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図面 (20)

課題・解決手段

高アンモニア血症に関連する疾患を和らげるまたは処置する、遺伝子操作した細菌、その医薬組成物、およびその方法を開示する。

概要

背景

アンモニアは毒性が強く、全器官での代謝時に生成される(Walker,2012)。高アンモニア血症は、解毒作用の低下および/またはアンモニア生成の増加により引き起こされる。哺乳類では、尿素サイクルでアンモニアを尿素酵素的に変換することによりアンモニアは解毒され、その後、尿で除去される。アンモニアの解毒作用の低下は、アルギニノコハク酸尿症アルギナーゼ欠損症カルバモイルリン酸シンセターゼ欠損症、シトルリン血症N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症などの、尿素サイクル酵素欠損しているサイクル異常症(UCD)により引き起こされ得る(Haeberle et al.,2012)。National Urea cycle disorders Foundationは、UCDの罹患率は8500人の出生児数あたり1人と推測する。加えて、肝性脳症門脈体循環シャント、および有機酸異常症などのいくつかの非UCD疾患も、高アンモニア血症を引き起こし得る。高アンモニア血症は、脳卒中、運動失調、脳卒中様病変昏睡精神病視力喪失急性脳症脳浮腫、ならびに嘔吐呼吸性アルカローシス低体温、または死亡などの神経症状を発生させ得る(Haeberle et al.,2012;Haeberle et al.,2013)。

アンモニアは、種々の生合成経路により合成されるアミノ酸に対する窒素供給源でもある。例えば、アルギニン生合成は、窒素原子を1つ含むグルタミン酸を、窒素原子を4つ含むアルギニンに変換する。アルギニン生合成経路で形成されるシトルリンなどの中間代謝産物も窒素を取り込む。したがって、高アンモニア血症に関連する症状を和らげるまたは処置するために、アルギニン生合成の強化を利用して、体内の過剰な窒素を非毒性分子に取り込むことができる。同様に、ヒスチジン生合成メチオニン生合成リシン生合成アスパラギン生合成グルタミン生合成、およびトリプトファン生合成も過剰な窒素の取り込みが可能であり、これらの経路の強化を利用して、高アンモニア血症に関連する症状を和らげるまたは処置することができる。

高アンモニア血症およびUCDの現在の治療は、アンモニア過剰を低減することを目的とするが、準最適だと広く考えられている(Nagamani et al.,2012;Hoffmann et al.,2013;Torres−Vega et al.,2014)。ほとんどのUCD患者は、タンパク質制限からなる実質的に修正された食事を必要とする。しかしながら、低タンパク食は注意深くモニターしなければならず、タンパク質の摂取を制限しすぎると身体は筋肉を分解し、その結果アンモニアが生成される。加えて、多くの患者は、フェニル酪酸ナトリウム安息香酸ナトリウム、およびグリセロールフェニル酪酸塩などのアンモニア除去薬の補給を必要とし、これらの薬物の1つまたは複数を一日に3〜4回投与しなければならない(Leonard,2006;Diaz et al.,2013)。これらの薬の副作用としては、吐き気、嘔吐、過敏症食欲不振、および女性月経障害が挙げられる(Leonard,2006)。小児では、食物および薬剤送達に、腹部外科的に埋め込んだ胃瘻管、または、を通って腹部に手動で挿入される経鼻胃管が必要な場合がある。これらの処置選択肢が失敗した場合、肝臓移植が必要となり得る(National Urea cycle disorders Foundation)。したがって、尿素サイクル異常症を含む高アンモニア血症に関連した疾患の、効果的で信頼性が高い、および/または長期の処置に対するニーズは著しく満たされていない。

本発明は、過剰なアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を代わりの副生成物に変換することが可能な、遺伝子操作した細菌を提供する。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、消化管などの低酸素環境において過剰なアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を選択的に代わりの副生成物に変換する。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は非病原性であり、有害なアンモニアを減少させるために消化管に導入することができる。高アンモニア血症の患者の過剰なアンモニアの70%が、胃腸管蓄積される。本発明の別の態様は、アンモニアおよび/もしくは窒素の消費、または、アルギニンもしくはシトルリンなどの非毒性副生成物の生成のレベルの向上に基づき、遺伝子操作した細菌を選択または標的にする方法を提供する。本発明はまた、遺伝子操作した細菌を含む医薬組成物、および、尿素サイクル異常症および肝性脳症などの高アンモニア血症に関連する疾患を和らげ、処置する方法を提供する。

概要

高アンモニア血症に関連する疾患を和らげるまたは処置する、遺伝子操作した細菌、その医薬組成物、およびその方法を開示する。なし

目的

優先権主張

本出願は、2014年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/087854号、2015年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/173706号、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/256041号、2015年1月14日に出願された米国仮特許出願第62/103513号、2015年4月21日に出願された米国仮特許出願第62/150508号、2015年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/173710号、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/256039号、2015年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/184811号、2015年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/183935号、および2015年12月4日に出願された米国仮特許出願第62/263329号の利益を主張するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれて、開示の継続性を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

アルギニンレギュロンを含む遺伝子操作した細菌であって、前記細菌は、同一条件下の同じ細菌サブタイプ由来する野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼと比較し、アルギニンフィードバック阻害が低減した機能性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子を含み、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする前記遺伝子の発現は、外因性環境条件により誘導されるプロモータにより制御され、前記細菌は機能性ArgRを欠くように遺伝子操作されている、細菌。

請求項2

前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼの発現を制御するプロモータは、低酸素または嫌気的な条件下で誘導される、請求項1に記載の細菌。

請求項3

対応する野生型細菌に通常存在する機能性argR遺伝子の各コピーが個別に削除されているか、または、1つもしくは複数のヌクレオチドの削除、挿入、もしくは置換により不活性になっている、請求項1または2の何れか一項に記載の細菌。

請求項4

対応する野生型細菌に通常存在する機能性argR遺伝子の各コピーが削除されている、請求項3に記載の細菌。

請求項5

対応する野生型細菌に通常存在する機能性argG遺伝子の各コピーが個別に削除されているか、または、1つもしくは複数のヌクレオチドの削除、挿入、もしくは置換により不活性になっている、請求項1〜4の何れか一項に記載の細菌。

請求項6

対応する野生型細菌に通常存在する機能性argG遺伝子の各コピーが削除されている、請求項5に記載の細菌。

請求項7

前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼの発現を制御するプロモータを誘導する条件下で、機能性ARGボックスを含むオペロン中に存在し、アルギニン生合成酵素をコードする各遺伝子の転写が、同一条件下の野生型細菌の対応する遺伝子と比較し増加する、請求項1〜7の何れか一項に記載の細菌。

請求項8

低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータはFNRプロモータである、請求項2〜7の何れか一項に記載の細菌。

請求項9

請求項2〜7の何れか一項に記載の細菌であって、前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ遺伝子は、a)配列番号28、b)遺伝子コード冗長性を別とすれば配列番号28にコードされているのと同じポリペプチドをコードするDNA配列、およびc)a)またはb)のDNA配列と少なくとも80%の相同性を有するDNA配列から選択されるDNA配列を有する、細菌。

請求項10

非病原性細菌である、請求項1〜9の何れか一項に記載の細菌。

請求項11

プロバイオティクス細菌である、請求項10に記載の細菌。

請求項12

バクテロイデスビフィドバクテリウムクロストリジウムエシェリキアラクトバチルス、およびラクトコッカスからなる群から選択される、請求項10に記載の細菌。

請求項13

大腸菌株Nissleである、請求項12に記載の細菌。

請求項14

前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子は前記細菌のプラスミドに存在し、前記プラスミドにおいて、低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータに操作可能に連結している、請求項2〜13の何れか一項に記載の細菌。

請求項15

前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子は細菌染色体に存在し、前記染色体において、低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータに操作可能に連結している、請求項2〜13の何れか一項に記載の細菌。

請求項16

哺乳類消化管に存在する場合に補完される遺伝子において栄養要求株である、請求項1〜15の何れか一項に記載の細菌。

請求項17

哺乳類の消化管はヒトの消化管である、請求項16に記載の細菌。

請求項18

請求項1〜17の何れか一項に記載の細菌および薬学的に許容される担体を含む、薬学的に許容される組成物

請求項19

経口投与または直腸投与向けに製剤化された、請求項18に記載の薬学的に許容される組成物。

請求項20

請求項19に記載の薬学的に許容される組成物を生成する方法であって、a)前記アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼの発現を制御するプロモータを誘導しない条件下で、請求項1〜17の何れか一項に記載の細菌を増殖培地において増殖させるステップと、b)結果として生じる細菌を前記増殖培地から単離するステップと、c)前記単離した細菌を薬学的に許容される担体に懸濁するステップとを含む、方法。

請求項21

高アンモニア血症関連疾患またはその症状の処置を、それを必要とする対象で行う方法であって、前記対象に請求項18に記載の組成物を、前記高アンモニア血症関連疾患の重症度を軽減するのに十分な期間にわたって投与するステップを含む、方法。

請求項22

前記高アンモニア血症関連疾患は尿素サイクル異常症である、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記尿素サイクル異常症は、アルギニノコハク酸尿症アルギナーゼ欠損症カルバモイルリン酸シンセターゼ欠損症、シトルリン血症、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ欠損症、またはオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症である、請求項22に記載の方法。

請求項24

請求項25

前記肝疾患は、肝性脳症急性肝不全、または慢性肝不全である、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記高アンモニア血症関連疾患の症状は、脳卒中、運動失調、脳卒中様病変昏睡精神病視力喪失急性脳症脳浮腫、ならびに嘔吐呼吸性アルカローシス、および低体温からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。

請求項27

突然変異アルギニンレギュロンを含む遺伝子操作した細菌であって、前記細菌は、同一条件下の同じ細菌サブタイプに由来する野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼと比較し、アルギニンフィードバック阻害が低減するように突然変異させた機能性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼを含み、前記突然変異N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子の発現は、低酸素または嫌気的な条件下で誘導されるプロモータにより制御され、前記突然変異アルギニンレギュロンは、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼアセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼカルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする遺伝子を含む1つまたは複数のオペロンを含み、アルギニノスクシネートシンターゼをコードする遺伝子を含むオペロンを除く各オペロンは、ArgR結合を介した前記オペロンのアルギニン介在性阻害を低減させる1つまたは複数の核酸突然変異によって特徴付けられる、1つまたは複数の突然変異ARGボックスを含み、前記オペロン内の遺伝子の転写を促進するのに十分な親和性を有するRNAポリメラーゼ結合を保持する、細菌。

請求項28

前記アルギニノスクシネートシンターゼをコードする遺伝子を含むオペロンは、ArgR結合を介した前記オペロンのアルギニン介在性阻害を低減させる1つまたは複数の核酸突然変異によって特徴付けられる、1つまたは複数の突然変異ARGボックスを含み、前記アルギニノスクシネートシンターゼ遺伝子の転写を促進するのに十分な親和性を有するRNAポリメラーゼ結合を保持する、請求項27に記載の遺伝子操作した細菌。

請求項29

前記アルギニノスクシネートシンターゼをコードする遺伝子を含むオペロンは、前記アルギニノスクシネートシンターゼ遺伝子の転写を調節する構成的活性型プロモータを含む、請求項27に記載の遺伝子操作した細菌。

請求項30

前記機能性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子を、同一条件下の同じ細菌サブタイプに由来する野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼと比較し、アルギニンフィードバック阻害を低減するように突然変異させた、請求項27〜29の何れか一項に記載の細菌。

請求項31

ArgR結合は、同一条件下の野生型アルギニンレギュロンを含む同じ細菌サブタイプに由来する細菌と比較し低減している、請求項27〜30の何れか一項に記載の細菌。

請求項32

前記低減されたArgR結合を介するアルギニン介在性阻害は、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする前記遺伝子それぞれの転写を、同一条件下の対応する野生型細菌と比較し増加させる、請求項27の何れか一項に記載の細菌。

請求項33

前記低減されたArgR結合を介するアルギニン介在性阻害は、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする前記遺伝子それぞれの転写を、同一条件下の対応する野生型細菌と比較し増加させる、請求項28に記載の細菌。

請求項34

前記アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードするオペロンはそれぞれ、該オペロンの各ARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、請求項27に記載の細菌。

請求項35

前記アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードするオペロンはそれぞれ、該オペロンの各ARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、請求項28に記載の細菌。

請求項36

請求項27〜35の何れか一項に記載の細菌であって、野生型オルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数のオペロンをさらに含み、野生型オルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードする各オペロンが、ArgR結合を介した前記オペロンのアルギニン介在性阻害を低減させる1つまたは複数の核酸突然変異によって特徴付けられる、1つまたは複数の突然変異ARGボックスを含み、前記オペロンの遺伝子の転写を促進するのに十分な親和性を有するRNAポリメラーゼ結合を保持する、細菌。

請求項37

低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータはFNRプロモータである、請求項27〜36の何れか一項に記載の細菌。

請求項38

請求項27〜37の何れか一項に記載の細菌であって、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする1つまたは複数のオペロンを追加で含み、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする各オペロンが、ArgR結合を介した前記オペロンのアルギニン介在性阻害を低減させる1つまたは複数の核酸突然変異によって特徴付けられる、1つまたは複数の突然変異ARGボックスを含み、前記オペロンの遺伝子の転写を促進するのに十分な親和性を有するRNAポリメラーゼ結合を保持し、前記遺伝子操作した細菌は野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼプロモータを含まない、細菌。

請求項39

N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする遺伝子が、大腸菌Nissleに存在するオペロンにまとめられている、請求項27〜39の何れか一項に記載の細菌。

請求項40

各オペロンがプロモータ領域を含み、前記突然変異アルギニンレギュロンの各プロモータ領域のG/C:A/T比率は、対応する野生型プロモータ領域で見られるG/C:A/T比率とわずか10%異なるだけである、請求項27〜39の何れか一項に記載の細菌。

請求項41

各突然変異ARGボックスは、前記対応する野生型ARGボックスと比較し、少なくとも3つのヌクレオチド突然変異によって特徴付けられる、請求項27〜40の何れか一項に記載の細菌。

請求項42

前記突然変異N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ遺伝子は、a)配列番号28、b)遺伝子コードの冗長性を別とすれば配列番号28と同じポリペプチドをコードするDNA配列、およびc)a)またはb)のDNA配列と少なくとも80%の相同性を有するDNA配列から選択されるDNA配列を有する、請求項27〜41の何れか一項に記載の細菌。

請求項43

N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする単一オペロンを含み、前記単一オペロンは突然変異した配列番号5のDNA配列を含み、前記突然変異は配列番号5のヌクレオチド37、38、45、46、47のうち1つまたは複数、および、配列番号5のヌクレオチド55、56、57、67、68、69のうち1つまたは複数にある、請求項27〜42の何れか一項に記載の細菌。

請求項44

前記単一オペロンは配列番号6のDNA配列を含む、請求項43に記載の細菌。

請求項45

アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼをコードする前記オペロンは、突然変異した配列番号11のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号11のヌクレオチド20、21、29、30、31のうち1つまたは複数、および、配列番号11のヌクレオチド41、42、50、52のうち1つまたは複数にある、請求項27〜44の何れか一項に記載の細菌。アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼをコードする前記オペロンは、配列番号12のDNA配列を含む、請求項45に記載の細菌。

請求項46

N−アセチルオルニチナーゼをコードする前記オペロンは、突然変異した配列番号7のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号7のヌクレオチド92、93、94、104、105、106のうち1つまたは複数、および、配列番号7のヌクレオチド114、115、116、123、124のうち1つまたは複数にある、請求項27〜46の何れか一項に記載の細菌。

請求項47

N−アセチルオルニチナーゼをコードする前記オペロンは、配列番号8のDNA配列を含む、請求項46に記載の細菌。

請求項48

オルニチントランスカルバミラーゼをコードする前記オペロンは、突然変異した配列番号3のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号3のヌクレオチド12、13、14、18、20のうち1つまたは複数、および、配列番号3のヌクレオチド34、35、36、45、46のうち1つまたは複数にある、請求項27〜48の何れか一項に記載の細菌。

請求項49

オルニチントランスカルバミラーゼをコードする前記オペロンは、配列番号4のDNA配列を含む、請求項49に記載の細菌。

請求項50

カルバモイルリン酸シンターゼをコードするオペロンの前記突然変異プロモータ領域は、突然変異した配列番号9のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号9のヌクレオチド33、34、35、43、43、45のうち1つまたは複数、および、配列番号9のヌクレオチド51、52、53、60、61、62のうち1つまたは複数にある、請求項27〜50の何れか一項に記載の細菌。

請求項51

カルバモイルリン酸シンターゼをコードする前記オペロンは、配列番号10のDNA配列を含む、請求項51に記載の細菌。

請求項52

N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするオペロンの前記突然変異プロモータ領域は、突然変異した配列番号1のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号1のヌクレオチド12、13、14、21、22、23のうち1つまたは複数、および、配列番号1のヌクレオチド33、34、35、42、43、44のうち1つまたは複数にある、請求項27〜52の何れか一項に記載の細菌。

請求項53

N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする前記オペロンは配列番号2のDNA配列を含む、請求項53に記載の細菌。

請求項54

アルギニノスクシネートシンターゼをコードするオペロンの前記突然変異プロモータ領域は、突然変異した配列番号13のDNA配列を含み、前記突然変異は、配列番号13のヌクレオチド9、11、19、21のうち1つまたは複数、配列番号13のヌクレオチド129、130、131、140、141、142のうち1つまたは複数、および、配列番号13のヌクレオチド150、151、152、161、162、163の1つまたは複数にある、請求項28に記載の細菌。

請求項55

アルギニノスクシネートシンターゼをコードする前記オペロンは、配列番号31のDNA配列を含む、請求項27に記載の細菌。

請求項56

アルギニノスクシネートシンターゼをコードする前記オペロンは、配列番号32のDNA配列を含む、請求項28に記載の細菌。

請求項57

バクテロイデス、ビフィドバクテリウム、クロストリジウム、エシェリキア、ラクトバチルス、およびラクトコッカスからなる群から選択される、請求項27〜57の何れか一項に記載の細菌。

請求項58

大腸菌Nissleである、請求項27〜58の何れか一項に記載の細菌。

請求項59

前記オペロンの少なくとも1つは前記細菌のプラスミドに存在し、前記プラスミド上のそれらに対応する前記アルギニンレギュロン遺伝子の全ての染色体コピーは活性酵素をコードしない、請求項27〜59の何れか一項に記載の細菌。

請求項60

前記突然変異N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子は、前記細菌のプラスミドに存在し、前記プラスミドにおいて、低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータに操作可能に連結している、請求項60に記載細菌。

請求項61

前記突然変異N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする遺伝子は前記細菌染色体に存在し、前記染色体において、低酸素または嫌気的な条件下で誘導される前記プロモータに操作可能に連結している、請求項27〜59の何れか一項に記載の細菌。

請求項62

哺乳類の消化管に存在する場合に補完される第1遺伝子において栄養要求株である、請求項27〜62の何れか一項に記載の細菌。

請求項63

哺乳類の消化管はヒトの消化管である、請求項63に記載の細菌。

請求項64

請求項27〜64の何れか一項に記載の細菌であって、a)前記細菌は、哺乳類の消化管に存在する場合に補完されない第2遺伝子において栄養要求性であり、b)前記第2遺伝子は、前記細菌に存在する誘導性第3遺伝子により補完され、c)前記第3遺伝子の転写は、十分に高濃度のアルギニンの存在下で誘導され、それにより前記第2遺伝子の栄養要求性が補完される、細菌。

請求項65

請求項65に記載の細菌であって、a)前記第3の遺伝子の転写は、第2リプレッサにより阻害され、b)前記第2リプレッサの転写は、アルギニン−アルギニンリプレッサ複合体により阻害される、細菌。

請求項66

前記第3遺伝子および前記第2リプレッサはそれぞれプラスミドに存在する、請求項66に記載の細菌。

請求項67

請求項27〜67の何れか一項に記載の細菌と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的に許容される組成物。

請求項68

請求項68に記載の薬学的に許容される組成物を生成する方法であって、a)請求項27〜67の何れか一項に記載の細菌を、好気的な条件下で増殖培地において増殖させるステップと、b)結果として生じる細菌を前記増殖培地から単離するステップと、c)前記単離した細菌を薬学的に許容される担体に懸濁するステップとを含む、方法。

請求項69

高アンモニア血症関連疾患またはその症状の処置を、それを必要とする対象で行う方法であって、前記対象に請求項68に記載の組成物を、前記高アンモニア血症関連疾患の重症度を軽減するのに十分な期間にわたって投与するステップを含む、方法。

請求項70

前記高アンモニア血症関連疾患は尿素サイクル異常症である、請求項70に記載の方法。

請求項71

前記尿素サイクル異常症は、アルギニノコハク酸尿症、アルギナーゼ欠損症、カルバモイルリン酸シンセターゼ欠損症、シトルリン血症、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ欠損症、またはオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症である、請求項71に記載の方法。

請求項72

前記高アンモニア血症関連疾患は、肝疾患;有機酸異常症;イソ吉草酸血症;3−メチルクロトニルグリシン尿症;メチルマロン酸血症;プロピオン酸尿症;脂肪酸酸化欠損症;カルニチンサイクル異常症;カルニチン欠乏症;β酸化異常症;リシン尿性蛋白不耐症;ピロリン−5−カルボン酸シンセターゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;オルニチンアミノトランスフェラーゼ欠損症;炭酸脱水酵素欠乏症;高インスリン血症−高アンモニア血症症候群;ミトコンドリア病;バルプロエート療法;アスパラギナーゼ療法;完全非経口栄養法;グリシン含有溶液を用いた膀胱鏡検査;肺/骨髄移植後;門脈体循環シャント;尿路感染症;尿道拡張;多発性骨髄腫;化学療法;感染症;神経性膀胱;または腸内細菌の過剰増殖である、請求項70に記載の方法。

請求項73

前記肝疾患は、肝性脳症、急性肝不全、または慢性肝不全である、請求項73に記載の方法。

請求項74

前記高アンモニア血症関連疾患の症状は、脳卒中、運動失調、脳卒中様病変、昏睡、精神病、視力喪失、急性脳症、脳浮腫、ならびに嘔吐、呼吸性アルカローシス、および低体温からなる群から選択される、請求項70に記載の方法。

請求項75

検出可能な生成物をコードするDNA配列を追加で含み、前記検出可能な生成物をコードするDNA配列の転写は、アルギニンの存在下で誘導される、請求項27〜75の何れか一項に記載の細菌。a)前記検出可能な生成物をコードするDNA配列の転写は、第3リプレッサにより阻害され、b)前記第3リプレッサの転写はアルギニン−アルギニンリプレッサ複合体により阻害される、請求項76に記載の細菌。

請求項76

高レベルのアルギニンを生成する細菌を選択する方法であって、a)請求項77に記載の細菌を提供するステップと、b)前記細菌を第1期間の間培養するステップと、c)前記培養物突然変異誘発させるステップと、d)前記突然変異誘発された培養物を第2期間の間培養するステップと、e)前記検出可能な生成物を発現する細菌を選択することにより、高レベルのアルギニンを生成する細菌を選択するステップとを含む、方法。

請求項77

前記検出可能な生成物は蛍光タンパク質であり、選択には蛍光活性化セルソーターの使用が含まれる、請求項78に記載の方法。

優先権主張

0001

本出願は、2014年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/087854号、2015年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/173706号、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/256041号、2015年1月14日に出願された米国仮特許出願第62/103513号、2015年4月21日に出願された米国仮特許出願第62/150508号、2015年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/173710号、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/256039号、2015年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/184811号、2015年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/183935号、および2015年12月4日に出願された米国仮特許出願第62/263329号の利益を主張するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれて、開示の継続性を提供する。

技術分野

0002

本開示は、過剰のアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を代わりの副生成物に変換するための組成物および治療法に関する。ある態様では、本開示は、特に、哺乳類消化管などの低酸素条件で過剰なアンモニアを減少させることが可能な、遺伝子操作した細菌に関する。ある態様では、本明細書に開示する組成物および方法を、尿素サイクル異常症および肝性脳症などの高アンモニア血症に関連する疾患を和らげるまたは処置するために用いることができる。

背景技術

0003

アンモニアは毒性が強く、全器官での代謝時に生成される(Walker,2012)。高アンモニア血症は、解毒作用の低下および/またはアンモニア生成の増加により引き起こされる。哺乳類では、尿素サイクルでアンモニアを尿素酵素的に変換することによりアンモニアは解毒され、その後、尿で除去される。アンモニアの解毒作用の低下は、アルギニノコハク酸尿症アルギナーゼ欠損症カルバモイルリン酸シンセターゼ欠損症、シトルリン血症N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症などの、尿素サイクル酵素欠損しているサイクル異常症(UCD)により引き起こされ得る(Haeberle et al.,2012)。National Urea cycle disorders Foundationは、UCDの罹患率は8500人の出生児数あたり1人と推測する。加えて、肝性脳症、門脈体循環シャント、および有機酸異常症などのいくつかの非UCD疾患も、高アンモニア血症を引き起こし得る。高アンモニア血症は、脳卒中、運動失調、脳卒中様病変昏睡精神病視力喪失急性脳症脳浮腫、ならびに嘔吐呼吸性アルカローシス低体温、または死亡などの神経症状を発生させ得る(Haeberle et al.,2012;Haeberle et al.,2013)。

0004

アンモニアは、種々の生合成経路により合成されるアミノ酸に対する窒素の供給源でもある。例えば、アルギニン生合成は、窒素原子を1つ含むグルタミン酸を、窒素原子を4つ含むアルギニンに変換する。アルギニン生合成経路で形成されるシトルリンなどの中間代謝産物も窒素を取り込む。したがって、高アンモニア血症に関連する症状を和らげるまたは処置するために、アルギニン生合成の強化を利用して、体内の過剰な窒素を非毒性分子に取り込むことができる。同様に、ヒスチジン生合成メチオニン生合成リシン生合成アスパラギン生合成グルタミン生合成、およびトリプトファン生合成も過剰な窒素の取り込みが可能であり、これらの経路の強化を利用して、高アンモニア血症に関連する症状を和らげるまたは処置することができる。

0005

高アンモニア血症およびUCDの現在の治療は、アンモニア過剰を低減することを目的とするが、準最適だと広く考えられている(Nagamani et al.,2012;Hoffmann et al.,2013;Torres−Vega et al.,2014)。ほとんどのUCD患者は、タンパク質制限からなる実質的に修正された食事を必要とする。しかしながら、低タンパク食は注意深くモニターしなければならず、タンパク質の摂取を制限しすぎると身体は筋肉を分解し、その結果アンモニアが生成される。加えて、多くの患者は、フェニル酪酸ナトリウム安息香酸ナトリウム、およびグリセロールフェニル酪酸塩などのアンモニア除去薬の補給を必要とし、これらの薬物の1つまたは複数を一日に3〜4回投与しなければならない(Leonard,2006;Diaz et al.,2013)。これらの薬の副作用としては、吐き気、嘔吐、過敏症食欲不振、および女性月経障害が挙げられる(Leonard,2006)。小児では、食物および薬剤送達に、腹部外科的に埋め込んだ胃瘻管、または、を通って腹部に手動で挿入される経鼻胃管が必要な場合がある。これらの処置選択肢が失敗した場合、肝臓移植が必要となり得る(National Urea cycle disorders Foundation)。したがって、尿素サイクル異常症を含む高アンモニア血症に関連した疾患の、効果的で信頼性が高い、および/または長期の処置に対するニーズは著しく満たされていない。

0006

本発明は、過剰なアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を代わりの副生成物に変換することが可能な、遺伝子操作した細菌を提供する。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、消化管などの低酸素環境において過剰なアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を選択的に代わりの副生成物に変換する。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は非病原性であり、有害なアンモニアを減少させるために消化管に導入することができる。高アンモニア血症の患者の過剰なアンモニアの70%が、胃腸管蓄積される。本発明の別の態様は、アンモニアおよび/もしくは窒素の消費、または、アルギニンもしくはシトルリンなどの非毒性副生成物の生成のレベルの向上に基づき、遺伝子操作した細菌を選択または標的にする方法を提供する。本発明はまた、遺伝子操作した細菌を含む医薬組成物、および、尿素サイクル異常症および肝性脳症などの高アンモニア血症に関連する疾患を和らげ、処置する方法を提供する。

図面の簡単な説明

0007

誘導条件下での、本発明のArgR欠失細菌の一実施形態におけるアルギニンレギュロンの状態を描いた図である。酸素(O2)が、FNR(点描されたボックス内のFNR)の二量体化、およびFNRによるFNRプロモータグレーのFNRボックス)とその制御下にあるargAfbr遺伝子の活性化を防ぐ一方(「X」により示される)、ArgA(短い不規則曲線)と相互作用してArgA活性を阻害する(「X」により示される)アルギニン(楕円中の「Arg」)により、好気条件下でアルギニン生成が比較的低いことを示す。
誘導条件下での、本発明のArgR欠失細菌の一実施形態におけるアルギニンレギュロンの状態を描いた図である。FNR二量体化(2つの点描されたボックス内のFNR)とアルギニンによる阻害に対し耐性のあるArgAfbr(argAfbrの上の短い不規則な曲線)の誘導FNRプロモータ(グレーのFNRボックス)介在性発現による、嫌気的条件下でのアルギニン生成の増加を描く。これは、ArgA(argAを描くボックスの上の短い不規則な曲線)と相互作用するアルギニン(楕円中の「Arg」)により引き起こされる、野生型ArgAの阻害に打ち勝つ(湾曲矢印)。アルギニンレギュロンの各遺伝子は、遺伝子名を含む長方形により描く。1つまたは集合した長方形に隣接する各矢印は、その遺伝子の矢印の方向への転写の駆動を担うプロモータを描く。1つまたは一連の長方形に隣接するより太い線はArgR結合部位を描くが、この細菌ではArgRの欠失により利用されることはない。各長方形の上の矢印は各遺伝子の発現産物を描く。
図2Aおよび2Bは、本発明の代替例示的実施形態を描く図である。図2Aは、好気的条件下での実施形態を描き、ここでは酸素の存在下でFNRタンパク質(FNRボックス)が単量体のまま残り、アルギニンフィードバック耐性argAfbr遺伝子の発現を駆動するFNRプロモータ(「FNR」)に結合してそれを活性化することができない。野生型ArgAタンパク質は機能的だが、アルギニンへの結合によりネガティブフィードバック阻害の影響を受けやすく、アルギニンレベルを通常以下に抑える。各アルギニン生合成遺伝子(argA、argE、argC、argB、argH、argD、argI、argG、carA、およびcarB)のプロモータ領域におけるアルギニンリプレッサ(ArgR)結合部位の全てを突然変異させて(黒い棒;黒「X」)、ArgRへの結合を低減または消失させる。図2Bは、嫌気的条件下での同一の実施形態を描き、ここでは酸素がない場合にFNRタンパク質(FNRボックス)が二量体化し、FNRプロモータ(「FNR」)に結合しそれを活性化させる。これは、アルギニン(楕円中の「Arg」)によるフィードバック阻害に対し耐性があるアルギニンフィードバック耐性argAfbr遺伝子の発現を駆動する(黒色の短い不規則な曲線=argAfbr遺伝子発現産物)。各アルギニン生合成遺伝子(argA、argE、argC、argB、argH、argD、argI、argG、carA、およびcarB)のプロモータ領域におけるアルギニンリプレッサ(ArgR)結合部位の全てを突然変異させて(黒い棒)、ArgRへの結合を低減または消失させ(黒い「X」)、アルギニン−ArgR複合体による阻害を防いだ。これは高レベルのアルギニン生成を可能にする。図1Aおよび1Bにおけるアルギニン生合成遺伝子の構成は、大腸菌株Nissleに見られるものの代表である。
本発明の別の実施形態を描く図である。この実施形態では、tetR遺伝子に由来するTetリプレッサ(TetR)の発現を駆動するプロモータにおいてArgR結合部位(黒い棒)を含む構成物が、遺伝子Xの発現を駆動する、TetR結合部位(TetRとXの間の黒い棒)を含む第2プロモータに連結している。低アルギニン濃度下では、TetRは発現し、遺伝子Xの発現を阻害する。高アルギニン濃度下では、ArgRがアルギニンと結合し、ArgR結合部位に結合することにより、tetR遺伝子に由来するTetRの発現を阻害する。これは、次に、TetRによる阻害を解消し、遺伝子Xの発現(黒色の短い不規則な曲線)を可能にする。
本発明の別の実施形態を描く図である。この実施形態では、tetR遺伝子に由来するTetリプレッサ(TetR)の発現を駆動するプロモータにおいてArgR結合部位(黒い棒)を含む構成物が、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)の発現を駆動する、TetRの結合部位(TetR楕円に結合する黒い棒)を含む第2プロモータに連結している。低アルギニン濃度下でTetRは発現し、GFPの発現を阻害する。高アルギニン濃度でArgRはアルギニンと結合し、ArgR結合部位に結合することによりtetR遺伝子に由来するTetRの発現を阻害する。これは、次に、TetRによる阻害を解消し、GFPの発現を可能にする。この構成物を含有する宿主を突然変異させることにより、高アルギニン生成源を、蛍光活性化セルソーター(「FACS」)を用いて、GFP発現に基づき選択することが可能である。
本発明の別の実施形態を描く図である。この実施形態では、tetR遺伝子に由来するTetリプレッサ(図示せず)の発現を駆動するプロモータにおいてArgR結合部位(ArgR−Arg複合体が結合する黒い棒)を含む構成物が、宿主の生存のために必要な栄養要求性タンパク質(「AUX」)の発現を駆動する、TetR結合部位(黒い棒)を含む第2プロモータに連結している。高アルギニン濃度下では、ArgR−アルギニン複合体がArgR結合部位に結合することにより、tetR遺伝子に由来するTetRの発現を阻害する。これは、次に、AUXの発現を可能にし、宿主の生存を可能にする。低アルギニン濃度下では、TetRはtetR遺伝子より発現し、AUXの発現を阻害して宿主を死滅させる。図5の構成物は、AUX発現の制御を通して宿主細胞の生存にそれを必要なものにすることにより、高アルギニン(「Arg」)生成を強化する。
大腸菌Nissleのアルギニン生合成オペロンごとにARG結合部位を含む野生型遺伝子配列とその突然変異体を描く図である。各野生型配列では、ARGボックスをイタリック体で示し、各遺伝子の開始コドンは囲む。RNAポリメラーゼ結合部位には下線を引く(Cunin,1983;Maas,1994)。ArgR結合時にDNAメチル化から保護される塩基強調表示し、ArgR結合時にヒドロキシルラジカルアタックから保護される塩基は太字にする(Charlier et al.,1992)。強調表示した太字の塩基は、ArgR結合を妨げる突然変異の主要標的である。
図6−1と同様である。
図6−1と同様である。
FNR応答性プロモータ配列を含む例示的な調節領域配列核酸配列を描く図である。下線を引いた配列は予想されるリボソーム結合部位であり、太字の配列はクローニングに用いられる制限部位である。FNRプロモータを含む例示的な配列としては、限定されるわけではないが、配列番号16、配列番号17、nirB1プロモータ(配列番号18)、nirB2プロモータ(配列番号19)、nirB3プロモータ(配列番号20)、ydfZプロモータ(配列番号21)、強力なリボソーム結合部位に融合したnirBプロモータ(配列番号22)、強力なリボソーム結合部位に融合したydfZプロモータ(配列番号23)、fnrS1から選択される嫌気的に誘導される小RNA遺伝子fnrSプロモータ(配列番号24)、fnrS2から選択される嫌気的に誘導される小RNA遺伝子fnrSプロモータ(配列番号25)、CRP結合部位に融合したnirBプロモータ(配列番号26)、およびCRP結合部位に融合したfnrSプロモータ(配列番号27)が挙げられる。
図7−1と同様である。
例示的なargAfbr配列の核酸配列を描く図である。
例示的なFNRプロモータ駆動argAfbrプラスミドの核酸配列を描く図である。FNRプロモータ配列は太字にし、argAfbr配列は囲む。
図8B−1と同様である。
例示的なFNRプロモータ駆動argAfbr配列の核酸配列を描く図である。FNRプロモータ配列は太字にし、リボソーム結合部位は強調表示し、argAfbr配列は囲む。
強力なリボソーム結合部位に融合した例示的なFNRプロモータ(fnrS)の制御下のargAfbr遺伝子の概略図である。
強力なリボソーム結合部位に融合した例示的なFNRプロモータ(nirB)の制御下のargAfbr遺伝子の別の概略図である。他の調節エレメントも存在してよい。
弱いリボソーム結合部位に融合した例示的なFNRプロモータ(nirB)の制御下のargAfbr遺伝子の概略図である。
図13Aおよび13Bは、CRP結合部位に融合したFNR応答性プロモータの例示的な実施形態を描く図である。図13Aは、太字で示す制限部位を有する、FNR−CRPプロモータ領域のマップを描く。図13Bは、CRP結合部位およびリボソーム結合部位の両方に融合した、例示的なFNRプロモータ(nirBプロモータ)の制御下のargAfbr遺伝子の概略図を描く。他の調節エレメントも存在してよい。
図14Aおよび14Bは、CRP結合部位に融合したFNR応答性プロモータの代替の例示的実施形態を描く図である。図14Aは、太字で示す制限部位を有する、FNR−CRPプロモータ領域のマップを描く。図14Bは、CRP結合部位およびリボソーム結合部位の両方に融合した、例示的なFNRプロモータ(fnrSプロモータ)の制御下のargAfbr遺伝子の概略図を描く。
大腸菌NissleにおけるargG遺伝子の調節領域と5’部分の野生型ゲノム配列と、その構成的突然変異体を描く図である。各配列のプロモータ領域には下線を引き、argG遺伝子の5’部分は囲む。野生型配列では、ArgR結合部位は大文字で下線を引く。突然変異配列では、5’非翻訳領域が大文字で下線を引く。構成的プロモータの制御下でargGを発現する細菌は、アルギニンを生成することが可能である。野生型の制御下でargGを発現する細菌、ArgR阻害可能プロモータは、シトルリンを生成することが可能である。
図15−1と同様である。
大腸菌Nissleの構成的に発現したargG構成物の例示的な実施形態を描く図である。構成的プロモータは、グレーで囲まれたBBa_J23100である。クローニングで用いる制限部位は太字である。
野生型argGオペロン大腸菌Nissleのマップおよび構成的に発現したその突然変異体を描く図である。ARGボックスは野生型オペロンには存在するが、突然変異体にはない。ArgGはBBa_J23100プロモータの制御下で構成的に発現する。
例示的なBADプロモータ駆動argAfbr構成物の核酸配列を描く図である。全ての太字配列がNissleゲノムDNAである。araC遺伝子の一部を太字にし、下線を引き、argAfbr遺伝子は囲み、間の太字配列は、アラビノースの存在により活性化されるプロモータである。リボソーム結合部位はイタリック体で示し、ターミネータ配列は強調し、FRT部位は囲む。araD遺伝子の一部は点線で囲む。
図18−1と同様である。
例示的なBADプロモータ駆動argAfbr構成物の概略図である。この実施形態では、argAfbr遺伝子をaraCとaraDの遺伝子の間に挿入する。ArgAfbrにはリボソーム結合部位、FRT部位、および1つまたは複数の転写ターミネータ配列が隣接する。
pSC101プラスミドのマップを描く図である。制限部位は太字で示す。
pSC101プラスミドの核酸配列を描く図である。
図21A−1と同様である。
fnrSプロモータ駆動argAfbrpSC101プラスミドのヌクレオチド配列を描く図である。argAfbr配列は囲み、リボソーム結合部位は強調表示し、fnrSプロモータは大文字かつ太字である。
図21B−1と同様である。
大腸菌1917Nissle染色体内の例示的な組み込み部位のマップを描く図である。これらの部位は、必須遺伝子の発現を妨げることなく回路コンポーネント染色体に挿入できる領域を示す。挿入が多岐または集中的に発現した遺伝子の間で起きることを示すために逆斜線(/)を用いる。thyAなどの生合成遺伝子内への挿入は、栄養要求性を生じさせるのに有用であり得る。一部の実施形態では、個別の回路コンポーネントを、示した部位のうち2つ以上に挿入する。
赤色蛍光タンパク質(RFP)を構成的に発現する3つの細菌株を描く図である。株1〜3において、rfp遺伝子を細菌染色体内の異なる部位に挿入したが、これは蛍光灯の下で様々な輝度を生じさせる。非改変大腸菌Nissle(株4)は非蛍光性である。
誘導(+ATC)および非誘導(−ATC)の条件下で、ストレプトマイシン耐性対照Nissle(SYN−UCD103)、SYN−UCD201、SYN−UCD202、およびSYN−UCD203により生成されるin vitroでのアルギニンレベルについての棒グラフである。SYN−UCD201はΔArgRを含み、argAfbrを含まない。SYN−UCD202はΔArgRと、高コピープラスミドにおいてテトラサイクリン誘導argAfbrを含む。SYN−UCD203はΔArgRと、低コピープラスミドにおいてテトラサイクリン駆動argAfbrを含む。
誘導条件下で、ストレプトマイシン耐性対照Nissle(SYN−UCD103)、SYN−UCD104、SYN−UCD204、およびSYN−UCD105により生成されるin vitroでのアルギニンおよびシトルリンレベルについての棒グラフである。SYN−UCD104は、野生型ArgRと、低コピープラスミドにあるテトラサイクリン誘導argAfbrと、テトラサイクリン誘導argGと、argGを除く各アルギニン生合成オペロンの各ARGボックスにおける突然変異とを含む。SYN−UCD204は、ΔArgRと、低コピープラスミドにおいてテトラサイクリン誘導性プロモータの制御下で発現するargAfbrを含む。SYN−UCD105は、野生型ArgR、低コピープラスミドにあるテトラサイクリン誘導argAfbr、構成的に発現するargG(BBa_J23100構成的プロモータ)、およびargGを除く各アルギニン生合成オペロンの各ARGボックスにおいて突然変異を含む。
酸素の存在下(+O2)または非存在下(−O2)で、誘導(+ATC)および非誘導(−ATC)の条件下におけるストレプトマイシン耐性Nissle(SYN−UCD103)、SYN−UCD205、およびSYN−UCD204により生成されるin vitroでのアルギニンレベルについての棒グラフである。SYN−UCD103は対照Nissle構成物である。SYN−UCD205はΔArgRと、低コピープラスミドにおいてFNR誘導性プロモータ(fnrS2)の制御下で発現するargAfbrを含む。SYN−UCD204はΔArgRと、低コピープラスミドにおいてテトラサイクリン誘導性プロモータの制御下で発現するargAfbrを含む。
in vivoでのNissle滞留についてのグラフである。ストレプトマイシン耐性Nissleを抗生物質前処置なしに経口胃管投与を介してマウス投与した、6匹の全マウスの糞便ペレットを投与後にモニターして、マウスの胃腸管になお滞留する投与Nissleの量を求めた。棒はマウスに投与された細菌の数を表す。線は、連続10日間の各日の糞便サンプルから発見されたNissleの数を表す。
図28A、28B、28Cは、高アンモニア血症TAAマウスにおけるアンモニアレベルについての棒グラフである。図28Aは、非改変対照Nissle、または、SYN−UCD202、Argリプレッサ遺伝子が削除され、argAfbr遺伝子が高コピープラスミドにおいてテトラサイクリン誘導性プロモータの制御下にある遺伝子操作した株で処置した、高アンモニア血症マウスにおけるアンモニアレベルについての棒グラフを描く。全部で96匹のマウスをテストし、エラーバー標準誤差を表す。SYN−UCD202で処置したマウスのアンモニアレベルは、4日目と5日目は、非改変対照Nissleで処置したマウスのアンモニアレベルより低い。図28Bは、肝性脳症のTAAマウスモデルにおける、ストレプトマイシン耐性対照Nissle(SYN−UCD103)および溶媒のみの対照と比較した、SYN−UCD204のin vivoでの効果(アンモニア消費)を示す棒グラフを描く。図28Cは、TAA処置後24〜28時間の血中アンモニア濃度増減率についての棒グラフである。
高アンモニア血症spfashマウスにおけるアンモニアレベルについての棒グラフである。56匹のspfashマウスを4グループに分けた。グループ1には通常食を与え、グループ2〜4には最初の採血後に70%タンパク質食を与えた。グループには、1日に2回、水、ストレプトマイシン耐性Nissle対照(SYN−UCD103)、またはSYN−UCD204を用いて経管栄養し、第1経管栄養の4時間後に採血した。ΔArgRと、低コピープラスミドにおいてテトラサイクリン誘導性プロモータの制御下で発現するargAfbrを含むSYN−UCD204は、高アンモニア血症の閾値を下回るレベルにまで血中アンモニアを著しく低減させた。
尿素サイクル酵素の例示的な概略図を描く図である。
アンモニア消費動態投薬チャートである。この情報を用いて、UCD患者における、治療に該当する量のアンモニアを吸収するために生成することが必要なアルギニンの量を決定することができる。同様の計算をシトルリン生成についても行うことができる。
アンモニアをシトルリンまたはアルギニンなどの所望の生成物に変換することを介してUCDおよび高アンモニア血症により特徴付けられる疾患を処置する、合成遺伝子回路の例示的な図である。
図33Aおよび33Bは、ポジティブフィードバック栄養要求株を生成し、高アルギニン生成を選択するのに用いることができる、例示的な構成物の図である。図33Aは、thyAの発現を駆動するastCプロモータのマップを描く。図33Bは、astCプロモータの制御下のthyA遺伝子の概略図を描く。調節領域には、CRP、ArgR、およびRNAポリメラーゼ(RNAP)の結合部位が含まれ、追加の調節エレメントも含まれ得る。
栄養要求性株を生成するために、破壊または削除することができる例示的な細菌遺伝子の表である。これらには、限定されるわけではないが、オリゴヌクレオチド合成アミノ酸合成、および細胞壁合成に必要な遺伝子が含まれる。
経管栄養の24時間または48時間後に検出した、マウスの消化管における種々のアミノ酸栄養要求株の生存を示す表である。これらの栄養要求株はBW25113、大腸菌の非Nissle株を用いて生成した。
本開示の非限定的実施形態を描く図であり、ここでは外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、異種遺伝子、および、1つの誘導性プロモータまたは複数の誘導性プロモータに由来する少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する。リコンビナーゼは次に毒素遺伝子を活性化配座フリッピングし、リコンビナーゼの天然動態が毒素の発現に時間遅延を生じさせ、異種遺伝子が完全に発現できるようにする。いったん毒素が発現したら、それは細胞を死滅させる。
本開示の別の非限定的例を描く図であり、ここでは外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、異種遺伝子、抗毒素、および、1つの誘導性プロモータまたは複数の誘導性プロモータに由来する少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する。リコンビナーゼは次に毒素遺伝子を活性化配座にフリッピングするが、蓄積された抗毒素の存在により毒素の活性は抑制される。いったん外因性環境条件または合図(Cue)が存在しなくなると、抗毒素の発現は止まる。毒素は構成的に発現し、蓄積し続け、細菌細胞を死滅させる。
本開示の別の非限定的例を描く図であり、ここでは外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、異種遺伝子、および、1つの誘導性プロモータまたは複数の誘導性プロモータに由来する少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する。リコンビナーゼは次に、少なくとも1つの除去酵素を活性化配座にフリッピングする。少なくとも1つの除去酵素は次に1つまたは複数の必須遺伝子を除去し、老化と最終的な細胞死まねく。リコンビナーゼおよび除去遺伝子の天然動態は時間遅延を生じさせるが、その動態は、除去する必須遺伝子の数および選択に応じて変わり、最適化され、ほんの数時間または数日間のうちに細胞死を起こし得る。(図60に示すように)入れ子になった多数のリコンビナーゼの存在を利用して、さらに細胞死のタイミングを制御することが可能である。
本開示の非限定的実施例を描く図であり、ここでは抗毒素が構成的プロモータより発現し、異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される。アラビノースがない場合は、AraC転写因子は転写を阻害する配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子の配座は変化し、これは、AraC転写因子がAraBADプロモータに結合し、AraBADプロモータを活性化させることを可能にし、TetRの発現を誘導して毒素の発現を妨げる。しかしながら、アラビノースが存在しない場合、TetRは発現せず、毒素が発現し、最終的には抗毒素に打ち勝ち細胞を死滅させる。抗毒素の発現を調節する構成的プロモータは、毒素の発現を駆動するプロモータより弱いプロモータであるはずである。AraCは本回路では構成的プロモータの制御下にある。
本開示の非限定的実施例を描く図であり、ここでは異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される。アラビノースがない場合は、AraC転写因子は転写を阻害する配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子の配座は変化し、これは、AraC転写因子がAraBADプロモータに結合し、AraBADプロモータを活性化させることを可能にし、TetR(tetリプレッサ)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素が組換え細菌細胞において蓄積する一方で、TetRは(TetR結合部位を有するプロモータの制御下にある)毒素の発現を妨げる。しかしながら、アラビノースが存在しない場合、抗毒素とTetRは両方とも発現しない。TetRが存在して毒素の発現を阻害することがないため、毒素が発現し、細胞を死滅させる。AraCは本回路では構成的プロモータの制御下にある。
argR遺伝子が削除され、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株は、アンモニアの消費およびアルギニンの生成に有用である。
argR遺伝子が削除され、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株はさらに、染色体において1つまたは複数の栄養要求性改変を含む。この株は、アンモニアの消費およびアルギニンの生成に有用である。
argRおよびargG遺伝子が削除され、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株は、アンモニアの消費およびシトルリンの生成に有用である。
argRおよびargG遺伝子が削除され、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株はさらに、染色体において1つまたは複数の栄養要求性改変を含む。この株は、アンモニアの消費およびシトルリンの生成に有用である。
ArgR結合部位を欠き、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株は、アンモニアの消費およびアルギニンの生成に有用である。
ArgR結合部位を欠き、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株はさらに、染色体において1つまたは複数の栄養要求性改変を含む。この株は、アンモニアの消費およびアルギニンの生成に有用である。
argGを除くアルギニン生合成オペロンの全てにおいてArgR結合部位を欠き、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株は、アンモニアの消費およびシトルリンの生成に有用である。
argGを除くアルギニン生合成オペロンの全てにおいてArgR結合部位を欠き、フィードバック耐性argAfbr遺伝子を発現する、操作した細菌株の例示的な実施形態を描く図である。この株はさらに、染色体において1つまたは複数の栄養要求性改変を含む。この株は、アンモニアの消費およびシトルリンの生成に有用である。
図49Aは、野生型clbA構成物の概略図である。図49Bは、clbAノックアウト構成物の概略図である。
野生型clbA構成物およびclbAノックアウト構成物の例示的配列を描く図である。
SYN−UCD101、SYN−UCD102、およびブランク対照に由来する培養培地における、ベースライン、2時間目、および4時間目のin vitroでのアンモニアレベルについての棒グラフである。SYN−UCD101およびSYN−UCD102は両方ともin vitroでアンモニアを消費することが可能である。
SYN−UCD201、SYN−UCD203、およびブランク対照に由来する培養培地における、ベースライン、2時間目、および4時間目のin vitroでのアンモニアレベルについての棒グラフである。SYN−UCD201およびSYN−UCD203は両方ともin vitroでアンモニアを消費することが可能である。
操作したセーフティーコンポーネントとしてのGeneGuardの使用を描く図である。操作したDNAは全て、条件付きで破壊され得るプラスミドに存在する。例えば、Wright et al.,“GeneGuard:A Modular Plasmid System Designed for Biosafety,” ACS Synthetic Biology (2015) 4:307−316を参照。
例示的なL−ホモセリンおよびL−メチオニンの生合成経路を描く図である。回路は、MetJにより阻害される遺伝子を示し、metJの欠失はこれらの遺伝子の構成的発現および経路の活性化をまねく。
例示的なヒスチジン生合成経路を描く図である。
例示的なリシン生合成経路を描く図である。
例示的なアスパラギン生合成経路を描く図である。
例示的なグルタミン生合成経路を描く図である。
例示的なトリプトファン生合成経路を描く図である。
本開示の1つの非限定的な実施形態を描く図であり、ここでは外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、異種遺伝子、および、1つの誘導性プロモータまたは複数の誘導性プロモータに由来する第1リコンビナーゼの発現を活性化する。リコンビナーゼは次に第2リコンビナーゼを逆方向から活性配座にフリッピングする。活性第2リコンビナーゼは毒素遺伝子を活性配座にフリッピングし、リコンビナーゼの天然動態は毒素の発現に時間遅延を生じさせ、異種遺伝子が完全に発現できるようにする。いったん毒素が発現したら、それは細胞を死滅させる。
図60に描くキルスイッチの実施形態を有する尿素サイクル異常症(UCD)を標的にするように生物操作した合成物質を描く図である。この例では、IntリコンビナーゼおよびKid−Kis毒素−抗毒素ステムをUCDを処置するために組換え細菌細胞において用いる。過剰なアンモニアを消費し有益な副生成物を生成して、患者の予後を改善するように、組換え細菌細胞を操作する。組換え細菌細胞はまた、安全性を確保するため高度に制御可能なキルスイッチを含む。(例えば、消化管に見られるような)低酸素環境に応答して、FNRプロモータはIntリコンビナーゼの発現を誘導し、また、Kis抗毒素の発現も誘導する。Intリコンビナーゼは、Kid毒素遺伝子の活性化配座へのフリッピングを引き起こすが、蓄積したKis抗毒素の存在が、発現したKid毒素の活性を抑制する。酸素の存在下(消化管外など)では、抗毒素の発現は止まる。毒素は構成的に発現するためそれは蓄積し続け、細菌細胞を死滅させる。
本開示の別の非限定的な実施形態を描く図であり、ここでは異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される。アラビノースがない場合は、AraC転写因子は、転写を阻害する配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子の配座は変化し、これは、AraC転写因子がAraBADプロモータに結合し、AraBADプロモータを活性化させることを可能にし、TetR(tetリプレッサ)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素が組換え細菌細胞において蓄積する一方で、TetRは(TetR結合部位を有するプロモータの制御下にある)毒素の発現を妨げる。しかしながら、アラビノースが存在しない場合、抗毒素とTetRは両方とも発現しない。TetRが存在して毒素の発現を阻害することがないため、毒素は発現し、細胞を死滅させる。図62はまた、本開示の別の非限定的な実施形態を描き、ここでは、組換え細菌に見られない必須遺伝子の発現が、外因性環境シグナルにより活性化される。アラビノースがない場合は、AraC転写因子は、araBADプロモータの制御下にある必須遺伝子の転写を阻害する配座をとり、細菌細胞は生存することができない。アラビノースの存在下では、AraC転写因子の配座は変化し、これは、AraC転写因子がAraBADプロモータに結合し、AraBADプロモータを活性化させることを可能にし、必須遺伝子の発現を誘導して細菌細胞の生存能力を維持する。
本開示の非限定的な実施形態を描く図であり、ここでは、抗毒素が構成的プロモータより発現し、異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される。アラビノースがない場合は、AraC転写因子は、転写を阻害する配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、AraC転写因子の配座は変化し、これは、AraC転写因子がAraBADプロモータに結合し、AraBADプロモータを活性化させることを可能にし、TetR発現を誘導することにより毒素の発現を妨げる。しかしながら、アラビノースが存在しない場合、TetRは発現せず、毒素が発現し、最終的には抗毒素に打ち勝ち細胞を死滅させる。抗毒素の発現を調節する構成的プロモータは、毒素の発現を駆動するプロモータより弱いプロモータであるはずである。
組換え細菌の固有の安全性ならびに改変した安全性−老廃物管理など(キルスイッチおよび/または栄養要求性を含む)、本開示の組換え細菌の安全設計の概要を描く図である。

0008

図面の簡単な説明の図1A中,ArgA(短い不規則な曲線)は

とする。

0009

本発明は、尿素サイクル異常症および肝性脳症などの高アンモニア血症に関連する疾患を和らげるまたは処置する、遺伝子操作した細菌、その医薬組成物、ならびにその方法を含む。遺伝子操作した細菌は、特に、哺乳類の消化管などの低酸素条件で過剰なアンモニアを減少させることが可能である。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、体内の過剰な窒素を、アルギニン、シトルリン、メチオニン、ヒスチジン、リシンアスパラギン、グルタミン、またはトリプトファンなどの非毒性分子に取り込むことにより、過剰なアンモニアを減少させる。

0010

本開示をより容易に理解できるようにするため、ある特定の用語をまず定義する。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らし合わせて、当業者によって理解されるように読まれるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。追加の定義は、詳細な説明全体を通して記載する。

0011

「高アンモニア血症」、「高アンモニア血症の」、または「過剰なアンモニア」は、体内のアンモニア濃度の上昇を指すために用いる。高アンモニア血症は、解毒作用の低下および/またはアンモニア生成の増加により引き起こされる。解毒作用の低下は、アルギニノコハク酸尿症、アルギナーゼ欠損症、カルバモイルリン酸シンセターゼ欠損症、シトルリン血症、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ欠損症、およびオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症などの尿素サイクル異常症(UCD)、または開放肝管などの肝臓バイパス、ならびに/または、グルタミンシンセターゼの欠損に起因し得る(Hoffman et al.,2013;Haeberle et al.,2013)。アンモニア生成の増加は、感染症、薬物、神経性膀胱、および腸内細菌過剰増殖に起因し得る(Haeberle et al.,2013)。高アンモニア血症に関連する他の疾患および症状としては、限定されるわけではないが、肝性脳症、急性肝不全、または慢性肝不全などの肝疾患;有機酸異常症;イソ吉草酸血症;3−メチルクロトニルグリシン尿症メチルマロン酸血症プロピオン酸尿症脂肪酸酸化欠損症;カルニチンサイクル異常症;カルニチン欠乏症β酸化異常症;リシン尿性蛋白不耐症;ピロリン−5−カルボン酸シンセターゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;オルニチンアミノトランスフェラーゼ欠損症;炭酸脱水酵素欠乏症;高インスリン血症−高アンモニア血症症候群ミトコンドリア病バルプロエート療法;アスパラギナーゼ療法;完全非経口栄養法グリシン含有溶液を用いた膀胱鏡検査骨髄移植後;門脈体循環シャント;尿路感染症尿道拡張多発性骨髄腫;および化学療法が挙げられる(Hoffman et al.,2013;Haeberle et al.,2013;Pham et al.,2013;Lazier et al.,2014)。健康な対象の血漿アンモニア濃度は、典型的には、約50μmol/L未満である(Leonard,2006)。一部の実施形態では、高アンモニア血症の診断シグナルは、少なくとも約50μmol/L、少なくとも約80μmol/L、少なくとも約150μmol/L、少なくとも約180μmol/L、または少なくとも約200μmol/Lという血漿アンモニア濃度である(Leonard,2006;Hoffman et al.,2013;Haeberle et al.,2013)。

0012

「アンモニア」は、気体アンモニア(NH3)、アンモニウムイオン(NH4+)、またはそれらの混合物を指すために用いる。身体の液体部分では、気体アンモニアおよびアンモニウムイオンは、均衡を保って存在する。

0013

0014

一部の臨床検査では総アンモニア(NH3+NH4+)を解析する(Walker,2012)。本発明の任意の実施形態では、別段の指示がない限り、「アンモニア」は、気体アンモニア、アンモニウムイオン、および/または総アンモニアを指し得る。

0015

アンモニアの「解毒作用」は、有毒アンモニアを除去する、および/または、限定されるわけではないが、アルギニン、シトルリン、メチオニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、または尿素を含む、1つまたは複数の非毒性分子に変換する天然または合成のプロセスを指すために用いる。尿素サイクルは、例えば、尿において体内から除去するためにアンモニアを尿素に酵素的に変換する。アンモニアは、非常に多くの生化学経路を介して合成される多くのアミノ酸にとって窒素の供給源であることから、そのアミノ酸生合成経路の1つまたは複数の強化を利用して、過剰な窒素を非毒性分子に取り込むことができる。例えば、アルギニン生合成で、窒素原子を1つ含むグルタミン酸を窒素原子を4つ含むアルギニンに変換することにより、過剰な窒素を非毒性分子に取り込む。ヒトでは、アルギニンは大腸から再吸収されないため、結果として、大腸内の過剰なアルギニンは有害とは考えられない。同様に、シトルリンも大腸から再吸収されないため、結果として、大腸内の過剰なシトルリンは有害とは考えられない。アルギニン生合成はまた、シトルリンを最終生成物として生成するように改変させることができ、シトルリンは3つの窒素原子を含むため、該改変経路も過剰な窒素を非毒性分子に取り込むことが可能である。

0016

「アルギニンレギュロン」、「アルギニン生合成レギュロン」、および「argレギュロン」は、アルギニン生合成経路において、グルタミン酸からアルギニンおよび/またはシトルリンなどの中間代謝産物への変換を担う酵素をコードした遺伝子を含む所与細菌種におけるオペロンの集合を指すために、区別なく用いる。アルギニンレギュロンはまた、それらのオペロンに関連するオペレータ、プロモータ、ARGボックス、および/または、調節領域を含む。アルギニンレギュロンには、限定されるわけではないが、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼアセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼカルバモイルリン酸シンターゼをコードするオペロン、それらのオペレータ、それらのプロモータ、それらのARGボックス、および/またはそれらの調節領域が含まれる。一部の実施形態では、アルギニンレギュロンは、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼおよび/もしくはN−アセチルオルニチナーゼに追加される、またはそれらの代わりとなるオルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードするオペロン、ならびに、関連するオペレータ、プロモータ、ARGボックス、および/または調節領域を含む。一部の実施形態では、アルギニンレギュロンの1つまたは複数のオペロンまたは遺伝子は、細菌のプラスミドに存在し得る。一部の実施形態では、細菌はアルギニンレギュロン中に任意の遺伝子またはオペロンの多数のコピーを含み得、該1つまたは複数のコピーは、本明細書に記載するように、突然変異させるか、さもなければ変えることができる。

0017

1つの遺伝子は1つの酵素、例えば、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ(argA)をコードし得る。2つ以上の遺伝子は、1つの酵素の別個サブユニット、例えば、カルバモイルリン酸シンターゼのサブユニットAおよびサブユニットB(carAおよびcarB)をコードし得る。一部の細菌では、2つ以上の遺伝子はそれぞれ独立して、同一の酵素、例えばオルニチントランスカルバミラーゼ(argFおよびargI)をコードし得る。一部の細菌では、アルギニンレギュロンは、限定されるわけではないが、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするargA;N−アセチルグルタミン酸キナーゼをコードするargB;N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼをコードするargC;アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼをコードするargD;N−アセチルオルニチナーゼをコードするargE;アルギニノスクシネートシンターゼをコードするargG;アルギニノスクシネートリアーゼをコードするargH;それぞれ独立してオルニチントランスカルバミラーゼをコードするargFおよびargIの一方または両方;カルバモイルリン酸シンターゼの小サブユニットをコードするcarA;カルバモイルリン酸シンターゼの大サブユニットをコードするcarB;それらのオペロン;それらのオペレータ;それらのプロモータ;それらのARGボックス;および/またはそれらの調節領域を含む。一部の実施形態では、アルギニンレギュロンは、(N−アセチルグルタミン酸シンセターゼおよび/もしくはN−アセチルオルニチナーゼに追加される、またはそれらの代わりとなる)オルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードするargJ、それらのオペロン、それらのオペレータ、それらのプロモータ、それらのARGボックス、および/またはそれらの調節領域が含まれる。

0018

「アルギニンオペロン」、「アルギニン生合成オペロン」、および「argオペロン」は、少なくとも1つのプロモータと少なくとも1つのARGボックスを含む共通の調節領域の制御下でアルギニン生合成酵素をコードする、1つまたは複数の遺伝子のクラスタを指すために区別なく用いる。一部の実施形態では、前記1つまたは複数の遺伝子は、同時転写および/または同時翻訳される。アルギニン生合成を担う酵素をコードする遺伝子の任意の組み合わせは、天然または合成的に、オペロンに組織化され得る。例えば、バチルスサブチリスでは、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、およびオルニチントランスカルバミラーゼをコードする遺伝子が、プロモータおよびARGボックスを含む共通の調節領域の制御下で、単一オペロン、argCAEBD−carAB−argF(例えばTable 2を参照)に組織化される。大腸菌K12およびNissleでは、N−アセチルオルニチナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼをコードする遺伝子は、2つの二極性オペロン、argECBHに組織化される。アルギニン生合成を担う酵素をコードするオペロンは、染色体全体にわたり、異なる遺伝子座分布し得る。非改変細菌では、各オペロンはArgRを介してアルギニンにより阻害され得る。一部の実施形態では、アルギニンおよび/または中間副生成物の生成を、本明細書で提供するように、アルギニン生合成オペロンによりコードされる酵素の発現を改変させることにより、本発明の遺伝子操作した細菌において変えることができる。各アルギニンオペロンは、プラスミドまたは細菌の染色体に存在し得る。加えて、任意のアルギニンオペロンの多数のコピー、またはアルギニンオペロン内の遺伝子もしくは調節領域が細菌内に存在し得、オペロンの1つもしくは複数のコピー、または遺伝子もしくは調節領域は、本明細書に記載するように、突然変異させるか、さもなければ変えることができる。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、コピー数を増やすために同一生成物(例えば、オペロンまたは遺伝子または調節領域)の多数のコピーを含むか、または多数の異なる機能を実行するオペロンの多数の異なるコンポーネントを含むように、遺伝子操作する。

0019

「ARGボックスコンセンサス配列」はARGボックスの核酸配列を指し、この核酸は、argR、argA、argB、argC、argD、argE、argF、argG、argH、argI、argJ、carA、および/またはcarBの調節領域の1つまたは複数において高頻度で生じることが知られている。上記のように、各argオペロンは、ARGボックスと呼ばれる、18ヌクレオチド不完全回帰性配列を少なくとも1つ含む調節領域を含み、これはプロモータと一部重複し、リプレッサタンパク質がそれに結合する(Tian et al.,1992)。ARGボックスのヌクレオチド配列は各オペロンで異なり得、コンセンサスARGボックス配列は、A/TnTGAATA/TA/TT/AT/AATTCAnT/Aである(Maas,1994)。アルギニンリプレッサは、1つまたは複数のARGボックスに結合して、該1つまたは複数のARGボックスに操作可能に連結するアルギニン生合成酵素の転写を積極的に阻害する。

0020

「突然変異アルギニンレギュロン」または「突然変異させたアルギニンレギュロン」は、アルギニン生合成経路においてグルタミン酸からアルギニンおよび/またはシトルリンなどの中間副生成物への変換を担う酵素をコードしたオペロンそれぞれの、アルギニン介在性阻害を低減または消失させる核酸突然変異を1つまたは複数含み、その結果、突然変異アルギニンレギュロンが、同一条件下の同じ細菌サブタイプに由来する非改変レギュロンよりも多くのアルギニンおよび/または中間副生成物を生成する、アルギニンレギュロンを指すために用いる。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrと、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンとを含み、それによりレギュロンの阻害を解除し、アルギニンおよび/または中間副生成物の生合成を強化する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、1つまたは複数の核酸突然変異を含む突然変異アルギニンリプレッサを含み、その結果、アルギニンリプレッサの機能は低下もしくは不活性となるか、または、遺伝子操作した細菌はアルギニンリプレッサを持たず(例えば、アルギニンリプレッサ遺伝子を削除して)、レギュロンの阻害解除ならびにアルギニンおよび/もしくは中間副生成物の生合成の強化がもたらされる。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−グルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbr、アルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロン、および/または、突然変異アルギニンリプレッサを含むか、もしくは該アルギニンリプレッサは削除されている。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−グルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrと、アルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンとを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−グルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrと、突然変異アルギニンリプレッサとを含むか、もしくはアルギニンリプレッサは削除されている。一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするオペロンを含み、前記オペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするオペロンと、突然変異アルギニンリプレッサとを含むか、またはアルギニンリプレッサは削除されている。一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、(N−アセチルグルタミン酸シンセターゼおよび/もしくはN−アセチルオルニチナーゼに追加される、またはそれらの代わりとなる)オルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードするオペロンを含み、前記オペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含む。

0021

ARGボックスは、各アルギニン生合成オペロンの調節領域においてプロモータと一部重複する。突然変異アルギニンレギュロンでは、1つまたは複数のアルギニン生合成オペロンの調節領域を、回帰性ARGボックス配列を破壊し、ArgR結合を低減させるのに十分なほど突然変異させるが、非突然変異調節領域のプロモータとの相同性は未だ十分に高く、天然のオペロン特異的プロモータとして認識される。オペロンは、少なくとも1つのARGボックスにおいて少なくとも1つの核酸突然変異を含み、その結果、オペロンのARGボックスおよび調節領域に対するArgR結合が低減または消失する。一部の実施形態では、DNAのメチル化から保護される塩基およびArgR結合時のヒドロキシルラジカルアタックから保護される塩基が、ArgR結合を妨げる突然変異の主要標的である(図6等を参照)。突然変異調節領域のプロモータは、非突然変異調節領域のプロモータに対し十分に高い相同性を保持し、その結果、RNAポリメラーゼは十分な親和性をもってそれに結合して、操作可能に連結したアルギニン生合成酵素の転写を促進する。一部の実施形態では、突然変異体のプロモータのG/C:A/T比率は、野生型プロモータのG/C:A/T比率とわずか10%異なるだけである。

0022

一部の実施形態では、2つ以上のARGボックスが単一オペロンに存在し得る。これらの実施形態の一態様では、オペロンの少なくとも1つのARGボックスを、オペロンの調節領域に対する、必須の低減ArgR結合を生成するように変更する。これらの実施形態の代替の態様では、オペロンのARGボックスをそれぞれ、オペロンの調節領域に対する、必須の低減ArgR結合を生成するように変更する

0023

「低減」ArgR結合は、同一条件下の同じサブタイプの細菌の非改変のARGボックスおよび調節領域に対するリプレッサ結合と比較し、オペロンのARGボックスへのリプレッサ結合が低減すること、または、前記オペロンの調節領域に対する総リプレッサ結合が低減することを指すために用いられる。一部の実施形態では、オペロンの突然変異ARGボックスおよび突然変異調節領域に対するArgR結合は、同一条件下の同じサブタイプの細菌の非改変のARGボックスおよび調節領域に対するArgR結合よりも、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低い。一部の実施形態では、突然変異ARGボックスおよび突然変異調節領域に対する低減ArgR結合は、オペロンにおいて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍の、1つまたは複数の遺伝子のmRNA発現の増加をもたらす。

0024

「ArgR」または「アルギニンリプレッサ」は、アルギニンレギュロンにおいてアルギニン生合成遺伝子の転写を調節することによりアルギニン生合成を阻害することが可能なタンパク質を指すために用いる。アルギニンリプレッサタンパク質をコードする遺伝子(「argR」)の発現が野生型細菌で高まると、アルギニン生合成は減少する。argRの発現が野生型細菌で減少するか、または、argRを削除もしくは突然変異させてアルギニンリプレッサ機能を不活化する場合、アルギニン生合成は増加する。

0025

「任意の機能的ArgRを欠いた」細菌および「ArgR欠失細菌」は、各アルギニンリプレッサの活性が、同一条件下の同じサブタイプの細菌に由来する非改変アルギニンリプレッサと比較し、著しく低減または消失している細菌を指すために用いる。低減または消失したアルギニンリプレッサの活性は、例えば、アルギニン生合成遺伝子の転写の強化、ならびに/または、アルギニンおよび/もしくはシトルリンなどの中間副生成物の濃度の上昇をもたらし得る。アルギニンリプレッサ活性が低減または消失した細菌は、細菌性argR遺伝子を改変するか、またはargR遺伝子の転写を改変することにより、生成することが可能である。例えば、染色体argR遺伝子は削除もしくは突然変異させるか、または、argR遺伝子を、野生型リプレッサ活性を示さないargR遺伝子で置き換えることが可能である。

0026

「操作可能に連結した」は、核酸配列の発現を可能にする、例えばシスで作用する形で調節領域配列に結合した核酸配列、例えば、フィードバック耐性ArgAをコードする遺伝子を指す。

0027

「誘導性プロモータ」は、1つまたは複数の遺伝子に操作可能に連結している調節領域を指し、ここにおいて前記遺伝子の発現は、前記調節領域の誘導因子の存在下で増加する。

0028

「外因性環境条件」は、上記のプロモータが誘導される環境または状況を指す。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管に特異的である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の上部胃腸管に特異的である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の下部胃腸管に特異的である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の小腸に特異的である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳類の消化管の環境などの、低酸素性、微好気的、または嫌気的な条件である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳類の消化管に特異的な分子または代謝産物、例えばプロピオナートである。一部の実施形態において、本発明の遺伝子操作した細菌は、酸素レベル依存性プロモータを含む。細菌は、酸素レベルを感知することができる進化した転写機能を有する。異なるシグナル経路が、異なる酸素レベルにより引き起こされ、異なる動態で起き得る。「酸素レベル依存性プロモータ」または「酸素レベル依存性調節領域」は、1つまたは複数の酸素レベル感知転写因子が結合することのできる核酸配列を指し、ここでは対応する転写因子の結合および/または活性化は、下流の遺伝子発現を活性化させる。

0029

酸素レベル依存性転写因子の例としては、限定されるわけではないが、FNR、ANR、およびDNRが挙げられる。対応するFNR応答性プロモータ、ANR応答性プロモータ、およびDNR応答性プロモータが当技術分野で知られており(例えば、Castiglione et al.,2009、Eiglmeier et al.,1989、Galimand et al.,1991、Hasegawa et al.,1998、Hoeren et al.,1993、Salmon et al.,2003を参照)、非限定的例をTable 1に示す。

0030

0031

本明細書で用いる場合、「非天然」核酸配列は、細菌に通常存在しない核酸配列、例えば、内因性配列の余分なコピー、異なる細菌種、細菌株、もしくは細菌亜株に有来する配列などの異種配列、または、同じサブタイプの細菌に由来する非改変配列と比較し改変および/もしくは突然変異させた配列を指す。一部の実施形態では、非天然核酸配列は、合成の、非天然発生配列である(例えば、Purcell et al.,2013を参照)。非天然核酸配列は、調節領域、プロモータ、遺伝子、および/または遺伝子カセット中の1つもしくは複数の遺伝子であり得る。一部の実施形態では、「非天然」は、天然で見られる相互関係とは異なる関係の2つ以上の核酸配列を指す。非天然核酸配列は、プラスミドまたは染色体に存在し得る。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、直接的または非直接的に誘導できる、天然では無関連のプロモータ、例えば、ブチロジェニック遺伝子カセットに操作可能に連結するFNR応答性プロモータに、操作可能に連結する遺伝子カセットを含む。

0032

「構成的プロモータ」は、その制御下および/またはそれが操作可能に連結するコード配列または遺伝子の連続転写を容易にすることが可能なプロモータを指す。構成的プロモータおよびバリアントは当技術分野で周知であり、該構成的プロモータおよびバリアントとしては、限定されるわけではないが、BBa_J23100、構成的大腸菌σS プロモータ(例えば、osmYプロモータ(International Genetically Engineered Machine(iGEM)Registry of Standard Biological Parts Name BBa_J45992;BBa_J45993))、構成的大腸菌σ32プロモータ(例えば、htpGヒートショックプロモータ(BBa_J45504))、構成的大腸菌σ70プロモータ(例えば、lacqプロモータ(BBa_J54200;BBa_J56015)、大腸菌CreABCDリン酸感知オペロンプロモータ(BBa_J64951)、GlnRSプロモータ(BBa_K088007)lacZプロモータ(BBa_K119000;BBa_K119001);M13K07遺伝子Iプロモータ(BBa_M13101);M13K07遺伝子IIプロモータ(BBa_M13102)、M13K07遺伝子IIIプロモータ(BBa_M13103)、M13K07遺伝子IVプロモータ(BBa_M13104)、M13K07 遺伝子Vプロモータ(BBa_M13105)、M13K07遺伝子VIプロモータ(BBa_M13106)、M13K07遺伝子VIIIプロモータ(BBa_M13108)、M13110(BBa_M13110))、構成的バチルス・サブチリスσAプロモータ(例えば、プロモータveg(BBa_K143013))、プロモータ43(BBa_K143013)、PliaG(BBa_K823000)、PlepA(BBa_K823002)、Pveg(BBa_K823003))、構成的バチルス・サブチリスσBプロモータ(例えば、プロモータctc(BBa_K143010)、プロモータgsiB(BBa_K143011))、サルモネラプロモータ(例えば、サルモネラ由来のPspv2(BBa_K112706)、サルモネラ由来のPspv(BBa_K112707))、バクテリオファージT7プロモータ(例えば、T7プロモータ(BBa_I712074;BBa_I719005;BBa_J34814;BBa_J64997;BBa_K113010;BBa_K113011;BBa_K113012;BBa_R0085;BBa_R0180;BBa_R0181;BBa_R0182;BBa_R0183;BBa_Z0251;BBa_Z0252;BBa_Z0253))、およびバクテリオファージSP6プロモータ(例えば、SP6プロモータ(BBa_J64998))が挙げられる。

0033

本明細書で用いる場合、アルギニンまたはシトルリンなどの中間副生成物を「過剰生成」する遺伝子操作した細菌は、突然変異アルギニンレギュロンを含む細菌を指す。例えば、遺伝子操作した細菌はフィードバック耐性型のArgAを含み得、アルギニンフィードバック耐性ArgAが発現する場合、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも多くのアルギニンおよび/または中間副生成物を生成することが可能である。遺伝子操作した細菌は、代わりにまたはさらに、アルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含み得る。遺伝子操作した細菌は、代わりにまたはさらに、突然変異アルギニンリプレッサを含むか、もしくはアルギニンリプレッサは削除されている。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍のアルギニンを生成する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍のシトルリンまたは他の中間副生成物を生成する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌における1つまたは複数のアルギニン生合成遺伝子のmRNA転写レベルは、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌におけるmRNA転写レベルよりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍高い。ある実施形態では、非改変細菌は、このようなオペロンにおいて、検出可能レベルのアルギニン、中間副生物、および/または遺伝子の転写を有さないだろう。しかしながら、突然変異アルギニンレギュロンを有する対応する遺伝子操作した細菌では、アルギニンならびに/または中間副生成物のタンパク質および/もしくは転写レベルは検出可能であろう。転写レベルは、遺伝子のmRNAレベルを直接測定することにより検出することができる。アルギニンおよび/または中間副生成物のレベル、ならびにアルギニン生合成遺伝子から発現した転写物レベルを測定する方法は、当技術分野で既知である。例えば、アルギニンおよびシトルリンは、質量分析により測定することができる。

0034

「消化管」は、食物の移送および消化、栄養の吸収、ならびに老廃物の排泄を担う器官、、管、および系を指す。ヒトでは、消化管は口で始まり肛門で終わる胃腸管を含み、加えて、食道、小腸、および大腸を含む。消化管はまた、脾臓、肝臓、胆嚢、および膵臓などの副器官および付属腺を含む。上部胃腸管は、食道、胃、小腸の十二指腸を含む。下部胃腸管は、小腸の残り、つまり空腸および回腸、ならびに大腸の全て、つまり盲腸結腸直腸、および肛門管を含む。細菌は消化管全体、例えば、胃腸管、特に腸に見られる。

0035

非病原性細菌」は、宿主において病気または有害な反応を引き起こすことのできない細菌を指す。一部の実施形態では、非病原性細菌は共生細菌である。非病原性細菌の例としては、限定されるわけではないが、バチルス、バクテロイデスビフィドバクテリウムブレビバクテリウムクロストリジウムエンテロコッカス、大腸菌、ラクトバチルスラクトコッカスサッカロミケス、およびスタフィロコッカス、例えば、バチルス・コアグランス、バチルス・サブチリス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・サブチリス、バクテロイデス・シータイオタミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロングム、クロストリジウム・ブチリカム、エンテロコッカス・フェシウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびサッカロマイセスブラウディが挙げられる(Sonnenborn et al.,2009;Dinleyici et al.,2014;米国特許第6835376号明細書;同第6203797号明細書;同第5589168号明細書;同第7731976号明細書)。天然の病原性細菌を遺伝子操作して病原性を低減または消失させることができる。

0036

プロバイオティクス」は、生きた非病原性の微生物、例えば細菌を指すために用い、これは、適切な量の微生物を含む宿主生物に健康上の利益を与えることが可能である。一部の実施形態では、宿主生物は哺乳動物である。一部の実施形態では、宿主生物はヒトである。非病原性細菌の一部の種、株、および/またはサブタイプは、現在、プロバイオティクス細菌として認められている。プロバイオティクス細菌の例としては、限定されるわけではないが、ビフィドバクテリア、大腸菌、ラクトバチルス、およびサッカロミケス、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌株Nissle、ラクトバチルスアシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタルム、およびサッカロマイセス・ブラウディが挙げられる(Dinleyici et al.,2014;米国特許第5589168号明細書;同第6203797号明細書;同第6835376号明細書)。プロバイオティクスは細菌のバリアントまたは突然変異株であり得る(Arthur et al.,2012;Cuevas−Ramos et al.,2010;Olier et al.,2012;Nougayrede et al.,2006)。非病原性細菌を遺伝子操作して、所望の生物学的特性、例えば生存性を高めるまたは向上させることができる。非病原性細菌を遺伝子操作して、プロバイオティクス特性を与えることができる。プロバイオティクス細菌を遺伝子操作して、プロバイオティクス特性を高めるまたは向上させることができる。

0037

本明細書で用いる場合、「安定的に維持された」または「安定した」細菌は、非天然遺伝物質、例えば、フィードバック耐性argA遺伝子、突然変異アルギニンリプレッサ、および/または宿主ゲノムに組み込まれたもしくは自己複製染色体外プラスミドで増殖した他の突然変異アルギニンレギュロンを担持し、その結果、該非天然遺伝物質が保持され、発現し、増殖する、細菌宿主細胞を指すために用いる。安定した細菌は、培地などのin vitroで、および/もしくは、消化管などのin vivoで、生存ならびに/または増殖することが可能である。例えば、安定した細菌は、argAfbr遺伝子を含む遺伝子操作した細菌であり得、ここにおいてargAfbr遺伝子を担持するプラスミドまたは染色体は細菌において安定的に維持され、その結果、argAfbrは細菌において発現することが可能であり、細菌は、in vitroおよび/またはin vivoで生存および/または増殖することが可能である。

0038

本明細書で用いる場合、用語「処置する」およびその同根語は、病気もしくは疾患、またはその認識できる症状の少なくとも1つを改善することを指す。別の実施形態では、「処置する」は、患者により認識可能であるとは限らない、測定可能な身体的パラメータの少なくとも1つを改善することを指す。別の実施形態では、「処置する」は、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体パラメータの安定化)、またはその両方の何れかで、病気または疾患の進行を抑えることを指す。別の実施形態では、「処置する」は、病気または疾患の進行を遅らせること、または反転させることを指す。本明細書で用いる場合、「予防する」またはその同根語は、発症を遅らせること、または所与の病気もしくは疾患にかかるリスクを低減させることを指す。

0039

処置が必要な人には、すでに特定の医学疾患を有する人、および疾患を持つリスクのある人または最終的に疾患にかかり得る人が含まれ得る。処置の必要性は、例えば、疾患の発症に関連する1つまたは複数のリスク因子の存在、疾患の存在もしくは進行、または、疾患のある対象の処置を受けるという推定意志により評価される。初期の高アンモニア血症はUCDにより引き起こされるが、これは常染色体劣性またはX連鎖先天性代謝異常であり、これらの治療法は知られていない。高アンモニア血症はまた、尿素サイクルの他の妨害、例えば有毒代謝産物、感染症、および/または基質欠損症に続発し得る。高アンモニア血症の処置には、過剰なアンモニアおよび/または関連する症状を低減または消失させることを包含し得、基となる高アンモニア血症関連疾患の消失を必ずしも包含するわけではない。

0040

本明細書で用いる場合、「医薬組成物」は、生理学的に適切な担体および/または賦形剤といった他の構成要素を有する、本発明の遺伝子操作した細菌の製剤を指す。

0041

「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」は区別なく用いることができるが、これらは、生物にひどい炎症を起こさず、投与される細菌化合物生物学的活性および特性を無効にしない担体または希釈剤を指す。アジュバントはこれらの句に含まれる。

0042

用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に加えられる不活性物質を指す。例としては、限定されるわけではないが、重炭酸カルシウムリン酸カルシウム、種々の糖および各種澱粉セルロース誘導体ゼラチン植物油ポリエチレングリコール、ならびに例えばポリソルベート20を含む界面活性剤が挙げられる。

0043

用語「治療的有効用量」および「治療的有効量」は、高アンモニア血症などの病態の予防、症状の発症の先延ばし、または症状の改善をもたらす化合物の量を指すために用いる。治療的有効量は、例えば、アンモニア濃度の上昇に関連する疾患の1つまたは複数の症状を処置し、予防し、重症度を軽減させ、発症を遅らせ、および/または発生のリスクを低減させるために十分であり得る。治療的有効量および治療的に有効な投与頻度は、当技術分野で既知の方法または以下で述べる方法により決定することが可能である。

0044

詞「一つ(a)」および「一つ(an)」は、本明細書で用いる場合、明確にそれとは反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。

0045

句「および/または」は、リストの要素間で用いる場合、(1)単一の列挙された要素のみが存在すること、または(2)リスト中の2つ以上の要素が存在することの何れかを意味することを意図する。例えば、「A、B、および/またはC」は、選択が、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはA、B、およびCであり得ることを示す。句「および/または」は、リスト中の要素の「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」と、区別なく用いることができる。

0046

細菌
本発明の遺伝子操作した細菌は、過剰なアンモニアを減少させ、アンモニアおよび/または窒素を代替の副生成物に変換することが可能である。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、非病原性細菌である。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は共生細菌である。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はプロビオティック細菌である。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、病原性を低減または消失するように改変または突然変異させた天然の病原菌である。例示的な細菌としては、限定されるわけではないが、バチルス、バクテロイデス、ビフィドバクテリウム、ブレビバクテリウム、クロストリジウム、エンテロコッカス、大腸菌、ラクトバチルス、ラクトコッカス、サッカロミケス、およびスタフィロコッカス、例えば、バチルス・コアグランス、バチルス・サブチリス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・サブチリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロングム、クロストリジウム・ブチリカム、エンテロコッカス・フェシウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびサッカロマイセス・ブラウディが挙げられる。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、バクテロイデス・サブチリス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、クロストリジウム・ブチリカム、大腸菌Nissle、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、およびラクトコッカス・ラクティスからなる群から選択される。

0047

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、大腸菌株Nissle1917(大腸菌Nissle)、「最も特徴付けられたプロバイオティクスの1つに進化した」腸内細菌科グラム陰性細菌である(Ukena et al.,2007)。該株は、その完全なる無害性を特徴とし(Schultz,2008)、GRAS(generally recognized as safe)ステータスを有する(Reister et al.,2014、強調筆者)。ゲノムシーケンシングにより、大腸菌Nissleは目立った病原性因子(例えば、大腸菌α溶血素、P−線毛アドヘシン)を持たないことが確認された(Schultz,2008)。加えて大腸菌Nissleは、病原性付加因子を担持せず、エンテロトキシン細胞毒も生成せず、浸蝕性でなく、そして尿路病原性ではないことが示されている(Sonnenborn et al.,2009)。1917年には、大腸菌NissleはMutaflorと呼ばれる医薬カプセルに、治療用パッケージ化された。大腸菌Nissleは以来、ヒトの潰瘍性大腸炎をin vivoで処置するため(Rembacken et al.,1999)、ヒトの炎症性腸疾患クローン病、および回腸嚢炎をin vivoで処置するため(Schultz,2008)、ならびに腸内浸潤性サルモネラ、レジオネラエルシニア、および赤痢菌をin vitroで阻害するため(Altenhoefer et al.,2004)に用いられてきた。大腸菌Nissleの治療効果および安全性が説得力をもって証明されていることは一般に認められている(Ukena et al.,2007)。

0048

当業者は、本明細書で開示する遺伝子の改変は、他の種、株、およびサブタイプの細菌向けに修正され、それらに適合させることができることを理解しよう。例えば、アルギニン介在性調節は、非常に異なる細菌、つまり、大腸菌、サルモネラ・エンテリカ血清型フィムリウム、サーモトガ(Thermotoga)、およびモリテラ・プロファンダ(Moritella profunda)などのグラム陰性細菌、ならびに、B.サブチリス、ジオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、およびストレプトマイセスクラブリガルス(Streptomyces clavuligerus)などのグラム陽性細菌、ならびに他の細菌において、著しく良好に保全されることが知られている(Nicoloff et al.,2004)。さらに、アルギニンリプレッサは、細菌ゲノムに広く保全されており、その認識シグナル(ARGボックス)、弱いパリンドロームもゲノム間で保全される(Makarova et al.,2001)。

0049

非改変大腸菌Nissleおよび本発明の遺伝子操作した細菌は、消化管または血清において、例えば防御因子により破壊され得る(Sonnenborn et al.,2009)。in vivoでの細菌の滞留時間は、実施例19に記載する方法を用いて決定することが可能である。一部の実施形態では、滞留時間をヒト対象について計算する。野生型ArgRおよび野生型アルギニンレギュロンを含むストレプトマイシン耐性大腸菌Nissleを用いた非限定的例を提供する(図27を参照)。一部の実施形態では、in vivoでの滞留時間を、本発明の遺伝子操作した細菌について計算する。

0050

過剰なアンモニアの減少
アルギニン生合成経路
大腸菌(E.coli)などの細菌において、アルギニン生合成経路は、酵素N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタメートリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびアルギニノスクシネートリアーゼを要する8ステップ酵素プロセスにおいて、グルタミン酸をアルギニンに変換することができる(Cunin et al.,1986)。最初の5つのステップは、オルニチン前駆体を生成するためにN−アセチル化を伴う。6番目のステップでは、オルニチントランスカルバミラーゼ(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼとしても知られる)がシトルリンの形成を触媒する。最後の2ステップは、シトルリンからアルギニンを生成するためにカルバモイルリン酸の利用を伴う。

0051

バチルス・ステアロサーモフィルスおよび淋菌などの一部の細菌において、アルギニン生合成の1番目と5番目のステップは、二機能性酵素オルニチンアセチルトランスフェラーゼにより触媒され得る。この二機能性は、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ(argJ)が、大腸菌において、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ(argA)とN−アセチルオルニチナーゼ(argE)の両方の栄養要求性遺伝子突然変異補完することが示された際に、最初に特定された(Mountain et al.,1984;Crabeel et al.,1997)。

0052

argAはN−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードし、argBはN−アセチルグルタミン酸キナーゼをコードし、argCはN−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼをコードし、argDはアセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼをコードし、argEはN−アセチルオルニチナーゼをコードし、argFはオルニチントランスカルバミラーゼをコードし、argIもオルニチントランスカルバミラーゼをコードし、argGはアルギニノスクシネートシンターゼをコードし、argHはアルギニノスクシネートリアーゼをコードし、argJはオルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードする。carAは、グルタミナーゼ活性を有するカルバモイルリン酸シンターゼの小Aサブユニットをコードし、carBは、アンモニアからのカルバモイルリン酸合成を触媒するカルバモイルリン酸シンターゼの大Bサブユニットをコードする。これらのアルギニン生合成遺伝子(つまり、argA、argB、argC、argD、argE、argF、argG、argH、argI、argJ、carA、およびcarB)の1つまたは複数の異なる組み合わせは、天然でまたは合成的に1つまたは複数のオペロンに組織化され得、このような組織化は細菌の種、株、およびサブタイプごとに異なり得る(例えばTable 2を参照)。各オペロンの調節領域は少なくとも1つのARGボックスを含有し、調節領域ごとのARGボックスの数は、オペロンおよび細菌ごとに異なり得る。

0053

これらの酵素をコードする遺伝子は全て、各遺伝子の調節領域に結合し転写を阻害する複合体を形成するArgRとの相互作用を介し、アルギニンにより阻害を受ける。N−アセチルグルタミン酸シンセターゼも、アルギニン単独により、タンパク質レベルアロステリックフィードバック阻害を受ける(Tuchman et al.,1997;Caldara et al.,2006;Caldara et al.,2008;Caldovic et al.,2010)。

0054

細菌においてアルギニン生合成を調節する遺伝子は、染色体全体に分散し、MaasおよびClark(1964)が「レギュロン」と名付けた、単一のリプレッサにより制御される多数のオペロンに組織化される。各オペロンは、プロモータと一部重複し、リプレッサタンパク質が結合する、ARGボックスと呼ばれる、18ヌクレオチド不完全回帰性配列を少なくとも1つ含む調節領域により調節される(Tian et al.,1992;Tian et al.,1994)。argR遺伝子は、リプレッサタンパク質をコードし、これは1つまたは複数のARGボックスに結合する(Lim et al.,1987)。アルギニンは、アルギニンリプレッサを活性化するコリプレッサとして機能する。各オペロンを調節するARGボックスは非同一の場合があり、コンセンサスARGボックス配列は、A/T nTGAAT A/T A/T T/A T/A ATTCAn T/Aである(Maas,1994)。加えて、argRの調節領域は、2つのプロモータを含有し、このうち一方が、2つのARGボックスと一部重複し、自動調節される。

0055

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は突然変異アルギニンレギュロンを含み、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌より多くのアルギニンおよび/またはシトルリンなどの中間副生成物を生成する。突然変異アルギニンレギュロンは1つまたは複数の核酸突然変異を含み、これは、アルギニン生合成経路におけるグルタミン酸からアルギニンへの変換を担う酵素をコードする1つまたは複数のオペロンの—ARGボックスへのArgR結合および/またはN−アセチルグルタミン酸シンセターゼへのアルギニン結合を介した—アルギニン介在性阻害を低減または防止することにより、アルギニンおよび/または中間副生成物の生合成を強化する。

0056

代替の実施形態では、細菌を、別の代謝経路、例えば、ヒスチジン生合成経路、メチオニン生合成経路、リシン生合成経路、アスパラギン生合成経路、グルタミン生合成経路、およびトリプトファン生合成経路を介して過剰なアンモニアを消費するように、遺伝子操作する。

0057

ヒスチジン生合成経路
ヒスチジン生合成は、例えば、大腸菌の単一オペロン内に位置する8つの遺伝子により実行される。全部で10個の酵素反応に対し、オペロンの8つの遺伝子のうち3つ(hisD、hisB、およびhisI)は二機能性酵素をコードし、2つ(hisHおよびhisF)は、単一ステップを触媒する1つの酵素を共に形成するポリペプチド鎖をコードする(Alifano et al.,1996)。hisG遺伝子の生成物、ATPホスホリボシルトランスフェラーゼは、ヒスチジンによりタンパク質レベルで阻害される。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性hisGを含む。当技術分野で既知の技法を用いて、細菌を、突然変異させるおよび/またはフィードバック耐性hisG突然変異体についてスクリーニングすることができる。フィードバック耐性hisGを含むように操作した細菌のヒスチジン生成レベル上がり、そのためアンモニア消費量は増加し、高アンモニア血症を軽減するだろう。あるいは、ヒスチジン生合成に必要な1つまたは複数の遺伝子を、FNR誘導性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下に置き、律速酵素の生成の強化を可能にするだろう。ヒスチジン生合成経路に対する任意の他の適切な改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0058

メチオニン生合成経路
細菌性メチオニンレギュロンは、ホモセリンからの3ステップメチオニン合成(つまり、アシル化スルフリル化、およびメチル化)を制御する。metJ遺伝子は、メチオニンまたはその誘導体と組み合わさった場合に転写レベルでメチオニンレギュロン内の遺伝子の阻害を引き起こす、調節タンパク質をコードする(Saint−Girons et al.,1984;Shoeman et al.,1985)。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、metJが削除されているか、または、破壊されたもしくは突然変異したmetJを含む。metJを削除するか、破壊するか、または突然変異させるように操作した細菌のメチオニン生成レベルは上がり、そのためアンモニア消費量は増加し、高アンモニア血症を軽減させるだろう。メチオニン生合成経路に対する任意の他の改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0059

リシン生合成経路
微生物は、2つの経路のうち一方によりリシンを合成する。ジアミノピメリン酸(DAP)経路を利用してアスパラギン酸およびピルビン酸からリシンを合成し(Dogovski et al.,2012)、アミノアジピン酸経路を利用してα−ケトグルタル酸およびアセチル補酵素Aからリシンを合成する。ジヒドロジピコリン酸シンターゼ(DHDPS)酵素はDAP経路の第1ステップを触媒し、リシンによるフィードバック阻害を受ける(Liu et al.,2010;Reboul et al.,2012)。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性DHDPSを含む。フィードバック耐性DHDPSを含むように操作した細菌のヒスチジン生成レベルは上がり、そのためアンモニア消費量は増加し、高アンモニア血症を軽減するだろう。あるいは、リシン生成は、リシン生合成に必要な1つまたは複数の遺伝子をFNR誘導性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下に置くことにより最適化することが可能であろう。リシン生合成経路に対する任意の他の適切な改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0060

アスパラギン生合成経路
アスパラギンは、オキサロ酢酸トランスアミナーゼ酵素およびアスパラギンシンセターゼ酵素それぞれを介して、オキサロ酢酸およびアスパラギン酸から直接合成される。この経路の第2ステップでは、L−グルタミンまたはアンモニアの何れかがアミノ基供与体として機能する。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌と比較し、アスパラギンを過剰に生成することにより、過剰なアンモニアを消費し、高アンモニア血症を軽減する。あるいは、アスパラギン合成は、これらの遺伝子の一方または両方をFNR誘導性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下に置くことにより最適化することができる。アスパラギン生合成経路に対する任意の他の適切な改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0061

グルタミン生合成経路
アンモニアおよびオキソグルタル酸からのグルタミンおよびグルタミン酸の合成は、3つの酵素により厳重に調節される。グルタミン酸脱水素酵素が、オキソグルタル酸の還元的アミノ化反応を触媒して、単一ステップでグルタミン酸を産する。グルタミンシンセターゼは、グルタミン酸およびアンモニアのATP依存性縮合を触媒してグルタミンを形成する(Lodeiro et al.,2008)。グルタミンシンセターゼはまた、サイクル反応においてグルタミン−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ(グルタミン酸シンターゼとしても知られる)と共に作用して、グルタミンおよびオキソグルタル酸からグルタミン酸を生成する。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌と比較し、高いレベルでグルタミンシンセターゼを発現する。グルタミンシンセターゼの発現が増大するように操作した細菌のグルタミン生成レベルは上がり、そのためアンモニア消費量は増加し、高アンモニア血症を軽減するだろう。あるいは、グルタミン酸脱水素酵素および/またはグルタミン−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼの発現は、アンモニア消費を促進するように改変することができるだろう。グルタミンシンセターゼの生成は窒素により転写レベルで調節されることから(Feng et al.,1992;van Heeswijk et al.,2013)、グルタミンシンセターゼ遺伝子をFNR誘導性プロモータなどの異なる誘導性プロモータの制御下に置くことを利用して、グルタミン生成を改善することもできる。グルタミンおよびグルタミン酸の生合成経路に対する任意の他の適切な改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0062

トリプトファン生合成経路
大部分の細菌において、コリスマート前駆体からのトリプトファンの合成に必要な遺伝子は、単一転写ユニット、trpオペロンとして組織化される。trpオペロンは、高レベルのトリプトファンが存在する場合は、トリプトファンリプレッサ(TrpR)により阻害される単一プロモータの制御下にある。trpオペロンの転写はまた、高レベルの荷電トリプトファンtRNAの存在下で終了し得る。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、trpR遺伝子が削除されているか、または、破壊されたもしくは突然変異したtrpR遺伝子を含む。trpR遺伝子の欠失、破壊、または突然変異、およびその結果として起きるTrpR機能の不活化は、高いレベルのトリプトファン生成とアンモニア消費の両方をもたらすだろう。あるいは、トリプトファン生合成に必要な1つまたは複数の酵素を、FNR誘導性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下に置くことが可能であろう。トリプトファン生合成経路に対する任意の他の適切な改変を利用して、アンモニア消費量を増加させることができる。

0063

突然変異アルギニンレギュロンを含む遺伝子操作した細菌
一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はアルギニン生合成経路を含み、過剰なアンモニアを減少させることが可能である。より具体的な態様では、遺伝子操作した細菌は突然変異アルギニンレギュロンを含み、ここではアルギニン生合成酵素をコードした1つまたは複数のオペロンの阻害が解除されて、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも多くのアルギニンまたはシトルリンなどの中間副生成物を生成する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はアルギニンを過剰に生成する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はシトルリンを過剰に生成するが、これは、シトルリンが現在、特定の尿素サイクル異常症の治療に用いられていることから(National Urea cycle disorders Foundation)、さらに有益であり得る。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はアルギニン生合成経路において、本明細書に記載する任意の中間物などの代替の中間副生成物を過剰生成する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じ細菌サブタイプの非改変細菌よりも、多くのアルギニン、シトルリン、および/または他の中間副生成物を生成することにより、過剰なアンモニアを消費する。アルギニンおよび/または中間副生成物の生合成の強化を利用して、尿素サイクル異常症および肝性脳症を含む高アンモニア血症と関連する症状を処置するために、体内の過剰な窒素を非毒性分子に組み込むことができる。

0064

当業者は、オペロン内のアルギニン生合成遺伝子の構成は、大腸菌K12の二極性argECBH、バチリス・サブチリスのargCAEBD−carAB−argF、およびラクトバチルス・プランタルムの二極性carAB−argCJBDFなど、細菌の種、株、およびサブタイプにより異なることを理解しよう。異なる細菌に由来するオペロン構成の非限定的例をTable 2に示す(ある場合では、遺伝子は、大腸菌の既知の配列に対する配列相同性により推定および/または特定され;ある場合では、アルギニンレギュロンの遺伝子全てが既知である、および/または以下で示されているわけではない)。ある例では、アルギニン生合成酵素は、細菌の種、株、およびサブタイプにより異なる。

0065

0066

各オペロンは、前記オペロンにおいてアルギニン生合成遺伝子の阻害と発現を制御する、少なくとも1つのプロモータおよび少なくとも1つのARGボックスを含む調節領域により調節される。

0067

一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、1つまたは複数の核酸突然変異を含むアルギニンレギュロンを含み、該核酸突然変異は、アルギニン生合成経路においてグルタミン酸からアルギニンおよび/または中間副生成物への変換を担う酵素をコードする1つまたは複数のオペロンのアルギニン介在性阻害を、低減または消失させる。アルギニン介在性阻害の低減または消失は、(例えば、アルギニンリプレッサを突然変異させるか、もしくは削除することで、または、アルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの少なくとも1つのARGを突然変異させることで)ArgRリプレッサ結合を低減または消失させることにより、および/または、(例えば、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼを突然変異させて、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrを生成することで)N−アセチルグルタミン酸シンセターゼに対するアルギニン結合を低減または消失させることにより、達成することができる。

0068

ARGボックス
一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含むことにより、レギュロンの阻害を解除し、アルギニンおよび/または中間副生成物の生合成を強化する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、1つまたは複数の核酸突然変異を含む突然変異アルギニンリプレッサを含み、その結果、アルギニンリプレッサの機能は低下もしくは不活性となるか、または、遺伝子操作した細菌はアルギニンリプレッサを持たず(例えば、アルギニンリプレッサ遺伝子が削除されている)、レギュロンの阻害解除ならびにアルギニンおよび/または中間副生成物の生合成の強化がもたらされる。これらの実施形態の何れかにおいて、遺伝子操作した細菌はさらに、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えば、argAfbrを含み得る。したがって、一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニン生合成酵素をコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンと、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えば、argAfbrとを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、突然変異アルギニンリプレッサを含むか、またはアルギニンリプレッサは削除され、そして、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えば、argAfbrを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えば、argAfbr、アルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロン、および/または、突然変異アルギニンリプレッサを含むか、もしくは、アルギニンリプレッサは削除されている。

0069

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼをコードし、さらに、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの各ARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含み、その結果、ArgR結合は低減または消失し、それによりレギュロンの阻害を解除し、アルギニンおよび/または中間副生成物の生合成を強化する。

0070

一部の実施形態では、アルギニノスクシネートシンターゼ(argG)をコードするオペロンのARGボックスがArgRに結合する機能を維持し、それによりシトルリン生合成を駆動させる。例えば、アルギニノスクシネートシンターゼ(argG)をコードするオペロンの調節領域が構成的で、それによりアルギニン生合成を駆動させることができる。代替の実施形態において、1つまたは複数の代替オペロンの調節領域は構成的であり得る。しかしながらある細菌では、多数の酵素をコードする遺伝子は二極性オペロンに組織化されるか、または共通の調節領域の制御下にあり得、これらの場合、構成的活性型の調節領域を操作するためには、調節領域をデコンボリューションする必要がある場合がある。例えば、大腸菌K12およびNissleでは、argEおよびargCBHは2つの二極性オペロンargECBHに組織化され、構成型のargEおよび/またはargCBHを生成するためにそれらの調節領域をデコンボリューションする場合がある。

0071

一部の実施形態では、アルギニン生合成遺伝子を含む1つまたは複数のオペロンのARGボックスを全て突然変異させて、ArgR結合を低減または消失させる。一部の実施形態では、アルギニン生合成酵素をコードする1つまたは複数のオペロンのARGボックスを全て突然変異させて、ArgR結合を低減または消失させる。一部の実施形態では、アルギニン生合成遺伝子を含む各オペロンのARGボックスを全て突然変異させて、ArgR結合を低減または消失させる。一部の実施形態では、アルギニン生合成酵素をコードする各オペロンのARGボックスを全て突然変異させて、ArgR結合を低減または消失させる。

0072

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼおよびArgR阻害可能調節領域により駆動されるアルギニノスクシネートシンターゼをコードし、さらに、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、およびオプションとして、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするオペロンそれぞれの各ARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含み、その結果、ArgR結合は低減または消失し、それによりレギュロンの阻害を解除し、シトルリン生合成を強化する。一部の実施形態では、シトルリンを生成することが可能な遺伝子操作した細菌は、シトルリンがさらに、ある特定の尿素サイクル異常症の処置に対し治療的に有効なサプリメントとして機能することから、特に有利である(National Urea cycle disorders Foundation)。

0073

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼおよび構成的プロモータにより駆動されるアルギニノスクシネートシンターゼをコードし、さらに、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、およびオプションとして、野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードするオペロンそれぞれの各ARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含み、その結果、ArgR結合は低減または消失し、それによりレギュロンの阻害を解除し、アルギニン生合成を強化する。

0074

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、突然変異アルギニンレギュロンおよびフィードバック耐性ArgAを含み、アルギニンフィードバック耐性ArgAが発現する場合、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも多くのアルギニンおよび/または中間副生成物を生成することが可能である。

0075

アルギニンリプレッサ結合部位(ARGボックス)
一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、加えて、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、突然変異アルギニンレギュロンを含み、その結果、アルギニンレギュロンの阻害を解除し、アルギニンおよび/または中間副生成物、例えばシトルリンの生合成を強化する。

0076

一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、オルニチンアセチルトランスフェラーゼをコードするオペロンを含み、前記オペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む。1つまたは複数の核酸突然変異は回帰性ARGボックス配列の破壊を引き起こし、その結果、同一条件下の同じサブタイプの細菌の非改変ARGボックスおよび調節領域に対するArgR結合と比較し、オペロンのARGボックスおよび調節領域に対するArgR結合は低減または消失する。一部の実施形態では、ArgR結合時のDNAメチル化およびヒドロキシルラジカルアタックから保護される核酸は、ArgR結合を妨げる突然変異の主要標的である。一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、上記のアルギニン生合成酵素をコードするオペロンそれぞれの1つまたは複数のARGボックスにおいて、少なくとも3つの核酸突然変異を含む。ARGボックスはプロモータと一部重複し、突然変異アルギニンレギュロンにおいては、突然変異プロモータ領域のG/C:A/T比率は、野生型プロモータ領域のG/C:A/T比率とわずか10%異なるだけである(図6)。プロモータは、非突然変異プロモータに対し十分に高い相同性を保持し、その結果、RNAポリメラーゼが十分な親和性をもって結合して転写を促進する。

0077

大腸菌Nissleの各アルギニン生合成オペロンについてARGボックスを含む野生型遺伝子配列とその突然変異体を、図6に示す。例示的な野生型配列では、ARGボックスをイタリック体で示し、各遺伝子の開始コドンは囲む。RNAポリメラーゼ結合部位には下線を引く(Cunin,1983;Maas,1994)。一部の実施形態では、下線を引いた配列は変更しない。ArgR結合時にDNAメチル化から保護される塩基は強調表示し、ArgR結合時にヒドロキシルラジカルアタックから保護される塩基は太字にする(Charlier et al.,1992)。強調表示した太字の塩基は、ArgR結合を妨げる突然変異の主要標的である。

0078

一部の実施形態では、2つ以上のARGボックスが単一オペロンに存在し得る。これらの実施形態の一態様では、オペロンの少なくとも1つのARGボックスを突然変異させて、オペロンの調節領域に対する、必須の低減ArgR結合を生成する。これらの実施形態の代替の態様では、オペロンの各ARGボックスを突然変異させて、オペロンの調節領域に対する、必須の低減ArgR結合を生成する。例えば、大腸菌NissleのcarABオペロンは2つのAGボックスを含み、ARGボックス配列の一方または両方を突然変異させることができる。大腸菌NissleのargGオペロンは3つのARGボックスを含み、1つ、2つ、または3つのARGボックス配列を突然変異させるか、破壊するか、または削除することができる。一部の実施形態では、3つのARGボックス配列の全てを突然変異させるか、破壊するか、または削除し、構成的プロモータ、例えばBBa_J23100をargGオペロンの調節領域に挿入する。当業者は、調節領域ごとのARGボックスの数が細菌ごとに異なり得ることと、ARGボックスのヌクレオチド配列が各オペロンで異なり得ることを理解しよう。

0079

一部の実施形態では、オペロンの突然変異ARGボックスまたは調節領域に対するArgR結合の親和性は、同一条件下の同じサブタイプの細菌の非改変のARGボックスおよび調節領域に対するArgR結合の親和性よりも、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低い。一部の実施形態では、突然変異ARGボックスおよび調節領域に対する低減ArgR結合は、関連オペロンの遺伝子のmRNA発現を、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍に増加させる。

0080

一部の実施形態では、定量PCR(qPCR)を用いて、アルギニン生合成遺伝子のmRNA発現レベルを増幅し、検出し、および/または定量化する。アルギニン生合成遺伝子、例えばargA、argB、argC、argD、argE、argF、argG、argH、argI、argJ、carA、およびcarBに特異的なプライマーを設計し、それを用いて、当技術分野で既知の方法に従いサンプル中のmRNAを検出することができる(Fraga et al.,2008)。一部の実施形態では、フルオロフォアをarg mRNAを含有し得るサンプル反応混合物に加え、サーマルサイクラ—を用いて、特異的な波長の光をサンプル反応混合物に当て、その結果生じるフルオロフォアによる発光を検出する。反応混合物を加熱し、所定の期間にわたり所定の温度まで冷却する。ある実施形態では、加熱と冷却を所定のサイクル数で繰り返す。一部の実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数で加熱し、90〜100℃、60℃〜70℃、および30℃〜50℃まで冷却する。ある実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数で加熱し、93〜97℃、55℃〜65℃、および35℃〜45℃まで冷却する。一部の実施形態では、蓄積したアンプリコンを各qPCRサイクル後に定量化する。蛍光が閾値を超えるサイクル数がthreshold cycle(CT)である。各サンプルで少なくとも1つのCT結果が生成され、該CT結果を用いて、アルギニン生合成遺伝子のmRNA発現レベルを求めることができる。

0081

一部の実施形態では、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて1つまたは複数の核酸突然変異を含む、遺伝子操作した細菌は、加えて、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrを含む。

0082

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性形態のArgAを含み、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの各ARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含む。

0083

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性形態のArgAと、ArgR阻害可能調節領域により駆動されるアルギニノスクシネートシンターゼとを含み、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードするオペロンそれぞれの各ARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含む。これらの実施形態では、細菌はシトルリンを生成することが可能である。

0084

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性形態のArgAと、構成的プロモータから発現したアルギニノスクシネートシンターゼとを含み、アルギニン生合成酵素N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ、およびカルバモイルリン酸シンターゼをコードするオペロンそれぞれの各ARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含む。これらの実施形態では、細菌はアルギニンを生成することが可能である。

0085

Table 3は、1つまたは複数の核酸突然変異がアルギニンオペロンそれぞれのアルギニン介在性阻害を低減または消失させる、突然変異構成物の例を示す。突然変異構成物は、酸素レベル依存性プロモータ、例えばFNRプロモータにより駆動される、フィードバック耐性形態のArgAを含む。各突然変異アルギニンレギュロンは、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ、アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ、N−アセチルオルニチナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、アルギニノスクシネートリアーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、および野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼをコードする1つまたは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスにおいて、1つまたは複数の核酸突然変異を含み、その結果、ArgR結合は低減または消失し、それによりアルギニンおよび/または中間副生成物の生合成を強化する。突然変異アルギニンレギュロン構成物の非限定的例を、Table 3に示す。

0086

0087

突然変異は、プラスミドまたは染色体に存在し得る。一部の実施形態では、アルギニンレギュロンは、単一のリプレッサタンパク質により調節される。特定の種、株、および/またはサブタイプの細菌では、アルギニンレギュロンは2つの推定リプレッサにより調節され得るという提案がなされてきた(Nicoloff et al.,2004)。したがって、ある実施形態では、本発明のアルギニンレギュロンは、2つ以上のリプレッサタンパク質により調節される。

0088

ある実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、遺伝子操作した細菌の1つの種、株、またはサブタイプにおいて発現する。代替の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、遺伝子操作した2つ以上の種、株、および/またはサブタイプの細菌において発現する。

0089

アルギニンリプレッサ(ArgR)
本発明の遺伝子操作した細菌は、アルギニン生合成経路においてグルタミン酸からアルギニンおよび/または中間副生成物への変換を担う酵素をコードする1つまたは複数のオペロンのアルギニン介在性阻害を低減または消失させる1つまたは複数の核酸突然変異を含む、アルギニンレギュロンを含む。一部の実施形態では、アルギニン介在性阻害の低減または消失は、例えば、(上記のような)アルギニン生合成酵素をコードする1つもしくは複数のオペロンの少なくとも1つのARGボックスを突然変異させる、または、(例えば、本明細書で論じる)アルギニンリプレッサを突然変異させるもしくは削除する、および/または、(N−アセチルグルタミン酸シンセターゼを突然変異させて、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrを生成することにより)N−アセチルグルタミン酸シンセターゼに対するアルギニン結合を低減もしくは消失させることにより、ArgRリプレッサ結合を低減もしくは消失させることで、達成することができる。

0090

したがって、一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は機能的ArgRリプレッサを欠き、そのためアルギニン生合成オペロンそれぞれのArgRリプレッサ介在性転写阻害は、低減または消失する。一部の実施形態では、操作した細菌は、1つまたは複数の核酸突然変異を含む突然変異アルギニンリプレッサを含み、その結果、アルギニンリプレッサ機能は低下するか、または不活性になる。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はアルギニンリプレッサを持たず(例えば、アルギニンリプレッサ遺伝子が削除されている)、レギュロンの阻害解除ならびにアルギニンおよび/または中間副生成物の生合成の強化がもたらされる。一部の実施形態では、対応する野生型細菌に通常存在する機能性argR遺伝子の各コピーを個別に削除するか、または、1つもしくは複数のヌクレオチドの削除、挿入、もしくは置換により不活性にする。一部の実施形態では、対応する野生型細菌に通常存在する機能性argR遺伝子の各コピーを削除する。

0091

一部の実施形態では、アルギニンレギュロンは単一のリプレッサタンパク質により調節される。特定の種、株、および/またはサブタイプの細菌では、アルギニンレギュロンは2つの別個の推定リプレッサにより調節され得るという提案がなされてきた(Nicoloff et al.,2004)。したがって、ある実施形態では、遺伝子操作した細菌において、異なるアミノ酸配列をそれぞれ含む2つの別個のArgRタンパク質を突然変異させるか、または削除する。

0092

一部の実施形態では、突然変異アルギニンリプレッサを含むか、またはアルギニンリプレッサが削除されている遺伝子改変した細菌は、加えて、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えば、argAfbrを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フィードバック耐性形態のArgAを含み、任意の機能性アルギニンリプレッサを欠き、アルギニンを生成することが可能である。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌はさらに機能性ArgGを欠き、シトルリンを生成することが可能である。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌においてargR遺伝子が削除される。一部の実施形態では、argR遺伝子を突然変異させてArgR機能を不活化する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌においてargG遺伝子が削除される。一部の実施形態では、argG遺伝子を突然変異させてArgR機能を不活化する。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はargAfbrを含み、ArgRが削除される。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はargAfbrを含み、ArgRが削除され、argGが削除される。一部の実施形態では、削除されたArgRおよび/または削除されたargGは細菌ゲノムから削除され、argAfbrはプラスミドに存在する。一部の実施形態では、削除されたArgRおよび/または削除されたargGは細菌ゲノムから削除され、argAfbrは染色体上に組み込まれる。一つの特定の実施形態では、遺伝子改変した細菌は、染色体上に組み込まれたargAfbrを含み、ゲノムArgRが削除され、ゲノムargGが削除される。別の特定の実施形態では、遺伝子改変した細菌はプラスミド上にあるargAfbrを含み、ゲノムArgRが削除され、ゲノムargGが削除される。argGが削除される任意の実施形態では、アルギニンよりもむしろシトルリンが生成される。

0093

一部の実施形態では、フィードバック耐性形態のArgAが発現する条件下で、本発明の遺伝子操作した細菌は、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌と比較し、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、もしくは少なくとも約1500倍のアルギニン、シトルリン、他の中間副生成物、および/またはオペロンにある遺伝子の転写物を生成する。

0094

一部の実施形態では、定量PCR(qPCR)を用いて、アルギニン生合成遺伝子のmRNA発現レベルを増幅、検出、および/または定量化する。アルギニン生合成遺伝子、例えば、argA、argB、argC、argD、argE、argF、argG、argH、argI、argJ、carA、およびcarBに対し特異的なプライマーを設計し、それを用いて当技術分野で既知の方法に従いサンプル中のmRNAを検出することができる(Fraga et al.,2008)。一部の実施形態では、フルオロフォアをarg mRNAを含有し得るサンプル反応混合物に加え、サーマルサイクラ—を用いて、特異的な波長の光をサンプル反応混合物に当て、その結果生じるフルオロフォアによる発光を検出する。反応混合物を加熱し、所定の期間にわたり所定の温度まで冷却する。ある実施形態では、加熱と冷却を所定のサイクル数で繰り返す。一部の実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数で、加熱し、90〜100℃、60℃〜70℃、および30℃〜50℃まで冷却する。ある実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数で、加熱し、93〜97℃、55℃〜65℃、および35℃〜45℃まで冷却する。一部の実施形態では、蓄積したアンプリコンを各qPCRサイクル後に定量化する。蛍光が閾値を超えるサイクル数がthreshold cycle(CT)である。各サンプルで少なくとも1つのCT結果が生成され、該CT結果を用いて、アルギニン生合成遺伝子のmRNA発現レベルを求めることができる。

0095

フィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼ
一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼ突然変異体、例えばargAfbrを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、アルギニンフィードバック耐性ArgAを含む突然変異アルギニンレギュロンを含み、アルギニンフィードバック耐性ArgAが発現する際には、同一条件下の同じサブタイプの非改変細菌よりも多くのアルギニンおよび/または中間副生成物を生成することが可能である。アルギニンフィードバック耐性(feedback resistant)N−アセチルグルタミン酸シンセターゼタンパク質(argAfbr)は、フィードバック感受性親株由来の酵素よりもL−アルギニンに対する感受性が著しく低い(例えば、Eckhardt et al.,1975;Rajagopal et al.,1998を参照)。フィードバック耐性argA遺伝子は、プラスミドまたは染色体に存在し得る。一部の実施形態では、プラスミドからの発現は、argAfbr発現を増加させるのに有効であり得る。一部の実施形態では、染色体からの発現はargAfbr発現の安定性を増大させるのに有効であり得る。

0096

一部の実施形態では、本開示の任意の遺伝子操作した細菌は、細菌染色体の1つまたは複数の組み込み部位に組み込まれる。例えば、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼをコードする配列の1つまたは複数のコピーが、細菌染色体に組み込まれ得る。アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼの多数のコピーが染色体に組み込まれていることは、N−アセチルグルタミン酸シンターゼをより多く生成することを可能にし、また、発現レベル微調整することも可能にする。あるいは、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンターゼに加え、任意のキルスイッチ回路といった本明細書に記載の別の回路が、細菌染色体の1つまたは複数の異なる組み込み部位に組み込まれて、多数の異なる機能を実行し得る。

0097

多数の別個のフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼタンパク質が当技術分野で既知であり、遺伝子操作した細菌に組み込まれ得る。一部の実施形態では、argAfbr遺伝子は、構成的プロモータの制御下で発現する。一部の実施形態では、argAfbr遺伝子は、外因性環境条件により誘導されるプロモータの制御下で発現する。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管に対し特異的である。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳類の消化管に特異的な分子または代謝産物、例えばプロピオナートまたはビリルビンである。一部の実施形態では、外因性環境条件は、哺乳類の消化管の環境といった、低酸素性または嫌気的条件である。

0098

細菌は、酸素レベルを感知することが可能な転写機能を進化させてきた。異なるシグナル経路が、異なる酸素レベルにより引き起こされ、異なる動態で起き得る。酸素レベル依存性プロモータは、1つまたは複数の酸素レベル感知転写因子が結合することのできる核酸配列であり、対応する転写因子の結合および/または活性化が、下流の遺伝子発現を活性化させる。一実施形態では、argAfbr遺伝子は、酸素レベル依存性プロモータの制御下にある。より多くの特定の態様では、argAfbr遺伝子は、哺乳類の消化管の環境といった、低酸素性または嫌気的な環境下で活性化される、酸素レベル依存性プロモータの制御下にある。

0099

ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、フマル酸硝酸レダクターゼレギュレータ(FNR)プロモータの制御下で発現するargAfbrを含む。大腸菌では、FNRは、好気代謝から嫌気代謝へのスイッチを制御する、主要な転写アクティベータである(Unden et al.,1997)。嫌気状態では、FNRは二量体化し、嫌気的増殖への適合を担う数百の遺伝子を活性化する活性DNA結合タンパク質になる。好気状態では、FNRは酸素により二量体化を妨げられ、不活性である。代替の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、酸素レベル依存プロモータの制御下で、例えば、アルギニンデイミナーゼ硝酸還元ANRプロモータ(Ray et al.,1997)、異化硝酸呼吸レギュレータDNRプロモータ(Trunk et al.,2010)の嫌気的調節下で発現するargAfbrを含む。これらの実施形態では、アルギニン生合成経路は、消化管などの低酸素または嫌気的な環境で特に活性化する。

0100

緑膿菌では、アルギニンデイミナーゼ・硝酸還元(ANR)転写レギュレータの嫌気的調節が、「酸素限定または嫌気的な条件下で誘導可能な生理学的機能の発現に必要である」(Winteler et al.,1996;Sawers 1991)。緑膿菌ANRは、大腸菌FNRと相同であり、「コンセンサスFNR部位(TTGAT————ATCAA)はANRおよびFNRにより効率的に認識された」(Winteler et al.,1996)。FNRと同じように、嫌気状態において、ANRは嫌気的増殖への適合を担う非常に多くの遺伝子を活性化する。好気状態では、ANRは不活性である。シュードモナスフルオレッセンス、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・シリンガエ、およびシュードモナス・メンドシナは全て、ANRの機能的アナログを有する(Zimmermann et al.,1991)。ANRにより調節されるプロモータ、例えば、arcDABCオペロンのプロモータは当技術分野に既知である(例えば、Hasegawa et al.,1998を参照)。

0101

FNRファミリーには、異化型硝酸呼吸レギュレータ(DNR)(Arai et al.,1995)、ANRとともに「緑膿菌の嫌気硝酸呼吸」に必要な転写レギュレータ(Hasegawa et al.,1998)も含まれる。ある遺伝子では、FNR結合モチーフは「おそらくDNRによってのみ認識される」(Hasegawa et al.,1998)。外因性環境条件および対応する調節領域により制御される任意の適切な転写レギュレータを用いることができる。非限定的例としては、ArcA/B、ResD/e、NreA/B/C、およびAirSRが挙げられ、他のものも当技術分野で既知である。

0102

一部の実施形態では、argAfbrは、哺乳類の消化管などの環境において、特異的な分子または代謝産物に応答する誘導性プロモータの制御下で発現する。例えば、単鎖脂肪酸プロピオナートは、消化管に位置する、主要な微生物発酵代謝産物である(Hosseini et al.,2011)。一実施形態では、argAfbr遺伝子発現は、プロピオナート誘導性プロモータの制御下にある。より具体的な実施形態では、argAfbr遺伝子発現は、哺乳類の消化管におけるプロピオナートの存在により活性化されるプロピオナート誘導性プロモータの制御下にある。健康な状態および/または病気の状態の哺乳類の消化管に見られる任意の分子または代謝産物を用いて、argAfbr発現を誘導することができる。非限定的例としては、プロピオナート、ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼアラニンアミノトランスフェラーゼ血液凝固第II因子、血液凝固第第VII因子、血液凝固第第IX因子、血液凝固第第X因子アルカリホスファターゼガンマグルタミルトランスフェラーゼ肝炎抗原、肝炎抗体、アルファフェトプロテイン抗体、抗ミトコンドリア抗体抗平滑筋抗体抗核抗体、鉄、トランスフェリンフェリチン、銅、セルロプラスミン、アンモニア、およびマンガンが挙げられる。代替の実施形態では、argAfbr遺伝子発現は、pBADプロモータの制御下にあり、これは糖アラビノースの存在下で活性化する(例えば、図18を参照)。

0103

肝性脳症(HE)および他の肝臓の病気または疾患を持つ対象は、慢性肝不全を患い、これは血液および腸における高アンモニアレベルの原因となる。アンモニアに加え、これらの患者は、血液および腸において、ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、血液凝固第II因子、血液凝固第VII因子、血液凝固第IX因子、および血液凝固第X因子、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、肝炎抗原、肝炎抗体、アルファフェトプロテイン抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体、抗核抗体、鉄、トランスフェリン、フェリチン、銅、セルロプラスミン、アンモニア、およびマンガンのレベルが上昇する。これらのHE関連分子またはそれらの代謝産物の1つに応答するプロモータを用いて本開示の細菌を操作することが可能であり、該細菌は、HE患者の腸のargAfbrを発現するようにのみ誘導されるだろう。これらのプロモータがUCD患者において誘導されることは予想されない。

0104

一部の実施形態では、argAfbr遺伝子は、テトラサイクリンにさらされることにより誘導されるプロモータの制御下で発現する。一部の実施形態では、遺伝子発現はさらに当技術分野で既知の方法により、例えば、リボソーム結合部位を最適化する、転写レギュレータを操作する、および/または、mRNAの安定性を高めることにより、最適化される。

0105

一部の実施形態では、アルギニンフィードバック耐性N−アセチルグルタミン酸シンセターゼが活性である場合、遺伝子操作した細菌において、N−アセチルグルタミン酸シンセターゼのアルギニンフィードバック阻害は、同一条件下の同じサブタイプの細菌に由来する野生型N−アセチルグルタミン酸シンセターゼと比較し、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低減する。

0106

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、argAfbr遺伝子を担持する、安定的に維持されたプラスミドまたは染色体を含み、その結果、argAfbrは宿主細胞において発現することが可能であり、宿主細胞は培地などのin vitroで、および/または、消化管などのin vivoで、生存および/または増殖することが可能である。一部の実施形態では、細菌はフィードバック耐性argA遺伝子の多数のコピーを含み得る。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子は、低コピープラスミドにおいて発現する。一部の実施形態では、低コピープラスミドは、発現の安定性を向上させるために有用であり得る。一部の実施形態では、低コピープラスミドは、非誘導条件下において発現の漏れ(leaky expression)を低減させるのに有用であり得る。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子は、高コピープラスミドにおいて発現する。一部の実施形態では、高コピープラスミドは、argAfbrの発現を増大させるのに有用であり得る。一部の実施形態では、フィードバック耐性argAfbr遺伝子は、染色体において発現する。一部の実施形態において、細菌は、多数の作用機序(MOA)、例えば、同一の生成物の多数のコピーを生成する回路または多数の異なる機能を実行する回路を含むように、遺伝子操作する。挿入部位の例としては、限定されるわけではないが、malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、dapA、cea、および図22に示す他のものが挙げられる。例えば、遺伝子操作した細菌には、4つの異なる挿入部位、例えばmalE/K、insB/I、araC/BAD、lacZにおいて、argAfbrの4つのコピーが挿入され得る。あるいは、遺伝子操作した細菌には、3つの異なる挿入部位、例えばmalE/K、insB/I、lacZにおいて、argAfbrの3つのコピーが挿入され得、3つの異なる挿入部位、例えばdapA、cea、araC/BADにおいて、3つの突然変異アルギニンレギュロン、例えば、2つはシトルリンを生成し、1つはアルギニンを生成する突然変異アルギニンレギュロンが挿入され得る。

0107

一部の実施形態では、プラスミドまたは染色体は、野生型ArgR結合部位、例えばARGボックスも含む。一部の例では、機能性ArgRの存在または増加は、ARGボックス以外の部位におけるオフターゲット結合の原因となり得、これは遺伝子発現においてオフターゲット変異を引き起こし得る。機能性ARGボックスをさらに含むプラスミドまたは染色体を用いて、つまり、ArgRシンク(sink)として作用させることにより、オフターゲットArgR結合を低減または消失させることができる。一部の実施形態では、プラスミドまたは染色体は機能性ArgR結合部位を含まず、例えば、プラスミドまたは染色体は改変ARGボックスを含むか、またはARGボックスを含まない。

0108

一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子はプラスミドに存在し、低酸素または嫌気的な条件下で誘導されるプロモータに操作可能に連結する。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子は染色体に存在し、低酸素または嫌気的な条件下で誘導されるプロモータに操作可能に連結する。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子はプラスミドに存在し、哺乳類の消化管に特異的な分子または代謝産物により誘導されるプロモータに操作可能に連結する。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子は染色体に存在し、哺乳類の消化管に特異的な分子または代謝産物により誘導されるプロモータに操作可能に連結する。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子は染色体に存在し、テトラサイクリンにさらされることにより誘導されるプロモータに操作可能に連結する。一部の実施形態では、フィードバック耐性argA遺伝子はプラスミドに存在し、テトラサイクリンにさらされることにより誘導されるプロモータに操作可能に連結する。

0109

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、多数の作用機序(MOA)、例えば、(コピー数を増加させるために)同一生成物の多数のコピーを生成する回路、または、多数の異なる機能を実行する回路を含む。挿入部位の例としては、限定されるわけではないが、malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、dapA、cea、および図22に示す他のものが挙げられる。

0110

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、対応する酸素レベル依存性プロモータに加え、異なるまたは突然変異した酸素レベル依存性転写レギュレータ、例えばFNR、ANR、またはDNRを含む。異なるまたは突然変異した酸素レベル依存性転写レギュレータは、低酸素または嫌気的な環境で操作可能に連結した遺伝子の転写を増加させる。一部の実施形態では、対応する野生型転写レギュレータは野生型活性を保持する。代替の実施形態では、対応する野生型転写レギュレータは削除されるか、または突然変異して野生型活性は低減もしくは消失する。ある実施形態では、突然変異酸素レベル依存性転写レギュレータは、二量体化およびFNR活性を強化するアミノ酸置換を含む、FNRタンパク質である(例えば、Moore et al.,2006を参照)。

0111

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、低酸素または嫌気的な環境においてアンモニアを減少させる、および/または、アンモニアを消費する、異なる細菌種に由来する酸素レベル依存性転写レギュレータを含む。ある実施形態では、突然変異酸素レベル依存性転写レギュレータは、淋菌に由来するFNRタンパク質である(例えば、Isabella et al.,2011を参照)。一部の実施形態では、対応する野生型転写レギュレータは手を加えられておらず、野生型活性を保持する。代替の実施形態では、対応する野生型転写レギュレータを削除するか、または突然変異させて、野生型活性を低減または消失させる。

0112

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、酸素レベル依存性プロモータ、例えばFNRプロモータの制御下で発現するargAfbrと、上記のように1つまたは複数のARGボックス突然変異を含む突然変異調節領域の制御下で発現する野生型argAとを含む。ある実施形態では、遺伝子操作した細菌は、酸素レベル依存性プロモータ、例えばFNRプロモータの制御下で発現するargAfbrを含み、野生型argAは含まない。さらに他の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンは、酸素レベル依存性プロモータ、例えばFNRプロモータの制御下で発現するargAfbrを含み、さらに、ARGボックス突然変異を持たない野生型argAを含む。

0113

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、プラスミドおよび/または染色体からArgAfbrを発現させる。一部の実施形態では、argAfbr遺伝子は構成的プロモータの制御下で発現する。一部の実施形態では、argAfbr遺伝子は誘導性プロモータの制御下で発現する。一実施形態では、argAfbrは、低酸素または嫌気的な環境下で活性化する酸素レベル依存性プロモータ、例えばFNRプロモータの制御下で発現する。FNRプロモータにより駆動されるargAfbrプラスミドの核酸配列を図8に示すが、FNRプロモータ配列は太字にし、argAfbr配列は囲む。

0114

FNRプロモータ配列は当技術分野で既知であり、任意の適切なFNRプロモータ配列を本発明の遺伝子操作した細菌で用いることができる。任意の適切なFNRプロモータを、任意の適切なフィードバック耐性ArgA(例示的配列、配列番号8A)と組み合わせることができる。非限定的FNRプロモータ配列を図7で提供する。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌は、配列番号16、配列番号17、nirB1プロモータ(配列番号18)、nirB2プロモータ(配列番号19)、nirB3プロモータ(配列番号20)、ydfZプロモータ(配列番号21)、強力なリボソーム結合部位に融合したnirBプロモータ(配列番号22)、強力なリボソーム結合部位に融合したydfZプロモータ(配列番号23)、fnrS、嫌気的に誘導される小RNA遺伝子(fnrS1プロモータ配列番号24またはfnrS2プロモータ配列番号25)、crp結合部位に融合したnirBプロモータ(配列番号26)、およびcrp結合部位に融合したfnrS(配列番号27)のうち、1つまたは複数を含む。

0115

一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、配列番号28の核酸配列またはその機能的断片を含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、遺伝子コード冗長性を別とすれば配列番号28と同じポリペプチドをコードする、核酸配列を含む。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌は、配列番号28のDNA配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の相同性を有する核酸配列、または、遺伝子コードの冗長性を別とすれば配列番号28と同じポリペプチドをコードする核酸配列を含む。

0116

他の実施形態では、argAfbrは、転写アクティベータ、例えばCRPの結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモータの制御下で発現する。CRP(環状AMP受容体タンパク質または異化活性化タンパク質またはCAP)は、グルコースなどの迅速に代謝可能な糖質が存在する場合に、より好ましくない炭素源の吸収、代謝、および同化を担う遺伝子を阻害することにより、細菌において主要な調整的役割を果たす(Wu et al.,2015)。このグルコース選好グルコース抑制および炭素異化産物抑制と呼ばれている(Deutscher,2008;Goerke and Stuelke,2008)。一部の実施形態では、argAfbr発現は、CRP結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモータにより制御される。一部の実施形態では、argAfbr発現は、CRP結合部位に融合したFNRプロモータにより制御される。これらの実施形態では、環状AMPは、グルコースが環境中に存在しない場合にCRPと結合する。この結合はCRPにおいて配座変化を引き起こし、CRPがその結合部位に強固に結合できるようにする。CRP結合は次に、直接的なタンパク質−タンパク質相互反応を介してRNAポリメラーゼをFNRプロモータに補充することにより、argAfbr遺伝子の転写を活性化させる。グルコースの存在下では、環状AMPはCRPに結合せず、argAfbr遺伝子の転写は抑制される。一部の実施形態では、転写アクティベータの結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモータ(例えばFNRプロモータ)を用いて、例えばグルコースをin vitroで増殖培地に加えることにより十分な量のグルコースが存在する際に、argAfbrが嫌気的条件下で発現しないようにする。

0117

アルギニン異化
本発明を実施する際に考慮すべき重要な事項は、アンモニアがアルギニンおよび/またはシトルリン異化の副生成物として過剰生成されないようにすることである。尿素サイクルの最終酵素段階で、アルギナーゼはアルギニンのオルニチンおよび尿素への加水分解を触媒する(Cunin et al.,1986)。ウレアーゼは消化管の細菌から生成され得るが、尿素の二酸化炭素およびアンモニアへの分解を触媒する(Summerskill,1966;Aoyagi et al.,1966;Cunin et al.,1986)。したがって、ウレアーゼ活性は、「ヒト組織に有毒」であり得るアンモニアを生成し得る(Konieczna et al.,2012)。大腸菌Nissleを含む一部の細菌では、遺伝子arcDはアルギニン/オルニチンアンチポータをコードし、これもアンモニアを遊離させ得る(Vander Wauven et al.,1984;Gamper et al.,1991;Meng et al.,1992)。

0118

AstAは、アルギニンからスクシナートへの変換に関与する酵素であり、これはアンモニアを遊離させる。SpeAはアルギニンからアグマチンへの変換に関与する酵素であり、これはさらに異化してアンモニアを生成し得る。したがって、一部の例では、アルギニンの分解を防ぐことが有利であり得る。一部の実施形態では、突然変異アルギニンレギュロンを含む遺伝子操作した細菌は、加えて、アルギニン異化を低減または消失させる突然変異を含み、それによりさらなるアンモニア生成を低減または消失させる。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はまた、ArcD活性を低減または消失させる突然変異を含む。ある実施形態では、ArcDは削除される。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はまた、AstA活性を低減または消失させる突然変異を含む。ある実施形態では、AstAは削除される。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はまた、SpeA活性を低減または消失させる突然変異を含む。ある実施形態では、SpeAは削除される。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はまた、アルギナーゼ活性を低減または消失させる突然変異を含む。ある実施形態では、アルギナーゼは削除される。一部の実施形態では、遺伝子操作した細菌はまた、ウレアーゼ活性を低減または消失させる突然変異を含む。ある実施形態では、ウレアーゼは削除される。一部の実施形態では、アルギニン異化に関与する1つまたは複数の他の遺伝子を突然変異させるか、または削除する。

0119

必須遺伝子および栄養要求株
本明細書で用いる場合、用語「必須遺伝子」は、細胞の増殖および/または生存に必要な遺伝子を指す。細菌の必須遺伝子は当業者に周知であり、指示された遺伝子の削除、ならびに/または、ランダム突然変異誘発およびスクリーニングにより特定することが可能である(例えば、Zhang and Lin,2009,DEG 5.0,a database of essential genes in both prokaryotes and eukaryotes,Nucl.AcidsRes.,37:D455−D458、およびGerdes et al.、Essential genes on metabolic maps,Curr.Opin.Biotechnol.,17(5):448−456を参照。これらそれぞれの内容は全て、参照により本明細書に明確に組み込まれる)。

0120

「必須遺伝子」は、生物が生存する状況および環境に依存し得る。例えば、必須遺伝子の突然変異、改変、または切除は、栄養要求株化する本開示の組換え細菌をもたらし得る。栄養要求性の改変は、外から加えられる生存または増殖に必須の栄養が存在しない場合に、必須栄養を生成するのに必要な遺伝子欠くことで細菌を死滅させることを目的とする。

0121

栄養要求性の改変は、外から加えられる生存または増殖に必須の栄養がない場合は、必須栄養を生成するのに必要な遺伝子を欠くことで、細菌を死滅させることを目的とする。一部の実施形態では、本明細書に記載する任意の遺伝子操作した細菌において、細胞の生存および/または増殖に必要な遺伝子を削除するか、または突然変異させる。一実施形態では、必須遺伝子はDNA合成遺伝子、例えば、thyAである。別の実施形態では、必須遺伝子は細胞壁合成遺伝子、例えば、dapAである。さらに別の実施形態では、必須遺伝子はアミノ酸遺伝子、例えばserAまたはMetAである。限定されるわけではないが、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1を含む、細胞の生存および/または増殖に必要な任意の遺伝子が、対応する野生型遺伝子が細菌で生成されない限り、標的となり得る。例えば、チミンは細菌の細胞増殖に必要な核酸であり、それが欠けると、細菌は細胞死する。thyA遺伝子は、チミジル酸シンセターゼ、つまりdUMPをdTMPに変換することによりチミン合成の第1段階を触媒する酵素をコードする(Sat et al.,2003)。一部の実施形態では、本開示の細菌細胞はthyA栄養要求株であり、ここにおいてthyA遺伝子は削除されている、および/または無関係の遺伝子に置換されている。thyA栄養要求株は、例えば、チミンをin vitroで増殖培地に加えることにより十分な量のチミンが存在する場合、または、in vivoのヒト消化管において天然に見られる高レベルのチミンが存在する場合にのみ、増殖することが可能である。一部の実施形態では、本開示の細菌細胞は、哺乳類の消化管に該細菌が存在する場合に補完される遺伝子において、栄養要求的である。十分な量のチミンがない場合、thyA栄養要求株は死滅する。一部の実施形態では、栄養要求性改変を利用して、栄養要求性遺伝子の生成物がない場合は(例えば消化管の外)、細菌細胞が生存できないようにする。

0122

ジアミノピメリン酸(DAP)は、リシン生合成経路内で合成されるアミノ酸であり、細菌の細胞壁成長に必要である(Meadow et al.,1959;Clarkson et al.,1971)。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作した細菌はいずれもdapD栄養要求株であり、ここにおいてdapDは削除されている、および/または、無関係の遺伝子と置き換えられている。dapD栄養要求株は、例えば、DAPをin vitroで増殖培地に加えることにより十分な量のDAPが存在する場合でのみ、増殖することが可能である。十分な量のDAPがなければ、dapD栄養要求株は死滅する。一部の実施形態では、栄養要求性改変を利用して、栄養要求性遺伝子の生成物がない場合は(例えば消化管の外)、細菌細胞が生存できないようにする。

0123

他の実施形態では、本開示の遺伝子操作した細菌は、uraA栄養要求株であり、ここにおいてuraAは削除されている、および/または、無関係の遺伝子と置き換えられている。uraA遺伝子は、UraA、ピリミジンウラシルの吸収およびそれに続く代謝を促進する膜結合性輸送体をコードする(Andersen et al.,1995)。uraA栄養要求株は、例えば、ウラシルをin vitroで増殖培地に加えることにより十分な量のウラシルが存在する場合にのみ、増殖することが可能である。十分な量のウラシルがなければ、uraA栄養要求株は死滅する。一部の実施形態では、栄養要求性改変を利用して、栄養要求性遺伝子の生成物がない場合は(例えば消化管の外)、細菌が生存できないようにする。

0124

複雑なコミュニティでは、細菌はDNAを共有することが可能である。非常に稀な状況で、栄養要求性細菌株は、非栄養要求性株からDNAを受け取ることができ、これは遺伝子の欠失を修復し、栄養要求株を永続的にレスキューする。そのため、2つ以上の栄養要求株で細菌株を操作することにより、栄養要求性をレスキューするのに十分な回数でDNA転移が起きる可能性を著しく減らすことができる。一部の実施形態では、本発明の遺伝子操作した細菌では、細胞の生存および/または増殖に必要な2つ以上の遺伝子を削除するか、突然変異させる。

0125

必須遺伝子の他の例としては、限定されるわけではないが、yhbV、yagG、hemB、secD、secF、ribD、ribE、thiL、dxs、ispA、dnaX、adk、hemH、lpxH、cysS、fold、rplT、infC、thrS、nadE、gapA、yeaZ、aspS、argS、pgsa、yefM、metG、folE、yejM、gyrA、nrdA、nrdB、folC、accD、fabB、gltX、ligA、zipA、dapE、dapA、der、hisS、ispG、suhB、tadA、acpS、era、rnc、ftsB、eno、pyrG、chpR、lgt、fbaA、pgk、yqgD、metK、yqgF、plsC、ygiT、pare、ribB、cca、ygjD、tdcF、yraL、yihA、ftsN、murI、murB、birA、secE、nusG、rplJ、rplL、rpoB、rpoC、ubiA、plsB、lexA、dnaB、ssb、alsK、groS、psd、orn、yjeE、rpsR、chpS、ppa、valS、yjgP、yjgQ、dnaC、ribF、lspA、ispH、dapB、folA、imp、yabQ、ftsL、ftsI、murE、murF、mraY、murD、ftsW、murG、murC、ftsQ、ftsA、ftsZ、lpxC、secM、seca、can、folK、hemL、yadR、dapD、map、rpsB、infB ,nusA、ftsH、obgE、rpma、rplU、ispB、murA、yrbB、yrbK、yhbN、rpsI、rplM、degS、mreD、mreC、mreB、accB、accC、yrdC、def、fmt、rplQ、rpoA、rpsD、rpsK、rpsM、entD、mrdB、mrdA、nadD、hlepB、rpoE、pssA、yfiO、rplS、trmD、rpsP、ffh、grpE、yfjB、csrA、ispF、ispD、rplW、rplD、rplC、rpsJ、fusA、rpsG、rpsL、trpS、yrfF、asd、rpoH、ftsX、ftsE、ftsY、frr、dxr、ispU、rfaK、kdtA、coaD、rpmB、dfp、dut、gmk、spot、gyrB、dnaN、dnaA、rpmH、rnpA、yidC、tnaB、glmS、glmU、wzyE、hemD、hemC、yigP、ubiB、ubiD、hemG、secY、rplO、rpmD、rpsE、rplR、rpLF、rpsH、rpsN、rplE、rplX、rplN、rpsQ、rpmC、rplP、rpsC、rplV、rpsS、rplB、cdsA、yaeL、yaeT、lpxD、fabZ、lpxA、lpxB、dnaE、accA、tilS、proS、yafF、tsf、pyrH、olA、rlpB、leuS、lnt、glnS、fldA、cydA、infA、cydC、ftsK、lolA、serS、rpsA、msbA、lpxK、kdsB、mukF、mukE、mukB、asnS、fabA、mviN、rne、yceQ、fabD、fabG、acpP、tmk、holB、lolC、lolD、lolE、purB、ymfK、minE、mind、pth、rsA、ispE、lolB、hemA、prfA、prmC、kdsA、topA、ribA、fabI、racR、dicA、ydfB、tyrS、ribC、ydiL、pheT、pheS、yhhQ、bcsB、glyQ、yibJ、およびgpsAが挙げられる。他の必須遺伝子も当業者には既知である。

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