図面 (/)

技術 新規トロンビン阻害物質

出願人 ナショナルユニヴァーシティーオブシンガポールインスティチュートオブズーオロジー,スロバックアカデミーオブサイエンシズ
発明者 イェール,ジャナキクリシュナムーシーコー,チョーイョオウキニ,アール.マンジュナサカジーミロバ,マリアローラー,ラディスラブ
出願日 2016年6月17日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2017-565964
公開日 2018年7月19日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-518962
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 酵素、微生物を含む測定、試験 医療用材料 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 主導管 振動範囲 切断バリ 表面コーティング剤 回転アノード エセックス フラッシュ冷却 PF1
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年7月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、高い特異性トロンビンに結合することができ、その活性阻害することができる単離されたペプチド、ならびにそのバリアントおよび断片を提供する。また、本発明は、診断方法治療方法、および医療機器コーティング方法における前記ペプチドの使用、ならびに前記ペプチドをコードする核酸を提供する。

概要

背景

止血は、血管損傷による血液の漏出を最小限に抑える生理学的現象である。血液凝固系では、血液中循環している酵素前駆体が部分的なタンパク質分解を受けて連続的に活性化されるという過程が見られ、最終的にフィブリン凝塊が形成される。トロンビン(FIIa)は止血において極めて重要な役割を果たしている(Stubbs M. T. and Bode W. Throm Res 69, 1-58 (1993))。トロンビンの止血促進作用としては、(a)可溶性フィブリノゲンを切断してフィブリンモノマーを生成し、フィブリンモノマーが重合して未熟なフィブリン凝塊を形成すること(Versteeg H. H., et al., Physiol Rev 93, 327-358 (2013));(b)フィブリンモノマーを共有結合により架橋するトランスグルタミナーゼ(FXIII)を活性化させて、凝塊を安定化させること;(c)トロンビン自体の増幅に必要な非酵素系補因子(FVおよびFVIII)を活性化すること;(d)FXIを活性化し、それによって内因性経路を活性化させること(Versteeg H. H., et al., Physiol Rev 93, 327-358 (2013));および(e)プロテアーゼ活性受容体を切断して血小板を活性化し、血小板の形態変化脱顆粒および凝集を引き起こすこと(Monroe D. M., et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol 22, 1381-1389 (2002))が挙げられる。一方、トロンビンは抗凝固物質としても重要な役割を果たしており、血液凝固過程の進行および増幅をダウンレギュレートする。すなわち、トロンビンは、トロンボモジュリンに結合すると、プロテインCを活性化し、これによって補因子であるFVaおよびFVIIIaが失活化され、さらなるトロンビンの生成を抑制する(Di Cera E. Mol Aspects Med 29(4), 203-254 (2008))。トロンビンのこのような一見矛盾する凝固促進作用と抗凝固作用は、予期せぬ出血閉塞性血栓の形成との間でバランスを取っており、血栓形成が必要とされた場合には、十分な血栓を形成することができる。

心血管疾患は、単一疾患として世界で死亡者数が最も多く、非伝染性疾患の中では憂慮すべき大きな問題となっている(Chaudhari K., et al., Nat. Rev. Drug. Discov 13, 571-572 (2014))。虚血性心疾患および脳卒中は、血栓症が疾患となって現れたものであり、心血管疾患の最も一般的な疾患例として知られており、世界四大死因の1つである(Raskob G. Thromb Haem 112(5), 843-943 (2014))。抗血栓薬を使用した現在の治療選択肢では、直接トロンビン阻害薬(DTI)、直接第Xa因子(FXa)阻害薬ビタミンKアンタゴニスト(VKA)などの抗凝固薬が使用されることが多い。治療選択肢としてのDTIの例のいくつかとして、トロンビンの活性部位エキソイトIに結合する二価阻害薬ヒルジン合成類似体であるビバリルジン;トロンビンの活性部位のみに結合する一価の小分子DTIであるアルガトロバンおよびダビガトラン;ならびにアンチトロンビン依存性にトロンビンを阻害する低分子ヘパリン(LMWH)が挙げられる(Michiel Coppens, et al.,Circ Res 112, 920-931 (2012))。このようなトロンビン阻害薬は、抗凝固療法の一般的な治療選択肢となっているにも関わらず、様々な制限があり、たとえば、治療域が狭いこと、患者に応じて用量を決める必要があること、出血リスクが高いこと、バイオアベイラビリティが低いこと、食品医薬相互作用の懸念が高いことなどが挙げられる(Bauer K. A. Haem 464-470 (2013))。したがって、より有益性の高い優れた新規の抗凝固薬が求められている。

吸血動物は、食物として血液を摂取するように適応した動物であり、宿主止血機構を抑制し、血液の流れを止めることなく吸血を可能とする様々な分子が発達している。吸血動物に見られる抗凝固物質のなかでも、トロンビン阻害物質は吸血寄生生物において中心的な役割を果たしている(Koh C. Y. and Kini R. M. Expert Rev. Haematol 1(2), 135-139 (2008))。吸血動物から得られたトロンビン阻害物質の特定のファミリーのうち、最も広範囲に研究されているもののいくつかとして、ヒルジン、haemadin、triabin、ornithodorinおよびrhodniinがある(Huntington J. A. Thromb Haemost 111, 583-589 (2014))。本発明者らは過去の研究において、マダニ(Amblyomma variegatum)の唾液腺抽出物から新規トロンビン阻害物質を単離し、variegin(PCT/IB2008/002109)と命名して、その特性を評価した。varieginは、32残基長ペプチドであり、トロンビンと速く強く結合する競合阻害物質である(Koh C. Y., J Biol Chem 282 (40), 29101-29113 (2007))。

心血管疾患および脳血管疾患の治療のための治療剤としてより効果的なペプチドが求められている。このようなペプチドの使用用途としては、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症の治療および予防;不安定狭心症冠動脈形成術経皮冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止などが挙げられる。さらに、このようなペプチドは、試薬として、採血管抗凝固剤として、あるいはステントカテーテル医療用チューブなどの医療機器表面コーティング剤としても開発することができる。

概要

本発明は、高い特異性でトロンビンに結合することができ、その活性を阻害することができる単離されたペプチド、ならびにそのバリアントおよび断片を提供する。また、本発明は、診断方法治療方法、および医療機器のコーティング方法における前記ペプチドの使用、ならびに前記ペプチドをコードする核酸を提供する。

目的

本発明は、血栓に関連する疾患の診断方法および治療方法、ならびに医療機器をコーティングする方法における前記ペプチドの使用を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

単離されたトロンビン阻害物質であって、配列番号1またはそのバリアントもしくは断片、配列番号2またはそのバリアントもしくは断片、配列番号22またはそのバリアントもしくは断片、配列番号23またはそのバリアントもしくは断片、配列番号24またはそのバリアントもしくはその断片、および配列番号25またはそのバリアントもしくは断片を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むトロンビン阻害物質。

請求項2

前記アミノ酸配列が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25を含む群から選択される、請求項1に記載の単離されたトロンビン阻害物質。

請求項3

配列番号2、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の単離されたトロンビン阻害物質。

請求項4

トロンビンフィブリノゲン分解活性および/またはトロンビンのアミド分解活性阻害する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離されたトロンビン阻害物質。

請求項5

アミド分解アッセイで評価したIC50が、400nM未満、好ましくは300nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、10nM未満、好ましくは9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満または1nM未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトロンビン阻害物質。

請求項6

アミド分解アッセイで評価したKiが、6000nM未満、好ましくは2000nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、10nM未満、好ましくは9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満または1nM未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトロンビン阻害物質。

請求項7

血栓に関連する疾患の予防または治療のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアミノ酸配列を含む、単離されたトロンビン阻害物質。

請求項8

トロンビンの活性を阻害する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つのトロンビン阻害物質とトロンビンとを接触させることを含む方法。

請求項9

前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質が採血管抗凝固剤として使用されている、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質がステントカテーテル、その他の医療用チューブなどの医療機器表面コーティング剤として使用されている、請求項8に記載の方法。

請求項11

トロンビンの活性に関連する疾患の予防および/または治療のための医薬品を製造するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトロンビン阻害物質の使用。

請求項12

トロンビンの活性に関連する前記疾患が、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症不安定狭心症冠動脈形成術経皮冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止用深部静脈血栓症血栓性静脈炎肺塞栓症心臓アテローム性動脈硬化プラーク人工弁もしくは人工血管を原因とするか、または原因不明塞栓エピソードおよび微小塞栓エピソード;ならびに播種性血管内凝固症候群から選択される、請求項11に記載の使用。

請求項13

前記医薬品が、動静脈シャント血栓症挫傷捻挫筋肉裂傷外傷性血腫浮腫紅斑静脈瘤静脈周囲炎、および痔核を伴う肛門の静脈周囲炎、特に血栓塞栓性合併症を伴うこれらの疾患の予防および/または治療のための局所使用のための医薬品である、請求項11に記載の使用。

請求項14

血栓に関連する疾患を予防および/または治療する方法であって、血栓に関連する疾患の予防および/または治療を必要とする対象に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトロンビン阻害物質の有効量を投与することを含む方法。

請求項15

血栓に関連する前記疾患が、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症;不安定狭心症、冠動脈形成術、経皮的冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止用;深部静脈血栓症;血栓性静脈炎;肺塞栓症;心臓のアテローム性動脈硬化プラーク、人工弁もしくは人工血管を原因とするか、または原因不明の塞栓エピソードおよび微小塞栓エピソード;ならびに播種性血管内凝固症候群から選択される、請求項14に記載の方法。

請求項16

血栓に関連する疾患または状態を診断する方法であって、対象または該対象から単離された組織試料に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの阻害物質を投与すること、およびトロンビンに結合した前記トロンビン阻害物質を検出することを含み、トロンビンに結合した前記阻害物質の検出量が、正常レベルのトロンビンに結合した前記阻害物質の量よりも多い場合に、血栓に関連する疾患または状態があることが示される方法。

請求項17

対象におけるトロンビンの蓄積を検出する方法であって、対象または該対象から単離された組織試料に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの阻害物質を投与すること、およびトロンビンに結合した前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質を検出することを含む方法。

請求項18

請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの血栓阻害物質の有効量を含む医薬組成物

請求項19

請求項1〜3のいずれか1項に記載の阻害物質をコードする単離された核酸分子

請求項20

配列番号26および配列番号27ならびにそれらのバリアントまたは断片として示される群から選択される、請求項19に記載の、阻害物質をコードする単離された核酸分子。

請求項21

請求項19または20に記載の核酸分子を含むベクター

請求項22

請求項19〜21のいずれか1項に記載の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞

請求項23

請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの血栓阻害物質を含む、トロンビンの活性を調節するためのキット

技術分野

0001

本発明は、ヒトにおいて血液凝固障害を引き起こすトロンビンに特異的に結合する単離されたペプチド、ならびにそのバリアントおよび断片に関する。また、本発明は、血栓に関連する疾患の診断方法および治療方法、ならびに医療機器コーティングする方法における前記ペプチドの使用を提供する。

背景技術

0002

止血は、血管損傷による血液の漏出を最小限に抑える生理学的現象である。血液凝固系では、血液中循環している酵素前駆体が部分的なタンパク質分解を受けて連続的に活性化されるという過程が見られ、最終的にフィブリン凝塊が形成される。トロンビン(FIIa)は止血において極めて重要な役割を果たしている(Stubbs M. T. and Bode W. Throm Res 69, 1-58 (1993))。トロンビンの止血促進作用としては、(a)可溶性フィブリノゲンを切断してフィブリンモノマーを生成し、フィブリンモノマーが重合して未熟なフィブリン凝塊を形成すること(Versteeg H. H., et al., Physiol Rev 93, 327-358 (2013));(b)フィブリンモノマーを共有結合により架橋するトランスグルタミナーゼ(FXIII)を活性化させて、凝塊を安定化させること;(c)トロンビン自体の増幅に必要な非酵素系補因子(FVおよびFVIII)を活性化すること;(d)FXIを活性化し、それによって内因性経路を活性化させること(Versteeg H. H., et al., Physiol Rev 93, 327-358 (2013));および(e)プロテアーゼ活性受容体を切断して血小板を活性化し、血小板の形態変化脱顆粒および凝集を引き起こすこと(Monroe D. M., et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol 22, 1381-1389 (2002))が挙げられる。一方、トロンビンは抗凝固物質としても重要な役割を果たしており、血液凝固過程の進行および増幅をダウンレギュレートする。すなわち、トロンビンは、トロンボモジュリンに結合すると、プロテインCを活性化し、これによって補因子であるFVaおよびFVIIIaが失活化され、さらなるトロンビンの生成を抑制する(Di Cera E. Mol Aspects Med 29(4), 203-254 (2008))。トロンビンのこのような一見矛盾する凝固促進作用と抗凝固作用は、予期せぬ出血閉塞性血栓の形成との間でバランスを取っており、血栓形成が必要とされた場合には、十分な血栓を形成することができる。

0003

心血管疾患は、単一疾患として世界で死亡者数が最も多く、非伝染性疾患の中では憂慮すべき大きな問題となっている(Chaudhari K., et al., Nat. Rev. Drug. Discov 13, 571-572 (2014))。虚血性心疾患および脳卒中は、血栓症が疾患となって現れたものであり、心血管疾患の最も一般的な疾患例として知られており、世界四大死因の1つである(Raskob G. Thromb Haem 112(5), 843-943 (2014))。抗血栓薬を使用した現在の治療選択肢では、直接トロンビン阻害薬(DTI)、直接第Xa因子(FXa)阻害薬ビタミンKアンタゴニスト(VKA)などの抗凝固薬が使用されることが多い。治療選択肢としてのDTIの例のいくつかとして、トロンビンの活性部位エキソイトIに結合する二価阻害薬ヒルジン合成類似体であるビバリルジン;トロンビンの活性部位のみに結合する一価の小分子DTIであるアルガトロバンおよびダビガトラン;ならびにアンチトロンビン依存性にトロンビンを阻害する低分子ヘパリン(LMWH)が挙げられる(Michiel Coppens, et al.,Circ Res 112, 920-931 (2012))。このようなトロンビン阻害薬は、抗凝固療法の一般的な治療選択肢となっているにも関わらず、様々な制限があり、たとえば、治療域が狭いこと、患者に応じて用量を決める必要があること、出血リスクが高いこと、バイオアベイラビリティが低いこと、食品医薬相互作用の懸念が高いことなどが挙げられる(Bauer K. A. Haem 464-470 (2013))。したがって、より有益性の高い優れた新規の抗凝固薬が求められている。

0004

吸血動物は、食物として血液を摂取するように適応した動物であり、宿主止血機構を抑制し、血液の流れを止めることなく吸血を可能とする様々な分子が発達している。吸血動物に見られる抗凝固物質のなかでも、トロンビン阻害物質は吸血寄生生物において中心的な役割を果たしている(Koh C. Y. and Kini R. M. Expert Rev. Haematol 1(2), 135-139 (2008))。吸血動物から得られたトロンビン阻害物質の特定のファミリーのうち、最も広範囲に研究されているもののいくつかとして、ヒルジン、haemadin、triabin、ornithodorinおよびrhodniinがある(Huntington J. A. Thromb Haemost 111, 583-589 (2014))。本発明者らは過去の研究において、マダニ(Amblyomma variegatum)の唾液腺抽出物から新規トロンビン阻害物質を単離し、variegin(PCT/IB2008/002109)と命名して、その特性を評価した。varieginは、32残基長のペプチドであり、トロンビンと速く強く結合する競合阻害物質である(Koh C. Y., J Biol Chem 282 (40), 29101-29113 (2007))。

0005

心血管疾患および脳血管疾患の治療のための治療剤としてより効果的なペプチドが求められている。このようなペプチドの使用用途としては、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症の治療および予防;不安定狭心症冠動脈形成術経皮冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止などが挙げられる。さらに、このようなペプチドは、試薬として、採血管抗凝固剤として、あるいはステントカテーテル医療用チューブなどの医療機器の表面コーティング剤としても開発することができる。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上述の問題の解決または改善を目的としたものであり、トロンビンに対する親和性が向上した新たなペプチドおよびそのバリアントを提供するものである。本願において新しく同定されたペプチドである「avathrin」および「ultravariegin」は、varieginとの配列同一性はそれほど高くないが、varieginと同様に速く強く競合的にトロンビンに結合して選択的にトロンビンを阻害し、トロンビンに対するKiはそれぞれ545pMおよび4.4pMである。標的(トロンビン)に対するこれらのペプチドの親和性は、臨床で使用されているペプチドベースの類似のトロンビン阻害薬(ビバリルジン(登録商標))よりも、それぞれ約5倍および約650倍高い。ビバリルジンは、明確な有効性が示されておらず、持続点滴が必要であるという欠点がある。本願において、これらのトロンビン阻害物質の様々なバリアントの高分解能三次元構造解析および構造−機能関係解析を実施することによって、これらのトロンビン阻害物質に重要な機能部位を特定した。トロンビンに対する親和性が向上したこれらのペプチドの新たなバリアントを設計し、合成した。また、動脈血マウスモデルを使用してこれらのペプチドのインビボにおける有効性を実証できた。さらに、マダニ類からさらなる新規ペプチドを同定し、調査した。

課題を解決するための手段

0007

本発明の第1の態様において、トロンビン阻害物質であって、SGGHQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号1)またはそのバリアントもしくは断片、SDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号2)またはそのバリアントもしくは断片、配列番号22またはそのバリアントもしくは断片、配列番号23またはそのバリアントもしくは断片、配列番号24またはそのバリアントもしくは断片、および配列番号25またはそのバリアントもしくは断片を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むトロンビン阻害物質が提供される。

0008

好ましい一実施形態において、前記アミノ酸配列は、
QTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号3);
ISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号4);
SGGHQTAVPKIAKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号5);
SGGHQTAVPKIHKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号6);
SGGHQTAVPRISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号7);
SGGHQTAVPXISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号8)(配列中、Xはβ−ホモアルギニンである);
SDEAVRAIPXMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号9)(配列中、Xはβ−ホモアルギニンである);
SDQGDVAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号10);
SDEAVRAEPKMHKTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号11);
SDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPEEYLDDES(配列番号12);
MYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号13);
SDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDEIEE(配列番号14);
SDEAVRAIPKMYSQAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号15);
SDQGDVAEPKMYSTAPPFDFEAIPEEYLDDES(配列番号16);
配列番号2のバリアントであるSDQGDVAEPXMHSTAPPFDFEAIPEEYLDDES(配列番号17)(配列中、Xはβ−ホモアルギニンである);
配列番号2のバリアントであるCDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号18);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEECA(配列番号19);
配列番号2のバリアントであるMYSTAPPGDFEEIPDDAIEEGCCC(配列番号20);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEEGCCC(配列番号21);
SGEDHTAVPKMSRKGLGGDFEDIPPEAYERALEAR(配列番号22);
ELESGDEDSEGGDSQSSPTESAAPRLHQREGGGGDFENVEYDQDQK(配列番号23);
SDVAPADYESDEGDNDGGHDGSEVAKPKMPRGNGGGGDFEEIPEVE(配列番号24);および
TGSDDDDEYDMYESDGDSNEGNDNDEFETAVPRLPNPNSGRDSEHIPMPVN(配列番号25)
を含む群から選択される。

0009

本発明の別の一態様において、血栓に関連する疾患の予防または治療のための、本発明の任意の一態様によるアミノ酸配列を含む、単離されたトロンビン阻害物質が提供される。

0010

本発明の別の一態様において、トロンビンの活性を阻害する方法であって、本発明の任意の一態様による少なくとも1つのトロンビン阻害物質とトロンビンとを接触させることを含む方法が提供される。

0011

本発明の別の一態様によれば、血栓に関連する疾患の予防および/または治療のための医薬品を製造するための、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質の使用が提供される。

0012

本発明の別の一態様によれば、血栓に関連する疾患を予防および/または治療する方法であって、血栓に関連する疾患の予防および/または治療を必要とする対象に、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質の有効量を投与することを含む方法が提供される。

0013

本発明の別の一態様によれば、対象におけるトロンビンの蓄積を検出する方法であって、対象または該対象から単離された組織試料に、本発明の任意の一態様による少なくとも1つの阻害物質を投与すること、およびトロンビンに結合した前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質を検出することを含む方法が提供される。

0014

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様による少なくとも1つのトロンビン阻害物質の有効量を含む医薬組成物が提供される。

0015

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質をコードする単離された核酸分子が提供される。好ましい一実施形態において、前記核酸配列は配列番号1をコードし、TCGGGTGGCCATCAGACTGCTGTTCCGAAGATATCTAAGCAAGGCTTGGGTGGAGACTTTGAAGAAATTCCAAGTGATGAAATAATCGAG(配列番号26)で表される。

0016

本発明の別の一態様によれば、本明細書において定義される少なくとも1つの血栓阻害物質を含むキットが提供される。

図面の簡単な説明

0017

Amblyomma variegatumの唾液腺における、variegin様前駆体タンパク質BAD29729をコードするmRNA局在の同定を示す。ホールマウントin situハイブリダイゼーションを行ったところ、唾液腺主導管の近傍のII型腺房においてBAD29729が発現していることが見出され、他の型の腺房(III型腺房をアスタリスクで示す)ではBAD29729の発現は見られないことが示された。矢印は発現部位を示す。A〜C.血液を与えて5日間飼育した雌ダニの唾液腺(A)および血液を与えて12日間飼育した雄ダニの唾液腺(B)の2〜4個の大型細胞(C)において、BAD29729が強く発現していることを示す。D〜H.血液による飼育中に検出された若虫におけるBAD29729の発現を示す。血液を与えずに飼育した若虫(D)、血液を与えて2日間飼育した若虫(E)および血液を与えて4日間飼育した若虫(F)におけるII型腺房の基底部の染色を示す。血液を与えて6日間飼育した若虫(G)ではII型腺房の基底部は染色されず、満腹まで吸血し、宿主から脱落した若虫(H)ではII型腺房の基底部は非常に弱く染色された。I.血液を与えて2日間飼育した若虫のII型腺房において2つの基底細胞が染色されたことを示す近接写真を示す。スケールバーは、100μm(A,B)、50μm(D〜H)および25μm(C,I)を示す。J.varieginおよびavathrin(variegin様前駆体タンパク質から得た活性なトロンビン阻害ペプチド)の配列アラインメントを示す。

0018

avathrinの合成および精製を示す。固相ペプチド合成法を使用してavathrinを合成し、逆相クロマトグラフィーを使用して精製した。A.溶離液Bの分率を10%から70%に変化させたアセトニトリル勾配を用いたJupiter Proteo(5μm、250mm×10mm、90Å)逆相カラム上でのavathrinの精製を示す(溶離液A:0%ACN、99.9%MilliQ水および0.1%TFA;溶離液B:0%ACN、99.9%MilliQ水および0.1%TFA)。B.avathrinまたはその末端切断バリアント(IS20)を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に溶解し、遠紫外円偏光二色性(CD)スペクトル(260〜190nm)を分析した結果を示す。いずれもランダムコイルに典型的なスペクトルを示した。C.avathrinの純度および質量をESI-MSによって測定した。3種の多価イオンが生成されるようにavathrinをイオン化したところ、4価イオンに相当するm/z値=785.84amu、3価イオンに相当するm/z値=1047.55amu、および2価イオンに相当するm/z値=1570.58amuが検出された。D.avathrinのデコンボリューションマススペクトルでは、予想質量3139.65±0.83Daに相当するavathrinの質量が検出されたことが示された(表1)。

0019

avathrinのトロンビン阻害活性を示す。A.S2238(100μM)を使用し、プレインキュベーション(10分間)ありの条件またはプレインキュベーションなしの条件で、トロンビン(0.81nM)のアミド分解活性に対する様々な濃度のavathrinの効果を測定した。avathrinは、トロンビンのアミド分解活性を用量依存的に阻害したことが示された。0分における阻害活性のIC50は6.95±0.42nMであり、Hill slopeは0.92±0.01であり;10分におけるIC50は4.86±0.36nMであり、Hill slopeは0.94±0.02nMであった。各データポイントは少なくとも3回の実験平均値±S.D.を示す。B.様々な濃度のavathrinの存在下でS2238(100μM)を使用して行ったトロンビン(0.81nM)のアミド分解アッセイでは、avathrinの存在下でのトロンビンの阻害が直線的に推移する曲線として示されたことから、avathrinが速く結合する阻害物質であることがわかった。C.S2238の濃度を様々に変えて、様々な濃度のavathrinの存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を測定し、Ki’(見かけのKi)を求めた。反応はトロンビン(0.81nM)を添加することによって開始した。GraphPad Prizmソフトウェアを使用して、強く結合する阻害物質に適用可能なMorrisonの式によってデータをカーブフィッティングした。各データポイントは少なくとも3回の実験の平均値±S.D.を示す。D.S2238の濃度に対してKi’をプロットしたグラフでは直線的な増加が見られ、avathrinが競合阻害物質であることが示された。阻害定数Kiは545.3±3.1pMであった。

0020

トロンビンのフィブリノゲン分解活性の阻害を示す。avathrin、IS20、GL16およびultravarieginはいずれも用量依存的にフィブリノゲン凝固時間延長した。

0021

avathrinのセリンプロテアーゼ選択性を示す。凝固促進剤、抗凝固剤、フィブリン分解性セリンプロテアーゼおよび古典的セリンプロテアーゼ(トロンビン、トリプシン、fIXa、fXIa、fXa、キモトリプシン、tPA、fVIIa、プラスミンAPCカリクレインウロキナーゼおよびfXIIa)を含む13種のセリンプロテアーゼに対する選択性についてavathrinをスクリーニングした。各プロテアーゼおよびその基質は、特に記載がない限り、以下の括弧内に示した最終濃度(nM/μM)でアミド分解アッセイに使用した:α−トロンビン/S2238(0.81/100)、トリプシン/S2222(0.87/100)、fIXa/スペクトロザイム(登録商標)fIXa(333/0.4)、fXIa/S2366(0.125/1000)、fXa/S2765(0.24/650)、キモトリプシン/S2586(1.2/0.67)、tPA/S2288(36.9/1000)、fVIIa/S2288(460/1200)、プラスミン/S2251(3.61/1200)、APC/S2366(2.74/600)、カリクレイン/S2302(0.93/1100)、ウロキナーゼ/S2444(32U/ml/650)、fXIIa/S2302(20/1000)。トロンビンの活性は、avathrinの濃度を低濃度(1000nM、100nMおよび10nM)にして試験を行い、他のプロテアーゼについては、avathrinの濃度を非常に高濃度(100μM、10μMおよび1μM)にして試験を行った。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。

0022

トロンビンによるavathrinの分解を示す。A.トロンビンによるavathrinの分解をHPLCクロマトグラフィーによって評価した結果を示す。インキュベーション時間を様々に変えてavathrin(150μM)とトロンビン(5μM)とを反応させ、RP-HPLCによって反応混合物を分離し、分解産物の質量をESI-MSで分析した。0分(上パネル)において、完全長avathrin(質量=3139Da)に相当する単一のピークが同定された。120分(中央のパネル)において、N末端分解産物(SGGHQTAVPK;質量=982Da)およびC末端分解産物(ISKQGLGGDFEEIPSDEIIE;質量=2176Da)に相当する2つのピークがavathrinのピークに加えて新たに同定された。600分(下パネル)において、N末端分解産物とC末端分解産物に相当する2つのピークが観察されたが、avathrinに相当するピークは観察されず、avathrinが完全に分解されたことが示された。B.トロンビンによるavathrinの分解の時間推移を示す。曲線下面積を算出することによって、avathrin、そのN末端分解産物およびC末端分解産物の相対量(%)を定量した。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。C.トロンビンによる分解がavathrinの阻害特性に及ぼす影響を示す。avathrinをトロンビン(0.81nM)とともに最大36時間までインキュベートし、発色基質S2238に対するトロンビンのアミド分解活性を阻害するavathrinの能力を様々な時間点において分析した。avathrinの濃度を25nMとした場合、avathrinはトロンビン(0.81nM)の約30倍の量で存在し、これは、分解産物のHPLC分析で使用した比率と同様であった。完全長avathrinは約10時間経過した時点で完全に分解されたが、24時間後において、分解産物は、分解前の阻害活性の50%超を保持していた。したがって、avathrinの分解産物、特にavathrinのC末端分解産物は、トロンビンに対する結合能を保持しており、トロンビンに対する阻害能を発揮し続けると考えられる。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。

0023

トロンビンのアミド分解活性に対する末端切断avathrin変異体の効果を示す。A.トロンビン(0.81nM)のアミド分解活性に対するQT26およびIS20の効果を測定した。これらのペプチドはいずれも用量依存的にトロンビンを阻害する。QT26の0分におけるIC50は8.94±0.64nMであり、Hill slopeは0.88±0.03であり;10分におけるIC50は13.54±0.81であり、Hill slopeは0.92±0.03であった。IS20の0分におけるIC50は12.38±0.32nMであり、Hill slopeは0.86±0.02であり;10分におけるIC50は22.70±0.94nMであり、Hill slopeは0.87±0.01であった。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。B.GL16(3μM、10μM、30μM、100μMおよび300μM)は、トロンビンのアミド分解活性を阻害することができず、高濃度では逆にトロンビンによるS2238の加水分解をわずかに促進した。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。C,D.QT26またはIS20の存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を測定し、Ki’(見かけのKi)を求めた。QT26およびIS20はいずれも強く結合する阻害物質であることが示された。各データポイントは少なくとも3回の実験の平均値±S.D.を示す。E.S2238の濃度に対してKi’をプロットしたグラフでは直線的な増加が見られ、QT26が競合阻害物質であることが示された。阻害定数Kiは760.32±0.91pMであった。F.S2238の濃度に対してKi’をプロットしたグラフは曲線を描いて減少し、IS20が非競合阻害物質であることが示された(α<1)。阻害定数Kiは5760±230pMであった。

0024

トロンビンのアミド分解活性に対する効果をavathrinとavathrinのバリアントとの間で比較した結果を示す。avathrinのバリアントはいずれも用量依存的にトロンビンの活性を阻害した。A.S12AのIC50は101.20±1.32nMであり、Hill slopeは0.62±0.01であった。IC50によって示されたS12Aの阻害活性はavathrinの20分の1であり、avathrinのトロンビン阻害作用においてSer12が重要であることがわかった。S12HのIC50は18.51±0.32nMであり、Hill slopeは0.88±0.02であった。各データポイントは少なくとも3回の実験の平均値±S.D.を示す。B.L16P,G17PのIC50は181.32±3.76nMであり、Hill slopeは0.54±0.02であった。G2D,Q5DのIC50は12.98±1.23nMであり、Hill slopeは0.71±0.03であった。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。C.β-avathrinのIC50は332.16±1.32nMであり、Hill slopeは0.62±0.01であった。β-avathrinは最大72時間経過しても分解されなかったが、その作用は大幅に低下した。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。D.K10RのIC50は1.15±0.45nMであり、Hill slopeは1.10±0.01であった。K10Rは5倍の活性を有していたが、avathrinよりも非常に速い速度(3時間)で分解された。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。E.β-varieginのIC50は117.90±1.16nMであり、Hill slopeは0.93±0.05であった。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。

0025

avathrinのバリアントであるK10R(A)およびβ-avathrin(B)のトロンビンによる分解を示したHPLCクロマトグラムを示す。インキュベーション時間を様々に変えてこれらのペプチドとトロンビンとを反応させ、反応混合物をRP-HPLCで分離し、分解産物の質量をESI-MSで分析した。K10R-avathrinは3時間後に(avathrinの分解よりも非常に速い速度で)完全に分解されたが、72時間経過した後でもβ-avathrinは分解されなかった。

0026

様々なavathrinバリアントによる阻害における動態パラメータを示す。S2238の濃度を様々に変えて、S12H(A)、G2D,Q5D(B)またはK10R(C)の存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を測定し、Ki’(見かけのKi)を求めた。反応はトロンビン(0.81nM)を添加することによって開始した。S12H、G2D,Q5DおよびK10Rはいずれも強く結合するトロンビン阻害物質であり、S12HのKi値は1.23±0.04nM、G2D,Q5DのKi値は0.93±0.01nMおよびK10RのKi値は0.17±0.00nMであった。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。

0027

β-avathrinまたはS12Aによるトロンビンの阻害のラインウィーバーバークプロットを示す。S2238の濃度を様々に変えて、β-avathrin(300nM;A)またはS12A(30nM;B)の存在下において、トロンビンの残存アミド分解活性を測定した(実線:阻害物質なし;点線:阻害物質あり)。β-avathrinおよびS12Aはいずれも、等モル濃度のトロンビンを阻害することができなかったことから、トロンビンに強く結合する阻害物質ではなかった。この二重逆数プロットでは、β-avathrinのKi値は32.04±0.36nMであり、S12AのKi値は6.07±0.18nMであることが示された。各データポイントは少なくとも3回の独立した実験の平均値±S.D.を示す。

0028

avathrin−トロンビン複合体の結晶構造モデルを示す。A.トロンビン−avathrin複合体の概観を示す。avathrinを棒モデル(炭素:黄色;窒素:青色;酸素:赤色)で示し、トロンビンの表面を水色で示す。トロンビンの活性部位の近くに6残基の配列A(5QTAVPK10)が同定され、エキソサイトIの溝に10残基の配列A(19DFEEIPSDEI28)が同定された。B.(A)とよく似た視点から見た、avathrinについて計算した電子密度マップを示す。2Fo-Fcマップ(灰色、1.0σで表示したもの)およびFo-FCマップ(3.0σで表示した正の電子密度を緑色で示し、3.0σで表示した負の電子密度を赤色で示したもの)を示す。C.N末端から被切断結合までのavathrinペプチド(黄色の棒)から半径4.5Å以内にトロンビン残基(水色の線)が存在していることから、avathrinとトロンビンとが相互作用していることが示された。D.エキソサイトIに結合したavathrinペプチド(黄色の棒)から半径4.5Å以内にトロンビン残基(水色の線)が存在していることから、avathrinとトロンビンとが相互作用していることが示された。E.(C)とよく似た視点から見た、avathrinについて計算した電子密度マップを示す。2Fo-Fcマップ(灰色、1.0σで表示したもの)およびFo-FCマップ(3.0σで表示した正の電子密度を緑色で示し、3.0σで表示した負の電子密度を赤色で示したもの)を示す。F.(D)とよく似た視点から見た、avathrinについて計算した電子密度マップを示す。2Fo-Fcマップ(灰色、1.0σで表示したもの)およびFo-FCマップ(3.0σで表示した正の電子密度を緑色で示し、3.0σで表示した負の電子密度を赤色で示したもの)を示す。

0029

avathrinによる凝塊結合トロンビンの阻害を示す。S2238(100μM)を使用して、凝塊結合トロンビン(0.81nM)のアミド分解活性に対するavathrinの効果を測定した。avathrinは凝塊結合トロンビンを用量依存的に阻害し、そのIC50値は1.74±0.35μMであった。

0030

塩化鉄(III)で誘導した頸動脈血栓マウスモデルにおいて、閉塞が生じるまでの時間に対するavathrinの効果をhirulog-1と比較した結果を示す。生理食塩水(0.9%)100μlに溶解した2種の用量(3mg/kgおよび10mg/kg)のavathrinまたはhirulog-1をマウス(n=6)の尾静脈静脈内注射した。10%FeCl3を染みこませた濾紙(2mm×2mm)を頸動脈上に置いて血栓を誘導し、FeCl3による血栓の誘導から閉塞が生じるまでの時間(TTO)を測定した。対照マウスには、生理食塩水100μlを静脈内注射または腹膜内注射した(n=6)。対照マウスのTTOは7.24±1.46分であったのに対し、3mg/kgのavathrinを注射したマウスのTTOは15.03±3.23分まで延長し、10mg/kgのavathrinを注射したマウスのTTOは22.51±4.19分まで延長した。3mg/kgのhirulog-1を注射したマウスのTTOは9.76±3.15分であり、10mg/kgのhirulog-1を注射したマウスのTTOは15.23±3.39分であった。2群間有意差t検定を使用して算出した(*p<0.001)。このモデルにおいて、avathrinはhirulog-1よりも良好な有効性を示す。

0031

varieginファミリーペプチドによるトロンビンのアミド分解アッセイの阻害を示す。トロンビンを阻害する能力について、選択したペプチドを様々な濃度(0.0003〜3000nM)で試験した。Amblyomma variegatumの唾液腺タンパク質から同定されたペプチドのうち、ultravarieginが最も強力であり、そのIC50値は0.26±0.008nMであった。他のペプチドのIC50値は14〜130nMの範囲であった。

0032

ultravarieginのバリアントであるUV003およびUV004によるトロンビンの阻害を示す。A,C.トロンビンのアミド分解活性を阻害する能力について、これらのultravarieginバリアントを様々な濃度(0.03nM〜100nM)で試験し、ultravarieginと比較した。UV003およびUV004はいずれもトロンビンを阻害し、UV003のIC50値は0.60±0.20nMであり、UV004のIC50値は0.46±0.08nMであった。B,D.S2238の濃度を様々に変えて、UV003またはUV004の存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を測定し、これらのKi値を測定した。UV003のKi値は4.21±0.96pMであり、UV004のKi値は4.55±0.37pMであった。

0033

ultravarieginのバリアントであるUV005およびUV011によるトロンビンの阻害を示す。A,C.トロンビンのアミド分解活性を阻害する能力について、これらのultravarieginバリアントを様々な濃度(0.03nM〜100nM)で試験し、ultravarieginと比較した。UV005およびUV011はいずれもトロンビンを阻害し、UV005のIC50値は0.91±0.47nMであり、UV011のIC50値は1.66±0.77nMであった。B,D.S2238の濃度を様々に変えて、UV005またはUV011の存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を測定し、これらのKi値を測定した。UV005のKi値は16.0±3.05pMであり、UV011のKi値は1387±230pMであった。

0034

ultravarieginのバリアントであるUV012、UV013、variegin YS、UV007、UV008、UV014およびUV015のトロンビン阻害作用を示す。A,C,E.トロンビンのアミド分解活性を阻害する能力について、これらのultravarieginバリアントを様々な濃度(0.003nM〜3000nM)で試験し、ultravarieginと比較した。様々なバリアントのIC50値を表5に示す。B,D.UV012、UV013、variegin YS、UV007、UV008、UV014またはUV015の存在下におけるトロンビンの残存アミド分解活性を求め、強く結合する阻害物質に適用可能な式を使用してデータをカーブフィッティングし、これらのKi値を求めた。各バリアントのKi値を表4に示す。

0035

ultravarieginの阻害定数Kiを示す。varieginファミリーを代表する最も強力な阻害物質であるultravarieginのKi値を示す。ultravarieginはトロンビンに強く結合する阻害物質である。様々な濃度のultravarieginを、様々な濃度のS2238(50μM、100μM、150μM、200μM、250μM、300μM、350μMおよび400μM)と混合し、Ki’値を求めた。反応はトロンビン(0.81nM)を添加することによって開始した。GraphPad prizmソフトウェアを使用して、Morrisonの式によってデータをカーブフィッティングした(n=3、エラーバーはS.D.を示す)。(B)基質濃度に対するKi’のプロットが直線的に増加したことから、ultravarieginがトロンビンのアミド分解活性を競合的に阻害することが示され、その阻害定数Kiは4.4±0.35pMであった(エラーバーはS.D.を示す)。

0036

トロンビンによるultravarieginの分解を示す。トロンビンとともにインキュベートしたultravarieginの時間推移を分析したところ、ultravarieginもトロンビンによって分解されることが確認できた。インキュベーション時間を様々に変えて得られた反応混合物をRP-HPLCによって分離し、分解産物を分離および定量した。ultravarieginの分解産物から得たピークを積分し、曲線下面積を算出することによって、ultravarieginの分解産物を定量した。トロンビンとのインキュベーション時間の延長に伴い、完全長ultravarieginの量が減少し、Lys10-Met11結合での切断に相当する分解産物の増加が観察された。18時間後にはultravarieginは完全に分解され、分解産物に相当するピークのみを観察することができた。

0037

ultravarieginのセリンプロテアーゼに対する選択性を示す。フィブリン分解性セリンプロテアーゼ(プラスミンおよびTPA)、抗凝固性セリンプロテアーゼ(ウロキナーゼ)、凝固促進性セリンプロテアーゼ(FXIIa、FXIa、FXa、FIXa、FVIIa、カリクレインおよびトロンビン)および古典的セリンプロテアーゼ(トリプシンおよびキモトリプシン)を含む13種のセリンプロテアーゼに対してultravarieginをスクリーニングした。3種の濃度のultravariegin(100nM、10nMおよび1nM)を使用して、トロンビンに対する選択性を試験した。他のプロテアーゼについては、非常に高い濃度のavathrin(100μM、10μMおよび1μM)を使用した。

0038

Rhipicephalus sanguineus由来ペプチドの阻害定数Kiを示す。様々な濃度のRhipicephalus sanguineus由来ペプチドを、様々な濃度のS2238(50μM、100μM、150μM、200μM、250μM、300μM、350μMおよび400μM)と混合することによって、Rhipicephalus sanguineus由来ペプチドのKi’を測定した。反応はトロンビン(0.81nM)を添加することによって開始した。GraphPad prizmソフトウェアを使用して、Morrisonの式によってデータをカーブフィッティングした(n=3、エラーバーはS.D.を示す)。(B)基質濃度に対するKi’のプロットが直線的に増加したことから、このペプチドがトロンビンのアミド分解活性を競合的に阻害することが示され、その阻害定数Kiは8.79±0.65nMであった(エラーバーはS.D.を示す)。

0039

フィブリン分解性セリンプロテアーゼ(プラスミンおよびTPA)、抗凝固性セリンプロテアーゼ(ウロキナーゼ)、凝固促進性セリンプロテアーゼ(FXIIa、FXIa、FXa、FIXa、FVIIa、カリクレインおよびトロンビン)および古典的セリンプロテアーゼ(トリプシンおよびキモトリプシン)を含む13種のセリンプロテアーゼに対してRhipicephalus sanguineus由来ペプチドのセリンプロテアーゼ選択性をスクリーニングした結果を示す。3種の濃度のRhipicephalus sanguineus由来ペプチド(1000nM、100nMおよび10nM)を使用して、トロンビンに対する選択性を試験した。他のプロテアーゼについては、非常に高い濃度のRhipicephalus sanguineus由来ペプチド(100μM、10μMおよび1μM)を使用した。

0040

Amblyomma americanum由来ペプチドおよびHyalomma marginatum rufipes由来ペプチドの阻害定数Kiを示す。様々な濃度のAmblyomma americanum由来ペプチドまたはHyalomma marginatum rufipes由来ペプチドを、様々な濃度のS2238(50μM、100μM、150μM、200μM、250μM、300μM、350μMおよび400μM)と混合することによって、これらのペプチドのKi’を測定した。反応はトロンビン(0.81nM)を添加することによって開始した。GraphPad prizmソフトウェアを使用して、Morrisonの式によってデータをカーブフィッティングした(n=3、エラーバーはS.D.を示す)。(B)基質濃度に対するKi’のプロットが直線的に増加したことから、これらのペプチドがトロンビンのアミド分解活性を競合的に阻害することが示された(エラーバーはS.D.を示す)。Amblyomma americanum由来ペプチドのKi値は1.63±0.61nMであり、Hyalomma marginatum rufipes由来ペプチドのKi値は6.135±0.39nMであった。

0041

(A)Amblyomma americanum由来ペプチドおよび(B)Hyalomma marginatum rufipes由来ペプチドのセリンプロテアーゼ選択性を示す。フィブリン分解性セリンプロテアーゼ(プラスミンおよびTPA)、抗凝固性セリンプロテアーゼ(ウロキナーゼ)、凝固促進性セリンプロテアーゼ(FXIIa、FXIa、FXa、FIXa、FVIIa、カリクレインおよびトロンビン)および古典的セリンプロテアーゼ(トリプシンおよびキモトリプシン)に対してこれらのペプチドをスクリーニングした。3種の濃度のこれらのペプチド(1000nM、100nMおよび10nM)を使用して、トロンビンに対する選択性を試験した。他のプロテアーゼについては、非常に高い濃度のこれらのペプチド(100μM、10μMおよび1μM)を使用した。

0042

採取した血液に様々なトロンビン阻害物質(ヒルジン、ultravariegin、avathrin、varieginおよびクエン酸塩)を添加し血液凝固を阻止した後、様々な時間点において測定したADPの誘導による血小板凝集反応を示す。

0043

avathrinまたは他の阻害物質とトロンビンのエキソサイトとの相互作用を示す。トロンビンのエキソサイトの表面を水色で示し、トロンビン阻害物質を棒モデルで示す。avathrinのC末端セグメント(黄色)、varieginのC末端セグメント(淡紅色)およびhirulog-1のC末端セグメント(緑色)を重ね合わせた。

0044

Amblyomma variegatum、Amblyomma americanumまたはAmblyomma cajannenseの唾液腺のトランスクリプトームから同定された、avathrin、varieginおよびこれらに関連するペプチドの配列アラインメントを示す。各転写産物は、翻訳後に3〜5つの成熟ペプチドに切断される前駆体タンパク質をコードする。各転写産物から得られた代表的なペプチド配列を1つのみ示す。

0045

本願明細書では、参考文献を一覧として簡便に参照できるように、実施例の後ろに参考文献の一覧を掲載している。参考文献の一覧に掲載された文献の記載はいずれも、引用によって本明細書に組み込まれる。

0046

用語の定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付の請求項において使用される特定の用語を以下にまとめた。

0047

本明細書において「含む」とは、本発明の実施に際して、様々な成分、材料または工程を組み合わせて使用することと定義される。したがって、「含む」という用語には、この用語よりも限定的な意味の「から実質的になる」および「からなる」という用語も包含される。

0048

本明細書において「単離された」とは、自然界において特定の生物学的成分を産生する生物の細胞の別の生物学的成分(すなわち染色体DNA、染色体外DNA、染色体RNA、染色体外RNA、タンパク質)から実質的に分離されたか、製造されたか、あるいは精製された該特定の生物学的成分(たとえば、核酸、ペプチドまたはタンパク質)として定義される。したがって、単離された核酸、ペプチドおよびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸やタンパク質を包含する。さらに、「単離された」という用語は、宿主細胞での組換え発現によって作製された核酸、ペプチドおよびタンパク質、ならびに化学合成された核酸を包含する。

0049

本明細書において「バリアント」は、参照配列と比較して少なくとも1つの核酸の置換欠失または付加があることから参照配列とは異なるヌクレオチド配列を少なくとも1つ有しているが、トロンビンを認識し、これに結合して阻害する能力を保持するアミノ酸配列をコードする核酸として定義される。さらに、「バリアント」は、少なくとも1つの参照配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加があることから参照配列とは異なっているが、トロンビンを認識し、これに結合して阻害する能力を保持するアミノ酸配列をも指す。具体的には、バリアントは天然物であってもよいし、組換え体合成物であってもよい。より具体的には、バリアントは、参照配列と少なくとも30%の配列同一性、少なくとも40%の配列同一性、少なくとも50%の配列同一性、少なくとも60%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、または少なくとも95%の配列同一性を有していてもよい。たとえば、配列番号7で示されるavathrin K10Rのアミノ酸配列は、配列番号1で示されるavathrinのアミノ酸配列においてアミノ酸を置換することにより作製されたものであり、配列番号1のバリアントであると見なすことができる。また、「バリアント」は、元のアミノ酸と類似した構造特性または化学的特性を保持しているアミノ酸への置換(たとえばロイシンからイソロイシンへの置換)がなされた「保存的」変更を有するペプチドからなるトロンビン阻害物質を包含していてもよい。ごくまれな場合として、バリアントは「非保存的」変更(たとえばグリシンからトリプトファンへの置換)を有していてもよい。上記に類似したわずかな変更として、アミノ酸の欠失、挿入、欠失挿入を包含していてもよい。生物学的活性を失ってしまうことなく、どのアミノ酸残基を置換、挿入あるいは欠失できるのかということを判断するための指標は、当技術分野で公知のコンピュータープログラム、たとえばDNASTAR(登録商標)ソフトウェア(DNASTAR社(米国ウィスコシン州マディソン))を使用して見出すことができる。別の形態のバリアントとして、特定のアミノ酸から修飾アミノ酸への置換が挙げられ、修飾アミノ酸としては、たとえば、配列番号9のβ-ultravariegin(SDEAVRAIPXMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE)において「X」で示されるβ−ホモアルギニンが挙げられる。配列表での記載では、β−ホモアルギニンは「X」または「Xaa」で示している。

0050

本明細書において「断片」は、1つ以上のアミノ酸が異なっているが、参照配列が認識するトロンビンの立体構造エピトープと同じ立体構造エピトープを認識して、これに結合する能力を保持するアミノ酸配列を指す。たとえば、配列番号3で示されるQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(QT26)からなるアミノ酸配列は、配列番号1(SGGHQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE)で示されるavathrinの配列よりも短いが、トロンビンを認識し、これに結合して阻害する能力を保持することから、配列番号1の断片と見なすことができる。これと同様に、配列番号4で示されるIS20のアミノ酸配列(ISKQGLGGDFEEIPSDEIIE)は、配列番号1(SGGHQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE)で示されるavathrinの配列よりも短いが、トロンビンを認識し、これに結合して阻害する能力を保持することから、配列番号1の断片と見なすことができる。

0051

本明細書において「試料」という用語は、最も広い意味で使用される。トロンビンを含むと見られる生体試料には、体液または組織が包含される。

0052

本発明に関連して使用される「治療」という用語は、予防的処置緩和処置治療的処置または治癒処置を指す。

0053

本明細書において「対象」は脊椎動物として定義され、特に哺乳動物、特にヒトを指す。特に研究を目的とする場合、対象は、少なくとも1つの動物モデル(たとえばマウス、ラットなど)であってもよい。具体的には、血栓および/または血栓関連疾患の治療を目的とする場合、対象はヒトであってもよい。

0054

本発明の一態様において、単離されたトロンビン阻害物質であって、SGGHQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号1)またはそのバリアントもしくは断片、SDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号2)またはそのバリアントもしくは断片、配列番号22またはそのバリアントもしくは断片、配列番号23またはそのバリアントもしくは断片、配列番号24またはそのバリアントもしくは断片、および配列番号25またはそのバリアントもしくは断片を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むトロンビン阻害物質が提供される。本明細書で開示されたこれらの配列は一部が変更されていてもよく、一部が変更されていても、トロンビンの活性を阻害する能力を保持していると解される。

0055

たとえば、配列番号1および配列番号2の7番目の残基(A)、9番目の残基(P)、10番目の残基(K)、19〜21番目の残基(DFE)、23番目の残基(I)および24番目の残基(P)は、変更すると最も影響が見られたことから、トロンビン阻害活性にとって重要であることがわかった。これらの重要な残基の大部分が保持されている場合、少なくとも30%の同一性を有し、トロンビン阻害活性を保持するペプチドバリアントを作製することができた。

0056

好ましい一実施形態において、単離されたトロンビン阻害物質は、配列番号1、配列番号2、配列番号22、配列番号23、配列番号24または配列番号25と少なくとも30%の配列同一性、少なくとも40%の配列同一性、少なくとも50%の配列同一性、少なくとも60%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましくは、単離されたトロンビン阻害物質は、配列番号1または配列番号2と少なくとも60%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。

0057

好ましい一実施形態において、単離されたトロンビン阻害物質のアミノ酸配列は、
配列番号1の断片であるQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号3);
配列番号1の断片であるISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号4);
配列番号1のS12AバリアントであるSGGHQTAVPKIAKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号5);
配列番号1のS12HバリアントであるSGGHQTAVPKIHKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号6);
配列番号1のK10RバリアントであるSGGHQTAVPRISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号7);
配列番号1のβ−ホモアルギニンバリアントであるSGGHQTAVPXISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号8);
配列番号2のβ−ホモアルギニンバリアントであるSDEAVRAIPXMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号9);
配列番号2のバリアントであるSDQGDVAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号10);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAEPKMHKTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号11);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPEEYLDDES(配列番号12);
配列番号2のバリアントであるMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号13);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDEIEE(配列番号14);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSQAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号15);
配列番号2のバリアントであるSDQGDVAEPKMYSTAPPFDFEAIPEEYLDDES(配列番号16);
配列番号2のバリアントであるSDQGDVAEPXMHSTAPPFDFEAIPEEYLDDES(配列番号17);
配列番号2のバリアントであるCDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号18);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEECA(配列番号19);
配列番号2のバリアントであるMYSTAPPGDFEEIPDDAIEEGCCC(配列番号20);
配列番号2のバリアントであるSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEEGCCC(配列番号21);
SGEDHTAVPKMSRKGLGGDFEDIPPEAYERALEAR(配列番号22);
ELESGDEDSEGGDSQSSPTESAAPRLHQREGGGGDFENVEYDQDQK(配列番号23);
SDVAPADYESDEGDNDGGHDGSEVAKPKMPRGNGGGGDFEEIPEVE(配列番号24);および
TGSDDDDEYDMYESDGDSNEGNDNDEFETAVPRLPNPNSGRDSEHIPMPVN(配列番号25)
を含む群から選択される。

0058

前記阻害物質は、配列番号2、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することが好ましい。

0059

別の好ましい一実施形態において、前記トロンビン阻害物質は、トロンビンのフィブリノゲン分解活性および/またはトロンビンのアミド分解活性を阻害する。

0060

別の好ましい一実施形態において、アミド分解アッセイで評価した前記トロンビン阻害物質のIC50は、400nM未満、好ましくは300nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、10nM未満、好ましくは9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満または1nM未満である。IC50は2nM未満であることがより好ましい。具体的に記載された上記IC50値の間の値も本発明の範囲内に含まれる。

0061

別の好ましい一実施形態において、アミド分解アッセイで評価した前記トロンビン阻害物質のKiは、6000nM未満、好ましくは2000nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、10nM未満、好ましくは9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満または1nM未満である。Kiは2nM未満であることがより好ましい。具体的に記載された上記Ki値の間の値も本発明の範囲内に含まれる。

0062

本発明の別の一態様において、トロンビンの活性に関連する疾患の予防または治療のための、本発明の任意の一態様によるアミノ酸配列を含む、単離されたトロンビン阻害物質が提供される。

0063

本発明の別の一態様において、トロンビンの活性を阻害する方法であって、本発明の任意の一態様による少なくとも1つのトロンビン阻害物質とトロンビンとを接触させることを含む方法が提供される。好ましい一実施形態において、前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質は、採血管の抗凝固剤として使用されているか、またはステント、カテーテル、その他の医療用チューブなどの医療機器の表面コーティング剤として使用されている。

0064

本発明の別の一態様によれば、血栓に関連する疾患の予防および/または治療のための医薬品を製造するための、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質の使用が提供される。好ましい一実施形態において、血栓に関連する疾患は、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症;ならびに不安定狭心症、冠動脈形成術、経皮的冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止用から選択される。

0065

本発明の方法に従った治療用組成物の投与に適した方法としては、全身投与非経口投与(血管内投与、筋肉内投与動脈内投与など)、経口送達局所投与頬側送達、直腸送達、内送達、皮下投与腹腔内投与外科移植局所注射、および高速射出パーティクルガンが挙げられるが、これらに限定されない。持続点滴が実施可能である場合、持続点滴を行うことによって標的部位での薬物の蓄積を促進することができる(たとえば、米国特許第6,180,082号を参照されたい)。

0066

どのような投与経路で送達する場合であっても、本発明のペプチドは、通常、所望の応答を得るのに効果的な量で投与される。本明細書において、「有効量」および「治療有効量」は、測定可能生物学的応答(たとえば、血栓の量の減少または血栓に関連する疾患の緩和)を得るのに十分な治療用組成物(たとえば、トロンビン阻害性ポリペプチド、および薬学的な基剤担体または賦形剤を含む組成物)の量を指す。本発明の治療用組成物に含まれる有効成分の実際の投与量は、特定の対象および/または用途において所望の治療応答を得るのに効果的な量の活性ポリペプチドが投与されるように適宜調整することができる。当然のことながら、特定の症例における有効量は、治療用組成物の活性、処方、投与経路、他の薬物または治療との組み合わせ、治療中の病態重症度、治療を受けている対象の健康状態および既往歴などの様々な要因に左右される。また、最小用量を投与することが好ましく、最小用量は、用量制限毒性が見られない最小有効量まで上げることが好ましい。当業者であれば、治療有効量の決定方法調整方法、およびこのような調整をいつどのようにして行うべきかという評価の方法を熟知しているであろう。

0067

処方および用量に関しては、米国特許第5,326,902号および第5,234,933号;PCT国際公開WO 93/25521;Berkow, et al., (1997) The Merck Manual of Medical Information, Home ed. Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, N.J.;ならびにGoodman, et al., (2006) Goodman & Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th ed. McGraw-Hill Health Professions Division, New Yorkに記載の指針をさらに参照されたい。

0068

本発明の別の一態様によれば、トロンビンの活性に関連する疾患を予防および/または治療する方法であって、トロンビンの活性に関連する疾患の予防および/または治療を必要とする対象に、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質の有効量を投与することを含む方法が提供される。好ましい一実施形態において、血栓に関連する疾患は、心臓発作、脳卒中および塞栓症を引き起こす動脈血栓症および静脈血栓症;ならびに不安定狭心症、冠動脈形成術、経皮的冠動脈インターベンションおよび心臓手術における血液凝固阻止用から選択される。

0069

本発明のトロンビン阻害物質は、たとえば、血腫を伴う打撲傷または血腫を伴わない打撲傷の治療を目的として局所使用してもよい。過去のヒルジンの臨床試験では、片側性急性筋骨格系損傷(打撲傷)に280UI/100gの用量で1日3〜4回、5日間にわたって塗布が行われたが、本発明のペプチド阻害物質も、このヒルジンのレジメンと同様にしてクリーム剤の形態で投与してもよい[StamenovaPK. , et al, Eur Rev Med Pharmacol Sci. 5(2):37-42 (2001)]。トロンビン阻害物質は、動静脈シャント血栓症、挫傷捻挫筋肉裂傷外傷性血腫、浮腫紅斑静脈瘤静脈周囲炎、および痔核を伴う肛門の静脈周囲炎、特に血栓塞栓性合併症を伴うこれらの疾患を治療するための局所適用剤(r−ヒルジン1120IU/40g;MINAPHARM Pharmaceuticals(エジプトカイロ))としても処方されている[minapharm.comのThrombexx(登録商標)を参照されたい]。本発明の阻害物質分子は、ヒルジンの大きさの半分未満の大きさであることから、局所的に塗布された場合に、皮膚バリアを透過して移行する有効成分(つまりトロンビン阻害物質)の量が増加すると考えられる。

0070

本発明の別の一態様によれば、対象におけるトロンビンの蓄積を検出する方法であって、対象または該対象から単離された組織試料に、本発明の任意の一態様による少なくとも1つの阻害物質を投与すること、およびトロンビンに結合した前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質を検出することを含む方法が提供される。

0071

好ましい一実施形態において、対象におけるトロンビンの蓄積を検出する方法であって、
a.患者から組織試料を得ること;および
b.本発明の任意の一態様による少なくとも1つの阻害物質と前記試料とを接触させ、トロンビンと前記少なくとも1つのトロンビン阻害物質の結合を検出することによって、前記試料中でトロンビンが蓄積していたかどうかを検出すること
を含む方法が提供される。

0072

前記トロンビン阻害物質は、SGGHQTAVPKISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(配列番号1)またはそのバリアントもしくは断片、およびSDEAVRAIPKMYSTAPPGDFEEIPDDAIEE(配列番号2)またはそのバリアントもしくは断片を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むことが好ましい。

0073

前記方法の別の好ましい一実施形態において、前記トロンビン阻害物質は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む。

0074

前記阻害物質は、配列番号2、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することが好ましい。

0075

本発明の別の一態様によれば、血栓に関連する疾患または状態を診断する方法であって、対象または該対象から単離された組織試料に、本発明の任意の一態様による少なくとも1つの阻害物質を投与すること、およびトロンビンに結合した前記トロンビン阻害物質を検出することを含み、トロンビンに結合した前記阻害物質の検出量が、正常レベルのトロンビンに結合した前記阻害物質の量よりも多い場合に、血栓に関連する疾患または状態があることが示される方法が提供される。

0076

前記方法の別の好ましい一実施形態において、前記トロンビン阻害物質は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む。

0077

前記阻害物質は、配列番号2、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することが好ましい。

0078

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様による少なくとも1つのトロンビン阻害物質の有効量を含む医薬組成物が提供される。

0079

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様によるトロンビン阻害物質をコードする単離された核酸分子が提供される。好ましい一実施形態において、前記核酸配列は配列番号1をコードし、TCGGGTGGCCATCAGACTGCTGTTCCGAAGATATCTAAGCAAGGCTTGGGTGGAGACTTTGAAGAAATTCCAAGTGATGAAATAATCGAG(配列番号26)で表される。

0080

別の好ましい一実施形態において、前記単離された核酸分子は、配列番号1および配列番号2またはそのバリアントもしくは断片を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むトロンビン阻害物質をコードする。

0081

好ましい一実施形態において、前記単離された核酸分子は配列番号2またはその断片もしくはバリアントをコードし、TCAGACGAAGCTGTCAGGGCGATTCCCAAGATGTACTCGACTGCCCCACCGGGAGATTTCGAAACAATCCCTGACGACGCTATTGAGGAG(配列番号27)またはその断片もしくはバリアントで表される核酸配列を改変することによって得てもよい。配列番号27のヌクレオチド配列において、Thr22をコードするコドンを、Glu22をコードする適切なコドンと置換することによって、該配列を一部変更し、配列番号2のペプチドを作製することが好ましい。前記天然のヌクレオチド配列(配列番号27)は、本発明に記載の好適なトロンビン阻害物質をコードすると解される。

0082

好ましい一実施形態において、前記核酸は、配列番号26もしくは配列番号27またはそれらのバリアントもしくは誘導体によって表される配列を有する。

0083

本発明の別の一態様によれば、本明細書に記載の本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。

0084

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様による核酸分子またはベクターを含む宿主細胞が提供される。前記宿主細胞は、原核生物細胞であってもよく、真核生物細胞であってもよいが、真核生物細胞であることが好ましい。

0085

本発明の別の一態様によれば、本発明の任意の一態様による少なくとも1つの血栓阻害物質または医薬品を含む、血栓に関連する疾患または状態を予防または治療するためのキットが提供される。前記キットは、本発明の血栓阻害物質でコーティングされた、ステント、カテーテル、その他の形態のチューブなどの医療機器を含んでいてもよい。

0086

本発明の概要を説明してきたが、例証を目的として記載された以下の実施例を参照することによって、本発明をさらに容易に理解することができるであろう。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではない。本明細書に記載の方法、技術および化学物質は、本願で引用した参考文献に記載されているものであるか、あるいは標準的な生物工学教科書分子生物学の教科書に記載のプロトコルから得たものである。

0087

材料と方法
カリクレイン、ヒトフィブリノゲンおよびウシトリプシンは、Merck Chemicals社(英国ノッティンガム)から購入した。ウシキモトリプシン、塩化鉄(III)六水和物およびウシ血清アルブミンは、シグマアルドリッチ社(米国ミズーリ州セントルイス)から購入した。その他のセリンプロテアーゼはいずれもHematologic Technologies社(米国バーモント州エセックスジャンクション)から入手した。組換えトロンビンは、化学血清療法研究所(化血研)(日本)より供与された。発色基質はChromogenix社から購入し、スペクトロザイムFIXaはAmerican Diagnostica社から入手した。使用した他の化学物質および試薬はいずれも分析グレードであった。

0088

ペプチドの合成および精製
ペプチドはいずれも、過去の報告に従って、Intavis MultiPep RSiペプチドシンセサイザー(Intavis Bioanalytical Instruments(ドイツ、ケルン))を使用して固相ペプチド合成法により合成し、樹脂から切断した[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。GEヘルスケア社(スウェーデン、ウプサラ)のAKTA purifierおよびJupiter Proteoカラム(5μm、250mm×10mm、90Å)を使用した逆相HPLCによって粗ペプチドを精製した。ペプチドの純度および質量はいずれも、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(米国マサチューセッツウォルサム)のLCQ Fleetイオントラップ質量分析計を使用してESI-MSによって測定した。

0089

円偏光二色性(CD)分析
avathrin、QT26またはIS20を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に溶解し、JascoTM J-810分光偏光計メリーランド州イーストン)を使用して遠紫外円偏光二色性(CD)スペクトル(260〜190nm)を測定した。測定はいずれも、光路長0.1cmのキュベットを使用し、走査速度50nm/分、バンド幅2nmおよび分解能0.2nmの条件で室温にて行った。

0090

トロンビンのアミド分解活性およびフィブリノゲン分解活性の阻害ならびにプロテアーゼの活性の阻害
トロンビンのアミド分解活性アッセイは、いずれのペプチドに対しても、100mM NaClおよび1mg/mlウシ血清アルブミンを含む50mMトリス緩衝液(pH7.4)を入れた96ウェルマイクロタイタープレートにおいて行った。すなわち、インキュベーション時間を様々に変えてペプチド100μlとトロンビン100μlとをプレインキュベートし、S2238 100μlを反応ウェルに加えた。テカン社(スイス、メンネドルフ)のTecan Infinite Pro M200マイクロプレートリーダーを使用して405nmで10分間吸光度を測定することによって、p−ニトロアニリン生成率を追跡した。GraphPad Prizmソフトウェア(米国カリフォルニアサンディエゴ)を使用してカーブフィッティングを行って用量応答曲線を作製し、IC50値とHill係数を求めた。阻害定数を測定するため、様々な濃度のS2238を使用し、強く結合する阻害物質に適用可能なMorrisonの式から残存活性(反応速度)を求めた。トロンビンのフィブリノゲン分解活性に対するペプチドの阻害作用は、過去の報告に従って、テカン社(スイス、メンネドルフ)のサンライズマイクロプレートリーダーを使用して650nmで吸光度を測定することによって試験した[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。avathrinの選択性は13種のセリンプロテアーゼに対して試験した(図5)。これらのセリンプロテアーゼのアミド分解活性に対するavathrinの効果は、各セリンプロテアーゼに対応する発色基質を使用して測定した。トロンビンによるavathrinの分解。150mM NaClおよび1mg/mlBSAを含む50mMトリス緩衝液(pH7.4)中で、avathrin(150μM)をトロンビン(5μM)とともにインキュベートした。インキュベーション時間を様々に変えて反応させた後、1%TFA(pH1.8)で反応を停止し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)のDionex nano-HPLCシステムに接続したJupiter Proteoカラム(4μm、90Å、100×1.0mm)に反応液を載せた。0.05%TFAおよび99.95%MilliQ水を溶離液Aとし、0.05%TFA、19.95%MilliQ水および80%ACNを溶離液Bとしたアセトニトリル勾配を用いて溶出を行った。すべてのピークの質量を測定して分解産物を同定し、次いで、ピークを積分し、曲線下面積を算出することによって定量した。プレインキュベーション時間を様々に変えたときのトロンビン阻害活性を測定するため、インキュベーション時間を様々に変えて(最大で36時間)アミド分解アッセイを行った。

0091

X線結晶構造解析
20mM NH4HCO3を添加した分画分子量(MWCO)3000のスピンフィルターを使用して組換えα−トロンビン(150mM NaCl溶液中)を脱塩し、凍結乾燥し、結晶化した。トロンビンと阻害物質との複合体として、トロンビンとvarieginの複合体、トロンビンとhirugenの複合体およびトロンビンとhirulogの複合体も解析に供し、これらの結晶化ではさらに最適化した条件を使用した[Koh CY, et al.,PLoS One 2011; 6.; Skrzypczak-Jankun E, et al., J Mol Biol 221: 1379-93 (1991)]。また、375mM NaClを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.4)にavathrin(81.7μM)を溶解し、得られたavathrin溶液にトロンビンを最終濃度54.5μMで溶解した。結晶化はハンギングドロップ蒸気拡散法を使用して行った。すなわち、avathrinおよびトロンビンを含む混合物1μlと沈殿剤1μl(100mMHEPES、pH7.4、20〜25%(w/v)PEG 8000)とを混合し、4℃で静置した。約6週間後に結晶が析出した。母液を含む凍結保護溶液に25%(v/v)のグリセリンを添加し、この凍結保護溶液に結晶を浸し、100Kの冷窒素気流(Oxford Cryosystem(英国オックスフォード))でフラッシュ冷却した。回転アノードを備えたリガク社製X線発生装置上に設置したCCDを使用して、180フレームデータセット収集した(振動範囲180°)。得られたデータセットはMosflm[Battye TGG, et al., Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr 67: 271-81 (2011)]を使用してデータ処理し、AIMLESS[Evans PR, and Murshudov GN. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr 69: 1204-14 (2013)]を使用してスケーリングを行った[Leslie AGW, and Powell HR. Evolving methodsfor macromolecular Crystallography. 2007]。複合体の構造は、Phaserプログラムと、テンプレートとしてのトロンビン−variegin複合体の結晶構造(PDB:3B23)とを使用して、分子置換法によって決定した[McCoy AJ. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr International Union of Crystallography 63: 32-41 (2006)]。COOTを使用してモデル構築および構造精密化を行った[Emsley P, and Cowtan K. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr International Union of Crystallography 60: 2126-32 (2004)]。

0092

凝塊結合トロンビンの阻害
凝塊結合トロンビンの活性はS2238を使用して試験した。すなわち、(50mMHEPES緩衝液、pH7.5、150mM NaCl、10mg/mL CaCl2中の)2mg/mLフィブリノゲン100μLを30nMトロンビン100μLとともにインキュベートすることによってフィブリン凝塊を作製した。37℃で2時間インキュベートして得られた凝塊を同じ緩衝液で丁寧に洗浄した。24時間にわたって3時間ごとに同じ方法で繰り返し洗浄を行った。様々な濃度のavathrinを凝塊に加え、60分間インキュベートした。発色基質S2238(最終濃度:200μM)を加え、反応混合物を37℃で90分間インキュベートした。反応混合物を小分けし、Tecan Infinite(登録商標)Proマイクロプレートリーダーを使用して、エンドポイント法により405nmでの吸光度から基質の加水分解を推定した。実験は4連で行い、阻害率(%)をプロットした。

0093

塩化鉄(III)で誘導された頸動脈血栓モデル
動物実験はすべて、シンガポール国立大学の動物実験委員会によって認可されたプロトコル041/12に従って行った。過去に報告された方法[Eckly A, et al., J Thromb Haemost 9: 779-89 (2011)]を一部変更して、塩化鉄(III)の誘導により頸動脈血栓モデルを作製した。すなわち、雄性C57BL/6マウス(9〜11週齢、24.5〜27.5g)にケタミン(75mg/kg)およびメデトミジン(1mg/kg)を腹腔内注射することによって麻酔をかけた。様々な用量のavathrin100μLをマウスの尾静脈に注射した。鈍的剥離によって右頸動脈切開し、FeCl3を染みこませた2mm×2mmの濾紙を頸動脈上に載せて血管損傷を誘導した。3分後、濾紙を除去し、滅菌生理食塩水で血管を洗浄した。閉塞が生じるまでの時間を測定するため、小型のドップラー血流計トランソニックシステムズ社(米国ニューヨーク州イサカ))を頸動脈の周囲に配置し、ADInstruments社(ニュージーランド、ダニーデン)のトランソニック(登録商標)血流計を使用して血流を記録した。損傷作製後から最大で30分まで血流をモニターした。実験終了後直ちに、麻酔から回復する前に頸椎脱臼によってマウスを安楽死させた。

0094

ペプチドを添加した採血管への採血
各ペプチドをリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、10×ペプチド溶液を調製した(すなわち、試験における最終濃度の10倍の濃度のペプチド溶液を調製した)。添加剤を含んでいない採血管に10×ペプチド溶液0.3mlを入れた。注射器を使用して健常ボランティアから血液を採取し、直ちに50mlの遠心コニカルチューブ(Falconチューブ)に移した後、ペプチド溶液を入れた採血管に血液2.7mlをピペットで移した。ペプチドの最終濃度は表5および表6に記載した通りである。

0095

採血管におけるペプチドの抗凝固作用
濃度を様々に変えた種々のペプチドを添加した採血管を、規定の試験時間に達するまで室温で静置した。様々な時間点において、採血管を数回転倒混和しながら、血栓形成の指標としての不溶性物質の有無を目視で確認した。

0096

ペプチドを添加した採血管における血小板機能の保持
濃度を様々に変えた種々のペプチドを添加した採血管を、規定の試験時間に達するまで室温で静置した。様々な時間点において採血管を数回転倒混和し、血液試料を採取して、メーカー推奨プロトコルに準じ、Multiplate(登録商標)血小板凝集計血小板アゴニストとしてのアデノシン二リン酸(ADP)を使用して、血小板凝集能検査を行った。

0097

結果
Amblyomma variegatumの唾液腺におけるvariegin様転写産物の検出
血液を与えて9日間飼育した雌のAmblyomma variegatumの唾液腺からcDNAを得た後、varieginの配列に基づいた縮重プライマーを使用して、219残基の前駆体タンパク質(BAD29729)をコードする転写産物(AB183707)を該cDNAから増幅した。この前駆体タンパク質は、推定上の分泌シグナル配列と、30残基の同じ反復配列を5つ含んでいるが、これらの反復配列の間に推定上の切断部位があることから、前駆体タンパク質が翻訳後に切断されることによって5つの活性ペプチドが得られる。唾液腺におけるこの前駆体タンパク質の発現をin situハイブリダイゼーションによって確認した。唾液腺のII型腺房の基底膜に見られる大型顆粒細胞細胞質においてプローブハイブリダイズさせた。若虫および雌雄成虫ダニの唾液腺において転写産物の局在を同定したところ、飼育期間によって発現に差があること、および発現の開始に個体差があることが示された。血液を与えて2〜4日飼育した若虫、5日間飼育した雌成虫および12日間飼育した雄成虫、すなわち、雌ダニが満腹まで吸血して宿主から脱落し始めるに最も強い発現が検出された(図1A〜I)。219残基のアミノ酸配列中の短い配列だけで十分な活性が得られると考え、配列番号1で示されるavathrin(30残基のアミノ酸)を合成した。配列番号1をコードするヌクレオチド配列を配列番号21に示す。

0098

上記転写産物によってコードされる複数の活性ペプチドは、varieginと約40%の配列同一性を示した。さらに、これらのペプチドとvarieginの間では、重要な機能性残基において、以下に述べるような違いがいくつか見られた。
(i)varieginは酸性残基からなるN末端を有し、これが速い結合速度の達成に重要な役割を果たしていると推定される[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。これに対して、上記のvariegin様ペプチドでは酸性残基は通常存在しない。
(ii)varieginは、恐らく自体のHis12をトロンビンのSer195に水素結合させることによって、活性部位の触媒三残基の電荷リレー系破壊し、それによってトロンビンを阻害する[Koh CY, et al.,PLoS One 2011; 6]。上記のvariegin様ペプチドでは、この機能性ヒスチジンセリンと置換されている。
(iii)天然varieginのThr14はグリコシル化されており、合成varieginの14倍の親和性を示した[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。variegin様ペプチドでは、この残基に相当する位置にグルタミンが存在し、グルタミンはグリコシル化することができない。
(iv)varieginでは、Pro16およびPro17によって主鎖に折れ曲がりが生じ、活性部位とエキソサイトI結合セグメントとの間の結合において立体構造の柔軟性が恐らく制限されている[Koh CY, et al., PLoS One 2011; 6]。variegin様ペプチド中の類似領域には3つのグリシン残基が含まれており、これによってペプチドの柔軟性が非常に高くなっている。

0099

このような差が見られたことが、上記のvariegin様ペプチドの構造と機能の関係を評価する動機となった。したがって、前駆体タンパク質(BAD29729)からの活性ペプチドの合成に着手し、ヒトα−トロンビンに対する阻害作用の特性を評価した。

0100

avathrinはトロンビンの強力な選択的阻害物質である
avathrin(Amblyomma variegatum thrombin inhibitor)と命名した活性ペプチドをFmocベースの固相ペプチド合成法によって合成し、精製して均質なペプチドを得た(図2)。ペプチド小分子からなる発色基質S2238に対するトロンビンのアミド分解活性は、avathrinによって用量依存的に阻害され、そのIC50は6.95±0.42nMであり、Hill slopeは0.92±0.01であった。等モル濃度のトロンビンとavathrin(0.81nMのトロンビンと1nMのavathrin)を反応させたところ、有意な阻害作用(14.33±1.39%)が観察され、強く結合する阻害物質に典型的な曲線が示された[Copeland R a. Enzymes: A practical Introduction to Structure, mechanism, and data analysis. 2000](図3A)。avathrinとトロンビンを混合して得られた反応進行曲線では、安定な平衡状態が示されたことから、avathrinが速く結合する阻害物質であることが示された(図3B)。様々な濃度のavathrinの存在下においてトロンビンの反応速度を測定することによって、見かけの阻害定数(Ki’)を求めた。Ki’のプロットは、S2238の濃度が高くなるにつれて直線的に増加し、avathrinがS2238と競合するトロンビン競合阻害物質であることが示された(Ki=545.3±3.1pM)(図3C、図3D)。したがって、avathrinは速く強く結合するトロンビン競合阻害物質であることが示された。さらに、avathrinは用量依存的にフィブリノゲン凝固時間を延長し、トロンビンのフィブリノゲン分解活性も阻害することが示された(図4)。

0101

13種のセリンプロテアーゼに対してavathrinをスクリーニングすることによって、avathrinの選択性を試験した。avathrinは10nMの濃度において、トロンビンの活性を65%阻害した。しかし、他のプロテアーゼに対しては、100μMの濃度であっても30%未満しか活性を阻害できなかった(図5)。このことから、avathrinは、トロンビンに対して少なくとも10,000倍の選択性を示す高選択性阻害物質であることが示された。

0102

avathrinは長時間にわたってトロンビン阻害作用を示す
avathrinはトロンビンのペプチド性基質S2238と競合する競合阻害物質であることから、avathrinがトロンビンの活性部位に結合することが示された。このことから、varieginやビバリルジンなどの他の巨大分子基質や阻害物質と同様に、avathrinはトロンビンによる加水分解切断を受けると考えられる。インキュベーション時間を延長してavathrinとトロンビンとを(30:1の比率で)反応させ、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)およびエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)で分析することによって、トロンビンによるavathrinの分解を調査した。インキュベーション後、SGGHQTAVPK(981.3Da)およびISKQGLGGDFEEIPSDEIIE(2176.3Da)に相当する2つのピークが新たに同定され、Lys10とIle11の間の被切断結合で切断されたことが示された(図6A)。得られたクロマトグラムのピーク下面積を算出することによって分解を定量した(図6B)。インキュベーション時間が長くなるにつれて、分解産物の量が徐々に増加するとともに、完全長ペプチドの量が減少し、約10時間後にはavathrinが完全に分解された。この分解が阻害活性に及ぼす影響を評価した(図6C)。分解実験に使用したのと同じavathrinとトロンビンの比率(1:30)で実験を行ったところ、24時間後にトロンビンのアミド分解活性の45%超が阻害され、avathrinが完全に分解された後でも、長時間にわたってトロンビンに対する阻害作用が示された。varieginでも同じような挙動が示され、varieginが分解された後でも、C末端から被切断結合までを含む切断ペプチドによってトロンビンに対する阻害作用が発揮され続けた。avathrinの分解産物が完全長avathrinと同様にトロンビンを阻害するかどうかを検討するため、avathrinの分解産物に相当するペプチド(IS20)を精製し、その阻害作用を試験した。IS20によってトロンビンのアミド分解活性が阻害され、そのIC50値は12.38±0.32nMであった(図7A)。S2238の濃度が増加するにつれて、Ki’が曲線を描いて徐々に減少したことから、IS20はこのペプチド性分子基質に対して非競合阻害物質として機能することが示され、Ki値は総じて5.76±0.23nMとなった(図7Bおよび図7C)。さらに、IS20はトロンビンのフィブリノゲン分解活性を用量依存的に阻害した(図4)。したがって、avathrinは、そのC末端ペプチドを介して長時間にわたって阻害作用を示し、avathrinのC末端ペプチドはトロンビンに対して強力な結合親和性を保持していることが示された。

0103

avathrinのトロンビン結合セグメント
avathrinのトロンビン結合セグメントの位置を特定するため、avathrinの2種の末端切断バリアント(QT26およびGL16)をさらに合成した。QT26は、avathrinのN末端から4残基を欠失させたものであり、GL16はavathrinのN末端から15残基を欠失させたものである。いずれのペプチドについても、トロンビンのアミド分解活性およびフィブリノゲン分解活性を阻害する能力を試験した。QT26は、トロンビンのアミド分解活性を阻害し(IC50=8.94±0.64nMおよびKi=760.32±0.91pM)(図7A、図7Dおよび図7E)、さらにトロンビンのフィブリノゲン分解活性も阻害した(図4)。N末端の4残基が欠失していることによるQT26の活性の低下は、完全長avathrinと比較してごくわずかであった。これに対して、GL16は、300μMの濃度であってもアミド分解活性を阻害することができず、逆にわずかな活性化(5〜10%)を示した(図7F)。しかし、GL16はフィブリノゲン分解活性を阻害した(図4)。以上の結果から、QT26は活性部位結合配列とエキソサイトI結合配列の両方を含んでいるが、GL16はエキソサイトI結合配列のみを含んでいることが示された。被切断結合はLys10とIle11の間に存在することから、avathrinの活性部位結合セグメントは5QTAVPKISKQ14配列中に存在する。

0104

トロンビンとavathrinの相互作用における構造と機能の関係
上述したように、varieginとavathrinの間での全体的な配列同一性が低く、かつ重要な機能性残基のいくつかが変化しているにも関わらず、avathrinは、そのトロンビン阻害活性においてvarieginと機能的に非常に類似している。この2つの配列の違いの重要性をさらに詳しく調査するため、varieginを用いた過去の構造機能研究[Koh CY, et al.,PLoS One 2011; 6]から得た情報を元に、一連のavathrin置換変異体の評価を行った。

0105

(i)トロンビンの触媒三残基を破壊する役割を果たしている可能性が最も高いと見られるvarieginの重要な機能性残基VHis12は、avathrinではASer12と置換されている。ASer12をAla(S12A)またはHis(S12H)に置換した2つの変異体を合成した。S12Aは、類似のvariegin変異体(S12H)と同様に作用が低下した(10分の1未満になった)ことが示されたことから(図8A)、avathrinの阻害作用にとってASer12が重要であることが示唆された。また、S12Hによるトロンビン阻害のIC50値は18.51±0.32nMであり(図8A)、avathrinの2分の1程度の弱い活性を示した。このことから、avathrinではこのアミノ酸位置にセリンがあることによって、同じ位置にヒスチジンがある場合よりもさらに強力なトロンビン阻害作用を発揮することが示唆された。

0106

(ii)varieginはそのN末端に2つのGlu残基を含んでおり、これら2つの酸性残基によってvarieginがトロンビンのエキソサイトIIへと誘導され、これによって速く結合する阻害物質として作用することができるのではないかと考えた[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。avathrinはN末端に酸性残基がなくても速い結合動態を示したが、avathrinのN末端に酸性残基を導入した場合に、これらの残基がトロンビン阻害活性にどのような影響をもたらすかということに興味を持ち、調査を行った。avathrinのN末端に複数の酸性残基を導入して、1つの二重変異体ペプチドG2D,Q5Dを作製し、varieginの速い結合動態に寄与していると見られる静電気的な誘導作用模倣を試みた[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]。この変異体はavathrinやQT26よりもわずかに弱い阻害作用(2分の1未満)を示した(図8B)。以上のことから、以前に仮定されたように[Koh CY, et al., J Biol Chem 282: 29101-13 (2007)]、N末端の酸性残基は、速い結合動態にとって恐らく重要ではないと考えられた。

0107

(iii)avathrinの柔軟でグリシンリッチリンカー(15GLGG18)よりも、varieginの活性部位結合セグメントとエキソサイトI結合セグメントの間に存在し、より剛直でプロリンリッチなリンカー(15APPF18)の方が有利であるという仮説を試験するため、二重変異体ペプチドL16P,G17Pを合成し、試験した。このペプチドは、avathrinと比べて活性が25分の1未満(IC50=181.32±3.76nM)という低い活性を示したことから(図8B)、avathrinのリンカーには柔軟性が必要であることが示された。

0108

(iv)トロンビンはP1部位のアルギニン残基に選択性を示すことが知られており[Berliner LJ. Journal of Chemical Information and Modeling. (1992)]、P1部位のArgをLysで置換すると、活性が10分の1に低下する[Gallwitz M, et al.,PLoS One 2012; 7]。varieginおよびavathrinはいずれもP1部位にリシンを持ち、varieginにおいてP1部位のLysをArgに変異させると、活性が少しだけ(3倍未満)上昇した[Koh CY, et al., PLoS One 2011; 6]。これを踏まえて、avathrinのP1部位のLysをArgに置換したところ(K10R)、varieginの場合と同様に活性が3〜4倍に上昇した(IC50=1.15±0.45nM)(図8C)。しかし、トロンビンによるこのペプチドの分解はより速く進行し、3時間以内で完全に分解された(図9A)。

0109

(v)次に、被切断性ペプチド結合(VLys10-VIle11)をタンパク質分解に安定な結合(β-homoArg10-Ile11)で置換したバリアントを合成し、β-avathrinと命名した。β-avathrinはavathrinと比べて100分の1未満の活性しかなく、トロンビンの阻害におけるIC50値は332±1.32nMであった(図8D)。β-avathrinは最大で72時間経過してもトロンビンによって分解されなかったが(図9B)、ペプチド主鎖にさらなる炭素原子を付加したことによって、活性に大きな悪影響が生じたと見られる。また、被切断結合を置換することによってペプチド切断に対する抵抗性を付与したhirulogバリアントにおいても、同様な活性の低下が観察された[Bourdon P. Biochem Biophys Res Commun 177: 1049-55 (1991)]。これらのペプチドのKi値を図10および図11に示す。avathrinおよびavathrinのバリアントペプチドから得た結果を表1および表2にまとめる。

0110

0111

0112

トロンビン−avathrin複合体の結晶構造
結晶化したトロンビン−avathrin複合体をC2空間群で解析し、2.09Åの分解能で構造を精密化した(表3)。トロンビンは、軽鎖の末端、自己消化ループおよび重鎖のC末端を除いた大部分において残基の電子密度が十分に定義されている。しかし、残念ながら、トロンビンに結合したavathrinでは、残基の電子密度のすべてが十分に定義されているわけではなく、トロンビン−avathrin複合体の明確な結晶構造モデルは構築されていない。最初の4残基の配列(1SGGH4)と最後の2残基の配列(29IE30)では、電子密度は観察されない。さらに、avathrinのC末端から、AIle11とAGly18の間の被切断結合までの領域では、電子密度は不連続である。これを踏まえ、avathrinペプチドの2つのセグメントとして、N末端から被切断結合までの活性部位結合セグメント(5QTAVPK10)と、エキソサイトI結合セグメント(19DFEEIPSDEI28)とを構築した(図12Aおよび図12B)。本実験では、結晶化中にavathrinが切断されると仮定する。切断後、トロンビンと複合体化したavathrinにおいて、AIle11とAGly18の間の残基は秩序立った結合構造を有していなかった。電子密度が低かったことから、側鎖中のAGln5、AGlu22およびASer25は構築することができなかった。

0113

0114

複数種のペプチド性小分子基質を使用して競合阻害作用が観察されたアミド分解アッセイの結果から予想されたように、avathrinによるトロンビンの阻害は、活性部位を遮断することによるものだと考えられる。トロンビンの活性部位には電荷リレー系が存在することが示唆されているが、avathrinが切断された後のこの活性部位の状態を結晶構造モデルに示した。TSer195のOγ原子とTHis57のNε原子との間の距離は2.7Åであり、THis57のNδ原子とTAsp102のOδ原子との間の距離は2.7Åである。切断が起こると、ALys10(P1)のCα原子は、3.2Å離れた位置の求核原子(TSer195のOγ原子)からさら遠くに移動する。さらに、ALys10のカルボニル酸素原子は、主鎖を構成するTGly193の窒素原子から3.1Å離れて位置するオキシアニオンホールで安定化されたまま維持される。予想された通り、P1部位であるALys10はS1サブサイトと結合し、ALys10のアミン側鎖は、特異性ポケットの底にあるTAsp189と水素結合を形成する。P2部位であるAPro9のピロリジン環は、THis57の芳香族側鎖およびTTyr60Aの芳香族側鎖それぞれと直交することによって相互作用していると考えられ、この相互作用は典型的なedge-to-faceπ相互作用と類似していると見られる。P3部位であるAVal8の側鎖は、溶媒露出されるが、特定の相互作用を起こさない。これに対して、P4部位であるAAla7のメチル基側鎖は、TAsn98、TLeu99、TIle174およびTTrp216によって形成された疎水性ポケットに完全に埋没される。P5部位であるAThr6とP6部位であるAGln5は、avathrinがエキソサイトIIに接近すると、いずれも溶媒に露出されるが、これらの部位以降ではavathrinの電子密度が検出されなかったため、avathrinがエキソサイトIIにも結合しているのかどうかは確認できなかった(図12C)。

0115

被切断結合のC末端側直後の残基は、エキソサイトI付近以外の部分では良好な電子密度を示さなかった。avathrinのC末端側の大部分は、hirugen、hirulog-1およびvarieginと同様にエキソサイトIの溝と結合する[Koh CY, et al.,PLoS One 2011; 6; Skrzypczak-Jankun E, et al., J Mol Biol 221: 1379-93 (1991);Qiu X, et al., Biochemistry 31: 11689-97 (1992)]。この結合では、静電相互作用および疎水性相互作用の両方が重要であると考えられる。avathrinのC末端とエキソサイトIとの間で3つの静電相互作用(AAsp19-TArg73、AGlu21-TArg75およびAGlu27-TArg77A)が観察される(図12D)。3つの疎水性側鎖(APhe20、AIle23およびAIle28)は、avathrinとトロンビンの境界面に埋没される。AIle23およびAIle28は、TPhe34、TLeu65、TArg67、TTyr76およびTIle82のそれぞれの側鎖によって形成される大きな疎水性ポケット内に埋没される。さらに、部分的に露出されたAPro24は、TTyr76のフェノール環と数箇所で有利に接触していると考えられる。AGlu22残基およびASer25残基は、溶媒に露出されるが、これらの側鎖では電子密度が検出されなかったため、トロンビンとこれらの残基との相互作用は不明であった。さらに、AIle28以降の電子密度は非常に低く、AIle29とAGlu30の位置は特定できなかった。

0116

凝塊結合トロンビンの阻害
止血作用を発揮するフィブリン凝塊は、活性化トロンビンを捕捉し、その循環を制限する[FrancischettiIMB, et al., Biochemistry 38: 16678-85 (1999)]。この凝塊結合トロンビンは、ヘパリンアンチトロンビンIII複合体による阻害から保護されており、活性化トロンビンの供給源として機能し、血栓再形成の一助となっていると考えられている[Francischetti IMB, et al., Biochemistry 38: 16678-85 (1999);BridgeKI, et al.,Thromb Haemost 112: 1-8 (2014)]。したがって、凝塊結合トロンビンを阻害することによって血栓再形成を予防することができると考えられる。これを踏まえ、凝塊結合トロンビンを阻害する能力についてavathrinを評価した。avathrinは、凝塊結合トロンビンを用量依存的に阻害し、そのIC50値は1.74±0.35μMであり(図13)、その阻害作用はトロンビン溶液に対して発揮された阻害作用よりも高かった。アルガトロバンなどの活性部位阻害物質は、濃度依存的に速くかつ可逆的に凝塊結合トロンビンを阻害し、そのIC50値は2.7μMである[Berry C, et al., Thromb Haemost 72: 381-6 (1994)]。

0117

FeCl3で誘導した頸動脈血栓モデル
インビボにおけるavathrinの抗血栓作用を評価するため、FeCl3で誘導した頸動脈血栓マウスモデルを使用した[Wan C, et al., J Thromb Haemost 13: 248-61 (2015); Eckly a, et al., J Thromb Haemost 2011; 9: 779-89]。avathrinを静脈注射したマウスにおいて、閉塞が生じるまでの平均時間(TTO)が用量依存的に延長した。対照マウスでのTTOは7.24±1.46分であったのに対し、3mg/kgのavathrinを注射したマウスのTTOは15.03±3.23分まで延長し、10mg/kgのavathrinを注射したマウスのTTOは22.51±4.19分まで延長した。avathrinの有効性は、比較対照薬物としてのhirulog-1と比較することによって評価した。3mg/kgのhirulog-1を注射したマウスのTTOは9.70±3.15分であり、10mg/kgのhirulog-1を注射したマウスのTTOは15.22±3.39分であった。したがって、avathrinはhirulog-1よりも良好な抗血栓作用を示した(図14)。

0118

マダニ類のトランスクリプトームからのペプチド配列の同定
Amblyomma variegatum、Rhipicephalus pulchellus、Amblyomma americanum、Amblyomma cajenesse、Amblyomma maculatumおよびHyalomma marginatum rufipesの公開されているトランスクリプトーム情報を利用したstandaloneBLAST解析を行うことによって、varieginやavathrinに類似したペプチド配列を同定した。varieginおよびavathrinに対してこれらの配列を手動アライメントし、各ダニ類から1種類ずつペプチドを選択し、さらに詳しく分析した。

0119

アミド分解活性の阻害および他のペプチドの選択性
avathrin転写産物に類似したタンパク質配列として、A. variagatumやその他のマダニ類に由来するタンパク質配列をNCBIデータベースからさらにいくつか見出すことができる。これらの配列のいくつかを合成し、そのトロンビン阻害活性を試験した(図15および表4)。これらの配列のアクセッション番号は、DAA34688.1、DAA34160.1およびDAA34258.1であった。avathrin転写産物と同様に、これらの配列はいくつかの反復配列を含んでおり、翻訳後修飾によりvariegin様の短い成熟ペプチドにプロセシングされると見られる。代表的な1つの配列を合成し、トロンビン阻害作用について試験し、ultravarieginと命名した。ultravarieginはvarieginと50%の同一性を有する。

0120

0121

ultravarieginは配列番号2で示される30残基のペプチドであり、データベースに掲載されている転写産物から得た212アミノ酸長のタンパク質配列内の30残基の配列を元に合成した。実験では、212アミノ酸長のタンパク質配列から見出された30残基の配列から得たultravarieginにおいて、1つのアミノ酸残基を置換したもの(Thr22Glu;配列番号2に相当する)を使用した。配列番号2のペプチドは、4.4pMのKi値でトロンビンを阻害することがわかった。Ki値が342pMであるvarieginと比較して、ultravarieginは、varieginの70倍を超える強力な阻害活性を示した。ultravarieginによるトロンビンの阻害における構造と機能の関係についての理解を深めるため、以下のようにしてultravarieginのバリアントをさらにいくつか合成した。UV003、UV004およびUV005は、ultravarieginとvarieginのハイブリッドペプチドである。ultravarieginの配列に基づいて、N末端側の最初の7残基をvarieginの配列と置換し、UV003を得た。次の7残基を同じ方法で置換し、UV004を得た。ultravarieginの最後の6残基を、varieginの最後の8残基(varieginはultravarieginよりも2残基多い)と置換し、UV005を得た。UV003のKi値およびUV004のKi値は、ultravarieginのKi値とほぼ同じであることが見出され、このことから、ultravarieginの配列のN末端側の最初の14残基をvarieginの配列と置換しても、その活性に大きな変化はないことが示された(図16)。これに対して、UV005は、トロンビンに対する親和性が約3.6分の1に低下した。したがって、varieginとultravarieginの間の阻害活性の差異は、主にC末端側の配列によるものであることがわかった。ultravarieginは、そのC末端側の配列によって、varieginよりも強力な阻害活性を発揮する(図17Aおよび図17C)。

0122

ultravarieginのC末端側配列の役割を確認するため、トロンビンでultravarieginを切断したC末端分解産物を合成し、UV011と命名し、試験を行った(図17Bおよび図17D)。このペプチドのKi値は1.39nMであり、varieginのC末端分解産物(MH22、Ki=14.1nM)よりも約10倍高い阻害活性を示し、avathrinのC末端分解産物(IS20、Ki=5.76nM)よりも約4倍高い阻害活性を示した。しかし、Ala27をGluに置換した変異体UV012では、ultravarieginと比較して親和性が5分の1に低下した。Thr14をGlnに置換した変異体では、ultravariegin活性と比較して活性が変化しなかった(図18Aおよび図18B)。ultravarieginがUTyr12-USer13を有していることから、varieginの配列の同じ位置のVHis12-VLys13をTyr-Serで置換して変異体を作製したが、varieginの活性の有意な向上は見られなかった(図18Cおよび図18D)。使用したすべてのultravarieginペプチドの結果を表5にまとめる。

0123

N末端またはC末端に単一または複数のシステイン残基を有する4種のペプチドを合成し、その活性について試験した。システイン残基を有するペプチドバリアントは、共有結合を介して表面に固定することができるため、コーティングに使用することができる。本研究において、ペプチド末端にシステインを付加すると、システイン残基を持たない類似配列と比較して、許容できる範囲内ではあるものの、活性が概してわずかに低下することが示されている。これらのペプチドのIC50値およびKi値を表5にまとめる。

0124

0125

トロンビンのアミド分解活性に対する阻害作用および選択性について、上述した別のダニ類から得た複数種のペプチドを試験した。これらのペプチドはいずれも、トロンビンを選択的に阻害することがわかった。これらのペプチドの動態および選択性を図19図25に詳細に示す。

0126

採血管の安定化剤としてのトロンビン阻害物質
室温での採血管における抗凝固作用について、3種の濃度(75μM、150μMおよび300μM)のvariegin、ultravarieginおよびavathrinを試験した。過去の特許出願(WO2012075407A2)において、varieginは採血管の添加剤として使用されているが、avathrinやultravarieginのこのような用途は報告されていない。avathrin(Ki=545pM)は、variegin(Ki=318pM)と同等の親和性を持ち、varieginと同等の抗凝固作用を示した(表6)。

0127

0128

血栓形成が観察されるまでの時間は、同じ濃度のavathrinおよびvarieginにおいて同等である(たとえば150μMにおいて52〜66時間)。予想した通り、ultravarieginはavathrinやvarieginよりも強い作用を示した(表3)。これは、ultravarieginが、avathrinやvarieginの200倍を超える強力な親和性(Ki=1.5pM)を示したことと一致している。低い濃度で試験を行った場合でも、ultravariegin(75μMにおいて91〜101時間)は、試験した最も高い濃度のvarieginやavathrin(300μMにおいて52〜66時間)よりも長時間にわたって抗凝固作用を発揮した。これに対して、別のバリアント(β-variegin)のKi値は30nMを超え(すなわちvarieginの100分の1未満の弱い親和性を示し)、わずか3〜4時間しか血栓形成を阻止することができなかった。これらのデータから、トロンビンに対するペプチドの親和性は、採血管における抗凝固作用とよく相関することが示された。

0129

血小板機能試験における血液の安定性の増加
さらに、Multiplate(登録商標)アナライザーを使用して、150μMまたは300μMのultravariegin、avathrinまたはvarieginで血液凝固を阻止した血液における血小板凝集反応を試験した。血小板アゴニストとしてADP(6.5μM)を使用した。2種のコントロールとしてクエン酸塩およびヒルジンを使用した。得られた結果を表7および図26に示す。

0130

0131

信頼できる測定値と見なすことができる血小板凝集反応の下限値については一般的なコンセンサスが報告されていないため、32U(図26破線)をカットオフとした。このカットオフ値は、本実験において、Standardization of Platelet Function Testing CLSI Guideline H58-Pで推奨されている最大分析時間である4時間後の、クエン酸塩含有血液の血小板凝集反応から求めた値である。

0132

ultravariegin、avathrinまたはvarieginを添加した採血管はいずれも、一般に使用されているクエン酸塩を添加した採血管と比較して、少なくとも6倍の時間にわたって安定化作用を発揮した。最初の24時間では、ヒルジンを添加した血液(図26橙黄色)は、ultravariegin(図26、灰色)、avathrin(図26、青色)またはvariegin(図26、黄色)を添加した血液と同等の安定性を示したが、ヒルジンも強力な直接トロンビン阻害薬であるため、この結果は驚くべきものでないと見られる[Warkentin TE. Best Pract Res Clin Haematol 17: 105-25 (2004)]。ultravarieginおよびヒルジンは、トロンビンに対する親和性が比較的高いため、他の2種のペプチドと比較して、48時間および72時間において高い凝集反応を示した。しかしながら、これらの測定値は、今回設定したカットオフ値32Uをわずかに下回っている(図26)。

0133

考察
上述したように、avathrinとvarieginは配列全体の同一性が低く(40%)、また、重要な機能性残基において様々なバリエーションが見られたにもかかわらず、avathrinは、varieginと同じように機能すると考えられる。avathrinとvarieginはいずれも、トロンビンの活性部位とエキソサイトIを標的として速く強く結合する二価阻害物質として機能し、同等の阻害定数でトロンビンを阻害する(varieginのKi=342pM、avathrinのKi=545pM)。varieginとavathrinはいずれも、標準的な結合様式でトロンビンに結合するため、結合した後、トロンビンによって分解される。トロンビンによるvarieginの分解(4時間で完了)は、avathrinの分解(10時間で完了)よりも速く進行する。avathrinの分解がvarieginよりも遅延する理由は、AGly15、AGly17およびAGly18によって付与されるペプチド全体の柔軟性にあると考えられる。avathrinの分解産物およびvarieginの分解産物は、ペプチド性小分子基質に対して非競合的にトロンビンを阻害し、varieginの分解産物(MH22)の親和性は、avathrinの分解産物(IS20)の親和性の約2分の1未満であった[Koh CY, et al., ChemBioChem 10: 2155-8 (2009)]。avathrinの分解速度がvarieginよりも遅いことは、恐らく、IS20の親和性がvarieginの分解産物よりも高いことに起因し、平衡状態において、avathrinの分解に働く遊離トロンビンが減少することによると考えられる。さらに、12番目にセリンがあることによって、同じ位置にヒスチジンがある場合よりもわずかに良好な親和性が得られると見られるが、N末端の酸性残基は速い結合動態に寄与しないことも示された。varieginとavathrinの配列を比較することによって、上述の点に注目した構造機能解析を実施し、トロンビンと阻害物質の相互作用についての理解を深めることができた。

0134

トロンビン−avathrin複合体とトロンビン−hirulog-1複合体はいずれも、トロンビンのペプチド性二価阻害物質であり、切断ペプチドとして結晶化されるという共通点を有することから、トロンビン−avathrin複合体の比較対照としてトロンビン−hirulog-1複合体が最も適していると判断した(279残基におけるRMSD=0.41Å)[Skrzypczak-Jankun E, et al., J Mol Biol 221: 1379-93 (1991); Bourdon P, et al., FEBSLett 294: 163-6 (1991)]。hirulog-1はavathrinよりも短いペプチドであるが、hirulog-1とavathrinは、トロンビン活性位結合配列およびエキソサイトI結合配列での同一性が非常に高い。hirulog-1およびavathrinが切断されると、いずれの場合も、N末端から被切断結合までのセグメントと、エキソサイトIに位置するセグメントだけが得られる。これらの複合体の結晶の格子乗数はほぼ同じある(C2;a/b/c≒70/72/72Å;β≒100°)。これに対して、トロンビン−variegin複合体は、異なる結晶形(C2;a/b/c=125/51/62Å;β=99°)で結晶化され、C末端でペプチド結合が切断された分解産物しか得られないと見られる。

0135

avathrinおよびhirulog-1は、トロンビンの同じS1ポケットに結合するP1残基を有する。hirulog-1のP1部位のLysは、水分子を介してS1ポケットの底にあるTAsp189に結合するとの報告があるが[Bode W. Blood Cells, Mol Dis 36: 122-30 (2006)]、本研究では、ALys10とTAsp189との間の直接的な相互作用が観察された。この研究において、hirulog-1のArgをLysで置換したところ、親和性が10分の1に低下したが、ALys10をArgに変異させると、わずかな変化(約3倍の上昇)が見られ、構造解析で観察された直接的な相互作用と一致する結果が得られた。hirulog-1とavathrinは、同じP2アミノ酸残基(Pro)を有することから、S2サブサイトと同じように相互作用する。hirulog-1のP3部位はD-Pheであるが、この残基は、avathrinのP4部位のAAla7が結合するのと同じ疎水性ポケットに結合する[Skrzypczak-Jankun E, et al., J Mol Biol 221: 1379-93 (1991)]。本研究のすべての酵素アッセイで使用した発色基質S2238は、hirulog-1のP3部位からP1部位とほぼ同一である(D-Phe−ピペコリン酸−Arg)。avathrinおよびhirulog-1はいずれもこれら位置においてトロンビンの同じ部位に結合することを踏まえると、競合阻害機構と構造解析の結果は一致していると言える。

0136

avathrinのエキソサイトI結合セグメント(DFEEIPSDEIIE)、hirulog-1のエキソサイトI結合セグメント(DFEEIPEEYL)およびvarieginのエキソサイトI結合セグメント(DFEAIPEEYLDDES)の最初の6つの残基はほとんど同じである(下線参照)。これらの残基を結晶構造解析においてアライメントするとよく一致する(図27)。これら3種のペプチドの構造間でトロンビンとの相互作用の大部分が保存されている。これら3種の構造のエキソサイトI結合セグメントにおいて保存されていない1つの残基(AGlu22またはHGlu57またはVAla22)は、溶媒に露出されるが、特定の相互作用を起こさない。varieginとhirulog-1では、上記下線部の残基の直後で4つの残基(EEYL)が共通するが、この4つの残基はavathrinではSDEIに相当する。これらの残基は、avathrin−トロンビン複合体およびvariegin−トロンビン複合体で見られるが、hirulog-1−トロンビン複合体では存在しない。EEYLに相当するavathrinの4つの残基(SDEI)のうち、ASer25およびAAsp26は溶媒に露出される。AGlu27とVGlu26は構造的には同じものであり、TArg77Aと静電相互作用を起こす。上記の残基以降の残基では、明確な電子密度が検出されないため解析不能である。

0137

増幅用プライマーを設計するためにvarieginの配列を使用したにもかかわらず、varieginの遺伝子を増幅することができなかった。この結果から、ダニの飼育の様々な時間点において多数の遺伝子によって産生されるvarieginにかなり多くのバリエーションが存在することが示唆された。さらに驚くべきことに、avathrinおよびvarieginはいずれも、自体よりも大きな前駆体タンパク質として合成されると見られ、この前駆体タンパク質はいくつかの反復配列を含み、トロンビン阻害活性を持つ短い活性ペプチドへとプロセシングされると見られる。avathrinおよびvarieginは、全体的な配列同一性が低く、いくつかの重要な機能性残基においてバリエーションが見られるにもかかわらず、同じような阻害機構とトロンビンに対する作用とを有している。variegin様ペプチドの反復配列を含む類似の前駆体タンパク質をデータベースから検索したところ、Amblyomma variegatum(BM291228:3つのペプチド、不完全な転写産物;BM293052:5つのペプチド;BM289492:5つのペプチド)、Amblyomma americanum(ACG76173:5つのペプチド、不完全な転写産物)、およびAmblyomma cajennense(ACAJ0085C_1:4つのペプチド)において、さらに類似性の高い配列が見出された[Nene V, et al., Int J Parasitol 32: 1447-56 (2002); Batista IFC, et al., Toxicon 51: 823-34 (2008)](図28)。さらに、Rhipicephalus sanguineusやHyalomma marginatum rufipesなどの他のマダニ類の唾液腺に同じようなペプチドが存在することを示す証拠も見つかっている。前駆体タンパク質の大部分は3〜5つのペプチドへとプロセシングされて、密接に関連する新たなペプチド性トロンビン阻害物質ファミリーを産生する。このトロンビン阻害物質ファミリーを、Ixothrin(Ixodidae thrombin inhibitor)と命名した。Ixothrinは、ジスルフィド結合を持たない小分子トロンビン阻害物質であり、マダニ科(マダニ類)に見出される。Ixothrinは、エキソサイトIおよびトロンビンの活性部位に結合する。1つの前駆体タンパク質から複数コピーのIxothrinが産生される。各前駆体タンパク質はシグナルペプチドを有し、小胞体または唾液において翻訳後プロセシングが起こることによって、Ixothrinが成熟する。ペプチド性トロンビン阻害物質の産生において一度に複数種の阻害物質が産生されるという機構は、マダニ類に広く存在すると考えられる。宿主の単一の凝固分子を標的とするために、複数種の唾液成分を使用することは一般に認められているが[FrancischettiIMB, et al., J Proteomics 71: 493-512 (2008); Fontaine A, et al., Parasit Vectors BioMed Central Ltd; 4: 187 (2011)]、本研究で見出された阻害物質ファミリーは、単一の前駆体タンパク質から複数種の成分が産生されることが見出された最初の例の1つであると考えられる。

0138

結論として、本研究では、マダニ類が、全体的に非常に類似したscaffold配列および機能を維持しつつ、複数の多様な配列を利用することによって、凝固機構にとって重要な酵素であるトロンビンを無能力化することが示された。また、avathrinおよび他のペプチドのいくつかは、hirulog-1と配列が似ているにもかかわらず、FeCl3で誘導した頸動脈血栓モデルにおいてhirulog-1よりも効果的に血栓形成を阻止したことが示された。この分子ファミリーから、臨床徴候心血管処置のいくつかに有用な抗凝固剤を製造することができると考えられ、得られた抗凝固剤の安全性および有効性を詳細に評価することによって、たとえば、侵襲的処置における動脈血栓症や再閉塞の予防、整形外科手術後の静脈血栓症の予防、心筋梗塞の管理などに有用に使用できると考えられる[Bauer K A. Hematology Am Soc Hematology Educ Program 2013: 464-70 (2013)]。

実施例

0139

参考文献
Batista IFC, Chudzinski-Tavassi AM, Faria F, SimonsSM, Barros-BatesttiDM, Labruna MB, Leo LI, HoPL, Junqueira-de-AzevedoILM. Expressed sequence tags (ESTs) from the salivary glandsof the tick Amblyomma cajennense (Acari: Ixodidae). Toxicon 2008; 51: 823-34.
Battye TGG, Kontogiannis L, Johnson O, Powell HR, Leslie AGW. iMOSFLM: A new graphical interface for diffraction-image processing with MOSFLM. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr 2011; 67: 271-81.
Bauer K. A. Pros and cons of new oral anticoagulants. Haem. 2013. 464-470.
Berliner LJ. Thrombin Structure and Function. Journal of Chemical Information and Modeling. 1992.
Bourdon P. Hirulog peptides with sciccile bond replacements resistant to thrombin cleavage. Biochem Biophys Res Commun 1991; 177: 1049-55.
Bourdon P, Jablonski J a., Chao BH, Maraganore JM. Structure-function relationships of hirulog peptide interactions with thrombin. FEBSLett 1991; 294: 163-6.
BridgeKI, Philippou H, Ariens R a S. Clot properties and cardiovascular disease. Thromb Haemost 2014; 112: 1-8.
Chaudhari K., Hamad B. and Syed B.A. Antithrombotic drugs market. Nat. Rev. Drug. Discov. 2014, 13, 571-572.
Copeland R a. Enzymes: A Practical Introduction to Structure, mechanism and Data analysis. Enzymes: A practical Introduction to Structure, mechanism, and data analysis. 2000.
Di Cera E. Thrombin. Mol Aspects Med. 2008, 29(4), 203-254.
Eckly a, Hechler B, Freund M, Zerr M, Cazenave J-P, Lanza F, Mangin PH, Gachet C. Mechanisms underlying FeCl3-induced arterial thrombosis. J Thromb Haemost 2011; 9: 779-89.
Emsley P, Cowtan K. Coot: Model-building tools for molecular graphics. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr International Union of Crystallography; 2004; 60: 2126-32.
Evans PR, Murshudov GN. How good are my data and what is the resolution? Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr 2013; 69: 1204-14.
FrancischettiIMB, Meng Z, Mans BJ, Gudderra N, Hall M, Veenstra TD, Pham VM, Kotsyfakis M, Ribeiro JMC. An insight into the salivary transcriptome and proteome of the soft tick and vector of epizootic bovine abortion, Ornithodoros coriaceus. J Proteomics 2008, 71: 493-512.
Fontaine A, Diouf I, Bakkali N, Misse D, Pages F, Fusai T, Rogier C, Almeras L. Implication of haematophagous arthropod salivary proteins in host-vector interactions. Parasit Vectors BioMed Central Ltd; 2011, 4: 187.
Gallwitz M, Enoksson M, Thorpe M, Hellman L. The extended cleavage specificity of human thrombin. PLoS One 2012; 7.
Huntington J. A. Natural inhibitors of thrombin. Thromb Haemost. 2014, 111, 583-589.
Koh C. Y., Kazimirova M., Trimnell A., Takac P., Labuda M., Nuttall P. A. and Kini R. M., Variegin, a Novel Fast and Tight Binding Thrombin Inhibitor from the Tropical Bont Tick, 2007, 282 (40), 29101-29113.
Koh C. Y. and Kini R. M. Pros and cons of new oral anticoagulants. Expert Rev. Haematol. 2008, 1(2), 135-139.
Koh CY, Kazimirova M, Nuttall P a., Kini RM. Noncompetitive inhibitor of thrombin. ChemBioChem 2009; 10: 2155-8.
Koh CY, Kumar S, Kazimirova M, Nuttall P a., Radhakrishnan UP, Kim S, Jagadeeswaran P, Imamura T, Mizuguchi J, Iwanaga S, Swaminathan K, Kini RM. Crystal structure of thrombin in complex with s-variegin: Insights of a novel mechanism of inhibition and design of tunable thrombin inhibitors. PLoS One 2011; 6.
Leslie AGW, Powell HR. Processing diffraction data with MOSFLM. Evolving methods for macromolecular Crystallography. 2007.
McCoy AJ. Solving structures of protein complexes by molecular replacement with Phaser. Acta Crystallogr Sect D Biol Crystallogr International Union of Crystallography; 2006; 63: 32-41.
Michiel Coppens, John W. Eikelboom, David Gustafsson, Jeffrey I. Weitz, Jack Hirsh. Development of Direct Thrombin Inhibitors,Circ Res. 2012, 112, 920-931.
Monroe D. M., Hoffman M. and Roberts H. R. Platelets and Thrombin Generation. Arterioscler Thromb Vasc Biol., 2002, 22, 1381-1389.
Nene V, Lee D, Quackenbush J, Skilton R, Mwaura S, Gardner MJ, Bishop R. AvGI, an index of genes transcribed in the salivary glands of the ixodid tick Amblyomma variegatum. Int J Parasitol 2002; 32: 1447-56.
Qiu X, Padmanabhan KP, CarperosVE, Tulinsky a, Kline T, Maraganore JM, Fenton JW. Structure of the hirulog 3-thrombin complex and nature of the S’ subsites of substrates and inhibitors. Biochemistry 1992; 31: 11689-97.
Raskob G. Thrombosis: A major contributor to global disease burden. Thromb Haem. 2014, 112(5), 843-943.
Skrzypczak-Jankun E, Carperos VE, Ravichandran KG, Tulinsky a, Westbrook M, Maraganore JM. Structure of the hirugen and hirulog 1 complexes of alpha-thrombin. J Mol Biol 1991; 221: 1379-93.
StamenovaPK, Marchetti T, Simeonov I. Efficacy and safety of topical hirudin (Hirudex): a double-blind, placebo-controlled study. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2001 Mar-Apr; 5(2):37-42.
Stubbs M. T. and Bode W. A player of many parts: the spotlight falls on thrombin’s structure. Throm Res.1993, 69, 1-58.
Versteeg H. H., Heemskerk J. W. M., Levi M., and. Reitsma P. H. New fundamentals in hemostasis. Physiol Rev. 2013, 93, 327-358.
Wan C, CarvalhoLPD, Chan MY, Kini RM, Kang TS. Fasxiator, a novel factor XIa inhibitor from snake venom, and its site-specific mutagenesis to improve potency and selectivity. J Thromb Haemost 2015; 13: 248-61.
Warkentin TE. Bivalent direct thrombin inhibitors: Hirudin and bivalirudin. Best Pract Res Clin Haematol 2004; 17: 105-25.

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • アルプス薬品工業株式会社の「 ルチン組成物」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】水溶性が改善した、ルチンの高い経口吸収を示す組成物の提供。【解決手段】ルチンとL−アルギニンとアスコルビン酸のアルカリ塩との間のモル比が1:1.6〜3.0:0.1〜2.0である、ルチン、L−ア... 詳細

  • 公益財団法人がん研究会の「 抗ポドプラニン抗体」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題・解決手段】本発明は、ヒト化抗体若しくはマウス−ヒトキメラ抗体である抗ポドプラニン抗体又はその抗原結合領域を含む抗体断片の提供を課題とし、該課題を、所定のアミノ酸配列を含む、単離された、ヒト化抗... 詳細

  • 田中貴金属工業株式会社の「 医療用Au-Pt-Pd合金」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【解決課題】MRI等の磁場環境下での使用が想定される医療用の金属材料であって、好適な磁化率を有すると共に、機械的性質にも優れる医療用の合金材料を提供する。【解決手段】本発明は、Au、Pt、Pd及び不可... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ