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技術 白金触媒の製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社公立大学法人大阪
発明者 中村直樹安藤雅樹吉田利彦井上博史
出願日 2017年5月23日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2017-102020
公開日 2018年12月13日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2018-196854
状態 未査定
技術分野 無消耗性電極 触媒
主要キーワード LSV測定 白金元素 メソポーラスカーボン カーボン担持白金触媒 走査透過電子顕微鏡 気相成長法炭素繊維 ヘキサクロロ白金 形状因子
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

本発明は、粒径制御された白金微粒子を含む白金触媒の製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

白金触媒を製造する本発明の方法は、白金前駆体及びグルタチオンを含む溶液にNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製すること、この混合溶液にカーボン担体を添加して、当該カーボン担体に白金微粒子を担持することを含む。

概要

背景

燃料電池排ガス浄化用触媒の例として、一般的に、金属、特に、貴金属を用いた金属触媒を挙げることができる。貴金属は、地球上に希少量で存在し、かつ高価である。このため、触媒で使用される貴金属の量を低減しつつ、触媒活性を向上させることが求められている。金属触媒の例としては、例えば、カーボンブラック無機化合物等からなるカーボン担体粒子の表面に、金属の微粒子担持させたものを挙げることができる。

白金触媒触媒作用は、主に、その金属の表面において生じることから、典型的には、白金粒子比表面積単位質量あたりの表面積)を高めることが望ましい。しかし、白金粒子の粒径が1nmに近づくと急激に白金電子状態が変化して活性が低下することが知られている。また、従来技術において担体に白金粒子を分散担持させると、微小な白金粒子は凝集して粒径が大きく増大してしまい、触媒の活性及び利用率が低下するという問題があった。

したがって、所望の粒径と粒度分布を有する白金触媒を製造する方法が求められている。

特許文献1によれば、燃料電池用金属触媒の製法として、電離放射線照射したカーボンブラックを、白金イオンを含む反応系中に分散させた状態で、還元剤還元して微粒子状の白金をカーボンブラックに担持させる方法が開示され、その還元剤としてグルタチオンが例示されている。

概要

本発明は、粒径制御された白金微粒子を含む白金触媒の製造方法を提供することを目的とする。白金触媒を製造する本発明の方法は、白金前駆体及びグルタチオンを含む溶液にNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製すること、この混合溶液にカーボン担体を添加して、当該カーボン担体に白金微粒子を担持することを含む。

目的

本発明は、所望の粒径と粒度分布を有する白金触媒の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

白金前駆体と、保護剤としてグルタチオンを含む溶液に、還元剤としてNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製すること、前記混合溶液にカーボン担体を添加して、前記カーボン担体に白金微粒子担持すること、を含む、白金触媒の製造方法。

技術分野

0001

本発明は白金触媒の製造方法に関する。

背景技術

0002

燃料電池排ガス浄化用触媒の例として、一般的に、金属、特に、貴金属を用いた金属触媒を挙げることができる。貴金属は、地球上に希少量で存在し、かつ高価である。このため、触媒で使用される貴金属の量を低減しつつ、触媒活性を向上させることが求められている。金属触媒の例としては、例えば、カーボンブラック無機化合物等からなるカーボン担体粒子の表面に、金属の微粒子担持させたものを挙げることができる。

0003

白金触媒の触媒作用は、主に、その金属の表面において生じることから、典型的には、白金粒子比表面積単位質量あたりの表面積)を高めることが望ましい。しかし、白金粒子の粒径が1nmに近づくと急激に白金電子状態が変化して活性が低下することが知られている。また、従来技術において担体に白金粒子を分散担持させると、微小な白金粒子は凝集して粒径が大きく増大してしまい、触媒の活性及び利用率が低下するという問題があった。

0004

したがって、所望の粒径と粒度分布を有する白金触媒を製造する方法が求められている。

0005

特許文献1によれば、燃料電池用金属触媒の製法として、電離放射線照射したカーボンブラックを、白金イオンを含む反応系中に分散させた状態で、還元剤還元して微粒子状の白金をカーボンブラックに担持させる方法が開示され、その還元剤としてグルタチオンが例示されている。

先行技術

0006

特開2007−313423号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、所望の粒径と粒度分布を有する白金触媒の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。

0009

〈1〉白金前駆体と、保護剤としてグルタチオンを含む溶液に、還元剤としてNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製すること、
上記混合溶液にカーボン担体を添加して、上記カーボン担体に白金微粒子を担持すること、
を含む、白金触媒の製造方法。

発明の効果

0010

本発明の方法によれば、所望の粒径と粒度分布を有する白金触媒を製造することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1(a)は、実施例1の白金触媒(熱処理前)のX線回折(XRD)パターンを示す図であり、図1(b)は、実施例1の白金触媒のXRDパターンを示す図である。
図2(a)は、比較例1の白金触媒(熱処理前)のXRDパターンを示す図であり、図2(b)は、比較例1の白金触媒のXRDパターンを示す図である。
図3(a)は、比較例2の白金触媒(熱処理前)のXRDパターンを示す図であり、図3(b)は、比較例2の白金触媒のXRDパターンを示す図である。
図4は、実施例2、3、5、及び6の白金触媒のXRDパターンを示す図である。
図5は、実施例2〜4の白金触媒のX線光電子分光(XPS)測定の結果を示す、エネルギースペクトル図である。
図6は、実施例9及び10の白金触媒(熱処理前)のXRDパターンを示す図である。
図7は、実施例9及び10の白金触媒のXRDパターンを示す図である。
図8(a)は、実施例10の白金触媒のSTEM像を示す図であり、図8(b)は、同例のHADF−STEM像を示す図であり、かつ図8(c)は、同例の粒度分布を示す図である。
図9は、実施例12の白金触媒のLSV測定結果をプロットした図である。
図10は、実施例13〜15の白金触媒のXRDパターンを示す図である。

0012

以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0013

従来、ナノレベルの粒径を有している白金微粒子を担体に分散担持することは、容易ではなかった。これは、担体、例えば、カーボンナノサイズの白金微粒子を担持する場合には、白金微粒子同士の表面相互作用の強さのため、これらが互いに凝集し、分散させて担持することが困難であるためである。白金微粒子同士が互いに凝集することは、粒径の増大等の原因となっている。

0014

したがって、本発明者らは、鋭意検討し、下記の本発明の製造方法に想到した。

0015

《本発明の白金触媒の製造方法》
白金触媒を製造する本発明の方法は、白金前駆体と、保護剤としてのグルタチオンを含む溶液に、還元剤としてのNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製すること(第一の工程)、この混合溶液にカーボン担体を添加して、カーボン担体に白金微粒子を担持すること(第二の工程)を含む。

0016

本発明者らは、白金微粒子の粒径、及び粒度分布を制御するべく、保護剤としてグルタチオンを用いると、これらの制御で好適であることを見出だし、本発明に想到した。

0017

〈第一の工程〉
本発明の方法の第一の工程では、白金前駆体及びグルタチオンを含む溶液にNaBH4を添加して混合し、混合溶液を調製する。当該混合溶液は、溶媒を含んでよい。また、当該混合溶液は、NaBH4によって還元された白金微粒子、白金イオン、及び/又は白金錯体を含んでよい。

0018

(白金前駆体)
白金前駆体としては、特に限定されないが、白金の塩又は錯体、例えば、テトラクロリド白金(II)酸カリウム(K2PtCl4)、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO2)2(NH3)2)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H2〔PtCl6〕・6H2O)等を挙げることができる。

0019

混合溶液中において、白金前駆体の濃度の例は、特に限定されないが、白金元素基準で、0.5mM以上、1.0mM以上、又は2.0mM以上でよく、かつ/又は10.0mM以下、5.0mM以下、又は3.0mM以下でよい。白金前駆体の濃度が、低い場合には、生成した白金微粒子同士が分散し、粒径が小さくなる傾向がある。また、白金前駆体の濃度が高い場合には、粒径が大きくなる傾向がある。

0020

混合溶液中において、白金前駆体の濃度の例は、特に限定されないが、白金元素基準で、1.0mM以上5.0mM以下、特に、2.0mM以上3.0mM以下であってよい。この場合には、何らの論理束縛されるものではないが、生成した白金微粒子の分散の程度をより制御し易いため、当該白金微粒子の粒径を所望の大きさとし、かつ粒度分布を狭くすることができる。

0021

(保護剤)
本発明の方法では、保護剤としてグルタチオンを用いる。グルタチオンの構造式を下記に示している。

0022

0023

特許文献1では、白金触媒の製造における還元剤としてグルタチオンが例示されているが、特許文献1はできるだけ還元力の弱い還元剤を用いることを特徴とするものであり、グルタチオンは還元力が極めて弱い還元剤である。本発明では、グルタチオンと比べて強い還元力を有するNaBH4を還元剤として用いるものであるが、還元力が強いNaBH4と併用してグルタチオンを用いると、グルタチオンは還元剤としてではなく、白金微粒子の保護剤として作用すること、かつ、還元剤としてのNaBH4と保護剤としてのグルタチオンとを組合せて選択的に使用すると、所望の粒径及び粒度分布を有する白金微粒子がカーボン担体に担持された白金触媒が得られることを見出し、本発明を完成したものである。

0024

混合溶液中のグルタチオンの濃度に関して、白金前駆体中の白金と、グルタチオンとのモル比は、1:50〜50:1、1:20〜20:1、1:10〜10:1、1:5〜5:1、又は1:2〜2:1でよい。白金に対するグルタチオンの量が多い場合には、白金粒子同士の凝集を抑制することができる。白金に対するグルタチオンの量が多すぎない場合には、調製した白金触媒上に残存する、不純物としてのグルタチオンの量を低減することができる。

0025

(還元剤)
本発明では、還元剤としてNaBH4を用いる。上記の如く、還元剤としてNaBH4を使用し、かつ保護剤としてグルタチオンを使用することによって、所望の粒径及び粒度分布を有する白金微粒子がカーボン担体に担持された白金触媒が得られる。

0026

混合溶液中のNaBH4の濃度に関して、白金前駆体中の白金と、NaBH4のモル比は、1:50〜50:1、1:20〜20:1、1:10〜10:1、1:5〜5:1、又は1:2〜2:1でよい。白金に対するNaBH4の量が十分に多い場合には、白金イオン及び/又は白金錯体を白金微粒子により還元し易くなる。

0027

白金前駆体及びグルタチオンを含む混合溶液にNaBH4を添加する際に、混合溶液のpHを調整してよい。pHの調整には、pH調整剤を用いることができる。pH調整剤の例としては、特に限定されないが、例えば、過塩素酸(HCLO4)、クエン酸リンゴ酸コハク酸フマル酸乳酸酒石酸酢酸等の有機酸塩酸硫酸リン酸等の無機酸、及びそれらの塩を挙げることができる。

0028

混合溶液のpHとしては、0.5〜4.5、1.0〜4.0、1.5〜3.5、又は2.0〜3.0でよい。

0029

(溶媒)
溶媒の例としては、特に限定されないが、プロトン性極性溶媒、例えば、純水等、及び非プロトン性の極性溶媒、例えば、アセトン等を挙げることができる。

0030

(混合)
混合の順序は、必ずしも限定されないが、白金前駆体と保護剤としてのグルタチオンを溶解した溶液を作成してから、還元剤としてのNaBH4を添加することが好ましい。保護剤としてのグルタチオンを溶解するのに、超音波バブリング等の撹拌手段を用いることができる。還元剤を添加する際もバブリング等の手段で撹拌することが好ましい。

0031

(反応時間)
また、混合溶液中で反応を行う時間は、特に限定されないが、1分以上、3分以上、5分以上、8分以上、又は10分以上でよく、1時間以下、45分以下、又は30分以下でよい。

0032

〈第二の工程〉
本発明の方法の第二の工程では、第一の工程で作成した混合溶液にカーボン担体を添加して、白金微粒子がカーボン担体に担持されている白金触媒を調製する。
(カーボン担体)
カーボン担体としては、特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラックKB)、カーボンブラック(CB)、活性炭(AC)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)、異元素ドープカーボン、メソポーラスカーボン、若しくはVGCF(気相成長法炭素繊維)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。

0033

カーボン担体の形態は、特に限定されないが、粉体状でよい。カーボン担体の比表面積は、特に限定されないが、200m2/g以上、400m2/g以上、800m2/g以上、又は1000m2/g以上でよい。

0034

カーボン担体の添加量は、カーボン担体上に担持される白金微粒子の担持量が、特に限定されないが、例えば、カーボン担体100質量部に対して、0.01質量部以上、0.10質量部以上、若しくは1.00質量部以上の担持量であり、及び/又は50.00質量部以下、30.00質量部以下、若しくは20.00質量部以下であるような添加量でよい。

0035

第一の工程で作成した混合溶液にカーボン担体を添加して混合すると、カーボン担体に白金微粒子が担持された白金触媒が得られる。混合方法は特に限定されないが、例えば、超音波照射やバブリング等でよい。

0036

混合溶液中に形成される白金触媒を、濾過洗浄、かつ/又は乾燥することによって、固形の白金触媒を得ることができる。濾過、洗浄、及び/又は乾燥の方法としては、公知の方法を採用してよい。

0037

熱処理条件
第二の工程で得られる白金触媒は、保護剤を含むので、この保護剤を熱処理して除去することが好ましい。

0038

熱処理の温度は、特に限定されないが、200℃以上、250℃以上、300℃以上、又は350℃以上でよく、450℃以下又は400℃以下でよい。カーボン担体上に残留しているグルタチオンを効率的に焼失させる観点から、350℃以上の温度が好ましい。

0039

熱処理の時間は、特に限定されないが、1時間以上又は2時間以上でよく、24時間以下又は12時間以下でよい。

0040

熱処理の雰囲気は、特に限定されないが、大気雰囲気真空雰囲気、又は不活性雰囲気でよい。

0041

《白金触媒》
本発明の製造方法によれば、好ましくは、白金触媒中の白金微粒子の粒径(平均値)が、例えば、1〜5nm、さらには2〜4nmの好適な粒径である白金触媒を得ることができる。白金粒子の粒径がこのような範囲内であると、触媒活性が低い微細な粒子や、触媒活性が低く触媒の利用率に劣る凝集粒子が少ないので、触媒活性及び触媒の利用率に優れる。したがって、例えば、この白金触媒を電極触媒として用いた燃料電池の性能を向上させることができる。

0042

本明細書において白金微粒子の粒径(平均値)は、走査透過電子顕微鏡(STEM)等の手段を用いて、無作為に選択した100個以上、300個以上、又は500個以上の粒子の円相当径(Heywood径)を測定し、それらの測定値算術平均個数基準)することによって、得られる値をいう。

0043

また、本発明によれば、上記の好適な粒径を有する白金微粒子の粒度分布に関して、従来のものよりも、より狭い粒度分布を実現することができる。ここで、粒度分布の広狭指標としては、上記の粒径測定で得られた粒度分布(個数基準)における標準偏差を用いることができる。

0044

例えば、粒径の平均値がA,標準偏差がαのとき、粒径の測定値を「A±α」と表すことができる。

0045

本発明の製造方法で得られる白金触媒中の白金微粒子は、粒径(平均値)が上記のような好適な範囲内であるときに、標準偏差が0.6nm以下であることができ、さらに好ましくは0.5nm以下、又は0.4nm以下であることもできる。本発明の白金触媒では、白金微粒子の粒径が制御され、かつ白金微粒子の粒度分布が狭いので、触媒活性が低い微細な粒子や凝集粒子が少なく、白金触媒としての触媒活性に優れる。したがって、例えば、当該白金触媒を電極触媒として採用した燃料電池の性能を向上させることができる。

0046

上記金属触媒の用途としては、特に限定されないが、例えば、燃料電池の電極(例えば、酸素還元触媒)や、排ガス浄化触媒などの用途を挙げることができる。

0047

以下に示す実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。

0048

《実施例》
〈第一の工程〉
100mLメスフラスコにK2PtCl441.5mgを入れ、さらに、そこに超純水を加えて、1mMのK2PtCl4水溶液100mLを調製した。

0049

上記のK2PtCl4水溶液から10mLを取り、これをスクリュー管に入れ、さらに、その管にグルタチオン3.0mg(0.01mmol)を添加した。その後、当該スクリュー管に超音波を5分間にわたって照射し、これによって、グルタチオンを完全に溶解ささた。

0050

上記のスクリュー管を水浴(4℃)に浸し、15分間にわたってArバブリングを行った。

0051

Ar雰囲気中、上記のスクリュー管に、0.1MのHClO4水溶液を添加して溶液のpHを2.1付近に調節した。その後さらに、この管に、還元剤としての3mMのNaBH4水溶液を、1mL(0.03mmol)添加し、管内の水溶液を5分間にわたって撹拌した。なお、反応中、溶液の色の変化はなかった。

0052

〈第二の工程〉
スクリュー管中の溶液に、さらに、担体としてのケッチェンブラック(ライオンスペシャリティケミカルズ株式会社製、型式:EC300J、一次粒子径:39.5nm、BET比表面積:800m2/g)9.75mgを添加した後、管に超音波を1時間にわたって照射した。これによって、触媒金属としての白金(Pt)粒子を、ケッチェンブラックに担持した。

0053

スクリュー管内の懸濁液を吸引濾過し、残渣を超純水で洗浄した。さらに、この残渣をエタノールで洗浄して真空乾燥することによって白金微粒子が担持されているケッチェンブラック担体からなる白金触媒(熱処理前)を得た。

0054

〈第三の工程〉
グルタチオンを除去するために、上記の白金触媒(熱処理前)を、真空中、300℃で2時間にわたって熱処理し、これによって白金触媒(熱処理後)を得た。

0055

なお、実施例1の白金触媒において、白金の量は、1.95mg(1.0×10−5mol)であり、かつケッチェンブラックの量は、9.75mgである。したがって、ケッチェンブラック担体100質量部に対して、白金は、20質量部に相当する。

0056

《比較例1及び2》
実施例1の「第一の工程」に関して、Arバブリングの代わりに、10分間にわって、還元処理としてのCOバブリング(比較例1)又はH2バブリング(比較例2)を行い、かつHClO4水溶液及びNaBH4水溶液を添加しなかったことを除き、比較例1及び2の白金触媒を、実施例1と同様にして得た。

0057

《評価:XRD分析1》
実施例1、並びに比較例1及び2の、白金触媒(熱処理前)及び白金触媒(熱処理後)に関して、X線回折(XRD)分析を行った。XRD分析で用いたX線回折装置の型式は、SHIMADZU XRD−6100であり、管電圧及び管電流は、それぞれ、50kV及び30mAであった。また、X線の走査速度は、1.0°/分であり、走査範囲は、30°<2θ<50°の範囲であった。

0058

〈実施例1のXRD分析:NaBH4を還元剤として用いた場合〉
実施例1の白金触媒(熱処理前)、及び白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを、それぞれ、図1(a)及び(b)に示している。

0059

図1(a)及び(b)からは、白金微粒子の存在を示す、Pt(111)面のピークが、2θ=39.9°に現れていることが分かる。

0060

なお、XRDパターンが粗い図1(a)では、白金触媒(熱処理前)に、グルタチオンが残っている一方で、XRDパターンが比較的滑らかな図1(b)では、XRDパターンが比較的に滑らかであり、白金触媒(熱処理後)からグルタチオンが、実質的に除去されていることが示されている。

0061

〈比較例1のXRD分析:COを還元剤として用いた場合〉
比較例1の白金触媒(熱処理前)、及び白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを、図2(a)及び(b)に示している。

0062

図2(a)及び(b)からは、白金微粒子の存在を示す、Pt(111)面のピークが現れていないことが、分かる。

0063

〈比較例2のXRD分析:H2を還元剤として用いた場合〉
比較例2の白金触媒(熱処理前)、及び白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを、図3(a)及び(b)に示している。

0064

図3(a)及び(b)からは、白金微粒子の存在を示す、Pt(111)面のピークが、2θ=39.9°に現れていることが分かる。しかしながら、そのピーク強度は弱く、そのため、十分量の白金微粒子が、生成していないと考えられる。

0065

したがって、実施例1、並びに比較例1及び2の白金触媒(熱処理後)のXRDパターンからは、グルタチオンを保護剤として用い、還元剤としてNaBH4を採用するのが好ましいことが分かる。

0066

〈XRD分析に基づくシェラー平均粒径
また、実施例1のXRD分析の結果から、シェラー(Scherrer)の式を用いて、白金微粒子のシェラー平均粒径(nm)を求めた。シェラーの式は、下記の式(II)で表すことができる:



[式中、
形状因子:K
X線波長:λ
ピーク全半値幅:β
ブラッグ(Bragg)角:θ
微粒子の粒径:τ

0067

実施例1の白金触媒(熱処理前)のシェラー平均粒径は、上記の式(I)から、3.1nmであり、白金触媒(熱処理後)のシェラー平均粒径は、3.5nmであった。シェラー平均粒径の差異の原因は、白金触媒(熱処理前)に対する熱処理によって、白金触媒(熱処理後)中の白金微粒子が、若干、粒成長したことによると考えられる。

0068

《実施例2〜7》
実施例1の「第三の工程」に関して、熱処理温度を変更したことを除き、実施例2〜7の白金触媒を、実施例1と同様にして得た。各例の第三の工程における熱処理温度を、下記の「評価:XRD分析2」の表1に示している。

0069

《評価:XRD分析2》
実施例2〜7の白金触媒(熱処理後)に関して、XRD分析を行った。当該XRD分析の条件等は、上記の「評価:XRD分析1」に記載の条件等と同様である。実施例2、3、5、及び6の白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを図4に示している。また、上記の式(I)を、実施例2〜7のXRDパターン結果に適用し、シェラー平均粒径を算出した。結果を下記の表1に示している。

0070

0071

なお、表1中、実施例3の白金触媒は、上記の実施例1の白金触媒と同等である。

0072

表1からは、熱処理温度の上昇によって、白金触媒上の白金微粒子が、若干、粒成長していることが分かる。また、例えば、白金微粒子のシェラー平均粒径を3nm付近で制御する場合には、250℃〜400℃で熱処理することが好ましいことが分かる。

0073

また、表1からは、実施例2〜7のシェラー平均粒径が、熱処理後であっても、3.5nm〜5.1nmであることが分かる。すなわち、実施例2〜7の熱処理前の白金前駆体のシェラー平均粒径は、この値より小さいことが容易に予想される。

0074

シェラー平均粒径の値が、熱処理後であっても、上記の値の範囲にある理由は、グルタチオンを保護剤として用い、白金微粒子等にグルタチオンが化学吸着してこれを保護し、これによって白金微粒子等の凝集が抑制された白金触媒(熱処理前)を調製できたことによると考えられる。

0075

《評価:XPS分析》
実施例2〜4の白金触媒(熱処理後)に関して、X線光電子分光(XPS)測定を行った。結果を、図5に示している。

0076

図5の実施例2のエネルギースペクトルでは、S(硫黄成分由来のピークが見られる。これは、熱処理温度が250℃である実施例2の白金触媒(熱処理後)に、チオール基を有しているグルタチオンが残留していることを示している。

0077

他方、図5の実施例3及び4のエネルギースペクトルでは、S(硫黄)成分由来のピークが見られない。したがって、熱処理温度が300℃以上である白金触媒(熱処理後)では、グルタチオンが、実質的に除去されている。

0078

なお、図4の実施例2のXRDパターンが粗い理由は、グルタチオンが、白金触媒(熱処理後)上に残留しているためと考えられる。

0079

《実施例8〜12》
実施例1の「第一の工程」に関して、白金前駆体としてのK2PtCl4及びグルタチオンの濃度を変更し、かつ「第三の工程」に関して、熱処理温度を350℃に変更したことを除き、実施例8〜12の白金触媒(熱処理前)及び白金触媒(熱処理後)を、実施例1と同様にして得た。各例の第一の工程におけるK2PtCl4及びグルタチオンの濃度を下記の表2に示している。

0080

0081

《評価:XRD分析3》
実施例9及び10の白金触媒(熱処理前)及び白金触媒(熱処理後)に関して、XRD分析を行った。当該XRD分析の条件等は、上記の「評価:XRD分析1」に記載の条件等と同様である。実施例9及び10の白金触媒(熱処理前)のXRDパターンを図6に示し、かつそれらの例の白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを図7に示している。

0082

(白金触媒(熱処理前))
図6からは、グルタチオンの濃度が2mMである実施例9のXRDパターンと比較して、グルタチオンの濃度が5mMである実施例10のXRDパターンは、粗いことが分かる。これは、白金微粒子及び/又は白金イオンに吸着しているグルタチオンの量が多いほど、XRDパターンが荒くなるためと考えられる。

0083

(白金触媒(熱処理後))
図7からは、実施例9及び10のXRDパターンは、それぞれ、図6のXRDパターンと比較して、滑らかであることが分かる。図7のXRDパターンに上記の式(I)を適用して算出したシェラー平均粒径を、下記の表3に示している。

0084

0085

図6及び7、並びに表3の結果からは、グルタチオンの濃度が比較的に高い場合には、白金微粒子のシェラー平均粒径が小さいことが分かる。これは、白金微粒子、白金イオン、及び/又は白金錯体に吸着しているグルタチオンの量が比較的に多い場合には、白金微粒子の粒成長が抑制されるためと考えられる。

0086

《評価:HAADF−STEM分析》
実施例12の白金触媒(熱処理後)、及び比較例3(田中貴金属工業製カーボン担持白金触媒、型式:TEC10E50E、粒径:2.6±0.4nm、Pt担持率:46.1質量%、比表面積:144.1 m2/g)に関して、HAADF−STEM(High−angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscope)分析による評価を行った。具体的には、当該評価は、球面収差補正機能付走査透過電子顕微鏡(日立ハイテク、HD−2700)を用いて行った。実施例12の白金触媒(熱処理後)に関する結果を図8(a)〜(c)に示している。

0087

図8(a)は、実施例12の白金触媒(熱処理後)のSTEM像を示す図であり、かつ図8(b)は、同例のHAADF−STEM像を示す図である。図8(b)からは、カーボン担体としてのケッチェンブラック(KB)上に、白金微粒子が分散していることが分かる。

0088

図8(c)は、実施例12の白金触媒(熱処理後)の白金微粒子の粒度分布を示す図である。図8(c)の粒度分布は、図8(a)及び(b)に示す像から、500個の白金微粒子を無作為に抽出し、それらの各白金微粒子の粒径を測定し、それらの粒径をプロットすることにより作成した。得られた測定値から平均粒径及び標準偏差を算出した。

0089

図8(c)から、実施例12の熱処理語白金触媒では、粒径2〜3nmの白金微粒子が非常によく分散していること、2nm未満のクラスターや5nm超の凝集したナノ粒子が殆ど見られないこと、粒度分布が非常に狭いことが分かる。また、熱処理前白金微粒子の平均粒径は2.5nmであり、その標準偏差は、±0.4nmであった。

0090

なお、比較例3の白金触媒に関しても、粒度分布を作成した。その粒度分布から、白金微粒子の平均粒径は3.2nmであり、かつその粒径の標準偏差が±0.7nmであることが判明した。

0091

比較例3の白金触媒の粒度分布の範囲と比較して、実施例12の粒度分布は、標準偏差が小さく、粒度分布がより狭い。

0092

《評価:LSV測定》
実施例12及び比較例3の白金触媒の酸素還元活性を調べるために、これらの触媒に対して、回転ディスク電極法を適用したリニアスイープボルタンメトリー(LSV:Linear Sweep Voltammetry)測定を行った。

0093

〈LSV測定の準備〉
(電極作製)
直径5mm(幾何面積0.196cm2)、高さ5mmのグラッシーカーボン(GC)を、基材として用いた。このGCの表面を、粒径0.3μm〜0.05μmのアルミナ懸濁液を用いて研磨し、GC表面を鏡面加工した。

0094

研磨したGCを超純水中で、5分間にわたって超音波洗浄を行った。この超音波洗浄は、合計3回行った。さらに、この研磨したGCをエタノールに浸し、5分間にわたって超音波洗浄を行った。次いで、エタノール溶液を濾過し、研磨したGCを乾燥させた。

0095

他方、白金触媒を、エタノール中に添加し、その後に、このエタノール溶液に超音波を照射した。これによってエタノール溶液中で、白金触媒を分散させた。

0096

当該白金触媒を含むエタノール溶液から、20μLを取り、これを、研磨したGCに滴下した。このGCをエタノール雰囲気中で乾燥させ、これによって、白金触媒が担持された電極を作製した。なお、白金の担持密度は、14.4μg/cm2であった。

0097

この電極に、0.05質量%Nafion/エタノール溶液10μLを滴下し、これを自然乾燥させた後に、120℃で1時間にわたって、さらに乾燥させた。

0098

(測定の諸条件)
電解液には0.1MのHClO4水溶液を使用し、対極には白金板を使用し、参照極には可逆水素電極(Reversible Hydrogen Electrode:RHE)を使用した。測定法としては、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode:RDE)法を採用した。測定条件としては、雰囲気はO2雰囲気下であり;走査速度は10mV/秒であり;電位範囲は0.2〜1.2V vs.RHEであり;電極の回転数は400rpm、900rpm、1600rpm、2500rpm、又は3600rpmである。

0099

測定を行う前に、O2バブリングを30分間にわたって行った。測定中は、O2雰囲気下で電極を回転させつつ、0.2V vs.RHEから、1.2V vs.RHEまで電位を変化させた。結果を、図9に示している。また、質量活性(Mass Activity:MA)、比活性(Specific Activity:SA)、及び比表面積(Specific Surface Area:SSA)を下記の表4に示している。

0100

0101

表4中、MA及びSAは、図9のLSV測定結果から活性化支配電流(ik)を求め、これを、電極に担持されている白金の質量(gPt)、又は電気化学的に活性な白金の表面積(cm2Pt)で除することによって、算出される値である。具体的には、MA及びSAに関する式を、下記の(II)及び(III)に示している。
MA(A/g)=ik(A)/gPt (II)
SA(μA/cm2)=ik(μA)/cm2Pt (III)

0102

実施例12の白金触媒の比表面積は比較例3のものより小さいにもかかわらず、実施例12の白金触媒のMA及びSAは、比較例3のそれらよりも大きい。なお、実施例12の白金触媒の比表面積が比較例3のものより小さい理由は、熱処理によってケッチェンブラックの一部が、白金微粒子の表面に付着したためと考えられる。

0103

《実施例13〜14》
実施例1の「第一の工程」において、K2PtCl4の濃度(すなわち、Ptの濃度)を2mMとし、かつグルタチオンの濃度を2mMとしたこと;「第二の工程」においてケッチェンブラックの量を変更したこと;並びに、「第三の工程」において、熱処理温度を350℃に変更したことを除き、実施例1と同様にして、実施例13〜15の白金触媒を調製した。担体粉末としてのケッチェンブラックの質量部と、触媒金属としての白金の質量部とを下記の「評価:XRD分析4」の表5に示している。

0104

《評価:XRD分析4》
実施例13〜14の白金触媒(熱処理後)に関して、XRD分析を行った。当該XRD分析の条件等は、上記の「評価:XRD分析1」に記載の条件等と同様である。これらの例の白金触媒(熱処理後)のXRDパターンを図10に示している。また、上記の式(I)を、実施例13〜14のXRDパターン結果に適用し、シェラー平均粒径を算出した。結果を下記の表5に示している。

0105

0106

図10からは、実施例13よりも、実施例14のPt(111)面のピーク幅が広いことが分かる。一般的に、ピーク幅が狭くなるほど、粒子の粒径は、大きくなる(シェラーの式(I)を参照されたい)。

0107

表5には、上記の式(I)から算出されたシェラー平均粒径が示されている。表5によれば、ケッチェンブラックに対する白金の質量割合が増加するにつれて、シェラー平均粒径も増加している。これは、白金触媒を調製する際に使用する白金前駆体の量が多い場合には、白金微粒子の粒成長が生じ易いためと考えられる。

実施例

0108

本発明の好ましい実施形態を詳細に記載したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明で使用される試薬器具、及び機器等は、変更可能であることを当業者は理解する。

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