図面 (/)

技術 表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板、並びにその製造方法

出願人 ポスコ
発明者 キム、ミョン−スカン、ギ−チョルキム、ジョン−ホ
出願日 2015年12月23日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2017-533553
公開日 2018年3月1日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2018-505963
状態 特許登録済
技術分野 溶融金属による被覆 薄鋼板の熱処理
主要キーワード 微小歪み メッキ剥離 一部成分 Mn含量 電気メッキ設備 還元層 保温炉 亜鉛メッキ層
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題・解決手段

本発明は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避不純物を含む冷延鋼板と、上記冷延鋼板上に亜鉛メッキ層とが形成され、上記亜鉛メッキ層内部の冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、上記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量の1.5倍以上である、表面品質メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する。

概要

背景

近年、地球環境保全を目的とした二酸化炭素規制による自動車の軽量化及び自動車の衝突定性を向上させるために、自動車用鋼板高強度化が求められつつある。このような要求に応えて、近年では1000MPa以上の高強度鋼板が開発されるようになり、自動車に適用されている。鋼板の強度を高める方法として、炭素をはじめとする鋼の強化成分添加量を増加させることで、高強度の鋼板を容易に製造できるが、自動車車体用鋼板の場合、車体に成形する過程クラックが発生してはならないため、鋼板の延伸率も同時に確保されなければならない。

自動車用鋼板の強度と延性を同時に確保するために、鋼中に主に添加する成分としては、Mn、Si、Al、Cr及びTiなどが挙げられ、これらの添加量を適切に調節し、製造工程の条件を制御することで、高い強度と延性を有する鋼板を製造することができる。しかしながら、1000MPa以上の強度を有する自動車用高強度鋼板を得るために添加するSi、Mn、Alなどの成分は酸化しやすいため、Si、Mn及びAlが含まれた高強度鋼板は、焼鈍炉内に存在する微量の酸素又は水蒸気と反応して、鋼板表面にSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物を形成する。このような酸化物は、亜鉛濡れ性を妨げ、メッキ鋼板表面に局部的或いは全体的に亜鉛が付着しないという、未メッキが発生し、メッキ鋼板の表面品質を大きく低下させる。また、焼鈍後、鋼板表面に酸化物が存在する場合には、その後のメッキ浴に浸漬されるとき、メッキ浴中のAlと鋼板のFeが反応して形成されるFe−Al合金相が形成されず、メッキ層素地鉄の密着力が弱くなり、鋼板の成形過程においてメッキ層が脱落するという、メッキ剥離現象が発生するようになる。上記のようなSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物の形成は、Si、Mn、Alなどの酸化性成分の含量が多いほど激しくなるため、1000MPa以上の高強度鋼板の場合、未メッキ及びメッキ剥離がさらに激しくなる。

上記のような問題を解決するために、様々な解決方案提示されてきた。そのうち、特許文献1では、焼鈍過程で空気と燃料空燃比0.80〜0.95に制御することで、酸化性雰囲気の直接火炎炉(direct flame furnace)内で鋼板を酸化させ、鋼板内部の一定深さまでSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物を含む鉄(Fe)酸化物を形成させた後、還元性雰囲気還元焼鈍させることで鉄(Fe)酸化物を還元させ、溶融亜鉛メッキを行った溶融亜鉛メッキ鋼板を提供している。このように、焼鈍工程において酸化後還元する方法を使用すると、鋼板表層から一定深さにSi、Mn、Alなどの酸素と親和力の大きい成分が内部酸化し、表層拡散が抑制されるようになり、相対的に、表層にはSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物が低下するようになり、メッキ浴中で亜鉛との濡れ性が改善され、未メッキが減少される。しかしながら、かかる方法では、酸化工程で生じた鉄酸化層の下に存在するSi、Mn及び/又はAlからなる内部酸化層が存在し、これらの内部酸化層はその後の還元工程で還元されないため、メッキ完了後に素地(還元Fe層)/メッキ界面の直下の素地鉄に、鋼板表面に平行な方向に酸化物層の形態で存在するようになり、プレス加工時に還元層と素地鉄との間の上記酸化物層が存在する部位において密着力が大きく低下するという問題が発生する。

また、特許文献2では、焼鈍過程でSi及びMnが表面まで拡散することを抑制するために、焼鈍する前に、鋼板に鉄(Fe)を10g/m2の付着量で先メッキした後、還元焼鈍を行うことで素地鉄中のSi及びMnが鉄(Fe)先メッキ層へ拡散してくるが、厚い先メッキ層内において酸化物を形成して表面への拡散を抑え、表面には酸化物がないため、メッキに優れ、先メッキ層内のSi及びMn酸化物不連続的に分散存在させてメッキ密着性を向上させた溶融亜鉛メッキ鋼板を提供している。しかし、このように、厚い鉄(Fe)先メッキ層を形成した後、還元焼鈍を行うと、先メッキ層の下に素地鉄に存在するSi、Mnが表面まで拡散できなくなるが、還元焼鈍時にSi、Mnなどの酸化性成分が表面まで拡散することを抑制するためには、先メッキの付着量を10g/m2以上として厚くしなければならないため、厚い先メッキ層を形成するための電気メッキ設備が大きくなり、それによって費用も増加するという問題がある。

さらに他の方法として、特許文献3では、焼鈍炉内の露点(Dew Point)を高く維持して酸化が容易なMn、Si及びAlなどの成分を鋼内部に内部酸化させることで、焼鈍後、鋼板表面に外部酸化される酸化物を減少させてメッキ性を向上させる方法を提供している。このような方法によって酸化性成分を内部酸化させると、外部酸化が減少するようになり、メッキ性を改善することができるが、鋼板をプレス成形するとき、鋼板に応力が加わると、鋼板の表層部に存在する内部酸化物外部応力脆弱なため、破壊が起こりやすく、鋼板のクラックが発生しやすいという問題がある。

概要

本発明は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避不純物を含む冷延鋼板と、上記冷延鋼板上に亜鉛メッキ層とが形成され、上記亜鉛メッキ層内部の冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、上記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量の1.5倍以上である、表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する。

目的

本発明の一態様は、1000MPa以上の高い引張強度を有し、かつ表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避不純物を含む冷延鋼板と、前記冷延鋼板上に亜鉛メッキ層とが形成され、前記亜鉛メッキ層内部の冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、前記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量の1.5倍以上である、表面品質メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板

請求項2

前記冷延鋼板の微細組織は、残留オーステナイトを5〜25%の面積分率で含む、請求項1に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。

請求項3

前記冷延鋼板の引張強度は、1000MPa以上であり、引張強度(Mpa)×延伸率(%)が15000以上である、請求項1に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。

請求項4

重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避な不純物を含む鋼スラブを提供する段階と、前記鋼スラブを1100〜1300℃の温度に再加熱する段階と、前記再加熱された鋼スラブをAr3以上の温度で仕上げ熱間圧延する段階と、前記熱間圧延された鋼板を700℃以下の温度で巻き取る段階と、前記巻き取られた鋼板を酸洗後冷間圧延する段階と、前記冷間圧延された冷延鋼板を露点温度−60〜−20℃、温度750〜950℃で5〜120秒間再結晶焼鈍する段階と、前記焼鈍された冷延鋼板を2〜150℃/秒の平均冷却速度で200〜600℃まで冷却する段階と、前記冷却された鋼板を(メッキ浴温度−20℃)〜(メッキ浴温度+100℃)の温度に再加熱又は冷却する段階と、前記再加熱又は冷却された鋼板を、450〜500℃の温度に維持される亜鉛メッキ浴に浸漬してメッキする段階、を含む表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。

請求項5

前記再結晶焼鈍はH2−N2ガス雰囲気下で行う、請求項4に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。

請求項6

前記冷却段階は、第1次冷却及び第2次冷却に分けられ、前記第1次冷却では400〜740℃まで冷却され、前記第2次冷却では200〜600℃まで冷却される、請求項4に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。

請求項7

上記焼鈍段階の前に、上記焼鈍された冷延鋼板の表面に、Fe、Ni、Co、及びSnからなる群より選択された少なくとも一つの成分で0.01〜2g/m2のメッキ量をメッキする段階を更に含む、請求項4に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。

請求項8

上記亜鉛メッキ浴は、重量%で、Alを0.2〜1%含み、Fe、Ni、Cr、Mn、Mg、Si、P、S、Co、Sn、Bi、Sb、及びCuからなる群より選択された少なくとも一つの成分を0.5%以下含み、残部Zn、及びその他の不可避な不純物を含む、請求項4に記載の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、自動車車体構造用部材などに使用され得る高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に関し、より詳しくは、1000MPa以上の高い引張強度を有し、かつ表面品質メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板、並びにその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境保全を目的とした二酸化炭素規制による自動車の軽量化及び自動車の衝突定性を向上させるために、自動車用鋼板高強度化が求められつつある。このような要求に応えて、近年では1000MPa以上の高強度鋼板が開発されるようになり、自動車に適用されている。鋼板の強度を高める方法として、炭素をはじめとする鋼の強化成分添加量を増加させることで、高強度の鋼板を容易に製造できるが、自動車車体用鋼板の場合、車体に成形する過程クラックが発生してはならないため、鋼板の延伸率も同時に確保されなければならない。

0003

自動車用鋼板の強度と延性を同時に確保するために、鋼中に主に添加する成分としては、Mn、Si、Al、Cr及びTiなどが挙げられ、これらの添加量を適切に調節し、製造工程の条件を制御することで、高い強度と延性を有する鋼板を製造することができる。しかしながら、1000MPa以上の強度を有する自動車用高強度鋼板を得るために添加するSi、Mn、Alなどの成分は酸化しやすいため、Si、Mn及びAlが含まれた高強度鋼板は、焼鈍炉内に存在する微量の酸素又は水蒸気と反応して、鋼板表面にSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物を形成する。このような酸化物は、亜鉛濡れ性を妨げ、メッキ鋼板表面に局部的或いは全体的に亜鉛が付着しないという、未メッキが発生し、メッキ鋼板の表面品質を大きく低下させる。また、焼鈍後、鋼板表面に酸化物が存在する場合には、その後のメッキ浴に浸漬されるとき、メッキ浴中のAlと鋼板のFeが反応して形成されるFe−Al合金相が形成されず、メッキ層素地鉄の密着力が弱くなり、鋼板の成形過程においてメッキ層が脱落するという、メッキ剥離現象が発生するようになる。上記のようなSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物の形成は、Si、Mn、Alなどの酸化性成分の含量が多いほど激しくなるため、1000MPa以上の高強度鋼板の場合、未メッキ及びメッキ剥離がさらに激しくなる。

0004

上記のような問題を解決するために、様々な解決方案提示されてきた。そのうち、特許文献1では、焼鈍過程で空気と燃料空燃比0.80〜0.95に制御することで、酸化性雰囲気の直接火炎炉(direct flame furnace)内で鋼板を酸化させ、鋼板内部の一定深さまでSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物を含む鉄(Fe)酸化物を形成させた後、還元性雰囲気還元焼鈍させることで鉄(Fe)酸化物を還元させ、溶融亜鉛メッキを行った溶融亜鉛メッキ鋼板を提供している。このように、焼鈍工程において酸化後還元する方法を使用すると、鋼板表層から一定深さにSi、Mn、Alなどの酸素と親和力の大きい成分が内部酸化し、表層拡散が抑制されるようになり、相対的に、表層にはSi、Mn及びAlの単独又は複合酸化物が低下するようになり、メッキ浴中で亜鉛との濡れ性が改善され、未メッキが減少される。しかしながら、かかる方法では、酸化工程で生じた鉄酸化層の下に存在するSi、Mn及び/又はAlからなる内部酸化層が存在し、これらの内部酸化層はその後の還元工程で還元されないため、メッキ完了後に素地(還元Fe層)/メッキ界面の直下の素地鉄に、鋼板表面に平行な方向に酸化物層の形態で存在するようになり、プレス加工時に還元層と素地鉄との間の上記酸化物層が存在する部位において密着力が大きく低下するという問題が発生する。

0005

また、特許文献2では、焼鈍過程でSi及びMnが表面まで拡散することを抑制するために、焼鈍する前に、鋼板に鉄(Fe)を10g/m2の付着量で先メッキした後、還元焼鈍を行うことで素地鉄中のSi及びMnが鉄(Fe)先メッキ層へ拡散してくるが、厚い先メッキ層内において酸化物を形成して表面への拡散を抑え、表面には酸化物がないため、メッキに優れ、先メッキ層内のSi及びMn酸化物不連続的に分散存在させてメッキ密着性を向上させた溶融亜鉛メッキ鋼板を提供している。しかし、このように、厚い鉄(Fe)先メッキ層を形成した後、還元焼鈍を行うと、先メッキ層の下に素地鉄に存在するSi、Mnが表面まで拡散できなくなるが、還元焼鈍時にSi、Mnなどの酸化性成分が表面まで拡散することを抑制するためには、先メッキの付着量を10g/m2以上として厚くしなければならないため、厚い先メッキ層を形成するための電気メッキ設備が大きくなり、それによって費用も増加するという問題がある。

0006

さらに他の方法として、特許文献3では、焼鈍炉内の露点(Dew Point)を高く維持して酸化が容易なMn、Si及びAlなどの成分を鋼内部に内部酸化させることで、焼鈍後、鋼板表面に外部酸化される酸化物を減少させてメッキ性を向上させる方法を提供している。このような方法によって酸化性成分を内部酸化させると、外部酸化が減少するようになり、メッキ性を改善することができるが、鋼板をプレス成形するとき、鋼板に応力が加わると、鋼板の表層部に存在する内部酸化物外部応力脆弱なため、破壊が起こりやすく、鋼板のクラックが発生しやすいという問題がある。

先行技術

0007

韓国特開2010−0030627号公報
日本特開2002−322551号公報
韓国特開2009−0006881号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の一態様は、1000MPa以上の高い引張強度を有し、かつ表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することである。

0009

本発明のさらに他の一態様は、1000MPa以上の高い引張強度を有し、かつ表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を製造する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一態様は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避不純物を含む冷延鋼板と、上記冷延鋼板上に亜鉛メッキ層とが形成され、上記亜鉛メッキ層内部の冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、上記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量の1.5倍以上である表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する。

0011

本発明のさらに他の一態様は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避な不純物を含む鋼スラブを提供する段階と、上記鋼スラブを1100〜1300℃の温度に再加熱する段階と、上記再加熱された鋼スラブをAr3以上の温度で仕上げ熱間圧延する段階と、上記熱間圧延された鋼板を700℃以下の温度で巻き取る段階と、上記巻き取られた鋼板を酸洗後冷間圧延する段階と、上記冷間圧延された冷延鋼板を露点温度−60〜−20℃、温度750〜950℃で5〜120秒間再結晶焼鈍する段階と、上記焼鈍された冷延鋼板を2〜150℃/秒の平均冷却速度で200〜600℃まで冷却する段階と、上記冷却された鋼板を(メッキ浴温度−20℃)〜(メッキ浴温度+100℃)の温度に再加熱又は冷却する段階と、上記再加熱又は冷却された鋼板を450〜500℃の温度に維持される亜鉛メッキ浴に浸漬してメッキする段階とを含む表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法を提供する。

発明の効果

0012

本発明によって溶融亜鉛メッキ鋼板を製造することにより、自動車車体構造用部材などに使用され得る、引張強度1000MPa以上で、引張強度(Mpa)×延伸率(%)が15000以上である、表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することができる。

0013

本発明は、1000MPa以上の高い引張強度と優れた成形性を有し、かつ表面品質及びメッキ密着性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板、及びそれを製造する方法に関する。

0014

以下、本発明の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板について詳細に説明する。

0015

本発明の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避な不純物を含む冷延鋼板と、上記冷延鋼板上に亜鉛メッキ層とが形成され、上記亜鉛メッキ層内部の冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、上記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量の1.5倍以上である。

0016

以下、上記鋼材成分組成に対して限定した理由について具体的に説明する(下記の成分組成は、特に言及しない限り、全て重量%を意味する)。

0017

炭素(C):0.1〜0.3%
Cは、マルテンサイト強度確保のために必要なため、0.1%以上添加されるべきであるが、0.3%を超えると、延性と曲げ加工性、及び溶接性が減少し、プレス成形及びロール加工性が悪くなるという短所があるため、Cの含量は0.1〜0.3%が好ましい。

0018

シリコン(Si):1〜2.5%
Siは、鋼の降伏強度を向上させるとともに、室温でフェライト及び残留オーステナイトを安定化させるため、1%以上含有することが好ましい。またSiは、オーステナイトから冷却時にセメンタイト析出を抑制し、炭化物成長を顕著に阻止することにより、TRIP(Tranformation Induced Plasticity)鋼の場合、十分な量の残留オーステナイトを安定化するのに寄与する。したがって、本発明のように、引張強度1000MPa以上でありながら、引張強度(MPa)×延伸率(%)=15000以上を確保するのに必須となっている。これに対し、過多添加されると、熱間圧延負荷が増加して熱延クラックを誘発させるだけでなく、他の成分及び製造方法が本発明の範囲を満たしていても、焼鈍後に表面のSi濃化量が多くなり、メッキ性が劣位となるため、2.5%以下に制限することが好ましい。

0019

マンガン(Mn):2.5〜8%
Mnの含量は2.5〜8%が好ましい。鋼中Mnは、フェライト形成を抑制しオーステナイトを安定化させる硬化能増加元素として良く知られている。鋼板の引張強度を1000MPa以上確保するためには2.5%以上のMnが必要である。Mn含量が増加するほど強度の確保は容易になるが、焼鈍過程でMnの表面酸化量が増加するようになるため、本発明の製造方法を用いてもメッキ性の確保が困難になり、8%以下に制限することが好ましい。

0020

アルミニウム(sol.Al):0.001〜0.5%
Alは、製鋼工程において脱酸用として添加される元素であって、炭窒化物形成元素である。Alは、フェライト域を広げる合金元素であって、Ac1変態点下げることで焼鈍費用を低減するという長所があるため、0.001%以上添加することが必要である。Al含有量が1%を超えると、溶接性が劣化するとともに、焼鈍過程でAlの表面酸化量が増加するようになるため、本発明の製造方法を用いてもメッキ性の確保が困難になり、sol.Alの含量は0.001〜0.5%が好ましい。

0021

リン(P):0.04%以下
Pは、不純物元素であって、その含量が0.04%を超えると、溶接性が低下し、鋼の脆性が発生するダメージが大きくなり、デント欠陥の誘発可能性が高くなるため、その上限を0.04%に限定することが好ましい。

0022

硫黄(S):0.015%以下
Sは、Pと同様に不純物元素であって、鋼板の延性及び溶接性を阻害する元素である。その含量が0.015%を超えると、鋼板の延性及び溶接性を阻害する可能性が高くなるため、その上限を0.015%に限定することが好ましい。

0023

窒素(N):0.02%以下(0%は除く)
Nは、0.02%を超えると、AlNの形成によって連続鋳造時にクラックが発生するダメージが大きく増加するため、その上限を0.02%に限定することが好ましい。

0024

クロム(Cr):0.1〜0.7%
Crは、硬化能増加元素であって、フェライト形成を抑制するという長所があるため、5〜25%の残留オーステナイトを確保するためには、0.1%以上添加することが好ましく、0.7%を超えると、合金投入量の過多によって合金鉄原価が増加するため、Crの含量は0.1〜0.7%が好ましい。

0025

モリブデン(Mo):0.1%以下
Moは、選択的に添加されるが、含量は0.1%以下が好ましく、より好ましくは0.001〜0.1%である。Moは、Crと同様に強度向上に寄与する効果は大きいが、比較的高価な成分であるため、0.1%を超えると、経済的に好ましくない。

0026

チタン(Ti):(48/14)*[N]〜0.1%
Tiは、窒化物形成元素であって、鋼中Nの濃度を減少させる効果があり、そのためには、化学当量的に(48/14)*[N]以上を添加する必要がある。Ti未添加の場合は、AlN形成による熱間圧延性クラックが発生する恐れがある。0.1%を超えると、固溶Nの除去以外に、更なる炭化物の析出によるマルテンサイトの炭素濃度及び強度が減少するため、Tiの含量は(48/14)*[N]〜0.1%が好ましい。

0027

ニッケル(Ni):0.005〜0.5%
Niは、焼鈍過程で表面にほとんど濃化されず、メッキ性を低下させないため、強度向上のために0.005%以上を添加するが、0.5%を超えると、熱延鋼板酸洗が不均一になるため、Niの含量は0.005〜0.5%が好ましい。

0028

アンチモン(Sb):0.01〜0.07%
Sbは、本発明で表面品質及び密着性を確保するために必須で添加される重要な成分である。上記説明したように、高い強度と延伸率を有する鋼板を製造するために多量のSi、Al及びMnが添加されるが、このような鋼板を還元再結晶焼鈍すると、鋼中のSi、Al及びMnが鋼の表面に拡散して、表面に多量の複合酸化物を形成する。この場合、焼鈍表面の大部分が酸化物で覆われるようになるため、鋼板が亜鉛メッキ浴に浸漬される時に亜鉛の濡れ性を大きく低下させ、亜鉛が付着しないという、未メッキが発生するだけでなく、メッキされても、鋼板と亜鉛メッキ層の界面にFe−Al合金相が形成されないため、亜鉛メッキ層と素地鉄間の密着力が低下し、メッキ剥離が発生する。

0029

しかしながら、鋼中にSbを0.01〜0.07%添加し、本発明において焼鈍炉内部の露点を−60〜−20℃に維持しながら還元焼鈍すると、鋼板の表層部又は素地鉄から深さ方向に0.2μm以内においてSbが濃化され、相対的にSi、Mn及びAlなどの表面拡散を抑制することで、Si、Mn及びAlからなる表面酸化物の濃化量を減少させる。この場合、酸化物が存在しない部位では、亜鉛との濡れ性が良好であるため、全般的にメッキ性が向上するようになる。また、焼鈍後、酸化物が存在しない部位では、鋼中Feとメッキ浴中Alが反応してメッキ層/素地界面にFe−Al合金相が形成されるため密着性が良好である。しかし、露点が−60℃よりも低いと、Mnは一部還元される露点であるため、表面拡散速度が減少し、その代わりに、SiやAlの表面への拡散速度が増加するようになり、表面酸化物の組成が、主にAlとSiである酸化物が形成される。Al又はSiを主とする表面酸化物はMnを主とする表面酸化物と比べて亜鉛の濡れ性を大きく低下させるため、Sbを添加してもメッキ性の改善効果は低下する。

0030

上記Sbは、0.01〜0.07%添加されることが好ましい。添加量が0.01%未満であると、Si、Mn、Alなどの表面濃化抑制の効果が弱くなり、0.07%を超えると、鋼板の脆性が増加して延伸率が減少する恐れがあるため、0.01〜0.07%添加されることが好ましい。

0031

ニオビウム(Nb):0.1以下
Nbは、選択的に添加される。Nbは、オーステナイト粒界に炭化物の形態で偏析し、焼鈍熱処理時にオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制して強度を増加させ、0.1%を超えると、合金投入量の過多による合金鉄の原価が増加するため、Nbの含量は0.1%以下が好ましい。

0032

ボロン(B):0.005%以下
Bは、強度を確保するために、選択的に添加することができる。Bの含量が0.005%を超えると、焼鈍表面に濃化され、メッキ性を大きく低下する可能性があるため、Bの含量は0.005%以下が好ましい。

0033

本発明の残りの成分は、鉄(Fe)である。但し、通常の製造過程では、原料又は周囲環境から意図しない不純物が不可避的に混入されることもあるため、これを排除することはできない。これらの不純物は、通常の技術者であれば誰でも分かるものであり、例えば、一定量の鉄屑投入することで発生する不純物である、Cu、Mg、Zn、Co、Ca、Na、V、Ga、Ge、As、Se、In、Ag、W、Pb、及びCdなどが、それぞれ0.1%未満含有されることができるが、これが本発明の効果を低下させるものではない。

0034

本発明の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、溶融亜鉛メッキによって冷延鋼板上に亜鉛メッキ層が積層されることで構成され、上記亜鉛メッキ層内部の上記冷延鋼板の表面から0.1μmの深さまでの平均Sb含量は、上記冷延鋼板の表面から0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量よりも1.5倍以上濃化されていることが好ましい。上記冷延鋼板の表層部におけるSbの濃化は、Si、Mn及びAlの表面拡散を抑制する効果があることから、Sbの濃化程度が大きいほど、Si、Mn及びAlの表面拡散を抑制する効果が大きく、メッキ表面品質とメッキ密着性を確保するためには、最小限として、上記冷延鋼板の表面から鋼板の厚さ方向に0.1μmまでの平均Sb含量が、上記冷延鋼板の界面から鋼板の厚さ方向に0.5μm以上の深さにおける平均Sb含量と比べて1.5倍を超えて濃化されることが好ましい。

0035

本発明の高強度亜鉛メッキ鋼板微細組織は、フェライト、ベイナイト、マルテンサイト、及びオーステナイトを含むことができ、特に、残留オーステナイトは、面積分率で、5〜25%を有することで、900MPa以上の引張強度と、引張強度(Mpa)×延伸率(%)≧16000の値を得ることができる。

0036

以下では、本発明の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法について詳細に説明する。

0037

本発明の表面品質、メッキ密着性、及び成形性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1〜2.5%、Mn:2.5〜8%、sol.Al:0.001〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、N:0.02%以下(0%は除く)、Cr:0.1〜0.7%、Mo:0.1%以下、Ti:(48/14)*[N]〜0.1%、Ni:0.005〜0.5%、Sb:0.01〜0.07%、Nb:0.1以下、B:0.005%以下、残部Fe、及びその他の不可避な不純物を含む鋼スラブを提供する段階と、上記鋼スラブを1100〜1300℃の温度に再加熱する段階と、上記再加熱された鋼スラブをAr3以上の温度で仕上げ熱間圧延する段階と、上記熱間圧延された鋼板を700℃以下の温度で巻き取る段階と、上記巻き取られた鋼板を酸洗後に冷間圧延する段階と、上記冷間圧延された冷延鋼板を露点温度−60〜−20℃、温度750〜950℃で5〜120秒間再結晶焼鈍する段階と、上記焼鈍された冷延鋼板を2〜150℃/秒の平均冷却速度で200〜600℃まで冷却する段階と、上記冷却された鋼板を(メッキ浴温度−20℃)〜(メッキ浴温度+100℃)の温度に再加熱又は冷却する段階と、上記再加熱又は冷却された鋼板を、450〜500℃の温度に維持される亜鉛メッキ浴に浸漬してメッキする段階とを含む。

0038

本発明は、上記組成を満たすスラブを1100〜1300℃の温度範囲に再加熱する。上記再加熱温度が1100℃未満であると、熱間圧延荷重が急激に増加する問題が発生し、1300℃を超えると、再加熱費用が上昇し、表面スケール量が増加するため、1100〜1300℃の温度範囲に再加熱する。

0039

上記再加熱されたスラブの仕上げ熱間圧延温度をAr3(オーステナイトを冷却時にフェライトが出現し始める温度)以上に限定するが、これは、Ar3未満では、フェライト+オーステナイトの二相域又はフェライト域の圧延が行われて混粒組織が形成され、熱間圧延荷重の変動により誤作動の恐れがあるため、Ar3以上で仕上げ熱間圧延を行う。

0040

上記熱間圧延後、700℃以下の温度で巻き取る。巻取温度が700℃を超えると、鋼板表面の酸化膜が過多生成されて欠陥を誘発する恐れがあるため、700℃以下の温度で巻き取る。

0041

上記巻き取られた鋼板を酸洗及び冷間圧延した後、冷延鋼板を露点温度−60〜−20℃、温度750〜950℃で5〜120秒間再結晶焼鈍を行う。焼鈍炉内雰囲気ガスの露点が−60℃よりも低いと、鋼中Si及びAlの表面への拡散速度がMnの拡散速度よりも速くなり、焼鈍後に鋼板表面に形成するSi、Mn、Alを主成分とする複合酸化物のうちのSiとAl含量がMnと比べて大きく増加し、表面の複合酸化物のうちのSi又はAl含量がMnと比べて大きいほど、メッキ性が劣位となるため、本発明の成分組成を有する鋼板の場合であっても、亜鉛の濡れ性を確保するのに不十分であり、露点が−20℃を超えると、Si、Mn、Al成分の一部が鋼板表層部の素地鉄内部に結晶粒界及び粒内で酸化されて内部酸化物として存在し、その鋼板をプレス加工する場合、内部酸化物が存在する表層部の結晶粒界の破壊が発生し、メッキ層の剥離が発生しやすくなるため、焼鈍炉内雰囲気ガスの露点は−60〜−20℃であることが好ましい。焼鈍温度は、750℃以上であると、再結晶が十分に起こり、950℃を超えると、焼鈍炉寿命が減少するため、750〜950℃であることが好ましい。焼鈍時間は、均一な再結晶組織を得るために最小5秒が必要であり、経済性の観点から120秒以内で行うことが好ましい。

0042

ここで、上記再結晶焼鈍は、H2−N2ガス雰囲気の焼鈍炉で行うことが好ましい。上記焼鈍炉内雰囲気ガス中水素含量は、体積%で、3〜70%が好ましい。水素含量が3%未満では、鋼板表面に存在する鉄酸化物の還元が不十分であり、70%を超えても、鋼板表面の鉄酸化物の還元効果は優れているが、経済性を考慮して、30%に制限することが好ましい。

0043

好ましくは、上記再結晶焼鈍を行う前に、上記焼鈍された冷延鋼板の表面に、Fe、Ni、Co、及びSnからなる群より選択された少なくとも一つの成分で0.01〜2g/m2のメッキ量をメッキする段階を更に行ってから、再結晶焼鈍を実施することができる。このように予めメッキを行うと、焼鈍炉内の露点を目標の範囲に非常に効果的に制御できるようになる。

0044

上記再結晶焼鈍後に冷却を実施するが、得ようとする強度と延伸率に合わせて、得ようとする微細組織によって200〜600℃まで平均冷却速度2〜150℃/秒で冷却を行うことができる。好ましくは、上記冷却を第1次と第2次の冷却に分けて行うことができ、上記第2次冷却速度が第1次冷却速度よりも大きく、より好ましくは、上記第1次冷却では400〜740℃まで冷却され、上記第2次冷却では200〜600℃まで冷却される。上記のように冷却を第1次と第2次に分けて第1次冷却を第2次冷却速度よりも遅くすることで、鋼板を高温急冷する場合、鋼板に微小歪みが発生する恐れを防止できるようになる。

0045

再結晶焼鈍によってフェライトとオーステナイトの二相域でオーステナイトをパーライト変態することを防ぐためには、最小2℃以上の平均冷却速度が必要である。これに対し、冷却速度が150℃/秒を超えると、急冷によって鋼板幅方向の温度差が大きくなり、鋼板の形状が良くない。

0046

上記冷却された鋼板は、(メッキ浴温度−20℃)〜(メッキ浴温度+100℃)の温度で上記冷却された鋼板の温度に応じて再加熱又は冷却を行う。上記冷却された鋼板の引込温度が(メッキ浴温度−20℃)よりも低いと、亜鉛の濡れ性が低下し、(メッキ浴温度+100℃)を超えると、局部的にメッキ浴温度を上昇させ、メッキ浴の温度管理が困難になるという短所がある。

0047

上記再加熱又は冷却された鋼板は、450〜500℃の温度に維持される亜鉛メッキ浴に浸漬してメッキを行う。メッキ浴の温度が440℃未満であると、亜鉛の粘度が増加するためメッキ浴内のロールの駆動性が低下し、500℃を超えると、亜鉛の蒸発が増加するため好ましくない。

0048

ここで、上記亜鉛メッキ浴は、重量%で、Alを0.2〜1%含み、Fe、Ni、Cr、Mn、Mg、Si、P、S、Co、Sn、Bi、Sb、及びCuからなる群より選択された少なくとも一つの成分を0.5%以下含み、残部Zn、及びその他の不可避な不純物を含むことが好ましい。亜鉛メッキ浴に浸漬して多様な鋼種の鋼板をメッキする間に、鋼板の一部成分がメッキ浴中に溶解されることがあるが、上記多様な成分が溶解しメッキ浴に0.5%以下存在すると、亜鉛溶融メッキに影響を与えない。また、上記Alの含量が0.2%未満であると、素地鉄とメッキ層の界面に形成されるFe−Al合金相の形成が抑制され、Alの含量が1%を超えると、メッキ層内のAl含量が増加し溶接性を低下するという問題があるため、メッキ浴のAlの含量は、0.2〜1重量%とすることが好ましい。

0049

上記のように本発明の製造方法で製造された冷延鋼板の微細組織は、フェライト、ベイナイト、マルテンサイト、及びオーステナイトを含むことができ、特に、残留オーステナイトは、面積分率で、5〜25%を有することで、1000MPa以上の引張強度と、引張強度(Mpa)×延伸率(%)≧15000の値を得ることができる。

0050

以下では、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するための例示に過ぎず、本発明の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載の事項と、これから合理的に類推される事項によって決められる。

0051

下記表1の組成を有する鋼を溶解した後、スラブを製造した。上記スラブを1200℃の温度で1時間維持後、900℃で仕上げ圧延し、650℃まで冷却した後、650℃に維持された保温炉で1時間維持させた後、炉冷を行った。

0052

冷却が完了した熱延鋼板は、熱延クラックの発生有無肉眼で観察し、60℃、17Vol%HCl溶液で30秒間酸洗を行って鋼板表面の酸化鉄を溶解させた。一部の試片に対しては、30秒間で酸洗が不十分な場合、追加で20秒を更に行い、総50秒間の酸洗においても、未酸洗された表面酸化鉄が存在する場合は、酸洗不良として表記した。

0053

酸洗が完了した鋼板に対しては、55%の圧下率で冷間圧延を行い、このような冷延鋼板を前処理によって表面に付着していた異物を除去した後、下記表2の加熱及び冷却条件で焼鈍を行い、表2のメッキ条件でメッキを実施し、エアナイフを使用して片面基準でメッキ付着量60g/m2に調節し冷却することで、メッキ鋼板を製造した。

0054

上記のようにメッキが完了したメッキ鋼板に対しては、表面の未メッキ部位の存在有無及び程度を肉眼で確認し、表面品質を評価して表3に示した。また、鋼板のメッキ密着性を評価するために、鋼板表面に自動車構造用接着剤を塗布して乾燥した後、90°に曲げてから、メッキ鋼板が接着剤にくっ付いて出るか否かを確認することによって密着性を評価し、表3に示した。表3での表面品質の評価は、「○:未メッキ部位無し、△:直径2mm以下の未メッキ存在、X:直径2mm超過未メッキ存在」とし、メッキ密着性の評価は、「○:メッキ剥離無し、X:メッキ剥離観察」とした。

0055

また、メッキ鋼板をJIS5号で引張試験を行って鋼板の引張強度と延伸率を測定し、引張強度と、引張強度(Mpa)×延伸率(%)に換算して、表3に示した。

0056

またさらに、鋼板表層部のSb濃化を観察するために、断面をFIB(Focused Ion Beam)加工し、3−DAPT(Atom Probe Topography)の組成プロファイルによって素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.1μm以内のSb含量を測定し、素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.5μm以降のSb含量を測定して、表層部0.5μm以降のSb含量に対する0.1μm以内のSb含量の割合を求め、濃化度とした。

0057

0058

0059

0060

上記表1〜3に示したように、本発明の発明例である試片3、6、8、10〜13、15は、本発明で限定した成分範囲を有する鋼種を使用し、本発明の製造方法によって溶融亜鉛メッキ鋼板を製造したものであり、熱延クラックの発生がなく、酸洗性も良好であった。また、製造された鋼板の引張強度は1000MPa以上であり、TS×El値も15000以上と高く、材質特性に優れていることが分かった。さらに、素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.1μm以内のSb濃化度が1.5以上と高く、Si、Mnの表面濃化を抑制することで未メッキの発生がなく、メッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成され、メッキ密着性に優れていることが分かった。

0061

比較例1は、製造方法が本発明の範囲を満たしていたが、鋼中Sbを添加していない場合であって、焼鈍過程でSi、Mn、Alなどの酸化性成分の表面拡散を抑制できず、厚い表面酸化物によって亜鉛の濡れ性が悪くて表面品質が不良であり、表面酸化物によってメッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されておらず、メッキ層と素地鉄間の密着性が不良であった。

0062

比較例2は、鋼成分中のMnとCr含量が本発明で限定した範囲よりも低かったため、引張強度が本発明で限定した範囲よりも低く、かつ鋼中Sbを添加していない場合であって、厚い表面酸化物によって亜鉛の濡れ性が悪くて表面品質が不良であり、表面酸化物によってメッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されておらず、メッキ層と素地鉄間のメッキ剥離が発生していた。

0063

比較例4及び17は、鋼成分が本発明で限定した範囲を満たしていたが、焼鈍炉内の露点が本発明で限定した範囲よりも高い場合であって、Sbの添加によりSi、Mn、Al成分がメッキ層表面へ拡散することを抑制する効果から、メッキ表面品質及びメッキ層/素地鉄間の密着性は優れていたが、Si、Mn、Al成分が鋼板表層部の素地鉄内部の結晶粒界及び粒内で酸化されて内部酸化物として存在し、メッキ密着性の評価過程において90°の曲げ加工時、内部酸化物が存在する表層部の結晶粒界の破壊が発生し、その部分で剥離が生じてしまい、メッキ密着性が不良であった。

0064

比較例5は、鋼成分中のSi添加量が本発明の範囲を超えており、Sbを添加していない場合であって、Siの過多添加により熱延鋼板Edgeにクラックが発生し、Sbが添加されていないため厚い表面酸化物によって亜鉛の濡れ性が悪くて表面品質が不良であり、表面酸化物によってメッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されておらず、メッキ剥離が発生していた。

0065

比較例7は、鋼成分が本発明の範囲を満たしていたが、焼鈍温度が本発明で限定した範囲よりも低い場合であって、十分な再結晶が行われておらず、強度は高いものの、延伸率が低いためTS×Elが本発明で限定した範囲よりも低かった。しかしながら、Sbの添加量及び他の製造条件は、本発明を満たしているため、素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.1μm以内のSb濃化度が、本発明で限定した範囲を満たしており、表面酸化物の形成抑制によって表面品質及びメッキ密着性は優れていた。

0066

比較例9は、鋼成分が本発明の範囲内として材質特性に優れていたが、焼鈍炉内の露点が本発明で限定した範囲よりも低い場合であって、焼鈍過程で鋼板表面に形成するSi、Mn、Alを主成分とする複合酸化物のうちのSiとAl含量がMnと比べて大きく増加するため、本発明の成分組成を有する鋼板の場合であっても、亜鉛の濡れ性を確保するのに不十分であったため、鋼板表面に直径2mm以下の未メッキが存在し、メッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されておらず、メッキ剥離が発生していた。

0067

比較例14は、鋼中SiとMn含量が本発明で限定した範囲よりも低く、Sbを添加していない場合であって、引張強度が847Mpaと低く、かつTS×El値が本発明で限定した範囲よりも低かった。しかし、SiとMn含量が低かったためSbを添加しておらず、また、焼鈍炉内の露点温度が本発明の範囲から外れていても、Si、Mn、Alなどの表面酸化物が比較的少なく形成されたため2mm以下の未メッキは存在していたが、メッキ層/素地界面のFe−Al合金相も比較的緻密に形成されており、メッキ密着性に優れていた。

0068

比較例15は、鋼中にTiとSbを添加していない場合であって、AlN形成による熱延クラックの発生が確認され、また、Sbの未添加により表面品質及びメッキ密着性が不良であった。

0069

比較例18は、鋼成分が本発明で限定した範囲であって、他の製造条件は本発明の範囲内として材質特性に優れていたが、鋼板のメッキ浴引込温度が本発明で限定した範囲よりも低い場合であって、鋼板と亜鉛の濡れ力が低下したためメッキ表面品質が不良であり、メッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されておらず、メッキ密着性が劣位であった。

0070

比較例19は、鋼成分が本発明で限定した範囲であるが、焼鈍後、冷却速度が本発明で限定した範囲よりも遅く、冷却中にオーステナイト相が一部パーライトに変態して延性が減少し、TS×El値が本発明で限定した範囲よりも低かった。

0071

比較例20は、鋼成分が本発明で限定した範囲で、他の製造条件は本発明の範囲内として材質特性は優れていたが、メッキ浴中Al含量が本発明で限定した範囲よりも低い場合であって、メッキ後のメッキ層/素地界面のFe−Al合金相の形成が不十分となり、メッキ密着性が劣位であった。

0072

比較例21は、鋼中Ni含量が本発明の範囲を超えた場合であって、高いNiによって熱延鋼板の酸洗性が低下しており、酸洗後に熱延鋼板表面に未酸洗された酸化物が一部存在し、その後、冷延及びメッキ後の未酸洗酸化物が鋼板に一部残留して直径2mm以下の未メッキが一部存在していたため、表面品質が不良であった。しかしながら、Sbの添加量、他の鋼成分及び製造方法は本発明で限定した範囲内として材質特性が本発明を満たしており、また、素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.1μm以内のSb濃化度は、本発明の範囲を満たしていたため、これによる表面酸化物の抑制効果によってメッキ層/素地界面のFe−Al合金相が緻密に形成されてメッキ密着性は優れていた。

0073

比較例22は、鋼成分中Sbの含量が本発明で限定した範囲よりも低い場合であって、素地鉄の表層部から素地鉄の深さ方向に0.1μm以内のSb濃化度が本発明で限定した範囲よりも低く表面酸化物の減少効果が少なかったため、亜鉛の濡れ性の向上効果が弱くてメッキ層/素地界面のFe−Al合金相の形成が不十分となり、メッキ密着性が不良であった。

実施例

0074

比較例23は、鋼成分中Mnの含量が本発明で限定した範囲を超えた場合であって、他の成分及び製造条件が本発明を満たしていても、焼鈍後、表面に形成された酸化物が厚かったため、メッキ後のメッキ密着性が不良で、表面濡れ性も多少低下してしまい、直径2mm以下の未メッキが存在していた。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ