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技術 金型プレス装置及び金型プレス方法

出願人 株式会社アマダホールディングス株式会社アマダオリイ
発明者 曽我充正五島紘一
出願日 2017年5月15日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2017-096162
公開日 2018年12月6日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2018-192485
状態 特許登録済
技術分野 プレス機械の制御 プレス機械及び付属装置 プレス機械の駆動及びプレスライン
主要キーワード 負荷度合い 揺動サイクル 検査間隔 摩擦量 精度検査 自主検査 荷重検知 JIS規格
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年12月6日)のものです。
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図面 (9)

課題

プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきま推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供すること。

解決手段

クランクメタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303に加わる荷重Fを検知するセンサ24と、クランク軸8の回転数Nを検知するロータリーエンコーダ25と、センサ24により検知された荷重Fとロータリーエンコーダ25により検知された回転数Nとに基づいて、クランク前メタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303の推定摩耗量積算値Wtを推定し、推定摩耗量の積算値Wtに基づいて、回転部における総合すきまを推定するコントローラ14と、推定された総合すきまのデータを表示する表示部16と、を備える。

概要

背景

金型プレス装置(以下、プレス装置という)の精度は、フレームクランクコンロッド、玉ねじ、ギブ、ギブガイド等に依存している。プレス装置における回転部の軸受にはメタルを使用するため、長期間の使用によりメタルが摩耗し、プレス装置の精度が低下する。ここで、プレス装置の精度とは、JIS規格により規定されており、例えば、前後、左右の真直度、ギブのすきま、メタルとクランクシャフトとの間の総合すきま、等が含まれる。

例えば、工場出荷時にはJIS規格における1級の精度であったプレス装置が、長期間の使用によって摩耗することでJIS規格における2級を下回ることもある。プレス装置の精度が低下すると、プレス装置により加工された製品の精度が低下したり、騒音が増大したりする。日本国内では、特定自主検査の制度により年1回のプレス装置の診断義務づけられており、特定自主検査において検査されるデータは、1年毎の総合すきまやスライドクリアランス等のデータのみである。

図8(a)は、総合すきま(mm)の検査履歴を示す図である。図8(a)には、例えば、検査日時2010年11月12日に行われた検査結果において総合すきま0.35mmというデータが得られたことが示されている。そして、約1年後の2011年11月15日に検査が行われ、総合すきま0.37mmというデータが得られたことが示されている。

また、図8(b)はJIS B6402に規定された総合すきまの等級を示す表であり、クランク形及びクランクレス形における特級、1級、2級それぞれの許容値が示されている。ここで、pはプレス装置の呼び能力(kN)であり、許容値の単位はmmである。図8(c)は、図8(b)の呼び能力p(kN)を横軸とし、総合すきま(mm)を縦軸として、特級、1級、2級のそれぞれをグラフ化したものである。

更に、工具の摩耗量の推定計算を行う技術として、例えば特許文献1に開示されたような技術が提案されている。

概要

プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきまの推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供すること。クランク前メタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303に加わる荷重Fを検知するセンサ24と、クランク軸8の回転数Nを検知するロータリーエンコーダ25と、センサ24により検知された荷重Fとロータリーエンコーダ25により検知された回転数Nとに基づいて、クランク前メタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303の推定摩耗量積算値Wtを推定し、推定摩耗量の積算値Wtに基づいて、回転部における総合すきまを推定するコントローラ14と、推定された総合すきまのデータを表示する表示部16と、を備える。

目的

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきまの推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供することを例示的課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

駆動手段と、対象物を加工する金型を上下に動作させるスライドと、前記スライドを上下に移動させるコンロッドと、前記駆動手段により回転され、前記駆動手段の動力を前記コンロッドを介して前記スライドに伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受部と、を備える金型プレス装置であって、前記軸受部に加わる荷重を検知する荷重検知手段と、前記クランク軸の回転数を検知する回転数検知手段と、前記荷重検知手段により検知された荷重と前記回転数検知手段により検知された回転数とに基づいて、前記軸受部の摩耗量を推定する摩耗量推定手段と、前記摩耗量推定手段により推定された前記摩耗量に基づいて、前記クランク軸及び前記軸受部における総合すきまを推定する総合すきま推定手段と、前記総合すきま推定手段により推定された総合すきまのデータを表示する表示部と、を備えることを特徴とする金型プレス装置。

請求項2

前記摩耗量推定手段は、加工動作中に前記スライドが所定の位置にあるときに前記荷重検知手段により検知された荷重及び前記回転数検知手段により検知された回転数と、前記スライドが前記所定の位置にあるときから単位時間が経過した後に前記荷重検知手段により検知された荷重及び前記回転数検知手段により検知された回転数と、に基づき前記単位時間における摩耗量である単位摩耗量を推定し、前記単位摩耗量を積算することにより前記摩耗量を推定することを特徴とする請求項1に記載の金型プレス装置。

請求項3

前記摩耗量推定手段は、更に、比摩耗量と前記軸受部の長さとに基づいて前記単位摩耗量を推定することを特徴とする請求項2に記載の金型プレス装置。

請求項4

前記総合すきま推定手段は、工場出荷時の前記軸受部におけるすきまのデータに前記摩耗量を加算して前記総合すきまを推定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金型プレス装置。

請求項5

前記摩耗量推定手段は、前記摩耗量を初期化する初期化機能を有することを特徴とする請求項4に記載の金型プレス装置。

請求項6

駆動手段と、対象物を加工する金型を上下に動作させるスライドと、前記スライドを上下に移動させるコンロッドと、前記駆動手段により回転され、前記駆動手段の動力を前記コンロッドを介して前記スライドに伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受部と、を備える金型プレス装置による金型プレス方法であって、荷重検知手段により前記軸受部に加わる荷重を検知する荷重検知工程と、回転数検知手段により前記クランク軸の回転数を検知する回転数検知工程と、前記荷重検知工程において検知された荷重と前記回転数検知工程において検知された回転数とに基づいて、前記軸受部の摩耗量を推定する摩耗量推定工程と、前記摩耗量推定工程において推定された前記摩耗量に基づいて、前記クランク軸及び前記軸受部における総合すきまを推定する総合すきま推定工程と、前記総合すきま推定工程において推定された総合すきまのデータを表示部に表示する工程と、を備えることを特徴とする金型プレス方法。

技術分野

0001

本発明は、金型プレス装置及び金型プレス方法に係り、特に精度管理が可能な金型プレス装置等に関する。

背景技術

0002

金型プレス装置(以下、プレス装置という)の精度は、フレームクランクコンロッド、玉ねじ、ギブ、ギブガイド等に依存している。プレス装置における回転部の軸受にはメタルを使用するため、長期間の使用によりメタルが摩耗し、プレス装置の精度が低下する。ここで、プレス装置の精度とは、JIS規格により規定されており、例えば、前後、左右の真直度、ギブのすきま、メタルとクランクシャフトとの間の総合すきま、等が含まれる。

0003

例えば、工場出荷時にはJIS規格における1級の精度であったプレス装置が、長期間の使用によって摩耗することでJIS規格における2級を下回ることもある。プレス装置の精度が低下すると、プレス装置により加工された製品の精度が低下したり、騒音が増大したりする。日本国内では、特定自主検査の制度により年1回のプレス装置の診断義務づけられており、特定自主検査において検査されるデータは、1年毎の総合すきまやスライドクリアランス等のデータのみである。

0004

図8(a)は、総合すきま(mm)の検査履歴を示す図である。図8(a)には、例えば、検査日時2010年11月12日に行われた検査結果において総合すきま0.35mmというデータが得られたことが示されている。そして、約1年後の2011年11月15日に検査が行われ、総合すきま0.37mmというデータが得られたことが示されている。

0005

また、図8(b)はJIS B6402に規定された総合すきまの等級を示す表であり、クランク形及びクランクレス形における特級、1級、2級それぞれの許容値が示されている。ここで、pはプレス装置の呼び能力(kN)であり、許容値の単位はmmである。図8(c)は、図8(b)の呼び能力p(kN)を横軸とし、総合すきま(mm)を縦軸として、特級、1級、2級のそれぞれをグラフ化したものである。

0006

更に、工具の摩耗量の推定計算を行う技術として、例えば特許文献1に開示されたような技術が提案されている。

先行技術

0007

特開2017−049656号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特定自主検査は、検査間隔が約1年であるため、プレス装置の経年変化を示すデータが荒い。また、プレス装置で行われる個々の加工が、どの程度、プレス装置の摩耗に影響しているかを把握することができない。更に、プレス装置の摩耗の度合いを、プレス装置にかかる負荷クランク軸回転数、プレス装置の使用時間等から概算する方法もあるが、サーボプレスのように複雑な動きが可能なプレス装置の場合、多種多様な加工を1台のプレス装置で実行することが多く、摩耗の度合いを算出するために必要なパラメータの変動の度合いが大きいため、摩耗の度合いを算出する際の精度が低下してしまう。

0009

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきまの推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供することを例示的課題とする。

課題を解決するための手段

0010

上記の課題を解決するために、本発明は以下の趣旨を有する。

0011

[趣旨1]
駆動手段と、
対象物を加工する金型を上下に動作させるスライドと、
前記スライドを上下に移動させるコンロッドと、
前記駆動手段により回転され、前記駆動手段の動力を前記コンロッドを介して前記スライドに伝達するクランク軸と、
前記クランク軸を支持する軸受部と、
を備える金型プレス装置であって、
前記軸受部に加わる荷重を検知する荷重検知手段と、
前記クランク軸の回転数を検知する回転数検知手段と、
前記荷重検知手段により検知された荷重と前記回転数検知手段により検知された回転数とに基づいて、前記軸受部の摩耗量を推定する摩耗量推定手段と、
前記摩耗量推定手段により推定された前記摩耗量に基づいて、前記クランク軸及び前記軸受部における総合すきまを推定する総合すきま推定手段と、
前記総合すきま推定手段により推定された総合すきまのデータを表示する表示部と、
を備える。

0012

[趣旨2]
前記摩耗量推定手段は、加工動作中に前記スライドが所定の位置にあるときに前記荷重検知手段により検知された荷重及び前記回転数検知手段により検知された回転数と、前記スライドが前記所定の位置にあるときから単位時間が経過した後に前記荷重検知手段により検知された荷重及び前記回転数検知手段により検知された回転数と、に基づき前記単位時間における摩耗量である単位摩耗量を推定し、前記単位摩耗量を積算することにより前記摩耗量を推定するものであってもよい。

0013

[趣旨3]
前記摩耗量推定手段は、更に、比摩耗量と前記軸受部の長さとに基づいて前記単位摩耗量を推定するものであってもよい。

0014

[趣旨4]
前記総合すきま推定手段は、工場出荷時の前記軸受部におけるすきまのデータに前記摩耗量を加算して前記総合すきまを推定するものであってもよい。

0015

[趣旨5]
前記摩耗量推定手段は、前記摩耗量を初期化する初期化機能を有するものであってもよい。

0016

[趣旨6]
駆動手段と、対象物を加工する金型を上下に動作させるスライドと、前記スライドを上下に移動させるコンロッドと、前記駆動手段により回転され、前記駆動手段の動力を前記コンロッドを介して前記スライドに伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受部と、を備える金型プレス装置による金型プレス方法であって、
荷重検知手段により前記軸受部に加わる荷重を検知する荷重検知工程と、
回転数検知手段により前記クランク軸の回転数を検知する回転数検知工程と、
前記荷重検知工程において検知された荷重と前記回転数検知工程において検知された回転数とに基づいて、前記軸受部の摩耗量を推定する摩耗量推定工程と、
前記摩耗量推定工程において推定された前記摩耗量に基づいて、前記クランク軸及び前記軸受部における総合すきまを推定する総合すきま推定工程と、
前記総合すきま推定工程において推定された総合すきまのデータを表示部に表示する工程と、
を備える。

発明の効果

0017

本発明によれば、プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきまの推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

実施形態のプレス装置の構成を示す図
実施形態のプレス装置のブロック図
実施形態の回転部における各パラメータを示す図
実施形態のデータ構造を示す図
実施形態のスライドの位置、荷重、モータの回転数を示すグラフ
実施形態のプレス装置の推定摩耗量を求める処理を示すフローチャート
実施形態の表示部に表示された画面を示す図
従来例の総合すきまの検査履歴を示す図、総合すきまの許容値を示す表及びグラフ

実施例

0019

[実施形態]
(プレス装置の説明)
図1は、プレス装置Sの概略図である。プレス装置Sは、筐体2の内外に、駆動モータ4(駆動手段)、伝達機構6、クランク軸8、コンロッド10、スライド12を有して構成される。また、プレス装置Sは、コントローラ14、記憶部15、表示部16、入力部18、を有している。本実施形態のプレス装置Sは、例えば順送式のプレス装置であり、複数の加工ステージと、搬送機構(不図示)とを更に有している。

0020

駆動モータ4は、例えばサーボ制御されるサーボモータであり、回転量及び回転方向を制御しつつ伝達機構6、クランク軸8、コンロッド10を介して後述する金型3を上下移動させるものである。伝達機構6は、例えばギアベルト等の伝達部材を有して構成され、駆動モータ4のモータ軸の回転をクランク軸8へと伝達するものである。駆動モータ4への制御信号はコントローラ14から送られるようになっている。

0021

クランク軸8及びコンロッド10は、伝達機構6により伝達されたモータ軸の回転移動往復移動(本実施形態では、上下移動。)に変換するためのものである。モータ軸の回転によりクランク軸8が回転し、クランク軸8に一端近傍が連結されたコンロッド10にその回転が伝達されてコンロッド10が上下移動(昇降移動)するようになっている。

0022

コンロッド10の他端近傍にはスライド12が連結されている。コンロッド10の上下移動に伴いスライド12がギブ26に沿って上下移動するようになっている。図2にその概略図を示すように、スライド12は、ボルスタ22と対面している。プレス装置Sにおいては、スライド12と対向するようにボルスタ22が配置されている。スライド12のボルスタ22と対向する側の面(本実施形態では下面。)に金型3の一部としての上型3aが装着される。ボルスタ22のスライド12と対向する側の面(本実施形態では上面。)に金型3の一部としての下型3bが装着される。

0023

上型3aと下型3bとの間に加工の対象物としてのワークWSを配置し、上型3aと下型3bとで押圧することにより、プレス装置SによるワークWSに対するプレス加工が行われる。詳しくは、コントローラ14により制御されて駆動モータ4が回転する。駆動モータ4の回転が伝達機構6、クランク軸8を介してコンロッド10へと伝達され、スライド12が上下移動する。スライド12の下方移動によって上型3aと下型3bとが押圧され、ワークWSのプレス加工が行われる。すなわち、プレス装置Sにおいて、駆動モータ4、伝達機構6、クランク軸8、コンロッド10、スライド12がプレス部を構成する。伝達機構6には、クランク軸8の回転数を検知するための回転数検知手段であるロータリーエンコーダ25が設けられている。

0024

荷重検知手段であるセンサ24は、プレス装置SがワークWSにプレス加工を行う際に、コンロッド10に働く荷重F(図3参照)を検知するためのセンサで、例えばロードセルである。センサ24は、例えば、筐体2に設置された歪ゲージであってもよい。センサ24は、コンロッド10のいずれかの位置(例えば、中央近傍位置)に設置されていてもよい。なお、図1において、表示部16が配置されている側がプレス装置Sの前側である。

0025

(プレス装置のブロック図)
図2は、プレス装置Sのブロック図である。コントローラ14は、駆動モータ4を制御する。コントローラ14は、表示部16、入力部18とも接続されている。コントローラ14は、予め記憶部15に記憶された各種パラメータや各種プログラム等を読み出し、これらに基づいてプレス装置Sの加工動作を制御する。また、後述する推定摩擦量算出処理において求められた各種データを記憶部15に記憶する。ロータリーエンコーダ25は、駆動モータ4の出力軸(不図示)の回転速度を検出し、検出した結果をコントローラ14に出力する。コントローラ14は、ロータリーエンコーダ25による検出結果に基づいて、駆動モータ4を制御する。また、コントローラ14は、センサ24によりコンロッド10に働く荷重を検知している。

0026

(回転部における各パラメータについて)
プレス装置Sの精度には、例えば、上下に運動するスライド12の前後、左右における真直度、回転部における総合すきま、ボルスタ22とスライド12との間の平行度、等が含まれる。中でも、総合すきまが大きくなることで、他の精度も影響を受けるため、プレス装置Sの回転部における摩耗の度合いを示す総合すきまを評価することにより、プレス装置S全体の精度を評価することとする。回転部とは、クランク軸8及び軸受部を指し、軸受部は詳細には、クランク前メタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303を指す。クランク軸8とこれらのメタルとの間にはすきまがあるが、荷重が加わる前後において、このすきまが変化する。総合すきまとは、このような変化を表している。精度検査においては、スライド12をストロークの上限又は下限に定置して、ボルスタ22の略中央に所定の負荷を加え、支持点の下を測定点として、加圧前後に計測器の値を読み取って、読み取った値の差を総合すきまの測定値としている。

0027

図3は、プレス装置Sの回転部における各部のサイズを示す図である。プレス装置Sの回転部とは、具体的に、クランク軸8近傍を指す。クランク軸8は、本実施形態のプレス装置Sにおいては、クランク前メタル301、クランク後メタル302及びコンロッドメタル303の3つの軸受部によって支持されている。図3に示すように、クランク軸8は、プレス装置Sの前方(図3における左側)においては、円環状のクランク前メタル301内を回転し、プレス装置Sの後方図3における右側)においては、円環状のクランク後メタル302内を回転する。また、クランク軸8は、コンロッド10においては、円環状のコンロッドメタル303内を回転する。

0028

プレス装置Sの回転部の各サイズは、後述するプレス装置Sの総合すきまを算出する際のパラメータとして用いられる。クランク前メタル301の軸受内径をd1とし、クランク前メタル301の軸受長さをL1とする。クランク後メタル302の軸受内径をd2とし、クランク後メタル302の軸受長さをL2とする。コンロッドメタル303の軸受内径をd3とし、コンロッドメタル303の長さを軸受L3とする。また、クランク前メタル301の軸受長さL1方向における中央部から、コンロッドメタル303の軸受長さL3方向における中央部までの距離をI1とし、クランク後メタル302の軸受長さL2方向における中央部から、コンロッドメタル303の軸受長さL3方向における中央部までの距離をI2とする。

0029

プレス装置SにおいてワークWSへの加工が行われているとき、コンロッド10には力Fが働いており、クランク前メタル301には力Ffが働いており、クランク後メタル302には力Frが働いている。このとき、力Fは力Ffと力Frとが加算されたもの(F=Ff+Fr)となっている。

0030

(データ構造)
後述するプレス装置Sの推定摩耗量を算出する際に必要となるパラメータは、比摩耗量K(mm/(N/mm2・m/s・hr))、クランク前メタル301の軸受内径d1、クランク前メタル301の軸受長さL1、クランク後メタル302の軸受内径d2、クランク後メタル302の軸受長さL2、コンロッドメタル303の軸受内径d3、コンロッドメタル303の軸受長さL3、距離I1、距離I2である。ここで、クランク前メタル301の軸受内径d1、クランク後メタル302の軸受内径d2、コンロッドメタル303の軸受内径d3は、後述する推定摩擦量の算出においては、相殺される値であるため、パラメータとして入力しなくてもよい。このため、図4の「固定パラメータ」においては、これらはかっこ書きとしている。なお、これらのパラメータの入力は入力部18を介して行われ、入力されたパラメータは記憶部15に記憶される。

0031

ここで、比摩耗量Kは次のような値である。例えば、潤滑剤を用いていない無潤滑状態の場合、比摩耗量Kは6×10−4〜3×10−3の値である。また、所定の間隔で潤滑剤が投与されるような定期潤滑の場合、比摩耗量Kは6×10−5〜3×10−4である。更に、油潤滑の場合、比摩耗量Kは6×10−6〜3×10−5である。

0032

次に、プレス装置Sにおいて、ワークWSに所定の加工を行う際にコントローラ14によって実行されるプログラムをXとする。プログラムXには、プログラムXで使用される金型3のデータ(金型データ)、加工動作を示すモーションデータ、そして、後述する1ショット当たりの推定摩耗量Wxがづけられている。

0033

(推定摩耗量の算出方法
加工の1サイクルにおける推定摩耗量W[mm]は、次の式(1)を用いて求められる。
W=K×P×V×T (1)
なお、Kは上述した比摩耗量[mm/(N/mm2・m/s・hr)]、Pは軸受負荷面圧[N/mm2]、Vは軸受摺動速度[m/s]、Tは摩擦時間[hr]である。また、本実施形態では、比摩耗量Kとして油潤滑の場合の6×10−6〜3×10−5を用いる。

0034

ここで、P値V値PV値について説明する。これらの値は、クランク軸8が一方向に回転している場合と、摺動運動を行っている場合とで、異なる値となる。なお、以下の式において、Fは荷重[N]、dは上述した軸受内径[mm]、Lは上述した軸受長さ[mm]、Nは駆動モータ4の回転数[s−1]、cは揺動運動の際の揺動サイクル速度[s−1]、θは揺動運動の際の揺動角度[rad]である。

0035

まず、クランク軸8が一方向に回転している場合、P値[N/mm2]は、次の式(2)で表される。
P=F/(d×L) (2)
また、V値[m/s]は、次の式(3)で表される。
V=π×d×N/103 (3)
ここで、πは円周率である。
更に、PV値[N/mm2・m/s]は、式(2)、式(3)から、次の式(4)で表される。
PV=π×F×N/(L×103) (4)

0036

次に、クランク軸8が揺動運動をしている場合、P値[N/mm2]は、次の式(5)で表される。
P=F/(d×L) (5)
また、V値[m/s]は、次の式(6)で表される。
V=d×c×θ/103 (6)
更に、PV値[N/mm2・m/s]は、式(5)、式(6)から、次の式(7)で表される。
PV=F×c×θ/(L×103) (7)

0037

例えば、クランク軸8が一方向に回転している場合、1サイクルにおける推定摩耗量Wは、次の式(8)から求められる。なお、クランク軸8が揺動運動をしている場合も同様に1サイクルにおける推定摩耗量Wを求めることができる。
W=K×π×F×N×T/(L×103) (8)

0038

本実施形態においては、回転部には3つのメタル、具体的には、クランク前メタル301、クランク後メタル302、コンロッドメタル303がある。このため、上述した推定摩擦量W[mm]は、メタル毎に求める必要があり、それぞれ以下のように求められる。なお、クランク前メタル301の推定摩擦量をW1、クランク後メタル302の推定摩擦量をW2、コンロッドメタル303の推定摩擦量をW3とする。
W1=K×π×Ff×N×T/(L1×103) (9)
W2=K×π×Fr×N×T/(L2×103) (10)
W3=K×π×F×N×T/(L3×103) (11)

0039

また、センサ24により検知される荷重はFであり、力が働く系全体を剛体みなすと、各メタルに働く力は以下の式(12)のように表される。
F=Ff+Fr (12)
Ff=F×I2/(I1+I2) (13)
Fr=F×I1/(I1+I2) (14)

0040

プレス装置Sにおいては、クランク軸8が傾くことがないよう、プレス装置Sの前(クランク前メタル301側)後(クランク後メタル302側)にかかる負荷が略均等となるように設計されている。よって、推定摩擦量Wは、以下のように表される。
W=W3+(W1+W2)/2 (15)

0041

(加工動作中の推定摩耗量の算出)
図5は、プレス装置Sが所定の加工を行う際のスライド12の位置Y(実線)、クランク軸8の回転数N(破線)、荷重F(一点鎖線)を示すグラフであり、横軸は時間Tを示す。プレス装置Sにおいて、スライド12が始動位置から加工開始位置下降するとワークWSへの加工が開始される。加工が開始されると荷重Fが増加していき、加工が終了すると荷重Fは無負荷状態となる。スライド12は加工終了位置から上昇し、始動位置に戻る。ここで、始動位置から加工が終了した後の始動位置までを1サイクルとし、1サイクルに要する時間をサイクルタイムという。また、荷重Fが0から立ち上がり、0に戻るまでの時間を負荷時間という。

0042

ここで、負荷時間内において、スライド12がある位置Y1にあるときに、センサ24により検知された荷重FをF1、ロータリーエンコーダ25により検知されたクランク軸8の回転数NをN1とする。スライド12が位置Y1から単位時間ΔT後に位置Y2に移動したときに、センサ24により検知された荷重FをF2、ロータリーエンコーダ25により検知されたクランク軸8の回転数NをN2とする。単位時間ΔTの間の推定摩耗量ΔW(以下、単位摩耗量ΔWという)は、次の式(16)で表される。なお、プレス装置Sの加工中に荷重Fと回転数Nを検知しているため、式(16)は、クランク軸8が一方向に回転している場合も揺動運動している場合も用いられる式である。また、単位時間ΔTは、例えば数ミリ秒(msec)である。
ΔW=K×π×(F1+F2)/2×(N1+N2)/2
×ΔT/(L×103) (16)
これにより、1サイクルにおける推定摩耗量Wは、以下の式(17)のようにも表される。
W=ΣΔW (17)

0043

(推定摩耗量の積算値を算出する処理)
図6はプレス装置Sの摩耗量を算出する処理を示すフローチャートである。なお、プレス装置Sの推定摩耗量の積算値であるWtは、例えば工場出荷時に初期化されており(Wt=0)、総合すきまの値が許容値を超えて(例えば、JIS2級を下回って)、回転部のオーバーホールが行われた際にも初期化される。コントローラ14は、推定摩耗量の積算値Wtを初期化する初期化機能を有する。作業者がオーバーホールを行い、入力部18を介してコントローラ14によって推定摩耗量の積算値Wtを初期化する。なお、プレス装置Sが、オーバーホールが行われたことを検知する検知手段を有し、検知手段によりオーバーホールが行われたことを検知したときに、コントローラ14が自動で推定摩耗量の積算値Wtを初期化するようにしてもよい。

0044

また、工場出荷時には、プレス装置Sの回転部におけるすきま(mm)が測定され、予め総合すきまの初期値(例えば、0.3mm〜0.4mmの値)として記憶部15に記憶されているものとする。本実施形態においては、コントローラ14は、総合すきまの初期値に式(17)で求めた1サイクルにおける推定摩耗量Wを加算した値を総合すきまの推定値とする。コントローラ14は、総合すきまを推定する総合すきま推定手段として機能する。なお、本実施形態では、総合すきまの各級の許容値は、図8(b)のクランク形の方が用いられる。

0045

コントローラ14は、プレス装置SによってワークWSに所定の加工を開始するとステップ(以下、Sとする)601以降の処理を開始する。S601でコントローラ14は、クランク軸8の回転数N1、荷重F1、1サイクルにおける推定摩耗量Wの値をそれぞれ初期化(N1=0、F1=0、W=0)する。S602でコントローラ14は、スライド12の位置Yの値、ロータリーエンコーダ25の検知結果から回転数Nの値、センサ24の検知結果から荷重Fの値、をそれぞれ更新する。なお、スライド12の位置Yは、例えば、クランク軸8が上死点からどのくらい回転したかに基づいて求めることができる。

0046

S603でコントローラ14は、S602で更新した回転数NをN2とし、荷重FをF2とする。S604でコントローラ14は、加工が開始されたか否かを判断し、加工が開始されたと判断した場合、処理をS606に進め、加工が開始されていないと判断した場合、処理をS605に進める。S604の加工開始とは、1サイクルの開始をいう。S605でコントローラ14は、回転数N1に回転数N2を代入し(N1=N2)、荷重F1に荷重F2を代入して(F1=F2)、処理をS602に戻す。

0047

S606でコントローラ14は、上述した式(16)を用いて単位摩耗量ΔW(1スキャン毎の推定摩耗量ΔWともいう)を算出する。S607でコントローラ14は、前回の加工において求められた推定摩耗量WにS606で算出した単位摩耗量ΔWを加算し、新たな推定摩耗量Wを求める(W=W+ΔW)。S608でコントローラ14は、回転数N1に回転数N2を代入し(N1=N2)、荷重F1に荷重F2を代入する(F1=F2)。S609でコントローラ14は、加工が終了したか否かを判断し、加工が終了したと判断した場合、処理をS610に進め、加工が終了していないと判断した場合、処理をS602に戻す。S609の加工終了とは、1サイクルの終了をいう。

0048

S610でコントローラ14は、終了した所定の加工を行うために呼び出されたプログラム(例えば、プログラムXとする)の推定摩耗量WxにS607で求めた推定摩耗量Wを代入し、記憶部15に記憶する。本実施形態では、S610で、プログラムXにおける1サイクルで求められた推定摩耗量WxをプログラムXの推定摩耗量Wxとしているが、例えば、プログラムXについて複数のサイクルで複数の推定摩耗量Wを求め、それらの平均をプログラムXの推定摩耗量Wxとしてもよい。

0049

S611でコントローラ14は、プレス装置Sの推定摩耗量の積算値Wtに、S607で求めた1サイクルにおける推定摩耗量Wを加算し、プレス装置Sの新たな推定摩耗量の積算値Wtを求める(Wt=Wt+W)。コントローラ14は、プレス装置Sの推定摩耗量の積算値Wtを推定する摩耗量推定手段として機能する。S612でコントローラ14は、1サイクルにおける推定摩耗量Wを初期化する(W=0)。S613でコントローラ14は、生産が終了したか否かを判断し、生産が終了したと判断した場合、処理を終了し、生産が終了していないと判断した場合、処理をS602に戻す。

0050

(摩耗量の表示)
図7は、プレス装置Sの表示部16に表示されるデータの一例を示す図である。表示画面701には、例えば、総合すきまの推定値(mm)702、プレス装置Sの推定摩耗量の積算値Wt(μm)の所定の期間における積算値703、総合すきまのJIS規格の2級の値704(0.76mm)、総合すきまのJIS規格の1級の値705(0.62mm)、総合すきまの初期値706(例えば、0.39mm)といったデータが表示されている。横軸は使用時間(年)を示している。ここで、プレス装置Sの推定摩耗量の積算値Wtの所定の期間における積算値703は、図7では、半年間における積算値としているが、これに限定されるものではない。

0051

このように、本実施形態のように、荷重Fと回転数Nとに基づいてプレス装置Sの推定摩耗量の積算値Wtを求め、求めた推定摩耗量の積算値Wtに基づいて総合すきまのデータを表示部16に表示させることで、プレス装置Sの経年変化のデータを作業者に提供することができる。

0052

なお、上述した所定の期間はプログラムを切り替えるときや、ロット単位、月単位等でもよい。また、本実施形態では、推定摩耗量の積算値Wtや総合すきまの推定値を、プレス装置Sの表示部16に表示させた。しかし、例えば、プレス装置Sに接続されたパーソナルコンピュータサーバーコンピュータ)等に表示させてもよい。更に、総合すきまの推定値が規定値を上回った場合には、その旨を作業者に通知したり、プレス装置Sのメーカー担当者サービスマン)に自動で通知するような構成としてもよい。

0053

本実施形態では、プレス装置Sの回転数Nと荷重Fとを監視し、回転部の軸受部(メタル)の単位摩耗量ΔWを随時算出することで、1台のプレス装置Sで多種多様な加工を行う場合においても、回転部の軸受部(メタル)の摩耗量(言い換えれば、寿命)を精度良く予測し、プレス装置Sに問題が起きる前に適切なタイミングで作業者にメンテナンスを促すことが可能となる。

0054

また、式(16)で説明したように、本実施形態では、1サイクルの推定摩耗量Wを求めるためのパラメータに、比摩耗量Kとメタルの軸受長さ(L)を追加する。また、プレス装置Sの加工中の回転数Nと荷重Fを同時に監視し、単位摩耗量ΔWを算出する。また、プログラム毎に1ショット当たりの推定摩耗量(負荷度合い)Wxを求め、記憶部15に記憶する。また、所定の期間における推定摩耗量の積算値Wtを積算し、総合すきまの初期値に加算することで総合すきまの推定値を得、経年変化のグラフ(横軸:時間、縦軸:総合すきま)として表示する。更に、年に1回行われる特定自主検査において得られた総合すきまの検査履歴を記憶部15に記憶しておき、図7の表示画面701の総合すきまの推定値とともに総合すきまの実測値としてグラフに描画して表示させてもよい。

0055

以上のことから、本実施形態では、クランク前メタル301、クランク後メタル302、又はコンロッドメタル303等の軸受部における推定摩耗量の算出精度を向上することができる。また、プログラム単位の推定摩耗量Wxを記憶しておくことで、プレス装置Sの負荷の度合いに応じて生産の振り分けを行うことができるようになり、プレス装置Sの負荷を平準化することができる。また、軸受部の摩耗進度を容易に確認することができる。更に、プレス装置Sの精度をデジタル化することができる。

0056

以上、本実施形態によれば、プレス装置内の回転部における摩耗量を精度よく予測し、総合すきまの推定値を表示部に表示することができる金型プレス装置及び金型プレス方法を提供することができる。

0057

2筐体
3金型
3a上型
3b下型
4駆動モータ
6伝達機構
8クランク軸
10コンロッド
12スライド
14コントローラ
15 記憶部
16 表示部
18 入力部
22ボルスタ
24センサ
25ロータリーエンコーダ
26ギブ
301クランク前メタル
302 クランク後メタル
303 コンロッドメタル
701表示画面
S プレス装置

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