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技術 高コントラストで、広く吸収するエレクトロクロミックポリマーが得られるドナー−アクセプター組成物

出願人 ジョージア・テック・リサーチ・コーポレーション
発明者 レイノルズ、ジョンアール.カースズリス、ジャスティンアダム
出願日 2016年2月22日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2017-544338
公開日 2018年3月29日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2018-508631
状態 特許登録済
技術分野 ポリオキシメチレン、炭素-炭素結合重合体 エレクロ、電気泳動、可変反射吸収素子
主要キーワード 透過形態 長波長可視光 ボタン電極 中間色相 弁別域 残留吸収 ドナー単位 複合スペクトル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題・解決手段

コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)は、置換ポリプロピレンジオキシチオフェン単位(ProDOT)および/または置換非環式ジオキシチオフェン単位(AcDOT)から選択される少なくとも1つの可溶性ドナー繰り返し単位正規分布である、複数のドナーシーケンスと、2つのエチレンジオキシチオフェン単位(EDOT)、2つのメチレンジオキシチオフェン単位(MDOT)または縮合DAD三量体の間でボンドされたアクセプター単位からなる複数の単分散三量体シーケンスとを含むコポリマーであり、単分散三量体シーケンスの1つは、ドナーシーケンスのうち2つを分離する。1つの有用な単分散三量体シーケンスは、EDOT−BTD−EDOT(EBE)である。ドナーシーケンスは、単分散三量体シーケンスに結合したProDOT単位を有することができる。ドナーシーケンスは、AcDOT単位と交互になったProDOT単位を有することができる。有用なECPは、構造Pro−Pro/EBE、Ac−Ac/EBEまたはPro−Acx/EBE1−x(xは0.5〜0.9の割合)を有することができる。

概要

背景

エレクトロクロミズムとは、電流または電圧印加により、電磁放射線吸収特性を変える材料の性質である。最も実際的な色の変化は、吸収色状態から無色の透過状態であり、電流の印加によって、完全にシェードオンオフすることができる。例えば、遷移金属酸化物プルシアンブルー有機分子、π−共役ポリマーといった多くの材料がエレクトロクロミズムを呈す。エレクトロクロミック材料は、ディスプレイ、標識、窓、セキュリティカモフラージュウェラブファブリックをはじめとする数多くの技術に有用である。

黒色または暗色状態から略無色の透過形態切り替えることのできる窓ガラスレンズを備えたエレクトロクロミック窓メガネの開発には、エレクトロクロミック金属酸化物が主に使われてきた。典型的な金属酸化物ベースエレクトロクロミック装置は、混色で、長波長光を吸収するカソード着色酸化タングステン、および短中波長光を吸収するアノード着色酸化ニッケルまたは酸化バナジウムより得られる着色状態を有し、美観的に好ましい黒色度の高い中間色相が得られる。遷移金属酸化物の装置は、通常、完全切り替えをするのに20秒以上かかる。切替速度は、建築物の窓のエレクトロクロミック装置(ECD)についてはあまり問題ではないが、秒単位で有色から無色への切り替えが必要または望ましい、自動車飛行機フロントガラスパイロットバイザーサンバイザーのような用途には向いていない。金属酸化物エレクトロクロミック窓は、残念ながら、透過状態においてかなりの残留吸収がある。

金属酸化物に対し、π−共役エレクトロクロミックポリマー(ECP)では、ポリマー構造修正ポリマー溶液ブレンドによる混色、装置構造バリエーションによって、色調節が容易であった。ECPは、典型的に、多孔性アモルファスフィルムとしてキャストされるため、高コントラストで即時に切り替わる能力を示し、典型的な切り替え時間は2秒〜1秒未満である。フィルムの溶解度が堆積官能基化により減少する、ロール・ツー・ロール法を用いて薄膜を製造できるため、ECPは装置を処理するのに有利である。水溶性で、高速エレクトロクロミック切り替え表示のECPを利用することができる。

単一のECPを用いて、金属酸化物により得られる無彩色性適合させるために、ドナーアクセプター(D−A)相互作用によって長波長光を吸収し、ランダムな長さのドナーセグメントによって、中短波長光を吸収する、複雑な骨格構造が開発されてきた。高スペクトル広がりのあるECPがまず、非特許文献1で報告された。3,4−プロピレンジオキシチオフェン(ProDOT)モノマーとProDOT−ベンゾチアジアゾールBTD)−ProDOT三量体のランダム酸化共重合がなされた。この「ECP−ブラック」は、ProDOTが中波長光を吸収し、一方、ProDOT−BTD−ProDOTセグメントが、短波長を吸収しながら、ProDOTが中波長光を吸収して長中期的に表示する。非常に良好な無彩色性は、可視領域の吸収スペクトルを広げることによって得られる。このことは、非特許文献2に報告されており、Stille重合によって、より短い波長の光を十分効率的に捕捉することができる、鎖中のProDOTの短いセグメントが得られ、より完全な黒色の中性状態を実現できる。続いて、追加の化学重合された、黒色−透過ECPが達成された。黒色−透過エレクトロクロミズムについて同様の広がり効果が、ポリマーブレンドや、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と黄色有機染料との結合によるドナー−アクセプター(D−A)相互作用を用いるモノマーの電解重合により、達成された。

概要

コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)は、置換ポリプロピレンジオキシチオフェン単位(ProDOT)および/または置換非環式ジオキシチオフェン単位(AcDOT)から選択される少なくとも1つの可溶性ドナー繰り返し単位正規分布である、複数のドナーシーケンスと、2つのエチレンジオキシチオフェン単位(EDOT)、2つのメチレンジオキシチオフェン単位(MDOT)または縮合DAD三量体の間でボンドされたアクセプター単位からなる複数の単分散三量体シーケンスとを含むコポリマーであり、単分散三量体シーケンスの1つは、ドナーシーケンスのうち2つを分離する。1つの有用な単分散三量体シーケンスは、EDOT−BTD−EDOT(EBE)である。ドナーシーケンスは、単分散三量体シーケンスに結合したProDOT単位を有することができる。ドナーシーケンスは、AcDOT単位と交互になったProDOT単位を有することができる。有用なECPは、構造Pro−Pro/EBE、Ac−Ac/EBEまたはPro−Acx/EBE1−x(xは0.5〜0.9の割合)を有することができる。

目的

効果

実績

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請求項1

多数の繰り返し単位を有する少なくとも1つのコポリマーブロックを含む、エレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記コポリマーは、置換ポリプロピレンジオキシチオフェン単位(ProDOT)および/または置換非環式ジオキシチオフェン単位(AcDOT)から選択される少なくとも1つの可溶性ドナー繰り返し単位の正規分布である、複数のドナーシーケンスと、2つのエチレンジオキシチオフェン単位(EDOT)、2つのメチレンジオキシチオフェン単位(MDOT)または縮合DAD三量体の間で結合されたアクセプター単位からなる複数の単分散三量体シーケンスとを含み、前記単分散三量体シーケンスの1つは、前記ドナーシーケンスのうち2つを分離し、それによって、前記エレクトロクロミックポリマー(ECP)がポリマーに可溶となる、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項2

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記アクセプター単位は、2,1,3−ベンゾチアジアゾールBTD)の残基を含むエレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項3

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記単分散三量体シーケンスは、EDOT−BTD−EDOT(EBE)である、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項4

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記ProDOTおよび/またはAcDOTの置換基が、1個以上の酸素原子硫黄原子、−SO−、−SO2−、カルボニル、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON(C1−8アルキル)−、または−N(C1−8アルキル)−により、任意で1回以上中断された1〜24個の炭素原子の直鎖または分岐アルキル鎖から選択され、前記中断されていない、または中断されたアルキルは、1個以上のC3−6シクロアルキル基ハロゲン、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、ホスホン酸、ハロゲン、−CONR'R、−NR'R、ホスホン酸塩、またはアンモニウム塩により、任意で1回以上置換されている(式中、Mはアンモニウムカチオンまたは金属カチオンを含む窒素、RおよびR'は、独立に、水素、C1−24アルキル、C3−24アルケニル、C3−6シクロアルキルまたはC1−24アルキルカルボニルであり、またはRおよびR'は、−O−、−NH−または−N(C1−12アルキル)−により中断された、または中断されていない、5−、6−または7−員環を併せて形成する)、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項5

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記ドナーシーケンスが、前記単分散三量体シーケンスに結合したProDOT単位を有する、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項6

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記ドナーシーケンスが、AcDOT単位と交互になったProDOT単位のシーケンスを有する、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項7

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記ECPが、構造Pro−Pro/EBE、Ac−Ac/EBEまたはPro−Acx/EBE1−x(xは0.5〜0.9の割合)を有する、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項8

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)であって、前記ECPは、構造Pro−Ac0.75/EBE0.25、Pro−Ac0.70/EBE0.30またはPro−Ac0.65/EBE0.35を有する、エレクトロクロミックポリマー(ECP)。

請求項9

請求項1に記載の少なくとも1つのコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)の少なくとも1つのフィルムまたは溶液を含むエレクトロクロミック装置

請求項10

請求項9に記載のエレクトロクロミック装置であって、前記少なくとも1つのフィルムまたは溶液のうち少なくとも一方が、少なくとも1つのアクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーをさらに含み、前記少なくとも1つのアクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーが、請求項1に記載の少なくとも1つのコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)に1〜50%含まれる、エレクトロクロミック装置。

請求項11

請求項10に記載のエレクトロクロミック装置であって、前記アクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーが、ProDOT2−EDOTを含み、請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)が、Pro−Ac0.65/EBE0.35を含む、エレクトロクロミック装置。

請求項12

請求項1に記載のコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)を製造する方法であって、水素を末端反応基として有する複数のDAD三量体を提供し、水素反応基を有する複数の第1の可溶化ドナー繰り返し単位を提供し、臭素反応基を有する複数の第2の可溶化ドナー繰り返し単位を提供し、前記複数のDAD三量体、前記複数の第1の可溶化ドナー繰り返し単位、および前記複数の第2の可溶化ドナー繰り返し単位を混合し、前記水素反応基と前記臭素反応基間の縮合を促進し、請求項1に記載のエレクトロクロミックポリマー(ECP)を単離する、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)を製造する方法。

技術分野

0001

関連出願を相互参照
本出願は、2015年2月20日出願の米国仮出願第62/118,842号の優先権を主張するものであり、図面や表を含む全内容を参照することにより組み込まれる。

背景技術

0002

エレクトロクロミズムとは、電流または電圧印加により、電磁放射線吸収特性を変える材料の性質である。最も実際的な色の変化は、吸収色状態から無色の透過状態であり、電流の印加によって、完全にシェードオンオフすることができる。例えば、遷移金属酸化物プルシアンブルー有機分子、π−共役ポリマーといった多くの材料がエレクトロクロミズムを呈す。エレクトロクロミック材料は、ディスプレイ、標識、窓、セキュリティカモフラージュウェラブファブリックをはじめとする数多くの技術に有用である。

0003

黒色または暗色状態から略無色の透過形態切り替えることのできる窓ガラスレンズを備えたエレクトロクロミック窓メガネの開発には、エレクトロクロミック金属酸化物が主に使われてきた。典型的な金属酸化物ベースエレクトロクロミック装置は、混色で、長波長光を吸収するカソード着色酸化タングステン、および短中波長光を吸収するアノード着色酸化ニッケルまたは酸化バナジウムより得られる着色状態を有し、美観的に好ましい黒色度の高い中間色相が得られる。遷移金属酸化物の装置は、通常、完全切り替えをするのに20秒以上かかる。切替速度は、建築物の窓のエレクトロクロミック装置(ECD)についてはあまり問題ではないが、秒単位で有色から無色への切り替えが必要または望ましい、自動車飛行機フロントガラスパイロットバイザーサンバイザーのような用途には向いていない。金属酸化物エレクトロクロミック窓は、残念ながら、透過状態においてかなりの残留吸収がある。

0004

金属酸化物に対し、π−共役エレクトロクロミックポリマー(ECP)では、ポリマー構造修正ポリマー溶液ブレンドによる混色、装置構造バリエーションによって、色調節が容易であった。ECPは、典型的に、多孔性アモルファスフィルムとしてキャストされるため、高コントラストで即時に切り替わる能力を示し、典型的な切り替え時間は2秒〜1秒未満である。フィルムの溶解度が堆積官能基化により減少する、ロール・ツー・ロール法を用いて薄膜を製造できるため、ECPは装置を処理するのに有利である。水溶性で、高速エレクトロクロミック切り替え表示のECPを利用することができる。

0005

単一のECPを用いて、金属酸化物により得られる無彩色性適合させるために、ドナーアクセプター(D−A)相互作用によって長波長光を吸収し、ランダムな長さのドナーセグメントによって、中短波長光を吸収する、複雑な骨格構造が開発されてきた。高スペクトル広がりのあるECPがまず、非特許文献1で報告された。3,4−プロピレンジオキシチオフェン(ProDOT)モノマーとProDOT−ベンゾチアジアゾールBTD)−ProDOT三量体のランダム酸化共重合がなされた。この「ECP−ブラック」は、ProDOTが中波長光を吸収し、一方、ProDOT−BTD−ProDOTセグメントが、短波長を吸収しながら、ProDOTが中波長光を吸収して長中期的に表示する。非常に良好な無彩色性は、可視領域の吸収スペクトルを広げることによって得られる。このことは、非特許文献2に報告されており、Stille重合によって、より短い波長の光を十分効率的に捕捉することができる、鎖中のProDOTの短いセグメントが得られ、より完全な黒色の中性状態を実現できる。続いて、追加の化学重合された、黒色−透過ECPが達成された。黒色−透過エレクトロクロミズムについて同様の広がり効果が、ポリマーブレンドや、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と黄色有機染料との結合によるドナー−アクセプター(D−A)相互作用を用いるモノマーの電解重合により、達成された。

先行技術

0006

Beaujugeら、Nat Mater2008、7(10)、795−9
Shiら、Advanced Materials2010、22(44)、4949−53

発明が解決しようとする課題

0007

金属酸化物と同様に、黒色−透過ポリマーおよび装置は、透過状態において残留吸収を示し、エレクトロクロミック切り替え中、可視スペクトルにおいて所望のコントラストに届かない結果である。多くの眼科用途色合いやコーティングでは、ECP−ブラックでは得られない可視〜50%の積分コントラスト(Δ%Tint)が必要とされる。従って、より高い積分コントラストを有するECPと装置への実装が必要とされている。

課題を解決するための手段

0008

本発明の実施形態は、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)に係りコポリマーは、置換ポリプロピレンジオキシチオフェン単位(ProDOT)および/または置換非環式ジオキシチオフェン単位(AcDOT)から選択される少なくとも1つの可溶性ドナー繰り返し単位正規分布である、複数のドナーシーケンスと、2つのエチレンジオキシチオフェン単位(EDOT)、2つのメチレンジオキシチオフェン単位(MDOT)または縮合DAD三量体の間で結合されたアクセプター単位からなる複数の単分散三量体シーケンスとを含み、単分散三量体シーケンスの1つは、ドナーシーケンスのうち2つを分離する。アクセプター単位は、2,1,3−ベンゾチアジアゾール(BTD)の残基を含むことができる。単分散三量体シーケンスは、EDOT−BTD−EDOT(EBE)とすることができる。ドナーシーケンスは、単分散三量体シーケンスに結合したProDOT単位を有し、ドナーシーケンスは、AcDOT単位と交互のProDOT単位を有することができる。ECPは、構造Pro−Pro/EBE、Ac−Ac/EBEまたはPro−Acx/EBE1−x(xは0.5〜0.9の割合)を有する。

0009

本発明の他の実施形態は、請求項1に記載の少なくとも1つのコントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)の少なくとも1つのフィルムまたは溶液を用いるエレクトロクロミック装置に係る。1つ以上のフィルムまたは溶液は、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)に加えて、少なくとも1つのアクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーを含む混合物とすることができる。アクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーは、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)に1〜50%含めることができる。アクセプターを含まないエレクトロクロミックポリマーは、ProDOT2−EDOTとすることができ、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)は、Pro−Ac0.65/EBE0.35を含むことができる。

0010

本発明の他の実施形態は、コントラストの改善されたエレクトロクロミックポリマー(ECP)を製造する方法に係り、水素末端反応基として有する複数のDAD三量体、水素反応基を有する複数の第1の可溶化ドナー繰り返し単位、および臭素反応基を有する複数の第2の可溶化ドナー繰り返し単位を混合して、水素反応基と臭素反応基間の縮合を促進し、エレクトロクロミックポリマー(ECP)を得るものである。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施形態に係るエレクトロクロミックポリマー(ECP)の一般的な共重合スキームを示す図であり、1個以上の立体的に嵩高い繰り返し単位、−Ds−および/または−Ds'−が、2個の弛緩したドナー単位−Dr−に挟まれたアクセプター単位−A−であるDAD三量体単位により重合される。
本発明の一実施形態によるECPの構造を示す。EBE三量体は、様々な選択された立体的に嵩高いドナーProDOT(Pro)および/またはAcDOT(Ac)の正規分布シーケンスで形成されており、EBE三量体、ブレンドのためのProDOT2−EDOTコポリマーは選択された比率で、特性比較のために用いた従来技術のECP−ブラックポリマーの構造も示す。
本発明の一実施形態によるECPのためのエージングされたフィルムの長波長ピーク正規化された複合スペクトルを示す。立体的に嵩高いドナーの選択による、歪の変化したπ−π*遷移波長の大きな変位を示す。
本発明の一実施形態によるECPのためのエージングされたフィルムの長波長ピークで正規化された複合スペクトルを示す。EBE含量の変化したπ−π*遷移波長の変位はほとんどない。
本発明の一実施形態による、立体的に嵩高いドナーの様々な選択による、中性実線)および完全に酸化点線)ECPの複合透過スペクトルを示す。
本発明の一実施形態による、様々なEBE含量の中性(実線)および完全に酸化(点線)ECPの複合透過スペクトルを示す。
本発明の一実施形態による、EBE含量を固定した(x軸)立体的に嵩高いドナーの属性を選択し、ドナー属性を固定した(y軸)EBE含量を変える因子に関してまとめた、ECPの図である。
本発明の一実施形態によるECPとECP−ブラックについてのL*a*b*色空間の測色値と、中性状態と完全酸化状態における薄膜の写真を示す。
本発明の一実施形態による、中性、中間および完全酸化状態のPro−Ac0.65/EBE0.35の複合スペクトルを示し、酸化が増大するのは矢印で示され、影の付いた三角形領域は、酸化状態の持続吸収端の位置を示している。
本発明の一実施形態によるECPの測色値(a*b*)のプロットであり、π−π*遷移は、固定EBEについて立体的に嵩高いドナーの属性を選択することによって調節した。
本発明の一実施形態によるECPの測色値(a*b*)のプロットであり、π−π*遷移は、立体的に嵩高いドナーの属性を固定し、EBEの含量を変えることによって調節した。
様々な印加電位についての、本発明の一実施形態によるECPの測色値(L*)のプロットである。
本発明の一実施形態による中性(N)および完全酸化(Ox)形態のECPの写真、ECPのL*,a*,b*色値、および〜1.0a.u.までスプレーすることにより形成された膜を有する比較のECP−ブラックについて示す。
本発明の一実施形態による中性(左)および完全酸化(右)形態の85:15および80:20ブレンドECPの写真を示す。2つのブレンド、Pro−Ac0.65/EBE0.35および全ドナーProDOT2−EDOTについての測色値(a*b*)のプロットに組み込んである。円は、酸化状態のフィルムを表し、四角は、中性状態を表す。下降するb*の値の3つの四角は、それぞれ、Pro−Ac0.65/EBE0.35、15%混合物、20%混合物、およびProDOT2−EDOTのものである。
様々なEBE含量についての図12Aの本発明の一実施形態による15および20%ブレンドECPについての中性(実線)および完全酸化(点線)の複合透過スペクトルを示す。

実施例

0012

本発明の実施形態は、中性状態で可視スペクトルにおいて広く吸収し、高コントラストで、高透過酸化状態に変換可能なエレクトロクロミックポリマーECPに関する。本明細書に開示したポリマーは全て、ポリマーと表記されているが、コポリマーである。ECPは、黒色、褐色、深紫、青色またはシアン中間色状態を有する。ECPは、所望の色を有し、主鎖の電子豊富環構造およびその割合の選択、かつ鎖の「弛緩」ドナー−アクセプター(D−A)単位の使用により、立体制御を組み合わせて、高コントラスト透過状態へ切り替えることができる。「弛緩」ドナー−アクセプター(D−A)単位は、立体的に(捩れて)弛緩した複素芳香環ドナー単位で挟まれた芳香族電子アクセプター単位を含むDAD三量体単位であり、立体相互作用は、隣接するDおよびA単位間の直交性を促して、3つの全芳香族単位より少ない数の共有結合に限定するものではない。DAD三量体のアクセプター単位は、2,1,3−ベンゾチアジアゾール(BTD)、2,1,3−ベンゾフラザンベンゾトリアゾール(BTA)、またはこれらの誘導体とすることができる。弛緩DAD三量体単位のドナー単位は、独立に、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフラン、3,4−エチレンジオキシフラン、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレン−ジオキシピロール、3,4−メチレンジオキシホスホール、3,4−エチレンジオキシホスホール、3,4−メチレン−ジオキシセレノール、および3,4−エチレンジオセレノールであり、ピロール窒素またはホスホールリン原子を、HまたはC1〜C10アルキル基で置換することができる。DAD三量体は、縮合三量体とすることができ、各ドナー部分が、縮合DAD三量体単位のアクセプター部分と2つの炭素共有している。縮合DAD三量体は次のような構造を有する。



式中、Xは、S、O、NR'であり、RはHまたはアルコキシであり、R'はHまたはアルキル基である。

0013

DAD三量体は、他の立体障害複素環、アリール環、他の3,4−置換チオフェン、他の3,4−置換ピロール、他の3,4−置換フラン、または縮合環芳香族単位不規則に結合していて、中性状態における吸収の広がりを制御し、立体的に弛緩したドナーで挟まれたアクセプターは酸化状態における高透過率を可能とする。例えば、ECPコポリマーのいくつかの単位は、置換されたドナー単位とし、処理のためにECPに対する溶解性を付与することができる。例えば、DAD三量体に加えて、ドナー単位を、3,3−ビス(((アルキルオキシメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジ−オキセピン、ピロール、フラン、ホスホール、またはセレノール、これらの等価物とすることができる。DAD三量体に加えて、ドナー単位は、3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−ジアルキルチオフェン、ピロール、フラン、ホスホールまたはセレノールや、これらの等価物とすることができる。本発明の一実施形態によるコポリマーの調製を図1に示す。直接アリール化クロスカップリングによって、より立体障害のある1個以上のドナー単位を有するDAD単位のコポリマーが得られる。

0014

嵩高いドナー単位は、例えば、メチル、エチル、n−プロピルn−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルn−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルn−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルまたはドデカニル等の1−24個の炭素原子の直鎖または分岐アルキル鎖から選択される可溶化基で置換することができる。アルキル鎖は、1つ以上の酸素原子硫黄原子、−SO−、−SO2−、カルボニル、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON(C1−8アルキル)−または−N(C1−8アルキル)−により1回以上中断させることができる。中断されていない、または中断されたアルキル鎖もまた、1つ以上のC3−6シクロアルキル基ハロゲン、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、ホスホン酸、ハロゲン、−CONR'R、−NR'R、ホスホン酸塩、またはアンモニウム塩(式中、Mはアンモニウムカチオンおよび金属カチオンを含む窒素である)により1回以上置換させることができる。RおよびR'は、独立に、水素、C1−24アルキル、C3−24アルケニル、C3−6シクロアルキルまたはC1−24アルキルカルボニルである。RおよびR'は、付加される窒素原子と共に、−O−、−NH−または−N(C1−12アルキル)−により中断されていない、または中断された5−、6−または7−員環を形成し得る。これらの基によって、ECPを様々な処方に含めたり、様々な異なる溶媒に可溶とさせたり、表面に接続させたり、網目構造に結合させたりすることができる。可溶化基を選択することによって、塩化メチレンクロロホルムトルエンアルカンテトラヒドロフランエタノールメタノール、その他有機溶媒等の有機溶媒に可溶としたり、水溶性を付与することができる。

0015

本発明の実施形態によるECPは、電気化学的または化学的に、透過性かつ無色の酸化状態とすることができる。これらのECPは、エレクトロクロミック窓、減色非発光性)ディスプレイ、エレクトロクロミックミラー、E−ペーパー、E−クロスデュアル発光性/減色ディスプレイおよびセンシング等の用途に用いることができる。本発明の実施形態によれば、ECPは、合成酸化カップリング電気化学酸化カップリング、鈴木カップリング、Stilleカップリングまたは直接アリール化クロスカップリングの条件を用いる方法により形成することができる。直接アリール化によるコポリマー合成は、例えば、図1に示す本発明の例示の実施形態により実施される。直接アリール化方法は、国際出願公開WO/2014/205024号に開示されている。ポリマーは溶液処理可能であり、フィルムやコーティングは、スピンコーティング、スプレー、スロットダイコーティングまたはインクジェット印刷法を用いてキャストすることができる。

0016

弛緩DAD三量体を用いると、最も酸化された透過状態の残留吸収の赤色シフトの原因となる酸化においてランダムコポリマー骨格における改善された電荷非局在化が起こる。このようにして、長波長可視光をあまり吸収せず、結果可視スペクトルのコントラストが向上する。

0017

ある状態の従来の着色−透過性ECPは、芳香族電子アクセプターを、立体的に(捩れて)弛緩した3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)単位で挟むことによってD−A電荷移動ピークで高エレクトロクロミックコントラストを得ていた。従って、このように電荷キャリア非局在化の向上をECPに組み込むことによって、ECP酸化状態において、長波長可視光の透過率が増大する。本発明の例示の実施形態において、EDOTで挟まれたBTDアクセプターDAD三量体(EDOT−BTD−EDOTまたはEBE)を用いて、ランダムコポリマーに組み込むことにより、改善されたコントラストの黒色−透過性ECPが得られたことが分かった。一対の慎重に選択したコモノマー混合物同時処理から生成されたフィルムは、平坦なスペクトルプロフィールと、美観的に好ましいインディゴ−黒色の色相を有していた。

0018

アクセプターを挟む弛緩したドナーを備えたDAD三量体のドナー単位に立体的に嵩高い基を数多く、または数少なく有するドナーモノマーの組み込むことにより、歪みを増減することにより、吸収が広がって様々な色を調節できるということが分かった。このようにして、立体的に妨げるもののない「弛緩した」ドナーにより挟まれた、固定量のアクセプター単位の立体的な歪みを制御することにより色が調節される。これは、図2に示す構造を有する特定のECPで観察することができる。この例示の実施形態では、DAD三量体EDOT−BTD−EDOT(EBE)および立体的要件の大きいドナー、3,3−ビス(((2−エチルヘキシル)オキシ)メチル)−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジ−オキセピン(ProDOTまたはPro)および/または3,4−ジ(2−エチルヘキシル)オキシチオフェン(AcDOTまたはAc)を用いている。歪みが調節されるため、π−π*に起因する高エネルギーピークが、増加した歪みまたは減少した歪みとともに、短波長または長波長へ押される。一方で、低波長ピークは固定されたままである。これによって、図2に示すポリマーについては、紫〜赤〜緑へと色を調節することができる。図2において、図1の一般的な歪みのあるドナーBr−Ds−Brの割合であるxは0.75に保持されている。変数xおよびyは、モノマーの割合として用いられており、コポリマーの関連する特定のシーケンス長mおよびnが得られる。図3に示すように、弛緩したアクセプターを用いることにより色を調節することができ、酸化状態における透過率が改善されて、エレクトロクロミック切り替えの際の高コントラストが可能となる。

0019

また、用いられる歪んだドナーにより決定される、所定の立体的に歪みのあるドナー成分について、立体的に弛緩したドナーに挟まれたアクセプターまたは縮合ドナー−アクセプター環系の割合が増えると、可視光の全体の吸収を平均して、色は中性状態で低L*値に調節されることも分かった。この影響を図4に示す。モノマーの割合としてのEBE三量体の割合が変わっている。弛緩したドナー−アクセプター(D−A)組成物はまた、ECPに全酸化状態で高レベルの透過率も与える。

0020

従って、図5に示す通り、コントラストの改善された様々な色のECPを得るために、歪んだドナーの属性で、デュアルバンド吸収の溝の全体の幅や位置を調節し、ながら、弛緩したドナーアクセプター含量を制御することができる。図6から、弛緩したアクセプターEBEの含量が変わると、スペクトルの幅は保持されるが、吸収はより均一になって、吸光度の2つのピークが近くなり、彩度の減じた色が得られる。弛緩したドナーの選択によって、π−π*調節がなされて暗色が得られる。歪んだドナーの選択と、EBE三量体の割合の組み合わせによって、褐色と黒色が得られ、両者共、酸化状態で高い透過率を有していた。弛緩したアクセプターの使用により、材料の染色の際、大幅な深色シフト発現する。

0021

図7にまとめたとおり、本発明の例示の実施形態によるECPについて、弛緩したアクセプターの含量を増やしても、酸化形態における透過率は減少しない。もしこれが生じると、エレクトロクロミックコントラストが抑制されてしまう。歪みとアクセプター含量の2つの因子を組み合わせて制御することによって、図8に示す通り、完全酸化状態で、高い透過率の色制御を行うことができる。

0022

本発明の他の実施形態において、ECPを互いに、または他のエレクトロクロミックポリマーとブレンドして、エレクトロクロミック装置に含まれるフィルムまたは溶液の酸化状態における濃色の不具合やコントラストの減少なく、中性状態において所望の観察スペクトルの組み合わせを得ることができる。ブレンドは、弛緩したDA三量体のポリマー、または、アクセプター単位の全くないポリマーとすることができる。中性状態の色を、色の組み合わせとして選択でき、残留吸収の異なる酸化状態色を最低限にすることができる。割合は、少ないECPの重量の約1パーセント、と少ない割合から2つのポリマー混合物の50パーセント、と多い割合まで変えることができる。混和できるよう構造が十分に同一な2種、3種またはそれ以上のポリマーの混合物とする。

0023

方法および材料
光電子特性
表1に、合成したポリマーの関連のある光電子特性、すなわち、電気化学電位開始、π−π*およびD−A電荷移動相互作用光吸収最大値、および元の状態と電気化学条件下(エージングした)状態におけるポリマーフィルムの吸収の開始を示す。中性状態と酸化状態間の全体の吸収特性を容易に比べられるよう、積分コントラスト値を示してある。

0024

表1 ECPの光電子特性



a白金ボタン電極ドロップキャストされたフィルムのmV対Ag/Ag+、b光学密度が〜1.0a.u.までスプレーされたフィルムのnm、c光学密度が〜1.0a.u.までスプレーされたフィルムのeV、d380−780nmにわたって積分したΔ%Tint、eλmax、ピークはこのスペクトルでは分離していない。

0025

電気化学的ブレークインおよび挙動
測定の前に、薄膜にサイクリックボルタメトリーCVサイクリングを繰り返し行って(25回の「エージング」サイクル)、最初の状態(キャスト時)とエージングした状態(25サイクル後)のレドックスおよび光学変化を観察した。ポリマーフィルムは全て、可逆性のエージングサイクルを示し、第1と第2のスキャン間では電気化学的に差があったが、後のスキャンについては安定した。微分パルスボルタンメトリーDPV)による酸化電位開始を調べたところ、Pro−Pro/EBE、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Ac−Ac/EBEについて、それぞれ、13mV、110mV、180mVと増える傾向があることが分かった。このことは、共役骨格に沿ってねじれ歪みが増えることと相関している。EBEの含量が増えるにつれ、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Pro−Ac0.70/EBE0.30、Pro−Ac0.65/EBE0.35について、それぞれ、110mV、50mV、−45mVと酸化電位の減少が観察された。これは、EDOT含量の増大に起因する。

0026

EBE三量体からなる弛緩したドナー−アクセプター構造では、ECP−ブラックで前に得られたよりも〜0.10eV低い低エネルギーで吸収が開始された。初期状態からエージングした状態のポリマーのスペクトルにおいて僅かな変化が観察された。Pro−Pro/EBEについて強度の増大が観察された以外はπ−π*遷移に対応する短波長ピークはエージングによる最小の変化を示している。D−A CT相互作用に起因する低エネルギーピークについては、λmaxと吸収開始の両方において、僅かな赤色シフトがあり、長波長光が吸収され、強度の増大は少なかった。ねじれ歪みは、Pro−Pro/EBE、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Ac−Ac/EBEと増大するため、エージング後の吸収開始の変化は減少する。EBE含量は、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Pro−Ac0.70/EBE0.30、Pro−Ac0.65/EBE0.35と増大するため、開始変化は最小である。初期状態とエージングした状態のスペクトルの変化は、EBE三量体の平坦な形態における骨格再編成と一致している。これは、他のpi共役系で観察されているように、CVサイクルにおいて見られる電気化学酸化の開始における減少にもみられる。

0027

薄膜分光
エージング後の中性状態におけるスペクトル特性を、図3および4に示す。ピークを長波長D−Aバンドまで正規化し、弛緩したD−A CT相互作用との対比における影響を強調してある。図3から、ねじれ歪みは、Pro−Pro/EBE、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Ac−Ac/EBEと増大しているため、λmaxがそれぞれ543、505、457nmと青色シフトし、波長領域が、緑色中性状態となるAc−Ac/EBEの558nmに位置するまで、透過の領域は徐々により顕著となる。図4において、EBE含量は、Pro−Ac0.75/EBE0.25、Pro−Ac0.70/EBE0.30、Pro−Ac0.65/EBE0.35と増大するため、高エネルギーπ−π*ピークλmaxは、それぞれ、505、495、487nmと広がりの少ない青色シフトを呈す。同時に、2つのピークの吸光度の比(π−π*/D−A)は、これらのピークの吸光度が略等しくなるまで、減少し、Pro−Ac0.75/EBE0.25については1.44、Pro−Ac0.70/EBE0.30については1.18、Pro−Ac0.65/EBE0.35については1.04まで減少する。Pro−Ac0.65/EBE0.35は、586nmの浅い領域を持つデュアルバンド吸収を示し、これが略無彩色とさせている。これら全てのポリマーについて、D−A吸収ピークは、671−680nmで相対的に固定されたままである。

0028

ポリマー薄膜の分光電気化学を、50mVステップで行って、切替時の吸収の変化を調べ、中性状態から最も酸化された透過状態のエレクトロクロミックコントラストを詳しく調べた。極限、中性および完全酸化状態を図3および4に示す。一般的に、Ac−Ac/EBEは例外で、長波長ピークでは、ポリマーは、完全酸化状態で透過率(Δ%T)>50%の変化がある。これは、帯電状態において、高AcDOT含量からの歪みが広範に非局在化するのを防ぐことに起因する可能性が高い。しかしながら、Ac−Ac/EBEは、長波長ピークで44%のΔ%Tを示す。これは、634nmでのECP−ブラックの状態で観察されるΔ%T(41%)より尚大きい。Ac−Ac/EBEはまた、前に述べた緑色〜透過ECPに比べて高い透過率も有している。Beaujugeら、Chemistry of Materials 2012、24(2)、255−68、Zhaoら、RSC Advances 2014、4(106)、61537−47、およびGunbasら、Advanced Materials 2008、20(4)、691−5を参照のこと。

0029

コントラストに与える影響を比べるために、これら吸収の幅の広いポリマーのΔ%Tを、スペクトル380−780nmの可視部分についての中性および酸化状態スペクトルを積分することにより定量化した。ポリマー内で弛緩したドナー−アクセプター三量体を用いることにより、表1に示すとおり、ECP−ブラックに対する可視光にわたる全体のコントラストが向上する。Ac−Ac/EBEを除く全てのポリマーは、50%を超える積分コントラスト値(Δ%Tint)を有している。Ac−Ac/EBEは、最も低い積分コントラストを有している。これはおそらく、帯電状態の向上した非局在化を防ぐ高度の歪みによるものである。Pro−Ac0.75/EBE0.25、Pro−Ac0.70/EBE0.30、およびPro−Ac0.65/EBE0.35におけるEBE含量が増大するにつれ、EBEの含量の増大するにつれてコントラストの減少は少なくなる。すなわち、弛緩したドナー−アクセプター含量で設計されたポリマーは、コントラストを犠牲とするのを最小にして、高いEBE含量に基づいて、数多くの色を慎重に調節することが可能となる。

0030

Pro−Ac0.65/EBE0.35は、可視光を非常に均一に吸収し、中性時に目視される色は黒−褐色である。完全酸化状態のPro−Ac0.65/EBE0.35は、従来技術のECP−ブラックに対して改善された透過率を示す。Pro−Ac0.65/EBE0.35の完全分光電気化学系図9に示す。一般的な分光電気化学特性は、本発明の実施形態による弛緩したポリマーと同じである。ポリマーは徐々に酸化されるため、図9における150mVに対応する緑色スペクトルに示されるように、2つのピーク間の強度が不均一に減少しており、D−A CTピークは、π−π*ピークより早く酸化されているようである。これは、他のDOTより低い酸化電位を有しているEDOTに起因する可能性が高く、酸化プロセス全体にわたる測色で「ループ」を形成する色値に示されている(以下参照)。

0031

本発明の実施形態によるECPは、ECP−ブラックよりも改善されたコントラストを示す。それでも、酸化状態において、全ドナーポリマーのスペクトルと比較すると、かなりの程度の600−780nmの可視光吸収端がそのままである。Kerszulisら、Journal of Materials Chemistry C 2015、3(13)、3211−8を参照のこと。端部は、赤色光の吸収となり、酸化状態は、淡い青色の色相を呈す。この端部は略全てのECPに存在するが、本発明の実施形態によるECPよりも強度が低い。

0032

クロノアソープメトリーによれば、切替動力学に関して、この系のポリマーは全て、2秒という最大速度で最大のコントラストを達成して切り替えることができる。拡散制限プロセスのため、切替速度が増大すると、コントラストにおいて全体的な損失が観察される。ただし、コントラストは2秒以上で回復可能である。コントラストは、ランダムコポリマーにおける弛緩したドナー−アクセプター構造を用いることによって向上したが、D−AピークのΔ%Tは、高エネルギーπ−π*ピークより少ない。

0033

測色
色値を、L*a*b*色空間を用いて求めた。a*は、緑色から赤色を表し、b*は、青色から黄色を表す(それぞれ、負の値から正の値まである)。L*は、明るさを示し、0の値は黒色、100は白色である。a*b*が大きくなると、色は飽和し、色値または色値間を超えると、色相が変化する。本発明の実施形態によるECPは、吸収の幅が広く、色値は小さいまたは元に近い(ゼロの値)。色差位置を図5A、5B、および5Cに示す。主鎖に沿ってドナーの立体的な歪みを増大することによって中性状態の色a*、b*を制御することにより、色値は、Pro−Pro/EBE(−31、30)、Pro−Ac0.75/EBE0.25(23、−4)、Ac−Ac/EBE(−14、44)と大幅に遷移する。Pro−Pro/EBEは、可視スペクトルにおいて広いが起伏のある吸収を呈し、同等でない量の青色および赤色光を通過し、目視される色は深紫である。Pro−Ac0.75/EBE0.25は、一部の赤色光を通過させつつ、短波長π−π*ピークから青色および緑色光の大半を吸収し、暗レンガ赤色に見える。これらのポリマーは両方とも吸収が強く、y標準観察者刺激が最大となり、低いL*値を与える。この起伏のある吸収により、かなりの程度の色飽和となる。切替時、より無彩色のECPについてのa*b*値の変化は最小であるが、L*値の変化は大きい。最も酸化された透過状態の明るさの増大を示すものである。大きくブルーシフトしたπ−π*バンドのAc−Ac/EBEは、赤色光より青色をより吸収する。556nmに中心がある深い領域を有し、緑色の光が通過できる。赤色光もある程度通すため、このポリマーは、高b*値のライムグリーン色を示す。

0034

Pro−Ac0.75/EBE0.25は、可視光について高コントラストで、元の状態に最も近い中性状態の色値を与えたため、弛緩したドナー−アクセプターEBEの含量の増大による色とコントラストに与える影響を調べるための出発点として用いた。長い波長ピークの吸光度は、短い波長ピークの吸光度と適合するまで、増大して、後続の材料を徐々に、より無彩色または中間色なものとさせている。これは、色を制御する第2の経路である。図10Bを見ると、EBEの含量は、Pro−Ac0.75/EBE0.25(23、−4)、Pro−Ac0.70/EBE0.30(13、0)、Pro−Ac0.65/EBE0.35(5、3)と増大しており、彩度は徐々に失われ、色はより弱められていく。より均一な吸収(およびこれらの系に存在する狭い領域)のために、より多くの光がy標準観察者でオーバーラップでき、明るさをアップすることができる。Pro−Ac0.70/EBE0.30はPro−Ac0.75/EBE0.25より多くの赤色光を吸収し、そのa*b*色値は、全体に減少して、マンセルの定義による褐色に低いb*領域内となる。Pro−Ac0.70/EBE0.30に続き、Pro−Ac0.65/EBE0.35はさらに赤色光を吸収して、彩度を減少し、さらに黒色褐色となる。低a*b*値であるが、正の大きさは、568nmの領域を要因とし、残留吸収する赤色およびオレンジ色の光を透過する結果となるである。「ループ」(上記参照)は、図10Aおよび図5のa*b*色プロットにおいて見られ、π−π*バンドよりも酸化の際、早く色あせる長波長D−Aバンドの結果である。これによって、より多くの赤色光が目に届くようになり、電圧を増大して、a*がより正となり、ポリマーは、赤みがかった中間状態になる。一方、Ac−Ac/EBEは、より赤色光が緑色光と共に、M錐体およびL錐体の両方をそれぞれシミュレートしているため、黄色の色相の中間状態を通過し、これが脳で黄色と判断される。

0035

中性および酸化状態の色値と極限状態の写真の比較を図11に示す。立体的な相互作用、主たる立体的なドナー属性により様々な中間色状態を調節して、彩度を減少するために、EBE三量体の割合を増やす。EBEの割合が増えると、コントラストの減少は最小となる。完全酸化透過状態の色値の差は、下式を用いた色値の幾何学的距離により求めることができる。



式中、ΔE*abは、色値間の差を表し、2.3未満の値(またはCIE弁別域(JND)と判断したもの)は、目では判別できない程度の差である。ECP−ブラックとPro−Ac0.65/EBE0.35間の完全酸化色状態を比べると、ΔE*abは4.8と計算され、顕著な差が確認され、Pro−Ac0.65/EBE0.35は、完全酸化されると少ない彩色となる。これによって、異なるECP間の色の差または特定の電圧ステップ間の色特性を定量化することができ、色値間の差に目で判別つくか判断することができる。

0036

材料のPro−Ac/EBE系は、赤みがかった色相を呈し、Pro−Ac0.65/EBE0.35組成の最小に達している。やや赤みがかった着色は、586nmが中心の吸収の谷部と組み合わせて、観察された2つの主要吸収ピーク間における吸収の小さな差の結果として、Pro−Ac0.65/EBE0.35で保持される。追加の高コントラストECPのPro−Ac0.65/EBE0.35の薄膜への溶液同時処理によって、より美観上魅力的なフィルムが製造される。すなわち、キャストフィルムのスペクトルプロフィールが「平滑」になり、切替時に観察されるコントラストが改善する。

0037

全てドナーポリマーであるPro−Ac0.65/EBE0.35:ProDOT2−EDOTの85:15w/w混合物を同時処理すると、図12Bに示す通り、おおよそ450−700nmの範囲において特に平滑なスペクトルプロフィールの混合物が生成される。この混合物について、色度の全体的な増加が観察されるが、最も着目すべき変化は、図12Aにおいてb*座標が3〜−7に減じることで示される通り、美観的に好ましいインディゴ−黒色の色相の形成である。さらに、この混合物では、ニートポリマーにおいて51.7%であったのが、混合物において53.0%と積分コントラストの改善がなされている。なお、15%ProDOT2−EDOT混合物のスペクトルプロフィールにおいては、軽微非対称性はそれでも存在する。20重量%までProDOT2−EDOTの含量を増やしても非対称性には寄与しない。むしろ、より高い色度、そしてニートポリマー(51.3%)より低いコントラストの観察される混合物が生成される。

0038

本明細書の明白な教示に矛盾しない範囲において、ここで参照または引用された全ての特許、特許出願、仮出願および公開公報は、図面や表を含む全内容を参照することにより組み込まれる。

0039

本明細書に記載した実施例および実施形態は、例証のためのみであり、その様々な修正または変更は、当業者示唆され、本明細書の主旨に含まれるものとする。

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