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技術 粘膜表面における活性薬剤の増強された輸送のための低張ヒドロゲル製剤

出願人 ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー
発明者 マイセル,カサリーナエンサイン,ローラヘインズ,ジャスティンコーン,リチャード
出願日 2016年1月26日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2017-539321
公開日 2018年3月8日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2018-506525
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤
主要キーワード メッシュ間隔 化学的ゲル 粘性流体中 物理的ゲル ポリスチレンナノ粒子 温度制御チャンバ ゲル化濃度 気体放出
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

ヒドロゲル形成性ポリマー、好ましくはポロクサマー低張製剤が、上皮組織、特に粘膜コーティングを有する上皮組織への、治療剤診断剤予防剤または他の薬剤の、粘膜を介した増強された送達のために開発された。ポリマーは、等張条件下でそれらの臨界ゲル化濃度CGC)超の、臨界ゲル化濃度(CGC)における、または臨界ゲル化濃度(CGC)未満の濃度において投与される。製剤の低張性は、ポリマーがより低い濃度でゲル化するように、調整される。そのCGCにおいてまたは結腸直腸中に投与されたポロクサマーゲルは、管腔においてゲルの「プラグ」を形成する。

概要

背景

粘膜は、任意の上皮により裏打ちされた中空臓器(例えば、口、腸、子宮結腸肛門管気管膀胱など)の内部層である。粘膜は、上皮自体、およびまた上皮の直ぐ真下の、粘膜固有層と呼ばれる支持性の緩い結合組織からなる。粘膜を支持するより深い結合組織は、粘膜下組織と呼ばれる。GI管には、粘膜と粘膜下組織との間の境界にある、平滑筋の薄い層、粘膜筋板が存在する(他の管状臓器にはない)。

身体の粘膜表面は、感染に対して特に脆弱である。ガス交換(肺)、食物吸収(腸)、感覚活動(眼、、口および)および生殖(子宮および膣)におけるそれらの生理学的活動に起因して、これらは、身体の内部に対する薄い透過性障壁である。これらの部位を裏打ちする表面の透過性の必要性は、感染に対する明らかな脆弱性を生み出し、感染性因子の大部分がこれらの経路を介してヒト身体に入り込むことは、驚くことではない。

粘膜障壁傷害、例えば、口腔および胃腸粘膜炎は、細胞減少がん治療および放射線療法後の一般的な合併症である(Sonisら、Cancer Supplement、100巻(9号):1995〜2023頁、2004年)。

カプシドウイルスは、水中と同様に迅速に粘液中を拡散でき、それによって、持続的に分泌されている粘液中を「上流へ」拡散する必要があるものの、上皮に侵入する。これらのウイルスは、粘液のメッシュ間隔よりも小さく、粘液に粘着しない表面を有する(Cone R. A.、Adv. Drug Deliv Rev、61巻(2号):75〜85頁、2009年)。例えば、女性は、女性によりコントロールされる予防方法がないことに部分的に起因して、HIVに偏って感染する(Ndesendoら、AAPSPharmSciTech、9巻:505〜520頁、2008年)。膣HIV伝染に対して女性を保護するための、投与が容易な慎重で有効な方法は、世界中で数百万の感染を防止できる。しかし、性交および出生の間の拡張に対応する膣ヒダまたは「シワ」は、典型的には、腹圧によってつぶれているため、これらのヒダの表面は、薬物および薬物担体があまりアクセスできない(Alexanderら、Sex Transm Dis、29巻:655〜664頁、2004年)。疑似性交の後であっても、膣ヒダ中への分布が不良であることは、感受性の膣表面を感染から保護することの失敗の重要な要因として言及されている。感受性標的表面全体にわたる分布が、感染を予防および処置するために重要であることが証明されている。さらに、使用者受容性を増加させるために、膣に送達される薬物は、延長された期間にわたって有効な濃度で膣管中に保持されなければならない。

膣上皮は、小分子に対して高度に透過性であり、また、可溶性薬物剤形ゲル剤クリーム剤)は、腹圧および歩行によって排出され得るので、持続性局所薬物濃度を達成することは困難である。最後に、薬物送達方法は、安全でありかつ膣上皮にとって非毒性でなければならない。膣剤形の分布、保持および安全性プロファイルの改善は、効力の実質的な増加、ならびに腟部の感染および疾患に対する大部分は無効な全身処置によって引き起こされる副作用における減少をもたらし得る(Thigpen T. Cancer J. 9巻:245〜432頁、2003年;Robinsonら、ObstetGynecol、99巻:777〜784頁、2002年)。

身体の粘膜表面への持続性の薬物送達は、ほんの数例を挙げれば性感染症炎症性腸疾患肺炎症および変性性眼状態が含まれる多くの疾患の処置および予防を改善する潜在力を有する。伝統的な可溶性剤形を使用して持続性の予防薬または治療薬濃度を達成することは、薬物の分解、迅速な排出および迅速な全身吸収に起因して、依然として困難なままである。病原体進入に対する物理的障壁を提供する、粘膜表面への送達のための組成物が、緊急に必要とされている。また、粘膜表面における予防剤治療剤または診断剤の保持および持続性の放出を提供する、粘膜送達のための組成物の必要性が満たされていない。

概要

ヒドロゲル形成性ポリマー、好ましくはポロクサマー低張製剤が、上皮組織、特に粘膜コーティングを有する上皮組織への、治療剤、診断剤、予防剤または他の薬剤の、粘膜を介した増強された送達のために開発された。ポリマーは、等張条件下でそれらの臨界ゲル化濃度CGC)超の、臨界ゲル化濃度(CGC)における、または臨界ゲル化濃度(CGC)未満の濃度において投与される。製剤の低張性は、ポリマーがより低い濃度でゲル化するように、調整される。そのCGCにおいて膣または結腸直腸中に投与されたポロクサマーゲルは、管腔においてゲルの「プラグ」を形成する。

目的

また、粘膜表面における予防剤、治療剤または診断剤の保持および持続性の放出を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

等張条件および室温と体温との間の温度(25〜37℃)の下での、ポリマーの臨界ゲル化濃度CGC)またはそれ超の濃度にあるゲル形成性ポリマー、ならびに前記ポリマーの低張製剤を形成するための賦形剤を含む、障壁としての、および/または治療剤予防剤診断剤もしくは栄養補助剤送達における使用のための製剤。

請求項2

前記ゲル形成性ポリマーが、前記ポリマーの最小ゲル化濃度(MGC)超の濃度で存在する、請求項1に記載の製剤。

請求項3

前記ゲル形成性ポリマーが熱感受性ゲル形成性ポリマーである、請求項1から2のいずれか1項に記載の製剤。

請求項4

前記熱感受性ゲル形成性ポリマーが、30℃未満、好ましくは21℃未満の下部臨界溶液温度を有する、請求項3に記載の製剤。

請求項5

前記ポリマーがポロクサマー(polaxmer)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製剤。

請求項6

賦形剤と組み合わされる前記ポリマーが、口腔咽頭食道、眼、子宮頸部尿生殖器消化器肛門直腸および皮膚の表面からなる群から選択される粘膜表面または上皮表面上でデポまたは障壁ゲルを形成する、請求項1から5のいずれか1項に記載の製剤。

請求項7

前記上皮表面が膣表面であり、予防効果が、避妊性行為感染疾患に対する保護、またはがんもしくは子宮内膜症などの異常な増殖の処置である、請求項6に記載の製剤。

請求項8

低張溶液が、治療剤、予防剤または診断剤をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の製剤。

請求項9

前記ゲルが、少なくとも24時間の期間にわたって、前記上皮表面において前記治療剤、予防剤または診断剤を放出する、請求項8に記載の製剤。

請求項10

前記ゲル形成性ポリマーが、水性賦形剤中、12%超と24%未満との間のF98である、請求項1から9のいずれか1項に記載の製剤。

請求項11

前記ゲル形成性ポリマーが、10%と18%との間のF127である、請求項1から9のいずれか1項に記載の製剤。

請求項12

前記ゲルが、前記上皮表面上で均一な層を形成する、請求項1から11のいずれか1項に記載の製剤。

請求項13

前記ゲルが、前記上皮表面上において刺激の顕著な兆候を引き起こさない、請求項1から12のいずれか1項に記載の製剤。

請求項14

乾燥粉末、ゲルまたは液体の形態の、請求項1から13のいずれかに記載の製剤。

請求項15

ポリマー製剤が、単一または複数の投薬単位での投与で提供される、請求項1から14のいずれか1項に記載の製剤。

請求項16

請求項1から15のいずれかに記載の製剤を、それを必要とする部位に投与するステップを含む、粘膜表面または上皮表面に薬剤を投与するための方法。

請求項17

前記製剤が、等張条件および室温と体温との間の温度(25〜37℃)の下でポリマーの臨界ゲル化濃度(CGC)またはそれ超で投与される、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記製剤が、等張条件および室温と体温との間の温度(25〜37℃)の下でポリマーの臨界ゲル化濃度(CGC)未満で投与される、請求項16に記載の方法。

請求項19

治療剤、予防剤、診断剤または栄養補助剤の送達のための、請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。

請求項20

障壁の形成のための、請求項16から19のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、Katharina Maisel、Laura Ensign、Justin HanesおよびRichard Coneによって2015年1月27日に出願された、米国特許出願第62/108,354号「Hypotonic Hydrogel Formulations for Enhanced Transport of Active Agents at Mucosal Surfaces」への米国特許法第119条のもとの優先権を主張する。

0002

連邦政府により資金供与された研究または開発に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金第5R21AI079740号および助成金第5R21AI094519号のもと、政府支援により行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。

0003

本発明は一般に、増強された薬物送達、特に、粘膜表面における薬物送達のための製剤の分野にある。

背景技術

0004

粘膜は、任意の上皮により裏打ちされた中空臓器(例えば、口、腸、子宮結腸肛門管気管膀胱など)の内部層である。粘膜は、上皮自体、およびまた上皮の直ぐ真下の、粘膜固有層と呼ばれる支持性の緩い結合組織からなる。粘膜を支持するより深い結合組織は、粘膜下組織と呼ばれる。GI管には、粘膜と粘膜下組織との間の境界にある、平滑筋の薄い層、粘膜筋板が存在する(他の管状臓器にはない)。

0005

身体の粘膜表面は、感染に対して特に脆弱である。ガス交換(肺)、食物吸収(腸)、感覚活動(眼、、口および)および生殖(子宮および膣)におけるそれらの生理学的活動に起因して、これらは、身体の内部に対する薄い透過性障壁である。これらの部位を裏打ちする表面の透過性の必要性は、感染に対する明らかな脆弱性を生み出し、感染性因子の大部分がこれらの経路を介してヒト身体に入り込むことは、驚くことではない。

0006

粘膜障壁傷害、例えば、口腔および胃腸粘膜炎は、細胞減少がん治療および放射線療法後の一般的な合併症である(Sonisら、Cancer Supplement、100巻(9号):1995〜2023頁、2004年)。

0007

カプシドウイルスは、水中と同様に迅速に粘液中を拡散でき、それによって、持続的に分泌されている粘液中を「上流へ」拡散する必要があるものの、上皮に侵入する。これらのウイルスは、粘液のメッシュ間隔よりも小さく、粘液に粘着しない表面を有する(Cone R. A.、Adv. Drug Deliv Rev、61巻(2号):75〜85頁、2009年)。例えば、女性は、女性によりコントロールされる予防方法がないことに部分的に起因して、HIVに偏って感染する(Ndesendoら、AAPSPharmSciTech、9巻:505〜520頁、2008年)。膣HIV伝染に対して女性を保護するための、投与が容易な慎重で有効な方法は、世界中で数百万の感染を防止できる。しかし、性交および出生の間の拡張に対応する膣ヒダまたは「シワ」は、典型的には、腹圧によってつぶれているため、これらのヒダの表面は、薬物および薬物担体があまりアクセスできない(Alexanderら、Sex Transm Dis、29巻:655〜664頁、2004年)。疑似性交の後であっても、膣ヒダ中への分布が不良であることは、感受性の膣表面を感染から保護することの失敗の重要な要因として言及されている。感受性標的表面全体にわたる分布が、感染を予防および処置するために重要であることが証明されている。さらに、使用者受容性を増加させるために、膣に送達される薬物は、延長された期間にわたって有効な濃度で膣管中に保持されなければならない。

0008

膣上皮は、小分子に対して高度に透過性であり、また、可溶性薬物剤形ゲル剤クリーム剤)は、腹圧および歩行によって排出され得るので、持続性局所薬物濃度を達成することは困難である。最後に、薬物送達方法は、安全でありかつ膣上皮にとって非毒性でなければならない。膣剤形の分布、保持および安全性プロファイルの改善は、効力の実質的な増加、ならびに腟部の感染および疾患に対する大部分は無効な全身処置によって引き起こされる副作用における減少をもたらし得る(Thigpen T. Cancer J. 9巻:245〜432頁、2003年;Robinsonら、ObstetGynecol、99巻:777〜784頁、2002年)。

0009

身体の粘膜表面への持続性の薬物送達は、ほんの数例を挙げれば性感染症炎症性腸疾患肺炎症および変性性眼状態が含まれる多くの疾患の処置および予防を改善する潜在力を有する。伝統的な可溶性剤形を使用して持続性の予防薬または治療薬濃度を達成することは、薬物の分解、迅速な排出および迅速な全身吸収に起因して、依然として困難なままである。病原体進入に対する物理的障壁を提供する、粘膜表面への送達のための組成物が、緊急に必要とされている。また、粘膜表面における予防剤治療剤または診断剤の保持および持続性の放出を提供する、粘膜送達のための組成物の必要性が満たされていない。

先行技術

0010

Sonisら、Cancer Supplement、100巻(9号):1995〜2023頁、2004年
Cone R. A.、Adv. Drug Deliv Rev、61巻(2号):75〜85頁、2009年
Ndesendoら、AAPSPharmSciTech、9巻:505〜520頁、2008年
Alexanderら、Sex Transm Dis、29巻:655〜664頁、2004年
Thigpen T. Cancer J.(2003年)9巻:245〜432頁
Robinsonら、ObstetGynecol(2002年)99巻:777〜784頁

発明が解決しようとする課題

0011

従って、粘膜中への病原体輸送に対する障壁として作用する、粘膜表面に対するより高い効力および安全性を有する活性薬剤の送達のための改善された組成物を提供することが、本発明の目的である。

0012

本発明のさらなる目的は、粘膜表面における予防剤、治療剤または診断剤の保持および持続性の放出を可能にする、粘膜表面への送達のための改善された組成物を提供することである。

0013

粘膜表面への送達のための改善された組成物を作製する方法を提供することもなお、本発明のさらなる目的である。

課題を解決するための手段

0014

ヒドロゲル形成性ポリマー、好ましくはポロクサマー低張製剤が、上皮組織、特に粘膜コーティングを有する上皮組織への、治療剤、診断剤、予防剤または他の薬剤の増強された送達のために開発された。ポリマーは、それらの通常の臨界ゲル化濃度CGC)未満の濃度で、低張溶液中で投与される。典型的には、そのCGCにおいて膣または結腸直腸中に投与されたポロクサマーゲルは、管腔においてゲルの「プラグ」を形成する。対照的に、CGC未満の低張性に投与されたポロクサマー溶液からの流体は、上皮表面によって吸収され、ポロクサマーを粘液層中に引き込み、かつ上皮に対して引き寄せ、そこでそれは次いでゲル化するのに十分に濃縮され、それによって、上皮細胞への薬剤の送達を増強および促進する。ポロクサマーが組織/粘膜界面において濃縮されると、これは粘液と混合し、上皮表面に対してゲル化する。内因性ムチン糖ポリマーは、ゲル化に必要なゲル化剤の濃度、および得られたゲル/ムチン混合物孔構造を含む、低張ゲル化剤のゲル化特性に影響を与える。膣および結腸直腸適用後に、低張ゲル化ビヒクルは、ヒダを含む上皮をコーティングする。これは、基礎をなす粘膜を保護するもしくは粘膜中への侵入を減少させるための障壁層として、またはヒドロゲル中の薬剤の送達のためのデポとして、使用され得る。

0015

例は、CGCにおいて投与されたゲル化剤の場合と同様の、膣管腔の中央部において形成されたゲルのボーラスと比較して、低張ゲル化剤中で投与されたモデル薬物のより長い膣保持を実証している。

0016

例によって実証されるように、ポリマーの濃度、および内因性ムチンなどのさらなる成分の存在もまた、有効範囲(coverage)ならびにゲル化の速度および程度に影響を与える。精製胃ムチン(1%)またはヒト頸腟部粘液(1:1比)と混合した18%F127ゲルは、18%F127ゲル単独ほど有効にはウイルスサイズ(約100nm)のナノ粒子ポリエチレングリコールコーティングされたポリスチレンナノ粒子PSPEG)を捕捉しない。対照的に、24%F98ゲルは、ムチンまたはヒト頸腟部粘液と混合した場合、PSPEG粒子をより有効に捕捉した。しかし、低張ゲル化剤を用いたin vivoウイルス捕捉は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、約120nm)および単純ヘルペスウイルス(HSV、約180nm)を含むウイルスを捕捉するのにより有効であった。24%のCGCを有する18%F98の投与は、膣において引き続いて投与されたHIVの有効な捕捉を生じる。同様に、18%のCGCを有する10%および15%F127もまた、HIVのMSDを減少させるのに有効であり、捕捉を示した。さらに、15%F127および18%F98は共に、マウス膣粘液において引き続いて投与されたHSVの拡散を低減させた。1sの時間尺度における個々のウイルスMSDの分布は、ウイルスの捕捉(左へのシフト)が、15%F127と比較して、低張18%F98ビヒクルによって形成されたゲルにおいてより均一であったことを例示した。結腸直腸における低張ゲル化剤によるウイルス捕捉のさらなる試験において、12%F98(CGC24%)は、ゲル化ビヒクルの30分後に投与されたPSPEGナノ粒子を有効に捕捉しなかったが、18%F98は、マウス結腸直腸においてPSPEGナノ粒子を捕捉するのに有効であったことが見出された。重要なことに、これらの例は、低張ゲル化剤が異なる粘膜表面に投与され、この場合、ゲル化前に、結腸直腸粘液と比較して、膣粘液と混合する場合に形成するゲルにおける差異を例示している。

0017

これらの研究は、特に、粘膜上皮上でのヒドロゲルデポまたは障壁コーティングによる薬物送達のための、これらの低張ポリマー性ゲル製剤の利点を実証している。

図面の簡単な説明

0018

図1は、種々の熱ゲル化性ポロクサマー、ポリオキシエチレンポリエチレンオキシド))の2つの親水性鎖が隣接するポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の1つの中心疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロックコポリマー中の、100nmPSPEGナノ粒子の37℃での輸送特性を示す線グラフである。ポロクサマーは、商品PLURONIC(登録商標))としても公知である。15%F127、24%F98または18%F127と共に、15%F68、24%P104、18%F68中の100nmナノ粒子についての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均した平均二乗変位(ensemble averaged mean−squared displacement)(<MSD>、μm2)が示される。Wは、水中でのナノ粒子の理論的拡散速度を示す。

0019

図2A〜2Eは、37℃における、上に列挙した種々の流体/ゲル中の100nmPSPEGナノ粒子の代表的軌跡(3sの運動)である。より制限された軌跡は、ゲルマトリックスにおけるナノ粒子捕捉を示し、自由な拡散は、粘性流体中に拡散しているナノ粒子を示す。データは、n≧3試料の代表である。

0020

図3は、37℃での、1%精製豚胃ムチンと混合した、またはヒトCVMと1:1比で混合した熱ゲル化性ビヒクル中の100nmPSPEGナノ粒子の輸送特性を示す線グラフである。1%ムチンまたは50%CVM(50%粘液)を含有する18%F127中の100nm PSPEGについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均二乗変位(<MSD>、μm2)が示される。データは、n≧3試料の代表である。Wは、水中でのPSPEGナノ粒子の理論的拡散を示す。

0021

図4は、37℃での、1%精製豚胃ムチンと混合した、またはヒトCVMと1:1比で混合した熱ゲル化性ビヒクル中の100nmPSPEGナノ粒子の輸送特性を示す線グラフである。1%ムチンまたは50%CVM(50%粘液)を含有する24%F98中の100nm PSPEGについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均二乗変位(<MSD>、μm2)が示される。データは、n≧3試料の代表である。Wは、水中でのPSPEGナノ粒子の理論的拡散を示す。

0022

図5は、ゲル化剤なしのウイルス拡散(pluronicなし)と比較した、膣への15%および10%F127ならびに18%F98(全てCGC未満)の投与後に導入された蛍光標識されたHIVビリオンの輸送特性を示す線グラフである。低張ゲル化剤の<5分後に投与されたHIVについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均した平均二乗変位(<MSD>、μm2)。Wは、水中でのHIVの理論的拡散を示す。

0023

図6は、膣への15%F127および18%F98(全てCGC未満)の投与後に導入された蛍光標識されたHSVビリオンの輸送特性を示す線グラフである。低張ゲル化剤の<5分後に投与されたHSVについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均した平均二乗変位(<MSD>、μm2)。Wは、水中でのHSVの理論的拡散を示す。

0024

図7A〜7Fは、1sの時間尺度における個々のHSVおよびHIVビリオンの対数MSDの分布の棒グラフである。ビリオンを、ゲルなしのウイルスの投与(膣粘液単独中でのウイルスの拡散)と比較して、18%F98または15%F127の投与の<5分後に投与した。
図7A〜7Fは、1sの時間尺度における個々のHSVおよびHIVビリオンの対数MSDの分布の棒グラフである。ビリオンを、ゲルなしのウイルスの投与(膣粘液単独中でのウイルスの拡散)と比較して、18%F98または15%F127の投与の<5分後に投与した。

0025

図8は、マウス結腸直腸粘液におけるHIVビリオン(HIV、pluronicなし)または低張ゲル化剤の投与後の結腸直腸におけるHIVビリオン(HIV、10%F127)についての、時間尺度(s)の関数としての平均二乗変位(<MSD>、μm2)を示す線グラフである。ウイルスは、粘液において付着により捕捉される粘膜付着性ポリスチレン(PS)ナノ粒子(100nm PS、pluronicなし)と同様に、ゲルの存在下で不動化された。

0026

図9は、結腸直腸への低張ゲル化ビヒクルの30分後に投与された100nmPSPEGの輸送特性を示す線グラフである。結腸直腸粘液単独における100nm PSPEGの輸送(pluronicなし)と比較した、12%または18%F98の直腸投与の30分後の100nm PSPEGについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均した平均二乗変位(<MSD>、μm2)。

0027

図10は、結腸直腸への18%F98および10%F127の投与の1時間後に投与された蛍光標識されたHIVビリオンの輸送特性を示す線グラフである。マウス結腸直腸粘液単独における拡散(pluronicなし)と比較した、HIVについての、時間尺度(s)の関数としてのアンサンブル平均した平均二乗変位(<MSD>、μm2)。

0028

図11は、マウス膣におけるモデル蛍光薬物のパーセント保持のグラフである。フルオレセインを、DI水、CGCにある熱ゲル(18%F127)、または低張熱ゲル(10%F127)のいずれか中で投与し、保持を24時間後に評価した。パーセント蛍光保持(%)を、投与直後の蛍光に基づいて正規化した。データは、各n≧3のマウスを用いたn=3実験の代表である。*脱イオン水対照と比較してp<0.05。

0029

図12は、7日間のヒドロキシエチルセルロースユニバーサルプラセボゲル(HEC)、1%F127、18%F127および5%ノノキシノール−9(N9)の毎日の膣投与後のマウス頸腟部洗浄液中サイトカインIL−1βの濃度を示す棒グラフである。*処置なし対照と比較してp<0.05、スチューデントt検定

0030

I.定義
本明細書で一般に使用する場合、「薬学的に許容される」とは、合理的なリスクベネフィット比にふさわしい、過剰な毒性、刺激アレルギー応答または他の問題もしくは合併症のない、ヒトおよび動物の組織と接触した使用に適切な、妥当医学的判断の範囲内の化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。

0031

生体適合性」および「生物学的に適合性の」とは一般に、本明細書で使用する場合、それらの任意の代謝物または分解産物と共に、レシピエントにとって一般に非毒性であり、レシピエントに対していかなる顕著な有害効果も引き起こさない材料を指す。一般に言って、生体適合性材料は、個体に投与した場合に顕著な炎症、免疫または毒性応答惹起しない材料である。

0032

用語「ゲル」および「ヒドロゲル」とは、本明細書で相互交換可能に使用する場合、水不溶性である微細に分散したポリマー鎖膨潤した水含有ネットワークを指し、このとき、ポリマー性分子は、外部相または分散相(dispersion phase)中にあり、水(または水溶液)は、内部相または分散された相(dispersed phase)を形成する。鎖は、化学的架橋され(化学的ゲル)または物理的に架橋され得る(物理的ゲル)。化学的ゲルは、共有結合を介して接続されたポリマー鎖を有し、物理的ゲルは、非共有結合または凝集力、例えば、ファンデルワールス相互作用イオン性相互作用水素結合または疎水性相互作用によって連結されたポリマー鎖を有する。

0033

ポリマー鎖は、典型的には、親水性である、または親水性ポリマーブロックを含有する。「ゲル形成性ポリマー」は、臨界ゲル化濃度(CGC)またはそれ超で存在する場合に水性媒体中で物理的ヒドロゲルを形成することが可能な、ホモポリマーコポリマーおよびそれらの組合せを含む任意の生体適合性ポリマー記述するために使用される。

0034

「臨界ゲル化濃度」または「CGC」とは、本明細書で使用する場合、例えば、溶液からゲルへの(ゾル−ゲル)転移が生じる、ゲル形成のために必要なゲル形成性ポリマーの最小濃度を指す。臨界ゲル化濃度は、特定のポリマー組成、分子量、温度および/または他のポリマーもしくは賦形剤の存在を含むいくつかの因子に依存し得る。

0035

用語「熱感受性ゲル形成性ポリマー」とは、温度の変化と共に1つまたは複数の特性変化を示す、ゲル形成性ポリマーを指す。例えば、一部の熱感受性ゲル形成性ポリマーは、ある特定の温度未満水溶性であるが、温度が増加するにつれて水不溶性になる。用語「下部臨界溶液温度(LCST)」とは、それ未満でゲル形成性ポリマーおよび溶媒が完全に混和性であり、単一の相を形成する温度を指す。例えば、「ポリマー溶液のLCST」とは、ポリマーが、その温度(即ち、LCST)またはそれよりも低い温度では溶液中に均一に分散されるが、溶液温度がLCSTを超えて増加する場合、凝集して第2の相を形成することを意味する。

0036

「親水性」とは、本明細書で使用する場合、有機溶媒と比較して、水に対するより高い親和性を有し、従って、水中での溶解度を有する分子を指す。化合物の親水性は、水(または緩衝水溶液)と水不混和性有機溶媒、例えば、オクタノール酢酸エチル塩化メチレンまたはメチルtert−ブチルエーテルとの間でのその分配係数を測定することによって定量され得る。平衡化後により高い濃度の化合物が有機溶媒中よりも水中に存在する場合、化合物は、親水性とみなされる。

0037

疎水性」とは、本明細書で使用する場合、水と比較して、有機溶媒に対するより高い親和性を有し、従って、有機溶媒中での溶解度を有する分子を指す。化合物の疎水性は、水(または緩衝水溶液)と水不混和性有機溶媒、例えば、オクタノール、酢酸エチル、塩化メチレンまたはメチルtert−ブチルエーテルとの間でのその分配係数を測定することによって定量され得る。平衡化後により高い濃度の化合物が水中よりも有機溶媒中に存在する場合、化合物は、疎水性とみなされる。

0038

本明細書で使用する場合、用語「処置すること」は、処置されている疾患、状態または障害と関連する1つまたは複数の症状または副作用を阻害、軽減、予防または排除することを含む。

0039

用語「低減させる」、「阻害する」、「軽減する」または「減少させる」は、対照に対して相対的に使用される。当業者は、各実験に使用するための適切な対照を容易に同定する。例えば、化合物で処置された被験体または細胞における減少された応答は、化合物で処置されていない被験体または細胞における応答と比較される。

0040

本明細書で使用する場合、用語「有効量」または「治療有効量」とは、処置されている疾患状態の1つもしくは複数の症状を処置、阻害もしくは軽減するのに、または所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果を他の方法で提供するのに十分な投薬量を意味する。正確な投薬量は、種々の因子、例えば、被験体依存的変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、疾患または障害、および投与されている処置に従って変動する。有効量の効果は、対照に対して相対的であり得る。かかる対照は、当該分野で公知であり、本明細書で議論され、例えば、薬物もしくは薬物組合せの投与の前もしくはその非存在での被験体の状態であり得、または薬物組合せの場合、組合せの効果は、薬物のうち1つのみの投与の効果と比較され得る。

0041

「賦形剤」は、治療的または生物学的に活性な化合物ではない、微粒子中に含有され得るまたはその上にあり得る任意の他の化合物を含むように、本明細書で使用される。そのため、賦形剤は、薬学的にまたは生物学的に許容されるまたは適切であるべきであり、例えば、賦形剤は一般に、被験体にとって非毒性であるべきである。「賦形剤」は、単一のかかる化合物を含み、複数の化合物を含むことも意図される。

0042

用語「容量オスモル濃度」とは、本明細書で一般に使用する場合、1リットル当たりの溶解された成分の総数を指す。容量オスモル濃度は、モル濃度と類似であるが、溶液中の溶解された種のモルの総数を含む。1Osm/Lの容量オスモル濃度は、溶液1L当たり1モルの溶解された成分が存在することを意味している。一部の溶質、例えば、溶液中で解離するイオン性溶質は、溶液中の溶質1モル当たり1モルよりも多い溶解された成分に寄与する。例えば、NaClは、溶液中でNa+およびCl−に解離し、従って、溶液中の溶解されたNaCl 1モル当たり2モルの溶解された成分を提供する。生理学的容量オスモル濃度は、典型的には、約280〜約310mOsm/Lの範囲にある。

0043

用語「張度」とは、本明細書で一般に使用する場合、半透膜による2つの溶液の分離から生じる浸透圧勾配を指す。特に、張度は、細胞が外部溶液曝露された場合に細胞膜を横切って創出される浸透圧を記述するために使用される。細胞膜を横断し得る溶質は、最終的な浸透圧勾配に寄与しない。細胞膜を横断しない溶解された種のみが、浸透圧の差異、および従って張度に寄与する。用語「高張」とは、本明細書で一般に使用する場合、細胞の内側に存在するものよりも高い濃度の溶質を有する溶液を指す。細胞が高張溶液中に浸漬される場合、溶質の濃度のバランスをとるために、細胞から水が流れ出す傾向がある。用語「低張」とは、本明細書で一般に使用する場合、細胞の内側に存在するものよりも低い濃度の溶質を有する溶液を指す。細胞が低張溶液中に浸漬される場合、水は、溶質の濃度のバランスをとるために、細胞中に流れ込む。用語「等張」とは、本明細書で一般に使用する場合、細胞膜を横切る浸透圧勾配が本質的にバランスがとれている溶液を指す。等張製剤は、ヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有する製剤である。等張製剤は、約250〜350mOsmの浸透圧を一般に有する。

0044

II.低張ゲル形成性組成物
ヒドロゲル形成性ポリマー、好ましくはポロクサマーの低張製剤が、上皮組織、特に粘膜コーティングを有する上皮組織への、治療剤、診断剤、予防剤または他の薬剤の、粘液を介した増強された送達のために開発された。ポリマーは、それらの通常の臨界ゲル化濃度(CGC)またはそれよりも高い濃度で投与される。そのCGCにおいて膣または結腸直腸中に投与されたポロクサマーゲルは、管腔においてゲルの「プラグ」を形成する。対照的に、CGC未満の低張性に投与されたポロクサマー溶液からの流体は、上皮表面によって吸収され、ポロクサマーを粘液ゲル中に引き込みかつ上皮に対して引き寄せ、それによって、上皮細胞への薬剤の送達を増強および促進する。ポロクサマーが濃縮されると、これは粘液と混合する。内因性ムチン糖ポリマーは、ゲル化に必要なゲル化剤の濃度、および得られたゲル/ムチン混合物の孔構造を含む、低張ゲル化剤のゲル化特性に影響を与える。膣および結腸直腸適用後に、低張ゲル化ビヒクルは、ヒダを含む上皮をコーティングする。例は、CGCにおいて投与されたゲル化剤の場合と同様の、膣管腔の中央部において形成されたゲルのボーラスと比較して、低張ゲル化剤中で投与されたモデル薬物のより長い膣保持を実証している。

0045

ゲル形成性組成物は、1つもしくは複数のさらなる賦形剤および/または1つもしくは複数の治療剤、予防剤もしくは診断剤を任意選択で含有する、低張担体中の1つまたは複数のゲル形成性ポリマーを含有する。

0046

A.ヒドロゲル形成性ポリマー
低張ゲル形成性組成物は、1つまたは複数のゲル形成性ポリマーを含有する。ゲル形成性ポリマーは、ポリマーの通常の臨界ゲル化濃度(CGC)未満の濃度で、例えば、37℃まで温められた場合にポリマー溶液が試験管中でゲル化する濃度で利用される。

0047

熱感受性熱応答性ともいう)ヒドロゲルは、1)臨界ゲル化濃度(CGC)またはそれ超にあり、2)臨界ゲル化温度またはそれ超にある場合に、ゾル−ゲル転移を受ける溶液である。生物医学的適用のために使用される熱感受性ゲル化剤(それらのCGCまたはそれ超にある)は、室温では液体であるが体温ではゲルを形成する。温度の増加は、ポリマー鎖の再構成および整列誘導し、3次元構造へのゲル化をもたらす。この現象は一般に、ポリマー鎖上の親水性部分対疎水性部分の比によって支配される。共通の特徴は、疎水性メチル、エチルまたはプロピル基の存在である。これらの基準に当てはまる任意の熱感受性ポリマーは、CGC未満で粘膜上皮に低張性に投与され、in vivoで均一なゲルコーティングを形成し得る。使用され得る熱感受性ゲル形成剤の例には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリブロックコポリマー、例えば、それらに限定されないが、CTFA名ポロクサマー407(CAS 9003−11−6、分子量9,840〜14,600g/mol;BASFからLUTROL(登録商標)F127として入手可能)およびポロクサマー188(CAS 9003−11−6、分子量7680〜9510g/mol;BASFからLUTROL(登録商標)F68として入手可能)によって指定されるもの;BASFからTetronic(登録商標)として入手可能な、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくTetronics四官能ブロックコポリマー;ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド);ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド);ポリ(N−ビニルカプロラクタム);ポリ(N−アルキルアクリルアミド);ポリ(N−ビニルアルキルアミド);ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリエチレンオキシドメタクリレートポリマー;ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)−ポリエチレングリコールトリブロックコポリマー(PLGA−PEG−PLGAおよびPEG−PLGA−PEG);ポリカプロラクトン(PCL)−ポリエチレングリコールトリブロックコポリマー(PCL−PEG−PCLおよびPEG−PCL−PEG);キトサン;ならびにそれらの組合せが含まれる。

0048

ヒドロゲルは、個々のゲル形成剤から、またはゲル形成剤の組合せとして、形成され得る。例えば、ポロクサマーおよび別のゲル形成剤(例えば、tetronicポリマー)は、所望の特徴を達成するために組み合わせて使用され得る。さらに、種々の形態の同じゲル形成剤(例えば、ポロクサマー188およびポロクサマー407)は、所望の特徴を達成するために組み合わされ得る。

0049

ポリマーは、37℃まで加熱した場合に試験管中でゲルを形成する濃度未満の濃度で提供される。濃度は、in vivoでCGCに達するのに十分な流体を上皮が吸収するために十分に高いが但しCGC未満でなければならず、従って、ゲル化は、粘膜上皮表面上で生じ得る。ゲル化が生じるのにかかる時間の範囲は、粘膜表面(水吸収の容量および速度)、投与される溶液の張度(より低張な溶液は、より迅速な流体吸収を駆動する)、および投与されるポリマーの濃度(ポリマー濃度が低すぎる場合、生じる流体吸収はポリマーをそのCGCに濃縮するのに十分でない)に依存する。しかし、ゲル化は一般に、膣および結腸直腸において1時間以内に生じる。

0050

例に示されるように、精製豚胃ムチン(1%)またはヒト頸腟部粘液(1:1比)と混合した18%F127ゲルは、18%F127ゲル単独ほど有効にはウイルスサイズ(約100nm)のナノ粒子(ポリエチレングリコールコーティングされたポリスチレンナノ粒子、PSPEG)を捕捉しない。対照的に、24%F98ゲルは、ムチンまたはヒト頸腟部粘液と混合した場合、PSPEG粒子をより有効に捕捉した。しかし、低張ゲル化剤を用いたin vivoウイルス捕捉は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、約120nm)および単純ヘルペスウイルス(HSV、約180nm)を含むウイルスを捕捉するのにより有効であった。24%のCGCを有する18%F98の投与は、膣において引き続いて投与されたHIVの有効な捕捉を生じる。同様に、18%のCGCを有する10%および15%F127もまた、HIVのMSDを減少させるのに有効であり、捕捉を示した。さらに、15%F127および18%F98は共に、マウス膣粘液において引き続いて投与されたHSVの拡散を低減させた。1sの時間尺度における個々のウイルスMSDの分布は、ウイルスの捕捉(左へのシフト)が、15%F127と比較して、低張18%F98ビヒクルによって形成されたゲルにおいてより均一であったことを例示した。結腸直腸における低張ゲル化剤によるウイルス捕捉のさらなる試験において、12%F98(CGC 24%)は、ゲル化ビヒクルの30分後に投与されたPSPEGナノ粒子を有効に捕捉しなかったが、18%F98は、マウス結腸直腸においてPSPEGナノ粒子を捕捉するのに有効であったことが見出された。重要なことに、これらの例は、低張ゲル化剤が異なる粘膜表面に投与され、この場合、ゲル化前に、結腸直腸粘液と比較して、膣粘液と混合する場合に形成するゲルにおける差異を例示している。

0051

B.低張担体
ゲル形成性組成物は、低張担体を含む。低張担体は、典型的には、好ましくは、ヒト対象に投与された場合に刺激の兆候をほとんど〜全く引き起こさない生体適合性担体である。担体は、天然に存在するもの、または合成担体および半合成担体の両方を含む天然に存在しないものであり得る。好ましい担体は、ナトリウムベースである。糖ベースの(例えば、グルコースマンニトール)溶液および種々の緩衝液リン酸緩衝液トリス緩衝液、HEPES)を含む他の溶液もまた使用され得る。

0052

低張溶液が上皮表面に適用される場合、流体シフトが生じ、水が上皮組織中に移動する。これは、上皮細胞の膨潤を引き起こし得る。一部の場合、浸透圧の差異が大きすぎると、上皮細胞は破裂して、組織刺激、または上皮膜の破壊を引き起こし得る。

0053

低張溶液とは、細胞の細胞質と比較して少ない溶質を含有する溶液を指す。低張溶液の例には、トリス[ヒドロキシメチル]−アミノメタン塩酸塩(トリス−HCl、10〜100mM、pH.6〜8)、(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES、10〜100mM、pH6〜8)、およびPBS希釈溶液、例えば、1000mlのH2O中に0.2グラムのKCl、0.2グラムのKH2PO4、8グラムのNaClおよび2.16グラムのNa2HPO4*7H2Oを含有する溶液が含まれるがこれらに限定されない。

0054

低張担体は、上皮表面においてゲル形成性ポリマーを濃縮し、表面上で均一なゲル形成を生じる。低張担体は通常、主要成分として水を含有する。低張担体は水であり得るが、水と水混和性有機溶媒との混合物もまた使用され得る。適切な水混和性有機溶媒には、アルコール類、例えば、エタノールイソプロパノールケトン類、例えば、アセトンエーテル類、例えば、ジオキサンなど;およびエステル類、例えば、酢酸エチルが含まれる。

0055

低張担体は、1つまたは複数の容量オスモル濃度改変性賦形剤を含有する蒸留水であり得る。塩化ナトリウムは、溶液が低張である場合に容量オスモル濃度を調整するために最も頻繁に使用される賦形剤である。低張溶液を調整するために使用される他の賦形剤には、グルコース、マンニトール、グリセロールプロピレングリコールおよび硫酸ナトリウムが含まれる。容量オスモル濃度改変性賦形剤には、薬学的に許容される塩、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは塩化カリウムが含まれ得る。張度を調整するために使用される他の賦形剤には、グルコース、マンニトール、グリセロールまたはプロピレングリコールが含まれ得る。

0056

低張担体は、その粘膜表面において、有効な等張点(流体が上皮によって吸収も分泌もされない濃度)未満の任意の容量オスモル濃度を有し得る。等張点は、その上皮表面における能動的イオン輸送に依存して、異なる粘膜表面および異なる緩衝液について変動する;例えば、本発明者らは、ナトリウムベースの溶液についての膣における等張点が約300mOsm/Lであるが、結腸直腸では約450mOsm/Lであることを見出した。一部の実施形態では、溶液は、50mOsm/L〜280mOsm/L、100mOsm/L〜280mOsm/L、150mOsm/L〜250mOsm/L、200mOsm/L〜250mOsm/L、220mOsm/L〜250mOsm/L、220mOsm/L〜260mOsm/L、220mOsm/L〜270mOsm/Lまたは220mOsm/L〜280mOsm/Lの張度を有する。

0057

低張担体には、1つもしくは複数の薬学的に許容される酸、1つもしくは複数の薬学的に許容される塩基、またはそれらの塩が含まれ得る。薬学的に許容される酸には、臭化水素酸塩酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば、メタンスルホン酸酒石酸およびマレイン酸(malcic acid)が含まれる。薬学的に許容される塩基には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)の水酸化物、ならびに有機塩基、例えば、薬学的に許容されるアミンが含まれる。低張担体には、薬学的に許容される緩衝液、例えば、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液が含まれ得る。

0058

C.さらなる薬剤
低張ゲル形成性組成物は、治療剤、予防剤、診断剤および/または栄養補助剤(nutraceutical)を含む、送達されるまたはヒドロゲル障壁中に取り込まれる1つまたは複数の薬剤を含有し得る。「生理活性薬剤」および「活性薬剤」は、相互交換可能に使用され、限定なしに、身体において局所的または全身的に作用する生理学的または薬理学的に活性な物質を含む。生物学的に活性な薬剤は、処置に使用される物質(例えば、治療剤)、予防に使用される物質(例えば、予防剤)、診断に使用される物質(例えば、診断剤)、疾患もしくは病気治癒もしくは緩和に使用される物質、身体の構造もしくは機能に影響を与える物質、またはそれらが所定の生理学的環境中に置かれた後に生物学的に活性になるもしくはより活性になるプロドラッグである。例には、小分子薬物ペプチドタンパク質、抗体、糖、多糖ヌクレオチドオリゴヌクレオチドアプタマー、siRNA、核酸、およびそれらの組合せが含まれ得るがこれらに限定されない。薬剤は、小分子(例えば、2000、1500、1000、750または500原子質量単位(amu)未満の分子量)もしくは生体分子、例えば、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖、脂質、糖タンパク質リポタンパク質、またはそれらの組合せであり得る。薬剤には、Martindale: The Complete Drug Reference、第37版(Pharmaceutical Press、London、2011年)に記載される薬剤のうち1つまたは複数が含まれ得る。

0059

低張ゲル形成性製剤は、処置されている疾患状態の1つもしくは複数の症状を処置、阻害または軽減するための、治療有効量の治療剤を含有し得る。低張ゲル形成性組成物は、疾患または障害の1つまたは複数の症状を予防するための、有効量の予防剤を含有し得る。

0060

薬剤の例示的なクラスには、合成および天然タンパク質酵素、ペプチド−ホルモン受容体増殖因子、抗体、シグナル伝達分子が含まれる)、ならびに合成および天然核酸(RNA、DNA、アンチセンスRNA三重鎖DNA、阻害的RNA(RNAi)およびオリゴヌクレオチドが含まれる)、ならびにそれらの生物学的に活性な部分が含まれるがこれらに限定されない。

0061

薬剤は、抗感染症剤抗生物質抗ウイルス剤抗真菌剤)、抗炎症剤産児調節のためのもの、代謝性障害の処置のためのもの、胸やけまたは潰瘍の処置のためのもの、心血管障害、例えば、高血圧およびアテローム動脈硬化症の処置のためのもの、神経活性剤、ならびに化学療法剤であり得る。

0062

有用なタンパク質の例には、ホルモン、例えば、インスリン、およびソマトメジンを含む成長ホルモンが含まれる。有用な薬物の例には、神経伝達物質、例えば、L−DOPA降圧剤または塩利尿剤、例えば、Searle Pharmaceuticalsのメトラゾン炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、Lederle Pharmaceuticalsのアセタゾラミドインスリン様薬物、例えば、グリブリドスルホニルウレアクラスの血中グルコース低下薬、合成ホルモン、例えば、Brown PharmaceuticalsのAndroid FおよびICN PharmaceuticalsのTestred(登録商標)(メチルテストステロン)が含まれる。代表的な抗増殖(抗がんまたは子宮内膜症)剤には、アルキル化剤(例えば、シスプラチンカルボプラチンオキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミドクロラムブシルダカルバジンロムスチンカルムスチンプロカルバジン、クロラムブシルおよびイホスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビンメトトレキセートシトシンアラビノシドフルダラビンおよびフロクスウリジン)、有糸分裂阻害剤タキサン類、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル(decetaxel)ならびにビンカアルカロイド類、例えば、ビンクリスチンビンブラスチンビノレルビンおよびビンデシンが含まれる)、アントラサイクリン類(ドキソルビシンダウノルビシンバルルビシンイダルビシンおよびエピルビシン、ならびにアクチノマイシン類、例えば、アクチノマイシンDが含まれる)、細胞傷害性抗生物質(マイトマイシンプリカマイシンおよびブレオマイシンが含まれる)、トポイソメラーゼ阻害剤カンプトテシン類、例えば、カンプトテシンイリノテカンおよびトポテカン、ならびにエピポフィトキシン類の誘導体、例えば、アムサクリンエトポシドリン酸エトポシドおよびテニポシドが含まれる)、ならびにそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。他の適切な抗がん剤には、血管内皮増殖因子VEGF)に対する抗体、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、他の抗VEGF化合物を含む血管形成阻害剤サリドマイド(THALOMID(登録商標))およびそれらの誘導体、例えば、レナリドミド(REVIMID(登録商標));エンドスタチンアンジオスタチン受容体チロシンキナーゼRTK)阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標));チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、パゾパニブアキシチニブおよびラパチニブトランスフォーミング増殖因子−αまたはトランスフォーミング増殖因子−β阻害剤、ならびに上皮増殖因子受容体に対する抗体、例えば、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))およびセツキシマブERITUX(登録商標))が含まれる。

0063

画像化のために、放射性材料、例えば、テクネチウム99(99mTc)または磁性材料、例えば、標識化Fe2O3が使用され得る。他の材料の例には、放射線不透過性である気体または気体放出性化合物が含まれる。

0064

III.低張ゲル形成性組成物の方法および調製
製剤は、投与のために液体として調製され得る。典型的には、これらは、適切なアプリケーター中の単一または複数の投薬単位として調製される。粉末単位は、二重チャンバーにされ得、一方は、張度を調整するための賦形剤ありまたはなしで溶媒を含有し、他方は、ヒドロゲル形成性材料を含有し、典型的には、投与すべき1つまたは複数の薬剤もまた含む。複数の投薬単位は典型的に、粉末を充填したバレル(barrel)、およびその上に投薬量増分を有するプランジャーを含む。これらは典型的に、無菌化され、貯蔵および流通のために、密封無菌包装中に包装される。

0065

投薬単位投与器は、薬物が、例えば、直腸内、膣内、鼻腔内または内送達される解剖学的位置適合するように設計され得る。

0066

IV.低張ゲル形成性組成物を投与する方法
低張ゲル形成性組成物は、主に、任意の水吸収性表面に適用され得る。一実施形態では、製剤は、治療的、予防的、診断的または栄養学的効果を必要とする対象の上皮表面上の粘膜コーティングに、液体として適用される。ゲル形成性組成物は、低張溶液、または低張溶液を形成する試薬が表面と接触する限り、当業者に公知のいくつもの方法で適用され得る。ゲル形成性組成物を低張製剤として適用することによって、水は、上皮組織中に吸収される。水吸収は、表面におけるゲル形成性ポリマーの濃縮を提供し、表面において均一なゲル形成を生じる。別の実施形態では、ゲルは、それが凝固する際に、または部分的に固体の形態で適用され、それによって、障壁、レザーバーもしくはデポ、またはそれらの組合せとして作用する。ゲル形成性組成物中の薬剤または賦形剤は、ゲル中に封入され得、表面においてまたは表面中に放出され得る。

0067

低張ゲル形成性組成物は、任意の上皮表面に適用され得る。ゲル形成性組成物を低張溶液として適用することは、上皮細胞による水吸収および上皮表面におけるゲル形成を生じる。上皮表面には、口腔表面、咽頭表面食道表面、肺表面、眼表面表面、鼻表面、頬表面、舌表面、膣表面、子宮頸部表面、尿生殖器表面、消化器表面(alimentary surface)、肛門直腸表面および/または皮膚表面が含まれ得る。投与の好ましい経路には、直腸および膣、または他の粘膜コーティングされた表面が含まれる。

0068

本発明は、以下の非限定的な実施例への参照によってさらに理解される。

0069

(実施例1非付着性ナノ粒子輸送は、種々の熱感受性ゲル製剤において増強される)
材料および方法
非付着性ナノ粒子(PSPEG)を使用して、複数の熱感受性PLURONIC(登録商標)ゲルの孔構造を、それらのCGCにおいて評価した。試験した熱感受性PLURONIC(登録商標)ゲルは、15%F68、24%P104、18%F68/15%F127、24%F98および18%F127を含んだ。多粒子追跡(MPT)を使用して、37℃に設定した温度制御チャンバー中でインキュベートしたゲル中のPSPEGの運動を観察した。データを、秒(s)での時間尺度の関数としての、アンサンブル平均した平均二乗変位(<MSD>、μm2)として報告した。

0070

蛍光カルボキシレート改変ポリスチレンナノ粒子(PS−COOH)、サイズ100nmを、ポリ(エチレングリコール)(PEG)で高密度にコーティングして、非付着性PEGコーティングされたPSナノ粒子(PSPEG)を生成した。簡潔に述べると、5kDaのメトキシ−PEG−アミン、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを、200mMホウ酸緩衝液中に溶解させ、PS−COOHに添加して、カルボン酸およびアミン基カップリングを促進した。ナノ粒子のサイズを、動的光散乱(90°散乱角)を使用して特徴付けζ電位を、Zetasizer Nano ZS90を用いたレーザードップラー流速測定によって決定した。

0071

結果
図1に示すように、100nmPSPEGのMSDは、試験した異なるゲルについて有意に変動し、粒子の拡散は、15%F68ゲルにおいて最も速く、18%F127ゲルにおいて最も緩慢であった。図2A〜2Eは、各ゲル中のナノ粒子について計算した平均MSD値の範囲を支持する、種々のゲル中の100nm PSPEGについての典型的な軌跡を示す。PSPEGは、15%F68ゲルにおいて比較的迅速に拡散できたが、ナノ粒子は、18%F127ゲルにおいては完全に不動化された(表1)。このサイズの粒子を不動化するゲルは、ナノサイズの物体(ウイルスを含む)に対する立体障壁特性を有し得るが、ナノ粒子拡散に対して許容的なゲルは、上皮に送達され細胞によって取り込まれる必要があるナノ粒子を投与するのに適切であり得る。

0072

0073

(実施例2ムチン糖ポリマーの存在下でのゲル孔サイズにおける変化)
通常の投与の場合のようにそれらの臨界ゲル化濃度(CGC)にあるポロクサマーゲルと、それらのCGC未満の低張溶液中のポロクサマーゲルとの間の差異を調査した。そのCGCにおいて膣または結腸直腸中に投与されたポロクサマーゲルは、管腔においてゲルの「プラグ」を形成する。対照的に、CGC未満で低張性に投与されたポロクサマー溶液からの流体は、上皮表面によって吸収され、ポロクサマーを粘液ゲル中に引き込み、かつ上皮に対して引き寄せる。ポロクサマーが濃縮されると、これは粘液と混合する。内因性ムチン糖ポリマーと混合することは、ゲル化に必要なゲル化剤の濃度、および得られたゲル/ムチン混合物の孔構造を含む、低張ゲル化剤のゲル化特性に影響を与えると仮定された。

0074

ゲルの孔構造は、特に、ゲル化ビヒクルがCGC未満で低張性に投与される場合、上皮細胞上の粘液層において見出されるものなどのムチン糖ポリマーと混合することによって、変更され得る。異なる濃度のムチンへのゲルの適用後のゲルの孔構造における変化について試験するために、以下の研究を実施した。

0075

材料および方法
非付着性ナノ粒子(PSPEG)を使用して、15%F68、24%P104、18%F68/15%F127、24%F98および18%F127を含む複数の熱感受性ポロクサマーゲルの孔構造を、それらのCGCにおいて評価した。多粒子追跡(MPT)を使用して、37℃に設定した温度制御チャンバー中でインキュベートしたゲル中のPSPEGの運動を観察した。

0076

実施例1と類似のMPT実験を、100nmPSPEG粒子および1%ブタ胃ムチン(市販されている)と混合したまたはヒト頸腟部粘液(CVM)と1:1(50%粘液)混合したゲルを用いて37℃で実施した。

0077

結果
図3に示すように、18%F127ゲルの構造は、ポリマーをムチンまたは粘液と混合することによって有意に影響を受けた。100nmPSPEGは、ムチン/粘液の存在下でより可動性になり、ゲルの孔サイズにおける増加を示した。対照的に、24%F98ゲルの孔構造は、ムチンによっても粘液によっても有意に影響を受けなかった(図4)が、それは、粒子の可動性が、ムチン/粘液の存在下で変化しなかったからである。100nm PSPEGの軌跡は、18%F127をムチン/粘液と混合した場合にはより拡散性になったが、100nm PSPEGは、ムチン/粘液を有する24%F98中では同様に不動化された。

0078

(実施例3上皮に対してゲル化した低張PLURONIC(登録商標)ゲル化剤によるウイルスの捕捉)
マウス膣への投与後に、低張PLURONIC(登録商標)ゲル化剤が上皮に対してゲル化し、ウイルスを捕捉する能力を調査した。捕捉は、上皮による流体吸収が、PLURONIC(登録商標)溶液をそれらのCGCに濃縮し、ゲル化を誘導するのに十分なほど顕著であった場合にのみ生じ、結腸直腸中に存在する粘液と混合しても、ゲル中の孔がウイルスよりも大きい直径まで大きくなることはなかった。

0079

材料および方法
蛍光標識されたヒト免疫不全ウイルス(HIV、約120nm)および単純ヘルペスウイルス1型(HSV、約180nm)の両方の捕捉を試験した。

0080

HSV−1ウイルスは、Prashant Desai(Johns Hopkins University)が生成した。組換えウイルスは、赤色蛍光タンパク質(RFP)を内部的に発現し(Desai, P.;Sexton, G. L.;Huang, E.;Person, S.、Localization of herpes simplex virus type 1 UL37 in the Golgi complex requires UL36 but not capsid structures. J Virol 2008年、82巻、11354〜6頁)、従って、蛍光標識は、ウイルス表面とゲル/粘液との間の相互作用に影響を与えないはずである。

0081

HIVウイルスは、Samuel Lai(University of North Carolina)が生成した。組換えウイルスは、YU2 Envでシュードタイプ化したGag構造タンパク質またはVprアクセサリータンパク質に融合したmCherryフルオロフォアを内部的に発現する。同様に、蛍光標識は、ウイルス表面とゲル/粘液との間の相互作用に影響を与えないはずである。

0082

結果
図5に示すように、HIVは、ゲルがない場合、マウス膣粘液中で拡散する。10%および15%F127(CGCは18%である)の投与は、MSDにおける中程度の減少を生じる。図3に示すように、粘液と混合したF127ゲルは、ウイルスサイズの粒子を効率的に捕捉しない。対照的に、18%F98(CGCは24%である)の投与は、膣において引き続いて投与されたHIVの有効な捕捉を生じる。サイズがより大きいHSVについて、15%F127および18%F98は共に、HSVの拡散を低減させるが、18%F98は、HSVを捕捉するのにより有効であった(図6)。

0083

(実施例4結腸直腸における低張ゲル化剤の輸送特性の試験)
材料および方法
結腸直腸において低張ゲル化剤によってPSPEGナノ粒子またはHIVを捕捉するさらなる試験を実施した。PSPEGナノ粒子を、実施例1に記載したように調製した。HIVを、実施例3に記載したように調製した。

0084

結果
蛍光標識されたHIVは、マウス結腸直腸粘液を通じて迅速に拡散したが、CGC未満のゲル化剤の低張溶液(10%F127)をウイルスの前に導入した場合、ウイルスは、粘液中に付着により捕捉されるナノ粒子、100nm PSナノ粒子と同様に、不動化された(ゲルなしの場合のウイルスよりも>500倍緩慢な動き)(図8)。

0085

100nmPSPEGの捕捉に基づいて、12%F98は、F98についてのCGC(24%)に有効に達するには希薄すぎたが、18%F98は、十分に濃縮されたことが見出された(図9)。さらに、18%F98および10%F127は共に、ゲル化剤の1時間後に投与されたHIVを捕捉するのに有効であった(図10)。この現象により、結腸直腸粘液と比較した、膣粘液と低張ゲル化剤を混合した場合に形成するゲルにおける特異的な差異が強調される。

0086

(実施例5膣適用後の低張ゲル化剤によるモデル薬物フルオレセインの増加した保持)
膣適用後に、低張ゲル化ビヒクルは、膣ヒダを含む上皮をコーティングし、膣管腔の中央部において形成されたゲルのボーラス(CGCにおいて投与されたゲル化剤の場合と同様)と比較して、より長い膣保持をもたらし得る。

0087

材料および方法
フルオレセインを、脱イオン(DI)水、CGCにある熱ゲル(18%F127)または低張熱ゲル(10%F127)のいずれか中で投与し、保持を24時間の時点で評価した。パーセント蛍光保持(%)を、投与直後の蛍光に基づいて正規化した。データは、各n≧3のマウスを用いたn=3実験の代表であった。

0088

結果
図11に示すように、10%における低張ゲル化剤F127は、そのCGC(18%)において投与したF127中のフルオレセインと比較して、24時間後に、モデル薬物フルオレセインの増加した膣保持を提供した。両方のゲルが、水中での投与よりも、膣においてより長くフルオレセインを保持した。

0089

(実施例6低張ゲル化剤の毎日の膣適用後のサイトカイン放出
毒性は、粘膜表面への適用のための製品を設計する場合の重要な懸念である。ある特定の殺菌剤製品からの膣毒性および刺激は、保護を提供するのではなく、性感染症に対する感受性を事実上増加させる(Segarraら、PLoS One、6巻(11号)、e27675頁、2011年)。膣HIV感染に対する感受性を増加させることが公知の製品ノノキシノール−9(N9)は、マウスにおける7日間の毎日の膣投与後に、サイトカインIL−1β(上皮傷害に応答して放出される)の放出を引き起こす(Ensignら、Sci Transl Med、4巻(138号):138ra79頁、2012年)。

0090

従って、ヒドロキシエチルセルロースプラセボゲル、1%F127、18%F127および5%N9の毎日の膣投与後のIL−1βサイトカイン放出を、7日間の適用後に評価した。

0091

材料および方法
20μLの各試験薬剤を、7日間1日1回、プロゲスチン誘導性発情間期DP)マウスモデルに膣内投与した(L.M. Ensign、B.C. Tang、Y.Y. Wang、T.A. Tse、T. Hoen、R. Cone、J. Hanes、Mucus−penetrating nanoparticles for vaginal drug delivery protect against herpes simplex virus、Science Translational Medicine、4巻(2012年)138ra179頁)。8日目に、各マウスを、50μLのPBSで2回洗浄した。各洗浄試料を、さらなる200μLのPBSで希釈し、遠心分離して粘液プラグを除去した。上清(50μL)を使用して、QuantikineELISAキット(R&D Systems)を使用してIL−1βの濃度を測定した。ELISAを、製造業者の指示に従って実施した。

0092

結果
18%F127の7日間の毎日の適用は、5%N9と類似したIL−1β放出を引き起こしたことが見出され、これは、感染に対する感受性における増加をもたらし得る上皮刺激が存在したことをおそらくは示している。対照的に、HIV臨床試験においてプラセボとしてしばしば使用されるヒドロキシエチルセルロースプラセボゲルなどの製品および1%F127溶液は、処置なし対照からは識別不能なサイトカイン放出を有した(図12)。この結果は、低張1%F127溶液が、CGC超のF127濃度を含有する製品よりも、より安全な膣in situゲル化製品であることを示した。

0093

結果
図12Aに示すように、100nmPSPEGのMSDは、試験した異なるゲルについて有意に変動し、粒子の拡散は、15%F68ゲルにおいて最も速く、18%F127ゲルにおいて最も緩慢であった。図12Bは、各ゲル中のナノ粒子について計算した平均MSD値の範囲を支持する、種々のゲル中の100nm PSPEGについての典型的な軌跡を示す。PSPEGは、15%F68ゲルにおいて比較的迅速に拡散できたが、ナノ粒子は、18%F127ゲルにおいては完全に不動化された(表2)。このサイズの粒子を不動化するゲルは、ナノサイズの物体(ウイルスを含む)に対する立体障壁特性を有し得るが、ナノ粒子拡散に対して許容的なゲルは、上皮に送達され細胞によって取り込まれる必要があるナノ粒子を投与するのに適切であり得る。

0094

しかし、ゲルの孔構造は、特に、ゲル化ビヒクルが送達ビヒクルとしてCGC未満で低張性に投与される場合、ムチン糖ポリマーと混合することによって、変更され得る。従って、類似のMPT実験を、100nmPSPEG粒子および1%ブタ胃ムチン(市販されている)と混合したまたはヒト頸腟部粘液(CVM)と1:1(50%粘液)混合したゲルを用いて37℃で実施した。図1Aに示すように、18%F127ゲルの構造は、ポリマーをムチンまたは粘液と混合することによって有意に影響を受けた;100nm PSPEGは、ムチン/粘液の存在下でより可動性になった。対照的に、24%F98ゲルの孔構造は、ムチンによっても粘液によっても有意に影響を受けなかった(図1A)。これは、100nm PSPEGの軌跡は、18%F127をムチン/粘液と混合した場合にはより拡散性になったが、100nm PSPEGは、ムチン/粘液を有する24%F98中では同様に不動化されたことから、図1Bにさらに例示される。ウイルスに対する物理的障壁としての低張ゲル化剤の使用のためには、粘液との混合の際のF127ゲル孔サイズにおける増加は、理想的ではない。しかし、これは、ナノ粒子のための送達ビヒクルとしての使用のために有利であり得る。ゲル化ビヒクルは、CGC未満の濃度で投与される。ゲル化剤は、流体が吸収されるとCGCまで濃縮され、これは、膣および結腸直腸の上皮表面を裏打ちする粘液と接触することで生じる。

0095

次いで、マウス膣への投与後に、低張ポロクサマーゲル化剤が上皮に対してゲル化し、ウイルスを捕捉することができるかどうかを調査した。捕捉は、上皮による流体吸収が、ポロクサマー溶液をそれらのCGCに濃縮し、ゲル化を誘導するのに十分なほど顕著であった場合にのみ生じ、結腸直腸中に存在する粘液と混合しても、ゲル中の孔がウイルスよりも大きい直径まで大きくなることはなかった。蛍光標識されたヒト免疫不全ウイルス(HIV、約120nm)および単純ヘルペスウイルス1型(HSV、約180nm)の両方の捕捉を試験した。図3Aに示すように、HIVは、ゲルがない場合、マウス膣粘液中で拡散し、10%および15%F127(CGCは18%である)の投与は、MSDにおける中程度の減少を生じる。図2に示すように、粘液と混合したF127ゲルは、ウイルスサイズの粒子を効率的に捕捉しない。対照的に、18%F98(CGCは24%である)の投与は、膣において引き続いて投与されたHIVの有効な捕捉を生じる。サイズがより大きいHSVについて、15%F127および18%F98は共に、HSVの拡散を低減させるが、18%F98は、HSVを捕捉するのにより有効であった(図3B)。1sの時間尺度における個々のウイルスMSDの分布は、低張ゲル化剤をウイルスの1時間前に膣投与した場合のウイルスの捕捉(左へのシフト)をさらに例示した。

0096

結腸直腸における低張ゲル化剤による捕捉のさらなる試験において、100nmPSPEGの捕捉に基づいて、12%F98は、F98についてのCGC(24%)に有効に達するには希薄すぎたが、18%F98は、十分に濃縮されたことが見出された(図4A)。次いで、18%F98および10%F127は共に、ゲル化剤の1時間後に投与されたHIVを捕捉するのに有効であったことが発見された(図4B)。この現象により、結腸直腸粘液と比較した、膣粘液と低張ゲル化剤を混合した場合に形成するゲルにおける特異的な差異が強調される。

実施例

0097

薬物送達の観点からゲル化ビヒクルを見ると、低張ゲル化ビヒクルが、膣ヒダを含む上皮をコーティングし、これが、膣管腔の中央部において形成されたゲルのボーラス(CGCにおいて投与されたゲル化剤の場合と同様)と比較して、より長い膣保持をもたらすことが仮定された。実際、図5に示すように、本発明者らは、10%F127が、F127中のフルオレセインと比較して、24時間後に、モデル薬物フルオレセインの増加した膣保持を提供したことを見出した。

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