図面 (/)

技術 グラフェン強化ポリエチレンテレフタレート

出願人 ナイアガラ・ボトリング・リミテツド・ライアビリテイー・カンパニー
発明者 ハナン,ジェイ・クラークバンドラ,サディア
出願日 2016年3月17日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-568017
公開日 2018年4月12日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-510258
状態 特許登録済
技術分野 高分子物質の処理方法 プラスチック等の成形材料の処理、取扱一般 高分子組成物 強化プラスチック材料 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 収集構成 平面六角形 熱吸収能力 機器形状 破損強度 原子論 二次元材料 浸透体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

グラフェン強化ポリエチレンテレフタレート(PET)に関する組成物および方法が提供される。多層グラフェンを含むグラフェンナノプレートレット(GNP)がPETを強化するために使用され、それにより、様々な新たな用途のためにPETの性質を改善する。グラフェンナノプレートレットが分散したポリエチレンテレフタレートを含むマスターバッチは、配合により得られる。マスターバッチを使用して、重量分率が0.5%から15%の範囲のPET−GNPナノコンポジットを形成する。いくつかの実施形態において、PETおよびGNPは、二軸スクリュー押出により溶融配合される。いくつかの実施形態では、超音波は、溶融配合を助けるように二軸スクリュー押出機と連びつけられる。一部の実施形態では、PET−GNPナノコンポジットは、高速射出成形により調製される。PET−GNPナノコンポジットは、異なる配合プロセス対照をなすように、機械的、熱的およびレオロジー性質により比較される。

概要

背景

コンポジットは、多相材料と定義され、これは、自然に見出され、人工のこともある。人工コンポジットは、典型的には、1つ以上の材料を使用して配合し、その結果、個別では得られない性質を得る。コンポジットは、強化材のような連続したマトリックスおよび分散相のタイプに基づいて分類され得る。構成成分の相の1つである、主に分散相が、およそ1から100ナノメートル規模の少なくとも1つの寸法を有するコンポジットは、「ナノコンポジット」と呼ばれる。ナノコンポジットは、カテゴリー(例えば、有機または無機)ならびにナノスケール強化材の形状に基づいてさらに分類され得る。天然に存在するナノコンポジットの周知のいくつかの例として、ヒトの骨、貝殻クモの糸およびが挙げられる。認識されるように、これらの材料のそれぞれは、類似の化学的性質を有する他の材料と比較して、材料を群を抜いて良好にする構造的な階層(複数の長さスケールでの構造)を含む。

コンポジットの材料特性は、マトリックスおよび分散した強化材の間の相互作用に左右されることが公知である。ナノスケールでの単位体積当たりの表面積が大きいと、一般的に、ナノ材料バル同等物よりも様々に機能させる。マトリックスおよび分散相の間の相互作用を増幅させると、ナノコンポジットは、従来のコンポジットを相対的に上回り、強度または耐久性のような現存する有益な性質を損なうことなく、有利には新たな性質が得られると考えられる。

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、芳香族半結晶性熱可塑性ポリエステルであり、1940年代初頭に合成された。PETは、強度および靱性ガラス転移点および融点の高さ、化学的耐性および光学的性質について周知である。PETは、相対的に低コストでもあるため、日用品および工学用途に普通に使用される。PETは、マイクロ構造を特徴とし、この構造では、縦延伸により分子鎖配向が高い強固な繊維が形成され、ならびに二軸延伸により強固なフィルムが形成される。直鎖状PETは、自然の半結晶性である。冷却速度および延伸のような熱的および機械履歴は、それぞれ、PETを非晶質にすることもさらに結晶性にすることもできるので、機械的性質に影響を与えることができる。PETは、繊維、包装濾過のような産業および熱成形産業に用いられるが、PETの使用は、PBT、PTNなどのような他のポリエステルと比較して、結晶化速度を遅くし、バリア性能が限定されるため、制約される。

認識されるように、包装、自動車および航空宇宙のような広範な産業にわたって使用するための軽量の材料を開発する必要性は、長きにわたって感じられていたため、材料加工および強化材添加のさらに適切な調節により、材料特性を改善しようとする試みが押し進められてきた。例えば、PETの結晶化度の上昇により、機械的性質およびバリア性質が改善される。しかし、結晶化速度のような材料に対する制約、ならびに、冷却速度、サイクル時間および延伸プロセスのような、結晶化度を最大限にする際における産業プロセスにより、PETの材料特性の性質を改善しようとする試みは限定されてきた。しかし、ナノ材料の分野における進展は、PETの物理的性質を改善したPETナノコンポジットの開発につながり、したがって、PETは、自動車、航空宇宙、および防護服産業内の用途に関して、より有効になっている。様々なタイプのナノ強化材(クレイ、CNF、CNTグラフェン、SiO2など)で、PETの機械的性質、熱的性質、バリア性質、電気的性質難燃性、光学的性質、表面性質、結晶化動力学などのような、PETの材料特性は改善されたことが見出されている。

ナノ強化材の個々の本質への剥がれ、およびポリマーマトリックスへの均一な分散は、正しいポリマーナノコンポジットのために不可欠である。ナノ強化材のポリマー中における均一な分散は、溶融配合、in−situ重合、ナノ強化材の表面処理などを含むが、それらに限定されない様々なアプローチにより達成され得る。炭素ナノ繊維カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンのような炭素ナノ材料は、優れた材料特性および単純な化学的性質のため、一般的に有利である。多面的な性質の改善は、炭素ナノ材料をポリマーに分散させることにより達成できる。

グラフェンは、アンジップ単一壁カーボンナノチューブと同様に、単一層炭素原子を含む比較的新しいナノ材料である。単一層のグラフェンは、一般的に、グラフェンは、ポリマーの相互作用に対して2つの表面を有する一方、CNTは、ポリマーの相互作用に対して外部表面を1つしか含まないので、ポリマーを強化する際にCNTの2倍有効である。酸化グラフェン膨張グラファイトおよびグラフェンナノプレートレットのような新たなグラフェン系ナノ材料の導入を伴うグラフェンの合成方法の開発により、グラフェンは商業的に存続可能であることが理解されるはずである。しかし、グラフェン系ナノ材料の有効性に関して情報が限定されていることで、ポリマーナノコンポジットの製作における応用は限定されている。したがって、ポリマーを強化する際におけるグラフェンナノ材料の影響を調査する必要性がある。

溶融配合およびin−situ重合は、PET−グラフェンナノコンポジットを調製するための、最も研究されている技術である。in−situ重合は、グラフェンを分散させる際に有効であるが、望ましい分子量を得る際には困難なため、また、高価な反応器を必要とするため、in−situ重合の使用は限定される。溶融配合は、せん断混合を伴う明快なアプローチであるが、このアプローチ単体では、試験したいくつかのポリマー系においてグラフェンを分散させる際に有効なことが見出されていない。認識されるように、PET中ナノプレートレット均質な分散を達成することは、バルク性の改善に重要である。しかし、PETは一般的に、260℃−280℃の溶融温度で高度に粘性がある(500−1000Pas)ので、グラフェンをPETに分散させることは簡単ではない。したがって、高温で、また、高度に粘性がある材料に対して、作用させることができるプロセスの選択が必要である。

ポリマーナノコンポジットの適用を履行するための別の重要な態様は、製造プロセスの設計においてフレキシビリティを得るように、また、開発コストを減少するように、材料特性を予測できる能力である。昔からのコンポジットモデルは、ナノコンポジットの性質の予測において正確ではない。連続体理論に基づくマイクロ機械モデルが短繊維コンポジットの評価に有効と見出されているが、いくつかの研究は、ナノコンポジットに対するこれらのモデルの妥当性について報告している。

概要

グラフェン強化ポリエチレンテレフタレート(PET)に関する組成物および方法が提供される。多層グラフェンを含むグラフェンナノプレートレット(GNP)がPETを強化するために使用され、それにより、様々な新たな用途のためにPETの性質を改善する。グラフェンナノプレートレットが分散したポリエチレンテレフタレートを含むマスターバッチは、配合により得られる。マスターバッチを使用して、重量分率が0.5%から15%の範囲のPET−GNPナノコンポジットを形成する。いくつかの実施形態において、PETおよびGNPは、二軸スクリュー押出により溶融配合される。いくつかの実施形態では、超音波は、溶融配合を助けるように二軸スクリュー押出機と連びつけられる。一部の実施形態では、PET−GNPナノコンポジットは、高速射出成形により調製される。PET−GNPナノコンポジットは、異なる配合プロセス対照をなすように、機械的、熱的およびレオロジー性質により比較される。

目的

一般に、本開示は、グラフェン強化ポリエチレンテレフタレート(PET)に関する組成物および方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

グラフェン強化ポリエチレンテレフタレートを調製する方法であって、グラフェンナノプレートレットが分散しているポリエチレンテレフタレートを配合して、1つ以上のマスターバッチペレットを得るステップ;およびポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットのナノコンポジットを形成するステップであって、前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットのナノコンポジットが、コンポジット0.5%から15%の範囲の重量分率を構成する、ステップを含む、方法。

請求項2

前記ポリエチレンテレフタレートグラフェンナノプレートレットが、二軸スクリュー押出を使用して溶融配合される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットのナノコンポジットが、高速射出成形プロセスを使用して調製される、請求項1に記載の方法。

請求項4

音波押出が、溶融配合を助けるように前記二軸スクリュー押出と結びつけられる、請求項2に記載の方法。

請求項5

前記超音波押出が、音響キャビテーションの結果として溶融温度局所的に上昇させるように、超音波を前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットに付与するステップを含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記超音波が、5μmの超音波振幅を含む、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記超音波が、7.5μmの超音波振幅を含む、請求項5に記載の方法。

請求項8

前記重量分率が、ヤング率の改善をもたらすが、前記ポリエチレンテレフタレートの強度には影響を与えない、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記超音波押出が、前記ポリエチレンテレフタレートの靱性を向上させるが、ヤング率に対しては効果がない、請求項4に記載の方法。

請求項10

前記二軸スクリュー押出が、同方向回転スクリューを含む押出機により行われる、請求項2に記載の方法。

請求項11

マスターバッチペレットを使用して形成されるポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットのナノコンポジットを含む射出成形組成物コンポジットであって、前記マスターバッチペレットが、二軸スクリューおよび超音波配合技術組合せを使用して溶融配合される、射出成形組成物。

請求項12

前記ポリエチレンテレフタレートグラフェンナノプレートレットのナノコンポジットコンポジットが、0.5%から15%の範囲の重量分率を構成する、請求項11に記載の組成物

請求項13

前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットが、二軸スクリュー押出を使用して溶融配合される、請求項11に記載の組成物。

請求項14

前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットのナノコンポジットが、高速射出成形プロセスを使用して調製される、請求項11に記載の組成物。

請求項15

超音波押出が、溶融配合を助けるように前記二軸スクリュー押出と結びつけられる、請求項11に記載の組成物。

請求項16

前記超音波押出が、音響キャビテーションの結果として溶融温度を局所的に上昇させるように、超音波を前記ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットに付与するステップを含む、請求項15に記載の組成物。

請求項17

前記超音波が、5μmの超音波振幅を含む、請求項16に記載の組成物。

請求項18

前記超音波が、7.5μmの超音波振幅を含む、請求項16に記載の組成物。

請求項19

前記重量分率が、ヤング率の改善をもたらすが、前記ポリエチレンテレフタレートの強度には影響を与えない、請求項12に記載の組成物。

請求項20

前記超音波押出が、前記ポリエチレンテレフタレートの靱性を向上させるが、ヤング率に対しては効果がない、請求項15に記載の組成物。

請求項21

前記二軸スクリュー押出が、同方向回転スクリューを含む押出機により行われる、請求項11に記載の組成物。

技術分野

0001

本出願は、2016年3月17日に出願された米国特許出願第15/073,477号明細書、および出願番号第62/134,482号の2015年3月17日に出願された「Injected Molded Poly(Ethylene Terephthalate)−Graphene Nanocomposite」と題した米国特許仮出願、および出願番号第62/190,193号の2015年7月8日に出願された「Graphene Reinforced Polyethylene Terephthalate」と題した米国特許仮出願の利益およびそれに対する優先権を主張する。

0002

本開示の分野は、一般的に、ポリマーコンポジットに関する。より詳細には、本発明の分野は、グラフェン強化ポリエチレンテレフタレートに関する組成物および方法に関する。

背景技術

0003

コンポジットは、多相材料と定義され、これは、自然に見出され、人工のこともある。人工コンポジットは、典型的には、1つ以上の材料を使用して配合し、その結果、個別では得られない性質を得る。コンポジットは、強化材のような連続したマトリックスおよび分散相のタイプに基づいて分類され得る。構成成分の相の1つである、主に分散相が、およそ1から100ナノメートル規模の少なくとも1つの寸法を有するコンポジットは、「ナノコンポジット」と呼ばれる。ナノコンポジットは、カテゴリー(例えば、有機または無機)ならびにナノスケール強化材の形状に基づいてさらに分類され得る。天然に存在するナノコンポジットの周知のいくつかの例として、ヒトの骨、貝殻クモの糸およびが挙げられる。認識されるように、これらの材料のそれぞれは、類似の化学的性質を有する他の材料と比較して、材料を群を抜いて良好にする構造的な階層(複数の長さスケールでの構造)を含む。

0004

コンポジットの材料特性は、マトリックスおよび分散した強化材の間の相互作用に左右されることが公知である。ナノスケールでの単位体積当たりの表面積が大きいと、一般的に、ナノ材料バル同等物よりも様々に機能させる。マトリックスおよび分散相の間の相互作用を増幅させると、ナノコンポジットは、従来のコンポジットを相対的に上回り、強度または耐久性のような現存する有益な性質を損なうことなく、有利には新たな性質が得られると考えられる。

0005

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、芳香族半結晶性熱可塑性ポリエステルであり、1940年代初頭に合成された。PETは、強度および靱性ガラス転移点および融点の高さ、化学的耐性および光学的性質について周知である。PETは、相対的に低コストでもあるため、日用品および工学用途に普通に使用される。PETは、マイクロ構造を特徴とし、この構造では、縦延伸により分子鎖配向が高い強固な繊維が形成され、ならびに二軸延伸により強固なフィルムが形成される。直鎖状PETは、自然の半結晶性である。冷却速度および延伸のような熱的および機械履歴は、それぞれ、PETを非晶質にすることもさらに結晶性にすることもできるので、機械的性質に影響を与えることができる。PETは、繊維、包装濾過のような産業および熱成形産業に用いられるが、PETの使用は、PBT、PTNなどのような他のポリエステルと比較して、結晶化速度を遅くし、バリア性能が限定されるため、制約される。

0006

認識されるように、包装、自動車および航空宇宙のような広範な産業にわたって使用するための軽量の材料を開発する必要性は、長きにわたって感じられていたため、材料加工および強化材添加のさらに適切な調節により、材料特性を改善しようとする試みが押し進められてきた。例えば、PETの結晶化度の上昇により、機械的性質およびバリア性質が改善される。しかし、結晶化速度のような材料に対する制約、ならびに、冷却速度、サイクル時間および延伸プロセスのような、結晶化度を最大限にする際における産業プロセスにより、PETの材料特性の性質を改善しようとする試みは限定されてきた。しかし、ナノ材料の分野における進展は、PETの物理的性質を改善したPETナノコンポジットの開発につながり、したがって、PETは、自動車、航空宇宙、および防護服産業内の用途に関して、より有効になっている。様々なタイプのナノ強化材(クレイ、CNF、CNT、グラフェン、SiO2など)で、PETの機械的性質、熱的性質、バリア性質、電気的性質難燃性、光学的性質、表面性質、結晶化動力学などのような、PETの材料特性は改善されたことが見出されている。

0007

ナノ強化材の個々の本質への剥がれ、およびポリマーマトリックスへの均一な分散は、正しいポリマーナノコンポジットのために不可欠である。ナノ強化材のポリマー中における均一な分散は、溶融配合、in−situ重合、ナノ強化材の表面処理などを含むが、それらに限定されない様々なアプローチにより達成され得る。炭素ナノ繊維カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンのような炭素ナノ材料は、優れた材料特性および単純な化学的性質のため、一般的に有利である。多面的な性質の改善は、炭素ナノ材料をポリマーに分散させることにより達成できる。

0008

グラフェンは、アンジップ単一壁カーボンナノチューブと同様に、単一層炭素原子を含む比較的新しいナノ材料である。単一層のグラフェンは、一般的に、グラフェンは、ポリマーの相互作用に対して2つの表面を有する一方、CNTは、ポリマーの相互作用に対して外部表面を1つしか含まないので、ポリマーを強化する際にCNTの2倍有効である。酸化グラフェン膨張グラファイトおよびグラフェンナノプレートレットのような新たなグラフェン系ナノ材料の導入を伴うグラフェンの合成方法の開発により、グラフェンは商業的に存続可能であることが理解されるはずである。しかし、グラフェン系ナノ材料の有効性に関して情報が限定されていることで、ポリマーナノコンポジットの製作における応用は限定されている。したがって、ポリマーを強化する際におけるグラフェンナノ材料の影響を調査する必要性がある。

0009

溶融配合およびin−situ重合は、PET−グラフェンナノコンポジットを調製するための、最も研究されている技術である。in−situ重合は、グラフェンを分散させる際に有効であるが、望ましい分子量を得る際には困難なため、また、高価な反応器を必要とするため、in−situ重合の使用は限定される。溶融配合は、せん断混合を伴う明快なアプローチであるが、このアプローチ単体では、試験したいくつかのポリマー系においてグラフェンを分散させる際に有効なことが見出されていない。認識されるように、PET中ナノプレートレット均質な分散を達成することは、バルク性の改善に重要である。しかし、PETは一般的に、260℃−280℃の溶融温度で高度に粘性がある(500−1000Pas)ので、グラフェンをPETに分散させることは簡単ではない。したがって、高温で、また、高度に粘性がある材料に対して、作用させることができるプロセスの選択が必要である。

0010

ポリマーナノコンポジットの適用を履行するための別の重要な態様は、製造プロセスの設計においてフレキシビリティを得るように、また、開発コストを減少するように、材料特性を予測できる能力である。昔からのコンポジットモデルは、ナノコンポジットの性質の予測において正確ではない。連続体理論に基づくマイクロ機械モデルが短繊維コンポジットの評価に有効と見出されているが、いくつかの研究は、ナノコンポジットに対するこれらのモデルの妥当性について報告している。

発明が解決しようとする課題

0011

したがって、必要なのは、グラフェンナノプレートレット(GNP)がPET中に均一に分散でき、その結果、バルクPETが強化されることによる有効なプロセス、および強化したバルクPETの材料特性が予測できることによるマイクロ機械モデルである。

課題を解決するための手段

0012

図は、以下の本開示の実施形態を指す。

図面の簡単な説明

0013

本開示による、ポリエチレンテレフタレートの分子構造を示す化学式を示す図である。
本開示による、粒子の界面および大きさの間の関係を示すグラフである。
本開示による、様々な方法により得られたグラフェンの性質を列挙する表である。
本開示による、炭素同素体特有の構造を示す図である。
本開示による、PETの再加熱性能のために使用されるカーボンブラックナノ粒子を示す顕微鏡写真である。
本開示による、グラフェンナノプレートレットの顕微鏡写真である。
本開示による、凝集体において多数のナノプレートレットが存在することを示す顕微鏡写真である。
本開示による、ナノプレートレット(xGnP)の分子構造を示す化学式示す図である。
本開示による、PETおよびマスターバッチペレットの性質を列挙する表である。
本開示による、超音波二軸スクリュー押出システムを示す概略図である。
本開示による、エチレングリコール−グラフェンナノプレートレットを調製するためのプロセスを示す概略図である。
本開示による、エステル交換テップのための反応器の構成を示す概略図である。
本開示による、PETモノマーを形成するために、テレフタル酸ジメチルDMT)およびエチレングリコール(EG)の間のエステル交換反応を示す化学式を示す図である。
本開示による、重縮合ステップのための反応器の構成を示す概略図である。
本開示による、モノマーからのPETポリマー鎖の形成を示す化学式を示す図である。
本開示による、それぞれの重合バッチに対する、反応時間およびメタノール収率を列挙する表である。
本開示による、引張試験片適合性のある射出成形を示す断面図である。
本開示による、供給口からのセットB加工に由来する0.6%荷重のPETおよびマスターバッチペレット混合物を示す図である。
本開示による、0USM超音波処理バッチに対するPETおよびマスターバッチペレット混合物を示す図である。
本開示による、射出成形により得られたPETナノコンポジット試料の詳細を列挙する表である。
本開示による、超音波処理したマスターバッチから、PETおよびナノコンポジットの間の加工圧力の比較を示す表である。
本開示による、0.5%GNPナノコンポジットで観察される、混合不良の視覚サインを示す図である。
本開示による、同方向回転二軸スクリューを有するマイクロ配合機を示す図である。
本開示による、マイクロ注入成形システムおよび切換装置を示す図である。
本開示による、引張試料を作るために使用されるデュアルドッグボーン金型を示す図である。
本開示による、成形されたPET引張試験片を示す図である。
本開示による、マイクロ注入成形システムにより作られた引張試験片に対するプロセスパラメーターを列挙する表である。
本開示による、毛細管粘度計を示す概略図である。
本開示による、ナノコンポジット引張試験片の試験を示す図である。
本開示による、チューブ試験の固定具を示す図である。
本開示による、チューブ試験を示す図である。
本開示による、マイクロ注入成形システムからの引張試験片の試験を示す図である。
本開示による、平行プレート形状およびポリマー溶融物を示す概略図である。
本開示による、2DX線回折フレームを伴う、機器形状に関する試料形状示す概略図である。
本開示による、ナノ断層撮影および回折分析のために収集した試料の位置を示す図である。
本開示による、X線コンピューター断層撮影のためのCTスキャナおよびプロセスを示す概略図である。
本開示による、PETおよびPETナノコンポジットペレット重量平均分子量を示すグラフである。
本開示による、PETおよび超音波処理したPETに対して測定した固有粘度を示すグラフである。
本開示による、PETおよびPETナノコンポジットの固有粘度の比較を示すグラフである。
本開示による、in−situ重合により得られたペレットの粘度を示すグラフである。
本開示による、PETおよびPET−GNPナノコンポジットに対して、工学的応力歪み曲線を示すグラフである。
本開示による、ナノコンポジット引張試験片のヤング率および引張強度を示すグラフである。
本開示による、PET引張試験片を示す図である。
本開示による、試験後のPET−15%GNP引張試験片を示す図である。
本開示による、延伸したPET−GNP引張チューブおよび脆性破壊を示す図である。
本開示による、PETおよびナノコンポジット引張チューブの係数および引張強度を示すグラフである。
本開示による、引張試験片と比較したナノコンポジット引張チューブの工学的応力−歪み曲線を示すグラフである。
本開示による、PET対照と比較した、超音波処理したPET(水平軸超音波振幅)のヤング率および引張強度を示すグラフである。
本開示による、PET対照と比較した、超音波処理したPET(水平軸−超音波振幅)の最大引張強度を示すグラフである。
本開示による、GNPが2%の超音波加工したナノコンポジットの係数および強度を示すグラフである。
本開示による、PET対照および二軸スクリューで配合されたナノコンポジットと比較した、GNPが5%の超音波処理したナノコンポジットの係数および強度を示すグラフである。
本開示による、in−situ重合したPETおよびナノコンポジットに対するヤング率および強度のデータを示すグラフである。
本開示による、ナノコンポジット引張試験片に対する引張強度および比強度を列挙する表である。
本開示による、ナノコンポジット引張チューブに対する引張強度および比強度を列挙する表である。
本開示による、超音波マスターバッチからの、ナノコンポジットチューブの引張強度および比強度を列挙する表である。
本開示による、GNP重量分率が5%のナノコンポジット引張試験片の破断面におけるボイドを示す顕微鏡写真である。
本開示による、GNP重量分率が10%のナノコンポジット引張試験片の破断面におけるボイドおよび亀裂の開始箇所を示す顕微鏡写真である。
本開示による、「延性破断」の標示を示す強調されている領域を有する、2%ナノコンポジット引張チューブの破断面を示す顕微鏡写真である。
本開示による、図41(a)の強調されている領域内からの伸長から形成されるミクロフィブリル破壊を示す顕微鏡写真である。
本開示による、重量分率が2%のナノコンポジット引張試験片の破壊面示す顕微鏡写真である。
本開示による、重量分率が5%のナノコンポジット引張試験片の破壊面を示す顕微鏡写真である。
本開示による、重量分率が10%のナノコンポジット引張試験片の破壊面を示す顕微鏡写真である。
本開示による、重量分率が15%のナノコンポジット引張試験片の破壊面を示す顕微鏡写真である。
本開示による、矢印が射出流動方向指し示すPETおよびPETナノコンポジット引張試験片の超音波顕微鏡写真である。
GNP重量分率対ガラス転移温度(Tg)、溶融温度(Tm)および結晶化温度(Tc)を示すグラフである。本開示による温度測定誤差は0.5℃である。
本開示による、0.05分以内に測定したPETナノコンポジットの半結晶化時間を示す左側のグラフ、および、PETナノコンポジットのパーセント結晶化度を示す右側のグラフを含む図である。
本開示による、PETおよび二軸スクリューで配合されたPETナノコンポジットペレットの結晶化発熱量を示すグラフである。
本開示による、超音波処理したPETおよびPETナノコンポジットペレットに対する、ガラス転移温度および溶融温度を示すグラフである。
本開示による、超音波処理したPETの融解曲線(第2の加熱)を示すグラフである。
本開示による、超音波処理したPETおよびPET+5%GNPペレットに対する半結晶化時間(0.05分以内に測定)を示す左側のグラフ、ならびに、超音波処理したPETおよびPET+5%GNPペレットに対する結晶化度を示す右側のグラフを含む図である。
本開示による、in−situ重合した試料の結晶化温度およびパーセント結晶化度を示すグラフである。
本開示による、角周波数に対するPETおよびPETナノコンポジットの貯蔵弾性率を示すグラフである。
本開示による、せん断係数対GNP重量分率を図示し、パーコレーション閾値示唆するグラフである。
本開示による、PETおよび二軸スクリューナノコンポジットと比較した、超音波ナノコンポジットの貯蔵弾性率を示すグラフである。
本開示による、様々なPET試料に対する貯蔵弾性率の動的掃引を示すグラフである。
本開示による、15%ナノコンポジットの透過電子顕微鏡写真である。
本開示による、15%ナノコンポジットの透過電子顕微鏡写真である。
本開示による、数層のグラフェンを示す、5%ナノコンポジットの透過電子顕微鏡写真である。
本開示による、数層のグラフェンを示す、5%ナノコンポジットの透過電子顕微鏡写真である。
本開示による、15%PET−GNPナノコンポジットの透過電子顕微鏡写真である。
本開示による、粒子間距離の分析に適している、二値化した顕微鏡写真である。
本開示による、理論的傾向に対する実験データの比較を表す破線を用いた、粒子間距離対GNP重量分率を示すグラフである。
本開示による、GNP、PETおよびナノコンポジット引張試験片のX線回折パターンを示すグラフである。
本開示による、PET引張試験片の断面に沿ったX線回折スキャンを示す図である。
本開示による、図60(a)の線回折スキャンのX線回折パターンを示すグラフである。
本開示による、3mm厚の15%ナノコンポジット引張試験片内における多様な深さでのX線回折パターンを示すグラフである。
本開示による、境界寸法240μm×240μm×163μmを有する15%ナノコンポジットの再構成された3D体積を示す図である。
本開示による、射出流方向(Z−軸)に沿ったプレートレット配向を指し示す、図62(a)のナノコンポジット内のナノプレートレットを示す図である。
本開示による、十字印が射出流方向を指し示す、回転ピンに取り付けた試料を示す図である。
本開示による、2%ナノコンポジット引張チューブの内縁からの、ナノプレートレットの分散を示す図である。
本開示による、PETおよびPETナノコンポジットのC−C伸縮に対応するラマンバンドを示すグラフである。
本開示による、GNP重量分率の上昇に応じたC−C伸縮に対応するラマンバンドのシフトを示すグラフである。
本開示による、実験結果と比較したPET−グラフェンナノコンポジットの予測される係数を示すグラフである。
本開示による、予測に基づくマイクロ機械モデルに対するGNPおよびPETの性質を列挙する表である。
本開示による、Emがマトリックス係数であり、ErがGNP係数であり、Afがアスペクト比(直径/厚さ)である理論的予測に対する、ナノコンポジットの実験挙動の比較を示すグラフである。
本開示による、PET対照と比較した、超音波処理したPETに対する荷重−伸び曲線を示すグラフである。
本開示による、ポリマーマトリックスに影響を与える、同じ大きさのナノプレートレットの倍増を示す概略図である。
本開示による、GNP重量分率に対する引張弾性率の上昇を示すグラフである。
本開示による、ナノコンポジット引張試験片に対する、応力−歪み曲線の弾性区域を示すグラフである。
本開示による、超音波処理の有無を問わず、PET−GNPナノコンポジットに対するヤング率の比較を示すグラフである。

実施例

0014

本開示は、様々な改変および代替形態を対象とするが、それらの具体的な実施形態は、図の例により示されており、本明細書に詳細に記載されているものである。本発明は、開示されている詳細な形態に限定されないと理解されるべきであるが、それどころか、その意図は、本開示の精神および特許請求の範囲内で、すべての改変、等価物および代用物包括するはずである。

0015

以下の説明において、多数の特定の詳細は、本開示の完全な理解を得るために明記されている。しかし、本明細書で開示されている本発明は、これらの特定の詳細なしで実践できることは当業者には明らかなはずである。他の例では、「第1のプロセス」のような特定の数字の言及が行われ得る。しかし、特定の数字の言及は、逐語的な順番解釈されるべきではなく、むしろ「第1のプロセス」は、「第2のプロセス」とは異なると解釈されるべきである。したがって、明記されている特定の詳細は模範にすぎない。特定の詳細は、本開示の精神および特許請求の範囲内から変動し得、やはりその精神および特許請求の範囲内にあることが意図される。「結びつけられる」という用語は、成分に直接的に、または成分に別の成分を介して間接的につながっているという意味と定義される。さらに、本明細書で使用されているように任意の数値または範囲に対する「約」「おおよそ」または「実質的に」という用語は、本明細書に記載されている意図した目的のために成分の一部または集合を機能させる適切な寸法公差を指し示す。

0016

一般に、本開示は、グラフェン強化ポリエチレンテレフタレート(PET)に関する組成物および方法を提供する。多層グラフェンを含むグラフェンナノプレートレット(GNP)は、PETの強化に使用され、それにより、様々な新たな用途のために、PETの性質を改善する。分散したグラフェンナノプレートレットを伴うポリエチレンテレフタレートを含むマスターバッチは、配合により得られる。マスターバッチは、0.5%から15%の範囲の重量分率で、PET−GNPナノコンポジットを形成するために使用される。一部の実施形態では、PETおよびGNPは、二軸スクリュー押出により溶融配合される。一部の実施形態では、超音波は、溶融配合を助けるように二軸スクリュー押出機と結びつけられる。一部の実施形態では、PET−GNPナノコンポジットは、高速射出成形により調製される。PET−GNPナノコンポジットは、異なる配合プロセスと対照をなすように、機械的、熱的およびレオロジー性質により比較される。

0017

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、芳香族半結晶性ポリエステルである。PETは、原料としてテレフタル酸TPA)およびエチレングリコール(EG)またはテレフタル酸ジメチル(DMT)およびエチレングリコール(EG)を使用した縮合重合により合成される。PETの製造には、望ましい分子量が得られるように、また副生成物(例えば、アセトアルデヒド)の形成を最小限にするように、多段階重合プロセスが使用される。PETの分子構造は、図1で示される。認識されるように、分子鎖に剛直な芳香族環が存在すると、溶融温度およびガラス転移温度が高くなり、ならびにポリマーが硬化する。さらに、剛直な芳香族環は、分子を結晶構造中においてほぼ平面な配置にもする。物理的性質および化学的不活性組合せにより、PETは繊維、包装および工学的成形のような用途に適するようになる。

0018

PETは、結晶化速度およびバリア性能の観点では限定されるが、PETの相対的に低い価格により、フィラーおよび強化材を添加することでPETの材料特性を改善した場合、利益が引き出される。ナノ材料により、PETを強化する利点が得られる一方、得られたコンポジットの密度の変化は最小限に抑えられる。

0019

ナノ強化材
ナノ強化材は、一般的に、それらの形状に基づいて3つの異なる群、すなわち:ナノ粒子ナノチューブおよびナノプレートレットにカテゴリー化される。ナノ強化材は、大型の強化材よりも有利である。マトリックスの強化において、大きい粒子と比較して、粒子が小さいほど、粒子が強固になり、有効になることは認識されているはずである。別の利点は、単位体積として利用できる表面積である。球形粒子ケースでは、例えば、表面積対体積の比は、粒子の半径反比例する。図2は、ミクロスケールからナノスケールの大きさに及ぶ、様々なタイプの強化材の界面における増大を示す図である。図2で指し示されているように、単位面積当たりの利用できる表面エネルギーは、ナノ粒子に対して高くなると考えられ、それにより、ナノ粒子は化学的活性になる。

0020

ナノ強化材の選択は、使用されるポリマー、意図されている用途、対象の性質、ポリマーとの相互作用の望ましい形態、材料の使用上の注意加工法ならびにコストのような多くの要因に依存していることが理解されるはずである。ナノ強化材の形が、ポリマーナノコンポジットの特性に影響を与えることは、さらに理解されるはずである。

0021

ナノ粒子は、化学的性質に基づいて有機または無機として分類され得る。いくつかのナノ粒子は、オルガノクレイ(MMT)、金属ナノ粒子(例えばAlおよびAg)、金属酸化物(例えばAl2O3、ZnO、およびシリカ)、セルロースナノクリスタルならびに炭素誘導体(CNT、フラーレン酸化グラファイトおよびグラフェン)のようなポリマーナノコンポジットに使用されている。

0022

炭素ナノ強化材およびグラフェン
炭素は、特有のハイブリダイゼーション性、および構造を操作できる能力を備える、興味深い周期表元素である。炭素は普通、グラファイト非晶質炭素およびダイヤモンドの形態で、いくつかの産業およびプロセスに応用される。ナノスケールでは、図4で示されているように、フラーレン、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンのような特有の性質および構造を示す炭素材料も興味深い。

0023

グラフェンは、二次元構造を有する単一層の炭素原子と定義される(sp2ハイブリダイゼーション、C−C結合距離が0.142nmの平面六角形配置)。単一のグラフェンシートの厚さは、実質的に0.335nmと評価される。利用できる頭の二次元材料の1つであるグラフェンは、様々な用途に使用される多くの現代の材料に取って代わることができる可能性を有する。グラフェン研究の経過中、研究者らは、単一層グラフェンシート(SLGS)のような様々なグラフェン系材料、数層グラフェンFLG)、多層グラフェン(MLG)および剥離グラフェンプレートレットを開発した。

0024

グラフェンは、アスペクト比、フレキシビリティ、透明度熱伝導性、および熱膨張率(CTE)の低さの観点から、CNT、CNFおよび膨張グラファイト(EG)のような他の炭素系ナノ強化材より優れている。0.77mg m−2で単一層グラフェンの密度を計算した。グラフェンは、最も強固な材料とされており、かなりの大きさを有する。原子力顕微鏡(AFM)のナノインデンテーション技術によって開口穴全体に下がった単一層グラフェンシートでは、1.02±0.03TPa(4130鋼では0.2TPa)のヤング率および130±10GPa(4130鋼では0.7GPa)の強度が測定された。グラフェンは、CNTのものと同等の温度0−300Kの範囲、および、3000W m K−1のきわめて高い熱伝導性(K)により、負の熱膨張率α=−4.8±1.0×10−6 K−1を呈することが見出されている。さらにグラフェンシートは、疎水性であり、室温にて46.7mJ m−2の表面エネルギーを有することが見出されている。

0025

上述の性質は、上質な単一層グラフェンシートに対するものである。多層グラフェンの性質は、単一層グラフェンの性質とは異なる。したがって、グラフェンを構成する層の数(「n」)は、グラフェンの性質に影響を与える。単一層グラフェンシートは、最大97.7%の透明度(2.3%吸収)を呈し、透明度は、層の数が増加するにつれて直線的に低下する。グラフェンの熱伝導性は、層の数が2から4へと増加すると50%を超えて下落し、層の数が8を超えた場合、バルクグラファイトのものと同等になることが示されている。さらに、グラフェンシートの係数は、温度の上昇、および13C同位体密度の上昇に応じて低下するが、層の数の増加に応じて上昇することが見出された。しかし、多層グラフェン構造の原子論モデリング、層の間の共有結合およびファンデルワールス相互作用の分子シミュレーション、ならびに実験測定に基づく構造力学から、層の数が増加するにつれて係数の低下が指し示されることは理解されるはずである。剛性およびポアソン比のようなグラフェンナノプレートレットの機械的性質は、分子の動的シミュレーションに基づいて、層の数が増加するにつれて低下することを示している。5つの層を含むナノプレートレットの剛性は、単一層グラフェンと比較して15%低下すると評価されており、グラフェンの性質は、配向に基づいて異なる。10層を含む多層グラフェンの有効なヤング率は、実質的に380GPaであり、これは、グラファイト結晶のものより低いことが示されている。有効なヤング率は、多層グラフェンの層の間の応力伝達効率に基づいて判定される。有効なヤング率は、多層グラフェンが3層を超えるものである場合、単一層グラフェンの係数から逸脱し、そこでは核層は、ポリマーと接触しないと考えられる。

0026

単一層グラフェンは、「トップダウン」または「ボトムアップ」アプローチにより得られる。機械的切断によりグラファイトからグラフェンシートを分離することは「トップダウン」アプローチである。この方法から得られるグラフェンは手が加えられておらず、試験目的に有用であるが、著しい量のグラフェンを獲得するためには実用的ではない。または、グラフェンは、化学蒸着CVD)、エピタキシャル成長、ならびにコロイド懸濁液による合成のような化学的方法が使用される、「ボトムアップ」アプローチにより調製され得る。さらに、グラフェンは、化学エッチングによりCNTから、また、酸化グラファイトのフラッシュ還元から作ることもできる。グラフェンを得るために使用されるアプローチは、グラフェンの物理的性質に影響を与え、それにより、図3で示されているように、グラフェンを様々な用途に向けた対象にすることが可能となる。

0027

ナノコンポジットの加工
コンポジットの製造は、最終製品の大きさおよび用途に基づいて利用できるいくつかのプロセスを用いて、広範に研究されている分野である。ナノコンポジットの加工は、ナノ強化材を分散させるためのプロセス、および意図されている最終用途のための形成プロセスを伴う。ナノコンポジットの実行可能性は、コスト、ナノ粒子の可用性および適切な製造プロセスに大幅に左右される。射出および圧縮成形交互積層(LBL)製造、in−situマイクロエマルション重合およびスピニングのような製造技術は、ポリマーナノコンポジットに使用されている。認識されるように、製造プロセスの選択は、マトリックス樹脂および使用されるナノ粒子の種類に左右される。射出成形は、速度、拡張性および幅広い材料への耐性ゆえに、すべてのプラスチック加工技術の中でも最も重要なものであることが、さらに理解されるはずである。ポリマー中におけるナノ強化材の均一な分散を達成するために試行された方法は、以下のセクションで論じられている。

0028

ナノ強化材の分散
ナノ強化材の均一および均質な分散、または「剥がれた」状態を達成することは、正しいポリマーナノコンポジットのために不可欠である。ナノ材料は、単位面積当たりで高い表面エネルギーを備えるので、凝集体を形成して、その結果このエネルギーは最小化される傾向がある。この凝集する傾向により、ナノ材料の有効なナノスケール寸法を維持し、ナノ材料をポリマーマトリックス中に分散させることは困難になる。ナノ強化材の溶融したポリマー中への分散は、溶融物の粘度、強化材の湿潤性、凝集体の破損を含む混合プロセスにより付与されるエネルギー、および混合プロセスの効率のような要因に左右される。分散の方法は、機械的基準として、および化学的基準として、大まかにカテゴリー化できる。いくつかの分散の方法は、溶融配合、マスターバッチ加工、超音波配合、カオス的移流混和固体状態せん断微粉化SSSP)、固体状態ボールミル粉砕SSBM)および音響混合のような機械的基準としてのカテゴリーの下で調査されている。これらの分散の方法は、「溶融混合」または「固体状態混合」としてさらにカテゴリー化され得る。

0029

溶融配合は、ナノ強化材を熱可塑性ポリマー中に分散させるために最も普通に用いられる技術である。本明細書に記載されているように、単一または二軸スクリュー押出機の混合作用により、ナノ強化材は、溶融したポリマー中に分散していた。固体状態せん断微粉化(SSSP)は、別の機械的混合技術であり、非混和性ポリマーを混和するために開発された。しかし、スクリュー混合プロセス中のナノプレートレットの歪みは、有効性を低下させ得る懸念がある。固体状態の混合を伴う、上で言及されている他の技術の一部は、SSBMおよび音響混合である。SSBMでは、ナノ粒子およびポリマーの混合物微細粉末へと粉砕され、次いで、第2のプロセスのための投入物として使用した。音響混合は、高い効率で混合するために、混合チャンバ中における均一なせん断場の生成に基づく。

0030

凝集を防ぐための化学的アプローチは、ナノ粒子の表面を改質すること、または表面を官能化することであり、このため表面エネルギーが減少し、極性が変化し、それにより凝集を防ぐ。官能化を介して、ナノ粒子の表面は、特定のポリマーと適合するイオンまたは分子(すなわち、界面活性)で覆われる。すべてのポリマーが異なる化学的性質および構造を有しているので、正しい官能化を選択することが重要である。

0031

さらに、ゾルゲル加工、溶液混合音波処理、せん断混合および高速混合のような溶媒の混合技術がある。これらの技術は、主に、熱硬化性樹脂および低温熱可塑性を伴う作業に有用である。これらは主に、バッチ式加工に向けたものであり、大規模な加工では取扱いおよび稠度の問題を引き起こす。

0032

二軸スクリュー押出機では、回転する2つのスクリュー、およびハウジングの間のポリマーが、せん断変形を受けることにより溶融する。ナノプレートレットは、ファンデルワールス力により結合するので、これらは、混合中にせん断力を適用することにより分離できる。強化材およびポリマー溶融物のせん断および混合は、混合スクリューが大きい長さ対直径の比(L/D)を備えることにより、および異なるスクリュー素子を適用することにより達成できる。これを利用して、二軸スクリューは、配合に数十年使用されてきた。ポリマー加工における開始以来、様々なタイプの二軸スクリュー押出機が開発されてきた。基本的な違いは、スクリュー回転の形および方向に基づいている。同方向回転、逆回転および噛み合い型スクリューがある。混合の効率を向上させるために、様々な置き換え可能な素子(例えば混練素子)で区切ったスクリューが開発されている。ナノコンポジットは、スクリュー回転のタイプに関わりなく、類似した性能を示すが、逆回転スクリューを使用することで、分散はより良好になることが見出されている。さらに、同方向回転スクリューにおける流速は、スクリュー先端におけるものより速いことが見出されている。これは、より高いせん断速度に相当し、混合に良好と考えられる。

0033

認識されるように、溶融配合方法は、ポリマーナノコンポジットを生成する上で、最も都合のよいおよび産業上有望なプロセスである。マスターバッチ混合は、あらかじめ混合したポリマー−ナノ強化材ペレットを再度溶融し、同一または低下させた荷重速度で混合することによる多段階アプローチである。当業者は、マスターバッチ混合が、射出成形および押出のような基本的プロセス中に、特殊化された添加剤または色素を添加するために、ポリマー加工中に普通に使用されることを認識するはずである。マスターバッチペレットは、高荷重速度で、同一のまたは適合性のある塩基樹脂および添加剤を使用して調製される。さらに、マスターバッチプロセスからのナノコンポジットは、溶融加工により得られるものよりも優れていることが見出されている。第2の混合を設けることで、分散の向上によりナノコンポジットの性能の改善に役立つ。

0034

二軸スクリュー混合と併せた超音波押出のケースでは、追加のエネルギーが超音波の形態で適用される。超音波エネルギーは、熱力学的に不安定なエマルションを作るために、また、重合反応開始剤として使用される。認識されるように、ナノ粒子の分散は、超音波と二軸スクリュー押出を組み合わせることにより改善できる。ポリマー−ナノ粒子混合物に適用される超音波エネルギーは、高温域局所的に発生させることにより、キャビテーションを引き起こす。泡が大きくなると、これらは、ポリマーマトリックス中におけるナノ粒子の破損および分離に役立つ。

0035

単一層グラフェンのポリマー中での分散は、かなり長い間研究者らの興味を引いてきた。グラフェンは、一般的に、湿らせること、ならびに、グラファイトおよび酸化グラフェンと比較して低い接着エネルギーを呈することは困難である。特定の用途のためのグラフェンの接着および反応性を改善するために、グラフェンシートは、両面で官能化され得る。官能化したグラフェンは、バイオセンシング用途にとりわけ有用である。一部の研究では、グラフェンシートにおけるフッ素化の効果が研究されている。生じたフルオログラフェンは、グラフェンのものと類似した熱的および機械的挙動を有する絶縁体であることが見出された。

0036

グラフェンの溶媒分散体は、有機溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中にグラフェンを適正に分散させることにより、かなりの注目を集めた。一部の研究では、音波処理によりグラフェンの剥がれに関して様々な溶媒の有効性が研究されている。グラフェンは、界面活性剤(Triton X−100)、ならびに低電力および高電力音波処理の組合せを使用することにより、高い濃度(0.7mg/ml)で水中に分散できることが示されている。グラフェンは疎水性なので、疎水性末端および親水性末端を有する分散剤を適用すると、水性溶媒中の分散を安定化させるのに役立つはずである。界面活性剤(Triton X−100)中のベンゼン環およびグラフェンシートの芳香族構造の間における強固なπ−π相互作用は、分散を助ける。サイズ選択的アプローチ(すなわち、遠心分離による均一な直径のグラフェンの選択)により得られた水分散グラフェンは、ポリマーナノコンポジットを調製するための有望な目標と思われる。それにも関わらず、アプローチのコストおよび複雑さにより、この経路は商用用途では限定される可能性がある。

0037

グラフェンの湿潤性および接着の作用は、水と比較して、エチレングリコール(EG)でより高いことが見出されている。さらに、還元した酸化グラフェンは、酸素を含有する官能基が存在することにより、エチレングリコール中に十分に分散できる。PETを重合するための原料の1つであるエチレングリコールにより、溶液の分散は、ナノコンポジットを開発するための妥当な経路となる。

0038

PETナノコンポジット
先に明記されているように、PETナノコンポジットでは、性質を改善し、新たな用途を拡大する目的が追求され続けている。現在、他のナノ材料は、既に使用されており、PETの重合において分散される。例えば、図5で示されているように、平均直径400nmを有するカーボンブラックナノ粒子は、PETの熱吸収能力を改善するために、6ppm、すなわち0.0006%で使用される。カーボンブラックの分散は、in−situ重合により達成され、この6ppmという低荷重でさえ、エネルギーが節約される。より顕著な重量分率でのin−situアプローチによるナノコンポジットの調製を調査することは、このアプローチの有効性を理解するのに役立ち得る。

0039

PETの溶融温度および溶融粘度の高さにより、溶融配合は、ナノコンポジットの調製に関して重要な技術になる。本明細書に記載されているように、グラフェンをPETに添加すると、PETの機械的な、バリア、熱的および導電的性質が改善することが見出されている。しかし、グラフェンの分散を改善し、高荷重での強化機構を理解することにより、非限定的な例による、歪みのモニタリング電磁遮蔽落雷保護湿気吸収の抑制などのような新たな用途につながるはずであると想定される。

0040

実験の詳細
一部の実施形態では、分子量Mw−84,100g/mol(0.81dl/gの固有粘度(I.V.))の市販のPETが、ペレットの形態で得られる。一般に認められているように、PETペレットは半結晶性であり、これらは、示差走査熱量測定DSC)により検証できる。認識されるように、PETは、吸湿性であり、ポリマー溶融物に湿気が存在すると、分子鎖切断エステル結合加水分解)により分子量の損失を引き起こす。したがって、PETは、有利には、各プロセスの前に、ポリマー分解を最小限にするように170℃にて4−6時間乾燥され得る。

0041

一部の実施形態では、市販のグラフェンは、2つの異なる平均表面積を有するグラフェンナノプレートレット(GNP)の形態で得ることができる。一部の実施形態では、5μmの平均直径、およそ6から8nmの厚さおよび120−150m2/gの平均表面積を有するグラフェンナノプレートレット(GNP)(xGnP(登録商標)−M−5グレード)が、ナノコンポジットの調製に使用され得る。一部の実施形態では、2μmの平均直径、750m2/gの平均表面積を有するナノプレートレット(xGnP(登録商標)−C−750グレード)が、in−situ重合に使用され得る。一部の実施形態では、ナノプレートレットは、最初は、凝集した乾燥粉末の形態であり、ここで、凝集した各プレートレットは、図6(a)−(b)で示されているように、いくつかのナノプレートレットを含む。認識されるように、ナノプレートレットは、一般的に、全長にわたって均一ではなく、ジグザグ状の縁を含む。図7は、ナノプレートレットの化学構造を示す図である。ナノプレートレットは、99.5%の炭素と、縁部にカルボキシル基およびヒドロキシル基の形態で存在するきわめて少ない酸素および水素からなる。カルボキシル基およびヒドロキシル基は、プレートレットの破断中に原料炭素曝露されることにより形成されると認識されるはずである。一部の実施形態では、ナノプレートレットは、「Graphite Nanoreinforcements in Polymer Nanocomposites」と題した、Chemical Engineering and Materials Science、2003年、H.Fukushima著、Doctor of Philosophy Dissertationに記載されている、酸がインターカレートされているグラファイトフレークが、マイクロ波加工により膨張する手順により調製され得、この全体は、参照により本明細書に組み込まれる。

0042

PET−GNPナノコンポジットの調製
一部の実施形態では、二軸スクリューおよび超音波二軸スクリュープロセスでPET−グラフェンマスターバッチを配合することにより、凝集体を形成させることなく、グラフェンナノプレートレットは、PETマトリックス中に分散させることができる。一実施形態において、グラフェンナノプレートレット(GNP)およびPET樹脂は、同方向回転スクリューを有するKrauss Maffei ZE−25UT押出試験機を使用して、PET−xGnPマスターバッチペレット中に配合された。このプロセスを使用して、2%、5%、10%および15%重量分率で、マスターバッチペレットの別々のセット2つを配合した。各セットにおいて、重量分率のそれぞれに対して、5.4kg(12lb)のマスターバッチを調製した。

0043

一部の実施形態では、超音波を使用して、二軸スクリュー配合を助けることができる。一実施形態において、超音波二軸スクリュー押出システムを使用して、PET−グラフェンナノプレートレットが加工された。PETペレットは、オーブン中で80℃にて終夜乾燥させて、湿気を除去し、次いで、5%の重量分率でグラフェンナノプレートレットと配合された。PETおよびグラフェンナノプレートレットは、図9で示されているように、40kHzで作用する超音波ホーン装備した同方向回転二軸スクリューマイクロ配合機を使用して配合された。超音波ホーンは、ダイ入口から14.5cmの距離でバレル領域に位置させた。ホーン先端の垂直位置を、ポリマー溶融物と接触するように調整した。プロセスを通じて、0.9kg/時(2lb/時)の流量を維持し、スクリュー速度を200RPMにセットし、超音波処理域での滞留時間を9.2秒とした。

0044

基本のコンポジットのマスターバッチと組み合わせて、異なる超音波振幅:超音波なし(0USM)、3.5μm(3.5USM)、5μm(5USM)および7.5μm(7.5USM)を含むマスターバッチのセット合計4つを調製した。さらに、PET単体における超音波処理の効果を理解するために、純粋なPET(強化材なし)も、同一条件下で加工した。図8は、ペレット化した形態の配合されたPET−グラフェンのいくつかの模範的な実施形態の大きさおよび寸法を示す図である。

0045

in−situ重合
一部の実施形態では、in−situ重合は、ポリマーナノコンポジットの調製に用いられ得る。認識されるように、in−situ重合は、一般的に、2つのステップを含む。最初のステップは、適合性のあるポリマー前駆体または溶媒を使用して、ナノスケール強化材を溶液相にインターカレートするステップを含む。第2のステップでは、ナノプレートレットでインターカレートされた溶液を使用して、重合に取り組む。ナノプレートレットを、化学的に適合性があり、且つ粘度が低い材料に分散させることは、高度に粘性のあるポリマー溶融物と直接混合することと比較して、より効率的と考えられる。

0046

認識されるように、エチレングリコール(EG)は、PETを重合するための原料の1つであるので、EGは、グラフェンナノプレートレットを分散させるための溶媒として有利に使用できる。一実施形態では、99%の純度を有する試薬グレードのEGは、グラフェンナノプレートレットを分散させるための溶媒として使用された。グラフェンナノプレートレットは、1mg/ml(すなわち、0.1%重量分率)の濃度でEGに添加され、40kHz音波洗浄器を使用して音波処理した。図10で描かれているように、EG−GNP溶液を106時間音波処理し、その結果、均質な分散を確保した。音波処理プロセス中に、溶液ビーカーを、大気の酸素への曝露を防ぐためにアルミホイルで覆った。表面積が小さい(120m2/g)、および大きい(750m2/g)グラフェンナノプレートレットの両方を使用して、分散体を調製した。

0047

一実施形態において、エチレングリコールおよびテレフタル酸ジメチルに分散したグラフェンナノプレートレットのin−situ重合は、1kg重合反応器を使用して試行された。2段階反応によりPET重合を行った。最初のステップは、エステル交換反応(EI)であり、モノマーが形成される。第2のステップでは、ポリマーは重縮合反応(PC)により形成される。各ステップで受ける反応と併せて使用される実験の構成は、以下に記載されている。

0048

図11は、エステル交換反応を行うための反応器およびメタノール収集構成の模範的な実施形態を示す概略図である。図11で図示されている実施形態では、粉末化されたテレフタル酸ジメチル(DMT)が重合に使用された。分散させたGNPを伴うEGおよび粉末化されたDMTが、2.3:1モル比窒素パージ下にて反応器に入れられ、過剰なEGを有していた。エステル交換反応のための触媒である酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)、および重縮合反応の為の触媒である三酸化アンチモン(Sb2O3)を、それぞれ82ppmおよび300ppmでバッチに添加し、常に撹拌しながら175℃に加熱した。バッチの温度が約170℃に近づくと、メタノール収集を始めたが、これはエステル交換反応が開始したことを指し示し、次いで、窒素パージを終わらせた。バッチ温度を、そこから15℃きざみで、温度が235℃に達するまで上昇させた。反応が進展するにつれて、グースネック型コンデンサー内の温度を、室温から60℃超に上昇させた。メタノール収集が、理論的収率、このケースでは300mlに達すると、グースネック型コンデンサーの温度は、60℃未満に下落し、エステル交換が終了したとみなされる。グースネック型コンデンサーを外し、エステル交換反応を終了させるように、ポリリン酸(H3PO4)を38ppmでバッチに添加した。図12は、DMTおよびEGの間におけるエステル交換による、エステル交換の成立を示す図である。全体のエステル交換反応は、終了までにおよそ3時間かかる。

0049

図13は、重縮合反応を行うための、反応器および過剰なEGを収集するコンデンサーの構成の模範的な実施形態を示す概略図である。重縮合反応中、反応器の温度を285℃に上昇させ、望ましい粘度のPETが得られるまで、真空下(Hgで30)で維持した。重縮合反応の開始時に、イソフタル酸(C6H4(COH)2)および安定コバルトをそれぞれ20グラムおよび65ppmバッチに添加した。イソフタル酸は、PETの結晶化度を限定するので、PETは加工しやすくなることが理解されるはずである。PETの最終的な色を制御するように、安定コバルトを添加した。図14に図示されているように、重縮合反応中、PETの分子量は増加し、EGは放出される。重縮合反応中に放出されたEGは、丸底フラスコで収集され、ドライアイスを使用して固化され、その結果真空ポンプ中へEGが流れ込むことが防がれる。認識されるように、PET鎖の長さの増大に応じたバッチの粘度の変化は、撹拌流に影響を与えると考えられる。したがって、反応が進展するにつれて、撹拌機を通過した電流は、変化が15分間隔でモニターされた。撹拌機を通過した電流に、2つの連続する測定値で変化が検出されなければ、真空を中断することにより反応を停止させた。次いで、生じたポリマー溶融物を反応器の下部の開口部から、氷水浴中へと押し出し、ストランドチョッパーを使用してペレット化した。図14(a)は、図11および13で図示されている構成により行われる、グラフェンナノプレートレットを伴わない対照バッチ1つを含む、バッチ重合3つの反応時間および収率を示す図である。

0050

ナノコンポジットの射出成形
一部の実施形態では、ナノコンポジットのマスターバッチは、マイクロ構造、機械的および熱特性の調査を促進するように、ナノプレートレットの別々の最終的な荷重分画に射出成形され得る。一実施形態では、油冷成形機水冷成形機およびマイクロ射出成形機を含む3つの異なる射出成形圧縮機を使用した。上記の配合プロセスから得られた、PET−グラフェンナノプレートレットのマスターバッチは、様々な荷重分率でナノコンポジットの成形に使用した。油冷射出成形ユニットは、マスターバッチ(配合されたペレットは純粋PETを使用して、グラフェン濃度を希釈せずに射出成形した。)から、GNP重量分率が2%、5%、10%および15%のナノコンポジットの成形に使用した。260℃から280℃の範囲のバレル温度で、引張試験片を成形した。ASTMD 638 タイプI仕様に従って、標準引張試験片金型を使用した。

0051

冷却速度が遅いため、不透明な核により指し示されている結晶化の標示が、射出成形されたPETで観察された。別の実施形態において、PET用に設計されているHyPET 90 RS45/38射出成形システムを利用した。Ontario、CaliforniaのNiagara BottlingLL施設にて、オフサイトで射出成形を行った。HyPET 90 RS45/38 射出成形システムは、90トンクランプ力を有し、38mmのスクリュー直径およびチルド水冷金型を含む。これにより、PETの加工はより高い冷却速度で行うことが可能となって、その結果、非晶質マイクロ構造が保たれる。

0052

さらに、PETを加工するための業界標準と同様のナノコンポジットの射出成形を、維持するように、カスタム金型が開発された。図15で示されているように、カスタム金型を使用して調製したチューブ試験片は、機械的試験の容易さのために設計されている。図15で示されているように、チューブ試験片は、均一な断面を有する長いゲージ長を含む。したがって、カスタム金型は、産業スケールの部品の典型である適切なサイズおよび加工ウインドウ(すなわち、射出圧力およびサイクル時間)で構成される部品を作る。

0053

前述の方法から得られたナノコンポジットペレットを使用して、機械的試験用の試料が、異なるGNP濃度で射出成形された。GNP重量分率が低いナノコンポジットを試験する目的のために、マスターバッチは、PETと混合することにより希釈し、ナノコンポジット中に0.5%の低さの重量分率で射出成形した。ナノコンポジットの最終的な重量分率は、図16(a)−(b)で示されているように、供給口から収集した画像におけるペレットの割合を測定することにより検証した。図8で列挙されているペレットの寸法を使用して、実際の重量分率を計算した。プロセスが安定化された後で、特徴を研究するために、各プロセス実行からのナノコンポジットを収集した。安定化は、射出圧力およびサイクル時間が10分を超えて不変の場合に発生する。図16(c)は、各マスターバッチに関連する、射出成形されたナノコンポジットの重量分率を提示する。

0054

プロセスの最適化
射出成形によるポリマー加工は、バレル温度、射出圧力、保圧および背圧充填時間、冷却時間などを含むいくつかの可変要素に左右される。認識されるように、これらの可変要素すべての釣り合いをとることは、部品の結晶化度、およびボイドのような欠損をなくすために必要である。各プロセスの実行開始時に、基本の材料でバレルをフラッシュして、以前の試験から残留したいかなる材料も除去する。基本の材料の内でフラッシュすることにより、公知の条件を用いて加工の開始が可能となり、バレルを占めるPET−マスターバッチ混合物としてそれらの最適化が可能となることは認識されるはずである。

0055

グラフェンナノプレートレットの添加は、PETの溶融粘度に影響を与え、これは、充填圧力に反映するものである。最大充填圧力は、図16(d)で示されているように、超音波マスターバッチを加工すると低下する一方、保圧は同一であったことを観察した。認識されるように、材料が固体化する間、金型を閉じておくために保圧は重要である。別の重要な加工の可変要素は、背圧であり、これは、材料をホモジナイズし、溶融物からボイドを除去するのに役立つ。PETおよびマスターバッチをバレルの内側で混合するプロセスの有効性は、目視検査により確認できる。GNP重量分率が低い試料に関しては、混合不良の視覚的サインは、図17で示されているように、灰色点、跡および流動のすじを含む。

0056

マイクロ射出成形
一部の実施形態では、引張試料は、PETの機械的性質に対する超音波処理の効果を検査する目的でマイクロ射出システムを使用して調製され得、希釈を伴わない、超音波によるグラフェン分散体からの改善を評価する。一実施形態では、引張試料は、図18(a)−(b)で示されているように、5cc小型配合ユニットと組み合わせた、5.5cc容量のマイクロ射出成形ユニットを使用して調製された。図19(a)で示されている金型を含む図18(a)−(b)のマイクロ射出成形ユニットは、図19(b)で示されている引張試験片の調製に使用された。同方向回転二軸スクリューを装備した小型配合ユニットを使用して、ペレットを溶融し、本明細書に記載されている均質な溶融混合物を得た。図18(b)で示されている切換装置を使用して、ポリマーまたはナノコンポジット溶融物を、配合機から射出成形機に移した。射出成形機は、高圧空気(13.8bar)につなげられたプランジャーにより、ポリマー材料円錐状金型中へと射出した。認識されるように、マイクロ射出システムは、金型温度、射出圧力、保圧、射出時間および保持時間を制御する。

0057

一実施形態において、図19(a)で示されているデュアルドッグボーン金型は、2.1ccの充填体積を有するゲージセクションに対してASTMD 638 Type V試験片のL/D比に従って設計された。配合プロセス中、材料を270℃に加熱し、再循環バルブを1分間開放することにより均一化し、その後、切換装置中で溶融物を収集した。アルミニウム金型を使用して、室温で引張試験片を作った。アルミニウム金型の相対的に大きい体積は、ヒートシンクとして作用し、射出中にポリマー溶融物の冷却を可能とする。図19(c)は、PETナノコンポジット引張試験片を作るために使用される射出プロセスパラメーターを列挙している。

0058

全体では、PET対照、超音波処理したPET、二軸スクリュー混合、超音波二軸スクリュー混合からのGNP重量分率が5%のナノコンポジットのペレット、およびin−situ重合からの材料を含む別々の材料のセット5種が、マイクロ配合システムを使用して加工され、引張試験片が機械的試験のために得られた。ナノコンポジットのケースでは、ナノコンポジットの性質における混合時間の効果を理解するために、様々な混合時間も調査した。すべての材料は、湿気が存在することによる分解、または過剰な乾燥による粘度の下落を避けるように、加工する前に少量(30グラム)をオーブン中で170℃にて2時間乾燥させた。

0059

ナノコンポジットの特徴付け
射出成形されたナノコンポジットの間の密度の比較は、加工欠損(例えばボイド)による試料における差の識別に役立つと考えられる。相対密度は、以下の等式を使用してアルキメデス原理に基づいて判定できる:

0060

式中、mは空気中における試料の質量であり、m(バー)は、液体媒体中の試料の質量であり、P0は使用される媒体(すなわち、水)の密度である。

0061

非晶質PETは、1335kg/m3の密度を有する。PET半結晶性ポリマーは、結晶化度に基づく一定範囲の密度を呈する。非晶質ナノコンポジットの理論密度は、PET(1335kg/m3)およびGNP(2200kg/m3)の相対密度を使用して計算できる。対照(PET)およびナノコンポジット試料の結晶化度は、以下に示されている等式を使用して評価できる。

0062

式中、Xcが試料の結晶化度であり、ρaは非晶質PETの密度であり、ρcは結晶性PETの密度(1455kg/m3)であり、ρ試料は、コンポジットの密度である。

0063

PETは、溶融温度にて、高せん断下で分子鎖切断を受けることが公知である。さらに、PETにおける超音波処理の効果は、以前に調査されたことがない。したがって、超音波処理したPETおよびPETナノコンポジットの分子量の変化を評価するために、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を、室温にてPETを溶解するための溶媒として使用した。コンポジットペレットに関しては、ポリマーが溶解された後でナノプレートレットを濾過した。Auriga PolymerでGPC測定を行った。溶媒(5mg/ml)に溶解したポリマーを、特定の細孔の大きさを有するGPCカラムにより一定流速で送り出した。膨張状態ポリマー分子がカラムを通過するのにかかる時間(保持時間)は、分子の大きさに基づく。ポリマー溶液がカラムを通過する間、屈折率検出器を使用して識別した様々な分率(同一分子量)の溶出体積を記録した。公知の分子量のポリスチレン標準に対してこの溶出体積を比較して、平均分子量のPET試料が得られた。

0064

Auriga Polymerの施設において、ASTMD4603標準推奨されている溶媒に対して較正した専用溶媒を使用して、PETおよび超音波処理したPETペレットの固有粘度(I.V.)を測定した。溶媒中にポリマーペレットを溶解した後で、この溶液にガラス毛細管粘度計を通過させ、高い較正目盛から低い較正目盛へと下降する際(図20で示されているように)の、溶液の流れ時間が記録された。溶液対溶媒の平均流れ時間の比により、ポリマーの相対粘度(ηr)が得られた。ポリマーの固有粘度は、以下の等式を使用して計算した:
ηr=t/t0(3)
η=0.25(ηr−1+3lnηr)/C(4)
式中、ηrは相対粘度であり、tは平均溶液流れ時間であり、t0は平均溶媒流れ時間であり、ηは固有粘度(dL/g)であり、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)である。

0065

上述の手順により得られた固有粘度(I.V.)の、データおよびGPC技術からの重量平均分子量のデータを使用して、関連するPET I.V.対MwのMark−Houwinkパラメーターを精緻化し、超音波処理したナノコンポジットの粘度を計算するために使用した:
[η]=KMα(5)
式中、ηはポリマー固有粘度(dL/g)であり、Mは平均分子量(g/mol)であり、「K」および「α」はMark−Houwink定数である。一方、重量平均分子量を使用して、「K」および「α」は、それぞれ0.00047および0.68と解釈される。

0066

2つの異なる形状を有するナノコンポジット試料は、射出成形プロセスから得た:引張試験片および引張チューブ。引張試験片およびチューブのいずれの形状も、ASTMD 638標準に従って、5mm/分のクロスヘッドスピードユニバーサル材料試験機を使用して試験された。非接触レーザー伸縮計は、歪みの記録に使用した。レーザー伸縮計は、図21(a)で示されているように、試験試料におけるゲージ長さをマークするために使用される自己反射テープから、反射に基づく変位を記録する。レーザー伸縮計の歪み値およびロードセルからの荷重を100m秒の間隔で同時に記録した。ナノコンポジットチューブを試験する目的のために、図21(b)−21(d)で示されているようにカスタム材料固定具を使用した。各プロセス条件で、最低でも5つの試料を試験した。

0067

PETの熱的性質(ガラス転移温度、結晶化温度および溶融温度)におけるグラフェンの効果を理解するために、PETおよびナノコンポジット試料の示差走査熱量測定(DSC)を行った。示差走査熱量計を使用して、ナノコンポジットのサーモグラフを取得した。ナノコンポジット試料を、周囲温度から300℃に10℃/分で加熱し、300℃にて1分間保持し(最初の加熱サイクル)、次いで、25℃に10℃/分で冷却し、25℃にて1分間保持し(最初の冷却サイクル)、次いで、最終的に、窒素雰囲気下で300℃に10℃/分で再加熱した(第2の加熱サイクル)。超音波処理したPETペレットも、熱的性質の変化に関して分析した。

0068

最初の加熱サイクルから、結晶化度(Xc)を判定するために、溶融パラメーター(温度、融解熱)および結晶化熱を得た。最初の冷却サイクルから、溶融結晶化温度(Tc)およびオンセット温度(Ton)を得て、半結晶化時間(t1/2)を判定した。結晶化度は、以下の等式を使用して計算できる:

0069

式中、ΔHfは融解熱であり、ΔHCCは結晶化熱(冷結晶化)であり、ΔΗ0cは、100%結晶性ポリマーの融解熱であり、PETでは−140.1J/gであり、Wfは、ナノコンポジットにおける強化相の重量分率である。

0070

半結晶化時間は、以下の等式を使用して判定した:

0071

式中、Tonは結晶化オンセット温度であり、Tcは結晶化温度であり、Xは冷却速度である(この場合10℃/分)。

0072

ポリマーの流れ挙動は、強化材(マイクロまたはナノ)を添加することにより影響を受けることが公知である。ナノコンポジットの流れ性質の試験は、それらの加工に有用である。PETの流れ性質におけるグラフェンの効果を理解するために、溶融レオロジーを研究した。25mm直径の平行プレート形状および電子制御加熱装置を装備した回転レオメーターを使用して、ナノコンポジットペレットのレオグラフを取得した。試料を、オーブン中で170℃にて12時間乾燥させて、湿気を取り除いた。平行プレートの間に置かれたPETおよびナノコンポジットペレットを、N2雰囲気下で、260℃にて1mmの厚さ(図22で示されているように)に溶融圧縮した。試料の線形粘弾性領域(材料の反応が変位振幅とは無関係の領域)は、歪み掃引を1Hz周波数で実行することにより、判定した。PETに対する線形粘弾性領域内で1%歪み速度ですべての試料に対して、100rad/秒から0.1rad/秒の動的周波数掃引を取得した。

0073

ナノ粒子のポリマーマトリックス中への分散は、ポリマー−ポリマーおよびポリマー−強化相互作用により、ポリマー鎖の絡み合いを増強させる。絡み合いの増強はポリマーを硬化し、固体状剛体)の変形挙動を呈するが、これは試験周波数とは無関係である。ナノコンポジットの剛体挙動への遷移は、強化材の連結している網状組織が形成されている場合、臨界の重量分率で発生する(浸透限界)。係数の動的周波数掃引により、ポリマーおよび強化材相の両方から情報が得られる。高周波数係数はポリマーマトリックスが占める場合、材料の低周波数反応は強化材が占める。したがって、浸透体積の分率は、ナノコンポジットの低周波数係数に基づいて得られる。浸透体積の分率における強化材の平均アスペクト比は、以下の等式を使用して判定できる。

0074

式中、φ球形は、無作為に詰め込まれて重なった半球に対する浸透体積の分率であり(この場合0.30と解釈される。)、φperは、ナノコンポジットに対する浸透体積の分率である。

0075

ラマン分光法は、グラフェンの性状を特徴付けるために最も幅広く使用される技術である。ナノコンポジットに関しては、いくつかの研究は、ポリマー−グラフェン系の間の相互作用およびグラフェンの性状を特徴付けるラマン分光法の応用について報告している。sp2炭素材料のC−C伸縮に対応する1580cm−1付近Gバンド)のピーク、および2680cm−1付近(G’バンド)のピークを有する単一層グラフェンの特徴的なラマンスペクトルは、高次モードに対応する。グラフェンにおける欠損が存在すると、1350cm−1付近(Dバンド)の異なるラマンピークが生じ、これは、グラフェンの性状の分析に有用である。多層グラフェンのケースでは、最大n=7である多層グラフェンの層の数は、Gバンド(約1580cm−1)の強度に基づいて評価でき、2D−バンドまたはG’バンド(約2680cm−1)の形を使用して、最大n=4層を識別できる。現在の作業では、ラマン分光法を使用して、グラフェンナノプレートレットの分散を評価し、また、PET分子鎖におけるグラフェン層およびフェニル環の間のπ−π相互作用を確かめる。PETフェニル環とグラフェンの相互作用は、フェニル環のC−C伸縮(1617cm−1)に関連したラマンバンドにおけるシフトを示すことが見出されている。

0076

532nmのレーザー励起グリーンライト)、2mWのレーザー出力光、20μmのスポットサイズを使用してPETおよびPET−GNPナノコンポジットのラマンスペクトルを収集した。各GNP重量分率に対して収集したスペクトルに対して、個別のピークをフィットガウスフィット)させることにより、C−C(1617cm−1)バンドの位置の変化が評価された。

0077

マイクロ構造の分析
認識されるように、ナノコンポジットを画像化することは、ポリマー性質の改善におけるナノ粒子の役割を理解するために必須事項である。ナノ強化材は、ポリマーマトリックスとのかなりの程度の、起こり得る相互作用のために有利と考えられる。したがって、分散のレベルに左右される相互作用の程度を視覚化することが必要である。さらに、実際のマイクロ構造の情報は、ナノコンポジットの挙動をモデル化するために有益であり、工学的材料において役立つ。電子顕微鏡法およびX線回折は、分散の研究に使用される最も普通の技術である。これらの技術のいずれも、互いに裏付けとして使用されることが多い。

0078

PETマトリックスの内側のグラフェンナノプレートレットを、走査電子顕微鏡法(SEM)により画像化した。PETおよびPET−GNPナノコンポジットの破断面のSEM顕微鏡写真を得た。グラフェン含有量が少ない(最大2%)PET対照およびナノコンポジットを、Balzers UnionMED010コーティング機を使用してAu/Ptコーティングした。

0079

ナノコンポジット引張試験片を、超音波で画像化して、加工欠損(例えばボイド)の存在を評価した。超音波顕微鏡を使用して、ナノコンポジットに対する超音波「バルクスキャン」を取得した。30MHzの超音波周波数、0.5”焦点距離および122μmのスポットサイズでスキャンを行った。スキャンプロセス中、プローブおよび試料の間に水のような液体媒体を使用して、超音波伝達を最大限にした。超音波顕微鏡写真を84μmの画素ピッチで記録した。

0080

グラフェンナノプレートレットの剥がれを分析するために、透過電子顕微鏡法(TEM)を行った。GNP重量分率が5%および15%の引張試験片に対するナノコンポジットの薄片(70nmの厚さ)は、ミクロトーム切断し、200kVの動作電圧で透過電子顕微鏡の下で画像化した。PETおよびGNPの間における電子密度の差は、透過電子顕微鏡写真でコントラストを示した。グラフェンナノプレートレットの密度は、PETと比較して高いため、これらは顕微鏡写真において暗領域と認識される。ナノプレートレットのパラメーターである厚さおよび長さ(直径)は、透過電子顕微鏡写真を較正した後で画素数を測定することにより得た。

0081

透過電子顕微鏡写真は、ナノプレートレットの2D寸法を示す。しかし、この情報のみでは、ポリマーマトリックスにおける分散を定量化するのに不十分である。「粒子間距離(λd)」パラメーターは、TEM顕微鏡写真からの情報に基づいて、プレートレットの剥がれを定量化するために使用され得る。2Dスライスから3Dの情報に関連する立体的関係に基づいて現像し、粒子間距離は、直線で粒子の間を測定した平均距離である。二値化したTEM顕微鏡写真を使用し、以下に示されている等式(9)に基づいて、粒子間距離(λd)を判定した。単位体積当たりの界面面積Sv)P−Gは、顕微鏡写真の単位面積当たりに存在するナノプレートレットの周長の組合せを測定することにより得ることができる。

0082

式中、Vvはナノプレートレットの体積分率であり、(Sv)P−Gは、試験片の単位体積当たりのポリマー−ナノプレートレット界面面積であり、LAは、2D顕微鏡写真の単位体積当たりのプレートレットの合計周長である。

0083

ポリマー中に分散したナノプレートレットが円盤状であり、厚さ(t)およびアスペクト比(Af)がわかっていると考えれば、理論上の粒子間距離は、等式(9)および(10)により得られる以下の等式を使用して評価できる:
t=λdVv(Af+2)/[2(1−Vv)Af](11)
式中、Vvはナノプレートレットの体積分率であり、Afはナノプレートレットのアスペクト比であり、tはナノプレートレットの厚さであり、λdは粒子間距離である。

0084

X線回折は、ポリマーマトリックス内の分散状態のナノプレートレットの間において、間隔を測定することにより、それらの理解に役立つ。単一層グラフェンは、2次元(2D)六方格子を有する。グラファイトと同様に3D構造を有するグラフェンナノプレートレットは、(002)および(004)の平面(Cu Kα X線に対して26.6°および54.7°2θ)に対応する「グラフェン−2H」の特性反射を呈する。三斜晶系構造を有するPETは、主に、(010)、(110)、(100)および(105)(Cu Kα X線に対して17.5°、22.5°、25.6°および42.6°2θ)の平面[48]に対応する反射を呈する。非晶質PETは、約 20°2θで広範なハローを呈する。

0085

ナノコンポジットの回折パターンは、2D検出器およびマイクロ回折ならびに結晶化度測定のための反射率では0.5mmコリメーターを使用して収集した。Cu KαX線放射線(λ=1.54184Å)は、60秒間のスキャン時間で使用した。パーセント結晶化度は、等式(11)を使用して、非晶質および結晶性分率に基づいて判定することができる:

0086

式中、Acは結晶性の寄与であり、Aαは非晶質の寄与である。

0087

機器形状に関する試料形状(Iは射出流れ方向、T1は断面の長寸法、およびT2は厚さ)は、図23で示されている。PETおよびグラフェンに対して部分的な回折環を示し、優先配向の存在を指し示す2−D回折フレームは、図23で示されている通りである。回折および断層撮影に使用されるナノコンポジット試料の位置は、図24で示されている通りである。

0088

認識されているように、電子顕微鏡法は、小さい面積から、試料の二次元マイクロ構造の情報のみを示す。TEMのケースでは、試料の大きさは、面積では500μm×500μm、厚さでは70nmにすぎない。集束イオンビーム(FIB)と組み合わせた電子顕微鏡法は、第3の方向に沿ってマイクロ構造の情報を得る際に有用なことがある。それにも関わらず、X線は、材料を画像化する際に、電子を上回るある利点を有する。試料調製の単純さ、周囲環境またはin−situ環境の選択および材料への損傷の起きにくさが主な利点である。X線断層撮影は、材料の3D構造の詳細を再現できる非破壊画像化技術である。

0089

断層撮影は、例示されている目的からの透過モードまたは反射モードでの断面の情報を収集するプロセスである。材料および形状の情報は、図25に図示されているように、X線の透過強度に基づいて記録される(レントゲン写真)。この透過強度は、以下の等式による材料のX線吸収係数および密度に基づく、材料の情報に関連し得る:
I=I0e−μmpx(13)
式中、Iは透過X線強度であり、I0は最初のX線強度であり、μmは材料の質量減衰係数であり、ρは材料密度であり、xは材料の厚さである。レントゲン写真は、フーリエ変換に基づくアルゴリズムを使用して、断面スライストモグラフ)に再構成されている。X線および検出光学器分野の開発により、かなり狭い面積でもビーム集束できるようになり、それにより、ナノスケールの解像を実現した。

0090

現行の作業では、3次元におけるナノプレートレットの分散を理解する目的で、X線ナノ断層撮影を、2つの異なる試料(ナノコンポジット引張試験片および引張チューブ)で試行した。SkyScan 2011 ナノCT機器で、272nm/画素分解能にて、15%引張試験片から収集した試料のナノ断層撮影を行った。重量分率が2%の(超音波加工した)引張チューブ試料に対して、内部および外部表面からくさび部をXradia 800 Ultra 3DX線顕微鏡で、150nm/画素分解能にてスキャンした。3D可視化ソフトウェアを使用して、再構成したトモグラフを視覚化した。

0091

ナノコンポジットのマイクロ機械モデル化
連続した繊維コンポジットは、「複合則」と呼ばれる単純な実験式に基づいて、設計される、または評価されることが多い。ナノ強化材のケースでは、複合則は、最終的な性質の予測は困難である。これらは連続した繊維強化材ではないということと併せて、この差は、少ない体積分率により影響を受け、マトリックスおよび強化材の間の性質の有意な不均衡、ならびにアスペクト比である。ナノコンポジットに関しては、ナノプレートレットおよびマトリックスの間の空間的な相互作用は、弾性挙動の測定に重要である。マトリックス−強化材界面での相互作用と組み合わせたナノプレートレットの高いアスペクト比は、ナノコンポジットの性質の評価を複雑にする。したがって、昔からのマイクロ機械モデルは、ナノ粒子の機械的性質を評価するように改変されている。

0092

強化材としてのグラフェンナノプレートレットの有効性を理解する目的で、Halpin−TsaiおよびHui−Shiaモデルのようなマイクロ機械モデルを使用して、PET−GNPナノコンポジットの理論弾性機械的性能を判定した。これらのモデルは、コンポジットの性質を予測するためのMori−TanakaおよびHillの方法の連続に基づく、単純化されたマイクロ機械関係であり、そのモデルの両方が、一方向コンポジットとして設計される。ポリマー中に分散したナノプレートレットのアスペクト比は、透過電子顕微鏡写真から判定できる。Halpin−Tsaiモデルでは、コンポジットの縦の係数(E11)は、以下の等式を使用して予測される:

0093

式中、Afは、ナノ強化材のアスペクト比(D/t)であり、φは強化材の体積分率であり、Erは、強化材係数対マトリックス係数(Em)の比である。

0094

Hui−Shiaモデルのケースでは、係数の予測は、以下の等式を使用して行われる:

0095

式中、φは強化材の体積分率であり、αは逆アスペクト比(t/D)であり、Emはマトリックス(PET)のヤング率であり、Efは強化材相(グラフェンナノプレートレット)のヤング率である。

0096

結果
PETの性質を改善する目的で、グラフェンナノプレートレットとPETを配合し、特定の荷重速度のナノコンポジット中に射出成形した。このプロセスから得られたナノコンポジットを、グラフェンナノプレートレットの有効性を理解するために、機械的、熱的およびレオロジー性質について評価した。

0097

平均分子量
平均分子量は、以下の試料に関しては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から得た:対照PET、超音波処理したPET、超音波処理したナノコンポジットマスターバッチ(5%GNP)およびGNP重量分率が5%の、二軸スクリューで配合されたマスターバッチ。GNP重量分率が類似したマスターバッチを比較すると、グラフェンが存在するために発生した変化の理解に役立つ可能性がある。

0098

図26で示されているように、重量平均分子量(Mw)に基づいて以下の観察が行われた。第1に、二軸スクリュー加工での平均分子量は、超音波処理に関わりなく変化する。超音波処理単体による分子量の低下は、二軸スクリュー配合からの下落と比較して、さほど顕著ではない。

0099

上の観察に加えて、グラフェンの存在により上昇した分子量が下落することも注目される。分子量の測定から、超音波処理した試料は、GNPが5%のナノコンポジットに対する、1.8および1.9の多分散性指標重量平均対数平均分子量の比)を示している。

0100

固有粘度
固有粘度(I.V.)は、ポリエチレンテレフタレートの性質を比較する考察に関して、最も一般的に表される数である。したがって、図27で示されているPETおよび超音波処理したPET試料の固有粘度は、溶媒に溶解したポリマーを使用して、毛細管粘度計により得た。

0101

重量平均分子量によって計算される粘度を用いて実験的に得られた粘度に関連して、等式5を使用して、Mark−Houwinkパラメーター「K」および「α」は、0.00047および0.658の値にそれぞれ最適化された。新たな定数を使用して、ナノコンポジット試料の固有粘度が得られた。PETおよびPETナノコンポジット試料の両方について計算された粘度の値は、図28で提示されている。

0102

実験で収集された、in−situ重合したPETおよびナノコンポジットペレットの固有粘度は、図29で示されており、そのすべてが0.6dL/gの範囲の粘度を示している。

0103

機械的挙動
引張試験片試料に対する応力−歪み曲線は、図30で提示されている。ヤング率は、応力−歪み曲線の最初の領域から得られた。ナノコンポジット引張試験片(セットA)のヤング率および強度データが、図31で提示されている。対照PETと比較した場合、ナノコンポジットの強度の低下が観察された。さらに、ナノコンポジットは、脆性破壊をきたし、対照PET試料と比較して伸びがなかった。

0104

カスタム材料固定具を使用して、図32(a)−(b)で示されているPETおよびナノコンポジット引張チューブおよびバーは、機械的性質について試験した。PETおよびナノコンポジットのヤング率および引張強度は、図33で示されている。引張チューブからのPET係数は、引張試験片試料未満であることが見出された(0.2GPaの差)が、冷却が遅くなるため(19%)引張試験片が熱結晶性を呈することがその理由である。ナノコンポジットの係数は、GNP含有量が増加するにつれて上昇した。しかし、ナノコンポジットの強度は、2%試料のケースを除いてPETと同一に留まった。PET引張試験片(2%GNP)およびGNP重量分率が低い(0.6%および1.2%GNP)ナノコンポジット引張チューブに対する応力−歪み曲線は、図34で比較されている。図34は、ナノコンポジットが、PETより強靱であることを示す(応力−歪み曲線下の面積)。2%ナノコンポジットのヤング率は、使用した2つの異なる射出成形プロセスと同一であった(3.1GPa)。しかし、GNP荷重が2%のナノコンポジットチューブは、より低い重量分率に関して、破壊のタイプにおいて逸脱していた。2%のGNP荷重では、ナノコンポジットは、1%しか歪みを呈さず、これは、1.2%のGNP荷重の、破壊歪み(400%)と比較して有意に低い。

0105

マイクロ射出成形プロセスから得られたPETおよび超音波処理したPETの引張試験片は、機械的性質について試験された。図35は、超音波処理したPETと、対照PETに対するヤング率および強度のデータを比較する。PETの超音波処理は、係数および強度に対して有意な効果を示さなかったことが観察された。しかし、超音波処理したPETの最大引張強度(破損時の引張強度)は、図36で示されているように有意に上昇した(24%)。

0106

超音波処理したマスターバッチペレットを使用して;GNP荷重が2%のナノコンポジット引張チューブを調製し、二軸スクリュー配合からのナノコンポジットとの比較について試験した。異なる超音波振幅で処理した、配合したペレットから調製されたナノコンポジットは、ヤング率および引張強度の改善を示す。3.5μmの超音波振幅によるナノコンポジットの係数の改善は、図37で示されているように、他の超音波処理と比較して高い(2.7GPa−12%改善)。それにも関わらず、超音波処理した2%ナノコンポジットに対する係数の上昇は、GNPが2%の二軸スクリューで配合されたナノコンポジットと比較して低い(3.1GPa−24%改善)。超音波処理したナノコンポジットは、PETと同様に収率挙動を表したが、強度の改善は最大でも3%にすぎなかった。

0107

超音波処理したマスターバッチの希釈により調製したナノコンポジットは、機械的性質の変化を理解する上で決定的な証拠を示さなかった。したがって、超音波処理したマスターバッチペレット(GNP重量分率の希釈なしで)を使用して、マイクロ射出成形システムからGNP重量分率が5%の引張試験片を得た。GNPが5%のナノコンポジット引張試験片のヤング率および引張強度は、図38で示されているように、対照PET、および二軸スクリュー配合プロセスから5%ペレットを使用して調製した引張試験片と比較した。強度のデータは、超音波振幅の増加に応じた引張強度の回復を指し示すが、係数のデータは、超音波処理からの改善は、通常の二軸スクリュー混合と比較して、有意ではないことを指摘している。

0108

重合プロセスから得た、GNP重量分率が0.1%のPET対照およびナノコンポジットの引張試験片を、機械的性質について試験した。図39は、表面積が異なり、GNPが0.1%のPETおよびナノコンポジットについて、ヤング率および強度のデータを比較する。ナノコンポジットの係数に有意差はないが、強度は、2つの異なる傾向を呈した。最高強度のナノコンポジットは、PET対照を上回る顕著な(最少でも16%)改善を示す。それどころか、ナノコンポジットの引張強度は、PETよりもわずかに(5%)低下した。

0109

密度測定
アルキメデスの原理を使用して、ナノコンポジットの密度を測定した。ナノコンポジットの密度は、非晶質PETおよびグラフェンに基づいて評価された理論値とは異なる。成形されたPETの引張試験片および引張チューブの間の密度の比較は、等式2に基づいて、引張試験片が半結晶性(結晶化度19%)であることを指し示す。ナノコンポジット試料からの密度の測定は、複合則に基づき、理論値から逸脱している。図39(a)−(c)で提示されているように、ナノコンポジットの強度の比較をより良好にするために、試験する前に試料に対する密度を収集し、比強度を評価するために使用した。図39(a)−(c)で提示されている比強度値は、GNPを有するPETの強度の有意な損失を示さない、すなわち改善を示すまたは、GNP重量分率が2%のナノコンポジット引張チューブを除いて、改善を示さない。

0110

走査電子顕微鏡法
ナノコンポジットとPETの応力−歪み曲線の比較は、ナノコンポジット引張試験片の破壊歪み(伸び)が減少したことを示す。ナノコンポジットの破壊のタイプおよび理屈を理解するために、走査電子顕微鏡写真を収集した。破断面の顕微鏡写真は、図40(a)および40(b)で示されているように、マイクロボイドが存在していることを示す。ペレットに存在する湿気により、加工中にボイドが生じることがある。したがって、ボイド付近の応力集中の増加は、ナノコンポジット引張試験片の強度の減少に寄与した。破断面顕微鏡写真の図40(b)で示されているように、ボイドからの亀裂の開始点により、この観察が確認される。

0111

GNP重量分率が2%のナノコンポジット引張チューブの破断面の顕微鏡写真から、類似した観察が行われた。ナノコンポジット引張チューブは、図41(a)および41(b)で示されているように「延性破断」の標示を示した。このセットで観察された試料のボイドはきわめて小さく、<10μmの大きさであり、図41(a)において矢印で指されている。マイクロボイドを取り巻く破断延性により、ポリマーマトリックスの限局した延性変形は、局所的な応力集中を増加させ得る。応力集中におけるこの増加は、ナノコンポジットの脆性破断をきたす亀裂を起こし得る。

0112

より高い倍率で、グラフェンナノプレートレットを破断面について観察した。ナノプレートレットは、図42(a)−(d)で示されているSEM顕微鏡写真で指摘されているように、破壊中に平面から突き出て露出し、荷重分配の一部であることが指し示されている。より高いナノプレートレット含有量(15%)では、ナノコンポジットのマイクロ構造は、他のものと異なり、より局所的な破断である。ナノコンポジットでは難しいことの1つは、非晶質試料を透明にする能力である。PET引張試験片を透明にすることは、ボイドのような加工の不足によって引き起こされる欠損を取り除くのに役立つ。これらのナノコンポジットは暗色なので、ボイドは、一般的に、破壊方法により視覚的に観察されるのを待たなければならない。

0113

超音波画像化
ボイドを画像化するための非破壊代替法は、超音波画像化である。超音波「バルクスキャン」からの引張試験片の超音波顕微鏡写真は、図43で示されている。これらの顕微鏡写真は、引張試験片の長さに沿ってボイドが存在することを示す。顕微鏡写真に基づいて、ボイドは加工によるものであると推測される。さらに、超音波画像化試料の密度を、機械的試験と比較して、密度の偏りはボイドが存在することによると確認した。

0114

熱分析
ナノコンポジットの溶融および結晶化挙動DSC測定により分析した。図44は、二軸スクリュー配合したペレットのGNP重量分率に対してプロットした、第2の加熱サイクルからのガラス転移(Tg)および溶融温度(Tm)ならびに、第1の冷却サイクルからの結晶化温度(Tc)を提示している。溶融温度は、GNPの増加に応じてより高い値にシフトしたが、ガラス転移は、15%の重量分率を除いて、低下傾向を示した。図44で示されているガラス転移温度の低下は、PETマトリックスの内側のナノプレートレットが凝集するためであり得る。凝集したプレートレットは、可塑剤として作用し、ガラス転移温度に影響を与え得る。

0115

結晶化温度および溶融温度の両方が、GNP含有量の増加に応じて上昇した。PETの溶融温度は、結晶の形および大きさに左右される。図44で示されているように、GNPを添加すると、溶融温度が上昇する。これは、より高い(10℃から18℃)結晶化温度で指し示される、より大きく、より完全な結晶が形成されるためであり得、核形成部位(すなわち、ナノプレートレット)が存在すると予想される。溶融温度の変化は小さいが、結晶化温度は、GNP含有量が増加するにつれて上昇した。結晶化温度の上昇は、GNPが存在することでの核形成の効果のためであり、GNPは、GNP重量分率が上昇するにつれて強固になる。GNP重量分率に対する発熱ピークの結晶化温度および形の変化は、図46で示されている通りである。

0116

図46で提示されているナノコンポジットペレットに対する結晶化発熱量を使用して、オンセット温度(Ton)を得て、等式(7)により半結晶化時間(t1/2)を判定した。GNP含有量の増加に応じて、半結晶化時間(結晶化速度の反比例)が増加したことを観察した。結晶化速度の低下から、PET鎖の移動度は、GNP含有量の増加により影響を受けることが指し示される。結果として、図45で示されているように、ナノコンポジットの結晶化度は、より高いグラフェン荷重で低下した。

0117

未処理の射出成形された引張試験片に対する、図45(右)で提示されている結晶化度の割合は、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。射出成形されたナノコンポジットに対して測定された結晶化度は、DSCにより得られた非等温結晶化度に類似した傾向を示す。これで、GNPの増加によりPETの早期の核形成が可能になるが、鎖移動度には制約が生じる上の観察が確認される。

0118

熱的性質の変化に対して、超音波処理したPETおよびPET−5%GNPナノコンポジットペレットを分析した。ガラス転移および溶融温度は、図47で提示されている。PETのガラス転移温度は、超音波条件なし(0USM)で、GNPの添加により低下した。超音波処理は、PETおよびPETナノコンポジットの両方のガラス転移温度(Tg)に対して効果を有することを観察した。PETに関しては、ガラス転移では、7.5μm振幅のものを除いて低下傾向が生じた。PETに対する「Tg」の変化は、超音波振幅の増加によるポリマーの軟化を指す。ナノコンポジットに対するガラス転移温度は、超音波振幅により上昇した。しかし、ナノコンポジットの「Tg」は、PETより依然低い。PETおよびPET−5%GNPペレットに対する結晶化温度は、超音波振幅に関係なく、それぞれ194℃および214℃で一定に留まった。

0119

図48で実証されているように、超音波処理したPETに対して、溶融吸熱で複数の溶融ピークが観察された。複数の溶融ピークは、異なる結晶の大きさが存在することを指し示し、潜在的には広範囲分子量分布で、存在することを指し示す。

0120

PETに対する半結晶化時間(t1/2)は、超音波処理により減少する。GNPを添加することにより、「t1/2」は、図49で示されているように、すべての超音波振幅で増加した。5μm振幅状態のナノコンポジットに対する半結晶化時間の増加は、他の超音波振幅と比較して、少なかった。超音波処理したPETに対する非等温結晶化度は、7.5μm振幅のケースを除いて、振幅の増加に応じて上昇した。グラフェンの存在により結晶化度は上昇したが、結晶化度の最大の変化は、7.5μm振幅のケースでしか観察されなかった。

0121

マイクロ射出成形から得られた、超音波処理したPETおよびPETナノコンポジットの引張試験片は、結晶化度の割合について評価した。類似した条件下で、超音波処理したPET試料は、8%の結晶化度を有し、超音波処理したナノコンポジットは11から13%の結晶化度を有する。

0122

結晶化挙動に対して、in−situ重合から得られたPET対照およびナノコンポジットを評価した。0.1%荷重では、大きい平均表面積(750m2/g)を有するグラフェンナノプレートレットは、小さい平均表面積(120m2/g)を有するナノプレートレットと比較して、強固な核を形成する効果を有していた。結晶化温度および非等温結晶化度は、図50で示されているように、大きい表面積のグラフェンでより高い。

0123

分散の研究
PETにおけるナノプレートレットの分散の程度を理解するために、ナノコンポジットの溶融レオロジーを研究した。二軸スクリュー配合によるナノコンポジットペレットの、対照PETと併せた動的周波数掃引は、図51で提示されている。PETのせん断貯蔵弾性率(G’)は、周波数に対して直線的に低下した。PETにグラフェンナノプレートレットを添加することにより、係数(G’)が改善した。PET−2%GNPナノコンポジットペレットのケースでは、係数(G’)は、線形領域(依存)から0.3rad/秒未満のプラトー(角周波数に依存しない)に転移した。5%ナノコンポジットに対するこの転移点は、64rad/秒の周波数まで移動した。GNP重量分率が10%および15%のナノコンポジットは、1.6mmの間隔(平行プレートの間の溶融物の厚さ)で320℃にて試験した場合でさえ、剛体挙動を呈した。図52に図示されているように、二軸スクリューで配合されたPET−GNPナノコンポジットに対する浸透限界(φper)は、2%および5%試料で0.1rad/秒のG’値の線形回帰に基づいて、1.75重量%(1.1体積%)と判定された。浸透限界でのナノプレートレットアスペクト比は、等式(8)に基づいて40と評価された。

0124

PETおよびグラフェンナノプレートレットの超音波配合は、同一の重量分率(5%)に対する二軸スクリュー配合と比較して、図53で実証されているように、さらなる線形反応を示す。低周波数において、超音波振幅が少ないナノコンポジットは、より高い保存係数を呈した。これは、超音波振幅の増加は、ナノプレートレットの分散に対して効果を有することを指し示している高周波数での係数は、ポリマー挙動を指し示しているので、PET対照と比較した係数における減少は、ポリマー構造の変化を示唆する。超音波加工したPETのPET対照との比較から、図54で示されているように、高周波数でのPETのせん断係数は、低い超音波振幅(3.5μmおよび5μm)に対して増加することが指し示される。さらに、低周波数での係数は、超音波振幅条件ではない試料(0μm)、また、7.5μmの試料に対して増加した。図53および54で示されているデータに基づいて、5μmの超音波振幅は、PETに対してさほど効果を有さないことを見出したが、グラフェンナノプレートレットの分散の改善も指し示した。

0125

5%および15%重量分率のナノコンポジット引張試験片に対する透過顕微鏡写真を収集した。数層グラフェンが存在していても、図56(a)および(b)で示されているように、ナノコンポジットの透過顕微鏡写真から、グラフェンナノプレートレットがPETマトリックス中で完全に剥がれていないことを指し示した。図55(a)および(b)で示されている顕微鏡写真は、ナノプレートレットは、マトリックス中に分散しており、その領域の濃度が高いことを指し示す。

0126

TEM顕微鏡写真から得られたナノプレートレットの平均寸法(厚さおよび長さ)は、投入パラメーターとして使用して、マイクロ機械モデルを評価した。PETマトリックスの内側におけるグラフェンナノプレートレットの粒子間距離は、二値化したTEM画像を使用して判定された。図57で示されているように、顕微鏡写真の二値化画像への変換により、ポリマーマトリックスとナノプレートレット(暗領域)の分離が可能となった。図58で示されているように、5%および15%ナノコンポジットの粒子間距離を、それぞれ2800nmおよび520nmと判定した。粒子間距離におけるこの変化は、グラフェンナノプレートレット濃度が上昇したためであり得、これは、分散に影響を与え得る。図58で示されているように、アスペクト比40とわかっているグラフェンナノプレートレットの理論粒子間距離(レオロジー測定から得られた)は、TEMに基づいて計算した値に対してプロットされた。

0127

グラフェンナノプレートレット、PETおよびPET−GNPナノコンポジット引張試験片から取得した回折パターンは、図59で示されている。26.6°2θのグラフェンのピークで観察されたピークの広がりは、様々なd−間隔を有するプレートレットの存在を示す。26.6°2θのグラフェンピークの強度は、ナノプレートレットの重量分率に応じて増加した。しかし、剥がれたナノコンポジットのケースでは、ピークシフトは観察されなかった。PETおよびナノコンポジット引張試験片は、ほぼ19.2°2θの広範な非晶質ハローを呈する。

0128

回折スキャンは、PET引張試験片が非晶質であることを指し示す。しかし、密度の測定および視覚的観察はこれと矛盾している。したがって、回折スキャンは、PET引張試験片の断面の全体で収集して、非晶質外層を有する結晶性核の存在を確認する。油冷射出成形プロセス中に、冷却速度が遅いと、有意に異なる外皮および核マイクロ構造が形成される。厚さに沿った回折ラインスキャンからのデータが、図60(a)−(b)で提示されている。ナノコンポジットのマイクロ構造を理解しやすくするために、図61で提示されている15%引張試験片の厚さに沿って、類似したラインスキャンを行った。グラフェンピークの強度が試料の厚さに沿って変化し、中心ではより高い強度であることを観察した。さらに、図61において矢印で標識した「PET」で表されているように、試料の核へのPETの結晶化も観察した。

0129

ナノコンポジット引張チューブにおける回折分析は、完全に非晶質のマイクロ構造を指し示し、GNPの添加は、PETの結晶化を向上させなかった。2D回折フレームは、GNPが、射出の流れ応力のため、表面で配向されていることを指し示す。

0130

15%ナノコンポジット引張試験片から収集した試料に対して、再構成したトモグラフを使用して、図62(a)−(b)で示されているように、PETマトリックスの内側におけるナノプレートレットの分散を視覚化した。再構成した体積の観察に基づいて、ナノプレートレットは、表面から約200μmの深さで流れ方向に沿って(Y軸方向に沿って)配向されていると見出した。ランダムな配向のナノプレートレットおよび曲がったプレートレットも同様に、このデータから観察した。

0131

ナノコンポジット引張チューブから収集された試料(くさび形)の3DX線顕微鏡法は、ナノプレートレットの配向の程度が、引張試験片におけるものよりも小さいことを示している。図63(a)−(b)は、引張チューブの内面におけるナノプレートレットの3D分布を示す。写真にみられるように、ナノプレートレットは、流れ方向に配向され、厚さ最大でもわずか15.6μmの表面に平行である。外面では、流れの配列は7.5μmの厚さに限定される。

0132

PETおよびPETナノコンポジットのラマンスペクトルを収集して、グラフェンナノプレートレットの分散を分析した。ラマンスペクトルは、PETマトリックス中に分散したナノプレートレットが多層であることを指し示す。先に明記されているように、ラマン分光法も、PETおよびグラフェン層の間のπ−π相互作用の存在を判定するために使用できる。図64は、PETに対するC−C伸縮およびGNP含有量の増加に応じたナノコンポジットに対応するラマンバンド(約1617cm−1)を示す。ピーク適合から判定されたバンド位置の変化は、図65で観察できる。PETのフェニル環におけるC−C伸縮に対応するラマンバンド(約1617cm−1)におけるこのシフトは、グラフェンとの相互作用を指し示す。さらに、PET鎖の移動度に関してグラフェンが有する効果を理解するために、C=0伸縮に対応するラマンバンド(約1730cm−1)の半値全幅を評価した。非晶質PETにおける鎖移動度の標識とされる1730cm−1ラマンバンド(C=0伸縮)に対するピークの広がりは、ここでは観察されなかった。これは、射出成形から得られる引張試験片の表面で高度に配向されている構造のためであり得る。これらのナノコンポジットの表面が非晶質であってさえも、高度に配向されている構造は、複数の鎖配向を有する可能性を低下させると考えられ、それにより、バンド幅を限定する。それに従って、図66(a)は、本開示による予測に基づくマイクロ機械モデルに対するGNPおよびPETの性質を列挙する表を示す。

0133

マイクロ機械モデル
単一層グラフェンは、高強度および剛性について公知である。それにも関わらず、ここでは、グラフェンナノプレートレットのみを単一層グラフェンに分散させることが実現しなかった。混合物の分画の一部は、単一層の傾向があるが、大多数はそうではなかった。多層グラフェンにおける研究は、層の数が10未満である場合は、性質は、単一層のものと同様のものであることを示していた。数層を超えるナノプレートレットのケースでは、機械的な挙動はグラファイトフレークと同様であると見出された。この理由としては、高度に配向されているグラファイトと同様に、グラフェンナノプレートレットの係数が0.795TPaであることが考えられる。

0134

ナノコンポジット性質の改善は、ナノプレートレットの分散の程度に左右される。TEM顕微鏡写真からの測定値に基づいて、異なる長さ(プレートレットの直径)および厚さを有するグラフェンナノプレートレットが観察された。図66は、プレートレットの最小値および最大値に対する平均の大きさを示す。Halpin−TsaiおよびHui−Shiaマイクロ機械モデルから、ナノコンポジットの予測される係数は、図66で示されているように、実験結果に対してプロットされる。ナノコンポジット引張試験片からの係数と比較するために、PET引張試験片から得られた半結晶性PETの係数を、投入性のモデルとして使用した。プレートレットの平均的性質および標準偏差を使用して、ナノコンポジットに対する係数の限界値を計算した。予測される係数に対する上限および下限は、エラーバーによって図66で提示されている。係数データと実験データの比較は、Hui−Shiaモデルの予測がほぼ実験値であることを指し示す。

0135

ナノプレートレットの長さ(すなわち、「1または2」の方向)に沿って荷重したナノプレートレットにHui−Shiaモデルを使用して、ナノコンポジット係数は、プレートレットのアスペクト比に対して図67で示されているようにプロットされ得る。TEM測定(平均および上限)、溶融レオロジーから、および理想的な分散条件(単一層グラフェン)に対するナノプレートレットアスペクト比に対する係数データをプロットした。マイクロ機械モデルに基づいて、予測される性質は、それらの性質よりも、ナノプレートレットのアスペクト比に感受性であることを観察した。理想的な分散条件に関しては、グラフェン単一層の係数1.02TPaが使用された。射出成形した引張チューブから得られる非晶質PETの係数は、図67で示されているモデルのデータに使用した。

0136

実験係数と予測された係数の比較から、GNP重量分率が低いナノコンポジットは、より高いアスペクト比を有することが指し示される。マスターバッチ(図16(c)で言及された)の希釈により調製したナノコンポジット(0.5%、0.6%および1.2%)に関しては、GNP含有量が低いマスターバッチは、高いアスペクト比を得たことが観察された。これは、二軸スクリューではなく一軸スクリューで行われたマスターバッチを希釈する場合にみられる、穏当な加工を考慮することで説明できる。

0137

考察
ポリエチレンテレフタレート−グラフェンナノプレートレットナノコンポジットを、射出成形により調製した。二軸配合および超音波二軸スクリュー配合からのマスターバッチペレットは、機械的性質および熱的性質に特徴付けられる。この章では、PET性質に対する超音波の効果、グラフェンおよびPETの間の相互作用のタイプ、性質の変化に隠れた機構、配合および射出成形の効果、ならびにナノコンポジットの評価におけるマイクロ機械モデルの適用可能性が論じられている。

0138

PETに対する超音波処理の効果
現行の研究には、超音波押出を使用して、グラフェンナノプレートレットをPETマトリックス中に分散させた。超音波のPETに対する効果を理解するために利用できる文献はないので、ここでは超音波処理したPETも分析した。超音波押出中、ポリマーに適用されたエネルギー(超音波の形態で)は、音響キャビテーションの結果として、溶融温度を局所的に上昇させ得る。キャビテーションは、ナノプレートレットの剥がれを促すだけではなく、ポリマーを潜在的に変化させることもできる。超音波処理したPETにおけるGPC測定からの平均分子量は、超音波振幅の増加に応じて分子量が低下したことを指し示す。

0139

それにも関わらず、超音波処理されていないPETの分子量も減少した。分子量の減少は、主に押出プロセスに由来し(15%)、超音波処理は、分子量に対して最小限の効果(5%下落)しか有さないことが、データに基づいて理解される。

0140

超音波処理したPETの機械的試験は、ヤング率および引張強度で有意差を示さなかった。それにも関わらず、超音波処理した試験片は、最高引張強度(破損時の強度)で改善を示し、図36および68によりみられるPET対照と比較して、より高い靱性を呈した。

0141

PET分解は、3つの異なるプロセスを伴う;それらは:加水分解、熱分解および酸化である。押出プロセス中、ポリマー分解は、1つ以上の上述のプロセスにより起こり、分子鎖切断を生じ得る。一部の縮合反応も発生することがあり、これが鎖を長くする。超音波処理によるPETの靱性の向上は、超音波がPET分子鎖を実際に変化させたことを指し示す。超音波処理したPETの熱分析(DSCおよびレオロジー)は、PETの分岐による絡み合いを示唆している。ポリマー鎖の絡み合いは、図54で観察された低周波数で、せん断係数(G’)の増加を引き起こす。これにより、7.5μm振幅で処理したPETの「Tg」の上昇も説明がつく。高分子量グレードと比較した場合、分子量が低い(鎖の長さが短い)ポリマーほど、低いガラス転移温度を呈する。次いで、やはり絡み合い(架橋または鎖分岐)が存在すると、鎖の移動度が制約され、したがってガラス転移温度が上昇する。7.5mm振幅での分子量の下落が、他の振幅と比較してさほど顕著ではない場合;ガラス転移温度の上昇は、主に、PET分子鎖に絡み合いが存在するためであり得る。

0142

低量の分岐剤であるトリメリット酸トリメチル(TMT)と重合されたPETに関して、破損強度の向上の類似した観察が報告されている。低量の(>0.4%)の分岐剤で、GPC測定から架橋の標示がないとしても、破損強度において著しい増加(25%)がみられる。

0143

吸湿性およびグラフェンとPETの相互作用
ナノ強化材の選択において、ポリマーとの適合性は、重要な要因の1つである。2つのポリマーは、表面エネルギーの差が少ない場合、適合性(または混和性であって均質な混合物を形成する。)と考えられる。表面エネルギーの差の増加は、相分離を引き起こし得る。同様に、ポリマーおよびナノ強化材の間の類似した表面エネルギーは、分散を促す。PETは、分子鎖にC=O結合が存在するためわずかに極性である。PETの表面エネルギーは、41.1mJ/m2である。グラフェンの表面エネルギーは、46.7mJ/m2で類似している。グラフェンは、PETより高く、疎水性であるが、グラフェンは酸化グラフェン(62.1mJ/m2)およびグラファイト(54.8mJ/m2)よりもさらに近くなる。これは、グラフェンを、PETにより適合性のナノ強化材として位置付けさせる。一般に、グラフェンは、個々のシートとして任意のポリマーマトリックス中に分散させることは困難と考えられる。これは、表面エネルギーを最小化するために凝集する傾向を示す。したがって、異なる混合技術により適用される外部エネルギーは、凝集の妨害、およびそれらをポリマーマトリックス中に分布させるのに必要である。先に言及されているように、PETは、高い溶融温度を有し、高度に粘性があるポリマーである。これにより、グラフェンナノプレートレットを分散させるために、二軸スクリューおよび超音波二軸スクリュー混合技術を選択するようになった。

0144

先に明記されているように、PETは、強アルカリ性溶媒を除いて化学的に不活性である。したがって、PETは、手を加えていないグラフェンと反応しない。それにも関わらず、グラフェンは(CNTと同様に)、ベンゼンとグラフェンのπ−πスタッキングによる芳香族化合物非共有結合相互作用を有することが公知である。グラファイトの内側のグラフェンシートが類似した芳香族−芳香族(π−π)相互作用を有するが、エネルギーは、グラフェンおよびベンゼン系(約8.4×1014eV/cm2)のものより低いと評価されている(約8×1011eV/cm2)。当業者は、π−π相互作用の規模が、グラフェン−芳香族分子系(すなわち、強力な双極子)における水素原子の密度が上昇するにつれて、増大することを認識するはずである。これにより、グラフェン−グラフェン相互作用と比較して、グラフェン−ベンゼン相互作用の結合エネルギーにおける差の説明がつく。

0145

PETは、ほぼ平面的な分子鎖外形を有する芳香族ポリエステルである。これにより、グラフェンナノプレートレットとのπ−π相互作用はより好都合になる。PETおよびグラフェンナノプレートレットの間にπ−π相互作用が存在することは、フェニル環のC−C伸縮に対応する、ラマンピークにおけるシフトの形態で検出される(図65)。さらに、この作業で使用されるグラフェンナノプレートレットは、端部のヒドロキシルカルボキシルおよびエーテルのような極性官能基を低い濃度で有する(図7)。ナノプレートレットに利用できる極性基は、PETの極性基と相互作用しやすい。PETおよびグラフェンの間の前述の相互作用は、ナノコンポジットの性質に影響を与えるのに有利である。

0146

PETおよびグラフェンの間の応力伝達
PET−GNPナノコンポジットは、図31で実証されているようにヤング率の改善を示した。ナノコンポジットの係数のこの上昇は、PETからGNPへの有効な応力の伝達のために発生する。そのような剛性強化に対して、ポリマーおよび強化材の間での荷重伝達は、界面の強度により管理され、これは接着の熱力学的作業(Wα)に直接比例する。PETおよびグラフェンの間の接着エネルギーは、以下の等式(21)により84.6 mJ/m2と判定された。グラフェンの合計の表面エネルギーは、46.7 mJ/m2である。PET表面エネルギーの極性および非極性成分は、2.7mJ/m2および38.4mJ/m2と見出された。

0147

式中、γLWは、表面エネルギーのリフシッツ−ファンデルワールス(非極性または分散)成分であり、γABは、ポリマーおよびグラフェンに対する表面エネルギーのルイス酸−塩基(極性)成分であり、γ=γLW+γABである。

0148

当業者は、PET基材と接触した、手を加えていない単一層グラフェン(空気と接触した、グラフェンの他の面)に対して、界面せん断強度は、0.46から0.69MPaと定量されていることを認識するはずである。この値は手を加えていない表面と非極性基との相互作用の間における接触に対するものであり、この研究におけるナノコンポジットの界面強度は、0.69MPaより高い傾向がある。さらに、グラフェンナノプレートレットがPETとの界面接着性をさほど有さなくても、クレイと比較して、ナノプレートレットがPETに十分分散したことを見出した。

0149

GNP重量分率の上昇は、図58で示されているTEM顕微鏡写真から定量されているように、粒子間距離の減少を引き起こす。15%荷重のナノコンポジットペレットに関しては、粒子間距離は、520nmと判定され、これは、2%グラフェン(750m2/gより大きい表面積を有する。)に対して報告されている200nmの粒子間距離より大きい。

0150

図69で示されているように、ナノプレートレットが互いに近づくにつれて、ナノプレートレットの存在により影響を受けるポリマー鎖の数は増加すると考えられる。ポリマーに影響を与えたナノプレートレットの体積が増加すると、ポリマーが硬化すると考えられる。図70により観察できるように、GNP重量分率の増加に応じて、ナノコンポジット係数は、飛躍的に上昇する。この挙動は、GNPの荷重せん断が、重量分率の上昇に応じて増加させることを明らかに描いている。

0151

GNPのより高い重量分率では、応力−歪み曲線は、図71で指し示されているようにさらに複雑な収率挙動を指し示す。プレートレット−プレートレット相互作用は、少ない分率での傾向ではない。重要なのはプレートレットの体積分率だけではなく、この体積分率におけるプレートレットの表面積も重要である。より高い体積分率では、表面積が小さいプレートレットは、低い分率で、表面積が大きいプレートレットと類似した利益を有すると予想される。しかし、最終的には、プレートレットは、マトリックスを超えて相互作用を始め、この相互作用は、収率挙動に影響を与えると考えられる。プレートレット−プレートレットの結合は、プレートレット−マトリックスの結合よりもはるかに弱い。このケースでは、出願人は、体積分率が10%超のプレートレットのこの相互作用のより明白な証拠を調べ始めた。

0152

ナノコンポジットのマイクロ構造およびマイクロ機械モデルの適用
Hui−Shia式に基づくマイクロ機械モデルは、Halpin−Tsaiと比較して、ほぼ予測されているナノコンポジットの性質を有する。はじめに、結晶性ドメイン非晶質マトリックス中の強化材相とみなすことにより、半結晶性ポリマーの性質をモデル化するために、これらが開発された。これらのマイクロ機械モデルは、マイクロコンポジットをモデル化するために後に適合された。上述のモデルの重要な仮定は:ポリマーおよび強化材の間の均一な界面、荷重方向における配向および強化材の均一なアスペクト比である。それにも関わらず、ナノコンポジット中に分散したナノプレートレットは、図62および63(b)で図示されているナノ断層撮影から観察されるように、荷重軸(すなわち、射出方向)に沿って完全に配向されていない。例えば、ナノコンポジット引張試験片において、GNP配向は、流れ応力のため、表面から200μmの深さまでしか目撃されず、また、引張チューブのケースでは、これはきわめて浅い(表面から15μmの深さ)。これは、ナノコンポジットのバルク核は、より無作為に配向されているナノプレートレットを有することを示す。射出成形速度および冷却速度の増加は、ナノプレートレットの配向を限定した。

0153

射出成形中、金型チャネルによるポリマー溶融物の流れは、せん断力を受ける。このせん断作用は、低温での金型壁誘導される温度グラジエントによる。ポリマー溶融物は、固体化し始める(厚さ)と、せん断力の増加により、厚さに沿って、外面において高度に配向されている層を有する層状構造が生成される。この層は、0.1mmの厚さと推測されるものもある。冷却速度は、配向されている層の厚さを決定する。ナノ断層撮影は、皮層の厚さの定量化を可能にし、これが、この層の本質の最初の観察である。引張チューブを用いて観察されているように、配向されている層の厚さの差は、表面および金型設計曲率からより有効な冷却速度による傾向がある。引張チューブのデータを引張試験片のデータと比較することにより、配向されている表面層の厚さは、引張試験片より高いことが示される。これは、引張チューブと比較して遅い冷却速度および射出速度と一致する。

0154

ナノ断層撮影から観察されたことの1つは、ナノコンポジットに対するプレートレットのアスペクト比が均一ではなかったということであった。レオロジーの測定および透過電子顕微鏡法からのナノプレートレットのアスペクト比は、40および18.75と判定された。アスペクト比の限界としてこれらを計算して、ナノコンポジットの係数が予測される。実験データと予測される係数を比較すると、異なるアスペクト比の傾向は、図67で示されているように、ナノコンポジットは、実際に異なる平均アスペクト比を有し、GNP重量分率の増加に応じて上昇することが強調される。

0155

この作業に使用されるグラフェンナノプレートレットは、平均直径(長さ)5μmのものである。認識されるように、この寸法は、手を加えていないグラフェンに対して30μmの大きさよりはるかに小さく、このことが、メタクリル酸ポリメチルPMMA)を効率的に強化すると評価されている。剛性が低下したグラフェン(1000GPaから100GPaの係数の下落)は、エラストマーと比較して、ガラス質ポリマー(例えばPET)の強化にさほど有効ではないと指し示されていることは、さらに理解されるはずである。先に言及されているように、10層を超えるグラフェンは、低下した剛性を有することがある。前述の要因は、マイクロ機械モデルを適用して、性質を予測するために、ナノコンポジットのマイクロ構造について詳細な情報を有する必要性を強化する。

0156

PET性質および分子鎖移動度に対するグラフェンナノプレートレットの効果
油冷成形からのナノコンポジットの引張試験片は、およそ20%の結晶化度を呈した。冷却速度が速い高速射出成形システムを使用して、射出成形中に、PETの結晶化に関して制御しやすいナノコンポジット引張チューブが調製された。このプロセスにより、GNP重量分率が2%から0.5%のナノコンポジットが調製され、試験された。プロセス(水冷および油冷射出成形)の両方からの、図31および33で指し示されているGNPが2%のナノコンポジットの係数を比較すると、係数はプロセスの変化に応じて改善したことが示される。GNPが2%の引張チューブに対して、係数は、2.5GPa(PETの非晶質係数)から3.1GPa(引張試験片より7%高い)に増加した。別の重要な観察は、2%ナノコンポジットにおけるボイドの存在が、係数に対して効果をほとんど有していないことであった。一方、(加工からの)ボイドの存在は、早期の破壊および強度の減少を引き起こした。図40および41で示されている、ナノコンポジット破断面のSEM顕微鏡写真から観察されるように、ボイドは、応力集中点として作用し、破壊を引き起こした。GNP重量分率が低いナノコンポジット引張チューブの強度は、図33で示されているように最小限の増加を表した。

0157

一般に、GNPのPETへの添加は、強度に影響を与えなかった。これは、重量分率が低く、マトリックスが収率に典型的な流れ挙動を特色付けるためと予想される。収率および靱性に対するGNPの影響を低下させること、PETおよびGNPの間の化学的連結(結合)をなくして実現するのも役立つ。先のセクションに論じられているように、PETおよびGNPの間の界面相互作用は、初期の応力伝達に好都合である。PETおよびGNPの間における界面のスライドが開始し、歪みが増加するにつれて、これは破壊荷重の分配からGNPを妨げる。材料の強度は、最も弱い元素に左右されるので、ナノコンポジットの強度はPETと同様に留まった。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ