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技術 真空ポンプのモータ異常検出装置および真空ポンプシステム

出願人 株式会社島津製作所
発明者 田中晋悟
出願日 2017年4月3日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-073824
公開日 2018年11月15日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-182786
状態 未査定
技術分野 電動機の制御一般 容積形ポンプの制御 非容積形送風機
主要キーワード 平均デューティ比 故障直前 上下限範囲 モータ制御値 定格回転状態 モータ定格電流 定格運転条件 全記録データ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

モータ故障に至る前に、モータ異常を検出することが可能な真空ポンプモータ駆動装置を提供する。

解決手段

真空ポンプのモータ異常検出装置は、モータの正常動作時におけるモータのモータ制御値を取得し(S23)、取得したモータ制御値に基づいて、モータの異常判定閾値を記憶する(S24)処理を実行する記憶処理部と、モータのモータ制御値を取得し、取得されたモータ制御値と、記憶処理部によって記憶されているモータの異常判定閾値とを比較する(S33,S34)ことによって、モータ異常を検出する異常検出部とを備える。

概要

背景

ターボ分子ポンプのような真空ポンプは、半導体デバイス等の製造設備として使用される。真空ポンプは、インバータ装置によりモータ回転制御して排気を行っている。インバータ装置の予期せぬ故障により、生産工程に支障が出ないよう、インバータ装置にインバータ自体を保護する保護機能をもたせたものがある。このタイプのインバータ装置は、過電圧過電流に起因するエラーを検出すると、保護機能が作動して運転を停止する。

インバータに保護機能を持たせたとしても、保護機能が作動して運転がしばしば停止することは好ましくない。そこで、過電圧や過電流に起因するエラーが発生した場合、いったんインバータ装置の駆動を停止し、エラーの発生が、再稼働させることが可能な軽微な原因に起因する場合には、インバータ装置の駆動を再開させるようにした真空ポンプのモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。

概要

モータが故障に至る前に、モータ異常を検出することが可能な真空ポンプのモータ駆動装置を提供する。真空ポンプのモータ異常検出装置は、モータの正常動作時におけるモータのモータ制御値を取得し(S23)、取得したモータ制御値に基づいて、モータの異常判定閾値を記憶する(S24)処理を実行する記憶処理部と、モータのモータ制御値を取得し、取得されたモータ制御値と、記憶処理部によって記憶されているモータの異常判定閾値とを比較する(S33,S34)ことによって、モータ異常を検出する異常検出部とを備える。

目的

異常検出オフモードは、異常状態の検出を行いたくないユーザに対して提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ロータと前記ロータを回転駆動するモータとを有する真空ポンプにおける前記モータの異常を検出するモータ異常検出装置であって、前記モータの正常動作時における前記モータのモータ制御値を取得し、取得した前記モータ制御値に基づいて、前記モータの異常判定閾値を記憶する処理を実行する記憶処理部と、前記モータのモータ制御値を取得し、取得されたモータ制御値と、前記記憶処理部によって記憶されている前記モータの異常判定閾値とを比較することによって、前記モータのモータ異常を検出する異常検出部とを備える、モータ異常検出装置。

請求項2

請求項1に記載のモータ異常検出装置において、前記記憶処理部は、複数のモータ目標値に対応付けて前記異常判定閾値を記憶し、前記異常検出部は、モータ異常を判断する時点における前記モータを回転駆動しているモータ目標値に対応づけて記憶されている前記異常判定閾値と、取得されたモータ制御値とを比較することによって、前記モータのモータ異常を検出する、モータ異常検出装置。

請求項3

請求項2に記載のモータ異常検出装置において、前記モータ目標値はモータ電流であり、前記モータ制御値はパルス変調信号であり、前記異常判定閾値は前記パルス変調信号のデューティ比閾値であり、前記異常検出部は、取得されたパルス変調信号のデューティ比と、前記記憶処理部によって記憶されている前記デューティ比の閾値とを比較することによって、前記モータのモータ異常を検出する、モータ異常検出装置。

請求項4

請求項3に記載のモータ異常検出装置において、前記異常判定閾値は、前記デューティ比の平均値の閾値、前記デューティ比の最大値の閾値、および、前記デューティ比の最小値の閾値の少なくとも1つを含み、前記異常検出部は、取得されたパルス変調信号のデューティ比の平均値と前記記憶処理部によって記憶されている前記デューティ比の平均値の閾値とを比較する、又は、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最大値と前記記憶処理部によって記憶されている前記デューティ比の最大値の閾値とを比較する、或いは、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最小値と前記記憶処理部によって記憶されている前記デューティ比の最小値値の閾値とを比較することによって、前記モータのモータ異常を検出する、モータ異常検出装置。

請求項5

請求項3または4に記載のモータ異常検出装置において、前記異常判定閾値である前記パルス変調信号の閾値は、正常動作時に取得されたパルス変調信号のデューティ比に所定の演算を行うことによって取得される値である、モータ異常検出装置。

請求項6

請求項1から5までのいずれか1項に記載のモータ異常検出装置において、真空ポンプの起動後、前記記憶処理部による記憶処理と、前記異常検出部による判定処理とをその順番で実行する、モータ異常検出装置。

請求項7

請求項1から6までのいずれか1項に記載のモータ異常検出装置において、前記記憶処理部による記憶処理を行う記憶モードと、前記異常検出部による異常検出処理を行う異常検出モードとを、ユーザ操作に基づいて選択するモード選択部をさらに備える、モータ異常検出装置。

請求項8

請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたモータ異常検出装置と、前記モータの駆動により真空排気を行うポンプユニットと、を備える、真空ポンプシステム

技術分野

0001

本発明は、真空ポンプモータ異常検出装置および真空ポンプシステムに関する。

背景技術

0002

ターボ分子ポンプのような真空ポンプは、半導体デバイス等の製造設備として使用される。真空ポンプは、インバータ装置によりモータを回転制御して排気を行っている。インバータ装置の予期せぬ故障により、生産工程に支障が出ないよう、インバータ装置にインバータ自体を保護する保護機能をもたせたものがある。このタイプのインバータ装置は、過電圧過電流に起因するエラーを検出すると、保護機能が作動して運転を停止する。

0003

インバータに保護機能を持たせたとしても、保護機能が作動して運転がしばしば停止することは好ましくない。そこで、過電圧や過電流に起因するエラーが発生した場合、いったんインバータ装置の駆動を停止し、エラーの発生が、再稼働させることが可能な軽微な原因に起因する場合には、インバータ装置の駆動を再開させるようにした真空ポンプのモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2015−117694号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載された真空ポンプのモータ制御装置では、再稼働させることが可能な軽微な原因に含まれない原因に起因するエラーに対しては、何らの効果もない。つまり、従来では、真空ポンプが故障に至る前の予兆であるモータ運転時の異常を検出することはできなかった。

課題を解決するための手段

0006

本発明の好ましい実施形態は、ロータとロータを回転駆動するモータとを有する真空ポンプにおけるモータの異常を検出するモータ異常検出装置であって、モータの正常動作時におけるモータのモータ制御値を取得し、取得したモータ制御値に基づいて、モータの異常判定閾値を記憶する処理を実行する記憶処理部と、モータのモータ制御値を取得し、取得されたモータ制御値と、記憶処理部によって記憶されているモータの異常判定閾値とを比較することによって、モータのモータ異常を検出する異常検出部とを備える。
さらに好ましい実施形態では、モータ異常検出装置の上記記憶処理部は、複数のモータ目標値に対応付けて異常判定閾値を記憶し、異常検出部は、モータ異常を判断する時点におけるモータを回転駆動しているモータ目標値に対応づけて記憶されている異常判定閾値と、取得されたモータ制御値とを比較することによって、モータのモータ異常を検出する。
さらに好ましい実施形態では、モータ目標値はモータ電流であり、モータ制御値はパルス変調信号であり、異常判定閾値はパルス変調信号のデューティ比閾値であり、異常検出部は、取得されたパルス変調信号のデューティ比と、記憶処理部によって記憶されているデューティ比の閾値とを比較することによって、モータのモータ異常を検出する。
さらに好ましい実施形態では、異常判定閾値は、デューティ比の平均値の閾値、デューティ比の最大値の閾値、および、デューティ比の最小値の閾値の少なくとも1つを含み、異常検出部は、取得されたパルス変調信号のデューティ比の平均値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の平均値の閾値とを比較する、または、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最大値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の最大値の閾値とを比較する、あるいは、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最小値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の最小値値の閾値とを比較することによって、モータのモータ異常を検出する。
さらに好ましい実施形態では、異常判定閾値であるパルス変調信号の閾値は、正常動作時に取得されたパルス変調信号のデューティ比に所定の演算を行うことによって取得される値である。
さらに好ましい実施形態では、真空ポンプの起動後、記憶処理部による記憶処理と、異常検出部による判定処理とをその順番で実行する。
さらに好ましい実施形態では、記憶処理部による記憶処理を行う記憶モードと、異常検出部による異常検出処理を行う異常検出モードとを、ユーザ操作に基づいて選択するモード選択部をさらに備える。
本発明の好ましい実施形態による真空ポンプシステムは、上記のように構成したモータ異常検出装置と、モータの駆動により真空排気を行うポンプユニットと、を備える。

発明の効果

0007

本発明によれば、真空ポンプが故障に至る前の予兆である軽微なモータ異常を検出することができる。

図面の簡単な説明

0008

図1は、本発明に係る真空ポンプの一例としてのターボ分子ポンプの断面図である。
図2は、コントロールユニット概略構成を示すブロック図である。
図3は、PWM制御時のPWM電圧波形とモータ電流波形とを示し、図3(a)、図3(b)は無負荷定格回転状態の場合、図3(c)、図3(d)は、高負荷回転状態の場合である。
図4は、モータの異常検出の処理手順の第1の実施形態を示すフローチャートである。
図5は、デューティ比の平均値、デューティ比の最大値およびデューティ比の最小値を説明するための図である。
図6は、デューティ比を設定する方法の一例を説明するための図である。
図7(a)、(b)は、デューティ比を設定する方法の他の例を説明するための図である。
図8は、モータの異常検出の処理手順の第2の実施形態を示すフローチャートである。

実施例

0009

以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1の実施形態−
図1は、本発明に係る真空ポンプの断面図である。以下では、真空ポンプの一実施の形態を、ターボ分子ポンプを例として説明する。
ターボ分子ポンプは、ポンプシステムとして、真空排気を行うポンプユニット1と、ポンプユニットを駆動制御するコントロールユニット40(図2参照)とを備えている。図1は、ポンプユニット1の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、コントロールユニット40は図示を省略されている。
図1に示すポンプユニット1は、排気機能部として、タービン翼排気部P1と、ねじ溝排気部P2とを備えている。タービン翼排気部P1は、ロータ30に形成された複数段回転翼32と、ポンプケーシング34側に配置された複数段の固定翼33とで構成される。回転翼32と固定翼33とは、軸方向に交互に配置されている。各固定翼33は、その外周側の周縁がその固定翼33間に配置されたスペーサ35で挟持されることにより固定されている。

0010

ねじ溝排気部P2は、ベース20内側に設けられたねステータ39と、ロータ30の下端部に設けられたロータ円筒部31により構成されている。ねじステータ39とロータ円筒部31の一方には、ねじステータ39とロータ円筒部31との対向面側にねじ溝が形成されている。ロータ30は回転軸であるシャフト10に、不図示のボルト等により一体的に設けられている。

0011

図1に示したターボ分子ポンプは磁気軸受式のポンプであり、シャフト10、すなわちロータ30は、電磁石37、38によって非接触支持される。シャフト10の浮上位置は、ラジアル変位センサ26およびアキシャル変位センサ25によって検出される。磁気軸受によって回転自在に磁気浮上されたロータ30は、モータ36により高速回転駆動される。モータ36には、例えば、DCブラシレスモータが用いられる。シャフト10の回転数回転センサ23によって検出される。回転センサ23には、例えばインダクタンス式のセンサが用いられる。

0012

ポンプケーシング34の上端には、吸気口21aが設けられた吸気口フランジ21が形成されている。ベース20には排気ポート22が設けられ、この排気ポート22にバックポンプ(図示せず)が接続される。ロータ30を磁気浮上させつつモータ36により高速回転駆動することにより、吸気口21aから吸引されたプロセスガスが、タービン翼排気部P1およびねじ溝排気部P2を経由して、排気ポート22の排気口から排気される。

0013

ポンプユニット1に接続されるコントロールユニット40は、ポンプユニット1の近傍に配置される。コントロールユニット40をポンプユニット1のベース20の下面側に取付け、コントロールユニット一体型の真空ポンプとすることもある。なお、ポンプユニット1は、ベース20やモータ36の温度を検出する温度センサ27を備えている。

0014

図2はコントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。
コントロールユニット40は、AC/DC変換回路41、DC/DCコンバータ42、電圧検出部43、インバータ44、電流センサ45、制御回路51、モータ駆動制御回路52、磁気軸受制御回路53、記憶部54、演算部55等を有する。モータ駆動制御回路52および磁気軸受制御回路53は、制御回路51の指令に基づき動作する。
AC/DC変換回路41はコントロールユニット40に入力される交流電力直流電力に変換する。DC/DCコンバータ42からインバータ44に入力される直流電圧電圧値は、電圧検出部43により検出される。検出された電圧値はモータ駆動制御回路52に入力される。

0015

インバータ44には、DC/DCコンバータ42からの直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子が複数備えられている。インバータ44に設けられた複数のスイッチング素子のオンオフは、モータ駆動制御回路52からのPWM(Pulse Width Modulation)指令により制御される。電流指令として出力しているPWM信号のデューティ比を変えてモータ電流を変化させることにより、モータ駆動制御を行っている。モータ36に流れるモータ電流値は電流センサ45によって検出される。電流センサ45によって検出された電流値、および回転センサ23によって検出された回転数は、モータ駆動制御回路52に入力される。

0016

磁気軸受制御回路53は、アキシャル変位センサ25、ラジアル変位センサ26の位置情報に基づいて磁気軸受を構成する電磁石37、38の電流を制御する。
なお、制御回路51には、温度センサ27からの温度情報と、モード設定スイッチ28からのモード設定信号が入力される。

0017

ターボ分子ポンプのような真空ポンプの運転では、モータ回転を一定の目標回転数(通常は定格回転数)とし、その目標回転数を維持できる程度の電力で回転駆動する。そのため、ガス流入量ゼロの状態からガス流入が開始されてモータ36の負荷が増加した場合には、モータ電流を増加させてモータ回転数を定格回転数に維持するようにしている。すなわち、デューティ比を制御して定格回転数が維持されるようにしている。ガス流入が停止されて再び無負荷状態となると回転数が上昇するので、回転数が一定に維持されるようにデューティ比を小さくする制御が働き、モータ電流が低減する。逆に、負荷が大きくなると回転数が減少するので、回転数が一定に維持されるようにデューティ比を大きくする制御が働き、モータ電流が増加する。

0018

図3は、PWM制御時のPWM電圧波形とモータ電流波形とを示し、図3(a)、図3(b)は無負荷定格回転状態の場合、図3(c)、図3(d)は、高負荷回転状態の場合である。
PWM信号のデューティ比は、パルス幅Δtnをパルス周期Δtで割った値、すなわち
PWM信号のデューティ比D=Δtn/Δtである。
高負荷の場合、モータ電流を大きくするようにPWM信号のデューティ比(以下、単に、デューティ比ということもある)が図3(a)の低負荷の場合に比べて大きな値に設定され、そのときのPWM電圧波形は図3(c)に示すようになる。図3(c)に示す例では、デューティ比は、D2=Δt2/Δtとなっている。図3(d)は、図3(c)に示すPWM電圧波形の場合のモータ電流波形を示す。

0019

モータ36の結線短絡状態の場合には、デューティ比が非常に小さいにも拘わらずモータ36には大電流が流れる。逆に、モータ36の結線が断線状態の場合には、デューティ比が100%近くになっているにも拘わらず、モータ電流は殆どあるいは全く流れない。この状態を検出することにより、モータ36の異常を検出することが可能である。

0020

しかし、モータ36の結線が断線短絡を起こした状態は、既に、故障した状態であって、運転を停止し、故障の修理をすることが必要である。このような故障に至る前に異常を検出することができれば、例えば、再稼働等により異常を修復したり、負荷側の異常を検討したり、あるいは予め保護対策を講じたりする等、対応がし易くなる。
しかしながら、PWM信号のデューティ比とモータ36に流れる電流値とは、図3に図示されるように、所定の相関は存在するものの、部品のばらつきや、ポンプユニット1とコントロールユニット40との組み合わせの変更、あるいは真空処理装置と真空ポンプの組み合わせに伴って変動するため、その具体的な相関関係は一義的には定まらない。

0021

本発明者等は、このような課題を見いだして本発明を想到するに至った。以下に、その実施形態を説明する。

0022

図4は、モータの異常検出の処理手順の第1の実施形態を示すフローチャートである。図4に示す処理は、コントロールユニット40の電源がONされるとスタートする。コントロールユニット40の電源ON/OFFは、コントロールユニット40側に設けた電源スイッチによらず、真空ポンプが装着される主装置の電源ON/OFFによりなされるようにしてもよい。

0023

なお、図4に示す処理を行う前にユーザは、モード設定スイッチ28(図2参照)により、異常検出オフモード、記憶モードおよび異常検出モードのいずれかのモードを選択的に設定しておく。モードの設定は、手動によるスイッチ操作の他、通信によって行うようにしてもよい。

0024

異常検出モードは、記憶モードで設定された異常判定閾値を用いてモータ異常を検出するモードである。

0025

記憶モードは、異常検出モードで利用する異常判定閾値を設定するためのモードである。たとえば次のような状況下で記憶モードが設定される。ユーザは真空処理装置の負荷に基づき真空ポンプの運転条件を設定する。真空ポンプを定格運転するには、真空処理装置の負荷に応じてモータ定格電流を設定する。真空処理装置は種々の真空処理を行うため負荷も様々であり、設定されるモータ定格電流も様々である。たとえば、1Aのモータ定格電流が設定されたり、6Aのモータ定格電流が設定される。このような様々な定格電流に対する異常判定を正しく行うためには、モータの定格電流ごとに異常判定閾値を設定する必要がある。記憶モードはこのような背景で要求されるモードである。すなわち、異なる定格電流ごとに異常判定閾値を設定するためのモードである。

0026

記憶モードで異常判定閾値を設定するため、第1の実施形態では、制御回路51に次のような異常判定閾値の記憶処理機能と、異常検出処理機能を備える。記憶処理機能は、真空ポンプが正常に動作しているときにサンプリングしたモータ電流制御値のデューテイ比に基づいて異常判定閾値を記憶する機能処理である。異常検出処理機能は、モータ電流制御値のデューティ比が記憶された異常判定閾値から外れたときモータの軽微な異常を検出する機能処理である。

0027

第1の実施形態では、次のような異常判定閾値を用いる。所定期間内にサンプリングしたデューティ比の平均値を中間値とし、中間値の±20%の値を上限閾値/下限閾値とする。つまり平均値の上下限値である。所定期間内にサンプリングした複数個デュティ比の最大値/最小値を上限閾値/下限閾値とする。このように設定された上下限範囲を外れるサンプリング値を異常として判定する。

0028

異常検出オフモードは、異常状態の検出を行いたくないユーザに対して提供するモードである。この異常検出オフモードが設定されると異常判定閾値が無効とされ、異常検出が行われない。

0029

コントロールユニット40の電源がONされると、ステップS11において、異常検出オフモードか否かが判断される。異常検出オフモードであればステップS12に進み、通常運転が行われる。通常運転中に異常判定閾値を外れる検出値があったとしても異常検出することがない。通常運転は停止信号によって終了し、真空ポンプは停止する。異常検出オフモードでなければ、ステップS21に進む。
ステップS21では、記憶モードであるか否かが判断される。記憶モードであれば、ステップS22に進み、記憶モードでなければ、ステップS31に進む。

0030

ステップS22では、定格回転数でモータが駆動される定格運転が行われる。異常判定閾値の上下限値内でポンプが運転されているときは、モータ36に通常の負荷がかかっている正常な定格運転ということができる。この定格運転では、定格回転数を維持できる程度の電力でモータ36が回転駆動される。そして、ステップS23において、制御回路51の指令により、定格回転時にモータ36に通電されるモータ定格電流と対で、その時のデューティ比を記憶部54に記憶する。この記憶処理は、ステップS22の定格運転において、モータが正常動作している場合に実行される。

0031

ここで正常動作している場合について説明する。たとえば、ポンプ起動処理においては、モータ回転数が徐々に増加して所定時間、たとえば20分で定格回転数に達する。定格回転数での定格運転が開始されてから所定時間内に大きな負荷が発生する可能性は低い。そのため、定格運転開始から所定時間の間のモータの電流制御値PWMデューティ比を記憶する。こうすることにより、モータが正常に動作する間のモータ電流の制御値とデューティ比などを記憶することができる。そして、このように記憶した異常判定閾値に基づいて、軽微なモータ異常を検出、すなわち故障を予兆することができる。

0032

図5は、PWM信号のデューティ比の平均値、デューティ比の最大値およびデューティ比の最小値を説明するための図であり、説明を簡単化するため、PWM信号のハイレベルの期間をPWM信号のデューティ比に置き換えて説明している。
モータ36に一定の電流を流すためには、モータ36に流れる電流値をモニタしながらデューティ比を常に変動させて、一定電流を維持する制御がなされる。例えば、モータ36に流れる最大電流値10A程度に対してモータ36に5Aの電流を流す場合、図5に示すように、デューティ比の平均値Daveを中心として、デューティ比の最大値Dmaxからデューティ比の最小値Dminまでの範囲を変動させる。真空ポンプでは、モータを定格回転数で運転して所望の排気性能を得る。排気性能は真空処理の負荷の大小にかかわらず一定の性能が要求される。必要な真空処理の負荷に応じたモータ電流が定格電流(モータ最大電流)として設定される。

0033

ステップS23では、モータ36に通電するモータ電流制御値のデューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを記憶する。なお、Dfullはデューティ比100%を示し、最大値Dmaxと最小値Dminは、記憶モードにおいて計測して記憶したデューティ比の最大値と最小値である。

0034

図6は、デューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを設定する方法の一例を説明するための図である。
所定の時刻t1からΔtの期間におけるデューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを記録する。同様に、次の時刻t2からΔtの期間におけるデューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを記録する。これをn回繰り返す。そして、n回全記録データのデューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを求める。算出に必要な演算は、制御回路51の指令により演算部55にて行われる。

0035

図7(a)、(b)は、デューティ比を設定する方法の他の例を説明するための図である。
図7(a)に示すように、所定の時刻t1、t2、t3……tnに、そのときのPWM信号のデューティ比を記録する。そして、図7(b)に示すように、n回の全記録データのデューティ比の平均値Dave、デューティ比の最大値Dmaxおよびデューティ比の最小値Dminを求める。算出に必要な演算は、制御回路51の指令により演算部55にて行われる。

0036

モータ電流制御値のデューティ比の記憶処理が完了したら、ステップS24に進む。ステップS24では、制御回路51の指令により、記憶処理で記憶されたデータを使用して異常判定閾値、つまり上限閾値および下限閾値を求め、記憶部54に記憶する。上限閾値および下限閾値の算出は、制御回路51の指令により演算部55にて行われる。ステップS24の処理は以下で説明する。

0037

第1の実施形態では、上・下限閾値を、基準値に対する所定の許容値として設定する。例えば、上・下限閾値を「基準値±20%」に設定する。図6または図7に示す方法で設定されたモータ定格電流5Aにおけるデューティ比について、平均値Dave=45%、最大値Dmax=67%、最小値Dmin=21%とする。この場合には、デューティ比の平均値Dave=54%、最大値Dmax=80%、最小値Dmin=25%がモータ定格電流5Aにおける上限閾値となる。また、デューティ比の平均値Dave=36%、最大値Dmax=54%、最小値Dmin=20%がモータ定格電流5Aにおける下限閾値となる。
上・下限閾値が記憶されたら、真空ポンプを停止する。

0038

ステップS31では、異常検出モードか否かが判断される。
ステップS31で異常検出モードでないと判断されれば、ステップS11に戻る。この場合、いずれのモードでもないと判断されることになるので、モード設定に異常がある旨を、モニタ等に報知するようにしてもよい。ステップS31で異常検出モードであると判断されればステップS32に進み、通常運転が実行される。通常運転は、ステップS22の定格運転と同様、モータ36を予め設定した定格運転条件で駆動する。

0039

通常運転が実行されると、所定のタイミングで、ステップS33およびステップS34の処理が実行される。ステップS33では、通常運転時のモータ電流制御値のデューティ比が、上限閾値を超えたか否かが判断される。デューティ比が上限閾値を超えることはモータ36に正常運転時の最大電流を超えた電流が流れていることである。従って、ステップS33でモータ電流制御値におけるデューティ比が、上限閾値を超えたと判断されれば、ステップS35に進み、モータ異常が報知される。この場合のモータ異常は、モータ結線の短絡のようなモータ故障時の過大電流に比べると小さい値であるので、これは、モータの軽微な異常、つまり短絡とは異なるモータ故障の予兆を示す異常である。

0040

ステップS33で、その時のモータ電流制御値におけるデューティ比が上限閾値を超えていないと判断されれば、ステップS34に進み、その時のモータ電流制御値におけるデューティ比が、下限閾値を下回ったか否かが判断される。デューティ比が下限閾値を下回っていることはモータ36に正常運転時の最小電流を下回る電流が流れていることである。従って、ステップS33でその時のモータ電流制御値におけるデューティ比が、下限閾値を下回っていると判断されれば、ステップS36に進み、モータ異常が報知される。この場合のモータ異常は、モータ結線の断線のようなモータ故障時の過小電流に比べると小さい値であるので、これをモータの軽微な異常、つまり断線とは異なるモータ故障の予兆を示す異常である。

0041

なお、上記実施形態では、ステップS24において、上・下限閾値を予め算出して記憶部54に記憶しておくものとして例示した。しかし、基準値±20%というように、上・下限閾値を求める条件を記憶部54に記憶しておき、ステップS33およびステップS34で、その時のデューティ比と比較する際に、上・下限閾値を求める条件に基づいて上・下限閾値を算出するようにしてもよい。たとえば、基準値をデューティ比の平均値とすれば、モータ電流5Aにおけるデューティ比の平均値Daveを算出し、この平均値の+20%が上限閾値(最大値Dmax)、−20%が下限閾値(最小値Dmin)となる。たとえば、Dave=45%であれば、最大値Dmax=54%、最小値Dmin=36%である。
本明細書において、記憶部54に閾値を記憶するとは、閾値そのものの他に、閾値を求める条件(たとえば、基準値の±20%)を記憶部54に記憶することを含めるものとする。

0042

ステップS33およびステップS34において上・下限閾値を超えている(YES)と判断するのは、デューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminのすべてが上限閾値を超えている、または下限閾値を下回っている場合とした。しかし、デューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminのいずれか1つまたは2つが上限閾値または下限閾値を超えている場合に上・下限閾値を超えている(YES)と判断してもよい。

0043

ステップS33およびステップS34の処理は、真空処理装置側あるいは真空ポンプ側からの停止信号が受信されるまで所定のタイミングで周期的に繰り返され、真空ポンプを運転中、継続的に、モータ36に異常が発生していないか否かが監視される。そして、停止信号を受信することによって真空ポンプは停止する。

0044

上記実施形態では、一つのモータ定格電流に対する異常判定閾値について説明した。本発明のモータ駆動装置では、複数のモータ定格電流に対して異常判定閾値を設定してもよい。例えば、モータ定格電流1Aとなる負荷状態の他に、モータ定格電流が4Aおよび6Aとなるような負荷状態がある場合には、モータ定格電流が4Aおよび6Aそれぞれにおける異常判定閾値をも設定する。このようにすることにより、種々の負荷状態に対して、異常状態の検出が可能となる。

0045

上述したように、ユーザは、真空処理条件を変更したとき、たとえば、モータ定格電流を1Aから6Aに変更して真空ポンプを再起動するときは記憶モードを設定する。再起動後の正常運転において、サンプリング間隔でデューティ比を定格電流と対応づけて記憶する。このような記憶処理を所定時間繰り返し行い、その間の平均デューティ比Dave、最大値Dmax、最小値Dminを演算して定格電流6Aと対で記憶する。異常判定閾値が記憶された後、異常検出モードが設定されていれば、記憶された異常判定閾値に基づいて異常判定処理が行われる。
定格電流6Aに対で記憶した平均デューティ比Dave、最大値Dmax、最小値Dminは、定格電流1Aに対で記憶した平均デューティ比Dave、最大値Dmax、最小値Dminとともに保存することが望ましい。真空処理条件が変更されるたびに異常判定閾値記憶処理を行う場合には、一つの定格電流に対する異常判定閾値を保存するようにしてもよい。

0046

上記本発明の第1の実施形態によれば、下記の作用効果を奏する。
(1)モータ異常検出装置は、たとえばモータ36の定格電流(目標値)と対で、真空処理装置の負荷が小さい正常動作時に取得したモータ制御値(モータ電流制御値、デューティ比など)に基づくモータ36の軽微な異常を検出するための判定閾値を記憶する処理を実行する記憶処理機能を備えた制御回路51と、目標値と対で記憶されている異常判定閾値に基づいてモータ異常を検出する異常検出機能を備えた制御回路51とを有する。
より具体的に説明すると、制御回路51に実装された記憶処理部は、モータ36の正常動作時におけるモータ36のモータ制御値を取得し、取得したモータ制御値に基づいて、モータ36の異常判定閾値を記憶する処理を実行する。制御回路51に実装された異常検出部は、モータ36のモータ制御値を取得し、取得されたモータ制御値と、記憶処理部によって記憶されているモータ36の異常判定閾値とを比較することによって、モータ36のモータ異常を検出する。
モータの異常判定閾値は、モータ正常動作時に取得したデューティ比で与えられるモータ電流制御値などのモータ制御値に基づくものであり、モータ36の結線が短絡や断線をする前に発生する異常、例えば、経年劣化発熱劣化等による故障直前の軽微な異常を検出することが可能となる。

0047

(2)モータ異常検出装置の上記記憶処理機能と異常検出機能を備えた制御回路51は、複数の定格電流(目標値)ごとに異常判定閾値を記憶し、複数の目標値から選択されたいずれかの定格電流(目標値)の異常判定閾値に基づきモータ異常を検出する。
より具体的に説明すると、制御回路51に実装された上記記憶処理部は、複数のモータ目標値に対応付けて異常判定閾値を記憶する(ステップS23)。制御回路51に実装された異常検出部は、モータ異常を判断する時点におけるモータ36を回転駆動しているモータ目標値に対応づけて記憶されている異常判定閾値と、取得されたモータ制御値とを比較する(S33,S34)ことによって、モータ36のモータ異常を検出する。
そして、第1の実施形態のモータ駆動装置は、記憶モードと、異常検出モードと、異常検出オフモードをユーザが設定する設定スイッチ28からの信号でモード選択を行うモード選択処理部を制御回路51が備えている。
したがって、ユーザの意志で真空処理装置の処理内容の変化に応じて異常判定閾値を新たに設定することができる。すなわち、真空処理装置の負荷に応じて正確に軽微なモータ異常を検出できる。

0048

(3)モータ異常検出装置の上記モータの目標値はモータ定格電流などを含み、異常判定値はPWM信号のデューティ比などを含む。モータの目標値は、真空処理装置が要求する排気性能を表す物理量であればモータ定格電流に限定されない。モータ制御値は、たとえばインバータ駆動指令値であるモータデューティ比である。デューティ比は、平均値、最大値および最小値のいずれか1つ、あるいは2つ以上の組み合わせを含む。
より具体的に説明すると、モータ目標値がモータ電流、モータ制御値がパルス変調信号、異常判定閾値がパルス変調信号のデューティ比の閾値のとき、異常検出部は、取得されたパルス変調信号のデューティ比と、記憶処理部によって記憶されているデューティ比の閾値とを比較することによって、モータ異常を検出する。
異常判定閾値としてのデューティ比の閾値は、(1)デューティ比の平均値の閾値、(2)デューティ比の最大値の閾値、および、(3)デューティ比の最小値の閾値の少なくとも1つを含む。異常検出部は、上記(1)、(2)、(3)のいずれかの閾値を用いて、下記のように異常検出を行う。すなわち、取得されたパルス変調信号のデューティ比の平均値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の平均値の閾値とを比較してモータの異常検出を行う。または、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最大値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の最大値の閾値とを比較してモータの異常検出を行う。あるいは、取得されたパルス変調信号のデューティ比の最小値と記憶処理部によって記憶されているデューティ比の最小値値の閾値とを比較することによって、モータの異常を検出する。
なお、実施の形態では、最大値と最小値の範囲外のデューティ比はモータの軽微な異常と定義している。

0049

(4)異常判定閾値であるパルス変調信号の閾値は、正常動作時に取得されたパルス変調信号のデューティ比に所定の演算を行うことによって取得される値である。たとえば、正常動作時にモータ電流制御値であるデューティ比だけを記憶しておき、異常検出モードが設定されている運転時は、所定時間ごとにデューティ比に基づき異常判定値を演算してモータ異常を検出する。このようにすれば、メモリ容量を削減できる。

0050

以上のように、第1の実施形態のモータ駆動装置では、異常判定閾値、すなわち上・下限閾値は、正常動作時におけるモータ電流制御値を与えるPWM信号のデューティ比に基づいて設定される。このため、部品のばらつき、あるいはポンプユニット1とコントロールユニット40との組み合わせ、あるいは、真空処理装置と真空ポンプとの組み合わせに伴う変動等がある場合でも、上・下限閾値は、それらすべての変動要因を反映した状態で設定される。従って、軽微な異常検出を信頼性高く行うことできる。

0051

なお、第1の実施形態では記憶モードと異常検出モードとを選択的に設定して、それぞれの駆動を行うものであった。しかし、記憶モードと異常検出モードとを制御により一連の駆動として実行するようにすることもできる。次に、その一例を説明する。

0052

−第2の実施形態−
図8は、モータの異常検出の処理手順の第2の実施形態を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、コントロールユニット40の電源投入でスタートする。但し、第1の実施形態と異なり、異常検出オフモードの設定、非設定だけを判定してモータの故障判定を行うものである。

0053

ステップS11およびステップS12は、それぞれ、第1の実施形態と同様である。
すなわち、コントロールユニット40の電源がONされると、ステップS11において、異常検出オフモードか否かが判断される。異常検出オフモードであればステップS12に進み、通常運転が行われる。通常運転は、停止信号により停止される。異常検出オフモードでなければ、ステップS41に進む。

0054

ステップS41では、定格回転数、定格電流による通常運転が開始される。通常運転が開始されると、ステップS42において、制御回路51の指令により、モータ36の定格電流と対で、制御周期に応じた周期でモータ電流制御値のデューティ比を記憶部54に記憶するための処理が行われる。この処理では、第1の実施形態で説明したように、デューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminをn回記録し、この記録に基づいて、n回全記録データのデューティ比の平均値Dave、最大値DmaxおよびDminを求める。この処理を実行中、所定のタイミングで、起動後の累積運転時間が基準時間を超えたか否か判断する(ステップS43)。基準時間は、通常の駆動では、真空処理装置の真空処理条件が変更されて運転を開始した真空ポンプの累積運転時間が例えば、50時間程度までは必ず定格回転数、定格電流により運転されると仮定している。真空処理条件を変更して運転を開始してからの真空ポンプの累積運転時間が基準時間を超えていないと判断されている間は、モータデューティ比を記憶する処理が継続される。

0055

制御部51の指令により、記憶部54にデューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminが記録され、運転時間が基準時間を超えたと判断されると、ステップS44に進む。ステップS44では、上・下限閾値を求め、記憶部54に記憶する。この処理は、第1の実施形態のステップS24で説明した処理に相当する。

0056

ステップS44が完了すると、ステップS45に進み、その時のモータ電流制御値におけるデューティ比が、上限閾値を超えたか否かが判断される。ステップS45でその時のモータ電流におけるデューティ比が、上限閾値を超えたと判断されれば、ステップS47に進み、モータ36に過大電流が流れているという異常が報知される。

0057

ステップS45で、その時のモータ電流制御値におけるデューティ比が上限閾値を超えていないと判断されれば、ステップS46に進み、その時のモータ電流におけるデューティ比が、下限閾値を下回ったか否かが判断される。ステップS46でその時のモータ電流におけるデューティ比が、下限閾値を下回ったと判断されれば、ステップS48に進み、モータ36に過少電流が流れているという異常が報知される。

0058

ステップS45およびステップS46の処理は、停止信号が受信されるまで所定のタイミングで周期的に繰り返され、真空ポンプ運転中、継続的に、モータ36に異常が発生していないか否かが監視される。そして、停止信号を受信することによって真空ポンプは停止する。

0059

第2の実施形態においても、モータ異常検出装置は、正常動作時におけるモータ定格電流に対で、モータ電流制御値におけるPWM信号のデューティ比、およびモータ電流制御値のデューティ比に関する異常判定閾値を記憶する記憶処理機能と、モータ定格電流における異常判定閾値に基づいてモータ異常を検出する異常検出機能とを有する制御回路51を備えている。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏する。

0060

また、第2の実施形態では、異常検出オフモードでない場合、所定のモータ定格電流におけるデューティ比の上・下限閾値の設定と通常運転とを、制御回路51の指令により一連駆動として実行する。すなわち、第2の実施形態のモータ異常検出装置は、真空ポンプの起動後、制御回路51の記憶処理部による記憶処理と、制御回路51の異常検出部による判定処理をその順番で実行する、
このため、ポンプユニット1とコントロールユニット40との組み合わせが変わったりした場合においても、デューティ比の上・下限閾値の再設定を忘れるようなことがなく、信頼性の向上と、作業の効率の向上とを図ることができる。

0061

−第2の実施形態の変形例1−
第2の実施の形態では、異常検出オフモードのみ設定可能としたが、すべてのモードが設定できない真空ポンプにも本発明を適用できる。これを第2の実施形態の変形例として以下で説明する。
この変形例では、モード設定スイッチを省略する。モータ起動後、所定の第1の時間が経過するまでの期間を異常判定閾値設定期間とし、第1の時間経過後は、設定された異常判定閾値に基づいて異常検出を行う期間とする。
すなわちこの変形例1は、異常検出オフモードを設定する設定スイッチを省略し、ポンプ起動後に第1の累積運転時間が経過するまでは記憶モード、第1の累積運転時間が経過した後は異常検出モードに自動的に切換えるものである。

0062

−第2の実施形態の変形例2−
第1の実施形態の制御回路51は、記憶モードと、異常検出モードと、異常検出オフモードをユーザが設定する設定スイッチからの信号でモード選択を行うモード選択処理部を備えている。第2の実施形態の制御回路51は、異常検出オフモードをユーザが設定する設定スイッチ28からの信号でモード設定を行うモード設定処理部を備えている。第2の実施形態の変形例2のモータ駆動装置は、第1の実施形態のモード選択処理部と、第2の実施形態の設定処理部とを制御回路51に設けたものである。
この場合、第1の実施形態のモード選択処理部と、第2の実施形態の設定処理部のいずれを用いるかをユーザが選択する選択スイッチを設け、制御回路51には、選択スイッチからの選択信号に基づき、第1の実施形態の方式、あるいは第2の実施形態の方式を選択する選択処理機能部が設けられる。
ユーザの選択枝が増えるので利便性が向上する。

0063

なお、上記各実施形態では、PWM信号のデューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminのすべてに対して異常判定閾値を設定し、その閾値のすべてについて、異常の有無を判断する方法として例示した。しかし、PWM信号のデューティ比の平均値Dave、最大値Dmaxおよび最小値Dminのいずれか1つ、または2つについて異常の有無を判断する閾値を設定するようにしてもよい。

0064

−他の変形例−
上記各実施形態では、PWM信号のデューティ比の上限閾値を超えた場合と下限閾値を下回った場合とを、別々に判断し、それぞれ、異常が検出された場合に、それぞれの異常に対応する報知を行う方法として例示した。しかし、PWM信号のデューティ比が、上限閾値を超えた場合も、下限閾値を下回った場合も、両者を区別することなく、異常が発生したことを報知するようにしてもよい。

0065

上記各実施形態では、正常動作時のモータ電流制御値のPWMデューティ比を、モータ36の異常状態の異常を判断する異常判定閾値として例示した。しかし、モータ電流制御値そのものや、モータ電流の検出値から異常判定閾値を算出してもよい。さらに、モータ駆動電圧等、他のパラメータを用いてモータ36の異常を判断するようにしてもよい。
モータの性能は温度に依存する傾向があるので、異常判定閾値を設定する際、温度情報を併せて記憶してもよい。

0066

上記実施形態では、真空ポンプを、シャフト10の両端を電磁石37、38により保持する磁気浮上式のターボ分子ポンプを例として説明した。しかし、本発明は、シャフトの一端を永久磁石により保持し、シャフトの他端をボールベアリングにより支持するターボ分子ポンプに適用することができる。また、本発明は、タービン翼排気部P1とねじ溝排気部P2とを有する真空ポンプに限らず、タービン翼排気部P1のみを有する真空ポンプや、ドラッグポンプ等の真空ポンプに適用することができる。

0067

上記実施形態では、モータ駆動電圧をPWM信号により制御する方式として例示したが、本発明は、モータ回転数を電圧周波数により制御するVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)方式に適用することができる。また、上記実施形態では、モータ電流をPWM信号のデューティ比により制御する方式として例示したが、本発明は、モータの速度(回転数)を、直接、駆動電圧を変化させることにより制御するアナログ方式転用することができる。

0068

上記実施形態では、異常判定閾値をコントロールユニット40の記憶部54に保存したが、外部の記憶媒体に保存するようにしてもよい。コントロールユニット40と通信回線で接続されたサーバなどに保存してもよい。異常判定閾値をモータ定格電流と対で記憶する際、真空処理装置とポンプユニットの組み合わせを示す識別子も併せて記憶するのが好ましい。あるいは、ポンプユニットとコントロールユニットとの組合わせを示す識別子も記憶するのが好ましい。とくに通信でサーバに保存する場合、これらの組み合わせ識別子を対で記憶しないと、正確な異常判定ができない恐れがある。

0069

上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。

0070

1ポンプユニット
28モード設定スイッチ
36モータ
40コントロールユニット
41 AC/DC変換回路
42 DC/DCコンバータ
43電圧検出部
44インバータ
45電流センサ
51制御回路(記憶処理部、異常検出部、設定機能処理部)
54 記憶部
55演算部

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