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技術 融合タンパク質を合成するための方法および製品

出願人 オックスフォードユニバーシティイノベーションリミテッド
発明者 ハワース、マーク
出願日 2016年6月3日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2017-563189
公開日 2018年8月9日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 2018-521640
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 供給源圧力 スパイキ 放出ステップ トラップエネルギー 近接基準 単分散ポリマー粒子 ピーク中心 ポリマー材料製
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年8月9日)のものです。
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図面 (19)

課題・解決手段

本発明は、融合タンパク質を作製する方法を提供するものであって、該方法は、a)第1のタンパク質と第2のタンパク質とを、これらのタンパク質間イソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第1のタンパク質および該第2のタンパク質は、いずれもペプチドリンカーを含み、該ペプチドリンカーは、反応することによって、該第1のタンパク質を該第2のタンパク質に結合して結合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させることと、b)前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第3のタンパク質は、(a)の結合タンパク質のさらなるペプチドリンカーと反応するペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、反応することによって、該第3のタンパク質を該結合タンパク質に結合して融合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを接触させることと、を含む、方法であって、(a)において用いられる該ペプチドリンカー対は、(b)において用いられる前記ペプチドリンカー対に対して直交している、方法である。また、ペプチドリンカー、および融合タンパク質合成における該リンカーの直交した対の使用も提供する。また、該リンカーを含む組み換えタンパク質、該タンパク質及びリンカーをコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、ならびに該ベクターおよび核酸分子を含む宿主細胞も検討される。

概要

背景

生物学的事象は、通常、複数のタンパク質共同的な作用に依存しており、複合体におけるタンパク質の正確な配置が、その機能を左右したり、また決定したりする。したがって、制御された様式で個々のタンパク質を複合体中に配置できると、これは、タンパク質の機能を特徴付けるのに有用な手段となる。また、複数のタンパク質を連結していわゆる「融合タンパク質」を形成することによって、有用な特性を有する分子を得ることができる。例えば、ワクチン上の繰り返し抗原構造のように、1種類のタンパク質をクラスター化すると、多くの場合、生体信号が大きく増強される。また、異なる活性を有するタンパク質をクラスター化することによっても、酵素による基質チャネリングなどの活性が向上した複合体を得ることができる。

しかしながら、異なる種類のタンパク質をクラスター化してある特定の人工的「融合タンパク質」とすることは、非常に多くの問題に直面している。例えば、個々のタンパク質またはタンパク質ドメインを遺伝子的に接続して、1本の長い読み枠(open reading frame)とすることができるが、タンパク質合成におけるエラーおよび誤った折り畳みが、ただちに限定要因となる。別の方法では、タンパク質またはタンパク質ドメインを個別に発現した後、これらの「モジュール」または「ユニット」を結合することに焦点を当てている。例えば、ある方法では、ビオチンアビジンなどの十分に特徴付けられた相互作用パートナーを含有するようにタンパク質を改変し、これによって、非共有結合的相互作用によるタンパク質の複合体形成を可能にすることに焦点を当てている。他の方法は、タンパク質内の反応性基、特にシステイン残基に依拠し、共有結合、すなわちジスルフィド結合によってタンパク質を結合している。しかしながら、最良非共有結合または可逆的な共有結合であっても、融合タンパク質は転位し得る。したがって、既存の方法は、分離することが困難な融合タンパク質および/または還元条件などの様々な環境において不安定である融合タンパク質を含む不定合物を生じる限りに、制限される。

融合タンパク質を合成するシステムの重要な特徴としては、該融合タンパク質内の個々のタンパク質(すなわち、モジュール、ドメイン、またはユニット)間の分子的に定義された結合や、あらゆる鋳型に対する非依存性、各タンパク質(すなわち、モジュール、ドメイン、またはユニット)の発現の容易さなどが挙げられる。一般的には混合物内の不完全鎖に起因する異種産物の想定外の合成を、わずか数段階で最小化するためには、各反応において収量がほぼ定量的であることも非常に望ましい。また、融合タンパク質内の各モジュールの機能に対する妨害を最小限にするために、個々のモジュールは、大きなタンパク質融合ドメインではなく比較的小さなペプチドタグを用いて改変されることも好ましい。しかしながら、これらの基準を満たすことができる既存の融合タンパク質合成法はなかった。

概要

本発明は、融合タンパク質を作製する方法を提供するものであって、該方法は、a)第1のタンパク質と第2のタンパク質とを、これらのタンパク質間イソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第1のタンパク質および該第2のタンパク質は、いずれもペプチドリンカーを含み、該ペプチドリンカーは、反応することによって、該第1のタンパク質を該第2のタンパク質に結合して結合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させることと、b)前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第3のタンパク質は、(a)の結合タンパク質のさらなるペプチドリンカーと反応するペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、反応することによって、該第3のタンパク質を該結合タンパク質に結合して融合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを接触させることと、を含む、方法であって、(a)において用いられる該ペプチドリンカー対は、(b)において用いられる前記ペプチドリンカー対に対して直交している、方法である。また、ペプチドリンカー、および融合タンパク質合成における該リンカーの直交した対の使用も提供する。また、該リンカーを含む組み換えタンパク質、該タンパク質及びリンカーをコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、ならびに該ベクターおよび核酸分子を含む宿主細胞も検討される。

目的

本発明は、ペプチドリンカー、および融合タンパク質合成における該リンカーの直交した対の使用を提供する

効果

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請求項1

融合タンパク質を作製する方法であって、該方法は、a)第1のタンパク質と第2のタンパク質とを、これらのタンパク質間イソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第1のタンパク質および該第2のタンパク質は、いずれもペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、反応することによって、該第1のタンパク質を該第2のタンパク質に結合して結合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させることと、b)前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第3のタンパク質は、(a)の結合タンパク質のさらなるペプチドリンカーと反応するペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、反応することによって、該第3のタンパク質を該結合タンパク質に結合して融合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを接触させることと、を含む、方法であって、(a)において用いられる該ペプチドリンカー対は、(b)において用いられる前記ペプチドリンカー対に対して直交している、方法。

請求項2

融合タンパク質を作製する方法であって、該方法は、a)第1のペプチドリンカーを含む第1のタンパク質を提供することと、b)該第1のタンパク質と、第2のペプチドリンカーおよび第3のペプチドリンカーを含む第2のタンパク質とを、該第1のペプチドリンカーと該第2のペプチドリンカーとの間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させ、それによって該第1のタンパク質と該第2のタンパク質とを結合することと、c)該結合された第1のタンパク質および第2のタンパク質と、第4のペプチドリンカーを含む第3のタンパク質とを、該第3のペプチドリンカーと該第4のペプチドリンカーがイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させ、それによって該第2のタンパク質と該第3のタンパク質とを結合して融合タンパク質を形成することと、を含む、方法であって、該第1のペプチドリンカーと該第2のペプチドリンカーとが、該第3のペプチドリンカーと該第4のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記方法は、前記融合タンパク質を伸長させるステップをさらに含み、前記融合タンパク質に結合される前記新規タンパク質は、前記融合タンパク質中で先にイソペプチド結合を形成するのに用いられた前記ペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対の一部を成すペプチドリンカーを含み、前記新規タンパク質のペプチドリンカーは、前記融合タンパク質中のタンパク質のペプチドリンカーとイソペプチド結合を形成することができる、方法であり、該方法は、該新規タンパク質と該融合タンパク質とを、該新規タンパク質が前記融合タンパク質のペプチドリンカーとイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることを含む、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記融合タンパク質は、分岐構造直鎖構造、または環状構造を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記融合タンパク質は、環状化可能である、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記ペプチドリンカー間における前記イソペプチド結合の形成は、自発的である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記ペプチドリンカー間における前記イソペプチド結合の形成は、前記反応に添加された成分によって誘導される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記ペプチドリンカー対は、それぞれイソペプチドタンパク質由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

前記ペプチドリンカー対は、それぞれ異なるイソペプチドタンパク質由来である、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記イソペプチドタンパク質は、配列番号21、23、25、27、29、または31のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有しているか、あるいは配列番号21、23、25、27、29、または31のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するタンパク質を含んでいる、請求項8または9に記載の方法。

請求項11

前記ペプチドリンカー間における前記イソペプチド結合の形成を誘導する前記成分は、ペプチドリガーゼであり、好ましくは、該ペプチドリガーゼは、前記ペプチドリンカー間における前記イソペプチド結合の形成を誘導するグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

前記ペプチドリガーゼは、イソペプチドタンパク質由来であり、好ましくは、前記ペプチドリガーゼは、イソペプチド結合の形成を誘導する前記ペプチドリンカー対と同じイソペプチドタンパク質由来である、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記ペプチドリンカーの1つ以上が、ブロッキング基を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

前記ブロッキング基は、同系ペプチドリンカー対の間におけるイソペプチド結合の形成を防ぐ、請求項13に記載の方法。

請求項15

ペプチドリンカー対の各ペプチドリンカーは、アミノ酸を少なくとも6個含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。

請求項16

各対の一方のペプチドリンカーは、アミノ酸を6〜50個含み、該対のもう一方のペプチドリンカーは、アミノ酸を50〜300個含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項17

各対の一方のペプチドリンカーは、リジン残基を含み、該対のもう一方のペプチドリンカーは、アスパラギン残基またはアスパラギン酸残基を含み、これらの残基は、イソペプチド結合の形成に関わる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。

請求項18

前記ペプチドリガーゼは、アミノ酸を50〜300個含む、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。

請求項19

前記直交したペプチドリンカー対は、(1)配列番号1に示すアミノ酸配列、または配列番号1に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号2に示すアミノ酸配列、または配列番号2に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、55位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、94位にスレオニン残基を含み、100位にグリシン残基を含み、106位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、(2)配列番号5に示すアミノ酸配列、または配列番号5に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号6に示すアミノ酸配列、または配列番号6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、(3)配列番号9に示すアミノ酸配列、または配列番号9に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号10に示すアミノ酸配列、または配列番号10に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含み、70位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、(4)配列番号109に示すアミノ酸配列、または配列番号109に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、11位にグリシン残基を含み、場合によっては20位にイソロイシン残基を含み、21位および22位にプロリン残基を含み、23位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号10に示すアミノ酸配列、または配列番号10に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含み、70位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、(5)配列番号13に示すアミノ酸配列、または配列番号13に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、7位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号14に示すアミノ酸配列、または配列番号14に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、56位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、10位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、(6)配列番号13に示すアミノ酸配列、または配列番号13に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、7位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号33に示すアミノ酸配列、または配列番号33に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および、(7)配列番号17に示すアミノ酸配列、または配列番号17に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、11位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、および配列番号18に示すアミノ酸配列、または配列番号18に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、241位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、162位にリジン残基を含む、配列を有するペプチドリンカー、のいずれか1つから選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。

請求項20

前記直交したペプチドリンカー対は、(1)および(4)、(1)および(5)、(1)および(6)、(1)および(3)、(1)および(2)、(2)および(5)、(2)および(6)、(3)および(5)、(3)および(6)、(4)および(5)、または(4)および(6)を含む、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記方法は、固相上で行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。

請求項22

前記融合タンパク質を、前記固相から溶出させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。

請求項23

(i)配列番号1に示すアミノ酸配列、または配列番号1に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含む、配列、(ii)配列番号2に示すアミノ酸配列、または配列番号2に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、55位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、94位にスレオニン残基を含み、100位にグリシン残基を含み、106位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列、(iii)配列番号5に示すアミノ酸配列、または配列番号5に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列、(iv)配列番号6に示すアミノ酸配列、または配列番号6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にリジン残基を含む、配列、(v)配列番号9に示すアミノ酸配列、または配列番号9に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列であって、好ましくは、配列番号109に示すアミノ酸配列、または配列番号109に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、11位にグリシン残基を含み、場合によっては20位にイソロイシン残基を含み、21位および22位にプロリン残基を含み、23位にリジン残基を含む、配列、あるいは、(vi)配列番号10に示すアミノ酸配列、または配列番号10に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含み、70位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列、を有する、ペプチドリンカー。

請求項24

(a)前記(i)のペプチドリンカーは、配列番号38に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または、(b)前記(ii)のペプチドリンカーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または、(c)前記(iii)のペプチドリンカーは、配列番号42に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または、(d)前記(iv)のペプチドリンカーは、配列番号43に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または、(e)前記(v)のペプチドリンカーは、配列番号46に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または、(f)前記(vi)のペプチドリンカーは、配列番号47に示すアミノ酸配列を有する、請求項23に記載のペプチドリンカー。

請求項25

請求項23の(ii)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(i)に記載のペプチドリンカー。

請求項26

請求項23の(i)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(ii)に記載のペプチドリンカー。

請求項27

請求項23の(iv)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号6に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(iii)に記載のペプチドリンカー。

請求項28

請求項23の(iii)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号5に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(iv)に記載のペプチドリンカー。

請求項29

請求項23の(vi)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(v)に記載のペプチドリンカー。

請求項30

請求項23の(v)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができ、好ましくは、配列番号9または配列番号109に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる、請求項23の(vi)に記載のペプチドリンカー。

請求項31

請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法で用いるペプチドリンカー対であって、該ペプチドリンカー対は、(1)請求項23の(i)に記載のペプチドリンカーおよび請求項23の(ii)に記載のペプチドリンカー、(2)請求項23の(iii)に記載のペプチドリンカーおよび請求項23の(iv)に記載のペプチドリンカー、または(3)請求項23の(v)に記載のペプチドリンカーおよび請求項23の(vi)に記載のペプチドリンカー、を含む、ペプチドリンカー対。

請求項32

ポリペプチドおよび請求項23〜30のいずれか1項に記載のペプチドリンカーを含む、組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチド

請求項33

前記ポリペプチドは、配列番号50〜59のいずれか1つに示すアミノ酸配列、または配列番号50〜59のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有し、該ポリペプチドは、請求項23〜30のいずれか1項に記載のペプチドリンカーを含む、請求項32に記載のポリペプチド。

請求項34

請求項23〜30のいずれか1項に記載のペプチドリンカーまたは請求項32または33に記載のポリペプチドをコードする核酸分子

請求項35

前記核酸分子は、配列番号3、4、7、8、11、12、40、41、44、45、48、49、もしくは60〜69に示すヌクレオチド配列、または配列番号3、4、7、8、11、12、40、41、44、45、48、49、もしくは60〜69に示す配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する、請求項34に記載の核酸分子。

請求項36

請求項34または35に記載の核酸分子を含む、ベクター

請求項37

請求項34〜36のいずれか1項に記載の核酸分子および/またはベクターを含有する、組み換え宿主細胞

請求項38

(a)請求項23の(i)、(iii)、もしくは(v)、または請求項25、27もしくは29のいずれか1項に記載のペプチドリンカーを含む、組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチド、および(b)請求項23の(ii)、(iv)、もしくは(vi)、または請求項26、28もしくは30のいずれか1項に記載のペプチドリンカーを含む、組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチド、および/または、(c)請求項23の(i)、(iii)、もしくは(v)、または請求項25、27もしくは29のいずれか1項に記載のペプチドリンカーをコードする核酸分子、および/または、(d)請求項23の(ii)、(iv)、もしくは(vi)、または請求項26、28もしくは30のいずれか1項に記載のペプチドリンカーもしくはポリペプチドリンカーをコードする核酸分子、を含むキットであって、場合によっては、前記(a)および/または(b)の組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドは、前記(a)および(b)のポリペプチドのペプチドリンカーに対して直交しているペプチドリンカー対の一部である、さらなるペプチドリンカーを含む、キット。

請求項39

請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法で得た、または得ることができる、融合タンパク質。

請求項40

請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法で得た、または得ることができる、融合タンパク質を少なくとも1つ含む、固体基質

請求項41

前記基質は、アレイである、請求項40に記載の固体基質。

請求項42

請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法で得た、または得ることができる、融合タンパク質を少なくとも2つ含む、融合タンパク質のライブラリ

請求項43

融合タンパク質を作製するための、少なくとも2つの直交したペプチドリンカー対の使用であって、各ペプチドリンカー対は、反応してイソペプチド結合を形成する、使用。

請求項44

前記融合タンパク質、イソペプチド結合、ペプチドリンカー、およびペプチドリガーゼは、請求項1〜31のいずれか1項に記載されたものである、請求項43に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、融合タンパク質(すなわち、以下で述べるような、2つ以上のタンパク質共有結合してなるポリマー)の合成(すなわち、作製、生成、または組み立て)に関し、特に、互いに反応してイソペプチド結合を形成するペプチドリンカーの直交した対(orthogonal pairs)を用いるモジュール方式の(例えば、段階的な)融合タンパク質の合成に関する。本発明は、融合タンパク質を合成する新規の方法、特に固相合成法の提供に関する。有利なことに、例えば融合タンパク質アレイなどの融合タンパク質を含む様々な製品の作製に、本方法を用いることができる。また、本発明は、ペプチドリンカー、および融合タンパク質合成における該リンカーの直交した対の使用を提供する。また、該リンカーを含む組み換えタンパク質、該タンパク質及びリンカーをコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、ならびに該ベクターおよび核酸分子を含む宿主細胞も提供する。また、該組み換えポリペプチドおよび/または核酸分子/ベクターを含むキットも提供する。また、本発明の方法によって得られる融合タンパク質、およびアレイ、ライブラリなどの該融合タンパク質を含む製品も検討される。

背景技術

0002

生物学的事象は、通常、複数のタンパク質の共同的な作用に依存しており、複合体におけるタンパク質の正確な配置が、その機能を左右したり、また決定したりする。したがって、制御された様式で個々のタンパク質を複合体中に配置できると、これは、タンパク質の機能を特徴付けるのに有用な手段となる。また、複数のタンパク質を連結していわゆる「融合タンパク質」を形成することによって、有用な特性を有する分子を得ることができる。例えば、ワクチン上の繰り返し抗原構造のように、1種類のタンパク質をクラスター化すると、多くの場合、生体信号が大きく増強される。また、異なる活性を有するタンパク質をクラスター化することによっても、酵素による基質チャネリングなどの活性が向上した複合体を得ることができる。

0003

しかしながら、異なる種類のタンパク質をクラスター化してある特定の人工的「融合タンパク質」とすることは、非常に多くの問題に直面している。例えば、個々のタンパク質またはタンパク質ドメインを遺伝子的に接続して、1本の長い読み枠(open reading frame)とすることができるが、タンパク質合成におけるエラーおよび誤った折り畳みが、ただちに限定要因となる。別の方法では、タンパク質またはタンパク質ドメインを個別に発現した後、これらの「モジュール」または「ユニット」を結合することに焦点を当てている。例えば、ある方法では、ビオチンアビジンなどの十分に特徴付けられた相互作用パートナーを含有するようにタンパク質を改変し、これによって、非共有結合的相互作用によるタンパク質の複合体形成を可能にすることに焦点を当てている。他の方法は、タンパク質内の反応性基、特にシステイン残基に依拠し、共有結合、すなわちジスルフィド結合によってタンパク質を結合している。しかしながら、最良非共有結合または可逆的な共有結合であっても、融合タンパク質は転位し得る。したがって、既存の方法は、分離することが困難な融合タンパク質および/または還元条件などの様々な環境において不安定である融合タンパク質を含む不定合物を生じる限りに、制限される。

0004

融合タンパク質を合成するシステムの重要な特徴としては、該融合タンパク質内の個々のタンパク質(すなわち、モジュール、ドメイン、またはユニット)間の分子的に定義された結合や、あらゆる鋳型に対する非依存性、各タンパク質(すなわち、モジュール、ドメイン、またはユニット)の発現の容易さなどが挙げられる。一般的には混合物内の不完全鎖に起因する異種産物の想定外の合成を、わずか数段階で最小化するためには、各反応において収量がほぼ定量的であることも非常に望ましい。また、融合タンパク質内の各モジュールの機能に対する妨害を最小限にするために、個々のモジュールは、大きなタンパク質融合ドメインではなく比較的小さなペプチドタグを用いて改変されることも好ましい。しかしながら、これらの基準を満たすことができる既存の融合タンパク質合成法はなかった。

0005

したがって、改良された融合タンパク質合成法が必要とされ、また望まれており、モジュール方式(例えば、段階的)で高収率な融合タンパク質合成法に、イソペプチド結合を形成して不可逆的な共有結合を生じるペプチドリンカーを用いることができることが見出されている。

0006

イソペプチド結合は、カルボキシル基カルボキサミド基アミノ基との間に形成されるアミド結合であり、カルボキシル基またはアミノ基のうちの少なくとも一方は、タンパク質主鎖(タンパク質骨格)外に存在する。このような結合は、生物学的条件化において化学的に不可逆であり、たいていのプロテアーゼに対して抵抗性を有している。実際のところ、タンパク質間のイソペプチド結合は、測定された中で最も強いタンパク質相互作用であることが確認されている。

0007

例えば、トランスグルタミナーゼなどの酵素による酵素触媒作用によって、イソペプチド結合を形成することができる。一般的に、イソペプチド結合は、例えば、細胞外マトリクス構造の安定化または血栓補強など、自然環境においてタンパク質複合体の強度および/または安定性を向上させていることが見出されている。

0008

イソペプチド結合は、HK97バクテリオファージキャプシド形成およびグラム陽性細菌線毛において同定されているように、自発的に生じる場合もある。自発的なイソペプチド結合は、近傍のグルタミン酸またはアスパラギン酸によって促進される、アスパラギンまたはアスパラギン酸のCγ基に対するリジンのε−アミノ基の求核攻撃によって、タンパク質が折り畳まれた後で形成されるということが提案されている。

0009

自発的にイソペプチド結合を形成することができるタンパク質は、互いに共有結合しそれによって不可逆的に相互作用するペプチドタグ/結合パートナー対の開発に、有利に用いられている(参照により本明細書に援用されるWO2011/098772などを参照)。この場合、自発的にイソペプチド結合を形成することができるタンパク質は、個別の断片として発現されてペプチドタグおよびペプチドタグの結合パートナーを生じ得、2つの断片は、イソペプチド結合の形成によって共有結合的に再構成することができる。ペプチドタグと結合パートナーとの対によって形成されるイソペプチド結合は、非共有結合的な相互作用であればすぐに解離するような条件下、例えば、長期間(数週間など)にわたる高温(95℃以上など)高圧という条件下や、または厳しい化学処理(例えば、pH2〜11、有機溶媒界面活性剤、または変性剤など)が行われる条件下において、安定である。

0010

要するに、ペプチドタグ/結合パートナー対は、自発的にイソペプチド結合を形成することができるタンパク質(イソペプチドタンパク質)であれば、どのタンパク質に由来するものであってもよく、タンパク質ドメインは個別に発現されて、イソペプチド結合に含まれる一方の残基(リジンなど)を含むペプチドタグと、イソペプチド結合に含まれるもう一方の残基(アスパラギンまたはアスパラギン酸など)を含むペプチド結合パートナーとを生じる。場合によっては、ペプチドタグまたは結合パートナーのうちの一方が、イソペプチド結合を形成するのに必要な他の残基(グルタミン酸など)を1つ以上含む。しかしながら、イソペプチド結合の形成に関わる残基を含むドメインを、個別に、すなわち別々の3つのペプチド(ドメイン、モジュール、またはユニット)として、発現することができるということが見出されている。この場合、ペプチドタグは、イソペプチド結合に含まれる一方の残基(リジンなど)を含み、ペプチド結合パートナーは、イソペプチド結合に含まれるもう一方の残基(アスパラギンまたはアスパラギン酸など)を含み、第3のペプチドは、イソペプチド結合の形成に関わる他の残基(グルタミン酸など)を1つ以上含む。3つのペプチドをすべて混合することによって、反応してイソペプチド結合を形成する残基を含む2つのペプチド間、すなわちペプチドタグと結合パートナーとの間にイソペプチド結合が形成される。したがって、第3のペプチドは、ペプチドタグと結合パートナーとの連結を媒介するが、得られる構造の一部を成すことはない。すなわち、第3のペプチドは、ペプチドタグまたは結合パートナーと共有結合することはない。したがって、第3のペプチドを、タンパク質リガーゼまたはペプチドリガーゼと見なし得る。これは、対象のタンパク質と融合させる必要のあるペプチドタグおよび結合パートナーのサイズを最小化し、それによって、ペプチドタグまたは結合パートナーの追加に起因する望まない相互作用、例えば誤った折り畳みなどが起こる可能性を減少させるので、特に有用である。

0011

以下でより詳細に説明するように、イソペプチド結合を自発的に1つ以上形成することができる各種タンパク質(いわゆる「イソペプチドタンパク質」)が同定されており、上述したように、これらを改変して、ペプチドタグ/結合パートナー対および場合によってはペプチドリガーゼを作製し得る。イソペプチド結合を自発的に1つ以上形成することが知られているタンパク質の構造との構造比較によって、イソペプチド結合を自発的に1つ以上形成することができるタンパク質が、さらに同定され得る。特に、例えば主要なピリンタンパク質であるSpy0128などの公知のイソペプチドタンパク質の結晶構造との結晶構造比較によって、とりわけ、イソペプチドタンパク質の形成に関わっていることが多いLys−Asn/Asp−Glu/Asp残基の比較によって、イソペプチド結合を自発的に形成することができる他のタンパク質が同定され得る。さらに、標準的なデータベース検索手段を使用するタンパク質構造データバンク(Protein Data Bank)を用い、公知のイソペプチドタンパク質の構造類似体スクリーニングすることによって、他のイソペプチドタンパク質が同定され得る。SPASサーバ(http://eds.bmc.uu.se/eds/spana.php?spasm)を用いて、イソペプチド結合のLys−Asn/Asp−Glu/Aspの三次元構造の鋳型を標的としてもよいし、配列相同性のみからイソペプチドタンパク質が同定されてもよい。

0012

特に、WO2011/098772(参照により本明細書に援用される)に説明されているように、イソペプチド結合を形成するタンパク質を新規に設計してもよい。ロゼッタ(Rosetta)を用いてイソペプチドタンパク質を新規に設計することができ、このソフトウェアは、http://depts.washington.edu/ventures/UW Technology/Express Licenses/rosetta.phpで見ることができる(Macromolecular modeling with rosetta, Das.R, Baker.D,Annu Rev Biochem,2008,77,363〜82も参照)。さらに、http://biodev.extra.cea.fr/rasmot3d/においてRASMOT−3D PROサーバを用いて、残基の適切な向きについてタンパク質データベース検索することができる。

0013

有利なことに、本件の発明者らは、このようなペプチドタグ/結合パートナー対をペプチドリンカーとして用いて、複数のタンパク質を共有結合的に結合し得ること、すなわち融合タンパク質を作製し得ることを確認している。特に、発明者らは、ペプチドタグ/結合パートナーペプチドの直交した(すなわち、互いに反応しない、または同系(cognate)でない)対を、2つ以上のタンパク質を融合(例えば、連結や結合)するために、すなわち融合タンパク質を作製(合成、構築、組み立て)するために、利用することを実証している。下記実施例において詳細に説明するように、本発明の方法および使用は、一連のイソペプチド結合形成に基づいてタンパク質を結合して鎖状にするための、モジュール方式(例えば、段階的)で高収率な方法を提供する。特に、本明細書で説明される方法および使用によって、統計的混合状態を生じることなく、制御された(すなわち、特定の、標的とする)タンパク質鎖伸長が可能となる。不可逆的な結合、すなわちイソペプチド結合によって各タンパク質ユニット(モジュール、ドメイン)が結合されている融合タンパク質を生じるので、従来の方法よりもとりわけ有利である。このように、結合が、システイン残基の反応に依存していないので、遊離システイン残基および/またはジスルフィド結合を含有するタンパク質にも適用可能である。さらに、鎖中に含有させる各タンパク質ユニットは、2つの小さなペプチドタグで改変するだけでよく、タンパク質中の様々な位置、すなわちタンパク質のN末端C末端、または内部部位に、これらのペプチドタグを組み入れることができる。したがって、融合タンパク質の各タンパク質ユニットは、遺伝子的に完全にコードされていてもよく、すなわち、本方法は、非天然(すなわち標準的でない)アミノ酸の使用や、またはアミノ酸残基翻訳後修飾に依存するものではない。このように、本発明は、非常に特異的で、中間体を精製する必要のない、融合タンパク質合成のための容易で大規模に実現可能な方法を提供する。

実施例

0014

本発明の方法の代表例を図1に示す。図1は、本発明の固相法の実施形態を示している。しかしながら、これは、本発明の範囲を限定することを意図するものでは一切なく、下記説明から、他の各種変更が当業者には明らかであり、これらの変更は、添付の特許請求の範囲で規定される通り、本発明に包含されることが意図される。

0015

図1は、スパイタグ(SpyTag)/スパイキャッチャー(SpyCatcher)およびスヌープタグ(SnoopTag)/スヌープキャッチャー(Snoop Catcher)という名称の2対のペプチドリンカーを示し、ここで、各対、すなわち各「タグ」および「キャッチャー」は、特異的かつ自発的に反応してイソペプチド結合を形成し、それによって「タグ」ペプチドを「キャッチャー」ペプチドに結合する。この場合、各対は互いに直交しているが、これは互いに反応しないという意味であり、すなわち、スパイタグおよびスパイキャッチャーは、スヌープキャッチャーまたはスヌープタグのいずれとも、反応してイソペプチド結合を形成することはできない。以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態において、「タグ」をペプチドタグと見なしてもよく、「キャッチャー」ペプチドを結合パートナータンパク質と見なしてもよい。

0016

このように、ステップ1においては、第1のタンパク質であるMBPx(マルトース結合タンパク質改変体であり、以下で説明する)が提供され、ここでは、本タンパク質は、例えば、単一の読み枠におけるMBPxポリペプチドおよびスパイキャッチャーペプチドリンカーをコードする核酸分子の組み替え発現によって改変され、ペプチドリンカーであるスパイキャッチャー(すなわち、第1のペプチドリンカー対の第1の構成要素)を組み込んでいる。本代表例においては、伸長した融合タンパク質を固相(アミロース樹脂)に固定することができる精製用タグまたは固定用タグとして、MBPxタンパク質を用いている。しかしながら、これが本発明に必須の特徴ではないことは、下記議論から明らかであろう。例えば、本方法は、不均一系(すなわち固相)であってもよいし、均一系(すなわち溶液中)であってもよい。不均一系の場合は、適切な精製用/固定用タグが用いられればよく、すなわち、タグがタンパク質タグまたはペプチドタグであることは必須ではない。

0017

ステップ2においては、第1のタンパク質(MBPx−スパイキャッチャー)を、2つのペプチドリンカーを組み込むように改変された第2のタンパク質(A)と接触させる。一方のペプチドリンカーは、第1のリンカー対の第2の構成要素(スパイタグ)であり、その第1の構成要素(スパイキャッチャー)は、第1のタンパク質のドメインを形成している。もう一方のペプチドリンカーは、第2のペプチドリンカー対の第1の構成要素(スヌープタグ)である。上述したように、第2のリンカー対は、第1のリンカー対とは反応しない。したがって、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させると、第1のリンカー対が(例えば自発的に)反応して、スパイキャッチャーペプチドリンカーとスパイタグペプチドリンカーとの間に特異的なイソペプチド結合を形成し、それによって、第1のタンパク質(MBPx−スパイキャッチャー)と第2のタンパク質(スパイタグ−A−スヌープタグ)を結合して融合タンパク質を形成する。

0018

ステップ3においては、融合タンパク質(MBPx−スパイキャッチャー−スパイタグ−A−スヌープタグ)を、スヌープキャッチャーおよびスパイキャッチャーという2つのペプチドリンカーを含むさらなるタンパク質と接触させる。このように、一方のペプチドリンカー(スヌープキャッチャー)は、第2のペプチドリンカー対の第2の構成要素であり、もう一方のペプチドリンカー(スパイキャッチャー)は、第1のペプチドリンカー対に由来するものである。これらのペプチドリンカーは、例えばペプチドスペーサーなどのスペーサーを介して結合されていてもよいし、最終的な融合タンパク質に組み込まれるタンパク質を介して結合されていてもよい。融合タンパク質(MBPx−スパイキャッチャー−スパイタグ−A−スヌープタグ)を、さらなるタンパク質(スヌープキャッチャー−スパイキャッチャー)と接触させると、第2のリンカー対が(例えば自発的に)反応してイソペプチド結合を形成し、それによって、融合タンパク質を伸長させる。別の見方をすると、スヌープキャッチャー−スパイキャッチャータンパク質の追加、すなわち融合タンパク質への反応基反応性ペプチドリンカー)の追加は、さらなる伸長のための融合タンパク質の機能化または活性化と見なされ得る。

0019

ステップ4においては、ステップ3で得た伸長後の融合タンパク質(MBPx−スパイキャッチャー−スパイタグ−A−スヌープタグ−スヌープキャッチャー−スパイキャッチャー)を、Aタンパク質に類似した2つのペプチドリンカーを組み込んださらなるタンパク質(B)と接触させる(スパイタグ−B−スヌープタグ)。そしてまた、イソペプチド結合が、互いに反応することができるペプチドリンカー間、すなわちスパイキャッチャーおよびスパイタグの第1の対の間に形成されて、融合タンパク質をさらに伸長させる。

0020

所望の融合タンパク質のタンパク質ユニットがすべて結合するまで、このプロセスを繰り返し得ることは、明らかであろう。例えばマルトースを用いて、融合タンパク質を固相から容易に溶出させて、さらなる精製を行わずに用いることができる。なお、融合タンパク質の末端タンパク質は、ペプチドリンカーを1つだけ組み込むように改変される必要があり、このペプチドリンカーは、融合タンパク質の中で、最後から2番目のタンパク質ユニットなどのタンパク質中の遊離ペプチドリンカーと反応することができる。実施例で述べるように、発明者らは、10個のタンパク質ユニットを含有する融合タンパク質の合成を例示しており、この融合タンパク質について、ゲル電気泳動および質量分析によって検証を行った。

0021

理論に拘束されることを望むものではないが、例えばスヌープタグ/スヌープキャッチャーやスパイタグ/スパイキャッチャーなどのペプチドリンカーにおけるアミノ酸残基の向きが正確であれば、求核攻撃およびペプチドリンカー間での不可逆的イソペプチド結合の形成が促進される。上記したように、これらの各対において、リジンが、アスパラギン酸またはアスパラギンのいずれかと反応する。スパイタグペプチドは、反応性アスパラギン酸を有しているため、スヌープキャッチャーの反応性アスパラギンとは反応することはできない。スヌープタグペプチドは、反応性リジンを有しているため、スパイキャッチャーの反応性リジンと反応することはできない。したがって、これらの2つのペプチドリンカー対は互いに直交しており、本発明の方法において、直交したペプチドリンカー対を用いて融合タンパク質を生成させることができたということは、明らかであろう。この場合、強固でプログラム可能な融合タンパク質を生成することができるのは、ペプチドリンカー対の直交性、つまり互いに反応しない性質のためである。特に、伸長する融合タンパク質鎖を固相に付着させた場合は、反応モジュール(すなわち、融合タンパク質に次に追加されるタンパク質)を過剰に加え、それによって反応を完了へと進めることができる。このことは、未反応の構成要素を容易に洗い流すことができるために、各ステップにおいて分離(すなわち、伸長する融合タンパク質の、未反応成分からの分離)が不要であるということを意味している。このように、一度に1ステップずつ伸長させることによって、わずかな直交的結合を利用して鎖を伸長させることが可能になる。したがって、本発明の発明者らが開発した方法は、特に融合タンパク質産物の安定性および個々の反応ステップの容易さということに関して、前述のタンパク質連結方法よりも優れている。

0022

したがって、最も広義には、本発明は、融合タンパク質を作製するのに少なくとも2つの直交したペプチドリンカー対を用いることと見なされ得、各ペプチドリンカー対が反応して、イソペプチド結合を形成する。

0023

特に、各ペプチドリンカー対のペプチドリンカーが、互いに反応してイソペプチド結合を形成する。上記したように、各ペプチドリンカーは、融合タンパク質のユニット(ドメインまたはモジュールなど)を形成するタンパク質の一部(ドメインなど)を成す。換言すると、互いに結合されるタンパク質は、ペプチドリンカーを少なくとも1つ(例えば、ペプチドリンカーを2つ、3つ、または4つ)組み込むように改変されていてもよく、融合タンパク質を作製するのに用いられる各ペプチドリンカー対は、該融合タンパク質を作製するのに用いられる少なくとも1つの他のペプチドリンカー対に対して直交している。

0024

このように、いくつかの実施形態においては、タンパク質ユニット(ドメインまたはモジュールなど)を少なくとも2つ含有する融合タンパク質を作製するのに、ペプチドリンカーの直交した対が用いられる。例えば、図1に示す代表的な実施形態においては、タンパク質Aをタンパク質Bに連結するのに用いられるタンパク質を、リンカーユニットと見なし得、すなわち、リンカーユニット(リンカータンパク質)は、ただタンパク質Aをタンパク質Bに連結するためだけに機能している。したがって、融合タンパク質を、機能性タンパク質、すなわちリンカーとしての機能以外の機能を有するタンパク質を少なくとも2つ含有する、または含むものと見なし得る。他の実施形態においては、融合タンパク質を、タンパク質を少なくとも3つ(すなわち、その機能に関係なく)含有する、または含むものと見なし得る。

0025

さらなる実施形態においては、融合タンパク質を、機能性タンパク質を少なくとも3つ含有する、または含むものと見なし得る。例えば、図1に示す代表的な実施形態を参照すると、タンパク質Aをタンパク質Bに連結するのに用いられるリンカータンパク質が、ペプチドリンカーに加えてタンパク質(機能性タンパク質など)を含有している場合は、融合タンパク質のタンパク質ユニット(ドメインまたはモジュール)と見なし得る。したがって、融合タンパク質を、機能性タンパク質、すなわちリンカー以外の機能を有するかまたはリンカーの機能に加えてさらに機能を有するタンパク質を少なくとも3つ含有する、または含むものと見なし得る。

0026

別の見方をすると、本発明は、融合タンパク質を作製する(例えば、生成する、合成する、または組み立てる)方法を提供し、該方法は、
a)第1のタンパク質と第2のタンパク質とを、これらのタンパク質間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第1のタンパク質および該第2のタンパク質は、いずれもペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、(互いに)反応することによって、該第1のタンパク質を該第2のタンパク質に結合して結合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させることと、
b)前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第3のタンパク質は、(a)の結合タンパク質のさらなるペプチドリンカーと反応するペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、(互いに)反応することによって、該第3のタンパク質を該結合タンパク質に結合して融合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを接触させることと、を含む、方法であって、
(a)の、または(a)において用いられる該ペプチドリンカー対は、(b)の、または(b)において用いられる前記ペプチドリンカー対に対して直交している、方法である。

0027

さらに別の見方をすると、本発明は、融合タンパク質を作製する(例えば、生成する、合成する、または組み立てる)方法を提供し、該方法は、
a)第1のペプチドリンカーを含む第1のタンパク質を提供することと、
b)該第1のタンパク質と、第2のペプチドリンカーおよび第3のペプチドリンカーを含む第2のタンパク質とを、該第1のペプチドリンカーと該第2のペプチドリンカーとの間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させ、それによって該第1のタンパク質と該第2のタンパク質とを結合することと、
c)該結合された第1のタンパク質および第2のタンパク質と、第4のペプチドリンカーを含む第3のタンパク質とを、該第3のペプチドリンカーと該第4のペプチドリンカーがイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させ、それによって該第2のタンパク質と該第3のタンパク質とを結合して融合タンパク質を形成することと、を含む、方法であって、
該第1のペプチドリンカーと該第2のペプチドリンカーとが、該第3のペプチドリンカーと該第4のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対である、方法である。

0028

上記の通り、いくつかの実施形態においては、第2のタンパク質は、第1のタンパク質と第3のタンパク質との間のリンカーとして機能し得る。したがって、融合タンパク質を、「機能性」タンパク質、すなわち2つのタンパク質ユニット(モジュール、ドメインなど)を結合する機能以外の機能を有するタンパク質を、2つ含むものと見なし得る。このように、いくつかの実施形態においては、第2のタンパク質を、リンカータンパク質、すなわち、ペプチドリンカーの直交した異なる対由来のペプチドリンカーを少なくとも2つと、場合によってはペプチドスペーサーなどのスペーサードメインとを含有するタンパク質と見なし得る。

0029

このように、いくつかの実施形態においては、第2のタンパク質を、該第1のタンパク質が該第3のタンパク質に結合(連結)することができるように、第1のタンパク質を機能化または活性化するリンカータンパク質と見なし得る。同様に、融合タンパク質にさらなるタンパク質を追加する場合(すなわち、融合タンパク質を伸長させる場合)、リンカータンパク質を用いて融合タンパク質中の1つ以上のタンパク質を機能化または活性化し、該1つ以上のタンパク質が該さらなるタンパク質に結合できるようにし得る。

0030

上述したように、直交したペプチドリンカー対を使用することによって、多くのタンパク質ユニットを含有する融合タンパク質を作製するのが容易になる。したがって、融合タンパク質と、融合タンパク質中のタンパク質のペプチドリンカーとイソペプチド結合を形成することができるペプチドリンカーを少なくとも1つ含むさらなるタンパク質とを接触させることによって、さらなるタンパク質を融合タンパク質に追加し得る(すなわち、融合タンパク質が伸長(例えば、延長拡張)され得る)。この場合、新規タンパク質のペプチドリンカーは、融合タンパク質中で先にイソペプチド結合を形成するのに用いられたペプチドリンカー対に対して直交している。

0031

したがって、いくつかの実施形態においては、本方法は、前記融合タンパク質を伸長させるステップをさらに含み、前記融合タンパク質に結合される前記新規タンパク質(すなわち、追加のタンパク質またはさらなるタンパク質)は、融合タンパク質中で先にイソペプチド結合を形成するのに用いられたペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対の一部を成すペプチドリンカーを含み、前記新規タンパク質のペプチドリンカーは、前記融合タンパク質中のタンパク質のペプチドリンカーとイソペプチド結合を形成することができる、方法であり、該方法は、該新規タンパク質と該融合タンパク質とを、該新規タンパク質(特に、該新規タンパク質のペプチドリンカー)が前記融合タンパク質のペプチドリンカーとイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることを含む。

0032

このように、いくつかの実施形態においては、前記第3のタンパク質を、追加のタンパク質または新規のタンパク質などの、融合タンパク質に追加される「さらなる」タンパク質と見なし得る。したがって、融合タンパク質を伸長させることを、上記方法のステップ(c)を繰り返すことと見なし得、前記さらなるタンパク質のペプチドリンカーは、先に融合タンパク質に追加されたタンパク質を接続するのに用いられたペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対である。

0033

いくつかの実施形態においては、融合タンパク質に追加される前記新規タンパク質(すなわち、さらなるタンパク質または追加のタンパク質)は、少なくとも第2のペプチドリンカーを(例えば、融合タンパク質鎖をさらに伸長させるために)含む。したがって、前記第2のペプチドリンカー(および前記新規タンパク質のさらなるペプチドリンカー)は、前記融合タンパク質と前記新規タンパク質とを結合(連結)するのに用いられたペプチドリンカー対に対して直交している。

0034

したがって、またさらなる実施形態においては、該融合タンパク質を作製する方法は、該融合タンパク質を伸長させるステップを含んでいてもよく、ここで該第3のタンパク質は、第5のペプチドリンカーを含んでおり、また、該方法は、該融合タンパク質と、第6のペプチドリンカーを含む第4のタンパク質とを、該第5のペプチドリンカーと該第6のペプチドリンカーがイソペプチド結合を形成し、それによって該第3のタンパク質と該第4のタンパク質とを結合して該融合タンパク質を伸長させる条件下で接触させるステップを含む、方法であって、該第5のペプチドリンカーと第6のペプチドリンカーとが、該第3のペプチドリンカーと第4のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対を形成する、方法である。

0035

図1に示すように、直交したペプチドリンカー対を2つ用いることによって、複数のタンパク質ユニット(例えば、3つ以上のタンパク質ユニットであって、例えば4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個またはそれ以上のタンパク質ユニットであり、例えば、12個、15個、20個またはそれ以上のタンパク質ユニットである)を含む融合タンパク質を生成することができる。したがって、いくつかの実施形態においては、前記第5のペプチドリンカーと第6のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対は、前記第1のペプチドリンカーと第2のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対と同一である。

0036

したがって、またさらなる実施形態においては、融合タンパク質はさらに伸長されてもよく、ここで該第4のタンパク質は、第7のペプチドリンカーを含んでおり、また、該方法は、該融合タンパク質と、第8のペプチドリンカーを含む第5のタンパク質とを、該第7のペプチドリンカーと該第8のペプチドリンカーがイソペプチド結合を形成し、それによって該第4のタンパク質と該第5のタンパク質とを結合して該融合タンパク質を伸長させる条件下で接触させるステップを含む、方法であって、該第7のペプチドリンカーと第8のペプチドリンカーとが、該第5のペプチドリンカーと第6のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対を形成する、方法である。

0037

いくつかの実施形態においては、前記第7のペプチドリンカーと第8のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対は、前記第3のペプチドリンカーと第4のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対と同一である。

0038

上述のステップを繰り返すことによって、前記融合タンパク質鎖が伸長され得ることは明らかであり、例えば、前記第5のタンパク質は、第9のペプチドリンカーを含み、第6のタンパク質は、第10のペプチドリンカーを含み、該第9のペプチドリンカーと第10のペプチドリンカーとが、該第7のペプチドリンカーと第8のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対を形成する。いくつかの実施形態においては、前記第9のペプチドリンカーと第10のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対は、前記第1のペプチドリンカーと第3のペプチドリンカー、および/または該第5のペプチドリンカーと第6のペプチドリンカーとからなる前記ペプチドリンカー対と同一である。

0039

このように、いくつかの実施形態においては、少なくとも2つの直交したペプチドリンカー対を交互に用いることによってタンパク質を結合(連結)し、融合タンパク質を形成してもよい。別の見方をすると、融合タンパク質に追加される前記新規のタンパク質またはさらなるタンパク質は、先に融合タンパク質に追加されたタンパク質を結合するのに用いられたペプチドリンカー対に対して直交するペプチドリンカー対の一部を成すペプチドリンカーを少なくとも1つ含む。

0040

直交したペプチドリンカー対を2つ用いることによって、本発明を首尾よく行うことができる一方、本発明の方法および使用において、3つ以上の直交したペプチドリンカー対を利用し得ることは明らかであろう。したがって、上記の代表例に関して、いくつかの実施形態においては、第5のペプチドリンカーと第6のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対は、第1のペプチドリンカーと第2のペプチドリンカーとからなるペプチドリンカー対とは違うものであり、好ましくは直交している。以下で述べるように、直交するペプチドリンカーの対を3つ以上用いることによって、例えば分岐構造のような複雑な融合タンパク質構造を作製することが可能となる。そこで、以下で詳しく述べるように、発明者らは、本発明のさらなる実施形態を形成する直交したペプチドリンカー対をいくつか開発した。

0041

例えば、3つのタンパク質1、2、および3を含む融合タンパク質を、上述した方法にしたがって作製し得、ここで、タンパク質1はペプチドリンカーAを含み、タンパク質2はペプチドリンカーA’およびペプチドリンカーBを含み、タンパク質3はペプチドリンカーB’を含むものである。この場合、ペプチドリンカーAおよびペプチドリンカーA’(ペプチドリンカー対)が反応してイソペプチド結合を形成し、ペプチドリンカーBおよびペプチドリンカーB’(ペプチドリンカー対)が反応してイソペプチド結合を形成するものであり、ペプチドリンカー対A/A’およびペプチドリンカー対B/B’は直交している(すなわち、他方の対と反応してイソペプチド結合を形成することはない)。第3の直交したペプチドリンカー対を用いることによって、分岐構造を作製することが可能となる。例えば、タンパク質2は、第3のペプチドリンカーCを含んでいてもよく、第4のタンパク質4が、ペプチドリンカーC’を含んでいてもよく、ここで、CおよびC’(ペプチドリンカー対)が反応してイソペプチド結合を形成し、ペプチドリンカーA/A’、ペプチドリンカーB/B’、およびペプチドリンカーC/C’は直交している。CおよびC’がイソペプチド結合を形成することが可能な条件下で、融合タンパク質1−2−3をタンパク質4と接触させると、得られる融合タンパク質は、分岐する、すなわち1−2(−4)−3となる(図13A参照)。あるいは、BおよびB’がイソペプチド結合を形成することが可能な条件下で、融合タンパク質1−2−4をタンパク質3と接触させて、分岐融合タンパク質1−2(−4)−3を作製し得る。当業者であれば、直交するペプチドリンカーの対を3つ用いることによって、複雑な分岐構造を生成することができ、さらなる直交したペプチドリンカー対を用いることによって、分岐構造をさらに複雑なものにすることができるということが理解されるであろう。特に、直交したペプチドリンカー対を3つ以上用いると、非対称分岐構造を有利に生成することができる。

0042

したがって、いくつかの実施形態においては、本発明の方法および使用において、直交したペプチドリンカー対を2つよりも多く、例えば直交したペプチドリンカー対を3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10個以上用いる。

0043

直交したペプチドリンカー対を2つ用いることによって、分岐が形成されてもよい。例えば、5つのタンパク質1〜5を含む分岐融合タンパク質を、タンパク質のうちの1つに追加のペプチドリンカーを含むことによって作製し得、例えば、タンパク質2が、2つの直交したペプチドリンカー対の4つのペプチドリンカーを含み得る。この代表的な実施形態においては、タンパク質1は、ペプチドリンカーAを含み、タンパク質2は、ペプチドリンカーA’と3つのペプチドリンカーBとを含む。タンパク質3、タンパク質4、およびタンパク質5は、それぞれペプチドリンカーB’を含み、ここで、ペプチドリンカーAおよびペプチドリンカーA’(ペプチドリンカー対)は、反応してイソペプチド結合を形成し、ペプチドリンカーBおよびペプチドリンカーB’(ペプチドリンカー対)は、反応してイソペプチド結合を形成するものであり、ペプチドリンカー対A/A’およびペプチドリンカー対B/B’は直交している。したがって、融合タンパク質1−2をタンパク質3〜5と接触させることによって、タンパク質3〜5がすべて、互いに独立してタンパク質2に接続された分岐融合タンパク質を得ることができる(図13B参照)。タンパク質3〜5は、同じタンパク質であってもよいし、異なるタンパク質であってもよいということは明らかであろう。さらに、タンパク質3〜5のうちの1つ以上が、直交したペプチドリンカー対のペプチドリンカーをさらに含むことによって、融合タンパク質の各分岐を伸長させる(例えば、別々に独立して伸長させる)ことが容易になる。

0044

このように、いくつかの実施形態においては、融合タンパク質は分岐していてもよい。他の実施形態においては、融合タンパク質は直鎖状であってもよい。いくつかの実施形態においては、例えば、直交したペプチドリンカー対を3つ以上用いる場合は、融合タンパク質は非対称な分岐を含んでいてもよく、すなわち、融合タンパク質は非対称な構造を有していてもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、本発明は、分岐融合タンパク質を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態においては、本発明は、直鎖融合タンパク質を作製する方法を提供する。

0045

「分岐」なる語は、2つ以上のタンパク質ユニットが、融合タンパク質の同じ内部タンパク質ユニット(非末端タンパク質ユニット)に、互いに独立して、すなわち独立して(個別に)形成されたイソペプチド結合を介して、結合(接続、連結)されている融合タンパク質のことをいう。内部タンパク質ユニットまたは非末端タンパク質ユニットは、融合タンパク質の他のタンパク質ユニットのうちの少なくとも2つに、イソペプチド結合によって結合(接続、連結)しているタンパク質として定義することができる。末端タンパク質ユニットは、融合タンパク質の他のタンパク質ユニットのうちの1つのみに、イソペプチド結合を介して結合(接続、連結)しているタンパク質として定義することができる。したがって、図13に示す上述した代表例においては、イソペプチド結合を介してタンパク質1およびタンパク質3に接続しているので、タンパク質2が内部タンパク質ユニットまたは非末端タンパク質ユニットであり、タンパク質4およびタンパク質5を、融合タンパク質の「分岐」と見なすことができる。タンパク質1、タンパク質3、タンパク質4、およびタンパク質5を、末端タンパク質ユニットと見なすことができる。したがって、分岐融合タンパク質は、末端タンパク質ユニットを3つ以上含む。

0046

「直鎖状」なる語は、内部タンパク質ユニットのすべてが、融合タンパク質の他のタンパク質ユニット2つのみに結合し、それによってタンパク質ユニットの直鎖を生じている融合タンパク質のことをいう。したがって、直鎖状融合タンパク質に含まれる末端タンパク質ユニットは、2つだけである。

0047

さらに他の実施形態においては、融合タンパク質は、環状であってもよい。例えば、上記の融合タンパク質1−2−3について、タンパク質1がペプチドリンカーCも含有し、タンパク質3がペプチドリンカーC’も含有している場合は、タンパク質1およびタンパク質3をイソペプチド結合によって結合し、それによって環状タンパク質を形成し得る。したがって、いくつかの実施形態においては、直鎖状タンパク質を、環状化可能である、すなわち環状融合タンパク質を形成できるものと見なし得る。この場合、以下で述べるように、ペプチドリンカーのうちの1つ以上をブロックまたは保護して、その反応を防止または遅延させてもよい。したがって、上記の例を用いると、ペプチドリンカーCおよび/またはペプチドリンカーC’をブロックした場合は、融合タンパク質は、環状化可能な直鎖状融合タンパク質となり、Cおよび/またはC’を脱ブロックして、ペプチドリンカーが反応してイソペプチド結合を形成できるようにすることによって、環状化され得る。

0048

このように、いくつかの実施形態においては、本発明は、環状融合タンパク質または環状化可能な融合タンパク質を作製する方法を提供する。

0049

このように、「環状」なる語は、概して、末端タンパク質ユニットを含有しない融合タンパク質のことをいう。しかしながら、内部タンパク質ユニットのうちの1つ以上が、融合タンパク質において、イソペプチド結合によって他のタンパク質ユニットのうちの少なくとも3つに結合している環状融合タンパク質を含む「分岐環状融合タンパク質」を作製できるということは、明らかであろう。

0050

本明細書における「直交する」なる語は、例えば、互いに反応することができない分子、または互いに反応することができる同様の分子と比較して反応効率が低い分子などの、互いに対する反応性が低い分子のことをいう。本発明のペプチドリンカー、特にペプチドリンカー対に関して、「直交する」なる語は、他のペプチドリンカー対と反応してイソペプチド結合を形成することができないペプチドリンカー対、あるいは、例えば、自発的にイソペプチド結合を形成することができる内在性タンパク質、または互いに反応して効率よくイソペプチド結合を形成することができるペプチドリンカー対などの同様の分子と比較して、反応効率が低いペプチドリンカー対のことをいう。反応できないということは、試料中のペプチドリンカーのうち5%以下、例えば4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下が反応してイソペプチド結合を形成することと見なされ得る。効率が低いということは、各ペプチドリンカー対がイソペプチド結合を形成できる能力と比較して、直交したペプチドリンカーの対が反応してイソペプチド結合を形成する効率が5%未満、例えば4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であることと見なされ得る。逆に、反応して効率よくイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対は、少なくとも95%の効率、例えば少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の効率で反応し得る、すなわち、イソペプチド結合を形成することができる条件下で、試料中のペプチドリンカー対のうち少なくとも95%のペプチドリンカーが反応してイソペプチド結合を形成する。例えば、AおよびA’がBおよび/またはB’と反応してイソペプチド結合を形成することができないか、または、AとA’との間および/またはBとB’との間でのイソペプチド結合の形成と比較して、AおよびA’がBおよび/またはB’と反応してイソペプチド結合を形成する効率が5%未満の場合に、2つのペプチドリンカー対A/A’およびB/B’が直交していると見なし得る。

0051

別の見方をすると、イソペプチド結合の形成を可能に、または容易にする条件下で、互いに反応して効率よくイソペプチド結合を形成する2つのペプチドリンカーを、同系ペプチドリンカー対と定義し得、ここで、「同系」なる語は、共に機能する成分、すなわち互いに反応してイソペプチド結合を形成する成分のことをいう。したがって、イソペプチド結合の形成を可能に、または容易にする条件下で、互いに反応して効率よくイソペプチド結合を形成する2つのペプチドリンカーを、「相補的」ペプチドリンカー対と称することもできる。したがって、直交したペプチドリンカー対を、非同系対または非相補対と見なし得る。例えば、上述した代表例に基づくと、ペプチドリンカー対A/A’を、同系または相補的ペプチドリンカー対と見なし得、一方、AおよびA’が、イソペプチド結合の形成を可能に、または容易にする条件下で、Bおよび/またはB’と効率よく反応してイソペプチド結合を形成することができない限りにおいて、A/A’とB/B’とは非同系対または非相補対である。

0052

本発明の方法および使用において用いるペプチドリンカーは、イソペプチド結合を自発的に形成することができるタンパク質由来のものであってもよい。特に、「イソペプチド結合を自発的に形成することができるタンパク質」(本明細書においては、「イソペプチドタンパク質」とも称する)は、酵素もしくは他の物質非存在下において、かつ/または化学修飾を行わないで、そのタンパク質鎖内に、すなわち分子内に、イソペプチド結合を形成し得るものである。したがって、イソペプチド結合を形成するための2つの反応性残基は、単一のタンパク質鎖内に含まれている。そのため、分子間でのみ、すなわち他のペプチド鎖またはタンパク質鎖もしくはタンパク質ユニットとの間でのみ、イソペプチド結合を形成するタンパク質は、本発明で用いるイソペプチドタンパク質とは見なされない。特に、分子間イソペプチド結合を有するHK97キャプシドサブユニットは除外される。

0053

本明細書における「イソペプチド結合」なる語は、カルボキシル基またはカルボキサミド基とアミノ基との間に形成されるアミド結合のことをいい、これらの基のうちの少なくとも1つは、タンパク質主鎖由来ではないか、または、見方を変えると、タンパク質骨格の一部ではない。イソペプチド結合は、単一のタンパク質内に形成される場合もあれば、2つのペプチド間またはペプチドとタンパク質との間に生じる場合もある。したがって、イソペプチド結合は、単一のタンパク質において分子内に形成される場合もあれば、分子間で、すなわち2つのペプチド/タンパク質分子間、例えば、2つのペプチドリンカー間などにおいて形成される場合もある。典型的には、イソペプチド結合は、リジン残基と、アスパラギン残基アスパラギン酸残基グルタミン残基、もしくはグルタミン酸残基、またはタンパク質鎖もしくはペプチド鎖の末端カルボキシル基との間に生じる場合もあれば、タンパク質鎖またはペプチド鎖のアルファアミノ末端と、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、またはグルタミン酸との間に生じる場合もある。イソペプチド結合に含まれる対を成す各残基は、本明細書においては、反応性残基と称する。本発明の好ましい実施形態においては、イソペプチド結合は、リジン残基とアスパラギン残基との間、またはリジン残基とアスパラギン酸残基との間に生じ得る。特に、イソペプチド結合は、リジンの側鎖のアミンとアスパラギンのカルボキサミド基またはアスパラギン酸のカルボキシル基との間に生じ得る。

0054

イソペプチド結合に含まれる残基間の距離は、残基内の特定のC原子から測定される。したがって、イソペプチド結合にリジンが含まれている場合は、その距離はリジンのC−イプシロン原子から測定され、イソペプチド結合にアスパラギン酸が含まれている場合は、その距離はアスパラギン酸のC−ガンマ原子から測定され、イソペプチド結合にアスパラギンが含まれている場合は、その距離はアスパラギンのC−ガンマ原子から測定され、イソペプチド結合にグルタミン酸が含まれている場合は、その距離はグルタミン酸のC−デルタ原子から測定される。イソペプチド結合に含まれる反応性残基のこれらの原子(そこからの距離が算出される)は、本明細書においては、「関連原子」と称する。

0055

典型的には、イソペプチド結合を形成するためには、反応性リジン残基および反応性アスパラギン残基/アスパラギン酸残基(ならびに、特に、それらの関連原子:リジンにおいてはC−イプシロン原子であり、アスパラギン/アスパラギン酸においてはC−ガンマ原子)などの反応性残基が、例えばそれらが由来するイソペプチドタンパク質において、空間的に互いに極めて近接して配置されるべきである。したがって、特に、リジンおよびアスパラギン/アスパラギン酸(ならびに、特に、それらの関連原子)などの反応性残基は、折り畳まれたタンパク質(それらが由来する)において、互いに4オングストローム以内に存在しており、また、互いに3.8オングストローム以内、3.6オングストローム以内、3.4オングストローム以内、3.2オングストローム以内、3.0オングストローム以内、2.8オングストローム以内、2.6オングストローム以内、2.4オングストローム以内、2.2オングストローム以内、2.0オングストローム以内、1.8オングストローム以内、または1.6オングストローム以内に存在していてもよい。特に、反応性残基(とりわけ、それらの関連原子)は、それらが由来するイソペプチドタンパク質において、互いに1.81オングストローム以内、2.63オングストローム以内、または2.60オングストローム以内に存在していてもよい。

0056

概して、本発明のペプチドリンカーが由来し得るイソペプチドタンパク質は、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を、例えばリジンおよびアスパラギン/アスパラギン酸などのイソペプチド結合の形成に関わる他の2つの反応性アミノ酸残基に、極めて近接した状態で含み得る。特に、グルタミン酸残基のC−デルタ原子またはアスパラギン酸残基のC−ガンマ原子は、折り畳まれたタンパク質の構造中、反応性アスパラギン残基/アスパラギン酸残基から5.5オングストローム以内に存在し得る。例えば、グルタミン酸(例えば、そのC−デルタ原子)は、イソペプチド結合に含まれる反応性アスパラギン残基/アスパラギン酸残基からは、例えばそのC−ガンマ原子からだと、5.4オングストローム、5.2オングストローム、5.0オングストローム、4.8オングストローム、4.6オングストローム、4.4オングストローム、4.2オングストローム、4.0オングストローム、3.8オングストローム、3.6オングストローム、3.4オングストローム、3.2オングストローム、または3.0 オングストローム以内に存在し得る。特に、グルタミン酸残基、例えばそのC−デルタ原子は、アスパラギン残基/アスパラギン酸残基からは、例えばそのC−ガンマ原子からだと、4.99オングストローム、3.84オングストローム、または3.73オングストロームのところに存在し得る。

0057

さらに、グルタミン酸残基、例えばそのC−デルタ原子は、イソペプチド結合に含まれる反応性リジン残基からは、例えばそのC−イプシロン原子からだと、6.5オングストローム以内に存在し得、例えば6.3オングストローム、6.1オングストローム、5.9オングストローム、5.7オングストローム、5.5オングストローム、5.3オングストローム、5.1オングストローム、4.9オングストローム、4.7オングストローム、4.5オングストローム、4.3オングストローム、または4.1オングストローム以内に存在し得る。特に、グルタミン酸残基、例えばそのC−デルタ原子は、反応性リジンからは、例えばそのC−イプシロン原子からだと、6.07オングストローム、4.80オングストローム、または4.42オングストロームのところに存在し得る。

0058

グルタミン酸残基(またはアスパラギン酸残基)は、前述したように、イソペプチド結合の形成を誘導するのに役立ち得る。

0059

上述したように、本発明の方法および使用において用いるペプチドリンカーは、イソペプチドタンパク質の反応性ドメインを2つまたは3つのドメインに分割することによって得られ得る。したがって、各ペプチドリンカー対は、リジン残基を含むペプチドと、アスパラギン酸残基またはアスパラギン残基を含むペプチドとからなり、これらの残基(すなわち、リジンおよびアスパラギン酸、またはリジンおよびアスパラギン)は、イソペプチド結合の形成に関わって(すなわち、反応してイソペプチド結合を形成して)、それによってこれらのペプチドリンカーを接続(連結)する。

0060

いくつかの好ましい実施形態においては、これらのペプチドリンカー間のイソペプチド結合は、自発的に形成される。したがって、一方のペプチドリンカーは、ペプチドリンカーのリジン残基とアスパラギン残基またはアスパラギン酸残基との間におけるイソペプチド結合の形成を容易にする、例えば誘導または触媒する、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含む。いくつかの実施形態においては、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基は、上記説明した1つ以上の近接基準を満たしている。

0061

このように、これらのペプチドリンカー間のイソペプチド結合が自発的に形成される実施形態においては、一方のペプチドリンカーをペプチドタグと見なし得、他方のペプチドリンカー(すなわち、イソペプチド結合の形成を容易にする、例えば誘導または触媒する、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含むリンカー)を、ペプチド結合パートナー、すなわち、以下でさらに述べるようなペプチドタグに対する結合パートナーと見なし得る。

0062

本明細書における「自発的」なる語は、他の試薬(酵素触媒など)の非存在下、および/または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)を用いた天然型化学的ライゲーションもしくは化学的カップリングなどのタンパク質またはペプチドの化学修飾を行うことなく、タンパク質中、またはペプチド間もしくはタンパク質間(例えば、2つのペプチド間またはペプチドとタンパク質との間、すなわち本発明のペプチドリンカー間)において形成することができる、イソペプチド結合または共有結合などの結合のことをいう。したがって、ペプチドまたはタンパク質を、C末端チオエステルを有するように改変する天然型化学的ライゲーションは、行われない。

0063

このように、イソペプチド結合を、タンパク質が単独で単離される場合に、自発的に形成することができ、あるいは、共有結合またはイソペプチド結合を、2つのペプチド間またはペプチドとタンパク質との間(すなわち本発明のペプチドリンカー間)において、単独で、または化学修飾を行うことなく、形成することができる。したがって、自発的なイソペプチド結合または共有結合は、酵素もしくは他の外因性物質非存在下において、または化学修飾を行うことなく、形成され得る。しかしながら、特に、近接すると誘導される様式で(proximity-induced manner)結合を形成できるようにするためには、自発的なイソペプチド結合または共有結合には、タンパク質内において、または結合に関与するペプチド/タンパク質の一方(すなわち一方のペプチドリンカー)において、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基が存在することが必要であり得る。

0064

イソペプチド結合または共有結合は、タンパク質が生成したほぼ直後、またはペプチドタグおよび結合パートナーなどの本発明のペプチドリンカーを含む2つ以上のタンパク質が接触したほぼ直後、例えば1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、10分以内、15分以内、20分以内、25分以内、もしくは30分以内、または1時間以内、2時間以内、4時間以内、8時間以内、12時間以内、16時間以内、20時間以内、もしくは24時間以内に、自発的に形成され得る。結合は、例えば、pHが5.0、5.5、6.5、7.0、7.5、8.0、または8.5などの4.0〜9.0の範囲で、温度が1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃、12℃、15℃、18℃、20℃、22℃、または25℃などの0〜40℃の範囲のリン酸緩衝生理食塩水PBS)またはトリス緩衝生理食塩水(TBS)などの様々な条件下において形成され得る。当業者であれば、他の適切な条件を容易に決定するであろう。

0065

このように、いくつかの実施形態においては、「イソペプチド結合を形成することができる条件下において」本明細書で定義されるペプチドリンカーを含むタンパク質を接触させることは、例えば、PBSまたはTBSなどの緩衝液を用いて平衡化された緩衝溶液中、あるいは固相(カラムなど)上などの緩衝条件下において、該タンパク質を接触させることを含む。接触させるステップは、例えばpHが4.5〜8.5、5.0〜8.0、5.5〜7.5の範囲であり、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、または約8.0などである4.0〜9.0の範囲の適切なpHにおいて行われ得る。さらに、またはあるいは、接触させるステップは、例えば温度が約1〜39℃、約2〜38℃、約3〜37℃、約4〜36℃、約5〜35℃、約6〜34℃、約7〜33℃、約8〜32℃、約9〜31℃、または約10〜30℃の範囲であり、約10℃、約12℃、約15℃、約18℃、約20℃、約22℃、または約25℃などである約0〜40℃の範囲の適切な温度において行われ得る。当業者であれば、本発明の方法で用いるペプチドリンカーの特性に応じて、条件を適用する必要があるということを理解し、どの条件が適切であるかを容易に決定することができるであろう。

0066

いくつかの実施形態においては、「イソペプチド結合を形成することができる条件下において」本明細書で定義されるペプチドリンカーを含むタンパク質を接触させることは、例えばペプチドリンカーの反応性を向上または改善する分子などの化学シャペロンの存在下において、該タンパク質を接触させることを含む。いくつかの実施形態においては、化学シャペロンは、TMAOトリメチルアミンN−オキシド)である。いくつかの実施形態においては、TMAOなどの化学シャペロンは、反応時、濃度が例えば少なくとも約0.3M、約0.4M、約0.5M、約1.0M、約1.5M、約2.0M、または約2.5Mであって、約0.2〜3.0M、0.5〜2.0M、1.0〜1.5Mなどの範囲などである、少なくとも約0.2Mの濃度で存在する。

0067

いくつかの実施形態においては、該ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成は、自発的ではない、すなわち、イソペプチド結合の形成は、反応に添加される成分によって誘導または触媒される。イソペプチド結合の形成を誘導または触媒する成分は、ペプチドであってもよく、例えば、トランスグルタミナーゼといった酵素などのポリペプチドであってもよい。好ましい実施形態においては、イソペプチド結合の形成を誘導または触媒する成分は、イソペプチドタンパク質由来のペプチドであってもよく、すなわち、ペプチドリンカーのリジン残基とアスパラギン残基またはアスパラギン酸残基との間におけるイソペプチド結合の形成を容易にする、例えば誘導または触媒する、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含むイソペプチドタンパク質のドメインまたは断片由来のペプチドであってもよい。特に2つのペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる限りにおいて、ペプチドリンカーのリジン残基とアスパラギン残基またはアスパラギン酸残基との間におけるイソペプチド結合の形成を容易にする、例えば誘導または触媒する、ペプチドを、タンパク質リガーゼまたはペプチドリガーゼと見なし得る。

0068

このように、該ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成が自発的でない、すなわち、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導する成分(例えば、ペプチドリガーゼなどのペプチド)が、個別に提供される実施形態においては、ペプチドリンカーの両方を、以下で述べるようなペプチドタグと見なし得る。したがって、ペプチドリンカー(ペプチドタグ)間におけるイソペプチド結合の形成を誘導するペプチドを、ペプチドリガーゼまたはペプチドリンカー対結合パートナーと見なし得る。

0069

したがって、いくつかの実施形態においては、本発明はさらに、結合させるタンパク質を、これらのタンパク質間におけるイソペプチド結合の形成を可能にする条件下において、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分(ペプチドなど)と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分は、これらのタンパク質のペプチドリンカーのリジン残基とアスパラギン残基またはアスパラギン酸残基との間におけるイソペプチド結合の形成を誘導するグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含むペプチドである。

0070

ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分(ペプチドなど)を反応に添加するのは、接続するタンパク質を互いに接触させる前であってもよいし、その後であってもよいし、それと同時であってもよい。いくつかの実施形態においては、接続するタンパク質を互いに接触させた後に、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分(ペプチドなど)を反応に添加してもよい。

0071

ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分(ペプチドなど)を用いることは、大きな介在性ペプチドドメインの非存在下で、融合タンパク質のタンパク質ユニットを接続(連結)することができるため、特に有利である。別の見方をすると、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができる成分(ペプチドなど)を用いることによって、小さなペプチドリンカー(ペプチドタグなど)を用いることが容易になる、すなわち、ペプチドリンカー間でイソペプチド結合を形成することができる同系ペプチドリンカー対において、各ペプチドリンカーのペプチド配列を最小のものにすることが容易になる。

0072

いくつかの実施形態においては、同系ペプチドリンカー対およびペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導することができるペプチドは、同じイソペプチドタンパク質由来である。

0073

イソペプチド結合を自発的に形成することができるタンパク質は、このような結合を少なくとも1つ形成することができてもよく、イソペプチド結合を1つより多く、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれ以上、含んでいてもよい。特に、タンパク質中に、自発的に形成されたイソペプチド結合が1つより多く存在している場合は、イソペプチドタンパク質から、異なるペプチドリンカー対をいくつか開発することができる場合がある。いくつかの実施形態においては、同じイソペプチドタンパク質由来の異なるペプチドリンカー対は、直交していてもよい。本発明においては、イソペプチド結合を1つだけ、または2つだけ含むイソペプチドタンパク質から、各ペプチドリンカー対を開発することが好ましい。

0074

自発的にイソペプチド結合を1つ以上形成することができる公知のタンパク質としては、例えば、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のSpy0128(Kangら,Science,2007,318(5856),1625〜8)、Spy0125(Pointonら,J.Biol.Chem.,2010,285(44),33858〜66)、およびFbaB(Okeら,J.Struct Funct Genomics,2010,11(2),167〜80);黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCna(Kangら,Science,2007,318(5856),1625〜8);フェカーリス菌(Enterococcus faecalis)のACE19タンパク質(Kangら,Science,2007,318(5856),1625〜8);セレウス菌(Bacillus cereus)由来のBcpAピリン(Budzikら,PNAS USA,2007,106(47),19992〜7);B群溶血性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)由来のマイナーピリンGBS52(Kangら,Science,2007,318(5856),1625〜8);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)由来のSpaA(Kangら,PNAS USA,2009,106(40),16967〜71);ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)由来のSpaP(Nylanderら,Acta Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Commum.,2011,67(Pt1),23〜6);肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)由来のRrgA(Izoreら,Structure,2010,18(1),106〜15)、RrgB(El Mortajiら,J. Biol. Chem.,2010,285(16),12405〜15)、およびRrgC(El Mortajiら,J. Biol. Chem.,2010,285(16),12405〜15);ならびにストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)由来のSspB(Forsgrenら,J Mol Biol,2010,397(3),740〜51)などが挙げられる。上述したように、本発明の方法及び使用で用いるペプチドリンカー(特に同系ペプチドリンカー対)を生成するのに、これらのうちのいずれのタンパク質が用いられてもよい。

0075

結合して融合タンパク質を形成するタンパク質におけるペプチドリンカーの配置または配列は、特に重要ではない。例えば、所望の融合タンパク質の第1のタンパク質は、ペプチドタグ(A)を含んでいてもよく、また第2のタンパク質は、第1のタンパク質のペプチドタグと同系のペプチド結合パートナー(A’)と、第3のタンパク質のペプチドタグと同系のペプチド結合パートナー(B’)とを含んでいてもよい。あるいは、所望の融合タンパク質の第1のタンパク質は、ペプチド結合パートナー(A’)を含んでいてもよく、また第2のタンパク質は、第1のタンパク質のペプチド結合パートナーと同系のペプチドタグ(A)と、第3のタンパク質のペプチド結合パートナーと同系のペプチドタグ(B)とを含んでいてもよい。この場合、2つのタンパク質を結合する(例えば、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを結合する、融合タンパク質をさらなるタンパク質と結合するなど)のに用いるペプチドリンカー対は、融合タンパク質を伸長させるのに用いるペプチドリンカー対に対して直交していればよい。以下で述べるように、直交したペプチドリンカーは、様々な方法で実現され得る。

0076

したがって、いくつかの好ましい実施形態においては、第1のペプチドリンカー対(A/A’)は、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーA(ペプチドタグなど)を1つと、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーA’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含み、第2のペプチドリンカー対(B/B’)は、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーB(ペプチドタグなど)を1つと、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーB’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含む。上述した例を用いると、AがB’と反応するのに適した経路はなく、またBがA’と反応するのに適した経路はない。したがって、ペプチドリンカー対は、互いに直交している。

0077

さらなる実施形態においては、第1のペプチドリンカー対(A/A’)は、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーA(ペプチドタグなど)を1つと、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーA’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含み、第2のペプチドリンカー対(B/B’)は、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーB(ペプチドタグなど)を1つと、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーB’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含む。あるいは、第1のペプチドリンカー対(A/A’)は、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーA(ペプチドタグなど)を1つと、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーA’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含み、第2のペプチドリンカー対(B/B’)は、反応性アスパラギン酸残基または反応性アスパラギン残基を有するペプチドリンカーB(ペプチドタグなど)を1つと、反応性リジン残基を有するペプチドリンカーB’(ペプチド結合パートナーなど)を1つ含む。これらの実施形態においては、ペプチドリンカー(ペプチドタグ)AおよびBは、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ)の「アンカー」残基の大きさが実質的に異なるように選択されてもよく、その結果、AおよびB’ならびにBおよびA’の非共有的結合(すなわち、AとB’との間、およびBとA’との間の相互作用)が生じなくなることによって、交差反応が確実に最小限となる。

0078

アンカー残基」なる用語は、同系ペプチドリンカー対のうちの一方のペプチドリンカー(ペプチド結合パートナーなど)のβ−ストランド中のアミノ酸残基であって、ペプチドリンカーの疎水性コアの方を向き、同系ペプチドリンカー対のもう一方のペプチドリンカー(ペプチドタグなど)由来の反応性残基を受け入れるアミノ酸残基のことをいう。β−ストランドでは、溶媒の方を向く残基と、疎水性タンパク質コアの方を向く残基とが交互に存在しており、残基の方向は、ペプチドリンカーが由来するイソペプチドタンパク質において自発的にイソペプチド結合を形成するドメインの構造によって規定される。このことは、X線結晶解析核磁気共鳴、またはクライオ電子顕微鏡法などの、当該技術分野において公知の適当な方法によって求められ得る。

0079

小さなアンカー残基としては、アラニンおよびバリンが挙げられる。中型のアンカー残基としては、ロイシンイソロイシン、およびメチオニンが挙げられる。大きなアンカー残基としては、フェニルアラニンおよびトリプトファンが挙げられる。したがって、いくつかの実施形態においては、小さなアンカー残基のうちの少なくとも1つが、中型のアンカー残基または大きなアンカー残基と置換されていてもよい。いくつかの実施形態においては、中型のアンカー残基のうちの少なくとも1つが、小さなアンカー残基または大きなアンカー残基と置換されていてもよい。またさらなる実施形態においては、大きなアンカー残基のうちの少なくとも1つが、中型のアンカー残基または小さなアンカー残基と置換されていてもよい。

0080

いくつかの実施形態においては、直交したペプチドリンカー対は、異なるイソペプチドタンパク質由来であってもよいし、同じイソペプチドタンパク質の異なるドメイン由来であってもよい。いくつかの実施形態においては、直交したペプチドリンカー対は、新規に作製されたものであってもよい。

0081

新規に作製されるペプチドリンカー対は、好ましくはグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基と共に、イソペプチド結合を自発的に形成するのに必要な反応性アミノ酸残基を2つ有するべきである。したがって、上述したように、ペプチドリンカーのうちの一方は、反応性リジン残基を含み、ペプチドリンカーのうちのもう一方は、反応性アスパラギン残基または反応性アスパラギン酸残基を含む。好ましい実施形態においては、ペプチドリンカーのうちの一方は、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導する、または容易にするグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基も含む。しかしながら、上述したように、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導する、または容易にするグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含む成分(例えば、ペプチドリガーゼなどのペプチド)が、個別に提供されてもよい。

0082

同系ペプチドリンカー対のペプチドリンカーのどちらもが、イソペプチド結合の形成に関わる反応性残基の両方は含まない、すなわち、同系ペプチドリンカー対の各ペプチドリンカーは、反応性残基、すなわちリジン残基またはアスパラギン酸残基/アスパラギン残基を1つ含む。

0083

ペプチドリンカーのうちの一方が、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を誘導する、または容易にするグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含む実施形態においては、典型的には、該グルタミン酸残基およびアスパラギン酸残基は、イソペプチド結合に含まれるリンカーの残基から6.5オングストローム以内に存在しており、例えば、6.0オングストローム以内、5.5オングストローム以内、5.0オングストローム以内、4.5オングストローム以内、4.0オングストローム以内、3.5オングストローム以内、または3.0オングストローム以内に存在している。これらの距離は、特に、各残基の関連原子、すなわちイソペプチド結合の形成に関わる原子間の距離のことである。2つのペプチドリンカーが互いに近づけられた場合、例えば、第1のタンパク質と第2のタンパク質を接触させた場合、結合に含まれる2つの反応性残基(より具体的には、その関連原子)は、空間的に互いに4オングストローム以内に存在すべきであり、好ましくは、3.8オングストローム以内、3.6オングストローム以内、3.4オングストローム以内、3.2オングストローム以内、3.0オングストローム以内、2.8オングストローム以内、2.6オングストローム以内、2.4オングストローム以内、2.2オングストローム以内、2.0オングストローム以内、1.8オングストローム以内、または1.6オングストローム以内に存在すべきである。

0084

当業者であれば、新規にイソペプチドタンパク質を設計する場合は、イソペプチド結合形成に関わる残基のpKaも考慮すべきであることを、すぐに認めるであろう。例えば、反応性リジン残基は、中性pHにおいてリジンが疎水性コアに埋まっていることを必要とする場合がある反応の前に、脱プロトン化されることが好ましい。

0085

好ましくは、直交したペプチドリンカー対は、異なるイソペプチドタンパク質由来であってもよいし、同じイソペプチドタンパク質の異なるドメイン由来であってもよいが、直交したペプチドリンカー対を、同じイソペプチドタンパク質から、特にイソペプチドタンパク質の同じドメインから、作製することができる。例えば、同系ペプチドリンカー対のうちの一方のペプチドリンカーは、その対のもう一方のペプチドリンカーと反応しない(または効率よく反応しない)ように改変されてもよい。その改変は、ペプチドリンカー間の反応を防ぐ改変を無効にする、または除去することによって、ペプチドリンカー対が反応して効率よくイソペプチド結合を形成する能力が復元されるように、可逆的であってもよい。したがって、例えば、ブロッキング基の付加によってAを改変するなど、同系ペプチドリンカー対A/A’のペプチドリンカーの一方が改変されて、ペプチドリンカーBを生じてもよく、ここで、BはA’またはAと効率よく反応してイソペプチド結合を形成することはできない。Bからブロッキング基を除去することによって、A’と反応してイソペプチド結合を形成することができるペプチドリンカーB’が生じる。

0086

可逆的保護基または除去保護基の使用は、当該技術分野においてよく知られている。したがって、直交したペプチドリンカー対を作製するために、同系ペプチドリンカー対のうちの一方のペプチドリンカーにブロッキング基を付加することは、ペプチドリンカーに保護基を付加すること、またはペプチドリンカーをケージングすることと見なされ得る。ブロッキング基(保護基、遮蔽基、またはケージング基など)は、ペプチドリンカー対のもう一方のペプチドリンカーと効率よく反応してイソペプチド結合を形成する、ペプチドリンカーの能力を復元する、当該技術分野において公知の適切な方法によって除去されてもよい。ブロッキング基の除去(脱保護、脱遮蔽脱ケージングなど)は、ブロッキング基の性質に応じて、化学反応によって行われてもよいし、酵素反応によって行われてもよいし、光反応によって行われてもよい。適切なブロッキング基の例としては、立体的に反応を阻害し、タバコエッチウイルスプロテアーゼなどの酵素を用いて除去され得るタンパク質などのかさ高い部位(bulky moieties)(Bioorg Med Chem. 2012 Jan 15;20(2):571〜82. doi:10.1016/j.bmc.2011.07.048. Epub 2011 Jul 30. Cleavable linkers in chemical biology. Leriche G,Chisholm L,Wagner A.に概説されている);テトラジンを用いた反応によって、化学的に脱ケージングされるトランスシクロオクテンケージドリジン(N−(((E)−シクロオクト−2−エン−1−イル)−オキシカルボニル−L−リジン)(Nat Chem Biol. 2014 Dec;10(12):1003〜5. doi:10.1038/nchembio.1656. Epub 2014 Nov 2. Diels−Alder reaction−triggered bioorthogonal protein decaging in living cells. Li J,Jia S,Chen PR);または、当該技術分野においてよく知られている、適切な波長の光によって脱ケージングされるo−ニトロベンジルもしくはクマリン基でケージングされたリジン(例えば、Chem Rev. 2013 Jan 9;113(1):119〜91. doi:10.1021/cr300177k. Epub 2012 Dec 21. Photoremovable protecting groups in chemistry and biology: reaction mechanisms and efficacy. Klan ,Solomek T,BochetCG,Blanc A,Givens R,Rubina M,Popik V,Kostikov A,Wirz J.を参照)などが挙げられる。

0087

ブロッキング基の使用を、さらなる直交したペプチドリンカー対の作製に限定する必要はない。例えば複数の反応において、ブロッキング基は、例えば、融合タンパク質の伸長を制御するのに特に有用であり得る。例えば様々な異なる融合タンパク質を含むアレイを作製するために、例えば、複数の融合タンパク質を単一の固相基質上で合成してもよい。例えば核酸アレイの生成と同様に光反応性ブロッキング基を用いて、固相上の各融合タンパク質を物理的に分離すれば、基質上のペプチドリンカーの選択的脱ブロッキングを容易に行えるであろう。ペプチドリンカーを選択的に脱ブロッキングすることによって、一度の伸長反応において、単一の融合タンパク質または融合タンパク質の複数組(例えば、固相上の特定の位置に存在している)を伸長させることが可能になり、また、続く反応において異なる融合タンパク質または異なる融合タンパク質の組を伸長させることが可能になる。

0088

したがって、いくつかの実施形態においては、1つ以上のペプチドリンカーが、ブロッキング基、すなわち可逆的ブロッキング基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、融合タンパク質を、ブロッキング基を除去する紫外線化学薬品、または酵素などと接触させることによって、ブロッキング基を除去してもよい。

0089

したがって、いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、融合タンパク質のペプチドリンカーのブロッキング基を脱ブロッキングまたは除去するステップを含んでいてもよい。

0090

代表的な実施形態においては、本発明は、融合タンパク質を作製する(例えば、生成する、合成する、または組み立てる)方法を提供し、該方法は、
a)第1のタンパク質と第2のタンパク質とを、これらのタンパク質間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第1のタンパク質および該第2のタンパク質は、いずれもペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、(互いに)反応することによって、該第1のタンパク質を該第2のタンパク質に結合して結合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを接触させることと、
b)前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件下で接触させることであって、該第3のタンパク質は、(a)の結合タンパク質のさらなるペプチドリンカーと反応するペプチドリンカーを含み、これらのペプチドリンカーは、(互いに)反応することによって、該第3のタンパク質を該結合タンパク質に結合して融合タンパク質とするイソペプチド結合を形成するペプチドリンカー対である、前記(a)の結合タンパク質と第3のタンパク質とを接触させることと、を含む、方法であって
(a)の該ペプチドリンカー対は、(b)の前記ペプチドリンカー対に対して直交しており、
前記結合タンパク質の前記さらなるペプチドリンカーは、ブロッキング基を含み、該第3のタンパク質と該結合タンパク質との間にイソペプチド結合を形成することができる条件は、前記結合タンパク質を処理して前記ブロッキング基を除去することを含む、方法である。

0091

いくつかの実施形態においては、結合タンパク質を該第3のタンパク質と接触させるステップの前に、ブロッキング基を除去してもよい(ペプチドリンカーを脱ブロッキングしてもよい)。いくつかの実施形態においては、結合タンパク質を該第3のタンパク質と接触させるステップの後、またはそのステップと同時に、ブロッキング基を除去してもよい(ペプチドリンカーを脱ブロッキングしてもよい)。

0092

本明細書における「ペプチドリンカー」なる語は、概して、イソペプチドタンパク質から直接設計されたものであってもよいし、直接由来するものであってもよい、ペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドのことをいい、例えば、ペプチドリンカーは、イソペプチドタンパク質の断片であってもよいし、その改変体であってもよい。ペプチド、オリゴペプチド、およびポリペプチドが意味するものの大きさの境界については、標準的な規定はないが、典型的には、ペプチドを、アミノ酸を2〜20個含むものと見なし得、オリゴペプチドを、アミノ酸を21〜39個含むものと見なし得、ポリペプチドを、アミノ酸を少なくとも40個含むものと見なし得る。したがって、本明細書において定義されるペプチドリンカーを、アミノ酸を少なくとも6個、例えば6〜300個含むものと見なし得る。

0093

いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーは、ペプチドタグと称されてもよく、また、その長さは、6〜50個のアミノ酸、例えば7〜45個のアミノ酸、8〜40個のアミノ酸、9〜35個のアミノ酸、10〜30個のアミノ酸、11〜25個のアミノ酸などであってもよく、例えば、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸を含んでいてもよいし、これらの数のアミノ酸からなるものであってもよい。ペプチドリンカーまたはペプチドタグは、イソペプチド結合を介して第2のペプチドリンカーに特異的に共有結合し、ここで、別のペプチドリンカーは、以下で述べるように、ペプチドタグまたはペプチド結合パートナーと見なされ得る。互いに反応して(例えば、特異的にかつ効率よく)イソペプチド結合を形成する2つのペプチドリンカー(例えば、ペプチドタグおよびペプチドタグ、またはペプチドタグおよびペプチド結合パートナー)は、ペプチドリンカー対、特に同系ペプチドリンカー対と定義され得る。

0094

したがって、上述したように、ペプチドリンカーは、リジンまたはアスパラギン/アスパラギン酸などの、イソペプチド結合の形成に関わるアミノ酸残基を少なくとも1つ、含んでいなくてはならない。したがって、ペプチドリンカー対の各ペプチドリンカーは、イソペプチド結合の形成に関わる、異なるすなわち相補的な、反応性アミノ酸残基を含んでいなくてはならない。すなわち、一方のペプチドリンカーはリジン残基を含み、もう一方のペプチドリンカーはアスパラギン残基またはアスパラギン酸残基を含む。

0095

いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカー対は、ペプチドタグを2つ含む。典型的には、2つのペプチドタグは、反応して自発的にイソペプチド結合を形成しない。すなわち、上述したように、該ペプチドタグ/ペプチドリンカーの間におけるイソペプチド結合の形成を誘導または触媒する成分(例えば、ペプチドリガーゼなどのペプチド)の添加を必要とする。

0096

いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカー(すなわち、同系ペプチドリンカー対のうちの一方のペプチドリンカー)は、ペプチド結合パートナーと称されてもよく、これは、イソペプチドタンパク質に由来するかまたはこれから設計されるペプチド(特にオリゴペプチドまたはポリペプチド)と定義され得、また、イソペプチド結合を介して(好ましくは自発的な反応によって)ペプチドタグに共有結合し得る。いくつかの実施形態においては、ペプチド結合パートナーは、それが共有結合するペプチドタグ、すなわち、それに対応するペプチドタグまたはペプチドリンカーとして、同じイソペプチドタンパク質から設計されてもよいし、同じイソペプチドタンパク質に由来するものであってもよい。

0097

概して、ペプチド結合パートナーは、それに対応するペプチドタグよりも大きく、ペプチドタグと比較して、より大きなイソペプチドタンパク質の断片または部分を含んでいるか、またはその断片または部分からなる。特に、ペプチド結合パートナーは、イソペプチド結合の形成に関わる残基(すなわちリジンまたはアスパラギン/アスパラギン酸)に加えて、ペプチドタグおよびペプチド結合パートナーなどのペプチドリンカー間のイソペプチド結合の形成を容易にするか、または誘導するグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含む。

0098

したがって、ペプチド結合パートナーは、ペプチドタグを構成するように設計された断片と重なるイソペプチドタンパク質断片を含んでいてもよいし、ペプチドタグの断片と比較して、不連続かつ別々のイソペプチドタンパク質断片を含んでいてもよい。したがって、ペプチド結合パートナーの配列は、設計されたペプチドタグの配列と重複があってもよいし、ペプチドタグおよびペプチド結合パートナーは、イソペプチドタンパク質の2つの不連続な断片を含むか、それらからなるものであってもよい。いくつかの実施形態においては、ペプチドタグは、イソペプチドタンパク質の配列に基づいていなくてもよく、例えば、ペプチドタグ(ペプチドリンカー)を新規に設計してもよい。

0099

ペプチド結合パートナーの大きさは、特に限定されないが、本発明の方法および使用において用いるペプチドリンカーの大きさは、実用上、最小限に抑えることが好ましい。

0100

したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカー(ペプチド結合パートナーなど)は、その長さが50〜300個のアミノ酸、例えば、60〜250個のアミノ酸、70〜225個のアミノ酸、80〜200個のアミノ酸であってもよく、例えば、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、または200個のアミノ酸を含んでいてもよいし、これらの数のアミノ酸からなるものであってもよい。

0101

したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカー対は、ペプチドタグとペプチド結合パートナーとを含み、該ペプチドリンカーは、自発的に反応してイソペプチド結合を形成する。

0102

ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合形成が自発的でない場合(例えば、ペプチドリンカーがどちらもペプチドタグである場合)、該ペプチドタグ/ペプチドリンカーの間におけるイソペプチド結合の形成を誘導または触媒するペプチドは、上述したように、イソペプチドタンパク質またはペプチド結合パートナー由来のペプチド(ペプチドリガーゼなど)と見なされ得る。特に、前記ペプチドは、ペプチドリンカー間におけるイソペプチド結合の形成を容易にするか、または誘導するグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基を含むが、重要なことには、リガーゼは、ペプチドリンカー対のいずれかのペプチドリンカーと反応してイソペプチド結合を形成するアミノ酸残基を含まない。いくつかの実施形態においては、ペプチドリガーゼは、その長さが50〜300個のアミノ酸、例えば、60〜250個のアミノ酸、70〜225個のアミノ酸、80〜200個のアミノ酸であってもよく、例えば、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、または200個のアミノ酸を含んでいてもよいし、これらの数のアミノ酸からなるものであってもよい。

0103

したがって、このように、ペプチドリンカー(ペプチドタグおよび/またはペプチド結合パートナーなど)は、イソペプチドタンパク質のタンパク質配列全体からなるものではなく、それよりも長さが短い。例えば、ペプチドリンカーは、イソペプチドタンパク質に存在するアミノ酸残基の5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、または50%未満の数のアミノ酸残基からなるものであり得る。

0104

ペプチドリンカーまたはペプチドリンカー対は、イソペプチドタンパク質(特にその1つ以上の断片)の配列に基づくものとすることができるが、当業者であれば、ペプチドリンカーの配列は、それが由来するイソペプチドタンパク質の一部の配列とは異なるものであってもよいということを、容易に理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーまたはペプチドリンカー対は、それが由来するイソペプチドタンパク質の配列と比較して、突然変異または変化を含んでいてもよい。以下で述べるように、例えば、ペプチドリンカー間における自発的なイソペプチド結合形成の反応速度を向上させるなど、ペプチドリンカーの安定性および/または機能を向上させるために、いくつかの突然変異をペプチドリンカー配列に導入してもよい。

0105

したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーは、イソペプチドタンパク質の断片を含むか、またはその断片からなるものであってもよく、ここで、その断片は、上記説明した大きさの基準を満たしており、それが由来するイソペプチドタンパク質の相当領域に対する配列同一性が、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%である。

0106

さらに、上述したように、イソペプチドタンパク質は、公知のイソペプチドタンパク質の構造類似体(structural homologues)、すなわち、公知のイソペプチドタンパク質と配列類似性または配列同一性を有するタンパク質を探索することによって同定されてもよい。このような類似体は、機能的に同等なタンパク質と見なされ得、本発明のペプチドリンカーの作製に役立ち得る。

0107

いくつかの実施形態においては、本発明の方法および使用において用いるペプチドリンカー対は、適切なイソペプチドタンパク質に由来するものであってもよい。上記のように、当該技術分野において、様々なイソペプチドタンパク質が知られている。例えば、ペプチドリンカーは、主要なピリンタンパク質であるSpy0128由来であってもよい。Spy0128は、配列番号23に示すアミノ酸配列を有し、配列番号24に示すヌクレオチド配列にコードされている。このタンパク質には、イソペプチド結合が2つ形成されている。イソペプチド結合の一方は、配列番号23における179位のリジンと、配列番号23における303位のアスパラギンとの間(反応性残基の間)に形成されている。自発的なイソペプチド結合を誘導するグルタミン酸残基は、配列番号23の258位に見出される。したがって、配列番号23に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、303位の反応性アスパラギンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、179位の反応性リジンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、258位のグルタミン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、258位のグルタミン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして、提供されてもよい。

0108

主要なピリンタンパク質であるSpy0128のイソペプチド結合のもう一方は、配列番号23の36位のリジン残基と、配列番号23の168位のアスパラギン残基との間に生じる。イソペプチド形成を誘導するグルタミン酸残基は、配列番号23の117位に見出される。したがって、配列番号23に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、36位の反応性リジン残基を含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、168位の反応性アスパラギンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、117位のグルタミン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、117位のグルタミン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして、提供されてもよい。

0109

フェカーリス菌(E. faecalis)由来のアドヘシンタンパク質(adhesin protein)のドメインであるACE19も、自発的にイソペプチド結合を形成する。ACE19は、配列番号27に示すアミノ酸配列を有し、配列番号28に示すヌクレオチド配列にコードされている。

0110

イソペプチド結合は、配列番号27の181位のリジン残基と、配列番号27の294位のアスパラギン残基との間に生じる。この結合は、配列番号27の213位のアスパラギン酸残基によって誘導される。したがって、配列番号27に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、294位の反応性アスパラギン残基を含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、181位の反応性リジン残基を含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、213位のアスパラギン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、213位のアスパラギン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして、提供されてもよい。

0111

配列番号29に示すアミノ酸配列を有する黄色ブドウ球菌(S. aureus)のコラーゲン結合ドメインは、自発的に形成されるイソペプチド結合を1つ含む。イソペプチド結合は、配列番号29の176位のリジンと、配列番号29の308位のアスパラギンとの間に生じる。このイソペプチド結合を誘導するアスパラギン酸残基は、配列番号29の209位に存在する。したがって、配列番号29に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、176位の反応性リジンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、308位の反応性アスパラギンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、209位のアスパラギン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、209位のアスパラギン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして、提供されてもよい。

0112

化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のFbaBは、ドメインCnaB2を含む。これは、配列番号25に示すアミノ酸配列を有し、配列番号26に示すヌクレオチド配列にコードされ、自発的に形成されるイソペプチド結合を1つ含む。CnaB2ドメインのイソペプチド結合は、配列番号25の15位のリジンと、配列番号25の101位のアスパラギン酸残基との間に形成される。このイソペプチド結合を誘導するグルタミン酸残基は、配列番号25の61位に存在する。したがって、配列番号25に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、15位の反応性リジンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、101位の反応性アスパラギン酸を含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、61位のグルタミン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、61位のグルタミン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして(配列番号34など)、提供されてもよい。

0113

RrgAタンパク質は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)由来の接着タンパク質であり、配列番号21に示すアミノ酸配列を有し、配列番号22に示すヌクレオチド配列にコードされている。イソペプチド結合は、配列番号21の742位のリジンと、配列番号21の854位のアスパラギンとの間に形成される。この結合は、配列番号21の803位のグルタミン酸残基によって誘導される。したがって、配列番号21に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、854位の反応性アスパラギンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、742位の反応性リジンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。いくつかの実施形態においては、一方のペプチドリンカーは、803位のグルタミン酸残基も含有する断片を含む。いくつかの実施形態においては、803位のグルタミン酸残基を含むタンパク質断片は、個別に、すなわち上述したペプチドリガーゼとして、提供されてもよい。

0114

PsCsタンパク質は、ストレプトコッカス・インテルディウス(Streptococcus intermedius)由来のpor分泌システムC末端ソーティングドメインタンパク質の断片である。これは、配列番号31に示すアミノ酸配列を有し、配列番号32に示すヌクレオチド配列にコードされている。イソペプチド結合は、配列番号31の405位のリジンと、配列番号31の496位のアスパラギン酸との間に形成される。したがって、配列番号31に示すイソペプチドタンパク質から開発されたペプチドリンカー対は、好ましくは、496位の反応性アスパラギン酸を含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーと、405位の反応性リジンを含むタンパク質断片を含むペプチドリンカーとを含む。

0115

したがって、いくつかの実施形態においては、本発明の方法において用いるペプチドリンカー対は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するイソペプチドタンパク質に由来するものであってもよいし、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性を有するタンパク質に由来するものであってもよい。

0116

いくつかの実施形態においては、上記イソペプチドタンパク質の配列は、それが比較される配列(配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0117

好ましくは、上述したイソペプチドタンパク質由来のペプチドリンカーは、上述の大きさの基準および配列同一性の基準を満たす。

0118

配列同一性は、当該技術分野において公知の適切な手段によって、例えば、pam因子可変であって、ギャップ作成ペナルティを12.0に設定し、ギャップ伸長ペナルティを4.0に設定し、ウインドウを2アミノ酸としたFASTA pep−cmpを使用するSWISS−PROTタンパク質配列データバンクを用いて決定され得る。アミノ酸配列の同一性を決定する他のプログラムとしては、ウィスコシン大学によるジェネティクスコンピュータグループGCG)・バージョン10・ソフトウェアパッケージベストフィット(BestFit)プログラムが挙げられる。このプログラムは、初期値として、ギャップ作成ペナルティを−8、ギャップ伸長ペナルティを2、平均一致を2.912、平均不一致を−2.003としたSmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズムを用いている。

0119

好ましくは、該比較は配列の全長にわたって行われるが、例えば、連続した200個未満のアミノ酸、100個未満のアミノ酸、または50個未満のアミノ酸など、より小さい比較ウインドウに対して行われてもよい。

0120

好ましくは、このような配列同一性の近いタンパク質は、列挙した配列番号に示すポリペプチドと機能的に同等である。本明細書において、「機能的同等」とは、親分子(すなわち、配列相同性を示す分子)と比べて、自発的にイソペプチド結合を形成する効力いくらか減少している場合もあるが、好ましくは、同程度に有効な分子であるか、より有効な分子である、上述したイソペプチドタンパク質の類似体のことをいう。

0121

いくつかの実施形態においては、直交したペプチドリンカー対は、上述したイソペプチドタンパク質のうちのいずれか2つ以上に由来するものであってもよい。好ましい実施形態においては、第1のペプチドリンカー対は、配列番号21に示すアミノ酸配列を有するイソペプチドタンパク質に由来するものであり、第2の、直交したペプチドリンカー対は配列番号25に示すアミノ酸配列を有するイソペプチドタンパク質に由来するものである。以下で述べるように、いくつかの実施形態においては、直交した2つのペプチドリンカー対は、例えば配列番号21に示す、同じイソペプチドタンパク質に由来するものであってもよい。直交した他のペプチドリンカー対は、配列番号21および配列番号23、配列番号21および配列番号27、配列番号21および配列番号29、配列番号21および配列番号31、配列番号25および配列番号27、配列番号25および配列番号29、または配列番号25および配列番号31に示すアミノ酸配列を有するイソペプチドタンパク質に由来するものであってもよい。当業者であれば、本明細書、特に実施例に開示された方法に基づいて、2つのペプチドリンカー対が直交しているかどうかを決定することができるであろう。例えば、異なるペプチドリンカー対由来のペプチドリンカーの様々な組み合わせを、例えば溶液中で、1〜24時間などの適切な期間、イソペプチド結合の形成を容易にする条件下、例えばpHが7で温度が25℃である、pH4〜9で1〜40℃のPBS中で、接触させてもよい。例えばゲル電気泳動(SDS−PAGEなど)によって試料を解析し、すなわち連結したペプチドを探すことによって、ペプチドリンカーのうちのどれが反応しどれが反応しなかったかを決定してもよい。例えば、図7を参照のこと。したがって、本発明の方法において用いる直交したペプチドリンカー対は、イソペプチドタンパク質の適切な組み合わせに由来するものであってもよい。

0122

発明者らは、本発明の方法および使用に特に役立つペプチドリンカー対を開発した。この点について、発明者らは、ペプチドリンカー対は、上述したRrgAタンパク質由来のものであってもよいことを確認した。しかしながら、下記実施例で詳しく述べるように、発明者らは、ペプチドリンカーの反応性を向上させるために、天然のRrgA配列を基準として、ペプチドリンカーに突然変異を導入した。具体的には、グリシン残基スレオニン残基で置換して、β−ストランドを安定化し、アスパラギン酸残基をグリシン残基で置換して、反応部位に近いヘアピンターンを安定化した。

0123

したがって、本発明は、ペプチドリンカーを提供するものであって、該ペプチドリンカーは、
(i)配列番号1に示すアミノ酸配列、または配列番号1に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含む、配列、あるいは
(ii)配列番号2に示すアミノ酸配列、または配列番号2に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、55位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、94位にスレオニン残基を含み、100位にグリシン残基を含み、106位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列、
を有する、ペプチドリンカーである。

0124

いくつかの実施形態においては、(i)のペプチドリンカーは、配列番号38に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または(ii)のペプチドリンカーは配列番号39に示すアミノ酸配列を有する。

0125

さらなる実施形態においては、本発明は、ペプチドリンカーを提供するものであって、該ペプチドリンカーは、
(i)配列番号5に示すアミノ酸配列、または配列番号5に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列、あるいは
(ii)配列番号6に示すアミノ酸配列、または配列番号6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にリジン残基を含む、配列、
を有する、ペプチドリンカーである。

0126

いくつかの実施形態においては、(i)のペプチドリンカーは、配列番号42に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または(ii)のペプチドリンカーは配列番号43に示すアミノ酸配列を有する。

0127

またさらなる実施形態においては、本発明は、ペプチドリンカーを提供するものであって、該ペプチドリンカーは、
(i)配列番号9に示すアミノ酸配列、または配列番号9に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列、あるいは
(ii)配列番号10に示すアミノ酸配列、または配列番号10に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、9位にリジン残基を含み、70位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含む、配列、
を有する、ペプチドリンカーである。

0128

いくつかの実施形態においては、(i)のペプチドリンカーは、配列番号109に示すアミノ酸配列、または配列番号109に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、17位にアスパラギン残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、11位にグリシン残基を含み、好ましくは20位にイソロイシン残基を含み、21位および22位にプロリン残基を含み、23位にリジン残基を含む、配列を有する。

0129

いくつかの実施形態においては、(i)のペプチドリンカーは、配列番号46に示すアミノ酸配列を有し、かつ/または(ii)のペプチドリンカーは配列番号47に示すアミノ酸配列を有する。

0130

いくつかの実施形態においては、上記のペプチドリンカー配列は、それが比較される配列(配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10、または配列番号109)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0131

好ましい実施形態においては、上記各(i)で述べたペプチドリンカーは、上記各(ii)で述べたアミノ酸配列を有するペプチドリンカーと自発的にイソペプチド結合を形成することができる。例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカー、またはその変異体は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドリンカー、またはその変異体と自発的にイソペプチド結合を形成することができる。同様に、配列番号5および配列番号6のペプチド、またはその変異体は、互いに、自発的にイソペプチド結合を形成することができ、配列番号9および配列番号10のペプチド、またはその変異体(配列番号109など)は、互いに(配列番号109および配列番号10など)、自発的にイソペプチド結合を形成することができる。

0132

したがって、本発明は、本発明の方法および使用において用いることができるペプチドリンカー対を提供するものであって、該ペプチドリンカー対は、
(1)配列番号1および配列番号2のペプチドリンカー、または上述したような、例えば配列番号38および配列番号39である、その変異体、
(2)配列番号5および配列番号6のペプチドリンカー、または上述したような、例えば配列番号42および配列番号43である、その変異体、
(3)配列番号9および配列番号10のペプチドリンカー、または上述したような、例えば配列番号46および配列番号47である、その変異体、あるいは、
(4)配列番号109および配列番号10のペプチドリンカー、または上述したような、その変異体、
を含む、ペプチドリンカー対である。

0133

したがって、上述した各ペプチドリンカー対は、同系ペプチドリンカー対と定義され得る。

0134

いくつかの実施形態においては、上述した各ペプチドリンカー対(すなわち、各同系ペプチドリンカー対)を、他のペプチドリンカー対に対して直交している(すなわち、同系でない)と見なし得る。例えば、対(1)は、対(2)、対(3)および/または対(4)に対して直交しており、対(2)は、対(1)、対(3)および/または対(4)に対して直交しており、対(3)は、対(1)および/または対(2)に対して直交しており、対(4)は、対(1)および/または対(2)に対して直交している。いくつかの実施形態においては、これらの直交した対は、本発明の方法および使用において用いる好ましいペプチド(同系)リンカーの直交した(同系でない)対を代表するものである。さらに好ましい直交したペプチドリンカー対を以下で述べる。

0135

上述したように、本発明のペプチドリンカーは、融合タンパク質の合成に特に役立ち、ペプチドリンカーは、別のタンパク質ユニットに結合(連結)されて融合タンパク質を形成するタンパク質ユニットに組み入れられる(例えば、タンパク質ユニットのドメインを形成する、またはタンパク質ユニットに結合される)。したがって、さらなる実施形態においては、本発明は、上述したポリペプチドおよびペプチドリンカーを含む組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドを提供する。

0136

本発明のペプチドリンカーが、例えば、WO2011/098772(参照により本明細書に援用される)で説明されているペプチドタグなどとして、他の方法および使用に役立ち得るということは、明らかであろう。

0137

本発明の方法および使用において用いられ得る他のペプチドリンカーは、
(i)配列番号13に示すアミノ酸配列、または配列番号13に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、7位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列、あるいは、
(ii)配列番号14に示すアミノ酸配列、または配列番号14に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、56位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、10位にリジン残基を含む、配列、あるいは、
(iii)配列番号33に示すアミノ酸配列、または配列番号33に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、8位にリジン残基を含む、配列、あるいは、
(iv)配列番号17に示すアミノ酸配列、または配列番号17に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、11位にアスパラギン酸残基もしくはアスパラギン残基を含む、配列、あるいは、
(v)配列番号18に示すアミノ酸配列、または配列番号18に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し、241位にグルタミン酸残基もしくはアスパラギン酸残基を含み、162位にリジン残基を含む、配列、
を有する、ペプチドリンカーである。

0138

いくつかの実施形態においては、上記のペプチドリンカー配列は、それが比較される配列(配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、または配列番号33)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0139

本発明の方法および使用において用いられ得る他のペプチドリンカー対は、
(5)配列番号13および配列番号14のペプチドリンカー、または上述したような、その変異体、
(6)配列番号13および配列番号33のペプチドリンカー、または上述したような、その変異体、あるいは
(7)配列番号17および配列番号18のペプチドリンカー、または上述したような、その変異体、
を含む、ペプチドリンカー対である。

0140

同系ペプチドリンカー対が、上記(6)で述べた対を含むいくつかの実施形態においては、反応には、イソペプチド結合の形成を誘導または触媒する成分も含まれる。例えば、反応には、ペプチドリガーゼが含まれ、好ましくは、該ペプチドリガーゼは、配列番号34に示すアミノ酸配列、または配列番号34に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を有する。

0141

いくつかの実施形態においては、上記のペプチドリガーゼ配列は、それが比較される配列(配列番号34)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0142

上記(1)〜(7)から選択されるペプチドリンカー対のうち、直交した対を本発明の方法および使用において用い得るが、特に好ましい直交したペプチドリンカー対としては、上述した以下の対のうちのいずれか1つが挙げられる:(1)および(4)、(1)および(5)、(1)および(6)、(1)および(3)、(1)および(2)、(2)および(4)、(2)および(5)、(2)および(6)、(3)および(5)、(3)および(6)、(4)および(5)、および(4)および(6)。

0143

他のタンパク質に結合して融合タンパク質を形成するタンパク質内におけるペプチドリンカーの位置は、特に重要ではない。したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーは、組み換えポリペプチドもしくは合成ポリペプチド、または融合タンパク質に結合されるタンパク質のN末端またはC末端に位置していてもよい。いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーは、組み換えポリペプチドもしくは合成ポリペプチド、または融合タンパク質に結合されるタンパク質の内部に位置していてもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーを、組み換えポリペプチドもしくは合成ポリペプチド、または融合タンパク質に結合されるタンパク質のN末端ドメイン、C末端ドメイン、または内部ドメインと見なし得る。

0144

いくつかの実施形態においては、融合タンパク質に組み入れられる、または接続されるタンパク質と、ペプチドリンカーとの間に、ペプチドスペーサーなどのスペーサーを1つ以上含むことが、有用である場合がある。したがって、タンパク質とペプチドリンカーとが、互いに直接結合されてもよいし、スペーサー配列を1つ以上用いて、間接的に結合されてもよい。したがって、スペーサー配列によって、組み換えポリペプチドもしくは合成ポリペプチド、または融合タンパク質に結合されるタンパク質のそれぞれの部分のうちの2つ以上の間をあけるか、または離し得る。いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーのN末端またはC末端に、スペーサーが存在していてもよい。いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーの両側に、スペーサーが存在していてもよい。

0145

スペーサー配列の厳密な特徴は、重要ではなく、その長さおよび/または配列は可変であってもよい。例えば、1〜40残基であってもよく、より具体的には、2〜20残基、1〜15残基、1〜12残基、1〜10残基、1〜8残基、または1〜6残基であってもよく、例えば、6残基、7残基、8残基、9残基、10残基またはそれ以上であってもよい。代表的な例においては、スペーサー配列は、もしも存在するのであれば、1〜15残基、1〜12残基、1〜10残基、1〜8残基、または1〜6残基などであってもよい。残基の特徴は重要ではなく、例えば、中性アミノ酸または脂肪族アミノ酸など、どのようなアミノ酸であってもよく、あるいは、疎水性アミノ酸であってもよいし、極性アミノ酸であってもよいし、荷電したアミノ酸であってもよいし、プロリンなどの構造形成アミノ酸であってもよい。いくつかの好ましい実施形態においては、リンカーは、セリンおよび/またはグリシン富む配列である。

0146

したがって、典型的なスペーサー配列は、S、G、L、V、P、R、H、M、A、またはEなどの単一アミノ酸残基、あるいはこのような残基の1つ以上からなるジペプチドトリペプチドテトラペプチドペンタペプチド、またはヘキサペプチドを含む。代表的かつ好ましいスペーサー配列は、配列番号36または配列番号37に示すアミノ酸配列を有する。

0147

本発明の組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドは、精製を(例えば、本発明の方法および使用において用いる前、および/または以下で述べるように融合タンパク質を伸長させる間)容易にするために、精製用部位または精製用タグを含んでいてもよい。適切なものであれば、どのような精製用部位または精製用タグがポリペプチドに組み込まれてもよく、このような部位は当該技術分野においてよく知られている。例えば、いくつかの実施形態においては、組み換えペプチドまたは合成ペプチドは、His−タグ配列などのペプチド精製用タグまたはペプチド精製用部位を含んでいてもよい。このような精製用部位または精製用タグは、ポリペプチド内のどの位置に組み込まれていてもよい。いくつかの好ましい実施形態においては、精製用部位は、ポリペプチドのN末端またはC末端に位置しているか、またはそれらの近く(すなわちアミノ酸5つ分、10個分、15個分、20個分離れたところ)に位置している。

0148

本発明の代表的な組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドは、配列番号50〜59のいずれか1つに示すアミノ酸配列、または配列番号50〜59のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、上述したペプチドリンカーを含む。

0149

好ましくは、組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドは、上述した配列同一性の要件を満たしており、例えば、それが比較される配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0150

上述したように、本発明の利点は、接続されて融合タンパク質を形成するタンパク質に組み込まれたペプチドリンカー(本発明の組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドなど)を、完全に、遺伝的にコードし得るという事実にある。したがって、さらなる態様においては、本発明は、上述したペプチドリンカーまたはポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。

0151

いくつかの実施形態においては、上述したペプチドリンカーをコードする核酸分子は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号8、配列番号11、配列番号12、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、または配列番号110のいずれか1つに示すヌクレオチド配列、あるいは配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号8、配列番号11、配列番号12、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、または配列番号110のいずれか1つに示す配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。

0152

いくつかの実施形態においては、上述した組み換えポリペプチドまたは合成ポリペプチドをコードする核酸分子は、配列番号60〜69のいずれか1つに示すヌクレオチド配列、あるいは配列番号60〜69のいずれか1つに示す配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。

0153

好ましくは、上記の核酸分子は、それが比較される配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0154

核酸配列の同一性は、例えば、設定値が初期値かつpam因子が可変であって、ギャップ作成ペナルティを12.0、ギャップ伸長ペナルティを4.0、ウインドウを6ヌクレオチドとしたGCGパッケージを用いるFASTA検索などによって、決定され得る。好ましくは、該比較は、配列の全長にわたって行われるが、例えば、連続した600個未満のヌクレオチド、500個未満のヌクレオチド、400個未満のヌクレオチド、300個未満のヌクレオチド、200個未満のヌクレオチド、100個未満のヌクレオチド、または50個未満のヌクレオチドなど、より小さい比較ウインドウに対して行われてもよい。

0155

本発明の核酸分子は、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドのみならず、ワトソンクリック型またはそれに類似の塩基対相互作用に加わることができる合成ヌクレオチド残基で構成されていてもよい。好ましくは、核酸分子はDNAまたはRNAである。

0156

上述した核酸分子は、発現制御配列、または組み換えDNAクローニング媒体もしくはこのような組み換えDNA分子を含有するベクターに、作動可能に結合させ得る。このことによって、対象の細胞に導入された遺伝子によって発現される遺伝子産物として、本発明の方法および使用において用いるタンパク質を細胞内で発現すること、例えば本発明のポリペプチドなどを発現することが可能になる。遺伝子発現は、対象の細胞において有効なプロモーター側から行われ、ゲノムへの組み込みのための、または非依存的な複製もしくは一過性トランスフェクション/発現のための、直鎖状または環状核酸(DNAなど)ベクターの形態で挿入されてもよい。適切な形質転換技術またはトランスフェクション技術は、文献にてよく説明されている。あるいは、ネイキッド核酸(DNAなど)分子を、本発明のタンパク質およびポリペプチドを作製するため、かつ本発明において用いるため、細胞に直接導入してもよい。あるいは、インビトロにおける転写によって、核酸をmRNAに変換し、インビトロにおける翻訳によって、該当するタンパク質を生成してもよい。

0157

適切な発現ベクターは、例えば、本発明の核酸分子に一致する読み枠に結合される翻訳制御因子(開始コドン終止コドンリボソーム結合部位など)および転写制御因子(プロモーター−オペレーター領域終結終止配列など)などの適切な制御配列を含む。適切なベクターとしては、プラスミドおよびウイルス(バクテリオファージおよび真核生物ウイルスの両方を含む)が挙げることができる。適切なウイルスベクターとしては、バキュロウイルスや、アデノウイルスアデノ随伴ウイルスヘルペスウイルスおよびワクシニア症ウイルスも挙げられる。当該技術分野においては、他にも多くのウイルスベクターが説明されている。好ましいベクターとしては、pGEX−KG、pEF−neo、およびpEF−HAなどの細菌用発現ベクターおよび哺乳類用発現ベクターが挙げられる。

0158

上述したように、本発明のポリペプチドは、さらなる配列(ポリペプチドの精製を容易にするためのペプチド/タンパク質タグなど)を含んでいてもよく、したがって、好都合なことには、His−タグやマルトース結合タンパク質などのさらなるペプチドまたはポリペプチドをコードするDNAに核酸分子を融合させて、発現時に融合タンパク質が生じるようにしてもよい。

0159

したがって、さらなる態様から見ると、本発明は、上述した核酸分子を含むベクター、好ましくは発現ベクターを提供する。

0160

本発明の他の態様は、本発明に係る組み換え核酸分子を調製する方法を含み、該方法は、本発明のペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドをコードする本発明の核酸分子を、ベクター核酸に挿入することを含む。

0161

好ましくはベクターに含まれる本発明の核酸分子は、適切な手段によって細胞に導入され得る。適切な形質転換技術またはトランスフェクション技術は、文献にてよく説明されている。様々な技術が知られており、これらの技術を用いて、このようなベクターを、発現用の原核細胞または真核細胞に導入してもよい。この目的のための好ましい宿主細胞としては、昆虫細胞系、酵母哺乳類細胞系、またはBL21/DE3株などの大腸菌(E. coli)が挙げられる。本発明は、核酸分子、特に、上述したベクターを含有する、形質転換またはトランスフェクションされた原核宿主細胞または真核宿主細胞にもわたるものである。

0162

したがって、別の態様においては、上述した核酸分子および/またはベクターを含有する組み換え宿主細胞が提供される。

0163

「組み換え」とは、核酸分子および/またはベクターが、宿主細胞に導入されていることを意味する。宿主細胞は、核酸分子の内因性複製物を元々含有していてもよいし、含有していなくてもよいが、核酸分子および/またはベクターの外因性複製物またはさらなる内因性複製物が導入されていると、組み換えである。

0164

本発明のさらなる態様は、先に述べた本発明のペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドを調製する方法を提供するものであって、該方法は、上述した核酸分子を含有する宿主細胞を、該ペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドをコードする該核酸分子が発現される条件下で培養することと、それによって生じた該分子(ペプチドリンカーおよび/またはポリペプチド)を回収することとを含む。発現されたペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドは、本発明のさらなる態様を形成する。

0165

いくつかの実施形態においては、本発明のペプチドリンカーおよび/またはポリペプチド、あるいは本発明の方法および使用において用いるペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドは、例えば、アミノ酸または人工的に生成された小さなペプチドをライゲーションすることによって、あるいは、より好都合なことには、先に述べた該ポリペプチドをコードする核酸分子の組み換え発現によって、人工的に生成されてもよい。

0166

本発明の核酸分子は、当該技術分野において公知の適切な手段によって、人工的に生成されてもよい。

0167

したがって、本発明のペプチドリンカーおよび/またはポリペプチドは、単離・精製された組み換えペプチドリンカーもしくは合成ペプチドリンカー、または組み換えポリペプチドもしくは合成ポリペプチドであってもよい。上述したように、「ポリペプチド」なる語は、本明細書においては、「タンパク質」なる語と交換可能に用いられる。上述したように、典型的には、ポリペプチドまたはタンパク質なる語は、少なくとも40個の連続したアミノ酸残基であって、例えば、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも150個のアミノ酸であり、例えば40〜1000個、50〜900個、60〜800個、70〜700個、80〜600個、90〜500個、100〜400個のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。

0168

同様に、本発明の核酸分子は、単離・精製された組み換え核酸分子もしくは合成核酸分子であってもよい。

0169

したがって、別の見方をすると、本発明のペプチドリンカー、ポリペプチド、および核酸分子は、好ましくは、非自然の、すなわち非天然型の、分子である。

0170

本明細書においては、標準的なアミノ酸命名法を用いる。したがって、アミノ酸残基の正式名称は、一文字コードまたは三文字略語と交換可能に用いられ得る。例えば、リジンを、KまたはLysに替えて用いることができ、イソロイシンを、IまたはIleに替えて用いることがでいる。さらに、アスパラギン酸塩(aspartate)およびアスパラギン酸(aspartic acid)、ならびにグルタミン酸塩(glutamate)およびグルタミン酸(glutamic acid)は、本明細書において交換可能に用いられ、それぞれ、aspまたはD、あるいはgluまたはEに替えて用いることができる。

0171

本発明のペプチドリンカーおよびポリペプチド、ならびに本発明の使用において用いるペプチドリンカーおよびポリペプチドは、組み換えによって作製されることが想定され、これは、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明のペプチドリンカーは、融合タンパク質に接続されたタンパク質に、他の手段によって連結されてもよいということは明らかであろう。換言すると、ペプチドリンカーおよびタンパク質は、適切な手段、例えば組み換えによって、個別に作製され、次いで、連結(接続)されて、本発明の方法において用いることができるペプチドリンカー−タンパク質複合体を形成してもよい。例えば、本発明のペプチドリンカーは、上述したように、人工的に、または組み換えによって作製され、化学的リンカーまたは化学的スペーサーなどの非ペプチドリンカーまたは非ペプチドスペーサーを介して、タンパク質(これは、本発明の方法にしたがって融合タンパク質に結合される)に連結されてもよい。

0172

したがって、いくつかの実施形態においては、融合物に組み入れられるペプチドリンカーおよびタンパク質は、結合によって直接接続されてもよいし、結合基を介して間接的に接続されてもよい。結合基が用いられる場合、このような基は、結合基を介してペプチドリンカーとタンパク質成分とが共有結合するように、選択され得る。対象の結合基は、タンパク質成分の性質に応じて、様々なものがあり得る。結合基が存在する場合、これは、多くの実施形態において、生物学的に不活性である。

0173

様々な結合基が当業者には知られており、また、本発明において用いられる。代表的な実施形態においては、概して、結合基は少なくとも約50ダルトンであって、通常は少なくとも約100ダルトンであり、結合基がスペーサーを含有する場合は、例えば1000000ダルトンを限度として1000ダルトンより大きくてもよいが、概して約500ダルトンを越えることはなく、通常は約300ダルトンを越えることはない。概して、このようなリンカーは、ペプチドリンカーおよびタンパク質成分と共有結合できる反応性官能基がいずれかの末端をなすスペーサー基を含む。対象のスペーサー基としては、脂肪族不飽和炭化水素鎖、酸素ポリエチレングリコールなどのエーテル)または窒素ポリアミン)などのヘテロ原子を含有するスペーサー、ペプチド、炭水化物、ヘテロ原子を含有する可能性のある環状系または非環状系を挙げることができる。金属イオンが存在すると、2つ以上のリガンド配位結合して複合体を形成するように、スペーサー基が、金属と結合するリガンドを含むものであってもよい。具体的なスペーサーの構成分子としては、1,4−ジアミノヘキサンキシリレンジアミンテレフタル酸、3,6−ジオキサオクタン二酸、エチレンジアミン−N,N−二酢酸、1,1’−エチレンビス(5−オキソー3−ピロリジンカルボン酸)、4,4’−エチレンピペリジンなどが挙げられる。潜在的な反応性官能基としては、求核性官能基(アミン、アルコールチオールヒドラジド)、求電子性官能基アルデヒドエステルビニルケトンエポキシドイソシアネートマレイミド)、環状付加反応、ジスルフィド結合の形成、または金属への結合が可能な官能基などが挙げられる。具体的な例としては、第1級アミンおよび第2級アミン、ヒドロキサム酸、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、炭酸N−ヒドロキシスクシンイミジル、オキシカルボニルイミダゾールニトロフェニルエステル、トリフルオロエチルエステル、グリシジルエーテルビニルスルホン、およびマレイミドなどが挙げられる。対象のブロッキング試薬に用いられ得る具体的なリンカー基としては、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオプロピオンアミドビススルホスクシンイミジルスベレートジメチルアジピミデート酒石酸ジスクシンイミジル、N−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジド安息香酸、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオン酸、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチルアミノ安息香酸グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸などのヘテロ官能性化合物、ならびに3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)、4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)などが挙げられる。

0174

いくつかの実施形態においては、ペプチドリンカーおよび/またはタンパク質中の残基を1つ以上改変して、これらの分子の連結を容易にし、かつ/あるいはペプチドリンカーおよび/またはタンパク質の安定性を向上させることは、有用であり得る。したがって、いくつかの実施形態においては、本発明のペプチドリンカー、ポリペプチド、またはタンパク質、あるいは本発明において用いるペプチドリンカー、ポリペプチド、またはタンパク質は、非天然アミノ酸または非標準アミノ酸を含んでいてもよい。

0175

いくつかの実施形態においては、本発明のペプチドリンカー、ポリペプチド、またはタンパク質、あるいは本発明において用いるペプチドリンカー、ポリペプチド、またはタンパク質は、非従来的な(non-conventional)アミノ酸、すなわち、標準的な遺伝コードではコードされない側鎖を有し、本明細書においては「非コードアミノ酸」と称する、アミノ酸を、1つ以上、例えば少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、含んでいてもよく、例えば、10個、15個、20個またはそれ以上の非従来的なアミノ酸を含んでいてもよい(表1などを参照)。これらは、代謝過程で形成されるオルニチンもしくはタウリンなどのアミノ酸、および/または9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)などで保護されたアミノ酸もしくはベンジルオキシ−カルボニル(Z)基を有するアミノ酸などの人工的に改変されたアミノ酸から選択されてもよい。

0176

本発明のペプチドリンカーまたはポリペプチド、あるいは本発明において用いるペプチドリンカーまたはポリペプチドにおいて用い得る非標準アミノ酸または構造類似アミノ酸としては、例えば、Dアミノ酸、アミド等電子体(N−メチルアミドレトロ逆アミド(retro-inverse amide)、チオアミド、チオエステル、ホスホン酸塩ケトメチレンヒドロキシメチレンフルオロビニル、(E)−ビニル、メチレンアミノ、メチレンチオ、またはアルカン)、L−Nメチルアミノ酸、D−αメチルアミノ酸、D−N−メチルアミノ酸などが挙げられる。表1に、非従来的なアミノ酸、すなわち非コードアミノ酸の例を挙げる。

0177

0178

いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、例えば固相を用いて(上述したように)不均一系で行われてもよく、本方法においては、伸長する融合タンパク質、好ましくは融合タンパク質鎖における第1のタンパク質または第2のタンパク質、を固相上に固定し、洗浄ステップを用いてもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、本方法は固相法(すなわち不均一法)である。別の見方をすると、本方法は、固相または固体基質上で行われる。固相アッセイの使用は、有利である。例えば、洗浄ステップを行うことで、ペプチドリガーゼや、ペプチドリンカーの脱ブロッキング(脱ケージング、脱遮蔽、脱保護)に関わる成分など、次の反応(すなわち融合タンパク質へのさらなるタンパク質の付加)に干渉し得る過剰な未反応タンパク質および/または成分の除去を援助することができる。

0179

融合タンパク質の固相への固定化は、様々な方法で行われ得る。融合タンパク質の固定化、すなわち担体への結合は、あらゆる簡便な方法で行われてもよい。いくつかの実施形態においては、融合タンパク質の第1のタンパク質または第2のタンパク質が、固相担体に固定化される。したがって、いくつかの実施形態においては、本方法は、第1のタンパク質を固相担体に固定化するステップを含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、本方法は、第1のタンパク質および第2のタンパク質を含む結合タンパク質を、固相担体に固定化するステップを含んでいてもよい。

0180

したがって、固定化の様式または手段、および固相担体は、当該技術分野において広く知られ、文献にて説明されている任意の数の固定化手段および固相担体から、好みに応じて選択されてもよい。したがって、融合タンパク質は、例えば、融合タンパク質中の少なくとも1つのタンパク質のドメインまたは部位を介して、直接、担体に結合(例えば、化学的に架橋結合)されてもよい。いくつかの実施形態においては、融合タンパク質は、リンカー基によって、または中継結合基によって(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン相互反応によって)、間接的に結合されてもよい。したがって、融合タンパク質は、固相担体に共有結合してもよいし、非共有的に結合してもよい。結合は、可逆的結合(例えば、切断可能な結合)であってもよいし、不可逆的結合であってもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、結合は、酵素によって切断されてもよいし、化学的に切断されてもよいし、光によって切断されてもよい。例えば結合は、感光性結合であってもよい。

0181

したがって、いくつかの実施形態においては、融合タンパク質に含まれるタンパク質は、固定化手段(例えば、担体に備えられたストレプトアビジンまたは抗体などの結合パートナー、すなわち同系結合パートナーに結合することができるビオチンまたはハプテンなどの親和性結合パートナー)を備えていてもよい。いくつかの実施形態においては、担体に固定化されるタンパク質は、マルトース結合タンパク質、抗体などの結合タンパク質であってもよい。融合タンパク質と固相担体との間の相互作用は、洗浄ステップが可能となるくらいに、強固でなければならない。すなわち、融合タンパク質と固相担体との間の相互作用は、洗浄ステップによって分断されない(大きくは分断されない)。例えば、各洗浄ステップによって、固相から除去されるまたは溶出する融合タンパク質は、5%未満、好ましくは4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満であることが好ましい。この点において、発明者らは、マルトースに対する結合親和性が向上し、それによって本発明の方法に特に役立つ改変マルトース結合タンパク質を開発した。

0182

したがって、本発明のさらなる態様は、配列番号70に示すアミノ酸配列、または配列番号70に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を有するマルトース結合タンパク質を提供する。

0183

いくつかの実施形態においては、上記のマルトース結合タンパク質は、それが比較される配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を有する。

0184

好ましくは、配列番号70に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するマルトース結合タンパク質は、配列番号70に示すアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等である。すなわち、配列番号70に示すアミノ酸配列からなるタンパク質と同じか、またはそれよりも高い親和性で、マルトースと結合することができる。例えば、本発明のマルトース結合タンパク質のマルトースに対する結合親和性は、0.2μM未満であり、例えば、0.1μM以下、0.08μM以下、0.05μM以下、0.03μM以下、または0.01μM以下である。好ましい実施形態においては、配列番号70に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するマルトース結合タンパク質は、312位および317位にバリンを含む。

0185

本発明は、上述したマルトース結合タンパク質をコードする核酸分子も提供する。いくつかの実施形態においては、核酸分子は、配列番号71に示すヌクレオチド配列、または配列番号71に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有する。

0186

いくつかの実施形態においては、マルトース結合タンパク質は、本明細書で述べるペプチドリンカーを含む(例えば、連結されている)。またさらなる実施形態においては、マルトース結合タンパク質は、上述したアミノ酸配列を2つ以上(例えば、2つまたは3つ)有する。すなわち、繰り返し配列を有する。

0187

融合タンパク質、例えば融合タンパク質に組み入れられた第1のタンパク質の固定化は、融合タンパク質に組み入れられるさらなるタンパク質(第2のタンパク質など)との接触前に行われてもよいし、接触後に行われてもよい。さらに、このような「固定化可能な」融合タンパク質は、担体と共に、さらなるタンパク質と接触させてもよい。

0188

固相担体は、固定化や分離などに現在広く用いられている、または提案されている、公知の担体またはマトリクスのいずれであってもよい。これらの形態としては、粒子(例えば、磁気ビーズであってもよいし、常磁性ビーズであってもよいし、非磁気ビーズであってもよい)、シートゲルフィルター、膜、繊維、毛細管スライド、アレイもしくはマイクロタイターストリップチューブプレート、またはウェルなどのいずれであってもよい。

0189

担体は、ガラス製、シリカ製ラテックス製、またはポリマー材料製のいずれであってもよい。融合タンパク質が結合する表面積が大きい材料が適している。このような担体の表面は、凹凸があってもよく、例えば、粒子、繊維、ウェブ焼結体またはなどの多孔性または粒状のものであってもよい。ビーズなどの粒状材料は、結合容量が大きいので有用であり、特にポリマービーズが有用である。

0190

好都合なことには、本発明にしたがって用いられる粒状固相担体は、球状のビーズを含む。ビーズの大きさは重要ではないが、その直径のオーダーは、例えば、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μmであってもよく、好ましくは、最大直径は10μm以下、例えば、6μm以下であってもよい。

0191

大きさが実質的に均一である(例えば、直径の標準偏差が5%未満の大きさである)単分散粒子は、反応の再現性が非常に一定であるという点で、有利である。代表的な単分散ポリマー粒子は、US−A−4336173で説明されている技術によって作製され得る。

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