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技術 複合加工装置

出願人 国立大学法人東京大学
発明者 国枝正典韓偉
出願日 2017年5月31日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-107578
公開日 2018年12月27日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2018-202503
状態 未査定
技術分野 放電加工、電解加工、複合加工
主要キーワード 正方向パルス 逆方向パルス ロッド直径 面加工形状 正方向電圧 消耗状況 給電容量 パルス休止
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年12月27日)のものです。
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図面 (20)

課題

電解加工モードと放電加工モードとを、簡便に切り替えて実施する。

解決手段

両極性パルス発生部1は、工具電極2と工作物5との間に、両極性パルス電圧印加する。両極性パルス電圧は、工具電極2を陽極にするための正方向パルスと、工作物5を陽極にするための逆方向パルスとを備える。工具電極2及び工作物5のうちの一方は、この一方が陽極となったときに、電解液3との接触部分において、前記一方の表面に酸化膜51を形成する材料により構成される。電解液3は、加工間隙Aを満たすように供給される。電解液3は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含む水溶液となっている。電流制御部4は、工具電極2及び工作物5のうちの他方を陽極とする電圧が加工間隙Aに印加されたときに、加工間隙Aに流れるべき電流バイパスし、又は阻止する。電流制御部4は、着脱又はオンオフ可能となっている。

概要

背景

本発明者は、下記非特許文献1〜3に示されるように、パルス波形電源コンデンサとを用いて両極性パルスを発生し、この両極性パルスを用いて放電加工あるいは電解加工を行う技術を提案している。

ここで、電解加工は、一般に次のような特性を持つ:
加工面積の大小にかかわらず加工速度を一定にできるので、大面積に対する加工速度が比較的に速い;
加工表面電気分解により生成されるので、放電痕残留応力の影響を排除できる;
微細加工においては放電加工よりも加工効率が低いが、表面粗さを改善できるので、仕上げ加工に好適である。

一方、放電加工は、一般に次のような特性を持つ:
・加工面積に拘わらず単位時間当たりの放電回数が一定であるとすれば、大面積に対する加工速度は遅いが、微細加工における加工速度は速い;
・放電痕の影響(例えば放電時の発熱に起因する残留応力や表面改質)が加工表面に残りやすい。

したがって、一つの工作物に対して、放電加工と電解加工とを前後して行うことにより、それぞれの加工の特性に応じた利点を享受することができると予想される。

しかしながら、一般に、放電加工と電解加工は、通常、異なる電源電解液を用いた異なる装置により実施される。このため、通常は、電解加工と放電加工を一つの工作物に対して行うためには、装置間で工作物を移動させなければならないという問題がある(下記特許文献1及び2参照)。

そこで、下記非特許文献5〜8では、放電加工と電解加工を一つの装置で実現する技術を提案している。しかしながら、これらの技術においても、例えば電源や電解液を加工モードに応じて変更あるいは調整しなければならず、モード変更の手間がかかるという問題がある。

概要

電解加工モードと放電加工モードとを、簡便に切り替えて実施する。両極性パルス発生部1は、工具電極2と工作物5との間に、両極性パルス電圧印加する。両極性パルス電圧は、工具電極2を陽極にするための正方向パルスと、工作物5を陽極にするための逆方向パルスとを備える。工具電極2及び工作物5のうちの一方は、この一方が陽極となったときに、電解液3との接触部分において、前記一方の表面に酸化膜51を形成する材料により構成される。電解液3は、加工間隙Aを満たすように供給される。電解液3は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含む水溶液となっている。電流制御部4は、工具電極2及び工作物5のうちの他方を陽極とする電圧が加工間隙Aに印加されたときに、加工間隙Aに流れるべき電流バイパスし、又は阻止する。電流制御部4は、着脱又はオンオフ可能となっている。

目的

本発明の主な目的は、電解加工モードと放電加工モードとを、簡便に切り替えて実施できる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電解加工モードと放電加工モードとの切り替えに応じて電解加工又は放電加工を工作物に適用する複合加工装置であって、両極性パルス発生部と、工具電極と、電解液と、電流制御部とを備えており、前記両極性パルス発生部は、加工間隙を有して対向配置された前記工具電極と前記工作物との間に、両極性パルス電圧印加する構成となっており、前記両極性パルス電圧は、前記工具電極を陽極にするための正方向パルスと、前記工作物を陽極にするための逆方向パルスとを備えており、前記工具電極及び前記工作物のうちの一方は、前記一方が陽極となったときに、前記電解液との接触部分において、前記一方の表面に酸化膜を形成する材料により構成されており、前記電解液は、前記加工間隙を満たすように供給されており、かつ、前記電解液は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含む水溶液となっており、前記電流制御部は、前記工具電極及び前記工作物のうちの他方を陽極とする電圧が前記加工間隙に印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流バイパスし、又は阻止する構成となっており、かつ、前記電流制御部は、前記電解加工モードと前記放電加工モードとの切り替えに応じて、着脱又はオンオフされる構成となっていることを特徴とする複合加工装置。

請求項2

前記両極性パルス電圧は、前記正方向パルスと前記逆方向パルスとの間に挿入された電圧休止期間を有する構成となっている請求項1に記載の複合加工装置。

請求項3

前記一方の素材は、タングステンチタンニオブ超硬合金からなる群のうちの一つ又は複数から選択されている請求項1又は2に記載の複合加工装置。

請求項4

前記電解液は、前記酸化膜を分解する物質を、前記一方が陰極となったときに前記加工間隙を流れる電流により生成するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項5

前記両極性パルス発生部は、パルス電源と、このパルス電源に直列に接続された給電容量とを備えており、前記給電容量は、前記パルス電源から生じたパルス波形電圧立ち上がり立ち下がりに応じて、前記両極性パルス電圧における前記正方向パルスと前記逆方向パルスとを発生する構成となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項6

前記電流制御部は、前記加工間隙と並列に挿入されたダイオードにより構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項7

前記工具電極は、前記工具電極が陽極となったときに、前記電解液との接触部分において、前記工具電極自体の表面に前記酸化膜を形成する材料により構成されており、前記電流制御部は、前記加工間隙に前記逆方向パルスが印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項8

前記電解加工モードにおいて用いられる電流制御素子を備えており、前記電流制御素子は、前記工具電極及び前記工作物のうちの前記一方を陽極とする電圧が前記加工間隙に印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項9

前記電解液として、中性電解液が用いられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合加工装置。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合加工装置を用いた複合加工方法であって、前記電解加工モードにおいては、前記電流制御部を取り外し又はオフにした状態において、前記加工間隙に前記両極性パルス電圧を印加するステップを備えており、前記放電加工モードにおいては、前記電流制御部を取り付け又はオンにした状態において、前記加工間隙に前記両極性パルス電圧を印加するステップを備えており、前記電解加工モードと前記放電加工モードとの切り替え時には、前記電流制御部の着脱又はオンオフを切り替えるステップを備えている複合加工方法。

技術分野

0001

本発明は、電解加工放電加工とを切り替えて実施可能な複合加工装置に関するものである。

背景技術

0002

本発明者は、下記非特許文献1〜3に示されるように、パルス波形電源コンデンサとを用いて両極性パルスを発生し、この両極性パルスを用いて放電加工あるいは電解加工を行う技術を提案している。

0003

ここで、電解加工は、一般に次のような特性を持つ:
加工面積の大小にかかわらず加工速度を一定にできるので、大面積に対する加工速度が比較的に速い;
加工表面電気分解により生成されるので、放電痕残留応力の影響を排除できる;
微細加工においては放電加工よりも加工効率が低いが、表面粗さを改善できるので、仕上げ加工に好適である。

0004

一方、放電加工は、一般に次のような特性を持つ:
・加工面積に拘わらず単位時間当たりの放電回数が一定であるとすれば、大面積に対する加工速度は遅いが、微細加工における加工速度は速い;
・放電痕の影響(例えば放電時の発熱に起因する残留応力や表面改質)が加工表面に残りやすい。

0005

したがって、一つの工作物に対して、放電加工と電解加工とを前後して行うことにより、それぞれの加工の特性に応じた利点を享受することができると予想される。

0006

しかしながら、一般に、放電加工と電解加工は、通常、異なる電源電解液を用いた異なる装置により実施される。このため、通常は、電解加工と放電加工を一つの工作物に対して行うためには、装置間で工作物を移動させなければならないという問題がある(下記特許文献1及び2参照)。

0007

そこで、下記非特許文献5〜8では、放電加工と電解加工を一つの装置で実現する技術を提案している。しかしながら、これらの技術においても、例えば電源や電解液を加工モードに応じて変更あるいは調整しなければならず、モード変更の手間がかかるという問題がある。

0008

特開2003−205429号公報
特開2002−346837号公報

先行技術

0009

M. Kunieda, A. Hayasaka, X.D. Yang, S. Sano, and I. Araie. Study on Nano EDMUsing Capacity Coupled Pulse Generator.CIRP Annals-Manufacturing Technology 2007; 56(1): 213-216.
M. Kimori, M. Kunieda. Miniaturization of Micro EDM Using Electrostatic Induction Feeding Method. Journal of the Japan Society for Precision Engineering 2010; 76(10): 1151-1155.
T. Koyano, M. Kunieda. Micro electrochemical machining using electrostatic induction feeding method. CIRP Annals- Manufacturing Technology 2013; 62(1): 175-178.
R. Schuster, V. Kirchner, P. Allongue, G. Ertl. Electrochemical Micromachining. Science 2000; 289(5476): 98-101.
Z. Zeng, Y. Wang, Z. Wang, D. Shan, X. He. A study of micro-EDM and micro-ECM combined milling for 3D metallic micro-structures. Precision Engineering, 2012, 36(3): 500-509.
T. Kurita, H. Mitsuro. A study of EDM and ECM/ECM- lappingcomplex machining technology. International Journal of Machine Tools and Manufacture, 2006, 46(14): 1804-1810.
M.D. Nguyen, R. Mustafizur, S.W. Yoke. Simultaneous micro-EDM and micro-ECM in low-resistivity deionized water. International Journal of Machine Tools and Manufacture, 2012, 54: 55-65.
M.D. Nguyen, R. Mustafizur, S.W. Yoke. Modeling of radial gap formed by material dissolution in simultaneous micro-EDM and micro-ECM drilling using deionized water. International Journal of Machine Tools and Manufacture, 2013, 66: 95-101.
S. Maeda, N. Saito, Y. Haishi. Principle and Characteristics of Electro-Chemical Machining. Mitsubishi Denki Giho, 1967, 41(10): 1267-1279 (in Japanese).

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、前記した状況に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、電解加工モードと放電加工モードとを、簡便に切り替えて実施できる技術を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。

0012

(項目1)
電解加工モードと放電加工モードとの切り替えに応じて電解加工又は放電加工を工作物に適用する複合加工装置であって、
両極性パルス発生部と、工具電極と、電解液と、電流制御部とを備えており、
前記両極性パルス発生部は、加工間隙を有して対向配置された前記工具電極と前記工作物との間に、両極性パルス電圧印加する構成となっており、
前記両極性パルス電圧は、前記工具電極を陽極にするための正方向パルスと、前記工作物を陽極にするための逆方向パルスとを備えており、
前記工具電極及び前記工作物のうちの一方は、前記一方が陽極となったときに、前記電解液との接触部分において、前記一方の表面に酸化膜を形成する材料により構成されており、
前記電解液は、前記加工間隙を満たすように供給されており、
かつ、前記電解液は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含む水溶液となっており、
前記電流制御部は、前記工具電極及び前記工作物のうちの他方を陽極とする電圧が前記加工間隙に印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流バイパスし、又は阻止する構成となっており、
かつ、前記電流制御部は、前記電解加工モードと前記放電加工モードとの切り替えに応じて、着脱又はオンオフされる構成となっている
ことを特徴とする複合加工装置。

0013

(項目2)
前記両極性パルス電圧は、前記正方向パルスと前記逆方向パルスとの間に挿入された電圧休止期間を有する構成となっている
項目1に記載の複合加工装置。

0014

(項目3)
前記一方の素材は、タングステンチタンニオブ超硬合金からなる群のうちの一つ又は複数から選択されている
項目1又は2に記載の複合加工装置。

0015

(項目4)
前記電解液は、前記酸化膜を分解する物質を、前記一方が陰極となったときに前記加工間隙を流れる電流により生成するものである
項目1〜3のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0016

(項目5)
前記両極性パルス発生部は、パルス電源と、このパルス電源に直列に接続された給電容量とを備えており、
前記給電容量は、前記パルス電源から生じたパルス波形電圧立ち上がり立ち下がりに応じて、前記両極性パルス電圧における前記正方向パルスと前記逆方向パルスとを発生する構成となっている
項目1〜4のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0017

(項目6)
前記電流制御部は、前記加工間隙と並列に挿入されたダイオードにより構成されている
項目1〜5のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0018

(項目7)
前記工具電極は、前記工具電極が陽極となったときに、前記電解液との接触部分において、前記工具電極自体の表面に前記酸化膜を形成する材料により構成されており、
前記電流制御部は、前記加工間隙に前記逆方向パルスが印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている
項目1〜6のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0019

(項目8)
前記電解加工モードにおいて用いられる電流制御素子を備えており、
前記電流制御素子は、前記工具電極及び前記工作物のうちの前記一方を陽極とする電圧が前記加工間隙に印加されたときに、前記加工間隙に流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている
項目1〜7のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0020

(項目9)
前記電解液として、中性電解液が用いられている
項目1〜8のいずれか1項に記載の複合加工装置。

0021

(項目10)
項目1〜9のいずれか1項に記載の複合加工装置を用いた複合加工方法であって、
前記電解加工モードにおいては、
前記電流制御部を取り外し又はオフにした状態において、前記加工間隙に前記両極性パルス電圧を印加するステップを備えており、
前記放電加工モードにおいては、
前記電流制御部を取り付け又はオンにした状態において、前記加工間隙に前記両極性パルス電圧を印加するステップを備えており、
前記電解加工モードと前記放電加工モードとの切り替え時には、前記電流制御部の着脱又はオンオフを切り替えるステップを備えている
複合加工方法。

発明の効果

0022

本発明によれば、電解加工モードと放電加工モードとを、電流制御部の着脱あるいはオンオフを用いて、簡便に切り替えて実施することが可能となる。

図面の簡単な説明

0023

本発明の第1実施形態に係る複合加工装置の基本的な構成を説明するための説明図である。
図(a)は、図1の装置の等価回路である。図(b)の縦軸は、図(a)の回路におけるパルス電圧波形電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
第1実施形態の加工装置を用いた電解加工モードでの動作を説明するための説明図であって、図(a)は工具電極が陽極のとき、図(b)は工具電極が陰極のときを示す。
第1実施形態の加工装置を用いた放電加工モードでの動作を説明するための説明図であって、図(a)は工具電極が陰極のとき、図(b)は工具電極が陽極のときを示す。
縦軸は、実験例1の電解加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
図(a)及び図(b)の縦軸は、実験例1の放電加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
図6の放電加工モードにおける放電時の電圧及び電流波形を示すグラフである。
実験例2の放電加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
実験例2による放電加工により得られた微小穴底面形状を示す図であり、図(a)は工具電極の送り速度が0.6μm/sのとき、図(b)は工具電極の送り速度が1.2μm/sのときを示す。
実験例2における工具電極の送り速度と放電頻度との関係を示すグラフである。
放電加工モードでの加工前後における工具電極の形状変化を示す図であって、図(a)は加工前、図(b)は加工後を示す。
実験例3の加工装置の概略的な構成を示す説明図である。
実験例3の電解加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。図(a)は、パルス幅20nsの場合、図(b)はパルス幅35nsの場合を示す。
実験例3による電解加工により得られた微小穴の底面形状を示す図であり、図(a)はパルス幅20nsのとき、図(b)はパルス幅25nsのとき、図(c)はパルス幅35nsのとき、図(d)はパルス幅40nsのときを示す。
実験例3におけるパルス幅とインレットサイドギャップとの関係を示すグラフである。
実験例4の電解加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
実験例4による電解加工により得られた微小ロッドの側面形状を示す図であり、図(a)はパルス電圧値90Vのとき、図(b)はパルス電圧値110Vのとき、図(c)はパルス電圧値120Vのとき、図(d)はパルス電圧値140Vのときを示す。
実験例5の放電加工モードにおけるパルス電圧波形の電圧値、加工間隙間の電流値、加工間隙間の電圧値をそれぞれ示し、横軸は時間である。
実験例5による放電加工により得られた微小ロッドの側面形状を示す図であり、図(a)は給電容量100pFのとき、図(b)は給電容量220pFのとき、図(c)は給電容量350pFのときを示す。また、図19中の右列は、対応する左列の図の拡大図である。
実験例6による放電加工及び電解加工により得られた微小ロッドの側面形状を示す図であり、図中上側はロッド全体、図中EDMはロッド基端の拡大、図中ECMはロッド中間及び先端の拡大を示す。
変形例3において用いるワイヤ状の工具電極を示す説明図であって、図(a)はワイヤ径方向に切断した状態の説明図、図(b)は工作物を径方向に切断した状態の説明図である。

実施例

0024

以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る複合加工装置(以、「加工装置」と略称することがある)について説明する。本実施形態の加工装置は、電解加工モードと放電加工モードとの切り替えに応じて電解加工又は放電加工を工作物に適用するためのものである。

0025

(複合加工装置の構成)
本実施形態の複合加工装置は、両極性パルス発生部1と、工具電極2と、電解液3(図1参照)と、電流制御部4(後述の図4参照)とを、基本的な構成要素として備えている。

0026

(両極性パルス発生部)
両極性パルス発生部1は、加工間隙Aを有して対向配置された工具電極2と工作物5との間に、両極性パルス電圧を印加する構成となっている。両極性パルス電圧は、工具電極2を陽極にするための正方向パルスと、工作物5を陽極にするための逆方向パルスとを備えている。ここで、この明細書においては、工具電極2を陽極にするための電圧パルス又は電流パルスを正方向パルスとし、工作物5を陽極にするための電圧パルス又は電流パルスを逆方向パルスとする(後述の図2(b)参照)。両極性パルス電圧は、正方向パルスと逆方向パルスとの間に挿入された電圧休止期間を有する構成となっている(後述の図2(b)参照)。

0027

両極性パルス発生部1は、パルス電源11と、このパルス電源11に直列に接続された給電容量12とを備えている。給電容量12は、パルス電源11から生じたパルス波形電圧の立ち上がりと立ち下がりに応じて、両極性パルス発生部1における正方向パルスと逆方向パルスとを発生する構成となっている。両極性パルス発生部1の詳しい動作については後述する。なお、両極性パルス発生部1としては、同様のパルス電圧を発生できる、いわゆる高速バイポーラ電源を用いることもできる。

0028

(工具電極)
工具電極2は、この工具電極2が陽極となったときに、電解液3との接触部分において、工具電極2の表面に酸化膜を形成する材料により構成されている。

0029

具体的には、工具電極2の素材は、タングステン、チタン、ニオブ、超硬合金からなる群のうちの一つ又は複数から選択されている。ここでこれらの金属は、合金である場合と純金属である場合を含む。より具体的には、本実施形態の工具電極2は、純タングステンから構成されている。

0030

(電解液)
電解液3は、加工間隙Aを満たすように供給されている。より具体的には、本実施形態の電解液3は、加工中において、ノズル31により加工間隙Aに連続的に供給されるようになっている。ただし、所定の容器に電解液3を収納して、加工間隙Aを電解液3中に配置する構成とすることも可能である。

0031

本実施形態の電解液3は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含む中性の水溶液となっている。具体的には、本実施形態では、NaNO3の水溶液が用いられている。ただし、電解液3としては、これに限らず、例えばNaCl、KCl,KNO2,KNO3,NaClO3,Na2CO3のいずれかの水溶液を用いることができる。

0032

電解液3は、酸化膜を分解する物質、例えばNaOH又はKOHを、工具電極2が陰極となったときに加工間隙Aを流れる電流により生成するものである。

0033

(電流制御部)
電流制御部4(後述の図4参照)は、工作物5を陽極とする電圧が加工間隙Aに印加されたときに、加工間隙Aに流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている。

0034

電流制御部4は、電解加工モードと電加工モードとの切り替えに応じて、着脱又はオンオフされる構成となっている。電流制御部4のオンオフは、例えば図示しないスイッチにより行うことができる。

0035

本例の電流制御部4は、加工間隙Aと並列に挿入されたダイオードにより構成されている。

0036

(工作物)
本例の工作物5の材質としては、導電性があり、かつ電気分解可能な材質であればよい。工作物5としては、一般には、導電性のある金属が用いられる。本実施形態では、工作物5の材質としてSUS304を前提とするが、これに制約されるものではない。

0037

(本実施形態の動作)
次に、前記した加工装置の動作を説明する。

0038

(両極性パルス発生部の動作)
まず、説明の前提として、本実施形態に係る両極性パルス発生部1の基本的な動作について説明する。図2に、図1の回路の概略的な等価回路を示す(前記した非特許文献4参照)。図2における符号の意味は下記の通りである。
C1:給電容量12;
Cdl:電圧印加により電解液中に生じる電気二重層静電容量;
Rf:電気二重層の抵抗成分;
Rg:加工間隙の抵抗成分(極間抵抗。ただし、電解液の抵抗と、電極表面に形成される酸化被膜などの抵抗の和);
E0:パルス電源でのパルス電源電圧最大値);
T:パルス周期
Rise Time:立ち上がり時間;
Fall Time:立ち下り時間。

0039

ここで、加工間隙Aには電解液3が充填されているものとする。

0040

この回路において、パルス電源11からパルス電圧を加工間隙Aに印加する(図2(b)のパルス電圧波形を参照)。すると、加工間隙Aには、パルス電圧の立ち上がりと立ち下がりに応じて、正方向パルス電圧と逆方向パルス電圧とが印加され、正方向パルス電流と逆方向パルス電流とが流れる(図2(b)の電流波形と電圧波形を参照)。パルス周期あるいはデューティー比を調整することにより、パルス休止時間(加工間隙に電圧印加されない時間)を調整することもできる。

0041

(電解加工モード)
次に、図3を参照して、電解加工モードにおける本実施形態の動作について説明する。このモードの場合は、電流制御部4(図4参照)が取り外された状態となっている。ここで、電流制御部4を取り外すことに代えて、電流制御部4を、図示しないスイッチを用いて、非動作状態としておくこともできる。

0042

(正方向パルス印加時)
正方向パルス印加時には、工具電極2の表面に酸化膜21が生成する(図3(a)参照)。この酸化膜21は、工具電極2がタングステンの場合、WO3である。この膜21の成長により、極間抵抗Rgが増加し、加工間隙Aを流れる電流が減少する。

0043

(逆方向パルス印加時)
逆方向パルス印加時(図3(b)参照)には、電解液3としてNaNO3の水溶液を用いた場合、下記反応式によりNaOHが生成する(前記した非特許文献9参照)。
2Na++2H2O+2e → 2NaOH+H2 (1)

0044

この反応に伴い、電解液3中に気泡が発生する。また、工具電極2の酸化膜21においては、下記反応が進行する。
WO3+2NaOH → Na2WO4+H2O

0045

これにより、酸化膜21を溶解除去することができる。すると、極間抵抗Rgが低下し、逆方向の電流(工作物5を陽極とする電流)が増加する。その結果、工作物の電解加工を行うことができる。

0046

(放電加工モード)
次に、図4を参照して、放電加工モードにおける本実施形態の動作について説明する。このモードの場合は、電流制御部4が取り付けられた状態となっている。

0047

(逆方向パルス印加時)
逆方向パルス印加時(図4(a)参照)には、電流制御部4を介して電流が流れるので、加工間隙Aにはほとんど電流は流れない。つまり、本実施形態では、電流制御部4により、加工間隙Aに流れるべき電流をバイパスすることによって、加工間隙Aにおける電流の発生を阻止することができる。したがって、逆方向パルス印加時は、工具電極2及び工作物5の状態はほとんど変化しない。

0048

(正方向パルス印加時)
正方向パルス印加時(図4(b)参照)には、電流制御部4には電流は流れず、加工間隙Aに正方向の電圧が印加される。このとき、工具電極2に形成された酸化膜21の厚さが十分厚ければ、工具電極2と工作物5とは絶縁される。そして、正方向パルスによって絶縁破壊が起きると、工具電極2と工作物5との間で放電を生じ、工作物5を放電加工することができる。

0049

ここで、正方向パルス印加時において、酸化膜21の厚さが不十分であり、加工間隙Aに正方向の電流が流れたとする。この場合は、この電流により、工具電極2の表面に酸化膜21を生成するので、酸化膜21が厚くなり、工具電極2と工作物5との絶縁を実現することができる。その後は、前記したように、放電加工を行うことができる。

0050

また、放電により、酸化膜21が破壊され、その破壊部分において電流を生じた場合は、生じた電流により、破壊部分に酸化膜21が生成される。このため、本実施形態では、酸化膜21の厚さを自動的に回復することができ、放電を生じさせることができる。つまり、本実施形態の装置では、酸化膜21の自己修復機能を発揮できるという利点がある。

0051

(実験例1)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて複合加工を行うための基礎的な実験例1を説明する。実験例1の条件は下記表1の通りである。

0052

0053

ここで、各項目の意味は下記の通りである。
Pulse voltage:パルス電源11からのパルス波形電圧(パルス電圧値)
Amplitude:パルス波形電圧の振幅
Frequency:パルス波形電圧の周波数
Duty factor:パルス波形電圧のデューティー比
Rise/fall time:パルス波形電圧の立ち上がり及び立ち下がり時間
Feeding capacitance C1:給電容量12の容量
Electrolyte:電解液3の組成
Tool electrode rotation:工具電極2の軸回りでの回転量
Feed speed:工具電極の先端方向への送り速度

0054

電流制御部4を取り外した状態(つまり電解加工モード)において、実験例により得られたパルス電圧波形(Pulse voltage)と、加工間隙間の電圧波形(Gap Voltage)と、電流波形(Gap Current)とを図5に示す。この図に示すように、この実験例では、休止時間を持つ両極性パルスを得ることができている。なお、この図5では、ギャップ電圧の50Vとギャップ電流の100mAと加工時間の1μsのスケールを示している。他の図においても適宜スケールを示している。

0055

次に、電流制御部4を取り付けた状態(つまり放電加工モード)において、実験例により得られたパルス電圧波形と、加工間隙間の電圧波形と、電流波形とを図6に示す。この図に示すように、この実験例では、単極性のパルス電圧を発生させることができている。そのため、図6(a)では、10μsの間に2回の放電を発生し、図6(b)では、4回の放電を発生している。したがって、本実施形態では、放電加工を実施可能であることがわかる。放電発生時の電圧波形と電流波形とを図7に示す。

0056

(実験例2)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて複合加工のうちの放電加工を行った例を実験例2として説明する。実験例2では、電流制御部4が取り付けられている。実験例2の説明においては、前記した実験例1と同様の内容については、説明を省略する。

0057

実験例2の実験条件を下記に示す。

0058

0059

実験例2では、工具電極2の先端方向への送り速度を6種類に変化させている。

0060

工具電極2の送り速度を1.2μm/sとした場合のパルス電圧波形(以下「パルス電圧」)と、加工間隙間の電流(以下「ギャップ電流」)と、加工間隙間の電圧(以下「ギャップ電圧」)とを図8に示す。この例では、10μsの間に、10回の放電を観測することができた。また、放電加工の結果(送り速度0.6μm/sと1.2μm/s)を図9に示す。これらの図では、放電によるクレーターが観察できる。また、図10は、この実験における工具電極2の送り速度と放電頻度との関係を示す。送り速度が速いほど放電頻度が増すことがわかる。つまり両者には正の相関がある。図11には、放電加工の前後における工具電極2の先端の消耗状況を示す。

0061

(実験例3)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて複合加工のうちの電解加工を行った例を実験例3として説明する。実験例3の説明においては、前記した実験例1と同様の内容については、説明を省略する。

0062

実験例3では、電流制御部4は取り外されている。また、この例では、加工間隙Aと並列に、電流制御素子9が接続されている(図12参照)。電流制御素子9は、工具電極2が陽極となるときに、加工間隙Aに流れる電流をバイパスあるいは阻止するようになっている。なお、電流制御素子9の極性は、前記した電流制御部4の極性とは逆になっている。本例の電流制御素子9としては、具体的にはダイオードが用いられている。図12のように構成すると、正方向電圧が印加されたときに加工間隙Aに流れる電流値を低く抑えることができるので、工具電極2の消耗を低く抑えることができるという利点がある。また、加工間隙Aに逆方向電圧が印加されたときには、工作物5を陽極とする電流を流すことができ、その結果、工作物5の電解加工を行うことができる。なお、この実験例3で用いる工作物5としては、工作物5が陽極となったときにこの工作物5に酸化膜を生じる材料(例えばタングステン、チタン、ニオブ、超硬合金等)ではないことが好ましい。このような材質を工作物5として用いると、酸化膜での電気抵抗増加により、放電加工モードとなってしまうためである。

0063

電流制御素子9は、電解加工モードにおいて使用されるものであり、放電加工モードにおいては、電流制御部4に置換される。ここで、電流制御部4としてダイオードを用いた場合、極性を反転して回路に接続することで、電流制御部9として使用できる。このようにすると、一つのダイオードを電流制御部4と電流制御素子9という二つの用途に使用できるという利点がある。

0064

実験例3の実験条件を下記に示す。

0065

0066

実験例3では、パルス電圧波形の立ち上がり、立ち下がり時間(つまり両極性パルス電圧におけるパルス幅)を5種類に変化させている。

0067

パルス幅を20nsとした場合と35nsとした場合におけるパルス電圧、ギャップ電流、及びギャップ電圧を図13(a)及び(b)にそれぞれ示す。なお、図13は、他の図と比較して、パルス電圧とギャップ電流とギャップ電圧の極性を逆にした状態で測定されている。この例では、電流制御素子9を設けたために、加工間隙間における正方向での電流値(パルス電圧の立下り時の電流値)が、電流制御素子9を設けない場合(図5参照)よりも小さくなっている(図13(b)参照)。なお、図13(a)では、共振を生じたためにギャップ電流及びギャップ電圧の値が大きくなっている。

0068

パルス幅を変えて電解加工を行った結果を図14に示す。特にパルス幅が25nsと35nsのときに、きれいな底面加工形状を得られた。また、パルス幅とインレットサイドギャップとの関係を図15に示す。インレットサイドギャップdgapは下記により定義される:
dgap=(D−d)/2

0069

ここで、
D:加工された穴の直径;
d:工具電極の直径
である。図15から、パルス幅が広いほど、インレットサイドギャップを小さくできることがわかる。つまり両者には負の相関がある。

0070

(実験例4)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて電解加工モードでの加工を行った例を実験例4として説明する。実験例4の説明においては、前記した実験例1と同様の内容については、説明を省略する。

0071

実験例4では、電流制御部4は取り外されている。実験例4の実験条件を下記に示す。

0072

0073

実験例4では、パルス電圧波形の振幅を4種類に変化させている。なお、表4において、「with jump washing」とあるのは、工具電極2の供給時に、ジャンプ動作(前後方向に工具電極を揺らすことで電解液を撹拌する動作)を行うことを意味する。実験例4における実際の波形図16に示す。

0074

各電圧値での電解加工により得られたロッド形状図17に示す。高電圧になるほど加工速度が速いことがわかる。

0075

(実験例5)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて放電加工モードでの加工を行った例を実験例5として説明する。実験例5の説明においては、前記した実験例2と同様の内容については、詳しい説明を省略する。

0076

実験例5では、実験例2と同様に、電流制御部4が取り付けられている。実験例5の実験条件を下記に示す。

0077

0078

実験例5では、給電容量12を3種類に変化させている。実験例5における実際の波形を図18に示す。

0079

各容量での放電加工により得られたロッド形状を図19に示す。容量が小さいほど表面粗さが小さいことがわかる。

0080

(実験例6)
次に、前記した本実施形態の装置を用いて、電解加工モード及び放電加工モードでの加工を行った例を実験例6として説明する。実験例6の説明においては、前記した実験例1及び2と同様の内容については、詳しい説明を省略する。

0081

実験例6では、電解加工モードのとき、電流制御部4が取り外されており、放電加工モードのとき、電流制御部4が取り付けられている。電流制御素子9は、この例では用いていない。実験例6の実験条件を下記に示す。

0082

0083

実験例6では、荒加工を放電加工(EDM)モードで行い、仕上げ加工を電解加工(ECM)モードで行った。すなわち、微小ロッドの加工において、まずは放電加工モードで所望の径のロッド形状を形成し、その後、加工されたロッド表面に電解加工モードでの加工を施した。ここで、ロッドの材料はSUS304であり、加工されたロッド長さは800μmであり、最終的なロッド直径は57μmである。実験例6において得られた加工形状を図20に示す。電解加工により表面粗さが改善されていることがわかる。

0084

(変形例1)
次に、変形例1に係る加工装置について説明する。この変形例1の説明においては、前記した第1実施形態と基本的に共通する構成要素については、同一符号を付することにより、説明の煩雑を避ける。前記した第1実施形態の装置では、工具電極2の材料として、工具電極2が陽極のときに酸化膜を生成する材質、例えばタングステンとした。これに対して、変形例1の装置では、工作物5として、工作物5が陽極のときに酸化膜を生成する材質、例えばタングステンとした。そして、工具電極4として、導電性のある金属、例えばSUS304とした。

0085

(電解加工モード)
電解加工モードにおいては、工作物5が陽極となるとき(つまり逆方向パルス印加時)に、工作物5の電解加工を行うことができる。なお、このとき、工作物5の表面に酸化膜が生成されるが、印加電圧に応じて、電解加工のために必要な電流を流すことができる。

0086

一方、工具電極2が陽極となるとき(つまり正方向パルス印加時)には、NaOHが生成され、酸化膜が分解される。したがって、周期的にパルス電圧を印加することにより、酸化膜の厚さを低く抑えることが可能になる。なお、工具電極2が陽極になると、工具電極2の消耗を生じるが、工具電極2の消耗に応じて電極を繰り出すことにより、消耗の影響を抑制することができる。あるいは、工具電極2を、電気分解されない材料、例えば白金とすることにより、この問題を回避することもできる。なお、このモードでは、電流制御部4は取り外される。

0087

(放電加工モード)
放電加工モードにおいては、電流制御部4を取り付けるが、その電流制御特性は、第1実施形態とは逆にする。つまり、変形例1における電流制御部4は、工具電極2を陽極とする電圧が加工間隙Aに印加されたときに、加工間隙Aに流れるべき電流をバイパスし、又は阻止する構成となっている。具体的には、この電流制御部4は例えばダイオードにより構成することができる。

0088

変形例1の放電加工モードにおいて、工作物5が陽極になるとき(つまり逆方向パルスが印加されたとき)は、工作物5の表面に酸化膜が形成され、放電が生じる。この放電現象と、絶縁破壊時における被膜の自己修復機能については、極性が異なる以外は、前記した第1実施形態と同様である。

0089

一方、工具電極2が陽極になるときは、電流制御部4を介して電流が流れるため、加工間隙Aに流れる電流はほぼ0になる。

0090

変形例1における他の構成及び利点は、前記した第1実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。

0091

(変形例2)
次に、変形例2に係る加工装置について説明する。この変形例2の説明においては、前記した変形例1と基本的に共通する構成要素については、同一符号を付することにより、説明の煩雑を避ける。前記した変形例1では、工作物5として、工作物5が陽極のときに酸化膜を生成する材質、例えばタングステンとした。これに対して、この変形例2では、工具電極2も、工具電極2が陽極のときに酸化膜を生成する材質、例えばタングステンとした。なお、工具電極2と工作物5とが異なる材質(例えば一方がチタンで他方がタングステン)であってもよい。

0092

(電解加工モード)
電解加工モードにおいては、正逆の極性の入れ替えにともなって、酸化膜生成とNaOHの生成とが競合して発生する。このため、酸化膜が過剰に成長することなく、加工間隙Aに電流を流すことができる。したがって、工作物5が陽極となるとき(つまり逆方向パルス印加時)に、工作物5の電解加工を行うことができる。

0093

(放電加工モード)
放電加工モードにおいては、電流制御部4を取り付けるが、電流制御の特性は、第1実施形態と同様でもよいし、その逆(つまり変形例1と同様)でもよい。以下では、第1実施形態と同様の電流制御部4が取り付けられていると仮定する。

0094

変形例2の放電加工モードにおいては、第1実施形態と同様に、工具電極2が陽極になるとき(つまり正方向パルスが印加されたとき)は、工具電極2の表面に酸化膜が形成され、放電を生じる。ただし、このとき、工作物5の近傍にはNaOHが生成されるので、酸化膜の成長が抑制される。しかし、工具電極2と工作物5のどちらか一方に酸化膜が成長すれば、放電加工は可能である。この放電現象と、絶縁破壊時における被膜の自己修復機能については、極性が異なる以外は、前記した第1実施形態と同様である。

0095

変形例2の放電加工モードにおいて、工作物5が陽極になるときは、電流制御部4により、第1実施形態と同様に、加工間隙Aにはほとんど電流は流れない。工具電極2が陽極となるときは、工具電極2の表面に生成した酸化膜により、工具電極2と工作物5との間に放電を生じさせ、放電加工を行うことができる。

0096

以上の放電加工モードにおける説明は、電流制御部4の電流特性が逆である場合も成立する。ただし、工具電極2と工作物5との関係は逆になり、工作物5が陽極になるときに放電を生じる。

0097

変形例2における他の構成及び利点は、前記した変形例1と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。

0098

(変形例3)
次に、変形例3に係る加工装置について説明する。この変形例3の説明においては、前記した変形例1と基本的に共通する構成要素については、同一符号を付することにより、説明の煩雑を避ける。前記した変形例1では、工具電極2として、ロッド状のものを用いた。これに対して、この変形例3では、工具電極2を長尺ワイヤ電極とし、このワイヤ電極を長さ方向に繰り出しながら、ワイヤ電極の側面により加工を行う構成とした(図21参照)。この例では、ワイヤ状の工具電極2の側面は、ガイド22により支持されており、工具電極2は、ガイド22の表面に接しながら、長さ方向に走行する。

0099

変形例1の装置では、工具電極2が陽極となるとき、工具電極2の消耗を生じる。変形例3の装置によれば、工具電極2を走行させることにより、電極消耗の影響を回避することができるという利点がある。

0100

なお、本発明の内容は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。

0101

1両極性パルス発生部
11パルス電源
12給電容量
2工具電極
21酸化膜
3電解液
31ノズル
4電流制御部
5工作物
51 酸化膜
9 電流制御素子

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