図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2018年1月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (19)

課題・解決手段

サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)、トリアセチルグリセリン、およびサッカリンを含む液状組成物が提供される。サリチル酸化合物は前記組成物中に溶解しており、該組成物は経口投与非経口投与または経肺投与に特に適している。

概要

背景

アスピリンアセチルサリチル酸)は、軽度の鈍痛疼痛を軽減する鎮痛薬発熱下げ解熱薬、および抗炎症薬として広く使用されている。また、アスピリンは、「COX」を介してトロンボキサンの生成を抑制することによって抗血小板作用も奏する。トロンボキサンは、正常な状況下において、血小板分子同士を結合させて血管壁損傷部位パッチを形成する。大きくなりすぎた血小板パッチは、下流の末梢血流阻害することがあるため、血栓形成リスクが高い人においては心臓発作、脳卒中および血栓形成を防ぐことを目的として低用量アスピリンが長期的に使用される。さらに、心臓発作の直後に低用量アスピリンを投与することによって、次に起こる心臓発作や心臓組織壊死のリスクを低減することもできる。さらに、がん(特に消化管のがん)の予防や増殖遅延にアスピリンが効果的な場合があることを示す証拠も続々と報告されている。

たとえば、Garcia-Albenixらによる報告(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)では、アスピリンを8〜10年間にわたって毎日服用させることによって、いずれの用量においても、結腸直腸がん(「CRC」)のリスクが24%も低減されたという目覚ましい結果が得られており、CRC関連死亡率も35%低減されたというさらに目覚ましい結果も得られた。

さらに、Lanらによる報告[“Antitumor effect of aspirin in glioblastoma cells by modulation of β-catenin/T-cell factor-mediated transcriptional activity”, J Neurosurg, 2011, Vol. 115, pp. 780-788(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)]では、アスピリンが強力な抗腫瘍剤として作用することが見出されており、神経膠腫細胞におけるβ−カテニン/TCFシグナル伝達経路の抑制を介した抗腫瘍作用が示された。

また、他の研究においても、アスピリンが、神経膠腫細胞株に対する強力な抗腫瘍剤として作用することが示されている[M. W. Brown, ‘Characterisation Of The Effects Of Chronic Aspirin Treatment On The Viability And Proliferation Of Stage 4 Glioblastoma Cells’, Diffusion: the UCLan Journal of Undergraduate Research, Vol. 6, Issue 2, December 2013;Aas et al., ‘Growth inhibition of rat glioma cells in vitro and in vivo by aspirin’, Journal of Neuro-Oncology, 1995, Vol. 24, Issue 2, pp. 171-180;Ning et al., ‘Overexpression of S100A9 in human glioma and in-vitro inhibition by aspirin’, European Journal of Cancer Prevention, 2013, Vol. 22, Issue 6, pp. 585-595;Hwang et al., ‘Effect of aspirin and indomethacin on prostaglandin E2 synthesis in C6 glioma cells’, Kaohsiung J Med Sci, 2004, Vol. 20, pp. 1-5;Okada et al., ‘Integration of epidemiology, immunobiology, and translational research for brain tumors’, Ann N Y Acad Sci, 2013, Vol. 1284, pp. 17-23;これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる]。

アスピリンは「特効薬」あるいは「妙薬」と呼ばれてきた。ヤナギ樹皮から得られるこの誘導体は、過去25年間にわたって、心血管疾患の予防および脳血管疾患の予防に対して有益性が高いことが一般に認められてきた。ここ10年では、アスピリンによってがん(たとえば消化管(GI)がん)を予防できるという「証拠に基づいた」理解が深まっている。アスピリンの抗がん作用は、がんの死亡率を約20%低下させることが示されている(Rothwell et al., ‘Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials’, Lancet, 2011, Vol. 377, pp. 31-41(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。

アスピリンの主な欠点は、その作用による胃粘膜障害であり、これはアスピリン粒子胃粘膜に付着することによって悪化する。この副作用は、アスピリンによる神経膠腫治療を妨げるものとしてLanら(上掲)によって同定されたものである。アスピリンを完全に溶解させて、アスピリン粒子が残らないようにすることによって、アスピリンの局所的な細胞傷害性刺激作用を低減できると予想される。

分散錠溶解錠あるいは発泡錠と称される現在の「安定な」アスピリン製剤はいずれも、分散性粒子成形したものに過ぎず、溶解させた直後に粒子として沈殿してしまう。

K. D. Rainsford(‘Aspirin and Related Drugs’, 2004(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、アスピリン粒子が胃粘膜に対して直接的な胃刺激作用を有することを示す決定的な証拠を初めて報告している。この胃刺激作用は1930年代に様々な研究で報告されており、これらの報告では、溶解しなかったアスピリン粒子が胃粘膜や周囲の潰瘍部位入り込むことが確認された(Douthwaite and Lintott, ‘Gastroscopic observations of the gastric mucosa after use of aspirin’, Lancet, 1938, Vol. 232, pp. 1222-1225; Hurst and Lintott, ‘Aspirin as a cause of hematemesis’, Guy’s Hosp Rep, 1939, p. 173(これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる))。この作用は、D. J. Levy(‘An aspirin tablet and gastric ulcer’, N Engl J Med, 2000, Vol. 343, No. 12, p. 863(この文献は、引用により本明細書に組み込まれる))によって撮影された写真からも確認できる。

Rainsfordら(‘Electronmicroscopic observations on the effects of orally administered aspirin and aspirin-bicarbonate mixtures on the development of gastric mucosal damage in the rat’, Gut, 1975, Vol. 16(7), pp. 514-527(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、「アスピリンと重炭酸塩の混合物中にアスピリン粒子が存在しないことが重要であることは明らかである。これによって、胃粘膜および胃小窩にアスピリンが容易に広がり局所障害や胃粘膜障害の発生において重要だと考えられる濃縮粒子中の薬物量が減少する。」と述べている。この主張は、他の3つの研究、すなわち、Jaiswalらによる研究(IUPHAR 9th Int. Conference of Pharmacology, 1984(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))、Liversageらによる研究(‘Drug particle size reduction for decreasing gastric irritation and enhanced absorption of Naproxen in rats’, Int J Pharm, 1995, Vol. 125(2), pp. 309-313(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))およびGyoryらによる研究(‘Effect of particle size on aspirin-induced gastrointestinal bleeding’, Lancet, Vol. 292, No. 7563, pp. 300-302(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))でも支持されている。これらの文献では、アスピリン粒子の大きさと消化管炎症の重症度との間に明確な相関があることがはっきりと示されている。

M. I. Grossmanら(‘Fecal Blood Loss Produced By Oral And Intravenous Administration Of Various Salicylates’, Gastroenterology, 1961, Vol. 40, pp. 383-388(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、アスピリンの「粒子作用」が消化管炎症の原因であることを強く支持している。Grossmanは、静脈投与したアスピリンによって消化管出血が起こるには、それ以前に消化管障害が存在していなければならないと提唱している。Grossmanは、「サリチル酸エステル引き金を引いたときにが暴発するには、あらかじめ銃に弾が装填されていなければならない」と述べている。

上述の主張は、静脈内投与皮下投与または空腸内投与されたアスピリンの胃粘膜に対する作用を検討した一連の7つの研究でも支持されている。これらの文献では、様々な用量(極めて高い用量も含む)で投与されたアスピリンが、全身におけるCOXおよびプロスタグランジンの生成に有意な作用を及ぼすことが報告されている。このような全身性の作用が見られるにもかかわらず、消化管障害を引き起こす投与経路は、胃粘膜と直接接触する投与経路のみであることが各文献において述べられている。したがって、これらの文献はいずれも、アスピリンの投与によって観察される消化管障害作用は、「COX」を介した全身性の作用によるものではなく、「粒子」との直接接触による作用によるものであると結論付けている。全身性のCOX作用は、アスピリンの消化管副作用を引き起こす要因ではないが、COXを介した抗血小板作用により、アスピリン投与の以前から存在した病変からの出血が悪化する。[Kevin et al., ‘Acute effect of systemic aspirin on gastric mucosa in man’, Digestive Diseases and Sciences, 1980, Vol. 25, Issue 2, pp 97-99;Cooke et al., ‘Failure of intravenous aspirin to increase gastrointestinal blood loss’, British medical journal, 1969; Vol. 3(5666), pp. 330-332;Wallace et al., ‘Adaptation of rat gastric mucosa to aspirin requires mucosal contact’ Am J Physiol, 1995, Vol. 268, G134-8;Cryer et al. ‘Effects of low dose daily aspirin therapy on gastric, duodenal and rectal prostaglandin levels and on mucosal injury in healthy humans’, Gastroenterology, 1999, Vol. 117, pp. 17-25;Lichtenberger et al., ‘Where is the evidence that cyclooxygenase inhibition is the primary cause of nonsteroidal anti-inflammatory drug (NSAID)-induced gastrointestinal injury? Topical injury revisited’, Biochemical Pharmacology, 2001, Vol. 61, pp. 631-637;Ligumsky M et al., ‘Aspirin can inhibit gastric mucosal cyclo-oxygenase without causing lesions in the rat’, Gastroenterology, 1983, Vol. 84, pp 756-61;およびZhao et al., ‘Clinical Research Feasibility of intravenous administration of aspirin in acute coronary syndrome’, Journal of Geriatric Cardiology, 2008, Vol. 5 No. 4, pp. 212-216(これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる)]

アスピリン粒子と内壁との接触は、アスピリンによる消化管炎症の発生に必須であると考えられる。ただし、これは、全身性のCOX作用のみによって消化管障害が誘導されるその他のNSAIDには当てはまらない(Mashita et al., ‘Oral but not parenteral aspirin upregulates COX-2 expression in rat stomachs: a relationship between COX-2 expression andPGdeficiency’, Digestion, 2006, Vol. 73(2-3), pp. 124-32(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。

Mashitaら(上掲)による研究では、インドメタシン(「新しい」NSAID)またはアスピリンを経口投与または皮下投与した場合、PGE2の低下はいずれの薬物においても見られたが、胃障害の発生は経口投与または皮下投与したインドメタシンにおいてのみ見られたことが示されている。アスピリンは、経口投与した場合にのみ障害を引き起こした。Mashitaらは、アスピリンが局所刺激により障害を引き起こしたのに対し、インドメタシンは全身性作用により障害を引き起こしたと結論付けた。これは、アスピリンの独特性をはっきりと示すものであり、アスピリンとその他のNSAIDとの違いを示すものでもある。

したがって、アスピリンの経口摂取時に見られる副作用は、アスピリン粒子が胃粘膜に対して直接的な局所刺激を及ぼすことによって胃障害が起こることに起因することが明らかである。このことから、アスピリンが完全に溶解した安定な液状アスピリンを調製することによって粒子を排除することができれば、有害な消化管副作用を大幅に低減または完全に排除することができる。

アスピリンは、溶液液体の形態では不安定であることから、通常、専ら固体形態(すなわち、錠剤顆粒剤など)で経口投与される。アスピリンは、経口医薬品において一般に使用される溶媒プロピレングリコールエタノールグリセロールなど)や水に溶解せず、これらの溶媒中において安定でもない。アスピリンは急速に加水分解されて酢酸サリチル酸になり、その薬理活性が大幅に失われる。したがって、そのような溶媒中のアスピリンは有効期間がかなり短くなるため、商業用途に適した安定なアスピリン溶液を開発することは難しい。アスピリンが溶液中で分解する原因は水だけではなく、加水分解、糖分解およびエステル交換によっても分解し、これらはいずれも約3.5よりも高いpHにおいて促進される。経口摂取可能な液体形態の安定な溶解性アスピリン組成物が必要とされている。

さらに、溶液や液体の形態においてアスピリンは不安定であること、およびアスピリンを完全に溶解させることは難しいことから、液剤組成物に適した他の投与方法でアスピリンを投与することは現在不可能である。したがって、静脈動脈などを介して血流に投与することができ、あるいは吸入剤エアロゾル剤などの吸入によってに投与することができ、好ましくは完全に溶解したアスピリンを含む、安定なアスピリン組成物の提供が望まれている。

安定な液状アスピリン組成物を有利に使用できる具体的な例の1つとしては、たとえば固体形態のアスピリンを患者に服用させることが不可能なことが多い脳卒中発作や心臓発作の直後などに、発作を起こした患者に経口投与できることが挙げられる。これ以外の利点としては、利便性、急速かつ完全な吸収(バイオアベイラビリティの上昇)、および胃炎の軽減が挙げられる。さらに、嚥下障害嚥下困難)を有する患者や高齢患者に対しては、固形のアスピリンを経口投与することが不可能であったり、危険を伴ったりする場合がある。このような問題は、安定な液状組成物を提供することによって解決することができる。

他のサリチル酸化合物においても、サリチル酸化合物が完全に溶解した安定な液状組成物の提供には様々な問題が伴う。他のサリチル酸化合物としては、たとえば、ジフルニサル(2’,4’−ジフルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸)、トリフルサル(2−アセチルオキシ−4−(トリフルオロメチル安息香酸)、サルレート(2−(2−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸)およびサリチル酸そのもの(2−ヒドロキシ安息香酸)が挙げられ、これらのサリチル酸化合物においても安定な液状組成物が必要とされていると考えられる。

WO 91/01761には、安定に長期保存可能なアスピリンのDEET溶液が記載されており、この溶液は、共溶媒としてトリアセチルグリセリンをさらに含んでいてもよい。

欧州特許公開第0 920 862号明細書には、有機酸グリセリン脂肪酸エステルシリコーン油および炭化水素油から選択される少なくとも1つの物質を含むアスピリン溶液が記載されている。

米国特許公開第6 306 843号明細書には、非水性有機溶媒を用いた安定なアスピリン溶液が記載されており、この溶液は、環状酸イミドおよび/またはスルファミン酸を含んでいる。

しかしながら、これらの文献に記載されている組成物はいずれも十分な安定性を有しておらず、かつ/またはヒトによる摂取に適していない非GRAS物質もしくは薬学的に認可されていない製品を含んでいる。したがって、有効期間が長く、アスピリンが高い溶解性と安定性を示し、かつヒトの治療用途、特に経口投与によるヒトの治療用途に適した安定なアスピリン溶液が必要とされている。

概要

サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)、トリアセチルグリセリン、およびサッカリンを含む液状組成物が提供される。サリチル酸化合物は前記組成物中に溶解しており、該組成物は経口投与、非経口投与または経肺投与に特に適している。

目的

したがって、静脈や動脈などを介して血流に投与することができ、あるいは吸入剤やエアロゾル剤などの吸入によって肺に投与することができ、好ましくは完全に溶解したアスピリンを含む、安定なアスピリン組成物の提供が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

請求項2

香味剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物

請求項3

サリチル酸化合物が、アスピリントリフルサルジフルニサルサルレートおよびサリチル酸からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。

請求項4

サリチル酸化合物がアスピリンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。

請求項5

グリセリン誘導体がトリアセチルグリセリンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。

請求項6

サッカリン化合物がサッカリンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。

請求項7

サリチル酸化合物、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを含むか、またはサリチル酸化合物、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液状組成物。

請求項8

アスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを含むか、またはアスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンからなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。

請求項9

アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび香味剤を含むか、またはアスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび香味剤からなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。

請求項10

香味剤がハッカ油を含むか、またはハッカ油からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項11

サリチル酸化合物の濃度が0.5〜3%であり、かつ/または好ましくはトリアセチルグリセリンであるグリセリン誘導体の濃度が94〜99%である、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項12

好ましくはサッカリンであるサッカリン化合物の濃度が0.1〜3%である、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項13

好ましくはトリアセチルグリセリンであるグリセリン誘導体が、活性白土を通した濾過によって得られる、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項14

25℃におけるサリチル酸化合物の分解率が、0.04%/日未満および/または0.006mg/g/日未満である、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項15

25℃におけるサリチル酸化合物の分解率が、0.02%/日未満および/または0.004mg/g/日未満である、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項16

粒子が含まれていないか、かつ/またはサリチル酸化合物が完全に溶解している、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項17

経口使用に適している、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項18

静脈内投与用または動脈投与用に製剤化されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項19

吸入投与用または吹送投与用に製剤化されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。

請求項20

液状組成物の調製方法であって、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物を混合することを含む方法。

請求項21

香味剤を混合することをさらに含む、請求項20に記載の方法。

請求項22

サリチル酸化合物が、アスピリン、トリフルサル、ジフルニサル、サルサレートおよびサリチル酸からなる群から選択される、請求項20または21に記載の方法。

請求項23

サリチル酸化合物がアスピリンである、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。

請求項24

グリセリン誘導体がトリアセチルグリセリンである、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。

請求項25

サッカリン化合物がサッカリンである、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。

請求項26

アスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを混合することを含む、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。

請求項27

香味剤がハッカ油である、請求項20〜36のいずれか1項に記載の方法。

請求項28

サリチル酸化合物の濃度が0.5〜3%であり、かつ/または好ましくはトリアセチルグリセリンであるグリセリン誘導体の濃度が94〜99%である、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項29

好ましくはサッカリンであるサッカリン化合物の濃度が0.1〜3%である、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。

請求項30

請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物を含む包装品であって、該組成物が該包装密封されている包装品。

請求項31

ボトルピペット注射器バイアル分包スティック分包および液体用ゲルカプセルからなる群から選択される、請求項30に記載の包装品。

請求項32

アスピリンの摂取方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液状組成物を経口投与することを含む方法。

請求項33

アスピリンの摂取方法であって、経口投与、直腸投与経鼻投与、非経口投与(好ましくは静脈内投与もしくは動脈内投与)、吸入投与または吹送投与によって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液状組成物を投与することを含む方法。

請求項34

治療方法において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液状組成物。

請求項35

前記治療方法が、経口投与、直腸投与、経鼻胃投与、非経口投与(好ましくは静脈内投与もしくは動脈内投与)、吸入投与または吹送投与によって前記液状組成物を投与することを含む、請求項34に記載の、治療方法において使用するための液状組成物。

請求項36

心血管疾患脳血管疾患またはがんの治療方法において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液状組成物。

請求項37

心血管疾患が、狭心症心不全(HF);左室不全または右室不全肺性心虚血性心疾患(IHD);心筋症不整脈心臓弁狭窄肥大型心筋症(HCM);冠性心疾患小児の心血管疾患(たとえば川崎病);および先天性心疾患から選択されるものである、請求項36に記載の、治療方法において使用するための液状組成物。

請求項38

脳血管疾患が、脳卒中、大脳虚血脳虚血一過性脳虚血発作(TIA)および血管性認知症から選択されるものである、請求項36に記載の、治療方法において使用するための液状組成物。

請求項39

がんが、中枢神経系がん、脳がん、消化管がんまたは神経膠腫である、請求項36に記載の、治療方法において使用するための液状組成物。

請求項40

疼痛発熱または炎症の治療方法において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液状組成物。

技術分野

0001

本発明は、サリチル酸化合物の安定な液状組成物(たとえばアスピリン組成物)に関し、特に、経口使用、静脈内投与または吸入に適した、サリチル酸化合物の安定な液状組成物に関する。

背景技術

0002

アスピリン(アセチルサリチル酸)は、軽度の鈍痛疼痛を軽減する鎮痛薬発熱下げ解熱薬、および抗炎症薬として広く使用されている。また、アスピリンは、「COX」を介してトロンボキサンの生成を抑制することによって抗血小板作用も奏する。トロンボキサンは、正常な状況下において、血小板分子同士を結合させて血管壁損傷部位パッチを形成する。大きくなりすぎた血小板パッチは、下流の末梢血流阻害することがあるため、血栓形成リスクが高い人においては心臓発作、脳卒中および血栓形成を防ぐことを目的として低用量アスピリンが長期的に使用される。さらに、心臓発作の直後に低用量アスピリンを投与することによって、次に起こる心臓発作や心臓組織壊死のリスクを低減することもできる。さらに、がん(特に消化管のがん)の予防や増殖遅延にアスピリンが効果的な場合があることを示す証拠も続々と報告されている。

0003

たとえば、Garcia-Albenixらによる報告(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)では、アスピリンを8〜10年間にわたって毎日服用させることによって、いずれの用量においても、結腸直腸がん(「CRC」)のリスクが24%も低減されたという目覚ましい結果が得られており、CRC関連死亡率も35%低減されたというさらに目覚ましい結果も得られた。

0004

さらに、Lanらによる報告[“Antitumor effect of aspirin in glioblastoma cells by modulation of β-catenin/T-cell factor-mediated transcriptional activity”, J Neurosurg, 2011, Vol. 115, pp. 780-788(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)]では、アスピリンが強力な抗腫瘍剤として作用することが見出されており、神経膠腫細胞におけるβ−カテニン/TCFシグナル伝達経路の抑制を介した抗腫瘍作用が示された。

0005

また、他の研究においても、アスピリンが、神経膠腫細胞株に対する強力な抗腫瘍剤として作用することが示されている[M. W. Brown, ‘Characterisation Of The Effects Of Chronic Aspirin Treatment On The Viability And Proliferation Of Stage 4 Glioblastoma Cells’, Diffusion: the UCLan Journal of Undergraduate Research, Vol. 6, Issue 2, December 2013;Aas et al., ‘Growth inhibition of rat glioma cells in vitro and in vivo by aspirin’, Journal of Neuro-Oncology, 1995, Vol. 24, Issue 2, pp. 171-180;Ning et al., ‘Overexpression of S100A9 in human glioma and in-vitro inhibition by aspirin’, European Journal of Cancer Prevention, 2013, Vol. 22, Issue 6, pp. 585-595;Hwang et al., ‘Effect of aspirin and indomethacin on prostaglandin E2 synthesis in C6 glioma cells’, Kaohsiung J Med Sci, 2004, Vol. 20, pp. 1-5;Okada et al., ‘Integration of epidemiology, immunobiology, and translational research for brain tumors’, Ann N Y Acad Sci, 2013, Vol. 1284, pp. 17-23;これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる]。

0006

アスピリンは「特効薬」あるいは「妙薬」と呼ばれてきた。ヤナギ樹皮から得られるこの誘導体は、過去25年間にわたって、心血管疾患の予防および脳血管疾患の予防に対して有益性が高いことが一般に認められてきた。ここ10年では、アスピリンによってがん(たとえば消化管(GI)がん)を予防できるという「証拠に基づいた」理解が深まっている。アスピリンの抗がん作用は、がんの死亡率を約20%低下させることが示されている(Rothwell et al., ‘Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials’, Lancet, 2011, Vol. 377, pp. 31-41(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。

0007

アスピリンの主な欠点は、その作用による胃粘膜障害であり、これはアスピリン粒子胃粘膜に付着することによって悪化する。この副作用は、アスピリンによる神経膠腫治療を妨げるものとしてLanら(上掲)によって同定されたものである。アスピリンを完全に溶解させて、アスピリン粒子が残らないようにすることによって、アスピリンの局所的な細胞傷害性刺激作用を低減できると予想される。

0008

分散錠溶解錠あるいは発泡錠と称される現在の「安定な」アスピリン製剤はいずれも、分散性粒子成形したものに過ぎず、溶解させた直後に粒子として沈殿してしまう。

0009

K. D. Rainsford(‘Aspirin and Related Drugs’, 2004(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、アスピリン粒子が胃粘膜に対して直接的な胃刺激作用を有することを示す決定的な証拠を初めて報告している。この胃刺激作用は1930年代に様々な研究で報告されており、これらの報告では、溶解しなかったアスピリン粒子が胃粘膜や周囲の潰瘍部位入り込むことが確認された(Douthwaite and Lintott, ‘Gastroscopic observations of the gastric mucosa after use of aspirin’, Lancet, 1938, Vol. 232, pp. 1222-1225; Hurst and Lintott, ‘Aspirin as a cause of hematemesis’, Guy’s Hosp Rep, 1939, p. 173(これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる))。この作用は、D. J. Levy(‘An aspirin tablet and gastric ulcer’, N Engl J Med, 2000, Vol. 343, No. 12, p. 863(この文献は、引用により本明細書に組み込まれる))によって撮影された写真からも確認できる。

0010

Rainsfordら(‘Electronmicroscopic observations on the effects of orally administered aspirin and aspirin-bicarbonate mixtures on the development of gastric mucosal damage in the rat’, Gut, 1975, Vol. 16(7), pp. 514-527(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、「アスピリンと重炭酸塩の混合物中にアスピリン粒子が存在しないことが重要であることは明らかである。これによって、胃粘膜および胃小窩にアスピリンが容易に広がり局所障害や胃粘膜障害の発生において重要だと考えられる濃縮粒子中の薬物量が減少する。」と述べている。この主張は、他の3つの研究、すなわち、Jaiswalらによる研究(IUPHAR 9th Int. Conference of Pharmacology, 1984(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))、Liversageらによる研究(‘Drug particle size reduction for decreasing gastric irritation and enhanced absorption of Naproxen in rats’, Int J Pharm, 1995, Vol. 125(2), pp. 309-313(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))およびGyoryらによる研究(‘Effect of particle size on aspirin-induced gastrointestinal bleeding’, Lancet, Vol. 292, No. 7563, pp. 300-302(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))でも支持されている。これらの文献では、アスピリン粒子の大きさと消化管炎症の重症度との間に明確な相関があることがはっきりと示されている。

0011

M. I. Grossmanら(‘Fecal Blood Loss Produced By Oral And Intravenous Administration Of Various Salicylates’, Gastroenterology, 1961, Vol. 40, pp. 383-388(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))は、アスピリンの「粒子作用」が消化管炎症の原因であることを強く支持している。Grossmanは、静脈投与したアスピリンによって消化管出血が起こるには、それ以前に消化管障害が存在していなければならないと提唱している。Grossmanは、「サリチル酸エステル引き金を引いたときにが暴発するには、あらかじめ銃に弾が装填されていなければならない」と述べている。

0012

上述の主張は、静脈内投与、皮下投与または空腸内投与されたアスピリンの胃粘膜に対する作用を検討した一連の7つの研究でも支持されている。これらの文献では、様々な用量(極めて高い用量も含む)で投与されたアスピリンが、全身におけるCOXおよびプロスタグランジンの生成に有意な作用を及ぼすことが報告されている。このような全身性の作用が見られるにもかかわらず、消化管障害を引き起こす投与経路は、胃粘膜と直接接触する投与経路のみであることが各文献において述べられている。したがって、これらの文献はいずれも、アスピリンの投与によって観察される消化管障害作用は、「COX」を介した全身性の作用によるものではなく、「粒子」との直接接触による作用によるものであると結論付けている。全身性のCOX作用は、アスピリンの消化管副作用を引き起こす要因ではないが、COXを介した抗血小板作用により、アスピリン投与の以前から存在した病変からの出血が悪化する。[Kevin et al., ‘Acute effect of systemic aspirin on gastric mucosa in man’, Digestive Diseases and Sciences, 1980, Vol. 25, Issue 2, pp 97-99;Cooke et al., ‘Failure of intravenous aspirin to increase gastrointestinal blood loss’, British medical journal, 1969; Vol. 3(5666), pp. 330-332;Wallace et al., ‘Adaptation of rat gastric mucosa to aspirin requires mucosal contact’ Am J Physiol, 1995, Vol. 268, G134-8;Cryer et al. ‘Effects of low dose daily aspirin therapy on gastric, duodenal and rectal prostaglandin levels and on mucosal injury in healthy humans’, Gastroenterology, 1999, Vol. 117, pp. 17-25;Lichtenberger et al., ‘Where is the evidence that cyclooxygenase inhibition is the primary cause of nonsteroidal anti-inflammatory drug (NSAID)-induced gastrointestinal injury? Topical injury revisited’, Biochemical Pharmacology, 2001, Vol. 61, pp. 631-637;Ligumsky M et al., ‘Aspirin can inhibit gastric mucosal cyclo-oxygenase without causing lesions in the rat’, Gastroenterology, 1983, Vol. 84, pp 756-61;およびZhao et al., ‘Clinical Research Feasibility of intravenous administration of aspirin in acute coronary syndrome’, Journal of Geriatric Cardiology, 2008, Vol. 5 No. 4, pp. 212-216(これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる)]

0013

アスピリン粒子と内壁との接触は、アスピリンによる消化管炎症の発生に必須であると考えられる。ただし、これは、全身性のCOX作用のみによって消化管障害が誘導されるその他のNSAIDには当てはまらない(Mashita et al., ‘Oral but not parenteral aspirin upregulates COX-2 expression in rat stomachs: a relationship between COX-2 expression andPGdeficiency’, Digestion, 2006, Vol. 73(2-3), pp. 124-32(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。

0014

Mashitaら(上掲)による研究では、インドメタシン(「新しい」NSAID)またはアスピリンを経口投与または皮下投与した場合、PGE2の低下はいずれの薬物においても見られたが、胃障害の発生は経口投与または皮下投与したインドメタシンにおいてのみ見られたことが示されている。アスピリンは、経口投与した場合にのみ障害を引き起こした。Mashitaらは、アスピリンが局所刺激により障害を引き起こしたのに対し、インドメタシンは全身性作用により障害を引き起こしたと結論付けた。これは、アスピリンの独特性をはっきりと示すものであり、アスピリンとその他のNSAIDとの違いを示すものでもある。

0015

したがって、アスピリンの経口摂取時に見られる副作用は、アスピリン粒子が胃粘膜に対して直接的な局所刺激を及ぼすことによって胃障害が起こることに起因することが明らかである。このことから、アスピリンが完全に溶解した安定な液状アスピリンを調製することによって粒子を排除することができれば、有害な消化管副作用を大幅に低減または完全に排除することができる。

0016

アスピリンは、溶液液体の形態では不安定であることから、通常、専ら固体形態(すなわち、錠剤顆粒剤など)で経口投与される。アスピリンは、経口医薬品において一般に使用される溶媒プロピレングリコールエタノールグリセロールなど)や水に溶解せず、これらの溶媒中において安定でもない。アスピリンは急速に加水分解されて酢酸サリチル酸になり、その薬理活性が大幅に失われる。したがって、そのような溶媒中のアスピリンは有効期間がかなり短くなるため、商業用途に適した安定なアスピリン溶液を開発することは難しい。アスピリンが溶液中で分解する原因は水だけではなく、加水分解、糖分解およびエステル交換によっても分解し、これらはいずれも約3.5よりも高いpHにおいて促進される。経口摂取可能な液体形態の安定な溶解性アスピリン組成物が必要とされている。

0017

さらに、溶液や液体の形態においてアスピリンは不安定であること、およびアスピリンを完全に溶解させることは難しいことから、液剤組成物に適した他の投与方法でアスピリンを投与することは現在不可能である。したがって、静脈動脈などを介して血流に投与することができ、あるいは吸入剤エアロゾル剤などの吸入によってに投与することができ、好ましくは完全に溶解したアスピリンを含む、安定なアスピリン組成物の提供が望まれている。

0018

安定な液状アスピリン組成物を有利に使用できる具体的な例の1つとしては、たとえば固体形態のアスピリンを患者に服用させることが不可能なことが多い脳卒中発作や心臓発作の直後などに、発作を起こした患者に経口投与できることが挙げられる。これ以外の利点としては、利便性、急速かつ完全な吸収(バイオアベイラビリティの上昇)、および胃炎の軽減が挙げられる。さらに、嚥下障害嚥下困難)を有する患者や高齢患者に対しては、固形のアスピリンを経口投与することが不可能であったり、危険を伴ったりする場合がある。このような問題は、安定な液状組成物を提供することによって解決することができる。

0019

他のサリチル酸化合物においても、サリチル酸化合物が完全に溶解した安定な液状組成物の提供には様々な問題が伴う。他のサリチル酸化合物としては、たとえば、ジフルニサル(2’,4’−ジフルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸)、トリフルサル(2−アセチルオキシ−4−(トリフルオロメチル安息香酸)、サルレート(2−(2−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸)およびサリチル酸そのもの(2−ヒドロキシ安息香酸)が挙げられ、これらのサリチル酸化合物においても安定な液状組成物が必要とされていると考えられる。

0020

WO 91/01761には、安定に長期保存可能なアスピリンのDEET溶液が記載されており、この溶液は、共溶媒としてトリアセチルグリセリンをさらに含んでいてもよい。

0021

欧州特許公開第0 920 862号明細書には、有機酸グリセリン脂肪酸エステルシリコーン油および炭化水素油から選択される少なくとも1つの物質を含むアスピリン溶液が記載されている。

0022

米国特許公開第6 306 843号明細書には、非水性有機溶媒を用いた安定なアスピリン溶液が記載されており、この溶液は、環状酸イミドおよび/またはスルファミン酸を含んでいる。

0023

しかしながら、これらの文献に記載されている組成物はいずれも十分な安定性を有しておらず、かつ/またはヒトによる摂取に適していない非GRAS物質もしくは薬学的に認可されていない製品を含んでいる。したがって、有効期間が長く、アスピリンが高い溶解性と安定性を示し、かつヒトの治療用途、特に経口投与によるヒトの治療用途に適した安定なアスピリン溶液が必要とされている。

課題を解決するための手段

0024

本発明の一態様において、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物を含む液状組成物が提供される。

0025

前記組成物は香味剤をさらに含んでいてもよく、香味剤はハッカ油を含んでいてもよく、ハッカ油からなっていてもよい。

0026

前記組成物は、完全に溶解したサリチル酸化合物を安定な液体形態として提供するものである。これによって、上述した消化管刺激性の副作用が劇的に低減されるか、回避されるか、緩和されるか、あるいは排除される。さらに、前記組成物は液体形態であるため、非常に容易に投与することができる。前記組成物は、薬学的に許容されている成分を使用していることから、ヒトの治療において安全に使用することができる。

0027

サリチル酸化合物は、アスピリン、トリフルサル、ジフルニサル、サルサレートおよびサリチル酸からなる群から選択してもよい。好ましい実施形態では、サリチル酸化合物はアスピリンである。

0028

グリセリン誘導体は、本明細書に記載のグリセリン誘導体であってもよい。好ましい実施形態では、グリセリン誘導体はトリアセチルグリセリンである。

0029

サッカリン化合物は、本明細書に記載のサッカリン化合物であってもよい。好ましい実施形態では、サッカリン化合物はサッカリンである。

0030

いくつかの実施形態において、前記組成物は、サリチル酸化合物、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを含むか、またはサリチル酸化合物、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンからなる。好ましい実施形態のいくつかにおいて、前記組成物は、アスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを含むか、またはアスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンからなる。いくつかの実施形態において、前記組成物は、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび香味剤を含むか、またはアスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび香味剤からなる。

0031

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物(好ましくはアスピリン)の濃度は0.5〜3wt%であってもよく、かつ/またはグリセリン誘導体(好ましくはトリアセチルグリセリン)の濃度は94〜99wt%であってもよい。いくつかの実施形態において、サッカリン化合物(好ましくはサッカリン)の濃度は0.1〜3wt%であってもよい。

0032

疑義を避けるために付言すると、前記組成物中の成分を合計すると100wt%になる。たとえば、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物からなる組成物において、サリチル酸化合物(好ましくはアスピリン)の量が0.5〜3wt%であり、かつサッカリン化合物(好ましくはサッカリン)の量が0.1〜3wt%であってもよく、グリセリン誘導体がその残りを占めることによって、組成物中の成分の総量が100wt%となる。

0033

グリセリン誘導体(たとえばトリアセチルグリセリン)は、精製工程を経て得たものであってもよく、精製工程を経て得られるものであってもよい。この精製工程は、グリセリン誘導体から水またはその他の不純物を除去するのに適したものであってもよい。たとえば、グリセリン誘導体は、蒸留および/または活性白土を通した濾過によって処理してもよい。

0034

グリセリン誘導体(たとえばトリアセチルグリセリン)は、活性白土を通した濾過によって得たものであってもよく、活性白土を通した濾過によって得られるものであってもよい。

0035

いくつかの実施形態において、前記組成物中に含まれるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の25℃における分解率は、0.04%/日未満および/または0.006mg/g/日未満であってもよい。いくつかの実施形態において、前記組成物中に含まれるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の25℃における分解率は、0.02%/日未満および/または0.004mg/g/日未満であってもよい。

0036

前記組成物としては、粒子を含まないものが挙げられる。サリチル酸化合物としては、液状組成物中に完全に溶解しているものが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記組成物中に完全に溶解しているサリチル酸化合物(好ましくはアスピリン)の量は、サリチル酸化合物の総量の90%を超え、たとえば、サリチル酸化合物の総量の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.9%が前記組成物中に完全に溶解している。いくつかの実施形態では、サリチル酸化合物の総量の100%が完全に溶解している。

0037

前記組成物は経口使用に適したものであってもよく、静脈内投与用または動脈内投与用に製剤化されていてもよく、あるいは吸入投与用または吹送投与用に製剤化されていてもよい。前記組成物は医薬組成物であってもよく、医薬品であってもよい。

0038

本発明の別の一態様において、液状組成物を調製または製造する方法であって、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物を混合することを含む方法が提供される。前記方法は、香味剤(たとえばハッカ油)を混合することをさらに含んでいてもよい。

0039

前記方法は、
(a)グリセリン誘導体にサリチル酸化合物およびサッカリン化合物を加える工程;
(b)任意で香味剤を加える工程;ならびに
(b)完全に溶解するまで混合する工程
を含んでいてもよい。
前記混合は、液状組成物を超音波処理することによって行ってもよい。

0040

サリチル酸化合物は、アスピリン、トリフルサル、ジフルニサル、サルサレートおよびサリチル酸からなる群から選択してもよい。好ましい実施形態では、サリチル酸化合物はアスピリンである。

0041

グリセリン誘導体は、本明細書に記載のグリセリン誘導体であってもよい。好ましい実施形態では、グリセリン誘導体はトリアセチルグリセリンである。

0042

サッカリン化合物は、本明細書に記載のサッカリン化合物であってもよい。好ましい実施形態では、サッカリン化合物はサッカリンである。

0043

いくつかの実施形態において、前記方法は、アスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンを混合することを含む。

0044

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物の濃度は0.5〜3wt%であってもよく、かつ/またはグリセリン誘導体(好ましくはトリアセチルグリセリン)の濃度は94〜99wt%であってもよい。

0045

いくつかの実施形態において、サッカリン化合物(好ましくはサッカリン)の濃度は0.1〜3wt%である。

0046

本発明の別の一態様において、本発明の液状組成物を含む包装品であって、該組成物が該包装密封されている包装品が提供される。前記包装品は、ボトルピペット注射器バイアル分包スティック分包および液体用ゲルカプセルのいずれであってもよい。

0047

ブローフィルシール(BFS)法を使用して前記包装品を製造してもよい。

0048

本発明の別の一態様において、アスピリンの摂取方法であって、本発明による安定な液状組成物を経口投与することを含む方法が提供される。

0049

本発明の別の一態様において、アスピリンの摂取方法であって、経口投与、直腸投与経鼻胃投与、非経口投与(たとえば静脈内投与もしくは動脈内投与)、吸入投与または吹送投与によって、本発明の液状組成物を投与することを含む方法が提供される。

0050

本発明の別の一態様において、本発明の液状組成物は、治療方法において使用するために提供される。

0051

本発明の別の一態様において、治療方法において使用するための本発明の医薬品または医薬組成物の製造における、サリチル酸化合物、サッカリン化合物またはグリセリン誘導体の使用が提供される。

0052

本発明の別の一態様において、疾患または障害の治療方法であって、治療を必要とする対象に本発明の組成物を投与することによって、該対象を治療することを含む方法が提供される。

0053

いくつかの実施形態において、前記治療方法は、経口投与、直腸投与、経鼻胃投与、非経口投与(たとえば静脈内投与もしくは動脈内投与)、吸入投与または吹送投与によって前記液状組成物を投与することを含む。

0054

いくつかの実施形態において、前記治療方法は、心血管疾患、脳血管疾患またはがんを治療または予防することを含む。

0055

心血管疾患は、狭心症心不全(HF);左室不全または右室不全肺性心虚血性心疾患(IHD);心筋症不整脈心臓弁狭窄肥大型心筋症(HCM);冠性心疾患小児の心血管疾患(たとえば川崎病);および先天性心疾患から選択されるものであってもよい。

0056

脳血管疾患は、血栓性脳卒中、塞栓性脳卒中、大脳虚血脳虚血一過性脳虚血発作(TIA)および血管性認知症から選択されるものであってもよい。

0057

がんは、中枢神経系がん、脳がんおよび神経膠腫のいずれであってもよい。

0058

がんは消化管がんであってもよい。

0059

驚くべきことに、上述の問題の少なくとも1つを解決できるか、あるいは顕著に低減することができるアスピリン組成物が本発明者らにより見出された。

0060

したがって、一態様において本発明は、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物を提供する。

0061

また、別の一態様において本発明は、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物を含む包装品であって、該組成物が該包装に密封されている包装品を提供する。

0062

さらに、別の一態様において本発明は、アスピリンの摂取方法であって、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物を経口投与することを含む方法を提供する。

0063

さらに、別の一態様において、本発明は、鎮痛薬、解熱薬、抗炎症薬および/または抗血小板薬として経口投与により使用するための、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物を提供する。

0064

さらに、別の一態様において本発明は、安定なアスピリン溶液を製造するための、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含むか、またはこれらからなる組成物の使用を提供する。

0065

本明細書に開示した発明性のある技術的特徴広範囲な組み合わせを、項番を付して以下に示す。
1.アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物。
2.アスピリンの濃度が0.5〜3%であり、かつ/またはトリアセチルグリセリンの濃度が94〜99%である、項1に記載の組成物。
3.サッカリンの濃度が0.1〜3%である、項1または項2に記載の組成物。
4.香味剤がハッカ油を含むか、またはハッカ油からなる、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
5.アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤からなる、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
6.トリアセチルグリセリンが、活性白土を通した濾過によって得られる、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
7.25℃におけるアスピリンの分解率が、0.04%/日未満および/または0.006mg/g/日未満である、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
8.25℃におけるアスピリンの分解率が、0.02%/日未満および/または0.004mg/g/日未満である、項7に記載の組成物。
9.粒子が含まれていないか、かつ/またはアスピリンが完全に溶解している、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
10.経口使用に適している、先行する項のいずれか1つに記載の組成物。
11.先行する項のいずれか1つに記載の組成物を含む包装品であって、該組成物が該包装に密封されている包装品。
12.ボトル、ピペット、注射器、バイアル、分包、スティック分包および液体用ゲルカプセルからなる群から選択される、項11に記載の包装品。
13.アスピリンの摂取方法であって、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物を経口投与することを含む方法。
14.鎮痛薬、解熱薬、抗炎症薬および/または抗血小板薬として経口投与により使用するための、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含む安定な液状組成物。
15.安定なアスピリン溶液を製造するための、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含むか、またはこれらからなる組成物の使用。

実施例

0066

本発明者らは、サリチル酸化合物をグリセリン誘導体およびサッカリン化合物とともに製剤化することによって、安定性の高い液状サリチル酸化合物製剤を提供できることを見出した。

0067

サリチル酸化合物
本明細書において「サリチル酸化合物」は、式(I):



で表される化合物を指し、
式中、
R1は、負電荷か、または
−H、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2および−NRB2
からなる群から独立して選択され;
R2は、
−H、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2、−NRB2および
−Q
からなる群から独立して選択され;
R3〜R6は、
−H、
−F、−Cl、−Br、−I、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2、−NRB2、
−SO3H、−S(O)RAおよび−S(O2)RA
からなる群からそれぞれ独立して選択され;
Qは、



であり;
Pは、−H、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキルアルケニルまたはアルキニルおよび−CORAから独立して選択され;
−RAは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニル
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいベンジル
−COOH、−COORC、−C(O)RC、−NH2、−NHRCおよび−NRC2
からなる群から独立して選択され;
−RDは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
−F、−Cl、−Br、−I、
−OH、−ORC、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORC、−COOH、−COORC、
−NH2、−NHRC、−NRC2、−NRB2、
−S(O)RCおよび−S(O2)RC
から独立して選択され;
−RCは、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニルから独立して選択され;
−NRB2は、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、フェニルおよびベンジルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、アゼチジノ、イミダゾリジノ、ピラゾリジノ、ピロリジノピペリジノピペラジノ、N−C1〜4アルキル−ピペラジノ、モルホリノアゼピノおよびジアゼピノからなる群から独立して選択され;
[C+]は、任意で存在するカウンターカチオンであり、アルカリ金属イオンアルカリ土類金属イオン遷移金属イオン、Al3+、アンモニウムイオン、置換されたアンモニウムイオンおよびNO2+からなる群から選択される。

0068

−R1基
いくつかの実施形態において、R1は、負電荷か、または
−H、
−RA、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2および−NRB2
からなる群から独立して選択される。

0069

いくつかの実施形態において、R1は負電荷か、または−Hおよび−RAからなる群から独立して選択される。

0070

いくつかの実施形態において、R1は負電荷か、または
−H、
直鎖もしくは分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルもしくはアルキニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいベンジル、および
−C(O)RC
からなる群から独立して選択される。

0071

いくつかの実施形態において、R1は、負電荷か、−Hまたは直鎖もしくは分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルもしくはアルキニルである。

0072

いくつかの実施形態において、R1は負電荷である。

0073

いくつかの実施形態において、R1は−Hである。

0074

R1が負電荷である場合、カウンターカチオン[Cn+]が存在する。

0075

−R2基
いくつかの実施形態において、R2は、
−H、
−RA、
−COH、−CORA、−COOH、−COORAおよび
−Q
からなる群から独立して選択される。

0076

いくつかの実施形態において、R2は、−H、−COH、−CORAおよび−Qからなる群から独立して選択される。

0077

いくつかの実施形態において、R2は、−H、−CORCおよび−Qからなる群から独立して選択される。

0078

いくつかの実施形態において、R2は、−H、−C(O)CH3および−Qからなる群から独立して選択される。

0079

いくつかの実施形態において、R2は独立して−Hである。

0080

いくつかの実施形態において、R2は独立して−C(O)CH3である。

0081

いくつかの実施形態において、R2は独立して−Qである。

0082

R3〜R6基
いくつかの実施形態において、R3〜R6は、
−H、
−F、−Cl、−Br、
−CN、−NO2、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3および−OCF3
からそれぞれ独立して選択される。

0083

いくつかの実施形態において、R3〜R6は、
−H、
−F、−Cl、
−RA、
−OH、−ORAおよび−CF3
からそれぞれ独立して選択される。

0084

いくつかの実施形態において、R3〜R6は、
−H、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニル、および
−CF3
からそれぞれ独立して選択される。

0085

いくつかの実施形態において、R4は独立して−CF3であり、R3、R5およびR6は、好ましくはそれぞれ独立して−Hである。

0086

いくつかの実施形態において、R5は、1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニルであり、−RDは好ましくは−Fであり、R3、R4およびR6は好ましくはそれぞれ独立して−Hである。

0087

いくつかの実施形態において、R3〜R6はそれぞれ独立して−Hである。

0088

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物は、式(Ia):



で表されるアスピリン(2−(アセトキシ)安息香酸)である。

0089

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物は、式(Ib):



で表されるトリフルサル(2−アセチルオキシ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸)である。

0090

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物は、式(Ic):



で表されるジフルニサル(2’,4’−ジフルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸)である。

0091

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物は、式(Id):



で表されるサルサレート(2−(2−ヒドロキシベンゾイル)オキシ安息香酸)である。

0092

いくつかの実施形態において、サリチル酸化合物は、式(Ie):



で表されるサリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)である。

0093

好ましい実施形態では、サリチル酸化合物はアスピリンである。

0094

グリセリン誘導体
本明細書において「グリセリン誘導体」は、式(II):



で表される化合物を指し、
式中、
R7〜R9は、
−H、
−RA、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2、−NRB2、
−S(O)RAおよび−S(O2)RA
からなる群からそれぞれ独立して選択され;
−RAは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいベンジル、
−COOH、−COORC、−C(O)RC、−NH2、−NHRCおよび−NRC2
からなる群から独立して選択され;
−RDは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
−F、−Cl、−Br、−I、
−OH、−ORC、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORC、−COOH、−COORC、
−NH2、−NHRC、−NRC2、−NRB2、
−S(O)RCおよび−S(O2)RC
から独立して選択され;
−RCは、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニルから独立して選択され;
−NRB2は、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、フェニルおよびベンジルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、アゼチジノ、イミダゾリジノ、ピラゾリジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、N−C1〜4アルキル−ピペラジノ、モルホリノ、アゼピノおよびジアゼピノからなる群から独立して選択される。

0095

R7〜R9基
いくつかの実施形態において、R7〜R9は、−Hおよび−RAからなる群からそれぞれ独立して選択される。

0096

いくつかの実施形態において、R7〜R9は、−H、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、および−C(O)RCからなる群からそれぞれ独立して選択される。

0097

いくつかの実施形態において、R7〜R9は、−Hおよび−C(O)RCからなる群からそれぞれ独立して選択され、RCは好ましくはメチルである。

0098

いくつかの実施形態において、R7〜R9のうちの1つが−Hであり、残りの2つは−C(O)RCであり、RCは好ましくはメチルである。

0099

いくつかの実施形態において、R7〜R9のうちの1つが−C(O)RCであり、残りの2つは−Hであり、RCは好ましくはメチルである。

0100

いくつかの実施形態において、R7〜R9は−C(O)RCからそれぞれ選択され、RCは好ましくはメチルである。

0101

好ましい実施形態のいくつかにおいて、グリセリン誘導体は、式(IIa):



で表されるトリアセチルグリセリン(グリセリルトリアセタートGTA)、トリアセチン、または1,3−ジアセチルオキシプロパン−2−イルアセテートとしても知られている)である。

0102

トリアセチルグリセリンは、「一般に安全と認められる」としてFDAにより認可された食品添加物であり、様々な生物種に対する静脈栄養法において有害作用がないことが実証されている。トリアセチルグリセリンは、電子タバコ霧化剤としても使用されており、このような用途で使用した場合にも安全であると見なされている。

0103

本発明において使用されるトリアセチルグリセリン(三酢酸グリセリングリセリルトリアセテートまたはトリアセチンとしても一般に知られている)は、アスピリンまたはサリチル酸化合物の溶媒として作用し、トリアセチルグリセリンを使用することによって、アスピリンまたはサリチル酸化合物の透明な溶液を調製することができる。食用グレードのトリアセチルグリセリンを使用してもよいが、たとえば蒸留工程などをさらに行うことによって食用グレードのトリアセチルグリセリンをさらに精製することが好ましい。好ましい一実施形態において、トリアセチルグリセリンは、カラム固定層などに充填した活性白土を通して濾過される。活性白土を通過させる前に、エタノールなどの適切な溶媒と混合することによってトリアセチルグリセリンの粘度を低下させることができる。次いで、減圧蒸留を行い、さらに蒸気蒸留を行うことによって溶媒を除去することができる。この溶媒除去によって、トリアセチルグリセリン中の溶媒濃度を1ppm未満とすることが好ましい。

0104

サッカリン化合物
本明細書において「サッカリン化合物」は、式(III):



で表される化合物を指し、
式中、
R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、−Br、−I、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2、−NRB2、
−SO3H、−S(O)RA、−S(O2)RAおよび
−W
からなる群からそれぞれ独立して選択され;
Xは、
−N−、−NHおよび−NRA
からなる群から独立して選択され;
Yは、S(O2)から独立して選択され;
−RAは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいフェニル、
1つ以上の−RD基で置換されていてもよいベンジル、
−COOH、−COORC、−C(O)RC、−NH2、−NHRCおよび−NRC2
からなる群から独立して選択され;
−RDは、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
−F、−Cl、−Br、−I、
−OH、−ORC、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORC、−COOH、−COORC、
−NH2、−NHRC、−NRC2、−NRB2、
−S(O)RCおよび−S(O2)RC
から独立して選択され;
−RCは、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニルから独立して選択され;
−NRB2は、直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、フェニルおよびベンジルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、アゼチジノ、イミダゾリジノ、ピラゾリジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、N−C1〜4アルキル−ピペラジノ、モルホリノ、アゼピノおよびジアゼピノからなる群から独立して選択され;
−Wは、



で表される基であり;
LAは、5員または6員のヘテロ芳香族基から独立して選択され、LBは、5員または6員の単糖部分から独立して選択され;
[C+]は、任意で存在するカウンターカチオンであり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、Al3+、アンモニウムイオン、置換されたアンモニウムイオン、およびNO2+からなる群から選択される。

0105

X基
いくつかの実施形態において、Xは、N−およびNHから独立して選択される。

0106

いくつかの実施形態において、Xは独立してN−であり、[Cn+]は、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンから選択されるカウンターカチオンである。

0107

いくつかの実施形態において、Xは独立してN−であり、[Cn+]は、ナトリウムイオンおよびカルシウムイオンから選択されるカウンターカチオンである。

0108

いくつかの実施形態において、Xは独立してNHである。

0109

R10〜R13基
いくつかの実施形態において、R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、−Br、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3、
−CN、−NO2、
−COH、−CORA、−COOH、−COORA、
−NH2、−NHRA、−NRA2、−NRB2および
−W
からそれぞれ独立して選択される。

0110

いくつかの実施形態において、R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、−Br、
−RA、
−OH、−ORA、−CF3、−OCF3および
−W
からそれぞれ独立して選択される。

0111

いくつかの実施形態において、R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、
−RA、
−OH、−ORAおよび
−W
からそれぞれ独立して選択される。

0112

いくつかの実施形態において、R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、
−OHおよび
−W
からそれぞれ独立して選択される。

0113

いくつかの実施形態において、R10〜R13は、
−H、
−F、−Cl、
直鎖または分岐鎖のC1〜4アルキル、アルケニルまたはアルキニル、および
−OH
からそれぞれ独立して選択される。

0114

いくつかの実施形態において、R10〜R13のうちの1つが独立して−Wであり、R10〜R13のうちの残りの基は独立して−Hである。

0115

いくつかの実施形態において、R11は独立して−Wであり、R10、R12およびR13はそれぞれ独立して−Hである。

0116

LA基
いくつかの実施形態において、LAは、イミダゾリルピラゾリルオキサゾリルイソオキサゾリルチアゾリルイソチアゾリルジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリルフラニルオキサジアゾリルチアジアゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリルピリジニル、ピラニル、チオピラニル、ジアジニルオキサニルチアジニル、ジオキシニル、ジチイニルトリアジニルおよびテトラジニルから独立して選択される5員または6員のヘテロ芳香族基である。

0117

いくつかの実施形態において、LAは、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジチアゾリルおよびテトラゾリルから独立して選択される5員のヘテロ芳香族基である。

0118

いくつかの実施形態において、LAは、トリアゾリル、フラニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルおよびジチアゾリルから独立して選択される5員のヘテロ芳香族基である。

0119

いくつかの実施形態において、LAは、





および

で表されるトリアゾリル部分のうちの1つから独立して選択される5員のヘテロ芳香族基である。

0120

いくつかの実施形態において、LAは、



である。

0121

LB基
いくつかの実施形態において、LBは、リボフラニル、グルコピラニル、ガラクトピラニル、マンノピラニルおよびアロピラニルから独立して選択される。

0122

いくつかの実施形態において、LBは、



で表される6員の単糖部分である。

0123

好ましい実施形態のいくつかにおいて、サッカリン化合物は、式(IIIa):



で表されるサッカリン(2H−1λ6,2−ベンゾチアゾール−1,1,3−トリオン)である。

0124

いくつかの実施形態において、サッカリン化合物は、式(IIIb):



で表される糖類の塩であり、
式中、[Cn+]は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、Al3+、アンモニウムイオン、置換されたアンモニウムイオンおよびNO2+からなる群から選択されるカウンターカチオンであり、より好ましくはナトリウムイオンまたはカルシウムイオンである。

0125

いくつかの実施形態において、サッカリン化合物は式(IIIc):



で表される化合物である。

0126

本発明の第1の態様によれば、本発明の液状組成物は、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物をどのような組み合わせで含んでいてもよく、香味剤をさらに含んでいてもよい。

0127

いくつかの実施形態において、グリセリン誘導体は式(IIa)で表される化合物であり、サッカリン化合物は式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物であり、サリチル酸化合物は式(I)で表される1つ以上のサリチル酸化合物である。

0128

いくつかの実施形態において、グリセリン誘導体は式(IIa)で表される化合物であり、サッカリン化合物は式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物であり、サリチル酸化合物は式(Ia)〜(Ie)で表される1つ以上のサリチル酸化合物である。

0129

いくつかの実施形態において、グリセリン誘導体は式(IIa)で表される化合物であり、サッカリン化合物は式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物であり、サリチル酸化合物は式(Ia)で表される化合物である。

0130

異性
上述の化合物のいくつかは、幾何異性体光学異性体鏡像異性体ジアステレオ異性体エピ異性体、アトロプ異性体立体異性体互変異性体配座異性体アノマー異性体のうちの1つ以上の特定の異性体として存在していてもよく、このような異性体としては、シス体およびトランス体;E体およびZ体;c体、t体およびr体;エンド体およびエキソ体;R体、S体およびメソ体;D体およびL体;d体およびl体;(+)体および(−)体;ケト体エノール体およびエノラート体;syn体およびanti体;シンクナル体およびアンチクリナル体;α体およびβ体;アキシアル体およびエカトリアル体;舟型椅子型、ねじれ型封筒型および半舟型;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。以下、これらをまとめて「異性体」(または「異性形態」)と呼ぶ。

0131

ある種類の構造について述べる場合、構造異性体もその1種として含まれていてもよい(たとえば、C1〜7アルキルはn−プロピルおよびiso−プロピルを含み;ブチルはn−、iso−、sec−およびtert−ブチルを含み;メトキシフェニルオルト−、メタ−、およびパラ−メトキシフェニルを含む)。

0132

しかしながら、特定の基または特定の置換パターンについて述べる場合、空間的位置関係相違ではなく、原子間の結合関係が異なる別の構造(すなわち構造異性体)は含まれない。たとえば、メトキシ基(−OCH3)について述べる場合、その構造異性体であるヒドロキシメチル基(−CH2OH)を指すものとして解釈すべきではない。同様に、オルト−クロロフェニルについて述べる場合、その構造異性体であるメタ−クロロフェニルを指すものとして解釈すべきではない。

0133

上述のような除外は、たとえば、ケト体、エノール体およびエノラート体などの互変異性体には適用されず、たとえば、ケトエノール(以下に図示する)、イミンエナミンアミドイミノアルコールアミジン/アミジン、ニトロソオキシムチオケトンエンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾおよびニトロ/aci−ニトロなどの互変異性体対におけるような互変異性体には適用されない。

0134

「異性体」には、1つ以上の同位体置換を有する化合物も詳細に含まれることに注意されたい。たとえば、Hは、1H、2H(D)および3H(T)などの任意の同位体であってもよく;Cは、12C、13Cおよび14Cなどの任意の同位体であってもよく;Oは、16Oおよび18Oなどの任意の同位体であってもよい。

0135

特段の記載がない限り、特定の化合物について述べる場合、上述のような異性体が含まれ、それらの混合物(たとえばラセミ混合物)も含まれる。前記異性体の調製方法(たとえば不斉合成)および分離方法(たとえば分別晶出クロマトグラフィー法)は、当技術分野において公知であるか、あるいは公知の方法を公知の様式で適合させることによって容易に得ることができる。

0136


上述したように、サリチル酸化合物および/またはサッカリン化合物は塩として提供される場合がある。したがって、本明細書において「サリチル酸化合物」および「サッカリン化合物」は、それらの塩も含む。

0137

特定の化合物の塩、たとえば薬学的に許容される塩を調製、精製、および/または処理することが簡便または望ましい場合がある。薬学的に許容される塩の例は、Berge et al., 1977, “Pharmaceutically Acceptable Salts,” J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に記載されている。

0138

たとえば、サリチル酸化合物またはサッカリン化合物が、アニオンとして存在するか、アニオン性を呈しうる官能基(たとえば、−COOHは−COO−になりうる)を有する場合、適切なカチオン(たとえば、[Cn+]として上述したもの)と塩を形成してもよい。適切な無機カチオンとしては、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類カチオン、ならびにAl3+などの他のカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機カチオンとしては、アンモニウムイオン(すなわちNH4+)および置換アンモニウムイオン(たとえばNH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な置換アンモニウムイオンのいくつかとしては、エチルアミンジエチルアミンジシクロヘキシルアミントリエチルアミンブチルアミンエチレンジアミンエタノールアミンジエタノールアミンピペラジンベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリンメグルミンおよびトロメタミン、ならびにアミノ酸リシンおよびアルギニンなど)から誘導されるものが挙げられる。一般的な第4級アンモニウムイオンとしては、N(CH3)4+が挙げられる。

0139

化合物がカチオン性であるか、カチオン性を呈しうる官能基(たとえば、−NH2は−NH3+になりうる)を有する場合、適切なアニオンと塩を形成してもよい。適切な無機アニオンとしては、塩酸臭化水素酸ヨウ化水素酸硫酸亜硫酸硝酸亜硝酸リン酸亜リン酸などの無機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機アニオンとしては、2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸ケイ皮酸クエン酸エデト酸エタンジスルホン酸エタンスルホン酸フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸グルタミン酸グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸ヒドロキシナフタレン酸、カルボン酸、イセチオン酸乳酸ラクトビオン酸ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸メタンスルホン酸粘液酸オレイン酸シュウ酸パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸フェニル酢酸フェニルスルホン酸プロピオン酸ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸コハク酸スルファニル酸酒石酸トルエンスルホン酸吉草酸などの有機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機高分子アニオンとしては、タンニン酸カルボキシメチルセルロースなどの高分子酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。

0140

特段の記載がない限り、特定の化合物について述べる場合、その塩の形態も含まれる。

0141

溶媒和物および水和
特定の化合物の溶媒和物を調製、精製、および/または処理することが簡便または望ましい場合がある。本明細書において「溶媒和物」という用語は従来の意味で使用され、溶質(たとえば化合物、化合物の塩)と溶媒の複合体を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は簡便に水和物、たとえば一水和物二水和物三水和物などと呼ぶこともできる。

0142

特段の記載がない限り、特定の化合物について述べる場合、その溶媒和物および水和物の形態も含まれる。

0143

プロドラッグ
特定の化合物、特にサリチル酸化合物をプロドラッグの形態で調製、精製、および/または処理することが簡便または望ましい場合がある。本明細書において「プロドラッグ」は、(たとえばインビボにおいて)代謝されて、所望の活性化合物に変化する化合物を指す。プロドラッグは通常、不活性であるか、あるいは所望の活性化合物よりも活性が低いが、処理、投与または代謝特性の点において有利な場合がある。

0144

一実施形態において、本発明において使用されるトリアセチルグリセリンは、好適には、グリセリンモノアセタートおよび/またはグリセリンジアセタートを0〜1wt%、好ましくは0〜0.5wt%、より好ましくは0〜0.1wt%、特に0〜0.05wt%、さらには0〜0.015%の範囲で含んでいてもよい。

0145

また、本発明において使用されるトリアセチルグリセリンは、好適には、グリセリンモノアセタートおよび/またはグリセリンジアセタートを0〜100ppm、好ましくは0〜20ppm、より好ましくは0〜10ppm、特に0〜2ppm、さらには0〜1ppmの範囲で含んでいてもよい。

0146

一実施形態において、本発明において使用されるトリアセチルグリセリンは、好適には、グリセリンを0〜50ppm、好ましくは0〜10ppm、より好ましくは0〜5ppm、特に0〜1ppm、さらには0〜0.5ppmの範囲で含んでいてもよい。

0147

本発明において使用されるトリアセチルグリセリンは、好適には、色素顔料および/または石鹸などの無極性物質を0〜100ppm、好ましくは0〜20ppm、より好ましくは0〜10ppm、特に0〜2ppm、さらには0〜1ppmの範囲で含む。

0148

好ましい一実施形態において、本発明において使用されるトリアセチルグリセリンは実質的に無水物であり、トリアセチルグリセリンの含水量は、好適には0〜0.5wt%、好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、特に0.1wt%未満、さらには0.05wt%未満の範囲である。

0149

トリアセチルグリセリンの含水量を低減することによって、組成物中の含水量を確実に低減することができる。アスピリンなどのサリチル酸化合物は、水の存在下において加水分解しやすく、副産物としてサリチル酸や他の酸を生成するため、上述のように含水量を低減することによって、液状組成物の安定性を向上させることができる。アスピリン組成物中のアスピリンおよびサリチル酸の合計量に対して、該組成物中に含まれるサリチル酸の量が10wt%である場合、該組成物は薬学的に許容されるとは見なされない。アスピリンの安定性が向上すれば、医薬組成物の有効期間が長くなる。

0150

本発明の組成物は、トリアセチルグリセリンを少なくとも5wt%、たとえば少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、または少なくとも25wt%含むことが好ましい。本発明の組成物は、トリアセチルグリセリンを少なくとも90wt%、たとえば少なくとも91wt%、少なくとも92wt%、少なくとも93wt%、少なくとも94wt%、少なくとも95wt%、または少なくとも96wt%含むことが最も好ましい。

0151

本発明の組成物中に含まれるトリアセチルグリセリンの量は、99.9wt%以下、たとえば99wt%以下、98wt%以下、97wt%以下または96.5wt%以下であることが好ましい。

0152

本発明の組成物中に含まれるトリアセチルグリセリンの濃度は、好適には、組成物の総重量に対して90〜99重量%、好ましくは94〜98重量%、より好ましくは95〜97.5重量%、特に95.5〜97重量%、さらには96〜96.5重量%の範囲である。

0153

トリアセチルグリセリンが上記の濃度であると、溶解性および安定性に優れたサリチル酸化合物が得られ、1年を超える有効期間、好ましくは約18ヶ月または2年間にわたる有効期間を達成することができる。本明細書において「安定性」はサリチル酸化合物の分解耐性を指す。任意の時間が経過した後に、組成物中に蓄積される不純物の量が少なければ少ないほど、安定性はより高いものとなる。組成物中の不純物は、サリチル酸化合物の加水分解産物であってもよい。組成物の安定性は、後述の方法を使用して測定してもよい。

0154

本発明の組成物は、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)を少なくとも0.1wt%、たとえば少なくとも0.5wt%、少なくとも1wt%、少なくとも1.5wt%、少なくとも2.0wt%、または少なくとも2.5wt%含むことが好ましい。このような量であれば、少量の液状組成物でも、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の薬学的有効量を提供することができる。言うまでもないが、後述するように、必要とされる用量はたとえば治療中の疾患、患者の特徴などによって決まる。

0155

本発明の組成物中に含まれるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の量は、10wt%以下、たとえば9wt%以下、8wt%以下、7wt%以下、6wt%以下、5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下または2.5wt%以下であることが好ましい。このような量であれば、組成物中におけるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の安定性および溶解性を最大限に高めることができる。

0156

サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の濃度が上記の量を超過すると、液状組成物中のアスピリンが完全には溶解しないというリスクが高まるため、粒子状沈殿物が生じる可能性があり、この粒子状沈殿物によって、固形アスピリン組成物に見られるような不利益がもたらされることが考えられる。

0157

本発明の組成物中に含まれるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の濃度は、好適には、組成物の総重量に対して0.5〜7重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは2〜3重量%、特に2.3〜2.7重量%、さらには2.4〜2.6重量%の範囲である。

0158

好ましい一実施形態において、サリチル酸化合物は実質的に無水物であり、サリチル酸化合物の含水量は、好適には0〜0.5wt%、好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、特に0.1wt%未満、さらには0.05wt%未満の範囲である。

0159

本発明の組成物は、サッカリンを少なくとも0.1wt%、たとえば少なくとも0.2wt%、少なくとも0.3wt%、少なくとも0.4wt%、少なくとも0.5wt%、少なくとも0.6wt%、少なくとも0.7wt%、少なくとも0.8wt%、または少なくとも0.9wt%含んでいてもよい。このような量であれば、安定性および溶解性に優れたサリチル酸化合物を得ることができる。

0160

本発明の組成物中に含まれるサッカリンの量は、5wt%以下、たとえば4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、1.5wt%以下、1.2wt%以下、または1.1wt%以下であってもよい。

0161

本発明の組成物中に含まれるサッカリンの濃度は、好適には、組成物の総重量に対して0.1〜4重量%、好ましくは0.4〜3重量%、より好ましくは0.7〜1.5重量%、特に0.8〜1.2重量%、さらには0.9〜1.1重量%の範囲である。

0162

好ましい一実施形態において、本発明の組成物中に含まれるサッカリン化合物は実質的に無水物であり、サッカリン化合物の含水量は、好適には0〜0.5wt%、好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、特に0.1wt%未満、さらには0.05wt%未満の範囲である。

0163

本発明の組成物は実質的に無水物であることが好ましく、組成物中の含水量は、好適には0〜0.5wt%、好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、特に0.1wt%未満、さらには0.05wt%未満の範囲である。

0164

本発明の組成物中の含水量は、0.5wt%未満、たとえば0.4wt%未満、0.3wt%未満、0.2wt%未満、または0.1wt%未満であることが好ましい。いくつかの実施形態において、本発明の組成物中の含水量は、1000ppm未満、たとえば900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、または500ppm未満である。

0165

上述したように、組成物中の含水量を少なくすることによって、組成物中のサリチル酸化合物の安定性を向上させることができ、ひいては有効期間を延長することができる。

0166

本発明の液状組成物は、当業者によく知られている薬学的に許容される1つ以上の他の成分をさらに含んでいてもよく、薬学的に許容される他の成分としては、薬学的に許容される担体希釈剤賦形剤アジュバント充填剤緩衝液保存剤抗酸化剤滑沢剤、安定剤、可溶化剤界面活性剤(たとえば湿潤剤)、マスキング剤着色剤、香味剤および甘味剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の製剤は、その他の有効成分(たとえばその他の治療剤または予防剤)をさらに含んでいてもよい。

0167

本明細書において「薬学的に許容される」とは、妥当医学的判断の範囲内において、過度の毒性、炎症、アレルギー反応または他の問題や合併症を伴わずに、投与対象(たとえばヒト)の組織と接触させて使用するのに適した化合物、成分、物質、組成物、剤形などを指し、これらの使用は、理論に基づいたベネフィット・リスク比に見合うものでなければならない。さらに、担体、希釈剤、賦形剤などはそれぞれ、サリチル酸化合物の溶解性または安定性に悪影響を及ぼすことなく、製剤中の他の成分と適合しているという点で「許容される」ものでなければならない。

0168

好適な担体、希釈剤、賦形剤などは、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 5th edition, 2005などの、医薬品についての標準的な教科書に記載されている。

0169

本発明の組成物は、マスキング剤または香味剤を任意でさらに含んでいてもよい。好適なマスキング剤は、ベースとなる組成物の不快な風味マスクしたり、隠したりするものであってもよい。香味剤は、果実香味もしくは植物の香味を付与する天然もしくは合成の香味剤、またはそれらの混合物を含むことが好ましい。好適な天然または人工果実香味剤としては、レモン、オレンジグレーフルーツイチゴバナナ西ナシキーウィブドウリンゴマンゴーパイナップルパッションフルーツラズベリーおよびこれらの混合物が挙げられる。果実香味剤は、好適には、乾燥果汁または油などの無水物の形態であり、好ましくは油である。好適な植物香味剤としては、スペアミントペパーミントウォーターミントアップルミントなどのシソ科の植物が挙げられ、その他にも、ハイビスカスマリーゴールドキクカモミールショウガカノコソウヨヒンベホップエリオジクチオンヤクヨウニンジンビルベリー、米、赤ワイン、マンゴー、シャクヤクレモンバーム没食子オークチップラベンダークルミゲンチアナラカンカシナモンアンジェリカアロエキンミズヒキノコギリソウ、これらの混合物が挙げられる。植物香味剤は、好適には、たとえば油や乾燥粉末などの形態の無水濃縮物または抽出物である。

0170

香味剤は、ハッカ香味剤を含むか、実質的にハッカ香味剤からなるか、またはハッカ香味剤からなることが好ましく、ハッカ香味剤は油の形態であることがより好ましく、特にスペアミント油および/またはハッカ油であることが好ましく、さらにはスペアミント油であることが好ましい。

0171

本発明の組成物は、香味剤、好ましくは油、より好ましくはハッカ油を少なくとも0wt%、たとえば少なくとも0.05wt%、少なくとも0.06wt%、少なくとも0.07wt%、少なくとも0.08wt%、少なくとも0.09wt%、または少なくとも0.1wt%含んでいてもよい。

0172

このような量であれば、サリチル酸化合物の安定性をさらに向上させることができる。

0173

本発明の組成物中に含まれる香味剤、好ましくは油、より好ましくはハッカ油の量は、3wt%以下、たとえば2.5wt%以下、2wt%以下、1.5wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下、0.2wt%以下、0.18wt%以下または0.16wt%以下であってもよい。

0174

本発明の組成物中に含まれる香味剤(好ましくは油)の濃度は、好適には、組成物の総重量に対して、0〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.2重量%、特に0.12〜0.18重量%、さらには0.14〜0.16重量%の範囲である。

0175

本発明の組成物は、(サッカリンに加えて)別の天然または人工の甘味料または甘味剤を任意でさらに含んでいてもよい。好適な甘味料は、造粒または粉砕された天然糖であり、スクロースフルクトースデキストロースマルトースラクトースキシリトールポリオールおよびこれらの混合物が挙げられる。

0176

別の実施形態において、本発明の組成物において人工甘味料を使用してもよい。(サッカリンに加えて)任意で加えられる好適な人工甘味料としては、たとえば、チクロスクラロースアセスルファムK、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンの低級アルキルエステルからなる甘味料(たとえばアスパルテーム)、L−アスパルチル−1−D−アラニンアミド、L−アスパルチル−D−セリンアミド、L−アスパルチル−L−1−ヒドロキシメチルアルカンアミド、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミド、L−アスパルチル−D−フェニルグリシンエステルおよびL−アスパルチル−D−フェニルグリシンアミドが挙げられる。

0177

任意で組成物に加えられる(サッカリン以外の)甘味料(好ましくは人工甘味料)の組成物中の濃度は、好適には、組成物の総重量に対して、0〜5重量%、好ましくは0.4〜2重量%、より好ましくは0.7〜1.3重量%、特に0.8〜1.2重量%、さらには0.9〜1.1重量%の範囲である。

0178

本発明の組成物は酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。好適な酸化防止剤としては、フェノール化合物植物抽出物または硫黄含有化合物が挙げられる。酸化防止剤は、アスコルビン酸またはその塩;ビタミンE;CoQ10;トコフェロールアスコルビン酸脂肪酸エステル(たとえばアスコルビン酸パルミテート)などの極性の高い酸化防止剤の脂溶性誘導体;植物抽出物(たとえばローズマリー油セージ油オレガノ油緑茶抽出物など);藻抽出物;合成抗酸化剤(たとえばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、エトキシキン没食子酸アルキルエステル、ヒドロキノン、トコトリエノール);またはこれらの組み合わせであってもよい。

0179

本発明の組成物中の酸化防止剤の濃度は、組成物の総重量に対して好ましくは0〜2重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜1.5重量%、特に0.1〜1重量%、さらには0.15〜0.5重量%の範囲である。

0180

本発明の一実施形態による組成物は、アスピリン、トリアセチルグリセリン、サッカリンおよび任意で香味剤を含むか、実質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。

0181

上述したように、組成物中のアスピリンは完全に溶解していることが好ましく、組成物中には粒子成分が含まれていないことがより好ましい。本発明の組成物は、分解に対する安定性が驚くほど向上している。さらに、香味剤(特にハッカ油)も、分解に対する安定性の向上に驚くほど寄与しうることが見出された。

0182

本発明の組成物は安定であることが好ましく、本明細書に記載の方法で測定した場合に、25℃におけるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の分解率が、好適には0.05%/日未満、好ましくは0.04%/日未満、より好ましくは0.03%/日未満、特に0.02%/日未満、さらには0.015%/日未満である。

0183

本発明の組成物中に含まれるサリチル酸化合物(たとえばアスピリン)の分解率は、25℃における組成物1gあたりの1日あたりの分解量(mg)として本明細書に記載の方法で測定した場合に、好適には0.01mg/g/日未満であり、好ましくは0.007mg/g/日未満、より好ましくは0.006mg/g/日未満、特に0.005mg/g/日未満、さらには0.004mg/g/日未満である。

0184

本明細書に記載の液状組成物は、通常のアスピリン錠の代替としての経口使用に特に適している。特定の使用の一例として、脳卒中または心臓発作を起こした患者に発作直後に経口投与することが挙げられ、たとえば、病院へと向かう救急車の車内において、たとえば、好適には心臓発作の12時間以内、好ましくは8時間以内、より好ましくは4時間以内、特に2時間以内、さらには1時間以内に患者に経口投与される。

0185

製剤
本発明の液状組成物は、医薬組成物または医薬品として製剤化されることが好ましい。

0186

したがって、いくつかの実施形態において、本発明の液状組成物は医薬組成物または医薬品である。また、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体およびサッカリン化合物を混合することを含む医薬組成物または医薬品の製造方法が提供され、該方法は、当業者によく知られている1つ以上のその他の薬学的に許容される成分(たとえば担体、アジュバント、賦形剤など)を加えて混合することをさらに含んでいてもよい。単位剤形(たとえば錠剤/カプセル剤など)として製剤化する場合、個々の単位剤形には単数または複数の活性化合物(すなわちサリチル酸化合物および/またはグリセリン誘導体および/またはサッカリン化合物)が所定量(所定の投与量)で含まれる。

0187

本明細書において「薬学的に許容される」とは、妥当な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、炎症、アレルギー反応または他の問題や合併症を伴わずに、投与対象(たとえばヒト)の組織と接触させて使用するのに適した化合物、成分、物質、組成物、剤形などを指し、これらの使用は、理論に基づいたベネフィット・リスク比に見合うものでなければならない。さらに、担体、アジュバント、賦形剤などはそれぞれ、製剤中の他の成分と適合しているという点で「許容される」ものでなければならない。

0188

好適な担体、アジュバント、賦形剤などは、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd edition, 1994などの、医薬品についての標準的な教科書に記載されている。

0189

医薬製剤は、薬学分野でよく知られている方法であれば、どのような方法で調製してもよい。このような方法は、1つ以上の副成分を構成する担体と活性化合物とを混合する工程を含む。一般に、製剤は、担体(たとえば液体担体、細かく粉砕された固体担体など)と活性化合物とを均一かつ密に混合し、得られた混合物を必要に応じて成形することによって調製される。

0190

本発明の製剤は、速放もしくは徐放即時放出遅延放出時限放出もしくは持続放出;またはこれらの組み合わせを達成することを目的として調製されてもよい。

0191

製剤は、好適には、液剤エリキシル剤シロップ剤洗口液滴剤、カプセル剤(たとえば、ゲルカプセル剤硬質ゼラチンカプセル剤、軟質ゼラチンカプセル剤など)、アンプル剤スプレー剤噴霧剤エアゾール剤または吸入剤の形態であってもよい。液体製剤は、たとえば液状組成物を充填したゲルカプセルの形態などによる経口投与に適していてもよく、たとえば注射などによる静脈内投与または動脈内投与に適していてもよい。液体製剤は、たとえばエアロゾル剤または吸入剤として送達される経鼻吸入または経口吸入に適していてもよい。

0192

吸入投与に適した製剤としては、たとえば、鼻腔用スプレー剤;点鼻剤;またはネブライザーによるエアロゾル投与が挙げられる。(たとえば吸入療法または吹送療法による)経肺投与に適した製剤としては、適切な噴射剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタン二酸化炭素またはその他の適切なガスなどを使用して、加圧された容器から噴射されるエアロゾルスプレーとして提供されるものが挙げられる。

0193

製剤は、1つ以上のその他の薬学的に許容される成分(たとえば透過促進剤浸透促進剤吸収促進剤など)を任意で添加した液状組成物を含浸させたパッチ、絆創膏包帯ドレッシング材などとして好適に提供されてもよい。

0194

治療方法
本明細書に記載の液状組成物は、たとえば、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)で治療が行われることが知られている疾患または障害や、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)で治療できることが知られている疾患または障害などの、疾患または障害の治療または予防に有用である。

0195

本発明のいくつかの態様において、本発明の液状組成物は、治療法によってヒトまたは動物の身体を治療する方法において使用することを目的として提供され、たとえば疾患または障害の治療方法において使用することを目的として提供される。

0196

前記治療による有益な治療効果が、サリチル酸化合物によって引き起こされうる有害な作用に勝ることが好ましい。たとえば、サリチル酸化合物のいくつかは、小児のライ症候群と関連があると考えられていた。実際には、ライ症候群は、高用量のアスピリンによる治療を受けた川崎病の小児においてごくまれに観察されたのみであった(Buck ML., ‘Use of Aspirin in children with cardiac disease’, Pediatr Pharm 2007;13(1)(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。事実、小児におけるアスピリンの服用と、ライ症候群の原因とを結び付ける説得力のある証拠は存在しない。現在、専門家の大半は、ライ症候群がウイルスに起因するものであると考えている。アスピリンが原因物質として考えられた背景には、ライ症候群の小児のほとんどに発熱が見られ、アスピリンが投与されていたという交絡因子の存在がある。訓練を受けた医師であれば、このような、特定の治療におけるベネフィットとリスクのバランスを評価できることは言うまでもない。川崎病小児へのアスピリンの投与におけるリスク・ベネフィット比は、リスクよりもベネフィットの方が大幅に勝るため、現在、川崎病の小児には例外なくアスピリンが(しばしば高用量で)処方されている。

0197

本発明の態様のいくつかにおいて、疾患または障害を予防または治療するための治療方法であって、治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明の液状組成物を投与することを含む方法が提供される。

0198

本発明の別の一態様は、たとえば本明細書に記載の障害(たとえば疾患)の治療方法であって、治療を必要とする患者に、好ましくは医薬組成物の形態の、本明細書に記載の治療有効量の液状組成物と、好ましくは医薬組成物の形態の、本明細書に記載の1つ以上(たとえば1つ、2つ、3つ、4つ)のさらなる治療剤とを投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態において、さらなる治療剤は、別個の組成物として投与してもよく、このような組成物は、本発明の液状組成物と同時に、別々に、または連続して投与される。本発明の液状組成物およびさらなる治療剤は、キットの形態で一緒に提供されてもよく、該キットは、これらの組成物の使用のための説明書を含んでいてもよい。別の実施形態において、さらなる治療剤は本発明の液状組成物とともに製剤化されてもよい。治療の対象となる疾患ががんである実施形態のいくつかにおいて、さらなる治療剤は化学療法薬(たとえばテモゾロミド)であってもよい。

0199

本明細書において、病態の治療に関連して使用される「治療」という用語は、概して、たとえば病態の進行の抑制などの特定の所望の治療効果が達成されるヒトまたは動物(たとえば獣医学分野)の治療および治療法に関し、所望の治療効果としては、進行速度の低減、進行の停止、病態の症状の緩和、病態の緩和、および病態の治癒が挙げられる。予防手段(すなわち予防)としての治療も包含される。たとえば、病態を発症するリスクを有しているが、病態をまだ発症していない患者への使用も、「治療」に包含される。

0200

たとえば、多形膠芽腫の治療は、多形膠芽腫の予防、多形膠芽腫の発症率の低減、多形膠芽腫の重症度の低減、多形膠芽腫の症状の軽減などを包含する。

0201

本明細書において「治療有効量」は、所望の治療計画に準じて投与した場合に、特定の所望の治療効果を達成するのに効果的であり、かつ理論に基づいたベネフィット・リスク比に見合った化合物の量、物質の量、または化合物を含む組成物もしくは剤形の量を指す。

0202

治療または予防の対象となる疾患または障害は、サリチル酸化合物、グリセリン誘導体またはサッカリン化合物が治療効果を発揮する任意の疾患または障害を含んでいてもよく、このような治療効果は、保護効果または予防効果として発揮されてもよい。治療の対象となる疾患または障害は、発熱、疼痛、炎症または腫脹を含んでいてもよい。治療方法は、さらに、血栓形成の予防、血液希釈または血栓形成の低減;心臓発作、脳卒中または虚血の予防または低減;がんの予防または治療を含んでいてもよい。

0203

いくつかの実施形態において、治療または予防の対象となる疾患または障害は、心血管疾患、脳血管疾患またはがんであってもよい。

0204

サリチル酸化合物は、様々な心血管疾患および脳血管疾患の治療または予防に使用されること(たとえば、Hall, SL; Lorenc, T (1 February 2010). “Secondary prevention of coronary artery disease”. American family physician 81 (3): 289-96(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、がんの治療または予防に使用されること(たとえば、Fengming Lan et al., Antitumor effect of aspirin in glioblastoma cells by modulation of β-catenin/T-cell factor-mediated transcriptional activity. J Neurosurg 115:780-788, 2011(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、および非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の一種であること(たとえば、Morris et al., Effects of Low-Dose Aspirin on Acute Inflammatory Responses in Humans. The Journal of Immunology. 2009; 183:2089-2096(この文献は引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)が知られている。

0205

アスピリンは、鎮痛薬、解熱薬、抗炎症薬および抗血小板薬として広く使用されているよく知られたサリチル酸薬物であり、疼痛、発熱および炎症の治療または予防に使用されている。また、抗凝固作用を有することから、心臓発作、脳卒中、虚血などの心血管疾患の治療または予防によく使用されている。

0206

アスピリンの抗がん作用は、1972年に初めて報告され(GasicGI, et al. Lancet. 1972;2:932-937)、今日よく知られている。最近、Fengming Lanら(上掲)は、アスピリンが、神経膠腫細胞の増殖とその浸潤能を抑制することができ、かつアポトーシス細胞死を誘導することができる強力な抗腫瘍剤であることを報告している。低用量で長期間にわたってアスピリンを投与することによって、神経膠腫を予防したり、神経膠腫の治療において補助的治療剤として使用したりできる可能性が提案されている(Matthew W. Brown., Characterisation of the effects of chronic aspirin treatment on the viability and proliferation of stage 4 glioblastoma cells. Diffusion: the UCLan Journal of Undergraduate Research Volume 6 Issue 2 December 2013(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。

0207

上記の背景技術の欄にさらなる参考文献を引用しているが、これらも参照されたい。

0208

トリアセチルグリセリンは、血液脳関門を自由に通過することができ、培養培地中において正常グリア細胞神経幹細胞に影響を与えることなく、神経膠腫幹細胞の増殖を遅延させたことから、神経膠腫の化学療法治療においてアジュバントとして効果的であることが示されている(たとえば、Tsen et al., Triacetin-based acetate supplementation as a chemotherapeutic adjuvant therapy in glioma. Int J Cancer. 2014 March 15; 134(6):1300-1310;およびLong et al., ‘Acetate Supplementation Induces Growth Arrest of NG2/PDGFRa-Positive Oligodendroglioma-Derived Tumor-Initiating Cells’,PLoS One, 2013, e80714(これらの文献はいずれも引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。トリアセチルグリセリンは、テモゾロミドと組み合わせて投与した際に、神経膠腫に対するテモゾロミドの効果を増強した。本発明者らは、トリアセチルグリセリンが、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)による治療法においても類似した効果を発揮すると予想し、本発明の液状組成物の組成のように、トリアセチルグリセリンとサリチル酸化合物とを組み合わせて投与した場合、トリアセチルグリセリンの作用によって、血液脳関門を介した脳へのサリチル酸化合物の送達が増強されると考えた。したがって、本発明の組成物を使用すれば、このような機序によって、サリチル酸化合物による脳血管障害(脳卒中や認知症など)の治療において相乗効果を得られると考えられる。また、アスピリン、サッカリンおよびトリアセチルグリセリンの組み合わせにおいても相乗効果を得られると考えられる。さらに、トリアセチルグリセリンの作用によってアスピリンが血液脳関門を通過して輸送されることから、治療の有効性が高まる。

0209

トリアセチルグリセリンおよびアスピリンはいずれも、化学療法薬として作用することが示されていることから、これらの化合物を含む本発明の液状組成物は、がん、より具体的には脳がん、特に原発性脳がんおよび神経膠腫(多形膠芽腫など)に対して有効性の高い併用療法を提供するものである。本発明の組成物は安定であり、成分が完全に溶解していることから、上述の併用療法を非常に容易に提供することができる。さらに、Tsenら(上掲)によって、トリアセチルグリセリンがテモゾロミドの化学療法効果を増強することが実証されていることから、トリアセチルグリセリンによるアスピリンの化学療法効果の増強により、本発明の組成物においても類似の効果が得られると予想される。したがって、本発明の組成物は、アスピリンの単独投与と比較して有効性が増強された化学療法薬としてのアスピリン、特に神経膠腫の治療に対する有効性が増強された化学療法薬としてのアスピリンを提供することができる。アスピリンは、本発明の組成物中において安定であり、組成物中に溶解していることから、副作用が低減されており、従来のものよりもはるかに容易に投与することができる。

0210

サッカリンベースの化合物は、進行性がんにおいて時折見られる炭酸脱水酵素IXに結合し、これを非活性化することが報告されている。最近、サッカリンベースの化合物は、新しい種類の抗がん薬として提案されている(Mahon et al., Saccharin: a lead compound for structure-based drug design of carbonic anhydrase IX inhibitors. Bioorg Med Chem 2015 Feb 15;23(4):849-54(この文献は、引用により本明細書に組み込まれる))。Proescholdtら(‘Function of carbonic anhydrase IX in glioblastoma multiforme’, Neuro Oncol, 2012, Vol. 14, pp. 1357-1366)は、代謝標的として炭酸脱水酵素IXを抑制することによって、神経膠芽腫の患者を治療することができる可能性を示唆している。

0211

治療または予防することができる心血管疾患または心血管障害としては、狭心症;心不全(HF);左室不全または右室不全;肺性心;虚血性心疾患(IHD);心筋症;不整脈;心臓弁狭窄;肥大型心筋症(HCM);および冠性心疾患が挙げられる。

0212

いくつかの実施形態において、前記治療は、(アンギナとしても知られている)狭心症、たとえば、冠性心疾患によって引き起こされる狭心症;虚血によって引き起こされる狭心症;重症狭心症;または不応性狭心症もしくは難治性狭心症の治療である。

0213

いくつかの実施形態において、前記治療は、心不全(HF)、たとえば、虚血によって引き起こされる心不全;うっ血性心不全慢性心不全;中程度の心不全;収縮期心不全;拡張期心不全;または左心室損傷に伴う拡張期心不全の治療である。

0214

いくつかの実施形態において、前記治療は、たとえば様々な病因などによる左室不全または右室不全の治療である。

0215

いくつかの実施形態において、前記治療は、肺性心、たとえば、肺高血圧症によって引き起こされる肺性心;慢性閉塞性肺疾患によって引き起こされる肺性心;または肺気腫によって引き起こされる肺性心の治療である。

0216

いくつかの実施形態において、前記治療は、虚血性心疾患(IHD)、たとえば、冠性心疾患によって引き起こされる虚血性心疾患;冠状動脈閉塞によって引き起こされる虚血性心疾患;冠状動脈攣縮によって引き起こされる虚血性心疾患;(たとえば冠状動脈の血管再生術を受ける予定の患者における)重症虚血性心疾患;または(たとえば他の治療的処置に対して難治性の虚血症状を示す患者における)難治性虚血性心疾患の治療である。

0217

いくつかの実施形態において、前記治療は、心筋症、たとえば、虚血性心疾患による心筋症;高血圧による心筋症などの治療である。

0218

いくつかの実施形態において、前記治療は、(心不整脈または不規則心拍としても知られている)不整脈、たとえば虚血によって引き起こされる不整脈などの治療である。

0219

いくつかの実施形態において、前記治療は、心臓弁狭窄、たとえば大動脈弁狭窄、たとえば手術不能の大動脈弁狭窄の治療である。

0220

いくつかの実施形態において、前記治療は、肥大型心筋症(HCM)、たとえば症候性閉塞性肥大型心筋症の治療である。

0221

いくつかの実施形態において、前記治療は冠性心疾患の治療である。

0222

いくつかの実施形態において、前記治療は小児の心血管疾患、たとえば川崎病の治療である。

0223

いくつかの実施形態において、前記治療は先天性心疾患の治療である。

0224

治療または予防の対象となりうる脳血管障害または脳血管疾患としては、脳卒中(たとえば血栓性脳卒中または塞栓性脳卒中)、大脳虚血、脳虚血、一過性脳虚血発作(TIA)および血管性認知症が挙げられる。

0225

いくつかの実施形態において、前記治療は、脳卒中(たとえば血栓性脳卒中または塞栓性脳卒中)、一過性脳虚血発作(TIA)または血管性認知症の治療である。

0226

いくつかの実施形態において、前記治療は、脳卒中(たとえば血栓性脳卒中または塞栓性脳卒中)、大脳虚血または脳虚血の治療である。

0227

いくつかの実施形態において、前記治療は血管性認知症の治療である。

0228

がんは、望ましくない細胞増殖(もしくは望ましくない細胞増殖によって発症する疾患)、新生物腫瘍のいずれであってもよく、あるいは望ましくない細胞増殖、新生物または腫瘍のリスクの上昇であってもよく、望ましくない細胞増殖、新生物または腫瘍の素因であってもよい。がんは良性であっても悪性であってもよく、原発性であっても二次性転移性)であってもよい。新生物または腫瘍は、細胞の異常成長であっても異常増殖であってもよく、どのような組織に存在していてもよい。組織としては、副腎皮質および/または髄質)、肛門虫垂膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房盲腸(および/または大腸の任意の部位)、中枢神経系(脳を含む中枢神経系または脳以外の中枢神経系)、小脳十二指腸および/または小腸の他の部位、上皮細胞胆嚢食道、グリア細胞、心臓腎臓涙腺喉頭肝臓、肺、リンパリンパ節リンパ芽球上顎縦隔腸間膜子宮筋層鼻咽腔、網、口腔卵巣膵臓耳下腺末梢神経系、腹膜胸膜前立腺唾液腺、皮膚、軟部組織脾臓、胃、精巣胸腺甲状腺扁桃腺気管子宮子宮内膜および子宮筋層)、子宮頸部外陰血球白血球系細胞および/または骨髄性系細胞)が挙げられる。

0229

治療または予防の対象となるがんとしては、急性骨髄性白血病;副腎がん;胆道がん膀胱がん;骨がん;腸がん;脳がん;乳がん結腸がん;結腸直腸がん;子宮内膜がん;消化管がん;泌尿生殖器がん;神経膠腫;神経膠芽腫;婦人科がん;頭部がん;ホジキン病カポジ肉腫;腎臓がん;大腸がん白血病肝臓がん肺がんリンパ腫リンパ球性白血病リンパ芽球性白血病);悪性黒色腫;縦隔がん;黒色腫骨髄腫骨髄性白血病;鼻咽腔がん;頸部がん;神経系がん;非ホジキンリンパ腫非小細胞肺がん食道がん骨肉腫卵巣がん膵臓がん前立腺がん直腸がん;腎細胞がん肉腫皮膚がん;小腸がん;小細胞肺がん軟部肉腫;扁平がん;胃がん睾丸がん;および甲状腺がんが挙げられる。

0230

いくつかの実施形態において、前記治療は消化管がんの治療である。

0231

治療の対象となる腫瘍は神経系腫瘍であっても非神経系腫瘍であってもよい。神経系腫瘍は、中枢神経系から発生したものであっても、末梢神経系から発生したものであってもよく、たとえば神経膠腫、多形膠芽腫、髄芽腫髄膜腫神経線維腫上衣腫神経鞘腫神経線維肉腫、星状細胞腫および乏突起神経膠腫が挙げられる。腫瘍は中枢神経系腫瘍(たとえば脳腫瘍)であってもよく、原発性であっても二次性(転移性)であってもよい。非神経系がん/腫瘍は、非神経系のその他の組織から発生したものであってもよく、そのような腫瘍として、たとえば、黒色腫、中皮腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫慢性骨髄性白血病CML)、急性骨髄白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘパトーマ、類表皮癌前立腺癌、乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、膵臓がん、胸腺癌、NSCLC、血液がんおよび肉腫が挙げられる。

0232

いくつかの実施形態において、前記治療は中枢神経系(たとえば脳)のがんの治療である。治療の対象となるがんは原発性がんであっても原発性腫瘍であってもよい。好ましい実施形態のいくつかにおいて、がんは、神経膠腫、多形膠芽腫、高悪性度神経膠腫、びまん性内在性膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経線維腫、上衣腫、神経鞘腫、神経線維肉腫、星状細胞腫または乏突起神経膠腫である。

0233

対象
治療の対象となる対象は、動物であってもヒトであってもよい。対象は哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。対象は非ヒト哺乳動物であってもよいが、ヒトであることがより好ましい。対象は雄性であっても雌性であってもよい。対象は患者であってもよい。対象は、心血管疾患、脳血管疾患またはがんであると診断された個体であってもよく、心血管疾患、脳血管疾患またはがんを有している疑いがある個体であってもよい。いくつかの実施形態において、対象は成人すなわち18以上であってもよい。いくつかの実施形態において、対象は、小児、たとえば18歳未満、16歳未満または12歳未満の対象であってもよい。

0234

投与経路
サリチル酸化合物を含む前記液状医薬組成物は、全身投与末梢投与または局所投与(すなわち所望の作用部位への投与)などの、任意の簡便な投与経路によって対象に投与してもよい。

0235

投与経路としては、経口投与(たとえば経口摂取によるもの);頬側投与;舌下投与経皮投与(たとえばパッチ、絆創膏などによるものを含む);経粘膜投与(たとえばパッチ、絆創膏などによるものを含む);鼻腔内投与(たとえば、鼻腔用スプレー剤、点鼻剤、噴霧器または乾燥粉末送達装置によるもの);経眼投与(たとえば点眼剤によるもの);経肺投与(たとえばエアロゾル剤または吸入剤を使用し、たとえば口またはを経由した、たとえば吸入療法または吹送療法によるもの);直腸投与(たとえば坐剤または浣腸剤によるもの);内投与(たとえば膣坐剤によるもの);非経口投与、たとえば、皮下注射皮内注射筋肉内注射静脈内注射動脈内注射心臓内注射、髄腔内注射脊髄内注射、嚢内注射、被膜下注射、眼窩内注射、腹腔内注射、気管内注射、表皮下注射、関節内注射クモ膜下注射、胸骨内注射などの注射によるもの;デポー剤またはリザーバー埋植、たとえば、デポー剤またはリザーバーの皮下埋植または筋肉内埋植が挙げられるが、これらに限定されない。

0236

好ましい一実施形態において、投与経路は(たとえば経口摂取による)経口投与である。

0237

好ましい一実施形態において、投与経路は(たとえば注射による)非経口投与である。

0238

好ましい一実施形態において、投与経路は直腸投与である。

0239

好ましい一実施形態において、投与経路は経鼻胃投与である。

0240

好ましい一実施形態において、投与経路は、経肺投与(たとえばエアロゾル剤または吸入剤を使用し、たとえば口または鼻を経由した、たとえば吸入療法または吹送療法によるもの)である。

0241

本発明は、たとえば患者自身による経口摂取、吸入または吹送などによって、容易に投与される組成物を提供する。さらに、本発明の液状組成物は、組成物の投与を必要とするが、固形製剤の投与が難しい可能性がある患者に対して、従来品よりも容易に投与することができる。

0242

投薬量
当業者であれば、サリチル酸化合物を含む前記組成物の適切な投薬量は、患者によって異なりうることを容易に理解するであろう。最適な投薬量の決定にあたっては、通常、リスクまたは有害な副作用と治療ベネフィットの大きさのバランスを取る必要がある。投薬量の選択は様々な要因に左右され、このような要因としては、たとえば、特定のサリチル酸化合物の活性、投与経路、投与時間、サリチル酸化合物の排泄速度、治療期間、サリチル酸化合物と併用されるその他の薬物、化合物および/または物質、病態の重症度、ならびに患者の生物種、性別年齢、体重、状態、全体的な健康状態および既往歴が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸化合物の量および投与経路は、最終的には医師、獣医師または臨床医の判断によって決定されるが、投薬量は、通常、実質的に有毒または有害な副作用を起こさずに所望の効果を奏する局所濃度が作用部位において得られるように選択される。

0243

投与は、治療期間を通して1用量を連続的にまたは断続的に投与する(たとえば用量を分割し、適切な間隔を空けて投与する)ことによって行うことができる。最も効果的な投与手段および投与量を決定する方法は、当業者によく知られており、治療に使用される製剤、治療の目的、治療の対象となる標的細胞、および治療を受ける対象に応じて異なる。1回の投与または複数回の投与は、治療を実施する医師、獣医師または臨床医によって選択された用量および用法で行うことができる。

0244

本明細書に記載の障害の治療に適したアスピリンの用量は、通常、対象の体重1kgあたり約1〜30mg/日の範囲である。投与される化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与量は親化合物に基づいて算出されるため、使用される実際の重量はそれに応じて増加する。

0245

本発明の組成物においては、サリチル酸化合物(たとえばアスピリン)のバイオアベイラビリティおよび吸収が向上していると考えられる。したがって、標準的な組成物に必要とされる量よりも少ない用量であっても、同レベルの治療効果を達成することができると予想される。

0246

心血管病態の治療または予防に適した用量は、通常、約75mg以下であり、たとえば、約10〜75mg、約10〜65mg、約10〜55mg、約10〜45mg、または約10〜20mgである。製剤はどのような種類のものであってもよく、経口投与用製剤を包含する。前記用量の投与は、1日1回、毎日行ってもよい。

0247

疼痛(たとえば頭痛)の治療に適した用量は、通常、300〜600mgの範囲であり、たとえば、約300mg、約325mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mgまたは約600mgである。製剤はどのような種類のものであってもよく、経口投与用製剤を包含する。

0248

ヒト患者におけるアスピリンの最大耐用量は約4gであることから、がんの治療に適した用量は、通常、約4g以下である。たとえば、がんの治療に適した用量は、約1g、約1.5g、約2g、約2.5g、約3gおよび約4gのいずれであってもよい。好ましい実施形態のいくつかにおいて、がんの治療に適した用量は、1.5〜3g、2〜2.5g、および2〜2.4gのいずれの範囲であってもよい。好ましい実施形態のいくつかにおいて、がんの治療に適した用量は、約2g、約2.1g、約2.2g、約2.3g、約2.4gおよび約2.5gのいずれであってもよい。製剤はどのような種類のものであってもよく、経口投与用製剤および点滴静注を包含する。がんの治療のための好ましい実施形態において、製剤は点滴静注用製剤であってもよい。

0249

包装品およびキット
本発明の一態様は、キットであって、(a)たとえば、好ましくは適切な容器に入れられ、かつ/または適切な包装がなされて提供される、本明細書に記載の液状組成物;および(b)使用説明書、たとえば該組成物の投与方法が記載された説明書を含むキットに関する。

0250

前記キットは、所定量(たとえば所定の用量または量)の前記液状組成物を含む少なくとも1つの容器を含んでいてもよい。

0251

一実施形態において、前記キットは、本明細書に記載の1つ以上(たとえば1つ、2つ、3つ、4つ)のさらなる治療剤をさらに含む。

0252

前記説明書は、前記有効成分による治療の適応症の一覧をさらに含んでいてもよい。

0253

いくつかの実施形態において、前記キットは、前記液状組成物の1用量以上の投与に適した装置をさらに含んでいてもよく、このような装置は、滅菌された状態で提供することが好ましい。

0254

いくつかの実施形態において、前記キットは、ブローフィルシール(BFS)法によって製造された包装を含んでいてもよい。

0255

いくつかの実施形態において、本発明のキットの製造方法は、前記組成物への水の浸透を防ぐ工程を含んでいてもよい。

0256

前記液状組成物は、ボトルに包装され、スプーンまたはピペットで投薬してもよい。あるいは、前記組成物は、注射器、バイアル、または分包もしくは「スティック分包」(たとえばラミネート加工された「スティック分包など」)で包装されていてもよい。前記組成物は、好適には、5〜10mlずつ、好ましくは5mlずつ包装される。

0257

注射器はプレフィルドシリンジであってもよい。

0258

本発明の液状組成物は、液体用ゲルカプセルに充填されていてもよく、たとえばカプセル1個あたり37.5mgの用量、またはカプセル1個あたり10〜50mgの用量、カプセル1個あたり20〜40mgの用量、もしくはカプセル1個あたり30〜40mgの用量で充填されていてもよい。この製剤は、特に、心血管疾患、脳血管疾患およびがんの長期にわたる予防処置に適用可能である。

0259

本発明の方法は、インビトロエクスビボまたはインビボで行ってもよく、また、本発明の製品は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで存在していてもよい。「インビトロ」は、実験室条件または培養において、物質、生体物質、細胞および/または組織を使用した実験を包含する。これに対して、「インビボ」は、生きたままの多細胞生物を使用した実験および操作を包含する。「エクスビボ」は、たとえばヒトまたは動物の体外などの生体外に存在するもの、または生体外で実施されるものを指し、生物から採取された組織(たとえば臓器全体)または細胞に存在するものや、このような組織または細胞において実施されるものであってもよい。

0260

本明細書に記載の特徴はいずれも、本発明の前記態様のいずれとも組み合わせることができ、どのように組み合わせてもよい。さらに、本明細書において使用された上限値、下限値、数値範囲は、それぞれ独立して組み合わせることができる。

0261

本発明は、本明細書に記載の態様や好ましい特徴の組み合わせを包含するが、明らかに許容できない組み合わせや、明らかに回避すべき組み合わせは除外される。

0262

本明細書において使用されている節の見出しは、系統立てて説明することのみを目的としたものであり、本明細書に記載の主題を限定するものであると解釈すべきではない。

0263

以下、添付の図面を参照しながら、いくつかの例を挙げて、本発明の態様および実施形態を説明する。当業者であれば、さらなる態様および実施形態を容易に理解するであろう。本明細書において引用した文献はいずれも、本明細書の一部を構成するものとして援用される。

0264

後述の請求項を含む本明細書全体を通して、文脈から他の意味に解釈すべき場合を除き、「含む(comprise)」という用語ならびにこの変化形である「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書に記載されている1つの整数もしくは1つの工程、または1つの群として記載されている複数の整数もしくは複数の工程を含むことを意味するが、本明細書に記載のない別の1つの整数もしくは1つの工程や、1つの群として記載されている別の複数の整数もしくは複数の工程を除外するものではないと理解される。

0265

本明細書および添付の請求項において使用される「a」「an」または「the」で修飾された単数名詞は、文脈から明らかに単数のものを指している場合を除いて、複数のものも包含することに注意されたい。本明細書において、数値範囲は、「おおよその(about)」1つの特定の値以上であり、かつ/または「おおよその(about)」別の特定の値以下であるとして記載されていることがある。このような範囲が記載されている場合、この一方の特定の値以上であり、かつ/または他方の特定の値以下の範囲は、別の実施形態に含まれる。同様に、「約」という先行詞を使用することによって、特定の値がおおよそのものとして記載されている場合、この特定の値は別の実施形態を構成するものであると理解される。

図面の簡単な説明

0266

本発明の原理を示す実施形態および実験を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。

0267

グリセリン+20EO 90wt%およびアスピリン10wt%からなる試験組成物中に含まれるサリチル酸の量(%)を標準化し、該組成物の調製日からの経過日数に対してプロットしたグラフである。試験は25℃で行った。
グリセリン+20EO 89wt%、アスピリン10wt%およびサッカリン1wt%からなる試験組成物中に含まれるサリチル酸の量(%)を標準化し、該組成物の調製日からの経過日数に対してプロットしたグラフである。試験は25℃で行った。
トリアセチルグリセリン96.5wt%、アスピリン2.5wt%およびサッカリン1wt%からなる試験組成物中に含まれるサリチル酸の量(%)を標準化し、該組成物の調製日からの経過日数に対してプロットしたグラフである。試験は25℃で行った。
患者由来のエクスビボ神経膠芽腫細胞株である(A)SEBTA 023、(B)SEBTA 003、(C)UP 029、(D)KNS42、および(E)SNF188を、様々な濃度の薬物(液体アスピリン(ASP);トリアセチンのみ(ASPの溶媒);テモゾロミドのみ(TMZ))で処理した場合の細胞死の割合(%)を示すグラフである。この試験は、薬物処理から96時間後に実施し、三連で行った3つの実験の平均値(±SD)で示した。アスピリンの単独使用は、溶解性に問題があることから、同等の濃度で処理を行うことができなかったため、この試験には含めなかった。
薬物で処理したエクスビボ生検由来細胞株の代表的な顕微鏡写真を示す。処理なし(NT)、液体アスピリンによる処理(「アスピリン」)およびトリアセチンのみによる処理を示す。コントラスト差は、薬物による処理後に細胞培地のpHを変更したことによるものであり、細胞密度の違いによるものではない。
(A):様々な濃度の薬物(サッカリンのみ(Sac)、液体アスピリン(Lqd Aspirin)、トリアセチンのみ(Triacetin)、テモゾロミドのみ(TMZ))を用いて、生検由来のエクスビボUP 029細胞を処理した場合の細胞死の割合(%)を示すグラフである。(B)および(C):液体アスピリン、サッカリンのみまたはトリアセチンのみを用いて生検由来のエクスビボUP 029細胞を処理した場合の相乗効果の分析結果を示すグラフである。薬剤処理から96時間後に、(液体アスピリンまたは各薬剤の単独使用によって細胞の30%、50%または70%が死滅する濃度において)液体アスピリン化合物は、各薬剤を単独使用した場合と比較して相乗効果を示した。ただし、(細胞の90%が死滅する濃度においては)トリアセチンの単独使用に対して相乗効果は見られず、最も高用量のトリアセチンの単独使用では細胞生存率が全体的に低下した。
様々な濃度の薬物(サッカリンのみ(Sac)、液体アスピリンのみ(Lqd Aspirin)、トリアセチンのみ(Triacetin)、またはテモゾロミドのみ(TMZ))による処理から96時間後のコントロールおよび生検由来細胞株における細胞死の割合(%)(MTS生存率分析)を示すグラフである。(A)コントロールとしての非腫瘍性星状細胞(CC2565)、(B)SEBTA 003、(C)SEBTA 023、(D)KNS42、(E)SNF188、(F)SEBTA 025を示す。図中のプロットは、三連で行った3つの試験の代表値である。

0268

本願明細書において、以下の試験方法を使用した。

0269

アスピリンの安定性
アスピリンは、サリチル酸と酢酸に加水分解される。組成物試料中のアスピリンおよびサリチル酸の濃度を、最も短期間の場合で少なくとも200日間にわたって、好ましくは最大300日間にわたって測定した。密封したガラスバイアルに組成物を入れ、バイアルを25℃のオーブン保管し、アスピリンおよびサリチル酸の濃度を毎週測定した。ガラスバイアルを開封し、試料を一部取り出して毎週試験を行い、窒素パージしてから再度ガラスバイアルを密封した。UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィーを使用した。以下の条件を使用した。
移動相:1%酢酸水溶液メタノール=40%:60%
・カラム:アジレントZorbax Eclipse XBD-C18、4.6mm×150mm、粒子径5μm
・カラムヒーター:25℃
・試料の濃度:0.02gの試料を移動相で10mlに調製
注入量:40μl
流速:1ml/分
・検出:280nmのUV
組成物中のアスピリンの安定性は、(i)(最初のアスピリン濃度に基づいた)1日あたりの平均アスピリン分解率(%)、または(ii)(最初のアスピリン濃度に基づいた)組成物1gに対する1日あたりの平均アスピリン分解率(%)として算出されたアスピリン分解率により定義する。

0270

本発明を以下の実施例によって説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。

0271

実施例1
食用グレードのトリアセチルグリセリン(たとえばシグマアルドリッチ社製)を40%(w/v)エタノールと混合し、活性白土の固定層を通して濾過した。次いで、減圧蒸留を行い、さらに蒸気蒸留を行うことによって溶媒を除去し、トリアセチルグリセリン中のエタノール濃度を1ppm未満とした。

0272

実施例2
アスピリン2.5wt%(たとえばシグマアルドリッチ社製)、トリアセチルグリセリン96.5wt%(実施例1で製造したもの)およびサッカリン1wt%(たとえばシグマ アルドリッチ社製)を混合して組成物を調製した。上記適切な割合で混合した当該成分を超音波攪拌することによって、完全に溶解させた。顕微鏡観察によって、溶液中に粒子が存在しないことを確認した。組成物中のアスピリンの安定性を、上述した方法に従って毎週測定した。277日後のアスピリンの分解量は、最初のアスピリン量の6.9%であった。これは分解率0.025%/日に相当する。

0273

実施例3
スペアミント油0.15wt%(たとえばQuinessence社製)を組成物にさらに加えた(これに応じてトリアセチルグリセリンの量を0.15wt%減らした(すなわち96.35wt%とした))こと以外は同様にして、実施例2の操作を繰り返した。246日後のアスピリンの分解量は、最初のアスピリン量の5.7%であった。これは分解率0.023%/日に相当する。

0274

実施例4
アスピリン2.5wt%(たとえばシグマアルドリッチ社製)、トリアセチルグリセリン96.5wt%(実施例1で製造したもの)およびサッカリン1wt%(たとえばシグマ アルドリッチ社製)を混合して組成物を調製した。上記適切な割合で混合した当該成分を超音波攪拌することによって、完全に溶解させた。顕微鏡観察によって、溶液中に粒子が存在しないことを確認した。組成物中のアスピリンの安定性を、上述した方法に従って毎週測定した。

0275

各組成物中のサリチル酸の量(%)を測定し、以下の式により、組成物中に含まれるサリチル酸とアスピリンの総量(%)に対する割合として「標準化したサリチル酸量(%)」を算出した。
標準化したサリチル酸量(%)=(サリチル酸の量(%))/(アスピリンの量(%)+サリチル酸の量(%))

0276

結果を以下の表1および図3に示す。

0277

0278

186日後において観察された分解量5.35%は、分解率0.0288%/日に相当する。

0279

これらの結果から推定して、有効期間(最初に調製した時点から、標準化したサリチル酸量(%)が10%に達するまでの期間)は360日であると予測される。

0280

実施例5
実施例2の方法に準じて、アスピリン、トリアセチルグリセリンおよびサッカリンからなる様々な組成物を調製した。5種の組成物を調製し、アスピリンの濃度をそれぞれ2.5wt%、3.0wt%、3.5wt%、4.0wt%および4.5wt%とした。各組成物は、アスピリン以外に、サッカリン1wt%および残部としてのトリアセチルグリセリンを含んでいた。

0281

これらの組成物の様々な温度における溶解性を試験した。アスピリンが完全に溶解して透明な溶液が得られるかどうか、および得られた溶液が透明なまま維持されるかどうかを確認するために、組成物を観察した。

0282

結果を以下の表2に示す。

0283

0284

以上の結果から、本発明の組成物中に含まれるアスピリンの濃度が4wt%である場合、25℃においてアスピリンが組成物中に安定に溶解することが示された。アスピリンの濃度が2.5wt%である場合、4℃まで温度を下げても安定に溶解した。

0285

したがって、本発明の組成物は、低用量のアスピリンが長期間にわたって必要とされる心血管障害、脳血管障害およびがんの治療における使用に特に適している。

0286

たとえば、2.5wt%のアスピリン濃度では、2mLの用量を含むゲルカプセルによって約50mgのアスピリンが提供される。また、1mLの用量では約25mgのアスピリンが提供される。

0287

比較例1
アスピリン10wt%(たとえばシグマアルドリッチ社製)およびグリセリン+20EO(20モル当量エチレンオキシドエトキシ化したグリセリン)90wt%を混合して組成物を調製した。上記適切な割合で混合した当該成分を超音波攪拌することによって、完全に溶解させた。顕微鏡観察によって、溶液中に粒子が存在しないことを確認した。組成物中のアスピリンの安定性を、上述した方法に従って毎週測定した。

0288

結果を以下の表3および図1に示す。

0289

0290

平均分解率は0.102%/日である。これらの結果から推定して、有効期間は124日であると予測される。

0291

比較例2
アスピリン10wt%(たとえばシグマアルドリッチ社製)、サッカリン1%(たとえばシグマ アルドリッチ社製)およびグリセリン+20EO 89wt%を混合して組成物を調製した。上記適切な割合で混合した当該成分を超音波攪拌することによって、完全に溶解させた。顕微鏡観察によって、溶液中に粒子が存在しないことを確認した。組成物中のアスピリンの安定性を、上述した方法に従って毎週測定した。

0292

結果を以下の表4および図2に示す。

0293

0294

平均分解率は0.0714%/日である。これらの結果から推定して、有効期間は205日であると予測される。

0295

上記実施例および比較例の結果を以下の表5にまとめる。

0296

0297

本発明による組成物では、アスピリンの分解率が劇的に改善しており、これによって液状組成物の有効期間が劇的に改善していることが分かる。有効期間は1年またはそれ以上とすることができる。比較例1と比較例2とを比較すると、サッカリンが含まれていることによって安定性が有意に向上することが分かる。さらに、比較例2と実施例2〜4とを比較すると、トリアセチルグリセリンが組成物中に含まれる場合、安定性が劇的に改善することが分かる。

0298

上記実施例は、本発明による組成物の改良された特性を示すものである。

0299

実施例6:成人神経膠芽腫、小児高悪性度神経膠腫および髄芽腫における液体アスピリンの抗腫瘍作用の調査を目的としたインビトロ研究
序論
現在市場に出回っている溶解性アスピリンは、実際は分散剤であり、液体中に粒子が残っており、これが胃粘膜に付着して胃の副作用を引き起こす。つまり、「溶解性」という分類は正確ではない。分散剤の代替となるアスピリン製剤は、急速に水中分散する散剤である。これまで、真の意味で安定に長期保存可能な液体アセチルサリチル酸(ASA)製剤の製造には成功していない。本明細書に記載されている他に類を見ない液体ASA(この実施例においては「液体アスピリン」と呼ぶ)は、消化管副作用が有意に低減されたものであると期待される。

0300

本明細書に記載されているように、液体アスピリンは、ASAと、2種の添加剤、すなわちトリアセチルグリセリン(トリアセチン)とサッカリン(Sac)とを含んでいる。これら3つの成分はいずれも医薬品として承認されており、抗腫瘍性を有することが十分に確認されている。

0301

トリアセチンは、血液脳関門(BBB)を介した脳への薬物送達を顕著に増強することが示されており、これは、上述の成分の組み合わせが神経膠芽腫(GBM)に対して高い効果を発揮しうる可能性を示唆している[Van Tellingen et al., Overcoming the blood-brain tumor barrier for effective glioblastoma treatment. Drug Resist. Updat. 19, 1-12 (2015)]。

0302

サッカリンベースの化合物は、新しい種類の抗がん剤として提案されている(Mahon et al., Saccharin: a lead compound for structure-based drug design of carbonic anhydrase IX inhibitors. Bioorg Med Chem 2015 Feb 15;23(4):849-54(この文献は引用により本明細書に組み込まれる))。Proescholdtら(‘Function of carbonic anhydrase IX in glioblastoma multiforme’, Neuro Oncol, 2012, Vol. 14, pp. 1357-1366)は、代謝標的として炭酸脱水酵素IXを抑制することによって、神経膠芽腫の患者を治療することができる可能性を示唆している。

0303

上記3つの成分のうち、アスピリンが最も強力な抗腫瘍作用を有することが示されており、特に神経膠芽腫(GBM)に対して強力な作用を有する。初期のインビボ研究では、構築されたFischer 344ラット神経膠腫モデル(Aas, A. T., Brun, A., Blennow, C., Stromblad, S., & Salford, L. G. The RG2 rat glioma model. J. Neurooncol. 23, 175-183 (1995))にアスピリンを投与した事例が報告されており、腫瘍細胞接種の前日にアスピリンを投与した場合も、ラットにおける神経膠芽腫腫瘍の形成後にアスピリンを投与した場合も、分化した悪性神経膠芽腫細胞RG2の増殖が顕著に抑制されたことが強調されている(Aas, A. T., Tonnessen, T. I., Brun, A., & Salford, L. G. Growth inhibition of rat glioma cells in vitro and in vivo by aspirin. J. Neurooncol. 24, 171-180 (1995))。

0304

プロスタグランジンE2(PGE2)は、免疫抑制および腫瘍増殖において重要な役割を果たしていることが示されている。アスピリンは、PGE2阻害剤として、インビトロにおける腫瘍細胞の増殖を抑制することが示されている。アスピリンの投与量に関する研究として、C6神経膠腫インビトロモデルを高用量アスピリンまたは低用量アスピリンに暴露させたときの、PGE2合成に対するアスピリンの作用を評価した研究がいくつか報告されている。これらの研究により、アスピリンがC6細胞におけるPGE2合成を直接抑制したことが明らかとされ、また、重要な知見として、低用量アスピリンが高用量アスピリンと同程度のPGE2合成抑制効果を有することが示されている(Hwang, S. L. et al. Effect of aspirin and indomethacin on prostaglandin E2 synthesis in C6 glioma cells. Kaohsiung. J. Med. Sci. 20, 1-5 (2004))。

0305

アスピリンで処理したヒトA172膠芽腫細胞において、アポトーシスプログラム細胞死)の顕著な誘導が認められた[Kim, S. R. et al. Aspirin induces apoptosis through the blockade ofIL-6-STAT3 signaling pathway in human glioblastoma A172 cells. Biochem. Biophys. Res. Commun. 387, 342-347 (2009)]。この応答の基本的な機序は、リン酸化シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)(具体的にはpTyr-STAT3)のレベルが低下することにある。STAT3は、A172細胞の生存に必要な転写因子である。上述の結論は、アスピリンで処理した後に測定されたサイクリンD1、XIAPおよびBcl−2の転写が顕著に低下したことによって裏付けられた(上掲のKimら)。(STAT3のリン酸化を誘導する)インターロイキン6(IL−6)の発現および分泌が、アスピリン処理によって顕著に抑制されたことからも、STAT3の関与がさらに裏付けられた(上掲のKimら)。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ