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技術 粒子状卵殻膜含有組織工学用足場

出願人 バイオボテックエーエス
発明者 ケニー、エンダシュミット、ラルフスソ、アンリ-ピエール
出願日 2016年6月24日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-566811
公開日 2018年7月12日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2018-518319
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 選別スクリーン 腐食性薬品 移動レベル 連続気泡スポンジ 外部体 最短寸法 物理条件 応力ひずみ曲線
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この項目の情報は公開日時点(2018年7月12日)のものです。
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課題・解決手段

本発明は、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、組織工学用足場であって、足場の少なくとも25%w/wは、足場に実質的に一様に分布した粒子状卵殻膜ESM)であり、また、足場は、本質的には乾燥している、組織工学用足場を提供する。フリーズドライおよび低温ゲル化によって、組織工学用足場を調製する方法、および創傷治癒を促進するための、組織工学的方法における組織工学用足場の使用も提供する。

概要

背景

当該技術分野においては、組織工学用足場を調製するのに、天然材料および合成材料の両方が用いられる。典型的には、このような材料は、立体的に配置することができ、また、適切かつ十分なリガンドを提供して、細胞移動細胞接着細胞増殖、および/または新規細胞外基質生産を促進することができる、ポリマーである。より具体的には、例えば、細胞外基質のタンパク質および多糖類コラーゲンフィブリンケラチンエラスチン、およびグリコサミノグリカンヒアルロン酸コンドロイチン硫酸デルマタン硫酸ケラタン硫酸ヘパリンヘパラン硫酸、およびヒアルロナンなど))や、アルギン酸塩ペクチンキトサンセルロース酸化再生セルロースメチルセルロースカルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースを含む)、フィブロネクチンなどの、天然(繊維状)タンパク質および多糖類が挙げられる。人工的な足場材料としては、例えば、PLA(ポリ乳酸)、ポリグリコール酸PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノンPDS)、ポリエチレンオキサイドテレフタレート)(PEOT)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、窒化ケイ素、およびこれらの共重合体ポリラクチド−co−グリコリド(PLAGA)およびPEOT/PBTなど)や、ヒドロキシアパタイト、ならびにリン酸カルシウム(Ca−P)およびその誘導体シリカ被覆リン酸カルシウムおよびβ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)など)などが挙げられる。

タンパク質系立体構造体または立体基質は、損傷を受けた皮膚における組織再生の助けとなり、また、潰瘍などの慢性創傷における創傷治癒の促進も可能であるということが知られている。市販の基質の製品例としては、インテグ皮膚再生テンプレート(Integra Dermal Regeneration Template)(インテグラ・バイオサイエンス社(Integra Biosciences))およびオアシス(Oasis)(ヘルスポイントスミス&ネフュー社(Healthpoint, Smith & Nephew))が挙げられる。

概要

本発明は、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、組織工学用足場であって、足場の少なくとも25%w/wは、足場に実質的に一様に分布した粒子状卵殻膜ESM)であり、また、足場は、本質的には乾燥している、組織工学用足場を提供する。フリーズドライおよび低温ゲル化によって、組織工学用足場を調製する方法、および創傷治癒を促進するための、組織工学的方法における組織工学用足場の使用も提供する。なし

目的

本発明は、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、粒子状卵殻膜(egg shell membrane:ESM)含有組織工学用足場を提供する

効果

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請求項1

立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、組織工学用足場であって、前記足場の少なくとも25%w/wは、足場に実質的に一様に分布した粒子状卵殻膜ESM)であり、また、前記足場は、本質的には乾燥している、組織工学用足場。

請求項2

前記足場の水の含有量は、5%w/w未満であって、例えば4.5%w/w未満、4%w/w未満、3.5%w/w未満、3%w/w未満、2.5%w/w未満、2%w/w未満、1.5%w/w未満、または1%w/w未満である、請求項1に記載の組織工学用足場。

請求項3

前記粒子状ESMは、平均粒子径が500μm以下である、例えば450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、125μm以下、または100μm以下である、ESM粒子であるか、または、そのようなESM粒子から形成され得る、請求項1または2に記載の組織工学用足場。

請求項4

前記粒子状ESMは、平均粒子径が1nm以上である、例えば5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、750nm以上、800nm以上、850nm以上、900nm以上、または950nm以上であるか、あるいは平均粒子径が1μm以上である、例えば5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、または450μm以上である、ESM粒子であるか、または、そのようなESM粒子から形成され得る、請求項3に記載の組織工学用足場。

請求項5

前記粒子状ESMは、本質的に、球状、擬角柱状円筒状、棒状、針状、または繊維状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項6

前記粒子状ESMは、第1の長さ寸法と、これに垂直に配される第2の長さ寸法とのアスペクト比が、少なくとも1.5(第1の長さ寸法:第2の長さ寸法)であって、例えば少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100である、請求項5に記載の組織工学用足場。

請求項7

前記足場は、粒子状ESMを少なくとも30%w/w含み、例えば少なくとも35%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも45%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも100%w/w含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項8

前記足場は、さらなる足場材料を少なくとも1つ含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項9

前記粒子状ESMと、さらなる足場材料とは、前記足場において、1:3〜20:1の比で存在し、例えば、1:3〜15:1、1:3〜10:1、1:3〜6:1、1:3〜5:1、1:3〜3:1、1:3〜2:1、1:1〜20:1、1:1〜15:1、1:1〜10:1、1:1〜6:1、1:1〜5:1、1:1〜3:1、1:1〜2:1、または約1:1(ESM:さらなる足場材料)の比で存在している、請求項8に記載の組織工学用足場。

請求項10

前記少なくとも1つの足場材料は、コラーゲン(コラーゲンIおよびゼラチンなど)、フィブリンケラチンエラスチンヒアルロン酸コンドロイチン硫酸デルマタン硫酸ケラタン硫酸ヘパリンヘパラン硫酸ヒアルロナンアルギン酸塩ペクチンキトサンセルロース酸化再生セルロースメチルセルロースカルボキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースなど)、フィブロネクチンPLA(ポリ乳酸)、ポリグリコール酸PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノンPDS)、ポリエチレンオキサイドテレフタレート)(PEOT)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコールPVA)、窒化ケイ素、およびこれらの共重合体ポリラクチド−co−グリコリド(PLAGA)、およびPEOT/PBTなど)、ヒドロキシアパタイト、ならびに、リン酸カルシウム(Ca−P)およびその誘導体シリカ被覆リン酸カルシウム、ベータトリリン酸カルシウム(β−TCP)など)、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8または9に記載の組織工学用足場。

請求項11

前記足場は、足場材料として働くのに十分な量のアルギン酸塩を含有していない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項12

前記足場は、コラーゲン(コラーゲンIおよびゼラチンなど)、フィブリン、ケラチン、エラスチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、ペクチン、キトサン、セルロース(酸化再生セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、フィブロネクチン、PLA(ポリ乳酸)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリ(エチレンオキサイドテレフタレート)(PEOT)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、窒化ケイ素、およびこれらの共重合体(ポリラクチド−co−グリコリド(PLAGA)、およびPEOT/PBTなど)、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム(Ca−P)およびその誘導体(シリカ被覆リン酸カルシウム、ならびにベータ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)など)、またはこれらの混合物からなる群から選択されるさらなる足場材料を少なくとも1つ含む、請求項11に記載の組織工学用足場。

請求項13

前記少なくとも1つのさらなる足場材料は、コラーゲン、ゼラチン、酸化再生セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシアパタイト、シリカ被覆リン酸カルシウムおよびベータ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)、またはこれらの混合物から選択される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項14

前記さらなる足場材料の個々の分子は、互いに架橋または重合していてもよく、場合によっては、前記粒子状ESMと架橋または重合していてもよい、請求項8〜13のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項15

前記足場は、臨床的に有効な抗菌剤成長因子、または抗炎症剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項16

前記足場には、幹細胞万能性幹細胞全能性幹細胞多能性幹細胞、または単能性幹細胞)、人工万能性幹細胞、線維芽細胞骨格筋平滑筋心筋上皮細胞、ケラチン生成表皮細胞破骨細胞骨芽細胞、および基底膜細胞などの細胞が播種される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組織工学用足場。

請求項17

請求項1〜16のいずれか1項に記載の、スポンジ状の足場を調製する方法であって、該方法は、(i)粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供することと、(ii)前記懸濁液をフリーズドライして、場合によっては鋳型中で前記懸濁液をフリーズドライして、該足場を得ることと、を含む、方法。

請求項18

請求項1〜16のいずれか1項に記載の、スポンジ状の足場を調製する方法であって、該方法は、(i)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と、適切な重合開始剤または架橋開始剤と共に、水懸濁液として提供することと、(i)(b)重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、前記粒子状ESMの懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つこと、場合によっては鋳型中で低い温度に保つことと、(i)(c)ステップ(i)(b)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法、または、該方法は、(ii)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と共に、水懸濁液として提供することと、(ii)(b)該粒子状ESMの懸濁液を、適切な重合開始剤または架橋開始剤と混合することと、(ii)(c)重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、前記懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つこと、場合によっては鋳型中で低い温度で保つことと、(ii)(d)ステップ(ii)(c)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法、または、該方法は、(iii)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と共に、水懸濁液として提供することと、(iii)(b)前記懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つこと、場合によっては鋳型中で低い温度に保つことと、(iii)(c)該ESM懸濁液を、重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、適切な重合開始剤または架橋開始剤と混合することと、(iii)(d)ステップ(iii)(c)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法。

請求項19

請求項17に記載の方法または請求項18に記載の方法によって得られた、または得ることができる、組織工学用足場。

請求項20

インビボにおける組織工学的方法であって、該方法は、請求項1〜16または19のいずれか1項に記載の組織工学用足場を提供することと、十分量の該足場を、被験者に対して、再生修復、または再構成を必要とする組織中または組織上、あるいは組織の置換または新規組織の構成を必要とする部位に適用することとを含む、方法。

請求項21

エキソビボにおける組織工学的方法であって、該方法は、請求項1〜16または19のいずれか1項に記載の組織工学用足場を提供することと、十分量の該足場を、再生、修復、または再構成を必要とする、被験者から単離された組織、あるいは組織の置換または新規組織の構成を必要とする、該単離された組織中または組織上の部位に適用することとを含む、方法。

請求項22

インビトロにおける組織工学的方法であって、該方法は、請求項1〜16または19のいずれか1項に記載の組織工学用足場を十分量提供することと、該足場に、該組織を形成できる細胞を播種することと、前記足場および細胞を、組織形成誘導される条件下で培養することとを含む、方法。

請求項23

前記組織は、副腎組織、肝組織、心組織腎組織膵組織脳下垂体組織、甲状腺組織、免疫組織卵巣組織精巣組織前立腺組織子宮内膜組織、眼組織乳房組織脂肪組織上皮組織、内覆組織、神経組織筋肉組織結合組織靱帯および軟骨など)、肺組織内皮組織表皮組織、および骨組織から選択され、好ましくは、筋肉組織、結合組織(軟骨など)、骨組織、および神経組織から選択される、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。

請求項24

創傷治癒を促進する方法であって、請求項1〜16または19のいずれか1項に記載の組織工学用足場が、創傷の治癒を促進するのに十分な量で、該創傷に適用される、方法。

技術分野

0001

本発明は、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、粒子状卵殻膜(egg shell membrane:ESM)含有組織工学用足場を提供する。より具体的には、足場の少なくとも25%w/wは、足場に実質的に一様に分布した粒子状ESMであり、また、足場は、本質的には乾燥している。驚くべきことであるが、このような足場は、既存の足場と比較すると、構造的かつ機能的に働くが、主に、コラーゲンヒアルロン酸グリコサミノグリカンケラチン様タンパク質、およびエラスチン様タンパク質などの構造タンパク質および細胞外基質成分からなり、を用いる産業において豊富に生じる副生物である粒子状ESMを用いることによって、病原体リスクが減少し、かつ免疫または毒性に関する問題が減少した、大幅に費用対効果が高い製品が得られるということがわかっている。創傷管理骨修復神経再生組織および臓器再構築、ならびに組織および臓器の構築などの組織工学的方法におけるこのような足場の使用も提供される。このような方法は、インビボのみならず、インビトロまたはエキソビボにおいて行われるものであってもよい。特定の足場を作製するための、簡易で費用対効果の高い方法も提供される。

背景技術

0002

当該技術分野においては、組織工学用足場を調製するのに、天然材料および合成材料の両方が用いられる。典型的には、このような材料は、立体的に配置することができ、また、適切かつ十分なリガンドを提供して、細胞移動細胞接着細胞増殖、および/または新規の細胞外基質の生産を促進することができる、ポリマーである。より具体的には、例えば、細胞外基質のタンパク質および多糖類(コラーゲン、フィブリン、ケラチン、エラスチン、およびグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸デルマタン硫酸ケラタン硫酸ヘパリンヘパラン硫酸、およびヒアルロナンなど))や、アルギン酸塩ペクチンキトサンセルロース酸化再生セルロースメチルセルロースカルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースを含む)、フィブロネクチンなどの、天然(繊維状)タンパク質および多糖類が挙げられる。人工的な足場材料としては、例えば、PLA(ポリ乳酸)、ポリグリコール酸PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノンPDS)、ポリエチレンオキサイドテレフタレート)(PEOT)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、窒化ケイ素、およびこれらの共重合体ポリラクチド−co−グリコリド(PLAGA)およびPEOT/PBTなど)や、ヒドロキシアパタイト、ならびにリン酸カルシウム(Ca−P)およびその誘導体シリカ被覆リン酸カルシウムおよびβ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)など)などが挙げられる。

0003

タンパク質系立体構造体または立体基質は、損傷を受けた皮膚における組織再生の助けとなり、また、潰瘍などの慢性創傷における創傷治癒の促進も可能であるということが知られている。市販の基質の製品例としては、インテグ皮膚再生テンプレート(Integra Dermal Regeneration Template)(インテグラ・バイオサイエンス社(Integra Biosciences))およびオアシス(Oasis)(ヘルスポイントスミス&ネフュー社(Healthpoint, Smith & Nephew))が挙げられる。

0004

インテグラは、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンから製造された連続気泡スポンジであり、皮膚全層の修復適応する。細胞は、インテグラの構造を通して移動可能であって、その後、組織の再生過程の間、吸収が促進される。インテグラは、空間充填性を有しており、火傷および慢性創傷の治療に特に役立つ。この製品は、組成が比較的単純であり、コラーゲンおよびGAGの水懸濁液凍結乾燥して、乾燥し安定したスポンジを作ることによって、比較的容易に製造される。

0005

オアシスは、ブタ小腸粘膜組織由来の、層状構造体またはラメラ構造体である。細胞は、オアシスの表面に付着可能であり、創傷治癒プロセスを通して、オアシスは吸収される。オアシスは、創傷治癒プロセスの間、組織の代謝回転によって入れ替わるが、空間を充填するというよりも、局所用である。しかしながら、連続気泡スポンジではない。オアシスは、脱細胞化されたECMからなる、比較的複雑な製品である。製造にも比較的費用がかかる。

0006

最近、無処置雌鶏卵殻膜(ESM)を用い、無処置フィルムとして損傷を受けた肌に被せた場合に、創傷治癒が促進されることが示された(Yang,J−Yら,2003.Chang Gung Med J)。

0007

ESMは、鳥類の卵において卵白卵殻との間に見出される、タンパク質に富んだ繊維状の複合二層構造である。このような膜は、約90重量%のタンパク質(コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチンペプチド成長因子オボトランスフェリンリジルオキシダーゼ、およびリゾチームなど)ならびにデスモシンイソデスモシン、およびグリコサミノグリカン(デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびヒアルロン酸など)を含有することが研究によって明らかにされている。これらのタンパク質は、脊椎動物の細胞外基質成分を厳密に反映している。様々な機械的手段によって、卵殻および卵の内部成分からESMを容易に分離して、本質的に純粋なESM製剤を作製することができる。この手順は、直接的で低コストであり、低価格な製品が十分に提供される。

0008

ESMを無処置シートとして皮膚創傷に被せると、半透過性膜として機能して、水蒸気の透過を可能にし、創傷床内の湿度を管理する。その特性は、バイオブレイン(Biobrane)(商標)などの合成材料と同様である。しかしながら、創傷治癒に用いるのに適切なサイズの無処置ESMを、商業的に実現可能な量で調製するのは困難である。無処置ESMは、使用可能なサイズを維持するために、手作業での調製を必要とし、それでも、個々の膜を寄せ集めて用いる必要がある。処理中、このもろい材料は、残留結合カルシウムおよび付随している卵白成分からの分離と、無菌的な処理または最終的な滅菌のいずれかとを必要とする。その結果、上述のような医薬製品の製造に足るプロセスおよび品質管理は、技術的または経済的に実現不可能である。

0009

局所的な投与経路を介する特定の創傷の治療に対して、100〜500μmのESM粉末もまた提案されている(WO2004/080428)。この提案の根拠は不明であり、また、治療が成功したことの証拠も提供されていない。

0010

全身投与経路、特に経口投与経路を介する、関節炎および他の炎症性疾患の痛みおよび炎症の治療に対して、100〜500μmのESM粉末もまた提案されている(US8580315)。

0011

また、US3196075およびUS3194732には、寸法がマイクロメートルの範囲であるESM粒子(繊維状および非繊維状)について、また、この粒子を、皮膚移植片の代わりに創傷に投与することについての記載もある。

0012

驚くべきことであるが、現時点で、粒子状ESMを用いることによって、既存の乾燥した足場と比較して、例えば強度および柔軟性の点で構造的に、かつ例えば細胞移動および細胞増殖、ならびに立体的な組織の形成のための表面として機能的に、働く、費用対効果の高い乾燥した組織工学用足場の基盤を形成できるということがわかっている。このような足場は、止血性および創傷滲出物管理能も有している。

0013

したがって、第1の態様においては、本発明は、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する、組織工学用足場を提供するものであって、前記足場の少なくとも約25%w/wは、実質的に一様に分布した粒子状卵殻膜(ESM)であり、また、前記足場は、本質的には乾燥している。

0014

あるいは、生細胞播種および/または宿主生物への移植後に、立体的な組織の形成を助けることができる人工的な構造体として、より具体的には細胞外基質として、組織工学用足場を説明し得る。本発明の足場は、乾燥したスポンジまたは発泡体であってもよい。本発明の足場は、ゲル、特にヒドロゲルまたはヒドロコロイドゲルではなく、また織って作った、または織らずに作った、または編んで作った、例えばフェルトのような繊維シート構造体でもない。

0015

本発明に係る「立体的な」(3D)物体とは、高さ/奥行き、幅、および長さを有する物体であり、これらの寸法のうちのどれもが、最大寸法の5%未満、例えば10%未満、15%未満、20%未満、または25%未満ではない。この立体的な物体は、空間充填的な(あるいは、空隙充填的または空洞充填的な)存在物と説明されてもよい。本発明に係るこれらの用語は、組織工学における空間、空隙、および空洞と解釈されるべきである。換言すると、立体的な構造体は、シートでも、フィルムでも、膜でも、層でも、被膜でもない。ある実施形態においては、3つの寸法は全て、裸眼で容易に見ることができる。例えば、最短寸法は、少なくとも2mmであり、例えば、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、少なくとも10mm、少なくとも12mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも25mm、または少なくとも30mmである。

0016

本明細書において、「生分解性」とは、インビボであってもよいしインビトロであってもよい使用位置において、足場が分解されることをいう。典型的には、足場は、分解速度がその用途に好適なものとなるように設計される。この速度は、組織の形成速度、または少なくともインサイチュにおける細胞外基質の形成速度に一致した速度であってもよい。

0017

本明細書において、「生体適合性」とは、足場の使用位置および宿主生物内における、足場およびその分解産物生理学許容性、例えば毒物学上および/または免疫学上の許容性のことをいう。換言すると、悪影響を生じずに、生命ステムと接触する能力のことである。ESMおよび本発明の足場は、実質的に、例えば本質的に、無毒であり、実質的に、例えば本質的に、非免疫原性であると予想される。特に、身体に接触する医療機器に対する、生体適合性および毒性についての標準的なアッセイおよび許容できる閾値は、国際標準化機構の基準であるISO10993(医療機器の生物学的評価)およびその付帯的な基準に定められている。本発明の足場は、ISO10993に本質的に準拠していることが好ましい。

0018

本明細書において、「多孔性」とは、足場内に、液体および気体浸透可能な不連続な小孔、空隙、または小空洞(これらの用語は交換可能に用いられる)が存在していることをいい、すなわち不連続な小孔の少なくとも一部は、相互に接続している。足場の小孔は、そのサイズ、表面積および/または構造が実質的に同じであってもよいし、このような計量値が不均一であってもよい。例えば、足場の物性(強度、柔軟性、生分解速度)および/または機能性(細胞増殖、細胞移動、および/またはECM産生)を最適化することによって、このような計量値を制御し、足場をその用途に最適化することは、有利であろう。このことは、例えば、生産条件および構成材料を制御することによって実現されてもよい。

0019

小孔のサイズ(または、適切な場合は、小孔サイズ平均値もしくは最頻値)は、1μm〜1000μmにわたっていてもよく、例えば、1〜950μm、1〜900μm、1〜850μm、1〜800μm、1〜750μm、1〜700μm、1〜650μm、1〜600μm、1〜550μm、1〜500μm、1〜450μm、1〜400μm、1〜350μm、1〜300μm、1〜250μm、1〜200μm、1〜150μm、1〜100μm、1〜50μm、1〜25μm、1〜10μm、2〜1000μm、2〜950μm、2〜900μm、2〜850μm、2〜800μm、2〜750μm、2〜700μm、2〜650μm、2〜600μm、2〜550μm、2〜500μm、2〜450μm、2〜400μm、2〜350μm、2〜300μm、2〜250μm、2〜200μm、2〜150μm、2〜100μm、2〜50μm、2〜25μm、2〜10μm、5〜1000μm、5〜950μm、5〜900μm、5〜850μm、5〜800μm、5〜750μm、5〜700μm、5〜650μm、5〜600μm、5〜550μm、5〜500μm、5〜450μm、5〜400μm、5〜350μm、5〜300μm、5〜250μm、5〜200μm、5〜150μm、5〜100μm、5〜50μm、5〜25μm、5〜10μm、50μm〜1000μm、50〜950μm、50〜900μm、50〜850μm、50〜800μm、50〜750μm、50〜700μm、50〜650μm、50〜600μm、50〜550μm、50〜500μm、50〜450μm、50〜400μm、50〜350μm、50〜300μm、50〜250μm、50〜200μm、50〜150μm、50〜100μm、100μm〜1000μm、100〜950μm、100〜900μm、100〜850μm、100〜800μm、100〜750μm、100〜700μm、100〜650μm、100〜600μm、100〜550μm、100〜500μm、100〜450μm、100〜400μm、100〜350μm、100〜300μm、100〜250μm、100〜200μm、100〜150μm、200μm〜1000μm、200〜950μm、200〜900μm、200〜850μm、200〜800μm、200〜750μm、200〜700μm、200〜650μm、200〜600μm、200〜550μm、200〜500μm、200〜450μm、200〜400μm、200〜350μm、200〜300μm、200〜250μm、300μm〜1000μm、300〜950μm、300〜900μm、300〜850μm、300〜800μm、300〜750μm、300〜700μm、300〜650μm、300〜600μm、300〜550μm、300〜500μm、300〜450μm、300〜400μm、300〜350μm、400μm〜1000μm、400〜950μm、400〜900μm、400〜850μm、400〜800μm、400〜750μm、400〜700μm、400〜650μm、400〜600μm、400〜550μm、400〜500μm、400〜450μm、500μm〜1000μm、500〜950μm、500〜900μm、500〜850μm、500〜800μm、500〜750μm、500〜700μm、500〜650μm、500〜600μm、500〜550μm、600μm〜1000μm、600〜950μm、600〜900μm、600〜850μm、600〜800μm、600〜750μm、600〜700μm、600〜650μm、700μm〜1000μm、700〜950μm、700〜900μm、700〜850μm、700〜800μm、700〜750μm、800μm〜1000μm、800〜950μm、800〜900μm、800〜850μm、900μm〜1000μm、または900〜950μmであってもよい。これらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0020

組織工学的な用途が異なる場合は、それぞれに特有の小孔サイズが必要となる場合があるが、当業者であれば、特定の組織工学的な用途に合った小孔サイズを選択するであろう。例えば、コラーゲン系の足場を用いた皮膚の再生の場合は、小孔サイズは、10μm〜125μmが最適であることが示されている(Yannasら,1989,PNAS,86巻,933〜937)。骨の修復の場合は、85μm〜325μmのサイズの小孔を有する立体的な足場が機能的であることが示されている(MurphyおよびO’Brien,Cell Adh Migr 4,377〜381;2010)。小孔サイズが異なる範囲にある場合に、他の組織が最適に再生されることがあり、最近、LohおよびChoongによって、小孔サイズに関する文献が概説されている(Tissue Engineering 19,485〜502,特に表1)。この文献は参照により本明細書に援用される。

0021

本発明の立体的な足場の小孔は、そのサイズが実質的に同じであってもよい。例えば、足場の小孔のうち25%未満、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または1%未満のサイズが、選択されたサイズ範囲、例えば上記の範囲から、外れている。換言すると、足場の小孔のうち少なくとも75%、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の小孔サイズが、小孔サイズの平均値もしくは最頻値から、25%だけ、例えば20%だけ、15%だけ、10%だけ、5%だけ、または1%だけ、異なっている。

0022

足場の多孔度(または空隙率)、すなわち足場の体積に対する空所の割合は、足場が用いられる組織工学的な用途に応じて異なっていてもよい(LohおよびChoong、特に表1(上掲))。ある実施形態においては、本発明の足場の多孔度は、30%〜99%であってもよく、例えば、30%〜95%、30%〜90%、30%〜85%、30%〜80%、30%〜75%、30%〜70%、30%〜65%、30%〜60%、30%〜55%、30%〜50%、30%〜45%、30%〜40%、30%〜35%、40%〜99%、40%〜95%、40%〜90%、40%〜85%、40%〜80%、40%〜75%、40%〜70%、40%〜65%、40%〜60%、40%〜55%、40%〜50%、40%〜45%、50%〜99%、50%〜95%、50%〜90%、50%〜85%、50%〜80%、50%〜75%、50%〜50%、50%〜65%、50%〜60%、50%〜55%、60%〜99%、60%〜95%、60%〜90%、60%〜85%、60%〜80%、60%〜75%、60%〜70%、60%〜65%、70%〜99%、70%〜95%、70%〜90%、70%〜85%、70%〜80%、70%〜75%、80%〜99%、80%〜95%、80%〜90%、80%〜85%、90%〜99%、90%〜95%、または95%〜99%であってもよい。これらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0023

小孔サイズは、走査電子顕微鏡法で測定されてもよいし、マイクロコンピュータ断層撮影法で測定されてもよいし、水銀多孔度測定法で測定されてもよいし、浸透性に基づく方法で測定されてもよいし、毛細管流動細孔測定法で測定されてもよい。多孔度は、重量法で測定されてもよいし、水銀多孔度測定法で測定されてもよいし、液体置換法で測定されてもよい。これらの測定技術は常法であり、LohおよびChoong(上掲)において詳細に説明されている。

0024

本発明の足場は乾燥している。すなわち、実質的に、例えば本質的に、水を含まない(水分を含まない)。これは、乾燥時の重量減少分として測定された水の含有量、またはカールフィッシャー法(米国薬局方欧州薬局方)によって化学的に測定された水の含有量が、5%w/w未満であること、例えば4.5%w/w未満、4%w/w未満、3.5%w/w未満、3%w/w未満、2.5%w/w未満、2%w/w未満、1.5%w/w未満、または1%w/w未満であることを意味してもよい。本発明の足場は、フリーズドライ(凍結乾燥)または真空乾燥によって乾燥させることが好ましい。

0025

本発明に係る「粒子状ESM」なる語は、平均粒子径が500μm以下である、例えば450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、125μm以下、または100μm以下である、ESM粒子であってもよいし、このようなESM粒子の少なくとも1つから形成されてもよい。ある実施形態においては、粒子状ESMは、平均粒子径が100μm未満である、例えば95μm未満、90μm未満、85μm未満、80μm未満、75μm未満、70μm未満、65μm未満、60μm未満、55μm未満、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、5μm未満、または1μm未満であり、例えば900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、50nm未満、10nm未満、5nm未満、または1nm未満である、ESM粒子であってもよいし、このようなESM粒子の少なくとも1つから形成されてもよい。

0026

また別のある実施形態においては、粒子状ESMは、平均粒子径が1nm以上である、例えば5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、750nm以上、800nm以上、850nm以上、900nm以上、または950nm以上であるか、あるいは平均粒子径が1μm以上である、例えば5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、または450μm以上である、ESM粒子であってもよいし、このようなESM粒子の少なくとも1つから形成されてもよい。

0027

上記したこれらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0028

ESM粒子は、どのような立体形状であってもよい。ESM粒子は、本質的に、対称であっても非対称であってもよい。ESM粒子は、本質的に、球状であっても、擬角柱であっても、円筒状であってもよい。ESM粒子は、本質的に、不規則であっても、規則的であっても、その両方の領域があってもよい。ESM粒子は、角形でも、丸くても、先細でもあってもよく、それらの領域を含んでいてもよい。ある実施形態において、ESM粒子は、長さ寸法の1つが他の長さ寸法よりも有意に大きくてもよい。したがって、例えば、棒状、針状、または繊維状(ロッドニードル、または繊維)と呼ばれてもよく、有意に大きい長さ寸法に対して実質的に垂直な断面に応じて円筒状または擬角柱(立方体など)と称されてもよい。

0029

ある実施形態においては、ESM粒子は、第1の長さ寸法と、これに垂直に配される第2の長さ寸法とのアスペクト比が、少なくとも1.5(第1の長さ寸法:第2の長さ寸法)であってもよく、例えば少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100であってもよい。他の実施形態においては、ESM粒子は、第1の長さ寸法と、これに実質的に垂直に配される第2の長さ寸法とのアスペクト比が、2以下(第1の長さ寸法:第2の長さ寸法)であってもよく、例えば3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、12以下、14以下、16以下、18以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、50以下、55以下、60以下、65以下、70以下、80以下、90以下、または100以下であってもよい。これらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図され、例えば、ESM粒子は、アスペクト比が、5、6、7、8、9、または10のうちのいずれかの値と20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70のうちのいずれかの値との比であってもよい。

0030

これらの実施形態においては、第1の長さ寸法は、粒子において最長の長さ寸法であり、長手方向寸法と呼ばれてもよい。したがって、第2の長さ寸法は、横方向寸法と呼ばれてもよい。第2の長さ寸法は、最長の横方向寸法、または粒子の横方向寸法の平均値である。

0031

ある実施形態においては、長手方向寸法は、0.1μm〜500μmであって、例えば0.1μm〜400μm、0.1μm〜300μm、0.1μm〜200μm、0.1μm〜100μm、0.1μm〜80μm、0.1μm〜60μm、0.1μm〜40μm、0.1μm〜20μm、0.1μm〜10μm、0.1μm〜1μm、0.1μm〜0.5μm、0.5μm〜500μm、0.5μm〜400μm、0.5μm〜300μm、0.5μm〜200μm、0.5μm〜100μm、0.5μm〜80μm、0.5μm〜60μm、0.5μm〜40μm、0.5μm〜20μm、0.5μm〜10μm、0.5μm〜1μm、1μm〜500μm、1μm〜400μm、1μm〜300μm、1μm〜200μm、1μm〜100μm、1μm〜80μm、1μm〜60μm、1μm〜40μm、1μm〜20μm、1μm〜10μm、10μm〜500μm、10μm〜400μm、10μm〜300μm、10μm〜200μm、10μm〜100μm、10μm〜80μm、10μm〜60μm、10μm〜40μm、10μm〜20μm、20μm〜500μm、20μm〜400μm、20μm〜300μm、20μm〜200μm、20μm〜100μm、20μm〜80μm、20μm〜60μm、20μm〜40μm、40μm〜500μm、40μm〜400μm、40μm〜300μm、40μm〜200μm、40μm〜100μm、40μm〜80μm、40μm〜60μm、60μm〜500μm、60μm〜400μm、60μm〜300μm、60μm〜200μm、60μm〜100μm、60μm〜80μm、80μm〜500μm、80μm〜400μm、80μm〜300μm、80μm〜200μm、80μm〜100μm、100μm〜500μm、100μm〜400μm、100μm〜300μm、100μm〜200μm、200μm〜500μm、200μm〜400μm、200μm〜300μm、300μm〜500μm、300μm〜400μm、または400μm〜500μmである。

0032

ある実施形態においては、横方向寸法またはその平均値は、0.01μm〜20μmであって、例えば0.01μm〜16μm、0.01μm〜12μm、0.01μm〜8μm、0.01μm〜4μm、0.01μm〜2μm、0.01μm〜1.6μm、0.01μm〜1.2μm、0.01μm〜0.8μm、0.01μm〜0.4μm、0.01μm〜0.2μm、0.01μm〜0.1μm、0.01μm〜0.05 μm, 0.05μm〜20μm、0.05μm〜16μm、0.05μm〜12μm、0.05μm〜8μm、0.05μm〜4μm、0.05μm〜2μm、0.05μm〜1.6μm、0.05μm〜1.2μm、0.05μm〜0.8μm、0.05μm〜0.4μm、0.05μm〜0.2μm、0.05μm〜0.1μm、0.1μm〜20μm、0.1μm〜16μm、0.1μm〜12μm、0.1μm〜8μm、0.1μm〜4μm、0.1μm〜2μm、0.1μm〜1.6μm、0.1μm〜1.2μm、0.1μm〜0.8μm、0.1μm〜0.4μm、0.1μm〜0.2μm、0.2μm〜20μm、0.2μm〜16μm、0.2μm〜12μm、0.2μm〜8μm、0.2μm〜4μm、0.2μm〜2μm、0.2μm〜1.6μm、0.2μm〜1.2μm、0.2μm〜0.8μm、0.2μm〜0.4μm、0.4μm〜20μm、0.4μm〜16μm、0.4μm〜12μm、0.4μm〜8μm、0.4μm〜4μm、0.4μm〜2μm、0.4μm〜1.6μm、0.4μm〜1.2μm、0.4μm〜0.8μm、0.8μm〜20μm、0.8μm〜16μm、0.8μm〜12μm、0.8μm〜8μm、0.8μm〜4μm、0.8μm〜2μm、0.8μm〜1.6μm、0.8μm〜1.2μm、1.2μm〜20μm、1.2μm〜16μm、1.2μm〜12μm、1.2μm〜8μm、1.2μm〜4μm、1.2μm〜2μm、1.2μm〜1.6μm、1.6μm〜20μm、1.6μm〜16μm、1.6μm〜12μm、1.6μm〜8μm、1.6μm〜4μm、1.6μm〜2μm、2μm〜20μm、2μm〜16μm、2μm〜12μm、2μm〜8μm、2μm〜4μm、4μm〜20μm、4μm〜16μm、4μm〜12μm、または4μm〜8μmである。

0033

上述した長手方向寸法と横方向寸法とのあらゆる組み合わせ、およびその範囲が、特に、あらゆるアスペクト比およびその範囲において、具体的に企図される。前述のことに鑑みると、本発明で用いるある特定のESM粒子は、ロッド、ニードル、または繊維である。

0034

したがって、実質的に、例えば本質的に、球状でないESM粒子について、ESMの粒子形に関する本発明の一般性に鑑みると、ESMの粒子径に関する言及は、同等の球径に関する言及である。これらの実施形態において、ESM粒子は、用いた粒子サイズ測定技術において該直径を有する同物質組成物球体と同じサイズ示度となるサイズ寸法で定められた形状を有する。ある実施形態において、用いるサイズ寸法は、体積または表面積であり、好ましくは体積である。

0035

平均径、または同等の球径は、抵抗パルスコールター法沈降分離重力または遠心分離)、光学イメージング(SEM静止画像解析動画像解析など)、レーザー回折、または光散乱などの簡便な手段で評価され得るが、本発明の目的では、波長可変抵抗パルスセンシングの形態でコールター法を用いるか、または光学手段を用いて粒子サイズを決定するものとする。

0036

例えば繊維、ロッド、またはニードルのように、アスペクト比が高く、また上述したサイズを有するESM粒子(本明細書において、区別なく、サイズに応じて、マイクロ繊維マイクロロッドおよびマイクロニードル、あるいはナノ繊維ナノロッド、およびナノニードルと呼んでもよい)は、少なくとも本明細書に記載の創傷治癒のための治療に関しては、ESMの他の形態(WO2004/080428の形態など)よりも、ある特定の物理優位性を有すると考えられる。特に、このような配合により、表面積、代謝回転速度湿潤性水分保持適用性、および、特にMMP阻害のレベル理想的なものとなると考えられる。

0037

典型的には、上述した粒子状ESMは、複数の該ESM粒子からなるものであって、該複数の粒子の粒子径の最頻値は、500μm以下であって、例えば450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、125μm以下、または100μm以下である。ある実施形態においては、複数の粒子の粒子径の最頻値は、100μm未満であって、例えば95μm未満、90μm未満、85μm未満、80μm未満、75μm未満、70μm未満、65μm未満、60μm未満、55μm未満、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、5μm未満、または1μm未満であり、例えば900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、50nm未満、10nm未満、5nm未満、または1nm未満である。

0038

また、ある実施形態においては、複数の粒子の粒子径の最頻値は、1nm以上であって、例えば5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、750nm以上、800nm以上、850nm以上、900nm以上、または950nm以上であり、あるいは1μm以上であって、例えば5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、または450μm以上である。

0039

上記したこれらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0040

ある実施形態においては、該複数の粒子中の粒子数の25%未満、例えば20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満は、その粒子径の平均値が、前記粒子径の最頻値以上であって、例えば粒子径の平均値は、500μm以上、450μm以上、400μm以上、350μm以上、300μm以上、250μm以上、200μm以上、150μm以上、125μm以上、100μm以上、95μm以上、90μm以上、85μm以上、80μm以上、75μm以上、70μm以上、65μm以上、60μm以上、55μm以上、50μm以上、45μm以上、40μm以上、35μm以上、30μm以上、25μm以上、20μm以上、15μm以上、10μm以上、5μm以上、または1μm以上であり、例えば、900nm以上、850nm以上、800nm以上、750nm以上、700nm以上、650nm以上、600nm以上、550nm以上、500nm以上、450nm以上、400nm以上、350nm以上、300nm以上、250nm以上、200nm以上、150nm以上、100nm以上、50nm以上、10nm以上、5nm以上、または1nm以上である。

0041

ある実施形態においては、分散度が低い複数のESM粒子を用いることが、有利な場合がある。他の実施形態においては、複数のESM粒子は、本質的に単分散である。他方、また別のある実施形態においては、広範囲のESM粒子サイズ、または複数のより狭い粒子サイズ範囲が選択されて、本明細書に記載されている種々の生理学的効果の1つ以上が実現されてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明で用いるESM粒子の平均粒子径がサイズ範囲の上端であると、足場形成効果をより大きくすることで創傷細胞の移動が容易になり得、本発明で用いるESM粒子の平均粒子径がサイズ範囲の下端であると、MMPおよび炎症に対する阻害効果がより大きくなり得る。本発明で用いるESM粒子の生理学的効果を調整するために、異なるサイズ範囲を選択することが有利な場合がある。

0042

ESMは、鳥類の卵、例えば、野鶏(猟鳥(キジ目)および水鳥カモ目))および家禽、特に、ニワトリ、アヒルガチョウシチメンチョウホロホロチョウダチョウハトキジウズラライチョウ、またはカモメの卵の卵白と卵殻との間に見出される、繊維状の二重層である。ガルス・ガルス・ドメスティクス(Gallus gallus domesticus)、すなわち飼い鶏の卵が特に好ましい。二重層のうちのどちらか一層、またはその両方が、本発明に基づいて用いられてもよい。

0043

好ましくは、粒子状ESMおよび足場は、全体として、本質的に、卵白、卵黄、および/または卵殻(炭酸カルシウム)などの他の(非ESMである)卵成分(これは、ESMに対して「不純」物質と見なしてよい)を含まない。「本質的に含まない」とは、本発明に基づいて用いられる粒子状ESM(およびそれらが含むESM粒子)が、5%w/w以下の非ESM卵成分、例えば4%w/w以下、3%w/w以下、2%w/w以下、1%w/w以下、0.5%w/w以下、0.1%w/w以下、0.05%w/w以下、または0.01%w/w以下の非ESM卵成分を、含有することを意味する。

0044

本発明の粒子状ESMのESMは、簡便な手段によって、他の卵成分から分離され得る。ESMが分離され得る卵は、有精卵であってもよいし、無精卵であってもよい。卵は、無処置のもの、すなわち孵化前のものであってもよいし、空のもの、すなわち孵化後または卵の内容物(卵白および卵黄)抽出後の残部であってもよい。適切な手段は、例えば、内容が参照により本明細書に援用されるWO2004/080428およびUS8580315に記載のものである。好ましくは、ESMは、その内容が参照により本明細書に援用されるWO2015/058790に開示されている商業用卵処理施設生産ライン中で卵殻膜を採取する方法によって調製される。端的に言うと、WO2015/058790は、割卵ユニットにおいて生じ、卵殻部分および膜部分を含む卵殻残部を処理する方法であって、卵殻残部(例えば、粒子サイズが約0.5mm〜約40mmで、湿量基準の水分含量が約3%〜約40%である)を、割卵ユニットから、温度が約85℃未満(好ましくは約60℃未満)で速度が約60m/sを越える(好ましくは約70m/s〜約340m/s)処理ガスで駆動するサイクロンへ供給することを含む、方法、を提供する。該サイクロン内では、卵殻残部を処理する渦によって、粒子サイズが減少し、該膜部が該卵殻部からはがされて、該卵殻部が該膜部から分離される。該サイクロンの上部排出口からは、主に、処理ガス、水蒸気、および水滴の混合物が放出され、サイクロンの底部排出口からは、主に、分離された卵殻部および膜部の混合物が放出される。次いで、放出された該混合物は、選別デバイスにおいて、卵殻部部分と膜部部分とに分離される。結果として得られるESM部は、本明細書に記載されているように、好ましくはステップを挟まずに、本発明のESM粒子へとさらに処理されてもよい。

0045

ある実施形態においては、ESMを調製する方法は、全体の処理ガス供給速度に対する卵殻残部供給速度を、例えば約0.5秒〜約20秒おき、好ましくは約1秒〜約5秒おきに調整することで、卵殻残部を該サイクロンに供給してから該混合物が放出されるまでの時間を制御するさらなるステップを含む。ある実施形態においては、本方法は、卵殻残部を該サイクロンに供給する前に、遠心分離するステップをさらに含む。ある実施形態においては、供給ステップは連続的である。他の実施形態においては、選別ステップは、圧搾空気によって膜部部分を選別スクリーンから取り外し、選別デバイスから排出することを含んでいる。本方法は、膜部部分を乾燥する最終ステップを含んでいてもよい。

0046

大きさが約1mm2〜約10mm2の範囲内にあるフレーク状のESM材料は、再編または処理を行って、無処置のESMと同じ構造的特性を有するシートにすることはできない。

0047

ある実施形態においては、本発明で用いる粒子状ESM(または少なくともそのタンパク質成分)は、実質的に、殻−膜分離プロセスで得られるものである。換言すると、本発明で用いる粒子状ESMは、相当する鳥類源由来の天然ESMと比較すると、実質的に化学変性されていない。

0048

より具体的には、本発明で用いる粒子状ESMは、相当する鳥類源由来の天然ESMと比較すると、化学的には、実質的に未分解、未消化(例えば、化学的に、または酵素学的に)、および/または未変性である。「実質的に未分解」とは、相当する鳥類源由来の天然ESMと比較すると、ESM成分のうち20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が分解の兆候を示すことを意味する。未消化および未変性については、それに応じて解釈されるべきである。ESMの分解/消化/変性の程度は、ESMの相対的溶解度および/またはESM中のコラーゲン繊維の相対的なサイズまたは構造を測定することで評価することができる。これは、免疫組織化学法/免疫細胞化学法、および/または生体分子(タンパク質など)染色などの常用の技術によって実現されてもよい。

0049

特に、ある実施形態においては、本発明で用いる粒子状ESMは、例えば化学的または酵素学的な加水分解反応またはジスルフィド結合還元反応、特にアルカリ加水分解反応にさらされていない。換言すると、本発明で用いる粒子状ESMは、実質的に加水分解されておらず、これは、相当する鳥類源由来の天然ESMと比較すると、ESM成分のうち20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が加水分解の兆候を示すことを意味する。ESMの加水分解の程度は、ESMの相対的溶解度、および/またはコラーゲン繊維の相対的な大きさ、および/またはESM中のコラーゲンの架橋の程度を測定することで評価することができる。これは、免疫組織化学法/免疫細胞化学法、および/またはタンパク質染色などの常用の技術によって実現されてもよい。

0050

他の実施形態において、本発明で用いる粒子状ESMは、実質的に、例えば本質的に、pH6.8〜7.2などの中性pHにおいて、水に不溶である。本発明の目的では、不溶性材料は、1gの溶質を溶解するのに、10Lを越える溶媒を必要とする。

0051

本発明で用いる粒子状ESMは、ボールミル粉砕ビーズミル粉砕ジェットミル粉砕ボルテックスミル粉砕ブレードミル粉砕回転子固定子分散などの、簡便な粒子サイズ低減技術手段、微粉化技術手段、研磨技術手段、粉末化技術手段、または粉砕技術手段によってESMから調製され得、好ましくは、その後、い分けおよびスクリーニングなどのサイズ選別を行う。選択された粒子サイズ低減法は、乾燥状態で行われても、他の足場成分を含んでいても含んでいなくてもよい液状媒体を用いて行われてもよい。凍結粉砕が用いられてもよい。ある実施形態における粒子サイズ低減プロセス、およびある実施形態における先行するESM調製プロセスは、必要なサイズ(例えば上述したような)のESM繊維を生成するという点に基づいて、選択される。とりわけ、ブレードミル粉砕で乾燥ESMを粉末化すること、およびフレーク状ESMの懸濁液の回転子−固定子分散を行うことが、この点で有効であることが示されている。

0052

したがって、本発明によると、本発明で用いる粒子状ESMを調製する方法は、例えば本明細書に記載されているような、ESMを提供することと、ESMを微粉化プロセスに供することと、を含んでいてもよい。好ましくは、ESMは、非ESM卵成分を本質的に含まない状態で提供され、より好ましくは、非ESM卵成分を本質的に含まないESMを提供することは、WO2015/058790および上記に記載の通り、非ESM卵成分からESMを分離することと、約0.1%の塩酸または酢酸水溶液などの弱酸溶液(この語は、弱酸性溶液を含む)を用いてそのようにして得られたESMを洗浄し、これによってESM中の残存炭酸カルシウムを除去することと、を含む。他の実施形態においては、微粉化ESMは、該弱酸溶液で洗浄される。この弱酸による洗浄、特に約0.1%のHCl溶液での処理によって、ESMが脱塩されてESM中の無機塩の量が最小化されるだけでなく、微生物(本明細書に記載のものなど)、プリオン、およびウイルスなどの感染源が除去され、かつ/または不活性化される。

0053

この方法で調製されたESMの微粉化によって、長さ10〜100μm、厚さ1〜5μmのESM繊維(すなわち、マイクロ繊維およびナノ繊維)を作成する。本発明の足場に追加的な成分を含有させるのは、微粉化プロセスの前であってもよいし、その途中であってもよいし、その後であってもよい。該方法によって得られた、または得ることができる粒子を含有する微粉化ESMを、本発明の足場において用いることは、本発明のさらなる態様である。

0054

本発明の足場のうちの少なくとも約25%w/wは、粒子状卵殻膜(ESM)である。足場の含有物の残部、すなわち100%w/wに達するまでの残部%w/wは、さらなる足場材料、本質的に不活性賦形剤、および/または治療活性を有するさらなる薬剤によって占められ、好ましくはさらなる足場材料および/または不活性な賦形剤によって占められ、より好ましくはさらなる足場材料によって占められる。ある実施形態においては、実施例において示されるように、足場は、本質的に粒子状ESMからなるものであってもよい。

0055

ある実施形態においては、足場に含まれる粒子状ESMは、少なくとも30%w/wであって、例えば少なくとも35%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも45%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも100%w/wである。

0056

他の実施形態においては、足場に含まれる粒子状ESMは、100%w/w未満、例えば95%w/w以下であって、例えば90%w/w以下、85%w/w以下、80%w/w以下、75%w/w以下、70%w/w以下、65%w/w以下、60%w/w以下、55%w/w以下、50%w/w以下、45%w/w以下、40%w/w以下、35%w/w以下、または30%w/w以下である。

0057

上記したこれらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0058

「%w/w」(すなわち「重量対重百分率」)は、固体における配合物の量を表す表現として、一般的に用いられている。例えば、1%w/wは、固体100gあたりに配合物が1グラム含まれることに相当し、2%w/wは、固体100gあたりに配合物が2グラム含まれることに相当する。したがって、%w/wは、g/100g、100グラムあたりのグラム、およびg 100g-1と表され得る。1%w/wは、固体1キログラムあたりに配合物が10グラム含まれることにも相当する。当業者であれば、%w/wは、適切な変倍計算によって、質量のSI単位のいずれによっても表せるということを理解するであろう。非標準的な濃度単位への変換も可能であり、これは、当業者にとっては日常的なものである。本発明の足場の含有物に注目すると、これは、足場の乾燥重量を基準としており、すなわち、足場は本質的に乾燥した形態である。

0059

ある実施形態においては、足場は、粒子状ESMおよび少なくとも1つのさらなる足場材料を含む(または、これらからなるか、もしくは本質的にこれらからなる)。これらの実施形態においては、粒子状ESMと、さらなる足場材料との比を、1:3〜20:1、例えば1:3〜15:1、1:3〜10:1、1:3〜6:1、1:3〜5:1、1:3〜3:1、1:3〜2:1、約1:1、1:1〜20:1、1:1〜15:1、1:1〜10:1、1:1〜6:1、1:1〜5:1、1:1〜3:1、1:1〜2:1、2:1〜20:1、2:1〜15:1、2:1〜10:1、2:1〜6:1、2:1〜5:1、2:1〜3:1、3:1〜20:1、3:1〜15:1、3:1〜10:1、3:1〜6:1、3:1〜5:1、5:1〜20:1、5:1〜15:1、5:1〜10:1、5:1〜6:1、6:1〜20:1、6:1〜15:1、6:1〜10:1、10:1〜20:1、10:1〜15:1、または15:1〜20:1(ESM:さらなる足場材料)とすることが有利な場合がある。これらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0060

正確な比は、とりわけ、粒子状ESMの粒子サイズ、さらなる足場材料の特性、足場の用途、および/または足場の形態によって規定される。例えば、実施例に示すように、粒子状ESMとコラーゲンとからなるスポンジ状の足場は、ESMのコラーゲンに対する比を1:1および3:1として、形成されてもよい。

0061

さらなる足場材料は、粒子状ESM以外の適切な足場材料であれば、いかなるものであってもよい。ある実施形態においては、さらなる足場材料は、シート状またはフレーク状のESMではなく、実際にはあらゆる形態の固体ESMではなく、ESM由来の材料または成分(ESMの加水分解物あるいはESMから単離されたタンパク質および/または多糖など)から調製されたものでもない。本発明の足場の生分解性とは、足場が、不可欠の要素として、肉眼見える金属成分を含まないということを意味する。

0062

適切な足場材料は、天然材料であってもよいし合成材料であってもよい。典型的には、立体的に配置することができ、また、適切かつ十分なリガンドを提供して、細胞移動、細胞接着、細胞増殖、および/または新規の細胞外基質の生産を促進することができる、ポリマーである。より具体的には、例えば、細胞外基質のタンパク質および多糖類(コラーゲン(あらゆる種類および形態を含む。好ましくはコラーゲンIまたはゼラチンである)、フィブリン、ケラチン、エラスチン、およびグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、およびヒアルロナンなど))や、アルギン酸塩、ペクチン、キトサン、セルロース(酸化再生セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの全ての形態を含む)、フィブロネクチンなどの、天然(繊維状)タンパク質および多糖類が挙げられる。人工的な足場材料としては、例えば、PLA(ポリ乳酸)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリ(エチレンオキサイドテレフタレート)(PEOT)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(交換可能にPVA、PVOH、またはPVAIと称する)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、窒化ケイ素、ならびにポリラクチド−co−グリコリド(PLAGA)およびPEOT/PBTなどのこれらの共重合体や、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム(Ca−P)、ならびにシリカ被覆リン酸カルシウムおよびβ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)などのこれらの誘導体などが挙げられる。コラーゲン(あらゆる種類および形態を含む。好ましくはコラーゲンIまたはゼラチンである)およびセルロース(酸化再生セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの全ての形態を含む)が重要である。コラーゲンと酸化再生セルロースとの組み合わせが、さらなる足場材料として特に有効な場合がある。このような実施形態においては、酸化再生セルロースに対するコラーゲンの比は、70:30〜30:70であって、例えば65:35〜35:65、60:40〜40:60、55:45〜45:55であり、好ましくは55:45である。骨工学においては、ヒドロキシアパタイト、ならびにリン酸カルシウム(Ca−P)およびその誘導体(シリカ被覆リン酸カルシウムやβ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)など)を、特にコラーゲンと組み合わせて、本発明の足場に混合することが有利な場合がある。

0063

アルギン酸塩に関する言及は、指示がなければ、アルギン酸を含む。アルギン酸塩は、アルギン酸であってもよいし、例えば上記引用した塩であり、特にそれぞれアルギン酸Ca2+および/またはアルギン酸Na+である、アルギン酸の二価金属イオンの塩、アルギン酸の三価の金属イオンの塩、および/またはアルギン酸の一価の金属イオンの塩であってもよい。典型的には、アルギン酸塩は、例えば少なくとも35kDaのポリマー、または大きさの異なる複数のポリマーであるが、そのポリマーの代わりに、またはそのポリマーと組み合わせて、より小さなオリゴマーを用いてもよい。ある実施形態においては、さらなる足場材料は、アルギン酸塩ではなく、したがって、本発明の足場は、足場材料として働くのに十分な量で、アルギン酸塩を含有することはない。ある実施形態においては、本発明の足場は、アルギン酸塩を含有しない。

0064

さらなる足場材料として、コラーゲンおよび/またはゼラチンのみを用いることは、特に好ましい。上記した様々な比率は、必要な変更を加えて、このような実施形態に適用される。ある実施形態においては、本発明の足場は、粒子状ESMと、コラーゲンおよび/またはゼラチンとからなり、好ましくは、粒子状ESMとコラーゲンとからなるか、または本質的にこれらからなる。これらの実施形態においては、ESMとコラーゲンおよび/またはゼラチンとは、例えば上記のように、1:3〜20:1の比で、好ましくは約1:3、約1:1、または約3:1の比、すなわち、コラーゲンおよび/またはゼラチン75%w/wに対してESMが25%w/w、コラーゲンおよび/またはゼラチン50%に対してESMが50%、およびコラーゲンおよび/またはゼラチン25%に対してESMが75%の比で、存在している。

0065

さらなる足場材料として、PEG、特に架橋PEGまたは重合化PEGのみを用いることは、特に好ましい。上記した様々な比率は、必要な変更を加えて、このような実施形態に適用される。ある実施形態においては、本発明の足場は、粒子状ESMと、1つ以上のPEGとからなるか、または本質的にこれらからなる。これらの実施形態においては、ESMとPEGとは、好ましくは、例えば上記のように、1:3〜20:1の比で、好ましくは約1:3、約1:2、約1:1、または約3:1の比、すなわち、PEG75%w/wに対してESMが25%w/w、PEG67%に対してESMが33%w/w、PEG50%に対してESMが50%、およびPEG25%に対してESMが75%の比で、存在している。以下で述べるように、用いるPEGは、非架橋前駆体の形態、または非重合化前駆体の形態で提供されてもよく、架橋または重合を行う前に、ESMと合わせてもよい。

0066

さらなる足場材料として、ポリビニルアルコール(PVA)のみを用いることは、特に好ましい。上記した様々な比率は、必要な変更を加えて、このような実施形態に適用される。ある実施形態においては、本発明の足場は、粒子状ESMとPVAとからなるか、または本質的にこれらからなる。これらの実施形態においては、ESMとPVAとは、好ましくは、例えば上記のように、1:3〜20:1の比で、好ましくは約1:3、約1:2、約1:1、または約3:1の比、すなわち、PEG75%w/wに対してESMが25%w/w、PEG67%に対してESMが33%w/w、PEG50%に対してESMが50%、およびPEG25%に対してESMが75%の比で、存在している。

0067

ある実施形態においては、さらなる足場材料の個々の分子は、互いに架橋していてもよく、また、さらなる実施形態においては、ESMの粒子と架橋していてもよい。さらなる足場材料の形成に適した簡便な架橋手段が用いられ得る。架橋剤の具体例としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)などの水溶性カルボジイミド架橋剤およびグルタルアルデヒドなどが挙げられるが、特定の足場材料(コラーゲンなど)は、特定の物理条件(熱脱水法など)および/または適切な触媒(例えば、酸化還元開始剤過硫酸アンモニウムAPS)またはN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンTEMED)など)および光開始剤フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウムLAP)など))に曝露することによって、架橋されてもよい。

0068

本発明の足場に混合されてもよい、治療活性を有するさらなる薬剤としては、臨床的に有効な抗菌剤抗生物質消毒剤抗菌性界面活性剤抗真菌剤抗ウイルス剤)、成長因子、または抗炎症剤(用いるESM粒子がすでにこのような特性を有している場合は、これらを「さらなる抗菌剤」、「さらなる成長因子」、または「さらなる抗炎症剤」と呼んでもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。足場に含まれるこのような薬剤の量は、25%w/w未満であってもよく、例えば20%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5%w/w未満、または1%w/w未満であってもよい。

0069

代表的な抗生物質としては、アミノグリコシドアミカシンゲンタマイシンカナマイシンネオマイシンネチルマイシンストレプトマイシントブラマイシンなど);カルセフェム(ロラカルベフなど);第1世代のセファロスポリンセファドロキシルセファゾリンセファレキシンなど);第2世代のセファロスポリン(セファクロルセファマンドール、セファレキシン、セフォキシチンセフプロジルセフロキシムなど);第3世代のセファロスポリン(セフィキシムセフジニルセフジトレンセフォペラゾンセフォタキシムセフポドキシムセフタジジムセフチブテンセフチゾキシムセフトリアキソンなど);第4世代のセファロスポリン(セフェピムなど);マクロライドアジスロマイシンクラリスロマイシン、ジリスマイシンエリスロマイシントロレアンドマイシンなど);モノバクタムアズトレオナムなど);ペニシリンアモキシシリンアンピシリンカルベニシリンクロキサシリンジクロキサシリンナフシリンオキサシリンペニシリンGペニシリンVピペラシリンチカルシリンなど);ポリペプチド抗生物質(バシトラシンコリスチンポリミキシンBなど);キノロンシプロフロキサシンエノキサシンガチフロキサシンレボフロキサシンロメフロキサシンモキシフロキサシンノルフロキサシンオフロキサシントロバフロキサシンなど);スルホンアミドマフェニドスルファセタミドスルファメチゾールスルファサラジンスルフィソキサゾールトリメトプリムスルファメトキサゾールなど);テトラサイクリンデメクロサイクリンドキシサイクリンミノサイクリンオキシテトラサイクリン、テトラサイクリンなど);カルバペネムイミペネムメロペネムエルタペネムドリペネム、パニペネムベタミプロンビアペネム、PZ−601など);クロラムフェニコールクリンダマイシンエタンブトールホスホマイシンイソニアジドリネゾリドメトロニダゾールニトロフラントインピラジンアミドキヌプリスチンダルホプリスチンリファムピンスペクチノマイシン;およびバンコマイシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0070

代表的な消毒剤としては、塩素系漂白剤次亜塩素酸ナトリウム)、四級アンモニウム化合物塩化ベンズアルコニウム臭化セチルトリメチルアンモニウム塩化セチルピリジニウムなど)、過酸化水素フェノール化合物(TCPトリクロサンなど)、アルコールエタノールなど)、ビルコン(Virkon)(商標)、ヨウ素化合物ポビドンヨウ素など)、ならびに銀化合物銅化合物鉄化合物鉛化合物亜鉛化合物ビスマス化合物金化合物、およびアルミニウム化合物銀元素ナノ粒子マイクロ粒子銅元素ナノ粒子/マイクロ粒子、鉄元素ナノ粒子/マイクロ粒子、鉛元素ナノ粒子/マイクロ粒子、亜鉛元素ナノ粒子/マイクロ粒子、ビスマス元素ナノ粒子/マイクロ粒子、金元素ナノ粒子/マイクロ粒子、およびアルミニウム元素ナノ粒子/マイクロ粒子)などが挙げられるが、これらに限定されない。

0071

抗菌性界面活性剤は、消毒剤の別種である。これらは、微生物の細胞膜および他の構成要素を破壊し、その結果、微生物の成長および/または生存能力を阻害する化合物である。抗菌性界面活性剤、および抗菌性組成物における抗菌性界面活性剤の使用は、当該技術分野においてよく知られており、さらなる手引きが必要であれば、“Preservative−free and self−preserving cosmetics and drugs − Principles and practice”,Kabara and Orth編,Marcel Dekker,NY,NY,1997の抗菌性界面活性剤についての概説の全内容が、参照により明示的に援用される。抗菌性界面活性剤は、アニオン性であってもよいし、カチオン性であってもよいし、ノニオン性であってもよいし、両性であってもよい。アニオン性の抗菌性界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムラウリル硫酸ナトリウム)、ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウムリシノール酸ナトリウム胆汁酸アルキルアリルスルホン酸グリロサン(Grillosan)DS7911、ウンデシレン酸モノエタノールアミドスルホコハク酸二ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性の抗菌性界面活性剤としては、例えば、四級アンモニウム化合物、アミンイミド、およびクロルヘキシジン化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。ノニオン性の抗菌性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸モノエステルアルキルジヒドロキシ安息香酸ポリエチレングリコモノエステルグルコサミン誘導体、およびN−ラウロイルジペプチドジエタノールアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。両性の抗菌性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタインアルキルアミドプロピルベタインアルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミノジプロピオン酸、およびアルキルイミダゾリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0073

代表的な抗ウイルス剤としては、アバカビルアシクロビルアデホビルアマンタジンアンプレナビルアルビドールアタザナビルアトリプラ、ボセプレビルシドホビルコンビビル、ダルナビルデラビルジンジダノシンドコサノール、エドクスジン、エファビレンツエムトリシタビンエンフビルチド、エンテカビルファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネットホスホネットガンシクロビル、イバシタビン 、イムノビル、イドクスウリジンイミキモドインジナビルイノシンIII型インターフェロンII型インターフェロン、I型インターフェロン、ラミブジンロピナビル、ロビリド、マラビロクモロキシジンネルフィナビルネビラピン、ネクサビル、オセルタミビルペンシクロビルペラミビルプレコナリルポドフィロトキシンラルテグラビルリバビリン、リマンタジン、リトナビルサキナビルスタブジンテノホビル、テノホビルジイソプロキシル、チプラナビルトリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビルバルガンシクロビルビクリビロク、ビダラビンビラミジンザルシタビンザナミビル、およびジドブジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0074

代表的な成長因子としては、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性および酸性線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(hGF)、成長ホルモンGH)、骨形態形成タンパク質2および7(BMP2およびBMP7)、インスリン様成長因子IおよびII(IGF−I、IGF−II)、形質転換成長因子(TGF−β1、TGF−β2)、ケラチン生成表皮細胞成長因子(KGF)、移動刺激因子(MSF)、血管内皮成長因子VEGF)、神経成長因子(NGF)、および脳由来神経栄養因子(BDNF)などが挙げられるが、これらに限定されない。

0075

代表的な抗炎症剤としては、抗炎症性ステロイドコルチコステロイドなど)、NSAID、または抗炎症性サイトカインなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なNSAIDとしては、サリチル酸塩アスピリンアセチルサリチル酸)、トリサリチル酸コリンマグネシウムジフルニサルサルサラートなど)、プロピオン酸誘導体イブプロフェンデクスイブプロフェンデクスケトプロフェンフェノプロフェンフルルビプロフェンケトプロフェンロキソプロフェンナプロキセンオキサプロジンなど)、酢酸誘導体アセクロフェナクジクロフェナクエトドラクインドメタシンケトロラクナブメトントルメチンスリンダクなど)、エノール酸誘導体(ドロキシカムイソシカム、ロルノキシカムメロキシカムピロキシカムテノキシカムなど)、アントラニル酸誘導体フルフェナム酸メクロフェナム酸メフェナム酸、トルフェノム酸など)および選択的COX−2阻害剤コキシブ(Coxibs);セレコキシブエトリコキシブルミラコキシブパレコキシブロフェコキシブバルデコキシブなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン ナプロキセン、オキサプロジンなど)が好ましく、イブプロフェンが最も好ましい。代表的な抗炎症性サイトカインとしては、(IL)−1受容体拮抗薬、IL−4、IL−6、IL−10、IL−11、およびIL−13などが挙げられる。

0076

適切な賦形剤の例としては、ラクトースデキストローススクロースソルビトールマンニトールデンプンアラビアゴム、リン酸カルシウム、トラガカントゴムケイ酸カルシウムポリビニルピロリドンプロピレングリコールヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピルタルクステアリン酸マグネシウムミネラルオイル、または硬質脂肪などの脂肪分、あるいはこれらの適切な混合物などが挙げられる。賦形剤は、潤滑剤、湿潤剤乳化剤懸濁剤保存剤などを追加的に含んでいてもよい。ある実施形態においては、賦形剤は、シート状またはフレーク状のESMではなく、実際にはあらゆる形態の固体ESMではなく、ESM由来の材料または成分(ESMの加水分解物あるいはESMから単離されたタンパク質および/または多糖など)から調製されたものでもない。

0077

「一様に分布している」とは、本発明の足場の粒子状ESMが、足場の一部に、それほどは蓄積されていないということを意味する。すなわち、本発明の足場から調製されたあるサイズのサンプルは、足場の別の部分から調製された同じサイズの第2のサンプルと、本質的に同じ量の粒子状ESM(例えば%w/wで測定)を有する。異なる表現をすると、足場において、肉眼で見ることができる複数(例えば10個)の部分(例えば、体積が約5mm3の部分)には、平均すると、足場全体と本質的に同じ割合の粒子状ESMが含有されている。

0078

さらなる実施形態においては、本発明は、細胞が播種された本明細書に記載の足場を提供し、この細胞は、足場の標的宿主から採取された細胞、または提供者の細胞もしくは提供者由来の細胞であってもよい。本発明の足場に播種される典型的な細胞としては、幹細胞万能性幹細胞全能性幹細胞多能性幹細胞、または単能性幹細胞)、人工万能性幹細胞、線維芽細胞骨格筋平滑筋心筋上皮細胞、ケラチン生成表皮細胞破骨細胞骨芽細胞基底膜細胞が挙げられる。

0079

さらなる実施形態においては、本発明は、創傷治癒用に適合させた本明細書に記載の足場を提供し、この足場は、片面が、蒸気を透過するバリアまたは蒸気を透過しないバリアで覆われることによって、創傷内部の水分を管理し、また創傷を保護し、かつ抗菌バリアを提供する。

0080

さらなる実施形態においては、本発明は、様々な小孔/繊維傾斜構造を有する複数の足場層の1つとして、骨軟骨欠損の再生および修復(軟骨の修復)に用いる本明細書に記載の足場を提供する。この配置は、例えば、関節の軟骨の表面から深部にわたる部位やその下の軟骨下骨などの、骨軟骨組織の生理学的な組成および/または構造を模倣して設計されることが好ましい。骨の修復については、小孔のサイズが85μm〜325μmである足場が機能的であることが示されている(MurphyおよびO’Brien,Cell Adh Migr 4,377〜381;2010)。

0081

本発明の足場は、解剖学的構造中の特定の種類の組織を修復するのに最適化された二層構造または多層構造のうちの少なくとも一層として、提供されてもよい。その例としては、US7780994“Composite biomaterials comprising calcium phosphate materials, collagen and glycosaminoglycans”に記載の二層コラーゲン足場が挙げられる。このような足場は、片側は主として石灰化されていない多孔性構造であり、反対側は主として石灰化されている多孔性構造であって、これを用いることによって、関節の軟骨と骨とをつなぎ得る。したがって、足場は、片側においては骨が内部成長し、反対側においては軟骨が再生するように最適化されている。

0082

本発明の足場は、簡便な手段によって調製され得る。一様な分布を実現するためには、粒子状ESMと他の足場成分(存在する場合)とを混合した後に、例えば混合物をフリーズドライ(凍結乾燥)、低温ゲル化、または脱水することによって足場を形成することが有利な場合がある。足場成分に応じて、溶融堆積電界紡糸光造形相分離発泡選択的レーザー焼結、塩浸出、3Dプリント、低温ゲル化、およびフリーズドライから、最適な製造方法が選択されてもよい。これらの方法は、常法であり、LohおよびChoong(上掲)およびHwang,H.ら(J.Mater.Chem.,2010,20,345〜351)にさらなる記載がある。

0083

特定の実施形態においては、スポンジ状の本明細書に記載の本発明の足場を調製する方法が提供され、該方法は、
(i)粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供することと、
(ii)場合によっては鋳型中で、前記懸濁液をフリーズドライし、これによって該足場を得ることと、
を含む、方法である。

0084

その他の足場成分は、粒子状ESMの懸濁液に懸濁していてもよく、かつ/または溶解していてもよい。

0085

ある実施形態においては、粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、水懸濁液として提供するステップ(i)は、シート状またはフレーク状のESMと、存在する場合は、その他の足場成分とを、水懸濁液として提供することと、例えば本明細書に記載されているESMサイズ低減技術を該懸濁液に適用することとを含む。回転子−固定子分散機を用いることが有利な場合がある。

0086

他の実施形態においては、粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、水懸濁液として提供するステップ(i)は、粒子状ESMと、該他の足場成分とを提供することと、水性液と混合して該懸濁液を形成することとを含む。これは、1つ以上の他の足場成分を、該粒子状ESMの水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMを、1つ以上の他の足場成分の水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMの水懸濁液を、1つ以上の他の足場成分の水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよい。さらなるサイズ低減は、どの時点で行われてもよい。

0087

鋳型は、例えば、足場が適用される部位(創傷、関節、骨欠損部など)のサイズおよび形状、または足場の基盤を成す臓器、組織、もしくはこれらの一部分のサイズおよび形状など、用途に適したサイズおよび形状(または近似的な形状)を有するものであってもよい。他の実施形態においては、鋳型のサイズおよび形状は、適当なサイズに切断し得る製品を形成するように選択されてもよい。

0088

鋳型は、懸濁液を完全に密封するものであってもよいし、少なくとも一面が開放されていてもよい。懸濁液を完全に密封することによって、フリーズドライを行っている間のスポンジの膨張が制限され、それによって、多孔度や小孔のサイズ、その他の構造的特徴が制御され得る。

0089

これらの態様においては、その他の足場成分は、本明細書に開示された足場成分のいずれであってもよく、好ましい特徴などについての添付の記述は、必要な変更を加えて、これらの態様に適用される。

0090

ある実施形態においては、粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、足場において粒子状ESMが少なくとも30%w/wとなるのに十分な量で、例えば少なくとも35%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも45%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも100%w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供する。

0091

他の実施形態においては、粒子状ESMと、存在する場合はその他の足場成分とを、足場において粒子状ESMが100%w/w未満、例えば95%w/w以下となるのに十分な量で、例えば90%以下w/w、85%以下w/w、80%以下w/w、75%以下w/w、70%以下w/w、65%以下w/w、60%以下w/w、55%以下w/w、50%以下w/w、45%以下w/w、40%以下w/w、35%以下w/w、または30%以下w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供する。

0092

上記したこれらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0093

ある実施形態においては、その他の足場成分は、コラーゲンおよび/またはゼラチン、好ましくはコラーゲンを含み、例えば、本質的にこれらからなるものであるか、またはこれらからなるものである。これらの実施形態においては、コラーゲンおよび/またはゼラチン成分に対する粒子状ESMの重量比は、1:3〜20:1であって、例えば、1:3〜15:1、1:3〜10:1、1:3〜6:1、1:3〜5:1、1:3〜3:1、1:3〜2:1、または約1:1である。さらなる比が、本明細書に記載されている。

0094

ある実施形態においては、その他の足場成分は、PVAを含み、例えば、本質的にこれからなるものであるか、またはこれからなるものである。これらの実施形態においては、PVA成分に対する粒子状ESMの重量比は、1:3〜20:1であって、例えば、1:3〜15:1、1:3〜10:1、1:3〜6:1、1:3〜5:1、1:3〜3:1、1:3〜2:1、または約2:1、または約1:1である。さらなる比が、本明細書に記載されている。

0095

ある実施形態においては、本方法は、ステップ(i)において提供される粒子状ESMのESMを、例えば濃度が約0.5M(例えば、0.1〜1M、0.3〜0.7M、または0.4〜0.6M)の酢酸などの、ESMを水和させる(かつ、好ましくは、存在しているコラーゲンおよび/またはゼラチンを可溶化する)のに十分な濃度の酸に、十分な時間接触させたか、または接触させる、ステップを含む。別の酸を用いてもよいが、選択された酸によっては、足場の小孔サイズおよび機械的特性に影響をおよぼす場合がある(Ratanavaraporn Jら,J Biomater Sci Polym Ed 19,945〜952;2008)。酢酸は、コラーゲン足場の調製に好ましく、最適である。

0096

フリーズドライ(凍結乾燥)は、簡便な手段によって行われ得、そのパラメーターを調整して、乾燥足場の特性を制御し得る。例えば、フリーズドライは、懸濁液を、約1℃/分の速度で約−40℃まで冷却することと、少なくとも約1時間、−40℃で維持することと、約1℃/分の速度で0℃まで加熱することと、少なくとも約17時間、約200mTorr(0.266mbar)の真空とすることと、を含む。

0097

別の特定の実施形態においては、スポンジ状の本明細書に記載の本発明の足場を調製する別の方法が提供され、該方法は、
(i)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と、適切な重合開始剤または架橋開始剤と共に、水懸濁液として提供することと、
(i)(b)場合によっては鋳型中で、重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、前記粒子状ESMの懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つことと、
(i)(c)ステップ(i)(b)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法、または、
(ii)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と共に、水懸濁液として提供することと、
(ii)(b)該粒子状ESMの懸濁液を、適切な重合開始剤または架橋開始剤と混合することと、
(ii)(c)場合によっては鋳型中で、重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、前記懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つことと、
(ii)(d)ステップ(ii)(c)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法、または、
(iii)(a)粒子状ESMを、前記足場において粒子状ESMが少なくとも25%w/wとなるのに十分な量で、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と共に、水懸濁液として提供することと、
(iii)(b)場合によっては鋳型中で、前記懸濁液の温度を、前記懸濁液の凝固点よりも低い温度に保つことと、
(iii)(c)該ESM懸濁液を、重合または架橋が起こるのに十分な条件下で、十分な時間、適切な重合開始剤または架橋開始剤と混合することと、
(iii)(d)ステップ(iii)(c)の重合産物または架橋産物を乾燥させて、該足場を得ることと、を含む方法である。

0098

その他の足場成分および/または適切な開始剤は、粒子状ESMの懸濁液に懸濁していてもよく、かつ/または溶解していてもよい。

0099

ある実施形態においては、粒子状ESMを、重合可能または架橋可能な足場成分である、1つ以上の他の足場成分と、適切な重合開始剤または架橋開始剤と共に、水懸濁液として提供するステップ(i)(a)は、シート状またはフレーク状のESMを、1つ以上の他の足場成分と、開始剤と共に、水懸濁液として提供することと、例えば本明細書に記載されているESMサイズ低減技術を該懸濁液に適用することとを含む。回転子−固定子分散機を用いることが有利な場合がある。

0100

他の実施形態においては、粒子状ESMを、1つ以上の他の足場成分と、開始剤と共に、水懸濁液として提供するステップ(i)(a)は、粒子状ESMと、該1つ以上の他の足場成分と、該開始剤とを、そのままの状態か、または水溶液もしくは水懸濁液として提供することと、これらの形態を任意の順番で、または同時に、混合することとを含む。例えば、これは、1つ以上の他の足場成分を、開始剤を含有する該粒子状ESMの水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMを、1つ以上の他の足場成分と開始剤とを含む水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMの水懸濁液を、1つ以上の他の足場成分の水溶液もしくは水懸濁液および開始剤の水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよい。さらなるサイズ低減は、どの時点で行われてもよい。

0101

ある実施形態においては、1つ以上の他の足場成分と共に水懸濁液として粒子状ESMを提供するステップ(ii)(a)およびステップ(iii)(a)は、シート状またはフレーク状のESMを、1つ以上の他の足場成分と共に、水懸濁液として提供することと、例えば本明細書に記載されているESMサイズ低減技術を該懸濁液に適用することとを含む。回転子−固定子分散機を用いることが有利な場合がある。

0102

他の実施形態においては、1つ以上の他の足場成分と共に水懸濁液として粒子状ESMを提供するステップ(ii)(a)およびステップ(iii)(a)は、粒子状ESMと該1つ以上の他の足場成分とを提供することと、水性液と混合して該懸濁液を形成することとを含む。これは、1つ以上の他の足場成分を、該粒子状ESMの水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMを、1つ以上の他の足場成分の水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよいし、該粒子状ESMの水懸濁液を、1つ以上の他の足場成分の水溶液もしくは水懸濁液と混合することを含んでいてもよい。さらなるサイズ低減は、どの時点で行われてもよい。

0103

鋳型は、例えば、足場が適用される部位(創傷、関節、骨欠損部など)のサイズおよび形状、または足場の基盤を成す臓器、組織、もしくはこれらの一部分のサイズおよび形状など、用途に適したサイズおよび形状(または近似的な形状)を有するものであってもよい。他の実施形態においては、鋳型のサイズおよび形状は、適当なサイズに切断し得る製品を形成するように選択されてもよい。

0104

鋳型は、懸濁液を完全に密封するものであってもよいし、少なくとも一面が開放されていてもよい。懸濁液を完全に密封することによって、凍結を行っている間のスポンジの膨張が制限され、それによって、多孔度や小孔のサイズ、その他の構造的特徴が制御され得る。

0105

ある実施形態においては、粒子状ESMを、足場において粒子状ESMが少なくとも30%w/wとなるのに十分な量で、例えば少なくとも35%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも45%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも100%w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供する。

0106

他の実施形態においては、粒子状ESMを、足場において粒子状ESMが100%w/w未満、例えば95%w/w以下となるのに十分な量で、例えば90%以下w/w、85%以下w/w、80%以下w/w、75%以下w/w、70%以下w/w、65%以下w/w、60%以下w/w、55%以下w/w、50%以下w/w、45%以下w/w、40%以下w/w、35%以下w/w、または30%以下w/wとなるのに十分な量で、水懸濁液として提供する。

0107

上記したこれらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0108

ある実施形態においては、その他の足場成分は、PEGを含み、例えば、本質的にこれからなるものであるか、またはこれからなるものである。これらの実施形態においては、PEG成分に対する粒子状ESMの重量比は、1:3〜20:1であって、例えば、1:3〜15:1、1:3〜10:1、1:3〜6:1、1:3〜5:1、1:3〜3:1、1:3〜2:1、または約1:2、または約1:1である。さらなる比が、本明細書に記載されている。

0109

上述したように、ある実施形態においては、本方法は、ステップ(i)(a)、ステップ(ii)(a)、および/またはステップ(iii)(a)において提供される粒子状ESMのESMを、ESMを水和させるのに十分な濃度の酸に、十分な時間接触させたか、または接触させる、ステップを含む。

0110

本発明の方法によって得られた、または得ることできる組織工学用足場は、本発明のさらなる態様である。

0111

本発明の組織工学用足場は、生分解性および生体適合性を有する足場を必要とするあらゆる組織工学的な用途において、足場として働く性質を有すると予想される。

0112

したがって、本発明は、インビボにおける組織工学的方法を提供し、該方法は、本発明の組織工学用足場を提供することと、十分量の該足場を、被験者に対して、再生、修復、または再構成を必要とする組織中または組織上、あるいは組織の置換または新規組織の構成を必要とする部位に適用することとを含む。足場には、適用前に、該組織を形成できる細胞を播種してもよく、より好ましくは、播種された足場を、適用前に、組織形成誘導される条件下で培養する。

0113

本発明は、さらに、インビボにおける組織工学的方法で用いる、例えば本明細書に記載の、本発明の組織工学用足場を提供する。

0114

本発明は、さらに、インビボにおける組織工学的方法で用いる薬品の製造における、例えば本明細書に記載の、本発明の組織工学用足場の使用を提供する。

0115

本発明のこれらの態様においては、足場は、粒子状卵殻膜(ESM)を少なくとも約25%w/w含み、該粒子状ESMが実質的に一様に分布し、本質的に乾燥し、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する組織工学用足場の形態の、医薬組成物(または薬品)と見なし得る。

0116

また、本発明は、エキソビボにおける組織工学的方法も提供し、該方法は、本発明の組織工学用足場を提供することと、十分量の該足場を、再生、修復、または再構成を必要とする、被験者から単離された組織、あるいは組織の置換または新規組織の構成を必要とする、該単離された組織中または組織上の部位に適用することとを含む。足場には、適用前に、該組織を形成できる細胞を播種してもよく、より好ましくは、播種された足場を、適用前に、組織形成が誘導される条件下で培養する。

0117

また、本発明は、インビトロにおける組織工学的方法も提供し、該方法は、本発明の組織工学用足場を十分量提供することと、該足場に、該組織を形成できる細胞を播種することと、足場および細胞を、組織形成が誘導される条件下で培養することとを含む。そのようにして形成された組織は、被験者に移植され得る。

0118

組織は、副腎組織、肝組織、心組織腎組織膵組織脳下垂体組織、甲状腺組織、免疫組織卵巣組織精巣組織前立腺組織子宮内膜組織、眼組織乳房組織脂肪組織上皮組織、内覆組織、神経組織筋肉組織結合組織靱帯および軟骨など)、肺組織内皮組織表皮組織、および骨組織から選択され得、好ましくは、筋肉組織、結合組織(軟骨など)、骨組織、および神経組織から選択され得る。

0119

組織工学に関する言及は、例えば、副腎、肝臓心臓腎臓膵臓、脳下垂体、甲状腺、骨髄卵巣精巣前立腺、子宮内膜、眼、乳房脂肪層上皮、内覆組織、神経、脳、筋肉、靱帯、軟骨、内皮表皮、および骨などであり、好ましくは表皮、筋肉、軟骨、骨、および神経などである臓器、四肢、および胴体部、またはこれらの部分、一部、もしくは成分を包含する。

0120

したがって、ある実施形態においては、本発明のインビボにおける方法は、表皮、筋肉、骨、軟骨または神経を、再生、修復、再構成、置換、または新規に形成する方法であってもよい。これらの実施形態においては、本発明の足場は、それらを必要とする臓器/組織に適用される。これらの実施形態においては、播種される細胞は、それらを必要とする臓器/組織に適した細胞である。

0121

したがって、他の実施形態においては、本発明のインビトロにおける方法は、組織または臓器を構築する方法であってもよく、特に、表皮、筋肉、骨、軟骨または神経、ならびに臓器、四肢、および胴体部、またはこれらの部分、一部、もしくは成分を構築するためのインビトロにおける方法であってもよい。

0122

粒子状ESM、および該粒子状ESMを含む本発明の足場は、本発明の足場が、創傷、特に慢性創傷の管理に特に役立つような性質を有する。本発明の足場は、その立体的かつ多孔性の構造のために、止血性と、特に乾燥状態で適用される場合には、創傷滲出物管理能を有していることが期待される。また、足場は、創傷において、空間充填効果を提供し、適切な組織の成長を補助することができるが、一方で、その立体的かつ多孔性の構造のために、外科接着などの不適切な組織の成長を阻害する。粒子状ESMの化学的性質および物理的性質によって、創傷に関しては、MMP阻害や、創傷への細胞移動の促進、および/または創傷組織細胞の増殖または分化の促進、および/または新規組織形成の促進、抗菌作用、および抗炎症作用などの機能的利点が得られる。

0123

したがって、ある特定の実施形態においては、本発明は、創傷の治癒を促進する方法を提供し、該方法では、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、創傷の治癒を促進するのに十分な量で、該創傷に適用される。

0124

あるいは、本発明のこの態様は、創傷治癒の促進に用いる、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を提供する。
またあるいは、本発明のこの態様は、創傷治癒の促進に用いる薬品の製造における、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場の使用を提供する。

0125

創傷組織由来の細胞、あるいは創傷への細胞移動、および/または創傷組織細胞の増殖もしくは分化、および/または新規組織形成を促進する細胞を播種した足場は、特に有利な場合がある。

0126

本発明のこれらの態様においては、足場は、粒子状卵殻膜(ESM)を少なくとも約25%w/w含み、該粒子状ESMが実質的に一様に分布し、本質的に乾燥し、立体的(3D)で多孔性であり、生分解性および生体適合性を有する組織工学用足場の形態の、医薬組成物(または薬品)と見なし得る。

0127

本発明の足場は、(創傷と接触させる時点において少なくとも最初は)単独で用いられても(創傷に適用または投与されても)よいし、複合被覆材、または足場で覆われた埋め込み型医療用デバイスの一部として用いられても(創傷に適用または投与されても)よい。埋め込み型医療用デバイスとしては、創傷をもたらす経皮デバイスおよび/または経皮管路ダクロン(Dacron)またはコラーゲンカフなどのカフ付きカテーテルなど)や、心臓弁人工関節、および軟組織インプラント胸部インプラント臀部インプラント口唇インプラントなど)などの補綴具ステントペースメーカーなどのあらゆる種類のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。「埋め込み型」医療用デバイスは、その一部分が体内に入っているデバイスを含んでいてもよく、すなわち、デバイスは、全体が埋め込まれていてもよいし、部分的に埋め込まれていてもよい。以下では、本発明の足場に関する言及は、指示がなければ、本明細書に記載の複合被覆材、または足場で覆われた埋め込み型医療用デバイスに関する言及でもある。

0128

創傷治癒の促進とは、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を用いて創傷を治療すると、当該創傷の治癒プロセス(すなわち、創傷が、その治癒プロセスにおいて広く認められている3つの段階(すなわち、炎症期、増殖期、および/または再構築期)を進行すること)が加速されることを意味する。治癒プロセスの加速は、治癒段階のうち、1つ、2つ、またはすべてを通じて進行速度が増加することとして現れてもよい。創傷が、治癒段階のうちの1つにおいて停止する慢性創傷である場合、加速は、停止後の線型的で連続的な治癒プロセスの再開として現れてもよい。換言すると、治療は、創傷を、非治癒状態から治癒段階を進行し始める状態に転換する。再開後の進行は、標準的な速度で進んでもよいし、標準的な急性創傷が治癒する速度と比較して、遅い速度で進んでもよい。創傷治癒を促進することで、当該創傷の治癒プロセスの減速が防止されると考えてもよい。治癒プロセスの減速は、治癒段階のうち、1つ、2つ、またはすべてを通じて進行速度が減少することとして現れてもよい。創傷が、停止後の線型的で連続的な治癒プロセスを創傷が再開している慢性創傷である場合、減速は、治癒段階のうちの1つにおいて再度停止することとして現れてもよい。換言すると、治療は、創傷が、治癒状態から非治癒状態に転換するのを防止する。さらに、創傷治癒を促進することで、既存の創傷が治療され、かつ既存の創傷が成長すること、および/または既存の治癒中の創傷が、治癒が不十分な創傷もしくは慢性創傷になることが防止されると考えてもよい。

0129

この態様においては、治癒を促進するために、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を用いて創傷を治療すると、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対する、創傷におけるMMPの活性が、低減され得るか、または、少なくとも、全体的なMMP活性レベルが低減され得るか、または、少なくとも、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解レベルが低減され得る。したがって、本発明は、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対する、創傷におけるMMPの活性を低減または制限する、創傷の治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対する、創傷におけるMMPの活性を低減または制限するのに十分な量で、該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0130

より一般的には、本発明は、創傷において、全体的なMMP活性レベルを低減または制限する、創傷の治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、創傷における全体的なMMP活性レベルを低減または制限するのに十分な量で、該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0131

また、より一般的には、本発明は、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の、創傷における分解を低減または制限する、創傷の治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の、創傷における分解を低減または制限するのに十分な量で、該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすこともできる。

0132

MMP−2(72kDaIV型コラゲナーゼまたはゼラチナーゼAともいう)、MMP−8(好中球コラゲナーゼまたはPMNLコラゲナーゼともいう)、および/またはMMP−9(92kDa IV型コラゲナーゼ、92kDa ゼラチナーゼ、またはゼラチナーゼBともいう)は、通常、創傷、特に慢性創傷において見出され、好ましい実施形態において、具体的には、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するこれらのMPPの活性が低減される。

0133

ある実施形態においては、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対する、創傷におけるMMPの活性は、治療中の創傷の治癒プロセスに不利益にならないレベルまで低減または制限される。この低減は、ECMタンパク質(コラーゲンおよびエラスチンなど)および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の断片の、創傷(または創傷液)における減少として観察されてもよい。これらの断片は、ひいてはこれらのタンパク質の分解を示すものであり、免疫組織化学法/免疫細胞化学法、および/または生体分子(タンパク質など)染色などの常用の技術によって、あるいはクロマトグラフ法を用いて創傷液を解析することによって、検出されてもよい。制限は、このようなレベルが維持されていることとして観察されてもよい。

0134

創傷は、それぞれ、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性として、異なる(例えば、低減された)レベルを必要とするものであり、この点で同じ創傷でも、時間がたてば必要とするものが異なる場合もある。これは、必要であれば、過度の負担なく、当業者によって決定されてもよいが、本明細書で開示される粒子状ESM含有組織工学用足場の重要な利点は、効果的なレベルでMMPを阻害することが比較的容易であるので、煩わしい投与量の最適化を、日常的に行う必要がないということである。実際、たいていの場合、本明細書に記載の粒子状ESM含有組織工学用足場によるMMP活性の低減は、創傷治癒の促進に効果的であろう。

0135

数値的に表すと、本発明の足場を、治療中の創傷に適用した後、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対する、創傷におけるMMP活性(または、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の全体的な分解)は、好ましくは、少なくとも5%低減され、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%低減される。ある実施形態においては、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性(または、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の全体的な分解)は、あるレベルで維持される必要があってもよく、このような実施形態においては、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性(または、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の全体的な分解)において、低減されるのは90%以下であり、例えば、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下が低減される。これらの値の組み合わせに由来するあらゆる範囲の端点が、具体的に企図される。

0136

理論に拘束されることを望むものではないが、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性(または、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の全体的な分解、または全体的なMMP活性レベル)は、多くの機構によって低減または制限され得る。これは、創傷MMPの直接阻害、創傷MMPの吸収および不活性化、別の基質または過剰な基質を加えることによる創傷MMPの滴定、創傷MMPの活性化に関わる酵素プラスミン好中球エラスターゼおよび肥満細胞キマーゼを含むセリンプロテアーゼなど)の阻害、ならびに、創傷の細胞および/または単球マクロファージ、好中球、肥満細胞などの炎症細胞によるMMPの発現および/または分泌を阻害する内在性MMP阻害物質TIMP(組織性メタロプロテアーゼ阻害物質)など)の創傷における上方制御を含み得るが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、市販されているものもある常用の解析技術を用いて、過度の負担なく、創傷におけるこのような効果を測定することができるであろう。上記低減の割合は、ここでも適用される。

0137

ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性の低減または制限は、治療中の創傷における全体的なMMP活性の低減または維持に反映されてもよい。全体的なMMP活性は、すべてのMMPの、すべての創傷基質に対する活性の目安である。全体的なMMP活性は、市販されているものもある常用の解析技術を用いて、過度の負担なく、測定することができる。数値的に表すと、本発明の足場を、治療中の創傷に適用した後、創傷における全体的なMMP活性は、好ましくは、少なくとも約5%低減され、例えば、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%低減される。

0138

ある実施形態においては、全体的なMMP活性、および、特に、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性は、あるレベルで維持される必要があってもよく、このような実施形態においては、全体的なMMP活性、特にECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性において、低減されるのは約90%以下であり、例えば、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下が低減される。これらの値に由来するあらゆる範囲の端点の組み合わせが、具体的に企図される。

0139

他の実施形態においては、MMP−2、MMP−8および/またはMMP−9などの特定のMMPの全体的な活性が考慮される。これらの実施形態においては、全体的なMMP活性は、すべての創傷基質に対する当該特定MMPの活性である。

0140

一実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性(または、MMP活性の全体的なレベル)が、適切でないレベル、すなわち過剰なレベルである恐れがあるか、あるいはECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性(または、MMP活性の全体的なレベル)が低減または制限(例えば、維持)されることで恩恵を受ける創傷を有していると被験体診断されるステップを含んでいてもよい。他の実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解レベルが、適切でないレベル、すなわち過剰なレベルである恐れがある創傷を有すると被験体が診断されるステップを含んでいてもよい。

0141

さらなる実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、本発明の足場を創傷に適用した後、ECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解を測定する、かつ/あるいはECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性を測定する、かつ/あるいは全体的なMMP活性を測定するステップを含んでいてもよい。他の実施形態においては、MMP全般の代わりに、MMP−2、MMP−8および/またはMMP−9が考えられる。

0142

あるいは、または、さらに、本発明の方法は、本発明の粒子状ESM含有組織工学用足場を創傷に適用した後、創傷の臨床指標(例えば、創傷のサイズ(深さおよび/または面積)、治癒時間、創傷もしくは周囲組織全体の不快感または痛み)を測定するステップを含んでいてもよい。これらの測定ステップは、足場を創傷に適用する直前に、または被験体の治療初期の別の時点に、同じ測定基準と比較することを含んでいてもよい。

0143

この態様においては、本発明の足場の「十分量(または、有効量)」とは、上述したMMP活性ならびにECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解に影響を及ぼし、それによって創傷の治癒を促進する、本明細書に記載の足場の量である。当業者であれば、常用の投与反応プロトコールと、好都合なことには、上述したMMP活性ならびにECMタンパク質および/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解を評価する常用の技術とに基づいて、本発明の足場の有効量(十分量)がどれだけであるかを容易に決定することができるであろう。他の実施形態においては、本発明の足場の「十分量(または、有効量)」とは、上述した創傷の臨床指標に良い影響を及ぼす、本明細書に記載の足場の量である。

0144

通常の創傷治癒プロセスは、創傷組織細胞が創傷へと移動し、かつ/または増殖して新規組織を形成する増殖期を含むが、治癒プロセスは、先行する段階で停止する場合もある。

0145

したがって、創傷組織細胞の生存能力および/または成長を促進し得る創傷治癒のための治療は、特に有利であろう。

0146

この態様においては、治癒を促進するために、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を用いて創傷を治療することは、創傷組織細胞の生存能力および/または成長を促進し得る。したがって、本発明は、創傷組織細胞の生存能力および/または成長を促進する、創傷治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の足場が、創傷組織細胞の生存能力および/または成長を促進するのに十分な量で該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0147

「生存能力および/または成長」なる語は、微生物(下記)についての上記議論矛盾がないように解釈されるべきであるが、この場合、成長は、創傷組織細胞の分化を含んでいてもよい。

0148

「創傷組織細胞の成長を促進する」とは、創傷組織細胞の測定可能な成長(複製および/または分化など)またはその速度が増大すること、あるいは少なくとも維持されるかまたはその減少が防止されるということを意味する。創傷組織細胞の測定可能な成長(複製および/または分化など)またはその速度は、好ましくは少なくとも5%増大され、より好ましくは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%増大され、例えば少なくとも50%増大される。

0149

一実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、創傷組織細胞の生存能力および/または成長が促進されることで恩恵を受ける創傷を有すると被験体が診断されるステップを含んでいてもよい。

0150

さらなる実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、本発明の足場を創傷に適用した後、創傷組織細胞の生存能力および/または成長、ならびに/あるいは新規組織の形成を測定するステップを含んでいてもよい。これらの測定ステップは、本発明の足場を創傷に適用する直前に、または被験体の治療初期の別の時点に、同じ測定基準と比較することを含んでいてもよい。

0151

したがって、創傷組織細胞の創傷への移動も促進し得る創傷治癒のための治療は、特に有利であろう。

0152

この態様においては、治癒を促進するために、本明細書に記載の本発明の足場を用いて創傷を治療することは、創傷組織細胞の創傷への移動を促進し得る。したがって、本発明は、創傷組織細胞の創傷への移動を促進する、創傷治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の足場が、創傷組織細胞の創傷への移動を促進するのに十分な量で該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0153

「移動を促進する」とは、創傷組織細胞の創傷への測定可能な移動またはその速度が増大すること、あるいは少なくとも維持されるかまたはその減少が防止されるということを意味する。創傷組織細胞の創傷への測定可能な移動またはその速度は、好ましくは、少なくとも5%増大され、より好ましくは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%増大され、例えば少なくとも50%増大される。

0154

一実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、創傷組織細胞の創傷への移動が促進されることで恩恵を受ける創傷を有すると被験体が診断されるステップを含んでいてもよい。

0155

さらなる実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、本発明の足場を創傷に適用した後、創傷組織細胞の創傷への移動、および/または新規組織の形成の程度を測定するステップを含んでいてもよい。これらの測定ステップは、本発明の足場を創傷に適用する直前に、または被験体の治療初期の別の時点に、同じ測定基準と比較することを含んでいてもよい。

0156

移動および/または増殖および/または分化が促進されることによって、新規組織の形成が促進されてもよい。創傷組織細胞の創傷への移動、創傷細胞の増殖および分化、ならびに創傷における新規組織の形成は、創傷またはそのサンプルを顕微鏡解析することによって、測定および定量化されてもよい。このような解析は、創傷組織細胞上の分子マーカーおよび/または創傷における新規組織上の分子マーカーを検出する化学染色および/または免疫化学染色を含んでいてもよい。

0157

これらの実施形態において、本発明の足場を創傷に適用した後、創傷細胞は足場と接触する。より具体的には、創傷細胞は、創傷組織細胞の生存能力および/または成長を促進するか、または創傷組織細胞の創傷への移動を促進するか、または新規組織の形成を促進するのに有効な、本発明の足場の有効量と接触する。

0158

これらの実施形態においては、本明細書に記載の足場の「有効量」とは、上述した増殖促進効果または移動促進効果をもたらす足場の量、あるいは新規組織の形成を促進することによって、創傷の治癒をさらに促進する足場の量である。当業者であれば、常用の投与反応プロトコールと、好都合なことには、上述した創傷細胞の生存能力、成長、および移動を評価する常用の技術とに基づいて、足場の有効量(十分量)がどれだけであるかを容易に決定することができるであろう。

0159

創傷は、上皮性関門欠け、微生物の付着およびコロニー形成のための基質および表面として有用であることから、感染、特に慢性感染にとって理想的な環境である。問題としては、創傷の感染によって、創傷および創傷の周囲組織において炎症およびネクローシスが増加するため、治癒が遅れることがよくあり、そのため、創傷が、確立された(慢性の)感染をより起こしやすくなる。治癒しようとしている創傷の多くで感染が起こっているので、創傷における感染(いわゆる創傷の生物負荷)にも対処し得る創傷治癒のための治療は、特に有利であろう。

0160

この態様においては、治癒を促進するために、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を用いて創傷を治療することによって、創傷に存在する微生物の生存能力および/または成長を阻害し得、これによって、創傷に存在する微生物感染を抑制し得る。したがって、本発明は、創傷に存在する微生物の生存能力および/または成長を阻害する、あるいは創傷における微生物感染を抑制する、創傷治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、微生物の生存能力および/または成長を阻害する、あるいは微生物感染を抑制するのに十分な量で該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0161

本明細書における「微生物」なる語は、あらゆる微小生物、すなわち、顕微鏡的である、つまり小さすぎて裸眼では見ることができない、あらゆる生物を含む。特に、本明細書におけるこの語は、典型的に微生物であると考えられる細胞性生物、特に、細菌、真菌古細菌藻類、および原生生物を含む。微生物は、原核生物であってもよいし、真核生物であってもよく、微生物のどの、属、または種に属していてもよい。微生物は、好気性であってもよいし、嫌気性であってもよい。微生物は、病原性であってもよいし、非病原性であってもよく、または、腐敗性微生物であってもよいし、指標性微生物であってもよい。微生物は、薬剤(すなわち、抗生物質または抗真菌剤などの抗菌剤)耐性であってもよいし、多剤耐性であってもよい。特に好ましい実施形態において、微生物は、創傷にコロニーを形成し、創傷治癒を遅らせ得る。

0162

細菌または真菌は、微生物の好ましい分類を代表しているので、本発明の足場は、好ましくは、抗菌活性または抗真菌活性(例えば、殺菌性があるか、静菌性である、または殺真菌性があるか、静真菌性である)を有するものと考えてもよい。

0163

本発明の足場は、その殺菌作用または静菌作用細胞毒性または細胞分裂抑制性)を付与するために、生理学的システムまたは生理学的機構(免疫システムなど)を用いる必要はないと考えられる。むしろ、本発明の足場(または、少なくとも足場の粒子状ESM)は、微生物に直接作用する。

0164

細菌は、好ましくは、以下の属から選択される:アクロモバクター属(Achromobacter)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アクチノバシルス属(Actinobacillus)、アエロモナス属Aeromonas)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アルテロモナス属(Alteromonas)、バクテロイデス属(Bacteroides)、バルトネラ属(Bartonella)、ボレリア属(Borrelia)、ボルデテラ属(Bordetella)、ブルセラ属(Brucella)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、カルジオバクテリウム属(Cardiobacterium)、クラミジア属(Chlamydia)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)、カイセオバクテリウム(Chyseobacterium)、クリセオモナス属(Chryseomonas)、シトロバクター属Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、コマモナス属(Comamonas)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、コキエラ属(Coxiella)、クリプトバクテリウム属(Cryptobacterium)、エドワードシエラ属(Edwardsiella)、エイケネラ属(Eikenella)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エルニア属(Erwinia)、キンゲラ属(Kingella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、レジオネラ属(Legionella)、レプトスピラ属(Leptospira)、レプトトリキア属(Leptotrichia)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、リステリア属(Listeria)、リストネラ属(Listonella)、モビルンカス属(Mobiluncus)、モラクセラ属(Moraxella)、モルガネラ属(Morganella)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、ナイセリア属(Neisseria)、ノカルジア属(Nocardia)、ノカルジオプシス属(Nocardiopsis)、パントエア属(Pantoea)、パラクラミジア属(Parachlamydia)、パスツレラ属(Pasteurella)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、プレボテラ属(Prevotella)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、リケッチア属(Rickettsia)、サルモネラ属(Salmonella)、シェウェネラ属(Shewenella)、シゲラ属(Shigella)、スフィンゴバクテリウム属(Sphingobacterium)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、ストレプトバチルス属(Streptobacillus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、トレネム属(Treponem)、およびエルシニア属(Yersinia)。

0165

したがって、細菌は、グラム陽性細菌であってもよいし、グラム陰性細菌であってもよいし、実際はグラム陽性グラム陰性かが不確かな細菌であってもよい。グラム陰性細菌が重要である。グラム陰性細菌の中で、腸内細菌科およびグラム陰性非発酵細菌が、特に重要である。

0166

細菌は、好ましくは、シュードモナス属(Pseudomonas)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、バークホルデリア属(Burkholderia)、エシェリヒア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、プロビデンシア属(Providencia)、モラクサラ属(Moraxalla)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)から選択され、例えば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクターバウマニ(Acinetobacter baumannii)、バークホルデリア属の一種(Burkholderia spp.)、大腸菌(E. coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、バークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)、バークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、アシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)、プロビデンシアスチアルティイ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、クレブシエラオキシトカ(Klebsiella oxytoca)、シュードモナスアンギリセプチカ(Pseudomonas anguilliseptica)、シュードモナス・オリハビタンス(Pseudomonas oryzihabitans)、シュードモナス・プレコグロッシシダ(Pseudomonas plecoglossicida)、シュードモナス・ルテオラ(Pseudomonas luteola)、モラクサラ・カタラーリス(Moraxalla catarrhalis)、エンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・オラリス(Streptococcus oralis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSAなど)などである。

0167

微生物は、真菌または真菌由来であってもよく、その例として、原生生物として分類されているかもしれない、または分類されていたかもしれない真菌、例えば、カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ニューシスチス属(Pneumocystis)、ペニシリウム属(Penicillium)、およびフザリウム属(Fusarium)に属する真菌が挙げられる。代表的な真菌の種としては、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラマ・カプスラツム(Histoplama capsulatum)、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオデス・イミティス(Coccidiodes immitis)、パラコクシジオデス・ブラジリエンシス(Paracoccidiodes brasiliensis)、ブラストミセス・デルミティディス(Blastomyces dermitidis)、ネオモシスチス・カリニ(Pneomocystis carnii)、ペニシリウムマルネッフィ(Penicillium marneffi)、アルテルナリアアルテルナーテ(Alternaria alternate)が挙げられるが、これらに限定されない。

0168

微生物は、バイオフィルム中に存在していてもよく、換言すると、微生物は、バイオフィルム形態で成長していてもよい。「バイオフィルム」とは、基層もしくは界面に付着するか、または細胞同士が付着して、細胞外ポリマー(より具体的には、細胞が産生する細胞外ポリマー)のマトリクスに埋まる付着性細胞優勢である(運動性細胞がいくらか存在していてもよい)という特徴がある微生物の群衆であって、このコロニーの微生物は、成長速度および遺伝子の転写に関して、異なる表現型を示す(例えば、「非バイオフィルム」性または浮標性または浮遊性同等物と比較した場合)ことで特徴付けられる微生物の群衆を意味する。「バイオフィルム中」とは、微生物が、(完全に、または部分的に)バイオフィルムのポリマーマトリクス内にあるか、その上にあるか、またはそれと結合していることを意味する。見方を変えると、「バイオフィルム中に存在していない」微生物は、遊離している、例えば浮遊しているか、または、複数の微生物の凝集物中に存在している場合は、その凝集物が有機的構造を持たない、かつ/またはバイオフィルムのマトリクス特性を持たないかのいずれかである。それぞれの場合において、個々の微生物は、バイオフィルムに存在する同等物で観察される異なる表現型は示さない。

0169

「微生物の生存能力」なる語は、創傷などの所与の条件下において、微生物が生き延びる能力を意味する。生き延びるとは、生き続けることと同等と見なすことができる。本発明の足場は、殺菌作用によって、微生物の生存能力を低減し得る。微生物の生存能力は、以下で詳述する微生物の細胞死(および生存能力)を測定する技術を用いて決定することができる。

0170

したがって、微生物の「生存能力を阻害すること」は、微生物の生存能力を低減する効果、または微生物が生き延びにくくする効果、もしくは生存不能にする効果を含み得る。特に、この語は、微生物を殺すこと、または破壊することを包含する。

0171

「微生物を殺す」なる語は、微生物が生きた状態でいることを停止させる、すなわち、死んだ状態にする行為をいう。通常、微生物の成長を援助する培地中に入れた際に、複製および/もしくは成長を誘導することができれば、または少なくとも形態学的変化を呈することができれば、ならびに/あるいは微生物が、栄養素を代謝して、細胞機能を援助するためのエネルギーを放出していれば、微生物は生きていると見なされる。微生物は、典型的には、細胞膜の完全性が失われた場合に、死んでいると見なされる。

0172

微生物が生きている(生存可能である)か死んでいるかを決定するために、多くの常用のアッセイを利用することができる。選択肢の1つは、通常、微生物の成長を援助する条件下に微生物をおき、例えば、微生物の大きさ、微生物の形態、コロニー中の微生物の経時的な数、培地中の栄養素の消費などを測定することなどの、適切な標準的手段によって、微生物の成長を測定することである。別の選択肢は、ネクローシスまたはアポトーシス小体、膜泡状突起核凝縮および一定の大きさの断片へのDNAの切断、破壊された細胞壁または細胞膜および細胞外環境への細胞内容物漏洩などの、細胞死に特徴的な形態に関して、微生物を評価することである。他の方法は、死んだ微生物における細胞膜の完全性の特徴的な喪失を利用する。膜不透過性染料トリパンブルーおよびヨウ化プロピジウムなど)を慣行的に用いて、膜の完全性を評価する。さらなる選択肢は、微生物の代謝を測定することである。これは、慣行的に、多くの方法で行うことができる。例えば、ATPレベルを測定することができる。

0173

「微生物の成長」とは、微生物の大型化、または微生物成分の量および/もしくは体積(核酸の量、タンパク質の量、核の数、細胞小器官の数または大きさ、細胞質の体積など)の増加と、微生物数の増加、すなわち微生物の複製回数の増加との両方を意味する。

0174

「微生物の成長を阻害すること」とは、微生物の測定可能な成長(複製など)またはその速度を低減することを意味する。微生物の測定可能な成長(複製など)またはその速度は、好ましくは少なくとも50%低減され、より好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減され、例えば少なくとも95%低減される。測定可能な成長(複製など)は、好ましくは、停止される。微生物の大型化または拡大などの観点から見た成長は、複製とは関係なく阻害されてもよく、逆の場合も同じである。本発明の足場は、静菌作用および/または殺菌作用によって、微生物の生存能力を阻害し得る。

0175

本発明のこれらの態様は、創傷における微生物感染を抑制するのに用いる、特に創傷における微生物感染を治療するのに用いる本明細書に記載の本発明の組織工学用足場、または、創傷における微生物感染を抑制するのに用いる、特に創傷における微生物感染を治療するのに用いる薬品の製造における、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場の使用、を提供するものと見なすこともできる。この態様では、感染は、被験体において、微生物の成長および/または生存能力を阻害することによって抑制されてもよいということがわかるであろう。感染は、バイオフィルム感染であってもよい。

0176

「感染を抑制すること」は、例えば、感染の形成を防止または阻害すること、感染を低減または除去すること、感染を成すコロニー中の微生物数を低減すること、感染および/またはそこにいる微生物の成長速度を低減または停止すること、感染中の微生物数の拡大速度を低減または停止することを含む、感染の治療または防止と見なすことができる。「バイオフィルムを抑制すること」は、防止的手段および保守的手段の両方、または防止的治療および保守的治療の両方を含む。したがって、バイオフィルムを抑制することは、バイオフィルムの形成を防止または阻害すること、バイオフィルムを除去または低減すること、バイオフィルムを小型化すること、バイオフィルムコロニー中の微生物数を低減すること、バイオフィルムの成長速度を低減または停止すること、バイオフィルムコロニー中の微生物数の拡大速度を低減または停止すること、バイオフィルムの物理的な完全性を低減すること、抗菌剤または宿主の免疫防御機構に対するバイオフィルムコロニー中の微生物の感受性を増大すること、および抗菌剤に対するバイオフィルムの透過性または宿主の免疫防御機構を増大することを包含する。

0177

これらの実施形態においては、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を創傷に適用した後、微生物は足場と接触する。「接触する」なる語は、創傷中もしくは創傷上に既に存在している微生物に足場を直接適用すること、または微生物が後で接触する創傷に足場を適用することを包含する。

0178

これらの実施形態においては、本発明の足場の「十分量(または有効量)」とは、上述した殺菌作用または静菌作用をもたらすか、または感染を効果的に抑制し、これによって創傷の治癒を促進する、足場の量である。当業者であれば、常用の投与反応プロトコールと、好都合なことには、上述した微生物の死または成長阻害などを評価する常用の技術とに基づいて、足場の有効量(十分量)がどれだけであるかを容易に決定することができるであろう。本発明の足場(より具体的には、そこに含有された粒子状ESM)の直接的な効果は、殺菌作用または静菌作用の評価を妨げ得る完全な生理学的システムまたは生理学的機構を欠く、当業者であればよく知っている常用のインビトロのシステム(例えば、簡便な細胞培養システム遊離細胞/ウイルスシステムなど)を用いて、評価することができる。

0179

一実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、感染症発症する恐れがある創傷、または感染症が治療されることで恩恵を受ける創傷を有していると被験体が診断されるステップを含んでいてもよい。

0180

さらなる実施形態において、本発明のこの態様の方法は、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を創傷に適用した後、創傷における微生物の成長および/または生存能力、あるいは感染の程度を測定するステップを含んでいてもよい。これらの測定ステップは、本発明の足場を創傷に適用する直前に、または被験体の治療初期の別の時点に、同じ測定基準と比較することを含んでいてもよい。

0181

通常の創傷治癒プロセスは、炎症期を含むが、治癒プロセスが炎症期で停止して、炎症反応が過度になる場合がある。したがって、創傷における過度の炎症反応に対処することもできる創傷治癒のための治療が、特に有利となる。

0182

この態様においては、治癒を促進するために、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場を用いて創傷を治療することによって、創傷における炎症が低減または制限され得る。したがって、本発明は、創傷における炎症を低減または制限する、創傷の治癒を促進する方法であって、本明細書に記載の本発明の組織工学用足場が、炎症を低減または制限するのに十分な量で該創傷に適用される、方法を包含するものと見なすことができる。

0183

創傷における炎症は、紅斑腫脹、局所熱感浮腫、および/またはとして認識され得る。これらの炎症の兆候の1つ以上について、解剖学的範囲および/または強度を低減することによって、炎症が低減される。これらの炎症の兆候の1つ以上について、解剖学的範囲および/または強度を維持すること、またはこれらが増加することを防止することによって、炎症が制限される。

0184

あるいは、または、さらに、炎症促進マーカー、および/またはサイトカインケモカインなどの抗炎症マーカー、および/または免疫細胞の、創傷におけるレベルを、創傷組織サンプルおよび/または創傷内部由来のサンプルなどにおいて測定してもよい。より具体的には、TNFα、IL−1、IL−6、NF−κB、ROS、ヒスタミン、マクロファージ、単球、肥満細胞、および/または好中球のレベルを測定してもよい。これは、例えば、創傷サンプルの免疫アッセイまたはフローサイトメトリー、あるいは適切な活性測定法によって行われてもよい。

0185

創傷サンプルにおいて、炎症促進マーカーおよび/または免疫細胞のうち1つ以上のレベルを低減することで、創傷における炎症が低減されてもよい。同様に、創傷サンプルにおいて、抗炎症マーカーのうちの1つ以上を増加させることで、創傷における炎症が低減されてもよい。創傷サンプルにおいて、炎症促進マーカーおよび/または免疫細胞のうち1つ以上のレベルを維持すること、またはこれらが増加することを防止することで、あるいは、創傷サンプルにおいて、抗炎症マーカーのうちの1つ以上のレベルまたは活性を維持すること、またはこれらが低減されるのを防止することで、創傷における炎症が制限されてもよい。

0186

この態様においては、本発明の足場の「十分量(または、有効量)」とは、上述の創傷における炎症に影響を及ぼし、特に、炎症促進マーカーおよび/もしくは抗炎症マーカーのレベルまたは活性、ならびに/あるいは免疫細胞のレベルまたは活性に影響を及ぼし、それによって創傷の治癒をさらに促進する、足場の量である。当業者であれば、常用の投与反応プロトコールと、好都合なことには、上述した創傷の炎症を評価する常用の技術とに基づいて、足場の有効量(十分量)がどれだけであるかを容易に決定することができるであろう。

0187

一実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、炎症を発症する恐れがある創傷、あるいは炎症が治療される(すなわち、低減されるか制限される)ことで恩恵を受ける創傷を有していると被験体が診断されるステップを含んでいてもよい。

0188

さらなる実施形態においては、本発明のこの態様の方法は、本発明の足場を創傷に適用した後、創傷における炎症の程度を測定するステップを含んでいてもよい。これらの測定ステップは、本発明の足場を創傷に適用する直前に、または被験体の治療初期の別の時点に、同じ測定基準と比較することを含んでいてもよい。

0189

ある実施形態においては、本発明の方法は、上述した創傷への作用のうちの2つ以上または全てによって創傷治癒を促進するものであり、例えば、ECMおよび/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解阻害(特に、ECMおよび/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性の阻害)と、上述した創傷への作用、特に、抗菌作用および/または抗炎症作用のほか、創傷組織細胞の増殖、移動、および/または分化の促進、ならびに/あるいは新規組織の形成の促進といった作用のうちの1つ以上と、によって、創傷治癒を促進する。

0190

ある実施形態においては、本発明の方法は、(i)ECMおよび/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子の分解阻害(特に、ECMおよび/またはペプチド成長因子もしくはペプチド分化因子に対するMMP活性の阻害)、ならびに上述した追加的な創傷への作用、特に、抗菌作用および/または抗炎症作用といった作用のうちの1つ以上または全て;あるいは、(ii)創傷における炎症の低減、ならびに上述した追加的な創傷への作用、特に、抗菌作用および/または抗MMP阻害作用といった作用のうちの1つ以上または全て、のいずれかによって、創傷治癒を促進する。

0191

創傷は、被験体内に見出されてもよいし、被験体上に見出されてもよい。「被験体内」なる語は、本明細書において、被験体の体内にある部位または位置、あるいは被験体上、例えば外部体表面などの部位または位置を含んで広く用いられ、また、特に、埋め込み型医療用デバイスを含有する創傷を含んでいてもよい。

0192

したがって、創傷は、皮膚の中または上、あるいは口腔歯肉歯肉溝歯周ポケットなど)、生殖管子宮頸管子宮卵管など)、腹膜消化管、眼、前立腺、尿路脈管系気道、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、神経系、もしくは脳の感染しやすい表面の中または上に見出されてもよい。「創傷組織細胞」は、これに応じて解釈されるべきである。好ましくは、創傷は、皮膚(真皮)の創傷であり、換言すると、真皮創傷または皮膚科学的創傷であって、これは、表皮および/または真皮、ならびにその下にある組織の、あらゆる深さにある創傷を含む。

0193

埋め込み型医療用デバイスとしては、創傷をもたらす経皮デバイスおよび/または経皮管路(中心静脈カテーテル、特に、ダクロン(Dacron)またはコラーゲンカフなどのカフ付きカテーテルなど)や、心臓弁、人工関節、歯科インプラントおよび軟組織インプラント(胸部インプラント、臀部インプラント、口唇インプラントなど)などの補綴具、ステント、ペースメーカー、気管切開チューブなどのあらゆる種類のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。「埋め込み型」医療用デバイスは、その一部分が体内に入っているデバイスを含んでいてもよく、すなわち、デバイスは、全体が埋め込まれていてもよいし、部分的に埋め込まれていてもよい。

0194

創傷は、物理的障害機械的損傷;過度の加熱または冷却などの結果生じる熱損傷;電位源との接触などによる電気的損傷;および赤外線紫外線、または電離放射線に長期にわたり過度に曝露されることなどによる放射線損傷など)により、または皮膚潰瘍静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、または褥瘡など)、肛門裂傷口腔内潰瘍、および尋常性座瘡などの自然発生的な損傷により、外科的に生じ得る。外科的に移植された組織は、創傷と見なされる。

0195

創傷は、典型的には急性創傷または慢性創傷のいずれかとして定義される。急性創傷とは、止血後、長引くことなく、その治癒プロセスにおいて広く認められている3つの段階(すなわち、炎症期、増殖期、および再構築期)が順に進行する創傷である。慢性創傷とは、治癒することがない創傷、または火傷などによって過度に皮膚が欠損している創傷と定義される。このような創傷は、治癒段階のうちの1つにおいて停止してしまうため、治癒プロセスの生化学的事象を順に完遂することはない。慢性創傷は、一般的に、炎症期で停止する。慢性創傷は、患者死亡の主要な原因である。

0196

本発明の特定の態様にしたがって、慢性創傷は、期待された期間で治癒しなかった、例えば治癒するのに期待したよりも少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも20日、または少なくとも30日長くかかった、創傷であると見なし得る。慢性創傷は、少なくとも30日以内、少なくとも40日以内、具体的には少なくとも50日以内、より具体的には少なくとも60日以内、更に具体的には少なくとも70日以内に治癒しなかった創傷としてもよい。

0197

慢性創傷となった火傷による創傷も、特に重要である。あらゆる火傷、特に、重篤な火傷は、被験体の上皮性関門および/または内皮性関門の完全性に著しい衝撃を与え、このような外傷の治療は、非常に時間のかかるプロセスとなることが多い。したがって、本発明の方法は、火傷の治癒を促進する方法と見なし得る。

0198

火傷を起こす典型的な原因は、極端な温度(過度な温度の火、液体、気体など)、電気、腐食性薬品摩擦、および放射である。この原因の強度/強さとともに、曝露の程度および期間によって、火傷のひどさが変化する。熱湯熱傷(すなわち、高温の液体および/または気体に関連した外傷)は火傷と見なされる。

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