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技術 加水分解触媒、並びに、その製造方法、その使用方法、及び、それを用いた糖含有液の製造装置

出願人 日立化成株式会社
発明者 岡井誠栗原祥晃
出願日 2017年4月10日 (3年2ヶ月経過) 出願番号 2017-077289
公開日 2018年11月15日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2018-176045
状態 未査定
技術分野 炭素・炭素化合物 触媒 糖工業
主要キーワード ソルボサーマル反応 スラリー輸送 グラフェンシート間 分解回収 電気信号線 加水分解装置 加水分解効率 酸化グラフェン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

加水分解後の反応液からの分離が容易な加水分解触媒を提供する。

解決手段

炭素原子六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒とする。

概要

背景

化石燃料に替わるバイオマス資源として、植物由来リグノセルロースが有望である。リグノセルロースは、リグニンを15質量%〜20質量%程度、ヘミセルロースを25質量%〜35質量%程度、セルロースを40質量%〜50質量%程度で含有する。リグニンはフェニルプロパノイドが三次元に複雑に結合した構造を有し、この構造は植物の骨格となる。ヘミセルロースは、C5又はC6の単糖が結合した構造を有する。最も含有量の多いセルロースは、グルコースがβ−1,4グリコシド結合した構造を有する。

これらのうち、セルロース及びヘミセルロース(いずれか一方のみでもよい。以下、これらを纏めて「セルロース等」ということがある)が加水分解されると、単糖であるグルコースが生成する。グルコースは、化学産業において重要な化合物である5−ヒドロキシメチルフルフラールレブリン酸、2,5−ジメチルフラン等の原料となる。

セルロール等を加水分解する際、触媒として例えば硫酸を使用して行うことがある。しかしながら、加水分解後、生成したグルコースと、触媒として使用した硫酸との反応液から、硫酸を分離することが難しい。そして、分離されなかった硫酸はそのまま環境中に放出されるため、環境負荷の増大が懸念される。そこで、加水分解後の反応液から容易に分離可能加水分解触媒が検討されている。

この点、本発明者らの一人は、グラフェン酸化グラフェン)を用いたセルロース等の加水分解触媒を発明した(特願2016−073795)。ただ、このグラフェンの大きさはナノメートルオーダーベルである。そのため、グラフェンを例えばろ過膜フィルタ)で回収しようとすると、反応液からの分離に長い時間がかかることがある。そのため、グラフェンの大型化が望まれている。

グラフェンの大型化に関する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ホウ素、ケイ素窒素リン硫黄フッ素よりなる群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子、及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する前駆体化合物と、アルカリ金属とのソルボサーマル反応物を、熱分解することによるヘテロ原子含有グラフェンの製造方法が記載されている。

概要

加水分解後の反応液からの分離が容易な加水分解触媒を提供する。炭素原子六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒とする。なし

目的

本発明はこれらの課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、加水分解後の反応液からの分離が容易な加水分解触媒、並びに、その製造方法、その使用方法、及び、それを用いた糖含有液製造装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解可能であり、炭素原子六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上であることを特徴とする、加水分解触媒

請求項2

前記透過型電子顕微鏡で撮影された写真における最も長い部分の長さが100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の加水分解触媒。

請求項3

セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解可能であり、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡で撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒を製造する方法であって、鱗片状黒鉛硫酸及び過酸化水素水のうちの少なくとも一方とを混合し、500℃以上1000℃以下で熱処理することで、前記鱗片状黒鉛を構成するグラフェンシート同士の間隔を拡げる第一熱処理工程と、当該第一熱処理工程の後、前記第一熱処理工程後反応物を冷却し、当該冷却後の前記反応物に硫酸及び過酸化水素水のうちの少なくとも一方を混合した後、500℃以上1000℃以下で熱処理することで、前記反応物中のグラフェンシート同士の間隔を拡げる第二熱処理工程とを少なくとも含むことを特徴とする、加水分解触媒の製造方法。

請求項4

セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解可能であり、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡で撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒を使用し、水中で、セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解することで単糖を得る加水分解工程と、当該加水分解工程における反応後の水溶液から、前記加水分解触媒を膜ろ過させることで分離する分離工程と、当該分離工程において分離された加水分解触媒を使用して、水中で、前記セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方とは異なる別のセルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解することで単糖を得る第二加水分解工程とを少なくとも含むことを特徴とする、加水分解触媒の使用方法

請求項5

セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解可能であり、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡で撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒を収容する触媒タンクと、加水分解の対象となるセルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を収容する対象成分タンクと、前記触媒タンクに収容された加水分解触媒と、前記対象成分タンクに収容されたセルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方とを混合して反応させることで、混合されたセルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解して単糖を生成させる加水分解装置と、当該加水分解装置において得られた反応物から加水分解触媒を膜ろ過させることで分離する分離装置と、当該分離装置において分離された加水分解触媒を前記触媒タンクに戻す戻し装置と、を備えることを特徴とする、糖含有液製造装置

技術分野

0001

本発明は、加水分解触媒、並びに、その製造方法、その使用方法、及び、それを用いた糖含有液製造装置に関する。

背景技術

0002

化石燃料に替わるバイオマス資源として、植物由来リグノセルロースが有望である。リグノセルロースは、リグニンを15質量%〜20質量%程度、ヘミセルロースを25質量%〜35質量%程度、セルロースを40質量%〜50質量%程度で含有する。リグニンはフェニルプロパノイドが三次元に複雑に結合した構造を有し、この構造は植物の骨格となる。ヘミセルロースは、C5又はC6の単糖が結合した構造を有する。最も含有量の多いセルロースは、グルコースがβ−1,4グリコシド結合した構造を有する。

0003

これらのうち、セルロース及びヘミセルロース(いずれか一方のみでもよい。以下、これらを纏めて「セルロース等」ということがある)が加水分解されると、単糖であるグルコースが生成する。グルコースは、化学産業において重要な化合物である5−ヒドロキシメチルフルフラールレブリン酸、2,5−ジメチルフラン等の原料となる。

0004

セルロール等を加水分解する際、触媒として例えば硫酸を使用して行うことがある。しかしながら、加水分解後、生成したグルコースと、触媒として使用した硫酸との反応液から、硫酸を分離することが難しい。そして、分離されなかった硫酸はそのまま環境中に放出されるため、環境負荷の増大が懸念される。そこで、加水分解後の反応液から容易に分離可能な加水分解触媒が検討されている。

0005

この点、本発明者らの一人は、グラフェン酸化グラフェン)を用いたセルロース等の加水分解触媒を発明した(特願2016−073795)。ただ、このグラフェンの大きさはナノメートルオーダーベルである。そのため、グラフェンを例えばろ過膜フィルタ)で回収しようとすると、反応液からの分離に長い時間がかかることがある。そのため、グラフェンの大型化が望まれている。

0006

グラフェンの大型化に関する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ホウ素、ケイ素窒素リン硫黄フッ素よりなる群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子、及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する前駆体化合物と、アルカリ金属とのソルボサーマル反応物を、熱分解することによるヘテロ原子含有グラフェンの製造方法が記載されている。

先行技術

0007

特開2012−153555号公報

発明が解決しようとする課題

0008

ここで、通常のグラフェンでは、六つの炭素により六員環が構成され、その六員環が平面上に多数連なっている。一方で、特許文献1に記載のヘテロ原子含有グラフェンでは、六つの原子により構成された六員環において、通常のグラフェンとは異なり、炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されている。従って、特許文献1に記載のヘテロ原子含有グラフェンでは、六員環は、炭素原子とヘテロ原子とを有して構成されることになる。

0009

このように、特許文献1に記載の技術では、通常のグラフェンとは異なり、その六員環を構成する原子として、炭素原子のほか、炭素原子以外のヘテロ原子(ホウ素やケイ素等)が含まれている。そのため、特許文献1に記載のヘテロ原子含有グラフェンでは、π電子局在化し易くなる。その結果、炭素原子とヘテロ原子との結合や、ヘテロ原子とヘテロ原子との結合の部分が、炭素原子−炭素原子との結合よりも弱くなる。これにより、加水分解触媒の再利用(繰り返し利用)にあたり、ヘテロ原子含有グラフェンが何度も使用される結果、その弱い部分の結合が切れやすくなる。そして、結合が切れることで、ヘテロ原子含有グラフェンの大きさが小さくなる(微細化する)ことから、加水分解後の反応液からヘテロ原子含有グラフェンの分離が難しくなる。

0010

本発明はこれらの課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、加水分解後の反応液からの分離が容易な加水分解触媒、並びに、その製造方法、その使用方法、及び、それを用いた糖含有液の製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは以下のようにすることで前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明の要旨は、セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方を加水分解可能であり、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層され、前記グラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基が結合し、透過型電子顕微鏡撮影された写真における最も短い部分の長さが1μm以上であることを特徴とする、加水分解触媒に関する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。

発明の効果

0012

本発明によれば、加水分解後の反応液からの分離が容易な加水分解触媒、並びに、その製造方法、その使用方法、及び、それを用いた糖含有液の製造装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

グラフェンシートの層数と、加水分解触媒の比表面積との関係を示すグラフである。
本実施形態の製造方法において行われる一回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。
本実施形態の製造方法において行われる二回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。
本実施形態の製造方法において行われる三回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。
本実施形態の製造方法において行われる三回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影した透過型電子顕微鏡写真であり、図4とは異なる倍率で撮影したものである。
図5で示した膨張黒鉛の形状を模式的に示す図である。
本実施形態の加水分解触媒を使用した糖含有液の製造装置を示す図である。
本実施形態の加水分解触媒を使用した糖含有液の製造工程を示す図である。

実施例

0014

以下、図面を適宜参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。

0015

[1.本実施形態の加水分解触媒]
本実施形態の加水分解触媒は、セルロース等(即ちセルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一方)を加水分解する加水分解触媒である。本実施形態の加水分解触媒は、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシート(グラフェンと同義、後記する図5及び図6を参照)を有し、当該グラフェンシートが2層以上5層以下で積層したものである。即ち、本実施形態の加水分解触媒は、所謂「膨張黒鉛」といわれる薄膜系炭素の基本構造を有している。

0016

膨張黒鉛とは、黒鉛グラファイト)の層間(隣接するグラフェンシート同士の間)に、硫酸、過酸化水素水等の化学物質インターカレートし、急激な熱処理を施すことにより、鱗片状黒鉛薄膜化したものである。具体的には、薄膜化により、黒鉛の層数(グラフェンシートの積層数)は減少する。そして、本実施形態の加水分解触媒では、鱗片状黒鉛におけるグラフェンシートの積層数とは大きく異なり、グラフェンシートの積層数が前記のように2層以上5層以下になっている。

0017

本実施形態の加水分解触媒を構成するグラフェンシートには、カルボキシル基及びスルホン酸基のうちの少なくとも一方の官能基(以下、「酸性基」という)が結合している。このグラフェンシートに結合した酸性基の有するプロトンにより、本実施形態の加水分解触媒にセルロース等が接触した際、セルロース等を構成するグリコシド結合が切断される。これにより、多糖であるセルロース等は、単糖であるグルコースに分解される。ただし、セルロース等を構成するβ−1,4グリコシド結合を切断することができれば、単糖であるグルコースにまで必ずしも分解される必要はない。従って、例えばオリゴ糖にまで分解される程度の加水分解であってもよい。

0018

本実施形態の加水分解触媒に備えられるグラフェンシートは、炭素原子が六角形(通常は正六角形)に結合した炭素骨格が網目様かつ平面状に広がったものである。このような構造は所謂ハニカム構造ともいわれる。グラフェンシートでは、π電子が非局在化している。そのため、グラフェンシートは高強度を有している。グラフェンシートを構成する炭素原子−炭素原子の結合距離は、例えば0.147nm程度である。そして、このグラフェンシートの表面から飛び出すようにして、例えばジアゾニウム基を介して、炭素原子に前記の酸性基が結合している。また、グラフェンシートの末端(グラフェンエッジの部分)にも、直接的又は間接的に、炭素原子に前記の酸性基が結合している。従って、グラフェンシートには、概ね全体的に、前記の酸性基が結合している。

0019

図1は、グラフェンシートの層数と、加水分解触媒の比表面積との関係を示すグラフである。図1のグラフは本発明者らの検討により得られたものであり、計算値である。ここでは、グラフェンシートを構成する炭素原子−炭素原子の結合距離を0.147nmとし、グラフェンシートのハニカム構造の表面積を算出することで、加水分解触媒の比表面積を算出した。ただし、計算の簡便化のために、グラフェンエッジ部分面積は無視して計算した。

0020

このグラフに示すように、グラフェンシートの層数が多くなると、比表面積も小さくなる。一方で、グラフェンシートの層数が少なくなると、比表面積は大きくなる。ここで、前記のようにグラフェンシートの表面及び末端(グラフェンエッジ部分)には酸性基が結合している。そのため、比表面積が大きくなれば酸性基の量(モル量、以下の同じ)が多くなるため、加水分解効率が高まることになる。従って、比表面積を大きくする観点からは、層数が少ないことが好ましい。

0021

ただし、本実施形態の加水分解触媒は、詳細は後記するが、加水分解後に反応液から分離回収して繰り返して利用可能である。そのため、再利用により劣化(微細化)が進行しグラフェンシートの割れが進行しても、ある程度の大きさ(具体的には、最も短い部分の長さとして1μm以上)を有することが好ましい。

0022

ここで、グラフェンシートが2層以上積層されている場合、隣接するグラフェンシート同士は、例えばファンデルワールス力により結合している。そのため、仮に最表面のグラフェンシートに割れ(亀裂)が入ったとしても、残りのグラフェンシートがそのままであれば、当該残りのグラフェンシートによってグラフェンシート同士の結合が維持され、加水分解触媒全体の大きさが維持される。即ち、加水分解触媒が繰り返し使用されることでグラフェンシートに割れが入ったとしても、加水分解触媒の大きさが維持されて微細化が防止され、膜ろ過による分離回収を容易に行うことができる。そこで、本実施形態のグラフェンシートの層数としては、2層以上であり、好ましくは3層以上になっている。

0023

一方で、層数の上限は、5層以下、好ましくは4層以下である。これは、加水分解触媒全体の比表面積に基づいて定められる。即ち、通常の鱗片状黒鉛の比表面積は500m2/g〜1000m2/g以上である。そうすると、鱗片状黒鉛の比表面積と少なくとも同じ程度以上であれば、鱗片状黒鉛と同等程度に酸性基の結合させることができると考えられる。そこで、図1のグラフにおいて、比表面積が500m2/g以上となる層数である5層が最大となっている。従って、本実施形態の加水分解触媒の比表面積(前記の方法に沿って計算した値)が500m2/g以上であることが好ましい。これにより、広い比表面積を確保して十分な量の酸性基を結合させることで、加水分解効率の向上が図られる。

0024

さらには、5層以下とすることで、加水分解触媒全体の柔軟性が高められる。そのため、加水分解触媒が、セルロース等の表面形状に沿ってセルロース等の表面に柔軟に結合することができる。これによって、加水分解効率のさらなる向上が図られる。

0025

また、本実施形態の加水分解触媒の最も短い部分の長さは、1μm以上、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2μm以上である。なお、ここでいう「最も短い部分の長さ」は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して撮影された写真に基づいて測定されるものである(詳細は後記する)。即ち、平面視で、本実施形態の加水分解触媒の大きさが前記範囲が満たされるものとする。そして、本実施形態の加水分解触媒の最も短い部分の長さが1μm以上であることで、加水分解後の反応液から加水分解触媒を膜ろ過により分離回収する際、過度の圧力をかけずに反応液を膜透過させ、加水分解触媒が膜上に残存する。そのため、分離回収が容易になる。

0026

一方、本実施形態の加水分解触媒において、最も長い部分の長さは、特に制限されないが、例えば100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、よりさらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下となる。なお、ここでいう「最も長い部分の長さ」は、TEMを使用して撮影された写真に基づいて測定されるものである(詳細は後記する)。即ち、平面視で、本実施形態の加水分解触媒の大きさが前記範囲が満たされるこのが好ましい。

0027

この数値範囲は、セルロース等が含まれるパルプの長さが通常は数μm〜数十μm程度であることに基づく。そのため、加水分解触媒の長さをこの程度にすることで、パルプを構成するセルロース等と加水分解触媒との接触の度合い(接触面積)を大きくし、加水分解効率を高めることができる。なお、加水分解触媒とセルロース等とは、例えば水素結合等を介して結合する。

0028

加水分解触媒において、最も短い部分の長さ、及び、最も長い部分の長さは、それぞれ、前記のようにTEMを使用して撮影された写真に基づいて測定することができる。このようにして測定する理由は以下のとおりである。

0029

TEMを用いて加水分解触媒を撮影する際、加水分解触媒の大きさや層数等の各種状態によっては、加水分解触媒の状態が異なる場合がある。具体的には、例えば、単一の膨張黒鉛(即ち、前記のグラフェンシートが2層以上5層以下で積層されたもの)のみで構成された加水分解触媒のほか、複数の膨張黒鉛同士のファンデルワールス力によって集合し、見かけ上単一の加水分解触媒として存在しているものもある。

0030

特に、後者の場合、加水分解触媒の大きさを決定するために、ファンデルワールス力に反して単一の膨張黒鉛にまでバラバラにすることは、現実的ではない。また、単一の膨張黒鉛であっても、ファンデルワールス力により集合した膨張黒鉛の集合体であっても、触媒性能や分離回収のし易さは同じである。

0031

そこで、本実施形態の加水分解触媒の大きさを評価する際には、前記のように、TEMを使用して撮影した写真に基づいて評価するものとする。従って、本実施形態の加水分解触媒が単一の膨張黒鉛により構成されている場合には、当該加水分解触媒を構成するグラフェンシートの片面の部分において、最も短い部分の長さが1μm以上であればよい。一方で、本実施形態の加水分解触媒が複数の膨張黒鉛により構成されている場合、即ち、例えば膨張黒鉛同士が重なってTEMで撮影されたような場合には、当該重なった部分も含めた全体において、最も短い部分の長さが1μm以上であればよい。

0032

なお、重なった部分は、グラフェンシート同士間の距離(層間距離)が通常の層間距離よりも長くなる(例えば通常の2倍以上)部分を含む。ここでいう「通常の層間距離」とは、一つの加水分解触媒(グラフェンシートが剥離されていない状態のもの)を構成するグラフェンシート同士の間の距離をいう。例えば、二つの加水分解触媒が重なっている場合、それぞれの加水分解触媒において、それぞれの加水分解触媒を構成するグラフェンシート同士の層間距離は等しい。しかし、重なった部分では、一方の加水分解触媒の最表面のグラフェンシートと、他方の加水分解触媒の最表面のグラフェンシートとの間には、水分子等の分子入り込んでいる。その結果、この重なった部分では、一方の最表面のグラフェンシートと、他方の最表面のグラフェンシートとの間の距離は、前記の通常の層間距離よりも長くなる。これにより、二つ(三つ以上であってもよい)の加水分解触媒の重なりが検出可能である。

0033

TEMにより撮影された写真において、二つ以上の加水分解触媒が重なっている場合、後記するろ過膜を用いた分離回収時に、圧力を反応液にかけないか、又は通常かけられる圧力によっても、複数の加水分解触媒がの集合体は加水分解触媒(膨張黒鉛)同士の分子間力によってバラバラにはならない。即ち、複数の膨張黒鉛の集合体として構成される加水分解触媒は、全体として単一の膨張黒鉛で構成された加水分解触媒と同じものと考えることができる。そのため、このように取り扱うものとする。

0034

なお、TEMによる長さの測定条件としては、例えば、加水分解触媒を水中に十分に分散させ、厚さ0.1μm〜0.2μm程度に基板上に塗布し、撮影することで、TEM写真を得て撮影することができる。

0035

以上の説明のように、本実施形態の加水分解触媒では、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを備えている。そのため、グラフェンシートの表面でπ電子が非局在化していることから、炭素原子−炭素原子間の結合が強固なものとなる。これにより、加水分解触媒の強度が高められる。この結果、使用の都度分解回収し、長期間繰り返し利用することができる。

0036

また、グラフェンシートの積層数が2層以上5層以下となっていることで、加水分解触媒の高強度及び良好な加水分解効率の両立を図ることができる。さらには、加水分解触媒における最も短い部分の長さが1μm以上となっていることで、分離回収のし易さを高めることができる。

0037

[2.本実施形態の加水分解触媒の製造方法]
本実施形態の加水分解触媒は、鱗片状黒鉛と硫酸とを混合し、500℃以上1000℃以下で熱処理(加熱)することで、前記鱗片状黒鉛を構成するグラフェンシート同士の間隔を拡げる第一熱処理工程と、当該第一熱処理工程の後、前記第一熱処理工程後反応物を冷却し、当該冷却後の前記反応物に硫酸を混合した後、500℃以上1000℃以下で熱処理(加熱)することで、前記反応物中のグラフェンシート同士の間隔を拡げる第二熱処理工程とを少なくとも含むことで、製造することができる。以下、本実施形態の加水分解触媒の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」という)について、実際に製造したときに撮影したTEM写真を適宜参照しながら、説明する。

0038

まず、平均粒径が30μmの鱗片状黒鉛5gに濃硫酸5gを加え、十分に混合してペースト化した。なお、ここでいう平均粒径はレーザ回折法に基づく測定装置を用いて測定した値である。次いで、このペーストを5時間放置した後にろ過(孔径1μmのろ過膜を使用)し、乾燥させた。さらに、3回ずつ、水洗及びろ過を交互に繰り返して行い、最後に乾燥させた。なお、これらの操作により、鱗片状黒鉛を構成し、隣接するグラフェンシート同士の間に、硫酸が挿入されたことになる。また、この挿入された硫酸により、グラフェンシートの表面及び端(グラフェンエッジ)の炭素原子にスルホン酸基が結合することになる。

0039

そして、乾燥させた試料を、800℃に予め加熱しておいた電気炉に入れ、大気中で急激に熱処理した(第一熱処理工程)。これにより、隣接するグラフェンシート同士の間に挿入された硫酸が燃焼及びガス化し、隣接するグラフェンシート同士の間隔を積層方向に押し広げられた。即ち、鱗片状黒鉛が膨張し、膨張黒鉛が得られた。そして、熱処理を開始してから5分経過後に電気炉から取り出し、室温に冷却した。

0040

図2は、本実施形態の製造方法において行われる一回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影したTEM写真である。図2に示す膨張黒鉛201は、19層のグラフェンシート201aが積層されて構成されている。そして、これらのグラフェンシート201aには、スルホン酸基が結合している。また、膨張黒鉛201の厚さ(積層方向の長さ)は6.5nmである。また、隣接するグラフェンシート201a同士の間の距離(層間距離)は0.15nm程度である。

0041

次に、前記の第一熱処理工程を経て得られた膨張黒鉛(即ち反応物。その質量として4g)に対して濃硫酸15gを混合した後、前記の第一熱処理工程と同じようにして試料を作製した。なお、前記の第一熱処理工程により層数が減少して比表面積が大きくなっていることから(前記の図1を参照)、膨張黒鉛を十分にペースト化させるためには、前記の第一熱処理工程の前に使用した硫酸の量よりも多くの量の硫酸が使用された。そして、作製した試料について、前記の第一熱処理工程と同じようにして熱処理を行い(第二熱処理工程)、冷却により、第二熱処理工程を経た膨張黒鉛を得た。

0042

図3は、本実施形態の製造方法において行われる二回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影したTEM写真である。図3では、膨張黒鉛301,302の二種類が撮影されている。これらのうち、膨張黒鉛301は、7層のグラフェンシート301aが積層されて構成されている。そして、これらのグラフェンシート301aにも、スルホン酸基が結合している。膨張黒鉛301の厚さ(積層方向の長さ)は2.4nmである。また、隣接するグラフェンシート301a同士の間の距離(層間距離)は0.17nm程度である。

0043

もう一方の膨張黒鉛302は、6層のグラフェンシート302aが積層されて構成されている。そして、これらのグラフェンシート302aにも、スルホン酸基が結合している。膨張黒鉛302の厚さ(積層方向の長さ)は2.1nmである。また、隣接するグラフェンシート302a同士の間の距離(層間距離)は0.18nm程度である。従って、この図3で撮影された膨張黒鉛301,302のいずれにおいても、隣接するグラフェンシート同士の間の距離(層間距離)は、前記の図2を参照しながら説明した層間距離(0.15nm程度)よりも長くなっていた。

0044

次に、前記の第二熱処理工程を経て得られた膨張黒鉛(即ち反応物。その質量として3g)に対して濃硫酸25gを混合した後、前記の第一熱処理工程と同じようにして試料を作製した。そして、作製した試料について、前記の第一熱処理工程と同じようにして熱処理を行い(第二熱処理工程)、冷却により、第二熱処理工程を経た膨張黒鉛を得た。

0045

図4は、本実施形態の製造方法において行われる三回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影したTEM写真である。本実施形態の加水分解触媒は、この三回目熱処理後の膨張黒鉛に相当する。図4では、膨張黒鉛401,402の二種類が撮影されている。これらのうち、膨張黒鉛401は、3層のグラフェンシート401aが積層されて構成されている。そして、これらのグラフェンシート401aにも、スルホン酸基が結合している。膨張黒鉛401の厚さ(積層方向の長さ)は1.0nmである。また、隣接するグラフェンシート401a同士の間の距離(層間距離)は0.2nm程度である。

0046

もう一方の膨張黒鉛402は、3層のグラフェンシート402aが積層されて構成されている。そして、これらのグラフェンシート402aにも、スルホン酸基が結合している。膨張黒鉛402の厚さ(積層方向の長さ)は1.1nmである。また、隣接するグラフェンシート402a同士の間の距離(層間距離)は0.25nm程度である。従って、この図4で撮影された膨張黒鉛401,402のいずれにおいても、隣接するグラフェンシート同士の間の距離(層間距離)は、前記の図3を参照しながら説明した層間距離(0.17nm程度、0.18nm程度)よりも長くなっていた。

0047

図5は、本実施形態の製造方法において行われる三回目熱処理後の膨張黒鉛を撮影したTEM写真であり、図4とは異なる倍率で撮影したものである。即ち、この図5の写真は、前記の図2図4と比べて低倍率で撮影したものである。また、この図5で撮影された膨張黒鉛401は、前記の図4を参照しながら説明した膨張黒鉛401と同じものである。ただし、前記の図2〜4に示した写真は加水分解触媒の断面(グラフェンシート401aの積層面)を撮影したものであるが、この図5に示す写真は加水分解触媒の表面(グラフェンシート401aの上面)を撮影したものである。従って、前記の図2図4に示す写真と、この図5に示す写真とに示されるように、本実施形態の加水分解触媒は、極めて薄く(具体的には数ナノメートルオーダ)、かつ、片面が概ね数μm2〜数十μm2程度の表面積を有する薄膜状として形成されていることがわかる。

0048

この図5では、膨張黒鉛401に加えて、TEMに使用する基板作製時に避けられない気泡が併存して撮影されている。そこで、膨張黒鉛401の形状を把握し易くするために、この図5に示す膨張黒鉛401を図6に模式的に図示する。

0049

図6は、図5で示した膨張黒鉛の形状を模式的に示す図である。図6では、紙面奥行き方向が、グラフェンシートの積層方向となる。図6に示すように、膨張黒鉛401は、平面視で、やや突起を有していびつな形状をしているものの、楕円に近い形状をしている。そして、図6のように、TEMで撮影された写真において、最も短い部分の長さL1は約3μmであった。一方で、最も長い部分の長さL2は約7μmであった。

0050

このように、本実施形態の製造方法によれば、最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒を製造することができた。そのため、このような大きさの加水分解触媒によれば、孔径1μmのろ過膜を使用して、反応液から容易に加水分解触媒を回収することができる。特に、ろ過膜の孔径が1μmであることで、過度に圧力をかけなくても、短時間で加水分解触媒をろ過分離することができる。

0051

また、このようにして製造した加水分解触媒においては、それを構成するグラフェンシートの表面及び端部(グラフェンエッジ)の部分にスルホン酸基が結合している。これにより、セルロース等を加水分解することができる。さらには、炭素原子が六角形に結合した炭素骨格が平面状に連結することで構成されたグラフェンシートを有し、かつ、グラフェンシートの層数が2層〜5層であることから、この加水分解触媒は十分な強度を有している。従って、加水分解後の反応液から加水分解触媒を分離回収した後でも、分離回収された加水分解触媒の形状はほぼ維持されている。そのため、分離回収された加水分解触媒には酸性基(前記の例ではカルボキシル基)が多く残存している。これにより、分離回収された加水分解触媒を使用して再度加水分解を行っても、良好な触媒性能が維持される。また、形状がほぼ維持されていることから、再度の分離回収も容易に行うことができる。

0052

さらに、本実施形態の製造方法では、鱗片状黒鉛を使用して、硫酸等をグラフェンシート間に挿入し、複数回の熱処理を行うことで、グラフェンシートの層間距離が段階的に拡げられている。このようにすることで、例えばソルボサマル方法を使用しては得られない大きさの加水分解触媒(具体的には、最も短い部分であっても1μm以上の長さを有する)が得られる。特に、ソルボサーマル反応では、六員環である炭素骨格が平面上に広がっていく反応は起きず、最も短い部分であっても1μm以上の長さを有する大きさの加水分解触媒を製造することができないと考えられる。

0053

なお、熱処理の条件を変更することで、グラフェンシートの層数を制御することができる。具体的には、厳しい熱処理条件高温、長時間等)とすることでグラフェンシートの剥がれを生じさせて層数を少なくでき、一方で、緩やかな熱処理条件(低温、短時間等)とすることでグラフェンシートの剥がれを抑制して層数を多くすることができる。これにより、2層以上5層以上という従来よりも少ない層数(即ち薄い)でのグラフェンシートを備える加水分解触媒を製造することができる。そして、このような層数とすることで、通常の膨張黒鉛の比表面積(前記の方法に沿って計算した値として概ね100m2/g以下)よりも大きな比表面積を有する加水分解触媒を製造することができ、加水分解効率を向上させることができる。

0054

また、前記の図2図6を参照しながら説明した製造方法において、熱処理は三回行っているが、複数回であれば何回でもよく、二回であってもよいし、四回以上であってもよい。通常、鱗片状黒鉛では、グラフェンシートが数十層積層されている。従って、原料となる鱗片状黒鉛を構成するグラフェンシートの積層数に応じて、熱処理回数を適宜変更すればよい。具体的には、鱗片状黒鉛を構成するグラフェンシートの積層数が比較的多い場合には熱処理回数も多くなる傾向となり、一方で、鱗片状黒鉛を構成するグラフェンシートの積層数が比較的少ない場合には熱処理回数も少なくなる傾向となる。

0055

なお、熱処理回数が多くなれば膨張黒鉛に割れが生じ、その大きさが小さくなる傾向がある。そこで、原料である鱗片状黒鉛の大きさ(前記の例では平均粒径として30μm)を考慮し、最終産物である加水分解触媒の最も短い部分の長さが1μm以上となるように、熱処理回数を決定することが好ましい。

0056

また、熱処理温度は、前記のように500℃以上1000℃以下(前記の例では800℃)であるが、その下限値として好ましくは600℃以上、より好ましくは700℃以上、特に好ましくは750℃以上、また、その上限値として好ましくは900℃以下、より好ましくは850℃以下である。さらに、熱処理温度は、熱処理ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0057

さらに、熱処理時間についても、特に制限は無く、例えば数十秒〜10分程度とすることができるが、鱗片状黒鉛を十分に膨張させる観点から、1分程度以上熱処理することが好ましい。

0058

また、前記の例では、グラフェンシートの層間に硫酸を挿入することで層間距離を拡げるとともに、グラフェンシートの表面にスルホン酸基を結合させた。一方で、グラフェンシートの表面にカルボキシル基を結合させる場合には、硫酸に代えて例えば過酸化水素水を使用することができる。このような成分を使用することで、グラフェンシートの表面にカルボキシル基を結合させることができるとともに、層間距離を拡げることができる。この成分を使用した場合、熱処理条件等は硫酸を使用する場合と同じように設定することができる。なお、硫酸と過酸化水素水とを併用して、スルホン酸基とカルボキシル基との双方が結合するようにしてもよい。

0059

[3.本実施形態の加水分解触媒の適用例]
図7は、本実施形態の加水分解触媒を使用した糖含有液の製造装置100を示す図である。図7に示す製造装置100は、本実施形態の加水分解触媒を使用してセルロースを加水分解することで、グルコース水溶液(糖含有液)を製造するものである。なお、ここでは、一例としてセルロースを加水分解するものとして図7を説明するが、セルロースに代えて、又はセルロースとともに、ヘミセルロースが加水分解されるようにしてもよい。

0060

製造装置100は、セルロースタンク10と、混合装置11と、反応装置12と、ろ過膜13と、スラリー輸送ポンプ14と、触媒タンク15とを備える。また、製造装置100は、製造装置100での加水分解条件を制御する制御部16を備える。

0061

セルロースタンク10は、加水分解の対象となるセルロースを収容するものである。ここに収容されるセルロースは、例えばパルプであり、水に分散させたものを使用することができる。

0062

混合装置11は、原料となるセルロースと、本実施形態の加水分解触媒とを水中で混合するものである。これらのうち、セルロースは、前記のセルロースタンク10から供給される。一方で、加水分解触媒は、触媒タンク15(詳細は後記する)から供給される。混合装置10は、図示しないが、例えば攪拌翼を備えた攪拌装置である。

0063

反応装置12は、混合装置11において混合されたセルロースと加水分解触媒との混合物を加水分解させるものである。反応装置12は、例えば、ヒータを備える圧力釜(いずれも図示しない)であり、当該混合物を加圧及び加熱(例えば数気圧〜数十気圧で数百度程度)しながら所定時間(例えば数時間〜数十時間程度)保持することで、セルロースの加水分解が行われる。この加水分解により、セルロースの加水分解物であるグルコースが溶解したグルコース水溶液が得られる。なお、グルコース水溶液ではなく、セルロースの部分加水分解物水溶液二糖、オリゴ糖等)であってもよい。

0064

ろ過膜13は、前記の反応装置12での反応後の反応液から加水分解触媒をろ過分離するものである。ここで使用するろ過膜13の孔径は1μmである。これにより、最も短い部分の長さが1μm以上である加水分解触媒(前記のように最も短い部分の長さが1μm以上の集合体であってもよい)がろ過分離される。ここでろ過分離された加水分解触媒は、水分を含むため、スラリーになっている。そこで、ろ過分離された加水分解触媒は、スラリー輸送ポンプ14により、後記する触媒タンク15に送られる。

0065

ろ過膜13によって加水分解触媒をろ過分離する際、反応液に圧力をかけてろ過を促すようにしてもよいが、圧力をかけなくても十分に速い速度でろ過分離が可能である。具体的には、加水分解触媒の量にもよるが、圧力をかけなくても、例えば数時間程度で十分にろ過分離することができる。そして、加水分解触媒のろ過分離により、最終産物であるグルコース水溶液(反応液)が得られる。

0066

触媒タンク15は、前記のスラリー輸送ポンプ14によって送られてきた加水分解触媒を貯蔵するものである。そして、ここに貯蔵された加水分解触媒は、再度、前記の混合装置11に供給され、加水分解に使用される。従って、図7に示す製造装置100では、加水分解触媒が繰り返し使用されている。

0067

制御部16は、混合装置11での混合速度及び混合時間、反応装置12での圧力、温度及び反応時間、並びに、必要であればろ過膜13で反応液にかける圧力を制御するものである。制御部16は、図7において破線で示す電気信号線により、混合装置11、反応装置12、及びろ過膜13に備えられた加圧装置(必要であれば)に対してそれぞれ接続されている。制御部16は、いずれも図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、I/F(インターフェイス)等を備えて構成される。そして、制御部16は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがCPUによって実行されることにより具現化される。

0068

図8は、本実施形態の加水分解触媒を使用した糖含有液の製造工程を示す図である。この図8に示す製造工程は、前記の図7に示した製造装置100において行われる工程を模式的かつ簡略化して示したものである。従って、ここでは、前記の図7と同様に、一例としてセルロースを加水分解するものとして図8を説明する。また、この図8に示す製造工程は、本実施形態の加水分解触媒の使用方法を示すものでもある。

0069

はじめに、混合装置11(図7参照)において、セルロース51が水中に分散している液体に対し、加水分解触媒52が混合される(添加工程50A)。これにより、セルロース51及び加水分解触媒52を水中に分散させた液体が得られる(混合工程50B)。次いで、反応装置12において、この液体を加圧しながら加熱することで、水中のセルロース51が加水分解し、グルコース(図示しない)が生成する(加水分解工程)。これにより、水中に加水分解触媒52が分散したグルコース水溶液53(反応液)が得られる(加水分解工程50C)。

0070

そして、このグルコース水溶液をろ過膜13(図7参照)に供することで、化数分解触媒52が膜ろ過され、グルコース水溶液53と、加水分解触媒52とが分離される(分離工程50D)。そして、ここで膜ろ過された加水分解触媒52は、スラリー戻し装置14(図7参照)によって、別のセルロース51の加水分解に再利用(繰り返し利用)される。即ち、ここで膜ろ過された加水分解触媒52が使用されて、別のセルロースの加水分解が行われ、別のグルコース水溶液が得られる(第二加水分解工程)。

0071

以上の製造装置100によれば、加水分解触媒を容易に繰り返し利用しながら、効率良く糖含有液(グルコース等)を製造することができる。

0072

10セルロースタンク(対象成分タンク)
11混合装置
12反応装置(加水分解装置
13ろ過膜(分離装置
14スラリー輸送ポンプ(戻し装置)
15触媒タンク
100製造装置(糖含有液の製造装置)

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