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課題・解決手段

本明細書において、第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域が報告され、(a)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ(b)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ(c)該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる親和性を有しており、該第1のFc領域ポリペプチドもしくは該第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドが、互いに独立して、本出願で特定された変異または変異の組み合わせを含む。

概要

背景

背景
新生児Fc受容体(FcRn)は、IgGクラスの抗体のインビボでの代謝運命にとって重要である。FcRnは、リソソーム分解経路からIgG救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を長くする。これは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、クラスIgGの抗体のFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。クラスIgGの抗体とFcRnとの相互作用は、pHに依存しており、1:2の化学量論比で起こる。すなわち、1つのIgG抗体分子が、その2つの重鎖Fc領域ポリペプチドを介して、2つのFcRn分子と相互作用することができる(例えば、Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083(非特許文献1))を参照されたい)。

したがって、IgGのインビトロでのFcRn結合特性/特徴は、血液循環におけるインビボでのその薬物動態学的特性であることを指し示している

FcRnとIgGクラスの抗体のFc領域との相互作用には、重鎖CH2ドメインおよびCH3ドメインの異なるアミノ酸残基関与している。

FcRn結合およびそれと共に血液循環における半減期に影響を及ぼす様々な変異が公知である。マウスFc領域とマウスFcRnの相互作用に決定的に重要なFc領域残基は、部位特異的変異誘発によって同定されている(例えば、Dall'Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180(非特許文献2)を参照されたい)。残基I253、H310、H433、N434、およびH435(KabatのEU指標番号付与ステムに基づく番号付与)が、相互作用に関与している(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536(非特許文献3); Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献4); Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548(非特許文献5))。残基I253、H310、およびH435が、ヒトFc領域とマウスFcRnの相互作用に決定的に重要であることが判明した(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2885(非特許文献6))。

FcRnへのFc領域(および同様にIgG)結合を増大させるための方法は、Fc領域中の様々なアミノ酸残基:Thr250、Met252、Ser254、Thr256、Thr307、Glu380、Met428、His433、およびAsn434を変異させることによって実施されている(Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789(非特許文献7); Ropeenian, D.C., et al., Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725(非特許文献8)を参照されたい)。

タンパク質間の相互作用研究によってFcRn結合を改良するために、変異M252Y、S254T、T256Eの組み合わせがDall'Acquaらによって説明されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524(非特許文献9))。ヒトFc領域-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、およびY436が相互作用に決定的に重要であることが示された(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献4); Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604(非特許文献10))。Yeung, Y.A., et al. (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671(非特許文献11))において、残基248〜259位および301〜317位および376〜382位および424〜437位の様々な変異体報告され検査されている。

概要

本明細書において、第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域が報告され、(a)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ(b)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ(c)該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる親和性を有しており、該第1のFc領域ポリペプチドもしくは該第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドが、互いに独立して、本出願で特定された変異または変異の組み合わせを含む。

目的

本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞において核酸発現できる、本明細書において報告される核酸を含む発現ベクター、および本明細書において報告される二重特異性抗体組換え作製するためのそのようなベクターを含む宿主細胞を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域であって、(a)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ(b)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ(c)該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる親和性を有しており、該第1のFc領域ポリペプチドもしくは該第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドが、互いに独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:-T307H、または-Q311H、または-E430H、または-N434H、または-T307HおよびQ311H、または-T307HおよびE430H、または-T307HおよびN434A、または-T307HおよびN434H、または-T307QおよびQ311H、または-T307QおよびE430H、または-T307QおよびN434H、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eのうちの1つを含む、IgGクラスFc領域。

請求項2

前記ヒトFc受容体がヒト新生児型Fc受容体である、請求項1に記載のIgGクラスFc領域。

請求項3

前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基が、ヘテロ二量体IgGクラスFc領域の形成を促進する、請求項1または2に記載のIgGクラスFc領域。

請求項4

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235Aを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235Eを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異K392Dを有するヒトIgG1、IgG2、またはIgG4、および変異N392Dを有するヒトIgG3を含む群より選択され、かつ、(ii)前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235Aを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235Eを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異D399K、D356K、および/またはE357Kを有するヒトIgG1、ならびに変異D399K、E356K、および/またはE357Kを有するヒトIgG2、IgG3、またはIgG4を含む群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項5

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(ii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235Aを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235Aを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(iii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329Gを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(iv)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(v)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(vi)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(vii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235Eを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235Eを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(viii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329Gを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(ix)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(x)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329G、S354C、T366Wを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有するヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(xi)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異K392Dを有するヒトIgG1、IgG2、もしくはIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、または該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異N392Dを有するヒトIgG3 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異D399K、D356K、および/もしくはE357Kを有するヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、または該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異D399K、E356K、および/もしくはE357Kを有するヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4 Fc領域ポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域を含む、抗体。

請求項7

モノクローナル抗体である、請求項6に記載の抗体。

請求項8

ヒト抗体ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項6または7に記載の抗体。

請求項9

二重特異性抗体である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の抗体。

請求項10

二価抗体である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の抗体。

請求項11

請求項6〜10いずれか一項に記載の抗体を含む、薬学的製剤

請求項12

血管疾患治療における使用のためである、請求項11に記載の薬学的製剤。

請求項13

医薬としての使用のための、請求項6〜10のいずれか一項に記載の抗体。

請求項14

眼血管疾患の治療のためである、請求項13に記載の使用。

請求項15

医薬の製造における、請求項6〜10のいずれか一項に記載の抗体の使用。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、Fc受容体、特にFcRnとの相互作用に関して非対称的に修飾された抗体およびFc領域融合ポリペプチド、ならびにそれを使用する方法に関する。

背景技術

0002

背景
新生児型Fc受容体(FcRn)は、IgGクラスの抗体のインビボでの代謝運命にとって重要である。FcRnは、リソソーム分解経路からIgG救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を長くする。これは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、クラスIgGの抗体のFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。クラスIgGの抗体とFcRnとの相互作用は、pHに依存しており、1:2の化学量論比で起こる。すなわち、1つのIgG抗体分子が、その2つの重鎖Fc領域ポリペプチドを介して、2つのFcRn分子と相互作用することができる(例えば、Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083(非特許文献1))を参照されたい)。

0003

したがって、IgGのインビトロでのFcRn結合特性/特徴は、血液循環におけるインビボでのその薬物動態学的特性であることを指し示している

0004

FcRnとIgGクラスの抗体のFc領域との相互作用には、重鎖CH2ドメインおよびCH3ドメインの異なるアミノ酸残基関与している。

0005

FcRn結合およびそれと共に血液循環における半減期に影響を及ぼす様々な変異が公知である。マウスFc領域とマウスFcRnの相互作用に決定的に重要なFc領域残基は、部位特異的変異誘発によって同定されている(例えば、Dall'Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180(非特許文献2)を参照されたい)。残基I253、H310、H433、N434、およびH435(KabatのEU指標番号付与ステムに基づく番号付与)が、相互作用に関与している(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536(非特許文献3); Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献4); Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548(非特許文献5))。残基I253、H310、およびH435が、ヒトFc領域とマウスFcRnの相互作用に決定的に重要であることが判明した(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2885(非特許文献6))。

0006

FcRnへのFc領域(および同様にIgG)結合を増大させるための方法は、Fc領域中の様々なアミノ酸残基:Thr250、Met252、Ser254、Thr256、Thr307、Glu380、Met428、His433、およびAsn434を変異させることによって実施されている(Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789(非特許文献7); Ropeenian, D.C., et al., Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725(非特許文献8)を参照されたい)。

0007

タンパク質間の相互作用研究によってFcRn結合を改良するために、変異M252Y、S254T、T256Eの組み合わせがDall'Acquaらによって説明されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524(非特許文献9))。ヒトFc領域-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、およびY436が相互作用に決定的に重要であることが示された(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献4); Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604(非特許文献10))。Yeung, Y.A., et al. (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671(非特許文献11))において、残基248〜259位および301〜317位および376〜382位および424〜437位の様々な変異体報告され検査されている。

先行技術

0008

Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083
Dall'Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180
Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536
Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002
Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548
Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2885
Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789
Ropeenian, D.C., et al., Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725
Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524
Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604
Yeung, Y.A., et al. (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671

0009

概要
個々のFc領域ポリペプチド中の非対応位置のアミノ酸残基を改変することによって、これらの改変がFcRn結合の変更に共同で作用するため、抗体またはFc領域融合ポリペプチドのFcRn結合を変更できることが判明している。本明細書において報告される抗体およびFc領域融合ポリペプチドは、例えば、特定の目的に合わせた全身滞留時間が必要とされる疾患の治療に有用である。

0010

対応する野生型Fc領域と比べてFcRn結合特性が変更された変種Fc領域が、本明細書において報告される。これらの変種Fc領域は、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに特定のアミノ酸変異を含む。これらの変異を、単独で、またはFc領域の同じ重鎖中にもしくは両方の重鎖中に割り当てて組み合わせて使用した場合、変種Fc領域のインビボ半減期を目的に合わせて設計できることが判明している。

0011

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、同じ親(ヒト)IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中のKabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に(a)の(親)ヒトFc領域ポリペプチドと)同じアミノ酸残基を有する(ヒト)IgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0012

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中のその対応位置に(対応するヒトFc領域中と)同じアミノ酸残基を有するIgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0013

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列と1つまたは複数のアミノ酸残基が異なり、かつ
第2のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列と1つまたは複数のアミノ酸残基が異なり、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含む親IgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0014

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ第2のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドが、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するように、第1のFc領域ポリペプチド中および/または第2のFc領域ポリペプチド中に1つまたは複数の変異が導入され、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0015

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、変種(ヒト)IgGクラスヘテロ二量体Fc領域である。

0016

全局面の1つの態様において、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドおよび第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドは、非ヒトIgGクラスFc領域ポリペプチドである。

0017

全局面の1つの態様において、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドおよび第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドは、同じIgGクラスFc領域ポリペプチドである。

0018

全局面の1つの態様において、ヘテロ二量体は、二量体(機能的)Fc領域を形成するために第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0019

全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基において互いに独立してそれぞれの親IgGクラスFc領域ポリペプチドと異なる。

0020

全局面の1つの態様において、IgGクラスは、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4より選択される。

0021

全局面の1つの態様において、ヒトFc受容体は、ヒト新生児型Fc受容体およびヒトFcγ受容体より選択される。

0022

全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置において、1個または2個または3個または4個または5個または6個または7個または8個または9個または10個または11個または12個のアミノ酸残基が第2のFc領域ポリペプチドと異なる。

0023

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドもしくは第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドは、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0024

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドもしくは第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドは、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-E430H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0025

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、
第1のFc領域ポリペプチドは、第2のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430 HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含み、
かつ、
第2のFc領域ポリペプチドは、第1のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0026

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、
第1のFc領域ポリペプチドは、第2のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-E430H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含み、
かつ、
第2のFc領域ポリペプチドは、第1のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-T307Q、または
-E430H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0027

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異の組み合わせ:
-なし、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、
のうちの1つ、
ならびに、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-なし
-T307H、または
-T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つ
を含み、
かつ、第2のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-第1のFc領域ポリペプチドが、少なくとも1つの変異を含む場合には、なし、または
-T307H、または
-第1のFc領域ポリペプチドがT307Q変異だけを含むのではない場合には、T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせM252YおよびS254TおよびT256Eだけを含むのではない場合には、M252YおよびS254TおよびT256E、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせI253AおよびH310AおよびH435Aだけを含むのではない場合には、I253AおよびH310AおよびH435A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせH310AおよびH433AおよびY436Aだけを含むのではない場合には、H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つを含む。

0028

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異の組み合わせ:
-なし、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、
のうちの1つ、
ならびに、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-なし
-T307H、または
-T307Q、または
-E430H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つ
を含み、
かつ、第2のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-第1のFc領域ポリペプチドが少なくとも1つの変異を含む場合には、なし、または
-T307H、または
-第1のFc領域ポリペプチドがT307Q変異だけを含むのではない場合には、T307Q、または
-E430H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせM252YおよびS254TおよびT256Eだけを含むのではない場合には、M252YおよびS254TおよびT256E、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせI253AおよびH310AおよびH435Aだけを含むのではない場合には、I253AおよびH310AおよびH435A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせH310AおよびH433AおよびY436Aだけを含むのではない場合には、H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つを含む。

0029

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0030

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびN434Yを含む。

0031

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびV308PおよびN434YおよびY436Hを含む。

0032

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0033

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0034

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0035

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T250QおよびM428Lを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0036

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびN434Hを含む。

0037

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含む。

0038

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含む。

0039

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0040

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含む。

0041

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Aを含む。

0042

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含む。

0043

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0044

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含む。

0045

1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407V(「ホールFc領域ポリペプチド」)をさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異S354CおよびT366W(「ノブFc領域ポリペプチド」)をさらに含む。

0046

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、ヒトIgG1サブクラスの第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異P329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235AおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含むか、または
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235AおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0047

1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、ヒトIgG4サブクラスの第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異P329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235EおよびP329G (KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み、
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235EおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0048

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域を含む、抗体またはFc領域融合ポリペプチドである。

0049

1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。

0050

1つの態様において、抗体は、ヒト抗体ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。

0051

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域をコードする核酸である。

0052

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸である。

0053

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドをコードする核酸である。

0054

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される核酸を含む宿主細胞である。

0055

本明細書において報告される1つの局面は、変種(ヒト)IgGクラスFc領域が産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域を作製する方法である。

0056

本明細書において報告される1つの局面は、抗体が産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告される抗体を作製する方法である。

0057

本明細書において報告される1つの局面は、Fc領域融合ポリペプチドが産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドを作製する方法である。

0058

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドを含む、薬学的製剤である。

0059

本明細書において報告される1つの局面は、医薬としての使用のための、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドである。

0060

本明細書において報告される1つの局面は、医薬の製造における、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドの使用である。

0061

本明細書において報告される抗体は、例えば、T細胞リクルーターとして、生物学的活性(効力)が高く、かつ血液循環(血清)からのクリアランスが速いFcγ受容体結合物として、全身性副作用を減らすための、クリアランスが速い抗体-薬物コンジュゲートとして、またはプレターゲティング抗体として、使用することができる。

図面の簡単な説明

0062

異なる(変種)Fc領域、すなわち、1:I253A/H310A/H435A変異;2:野生型Fc領域;3:一方のFc領域ポリペプチド中にM252Y/S254T/T256E、もう一方は野生型Fc領域;4:両方のFc領域ポリペプチド中にM252Y/S254T/T256E;5:ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E、ホール鎖:T307Q/N434Aを含む抗体のFcRnアフィニティークロマトグラフィー溶出曲線の例示的概略図。
異なる(変種)Fc領域、すなわち、1:野生型Fc領域;2:糖鎖を操作されたFc領域;3:T307Q/N434A;4:T307H/N434H;5:T307H/N434H/M252Y/S254T/T256E;6:N434H;7:M252Y/S254T/T256Eを含む抗体のFcRnアフィニティークロマトグラフィー溶出曲線。
異なる(変種)Fc領域、すなわち、1:ホール鎖-ノブ鎖Fc領域;2:ホール鎖:T307Q/N434A、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E;3:ホール鎖:T307H/N434H、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E;4:ホール鎖:T250Q/M428L、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E;5:ホール鎖:T307Q、N434H、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E/T307Q/N434H;6:ホール鎖:T307H/Q311H/E430H/N434H、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E;7:ホール鎖:T307H/Q311H/E430H/N434H、ノブ鎖:M252Y/S254T/T256E/T307H/Q311H/E430H/N434H;8:ホール鎖/ノブ鎖:M252Y/S254T/T256Eを含む抗体のFcRnアフィニティークロマトグラフィー溶出曲線。

0063

発明の態様の詳細な説明
I.定義
「約」という用語は、その後に続く数値の+/-20%の範囲を意味する。1つの態様において、約という用語は、その後に続く数値の+/-10%の範囲を意味する。1つの態様において、約という用語は、その後に続く数値の+/-5%の範囲を意味する。

0064

本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよいか、またはアミノ酸配列改変を含んでもよい。いくつかの態様において、アミノ酸改変の数は、10個もしくはそれ未満、9個もしくはそれ未満、8個もしくはそれ未満、7個もしくはそれ未満、6個もしくはそれ未満、5個もしくはそれ未満、4個もしくはそれ未満、3個もしくはそれ未満、または2個もしくはそれ未満である。いくつかの態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。

0065

「親和性成熟」抗体とは、抗原に対する抗体の親和性を向上させるような改変を有していない親抗体と比べて、1つまたは複数の超可変領域(HVR)に1つまたは複数の改変を有する抗体を意味する。

0066

「改変」という用語は、修飾された抗体または融合ポリペプチドを得るための、親抗体または融合ポリペプチド、例えば、Fc領域に関する少なくとも1つのFcRn結合部分を含む融合ポリペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸残基の変異(置換)、挿入(付加)、または欠失を意味する。「変異」という用語は、異なるアミノ酸残基を特定のアミノ酸残基で置換することを意味する。例えば、変異L234Aは、抗体Fc領域(ポリペプチド)中の234位のアミノ酸残基リジンがアミノ酸残基アラニンによって置換されていること(アラニンによるリジンの置換)(EU指標に基づく番号付与)を意味する。

0067

「アミノ酸変異」という用語は、少なくとも1つの既存のアミノ酸残基を別の異なるアミノ酸残基(=置換アミノ酸残基)で置換することを意味する。置換アミノ酸残基は、「天然に存在するアミノ酸残基」であってよく、アラニン(3文字記号:ala、1文字記号:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、およびバリン(val、V)からなる群より選択され得る。置換アミノ酸残基は、「天然に存在しないアミノ酸残基」であってよい。例えば、US 6,586,207、WO 98/48032、WO 03/073238、US 2004/0214988、WO 2005/35727、WO 2005/74524、Chin, J.W., et al., J. Am. Chem. Soc. 124 (2002) 9026-9027; Chin, J.W. and Schultz, P.G., ChemBioChem 11 (2002) 1135-1137; Chin, J.W., et al., PICAS United States of America 99 (2002) 11020-11024;および Wang, L. and Schultz, P.G., Chem. (2002) 1-10(すべて、参照により全体が本明細書に組み入れられる)を参照されたい。

0068

アミノ酸挿入」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置に少なくとも1つのアミノ酸残基を(付加的に)組み入れることを意味する。1つの態様において、挿入は、1つまたは2つのアミノ酸残基の挿入である。挿入されるアミノ酸残基は、任意の天然に存在するアミノ酸残基または天然に存在しないアミノ酸残基であることができる。

0069

アミノ酸欠失」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置において少なくとも1つのアミノ酸残基が取り除かれることを意味する。

0070

本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、限定されるわけではないがモノクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体三重特異性抗体)、ならびに所望の抗原結合活性および/またはプロテインA結合活性および/またはFcRn結合活性を示す限りにおいて抗体断片を含む、様々な抗体構造体を包含する。

0071

「非対称Fc領域」という用語は、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に異なるアミノ酸残基を有する一対のFc領域ポリペプチドを意味する。

0072

「FcRn結合に関する非対称Fc領域」という用語は、対応位置に異なるアミノ酸残基を有する2つのポリペプチド鎖からなるFc領域を意味し、これらの位置はKabatのEU指標番号付与システムに基づいて決定され、それらの異なる位置は、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)へのFc領域の結合に影響を及ぼす。本明細書の目的において、「FcRn結合に関する非対称Fc領域」におけるFc領域の2つのポリペプチド鎖の差異には、例えば二重特異性抗体を作製する目的で、ヘテロ二量体Fc領域の形成を促進させるために導入された差異は含まれない。これらの差異もまた、非対称であり得る。すなわち、それら2つの鎖は、KabatのEU指標番号付与システムに基づく非対応アミノ酸残基において差異を有する。これらの差異は、ヘテロ二量体化を促進し、ホモ二量体化を減少させる。このような差異の例は、いわゆる「ノブイントゥーホール」置換である(例えば、US 7,695,936およびUS 2003/0078385を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖における次のノブアンドホール(knobs and holes)置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:(1)一方の鎖におけるY407Tおよび他方の鎖におけるT366Y;(2)一方の鎖におけるY407Aおよび他方の鎖におけるT366W;(3)一方の鎖におけるF405Aおよび他方の鎖におけるT394W;(4)一方の鎖におけるF405Wおよび他方の鎖におけるT394S;(5)一方の鎖におけるY407Tおよび他方の鎖におけるT366Y;(6)一方の鎖におけるT366YおよびF405A、ならびに他方の鎖におけるT394WおよびY407T;(7)一方の鎖におけるT366WおよびF405W、ならびに他方の鎖におけるT394SおよびY407A;(8)一方の鎖におけるF405WおよびY407A、ならびに他方の鎖におけるT366WおよびT394S;ならびに(9)一方の鎖におけるT366W、ならびに他方の鎖におけるT366S、L368A、およびY407V;ここで、最後に挙げたものが特に適している。さらに、2つのFc領域ポリペプチド鎖の間に新しいジスルフィド架橋を生成する変更も、ヘテロ二量体形成を促進する(例えば、US 2003/0078385を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖に新しい鎖内ジスルフィド結合を形成させるための適切な間隔を空けて離れたシステイン残基をもたらす次の置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるS354C;一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるE356C;一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるE357C;一方の鎖におけるL351Cおよび他方の鎖におけるS354C;一方の鎖におけるT394Cおよび他方の鎖におけるE397C;または一方の鎖におけるD399Cおよび他方の鎖におけるK392C。ヘテロ二量体化を促進するアミノ酸変更のさらに別の例は、いわゆる「電荷対置換」である(例えば、WO 2009/089004を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖における次の電荷対置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:(1)一方の鎖におけるK409DまたはK409Eおよび他方の鎖におけるD399KまたはD399R;(2)一方の鎖におけるK392DまたはK392Eおよび他方の鎖におけるD399KまたはD399R;(3)一方の鎖におけるK439DまたはK439Eおよび他方の鎖におけるE356KまたはE356R;(4)一方の鎖におけるK370DまたはK370Eおよび他方の鎖におけるE357KまたはE357R;(5)一方の鎖におけるK409DおよびK360Dならびに(plus)他方の鎖におけるD399KおよびE356K;(6)一方の鎖におけるK409DおよびK370Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびE357K;(7)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399K、E356K、およびE357K;(8)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399K;(9)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびE356K;(10)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびD357K;(11)一方の鎖におけるK409DおよびK370Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびD357K;(12)一方の鎖におけるD399Kならびに他方の鎖におけるK409DおよびK360D;ならびに(13)一方の鎖におけるK409DおよびK439Dならびに他方におけるD399KおよびE356K。

0073

「(抗原への)結合」という用語は、インビトロのアッセイ法における、1つの態様においては、表面に抗体を結合し、その抗体への抗原の結合を表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定する結合アッセイ法における、抗原への抗体の結合を示す。結合とは、10-8Mまたはそれ未満、いくつかの態様において、10-13〜10-8M、いくつかの態様において、10-13〜10-9Mの結合親和性(KD)を意味する。

0074

結合は、BIAcoreアッセイ法(GE Healthcare Biosensor AB, Uppsala, Sweden)によって調査することができる。結合親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体から得られる抗体の会合速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)を用いて定義される。

0075

キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部分は、ある特定の供給源または種に由来するが、重鎖および/または軽鎖の残りの部分は、異なる供給源または種に由来する、抗体を意味する。

0076

「CH2ドメイン」という用語は、おおよそEU位置231位からEU位置340位(Kabatに基づくEU番号付与システム)まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、CH2ドメインは、

のアミノ酸配列を有する。

0077

「CH3ドメイン」は、おおよそEU位置341位からEU位置446位まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、CH3ドメインは、

のアミノ酸配列を有する。

0078

抗体の「クラス」という用語は、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域のタイプを意味する。抗体には5つの主要なクラス、すなわちIgAIgDIgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γ、およびμとそれぞれ呼ばれる。

0079

「同程度の長さ」という用語は、2つのポリペプチドが、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1つもしくは複数の最大10個までのアミノ酸残基分だけ長さが異なり得ることを意味する。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜10個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜5個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜3個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。

0080

「〜に由来する」という用語は、あるアミノ酸配列が、少なくとも1つの位置に改変を導入することによって親アミノ酸配列から誘導されることを意味する。したがって、誘導されたアミノ酸配列は、少なくとも1つの対応位置(抗体Fc領域に対するKabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)において、対応する親アミノ酸配列と異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜15個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜10個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜6個のアミノ酸残基が異なる。同様に、誘導されたアミノ酸配列は、その親アミノ酸配列に対して高いアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、80%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、90%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、95%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。

0081

エフェクター機能」とは、抗体クラスによって異なる、抗体のFc領域に起因し得る生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化が含まれる。

0082

作用物質、例えば薬学的製剤の「有効量」とは、必要な投与量および期間で、所望の治療的結果または予防的結果を実現するのに有効な量を意味する。

0083

「Fc融合ポリペプチド」という用語は、結合ドメイン(例えば、単鎖抗体のような抗原結合ドメインまたは受容体のリガンドのようなポリペプチド)と所望の標的結合活性および/またはプロテインA結合活性および/またはFcRn結合活性を示す抗体Fc領域との融合物を意味する。

0084

ヒト起源のFc領域」という用語は、ヒンジ領域についての少なくとも1つの部分、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、ヒト起源の免疫グロブリン重鎖C末端領域を意味する。1つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226またはPro230からカルボキシル末端まで伸びる。1つの態様において、Fc領域は、SEQID NO: 60のアミノ酸配列を有する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば存在しない場合もある。本明細書において別段の指定が無い限り、Fc領域中または定常領域中のアミノ酸残基の番号付与は、EU指標とも呼ばれるEU番号付与システムに基づき、これは、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91 3242において説明されている。Fc領域は、ポリペプチド間のジスルフィド結合を形成するヒンジ領域システイン残基によって互いに共有結合することができる2つの重鎖Fc領域ポリペプチドから構成される。

0085

「FcRn」という用語は、ヒト新生児型Fc受容体を意味する。FcRnは、リソソーム分解経路からIgGを救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を増大させる。FcRnは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、IgGのFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。IgGとFcRnの相互作用は、pHに厳密に依存しており、1:2の化学量論比で起こり、1つのIgGが、2つの重鎖を介して2つのFcRn分子に結合する(Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083)。酸性pH(pH<6.5)ではFcRn結合がエンドソーム中で起こり、中性の細胞表面(pH約7.4)ではIgGは遊離する。相互作用のpH感受性性質おかげで、エンドソームの酸性環境内での受容体への結合によって、細胞中飲作用されるIgGを細胞内分解からFcRnを介して保護することが容易になる。次いで、FcRnは、FcRn-IgG複合体が細胞外の中性pH環境に曝露された際に、細胞表面にIgGを再循環させ、続いて血流中に放出するのを促進する。

0086

「Fc領域のFcRn結合部分」という用語は、おおよそEU位置243位からEU位置261位、ならびにおおよそEU位置275位からEU位置293位、ならびにおおよそEU位置302位からEU位置319位、ならびにおおよそEU位置336位からEU位置348位、ならびにおおよそEU位置367位からEU位置393位およびEU位置408位、ならびにおおよそEU位置424位からEU位置440位まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、KabatのEU番号付与に基づく次のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数が改変される:F243、P244、P245 P、K246、P247、K248、D249、T250、L251、M252、I253、S254、R255、T256、P257、E258、V259、T260、C261、F275、N276、W277、Y278、V279、D280、V282、E283、V284、H285、N286、A287、K288、T289、K290、P291、R292、E293、V302、V303、S304、V305、L306、T307、V308、L309、H310、Q311、D312、W313、L314、N315、G316、K317、E318、Y319、I336、S337、K338、A339、K340、G341、Q342、P343、R344、E345、P346、Q347、V348、C367、V369、F372、Y373、P374、S375、D376、I377、A378、V379、E380、W381、E382、S383、N384、G385、Q386、P387、E388、N389、Y391、T393、S408、S424、C425、S426、V427、M428、H429、E430、A431、L432、H433、N434、H435、Y436、T437、Q438、K439、およびS440(EU番号付与)。

0087

「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。一般に、可変ドメインのFRは、4つのFRドメイン、すなわちFR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、一般に、HVR配列およびFR配列は、VH(またはVL)中に次の順序で現われる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。

0088

完全長抗体」という用語は、ネイティブ抗体の構造に実質的に同様の構造を有するか、または本明細書において定義するFc領域を含む重鎖を有する、抗体を意味する。完全長抗体は、例えば、完全長抗体の鎖のうちの1つまたは複数にコンジュゲートされたscFvまたはscFabなどのさらなるドメインを含んでよい。これらのコンジュゲートもまた、完全長抗体という用語に包含される。

0089

「ヘテロ二量体」または「ヘテロ二量体の」という用語は、(例えば、同程度の長さの)2つのポリペプチド鎖を含む分子を意味し、これら2つのポリペプチド鎖は、KabatのEU指標に基づいて決定される対応位置において少なくとも1つの異なるアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を有する。

0090

ホモ二量体」および「ホモ二量体の」という用語は、同程度の長さの2つのポリペプチド鎖を含む分子を意味し、これら2つのポリペプチド鎖は、KabatのEU指標に基づいて決定される対応位置において同一であるアミノ酸配列を有する。

0091

本明細書において報告される抗体またはFc領域融合ポリペプチドは、そのFc領域に関してホモ二量体またはヘテロ二量体であることができ、これは、重点が置かれている(focus)変異または特性を基準にして決定される。例えば、FcRn結合および/またはプロテインA結合(すなわち、特性に重点が置かれている)に関して、Fc領域(抗体)は、変異H310A、H433A、およびY436A(これらの変異は、Fc領域融合ポリペプチドまたは抗体のFcRn結合特性および/またはプロテインA結合特性に関して重点が置かれている)についてホモ二量体である(すなわち、両方の重鎖Fc領域ポリペプチドがこれらの変異を含む)が、同時に、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407V(これらの変異は、重鎖のヘテロ二量体化を対象としており、FcRn/プロテインA結合特性を対象としていないため、これらの変異は、重点が置かれていない)ならびに変異S354CおよびT366W、それぞれについてヘテロ二量体である(第1のセットは第1のFc領域ポリペプチドにのみ含まれ、第2のセットは、第2のFc領域ポリペプチドにのみ含まれる)。さらに、例えば、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドまたは抗体は、変異I253A、H310A、H433A、H435A、およびY436A(すなわち、これらの変異はすべて、二量体ポリペプチドのFcRn結合特性および/またはプロテインA結合特性を対象としている)についてヘテロ二量体であることができ、すなわち、一方のFc領域ポリペプチドが変異I253A、H310A、およびH435Aを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含む。

0092

「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は同義的に使用され、外来性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて意味する。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫が継代回数に関わらず含まれる。子孫の核酸内容は親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物活性を有する変異子孫は、本明細書に含まれる。

0093

「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生されるか、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を使用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的には除く。

0094

「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLまたはVHのフレームワーク配列の選抜物(selection)において最も多く存在するアミノ酸残基に相当するフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL配列またはVH配列の選抜物は、可変ドメイン配列サブグループに由来する。通常、配列のサブグループは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Bethesda MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3に記載されているようなサブグループである。1つの態様において、VLについて、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループκIである。1つの態様において、VHについて、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループIIIである。

0095

「ヒトFc領域ポリペプチド」という用語は、「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドと同一であるアミノ酸配列を意味する。「変種(ヒト)Fc領域ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つの「アミノ酸改変」によって「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドから誘導されるアミノ酸配列を意味する。「ヒトFc領域」は、2つのヒトFc領域ポリペプチドからなる。「変種(ヒト)Fc領域」は、2つのFc領域ポリペプチドからなり、両方が変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドであってもよいか、または一方がヒトFc領域ポリペプチドでありかつ他方が変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドである。

0096

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、SEQID NO: 03のヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 04のヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 05のヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 06のヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドのアミノ酸配列を有する。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のFc領域ポリペプチドに由来し、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドと比べて少なくとも1つのアミノ酸変異を有する。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、約1〜約12個のアミノ酸変異を、1つの態様において、約1〜約8個のアミノ酸変異を含む/有する。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約80%の相同性を有している。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約90%の相同性を有している。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約95%の相同性を有している。

0097

SEQID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドに由来する変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、含まれているアミノ酸改変に基づいて定義される。したがって、例えば、P329Gという用語は、SEQ ID NO: 03、または04、または05、または06のヒトFc領域ポリペプチドを基準として、アミノ酸位置329がプロリンからグリシンに変異した、ヒトFc領域ポリペプチドに由来する変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドを意味する。

0098

本明細書において使用される場合、重鎖および軽鎖のすべての定常領域およびドメインのアミノ酸位置は、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991) において説明されているKabat番号付与システムに基づいて番号を付けられ、本明細書において「Kabatに基づく番号付与」と呼ばれる。具体的には、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のKabat番号付与システム(647〜660頁を参照されたい)が、κアイソタイプおよびλアイソタイプの軽鎖定常ドメインCLのために使用され、KabatのEU指標番号付与システム(661〜723頁を参照されたい)が、定常重鎖ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3)のために使用される。

0099

ヒトIgG1Fc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0100

変異L234A、L235Aを有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0101

Y349C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0102

S354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0103

L234A変異、L235A変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0104

L234A変異、L235A変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0105

P329G変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0106

L234A変異、L235A変異、およびP329G変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0107

P239G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0108

P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0109

L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0110

L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0111

ヒトIgG4Fc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0112

S228P変異およびL235E変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0113

S228P変異、L235E変異、およびP329G変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0114

S354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0115

Y349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0116

S228P変異、L235E変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0117

S228P変異、L235E変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0118

P329G変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0119

P239G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0120

P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0121

S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0122

S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0123

ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基およびヒトFRに由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を意味する。特定の態様において、ヒト化抗体は、HVR(例えばCDR)のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のものに相当し、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト抗体のものに相当する、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域についての少なくとも1つの部分を任意で含んでよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、ヒト化を受けた抗体を意味する。

0124

本明細書において使用される「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変性であり(「相補性決定領域」もしくは「CDR」)、かつ特徴的な構造の(structurally defined)ループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/または抗原接触残基(「抗原接触部分(contact)」)を含む、抗体可変ドメインの各領域を意味する。一般に、抗体は6個のHVRを含む。3個はVH中にあり(H1、H2、H3)、3個はVL中にある(L1、L2、L3)。本明細書において示すHVRは、
(a)アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3)に存在する超可変ループ(Chothia, C. and Lesk, A.M., J. Mol. Biol. 196 (1987) 901-917);
(b)アミノ酸残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、31〜35b (H1)、50〜65(H2)、および95〜102(H3)に存在するCDR(Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242.);
(c)アミノ酸残基27c〜36(L1)、46〜55(L2)、89〜96(L3)、30〜35b(H1)、47〜58(H2)、および93〜101(H3)に存在する抗原接触部分(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに
(d)HVRアミノ酸残基46〜56(L2)、47〜56(L2)、48〜56(L2)、49〜56(L2)、26〜35(H1)、26〜35b(H1)、49〜65(H2)、93〜102(H3)、および94〜102(H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組み合わせ
を含む。

0125

別段の定めが無い限り、本明細書において、可変ドメイン中のHVR残基および他の残基(例えばFR残基)は、KabatのEU指標番号付与システム(Kabat et al.、前記)に従って番号を付与する。

0126

「個体」または「対象」は哺乳動物である。哺乳動物には、飼い慣らされた動物(例えば、ウシヒツジネコイヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、ならびにげっ歯動物(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、個体または対象はヒトである。

0127

「単離された」抗体とは、その天然環境の構成要素から分離された抗体である。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換HPLCもしくは逆相HPLC)によって測定した場合に95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度を評価するための方法に関する概要については、例えば、Flatman, S. et al., J. Chrom. B 848 (2007) 79-87を参照されたい。

0128

「単離された」核酸とは、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外に存在するか、または天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。

0129

本明細書において使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を意味する。すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、存在し得る変種抗体を除いて、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。例えば、天然に存在する変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物を作製する間に発生するこのような変種は通常、少量で存在する。様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基を対象とする。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の作製を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用するためのモノクローナル抗体は、限定されるわけではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部分を含むトランスジェニック動物を使用する方法を含む、様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのこのような方法および他の例示的な方法は、本明細書において説明される。

0130

「ネイティブ抗体」とは、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を意味する。例えば、ネイティブIgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)とそれに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)とそれに続く軽鎖定常(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。

0131

添付文書」という用語は、治療的製造物市販用パッケージ習慣的に含まれる、そのような治療的製造物の使用に関する適応症、用法、投与量、投与、併用療法禁忌、および/または警告についての情報を含む取扱い説明書を意味するのに使用される。

0132

参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」とは、配列を整列させ、かつ必要な場合にはギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを実現した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部分とみなさない、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当技術分野技能の範囲内である様々な方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを用いて、実現することができる。当業者は、比較される配列の全長に渡って最大限のアライメントを実現するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のためには、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を用いて、アミノ酸配列同一性%の値を得る。配列比較コンピュータープログラムALIGN-2は、Genentech, Inc.の著作物であり、ソースコードユーザー向け文書と共にU.S. Copyright Office, Washington D.C., 20559に提出され、米国著作権登録番号(U.S. Copyright Registration No.)TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech, Inc., South San Francisco, Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティング・システムにおける使用向けにコンパイルされるべきである。配列比較パラメーターはすべて、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。

0133

ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために使用される状況において、所与のアミノ酸配列Bに対する、該配列Bとの、または該配列Bと比較しての所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対する、該配列Bとの、または該配列Bと比較してのある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は、次のとおりに算出される。
100×X/Y比
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムによるAおよびBのアラインメントにおいて同一のマッチとして採点されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくならないが認識されると考えられる。別段の記載が特に無い限り、本明細書において使用されるアミノ酸配列同一性%の値はすべて、すぐ前の節で説明したとおりに、ALIGN-2コンピュータープログラムを用いて得られる。

0134

「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる有効成分の生物活性が有効になるのを可能にするような形態で存在し、かつその製剤が投与され得る対象に対して許容されないほど毒性である追加成分を含まない、調製物を意味する。

0135

薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、薬学的製剤中の有効成分以外の成分を意味する。薬学的に許容される担体には、緩衝剤賦形剤安定化剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0136

本明細書において使用される「ペプチドリンカー」という用語は、1つの態様において合成起源であるアミノ酸配列を有するペプチドを意味する。ペプチドリンカーは、1つの態様において、少なくとも30アミノ酸長、1つの態様において、32〜50アミノ酸長のアミノ酸配列を有するペプチドである。1つの態様において、ペプチドリンカーは、32〜40アミノ酸長のアミノ酸配列を有するペプチドである。1つの態様において、ペプチドリンカーは、G=グリシン、S=セリン、(x=3、n=8、9、もしくは10)または(x=4およびn=6、7、もしくは8)の(GxS)nであり、1つの態様において、x=4、n=6または7であり、1つの態様において、x=4、n=7である。1つの態様において、ペプチドリンカーは(G4S)6G2である。

0137

組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されるあらゆる抗体(キメラ、ヒト化、およびヒト)を意味する。これは、NS0細胞もしくはCHO細胞などの宿主細胞またはヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体、または宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現させた抗体を含む。このような組換え抗体は、可変領域および定常領域を再配列された形態で有する。本明細書において報告される組換え抗体は、インビボの体細胞超変異に供されてよい。したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来しかつ関連してはいるものの、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在し得ない配列である。

0138

本明細書において使用される場合、「治療(treatment)」(およびその文法的変形、例えば「治療する(treat)」または「治療すること(treating)」)は、治療される個体の自然経過を変化させようとする臨床的介入を意味し、予防のために、または臨床的病状過程中に、実施され得る。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の直接的または間接的な任意の病理学転帰の減少、転移の予防、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後改善が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、本発明において報告される抗体またはFc領域融合ポリペプチドは、疾患の発症を遅らせるため、または疾患の進行を遅くするために使用される。

0139

本出願内で使用される「価」という用語は、(抗体)分子中に特定の数の結合部位が存在することを意味する。したがって、「二価」、「四価」、および「六価」という用語は、(抗体)分子中に2個の結合部位、4個の結合部位、および6個の結合部位が存在することをそれぞれ意味する。本明細書において報告される二重特異性抗体は、1つの好ましい態様において「二価」である。

0140

「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体がその抗原に結合するのに関与している抗体重鎖または抗体軽鎖のドメインを意味する。一般に、抗体の重鎖および軽鎖(それぞれVHおよびVL)の可変ドメインは、4つのフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を各ドメインが含む、類似した構造を有する。(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照されたい)。1つのVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体に由来するVHドメインまたはVLドメインを用いて、相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングして、単離することができる。例えば、Portolano, S., et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照されたい。

0141

「眼血管疾患」という用語は、眼内血管新生症候群、例えば、糖尿病性網膜症糖尿病黄斑浮腫未熟児網膜症血管新生緑内障網膜静脈閉塞症網膜中心静脈閉塞症黄斑変性症加齢黄斑変性症色素性網膜炎網膜血管腫状増殖、黄斑毛細血管拡張症(telangectasia)、虚血性網膜症虹彩血管新生、眼内血管新生、角膜血管新生網膜血管新生脈絡膜血管新生、および網膜変性症を含むが、それらに限定されるわけではない(例えば、Garner, A., Vascular diseases, In: Pathobiology of ocular disease, A dynamic approach, Garner, A., and Klintworth, G.K., (eds.), 2nd edition, Marcel Dekker, New York (1994), pp. 1625-1710を参照されたい)。

0142

本明細書において使用される「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を意味する。この用語は、自己複製する核酸構造体としてのベクター、ならびに導入された先の宿主細胞のゲノム中に組み入れられるベクターを含む。ある種のベクターは、機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。

0143

本明細書において使用される「変異IHH-AAAを有する」という用語は、変異I253A(Ile253Ala)、H310A(His310Ala)、およびH435A(His435Ala)の組み合わせを意味し、本明細書において使用される「変異HHY-AAAを有する」という用語は、変異H310A(His310Ala)、H433A(His433Ala)、およびY436A(Tyr436Ala)の組み合わせを意味し、本明細書において使用される「変異YTEを有する」という用語は、変異M252Y(Met252Tyr)、S254T(Ser254Thr)、およびT256E(Thr256Glu)の組み合わせを意味し、これらはIgG1サブクラスまたはIgG4サブクラスの重鎖定常領域に存在し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。

0144

本明細書において使用される「変異P329G LALAを有する」という用語は、IgG1サブクラスの重鎖定常領域における変異L234A(Leu234Ala)、L235A(Leu235Ala)、およびP329G(Pro329Gly)の組み合わせを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。本明細書において使用される「変異SPLEを有する」という用語は、IgG4サブクラスの重鎖定常領域における変異S228P(Ser228Pro)およびL235E(Leu235Glu)の組み合わせを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。本明細書において使用される「変異SPLEおよびP239Gを有する」という用語は、IgG4サブクラスの重鎖定常領域における変異S228P(Ser228Pro)、L235E(Leu235Glu)、およびP329G(Pro329Gly)の組み合わせを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。

0145

II.本発明
本発明は、個々のFc領域ポリペプチド中の非対応位置のアミノ酸残基を改変することによって、これらの改変がFcRn結合の変更に共同で作用するので、抗体またはFc領域融合ポリペプチドのFcRn結合を変更できるという知見に、少なくともある程度基づいている。本明細書において報告されるFc領域、抗体、およびFc領域融合ポリペプチドは、例えば、特定の目的に合わせた全身滞留時間が必要とされる疾患の治療に有用である。

0146

対応する野生型Fc領域と比べてFcRn結合特性が変更された変種Fc領域が、本明細書において報告される。これらの変種Fc領域は、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに特定のアミノ酸変異を含む。これらの変異を、単独で、またはFc領域の同じ重鎖中にもしくは両方の重鎖中に組み合わせて使用した場合、変種Fc領域のインビボ半減期を目的に合わせて設計できることが判明している。

0147

A.新生児型Fc受容体(FcRn)
新生児型Fc受容体(FcRn)は、IgGクラスの抗体のインビボでの代謝運命にとって重要である。FcRnは、リソソーム分解経路から野生型IgGを救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を長くする。これは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、クラスIgGの抗体のFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。クラスIgGの抗体とFcRnとの相互作用は、pHに依存しており、1:2の化学量論比で起こる。すなわち、1つのIgG抗体分子が、その2つの重鎖Fc領域ポリペプチドを介して、2つのFcRn分子と相互作用することができる(例えば、Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083を参照されたい)。

0148

したがって、IgGのインビトロでのFcRn結合特性/特徴は、血液循環におけるインビボでのその薬物動態学的特性を示唆している。

0149

FcRnとIgGクラスの抗体のFc領域との相互作用には、重鎖CH2ドメインおよびCH3ドメインの異なるアミノ酸残基が関与している。FcRnと相互作用するアミノ酸残基は、おおよそEU位置243〜EU位置261の間、おおよそEU位置275〜EU位置293の間、おおよそEU位置302〜EU位置319の間、おおよそEU位置336〜EU位置348の間、おおよそEU位置367〜EU位置393の間、EU位置408、およびおおよそEU位置424〜EU位置440の間に位置している。より具体的には、KabatのEU番号付与に基づく次のアミノ酸残基が、Fc領域とFcRnの相互作用に関与している:F243、P244、P245 P、K246、P247、K248、D249、T250、L251、M252、I253、S254、R255、T256、P257、E258、V259、T260、C261、F275、N276、W277、Y278、V279、D280、V282、E283、V284、H285、N286、A287、K288、T289、K290、P291、R292、E293、V302、V303、S304、V305、L306、T307、V308、L309、H310、Q311、D312、W313、L314、N315、G316、K317、E318、Y319、I336、S337、K338、A339、K340、G341、Q342、P343、R344、E345、P346、Q347、V348、C367、V369、F372、Y373、P374、S375、D376、I377、A378、V379、E380、W381、E382、S383、N384、G385、Q386、P387、E388、N389、Y391、T393、S408、S424、C425、S426、V427、M428、H429、E430、A431、L432、H433、N434、H435、Y436、T437、Q438、K439、およびS440。

0150

部位特異的変異誘発研究により、FcRnに対するIgGのFc領域中の不可欠な結合部位は、ヒスチジン310、ヒスチジン435、およびイソロイシン253、ならびに程度は落ちるが、ヒスチジン433およびチロシン436であることが判明した(例えば、Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825; Raghavan, M., et al., Biochem. 34 (1995) 14649-14657; Medesan, C., et al., J. Immunol. 158 (1997) 2211-2217を参照されたい)。

0151

FcRnへのIgG結合を増加させるための方法は、IgGの様々なアミノ酸残基:トレオニン250、メチオニン252、セリン254、トレオニン256、トレオニン307、グルタミン酸380、メチオニン428、ヒスチジン433、およびアスパラギン434を変異させることによって実施されてきた(Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789を参照されたい)。

0152

一部の場合において、血液循環における半減期が短縮された抗体が望まれる。例えば、硝子体内に適用するための薬物は、眼において長い半減期を有し、患者の血液循環において短い半減期を有するべきである。このような抗体はまた、例えば眼の中の疾患部位への曝露が増大するという利点を有している。

0153

FcRn結合およびそれに加えて血液循環における半減期に影響を及ぼす異なる変異は公知である。マウスFcとマウスFcRnの相互作用に決定的に重要なFc領域残基は、部位特異的変異誘発によって同定されている(例えば、Dall'Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180を参照されたい)。残基I253、H310、H433、N434、およびH435(Kabatに基づくEU番号付与)が、相互作用に関与している(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536; Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002; Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548)。残基I253、H310、およびH435が、ヒト FcとマウスFcRnの相互作用に決定的に重要であることが判明した(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825)。タンパク質間の相互作用研究によってFcRn結合を改良するために、残基M252Y、S254T、T256EがDall'Acquaらによって説明されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、およびY436が相互作用に決定的に重要であることが示された(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002; Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604)。Yeung, Y.A., et al. (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671)において、残基248〜259位および301〜317位および376〜382位および424〜437位の様々な変異体が報告され検査されている。例示的な変異およびFcRn結合に対するそれらの影響を下記の表に挙げる。

0154

(表)

0155

1つのFc領域ポリペプチド中の片側だけの1つの変異が、Fc受容体への結合を有意に弱めるのに十分であることが判明している。Fc領域に導入される変異の数が多いほど、FcRnへの結合が弱くなる。しかし、片側だけの非対称変異は、FcRn結合を完全に阻害するのには十分ではない。両側に存在する変異が、FcRn結合を完全に阻害するのに必要である。

0156

したがって、変種(ヒト)IgGクラスFc領域はヘテロ二量体であり、ヘテロ二量体は、機能的Fc領域を形成するために第1の(重鎖)Fc領域ポリペプチドおよび第2の(重鎖)Fc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0157

FcRn結合に影響を及ぼすためのIgG1Fc領域の対称的操作の結果を、下記の表に示す(変異の整列(alignment)およびFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間)。

0158

(表)

0159

3分未満の保持時間は、その物質が通過画分中に存在するため、結合なしに相当する(ボイドピーク)。

0160

一変異H310Aは、任意のFcRn結合を欠失させるための最もサイレントな対称的変異である。

0161

対称的単一変異I253AおよびH435Aは、保持時間の0.3〜0.4分の相対的変化をもたらす。通常、これは、検出不可能な結合とみなすことができる。

0162

単一変異Y436Aは、FcRnアフィニティーカラムに対する検出可能な相互作用強度をもたらす。この理論に拘するものではないが、この変異は、I253A変異、H310A変異、およびH435A変異の組み合わせ(IHH-AAA変異)のような相互作用の無い状態と区別できる、FcRnを媒介とした半減期を有し得る。

0163

対称的に修飾した抗HER2抗体を用いて得られた結果を、下記の表に提示する(例えば、参照のためのWO 2006/031370を参照されたい)。

0164

(表)

0165

Fc領域融合ポリペプチド中のFc領域は、前述の特徴をその融合相手に与える。融合相手は、そのインビボ半減期が短縮または延長される、すなわちそのインビボ半減期がはっきりと定められ、意図された用途に特別に合わせられる、生物活性を有する任意の分子であることができる。

0166

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域、およびリガンドを含む標的に結合する受容体タンパク質を含んでよく、例えば、TNFR-Fc領域融合ポリペプチド(TNFR=ヒト腫瘍壊死因子受容体(human tumor necrosis factor receptor))、またはIL-1R-Fc領域融合ポリペプチド(IL-1R=ヒトインターロイキン-1受容体(human interleukin-1 receptor))、またはVEGFR-Fc領域融合ポリペプチド(VEGFR=ヒト血管内皮増殖因子受容体(human vascular endothelial growth factor receptor))、またはANG2R-Fc領域融合ポリペプチド(ANG2R=ヒトアンギオポエチン2受容体(human angiopoietin 2 receptor))などである。

0167

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域、および例えば、抗体Fab断片、scFv(例えば、Nat. Biotechnol. 23 (2005) 1126-1136を参照されたい)、またはドメイン抗体(dAb)(例えば、WO 2004/058821、WO 2003/002609を参照されたい)などを含む、標的に結合する抗体断片を含んでよい。

0168

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域および受容体リガンド(天然または人工のいずれか)を含んでよい。

0169

B.例示的なFc領域およびこれらのFc領域を含む抗体
1つの局面において、本発明は、変更されたFcRn結合を有するFc領域を提供し、すなわち、これらのFc領域は、FcRn結合に影響を及ぼす変異を有していないFc領域より高い親和性または低い親和性でヒトFcRnに結合する。

0170

1つの局面において、本発明は、変更されたFcRn結合を有する単離された抗体を提供し、すなわち、これらの抗体は、FcRn結合に影響を及ぼす変異を有していない抗体より高い親和性または低い親和性でヒトFcRnに結合する。

0171

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む(変種)Fc領域を含む抗体であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、同じヒトFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第2のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第1のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第1のFc領域ポリペプチド中の修飾位置と第2のFc領域ポリペプチド中の修飾位置は異なり、かつ
(c)このFc領域は、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドとして(a)のヒトFc領域ポリペプチドを含む(すなわち、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に(a)のヒトFc領域ポリペプチドと同じアミノ酸残基を有する)Fc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0172

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドもしくは第2のFc領域ポリペプチドのいずれかまたは両方のFc領域ポリペプチドは、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0173

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、
第1のFc領域ポリペプチドは、第2のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびQ311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびE430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434AおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434YおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含み、
かつ、
第2のFc領域ポリペプチドは、第1のFc領域ポリペプチドとは独立して、以下の変異または変異の組み合わせ:
-T307H、または
-T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H、または
-T307HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-Q311HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-E430HおよびM252YおよびS254TおよびT256E、または
-N434HおよびM252YおよびS254TおよびT256E
のうちの1つを含む。

0174

本明細書において報告される全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異の組み合わせ:
-なし、または
-M252YおよびS254TおよびT256E、または
-I253AおよびH310AおよびH435A、または
-H310AおよびH433AおよびY436A、
のうちの1つ、
ならびに、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-なし
-T307H、または
-T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つ
を含み、
かつ、第2のFc領域ポリペプチドは、
以下の変異または変異の組み合わせ:
-第1のFc領域ポリペプチドが、少なくとも1つの変異を含む場合には、なし、または
-T307H、または
-第1のFc領域ポリペプチドがT307Q変異だけを含むのではない場合には、T307Q、または
-Q311H、または
-E430H、または
-N434H、または
-T307HおよびQ311H、または
-T307HおよびE430H、または
-T307HおよびN434A、または
-T307HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311H、または
-T307QおよびE430H、または
-T307QおよびN434H、または
-T307QおよびN434A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせM252YおよびS254TおよびT256Eだけを含むのではない場合には、M252YおよびS254TおよびT256E、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせI253AおよびH310AおよびH435Aだけを含むのではない場合には、I253AおよびH310AおよびH435A、または
-第1のFc領域ポリペプチドが変異の組み合わせH310AおよびH433AおよびY436Aだけを含むのではない場合には、H310AおよびH433AおよびY436A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434A、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434H、または
-T307QおよびQ311HおよびE430HおよびN434Y、または
-T307QおよびV308PおよびN434YおよびY436H
のうちの1つを含む。

0175

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0176

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびN434Yを含む。

0177

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253AおよびH310AおよびH435Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびV308PおよびN434YおよびY436Hを含む。

0178

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0179

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0180

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Aを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0181

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T250QおよびM428Lを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0182

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異M252YおよびS254TおよびT256EおよびT307QおよびN434Hを含む。

0183

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびQ311HおよびE430HおよびN434Hを含む。

0184

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含む。

0185

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0186

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含む。

0187

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307QおよびN434Aを含む。

0188

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434Hを含む。

0189

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異T307HおよびN434HおよびM252YおよびS254TおよびT256Eを含む。

0190

1つの好ましい態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異N434Hを含む。

0191

全局面の1つの態様において、Fc領域は、変種(ヒト)IgGクラスFc領域である。1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、IgGクラスヘテロ二量体Fc領域である。

0192

全局面の1つの態様において、ヘテロ二量体は、(機能的)Fc領域を形成するために第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0193

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、IgG1サブクラスまたはIgG4サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0194

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、変異L234A、L235A、およびP329Gをさらに含む、IgG1サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0195

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、変異S228PおよびL235Eをさらに含む、IgG4サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0196

1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異S354CおよびT366Wをさらに含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0197

1つの態様において、二重特異性抗体は、(iii)のFc領域がヒトIgG1サブクラスのものであることを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG1サブクラスのFc領域が変異L234A、L235A、およびP329G(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。

0198

1つの態様において、二重特異性抗体は、(iii)のFc領域がヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG4サブクラスのFc領域が変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG4サブクラスのFc領域が変異S228P、L235E、およびP329G(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。

0199

本明細書において報告されるさらに別の局面は、二重特異性抗体を含む薬学的製剤、眼血管疾患の治療における使用のための薬学的製剤、眼血管疾患の治療用の医薬の製造のための二重特異性抗体の使用、そのような治療を必要とする患者に二重特異性抗体を投与する段階によって、眼血管疾患に罹患している患者を治療する方法である。1つの態様において、二重特異性抗体または二重特異性抗体を含む薬学的製剤は、硝子体内適用によって投与される。

0200

本発明によるさらなる局面は、本明細書において報告される二重特異性抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子である。

0201

本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞において核酸を発現できる、本明細書において報告される核酸を含む発現ベクター、および本明細書において報告される二重特異性抗体を組換え作製するためのそのようなベクターを含む宿主細胞を提供する。

0202

本発明はさらに、本明細書において報告されるベクターを含む原核宿主細胞または真核宿主細胞も含む。

0203

本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞において本明細書において報告される核酸を発現させる段階、およびその細胞または細胞培養上清から二重特異性抗体を回収する段階を特徴とする、本明細書において報告される二重特異抗体を作製するための方法も含む。1つの態様は、
(a)抗体をコードする核酸分子を含むベクターで宿主細胞を形質転換する段階;
(b)抗体の合成を可能にする条件下で宿主細胞を培養する段階;および
(c)培養物から抗体を回収する段階
を含む、本明細書において報告される二重特異抗体を調製するための方法である。

0204

本発明はさらに、二重特異性抗体を作製するためのこのような方法によって得られる抗体も含む。

0205

本明細書において報告される抗体は、眼血管疾患に罹患している患者に恩恵をもたらすFc領域中の特殊な修飾の寄与により、極めて有用な特性を有する。それらは、(重鎖定常領域を有していないより小さな抗体断片と比べて)硝子体内環境における高い安定性および眼からの緩徐拡散を示し、その場所で、実際の疾患が捜し出され、治療される(したがって、治療スケジュールが、例えばFab断片および(Fab)2断片のようなIgGに似ていない抗体と比べて良くなる可能性が潜在的にある)。その一方で、本明細書において報告される抗体は、血清からかなり速くクリアランスされる(このことは、全身的曝露に起因する潜在的副作用を減少させるために極めて望ましい)。驚くべきことに、それらはまた、(定常領域中に変異I253A、H310A、およびH435Aの組み合わせを有していない種類と比べて)低い粘度を示し、したがって、眼疾患の治療期間中に細い針によって硝子体内適用するのに特に有用である(このような適用のために、典型的には、細い針が使用され、粘度が高いと、適切に適用することがかなり困難になる)。低粘度はまた、高濃度の製剤も可能にする。

0206

また、驚くべきことに、本明細書において報告される抗体は、(Fc領域中に変異I253A、H310A、およびH435Aの組み合わせを有していない種類と比べて)保存中に低い凝集傾向を示し、このことは、(眼における凝集は、そのような治療中に合併症を招く場合があるため、)眼における硝子体内適用にとって不可欠である。

0207

本明細書において報告される二重特異性抗体は、血管疾患を阻止するにあたって優れた有効性を示す。

0208

特定の態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、定常領域中の特殊な修飾(例えば、P329G LALA)の寄与により、Fcγ受容体への結合なし/Fcγ受容体の結合なし、のような有用な特性を示し、これにより、血栓症および/または望まれない(例えばADCCに起因する)細胞死のような副作用のリスクが低下する。

0209

本明細書において報告される1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、二価である。

0210

1つの態様において、第2の完全長抗体の重鎖および軽鎖の抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体軽鎖可変ドメイン(VL)は、次の位置:重鎖可変ドメイン44位と軽鎖可変ドメイン100位の間にジスルフィド結合を導入することによってさらに安定化されている(Kabatに基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。安定化のためにジスルフィド架橋を導入するための技術は、例えば、WO 94/029350、Rajagopal, V., et al, Prot. Eng. 10 (1997) 1453-1459、Kobayashi et al., Nuclear Medicine & Biology 25 (1998) 387-393、およびSchmidt, M., et al., Oncogene 18 (1999) 1711-1721において説明されている。

0211

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性二価抗体のCH3ドメインは、例えば、WO 96/027011、Ridgway J.B., et al., Protein Eng. 9 (1996) 617-621、およびMerchant, A.M., et al., Nat. Biotechnol. 16 (1998) 677-681においていくつかの例を用いて詳細に説明されている「ノブイントゥーホール」技術によって改変される。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用面を改変して、これら2つのCH3ドメインを含む両方の重鎖のヘテロ二量体化を増加させる。(2本の重鎖の)2つのCH3ドメインのそれぞれが「ノブ鎖」となることができるのに対して、他方が「ホール鎖」である。ジスルフィド架橋の導入により、ヘテロ二量体はさらに安定し (Merchant, A.M, et al., Nature Biotech. 16 (1998) 677-681、Atwell, S., et al. J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35)、収率は増加する。

0212

本明細書において報告される全局面の1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、
一方の重鎖のCH3ドメインと他方の重鎖のCH3ドメインとが、抗体CH3ドメイン間の元の境界面を含む境界面でそれぞれ接すること
を特徴とし、
境界面は、二重特異性抗体の形成を促進するように改変されており、この改変は、
(a)一方の重鎖のCH3ドメインが、
二重特異性抗体内の他方の重鎖のCH3ドメインの元の境界面と接する、一方の重鎖のCH3ドメインの元の境界面内で、
より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基に1つのアミノ酸残基が置換され、それによって、他方の重鎖のCH3ドメインの境界面内のくぼみに配置可能である一方の重鎖のCH3ドメインの境界面内の隆起が生じるように、改変されること、
および
(b)他方の重鎖のCH3ドメインが、
二重特異性抗体内の第1のCH3ドメインの元の境界面と接する第2のCH3ドメインの元の境界面内で、
より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基に1つのアミノ酸残基が置換され、それによって、第1のCH3ドメインの境界面内の隆起を内部に配置可能である第2のCH3ドメインの境界面内のくぼみが生じるように、改変されること
を特徴とする。

0213

したがって、本発明による抗体は、1つの好ましい態様において、
(a)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメインと(b)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメインとが、抗体のCH3ドメイン間の元の境界面に改変を含む境界面でそれぞれ接すること
を特徴とし、
より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基に1つのアミノ酸残基が置換され、それによって、他方の重鎖のCH3ドメインの境界面内のくぼみに配置可能である一方の重鎖のCH3ドメインの境界面内の隆起が生じ、
かつ、
(ii)他方の重鎖のCH3ドメインにおいて、
より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基に1つのアミノ酸残基が置換され、それによって、第1のCH3ドメインの境界面内の隆起を内部に配置可能である第2のCH3ドメインの境界面内のくぼみが生じる。

0214

1つの好ましい態様において、より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群より選択される。

0215

1つの好ましい態様において、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)からなる群より選択される。

0216

1つの態様において、両方のCH3ドメインは、両方のCH3ドメイン間のジスルフィド架橋が形成され得るように、各CH3ドメインの対応位置にシステイン残基(C)を導入することによってさらに改変される。

0217

1つの態様において、二重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異、ならびに「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S変異、L368A変異、およびY407V変異を含む。また、例えば、「ノブ鎖」のCH3ドメイン中へのY349C変異またはS354C変異および「ホール鎖」のCH3ドメイン中へのY439C変異またはE356C変異またはS354C変異の導入による、CH3ドメイン間のさらなる鎖間ジスルフィド架橋も使用され得る(Merchant, A. M, et al. , Nature Biotech 16 (1998) 677-681)。

0218

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方に変異Y349CまたはS354Cおよび変異T366W、ならびに2つのCH3ドメインのうちの他方に変異S354CまたはE356CまたはY349Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vを含む。1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む(一方のCH3ドメイン中の追加のY349C変異および他方のCH3ドメイン中の追加のS354C変異が、鎖間ジスルフィド架橋を形成する)(KabatのEU指標に基づく番号付与)(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む (一方のCH3ドメイン中の追加のY349C変異および他方のCH3ドメイン中の追加のS354C変異が鎖間ジスルフィド架橋を形成する)(KabatのEU指標に基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。

0219

しかし、EP 1870459 A1において説明されている他のノブインホール技術もまた、代わりにまたは追加で使用することができる。したがって、二重特異性抗体のための別の例は、「ノブ鎖」のCH3ドメイン中のR409D変異およびK370E変異、ならびに「ホール鎖」のCH3ドメイン中のD399K変異およびE357K変異である(KabatのEU指標に基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。

0220

別の態様において、二重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0221

1つの態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、ならびに2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異を含むか、または二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0222

1つの態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含むか、または二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0223

本明細書において報告される二重特異性抗体の抗原結合部位は、抗原に対する結合部位の親和性に様々な程度で寄与する、6つの相補性決定領域(CDR)を含む。3つの重鎖可変ドメインCDR(CDRH1、CDRH2、およびCDRH3)ならびに3つの軽鎖可変ドメインCDR(CDRL1、CDRL2、およびCDRL3)がある。CDRおよびフレームワーク領域(FR)の範囲は、配列の可変性に基づいてそれらの領域が定められた、アミノ酸配列をまとめたデータベースと比較することによって決定される。

0224

全局面の1つの態様において、抗体は、ヒトFcRnに特異的に結合しない。全局面の1つの態様において、抗体は、さらに、ブドウ球菌プロテインAに特異的に結合する。

0225

全局面の1つの態様において、抗体は、ヒトFcRnに特異的に結合しない。全局面の1つの態様において、抗体は、さらに、ブドウ球菌プロテインAに特異的に結合しない。

0226

全局面の1つの態様において、第1のポリペプチドは、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み(「ホール」)、第2のポリペプチドは、変異S354CおよびT366Wを含む(「ノブ」)。

0227

全局面の1つの態様において、第1のポリペプチドは、変異S354C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み(「ホール」)、第2のポリペプチドは、変異Y349CおよびT366Wを含む(「ノブ」)。

0228

全局面の1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、ヒトIgG1サブクラスのものである。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異L234AおよびL235Aをさらに含む。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異P329Gをさらに含む。

0229

全局面の1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、ヒトIgG4サブクラスのものである。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異S228PおよびL235Eをさらに含む。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異P329Gをさらに含む。

0230

本明細書において報告される抗体は、組換え手段によって作製される。したがって、本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸であり、さらなる局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸を含む細胞である。組換え作製のための方法は、最新技術において広く知られており、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質発現と、それに伴うその後の抗体単離および通常は薬学的に許容される純度までの精製とを含む。前述したように宿主細胞において抗体を発現させる場合、各(修飾された)軽鎖および重鎖をコードする核酸が、標準的な方法によって発現ベクターに挿入される。発現は、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、PER.C6細胞、酵母、または大腸菌(E.coli)細胞のような適切な原核宿主細胞または真核宿主細胞において実施され、抗体はこれらの細胞(培養上清または溶解後の細胞)から回収される。抗体を組換えによって作製するための一般的方法は最新技術において周知であり、例えば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202、Geisse, S., et al., Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282、Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-160、およびWerner, R.G., Drug Res. 48 (1998) 870-880といった総説論文で説明されている。

0231

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、
(a)抗体をコードする核酸分子を含むベクターで宿主細胞を形質転換する段階、
(b)抗体の合成を可能にする条件下で宿主細胞を培養する段階、および
(c)培養物から抗体を回収する段階
を含む、本明細書において報告される二重特異抗体を調製するための方法である。

0232

1つの態様において、(c)の回収する段階は、軽鎖定常ドメインに特異的な捕捉試薬(例えば、κ軽鎖またはλ軽鎖が二重特異性抗体中に含まれるかどうかに応じて、κ定常軽鎖またはλ定常軽鎖に特異的)の使用を含む。1つの態様において、この軽鎖特異的捕捉試薬は、結合および溶出(bind-and-elute)様式で使用される。このような軽鎖定常ドメイン特異的捕捉試薬の例は、例えば、KappaSelect(商標)およびLambdaFabSelect(商標)(GE Healthcare/BACから入手可能)であり、これらは、大規模での速い流速および低い背圧を可能にする剛性の高いアガロースベースマトリックスに基づいている。これらの材料は、κ軽鎖またはλ軽鎖の定常領域に結合するリガンドをそれぞれ含む(すなわち、軽鎖の定常領域を欠く断片は結合しないと考えられる)。したがって、両方とも、軽鎖の定常領域を含む他の標的分子、例えば、IgG、IgA、およびIgMに結合することができる。これらのリガンドは、長い親水性スペーサーアームを介してマトリックスに結合されて、標的分子に結合するために容易に利用できる状態になる。それらは、ヒトIgのκまたはλのいずれかについてスクリーニングされた単鎖抗体断片に基づいている。

0233

1つの態様において、(c)の回収する段階は、Fc領域に特異的な捕捉試薬の使用を含む。1つの態様において、Fc領域特異的捕捉試薬は、結合および溶出様式で使用される。このようなFc領域特異的捕捉試薬の例は、例えば、ブドウ球菌プロテインAに基づくアフィニティークロマトグラフィー材料である。

0234

二重特異性抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、アフィニティークロマトグラフィー(プロテインA-セファロース、またはKappaSelect(商標)、LambdaFabSelect(商標))、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、または透析などによって、培地から適宜分離される。

0235

モノクローナル抗体をコードするDNAおよびRNAは、従来の手順を用いて、容易に単離され、配列決定される。B細胞またはハイブリドーマ細胞は、このようなDNAおよびRNAの供給源として役立つことができる。単離すると、DNA発現ベクター中に挿入してもよく、その後、宿主細胞中での組換えモノクローナル抗体の合成を実現するために、発現ベクターをHEK293細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクトし、宿主細胞はさもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない。

0236

本明細書において報告される分子のうちのいくつかは、修飾のうちの少なくとも1つが、(i)(ブドウ球菌)プロテインAに対するその分子の差次的な親和性、および(ii)ヒトFcRnに対するその分子の差次的な親和性をもたらす、差次的に修飾されたFc領域を含むことによって、単離/精製を容易にし、この分子は、プロテインAに対する親和性に基づいて、粉砕された細胞から、培地から、または分子の混合物から、単離することができる。

0237

抗体の精製は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成カラムクロマトグラフィーアガロースゲル電気泳動、および当技術分野において周知の他の技術(例えば、Ausubel, F., et al., ed. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照されたい)を含む標準技術によって、細胞構成要素または他の混在物、例えば、他の細胞核酸または細胞タンパク質を除去するために実施される。微生物タンパク質を用いるアフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換(カルボキシメチル樹脂)、陰イオン交換(アミノエチル樹脂)、および混合モード交換)、硫黄親和性吸着(例えば、β-メルカプトエタノールおよび他のSHリガンドを使用)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えば、フェニルセファロース、アザアレーン親和性(aza-arenophilic)樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸を使用)、金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(例えば、Ni(II)親和性材料およびCu(II)親和性材料を使用)、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに電気泳動法(例えば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動)などの様々な方法が十分に確立されており、タンパク質精製のために広く普及して使用されている(Vijayalakshmi, M.A., Appl. Biochem. Biotech. 75 (1998) 93-102)。

0238

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤である。本明細書において報告される別の局面は、薬学的製剤を製造するための、本明細書において報告される抗体の使用である。本明細書において報告されるさらなる局面は、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤を製造するための方法である。別の局面において、製剤、例えば、薬学的担体と合わせて製剤化された、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤が、提供される。

0239

本発明の製剤は、当技術分野において公知の様々な方法によって投与することができる。当業者には理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて異なる。ある種の投与経路によって本明細書において報告される化合物を投与するために、化合物の不活性化を防止するための材料で化合物をコーティングすること、または化合物の不活性化を防止するための材料と共に化合物を同時投与することが必要な場合がある。例えば、適切な担体、例えば、リポソーム、または希釈剤中に入れて、化合物を対象に投与してもよい。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝溶液が含まれる。薬学的担体には、無菌水溶液または分散液、および無菌の注射液剤または分散剤用時調製するための無菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質に対してこのような媒体および作用物質を使用することは、当技術分野において公知である。

0240

限定されるわけではないが眼内適用または局所適用を含む、多くの実施可能な送達様式を使用することができる。1つの態様において、適用は眼内であり、結膜下注射、前房内(intracanieral)注射、耳側輪部(termporai limbus)を介した前房中への注射、基質内注射、角膜内注射、網膜下注射、眼房水注射、テノン嚢下(subtenon)注射、または持続的送達器具硝子体内注射(例えば、前部硝子体注射、中央部硝子体注射、または後部硝子体注射)を含むが、それらに限定されるわけではない。1つの態様において、適用は局所的であり、角膜への点眼剤を含むが、それに限定されるわけではない。

0241

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体または薬学的製剤は、硝子体内適用によって、例えば、硝子体内注射によって投与される。これは、当技術分野において公知の標準手順に従って実施することができる(例えば、Ritter et al., J. Clin. Invest. 116 (2006) 3266-3276、Russelakis-Carneiro et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 25 (1999) 196-206、およびWray et al., Arch. Neurol. 33 (1976) 183-185を参照されたい)。

0242

いくつかの態様において、本明細書において報告される治療用キットは、本明細書において説明する薬学的製剤中に存在する1回量または複数回量の(二重特異性)抗体、薬学的製剤の硝子体内注射のための適切な器具、ならびに注射を実施するための適切な対象およびプロトコールを詳述している取扱い説明書を含み得る。これらの態様において、典型的には、製剤は、硝子体内注射による治療を必要とする対象に投与される。これは、当技術分野において公知の標準手順に従って実施することができる(例えば、Ritter et al., J. Clin. Invest. 116 (2006) 3266-3276、Russelakis-Carneiro et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 25 (1999) 196-206、およびWray et al., Arch. Neurol. 33 (1976) 183-185を参照されたい)。

0243

これらの製剤はまた、保存剤、湿潤剤乳化剤、および分散剤などの補助剤も含んでよい。微生物の存在の防止は、前記の滅菌手順、ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベンクロロブタノールフェノール、およびソルビン酸などを含めることの両方によって徹底することができる。また、糖および塩化ナトリウムなどの等張化剤を製剤中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な薬剤形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど吸収を遅延させる作用物質を含めることによって実現することができる。

0244

選択された投与経路に関わらず、適切な水和型で使用され得る本明細書において報告される化合物、および/または本明細書において報告される薬学的組成物は、当業者に公知である従来の方法によって、薬学的に許容される剤形に製剤化される。

0245

本明細書において報告される薬学的製剤中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性とならずに、個々の患者、製剤、および投与様式にとって望ましい治療応答を達成するのに有効である量の活性成分を得られるように、変更することができる。選択される投与量レベルは、使用される個々の製剤の活性、投与経路、投与時間、使用される個々の化合物の排出速度、治療の継続期間、使用される個々の製剤と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、治療される患者の年齢性別、体重、状態、全体的健康状態、および以前の病歴、ならびに医薬分野で周知である同様の因子を含む、様々な薬物動態学的因子に依存すると考えられる。

0246

製剤は、無菌でなければならず、注射器によって製剤を送達できる程度に流動性でなければならない。水のほかには、担体は、好ましくは、等張性緩衝生理食塩水である。

0247

適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散系の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトールまたはソルビトール、および塩化ナトリウムを製剤中に含むことが好ましい。

0248

製剤は、結膜下投与のための活性物質を含む眼用デポー製剤を含むことができる。眼用デポー製剤は、本質的に純粋な活性物質、例えば、本明細書において報告される二重特異性抗体の微粒子を含む。本明細書において報告される二重特異性抗体を含む微粒子は、生体適合性の薬学的に許容されるポリマーまたは脂質カプセル化物質中に埋め込むことができる。デポー製剤は、長期間に渡って、実質的にすべての活性材料を残さず放出するように適合させることができる。ポリマーまたは脂質マトリックスが存在する場合、すべてまたは実質的にすべての活性物質を放出した後、投与部位から輸送されるのに十分な程度に分解するようにそれらを適合させることができる。デポー製剤は、薬学的に許容されるポリマーおよび溶解または分散された活性物質を含む液体製剤であることができる。注射すると、ポリマーは、例えば、ゲル化(gelifying)または沈殿することによって、注射部位デポーを形成する。

0249

本明細書において報告される別の局面は、眼血管疾患の治療における使用のための、本明細書において報告される二重特異性抗体である。

0250

本明細書において報告される別の局面は、眼血管疾患の治療における使用のための、本明細書において報告される薬学的製剤である。

0251

本明細書において報告される別の局面は、眼血管疾患の治療用の医薬の製造のための、本明細書において報告される抗体の使用である。

0252

本明細書において報告される別の局面は、そのような治療を必要とする患者に本明細書において報告される抗体を投与する段階によって、眼血管疾患に罹患している患者を治療する方法である。

0253

本明細書において使用される「含む(comprising)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語を含むことを、ここにはっきりと言明する。したがって、「含む(comprising)」という用語を含む局面および態様はすべて、「からなる(consisting of)」という用語を用いて同様に開示される。

0254

修飾
さらなる局面において、本明細書において報告されかつ上記の態様のいずれかに記載のFc領域または抗体は、下記のセクション1〜6において説明する特徴のうちのいずれかを、単独でまたは組み合わせて組み入れてよい。

0255

1.抗体親和性
1つの態様において、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイ法を用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(GE Healthcare Inc., Piscataway, NJ)を用いたアッセイ法を、約10レスポンスユニット(RU)の抗原固定化CM5チップを用いて25℃で実施する。1つの態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、GE Healthcare Inc.)を、供給業者の取扱い説明書に従って、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/mL(約0.2μM)に希釈した後、結合タンパク質のレスポンスユニット(RU)が約10に達するように流速5μL/分で注入する。抗原の注入後、反応しなかった基をブロックするために1Mエタノールアミンを注入する。動態測定のために、25℃、流速約25μL/分で、Fabの2倍段階希釈物(0.78nM〜500nM)を0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤含有PBS(PBST)に注入する。結合センサグラムおよび解離センサーグラムを同時にフィッティングすることにより、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を用いて、結合速度(kon)および解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として算出する(例えば、Chen, Y. et al., J. Mol. Biol. 293 (1999) 865-881を参照されたい)。上記の表面プラズモン共鳴アッセイ法による結合速度が106M-1 s-1を上回る場合、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを用いる8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定されるように、漸増濃度の抗原の存在下にてpH7.2のPBS中20nM抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、帯域16nm)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を用いることによって、結合速度を測定することができる。

0256

2.キメラ抗体およびヒト化抗体
特定の態様において、本明細書において提供される抗体は、キメラ抗体である。いくつかのキメラ抗体が、例えば、US4,816,567;およびMorrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855において説明されている。1つの例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはヒト以外の霊長類、例えばサルに由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。別の例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変更された、「クラススイッチされた」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。

0257

特定の態様において、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体をヒト化して、非ヒト親抗体の特異性および親和性を保持しつつ、ヒトに対する免疫原性を低下させる。通常、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(またはその一部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはその一部分)がヒト抗体配列に由来する、1つまたは複数の可変ドメインを含む。また、ヒト化抗体は、ヒト定常領域についての少なくとも1つの部分も任意で含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復させるか、または向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来元である抗体)に由来する対応する残基で置換されている。

0258

ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633において概説されており、例えば、Riechmann, I., et al., Nature 332 (1988) 323-329; Queen, C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033; US5,821,337、US7,527,791、US6,982,321、およびUS7,087,409; Kashmiri, S.V., et al., Methods36 (2005) 25-34(特異性決定領域(SDR)グラフティングを説明); Padlan, E.A., Mol. Immunol. 28 (1991) 489-498(「リサーフシング」を説明); Dall'Acqua, W.F. et al., Methods 36 (2005) 43-60(「FRシャッフリング」を説明); Osbourn, J. et al., Methods 36 (2005) 61-68; およびKlimka, A. et al., Br. J. Cancer 83 (2000) 252-260(FRシャッフリングに取り組む「導かれた選択」アプローチを説明)においてさらに説明されている。

0259

ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」法(例えば、Sims, M.J., et al., J. Immunol. 151 (1993) 2296-2308を参照されたい)を用いて選択されたフレームワーク領域;特定のサブグループの軽鎖可変領域または重鎖可変領域のヒト抗体コンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289;およびPresta, L.G., et al., J. Immunol. 151 (1993) 2623-2632を参照されたい);ヒト成熟(体細胞性に変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633を参照されたい);およびFRライブラリーをスクリーニングして得られたフレームワーク領域(例えば、Baca, M., et al., J. Biol. Chem. 272 (1997) 10678-10684およびRosok, M.J., et al., J. Biol. Chem. 271 (19969 22611-22618を参照されたい)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0260

3.ヒト抗体
特定の態様において、本明細書において提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において公知の様々な技術を用いて作製することができる。ヒト抗体は、van Dijk, M.A. and van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Pharmacol. 5 (2001) 368-374およびLonberg, N., Curr. Opin. Immunol. 20 (2008) 450-459において一般的に説明されている。

0261

ヒト抗体は、抗原チャレンジ応答してヒトイタクト抗体またはヒト可変領域を有するインタクト抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって、調製することができる。典型的には、このような動物は、内在性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体中にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部分を含む。このようなトランスジェニックマウスにおいて、通常、内在性の免疫グロブリン遺伝子座は不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg, N., Nat. Biotech. 23 (2005) 1117-1125を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を説明するUS6,075,181およびUS6,150,584;HUMAB(登録商標)技術を説明するUS5,770,429;K-M MOUSE(登録商標)技術を説明するUS7,041,870、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術を説明するUS2007/0061900も参照されたい。このような動物によって産生されるインタクト抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と結合させることによって、さらに修飾することができる。

0262

ヒト抗体はまた、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を作製するためのヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株は説明されている(例えば、Kozbor, D., J. Immunol. 133 (1984) 3001-3005; Brodeur, B.R., et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York (1987), pp. 51-63;およびBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95を参照されたい)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって作製したヒト抗体が、Li, J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103 (2006) 3557-3562において説明されている。その他の方法には、例えば、US7,189,826(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の作製を説明)およびNi, J., Xiandai Mianyixue 26 (2006) 265-268(ヒト-ヒトハイブリドーマを説明)において説明されているものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers, H.P. and Brandlein, S., Histology and Histopathology 20 (2005) 927-937およびVollmers, H.P. and Brandlein, S., Methodsand Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27 (2005) 185-191においても説明されている。

0263

ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーより選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって作製することもできる。次いで、このような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと結合させてよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に説明する。

0264

4.ライブラリー由来の抗体
本明細書において報告される抗体は、所望の1種または複数種の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって、単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、所望の結合特徴を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が、当技術分野において公知である。このような方法は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al., Methodsin Molecular Biology 178 (2001) 1-37において概説されており、例えば、McCafferty, J. et al., Nature 348 (1990) 552-554; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628; Marks, J.D. et al., J. Mol. Biol. 222 (1992) 581-597; Marks, J.D. and Bradbury, A., Methods in Molecular Biology 248 (2003) 161-175; Sidhu, S.S. et al., J. Mol. Biol. 338 (2004) 299-310; Lee, C.V. et al., J. Mol. Biol. 340 (2004) 1073-1093; Fellouse, F.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 12467-12472;およびLee, C.V. et al., J. Immunol. Methods 284 (2004) 119-132においてさらに説明されている。

0265

特定のファージディスプレイ法では、VH遺伝子のレパートリーおよびVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリーにおいて無作為組み換え、次いで、Winter, G., et al., Ann. Rev. Immunol. 12 (1994) 433-455で説明されているとおりに、抗原結合ファージについてそれらをスクリーニングすることができる。典型的には、ファージは、単鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片を提示する。免疫化された供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths, A.D., et al.,EMBO J. 12 (1993) 725-734によって説明されているように、未処置のレパートリーを(例えばヒトから)クローニングして、まったく免疫化せずに、広範な非自己抗原およびまた自己抗原に対する単一の抗体供給源を提供することもできる。最後に、Hoogenboom, H.R. and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381-388によって説明されているように、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、かつランダム配列を含むPCRプライマーを用いて可変性に富むCDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を達成することによって、未処置のライブラリーを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを説明している特許公報には、例えば、US5,750,373、およびUS2005/0079574、US2005/0119455、US2005/0266000、US2007/0117126、US2007/0160598、US2007/0237764、US2007/0292936、およびUS2009/0002360が含まれる。

0266

ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片とみなされる。

0267

5.多重特異性抗体
特定の態様において、本明細書において提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。また、二重特異性抗体は、標的抗原の1つまたは複数を発現する細胞に細胞障害性物質局在させるのにも使用され得る。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製することができる。

0268

多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組み換え同時発現(Milstein, C. and Cuello, A.C., Nature 305 (1983) 537-540、WO93/08829、およびTraunecker, A., et al.,EMBO J. 10 (1991) 3655-3659を参照されたい)および「ノブインホール(knob-in-hole)」操作(例えばUS5,731,168を参照されたい)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電気的操縦(electrostatic steering)効果を操作すること(WO2009/089004);2つまたはそれ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、US4,676,980およびBrennan, M. et al., Science 229 (1985) 81-83を参照されたい);二重特異性抗体を作製するためのロイシンジッパーを用いること(例えば、Kostelny, S.A., et al., J. Immunol. 148 (1992) 1547-1553を参照されたい);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を用いること(例えば、Holliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照されたい);および単鎖Fv(sFv)二量体を用いること(例えば、Gruber, M. et al., J. Immunol. 152 (1994) 5368-5374を参照されたい);ならびに例えばTutt, A. et al., J. Immunol. 147 (1991) 60-69で説明されているとおりに、三重特異性抗体を調製することによって、多重特異性抗体を作製することもできる。

0269

オクトパス(Octopus)抗体」を含む、3つまたはそれ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。

0270

また、本明細書の抗体または断片には、第1の抗原におよび別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用性Fab」または「DAF」が含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。

0271

本明細書の抗体または断片にはまた、WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、WO2009/080254、WO2010/112193、WO2010/115589、WO2010/136172、WO2010/145792、およびWO2010/145793において説明されている多重特異性抗体も含まれる。

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