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技術 抗IL−34抗体

出願人 ユニヴェルシテ・ドゥ・ナントセアシュユ・ナントアンスティトゥート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシャルシュ・メディカル・(インセルム)
発明者 ドミニク・エイマンオード・スガリニーレジ・ブリオン
出願日 2015年12月21日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2017-532846
公開日 2018年3月29日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-508467
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 社機器 アラインメント位置 撹拌モード 参照文 有り無しで 表面レベル 相互作用シグナル 環境影響
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重要な関連分野

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図面 (9)

課題・解決手段

本開示は、高親和性サイトカインIL-34を特異的に結合する新規の抗IL-34抗体又はその抗原結合断片、これらの抗体を得る方法及びその治療上の使用に関する。

概要

背景

2008年にインターロイキン34(IL-34)と命名された新たなサイトカインは、ヒト骨髄培養においてマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と同じ効率でマクロファージコロニー形成細胞の形成を誘導する能力に基づいてLinらにより発見された(Linら、2008年)。IL-34は、M-CSFの結合機序と異なるが近い方法でCSF-1受容体(M-CSFR)の細胞外ドメインに結合し(Felixら、2013年;Maら、2012年)、受容体の二量体化及び8つのチロシン残基における差異的自己リン酸化をもたらす。

より最近になって、Wangらは、IL-34が皮膚表皮及び中枢神経系における骨髄性細胞分化の特異的駆動体であることを報告した(Wangら、2012年)。IL-34は、M-CSFと同様に単球の、免疫抑制性M2への分化も指令する(Foucherら、2013年)。加えて、IL-34が、骨の巨細胞腫により発現され、破骨細胞形成の促進においてM-CSFの代用になり得ることが実証された(Baud'huinら、2010年)。IL-34は、M-CSFの様に、全血により産生されるケモカイン上方制御することから、両方のサイトカインが、炎症における重要な相手として認識される(Edaら、2010年)。IL-34の役割は、関節リウマチにおいても確認された。

更にまた、IL-34は、骨肉腫ユーイング肉腫骨腫瘍、脳癌等いくつかの癌、皮膚疾患及びアテローム性動脈硬化症等の代謝疾患と関係している(Segalinyら、2014年、Stanleyら、2014年、Wangら、2014年、及びCronkら、2013年)。IL-34のこれらの効果の大多数は、M-SFRに媒介される。Il-34は、受容体タンパク質チロシンホスファターゼRPTPB/ζへの結合によって脳において最近説明された特異な役割も果たす。

従って、Il-34とその受容体の間の相互作用を調節する手段を有することは重要である。

癌療法に対するモノクローナル抗体(mAb)の使用は、近年多くの成功を達成してきた。そのような療法は、抗原若しくは受容体機能改変を媒介する、免疫系を変調させる又は特定の抗原を標的する抗体にコンジュゲートされた特定の薬物を送達することによって機能する。

CSF-1受容体二量体化を阻害するモノクローナル抗体Rg7155については、以前に記載されている。患者へのこの抗体の投与は、腫瘍組織におけるCSF-1R+CD163+マクロファージ浸潤の顕著な減少を引き起こし、びまん型巨細胞腫患者における臨床的客観的応答を変化させた(Riesら、2014年)。

しかしながらこの抗体は、M-CSFとIL-34結合の両方を同様に阻害するので非特異的である。

抗IL-34抗体については、WO2013/119716にも記述される。この抗体は、IL-34を結合し、従ってIL-34との相互作用を遮断することができる。この抗体は、IL-34がその受容体へ結合することにより媒介されるシグナル伝達経路を阻害する結合能力がある。更に、それは、いくつかの免疫学的疾患治療するのに使用される。

更にまた、WO2013/119716は、前記抗IL-34抗体が、そのリガンドIL-34に対して1.7×10-8〜1.24×10-10である優れた親和性であるように言われる結合親和性を有することを開示している。

しかしながら、標的に対する抗体の結合親和性の強さが治療上有効な抗体を選択するための非常に重要な基準であることは、当技術分野において周知である。

従って、IL-34を特異的に標的し、その標的に対して非常に強い結合活性を有する新規抗体の必要性が今なお存在し、その抗体は、自己免疫疾患及び癌を効率的に治療するために使用することができる。

別段の規定がない限り、本明細書において使用される技術的及び科学的用語の全ては、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の若しくは同等の方法及び材料を本発明の実践又は試験に使用することができるが、適切な方法並びに材料については以下に記述される。一致しない場合には、本明細書が、定義を含めて優先されることになる。加えて、材料、方法及び例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。

本発明の他の特性及び優位性は、以下の詳細な記述、及び請求項から明らかになる。

概要

本開示は、高親和性でサイトカインIL-34を特異的に結合する新規の抗IL-34抗体又はその抗原結合断片、これらの抗体を得る方法及びその治療上の使用に関する。

目的

本発明は、IL-34受容体へのIL-34の結合の前にIL-34を結合することによりIL-34とその受容体との相互作用を阻害することができる抗体又はその抗原結合断片を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖と、配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖とを含む抗IL-34抗体又はその抗原結合断片

請求項2

モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。

請求項3

前記抗体が、IL-34とその受容体のうち少なくとも1つとの相互作用阻害することができる、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項4

前記抗体が、IL-34とM-CSF-R及びRPTPB/ζからなる群から選択される受容体のうち少なくとも1つとの相互作用を阻害することができる、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項5

前記抗体の解離定数(KD)が、BIAcoreによる測定でKD≦10-11Mである、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項6

前記抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項7

前記抗体がキメラ抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項8

前記抗体がヒト化抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項9

前記抗原結合断片が、Fv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc、ダイアボディ、又は化学修飾により半減期を増加させた任意の断片からなるリストから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。

請求項10

a.請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸、DNA又はRNA、b.請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体のCDRをコードする配列番号9〜14からなるDNA配列を含む核酸、c.一対のポリヌクレオチドからなるDNA配列を含む核酸であって、ポリヌクレオチドの一方が、配列番号15を有する軽鎖をコードし、他方のポリヌクレオチドが、配列番号16を有する重鎖をコードする核酸から選ばれる、単離された核酸。

請求項11

請求項10に記載の核酸を含むベクター

請求項12

請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞

請求項13

請求項11に記載のベクターで形質転換された少なくとも1つの細胞を含むヒト以外のトランスジェニック動物

請求項14

請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を産生する方法であって、a.適当な培地中で請求項12に記載の宿主細胞を増殖させる工程と、b.前記抗体を回収する工程とを含む方法。

請求項15

請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片及び薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物

請求項16

医薬としての請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、若しくはその抗原結合断片、又は請求項15に記載の医薬組成物。

請求項17

自己免疫疾患、癌、骨疾患皮膚疾患代謝疾患脳疾患及び肝疾患を含めた炎症性疾患からなるリストから選択されるIL-34に依存する疾患の予防及び/又は治療において使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、若しくはその抗原結合断片、又は請求項15若しくは16に記載の医薬組成物。

請求項18

IL-34に依存する前記炎症性疾患が、リウマチ様多発性関節炎歯周炎骨粗鬆症人工関節周囲骨溶解シェーグレン症候群アテローム性動脈硬化症関節炎炎症性及び自己免疫性皮膚病変、炎症性大腸疾患(クローン病潰瘍性大腸炎憩室炎、及び感染性大腸炎等)、アルツハイマー及び神経変性障害、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎ウイルス誘発性肝線維症、薬物誘発性脂肪性肝炎等の線維形成並びに例えば吸入物質関連線維症、薬物誘発性線維症、自己免疫性線維症、感染性線維症及び特発性肺線維症等の間質性肺線維症からなるリストから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、若しくはその抗原結合断片、又は請求項15から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項19

IL-34に依存する前記癌が、腫瘍骨溶解;骨肉腫(骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の巨細胞腫)、骨転移グリア芽細胞腫及び脳癌、肺癌からなるリストから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、若しくはその抗原結合断片、又は請求項15から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項20

対象におけるIL-34の存在及び/又は位置をin vitroで検出する方法であって、a.前記対象のサンプルを請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させる工程と、b.前記抗体若しくはその抗原結合断片と前記サンプルとの結合を検出する工程とを含む方法。

請求項21

患者において請求項17から20に規定の疾患のいずれか1つをin vitroで診断する方法であって、a.前記患者の細胞を請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させる工程と、b.前記細胞に対する前記抗体又はその抗原結合断片の結合を測定する工程と、c.(b)における発現を正常な参照対象又は標準の発現と比較する工程とを含む方法。

請求項22

請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を少なくとも含むキットであって、前記抗体又はその抗原結合断片が好ましくは標識されているキット。

技術分野

0001

本発明は、新規抗体、特にキメラの、ヒト化した、インターロイキンIL-34を特異的に結合することが可能なマウスモノクローナル抗体並びにそのような抗体をコードするアミノ及び核酸配列に関する。一態様から、本発明は、IL-34に特異的に結合することが可能な新規抗体又はその抗原断片に関する。本発明は、IL-34が関与する疾患の予防的及び/又は治療的処置のための医薬としてのそのような抗体若しくはその抗原断片の使用も含む。

背景技術

0002

2008年にインターロイキン34(IL-34)と命名された新たなサイトカインは、ヒト骨髄培養においてマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と同じ効率でマクロファージコロニー形成細胞の形成を誘導する能力に基づいてLinらにより発見された(Linら、2008年)。IL-34は、M-CSFの結合機序と異なるが近い方法でCSF-1受容体(M-CSFR)の細胞外ドメインに結合し(Felixら、2013年;Maら、2012年)、受容体の二量体化及び8つのチロシン残基における差異的自己リン酸化をもたらす。

0003

より最近になって、Wangらは、IL-34が皮膚表皮及び中枢神経系における骨髄性細胞分化の特異的駆動体であることを報告した(Wangら、2012年)。IL-34は、M-CSFと同様に単球の、免疫抑制性M2への分化も指令する(Foucherら、2013年)。加えて、IL-34が、骨の巨細胞腫により発現され、破骨細胞形成の促進においてM-CSFの代用になり得ることが実証された(Baud'huinら、2010年)。IL-34は、M-CSFの様に、全血により産生されるケモカイン上方制御することから、両方のサイトカインが、炎症における重要な相手として認識される(Edaら、2010年)。IL-34の役割は、関節リウマチにおいても確認された。

0004

更にまた、IL-34は、骨肉腫ユーイング肉腫骨腫瘍、脳癌等いくつかの癌、皮膚疾患及びアテローム性動脈硬化症等の代謝疾患と関係している(Segalinyら、2014年、Stanleyら、2014年、Wangら、2014年、及びCronkら、2013年)。IL-34のこれらの効果の大多数は、M-SFRに媒介される。Il-34は、受容体タンパク質チロシンホスファターゼRPTPB/ζへの結合によって脳において最近説明された特異な役割も果たす。

0005

従って、Il-34とその受容体の間の相互作用を調節する手段を有することは重要である。

0006

癌療法に対するモノクローナル抗体(mAb)の使用は、近年多くの成功を達成してきた。そのような療法は、抗原若しくは受容体機能改変を媒介する、免疫系を変調させる又は特定の抗原を標的する抗体にコンジュゲートされた特定の薬物を送達することによって機能する。

0007

CSF-1受容体二量体化を阻害するモノクローナル抗体Rg7155については、以前に記載されている。患者へのこの抗体の投与は、腫瘍組織におけるCSF-1R+CD163+マクロファージ浸潤の顕著な減少を引き起こし、びまん型巨細胞腫患者における臨床的客観的応答を変化させた(Riesら、2014年)。

0008

しかしながらこの抗体は、M-CSFとIL-34結合の両方を同様に阻害するので非特異的である。

0009

抗IL-34抗体については、WO2013/119716にも記述される。この抗体は、IL-34を結合し、従ってIL-34との相互作用を遮断することができる。この抗体は、IL-34がその受容体へ結合することにより媒介されるシグナル伝達経路を阻害する結合能力がある。更に、それは、いくつかの免疫学的疾患治療するのに使用される。

0010

更にまた、WO2013/119716は、前記抗IL-34抗体が、そのリガンドIL-34に対して1.7×10-8〜1.24×10-10である優れた親和性であるように言われる結合親和性を有することを開示している。

0011

しかしながら、標的に対する抗体の結合親和性の強さが治療上有効な抗体を選択するための非常に重要な基準であることは、当技術分野において周知である。

0012

従って、IL-34を特異的に標的し、その標的に対して非常に強い結合活性を有する新規抗体の必要性が今なお存在し、その抗体は、自己免疫疾患及び癌を効率的に治療するために使用することができる。

0013

別段の規定がない限り、本明細書において使用される技術的及び科学的用語の全ては、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の若しくは同等の方法及び材料を本発明の実践又は試験に使用することができるが、適切な方法並びに材料については以下に記述される。一致しない場合には、本明細書が、定義を含めて優先されることになる。加えて、材料、方法及び例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。

0014

本発明の他の特性及び優位性は、以下の詳細な記述、及び請求項から明らかになる。

0015

WO2013/119716
米国特許第5,639,641号
欧州特許第0239400号
WO91/09967
米国特許第5,530,101号
米国特許第5,585,089号
欧州特許第0592106号
欧州特許第0519596号
米国特許第5,565,332号
米国特許第4,444,887号
米国特許第4,716,111号
米国特許第5,545,806号
米国特許第5,814,318号
WO98/46645
WO98/50433
WO98/24893
WO98/16654
WO96/34096
WO96/33735
WO91/10741
米国特許第5,641,870号
欧州特許第404097号
WO93/11161
米国特許第5,792,632号
米国特許第5,830,729号
米国特許第6,238,924号
WO2009/054985
WO03/025183
WO2004/067753
WO91/01753
米国特許第5,772,997号

先行技術

0016

Smith及びWaterman (1981年)、Ad. App. Math. 2:482頁
Neddleman (1970年)、J. Mol. Biol. 48:443頁
Pearson (1988年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444頁
ttp://www.ncbi. nlm.nih.gov/gorf/bl2. html
Tatusovaら、「Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」、FEMS Microbiol. Lett. 1999年、174:247〜250頁
http: //www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/
Yeら「IgBLAST:an immunoglobulin variable domain sequence analysis tool」2013年6月22日Oxford Jurnalのウェブサイト
Verhoeynら、BioEssays、8:74頁、1988年
Padlan E. A.、1991年、Molecular Immunology 28(4/5):489〜498頁
Studnicka G. M.ら、1994年、Protein Engineering 7(6):805〜814頁
Roguska M.A.ら、1994年、Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A.、91:969〜973頁
Zapataら、Protein Eng. 8(10):1057〜1062頁、1995年
Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag、New York、269〜315頁(1994年)
Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444〜6448頁(1993年)
Sambrookら、Molecular cloning: a laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratory;第3版、2001年
Foeckingら、1986年、Gene 45:101頁
Cockettら、1990年、Bio/Technology 8:2頁
Moeleら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.、104(9):3055〜3060頁
Wiglerら、Cell 11:223頁、1977年
Szybalskaら、Proc Natl Acad Sci USA 48: 202頁、1992年
Adv Drug Del Rev、58:671頁、2006年
Lonza Group Ltd.社のウェブサイト又は文献
Wiglerら、Proc Natl Acad Sci USA 77: 357頁、1980年
Mulliganら、Proc Natl Acad Sci USA 78: 2072頁、1981年
Wuら、Biotherapy 3:87頁、1991年
Santerreら、Gene 30:147頁、1984年
Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(1993年)
Crouseら、Mol Cell Biol 3:257頁、1983年
Reikら、Biotechnol. Bioeng.、97(5)、1180〜1189頁、2006年
Moehleら、PNAS 104、3055頁、2007年
Remington's Pharmaceutical Science、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1985年)、第18版及び第19版
www.clinicaltrials.gov
www.ncbi.nlm.nih
www.drugs.com

発明が解決しようとする課題

0017

驚くべきことに、本発明者らは、IL-34を特異的に結合する抗体を発見した。更にまた、本発明者らは、IL-34に対するこれら抗体の結合親和性が、特に先行技術において開示されている抗IL-34抗体との比較において、非常に高いことを実証した。本出願の例において実証された通り、本発明の抗体又はその抗原結合断片の結合親和性が非常に高いので、従来の手段によりその解離定数KDを決定することは困難である。

0018

これらの抗体は、Il-34とM-CSFRとの相互作用を阻害することによりIL-34の生物活性を遮断することが可能である。実際、IL-34依存的細胞増殖は、本発明の抗体により遮断される。加えて、受容体へのIL-34結合により引き起こされる細胞シグナル伝達は、本発明の抗体により阻害される。そのような様式において、これらの抗体は、例えば炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚疾患、代謝疾患、脳疾患及び肝疾患及び自己免疫疾患を含めたIL-34が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用である。

課題を解決するための手段

0019

第1の態様において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、2若しくは3の配列の3つのCDR、又は配列番号1、2若しくは3の配列との最適なアラインメント後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%の同一性を持つ少なくとも1つの配列と、配列番号4、5若しくは6の配列の3つのCDR、又は配列番号4、5若しくは6の配列との最適なアラインメント後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%の同一性を持つ少なくとも1つの配列とを含む軽鎖を含む。

0020

本明細書では、核酸若しくはアミノ酸の2つの配列間の「パーセンテージ同一性」は、最適なアラインメント後に得られる比較しようとする2つの配列間で同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは単に統計的なものであり、2つの配列間の差異はその長さに従って無作為分布する。2つの核酸又はアミノ酸配列の比較は、それらを最適に整列した後に配列を比較することにより伝統的に実施され、前記比較は、セグメントにより若しくは「アラインメントウインドウ」を使用することにより行うことができる。比較のための配列の最適なアラインメントは、手作業による比較に加えて、Smith及びWaterman(1981年)[Ad. App. Math. 2:482頁]の局所相同性アルゴリズムを用いて、Neddleman(1970年)[J. Mol. Biol. 48:443頁]の局所的相同性アルゴリズムを用いて、Pearson(1988年)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444頁]の類似性検索を用いて、又はこれらのアルゴリズムを使用するコンピューターソフトウェア(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr、Madison、WlのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA、又は比較ソフトウェアBLASTNR若しくはBLAST Pによる)を用いて実施することができる。

0021

2つの核酸若しくはアミノ酸配列間のパーセンテージ同一性は、最適に整列させた2つの配列を比較することにより決定され、比較しようとする核酸若しくはアミノ酸配列は、2つの配列間の最適なアラインメントのために参照配列と比較して付加又は欠失を有することができる。パーセンテージ同一性は、アミノ酸残基若しくはヌクレオチドが2つの配列間、好ましくは2つの完全な配列間で同一である位置の数を決定し、アラインメントウインドウ内の位置の総数で同一の位置の数を割り、その結果を100で乗算して、2つの配列間のパーセンテージ同一性を得ることにより算出される。

0022

例えば、サイトttp://www.ncbi. nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlで利用可能なBLASTプログラム「BLAST2 sequences」(Tatusovaら、「Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」、FEMS Microbiol. Lett.、1999年、174:247〜250頁)を、初期設定引数(特に引数について、「オープンギャップペナルティ」:5、及び「延長ギャップペナルティ」:2;選択したマトリックスは、例えばプログラムにより提示された「BLOSUM 62」マトリックス)で使用することができ;比較する2つの配列間のパーセンテージ同一性は、プログラムにより直接算出される。

0023

参照アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%の同一性を呈するアミノ酸配列の場合、好ましい例には、参照配列、特定の修飾、特に少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加若しくは置換、短縮又は伸張を含有するものがある。1つ若しくは複数の連続的又は非連続的アミノ酸の置換の場合、置換されたアミノ酸が「同等の」アミノ酸により置き換えられる置換が好ましい。ここでは、表現「同等のアミノ酸」とは、構造アミノ酸の1つと置換されるが、対応する抗体及び以下で定義されるその特定の例の生物活性を修飾することがない可能性が高い任意のアミノ酸を示すと定められる。

0024

同等のアミノ酸は、置換されるアミノ酸との構造的相同性又は様々な抗体間で生成され得る生物活性の比較試験の結果のいずれかに基づいて決定することができる。

0025

非限定的な例として、下記Table 1(表1)は、対応する修飾抗体の生物活性に有意な修飾をもたらすことなく実施され得る考えられる置換を要約する;逆の置換は、同じ条件下で当然考え得る。

0026

0027

第1の実施形態において、本発明の抗IL-34抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖;並びに配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖を含む。

0028

別の実施形態において、本発明の抗IL-34抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖;並びに配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖を含む。

0029

用語「抗体」は、本明細書において最も広い意味で使用され、IgGIgMIgAIgD及びIgE等任意のアイソタイプのモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体多重特異的抗体キメラ抗体、並びに抗原結合断片を特に網羅する。特定の抗原と反応性の抗体は、ファージ若しくは類似のベクター中の組換え抗体ライブラリの選択等の組換え方法により、又は抗原若しくは抗原コード核酸で動物を免疫することにより生成することができる。

0030

典型的な抗体は、ジスルフィド結合により接合される2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される。

0031

本発明では、用語「軽鎖」とは、2つの連続したドメイン:1つは定常ドメイン及び1つは可変ドメイン、を有する哺乳動物免疫グロブリン軽鎖ラムダ(λ)又はカッパ(κ)のことを指す

0032

本発明では、用語「重鎖」とは、α、δ、ε、γ、及びμで表示される哺乳動物の免疫グロブリン鎖のことを指す。各重鎖は、2つの領域である定常領域及び可変領域を有する。定常領域は、同じアイソタイプの抗体全てで同一である。各重鎖の可変領域は、単一のIgドメインで構成されている。

0033

抗体の「可変領域」若しくは「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインのことを指す。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称することができる。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称することができる。これらのドメインは、一般に抗体で最も可変的な部分であり、抗原結合部位を含有する。

0034

各可変領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)又は「超可変領域」と呼ばれる3つのセグメントを含有し、それらは抗原のエピトープを結合するのに主に関与する。従って、CDRは、抗体の結合の特異性を指令する。それらは、N末端から連続して付番してCDR1、CDR2及びCDR3と通常称される。可変領域で最も高く保存されている部分は、「フレームワーク領域」と呼ばれる。

0035

一実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列、若しくは配列番号7の配列との最適なアラインメント後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%の同一性を持つ少なくとも1つ配列を含む配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列、若しくは配列番号8の配列との最適なアラインメント後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%の同一性を持つ少なくとも1つの配列を含む配列の重鎖可変ドメインとを含む。

0036

好ましい実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。

0037

別の好ましい実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。

0038

本発明によると、前記抗体及びそのCDRの完全な可変鎖に対応する配列を、IgBlastデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)で分析して、CDRを同定した。

0039

IgBlastデータベースは、ヌクレオチド及びタンパク質配列解析するために開発され、配列をバッチ処理することができる。更にまた、IgBLASTは、生殖細胞遺伝子データベース及び他の配列データベースに対して同時に検索して、最も良く一致する可能性がある生殖細胞系V遺伝子(免疫グロブリンの可変遺伝子)を見逃す可能性を最小化することができる。IgBLASTデータベースについての更なる情報は、Oxford Jurnalのウェブサイトにおいて2013年6月22日に発表されたYeら「IgBLAST:an immunoglobulin variable domain sequence analysis tool」を参照することによりこれと共に含まれる。

0040

一実施形態において、本出願は、ポリクローナル抗体に関する。

0041

「ポリクローナル抗体」は、1つ若しくは複数の他の同一でない抗体の中で又はその存在下で産生された抗体である。一般に、ポリクローナル抗体は、同一でない抗体を産生する他のいくつかのBリンパ球の存在下でBリンパ球から産生される。通常、ポリクローナル抗体は免疫した動物から直接得られる。

0042

別の実施形態によると、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。特定の実施形態において、本発明はマウスモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片に関する。

0043

本明細書では、用語「モノクローナル抗体」とは、ほとんど同質の抗体集団から生じている抗体のことを指す。より具体的には、集団の個々の抗体は、わずかな割合で発見される場合があるいくつかの起こり得る天然に存在する突然変異を除いて同一である。言い換えれば、モノクローナル抗体は、単一細胞クローン(例えばハイブリドーマ、同質の抗体をコードしているDNA分子トランスフェクトした真核生物宿主細胞、同質の抗体をコードしているDNA分子でトランスフェクトした原核生物宿主細胞、等)の増殖から生じる同質の抗体集団からなり、唯一クラス及びサブクラスの重鎖及び1つだけの型の軽鎖により一般に特徴づけられる。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原に指向性である。

0044

「抗原」は、抗体が選択的に結合し得る予め定められた分子である。標的抗原は、ポリペプチド炭水化物、核酸、脂質、ハプテン又は他の任意の天然に存在する若しくは合成化合物であることができる。好ましくは、標的抗原は、ポリペプチドである。

0045

「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原上の部位である。エピトープは、隣接する残基により又は抗原性タンパク質の折りたたみによって近接近した非隣接残基により形成され得る。隣接するアミノ酸により形成されるエピトープは、変性溶媒への曝露で一般に保持されるが、非隣接アミノ酸により形成されるエピトープは、前記曝露下で一般に失われる。

0046

一実施形態において、本発明は、IL-34受容体へのIL-34の結合の前にIL-34を結合することによりIL-34とその受容体との相互作用を阻害することができる抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0047

別の実施形態において、本発明は、IL-34受容体へのIL-34の結合の後にIL-34を結合することによりIL-34とその受容体との相互作用を阻害することができる抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0048

更に別の実施形態において、本発明は、IL-34受容体へのIL-34の結合の前後にIL-34を結合することによりIL-34とその受容体との相互作用を阻害することができる抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0049

具体的には、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、IL-34とM-CSFR及び/若しくはRPTPBB/ζ受容体との相互作用を阻害することができる。

0050

一実施形態において、本発明は、M-CSFR並びに/又はRPTPBB/ζ受容体へのIL-34の結合の前にIL-34を結合することによりIL-34とM-CSFR及び/若しくはRPTPBB/ζ受容体との相互作用を阻害することができる抗体若しくはその抗原結合断片を提供する。

0051

別の実施形態において、本発明は、M-CSFR並びに/又はRPTPBB/ζ受容体へのIL-34の結合の後にIL-34を結合することによりIL-34とM-CSFR及び/若しくはRPTPBB/ζ受容体との相互作用を阻害することができる抗体若しくはその抗原結合断片を提供する。

0052

更に別の実施形態において、本発明は、M-CSFR並びに/又はRPTPBB/ζ受容体へのIL-34の結合の前後にIL-34を結合することによりIL-34とM-CSFR及び/若しくはRPTPBB/ζ受容体との相互作用を阻害することができる抗体若しくはその抗原結合断片を提供する。

0053

従って、本発明の抗体は、IL-34媒介シグナル伝達を阻害することができる。IL-34が、例えば炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚疾患、代謝疾患、脳疾患及び肝疾患並びに自己免疫疾患を含めたいくつかの病理発症に関与することが示されているので、これは特に有用である。

0054

本発明者らは、本発明の抗体が、IL-34に対して高親和性を有することを実証した。これは、従来の手段を使用して発明者らによって計測が困難であった非常に低い解離定数(KD)と相関している。

0055

好ましくは、抗体又はその抗原結合断片は、解離定数(KD)KD≦10-11Mを有する。より好ましくは、抗体又はその抗原結合断片は、BIAcoreで測定して解離定数KD≦9.4±0.7×10-12Mを有する。

0056

本明細書では、用語「KD」とは、特定の抗体/抗原相互作用の解離定数のことを指す。

0057

本明細書では、用語「結合親和性」又は「結合の親和性」とは、分子(例えば、抗体又はその抗原結合断片)の単一の結合部位とその結合相手(例えば、抗原)の間の非共有結合性相互作用の強さの合計のことを一般に指す。特に明記しない限り、本明細書では、「結合親和性」とは、結合対メンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する内因性結合親和性のことを指す。分子Xのその相手Yに対する親和性は、解離定数(Kd)により一般に表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含めた当技術分野において公知の一般的な方法により測定することができる。低親和性抗体は一般に、抗原をゆっくり結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は一般に、抗原をより速く結合し、より長く結合し続ける傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当業者に公知であり、そのいずれも本発明の目的に使用することができる。

0058

本明細書では、用語「BIACore」は、リアルタイムで無標識の反応体の検出を可能にする光学現象である表面プラスモン共鳴(SPR)に基づく技術に関する。BIACore技術は、センサーチップ表面上に結合対の一方の分子(Biacore用語で「リガンド」)を固定する工程と、その表面全体一連の濃度のその相手(「分析物」)を注入する工程とを含む。結合相互作用が起こる表面での屈折率の変化を、ハードウェアにより検出し、制御ソフトウェアにおいてRU(共鳴単位)として記録する。RU追跡により曲線を生成し、生データを明確に定義された結合モデルと比較するフィッティングアルゴリズムにより評価する。これらのフィッティングにより、結合相互作用の見かけの親和性の決定が可能になる。

0059

本発明は、天然の形態の抗体に関するものでなく、即ち、抗体は自然環境から採取されるものではなく、天然源からの精製により単離若しくは得られ又は遺伝子組換え若しくは化学合成により得られ、従って、後述するように非天然のアミノ酸を保有し得ることをここで理解されなければならない。

0060

別の態様において、本発明は、キメラ若しくはヒト化抗体、又はその抗原結合断片に関し、それらは、遺伝子工学若しくは化学合成により得ることができる。

0061

特に、本発明の抗IL-34抗体は、キメラ抗体である。

0062

本明細書では用語「キメラ抗体」とは、所与の種の抗体から得られる天然の可変領域(軽鎖及び重鎖)を前記所与の種とは異種の抗体の軽鎖及び重鎖の定常領域と組み合わせて含有する抗体のことを指す。従って、本明細書では「キメラ抗体」は、可変領域が異なる種又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する定常領域に連結されるように、定常領域若しくはその一部が改変、置き換え、若しくは交換されている抗体である。「キメラ抗体」とは、定常領域が異なる種又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する可変領域に連結されるように、可変領域若しくはその一部が改変、置き換え、若しくは交換されている抗体のことも指す。

0063

抗体、又はそのキメラ断片は、組換え操作により調製することができる。例えば、キメラ抗体は、プロモーター並びに本発明の非ヒト、特にマウスモノクローナル抗体の可変領域をコードしている配列、及びヒト抗体定常領域をコードしている配列を含有する組換えDNAクローニングすることにより産生できる。1つのそのような組換え遺伝子にコードされている本発明によるキメラ抗体は、例えば、マウス-ヒトキメラであることができ、この抗体の特異性はマウスDNAから得られる可変領域により決定され、そのアイソタイプはヒトDNAから得られる定常領域により決定される。キメラ抗体を調製する方法についてはVerhoeynら(BioEssays、8:74頁、1988年)を参照のこと。

0064

好ましくは、本発明は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖と、配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖とを含むキメラ抗体又はその抗原結合断片に関する。

0065

より好ましくは、本発明のキメラ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を有する軽鎖と、配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖とを含む。

0066

別の実施形態において、本発明は、配列番号7の配列の軽鎖可変領域及び配列番号8からなる配列の重鎖可変領域を含むキメラ抗体、又はその抗原結合断片に関する。

0067

本発明のより好ましい実施形態において、キメラ抗体はヒト由来定常領域及びマウス由来可変領域を含む抗体である。

0068

当業者は、上で引用したキメラ抗体を得るための従来の方法を適合させて、本発明によるキメラ抗体を産生することができよう。

0069

別の態様において、本発明は、ヒト化抗IL-34抗体、又はその抗原結合断片を提供する。

0070

本明細書では、用語「ヒト化抗体」とは、非ヒト免疫グロブリンから得られる最小限の配列を含有するキメラ抗体のことを指す。一実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントのCDR由来残基が、マウス、ラットウサギ等非ヒト種(ドナー抗体)又は所望の特異性、親和性及び/若しくは能力を有する非ヒト霊長類のCDR由来残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基が、対応する非ヒト残基に置き換えられている。更にまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体において見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、結合親和性等の抗体性能を更に洗練するために行うことができる。一般に、FR領域は、結合親和性、異性化免疫原性、等などの抗体性能を改善する個別のFR残基置換を1つ又は複数含み得るが、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般に2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、全ての若しくは実質的に全ての超可変ループが、非ヒト免疫グロブリン配列のそれに対応し、全ての若しくは実質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリン配列のものである。FRにおけるこれらアミノ酸置換の数は、一般にH鎖において6個以下、及びL鎖において3個以下である。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、一般にヒト免疫グロブリンのその少なくとも一部も任意選択で含むことになる。

0071

ヒト化の目的は、抗体の完全な抗原結合親和性及び特異性を維持しながらヒトへ導入するための、マウス抗体異種抗体の免疫原性の減少である。ヒト化抗体、又は他の哺乳動物によって拒絶されないように構成された抗体を、表面再建及びCDR移植等いくつかの技術を使用して産生することができる。本明細書では、表面再建技術は、分子モデリング統計解析及び変異誘発の組み合わせを使用して抗体可変領域の非CDR表面を改変し、それによって標的宿主の公知の抗体の表面に似せる。

0072

抗体を表面再建する戦略及び方法、並びに異なる宿主内で抗体の免疫原性を減少させる他の方法は、米国特許第5,639,641号に開示されており、その全体を参照によりここに組み込む。簡潔にいうと、好ましい方法において、(1)抗体重鎖並びに軽鎖可変領域のプールの位置アラインメントを生成して、全ての可変領域についてアラインメント位置が少なくとも約98%同一である一組の重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークの表面露出位置を得て;(2)一組の重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークの表面露出アミノ酸残基を、齧歯目抗体(又はその断片)に対して定義し;(3)齧歯目の表面露出アミノ酸残基の組と最も厳密に同一である一組の重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークの表面露出アミノ酸残基を同定し;(4)工程(2)において定義した組の重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークの表面露出アミノ酸残基を、齧歯目抗体の相補性決定領域の任意の残基の任意の原子の5A内にあるアミノ酸残基を除いて、工程(3)において同定した組の重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークの表面露出アミノ酸残基と置換し;(5)結合特異性を有するヒト化齧歯目の抗体を産生する。

0073

抗体は、CDR移植(欧州特許第0239400号;WO91/09967;米国特許第5,530,101号;及び第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)又はリサーフシング(欧州特許第0592106号;欧州特許第0519596号;Padlan E. A.、1991年、Molecular Immunology 28(4/5):489〜498頁;Studnicka G. M.ら、1994年、Protein Engineering 7(6):805〜814頁;Roguska M.A.ら、1994年、Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A.、91:969〜973頁)、及びチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含めた他の様々な技術を使用してヒト化することができる。ヒト抗体は、ファージディスプレイ法を含めた当技術分野において公知の様々な方法により作ることができる。米国特許第4,444,887号、第4,716,111号、第5,545,806号及び第5,814,318号;並びに国際特許出願公開番号WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735及びWO 91/10741も参照のこと(前記参照はその全体を参照により組み込む)。

0074

本発明によると、ヒト化抗体は、上述したマウス抗体から生じる。

0075

より具体的には、本発明は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖と、配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖とを含むヒト化抗体又はその抗原結合断片に関する。

0076

更になお具体的には、本発明は、配列番号1、2及び3のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖と、配列番号4、5及び6のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖とを含むヒト化抗体又はその抗原結合断片に関する。

0077

従って、特定の実施形態において、本発明は、IL-34を特異的に結合し、従ってIL-34とその受容体との相互作用を阻害するヒト化抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0078

本発明の別の態様は、上記した抗体の抗原結合断片に関する。

0079

抗体断片」は、完全な抗体の一部、好ましくは完全な抗体の抗原結合及び/又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapataら、Protein Eng. 8(10):1057〜1062頁、1995年を参照のこと);抗体断片から形成される一本鎖抗体分子並びに多重特異的抗体がある。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる同一の抗原結合断片を2つ、及び残りの「Fc」断片を産生し、記号は、容易に結晶化する能力を反映している。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び1方の重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)並びに完全なL鎖からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価である、即ち抗原結合部位を1つ有する。抗体のペプシン処理により、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド連結された2つのFab断片におおよそ対応し、まだ抗原を架橋することができる1つの大きなF(ab')2断片が得られる。Fab'断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端に抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含むいくつかの追加の残基を有することによりFab断片と異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基遊離チオール基を持つFab'に対する本明細書における記号である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として当初産生された。抗体断片の他の化学的結合も公知である。

0080

本明細書では用語「Fv」とは、完全な抗原認識及び結合部位を含有する最小の抗体断片のことを指す。この断片は、堅く非共有結合性会合している1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折りたたみから、抗原結合のためのアミノ酸残基を与え、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H及びL鎖から各3つのループ)が生じる。しかし、完全な結合部位より低い親和性ではあるが、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的なHVRを3つしか含まない半分のFv)も抗原を認識し、結合する能力を有する。

0081

「sFv」又は「scFv」と略記される「一本鎖Fv」も、一本鎖ポリペプチドになるように接続されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成できるようにVHとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを更に含む。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag、New York、pp.269〜315頁(1994年)を参照のこと。

0082

本発明の抗体の「機能的断片」は、完全な抗体の一部を含み、完全な抗体の抗原結合若しくは可変領域又は修飾されたFcR結合能力を保持若しくは有する抗体のFc領域を一般に含む。抗体断片の例には、抗体断片から形成される直鎖状抗体、一本鎖抗体分子及び多重特異的抗体がある。

0083

用語「ダイアボディ」とは、Vドメインの鎖内ではなく鎖間の対号が実現されるようにVHとVLドメインの間に短いリンカー(約5〜10残基)を持つsFv断片(前のパラグラフを参照のこと)を構築し、それによって二価断片、即ち、2つの抗原結合部位を有する断片を得ることにより調製される小さい抗体断片のことを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディについては、例えば、欧州特許第404097号;WO 93/11161;Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444〜6448頁(1993年)に、より詳細に記述されている。

0084

より具体的には、本発明は、機能的断片が、断片Fv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv、scFv-Fc及びダイアボディ、又は化学修飾により半減期を増加させた任意の断片の中から選択されることを特徴とする、抗IL-34抗体、又はそれに由来する化合物若しくは機能的断片を提供する。

0085

上で引用した化学修飾は、ポリエチレングリコールポリアルキレングリコールの付加(PEG化)(PEG化断片は、Fv-PEG、scFv-PEG、Fab-PEG、F(ab')2-PEG及びFab'-PEGと称される)、又はリポソームマイクロスフェア若しくはPLGA内への組み込みによるもの等であることができ、前記断片は、それが生じた抗体の一般的な様式の活性を、部分的にでも特に発揮できる本発明のCDRを少なくとも6つ保有する。

0086

好ましくは、前記抗原結合断片は、それらが得られる抗体の可変重鎖若しくは軽鎖の部分配列を含む又は包含することになり、前記部分配列は、それが生じる抗体と同じ結合特異性及び充分な親和性、好ましくはそれが生じる抗体の親和性の1/100と少なくとも同等、より好ましくは少なくとも1/10を保持するのに十分である。

0087

好ましくは、この抗原結合断片は、Fv、scFv、Fab、F(ab')2、F(ab')、scFv-Fc又はダイアボディの型であることになり、それらは、由来する抗体と同じ結合特異性を一般に有する。

0088

本発明によると、本発明の抗原結合断片は、ペプシン若しくはパパインを含めた酵素消化等の方法、及び/又は化学的還元によるジスルフィド架橋の切断により上記の抗体から得ることができる。抗原結合断片は、当技術に熟達した者に公知の組換え遺伝子技術又は例えば、Applied BioSystems社等により販売されている自動ペプチド合成装置を用いるペプチド合成により得ることもできる。

0089

本発明の新規の態様は、以下の核酸(任意の縮重遺伝暗号を含める):
a)本発明による抗体、又はその機能的断片若しくは誘導体のうちの1つをコードする核酸、DNA又はRNA、
b)配列番号9〜14からなる配列の群から選択するDNA配列を含む核酸、
c)配列番号15及び16からなる配列の群から選択するDNA配列を含む核酸
の中から選択されることを特徴とする単離された核酸に関する。

0090

特定の実施形態において、本発明は、本発明の6つのポリヌクレオチドを対象とし、各ポリヌクレオチドは、本発明の抗体の特定のCDRをコードする。

0091

特定の実施形態において、本発明は、本発明の一対のポリヌクレオチドを対象とし、ポリヌクレオチドのうち一方は本発明の抗体の重鎖をコードし、他方のポリヌクレオチドは軽鎖をコードする。

0092

用語「核酸」、「核配列」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」及び「ヌクレオチド配列」は、本説明において互換的に使用され、修飾されている若しくはされていない核酸の断片若しくは領域を定義している、非天然のヌクレオチドを含有する若しくはしない二本鎖DNA一本鎖DNA又は前記DNAの転写産物のいずれかであるヌクレオチドの正確な配列を意味する。

0093

本発明が、天然の染色体環境、即ち、天然の状態のヌクレオチド配列に関しないことも、ここに含めるべきである。本発明の配列は、単離及び/又は精製されている、即ち、それらは、例えばコピーにより直接若しくは間接的にサンプル採取され、それらの環境は、少なくとも部分的に修飾されている。例えば宿主細胞を用いて組換え遺伝子により得た、又は化学合成により得た単離されている核酸についてもここで言及するべきである。

0094

「好ましい配列との最適なアラインメント後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%及び98%のパーセンテージ同一性を呈する核配列」とは、参照核配列に対して、特に著しく正確に、欠失、短縮、伸張、キメラ融合並びに/又は置換等特定の修飾を呈する核配列を意味する。好ましくは、これらは、参照配列と同じアミノ酸配列をコードする配列であり、これは、遺伝暗号の縮重、好ましくは以下で特に定義される非常に厳しい条件下で参照配列と特異的にハイブリダイズする可能性が高い相補性配列と関係している。

0095

非常に厳しい条件下でのハイブリダイゼーションとは、温度及びイオン強度と関係のある条件が、2つの相補性DNA断片相互間でハイブリダイゼーションを維持できるように選択されていることを意味する。単に例示的な原則に基づくと、上述したポリヌクレオチド断片を定義する目的のハイブリダイゼーション工程の非常に厳しい条件は、以下が都合良い。

0096

DNA-DNA又はDNA-RNAハイブリダイゼーションは、2つの工程で実施される:(1)5×SSC(1×SSCは、0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウム溶液に相当する)、50%ホルムアミド、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10×デンハルト、5%硫酸デキストラン及び1%サケ精子DNAを含有するリン酸緩衝液(20mM、pH 7.5)中で、42℃で3時間プレハイブリダイゼーション;(2)プローブ長に基づく温度(即ち:プローブ長>100ヌクレオチドに対し42℃)で20時間の主ハイブリダイゼーション、続いて2×SSC+2%SDS中で、20℃で20分間洗浄を2回、0.1×SSC+0.1%SDS中で、20℃で20分間洗浄を1回。最後の洗浄は、プローブ長>100ヌクレオチドの場合0.1×SSC+0.1%SDS中で、60℃で30分間実施される。定義済みのサイズのポリヌクレオチドに対する上記の非常に厳しいハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら(Molecular cloning:a laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratory;第3版、2001年)に記述されている手順に従って当技術に熟達した者により、より長い又はより短いオリゴヌクレオチドに適合させることができる。

0097

本発明によると、様々な発現系を使用して、本発明のIgG抗体を発現させることができる。一態様において、そのような発現系は、対象とするコード配列を産生し、その後精製することができる媒体を表すだけでなく、適当なヌクレオチドコード配列一過性にトランスフェクトした場合に、in situで本発明のIgG抗体を発現することができる細胞も表す。

0098

本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一実施形態において、ベクターは、本発明の抗Il-34抗体、即ちFcドメインに突然変異を保有する抗体の重鎖をコードしているポリヌクレオチドを含有する。別の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、本発明のIgG抗体の軽鎖をコードする。本発明は、融合タンパク質、修飾抗体、抗体断片、及びそのプローブをコードしているポリヌクレオチド分子を含むベクターも提供する。

0099

本発明の抗IL-34抗体の重鎖並びに/又は軽鎖を発現させるために、遺伝子が転写及び翻訳配列に作動的に連結されるように前記重鎖及び/若しくは軽鎖をコードしているポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入する。

0100

「作動的に連結された」配列は、対象とする遺伝子と隣接する発現制御配列トランスで若しくは離れて作用して対象とする遺伝子を制御する発現制御配列の両方を含む。本明細書では用語「発現制御配列」とは、ライゲートされるコード配列の発現及びプロセッシングを達成するのに必要なポリヌクレオチド配列のことを指す。発現制御配列には、適当な転写開始終結、プロモーター及びエンハンサー配列;効果的な、スプライシング等のRNAプロセッシングシグナル及びポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増大させる配列(即ち、Kozak共通配列);タンパク質定性を増大させる配列;並びに必要に応じて、タンパク質分泌を増大させる配列がある。そのような制御配列性質は、宿主生物によって異なり;原核生物においてそのような制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を一般に含み;真核細胞において一般に、そのような制御配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、その存在が発現並びにプロセッシングに不可欠な成分の全てを最低限含むものとし、その存在が有利になる追加の成分、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列を含むこともできる。

0101

本明細書では用語「ベクター」とは、連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すものとする。ベクターの型の1つは「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループのことを指す。別の型のベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。特定のベクターは、導入される宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入により宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。

0102

特定のベクターは、作動的に連結される遺伝子の発現を指令することができる。そのようなベクターは、「組換え発現ベクター」(又は単純に、「発現ベクター」)と本明細書で称される。一般に、組換えDNA技術において有効な発現ベクターは、プラスミドの形態である。プラスミドは、最も一般に使用される形態のベクターなので、本明細書において「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用することができる。しかしながら、本発明は、細菌プラスミド、YAC、コスミドレトロウイルスEBV由来エピソーム等のような形態の発現ベクター、並びに当業者が、本発明の抗体の重鎖及び/又は軽鎖の発現を確実にするのに簡便であることを知っているであろう他の全てのベクターを含むものとする。当業者は、重鎖及び軽鎖をコードしているポリヌクレオチドが、異なるベクター又は同じベクターにクローニングされ得ることを認識することになる。好ましい実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、2つのベクターにクローニングされる。

0103

本発明のポリヌクレオチド及びこれらの分子を含むベクターを使用して、適当な宿主細胞を形質転換することができる。本明細書では、用語「宿主細胞」とは、組換え発現ベクターを導入して、本発明のIgG抗体を発現する細胞を指すものとする。そのような用語が、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の後代も指すものであることは理解されよう。突然変異又は環境影響のいずれかにより特定の修飾が後の世代に起こり得るので、そのような後代は、実際に、親細胞と同一でない場合もあるが、本明細書では用語「宿主細胞」の範囲になお含まれる。

0104

形質転換は、細胞宿主にポリヌクレオチドを導入する公知の任意の方法により実行することができる。そのような方法は、当業者に周知であり、デキストラン媒介形質転換、リン酸カルシウム沈殿ポリブレン媒介トランスフェクションプロトプラスト融合エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチドの封入微粒子銃注入及び核へのDNAの直接マイクロインジェクションがある。

0105

宿主細胞は、本発明のタンパク質を発現するベクターを含めた、2つ以上の発現ベクターで同時トランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞を、上述の通り、IgG抗体をコードしている第1のベクター、及びグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードしている第2のベクターでトランスフェクトすることができる。別法として、宿主細胞を、上述の通り、本発明の抗体をコードしている第1のベクター、グリコシルトランスフェラーゼをコードしている第2のベクター、及び別のグリコシルトランスフェラーゼをコードしている第3のベクターで形質転換することができる。哺乳動物細胞は、治療的組換え免疫グロブリンの発現、特に組換え抗IL-34抗体全体の発現に一般に使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーターエレメントを保有するベクター等発現シグナルを含有するそれと組み合わせたHEK293又はCHO細胞等の哺乳動物細胞は、本発明のIgG抗体を発現するのに有効な系である(Foeckingら、1986年、Gene 45:101頁;Cockettら、1990年、Bio/Technology 8:2頁)。

0106

加えて、挿入された配列の発現を変調させる、又は所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾及びプロセッシングする宿主細胞が選ばれる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセッシングは、タンパク質の機能に重要となり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾のための特性並びに特定の機序を有する。適当な細胞系又は宿主系は、対象とする発現抗体の正しい修飾及びプロセッシングを確実にするように選ばれる。このため、適当な、一次転写産物のプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化のための細胞機構を保有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、COS、HEK293、NS/0、BHK、Y2/0、3T3又は骨髄腫細胞があるが、これに限定されない(これら細胞系の全ては、Collection Nationale des Cultures de Microorganismes、Paris、France又はAmerican Type Culture Collection、Manassas、VA、U.S.A.等の公共受託所から利用可能である)。

0107

組換えタンパク質の長期的な、高収率産生の場合には安定発現が好ましい。本発明の一実施形態において、抗体を安定して発現する細胞系を操作することができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、プロモーター、エンハンサー転写ターミネータポリアデニル化部位を含めた適当な発現調節エレメントの制御下にあるDNA、及び当業者に公知の他の適当な配列、並びに選択可能なマーカーで形質転換される。外来DNAの導入後に、操作した細胞を、強化培地中で1〜2日間増殖させることができ、次に選択培地に移動させる。組換えプラスミド上の選択可能なマーカーは、選択に対する抵抗性を付与し、細胞は染色体内にプラスミドを安定して組み込み、細胞系に広げることが可能になる。安定細胞系を構築する他の方法は、当業者に公知である。特に、部位特異的組み込みの方法が、開発されている。これらの方法によると、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位、及び他の適当な配列を含めた適当な発現調節エレメントの制御下にある形質転換DNAは、事前に切断した特定の標的部位宿主細胞ゲノムに組み込まれる(Moeleら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.、104(9):3055〜3060頁;米国特許第5,792,632号;第5,830,729号;第6,238,924号;WO 2009/054985;WO 03/025183;WO 2004/067753)。

0108

本発明によると、tk、hgprt又はaprt細胞それぞれにおいて単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223頁、1977年)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalskaら、Proc Natl Acad Sci USA 48: 202頁、1992年)、メチオニンスルホキシミド(sulfoximide)存在下におけるグルタミン酸シンターゼ選択(Adv Drug Del Rev、58:671頁、2006年及びLonza Group Ltd.社のウェブサイト又は文献)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Adv Drug Del Rev、58:671頁、2006年及びLonza Group Ltd.社のウェブサイト又は文献)遺伝子を含むがこれに限定されないいくつかの選択系を使用することができる。また、以下の遺伝子:メトトレキサート抵抗性を付与するdhfr(Wiglerら、Proc Natl Acad Sci USA 77:357頁、1980年);ミコフェノール酸抵抗性を付与するgpt(Mulliganら、Proc Natl Acad Sci USA 78:2072頁、1981年);アミノグリコシド、G-418抵抗性を付与するneo(Wuら、Biotherapy 3:87頁、1991年);及びハイグロマイシン抵抗性を付与するhygro(Santerreら、Gene 30:147頁、1984年)に対する選択の基礎として代謝拮抗薬抵抗性を使用することができる。組換えDNA技術の当技術分野において公知の方法を日常的に適用して、所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法については、例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(1993年)に記述されている。抗体の発現レベルは、ベクター増幅により増加させることができる。抗体を発現するベクター系においてマーカーが増幅可能な場合、培養中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子コピー数を増加させることになる。増幅された領域は、本発明のIgG抗体をコードしている遺伝子と関連するので、前記抗体の産生も増加することになる(Crouseら、Mol Cell Biol 3:257頁、1983年)。本発明の遺伝子を発現させる別法が存在し、当業者に公知である。例えば、本発明の遺伝子の上流にある発現調節エレメントを結合することができる修飾ジンクフィンガータンパク質を操作することができ;本発明の宿主細胞における前記操作されたジンクフィンガータンパク質(ZFN)の発現は、タンパク質産生の増加をもたらす(例えばReikら、Biotechnol. Bioeng.、97(5)、1180〜1189頁、2006年を参照のこと)。更に、ZFNは、予め定めたゲノム位置へのDNAの組み込みを刺激し、それにより高効率な部位特異的遺伝子付加を得ることができる(Moehleら、PNAS 104、3055頁、2007年)。

0109

本発明の抗体は、所望の抗体を発現するのに必要な培養条件下における形質転換した宿主細胞の培養を増殖させることにより調製することができる。次いで得られた発現抗体を、培養培地又は細胞抽出物から精製することができる。本発明の抗体の可溶形を、培養上清から回収することができる。次いで抗体は、免疫グロブリン分子を精製するための当業者に公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にFcの場合プロテインA親和性による、等)、遠心分離、差異的溶解性により、又はタンパク質精製のための他の任意の標準的技術により精製することができる。精製の適切な方法は、当業技術者にとって明らかであろう。

0110

従って、本発明の別の態様は、本発明による抗体又はその抗原結合断片を産生する方法であって、
a)適当な培養培地中で本発明の宿主細胞を増殖させる工程と
b)前記抗体を回収する工程と
を含むことを特徴とする方法に関する。

0111

上述の通り、本発明の抗体は、非常に高い親和性でIL-34を特異的に結合する。加えて、それらは、IL-34媒介細胞増殖及び細胞内シグナル伝達を阻害することができる。従って本発明の抗体は、IL-34依存的細胞シグナル伝達経路の望ましくない活性化を予防することができるので、IL-34が関与する様々な疾患の予防及び/又は治療に特に有利である。更に、本発明の抗体は、IL-34がその受容体に結合する前及び/又は後で非常に高い親和性でIL-34を結合することができるので、これら抗体の治療効率は増加する。

0112

本明細書では、用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」等は、障害(例えば、IL-34-関連障害)の症候及び/又はそれに伴う関連症候を減少若しくは改善させることを指す。排除するものではないが、障害又は症状を治療することが、それに伴う関連する障害、症状若しくは症候が完全に除去されることを必要としないことはいうまでもない。

0113

本明細書では、対象の疾患を「治療する」若しくは疾患を有する対象を「治療する」とは、疾患の程度を低下させる又は妨げるように、対象を薬物治療、例えば、薬物の投与に供することを指す。例えば、治療により、疾患の徴候若しくは症候又は症状の少なくとも1つが減少する。治療は、(これに限定されないが)医薬組成物等の組成物の投与を含み、予防的、又は病理学事象の開始後のいずれかに実行することができる。治療は、薬剤の投与及び/又は治療を2回以上必要とすることがあり得る。

0114

本明細書に記述される前記治療に供することができる「対象」は、ヒト、イヌネコヤギブタイノシシヒツジ及びサルを含めた任意の哺乳動物であることができる。ヒト対象は、患者として公知であり得る。一実施形態において、「対象」若しくは「患者」とは、IL-34シグナル伝達経路の不適当な活性化、例えば過剰活性化又は脱制御により特徴づけられる障害に影響を受けている哺乳動物のことを指す。「対照対象」とは、IL-34シグナル伝達経路が正しく活性化され、調節されている哺乳動物のことを指す。

0115

別の態様において、本発明は、本発明の抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物に関する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、本発明の抗体に加えて、様々な希釈剤充填材、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、及び当技術分野において周知の他の材料を含有することができる。

0116

本明細書では、「薬学的に許容可能な担体」には、溶媒、緩衝液塩溶液分散媒被覆剤抗菌及び抗真菌剤等張及び吸収遅延剤のいずれか及び全て、並びに生理的に適合するもの等がある。担体の型は、対象とする投与経路に基づいて選択することができる。様々な実施形態において、担体は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、経皮又は経口投与に適している。薬学的に許容可能な担体には、無菌の注射可能な溶液若しくは分散体を即時調製するための無菌の水性溶液若しくは分散体又は無菌の粉剤がある。薬学的に活性な物質のための媒体及び薬剤の使用は、当技術分野において周知である。静脈内注入用の典型的な医薬組成物は、無菌リンガー溶液250mL及び合剤100mgを含有するように作ることができる。非経口的に投与可能な化合物を調製するための実際の方法は、当業技術者に公知又は明らかであり、例えば、Remington's Pharmaceutical Science、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1985年)並びにその第18版及び第19版により詳細に記述されており、これらを参照により本明細書に組み込む。

0117

組成物中の抗IL-34抗体は、有効量で好ましくは処方される。「有効量」とは、必要な投薬量及び期間で、アミロイドプラーク形成の予防又は治療等所望の結果を達成するのに有効な量のことを指す。「治療上有効な量」とは、特定の病状の治療経過に影響を与えるのに十分な量を意味する。治療上有効な量は、薬剤の任意の有毒又は有害作用よりも治療的に有益な効果の方が価値のあるものでもある。

0118

治療適用の場合、本発明の抗IL-34抗体は、ボーラスとして若しくはある期間にわたる持続注入により静脈内で、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、鞘内、経口、局所的、又は吸入経路でヒトに投与できるものを含めて、上述したもの等薬学的に許容できる剤形で哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。

0119

量計画を調整して、最適な奏功を得ることができる。例えば、単回のボーラスを投与することができ、いくつかの分割用量を、時間をかけて投与することができ、又は用量を比例的に減少若しくは増加させることができる。本発明の組成物を対象に投与して、対象において細胞増殖活性に影響を与えることができる。本明細書では、用語「対象」は、アポトーシスを誘導できる生体を含み、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、サル及びそのトランスジェニック種等の哺乳動物、好ましくはヒトを特に含むものとする。

0120

投与経路、投薬スケジュール並びに最適なガレヌス形態は、患者に適した治療を確立する際に一般に考慮される基準、例えば患者の年齢若しくは体重、全身状態重症度、治療に対する耐性及び経験した副作用等に従って決定できるものと理解される。

0121

本発明の抗体は、IL-34関連障害を治療するのに特に有用である。本明細書では、「IL-34関連障害」とは、IL-34シグナル伝達経路の望ましくない活性化に起因する症状又は疾患のことを指す。そのような症状には、中でも、例えば、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚疾患、代謝疾患、脳疾患及び肝疾患がある。

0122

別の態様によると、本発明は、医薬としての、本発明の抗Il-34抗体又はその抗原結合断片に関する。

0123

本発明は、医薬としての本発明の医薬組成物にも関する。

0124

別の実施形態において、本発明は、IL-34により媒介される、及び/又はIL-34誘導シグナル伝達が関与する疾患の予防又は治療用の薬物及び/又は医薬を調製するための本発明による抗体若しくは医薬組成物の使用にも関する。

0125

特定の態様によると、本発明の抗体、又はその抗原結合断片若しくは医薬組成物は、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚疾患、代謝疾患、脳疾患及び肝疾患及び自己免疫疾患からなるリストから選択される疾患の予防又は/又は治療において使用される。

0126

特に、本発明の抗IL-34抗体は、急性又は慢性いずれの炎症も含めた任意の障害の予防又は治療に使用することができる。更に、全体としての腸と免疫系の間の関係のため、本発明の目的は、局所炎症(即ち、特定の組織又は一群の組織の炎症)又は全身的炎症いずれの予防若しくは治療にも使用することができる。

0127

慢性全身性炎症が、代謝疾患等いくつかの非免疫性疾患と相関したので、本発明の目的は、「非免疫性」と通常考えられている疾患の予防又は治療にも有用である。軽度の全身性炎症とも呼ばれる慢性全身性炎症を予防するために、本発明の抗体を使用してそのような疾患を治療することができる。表現「軽度の慢性炎症」は、その分野における一般的な意味で理解されるべきであり、即ち、健康対照者と比較して、TNF-α、IL-6、及びCRP等のサイトカインの全身的濃度の2〜3倍の増加によって特徴づけられる状態のことを指す。

0128

本明細書では、「炎症性疾患」とは、好ましくは、急性膵炎;ALS;アルツハイマー病;悪液質/摂食障害;喘息;アテローム性動脈硬化症;慢性疲労症候群発熱;糖尿病(例えば、インスリン糖尿病);糸球体腎炎;移植片対宿主拒絶反応;出血性ショック;痛覚過敏炎症性大腸疾患;変形性関節症乾癬性関節炎及び関節リウマチを含めた関節の炎症状態;脳虚血(例えば、外傷てんかん出血又は脳卒中の結果としての脳損傷、そのそれぞれは、神経変性に至る場合がある)を含めた虚血性傷害;肺疾患(例えば、ARDS);多発性骨髄腫;多発性硬化症;骨髄性(例えば、AML及びCML)及び他の白血病;ミオパシー(例えば、特に敗血症における筋肉タンパク代謝);骨粗鬆症;パーキンソン病;疼痛;早期陣痛;乾癬;再灌流障害;敗血症性ショック;放射線療法の副作用、一時性顎関節疾患腫瘍転移;又は緊張捻挫軟骨傷害、外傷、整形外科手術感染症若しくは他の疾患過程に起因する炎症状態のことを指す。

0129

本発明の特定の実施形態において、前記炎症性疾患は、炎症性大腸疾患から選ばれる。本発明によると、炎症性大腸疾患は、クローン病潰瘍性大腸炎憩室炎、及び感染性大腸炎を含む。

0130

本発明の特定の実施形態において、前記炎症性疾患は、関節リウマチ、変形性関節症、及び緊張、捻挫、外傷、感染症、軟骨傷害又は整形外科手術に起因する他の炎症状態から選ばれる。

0131

本発明の特定の実施形態において、前記炎症性疾患は、炎症性関節病、多発性硬化症、白血病、虚血性傷害、又は再灌流障害から選ばれる。

0132

本発明の抗体を使用して、例えば腎炎、乾癬、湿疹アレルギー性皮膚炎及び過敏性反応等の皮膚疾患並びにアルツハイマー病、髄膜炎、多発性硬化症及びエイズ認知症等の中枢神経系の疾患等の炎症性要素がある病状を治療することもできる。

0133

本発明の目的は、癌、アテローム性動脈硬化症、及び虚血性心疾患炎症過程病因論起源を持つ非免疫性疾患の治療又は予防に更に使用することができる。

0134

好ましい実施形態によると、抗IL-34抗体、若しくはその抗原結合断片を、炎症性疾患からなるリストから選択される疾患の治療若しくは予防に使用することができ、炎症性疾患は、リウマチ様多発性関節炎歯周炎、骨粗鬆症、人工関節周囲骨溶解シェーグレン症候群、アテローム性動脈硬化症、関節炎、炎症性及び自己免疫性皮膚病変、炎症性大腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、及び感染性大腸炎等)、アルツハイマー及び神経変性障害、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス誘発性肝線維症、薬物誘発性脂肪性肝炎等の肝線維症並びに例えば吸入物質関連線維症、薬物誘発性線維症、自己免疫性線維症、感染性線維症及び特発性肺線維症等の間質性肺線維症からなるリストから選択される。

0135

本明細書では、用語「癌」及び「癌性」とは、無秩序な細胞増殖により一般に特徴づけられる哺乳動物における生理的状態を指す又は記述する。本明細書では用語「癌」及び「癌性」は、疾患の全ての段階を包含することを意味する。従って、本明細書では「癌」は、良性悪性腫瘍の両方を含むことができる。

0136

本発明の一実施形態において、治療される癌は、骨溶解、骨肉腫(骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の巨細胞腫)、骨転移グリア芽細胞腫及び脳癌、肺癌聴神経腫急性白血病急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病(単核球性骨髄芽球性)、腺癌血管肉腫星状細胞腫、(骨髄単球性及び前骨髄球性)急性T細胞白血病、基底細胞癌胆管癌膀胱癌乳癌気管支癌子宮頸癌軟骨肉腫脊索腫絨毛癌慢性白血病慢性リンパ性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病大腸癌結腸直腸癌頭蓋咽頭腫嚢胞腺癌びまん性大細胞型B細胞リンパ腫異常増殖性変化(形成異常及び変質形成)、胎児性癌子宮内膜癌内皮肉腫上衣腫上皮癌赤白血病食道癌エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症線維肉腫濾胞性リンパ腫、生殖細胞精巣癌、神経膠腫、重鎖病、血管芽腫肝癌肝細胞癌ホルモン無感応性前立腺癌平滑筋肉腫脂肪肉腫、肺癌、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱胸部結腸卵巣膵臓前立腺、皮膚及び子宮の悪性腫瘍並びに高増殖性障害、T-細胞若しくはB細胞起源のリンパ様悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、髄様癌髄芽腫黒色腫髄膜腫中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病骨髄腫粘液肉腫神経芽細胞腫非小細胞肺癌、希突起膠腫口腔癌骨原性肉腫卵巣癌膵臓癌乳頭状腺癌乳頭状癌松果体腫真性赤血球増加、前立腺癌、直腸癌腎細胞癌網膜芽細胞腫横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、セミノーマ、皮膚癌小細胞肺癌固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌扁平上皮癌滑液膜腫、汗腺癌甲状腺癌ワルデンストレームマクログロブリン血症睾丸腫瘍子宮癌及びウィルムス腫瘍である。

0137

好ましい実施形態によると、本発明の抗IL-34抗体は、腫瘍骨溶解;骨肉腫(骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の巨細胞腫)、骨転移、グリア芽細胞腫並びに脳癌、及び肺癌からなるリストから選択される疾患を治療するのに有用である。

0138

本発明の抗IL-34抗体の疾患を予防又は治療する効果は、前記抗体を連続的に投与する或いは腫瘍壊死因子(TNF)、酸性若しくは塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、若しくは肝細胞増殖因子(HGF)の脈管形成活性を阻害若しくは中和することができるアンタゴニスト組織因子プロテインC若しくはプロテインSの凝固性活性を阻害若しくは中和することができるアンタゴニスト(WO 91/01753を参照のこと)、HER2受容体に結合することができる抗体等のアンタゴニスト(米国特許第5,772,997号を参照のこと)、又は例えば、アルキル化剤葉酸拮抗薬、核酸代謝の代謝拮抗薬、抗生物質ピリミジン類似体5-フルオロウラシルシスプラチンプリンヌクレオシドアミン、アミノ酸、トリアゾールヌクレオシド、若しくはコルチコステロイド等1つ若しくは複数の従来の治療的薬剤等、その目的に有効な別の薬剤と併用して投与することにより改善し得る。

0139

本発明の別の態様において、投与は、治療上有効な量の化学療法剤、例えばタキソール(パクリタキセル)又はタキソテール(ドセタキセル) 等の投与と併用される。

0140

化学療法剤には、限定するものではないが、ジテルペノイド及びビンカアルカロイド等の抗微小管剤;プラチナ配位化合物;ナイトロジェンマスタードオキサザホスホリンスルホン酸アルキルニトロソ尿素、及びトリアゼン等のアルキル化剤;アントラサイクリンアクチノマイシン及びブレオマイシン等の抗生物質;エピポフィトキシン等のトポイソメラーゼII阻害剤;プリン及びピリミジン類似体及び抗葉酸化合物等の代謝拮抗薬;カンプトテシン等のトポイソメラーゼI阻害剤;ホルモン及びホルモン類似体;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤;免疫療法剤;アポトーシス促進薬剤;並びに細胞周期シグナル伝達阻害剤がある。加えて、本発明の方法は、別の抗癌治療抗血管新生剤、若しくは化学療法剤又は放射線療法と組み合わせることができる。好ましい例は、ドセタキセル又はタキソテールである。他の例には、ゲムシタビン、シスプラチンジテルペノイド及びビンカアルカロイド、パクリタキセル、ビンブラスチンビンクリスチン、及びビノレルビンカルボプラチンシクロホスファミドメルファラン、及びクロラムブシルブスルファンカルムスチンダカルバジン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン、ダカルバジン、ダクチノマイシン等のアクチノマイシン、ダウノルビシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン、ブレオマイシン、エピポドフィロトキシン、エトポシド及びテニポシドを含むがそれだけには限らない抗新生物薬;代謝拮抗新生物剤、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビンメルカプトプリンチオグアニン、カンプトテシン、イリノテカンHCI並びにトポテカンHCIがある。

0141

様々な異なる化学療法剤又は抗癌ポリペプチドを選択することもできる。www.clinicaltrials.gov、www.ncbi.nlm.nih、並びにwww.drugs.com等の情報源は、選択できるポリペプチド及び薬剤の参照文献を含む。

0142

他のそのような薬剤、例えば抗血管新生剤若しくは化学療法剤は、投与される組成物で存在することができ又は別々に投与することもできる。本発明の一態様において、投与は、他の活性成分と共に同時に、別々に又は経時的に連続して、のいずれかで実行される。投与が同時に実行される場合、2つの活性成分は、錠剤又はゲルカプセル等2つの組成物を含む単一の医薬組成物に一体化することができる。他方、2つの活性成分は、同時に投与されるか否かを問わず、別々の医薬組成物で存在することができる。このために、組み合わせは、一方で、上述の抗IL-34抗体、並びに他方で、第2の活性成分を含むキットの形態であり、上述の抗IL-34抗体及び第2の活性成分は別々の画分であり、同時に、別々に、又は経時的に連続して投与されるものとする。

0143

本発明による組み合わせは、化学療法、タンパク質療法(即ち抗体又は組換えタンパク質等の治療的薬剤を使用する)、遺伝子療法、放射線療法、免疫療法外科的介入、又はこれらの組み合わせと併用して特に腫瘍療法に投与することができる。上述の通り、他の治療戦略の最中の補助療法としての長期間の療法が等しく考えられる。

0144

本発明の抗体又は抗体断片を使用して、生体サンプル中のIL-34をin vitro又はin vivoで検出することもできる。

0145

生体サンプル」は、対象から採取できる任意のサンプルであることができる。そのようなサンプルは、Il-34の存在の決定が可能でなければならない。従って、サンプルの性質は、障害の性質に依存的であることになる。癌が液性腫瘍である場合、Il-34の存在のための好ましい生体サンプルには、血液サンプル血漿サンプル、又はリンパ液サンプル等のサンプルがある。「液性腫瘍」により、血液又は骨髄の腫瘍、即ち白血病及び多発性骨髄腫等の血液学的悪性腫瘍について本明細書において言及される。好ましくは、生体サンプルは血液サンプルである。

0146

障害が固形癌である場合、本明細書では「生体サンプル」は、試験される患者の固形癌サンプルも含む。そのような固形癌サンプルにより、当業者は、本発明のバイオマーカーのレベルの任意の型の測定を実行できるようになる。いくつかの場合において、本発明による方法は、患者から固形癌サンプルを採取する予備工程を更に含むことができる。「固形癌サンプル」により、腫瘍組織サンプルについて言及される。癌性患者においても、腫瘍部位である組織は、非腫瘍の健康な組織をなお含んでいる。従って、「癌サンプル」は、患者から採取された腫瘍組織に限られるべきである。前記「癌サンプル」は、生検サンプル又は外科切除療法から採取したサンプルであることができる。

0147

一実施形態において、本発明の抗IL-34抗体を使用して、組織又は組織から得られる細胞中のIL-34のレベルが決定される。好ましい実施形態において、組織は病変組織である。方法の好ましい実施形態において、組織は腫瘍又はその生検である。本方法の好ましい実施形態において、組織若しくはその生検を患者から先ず切除し、組織若しくは生検中のIL-34のレベルを本発明の抗体又は抗体断片によるイムノアッセイで次いで決定することができる。別の好ましい実施形態において、IL-34のレベルは、凍結又は固定することができる組織若しくはその生検のサンプルで決定される。同じ方法を使用して、細胞表面レベル又は細胞局在性等IL-34タンパク質の他の特性を決定することができる。

0148

一態様において、本発明は、対象におけるIL-34の存在及び/又は位置をin vitroで検出する方法であって、
(a)前記対象のサンプルを上述の抗体又はその抗原結合断片と接触させる工程と、
(b)前記抗体とサンプルとの結合を検出する工程と
を含む方法を含む。

0149

抗IL-34抗体を使用して生体サンプル中のIL-34をin vitro又はin vivoで検出する能力は、患者におけるIL-34関連障害の存在を診断するのに有利である。上記の方法を使用して、患者におけるIL-34関連障害を診断することができ、前記患者において測定されるIL-34のレベルは、正常参照対象又は標準のそれと比較される。特に、前記方法を使用して、腫瘍がIl-34を発現しているかどうか決定することができ、そのIl-34は、腫瘍が本発明の抗体、抗体断片又は抗体コンジュゲートによる治療によく反応するであろうことを示唆できる。

0150

本明細書では、「診断」又は「対象を同定する」とは、個体が疾患若しくは病気(例えば、IL-34関連障害)に罹患しているかどうか決定する過程のことを指す。IL-34関連障害は、例えば患者の生体サンプル中のIl-34をin vitro又はin vivoで検出することにより診断される。

0151

別の態様において、本発明は、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚疾患、代謝疾患、脳疾患及び肝疾患及び自己免疫疾患からなるリストに引用した疾患のいずれか1つであることが既知である又はその疑いがある対象においてそのような疾患を診断する方法であって、
a)前記患者の細胞を本発明による抗体又はその抗原結合断片の1つと接触させる工程と、
b)前記細胞に対する前記抗体又はその抗原結合断片の結合を測定する工程と、
c)(b)における発現を正常な参照対象又は標準の発現と比較する工程と
を含む方法に関する。

0152

本発明は、研究又は診断適用に使用するために更に標識されるモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及びそのエピトープ結合断片を更に提供する。好ましい実施形態において、本発明は、本発明の抗体若しくはその抗原結合断片を少なくとも含むキットに関し、前記抗体又はその抗原結合断片は、好ましくは標識される。

0153

更に好ましい実施形態において、標識は放射性標識フルオロフォア発色団造影剤又は金属イオンである。

0154

前記標識抗体若しくはそのエピトープ結合断片を、癌若しくは炎症性疾患若しくは自己免疫疾患の疑いがある対象に投与し、対象の体内における標識の分布を測定又は監視する診断の方法も提供される。

0155

続く例は、本発明の範囲及び本開示の内容の単なる例示である。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく下記の例に対する多くの修飾を考案し、構築することができる。

図面の簡単な説明

0156

RNA抽出後の抗IL-34mRNA完全性のAgilent社の機器による解析を示す図である。
様々な濃度のIL-34に対するSPR相互作用曲線から得られた参照補正後のセンサグラムを示す図であり、IL-34と抗IL-34抗体との相互作用を示す。
50nM IL-34及び10nM抗IL-34に対するSPR相互作用曲線から得られた参照補正後のセンサグラムを示す図である。
抗IL-34抗体による単離したヒトCD14+単球の増殖/生存の阻害を示す図である。
抗IL-34抗体によるIL-34誘導細胞シグナル伝達の阻害を示す図である。
蛍光強度により測定したヒトCD14+生存度を示す図である。
組換えIL-34抗体(キメラ抗体クローンrec-BT34)と比較して、マウス抗IL-34抗体(BT34)による単離したヒトCD14+単球の増殖/生存の阻害を示す図である。
ウェスタンブロット及びウェスタンブロット定量化を示す図である。
組換えIL-34抗体(キメラ抗体クローンrecBT34)と比較して、マウス抗IL34抗体(クローンBT34)によるIL34誘導細胞シグナル伝達の阻害を示す図である。

0157

1.配列決定データ-マウスIL-34抗体
・過程の概要
a)細胞培養
b)トータルRNA抽出
c)RNAの逆転写(プライマーオリゴdT)
d)PCRによる可変鎖の増幅(様々なプライマー対)
e)シャトルベクターへのアンプリコンのクローニング
f)挿入物の配列決定
g)配列解析

0158

・RNA抽出
mRNA抽出の完全解析及び結果を、下記のtable 2(表2)に示す。

0159

0160

mRNA完全性の解析を、Agilent社機器を使用して行う(図1を参照のこと)。

0161

・B-T34モノクローナル抗体の配列決定
配列決定データをIgBlastデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)で解析した。抗体の完全な可変鎖に対応する配列を、付属配列表に示す。

0162

配列決定データの解析は、軽鎖及び重鎖可変ドメインをコードしているこの配列が完全であり、機能的であることを示す。

0163

2.本発明の抗IL-34抗体のキメラ化
本発明のキメラ抗IL-34抗体を以下の手順により得る:

0164

軽鎖及び重鎖の可変ドメインをコードしているDNA配列を、結紮制限(ligature restriction)により、重鎖(lgG1アイソタイプ)及び軽鎖(アイソタイプκ)のヒト定常ドメインそれぞれをコードし、重鎖PTT5ベクター及び軽鎖PTT5ベクターを形成している2つの型のPTT5発現ベクターに導入する。得られた配列を制御した後、これらの2つのベクターを増幅して、無血清撹拌モード条件で培養したHEK-EBNA細胞へのトランスフェクションを実行する。トランスフェクションを、リポフェクション薬剤(JET PEI)を使用することにより実施し、次いで細胞を、ゆっくり攪拌しながら1週間培養する。次いで、組換え抗体(キメラ抗体)の分泌を、トランスフェクション後2日毎にELISAアッセイ(キットFASTELISARD-Biotech社)を使用して監視する。細胞培養を7日後に停止し、上清を遠心分離により採取する。次いで、キメラ組換え抗体を、プロテインA(Repligen corp.社)に対する親和性クロマトグラフィーにより上清から精製する。精製した抗体を、SDS-PAGE電気泳動により試験し、その特異性をELISAにより、次いで元のマウス抗体の特性を制御することを可能にするバイオアッセイにより最初に制御する。

0165

3.抗IL-34抗体のヒト化
ヒト化工程の間に、キメラ抗体中に存在するマウス配列を各アミノ酸について解析し、データバンクと比較してヒト配列模倣する。5〜10個のヒト化バリアントの構築を、DNA新合成により実行する。これらのバリアント(ヒト化重鎖及びヒト化軽鎖)をコードしているDNAの合成後に、配列を、上述したPTT5ベクターに結紮制限によりサブクローニングする。次いで異なるバリアントをコードしているベクターを、同じ条件を使用して前述した同じ細胞へトランスフェクトして、上述のように精製される異なるヒト化抗体バリアントを得る。キメラ抗体についてこれらのバリアントの特徴づけ及び性能の解析を実行する。

0166

臨床的目的の場合、ヒト化抗体は、CHO細胞において産生できる。

0167

4.本発明の抗IL-34抗体と組換えタンパク質IL-34との相互作用の解析並びにKd、Kon及びKoffの測定。
4.1.方法及び材料
BIACore(商標)T100システムを使用して、抗IL-34と組換えIL-34との相互作用を解析した。

0168

以下のマイクロアレイ:CM5(CM-デキストラン、1-エチル-3-(3-ジアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を、GE Healthcare BIAcore社より購入し、製品指示に従って使用した。

0169

ポリクローナル抗マウス抗体を、CM5マイクロアレイ表面に共有結合的に固定し、それによりリガンドとしてIL-34抗体を捕捉できるようにした。抗IL-34の捕捉レベルは、700〜1000RU(共鳴単位)からなる。

0170

上で示した通りなしで、対照チャネル抗IL-34を調製して、マイクロアレイの表面に対する非特異的相互作用を評価した。

0171

これらの相互作用を、タンパク質IL-34(PeproTech社Ref 200-34、C末端にHisタグを持ちシグナルペプチドがない全長タンパク質)の段階希釈により得られた異なる濃度のIL-34を加えることによりHBS-P+緩衝液(HEPES10mM pH 7.4;NaCl 150mM;P20 0.05%)中で、25℃で実行した。

0172

相互作用速度論を、各追加間での再生なしに実行する。

0173

再生を、固定化されているポリクローナル抗体から抗体IL-34を解離させることができる10mMグリシン-HCl緩衝液pH=1.7を加えることにより実行する。

0174

4.2.結果
得られた結果を、図2のセンサグラムにより示す。センサグラムを、下記のtable 3(表3)に示す得られた値を調整可能にする1:1数学パターンにより解析した。

0175

0176

得られたセンサグラムは、IL-34と抗IL-34抗体BT34の間の遅い会合(Kaは、約3×104M-1S-1である)及び非常に低い解離(Kd<10-6s-1)を示す。

0177

従って、これらの結果は、IL-34と抗IL-34抗体の間の相互作用が非常に安定しており、結果として結合活性が非常に高いことを明らかに実証する。

0178

更にまた、IL-34及び抗IL-34抗体相互作用の間に得られた解離が非常に弱いので、現在使用されているツールによりそれを決定することはできなかった。

0179

5.受容体の固定化
5.1.方法及び材料
表面プラスモン共鳴(SPR)の測定を、BIACore T100で実行した。マイクロアレイCM5(CM-デキストラン、1-エチル-3-(3-ジアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を、GE Healthcare BIAcore社より購入し、製品指示に従って使用した。

0180

リガンド、M-CSF受容体(R&D Systems社、ref:329-MR)を、CM5マイクロアレイ表面に共有結合的に固定した。抗IL-34の捕捉レベルは、600〜800RUからなる。

0181

以前に示した通りタンパク質のない対照チャネルを調製して、マイクロアレイの表面に対する非特異的相互作用を評価した。

0182

これらの相互作用は、HBS-P+緩衝液(HEPES10mM pH 7.4;NaCl 150mM;P20 0.05%)中で、25℃で実行した。

0183

マイクロアレイは、各相互作用の前に再生した。

0184

5.2.結果
陽性対照:相互作用IL-34/M-CSF-R
異なる濃度(10nM、20nM及び50nM)のIL-34タンパク質を、固定化した受容体M-CSF-Rを含むマイクロアレイ表面に加えた。約20RUの相互作用シグナルを、50nM IL-34だけで観察した。

0185

より低レベルの固定化(約100〜200RU)に対して以前に実行したアッセイ(マイクロアレイ表面における受容体捕捉)の間に、相互作用シグナルを、20nMIL-34を加えた後に観察した。

0186

上の結果は、いくつかの型の受容体がマイクロアレイ表面に固定化されていることを示す。

0187

前述の通り、マイクロアレイ表面での受容体固定化が弱かったので、マイクロアレイの再生は困難であった。

0188

従って、抗体の濃度を増加させながらIL-34/抗IL-34抗体を評価することは困難であった。

0189

このため、誤りのないアッセイを実行するために、評価した各濃度の抗IL-34抗体BT34に対して、上で指示した通り新規のマイクロアレイを実行した。

0190

陰性対照
10nM抗IL-34抗体を、マイクロアレイ表面に注入した。シグナルが観察されなかったことは、抗IL-34抗体とM-CSF-R受容体の間に相互作用がないことを示している。

0191

・阻害アッセイ
阻害アッセイを実行して、IL-34とM-CSF-Rの間の相互作用中に放射されるシグナルを測定した。

0192

IL-34タンパク質を、大量の抗IL-34抗体BT34(50nM/1μM)とインキュベートした。これらの実験条件において、シグナルは全く観察されなかった。これは、高濃度の抗IL-34抗体の存在下で、IL-34タンパク質がその受容体と相互作用しないことを示す。

0193

その後、50nMIL-34タンパク質をマイクロアレイ表面に注入した。

0194

図3に示す通り、得られたセンサグラム(約30RU)は、IL-34とその受容体の間の相互作用が安定であることを実証する。

0195

その後、10nM抗IL-34抗体を注入し、IL-34と抗IL-34抗体の相互作用を実証するシグナルを観察した(図3)。

0196

これらのアッセイは、IL-34が、マイクロアレイ表面でその受容体M-CSF-Rと相互作用することを実証する。IL-34がその受容体に結合しているときに抗体がIL-34と相互作用することができても、IL-34とその受容体の相互作用の前に抗IL-34抗体をIL-34とインキュベートする場合、このタンパク質とその受容体の間の相互作用は阻害される。

0197

従って、これらのデータは、抗IL-34抗体エピトープが、IL-34とその受容体の間の相互作用部位固有であり、阻害効果が、複合体タンパク質/抗体の立体配置によることを実証する。

0198

結果的に、本発明の抗体は、IL-34がその受容体に結合されている場合でもサイトカインIL-34を結合することができ、これら抗体の治療効率を増加させ得ることが実証される。

0199

6.細胞増殖に対するマウス抗IL-34抗体の阻害効果
6.1.材料及び方法
・ヒトCD14+単球の単離及び細胞増殖の解析
ヒトCD14+単球を、MACSマイクロビーズ(MiltenyiBiotec社、ドイツ)を使用することにより、フラン血液銀行機関(Etablissement Francais du Sang、Nantes、フランス、承認番号:NTS 2000-24)により提供されるヒト末梢血ドナーから最初に単離した。細胞を、25ng/mL又は50ng/mL IL-34の存在下で抗IL-34抗体の濃度増加有り無しで培養した。CD14+生存/増殖に対する処理の効果を、Alamar Blue(登録商標)アッセイを使用して代謝活性を測定することにより決定した。ウェル当たり40000個の細胞を、α-MEM及び対応する処理が入った96ウェルプレートに入れた。3日後に、Alamar blue(登録商標)試薬を添加し、生じた蛍光線形範囲(励起530nm/放射600nm)で読み取った。

0200

6.2.結果
抗体マウス抗IL-34(クローンBT34)が、IL-34依存的細胞増殖を阻害することができるかどうか試験するために、IL-34刺激単球に量を増加させながら抗体を添加した。図4に示すように、この抗体は、およそ5μg/mLの濃度でCD14+細胞の約70%の増殖を妨げることができた。同じレベルの阻害が、より高い濃度の抗体で観察された。それに対し、他のIl-34抗体(20D1及び26D9)は、そのような強い効果をもたらすことができなかった。最終的に、第3の抗IL-34対照抗体は、低い濃度(およそ5μg/mL)で単球の約70%の増殖を妨げた。しかしながら、より高い濃度の抗体を使用したときに阻害のパーセンテージが低下したことから、この抗体の有用性に疑いが起こった。他方、5又は25μg/mLのいずれを使用しても、BT34は同じレベルの阻害をもたらした。

0201

従って、BT34抗IL-34抗体は、癌等の増殖性疾患を予防及び/又は治療するために良好に使用することができる。

0202

7.細胞シグナル伝達に対するマウス抗IL-34抗体の阻害効果
7.1.材料及び方法
ウェスタンブロット解析
2mg/mL抗Il-34抗体(クローン1D8、2E8、BT34、10E5、17G6、20D1、26D9、28B7)の有り無しで50ng/mLヒトIL-34で10分間処理した又はしていないM-CSFR発現細胞を、RIPA緩衝液(プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤の混合物:1mMオルトバナジン酸ナトリウム(Na2VO4)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、10mMフッ化ナトリウム(NaF)、10mM N-エチルマレイミド(NEM)、2μg/mLロイペプチン並びに1μg/mLペプスタチンを含有する10mM Tris pH8、1mMEDTA、150mM NaCl、1% NP40、0.1% SDS)に採集した。タンパク質濃度を、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイ(SigmaAldrich社)を使用して決定した。全タンパク質抽出物40μgを、Laemmli緩衝液(62.5mM Tris-HCl、pH 6.8、2%SDS、10%グリセロール、5%2-メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブルー)中に調製し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により次いで分離した。電気泳動転写後に、immobilonP膜(Millipore社、Molsheim、フランス)を、一次抗体ブロットした。ヒトP- MCSFR(Tyr-723)、P-Erk1/2、及びタンパク質の全形態に対して作られた一次抗体を、Cell Signalling社(Ozyme、Saint Quentin Yvelines、フランス)から購入した。膜を、西洋わさびペルオキシダーゼと結合されている二次抗体で、次いでプローブした。抗体結合を、Pierce enhanced chemiluminescence(ECL)キット(ThermoSientific社、lllkirch、フランス)で可視化した。電荷結合素子(CCD)カメラで検出した発光を、GeneToolsプログラム(Syngene社、Cambridge、英国)を使用して定量化した。

0203

7.2.結果
図5に示すように、MCSF受容体のIL-34依存的Tyrリン酸化は、BT34抗体により遮断される。同様に、ERK 1/2の活性化が、この抗体により妨げられる。これらの結果は、細胞のIL-34媒介増殖を阻害するBT34の能力と一致する。

0204

8.組換え抗IL-34(キメラ抗体recBT34)の阻害効果と比較した細胞増殖に対するマウス抗IL-34抗体の阻害効果
8.1.材料及び方法
・ヒトCD14+単球の単離及び細胞増殖の解析
ヒトCD14+単球を、MACSマイクロビーズ(MiltenyiBiotec社、ドイツ)を使用することにより、フランス血液銀行機関(Etablissement Francais du Sang、Nantes、フランス、承認番号:NTS 2000-24)により提供されるヒト末梢血ドナーから最初に単離した。細胞を、IL-34の存在下で組換え抗IL-34抗体(キメラ抗体recBT34)及びマウス抗IL-34抗体(クローンBT34)と共に培養した。CD14+生存/増殖に対する処理の効果を、Alamar Blue(登録商標)アッセイを使用して代謝活性を測定することにより決定した。ウェル当たり40000個の細胞を、α-MEM及び対応する処理が入った96ウェルプレートに入れた。3日後に、Alamar blue(登録商標)試薬を添加し、生じた蛍光を線形範囲(励起530nm/放射600nm)で読み取った。

0205

8.2.結果
図6(A及びB)に示すように、組換え抗IL-34(rec-BT34)抗体は、ヒトCD14+細胞生存度を、マウスIL-34抗体(クローンBT34)より効率的に著しく阻害した。

0206

従って、組換え抗IL-34抗体も、癌等の増殖性疾患を予防及び/又は治療するために良好に使用することができる。

0207

9.細胞シグナル伝達に対する組換えIL-34抗体(キメラ抗体recBT34)の阻害効果と比較したマウス抗IL-34抗体(クローンBT34)の阻害効果
9.1.材料及び方法
・ウェスタンブロット解析
0.4μg/mL若しくは2g/mLマウス抗Il-34抗体(クローンBT34)及び0.4μg/mL又は2g/mL組換え抗IL-34抗体(rec-BT34)と共に50ng/mLヒトIL-34で10分間処理したM-CSFR発現細胞を、RIPA緩衝液(プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤の混合物:1mMオルトバナジン酸ナトリウム(Na2VO4)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、10mMフッ化ナトリウム(NaF)、10mM N-エチルマレイミド(NEM)、2μg/mLロイペプチン並びに1μg/mLペプスタチンを含有する10mM Tris pH8、1mMEDTA、150mM NaCl、1% NP40、0.1% SDS)に採集した。タンパク質濃度を、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイ(SigmaAldrich社)を使用して決定した。全タンパク質抽出物40μgを、Laemmli緩衝液(62.5mM Tris-HCl、pH 6.8、2%SDS、10%グリセロール、5%2-メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブルー)中に調製し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により次いで分離した。電気泳動転写後に、immobilonP膜(Millipore社、Molsheim、フランス)を、一次抗体でブロットした。ヒトP-MCSFR(Tyr-723)、P-Erk1/2、及びタンパク質の全形態に対して作られた一次抗体を、Cell Signalling社(Ozyme、Saint Quentin Yvelines、フランス)から購入した。膜を、西洋わさびペルオキシダーゼと結合されている二次抗体で、次いでプローブした。抗体結合を、Pierce enhanced chemiluminescence(ECL)キット(ThermoSientific社、lllkirch、フランス)で可視化した。電荷結合素子(CCD)カメラで検出した発光を、GeneToolsプログラム(Syngene社、Cambridge、英国)を使用して定量化した。

0208

9.2.結果
図7(A及びB)に示すように、MCSF受容体のIL-34依存的Tyrリン酸化は、全ての抗IL-34抗体により遮断される。同様に、ERK 1/2の活性化が、この抗体により妨げられる。これらの結果は、細胞のIL-34媒介増殖を阻害する抗IL-34抗体の能力と一致する。

実施例

0209

図7(A及びB)は、組換え抗IL-34抗体(キメラ抗体recBT34)が、マウス抗IL-34抗体BT34と比較して類似の様式でMCSFR過剰発現HEK293におけるhIL-34誘導シグナル伝達を阻害することも示す。
(参考文献)

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    【課題・解決手段】生体ガスを連続的に採取するとともに、採取した生体ガスからの対象物質の測定を即時に、かつ、経時的に行うことの可能な生体ガス計測装置を提供する。身体に対向する側に開口部11を有するととも... 詳細

  • 森永乳業株式会社の「 生菌数の測定方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】1種類又は複数種類の細菌を含む被検体から、簡便でありながら精度のよい特定のビフィズス菌の生菌数の測定方法を提供すること。1種類又は複数種類の細菌を含む被検体からビフィドバクテリウム・... 詳細

  • 積水メディカル株式会社の「 リアルタイムPCRによる核酸検出方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】本発明は、ろ紙に血液を含ませた後乾燥させたろ紙血の紙片中に含まれる標的核酸を、核酸増幅反応を利用して増幅した産物をリアルタイムPCRにより光学的に検出する方法及び定量する方法、さらにはこれらの... 詳細

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