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技術 LOXおよびLOXL2阻害剤ならびにこれらの使用

出願人 ジリードバイオロジクス,インク.
発明者 スミス,ヴィクトリアオッグ,スコットヴァンブラッセレイヤー,ペーターバリー,ヴィヴィアンイー.マーシャル,デレクホルザー,アリソンケイロドリゲス,ヘクター大保三穂マッコーレー,スコットアランガルシア,カーロスアウレリオビアマン,ドナヒロコトクオカ
出願日 2018年6月15日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2018-114560
公開日 2018年11月8日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2018-172398
状態 拒絶査定
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 突然変異または遺伝子工学 医薬品製剤 微生物による化合物の製造 酵素・酵素の調製 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 窒素剤 ヒストグラフ ナノ化合物 下もも 油性粒子 形態変換 関連位置 光反射剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年11月8日)のものです。
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図面 (19)

課題

抗LOX抗体および抗LOXL2抗体ならびに精製法診断法、および治療法におけるこれらの使用法の提供。

解決手段

LOX(リシルオキシダーゼ)およびLOXL2(リシル・オキシダーゼ様タンパク質エピトープに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合フラグメント。抗体は、モノクローナル抗体ヒト化抗体、およびこれらの機能的フラグメントを含む。抗LOX抗体および抗LOXL2抗体を用いて、線維化状態血管新生などの状態を同定および治療するか、または上皮細胞状態から間葉細胞状態への移行を防止することができる。

概要

背景

癌は、米国および他の先進国において重大な公衆衛生問題である。現在のところ、米国内における死亡者4人のうち1人は、癌が死因である。癌の療法は、腫瘍細胞死滅させる化学療法薬による患者治療を含む。しかし、癌細胞サブセットは、薬剤療法に対して耐性であることが多く、存続して元の部位および遠隔転移部位に再配置され、これにより、検出可能な疾患の再発および有病率がもたらされる。浸潤能および転移能を増大させ、薬剤耐性を変化させる特性を有する多くの癌の腫瘍細胞は、EMT(上皮間葉移行)を含むかまたはこれと類似する形態変換を受けていると考えられる。EMTを受ける細胞は、上皮細胞の正常な接着特性を失い、E−カドヘリン発現喪失および間葉系マーカーの発現、運動性の増大、浸潤性の増大、ならびに細胞死に対する耐性の増大を含むスペクトルの変化を受ける。
癌の主要な療法は、現在のところ、手術放射線、および化学療法である。抗腫瘍抗生剤アルキル化剤ニトロソウレア化合物ビンカアルカロイドステロイドホルモン、および代謝拮抗剤などの化学療法的手法が、癌専門医に用いられる大半の療法を形成している。癌治療領域における発展にもかかわらず、癌は、依然として主要な健康問題である。
既存の毛細血管からの新血管の形成である血管新生は、広範にわたる生理学的および病理学的な過程において極めて重要な一連事象である。胚発生創傷治癒、および月経周期などにおける正常な組織成長は、酸素および栄養の供給の他、老廃物の除去のためでもある新血管形成に対する依存を特徴とする。多数の異なる、類縁のない疾患もまた、新血管系の形成と関連する。一部の病態には、血管新生が低度であり、これを増強して疾患状態を改善すべき状態もある。しかし、より多くの場合、過剰な血管新生は、細胞の異常増殖または無制限増殖を特徴とするかまたはこれと関連する病態を含む各種の病態の重要な特徴である。過剰な血管新生を伴う病態は、例えば、癌(充実性腫瘍および血液腫瘍の両方)、心血管疾患アテローム性動脈硬化および再狭窄)、慢性炎症関節リウマチクローン病)、糖尿病糖尿病性網膜症)、乾癬子宮内膜症新生血管緑内障、および脂肪症を含む(3)。これらの状態は、化学療法による血管新生の阻害から利益を得る場合がある。

一般的に述べると、血管新生過程は、通常は休眠している内皮の増殖および遊走細胞周囲マトリックスの制御されたタンパク質分解、ならびに発達する毛細血管による新たな細胞外マトリックス成分の合成を伴う。内皮細胞が細胞内および細胞間接触を新たに確立して毛細血管様の管状ネットワークへと形態的に分化することにより、その後それらが成熟分枝リモデリング、および選択的に退縮して、高度に秩序化された機能的な微小血管ネットワークを形成するための支持がもたらされる。血管内皮細胞自己分泌傍分泌、および両性分泌による、その周囲の間質成分との相互作用の他、生理的血管新生を組織化する血管新生促進サイトカインおよび血管新生抑制サイトカインならびに成長因子との相互作用は通常、空間的にも時間的にも厳密に調節されている。
血管新生は、新生物組織の増殖にとって重要である。100年を超える期間にわたり、腫瘍は、正常組織よりも血管性の組織であることが観察されている。複数の実験的研究により、原発腫瘍の増殖および転移のいずれもが、新血管形成を必要とすることが示唆されている。正常の組織成長について上記で説明された、十分に組織化された過程に対して、活性腫瘍増殖に必要な病理的血管新生は、一般に、持続性および遷延性であり、初期における血管新生性表現型の獲得が、各種の充実性腫瘍型および造血系腫瘍型発症に共通する機構である。血管ネットワーク動員し維持する能力のない腫瘍は、元の位置における無症状性病変として休眠を保つことが典型的である。転移もまた血管新生依存性である:転移に成功するために、腫瘍細胞は、一般に、原発腫瘍内の血管系に到達し、循環中で存続し、標的臓器微小血管系内で停止し、この血管系から移出し、標的臓器内で増殖し、標的部位における血管新生を誘導しなければならない。こうして、血管新生は、転移カスケードの開始時の他、完了時においても必要であると考えられる。
こうして、新生物の増殖および転移に対する血管新生の重要性から、化学療法的取組みのための最良の潜在的標的がもたらされる。適切な抗血管新生剤は、その開始を遅延させる(すなわち、「血管新生スイッチ」を遮断する)か、または多くの腫瘍型に特徴的である、持続的で限局性の新血管形成を遮断することにより、直接的または間接的に作用して腫瘍に関連する血管新生に影響しうる。腫瘍に関連する内皮、ならびに持続的な病理的血管新生に関与する複数の分子過程および細胞過程および標的に対して向けられる抗血管新生療法は、複数の臨床試験において、それらの安全性および有効性について精力的に評価されている。しかし、安全および/または有効な抗血管新生剤の発見および/または同定に関する成功は、現在のところ限られている。
線維症は、損傷組織における創傷治癒過程の一部として生じうる線維性組織の異常な蓄積である。このような組織損傷は、物理傷害、炎症、感染症毒素への曝露、および他の原因から生じうる。

例えば、肝(liver(hepatic))線維症は、慢性肝傷害に対する創傷治癒応答の一部として生じる。線維症は、ヘモクロマトーシスウィルソン病アルコール依存症住血吸虫症ウイルス性肝炎胆管閉塞、毒素への曝露、および代謝性障害合併症として生じる。この瘢痕組織の形成は、傷害組織封入しようとする身体による試行を表すものであると考えられる。肝線維症は、正常な肝臓における場合とは質的に識別されうる細胞外マトリックスの蓄積を特徴とする。無検査のまま放置されると、肝線維症は、肝硬変(封入された小節の存在により定義される)、肝不全、および死へと進行する。
LiおよびFriedman(Gastroenterol.Hepatol.、第14巻、618〜633頁、1999年)によりまとめられた通り、肝線維症のための実際の治療戦略および治療戦略案は、基礎原因(例えば、毒素または感染作用物質)の除去、炎症の抑制(例えば、コルチコステロイドIL−1受容体アンタゴニスト、または他の作用物質を用いる)、星細胞活性化の下方調節(例えば、ガンマインターフェロンまたは抗酸化剤を用いる)、マトリックス分解の促進、または星細胞アポトーシスの促進を含む。近年の発展にもかかわらず、これらの戦略の多くは、依然として実験段階にあり、既存の療法は、基礎的な生化学的過程への対処ではなく、炎症の抑制を目的としている。こうして、当技術分野では、肝線維症および肺線維症を含む線維症を治療するための材料および方法に対する必要が依然として存在する。
線維性組織は、高血圧高血圧性心疾患、アテローム性動脈硬化、および心筋梗塞の結果として、心臓および血管において蓄積する。高血圧(high blood pressureまたはhypertension)は、各種の因子により引き起こされ、心停止および心筋梗塞へと進行する高血圧性心疾患(HHD)の発症をもたらすことが多い。同様に、アテローム性動脈硬化および他の虚血性心疾患もまた、結果として心停止をもたらすことが多い。これらの心血管疾患はすべて、血管系の硬化および心筋組織自体の硬化を結果としてもたらす細胞外マトリックスの蓄積および線維性沈着を示す。この線維性物質の沈着は、高血圧状態および/または動脈硬化状態により誘導される損傷に対する応答であるが、この応答の影響はまた、結果として、血管および心筋の硬化の他、心室肥大という負の影響ももたらす。加えて、心血管疾患においてみられる心筋線維症の増大は、心臓の組織骨格を介して心筋細胞へと伝達されるシグナル途絶または変化させ、さらにこれにより、効果的な心機能破壊、ならびに心停止および心筋梗塞の促進をもたらすと考えられている。

概要

抗LOX抗体および抗LOXL2抗体ならびに精製法診断法、および治療法におけるこれらの使用法の提供。LOX(リシルオキシダーゼ)およびLOXL2(リシル・オキシダーゼ様タンパク質エピトープに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合フラグメント。抗体は、モノクローナル抗体ヒト化抗体、およびこれらの機能的フラグメントを含む。抗LOX抗体および抗LOXL2抗体を用いて、線維化状態、血管新生などの状態を同定および治療するか、または上皮細胞状態から間葉細胞状態への移行を防止することができる。

目的

図6AはLOXL2のSRCR3〜4領域に結合する抗体の重鎖可変領域アミノ酸配列を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

明細書に記載の発明。

技術分野

0001

相互参照
本出願は、2007年8月2日に出願された、「Methodsfor Selecting Inhibitors of Tumor Invasion,Angiogenesis,and Metastasis」という名称の、米国仮出願第60/963,282号(代理人整理番号第35120−704.101号);2007年8月2日に出願された、「Treatment of Diseases With Inhibitors of Active Lysyl Oxidase」という名称の、米国仮出願第60/963,249号(代理人整理番号第35120−706.101号);2007年8月2日に出願された、「Treatment of Diseases Through Inhibition of Both Lysyl Oxidase and Lysyl Oxidase−Like Proteins」という名称の、米国仮出願第60/963,214号(代理人整理番号第35120−706.102号);2007年8月2日に出願された、「Diagnosis or Monitoring of Diseases by Assessing Active Lysyl Oxidase Levels or Activity」という名称の、米国仮出願第60/963,248号(代理人整理番号第35120−706.103号);および2007年8月2日に出願された、「Combination Therapy Including Lysyl Oxidase Modulators」という名称の、米国仮出願第60/963,246号(代理人整理番号第35120−707.101号)の利益を主張し、2008年8月1日に出願された、「Methods for Selecting Inhibitors of Tumor Invasion,Angiogenesis,and Metastasis」という名称の、同時係属の米国特許出願第12/185,054号(代理人整理番号第35120−704.201号)、および2008年8月1日に出願された、「Methods for Selecting Inhibitors of Tumor Invasion,Angiogenesis,and Metastasis」という名称の、同PCT特許出願出願第PCT/US2008/009354号(代理人整理番号第35120−704.601号)に関し、それらの出願は各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表の参照
本出願の実施例12に、配列表を収載する。

背景技術

0002

癌は、米国および他の先進国において重大な公衆衛生問題である。現在のところ、米国内における死亡者4人のうち1人は、癌が死因である。癌の療法は、腫瘍細胞死滅させる化学療法薬による患者治療を含む。しかし、癌細胞サブセットは、薬剤療法に対して耐性であることが多く、存続して元の部位および遠隔転移部位に再配置され、これにより、検出可能な疾患の再発および有病率がもたらされる。浸潤能および転移能を増大させ、薬剤耐性を変化させる特性を有する多くの癌の腫瘍細胞は、EMT(上皮間葉移行)を含むかまたはこれと類似する形態変換を受けていると考えられる。EMTを受ける細胞は、上皮細胞の正常な接着特性を失い、E−カドヘリン発現喪失および間葉系マーカーの発現、運動性の増大、浸潤性の増大、ならびに細胞死に対する耐性の増大を含むスペクトルの変化を受ける。
癌の主要な療法は、現在のところ、手術放射線、および化学療法である。抗腫瘍抗生剤アルキル化剤ニトロソウレア化合物ビンカアルカロイドステロイドホルモン、および代謝拮抗剤などの化学療法的手法が、癌専門医に用いられる大半の療法を形成している。癌治療領域における発展にもかかわらず、癌は、依然として主要な健康問題である。
既存の毛細血管からの新血管の形成である血管新生は、広範にわたる生理学的および病理学的な過程において極めて重要な一連事象である。胚発生創傷治癒、および月経周期などにおける正常な組織成長は、酸素および栄養の供給の他、老廃物の除去のためでもある新血管形成に対する依存を特徴とする。多数の異なる、類縁のない疾患もまた、新血管系の形成と関連する。一部の病態には、血管新生が低度であり、これを増強して疾患状態を改善すべき状態もある。しかし、より多くの場合、過剰な血管新生は、細胞の異常増殖または無制限増殖を特徴とするかまたはこれと関連する病態を含む各種の病態の重要な特徴である。過剰な血管新生を伴う病態は、例えば、癌(充実性腫瘍および血液腫瘍の両方)、心血管疾患アテローム性動脈硬化および再狭窄)、慢性炎症関節リウマチクローン病)、糖尿病糖尿病性網膜症)、乾癬子宮内膜症新生血管緑内障、および脂肪症を含む(3)。これらの状態は、化学療法による血管新生の阻害から利益を得る場合がある。

0003

一般的に述べると、血管新生過程は、通常は休眠している内皮の増殖および遊走細胞周囲マトリックスの制御されたタンパク質分解、ならびに発達する毛細血管による新たな細胞外マトリックス成分の合成を伴う。内皮細胞が細胞内および細胞間接触を新たに確立して毛細血管様の管状ネットワークへと形態的に分化することにより、その後それらが成熟分枝リモデリング、および選択的に退縮して、高度に秩序化された機能的な微小血管ネットワークを形成するための支持がもたらされる。血管内皮細胞自己分泌傍分泌、および両性分泌による、その周囲の間質成分との相互作用の他、生理的血管新生を組織化する血管新生促進サイトカインおよび血管新生抑制サイトカインならびに成長因子との相互作用は通常、空間的にも時間的にも厳密に調節されている。
血管新生は、新生物組織の増殖にとって重要である。100年を超える期間にわたり、腫瘍は、正常組織よりも血管性の組織であることが観察されている。複数の実験的研究により、原発腫瘍の増殖および転移のいずれもが、新血管形成を必要とすることが示唆されている。正常の組織成長について上記で説明された、十分に組織化された過程に対して、活性腫瘍増殖に必要な病理的血管新生は、一般に、持続性および遷延性であり、初期における血管新生性表現型の獲得が、各種の充実性腫瘍型および造血系腫瘍型発症に共通する機構である。血管ネットワーク動員し維持する能力のない腫瘍は、元の位置における無症状性病変として休眠を保つことが典型的である。転移もまた血管新生依存性である:転移に成功するために、腫瘍細胞は、一般に、原発腫瘍内の血管系に到達し、循環中で存続し、標的臓器微小血管系内で停止し、この血管系から移出し、標的臓器内で増殖し、標的部位における血管新生を誘導しなければならない。こうして、血管新生は、転移カスケードの開始時の他、完了時においても必要であると考えられる。
こうして、新生物の増殖および転移に対する血管新生の重要性から、化学療法的取組みのための最良の潜在的標的がもたらされる。適切な抗血管新生剤は、その開始を遅延させる(すなわち、「血管新生スイッチ」を遮断する)か、または多くの腫瘍型に特徴的である、持続的で限局性の新血管形成を遮断することにより、直接的または間接的に作用して腫瘍に関連する血管新生に影響しうる。腫瘍に関連する内皮、ならびに持続的な病理的血管新生に関与する複数の分子過程および細胞過程および標的に対して向けられる抗血管新生療法は、複数の臨床試験において、それらの安全性および有効性について精力的に評価されている。しかし、安全および/または有効な抗血管新生剤の発見および/または同定に関する成功は、現在のところ限られている。
線維症は、損傷組織における創傷治癒過程の一部として生じうる線維性組織の異常な蓄積である。このような組織損傷は、物理傷害、炎症、感染症毒素への曝露、および他の原因から生じうる。

0004

例えば、肝(liver(hepatic))線維症は、慢性肝傷害に対する創傷治癒応答の一部として生じる。線維症は、ヘモクロマトーシスウィルソン病アルコール依存症住血吸虫症ウイルス性肝炎胆管閉塞、毒素への曝露、および代謝性障害合併症として生じる。この瘢痕組織の形成は、傷害組織封入しようとする身体による試行を表すものであると考えられる。肝線維症は、正常な肝臓における場合とは質的に識別されうる細胞外マトリックスの蓄積を特徴とする。無検査のまま放置されると、肝線維症は、肝硬変(封入された小節の存在により定義される)、肝不全、および死へと進行する。
LiおよびFriedman(Gastroenterol.Hepatol.、第14巻、618〜633頁、1999年)によりまとめられた通り、肝線維症のための実際の治療戦略および治療戦略案は、基礎原因(例えば、毒素または感染作用物質)の除去、炎症の抑制(例えば、コルチコステロイドIL−1受容体アンタゴニスト、または他の作用物質を用いる)、星細胞活性化の下方調節(例えば、ガンマインターフェロンまたは抗酸化剤を用いる)、マトリックス分解の促進、または星細胞アポトーシスの促進を含む。近年の発展にもかかわらず、これらの戦略の多くは、依然として実験段階にあり、既存の療法は、基礎的な生化学的過程への対処ではなく、炎症の抑制を目的としている。こうして、当技術分野では、肝線維症および肺線維症を含む線維症を治療するための材料および方法に対する必要が依然として存在する。
線維性組織は、高血圧高血圧性心疾患、アテローム性動脈硬化、および心筋梗塞の結果として、心臓および血管において蓄積する。高血圧(high blood pressureまたはhypertension)は、各種の因子により引き起こされ、心停止および心筋梗塞へと進行する高血圧性心疾患(HHD)の発症をもたらすことが多い。同様に、アテローム性動脈硬化および他の虚血性心疾患もまた、結果として心停止をもたらすことが多い。これらの心血管疾患はすべて、血管系の硬化および心筋組織自体の硬化を結果としてもたらす細胞外マトリックスの蓄積および線維性沈着を示す。この線維性物質の沈着は、高血圧状態および/または動脈硬化状態により誘導される損傷に対する応答であるが、この応答の影響はまた、結果として、血管および心筋の硬化の他、心室肥大という負の影響ももたらす。加えて、心血管疾患においてみられる心筋線維症の増大は、心臓の組織骨格を介して心筋細胞へと伝達されるシグナル途絶または変化させ、さらにこれにより、効果的な心機能破壊、ならびに心停止および心筋梗塞の促進をもたらすと考えられている。

0005

上皮間葉移行(EMT)とは、上皮細胞の遺伝子発現表現型特性(すなわち、特定のタンパク質、因子、および分子を発現する)を有する細胞が、遺伝子またはそれらの発現レベルを変化させ(changeまたはalter)、その結果、発現される遺伝子の変化(alterationまたはchange)により示される細胞の表現型の変化がもたらされる過程を指す。
EMTを防止し、LOXおよびLOXL2などの酵素活性を遮断するのに有効な組成物が必要とされる。このような阻害剤は、異常なLOXおよびLOXL2レベルと関連する疾患および障害を治療するのに有用である。

0006

酵素に結合する抗体は、競合的阻害剤の場合もあり、不競合的阻害剤の場合もあり、非競合的阻害剤の場合もある。競合的阻害の場合、阻害剤は通常、基質に対する構造的類似性を保有する。低基質濃度では阻害が認められるが、高基質濃度では圧倒される場合がある。不競合的阻害の場合、阻害剤は、基質が活性部位に結合した後で結合可能となる部位に結合する。高基質濃度において、阻害は最もよく認められる。非競合的阻害の場合、阻害剤は、基質結合部位から離れた部位で結合し、相対的阻害は、一般に、すべての基質濃度で同一である。一実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、全長であるかまたはプロセッシングされたLOXまたはLOXL2の両方に特異的に結合する。一態様において、全長であるかまたはプロセッシングされたLOXまたはLOXL2は共に、該酵素の活性型である。
本明細書では、配列番号6として示されるアミノ酸配列を有するエピトープに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。該抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖と、配列番号2として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖とを含む。
本明細書では、配列番号1として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖と、配列番号2として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖とを含む、単離抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。一実施形態において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖を含む。別の実施形態において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖を含む。さらに別の実施形態において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、LOXL2に対する結合について、本明細書に記載の抗LOXL2抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのいずれかと競合するか、またはこれに特異的に結合する。抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、LOX、LOXL1、LOXL3、またはLOXL4の少なくとも1種に対する場合よりも少なくとも2、5、10、50、100、500、または1000倍大きな結合親和性でLOXL2に特異的に結合しうる。

0007

本明細書では、ヒト化抗LOXL2抗体が提供される。ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号6として示されるアミノ酸配列を有するエピトープに特異的に結合しうる。一実施形態において、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号25、26、27、または28として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖と、配列番号30、31、または32として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖とを含む。
ヒト化単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号25、26、27、または28として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖と、配列番号30、31、または32として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖とを含みうる。
ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号25、26、27、または28として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖を含みうる。
ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号30、31、または32として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖を含みうる。可変重鎖と可変軽鎖との組合せを作製して、結合親和性を評価することができる。
本明細書では、LOXL2に対する結合について、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと競合するか、またはこれに特異的に結合する、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。

0008

本明細書では、重鎖可変領域軽鎖可変領域とを含む、LOXL2に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
前記重鎖可変領域が、
(i)配列番号33のアミノ酸配列、または
(a)位置24におけるバリン(V)によるグルタミン(Q)の置換もしくはその保存的置換
(b)位置30におけるバリン(V)によるロイシン(L)の置換もしくはその保存的置換、
(c)位置31におけるリシン(K)によるバリン(V)の置換もしくはその保存的置換、
(d)位置32におけるリシン(K)によるアルギニン(R)の置換もしくはその保存的置換、および
(e)位置35におけるアラニン(A)によるトレオニン(T)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換、ならびにアミノ酸残基1〜19の欠失を除いて配列番号33のアミノ酸配列を有する重鎖FR1と、
(ii)配列番号34のアミノ酸配列、または
(a)位置3におけるアルギニン(R)によるリシン(K)の置換もしくはその保存的置換、および
(b)位置5におけるアラニン(A)によるアルギニン(R)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換を除いて配列番号34のアミノ酸配列を有する重鎖FR2と、
(iii)配列番号35のアミノ酸配列、または
(a)位置1におけるアルギニン(R)によるリシン(K)の置換もしくはその保存的置換、
(b)位置2におけるバリン(V)によるアラニン(A)の置換もしくはその保存的置換、
(c)位置4におけるイソロイシン(I)によるロイシン(L)の置換もしくはその保存的置換、
(d)位置10におけるトレオニン(T)によるセリン(S)の置換もしくはその保存的置換、
(e)位置16におけるグルタミン酸(E)によるグルタミン(Q)の置換もしくはその保存的置換、
(f)位置21におけるアルギニン(R)によるトレオニン(T)の置換もしくはその保存的置換、
(g)位置23におけるグルタミン酸(E)によるアスパラギン酸(D)の置換もしくはその保存的置換、
(h)位置25におけるトレオニン(T)によるセリン(S)の置換もしくはその保存的置換、および
(i)位置29におけるチロシン(Y)によるフェニルアラニン(F)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換を除いて配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖FR3と、
(iv)配列番号36のアミノ酸配列、または位置7におけるバリン(V)によるリシン(K)の置換もしくはその保存的置換を除いて配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖FR4と
を含み;
前記軽鎖可変領域が、
(i)配列番号49のアミノ酸配列、または
(a)位置27におけるトレオニン(T)によるアラニン(A)の置換もしくはその保存的置換、
(b)位置28におけるプロリン(P)によるアラニン(A)の置換もしくはその保存的置換、
(c)位置29におけるロイシン(L)によるプロリン(P)の置換もしくはその保存的置換、
(d)位置31におけるロイシン(L)によるバリン(V)の置換もしくはその保存的置換、
(e)位置37におけるグルタミン(Q)によるグルタミン酸(E)の置換もしくはその保存的置換、
(d)位置38におけるプロリン(P)によるセリン(S)の置換もしくはその保存的置換、および
(f)位置39におけるアラニン(A)によるバリン(V)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換、ならびにアミノ酸残基1〜20の欠失を除いて配列番号49のアミノ酸配列を有する軽鎖FR1と、
(ii)配列番号50のアミノ酸配列、または
(a)位置2におけるチロシン(Y)によるフェニルアラニン(F)の置換もしくはその保存的置換、および
(b)位置5におけるリシン(K)によるアルギニン(R)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換を除いて配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖FR2と、
(iii)配列番号51のアミノ酸配列、または
(a)位置14におけるアスパラギン酸(D)によるアラニン(A)の置換もしくはその保存的置換、および
(b)位置18におけるリシン(K)によるアルギニン(R)の置換もしくはその保存的置換
からなる群から選択される1つまたは複数の置換を除いて配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖FR3と、
(iv)配列番号52のアミノ酸配列、または位置7におけるバリン(V)によるロイシン(L)の置換もしくはその保存的置換を除いて配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖FR4と
を含むヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。

0009

一実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33、37、または44で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域FR1;配列番号34、38、または45で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域FR2;配列番号35、39、46、47、または48で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域FR3;配列番号36または40で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域FR4;配列番号49または53で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域FR1;配列番号50、54、または60で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域FR2;配列番号51、55、または61で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域FR3;および配列番号52または56で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域FR4を含む。
本明細書では、LOXに特異的に結合する抗体が提供される。一態様において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖と、配列番号4または5として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖とを含みうる。別の態様において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変重鎖を含みうる。さらに別の態様において、単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4または5として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する可変軽鎖を含みうる。
本明細書では、LOXに対する結合について、本明細書に記載の抗LOX抗体のいずれか1つの抗体またはその抗原結合フラグメントと競合するか、またはこれに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
抗LOX抗体は、LOX1、LOXL2、LOXL3、またはLOXL4の少なくとも1種に対する場合よりも少なくとも2、5、10、50、100、500、または1000倍大きな結合親和性で、LOXに特異的に結合しうる。
単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能標識、治療用標識、またはこれらの両方により標識することができる。
一実施形態において、抗原結合フラグメントは、例えば、可変重鎖、可変軽鎖、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、遺伝子操作抗体、モノクローナル抗体、またはヒト化抗体である。

0010

本明細書では、上述の実施形態の任意の1つによる抗体またはその抗原結合フラグメント、および薬学的に許容される担体または賦形剤の組成物を含む、LOXまたはLOXL2と関連する状態を治療するためのキットが提供される。LOXまたはLOXL2と関連する状態は、例えば、腫瘍、転移、血管新生、または線維症でありうる。キットは、検出可能標識、治療用標識、またはこれらの両方をさらに含みうる。キットは、抗体またはその抗原結合フラグメントの、検出可能標識、治療用標識、またはこれらの両方とのコンジュゲート仕方を説明する指示書をさらに含みうる。さらに、指示書は、抗体またはその抗原結合フラグメントの投与の仕方を説明しうる。一実施形態において、キット中の組成物は、発熱物質を含まず、場合によって、凍結乾燥させることができる。
本明細書では、LOXまたはLOXL2と関連する状態を診断する方法であって、対象の試料を本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることにより、前記試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルを評価するステップを含み、基準試料と比較した、該試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルの変化により、腫瘍または転移の存在または増大が示される方法が提供される。LOXまたはLOXL2と関連する状態は、例えば、腫瘍状態転移状態血管新生状態、または線維化状態でありうる。一実施形態では、基準試料と比較した、試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルの上昇により、腫瘍もしくは転移の存在、または腫瘍もしくは転移性増殖の増大が示される。基準試料は、早期の時点における対象から採取された試料であるか、または別の個体由来の試料である。試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルは、試料を本明細書に記載の抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのいずれかと接触させることにより検出される。検出を目的とする場合、抗体またはその抗原結合フラグメントは、結合を評価するのに用いられる方法により、必要に応じて検出可能な形で標識される。

0011

本明細書では、試料または細胞組織を本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることによりLOXL2を阻害する方法が提供される。一実施形態では、LOXL2に対する前記抗体またはその抗原結合フラグメントの結合により、LOXL2の酵素活性が阻害される。
本明細書では、試料または細胞組織を本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることによりLOXを阻害する方法が提供される。一実施形態では、LOXに対する前記抗体またはその抗原結合フラグメントの結合により、LOXの酵素活性が阻害される。接触は、in vitro、in vivo、またはex vivoで生じうる。LOXまたはLOXL2の阻害により、対象における腫瘍増殖を部分的または完全に減少させることができる。LOXまたはLOXL2の阻害により、対象における血管新生を軽減することで、治療的有益性をもたらすことができる。LOXまたはLOXL2の阻害により、対象における線維症を軽減することで、治療的有益性をもたらすことができる。
本明細書では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを投与するステップを含む、対象における腫瘍増殖を減少させる方法が提供される。腫瘍は、原発腫瘍の場合もあり、転移性腫瘍の場合もある。一態様において、腫瘍は、例えば、肺癌肺腺癌扁平上皮細胞癌大細胞癌細気管支肺胞上皮癌非小細胞癌小細胞癌中皮腫を含む);乳癌乳管癌、小葉癌炎症性乳癌、明細胞癌、粘液癌を含む);結腸直腸癌結腸癌直腸癌);肛門癌;膵臓癌膵臓腺癌膵島細胞癌、神経内分泌腫瘍を含む);前立腺癌卵巣癌漿液性腫瘍、類内膜腫瘍、および粘液性嚢胞腺腫瘍を含む卵巣上皮癌または表層上皮性間質性腫瘍、性索−間質性腫瘍);肝癌および胆管癌肝細胞癌、胆管癌、肝血管腫を含む);食道癌食道腺癌および扁平上皮細胞癌を含む);非ホジキンリンパ腫膀胱癌子宮癌子宮内膜腺癌、子宮乳頭状漿液性癌、子宮明細胞癌、子宮肉腫および子宮平滑筋肉腫ミュラー管混合腫瘍を含む);神経膠腫神経膠芽腫髄芽腫、および他の脳腫瘍腎癌腎細胞癌、明細胞癌、ウィルムス腫瘍を含む);頭頚部癌(扁平上皮細胞癌を含む);胃癌胃腺癌、消化管間質腫瘍);多発性骨髄腫精巣癌;胚細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍;子宮頚癌消化管乳房、および他の臓器カルチノイド印環細胞癌肉腫線維肉腫血管腫血管腫症血管外皮腫、血管腫様間質過形成筋線維芽腫線維腫症、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、脂肪腫血管脂肪腫顆粒細胞腫神経線維腫神経鞘腫血管肉腫脂肪肉腫横紋筋肉腫骨肉腫平滑筋腫、または平滑筋肉腫を含む間葉系腫瘍である。一実施形態において、腫瘍は、例えば、結腸癌、卵巣癌、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、上皮性悪性腫瘍である。治療後には、治療前の対象における腫瘍と比較して、対象における腫瘍サイズを少なくとも10%、25%、50%、70%、90%、95%、またはそれ以上退縮させることができる。一態様において、腫瘍を有する対象の生存は、抗体またはその抗原結合フラグメントを投与されない対象と比較して、少なくとも10日間、1カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間、2年間、5年間、10年間、またはそれ以上延長される。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後には、対象の全身転移性腫瘍組織量を安定化させることができる。例えば、少なくとも10日間、1カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間、2年間、5年間、10年間、またはそれ以上にわたり、全身転移性腫瘍組織量を安定化させることができる。

0012

本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、hLOXの分泌形態または成熟形態には特異的に結合しうるが、配列番号7のアミノ酸配列を有するhLOXのプレプロタンパク質には特異的に結合しない。一実施形態において、hLOXの分泌形態は、配列番号8、62、または63のアミノ酸配列を有する。一実施形態において、hLOXの成熟形態は、配列番号9のアミノ酸配列を有する。
本明細書では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントにより対象における血管新生を阻害する方法が提供される。
本明細書では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することにより対象における線維性疾患を阻害する方法が提供される。線維性疾患は、肝線維症、肺線維症、腎線維症、心筋線維症、および強皮症を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、腎線維症は、糖尿病性腎症膀胱尿管逆流尿細管間質性腎線維症;巣状分節状糸球体硬化症および膜性糸球体腎炎、ならびに膜性増殖性糸球体腎炎を含む糸球体腎炎(glomerulonephritisまたはglomerular nephritis)を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、肝線維症は、肝硬変、および慢性ウイルス肝炎などの関連する状態、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、胆汁性肝硬変、および自己免疫肝炎を結果としてもたらす。
本明細書では、試料または細胞組織を、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることにより、細胞外マトリックス形成を低下させる方法が提供される。一例において、投与または接触は、非経口投与により行われる。
本明細書では、LOXおよび/またはLOXLのレベルおよび/または活性を検出することにより、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの投与に対する対象の応答をモニタリングする方法が提供される。

0013

一実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療用標識で標識される。
本明細書では、該方法が、第2の治療作用物質同時投与するステップをさらに含む組合せ療法が意図される。一実施形態において、第2の治療作用物質は、抗体または化学療法剤である。
本明細書では、対象におけるLOXもしくはLOXL2を阻害するか、腫瘍増殖を減少させるか、血管新生を阻害するか、線維性疾患を阻害するか、または細胞外マトリックス形成を低下させるための製剤の調製における、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用が提供される。一実施形態において、前記前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療用標識、および場合によっては診断用標識で標識される。
本明細書では、患者の試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルを評価するステップを含む腫瘍または転移の診断のための製剤の調製における、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用であって、基準試料と比較した、該試料中におけるLOXおよび/またはLOXL2レベルの変化により、腫瘍もしくは転移の存在または腫瘍もしくは転移性増殖の増大が示される使用が提供される。一実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、診断用標識で標識される。
参照による組込み
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、具体的および個別に、参照により組み込まれることが示されると仮定した場合と同じ程度において、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の特徴は、添付される特許請求の範囲において具体的に記載される。本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明および添付の図面への参照により、本発明の特徴および利点のより良好な理解が得られる。

図面の簡単な説明

0014

リシルオキシダーゼ酵素反応を示す図である。LOX/L酵素は、ミカエリスメンテン反応速度論により説明しうるピンポン機構により作用する。
酵素阻害の一般的方式を示す図である。
βAPNがLOXL2の競合的阻害剤であることを示す図である。
酵素阻害の方式:LOXL2を示す図である。
細胞外LOXL2の局在化および細胞外LOXL2の機能を示す図である。
図6AはLOXL2のSRCR3〜4領域に結合する抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する図であり、図6Bは同軽鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する図である。各可変領域について、シグナル・ペプチドは斜字体で示し、CDRには下線を付し、定常フレームワークの始点は太字体で示す。
図7AはLOXに結合する抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する図であり、図7Bおよび図7Cは2つの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する図である。各可変領域について、シグナル・ペプチドは斜字体で示し、CDRには下線を付す。
抗LOXL2抗体を用いる最新型タンパク質スクリーンBを示す図である。LOXL2の酵素活性を評価した。
抗LOXL2抗体AB0023の酵素活性を示す図である。
抗LOXL2抗体AB0023が非競合的阻害剤であることを示す図である。
抗LOXL2抗体AB0023の結合親和性および解離速度を示す図である。
抗LOXL2抗体AB0023のドメインマッピングを示す図であり、AB0023は、LOXL2のSRCR3〜4ドメインに結合する。
抗LOXL2抗体AB0023が、10mLの調製物質およびスケールアップされた100mLの調製物質および腹水物質による上清由来する、コラーゲンIおよびコラーゲンIVにおける遊走/浸潤一貫した阻害を明示することを示す図である。細胞付着アッセイにおいても、部分的な阻害が観察された。被験試料中では、アッセイされる細胞が血清へと遊走し、蛍光が測定されて細胞のカウントおよび遊走が決定された。左端のバーは、抗体が存在せず、最下層に血清が含有される対照試料細胞浸潤についての陽性対照)である。左から2番目のバーは、抗体が存在せず、最下層に血清が含有されない陰性対照である。
マウス・モノクローナル抗体AB0023(抗hLOXL2)の重鎖(VH)可変領域および軽鎖(VL)可変領域のアミノ酸配列を示す図である。相補性決定領域(CDR)は、下線を付した太字により示す。図14はまた、該マウス・モノクローナル抗体の4つのヒト化変異体も示す。該マウス・モノクローナル抗体と異なるヒト化重鎖可変領域および同軽鎖可変領域のフレームワーク(FR)領域内における残基は、破線(−−−)または下線を付したイタリック体により示す。
M64が用量依存的な形でLOXに結合することを示す図である。バッチ3は6.6nMのKD、バッチ4は5.0nMのKD、およびバッチ5は5.7nMのKDを有する。
抗LOX抗体M64の結合親和性を示す図である。
抗LOXL2抗体により、4種類の癌由来細胞株の細胞増殖が阻害されることを示す図である。
シスプラチンと組み合わせた抗LOX抗体の相乗効果を示す図である。M64のIC50もまた、4種類の細胞株について決定された。

0015

本発明は、癌の診断および治療を含む医学の分野に関する。本発明の一態様は、疾患進行指標および治療作用物質の標的としてのLOXおよびLOXL2に関する。
本発明は、リシル・オキシダーゼ(LOX)またはリシル・オキシダーゼ様(LOXL)タンパク質の活性形態または成熟形態を特異的に認識する作用物質を用いることにより、異常な細胞増殖、血管新生、および線維症と関連する各種の疾患を診断またはモニタリングするための新規の方法および関連する組成物ならびにキットを提供する。
対象における癌転移を診断またはモニタリングする方法であって、血液または腫瘍中における活性のLOXまたはLOXL2のレベルまたは活性を評価するステップを含み、基準試料と比較した、血液または腫瘍中における活性のLOXまたはLOXL2のレベルまたは活性の変化により、転移性腫瘍増殖の存在が示される方法が提供される。
以下でより詳細に説明される通り、活性のLOXまたはLOXL2のレベルは、LOXまたはLOXL2の活性形態または成熟形態に特異的に結合する抗体を用いることにより、免疫組織化学法を含むがこれに限定されない各種の方法により評価することができる。活性のLOXまたはLOXL2の酵素活性は、発色アッセイおよび蛍光測定アッセイを含むがこれらに限定されない各種の方法を用いることにより測定することができる。
また、本明細書では、LOXまたはLOXL2の活性形態を特異的に認識する抗体またはその抗原結合フラグメント、LOXまたはLOXL2の活性形態に対する抗体を作製する方法、ならびに該抗体を用いて異常な細胞増殖、血管新生、および線維症を治療する方法も提供される。

0016

I.一般的な定義
別段に定義しない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当技術分野の当業者により一般的に理解される場合と同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、出願公開、および他の刊行物は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。本節で記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、出願公開、および他の刊行物で記載される定義に反するかまたはこれらと別の形で符合しない場合、本節で記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に対して優先される。本明細書で記載される見出しは便宜上だけのものであり、いかなる形であれ本発明を限定するものではない。
本明細書で用いられる「ある(a)」、または「ある(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
「保存的なアミノ酸置換」という表現は、特定の共通の特性に基づくアミノ酸の群分けを指す。個々のアミノ酸間における共通の特性を定義する機能的な方法は、相同的な生物の対応するタンパク質間におけるアミノ酸変化標準化された頻度解析することである(Schulz,G.E.およびR.H.Schirmer、「Principles of Protein Structure」、Springer−Verlag社)。このような解析によれば、アミノ酸群とは、群内のアミノ酸が相互に優先的に交換され、したがって、全般的タンパク質構造に対するそれらの影響において最も相互に類似する群と定義することができる(Schulz,G.E.およびR.H.Schirmer、「Principles of Protein Structure」、Springer−Verlag社)。このようにして定義されるアミノ酸群の例は、
(i)GluおよびAsp、Lys、Arg、およびHisからなる荷電群、
(ii)Lys、Arg、およびHisからなる正荷電群、
(iii)GluおよびAspからなる負荷電群、
(iv)Phe、Tyr、およびTrpからなる芳香族群、
(v)HisおよびTrpからなる窒素環群、
(vi)Val、Leu、およびIleからなる高分子脂肪族非極性群
(vii)MetおよびCysからなる弱極性群、
(viii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gln、およびProからなる低分子残基群
(ix)Val、Leu、Ile、Met、およびCysからなる脂肪族群、ならびに
(x)SerおよびThrからなる低分子ヒドロキシル
を含む。
上記で示した群に加え、各アミノ酸残基は固有の基を形成することがあり、個々のアミノ酸により形成される基は、上記で記載した通り、当技術分野で一般に用いられる、そのアミノ酸に対する1文字および/または3文字の略記法により簡潔に言及することができる。

0017

保存残基」とは、類似タンパク質の範囲を通じて比較的不変なアミノ酸である。保存残基は、「保存的アミノ酸置換」について上記で説明した類似のアミノ酸により置換されることだけによって変化することが多い。
本明細書のアミノ酸配列で用いられる「x」または「xアミノ酸」という表記は、別段に特記されない限り、20種類の標準的なアミノ酸のいずれかをこの位置に配置しうることを示すことを意図する。ペプチド模倣剤を設計する目的の場合、アミノ酸配列内の「x」または「xアミノ酸」を、標的配列内に存在する該アミノ酸の模倣体により置換することもでき、ペプチド模倣剤の活性に干渉しない基本的に任意の形態のスペーサーにより該アミノ酸を置換することもできる。
相同性」または「同一性」または「類似性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間における配列の類似性を指す。相同性および同一性は、各々、比較を目的に整列しうる各配列内における位置を比較することにより決定することができる。比較される配列内における同等の位置が同じ塩基またはアミノ酸により占められている場合、該分子はその位置において同一であり;同等の位置が同じであるかまたは類似のアミノ酸残基(例えば、立体的性質および/または電子的性質において類似する)によって占められている場合、該分子はその位置において相同(類似)であると称する。相同性/類似性または同一性の百分率としての表現とは、比較された配列により共有される位置における同一であるかまたは類似のアミノ酸数関数を指す。「類縁でない」かまたは「非相同」の配列とは、40%未満しか同一性を有さない配列であるが、本発明の配列とは25%未満しか同一性を有さないことが好ましい。2つの配列を比較する場合、残基(アミノ酸または核酸)の不在または余分の残基の存在もまた、同一性および相同性/類似性を低下させる。
「相同性」という用語は、類似の機能またはモチーフを有する遺伝子またはタンパク質を同定するのに用いられる配列類似性に対する数学に基づく比較を説明する。本発明の核酸(ヌクレオチドオリゴヌクレオチド)配列およびアミノ酸(タンパク質)配列は、公開データベースに対する検索を実施して、例えば、他のファミリーメンバー、類縁配列、または相同体を同定する「クエリー配列」として用いることができる。このような検索は、Altschulら(1990年)、J.Mol.Biol.、第215巻、403〜10頁のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2)を用いて実施することができる。NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12によりBLAST核酸検索を実施して、本発明の核酸分子に対して相同な核酸配列を得ることができる。XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3によりBLASTアミノ酸検索を実施して、本発明のタンパク質分子に対して相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較を目的としてギャップを含むアライメントを得るためには、Altschulら(1997年)、Nucleic AcidsRes.、第25巻、第17号、3389〜3402頁で説明される通りに、Gapped BLASTを用いることができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる(www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。

0018

本明細書で用いられる「同一性」とは、2つ以上の配列を整列して配列のマッチング最大化する、すなわち、ギャップおよび挿入を考慮する場合における、該配列内の対応する位置における同一のヌクレオチド残基またはアミノ酸残基の百分率を意味する。同一性は、「Computational Molecular Biology」、Lesk,A.M.編、ニューヨーク、Oxford University Press社、1988年;「Biocomputing:Informatics and Genome Projects」、Smith,D.W.編、ニューヨーク、Academic Press社、1993年;「Computer Analysis of Sequence Data」、第I部、Griffin,A.M.およびGriffin,H.G編、ニュージャージー州、Humana Press社、1994年;「Sequence Analysis in Molecular Biology」、von Heinje,G.、Academic Press社、1987年;ならびに「Sequence Analysis Primer」、Gribskov,M.およびDevereux,J.編、ニューヨーク、M Stockton Press社、1991年;ならびにCarillo,H.およびLipman,D.、SIAM J.、Applied Math.、第48巻、1073頁(1988年)において説明される方法を含むがこれらに限定されない既知の方法により容易に計算することができる。同一性を決定する方法は、調べる配列の間で最大のマッチがもたらされるように設計される。さらに、同一性を決定する方法は、市販のコンピュータ・プログラムでコードされる。2つの配列間における同一性を決定するコンピュータ・プログラムによる方法は、GCGプログラム・パッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic AcidsResearch、第12巻、第1号、387頁(1984年))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.、第215巻、403〜410頁(1990年);およびAltschulら、Nuc.Acids Res.、第25巻、3389〜3402頁(1997年))を含むがこれらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の販売元から市販されている(「BLAST Manual」、Altschul,S.ら、NCBINLM NIH、Bethesda、Md.20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.、第215巻、403〜410頁(1990年))。よく知られるSmith Watermanによるアルゴリズムもまた、同一性を決定するのに用いることができる。

0019

「実質的に同一の」という用語は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有するように、i)第2のアミノ酸配列内における整列されたアミノ酸残基に対して同一であるか、またはii)該残基の保存的置換である、十分であるかまたは最小限の数のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸配列の同一性を意味する。例えば、LOXに対して実質的に同一なアミノ酸配列は、LOXに対して少なくとも約60%、または65%の同一性を有し、75%の同一性を有する可能性が高く、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する可能性がさらに高い共通の構造ドメインを含有する。例えば、LOX2に対して少なくとも約60%、または65%の同一性を有し、75%の同一性を有する可能性が高く、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する可能性がさらに高い共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列は、十分に同一であるかまたは実質的に同一であると称する。ヌクレオチド配列の場合、本明細書において、「実質的に同一の」という用語は、第1および第2のヌクレオチド配列が共通の機能活性を有するポリペプチドをコードするか、または共通のポリペプチド構造ドメインもしくは共通のポリペプチド機能活性をコードするように、第2の核酸配列内における整列されたヌクレオチドに対して同一の、十分であるか最小限の数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列を指すのに用いる。例えば、本明細書で提供される核酸配列に対して少なくとも約60%、または65%の同一性を有し、75%の同一性を有する可能性が高く、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する可能性がさらに高いヌクレオチド配列は、実質的に同一であると称する。

0020

II.リシル・オキシダーゼ(LOX)またはリシル・オキシダーゼ様(LOXL)タンパク質
充実性腫瘍は、低酸素圧(低酸素状態)の領域を含有することが典型的である。低酸素細胞は、高度に侵襲性転移性であり、治療に対して耐性であるため、癌治療において大きな問題を提示する。これらの特徴の一因となる基礎的な機構は、ほとんど理解されていない。検出可能な転移性乳癌を有する大半の患者に対しては有効な治療が存在しないため、乳癌においては、転移が特別な問題を提示する(Steeg,PS.、Br.Can.Res.、第2巻、第6号、396〜9頁(2000年))。
細胞外マトリックス(ECM)は、腫瘍細胞に対して大きな影響を及ぼしうる(ChangおよびWerb、TrendsCell.Biol.、第11巻、S37〜43頁(2001年);ならびにRadiskyら、Semin.Cancer Bio.、第11巻、87〜95頁(2001年))。低酸素状態に曝露されたマウスは、ECMの形成および維持において基礎的な役割を果たすアミン・オキシダーゼである、リシル・オキシダーゼ(LOX)活性の組織特異的な上昇を示す(Brodyら、Am.Rev.Respir.Dis.、第120巻、1289〜95頁(2001年))。近年のマイクロアレイ研究により、LOXが、各種の細胞株における低酸素状態誘導遺伝子であることが確認された(Denko,NC.、Oncogene、第22巻、5907〜14頁(2003頁))。しかし、低酸素状態下におけるLOXの生物学的役割は同定されなかった。LOXは、ECM中におけるコラーゲンおよびエラスチン共有結合による架橋形成を引き起こし、不溶性マトリックスの沈着および引張強度を増大させる(KaganおよびLi.、J.Cell.Biochem.、第88巻、660〜72頁(2003年))。LOX発現は、創傷治癒および正常な結合組織機能にとって不可欠であり、ノックアウト・マウスは、心血管不安定性により、出産直後に死亡する(Hornstraら、J.Biol.Chem.、第278巻、14387〜93頁(2003年))。LOX活性の低下は、エーラー−ダンロス症候群などの疾患と関連する(Pinnell,SR.、J.Invest.Dermatol.、第79巻(付録第1号)、90S〜92S頁(1982年);Royceら、Biochem.J.、第192巻、579〜86頁(1980年);ならびにKhakooら、Clin.Genet.第51巻、109〜14頁(1997年))。LOX活性の上昇は、肝硬変などの線維性疾患および組織リモデリング疾患の一因となる(Kagan,HM.、Pathol.Res.Pract.、第190巻、910〜0頁(1994年);Chankiら、Br.J.Dermatol.、第133巻、710〜5頁(1995年);ならびにOoshimaおよびMidorikawa、Jpn.Circ.J.、第41巻、1337〜40頁(1977年))。

0021

LOX発現の上昇は、腎細胞癌における病期の進行と相関し(Stassarら、Br.J.Cancer、第85巻、1372〜82頁(2001年))、LOX発現の上昇は、高度に転移性および/または侵襲性である乳癌細胞株において観察される(Kirschmannら、Breast Cancer Res.Treat.、第55巻、127〜36頁(1999年);ならびにKirschmannら、Cancer Res.、第62巻、4478〜83頁(2002年))。これに対し、ras形質転換線維芽細胞の非腫瘍原性復帰突然変異体において、LOXは、腫瘍抑制因子として作用する(Smith−MungoおよびKagan.、Matrix Biol.、第16巻、387〜98頁(1998年))。LOXの喪失は、胃癌、結腸癌、および前立腺癌など、複数種の癌における腫瘍原性と関連する(Renら、Cancer Res.、第58巻、1285〜90頁(1998年);Cxiszarら、Int.J.Cancer、第97巻、636〜42頁(2002年);ならびにKanedaら、Cancer Res.、第64巻、6410〜5頁(2004年))。こうして、LOXの腫瘍抑制性の役割は、細胞の種類および形質転換の状態に依存すると考えられる。該プロペプチド・ドメイン(であり、活性酵素ではない)は近年、腫瘍抑制活性の一因となることが示された。乳癌において、LOX発現の上昇は、早期の間質反応と関連し(Decitreら、Lab.Invest.、第78巻、143〜51頁(1998年))、この種の癌におけるアンチセンスLOXによる処理は、in vitroにおける浸潤を防止する(Kirschmannら、Cancer Res.、第62巻、4478〜83頁(2002年))。

0022

LOXL2のアミノ酸配列は、LOXおよびLOXLの両方の保存的な銅結合ドメインおよび触媒ドメインとの広範にわたる配列相同性を共有する。これらの保存的ドメインは、エキソンイントロン構造の保存もまた維持する、LOX遺伝子、LOXL遺伝子、およびLOXL2遺伝子内における5つの隣接するエキソンによりコードされる。LOXL2、LOX、およびLOXLのカルボキシル末端内におけるヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列の保存は、リシル・オキシダーゼ・タンパク質に対して特異的な銅配位錯体に窒素配位子を供給する、4つのヒスチジンを伴う、LOXおよびLOXLにおける銅結合ドメイン(WEWHSCHQHYH)およびLOXL2におけるWIWHDCHRHYHを含む(KrebsおよびKrawetz、Biochim.Biophys.Acta、第1202巻、7〜12頁(1993年))。LOXにおける活性部位(DIDCQWWIDITDVXPGNY)およびLOXL2における活性部位(DIDCQWVDITDVPPPGDY)は各々、COOH末端においてTyr残基(Y)を含有し、これが、Lys残基と共に、これらのタンパク質中に存在するキノン補因子の形成に関与する。LOXおよびLOXLに特徴的な10個のシステインは、LOXL2においても同様に保存される(Kaganら(1994)、「Molecular Biology and Pathology of Elastic Tissue」(Mecham,R.P.およびRoberts,L.編)、Ciba Foundation Symposium Series、Wiley、チチスター、UK)。LOXおよびLOXLタンパク質において存在する成長因子およびサイトカインの受容体ドメインもまた、LOXL2に由来するアミノ酸配列内で同定されている。スカベンジャー受容体のシステインに富むドメインの4つの反復配列もまた、LOXL2由来で存在する(Saitoら、J.Biol.Chem.、第272巻、8157〜8160頁(1997年);Resnickら、TrendsBiochem.Sci.、第19巻、5〜8頁(1994年))。
LOXL2cDNAの3’−UTRドメイン内では、3つの主要な転写終結部位が注目されている。第1の終結部位は終止コドンから3’側に690bpであり、第2の部位は740bpであり、最後の転写終結部位は、終止コドンから3’側に900bpである。これらのmRNAは、すべて、サイズが若干異なる3’−UTRを有する。LOXL2遺伝子の大半のエキソン−イントロン境界部は、(C/T)AG−エキソン−GT(A/G)のコンセンサス配列を示す。LOXL2遺伝子の11のエキソンのサイズは、112〜940bpの範囲である。LOXL2遺伝子は11のエキソンを有するが、銅結合ドメインおよび触媒ドメインをコードする5つの隣接するエキソン(エキソン6〜10)は、84%の配列類似性を示し、エキソン・サイズは、LOX遺伝子およびLOXL遺伝子の対応するエキソンに極めて類似する。LOXL2遺伝子内における他のすべてのエキソンは、配列およびサイズ共に不一致である。LOXL2は、血液の白血球例外とするすべての組織において同定されている。LOXL2 mRNAは、心臓、肝臓、および膵臓において検出されており、脳、骨格筋胸腺、および腎臓におけるより低度の発現(0.5未満の比率)と比較して、胎盤前立腺、子宮、および膵臓では著明に高度の発現(2〜3の比率)である(Jourdan−Le Sauxら、J.Biol.Chem.、第274巻、第18号、12939〜12944頁(1999年))。

0023

LOXおよび異なるLOXLタンパク質の発現は、疾患が異なれば異なる。これは、タンパク質間における組織分布、プロセッシング、ドメイン、活性の調節の違いの他、他の違いなど、多数の理由による場合がある。例えば、LOXおよびLOXLは、両者共に線維性領域周囲の筋線維芽細胞において高度に発現するので、線維性疾患に関与する(Kagen、Pathol.Res.Pract.、第190巻、910〜919頁(1994年);Murawakiら、Hepatology、第14巻、1167〜1173頁(1991年);Siegelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第75巻、2945〜2949頁(1978年);Jourdan Le−Sauxら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、第199巻、587〜592頁(1994年);Kimら、J.Cell Biochem.、第72巻、181〜188頁(1999年))。LOXおよび各種のLOXLはまた、多数の癌にも関与する。例えば、LOXLおよびLOXL4は、エピジェネティックサイレンシングされることが示されており、ヒト膀胱癌において、ras/細胞外シグナル調節キナーゼによるシグナル伝達経路を阻害しうる(Wuら、Cancer Res.、第67巻、4123〜4129頁(2007年))。他の研究者は、頭頚部扁平上皮細胞癌におけるLOXL4遺伝子の選択的な上方調節および増幅を示している(Goroughら、J.Pathol.、第212巻、74〜82頁(2007年))。LOXおよびLOXL2はまた、結腸癌および食道癌など、多数の腫瘍にも関与している(Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年))。乳癌では、LOXおよびLOXLのファミリー・メンバーが癌に連関している(Kirschmannら、Cancer Res.、第62巻、448〜4483頁(2002年))。
リシル・オキシダーゼは、コラーゲン中のペプチジルリシン残基およびヒドロキリシン残基、ならびにエラスチン中のペプチジル・リシン残基の酸化的脱アミノ反応を触媒する。結果として生じるペプチジル・アルデヒドは、自発的に縮合し、酸化反応を受け、細胞外マトリックスの正常な構造的完全性に必要な、リシン由来の共有結合架橋を形成する。リシル・オキシダーゼのその基質との反応では、ペプチジル・アルデヒド生成物と共に、過酸化水素(H2O2)およびアンモニウム化学量論的量において放出される。例えば、Kaganら、J.Cell.Biochem.、第88巻、660〜72頁(2003年)を参照されたい。

0024

リシル・オキシダーゼは、細胞外環境内に分泌され、次いで、そこにおいて、タンパク質分解的切断により、30kDaの機能的な酵素と、18kDaのプロペプチドとにプロセッシングされる。30kDaのリシル・オキシダーゼが酵素的に活性であるのに対し、50kDaのプロ酵素は活性でない。BmpI遺伝子、TII1遺伝子、およびTII2遺伝子の産物であるプロコラーゲンプロテイナーゼが、プロリシル・オキシダーゼをその活性形態にプロセッシングする。該酵素の局在化はおもに細胞外であるが、プロセッシングされたリシル・オキシダーゼはまた、細胞内および核内にも局在化する。LOXおよびLOXLタンパク質間では、プロペプチドをコードする配列の保存が中程度(60〜70%)であるのに対して、活性部位が位置するプロ酵素の30kDaのC末端領域をコードする配列の保存は高度(約95%)である。Kaganら、J.Cell Biochem.、第59巻、329〜38頁(1995年)を参照されたい。LOXは、TGF−β、TNF−α、およびインターフェロンなど、多数の成長因子およびステロイドにより誘導される(Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年))。
LOXおよび4種のLOX類縁タンパク質またはLOX様タンパク質(LOXL、LOXL2、LOXL3、LOXL4)である、5種の異なるリシル・オキシダーゼが、ヒトおよびマウスのいずれにおいても存在することが知られている。LOXおよびLOX様タンパク質は、本開示の目的では、まとめて「LOX/LOXL」と称する。リシル・オキシダーゼの5つの形態は、5種の異なる染色体上に存在する。これらのファミリー・メンバーは、構造および機能において何らかの重複を示すが、異なる機能も有すると考えられる。例えば、LOXの主要な活性は細胞外のコラーゲンおよびエラスチン中における特定のリシン残基の酸化であるが、遺伝子発現を調節しうる場合、それはまた、細胞内でも作用しうる。加えて、LOXは、単球、線維芽細胞、および平滑筋細胞走化性を誘導する。さらに、ノックアウト・マウスにおけるLOXの欠失が出産時において致死的であると考えられる(Hornstraら、J.Biol.Chem.、第278巻、14387〜14393頁(2003年))のに対し、LOXLの欠損重篤な発達表現型をもたらさない(Bronsonら、Neurosci.Lett.、第390巻、118〜122頁(2005年))。

0025

LOXの主要な活性は細胞外のコラーゲンおよびエラスチン中における特定のリシン残基の酸化であるが、遺伝子発現を調節しうる場合、それはまた、細胞内でも作用しうる(Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第94巻、12817〜12822頁(1997年);Giampuzziら、J.Biol.Chem.、第275巻、36341〜36349頁(2000年))。加えて、LOXは、単球、線維芽細胞、および平滑筋細胞の走化性を誘導する(Lazarusら、Matrix Biol.、第14巻、727〜731頁(1995年);Nelsonら、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、第188巻、346〜352頁(1988年))。LOX自体は、TGF−β、TNF−α、およびインターフェロンなど、多数の成長因子およびステロイドにより誘導される(Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年))。近年の研究から、LOXには、発生の調節、腫瘍の抑制、細胞の運動性、および細胞の老化などの多様な生物学的機能における他の役割があると考えられる。LOXおよびその近年発見されたアミノ・オキシダーゼ・ファミリーであるLOX様(LOXL)ファミリーは、それらの細胞内および細胞外における局在化により、重要な役割を果たしうる。
本明細書で用いられる「リシル・オキシダーゼ」という用語は、以下の反応:ペプチジル−L−リシル−ペプチド+O2+H2O→ペプチジル−アリシル−ペプチド+NH3+H2O2を触媒する酵素を指す。リシル・オキシダーゼの他の同義語(EC 1.4.3.13)は、タンパク質−リシン6−オキシダーゼおよびタンパク質−L−リシン:酸素6−オキシドレダクターゼ脱アミノ反応性)を含む。例えば、Harrisら、Biochim.Biophys.Acta、第341巻、332〜44頁(1974年);Raytonら、J.Biol.Chem.、第254巻、621〜26頁(1979年);Stassen、Biophys.Acta、第438巻、49〜60頁(1976年)を参照されたい。その活性中心においてチロシル・キノンのリシル付加物を伴う銅含有キノタンパク質であるLOXは、ペプチジル・リシンの酸化を触媒する結果、ペプチジルアルファアミノアジピン酸デルタセミアルデヒドの形成をもたらす。形成されると、このセミアルデヒドは、近傍のアルデヒドまたは他のリシル基と共に自発的に縮合して、鎖内および鎖間の架橋を形成しうる。例えば、Ruckerら、Am.J.Clin.Nutr.、第67巻、996S〜1002S頁(1998年)を参照されたい。

0026

「LOX」という用語は、以下の配列:EMBLGenBank受託番号:M94054(配列番号10);AAA59525.1(配列番号11)−mRNA;S45875(配列番号12);AAB23549.1(配列番号13)−mRNA;S78694(配列番号14);AAB21243.1(配列番号15)−mRNA;AF039291(配列番号16);AAD02130.1(配列番号17)−mRNA;BC074820(配列番号18);AAH74820.1(配列番号19)−mRNA;BC074872(配列番号20);AAH74872.1(配列番号21)−mRNA;M84150(配列番号22);AAA59541.1(配列番号23)−ゲノムDNAの1つから発現または翻訳されたポリペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有する酵素を指す。LOXの一実施形態は、あるアミノ酸配列(配列番号7)を有するヒト・リシル・オキシダーゼ(hLOX)プレプロタンパク質、シグナル・ペプチド切断後における配列番号8などの分泌hLOX、またはタンパク質分解的プロセッシング後における配列番号9などの成熟hLOXである。
LOXは、ヒト、マウス、ラットニワトリ魚類、およびショウジョウバエ(Drosphila)を含む複数の動物種において保存される、高度に保存的なタンパク質ドメインを有する。ヒトLOXファミリーは、205アミノ酸のLOX触媒ドメインを含有する高度に保存的なC末端領域を有する。保存的な領域は、銅結合(Cu)領域、保存的なサイトカイン受容体様ドメイン(CRL)、およびリシル−チロシル・キノン補因子部位(LTQ)を含有する。予測される細胞外シグナル配列は、斜線を付した枠囲い(参照により本明細書に組み込まれる米国仮出願第60/963,249号の図7を参照されたい)により表される。12のシステイン残基もまた同様に保存されるが、そのうちの2残基はプレプロペプチド領域内に存在し、10残基がLOXの触媒的に活性なプロセッシングされた形態である(Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年))。保存的な領域はまた、フィブロネクチン結合ドメインも含む。

0027

LOXのプレプロペプチド領域はシグナル・ペプチドを含有し、切断されて(切断部位は、Cys21〜Ala22間であると予測される)、シグナル配列ペプチドと、未だ不活性であるLOXの48kDaのアミノ酸プロペプチド形態とを生成する。該プロペプチドは、ゴルジ体を通過する際にN−グリコシル化され、これが細胞外環境内へと分泌され、そこで、該プロ酵素またはプロペプチドは、Bmp1遺伝子、TII1遺伝子、およびTII2遺伝子の産物であるメタロエンドプロテアーゼのプロコラーゲンCプロテイナーゼにより、Gly168〜Asp169間で切断される。BMP I(骨形成タンパク質I)は、該プロペプチドをプロセッシングして、機能的な30kDaの酵素と18kDaのプロペプチドとをもたらすプロコラーゲンCプロテイナーゼである。プロペプチドをコードする配列の保存が中程度(60〜70%)であるのに対して、活性部位が位置するプロ酵素の30kDaのC末端領域をコードする配列の保存は高度(約95%)である(KaganおよびLi.、J.Cell.Biochem.、第88巻、660〜672頁(2003年);Kaganら、J.Cell Biochem.、第59巻、329〜38頁(1995年))。N−グリコシルユニットもまた、これに続いて除去される。LOXは、プロセッシングされていない形態および/またはプロセッシングされた(成熟)形態で存在する。LOXの成熟形態は活性であることが典型的であるが、一部の実施形態では、プロセッシングされていないLOXもまた活性である。
LOXL酵素またはタンパク質の具体例は、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれるMolnarら、Biochim Biophys Acta、第1647巻、220〜24頁(2003年);Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年);および2001年11月8日に公開されたWO01/83702において説明されている(これら3つの刊行物が「LOXL1」を「LOXL」と称したのに対し、本発明では、「LOXL」が、LOXL1だけでなく、リシル・オキシダーゼ様タンパク質一般を指すのに用いられることに注意されたい)。これらの酵素は、GenBank/EMBLBC015090、AAH15090.1で寄託されるmRNAによりコードされるLOXL1;GenBank/EMBL U89942で寄託されるmRNAによりコードされるLOXL2;GenBank/EMBLAF282619、AAK51671.1で寄託されるmRNAによりコードされるLOXL3;およびGenBank/EMBL AF338441、AAK71934.1で寄託されるmRNAによりコードされるLOXL4を含む。

0028

LOXについて上記で説明されたシグナル・ペプチドと同様の潜在的なシグナル・ペプチドが、LOXL、LOXL2、LOXL3、およびLOXL4のアミノ末端において予測されている。予測されるシグナル切断部位は、LOXLの場合がGly25〜Gln26間であり、LOXL2の場合がAla25〜Gln26間であり、LOXL3の場合がGly25〜Ser26間である。プロコラーゲンおよびプロLOXにおけるBMP−1切断のコンセンサス部位はAla/Gly〜Asp間であり、酸性残基または荷電残基後続することが多い。活性LOXLを生成する潜在的な切断部位はGly303〜Asp304間であるが、次いで、これには異種のProが後続する。LOXL3はまた、Gly447〜Asp448間においても潜在的な切断部位を有し、これにはAspが後続し、この部位におけるプロセッシングにより、活性LOXと同様のサイズの活性ペプチドがもたらされることがある。BMP−1の潜在的な切断部位はまた、LOXL4内でも、残基Ala569〜Asp570間において同定された(Kimら、J.Biol.Chem.、第278巻、52071〜52074頁(2003年))。LOXL2もまた、LOXLファミリーの他のメンバーと類似の形でタンパク質分解的に切断され分泌されることがある(Akiriら、Cancer Res.、第63巻、1657〜1666頁(2003年))。
LOXおよびLOXL酵素は、ミカエリス−メンテン反応速度論により説明されうるピンポン機構を介して作用する(図1を参照されたい)。
LOXまたはLOXLタンパク質の例は、以下の配列:EMBL/GenBank受託番号:M94054;AAA59525.1−mRNA;S45875;AAB23549.1−mRNA;S78694;AAB21243.1−mRNA;AF039291;AAD02130.1−mRNA;BC074820;AAH74820.l−mRNA;BC074872;AAH74872.1−mRNA;M84150;AAA59541.1−ゲノムDNAの1つから発現または翻訳されたポリペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有する酵素を含む。

0029

「LOX」および「LOXL」という用語はまた、リシル残基の脱アミノ反応を触媒する酵素活性を実質的に保持する機能的なフラグメントまたは誘導体包含する。機能的なフラグメントまたは誘導体は、そのリシル・オキシダーゼ活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%を保持することが典型的である。LOXまたはLOXL2タンパク質が、その活性を実質的に変化させない保存的なアミノ酸置換を含みうることもまた意図される。アミノ酸の適切な保存的置換は当業者に知られており、一般に、結果として得られる分子の生物学的活性を変化させることなく作製することができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの必須でない領域における単一のアミノ酸置換は、生物学的活性を実質的に変化させないことを認識する。例えば、Watsonら、「Molecular Biology of the Gene」、第4版、1987年、The Benjamin/Cummings社、224頁を参照されたい。保存的および非保存的なアミノ酸置換は、上記で説明されている。
LOXおよびLOXLタンパク質の間で共通することが知られない特徴は、スカベンジャー受容体のシステインに富む(SRCR)ドメインである。LOXおよびLOXLがSRCRドメインを欠くのに対し、LOXL2、LOXL3、およびLOXL4は各々、N末端において4つのSRCRドメインを有する。SRCRドメインは、分泌タンパク質膜貫通タンパク質、または細胞外マトリックス・タンパク質において見出される。SRCRドメインはまた、多数の分泌タンパク質および受容体タンパク質におけるリガンド結合を媒介することも知られている(Hohenesteら、Nat.Struct.Biol.、第6巻、228〜232頁(1999年);Sasakiら、EMBO J、第17巻、1606〜1613頁(1998年))。LOXLに固有の別のドメインは、プロリンに富むドメインの存在である(Molnarら、Biochimica Biophysica Acta、第1647巻、220〜224頁(2003年))。

0030

組織分布もまた、LOXおよび各種LOXLの間では異なりうる。LOXは、心臓、胎盤、精巣、肺、腎臓、および子宮において高度に発現するが、脳および肝臓では限定的に発現するにすぎない。LOXL1は、胎盤、腎臓、筋肉、心臓、肺、および膵臓において発現するが、LOXと同様、脳および肝臓における発現ははるかに低度である(Kimら、J.Biol.Chem.、第270巻、7176〜7182頁(1995年))。LOX2は、子宮、胎盤、および他の臓器において高度に発現するが、LOXおよびLOXLと同様、脳および肝臓における発現は低度である(Jourdan−Le Sauxら、J.Biol.Chem.、第274巻、12939〜12944頁(1999年))。LOXL3が、精巣、脾臓、および前立腺において高度に発現し、胎盤においては中程度に発現し、肝臓においては発現しないのに対し、LOXL4は、肝臓において高度に発現する(Huangら、Matrix Biol.、第20巻、153〜157頁(2001年);MakiおよびKivirikko、Biochem J.、第355巻、381〜387頁(2001年);Jourdan Le−Sauxら、Genomics、第74巻、211〜218頁(2001年);Asuncionら、Matrix Biol.、第20巻、487〜491頁(2001年))。
疾患におけるLOXおよび異なるLOXLタンパク質の発現または関与もまた異なりうる。これは、タンパク質間における組織分布、プロセッシング、ドメイン、活性の調節の違いの他、他の違いなど、多数の理由による場合がある。例えば、LOXおよびLOXLは、両者共に線維性領域周囲の筋線維芽細胞において高度に発現するので、線維性疾患に関与する(Kagen、Pathol.Res.Pract.、第190巻、910〜919頁(1994年);Murawakiら、Hepatology、第14巻、1167〜1173頁(1991年);Siegelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第75巻、2945〜2949頁(1978年);Jourdan Le−Sauxら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、第199巻、587〜592頁(1994年);Kimら、J.Cell Biochem.、第72巻、181〜188頁(1999年))。LOXおよび各種のLOXLはまた、多数の癌にも関与する。例えば、LOXLおよびLOXL4は、エピジェネティックにサイレンシングされることが示されており、ヒト膀胱癌において、ras/細胞外シグナル調節キナーゼによるシグナル伝達経路を阻害しうる(Wuら、Cancer Res.、第67巻、4123〜4129頁(2007年))。他の研究者は、頭頚部扁平上皮細胞癌におけるLOXL4遺伝子の選択的な上方調節および増幅を示している(Goroughら、J.Pathol.、第212巻、74〜82頁(2007年))。LOXおよびLOXL2はまた、結腸癌および食道癌など、多数の腫瘍にも関与している(Csiszar、Prog.Nucl.Acid Res.、第70巻、1〜32頁(2001年))。乳癌では、LOXおよびLOXLのファミリー・メンバーが癌に連関している(Kirschmannら、Cancer Res.、第62巻、448〜4483頁(2002年))。

0031

III.上皮間葉移行
上皮間葉移行(EMT)とは、上皮細胞の遺伝子発現/表現型特性(すなわち、特定のタンパク質、因子、および分子を発現する)を有する細胞が、遺伝子またはその発現レベルを変化させ(changeまたはalter)、その結果、発現される遺伝子の変化(alterationまたはchange)により示される細胞の表現型の変化がもたらされる過程を指す。
上皮細胞および間葉細胞は、異なる系列を代表し、各々が、各細胞型に特異的な属性を付与する、固有の遺伝子発現プロファイルを有する。上皮細胞の間葉細胞への転換には、形態、細胞の構造、接着、および/または移動能の変化が必要とされる。進行性腫瘍細胞は、上皮マーカーの顕著な下方調節および細胞内結節の喪失を示す結果、上皮極性の喪失および細胞間接着の低下をもたらすことが多い。上皮特徴の喪失は、細胞運動性の増大および間葉遺伝子の発現を伴うことが多い。EMTは、接触阻害の喪失、増殖制御の変化、および/または侵襲性の増強を含みうる(ChristiansenおよびRajasekaran、Cancer Res.、第66巻、第17号、8319〜8326頁(2006年);ならびにThieryら、Curr.Opin.Cell.Biol.、第15巻、740〜6頁(2003年))。EMTを示す分子的および形態的な特徴は、低度の組織学的分化、組織完全性の破壊、および転移と相関する。EMTは、上皮細胞が、細胞間結合によりそれらに対して賦与される物理的な制約を打破し、運動性の表現型を帯びる機構をもたらす(Burdsalら、Development、第118巻、829〜44頁(1993年);およびNietoら、Mech.Dev.、第105巻、27〜35頁(2001年))。

0032

EMTに対して一般的に用いられる分子マーカーは、N−カドヘリンおよびビメンチン発現上昇、β−カテニンの核内局在化、およびE−カドヘリン生成を阻害するSnail1(Snail)、Snai12(Slug)、Twist、EF1/ZEB1、SIP1/ZEB2、および/またはE47などの転写因子の生成増大を含む。EMTに対する表現型マーカーは、遊走能および三次元的な浸潤能の増大の他、アポトーシスに対する耐性を含むがこれらに限定されない。これらのマーカーは、EMTの誘導および癌性表現型との関連とさらに相関している。
腫瘍の進行時におけるEMTの発生は、腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤し、最終的には遠隔の部位に転移する能力を獲得することを可能とする。腫瘍細胞内における遺伝子発現の変化は、上皮または上皮様遺伝子発現パターンから間葉または間葉様の遺伝子発現パターンへの進行を示しうる。例として述べると、E−カドヘリンの喪失の同定は、転移性悪性上皮腫瘍の他、EGFR阻害剤およびIGF−R1阻害剤などの癌治療に対する耐性とも相関する。多くの異なる種類の癌の解析により、循環する腫瘍細胞、または微小転移として見出される腫瘍細胞が、一連のマーカーにおける発現の変化に基づき、間葉への転換を裏付けていることが明らかになっている。これらのマーカーは、EGFR、E−カドヘリン、ErbB3、RAB25、インテグリンベータ6、カドヘリン−2、線維芽細胞増殖因子結合タンパク質1、遠位欠失ホメオボックス1、ZEB1(転写因子8)、SIP1、およびビメンチンを含むがこれらに限定されない。
例として述べると、上皮様の遺伝子発現プロファイルは、E−カドヘリン、ErbB3、またはEGFRなどの遺伝子の発現または発現上昇を含む。上皮様の遺伝子発現プロファイルは、これらの遺伝子の1つまたは複数、これらの遺伝子の少なくとも2つ、または少なくとも3つの発現を含みうる。

0033

前出で説明された治療耐性癌と同様、E−カドヘリン、ErbB3、RAB25、インテグリン・ベータ6、カドヘリン−2、線維芽細胞増殖因子結合タンパク質1、遠位欠失ホメオ・ボックス1、ZEB1(転写因子8)、SIP1、TGF−β、FOXC2、GSK−3β、Smad−3、Pez、Snail1、Snai12、およびILK、ならびにビメンチンの発現レベルは、EMTの特性に共通する遺伝子の他、それら各々の治療に対する耐性を発現する、上皮に基づく腫瘍細胞/癌と共通する遺伝子も代表する。本発明はまた、一般に、癌および特に、EMTを経た癌を有する患者を治療する方法にも関する。本発明者らは、EMTを経たか、または上皮様の遺伝子発現パターンから間葉様の遺伝子発現パターンへと切り替わった癌が、LOX/LOXL阻害剤に応答することを発見した。
腫瘍細胞の上皮または間葉のバイオマーカー発現を評価する場合、腫瘍細胞、またはこれらの腫瘍細胞により生成されるタンパク質もしくは核酸を含有する患者試料を、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20070065858号において説明される方法で用いることができる。略述すると、腫瘍細胞試料、例えば、患者から得られる腫瘍生検、または腫瘍に由来する物質を含有する他の患者試料(例えば、血液、血清、尿、または本明細書の上記で説明した他の体液もしくは分泌物)中におけるマーカーの量(例えば、絶対量または濃度)を評価することにより、バイオマーカーの発現レベルを評価することができる。当然ながら、試料中におけるマーカー量を評価する前に、細胞試料を、各種のよく知られた採取後の調製法および保管法(例えば、核酸および/またはタンパク質の抽出、固定、保管、凍結限外濾過濃縮蒸留遠心分離など)にかけることができる。同様に、腫瘍生検もまた、採取後の調製法および保管法、例えば、固定にかけることができる。
それを発現する腫瘍細胞の表面上に提示される少なくとも1種のタンパク質を有するバイオマーカー・タンパク質の発現を検出することができる。マーカー・タンパク質またはその一部が細胞表面上に露出されているかどうかを判定するのは、当業者にとって簡単なことである。例えば、免疫学的方法を用いて、全細胞上におけるこのようなタンパク質を検出することもでき、よく知られたコンピュータ・ベース配列解析法を用いて、少なくとも1つの細胞外ドメイン(すなわち、分泌タンパク質および少なくとも1つの細胞表面ドメインを有するタンパク質を含む)の存在を予測することもできる。それを発現する細胞の表面上に提示される少なくとも1つの部分を有するマーカー・タンパク質の発現は、必ずしも腫瘍細胞を溶解させることなく検出することができる(例えば、タンパク質の細胞表面ドメインと特異的に結合する標識抗体を用いる)。

0034

バイオマーカーの発現は、転写された核酸またはタンパク質の発現を検出する、多種多様な既知の方法のいずれかにより評価することができる。このような方法の非限定的な例は、例えば、分泌タンパク質、細胞表面タンパク質細胞質タンパク質、または核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質の機能アッセイまたは活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法、および核酸増幅法を含む。
バイオマーカーの発現は、抗体(例えば、放射性標識抗体、発色団標識抗体、フルオロフォア標識抗体、または酵素標識抗体)、抗体誘導体(例えば、基質またはタンパク質−リガンド対(例えば、ビオチンストレプトアビジン)のタンパク質もしくはリガンドとコンジュゲートさせた抗体)、または腫瘍細胞においてはそれを受けることが通常である翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化メチル化など)の全部もしくは一部を受けたバイオマーカー・タンパク質を含む、バイオマーカー・タンパク質もしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体フラグメント(例えば、一本鎖抗体、単離抗体超可変ドメインなど)を用いて評価することができる。
バイオマーカーの発現はまた、患者試料中における細胞に由来するmRNA/cDNA(すなわち、転写されたポリヌクレオチド)を調製し、該mRNA/cDNAを、バイオマーカー核酸の相補体またはそのフラグメントである基準ポリヌクレオチドハイブリダイズさせることによっても評価することができる。cDNAは、場合によって、基準ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの前に、各種のポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかを用いて増幅することもできる。1種または複数種のバイオマーカーの発現はまた、定量的PCRを用いて、(1種または複数種の)バイオマーカーの発現レベルを評価することで検出することもできる。あるいは、バイオマーカーの変異または変異体(例えば、一塩基多型、欠失など)を検出する多くの既知の方法のいずれかを用いて、患者におけるバイオマーカーの発現を検出することができる。

0035

試料から得られる転写されたポリヌクレオチドの混合物は、バイオマーカー核酸の少なくとも一部(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500、またはそれ以上のヌクレオチド残基)に対して相補的であるかまたはこれと相同的なポリヌクレオチドをそこへ固定させた基質と接触させることができる。相補的であるかまたは相同的なポリヌクレオチドが基質上において異なる形で検出される(例えば、異なる発色団もしくはフルオロフォアを用いて検出できるか、または選択された異なる位置に固定される)場合、単一の基質(例えば、選択された位置に固定されるポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を用いて、複数種のバイオマーカーの発現レベルを同時的に評価することができる。1つの核酸の別の核酸とのハイブリダイゼーションを伴う、バイオマーカー発現を評価する方法を用いる場合、ハイブリダイゼーションは、厳密なハイブリダイゼーション条件下で実施することができる。
本発明の方法において本発明の複数種のバイオマーカーを用いる場合、単一の反応混合物(すなわち、各バイオマーカーに対して、異なる蛍光プローブなどの試薬を用いる)または1種もしくは複数種のバイオマーカーに対応する個別の反応混合物において、患者試料中における各バイオマーカーの発現レベルを、同じ種類の非癌性試料中における複数種のバイオマーカー各々の正常な発現レベルと比較することができる。
正常な(すなわち、非癌性の)ヒト組織内におけるバイオマーカーの発現レベルは、各種の方法で評価することができる。この正常な発現レベルは、非癌性であると考えられる細胞部分におけるバイオマーカーの発現レベルを評価し、次いで、該正常な発現レベルを腫瘍細胞部分における発現レベルと比較することにより評価することができる。本明細書に記載の方法の日常的な実施の結果として得られるさらなる情報として、バイオマーカーの正常な発現の集団平均値を用いることができる。あるいは、バイオマーカーの正常な発現レベルは、癌に罹患しない患者から採取した患者試料中におけるバイオマーカーの発現、患者における癌の推定される発症以前に該患者から採取した患者試料に由来するバイオマーカーの発現、保管された患者試料に由来するバイオマーカーの発現等を評価することにより決定することができる。

0036

生物学的試料中におけるバイオマーカー・タンパク質または核酸の存在または不在を検出する例示的な方法は、被験対象から生物学的試料(例えば、腫瘍に関連する体液)を採取するステップと、該生物学的試料を、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA、またはcDNA)を検出可能な化合物または作用物質と接触させるステップとを含む。こうして、検出法を用いて、例えば、in vitroにおける生物学的試料の他、in vivoにおいても、mRNA、タンパク質、cDNA、またはゲノムDNAを検出することができる。mRNAの検出のためのin vitroにおける技法は、例えば、ノーザン・ハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションを含む。バイオマーカー・タンパク質の検出のためのin vitroにおける技法は、酵素免疫測定法ELISA)、ウェスタンブロット免疫沈降法、および免疫蛍光法を含むがこれらに限定されない。ゲノムDNAの検出のためのin vitroにおける技法は、例えば、サザン・ハイブリダイゼーションを含む。mRNAの検出のためのin vivoにおける技法は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ノーザン・ハイブリダイゼーション、およびin situハイブリダイゼーションを含む。さらに、バイオマーカー・タンパク質の検出のためのin vivoにおける技法は、該タンパク質またはそのフラグメントに対する標識抗体を対象内に導入するステップを含む。例えば、対象内におけるその存在および位置が標準的な造影法により検出されうる、放射性マーカーにより抗体を標識することができる。

0037

このような診断アッセイおよび予後診断アッセイの一般原理は、適切な条件下において、バイオマーカーとプローブとが相互作用および結合するのに十分な時間にわたり、バイオマーカーおよびプローブを含有しうる試料または反応混合物を調製するステップと、これにより、反応混合物中における取り出しおよび/または検出が可能な複合体を形成するステップとを含む。これらのアッセイは、各種の方法で実施することができる。
例えば、このようなアッセイを実施する1つの方法は、基質とも称する固相支持体上にバイオマーカーまたはプローブを固定するステップと、反応終了時において固相上に固定された標的バイオマーカー/プローブ複合体を検出するステップとを含む。このような方法の一実施形態では、バイオマーカーの存在および/または濃度についてアッセイされる対象に由来する試料を、担体または固相支持体上に固定することができる。別の実施形態では、逆の状況も可能であり、この場合、プローブを固相に固定し、対象に由来する試料をアッセイの非固定成分として反応させることもできる。
固相にアッセイ成分を固定するための複数の確立された方法が存在する。これらは、限定なしに述べると、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションにより固定化されるバイオマーカー分子またはプローブ分子を含む。このようなビオチン化されたアッセイ成分は、当技術分野で知られる技法(例えば、イリノイ州、ロックフォード、PierceChemicals社製、ビオチン化キット)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジンでコートした96ウェルプレート(Pierce Chemicals社製)のウェル内に固定化することができる。特定の実施形態において、固定化されたアッセイ成分を有する表面は、あらかじめ調製し保管することができる。このようなアッセイに適する他の担体または固相支持体は、バイオマーカーまたはプローブが帰属する分子クラスに結合可能な任意の材料を含む。よく知られた支持体または担体は、ガラスポリスチレンナイロンポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンデキストランアミラーゼ天然セルロースおよび改変セルロースポリアクリルアミドれい岩、マグネタイトを含むがこれらに限定されない。上述の手法によりアッセイを実施するために、第2の成分が固定される固相に非固定の成分を付加する。反応完了後、形成される任意の複合体が固相上に固定化されて残るような条件下において、複合しなかった成分を除去する(例えば、洗浄により)ことができる。固相に固定されたバイオマーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書で概括される多数の方法において達成することができる。一実施形態において、プローブは、それが非固定のアッセイ成分である場合、本明細書で論じられ、当業者によく知られる検出可能な標識で直接的または間接的に、アッセイの検出および読み取りの目的で標識することができる。

0038

例えば、蛍光エネルギー移動(すなわち、FET、例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号を参照されたい)法を用いることにより、いずれの成分(バイオマーカーまたはプローブ)をさらに操作または標識することもなしに、バイオマーカー/プローブ複合体の形成を直接に検出することもまた可能である。第1のドナー分子上におけるフルオロフォア標識は、適切な波長入射光により励起されると、その蛍光発光エネルギーが第2のアクセプター分子上における蛍光標識により吸収され、この標識が、吸収されたエネルギーにより蛍光発光できるように選択される。あるいは、ドナー・タンパク質分子は、単に、トリプトファン残基天然蛍光エネルギーを用いることもできる。アクセプター分子標識がドナーの標識から差別化されうるように、異なる波長の光を発する標識を選択する。標識間におけるエネルギー移動の効率は、分子を隔てる距離に関連するので、分子間の空間的な関係を評価することができる。分子間で結合が生じる状況において、アッセイにおけるアクセプター分子標識の蛍光発光が最大となるものとする。FETでの結合事象は、当技術分野でよく知られる標準的な蛍光測定検出手段により(例えば、蛍光光度計を用いて)簡便に測定することができる。
別の実施形態において、実時間の生体分子間相互作用解析(BIA)(例えば、Sjolander,S.およびUrbaniczky,C.、1991年、Anal.Chem.、第63巻、2338〜2345頁;ならびにSzaboら、1995年、Curr.Opin.Struct.Biol.、第5巻、699〜705頁を参照されたい)などの技法を用いることにより、いずれのアッセイ成分(バイオマーカーまたはプローブ)を標識することもなしに、プローブがバイオマーカーを認識する能力の決定を達成することができる。本明細書で用いられる「BIA」または「表面プラズモン共鳴」とは、いずれの相互作用体も標識することなしに、実時間で生体特異的な相互作用を調べるための技法(例えば、BIAcore法)である。結合表面における質量の変化(結合事象を示す)の結果、表面近傍における光の屈折率の変化(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)が生じ、生体分子間における実時間反応の指標として用いうる検出可能なシグナルが結果としてもたらされる。

0039

あるいは、別の実施形態では、液相中における溶質としてのバイオマーカーおよびプローブにより、類似の診断アッセイおよび予後診断アッセイを実施することもできる。このようなアッセイでは、分画遠心法クロマトグラフィー電気泳動、および免疫沈降法を含むがこれらに限定されない多くの標準的な技法のいずれかにより、複合体化しない成分から複合体化したバイオマーカーおよびプローブを分離する。分画遠心法では、異なるサイズおよび密度に基づく、複合体の異なる沈降平衡による一連の遠心分離ステップを介して、複合しなかったアッセイ成分からバイオマーカー/プローブ複合体を分離することができる(例えば、Rivas,G.およびMinton,A.P.、1993年、TrendsBiochem Sci.、第18巻、第8号、284〜7頁を参照されたい)。標準的なクロマトグラフィー法もまた、複合しなかった分子から複合分子を分離するのに用いることができる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーでは、サイズに基づき、また、カラムフォーマット内における適切なゲル濾過樹脂の使用により分子が分離され、例えば、比較的低分子の複合しなかった成分から比較的高分子の複合体を、分離することができる。同様に、複合しなかった成分と比較して比較的異なるバイオマーカー/プローブ複合体の電荷特性を利用して、例えば、イオン交換クロマトグラフィー樹脂の使用により、複合しなかった成分から複合体を差別化することができる。このような樹脂およびクロマトグラフィー法は、当業者によく知られている(例えば、Heegaard,N.H.、1998年冬季、J.Mol.Recognit、第11巻、第1−6号、141〜8頁;Hage,D.S.およびTweed,S.A.、J.Chromatogr B Biomed Sci Appl、1997年10月10日、第699巻、第1−2号、499〜525頁を参照されたい)。ゲル電気泳動もまた、結合しなかった成分から複合したアッセイ成分を分離するのに用いることができる(例えば、Ausubelら編、「Current Protocols in Molecular Biology」、ニューヨーク、John Wiley & Sons社、1987〜1999年を参照されたい)。この技法では、例えば、サイズまたは電荷に基づいて、タンパク質または核酸の複合体を分離する。電気泳動過程における結合相互作用を維持するためには、還元剤の不在下において、非変性ゲルマトリックス材料および条件を用いるのが典型的である。特定のアッセイおよびその成分に適する条件は、当業者によく知られているであろう。

0040

別の実施形態では、当技術分野で知られる方法を用いる生物学的試料中におけるin situフォーマットおよびin vitroフォーマットの両方により、バイオマーカーのmRNAレベルを決定することができる。「生物学的試料」という用語は、対象から単離される組織、細胞、体液、およびこれらの単離物の他、対象内に存在する組織、細胞、および体液を含むことが意図される。多くの発現検出法では、単離RNAを用いる。in vitroにおける方法の場合、mRNAの単離に対しては最適でない任意のRNA単離法を腫瘍細胞からのRNAの精製に用いることができる(例えば、Ausubelら編、「Current Protocols in Molecular Biology」、ニューヨーク、John Wiley & Sons社、1987〜1999年を参照されたい)。加えて、例えば、Chomczynski(1989年、米国特許第4,843,155号)の単一ステップによるRNA単離工程など、当業者によく知られる技法を用いて、多数種の組織試料を容易に処理することができる。
単離mRNAは、サザン解析またはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析、およびプローブ・アレイを含むがこれらに限定されないハイブリダイゼーション・アッセイまたは増殖アッセイで用いることができる。mRNAレベルの検出のための1つの診断法は、単離mRNAを、検出される遺伝子によりコードされる該mRNAにハイブリダイズしうる核酸(プローブ)と接触させるステップを含む。核酸プローブは、例えば、長さが少なくとも7、15、30、50、100、250、または500ヌクレオチドで、厳密な条件下において本発明のバイオマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドなど、全長cDNAまたはその一部でありうる。本明細書では、本発明の診断アッセイにおける使用に適する他のプローブが説明される。mRNAのプローブとのハイブリダイゼーションは、問題のバイオマーカーが発現しつつあることを示す。

0041

1つのフォーマットでは、例えば、単離mRNAをアガロースゲル上で移動させ、該mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜へと転写することによりmRNAを固体表面上に固定化し、プローブと接触させる。代替的なフォーマットでは、(1種または複数種の)プローブを固体表面上に固定化し、例えば、Affymetrix遺伝子チップ・アレイにおいて、mRNAを(1種または複数種の)プローブと接触させる。当業者は、本発明のバイオマーカーによりコードされるmRNAのレベルを検出するのに用いる、既知のmRNA検出法を容易に適用することができる。
試料中におけるmRNAバイオマーカーレベルを決定する代替的な方法は、例えば、RT−PCR(Mullis、1987年、米国特許第4,683,202号において記載される実験実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第88巻、189〜193頁)、自家持続配列複製(Guatelliら、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87巻、1874〜1878頁)、転写増幅システム(Kwohら、1989年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86巻、1173〜1177頁)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardiら、1988年、Bio/Technology、第6巻、1197頁)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)、または他の任意の核酸増幅法による核酸増幅の工程を伴い、その後、当業者によく知られる技法を用いて、増幅された分子の検出を行う。これらの検出スキームは、このような分子が極めて少数で存在する場合の核酸分子の検出に特に有用である。本明細書で用いられる増幅プライマーは、遺伝子の5’側または3’側の領域にアニールしうる核酸分子の対(それぞれ、正方向鎖および負方向鎖、またはその逆)であるものとして定義され、中間に短い領域を含む。一般に、増幅プライマーは、約10〜30ヌクレオチド長であり、約50〜200ヌクレオチド長の領域を挟む。適切な条件下において、適切な試薬により、このようなプライマーは、該プライマーにより挟まれるヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能とする。
in situにおける方法の場合、mRNAは、検出前に腫瘍細胞から単離する必要がない。このような方法では、既知の組織学的方法を用いて、細胞試料または組織試料を調製および/または処理する。次いで、該試料を支持体、典型的にはスライドガラス上に固定化し、次いで、バイオマーカーをコードするmRNAにハイブリダイズしうるプローブと接触させる。

0042

バイオマーカーの絶対発現レベルに基づき決定を行うことへの代替法として、バイオマーカーの標準化された発現レベルに基づく決定も可能である。その発現を、バイオマーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することでバイオマーカーの絶対発現レベルを補正することにより、発現レベルを標準化することができる。標準化に適する遺伝子は、アクチン遺伝子または上皮細胞に特異的な遺伝子などのハウス・キーピング遺伝子を含む。この標準化により、1つの試料、例えば、患者試料中における発現レベルを別の試料、例えば、非腫瘍試料と比較するか、または異なる供給源に由来する試料間における発現レベルを比較することが可能となる。
あるいは、発現レベルは、相対発現レベルとしても提供することができる。バイオマーカー(例えば、間葉バイオマーカー)の相対発現レベルを決定するには、問題の試料に対する発現レベルの決定前に、10種以上、20種以上、30種以上、40種以上、または50種以上の癌細胞単離物試料に対する同正常細胞単離物試料について、バイオマーカーの発現レベルを決定する。より多数種の試料においてアッセイされる各遺伝子の平均発現レベルを決定し、これをバイオマーカーのベースラインの発現レベルとして用いる。次いで、被験試料について決定されたバイオマーカーの発現レベル(発現の絶対レベル)を、そのバイオマーカーについて得られた平均発現値により除する。これにより、相対発現レベルが得られる。
本発明の別の実施形態では、バイオマーカー・タンパク質を検出する。本発明のバイオマーカー・タンパク質を検出するための試薬の1つの種類は、例えば、検出可能な標識抗体など、このようなタンパク質またはそのフラグメントに結合可能な抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体の場合もあり、モノクローナル抗体の場合もある。完全抗体を用いることもでき、その抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、一本鎖結合ポリペプチド)を用いることもできる。プローブまたは抗体に関する「標識された」という用語は、プローブまたは抗体に対して検出可能な物質を結合させる(すなわち物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接的な標識化の他、直接に標識された別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識化も包含することを意図する。間接的な標識化の例は、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、およびビオチンによりDNAプローブを末端標識化することで、蛍光標識されたストレプトアビジンによりそれを検出できるようにすることを含む。
腫瘍細胞に由来するタンパク質は、当業者によく知られる技法を用いて単離することができる。用いられるタンパク質単離法は、例えば、HarlowおよびLane(HarlowおよびLane、1988年、「Antibodies:A Laboratory Manual」、ニューヨーク州、コールドスプリングハーバー、Cold Spring Harbor Laboratory Press社)において説明される方法などでありうる。

0043

各種のフォーマットを用いて、試料が所与の抗体に結合するタンパク質を含有するかどうかを決定することができる。このようなフォーマットの例は、酵素イムノアッセイEIA)、ラジオイムノアッセイRIA)、ウェスタン・ブロット解析、および酵素免疫測定法(ELISA)を含むがこれらに限定されない。当業者は、腫瘍細胞が本発明のバイオマーカーを発現するかどうかを判定するのに用いる既知のタンパク質/抗体検出法を容易に適用することができる。
1つのフォーマットでは、抗体、抗体フラグメント、または抗体誘導体を、ウェスタン・ブロット法または免疫蛍光法などの方法において用いて、発現タンパク質を検出することができる。このような使用では、抗体またはタンパク質を、固体支持体上に固定化することができる。適切な固相支持体または担体は、抗原または抗体に結合可能な任意の支持体を含む。よく知られた支持体または担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースおよび改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、マグネタイトを含む。当業者は、抗体または抗原に結合する他の多くの適切な担体を知り、本発明による使用にこのような支持体を適用することができるであろう。例えば、腫瘍細胞から単離されたタンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動泳動し、ニトロセルロースなどの固相支持体上に固定化することができる。次いで、該支持体を適切な緩衝液により洗浄した後、検出可能な標識抗体により処理することができる。次いで、緩衝液により固相支持体を再び洗浄し、結合しなかった抗体を除去する。次いで、従来の手段により、固体支持体上における結合した標識の量を検出することができる。
ELISAアッセイの場合、特異的な結合対は、免疫型である場合もあり、非免疫型である場合もある。免疫特異的結合対は、抗原−抗体系またはハプテン/抗ハプテン系により例示される。フルオレセイン/抗フルオレセイン系、ジニトロフェニル/抗ジニトロフェニル系、ビオチン/抗ビオチン系、ペプチド/抗ペプチド系などを挙げることができる。特異的な結合対の抗体メンバーは、当業者に知られる慣例的な方法により作製することができる。このような方法は、特異的な結合対の抗原メンバーにより動物免疫感作するステップを含む。特異的な結合対の抗原メンバーが免疫原性でない、例えば、ハプテンである場合、それを担体タンパク質に共有結合させて、それを免疫原性とすることができる。非免疫結合対は、2つの成分が互いに対する天然の親和性を有するが抗体ではない系を含む。例示的な非免疫対は、ビオチン−ストレプトアビジン、内因性因子ビタミンB12、葉酸−葉酸結合タンパク質などである。

0044

特異的な結合対メンバーで抗体を共有結合により標識する各種の方法が用いられる。特異的な結合対メンバーの性質、所望の結合の種類、および各種のコンジュゲーション化学反応に対する抗体の耐性に基づき、方法を選択することができる。市販の活性誘導体を用いることにより、抗体にビオチンを共有結合させることができる。これらの一部は、タンパク質上におけるアミン基に結合するビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミド;カルボジイミド結合を介して炭水化物部分、アルデヒド、およびカルボキシル基に結合するビオチンヒドラジド;ならびにスルフヒドリル基に結合するビオチンマレイミドおよびヨードアセチルビオチンである。フルオレセインは、イソチオシアン酸フルオレセインを用いて、タンパク質のアミン基に結合させることができる。ジニトロフェニル基は、2,4−ジニトロベンゼンスルフェートまたは2,4−ジニトロフルオロベンゼンを用いてタンパク質アミン基に結合させることができる。他の標準的なコンジュゲーション法を用いて、ジアルデヒド、カルボジイミド結合、ホモ官能性架橋形成、およびヘテロ二官能性架橋形成を含む特異的な結合対メンバーにモノクローナル抗体を結合させることができる。カルボジイミド結合は、1つの物質上におけるカルボキシル基を、別の物質上におけるアミン基に結合させる有効な方法である。市販の試薬である1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を用いることにより、カルボジイミド結合を促進することができる。
二官能性イミドエステルおよび二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含むホモ二官能性架橋形成剤が市販されており、1つの物質上におけるアミン基を別の物質上におけるアミン基に結合させるのに用いられる。ヘテロ二官能性架橋形成剤は、異なる官能基を保有する試薬である。最も一般的な市販のヘテロ二官能性架橋形成剤は、1つの官能基としてアミン反応性のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを有し、第2の官能基としてスルフヒドリル反応基を有する。最も一般的なスルフヒドリル反応基は、マレイミド、ピリジルジスルフィド、および活性ハロゲンである。官能基の1つは、照射すると各種の基と反応する、光反応性アリールニトレンでありうる。
検出可能な標識抗体または特異的な結合対の検出可能な標識メンバーは、放射性同位体、酵素、蛍光原性物質化学発光物質、または電気化学物質でありうるレポーターに結合させることにより調製する。2つの一般的に用いられる放射性同位体は、125Iおよび3Hである。標準的な放射性同位体による標識化手順は、125Iの場合がクロラミンT法、ラクトペルオキシダーゼ法、およびボルトンハンター法を含み、3Hの場合が還元的メチル化を含む。「検出可能な形で標識された」という用語は、標識の内因的な酵素活性によるか、またはそれ自体が容易に検出されうる別の成分の標識に結合することによって容易に検出されうる形で標識された分子を指す。

0045

本発明での使用に適する酵素は、西ワサビペルオキシダーゼアルカリホスファターゼβ−ガラクトシダーゼグルコース・オキシダーゼ、ホタルおよびウミシイタケを含むルシフェラーゼ、β−ラクタマーゼウレアーゼ緑色蛍光タンパク質(GFP)、およびリゾチームを含むがこれらに限定されない。酵素標識化は、抗体を特異的な結合対メンバーと結合させるための、上記で説明されたジアルデヒド、カルボジイミド結合、ホモ二官能性架橋形成剤、およびヘテロ二官能性架橋形成剤を用いることにより促進される。
選択される標識化法は、標識される酵素および材料上において結合可能な官能基、ならびにコンジュゲーション条件に対する両者の耐性に依存する。本発明で用いられる標識化法は、EngvallおよびPearlmann、Immunochemistry、第8巻、871頁(1971年);AvrameasおよびTemynck、Immunochemistry、第8巻、1175頁(1975年);Ishikawaら、J.Immunoassay、第4巻、第3号、209〜327頁(1983年)ならびにJablonski、Anal.Biochent、第148巻、199頁(1985年)により説明される方法を含む、現在用いられる任意の従来の方法の1つでありうるがこれに限定されない。
標識化は、スペーサーまたは他の特異的な結合対メンバーを用いるなどの間接的な方法により達成することができる。この例は、ストレプトアビジンおよびビオチン化酵素を逐次または同時に添加する、非標識ストレプトアビジンおよびビオチン化酵素によるビオチン化抗体の検出である。こうして、本発明により、レポーターにより直接的に、または第1の特異的な結合対メンバーにより間接的に、検出に用いられる抗体を検出可能な形で標識することができる。抗体が第1の特異的な結合対メンバーに結合される場合、抗体−第1の特異的な結合メンバー複合体を、上述の通りに標識または非標識の第2の結合対メンバーと反応させることにより検出を実施する。
さらに、非標識検出抗体は、該非標識抗体を、該非標識抗体に対して特異的な標識抗体と反応させることにより検出することができる。この場合、上記で用いられる「検出可能な形で標識された」とは、それにより非標識抗体に対して特異的な抗体が結合しうるエピトープを含有することを意味すると理解される。このような抗体は、上記で論じられた手法のいずれかを用いて直接的または間接的に標識することができる。例えば、抗体は、上記で論じられたストレプトアビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ系と反応させることにより検出されるビオチンに結合させることができる。こうして、一実施形態では、ビオチンが用いられる。ビオチン化抗体は、次に、ストレプトアビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ複合体と反応させる。発色検出には、オルトフェニレンジアミン、4−クロロ−ナフトールテトラメチルベンジジン(TMB)、ABTS、BTS、またはASAを用いることができる。
本発明を実施するための1つのイムノアッセイ・フォーマットでは、従来の技法を用いて捕捉試薬が支持体表面上に固定された、順方向サンドイッチ・アッセイが用いられる。アッセイにおいて用いられる適切な支持体は、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、例えば、アミン化もしくはカルボキシル化されたポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアミドポリビニルクロリドなどの合成ポリマー支持体、ガラスビーズ、アガロース、またはニトロセルロースを含む。

0046

IV.抗LOX抗体および抗LOXL2抗体
本明細書では、血管新生および関連疾患、線維症および関連疾患、腫瘍または転移を診断するのに用いうる抗体が提供される。本明細書では、血管新生および関連疾患を阻害する抗体、線維症および関連疾患を阻害する抗体、腫瘍または転移を治療する抗体が提供される。本明細書では、本出願全体で説明され、当技術分野で知られる治療レジメンおよび治療プロトコールなどの有効性をモニターするのに用いうる抗体が提供される。このような方法において有用な抗体および抗原結合フラグメントは、例えば、LOXまたはLOXL2に特異的に結合する抗体および抗原結合フラグメントである。
開示はまた、抗体またはその機能的フラグメントを生成する細胞株、該細胞株を作製する方法、および抗体またはその機能的フラグメントを作製する方法も説明する。
本明細書において、各種の文法形における「抗体」または「抗体分子」という用語は、免疫グロブリン分子および/または免疫グロブリン分子の免疫学的な活性部分、すなわち、抗体結合部位またはパラトープを含有する分子の集団を指す集合名詞として用いられる。こうして、「抗体」への言及はまた、抗体の任意の抗原結合フラグメントへの言及も含む。
本明細書で用いられる「免疫反応性の」とは、アミノ酸残基の配列(「結合部位」または「エピトープ」)に特異的な抗体またはそれらのフラグメントを指すが、他のペプチド/タンパク質に対して交差反応性であっても、それらがヒトへの使用のために調合されるレベルでは毒性でない。「エピトープ」とは、抗体またはその抗原結合フラグメントと結合相互作用を形成することが可能な抗原部分を指す。このような結合相互作用は、CDRの1つまたは複数のアミノ酸残基との分子間接触として発現されうる。抗原結合は、CDR3またはCDR3の対を伴いうる。エピトープは、線状のペプチド配列(すなわち、「連続的」)である場合もあり、非隣接的なアミノ酸配列(すなわち、「立体構造的」または「不連続的」)からなる場合もある。「優先的に結合する」という用語は、結合作用物質が、無関係のアミノ酸配列に結合するよりも大きな親和性で結合部位に結合することを意味する。
本明細書で用いられる「親和性」という用語は、2つの作用物質の可逆的結合平衡定数を指し、解離定数(Kd)として表される。親和性は、無関係のアミノ酸配列に対する抗体の親和性の少なくとも1倍以上、少なくとも2倍以上、少なくとも3倍以上、少なくとも4倍以上、少なくとも5倍以上、少なくとも6倍以上、少なくとも7倍以上、少なくとも8倍以上、少なくとも9倍以上、少なくとも10倍以上、少なくとも20倍以上、少なくとも30倍以上、少なくとも40倍以上、少なくとも50倍以上、少なくとも60倍以上、少なくとも70倍以上、少なくとも80倍以上、少なくとも90倍以上、少なくとも100倍以上、または少なくとも1000倍以上でありうる。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル(nM)〜約0.1nM、約100nM〜約1ピコモル(pM)、または約100nM〜約1フェムトモル(fM)以上でありうる。本明細書で用いられる「結合力」という用語は、希釈後における2種以上の作用物質複合体の解離に対する耐性を指す。本明細書において、「免疫反応性の」および「優先的に結合する」という用語は、抗体および/または抗原結合フラグメントについて互換的に用いられる。

0047

「抗体」という用語はまた、必要とされる特異性により特定の抗原またはアミノ酸配列に結合する能力を有する限りにおいて、天然分子の一部だけを含むように分子生物学的技法の使用により操作された分子も含む。このような代替的な抗体分子は、抗体分子の従来から知られた部分、一本鎖抗体、および一本鎖結合分子を含む。
「抗体結合部位」とは、抗原に特異的に結合する重鎖および軽鎖の可変領域および超可変領域を含む抗体分子の構造部分である。
本明細書で用いられる「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチド両方の可変領域内において見出される非隣接的な抗原結合部位を意味することを意図する。これらの具体的な領域は、そこでの定義が、互いと比較した場合のアミノ酸残基の重複またはサブセットを含む、Kabatら、J.Biol.Chem.、第252巻、6609〜6616頁(1977年);Kabatら、米国保健福祉省、「Sequences of proteins of immunological interest」(1991年);Chothiaら、J.Mol.Biol.、第196巻、901〜917頁(1987年);ならびにMacCallumら、J.Mol.Biol.、第262巻、732〜745頁(1996年)により説明されている。しかしながら、抗体もしくは移植抗体またはこれらの変異体のCDRを指すいずれの定義の適用も、本明細書で定義され用いられる用語の範囲内にあることを意図する。比較として、上記で引用された参考文献の各々により定義されるCDRを包含するアミノ酸残基を下記の表1に示す。

0048

抗体可変領域に関して本明細書で用いられる「フレームワーク」という用語は、抗体の可変領域内にあるCDR領域外のすべてのアミノ酸残基を意味することを意図する。可変領域のフレームワークは、一般に、約100〜120アミノ酸長の不連続的なアミノ酸配列であるが、CDR以外のアミノ酸だけを指すことを意図する。本明細書で用いられる「フレームワーク領域」という用語は、CDRにより分離されるフレームワークの各ドメインを意味することを意図する。
「LOX活性の阻害剤」または「LOXL2活性の阻害剤」は、遺伝子発現、翻訳後修飾、酵素的プロセッシングもしくは切断、LOX/LOXL2の調節物質に対する結合、LOX/LOXL2の酵素活性、または本明細書に記載の他の任意の活性を含むがこれらに限定されない、リシル・オキシダーゼ活性を直接的または間接的に阻害する、抗体またはその抗原結合フラグメントでありうる。

0049

本明細書で用いられる「抗体」という用語は、抗原エピトープに特異的に結合するのに必要な可変領域配列を含む、単離または組換えの結合作用物質を指す。したがって、抗体は、所望の生物学的活性、例えば、特異的な標的抗原への結合を示す抗体またはそのフラグメントの任意の形態である。こうして、該用語は、それらが所望の生物学的活性を示す限りにおいて最も広い意味で用いられ、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体ダイアボディ多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および一本鎖結合ポリペプチド、VH、VL、Fv、scFv、Fab、およびFab2などを含むがこれらに限定されない抗体フラグメントを具体的に包含する。したがって、「ヒト抗体」という用語は、可能な非ヒトCDR領域を除き、ヒト起源の配列を含有する抗体を指し、Ig分子の全構造が存在することは含意せず、該抗体がヒトにおける最小限の免疫原性を有することだけを含意する。
「結合」という用語は、例えば、共有結合的相互作用、静電的相互作用疎水的相互作用、ならびに塩架橋および水架橋などの相互作用を含むイオン的相互作用および/または水素結合的相互作用による2分子間の直接的な結合を指す。「特異的結合」という用語は、抗体またはその抗原結合フラグメントが、そのエピトープ以外の分子に対して著明な結合を示さない状況に適用される。一実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4℃、25℃、37℃、または42℃の温度で測定される、約100nM以下、約10nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.1nM未満、約0.01nM未満、約0.005nM未満の解離定数Kdにより、ヒトLOXまたはヒトLOXL2に特異的に結合する。
抗体の調製には、従来の方法を用いることができる。例えば、ペプチドまたは全長リシル・オキシダーゼ・タンパク質を用いることにより、標準的な方法を用いてポリクローナル抗血清またはモノクローナル抗体を作製することができる。哺乳類において抗体応答を引き起こすペプチドの免疫原性形態により、哺乳類(例えば、マウス、ハムスター、またはウサギ)を免疫感作することができる。ペプチドに対する免疫原性の増強を付与する技法は、担体へのコンジュゲーションまたは当技術分野でよく知られる他の技法を含む。例えば、タンパク質またはペプチドは、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫感作の進行は、血漿または血清中における抗体力価の検出によりモニタリングすることができる。抗原としての免疫原と共に標準的なELISAまたは他のイムノアッセイ手順を用いて、抗体レベルを評価することができる。免疫感作後には、抗血清を得ることができ、所望の場合、該血清からポリクローナル抗体を単離することができる。

0050

抗体は、細胞培養物ファージ、またはウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットヒツジイヌネコサルチンパンジー類人猿を含むがこれらに限定されない各種動物において作製することができる。したがって、本方法において有用な抗体は、哺乳類抗体であることが典型的である。ファージ法を用いて、初期抗体を単離するか、または特異性もしくは結合力特性が改変された変異体を作製することができる。このような技法は日常的であり、当技術分野でよく知られている。一実施形態において、抗体は、当技術分野で知られる組換え法により作製される。例えば、組換え抗体は、宿主細胞に、該抗体をコードするDNA配列を含むベクタートランスフェクトすることにより作製することができる。1種または複数種のベクターを用いて、宿主細胞内において少なくとも1つのVL領域および1つのVH領域を発現するDNA配列をトランスフェクトすることができる。組換えによる抗体の生成法および作製法についての例示的な説明は、Delves、「Antibody Production:Essential Techniques」(Wiley社、1997年);Shephardら、「Monoclonal Antibodies」(Oxford University Press社、2000年);およびGoding、「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice」(Academic Press社、1993年)を含む。
抗体はまた、Kenneyら(「Production of monoclonal antibodies using a secretion capture report web」、Biotechnology、第13巻、787〜790頁、1995年)に記載のプロトコールに従っても作製することができる。略述すると、アジュバント製剤中における抗原をマウスに皮下(s.c.)注射する。ペプチド抗原の場合、免疫感作前に、ペプチドをウシ血清アルブミンにコンジュゲートさせ、フロイントのアジュバント(FA)中で調合する。タンパク質抗原の場合、該タンパク質をアルヒドロゲルムラミルジペプチド(ALD/MDP)アジュバント中で調合する。マウスの脾臓およびリンパ節に由来する細胞を単離し、適切な細胞と融合させ、培養する。HAT選択細胞のハイブリドーマライブラリーを単離し、クローニングする。細胞を分類し、抗体の存在について血清および上清をスクリーニングする。
「抗体フラグメント」は、完全抗体の部分を含み、完全抗体の抗原結合領域または可変領域を含みうる。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、scFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体(Zapataら、Protein Eng.、第8巻、第10号、1057〜1062頁(1995年))、一本鎖抗体分子、一本鎖結合ポリペプチド、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む。抗体のパパイン消化では、各々が単一の抗原結合部位を有する、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合フラグメントと、呼称により容易に結晶化する能力が表される、残りの「Fc」フラグメントとがもたらされる。ペプシン処理では、2つの抗原結合部位を有し、抗原の架橋がさらに可能であるF(ab’)2フラグメントがもたらされる。

0051

「一本鎖結合ポリペプチド」とは、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および、場合によって免疫グロブリンFc領域を有するポリペプチドを指す。このような分子は、場合によって、免疫グロブリンFc領域の存在によりエフェクター機能を有する一本鎖可変フラグメントである。一本鎖結合ポリペプチドを調製する方法は、当技術分野で知られている(米国特許出願第2005/0238646号)。
「Fv」とは、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する抗体フラグメントを指す。この領域は、密接に非共有結合される1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面上において抗原結合部位を規定するのは、この立体構造においてである。6つのCDR総体で、抗原結合特異性が抗体に賦与される。しかし、全結合部位よりも低度の親和性においてではあるが、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)であっても、抗原を認識し結合する能力を有する。
「Fab」フラグメントは「Fv」を含有し、また、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における数個の残基の付加により、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’−SHが、定常ドメインの(1つまたは複数の)システイン残基が遊離チオール基を保有するFab’の本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体フラグメントは、元は、それらの間にヒンジのシステインを有するFab’フラグメント対として作製された。抗体フラグメント他の化学結合もまた知られている。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類の1つに割り当てることができる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じ、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgAIgDIgEIgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラスアイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類することができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメイン(Fc)は、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元立体構造はよく知られている。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(または「κ」)およびラムダ(または「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なる種類の1つに割り当てることができる。

0052

「一本鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、1本のポリペプチド鎖内に存在する抗体のVHドメインおよびVLドメインを含む。Fvポリペプチドは、必要な場合、sFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能とする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチド・リンカーをさらに含みうる。sFvの総説については、Pluckthun、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、第113巻、RosenburgおよびMoore編、ニューヨーク、Springer−Verlag社、269〜315頁(1994年)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小型の抗体フラグメントを指し、該フラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH−VL)内において軽鎖可変ドメイン(VL)に結合させた重鎖可変ドメイン(VH)を含有する。短すぎるために同じ鎖上における2つのドメイン間における対合が可能とならないリンカーを用いることにより、該ドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対合させられ、2つの抗原結合部位を創出する。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、6444〜6448頁(1993年)においてより詳細に説明されている。
抗体はまた、二重特異性抗体でもありうる。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である。本件の場合、結合特異性の1つは、例えば、LOXまたはLOXL2であり、他の1つは、例えば、細胞表面タンパク質または受容体もしくは受容体サブユニットなど、他の任意の抗原に対するものである。さらなる実施形態において、二重特異性抗体は、LOXおよびLOXL2に対して特異性である。

0053

二重特異性抗体を作製する方法は、当技術分野で知られている。従来、二重特異性抗体の組換えによる作製は、2本の重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく(MilsteinおよびCuello、Nature、第305巻、537〜539頁(1983年))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の無作為的な取り合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の潜在的な混合物をもたらすが、そのうちの1種だけが適正な二重特異性構造を有する。適正な分子の精製は通常、アフィニティー・クロマトグラフィー・ステップにより達成される。同様の手順は、1993年5月13日に公開されたWO93/08829;およびTrauneckerら、EMBO J.第10巻、3655〜3659頁(1991年)において開示されている。
当技術分野で知られる従来の方法を用いて、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を、免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合させることができる。該融合体は、一般に、少なくとも、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域の一部を含有する免疫グロブリンの重鎖定常ドメインとの融合体である。一実施形態では、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)が、該融合体の少なくとも1種において存在する。免疫グロブリン重鎖の融合体および、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別個発現ベクター内に挿入することができ、これを適切な宿主生物内に同時にトランスフェクトすることができる。二重特異性抗体を作製するさらなる詳細については、例えば、Sureshら、Methodsin Enzymology、第121巻、210頁(1986年)を参照されたい。

0054

WO96/27011で説明される別の手法により、抗体分子対の間におけるインターフェースを操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大化することができる。該インターフェースは、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含みうる。この方法では、第1の抗体分子のインターフェースに由来する1種または複数種の低分子のアミノ酸側鎖を、より高分子の側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)により置換する。高分子のアミノ酸側鎖をより低分子の側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)により置換することにより、第2の抗体分子のインターフェース上に(1種または複数種の)高分子側鎖と同一であるかまたは類似のサイズの代補的な「くぼみ」を作製する。これにより、ヘテロ二量体の収量を、ホモ二量体など、他の所望されない最終生成物を超えて増加させるための機構がもたらされる。
二重特異性抗体は、全長抗体としても、抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)としても調製することができる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を作製する技法は、文献において説明されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製することができる。Brennanら、Science、第229巻、81頁(1985年)は、完全抗体をタンパク質分解により切断し、F(ab’)2フラグメントを作製する手順について説明している。ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下でこれらのフラグメントを還元して隣接ジチオールを安定化させ、分子間のジスルフィド形成を阻止する。次いで、生成されたFab’フラグメントを、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に転換する。次いで、メルカプトエチルアミンを伴う還元により、Fab’−TNB誘導体の1つをFab’−チオールに再転換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成する。作製された二重特異性抗体は、酵素の選択的な固定化のための作用物質として用いることができる。
Fab’フラグメントを大腸菌(E.coli)から直接に回収し、化学的に結合させて二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら、J.Exp.Med.、第175巻、217〜225頁(1992年)は、完全ヒト化二重特異性抗体であるF(ab’)2分子の作製について説明している。各Fab’フラグメントを大腸菌から個別に分泌させ、in vitroにおける方向づけされた化学結合形成にかけて二重特異性抗体を形成した。このようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体および正常なヒトT細胞を過剰発現する細胞に結合する他、ヒト乳癌標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球溶解活性を誘発することが可能であった。

0055

組換え細胞培養物から直接に二重特異性抗体フラグメントを作製および単離するための各種の技法もまた説明されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシン・ジッパーを用いて作製されている(Kostelnyら、J.Immunol.第148巻、5号、1547〜1553頁(1992年))。遺伝子融合により、Fosタンパク質およびJunタンパク質に由来するロイシン・ジッパー・ペプチドを、2種の異なる抗体のFab’部分に連結した。抗体のホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、次いで、これを再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法はまた、抗体ホモ二量体の作製にも用いることができる。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、6444〜6448頁(1993年)により説明される「ダイアボディ」法は、二重特異性抗体フラグメントを作製する代替的な機構を提供している。該フラグメントは、短すぎるために同じ鎖上における2つのドメイン間における対合が可能とならないリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に結合させた重鎖可変ドメイン(VH)を含有する。したがって、1つのフラグメントのVHドメインおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLドメインおよびVHドメインと対合させられ、これにより、2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを作製する別の戦略もまた報告されている。Gruberら、J.Immunol.、第152巻、5368頁(1994年)を参照されたい。
2価を超える結合価を有する抗体が意図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tuftら、J.Immunol.、第147巻、60頁(1991年))。
例示的な二重特異性抗体は、本明細書における所与のLOXポリペプチドまたはLOXL2ポリペプチド上における2つの異なるエピトープに結合しうる。あるいは、特定の標的ポリペプチドを発現する細胞に対する細胞防御機構に焦点を絞るように、抗LOXまたは抗LOXL2のポリペプチド・アームを、T細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28、またはB7)など、白血球上における誘発分子、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)など、IgGのFc受容体(FcγR)に結合するアームと組み合わせることもできる。二重特異性抗体はまた、特定の標的ポリペプチドを発現する細胞に対する細胞傷害剤を局在化させるのにも用いることができる。これらの抗体は、標的結合アームと、EOTUBE、DPTA、DOTA、またはTETAなどの、細胞傷害剤または放射性核種キレート剤に結合するアームとを保有する。別の対象の二重特異性抗体は、標的ポリペプチドに結合し、組織因子(TF)にさらに結合する。

0056

抗LOX抗体または抗LOXL2抗体はまた、ヘテロコンジュゲート抗体でもありうる。ヘテロコンジュゲート抗体は、共有結合した2つの抗体からなる。このような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対する免疫系細胞の標的化(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の治療(WO91/00360およびWO92/200373)のために提起されている。抗体は、架橋形成剤を伴う化学反応を含む合成タンパク質化学反応における既知の方法を用いて、in vitroにおいて調製することができる。例えば、ジスルフィド交換反応を用いるか、またはチオエーテル結合を形成することによって、抗毒素構築することできる。この目的に適する試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート、ならびに、例えば、米国特許第4,676,980号で開示される試薬を含むがこれらに限定されない。
例えば、癌転移の治療または予防における抗体の有効性を増強するように、エフェクター機能に関して抗LOX抗体または抗LOXL2抗体を改変することが望ましい場合がある。例えば、Fc領域に(1つまたは複数の)システイン残基を挿入し、これにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能とすることができる。このようにして生成されるホモ二量体抗体は、内部化能を改善し、ならびに/または補体媒介性殺細胞作用および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を増大させることが可能である。Caronら、J.Exp Med.、第176巻、1191〜1195頁(1992年);およびShopes、J.Immunol.、第148巻、2918〜2922頁(1992年)を参照されたい。Wolffら、Cancer Research、第53巻、2560〜2565頁(1993年)で説明される通り、ヘテロ二官能性架橋形成剤を用いると、抗腫瘍活性が増強されたホモ二量体抗体もまた調製することができる。あるいは、二重のFc領域を有し、これにより、補体溶解およびADCC能が増強されうる抗体も加工することができる。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design、第3巻、219〜230頁(1989年)を参照されたい。

0057

「単離抗体」とは、同定され、その天然環境の成分から分離および/または回収された抗体である。その天然環境の夾雑物成分とは、抗体の診断的または治療的使用に干渉する物質であり、例えば、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質を含みうる。一実施形態において、抗体は、(1)ローリー法により決定される抗体重量で80%、85%、90%、95%、または99%を超えるまで、(2)スピニングカップ型整列装置の使用によりN末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、および/または(3)クーマシーブルーもしくは銀染色を用いる還元的または非還元的条件下におけるSDS−PAGEによる同質性まで精製される。「単離抗体」という用語は、該抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないために、組換え細胞内のin situにおける抗体をその範囲内に含む。一般に、抗体またはその抗原結合フラグメントの単離は、少なくとも1つの精製ステップを含む。
抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体でありうる。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、例えば、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、同免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(Fv、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖結合ポリペプチド、抗体のVH、VL、または他の抗原結合配列など)を含む。キメラ抗体は、重鎖および軽鎖の可変領域がヒト定常領域(Fc)と組み合わされる抗体を含む。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト動物種(ドナー抗体)のCDRに由来する残基により置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、移入されるCDR配列またはフレームワーク配列にも見出されない残基も含みうる。一般に、ヒト化抗体は、すべてであるかまたは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、すべてであるかまたは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である、少なくとも1つであり典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。

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