図面 (/)

技術 聴力損傷予防用ペプチド及びそれを含む組成物

出願人 ジェムバックスアンドカエルカンパニー,リミティド
発明者 キムサンチェ
出願日 2016年2月18日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2017-545367
公開日 2018年5月17日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-512387
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 食品の着色及び栄養改善 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 対比効果 前庭器官 破壊部位 三半規管 外リンパ液 投薬時期 膨大部 結論的
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月17日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (19)

課題・解決手段

本発明は、聴力損傷の予防及び治療用薬学組成物に関する。より詳しくは、テロメラーゼ由来ペプチドを含む組成物であって、耳毒性薬物による聴力損傷の治療及び予防に効果的な組成物に関する。本発明の配列番号1の配列を有するペプチド、又は該配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントは、耳毒性薬物による聴力損傷の治療及び予防に優れた効果を有する。

概要

背景

の解部学的構造は、外耳中耳及び内耳に細分され、内耳は、聴覚のための蝸牛(cochlea)と、平衡感覚のための前庭(vestibule)及び三半規管(semicircular canals)とから構成され、これに聴神経が繋がっている構造である。

聴力の損傷は、外耳、中耳及び内耳のうちの一つ又は多数の部分に損傷が生じている結果である。聴力の損傷には、4種類のタイプがある。第1に、最もよく見られるタイプとして、感覚神経聴力損傷は、内耳を構成している蝸牛内聴覚細胞有毛細胞、hair cell)が、損失又は損傷した結果から発生する。第2に、伝音性聴力喪失は、外耳や中耳に問題があって、音が適合に内耳に伝導できない場合である。第3に、混合性聴力損失は、感覚神経性及び伝音性聴力損失が複合された場合である。最後に、神経性聴力損失は、聴神経が音の信号を、脳に伝達できない場合に発生する。

耳毒性とは、治療剤又は化学物質により、内耳、即ち、聴力及び前庭機能抹消器官神経組織機能障害及び組織細胞退行性変化を生じる現象をいう。

アミノグリコシド抗生剤と、百金系抗がん剤とは、反復的な投与により、腎臓と内耳に致命的な毒性を示し、大部分の場合、腎毒性は、可逆的な場合が多いが、耳毒性は、永久的に現れる。このような毒性のため、効果面において優れている多数の薬物の場合、薬物処方による効果が、アミノグリコシド抗生剤と、白金系抗がん剤との副作用を甘受できるほど深刻でなければ、一次的に処方されていない。耳毒性薬物による細胞死滅メカニズムが、段々明らかになって、ROSの中和、細胞死滅酵素の抑制、抗炎、向神経物質処置などの方法で、有毛細胞を保護し、聴力の低下を防止するための試みと研究が続けられてきたが、薬物自体の毒性と、内耳まで伝達することの難しさから、臨床適用は微々たる実情である。アミノグリコシド抗生剤の耳毒性は、薬物が内耳に吸収され、内耳の有毛細胞に蓄積されることで、進行する。

フロセミド(furosemide)は、利尿作用を促進する利尿剤一種であり、鬱血性心不全腎性浮腫肝性浮腫高血圧患者などに用いられる。これは、強力な利尿作用を示し、妊娠中毒症腹水抹消血管性浮腫にも使用されるが、多量投与又は長期投与の際に、電解質の不均衡急性低血圧を引き起こすことが報告されている。これに加えて、フロセミドは、聴覚障害耳鳴又は難聴を引き起こすことも報告されている。

追加に、耳毒性の発生可能ないくつかの危険因子が知られている。一般に、耳毒性薬剤投与用量が多いほど、使用期間が長くなるほど、耳毒性の可能性は高くなるが、患者の年令(特に、65以上の高齢)、共に投与している耳毒性薬剤、過去の耳毒性薬剤の使用の可否、過去の騒音への露出の可否、既存の聴覚及び平衡障害腎機能の低下、肝機能発熱、低血量症、菌血症なども耳毒性の程度に影響を及ぼすことが知られている。

概要

本発明は、聴力損傷の予防及び治療用薬学組成物に関する。より詳しくは、テロメラーゼ由来ペプチドを含む組成物であって、耳毒性薬物による聴力損傷の治療及び予防に効果的な組成物に関する。本発明の配列番号1の配列を有するペプチド、又は該配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントは、耳毒性薬物による聴力損傷の治療及び予防に優れた効果を有する。

目的

本発明の一態様では、配列番号1のアミノ酸配列を含む(comprising)ペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントである、跳梁損傷の治療効能を有するペプチドを、有効成分として含む薬学的組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントを含む、聴力損傷治療及び予防用組成物

請求項2

前記フラグメントは、3個以上のアミノ酸から成るフラグメントを含む、請求項1に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項3

前記聴力損傷は、耳毒性薬物の投与又は耳毒性薬物の治療によって引き起こされる、請求項1に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項4

前記耳毒性薬物は、サリチル酸塩非ステロイド性抗炎症薬抗生剤利尿剤化学療法剤キニーネ剤、粘膜保護剤、及び抗がん剤からなる群より選択される一つ以上の薬物を含む、請求項3に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項5

前記抗生剤は、アミノグリコシド系抗生剤であり、前記抗がん剤は、白金系抗がん剤である、請求項4に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項6

前記アミノグリコシド系抗生剤は、カナマイシンを含み、前記白金系抗がん剤は、シスプラチン又はカルボプラチンを含む、請求項5に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項7

前記利尿剤は、フロセミドを含む、請求項4に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項8

前記聴力損傷は、内耳抹消器官及び神経組織退行性変化による難聴及び耳鳴りを含む、請求項1に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項9

薬学的に許容可能な添加剤をさらに含む薬学組成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項10

前記組成物は、食品組成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物。

請求項11

請求項1〜8のいずれか一項に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物を、対象に投与することを含む、聴力損傷の治療及び予防方法

請求項12

請求項1〜8のいずれか一項に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物、及び説明書を含む、聴力損傷の治療及び予防用キット

請求項13

前記説明書は、前記聴力損傷の治療及び予防用組成物の投与に関する内容を含む、請求項12に記載の聴力損傷の治療及び予防用キット。

請求項14

聴力損傷において、請求項1〜8のいずれか一項に記載の聴力損傷の治療及び予防用組成物を製造するための、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントの使用。

技術分野

0001

本発明は、聴力損傷予防効果を有するペプチド及びそれを含む薬学的組成物に関する。より詳しくは、テロメラーゼ由来のペプチドであって、耳毒性薬物による聴力損傷の予防効果を有するペプチド及びそれを含む聴力損傷予防用薬学的組成物に関する。

背景技術

0002

の解部学的構造は、外耳中耳及び内耳に細分され、内耳は、聴覚のための蝸牛(cochlea)と、平衡感覚のための前庭(vestibule)及び三半規管(semicircular canals)とから構成され、これに聴神経が繋がっている構造である。

0003

聴力の損傷は、外耳、中耳及び内耳のうちの一つ又は多数の部分に損傷が生じている結果である。聴力の損傷には、4種類のタイプがある。第1に、最もよく見られるタイプとして、感覚神経性聴力損傷は、内耳を構成している蝸牛内聴覚細胞有毛細胞、hair cell)が、損失又は損傷した結果から発生する。第2に、伝音性聴力喪失は、外耳や中耳に問題があって、音が適合に内耳に伝導できない場合である。第3に、混合性聴力損失は、感覚神経性及び伝音性聴力損失が複合された場合である。最後に、神経性聴力損失は、聴神経が音の信号を、脳に伝達できない場合に発生する。

0004

耳毒性とは、治療剤又は化学物質により、内耳、即ち、聴力及び前庭機能抹消器官神経組織機能障害及び組織細胞退行性変化を生じる現象をいう。

0005

アミノグリコシド抗生剤と、百金系抗がん剤とは、反復的な投与により、腎臓と内耳に致命的な毒性を示し、大部分の場合、腎毒性は、可逆的な場合が多いが、耳毒性は、永久的に現れる。このような毒性のため、効果面において優れている多数の薬物の場合、薬物処方による効果が、アミノグリコシド抗生剤と、白金系抗がん剤との副作用を甘受できるほど深刻でなければ、一次的に処方されていない。耳毒性薬物による細胞死滅メカニズムが、段々明らかになって、ROSの中和、細胞死滅酵素の抑制、抗炎、向神経物質処置などの方法で、有毛細胞を保護し、聴力の低下を防止するための試みと研究が続けられてきたが、薬物自体の毒性と、内耳まで伝達することの難しさから、臨床適用は微々たる実情である。アミノグリコシド抗生剤の耳毒性は、薬物が内耳に吸収され、内耳の有毛細胞に蓄積されることで、進行する。

0006

フロセミド(furosemide)は、利尿作用を促進する利尿剤一種であり、鬱血性心不全腎性浮腫肝性浮腫高血圧患者などに用いられる。これは、強力な利尿作用を示し、妊娠中毒症腹水抹消血管性浮腫にも使用されるが、多量投与又は長期投与の際に、電解質の不均衡急性低血圧を引き起こすことが報告されている。これに加えて、フロセミドは、聴覚障害耳鳴又は難聴を引き起こすことも報告されている。

0007

追加に、耳毒性の発生可能ないくつかの危険因子が知られている。一般に、耳毒性薬剤投与用量が多いほど、使用期間が長くなるほど、耳毒性の可能性は高くなるが、患者の年令(特に、65以上の高齢)、共に投与している耳毒性薬剤、過去の耳毒性薬剤の使用の可否、過去の騒音への露出の可否、既存の聴覚及び平衡障害腎機能の低下、肝機能発熱、低血量症、菌血症なども耳毒性の程度に影響を及ぼすことが知られている。

発明が解決しようとする課題

0008

したがって、本研究では、耳毒性誘発の動物モデルにおいて、テロメラーゼ由来のペプチドの有効性と安全性を評価した。実験を通じて、テロメラーゼ由来のペプチドの耳毒性に対する聴力及び内耳損傷の予防効果を立証しており、これは、内耳の損傷が、耳毒性薬物、騒音、低酸素症のようなストレスにより行われ、有毛細胞の損傷の最終メカニズムは、活性酸素による細胞死滅であるので、テロメラーゼ由来のペプチドが、内耳の損傷に対する保護だけでなく、損傷された内耳の回復にも効果があり得るので、損傷された内耳の回復及び治療にも適用可能で、副作用のない聴力損傷の治療にかなり役になると期待できる。

課題を解決するための手段

0009

前記の目的を達成するために、本発明の一態様によると、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントを含む、聴力損傷の治療及び予防用組成物が提供される。

0010

本発明の一態様による組成物において、前記フラグメントは、3個以上のアミノ酸から成るフラグメントであってもよい。

0011

本発明の一態様による組成物において、前記聴力損傷は、耳毒性薬物の投与又は耳毒性薬物の治療によって引き起こされ得る。

0012

本発明の一態様による組成物において、前記耳毒性薬物は、サリチル酸塩非ステロイド性抗炎症薬、抗生剤、利尿剤、化学療法剤キニーネ剤、粘膜保護剤、及び抗がん剤からなる群より選ばれた一つ以上の薬物を含み得る。

0013

本発明の一態様による組成物において、前記抗生剤は、アミノグリコシド系抗生剤であり得、前記抗がん剤は、白金系抗がん剤であり得る。

0014

本発明の一態様による組成物において、前記アミノグリコシド系抗生剤は、カナマイシンを含み得、前記白金系抗がん剤は、シスプラチン又はカルボプラチンを含み得る。

0015

本発明の一態様による組成物において、前記利尿剤は、フロセミドを含み得る。

0016

本発明の他の一態様による組成物において、前記聴力損傷は、内耳の抹消器官及び神経組織の退行性変化による難聴及び耳鳴りを含み得る。

0017

本発明のまた他の一態様によると、前記組成物は、薬学組成物であってもよい。

0018

本発明のまた他の一態様によると、前記組成物は、食品組成物であってもよい。

0019

本発明のまた他の一態様によると、前記聴力損傷の治療及び予防用組成物を、対象に投与することを含む、聴力損傷の治療及び予防方法が提供される。

0020

本発明のまた他の一態様によると、前記聴力損傷の治療及び予防用組成物、及び説明書を含む、聴力損傷の治療及び予防用キットが提供される。

0021

本発明のまた他の一態様によるキットにおいて、前記説明書は、前記聴力損傷の治療及び予防用組成物の投与に関する内容を含んでもよい。

0022

本発明のまた他の一態様によると、聴力損傷において、前記聴力損傷の治療及び予防用組成物を製造するための、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントの使用が提供される。

発明の効果

0023

本発明によると、効果的に聴力損傷の保護が可能な組成物が提供できる。従って、本発明による組成物は、聴力損傷の治療及び予防に適用でき、特に耳毒性薬物による聴力損傷の治療のために使用できる。

0024

また、本発明による配列番号1の配列を有するペプチド(PEP1)、又は前記配列と80%の相同性を有する配列を有するペプチド又はそのフラグメントであるペプチドは、聴力損傷の治療及び予防の効能を有する。

図面の簡単な説明

0025

カナマイシンを投与した耳毒性動物モデルにおける蝸牛組織尖部(Apical turn)、中間部(Middle turn)、基底部(Basal turn)からの有毛細胞の写真である。
カナマイシンとPEP1とを共に投与した動物モデルにおける蝸牛組織の尖部、中間部、基底部からの有毛細胞の写真である。
カナマイシンを投与した群と、カナマイシンとPEP1とを共に投与した群との尖部、中間部、基底部別の有毛細胞数をカウントして、比率で表したものを比較して示したグラフである。
カナマイシンを投与した耳毒性動物モデルから、凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織のH&E染色の写真である。
カナマイシンとPEP1とを共に投与した動物モデルから、凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織のH&E染色の写真である。
カナマイシンを投与した群と、カナマイシンと濃度別のPEP1とを共に投与した群との各々の周波数別聴性脳幹反応検査(ABR)による聴力損失の程度を示したグラフである。
PEP1を投与していない対照群と、濃度別のPEP1を一日に2回、毎日投与して2週間処理した群との蝸牛組織の有毛細胞の写真である。
PEP1を投与していない対照群から、凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織のH&E染色の写真である。
PEP1を濃度別に投与した各実験群から、凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織のH&E染色の写真である。
耳毒性薬物のカナマイシン及びフロセミドを投与した耳毒性動物モデルを用いて、実験D1及びD3の日程で進行した実験の薬物投与、及び聴性脳幹反応検査の日程を示したプロトコルのグラフである。
実験D1の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群1、デキサメタゾン(dexamethasone)を投与した実験群2、及び食塩水を投与した対照群1の周波数別の聴力変化を、耳毒性薬物の投与前、薬物の投与後7日、薬物の投与後14日に、聴性脳幹反応検査により測定した値を示したグラフである。
実験D3の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群3、デキサメタゾンを投与した実験群4、及び食塩水を投与した対照群2の周波数別の聴力変化を、耳毒性薬物の投与前、薬物の投与後7日、薬物の投与後14日に、聴性脳幹反応検査により測定した値を示したグラフである。
実験D1及びD3の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群1及び実験群3の周波数別の聴力変化を、耳毒性薬物の投与前、薬物の投与後7日、薬物の投与後14日に、聴性脳幹反応検査により測定して比較した値を示したグラフである。
実験D1の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群1、デキサメタゾンを投与した実験群2、及び食塩水を投与した対照群1の組織検査を行い、蝸牛の基底部(Basal)、中間部(Mid)、尖部(Apex)の有毛細胞の生存力を、共焦点スキャン顕微鏡により観察した写真である。
実験D3の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群3、デキサメタゾンを投与した実験群4、及び食塩水を投与した対照群2の組織検査を行い、蝸牛の基底部、中間部、尖部の有毛細胞の生存力を、共焦点スキャン顕微鏡により観察した写真である。
実験D1の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群1、デキサメタゾンを投与した実験群2、及び食塩水を投与した対照群1の組織検査を行い、蝸牛の基底部、中間部、尖部の定常有毛細胞の比率を、定量的に分析して示したグラフである。
実験D3の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群3、デキサメタゾンを投与した実験群4、及び食塩水を投与した対照群2の組織検査を行い、蝸牛の基底部、中間部、尖部の定常有毛細胞の比率を、定量的に分析して示したグラフである。
実験D1及びD3の日程に従い、耳毒性動物モデルに、PEP1を投与した実験群1及び実験群3の組織検査を行い、蝸牛の基底部、中間部、尖部の定常有毛細胞の比率を、定量的に分析して示したグラフである。

0026

本発明は、多様な変換を加えてもよく、様々な実施例を有してもよい。以下、本発明をより詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定することではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことを理解すべきである。本発明を説明するにあたって、関連の公知技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にする恐れがあると判断する場合、その詳細な説明を省略する。

0027

テロメア(telomere)は、染色体末端に繰り返して存在する遺伝物質であって、当該染色体の損傷や他の染色体との結合を防止すると知られている。テロメアの長さは、細胞分裂する度に、少しずつ短くなって、一定の回数以上の細胞分裂があれば、テロメアは非常に短くなり、その細胞は、分裂を止めて死になる。その反面、テロメアを長くすると、細胞の寿命延長されると知られており、その例として、癌細胞では、テロメラーゼ(telomerase)という酵素が分泌され、テロメアが短くなることを防ぐため、癌細胞が死ぬことなく、増殖し続けることができると知られている。本発明者らは、テロメラーゼに由来のペプチドが、血管新生の抑制に効果的であることを確認し、本発明を完成するに至った。

0028

本明細書に開示されたペプチドは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の配列相同性を有するペプチドを含んでもよい。また、本明細書に開示されたペプチドは、配列番号1を含むペプチド又はそのフラグメントと、1個以上のアミノ酸、2個以上のアミノ酸、3個以上のアミノ酸、4個以上のアミノ酸、5個以上のアミノ酸、6個以上のアミノ酸又は7個以上のアミノ酸が変化されたペプチドとを含んでもよい。

0029

本発明の一態様において、アミノ酸の変化は、ペプチドの物理化学的特性を変更させる性質に属する。例えば、ペプチドの熱安定性を向上し、気質特異性を変更させ、最適のpHを変化させるなどのアミノ酸の変化が行われてもよい。

0030

また、本発明の一態様による配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号1の配列のフラグメントであるペプチド又は前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドは、細胞内毒性が低く、生体内定性が高いという長所を有する。本発明における配列番号1は、テロメラーゼに由来のペプチドとして、以下のように16個のアミノ酸からなるペプチドである。

0031

配列番号1に記載されたペプチドは、以下の表1の通りである。以下の表1における「名称」は、ペプチドを区別するために命名したものである。本発明の一態様において、配列番号1に記載されたペプチドは、ヒトのテロメラーゼの全ペプチドを示す。本発明の他の態様において、配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号1の配列のフラグメントであるペプチド、又は前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドは、テロメラーゼに含まれたペプチドのうち、当該位置のペプチドを選別して合成した「合成ペプチド」を含む。配列番号2は、全テロメラーゼのアミノ酸配列を示したものである。

0032

0033

本発明の実験において用いられたカナマイシン(kanamycin)は、アミノグリコシド系抗生剤である。アミノグリコシドは、投与量の3%のみが胃腸で吸収されるので、注射で投与し、投与された薬物は、ほとんど腎臓の糸球体ろ過を経て、尿として排泄され、腎不全の際には、排泄が減少し、内耳の外リンパ液内に過度に蓄積され、腎毒性と共に耳毒性を誘発しやすい。カナマイシンは、詳しくは、ネオマイシン(neomycin)、アミカシン(amikacin)、シソマイシン(sisomycin)、リボマイシン(livodomycin)などとともに、初期に蝸牛の基底回転部の外有毛細胞破壊し、投与を続けるに従い、破壊部位を、尖端部に拡大する蝸牛毒性製剤である。

0034

本発明の実験で用いられたフロセミド(furosemide)は、利尿剤であって、体内に不要に蓄積された水分と塩を除去することにより、高血圧や浮腫を治療するときに用いられる。フロセミドは、高容量の使用、低蛋白血症などの場合、他の耳毒性薬物との併用時、耳鳴り、聴覚損傷、難聴の事例が報告されている。

0035

本発明の実験で用いられたデキサメタゾン(dexamethasone)は、合成コルチコステロイド(corticosteroid)剤であって、抗炎剤、免疫抑制剤として用いられる。これは、様々な炎症疾患の治療及び免疫抑制剤として使われ、耳鳴り、聴力損傷、前庭器官の異常症状にも効果を奏する。しかし、過度の投与の際、免疫作用を過度に抑制し、目又は耳の真菌感染疾患の患者には、深刻な副作用を与えることが報告されている。

0036

本発明の実験において、聴力損傷を調べるために用いられた聴性脳幹反応検査(ABR、auditory brainstem response)は、音刺激により得られる脳の中枢部からの脳波を、平均加算して、聴力の閾値を判定する精密聴力検査である。閾値が増加するほど、聴力が損傷されることを意味する。

0037

本発明の一態様では、配列番号1のアミノ酸配列を含む(comprising)ペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそれらのフラグメントである、跳梁損傷の治療効能を有するペプチドを、有効成分として含む薬学的組成物を提供する。

0038

本発明の一態様による聴力損傷の治療効能の組成物は、一側面では、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそのフラグメントであるペプチドを、0.01g/L〜1kg/L、具体的には、0.1g/L〜100g/L 、より具体的には、1 g/L 〜10 g/Lの含量で含んでもよいが、容量による効果の差を示す場合、これを適切に調整することができる。前記範囲又はそれ以下の範囲で含む場合、本発明の意図した効果を奏するのに適切であるだけではなく、組成物の安定性及び安全性の両方を満たすことができ、費用対比効果の観点からも、前記範囲で含むことが適切であり得る。

0039

本発明の一態様による組成物は、ヒト、イヌニワトリブタウシヒツジ、ギニアピグ又はサルを含む全ての動物に適用できる。

0040

本発明の一態様において、組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(comprising)ペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそのフラグメントであるペプチドを含む、薬学組成物を提供する。本発明の一態様による薬学組成物は、経口、直腸経皮静脈内、筋肉内、腹腔内、骨髄内、硬膜内又は皮下内に投与できる。

0041

経口投与のための剤形は、錠剤丸剤軟質又は硬質カプセル剤顆粒剤散剤液剤、又は乳濁剤であってもよいが、これに限定されない。非経口投与のための剤型は、注射剤点滴剤ローション軟膏ゲルクリーム懸濁剤乳剤坐剤パッチ、又は噴霧剤であってもよいが、これに限定されない。

0042

本発明の一態様による薬学組成物は、必要に応じて、希釈剤賦形剤滑沢剤結合剤崩解剤、緩衝剤分散剤界面活性剤着色剤香料、又は甘味剤などの添加剤を含んでもよい。本発明の一態様による薬学組成物は、当業界の通常的な方法により製造できる。

0043

本発明の一態様による薬学組成物の有効成分は、投与される対象の年齢性別、体重、病理状態及びその重症度投与経路又は処方者の判断によって異なる。このような因子に基づいた適用量の決定は、当業者のレベル内にあり、この一日投与量は、例えば、10ng/kg/日〜100g/kg/日、具体的には、0.1μg/kg/日〜10g/kg/日、より具体的には、1μg/kg/日〜1g/kg/日、さらにより具体的には、2μg/kg/日〜100mg/kg/日となってもよいが、容量による効果の差を示す場合、これを適切に調整してもよい。本発明の一態様による薬学組成物は、1日1回〜3回投与してもよいが、これに限定されない。

0044

本発明の一態様において、組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(comprising)ペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド又はそのフラグメントであるペプチドを、有効成分として含む食品組成物を提供する。

0045

本発明の一態様による食品組成物の剤形は、特に限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、粉末剤、液剤、固形製剤などに剤形化することができる。各剤形は、有効成分の他に、当該分野において通常用いられる成分を、剤形又は使用目的に応じて、当業者が容易に適宜選択して配合でき、他の原料と同時に適用する場合、上昇効果を奏することができる。

0046

本明細書において用いられた用語は、特定の具体例を説明するための目的のみで意図されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。名詞の前に個数が省略された用語は、数量を制限するものではなく、言及された名詞の物品が、一つ以上存在することを示すものである。用語「含む」、「有する」、及び「含有する」とは、包括的意味と解釈される(即ち、「含まれるが、これに限定されない」という意味)。

0047

数値の範囲を言及するのは、単にその範囲内に属するそれぞれの別個の数値を、個別的に言及することに代わる容易な方法であるためであり、それではないと明示されていない限り、各数値は、個別的に明細書に言及されているように本明細書に適用される。全ての範囲の限界値は、その範囲内に含まれ、独立して組み合わせ可能である。

0048

本明細書に述べられる全ての方法は、特に明示されているか、文脈により明白に矛盾しない限り、適切な順序で行われ得る。いずれか一つの実施例及び全ての実施例又は例示的言語(例えば、「〜のような」)を使用するのは、特許請求の範囲に含まれていない限り、単に本発明の記載を容易にするためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書のいかなる言語も、請求されていない構成要素を、本発明の実施に必須的なものであると解釈してはいけない。特に定めのない限り、本明細書に用いられる技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により通常理解されるような意味を有する。

0049

本発明の好適な具体例は、本発明を実行するために、発明者に知られた最適のモードを含む。好適な具体例の変形は、先行する記載に触れれば、当業者に明白になるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に利用することを期待し、発明者らは、本明細書の記載とは異なる方式で、本発明が実施されることを期待する。従って、本発明は、特許法により許容されているように、添付の特許請求の範囲に述べられた発明の要旨の均等物及び全ての変形を含む。さらに、全ての可能な変形内で、前述の構成要素のいかなる組み合わせも、ここで異なって明示するか、文脈上、明白に矛盾しない限り、本発明に含まれる。本発明は、例示的な具体例を参照して、具体的に開示し、記述されたが、当業者は、添付の特許請求の範囲により定められる発明の思想及び範囲を逸脱することなく、形態及びディテールにおいて多様な変化が可能であることがよく分かる。

0050

以下、実施例及び実験例をもって、本発明の構成及び効果をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例及び実験例は、本発明の理解を助けるために例示の目的にのみ提供されたものに過ぎず、本発明の範疇及び範囲を限定するものではない。

0051

実施例1:ペプチドの合成
配列番号1のペプチド(以下、「PEP1」という)を、従来知られている固相ペプチド合成法(solid phase peptide synthesis, SPPS)に従って製造した。具体的に、ペプチドは、ASP48S(Peptron, Inc., 大韓民国・大田)を用いて、Fmoc固相合成法でC−末端からアミノ酸を一つずつカップリングすることにより合成した。次のように、ペプチドのC−末端の一番目のアミノ酸が、レジンに付着されたものを用いた。例えば、以下の通りである。

0052

NH2−Lys(Boc)−2−クロロ−トリチルレジン
NH2−Ala−2−クロロ−トリチルレジン
NH2−Arg(Pbf)−2−クロロ−トリチルレジン
ペプチドの合成に用いた全てのアミノ酸原料は、N−末端がFmocで保護(protection)され、残基は全て酸で除去される、Trt、Boc、t−Bu(t-ブチルエステル)、Pbf(2、2、4、6、7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルフォニル)などで保護されたものを用いた。例えば、次の通りである。

0053

Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Ahx−OH、Trt−メルカプト酢酸

0054

カップリング試薬(Coupling reagent)としては、HBTU[2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1、1、3、3−テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート]/HOBt[N−ヒドロキシベンゾトリアゾル]/NMM[4−メチルモルホリン]を用いた。Fmocの除去は、20%のDMF中のピペリジン(piperidine in DMF)を用いた。合成されたペプチドを、レジンから分離及び残基の保護基の除去には、切断カクテル(Cleavage Cocktail)[TFA(トリフルオロ酢酸)/TIS(トリイソプロピルシラン)/EDT(エタンジチオール)/H2O=92.5/2.5/2.5/2.5]を用いた。

0055

アミノ酸の保護基が結合された出発アミノ酸が、固相支持体に結合されている状態を利用して、ここに当該アミノ酸を各々反応させ、溶媒洗浄した後、脱保護の過程を繰り返すことにより、各ペプチドを合成した。合成されたペプチドを、レジンから切り取った後、HPLCで精製し、MSで合成の可否を確認した後、凍結乾燥した。

0056

本実施例に用いられたペプチドへの高速液体クロマトグラフィーの結果、全てのペプチドの純度は、95%以上であった。

0057

ペプチドPEP1の製造についての具体的な過程は、以下の通りである。

0058

1)カップリング
NH2−Lys(Boc)−2−クロロ−トリチルレジンに、保護されたアミノ酸(8当量)と、カップリング試薬HBTU(8当量)/HOBt(8当量)/NMM(16当量)とをDMFに溶解して加えた後、常温で2時間反応させ、DMF、MeOH 、DMFの順に洗浄した。

0059

2)Fmoc脱保護
20%のDMF中のピペリジン(piperidine in DMF)を加えて、常温で5分間2回反応させ、DMF、MeOH 、DMFの順に洗浄した。

0060

3)前記1)と2)の反応を繰り返して行い、ペプチドの基本骨格NH2−E(OtBu)−A−R(Pbf)−P−A−L−L−T(tBu)−S(tBu)−R(Pbf)L−R(Pbf)−F−I−P−K(Boc)−2−クロロ−トリチルレジンを作製した。

0061

4)切断(Cleavage):合成が完了されたペプチドレジンに、切断カクテル(Cleavage Cocktail)を加えて、レジンからペプチドを分離した。

0062

5)得られた混合物に、冷却ジエチルエーテルを加えた後、遠心分離して得られたペプチドを沈殿した。

0063

6)Prep−HPLCで精製した後、LC/MSで分子量を確認し、凍結してパウダーとして製造した。

0064

実施例2:耳毒性薬物による聴力損傷に対するPEP1の効能の確認
実験動物及び注射剤の用意
実験のために、C57/BLマウス(4週〜6週令、重さ15〜25g、雄)を用意した。耳毒性薬物として、カナマイシンサルフェート(sulfate)形態のカナマイシンを、40mg/mlの濃度で食塩水溶液に溶かして、800mg/kgの注射投与用製剤を用意した。実施例1の方法で合成したペプチドであるPEP1は、10mlのPBS当り100mgの濃度で溶かして、注射投与用製剤として用意した。

0065

耳毒性薬物の投与、及び耳毒性薬物とPEP1の投与の実験群の分類
耳毒性薬物であるカナマイシンと、本発明によるペプチドであるPEP1とを、以下のように実験群を分けて用意した実験動物に投与した。

0066

実験群1:カナマイシン800mg/kg皮下注射(S.C.)+食塩水(saline)0.1ml/10gマウス腹腔内注射(I.P.)
実験群2:カナマイシン800mg/kgS.C.+PEP1 10mg/kg I.P.
前記実験群別に、各々の投与量を1日2回、14日間注射した。

0067

組織検査
実験を開始してから3週目に、マウスを安楽死した後、血液を採取し、0.1Mリン酸塩緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline)で希釈した4%パラフォルムアルデヒド(paraformaldehyde, pH7.4)を用いて、かん流固定し、臓器側頭骨)を採取した。

0068

蝸牛と前庭の全般的な構造を見るために、4℃で24時間、4%パラフォルムアルデヒド(pH7.4)に固定した後、0.135MのEDTAに3日間放置して、脱灰(decalcification)を行った。凍結組織切片作製用包埋剤(Optimal cutting temperature compound,OCTcompound)を用いて、組織ブロック製作し、−80℃で保管した後、スライドを作って、H&E染色を行った。

0069

左側の側頭骨は、定量分析のために、蝸牛の全量(whole mount)を用意した。微細器具及び顕微鏡を用いて、蝸牛の骨性迷路(bony labyrinth)を、膜性迷路(membraneous labyrinth)から注意して分離し、尖部と基底部とを分離する。各々血管低のある側壁と、蝸牛のある基底膜部とに分離した後、4%パラフォルムアルデヒドで固定する。0.3%トリトン−X(Triton-X)で1時間反応した後、アレクサ488ファロイジン(Alexa 488 phalloidin)及び1%牛血清アルブミン(Bovine serum albumin,BSA)を用意する。メタノールで溶解したアレクサ488ファロイジンと、1%牛血清アルブミンとを、1:100となるように混ぜる。これを組織に分注し、シェイカー(shaker)で1時間反応させ、洗浄した後、4%パラフォルムアルデヒドで固定する。スライドグラスベクタ(vector)を1滴落とし、分離した組織を分注して載せた(mount)後に、カバーグラスで固定する。対照群と実験群の両方の蝸牛組織と、腎臓組織とは、同じ強度の条件の下で、共焦点顕微鏡により観察した。

0070

聴性脳幹反応検査の実施
注射前、注射後1週、注射後2週、注射後3週に、聴性脳幹反応検査を実施した。聴覚の評価のために、刺激で4kHz、8kHz、16kHz、32kHzの音刺激を与え、聴性脳幹反応(ABR)において、V波出現する最も小さい刺激強度を、閾値と判定した。薬物投与の開始前、全ての群で基底聴力を測定した。測定は、イソフルラン(isoflurane)を腹腔内注射して麻酔した後、実施した。

0071

統計処理
聴性脳幹反応検査の閾値を、各周波数別に合算し、実験群1と実験群2における聴力の閾値につき、マンホイットニーテスト(Mann-Whitney test)を用いて、統計的有意性を確認した。

0072

基底部、中間部、尖部の蝸牛部位別に損傷していない有毛細胞の個数を合算し、実験群1と実験群2における有毛細胞数につき、マンーホイットニーテストを利用して、統計的有意性を確認した。

0073

組織検査結果の分析
組織検査を通じて、蝸牛の基底部、中間部、尖部で有毛細胞を観察した結果、実験群1では、全ての部位で有毛細胞の全般的な損傷が観察された(図1を参照)。これと対照的に、実験群2では、全ての部位で有毛細胞の損傷が観察されなかた(図2を参照)。

0074

また、組織検査において、有毛細胞の計数をした結果、蝸牛の中間部と基底部で、実験群1より実験群2において、統計的に有意に(*は、p<0.001)多い有毛細胞が確認できた(図3を参照)。

0075

また、組織検査において、凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織のH&E染色の結果、実験群1では、蝸牛の有毛細胞が損失されており、膨大部の定常感覚上皮はなくなり、空胞形成(vacuolization)が多く行われていることが観察された(図4を参照)。これと対照的に、実験群2では、蝸牛の定常有毛細胞と、膨大部の定常感覚上皮とが、保存されていることが観察された(図5を参照)。

0076

聴性脳幹反応検査結果の分析
聴性脳幹反応検査を通じて、薬物の投与後、聴力の経時変化を観察した結果、実験群1では、時間の経過につれ、閾値が増加し、その反面、実験群2では、時間が経っても、閾値の変化が微かに現れることを見せた(図6を参照)。両群間の結果の差は、統計的に有意した(*は、p<0.001)。

0077

実施例3:PEP1の投与による耳毒性聴力損傷の可否の確認
実験動物、注射剤の実験群別の用意
実験のために、C57/BL6マウス(4週〜6週令、重さ15〜25g、雄)を用意した。PEP1を濃度別に投与するために、実施例1の方法で合成したPEP1と、対照群である食塩水を用意した。PEP1は、基本の10mg/mlの濃度を1溶液単位と設定して用意した。対照群及び濃度別のPEP1投与群は、以下のような実験群に分けて用意した。

0078

実験群3:対照群として、食塩水を投与(生理食塩水10ml)
実験群4:PEP1を濃度0.1mg/kgで投与(1溶液単位1ml+PBS9ml)
実験群5:PEP1を濃度1mg/kgで投与(10溶液単位1ml+PBS9ml)
実験群6:PEP1を濃度10mg/kgで投与(100溶液単位1ml+PBS9ml)
実験群7:PEP1を濃度100mg/kgで投与(PEP1 100mg+PBS10ml)
前記実験群の各々の濃度で、1回に0.1ml/10gマウス重量の投与量で腹腔内に注射(I.P.)した。1日2回(午前9時及び午後5時)、7日間注射した。

0079

組織検査
実験の開始日から2週後に、動物を安楽死させ、実施例2のような方法で組織検査のためのサンプルの採取を実施した。

0080

組織検査結果の分析
組織検査を通じて、蝸牛の基底部、中間部、尖部で有毛細胞を観察した結果、全ての実験群で、蝸牛の有毛細胞の損傷は、観察されなかった(図7を参照)。

0081

また、組織検査で凍結切片として得た蝸牛及び膨大部組織を、H&E染色したものを観察した結果、対照群である実験群2は、蝸牛の有毛細胞と血管底、膨大部の有毛細胞が、全て定常の所見を見せた(図8を参照)。濃度別のPEP1を処理した実験群4〜7においても、蝸牛組織を観察した結果、蝸牛構造の損傷は、観察されなかった(図9を参照)。

0082

実施例4:二つの耳毒性薬物による聴力損傷に対するPEP1の効能の確認及び既存の薬物との比較
実験動物モデルの用意
実験のために、耳毒性(ototoxicity)動物モデルとして、C57/BL6マウス(5週令、重さ15〜25g、雌)に、腹腔内投与でカナマイシン(1000mg/kg)を投与し、30分内にフロセミド(100mg/kg)を注射して用意した。

0083

実験対象物質の投与実験群の分類及び用意、反復実験
耳毒性動物モデル24匹を、次のように実験群及び対照群に分類して、実験を進めた。実験名をD1と表記した(図10を参照)。

0084

実験群1:カナマイシン及びフロセミドの投与後、1、2、及び3日目に、それぞれPEP1(10mg/kg)を皮下投与(subcutaneous injection)した耳毒性動物モデル8匹
実験群2:カナマイシン及びフロセミドの投与後、1、2、及び3日目に、それぞれデキサメタゾン(15mg/kg)を皮下投与した耳毒性動物モデル8匹
対照群1:カナマイシン及びフロセミドの投与後、1、2、及び3日目に、それぞれ食塩水を投与した耳毒性動物モデル8匹
追加に、耳毒性動物モデルに耳毒性薬物を投与し、耳毒性が進行する時間をもっと与えた後に、実験の結果(即ち、実験物質の投与時期別の効果の差)を調べるために、耳毒性動物モデル24匹を、次のように実験群及び対照群に分類し、実験を進行した。実験名をD3と表記した(図10を参照)。

0085

実験群3:カナマイシン及びフロセミドの投与後、3、4、及び5日目に、それぞれPEP1(10mg/kg)を皮下投与(subcutaneous injection)した耳毒性動物モデル8匹
実験群4:カナマイシン及びフロセミドの投与後、3、4、及び5日目に、それぞれデキサメタゾン(15mg/kg)を皮下投与した耳毒性動物モデル8匹
対照群2:カナマイシン及びフロセミドの投与後、3、4、及び5日目に、それぞれ食塩水を投与した耳毒性動物モデル8匹
聴性脳幹反応検査の実施
カナマイシン及びフロセミドの投与前(0日目)、投与後7日目、投与後14日目に聴性脳幹反応検査を行った(実験D1とD3の両方を同一に検査する)。聴覚の評価のために、刺激で8kHz、16kHz,32kHzの音刺激を与え、聴性脳幹反応(ABR)でV波が出現する最も小さい刺激強度を、閾値と判定した。薬物投与の開始前、全ての群において基底聴力を測定した。測定は、イソフルラン(isoflurane)を腹腔内に注射して麻酔した後、実施した。

0086

組織検査
カナマイシン及びフロセミドの投与後、14日目に、聴性脳幹反応検査を済んだマウスを安楽死させた後、耳嚢(otic capsule)を収穫し、共焦点顕微鏡(confocal scanning microscopy)により有毛細胞(hair cells)の損傷の程度を観察した。

0087

統計処理
聴性脳幹反応検査で測定された聴力の閾値と、組織検査で測定された有毛細胞の各群別の値は、統計的に処理して有意性を確認した。ここでは、ANOVAテストを用いた。

0088

聴性脳幹反応検査結果の分析
実験D1において、投与薬物による周波数別の聴力変化を観察した結果、PEP1を投与した実験群1は、食塩水を投与した対照群1に比べ、カナマイシン及びフロセミドの投与後14日目に測定した聴力の閾値を低く示し、特に、32kHzで統計的に有意差を示した(p=0.008、図11を参照)。

0089

実験D3において、投与薬物による周波数別の聴力変化を観察した結果、PEP1を投与した実験群3は、食塩水を投与した対照群2及びデキサメタゾンを投与した実験群4に比べ、カナマイシン及びフロセミドの投与後14日目に測定した聴力の閾値を低く示し、特に、8kHz及び16kHzで統計的に有意差を示した(p=0.014、図12を参照)。

0090

実験D1とD3とを比較して、PEP1の投薬時期による周波数別の聴力変化を観察した結果、カナマイシン及びフロセミドの投与前、投与後7日目、投与後14日目に、それぞれ測定した聴力の閾値は、有意差を示していなかった(図13を参照)。

0091

組織検査結果の分析
実験D1において、カナマイシン及びフロセミドの投与後14日目に実施した組織検査を通じて、蝸牛の基底部(basal)、中間部(Mid)、尖部(apex)で、有毛細胞の生存力(viability)を観察した結果、食塩水を投与した対照群1では、蝸牛の基底部、中間部、尖部において、有毛細胞の全般的な損傷が観察され、PEP1を投与した実験群1、及びデキサメタゾンを投与した実験群2では、定常的な有毛細胞が観察された(図14を参照)。

0092

実験D3において、カナマイシン及びフロセミドの投与後14日目に実施した組織検査を通じて、蝸牛の基底部、中間部、尖部で、有毛細胞の生存力を観察した結果、食塩水を投与した対照群2では、蝸牛の基底部、中間部、尖部において、有毛細胞の全般的な損傷が観察され、PEP1を投与した実験群3、及びデキサメタゾンを投与した実験群4では、定常的な有毛細胞が観察された(図15を参照)。

0093

実験D1において、有毛細胞の生存率を定量的に分析した結果、蝸牛の基底部、中間部、尖部で、PEP1を投与した実験群1の定常有毛細胞の比率が、食塩水を投与した対照群1に比べ、高い傾向を示し、このような差異は、中間部と基底部において、統計的に有意であった(p=0.006)。また、PEP1を投与した実験群1の定常有毛細胞の比率は、デキサメタゾンを投与した実験群2に比べても、高い傾向を示した(図16を参照)。

0094

実験D3において、有毛細胞の生存率を定量的に分析した結果、蝸牛の基底部、中間部、尖部で、PEP1を投与した実験群3の定常有毛細胞の比率が、食塩水を投与した対照群2に比べ、高い傾向を示し、このような差異は、中間部と基底部において、統計的に有意であった(p=0.011)。また、PEP1を投与した実験群3の定常有毛細胞の比率は、デキサメタゾンを投与した実験群4に比べても、高い傾向を示した(図17を参照)。

0095

実験D1とD3とを比較して、PEP1の投薬時期による定常有毛細胞の比率を分析した結果、カナマイシン及びフロセミドの投与後14日目に実施した組織検査による定常有毛細胞の比率は、有意差が観察されなかった(図18を参照)。

0096

実施例の結果をまとめると、実施例2における実験を通じて、PEP1が、聴力損傷を引き起こす薬物から、聴覚と、聴覚のための関連器官及び組織との損傷を予防することが分かり、実施例3における実験を通じて、PEP1が、聴力損傷を予防しながら、投与による聴覚器官に耳毒性を見せないので、安全であることが分かる。また、実施例4における実験を通じて、PEP1の投与が、耳毒性を示す物質を二つ以上投与したときに現す耳毒性聴力損傷から、聴力を保護するように機能し、特に、既存の聴力損傷症状の緩和剤と知られたデキサメタゾンを投与する場合に比べて、PEP1を投与するときが、より優れた聴力損傷予防及び緩和の効果を奏することが分かる。

実施例

0097

結論的に、PEP1を含む組成物は、聴力損傷を予防及び緩和しながら、投与による毒性かなく、既存の薬物に比べても、より効果的であり、安全な聴力損傷の治療及び予防用組成物として、聴力損傷の治療及び予防に使用できることがわかる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 小林裕司の「 ヘミデスモゾーム活性化作用を呈するドーパキノン誘導体及びその製造方法」が 公開されました。( 2021/04/30)

    【課題】 ヘミデスモゾーム活性化作用を呈するドーパキノン誘導体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 目的とするドーパキノン誘導体はドーパキノンと単素環炭素化合物からなる。この誘導体は細胞のヘミ... 詳細

  • オカヤス株式会社の「 高分散性セラミド組成物」が 公開されました。( 2021/04/30)

    【課題・解決手段】化学的に合成された界面活性剤を添加することなく、セラミド(スフィンゴ糖脂質)の均一な水性懸濁液用組成物、並びにその製造方法を提供することであり、スフィンゴ糖脂質及びコラーゲンペプチド... 詳細

  • 株式会社籠谷の「 食品素材」が 公開されました。( 2021/04/30)

    【課題】生体における吸収性に優れ、かつ安全性が高い、フラボノイド含有組成物を含む食品素材を提供する。【解決手段】柑橘類を原料として、卵黄とペクチナーゼとが配合されたフラボノイド含有組成物を含む食品素材... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ