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技術 アゴニスト性ICOS結合タンパク質

出願人 グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッドアンセルム(アンスチチュナショナルドゥラサンテエドゥラルシェルシュメディカル)アンスティテュ・ジャン・パオリ・エ・イレーヌ・カルメッテスユニベルシテデクスマルセイユサントル・ナシオナル・ド・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィック
発明者 ヤオ-ビン、リウラダ、シャー、パルマルパトリック、メイズダニエル、オリーブ
出願日 2016年1月26日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2017-540245
公開日 2018年2月22日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2018-505177
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 微生物による化合物の製造
主要キーワード フィッティング式 オーバーラッピング領域 試験準備 ワークベンチ 承認チェック 回復不能 ニトロ尿素 子フレーム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、ヒトICOSに対するアゴニストであり、かつ、in vivoにおいてT細胞と接触させて置いた場合に補体ADCC、またはCDCを誘導しないICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分、および癌、感染性疾患および/または敗血症を前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分で処置する方法に関する。さらに、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、前記T細胞と接触させて置いた場合にT細胞を活性化すること;前記T細胞と接触させて置いた場合にT細胞増殖刺激すること、および/または前記T細胞と接触させて置いた場合にサイトカイン生産を誘導することができる。本発明は、配列番号1;配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;および/または配列番号6のうち1以上を含んでなる、ICOS結合タンパク質またはそれらの抗原結合部分に関する。

概要

背景

抗腫瘍細胞機能の増強およびT細胞増殖誘導は、癌治療の有力かつ新規アプローチである。3つの免疫腫瘍学抗体(例えば、免疫調節薬)が現在市販されている。抗CTLA−4(ヤーボイ(YERVOY)/イピリムマブ)は、T細胞プライミングの時点で免疫応答を増強すると考えられ、抗PD−1抗体(オプジーボ(OPDIVO)/ニボルマブおよびキートルーダ(KEYTRUDA)/ペンブロリズマブ)は、局部的腫瘍微小環境で、すでにプライミングされ活性化された腫瘍特異的T細胞阻害チェックポイント緩和することにより作用すると考えられる。

ICOSは、CD28/CTLA−4−Igスーパーファミリー構造的および機能的に関連を持つ補助刺激T細胞受容体である(Hutloff, et al., "ICOS is an inducible T-cell co-stimulator structurally and functionally related to CD28", Nature, 397: 263-266 (1999))。ICOSの活性化は、ICOS−L(B7RP−1/B7−H2)による結合を介して起こる。B7−1もB7−2も(CD28およびCTLA4のリガンド)ICOSと結合または活性化しない。しかしながら、ICOS−Lは、CD28およびCTLA−4の両方に弱く結合することが示されている(Yao S et al., “B7-H2 is a costimulatory ligand for CD28 in human”, Immunity, 34(5); 729-40 (2011))。ICOSの発現はT細胞に限定されると思われる。ICOS発現レベルは、異なるT細胞サブセット間で、またT細胞の活性化状態で異なる。ICOSの発現は、休止中のTH17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞および制御性T(Treg)細胞において示されているが、CD28とは異なり、ナイーブTH1およびTH2エフェクター細胞集団では発現は高くない(Paulos CM et al., “The inducible costimulator (ICOS) is critical for the development of human Th17 cells”, Sci Transl Med, 2(55); 55ra78 (2010))。ICOSの発現は、CD4+およびCD8+エフェクターT細胞で、TCR結合を介した活性化の後に誘導が高まる(Wakamatsu E, et al., “Convergent and divergent effects of costimulatory molecules in conventional and regulatory CD4+ T cells”, Proc Natal Acad Sci USA, 110(3); 1023-8 (2013))。ICOS受容体を介した補助刺激シグナル伝達は、同時TCR活性化シグナルを受け取っているT細胞にのみ生じる(SharpeAHand Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。活性化された抗原特異的T細胞では、ICOSは、IFN−γ、TNF−α、IL−10、IL−4、IL−13およびその他を含むTH1およびTH2の両サイトインの産生を調節する。ICOSはまた、CD28よりは程度は小さいが、エフェクターT細胞の増殖も刺激する(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。

ますます多くの文献が、CD4+およびCD8+エフェクターT細胞でのICOSの活性化が抗腫瘍能を有することを裏づけている。ICOS−L−Fc融合タンパク質は、SA−1(肉腫)、Meth A(線維肉腫)、EMT6(乳癌)およびP815(肥満細胞腫)およびEL−4(形質細胞腫)同系腫瘍を有するマウス腫瘍増殖遅延および完全な腫瘍根絶を生じたが、免疫原性が不十分であることが分かっているB16−F10(黒色腫腫瘍モデルでは活性は見られなかった(Ara G et al., “Potent activity of soluble B7RP-1-Fc in therapy of murine tumors in syngeneic hosts”, Int. J Cancer, 103(4); 501-7 (2003))。ヌードマウスで増殖させた腫瘍では活性が完全に失われたことから、ICOS−L−Fcの抗腫瘍活性は、完全な免疫応答に依存した。ICOS−L−Fc処置マウス由来の腫瘍の分析では、処置に応答した腫瘍でCD4+およびCD8+T細胞浸潤の顕著な増大が示され、これらのモデルにおいてICOS−L−Fcの免疫刺激効果示唆された。

ICOS−/−およびICOS−L−/−マウスを用いた別の報告では、B16/Bl6黒色腫同系腫瘍モデルで抗CTLA4抗体の抗腫瘍活性の媒介にICOSシグナル伝達が必要であることが示された(Fu T et al., “The ICOS/ICOSL pathway is required for optimal antitumor responses mediated by anti-CTLA-4 therapy”, Cancer Res, 71(16); 5445-54 (2011))。ICOSまたはICOS−Lを欠くマウスは、抗CTLA4抗体処置後に野生型マウスに比べて有意に低い生存率を示した。別の研究では、B16/Bl6腫瘍細胞組換えマウスICOS−Lを過剰発現させるように形質導入が行われた。これらの腫瘍は、対照タンパク質で形質導入されたB16/Bl6腫瘍細胞に比べ、抗CTLA4処置に対する感受性が有意に高いことが判明した(Allison J et al., “Combination immunotherapy for the treatment of cancer”、WO2011/041613A2(2009))。これらの研究は、ICOSアゴニスト、単独で、また、他の免疫調節抗体の併用で抗腫瘍能の証拠を示す。

抗CTLA4抗体で処置された患者からの新たなデータも、抗腫瘍免疫応答の媒介におけるICOS+エフェクターT細胞の積極的な役割指し示している。イピリムマブ処置後に循環および腫瘍浸潤CD4+ICOS+およびCD8+ICOS+T細胞の絶対数が増加した転移性黒色腫患者(Giacomo AMD et al., “Long-term survival and immunological parameters in metastatic melanoma patients who respond to ipilimumab 10 mg/kg within an expanded access program”, Cancer Immunol Immunother., 62(6); 1021-8 (2013));尿路上皮癌患者(Carthon BC et al., “Preoperative CTLA-4 blockade: Tolerability and immune monitoring in the setting of a presurgical clinical trial” Clin Cancer Res., 16(10); 2861-71 (2010));乳癌患者(Vonderheide RH et al., “Tremelimumab in combination with exemestane in patients with advanced breast cancer and treatment-associated modulation of inducible costimulator expression on patient T cells”, Clin Cancer Res., 16(13); 3485-94 (2010));および前立腺癌患者は、増加が限られていたかまたは見られなかった患者よりも処置に関連する転帰が有意に良好であった。重要なこととしては、イピリムマブはICOS+Tエフェクター:Treg比を変化させ、処置前のTregの存在量を、処置後にTregに対して有意なTエフェクターの存在量に逆転させることが示された(LiakouCIet al., “CTLA-4 blockade increases IFN-gamma producing CD4+ICOShi cells to shift the ratio of effector to regulatory T cells in cancer patients”, Proc Natl Acad Sci USA. 105(39); 14987-92 (2008)) and (Vonderheide RH et al., Clin Cancer Res., 16(13); 3485-94 (2010))。よって、ICOS陽性エフェクター細胞は、イピリムマブ応答の陽性予測バイオマーカーであり、アゴニストICOS抗体でこの細胞集団を活性化することの潜在的利点を指し示す

よって、癌の治療においてさらなるT細胞増殖誘導分子の必要がある。

概要

本発明は、ヒトICOSに対するアゴニストであり、かつ、in vivoにおいてT細胞と接触させて置いた場合に補体ADCC、またはCDCを誘導しないICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分、および癌、感染性疾患および/または敗血症を前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分で処置する方法に関する。さらに、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、前記T細胞と接触させて置いた場合にT細胞を活性化すること;前記T細胞と接触させて置いた場合にT細胞増殖を刺激すること、および/または前記T細胞と接触させて置いた場合にサイトカイン生産を誘導することができる。本発明は、配列番号1;配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;および/または配列番号6のうち1以上を含んでなる、ICOS結合タンパク質またはそれらの抗原結合部分に関する。

目的

ドナー抗体フレームワーク領域との相同性アミノ酸に基づく)を特徴とするヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

列番号1に示されるCDRH1;配列番号2に示されるCDRH2;配列番号3に示されるCDRH3;配列番号4に示されるCDRL1;配列番号5に示されるCDRL2および/もしくは配列番号6に示されるCDRL3、または前記CDR中に2つまでのアミノ酸置換を有する各CDRの直接的等価物のうちの1以上を含んでなる、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分

請求項2

配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメインおよび/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなり、ヒトICOSと特異的に結合する、請求項1に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項3

前記ICOS結合タンパク質がICOSアゴニストである、請求項1または2に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項4

前記ICOS結合タンパク質が、ヒトICOSと、親和性がBIAcoreにより測定される場合に、(i)少なくとも1×105M−1s−1の結合速度定数(kon);および6×10−5s−1未満の解離速度定数(koff);または(ii)約100nM未満の解離定数(KD)で結合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項5

ICOS結合タンパク質が配列番号1;配列番号2;および配列番号3を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり、かつ、前記ICOS結合タンパク質が配列番号4;配列番号5;および配列番号6を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項6

配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメインと、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインとを含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項7

前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分が、ヒトIgGアイソタイプまたはその変異体およびヒトIgG4アイソタイプまたはその変異体から選択される足場を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項8

前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分が、hIgG4PE足場を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項9

モノクローナル抗体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質。

請求項10

ヒト化されている、請求項9に記載のモノクローナル抗体。

請求項11

完全にヒト型である、請求項9に記載のモノクローナル抗体。

請求項12

配列番号1;配列番号2;および配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDRと、配列番号4;配列番号5;および配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDRとを含んでなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。

請求項13

ヒトICOSに対するアゴニストであり、かつ、IgG4アイソタイプ足場またはその変異体を含んでなる、請求項9〜12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。

請求項14

hIgG4PE足場を含んでなる、請求項13に記載のモノクローナル抗体。

請求項15

請求項1〜14のICOS結合タンパク質のいずれか1つに比べて、ヒトICOSとの結合に関してICOS−リガンドと交差競合する、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。

請求項16

請求項1〜15のいずれか一項に記載のICOS結合タンパク質またはモノクローナル抗体と、薬学上許容可能な担体とを含んでなる、医薬組成物

請求項17

必要とするヒトにおいて癌、感染性疾患、または敗血症から選択される疾患を処置する方法であって、前記ヒトに請求項16に記載の医薬組成物を投与する工程を含んでなる、方法。

請求項18

前記ヒトに、少なくとも1種類の抗新生物薬、少なくとも1種類の第2の免疫調節薬、および/または少なくとも1つの免疫刺激性アジュバントを投与することをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記第2の免疫調節薬が、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、抗PDL1抗体および抗OX40抗体から選択される、請求項18に記載の方法。

請求項20

必要とするヒトにおいて、癌、感染性疾患および/または敗血症の処置において使用するための、請求項16に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、一般に、ヒト疾患処置における免疫療法およびそれに関連する有害事象の軽減に関する。より具体的には、本発明は、ICOSアゴニスト抗体を含むICOS結合タンパク質の使用ならびに癌、感染性疾患および/または敗血症の処置における免疫調節剤としてのそれらの使用に関する。

背景技術

0002

抗腫瘍細胞機能の増強およびT細胞増殖誘導は、癌治療の有力かつ新規アプローチである。3つの免疫腫瘍学抗体(例えば、免疫調節薬)が現在市販されている。抗CTLA−4(ヤーボイ(YERVOY)/イピリムマブ)は、T細胞プライミングの時点で免疫応答を増強すると考えられ、抗PD−1抗体(オプジーボ(OPDIVO)/ニボルマブおよびキートルーダ(KEYTRUDA)/ペンブロリズマブ)は、局部的腫瘍微小環境で、すでにプライミングされ活性化された腫瘍特異的T細胞阻害チェックポイント緩和することにより作用すると考えられる。

0003

ICOSは、CD28/CTLA−4−Igスーパーファミリー構造的および機能的に関連を持つ補助刺激T細胞受容体である(Hutloff, et al., "ICOS is an inducible T-cell co-stimulator structurally and functionally related to CD28", Nature, 397: 263-266 (1999))。ICOSの活性化は、ICOS−L(B7RP−1/B7−H2)による結合を介して起こる。B7−1もB7−2も(CD28およびCTLA4のリガンド)ICOSと結合または活性化しない。しかしながら、ICOS−Lは、CD28およびCTLA−4の両方に弱く結合することが示されている(Yao S et al., “B7-H2 is a costimulatory ligand for CD28 in human”, Immunity, 34(5); 729-40 (2011))。ICOSの発現はT細胞に限定されると思われる。ICOS発現レベルは、異なるT細胞サブセット間で、またT細胞の活性化状態で異なる。ICOSの発現は、休止中のTH17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞および制御性T(Treg)細胞において示されているが、CD28とは異なり、ナイーブTH1およびTH2エフェクター細胞集団では発現は高くない(Paulos CM et al., “The inducible costimulator (ICOS) is critical for the development of human Th17 cells”, Sci Transl Med, 2(55); 55ra78 (2010))。ICOSの発現は、CD4+およびCD8+エフェクターT細胞で、TCR結合を介した活性化の後に誘導が高まる(Wakamatsu E, et al., “Convergent and divergent effects of costimulatory molecules in conventional and regulatory CD4+ T cells”, Proc Natal Acad Sci USA, 110(3); 1023-8 (2013))。ICOS受容体を介した補助刺激シグナル伝達は、同時TCR活性化シグナルを受け取っているT細胞にのみ生じる(SharpeAHand Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。活性化された抗原特異的T細胞では、ICOSは、IFN−γ、TNF−α、IL−10、IL−4、IL−13およびその他を含むTH1およびTH2の両サイトインの産生を調節する。ICOSはまた、CD28よりは程度は小さいが、エフェクターT細胞の増殖も刺激する(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。

0004

ますます多くの文献が、CD4+およびCD8+エフェクターT細胞でのICOSの活性化が抗腫瘍能を有することを裏づけている。ICOS−L−Fc融合タンパク質は、SA−1(肉腫)、Meth A(線維肉腫)、EMT6(乳癌)およびP815(肥満細胞腫)およびEL−4(形質細胞腫)同系腫瘍を有するマウス腫瘍増殖遅延および完全な腫瘍根絶を生じたが、免疫原性が不十分であることが分かっているB16−F10(黒色腫腫瘍モデルでは活性は見られなかった(Ara G et al., “Potent activity of soluble B7RP-1-Fc in therapy of murine tumors in syngeneic hosts”, Int. J Cancer, 103(4); 501-7 (2003))。ヌードマウスで増殖させた腫瘍では活性が完全に失われたことから、ICOS−L−Fcの抗腫瘍活性は、完全な免疫応答に依存した。ICOS−L−Fc処置マウス由来の腫瘍の分析では、処置に応答した腫瘍でCD4+およびCD8+T細胞浸潤の顕著な増大が示され、これらのモデルにおいてICOS−L−Fcの免疫刺激効果示唆された。

0005

ICOS−/−およびICOS−L−/−マウスを用いた別の報告では、B16/Bl6黒色腫同系腫瘍モデルで抗CTLA4抗体の抗腫瘍活性の媒介にICOSシグナル伝達が必要であることが示された(Fu T et al., “The ICOS/ICOSL pathway is required for optimal antitumor responses mediated by anti-CTLA-4 therapy”, Cancer Res, 71(16); 5445-54 (2011))。ICOSまたはICOS−Lを欠くマウスは、抗CTLA4抗体処置後に野生型マウスに比べて有意に低い生存率を示した。別の研究では、B16/Bl6腫瘍細胞組換えマウスICOS−Lを過剰発現させるように形質導入が行われた。これらの腫瘍は、対照タンパク質で形質導入されたB16/Bl6腫瘍細胞に比べ、抗CTLA4処置に対する感受性が有意に高いことが判明した(Allison J et al., “Combination immunotherapy for the treatment of cancer”、WO2011/041613A2(2009))。これらの研究は、ICOSアゴニスト、単独で、また、他の免疫調節抗体の併用で抗腫瘍能の証拠を示す。

0006

抗CTLA4抗体で処置された患者からの新たなデータも、抗腫瘍免疫応答の媒介におけるICOS+エフェクターT細胞の積極的な役割指し示している。イピリムマブ処置後に循環および腫瘍浸潤CD4+ICOS+およびCD8+ICOS+T細胞の絶対数が増加した転移性黒色腫患者(Giacomo AMD et al., “Long-term survival and immunological parameters in metastatic melanoma patients who respond to ipilimumab 10 mg/kg within an expanded access program”, Cancer Immunol Immunother., 62(6); 1021-8 (2013));尿路上皮癌患者(Carthon BC et al., “Preoperative CTLA-4 blockade: Tolerability and immune monitoring in the setting of a presurgical clinical trial” Clin Cancer Res., 16(10); 2861-71 (2010));乳癌患者(Vonderheide RH et al., “Tremelimumab in combination with exemestane in patients with advanced breast cancer and treatment-associated modulation of inducible costimulator expression on patient T cells”, Clin Cancer Res., 16(13); 3485-94 (2010));および前立腺癌患者は、増加が限られていたかまたは見られなかった患者よりも処置に関連する転帰が有意に良好であった。重要なこととしては、イピリムマブはICOS+Tエフェクター:Treg比を変化させ、処置前のTregの存在量を、処置後にTregに対して有意なTエフェクターの存在量に逆転させることが示された(LiakouCIet al., “CTLA-4 blockade increases IFN-gamma producing CD4+ICOShi cells to shift the ratio of effector to regulatory T cells in cancer patients”, Proc Natl Acad Sci USA. 105(39); 14987-92 (2008)) and (Vonderheide RH et al., Clin Cancer Res., 16(13); 3485-94 (2010))。よって、ICOS陽性エフェクター細胞は、イピリムマブ応答の陽性予測バイオマーカーであり、アゴニストICOS抗体でこの細胞集団を活性化することの潜在的利点を指し示す

0007

よって、癌の治療においてさらなるT細胞増殖誘導分子の必要がある。

0008

本発明の1つの実施態様では、配列番号1に示されるCDRH1;配列番号2に示されるCDRH2;配列番号3に示されるCDRH3;配列番号4に示されるCDRL1;配列番号5に示されるCDRL2および/または配列番号6に示されるCDRL3または前記CDR中に2つまでのアミノ酸置換を有する各CDRの直接的等価物のうちの1以上を含んでなるICOS結合タンパク質または抗原結合部分が提供される。

0009

本発明の1つの実施態様では、ヒトICOSと特異的に結合するICOS結合タンパク質または抗原結合部分が提供され、前記ICOS結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメインおよび/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる。

0010

1つの実施態様では、配列番号1;配列番号2;および配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDRと配列番号4;配列番号5;および配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDRとを含んでなるヒト化モノクローナル抗体またはそれらの抗原結合部分が提供される。1つの実施態様では、hIgG4PE足場;配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなるヒト化モノクローナル抗体が提供される。本発明の抗体は、T細胞と接触した際にサイトカイン産生を刺激し得る。

0011

1つの実施態様では、ヒトICOSとの結合について本発明のICOS結合タンパク質またはそれらの抗原結合部分のいずれか1つと競合するICOS結合タンパク質が提供される。

0012

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質または本発明の少なくとも1つのICOS結合タンパク質を含んでなる医薬組成物で癌、感染性疾患および/または敗血症を処置するための方法が提供される。

図面の簡単な説明

0013

CD4+CD25−T細胞からのIFN−γ産生。
CD4+CD25−T細胞の増殖。
抗ICOS 422.2のH2L5ヒト化変異体は、PBMC細胞において良好なサイトカイン産生を示す。
422 H2L5IgG1はT細胞生存率の低下を誘導し、これはFc無効型アイソタイプまたはhIgG4PEアイソタイプには見られなかった。
H2L5 hIgG4PEの用量応答は、ヒトCD4+T細胞において炎症性サイトカイン誘導を誘発した。
H2L5 hIgG4PEは、健康なヒトドナー由来の活性化PBMCにおいて増殖、サイトカイン産生および細胞傷害能の増強を誘導する。
H2L5 hIgG4PEによるICOS−LのICOSへの結合の阻害を示すメソスケールディスカバリー(MSD)アッセイであり、それがICOS上の、ICOS−Lと同じエピトープに結合し、結合をめぐって競合することが示される。
ハイブリドーマクローン422.2のRNAから回収した抗体VHおよびVL遺伝子
シグナル配列を有するH2L5 hIgG4PEの重鎖および軽鎖のタンパク質配列
シグナル配列を有するH2L5 hIgG4PE重鎖のコード領域のDNA配列
シグナル配列を有するH2L5 hIgG4PE軽鎖のコード領域のDNA配列。
カニクイザルにおけるH2L5 hIgG4PEの血漿濃度。濃度は、H2L5 hIgG4PEの(A)初回または(B)2回目投与(15日目)の後に測定した。2回目の投与の48時間後に組織サンプルの採取および組織病理学的分析のために動物犠牲にした。
サル脾臓および腋窩リンパ節からのCD4+T細胞に対するH2L5 hIgG4PEの結合の検出。組織は2回目の投与の48時間後(17日目)に採取した。
カニクイザル由来の血中CD4+T細胞におけるH2L5 hIgG4PEの受容体の占有率。 (A)フローサイトメトリーにより使用される抗ICOS蛍光標識抗体の陽性結合により測定されるICOS「フリー受容体」、これはH2L5 hIgG4PEが存在しない場合にのみ結合する。 (B)蛍光標識抗ヒトIgGにより測定される、末梢血CD4+細胞上のH2L5 hIgG4PEと結合した受容体。
(a)H2L5hIgG4PEで処理したBa/F3−ICOS細胞におけるホスホ−AKT(T308)発現レベル−細胞内シグナル伝達抗体アレイ、(b)H2L5hIgG4PEで処理したBa/F3−ICOS細胞におけるホスホ−AKT(S473)発現レベル−細胞内シグナル伝達抗体アレイ。
PBMC前刺激アッセイにおいて、H2L5 hIgG4PEとイピリムマブの組合せは、単一抗体処理に比べて炎症性サイトカイン産生の増大をもたらす。
PBMC前刺激アッセイにおいて、H2L5 hIgG4PEとペンブロリズマブの組合せは、単一抗体処理に比べて炎症性サイトカイン産生の増大をもたらす。
H2L5 hIgG4PEとイピリムマブの組合せは、CEFTペプチドプレインキュベーション改変したMLRアッセイにおいて、炎症性サイトカイン産生の増大を誘導する。
H2L5 hIgG4PEとペンブロリズマブの組合せは、CEFTペプチドとプレインキュベーションで改変したMLRアッセイにおいて、炎症性サイトカイン産生の増大を誘導する。
H2L5 hIgG4PE抗ICOSアゴニストmAbは単独で、また、ペンブロリズマブとの組合せで、ヒトPBMC A2058黒色腫マウス腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖阻害をもたらす。
抗ICOSマウスサロゲートmAbは、CT26マウス腫瘍モデルにおいて、抗PD1マウスサロゲートmAbとの組合せで、有意な腫瘍増殖阻害および生存期間の増大をもたらす。
抗ICOSマウスサロゲートmAbは、EMT6マウス腫瘍モデルにおいて、抗PD1マウスサロゲートmAbとの組合せで、有意な腫瘍増殖阻害および生存期間の増大をもたらす。

発明の具体的説明

0014

定義
本明細書で使用する場合、「ICOS」は、任意の誘導性T細胞補助刺激タンパク質を意味する。ICOS(Inducible T-cell COStimulator)の仮称として、AIIM;CD278;CVID1、JTT−1またはJTT−2、MGC39850、または8F4が含まれる。ICOSは、活性化されたT細胞で発現されるCD28スーパーファミリー補助刺激分子である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、CD28およびCTLA−4細胞表面受容体ファミリーに属す。ICOSはホモ二量体を形成し、細胞間シグナル伝達、免疫応答、および細胞増殖の調節に重要な役割を果たす。ヒトICOSのアミノ酸配列を以下に配列番号10として示す。

0015

本明細書で使用する場合、「ICOS−L」および「ICOSリガンド」は互換的に使用され、ヒトICOSの膜結型天然リガンドを意味する。ICOSリガンドは、ヒトではICOSLG遺伝子によりコードされているタンパク質である。ICOSLGは、CD275(分化抗原群275)とも呼ばれている。PICOS−Lの仮称として、B7RP−1およびB7−H2が含まれる。

0016

本明細書で使用する場合、用語「アゴニスト」は、ICOSと接触した際に、(1)ICOS受容体を刺激または活性化すること、(2)ICOSの活性、機能もしくは存在を増強、増大もしくは促進、誘導もしくは延長すること、および/または(3)ICOSの発現を増強、増大、促進もしくは誘導することのうち1以上を生じる抗原結合タンパク質、例えば、ICOS結合タンパク質を意味する。アゴニスト活性は、限定されるものではないが、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン産生の測定などの当技術分野で公知の様々なアッセイによってin vitroで測定することができる。アゴニスト活性はまた、限定されるものではないが、T細胞増殖またはサイトカイン産生の測定などのサロゲートエンドポイントを測定する様々なアッセイによってin vivoで測定することもできる。

0017

本明細書で使用する場合、用語「結合をめぐって交差競合する」とは、ICOSとの結合をめぐって本発明のICOS結合タンパク質のいずれかと競合するいずれのICOS結合タンパク質も意味する。ICOSをめぐる2分子間の結合の競合は、フローサイトメトリー、メソ・スケール・ディスカバリーおよびELISAを含む当技術分野で公知の様々な方法によって試験することができる。結合は直接測定することができ、これは2つ以上の結合タンパク質をICOSと接触させることができ、一方またはそれぞれに関して結合が測定可能であることを意味する。あるいは、対象とする分子(molecules or interest)の結合を結合リガンドまたは天然リガンドに対して試験し、互いに定量的に比較することもできる。

0018

用語「ICOS結合タンパク質」は、本明細書で使用する場合、抗体およびICOSと結合し得る、ドメインなどの他のタンパク質構築物を意味する。場合によっては、ICOSはヒトICOSである。用語「ICOS結合タンパク質」は、「ICOS抗原結合タンパク質」と互換的に使用できる。よって、当技術分野で理解されるように、抗ICOS抗体および/またはICOS抗原結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質と見なされよう。本明細書で使用する場合、「抗原結合タンパク質」は、ICOSなどの抗原と結合する、限定されるものではないが抗体、ドメインおよび他の構築物を含む任意のタンパク質である。本明細書で使用する場合、ICOS結合タンパク質の「抗原結合部分」は、限定されるものではないが、抗原結合抗体フラグメントを含む、ICOSと結合し得るICOS結合タンパク質の任意の部分を含む。

0019

用語「抗体」は、本明細書では、免疫グロブリン様ドメインを有する分子(例えば、IgG、IgMIgAIgDまたはIgE)を意味して広義で使用され、モノクローナル抗体組換え抗体ポリクローナル抗体キメラ抗体ヒト抗体ヒト化抗体二重特異性抗体を含む多重特異性抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体単一可変ドメイン(例えば、VH、VHH、VL、ドメイン抗体(dAb(商標)))、抗原結合抗体フラグメント、Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv、ジスルフィド結合cFv、ダイアボディ、TANDABS(商標)など、ならびに以上のいずれかの改変型を含む。

0020

もう1つの抗体形式として、抗原結合タンパク質の1以上のCDRが、アフィボディ、SpA足場、LDL受容体クラスAドメイン、アビマーまたはEGFドメインなどの好適な非免疫グロブリンタンパク質足場または骨格上に配置させることができる別の足場が含まれる。

0021

用語「ドメイン」は、タンパク質の残部とは独立にその三次構造を保持する折り畳まれたタンパク質構造を意味する。一般に、ドメインはタンパク質の別個機能的特性を担い、多くの場合、そのタンパク質のおよび/またはそのドメインの残部の機能欠失なく他のタンパク質に付加、除去または移入可能である。

0022

用語「単一可変ドメイン」は、抗体の可変ドメインに特徴的な配列を含んでなる折り畳まれたポリペプチドドメインを意味する。よって、これには、VH、VHHおよびVLなどの完全な抗体可変ドメイン、および例えば、1以上のループが、抗体可変ドメインに特徴的ではない配列で置換された改変型抗体可変ドメイン、または末端切断された、もしくはN末端もしくはC末端延長を含んでなる抗体可変ドメイン、ならびに全長ドメインの少なくとも結合活性および特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれたフラグメントが含まれる。単一可変ドメインは、異なる可変領域またはドメインとは独立に抗原またはエピトープと結合し得る。「ドメイン抗体」または「dAb(商標)」は、「単一可変ドメイン」と同じと見なされ得る。単一可変ドメインは、ヒト単一可変ドメインであり得るが、齧歯類テンジクザメおよびラクダ科動物VHH dAb(商標)などの他種由来の単一可変ドメインも含む。ラクダ科動物VHHは、軽鎖を天然に欠いた重鎖抗体を産生する、ラクダラマアルパカヒトコブラクダ、およびグアナコを含む種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。このようなVHHドメインは、当技術分野で利用可能な標準的技術に従ってヒト化してもよく、このようなドメインも単一可変ドメイン」と見なされる。本明細書で使用する場合、VHにはラクダ科動物VHHドメインが含まれる。

0023

抗原結合フラグメントは、「非抗体タンパク質足場に1以上のCDRを配置する手段により提供され得る。「タンパク質足場」には、本明細書で使用する場合、限定されるものではないが、免疫グロブリン(Ig)足場、例えば、IgG足場が含まれ、4鎖抗体であっても2鎖抗体であってもよく、または抗体のFc領域のみを含んでなってもよく、または抗体由来の1以上の定常領域を含んでなってもよく、その定常領域はヒトもしくは霊長類起源のものであってよく、またはヒトおよび霊長類定常領域の人工キメラであってもよい。

0024

タンパク質足場は、Ig足場、例えば、IgG、またはIgA足場であってよい。IgG足場は、抗体の一部または総てのドメイン(すなわち、CH1、CH2、CH3、VH、VL)を含んでなり得る。抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはIgG4PEから選択されるIgG足場を含んでなり得る。例えば、足場はIgG1であり得る。足場は抗体のFc領域からなってもよく、または含んでなってもよく、またはその一部である。

0025

タンパク質足場は、ICOSなどの天然リガンド以外の抗原への結合を得るためにタンパク質操作を受けた、CTLA−4、リポカリンプロテインA由来分子、例えば、プロテインAのZドメイン(アフィボディ、SpA)、Aドメイン(アビマー/マキシディ);熱ショックタンパク質、例えば、GroElおよびGroESトランスフェリントランスボディ);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマーC型レクチンドメインテトラネクチン);ヒトγ−クリスタリンおよびヒトユビキチン(アフィリン);PDZドメインヒトプロテアーゼ阻害剤サソリ毒クニッツ型ドメイン;およびフィブロネクチンアドネクチンからなる群から選択される足場の誘導体であり得る。

0026

抗原結合部位は、ある抗原に特異的に結合し得る抗原結合タンパク質上の部位を意味し、これは単一可変ドメインであってもよいし、または標準的な抗体に見られ得るように、VH/VLドメイン対であってもよい。単鎖Fv(ScFv)ドメインもまた抗原結合部位を提供し得る。用語「エピトープ結合ドメイン」は、異なるドメインとは独立に、エピトープとして知られる抗原の領域と特異的に結合するドメインを意味する。

0027

多重特異性抗原結合タンパク質という用語は、少なくとも2つの異なる抗原結合部位を含んでなる抗原結合タンパク質を意味する。これらの各抗原結合部位は、同じ抗原上に存在しても異なる抗原上に存在してもよい異なるエピトープに結合し得る。多重特異性抗原結合タンパク質は、2つ以上の抗原、例えば、2つの抗原、または3つの抗原、または4つの抗原に特異性を有する。

0028

多重特異性抗原結合タンパク質の例には、各末端において結合ドメインに直接または間接的に(例えば、リンカー配列を介して)連結された抗体のFc領域、またはその一部からなる、またはから本質的になるものを含む。このような抗原結合タンパク質は、Fc領域により分離された2つの結合ドメイン、またはその一部を含んでなり得る。分離されたとは、結合ドメインが互いに直接連結されず、Fc領域の反対の末端(C末端とN末端)に、または他の任意の足場領域に配置されてもよいことを意味する。

0029

抗原結合タンパク質は、直接またはリンカーを介して間接的に、2つの結合ドメインに、例えば各足場領域のN末端とC末端においてそれぞれ結合された2つの足場領域を含んでなり得る。各結合ドメインは異なる抗原と結合してよい。

0030

本明細書で使用する場合、用語mAbdAbは、さらなる結合ドメイン、特に、単一可変ドメインに連結されたモノクローナル抗体、例えば、ドメイン抗体を意味する。mAbdAbは少なくとも2つの抗原結合部位を有し、そのうち少なくとも1つはドメイン抗体に由来し、少なくとも1つはVH/VLドメイン対に由来する。

0031

「dAb(商標)コンジュゲート」は、薬物が共有結合または非共有結合の手段により化学的にコンジュゲートされたdAbを含んでなる組成物を意味する。好ましくは、dAbと薬物は共有結合される。このような共有結合は、ペプチド結合、または修飾側鎖を介するものなどの他の手段によるものであり得る。非共有結合は、直接的(例えば、静電気的相互作用疎水性相互作用)または間接的(例えば、相補的結合間(例えば、ビオチンアビジン)の非共有結合を介し、一方のパートナーは薬物に共有結合され、相補的結合パートナーはdAb(商標)に共有結合される)であり得る。相補的結合パートナーが使用される場合、それらの結合パートナーの一方は薬物に直接または好適なリンカー部分を介して共有結合させることができ、相補的結合パートナーはdAb(商標)に直接または好適なリンカー部分を介して共有結合させることができる。

0032

本明細書で使用する場合、「dAb(商標)融合物」は、dAb(商標)とポリペプチド薬物(dAb(商標)またはmAbであり得る)を含んでなる融合タンパク質を意味する。dAb(商標)およびポリペプチド薬物は、単一の連続ポリペプチド鎖離散部(部分)として存在する。

0033

1つの実施態様では、本開示の抗原結合タンパク質は、ヒトICOSとカニクイザルICOSなどの別種由来のICOSの間で交差反応性を示す。1つの実施態様では、本発明の抗原結合タンパク質は、ヒトおよびカニクイザルICOSと特異的に結合する。ヒトおよびサル種と結合し得る薬物を提供することにより、これらの系における結果を検定し、同じ薬物を用いてデータを対照比較することが可能となる。疾患モデルで使用される他種、例えば、イヌまたはサル、特にサルとの公差反応性が想定される。

0034

ICOS結合タンパク質と参照ICOS結合タンパク質の間の競合は、競合MSD、ELISA、FMATまたはBIAcoreにより決定可能である。1つの実施態様では、競合アッセイは、ICOS結合タンパク質はICOSリガンド結合との比較により行われる。この競合にはいくつかの可能性のある理由がある:2つのタンパク質は、同じもしくはオーバーラップするエピトープと結合し得ること、結合の立体的阻害が存在し得ること、または第1のタンパク質の結合が抗原にコンフォメーション変化を引き起こすことがあり、これが第2のタンパク質の結合を回避もしくは低減すること。

0035

用語「中和する」は、本明細書で使用される場合、ICOSとICOS−Lの間の相互作用が、in vitroまたはin vivoにおいて、ICOS結合タンパク質の不在下でのICOSとICOS−Lの相互作用と比較して本明細書に記載の抗原結合タンパク質の存在下で低減されることを意味する。中和は、ICOSのそのリガンドへの結合を遮断すること、ICOSがそのリガンドにより活性化されるのを防ぐこと、ICOSもしくはその受容体をダウンレギュレートすること、またはエフェクター機能に影響を与えることのうち1以上により得る。例えば、実施例3および5に記載のリガンド結合がICOS結合タンパク質の中和能を評価するために使用できる。

0036

ICOSとICOS−Lの間の相互作用に対するICOS結合タンパク質の効果は部分的であっても完全であってもよい。ICOS結合タンパク質の中和は、ICOSとICOS−Lの相互作用を、ICOS結合タンパク質の不在下でのICOSとICOS−Lの相互作用の少なくとも20%、30% 40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%遮断し得る。

0037

中和は、当業者に公知のまたは本明細書に記載の1以上のアッセイを用いて決定または測定され得る。

0038

親和性は、ある分子、例えば、本発明の抗原結合タンパク質と、別の分子、例えば、その標的抗原との単一結合部位での結合の強度である。抗原結合タンパク質とその標的の結合親和性は、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)もしくはラジオイムノアッセイRIA))、または速度論(例えば、BIACORE(商標)分析)により決定され得る。例えば、実施例5に記載のBiacore(商標)法が結合親和性を測定するために使用できる。

0039

アビディティは、複数の部位での、例えば、相互作用の価数を考慮に入れた、2分子の相互結合の強度の合計である。

0040

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質−ICOS相互作用の平衡解離定数(KD)は、100nM以下、10nM以下、2nM以下または1nM以下である。あるいは、KDは、5〜10nMの間、または1〜2nMの間であり得る。KDは、1pM〜500pMの間、または500pM〜1nMの間であり得る。当業者は、KDの数値が小さいほど結合が強いことを認識するであろう。KDの逆数(すなわち、1/KD)は、M−1を単位とする平衡会合定数(KA)である。当業者は、KAの数値が大きいほど結合が強いことを認識するであろう。

0041

解離速度定数(kd)または「解離速度」は、1秒当たり減衰するICOS結合タンパク質ICOS複合体、すなわち、複合体画分の安定性を表す。例えば、kd0.01s−1は、1秒当たり1%の複合体の減衰に相当する。1つの実施態様では、解離速度定数(kd)は、1×10−3s−1以下、1×10−4s−1以下、1×10−5s−1以下、または1×10−6s−1以下である。kdは1×10−5s−1〜1×10−4s−1の間、または1×10−4s−1〜1×10−3s−1の間であり得る。

0042

結合速度定数(ka)または「結合速度」は、ICOS結合タンパク質−ICOS複合体形成の速度を意味する。1つの実施態様では、結合速度定数(ka)は、約1.0×105M−1s−1である。

0043

「単離された」により、抗原結合タンパク質または核酸などの分子が、天然に見られ得る環境から取り出されていることを意図する。例えば、その分子は、天然に通常ともに存在する物質から精製され得る。例えば、サンプル中のその分子の質量は、総質量の95%であり得る。

0044

用語「発現ベクター」は、本明細書で使用する場合、真核細胞もしくは原核細胞などの細胞、または無細胞発現系(対象とする核酸配列がタンパク質などのペプチド鎖として発現される)に対象とする核酸を導入するために使用できる単離された核酸を意味する。このような発現ベクターは、例えば、対象とする核酸を含んでなるコスミドプラスミドウイルス配列トランスポゾン、および直鎖核酸であり得る。ひと度、発現ベクターが細胞または無細胞発現系(例えば、網状赤血球溶解液)に導入されれば、対象とする核酸にコードされているタンパク質が転写翻訳機構により産生される。本開示の範囲内の発現ベクターは、真核生物または原核生物発現に必要な要素および誘導型ウイルスプロモーター駆動ベクター、例えば、CMVプロモーター駆動ベクター、例えば、pcDNA3.1、pCEP4、およびそれらの誘導体、バキュロウイルス発現ベクター、ショウジョウバエ発現ベクター、およびヒトIg遺伝子プロモーターなどの哺乳動物遺伝子プロモーターにより駆動される発現ベクターを提供し得る。他の例としては、原核生物発現ベクター、例えば、T7プロモーター駆動ベクター、例えば、pET41、ラクトースプロモーター駆動ベクターおよびアラビノース遺伝子プロモーター駆動ベクターが挙げられる。当業者は、多くの他の好適な発現ベクターおよび発現系を認識するであろう。

0045

用語「組換え宿主細胞」は、本明細書で使用する場合、対象とする核酸配列を含んでなり、その細胞への導入前に単離された細胞を意味する。例えば、対象とする核酸配列は発現ベクターであってよく、細胞は原核生物または真核生物細胞であり得る。例示的真核細胞は、限定されるものではないが、COS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、HepG2、653、SP2/0、NS0、293、HeLa、骨髄腫リンパ腫細胞またはその任意の誘導体などの哺乳動物細胞である。最も好ましくは、真核細胞は、HEK293、NS0、SP2/0、またはCHO細胞である。大腸菌は一例としての原核細胞である。本発明の組換え細胞は、トランスフェクション細胞融合不死化、または当技術分野で周知の他の手法により作出され得る。細胞にトランスフェクトされた、発現ベクターなどの対象とする核酸配列は染色体外にあってもまたは細胞の染色体に安定して組み込まれてもよい。

0046

「キメラ抗体」は、ドナー抗体に由来する天然可変領域(軽鎖および重鎖)をアクセプター抗体に由来する軽鎖および重鎖定常領域と組み合わせて含む操作抗体一種を意味する。

0047

「ヒト化抗体」は、そのCDR非がヒトドナー免疫グロブリンに由来し、その分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1以上のヒト免疫グロブリンに由来する操作抗体の一種を意味する。加えて、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するように変更されてよい(例えば、Queen et al. Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson, et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)参照)。好適なヒトアクセプター抗体は、従来のデータベース、例えば、KABAT(商標)データベース、Los Alamosデータベース、およびSwiss Proteinデータベースから、ドナー抗体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列との相同性により選択されたものであり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域との相同性(アミノ酸に基づく)を特徴とするヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに好適であり得る。軽鎖定常または可変フレームワーク領域を供与し得る好適なアクセプター抗体も同様の方法で選択することができる。アクセプター抗体重鎖および軽鎖は同じアクセプター抗体に起源する必要は無いことに留意されたい。従来技術は、このようなヒト化抗体を生産するいくつかの方法を記載している−、例えば、EP−A−0239400およびEP−A−054951参照。

0048

用語「完全ヒト抗体」には、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在する場合)を有する抗体が含まれる。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでは無作為もしくは部位特異的変異誘発、またはin vivoでは体細胞変異によって挿入される変異)を含み得る。完全ヒト抗体は、最終的にヒト起源ポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列またはこのような配列と同一のアミノ酸配列を含んでなる。本明細書で意味されるように、トランスジェニックマウスで産生されたマウスゲノムに挿入されたヒト免疫グロブリンコードDNAによりコードされた抗体は、最終的にヒト起源のDNAによりコードされているので、完全ヒト抗体である。この場合、ヒト免疫グロブリンコードDNAは、マウス内で(抗体をコードするために)再構成され得、体細胞変異も起こり得る。マウス内でこのような変化を受けた、元々ヒトDNAによりコードされた抗体は、本明細書で意味されるような完全ヒト抗体である。このようなトランスジェニックマウスの使用により、ヒト抗原に対して完全ヒト抗体を選択することが可能となる。当技術分野で理解されているように、完全ヒト抗体は、ヒトDNAライブラリーがヒト生殖細胞系DNA配列を含んでなる抗体の作製のためのファージに挿入されるファージディスプレー技術を用いて作製できる。

0049

用語「ドナー抗体」は、その可変領域、CDR、またはその他のその機能的フラグメントまたは類似体のアミノ酸配列を第1の免疫グロブリンパートナーに供与する抗体を意味する。従って、ドナーは、変更された免疫グロブリンコード領域と結果として発現される、ドナー抗体に特徴的な抗原特異性および中和活性を有する変更された抗体を提供する。

0050

用語「アクセプター抗体」は、その重鎖および/もしくは軽鎖フレームワーク領域ならびに/またはその重鎖および/もしくは軽鎖定常領域をコードするアミノ酸配列の全部(またはいずれか一部)を第1の免疫グロブリンパートナーに供与する、ドナー抗体とは異種の抗体を意味する。ヒト抗体はアクセプター抗体であり得る。

0051

用語「VH」および「VL」は、本明細書では、抗原結合タンパク質のそれぞれ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を意味して使用される。

0052

「CDR」は、抗原結合タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列と定義される。これらは免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDR(またはCDR領域)が存在する。よって、「CDR」は、本明細書で使用する場合、3つ総ての重鎖CDR、3つ総ての軽鎖CDR、総ての重鎖および軽鎖CDR、または少なくとも2つのCDRを意味する。

0053

本明細書を通して、可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基は、Kabatナンバリング規則に従って符番される。同様に、実施例で使用する用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」もナンバリング規則に従う。さらに詳しくは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1991)を参照。

0054

可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基には別のナンバリング規則も存在することは当業者に自明であろう。CDR配列、例えば、Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に示されているものなどの別のナンバリング規則も存在する。抗体の構造およびタンパク質の折り畳みは、他の残基がCDR配列の考慮される部分であり得、当業者にはそのように理解されるであろうことを意味する。

0055

当業者に利用可能なCDR配列の他のナンバリング規則には、「AbM」(バース大学)および「contact」(ユニバーシティ・カレッジロンドン)法が含まれる。Kabat、Chothia、AbMおよびcontact法のうち少なくとも2つを用いて最小オーバーラッピング領域を決定し、「最小結合単位」を提供することができる。最小結合単位は、CDRの下位部分であり得る。

0056

以下の表1は、各CDRまたは結合単位に関して各ナンバリング規則を用いて1つの定義を表している。Kabatナンバリング法は、表1で可変ドメインアミノ酸配列を符番するために使用されている。CDR定義のいくつかは個々の刊行物によって異なる場合があることに留意されたい。

0057

0058

よって、ICOS結合タンパク質は、以下のCDRのいずれか1つまたは組合せを含んでなるものが提供される。
CDRH1: DYAMH(配列番号1)
CDRH2: LISIYSDHTNYNQKFQG(配列番号2)
CDRH3:NNYGNYGWYFDV(配列番号3)
CDRL1:SASSSVSYMH(配列番号4)
CDRL2: DTSKLAS(配列番号5)
CDRL3: FQGSGYPYT(配列番号6)

0059

本発明の1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域にCDRH1(配列番号1)、CDRH2(配列番号2)、およびCDRH3(配列番号3)を含んでなる。配列番号7に示されるヒト化重鎖可変領域を含んでなる本発明のICOS結合タンパク質は、「H2」と呼称される。いくつかの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含んでなる。好適には、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号7と約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,または100%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含んでなり得る。

0060

ヒト化重鎖(VH)可変領域(H2):

0061

本発明の1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域にCDRL1(配列番号4)、CDRL2(配列番号5)、およびCDRL3(配列番号6)を含んでなる。配列番号8に示されるヒト化軽鎖可変領域を含んでなる本発明のICOS結合タンパク質は、「L5」と呼称される。よって、配列番号7の重鎖可変領域と配列番号8の軽鎖可変領域を含んでなる本発明のICOS結合タンパク質は、本明細書ではH2L5と呼称することができる。

0062

好適には、重鎖可変鎖および軽鎖構築物のリーダー配列図9で示され、限定されるものではないが、MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号11)を含む。

0063

いくつかの実施態様では、本発明のCOS結合タンパク質は、配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含んでなる。好適には、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号8と約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含んでなり得る。

0064

ヒト化軽鎖(VL)可変領域(L5)

0065

CDRまたは最小結合単位は、少なくとも1個のアミノ酸の置換、欠失または付加により改変され得、ここで、この変異体抗原結合タンパク質は、クローン422.2から産生されたマウス抗体または配列番号7および配列番号8を含んでなる抗体などの非改変タンパク質生物学的特徴を実質的に保持している。

0066

CDRH1、H2、H3、L1、L2、L3のそれぞれは単独でまたは任意の順列もしくは組合せでの他の任意のCDRとの組合せにおいて改変され得ることが認識されるであろう。1つの実施態様では、CDRは、3個までのアミノ酸、例えば、1または2個のアミノ酸、例えば、1個のアミノ酸の置換、欠失または付加によって改変される。一般に、改変は、置換、特に、例えば、以下の表2に示されるような保存的置換である。

0067

0068

例えば、変異体CDRにおいて、最小結合単位のアミノ酸残基は同じものを保持してよいが、KabatまたはChothia定義の一部としてCDRを含んでなる隣接残基は、保存的アミノ酸残基で置換され得る。

0069

上記のように改変されたCDRまたは最小結合単位を含んでなるこのような抗原結合タンパク質は、本明細書では、「機能的CDR変異体」または「機能的結合単位変異体」と呼ばれ得る。好適には、1つの実施態様では、配列番号1、2、3、4、5、および/もしくは6に示されるアミノ酸配列ならびに/またはそれらの機能的CDR変異体を有する1以上のCDRを含んでなるICOS結合タンパク質が提供される。

0070

用語「エピトープ」は、本明細書で使用する場合、抗原結合タンパク質の特定の結合ドメインと接触させる抗原の部分を意味する。エピトープは直鎖または立体配座的/不連続であり得る。立体配座エピトープまたは不連続エピトープは、他の配列により分離されたアミノ酸残基を含んでなり、すなわち、抗原の一次配列において連続的な配列ではない。これらの残基はペプチド鎖の異なる領域に由来し得るが、それらは抗原の三次元構造では近接している。多量体抗原の場合、立体配座エピトープまたは不連続エピトープは、異なるペプチド鎖由来の残基を含み得る。エピトープ内に含まれる特定の残基は、コンピューターモデリングプログラムまたはX線結晶学などの当技術分野で公知の方法によって得られる三次元構造を介して決定することができる。

0071

CDRL1、L2、L3、H1およびH2は、有限数の主鎖立体配座のうちの1つを構造上示す傾向がある。CDRの特定のカノニカル構造クラスは、CDRの長さ、およびCDRとフレームワーク領域の両方においてキーポジションに位置する残基(構造決定残基(structurally determining residues)またはSDR)により決定されるループパッキングの両方により定義される。Martin and Thornton (1996; J Mol Biol 263:800-815)は、「キー残基カノニカル鋳型を定義するための自動法を作出している。クラスター分析がCDRセットのカノニカルクラスを定義するために使用され、次に、カノニカル鋳型が埋没疎水基水素結合残基、および保存されたグリシンおよびプロリンを分析することにより同定される。抗体配列のCDRは、配列をキー残基鋳型と比較し、同一性または類似性マトリックスを用いて各鋳型をスコア化することによってカノニカルクラスに割り付けることができる。

0072

CDR、対応するCDR、結合単位、重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖、および抗原結合タンパク質について複数の変異体CDRカノニカル位置があり得るので、抗原結合タンパク質がICOSと特異的に結合可能なようにCDRのカノニカル構造が維持される限り、本発明の抗原結合タンパク質にいずれの置換組合せが存在してもよい。

0073

上記で述べたように、CDRの特定のカノニカル構造クラスは、CDRの長さ、およびCDRとフレームワーク領域の両方においてキーポジションに位置する残基により決定されるループパッキングの両方により定義される。

0074

クエリー核酸配列とサブジェクト核酸配列の間の「同一性パーセント」は、サブジェクト核酸配列が、ペアワイズBLASTアラインメントが実施された後にクエリー核酸配列と100%のクエリーカバー率を有する際にBLASTNアルゴリズムにより計算される、パーセンテージとして表される「同一性」値である。このようなクエリー核酸配列とサブジェクト核酸配列の間のペアワイズBLASTNアラインメントは、低複雑性領域用フィルターオフにされた、デフォルト設定の、the National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイトで利用可能なBLASTNアルゴリズムを使用することにより実施される。重要なこととして、クエリー核酸配列は、本明細書の1以上の請求項で特定される核酸配列により記載され得る。

0075

クエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間の「同一性パーセント」は、サブジェクトアミノ酸配列が、ペアワイズBLASTPアラインメントが実施された後にクエリーアミノ酸配列と100%のクエリーカバー率を有する際にBLASTPアルゴリズムにより計算される、パーセンテージとして表される「同一性」値である。このようなクエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間のペアワイズBLASTPアラインメントは、低複雑性領域用のフィルターがオフにされた、デフォルト設定の、the National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイトで利用可能なBLASTPアルゴリズムを使用することにより実施される。重要なこととして、クエリーアミノ酸配列は、本明細書の1以上の請求項で特定されるアミノ酸配列により記載され得る。

0076

クエリー配列は、サブジェクト配列と100%同一であり得、またはそれはサブジェクト配列と比較した場合に、同一性%が100%未満となるような特定の整数までのアミノ酸またはヌクレオチド変異を含み得る。例えば、クエリー配列は、サブジェクト配列と少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一である。このような変異は、少なくとも1個のアミノ酸欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)、または挿入を含み、ここで、前記変異は、クエリー配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端に、またはクエリー配列内のアミノ酸もしくはヌクレオチド間に個々に、もしくはクエリー配列内の1以上の連続する群として挿入された、そのような末端の位置と末端の位置の間のいずれかの場所に見られてよい。

0077

同一性%は、CDRを含むクエリー配列の全長にわたって決定してもよい。あるいは、同一性%はCDRを除外してもよく、例えば、CDRはサブジェクト配列と100%同一であり、同一性%の変動はクエリー配列の残部にあり、結果として、CDR配列は固定される/そのままである。

0078

変異体配列は、配列番号7または配列番号8などの非改変タンパク質の生物学的特徴を実質的に保持する。

0079

VHまたはVL配列は、15個までのアミノ酸置換、付加または欠失を有する変異体配列であってもよい。例えば、変異体配列は15個まで、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸置換、付加または欠失を有してよい。

0080

配列変動はCDRを除外してもよく、例えば、CDRはVHもしくはVL(またはHCもしくはLC)配列と同じであり、変動はVHもしくはVL(またはHCもしくはLC)配列の残部にあり、結果として、CDR配列は固定される/そのままである。

0081

当業者は、抗体などの抗原結合タンパク質の生産時に、特に、使用する細胞株および抗原結合タンパク質の特定のアミノ酸配列によって翻訳後修飾が起こり得ることを認識するであろう。例えば、これは、特定のリーダー配列の切断、様々なグリコシル化およびリン酸化パートナーにおける様々な糖部分の付加、脱アミド化酸化、ジスルフィド結合スクランブル化異性化、C末端リシンクリッピング、およびN末端グルタミン環化を含み得る。本発明は、1以上の翻訳後修飾下にあった、または1以上の翻訳後修飾を受けた抗原結合タンパク質の使用を包含する。よって、本発明の「抗原結合タンパク質」または「抗体」は、本明細書に記載されるような翻訳後修飾を受けた、始めに定義された、それぞれ「抗原結合タンパク質」または「抗体」を含む。

0082

脱アミド化は、主としてアスパラギン(N)をイソアスパラギン酸およびアスパラギン酸(D)におよそ3:1比で変換する酵素反応である。それほどではないにせよ、脱アミド化はグルタミン残基でも同様に起こり得る。CDRにおける脱アミド化は分子の電荷に変化をもたらすが、一般に、抗原結合には変化を生じず、PK/PDにも影響しない。

0083

酸化は、生産および保存中に(すなわち、酸化条件の存在下で)起こり得、直接的には反応性酸素種により、または間接的には酸化ストレスの二次的副生成物との反応により誘導されるタンパク質の共有結合的修飾をもたらす。酸化は主としてメチオニン残基で起こるが、場合によってはトリプトファンおよび遊離システイン残基でも起こり得る。

0084

ジスルフィド結合スクランブル化は、生産および基本的保存条件で起こり得る。特定の状況で、ジスルフィド結合が不適切破断または形成して不対合システイン残基(−SH)が生じることがある。これらの遊離不対合スルフヒドリル(−SH)はシャッフリングを促進する場合がある。

0085

異性化は一般に、生産、精製、および保存(酸性pH下)中に起こり、通常、アスパラギン酸が化学的プロセスを経てイソアスパラギン酸に変換される際に起こる。

0086

重鎖および/または軽鎖のN末端グルタミンは、ピログルタミン酸塩(pGlu)を形成する可能性がある。ほとんどのpGlu形成は生産バイオリアクター内で起こるが、処理のpHおよび温度ならびに保存条件によっては非酵素的に形成される場合もある。pGluの形成は、組換えmAbの主要分解経路の1つと考えられる。

0087

C末端リシンクリッピングは、カルボキシペプチダーゼにより触媒される酵素反応であり、組換えmAbにおいて一般に見られる。このプロセスの変種として、一方または両方の重鎖からのリシンの除去が含まれる。リシンクリッピングは生物活性に影響を及ぼすとは思われず、mAbのエフェクター機能にも影響はない。

0088

ヒトにはタンパク質と結合し得る天然自己抗体が存在する。よって、自己抗体は内在タンパク質(ナイーブ対象に存在)ならびに処置のために対象に投与されたタンパク質またはペプチドに結合し得る。治療用タンパク質結合自己抗体および薬物処置に応答して新たに形成される抗体は、抗薬物抗体(anti-drug antibodies)(ADA)と総称される。対象に投与された治療用タンパク質およびペプチドなどの分子に対する既存の抗体はそれらの有効性に影響を及ぼすことがあり、投与反応、過敏性、処置された患者の臨床応答の変化およびその分子を持続させる、排除するまたは中和することによるバイオアベイラビリティの変化をもたらし得る。免疫原性が低減された(すなわち、対象、特に、ヒト対象に投与した際に既存のADAに結合する能力が低減されたヒト免疫グロブリン(抗体)単一可変ドメインまたはdAb(商標)を含んでなる治療用分子を提供することが有利であり得る。

0089

よって、本発明の1つの実施態様では、等価な非改変分子に比べて既存の抗体(ADA)との結合能が低減された改変型dAb(商標)が提供される。結合能の低減とは、改変分子が既存のADAと低減された親和性がまたは低減されたアビディティで結合することを意味する。前記改変dAb(商標)は、(a)C末端付加、延長、欠失もしくはタグ、および/または(b)1以上のアミノ酸フレームワーク置換、から選択される1以上の改変を含んでなる。

0090

本開示のポリペプチドおよびdAb(商標)ならびにこれらを含んでなるアゴニストは、例えば、PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体または少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体Fc領域の付加によって、または抗体ドメインとのコンジュゲーションによって、より大きい流体力学的サイズを有するような形式とすることができる。例えば、ポリペプチドdAb(商標)およびアゴニストは、抗体のより大きな抗原結合フラグメントの、または抗体の形式とすることができる(例えば、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、IgG、scFvの形式)。

0091

本明細書で使用する場合、「流体力学的サイズ」は、水溶液中での分子の拡散に基づいた分子(例えば、抗原結合タンパク質)の見掛けのサイズを意味する。タンパク質の見掛けのサイズを導くように溶液中でのタンパク質の拡散または運動を処理することができ、そのサイズはタンパク質粒子の「ストークス半径」または「流体力学的半径」で示される。タンパク質の「流体力学的サイズ」は質量および形状(立体配座)の両方に依存し、従って、同じ分子量を有する2つのタンパク質は、そのタンパク質の全体的な立体配座および電荷に基づいて異なる流体力学的サイズを持ち得る。流体力学的サイズの増大は関連の腎クリアランスの低下をもたらし、半減期(t1/2)の延長が見られる。

0092

本開示の抗原結合タンパク質(例えば、ドメイン抗体単量体および多量体)の流体力学的サイズは、当技術分野で周知の方法を用いて決定することができる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーが抗原結合タンパク質の流体力学的サイズを決定するために使用できる。架橋アガロースマトリックスなど、抗原結合タンパク質の流体力学的サイズを決定するための好適なゲル濾過マトリックスは周知であり、容易に入手できる。

0093

抗原結合タンパク質形式のサイズ(例えば、抗体単量体にPEG部分ドメインが結合されたもののサイズ)は所望の適用によって異なり得る。例えば、抗原結合タンパク質が循環を離れて末梢組織へ入ることを意図する場合には、ICOS結合タンパク質の流体力学的サイズは血流からの溢出を促すように小さく維持することが望ましい。あるいは、抗原結合タンパク質をより長時間体循環に留まらせたい場合には、例えばIg様タンパク質の形式とすることにより抗原結合タンパク質のサイズを大きくすることができる。

0094

医薬組成物
本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載のヒト疾患の処置に使用するために医薬組成物中に組み込むことができる。1つの実施態様では、医薬組成物は、抗原結合タンパク質を場合により1種類以上の薬学上許容可能な担体および/または賦形剤と組み合わせて含んでなる。

0095

このような組成物は、許容可能な製薬実務によって知られ、呼称される薬学上許容可能な担体を含んでなる。

0096

医薬組成物は、注射または持続的注入(例として、限定されるものではないが、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内および門脈内を含む)により投与され得る。1つの実施態様では、組成物は、静脈内投与に好適である。医薬組成物は、局所投与(限定されるものではないが、経皮吸入鼻腔内または眼内投与を含む)または経腸投与(限定されるものではないが、経口または直腸投与を含む)に好適であり得る。

0097

医薬組成物は、0.5mg〜10gの間のICOS結合タンパク質、例えば、5mg〜1gの間の抗原結合タンパク質を含んでなり得る。あるいは、組成物は、5mg〜500mgの間、例えば、5mg〜50mgの間を含んでなり得る。

0098

このような医薬組成物の調製方法は当業者に周知である。投与様式および使用する特定のタンパク質に適当であれば、組成物に他の賦形剤を加えてもよい。種々の賦形剤およびそれらの使用の例は、Lowe et al.(2011)に記載されている。

0099

抗原結合タンパク質を投与するための有効用量および処置計画は、患者の齢、体重および健康状態、ならびに処置される疾患などの因子によって異なり得る。このような因子は主治医の範囲内にある。適当用量を選択する指針は例えばBai et al.(2012)に見出すことができる。

0100

医薬組成物は、他の薬剤を伴う抗原結合タンパク質のパーツキットを、場合により使用説明書とともに含んでなり得る。便宜には、キットは、所定量の試薬を使用説明書とともに含んでなり得る。

0101

用語「個体」、「対象」および「患者」は、本明細書では互換的に使用される。1つの実施態様では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、マーモセットまたはサルである。別の実施態様では、対象はヒトである。

0102

本明細書に記載の抗原結合タンパク質はまた、処置法にも使用可能である。処置は、治療、予防または回避であり得る。処置は、疾患の少なくとも1つの態様または症状の緩和、軽減、または回避を包含し、本明細書に記載の疾患の回避または治癒を包含する。

0103

本明細書に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、治療的、予防的または回避的処置に有効な量で使用される。本明細書に記載のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分の治療上有効な量は、疾患の1以上の症状の改善もしくは軽減に、または疾患の回避もしくは治癒に有効な量である。

0104

よって、1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、療法において使用するために提供される。1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、癌、感染性疾患および/または敗血症の処置において使用するために提供される。本発明はまた、癌、感染性疾患および/または敗血症の処置のための薬剤の製造における本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分の使用も提供する。

0105

よって、本明細書では、癌、感染性疾患および/または敗血症の処置に使用するための、単離されたICOS結合タンパク質もしくはそれらの抗原結合部分または前記の単離されたICOS結合タンパク質もしくはそれらの抗原結合部分を含んでなる医薬組成物が提供される。

0106

製造方法
抗原結合タンパク質は、いくつかの従来技術のいずれによって調製してもよい。例えば、抗原結合タンパク質は、それらを天然に発現する細胞から精製してもよく(例えば、抗体はそれを産生するハイブリドーマから精製することができる)、または組換え発現系で生産してもよい。

0107

いくつかの異なる発現系および精製計画が本発明の抗原結合タンパク質を作製するために使用可能である。一般に、宿主細胞は、所望の抗原結合タンパク質をコードする組換え発現ベクター形質転換させる。原核生物(グラム陰性菌またはグラム陽性菌、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス(Bacilli)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種を含む)、酵母(例えば、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、ピキアパストリス(Pichia pastoris))、真菌(例えば、アスペルギルス(Aspergilus)種)、または昆虫細胞および哺乳動物起源の細胞株(例えば、CHO、Perc6、HEK293、HeLa)を含む高等真核生物を含む真核生物を含め、広範囲の宿主細胞が使用可能である。

0108

宿主細胞は、単離された宿主細胞であり得る。宿主細胞は通常、多細胞生物(例えば、植物または動物)の一部ではない。宿主細胞は非ヒト宿主細胞であり得る。

0109

細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適当なクローニングおよび発現ベクター、ならびにクローニング方法は当技術分野で公知である。

0110

これらの細胞を、抗原結合タンパク質の発現を促進する条件化で培養し、ポリペプチドを従来のタンパク質精製手順により回収することができる。本明細書で使用が企図される抗原結合タンパク質には、夾雑材料を実質的に含まない、実質的に均質な抗原結合タンパク質が含まれる。

0111

当業者は、抗原結合タンパク質の生産時に、特に、使用する細胞株および抗原結合タンパク質の特定のアミノ酸配列によって、翻訳後修飾が起こり得ることを認識するであろう。これは特定のリーダー配列の切断、様々なグリコシル化パターンでの様々な糖部分の付加、脱アミド化(例えば、アスパラギンまたはグルタミン残基における)、酸化(例えば、メチオニン、トリプトファンまたは遊離システイン残基における)、ジスルフィド結合スクランブル化、異性化(例えば、アスパラギン酸残基における)、C末端リシンクリッピング(例えば、一方または両方の重鎖に由来)、およびN末端グルタミン環化(例えば、重鎖および/または軽鎖における)を含み得る。本発明は、1以上の翻訳後修飾下にあった、または1以上の翻訳後修飾を受けた抗体の使用を包含する。修飾はCDR、可変フレームワーク領域、または定常領域で起こり得る。修飾は分子の電荷の変化をもたらし得る。この修飾は一般に、抗原結合、機能、生物活性の変化をもたらさず、ICOS結合タンパク質の薬物動態的(PK)または薬力学的(PD)特徴にも影響を及ぼさない。

0112

用語「エフェクター機能」は、本明細書で使用する場合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性(ADCC)、補体依存性細胞傷害活性(CDC)介在応答、Fc介在性貪食作用または抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)およびFcRn受容体を介した抗体リサイクリングのうち1以上を意味するものとする。

0113

抗原結合タンパク質の定常領域とFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)を含む種々のFc受容体(FcR)の間の相互作用は、抗原結合タンパク質のエフェクター機能を媒介すると考えられる。有意な生物学的効果は、エフェクター機能の結果であり得る。通常、エフェクター機能媒介能は、抗原結合タンパク質の抗原への結合を必要とし、総てではないが抗原結合タンパク質はあらゆるエフェクター機能を媒介する。

0114

エフェクター機能は、ADCC/ADCPエフェクター機能に関して評価するために、例えば、ナチュラルキラー細胞ではFcγRIIIの結合を介するものまたは単球マクロファージではFcγRIを介するものを含むいくつかの方法で測定することができる。例えば、本発明の抗原結合タンパク質は、ナチュラルキラー細胞アッセイでADCCエフェクター機能に関して評価することができる。ADCCおよび/またはCDC機能を評価するための実際のアプローチは、(Kellner C et al., “Boosting ADCC and CDC activity by Fc engineering and evaluation of antibody effector functions”, Methods, 1;65(1):105-13 (2014))に見出すことができる。

0115

ヒト定常領域のいくつかのアイソタイプ、特に、IgG4およびIgG2アイソタイプは、a)古典的経路による補体の活性化;およびb)抗体依存性細胞介在性細胞傷害性の機能が低減されている。所望のエフェクター特性によって、抗原結合タンパク質の重鎖定常領域に対する種々の改変を行うことができる。特定の変異を含有するIgG1定常領域は、Fc受容体への結合を低減すること、従って、ADCCおよびCDCを低減することが別に記載されている(Kellner C et al., “Boosting ADCC and CDC activity by Fc engineering and evaluation of antibody effector functions”, Methods, 1;65(1):105-13 (2014))。

0116

本発明の1つの実施態様では、抗原結合タンパク質のADCCおよび/または補体活性化またはエフェクター機能が低減されるような定常領域を含んでなる抗原結合タンパク質が提供される。1つのこのような実施態様では、重鎖定常領域は、IgG2もしくはIgG4アイソタイプの、天然状態で無効の定常領域または変異したIgG1定常領域を含んでなり得る。一例は、235番および237番(EUインデックスナンバリング)のアラニン残基の置換を含んでなる。

0117

抗体のサブクラスは、補体活性化またはFc受容体(FcR)結合および抗体依存性細胞傷害性(ADCC)などの二次的なエフェクター機能を部分的に決定する(Huber, et al., Nature 229(5284): 419-20 (1971); Brunhouse, et al., Mol Immunol 16(11): 907-17 (1979))。特定の適用に最適な抗体のタイプを特定する上で、抗体のエフェクター機能を考慮することができる。例えば、hIgG1抗体は比較的長い半減期を有し、補体結合において極めて有効であり、それらはFcγRIとFcγRIIの両方に結合する。対照的に、ヒトIgG4抗体は、半減期が短く、補体を結合せず、FcRに対する親和性が低い。IgG4のFc領域のセリン228をプロリンで置換すると(S228P)、hIgG4で見られるヘテロ性が小さくなり、血清半減期が延長する(Kabat, et al., “Sequences of proteins of immunological interest” 5.sup.th Edition (1991); Angal, et al., Mol Immunol 30(1): 105-8 (1993))。ロイシン235をグルタミン酸で置換する第2の変異(L235E)は、残存するFcR結合活性および補体結合活性を排除する(Alegre, et al., J Immunol 148(11): 3461-8 (1992))。結果として得られる両変異を有する抗体は、IgG4PEと呼ばれる。hIgG4アミノ酸のナンバリングはEUナンバリング参照:Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969).PMID: 5257969からのものであった。本発明の1つの実施態様では、置換S228PおよびL235Eを含んでなるIgG4 Fc領域を含んでなるICOS抗原結合タンパク質は、IgG4PEの名称を持ち得る。よって、重鎖可変領域H2および軽鎖可変領域L5およびIgG4PE Fc領域を有するICOS結合タンパク質は、H2L5 IgG4PEまたは同義的にH2L5 hIgG4PEと呼称される。

0118

ADCC/CDCの増強
当技術分野で理解されるように、抗体のADCCおよび/またはCDC活性を増強する様々な技術が知られている。これらには、限定されるものではないが、Fc領域における様々な変異、コンプジェントおよびポテリジェント技術が含まれる。本発明の1つの態様では、1以上のADCC/CDC増強技術が本発明のICOS結合タンパク質に適用されてよい。

0119

変異
また、特定の変異または残基Asn297のグリコシル化の変更を含むヒトIgG1定常領域もFc受容体への結合を増強するために記載されている。場合によっては、これらの変異がADCCおよびCDCを増強することも示されている、例えば、Kellner (2013)参照。

0120

本発明の1つの実施態様では、このような変異は、239、332および330(IgG1)、または他のIgGアイソタイプのける等価な位置から選択される位置の1以上に存在する。好適な変異の例は、S239DおよびI332EおよびA330Lである。1つの実施態様では、本明細書に記載される本発明の抗原結合タンパク質は、239番および332番で変異を受け、例えば、S239DおよびI332Eであり、またはさらなる実施態様では、それは239および332および330から選択される3以上の位置で変異を受け、例えば、S239DおよびI332EおよびA330L(EUインデックスナンバリング)である。

0121

コンプリジェント
本発明の1つの実施態様では、キメラ重鎖定常領域を含んでなる抗原結合タンパク質、例えば、抗原結合タンパク質が増強されたエフェクター機能を有するように、例えば、それが増強されたADCCもしくは増強されたCDC、または増強されたADCCとCDC機能を有するように、IgG3由来の少なくとも1つのCH2ドメインを有するキメラ重鎖定常領域を含んでなる抗原結合タンパク質が提供される。1つのこのような実施態様では、抗原結合タンパク質は、IgG3由来の1つCH2ドメインを含んでなり得るか、または両CH2ドメインがIgG3に由来し得る。

0122

また、
a)本明細書に記載の単離された核酸を含んでなる発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞を培養する工程、ここで、前記発現ベクターは、IgG1およびIgG3の両Fcドメインアミノ酸残基を有するFcドメインをコードする核酸配列を含んでなる;および
b)前記抗原結合タンパク質を回収する工程
を含んでなる、本発明による抗原結合タンパク質の製造方法も提供される。

0123

このような抗原結合タンパク質の生産方法は、例えば、BioWa, Inc. (Princeton, NJ) and Kyowa Hakko Kogyo (now, Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd.) Co., Ltd.から入手可能なコンプリジェント(商標)技術システムを用いて実施することができる。この場合、組換え宿主細胞は発現ベクターを含んでなり、IgG1およびIgG3の両Fcドメインアミノ酸残基を有するキメラFcドメインをコードする核酸配列が発現されて、このようなキメラFcドメインを欠いた、それ以外の点では同一の抗原結合タンパク質に比べて増強された高い補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する抗原結合タンパク質を産生する。コンプリジェント(商標)技術システムの態様は、WO2007011041およびUS20070148165に記載され、これらはそれぞれ引用することにより本明細書の一部とされる。別の実施態様において、CDC活性は、IgG鎖のFc領域に配列特異的変異を導入することにより増強してもよい。当業者はまた他の適当なシステムも認識するであろう。

0124

ポテリジェント
本発明はまた、
a)本明細書に記載の単離された核酸含んでなる発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞を培養する工程、ここで、前記組換え宿主細胞ではα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が不活性化されている;および
b)前記抗原結合タンパク質を回収する工程
を含んでなる、本発明による抗原結合タンパク質の製造方法も提供する。

0125

このような抗原結合タンパク質の生産方法は、例えば、BioWa, Inc. (Princeton, NJ)から入手可能なポテリジェント(商標)技術システムを用いて実施することができ、このシステムでは、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞は、機能的FUT8遺伝子を有する細胞で産生される同一のモノクローナル抗体に比べて増強された、高い抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性を有するモノクローナル抗体を産生する。ポテリジェント(商標)技術システムの態様は、US7214775、US6946292、WO0061739およびWO0231240に記載され、これらは総て、引用することにより本明細書の一部とされる。当業者はまた他の適当なシステムも認識するであろう。

0126

当業者には、このような改変は単独で使用できるだけでなく、エフェクター機能をさらに増強するために互いに組み合わせて使用できることを認識するであろう。

0127

本発明の1つのこのような実施態様では、変異型のキメラ重鎖定常領域を含んでなる重鎖定常領域を含んでなる抗原結合タンパク質、例えば、IgG3由来の少なくとも1つのCH2ドメインとIgG1由来の1つのCH2ドメインを含んでなり、抗原結合タンパク質が増強されたエフェクター機能を有するように、例えば、それが以下の機能、すなわち、ADCCの増強またはCDCの増強のうち1以上を有するように、例えば、それが増強されたADCCと増強されたCDCを有するように、前記IgG1 CH2ドメインが239および332および330から選択される位置に1以上の変異を有する(例えば、前記変異はS239DおよびI332EおよびA330Lから選択され得る)抗原結合タンパク質が提供される。1つの実施態様では、IgG1 CH2ドメインは、変異S239DおよびI332Eを有する。

0128

本発明の別の実施態様では、キメラ重鎖定常領域を含んでなり、グリコシル化プロフィールが変更された抗原結合タンパク質が提供される。このような1つの実施態様では、重鎖定常領域は、IgG3由来の少なくとも1つのCH2ドメインとIgG1由来の1つのCH2ドメインを含んでなり、フコースマンノースの比が0.8:3以下となるようにグリコシル化プロフィールが変更され、例えば、抗原結合タンパク質は、前記抗原結合タンパク質が、前記変異およびグリコシル化プロフィールの変更を欠く免疫グロブリン重鎖定常領域を有する等価な抗原結合タンパク質に比べて増強されたエフェクター機能を有するように、例えば、それが以下の機能、すなわち、ADCCの増強またはCDCの増強のうち1以上を有するように、例えば、それが増強されたADCCと増強されたCDCを有するように、脱フコシル化される。

0129

別の実施態様では、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つのIgG3 CH2ドメインと少なくとも1つのIgG1由来重鎖定常ドメインを有し、ここで、両IgG CH2ドメインは、本明細書に記載の制限に従って変異を受ける。

0130

本発明の1つの態様では、
a)本明細書に記載の単離された核酸を含有する発現ベクターを含有する組換え宿主細胞を培養する工程、前記発現ベクターは、IgG1およびIgG3の両Fcドメインアミノ酸残基を有するキメラFcドメインをコードするFc核酸配列をさらに含んでなり、前記組換え宿主細胞ではα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が不活性化されている;および
b)前記抗原結合タンパク質を回収する工程
を含んでなる、本明細書に記載の、本発明による抗原結合タンパク質の製造方法が提供される。

0131

このような抗原結合タンパク質の生産方法は、キメラFcドメインを欠き、オリゴ糖にフコースを有する、それ以外の点では同一のモノクローナル抗体に比べて増強されたADCCおよびCDCの両増強活性を有する抗原結合タンパク質を生産するために、例えば、BioWa, Inc. (Princeton, NJ)から入手可能な、ポテリジェント(商標)とコンプリジェント(商標)技術システムを合わせたアクリタマブ(商標)技術システムを用いて実施することができる。

0132

本発明のさらに別の実施態様では、変異型のキメラ重鎖定常領域を含んでなる抗原結合タンパク質が提供され、前記抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質が増強されたエフェクター機能を有するように、例えば、それが以下の機能、すなわち、ADCCの増強またはCDCの増強のうち1以上を有するように、変更されたグリコシル化プロフィールを有する。1つの実施態様では、前記変異は239および332および330の位置から選択され、例えば、前記変異はS239DおよびI332EおよびA330Lから選択される。さらなる実施態様では、重鎖定常領域は、少なくとも1つのIgG3由来CH2ドメインと1つのIgG1由来Ch2ドメインを含んでなる。1つの実施態様では、重鎖定常領域は、フコースとマンノースの比が0.8:3以下となるように変更されたグリコシル化プロフィールを有し、例えば、抗原結合タンパク質は、前記抗原結合タンパク質が等価な非キメラ抗原結合タンパク質または前記変異およびグリコシル化プロフィールの変更を欠く免疫グロブリン重鎖定常領域に比べて増強されたエフェクター機能を有するように、脱フコシル化される。

0133

IgG抗体の長い半減期は、そのFcRnとの結合に依存することが報告されている。従って、定常領域を操作することによる、相互作用のpH依存性を維持しつつpH6.0でのFcRnに対するIgGの結合親和性を増強する置換が鋭意研究されているKuoおよびAveson (2011)。

0134

本発明の抗原結合タンパク質を改変する別の手段には、免疫グロブリン定常ドメインまたはFcRn(Fc受容体新生児型(Fc receptor neonate))結合ドメインの改変による、このようなタンパク質のin−vivo半減期の延長が含まれる。

0135

成体哺乳動物では、新生児型Fc受容体としても知られるFcRnは、IgGアイソタイプの抗体と結合してそれを分解から救う保護受容体として働くことによって血清抗体ベルを維持するという重要な役割を果たす。IgG分子は内皮細胞によりエンドサイトーシスを受け、それらがFcRnに結合すれば、循環中へ再利用される。対照的に、FcRnに結合しないIgG分子は細胞に入りリソソーム経路に向けられ、そこで分解される。

0136

新生児型FcRn受容体は、抗体クリアランス組織間トランスサイトーシスの両方に関与すると考えられている、KuoおよびAveson (2011)。ヒトFcRnと直接相互作用することが決定付けられているヒトIgG1残基としては、Ile253、Ser254、Lys288、Thr307、Gln311、Asn434およびHis435が含まれる。本節に記載されるこれらの位置のうちいずれかにおける切り替えが、本発明の抗原結合タンパク質の血清半減期の延長および/またはエフェクター特性の変更を可能とし得る。

0137

FcRnに対する親和性の増強により半減期を延長するための変異
本発明の抗原結合タンパク質は、FcRnに対する定常ドメインまたはそのフラグメントの親和性を増強する1以上のアミノ酸改変を有してよい。これらは、これらのタンパク質の半減期の延長をもたらし得るKuoおよびAveson (2011)。治療用および診断用IgGおよびその他の生物活性分子の半減期の延長は、これらの分子の投与の量および/または頻度の低減を含む多くの利益を有する。よって、1つの実施態様では、これらのアミノ酸改変のうち1以上を有するIgG定常ドメインの全部もしくは一部(FcRn結合部分)およびこのような改変IgG定常ドメインにコンジュゲートされた非IgGタンパク質または非タンパク質分子を含んでなる、本明細書で提供される本発明による抗原結合または融合タンパク質が提供され、ここで、前記改変IgG定常ドメインの存在は、前記抗原結合タンパク質のin vivo半減期を延長する。

0138

半減期の延長をもたらし得るいくつかの方法が知られており(KuoおよびAveson (2011))、アミノ酸改変は、アラニンスキャニング変異誘発ランダム変異誘発、ならびにFcRnへの結合および/またはin vivo挙動を評価するためのスクリーニングを含む技術によって作出できる。コンピューター戦略とその後の変異誘発も、アミノ酸変異の1つを選択して変異させるために使用可能である。

0139

よって、本発明は、FcRnとの結合が最適化された抗原結合タンパク質の変異体を提供する。好ましい実施態様では、抗原結合タンパク質の前記変異体は、前記抗原結合タンパク質のFc領域に少なくとも1つのアミノ酸改変を含んでなり、前記改変は、前記親ポリペプチドに対してFc領域の226、227、228、230、231、233、234、239、241、243、246、250、252、256、259、264、265、267、269、270、276、284、285、288、289、290、291、292、294、297、298、299、301、302、303、305、307、308、309、311、315、317、320、322、325、327、330、332、334、335、338、340、342、343、345、347、350、352、354、355、356、359、360、361、362、369、370、371、375、378、380、382、384、385、386、387、389、390、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401 403、404、408、411、412、414、415、416、418、419、420、421、422、424、426、428、433、434、438、439、440、443、444、445、446および447からなる群から選択され、ここで、Fc領域のアミノ酸のナンバリングはKabatのEUインデックスのものである。

0140

本発明のさらなる態様では、改変はM252Y/S254T/T256Eである。

0141

加えて、様々な刊行物が、それらの分子にFcRn結合ポリペプチドを導入することによって、またはそれらの分子をFcRn結合親和性が提供されるが他のFc受容体に対する親和性が大幅に低減されている抗体と融合させるか、もしくは抗体のFcRn結合ドメインと融合させることによって、半減期が改変された生理活性分子を得るための方法を記載している、例えば、Kontermann (2009)。

0142

半減期を延長するためのpH切り替え技術
定常領域における置換は治療用IgG抗体の機能を有意に改善することができるが、厳格に保存された定常領域における置換には、ヒトでの免疫原性というリスクがあり、多様性の高い可変領域配列における置換は免疫原性が低い可能性がある。可変領域に関する報告では、抗原に対する結合親和性を改善するためのCDR残基の操作および安定性を改善し免疫原性リスクを低減するためのCDRおよびフレームワーク残基の操作が含まれる。知られているように、抗原に対する親和性の改善は、無作為化ライブラリーのファージまたはリボソームディスプレーを用いた親和性成熟により達成することができる。

0143

安定性の改善は、配列および構造に基づく合理的設計から合理的に得ることができる。免疫原性リスク(脱免疫化)の低減は、様々なヒト化戦略およびin silico技術を用いて推定できるかまたはin vitroアッセイにより決定できるT細胞エピトープの除去によって達成することができる。加えて、可変領域は、より低いpIに操作されている。これらの抗体では、同等のFcRn結合にもかかわらず、野生型抗体に比べて長い半減期が見られた。抗体および/または抗原の半減期を変更するためにpH依存的抗原結合を有する抗体を操作または選択する、例えば、IgG2抗体の半減期は、抗原を介したクリアランス機構が通常、抗原と結合した際に抗体を分解すれば、短縮できる。同様に、抗原:抗体複合体も抗原の半減期に影響を与えることができ、典型的な分解プロセスから抗原を保護することにより半減期を延長するか、または抗体を介した分解により半減期を短縮する。1つの実施態様は、エンドソームのpH(すなわち、pH5.5〜6.0)に比べてpH7.4で抗原に対してより高い親和性を有する、pH5.5/pH7.4またはpH6.0/pH7.4でのKD比が2以上となるような抗体に関する。例えば、抗体の薬物動態(PK)および薬力学的(PD)特性を高めるために、CDR残基にヒスチジンを導入することにより、抗体に対するpH感受性結合を操作することができる。

0144

加えて、生体半減期が短縮された抗原結合タンパク質を生産する方法も提供される。His435がアラニンに変異された変異体IgGは、FcRn結合の選択的欠如および有意に短縮された血清半減期を生じる(例えば、米国特許第6,165,745号を参照、これは抗原結合タンパク質をコードするDNAセグメントに変異を導入することにより生体半減期が短縮された抗原結合タンパク質を生産する方法を開示している)。この変異には、Fcヒンジドメインの253、310、311、433、または434の位置におけるアミノ酸置換が含まれる。

0145

リンカー
タンパク質足場は、Ig配列などの天然配列と同じであってよく、または天然配列のフラグメントであってもよく、かつ、異なる供給源または合成に由来する、天然であり得る付加的配列を含んでもよく、それらは足場のN末端またはC末端に付加されてよい。このような付加的配列は、それらが、本明細書に定義されるものなどのエピトープ結合ドメインとタンパク質足場を連結する場合にはリンカーと見なされ得る。

0146

別の態様では、抗原結合構築物は、各末端においてエピトープ結合ドメインと直接または間接的に(例えば、リンカー配列を介して)連結された、抗体のFc領域、またはその一部からなる、またはから本質的になる。このような抗原結合構築物は、Fc領域により分離された2つのエピトープ結合ドメイン、またはその一部を含んでなり得る。分離されるとは、エピトープ結合ドメインが互いに直接連結されていないことを意味し、1つの態様では、Fc領域の反対の末端(C末端およびN末端)、または他のいずれかの足場領域に位置する。

0147

1つの態様では、抗原結合構築物は、2つのエピトープ結合ドメインと、例えば、各足場領域のN末端およびC末端で直接またはリンカーを介して間接的にそれぞれ結合された2つの足場領域を含んでなる。

0148

本発明のタンパク質足場は、リンカーの使用によってエピトープ結合ドメインと連結されてよい。好適なリンカーの例としては、1アミノ酸長〜150アミノ酸長、または1アミノ酸長〜140アミノ酸長、例えば、1アミノ酸長〜130アミノ酸長、または1〜120アミノ酸長、または1〜80アミノ酸長、または1〜50アミノ酸長、または1〜20アミノ酸長、または1〜10アミノ酸長、または5〜18アミノ酸長であり得るアミノ酸配列が含まれる。このような配列は、それら固有の三次元構造を有してよく、例えば、本発明のリンカーは単一可変ドメインを含んでなり得る。リンカーのサイズは、1つの実施態様では、単一可変ドメインに相当する。好適なリンカーは、長さが1〜100Åのサイズであり得、例えば20〜80Åのサイズであり得、または例えば20〜60Å、または例えば40Å未満、または20Å未満、または5Å未満のサイズであり得る。

0149

本発明の1つの実施態様では、配列番号1に示されるCDRH1;配列番号2に示されるCDRH2;配列番号3に示されるCDRH3;配列番号4に示されるCDRL1;配列番号5に示されるCDRL2および/または配列番号6に示されるCDRL3、または前記CDR中に2つまでのアミノ酸置換を有する各CDRの直接的等価物のうちの1以上を含んでなるICOS結合タンパク質が提供される。

0150

本発明の1つの実施態様では、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメインおよび/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなり、ヒトICOSと特異的に結合するICOS結合タンパク質が提供される。1つの態様では、本発明のICOS結合タンパク質はまたカニクイザルICOSにも結合する。1つの態様では、それらはマウスICOSには結合しない。

0151

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、ICOSアゴニストである。1つの態様では、ICOS結合タンパク質は、T細胞の存在下でIFN−γ産生を増大させる。別の態様では、本発明のCOS結合タンパク質はT細胞の増殖を刺激する。

0152

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、ヒトICOSと、
少なくとも1×105M−1s−1の結合速度定数(kon);および6×10−5s−1未満の解離速度定数(koff);または
100nM未満の解離定数(Kd)
で結合し、高い親和性がBiacoreにより測定される。

0153

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、CDRH3(配列番号3)または配列番号3の変異体を含んでなる。別の実施態様では、ICOS結合タンパク質は、CDRH1(配列番号1);CDRH2(配列番号2);CDRH3(配列番号3);CDRL1(配列番号4);CDRL2(配列番号5);および/またはCDRL3(配列番号6)のうち1以上を含んでなる。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号1;配列番号2;および配列番号3に示される重鎖CDRと配列番号4;配列番号5;および配列番号6に示される軽鎖CDRとを含んでなる。

0154

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と90%の配列同一性を有するVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列と90%の配列同一性を有するVLドメインを含んでなる。1つの態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインとを含んでなる。1つの態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号7からなる重鎖可変ドメインを含んでなる。1つの態様では、ICOS結合タンパク質は、配列番号8からなる軽鎖可変ドメインを含んでなる。

0155

1つの実施態様では、本発明は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなるICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分を提供し、前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、ヒトICOSと特異的に結合する。1つの実施態様では、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなるICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分(前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、ヒトICOSと特異的に結合する)は、配列番号1;配列番号2;および配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDRと、配列番号4;配列番号5;および配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDRをさらに含んでなる。1つの態様では、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、ヒトICOSに対するアゴニストである。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、IgG4アイソタイプ足場またはその変異体をさらに含んでなる。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分は、hIgG4PE足場を含んでなる。

0156

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号23に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92,%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含んでなるヒト化モノクローナル抗体である。

0157

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号24に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92,%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含んでなるヒト化モノクローナル抗体である。

0158

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号23に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号24に示される軽鎖アミノ酸配列とを含んでなるヒト化モノクローナル抗体である。1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、hIgGPE足場をさらに含んでなる。

0159

1つの実施態様では、前記ICOS結合タンパク質がヒト化モノクローナル抗体である、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分。また、本発明により、請求項のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分と薬学上許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物も提供される。

0160

本発明は、必要とするヒトにおいて癌、感染性疾患、および/または敗血症から選択される疾患を処置する方法を提供し、その方法は、前記ヒトに本発明の医薬組成物を投与する工程を含んでなる。1つ態様では、本方法は、少なくとも1種類の抗新生物薬、少なくとも1種類の第2の免疫調節薬、および/または少なくとも1種類の免疫刺激アジュバントを前記ヒトに投与することをさらに含んでなる。1つの態様では、第2の免疫調節薬は、抗CTLA4抗体、および抗PD−1抗体、抗PDL1抗体および抗OX40抗体から選択される。1つの態様では、抗CTLA4抗体はイピリムマブである。1つの態様では、抗PD−1抗体は、ペンブロリズマブおよび/またはニボルマブから選択される。

0161

本発明の1つの実施態様では、治療上許容可能な量のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分をヒトに投与することを含んでなる、ヒトにおいて癌を処置するための方法が提供される。いくつかの態様では、癌は、結腸直腸癌CRC)、食道癌子宮頸癌膀胱癌、乳癌、頭頸部癌卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮細胞癌非小細胞肺癌中皮腫、および前立腺癌から選択される。

0162

1つの実施態様では、治療上許容可能な量のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分をヒトに投与することを含んでなる、ヒトにおいて感染性疾患を処置するための方法が提供される。1つの態様では、感染性疾患はHIVである。

0163

1つの実施態様では、治療上許容可能な量のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分をヒトに投与することを含んでなる、ヒトにおいて敗血症を処置するための方法が提供される。

0164

1つの実施態様では、本発明の医薬組成物をヒトに投与することを含んでなる、ヒトにおいてT細胞増殖を刺激する、T細胞の活性化を誘導する、および/またはサイトカイン産生を誘導するための方法が提供される。

0165

本発明はまた、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドも提供する。1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質またはそれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞が提供される。本発明はまた、a)本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞を、前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分を発現するために好適な条件下で培養する工程;およびb)前記ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分を単離する工程、を含んでなるICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分の作製方法を提供する。

0166

本発明は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメイン;およびhIgG4足場またはその変異体を含んでなる単離されたヒト化モノクローナル抗体を提供する。1つの態様では、hIgG4足場はhIgG4PEである。

0167

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分が、ヒトICOSに対する結合をめぐって、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる参照抗体またはその抗原結合部分と交差競合する、ICOS結合タンパク質またはそれらの抗原結合部分が提供される。

0168

1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、T細胞と接触させて置いた場合にT細胞の増殖を刺激する。1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、T細胞と接触させて置いた場合にT細胞の活性化を誘導する。T細胞の活性化は、限定されるものではないが、CD69、CD25、および/またはOX40などの特定の活性化マーカーの発現レベル%の増大によって測定することができる。1つの実施態様では、本発明のICOS結合タンパク質は、T細胞接触させて置いた場合にサイトカイン産生を刺激する。ICOS結合タンパク質はヒトFcγRIIbと結合するが、ヒトFcγRIIaまたはヒトFcγRIIIaとは結合しない。加えて、ICOS結合タンパク質は好適には、ICOS発現T細胞接触させて置いた場合にICOS発現T細胞を枯渇させない。いくつかの態様では、ICOS結合タンパク質は、第2の細胞の存在下でT細胞と接触させて置いた場合にT細胞と第2の細胞を架橋する。この架橋は、ICOS結合タンパク質と第2の細胞上のFcγRとの会合を介して起こり得る。FcγR発現細胞としては、限定されるものではないが、単球、Bリンパ球、濾胞性樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球好酸球好塩基球、および肥満細胞が含まれる。よって、1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は哺乳動物に投与することができ、そこでICOS結合タンパク質はT細胞上のICOSにアゴニストとして働き、第2の細胞上のFcγRも会合させる。

0169

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、ヒトIgG1アイソタイプまたはその変異体およびヒトIgG4アイソタイプまたはその変異体から選択される足場を含んでなる。好適には、足場は、ヒトIgG4アイソタイプ足場またはその変異体を含んでなる。1つの態様では、足場は、hIgG4PE足場を含んでなる。

0170

1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質はモノクローナル抗体である。好適には、ICOS結合タンパク質はヒト化モノクローナル抗体である。1つの態様では、本発明のモノクローナル抗体は、完全ヒト型であり得る。

0171

別の態様では、ICOS結合タンパク質は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニ抗体ミニボディ、単離されたVHまたは単離されたVLであるフラグメントである。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、その抗原結合部分である。

0172

いくつかの態様では、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに、0.6nMより強い親和性で結合する。1つの態様では、親和性は100nM以上である。1つの実施態様では、ICOS結合タンパク質は、ICOSに対して100nMのKDを有する。好適には、ICOSに対するICOS結合タンパク質のKDは、100nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満、2nM未満または1nM未満である。

0173

1つの実施態様では、本発明は、ヒトICOSに対するアゴニストであるヒト化モノクローナル抗体を提供する。1つの実施態様では、本発明は、配列番号1;配列番号2;および配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDRと、配列番号4;配列番号5;および配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDRSとを含んでなるヒト化モノクローナル抗体を提供する。1つの態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、T細胞と接触させた場合に、補体、ADCCまたはCDCを誘導することなく、サイトカイン産生および/またはT細胞増殖を刺激することができる。1つの実施態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、変異体ヒトIgG1Fc領域を有する。1つの実施態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、ヒトIgG4 Fc領域またはその変異体を有する。1つの実施態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、hIgG4PE Fc領域を有する。1つの態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる。1つの態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる。1つの態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、hIgG4PE足場を含んでなる。さらに、本発明のヒト化モノクローナル抗体は、CD4+またはCD8+T細胞と接触させた場合にT細胞の増殖を刺激することが示される。本発明のヒト化モノクローナル抗体は、T細胞活性化を誘導し、かつ、サイトカイン産生を刺激することが示される。

0174

1つの実施態様では、ヒト化モノクローナル抗体はIgG4PE足場を含んでなり、かつ、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVHドメインと、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLドメインとを含んでなる。本発明の抗体は、T細胞と接触させた場合にサイトカイン産生を刺激し得る。

0175

1つの実施態様では、ICOS結合をめぐって本発明のICOS結合タンパク質と競合するICOS結合タンパク質が提供される。当技術分野で理解され、本明細書に記載されているように、結合の競合は、1以上のICOS結合タンパク質の存在下でICOSへのリガンドの結合の競合を比較することによって測定することができる。これもまた当技術分野で理解されているように、ICOSはCD4+およびCD8+T細胞ならびにTreg細胞で発現される。本発明のICOS結合タンパク質は、T細胞上のICOSに対してアゴニストとして働く。それらはまた、ICOS−Lと、T細胞およびTreg細胞の両方で発現されるICOSの間の相互作用を遮断する働きもする。よって、1つの実施態様では、ICOS−LとTreg細胞上のICOSとの相互作用を遮断するための方法が提供される。ICOS発現Treg細胞は、リンパ腫などの液性腫瘍を含む様々なタイプの腫瘍に見出すことができる。よって、本発明の1つの態様では、本発明のICOS結合タンパク質を投与することを含んでなる癌の治療法が提供され、そこでICOS結合タンパク質は、ICOS−LとTreg細胞上のICOSとの相互作用を遮断する。

0176

本明細書に記載のICOS結合タンパク質またはモノクローナル抗体を含んでなる医薬組成物も本発明に付け加えられる。1つの態様では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1種類の抗新生物薬をさらに含んでなる。1つの態様では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1種類の第2の免疫調節薬をさらに含んでなる。1つの態様では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1の種類の免疫刺激性アジュバントをさらに含んでなる。

0177

1つの実施態様では、必要とするヒトにおいて癌および/または感染性疾患を処置するための方法が提供され、前記方法は、前記ヒトに本発明の医薬組成物を投与する工程を含んでなる。1つの実施態様では、前記ヒトは癌を有する。1つの実施態様では、前記ヒトは感染性疾患を有する。1つの実施態様では、前記ヒトはHIVを有する。1つの態様では、前記方法は、前記ヒトに少なくとも1種類の抗新生物薬を投与することをさらに含んでなる。別の態様では、前記方法は、前記ヒトに少なくとも1種類の第2の免疫調節薬を投与することをさらに含んでなる。さらに別の態様では、前記方法は、前記ヒトに免疫刺激性アジュバントを投与することをさらに含んでなる。

0178

1つの態様では、前記ヒトは固形腫瘍を有する。1つの態様では、前記腫瘍は、頭頸部癌、胃癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、食道癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌および膵臓癌から選択される。1つの態様では、前記ヒトは、以下:結腸直腸癌(CRC)、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮細胞癌、非小細胞肺癌、中皮腫、および前立腺癌のうち1以上を有する。別の態様では、前記ヒトは、びまん性B細胞リンパ腫(DLBCL)、多発性骨髄腫慢性リンパ性白血病(chronic lyphomblastic leukemia)(CLL)、濾胞性リンパ腫急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病などの液体腫瘍を有する。

0179

本開示はまた、脳癌(神経膠腫)、膠芽腫、バナヤン−ゾナナ症候群カウデン病、レルミット−デュクロス疾患、乳癌、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍ユーイング肉腫横紋筋肉腫脳室上衣細胞腫髄芽細胞腫結腸、頭頸部腎臓肝臓、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨の巨細胞腫瘍、甲状腺癌リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病悪性リンパ腫ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬粘膜癌、口腔癌GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌から選択される癌を処置するまたはその重篤度を減弱する方法にも関する。

0180

用語「処置する」およびその文法的変形は、本明細書で使用する場合、治療的療法を意味する。特定の病態に関して処置は、(1)その病態の生物学的発現の1以上の状態を改善または予防すること、(2)(a)その病態につながるもしくはその病態の原因である生物学的カスケードの1以上の点、もしくは(b)その病態の生物学的発現の1以上に干渉すること、(3)その病態もしくはその処置に関連する症状、効果もしくは副作用の1以上を緩和すること、(4)その病態もしくはその病態の生物学的発現の1以上の進行を緩徐化すること、および/または(5)寛解の期間に付加的処置無く、その発現に関して寛解状態であると見なされる期間、その病態の生物学的発現の1以上を排除するもしくは検出不能なレベルにまで軽減することにより、前記病態もしくは前記病態の生物学的発現の1以上を治癒させることを意味する。当業者は、特定の疾患または病態に関して寛解と見なされる期間を理解するであろう。予防的療法もまた企図される療法である。当業者は、「予防」が絶対的な用語でないことを認識するであろう。医学では、「予防」は、ある病態もしくはその生物学的発現の尤度もしくは重篤度を実質的に減らすため、またはこのような病態もしくはその生物学的発現の発生を遅延させるための薬物の予防的投与を意味すると理解される。予防的療法は、例えば、対象が癌の強い家族歴を有する場合または対象が発癌物質に曝されていた場合など、対象に癌を発症する高いリスクがあると見なされる場合に適当である。

0181

本明細書で使用する場合、用語「癌」、「新生物」、および「腫瘍」は、単数形または複数形で互換的に使用され、それらを宿主生物にとって病的とする悪性化を受けた細胞を意味する。原発性癌細胞は、十分に確立された技術、特に組織学的検査によって非癌性細胞から容易に識別することができる。癌細胞の定義は、本明細書で使用する場合、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来するいずれの細胞も含む。これには転移癌細胞、ならびに癌細胞に由来するin vitro培養物および細胞株が含まれる。通常固形腫瘍として顕在化する癌のタイプに関して、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えばコンピューター断層撮影(CT)スキャン磁気共鳴画像法MRI)、X線、超音波または身体検査時の触診などの手法による腫瘍量に基づいて検出可能な、および/または患者から取得可能なサンプル中での1以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能なものである。腫瘍は、「液性腫瘍」と呼ばれることもある、造血系(または血液性(hematologic or haematological)または血液関連)癌、例えば、血液細胞または免疫細胞由来癌であり得る。血液性腫瘍に基づく臨床症状の具体例としては、慢性骨髄球性白血病急性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病および急性リンパ球性白血病などの白血病;多発性骨髄腫、MGUSおよびワルデンストロームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍;非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫などのリンパ腫などが含まれる。

0182

癌は、異常な数の芽球もしくは望まれない細胞増殖が存在する、またはリンパ系および骨髄系の両悪性腫瘍を含め、血液性癌と診断されるいずれの癌であってもよい。骨髄性悪性腫瘍には、限定されるものではないが、急性骨髄性(myeloid)(または骨髄球性または骨髄性(myelogenous)または骨髄芽球性)白血病(未分化または分化)、急性前骨髄性(acute promyeloid)(または前骨髄球性または前骨髄性(promyelogenous)または前骨髄芽球性)白血病、急性骨髄単球性(または骨髄単芽球性)白血病、急性単球性(または単芽球性)白血病、赤白血病および巨核球性(または巨核芽球性)白血病が含まれる。これらの白血病は、急性骨髄性(または骨髄球性または骨髄性)白血病(AML)とともに言及され得る。骨髄性悪性腫瘍にはまた、骨髄増殖性疾患(MPD)が含まれ、限定されるものではないが、慢性骨髄性(chronic myelogenous)(または骨髄性(myeloid)白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、本態性血小板血症(または血小板増多症)、および真性多血症(PCV)も含まれる。骨髄性悪性腫瘍にはまた、骨髄異形成(または骨髄異形成症候群またはMDS)、不応性貧血(RA)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEBT)と呼ぶことができる;ならびに特発性骨髄様化性を伴うまたは伴わない骨髄線維症MFS)も含まれる。

0183

造血系癌にはまた、リンパ節、脾臓、骨髄、末梢血、および/または節外部位に影響を及ぼし得るリンパ系悪性腫瘍も含まれる。リンパ系癌にはB細胞悪性腫瘍が含まれ、限定されるものではないが、B細胞非ホジキンリンパ腫(B−NHL)が含まれる。B−NHLは、緩徐進行性(もしくは低悪性度)、中悪性度(もしくは急速進行性)または高悪性度(超急速進行性)であり得る。緩徐進行性B細胞リンパ腫には、濾胞性リンパ腫(FL);小リンパ球性リンパ腫(SLL);節性MZL、節外性MZL、性MZLおよび有毛リンパ球を伴う脾性MZLを含む辺縁帯リンパ腫(MZL);リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);および粘膜随伴リンパ系組織(MALTまたは節外辺縁帯)リンパ腫が含まれる。中悪性度B−NHLには、白血病関与があるまたは無いマントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)、濾胞性大細胞(またはグレード3またはグレード3B)リンパ腫、および原発性縦隔リンパ腫(PML)が含まれる。高グレードB−NHLには、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫(SNCCL)およびリンパ芽球性リンパ腫が含まれる。他のB−NHLには、免疫芽球性リンパ腫(または免疫細胞腫)、原発性滲出液リンパ腫、HIV関連(またはAIDS関連)リンパ腫、および移植リンパ増殖性障害(PTLD)またはリンパ腫が含まれる。B細胞悪性腫瘍にはまた、限定されるものではないが、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病PLL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、有毛細胞白血病(HCL)、大顆粒リンパ球(LGL)白血病、急性リンパ性(またはリンパ球性またはリンパ芽球性)白血病、およびキャッスルマン疾患も含まれる。NHLにはまたT細胞非ホジキンリンパ腫(T−NHL)も含まれ、限定されるものではないが、特定不能T細胞非ホジキンリンパ腫(NOS)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫ALCL)、血管免疫芽球性リンパ系疾患(AILD)、鼻腔ナチュラルキラー(NK)細胞/T細胞リンパ腫、ガンマデルタリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫菌状息肉腫、およびセザリー症候群が含まれる。

0184

造血系癌にはまた、古典型ホジキンリンパ腫、結節性硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、リンパ球優位型(LP)ホジキンリンパ腫、結節性LPホジキンリンパ腫、およびリンパ球減少型ホジキンリンパ腫を含む、ホジキンリンパ腫(または疾患)も含まれる。造血系癌にはまた、形質細胞疾患または癌、例えば、くすぶり型MMを含む多発性骨髄腫(MM)、意義不明の(または未知または不確定の)単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、および原発性類デンプン症(AL)も含まれる。造血系癌にはまた、多形核白血球(または好中球)、好塩基球、好酸球、樹状細胞、血小板赤血球およびナチュラルキラー細胞を含むさらなる造血細胞の他の癌も含まれ得る。本明細書で「造血細胞組織」と呼ばれる、造血細胞を含む組織としては、骨髄;末梢血;胸腺;脾臓、リンパ節、粘膜関連リンパ系組織(例えば、消化管関連リンパ系組織)、扁桃腺バイエル板および虫垂などの末梢リンパ系組織、ならびに例えば気管支内腔などの他の粘膜に関連するリンパ系組織が含まれる。

0185

本発明のICOS結合タンパク質、抗体および抗原結合フラグメントはまた、感染および感染性疾患の治癒、予防または治療のためにも使用可能である。ICOS結合タンパク質は病原体毒素、および自己抗原に対する免疫応答を刺激するために単独で使用することもできるし、またはワクチンと併用することもできる。本発明のICOS結合タンパク質は、限定されるものではないが、ヒト免疫不全ウイルス、A、BおよびC型肝炎ウイルスエプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルスヒトパピローマウイルスヘルペスウイルスなどのヒトに感染するウイルスに対して免疫応答を刺激するために使用することができる。本発明のICOS結合タンパク質は、細菌または真菌性の寄生体、および他の病原体による感染に対して免疫応答を刺激するために使用することができる。好適には、本発明は、特定の毒素または病原体に曝されたヒトを処置するための方法を提供する。よって、本発明の別の態様は、ICOS結合タンパク質、またはその抗原結合部分を対象に投与することを含んでなる、対象において感染性疾患を処置する方法を提供する。

0186

本発明のICOS結合タンパク質が有用であり得る感染性疾患の例としては、限定されるものではないが、HIV、肝炎(A、B、およびC型)、インフルエンザヘルペスジアルジアマラリアリーシュマニア黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(PseudomonasAeruginosa)が含まれる。本発明の方法により処置可能な感染を引き起こす病原ウイルスのいくつかの例としては、HIV、肝炎(A、B、またはC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV−1、HAV−6、HSV−II、およびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルスインフルエンザウイルスフラビウイルスエコーウイルスライノウイルスコクサッキーウイルスコルノウイルス(cornovirus)、呼吸器合胞体ウイルス流行性耳下腺炎ウイルスロタウイルス麻疹ウイルス風疹ウイルスパルボウイルスワクシニアウイルスHTLVウイルス、デング熱ウイルス乳頭腫ウイルス伝染性軟属腫ウイルスポリオウイルス狂犬病ウイルスJCウイルスおよびアルボウイルス脳炎ウイルスが含まれる。

0187

本発明の方法により処置可能な感染を引き起こす病原細菌のいくつかの例としては、クラミジアリケッチア菌、マイコバクテリアブドウ球菌連鎖球菌肺炎球菌髄膜炎菌およびコノコッカス(conococci)、クレブシエラプロテウスセラチア、シュードモナス、レジオネラジフテリアサルモネラ、バチルス、コレラ破傷風ボツリヌス炭疽ペストレプトスピラ症、およびライム病菌が含まれる。

0188

本発明の方法により処置可能な感染を引き起こす病原真菌のいくつかの例としては、カンジダ(Candida)(アルビカンス(albicans))、クルセイ(krusei)、グラブラータ(glabrata)、トロピカリス(tropicalis)など)、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス(Aspergillus)(フミガーツス(fumigatus)、ニガー(niger)など)、ケカビ属(Genus Mucorales)(ムコール(mucor)、アブシディア(absidia)、リゾプス(rhizophus))、スポトリクス・シェンキー(Sporothrix schenkii)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、パラコクシジオイデスブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)およびヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)が含まれる。

0189

本発明の方法により処置可能な感染を引き起こす病原寄生虫のいくつかの例としては、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、ネグレリア・フォーレリ(Naegleriafowleri)、アカントアメーバ種(Acanthamoeba sp.)、ランブル鞭毛虫(Giardia lambia)、クリプトスポリジウム種(Cryptosporidium sp.)、ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、バベシアミクロチ(Babesia microti)、ブルートリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondi)、およびブラジル鉤虫(Nippostrongylus brasiliensis)が含まれる。

0190

敗血症は、全身炎症状態全身性炎症性応答症候群またはSIRSと呼ばれる)と既知または疑われる感染の存在を特徴とする命に関わり得る医学的状態である。身体は、この炎症性応答を血液、尿、肺、皮膚、またはその他の組織における微生物に対する免疫系により引き起こし得る。敗血症の一般用語血液中毒であり、以下、この言葉はより適切に菌血症に適用される。重症敗血症は、全身性炎症性応答と感染と臓器不全の存在である。

0191

菌血症は、血流中に病原生物が存在することを意味する関連の医学用語であり、敗血症につながる。この用語は鮮明に定義されていない。

0192

敗血症と癌は、制御性T細胞の増加、骨髄由来抑制細胞の増加、負の補助刺激分子の発現の増強、単球/マクロファージHLA−DR発現の低下を含む、類似の免疫抑制機構を共通に持つ。敗血症と癌は、プロトタイプ慢性炎症障害である。慢性炎症は、制御性T細胞の拡大増殖ならびにエフェクター細胞でのPD−1およびその他の負のレギュレーターアップレギュレーションを含む、強力かつ持続的な免疫調節応答を刺激する。Barouch D.H. and Deeks S.G.; Immunologic strategies forHIV-1 remission and eradication. Science 345:169-174 2014。よって、本発明の1つの態様では、治療上有効な量の本発明のICOS抗原結合タンパク質をヒトに投与することを含んでなる、それを必要とするヒトにおいて敗血症を処置するための方法が提供される。Boomer,, et al. JAMA 306:2594-2605 (2011); Meisel, et al. Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor to reverse sepsis-associated immunosuppression: a double-blind, randomized, placebo-controlled multicenter trial. Am J Respir Crit Care Med 180:640-648 (2009);およびHall, et al. Immunoparalysis and nosocomial infection in children with multiple organ dysfunction syndrome. Intensive Care Med 37:525-532 (2011)。

0193

本発明のICOS結合タンパク質は、他の組換えタンパク質および/またはペプチド(例えば、腫瘍抗原または癌細胞など)とともに、これらのタンパク質の免疫応答を増強するために(すなわち、ワクチン接種プロトコールにおいて)使用することができる。

0194

例えば、そのICOS結合タンパク質は、少なくとも1つのICOS結合タンパク質と対象とする抗原(例えば、ワクチン)との併用投与により、抗原特異的免疫応答を刺激するために使用可能である。よって、別の態様では、本発明は、(i)抗原;および(ii)本発明のICOS結合タンパク質を対象に、前記対象において前記抗原に対する免疫応答が増強されるように投与することを含んでなる、対象において抗原に対する免疫応答を増強する方法を提供する。抗原は、例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原細菌抗原または病原体由来抗原であり得る。このような抗原の限定されない例として、限定されるものではないが、腫瘍抗原、またはウイルス、細菌もしくはその他の病原体由来の抗原が含まれる。

0195

HIV根絶の主なハードルは、ウイルス抗原を発現せずに免疫の監視を逃れる不顕性感染細胞が持続していることである。潜伏ウイルスのリザーバーを除去するための、「キックアンドキル」と呼ばれる現行の戦略は、細胞の活性化はHIVの再活性化をもたらすのでHIV遺伝子発現を再活性化し(「キック」)、再活性化した細胞を排除する(「キル」)ことを狙いとする。細胞の活性化は、T細胞の表面に発現される正のレギュレーターと負のレギュレーターのバランスによって支配される。正のレギュレーターを促進し、負のレギュレーターを抑制することによりこのバランスを変更すると、HIVの再活性化が促進できる。

0196

誘導性T細胞補助刺激因子(ICOS)は正のレギュレーターであり、その発現は、刺激後にCD4 T細胞で増大する。ICOSは、T細胞の増殖、サイトカインの産生および分化を促進する働きをする。高レベルのPD−1およびICOSを発現する1つの重要なT細胞のサブセットがT濾胞性ヘルパー細胞(Tfh)である。Tfh細胞は、B細胞が分化、クラススイッチ体細胞高頻度変異を受けるのを助け、胚中心形成に必要である。Tfh細胞は、HIV/SIV感染後に顕著に拡大増殖し、慢性レンチウイルス感染の際のそれらの調節不全は、B細胞の免疫障害に寄与する。選別されたTfh細胞は、他のリンパ系CD4サブセットよりも高レベルのHIV DNAを含有することを示しており、刺激後にウイルスの増殖が見られる。Tfh細胞は胚中心に留まり、感染を助長し得る濾胞性樹状細胞に捕捉されたHIVビリオンに曝される。加えて、CD8 T細胞は、胚中心への接近が制限され、濾胞性CD8細胞はしばしば細胞傷害性の低下を示し、従って、Tfh細胞を抗ウイルス監視から逃れさせる。よって、Tfh細胞は、重要な保護されたHIVリザーバーであり、PD−1およびICOSを標的とする戦略は、Tfh細胞を選択的に標的とすることができ、HIV治癒計画の一部として有用性を持ち得る。好適には、本発明のICOS結合タンパク質またはその抗原結合部分を投与することを含んでなる、HIVに感染したヒトを処置するための方法が提供される。

0197

本明細書で使用する場合、「腫瘍抗原」は、免疫応答、特に、T細胞媒介性免疫応答を惹起する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。用語「腫瘍抗原」は、本明細書で使用する場合、腫瘍特異的抗原および腫瘍関連抗原の両方を含む。腫瘍特異的抗原は腫瘍細胞に独特であり、身体の他の細胞には見られない。腫瘍関連抗原は腫瘍細胞に独特ではなく、抗原に対して免疫寛容の状態を誘導できない状況にある正常細胞でも発現される。腫瘍上の抗原の発現は、免疫系が抗原に応答できる条件下で見られ得る。腫瘍関連抗原は、胎児発生中、免疫系が未熟で応答できない際に正常細胞で発現される抗原であり得、または腫瘍関連抗原は、正常細胞には通常極めて低いレベルで存在するが腫瘍細胞でははるかに高いレベルで発現される抗原であり得る。

0198

腫瘍抗原の限定されない例としては、以下のもの:MART−1/MelanA(MART−I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2および腫瘍特異的多系列原、例えば、限定されるものではないが、MAGE1、MAGE3、MAGE10、MAGE11、MAGE12、MAGEA2、MAGEA3、MAGEA4、MAGEA6、MAGEA8、MAGEA9、MAGEB18、MAGEB6、MABEC1、MAGED2、MAGEE1、MAGEH1、MAGEL2、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15を含むMAGEファミリー抗原といった分化抗原;MEL4、黒色腫関連抗原100+、黒色腫gp100、NRIP3、NYS48、OCIAD1、OFA−iLRP、OIP5、卵巣癌関連抗原(OV632)、PAGE4、PARP9、PATE、プラスチンL、PRAME、前立腺特異的抗原、プロテイナーゼ3、プロステイン、Reg3a、RHAMM、ROPN1、SART2、SDCCAG8、SEL1L、SEPT1、SLC45A2、SPANX、SSX5、STXGALNAC1、STEAP4、サバイビンTBC1D2、TEM1、TRP1、上皮起源の腫瘍抗原、XAGE1、XAGE2、WT−1;CEAなどの過剰発現する抗原;過剰発現する癌遺伝子および変異腫瘍抑制遺伝子、例えば、p53、Ras、HER−2/neu;染色体転座から生じる独特な腫瘍抗原;例えば、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR;およびエプスタイン・バーウイルス抗原EBVAおよびヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原E6およびE7などのウイルス抗原が含まれる。

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