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技術 シングルキャリア方式の送信装置

出願人 日本放送協会
発明者 松崎敬文鴨田浩和
出願日 2017年4月21日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-084351
公開日 2018年11月15日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-182683
状態 未査定
技術分野 交流方式デジタル伝送 送信機
主要キーワード 周波数補正後 歪情報 ワイヤレスカメラ 位相遷移 送信前処理 位相遷移量 衛星伝送路 ブロックシンボル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

電力増幅器における変調波信号歪に起因する伝送性能劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制する。

解決手段

送信装置1の歪情報判定部21は、電力増幅部19の出力信号に対する歪情報を入力し、歪情報の示す値が最適値であるか否かを判定し、最適判定情報を生成する。マッピング制御部22は、マッピング情報理想信号点コンスタレーションにおいて、同一振幅円周上に配置された信号点群グループ毎に、最適判定情報に基づいて、歪情報の示す値が最適値となるまで、マッピングテーブル23に格納されたマッピング情報の位相及び振幅変更処理を繰り返す。これにより、マッピングテーブル23には、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が最小となるマッピング情報が格納される。

概要

背景

従来、放送または通信等の固定伝送無線伝送システムでは、一つの搬送波を用いるシングルキャリア方式が広く用いられている。近年、シングルキャリア方式の中でも、周波数領域でチャネル等化伝搬路で生じた振幅及び位相の変化を元に戻す処理)を行うSC−FDE(Single Carrier-Frequency Domain Equalization:シングルキャリア周波数領域等化)方式が提案されている(例えば特許文献1、非特許文献1を参照)。

SC−FDE方式は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式のように、周波数領域にてチャネル推定及びチャネル等化をブロック単位で行うことにより、移動伝送の高速チャネル変動追従することができる。そのため、このSC−FDE方式は、従来の時間領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式よりも移動伝送に適している。また、SC−FDE方式では、OFDM方式と同じようにガードインターバルを設けて、マルチパス環境におけるブロック間干渉を防ぐことができる。

このSC−FDE方式では、ブロックの先頭を検出するブロック同期を行い、チャネル推定用ユニークワード固定パターンの信号)及びデータを抽出する。そして、ユニークワード及びデータを時間領域から周波数領域にフーリエ変換し、チャネル推定及びチャネル等化の処理を行う。その後、逆フーリエ変換によりデータを時間領域の信号に戻し、シンボル判定等の処理を行う。

また、シングルキャリア方式は、マルチキャリアのOFDM方式と比較して一般に、送信信号ピーク電力平均電力の比であるPAPR(Peak to Average Power Ratio)が小さい。そのため、送信装置出力段電力増幅器における非線形特性による歪に対し、OFDM方式よりも耐性が高く、送信電力を大きくできるため、受信品質を向上させることが可能である。

しかしながら、シングルキャリア方式は、OFDM方式よりもその歪の影響が小さいものの、送信装置の出力段の電力増幅器を高出力域で動作させると、その入出力特性直線性が悪くなるため、電力増幅器の出力信号の振幅及び位相に歪みが生じる。

そのため、受信装置において等化を行っても、マッピングに用いた16APSK(Amplitude Phase Shift Keying:振幅位相偏移変調)等の信号点理想信号点からずれる現象が起こる。このずれは、16APSK等の外周側の信号点と内周側の信号点との間で、異なる振幅ずれ及び位相ずれとなる。

受信装置は、通常、理想信号点と等化後の信号との間のユークリッド距離から、誤り訂正のための尤度を計算するが、等化後の信号が理想信号点からずれる影響で、誤り率特性劣化する。

ここで、後述する図8(a)に示すように、16APSKの信号点は、同相軸(I軸)及び直角位相軸(Q軸)のコンスタレーション上において、それぞれ振幅レベルが異なる1つの「外周」の信号点群及び1つの「内周」の信号点群により構成される。また、後述する図8(b)に示すように、32APSKの信号点は、振幅レベルが異なる1つの「最外周」の信号点群及び2つの「内周」の信号点群により構成される。

以下、これら任意の振幅位相変調の信号点において、「外周」は、「内周」の位置よりも外側の一周りを示し、「内周」は、「外周」の位置よりも内側の一周りを示し、「最外周」は、原点から最も遠い位置にある外側の一回りを示す。16APSKにおいては、「外周」の信号点群及び「内周」の信号点群はそれぞれ1グループで構成され、32APSKにおいては、「最外周」の信号点群は1グループで構成され、「内周」の信号点群は2グループで構成される。

図7は、一般的な電力増幅器の入出力特性の例を示す図である。以下、図7を参照して、電力増幅器の入出力特性における非線形歪について説明する。横軸入力電力[dB]、縦軸出力電力[dB]及び位相遷移[degree]を示す。細い実線は、入力電力に対する理想的な出力電力を示し、太い実線は、入力電力に対する電力増幅器の実際の出力電力を示し、点線は、入力電力に応じた位相遷移を示す。

電力増幅器の入出力特性は、入力電力に対し、細い実線に示す特性のように、常に一定の増幅利得となることが望ましいが、実際には太い実線に示す特性となる。また、位相についても入力電力によらず、一定の遷移であることが望ましいが、実際には点線に示す特性のように、入力電力によって位相遷移量が変化してしまう。

そして、IQ軸のコンスタレーション上において、最外周の信号点及び1以上の内周の信号点で構成される振幅位相変調用にマッピングされたシンボル変調信号を電力増幅器にて増幅する場合、一般的に、入力電力は変調信号の平均電力で規定される。

信号点の電力は振幅の2乗に比例するため、大きな出力電力を得るために入力電力を大きくした場合、最外周の信号点は内周の信号点よりも、より高出力域(非線形域)で動作することになる。そのため、マッピング時の理想信号点において、最外周のある信号点に対し同位相の関係にある内周の信号点は、相対的に位相がずれた状態、かつ内周の信号点の振幅及び最外周の信号点の振幅の比が変化した状態で、電力増幅器から出力される。

図8は、電力増幅器を高出力域で動作させた場合に出力される信号点について、周波数領域で等化した後に得られるIQ軸のコンスタレーションを示すイメージ図である。(a)は16APSKの信号点のコンスタレーションを示し、(b)は32APSKの信号点のコンスタレーションを示す。点線の丸印は理想信号点の配置を、実線の丸印は電力増幅器を通過した後の配置をそれぞれ示す。また、コンスタレーションにおいて、外周側の信号点と内周側の信号点との間の点線の円は平均電力を示す。

一般に、電力増幅器では、平均電力が外周側の信号点に近く、平均電力を基準にして信号の増幅が行われる。そのため、平均電力よりも大きい電力の信号点(外周側の信号点)については、振幅の拡大率が小さくなり、位相の回転量は大きくなる。一方、平均電力よりも小さい電力の信号点(内周側の信号点)については、振幅の拡大率が大きくなり、位相の回転量は小さくなる。

図8(a)(b)は、外周側の信号点の振幅にユニークワードの振幅を合わせた例を示している。そのため、外周側の信号点は、理想的信号点にある程度近づくこととなる(α)。これに対し、図7にて説明したとおり、電力増幅器により、外周側の信号点と内周側の信号点との間で振幅及び位相にずれが生じることから、内周側の信号点は、理想信号点からずれることとなる(β)。

つまり、振幅位相変調の変調波は、送信装置の電力増幅器において既に理想信号点からずれた状態で送信されるため、受信装置にて等化した信号も、理想信号点からずれてしまい、誤り率特性が劣化する。

この問題に対応するための従来技術として、周波数領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式ではないが、衛星放送のシングルキャリア方式を用いた手法が開示されている(例えば特許文献2,3を参照)。

この手法は、電力増幅器を飽和に近い高出力域で動作させた場合に、理想信号点に近い信号点で受信可能とするものである。具体的に、この手法は、衛星中継器入力フィルタ、電力増幅器、出力フィルタについて歪みの要因となる装置の特性を、送信装置側に予め取得させておく。そして、送信装置は、歪みを模擬し、歪みのない送信信号から歪みを模擬した送信信号の差分を求め、歪みのない送信信号からこの差分を差し引くことで、衛星伝送路における歪みの逆特性が加えられた送信信号を生成する。これにより、受信装置は、実際の衛星伝送路を通過した送信信号を、理想信号点に近い信号として受信することが可能となる。

概要

電力増幅器における変調波の信号歪に起因する伝送性能の劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制する。送信装置1の歪情報判定部21は、電力増幅部19の出力信号に対する歪情報を入力し、歪情報の示す値が最適値であるか否かを判定し、最適判定情報を生成する。マッピング制御部22は、マッピング情報の理想信号点のコンスタレーションにおいて、同一振幅円周上に配置された信号点群のグループ毎に、最適判定情報に基づいて、歪情報の示す値が最適値となるまで、マッピングテーブル23に格納されたマッピング情報の位相及び振幅の変更処理を繰り返す。これにより、マッピングテーブル23には、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が最小となるマッピング情報が格納される。

目的

本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、電力増幅器における変調波の信号歪に起因する伝送性能の劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制可能なシングルキャリア方式の送信装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

送信対象情報ビット系列を所定の変調方式にて変調し、変調後の信号の電力増幅し、変調波無線信号を送信するシングルキャリア方式送信装置において、マッピング情報が格納されたマッピングテーブルと、前記情報ビット系列に対し、前記マッピングテーブルに格納された前記マッピング情報を用いて、振幅位相変調の変調方式にてマッピングを行うマッピング部と、前記マッピング部によりマッピングされた信号に対し、デジタル直交変調を行うデジタル直交変調部と、前記デジタル直交変調部によりデジタル直交変調された信号の電力を増幅する電力増幅部と、前記変調波の無線信号の理想信号点受信信号点との間のずれの程度の値を含む歪情報を入力し、当該歪情報の示す値が所定の基準値であるか否かを判定し、判定情報を生成する歪情報判定部と、前記歪情報判定部により生成された前記判定情報に基づいて、前記マッピングテーブルに格納された前記マッピング情報を変更するマッピング制御部と、を備えたことを特徴とする送信装置。

請求項2

請求項1に記載の送信装置において、前記歪情報判定部は、前記マッピング制御部により前記マッピング情報が変更される毎に、前記電力増幅部により電力が増幅された前記変調波の無線信号についての前記歪情報を入力し、前記判定情報を生成し、前記マッピング制御部は、前記マッピング情報の理想信号点のコンスタレーションにおける同一振幅円周上に配置された信号点群グループ毎に、前記判定情報に基づいて、前記歪情報の示す値が前記基準値となるまで、前記マッピング情報の位相及び振幅変更処理を繰り返す、ことを特徴とする送信装置。

請求項3

請求項2に記載の送信装置において、前記歪情報を、変調誤差比(MER)またはエラーベクトル振幅(EVM)とし、前記歪情報を前記変調誤差比とした場合、前記基準値を極大値とし、前記歪情報を前記エラーベクトル振幅とした場合、前記基準値を極小値とする、ことを特徴とする送信装置。

技術分野

0001

本発明は、放送または通信等の無線伝送システム使用可能なシングルキャリア方式送信装置に関する。

背景技術

0002

従来、放送または通信等の固定伝送の無線伝送システムでは、一つの搬送波を用いるシングルキャリア方式が広く用いられている。近年、シングルキャリア方式の中でも、周波数領域でチャネル等化伝搬路で生じた振幅及び位相の変化を元に戻す処理)を行うSC−FDE(Single Carrier-Frequency Domain Equalization:シングルキャリア周波数領域等化)方式が提案されている(例えば特許文献1、非特許文献1を参照)。

0003

SC−FDE方式は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式のように、周波数領域にてチャネル推定及びチャネル等化をブロック単位で行うことにより、移動伝送の高速チャネル変動追従することができる。そのため、このSC−FDE方式は、従来の時間領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式よりも移動伝送に適している。また、SC−FDE方式では、OFDM方式と同じようにガードインターバルを設けて、マルチパス環境におけるブロック間干渉を防ぐことができる。

0004

このSC−FDE方式では、ブロックの先頭を検出するブロック同期を行い、チャネル推定用ユニークワード固定パターンの信号)及びデータを抽出する。そして、ユニークワード及びデータを時間領域から周波数領域にフーリエ変換し、チャネル推定及びチャネル等化の処理を行う。その後、逆フーリエ変換によりデータを時間領域の信号に戻し、シンボル判定等の処理を行う。

0005

また、シングルキャリア方式は、マルチキャリアのOFDM方式と比較して一般に、送信信号ピーク電力平均電力の比であるPAPR(Peak to Average Power Ratio)が小さい。そのため、送信装置の出力段電力増幅器における非線形特性による歪に対し、OFDM方式よりも耐性が高く、送信電力を大きくできるため、受信品質を向上させることが可能である。

0006

しかしながら、シングルキャリア方式は、OFDM方式よりもその歪の影響が小さいものの、送信装置の出力段の電力増幅器を高出力域で動作させると、その入出力特性直線性が悪くなるため、電力増幅器の出力信号の振幅及び位相に歪みが生じる。

0007

そのため、受信装置において等化を行っても、マッピングに用いた16APSK(Amplitude Phase Shift Keying:振幅位相偏移変調)等の信号点理想信号点からずれる現象が起こる。このずれは、16APSK等の外周側の信号点と内周側の信号点との間で、異なる振幅ずれ及び位相ずれとなる。

0008

受信装置は、通常、理想信号点と等化後の信号との間のユークリッド距離から、誤り訂正のための尤度を計算するが、等化後の信号が理想信号点からずれる影響で、誤り率特性劣化する。

0009

ここで、後述する図8(a)に示すように、16APSKの信号点は、同相軸(I軸)及び直角位相軸(Q軸)のコンスタレーション上において、それぞれ振幅レベルが異なる1つの「外周」の信号点群及び1つの「内周」の信号点群により構成される。また、後述する図8(b)に示すように、32APSKの信号点は、振幅レベルが異なる1つの「最外周」の信号点群及び2つの「内周」の信号点群により構成される。

0010

以下、これら任意の振幅位相変調の信号点において、「外周」は、「内周」の位置よりも外側の一周りを示し、「内周」は、「外周」の位置よりも内側の一周りを示し、「最外周」は、原点から最も遠い位置にある外側の一回りを示す。16APSKにおいては、「外周」の信号点群及び「内周」の信号点群はそれぞれ1グループで構成され、32APSKにおいては、「最外周」の信号点群は1グループで構成され、「内周」の信号点群は2グループで構成される。

0011

図7は、一般的な電力増幅器の入出力特性の例を示す図である。以下、図7を参照して、電力増幅器の入出力特性における非線形歪について説明する。横軸入力電力[dB]、縦軸出力電力[dB]及び位相遷移[degree]を示す。細い実線は、入力電力に対する理想的な出力電力を示し、太い実線は、入力電力に対する電力増幅器の実際の出力電力を示し、点線は、入力電力に応じた位相遷移を示す。

0012

電力増幅器の入出力特性は、入力電力に対し、細い実線に示す特性のように、常に一定の増幅利得となることが望ましいが、実際には太い実線に示す特性となる。また、位相についても入力電力によらず、一定の遷移であることが望ましいが、実際には点線に示す特性のように、入力電力によって位相遷移量が変化してしまう。

0013

そして、IQ軸のコンスタレーション上において、最外周の信号点及び1以上の内周の信号点で構成される振幅位相変調用にマッピングされたシンボル変調信号を電力増幅器にて増幅する場合、一般的に、入力電力は変調信号の平均電力で規定される。

0014

信号点の電力は振幅の2乗に比例するため、大きな出力電力を得るために入力電力を大きくした場合、最外周の信号点は内周の信号点よりも、より高出力域(非線形域)で動作することになる。そのため、マッピング時の理想信号点において、最外周のある信号点に対し同位相の関係にある内周の信号点は、相対的に位相がずれた状態、かつ内周の信号点の振幅及び最外周の信号点の振幅の比が変化した状態で、電力増幅器から出力される。

0015

図8は、電力増幅器を高出力域で動作させた場合に出力される信号点について、周波数領域で等化した後に得られるIQ軸のコンスタレーションを示すイメージ図である。(a)は16APSKの信号点のコンスタレーションを示し、(b)は32APSKの信号点のコンスタレーションを示す。点線の丸印は理想信号点の配置を、実線の丸印は電力増幅器を通過した後の配置をそれぞれ示す。また、コンスタレーションにおいて、外周側の信号点と内周側の信号点との間の点線の円は平均電力を示す。

0016

一般に、電力増幅器では、平均電力が外周側の信号点に近く、平均電力を基準にして信号の増幅が行われる。そのため、平均電力よりも大きい電力の信号点(外周側の信号点)については、振幅の拡大率が小さくなり、位相の回転量は大きくなる。一方、平均電力よりも小さい電力の信号点(内周側の信号点)については、振幅の拡大率が大きくなり、位相の回転量は小さくなる。

0017

図8(a)(b)は、外周側の信号点の振幅にユニークワードの振幅を合わせた例を示している。そのため、外周側の信号点は、理想的信号点にある程度近づくこととなる(α)。これに対し、図7にて説明したとおり、電力増幅器により、外周側の信号点と内周側の信号点との間で振幅及び位相にずれが生じることから、内周側の信号点は、理想信号点からずれることとなる(β)。

0018

つまり、振幅位相変調の変調波は、送信装置の電力増幅器において既に理想信号点からずれた状態で送信されるため、受信装置にて等化した信号も、理想信号点からずれてしまい、誤り率特性が劣化する。

0019

この問題に対応するための従来技術として、周波数領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式ではないが、衛星放送のシングルキャリア方式を用いた手法が開示されている(例えば特許文献2,3を参照)。

0020

この手法は、電力増幅器を飽和に近い高出力域で動作させた場合に、理想信号点に近い信号点で受信可能とするものである。具体的に、この手法は、衛星中継器入力フィルタ、電力増幅器、出力フィルタについて歪みの要因となる装置の特性を、送信装置側に予め取得させておく。そして、送信装置は、歪みを模擬し、歪みのない送信信号から歪みを模擬した送信信号の差分を求め、歪みのない送信信号からこの差分を差し引くことで、衛星伝送路における歪みの逆特性が加えられた送信信号を生成する。これにより、受信装置は、実際の衛星伝送路を通過した送信信号を、理想信号点に近い信号として受信することが可能となる。

0021

特許第5624527号公報
特許第5193833号公報
特許第5538137号公報

先行技術

0022

D.Falconer, et al.,“Frequency domain equalization for single-carrier broadband wireless systems,”IEEE Commun. Mag., Vol.40, pp.58-66, April 2002.

発明が解決しようとする課題

0023

前述のとおり、周波数領域でチャネル等化を行うSC−FDE方式において、送信装置の出力段の電力増幅器を高出力域で動作させた場合、その入出力特性の直線性が悪くなる。そのため、電力増幅器の出力信号は、外周側の信号点と内周側の信号点との間で振幅及び位相にずれが生じてしまう。そして、このような信号を受信する受信装置では、受信信号点が理想信号点からずれることから、誤り率特性が劣化するという問題があった。

0024

このSC−FDE方式に前述の特許文献2,3の手法を適用した場合を想定する。この場合、送信装置は、電力増幅器の特性を考慮して、送信信号から歪の影響を模擬したレプリカ信号を生成し、歪の逆特性となる信号を生成することから、回路規模が増大するという問題が考えられる。また、送信装置を移動伝送に用いた場合には、送信装置の重量が増加するという問題が生じる。さらに、伝送路における歪の要因となる電力増幅器、フィルタ等の特性を事前に取得しておく必要があり、手間であるという問題もある。

0025

そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、電力増幅器における変調波の信号歪に起因する伝送性能の劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制可能なシングルキャリア方式の送信装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0026

前記課題を解決するために、請求項1の送信装置は、送信対象情報ビット系列を所定の変調方式にて変調し、変調後の信号の電力を増幅し、変調波の無線信号を送信するシングルキャリア方式の送信装置において、マッピング情報が格納されたマッピングテーブルと、前記情報ビット系列に対し、前記マッピングテーブルに格納された前記マッピング情報を用いて、振幅位相変調の変調方式にてマッピングを行うマッピング部と、前記マッピング部によりマッピングされた信号に対し、デジタル直交変調を行うデジタル直交変調部と、前記デジタル直交変調部によりデジタル直交変調された信号の電力を増幅する電力増幅部と、前記変調波の無線信号の理想信号点と受信信号点との間のずれの程度の値を含む歪情報を入力し、当該歪情報の示す値が所定の基準値であるか否かを判定し、判定情報を生成する歪情報判定部と、前記歪情報判定部により生成された前記判定情報に基づいて、前記マッピングテーブルに格納された前記マッピング情報を変更するマッピング制御部と、を備えたことを特徴とする。

0027

また、請求項2の送信装置は、請求項1に記載の送信装置において、前記歪情報判定部が、前記マッピング制御部により前記マッピング情報が変更される毎に、前記電力増幅部により電力が増幅された前記変調波の無線信号についての前記歪情報を入力し、前記判定情報を生成し、前記マッピング制御部が、前記マッピング情報の理想信号点のコンスタレーションにおける同一振幅円周上に配置された信号点群のグループ毎に、前記判定情報に基づいて、前記歪情報の示す値が前記基準値となるまで、前記マッピング情報の位相及び振幅の変更処理を繰り返す、ことを特徴とする。

0028

また、請求項3の送信装置は、請求項2に記載の送信装置において、前記歪情報を、変調誤差比(MER)またはエラーベクトル振幅(EVM)とし、前記歪情報を前記変調誤差比とした場合、前記基準値を極大値とし、前記歪情報を前記エラーベクトル振幅とした場合、前記基準値を極小値とする、ことを特徴とする。

発明の効果

0029

以上のように、本発明によれば、電力増幅器における変調波の信号歪に起因する伝送性能の劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

0030

本発明の実施形態による送信装置の構成例を示すブロック図である。
SC−FDE方式によるブロックのシンボル構成を示す図である。
マッピング制御部の処理(マッピング位置調整処理によるキャリブレーション)例を示すフローチャートである。
マッピング位置調整処理によりキャリブレーションされた信号点について、IQ軸のコンスタレーションを示すイメージ図である。
受信装置の構成例を示すブロック図である。
歪情報測定装置の構成例を示すブロック図である。
一般的な電力増幅器の入出力特性の例を示す図である。
電力増幅器を高出力域で動作させた場合に出力される信号点について、周波数領域で等化した後に得られるIQ軸のコンスタレーションを示すイメージ図である。
マッピングテーブルに格納されたマッピング情報の構成例を示す図である。

実施例

0031

以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔送信装置〕
まず、本発明の実施形態による送信装置について説明する。本発明の実施形態による送信装置は、周波数領域でチャネル等化を可能とするシングルキャリア方式を用いた装置であり、データ部分の変調方式として、16APSK、32APSK、64APSK、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)、32QAM、64QAM等の任意の振幅位相変調が用いられる。

0032

送信装置は、電力増幅器を高出力域で動作させると、その入出力特性の直線性が劣化するため、電力増幅器の出力信号の振幅及び位相に歪みが生じる。このような信号を受信する受信装置または歪情報測定装置では、理想信号点と受信信号点との間のずれを、変調誤差比(MER:Modulation Error Ratio)、またはエラーベクトル振幅(EVM:Error Vector Magnitude)等の歪情報(信号の歪の程度を表すデータ)として測定する。MERまたはEVM等の歪情報は、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度(歪の程度)が反映された情報であり、ずれの程度を示す値が含まれる。

0033

送信装置は、歪情報を、有線または無線にてフィードバックし、その歪情報の示す値に基づいて、理想信号点と受信信号点との間のずれが改善されるように、マッピングの位置を自動的に調整する。ここで、理想信号点と受信信号点のずれが改善されることは、送信C/Nが改善されることと等価となる。

0034

このようなマッピング位置調整処理は、電力増幅器を実際に運用する出力レベル(高出力域)で動作させて送信装置出力の信号は歪んでいるが、伝搬環境は良い状態、つまり受信C/Nが高い状態、または、送信装置と受信装置とを有線で適切に接続した状態で、送信装置及び受信装置の運用を開始する前に1度だけキャリブレーションとして行う。

0035

図1は、本発明の実施形態による送信装置の構成例を示すブロック図である。この送信装置1は、送信前処理部11、マッピング部12、UW(ユニークワード)挿入部13、アップサンプリング部14、波形整形部15、デジタル直交変調部16、DA(デジタルアナログ)変換部17、周波数変換部18、電力増幅部19、送信アンテナ20、歪情報判定部21、マッピング制御部22及びマッピングテーブル23を備えている。

0036

送信前処理部11は、送信対象の情報ビット系列(データ)を入力し、情報ビット系列に対し、エネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理及びインタリーブ処理等の前処理を行い、符号化ビット系列を生成し、マッピング部12に出力する。この前処理は、任意のエネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理及びインタリーブ処理等を適用することができる。

0037

マッピング部12は、送信前処理部11から符号化ビット系列を入力し、マッピングテーブル23に格納されたマッピング情報を用いて、符号化ビット系列に対し、16APSK等の振幅位相変調のマッピングを行う。そして、マッピング部12は、マッピングしたシンボルをUW挿入部13に出力する。マッピングテーブル23には、IQ軸のコンスタレーションにおける各信号点の振幅及び位相が反映されたIQ値を含むマッピング情報が格納されている。

0038

UW挿入部13は、マッピング部12からマッピングされたシンボルを入力し、予め設定されたシンボル数のブロック単位となるように、予め設定されたユニークワードを挿入し、ユニークワードのGI(ガードインターバル)を付加する。そして、UW挿入部13は、SC−FDE方式によるブロックのシンボル(SC−FDEブロックシンボル)を生成し、SC−FDEブロックシンボルをアップサンプリング部14に出力する。

0039

ユニークワードは、送受間既知の固定パターンであり、時間領域及び周波数領域にて振幅が一定かつ周期自己相関特性に優れたCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)系列、例えばZadoff-Chu系列を用いることができる。

0040

図2は、SC−FDE方式によるブロックのシンボル構成を示す図である。図2に示すように、SC−FDEブロックシンボルは、Mシンボル長のGI、Nシンボル長のデータ、及びMシンボル長のユニークワードにより構成される。SC−FDEブロックシンボルの長さは2M+Nシンボル長であり、Nシンボル長のデータ及びMシンボル長のユニークワードであるN+Mシンボル長の部分が、後述する受信装置2及び歪情報測定装置3において等化対象となる。

0041

図1に戻って、アップサンプリング部14は、UW挿入部13からSC−FDEブロックシンボルを入力する。そして、アップサンプリング部14は、SC−FDEブロックシンボルに対し、2倍のアップサンプリングを行い、アップサンプリング後のSC−FDEブロックシンボルを波形整形部15に出力する。

0042

波形整形部15は、アップサンプリング部14からアップサンプリング後のSC−FDEブロックシンボルを入力し、当該SC−FDEブロックシンボルに対し、帯域制限フィルタ処理による波形整形を行う。そして、波形整形部15は、波形整形したSC−FDEブロックシンボルをデジタル直交変調部16に出力する。帯域制限フィルタとしては、一般的にルートロールオフフィルタが用いられる。

0043

デジタル直交変調部16は、波形整形部15から波形整形されたSC−FDEブロックシンボルを入力し、当該SC−FDEブロックのシンボルに対し、デジタル直交変調処理を行い、アパーチャ補正処理を行う。そして、デジタル直交変調部16は、デジタル直交変調処理及びアパーチャ補正処理後のデジタル信号DA変換部17に出力する。アパーチャ補正処理は、後段のDA変換部17によるデジタル/アナログ変換によるアパーチャ効果補正するための処理である。

0044

DA変換部17は、デジタル直交変調部16からデジタル直交変調処理及びアパーチャ補正処理後のデジタル信号を入力し、当該デジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を周波数変換部18に出力する。

0045

周波数変換部18は、DA変換部17からアナログ信号を入力し、アナログ信号の周波数を無線周波数に変換し、無線周波数の変調信号を電力増幅部19に出力する。

0046

電力増幅部19は、周波数変換部18から無線周波数の変調信号を入力し、無線周波数の変調信号を、所定の電力になるように増幅する。そして、送信アンテナ20を介して、変調波の無線信号が送信される。

0047

一般的に、電力増幅部19は、図7に示した非線形な入出力特性を有する。電力増幅部19を非線形な高出力域で動作させることで、電力効率を向上させることができる。本実施形態では、電力増幅部19を、非線形な高出力域で動作させるように構成されている。

0048

歪情報判定部21及びマッピング制御部22は、マッピング位置調整処理によるキャリブレーション時のみ機能し、実際の運用時には機能しない。

0049

歪情報判定部21は、後述する受信装置2または歪情報測定装置3から歪情報を入力し、歪情報の示す値が基準とする最適値であるか否かを判定し、最適判定情報を生成してマッピング制御部22に出力する。

0050

例えば歪情報がMERである場合、歪情報判定部21は、MERが極大値であるときに、歪情報の示す値が最適値であると判定し、MERが極大値でないときに、歪情報の示す値が最適値でないと判定し、この判定結果を含む最適判定情報を生成する。また、歪情報がEVMである場合、歪情報判定部21は、EVMが極小値であるときに、歪情報の示す値が最適値であると判定し、EVMが極小値でないときに、歪情報の示す値が最適値でないと判定し、この判定結果を含む最適判定情報を生成する。

0051

尚、MERまたはEVMは歪情報の一例であり、他の任意の情報、すなわち理想信号点と受信信号点との間のずれの程度(歪の程度)が反映された情報を用いるようにしてもよい。

0052

マッピング制御部22は、歪情報判定部21から最適判定情報を入力する。マッピング制御部22は、マッピング情報の理想信号点のコンスタレーションにおいて、同一振幅の円周上に配置された信号点群を1つのグループに設定する。そして、マッピング制御部22は、グループ毎に、最適判定情報に基づいて、歪情報の示す値が最適値となるまで、マッピングテーブル23に格納されたマッピング情報の位相及び振幅の変更処理を繰り返す。マッピング制御部22は、最適判定情報が最適値であることを示している場合、当該グループについて、マッピングテーブル23のマッピング情報の位相及び振幅を変更する処理を終了し、他のグループの処理に移行し、全てのグループについての処理を行う。

0053

これにより、マッピングテーブル23には、マッピング位置調整処理によるキャリブレーションが行われたマッピング情報、すなわち後述する受信装置2において、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が最小となるマッピング情報が格納されるようになる。このマッピング情報は、電力増幅部19にて生じる歪の特性に対し、逆の特性を有する情報となる。

0054

図9は、16APSK用及び32APSK用のマッピングテーブル23に格納されたマッピング情報の構成例を示す図である。(a)は、16APSK用のマッピング情報の構成例を示し、(b)は、32APSK用のマッピング情報の構成例を示す。このマッピング情報は、グループ毎に、入力情報、理想信号点のI値及びQ値、並びにキャリブレーション後のI値及びQ値により構成される。

0055

入力情報は、マッピング部12に入力される符号化ビット系列である。マッピング制御部22により、グループ毎に、共通の拡大縮小率及び回転量が決定され、当該グループ内の信号点群のそれぞれについて、共通の拡大縮小率及び回転量が反映されたI値及びQ値が、キャリブレーション後のI値及びQ値として格納される。

0056

例えば、(a)のグループ1について共通の拡大縮小率及び回転量が決定され、共通の拡大縮小率及び回転量に基づいて、入力情報「1100」「1101」「1110」「1111」におけるキャリブレーション後のI値及びQ値がマッピング部12に格納される。入力情報「1100」については、I値が0.2957及びQ値が0.2957の理想信号点に対し、キャリブレーション後の信号点のI値として0.1964、Q値として0.4211が格納される。

0057

図3は、マッピング制御部22の処理(マッピング位置調整処理によるキャリブレーション)例を示すフローチャートであり、歪情報としてMERを用いた場合を示している。

0058

マッピング制御部22は、マッピング位置調整処理によるキャリブレーションを開始すると、まず、マッピング部12にて用いるマッピング情報につきその理想信号点のコンスタレーションにおいて、振幅の等しい円周上に配置された信号点の集合を1つの制御円(グループ)として設定する。これにより、等しい振幅毎に、信号点の集合からなる制御円のグループが設定される。マッピング制御部22は、処理対象の制御円(グループ)を選定する(ステップS301)。

0059

マッピング制御部22は、選定したグループに属する全ての信号点について、理想信号点の振幅を基準とした拡大縮小率を変更し、マッピングテーブル23を変更する(ステップS302及びステップS304)。

0060

マッピング制御部22は、歪情報判定部21から入力した歪情報であるMERが極大値であるか否かを判定し(ステップS303)、極大値でないと判定した場合(ステップS303:N)、ステップS302へ移行する。そして、マッピング制御部22は、MERが極大値であると判定した場合(ステップS303:Y)、ステップS302にて変更した拡大縮小率を、キャリブレーション後の拡大縮小率として決定し、ステップS305へ移行する。

0061

マッピング制御部22は、歪情報判定部21から入力する歪情報であるMERが極大値になるまで、振幅を制御してマッピングテーブル23を変更する処理を続ける。

0062

マッピング制御部22は、ステップS303から移行して、選定したグループに属する全ての信号点について、理想信号点の位相を基準とした回転量を変更し、マッピングテーブル23を変更する(ステップS305及びステップS304)。

0063

マッピング制御部22は、歪情報判定部21から入力した歪情報であるMERが極大値であるか否かを判定し(ステップS306)、極大値でないと判定した場合(ステップS306:N)、ステップS305へ移行する。そして、マッピング制御部22は、MERが極大値であると判定した場合(ステップS306:Y)、ステップS305にて変更した回転量を、キャリブレーション後の回転量として決定し、ステップS307へ移行する。

0064

マッピング制御部22は、歪情報判定部21から入力する歪情報であるMERが極大値になるまで、位相を制御してマッピングテーブル23を変更する処理を続ける。

0065

尚、マッピング制御部22は、同じグループについて、ステップS302からステップS306までの振幅制御及び位相制御の処理を、予め設定された回数分行うようにしてもよい。また、マッピング制御部22は、先に、ステップS305の位相制御を行い、その後に、ステップS302の振幅制御を行うようにしてもよい。

0066

マッピング制御部22は、ステップS306から移行して、全ての処理対象のグループについて処理が終了したか否かを判定し(ステップS307)、終了していないと判定した場合(ステップS307:N)、ステップS301へ移行する。これにより、次のグループが選定され、マッピングテーブル23の変更処理が行われる。

0067

マッピング制御部22は、ステップS307において、全ての処理対象のグループについて処理が終了したと判定した場合(ステップS307:Y)、当該マッピング位置調整処理によるキャリブレーションを終了する。

0068

尚、マッピング制御部22は、全てのグループについて、ステップS301からステップS307までの一連の処理を、予め設定された回数分行うようにしてもよい。また、図3に示した処理例は、歪情報としてMERを用いた場合を示しており、マッピング制御部22は、ステップS303及びステップS306において、歪情報であるMERが極大値であるか否かを判定するようにした。これに対し、歪情報としてEVMを用いた場合、マッピング制御部22は、ステップS303及びステップS306において、歪情報であるEVMが極小値であるか否かを判定する。

0069

これにより、グループ間で異なる拡大率または縮小率及び回転量となるが、電力増幅部19にて生じる歪に対し逆特性となるマッピング情報、すなわち電力増幅部19から理想信号点に近い状態の信号が出力され得るマッピング情報が生成される。

0070

図4は、キャリブレーション後の信号点について、IQ軸のコンスタレーションを示すイメージ図である。(a)は16APSKの信号点のコンスタレーションを示し、(b)は32APSKの信号点のコンスタレーションを示す。点線の丸印は、理想信号点の配置を示す。実線の丸印は、キャリブレーション後の拡大縮小率及び回転量が反映された信号点の配置を示す。外周側の信号点と内周側の信号点との間の点線の円は平均電力を示す。

0071

図4(a)(b)に示すように、振幅及び位相の制御(拡大縮小率及び回転量の変更)は、グループ((a)ではG1,G2、(b)ではG3,G4,G5のそれぞれのグループ)毎に行われる。

0072

また、図4(a)(b)に示すキャリブレーション後の信号点(実線の丸印)は、図8(a)(b)に示したキャリブレーションが行われない場合の信号点(実線の丸印)に対し、逆特性となっていることがわかる。これは、本発明の実施形態では、電力増幅部19から理想信号点に近い信号が出力されることを示している。

0073

つまり、本発明の実施形態では、振幅位相変調の変調波は、送信装置1の電力増幅部19にて歪が生じるが、理想信号点に近い状態で送信装置1から送信される。後述する受信装置2及び歪情報測定装置3にて等化した信号も、理想信号点に近い状態となり、誤り率特性を改善することができる。

0074

以上のように、本発明の実施形態の送信装置1によれば、マッピング位置調整処理によるキャリブレーション時に、歪情報判定部21は、電力増幅部19が増幅した信号に対する歪情報(後述する受信装置2または歪情報測定装置3により測定された、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が反映された情報)を入力し、歪情報の示す値が最適値であるか否かを判定し、最適判定情報を生成する。

0075

マッピング制御部22は、マッピング情報の理想信号点のコンスタレーションにおいて、同一振幅の円周上に配置された信号点群のグループ毎に、最適判定情報に基づいて、歪情報の示す値が最適値となるまで、マッピングテーブル23に格納されたマッピング情報の位相及び振幅の変更処理を繰り返す。

0076

これにより、マッピングテーブル23には、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が最小となる、電力増幅部19にて生じる歪とは逆の特性を有するマッピング情報が格納される。そして、キャリブレーション後の実際の運用時に、送信装置1の電力増幅部19を高出力域で動作させ、変調信号が非線形の歪を受けた場合であっても、非線形の歪による劣化を抑えることができ、誤り率特性を改善することができる。

0077

また、本発明の実施形態の送信装置1によれば、非線形の歪による劣化を抑えるための処理として、歪情報判定部21にて歪情報と最適値とを比較する処理、及び、マッピング制御部22にてグループ毎の信号点群の位相及び振幅を変更する処理を行えばよい。

0078

これにより、レプリカ信号を生成し、歪の逆特性となる信号を生成する処理等が必要な従来技術に比べ、回路規模の増大を抑制することができる。また、送信装置1を移動伝送に用いた場合には、その重量を抑えることができ、移動が容易な小型の送信装置1を実現することができる。例えば、送信装置1を、ミリ波の周波数の電波による移動伝送に用いるワイヤレスカメラに適用することができる。さらに、電力増幅部19の特性を事前に取得しておく必要がないから、手間がかからないという利点がある。

0079

したがって、電力増幅部19における変調波の信号歪に起因する伝送性能の劣化を改善し、かつ回路規模の増大を抑制することが可能となる。

0080

〔受信装置〕
次に、受信装置について説明する。受信装置は、周波数領域でチャネル等化を可能とするシングルキャリア方式を用いた装置であり、受信信号のデータ部分の変調方式として、16APSK等の任意の振幅位相変調が用いられたものとする。また、受信装置は、MERまたはEVM等の歪情報を送信装置1へ、有線、無線等を介してフィードバックする。

0081

図5は、受信装置の構成例を示すブロック図である。この受信装置2は、受信アンテナ31、周波数変換部32、AD(アナログ/デジタル)変換部33、デジタル直交復調部34、帯域制限フィルタ部35、ブロック同期部36、UWフーリエ変換部37、チャネル推定部38、フーリエ変換部39、周波数領域等化部40、逆フーリエ変換部41、シンボル判定部42、復号部43及び歪情報折り返し部44を備えている。尚、ここでは受信ブランチ数を1とするが、2以上としてもよい。受信ブランチ数が2以上の場合、ダイバーシチ合成が可能であるものとする。

0082

受信装置2は、図1に示した送信装置1から送信された変調波の無線信号を、受信アンテナ31を介して受信する。周波数変換部32は、受信アンテナ31を介して受信した変調波の無線信号の無線周波数を、中間周波数に変換し、中間周波数信号AD変換部33に出力する。

0083

AD変換部33は、周波数変換部32から中間周波数信号を入力し、中間周波数信号のアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号をデジタル直交復調部34に出力する。

0084

デジタル直交復調部34は、AD変換部33からデジタル信号を入力し、デジタル信号に対し自動周波数制御を行い、周波数ずれを補正しながら、直交復調した複素ベースバンド信号を生成する。そして、デジタル直交復調部34は、周波数補正後の複素ベースバンド信号を帯域制限フィルタ部35に出力する。

0085

帯域制限フィルタ部35は、デジタル直交復調部34から周波数補正後の複素ベースバンド信号を入力し、周波数補正後の複素ベースバンド信号に対し、フィルタ処理による帯域制限を行い、帯域制限した複素ベースバンド信号をブロック同期部36に出力する。帯域制限フィルタとしては、一般的にルートロールオフフィルタが用いられる。

0086

ブロック同期部36は、帯域制限フィルタ部35から帯域制限した複素ベースバンド信号を入力し、帯域制限した複素ベースバンド信号に対し、UWの部分のIQ信号に基づいて、SC−FDEブロックの同期タイミングを検出する。そして、ブロック同期部36は、SC−FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を抽出すると共に、その後のデータ及びUWの部分に関する時間領域の信号を抽出する。

0087

ブロック同期部36は、先頭のUWの部分に関する時間領域の信号をUWフーリエ変換部37に出力すると共に、データ及び後ろのUWの部分に関する時間領域の信号をフーリエ変換部39に出力する。

0088

UWフーリエ変換部37は、ブロック同期部36から先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を入力し、先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号にフーリエ変換する。そして、UWフーリエ変換部37は、先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号をチャネル推定部38に出力する。

0089

チャネル推定部38は、UWフーリエ変換部37から先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号を入力し、当該周波数領域の信号に対し、既知の周波数領域のUWを参照信号としてチャネル推定を行う。チャネル推定部38は、チャネル推定にて得られた伝搬路情報を周波数領域等化部40に出力する。

0090

フーリエ変換部39は、ブロック同期部36からデータ及びUWの部分に関する時間領域の信号を入力し、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号にフーリエ変換する。そして、フーリエ変換部39は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を周波数領域等化部40に出力する。

0091

周波数領域等化部40は、チャネル推定部38から伝搬路情報を入力すると共に、フーリエ変換部39からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を入力する。そして、周波数領域等化部40は、伝搬路情報、並びにデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を用いて、周波数領域でチャネル等化を行う。周波数領域等化部40は、周波数領域でチャネル等化したデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を逆フーリエ変換部41に出力する。

0092

逆フーリエ変換部41は、周波数領域等化部40からチャネル等化したデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を入力し、チャネル等化したデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号を時間領域の信号に逆フーリエ変換する。そして、逆フーリエ変換部41は、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号をシンボル判定部42に出力する。

0093

シンボル判定部42は、逆フーリエ変換部41からデータ及びUWの部分に関する時間領域の信号を入力し、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号からデータの信号を抽出する。そして、シンボル判定部42は、データの信号に対し、デマッピング及び尤度計算を行う。これにより、硬判定の場合は、シンボルを構成する符号化ビット系列(誤り訂正の符号化が施されたデータ)を形成し、復号部43に出力する。一方、軟判定の場合は、符号化ビット系列に対応した尤度の系列を形成し、復号部43に出力する。また、シンボル判定部42は、シンボル判定したシンボルと理想信号点との間のずれを算出し、当該ずれをMERまたはEVM等の歪情報に変換し、歪情報を歪情報折り返し部44に出力する。

0094

具体的には、シンボル判定部42は、歪情報としてMERを用いる場合、以下の数式(1)にて、入力シンボル数NにおけるMERを計算する。また、シンボル判定部42は、歪情報としてEVMを用いる場合、以下の数式(2)にて、入力シンボル数NにおけるEVMを計算する。

0095

ここで、Nは入力シンボル数、Ikは受信したk番目のシンボルの理想的なI成分、Qkは受信したk番目のシンボルの理想的なQ成分である。

は、受信したk番目のシンボルのI成分、Q成分である。

0096

前記数式(1)のMERまたは前記数式(2)のEVMは、一般的に計算することが可能である。MERは、その値が大きいほど理想信号点とのずれが小さく、その値が小さいほど理想信号点とのずれが大きいことを表している。EVMは、その値が小さいほど理想信号点とのずれが小さく、その値が大きいほど理想信号点とのずれが大きいことを表している。

0097

復号部43は、シンボル判定部42から符号化ビット系列、または符号化ビット系列に対応した尤度系列を入力し、符号化ビット系列または尤度系列に対し、送信装置1の送信前処理部11に対応したデインタリーブ処理誤り訂正復号処理及びエネルギー逆拡散処理等を行い、情報ビット系列を復号し出力する。

0098

歪情報折り返し部44は、シンボル判定部42から歪情報を入力し、歪情報を、有線または無線等の任意の接続によりフィードバック可能な適切な信号形式に変換し、変換後の歪情報を、有線または無線等を介して送信装置1へ出力する。

0099

このように、受信装置2により、周波数領域でチャネル等化した受信信号点について、理想信号点と受信信号点との間の差分がMERまたはEVM等の歪情報として測定され、歪情報が、受信装置2から送信装置1へ随時フィードバックされる。

0100

〔歪情報測定装置〕
次に、歪情報測定装置について説明する。図5に示した受信装置2は、送信装置1と離れて設置されるのが通常である。そのため、送信装置1の近くでキャリブレーションを行うためには、受信装置2を送信装置1の近くに設置する必要があり、手間である。そこで、受信装置2の代わりに歪情報測定装置を用いて、送信装置1の近くでキャリブレーションを行う。歪情報測定装置は、受信装置2に備えた構成部の一部と同等の機能を持ち、MERまたはEVM等の歪情報を送信装置1へ、有線、無線等を介してフィードバックする。

0101

図6は、歪情報測定装置の構成例を示すブロック図であり、歪情報測定装置を送信装置1に直接接続した場合を示している。この歪情報測定装置3は、周波数変換部51、AD変換部52、デジタル直交復調部53、帯域制限フィルタ部54、ブロック同期部55、UWフーリエ変換部56、チャネル推定部57、フーリエ変換部58、周波数領域等化部59、逆フーリエ変換部60、シンボル判定部61及び歪情報折り返し部62を備えている。

0102

周波数変換部51から歪情報折り返し部62までのそれぞれの構成部は、図5に示した受信装置2において、受信アンテナ31及び復号部43を除く、周波数変換部32からシンボル判定部42までの構成部及び歪情報折り返し部44と同じである。歪情報折り返し部62は、歪情報を、有線を介して送信装置1へ出力する。

0103

この場合の送信装置1は、図1に示した構成部に加え、電力増幅部19と送信アンテナ20との間に挿入された信号分配部24を備えている。信号分配部24は、電力増幅部19から電力増幅後の無線周波数の変調信号を入力し、当該変調信号を適切に減衰して分配する。

0104

信号分配部24は、キャリブレーション時に、電力増幅後の無線周波数の変調信号を、歪情報測定装置3の周波数変換部51に出力する。そして、キャリブレーションによりマッピングテーブル23の調整が完了すると、信号分配部24には、歪情報測定装置3の周波数変換部51側に適切な終端器が接続される。信号分配部24は、運用時に、電力増幅後の無線周波数の変調信号を、送信アンテナ20に出力する。

0105

これにより、歪情報測定装置3が送信装置1に直接接続された状態で、送信装置1から電力増幅後の無線周波数の変調信号が、有線を介して歪情報測定装置3へ直接入力される。また、歪情報測定装置3により、周波数領域でチャネル等化した受信信号点について、理想信号点と受信信号点との間の差分がMERまたはEVM等の歪情報として測定され、歪情報が、歪情報測定装置3から送信装置1へ随時フィードバックされる。

0106

尚、図6は、歪情報測定装置3を送信装置1に直接接続した場合の構成を示しているが、信号分配部24を含む送信装置1の出力段の一部を付け替えて、歪情報測定装置3を送信装置1に接続するように構成してもよい。また、歪情報測定装置3と図1に示した送信装置1との間で無線通信を行うように構成してもよい。
前者の場合(送信装置1の一部を付け替えて接続する場合)、送信装置1の電力増幅部19と信号分配部24とを切り離し、電力増幅部19に減衰器を接続し、減衰器に図6の歪情報測定装置3の周波数変換部51を接続して構成する。また、後者の場合(送信装置1との間で無線通信を行うように構成する場合)、図6の歪情報測定装置3にさらに受信アンテナを設け、受信アンテナを周波数変換部51に接続して構成する。この場合の歪情報測定装置3は、図5に示した受信装置2の各構成部のうち、復号部43を除く各構成部により構成される。

0107

以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば前記実施形態では、受信装置2及び歪情報測定装置3は、理想信号点と受信信号点との間のずれを、MERまたはEVM等の歪情報として測定するようにしたが、MERまたはEVMは一例であり、他の情報を測定するようにしてもよい。要するに、歪情報は、理想信号点と受信信号点との間のずれの程度が反映された情報であれば何でもよい。

0108

本発明におけるシングルキャリア方式の送信装置1によれば、電力増幅部19による振幅及び位相の変化の影響がある場合にも、受信装置2側で精度よく復号を行うことができる。本発明は、シングルキャリア方式に基づいた放送または通信等の無線伝送システムに有用である。

0109

1送信装置
2受信装置
3歪情報測定装置
11送信前処理部
12マッピング部
13 UW(ユニークワード)挿入部
14アップサンプリング部
15波形整形部
16デジタル直交変調部
17 DA(デジタル/アナログ)変換部
18周波数変換部
19電力増幅部
20送信アンテナ
21 歪情報判定部
22マッピング制御部
23マッピングテーブル
24信号分配部
31受信アンテナ
32,51 周波数変換部
33,52 AD(アナログ/デジタル)変換部
34,53 デジタル直交復調部
35,54帯域制限フィルタ部
36,55ブロック同期部
37,56 UWフーリエ変換部
38,57チャネル推定部
39,58 フーリエ変換部
40,59周波数領域等化部
41,60逆フーリエ変換部
42,61シンボル判定部
43復号部
44,62 歪情報折り返し部

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