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技術 侵入するDNAウイルスに対する植物の抵抗能力を高めるための方法

出願人 中国科学院遺伝与発育生物学研究所
発明者 ツァイシアガオシアンジーフアウェイジャン
出願日 2016年3月14日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-548173
公開日 2018年3月22日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2018-507705
状態 未査定
技術分野 植物の育種及び培養による繁殖 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 相対含有量 コアエレメント 国タイプ 複製機 配列規則 目的植物 ローリングサークル型複製 レシピエント植物
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
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図面 (5)

課題・解決手段

本発明は、DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を高めるための方法であって、以下:1)DNAウイルスのゲノム配列から1つの配列を選択してこれを標的配列とし、ここで該配列は5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列規則したがうものとし、かつ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を合成するステップ、2)前記DNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクター構築して、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質発現させることができる組換えベクターを得るステップ、3)前記組換えベクターをレシピエント植物に導入するステップを含む方法を提供する。前記本発明の方法を、DNAウイルスの配列が既知である2本鎖DNAウイルスおよび中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスに広く適用することができる。

概要

背景

概要

本発明は、DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を高めるための方法であって、以下:1)DNAウイルスのゲノム配列から1つの配列を選択してこれを標的配列とし、ここで該配列は5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列規則したがうものとし、かつ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を合成するステップ、2)前記DNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクター構築して、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質発現させることができる組換えベクターを得るステップ、3)前記組換えベクターをレシピエント植物に導入するステップを含む方法を提供する。前記本発明の方法を、DNAウイルスの配列が既知である2本鎖DNAウイルスおよび中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスに広く適用することができる。

目的

本発明の一目的は、DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物の製造方法であって、以下:(1)抵抗すべきDNAウイルスのゲノム配列から多数の標的配列を選択し、それぞれ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を設計しかつ合成するステップ、ここで、該標的配列は、5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列を有し、Nは、A、G、CおよびTのうちのいずれか1つを表し、14≦X≦30であってかつXは整数であり、NXは、X個の連続したデオキシリボヌクレオチドを表す、(2)ステップ(1)で得た前記DNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクター構築することにより、多数の組換えベクターを得るステップ、ここで、該組換えベクターは、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質発現させることができ、該ガイドRNAは、crRNAとtracrRNAとの間の塩基対形成により形成される回文構造を有するRNAであり、該crRNAは、前記DNA断片から転写されたRNA断片を含む、(3)前記組換えベクターをそれぞれレシピエント植物に導入し、該レシピエント植物から、前記DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得るステップを含み、前記DNAウイルスは、2本鎖DNAウイルスであるか、または中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスである方法。

請求項2

DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法であって、以下(a)および(b):(a)以下(a1)〜(a3):(a1)抵抗すべきDNAウイルスのゲノム配列から多数の標的配列を選択し、それぞれ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を設計しかつ合成するステップ、ここで、該標的配列は、5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列を有し、Nは、A、G、CおよびTのうちのいずれか1つを表し、14≦X≦30であってかつXは整数であり、NXは、X個の連続したデオキシリボヌクレオチドを表す、(a2)ステップ(a1)で得た前記DNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターを構築することにより、多数の組換えベクターを得るステップ、ここで、該組換えベクターは、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質を発現させることができ、該ガイドRNAは、crRNAとtracrRNAとの間の塩基対形成により形成される回文構造を有するRNAであり、該crRNAは、前記DNA断片から転写されたRNA断片を含む、(a3)前記組換えベクターをそれぞれレシピエント植物(1)に導入し、該レシピエント植物(1)から、前記DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得て、ここで該植物を目的植物と命名するものとし、該目的植物に導入された前記組換えベクター中のDNA断片を目的DNA断片と特定するステップを含む方法により、目的DNA断片を得るステップ、(b)前記目的DNA断片から、ステップ(a2)および(a3)にしたがって、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターを構築し、かつ得られた該組換えベクターをレシピエント植物(2)に導入し、それにより前記DNAウイルスに対する該レシピエント植物(2)の抵抗能力を改善するステップを含み、前記DNAウイルスは、2本鎖DNAウイルスであるか、または中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスであり、前記レシピエント植物(1)と前記レシピエント植物(2)とは、同一であっても異なってもよい方法。

請求項3

前記CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターが、pHSN401ベクターである、請求項1または2記載の方法。

請求項4

前記組換えベクターが、前記pHSN401ベクターの2つのBsaI部位の間に前記DNA断片を挿入することにより得られる組換えプラスミドである、請求項3記載の方法。

請求項5

Xが20である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。

請求項6

前記植物が、単子葉植物または双子葉植物である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。

請求項7

前記双子葉植物がタバコである、請求項6記載の方法。

請求項8

前記DNAウイルスがジェミニウイルスである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。

請求項9

前記ジェミニウイルスがビートシビアカーリートップウイルス(Beetseverecurlytopvirus)である、請求項8記載の方法。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、植物遺伝子工学の分野に属し、侵入するDNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法に関する。

0002

技術的背景
DNAウイルスは自然界に広く存在し、細菌、動物および植物において多数の宿主を有する。最も知られているDNAウイルスは重度感染症を引き起こし、結果として実用作物および哺乳類(ヒトを含む)において著しい損失が生じる。例えば、ジェミニウイルスは植物における1本鎖DNAウイルスの一ファミリーであり、これは双生粒子を有する唯一ウイルス種である。これは、知られている最大の1本鎖DNAウイルスファミリーである。ジェミニウイルスのゲノムは単一成分である場合も2成分である場合もあり、約2.5〜3.1kbのサイズを有する。ジェミニウイルスは昆虫により伝染し、そのほとんどは植物の篩部に感染する。現在、ジェミニウイルスによって作物、例えばトマトキャッサバおよび綿花において莫大な損失が生じたことが報告されている。1991年から1992年にかけて、このウイルスにより米国フロリダ州におけるトマト生産において1億4000万ドルの損失が生じた。1992年から1997年にかけて、コットンリーフカールウイルスによりパキスタンにおいて50億ドルの損失が生じた。キャッサバに関しては、毎年世界中で10億ポンドの損失が生じた。1999年には、ジェミニウイルスの危険性を明らかにすべく、Scienceにおいて特別報告”Geminiviruses Emerge as Serious Crop Threat”が発表された。

0003

ジェミニウイルスに抵抗するための従来の方法は主に、DNAウイルスの複製の阻止、またはその病原性タンパク質発現の妨害に重点を置いている。ジェミニウイルスの複製機序は、比較的保存されている。宿主細胞への侵入後、ウイルスのDNAにより、複製に関与するタンパク質が発現される。その後、このタンパク質はウイルスのゲノムにおける複製起点に結合して、このDNAウイルスの複製を開始する。ジェミニウイルスの1本鎖DNAが宿主細胞に入ると、この1本鎖DNAにしたがって相補鎖が合成されて、2本鎖中間体dsDNA)が形成される。このウイルスは、複製に関与するタンパク質(Rep)および複製エンハンサータンパク質(Ren)のみをコードする。このRepタンパク質が2本鎖DNAにおける複製起点に結合し、かつ保存された配列TAATATTACにニックを生成することにより、ローリングサークル型複製が開始される。したがって、完全長外来性Repタンパク質またはその一部を導入してこの内因性Repタンパク質と競合させることにより、ジェミニウイルスの複製を阻害することができる。しかしこの技術の使用は、例えば高発現、宿主細胞の成長の妨害および非汎用性といった欠点により制限される。RNAiを用いてウイルスの病原性タンパク質の発現を妨害することによりウイルス抵抗性を達成するという、他の報告が存在する。この技術は相同性に依存するため、汎用的ではない。2005年にはTakashi Seraにより、ジンクフィンガー結合タンパク質が2本鎖DNAに特異的に結合することに基づきジェミニウイルスの複製を阻害するための方法が開発された。モデルとして、ビートシビアカーリートップウイルス(Beet severe curly top virus、BSCTV)が使用された。ウイルスの複製を防ぐべく外来性の人工ジンクフィンガータンパク質(artificial zinc finger protein:AZP)を導入し、これを、2本鎖中間体の複製起点への結合に関して、ウイルスの複製を開始するタンパク質Repと競合させた。しかしこの方法は、複製を開始するタンパク質としてのRepを有するジェミニウイルスに対してしか機能せず、したがってDNAウイルスに対する広範な抵抗性をもたらしうるものではない。

0004

近年、侵入する2本鎖DNA断片、例えばファージおよびプラスミドを特異的に除去しうる適応免疫応答系が細菌において存在することが判明した。そのような免疫系は、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat、CRISPR)配列、トランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)およびCRISPRに関与する遺伝子(Cas遺伝子)を構成要素とする。ウイルスのDNA断片のいくつかがCRISPR反復配列内に記録され、その後、このウイルスの配列を含むCRISPR RNAが発現しうる。再度ウイルスが細胞に侵入すると、このCRISPR RNAはtracrRNAの助けを借りて、Cas遺伝子によりコードされるエンドヌクレアーゼが外来性のウイルスの2本鎖DNAを認識しかつ分解するよう、該エンドヌクレアーゼを誘導ガイド)する。

0005

Cas遺伝子のコアエレメントの配列間の相違により、CRISPR/Cas免疫系を、I種、II種およびIII種の3種類に分類することができる。I種およびIII種では、2本鎖DNAを切断するための複合体を形成させるには、Cas遺伝子によりコードされるタンパク質が複数必要であるのに対して、II種ではCas9タンパク質しか必要とされない。したがって、II種のCRISPR/Cas系が最も広く使用されている。近年の研究により、crRNAとtracrRNAとを、人工合成により単鎖ガイドRNA(sgRNA)へと融合させうることが判明した。そのようなsgRNAは、Cas9エンドヌクレアーゼが標的部位でDNAを切断するよう、該Cas9エンドヌクレアーゼを誘導することができる。

0006

類似のCRISPR/Cas系を真核生物に導入することができれば、真核生物のウイルス抵抗性が著しく改善されるであろう。

0007

発明の概要
本発明の一目的は、DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物の製造方法を提供することである。

0008

本発明のDNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物の製造方法は特に、以下:
(1)DNAウイルスのゲノム配列から多数の標的配列を選択し、それぞれ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を設計しかつ合成するステップ、ここで、該標的配列は、5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列を有し、Nは、A、G、CおよびTのうちのいずれか1つを表し、14≦X≦30であってかつXは整数であり、NXは、X個の連続したデオキシリボヌクレオチドを表す、
(2)ステップ(1)で得た前記複数のDNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクター構築することにより、複数の組換えベクターを得るステップ、ここで、該組換えベクターは、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質を発現させることができ、該ガイドRNAは、crRNAとtracrRNAとの間の塩基対形成により形成される回文構造を有するRNAであり、該crRNAは、前記DNA断片から転写されたRNA断片を含む、
(3)前記複数の組換えベクターをそれぞれレシピエント植物に導入し、該レシピエント植物から前記DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得るステップを含むことができ、
ここで、前記DNAウイルスは、2本鎖DNAウイルスであるか、または中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスである。

0009

本発明はまた、DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物の製造方法であって、特に以下:
1)DNAウイルスのゲノム配列から1つの標的配列を選択するステップ、ここで、該標的配列は、5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列を有し、Nは、A、G、CおよびTのうちのいずれか1つを表し、14≦X≦30であってかつXは整数であり、NXは、X個の連続したデオキシリボヌクレオチドを表す、
2)CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用組換えベクターを構築するステップ、ここで、該組換えベクターは、ステップ1)の前記標的配列を特異的に狙うガイドRNAを転写し、かつCas9タンパク質を発現させることができる、
3)前記複数の組換えベクターを植物に導入することにより、DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得るステップ
を含む方法を提供する。

0010

いくつかの実施形態において、前記DNAウイルスは、2本鎖DNAウイルスであるか、または中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスである。前記CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用組換えベクターは、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質を発現させることができる。前記ガイドRNAは、crRNAとtracrRNAとの間の塩基対形成により形成される回文構造を有するRNAである。

0011

本発明の他の目的は、DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法を提供することである。

0012

本発明のDNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法は特に、以下(a)および(b):
(a)以下(a1)〜(a3):
(a1)抵抗すべきDNAウイルスのゲノム配列から多数の標的配列を選択し、それぞれ該標的配列に対して逆相補的であるDNA断片を設計しかつ合成するステップ、ここで、該標的配列は、5’−NX−NGG−3’または5’−CCN−NX−3’の配列を有し、Nは、A、G、CおよびTのうちのいずれか1つを表し、14≦X≦30であってかつXは整数であり、NXは、X個の連続したデオキシリボヌクレオチドを表す、
(a2)ステップ(a1)で得た前記複数のDNA断片からCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターを構築することにより、複数の組換えベクターを得るステップ、ここで、該組換えベクターは、ガイドRNAを転写しかつCas9タンパク質を発現させることができ、該ガイドRNAは、crRNAとtracrRNAとの間の塩基対形成により形成される回文構造を有するRNAであり、該crRNAは、前記DNA断片から転写されたRNA断片を含む、
(a3)前記複数の組換えベクターをそれぞれレシピエント植物(1)に導入し、該レシピエント植物(1)から、前記DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得て、ここで該植物を目的植物と命名するものとし、該目的植物に導入された前記組換えベクター中のDNA断片を目的DNA断片と特定するステップ
を含む方法により、目的DNA断片を得るステップ、
(b)前記目的DNA断片から、ステップ(a2)および(a3)にしたがって、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターを構築し、かつ得られた該組換えベクターをレシピエント植物(2)に導入し、それにより前記DNAウイルスに対する該レシピエント植物(2)の抵抗能力を改善するステップ
を含むことができ、
ここで、前記DNAウイルスは、2本鎖DNAウイルスであるか、または中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖DNAウイルスであり、前記レシピエント植物(1)と前記レシピエント植物(2)とは、同一であっても異なってもよい。

0013

上記方法において、「該レシピエント植物(レシピエント植物(1))から、前記DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物を得る」ことは、以下を含む方法により達成される:
(I)ステップ(3)において、レシピエント植物(またはレシピエント植物(1))に対照として空ベクターを導入するステップ、ここで、該空ベクターは、前記DNA断片が挿入されていないCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターである、
(II)前記組換えベクターを保有する多数のレシピエント植物(またはレシピエント植物(1))に前記DNAウイルス発現用ベクターを導入することにより多数の植物(A)を得て、前記空ベクターを保有するレシピエント植物に前記DNAウイルス発現用発現ベクターを導入することにより植物(B)を得て、そして該植物(A)および該植物(B)におけるDNAウイルス含有量を検出し、該植物(B)よりも著しく(P<0.05)低いDNAウイルス含有量を有する植物を該植物(A)から選択することにより、植物A’を得るステップ、ここで、該植物A’に対応する組換えベクターを保有するレシピエント植物(またはレシピエント植物(1))が、DNAウイルスに対する改善された抵抗能力を有する植物である。

0014

前記「該植物(B)よりも著しく低いDNAウイルス含有量を有する植物を該植物(A)から選択する」ステップは好ましくは、植物(B)よりも著しく(P<0.01)低いDNAウイルス含有量を有する植物を植物(A)から選択することを含むか、または好ましくは、いかなる病害表現型をも有しない植物を植物(A)から選択することを含む。

0015

前記方法のステップ(2)および(a2)において、RNA断片は、標的断片相補的に結合しうる。標的断片とは、2本鎖DNAウイルスのゲノム内の配列であるかまたは1本鎖DNAウイルスの2本鎖DNA中間体内の配列であって、ステップ(1)における配列「NX」に相当する配列である。

0016

前記方法のステップ(b)において、レシピエント植物(2)内の組換えベクターによって、転写によりガイドRNAが合成されかつCas9タンパク質が発現される。このガイドRNAとCas9タンパク質とにより形成されるCRISPR/Cas9ヌクレアーゼにより、レシピエント植物(2)においてDNAウイルスの複製を阻害することができ、それによりDNAウイルスに対するレシピエント植物(2)の抵抗能力を改善することができる。特に、ガイドRNAとCas9タンパク質とにより形成されるCRISPR/Cas9ヌクレアーゼにより標的断片が切断され、それによりレシピエント植物(2)におけるDNAウイルスの複製が阻害される。

0017

本発明の特定の一実施形態において、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ発現用ベクターは、pHSN401ベクターである。それに応じて、組換えベクターは、pHSN401ベクターの2つのBsaI部位にDNA断片を順方向に挿入することにより得られる組換えプラスミドである。

0018

本発明の特定の一実施形態において、前記Xは、20である。

0019

本発明の特定の一実施形態において、前記植物は、双子葉植物である。

0020

本発明の特定の一実施形態において、前記植物はタバコであり、例えばニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)である。

0021

本発明の一実施形態において、前記DNAウイルスはジェミニウイルスであり、特にビートシビアカーリートップウイルス(Beet severe curly top virus、BSCTV)である。それに応じて、標的配列(表1)にしたがって設計されたDNA断片は、表2に挙げた配列のうちのいずれか1つである。前記目的DNA断片は、表2に挙げた配列のうちのいずれか1つ(すなわち、配列番号1〜15のうちのいずれか1つの相補的配列)である。好ましくは前記目的DNA断片は、表2に挙げた配列のうちのいずれか1つから、V4およびV9を除いたもの(すなわち、配列番号1〜3、4〜8および10〜15のうちのいずれか1つの逆相補的配列)である。より好ましくは前記目的断片は、V4またはV9(すなわち、配列番号7または8の逆相補的配列)である。前記発現ベクター(すなわち、上記「前記DNAウイルス発現用発現ベクター」)は、プラスミドpCambiaBSCTV1.8である。プラスミドpCambiaBSCTV1.8は、以下を含む方法により得られる:(a1)pCambia1300ベクターのEcoRIとBamHIとの間に配列番号16のDNA断片を順方向に挿入することにより、中間体ベクターを得るステップ、(a2)前記中間体ベクターのEcoRI部位に配列番号17のDNA断片を挿入することにより、プラスミドpCambiaBSCTV1.8を得るステップ。

0022

本発明の方法は、細菌の免疫系を模擬する。ウイルス中の標的部位を特異的に認識するsgRNAが植物中で発現されることにより、該植物においてCas9が媒介するウイルスの2本鎖DNAの消失が誘発される。本発明は、ビートシビアカーリートップウイルス(Beet severe curly top virus、BSCTV)をモデルとして使用して、CRISPR/CAS9系を用いた植物におけるBSCTVの複製の効率的な阻害を初めて示す。本発明の方法は、ウイルスのゲノム配列にほとんど依存せず、またウイルスの遺伝子の既知の特定の機能を必要としない。したがって本方法を、様々な既知の2本鎖DNAウイルスまたは中間体としての2本鎖DNAを有する1本鎖ウイルスに対する抵抗に広く使用することができる。

図面の簡単な説明

0023

図1は、タバコ植物の様々な群におけるBSCTVの相対含有量を示す。pHSN401空ベクター対照におけるBSCTVの相対含有量を1と表す。他の群におけるBSCTVの相対含有量を、pHSN401空ベクター対照に対する割合として表す。
図2は、様々な群におけるタバコ植物の表現型を示す。AはpHSN401空ベクター対照であり、BはV7群であり、CはV8群であり、DはV4群である。

実施例

0024

詳細な実施形態
以下の実施例において用いた実験方法は、別段の記載がない限りいずれも従来の方法である。

0025

以下の実施例において使用した材料、試薬は、別段の記載がない限りいずれも市販されている。

0026

pHSN401ベクターは「Hui−Li Xing et al., A CRISPR/Cas9 toolkit for multiplex genome editing in plants.BMCplant biology 2014」に記載されており、中国科学院遺伝学発生生物学研究所(Institute of Genetics and Developmental Biology of the Chinese Academy of Sciences)より入手可能である。

0027

ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)は「Hai−tao Cui et al., Establishment of a tissue culture and genetic transformation system for Nicotiana benthamiana, Science In Shandong, 2006, Volume 01」に記載されており、中国科学院遺伝学発生生物学研究所(Institute of Genetics and Developmental Biology of the Chinese Academy of Sciences)より入手可能である。

0028

pCambia1300ベクターは、Youbio Co. Ltd.(CAT.No.:VT1375)より入手される。

0029

アグロバクテリウム株HA105は、Youbio Ltd.(CAT.No.:ST1140)より入手される。

0030

実施例1DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法の確立
DNAウイルスに対する植物の抵抗能力を改善するための方法を確立すべく、本実施例において、抵抗すべきDNAウイルスとしてビートシビアカーリートップウイルス(Beet severe curly top virus、BSCTV)を選択し、BSCTVの標的となる植物としてタバコ(ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana))を使用した。

0031

BSCTVは、1本鎖DNAウイルスである。しかし、その増幅にはローリングサークル型複製を要する。まず、このウイルスの1本鎖DNAをテンプレートとして用いて相補鎖を合成して、環状の2本鎖中間体を作製する。次いで、この2本鎖中間体上にニックを生成させ、この相補鎖をテンプレートとして用いてウイルスの多量の1本鎖DNAを生成させる。したがってこの2本鎖中間体は、ウイルスゲノムDNAの増幅において重要な役割を果たす。本発明者らは、Cas9をBSCTVの2本鎖中間体の除去へと導くための、ウイルスの2本鎖中間体に対して特異的である複数のsgRNAを設計した。

0032

I.双子葉類のためのCrispr/Cas9系バイナリーベクターの構築
1.次世代シーケンシングの結果に基づき、ビートシビアカーリートップウイルス(Beet severe curly top virus、BSCTV)の構造マップを得た(配列番号16および17)。

0033

2.この構造マップにおけるある領域をランダムに選択し、これをV領域と命名した。このV領域は300bpの長さであり、標的断片(表1)がこのV領域を包含するように該標的断片(表1)の設計を行った。さらに、非ウイルス配列の標的断片を対照として使用する。

0034

表1 V領域標的断片の設計

0035

表1中の下線を付したヌクレオチドは、PAM配列を表す。

0036

3.ステップ2で設計した標的断片にしたがって、粘着末端を有する1本鎖オリゴヌクレオチド(表2)を合成した。このオリゴヌクレオチドアニーリングにより粘着末端を有する2本鎖DNAを形成させ、これをpHSN401ベクターの2つのBsaI制限部位の間に順方向に挿入して、組換えプラスミドを得た。このpHSN401ベクターの2つのBsaI制限部位の間に挿入した表1の標的配列の逆相補的配列を有する陽性組換えプラスミドをシーケンシングにより確認し、これをpHSN401−sgRNAと命名した。この陽性組換えプラスミドは、対応する標的断片に対して特異的であるガイドRNA(sgRNA)を転写し、かつCas9タンパク質を発現することができる。

0037

表2 V領域標的断片に対応するオリゴヌクレオチド

0038

II.タバコの一過性系を用いた活性化型sgRNAに関するスクリーニング
本発明者らは、BSCTVに対する抵抗性を有する活性化型sgRNAをスクリーニングするためのタバコの一過性系を初めて確立する。

0039

1.タバコ植物の準備
タバコ(ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana))種子を栄養土に直接播種した。2週間後に実生移植し、その際に9×9cm2当たり1本の実生を移植した。これらの実生を、葉が8〜9枚となるまで2週間生育させた。大きさが類似した2枚の側葉を、注入用に選択した。温室内生育条件明所16時間および暗所8時間、温度は24℃である。

0040

2.抵抗性ベクターおよびウイルス接種
BSCTVを含むpCFHベクターを、米国タイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection、ATCC、http://www.lgcstandardsatcc.org/、ATCC(登録商標)番号:PVMC−6(登録商標))より入手した。EcoRIおよびBamHIを用いたpCFHベクターの二重消化により0.8コピーBSCTV断片(配列番号16)を得て、これをpCambia1300ベクターのEcoRI制限部位とBamHI制限部位との間に挿入した。得られた組換えプラスミドを、pCambiaBSCTV0.8と命名した。その後、EcoRIを用いた消化により1コピーBSCTV断片(配列番号17)を得て、これからEcoRI部位で順方向にpCambiaBSCTV0.8を構築した。生じた組換えベクターを、pCambiaBSCTV1.8と命名した。この組換えベクターの構築方法は、Chen et al., BSCTV C2 Attenuates the Degradation of SAMDC1 to Suppress DNA Methylation−Mediated Gene Silencing in Arabidopsis. 2011に開示されていた。

0041

pCambia1300の骨格を有するバイナリーベクターに、ウイルスの1.8コピーを組み込んだ(1.8コピーとは、バイナリーベクターに組み込まれるウイルスが植物において環状の個体を形成するには、ウイルス配列の0.8コピーの追加が必要であることを意味する)ため、アグロバクテリウム注入法によりニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)のゲノムに組み込んだ際に、ウイルスの自己複製を達成することができる。

0042

液体窒素凍結融解法により、pHSN401−sgRNAプラスミドをアグロバクテリウム株EHA105に形質転換した。カナマイシンおよびリファンピシン補填した1mlのLBに単一のコロニーを取り、一晩振盪しながらインキュベートした。次いで、カナマイシンおよびリファンピシンを補填した5mlのLBに細菌を接種し、一晩振盪しながらインキュベートした。培養物を3600rpmで10分間遠心分離し、10mM MgCl2で再懸濁させ、OD600=1.5となるように希釈した。0.1%(v/v)200mMアセトシリンゴン(As)を加えた。この溶液を2時間静置し、上記の通り準備した2枚のタバコ葉に注入した。

0043

2日後、同一の方法を用いて、pCambiaBSCTV1.8プラスミドを、アグロバクテリウム株EHA105に形質転換した。スケールアップした培養物を10mM MgCl2で再懸濁させ、OD600=0.5となるように希釈し、そして既にpHSN401−sgRNAプラスミドを注入してある2枚の葉に注入した。

0044

この実験において、pHSN401プラスミドを対照として使用した。各実験において、少なくとも1つのタバコ植物を使用した。

0045

10日後、タバコ植物の様々な群の表現型を記録した。注入した葉を採取し、液体窒素中で粉砕して粉末にした。TIANGEN DNA quick Plant System(遠心分離カラムなし)を用いたDNA抽出のために、各サンプル100mgを採取した。ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)のPPR(ペンタトリペプチドリピート)を含むタンパク質遺伝子アクセッション番号:GO602734)を内部標準として選択し、以下のプライマーを用いた増幅のために133bpの適切な断片を選択した:
PPR−F:5’−CTCGGCCAAGAAGATCACCATAC−3’;
PPR−R:5’−GGTGCTTTTGTGTTGTAGTTATGC−3’。

0046

増幅すべきBSCTV断片は76bpであり、プライマーは、
BSCTV−F:5’−CAGGGATTTTCGCACAGAGGAAC−3’;
BSCTV−R:5’−GATTCGGTACCAAGTCCACGGG−3’
である。

0047

PCR用の試薬は、Roche Lightcycler @480 SYBR Green I Masterである。qPCRの反応系:2×ミックス10μl;プライマー(各)1μl;ddH2O 4μl;DNAテンプレート4μl。

0048

空ベクター対照に対する実験群のタバコ植物におけるBSCTV含有量を、2(−ΔΔCT)法により算出した:
(1)各群のBSCTV含有量を正規化した:
ウイルス含有量=2(CT(内部PPR)−CT(BSCTV))
(2)対照群に対する実験群のウイルス含有量は、ウイルス含有量実験/ウイルス含有量対照であった。結果を、エクセルで統計的に解析した。

0049

タバコ植物の各群におけるBSCTVの相対含有量を、図1に示した。pHSN401対照と比較して、実験群におけるBSCTVの相対含有量が低いことが分かる。統計的な解析の際に、P<0.05の有意水準を示すV4およびV9を除くすべての実験群が、空ベクター対照と比較してP<0.01の水準での有意差を有する。pHSN401対照群におけるタバコ植物は、明らかなBSCTC感染症状を示した。V4およびV9の植物も明らかなBSCTC感染症状を示したが、この症状は対照植物よりも良好であった。最も有意な差を有するV7およびV8の植物は、ウイルスに対する強い抵抗能力を示す正常な表現型を示した。植物におけるBSCTVの相対含有量は、病害の表現型と整合することが判明した(代表的な表現型を有するタバコ植物を、図2に示した)。

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