結合させるために、抗体、結合性ペプチド可溶性受容体、他のリガンドなどの標的化剤を融合タンパク質として抗原中に組み込むか、または他に抗原に会合させることが可能である。

0086

抗原または他のタンパク質を酵母の表面上に発現する場合またはその表面に物理結合する場合、スペーサアームは、一態様では、表面上での抗原または他のタンパク質の発現または含有量が最適化されるように慎重に選択され得る。スペーサアームのサイズは、どの程度の量の抗原または他のタンパク質が酵母の表面への結合で露出されるかに影響を及ぼし得る。したがって、いずれの抗原または他のタンパク質を使用するかに依存して、当業者は、酵母表面上の抗原または他のタンパク質の適切なスペーシングを行うスペーサアームを選択するであろう。一実施形態では、スペーサアームは、少なくとも450アミノ酸の酵母タンパク質である。

0087

さらに他の実施形態では、酵母媒体および抗原または他のタンパク質は、より受動的であるか、非特異的であるか、または非共有結合的結合機構により、たとえば、緩衝液中または他の好適な配合物(たとえば、混合物)中で酵母媒体と抗原または他のタンパク質とを温和に混合一体化することにより、互いに会合される。

0088

一実施形態では、酵母媒体の調製に使用される酵母細胞は、タンパク質が酵母細胞により発現されるように、タンパク質(たとえば、抗原)をコードする異種核酸分子でトランスフェクトされる。かかる酵母も本明細書で組換え酵母として参照される。次いで、酵母細胞は、薬学的に許容可能な賦形剤を用いて製剤化するか、患者に直接投与するか、後に投与するために貯蔵するか、またはインタクト細胞として樹状細胞中に充填することが可能である。酵母細胞はまた、死滅させることが可能であり、または酵母のスフェロプラスト、細胞質体、ゴースト、もしくは細胞レベル下の粒子を形成することなどにより、誘導体化することが可能であり、これらはいずれも続いて貯蔵、投与、または樹状細胞中への誘導体の充填に供し得る。また、抗原を発現する組換えスフェロプラストを作製するために、酵母スフェロプラストに組換え核酸分子を直接トランスフェクトすることが可能である(たとえば、スフェロプラストを酵母菌体から作製し、次いでトランスフェクトする)。抗原を組換え発現する酵母細胞または酵母スフェロプラストを用いて、酵母細胞質体、酵母ゴースト、または酵母細胞膜粒子もしくは酵母細胞壁粒子を含む酵母媒体あるいはそれらの一部を作製し得る。

0089

本発明の酵母媒体中での抗原または他のタンパク質の発現は、当業者に公知の技術を用いて達成される。簡潔に述べると、宿主酵母細胞にトランスフォームしたときに核酸分子の構成発現または調節発現のいずれかを引き起こすことができるようにするために、核酸分子が転写制御配列に機能的に結合されるように、少なくとも1つの所望の抗原または他のタンパク質をコードする核酸分子を発現ベクター中に挿入する。1つ以上の抗原および/または他のタンパク質をコードする核酸分子は、1つ以上の発現制御配列に機能的に連結された1つ以上の発現ベクター上に存在可能である。特に重要な発現制御配列は、プロモータおよび上流活性化配列などのように転写開始を制御するものである。任意の好適な酵母プロモータを本発明に使用することが可能であり、様々なかかるプロモータが当業者に公知である。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)中での発現用のプロモータとしては、次の酵母タンパク質をコードする遺伝子のプロモータが挙げられるが、これらに限定されるものではない:アルコールデヒドロゲナーゼ、I(ADH1)またはII(ADH2)、CUP1、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、翻訳伸長因子EF−1α(TEF2)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH、トリオースリン酸デヒドロゲナーゼに対してTDH3としても参照される)、ガラクトキナーゼ(GAL1)、ガラクトース−1−ホスフェートリジルトランスフェラーゼ(GAL7)、UDP−ガラクトースエピメラーゼ(GAL10)、シトクロムc1(CYC1)、Sec7タンパク質(SEC7)、および酸性ホスファターゼ(PHO5)(ADH2/GAPDHおよびCYC1/GAL10プロモータなどのハイブリッドプロモータおよび細胞内のグルコース濃度が低い場合(たとえば、約0.1〜約0.2パーセント)に誘導されるADH2/GAPDHプロモータを含む)、ならびにCUP1プロモータおよびTEF2プロモータ。同様に、エンハンサーとしても参照されるいくつかの上流活性化配列(UAS:upstream activation sequence)が公知である。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)中での発現用の上流活性化配列としては、次のタンパク質をコードする遺伝子のUASが挙げられるが、これらに限定されるものではない:PCK1、TPI、TDH3、CYC1、ADH1、ADH2、SUC2、GAL1、GAL7、およびGAL10、ならびにGAL4遺伝子産物により活性化される他のUAS(一態様ではADH2 UASが使用される)。ADH2 UASはADR1遺伝子産物により活性化されるため、異種遺伝子がADH2 UASに機能的に連結される場合、ADR1遺伝子を過剰発現させることが好ましいこともある。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)中での発現用の転写終止配列としては、α因子、GAPDH、およびCYC1遺伝子の終止配列が挙げられる。

0090

メチルトローフ酵母中で遺伝子を発現するための転写制御配列としては、アルコールオキシダーゼおよびギ酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の転写制御領域が挙げられる。

0091

本発明に係る酵母細胞中への核酸分子のトランスフェクションは、核酸分子を細胞内に導入可能な任意の方法により達成可能であり、たとえば、拡散、能動輸送、浴超音波処理、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションリポフェクション吸着、およびプロトプラスト融合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。トランスフェクト核酸分子は、酵母染色体中に組込み可能であるか、または当業者に公知の技術を用いて染色体外ベクター上に維持可能である。かかる核酸分子を担持する酵母媒体の例は、本明細書に詳細に開示される。以上で考察したように、酵母細胞質体、酵母ゴースト、および酵母細胞膜粒子または細胞壁調製物はまた、所望の核酸分子をインタクト酵母微生物または酵母スフェロプラストにトランスフェクトして、その中で抗原を産生し、次いで当業者に公知の技術を用いて微生物またはスフェロプラストをさらに操作して、所望の抗原または他のタンパク質を含有する細胞質体、ゴースト、もしくは細胞レベル下の酵母細胞膜抽出物、またはそれらの一部を作製することにより、組換え産生可能である。

0092

組換え酵母媒体の作製ならびに酵母媒体による抗原および/または他のタンパク質の発現に有効な条件としては、酵母株を培養可能な効果的培地が挙げられる。効果的培地は、典型的に同化可能な炭水化物源窒素源、およびリン酸源、ならびに適切な塩、ミネラル、金属、および他の栄養素、たとえば、ビタミンおよび増殖因子を含む水性培地である。培地は、複合栄養素を含んでいてもよく、または規定の最少培地であってもよい。本発明の酵母株は、バイオリアクターエルレンマイヤーフラスコ試験管マイクロタイターディッシュ、およびペトリプレートをはじめとする様々な容器中で培養可能であるが、これらに限定されるものではない。培養は、酵母株に適した温度、pH、および酸素含有率で行われる。かかる培養条件は、十分に当業者の技能の範囲内にある(たとえば、グトリエ(Guthrie)ら編、1991年、メソッド・オブ・エンザイモロジー(Methodsin Enzymology)、第194巻、アカミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ(San Diego)を参照されたい)。たとえば、一プロトコル下では、スタータプレートから取得される培養物および/または酵母−ブラキュリー免疫療法組成物のスタータ培養物を用いて、好適な培地を含有する液体培養物接種することが可能であり、および250rpmで攪拌しながら30℃で約20時間増殖させる。次いで、必要に応じて初代培養物をより大量の培養物に増大させることが可能である。酵母にトランスフォームされたベクターからのタンパク質発現(たとえば、ブラキュリー発現)は、利用されるプロモータが構成プロモータであれば構成的であり得、利用されるプロモータが誘導プロモータであれば、プロモータに適した誘導条件(たとえば、CUP1プロモータの場合、硫酸銅)を加えることにより誘導され得る。誘導プロモータの場合、タンパク質発現の誘導は、培養物が好適な細胞密度に増殖した後に開始され得る。それは、約0.2Y.U./ml以上の密度であり得る。

0093

本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の培養に好適な培地の一例はU2培地であるが、これに限定されるものではない。U2培地は、次の成分を含む:20g/Lのグルコース、6.7g/Lの硫酸アンモニウム含有酵母ニトロゲンベース、および各0.04mg/mLのヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、およびアデニン。本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の培養に好適な培地の他の例としてはUL2培地が挙げられるが、これに限定されるものではない。UL2培地は、次の成分を含む:20g/Lのグルコース、6.7g/Lの硫酸アンモニウム含有酵母ニトロゲンベース、および各0.04mg/mLのヒスチジン、トリプトファン、およびアデニン。

0094

酵母媒体において本発明に係る改変ブラキュリー抗原を発現するために誘導プロモータ(たとえば、CUP1プロモータ)を使用する場合、タンパク質発現の誘導は、かかるプロモータを用いて酵母により発現されるほとんどのタンパク質に好適な細胞密度と比較してより高い細胞密度で開始される。CUP1プロモータにより駆動される最適ブラキュリー抗原発現は、ブラキュリー抗原を発現する酵母を少なくとも0.5Y.U/ml〜約2.0Y.U./ml、一態様では0.5Y.U./ml〜約1.5Y.U./ml、一態様では少なくとも1.0Y.U./ml〜約2.0Y.U./ml、他の態様では少なくとも約1.0Y.U./mlの細胞密度まで成長させたときに行われる。本発明の一実施形態では、CUP1プロモータなどの誘導プロモータの制御下に抗原発現を有する酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、抗原発現の誘導前に中間対数期まで成長させる。一態様では、抗原発現の誘導前に約1〜2Y.U./mlまで細胞を成長させる。一態様では、抗原発現を誘導して(たとえば、硫酸銅の添加により)、6、6.5、7、7.5、または8時間まで継続する。一態様では、誘導は、約30℃の温度および250rpmの撹拌速度で行われる。

0095

本発明のいくつかの実施形態では、酵母は中性pH条件下で増殖される。本明細書で用いられる場合、「中性pH」という用語の一般的使用は、約pH5.5〜約pH8のpH範囲、一態様では約pH6〜約8を意味する。pH計による測定時、わずかな変動(たとえば、1/10または1/100)が起こり得ることは当業者であれば分かるであろう。したがって、酵母細胞の増殖に中性pHを使用することは、培養中のほとんどの時間にわたり酵母細胞が中性pHで増殖されることを意味する。一実施形態では、酵母は、少なくとも5.5のpHレベルに維持された培地中で増殖される(すなわち、培養培地のpHをpH5.5未満に低下させない)。他の態様では、酵母は、約6、6.5、7、7.5、または8に維持されたpHレベルで増殖される。酵母の培養に中性pHを使用すると、免疫変調用の媒体として酵母を使用するうえで望ましい特徴であるいくつかの生物学的作用が促進される。たとえば、中性pHで酵母を培養すると、細胞世代時間に悪影響を及ぼすことなく(たとえば、倍加時間減速)、酵母の良好な増殖が可能になる。酵母は、その細胞壁柔軟性を失うことなく高密度まで増殖を続けることが可能である。中性pHを使用すると、柔軟な細胞壁を有する酵母および/またはあらゆる採取密度で細胞壁消化酵素(たとえば、グルカナーゼ)に対してより感受性のある酵母の生成が可能になる。柔軟な細胞壁を有する酵母は、より酸性の条件下に増殖された酵母と比較して、たとえば、酵母を貪食した抗原提示細胞によるサイトカインの分泌を促進することにより、様々なまたは改良された免疫反応を誘導できるため、この形質は望ましい(たとえば、TH1型サイトカイン、たとえば、限定されるものではないが、IFN−γ、インターロイキン−12(IL−12)、およびIL−2、ならびにIL−6などの炎症誘発性サイトカイン)。加えて、かかる培養方法により、細胞壁に位置する抗原へのより大きい到達性が与えられる。他の態様では、いくつかの抗原に対して中性pHを使用すると、かかる抗原発現酵母をより低いpH(たとえば、pH5)の培地で培養したときには可能でないジチオトレイトール(DTT)処理によるジスルフィド結合抗原の放出が可能になる。

0096

本発明の一実施形態では、酵母細胞壁調製物、酵母細胞膜粒子、または酵母断片(すなわち、インタクトでない)が作製されるように、インタクトの酵母(異種抗原または他のタンパク質の発現を行うまたは行わない)を粉砕または処理することが可能であり、酵母断片は、いくつかの実施形態では、免疫反応を促進するために、本発明の改変ブラキュリー抗原(たとえば、タンパク質サブユニットとしてまたは異なる媒体内に含まれる)を含む他の組成物と共に提供し得るか、またはそれと共に投与し得る。たとえば、酵素処理化学処理、または物理力(たとえば、機械的剪断もしくは超音波処理)を用いて、補助剤として使用される部分に酵母を破壊することが可能である。

0097

本発明の一実施形態では、本発明に有用な酵母媒体は、死滅または不活性化された酵母媒体を含む。酵母の死滅または不活性化は、当技術分野で公知の様々な好適な方法のいずれかにより達成可能である。たとえば、酵母の熱不活性化は、酵母の標準的不活性化方法であり、必要に応じて、当業者であれば、当技術分野で公知の標準的方法により、標的抗原の構造変化モニターすることが可能である。他の選択肢として、酵母の他の不活性化方法、たとえば、化学法電気法、放射活性法、またはUV法を使用することが可能である。たとえば、メソッド・オブ・エンザイモロジー(Methodsof Enzymology)、第194巻、コールドスプリングハーバパブリッシング(Cold Spring Harbor Publishing)、1990年などの酵母培養の標準的教科書を参照されたい。不活性化戦略のいずれを用いたとしても、標的抗原の二次構造三次構造、または四次構造を考慮に入れて、その免疫原性が最適化されるようにかかる構造を維持すべきである。

0098

酵母媒体は、当業者に公知のいくつかの技術を用いて、本発明の酵母ベースの免疫療法組成物または生成物の形態に製剤化可能である。たとえば、酵母媒体は、凍結乾燥により乾燥可能である。酵母媒体を含む製剤はまた、ベーキングまたは醸造の操作で使用される酵母に対して行われるように、ケーキまたはタブレットに酵母を充填することにより調製可能である。加えて、酵母媒体は、宿主または宿主細胞が耐えられる等張性緩衝液などの薬学的に許容可能な賦形剤と混合可能である。かかる賦形剤の例としては、水、生理食塩水リンゲル液デキストロース液、ハンクス液、および他の水性生理的平衡塩類液が挙げられる。固定油、ゴマ油エチルオレエートトリグリセリドなどの非水性媒体を使用することも可能である。他の有用な製剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロースソルビトールグリセロールデキストランなどの粘度増強剤を含有する懸濁剤が挙げられる。賦形剤はまた、等張性および化学的安定性を向上させる物質などの添加剤副次量で含有可能である。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液重炭酸緩衝剤、およびトリス緩衝液が挙げられ、一方、保存剤の例としては、チメロサール、mまたはo−クレゾールホルマリン、およびベンジルアルコールが挙げられる。標準的製剤は、液体注射剤または注射用の懸濁液もしくは溶液として好適な液体中に溶解可能な固形剤のいずれかであり得る。したがって、非液体製剤では、賦形剤は、たとえば、投与前無菌水または生理食塩水を添加し得るデキストロース、ヒト血清アルブミン、および/または保存剤を含み得る。

0099

本発明の一実施形態では、組成物は、追加の作用剤を含み得る。この作用剤はまた、生物学的反応修飾剤化合物またはかかる作用剤/修飾剤を生成する能力としても参照され得る。たとえば、酵母媒体に少なくとも1つの抗原および少なくとも1つ作用剤/生物学的反応修飾剤化合物をトランスフェクトもしくは充填することが可能であるか、または本発明の組成物を少なくとも1つの作用剤/生物学的反応修飾剤と組み合わせて投与することが可能である。生物学的反応修飾剤としては、免疫変調化合物として参照され得る免疫反応を変調可能なアジュバントおよび他の化合物、ならびに他の化合物または作用剤の生物学的活性を修飾する化合物、たとえば、酵母ベースの免疫療法剤(かかる生物学的活性は、免疫系効果に限定されるものではない)が挙げられる。特定の免疫変調化合物は、防御免疫反応を刺激可能であり、一方、他のものは、有害免疫反応を抑制可能であり、免疫変調が所与の酵母ベースの免疫療法剤との組合せに有用であるかは、疾患状態または治療もしくは予防される病態および/または治療される個体に少なくとも部分的に依存し得る。特定の生物学的反応修飾剤は、細胞媒介性免疫反応を優先的に促進し、一方、他のものは、体液性免疫反応を優先的に促進する(すなわち、体液性免疫と比較して増大されたレベルの細胞媒介性免疫が存在する免疫反応を刺激可能であり、その逆も同様である)。特定の生物学的反応修飾剤は、酵母ベースの免疫療法剤の生物学的性質と共通した1つ以上の性質を有するか、または酵母ベースの免疫療法剤の生物学的性質を増強もしくは補完する。免疫反応の刺激もしくは抑制を測定するための、および細胞媒介性免疫反応と体液性免疫反応とを区別するための、一方のタイプの細胞媒介性反応と他方のタイプのものとを区別するための(たとえば、TH17反応に対してTH1反応)、当業者に公知のいくつかの技術が存在する。

0100

本発明に有用な作用剤/生物学的反応修飾剤としては、サイトカイン、ケモカインホルモン脂質誘導体、ペプチド、タンパク質、ポリサッカリド小分子薬剤、抗体およびその抗原結合フラグメント(限定されるものではないが、抗サイトカイン抗体抗サイトカイン受容体抗体、抗ケモカイン抗体を含む)、ビタミン、ポリヌクレオチド核酸結合部分アプタマー、および増殖変調剤が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの好適な作用剤としては、IL−1またはIL−1アゴニストまたはIL−1Rアゴニスト、抗IL−1または他のIL−1アンタゴニスト、IL−6またはIL−6アゴニストまたはIL−6Rアゴニスト、抗IL−6または他のIL−6アンタゴニスト、IL−12またはIL−12アゴニストまたはIL−12Rアゴニスト、抗IL−12または他のIL−12アンタゴニスト、IL−17またはIL−17アゴニストまたはIL−17Rアゴニスト、抗IL−17または他のIL−17アンタゴニスト、IL−21またはIL−21アゴニストまたはIL−21Rアゴニスト、抗IL−21または他のIL−21アンタゴニスト、IL−22またはIL−22アゴニストまたはIL−22Rアゴニスト、抗IL−22または他のIL−22アンタゴニスト、IL−23またはIL−23アゴニストまたはIL−23Rアゴニスト、抗IL−23または他のIL−23アンタゴニスト、IL−25またはIL−25アゴニストまたはIL−25Rアゴニスト、抗IL−25または他のIL−25アンタゴニスト、IL−27またはIL−27アゴニストまたはIL−27Rアゴニスト、抗IL−27または他のIL−27アンタゴニスト、I型インターフェロン(IFN−αを含む)、I型インターフェロンのアゴニストまたはアンタゴニストまたはそれらの受容体、II型インターフェロン(IFN−γを含む)、II型インターフェロンのアゴニストまたはアンタゴニストまたはそれらの受容体、抗CD40、CD40L、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)タンパク質および/またはIMP321(可溶形LAG3に由来するT細胞免疫刺激因子)、抗CTLA−4抗体(たとえば、アネルギーT細胞を放出する)、T細胞共刺激剤(たとえば、抗CD137、抗CD28、抗CD40)、アレムツズマブ(たとえば、カムパス(CamPath)(登録商標))、デニロイキンジフチトクス(たとえば、オンタック(ONTAK)(登録商標))、抗CD4、抗CD25、免疫チェックポイント阻害剤(たとえば、自己寛容を維持し、かつ生理学的免疫反応の持続時間および大きさを調節する免疫系の阻害経路である「免疫チェックポイント」の阻害剤、かかる免疫チェックポイント阻害剤としては、抗CTLA−4抗体、たとえば、イピリムマブブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol−Myers Squibb)、ニュージャージプリンストン)またはトレリムマブ(メディミューン/アストラゼネカ(MedImmune/AstraZeneca)、デラウェア州ウィルミントン)、プログラム細胞死タンパク質1(PD−1)、プログラム細胞死タンパク質1リガンド(PD−L1)、プログラム細胞死タンパク質2リガンド(PD−L2、たとえば、AMP−224(アンプリミューン(Amplimmune)、メリーランド州ゲイサーズバーグ/グラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline)、ペンシルニア州フィラデルフィア)として知られるPD−L2融合タンパク質)、抗PD−1抗体(たとえば、ニボルマブ(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol−Myers Squibb))、ペムブロリズマンブ(メルク(Merck)、ニュージャージ州ホワイトハウスステーション)、またはピディリズマブ(キュアテック(CureTech)、イスラエル国ヤブネ))、抗PD−L1抗体(たとえば、MPDL3280A(ジェネンテック(Genentech)、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、MEDI4736(メディミューン/アストラゼネカ(MedImmune/AstraZeneca))、BMS−936559(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol−Myers Squibb))、MSB0010718C(EMDセローノ(EMD Serono)、メリーランド州ロックランド))、または抗PD−L2抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない)、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤(たとえば、INCB24360)、FOXP3をブロックする作用剤(たとえば、活性/死滅CD4+/CD25+T調節細胞を抑止する)、Flt3リガンド、イミキモドアルダラ(Aldara)(商標))、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GMCSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、サルグラモスチム(ロイキン(Leukine)(登録商標))、限定されるものではないが、プロラクチンおよび成長ホルモンを含むホルモン、Toll様受容体(TLR:Toll−like receptor)アゴニスト、限定されるものではないが、TLR−2アゴニスト、TLR−4アゴニスト、TLR−7アゴニスト、およびTLR−9アゴニスト、TLRアンタゴニスト、限定されるものではないが、TLR−2アンタゴニスト、TLR−4アンタゴニスト、TLR−7アンタゴニスト、およびTLR−9アンタゴニスト、抗炎症剤および免疫変調剤、限定されるものではないが、COX−2阻害剤(たとえば、セレコキシブ、NSAID)、グルココルチコイドスタチン、およびサリドマイド、ならびにそれらのアナログ、たとえば、イミド(IMiD)(商標)(サリドマイドの構造アナログおよび機能アナログである(たとえば、レブリミド(REVLIMID)(登録商標)(レナリドマイド)、アクチミド(ACTIMID)(登録商標)(ポマリドマイド)))、炎症誘発剤、たとえば、菌類成分もしくは細菌成分または任意の炎症誘発性サイトカインもしくはケモカイン、免疫療法ワクチン、たとえば、限定されるものではないが、ウイルスベースのワクチン、細菌ベースのワクチン、または抗体ベースのワクチン、ならびに任意の他の免疫変調剤、免疫増強剤、抗炎症剤、炎症誘発剤、および抗原提示細胞またはTH17、TH1、および/もしくはTreg細胞の数を変調し、活性化状態を変調し、および/または生存率を変調する任意の作用剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる作用剤の任意の組合せは、本発明により企図され、酵母ベースの免疫療法剤と組み合わされたまたはそれを用いるプロトコルで(たとえば、併行的に、逐次的に、もしくは他の方式で)投与されたかかる作用剤はいずれも本発明に包含される組成物である。かかる作用剤は当技術分野で周知である。これらの作用剤は、単独でまたは本明細書に記載の他の作用剤と組み合わせて使用し得る。

0101

本発明に係る組成物は、癌の予防もしくは治療に有用な任意の他の作用剤もしくは組成物もしくはプロトコル、または癌、特にブラキュリーの発現もしくは過剰発現に関連する癌の任意の症状を治療もしくは寛解する任意の化合物をさらに含み得るか、またはそれらと共に投与され得る(併行的に、逐次的に、または断続的に)。加えて、本発明の組成物は、予防用および/または治療用の免疫療法を含めて、他の免疫療法組成物と一緒に使用可能である。実際には、本発明の組成物は、癌においてブラキュリー発現を阻害することにより(それによって抗増殖作用を阻害することにより)、転移癌で起こり得る化学療法耐性または放射線耐性を阻害または低減するために使用可能であるか、または本発明の組成物は、個体において化学療法または放射線療法の性能を向上させ得る。癌の治療に有用な追加の作用剤、組成物、またはプロトコル(たとえば、治療プロトコル)としては、化学療法、腫瘍の外科的切除、放射線療法、同種異系移植もしくは自己由来幹細胞移植、および/または標的癌療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない(たとえば、腫瘍の増殖および進行に関与する分子を特異的に標的とする小分子薬剤、生物製剤、またはモノクロナール抗体療法、限定されるものではないが、選択的エストロゲン受容体変調剤(SERM:selective estrogen receptor modulator)、アロマターゼ阻害剤チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、レチノイド受容体活性化剤、アポトーシス刺激剤血管新生阻害剤ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、または免疫刺激剤が含まれる)。これらの追加の療法剤および/または療法プロトコルはいずれも、本発明の免疫療法組成物の前に、それと同時に、それと交互に、もしくはその後に、または様々な時点で投与され得る。たとえば、化学療法または標的化癌療法と組み合わせて個体に投与する場合、免疫療法組成物の有効性を最大化するために、化学療法または標的化癌療法の施行の「休診日」間で酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を投与することが望ましいこともある。腫瘍の外科的切除は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与に先行することが多いと思われるが、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与中または投与後に追加のまたは初回手術を行ってもよい。

0102

本発明はまた、本明細書に記載の組成物のいずれかまたは本明細書に記載の組成物の各成分のいずれかを含むキットを包含する。キットは、ブラキュリーの発現または過剰発現によって特徴付けられる癌を予防または治療するために、本発明に係る組成物のいずれかを使用するための追加の試薬および書面の説明書または指示書を含み得る。

0103

本発明の組成物の投与方法または使用方法
本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、ブラキュリーの発現または過剰発現に関連付けられるか、またはそれによって特徴付けられる癌の予防または治療(かかる癌の発生の予防、かかる癌の進行の阻止、またはかかる癌の排除を含む)に使用するように設計される。より具体的には、酵母−ブラキュリー免疫療法用組成物は、ブラキュリー発現腫瘍の発生の予防、阻害、もしくは遅延、および/または腫瘍遊走の予防、阻害、もしくは遅延、および/または他の組織の腫瘍浸潤(転移)、および/または一般に個体における癌の進行の予防もしくは阻害に使用可能である。酵母−ブラキュリー免疫療法用組成物はまた、たとえば、個体における腫瘍負荷の低減により、個体における腫瘍増殖の阻害により、個体の生存率の増大により、腫瘍遊走および/または他の組織の腫瘍浸潤(転移癌)の発生の予防、阻害、逆転、もしくは遅延により、および/または個体における癌の進行の予防、阻害、逆転、もしくは遅延により、癌の少なくとも1つの症状を寛解させるために使用可能である。酵母−ブラキュリー免疫療法はまた、癌においてブラキュリー発現を阻害することにより、転移癌で起こり得る化学療法耐性または放射線耐性を阻害、低減、または排除するために治療用に使用可能であり、本発明の組成物は、個体において化学療法または放射線療法の性能を向上させ得る。

0104

本発明の組成物および方法に関連する癌は、ブラキュリーを発現するもしくは発現し得る任意の癌、またはブラキュリーを発現するもしくは発現し得る癌に近接する癌であり、限定されるものではないが、乳癌、骨癌(限定されるものではないが、脊索腫を含む)、小腸癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、肺癌、結腸癌、膵臓癌、前立腺癌、精巣癌を含み、さらに転移癌および後期癌を含む。加えて、ブラキュリーは、B細胞由来の腫瘍、たとえば、慢性リンパ球性白血病(CLL)、エプスタイン・バーウイルス形質転換B細胞、バーキットリンパ腫、およびホジキンリンパ腫、ならびにそれらの転移癌で発現される。

0105

したがって、本発明の一実施形態は、癌、特にブラキュリー発現癌を治療する方法に関する。本方法は、ブラキュリー発現癌を有する個体に本明細書に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を投与することを含み、この組成物は、(a)酵母媒体と、(b)本発明の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む組成物を含む。一態様では、本方法は、患者において腫瘍負荷を低減する。一態様では、本方法は、患者の生存率を増加する。一態様では、本方法は、個体において腫瘍増殖を阻害する。一態様では、本方法は、腫瘍の転移進行を予防、停止、または逆転する。

0106

ブラキュリー発現は、癌が進展するにつれてまたはより高いステージ(たとえば、特定の癌に依存してステージIからステージII、ステージIII、ステージIVまで)に進行するにつれてより多く見られると考えられ、また転移プロセスに関連するため、ブラキュリー発現癌の発症を予防もしくは遅延するか、または前転移段階もしくは前悪性段階で癌を停止させるか、またはかかる癌の進行を予防もしくは遅延する(たとえば、癌を安定化させる)方法を提供することは、本発明の実施形態である。かかる方法は、(a)酵母媒体と、(b)本発明の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む組成物を含み得る本明細書に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を、ブラキュリー発現癌細胞が検出されない個体に投与することを含む。この実施形態の一態様では、癌は、癌を有する個体の少なくともサブセットにおいて、癌のあるステージでブラキュリーを発現することが知られているかまたは発現する可能性があると考えられる。この実施形態の一態様では、個体は、すでに癌を有しているが、ブラキュリーは、組成物を最初に投与した時点で癌において検出されない。すなわち、個体は、ブラキュリー発現が依然として出現していないまたはブラキュリー発現がいずれにせよ検出可能でないより初期の癌を有し得る(すなわち、ブラキュリーは、低レベルでまたは少数の腫瘍細胞で発現していてもしていなくてもよいが、それでもなお標準的な検出方法では容易に検出できない)。いくつかの場合、癌のタイプは、高い転移進行速度を有することが知られているものであり得る。この態様では、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与は、患者の癌におけるブラキュリー発現腫瘍細胞の発生を予防、遅延、または阻害するため、ブラキュリー発現を伴う転移プロセスを予防、停止、遅延、または阻害する。他の態様では、個体は、組成物が投与される時点で癌を有していない。かかる個体は、おそらく家族歴または遺伝子マーカを理由として、あるいは個体が前癌細胞もしくは病変の徴候を示したかまたは前癌(前悪性)細胞もしくは病変を有することを理由として、癌を発生する「素因」を有し得るかまたは発生する可能性が高い。

0107

本発明の一実施形態は、癌を有する個体において腫瘍遊走を阻害する方法および/または癌の転移進行を低減、中止(停止)、逆転、もしくは予防する方法、または癌における転移イベントの発生を逆転する方法に関する。以上で考察したように、ブラキュリーは、ヒト腫瘍細胞において上皮間葉転換(EMT)を促進することにより、腫瘍細胞に間葉表現型ならびに遊走能および浸潤能を付与すると共に腫瘍細胞周期進行を減衰させる。したがって、ブラキュリーは、転移プロセスに関与することから、前転移段階で癌を停止させることを含めて、転移プロセスを予防または阻害するための理想的な標的となる。本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の使用は、化学療法および放射線療法などの従来の療法からの癌の回避(または試行回避)に対抗して、癌の進行を停止することを含めて、転移癌を予防または治療するのに有効であり得る。本方法は、限定されるものではないが、(a)酵母媒体と、(b)本発明の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む本明細書に記載の本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を、癌を有する個体に投与する工程を含む。

0108

一態様では、ブラキュリーは、組成物が最初に投与される時点で個体の癌で検出されない。一般に、ブラキュリーが個体の癌で検出されない場合、個体は、ブラキュリー発現が依然として出現していない(たとえば、ステージIもしくはステージII)またはブラキュリー発現がいずれにせよ依然として検出可能でないより初期の癌を有し得る(すなわち、ブラキュリーは、低レベルでもしくは少数の腫瘍細胞で発現していてもしていなくてもよいが、それでもなお、標準的検出方法を用いて容易に検出できない)。本発明のこれらの態様では、ブラキュリー発現腫瘍細胞の発生は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の使用により、予防、遅延、または阻害される。結果として、腫瘍遊走および/もしくは腫瘍の転移進行をもたらす他の転移プロセスは、予防、遅延、もしくは阻害され、かつ/または腫瘍進行の一般的停止が起こる。

0109

他の態様では、ブラキュリー発現は、組成物が最初に投与される時点で個体の癌で検出されるかまたは検出可能である。個体は、本発明のこの態様では、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの癌を有し得る。この態様では、酵母−ブラキュリー免疫療法用組成物の使用により、ブラキュリーを発現する腫瘍の増殖が低減、排除、減速、または停止され、その結果、個体における腫瘍負荷が低減可能になり、ブラキュリー発現腫瘍の増殖が阻害可能になり、かつ/または個体の生存率が増大可能になる。個体は、転移プロセスの停止、減速、または逆転を経験し得るため、患者の生存率および健康が改善されると共に、さらに癌を治療する他の治療プロトコルが可能になる。

0110

実際には、転移癌は、化学療法、放射線療法、標的癌療法などの癌療法に対する耐性(または耐性増加)に関連し得るため、癌は、療法から「回避」するかまたは単に療法の影響を受けにくくなって進行する。したがって、療法の効力を改善または増強し、かつ患者の健康および生存率を向上させるために、かかる療法に対する耐性を低減または排除する必要性が存在する。したがって、本発明の一実施形態は、癌患者において化学療法耐性、標的癌療法耐性、または放射線耐性を低減または予防する方法に関する。本方法は、(a)酵母媒体と、(b)本発明の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む組成物を含み得る本明細書に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を、癌を有しかつ癌に対する化学療法および/または放射線療法を受けている個体に投与することを含む。本発明のこの方法はまた、限定されるものではないが、標的癌療法を含めて、癌に対する他の治療処置に関連する耐性を治療するためにも使用し得る。

0111

この実施形態の一態様では、ブラキュリーは、組成物が最初に投与される時点で個体の癌で検出されない。この態様では、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与は、癌におけるブラキュリー発現腫瘍細胞の発生を阻害することにより、化学療法または放射線療法に対する耐性の出現を予防または阻害する。他の態様では、ブラキュリー発現は、組成物が最初に投与される時点で個体の癌で検出される。この態様では、個体は、すでに化学療法または放射線療法に対する耐性を経験していてもしていなくてもよい。いずれの場合も、本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与は、患者においてブラキュリー発現腫瘍細胞を低減または排除することにより、化学療法もしくは放射線療法に対する耐性を予防もしくは阻害するか、または個体を治療する化学療法もしくは放射線療法の能力を増強する。

0112

本発明のさらに他の実施形態は、脊索腫を有する個体(対象)に本発明の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を投与することにより脊索腫を治療する方法に関する。脊索腫はブラキュリーの発現によって特徴付けられ、実際に、ブラキュリーはこの癌に対する識別バイオマーカである。すなわち、ブラキュリー発現は、すべての脊索腫に共通し、その特異的バイオマーカである。したがって、本発明のこの方法は、限定されるものではないが、(a)酵母媒体と、(b)本発明の少なくとも1種の改変ブラキュリー抗原を含む癌抗原とを含む本明細書に記載の酵母−ブラキュリー免疫療法組成物を、脊索腫を有する個体または脊索腫を発症するリスクを有しているが現時点ではブラキュリー発現癌細胞が検出されない個体に投与する工程を含む。本発明の免疫療法組成物で治療される対象は、切除不能な病変(すなわち、外科的に完全に除去できない)または切除可能な病変が初めて発生した脊索腫対象、最初の再発であるか否かにかかわらず切除不能な局所再発性病変を有する対象(すなわち、除去された元の病変または一次病変と同一の場所の近傍で(同一の場所にまたはその近くに)再出現する病変は局所再発性である)、以下に記載のオリゴ転移疾患を有する対象、または以下に記載の転移疾患を有する対象であり得る。一態様では、対象は、以前に放射線療法、手術、および/または標的薬剤療法を受けたことがあってもなくてもよい。他の態様では、対象は、以前に照射された癌病変を有する。一態様では、対象は、以前に照射されていない癌病変を有する。一態様では、対象は、酵母−ブラキュリー免疫療法が施され、加えて癌病変は、酵母−ブラキュリー免疫療法が施される前、施される間、および/または施された後に照射される。

0113

以上に記載の本方法のいずれかの一態様では、個体は、本発明の酵母−ブラキュリー組成物が投与されることに加えて、本発明の酵母ベースの免疫療法組成物の投与前、投与と逐次的、投与時、および/または投与後に投与または実施される癌の治療に有用な少なくとも1つの他の治療化合物または治療プロトコルで追加的に治療される。たとえば、本明細書に記載の本発明の方法に関する実施形態のいずれかでは、個体が癌を有する場合(腫瘍細胞で検出可能なブラキュリー発現の状態にかかわらず)、一態様では、個体は、他の癌療法で治療を受けているかまたは治療を受けたことがある。かかる療法は、限定されるものではないが、化学療法または標的癌療法または薬剤療法(たとえば、チロシンキナーゼ阻害剤、たとえば、限定されるものではないが、イマチニブスニチニブセツキシマブゲフィチニブエルロチニブニロチニブダサチニブラパチニブ、およびエベロリムスTAT3阻害剤、アントラサイクリンシスプラチンアルキル化剤カンプトテシンアナログ)、放射線療法(たとえば、限定されるものではないが、スタンドアロン放射線療法およびアジュバント放射線療法、とりわけハドロンベースの放射線療法)、腫瘍の外科的切除、幹細胞移入、サイトカイン療法、養子T細胞移入、および/または第2の免疫療法組成物の投与を含めて、本明細書で以上に記載した治療プロトコルのいずれかまたはいずれかの治療化合物もしくは治療剤の使用を含み得る。第2の免疫療法組成物を投与する場合、かかる組成物は、限定されるものではないが、追加の酵母ベースの免疫療法、組換えウイルスベースの免疫療法(ウイルスベクター)、サイトカイン療法、免疫刺激療法(免疫刺激性を有する化学療法を含む)、DNAワクチン、および他の免疫療法組成物を含み得る。

0114

これらの追加の作用剤または療法のいずれかは、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の初回投与前または初回投与後に投与または実施できる。一実施形態では、酵母−ブラキュリー組成物が化学療法または他の療法の1つ以上の逐次的投与間で所定の間隔で投与されるプロトコルのように、1つ以上の療法を酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与と交互に投与または施行可能である。一実施形態では、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物は、追加の療法の開始前の一定期間にわたり一回以上の用量で投与される。換言すれば、酵母−ブラキュリー免疫療法用組成物は、一定期間にわたり単独療法として投与され、次いで追加の療法(たとえば、化学療法)は、酵母−ブラキュリー免疫療法の新しい用量と同時に、または酵母−ブラキュリー免疫療法と交互に追加される。他の選択肢としてまたは追加として、他の療法は、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物の投与の開始前の一定期間にわたり施行され得る。また、この考え方は、組み合わせ得る(たとえば、腫瘍の外科的切除、続いて数週間にわたる酵母−ブラキュリー免疫療法を用いた単独療法、続いて数週間または数ヶ月間にわたる化学療法と酵母−ブラキュリー免疫療法との交互用量、任意選択的に続いて酵母−ブラキュリー免疫療法または他の療法を用いた単独療法、または逐次的に、併行的に、もしくは交互に提供される療法の組合せの新しいプロトコル)。酵母−ブラキュリー免疫療法を用いた癌治療のための種々のプロトコルは、本発明の対象であり、これらの例は、種々の可能なプロトコルの例であるとみなされるべきであり、限定すべきものではない。

0115

一態様では、第2の免疫療法組成物は、ブラキュリー抗原を含まない第2の癌抗原を含む。たとえば、酵母−ブラキュリー免疫療法組成物との組合せに有用な第2の免疫療法組成物は、他の癌抗原を含む酵母免疫療法組成物である。かかる癌抗原は、限定されるものではないが、癌胎児性抗原CEA:carcinoembryonic antigen)、点突然変異Rasオンコプロテイン、MUC−1、EGFR、BCR−Abl、MART−1、MAGE−1、MAGE−3、GAGE、GP−100、MUC−2、正常および点突然変異p53オンコプロテイン、PSMA、チロシナーゼ、TRP−1(gp75)、NY−ESO−1、TRP−2、TAG72、KSA、CA−125、PSA、HER−2/neu/c−erb/B2、hTERT、p73、B−RAF、腺腫性大腸ポリポーシスAPC:adenomatous polyposis coli)、Myc、フォンヒッペルリンダウタンパク質(VHL)、Rb−1、Rb−2、アンドロゲン受容体(AR:androgen receptor)、Smad4、MDR1、Flt−3、BRCA−1、BRCA−2、pax3−fkhr、ews−fli−1、HERV−H、HERV−K、TWIST、メソテリン、NGEP、そのような抗原の改変体、そのような抗原のスプライス変異体、およびそのような抗原のエピトープアゴニスト、ならびにそのような抗原の組合せ、および/またはそれらの免疫原性ドメイン、それらの改変体、それらの変異体、および/またはそれらのエピトープアゴニストを含み得る。

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