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図面 (20)

課題

優れた特性を有する抗PAD4抗体、又は優れたRAの治療方法の提供。

解決手段

PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体抗体をコードするポリヌクレオチド又はベクター、該ポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む抗PAD4抗体の生産方法、並びに該抗体を含むPAD4のシトルリン化活性阻害剤、RA又は関節炎治療用医薬組成物等の組成物

概要

背景

PAD4(Peptidylarginine deiminase 4)は、蛋白質中アルギニンシトルリン化関与する酵素として知られている。このシトルリン化は、蛋白質を構成するアミノ酸の中で最も塩基性の強いアルギニンが中性シトルリンに変換される反応であるため、蛋白質の構造と反応にとって重要である。

シトルリン化は、関節リウマチ(RA)への関連性が報告されている。例えば、RAでは環状シトルリン化ペプチド(CCP)が滑膜抗原として存在していることから、抗CCP抗体がRAの診断薬として販売されている。

PAD4とRAに関する報告もいくつか存在する。例えば、非特許文献1には、RAの発症とPAD4遺伝子の一塩基多型との間に相関があることが報告されている。また、非特許文献2には、RAを診断するために抗PAD4抗体を使用したことが報告されている。また、特許文献1には、4種類の抗PAD4抗体の混合物マウス投与することによって、RAを抑制する試みが記載されている(特許文献1の実施例2参照)。

概要

優れた特性を有する抗PAD4抗体、又は優れたRAの治療方法の提供。PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体抗体をコードするポリヌクレオチド又はベクター、該ポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む抗PAD4抗体の生産方法、並びに該抗体を含むPAD4のシトルリン化活性阻害剤、RA又は関節炎治療用医薬組成物等の組成物。なし

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた特性を有する抗PAD4抗体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

PAD4(Peptidylarginine deiminase 4)の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する、抗PAD4抗体。

請求項2

PAD4のシトルリン化活性阻害する、請求項1に記載の抗PAD4抗体。

請求項3

PAD4に対するKD(M)が9.0×10-9以下である、請求項1又は2に記載の抗PAD4抗体。

請求項4

前記エピトープは、1アミノ酸置換アラニンスキャンによって同定されるエピトープである、請求項1〜3いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項5

モノクローナル抗体である、請求項1〜4いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項6

ヒト化抗体である、請求項1〜5いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項7

抗原結合性断片である、請求項1〜6いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項8

請求項1〜7いずれかに記載の抗PAD4抗体をコードする、ポリヌクレオチド又はベクター

請求項9

請求項1〜7いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、組成物

請求項10

請求項1〜7いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害剤

請求項11

請求項1〜7いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、RA又は関節炎治療用医薬組成物

請求項12

請求項8に記載のポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法

請求項13

重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号50〜55で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号56〜61で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号62〜67で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号68〜73で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号74〜79で示されるアミノ酸配列を含む抗体、及び重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号80〜85で示されるアミノ酸配列を含む抗体、からなる群から選ばれる1種以上の抗PAD4抗体。

請求項14

PAD4のシトルリン化活性を阻害する、請求項13に記載の抗PAD4抗体。

請求項15

ヒト化抗体である、請求項13又は14に記載の抗PAD4抗体。

請求項16

PAD4に対するKD(M)が9.0×10-9以下である、請求項13〜15いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項17

モノクローナル抗体である、請求項13〜16いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項18

抗原結合性断片である、請求項13〜17いずれかに記載の抗PAD4抗体。

請求項19

請求項13〜18いずれかに記載の抗PAD4抗体をコードする、ポリヌクレオチド又はベクター。

請求項20

請求項13〜18いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、組成物。

請求項21

請求項13〜18いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害剤。

請求項22

請求項13〜18いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、RA又は関節炎の治療用医薬組成物。

請求項23

請求項19に記載のポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法。

請求項24

抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、医薬組成物

請求項25

RA又は関節炎の治療用医薬組成物である、請求項24に記載の医薬組成物。

請求項26

前記抗PAD4抗体が、ヒト化抗体である、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

請求項27

抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、抗PAD4抗体を含有する医薬組成物。

請求項28

RA又は関節炎の治療用医薬組成物である、請求項27に記載の医薬組成物。

請求項29

前記抗PAD4抗体が、ヒト化抗体である、請求項27又は28に記載の医薬組成物。

請求項30

抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、TNFα阻害剤を含有する医薬組成物。

請求項31

RA又は関節炎の治療用医薬組成物である、請求項30に記載の医薬組成物。

請求項32

前記抗PAD4抗体が、ヒト化抗体である、請求項30又は31に記載の医薬組成物。

請求項33

抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、治療用キット

請求項34

RA又は関節炎の治療用キットである、請求項33に記載の治療用キット。

請求項35

前記抗PAD4抗体が、ヒト化抗体である、請求項33又は34に記載の治療用キット。

技術分野

0001

本発明は、新規PAD4抗体に関する。

背景技術

0002

PAD4(Peptidylarginine deiminase 4)は、蛋白質中アルギニンシトルリン化関与する酵素として知られている。このシトルリン化は、蛋白質を構成するアミノ酸の中で最も塩基性の強いアルギニンが中性シトルリンに変換される反応であるため、蛋白質の構造と反応にとって重要である。

0003

シトルリン化は、関節リウマチ(RA)への関連性が報告されている。例えば、RAでは環状シトルリン化ペプチド(CCP)が滑膜抗原として存在していることから、抗CCP抗体がRAの診断薬として販売されている。

0004

PAD4とRAに関する報告もいくつか存在する。例えば、非特許文献1には、RAの発症とPAD4遺伝子の一塩基多型との間に相関があることが報告されている。また、非特許文献2には、RAを診断するために抗PAD4抗体を使用したことが報告されている。また、特許文献1には、4種類の抗PAD4抗体の混合物マウス投与することによって、RAを抑制する試みが記載されている(特許文献1の実施例2参照)。

0005

WO/2012/026309

先行技術

0006

"Functional haplotypes ofPADI4, encoding citrullinating enzyme peptidylarginine deiminase 4, are associated with rheumatoid arthritis.", Suzuki et al., Nat Genet. 2003 Aug;34(4):395-402.
"Two novel sandwichELISAs identify PAD4 levels and PAD4 autoantibodies in patients with rheumatoid arthritis.", Ishigami et al., Mod Rheumatol. 2013 Jul;23(4):794-803.

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、上記特許文献1では、RAの抑制のために、4種類の抗PAD4抗体の混合物を使用する必要があり、改善の余地を有していた。その他、RAの治療に有効な抗PAD4抗体は従来存在しなかった。

0008

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた特性を有する抗PAD4抗体を提供すること、又は優れたRAの治療方法を提供すること等を目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本願発明者らは、後述する実施例に記載の通り、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体が、驚くべきことに、RAに対して高い治療効果を有していることを見いだした。またこの抗体は、上記特許文献1に記載されている抗PAD4抗体に比べ、PAD4への親和性、及びシトルリン化活性阻害能に優れていた。

0010

また、ヒト関節リウマチモデルマウスに抗PAD4抗体とTNFα阻害剤併用投与したところ、驚くべきことに、相乗的な治療効果が見られた。

0011

即ち本発明の一態様によれば、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する、抗PAD4抗体が提供される。この抗体を用いれば、RAの治療を行うことができる。

0012

また本発明の一態様によれば、上記抗PAD4抗体をコードする、ポリヌクレオチド又はベクターが提供される。また本発明の一態様によれば、上記抗PAD4抗体を含む、組成物が提供される。また本発明の一態様によれば、上記抗PAD4抗体を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害剤が提供される。また本発明の一態様によれば、上記抗PAD4抗体を含む、RA又は関節炎治療用医薬組成物が提供される。また本発明の一態様によれば、上記ポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法が提供される。

0013

また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体はPAD4のシトルリン化活性阻害する抗体であってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体のKD(M)は9.0×10-9以下であってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体のエピトープは、1アミノ酸置換アラニンスキャンによって同定されるエピトープであってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体はモノクローナル抗体であってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体はヒト化抗体であってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体は抗原結合性断片であってもよい。

0014

また本発明の一態様によれば、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、医薬組成物が提供される。また本発明の一態様によれば、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、抗PAD4抗体を含有する医薬組成物が提供される。また本発明の一態様によれば、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、TNFα阻害剤を含有する医薬組成物が提供される。また本発明の一態様によれば、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、治療用キットが提供される。

0015

また本発明の一態様では、上記医薬組成物はRA又は関節炎の治療用医薬組成物であってもよい。また本発明の一態様では、上記抗PAD4抗体はヒト化抗体であってもよい。また本発明の一態様では、上記治療用キットはRA又は関節炎の治療用キットであってもよい。

発明の効果

0016

本発明によれば、優れた特性を有する抗PAD4抗体、又は優れたRA又は関節炎の治療方法等が得られる。

図面の簡単な説明

0017

図1は、ELISAの結果を表した図である。
図2は、ELISAの結果を表した図である。
図3は、ELISAの結果を表した図である。
図4は、親和性測定の結果を表した図である。
図5は、アラニンスキャンの結果を表した図である。
図6は、シトルリン化活性阻害能の評価結果を表した図である。
図7は、シトルリン化活性阻害能の評価結果を表した図である。
図8は、薬効評価実験条件概要を表した図である。
図9は、腫脹幅の評価結果を表した図である。
図10は、関節炎スコアの評価結果を表した図である。
図11は、抗CCP抗体価の評価結果を表した図である。
図12は、組織学解析の結果を表した図である。
図13は、薬効評価の実験条件の概要を表した図である。
図14は、腫脹幅の評価結果を表した図である。
図15は、関節炎スコアの評価結果を表した図である。
図16は、実施例6のヒト化抗体H鎖IgG1)とL鎖κ)の定常領域のアミノ酸配列を表した図である。
図17は、ヒト化G8の可変領域配列を表した図である。
図18は、ヒト化H7の可変領域配列(H鎖はG8と共通配列)のアミノ酸配列を表した図である。
図19は、A11又はG8由来のヒト化抗体の全長アミノ酸配列を表した図である。
図20は、G9又はH7由来のヒト化抗体の全長アミノ酸配列を表した図である。
図21は、ELISAの結果を表した図である。
図22は、ELISAの結果を表した図である。
図23は、ELISAの結果を表した図である。
図24は、ELISAの結果を表した図である。
図25は、ヒト化抗PAD4抗体(IgG4λ)の作成に使用したDNA配列を表した図である。
図26は、実施例6の抗PAD4抗体(IgG4λ)のアミノ酸配列を表した図である。
図27は、ELISAの結果を表した図である。
図28は、シトルリン化活性阻害能の評価結果を表した図である。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑を避けるために、適宜説明を省略する。

0019

本発明の一実施形態は、新規の抗PAD4抗体である。この抗体は、例えば、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する、抗PAD4抗体である。この抗体を用いれば、例えば、関節リウマチ(RA)又は関節炎の治療を行うことができる。この治療方法は、抗体を使用するため副作用が小さく、安全性の観点から優れている。

0020

PAD4は、一般的に、蛋白質中のアルギニンのシトルリン化に関与する酵素として知られている。PAD4のアミノ酸配列等の詳細は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)、又はHGNC(HUGO Gene Nomenclature Committee)等のWEBサイトから見ることができる。NCBIに記載されているPAD4のアクセッションナンバーは、例えば、NP_036519.2である。PAD4のアミノ酸配列は、例えば、配列番号2である。PAD4は、PAD4活性を有していれば、その生物由来は限定されない。PAD4の345、347、及び348位には、典型的にはそれぞれAsp、Trp、及びMetが位置する。

0021

本発明の一実施形態において「抗PAD4抗体」は、PAD4に結合性を有する抗体を含む。この抗PAD4抗体の生産方法は特に限定されないが、例えば、PAD4を哺乳類又は鳥類に免疫することによって生産してもよい。PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する、抗PAD4抗体は、例えば、野生型のPAD4に結合性を示し、且つ345、347、又は348位のAla変異型PAD4に対して結合性を示さない抗PAD4抗体を選抜することによって得ることができる。

0022

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4のシトルリン化活性を阻害する抗体であってもよい。

0023

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体であれば、ポリクローナル抗体に比べて、効率的にPAD4に対して作用させることができる。所望の効果を有する抗PAD4モノクローナル抗体を効率的に生産する観点からは、PAD4をニワトリに免疫することが好ましい。抗原として使用するPAD4は、特に指定しない限り、PAD4全長又はPAD4ペプチド断片を含む。

0024

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体の抗体クラスは特に限定されないが、例えばIgMIgD、IgG、IgAIgE、又はIgYであってもよい。また、抗体サブクラスは特に限定されないが、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、又はIgA2であってもよい。

0025

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4結合活性を有する抗体断片(以下、「抗原結合性断片」と称することもある)であっても良い。この場合、安定性又は抗体の生産効率が上昇する等の効果がある。

0026

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、融合蛋白質であってもよい。この融合蛋白質は、PAD4のN又はC末端に、ポリペプチド又はオリゴペプチドが結合したものであってもよい。ここで、オリゴペプチドは、Hisタグであってもよい。また融合蛋白質は、マウス、ヒト、又はニワトリの抗体部分配列を融合したものであってもよい。それらのような融合蛋白質も、本実施形態に係る抗PAD4抗体の一形態に含まれる。

0027

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4をニワトリに免疫する工程を経て得られる抗体であってもよい。また、PAD4をニワトリに免疫する工程を経て得られる抗体のCDRセットを有する抗体であってもよい。CDRセットとは、重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のセットである。

0028

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、KD(M)が、例えば、9.9×10-9、9.5×10-9、9.0×10-9、8.5×10-9、8.0×10-9、7.0×10-9、6.0×10-9、5.0×10-9、4.0×10-9、3.0×10-9、2.0×10-9以下であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。RAの治療効果を高める観点からは、KD(M)は9.0×10-9以下が好ましい。

0029

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4の野生型又は変異型に結合する抗体であってもよい。変異型は、SNPsのように、個体間のDNA配列の差異に起因するものを含む。野生型又は変異型のPAD4のアミノ酸配列は、配列番号2に示すアミノ酸配列に対し、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有する。

0030

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、野生型PAD4に対して結合性を有し、且つ345、347、又は348位のAla変異型PAD4に対して結合性を有さない抗体であってもよい。「結合性を有さない」は、実質的に結合性を有さなければよい。

0031

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、野生型のPAD4に有意な反応性を示す抗体を選抜する工程、又は345、347、又は348位のAla変異型PAD4に対して結合性を示さない抗体を選抜する工程、を含む生産方法によって得られる抗体であってもよい。

0032

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、345、347、又は348位のAla変異型PAD4に対する結合性が、抗PAD4ポリクローナル抗体に比べて、50%以下である抗体であってもよい。50%以下は、例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、又は0%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。結合性は、例えば、ELISA又はBiacoreで評価してもよい。本発明の一実施形態において「抗PAD4ポリクローナル抗体」は、例えば、抗血清を含む。結合性又は反応性は、親和性を含む。

0033

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4の345、347、及び348位に特異的に結合する抗体であってもよい。この抗体は、PAD4の345、347、及び348位に対する特異的な結合性がある限り、エピトープ内の他のアミノ酸残基に結合性を有していてもよい。エピトープ内の他のアミノ酸残基は、例えば、PAD4の344位のアミノ酸残基であってもよい。特定の部位に特異的に結合する抗体は、特定の部位を認識する抗体であってもよい。

0034

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体が結合するエピトープは、PAD4の345、347、及び348位のアミノ酸残基に加えて、345、347、及び348位以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。例えば、上記エピトープは、344位のアミノ酸残基を含んでいてもよい。またこのエピトープは、PAD4の340、341、342、343、344、346、349、350、351、352、353、354、355、又は356位のアミノ酸を含まなくてもよい。

0035

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの6、8、及び9位を含むエピトープに特異的に結合する抗体であってもよい。

0036

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドに対して結合性を有し、且つ配列番号32、配列番号34、又は配列番号35で示されるアミノ酸配列のペプチドに対して結合性を有さない、抗体であってもよい。

0037

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、配列番号32、配列番号34、又は配列番号35で示されるアミノ酸配列のペプチドに対する結合性が、抗PAD4ポリクローナル抗体に比べて、50%以下である抗体であってもよい。50%以下は、例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、又は0%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。結合性は、例えば、ELISA又はBiacoreで評価してもよい。

0038

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの6、8、及び9位に特異的に結合する抗体であってもよい。この抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの6、8、及び9位に対する特異的な結合性がある限り、エピトープ内の他のアミノ酸残基に結合性を有していてもよい。エピトープ内の他のアミノ酸残基は、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの5位のアミノ酸残基であってもよい。

0039

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体が結合するエピトープは、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの6、8、及び9位のアミノ酸残基に加えて、5位のアミノ酸残基を含んでいてもよい。またこのエピトープは、配列番号1で示されるアミノ酸配列のペプチドの1、2、3、4、5、7、10、11、12、13、14、15、16、又は17位のアミノ酸を含まなくてもよい。

0040

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体が結合するエピトープは、例えば、アラニンスキャンで同定されるエピトープであってもよい。本発明の一実施形態ににおいて「アラニンスキャン」は、例えば、蛋白質のあるアミノ酸をアラニンに置換して、その蛋白質に結合する抗体の性質を調べる手法である。アラニンスキャンで同定されるエピトープは、例えば、(i)抗原の1アミノ酸残基をAlaへ置換し、Ala変異体を作製する工程、(ii)Ala変異体と被検抗体の親和性を測定する工程、又は(iii)被検抗体が有意な反応性を示さなかったAla変異体の、Ala置換前のアミノ酸残基をエピトープとして評価する工程、を経て評価可能なエピトープであってもよい。上記工程(i)は、複数の抗原の1アミノ酸残基をAlaに置換し、複数のAla変異体を作製する工程を含んでいてもよい。エピトープの評価方法は、(iv)Ala変異体と抗PAD4ポリクローナル抗体との親和性を測定する工程を含んでいてもよい。エピトープの評価方法は、(v)被検抗体とAla変異体との親和性が、抗PAD4ポリクローナル抗体とAla変異体との親和性の50%以下のときに、被検抗体が有意な反応性を示さなかったと評価する工程を含んでいてもよい。50%以下は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1%以下、又は0%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。アラニンスキャンは、1アミノ酸置換によって行なってもよい。アラニンスキャンに用いる抗原は、PAD4又はそのペプチド断片であってもよい。親和性は、例えば、ELISA又はBiacoreで評価してもよい。

0041

本発明の一実施形態において「抗体」は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる分子又はその集団を含む。また抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、様々な形態で存在することができ、例えば、全長抗体Fab領域Fc領域を有する抗体)、Fv抗体、Fab抗体、F(ab')2抗体、Fab'抗体、diabody、一本鎖抗体(例えば、scFv)、dsFv、多価特異的抗体(例えば、二価特異的抗体)、抗原結合性を有するペプチド又はポリペプチド、キメラ抗体マウス抗体ニワトリ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、又はそれらの同等物(又は等価物)からなる群から選ばれる1種以上の形態であってもよい。また抗体は、抗体修飾物又は抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。抗体のアミノ酸配列、クラス、又はサブクラスは、例えば、ヒト、ヒトを除く哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウサギウシサル等)、又は鳥類(例えば、ニワトリ)等由来であってもよい。また抗体は、例えば、単離抗体精製抗体、又は組換抗体を含む。また抗体は、例えば、in vitro又はin vivoで使用できる。

0042

本発明の一実施形態において「ポリクローナル抗体」は、例えば、哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、サル等)又は鳥類(例えば、ニワトリ)等に、目的の抗原を含む免疫原を投与することによって生成することが可能である。免疫原の投与は、1つ以上の免疫剤、又はアジュバント注入してもよい。アジュバントは、免疫応答を増加させるために使用されることもあり、フロイントアジュバント(完全又は不完全)、ミネラルゲル水酸化アルミニウム等)、又は界面活性物質リゾレシチン等)等を含んでいてもよい。免疫プロトコルは、当該技術分野で公知であり、選択する宿主生物に合わせて、免疫応答を誘発する任意の方法によって実施される場合がある(タンパク質実験ハンドブック,土社(2003):86-91.)。

0043

本発明の一実施形態において「モノクローナル抗体」は、集団を構成する個々の抗体が、実質的に同じエピトープに反応する場合の抗体を含む。又は、集団を構成する個々の抗体が、実質的に同一(自然発生可能な突然変異許容される)である場合の抗体であってもよい。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、異なるエピトープに対応する異なる抗体を典型的に含むような、通常のポリクローナル抗体とは異なる。モノクローナル抗体の作製方法は特に限定されないが、例えば、"Kohler G, Milstein C., Nature. 1975 Aug 7;256(5517):495-497."に掲載されているようなハイブリドーマ法と同様の方法によって作製してもよい。あるいは、モノクローナル抗体は、米国特許第4816567号に記載されているような組換え法と同様の方法によって作製してもよい。又は、モノクローナル抗体は、"Clackson et al., Nature. 1991 Aug 15;352(6336):624-628."、又は"Marks et al., J Mol Biol. 1991 Dec 5;222(3):581-597."に記載されているような技術と同様の方法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。又は、"タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):92-96."に掲載されている方法によって作製してもよい。

0044

本発明の一実施形態において「Fv抗体」は、抗原認識部位を含む抗体である。この領域は、非共有結合による1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメイン二量体を含む。この構成において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成することができる。

0045

本発明の一実施形態において「Fab抗体」は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体が一部のジスルフィド結合を介して結合した抗体である。Fabは、例えば、Fab領域及びFc領域を含む上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を、蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。

0046

本発明の一実施形態において「F(ab')2抗体」は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち、Fabに相当する部位を2つ含む抗体である。F(ab')2は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を、蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。また、例えば、下記のFab'をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させることで、作製することができる。

0047

本発明の一実施形態において「Fab'抗体」は、例えば、F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断して得られる抗体である。例えば、F(ab')2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。

0048

本発明の一実施形態において「scFv抗体」は、VHとVLとが適当なペプチドリンカーを介して連結した抗体である。scFv抗体は、例えば、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、VH-ペプチドリンカー-VLをコードするポリヌクレオチドを構築し、そのポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。

0049

本発明の一実施形態において「diabody」は、二価の抗原結合活性を有する抗体である。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。diabodyは、例えば、scFvをコードするポリヌクレオチドをペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、得られたポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。

0050

本発明の一実施形態において「dsFv」は、VH及びVL中にシステイン残基を導入したポリペプチドを、上記システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させた抗体である。システイン残基に導入する位置はReiterらにより示された方法(Reiter et al., Protein Eng. 1994 May;7(5):697-704.)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。

0051

本発明の一実施形態において「抗原結合性を有するペプチド又はポリペプチド」は、抗体のVH、VL、又はそれらのCDR1、2、もしくは3を含んで構成される抗体である。複数のCDRを含むペプチドは、直接又は適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。

0052

上記のFv抗体、Fab抗体、F(ab')2抗体、Fab' 抗体、scFv抗体、diabody、dsFv抗体、抗原結合性を有するペプチド又はポリペプチド(以下、「Fv抗体等」と称することもある)の生産方法は特に限定しない。例えば、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体におけるFv抗体等の領域をコードするDNAを発現用ベクターに組み込み、発現用細胞を用いて生産できる。又は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBOC法(t-ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって生産してもよい。なお上記の本発明の実施形態に係る抗原結合性断片は、上記Fv抗体等の1種以上であってもよい。

0053

本発明の一実施形態において「キメラ抗体」は、例えば、異種生物間における抗体の可変領域と、抗体の定常領域とを連結したもので、遺伝子組換え技術によって構築できる。例えば、マウス-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-マウスキメラ抗体等が挙げられる。マウス-ヒトキメラ抗体は、例えば、"Roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973."に記載の方法で作製できる。マウス-ヒトキメラ抗体を作製するための基本的な方法は、例えば、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及び可変領域配列を、哺乳類細胞発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体定常領域をコードする配列に連結する。又は、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及び可変領域配列をヒト抗体定常領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結してもよい。ヒト抗体定常領域の断片は、任意のヒト抗体のH鎖定常領域及びヒト抗体のL鎖定常領域のものとすることができ、例えばヒトH鎖のものについてはCγ1、Cγ2、Cγ3又はCγ4を、L鎖のものについてはCλ又はCκを各々挙げることができる。

0054

本発明の一実施形態において「ヒト化抗体」は、例えば、非ヒト種由来の1つ以上のCDR、及びヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域、さらにヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有し、所望の抗原に結合する抗体である。抗体のヒト化には、当該技術分野で既知の種々の手法を使用してもよい(例えば、Almagro et al., FRont Biosci. 2008 Jan 1;13:1619-1633.)。例えば、CDRグラフティング(Ozaki et al., Blood. 1999 Jun 1;93(11):3922-3930.)、Re-surfacing (roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973.)、又はFRシャッフル(Damschroder et al., Mol Immunol. 2007 Apr;44(11):3049-3060. Epub 2007 Jan 22.)などが挙げられる。抗原結合を改変又は改善するために、ヒトFR領域のアミノ酸残基を、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換してもよい。このFR置換は、当該技術分野で周知の方法によって実施可能である(Riechmann et al., Nature. 1988 Mar 24;332(6162):323-327.)。例えば、CDRとFR残基の相互作用モデリングによって抗原結合に重要なFR残基を同定してもよい。又は、配列比較によって、特定の位置で異常なFR残基を同定してもよい。なお、Nishibori et al., Mol Immunol. 2006 Feb;43(6):634-42に記載の方法でヒト化することが好ましい。

0055

本発明の一実施形態において「ヒト抗体」は、例えば、抗体を構成する重鎖の可変領域及び定常領域、軽鎖の可変領域及び定常領域を含む領域が、ヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体である。主な作製方法としてはヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法、ファージディスプレイ法などがある。ヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法では、内因性Igをノックアウトしたマウスに機能的なヒトのIg遺伝子を導入すれば、マウス抗体の代わりに多様な抗原結合能を持つヒト抗体が産生される。さらにこのマウスを免疫すればヒトモノクローナル抗体を従来のハイブリドーマ法で得ることが可能である。例えば、"Lonberg et al., Int Rev Immunol. 1995;13(1):65-93."に記載の方法で作製できる。ファージディスプレイ法は、典型的には大腸菌ウイルスの一つであるM13やT7などの繊維状ファージのコート蛋白質(g3p、g10p等)のN末端側にファージ感染性を失わないよう外来遺伝子を融合蛋白質として発現させるシステムである。例えば、"Vaughan et al., Nat Biotechnol. 1996 Mar;14(3):309-314."に記載の方法で作製できる。

0056

本発明の一実施形態において「重鎖」は、典型的には、全長抗体の主な構成要素である。重鎖は、通常、軽鎖とジスルフィド結合及び非共有結合によって結合している。重鎖のN末端側のドメインには、同種の同一クラスの抗体でもアミノ酸配列が一定しない可変領域(VH)と呼ばれる領域が存在し、一般的に、VHが抗原に対する特異性、親和性に大きく寄与していることが知られている。例えば、"Reiter et al., J Mol Biol. 1999 Jul 16;290(3):685-98."にはVHのみの分子を作製したところ、抗原と特異的に、高い親和性で結合したことが記載されている。さらに、"Wolfson W, Chem Biol. 2006 Dec;13(12):1243-1244."には、ラクダの抗体の中には、軽鎖を持たない重鎖のみの抗体が存在していることが記載されている。

0057

本発明の一実施形態において「CDR(相補性決定領域)」は、抗体において、実際に抗原に接触して結合部位を形成している領域である。一般的にCDRは、抗体のFv(可変領域:重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む)上に位置している。また一般的にCDRは、5〜30アミノ酸残基程度からなるCDR1、CDR2、CDR3が存在する。そして、重鎖のCDRが抗体の抗原への結合に特に寄与していることが知られている。またCDRの中でも、CDR3が抗体の抗原への結合における寄与が最も高いことが知られている。例えば、"Willy et al., Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 356, Issue 1, 27 April 2007, Pages 124-128"には、重鎖CDR3を改変させることで抗体の結合能を上昇させたことが記載されている。CDR以外のFv領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれ、FR1、FR2、FR3およびFR4からなり、抗体間で比較的よく保存されている(Kabat et al.,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept. Health and Human Services, 1983.)。

0058

CDRの定義およびその位置を決定する方法は複数報告されている。例えば、Kabatの定義 (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))、又はChothiaの定義(Chothia et al., J. Mol. Biol.,1987;196:901-917)を採用してもよい。本発明の一実施形態においては、Kabatの定義を好適な例として採用するが、必ずしもこれに限定されない。また、場合によっては、Kabatの定義とChothiaの定義の両方を考慮して決定しても良く、例えば、各々の定義によるCDRの重複部分を、又は各々の定義によるCDRの両方を含んだ部分をCDRとすることもできる。そのような方法の具体例としては、Kabatの定義とChothiaの定義の折衷案である、Oxford Molecular's AbM antibody modeling softwareを用いたMartinらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989;86:9268-9272)がある。

0059

本発明の一実施形態は、(a)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号50〜55で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(b)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号56〜61で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(c)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号62〜67で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(d)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号68〜73で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(e)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号74〜79で示されるアミノ酸配列を含む抗体、及び(f)重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3が、それぞれ配列番号80〜85で示されるアミノ酸配列を含む抗体、からなる群から選ばれる1種以上の抗PAD4抗体である。この抗体を用いれば、RA又は関節炎の治療を行うことができる。また本発明の別の実施形態は、上に列挙した重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3のアミノ酸配列のセットのうち、少なくとも1つのセットを含む抗PAD4抗体である。また、上記「それぞれに」は、「それぞれ順に」と同義である。

0060

なお上記(a)〜(f)に記載のアミノ酸配列は、後述の実施例に記載のA11、E9、G6、G8、G9、及びH7の抗体が有する各CDRのアミノ酸配列に対応している。即ち、A11の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれSYGMG(配列番号50)、AIRNDGSWTGYGAAVKG(配列番号51)、TTGSRGGSIDA(配列番号52)、SGGGRYYYG(配列番号53)、ANDKRPS(配列番号54)、及びGSAETSSYV(配列番号55)で示されるアミノ酸配列である。また、E9の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれSYGMG(配列番号56)、AIRNDGSWTGYGSAVKG(配列番号57)、TSGSSGGSVDA(配列番号58)、SGGGRYYYG(配列番号59)、ANDKRPS(配列番号60)、及びGSAETSSYV(配列番号61)で示されるアミノ酸配列である。また、G6の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれSYGME(配列番号62)、AIRNDGSWTGYGAAVKG(配列番号63)、TTGSSGGSIDA(配列番号64)、SGGGNYYYG(配列番号65)、ANDKRPS(配列番号66)、及びGTADTGKYV(配列番号67)で示されるアミノ酸配列である。また、G8の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれTYAMG(配列番号68)、AIRNDGSWTGYGAAVKG(配列番号69)、YTGSSGGSIGA(配列番号70)、SGGNRNYYYG(配列番号71)、ANDKRPS(配列番号72)、及びGTADTGKYV(配列番号73)で示されるアミノ酸配列である。また、G9の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれTYAMG(配列番号74)、AIRNDGSWTGYGAAVKG(配列番号75)、YTGSSGGSIGA(配列番号76)、SGGGRYYYG(配列番号77)、ANDKRPS(配列番号78)、及びGSAETSSYV(配列番号79)で示されるアミノ酸配列である。また、H7の重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のアミノ酸配列は、それぞれTYAMG(配列番号80)、AIRNDGSWTGYGAAVKG(配列番号81)、YTGSSGGSIGA(配列番号82)、SGGSGRYYYG(配列番号83)、SSTHRPS(配列番号84)、及びGTADSSSYV(配列番号85)で示されるアミノ酸配列である。

0061

上記(a)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号86〜93で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(b)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号94〜101で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(c)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号102〜109で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(d)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号110〜117で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(e)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号118〜125で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(f)の抗体は、重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号126〜133で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。これらのFRのアミノ酸配列は、後述の実施例に記載のA11、E9、G6、G8、G9、及びH7の抗体が有する各FRのアミノ酸配列に対応している。また本発明の別の実施形態は、上に列挙した重鎖FR1〜4及び軽鎖FR1〜4のアミノ酸配列のセットのうち、少なくとも1つのセットを含む抗PAD4抗体である。

0062

上記(a)の抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖CDR3が配列番号52に代えて、配列番号70で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号55に代えて、配列番号67で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(b)の抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖CDR2が配列番号57に代えて、配列番号51で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR3が配列番号58に代えて、配列番号70で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号61に代えて、配列番号67で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(c)の抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖CDR1が配列番号62に代えて、配列番号50で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR3が配列番号64に代えて、配列番号70で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR1が配列番号65に代えて、配列番号53で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号67に代えて、配列番号55で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(d)の抗体は、所望の効果を有する限り、軽鎖CDR1が配列番号71に代えて、配列番号53で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号73に代えて、配列番号55で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(e)の抗体は、所望の効果を有する限り、軽鎖CDR3が配列番号79に代えて、配列番号67で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(f)の抗体は、所望の効果を有する限り、軽鎖CDR1が配列番号83に代えて、配列番号53で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR2が配列番号84に代えて、配列番号54で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号85に代えて、配列番号55又は67で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。

0063

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖CDR1が配列番号50、56、62、68、74、又は80で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR2が配列番号51、57、63、69、75、又は81で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR3が配列番号52、58、64、70、76、又は82で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR1が配列番号53、59、65、71、77、又は83で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR2が配列番号54、60、66、72、78、又は84で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3が配列番号55、61、67、73、79、又は85で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。

0064

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、scFvの形態であってもよく、その場合、重鎖と軽鎖間にリンカーを有していてもよい。リンカーは、例えば、代表的には、GとPからなる0〜5アミノ酸の配列が挙げられるがこれに限定されない。リンカーは、例えば、、配列番号134で示されるアミノ酸配列を有していてもよい。リンカーは必須ではなく、存在しなくてもよい。

0065

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、それぞれ配列番号186及び187で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、それぞれ配列番号188及び189で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、それぞれ配列番号190及び191で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、それぞれ配列番号192及び193で示されるアミノ酸配列を含む抗体、及び重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、それぞれ配列番号194及び195で示されるアミノ酸配列を含む抗体、からなる群から選ばれる1種以上の抗体であってもよい。この抗体は、ヒト抗体由来のFR配列を有するため、安全性の観点から好ましい抗体である。なお、上記「それぞれに」は、「それぞれ順に」と同義である。

0066

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、重鎖及び軽鎖が、それぞれ配列番号170及び171で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖及び軽鎖が、それぞれ配列番号172及び173で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖及び軽鎖が、それぞれ配列番号174及び175で示されるアミノ酸配列を含む抗体、重鎖及び軽鎖が、それぞれ配列番号176及び177で示されるアミノ酸配列を含む抗体、及び重鎖及び軽鎖が、それぞれ配列番号196及び197で示されるアミノ酸配列を含む抗体、からなる群から選ばれる1種以上の抗体であってもよい。この抗体は、ヒト抗体由来のFR及び定常領域配列を有するため、安全性の観点から好ましい抗体である。なお、上記「それぞれに」は、「それぞれ順に」と同義である。

0067

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖可変領域が配列番号186、188、190、192、194、155、156、157、162、163、又は164で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖可変領域が配列番号187、189、191、193、195、158、159、160、161、165、166、167、168、又は169で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。このとき、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の配列の組合わせは特に限定されず、いずれの組合わせであってもよい。この抗体は、ヒト抗体由来のFR配列を有するため、安全性の観点から好ましい抗体である。

0068

本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、所望の効果を有する限り、重鎖が配列番号170、172、174、176、又は196で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖が配列番号171、173、175、177、又は197で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。このとき、重鎖と軽鎖の配列の組合わせは特に限定されず、いずれの組合わせであってもよい。この抗体は、ヒト抗体由来のFR及び定常領域配列を有するため、安全性の観点から好ましい抗体である。

0069

上に列挙したアミノ酸配列は、抗PAD4抗体が所望の効果を有する限り、(i)上記のアミノ酸配列において、1又は数個塩基配列欠失、置換、挿入、もしくは付加しているアミノ酸配列、(ii)上記のアミノ酸配列に対して、90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び(iii)上記のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドがコードするアミノ酸配列、からなる群から選ばれる1つ以上のアミノ酸配列であってもよい。上記(i)〜(iii)は、配列表に記載のアミノ酸配列についても同様である。このとき、配列が核酸の場合は、アミノ酸配列を塩基配列に読み替えてもよい。

0070

本発明の一実施形態において「数個」は、例えば、10、8、6、5、4、3、又は2個であってもよく、それらいずれかの値以下であってもよい。1又は数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入、又は他のアミノ酸による置換を受けたポリペプチドが、その生物学的活性を維持することは知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci U S A.1984 Sep;81(18):5662-5666.、Zoller et al., Nucleic AcidsRes. 1982 Oct 25;10(20):6487-6500.、Wang et al., Science. 1984 Jun 29;224(4656):1431-1433.)。欠失等がなされた抗体は、例えば、部位特異的変異導入法、ランダム変異導入法、又は抗体ファージライブラリーを用いたバイオパニング等によって作製できる。部位特異的変異導入法としては、例えばKOD-Plus- Mutagenesis Kit (TOYOBO CO.,LTD.)を使用できる。欠失等を導入した変異型抗体から、野生型と同様の活性のある抗体を選択することは、FACS解析やELISA等の各種キャラクタリゼーションを行うことで可能である。

0071

本発明の一実施形態において「90%以上」は、例えば、90、95、96、97、98、99%以上、又は100%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。上記「相同性」は、2つもしくは複数間のアミノ酸配列において相同アミノ酸数の割合を、当該技術分野で公知の方法に従って算定してもよい。割合を算定する前には、比較するアミノ酸配列群のアミノ酸配列を整列させ、同一アミノ酸の割合を最大にするために必要である場合はアミノ酸配列の一部に間隙を導入する。整列のための方法、割合の算定方法比較方法、及びそれらに関連するコンピュータプログラムは、当該技術分野で従来からよく知られている(例えば、BLAST、GENETYX等)。本明細書において「相同性」は、特に断りのない限りNCBIのBLASTによって測定された値で表すことができる。BLASTでアミノ酸配列を比較するときのアルゴリズムには、Blastpをデフォルト設定で使用できる。測定結果はPositives又はIdentitiesとして数値化される。

0072

上記「ストリンジェントな条件」は、例えば、以下の条件を採用することができる。(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度を用いる(例えば、50℃で、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム)、(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤を用いる(例えば、42℃で、50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム)、又は(3)20%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベーションし、次に約37-50℃で1×SSCでフィルターを洗浄する。なお、ホルムアミド濃度は50%又はそれ以上であってもよい。洗浄時間は、5、15、30、60、もしくは120分、又はそれら以上であってもよい。ハイブリダイゼーション反応ストリンジェンシーに影響する要素としては温度、塩濃度など複数の要素が考えられ、詳細はAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照することができる。

0073

本発明の一実施形態において「アミノ酸」は、アミノ基とカルボキシル基を持つ有機化合物の総称である。本発明の実施形態に係る抗体が「特定のアミノ酸配列」を含むとき、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が化学修飾を受けていてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が塩、又は溶媒和物を形成していてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸がL型、又はD型であってもよい。それらのような場合でも、本発明の実施形態に係る抗体は、上記「特定のアミノ酸配列」を含むといえる。蛋白質に含まれるアミノ酸が生体内で受ける化学修飾としては、例えば、N末端修飾(例えば、アセチル化ミリストイル化等)、C末端修飾(例えば、アミド化グリコシルホスファチジルイノシトール付加等)、又は側鎖修飾(例えば、リン酸化糖鎖付加等)等が知られている。

0074

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体をコードするポリヌクレオチド又はベクターである。このポリヌクレオチド又はベクターを細胞に導入することによって、形質転換体を作製できる。形質転換体は、ヒト又はヒトを除く哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ウシ、サル等)の細胞であってもよい。哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、サル細胞COS-7、ヒト胎児由来腎臓細胞(例えば、HEK293細胞)などが挙げられる。又は、形質転換体はEscherichia属菌酵母等であってもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、抗PAD4抗体を発現可能に構築されていてもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、例えば、プロモーターエンハンサー複製開始点、又は抗生物質耐性遺伝子など、蛋白質発現に必要な構成要素を含んでいてもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、異種由来の塩基配列を有していてもよい。異種由来の塩基配列は、例えば、ヒト及びヒトを除く生物(例えば、細菌、古細菌、酵母、昆虫、鳥類、ウイルス、又はヒトを除く哺乳動物等)からなる群から選ばれる2種以上の生物由来の塩基配列を含んでいてもよい。

0075

上記のベクターとしては、例えば大腸菌由来プラスミド(例えばpET-Blue)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110)、酵母由来プラスミド(例えばpSH19)、動物細胞発現プラスミド(例えばpA1-11、pcDNA3.1-V5/His-TOPO)、λファージなどのバクテリオファージウイルス由来のベクターなどを用いることができる。ベクターは発現ベクターであってもよく、環状であってもよい。

0076

上記のポリヌクレオチド又はベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法アデノウイルスによる方法、レトロウイルスによる方法、又はマイクロインジェクションなどを使用できる(改訂第4版 新遺伝子工学ハンドブック,羊土社(2003):152-179.)。細胞を用いた抗体の生産方法としては、例えば、"タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):128-142."に記載の方法を使用できる。

0077

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係るポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法である。上記増殖させる工程は、培養する工程を含む。またこの生産方法は、抗PAD4抗体を回収する工程を含んでいてもよい。またこの生産方法は、細胞培養液を調製する工程を含んでいてもよい。またこの生産方法は、抗PAD4抗体を精製する工程を含んでいてもよい。

0078

本発明の一実施形態において、抗体の精製は、例えば、硫酸アンモニウムエタノール沈殿プロテインAプロテインG、ゲルろ過クロマトグラフィー陰イオン陽イオン交換クロマトグラフィーホスホセルロースクロマトグラフィー疎水性相互作用クロマトグラフィーアフィニティークロマトグラフィーヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、又はレクチンクロマトグラフィーなどを用いることができる(タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):27-52.)。

0079

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、組成物である。この組成物を用いれば、PAD4を効率的に検出できる。また、PAD4のシトルリン化を効率的に阻害することができる。また、RA又は関節炎を治療することができる。この組成物が含有する成分は特に限定されず、例えば、緩衝液を含んでいてもよい。この組成物に対して、後述の阻害剤及び医薬組成物に係る種々の実施形態(例えば、担体を含有可能なこと等)の1つ以上を適用してもよい。

0080

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害剤である。この阻害剤を用いれば、PAD4のシトルリン化を効率的に阻害することができる。上記阻害剤によるシトルリン化活性の低下率は、20、30、40、60、80%以上であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。この低下率は、例えば、PBSを用いたときの低下率を0%としたときの相対割合で表してもよい。本発明の一実施形態において「剤」は、例えば、研究又は治療に用いられる組成物を含む。上記阻害剤は、例えば、RA又は関節炎の治療剤を含む。上記阻害剤は、例えば、in vitro又はin vovoで用いることができる。上記阻害剤は、上記の本発明の実施形態に係る組成物を含んでいてもよい。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、PAD4とを接触させる工程を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害方法である。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を患者に投与する工程を含む、PAD4のシトルリン化活性阻害方法である。上記阻害方法は、研究又は治療のために行われる阻害方法を含む。本発明の一実施形態は、PAD4のシトルリン化活性阻害剤を生産するための、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体の使用である。

0081

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、医薬組成物である。この医薬組成物を用いれば、RA又は関節炎を治療することができる。上記医薬組成物は、薬理学的に許容される1つ以上の担体を含んでいてもよい。上記医薬組成物は、例えば、RA又は関節炎の治療用医薬組成物を含む。上記医薬組成物は、上記の本発明の実施形態に係る組成物を含んでいてもよい。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体(又は抗PAD4抗体を含む医薬組成物)を患者に投与する工程を含む、疾患の治療方法である。上記疾患は、例えば、RA又は関節炎を含む。本発明の一実施形態は、医薬組成物を生産するための、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体の使用である。

0082

RA発症患者数は全世界で7000万人にも上ると報告されている。現在いくつかの治療薬が市販されているが、既存薬の効かない患者が一定割合存在しており、患者の60〜80%は満足のいく治療を受けられていないともいわれている。また、既存薬には、副作用の問題も指摘されている。上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を用いれば、新規のメカニズムでRAを治療することができる。

0083

本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、RA又は関節炎の診断薬である。この診断薬を用いれば、効率的にRA又は関節炎を診断できる。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、患者サンプルを接触させる工程を含む、RA又は関節炎の診断方法である。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、PAD4の検出試薬である。この試薬を用いれば、効率的にPADを検出できる。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、試験サンプルを接触させる工程を含む、PAD4の検出方法である。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、キットである。このキットを用いれば、例えば、疾患の治療、診断、又はPAD4の検出ができる。このキットは、例えば、上記の本発明の実施形態に係る組成物、阻害剤、医薬組成物、診断薬、又は検出試薬を含んでいてもよく、取扱説明書、緩衝液、容器(例えば、バイアル、又はシリンジ)、又は包装を含んでいてもよい。

0084

本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、医薬組成物である。この医薬組成物を用いれば、RA又は関節炎の治療ができる。この抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤は、組み合わせて用いることにより、RA又は関節炎に対して相乗的な治療効果を発揮し得る。そのため、RA又は関節炎の治療を併用療法で行う際に選択する2剤として、特に優れた2剤の組合わせといえる。また、相乗的な治療効果のため、投与量を低減させることができ、特に安全性に優れた治療を実現できる。

0085

抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を併用で用いる場合、抗PAD4抗体の種類は特に限定されないが、例えば、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する、抗PAD4抗体であってもよく、上記(a)〜(f)に記載の抗体であってもよく、ニワトリ由来の重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3を有する抗体であってもよい。また、抗PAD4抗体は、上述の本発明の一実施形態の抗体であってもよい。その他、市販、又は文献記載の抗PAD4抗体を用いてもよい。使用する抗PAD4抗体は、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤の併用時のRA又は関節炎の治療における相乗効果を高める観点、及び安全性の観点からは、ヒト化抗PAD4抗体が好ましい。

0086

抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を併用で用いる場合、TNFα阻害剤の種類は特に限定されないが、例えば、抗TNFα抗体、TNFレセプター融合蛋白質、TNFαのドミナントネガティブ変異体、TNFαに対するRNAi分子miRNA分子、もしくはアンチセンス核酸、又はTNFαに対するRNAi分子、miRNA分子、もしくはアンチセンス核酸をコードするポリヌクレオチドであってもよい。抗TNFα抗体は、例えば、インフリキシマブアダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、オゾラリズマブ、又はABT0122 (anti-IL-17/ anti-TNFα bispecific antibody)であってもよい。TNFレセプター融合蛋白質は、例えば、エタネルセプトであってもよい。RNAi分子の形態は、siRNA又はshRNAであってもよく、製造は受託会社(例えば、タカラバイオ(株)等)に委託できる。使用するTNFα阻害剤は、これらのバイオ製剤のいずれを使用してもよい。使用するTNFα阻害剤は、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤の併用時のRA又は関節炎の治療における相乗効果を高める観点からは、抗TNFα抗体、又はTNFレセプター融合蛋白質が好ましく、特にTNFレセプター融合蛋白質が好ましい。

0087

本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、抗PAD4抗体を含有する医薬組成物である。この医薬組成物を用いれば、RA又は関節炎の治療ができる。なお、併用で用いる際に用いることは、上記医薬組成物に添付の添付文書に記載されていてもよい。

0088

本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いる際に用いる、TNFα阻害剤を含有する医薬組成物である。この医薬組成物を用いれば、RA又は関節炎の治療ができる。なお、併用で用いる際に用いることは、上記医薬組成物に添付の添付文書に記載されていてもよい。

0089

本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体を含有する医薬組成物と、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いることが記載された添付文書又はパッケージ等とを含む、製品である。また本発明の一実施形態は、TNFα阻害剤を含有する医薬組成物と、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で用いることが記載された添付文書又はパッケージ等とを含む、製品である。これらの製品を用いれば、RA又は関節炎の治療ができる。

0090

本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を含む、治療用キットである。このキットを用いれば、RA又は関節炎の治療ができる。このキットは、例えば、緩衝液、有効成分情報を記載した添付文書、有効成分を収容するための容器、又はパッケージ等をさらに含んでいてもよい。

0091

本発明の一実施形態において「併用で用いられる」は、抗PAD4抗体と、TNFα阻害剤とが同時に又は別々に投与されてもよい。また「併用で用いられる」は、抗PAD4抗体と、TNFα阻害剤とが合剤として投与される形態を含む。また、「併用で用いられる」は、併用療法において用いられることを含む。また、投与の順番は、抗PAD4抗体を先に投与してもよく、TNFα阻害剤を先に投与してもよい。また本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体と、TNFα阻害剤とを含む、合剤である。また本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤とが併用で用いられるための医薬組成物の製造のための、抗PAD4抗体の使用である。また本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤とが併用で用いられるための医薬組成物の製造のための、TNFα阻害剤の使用である。

0092

本発明の一実施形態は、対象者に抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を投与する工程を含む、治療方法である。この治療方法によれば、RA又は関節炎の治療ができる。この抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤は、組み合わせて用いることにより、RA又は関節炎に対して相乗的な治療効果を発揮し得る。そのため、RA又は関節炎の治療を併用療法で行う際に選択する2剤として、特に優れた2剤の組合わせといえる。また本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤、又は抗PAD4抗体もしくはTNFα阻害剤を対象者に投与する工程を含む、治療方法である。また本発明の一実施形態は、医薬組成物の製造のための、抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤、又は抗PAD4抗体もしくはTNFα阻害剤の使用である。対象者は、抗PAD4抗体又はTNFα阻害剤を投与後の患者であってもよい。

0093

本発明の一実施形態において「治療」は、患者の疾患、もしくは疾患に伴う1つ以上の症状の、症状改善効果、抑制効果、又は予防効果を発揮しうることを含む。本発明の一実施形態において「治療薬」は、有効成分と、薬理学的に許容される1つ以上の担体とを含む医薬組成物であってもよい。本発明の一実施形態において「医薬組成物」は、例えば有効成分と上記担体とを混合し、製剤学の技術分野において知られる任意の方法により製造してもよい。また医薬組成物は、治療のために用いられる物であれば使用形態は限定されず、有効成分単独であってもよいし、有効成分と任意の成分との混合物であってもよい。また上記担体の形状は特に限定されず、例えば、固体又は液体(例えば、緩衝液)であってもよい。上記担体の含有量は、例えば、製剤学上有効量であってもよい。この有効量は、例えば、有効成分の製剤学的な安定性又は送達のために十分量であってもよい。例えば、緩衝液は、バイアル中における有効成分の安定化に有効である。

0094

医薬組成物の投与経路は、治療に際して効果的なものを使用するのが好ましく、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、又は経口投与等であってもよい。投与形態としては、例えば、注射剤カプセル剤錠剤顆粒剤等であってもよい。抗体を投与する場合には、注射剤として用いることが効果的である。注射用水溶液は、例えば、バイアル、又はステンレス容器で保存してもよい。また注射用の水溶液は、例えば生理食塩水、糖(例えばトレハロース)、NaCl、又はNaOH等を配合してもよい。また医薬組成物は、例えば、有効量の緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝液)、pH調整剤、安定剤等を配合してもよい。

0095

投与量は特に限定されないが、例えば、1回あたり0.01〜200mg/kg体重であってもよい。投与間隔は特に限定されないが、例えば、1〜28日あたりに1又は2回投与してもよい。投与量、投与間隔、投与方法は、患者の年齢や体重、症状、対象臓器等により、適宜選択してもよい。また医薬組成物は、治療有効量、又は所望の作用を発揮する有効量の有効成分を含むことが好ましい。抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤を併用で用いる場合、各薬剤の投与量は、単剤投与時の治療有効量よりも低用量であってもよい。

0096

医薬組成物の治療効果は、例えば、関節炎スコア、RAスコア、腫脹幅、画像診断、modified Total Sharpスコア、又は疾患マーカーにより評価してもよい。腫脹幅で評価する場合、例えば、医薬組成物投与時の患部の腫脹幅が、非投与時の腫脹幅に比べて有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。又は、医薬組成物投与時の患部の腫脹幅が、ネガティブコントロール物質投与時の患部の腫脹幅に比べて、有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。上記減少の量は、例えば、40、50、60、70、80、90、又は100%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。

0097

本発明の一実施形態において「患者」は、ヒト、又はヒトを除く哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ネズミ、ウサギ、ブタヒツジヤギ、ウシ、ウマネコイヌマーモセット、サル、又はチンパンジー等の1種以上)を含む。また患者は、RA又は関節炎を発症していると診断された患者であってもよい。また患者は、シトルリン化の抑制によって治療可能な疾患を発症していると診断された患者であってもよい。

0098

本発明の一実施形態は、組成物中の、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体の割合を増加させる工程を含む、組成物の治療効果又はシトルリン化活性阻害能を促進させる方法である。本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体を含有する組成物であって、組成物中の抗PAD4抗体分子の90%以上が、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体である、組成物である。本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体を含有する抗体集団であって、抗体集団中の抗PAD4抗体分子の90%以上が、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体である、抗体集団である。上記90%以上は、例えば、90、95、96、97、98、99%以上、又は100%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。

0099

本発明の一実施形態において「結合」は、共有結合又は非共有結合のいずれであってもよく、例えば、イオン結合水素結合疎水性相互作用、又は親水性相互作用であってもよい。

0100

本発明の一実施形態において「有意に」は、例えば、統計学有意差スチューデントt検定(片側又は両側)を使用して評価し、p<0.05又はp<0.01である状態であってもよい。又は、実質的に差異が生じている状態であってもよい。

0101

本明細書において引用しているあらゆる刊行物、公報類(特許、又は特許出願)は、その全体を参照により援用する。

0102

本明細書において「又は」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。本明細書において「A〜B」は、A以上B以下を意味するものとする。

0103

以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記実施形態に記載の構成を組み合わせて採用することもできる。

0104

以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0105

<実施例1>抗PAD4抗体の作製
KLH修飾されたTA0096(配列番号1)を、3ヵ月齢のボリスブラウン3羽に対して、1羽当たり333 μgずつ腹腔に免疫した。TA0096はPAD4(配列番号2)の340〜356位に対応するペプチド抗原である。1次免疫には完全フロイントアジュバンド(Wako、014-09541)、2次及び3次免疫には不完全フロイントアジュバンド(Wako、011-09551)を用いて抗原を免疫した。四次免疫はPBS(phosphate buffered saline)に希釈した抗原を静脈注射した。隔週で下静脈より採血を行い、ELISAによって抗体価の確認を行った。3羽に対して3次免疫まで実施し、最も抗体価の上昇が見られた個体1羽に対して、4次免疫を実施し、4次免疫を最終免疫とした。最終免疫から3日後、ニワトリの脾臓を回収し、Ficoll paquePLUS(GE Healthcare、17-1440-03)を用いた密度勾配遠心によりリンパ球を単離し、TRIzole Reagent(Life Technologies、15596026)を用いてRNAを抽出した。抽出したRNAからPrimeScript II 1st StrandcDNASynthesis Kit(TAKARA、6210A)を用いたRT-PCRによりcDNAの合成を行い、scFvファージライブラリーを作製した。発現ベクターはpPDSのマウスκ鎖の代わりにニワトリλ鎖を挿入したタイプの発現ベクターを使用した。scFvファージライブラリーの作製は、参考文献:"Nakamura et al., J Vet Med Sci. 2004 Ju;66 (7): 807-814"に記載の方法に従って行った。

0106

scFvファージ抗体ライブラリーを用いて、BSA修飾されたペプチド抗原を固相化したプレートによるパニングを行った。パニングは参考文献"Nakamura et al., J Vet Med Sci. 2004 Ju;66 (7): 807-814"に記載の方法に従って行った。5回パニングを行った後、ライブラリーの反応性を、BSA修飾ペプチド抗原を固相化したプレートを用いたELISAによって確認し、反応性が上昇し始めたライブラリーからファージのスクリーニングを行った。スクリーニングでは、ファージを大腸菌に感染させ、アンピシリン50 μg/ml(nacalai、02739-32)を含む2×YT Agar plateにプレーティングし、得られたコロニーをアンピシリン含有2×YT液体培地中で培養した。ヘルパーファージを感染させた後、アンピシリン50 μg/ml、カナマイシン25 μg/ml(明治製菓株式会社、GS1-RSS)、IPTG100 μg/ml(nacalai、19742-94)含有2×YT液体培地中でファージの誘導を行った。得られた培養上清中のscFvファージ抗体の反応性を、抗原固相化プレートを用いたELISAによって確認した。得られた陽性クローンDNAシークエンサー(Applied Biosystems、ABIPRISM3100-Genetic Analyzer)を用いてシークエンスを行い、配列を決定した。

0107

配列の異なるクローンについて、scFv抗体をコードするDNA鎖鋳型にして、ニワトリ由来抗体遺伝子H鎖可変領域及びL鎖可変領域の増幅をPCRで行った後、PCR産物をSacII(BioLabs社, Cat#R0157S)及びNheI(BioLabs社, Cat#R0131S)制限酵素処理した。次に、H鎖可変領域及びL鎖可変領域のそれぞれについて、同じように制限酵素処理したマウスキメラ抗体(IgG1)発現ベクター(H鎖用発現ベクター:pcDNA4/myc-His、L鎖用発現ベクター:pcDNA3/myc-His、Invitrogen)に組換えた。作製したH鎖及びL鎖のコンストラクトをCHO細胞にトランスフェクトした後、培養上清をBSA修飾ペプチド抗原、及び完全長組換えヒトPAD4タンパク質を固相したELISAで反応性の確認を行った。使用したマウスキメラ発現ベクターはTateishi et al., J Vet Med Sci. 2008 Apr;70(4): 397-400に記載されているベクターを使用した。以上により得られた抗体クローンのうち、A11、E9、G6、G8、G9、及びH7を以下の実験で使用した。A11、E9、G6、G8、G9、及びH7の重鎖可変領域のアミノ酸配列は順に配列番号3〜8、DNA配列は順に配列番号9〜14、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は順に配列番号15〜20、DNA配列は順に配列番号21〜26である。以下ではこれらの抗体を纏めて「A11等」と称することもある。

0108

A11等の抗体クローンを大量に製造するため、作製したH鎖およびL鎖の発現ベクターをほ乳類培養細胞にExpi293Expression system(Invitrogen、A14635)を利用しトランスフェクトした後、発現した抗体の精製をProteinG Sepharose 4 Fast Flow(GE healthcare、17-018-02)を用いて行った。得られた精製抗体のPAD4に対する反応性については、実施例2で示す。

0109

<実施例2>抗PAD4抗体の反応性評価
(1)ELISA
以下の条件でELISAを行い、A11等のヒト又はマウスPAD4に対する反応性を評価した。
(1-1)材料
・抗原:完全長組換えヒト又はマウスPAD4
・抗体:抗ジニトロフェニルDNP)抗体(ネガティブコントロール)、L207(WO/2012/026309の実施例に記載の抗PAD4抗体L207-11)、A11、E9、G6、G8、G9、H7

0110

(1-2)実験条件

0111

ELISAの結果を表2、3、図1〜3に示す。この結果からわかるように、A11等はいずれもL207に比べて高い親和性を示した。

0112

0113

0114

(2)親和性測定
Biacore(GE Healthcare、Biacore T200)を行い、A11等のヒトPAD4に対する親和性を評価した。親和性の測定には、Mouse Antibody Capture Kit(GE Healthcare、BR-1008-38)を用いた。具体的には、メーカー提供の標準プロトコルに従い、NHS/EDCを使用し、CM5チップ表面のフリーカルボキシル基を利用したアミンカップリング法によって、ウサギ抗マウスポリクローナル抗体をCM5チップ表面に固定化した。次に、A11等をウサギ抗マウスポリクローナル抗体にキャプチャーした。L207も同様にキャプチャーした。Biacore T200に種々の濃度のヒトPAD4を供し、カイネティクスセンサーグラムを作成した。

0115

親和性測定の結果を表4、図4に示す。この結果からわかるように、A11等はいずれもL207に比べて高い親和性を示した。特に、KD(M)を評価すると、A11等はいずれも9.0×10-9以下の高い親和性を示していた。

0116

0117

<実施例3>エピトープの評価
A11等のエピトープをアラニンスキャンにより同定した。具体的には以下(i)〜(iii)の手順で行った。(i)抗原配列(配列番号1)のアミノ酸残基を1アミノ酸ずつアラニンへ置換することで、17個のAla変異体(配列番号27〜43)を合成した。(ii)各Ala変異体と被検抗体の反応性を評価(ELISA)した。(iii)被検抗体が有意な反応性を示さなかったAla変異体の、Ala置換前のアミノ酸残基をエピトープと評価した。

0118

ELISAの実験条件を表5に示す。表中の96 pAbは、TA0096(配列番号1)をニワトリに免疫して得た抗血清である。96 pAbは抗PAD4ポリクローナル抗体であるため、PAD4のどの1アミノ酸を置換しても、実質的に親和性が保持される。被検抗体とAla変異体との親和性が、96 pAbと同Ala変異体との親和性の50%以下のときに、被検抗体が有意な反応性を示さなかったと評価した。

0119

0120

ELISAの結果を表6に、アラニンスキャンの結果を図5に示す。この結果からわかるように、A11等はPAD4の345、347、及び348位に対応する位置に変位を有するAla変異体に有意な反応性を示さなかった。このことから、A11等はPAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合することが明らかになった。

0121

一方で、L207はPAD4の350、354、及び355位に対応する位置に変位を有するAla変異体に有意な反応性を示さなかった。即ち、L207とA11等とは、認識するエピトープが異なることが明らかになった。

0122

なお、追加実験として、3アミノ酸置換した6個のAla変異体(配列番号44〜49)でも同様の実験を行なった。その結果、A11等の全てが、PAD4の345、347、及び348位に対応する位置に変位を有するAla変異体に有意な結合性を示さなかった。

0123

0124

<実施例4>シトルリン化活性阻害能の評価
以下の条件でA11等がPAD4のシトルリン化活性を阻害する能力を測定した。
(1)材料
組換蛋白質:完全長組換えヒト又はマウスPAD4
基質:BAEE(Nα-ベンゾニル-L-アルギニンエチルエステルヒドロクロリド
・抗体:マウスIgG(ネガティブコントロール)、抗DNP抗体(ネガティブコントロール)、L207、A11、E9、G6、G8、G9、H7

0125

(2)実験条件
作製した抗PAD4抗体(L207、A11、E9、G6、G8、G9、H7)、マウスIgG(ネガティブコントロール)、及び抗DNP抗体(ネガティブコントロール)それぞれについて40nMの抗体溶液を調製し、5μL の3.75 ng/μL(50nM)ヒト又はマウスPAD4と全量が44μLになるように1 mMEDTA、1 mM DTTを含む20 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.6)とを混合した。一晩静置後、攪拌しながら5μLの100 mM BAEE(ベンゾイルアルギニンエチルエステル)を加え、さらに1μLの0.5 M CaCl2を加えてよく攪拌した(全量50μL、BAEEの終濃度は10 mM、カルシウムイオンの終濃度は10 mM)。この溶液を37℃(湯浴)で3時間静置させ、5Mの過塩素酸を12.5μLを加えて反応を停止させた。この溶液を5分間氷冷下で静置し、4℃で5分間遠心(15,000 rpm)後、上清に含まれるシトルリン化されたBAEEを比色定量した。

0126

シトルリン化活性阻害能の評価結果を表7、図6に示す。図6の各値は、PBSの値を100としたときの、各抗体のシトルリン化活性を示している。A11等はいずれもL207に比べて高いシトルリン化活性阻害能を示した。

0127

0128

また、上記と同様の実験条件で、抗体濃度を変えて行なった結果を図7に示す。図7の各値は、抗DNP抗体使用時の値を100としたときの、G8又はH7使用時のシトルリン化活性を示している。G8及びH7は、濃度依存的にシトルリン化活性阻害能を示した。

0129

<実施例5>薬効評価
(1)及び関節の評価
コラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)モデルマウスを用いて、G8の薬効評価を行った。CAIAモデルマウスは、関節リウマチ(RA)及び関節炎のモデルマウスである。CAIAモデルマウスの作製方法は、マウス関節炎惹起抗体カクテル(Chondrex Inc., 53040)のプロトコルに従った。実験条件の概要を図8に示す。0日目に、8週齢の雌Balb/cマウス(5-7マウス/群)の尾静脈に、抗コラーゲン抗体混合液(1.5mg)を投与した。3日目に、マウスに37.5μgLPS(炎症を誘発する物質)を腹膜内投与した。0、2、4、6、8日目に、試験物質としてG8、抗DNP抗体、又はPBSを腹腔内投与(1mg/マウス)した。1-10日に、甲(足蹠)及び関節(アンクル)の腫脹幅を評価した。腫脹幅の数値は、左右両肢の平均値で示した。0-10日に、表8に従って後肢の関節炎スコアを付けた(最大値は8/マウス)。

0130

0131

腫脹幅の評価結果を表9及び10、図9に示す。関節炎スコアの評価結果を表11、図10に示す。これらの結果からわかるように、G8は高いRA治療効果を有していた。なお、本発明者らは別実験において、L207に有意なRA治療効果が見られないことを確認している。

0132

0133

0134

0135

(2)抗CCP抗体価の評価
上記(1)と同様の実験条件において、0、2、5、8、10日目に血液を採取し、血清中の抗CCP抗体価を測定した。このとき、試験物質はG8又は抗DNP抗体を使用した。

0136

抗CCP抗体価を測定した結果を表12、図11に示す。この結果からわかるように、G8は抗CCP抗体価の上昇を抑えた。即ち、G8はPAD4のシトルリン化活性を阻害した。

0137

0138

(3)組織学的解析
上記(1)と同様の実験条件において、10日目に切除した後肢を4%ホルムアルデヒドで固定した後、脱水パラフィン包埋した。ヘマトキシリンエオジン染色によって、関節の炎症を調べた。このとき、試験物質はG8、抗DNP抗体、又はPBSを使用した。

0139

組織学的解析の結果を図12に示す。図12の左図は、指関節付近写真である。PBSと抗DNP抗体投与群では、関節付近に好中球マクロファージ等、炎症性細胞浸潤し、滑膜が損傷を受けている。一方、G8では炎症性細胞が浸潤してきていない。右図は、上段四角拡大像で、軟骨層の表面を示す。矢頭で示すようにPBSと抗DNP抗体投与群では表面が損傷をうけ、くぼんでいる。一方、G8投与群では滑らかな軟骨層を維持している。以上のことからも、G8がRA治療効果を有していることが示された。

0140

<実施例6>薬効評価
コラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)モデルマウスを用いて、G8、H7の薬効評価を行った。CAIAモデルマウスは、関節リウマチ(RA)及び関節炎のモデルマウスである。CAIAモデルマウスの作製方法は、マウス関節炎惹起用抗体カクテル(Chondrex Inc., 53040)のプロトコルに従った。実験条件の概要を図13に示す。0日目に、8週齢の雌Balb/cマウス(5-7マウス/群)の尾静脈に、抗コラーゲン抗体混合液(1.5mg)を投与した。3日目に、マウスに37.5μgLPS(炎症を誘発する物質)を腹膜内投与した。0、2、4、6、8日目に、試験物質としてG8、H7、又は抗DNP抗体を腹腔内投与(1mg/マウス)した。1-10日に、甲(足蹠)及び関節(アンクル)の腫脹幅を評価した。腫脹幅の数値は、左右両肢の平均値で示した。0-10日に、関節炎スコアを以下の(i)〜(iii)に従い評価した。(i)評価部位を左右後肢の各指、甲、関節とした。(ii)関節炎スコアは表13に従って付けた。(iii)関節炎スコアは左右後肢指、甲、関節の合計値の平均で示した(最大値は28/マウス)。

0141

0142

腫脹幅の評価結果を表14及び15、図14に示す。関節炎スコアの評価結果を表16、図15に示す。これらの結果からわかるように、G8及びH7は高いRA治療効果を有していた。

0143

0144

0145

0146

<実施例7>ヒト化抗PAD4抗体の評価
(1)ヒト化抗PAD4抗体(IgG1κ)の作製
抗体のヒト化はNishibori et al., Mol Immunol. 2006 Feb;43(6):634-42を参考に実施した。G8及びH7由来のヒト化抗PAD4抗体を作成する際、各H鎖は上記文献中の4.00、4.15、又は4.32のH鎖のテンプレートを使用した。G8のL鎖は4.00、4.06、4.17、又は4.29のテンプレートを使用した。H7のL鎖は4.00、4.06、4.15、4.17、又は4.29のテンプレートを使用した。各抗体のH鎖、L鎖のCDR1, 2, 3の配列について、各CDRが各テンプレートの対応する箇所に組み込まれるようなヒト化抗体の可変領域を設計した。設計した可変領域はinvitrogen社で委托合成を行った。ここで設計したG8由来、H7由来の可変領域をコードする塩基配列は、それぞれ配列番号135〜146である。合成した可変領域はH鎖可変領域増幅用プライマー(1)(2)、L鎖可変領域増幅用プライマー(3)(4)を用いたPCRにより増幅を行った。

0147

H鎖プライマーfor(1) 5'-ATATAGGCGCGCCGAGGTGCAGCTGTTGGAG-3' (配列番号147)
rev(2) 5'-TATATGGATCCTCACCTGAGGAGACGGTGA-3' (配列番号148)
L鎖プライマーfor(3) 5'-ATATAGGCGCGCCAGCTATGAGCTGACTCAGCCA-3' (配列番号149)
rev(4) 5'-TATATGGATCCACTCACCCAGGACGGTCAG-3' (配列番号150)

0148

PCR増幅産物と、ヒトIgG1定常領域がコンストラクトされた発現ベクターは、AscIとBamHI(R0558S、R0136S)で消化した後、組換えた。H鎖、L鎖の定常領域が組み込まれた発現ベクターは日本特開2005-245337に記載されるものである。完成したコンストラクトは配列を確認し、目的の配列であることを確認した。コンストラクトにおいて、H鎖はIgG1型へ組換えられ、L鎖はκ(Kappa)型へ組換えられている。さらに、A11及びG9についても同様の方法でコンストラクトを作製した。このとき設計した、A11由来、G9由来の可変領域をコードする塩基配列は、それぞれ配列番号151(A11-H4.00)及び152(G9-L4.29)である。最終的にIgG1κ型の抗体は、H鎖はH4.00、L鎖はL4.29にフレーム統一した。なお、A11及びG9においてL鎖配列は共通しており、G8、G9及びH7においてH鎖配列は共通している。

0149

ヒト化抗体H鎖(IgG1)とL鎖(κ)の定常領域のアミノ酸配列を図16に示す。ヒト化G8の可変領域配列を図17に示す。ヒト化H7の可変領域配列(H鎖はG8と共通配列)のアミノ酸配列を図18に示す。G8、H7、A11、及びG9由来のヒト化抗体の全長アミノ酸配列を図19及び20に示す。G8、H7、A11、及びG9由来のヒト化抗体の重鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号172、176、170、174のアミノ酸配列である。また、軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号173、177、171、175のアミノ酸配列である。

0150

以上の実験で得た各ヒト化抗PAD4抗体発現ベクターを用いて、精製抗体の調製を行った。手法としては、H鎖およびL鎖の発現ベクターを、ほ乳類培養細胞にExpi293 Expression system(Thermo Fisher Scientific、A14635)を利用しトランスフェクトした後、発現した抗体の精製をrProtein A Sepharose Fast Flow(GE healthcare、17-127-902)を用いて行った。得られた精製抗体を用いて、ヒトPAD4を抗原としたELISAを行うことで反応性の確認を行った。

0151

(2)ヒトPAD4に対するヒト化抗PAD4抗体の反応性
G8及びH7由来のヒト化抗PAD4抗体について、ELISAを行うことで反応性の確認を行った。このとき、3タイプのH鎖と、4タイプのL鎖を使用した(表17)。抗体のクラスはIgG1κである。実験条件を表18に示す。実験結果を図21〜23に示す。いずれのヒト化抗PAD4抗体もヒトPAD4に対する高い親和性を有していた。

0152

0153

0154

(3)ヒトPAD4に対するヒト化抗PAD4抗体の反応性
G8、H7、A11、及びG9由来のヒト化抗PAD4抗体について、ELISAを行うことで反応性の確認を行った。このとき、可変領域のフレームの組合せは、H鎖がH4.00、L鎖がL4.293で行った。抗体のクラスはIgG1κである。実験条件を表19に示す。実験結果を図24に示す。いずれのヒト化抗PAD4抗体もヒトPAD4に対する高い親和性を有していた。

0155

0156

(4)ヒト化抗PAD4抗体(IgG4λ)の作製及び反応性評価
上記「(1)ヒト化抗PAD4抗体(IgG1κ)の作製」と同様の方法で、H7由来のヒト化抗PAD4抗体(IgG4λ)を作成した。但しこのとき、図25に示すDNA鎖を合成し、ベクターを構築した。H鎖可変領域、定常領域、軽鎖可変領域、定常領域のアミノ酸配列を図26に示す。

0157

次に、H7由来のヒト化抗PAD4抗体(IgG4λ)について、ELISAを行うことで反応性の確認を行った。このとき、可変領域のフレームの組合せは、H鎖がH4.00、L鎖がL4.29で行った。抗体のクラスはIgG4λである。実験条件を表20に示す。実験結果を図27に示す。H7由来のヒト化抗PAD4抗体(IgG4λ)は、ヒトPAD4に対する高い親和性を有していた。

0158

0159

(5)親和性測定
G8及びH7由来のヒト化抗PAD4抗体について、Biacore(GE Healthcare、Biacore T200)によって親和性を評価した。このとき、フレームワークは全てH鎖がH4.00、L鎖がL4.29で行った。使用した抗体のクラスはIgG1κである。抗原は完全長組換えヒトPAD4を使用した。親和性の測定には、Human Antibody Capture Kit(GE Healthcare、BR-1008-39)を用いた。具体的には、メーカー提供の標準プロトコルに従い、NHS/EDCを使用し、CM5チップ表面のフリーカルボキシル基を利用したアミンカップリング法によって、ウサギ抗ヒトポリクローナル抗体をCM5チップ表面に固定化した。次に、ヒト化抗PAD4抗体をウサギ抗ヒトポリクローナル抗体にキャプチャーした。Biacore T200に種々の濃度のヒトPAD4を供し、カイネティクスセンサーグラムを作成した。

0160

親和性測定の結果を表21に示す。この結果からわかるように、G8及びH7由来のヒト化抗PAD4抗体はいずれも高い親和性を示した。特に、KD(M)を評価すると、いずれも9.0×10-9以下の高い親和性を示していた。

0161

0162

(6)シトルリン化活性阻害能の評価
以下の条件でA11等由来のヒト化抗PAD4抗体がPAD4のシトルリン化活性を阻害する能力を測定した。
(6-1)材料
・組換蛋白質:完全長組換えヒトPAD4
・基質:BAEE(Nα-ベンゾニル-L-アルギニンエチルエステルヒドロクロリド)
・抗体:ヒト化抗DNP抗体(ネガティブコントロール)、A11、G8、G9、H7由来ヒト化抗PAD4抗体クローン(抗体のフレームワークは全てH4.00-L4.29、抗体のクラスはIgG1κ)

0163

(6-2)実験条件
作製したヒト化抗PAD4抗体(A11, G8, G9, H7由来)、及び抗DNP抗体(ネガティブコントロール)それぞれについて120、60、30、15、7.5nMの抗体溶液を調製し、5μLの3.75 ng/μL(50nM)ヒトPAD4と全量が44μLになるように1 mMEDTA、1 mM DTTを含む20 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.6)とを混合した。37℃で30分静置後、攪拌しながら5μLの100 mM BAEE(ベンゾイルアルギニンエチルエステル)を加え、さらに1μLの0.5 M CaCl2を加えてよく攪拌した(全量50μL、BAEEの終濃度は10 mM、カルシウムイオンの終濃度は10 mM)。この溶液を37℃(湯浴)で3時間静置させ、5Mの過塩素酸を12.5μLを加えて反応を停止させた。この溶液を5分間氷冷下で静置し、4℃で5分間遠心(15,000 rpm)後、上清に含まれるシトルリン化されたBAEEを比色定量した。

0164

(6-3)実験結果
図28に、抗DNP抗体0 nMでのシトルリン生産量(4.9 nmol/反応液16 μL)を100%とした相対活性を示す。各ヒト化抗PAD4抗体は、濃度依存的にシトルリン化活性阻害能を示した。

0165

<実施例8>ヒト化抗PAD4抗体及びTNFα阻害剤の併用投与試験
(1)材料
D1CCマウス(ヒト関節リウマチの病態再現するトランスジェニック非ヒト哺乳動物国際公開番号WO2005/085438)による関節炎抑制効果の検証実験を、H7由来のヒト化抗PAD4抗体クローン(IgG1κ)と、TNFα阻害剤であるエタネルセプトを用いて行った。

0166

(2)条件
各マウスに初回免疫としてウシII型コラーゲン(10ng)を含むフロイント完全アジュバントを投与し、2次免疫として同じくウシII型コラーゲン(10ng)を含むフロイント不完全アジュバントを投与した。2次免疫投与後上記被験物質を週2回、8週間にわたり腹腔内に投与した。投与後関節部の腫脹を外見的に観察し、スコア化した。

0167

(3)試験群
・αDNPAb: 500μg/mouse (25 mg/kg)
・αPAD4 Ab.100μg: 100μg (5 mg/kg)
・αPAD4 Ab.500μg: 500μg (25 mg/kg)
・ETN.100μg: 100μg (5 mg/kg)
・ETN.500μg: 500μg (25 mg/kg)
・Combination: αPAD4 Ab.100μg + ETN.100μg

0168

(4)結果
ヒト化抗PAD4抗体とTNFα阻害剤の併用投与により、各単剤投与時に比べて有意に高い治療結果が見られた(p<0.05)。またこのとき、併用投与により、各単剤投与時に比べて相乗的な治療効果が見られた。このことから、ヒト化抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用で使用した場合、投与量を低く設定することができ、安全性及び有効性に優れた治療を実現できることがわかった。また、抗体投与による明らかな副作用は観察されなかった。

0169

<考察>
以上の実施例により、PAD4の345、347、及び348位を含むエピトープに特異的に結合する抗PAD4抗体が、RAに対して高い治療効果を有していることが明らかとなった。また、この抗体は、従来公知の抗体L207に比べて、PAD4への親和性、及びシトルリン化活性阻害能に優れていた。

0170

さらに、抗PAD4抗体とTNFα阻害剤を併用投与すると、RAに対して相乗的な治療効果を発揮することが明らかとなった。

0171

以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

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