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課題・解決手段

本発明はマイクロ流体の分野に関し、特にマイクロ流体の液滴および液滴中粒子を検出し、液滴をソーティングする方法に関する。これらの方法は、液滴中の粒子の性質および活性定量化を可能にする。この目的のため、本発明は、適切に標識された粒子を含むマイクロ流体の液滴を提供する。本発明はまた、その液滴を、本発明の方法における使用に特に適したものにする性質を持つ、マイクロ流体デバイスおよびマイクロ流体システムを提供する。

概要

背景

液滴に基づくマイクロ流体は、高いスループットスクリーニングの応用において大きな可能性を持っている。単一の細胞の液滴への封入は、抗体などの細胞生成物のスクリーニングを非常に高いスループット(例えば1日に数十万に至る試料)で可能にする。例えば、個々の抗体分泌細胞(例えばハイブリドーマ細胞またはB細胞)を、酵素などの興味のある組換え薬剤の標的と共に、液滴中に封入できる。そして、酵素の蛍光発生基質の添加は、液滴が酵素活性阻害する、細胞が放出する抗体を含むことを明らかにし、これらの特異的なソーティングを促進する。しかしながら、多くのスクリーニングの応用において、組換え酵素ではなく別のレポーター細胞を(抗体分泌細胞に加えて)共封入する(co-encapsulate) ことは、非常に有用である。このレポーター細胞は、抗体の所望の効果(抗体のGタンパク質共役受容体(GPCR)への結合による細胞の経路刺激または阻害など)に際し、蛍光の信号を媒介できる(例えば、液滴中で容易に検出できるレポーター酵素発現;β−Galなど)。GPCRは、最もよく売れている薬剤の標的であり、全ての処方箋医薬品の約40%の標的である。

この種のスクリーニングの重要な工程は、両細胞型のホストとなる液滴の、場合により単一細胞ベルでの生成である。非決定論的な細胞封入はポアソン統計によって制限され、これは液滴当たり細胞数が有意にばらつくことを意味する。代替決定論的な手法が今日まで述べられてきたが、信頼性のある2つの異なる細胞型の共封入は、特に単一細胞レベルでは示されていない。それ故、2つの異なる細胞型の共封入を必要とする、単一細胞レベルでの細胞に基づくアッセイ薬剤スクリーニングにおいて必要とされるようなアッセイ;例えば抗体を分泌する一方のB細胞および細胞内標的に対する抗体の効果を示す他方のレポーター細胞)は、液滴中ではほとんど実行できない。これは、各液滴における細胞の占有率(抗体結合アッセイにおいて必要とされるような、細胞とビーズの制御された共封入を含む)をしっかりと制御できないという事実による。さらに、ビーズ(およびそれに結合する、蛍光標識されたあらゆる物体)は焦点面の外に、および/または(最も高い強度を有する)レーザースポットの中心の外に浮遊する可能性があるため、抗体結合の定量的な分析は困難である。

これらの制限を克服するため、発明者は新規なソーティングデバイスおよびソーティング方法を開発し、これらはあらゆる所望の液滴の占有率(抗体分泌細胞(または他のあらゆる「エフェクター細胞」)とレポーター細胞などの、2つの異なる細胞型の存在を含む)における、液滴の選定を可能にする。さらに、彼らはシステム、より具体的には液滴中の結合パートナーを標識する特定の手法を開発し、これは対象の物体が焦点面の外または最も強力なレーザースポットの外にある場合でさえ、定量的な結合アッセイを可能にする。まとめると、これは500億米ドルを超える年間売上高を有する市場である薬剤スクリーニングおよび抗体の発見において、多様な応用を有するはずである。

概要

本発明はマイクロ流体の分野に関し、特にマイクロ流体の液滴および液滴中の粒子を検出し、液滴をソーティングする方法に関する。これらの方法は、液滴中の粒子の性質および活性定量化を可能にする。この目的のため、本発明は、適切に標識された粒子を含むマイクロ流体の液滴を提供する。本発明はまた、その液滴を、本発明の方法における使用に特に適したものにする性質を持つ、マイクロ流体デバイスおよびマイクロ流体システムを提供する。

目的

本発明は、適切に標識された粒子を含むマイクロ流体の液滴を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

第一の検出可能な標識と会合している単一の第一の粒子、および第二の検出可能な標識と会合している潜在的な粒子の結合パートナーを含む、マイクロ流体の液滴であって、ここで第一の検出可能な標識の量が、既知であるか、かつ/または、さらなるマイクロ流体の液滴中に含まれる単一のさらなる粒子と会合している第一の検出可能な標識の量と実質的に同一であり、第一の検出可能な標識が第二の検出可能な標識と異なっており、さらなるマイクロ流体の液滴が、前記単一の第一の粒子を含む前記マイクロ流体の液滴をも含む多数のマイクロ流体の液滴に含まれる、マイクロ流体の液滴。

請求項2

第一の粒子が、潜在的な粒子の結合パートナーとの結合を介して、第二の標識と会合している、請求項1記載のマイクロ流体の液滴。

請求項3

第一の粒子およびさらなる粒子が、細胞ウイルスビーズタンパク質およびナノ粒子からなる群から選択される、請求項1または2に記載のマイクロ流体の液滴。

請求項4

潜在的な粒子の結合パートナーが、抗体、抗体誘導体抗体模倣物バクテリオファージmRNAポリペプチド複合体、mRNA−リボソーム−ポリペプチド複合体、細胞、ウイルス、ペプチド、タンパク質、核酸アプタマーおよび小分子からなる群から選択される、請求項3記載のマイクロ流体の液滴。

請求項5

マイクロ流体の液滴が、第三の検出可能な標識と会合している、(i)粒子に結合しない物質または(ii)潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子、をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載のマイクロ流体の液滴。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載のマイクロ流体の液滴中の、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの間の結合を定量化する方法であって、(i)第一の検出可能な標識の信号を測定する工程、(ii)第二の検出可能な標識の信号を測定する工程、および(iii)第一の検出可能な標識の信号を用いて、第二の検出可能な標識の信号を正規化する工程、を含み、ここで正規化された第二の検出可能な標識の信号が、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの間の結合の量を表す、方法。

請求項7

マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出する方法であって、(a)1以上の粒子を含むマイクロ流体の液滴を、検出点を備える検出チャンネル内に供給する工程、(b)マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内の少なくとも検出点において、抑える工程、(c)マイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも1つの粒子を、検出点において検出する工程、を含む方法。

請求項8

検出チャンネルの下流にある、ソーティングジャンクションを含むソーティングチャンネル内の粒子の検出に基づいて、マイクロ流体の液滴をソーティングする工程(d)をさらに含む、請求項7記載の方法。

請求項9

少なくとも20倍の拡大率対物レンズを用いる顕微鏡で、マイクロ流体の液滴の検出およびソーティングをモニターすることをさらに含む、請求項8記載の方法。

請求項10

ソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルが、検出チャンネルの検出点の下流かつソーティングジャンクションの上流で、ねじれ、または曲がっている、請求項8または9記載の方法。

請求項11

流体を、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流にある流入口を介して、ソーティングチャンネル内に注入し、それによって通過する液滴を制御し、ソーティングを促進することを、さらに含む、請求項8から10のいずれかに記載の方法。

請求項12

マイクロ流体の液滴が1以上の異なる粒子を含み、この粒子が異なる検出可能な標識(好ましくは蛍光標識)と会合している異なる細胞型の細胞であり、工程(c)においてこの細胞を検出可能な標識を介して検出し、工程(d)においてマイクロ流体の液滴を、異なる細胞型の少なくとも2つの異なる細胞(好ましくは2つの異なる単一細胞)を含むようにソーティングする、請求項8から11のいずれかに記載の方法。

請求項13

請求項8から12のいずれかに記載の方法を用いるソーティングによって作製されるマイクロ流体の液滴の集団であって、50%を超えるマイクロ流体の液滴が、少なくとも2つの型のそれぞれ単一の粒子を含む、集団。

請求項14

マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出し、検出点を備える検出チャンネルを含み、以下の1以上によって特徴付けられる、マイクロ流体デバイス:(a)デバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑える、または抑え得るように設計されていること、(b)デバイスが、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含み、ここでソーティングジャンクションと検出点との間の距離が500μmまたはそれ未満であり、好ましくは球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍未満であること、(c)デバイスが、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含み、ここでこのデバイスのソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルが、検出点の下流かつソーティングジャンクションの上流で、ねじれ、または曲がっていること、および/または、(d)デバイスが、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含み、ここでこのデバイスが、ソーティングジャンクションの上流に、ソーティングチャンネルに流体を注入するための1以上の流入口をさらに含むこと。

請求項15

請求項14記載のマイクロ流体デバイス、および検出チャンネル内のマイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも1つの粒子を、検出点において検出する検出手段、を含む、マイクロ流体システム

技術分野

0001

本発明は、マイクロ流体力学の分野に関し、特に、マイクロ流体の液滴および液滴中粒子を検出し、液滴をソーティングする方法に関する。これらの方法は、液滴中の粒子の性質および活性定量化を可能にする。この目的のため、本発明は、適切に標識された粒子を含むマイクロ流体の液滴を提供する。本発明はまた、その液滴を、本発明の方法における使用に特に適切なものとする性質を持つ、マイクロ流体デバイスおよびマイクロ流体システムを提供する。

背景技術

0002

液滴に基づくマイクロ流体は、高いスループットスクリーニングの応用において大きな可能性を持っている。単一の細胞の液滴への封入は、抗体などの細胞生成物のスクリーニングを非常に高いスループット(例えば1日に数十万に至る試料)で可能にする。例えば、個々の抗体分泌細胞(例えばハイブリドーマ細胞またはB細胞)を、酵素などの興味のある組換え薬剤の標的と共に、液滴中に封入できる。そして、酵素の蛍光発生基質の添加は、液滴が酵素活性阻害する、細胞が放出する抗体を含むことを明らかにし、これらの特異的なソーティングを促進する。しかしながら、多くのスクリーニングの応用において、組換え酵素ではなく別のレポーター細胞を(抗体分泌細胞に加えて)共封入する(co-encapsulate) ことは、非常に有用である。このレポーター細胞は、抗体の所望の効果(抗体のGタンパク質共役受容体(GPCR)への結合による細胞の経路刺激または阻害など)に際し、蛍光の信号を媒介できる(例えば、液滴中で容易に検出できるレポーター酵素発現;β−Galなど)。GPCRは、最もよく売れている薬剤の標的であり、全ての処方箋医薬品の約40%の標的である。

0003

この種のスクリーニングの重要な工程は、両細胞型のホストとなる液滴の、場合により単一細胞ベルでの生成である。非決定論的な細胞封入はポアソン統計によって制限され、これは液滴当たり細胞数が有意にばらつくことを意味する。代替決定論的な手法が今日まで述べられてきたが、信頼性のある2つの異なる細胞型の共封入は、特に単一細胞レベルでは示されていない。それ故、2つの異なる細胞型の共封入を必要とする、単一細胞レベルでの細胞に基づくアッセイ薬剤スクリーニングにおいて必要とされるようなアッセイ;例えば抗体を分泌する一方のB細胞および細胞内標的に対する抗体の効果を示す他方のレポーター細胞)は、液滴中ではほとんど実行できない。これは、各液滴における細胞の占有率(抗体結合アッセイにおいて必要とされるような、細胞とビーズの制御された共封入を含む)をしっかりと制御できないという事実による。さらに、ビーズ(およびそれに結合する、蛍光標識されたあらゆる物体)は焦点面の外に、および/または(最も高い強度を有する)レーザースポットの中心の外に浮遊する可能性があるため、抗体結合の定量的な分析は困難である。

0004

これらの制限を克服するため、発明者は新規なソーティングデバイスおよびソーティング方法を開発し、これらはあらゆる所望の液滴の占有率(抗体分泌細胞(または他のあらゆる「エフェクター細胞」)とレポーター細胞などの、2つの異なる細胞型の存在を含む)における、液滴の選定を可能にする。さらに、彼らはシステム、より具体的には液滴中の結合パートナーを標識する特定の手法を開発し、これは対象の物体が焦点面の外または最も強力なレーザースポットの外にある場合でさえ、定量的な結合アッセイを可能にする。まとめると、これは500億米ドルを超える年間売上高を有する市場である薬剤スクリーニングおよび抗体の発見において、多様な応用を有するはずである。

0005

第一の態様において、本発明は、第一の検出可能な標識と会合している単一の第一の粒子、および第二の検出可能な標識と会合している、潜在的な粒子の結合パートナーを含む、マイクロ流体の液滴に関し、ここで第一の検出可能な標識の量は、既知であるか、かつ/またはさらなるマイクロ流体の液滴中に含まれる単一のさらなる粒子と会合している、第一の検出可能な標識の量と実質的に同一である。

0006

第二の態様において、本発明は、第一の態様におけるマイクロ流体の液滴中の粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの結合を定量化する方法に関し、この方法は、
(i)第一の検出可能な標識の信号を測定する工程、
(ii)第二の検出可能な標識の信号を測定する工程、および
(iii)第一の検出可能な標識の信号を用いて、第二の検出可能な標識の信号を正規化する工程、
を含み、正規化された第二の検出可能な標識の信号は、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの結合の量を示す。

0007

第三の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出する方法に関し、この方法は、
(a)1以上の粒子を含むマイクロ流体の液滴を、検出点を含む検出チャンネル内に供給する工程、
(b)マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内の少なくとも検出点において抑える工程、および
(c)マイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも一つの粒子を、検出点において検出する工程、
を含む。

0008

第四の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴の集団に関し、ここで50%を超えるマイクロ流体の液滴が、少なくとも2種類の単一粒子、特に少なくとも2種類の細胞型の単一細胞(すなわち、それぞれ異なる細胞型の2つの単一細胞)をそれぞれ含む。

0009

第五の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑える、または抑えることができるように設計されることを特徴とする。

0010

第六の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクション(sorting junction)を備えるソーティングチャンネルを含むことを特徴とし、ここでソーティングジャンクションと検出点との距離は、500μmまたはそれ未満であり、好ましくは、球形でのマイクロ流体の液滴の直径の10倍未満である。

0011

第七の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含むことを特徴とし、ここでデバイスのソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルは、検出点の下流かつソーティングジャンクションの上流ねじれ、または曲がっている。

0012

第八の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含むことを特徴とし、ここでこのデバイスは、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流に、ソーティングチャンネルに流体注入するための、1以上の流入口をさらに含む。

0013

第九の態様において、本発明は、マイクロ流体システムに関し、これは;
第五、六、七および/または八の態様におけるマイクロ流体デバイス、および
検出チャンネル内のマイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも一つの粒子を、検出点において検出する検出手段、
を含む。

0014

第十の態様において、本発明は、本発明の方法における、本発明のマイクロ流体の液滴、マイクロ流体デバイスおよびマイクロ流体システムの使用に関する。

図面の簡単な説明

0015

2つの異なる細胞型の共封入。A)各細胞型の正確に一つの細胞のホストとなる液滴の能動的ソーティングを、蛍光色素染色によって達成できる。封入前に、各細胞型を異なる蛍光色素(例えば、カルセイン−AM−ブルーとカルセインレッド−オレンジ)で染色する。液滴の形成に続きダブルポジティブ蛍光信号を示す試料の誘電泳動ソーティング(dielectrophoretic sorting)を行う。これらの液滴にのみ、(緑色のチャンネルの内のアッセイの信号を用いて)下流のスクリーニング手法を適用し、これは外部でのインキュベーションおよび続く第二のマイクロ流体デバイスへの再注入によって開始される。B)単色(緑色)の染色を用いる、空の液滴(左)および占有された(occupied)液滴(右)の蛍光信号。C)両方のチャンネルにおいて蛍光信号を示す、ダブルポジティブな試料の蛍光信号(上部のピークと下部のピーク)。

0016

2つの異なる細胞型のホストとなる液滴の、ソーティングによる濃縮。ハイブリドーマ細胞を、カルセイン−AM(緑色のチャンネルにおいて可視)またはカルセイン−バイオレット(青色のチャンネルにおいて可視)のいずれかで染色した。次いで、各蛍光チャンネルにおいて1つのピークを示す液滴をソーティングし、第二のマイクロ流体チップ捕捉した。ソーティング後、両細胞型の細胞のホストとなる液滴(矢印で示す)の明らかな濃縮が観察できる。

0017

新規なソーティングチップの設計。液滴中に封入される粒子/細胞の蛍光を測定する際の感度を向上するため、従来のソーティングデバイスと比較して、いくつかの特徴を追加した。以前に記述された(真核細胞の培養に必要とされるような)100μmの液滴を扱うのに十分な大きさの液滴ソーターにおいて、検出点およびソーティングディバイダー(sorting divider)は、40倍の対物レンズを用いると、同じ視野内に適合しない(上図の内側の四角)。しかしながら、これ(下図)が新規に開発されたソーティングチップの場合である。非常にコンパクトな設計を可能にするため、ソーティングの電極およびソーティングチャンネルを、検出チャンネルに対して45°傾けた。さらに、検出チャンネルを、この設計の残りのチャネルに比べて、狭く、かつ浅くした(下部、右側)。このように、液滴をy軸およびz軸において圧迫し、封入される粒子/細胞の空間的自由度を制限する。さらに、検出点とソーティングディバイダーとの間の追加の油の注入口は、液滴の軌道をソーティングジャンクションにおいて微調整することを可能にする。

0018

検出チャンネルおよびソーティングチャンネルを45°の角度で有する利点。通常のソーティングの配置(左)において、検出点(白)とソーティングジャンクションとの間の距離(d)は、高感度測定において必要とされるような高倍率を用いると、同じ視野内(四角)に適合しない。このため、信頼できるソーティングのために全てのソーティングのパラメータ(例えば、流速電気パルス音響パルスもしくは光パルス持続時間(duration)、またはバルブ開口時間)を調整することは非常に困難である。対照的に、ソーティングチャンネルを、検出点に対して角度を持って配置する(右)と、全ての関連する特徴が同じ視野内に適合する。距離d(黒線で示される)は、両方の場合において、同じであることを注記しておく。

0019

測定された蛍光強度に対する、液滴中の蛍光粒子の位置の影響。同数蛍光色素分子を含む蛍光粒子を用いる場合(例えば、結合した、緑色蛍光標識された抗体)でさえ、測定された蛍光信号はばらつき得る。例えば、粒子が焦点面の外側にあると(左上、2)、蛍光ピーク(右上)は焦点面内にある粒子(1)と比較して弱くなる。レーザーの焦点の中心の外側にある粒子(中段パネル)においても、同様のことが当てはまる。しかしながら、この問題をビーズ上の第二の蛍光色(例えば、オレンジ色の蛍光色素;下段のパネルにおいて、矢印および/または標識「b」によって示される)を用いて克服できる:個々の色は、液滴中のビーズの位置に依存して未だばらつくが、正規化した信号(例えば、緑/オレンジ)はばらつかない、または少なくともはるかに低い程度でばらつく。このように、結合した緑色の抗体の数を、液滴中のビーズの位置に依存せず、定量的に測定できる。

0020

蛍光信号の正規化。手法の実現可能性を示すため、細胞を、カルセイングリーンのみ、またはカルセインブルーのさらなる追加のどちらかで染色した。個々の蛍光チャンネルの信号(上図)を、互いに対してプロットすると(下図)、異なる集団が可視となる:緑色の色素でのみ染色された細胞はばらつきの大きい強度を示し、これは液滴中のそれらの任意の位置によって生じる(右、点線楕円)。しかしながら、二重染色された全ての細胞は直線上にあり(右、実線の楕円)、これはそれらの正規化された信号が、ほとんど同一であることを示す。

0021

Fluoresbriteビーズの信号の正規化。A/B)液滴中の6μmのFluoresbriteビーズは、単一の蛍光チャンネル(例えば、緑色(A)または青色(B)の範囲)のみを解析する(黒い矢印で示される)と、蛍光強度の非常に広い分布を示し、これは液滴中を自由に浮遊するビーズによる。C)緑色の信号を青色の信号で正規化すると、液滴中を浮遊するビーズの効果を最小化できる(白い矢印で示される)。

0022

本発明を詳述する前に、本発明は、本明細書に記述される特定の方法論プロトコルおよび試薬が様々であってよいように、これらに限定されないことが理解される。本明細書における専門用語は、特定の実施態様を記述する目的であるのみで、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は補正された特許請求の範囲のみによって限定されることも理解される。他に定義されない限り、本明細書における全ての技術的および科学的用語は当業者が一般的に理解するものと同じ意味を持つ。

0023

好ましくは、本明細書における用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerlandおよび"Encyclopedia of Microfluidics and Nanofluidics", Springer Reference, Volume 1に記述されるように、定義される。

0024

いくつかの文書を、本明細書の文章全体にわたって引用する。本明細書で引用する各文書(全ての特許、特許出願、科学文献、製造者仕様書説明書など)は、(上記または下記の)引用によってその全体を本明細書に組み入れる。本明細書において、先行発明においてその開示が先立っているため、本発明に権利を与えないことの承認として解釈されるものはない。

0025

下記において、本発明の要素を記述する。これらの要素を特定の実施態様に記載したが、これらを任意の様式および任意の数で組み合わせ、追加の実施態様を作り出し得ることが理解されるべきである。様々に記述された実施例および好ましい実施態様が、本発明を、明確に記述された実施態様のみに限定するように解釈されるべきではない。本明細書は多くの開示された、および/または好ましい要素を含む、明確に記述された実施態様を組み合わせた実施態様を支持し、包含するように理解されるべきである。さらに、本出願に記述される全ての要素の任意の並べ替えおよび組み合わせは、他に示す文脈がない限り、本出願の明細書によって開示されると考えるべきである。

0026

本明細書および下記の特許請求の範囲全体にわたって、他を必要とする文脈でない限り、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などの変化形は、規定された物もしくは工程または物もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の物もしくは工程または物もしくは工程の群の排除を意味しないことが理解される。本明細書および補正された特許請求の範囲において、単数形(「a」、「an」および「the」)は、内容に明らかな他の指示がない限り、複数の指示対象を含む。

0027

第一の態様において、本発明は、第一の検出可能な標識と会合している、単一の第一の粒子、および第二の検出可能な標識と会合している、潜在的な粒子の結合パートナーを含む、マイクロ流体の液滴に関し、ここで第一の検出可能な標識の量は、既知であるか、かつ/またはさらなるマイクロ流体の液滴中に含まれる単一のさらなる粒子と会合している、第一の検出可能な標識の量と実質的に同一である。
好ましくは、第二の検出可能な標識の量は、既知であるか、かつ/または全ての潜在的な粒子の結合パートナーと実質的に同一である。

0028

用語「マイクロ流体の液滴」は、水性液体を封入する、一定のサイズの水性のマイクロコンパートメント(microcompartment)を指す。マイクロ流体の液滴のサイズは普通、球形の場合の液滴の直径として表現される。直径は、一般的に20ないし400μmであり、好ましくは30ないし350μm、40ないし300μm、40ないし250μm、40ないし200μm、または40ないし100μmである(ここで、それぞれのより狭い範囲は、前記のより広い範囲よりも好ましく、「ないし(between)」は言及した値を包含する)。好ましい実施態様において、マイクロ流体の液滴の直径は、液滴中の最大の粒子(例えば、第一の粒子またはさらなる粒子)の直径の2ないし20倍、好ましくは3ないし18倍、4ないし16倍、5ないし14倍、または6ないし12倍(ここで、それぞれのより狭い範囲は、前記のより広い範囲よりも好ましく、「ないし」は言及した値を包含する)である。好ましくは液滴の直径は、上記の絶対的および相対的パラメータの両方で定義される。例えば、直径は、
(i)20ないし400μm、30ないし350μm、40ないし300μm、40ないし250μm、40ないし200μm、または40ないし100μmであり、かつ、液滴中の最大の粒子(例えば、第一の粒子またはさらなる粒子)の直径の2ないし20倍、
(ii)20ないし400μm、30ないし350μm、40ないし300μm、40ないし250μm、40ないし200μm、または40ないし100μmであり、かつ、液滴中の最大の粒子(例えば、第一の粒子またはさらなる粒子)の直径の4ないし16倍、または
(iii)20ないし400μm、30ないし350μm、40ないし300μm、40ないし250μm、40ないし200μm、または40ないし100μmであり、かつ、液滴中の最大の粒子(例えば、第一の粒子またはさらなる粒子)の直径の6ないし12倍、
である。

0029

あるいは、マイクロ流体の液滴のサイズをまた、体積で定義してもよい。例えば、マイクロ流体の液滴のサイズは普通、1マイクロリットル(μl)未満である。好ましくは、それは、500ナノリットル(nl)未満、250nl未満、150nl未満、100nl未満、または50nl未満である。好ましい実施態様において、それは0.05ないし150nl、好ましくは0.05ないし125nl、0.05ないし100nl、0.05ないし80nl、または0.05ないし4nlである(ここで、それぞれのより狭い範囲は、前記のより広い範囲よりも好ましく、「ないし」は言及した値を包含する)。

0030

非常に多様な区画化またはマイクロ封入の手法が利用でき(Benita, S., Ed. (1996). Microencapsulation: methodsand industrial applications. Drugs and pharmaceutical sciences. Edited by Swarbrick, J. New York: Marcel Dekker)、本発明に用いるマイクロ流体の液滴を作製するのに用いてもよい。実際、200以上の区画化またはマイクロカプセル化の方法が、文献において同定されてきた(Finch, C. A. (1993) Encapsulation and controlled release. Spec. Publ.-R. Soc. Chem. 138, 35)。これらは、脂質小胞リポソーム)などの膜で覆われた水性の小胞(New, R. R. C., Ed. (1990). Liposomes: a practical approach. The practical approach series. Edited by Rickwood, D. & Hames, B. D. Oxford: Oxford University Press)および非イオン性界面活性剤の小胞(van Hal, D. A., Bouwstra, J. A. & Junginger, H. E. (1996). Nonionic surfactant vesicles containing estradiol for topical application. In Microencapsulation: methods and industrial applications (Benita, S., ed.), pp. 329-347. Marcel Dekker, New York.)を含む。好ましくは、本発明のマイクロコンパートメントは、エマルジョン(一方の相が、他方の相中において、顕微鏡レベルの大きさの液滴として分散する、2つの混ざらない液相の不均一系)から形成される(Becher, P. (1957) Emulsions: theory and practice. Reinhold, New York; Sherman, P. (1968) Emulsion science. Academic Press, London; Lissant, K.J., ed Emulsions and emulsion technology. Surfactant Science New York: Marcel Dekker, 1974; Lissant, K.J., ed. Emulsions and emulsion technology. Surfactant Science New York: Marcel Dekker, 1984)。エマルジョンを、混ざらない液体の任意の適切な組み合わせから生成してよい。好ましくは、本発明のエマルジョンは、液滴の形状で存在する相として(粒子および他の構成要素を含む)水を含み、これらの液滴を懸濁する周囲のマトリックスとして、疎水的で混ざらない液体(好ましくは、油)を含む。このようなエマルジョンを「油中水型」と名付ける。これは、水相を別々の液滴に区画化するという利点を有する。外部の相(好ましくは、疎水的な油)は、一般的に不活性である。このエマルジョンを、1以上の界面活性剤の添加によって、安定化してもよい。これらの界面活性剤は、水/油界面で作用し、相の分離を妨げる(または、少なくとも遅らせる)。多くの油および多くの乳化剤を、油中水型のエマルジョンの生成に使用できる;最近の編集物は、16,000を超える界面活性剤を記載し、それらの多くは乳化剤として使用される(Ash, M. and Ash, I. (1993) Handbook of industrial surfactants. Gower, Aldershot)。適切な油を以下に記載する。

0031

好ましくは、水性のマイクロコンパートメントを、マイクロ流体システム中で作成し、処理し、および/または制御する。この技術は、微細加工チャンネルを通る連続的な液体流の操作に基づく。液体流の作動を、外部の圧力源、外部の機械式ポンプもしくは集積化した機械式マイクロポンプ、または毛管力動電学機構の組み合わせのいずれかによって、実行する。連続流システムにおける工程をモニターする機能を、ナノリットルの範囲に至る解像度を提供する、MEMS技術に基づく高感度なマイクロ流体の流量センサーを用いて、達成できる。

0032

マイクロ流体デバイスは、典型的に、少量の試薬を特定の順序で注入でき、指定の時間、混合およびインキュベートできる、直径およそ十から数百マイクロメートルのチャンネルのネットワークからなる。アッセイを、(チャンネルの特定の範囲を挟む)バルブまたは二相のマイクロ流体を用いて独立したコンパートメントを作成することにより、高度に並列化してもよく、混ざらない油の相によって囲まれた水相の液滴は、密閉容器として働く。これらの手法は、アッセイの体積の劇的な減少(ピコ〜ナノリットル)、および大きく改善されたスループットを可能にする。例えば、液滴を1秒当たり1,000個を超える速度で生成できる。さらに、同様の速度での液滴の分割、融合およびソーティングのためのマイクロ流体のモジュールを開発し、従ってこれは、古典的な卓上の手法を模倣する操作のレパートリーを提供する。

0033

(本明細書の全ての態様に適用する)より好ましい実施態様において、デバイス、特にチャンネルは、真核生物を含む液滴を扱うのに十分な大きさである。言い換えると、デバイス、特にチャンネルは、本明細書で記述するサイズの液滴(特に100μmの液滴)を扱うのに十分な大きさである。
したがって、本明細書で記述するマイクロコンパートメントはまた、「マイクロ流体の液滴」(例えば、油中水型のエマルジョン)と呼ばれる(Schaerli and Hollfelder, The potential of microfluidic water-in-oil droplets in experimental biology. Mol Biosyst (2009) vol. 5 (12) pp. 1392-404)。

0034

「混ざらない液体」は、好ましくは疎水的な液体であり、好ましくは油である。油の相は、マイクロコンパートメントが癒着に対して安定であることを可能にし、水に近い粘度を有し、および/または、それらに含まれる生物学的な試薬に対して不活性であるべきである。数種の油を用いてもよい。低粘度のシリコンの油は膨張する。ポリジメチルシロキサンは、PDMSまたはジメチコンとも呼ばれる。PDMSは、マイクロ流体チップの製造に広く用いられるポリマーであり、これは鉱物有機(mineral-organic)ポリマー(炭素およびシロキサンファミリーケイ素を含む構造)であり、膨張が起こると、マイクロ流体のチャンネルの断面の寸法を変え、マイクロ流体デバイスの流動性に影響を与え得る。シリコン油を、ガラスで製造されたマイクロ流体デバイスに用いてもよく、ガラスはこれらの油に浸透しない。高粘度のシリコン油を、それらをマイクロチャンネルを通してポンプ(pump)するために必要な、圧力の著しい増加を犠牲にして、最小限の膨張を備えるPDMSデバイスに用いてもよい。炭化水素油は様々な粘度で得ることができ、油中水型のエマルジョンを安定化できるそれらの多数の市販された界面活性剤があるという利点を持つ。しかしながら、それらはまた、PDMSを膨張させ、封入された有機試薬の不十分な保持を示す傾向があり、これは大抵、これらの油に部分的に可溶性である。本発明の方法に用いるのに好ましい油はフッ化水素油(またはフッ素化油)であり、これは、これらの油が低粘度型でさえ、PDMSを膨張させないためである。さらに、これらは液滴中の試薬の優れた保持を示す傾向があり、気体に対する高い溶解性を有し、このことは、細胞呼吸を乱さないように酸素および二酸化炭素がマイクロコンパートメントの内外受動的拡散することを可能にする。これは、細胞が、フッ化水素油のエマルジョン中で、封入後何時間も生存することを可能にする。しかしながら、フッ化水素油の不便な点は、シリコン油および炭化水素油と比較して普及率がはるかに低いため、フッ化水素中水型のエマルジョンを安定化するための市販の界面活性剤がほとんどないことである。界面活性剤は、油−水界面の表面張力を減少させ、液滴の癒着を最小化するのに有用である。どの界面活性剤を用いるかの選択はまた、マイクロコンパートメント間の試薬の移行を制限するのに重要である。液滴に基づくマイクロ流体における界面活性剤の包括的な総説が、Baret (2012 Lab Chip 12, 422)において、与えられている。液滴に基づくマイクロ流体において利用する界面活性剤は、通常、親水性の頭部と疎水性尾部からなる。これらの分子両親媒性の特徴は、これらが液滴の油−水界面において会合することを可能にし、これによって、その表面張力が減少し、安定性が増す。界面活性剤の頭部の化学的性質は、液滴界面の生体適合性に影響を与える。非イオン性の頭部を持つ界面活性剤が好ましく、これはこの界面活性剤が、タンパク質やDNAなどの高分子の液滴界面への吸着を最小化し、本発明の方法に与える影響を最小限にするためである。研究室で容易に合成できる適切なフッ素系界面活性剤が当分野で知られており、例えば、Clausell-Tormos J et al 2008 Chem. Biol. 15, 427-37またはSadtler et al. 1996 Angew. Chem. Int. Edn Engl. 35, 1976-8に記述されている。水相への添加物はまた、液滴中の小分子の保持を向上し、油−水界面での吸着を最小化することによって生体適合性を増強し得る。当分野で知られている、選択された組合せの性質は容易に特徴付けられる(Kaltenbach et al. 2012 Lab Chip 12, 4185)ため、種々の油を混合し、特定の応用および方法においてエマルジョンの性質を最適化してもよい。

0035

用語「粒子」は、マイクロ流体の液滴中に適合するように十分小さい任意の物体を指し、粒子は本明細書で定義される検出可能な標識で標識できる。好ましくは、粒子は、細胞、ビーズ、ウイルス、タンパク質およびナノ粒子からなる群から選択される。細胞は、任意の原核細胞または真核細胞でよい。好ましくは、細胞は、例えば酵母細胞植物細胞または動物細胞などの、真核細胞である。動物細胞は、昆虫線虫および哺乳類細胞を含む。より好ましくは、それは、例えば、マウスラットサルまたはヒト細胞などの哺乳類細胞である。例えば、それは、(例えば、組織由来の)不均質細胞集団ランダムな細胞でもよく、または、FACSなどによって選定された、具体的に選定された細胞でもよい。また、それは例えば初代細胞などの、細胞株または均質培養物由来の細胞でもよく、ここで「初代」は組織または生物から直接抽出されたことを意味し、無制限に分裂するなど、性質を変える操作をしないことを意味する。細胞の他の例は、前駆細胞(developingcell)、幹細胞またはがん細胞である。細胞の好ましい例は、抗体産生細胞(例えば、B細胞またはハイブリドーマ細胞)およびレポーター細胞であり、例えば、レポーター細胞上の、抗体産生細胞によって生成した抗体の効果(例えば受容体、好ましくはGタンパク質共役受容体、の活性化または阻害)を、好ましくは蛍光によって、シグナル伝達する。

0036

「ビーズ」(「マイクロビーズ」とも呼ばれる)は、最大で1マイクロメートル、好ましくは0.5μm〜500μmの直径で、細胞、抗体を含むタンパク質および/または核酸ならびに後述の検出可能な標識などの生物学的実体が結合または共役できる表面を有する、均一なポリマー粒子である。本明細書におけるビーズは、普通、ポリエチレンビーズもしくはポリスチレンビーズまたはゲルマトリックスで作成したビーズであり、例えば、タンパク質/ペプチド抗原、例えば細胞性抗原(例えば細胞表面抗原)で被覆されている。

0038

本明細書における用語「タンパク質」は、別の分析物ならびに特に、他のタンパク質、DNA、RNA、脂質、代謝物ホルモンケモカインおよび小分子を含む他の生体分子相互作用し得る、特定の二次構造および三次構造を持つポリペプチドを指す。タンパク質は、天然(すなわち、人によって改変されていない)タンパク質または組換えタンパク質でよい。好ましくは、抗体など上記で定義されるタンパク質以外で、タンパク質は細胞表面にディスプレイされる分子、受容体または受容体のリガンドである。

0039

本明細書における用語「ナノ粒子」は、約1〜1000nm、好ましくは1〜100nmの直径を持つ粒子を指す。ナノ粒子の構成要素は、金、銀、銅、アルミニウムニッケルパラジウム白金、それらの合金などの金属、CdSe、CdS、InAsInPもしくはそれらのコアシェル構造などの半導体物質、または、有機ポリマー、脂質、糖もしくは他の有機物質(例えば、ポリスチレンラテックスアクリル酸またはポリペプチド)から作られた粒子などの有機粒子を含んでもよい。そのような有機粒子は、場合により、いくつかの無機物質を含んでもよく;しかしながら、無機物質の含量は、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、または1%未満である。

0040

用語「第一の粒子」は、単に、マイクロ流体の液滴中に含まれる粒子を指す。「第一の」は、第一の粒子を参照することによって明確に定義されない限り、それ自身は何らかの性質を記述せず、または何らかの性質と関連づけられない;この用語は単に、ある粒子をさらなる粒子と区別する用語である。

0041

用語「さらなる粒子」は、第一の粒子と同一または異なり得る別の粒子を指し、この粒子はさらなるマイクロ流体の液滴中、好ましくは第一の態様のマイクロ流体の液滴として定義されるマイクロ流体の液滴中に含まれ、ここで好ましくは、第一の液滴とさらなる液滴の、粒子または潜在的な粒子の結合パートナーは異なる。用語「さらなる粒子」は「さらなる粒子(群)(further particle(s))」としても理解され得、すなわちこの用語は、1以上のさらなる粒子に関し、この粒子は1以上のさらなるマイクロ流体の液滴中に含まれる。

0042

用語「会合する」は、直接的または間接的な相互作用による、非ランダム空間的近接を指す。本明細書において、この相互作用は、検出可能な第一および第二の標識について下記で定義される直接的もしくは間接的な結合、または粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの間の結合である。この用語はまた、例えば粒子が細胞である場合に、検出可能な標識が粒子中に含まれ得る(例えば、粒子内部に位置する)ことを意味し得る。

0043

本明細書における用語「検出可能な標識」(または「マーカー」もしくは「タグ」)は、別の物質または物質の複合体(特に、本明細書で定義される粒子または潜在的な粒子の結合パートナー)の存在を、それに会合した場合に、示すことができる、任意の種類の物質を指す。検出可能な標識は、検出される物質と連結した物質、または検出される物質中に導入もしくは包含された物質であってもよい。好ましくは、検出可能な標識は検出に、かつ場合により定量化にも、適しており、例えば検出可能な標識は、検出可能および好ましくは測定可能な信号、好ましくは光の信号を発する。適切な標識の例は、色素、蛍光色素分子、蛍光ナノ粒子(例えば量子ドットまたはリピドット(lipidot))、発色団放射性標識金属コロイド、酵素(例えば、アルカリホスファターゼルシフェラーゼβ−ガラクトシダーゼまたは西ワサビペルオキシダーゼ)、化学発光分子または生物発光分子を含む。本発明において、適切な検出可能な標識は好ましくはタンパク質タグであり、そのペプチド配列は組換えタンパク質内または上に遺伝子組換え的に移植される。タンパク質タグは好ましくは蛍光タグである。蛍光タグを用いて、タンパク質の視覚的な読み出しを与える。GFPおよびその変異体(例えば、異なる蛍光スペクトルを有するGFP変異体)ならびにRFPおよびその変異体(例えば、異なる蛍光スペクトルを有するRFP変異体)は、最も一般的に用いられる蛍光タグである。より進歩したGFP/RFPの適用は、それをフォールディングレポーターフォールドすれば蛍光性、しなければ無色)として用いることを含む。蛍光色素分子のさらなる例は、フルオレセインローダミンおよびスルホインドシアニン色素Cy5を含む。

0044

用語「第一の検出可能な標識」は、上記で定義した第一の粒子と常に、場合によりさらなる粒子と会合している、検出可能な標識を指す。第一の粒子と、場合によりさらなる粒子と会合している第一の検出可能な標識の量は、既知であってもよい。この標識が第一の粒子のみと会合している場合(すなわち、さらなる粒子がない場合)、その量は既知である。しかしながら、第一の粒子と会合している第一の検出可能な標識の量は既知である必要はない。この場合、第一の標識はまた、上記で定義したさらなる粒子とも会合しており(すなわち、同種の標識(単一の第一の標識分子が第一の粒子およびさらなる粒子のそれぞれに結合するという意味での同じ分子ではない))、ここで第一の粒子と会合している第一の標識の量は、さらなる粒子(実際には、全てのさらなる粒子)と会合している第一の標識の量と実質的に同一である。第一の粒子と、場合によりさらなる粒子と会合している第一の検出可能な標識の量は、0ではない。

0045

好ましくは、第一の検出可能な標識は、第二の検出可能な標識と異なる。特に、検出可能な第一および第二の標識が色素(特に蛍光色素)である場合、それらは色(すなわち蛍光波長)が異なる。

0046

好ましい実施態様において、第一の粒子と第一の標識との会合は、直接的な結合またはリンカーを介する間接的な結合による。「直接的な結合」は非共有結合でもよいが、好ましくは、中間にさらなる分子を含まない、第一の検出可能な標識と第一の粒子との共有結合である。「間接的な結合」は、好ましくは、中間にさらなる分子を含む(すなわちリンカーを含む)、第一の検出可能な標識と第一の粒子との非共有結合(例えば、ビオチンストレプトアビジン相互作用を介する)または共有結合である。

0047

用語「第二の検出可能な標識」は、潜在的な粒子の結合パートナーと常に会合している検出可能な標識を指す。好ましい実施態様において、潜在的な粒子の結合パートナーと第二の標識との会合は、直接的な結合またはリンカーを介する間接的な結合による。「直接的な結合」は、好ましくは、中間にさらなる分子を含まない、第二の検出可能な標識と潜在的な粒子の結合パートナーとの共有結合または非共有結合である。「間接的な結合」は、好ましくは、中間にさらなる分子を含む(すなわちリンカーを含む)、第二の検出可能な標識と潜在的な粒子の結合パートナーとの非共有結合または共有結合である。さらに、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーが結合するか否かに依存して、第二の検出可能な標識はまた、第一の粒子と会合する、または会合しない。好ましい実施態様において、第一の粒子と第二の標識との会合は、潜在的な粒子の結合パートナーを介する間接的な結合による。このため、その粒子と第二の標識との間の会合は、潜在的な粒子の結合パートナーがその粒子と結合するか否かに依存し、その粒子と会合する第二の標識の量は、潜在的な粒子の結合パートナーのその粒子への親和性および、その粒子に2以上の結合部位がある場合、結合部位の数に依存する。好ましくは、潜在的な粒子の結合パートナーとその粒子との間の結合は、非共有結合(例えば静電相互作用疎水性相互作用水素結合および/またはファンデルワールス力)による。好ましい実施態様において、潜在的な粒子の結合パートナーとその粒子との間の結合は特異的である。本明細書における「特異的な結合」は、例えば特異的に結合しない種々の粒子または潜在的な結合パートナーが存在する状況において、結合パートナー(例えば、潜在的な粒子の結合パートナーまたは粒子)の存在が確定的な結合反応を指す。一般的に、「特異的に結合する」は、好ましくは室温または細胞を維持するのに適した温度(34〜40℃、35〜39℃、36〜38℃など、または好ましくは約37℃)における、約10−5M未満(例えば、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M未満)の平衡解離定数KDを指す。平衡解離定数を測定する方法は当分野でよく知られている。好ましい方法では、BiaCore(登録商標)システムを用いる。

0048

好ましい実施態様において、第一の粒子と会合している第二の標識の量は、さらなる粒子と会合している第二の標識の量と実質的に異なってもよく、ここで「てもよい」は、これが必ずしもそうではないことを意味する。関連する実施態様において、それは実質的に異なる。好ましくは、両者は、第一の粒子および/またはさらなる粒子と会合している第二の標識の量が0である可能性を含む。この場合、潜在的な粒子の結合パートナーと粒子との間の結合はないが、マイクロ流体の液滴は潜在的な粒子の結合パートナーおよび第二の検出可能な標識を未だ含む。「実質的に異なる」は、本明細書で定義される実質的に同一ではないことを意味する。

0049

一般的に、このアイデアは、潜在的な粒子の結合パートナーと第一の粒子との結合(好ましくは結合の量)を分析できるということである。これは、全ての結合パートナーが同一であり、粒子が異なる(粒子の検定/スクリーニング)実施態様および粒子が同一であり、潜在的な結合パートナーが異なる(粒子の結合パートナーの検定/スクリーニング)実施態様を含む。したがって、前者の実施態様において、第一の粒子における潜在的な粒子の結合パートナーとさらなる粒子における潜在的な粒子の結合パートナーは同一であり;後者の実施態様において、第一の粒子とさらなる粒子は同一であることが想定される。

0050

用語「潜在的な粒子の結合パートナー」は、任意の種類の結合パートナーを指し、ここで「潜在的な」は、粒子の結合パートナーが同一のマイクロ流体の液滴中の粒子と結合し得、またはし得ないことを意味する。好ましくは、粒子の結合パートナーは、抗体、抗体誘導体抗体模倣物バクテリオファージmRNAポリペプチド複合体、mRNA−リボソーム−ポリペプチド複合体、細胞、ウイルス、ペプチド、タンパク質、核酸、アプタマーおよび小分子からなる群から選択される。

0051

用語「抗体」は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方(すなわち、抗原またはハプテンを認識できる任意の免疫グロブリンタンパク質またはその一部)を指す。代表的な抗体は、IgAIgDIgEIgGIgMIgYまたはIgWである。特別な実施態様において、抗体を、同じマイクロ流体の液滴中の抗体産生細胞(例えば、B細胞またはハイブリドーマ細胞)によって産生する。

0052

本明細書における用語「抗体誘導体」は、少なくとも一つの抗体可変領域を含み、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、IgYまたはIgWなどの抗体の全体構造を有さないが、未だ標的分子と結合できる、分子を指す。前記誘導体は、限定されないが、Fab、Fab2、scFv、Fvまたはそれらの部分などの機能性(すなわち、標的結合性、特に特異的な標的結合性)抗体断片、またはナノボディ二重特異性抗体ミニボディラクダ科単一ドメイン抗体単一ドメインまたは、可変領域の重鎖および軽鎖ドメイン(Fd、VラムダおよびVカッパを含むVL、VH、VHHなど)である、Fabフラグメントなどの免疫グロブリンの他の誘導体または組合せ、および少なくとも2つのループ構造で連結する、免疫グロブリンドメインの2つのβ−ストランドからなるミニドメインであってもよい。好ましくは、抗体誘導体は一価である。さらに好ましくは、この誘導体は、単鎖の抗体であり、最も好ましくは、VL−ペプチドリンカー−VHまたはVH−ペプチドリンカー−VLの構造を持つ。

0053

この点において、用語「ペプチドリンカー」は、1ないし100アミノ酸ペプチド鎖を指す。好ましい実施態様において、ペプチドリンカーは、最小で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施態様において、本発明のペプチドリンカーは、最大で100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21または20アミノ酸の長さを有する。好ましい範囲は、5〜25および10〜20アミノ酸の長さである。ペプチドリンカーは、柔軟性のあるペプチドリンカー(すなわち、共に連結するドメイン間に柔軟性を提供する)であることが好ましい。このような柔軟性は、アミノ酸が小さく、アミノ酸側鎖の回転や屈曲を妨害するかさ高い側鎖を有さなければ、一般的に増大する。したがって、好ましくは、本発明のペプチドリンカーは、小さいアミノ酸(特に、グリシンアラニンセリンスレオニンロイシンおよびイソロイシン)の含量が高い。好ましくは、ペプチドリンカーのアミノ酸の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上が、小さなアミノ酸である。好ましい実施態様において、リンカーのアミノ酸はグリシンおよびセリンから選択される(すなわち、前記リンカーはポリグリシンまたはポリグリシン/セリンリンカーであり、ここで「ポリ」は、リンカー中の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または100%の比率のグリシンおよび/またはセリン残基を意味する)。特に好ましい実施態様において、本発明における上記で示された好ましい最小および最大の長さのペプチドリンカーを組み合わせてもよい。

0054

本明細書における用語「抗体模倣物」は、抗体のように抗原に特異的に結合できるが、抗体と構造的に関連しない、有機化合物を指す。それらは普通、約3〜20kDaの分子量の人工的なペプチドまたはタンパク質である。抗体模倣物の限定されない例は、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチンアンチカリンアビマー、DARPin、フィノマー、クニッツドメインペプチドモノボディプロテインAのZドメイン、ガンマクリスタリンユビキチンシスタチン、スルホロブス・アシドカルダリウス由来のSac7D、リポカリン膜受容体のドメイン、アンキリンリピートモチーフ(ankyrin repeat motive)、FynのSH3ドメイン、プロテアーゼ阻害剤クニッツドメイン、10番目フィブロネクチンIII型ドメイン、合成ヘテロ二価リガンドもしくは合成ヘテロ多価リガンド(Josan et al., Bioconjug Chem. 2011 22(7):1270-1278; Xu et al., PNAS 2012 109 (52) 21295-21300; Shallal et al., Bioconjug Chem. 2014 25(2) 393-405)または(例えば、(ランダムな)ペプチドライブラリー由来の)合成もしくは非合成のペプチドリガンドである。合成ペプチドリガンドは、特定の標的分子と結合する機能を持つ非天然に生じるアミノ酸配列を有する。本発明におけるペプチドリガンドは、一般的に、約50アミノ酸残基未満、好ましくは約40アミノ酸残基未満の、制限されたアミノ酸配列(例えば、βターンもしくはβシート(β pleated sheet)を引き起こすアミノ酸の存在、または例えばジスルフィド結合したCys残基の存在による環化などの、構造のいくつかの要素を有するものを含む)または制限されないアミノ酸配列(直鎖)である。約40または50アミノ酸残基未満のペプチドリガンドは、好ましくは約10ないし30アミノ酸残基のペプチドリガンドである。

0055

用語「バクテリオファージ」は、細菌に感染し、増殖するウイルスを指す。好ましい実施態様において、バクテリオファージは、バクテリオファージと異種(すなわち、外来)のペプチドまたはタンパク質をディスプレイし、本発明において、これは潜在的な粒子の結合パートナーである。この実施態様はファージディスプレイに基づき、これはバクテリオファージによってディスプレイされたペプチドまたはタンパク質との相互作用を研究する技術である。この技術において、対象のタンパク質をコードする遺伝子をファージコートタンパク質遺伝子中に挿入し、そのタンパク質の遺伝子を内部に含んだまま、ファージにその外側にタンパク質をディスプレイさせ、遺伝子型表現型との間の関連をもたらす。次に、ディスプレイされたペプチドまたはタンパク質と粒子との間の相互作用を検出するため、これらのディスプレイしたファージを粒子に対してスクリーニングできる。このように、ペプチドまたはタンパク質の大規模ライブラリーを、インビトロ(in vitro)の選定と呼ばれる方法でスクリーニングし、増幅できる。好ましいバクテリオファージはM13ファージ、fd繊維状ファージT4ファージ、T7ファージおよびラムダファージである。

0056

用語「mRNA−ポリペプチド複合体」は、mRNAディスプレイのための複合体を指す。mRNAディスプレイは、インビトロのタンパク質および/またはペプチド進化のために用いられるディスプレイ技術であり、所望の標的に結合できる分子を作り出す。この方法は、翻訳されたペプチドまたはタンパク質をもたらし、これらはピューロマイシン結合を介してそれらのmRNA前駆体と会合する。次にこの複合体を、選定の工程において、固定化された標的に結合させる。そして、よく結合するmRNA−タンパク質融合物を、cDNA逆転写し、それらの配列をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅する。この結果は、対象の分子に高い親和性を持つペプチドをコードする核酸配列をもたらす。Lipovsek and Pluckthun, Journal of Immunological Methods290 (2004) 51 - 67も参照。

0057

用語「mRNA−リボソーム−ポリペプチド複合体」は、リボソームディスプレイのための複合体を指す。リボソームディスプレイは、インビトロのタンパク質進化を行うために用いる技術であり、所望のリガンドに結合できるタンパク質を作り出す。この方法は、選定の工程において固定化されたリガンドに結合する複合体として用いたmRNA前駆体と会合している、その翻訳されたタンパク質をもたらす。そして、よく結合するmRNA−タンパク質複合型を、cDNAへ逆転写し、それらの配列をPCRで増幅する。この最終的な結果として、強く結合するタンパク質を作り出すために用いることができる、核酸配列をもたらす。Lipovsek and Pluckthun, Journal of Immunological Methods290 (2004) 51 - 67も参照。

0058

用語「細胞」は、上記で定義される細胞を指す。
用語「ウイルス」は、宿主生物の生細胞中でのみ増殖する、小さな感染病原体を指す。好ましくは、ウイルスは、病原性のウイルスであり、より好ましくは哺乳類、特にヒトにおいて病原性のウイルスであり、例えば、ヘルペスウイルス科、アデノウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、アネロウイルス科、パルボウイルス科、レオウイルス科、コロナウイルス科、アストロウイルス科、カリシウイルス科、フラビウイルス科、ピコルナウイルス科、トガウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、パラミクソウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、オルトミクソウイルス科、レトロウイルス科、ヘパドナウイルス科由来である。好ましくは、粒子がウイルスである場合、潜在的な粒子の結合パートナーはウイルスでない。

0059

潜在的な粒子の結合パートナーとしてのタンパク質は、天然または組換えタンパク質でよい。好ましくは、抗体など上記で定義されたタンパク質以外で、それは細胞表面にディスプレイされるまたは存在するタンパク質、受容体または受容体のリガンドである。

0060

潜在的な粒子の結合パートナーとしての核酸は、天然または組換え核酸でよい。好ましくは、核酸は、DNA、RNAおよびその核酸類似体である。核酸類似体は、天然に生じるRNAおよびDNAに構造的に似た化合物である。核酸はヌクレオチド鎖であり、これは3つの部分で構成される:リン酸骨格、歪んだ形状(pucker-shaped)の五炭糖リボースまたはデオキシリボースのいずれか)、および4つの核酸塩基の内の1つ。類似体では任意のこれらが変化してい得る。典型的に、核酸塩基の類似体は(場合により、他の物との間で)異なる塩基対および塩基スタッキングの性質を与える。例は、ユニバーサル塩基を含み、これは4つ全ての標準塩基対形成できる。核酸類似体(人工核酸とも呼ばれる)は、ペプチド核酸(PNA)、モルフォリノ、ロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)およびトレオース核酸(TNA)を含む。これらそれぞれは、分子骨格の変化によって、天然に生じるDNAまたはRNAと区別される。好ましい核酸類似体はL−リボ核酸アプタマー(L−RNA、商品シュピーゲルマー(Spiegelmer))であり、これはL−リボース単位から構築されるRNA様分子である。これは天然のオリゴヌクレオチド鏡像であり、アプタマーの一種である。L−ヌクレオチドのため、これはヌクレアーゼによる分解に高い耐性を持つ。

0061

用語「アプタマー」は、標的分子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子を指す。アプタマーは普通、大規模なランダム配列プールから選定されることによって作り出されるが、天然のアプタマーもリボスイッチ内に存在する。

0062

用語「小分子」は、50〜約2,500ダルトン、好ましくは200〜800ダルトンの分子量を持つ分子を指す。好ましい実施態様において、前記小分子はライブラリー(例えば、小分子阻害剤ライブラリー)由来である。小さな化合物のライブラリーは多数の化学化合物を含み、そして化学的に合成された分子および天然物を含む、任意の複数の供給源(multiple source)から構築され、またはコンビナトリアルケミストリーの技術によって作成される。これらは、特定の構造の化学化合物または植物などの特定の生物の化合物を含み得る。一般的に、小さな化合物は、合成化合物または天然化合物のライブラリーに由来し、または、それから選択してもよい。例えば、合成化合物のライブラリーは、Maybridge Chemical Co. (Trevillet, Cornwall, UK)、ChemBridge Corporation (San Diego, CA)またはAldrich (Milwaukee, WI)から市販されている。例えば、天然化合物のライブラリーは、TimTecLLC (Newark, DE)から利用できる。あるいは、細菌細胞真菌細胞、植物細胞、動物細胞および組織抽出物という形で、天然化合物のライブラリーを用いてもよい。さらに試験化合物を、コンビナトリアルケミストリーを用いて、個々の化合物または混合物のいずれかとして、合成的に生成してもよい。コンビナトリアルケミストリーを用いて作成した化合物の収集物は、本明細書では、コンビナトリアルライブラリーを指す。

0063

用語「既知の」は、第三者によって提供される知識または以前に自身で特定した知識を包含する。
用語「実質的に同一の量」は、等価な量を指し、正確に同じであることを必ずしも意味しない。それは、「実質的に同一の量」を与える場合に技術的にもっともらしいことを考慮して、当業者が実質的に同一、類似または同等であると考えられ得ることによって、むしろ決定される。この場合、偏差は正常であり、範囲内で許容できる。好ましい実施態様において、偏差は、±200%、±100%、±50%、±40%、±30%、±20%、またはわずか±10%もしくは±5%までであってよく、これは好ましくは、第一の粒子などの任意の基準の粒子、少なくとも3つの粒子の集団において中央値を有する粒子(ここで、集団内の粒子の数が偶数であり、2つの粒子が中央値を与え得るような場合、集団の平均値に近い値を有する粒子が中央値として選択される)、または少なくとも2つの粒子の集団の平均値、から計算される。したがって、用語「実質的に同一の量」の代わりに、用語「実質的に類似の量」を用いてもよい。標識方法が所望の均一性、すなわち粒子の集団(例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つの粒子)における実質的に同一の量、を達成しない場合、所望の均一性(すなわち、標識の所望の量)を有する粒子を、標識方法によって作り出された、初期の集団から選定してもよいことが想定される(例えば、後述のソーティングの工程(d)を含む、本発明の第三の態様の方法による)。

0064

特別な実施態様において、マイクロ流体の液滴は、第三の検出可能な標識と会合している、(i)粒子に結合しない物質または(ii)潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子、をさらに含む。

0065

用語「粒子に結合しない物質」または「粒子に対して結合しない物質」は、同じマイクロ流体の液滴中の粒子に結合しない、任意の種類の化合物または構造物を指す。好ましくは、粒子の結合パートナーは、抗体、抗体誘導体、抗体模倣物、バクテリオファージ、mRNA−ポリペプチド複合体、mRNA−リボソーム−ポリペプチド複合体、細胞、ウイルス、ペプチド、タンパク質、核酸、アプタマーおよび小分子からなる群から選択される。より好ましくは、それは、潜在的な粒子の結合パートナーと同じ種類である(すなわち、潜在的な結合パートナーが抗体であれば、粒子に結合しない物質は抗体であり、潜在的な結合パートナーが抗体誘導体であれば、粒子に結合しない物質は抗体誘導体である、など)。

0066

「潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子」または単純に「第二の粒子」は、第一の粒子とは異なる上記で定義された粒子であるが、同じ種類であってもよい(すなわち、第一の粒子が細胞であれば、第二の粒子も細胞であり、第一の粒子がビーズであれば、第二の粒子もビーズである、など)。

0067

用語「第三の検出可能な標識」は、粒子に結合しない物質、または第二の粒子それぞれと、常に会合している、検出可能な標識を指す。好ましい実施態様において、粒子に結合しない物質または第二の粒子の、第三の標識との会合は、それぞれ、直接的な結合またはリンカーを介した間接的な結合による。「直接的な結合」は好ましくは、中間にさらなる分子を含まない、第三の検出可能な標識と粒子に結合しない物質または第二の粒子との、それぞれ共有結合または非共有結合である。「間接的な結合」は、好ましくは、中間にさらなる分子を含む(すなわちリンカーを含む)、第三の検出可能な標識と粒子に結合しない物質または第二の粒子との、それぞれ非共有結合または共有結合である。粒子に結合しない物質は粒子と結合せず、または第二の粒子は潜在的な粒子の結合パートナーと結合しないため、それぞれ、第三の検出可能な標識は、(i)第一の粒子もしくはさらなる粒子または(ii)潜在的な粒子の結合パートナーそれぞれと会合しない。一般的に、第三の検出可能な標識は、第一の検出可能な標識および第二の検出可能な標識とは異なる(すなわち、区別できる)。

0068

粒子に結合しない物質または潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子の使用のアイデアは、実施例4に例示されるカウンタースクリーニングの包含である(すなわち、第一の粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの結合のスクリーニングおよび、第一の粒子と粒子に結合しない物質との結合または潜在的な粒子の結合パートナーと第二の粒子との結合の同時の逆スクリーニング(screening against)の可能性)。

0069

この点に関して、スクリーニングおよび逆スクリーニングは、第一の粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとが結合し、第一の粒子と粒子に結合しない物質とが結合せず、または潜在的な粒子の結合パートナーと第二の粒子とが結合しないように、マイクロ流体の液滴をソーティングすることに関与し得、これは本明細書に(特に、本発明の第三の態様に関して)記述されるソーティングを伴う。

0070

好ましい実施態様において、本発明は、第一の態様における多数のマイクロ流体の液滴に関し、ここで、粒子が全てのマイクロ流体の液滴中で同一であり、潜在的な粒子の結合パートナーがマイクロ流体の液滴間で異なっているか、または潜在的な粒子の結合パートナーが全てのマイクロ流体の液滴中で同一であり、粒子がマイクロ流体の液滴間で異なっているかのどちらかである。

0071

特別な実施態様において、多数のマイクロ流体の液滴における各マイクロ流体の液滴は、粒子に結合しない物質または潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子を含む。

0072

用語「集団」または「多数」は、「1よりも大きい」ことを意味する。好ましい実施態様において、これは、10よりも大きく、20よりも大きく、30よりも大きく、40よりも大きく、50よりも大きく、100よりも大きく、250よりも大きく、500よりも大きく、または1000よりも大きいことを意味する。

0073

第二の態様において、本発明は、第一の態様におけるマイクロ流体の液滴中の粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの結合を定量化する方法に関し、この方法は、
(i)第一の検出可能な標識を特定する信号を測定する工程、
(ii)第二の検出可能な標識の信号を測定する工程、および
(iii)第二の検出可能な標識の信号を、第一の検出可能な標識の信号を用いて正規化する工程、
を含み、ここで、正規化された第二の検出可能な標識の信号は、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの結合の量を表す。
全ての用語は上記で定義された意味を持ち、これらの用語に関連して定義される実施態様はまた、第二の態様の方法に適用される。

0074

特別な実施態様において、前記方法は、第一の態様におけるマイクロ流体の液滴中の粒子と粒子の結合パートナーとの結合を定量化する方法であり、この方法は、
(i)第一の検出可能な標識の信号を測定する工程、
(ii)第二の検出可能な標識の信号を測定する工程、
(iii)第二の検出可能な標識の信号を、第一の検出可能な標識の信号を用いて正規化する工程、
を含み、ここで正規化された第二の検出可能な標識の信号は、粒子と粒子の結合パートナーとの結合の量を表す。

0075

好ましくは、第二の検出可能な標識の信号を、第一の検出可能な標識の信号と、マイクロ流体の液滴中の同じ位置で、より好ましくは同じ時間に(すなわち、同時に)、測定する。

0076

「信号を測定する」は、液滴中の任意の位置において(すなわち、液滴中の標識の位置において、では必ずしもない)、検出可能な標識の信号の強さまたは信号強度を測定することを指す。信号強度は、液滴中の検出可能な標識の位置に依存してばらつくが、任意の(別の、を含む)位置での測定は、2つの検出可能な標識(すなわち、第一の標識および第二の標識)の使用および正規化の工程によって補償される。この正規化の工程は、全ての標識の信号を同位置で測定する限り、液滴中の標識の位置および信号を測定する位置に関係なく、結合を定量化することを可能にする(図5参照)。検出手段は、使用する検出可能な標識に依存する。好ましくは、検出可能な標識は光信号を発する。例えば、光信号を光センサー(例えば、光電子増倍管、CMOSまたはCCDカメラ)で測定できる。検出可能な標識が励起可能(exitable)であれば、量を決定する工程は、例えばレーザー光源を伴う、励起の工程を含む。好ましい実施態様において、信号は、レーザーに誘起された蛍光であり、信号をレーザー分光法で検出する(すなわち、量を決定する)。

0077

本明細書における「正規化する」は、工程(i)の第一の検出可能な標識の信号の値を、工程(ii)の第一の検出可能な標識の信号の値で補正することを指す。原理上は、任意の補正が正規化に合う(例えば、加算、減算、乗算除算またはそれらの任意の組合せなどの任意の数値演算による補正)。好ましい実施態様において、工程(iii)は、第二の標識の信号の値を第一の標識の信号の値で割ることを含む。

0078

別の好ましい実施態様において、工程(iii)は、好ましくは上記の割り算に加えて、より好ましくは上記の割り算の前に、第二の標識の信号を、第二の検出可能な標識のバックグラウンドを引くことによって正規化することをさらに含む。第二の検出可能な標識のバックグラウンドは粒子に会合していない第二の検出可能な標識の信号である。このバックグラウンドは、例えば、マイクロ流体の液滴中の第一の検出可能な標識の信号が0または最小である、マイクロ流体の液滴中の位置において、決定できる。あるいは、このバックグラウンドは、対照のマイクロ流体の液滴中の第二の標識の信号であり、対照のマイクロ流体の液滴は空であってもよく(すなわち、少なくとも検出可能な標識は含まず、粒子および潜在的な粒子の結合パートナーさえも含まない)、または対照のマイクロ流体の液滴中の第二の標識が第一の粒子に会合しない(すなわち、第二の標識と結合する潜在的な粒子の結合パートナーが粒子と特異的に結合しない、または第一の粒子が、対照のマイクロ流体の液滴中に存在しない)という点のみにおいて、第一の態様におけるマイクロ流体の液滴と異なる。

0079

特別な実施態様において、第二の態様の方法は、上記で定義した、粒子に結合しない物質または潜在的な粒子の結合パートナーに結合しない第二の粒子と会合している、第三の検出可能な標識の信号を測定する、工程(iv)を含む。

0080

第三の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出する方法に関し、この方法は、
(a)1以上の粒子を含むマイクロ流体の液滴を、検出点を含む検出チャンネル内に供給する工程、
(b)マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において、抑える工程、および
(c)マイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも一つの粒子を、検出点において検出する工程、
を含む。

0081

用語「チャンネル」は、物質中にパターンを与えることによって、または適切な物質除去技術によって、物質中に形成されるくぼみ(recess)または空洞を意味してもよく、またはくぼみまたは空洞内に乗せられた任意の適切な液体を導く構造(チューブキャピラリーなど)を伴うくぼみまたは空洞を意味してもよい。一般的に、これは、3000μmまたはそれ未満、2000μm以下、1000μm以下、好ましくは900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、50nm以下の直径のマイクロチャンネルを指し、この直径は、20nmないし3000μm、好ましくは20nmないし1000μm、より好ましくは20nmないし100μmである。好ましい実施態様において、チャンネルはマイクロ流体ネットワーク(microfluidics network)の一部である。チャンネルが円形断面を持たない場合、チャンネルの高さおよび/または幅は、上記の直径で与えられるサイズに従う。

0082

フィードチャンネル(feed channel)、検出チャンネル、ソーティングチャンネルおよび分岐チャンネルなど、いくつかの型のチャンネルを本明細書で記述する。これらの用語は、部分的なチャンネルの区分を記述しており、その境界は、全ての例において定義されていないため、これらの用語はあるチャンネルの型と別のものとの境界を必ずしも定めるわけではない。例えば、フィードチャンネルは、その下流で検出チャンネルと結合し、検出チャンネルはその下流でソーティングチャンネルと結合する。明確な境界はソーティングジャンクション(sorting junction)のみであり、これはソーティングチャンネルが終わり、分岐チャンネルが始まる場所である。別の方法では、チャンネルまたはチャンネルの区分は、下記で定義されるそれらの高さと、場合により幅によって、またはそれらが有する他の特徴(検出点、ソーティング手段など)によって区別できる。

0083

用語「検出チャンネル」は、マイクロ流体の液滴またはその内容物を、「検出点」において検出できる、チャンネルまたはチャンネルの部分を指す。好ましくは1以上、より好ましくは全ての検出チャンネルの壁は透明であり、少なくとも検出点において透明である。

0084

用語「垂直方向の動き」は、検出チャンネルおよび特に検出チャンネルを含むマイクロ流体デバイス(例えばチップ)が予定される空間配置または位置にある(例えば、水平な場所に平坦に置く)場合の、マイクロ流体の液滴中における、重力方向または重力と反対方向の粒子の動きまたは動くための空間を指す。

0085

垂直方向の動きを「抑える」は、マイクロ流体の液滴中における、垂直方向の動きの低下または粒子が動く空間の減少を指す。これは、例えば粒子が動くことのできる液滴中の垂直方向の空間の制限によって(すなわち、液滴を変形し、垂直方向の空間の減少をもたらすことによって)、達成できる。好ましい実施態様において、検出チャンネルの高さは、球形である場合の液滴の直径よりも、少なくとも検出点において、小さい(すなわち、チャンネルの高さの減少が液滴の変形を導き、垂直方向の空間の減少をもたらす)。別の実施態様において、検出チャンネルの下または上、好ましくは検出点における電極は、液滴を変形し、液滴中の垂直方向の空間の減少をもたらすのに十分な力を伴うAC電圧を適用することにより、チャンネルの下部または上部に液滴を引っ張ることができる。

0086

好ましい実施態様において、工程(b)は、マイクロ流体の液滴中の粒子の水平方向の動きをも、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内の少なくとも検出点において、抑えることを含む。用語「水平方向の動き」は、上記で定義した垂直方向の動きと90°の角度をなす動きを指す。これは、例えば粒子が動くことのできる液滴中の水平方向の空間の制限によって(すなわち、液滴を変形し、水平方向の空間の減少をもたらすことによって)、達成できる。好ましい実施態様において、検出チャンネルの幅は、球形である場合の液滴の直径よりも、少なくとも検出点において、小さい(すなわち、チャンネルの幅の減少が液滴の変形を導き、水平方向の空間の減少をもたらす)。別の実施態様において、検出チャンネルの片側における、好ましくは検出点における電極は、液滴を変形し、水平方向の空間の減少をもたらすのに十分な力を伴うAC電圧を適用することにより、チャンネルのその側に液滴を引っ張ることができる。

0087

したがって、好ましい実施態様において、粒子の垂直方向の動きと、場合により水平方向の動きを、チャンネルの高さと、場合により幅によって、および/または誘電泳動によって、抑えられる。前者の(高さおよび幅を抑える)場合では、マイクロ流体の液滴は、検出チャンネル内、少なくとも検出点において、栓を形成する(すなわち、それはチャンネルの横断面を満たし、流体(混ざらない液体)のわずかな薄膜が、マイクロ流体の液滴を囲む)。

0088

用語「球形」は、空間を制限されておらず、動いていない液滴の形状を指す。好ましくは、球状の液滴の直径は均一である(すなわち、1、2、3、4、5または10%までの偏差を伴って、どの点でも同一である)。

0089

粒子を「検出する」の用語は、粒子の存在または非存在を特定することを指す。好ましい実施態様において、粒子は、上記で定義された第一の標識などの、粒子と会合している標識を検出することを介して、検出される。検出手段は、当分野でよく知られており、上記で示した手段(例えば、光電子増倍管、CMOSもしくはCCDカメラなどの光センサー、または検出電極)を含む。一般的に、検出手段は、本明細書で定義されるマイクロ流体の液滴中の粒子および/または標識を検出するのに適している。特に標識に関して、検出手段は、標識の信号の強さを測定すること、好ましくは標識の信号を測定することに適している。したがって、好ましい実施態様において、検出手段は、1以上の粒子と会合している標識を検出し、場合により、検出手段は1以上の粒子と会合している標識の信号を測定する。

0090

特に好ましい実施態様において、工程(c)における検出は、第二の態様の方法における定量化を含む。
ある実施態様において、マイクロ流体の液滴を、工程(a)において、検出チャンネルの上流のフィードチャンネルを通して検出チャンネルに供給し、ここでフィードチャンネルは、フィードチャンネルの高さおよび幅が、マイクロ流体の液滴中の粒子の垂直方向および水平方向の動きを抑えない(すなわち、マイクロ流体の液滴は球形である)という特徴を有する。特に、マイクロ流体の液滴は、フィードチャンネル内で栓を形成しない。用語「フィードチャンネル」は、内部の流体およびマイクロ流体の液滴を、検出チャンネルに運搬するチャンネルを指す。

0091

好ましい実施態様において、検出チャンネルおよびフィードチャンネルは、検出チャンネルの高さと、場合により幅が、少なくとも検出点において、フィードチャンネルの100、90、70、60、50、40、30、20または10%未満の高さと、場合により幅であることを特徴とする。好ましくは、検出チャンネルの高さと、場合により幅は、少なくとも検出点において20ないし50μm、好ましくは30ないし40μmであり、および/またはフィードチャンネルの高さと、場合により幅は、50ないし3000μm、好ましくは100ないし1000μmである。

0092

また、検出チャンネルは、検出チャンネルの高さと、場合により幅が少なくとも検出点において、検出チャンネルと同じマイクロ流体デバイスに含まれる全てのチャンネルの平均の高さと、場合により平均の幅の100、90、70、60、50、40、30、20または10%未満の高さと、場合により幅であることを特徴としてもよい。好ましくは、検出チャンネルの高さと、場合により幅は、少なくとも検出点において20ないし50μm、好ましくは30ないし40μmであり、および/または検出チャンネルと同じマイクロ流体デバイスに含まれる全てのチャンネルの平均の高さと、場合により平均の幅は、50ないし3000μm、好ましくは100ないし1000μmである。

0093

好ましい実施態様において、第三の態様の方法は、粒子の検出に基づいて(特に、検出チャンネルの下流のソーティングチャンネル、好ましくはソーティングチャンネルの末端のソーティングジャンクションにおいて、検出された粒子の信号に基づいて)マイクロ流体の液滴をソーティングする工程(d)をさらに含む。

0094

用語「ソーティングする」は、マイクロ流体の液滴を、その性質、好ましくはその内容物(上記で定義された、粒子、潜在的な粒子の結合パートナーおよび/または潜在的な粒子の結合パートナーに結合する粒子のうち1以上の存在または非存在を含む)に基づいて選定すること、または分離することを指す。これらの内容物を検出できる方法はまた、上述されている。

0095

用語「ソーティングチャンネル」は、ソーティングディバイダーなどのソーティング手法を用いて、マイクロ流体の液滴をソーティングできるチャンネルまたはチャンネルの部分を指し、すなわちソーティングチャンネルは好ましくはソーティングディバイダーを含む。用語「ソーティングディバイダー」は、ソーティングジャンクションを有するソーティングチャンネルを含む、チャンネルの配置を指し、ここでソーティングチャンネルは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または少なくとも10個の分岐チャンネルに分岐する。ソーティングディバイダーは、普通、ソーティング力または操作手段を伴い、これは誘電泳動(X. Hu et al., Marker-specific sorting of rare cells using dielectrophoresis. Proc Natl Acad Sci U S A 102, 15757 (Nov 1, 2005)、バルブ(A. Y. Fu, C. Spence, A. Scherer, F. H. Arnold, S. R. Quake, A microfabricated fluorescence-activated cell sorter. Nat Biotechnol 17, 1109 (Nov, 1999))、光学(Z. C. Landry, S. J. Giovanonni, S. R. Quake, P. C. Blainey, Optofluidic cell selection from complex microbial communities for single-genome analysis. Methodsin enzymology 531, 61 (2013))、音響学(L. Schmid, D. A. Weitz, T. Franke, Sorting drops and cells with acoustics: acoustic microfluidic fluorescence-activated cell sorter. Lab on a Chip 14, 3710 (Oct 7, 2014))またはストリーム偏向(stream deflection)、好ましくは電気的なストリーム偏向(P. S. Dittrich, P. Schwille, An integrated microfluidic system for reaction, high-sensitivity detection, Anal Chem.;75(21):5767-74. (2003))に基づき得る。

0096

したがって、ソーティングディバイダーは、DEPソーティングディバイダー、音響泳動(acoustophoresis)ソーティングディバイダー、マイクロバルブに基づくソーティングディバイダー、圧電性ソーティングディバイダー、または動的なストリーム偏向のソーティングディバイダーであってもよい。好ましくは、DEPソーティングディバイダーである。特別な実施態様において、DEPソーティングディバイダーは光誘起誘電泳動(ODEP)ソーティングディバイダーである。

0097

したがって、さらなる工程(d)を含む実施態様に関して、ソーティングチャンネルは好ましくは、ソーティングジャンクションを含むソーティングディバイダーを含み、ソーティングチャンネルは少なくとも2つの分岐チャンネルに分岐する。より好ましい実施態様において、ソーティングチャンネルは液滴の操作手段をさらに含み、この手段は、好ましくは上述の手段、より好ましくは誘電泳動(DEP)力の操作手段から選択される。

0098

好ましい実施態様において、ソーティングチャンネルおよび好ましくは分岐チャンネルの高さおよび幅は、マイクロ流体の液滴中の粒子の垂直方向および水平方向の動きを抑えない(すなわち、マイクロ流体の液滴は球形である)。特に、マイクロ流体の液滴は、ソーティングチャンネルにおいて、および好ましくは分岐チャンネルにおいても、栓を形成しない。

0099

好ましい実施態様において、検出チャンネルおよびソーティングチャンネル(好ましくは分岐チャンネルも)は、検出チャンネルの高さと、場合により幅が少なくとも検出点において、ソーティングチャンネル(および、好ましくは分岐チャンネル)の100、90、70、60、50、40、30、20または10%未満の高さと、場合により幅であることを特徴とする。好ましくは、検出チャンネルの高さと、場合により幅は、少なくとも検出点において20ないし50μm、好ましくは30ないし40μmであり、および/またはソーティングチャンネル(および、好ましくは分岐チャンネル)の高さと、場合により幅は、50ないし3000μm、好ましくは100ないし1000μmである。

0100

特別な実施態様Aにおいて、第三の態様の方法は、少なくとも20倍、好ましくは少なくとも30倍、より好ましくは少なくとも40倍または少なくとも50倍もの倍率の対物レンズを用いて(すなわち、対物レンズの同じ視野内で)、マイクロ流体の液滴の検出およびソーティングの両方をモニターすることをさらに含む。好ましくは、この検出およびソーティングを、前記対物レンズを有する顕微鏡を用いて行う。この実施態様において、検出点とソーティングジャンクションとの間の距離が500μmまたはそれ未満、400μmまたはそれ未満、300μmまたはそれ未満、200μmまたはそれ未満、または100μmまたはそれ未満であることは有利であり、ここで各場合の最小距離は少なくとも50μmである。好ましくは、前記の制限と独立して、または前記の制限を含み、この距離は、球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍またはわずか3倍未満である。これに関して、用語「距離」は、チャンネル内を液滴が移動する距離ではなく、チャンネルの経路に関係なく、2点間の空間的な最短距離を指す。

0101

特別な実施態様Bにおいて(これは実施態様Aと組み合わせることができる)、ソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルは、検出チャンネルの検出点の下流かつソーティングジャンクションの上流でねじれ、または曲がっている(共に真っ直ぐではないという意味である)。この点において、好ましくは「ねじれる」または「曲がっている」は、少なくとも5°、10°、20°、30°、40°、45°、50°、60°、70°、80°または90°、好ましくは10°〜90°、より好ましくは10°〜45°の横向き(すなわち、上から見て左または右)の角度を有することを意味する。これは、検出点とソーティングジャンクションとの間の距離を短くすることを達成するのに有利に貢献する。

0102

特別な実施態様Cにおいて(これは実施態様Aおよび/またはBと組み合わせることができる)、第三の態様の方法は、流体を、ソーティングジャンクションの上流の流入口を介してソーティングチャンネル内に注入し、それによって通過する液滴を制御し、ソーティングを促進することを、さらに含む。これは、(この場合および本明細書の対応する実施態様において、)流体が、検出チャンネルの検出点の下流に注入され、対応する流入口が検出点の下流かつソーティングジャンクションの上流にあることを意味する。「通過する液滴を制御する」は、好ましくは、それらの液滴をお互いに最小の距離または規定の距離を空けて配置すること、および/またはそれらの液滴をソーティングジャンクションの近くに集めることを意味する。好ましい実施態様において、2つの連続した液滴間の距離が、その液滴の直径の少なくとも10倍、8倍、6倍、4倍または2倍となるように、液滴の間隔を空ける。液滴をソーティングジャンクションの近くに集めることは、通過する液滴が上述の手段(DEP、バルブなど)による任意の液滴の操作なしに廃液チャンネル(waste channel)(すなわち、望まない表現型を示した液滴を流し入れるチャンネル)内に最終的に送られるように、追加の流入口によって集め、液滴の軌道を調整することを意味する。廃液チャンネルは好ましくは、少なくとも2つの分岐チャンネルのうちの1つである。

0103

好ましい実施態様において、全ての液滴は、検出および/またはソーティングの判断に関係なく、同じ様式で制御される(すなわち、制御はソーティングではない)。この実施態様には、最小および/または一定のパルスのみをソーティングにおいて(すなわち、液滴を、ソーティングジャンクションまたはソーティングジャンクションのさらに上流において、分岐チャンネルに押し出すために)必要とし、チャンネル内の液滴の様々な位置によってパルスの強度を調整する必要はないという利点がある。好ましくは液滴の制御は、本明細書で記述される検出手段および/または(場合により追加の)カメラまたは検出電極からの情報に基づき、これらはチャンネル(特にソーティングチャンネル)内の液滴の位置を考慮し、好ましくはチャンネルの壁からのその距離、ソーティングディバイダーからの距離および/または先行の液滴を考慮し、検出間の距離または時間を考慮する。

0104

第三の態様の方法の好ましい実施態様において、粒子は細胞であり、マイクロ流体の液滴は2つの異なる細胞型の細胞、好ましくは2つの異なる単一細胞(例えば、抗体産生細胞とレポーター細胞は、レポーター細胞上の、抗体産生細胞によって産生した抗体の効果を(好ましくは蛍光によって)シグナル伝達する;例えば受容体、好ましくはGタンパク質共役受容体の活性化または阻害)を含むようにソーティングされる。この実施態様において、2つの異なる細胞型、好ましくは2つの異なる単一細胞は、異なる検出可能な標識を保有する。言い換えると、この好ましい実施態様において、マイクロ流体の液滴は、異なる細胞型であってそれぞれが異なる検出可能な標識(好ましくは蛍光標識)と会合している細胞である、1以上の異なる粒子を含み、工程(c)においてこの細胞を検出可能な標識を介して検出し、工程(d)においてマイクロ流体の液滴を、異なる細胞型の少なくとも2つの異なる細胞、好ましくは2つの異なる単一細胞を含むようにソーティングする。

0105

第三の態様の方法の別の好ましい実施態様において、マイクロ流体の液滴は、抗原で被覆された細胞またはビーズである粒子および、上記で定義される潜在的な粒子の結合パートナー(例えば、抗体、抗体誘導体または抗体模倣物)を含み、マイクロ流体の液滴を、粒子と潜在的な粒子の結合パートナーとの間の一定量の結合(例えば、一定の最小量)によってソーティングする。

0106

特別な実施態様において、第三の工程の方法は、ソーティングの工程(d)の後に、ソーティングされた1以上のマイクロ流体の液滴中の粒子および/または潜在的な粒子の結合パートナー(または、潜在的な粒子の結合パートナーがマイクロ流体の液滴中で産生される場合は、その供給源;例えば、抗体はB細胞またはハイブリドーマ細胞によって産生される)を同定または分析する工程(e)を含む。これは、どの粒子がどの潜在的な粒子の結合パートナーに結合するかを決定することを可能にする。例えば、潜在的な粒子の結合パートナーが抗体である場合、対応するB細胞またはハイブリドーマの、抗体をコードする遺伝子をRT−PCRによって増幅し、配列決定し、この抗体についての構造上の情報を得ることができる。

0107

第四の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴の集団に関し、ここで50%超、好ましくは60%、70%または80%超、より好ましくは90%超または95%超のマイクロ流体の液滴が、少なくとも2つの種類のそれぞれ単一の粒子(特に、少なくとも2つの細胞型の単一細胞)を含む。このような高い割合は、ソーティングの工程を含む第三の態様の方法で達成できるが、これは異なる種類の2以上の単一の粒子または細胞の、非決定論的な封入または決定論的な封入によってはできない。したがって、好ましい実施態様において、前記集団を、上述のソーティングの工程(d)をさらに含む第三の態様の方法を用いて(好ましくは上述の実施態様A、Bおよび/またはCの1以上の特徴を組み合わせて)生成する。この方法において、前記集団を得るため、マイクロ流体の液滴を、少なくとも2つの種類の単一の粒子または細胞を含むようにソーティングする。

0108

第五の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、これは検出点を備える検出チャンネルを含み、このデバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計されるという特徴を持つ。
好ましい実施態様において、デバイスを、マイクロ流体の液滴中の粒子の水平方向の動きをも、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計する。

0109

本明細書において、用語「マイクロ流体デバイス」は、物質、特に液体などの流動性(fluid borne)の物質を、ある実施態様ではマイクロスケールで、ある実施態様ではナノスケールで、輸送できるデバイスを一般的に指す。したがって、マイクロ流体デバイスはマイクロスケールの特徴、ナノスケールの特徴、およびそれらの組合せを含み得る。

0110

本発明において、この用語はまた、a)多数の封入されたマイクロチャンネル構造を含み、それぞれの構造が1以上の封入されたマイクロチャンネルおよび/またはマイクロキャビティ(microcavity)を含むデバイス、およびb)これらのマイクロチャンネル構造を、一定分量の液体、特に上述の(ナノリットルからマイクロリットルの範囲であり、分析物および試薬などの反応物を含み得る)マイクロ流体の液滴を輸送および処理するために用いるデバイスを指す。一定分量の液体は典型的に水性である。輸送および処理は典型的に、分析および/または調整方法のプロトコルの一部である。デバイス内のマイクロチャンネル構造の数は、1、2、3、4、5、10、25または50より多くてもよく、典型的に500未満であり、例えば100未満である。

0111

代表的なマイクロ流体デバイスは典型的に、ミリメートルスケールまたはそれ未満の桁の寸法の構造的または機能的な特徴を含み、これは数百μL/時間またはそれ未満の桁の流速で、流体を操作できる。典型的に、このような特徴は、限定ではないが、チャンネル、流体リザーバー(reservoir)、反応チャンバーミキシングチャンバー、および分離領域を含む。いくつかの例では、チャンネルは少なくとも1つの、約20μm〜約3000μmの範囲、好ましくは約1000μmの断面の寸法を含む。この桁の寸法の使用は、より小さな領域におけるより多くのチャンネルの取り込みを可能にし、より少ない体積の流体を利用する。

0112

好ましい実施態様において、マイクロ流体デバイスはマイクロ流体チップである。本明細書において、「チップ」は、物理学化学、生物学、生物物理学または生化学の方法などの特定の方法を実行できる、多数の1次元、2次元または3次元のマイクロ構造またはマイクロスケール構造を備える固体基板を指す。チャンネルおよびウェルなどのマイクロ構造またはマイクロスケール構造、電極要素電磁気的要素を、基板に取り込み、基板上に製造し、またはさもなければ基板に取り付け、チップ上の物理学、生物物理学、生物学、生化学、化学的反応または方法を促進する。このチップは、ある側面において薄くてもよく、別の側面において様々な形状(例えば、四角形、円形、楕円形または他の変則的な形状)であってよい。本発明のチップの主要な表面のサイズはかなり様々であってよい(例えば、約1mm2〜約0.25m2)。好ましくは、チップのサイズは約4mm2〜約50cm2であり、約1mm〜約5cmの特徴的な側面を有する。チップの表面は、平らでもよく、平らでなくてもよい。平らでない表面を有するチップは、表面上に製造したチャンネルまたはウェルを含んでもよい。

0113

好ましくは、マイクロ流体デバイスおよび特にマイクロ流体チップを、場合により透明なポリマーまたはガラスから作る。特に好ましい透明なポリマーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。PDMSチップを、例えばソフトリソグラフィ(Squires and Quake. Microfluidics: Fluid physics at the nanoliter scale. Reviews of Modern Physics, 2005, vol. 77)によって製造できる。他の適切なポリマーは、例えば、Ormocomp、ポリメタクリル酸メチルPMMA)、Sifel、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)またはポリスチレン(PS)である。

0114

用語「〜ように設計される」は、第三の態様の方法において上述の動きを抑えることに関連する特徴を指す。好ましくは、これは、粒子の垂直方向の動きと、場合により水平方向の動きが、チャンネルの高さと、場合により幅によって、および/または誘電泳動によって抑えられることを指す。

0115

さらなる実施態様において、第五の態様のデバイスは、
(i)検出チャンネルの上流のフィードチャンネル、
(ii)検出チャンネルの上流のソーティングチャンネル、および/または
(iii)少なくとも2つの分岐チャンネル
のうち、1以上を含み、これら全ては上述されている。

0116

本発明の上記の態様に関して記述される特徴とは別に、第五の態様のデバイスはまた、集積した電極、マイクロバルブ、マイクロポンプ、液滴生成器および/またはレーザー分光装置の1つまたはそれ以上を含んでもよい。「集積される」は、先に明記されるようなデバイスの物質(例えばガラスまたはPDMS)の2つの層の間に組み込まれること、またはデバイス、好ましくはチップの上面に配置されることを意味する。

0117

一般的に、電極は、電気インピーダンススペクトロメトリー(electrical impedance spectrometry)、電気泳動アンペロメトリー検出、温度センシング、(例えば、34〜40℃、35〜39℃、36〜38℃または好ましくは約37℃など、細胞を維持するのに適切な温度を与える)電熱電気浸透流の発生および/または高電圧でのマイクロ流体の実験などのオンチップの機能を可能にする。代表的な電極は、フィールド電極(field electrode)、検出電極、ならびに加熱電極および検知電極である。フィールド電極は、電流伝導し、電界を発生し、電気浸透流を制御するために用いられる。検出電極は、流体チャンネル内の液体の局所的な電気伝導率またはインピーダンスを測定するために用いられる。検出電極を、マイクロ流体の液滴中において、例えば、粒子、特に細胞を数え、特徴付けるために、特に使用できる。加熱電極および検知電極は、チップ上の電熱器および温度センサーとして用いられ、マイクロチャンネル内部の流体を加熱し、温度を測定する簡便な手段を提供する。これは、マイクロ流体の液滴が細胞を含む場合(すなわち、本発明の態様の粒子が細胞である場合)、特に有用である。加熱電極および検知電極は互いに独立に使用できる(すなわちデバイスは加熱電極または検知電極を含んでもよい)が、両方を含むことが好ましく、それらが機能的に連結しており、加熱電極を、所望の温度(特に上述のような細胞を維持するのに適した温度)を維持できるように、検知電極で測定した温度によって、フィードバックループで制御することがさらにより好ましい。電極とマイクロ流体のチャンネルとの間に、絶縁層を適用してもよい。

0118

本明細書において、用語「マイクロバルブ」は、流体に関して、2つの別個の状態(流体がバルブを通り過ぎることができる開状態のバルブおよび流体がバルブを通過するのを遮断する閉状態のバルブ)の内の1つの状態に選択的になることができるバルブに一般的に関する。マイクロバルブは、マイクロ流体デバイス中の流体の経路、タイミングおよび分離を制御する。一般的に、マイクロバルブは、機械的に、空気圧で、動電的(electrokinetically)に、相変化によって、または外力の導入によって、作動し得る。したがって、マイクロバルブを、動電的な(electrokinetic)マイクロバルブ、空気式(pneumatic)マイクロバルブ、ピンチマイクロバルブ、相変化マイクロバルブ、バースト(burst)マイクロバルブ、およびブライユピン(Braille pin)ピンチマイクロバルブからなる群から独立に選択してもよい(すなわち、デバイスは異なるマイクロバルブを含んでもよい)。好ましくは、マイクロバルブは、空気式マイクロバルブおよびブライユピンピンチマイクロバルブ、相変化マイクロバルブ、ならびにバーストマイクロバルブからなる群から独立に選択される。動電的なマイクロバルブは、連続的なフローシステムにおいて作動し、電気浸透流を用いて流体をあるチャンネルから別のチャンネルへ切り替える、流体のルーター(router)として役立つ。空気式マイクロバルブは典型的に、柔軟性のある膜に依存し、フローチャンネル中のフローパターンを制御する。ピンチマイクロバルブは、上述のデバイスの物質(例えばPDMS)を機械的な圧力を用いて物理的に変形することによって作動する。相変化マイクロバルブは、パラフィンハイドロゲルまたは水溶液などの物質の異なる層の間を交互に繰り返し、流れを調節する。バーストマイクロバルブは、流れの抵抗乗り越えたとき、または犠牲膜(sacrificial membrane)が壊れたときに開口する、使い捨てのバルブである。最後に、ブライユピンピンチマイクロバルブは、ブライユディスプレイの機械的なピンを介して局在化した圧力を発生し、これは視覚障害者コミュニケーションをとるため、および安価で簡単にプログラム可能バルブ制御の方法を示すために、通常用いられる。つまむ点は、バルブの点であってもよいが、必須ではない。後者の場合、各ピンは液体で満たされたリザーバーに圧力をかけ、これは膜に基づく空気式バルブに圧力を伝達するピストンとして働く。

0119

本明細書において、用語「マイクロポンプ」は、マイクロチャンネル内の液体または気体を変位させるための力を提供する、構造物を指す。非常に多様なポンプの機構が、当分野で知られている。好ましくは、「マイクロポンプ」は正の変位の型であり、このポンプは空気圧を超える正の圧力を発生し、より高い圧力は少なくとも1つのマイクロ流体のチャンネルと連結する。圧力差は気体または液体の移動を生じる。「集積されたマイクロポンプ」はまた、「集積された圧力源」、「オンチップのマイクロポンプ」または「オンチップの圧力源」としても知られ、マイクロ流体デバイスの不可欠な部分である、マイクロポンプの配置を指し、好ましくはそれに不可逆的に取り付けられている。したがって、本発明のマイクロ流体デバイスにおいて、マイクロポンプは、経時的および容積的な流体の移動の発生を担っており、マイクロ流体デバイスを操作するのに必要な外部のハードウェアの量を減らすために用いられる。一般的に、マイクロポンプは能動的または受動的である。受動的なマイクロポンプは、例えば、マイクロ構造の表面と接触する小さな体積の流体が、液体の表面張力と表面の化学組成との間の相互作用、および蒸気、流体および固体界面間の自由エネルギーを最小化する方向のトモグラフィーの結果として、自発的に移動する現象に依存する。あるいは、これらは、マイクロチャンネルの入口/出口に置かれた液滴の表面張力に依存して、流れを駆動し得る。その中で、流速を液滴の湾曲によって決定し、これは分注された流体の量によって順番に制御される。しかしながら、好ましいマイクロポンプは能動的なマイクロポンプであり、これはこれらがコンピューター化された制御に適しているためである。能動的なマイクロポンプは、外部の信号に依存し、ポンプ機能を開始および停止する。この外部の信号は、ポンプの速度および時間的挙動を制御する能力を追加する。好ましくは、能動的なマイクロポンプは、シリンジマイクロポンプ、空気膜(pneumatic membrane)マイクロポンプ、圧電性マイクロポンプ、ブライユピンマイクロポンプ、電気化学マイクロポンプ、電気浸透性マイクロポンプ、音響マイクロポンプ、磁気流体力学マイクロポンプ、電気流体力学マイクロポンプおよび気体透過マイクロポンプからなる群から独立(すなわち、デバイスは異なるマイクロポンプを含んでもよい)に選択され;より好ましくは、能動的なマイクロポンプは、シリンジマイクロポンプ、空気膜マイクロポンプおよびブライユピンマイクロポンプからなる群から独立に選択される。

0120

シリンジマイクロポンプは、シリンジ(すなわち、バレル(barrel)、ハウジング(housing)またはキャビティチャンバーと定義される類似の構造体)、またはピストン、プランジャーもしくは類似の構造体がそこに流体を押し出すようにスライド可能である、類似の構造体を含むポンプ装置である。シリンジポンプは、流体の正確な作動を可能にする。空気膜マイクロポンプは、順番に作動するそのような数個のバルブを備える既存のマイクロバルブの設計に一般的に基づき、マイクロチャンネル内に蠕動を作り出す。簡潔に言うと、ある液量(「ボーラス(bolus)」)を、作動したポンプ膜(pumpingmembrane)間に拘束し、これは連続的なポンプの膜の作動を介して一方向に動く。結果的に、ボーラスはその初期位置から離れ、マイクロチャンネル内の体積変位を生じる。圧電性マイクロポンプは、圧電装置の物質に依存し、この物質は電流を供給すると形状変化を起こす。圧電物質によって及ぼされるストレス((好ましくは薄い)隔膜と共役している)を用いて、流体をポンプできる。ブライユピンマイクロポンプをブライユディスプレイの押しピンを用いて操作し、これは、蠕動パターン内で作動するようにプログラムされている。電気化学マイクロポンプは、KNO3などの水溶液の電気分解から発生した気体を用いて、マイクロチャンネルを通して流体をポンプする。マイクロチャンネルに接続された電極を用いて電流振幅およびパルスを調節することにより、流動を達成できる。電気浸透性マイクロポンプは電気浸透流に依存しており、これは、多孔性物質、キャピラリー、膜または帯電した壁を有するマイクロチャンネルを横切って適用される電界に起因する液体のバルクの運動である。例えばDCの電界が少なくとも2つの電極を横切って適用されると、マイクロチャンネルの壁に大きな力が働き、マイクロチャンネルを通して電荷および流体の移動をもたらす。音響マイクロポンプは音響流(acoustic streaming)に依存し、これは、(i)圧縮性の流体に音源によって駆動する高周波振動を及ぼし、ここで非線形の相互作用が定常流を生じ、または(ii)非圧縮性の流体が障害または界面に近接して振動する、現象を指す。特に、水晶風、オイラー流(Eulerian streaming)およびクントのダスト(Kundt's dust)に基づく音響流は、マイクロ流体デバイスに適している(Suh and Kang on Acoustic Separation in "Encyclopedia of Microfluidics and Nanofluidics", Springer Reference, Volume 1, pages 25 to 32参照)。磁気流体力学マイクロポンプは、マイクロチャンネルを横切って垂直に適用された電界および磁界を受ける伝導性の液体中で、流体流を駆動する。結果としてローレンツ力が、液体上に、電界および磁界の両方と垂直な方向で生じ、したがってマイクロチャンネルを通してポンプされる流体を生じる。電気流体力学マイクロポンプは、エレクトロウェッティング(electrowetting)を用いて、デジタルマイクロ流体として知られるものにおける一連の電極の上で、別々の流体の液滴を操作する。エレクトロウェッティングは、固体電解質の間の電界の適用に起因する、これら2つの間の接触角の変化である。気体透過マイクロポンプは、気体透過性のマイクロ流体デバイスの物質(PDMSなど)を操作する。作動原理は、(例えば、このデバイスを真空中に15〜20分間置くことによる)気体透過性物質内に存在する全ての残留気体の除去が、マイクロチャンネル内に局所真空(local vacuum)を作りだすということであり、これはチャンネルを通して流体を引っ張ることができる。上記マイクロバルブおよびマイクロポンプの総括として、Au et al., Micromachines 2011, 2, 179-220参照。

0121

用語「液滴生成器」は、混ざらない相において単分散の水または油の液滴の流れを作り出す構造体である。マイクロ流体の液滴の生成器は、混ざらない流体の2以上の流れを組み合わせ、不連続な相にずり応力を生じさせることによって作動し、それを別個の液滴に分裂させる。好ましい液滴生成器は、集中した流れの液滴生成器およびT字形液滴生成器である。集中した流れの液滴生成器は、分散相(集められる(focused)流体または中心的な流体)に隣接し、または分散相を囲む、連続的な相の流体(集まる(focusing)流体またはシース流体)に基づき、これは両方の流体を押し出す開口部近傍の液滴の分離(break-off)を生じる。T字形液滴生成器は、液滴が交差部において自発的に形成するマイクロチャンネルのT−ジャンクションを用い、これは各々のジャンクションに向かう方向に由来する、油性と水性の流れの間の界面の不安定性を利用する。液滴を生成する別の方法は、上述の区分またはマイクロ封入の手技を参照。

0122

特別な実施態様Aにおいて、デバイスは、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離するソーティングチャンネルをさらに含み、ここでソーティングディバイダーと検出点との間の距離は、500μmまたはそれ未満、好ましくは、球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍またはわずか3倍未満である。これに関して、用語「距離」は、チャンネル内を液滴が移動する距離ではなく、チャンネルの経路に関係なく、2点間の空間的な最短距離を指す。この実施態様は、マイクロ流体の液滴の検出およびソーティングの両方を、少なくとも20倍、好ましくは少なくとも30倍、より好ましくは少なくとも40倍または少なくとも50倍もの倍率の対物レンズを用いて(すなわち、対物レンズの同じ視野内で)、より簡便にモニターできるという利点を有する。好ましくは、この検出およびソーティングを、前記対物レンズを有する顕微鏡を用いて行う。

0123

特別な実施態様Bにおいて(これは実施態様Aと組み合わせることができる)、ソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルは、上述のようにねじれ、または曲がっている。これは、検出点とソーティングジャンクションとの間の距離を短くすることを達成するのに有利に貢献する。

0124

特別な実施態様Cにおいて(これは実施態様Aおよび/またはBと組み合わせることができる)、このデバイスは、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流に、ソーティングチャンネルに流体を注入するための、1以上の流入口をさらに含む。流体の注入は、通過する液滴を制御し、ソーティングを促進する。「通過する液滴を制御する」は、好ましくは、それらの液滴を、お互いに最小の距離または規定の距離を空けて配置することおよび/またはそれらの液滴をソーティングジャンクションの近くに集めることを意味する。好ましい実施態様において、2つの連続した液滴間の距離が、その液滴の直径の少なくとも10倍、8倍、6倍、4倍または2倍となるように、液滴の間隔を空ける。液滴をソーティングジャンクションの近くに集めることは、上述の手段(DEP、バルブなど)による任意の液滴の操作なしに、通過する液滴を廃液チャンネル(waste channel)(すなわち、望まない表現型を示した液滴を流し入れるチャンネル)内に最終的に送るように、追加の流入口によって集め、液滴の軌道を調整することを意味する。廃液チャンネルは好ましくは、少なくとも2つの分岐チャンネルのうちの1つである。

0125

好ましい実施態様において、1以上の流体の流入口を、全ての液滴が検出および/またはソーティングの判断に関係なく、同じ様式で制御されるように、管理する(すなわち、制御はソーティングではない)。これは、最小のパルスのみをソーティングにおいて必要とする(すなわち、液滴を、ソーティングジャンクションまたはソーティングジャンクションのさらに上流において、分岐チャンネルに押し出す)という利点を有する。用語「管理する」は、制御することを意味し、液滴を制御することとの混同を避けるために単に用いられる。好ましくは、流入口はCPUなどの制御手段によって管理され、これは、本明細書で記述される検出手段および/またはチャンネル(特にソーティングチャンネル)内の液滴の位置を考慮し、好ましくはチャンネルの壁からのその距離を考慮する(場合により、追加の)カメラから情報を受け取る。

0126

上述の各実施態様A、BおよびCの追加のデバイスの特徴は、それら自身のみで(すなわち第五の態様のデバイスの特徴なしに、つまりデバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計されるという特徴なしに)、本発明の方法にそれぞれ有利である。

0127

したがって第六の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離する、ソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含むという特徴を持ち、ここでソーティングジャンクションと検出点との間の距離は、(先に明記したように)500μmまたはそれ未満、好ましくは球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍またはわずか3倍未満である。

0128

好ましくは、このマイクロ流体デバイスはさらに、下記の1以上によって特徴付けられる:
(i)デバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計されること、
(ii)デバイスのソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルが上述のようにねじれ、または曲がっていること、および/または
(iii)デバイスが、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流に、ソーティングチャンネルに流体を流入するための1以上の流入口をさらに含むこと。
第六の態様のデバイスは、本発明の第五の態様のデバイスにおいて記述されるように、さらに改変できる。

0129

さらに、第七の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離する、ソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含むという特徴を持ち、ここでデバイスのソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルは上述のようにねじれ、または曲がっている。

0130

好ましくは、このマイクロ流体デバイスはさらに、下記の1以上によって特徴付けられる:
(i)デバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計されること、
(ii)ここでソーティングジャンクションと検出点との間の距離は、(先に明記したように)500μmまたはそれ未満、好ましくは球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍またはわずか3倍未満であること、および/または、
(iii)デバイスが、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流に、ソーティングチャンネルに流体を流入するための1以上の流入口をさらに含むこと。
第七の態様のデバイスは、本発明の第五の態様のデバイスにおいて記述されるように、さらに改変できる。

0131

さらに、第八の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴中に含まれる1以上の粒子を検出するマイクロ流体デバイスに関し、このデバイスは、検出点を備える検出チャンネルを含み、検出チャンネルの下流に、検出された粒子の信号に基づいてマイクロ流体の液滴を分離する、ソーティングジャンクションを備えるソーティングチャンネルを含むという特徴を持ち、ここでデバイスは、ソーティングジャンクションの上流かつ検出点の下流に、ソーティングチャンネルに流体を流入するための1以上の流入口をさらに含む。

0132

好ましくは、このマイクロ流体デバイスはさらに、下記の1以上によって特徴付けられる:
(i)デバイスが、マイクロ流体の液滴中の粒子の少なくとも垂直方向の動きを、球形であるときの同じマイクロ流体の液滴と比較して、検出チャンネル内、少なくとも検出点において抑えるように設計されること、
(ii)ソーティングジャンクションと検出点との間の距離が、(先に明記したように)500μmまたはそれ未満、好ましくは球形のマイクロ流体の液滴の直径の10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍またはわずか3倍未満であること、および/または、
(iii)デバイスのソーティングチャンネルおよび/または検出チャンネルが上述のようにねじれ、または曲がっていること。
第八の態様のデバイスは、本発明の第五の態様のデバイスにおいて記述されるように、さらに改変できる。

0133

マイクロ流体デバイスは独立して存在してもよく、マイクロ流体システムの一部であってもよい。したがって、第九の態様において、本発明はマイクロ流体システムに関し:
第五、六、七および/または八の態様におけるマイクロ流体デバイス、および
検出チャンネル内のマイクロ流体の液滴中に含まれる少なくとも一つの粒子を、検出点において検出する検出手段、
を含む。

0134

好ましくは、この検出手段は、光センサー(例えば、光電子増倍管、CMOSまたはCCDカメラ)または、好ましくは実時間で、パターンおよび/または信号を認識できる検出電極もしくはイメージングデバイスであり、ここでパターンは例えばマイクロ流体の液滴またはマイクロ流体の液滴中の粒子であり、信号は例えば本明細書で記述される検出可能な標識からの信号である。好ましい実施態様において、イメージングデバイスは、カメラおよび、コンピューターなどの画像データを処理するユニットを含む。

0135

関連する実施態様において、マイクロ流体システムはさらに、下記の1以上を含んでもよい:流体をシステム内に、および/またはシステムを通して導入する1以上のポンプ;1以上の高電圧増幅器;顕微鏡などの検出機器または検出システム;1以上のバルブ;レーザー光源および光検出器を含むレーザー分光装置;データ記憶システム;および/または、デバイス内の流体の輸送および/または方向を制御し、デバイス内の流体が受ける環境条件(温度、電流など)をモニターおよび制御する制御システム。

0136

好ましい実施態様において、マイクロ流体システムは、対物レンズを備える顕微鏡を含み、ここで対物レンズは、少なくとも20倍、好ましくは少なくとも30倍、より好ましくは少なくとも40倍または少なくとも50倍もの倍率を有する。

0137

第十の態様において、本発明は、本発明の方法における、本発明のマイクロ流体の液滴、マイクロ流体デバイスおよびマイクロ流体システムの使用に関する。特に、本発明は、第二の態様の方法における第一の態様のマイクロ流体の液滴の使用に関する。さらに、本発明は、第五、六、七または八の態様のデバイスの使用、または第二の態様の方法における第九の態様のマイクロ流体システムの使用に関する。また、本発明は、第五、六、七または八の態様のデバイスの使用、または第三の態様の方法における第九の態様のマイクロ流体システムの使用に関し、特に、第三の態様の方法は上述のマイクロ流体の液滴をソーティングする工程(d)を含む。

0138

本発明を、下記の実施例において記述し、この実施例は、単なる説明であり、本発明の範囲を限定しないものとして解釈される。
実施例1
第一の実施例において、本発明を用いて、ヒトGPCRに結合する、B細胞が分泌した抗体を選定する。マウスを、GPCRの細胞外ドメイン免疫化し、次いでいくつかのブースター注射を行い、B細胞を脾臓から単離する。そして、これらのB細胞を個別に、Alexa−Fluor405(405nmの励起、450nmの蛍光)で標識された抗マウス二次抗体ならびに、ビオチン化されたGPCRの細胞外ドメインおよび二次抗体と異なる波長の光を発する追加のビオチン化された色素(bio−Alexa488またはbio−Alexa568など)の両方で被覆された8μmのストレプトアビジンビーズと共に、液滴中に封入した。液滴を(液滴内部での一次抗体の十分な細胞分泌を可能にするために)外部で数時間インキュベートし、次いで上述した検出およびソーティングチップに再注入した。各液滴の蛍光信号を、(一次抗体とビーズの結合を定量化するための)二次抗体および(ビーズが焦点面および/またはレーザースポットの最大強度のどのくらい外側にあるかを決定するための)ビオチン化された色素の両方において、レーザー分光法によって測定した。ある封入されたB細胞がGPCRで被覆されたビーズに結合する抗体を分泌する場合、蛍光標識された二次抗体もビーズ表面上で固定化される。これは、液滴がレーザーを通過すると、強く、狭い蛍光の発光ピークをもたらす。対照的に、B細胞が分泌した抗体がビーズに結合しないと、広く、弱い強度の蛍光ピークが観測される。ビーズが焦点面および/または最大強度のレーザースポットの内部にある場合、ビオチン化された色素の信号は最大となる。対照的に、ビーズが焦点面および/または最大強度のレーザースポットの外部にある場合、観測される蛍光信号は弱くなる。したがって、測定された二次抗体蛍光ピークの強度をビーズのピーク強度最大値で割ることは、液滴内部のビーズの位置に関係なく、一次抗体とGPCRとの結合を定量的に決定することを可能にする。それゆえ、この正規化された値を、GPCRに結合する抗体を分泌するB細胞のホストである液滴を、特異的に単離するためのソーティングの基準として利用できる。ソーティングの工程後、ポジティブにソーティングされた個々のB細胞における抗体をコードする遺伝子をRT−PCRで増幅し、配列決定し、所望の抗体を同定する。

0139

実施例2
GPCRに対する抗体のアゴニスト作用についてスクリーニングを行う。マウスを、GPCRの細胞外ドメインで免疫化し、次いでいくつかのブースター注射を行い、B細胞を脾臓から単離する。平行して、GPCR活性化に際して(例えば、短寿命GFPの発現による)細胞内緑色蛍光信号を発生するレポーター細胞を、カルセインブルーで染色する。次の工程において、B細胞とレポーター細胞を液滴中に共封入し、数時間インキュベートし、液滴中の抗体の十分な分泌を可能にする。その後、液滴を、例えば本明細書に記述されるような、ソーティングのためのマイクロ流体デバイスに再注入する。ソーティングにおいて、(GPCRの活性化を示す)緑色の信号を(レポーター細胞の、焦点面および最大強度のレーザースポットへの近接性を示す)青色の信号で割り、この正規化したパラメータが最も高い値である液滴を回収する。ソーティングの工程後、ポジティブにソーティングされた個々のB細胞における抗体をコードする遺伝子をRT−PCRで増幅し、配列決定し、所望の抗体を同定する。

0140

実施例3
GPCRに対する抗体のアゴニスト作用についてスクリーニングを行う。マウスを、GPCRの細胞外ドメインで免疫化し、次いでいくつかのブースター注射を行い、B細胞を脾臓から単離する。次にこれらのB細胞を、カルセイン−オレンジなどの非特異的な色素で染色する。平行して、GPCR活性化に際して細胞内緑色蛍光信号を発生するレポーター細胞を、カルセイン−ブルーで染色する。次の工程において、B細胞、レポーター細胞および対象のGPCRを活性化する薬剤を液滴中に共封入し、数時間インキュベートし、液滴中の抗体の十分な分泌を可能にする。アンタゴニスト抗体を分泌する任意のB細胞を含まない全ての液滴において、レポーター細胞は、(薬剤の存在により)強い緑色の信号を示す。対照的に、アンタゴニスト抗体を分泌するB細胞のホストである液滴は、このレポーター信号を消し、対象の表現型を示す。しかしながら、ある液滴が単にレポーター細胞のホストでない場合、同様の表現型が(緑色のチャンネルにおいて)検出される。追加の測定なしでは、これは多くの偽陽性のB細胞の選定を必然的に導く。この問題を克服するため、液滴を、感度向上のためのいくつかの特別な特徴を持つソーティングデバイスに再注入後、多色の様式で分析する:液滴を少なくともz方向において圧迫する検出チャンネルを備えるチップを用い、45°の角度におけるソーティングチャンネルを用い、液滴を、正確に1つのB細胞(1つのオレンジ色のピーク)および1つのレポーター細胞(1つの青色のピーク)の存在について、最初に分析する。この基準を達成し、さらに緑色のチャンネルにおいてアッセイの信号を示さない、または少なくとも強く減少したアッセイの信号を示す、液滴のみをソーティングする。ソーティングの工程後、ポジティブにソーティングされた個々のB細胞における抗体をコードする遺伝子をRT−PCRで増幅し、配列決定し、所望の抗体を同定する。

0141

実施例4
マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)などの抗原に対する抗体の特異的な結合について、スクリーニングを行う。このスクリーニングは、MMP−2にも結合する抗体に対する直接的なカウンタースクリーニングを含む。マウスをMMP−1のペプチドで免疫化し、次いでいくつかのブースター注射を行い、B細胞を脾臓から単離する。そして、これらのB細胞を個別に、Alexa−Fluor405(405nmの励起、450nmの蛍光)で標識された抗マウスの二次抗体ならびに、ビオチン化されたMMP−1のペプチドおよびbio−488の両方で被覆された8μmのストレプトアビジンビーズと共に、液滴中に封入した。そして、MMP−2およびbio−Alexa568で被覆された8μmのストレプトアビジンビーズをさらに液滴中に共封入する。ソーティングでは、488nmでの信号強度で割った405nmでの蛍光信号(標的抗原MMP−1に対する効率的な結合を示す正規化された値)において強い値を示し、同時に、568nmでの信号強度で割った405nmでの蛍光信号(MMP−2に対する望ましくない結合を示す正規化された値)において値を示さない、またはわずかな弱い値を示す、液滴のみを回収した。この方法では、MMP−2に結合しない、特異性の高いMMP−1のバインダーを同定できる。ソーティングの工程後、ポジティブにソーティングされた個々のB細胞における抗体をコードする遺伝子をRT−PCRで増幅し、配列決定し、所望の抗体を同定する。

0142

実施例5
細胞は焦点面および/またはレーザースポットの中心の内または外で浮遊し得、ばらつきの大きな発光強度をもたらすため、マイクロ流体の液滴内部の染色された細胞の信頼性のある検出は困難である。これを克服するため、発明者は特殊な配置を備える新規なソーティングチップを設計した(図3および4):まず第一に、検出を行う(レーザー光線集光する)チャンネルの一部を、チップの残部と比較して狭く、浅くする(例えば、残りのチャンネルと比較して<50%)。これは、液滴が栓(チャンネルを完全に満たす液滴)となることを意味し、封入された細胞は、y方向(細胞は、レーザースポットの中心により近づき、またはさらに離れ得る)およびz方向(細胞は、焦点面により近づき、またはさらに離れ得る)の両方において、空間的な自由度が減る。注目すべきことは、チップ全体を狭く、浅いチャンネルとして設計することは、目詰まりが非常に頻繁に起こるため適切ではない。対照的に、本発明のソーティングチップは、分析およびソーティングの工程において、異なる深さおよび幅である。

0143

蛍光の読み出しの感度はまた、倍率の高い対物レンズを用いることで、向上できる。しかしながら、哺乳類細胞(典型的に、直径約100μm)の培養に十分な大きさの液滴を処理できるソーティングデバイスにおいて、例えば40倍の対物レンズを用いると、分析点とソーティングディバイダーを同じ視野に入れることは非常に難しい。これは、大きな液滴が30μmの液滴ソーターと比較して大きな寸法のチャンネルを要求するという事実のためであり、また誘電泳動のソーティングに用いる電極が十分な空間を必要とするためでもある。発明者は、40倍の対物レンズを用いたときでさえ、分析点とソーティングディバイダーが同じ視野内にある(両者の距離は500μm未満である)、非常にコンパクトなソーティングチップの設計を成し遂げた。このコンパクトな設計はまた、液滴を検出するチャンネルとソーティングするチャンネルにおいて、45°の角度のねじれを有することによって達成される(図4参照)。このソーティングチップのさらなる特徴は、ソーティングディバイダーの上流ではなく、圧縮部の下流における追加の油の入口である。これは、ソーティングジャンクションに向かう液滴の軌道を微調整することを可能にする。チップは、これらの新規な特徴の1つを含めば既に有利であるが、これらの2以上または全てを組み合わせると、特に有利である。

実施例

0144

実施例6
6μmのFluoresbriteビーズ(異なる波長で同時に発光するビーズ;Polysciences Inc.から市販されている)を液滴中に封入し、得られる蛍光信号を分析した。全てのビーズはほぼ同数の蛍光色素分子を持ち、したがって蛍光強度についてほとんどばらつきを示さないはずである。しかしながら、単一の蛍光チャンネル(例えば、緑色または青色の範囲)のみを分析すると、蛍光強度の非常に広い分布が観測される(図7A、B参照)。これは、ビーズが液滴内部を自由に浮遊するという事実のためであり、ビーズが焦点面および/またはレーザースポットの中心の内または外にあり得ることを意味する。しかしながら、緑色の信号を青色の信号で(例えば、対応する値を割ることによって)正規化すると、この効果は最小化できる(図7C参照)。全てのイベントはおおむね同じ対角線上にあり、これは、単一の蛍光チャンネルのみを調べるとこれらの信号は大きくばらつくが、正規化したデュアルカラーの読み出しによるこれらのイベントのソーティングは、同等の蛍光強度を持つビーズの収集をもたらすことを意味する。

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