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技術 臓器移植における使用のためのII型抗CD20抗体

出願人 ジェネンテック,インコーポレイテッド
発明者 ブルネッタ,ポールボリー,ドミニク
出願日 2016年6月28日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-568058
公開日 2018年7月26日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2018-520153
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 改善対象 溶解比 ASCIIテキスト 全事象 長時間待機 安全性検査 割り当てプログラム 待機リスト
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この項目の情報は公開日時点(2018年7月26日)のものです。
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図面 (2)

課題・解決手段

本開示は、とりわけ、移植の前、移植と同時及び/または移植後に有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することによって、腎移植のような臓器移植の必要な個体を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、アロ抗体パネル反応性抗体(PRA)、及び/または移植片拒絶リスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、移植前に個体に対してある用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することを包含する。

概要

背景

腎移植は、末期腎疾患ESRD)を有する患者のために選択される処置である。移植レシピエントは、長期透析のESRD患者と比較して平均的に生活の質の大きい向上、生存延長及び全体的なコストの低下を享受する。しかし、移植片由来する外来抗原HLA抗原など)に対する移植レシピエントのアロ抗体は、即時性の及び致命的な移植片拒絶をもたらし得、そのため同種移植成功に対して大きな障壁となる。従って、移植界では、見込みがあるレシピエントに利用可能な移植片を割り当てるための交差適合手順を厳密に採用した。候補者における移植失敗のリスクを評価するための一般的な手順は、パネル反応性抗体(PRA)レベル、またはドナーリンパ球(候補者の血清が反応して細胞死滅誘導する)のプールパーセンテージを決定することである。

20%を超えるPRAを有する患者は、高感作の移植候補とみなしてもよく、それらは米国の待機リスト上の全ての腎移植候補の約20%〜30%に相当する。高感作患者の移植率は、非感作患者における移植率のわずか四分の一にしか過ぎない。前の臓器移植輸血、及び妊娠は、すべて既存のアロ抗体を引き起こし、PRA及び移植候補者の待機時間を延長し、移植後の移植片生存の機会を低減し得る。高感作はまた、他の固形臓器移植を待っている患者の間で広範な問題である。この十分支援されていない患者集団には、未だ満たされていない医療ニーズが存在する。

低用量及び高用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)、血漿交換PLEX)、及びB細胞枯渇剤(例えば、リツキシマブ)を含む、高感作腎移植患者の間で互換性のあるドナーの利用可能性を最適化するために、種々の脱感作プロトコルが研究されている(Vo,A.A.and Jordan,S.C.,Clinical and Experimental Immunology 178(2014):48−51)。これらの方法は、アロ抗体及び自己特異的B細胞を抑制することを目的としており、それにより、PRAを減少させて、利用可能な移植片に対するマッチングの機会を増やし、移植後の抗体媒介性拒絶反応(AMR)の発生率を減少させることができる。

高PRAを有する移植患者の脱感作及び移植後の移植片拒絶のリスクを低減するための有効かつ安全な薬剤がまだ必要とされている。

本明細書で開示される全ての参考文献、刊行物、及び特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

概要

本開示は、とりわけ、移植の前、移植と同時及び/または移植後に有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することによって、腎移植のような臓器移植の必要な個体を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、アロ抗体、パネル反応性抗体(PRA)、及び/または移植片拒絶のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、移植前に個体に対してある用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することを包含する。

目的

候補者における移植失敗のリスクを評価するための一般的な手順は、パネル反応性抗体(PRA)レベル、またはドナーリンパ球(候補者の血清が反応して細胞死滅を誘導する)のプールのパーセンテージを決定することである

効果

実績

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請求項1

臓器移植の必要な個体を処置するための方法であって、前記臓器移植の前、同時及び/または後に有効量のII型抗CD20抗体を前記個体に投与することを包含する、前記方法。

請求項2

前記臓器移植が腎移植である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記方法が前記個体におけるアロ抗体のレベルを低減する、請求項1または請求項2に記載の方法。

請求項4

前記方法が前記個体におけるパネル反応性抗体(PRA)のレベルを低減する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記方法が、移植の可能性を高める、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記方法が、前記II型抗CD20抗体の投与後約12ヵ月内に移植の可能性を高める、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記方法が、適切な移植片を受け取るための前記個体の待機時間を短縮する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記個体が、前記II型抗CD20抗体の投与無しだと交差不適合性であったであろう交差適合性の移植片を受け入れる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

アロ抗体のレベルを前記低減することが、前記臓器移植後の前記個体におけるドナー特異的抗体のレベルを低減することを包含する、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

アロ抗体のレベルを前記低減することが、前記臓器移植後の移植片拒絶リスクを低減する、請求項3〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

前記移植片拒絶が、細胞性免疫応答体液性免疫応答、またはその両方による急性拒絶である、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記移植片拒絶が抗体媒介性拒絶(AMR)である、請求項10または請求項11に記載の方法。

請求項13

前記方法が移植片の生存延長する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

前記方法が移植片の機能を改善する、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。

請求項15

前記方法が前記個体の全生存を延長する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。

請求項16

前記抗CD20抗体が静脈内投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項17

約900mgと約1100mgとの間の前記II型抗CD20抗体の用量を、前記臓器移植の前に前記個体に投与する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。

請求項18

前記II型抗CD20抗体の前記用量が約1000mgである、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記臓器移植の前に第2の用量の約900mgと約1100mgとの間の前記II型抗CD20抗体を前記個体に投与することをさらに包含し、前記II型CD20抗体の前記第2の用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の約10日〜約18日後または約1週間〜約3週間後に、投与される、請求項17または請求項18に記載の方法。

請求項20

前記II型抗CD20抗体の前記第2の用量が約1000mgである、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記II型抗CD20抗体の前記第2の用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の約14日後または約2週間後に投与される、請求項19または20に記載の方法。

請求項22

前記個体が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与後約6週間〜約52週間の間に前記臓器移植を受ける、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。

請求項23

前記臓器移植の前に、約900mgと約1100mgとの間の前記II型抗CD20抗体の第3の用量を前記個体に投与することをさらに包含し、ここで、前記II型抗CD20抗体の前記第3の用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の約154日〜約182日後または約22週間〜約26週間後に投与される、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。

請求項24

前記II型抗CD20抗体の前記第3の用量が、約1000mgである、請求項23に記載の方法。

請求項25

II型抗CD20抗体の前記第3の用量が、前記II型抗CD20抗体の第1の用量の約168日後または約24週間後に投与される、請求項23または請求項24に記載の方法。

請求項26

前記個体が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与後約28週間〜約52週間の間に前記臓器移植を受ける、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。

請求項27

前記臓器移植前に前記個体に対してある用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することをさらに包含する、請求項17〜26のいずれか1項に記載の方法。

請求項28

前記IVIGの前記用量が、高用量である、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記IVIGの前記用量が、約2g/kgである、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記IVIGの前記用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与後約14日〜約28日の間、または約2週間〜約4週間の間に前記個体に投与される、請求項27〜29のいずれか1項に記載の方法。

請求項31

前記IVIGの前記用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与の約21日後または約3週間後に前記個体に投与される、請求項30に記載の方法。

請求項32

前記臓器移植前に前記個体に対して第2の用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することをさらに包含する、請求項27〜31のいずれか1項に記載の方法。

請求項33

前記IVIGの前記第2の用量が、高用量である、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記IVIGの前記第2の用量が、約2g/kgである、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記IVIGの前記第2の用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与後約35日〜約49日の間、または約5週間〜約7週間の間に前記個体に投与される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法。

請求項36

前記IVIGの前記第2の用量が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の投与の約42日後または約6週間後に前記個体に投与される、請求項35に記載の方法。

請求項37

約900mgと約1100mgとの間の用量の前記II型抗CD20抗体が前記臓器移植と同時に前記個体に投与され、ここで前記臓器移植と同時に前記個体に投与される前記II型抗CD20抗体の前記用量が、前記臓器移植の48時間内に投与される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。

請求項38

前記臓器移植と同時に前記個体に投与される前記II型抗CD20抗体の前記用量が約1000mgである、請求項37に記載の方法。

請求項39

約900mgと約1100mgとの間の前記II型抗CD20抗体の用量を、前記臓器移植の前に前記個体に投与する、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。

請求項40

前記臓器移植の後に前記個体に投与される前記II型抗CD20抗体の前記用量が約1000mgである、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記臓器移植の後に前記個体に投与される前記II型抗CD20抗体の前記用量が、前記臓器移植の約154日〜約182日後または約22週間〜約26週間後に投与される、請求項39または請求項40に記載の方法。

請求項42

前記臓器移植の後に前記個体に投与される前記II型抗CD20抗体の前記用量が、前記臓器移植の約168日後または約24週間後に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記II型抗CD20抗体が、ヒトまたはヒト化されている、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。

請求項44

前記II型抗CD20抗体が、配列番号1のHVR−H1配列、配列番号2のHVR−H2配列、及び配列番号3のHVR−H3を含む重鎖、及び/または配列番号4のHVR−L1配列、配列番号5のHVR−L2配列、及び配列番号6のHVR−L3配列を含む軽鎖を含む、請求項1〜43のいずれか1項に記載の方法。

請求項45

前記II型抗CD20抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、請求項44に記載の方法。

請求項46

前記II型抗CD20抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項44または請求項45に記載の方法。

請求項47

前記II型抗CD20抗体が、アフコシル化されている、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。

請求項48

前記抗CD20抗体が、オブニツズマブである、請求項1〜47のいずれか1項に記載の方法。

請求項49

前記対象が、前記II型抗CD20抗体の前記第1の用量の前に少なくとも約20%のパネル反応性抗体(PRA)を有する、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。

請求項50

前記個体が末期腎疾患を有する、請求項2〜49のいずれか1項に記載の方法。

請求項51

前記個体が、以前の臓器移植、輸血、及び妊娠のうちの1つ以上を経験している、請求項1〜50のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/186,303号(2015年6月29日に出願され、その全体が参照によって本明細書に援用される)の優先権利益を主張する。

0002

ASCIIテキストファイルでの配列表提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される:コンピューター読み取り可能型(CRF)の配列表(ファイル名:146392032340SeqList.txt、記録日:2016年6月22日、サイズ:36KB)。

0003

発明の分野
本開示は、臓器移植(例えば、腎移植)の分野に関する。具体的には、本明細書で提供されるのは、移植の前、移植と同時及び/または移植後に有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することによって、移植の必要な個体を処置するための方法である。

背景技術

0004

腎移植は、末期腎疾患ESRD)を有する患者のために選択される処置である。移植レシピエントは、長期透析のESRD患者と比較して平均的に生活の質の大きい向上、生存延長及び全体的なコストの低下を享受する。しかし、移植片由来する外来抗原HLA抗原など)に対する移植レシピエントのアロ抗体は、即時性の及び致命的な移植片拒絶をもたらし得、そのため同種移植成功に対して大きな障壁となる。従って、移植界では、見込みがあるレシピエントに利用可能な移植片を割り当てるための交差適合手順を厳密に採用した。候補者における移植失敗のリスクを評価するための一般的な手順は、パネル反応性抗体(PRA)レベル、またはドナーリンパ球(候補者の血清が反応して細胞死滅誘導する)のプールパーセンテージを決定することである。

0005

20%を超えるPRAを有する患者は、高感作の移植候補とみなしてもよく、それらは米国の待機リスト上の全ての腎移植候補の約20%〜30%に相当する。高感作患者の移植率は、非感作患者における移植率のわずか四分の一にしか過ぎない。前の臓器移植、輸血、及び妊娠は、すべて既存のアロ抗体を引き起こし、PRA及び移植候補者の待機時間を延長し、移植後の移植片生存の機会を低減し得る。高感作はまた、他の固形臓器移植を待っている患者の間で広範な問題である。この十分支援されていない患者集団には、未だ満たされていない医療ニーズが存在する。

0006

低用量及び高用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)、血漿交換PLEX)、及びB細胞枯渇剤(例えば、リツキシマブ)を含む、高感作腎移植患者の間で互換性のあるドナーの利用可能性を最適化するために、種々の脱感作プロトコルが研究されている(Vo,A.A.and Jordan,S.C.,Clinical and Experimental Immunology 178(2014):48−51)。これらの方法は、アロ抗体及び自己特異的B細胞を抑制することを目的としており、それにより、PRAを減少させて、利用可能な移植片に対するマッチングの機会を増やし、移植後の抗体媒介性拒絶反応(AMR)の発生率を減少させることができる。

0007

高PRAを有する移植患者の脱感作及び移植後の移植片拒絶のリスクを低減するための有効かつ安全な薬剤がまだ必要とされている。

0008

本明細書で開示される全ての参考文献、刊行物、及び特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

0009

いくつかの態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体を処置するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における臓器拒絶の予防を提供するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植を受けている個体における臓器拒絶の予防を提供するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体の生存を延長するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における移植片生存を延長するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における移植片の機能を改善するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体におけるアロ抗体のレベルを低減するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体におけるパネル反応性抗体(PRA)のレベルを低減するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における移植の可能性を高めるための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における交差適合性を増大するための方法が提供される。他の態様では、本明細書では、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する、臓器移植の必要な個体における移植片拒絶の可能性を低減するための方法が提供される。上記の任意の実施形態と組み合され得るいくつかの実施形態では、臓器移植は腎移植である。

0010

いくつかの実施形態では、上記方法は、個体におけるアロ抗体のレベルを低減する。いくつかの実施形態では、上記方法は、個体におけるパネル反応性抗体(PRA)のレベルを低減する。いくつかの実施形態では、上記方法は、移植の可能性を高める。いくつかの実施形態では、上記方法は、II型抗CD20抗体の投与後約12ヵ月内に移植の可能性を高める。いくつかの実施形態では、上記方法は、適切な移植片(例えば、腎臓移植片)を受け取る個体の待機時間を短くする。いくつかの実施形態では、上記個体は、II型抗CD20抗体の投与無しだと交差不適合性であったであろう交差適合性の移植片(例えば、腎臓移植片)を受け入れる。いくつかの実施形態では、アロ抗体のレベルを低減するステップは、臓器移植後の個体におけるドナー特異的抗体のレベルを低減するステップを包含する。いくつかの実施形態では、アロ抗体のレベルを低減するステップは、臓器移植後の移植片拒絶のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、上記移植片拒絶は、細胞性免疫応答体液性免疫応答、またはその両方による急性拒絶である。いくつかの実施形態では、上記移植片拒絶は抗体媒介性拒絶(AMR)である。いくつかの実施形態では、上記方法は、移植片生存を延長する。いくつかの実施形態では、上記方法は、移植片機能を改善する。いくつかの実施形態では、上記方法は、個体の全生存を延長する。

0011

いくつかの実施形態では、上記抗CD20抗体は静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、約900mg〜約1100mgの間の用量のII型抗CD20抗体を、臓器移植の前に上記個体に投与する。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の用量は約1000mgである。いくつかの実施形態では、この方法は、臓器移植の前に第2の用量の約900mg〜約1100mgのII型抗CD20抗体を個体に投与することをさらに包含し、ここでII型CD20抗体の上記第2の用量が、II型抗CD20抗体の第1の用量の約10日〜約18日後または約1週間〜約3週間後に投与される。いくつかの実施形態では、II型抗CD20抗体の第2の用量は、約1000mgである。いくつかの実施形態では、II型抗CD20抗体の第2の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約14日後または約2週間後に投与される。いくつかの実施形態では、上記個体は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約6週間〜約52週間の間に臓器移植を受ける。いくつかの実施形態では、上記方法は、上記臓器移植の前に、約900mg〜約1100mgの間のII型抗CD20抗体の第3の用量を個体に投与することをさらに包含し、ここでこのII型抗CD20抗体の第3の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約154日〜約182日後または約22週間〜約26週間後に投与される。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の第3の用量は約1000mgである。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の第3の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約168日後または約24週間後に投与される。いくつかの実施形態では、上記個体は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約28週間〜約52週間の間に臓器移植を受ける。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の約1000mgの第1の用量が、臓器移植の前に個体に投与される。上記個体は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約6週間〜約52週間の間に臓器移植を受ける。II型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量が、臓器移植と同時に個体に投与され、ここで臓器移植と同時にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の48時間内に投与される。II型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量が、臓器移植の後に個体に投与され、ここで臓器移植の後にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の約168日後または約24週間後に投与される。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の約1000mgの第1の用量は、臓器移植の前に個体に投与される。II型抗CD20抗体の約1000mgの第2の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約14日後または約2週間後に個体に投与される。この個体は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約6週間〜約52週間の間に臓器移植を受ける。上記II型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量は、臓器移植と同時に個体に投与され、ここで臓器移植と同時にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の48時間内に投与される。そしてII型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量は、臓器移植の後に個体に投与され、ここで臓器移植の後にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の約168日後または約24週間後に投与される。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体の約1000mgの第1の用量は、臓器移植の前に個体に投与される。II型抗CD20抗体の約1000mgの第2の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約14日後または約2週間後に個体に投与される。上記II型抗CD20抗体の約1000mgの第3の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の約168日後または約24週間後に個体に投与される。この個体は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約28週間〜約52週間の間に臓器移植を受ける。上記II型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量は、臓器移植と同時に個体に投与され、ここで臓器移植と同時にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の48時間内に投与される。そしてII型抗CD20抗体の約1000mgの間の用量は、臓器移植の後に個体に投与され、ここで臓器移植の後にこの個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の約168日後または約24週間後に投与される。

0012

いくつかの実施形態では、この方法はさらに、臓器移植前に個体に対してある用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することを包含する。いくつかの実施形態では、IVIGの用量は高用量である。いくつかの実施形態では、IVIGの用量は約2g/kgである。いくつかの実施形態では、上記IVIGの用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約14日〜約28日の間、または約2週間〜約4週間の間に個体に投与される。いくつかの実施形態では、上記IVIGの用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与の約21日後または約3週間後に個体に投与される。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、臓器移植前に個体に対して第2の用量の静脈内免疫グロブリン(IVIG)を投与することを包含する。いくつかの実施形態では、IVIGの第2の用量は高用量である。いくつかの実施形態では、IVIGの第2の用量は約2g/kgである。いくつかの実施形態では、上記IVIGの第2の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与後約35日〜約49日の間、または約5週間〜約7週間の間に個体に投与される。いくつかの実施形態では、上記IVIGの第2の用量は、II型抗CD20抗体の第1の用量の投与の約42日後または約6週間後に個体に投与される。

0013

いくつかの実施形態では、約900mg〜約1100mgの間の用量のII型抗CD20抗体が、臓器移植と同時に個体に投与され、ここで臓器移植と同時に個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の48時間内に投与される。いくつかの実施形態では、臓器移植と同時に上記個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は約1000mgである。

0014

いくつかの実施形態では、約900mg〜約1100mgの間のII型抗CD20抗体の用量を、臓器移植の後に個体に投与する。いくつかの実施形態では、臓器移植の後に上記個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は約1000mgである。いくつかの実施形態では、臓器移植の後に上記個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の約154日〜約182日後または約22週間〜約26週間後に投与される。いくつかの実施形態では、臓器移植の後に上記個体に投与されるII型抗CD20抗体の用量は、臓器移植の約168日後または約24週間後に投与される。

0015

いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体は、ヒトまたはヒト化されている。いくつかの実施形態では、II型抗CD20抗体は、配列番号1のHVR−H1配列、配列番号2のHVR−H2配列、及び配列番号3のHVR−H3配列を含む重鎖及び/または配列番号4のHVR−L1配列、配列番号5のHVR−L2配列、及び配列番号6のHVR−L3配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、上記II型抗CD20抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、II型抗CD20抗体はアフコシル化されている。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はオビヌツズマブである。

0016

いくつかの実施形態では、上記対象は、II型抗CD20抗体の第1の用量の前に少なくとも約20%のパネル反応性抗体(PRA)を有する。いくつかの実施形態では、上記個体は末期腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、上記個体は、以前の臓器移植、輸血、及び妊娠のうちの1つ以上を経験している。

0017

本明細書に記載の様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、当業者に明らかとなろう。本発明のこれら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明によってさらに説明される。

図面の簡単な説明

0018

高感作腎移植患者における静脈内オビヌツズマブに加えて高用量静脈内免疫グロブリン(IVIG)を検討する第Ib相臨床治験の例示的な治験デザインを示す。治験のデザインは、実施例1に記載する。

0019

一態様では、臓器移植(例えば、腎移植)を必要とする個体を処置するための方法であって、臓器移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、個体におけるアロ抗体のレベル、例えば個体におけるパネル反応性抗体(PRA)のレベルを低減する。いくつかの実施形態では、約900mg〜約1100mgの間のII型抗CD20抗体の1つ以上の用量を、臓器移植の前に個体に投与してもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、臓器移植前に静脈内免疫グロブリン(IVIG)の1回以上の用量を個体に投与することをさらに包含する。いくつかの実施形態において、約900mg〜約1100mgの間のII型抗CD20抗体の用量が、臓器移植と同時に個体に投与される。いくつかの実施形態では、約900mg〜約1100mgの間のII型抗CD20抗体の1つ以上の用量を、臓器移植後に個体に投与してもよい。

0020

I.一般的技術
本明細書に記載または参照される技術及び手順は、一般的によく理解されており、かつ当業者による従来の方法、例えば、以下に記載される広範に利用される方法論などを用いて通常使用される:Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995))、Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987))、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons,Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)。

0021

II.定義
「移植片」という用語は、本明細書において使用される場合、レシピエントへの移植のための、ドナーに由来する生物学的物質を指す。移植片としては、例えば、膵島細胞及び神経由来細胞(例えば、シュワン細胞)などの単離された細胞新生児羊膜骨髄造血前駆細胞などの組織、ならびに臓器、例えば、皮膚、心臓肝臓脾臓膵臓甲状腺葉腎臓管状臓器(例えば、腸、血管または食道)等の臓器のような多様な材料が挙げられる。管状臓器は、食道、血管、または胆管の損傷した部分を置き換えるために使用され得る。皮膚移植片は、火傷だけでなく、損傷した腸への包帯材として、または横隔膜ヘルニアなどのある特定の欠陥を閉じるために使用されてもよい。移植片は、死体由来であるか生きたドナー由来であるかを問わず、ヒトを含む任意の哺乳動物源に由来し得る。移植片は、腎臓または心臓などの固形臓器であってもよい。代表的な臓器移植では、移植片のドナー及び移植片の宿主(すなわちレシピエント)は好ましくは、移植前に交差適合性である。

0022

「ドナー」という用語は、本明細書において用いる場合、移植片が由来する哺乳動物種を生死にかかわらず指す。好ましくは、ドナーとはヒトである。一般的に、ヒトドナーには、健康診断で正常なボランティア血液関連ドナー、及び同じ主要ABO血液型群のドナーが含まれ得る。本発明において企図されるヒトドナーとしてはまた、限定するものではないが、レシピエントと遺伝的に類似しないドナー、及び処置前にレシピエントと交差不適合であるが処置後または処置の一部の後にレシピエントと交差適合性であるドナーを含んでもよい。

0023

「移植」という用語及びその変化形は、宿主(すなわちレシピエント)への移植片の挿入であって、この移植が同系(ここではドナー及びレシピエントが遺伝的に同一)、同種異系(ここではドナー及びレシピエントが同種であるが、異なる遺伝的起源のものである)、または異種(ここではドナー及びレシピエントが異なる種由来である)である移植片の挿入を指す。したがって、典型的なシナリオでは、宿主はヒトであり、移植片は同種または異種の遺伝的起源のヒト由来同種移植片である。別のシナリオでは、移植片は、移植される種とは異なる種由来、例えば、ヒトレシピエント宿主に移植されたヒヒ心臓由来であり、これには、系統学的に広く離れた種由来の動物、例えば、ヒト宿主に移植されたブタ心臓弁、または動物のベータ島細胞または神経細胞が挙げられる。

0024

「アロ抗体」という用語は、同じ種の別の個体のアロ抗原と反応する、ある個体によって産生される抗体を指す。「アロ抗原」とは、同じ種の異なる個体において同じ遺伝子座にコードされた対立遺伝子型で存在する抗原である。外来物質及び宿主における高度に多型性の遺伝子の産物間の相違のせいで、アロ抗原によって免疫応答が誘発され得る。アロ抗原の主要な供給源は、主要組織適合複合体MHC分子としても知られているヒト白血球抗原HLA)分子由来である。

0025

「交差適合」という用語は、例えば、ドナー細胞に対するレシピエントの血清の反応性によって実証されるような、臓器移植におけるドナーと予想されるレシピエントとの間の適合性を決定する試験を指す。陽性の交差適合によって、ドナーと予想されるレシピエントとの間の不適合が示され、陰性の交差適合によって、ドナーと予測されるレシピエントとの間の適合性が示される。例示的な交差適合試験としては、限定するものではないが、ドナー特異的フローサイトメトリー交差適合、補体依存性細胞傷害性交差適合、及びT細胞補体依存性細胞傷害性パネル反応性抗体アッセイを挙げることができる。交差適合及び例示的な交差適合試験のより詳細な説明については、例えば、Mulley,W.R.and Kanellis,J.(2011)Nephrology 16:125−33を参照されたい。

0026

「抗体」という用語は、モノクローナル抗体免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多価特異的抗体(例えば、二価特異的抗体、ダイアボディ、及び単鎖分子、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、及びFv)を包含する。別段特定しない限り(例えば、「静脈内免疫グロブリン(IVIG)」という用語で用いる場合)、「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書では「抗体」と交換可能に用いられる。

0027

基本的な4本の鎖の抗体ユニットは、2本の同一な軽鎖(L)と2本の同一な重鎖(H)とから構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体ユニットと併せて、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、10個の抗原結合部位を含有しているが、一方でIgA抗体は、2〜5個の基本的な4本鎖ユニットから構成されており、このユニットは、重合してJ鎖と組み合わさった多価集合体を形成し得る。IgGの場合、4本鎖ユニットは、概して約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されているが、一方で2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。各々のH鎖及びL鎖はまた、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端可変ドメイン(VH)を有し、続いてα及びγ鎖のそれぞれについては3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、続いてその反対側の端部に定常ドメインを有する。VLは、VHと整列しており、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列している。特定のアミノ酸残基軽鎖可変ドメイン重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとが一緒対合することにより、単一の抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Edition,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgAIgDIgE、IgG、及びIgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと表記される重鎖を有する。γ及びαクラスは、更に、CHの配列及び機能における比較的わずかな相違に基づいて更にサブクラス分類され、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。

0028

抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称されてもよい。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。

0029

「可変」という用語は、抗体間で、可変ドメインのある特定のセグメントが、配列において大きく異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。そうではなく可変性は、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、ベータシート構造を接続し、かついくつかの場合では、ベータシート構造の一部を形成するループを形成する3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置を主として採用する4つのFR領域を含む。各鎖のHVRは、FR領域によって極めて近接して一緒に保持され、他方の鎖からのHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。

0030

本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る自然に発生する可能性のある変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化アミド化)を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象としている。異なる決定基エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象としている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンが混入されていないという点で、有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明により用いられるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495−97(1975)、Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253−260(1995)、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563−681(Elsevier,N.Y.,1981))、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods284(1−2):119−132(2004)を参照されたい)、及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全てを有する動物におけるヒト抗体またはヒト様抗体の産生技術(例えば、WO1998/24893、WO1996/34096、WO1996/33735、WO1991/10741、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856−859(1994)、Morrison,Nature 368:812−813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845−851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を含む種々の技術によって作成され得る。

0031

の抗体」という用語は、細胞毒性部分または放射標識複合体化されていない抗体を指す。

0032

「全長抗体」、「インタクトな抗体」または「全抗体」という用語は、抗体断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある抗体を指して互換的に使用される。具体的には、全抗体とは、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインとは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)であっても、またはそのアミノ酸配列変異形であってもよい。一部の場合には、インタクトな抗体とは、1つ以上のエフェクター機能を有してもよい。

0033

「抗体断片」は、インタクト抗体の一部分、好ましくはインタクト抗体の抗原結合領域及び/または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片、ダイアボディ、直鎖状抗体が挙げられる(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057−1062[1995]を参照されたい)、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化によって、「Fab」断片、及び残りの「Fc」断片(容易に結晶化する能力を反映する名称)と呼ばれる、2つの同一の抗原結合断片が産生された。Fab断片は、L鎖全体と共にH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、単一の大型F(ab’)2断片をもたらし、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合したFab断片にほぼ対応し、やはり抗原を架橋することができる。Fab’断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む、いくつかのさらなる残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’−SHとは、定常ドメインのシステイン残基複数可)が遊離チオール基を持つ、Fab’の本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的結合もまた公知である。

0034

Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。

0035

「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗原結合特異性を抗体に与える、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。

0036

「sFv」または「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、接続されて単一のポリペプチド鎖になるVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含んでおり、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能となっている。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。

0037

本発明の抗体の「機能性断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、これには、概して、インタクトな抗体の抗原結合領域若しくは可変領域、または修飾されたFcR結合能力を保持するか若しくは有する抗体のFc領域が含まれる。抗体断片の例としては、線形抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。

0038

「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合を達成し、それによって二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10個の残基)を有するsFv断片(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差(クロスオーバー)」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、さらに詳細には、例えば、EP404,097、WO93/11161、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照されたい。

0039

本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するかまたは別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにかかる抗体の断片が含まれるが、これは、それらが所望される生物活性を呈する限りにおいてである(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体としては、PRIATIZED(登録商標)抗体が含まれ、ここで、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原で免疫付与を行うことによって産生される抗体に由来する。本明細書に使用されるとき、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。

0040

「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下に定義される)からの残基が、所望される特異性、親和性、及び/または能力を有するマウス、ラットウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のHVRからの残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでもよい。これらの修飾を、結合親和性など、抗体の性能を更に改良するために行ってもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域には、結合親和性、異性体化免疫原性などの抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FR領域におけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖では6個以下であり、L鎖では3個以下である。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。また、例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105−115(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035−1038(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994)、ならびに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号も参照されたい。

0041

「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法の内の任意のものを用いて作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的には除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.、227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991)に記載の方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368−74(2001)もまた参照されたい。ヒト抗体は、抗原チャレンジ応答してかかる抗体を産生するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウスに抗原を投与することにより調製され得る(例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号をXENOMOUSE(商標)技術に関して参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体に関しては、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)も参照されたい。

0042

本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変性であり、及び/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVRを含み、3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。天然抗体において、H3及びL3が6つのHVRの最も高い多様性を呈し、特にH3が、抗体に優れた特異性を与える上で特有役割を果たすと考えられる。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37−45(2000)、Johnson and Wu,in Methodsin Molecular Biology 248:1−25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際には、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、かつ安定している。例えば、Hamers−Casterman et al.,Nature 363:446−448(1993)、Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733−736(1996)を参照されたい。

0043

多数のHVR描写が本明細書で使用され、かつ包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)を参照されたい)。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。AbM HVRは、Kabat HVRとChothia構造的ループとの間の妥協案を示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々の残基を、以下に記載する。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
L1 L24−L34 L24−L34 L26−L32 L30−L36
L2 L50−L56 L50−L56 L50−L52 L46−L55
L3 L89−L97 L89−L97 L91−L96 L89−L96
H1 H31−H35B H26−H35B H26−H32 H30−H35B(Kabat付番
H1 H31−H35 H26−H35 H26−H32 H30−H35(Chothia付番)
H2 H50−H65 H50−H58 H53−H55 H47−H58
H3 H95−H102 H95−H102 H96−H101 H93−H101

0044

HVRは、以下の「伸長HVR」を含み得る:VLにおいて、24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)、及び89〜97または89〜96(L3)、ならびにVHにおいて、26〜35(H1)、50〜65または49〜65(H2)、及び93〜102、94〜102、または95〜102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.(上記)に従って付番される。

0045

「Kabatにあるような可変ドメイン残基付番」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置付番」という表現、及びそれらの変形形態は、Kabat et al.(上記)における抗体の編成において重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用されている付番方式を指す。この付番システムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従って残基52a)を、そして重鎖FR残基82後に挿入された残基(例えば、Kabatに従って残基82a、82b、及び82c等)を含んでもよい。残基のKabat付番は、所与の抗体に対して、「標準の」Kabatによって付番された配列との抗体の配列の相同領域での整列によって決定され得る。

0046

「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。

0047

「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列サブグループから行われる。概して、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)にあるようなサブグループである。例には、VLに関するものが含まれ、サブグループは、Kabat et al.(上記)にあるようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであってもよい。更に、VHについては、サブグループは、Kabat et al.(上記)にあるようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであり得る。あるいは、ヒトコンセンサスフレームワークは、特定の残基、例えば、ドナーフレームワーク配列を様々なヒトフレームワーク配列の集合とアライメントすることによって、ヒトフレームワーク残基が、ドナーフレームワークに対するその相同性に基づいて選択される場合など、上記のものに由来し得る。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれは既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。

0048

「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.(上記)の可変重鎖サブグループIIIにおけるアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列の各々のうちの少なくとも一部または全てを含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC−FR1)(配列番号35)、WVRQAPGKGLEWV(HC−FR2)、(配列番号36)、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC−FR3、配列番号37)、WGQGTVTVSA(HC−FR4)、(配列番号38)。

0049

「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.(上記)の可変軽鎖カッパサブグループIにおけるアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態では、VHサブグループIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列の各々のうちの少なくとも一部または全てを含む:DIQMTSPSSSASGDRVTITC(LC−FR1)(配列番号39)、WYQQKPGKAPLLIY(LC−FR2)(配列番号40)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTSSLQPEDFATYYC(LC−FR3)(配列番号41)、FGQGTKVEIKR(LC−FR4)(配列番号42)。

0050

例えばFc領域の規定位置における「アミノ酸修飾」とは、規定の残基の置換若しくは欠失、または規定の残基に隣接する少なくとも1個のアミノ酸残基の挿入を指す。指定残基に「隣接する」挿入とは、その1〜2個の残基内への挿入を意味する。挿入は、指定残基のN末端側またはC末端側であり得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は、置換である。

0051

「親和性成熟」抗体とは、その1つ以上のHVRに1つ以上の変化を有し、これらの変化が、それらの変化(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらす抗体である。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたは更にはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の手順によって産生される。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992)は、VH及びVLドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異生成は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809−3813(1994)、Schier et al.Gene 169:147−155(1995)、Yelton et al.J.Immunol.155:1994−2004(1995)、Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310−9(1995)、及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)に記載されている。

0052

本明細書で使用されるとき、「に特異的に結合する」または「に対して特異的」であるという用語は、生体分子を含む分子の異種集団の存在下で標的の存在を決定するものである、標的と抗体との間の結合等の測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(これはエピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、及び/またはより長い持続時間でこの標的に結合する、抗体である。一実施形態では、抗体が無関係の標的に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイRIA)によって測定される、抗体の標的への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合としては、排他的結合を含んでもよいが、それを必要としない。

0053

本明細書における「Fc領域」という用語は、天然配列Fc領域及び変異形Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU付番方式によると残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸組換え操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全K447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体集団を含んでもよい。本発明の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4が挙げられる。

0054

「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子変異形及び代替的にスプライス型を含む)を含み、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれ、これらは、それらの細胞質側ドメインが主に異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン免疫受容体チロシンベース活性モチーフ(ITAM)を含有する。阻害性レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む。(M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)を参照されたい。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991)、Capelet al.,Immunomethods4:25−34(1994)、及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)に概説されている。今後特定されるFcRを含めて、他のFcRが、本明細書において「FcR」という用語に包含される。

0055

「Fc受容体」または「FcR」という用語にはまた、胎児への母体IgGの移入を担う、新生児型受容体であるFcRnも含まれる。Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994)。FcRnへの結合を測定する方法は公知である(例えば、Ghetie and Ward,Immunol.Today 18:(12):592−8(1997)、Ghetie et al.,Nature Biotechnology 15(7):637−40(1997)、Hinton et al.,J.Biol.Chem.279(8):6213−6(2004)、WO2004/92219(Hintonら)を参照されたい)。ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドインビボでのFcRnへの結合及び血清中半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス若しくはトランスフェクトヒト細胞株において、または変異形Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイすることができる。WO2004/42072(Presta)は、FcRへの結合を向上または減少させた抗体変異形を記載している。また、例えば、Shieldset al.,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)を参照されたい。

0056

「実質的に低減された」または「実質的に異なる」という表現は、本明細書に使用されるとき、2つの数値(一般に、一方がある分子と関連付けられており、他方が参照/比較分子と関連付けられている)の間の十分に高い相違を表し、結果として、当業者であれば、これら2つの値の間の相違が、かかる値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴の状況において、統計学的に有意なものであると見なすであろう。かかる2つの値の間の相違は、例えば、参照/比較分子の値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/または約50%超である。

0057

「実質的に同様の」または「実質的に同じ」という用語は、本明細書に使用されるとき、2つの数値(例えば、一方が本発明の抗体と関連付けられており、他方が参照/比較分子と関連付けられている)の間の十分に高い類似性を示し、結果として、当業者であれば、これら2つの値の間の相違が、かかる値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴に関して、生物学的及び/または統計的有意性がほとんどない、または全くないと見なすであろう。かかる2つの値の間の相違は、例えば、基準/比較対象の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/または約10%である。

0058

本明細書で使用される「担体」としては、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露されている細胞または哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤が挙げられる。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液アスコルビン酸を含む抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミンゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーグリシングルタミンアスパラギンアルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸、グルコースマンノース、若しくはデキストリンを含む、単糖類二糖類、及び他の炭水化物EDTAなどのキレート剤マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコールナトリウムなどの塩形成対イオン、及び/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。

0059

添付文書」とは、適応症使用法、投与量、投与、禁忌症パッケージングされた製品と組み合わせられる他の薬に関する情報、及び/またはかかる薬の使用に関する警告等を含む、薬の商用のパッケージに通例含まれる指示に関する情報を含む、薬の商用のパッケージに通例含まれる指示書を指す。

0060

「個体」または「対象」または「患者」とは、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシヒツジネコイヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この個体または対象または患者とはヒトである。

0061

「有効量」とは、特定の障害または状態の測定可能な改善または予防を実現するのに必要な少なくとも最低限の濃度である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態年齢性別、及び体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する抗体の能力などの要因に応じて異なり得る。有効量は、治療上有益な効果が処置の任意の毒性効果または有害効果を上回るものでもある。予防的使用の場合、有益なまたは所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的、及び/または挙動的症状、その合併症、ならびに疾患の発症中に現れる中間病理学表現型を含む、その疾患のリスクの排除若しくは低減、その疾患の重症度の軽減、またはその疾患の発生の遅延などの結果が含まれる。治療的使用の場合、有益なまたは所望の結果には、疾患から生じる1つ以上の症状の低減、疾患に罹患している者の生活の質の向上、疾患を処置するために必要な他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強(例えば、標的による)、疾患の進行の遅延、及び/または生存期間の延長などの臨床結果が含まれる。臓器移植を待つ感作された個体を処置する場合、有効量の薬物は、個体におけるアロ抗体及び/またはPRAのレベルにおいて効果を有するか、及び/またはある程度まで低減する効果を有し得る。臓器移植を受けている個体(感作された個体など)を処置する場合、有効量の薬物は、臓器移植に関連する症状または状態(例えば、移植片拒絶)の1つ以上において効果を有するか及び/またはある程度まで緩和する効果を有し得る。有効量は、1回以上の投与で投与してもよい。本発明の目的に関しては、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、予防的または治療的処置を直接または間接的に達成するのに十分な量である。臨床分野において理解されるように、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と併せて達成されても、されなくてもよい。したがって、「有効量」とは、1つ以上の治療剤を投与するという点で考慮されてもよく、単剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るか、または達成される場合、有効量で与えられると見なされてもよい。

0062

本明細書で使用される「CD20」とは、ヒトBリンパ球抗原CD20(CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5及びLF5としても公知であり、その配列はSwissProtデータベースエントリーP11836により特徴付けられる)は、プレB及び成熟Bリンパ球上に位置する約35kDの分子量を有する疎水性膜貫通タンパク質を指す。(Valentine,M.A.,et al.,J.Biol.Chem.264(19)(1989 11282−11287、Tedder,T.F.,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85(1988)208−12、Stamenkovic,I.,et al.,J.Exp.Med.167(1988)1975−80、Einfeld,D.A.,et al.,EMBO J.7(1988)711−7、Tedder,T.F.,et al.,J.Immunol.142(1989)2560−8)。対応するヒト遺伝子は、膜貫通型4ドメイン、サブファミリーA、メンバー1(MS4A1としても公知)である。この遺伝子は膜貫通型4A遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。この新生タンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴及び類似のイントロンエクソンスプライス境界によって特徴づけられ、造血細胞及び非リンパ組織の間で固有発現パターンを示す。この遺伝子は、B細胞の発達及び血漿細胞への分化にある役割を果たすBリンパ球表面分子をコードする。このファミリーメンバーは、ファミリーメンバーのクラスターの中でも11q12に局在する。この遺伝子の選択的スプライシングにより、同じタンパク質をコードする2つの転写変異形が生成される。

0063

「CD20」及び「CD20抗原」という用語は、本明細書では互換的に使用され、細胞によって自然に発現されるか、またはCD20遺伝子でトランスフェクトされた細胞上で発現される、ヒトCD20の任意の変異形、アイソフォーム及び種相同体を包含する。本発明の抗体のCD20抗原への結合は、CD20を不活性化することによってCD20を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)の死滅を媒介する。CD20を発現する細胞の死滅は、以下の機構のうちの1つ以上によって生じ得る:細胞死アポトーシス誘導ADCC及びCDC。

0064

当該技術分野で認識されているCD20の類義語としては、Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5及びLF5が挙げられる。

0065

本発明による「抗CD20抗体」という用語は、CD20抗原に特異的に結合する抗体である。CD20抗原に対する抗CD20抗体の結合特性及び生物学的活性に依存して、2種類の抗CD20抗体(I型及びII型抗CD20抗体)は、Cragg,M.S.,et al.,Blood 103(2004)2738−2743、及びCragg,M.S.,et al.,Blood 101(2003)1045−1052によって識別され得る(以下の表1を参照されたい)。
表1:I型及びII型の抗CD20抗体の特性

0066

II型抗CD20抗体の例としては、例えば、ヒト化B−Ly1抗体IgG1(WO2005/044859に開示されるキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(WO2004/035607に開示の)、及びAT80 IgG1が挙げられる。典型的には、IgG1アイソタイプのII型抗CD20抗体は、特徴的なCDC特性を示す。II型抗CD20抗体は、IgG1アイソタイプのI型抗体と比較して、(IgG1アイソタイプの場合)CDCが低下している。

0067

I型抗CD20抗体の例としては、例えば、リツキシマブ、HI47IgG3(ECACC、ハイブリドーマ)、2C6 IgG1(WO2005/103081に開示の)、2F2 IgG1(WO2004/035607及びWO2005/103081に開示の)及び2H7 IgG1(WO2004/056312に開示の)が挙げられる。

0068

本発明によるアフコシル化抗CD20抗体は、好ましくは、WO2005/044859及びWO2007/031875に記載されているように、II型抗CD20抗体、より好ましくはアフコシル化ヒト化B−Ly1抗体である。

0069

「リツキシマブ」抗体(参照抗体、I型抗CD20抗体の例)は、ヒトCD20抗原に対するモノクローナル抗体を含有する遺伝子操作されたキメラヒトガンマ1マウス定常ドメインである。しかし、この抗体は糖鎖操作(glycoengineered)されておらず、かつアフコシル化されておらず、したがって少なくとも85%のフコースの量を有する。このキメラ抗体は、ヒトγ1定常ドメインを含み、かつIDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡された1998年4月17日に発行された米国特許第5,736,137号(Andersenら)の名称「C2B8」によって同定される。リツキシマブは、再発性または難治性低悪性度または濾胞性のCD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の処置に承認されている。インビトロでの作用機序研究によって、リツキシマブがヒト補体依存性細胞毒性(CDC)を呈することが示されている(Reff,M.E.,et.al,Blood 83(2)(1994)435−445)。さらに、これによって、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を測定するアッセイで活性が示される。

0070

本明細書で使用される「GA101抗体」という用語は、ヒトCD20に結合する以下の抗体のいずれか1つを指す:(1)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号5のアミノ酸を含むHVR−L2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体、(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体、(3)配列番号9の及び配列番号10のアミノ酸配列を含む抗体、(4)オビヌツズマブとして公知の抗体、または(5)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体。一実施形態では、GA101抗体はIgG1アイソタイプ抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、ヒト化B−Ly1抗体である。

0071

「ヒト化B−Ly1抗体」という用語は、マウスモノクローナル抗CD20抗体B−Ly1(マウス重鎖(VH)の可変領域:配列番号11、マウス軽鎖(VL)の可変領域:配列番号12 −Poppema,S.and Visser,L.,Biotest Bulletin 3(1987)131−139を参照されたい)から、IgG1からのヒト定常ドメインとのキメラ化、その後のヒト化によって得た、WO2005/044859及びWO2007/031875に開示されるヒト化B−Ly1抗体を指す(WO2005/044859及びWO2007/031875を参照のこと)。これらの「ヒト化B−Ly1抗体」は、WO2005/044859及びWO2007/031875に詳細に開示されている。
マウスモノクローナル抗CD20抗体B−Ly1重鎖(VH)の可変領域(配列番号11)

マウスモノクローナル抗CD20抗体B−Ly1軽鎖(VL)の可変領域(配列番号12)

0072

一実施形態では、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号7、8及び13〜33の群から選択される重鎖(VH)の可変領域(とりわけ、WO2005/044859及びWO2007/031875のB−HH2〜B−HH9及びB−HL8〜B−HL17に対応する)を有する。1つの特定の実施形態では、このような可変ドメインは、配列番号14、15、7、19、25、27及び29(WO2005/044859及びWO2007/031875のB−HH2、BHH−3、B−HH6、B−HH8、B−HL8、B−HL11及びB−HL13に対応する)からなる群より選択される。1つの特定の実施形態では、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号8の軽鎖(VL)の可変領域を有する(WO2005/044859及びWO2007/031875のB−KV1に対応する)。1つの特定の実施形態では、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号7の重鎖の可変領域(VH)(WO2005/044859及びWO2007/031875のB−HH6に対応する)及び配列番号8の軽鎖の可変領域(VL)(WO2005/044859及びWO2007/031875のB−KV1に対応する)を有する。さらに一実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体はIgG1抗体である。本発明によれば、そのようなアフコシル化ヒト化B−Ly1抗体は、WO2005/044859、WO2004/065540、WO2007/031875、Umana,P.et al.,Nature Biotechnol.17(1999)176−180及びWO99/154342に記載された手順に従って、Fc領域において糖鎖操作(GE)されている。一実施形態では、アフコシル化された糖鎖操作されたヒト化B−Ly1は、B−HH6−B−KV1 GEである。一実施形態において、抗CD20抗体は、オビヌツズマブである(推奨NN、WHO Drug Information,Vol.26,No.4,2012,p.453)。本明細書で使用される場合、オビヌツズマブは、GA101またはRO5072759の同義語である。これは、以前のすべてのバージョン(例えば、Vol.25,No.1,2011,p.75−76)に置き換わり、以前はアフツズマブとして知られている(推奨INN、WHO Drug Information,Vol.23,No.2,2009,p.176;Vol.22,No.2,2008,p.124)。いくつかの実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体、またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体は、配列番号9の3つの重鎖CDRを含む重鎖可変領域、及び配列番号10の3つの軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
重鎖(配列番号9)


軽鎖(配列番号10)

0073

いくつかの実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体は、アフコシル化された糖鎖を操作されたヒト化B−Ly1である。そのような糖鎖操作されたヒト化B−Ly1抗体は、好ましくはフコース残基のレベルが低減した、Fc領域におけるグリコシル化パターンの変化を有する。好ましくは、フコースの量は、Asn297におけるオリゴ糖の総量の60%以下である(一実施形態では、フコースの量は40%〜60%であり、別の実施形態ではフコースの量は50%以下であり、さらに別の実施形態では、フコースの量は30%以下である)。さらに、Fc領域のオリゴ糖は好ましくは二分される。これらの糖鎖操作されたヒト化B−Ly1抗体は、ADCCが増大している。

0074

「リツキシマブと比較した、抗CD20抗体のRaji細胞(ATCC番号CCL−86)上でのCD20に対する結合能の比」は、直接免疫蛍光測定(平均蛍光強度MFI)を測定する)によって、Raji細胞(ATCC番号CCL−86)とともにFACSArray(Becton Dickinson)中、Cy5と複合体化されたこのような抗CD20抗体、及びCy5と複合体化されたリツキシマブを用いて測定し(実施例2に記載のとおり)、かつ以下のように計算した:
Raji細胞(ATCC番号CCL−86)でのCD20に対する結合能の比=

0075

MFIは、平均蛍光強度である。ここで、「Cy5標識比」とは、本明細書で用いる場合、抗体1分子あたりのCy5標識分子の数を意味する。

0076

典型的には、前記II型抗CD20抗体は、リツキシマブと比較して前記第2の抗CD20抗体のRaji細胞(ATCC番号CCL−86)上のCD20に対する結合能の比が、0.3〜0.6、及び一実施形態では、0.35〜0.55であり、さらに別の実施形態では、0.4〜0.5である。

0077

一実施形態では、前記II型抗CD20抗体、例えばGA101抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)が増大している。

0078

「抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増大した抗体」とは、当業者に公知の任意の適切な方法によって決定されるADCCの増大がある、本明細書で定義される用語の抗体を意味する。許容される1つのインビトロADCCアッセイは以下のとおりである:
1)このアッセイは、抗体の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが知られている標的細胞を使用する、
2)このアッセイでは、ランダムに選択された健康なドナーの血液からエフェクター細胞として単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いる、
3)このアッセイは以下のプロトコールに従って行う:
i)PBMCを標準密度遠心分離手順を用いて単離し、RPMI細胞培養培地中5×106細胞/mlで懸濁する、
ii)標準的な組織培養法により標的細胞を増殖させ、指数増殖期から90%より高い生存率採取し、RPMI細胞培養培地洗浄し、100μキュリーの51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、細胞培養液中に105細胞/mlの密度再懸濁させ、
iii)上記の最終標的細胞懸濁液100マイクロリットルを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移し、
iv)細胞培養培地中で抗体を4000ng/mlから0.04ng/mlまで段階希釈し、得られた抗体溶液50マイクロリットルを96ウェルマイクロタイタープレート中の標的細胞に添加し、上記の全濃度範囲カバーする3連の種々の抗体濃度で試験する、
v)最大放出(MR)対照について、標識された標的細胞を含有するプレート中の3つのさらなるウェルに、非イオン性界面活性剤(Nonidet、Sigma、St.Louis)の2%(VN)水溶液50マイクロリットルを、抗体溶液(上記のiv項目)の代わりに入れる、
vi)自発放出(SR)対照のために、標識された標的細胞を含むプレート中の3つのさらなるウェルに、抗体溶液(上記iv項目)の代わりに50マイクロリットルのRPMI細胞培養培地を入れる、
vii)次いで、96ウェルマイクロタイタープレートを50xgで1分間遠心分離し、4℃で1時間インキュベートする、
viii)50マイクロリットルのPBMC懸濁液(上記のi項目)を各ウェルに添加して、エフェクター:標的細胞比25:1として、プレートを37℃、5%CO2雰囲気下で4時間インキュベーターに入れる、
ix)各ウェルからの無細胞上清を採取し、実験的に放出された放射能ER)をガンマカウンターを用いて定量する、
x)溶解比のパーセンテージは、式(ER−MR)/(MR−SR)×100に従って、各抗体濃度について算出し、ここで、ERは、その抗体濃度について定量された平均放射能(上記ixの項目を参照されたい)であり、MRは、MR対照(上記のVの項目を参照)について定量された平均放射能(上記のix項目を参照されたい)であり、SRは、SR対照(上記のvi項目を参照されたい)について定量された平均放射能(上記ix項目を参照されたい)である。
4)「増大したADCC」とは、上記で試験した抗体濃度範囲内で観察された溶解比の最大パーセンテージの増大、及び/または上記で試験した抗体濃度範囲内で観察される溶解比の最大パーセンテージの半分を達成するために必要とされる抗体の濃度の低減のいずれかとして定義される。一実施形態では、ADCCの増大とは、当業者に公知である、同じ標準の産生、精製、処方及び保存方法を用いて、同じ型の宿主細胞によって産生された同じ抗体によって媒介される、上記アッセイで測定されたADCCと比較した増大であり、ただし、比較の抗体(ADCCの増大がない)がGnTIIIを過剰発現するように遺伝子操作されるか、及び/またはフコシルトランスフェラーゼ8(FUT8)遺伝子(例えば、例としては、FUT8ノックアウトのために遺伝子操作された)からの発現が減少するように遺伝子操作されている宿主細胞によって産生されていないことを除いた増大である。

0079

前記「増加したADCC」は、例えば、前記抗体の突然変異及び/または糖鎖操作によって得ることができる。一実施形態では、抗体は糖鎖操作されて、GlcNAcによって二分される抗体のFc領域に結合された二分岐オリゴ糖を有する(例えばWO2003/011878(Jean−Mairetら)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、US2005/0123546(Umanaら)、Umana,P.,et al.,Nature Biotechnol.17(1999)176−180)。別の実施形態では、抗体は、タンパク質フコシル化欠損している宿主細胞(例えば、Lec13CHO細胞またはα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUT8)欠失があるか、またはFUT遺伝子発現ノックダウンされた細胞中で抗体を発現させることによって、Fc領域に結合した炭水化物上のフコースを欠くように糖鎖操作される(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006)、及びWO2003/085107を参照のこと)。さらに別の実施形態では、抗体配列は、そのFc領域において、ADCCを増強するように遺伝子操作されている(例えば、一実施形態では、そのような操作された抗体変異形は、Fc領域の298位、333位、及び/または334位で1つ以上のアミノ酸置換(EUの残基付番)を有するFc領域を含む)。

0080

「補体依存性細胞毒性(CDC)」という用語は、補体の存在下での本発明による抗体によるヒト腫瘍標的細胞の溶解を指す。CDCは、補体の存在下で、本発明による抗CD20抗体を用いたCD20発現細胞の調製物の処理によって測定してもよい。CDCは、抗体が4時間後に腫瘍細胞の20%またはそれ以上の溶解(細胞死)を100nMの濃度で誘導する場合に見出される。一実施形態では、アッセイは、51CrまたはEu標識された腫瘍細胞及び放出された51CrまたはEuの測定によって行われる。対照は、腫瘍標的細胞と補体とのインキュベーションを包含するが、ただし抗体とのインキュベーションではない。

0081

「CD20の発現」抗原という用語は、細胞、例えば、T細胞またはB細胞における有意なレベルのCD20抗原の発現を示すことを意図している。一実施形態では、本発明の方法によって処置すべき患者は、B細胞で有意なレベルのCD20を発現する。B細胞上のCD20発現は、当該分野で公知の標準的なアッセイによって決定することができる。例えば、CD20抗原発現は、免疫組織化学的(IHC)検出、FACSまたは対応するmRNAのPCRに基づく検出を用いて測定される。

0082

本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、その内容が明確に他を示すのでない限り、複数の指示対象が含まれる。従って、例えば、「分子」という言及は、場合により、2つ以上のそのような分子の組み合わせなどを包含する。

0083

本明細書で使用される「約」という用語は、当業者であれば容易に理解するそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。

0084

本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。

0085

III.方法
一態様では、臓器移植(例えば、腎移植)を必要とする個体を処置するための方法であって、移植の前、同時及び/または後に、有効量のII型抗CD20抗体を個体に投与することを包含する方法が本明細書において提供される。

0086

いくつかの実施形態では、この方法は、個体、例えば、臓器移植(例えば、腎移植)を受けたか、受けているか、または受ける予定の個体における臓器拒絶の予防を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、生存期間(例えば、宿主及び/または移植片の生存)を延長する。いくつかの実施形態では、この方法は個体におけるアロ抗体のレベルを低減する。いくつかの実施形態では、この方法は、個体のパネル反応性抗体(PRA)を減少させる。いくつかの実施形態では、この方法は、移植の可能性を高める。いくつかの実施形態では、この方法は、移植後の移植片拒絶のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、この方法は、個体が適切な腎臓移植片を受けるための待機時間を短縮する。いくつかの実施形態において、この方法によって、個体は、II型抗CD20抗体の投与無しだと交差適合性ではなかったであろう交差適合性の腎臓移植片を受容することが可能になる。いくつかの実施形態では、この方法は移植片の生存を延長する。いくつかの実施形態では、本方法は移植片の機能を改善する。いくつかの実施形態では、この方法は移植片拒絶の可能性を低減する。

0087

いくつかの実施形態では、個体は、処置前に少なくとも20%のPRAを有する。いくつかの実施形態では、上記個体は末期腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、上記個体は、以前の臓器移植、輸血、過去の妊娠、またはそれらの任意の組み合わせのような、以前のアロ抗原暴露事象を経験している。

0088

いくつかの実施形態では、この方法は、個体に対して、少なくとも第1の用量(例えば、第1の用量のみ、第1の用量に続いてその後約10日間〜約18日間の第2の用量を含む)の抗CD20抗体、続いて、任意の補充用量の抗CD20抗体を投与することを包含し、ここでこの補充用量は、抗CD20抗体の第1の用量の約23週間〜約25週間後まで提供されない。いくつかの実施形態では、上記個体は、抗CD20抗体の第1の用量の約6週間〜約52週間後に臓器移植(腎移植など)を受ける。いくつかの実施形態では、本方法は、個体が臓器移植(腎移植など)を受けた時点で、個体に抗CD20抗体の第1の追加用量を投与することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、この方法は、個体が臓器移植(腎移植など)を受けた後、約23週間〜約25週間後、抗CD20抗体の第2の追加用量をその個体に投与することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体の各用量(第1の用量、第2の用量、補充用量、第1の追加用量、及び第2の追加用量を含む)は、抗CD20抗体の約1800mg〜約2200mgの間である。以下に記載されるように、いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1のHVR−H1配列、配列番号2のHVR−H2配列、及び配列番号3のHVR−H3配列を含む重鎖、ならびに配列番号4のHVR−L1配列、配列番号5のHVR−L2配列、及び配列番号6のHVR−L3配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列及び配列番号10のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この抗体は、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体を含む。
抗CD20抗体

0089

本開示のある特定の態様は、例えば、アロ抗体のレベルを低減するための方法における使用のための抗CD20抗体に関する。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、II型抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はヒトであるか、またはヒト化されている。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はアフコシル化されている。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、GA101抗体である。

0090

II型抗CD20抗体の例としては、例えば、ヒト化B−Ly1抗体IgG1(WO2005/044859に開示されるキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(WO2004/035607に開示の)、及びAT80 IgG1が挙げられる。典型的には、IgG1アイソタイプのII型抗CD20抗体は、特徴的なCDC特性を示す。II型抗CD20抗体は、IgG1アイソタイプのI型抗体と比較して、(IgG1アイソタイプの場合)CDCが低下している。

0091

I型抗CD20抗体の例としては、例えば、リツキシマブ、HI47IgG3(ECACC、ハイブリドーマ)、2C6 IgG1(WO2005/103081に開示の)、2F2 IgG1(WO2004/035607及びWO2005/103081に開示の)及び2H7 IgG1(WO2004/056312に開示の)が挙げられる。

0092

いくつかの実施形態では、上記抗CD20抗体は、本明細書で記載されるGA101抗体である。いくつかの実施形態では、この抗CD20は、ヒトCD20に結合する以下の抗体のうちの任意の1つである:(1)GYAFSY(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、FPGDGDTD(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、NVFDGYWLVY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RSSKSLLHSNGITYLY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、QMSNLVS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びAQNLELPYT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体、(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体、(3)配列番号9のアミノ酸配列及び配列番号10のアミノ酸配列を含む抗体、(4)オビヌツズマブとして公知の抗体、または(5)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体。一実施形態では、GA101抗体はIgG1アイソタイプ抗体である。

0093

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。

(配列番号7)

(配列番号8)

0094

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。

(配列番号9)

(配列番号10)

0095

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、ヒト化B−Ly1抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体は、配列番号9の3つの重鎖CDRを含む重鎖可変領域、及び配列番号10の3つの軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化B−Ly1抗体は、配列番号9の配列を含む重鎖及び配列番号10の配列を含む軽鎖を含む。

0096

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、以下の表2に列挙するポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む。
表2.ポリペプチド配列

0097

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体(例えば、II型抗CD20抗体)は、アフコシル化された糖鎖操作された抗体である。そのような糖鎖操作された抗体は、Fc領域におけるグリコシル化パターンが変更されており、好ましくはフコース残基のレベルが低減している。好ましくは、フコースの量は、Asn297におけるオリゴ糖の総量の60%以下である(一実施形態では、フコースの量は40%〜60%であり、別の実施形態ではフコースの量は50%以下であり、さらに別の実施形態では、フコースの量は30%以下である)。さらに、Fc領域のオリゴ糖は好ましくは二分される。これらの糖鎖操作されたヒト化抗CD20(例えば、B−Ly1)抗体は、ADCCが増大している。

0098

オリゴ糖成分は、物理的安定性プロテアーゼ攻撃に対する抵抗性、免疫系との相互作用、薬物動態、及び特異的生物学的活性を含む、治療用糖タンパク質の有効性に関連する特性に有意に影響し得る。このような特性は、オリゴ糖の存在または非存在だけでなく、特定の構造にも依存し得る。オリゴ糖構造と糖タンパク質機能との間でいくつかの一般的なことが言える。例えば、ある特定のオリゴ糖構造は、特定の炭水化物結合タンパク質との相互作用を通じて血流からの糖タンパク質の迅速なクリアランス仲介するが、他の構造は抗体によって結合され、望ましくない免疫反応を引き起こし得る。(Jenkins,N.,et al.,Nature Biotechnol.14(1996)975−81)。

0099

哺乳動物細胞は、ヒト適用のために最も適合する形態でタンパク質をグリコシル化するそれらの能力のおかげで、治療用糖タンパク質の産生に好ましい宿主である。(Cumming,D.A.,et al.,Glycobiology 1(1991)115−30、Jenkins,N.,et al.,Nature Biotechnol.14(1996)975−81)。細菌はタンパク質を極めてまれにしかグリコシル化せず、酵母糸状菌昆虫及び植物細胞などの他のタイプの一般的な宿主と同様に、血流からの迅速なクリアランス、望ましくない免疫相互作用に関連するグリコシル化パターンを生じ、ある特定の場合には、生物学的活性を低減した。哺乳類細胞の中で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、過去20年間に最も一般的に用いられてきた。適切なグリコシル化パターンを与えることに加えて、これらの細胞によって、遺伝的に安定で生産性の高いクローン細胞株の一貫した生成が可能になる。それらは、無血清培地を用いた単純なバイオリアクターで高密度に培養可能であり、安全かつ再現性のあるバイオプロセスの開発を可能にする。他の一般的に使用される動物細胞としては、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、NSO及びSP2/0マウス骨髄腫細胞が挙げられる。さらに最近では、トランスジェニック動物からの生産も試験されている。(Jenkins,N.,et al.,Nature Biotechnol.14(1996)975−981)。

0100

全ての抗体は、重鎖定常領域の保存された位置に炭水化物構造を含み、各アイソタイプはタンパク質アセンブリ分泌または機能活性に可変的に影響を及ぼすN結合型炭水化物構造の明確な配列を有する。(Wright,A.,and Morrison,S.L.,TrendsBiotech.15(1997)26−32)。結合したN結合型炭水化物の構造は、処理の程度に応じてかなり変化し、高マンノース型、多分岐型及び二分岐型の複合オリゴ糖を含んでもよい。(Wright,A.,and Morrison,S.L.,Trends Biotech.15(1997)26−32)。典型的には、特定のグリコシル化部位に結合したコアオリゴ糖構造の不均質プロセシングが存在し、その結果、モノクローナル抗体でさえも複数の糖型として存在する。同様に、抗体グリコシル化の大きな相違が細胞株間で生じ、異なる培養条件下で増殖させた所与の細胞株についてもわずかな相違が見られることが示されている。(Lifely,M.R.,et al.,Glycobiology 5(8)(1995)813−22)。

0101

単純な産生プロセスを維持し、かつ有意な望ましくない副作用を潜在的に回避しながら、力価の大きな増大を得るための1つの方法は、Umana,P.,et al.,Nature Biotechnol.17(1999)176−180及びUS6,602,684に記載されているように、そのオリゴ糖成分を遺伝子操作することによってモノクローナル抗体の天然の細胞媒介性エフェクター機能を増強することである。癌免疫療法において最も一般的に使用される抗体であるIgG1型抗体は、各CH2ドメイン中のAsn297において保存されたN結合グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。Asn297に結合した2つの複合二分岐オリゴ糖は、CH2ドメイン間に埋め込まれ、ポリペプチド骨格との広範な接触を形成し、その存在は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)などのエフェクター機能を媒介するために抗体にとって必須である(Lifely,M.R.,et al.,Glycobiology 5(1995)813−822、Jefferis,R.,et al.,Immunol.Rev.163(1998)59−76、Wright,A.,and Morrison,S.L.,TrendsBiotechnol.15(1997)26−32)。

0102

二分オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI11(「GnTII17y」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現は、遺伝子操作されたCHO細胞によって産生される抗神経芽細胞腫キメラモノクローナル抗体(chCE7)のインビトロのADCC活性を有意に増大させることが以前に示された。(Umana,P.,et al.,Nature Biotechnol.17(1999)176−180、及びWO99/154342を参照されたい、その全体の内容は参照によって本明細書に援用される)。抗体chCE7は、高い腫瘍親和性及び特異性を有するが、GnTIII酵素を欠く標準的な工業細胞株で産生される場合には臨床的有用性があまりにも低い力価である大きなクラスの非複合体化モノクローナル抗体に属する(Umana,P.,et al.,Nature Biotechnol.17(1999)176−180)。この研究は、GnTIIIを発現するように抗体産生細胞を遺伝子操作することによってADCC活性の大幅な増加が得られることを最初に示したが、これはまた、天然に存在する抗体に見られるレベルよりも高い、定常領域(Fc)関連二分オリゴ糖(二分の、非フコシル化オリゴ糖を含む)の割合の増大につながった。

0103

いくつかの実施形態において、抗CD20抗体(例えば、II型抗CD20抗体)は、ヒトFc領域(例えば、ヒトIgG1 Fc領域)を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、修飾されたN−結合型オリゴ糖を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN−結合型オリゴ糖は、修飾されていないN−結合型オリゴ糖を有する抗体と比較して、フコース残基が減少している。いくつかの実施形態では、二分オリゴ糖は、二分複合オリゴ糖である。いくつかの実施形態では、N−結合型オリゴ糖は、増大した二分の非フコシル化オリゴ糖を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、二分の非フコシル化オリゴ糖はハイブリッド型である。いくつかの実施形態では、二分の非フコシル化オリゴ糖は複合型である。より詳細な説明については、例えば、WO2003/011878(Jean−Mairetら、)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、US2005/0123546(Umanaら)、及び米国特許第8,883,980号(Umanaら)を参照されたい。

0104

いくつかの実施形態では、抗CD20抗体(例えば、II型抗CD20抗体)は、多価特異的抗体、または二重特異的抗体である。

0105

抗体の調製
上記の実施形態のいずれかによる抗体(例えば、本開示のII型抗CD20抗体)は、以下のセクション1−7に記載されるように、単独で、または組み合わせて、任意の特徴を組み込んでもよい:

0106

1.抗体親和性
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。

0107

一実施形態では、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、目的とする抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、未標識抗原一連滴定の存在下で、Fabを最低濃度の(125I)標識抗原と平衡させ、次いで、抗Fab抗体をコーティングしたプレートで結合した抗原を捕獲することによって測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mLの捕獲抗Fab抗体(CappelLabs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンにより、室温(およそ23℃)で2〜5時間ブロッキングする。非吸着プレート(Nunc#269620)中で、100pMまたは26pMの[125I]抗原を、目的のFabの段階希釈と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593−4599(1997)における抗VEGF抗体Fab−12の評価と一致して)。目的のFabを次いで一晩インキュベートするが、インキュベーションは、平衡に到達することを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を、室温での(例えば、1時間にわたる)インキュベーションのために、捕獲プレートに移す。その後、溶液を除去し、プレートをPBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したとき、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT−20(商標)、Packard)を添加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)により10分間カウントする。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおいて使用するために選定する。

0108

別の実施形態によると、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用したアッセイは、25℃で、約10の応答単位(RU)で固定化抗原CM5チップを用いて行う。一実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給者の指示書に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化する。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)まで希釈した後、5μL/分の流速注入して、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応の基をブロッキングする。動態測定のために、2倍に段階希釈したFab(0.78nM〜500nM)を、25℃でおよそ25μl/分の流量で0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中に注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時に適合することによって、単純1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して算出する。平衡解離定数(Kd)は、比率koff/konとして算出する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい。結合速度が、上の表面プラズモン共鳴アッセイによって、106M−1s−1を超える場合、結合速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップトフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)または8000−シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃で、PBS(pH7.2)中20nM抗抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増大または低下を測定する、蛍光消光技法を使用することによって、決定してもよい。

0109

2.抗体断片
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、限定するものではないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに下に記載される他の断片が挙げられる。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照のこと。scFvフラグメントの概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer−Verlag,New York),pp.269−315(1994)を参照されたく、また、WO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、延長したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の考察に関しては、米国特許第5,869,046号を参照されたい。

0110

ダイアボディとは、二価性または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097号、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照されたい。トリアディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)にも記載される。

0111

単一ドメイン抗体とは、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部分または軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部分を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体とは、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、Waltham、MA、例えば、米国特許第6,248,516 B1号を参照されたい)。

0112

抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質消化、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない、様々な技法によって作製することができる。

0113

3.キメラ及びヒト化抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる実施例において、キメラ抗体とは、クラスまたはサブクラスが親抗体のそれから変更された、「クラススイッチされた」抗体である。キメラ抗体としては、それらの抗原結合断片が包含される。

0114

ある特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列由来である、1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択でヒト定常領域の少なくとも一部分も含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元するかまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。

0115

ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods36:25−34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトについて記載)、Padlan,Mol.Immunol.28:489−498(1991)(「リサーフシング」について記載)、Dall’Acqua et al.,Methods 36:43−60(2005)(「FRシャッフリング」について記載)、ならびにOsbourn et al.,Methods 36:61−68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252−260(2000)(FRシャッフリングへの「誘導選択」アプローチについて記載)にさらに記載される。

0116

ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては:「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞成熟)フレームワーク領域またはヒト生殖系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照されたい)、ならびにFRライブラリのスクリーニングから導かれるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。

0117

4.ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の種々の技法を用いて産生することができる。ヒト抗体は、概して、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)に記載される。

0118

ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を含むインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって、調製されてもよい。かかる動物は典型的に、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換える、または染色体外に存在するか、若しくは動物の染色体中に無作為に組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含有する。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117−1125(2005)を参照されたい。例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術について記載)、米国特許第5,770,429号(HuMAB(登録商標)技術を記載)、米国特許第7,041,870号(K−M MOUSE(登録商標)技術について記載)、ならびに米国特許出願公開第2007/0061900号(VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載)も参照のこと。かかる動物によって生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾されてもよい。

0119

ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体はまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)にも記載される。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマについて記載)に記載の方法が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(Trioma技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927−937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methodsand Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185−91(2005)にも記載される。

0120

ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択したFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって、生成されてもよい。かかる可変ドメイン配列は次いで、所望のヒト定常ドメインと組み合わされてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法は、下に記載する。

0121

5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体に関してコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることにより単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、かかるライブラリを、所望の結合特性を保有する抗体についてスクリーニングするための、多様な方法が当該技術分野で知られている。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methodsin Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説されており、さらに、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554、Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004)、及び Lee et al.,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)にさらに記載される。

0122

ある特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子レパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個クローニングし、ファージライブラリ中で無作為に組み換え、それを次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載のように抗原結合ファージについてスクリーニングしてもよい。ファージは典型的に、1本鎖Fv(scFv)断片としてまたはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫源由来のライブラリによって、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体が提供される。代わりに、Griffiths et al.,EMBO J.12:725−734(1993)に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、いかなる免疫化も伴うことなく、広範な非自己抗原及び自己抗原に対する単一源の抗体を提供し得る。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載されるように、再配列されていないV遺伝子セグメント幹細胞からクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製してもよい。ヒト抗体ファージライブラリについて記載している特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。

0123

ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書でヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。

0124

6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有する、モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性の一方は、CD20に対するものであり、他方は、任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、CD20の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は、CD20を発現する細胞に細胞傷害剤局在化させるために使用されてもよい。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製されてもよい。

0125

多重特異性抗体を作製するための技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537,1983)、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、及び「ノブインホール」遺伝子操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)を参照されたい)、及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによって、作製されてもよい。

0126

オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する遺伝子操作抗体も本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。

0127

本明細書における抗体または断片にはまた、CD20及び別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。

0128

7.抗体変異形
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異形が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合もある。抗体のアミノ酸配列変異形は、適切な修飾を、抗体をコードするヌクレオチド配列中に導入することによって、またはペプチド合成によって、調製してもよい。かかる修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはそこへ残基の挿入、及び/またはその内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを作製して、最終構築物に到達することができるが、但し、その最終構築物が、所望の特性、例えば、抗原結合性を保有することを条件とする。

0129

a)置換、挿入、及び欠失変異
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異形が提供される。置換型突然変異生成に対する目的の部位としては、HVR及びFRが挙げられる。保存的置換は、表3において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表Aにおいて、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される。アミノ酸置換が目的の抗体中に導入され、産物が、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、または改善されたADCC若しくはCDCについて、スクリーニングされてもよい。
表3.好ましい置換。

0130

アミノ酸は、次の一般的な側鎖特性に従って分類されてもよい:
(1)疎水性ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。

0131

非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。

0132

置換型変異形の1つの種類は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1個以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる研究のために選択される、結果として生じる変異形(複数可)は、親抗体と比べて、ある特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、増加した親和性、低減された免疫原性)を有することになり、及び/または親抗体の、実質的に保持されたある特定の生物学的特性を有することになる。例となる置換型変異形は、例えば、本明細書に記載されるもの等のファージディスプレイベースの親和性成熟技法を使用して、好都合に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔に述べると、1個以上のHVR残基が突然変異させられ、変異形抗体がファージ上で提示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。

0133

変化(例えば、置換)をHVRにおいて行って、例えば、抗体親和性を改善してもよい。かかる改変が、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を経るコドンによってコードされた残基(例えば、Chowdhury,MethodsMol.Biol.207:179−196(2008)を参照されたい)、及び/または抗原と接触する残基において行われてもよく、結果として生じる変異形VHまたはVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそれからの再選択による親和性成熟については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態において、多様性が、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性突然変異生成)のうちのいずれかによって、成熟のために選定された可変遺伝子中に導入される。二次ライブラリが次いで作り出される。ライブラリは次いで、所望の親和性を有する任意の抗体変異形を特定するために、スクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6個の残基)がランダム化されるHVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異生成またはモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。特にCDR−H3及びCDR−L3が、しばしば標的とされる。

0134

ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、かかる変化が、抗体が抗原に結合する能力を実質的に低減しない限り、1つ以上のHVR内で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変化(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVRにおいて行われてもよい。かかる改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であってもよい。上に提供される変異形VH及びVL配列のある特定の実施形態において、各HVRは、変化させられないか、または1つ、2つ、若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するにすぎないかのいずれかである。

0135

突然変異生成のための標的とされ得る、抗体の残基または領域の特定のための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081−1085によって記載される、「アラニンスキャニング変異生成」と呼ばれるものである。この方法においては、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びglu等の荷電残基)のうちのある残基または基を特定し、中性または負荷電のアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えて、抗原との抗体の相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の場所に導入されてもよい。代替的に、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を特定するための抗原−抗体複合体結晶構造。かかる接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされるか、または排除されてもよい。変異形をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定してもよい。

0136

アミノ酸配列挿入としては、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さである、アミノ末端及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内(intrasequence)挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入型変異形としては、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドに対する抗体のN末端若しくはC末端への融合が挙げられる。

0137

b)グリコシル化変異形
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体を、その抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように変化させる。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、または除去されるように、アミノ酸配列を変化させることによって、好都合に遂行されてもよい。

0138

抗体がFc領域を含む場合、そこに結合した炭水化物が変化させられてもよい。哺乳類細胞によって産生される天然抗体は、典型的に、一般にN−結合によって、Fc領域のCH2ドメインのAsn297に結合される、分岐した二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26−32(1997)を参照されたい。オリゴ糖類には、種々の炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖類構造の「ステム」においてGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、ある特定の特性が改善された抗体変異形を作製するために、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾を行ってもよい。

0139

一実施形態において、Fc領域に(直接的にまたは間接的に)結合されるフコースを欠いた炭水化物構造を有する、抗体変異形が提供される。例えば、かかる抗体におけるフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%、または20%〜40%であってもよい。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるように、MALDI−TOF質量分析法によって測定するとき、Asn 297に結合した全ての糖鎖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計と比べて、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を算出することによって決定される。Asn297とは、Fc領域における約297位(Fc領域残基のEu付番)に位置するアスパラギン残基を指す、しかし、Asn297はまた、抗体における小規模配列変異に起因して、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294位〜300位の間にも位置してもよい。かかるフコシル化変異形は、改善されたADCC機能を有してもよい。例えば、米国特許公開第2003/0157108号(Presta,L.)、US2004/0093621(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異形に関する刊行物の例としては:US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004)、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986)、米国特許出願公開第US2003/0157108A1号(Presta,L)、及びWO2004/056312A1(Adamsら)、具体的には、実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006)、及びWO2003/085107を参照のこと)。

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