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技術 急性移植片対宿主病の治療に使用するためのオルニトドロス・モウバタ補体阻害剤

出願人 ヴォリューションイミュノファーマシューティカルズエスエイ
発明者 ウェストン-デービス,ウィンエイチ
出願日 2015年12月9日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2017-563314
公開日 2018年6月28日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-516944
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード コバー シャダ 二次データベース 一次データベース 単一経路 反応感度 カジェ 初期負荷
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課題・解決手段

本発明は、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、その必要がある対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物である薬剤全身投与することを含む方法に関する。

概要

背景

移植片対宿主病(GVHD)は、ドナーレシピエント適応免疫との間の複雑な相互作用から生じると考えられている。GVHDは、同種幹細胞移植後にヒトにおいてしばしば生じるが、リンパ組織を含む固形臓器移植及び未照射血液製剤輸血後にも起こり得る。急性GVHDは、処置、例えば同種造血細胞移植(HCT)の100日以内に発生する皮膚炎肝炎及び腸炎の特徴的な症候群を表す。慢性GVHDは、100日後に発症するより多様な症候群を表す。

GVHDが発生するには、[1]に論じられているように、以下の基準を満たす必要がある:
1.移植片は、免疫学的コンピテント細胞を含有していなければならない。
2.宿主が移植片に対して外来とみられ、それゆえそれを抗原的に刺激することができるように、宿主はドナー移植片欠けている移植同種抗原を有していなければならない。
3. 宿主自体が移植片に対する効果的な免疫反応を起こすことができないか、又は移植片がその免疫学的能力発現するのに十分な時間を少なくとも与えなければならない。

GVHDのリスクのある患者群には、同種HCT患者、例えばGVHD予防を受けていない患者、高齢患者HLA非同一幹細胞のレシピエント、及び移植片のレシピエントが含まれる。GVHDのリスクがある固形臓器移植患者には、小腸移植(リンパ組織を含む器官)のレシピエントが含まれる。特定のリスクで未照射血液製剤の輸血を受ける患者には、先天性免疫不全症候群新生児及び胎児を有する患者、免疫抑制化学放射線療法を受けている患者、及び部分的にHLA同一のHLA同種ドナーから指向性献血を受けている患者が含まれる。

自己GVHDもまた起こり得る。これは、自己又は同系のHCTの後に起こり、免疫系がHCT後にのみ新たに認識する潜在的な自己抗原露出する、処置又は二次サイトイン産生によって引き起こされる組織損傷から生じると考えられる。輸血関連GVHDは、輸血後4〜30日に発生し、同種HCT後の超急性GVHDに似ている。

急性GVHDは、移植の100日以内に最初に現れることがある。超急性GVHDは、移植後7〜14日に生じるGVHDである。急性GVHDは、皮膚(かゆみ痛又は痛みを伴う発疹)、肝臓(例えば、胆汁うっ滞性黄疸で観察されるものと同様のビリルビンアラニンアミノトランスフェラーゼALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST)及びアルカリホスファターゼベル無症候性上昇、並びに高ビリルビン血症を伴う続発性掻痒)、又は腸(例えば遠位小腸及び結腸、例として下痢腸出血腹部痛、腸閉塞、又は上部GIを引き起こし、下痢を伴わない食欲不振及び消化不良として現れる)に関与し得る。急性GVHDはまた、感染性及び非感染性肺炎及び滅菌滲出液感染性因子による出血性膀胱炎血小板減少症及び貧血リスク増加と関連している。重度のGVHDを発症したシクロスポリンA(CSP A)を投与された患者において、溶血性尿毒症症候群血栓性細小血管症)が観察されている。

慢性GVHDは急性GVHDの延長と考えられている。しかし、急性GVHDの臨床的証拠がない患者で初めて発生する可能性があり、又は急性GVHDが解消した後の休止期の後に出現する可能性がある。

GVHDのステージ及びグレード決定するためのさまざまなシステムが存在する([2]を参照)。

急性GVHDのための既存の処置として、以下の表3に示される予防及び治療が含まれる:

概要

本発明は、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、その必要がある対象に、治療上又は予防上有効な量の、2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物である薬剤全身投与することを含む方法に関する。なし

目的

本発明は、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、治療又は予防を必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又は該タンパク質の機能的等価物である薬剤を投与することを含む方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

急性GVHDを治療又は予防する方法であって、その必要がある対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物である薬剤全身投与することを含む方法。

請求項2

対象において急性GVHDを治療又は予防するための、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物であり、全身投与される薬剤。

請求項3

急性GVHDを治療又は予防する方法であって、その必要がある対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を全身投与することを含む方法。

請求項4

対象においてGVHDを治療又は予防するための、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子であり、全身投与される薬剤。

請求項5

対象が、補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、請求項1若しくは3に記載の方法又は請求項2若しくは4に記載の薬剤。

請求項6

対象が、補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させる補体C5多型、例えば補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させる補体C5多型、を有しない又はそれについて試験されていない、請求項1、3及び5のいずれか1項に記載の方法又は請求項2、4及び5のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項7

対象が、古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又はそれについて試験されていない、請求項1、3及び5のいずれか1項に記載の方法又は請求項2、4及び5のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項8

対象が、C5タンパク質に対する別の薬剤(エクリズマブなど)のアフィニティを増大させる補体C5多型を有しない又はそれについて試験されていない、請求項1及び3〜7のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜7のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項9

対象が、補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置に対する耐性を有しない又はそれについて試験されていない、請求項1及び3〜8のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜8のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項10

対象が、補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置で処置されていない、請求項1及び3〜9のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜9のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項11

対象が、エクリズマブで処置されていない、請求項1及び3〜10のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜10のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項12

対象が、異なる薬剤(例えば、抗C5抗体)の対象における有効性の低下に基づいて、本発明の薬剤による治療のために選択されていない、請求項1及び3〜11のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜11のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項13

対象がステージ+、++、+++若しくは++++のGVHD症状を有する、及び/又は対象がI、II、III若しくはIVの臨床グレードを有する、請求項1及び3〜12のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜12のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項14

対象が、組織損傷、例えばGVHDに起因する内部(腸などの)組織損傷を有する、請求項1及び3〜12のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜12のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項15

対象が、(i)同種造血細胞移植(HCT)後の急性GVHDを有する、及び/又は(ii)GVHD予防を受けていない、(iii)少なくとも5である、(iv)HLA非同一幹細胞を受けている、(v)固形臓器移植後若しくは未照射血液製剤輸血後の急性GVHDを有する、(vi)自己若しくは同系HCTの後の急性GVHDを有する、請求項1及び3〜14のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜14のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項16

対象が超急性GVHDを有する、請求項1及び3〜15のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜14のいずれか1項に記載の薬剤。

請求項17

治療が、(i)少なくとも6週間にわたり、及び/又は(ii)対象がもはや急性GVHDに罹患していないとみなされるまで、及び/又は(iii)対象がもはや治療を必要としなくなるまで、継続される、請求項1及び3〜16のいずれか1項に記載の方法又は請求項2及び4〜16のいずれか1項に記載の薬剤。

技術分野

0001

本発明は、急性移植片対宿主病(GVHD)を治療及び予防する方法に関する。

0002

本明細書に記載され、本明細書の最後に列挙された全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

背景技術

0003

移植片対宿主病(GVHD)は、ドナーレシピエント適応免疫との間の複雑な相互作用から生じると考えられている。GVHDは、同種幹細胞移植後にヒトにおいてしばしば生じるが、リンパ組織を含む固形臓器移植及び未照射血液製剤輸血後にも起こり得る。急性GVHDは、処置、例えば同種造血細胞移植(HCT)の100日以内に発生する皮膚炎肝炎及び腸炎の特徴的な症候群を表す。慢性GVHDは、100日後に発症するより多様な症候群を表す。

0004

GVHDが発生するには、[1]に論じられているように、以下の基準を満たす必要がある:
1.移植片は、免疫学的コンピテント細胞を含有していなければならない。
2.宿主が移植片に対して外来とみられ、それゆえそれを抗原的に刺激することができるように、宿主はドナー移植片欠けている移植同種抗原を有していなければならない。
3. 宿主自体が移植片に対する効果的な免疫反応を起こすことができないか、又は移植片がその免疫学的能力発現するのに十分な時間を少なくとも与えなければならない。

0005

GVHDのリスクのある患者群には、同種HCT患者、例えばGVHD予防を受けていない患者、高齢患者HLA非同一幹細胞のレシピエント、及び移植片のレシピエントが含まれる。GVHDのリスクがある固形臓器移植患者には、小腸移植(リンパ組織を含む器官)のレシピエントが含まれる。特定のリスクで未照射血液製剤の輸血を受ける患者には、先天性免疫不全症候群新生児及び胎児を有する患者、免疫抑制化学放射線療法を受けている患者、及び部分的にHLA同一のHLA同種ドナーから指向性献血を受けている患者が含まれる。

0006

自己GVHDもまた起こり得る。これは、自己又は同系のHCTの後に起こり、免疫系がHCT後にのみ新たに認識する潜在的な自己抗原露出する、処置又は二次サイトイン産生によって引き起こされる組織損傷から生じると考えられる。輸血関連GVHDは、輸血後4〜30日に発生し、同種HCT後の超急性GVHDに似ている。

0007

急性GVHDは、移植の100日以内に最初に現れることがある。超急性GVHDは、移植後7〜14日に生じるGVHDである。急性GVHDは、皮膚(かゆみ痛又は痛みを伴う発疹)、肝臓(例えば、胆汁うっ滞性黄疸で観察されるものと同様のビリルビンアラニンアミノトランスフェラーゼALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST)及びアルカリホスファターゼベル無症候性上昇、並びに高ビリルビン血症を伴う続発性掻痒)、又は腸(例えば遠位小腸及び結腸、例として下痢腸出血腹部痛、腸閉塞、又は上部GIを引き起こし、下痢を伴わない食欲不振及び消化不良として現れる)に関与し得る。急性GVHDはまた、感染性及び非感染性肺炎及び滅菌滲出液感染性因子による出血性膀胱炎血小板減少症及び貧血リスク増加と関連している。重度のGVHDを発症したシクロスポリンA(CSP A)を投与された患者において、溶血性尿毒症症候群血栓性細小血管症)が観察されている。

0008

慢性GVHDは急性GVHDの延長と考えられている。しかし、急性GVHDの臨床的証拠がない患者で初めて発生する可能性があり、又は急性GVHDが解消した後の休止期の後に出現する可能性がある。

0009

GVHDのステージ及びグレード決定するためのさまざまなシステムが存在する([2]を参照)。

0010

急性GVHDのための既存の処置として、以下の表3に示される予防及び治療が含まれる:

発明が解決しようとする課題

0011

同時係属中のPCT出願PCT/EP2015/062742は、エクリズマブ耐性である患者の補体媒介障害を治療する方法を記載し、特許請求しており、また[3]は、エクリズマブ耐性患者由来血清コバーシン及びエクリズマブを添加(スパイク)した場合、用量応答曲線がコバーシンでは正常であったが、エクリズマブでは正常ではなかったことを示す予備的な実験作業を示している。

0012

GVHDの既知治療法を改善するか、又は少なくともその代替法である治療法が必要とされている。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、以前にエクリズマブ(C5モノクローナル抗体)による処置に応答しなかったGVHDに罹患した患者において、ダニタンパク質のコバーシン(Coversin)(当該技術分野及び本明細書では、EV576及びOmCIとも呼ばれる[19])の全身投与によって、バイタルサインの安定化と直腸出血の減少に至ることを見出した。したがって、コバーシンの全身投与は、急性GVHDの治療及び予防に使用することができる。

0014

本発明は、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、治療又は予防を必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又は該タンパク質の機能的等価物である薬剤を投与することを含む方法を提供する。

0015

本発明はまた、対象において急性GVHDを治療又は予防するための、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又は該タンパク質の機能的等価物である薬剤(ここで該薬剤は全身投与される)を提供する。

0016

本発明はまた、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、治療又は予防を必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又は該タンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を投与することを含む方法を提供する。

0017

本発明はまた、対象において急性GVHDを治療又は予防するための、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又は該タンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤(ここで該薬剤は全身投与される)を提供する。

図面の簡単な説明

0018

補体活性化の古典的経路及び代替経路の概略図。酵素成分は濃灰色で示し、アナフィラトキシン星形で囲んで示す。
コバーシンの一次配列シグナル配列下線を施す。システイン残基太字で示す。ヌクレオチド番号アミノ酸番号を右側に示す。
種々の濃度におけるコバーシン及びエクリズマブの、患者BJ及び正常対照NC由来の血清への添加(spiking)の効果を示す。
6月13日から7月12日までの血清終末補体活性を示す。
種々の処置の経過における患者のLDHを示す。

0019

補体
補体系は、異物侵入に対する身体の自然防御機構の重要な一部分であり、炎症プロセスにも関係するものである。血清中及び細胞表面の30を超えるタンパク質は、補体系の機能及び調節に関係している。有益なプロセスと病的なプロセスの双方に関連する可能性を有する補体系の約35の公知成分と同様、補体系自体が、血管形成血小板活性化糖代謝及び精子形成と同様に多様な機能を有する少なくとも85種の生物学的経路と相互作用することが最近明らかになってきた。

0020

補体系は、異種抗原の存在下で活性化される。3つの活性化経路:(1)IgM及びIgG複合体によって、又は炭水化物の認識によって活性化される古典的経路;(2)非自己の表面(特定の調節分子欠く)によって、及び細菌内毒素によって活性化される代替経路;及び(3)病原体の表面上のマンノース残基へのマンナン結合レクチン(MBL)の結合によって活性化されるレクチン経路、が存在する。この3つの経路には、急性炎症メディエーター(C3a及びC5a)の放出並びに細胞膜傷害複合体(MAC)の形成の原因となる、細胞表面上の類似のC3コンベルターゼ及びC5コンベルターゼの形成による補体活性化の発生の原因となる事象の平行したカスケードがある。古典的経路及び代替経路に関係する平行したカスケードについては、図1に示す。

0021

本明細書では、古典的経路、代替経路及びレクチン補体経路をまとめて補体経路と呼ぶ。

0022

補体C5多型
ヒトC5のいくつかの多型が報告されている[4-8]。C5をコードする遺伝子の突然変異は、患者が重度の再発性感染の傾向を示す疾患である補体成分5欠損症を含む様々な病態に関連している。この遺伝子の欠損はまた、肝線維症及び関節リウマチへの罹りやすさに結びついている。ヒトC5における多型には、挿入、欠失単一アミノ酸置換フレームシフト、短縮及びこれらの変化の組み合わせが含まれる。

0023

ヒトC5の特定の多型は、臨床的意義をもってC5活性を変化させ、例えば野生型C5のArg885に影響を及ぼす多型には、ともにmAbエクリズマブの治療有効性を低下させるArg885Cys(c.2653C>Tによってコードされる)及びp.Arg885His(c.2654G>Aによってコードされる)がある[7]。

0024

本明細書において使用される用語「C5多型」は、野生型C5以外のC5の任意のバリアントを意味する。ヒト対象において、野生型C5は、アクセッション番号NP_001726.2、バージョンGI:38016947を有するC5タンパク質である。用語「C5多型」には、C5タンパク質における挿入、欠失、単一又は複数のアミノ酸置換、フレームシフト、短縮及びこれらの変化の組み合わせが含まれる。

0025

これらの多型は、ヘテロ接合性又はホモ接合性多型のいずれか、例えば所定の多型についてのヘテロ接合性C5、1つの多型についてのホモ接合性又は異なる多型についてのヘテロ接合性などとして存在し得る。

0026

多型には、エクリズマブのエピトープ近接する又はエクリズマブのエピトープ内にある野生型C5のアミノ酸配列の変化が含まれる(すなわち、879KSSKC883、例えばK879、S880、S881、K882及び/又はC883を含む)。例えば、エクリズマブのエピトープにおいて又はエクリズマブのエピトープのN末端若しくはC末端までの最大10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個のアミノ酸の任意の変化があり得る。

0027

好ましくは、アミノ酸変化は、C5のコバーシン結合部位内及びその近傍にはない。これは、C5の高度に保存されたCUB-C5d-MG8スーパードメインの遠位末端のC5α上の保存された領域であると考えられている。

0028

C5多型は、野生型C5を有する対象において古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させ得る。「有効性を低下させる」とは、薬剤が、野生型C5タンパク質についての同じ薬剤のIC50よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、1000倍又はそれを超えて大きい、多型C5タンパク質についてのIC50を有することを意味する。

0029

C5多型は、古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させ得るが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない。C5多型は、野生型C5を有する対象において古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の抗C5モノクローナル抗体の有効性を低下させ得るが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックせずにC5に結合することにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する他の薬剤の有効性を低下させない。

0030

「有効性を低下させない」とは、野生型C5タンパク質について、C5コンベルターゼ結合部位をブロックせずにC5に結合することにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害するコバーシン又は他の薬剤のIC50が、多型C5タンパク質についてC5コンベルターゼ結合部位をブロックせずにC5に結合することにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害するコバーシン又は他の薬剤のIC50の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%であることを意味する。「低下させない(しない)」という用語はまた、有効性の向上(増大)を包含する。

0031

代替の実施形態において、有効性は、対象から採取された血清中の補体活性化を阻害する薬剤の能力を測定することによって測定することができる。例えば、前記対象の血清中の補体活性は、当該技術分野で公知である又は本明細書に記載される任意の手段、例えば、参考文献[9]に記載される溶血アッセイによって測定することができる。

0032

薬剤は、薬剤の存在下での補体活性が対照と比較して低減している場合、前記対象における補体活性を阻害すると考えられる。この文脈において「低減した」とは、処置された試料における補体活性が対照と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低減することを意味する。

0033

C5多型は、補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させ得る。C5多型は、補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させ得る。C5多型は、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることによって、古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させ得る。C5多型は位置Arg885にあり得る。この位置での具体的な多型には、Arg885Cys又はArg885Hisが含まれる。

0034

エクリズマブ、ペクセリズマブ及び/若しくはN19-8などの公知の抗C5モノクローナル抗体に対するC5の結合アフィニティ、又はARC1905などのペプチド性補体阻害剤の有効性を変化させる多型はまた興味深い。

0035

したがって、特定の実施形態において、本発明は、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物である薬剤を全身投与することを含む方法を提供し、該対象は、
i)補体C5多型、例として補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させる補体C5多型、例えば補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させる補体C5多型など、を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
ii)古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iii)C5コンベルターゼ部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iv)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていない、並びに/あるいは
v)C5タンパク質に対する別の薬剤(エクリズマブなど)のアフィニティを増大させる補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
vi)C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤による処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていないが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない、並びに/あるいは
vii)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくは抗C5抗体、より好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置で処置されていない、並びに/あるいは
viii)異なる薬剤(例えば、抗C5抗体)の対象における有効性の低下に基づいて、本発明の薬剤による治療のために選択されていない。

0036

そのような多型及び抗C5抗体の具体例は上で議論されている。

0037

本発明はまた、対象において急性GVHDを治療又は予防するための、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物である薬剤を提供し、該薬剤は全身投与され、該対象は、
i)補体C5多型、例として補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させる補体C5多型、例えば補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させる補体C5多型など、を有しない又は補体C5多型について試験されていない、
ii)古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iii)C5コンベルターゼ部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iv)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていない、並びに/あるいは
v)C5タンパク質に対する別の薬剤(エクリズマブなど)のアフィニティを増大させる補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
vi)C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤による処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていないが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない、並びに/あるいは
vii)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくは抗C5抗体、より好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置で処置されていない、並びに/あるいは
viii)異なる薬剤(例えば、抗C5抗体)の対象における有効性の低下に基づいて、本発明の薬剤による治療のために選択されていない。

0038

そのような多型及び抗C5抗体の具体例は上で議論されている。

0039

本発明はまた、急性GVHDを治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を全身投与することを含む方法を提供し、該対象は、
i)補体C5多型、例として補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させる補体C5多型、例えば補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させる補体C5多型など、を有しない又は補体C5多型について試験されていない、
ii)古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iii)C5コンベルターゼ部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iv)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていない、並びに/あるいは
v)C5タンパク質に対する別の薬剤(エクリズマブなど)のアフィニティを増大させる補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
vi)C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤による処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていないが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない、並びに/あるいは
vii)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくは抗C5抗体、より好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置で処置されていない、並びに/あるいは
viii)異なる薬剤(例えば、抗C5抗体)の対象における有効性の低下に基づいて、本発明の薬剤による治療のために選択されていない。

0040

そのような多型及び抗C5抗体の具体例は上で議論されている。

0041

本発明はまた、対象において急性GVHDを治療又は予防するための、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質又はこのタンパク質の機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を提供し、該薬剤は全身投与され、該対象は、
i)補体C5多型、例として補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体薬剤の有効性を低下させる補体C5多型、例えば補体経路の1つ以上の活性化の阻害におけるモノクローナル抗体エクリズマブの有効性を低下させる補体C5多型など、を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
ii)古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、コバーシン又はその機能的等価物の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iii)C5コンベルターゼ部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する1つ以上の薬剤の有効性を低下させるが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
iv)C5タンパク質に対する別の薬剤(エクリズマブなど)のアフィニティを増大させる補体C5多型を有しない又は補体C5多型について試験されていない、並びに/あるいは
v)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていない、並びに/あるいは
vi)C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることにより古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤による処置に対する耐性を有しない又は耐性について試験されていないが、C5コンベルターゼ結合部位をブロックすることなく古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤の有効性を低下させない、並びに/あるいは
vii)補体経路の1つ以上の活性化を阻害することが意図されたモノクローナル抗体薬剤処置、好ましくは抗C5抗体、より好ましくはエクリズマブであるモノクローナル抗体薬剤処置で処置されていない、並びに/あるいは
viii)異なる薬剤(例えば、抗C5抗体)の対象における有効性の低下に基づいて、本発明の薬剤による治療のために選択されていない。

0042

そのような多型及び抗C5抗体の具体例は上で議論されている。

0043

C5多型
上述したように、位置Arg885における2つのC5多型(c.2653C>T (p.Arg885Cys) 及びc.2654G>A (p.Arg885His))を有する対象はエクリズマブに応答せず、そのような対象はエクリズマブ抵抗性である対象の例である。コバーシンは、多型の有無とは無関係にC5切断及び補体経路の活性化を阻害することができることが示されている。なぜならコバーシンは、エクリズマブとは異なる様式で補体C5タンパク質と相互作用するためである。コバーシン及びエクリズマブはC5分子上の異なる位置でC5に結合する。コバーシンはC5に結合し、これはC5の全体的なコンホメーションを安定化させ、C5a切断部位をブロックしない[10]。

0044

多型Arg885Hisは、日本人及び漢民族起源の対象において特に高頻度に存在する。コバーシンは、これらの民族起源を有するサブ集団において使用することができる。コバーシンは、他の民族起源の集団、例えば日本人起源又は漢民族起源ではない集団及び/又はコーカサス人ではない集団でも用いることができる。好適な民族には、アフリカ系カリブ、スラブ系コーカサス人、非スラブ系コーカサス人、東洋系アジア系及び非東洋系アジア系が含まれる。

0045

C5多型を有する対象は、遺伝子の配列決定を含むC5タンパク質をコードする遺伝子の分子遺伝学分析[7];本明細書に記載されるように若しくは当該技術分野において公知である方法によって、対象における補体活性化を阻害するための様々な薬剤の能力を試験すること;並びに/又は等電点電気泳動法及び機能的検出を含む、対象からのC5タンパク質の生化学的分析[11]、などの他の慣用的な技術によって同定することができる。臨床設定において、C5多型を有する対象は、古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する薬剤に対する予想外に乏しい応答によって同定される場合がある。

0046

前記対象の血清中の補体活性は、当該技術分野で公知の若しくは本明細書に記載されている任意の手段、例えば、参考文献[12]に記載される溶血アッセイによって及び/又は実施例において言及されるQuidel CH50法を用いて測定することができる。対照と比較したときに、薬剤の存在下で補体活性が減少した場合、薬剤が前記対象における補体活性を阻害すると考えられる。この文脈において「減少した」とは、処置された試料中の補体活性が、対照と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%減少していることを意味する。

0047

補体媒介性疾患及び障害
補体の活性化は、身体自体の組織への損傷を防ぐために厳密に制御されなければならない。補体活性化の制御の不全が、様々な疾患に役割があることが示されていて、例えば、とりわけ、急性膵炎加齢性黄斑変性症(AMD)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、アルツハイマー病ハンチントン病パーキンソン病アレルギー性脳脊髄炎同種移植喘息成人呼吸窮迫症候群インフルエンザ熱傷クローン病糸球体腎炎溶血性貧血血液透析遺伝性血管浮腫虚血再灌流傷害、多臓器不全多発性硬化症重症筋無力症心筋梗塞発作性夜間血球減少症(PNH)、乾癬、関節リウマチ、敗血症性ショック全身性エリテマトーデス、卒中、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、外傷性脳損傷、血管リーク症候群、移植拒絶及び移植片対宿主病(GvHD)、並びに様々な他の末梢神経障害及び呼吸器障害が挙げられる[13-18]。

0048

本発明は、急性GVHDの治療に関する。

0049

対象は、急性GVHDに罹患している可能性があり、ステージ+、++、+++若しくは++++にある1つ以上の症状を伴うGVHDを有している可能性があり、及び/又は対象はI、II、III若しくはIVの臨床グレードを有している可能性がある[2]。本発明の治療の結果は、GVHDのステージ及び/又はグレードの改善であり得る。

0050

急性GVHDに罹患している対象は、組織損傷、例えばGVHDに起因する内部(腸などの)組織損傷を有し得る。このように、本発明の治療の結果は、この組織損傷の減少であり得る。

0051

GVHDの症状は、血清LDHによって測定することができる。このように、本発明の治療の結果は、当該技術分野で公知の標準的方法によって測定される、血清LDHの低下であり得る。

0052

対象は血小板数が減少している可能性がある。このように、本発明の治療の結果は、当該技術分野で公知の標準的方法によって測定される、血小板数の増加であり得る。

0053

したがって、本発明のさらなる実施形態では、急性GVHDを有する対象において組織損傷を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を全身投与することを含む方法が提供される。また、対象において急性GVHDを有する対象における組織損傷を減少させるための、図2(配列番号2)のアミノ酸配列のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子であり、全身投与される薬剤が提供される。

0054

したがって、本発明のさらなる実施形態において、急性GVHDを有する対象において血清LDHを低下させる方法であって、それを必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を全身投与することを含む方法が提供される。また、対象において急性GVHDを有する対象における血清LDHを低下させるための、図2(配列番号2)のアミノ酸配列のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子であり、全身投与される薬剤が提供される。

0055

したがって、本発明のさらなる実施形態では、急性GVHDを有する対象において血小板数を増加させる方法であって、それを必要とする対象に、治療上又は予防上有効な量の、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子である薬剤を全身投与することを含む方法が提供される。また、対象において急性GVHDを有する対象における血小板数を増加させるための、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質若しくはこのタンパク質の機能的等価物、又は上記タンパク質若しくはその機能的等価物をコードする核酸分子であり、全身投与される薬剤が提供される。

0056

好ましい対象、薬剤、用量などは、本明細書に開示される通りである。任意の減少又は増加についての言及は、処置(治療)の非存在下での前記対象と比較した減少又は増加である。好ましくは、パラメータを定量することができ、この場合、増加又は減少は統計的に有意であることが好ましい。例えば、増加又は減少は、処置(治療)の非存在下でのパラメータと比較して、少なくとも3、5、10、15、20、30、40、50%であり得る。

0057

本発明の実施において薬剤を投与する対象は哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることが好ましい。対象は、成人、小児又は乳児とすることができる。薬剤が投与される対象は、急性GVHDに罹患している。

0058

対象は、例えば、少なくとも5、又は少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70歳である。対象は、4歳未満、3歳未満、2歳未満又は1歳未満であってもよい。

0059

目的の対象は、本明細書に記載のような急性GVHDを有する対象である。好ましい対象は、例えば、以下の属性のうちの1つ以上を有することができる:
対象は同種造血細胞移植(HCT)後の急性GVHDを有する、
対象はGVHD予防を受けていない、
対象はHLA非同一幹細胞を受けている、
対象は、固形臓器移植、例えば小腸移植の後、又は未照射血液製剤の輸血後の急性GVHDを有する、
対象は、自己又は同系HCTの後の急性GVHDを有する、
対象は超急性GVHDを有する。

0060

本発明において使用する薬剤
本発明の一実施形態において、薬剤は、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19〜168を含むタンパク質であるか又はこのタンパク質の機能的等価物である。薬剤は、図2のアミノ酸配列のアミノ酸19〜168からなるタンパク質であるか又はこのタンパク質の機能的等価物であることができる。

0061

別の一実施形態においては、本発明の本実施形態で用いられるタンパク質は、図2のアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸1〜168を含む若しくはそれからなるか、又はその機能的等価物とすることができる。図2に示すタンパク質の配列の最初の18アミノ酸は、C5に対する結合又はLTB4に対する結合活性には必要ないシグナル配列を形成することから、例えば組換えタンパク質産生の効率性のために、任意的にこれを省くことができる。

0062

図2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質は、本明細書においてコバーシンタンパク質とも称されるが、マダニオルニトドロス・モウバタ(Ornithodoros moubata)の唾液腺から単離された。コバーシンは、リポカリンファミリーの中でも遠縁のメンバーであり、補体活性化を阻害することが明らかにされた最初のリポカリンファミリーのメンバーである。コバーシンタンパク質はC5に結合することによりC5コンベルターゼによるC5の補体C5aと補体C5b-9への切断を防止し、C5aペプチド及びMACの双方の作用を阻害することにより、補体代替経路、補体古典的経路及び補体レクチン経路を阻害する。コバーシンタンパク質はLTB4にも結合する。本明細書で用いられる「コバーシンタンパク質」という用語は、シグナル配列の有無に拘わらず図2に示される配列を意味する。

0063

コバーシンタンパク質、及び補体の活性化を阻害するこのタンパク質の能力については[19]に開示されており、そこではコバーシンタンパク質は、「OmCIタンパク質」と呼ばれた。コバーシンタンパク質はまた、重症筋無力症[15]、呼吸器障害[16]及び末梢神経障害[17]の治療に有効であることも示されている。コバーシンタンパク質がエイコサノイド(LTB4等)と結合する能力、及びロイコトリエンヒドロキシエイコサノイドにより媒介される疾患の治療における該タンパク質の使用は[20]に示唆されている。

0064

コバーシンタンパク質が、対象における急性GVHDの治療及び予防に有効であることがこのたび明らかになった。本明細書に提示するデータは、GVHDを有する対象において、in vitroでの補体活性が、コバーシンに対して完全に感受性であった(試験したすべての濃度において100%阻害)こと、バイタルサインの安定化と直腸出血の低下を伴う有望な臨床応答をさらに示したことを実証している。

0065

本発明の更なる実施形態において、前記薬剤は、コバーシンタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸分子であってよい。例えば、遺伝子治療を用いて、インビボ又はエクスビボのいずれにおいても対象中の関連細胞によるコバーシンタンパク質の体内産生を生じさせることができる。他の方法は、治療遺伝子血流内又は筋組織内に直接注射される、「の(naked)DNA」を投与することである。

0066

そのような核酸分子は、図2ヌクレオチド配列(配列番号1)の塩基55〜507を含むか又はそれからなることが好ましい。このヌクレオチド配列は、図2のコバーシンタンパク質をシグナル配列なしにコードする。図2のヌクレオチド配列の最初の54塩基は、補体阻害活性又はLTB4結合活性に必要ないシグナル配列をコードする。あるいは、核酸分子は、シグナル配列を有するタンパク質をコードする、図2核酸配列の塩基1〜507を含むか又はそれからなることができる。

0067

コバーシンタンパク質はラットマウス及びヒトの血清中においてC5と結合してC5コンベルターゼによる切断を防止し、そのIC50は約0.02mg/mLであることが示されている。C5に対する結合能を有するコバーシンタンパク質の機能的等価物としてはIC50が0.2mg/mL未満であるものが好ましく、好ましくは0.1mg/mL未満、好ましくは0.05mg/mL未満、好ましくは0.02mg/mL未満、好ましくは1μg/mL未満、好ましくは100ng/mL未満、好ましくは10ng/mL未満、更により好ましくは1ng/mL未満である。

0068

コバーシンタンパク質はまたLTB4に結合することが実証されている。コバーシンタンパク質の機能的等価物もまた、コバーシンタンパク質と同様のアフィニティでLTB4と結合する能力を保持する。

0069

本発明の一態様において、前記薬剤は、補体C5、例えば補体C5多型を有する対象由来の補体C5に結合し得る。薬剤は、C5コンベルターゼによる補体C5(例えば補体C5多型を有する対象由来の補体C5)の補体C5aと補体C5b-9への切断を防止するように作用し得る。薬剤は、未処置対象と比較して、対象においてC5aレベルを低減するように作用し得る。上記薬剤の機能的等価物もまたこれらの特性を有することが好ましい。

0070

本発明の一態様において、薬剤は、古典的補体経路、代替補体経路及びレクチン補体経路を阻害する。一態様において、薬剤は、C5の全体的なコンホメーションを安定化させるがC5コンベルターゼ切断部位をブロックしないようにC5に結合する。コバーシンのC5への結合は、C5の全体的なコンホメーションの安定化を生じるがコンベルターゼ切断部位をブロックしない。上記薬剤の機能的等価物もまたこれらの特性を有することが好ましい。

0071

補体C5タンパク質は、本明細書においてはC5とも称し、C5コンベルターゼ酵素によって分解される(図1)。この分解産物としては、アナフィラトキシンC5a、並びに細胞膜傷害複合体(MAC)としても知られる溶解性複合体C5b-9が含まれる。C5aは、好中球遊走能及び好酸球遊走能、好中球活性化毛細血管透過性増加、並びに好中球アポトーシスの阻害を含む多くの病理的炎症プロセスに関係する高反応性ペプチドである[21]。

0072

MACは、関節リウマチ[22;23]、増殖性糸球体腎炎[24]、特発性膜性腎症[25]、タンパク尿[26]、急性軸索損傷後の脱髄[27]等の他の重要な病理プロセスと関連しており、異種移植後の急性移植片拒絶の原因ともなる[28]。

0073

C5と結合して阻害するモノクローナル抗体及び小分子が種々の疾患[14]、特にPNH、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び移植拒絶の治療用に開発されている。しかし、これらのモノクローナル抗体は、C5多型を有する対象由来の特定のC5タンパク質に結合せず、それゆえこれらの対象では有効ではない[7]。これに対し、コバーシン薬剤及びその機能的等価物は、野生型C5を有する対象及びC5多型を有する対象の両方において補体C5の切断を阻害する。

0074

C5(例えばC5多型を有する対象由来のC5)に結合する薬剤の能力は、当該技術分野で公知の標準的インビトロアッセイ、例えば標識C5と共にゲル上のタンパク質をインキュベートした後にウエスタンブロット法を行うことによって測定することができる。好ましくは、C5(野生型C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5のいずれか)に結合する本発明の薬剤のIC50は0.2mg/mL未満であり、好ましくは0.1mg/mL未満、好ましくは0.05mg/mL未満、好ましくは0.04mg/mL未満、好ましくは0.03mg/mL未満、好ましくは0.02mg/mL、好ましくは1μg/mL未満、好ましくは100ng/mL未満、好ましくは10ng/mL未満、更により好ましくは1ng/mL未満である。薬剤は、野生型C5及びC5多型を有する対象由来のC5に対して同じアフィニティを有する必要はない。野生型C5及びC5多型を有する対象由来のC5に対して高い、低い又は同じアフィニティを示すことができる。

0075

薬剤が補体活性化を阻害する能力は、血清中で補体活性化を阻害する薬剤の能力を測定することにより決定することができる。例えば、血清中の補体活性は、当該技術分野で公知の又は本明細書に記載の任意の手段により測定することができる。

0076

薬剤はまた、エイコサノイド活性を阻害する機能を有するものと定義することもできる。

0077

本発明のこの態様に係る薬剤はロイコトリエンB4(LTB4)活性を阻害することができる。特に、本発明のこの態様に係る薬剤はLTB4結合することができる。薬剤がLTB4と結合する能力は、当該技術分野で公知の標準的なインビトロアッセイ、例えば、標識LTB4への結合について競合するコバーシンと抗LTB4抗体との間の競合ELISAによって求めることができる。本発明に係る薬剤がLTB4と結合する際のIC50は0.2mg/ml未満であり、好ましくは0.1mg/ml未満、好ましくは0.05mg/ml未満、好ましくは0.04mg/ml未満、好ましくは0.03mg/ml未満、好ましくは0.02mg/ml、好ましくは1μg/ml未満、好ましくは100ng/ml未満、好ましくは10ng/ml未満、さらにより好ましくは1ng/ml未満である。上記薬剤の機能的等価物もまたこれらの特性を有することが好ましい。

0078

本発明の一実施形態において、薬剤は、C5、C5多型を有する対象由来のC5及びLTB4の全てと結合し得る。従って、この実施形態に係る薬剤を作用させて、補体C5がC5コンベルターゼによって補体C5aと補体C5b-9(MAC)へ切断されることを防止すると共に、LTB4活性を阻害することができる。C5及びLTB4の両方に結合する薬剤の使用が特に有利である。C5及びエイコサノイド経路はいずれも、多くの補体媒介性疾患及び障害で観察される病理に寄与すると考えられる。したがって、補体媒介性疾患及び障害の炎症作用に関与する複数の経路を阻害する単一の薬剤を使用することにより、補体媒介性疾患及び障害の炎症作用に関与する単一経路のみを阻害する薬剤を使用した場合と比較して、効果の増強を達成することができる。さらに、単一分子の投与に関連する実用的な利点がある。

0079

好ましくは、本発明の薬剤は、吸血性節足動物に由来する。「吸血性節足動物」という用語には、昆虫、マダニ、シラミノミ及びコダニ等、それぞれに適合した宿主から血粉を取る全ての節足動物が包含される。好ましくは、前記薬剤はマダニに由来し、好ましくはマダニのオルニトドロス・モウバタ(Ornithodoros moubata)に由来する。

0080

一態様において、本明細書で用いられる「機能的等価物」という用語は、(a)C5(野生型C5若しくはC5多型を有する対象由来のC5のいずれか)に結合し、C5コンベルターゼによる補体C5の補体C5aと補体C5b-9への切断を防止する能力を保持する;及び/又は(b)LTB4に結合する能力を保持する、コバーシンタンパク質のホモログ及び断片を説明する。

0081

「機能的等価物」という用語はまた、コバーシンタンパク質と構造的類似性を有する分子、あるいはコバーシンタンパク質と類似若しくは同一の三次構造、特にC5(野生型C5若しくはC5多型を有する対象由来のC5のいずれか)及び/又はLTB4と結合するコバーシンタンパク質の1箇所以上の活性部位の環境において類似若しくは同一の三次構造、を含む、合成分子等の分子、を意味する。コバーシンにおいてLTB4結合に必要と考えられるアミノ酸は[20]に記載されている。

0082

「ホモログ」という用語は、図2において明示的に特定されるコバーシン配列のパラログ及びオーソログに対する参照が包含されるものとするが、例えばその配列としては、リピケファルス-アッペンジクラタス(Rhipicephalus appendiculatus)、クリイロコイタマダニ(R.sanguineus)、R.ブルサ(R.bursa)、アメリカアムブリオマ(A.americanum)、A.カジェンネンセ(A.cajennense)、ヘブライキララマダニ(A.hebraeum)、オウシマダニ(Boophilus microplus)、ウシマダニ(B.annulatus)、B.デコラタス(B.decoloratus)、アミメカクマダニ(Dermacentor reticulatus)、アンダーソン・カクマダニ(D.andersoni)、D.マルナタス(D.marginatus)、アメリカイヌカクマダニ(D.variabilis)、ヘマフィサリス・イネルミス(Haemaphysalis inermis)、Ha.レアチイ(Ha.leachii)、点状ダニ(Ha.punctata)、ヒアロンマ・アナトリカムアナトリカム(Hyalomma anatolicum anatolicum)、Hy.ドロメダリイ(Hy.dromedarii)、Hy.マルギナタム マルギナタム(Hy.marginatum marginatum)、イクソデス・リシナス(Ixodes ricinus)、シュルツェマダニ(I.persulcatus)、I.スカプラリス(I.scapularis)、I.ヘキサゴナス(I.hexagonus)、ペルシャダニ(Argas persicus)、ハトヒラタダニ(A.reflexus)、オルニトドロス・エラティカス(Ornithodoros erraticus)、O.モウバタモウバタ(O.moubata moubata)、O.m.ポルシナス(O.m.porcinus)及びO.サビグニイ(O.savignyi)等の他のマダニ種由来のコバーシンタンパク質配列が挙げられる。また、「ホモログ」という用語には、イエカ属(Culex)、ハマダラカ属(Anopheles)及びヤブカ属Aedes)等の種、特にクレクスキンファシアタス(Culex quinquefasciatus)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)及びアノフェレスガンビエ(Anopheles gambiae);クテノセファリです・フェリス(Ctenocephalides felis)(ネコノミ)等のノミ種;ウマバエチョウバエブユツェツェバエ;シラミ;コダニ;ヒル;及び扁虫由来の同等のコバーシンタンパク質配列も包含されるものとする。ネイティブコバーシンタンパク質は、18kDa付近の別の3形態でO.モウバタ(O.moubata)の中に存在すると考えられ、「ホモログ」という用語には、コバーシンのこれらの他の形態が包含されるものとする。

0083

図2に示すコバーシン配列のホモログの同定方法は当業者に明らかである。例えば、ホモログは、公的及び民間のどちらの配列データベースによっても、そのホモロジー検索によって同定することができる。公的に利用可能なデータベースを使用するのが便利である。但し、特に民間のあるいは商業的に利用可能なデータベースが公的なデータベースにないデータを含む場合、民間のあるいは商業的に利用可能なデータベースも同様に有用である。一次データベースは、一次ヌクレオチド又はアミノ酸の配列データが蓄積される場所であり、公的に又は商業的に利用可能となっている。公的に利用可能な一次データベースの例としては、GenBankデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)、EMBLデータベース(http://www.ebi.ac.uk/)、DDBJデータベース(http://www.ddbj.nig.ac.jp/)、SWISS-PROTタンパク質データベース(http://expasy.hcuge.ch/)、PIR(http://pir.georgetown.edu/)、TrEMBL(http://www.ebi.ac.uk/)、TIGRデータベース(http://www.tigr.org/tdb/index.htmlを参照すること)、NRL-3Dデータベース(http://www.nbrfa.georgetown.edu)、Protein Data Base(http://www.rcsb.org/pdb)、NRDBデータベース(ftp://ncbi.nlm.nih.gov/pub/nrdb/README)、OWLデータベース(http://www.biochem.ucl.ac.uk/bsm/dbbrowser/OWL/)等が挙げられ、並びに二次データベースとしては、PROSITE(http://expasy.hcuge.ch/sprot/prosite.html)、PRINTS(http://iupab.leeds.ac.uk/bmb5dp/prints.html)、Profiles(http://ulrec3.unil.ch/software/PFSCAN_form.html)、Pfam(http://www.sanger.ac.uk/software/pfam)、Identify(http://dna.stanford.edu/identify/)及びBlocks(http://www.blocks.fhcrc.org)データベース等が挙げられる。商業的に利用可能なデータベース又は民間のデータベースの例としては、PathoGenome(ゲノムセラピューティックス社)及びPathoSeq(以前のインサイトファーマシューティカルズ社)等が挙げられる。

0084

典型的には、2種のポリペプチド間(好ましくは、活性部位等の特定領域上)の同一性が30%を超える場合、これは機能的等価性を示していると判断され、従って2種のタンパク質が相同的であることが示される。好ましくは、ホモログであるタンパク質は、図2に示すコバーシンタンパク質配列(配列番号2)との配列同一性の程度が60%を超えるものである。より好ましいホモログは、図2に示すコバーシンタンパク質配列(配列番号2)との同一性の程度が、それぞれ70%、80%、90%、95%、98%又は99%を超えるものである。本明細書においては、パーセント同一性とは、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)が指定しているデフォルトパラメータを用いるBLASTバージョン2.1.3を用いて決定されるものである[Blosum62マトリックスギャップオープンペナルティ=11及びギャップ・エクステンション・ペナルティ=1]。

0085

図2に示すコバーシンタンパク質配列の機能的等価物としては、野生型配列から、例えば1、2、3、4、5、7、10個若しくはそれ以上のアミノ酸、又は最大1、2、3、4、5、7若しくは10個のアミノ酸のアミノ酸置換、挿入又は欠失を含む変異体が挙げられるが、これは、これら変異体が野生型C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5に結合する能力を有する場合に限る。従って、変異体としては、有害な方法でタンパク質の機能又は活性に影響を与えることのない保存的アミノ酸置換を含むタンパク質が含まれる。この用語はまた、天然生物学的変異体(例えばコバーシンタンパク質が由来する種の範囲内の対立遺伝子変異体又は地理的変異体)を含むものとする。野生型C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5及び/又はLTB4に結合する能力が改善した変異体は、タンパク質配列内の特定の残基の計画的な又は誘導された変異によって設計することもできる。

0086

コバーシンタンパク質の断片、並びにコバーシンタンパク質のホモログの断片は、その断片が野生型C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5及び/又はLTB4に結合する能力を有しているならば、「機能的等価物」の用語に包含される。断片としては、150未満のアミノ酸、125未満のアミノ酸、100未満のアミノ酸、75未満のアミノ酸、50未満のアミノ酸、あるいは更に25以下のアミノ酸であるコバーシンタンパク質配列に由来するポリペプチドを挙げることができるが、それは、これらの断片が野生型補体C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5及び/又はLTB4と結合する能力を有している場合に限る。断片としては、150未満のアミノ酸、125未満のアミノ酸、100未満のアミノ酸、75未満のアミノ酸、50未満のアミノ酸、あるいは更に25以下のアミノ酸であるコバーシンタンパク質配列に由来するポリペプチドを挙げることができるが、それは、これらの断片が野生型補体C5及び/又はC5多型を有する対象由来のC5及び/又はLTB4と結合する能力を有している場合に限る。

0087

機能的等価物又はその断片はいずれも、コバーシンに見出されるシステイン残基のパターンを保持することが好ましい。例えば、該機能的等価物は、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸1〜168に係る配列のアミノ末端からカルボキシル末端に配置されるように、互いに32アミノ酸離れた、62アミノ酸離れた、28アミノ酸離れた、1アミノ酸離れた、及び21アミノ酸離れた距離で互いに間隔を空けて6つのシステイン残基を含む。コバーシンタンパク質の断片の例を、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14に開示する。対応する断片をコードするDNAは、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13に開示する。

0088

このような断片としては、上述のように、図2において本明細書で明示的に同定されているO.モウバタ(O.moubata)のコバーシンタンパク質の断片だけでなく、このタンパク質のホモログの断片も含まれる。ホモログのこのような断片は、一般に図2のコバーシンタンパク質配列の断片との同一性が60%を超えるものである。但し、より好ましくは、ホモログの断片は、図2のコバーシンタンパク質配列の断片との同一性の程度がそれぞれ70%、80%、90%、95%、98%又は99%超を示すものである。勿論、改善された断片は、野生型配列の計画的な変異又は断片化の後、適切な活性アッセイによって合理的に設計することができる。断片は、コバーシンと比べてC5(野生型若しくはC5の多型バリアント又はその両方)及び/又はLTB4に対するアフィニティが同等以上で示し得る。これらの断片は、コバーシンタンパク質の断片について上述したサイズのものであり得る。

0089

本発明に従って用いられる機能的等価物は融合タンパク質であってよく、それは、例えば異種タンパク質配列のためのコード配列にコバーシンタンパク質をフレームを合わせてコードするポリヌクレオチドクローニングによって得られる。「異種」という用語は、本明細書において用いられる場合、コバーシンタンパク質又はその機能的等価物以外の全てのポリペプチドを示すものとする。N末端又はC末端のいずれかの可溶性融合タンパク質に含まれ得る異種配列の例としては:膜結合型タンパク質細胞外ドメイン免疫グロブリン定常領域Fc領域)、多量体化ドメイン細胞外タンパク質のドメイン、シグナル配列、エクスポート配列、又はアフィニティクロマトグラフィーによる精製を可能にする配列等が挙げられる。これらの配列は、それらに融合するタンパク質の特異的生物活性を大きく低下させることなく追加の特性を付与するために融合タンパク質に一般的に含まれることから、これらの異種配列の多くは、発現プラスミド中に商業的に入手可能である[29]。このような追加の特性の例としては、体液内でより長く続く半減期細胞外局所化、あるいはヒスチジン、GST、FLAG、アビジン又はHAタグ等のタグによって可能となるより簡単な精製方法等が挙げられる。

0090

コバーシンタンパク質及びその機能的等価物は、宿主細胞における発現によって組換え形態で調製することができる。このような発現方法は、当業者によく知られており、[30]や[31]に詳述されている。コバーシンタンパク質及びその機能的等価物の組換え形態は、好ましくは非グリコシル化される。

0091

本発明のタンパク質及び断片は、タンパク質化学慣用的方法を用いて調製することもできる。例えばタンパク質断片は、化学合成によって調製することができる。融合タンパク質の生成方法は、本技術分野において標準的なものであり当業者によく知られている。例えば、一般的な分子生物学的、微生物学的組換えDNA技術及び免疫学的技法の多くは、[30]や[32]に見ることができる。

0092

投与方法
コバーシン及びその機能的等価物は、実施する投与のために医療専門家は必要ではなく、これらの分子は迅速に吸収される。多くの組換え抗体は非常に緩慢に吸収され、その結果、長期間にわたり注入(例えば静脈内に)する必要がある。したがって、このような分子の投与には医療専門家が必要である。それゆえ、C5多型を有する対象における補体経路の活性化の阻害においてより有効であるという利点があるだけではなく、コバーシンは、エクリズマブのような抗体等の他の薬剤よりも投与が容易であるという利点も有する。

0093

薬剤は治療上又は予防上有効な量で投与する。用語「治療上有効な量」とは、本明細書の他で定義するような、補体媒介性疾患又は障害を治療するのに必要な薬剤の量を意味する。本明細書で使用する用語「予防上有効な量」とは、本明細書の他で定義するような、補体媒介性疾患又は障害を予防するのに必要な薬剤の量を意味する。薬剤の用量は、対象内で可能な限り多くの利用可能なC5(より好ましくは利用可能なC5全て)と結合するのに十分であることが好ましい。あるいは、薬剤の用量は、対象内で可能な限り多くの利用可能なLTB4(より好ましくは利用可能なLTB4全て)と結合するのに十分なものであってもよい。いくつかの態様においては、薬剤の用量は、可能な限り多くの利用可能なC5及びLTB4(例えば、利用可能なC5及びLTB4の全て)と結合するのに十分である。供給する薬剤の用量は、対象内で利用可能なC5及び/又はLTB4の全てと結合するのに必要なモル用量の少なくとも1倍又は1.5倍又は2倍である。供給する薬剤の用量は、対象内で利用可能なC5及び/又はLTB4の全てと結合するのに必要なモル用量の、例えば約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍又は4倍とすることができる。用量は0.0001mg/kg(患者の質量に対する薬剤の質量)〜20mg/kgであることが好ましく、好ましくは0.001mg/kg〜10mg/kg、好ましくは0.01mg/kg〜2mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜1mg/kg;あるいは0.2mg/kg〜0.8mg/kg;あるいは0.3mg/kg〜0.7mg/kg;あるいは0.4mg/kg〜0.6mg/kg;例えば0.14mg/kg又は0.57mg/kgである。治療上又は予防上有効な量はさらに、終末補体の阻害の点で定義することもでき、例えば、終末補体活性(TCA)が、処置を行わない終末補体活性と比較して少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、91、92 ,93、94、95、96、97、98、99、100%低減することを意味する量である。用量及び頻度は、所望のレベルにおける終末補体活性を維持するように調整することができ、所望のレベルは例えば、処置を行わない終末補体活性と比較して10%又はそれ未満、例として9、8、7、6、5、4、3、2、1%又はそれ未満である。

0094

用量が与えられる場合、これは、そのタンパク質又はその機能的等価物である薬剤の用量に関する。これらのレベルを生じさせるために、核酸分子である薬剤のための適切な用量を使用することができる。

0095

終末補体活性は、当該技術分野で公知の標準的なアッセイ、例えばQuidel CH50溶血アッセイ及びヒツジ赤血球溶解アッセイにより測定することができる。

0096

その用量を投与するために必要な頻度は、関係する薬剤の半減期によって決まる。コバーシンタンパク質又はその機能的等価物は、持続注入やボーラス投与、あるいは1日1回、1日2回、あるいは2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、15日又は20日以上毎に1回で投与することができる。他で述べたように、コバーシンタンパク質及びその機能的等価物の具体的な利点は、投与することができる相対的容易性及び迅速性であり、投与に医療専門家が必要ないという事実である。

0097

単回又は複数用量を投与することができる。例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、又は8用量を投与することができる。単回用量が一実施形態である。正確な用量及び投与頻度は、投与時の患者の状態によって決定し得る。用量を決定する際に考慮し得る要素としては、治療又は予防の必要性、患者の疾病状態重症度、患者の健康状態年齢、体重、性別食事、投与期間及び投与頻度、薬物の併用、反応感度、及び治療に対する患者の忍容性又は反応が挙げられる。正確な量は、慣用的試験で決定することができるが、最終的には臨床医に判断する責任がある。

0098

投与レジメンはまた、最初の「負荷用量」の後に1つ以上の続く「維持用量」の形態をとることができる。一般的に、負荷用量は維持用量よりも大きい。負荷用量は、維持用量よりも2倍、5倍、10倍又はそれを超えて大きい場合がある。負荷用量は、単回用量として又は特定の時間枠内の1回以上の用量として投与されてもよい。典型的には、負荷用量は、24時間の一期間に投与される1回、2回、3回、4回又は5回用量である。維持用量は規則的な間隔で繰り返されるより低い用量であり得る。維持用量は、例えば3、4、6、8、12、24又は48時間ごとなどの間隔で繰り返され得る。正確なレジメンは、慣用的な実験によって決定することができるが、最終的には臨床医の判断に委ねられてもよい。維持用量は、初期負荷用量の少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90若しくは100%であってもよいし、又は初期負荷用量の最大20、30、40、50、60、70、80、90若しくは100%であってもよい。

0099

さらなる実施形態において、治療の過程の全体で(例えば毎日)同じ用量を使用する。

0100

負荷用量は0.0001mg/kg(患者の体重と比較した薬物の質量)から20mg/kgであってもよく、維持用量は0.0001mg/kgから20mg/kgの間であってもよく、あるいは負荷用量は0.001mg/kgから10mg/kgであり、維持用量は0.001mg/kgから10mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.01mg/kgから2mg/kgであり、維持用量は0.01mg/kgから2mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.1mg/kgから1mg/kgであり、維持用量は0.1mg/kgから1mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.1mg/kgから1mg/kgであり、維持用量は0.05mg/kgから0.5mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.2mg/kgから0.8mg/kgであり、維持用量は0.1mg/kgから0.4mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.3mg/kgから0.7mg/kgであり、維持用量は0.1mg/kgから0.3mg/kgであり、あるいは負荷用量は0.4mg/kgから0.6mg/kgであり、維持用量は0.1mg/kgから0.2mg/kgであり、例えば、負荷用量が0.57mg/kgであり、維持用量が0.14mg/kgである場合である。

0101

負荷用量は0.0001mg/kg(患者の体重と比較した薬物の質量)から20mg/kgであってもよく、維持用量は0.0001mg/kgから20mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.001mg/kgから10mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.01mg/kgから2mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.1mg/kgから1mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.1mg/kgから0.8mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.1mg/kgから0.6mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.1mg/kgから0.4mg/kgであってもよく、あるいは維持用量は0.1mg/kgから0.2mg/kgであってもよい。

0102

負荷用量は0.0001mg/kg(患者の体重と比較した薬物の質量)から20mg/kgであってもよく、維持用量は0.0001mg/kgから20mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.001mg/kgから10mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.01mg/kgから2mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.1mg/kgから1mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.1mg/kgから1mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.2mg/kgから0.8mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.3mg/kgから0.6mg/kgであってもよく、あるいは負荷用量は0.4mg/kgから0.6mg/kgであってもよい。薬剤は通常、薬学的に許容し得る担体と共に投与する。本明細書で使用する用語「薬学的に許容し得る担体」としては、担体自身が、毒性作用を誘発せず、また、医薬組成物を投与する個体に対して有害な抗体の産生を引き起こすことがないのであれば、遺伝子、ポリペプチド、抗体、リポソーム多糖類ポリ乳酸ポリグリコール酸、不活性ウイルス粒子が挙げられ、実際には他の如何なる剤も挙げられる。薬学的に許容し得る担体は更に、水、生理食塩水グリセロールエタノール等の液体、又は湿潤剤若しくは乳化剤等の補助物質、pH緩衝物質等を含むことができる。従って、用いる薬学的担体投与経路によって変わる。医薬組成物は担体によって、患者の摂取を助ける錠剤丸剤糖衣錠剤カプセル剤液剤ゲル剤シロップ剤スラリー剤、懸濁剤に製剤化することができる。薬学的に許容し得る担体に関する詳細な考察は[33]で得られる。

0103

薬剤は全身送達される。薬剤は非経口経路(例えば、皮下、腹腔内、静脈内若しくは筋肉内における注射、又は組織の間質腔への送達)によって送達することができる。その他の投与形態としては、経口及び肺内投与、坐剤を挙げることができる。

0104

好ましくは、薬剤は皮下注射によって送達される。いくつかの実施形態において、これは、例えば、0.0001mg/kg(患者の体重と比較した薬物の質量)から20mg/kgの間の初期負荷用量での1日1回の皮下注射、続いて0.0001mg/kgから20mg/kgの間の1日1回の維持用量、又は本明細書の他の箇所に開示されている他の用量を介して行われる。あるいは、薬剤は、隔日で皮下注射によって送達されてもよい。

0105

好ましい実施形態において、薬剤は、0.4mg/kg〜0.6mg/kg(例えば、0.57mg/kg)の初期負荷用量での1日1回の皮下注射、続いて0.1mg/kg〜0.2mg/kg(例えば、0.14mg/kg)の1日1回の維持用量を介して送達される。

0106

好ましくは、治療期間は、少なくとも6週間、例えば少なくとも7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50週、又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10ヶ月、又は少なくとも1、2、3年にわたり継続される。治療期間は、対象がもはや急性GVHDに罹患していないとみなされるまで、又は対象がもはや治療を必要としなくなるまで継続することが好ましい。したがって、治療期間は、少なくとも7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50週間、又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10カ月、又は少なくとも1、2、3年にわたる薬剤の投与(例えば毎日)であり得る。毎日の投与は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10週にわたり継続してもよい。投与の頻度は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10週後に、例えば2日に1回に、変更してもよい。

0107

維持用量(例えば、1日1回の維持用量)が治療期間を通じて一定のままであってもよい)又は維持用量(例えば、1日の維持用量)を治療期間の間に変更(例えば、増加又は減少)してもよい。維持用量は、所望のレベルで、例えば、治療の非存在下での前記患者由来の血清と比較して又は正常対照血清と比較して10%以下である所望のレベルで終末補体活性を維持するために変更することができる。その維持量又は各維持量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間にわたり毎日、継続してもよい。対象の症状が改善するにつれて、維持用量を減少させることができる。薬剤の量又は薬剤が投与される頻度は、対象の症状が改善するにつれて減少し得る。

0108

このようにして、初期負荷用量、それに続く上記のような維持用量であり得る初期維持用量(例えば、毎日の初期維持用量)、及び1以上のさらなる維持用量(例えば、毎日のさらなる維持用量)、例えば少なくとも2回、3回、4回、5回のさらなる維持用量とすることができる。

0109

したがって、本発明は、上記に定義した薬剤の初期負荷用量を全身投与し、次いで、上記で定義した薬剤の維持用量(例えば、毎日の維持用量)を全身投与することを含む、対象において急性GVHDを治療する方法をさらに含み、ここで初期維持用量及び1つ以上のさらなる維持用量が存在する。

0110

したがって、本発明は、対象において急性GVHDを治療する方法で使用するための、上で定義した薬剤をさらに含み、該方法は、上記で定義した薬剤の初期負荷用量を全身投与し、次いで、上記で定義した薬剤の維持用量(例えば、毎日の維持用量)を全身投与することを含み、ここで初期維持用量及び1つ以上のさらなる維持用量が存在する。

0111

1つ以上のさらなる維持用量は、対象(例えば、対象由来の生物学的サンプル)における終末補体活性を試験し、終末補体活性のレベルに基づいて対象のさらなる維持用量を決定すること、及び/又は対象の症状を試験し、対象の症状に基づいて対象のさらなる維持用量を決定すること、によって決定し得る。この方法は、場合により、さらなる維持用量を投与することをさらに含んでもよい。このさらなる用量は、所望のレベルで終末補体活性を維持するレベルとなるよう計算され得る。

0112

生物学的サンプルが採取される場合、これは血液、例えば全血又は血清サンプルであり得る。この方法は、場合によりサンプルを採取するステップをさらに含み、さらに場合によりサンプルのTCAを測定するステップを含んでもよい。

0113

1つ以上のさらなる維持用量は、対象(例えば、対象由来の生物学的サンプル)における終末補体活性を試験し、終末補体活性のレベルに基づいて前記対象のさらなる維持用量を決定すること、及び/又は対象の症状を試験し、対象の症状に基づいて前記対象のさらなる維持用量を決定すること、により決定し得る。この方法は、場合により、前記さらなる維持用量を投与することをさらに含んでもよい。このさらなる用量は、所望のレベルで終末補体活性を維持するレベルとなるよう計算され得る。

0114

特定の態様では、所望の補体活性レベルは、処置(治療)の非存在下のその対象からの血清と比較して又は正常対照血清と比較して10%以下である。

0115

特定の態様では、TCAが所望のレベルよりも高い場合、維持用量を増加させ、場合によりTCAが5、4、3、2、1%未満である場合、用量を維持又は減少させる。

0116

特定の態様では、症状が悪化する場合、維持用量を増加し、場合により症状が改善する場合、用量を維持又は減少させる。

0117

いくつかの実施形態では、治療を開始してから1ヶ月以内に、治療を開始してから2週間以内に、治療開始の1週間以内に対象を試験する。他の実施形態では、対象は、1日1回又は1日少なくとも1回、週1回又は週に少なくとも1回、2週間に1回又は2週間に少なくとも1回、1ヶ月に1回又は2ヶ月に1回試験される。

0118

好ましくは、負荷用量は、0.57mg/kg又は約0.57mg/kgのタンパク質又は機能的等価物であり、維持用量は、少なくとも0.15mg/kg(例えば、少なくとも0.2mg/kg、0.15〜0.6、0.2〜0.5又は0.25〜0.45mg/kg)であるか、又は最大0.13mg/kg(例えば、最大0.1mg/kg、0.05〜0.13、0.075〜0.1mg/kg)であり、場合により、(i)その維持用量が少なくとも2、3、4、5、6週間継続される、及び/又は(ii)処置(治療)が少なくとも6週間継続される、及び/又は(iii)処置(治療)が少なくとも3、4、5、6週間にわたり毎日継続される。

0119

好ましくは、負荷用量は、0.4〜0.6mg/kgのタンパク質又は機能的等価物であり、維持用量は、0.1〜0.2mg/kg(例えば、約0.14mg/kg)であり、(i)その維持用量が少なくとも2、3、4、5、6週間継続される、及び/又は(ii)処置(治療)が少なくとも6週間継続される、及び/又は(iii)処置(治療)が少なくとも3、4、5、6週間にわたり毎日継続される。

0120

本発明は、薬剤の全身投与に関する。これは、体全体が影響を受けるように、薬剤が循環系に存在することを意味する。これは、効果が一般的に局所的である局所投与とは対照的である。薬剤の全身的存在は、機能的に、例えば対象の血清中のTCAに基づいて、又は直接(例えば、ELISA若しくは質量分析によって)、決定することができる。

0121

薬剤は、単独で、あるいは急性GVHDを有する患者の治療又は予防において現在使用されている他の薬剤、例えばシクロスポリンA、メトトレキセートタクロリムス及びグルココルチコイド、例えばプレドニゾンの投与も伴う治療レジメンの一部として、投与されてもよい。薬剤は、単独で、あるいは急性GVHDの治療又は予防において現在使用されている1種以上の他の薬剤と共に、急性GVHDを生じる移植の前(例えば、移植の少なくとも1日前、又は1週間若しくは2週間前)に、移植と共に、又は移植の後(例えば、薬剤の最初の投与を、移植の最大1日又は1週間若しくは2週間後に、又は移植の1カ月若しくは2カ月後に、あるいは急性GVHDの診断の最大1日又は1週間若しくは2週間後に、又は1カ月若しくは2カ月後に行う)に少なくとも1回投与することができる。

0122

薬剤は、他の薬剤(複数可)と同時に、逐次的に又は別々に投与することができる。例えば、薬剤は、他の薬剤(複数可)の投与前又は投与後に投与することができる。

0123

以下、実施例によって本発明の種々の態様及び実施形態をより詳細に説明する。本発明の範囲から逸脱することなく細部を変更することができることは理解されよう。

0124

[実施例1]
症例報告
患者は4歳の少年で、最初に2013年に断続的な腹痛及び直腸出血を呈示し、続いて慢性肉芽腫性疾患と診断された。2013年10月に十分に一致したドナーから造血幹細胞骨髄置換術を受け、手術後にシクロスポリンとタクロリムスの投与を受けた。患者の経過は、下部消化管(GI)の出血により複雑で、移植片対宿主病(GVHD)の初期診断がなされた。その後、ADAMTS13活性は正常であり、抗体は検出されなかったが、重篤血小板減少を発症した。腎機能は正常のままであった。

0125

患者は最初にリツキシマブ及びインフリキシマブで治療したが、ほとんど改善はなかった。エクリズマブを2014年4月に開始したが、血小板レベルの改善はなく、新鮮血小板の2成人単位を毎日注入する必要があった。間欠的に下部消化管出血が続き、5月14日の上部消化管内視鏡検査では、粘膜の薄い斑状壊死を伴う進行性十二指腸炎及び胃炎が明らかになった。下部消化管内視鏡検査では脾臓屈曲部までタール様便を示していたが、明確な出血部位を特定することは不可能であった。さらに進めることは危険であると考えられ、手順は終了した。上部消化管生検組織学臨床所見を確認し、移植片対宿主病と一致すると考えられた。

0126

臨床経過
2014年5月下旬に、エクリズマブの完全な成人1回用量を毎週注入の2カ月後、臨床的改善が認められなかったため、遺伝子検査により患者がsArg885His多型を有することが明らかとなった。2014年5月29日に、Quidel CH50補体溶血アッセイとコバーシン及びエクリズマブの両方の増加用量によるスパイク(添加)を用いて、ロンドン大学(University College, London:UCL)のHaemostasis Research Unit(HRU)のVolution補体研究室で血清サンプルを試験した。正常被験者からプールした血清を対照として使用した。この結果を図3に示す。

0127

これは、既知の治療濃度であるc.15μg/mLでのコバーシンが、BJからの血清及び正常対照血清の両方における終末補体活性(TCA)を完全に除去したことを実証する。エクリズマブ50μg/mLは、正常対照血清中のTCAを除外したが、試験したいずれの濃度でもc. 80%を超えてTCAを阻害することはできなかった。エクリズマブ治療中に、血小板減少、直腸出血及び血清乳酸脱水素酵素(LDH)のc.900〜2000IU/Lの間での変動を含む継続的な臨床像があった。

0128

患者を治療するためにコバーシンについて責任医師からの要請があり、患者の両親との議論の後、制限されたコバーシンの供給が皮下注射で提供され、エクリズマブが中止された。

0129

当時利用可能な臨床グレードのコバーシンの量は極めて制限されており、コバーシンのPIa臨床試験残留物で構成されていた。議論の後、コバーシンの入手が制限されていたにもかかわらず、0.57mg/kgの除去用量で、その後はこれの25%の1日維持用量で、経験的根拠による治療を開始することに決定した。治療は2014年6月1日に開始され、初期臨床反応はバイタルサインの安定化と直腸出血の減少により促進されるようであった。コバーシンの7回の1日維持用量の後、可能な限り長くコバーシンの供給を節約するために、1日維持用量を隔日に配置することが決定されたが、治療開始時にはアッセイが開発中であり、正確なCH50アッセイは利用できなかった。コバーシン治療開始後34日目の7月4日までに、コバーシン前の期間と比較して臨床的改善があったものの、TCAの制御は完全ではないことが明らかであり、これはその後の遡及的CH50アッセイによって確認された。コバーシンの用量を増やす決定が下された。7月5日に0.57mg/kgの除去用量を追加投与し、その後6日後にコバーシンがなくなるまで、その25%の1日維持用量を再開した。

0130

図4は、信頼できるデータが入手可能になった時点からのCH50活性に対するコバーシンの効果を示し、図5は、4月1日から7月11日までのLDHに対するコバーシン及びエクリズマブの両方の効果を示す。7月11日のコバーシンの最後の投与の後、患者の臨床状態は急速に悪化し、24日後の8月4日に死亡した。

0131

4月1日から7月21日の間のLDH結果(図5)は、患者がエクリズマブを受けた期間の大部分において、終末補体活性が制御されず、赤血球及び血小板の両方の溶解が起こっていることを示している。6月1日にコバーシンが導入された後、LDHはc.1800から789IU/Lに減少した。反復用量を毎日から隔日に減らした後、LDHはおよそ1,000IU/Lのままであったが、以前の2ヶ月間のエクリズマブ治療の場合よりも変動は小さかった。1日1回のコバーシン治療が7月5日に再開され、LDHは再び688IU/Lに低下したが、6日後のコバーシンの中止後に再び上昇した。

0132

CH50データは、除去用量の25%でのコバーシンによる毎日の投与がTCAを制御することを示している。

0133

患者がコバーシンの投与を受けた58日間、薬剤に起因する有害事象は報告されず、注射部位反応もなかった。低力価の抗コバーシン抗体(IgG)が14日間の処置後に検出されたが、非中和性であった。

0134

議論
この症例は、非日系/中国系の人が、以前にこれらの民族グループでのみ記述された多型によって影響され得ることを示している(Nishimura, J et al., New Engl J. Med., 30;7: 632-639 (2014))。

0135

高い血清LDHは、TMA及び潜在性悪性腫瘍の早期指標であり、治療に対する応答の良好な指標である[34]。この症例では、正常なレベルに完全に戻ることはなかったが、コバーシンの十分な用量が与えられた2つの期間中に、赤血球及び血小板の破壊並びに粘膜損傷が減少したことが示唆されるということが明確に示された。対照的に、エクリズマブ治療の2カ月間に、LDHは一般に1000IH/Lを超えたままであり、非常に変動性があった。

0136

コバーシンは、2014年に通常のボランティアで皮下注射による単回用量第I相臨床試験を完了した。0.57mg/kgの用量で、薬剤は、投与後12時間で全被験者における補体溶血活性の全遮断を引き起こし、48時間で約50%の活性に戻った。

0137

方法−C5活性のインビトロ阻害
Quidel Microvue CH50 Eq酵素イムノアッセイ(cat#A018)は、ヒト血清中の全古典的経路活性のインビトロ測定のために使用される。http://www.quidel.com/sites/quidel.com/files/product/documents/a018_microvue_ch50_eq_english_1.pdf。

0138

このキットは、標準的な条件下での終末補体複合体(TCC)形成の直接的な尺度を提供する。キットを使用してCH50を測定するには、3つのステップがある。
1. TCCの形成をもたらす、未希釈の血清中の古典的補体経路の活性化。
2.血清の希釈、及びTCCを捕捉する抗体で被覆されたマイクロアッセイウェルへの添加。
3. 抗TCC西ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗体を用いた捕捉TCCの定量化

0139

基質添加時の色強度は、各反応に存在するTCCの濃度に比例する。キット標準曲線(各アッセイ中に決定される)を使用して、アッセイ結果ミリリットルあたりのCH50単位当量(CH50 U Eq/ml)で表す。

0140

キットの直線範囲は30〜310 CH50 U Eq/mlである。

0141

製造業者に従って、234個の個々のヒト試料から決定された正規性についてのカットオフは70 CH50 U Eq/mlである。

0142

試薬及び試料
試料調製: 血液をプレーングラス又はSSTバキュテナーチューブ(又は同等物)に回収し、1時間凝固させた後、1500gで10分間遠心分離して血清を調製した。血清を直ちに分離し(任意の血液細胞による汚染を避ける)、スクリューキャップクライオチューブ(約0.5mlアリコート)中で-70℃で保存した。

0143

コバーシン: -70℃で10.9mg/ml溶液凍結する。90μL正常対照又は患者血清中で10μLを希釈して、1.09mg/mLの最終濃度を得る。90μL自己血清中で10μLを希釈して、最終濃度を109μg/mLにする。自己血清中で2倍に希釈して、0.4〜54.5μg/mlの最終濃度範囲を達成する。

0144

エクリズマブ: 10mg/mlの凍結溶液。90μL正常対照又は患者の血清中で10μLを希釈して、1mg/mLの最終濃度を得る。90μL自己血清中で10μLを希釈して、100μg/mlの最終濃度を得る。自己血清中で2倍に希釈して、0.4〜50μg/mlの最終濃度範囲を達成する。

0145

緩衝液:リン酸緩衝生理食塩水(0.01Mリン酸緩衝液、0.0027M塩化カリウム、0.137M塩化ナトリウム、pH7.4)。

0146

コバーシン、エクリズマブ又は緩衝液(対照)を上記の手順に従って血清に添加(spike)し、ある範囲の最終濃度を達成する。次に、これらを、二連ウェルを用いて、Quidel CH50キットを使用してCH50等価活性についてアッセイする。

0147

キットで与えられる検量線からCH50値を算出し、C5阻害剤濃度に対する生CH50値としてプロットする。関連する緩衝液対照のCH50濃度のパーセンテージとして各C5阻害剤濃度でのCH50結果を算出し、阻害剤濃度に対してプロットする。

0148

別々の日に実験を繰り返し、各患者及び単一の正常対照において3回の測定を得る。これは、実験間の変動性の推定値を与える。

0149

6つの異なる正常対照について単一実験で別の日に実験を繰り返す。これは、対象の応答性間の推定値を与える(及び未知のC5突然変異体又は多型を有する可能性がある単一の対象を使用するリスクを回避する)。

0150

全血清に対する各薬剤の最大用量を添加し、次に、全血清中で2倍連続希釈を行った。1回の反復を各薬物の用量に使用した。

0151

連続希釈後、血清を活性化し、Quidel CH50キットの指示に従ってアッセイした。

0152

CH50 U Eq/mlをキット標準と比較して算出し、3つの血清試料及び2つの薬物処置のそれぞれについて薬物濃度に対してプロットした。これらはまた、関連する緩衝液のみの対照のCH50値のパーセンテージとしてプロットした。

実施例

0153

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