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技術 耐火物及びその製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 井上明彦
出願日 2017年4月19日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-082762
公開日 2018年11月15日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-177607
状態 特許登録済
技術分野 酸化物セラミックスの組成1 鋳造用とりべ
主要キーワード 耐損耗性 高温溶融物 エアリーク MAX相 LF処理 ポリカルボン酸ソーダ 硬化時間調整剤 酸化反応性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年11月15日)のものです。
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課題

耐損耗性に優れる耐火物及びその製造方法を提供する。

解決手段

耐火物原料と、下記式(1)で表されるMAX相物質とを含有し、上記MAX相物質の含有量が、上記耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である、耐火物。Mn+1AXn (1) 式(1)中、 Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、 Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、 Xは、C、又は、Nを表し、 nは、1、2、又は、3を表す。

概要

背景

耐火物高温で使用されるので熱膨張組織変質による割れが発生することが多い。特に高温溶融物を扱う設備においては、割れから高温溶融物が侵入し熱膨張や組織の変質を更に加速せしめる。このような現象損耗に繋がるため、問題である。

このようななか、割れの予防と欠陥(割れ等)の拡大抑制が検討されている。
欠陥の拡大抑制のためには、割れによって生じた空隙を埋め、高温溶融物などの侵入を抑制することが望まれる。そのためには割れの発生に応じて体積膨張を伴う反応を示し、欠陥を充填する物質が有効である。この例としては金属シリコン金属アルミニウムを添加し、後に酸化して酸化アルミニウム酸化ケイ素となって体積が2倍前後に増加することを利用した欠陥の充填方法が提案されている。

また、割れの予防には高強度化の他に低弾性率化高熱伝導率化による温度勾配の低減などの対策が執られるが、高強度化と低弾性率両立は難しく、高熱伝導材料酸素などとの反応性が高く用途が限られるといった課題があった。炭素カーボン)は高温に耐え、かつ熱伝導率の高い代表的な物質であり、マグネシアカーボン質ドロマイト−カーボン質、アルミナ−マグネシア−カーボン質、アルミナ−カーボン質、アルミナ−炭化珪素−カーボン質など、多くの耐火物材料で利用されている。ところが、炭素は数百℃以上の高温では、酸素や二酸化炭素水蒸気を含む酸化性気体や、酸化鉄酸化マンガンを含む酸化性の溶融物により容易に酸化され消失する。炭素の酸化消失を抑制するためには、自らが酸化して炭素の酸化を阻害する物質、たとえば特開平5−148011号公報(特許文献1)では金属アルミニウムを、たとえば特許第5205712号公報(特許文献2)では金属シリコンを、たとえば特許第5462601号公報(特許文献3)では炭化ホウ素を、添加することが提案されている。

概要

耐損耗性に優れる耐火物及びその製造方法を提供する。耐火物原料と、下記式(1)で表されるMAX相物質とを含有し、上記MAX相物質の含有量が、上記耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である、耐火物。Mn+1AXn (1) 式(1)中、 Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、 Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、 Xは、C、又は、Nを表し、 nは、1、2、又は、3を表す。なし

目的

本発明は、上記実情を鑑みて、耐損耗性に優れる耐火物及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

耐火物原料と、下記式(1)で表されるMAX相物質とを含有し、前記MAX相物質の含有量が、前記耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である、耐火物。Mn+1AXn(1)式(1)中、Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、Xは、C、又は、Nを表し、nは、1、2、又は、3を表す。

請求項2

前記耐火物原料が、炭素を1質量%以上含有する、請求項1に記載の耐火物。

請求項3

請求項1又は2に記載の耐火物を製造する耐火物の製造方法であって、耐火物原料を含有する耐火物前駆体を成形することで、成形体を得る、成形工程と、前記成形体を下記式(1)で表されるMAX相物質を含有する液に浸漬させ、前記成形体に前記MAX相物質を含浸させることで、請求項1又は2に記載の耐火物を得る、含浸工程とを備える、耐火物の製造方法。Mn+1AXn(1)式(1)中、Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、Xは、C、又は、Nを表し、nは、1、2、又は、3を表す。

請求項4

前記成形工程の前に、さらに、耐火物原料と、前記式(1)で表されるMAX相物質とを混合し、前記耐火物原料と、前記式(1)で表されるMAX相物質とを含有する耐火物前駆体を得る、混合工程を備え、前記耐火物に含有される前記式(1)で表されるMAX相物質のうち、20質量%以上のMAX相物質が、前記含浸工程により添加された、請求項3に記載の耐火物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は耐火物及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

耐火物は高温で使用されるので熱膨張組織変質による割れが発生することが多い。特に高温溶融物を扱う設備においては、割れから高温溶融物が侵入し熱膨張や組織の変質を更に加速せしめる。このような現象損耗に繋がるため、問題である。

0003

このようななか、割れの予防と欠陥(割れ等)の拡大抑制が検討されている。
欠陥の拡大抑制のためには、割れによって生じた空隙を埋め、高温溶融物などの侵入を抑制することが望まれる。そのためには割れの発生に応じて体積膨張を伴う反応を示し、欠陥を充填する物質が有効である。この例としては金属シリコン金属アルミニウムを添加し、後に酸化して酸化アルミニウム酸化ケイ素となって体積が2倍前後に増加することを利用した欠陥の充填方法が提案されている。

0004

また、割れの予防には高強度化の他に低弾性率化高熱伝導率化による温度勾配の低減などの対策が執られるが、高強度化と低弾性率両立は難しく、高熱伝導材料酸素などとの反応性が高く用途が限られるといった課題があった。炭素カーボン)は高温に耐え、かつ熱伝導率の高い代表的な物質であり、マグネシアカーボン質ドロマイト−カーボン質、アルミナ−マグネシア−カーボン質、アルミナ−カーボン質、アルミナ−炭化珪素−カーボン質など、多くの耐火物材料で利用されている。ところが、炭素は数百℃以上の高温では、酸素や二酸化炭素水蒸気を含む酸化性気体や、酸化鉄酸化マンガンを含む酸化性の溶融物により容易に酸化され消失する。炭素の酸化消失を抑制するためには、自らが酸化して炭素の酸化を阻害する物質、たとえば特開平5−148011号公報(特許文献1)では金属アルミニウムを、たとえば特許第5205712号公報(特許文献2)では金属シリコンを、たとえば特許第5462601号公報(特許文献3)では炭化ホウ素を、添加することが提案されている。

先行技術

0005

特開平5−148011号公報
特許第5205712号公報
特許第5462601号公報

発明が解決しようとする課題

0006

割れの発生に応じて体積膨張を伴う反応を起こし欠陥を充填するために、金属シリコンや金属アルミニウムを添加し、後に酸化して酸化アルミニウムや酸化ケイ素となって体積が2倍前後に増加することを利用した欠陥の充填方法については、これらの酸化し易い金属の多くは低融点であり、たとえば溶鋼用途のように1500℃以上の温度での使用においては耐火物の割れの発生よりも先に金属アルミニウムや金属シリコンが溶融酸化してしまい、膨張応力が割れを助長して耐損耗性が不十分となる(本明細書の比較例1−2及び1−3に相当)。
また、カーボンを含有する耐火物の、使用開始前予熱時や使用開始直後のカーボンの酸化防止方法は多く提案されているが、金属アルミニウムや金属シリコンや炭化ホウ素を添加する方法では、添加物自体の硬さにより耐火物の圧縮成型時の欠陥の原因となり、結果として耐損耗性が低下する(本明細書の比較例2−2に相当)こと、これらの添加物は微粉とする事が製造上または取扱上高コストであるので一般に耐火物原料の微紛に比べて大粒径であるので反応生成物が局部的な高弾性化低融点化といった耐火物性能の低下を招くこと、という弊害がある。また、ケイ酸ソーダ等の水溶液固体の混合物を塗布する方法では、室温〜数百℃でのケイ酸ソーダの脱水収縮時に固体との界面に亀裂や欠陥が発生し酸素を遮断する性能が低下するという課題がある。また、界面の亀裂を抑制するためにアルカリ金属酸化物などの比較的融点の低い固体をケイ酸ソーダと混合することが提案されているが、摺動面に沿ってのエアリーク多孔質耐火物外周側面の通気を抑制するには十分であるものの、カーボンの酸化は微小な亀裂や欠陥を通しての少量の酸素でも進行するので効果が不十分である。また、ケイ酸ソーダを塗布する対象としてはAl2O3−SiO2系などの、耐火性能の低いSiO2を多く含む耐火物を対象としており、たとえば融点が232℃と低い溶融錫などには有効であるが、融点が500℃以上のアルミ・銅・ガラス鉄鋼などには適用できない。耐火物面への金属板接着は酸素の遮断効果が高くカーボンの酸化が良好に防止できるが、そのコストの高さから適用範囲が限られる。

0007

そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、耐損耗性に優れる耐火物及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の量のMAX相物質を添加することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。

0009

(1)耐火物原料と、下記式(1)で表されるMAX相物質とを含有し、
上記MAX相物質の含有量が、上記耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である、耐火物。
Mn+1AXn (1)
式(1)中、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、
Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、
Xは、C、又は、Nを表し、
nは、1、2、又は、3を表す。
(2) 上記耐火物原料が、炭素を1質量%以上含有する、上記(1)に記載の耐火物。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の耐火物を製造する耐火物の製造方法であって、
耐火物原料を含有する耐火物前駆体を成形することで、成形体を得る、成形工程と、
上記成形体を下記式(1)で表されるMAX相物質を含有する液に浸漬させ、上記成形体に上記MAX相物質を含浸させることで、上記(1)又は(2)に記載の耐火物を得る、含浸工程とを備える、耐火物の製造方法。
Mn+1AXn (1)
式(1)中、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、
Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、
Xは、C、又は、Nを表し、
nは、1、2、又は、3を表す。
(4) 上記成形工程の前に、さらに、
耐火物原料と、上記式(1)で表されるMAX相物質とを混合し、上記耐火物原料と、上記式(1)で表されるMAX相物質とを含有する耐火物前駆体を得る、混合工程を備え、
上記耐火物に含有される上記式(1)で表されるMAX相物質のうち、20質量%以上のMAX相物質が、上記含浸工程により添加された、上記(3)に記載の耐火物の製造方法。

発明の効果

0010

以下に示すように、本発明によれば、耐損耗性に優れる耐火物及びその製造方法を提供することができる。

0011

以下に、本発明の耐火物及びその製造方法について説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、耐火物とは、焼成前の耐火物(以下、「耐火物(焼成前)」とも言う)と、焼成後の耐火物(以下、「耐火物(焼成後)」の両方を含むものとする。

0012

[耐火物]
本発明の耐火物は、耐火物原料と、下記式(1)で表されるMAX相物質とを含有する。ここで、上記MAX相物質の含有量は、上記耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である。
Mn+1AXn (1)
式(1)中、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、
Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、
Xは、C、又は、Nを表し、
nは、1、2、又は、3を表す。

0013

本発明の耐火物は、このような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明の耐火物に含有されるMAX相物質は、遷移金属である「M」の炭化物又は窒化物結晶格子が、「A」の原子層を挟んで積み重なった結晶構造をしていることが知られている。そのため「A」の原子層内で転位が可能であり常温塑性変形できる特徴を持っている。結果として、常温での可塑性に富み、成形時に欠陥の原因となり難い。また、局部的な高弾性化や低融点化といった耐火物性能の低下にも繋がり難い。
また、仮に耐火物の使用中に割れ等の欠陥が生じたとしても、MAX相物質が高温において酸素と反応し膨張(例えば、体積で2倍)するため、欠陥にMAX相物質が充填され、欠陥へのスラグ等の侵入が抑制されるものと考えられる。
さらには、上述のとおり、本発明の耐火物に含有されるMAX相物質は酸素と反応するため、本発明の耐火物に含有される耐火物原料が炭素を含有する場合には、炭素の酸化消失も抑制される。
これらの理由により、本発明の耐火物は極めて優れた耐損耗性を示すものと考えられる。
なお、本発明ではMAX相物質の含有量を特定の量に限定しているが、これは、MAX相物質の含有量が多すぎると、MAX相物質の酸化反応生成物が液相を生成し、損耗が進むという、本発明者の知見に基づくものである。
これらのことは、MAX相物質を含有しない場合(比較例1−1及び2−1)、MAX相物質の代わりに硬い金属アルミニウム、金属シリコン又は炭化ホウ素を添加した場合(比較例1−2、1−3及び2−2)、並びに、MAX相物質を含有するがMAX相物質の含有量が耐火物原料に対して8.0質量%を超える場合(比較例1−4、1−5及び2−3)には耐損耗性が不十分となることからも推測される。

0014

以下、本発明の耐火物に含有される各成分について詳述する。

0015

〔耐火物原料〕
本発明の耐火物に含有される耐火物原料は、耐火物の原料であって、後述するMAX相物質以外のものである。
耐火物原料としては、従来公知の原料を用いることができるが、例えば、耐火性粉体結合剤分散剤添加剤(例えば、繊維類硬化時間調整剤増粘剤など)などが挙げられる。
なお、以下、複数の耐火物原料からなる組成物を「耐火物原料組成物」とも言う。

0016

<耐火性粉体>
耐火性粉体としては、従来公知の原料を用いることができ、例えば、ブラウンアルミナ、電融アルミナ焼結アルミナボーキサイトダイアスポアばん土頁岩仮焼アルミナなどのアルミナ質原料珪石珪砂無定形シリカ(例えば、マイクロシリカシリカフラワーヒュームドシリカホワイトカーボン)などのシリカ質原料蝋石シャモット粘土、焦宝石アンダリュサイトシリマナイトカイヤナイトムライトなどのアルミナシリカ質原料;石炭コークスピッチ人造黒鉛天然黒鉛(例えば、鱗状黒鉛土状黒鉛)、カーボンブラックなどの炭素質原料電融スピネル焼結スピネルなどのスピネル質原料;マグネシアクリンカーなどのマグネシア質原料ドロマイトクリンカーなどのドロマイト質原料電融ジルコニアなどのジルコニア質原料ジルコンサンドなどのジルコン質原料窒化珪素質原料窒化アルミニウム質原料炭化珪素質原料炭化硼素質原料硼化チタン質原料;硼化ジルコニウム質原料;等が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルミナ質原料、スピネル質原料、マグネシア質原料及び炭素質原料(カーボン質原料)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ−スピネル質原料又はマグネシア−炭素質原料(カーボン質原料)であることがより好ましい。

0017

耐火性粉体の各含有量は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、化学成分として、アルミナ(Al2O3)が90質量%以上、マグネシア(MgO)が5質量%以上となる組成が好ましい。このような化学成分は、例えば、蛍光X線分析装置などを用いて測定できる。また、理論化学成分が目的の数値となるように各耐火性粉体を配合してもよい。

0018

耐火性粉体の粒径は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、粒径が75μm未満の微粒の含有量が35質量%以下であるのが好ましく、粒径1mm以上の粗粒の含有量が50質量%以上であるのが好ましい。

0019

<結合剤>
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミナセメント水硬性遷移アルミナケイ酸塩リン酸塩などが挙げられ、本発明の効果がより優れる理由から、アルミナセメントが好ましい。
結合剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、0.5〜25質量%であることが好ましい。

0020

<分散剤>
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、トリポリリン酸ソーダヘキサメタリン酸ソーダウルトラポリリン酸ソーダ酸性ヘキサメタリン酸ソーダなどのアルカリ金属リン酸塩ポリカルボン酸ソーダなどのポリカルボン酸塩アルキルスルホン酸塩芳香族スルホン酸塩ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩スルホン酸ソーダなどのスルホン酸塩;等が挙げられる。
分散剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、0.01〜1質量%であることが好ましい。

0021

〔MAX相物質〕
上述のとおり、本発明の耐火物は下記式(1)で表されるMAX相物質(以下、「式(1)で表されるMAX相物質」を単に「MAX相物質」とも言う)を含有する。
Mn+1AXn (1)
式(1)中、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、又は、Taを表し、
Aは、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、Tl、又は、Pbを表し、
Xは、C、又は、Nを表し、
nは、1、2、又は、3を表す。

0022

式(1)中、Mは、本発明の効果がより優れる理由から、Ti、Cr、Zr、又は、Nbであることが好ましい。
式(1)中、Aは、本発明の効果がより優れる理由から、Al、Si、又は、Gaであることが好ましい。
式(1)中、Xは、本発明の効果がより優れる理由から、Cであることが好ましい。

0023

MAX相物質は、本発明の効果がより優れる理由から、高温での安定性に優れた、
式(1)中のMがTi、Cr、Zr、又は、Nbであり、
AがAl、Si、又は、Gaであり、
XがCであることが好ましく、
なかでも、Cr2AlC、Ti2AlC又はZr2GaCであることがより好ましく、Cr2AlCであることがさらに好ましい。

0024

<MAX相物質の製造方法>
MAX相物質を製造する方法は特に制限されないが、MAX相物質がCr2AlCである場合、本発明の効果がより優れる理由から、下記方法であることが好ましい。

0025

(MAX相物質の製造方法の好適な態様)
まず、Cr、Al、Cの粉末をCr:Al:C=104:27:12の質量比で混合する。粉末は粒径150μm以下、望ましくは75μm以下とすればより均質なMAX相物質が得られ、結果として、本発明の効果がより優れる。ここで、粒径は、例えば、JIS Z8801に規定される公称目開きの数値を用いることができる。

0026

次に、得られた混合物を加圧成型する。
加圧成型の圧力は、得られる成形体が崩れ難く作業性が向上する理由から、10MPa以上であることが好ましい。加圧成型の圧力が高い程空隙が減り、得られるMAX相物質が均質になるが、100MPaを超えると空隙はほぼ一定になると考えられる。そのため、加圧成型の圧力は10〜100MPaが好適である。
次に、得られた成形体を非酸化雰囲気で焼成する。焼成の温度が高温であるほど焼成が速く、焼成の温度は1000℃以上であることが好ましい。一方で、高温過ぎると液相が生成するので注意が必要である。Cr2AlCの場合、1200℃48時間、1500℃で6時間焼成するとMAX相が十分に生成する。

0027

<MAX相物質の含有量>
MAX相物質の含有量は、上述した耐火物原料に対して、0.2〜8.0質量%である。ここで、MAX相物質の含有量の基準となる耐火物原料は、全ての耐火物原料の合計を意図する。すなわち、MAX相物質の含有量は、全ての耐火物原料の合計に対して、外掛けで、0.2〜8.0質量%である。
MAX相物質の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、0.4〜8.0質量%であることが好ましい。

0028

MAX相物質の添加量は、空隙を充填する目的からは多いことが望ましいが、微細な割れによる欠陥を充填する目的では0.2質量%の添加量でも効果を発揮する。その一方、MAX相物質が酸化して生成する物質はTiO2やSiO2など比較的高融点の耐火性物質であるものの、耐火物の主成分であるMgOやAl2O3などの異種の耐火性物質と化合し融点を若干なりとも下げるので過多の添加は耐火性能を損なう。一般に耐火物の空隙率は10〜20%のものが多いが、大サイズの空隙ほどスラグや酸素の侵入が多くなるので、大サイズの空隙を選択的に充填すれば、空隙を半減することで侵入を10分の1以下とすることができる。MAX相物質は、その可塑性により耐火物粒子間隙に選択的に存在させる事が可能であり、8質量%添加すれば酸化物生成にともなう体積膨張によって大サイズの空隙を8%低減することが出来、十分な効果を得られる。

0029

[耐火物の製造方法]
本発明の耐火物を製造する方法は特に制限されないが、例えば、耐火物原料とMAX相物質とを混合する方法(混合法)、耐火物原料を成形してから成形後の空隙にMAX相物質を含浸させる方法(含浸法)などが挙げられる。

0030

〔混合法〕
耐火物原料とMAX相物質とを混合する方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。

0031

〔含浸法〕
耐火物原料を成形してから成形後の空隙にMAX相物質を含浸させる方法は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、下記態様であることが好ましい。

0032

<含浸法の好適な態様>
含浸法の好適な態様としては、例えば、
耐火物原料を含有する耐火物前駆体を成形することで、成形体を得る、成形工程と、
得られた成形体を、MAX相物質を含有する液(例えば、MAX相物質を水に懸濁させたスラリー)に浸漬させ(好ましくは、30分以上分)、成形体にMAX相物質を含浸させることで、本発明の耐火物を得る、含浸工程とを備える方法が挙げられる。
上記好適な態様において、含浸深さがより深くなり、結果として本発明の効果がより優れる理由から、MAX相物質は粒径40μm以下であることが好ましい。ここで、粒径は、例えば、JIS Z8801に規定される篩の公称目開きの数値を用いることができる。

0033

〔混合法+含浸法〕
また、本発明の効果がより優れる理由から、混合法と含浸法とを組み合わせた方法(混合法+含浸法)も好ましい。
混合法+含浸法は、本発明の効果がより優れる理由から、下記態様であることが好ましい。

0034

<混合法+含浸法の好適な態様>
混合法+含浸法の好適な態様としては、上述した含浸法の好適な態様において、上述した成形工程の前に、さらに、耐火物原料と、MAX相物質とを混合し、耐火物原料と、MAX相物質を含有する耐火物前駆体を得る、混合工程を備える方法が挙げられる。
ここで、本発明の効果がより優れる理由から、得られる耐火物に含有されるMAX相物質のうち、20質量%以上のMAX相物質が、上述した含浸工程により添加されたものであることが好ましい。耐火物に含有されるMAX相物質のうち含浸工程により添加される割合の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、90質量%以下であることが好ましい。

0035

[用途]
本発明の耐火物の用途は特に制限されないが、溶鋼容器溶鋼鍋)又は転炉用の耐火物に特に好適である。

0036

以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0037

〔耐火物の製造〕
以下のとおり、各耐火物を製造した。

0038

<比較例1−1〜1−5及び2−1〜2−3、並びに、実施例1−1〜1−2及び2−1〜2−3>(混合法)
表1に示される耐火物原料組成物100質量%に対して、同表に示されるMAX相物質又は比較物質を同表に示される割合(質量%)で混合することで各耐火物(焼成前)を得た。なお、比較例1−1及び2−1ではMAX相物質も比較物質も混合しなかった。
得られた耐火物(焼成前)を用いて成形体(厚み:比較例1−1〜1−5及び実施例1−1〜1−2は140mm、比較例2−1〜2−3及び実施例2−1〜2−3は540mm)を作製し、これをコークスブリーズ中にて1400℃×3時間の還元焼成を行った。このようにして、各耐火物(焼成後)を得た。

0039

<実施例1−3>(混合法+含浸法)
表1に示されるアルミナ−スピネル質耐火物原料組成物100質量%に対して、同表に示されるCr2AlCを6質量%の割合で混合することで耐火物前駆体を得た。(混合工程)
得られた耐火物前駆体を用いて成形体(厚み:140mm)を作製した。(成形工程)
次いで、表1に示されるCr2AlCを水に懸濁させたスラリーを調製した。そして、上述のとおり得られた成形体を真空容器内に装入し、さらに上記スラリーを注入して成形体(焼成前)を浸漬させた。その後、大気圧まで復圧させ、アルミナ−スピネル質耐火物原料組成物に対するCr2AlCの含有量が7.5質量%になるまで含浸させた。(含浸工程)
このようにしてMAX相物質であるCr2AlC含有する耐火物(焼成前)を得た。得られた耐火物(焼成前)において、耐火物に含有されるCr2AlCのうち、20質量%(=1.5/7.5×100)のCr2AlCは、含浸工程により添加されたものである。
さらに、得られた耐火物(焼成前)をコークスブリーズ中にて1400℃×3時間の還元焼成を行った。このようにして、耐火物(焼成後)を得た。

0040

〔耐損耗性の評価〕
実施例1−1、1−2及び1−3並びに比較例1−1、1−2、1−3、1−4及び1−5については、それぞれの耐火物を用いた溶鋼容器に、炭素含有量が0.1質量%の溶鋼を装入し、LF処理40%、RH処理60%の割合で二次精錬の処理を行った後に、連続鋳造工程に供するまでを1チャージとして、耐火物の残厚が40mmになるまで(つまり、元厚140mmから100mm減るまで)のチャージ数を測定した。測定結果を表1の「耐用」の欄に示す。チャージ数の値が大きいほど、溶鋼による溶損が抑制され、耐損耗性に優れるものとして評価できる。
実施例2−1、2−2及び2−3並びに比較例2−1、2−2及び2−3については、それぞれの耐火物を用いた転炉に、炭素含有量が4質量%の溶鋼を装入し、炭素含有量が0.1重量%となるまで脱炭処理を行った後に、二次精錬工程に供するまでを1チャージとして、耐火物の残厚が150mmになるまで(つまり、元厚540mmから390mm減るまで)のチャージ数を測定した。測定結果を表1の「耐用」の欄に示す。チャージ数の値が大きいほど、溶鋼による溶損が抑制され、耐損耗性に優れるものとして評価できる。

0041

0042

上記表1に示される耐火物原料組成物及びMAX相物質の詳細は以下のとおりである。
・アルミナ−スピネル質:MgO:Al2O3のモル比が1:1.2〜1:2.2の範囲であり且つ粒径が5mm以下であるアルミナ・スピネルクリンカーと、アルミナ原料と、アルミナセメントとから構成されるアルミナ−スピネル質耐火物原料組成物
・マグネシア−10%カーボン質:MgO純度が95%以上であり且つ粒径が5mm以下である電融MgO原料と、鱗状黒鉛10%とから構成されるマグネシア−10%カーボン質耐火物原料組成物(炭素の含有量:10質量%)
・Cr2AlC:以下のとおり製造したMAX相物質であるCr2AlC
Cr、Al、Cの粉末(粒径75μm以下)をCr:Al:C=104:27:12の質量比で混合した。次にこの混合物を10〜100MPaの圧力で加圧成型した。次にこの成形体を1000℃以上の非酸化雰囲気で焼成した(1200℃で48時間、1500℃で6時間)。このようにしてMAX相物質であるCr2AlCを得た。
・Ti2AlC:以下のとおり製造したMAX相物質であるTi2AlC
Ti、Al、Cの粉末(粒径75μm以下)をTi:Al:C=104:27:12の質量比で混合した。次にこの混合物を10〜100MPaの圧力で加圧成型した。次にこの成形体を1000℃以上の非酸化雰囲気で焼成した(1200℃で48時間、1500℃で6時間)。このようにしてMAX相物質であるTi2AlCを得た。
・Zr2GaC:以下のとおり製造したMAX相物質であるZr2GaC
Zr、Ga、Cの粉末(粒径75μm以下)をZr:Ga:C=104:27:12の質量比で混合した。次にこの混合物を10〜100MPaの圧力で加圧成型した。次にこの成形体を1000℃以上の非酸化雰囲気で焼成した(1200℃で48時間、1500℃で6時間)。このようにしてMAX相物質であるZr2GaCを得た。

0043

表1中、「製造方法」に記載の「混合法」及び「混合法+含浸法」は、上述した「混合法」及び「混合法+含浸法」を表す。

0044

表1から分かるように、MAX相物質を添加しなかった比較例1−1と比較して、MAX相物質を添加した実施例1−1〜1−3は、優れた耐損耗性を示した。

0045

ここで、MAX相物質を添加しなかった比較例1−1は残厚40mm程度となった時点で20mm以上の剥離が生じていた。これは、内部の欠陥にスラグが侵入して変質し、膨張率、強度、ヤング率などの物性が変化することで表層から約20mmの深さの部位に大きな亀裂が入ることが原因であった。
これに対して、MAX相物質を添加した実施例1−1〜3では、内部の欠陥をMAX相物質の酸化反応性生物であるところのCr2O3又はTi2O3とAl2O3とが充填し、スラグの侵入が大幅に軽減されていることが確認された。

0046

また、MAX相物質を添加しなかった比較例2−1と比較して、MAX相物質を添加した実施例2−1〜2−3は、優れた耐損耗性を示した。

0047

MAX相物質を添加しなかった比較例2−1は、使用中にカーボンの酸化消失が進み、割れが発生していた。
これに対して、MAX相物質を添加した実施例2−1〜2−3はカーボンが良好に保持されていた。

0048

また、実施例1−1と1−2との対比(混合法を用いて製造した態様同士の対比)から、上述した式(1)中のMがCrである実施例1−1は、より優れた耐損耗性を示した。
また、実施例1−1と1−3との対比(MAX相物質としてCr2AlCを用いた態様同士の対比)から、含浸法(混合法+含浸法)を用いて製造した実施例1−3は、より優れた耐損耗性を示した。
また、実施例2−1と2−3との対比(MAX相物質の含有量が7.5質量%である態様同士の対比)から、上述した式(1)中のMがZrである実施例2−3は、より優れた耐損耗性を示した。

0049

MAX相物質の代わりに金属アルミニウムを添加した比較例1−2、及び、MAX相物質の代わりに金属シリコンを添加した比較例1−3は、耐損耗性が不十分であった。同様に、MAX相物質の代わりに炭化ホウ素を添加した比較例2−2も、耐損耗性が不十分であった。

実施例

0050

また、MAX相物質を含有するが、MAX相物質の含有量が耐火物原料に対して8.0質量%を超える比較例1−4及び1−5は、耐損耗性が不十分であった。同様に、MAX相物質を含有するが、MAX相物質の含有量が耐火物原料に対して8.0質量%を超える比較例2−3も、耐損耗性が不十分であった。MAX相物質の酸化反応生成物が液相を生成したためと推測される。

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