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図面 (7)

課題

天然アルブミン結合ドメイン、それをコードするポリヌクレオチド、並びにそれらのドメイン及びポリヌクレオチドの作製方法及び使用方法の提供。

解決手段

特定のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、単離された非天然アルブミン結合ドメイン。特定のアミノ酸配列において、1、2、3、4、5、又は6の残基における置換を有する配列を含み、前記1、2、3、4、5、又は6の残基における置換が、特定のアミノ酸位置Y21、Y22、L25、K30、T31、E33、G34、A37、L38、E41、I42、及びA45の1つ以上で生じる単離されたアルブミン結合ドメイン。

概要

背景

腎クリアランスを介した生物学的治療分子の急速な排除は、患者のための臨床的効性
の制限又はより頻繁な投与の一因となる。50,000ダルトンを超える分子量を有する
分子については腎臓濾過率が大幅に減少されるため、糸球体濾過による腎クリアランスに
は、ほとんどの場合、より小さい生物学的治療薬が伴う(Kontermann、Cur
r Opin Biotechnol 22:868〜76、2011)。いくつかの承
認された生物学的治療薬は活性部分を含み、それらは自ら濾過限界より低くなるため、迅
速にクリアされる。この制限を克服するために、腎臓濾過を減らすために治療薬分子の大
きさを有効に増し、結果として半減期を増加させるための数々の技術が導入されてきた。

治療薬のPEG化(PEG)は、タンパク質流体力学的半径を増大させ、糸球体濾過
を減少させる有効な方法である。1つ又は複数のPEG鎖は、最も一般的には、タンパク
質の表面上の遊離チオール基又はアミン基とのコンジュゲーションを介して、タンパク質
に結合することができる。アデノシンデアミナーゼL−アスパラギナーゼインター
ロンα−2b、G−CSFヒト成長ホルモンエリスロポエチンウリカーゼ、及び
抗TNFα抗体フラグメントのPEG化バージョンは全て、ヒトの治療のために承認され
ている(Kontermann、Curr Opin Biotechnol 22:8
68〜76,2011)。PEG化の制限としては、異種生成物生産、及び特定のタン
パク質に結合したPEG分子の数を制御することの難しさが挙げられる。PEG化により
治療薬タンパク質の生産のための追加的なコンジュゲーション工程及び精製工程が導入さ
れるので、結果的に収率下がり製品コストが上がる。PEG化はまた、PEG鎖が
臓において非分解性であるために、動物及び患者の尿細管空胞形成につながる場合があ
る(Gaberc−Porekarら、Curr Opin Drug Discov
Devel 11:242〜250、2008)。

治療用分子血清半減期を増加させるために、抗体のFc領域に治療薬を結合してFc
融合タンパク質を生成することを、用いることができる。免疫グロブリンは、それらの大
きなサイズ及びFcRnを介したリサイクルによって約数週間という長い半減期を示す場
合がある(Kuoら、J Clin Immunol 30:777〜789、2010
)。TNF受容体2、LFA−3、CTLA−4、IL−1R、及びTP模倣ペプチド
分子は全て、Fcの融合としてもたらされる承認された治療法である(Konterma
nn、Curr Opin Biotechnol 22:868〜76、2011)。
Fc融合タンパク質は、いくつかの理由から、全ての治療薬クラスのために理想的ではな
い。Fc領域のホモ二量体型の性質は、二量体型治療薬タンパク質の産生をもたらし、受
容体クラスター化による細胞活性化をもたらす可能性がある。また、Fc融合は、哺乳
発現系で行う必要もあり、これは原核生物系より費用がかかる場合がある。

Fcの他では、アルブミンが、FcRnのリサイクルに起因する長い半減期をインビボ
で示す。約40g/Lの濃度で、ヒト血清アルブミンHSA)は、血液中に見られる最
豊富なタンパク質である。FcRnのリサイクルは、ヒトで約19日間の長い半減期を
もたらす。加えて、生体内分布の研究は、炎症関節又は腫瘍などの疾患を標的化するため
体内の重要な区域にアルブミンを分配し得ることを示唆している(Wunderら、J
Immunol 170:4793〜4801、2003)。したがって、多くのタン
パク質の血清半減期の増加は、HSAへのC末端又はN末端融合のいずれかとしてそれら
を生産することによって行われてきた。融合物成功例としては、インターフェロンα
Flisiak and Flisiak、Expert Opin Biol The
r 10:1509〜1515、2010)、ヒト成長ホルモン(Osbornら、Eu
r J Pharmacol 456:149〜158、2002)、腫瘍壊死因子(M
ullerら、Biochem Biophys Res Commun 396:79
3〜799、2010)、凝固因子IX(Metznerら、Thromb Haemo
st 102:634〜644、2009)、凝固因子VIIa(Schulte、Th
romb Res 122 Suppl 4:S14〜19、2008)、インスリン
Duttaroyら、Diabetes 54:251〜258、2005)、ウロキナ
ーゼ(Bretonら、Eur J Biochem 231:563〜569、199
5)、ヒルジン(Sheffieldら、Blood Coagul Fibrinol
ysis 12:433〜443、2001)、及び二重特異性抗体フラグメント(Mu
llerら、J Biol Chem 282:12650〜12660、2007)が
挙げられる。HSA融合タンパク質は、長い血清半減期を有することができるが、これら
の融合タンパク質の大規模生産は、酵母発現系に主に限定されている。更に、HSAの大
きいサイズは、立体障害による治療活性損失つながり得る。

治療用タンパク質はまた、それらの半減期を増加させるために血流中の血清アルブミン
に結合するペプチド又はタンパク質との融合タンパク質としても生産することができる。
そのようなアルブミン結合ペプチドとしては、システイン拘束性ペプチド又はアルブミン
抗体フラグメントが挙げられる。システイン拘束性ペプチドへの融合としてのFab抗体
フラグメントの発現は、Fabの血清半減期を有意に増加させた(Dennisら、J
Biol Chem 277:35035〜35043、2002;米国特許第2004
/0253247A1号)。抗体フラグメントにシステイン拘束性ペプチドを結合するこ
とは、同じ抗原を標的化するFab及びmAb分子と比較して、より良好なピーク腫瘍蓄
積及びより均一な腫瘍分布を導いた(Dennisら、Cancer Res 67:2
54〜261、2007;US2005/0287153A1)。更に、アルブミンに特
異的に結合する多くの抗体フラグメントは、治療薬構成部分に結合されて、治療薬の半減
期を増加した。HSAに結合するラクダのVHH抗体フラグメント(Nanobodies
登録商標))を、TNF−αに結合する別のNanobody(登録商標)(Copp
ietersら、Arthritis Rheum 54:1856〜1866、200
6)又は抗EGFRNanobodies(登録商標)(Tijinkら、Mol C
ancer Ther 7:2288〜2297、2008)に融合した。アルブミンに
結合する抗アルブミンドメイン抗体(dAbs)が生成され、それらの半減期を改善する
ために、例えば、インターロイキン−1受容体(Holtら、Protein Eng
Des Sel 21:283〜288、2008)及びインターロイキンα 2b(W
alkerら、Protein Eng Des Sel 23:271〜278、20
10)に融合された。

周知のように、細菌由来天然に生じる数々のタンパク質ドメインは、アルブミンと相
互作用して、そのような細菌が宿主生物全体に分散するのを助けると推定されている。そ
れらは、サイズが約6kDaの3へリックスバンドルのタンパク質ドメインであり、3へ
リックスバンドルの一面を利用して、血清アルブミンと相互作用する(Cramerら、
FEBSLett 581:3178〜3182、2007;Lejonら、Acta
Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Co
mmun 64:64〜69、2008;Johanssonら、FEBS Lett
374:257〜261、1995;Johanssonら、J Mol Biol 2
66:859〜865、1997;Johanssonら、J Biol Chem 2
77:8114〜8120、2002)。そのようなアルブミン結合ドメインの1つは、
連鎖球菌タンパク質由来であり(Jonssonら、Protein Eng Des
Sel 21:515〜527、2008)、タンパク質の血清半減期を延ばすために
最も広く使用されてきた。このドメインとの融合は、1型溶性補完受容体(Makri
desら、J Pharmacol Exp Ther 277:534〜542、19
96)、二重特異性抗体(Storkら、Protein Eng Des Sel 2
0:569〜576、2007)、CD4(Nygrenら、Vaccines 91:
363〜368、1991;米国特許第6267,964B1号)、Pf155/RES
A(Stahlら、J Immunol Methods124:43〜52、198
9)、G−CSF(Frejd、F.PEGSEurope、October 5,2
010)、及び多くの標的に結合するアフィボディ分子(Andersenら、J Bi
ol Chem 286:5234〜5241、2011)(Frejd、F.PEGS
Europe、October 5,2010)の半減期を増加させることが示されて
いる。しかし、このドメインに対する抗体産生が患者において報告されており、したがっ
て、治療用途としてのこの分子の使用は困難であり得る(Goetschら、Clin
Diagn Lab Immunol 10:125〜132、2003;Libonら
,Vaccine 17:406〜414、1999)。

概要

天然アルブミン結合ドメイン、それをコードするポリヌクレオチド、並びにそれらのドメイン及びポリヌクレオチドの作製方法及び使用方法の提供。特定のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、単離された非天然アルブミン結合ドメイン。特定のアミノ酸配列において、1、2、3、4、5、又は6の残基における置換を有する配列を含み、前記1、2、3、4、5、又は6の残基における置換が、特定のアミノ酸位置Y21、Y22、L25、K30、T31、E33、G34、A37、L38、E41、I42、及びA45の1つ以上で生じる単離されたアルブミン結合ドメイン。なし

目的

本発明は、本明細書に記載する非天然アルブミン結合ドメインのコンセン
サス配列、及びその変異体を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む、単離された非天然アルブミン結合ドメイン

請求項2

1、2、3、4、5、又は6の残基における置換を有する配列番号21のアミノ酸を含む、単離された非天然アルブミン結合ドメイン。

請求項3

前記1、2、3、4、5、又は6の残基における置換が、配列番号21のアミノ酸位置Y21、Y22、L25、K30、T31、E33、G34、A37、L38、E41、I42、及びA45の1つ以上で生じる、請求項2に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項4

前記1、2、3、4、5、又は6の残基における置換が、配列番号21のアミノ酸位置Y21、Y22、K30、T31、A37、及びE41の1つ以上で生じる、請求項2に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項5

端末に5つのアミノ酸の伸長部分を更に含む、請求項1に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項6

前記5つのアミノ酸の伸長部分が、配列番号42、43、及び45〜55からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項7

前記5つのアミノ酸の伸長部分が、配列番号43のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項8

配列番号21〜34又は44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された非天然アルブミン結合。

請求項9

N端末に5つのアミノ酸の伸長部分を更に含む、請求項8に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項10

前記5つのアミノ酸の伸長部分が、配列番号42、43、又は45〜55のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項11

前記5つのアミノ酸の伸長部分が、配列番号43のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項12

前記アルブミン結合ドメインが、ランニング緩衝液としてPBST(PBS、0.005%のTween20)を用い、100μL/分の流量で、GLCセンサーチップを用いたProteOn(商標)XPR−36タンパク質相互作用アレイシステム(Bio−Rad)を使用して、約50pM〜1μMの間のヒトアルブミンへの結合の解離定数(KD)を有する、請求項1に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項13

前記アルブミン結合ドメインが、ランニング緩衝液としてPBST(PBS、0.005%のTween20)を用い、100μL/分の流量で、GLCセンサーチップを用いたProteOn(商標)XPR−36タンパク質相互作用アレイシステム(Bio−Rad)を使用して、3.6×10-5〜1.1×10-1のヒトアルブミンへの結合のオフレート定数(Koff)を有する、請求項1に記載の単離されたアルブミン結合ドメイン。

請求項14

請求項1に記載の単離されたアルブミン結合ドメインの作製方法であって、a)前記単離されたアルブミン結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを提供する工程と、b)宿主で又はインビトロで前記ポリヌクレオチドを発現する工程と、c)前記単離されたアルブミン結合ドメインを回収する工程と、を含む、方法。

請求項15

請求項1に記載のアルブミン結合ドメインをコードする、単離されたポリヌクレオチド。

請求項16

配列番号21〜34又は44からなる群から選択されるアルブミン結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。

請求項17

配列番号35のポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。

請求項18

請求項15、16又は17に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、単離されたベクター

請求項19

請求項18に記載の単離されたベクターを含む、宿主細胞

請求項20

請求項1、5又は8のいずれか一項に記載のアルブミン結合ドメインと、生物活性剤とを含む、融合タンパク質

請求項21

前記生物活性剤が、標的分子に特異的に結合するタンパク質スカフォールドである、請求項20に記載の融合タンパク質。

請求項22

前記タンパク質スカフォールドが、配列番号39のアミノ酸残基1〜90又はその変異体を含むTencon25に基づくものである、請求項21に記載の融合タンパク質。

請求項23

前記アルブミン結合タンパク質及び前記生物活性剤が、リンカーを使用して、操作可能に連結される、請求項21に記載の融合タンパク質。

請求項24

前記リンカーが、Gly−Serリンカーを含む、請求項23に記載の融合タンパク質。

請求項25

前記リンカーが、配列番号40のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の融合タンパク質。

請求項26

請求項20に記載の融合タンパク質と、少なくとも1つの医薬的に許容される担体又は希釈剤とを含む、医薬組成物

請求項27

本明細書に記載されたいずれかの発明。

技術分野

0001

本発明は、アルブミン結合ドメイン並びにそれらの作製方法及び使用方法に関する。よ
り具体的には、本発明は、本明細書に記載する非天然アルブミン結合ドメインのコンセン
サス配列、及びその変異体を目的とする。

背景技術

0002

腎クリアランスを介した生物学的治療分子の急速な排除は、患者のための臨床的効性
の制限又はより頻繁な投与の一因となる。50,000ダルトンを超える分子量を有する
分子については腎臓濾過率が大幅に減少されるため、糸球体濾過による腎クリアランスに
は、ほとんどの場合、より小さい生物学的治療薬が伴う(Kontermann、Cur
r Opin Biotechnol 22:868〜76、2011)。いくつかの承
認された生物学的治療薬は活性部分を含み、それらは自ら濾過限界より低くなるため、迅
速にクリアされる。この制限を克服するために、腎臓濾過を減らすために治療薬分子の大
きさを有効に増し、結果として半減期を増加させるための数々の技術が導入されてきた。

0003

治療薬のPEG化(PEG)は、タンパク質流体力学的半径を増大させ、糸球体濾過
を減少させる有効な方法である。1つ又は複数のPEG鎖は、最も一般的には、タンパク
質の表面上の遊離チオール基又はアミン基とのコンジュゲーションを介して、タンパク質
に結合することができる。アデノシンデアミナーゼL−アスパラギナーゼインター
ロンα−2b、G−CSFヒト成長ホルモンエリスロポエチンウリカーゼ、及び
抗TNFα抗体フラグメントのPEG化バージョンは全て、ヒトの治療のために承認され
ている(Kontermann、Curr Opin Biotechnol 22:8
68〜76,2011)。PEG化の制限としては、異種生成物生産、及び特定のタン
パク質に結合したPEG分子の数を制御することの難しさが挙げられる。PEG化により
治療薬タンパク質の生産のための追加的なコンジュゲーション工程及び精製工程が導入さ
れるので、結果的に収率下がり製品コストが上がる。PEG化はまた、PEG鎖が
臓において非分解性であるために、動物及び患者の尿細管空胞形成につながる場合があ
る(Gaberc−Porekarら、Curr Opin Drug Discov
Devel 11:242〜250、2008)。

0004

治療用分子血清半減期を増加させるために、抗体のFc領域に治療薬を結合してFc
融合タンパク質を生成することを、用いることができる。免疫グロブリンは、それらの大
きなサイズ及びFcRnを介したリサイクルによって約数週間という長い半減期を示す場
合がある(Kuoら、J Clin Immunol 30:777〜789、2010
)。TNF受容体2、LFA−3、CTLA−4、IL−1R、及びTP模倣ペプチド
分子は全て、Fcの融合としてもたらされる承認された治療法である(Konterma
nn、Curr Opin Biotechnol 22:868〜76、2011)。
Fc融合タンパク質は、いくつかの理由から、全ての治療薬クラスのために理想的ではな
い。Fc領域のホモ二量体型の性質は、二量体型治療薬タンパク質の産生をもたらし、受
容体クラスター化による細胞活性化をもたらす可能性がある。また、Fc融合は、哺乳
発現系で行う必要もあり、これは原核生物系より費用がかかる場合がある。

0005

Fcの他では、アルブミンが、FcRnのリサイクルに起因する長い半減期をインビボ
で示す。約40g/Lの濃度で、ヒト血清アルブミンHSA)は、血液中に見られる最
豊富なタンパク質である。FcRnのリサイクルは、ヒトで約19日間の長い半減期を
もたらす。加えて、生体内分布の研究は、炎症関節又は腫瘍などの疾患を標的化するため
体内の重要な区域にアルブミンを分配し得ることを示唆している(Wunderら、J
Immunol 170:4793〜4801、2003)。したがって、多くのタン
パク質の血清半減期の増加は、HSAへのC末端又はN末端融合のいずれかとしてそれら
を生産することによって行われてきた。融合物成功例としては、インターフェロンα
Flisiak and Flisiak、Expert Opin Biol The
r 10:1509〜1515、2010)、ヒト成長ホルモン(Osbornら、Eu
r J Pharmacol 456:149〜158、2002)、腫瘍壊死因子(M
ullerら、Biochem Biophys Res Commun 396:79
3〜799、2010)、凝固因子IX(Metznerら、Thromb Haemo
st 102:634〜644、2009)、凝固因子VIIa(Schulte、Th
romb Res 122 Suppl 4:S14〜19、2008)、インスリン
Duttaroyら、Diabetes 54:251〜258、2005)、ウロキナ
ーゼ(Bretonら、Eur J Biochem 231:563〜569、199
5)、ヒルジン(Sheffieldら、Blood Coagul Fibrinol
ysis 12:433〜443、2001)、及び二重特異性抗体フラグメント(Mu
llerら、J Biol Chem 282:12650〜12660、2007)が
挙げられる。HSA融合タンパク質は、長い血清半減期を有することができるが、これら
の融合タンパク質の大規模生産は、酵母発現系に主に限定されている。更に、HSAの大
きいサイズは、立体障害による治療活性損失つながり得る。

0006

治療用タンパク質はまた、それらの半減期を増加させるために血流中の血清アルブミン
に結合するペプチド又はタンパク質との融合タンパク質としても生産することができる。
そのようなアルブミン結合ペプチドとしては、システイン拘束性ペプチド又はアルブミン
抗体フラグメントが挙げられる。システイン拘束性ペプチドへの融合としてのFab抗体
フラグメントの発現は、Fabの血清半減期を有意に増加させた(Dennisら、J
Biol Chem 277:35035〜35043、2002;米国特許第2004
/0253247A1号)。抗体フラグメントにシステイン拘束性ペプチドを結合するこ
とは、同じ抗原を標的化するFab及びmAb分子と比較して、より良好なピーク腫瘍蓄
積及びより均一な腫瘍分布を導いた(Dennisら、Cancer Res 67:2
54〜261、2007;US2005/0287153A1)。更に、アルブミンに特
異的に結合する多くの抗体フラグメントは、治療薬構成部分に結合されて、治療薬の半減
期を増加した。HSAに結合するラクダのVHH抗体フラグメント(Nanobodies
登録商標))を、TNF−αに結合する別のNanobody(登録商標)(Copp
ietersら、Arthritis Rheum 54:1856〜1866、200
6)又は抗EGFRNanobodies(登録商標)(Tijinkら、Mol C
ancer Ther 7:2288〜2297、2008)に融合した。アルブミンに
結合する抗アルブミンドメイン抗体(dAbs)が生成され、それらの半減期を改善する
ために、例えば、インターロイキン−1受容体(Holtら、Protein Eng
Des Sel 21:283〜288、2008)及びインターロイキンα 2b(W
alkerら、Protein Eng Des Sel 23:271〜278、20
10)に融合された。

0007

周知のように、細菌由来天然に生じる数々のタンパク質ドメインは、アルブミンと相
互作用して、そのような細菌が宿主生物全体に分散するのを助けると推定されている。そ
れらは、サイズが約6kDaの3へリックスバンドルのタンパク質ドメインであり、3へ
リックスバンドルの一面を利用して、血清アルブミンと相互作用する(Cramerら、
FEBSLett 581:3178〜3182、2007;Lejonら、Acta
Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Co
mmun 64:64〜69、2008;Johanssonら、FEBS Lett
374:257〜261、1995;Johanssonら、J Mol Biol 2
66:859〜865、1997;Johanssonら、J Biol Chem 2
77:8114〜8120、2002)。そのようなアルブミン結合ドメインの1つは、
連鎖球菌タンパク質由来であり(Jonssonら、Protein Eng Des
Sel 21:515〜527、2008)、タンパク質の血清半減期を延ばすために
最も広く使用されてきた。このドメインとの融合は、1型溶性補完受容体(Makri
desら、J Pharmacol Exp Ther 277:534〜542、19
96)、二重特異性抗体(Storkら、Protein Eng Des Sel 2
0:569〜576、2007)、CD4(Nygrenら、Vaccines 91:
363〜368、1991;米国特許第6267,964B1号)、Pf155/RES
A(Stahlら、J Immunol Methods124:43〜52、198
9)、G−CSF(Frejd、F.PEGSEurope、October 5,2
010)、及び多くの標的に結合するアフィボディ分子(Andersenら、J Bi
ol Chem 286:5234〜5241、2011)(Frejd、F.PEGS
Europe、October 5,2010)の半減期を増加させることが示されて
いる。しかし、このドメインに対する抗体産生が患者において報告されており、したがっ
て、治療用途としてのこの分子の使用は困難であり得る(Goetschら、Clin
Diagn Lab Immunol 10:125〜132、2003;Libonら
,Vaccine 17:406〜414、1999)。

発明が解決しようとする課題

0008

アルブミンに結合する数々のタンパク質ドメイン又はペプチドは、血清半減期を延長
ること、及び治療タンパク質のより有益な生体内分布パターンを生成することができる。
治療用途でこれらのアルブミン結合ドメインを使用するためには、宿主における高い発現
ベル溶解性及び安定性、並びに最小限の免疫原性など、多くの生物物理学的要件を満
たす必要がある。アルブミンに結合しているときと結合していないときの治療薬構成部分
の活性を用いて、血清半減期と生体内分布とを効果的に均衡する親和性によって、アル
ミン結合部分が血清アルブミンに結合する必要がある。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一態様は、配列番号21のアミノ酸配列を有する単離された非天然アルブミン
結合ドメインを含むタンパク質である。本発明の別の態様は、配列番号21と少なくとも
85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、
95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む単離さ
れた非天然アルブミン結合ドメインである。

0010

本発明のまた別の態様は、1、2、3、4、5及び/又は6の残基での置換を有し、好
ましくは、1、2、3、4、5及び/又は6の残基での置換が、配列番号21のY21、
Y22、L25、K30、T31、E33、G34、A37、L38、E41、I42及
び/若しくはA45、又は配列番号21のY21、Y22、K30、T31、A37、及
び/若しくはE41のアミノ酸の位置で生じ得る、配列番号21のアミノ酸配列を含む単
離された非天然アルブミン結合ドメインである。

0011

本発明の更なる態様は、アミノ酸配列:LKEAKEKAIEELKKAGITSDX
1X2FDLINKAX3X4VEGVNX5LKDX6ILKA(配列番号22)を含む単離
された非天然アルブミン結合ドメインであり、そのX1、X2、X3、X4、X5、及びX6は
、任意のアミノ酸又は特定のアミノ酸のサブセットであり得る。

0012

本発明の更なる態様において、単離された非天然アルブミン結合ドメインは、そのN末
端に5つのアミノ酸の伸長部分(extension)を含む。

0013

本発明の別の態様は、本発明の非天然アルブミン結合ドメインの作製方法であり、この
方法は、非天然アルブミン結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを提供する工程と
、宿主又はインビトロでポリヌクレオチドを発現させる工程と、非天然アルブミン結合ド
メイン回収する工程と、を含む。本発明の別の態様は、本発明のアルブミン結合ドメ
ンをコードする単離されたポリヌクレオチドである。本発明の別の態様は、配列番号35
のポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。

0014

本発明の別の態様は、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む単離されたベクター
と、本発明の単離されたベクターを含む宿主細胞である。

0015

本発明の別の態様は、本発明のアルブミン結合タンパク質生物活性剤とを含む融合タ
ンパク質である。

0016

本発明の別の態様は、本発明の融合タンパク質と、少なくとも1つの医薬的に許容され
担体又は希釈剤とを含む医薬組成物である。

図面の簡単な説明

0017

精製されたABDConのSDS−PAGE分析を示す。試料は、横列1)がSeeBlueプラスメーカー、2)が全細胞溶解物、3)が可溶性細胞溶解物、4)がカラムフロースルー、5〜12)が溶出画分である。いくつかのマーカーバンドの分子量を左側に示す。
精製されたABDCon試料のエレクトロスプレーイオン化質量分析を示す。
PBS中で実行される、精製されたABDconのサイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
PBS中でDSCによって測定されたA)溶融温度及びB)ABDConのアンフォールディング可逆性を示す。最初のスキャン正規化されたベースライン減算データはAに示されている。最初のスキャンの後、試料を20℃に冷却し、スキャンを繰り返して、フォールディングの可逆性を決定した。パートBでは、1回目及び2回目のスキャンについての生データトレースを重ねた。
2mg/kgを静脈注射したマウスでのTencon25−ABDCon融合タンパク質の薬物動態を示す。
ABDCon(配列番号21)、ABDCon3(配列番号26)、ABDcon5(配列番号28)、ABDCon7(配列番号30)、及びABDCon9(配列番号32)に融合したTencon25(配列番号39の残基1〜90)分子を2mg/kg静脈注射したマウスでの薬物動態を示す。
PBS中で0日又は28日間、37℃でインキュベートしたときに、ABDConにN末端へリックス伸長を有する、A)特定のFN3ドメインABDCon(配列番号1)融合タンパク質、及びB)FN3ドメイン−ABDCon12(配列番号46)融合タンパク質の安定性を示す。

0018

本明細書で使用される用語「アルブミン結合ドメイン」又は「ドメイン」は、インビボ
又はインビトロでアルブミンに結合するポリペプチドを指す。アルブミンは、例えばヒト
サル、又はげ歯類など、任意の動物種に由来することができる。

0019

本明細書で使用される用語「KD」は、アルブミンとアルブミン結合ドメインとの間の
解離定数を指す。

0020

本明細書で使用される用語「Kon」は、アルブミン結合ドメイン/アルブミン複合体
形成するアルブミンへのアルブミン結合ドメインの会合に関するオンレー定数(on rat
e constant)を指す。

0021

本明細書で使用される用語「Koff」は、アルブミン結合ドメイン/アルブミン複合体
からのアルブミン結合ドメインの解離に関するオフレート定数(off rate constant)を
指す。

0022

本明細書で使用される用語「非天然」は、合成のドメインすなわち、天然のポリペプチ
ドに存在しないアミノ酸配列を有するドメインを指す。

0023

本明細書で使用される用語「置換する」又は「置換」は、ポリペプチド又はポリヌクレ
オチド配列の変異体を生成するために、その配列中の1つ以上のアミノ酸又はヌクレオ
ドを改変すること、欠失すること若しくは挿入すること、又はそれらの改変、欠失若しく
は挿入を指す。

0024

本明細書で使用される用語「変異体」は、例えば、置換、挿入、又は欠失等の1つ以上
の修飾によって、基準ポリペプチド又は基準ポリヌクレオチドとは異なっている、ポリペ
プチド又はポリヌクレオチドを指す。

0025

本明細書で使用される用語「生物活性剤」は、動物患者に投与されたときに、患者に利
益を提供する、タンパク質、抗体、ペプチド、ヌクレオチド、小分子医薬品等を指す。合
成的に生成される、天然に由来する、又は組換えにより生成される部分も、この用語に含
まれる。生物活性剤は、生物活性剤の類似体誘導体アゴニストアンタゴニスト、鏡
異性体、又は医薬的に許容される塩であり得る。

0026

本明細書で使用される用語「安定性」は、例えば半減期など、その正常な機能活性のう
ちの少なくとも1つを維持するように、生理学的条件下で折りたたみ状態を維持する分子
能力を指す。

0027

用語「ベクター」は、生体系内で複製されることができる、又はこうした系の間で移動
可能である、ポリヌクレオチドを意味する。ベクターポリヌクレオチドは典型的に、生体
系においてこれらのポリヌクレオチドの複製又は維持を促進するように機能する複製起点
ポリアデニル化シグナル又は選択マーカーなどの配列を含有する。このような生体系の
例としては、細胞、細菌、ウイルス、動物、植物、及びベクターを複製することのできる
生物学的成分を利用して再構成された生体系を挙げることができる。ベクターを構成する
ポリヌクレオチドは、DNA若しくはRNA分子又はこれらのハイブリッド分子であって
もよい。

0028

用語「発現ベクター」は、生体系又は再構成された生体系において、その発現ベクター
中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドの翻訳を指示する
ために使用することができるベクターを意味する。

0029

本明細書で使用される用語「操作可能に連結された」は、構成要素がそれらの意図され
る様式で機能するように位置づけられていることを指す。

0030

本明細書では、アミノ酸は、それらの標準の3つ又は1つの文字コードを用いて言及さ
れる。

0031

アルブミン結合ドメイン組成物
本発明は、合成アルブミン結合ドメイン(ABDCon)(配列番号21)及びその変
異体を提供する。ABDConは、治療剤の血清半減期及び生体内分布の改善のために生
活性剤と操作可能に連結され得る。ABDCon及びその変異体は、大腸菌内で高レベ
ルに発現され得、可溶性であり、高い熱安定性を有する。本発明は、ADBCon及びそ
の変異体をコードするポリヌクレオチド、相補的核酸、ベクター、宿主細胞、並びにそれ
らを作製及び使用する方法を提供する。

0032

本発明は、更に、N末端に5つのアミノ酸伸長部分を有する合成アルブミン結合ドメイ
ン(ABDCon)を提供する。その伸長は、ABDConの安定性を改善する。

0033

このABDCon結合ドメインは、連鎖球菌種のG148タンパク質G(配列番号1)
由来のABDをテンプレートとして用いて、非冗長タンパク質データベース寄託された
特定の3へリックスバンドルアルブミン結合ドメイン(ABD)配列のコンセンサスアミ
ノ酸配列を計算し、各配列位置で最も優勢なアミノ酸を選択することにより、設計された
(表6)。本明細書に定めた条件を用いて試験したとき、ABDConは、75pMのK
D及び3.02×10-5 1/sのKoffを有し、ヒトアルブミンとの高親和性を有するも
のであり、したがって、ABDConに操作可能に連結された生物活性剤は、動物患者に
投与されると、ほとんどがアルブミンに結合することができる。ヒト患者において、血清
アルブミンとの結合が弱すぎる分子は、腎臓濾過のために短い血清半減期を有することに
なり(Hoppら、Protein Eng Des Sel 23:827〜834、
2010)、一方、血清アルブミンとの結合が強すぎる分子は、好ましい作用部位でアル
ブミンから解放されず、そのために、場合によっては、所望の標的の活性を調節する能力
及び治療の利益を提供する能力がより低いことがある。したがって、本発明の一態様は、
アルブミンとの親和性のスペクトルを有することにより、ABDCon変異体及び結合ド
メインと操作可能に連結された生物活性剤の半減期を調節する能力を提供するABDCo
n変異体及び結合ドメインを有すること、並びにそれらを生成する能力を有することであ
る。

0034

本発明の一実施形態は、配列番号21と少なくとも85%、86%、87%、88%、
89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、
99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む、単離された非天然アルブミン結合ドメイ
ン(ABDCon):LKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAK
TVEGVNALKDEILKAである。

0035

本発明の別の実施形態は、1、2、3、4、5、又は6の残基に置換を有する配列番号
21のアミノ酸配列を含む、単離されたアルブミン結合ドメインである。

0036

ABDCon変異体は、アルブミンとの複合体中の代表的な3ヘリックスバンドルアル
ブミン結合タンパク質の結晶構造を調べ、代表的なタンパク質と同様のやり方でABDC
onがアルブミンに結合し得ると仮定することによって、設計することができる。利用し
得る例示的な結晶構造は、ヒトアルブミンとの複合体における嫌気性細菌フィネゴルディ
マグナ(旧称、ペプトストレプトコッカスマグナス)のタンパク質PABのGAモジュ
ール(タンパク質G関連アルブミン結合モジュール)の結晶構造である(タンパク質デー
タベース(PDB)コード1TF0(Leionら、J Biol Chem 279:
42924〜42928、2004))。

0037

例えば、予測される疎水性接触の破壊芳香族残基間の予測されるπスタッキングの破
壊、より大きいアミノ酸との置換による立体衝突の導入、帯電した残基の除去による塩橋
の破壊、及びABDConとアルブミンとの間に生じることが予測される水素結合の破壊
など、多様な戦略によって、アルブミンとの親和性が減少されたABDConを設計する
ことができる。導入される変更は、結合を無効にするようなやり方で結合表面を変更せず
結合親和性を減少するように設計される。例えば、残基Y21を、荷電アミノ酸(Ly
s、Arg、Asp、Glu)又はより小さいアミノ酸(Ala、Gly)と置換して、
この残基とアルブミン残基V325及びF326との間の疎水性相互作用を減少すること
ができる。更に、ABDConのY21は、Pheの変異のような小さい変化が相互作用
をわずかに弱めることができるように、アルブミン残基N318及びD324の骨格鎖
の水素結合を形成する。ABDConの残基Y22は、アルブミン残基F309及びF3
26との疎水性相互作用及びπスタッキング相互作用を形成すると予測される。したがっ
て、より小さい中性のアミノ酸Ala、Ser、Val又は荷電アミノ酸Lys、Arg
、Asp又はGluをY22と置換することは、疎水性接触を減少させ、アルブミンに対
するABDCon変異体の親和性を低減することができる。ABDCon中の残基K30
がアルブミン残基E227と塩橋を形成することが予測されるので、反発電荷を導入し、
アルブミンに対するABDConの親和性を潜在的に減少させるように、K30をAsp
又はGluと置換することができる。任意の帯電されていないアミノ酸への変異もまた、
塩橋を排除することにより、親和性を減少させることができる。ABDConの残基T3
1はアルブミン残基N267との分子間水素結合を形成すると予測され、相互作用を有意
に不安定にする可能性のある大きい立体衝突を導入せずに分子間水素結合を破壊するため
に、Ala又はGlyの置換を用いることができる。立体衝突を導入するために、ABD
Con残基A37をVal、Tyr、又は他の、より大きいアミノ酸と置換することがで
きる。残基E41をGln又はAsnと置換して、電荷を取り除くことができる。Lys
又はArgなどの正に帯電した残基の導入は、結合親和性を更に減少させると期待され得
る。ABDCon残基L25、E33、G34、L38、I42、及びA45は、アルブ
ミンとの直接接触を形成すると予測され、これらの残基での置換は、アルブミンとのAB
DConの親和性を調節する可能性がある。残基の位置は、配列番号21のABDCon
及び配列番号36のヒトアルブミンを指す。

0038

あるいは、特定の位置での置換のために例えばNNコドンなどを用いて、アミノ酸の
ランダムカクテルを使用してもよく、得られた変異体のアルブミンとの結合を標準的方
法及び本明細書に記載の方法を用いて測定する。

0039

代表的なABDCon変異体は、配列番号21のY21、Y22、L25、K30、T
31、E33、G34、A37、L38、E41、I42及びA45から選択される少な
くとも1つの残基に置換を有する変異体である。

0040

代表的なABDCon変異体は、配列番号21のY21、Y22、K30、T31、A
37及びE41から選択される少なくとも1つの残基に置換を有する変異体である。

0041

代表的なABDCon変異体は、アミノ酸配列LKEAKEKAIEELKKAGIT
SDX1X2FDLINKAX3X4VEGVNX5LKDX6ILKA(配列番号22)を含
み、そのX1、X2、X3、X4、X5、及びX6は任意のアミノ酸であり得る。

0042

他の実施形態では、代表的なABDCon変異体は、アミノ酸配列LKEAKEKAI
EELKKAGITSDX1X2FDLINKAX3X4VEGVNX5LKDX6ILKA(
配列番号23)を含み、
i)X1は、リジン(K)、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸
(E)、アラニン(A)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)又はチロシン(Y)
であり、
ii)X2は、アラニン(A)、セリン(S)、バリン(V)、リジン(K)、アルギ
ニン(R)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はチロシン(Y)であり、
iii)X3は、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はリジン(K)であり

iv)X4は、アラニン(A)、グリシン(G)又はスレオニン(T)であり、
v)X5は、バリン(V)、チロシン(Y)又はアラニン(A)であり、
vi)X6は、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、リジン(K)、アルギニン(
R)又はグルタミン酸(E)である。

0043

他の実施形態では、代表的なABDCon変異体は、アミノ酸配列LKEAKEKAI
EELKKAGITSDX1X2FDLINKAX3X4VEGVNX5LKDX6ILKA(
配列番号24)を含み、
i)X1は、リジン(K)、アラニン(A)又はチロシン(Y)であり、
ii)X2は、アラニン(A)、セリン(S)、バリン(V)又はチロシン(Y)であ
り、
iii)X3は、アスパラギン酸(D)又はリジン(K)であり、
iv)X4は、アラニン(A)又はスレオニン(T)であり、
v)X5は、バリン(V)、チロシン(Y)又はアラニン(A)であり、
vi)X6は、グルタミン(Q)又はグルタミン酸(E)である。

0044

追加の代表的なABDCon変異体は、配列番号25〜34に示されるアミノ酸配列を
含む。例えば、プラズモン共鳴を用いたインビトロアッセイ(BIAcore、GE−H
ealthcare Uppsala(スウェーデン))などの周知の方法を用いて、A
BDCon変異体のアルブミン結合の試験を行う。特定のABDCon変異体/アルブミ
ン相互作用の測定される親和性は、異なる条件(例えば、浸透圧モル濃度、pH)下で測
定される場合に異なる場合がある。したがって、親和性及びその他抗原結合パラメータ
例えば、KD、Kon、Koff)の測定は、好ましくは、ABDCon変異体とアルブミンの
標準化溶液、及び本明細書に記載される緩衝液などの標準化緩衝液を用いて行われる。A
BDCon変異体のアルブミンへの親和性は、少なくとも約1×10-5M、少なくとも約
1×10-6M、少なくとも約1×10-7M、少なくとも約1×10-8M、少なくとも約1
×10-9M、少なくとも約1×10-10M、少なくとも約1×10-11M、少なくとも約1
×10-12M、又は少なくとも約1×10-13Mの範囲であり得る。例えば、ABDCon
変異体(配列番号21)のY22での様々な置換は、アルブミンとの変異体の親和性を、
置換に依存して、約300〜1,000倍減少させた(表4)。当業者は、定義された位
置又は位置の組み合わせにおける置換を有するその他の変異体を設計及び生成し、通常の
方法を用いて所望のアルブミン結合親和性を試験することができる。

0045

ABDCon及びその変異体は、更に、ABDCon及びその変異体のN末端への5つ
のアミノ酸の伸長部分の追加により修飾することができる。5つのアミノ酸の伸長部分は
、アミノ酸配列TIDEWL(配列番号43)、又は配列番号42又は45〜55に示さ
れる任意のアミノ酸配列からなる場合がある。N末端の5つのアミノ酸の伸長部分をAB
DCon及びその変異体に組み込むことは、分子の安定性を増加することができる。N末
端の5つのアミノ酸の伸長部分は、ABDCon及びその変異体の第1のαへリックスの
一部として構造上順番付けられてもよい。したがって、N末端の伸長分子の改善された安
定性は、へリックスの構造全体の安定化によるものであり得る。N末端のABDCon変
異体は、標準的方法を用いて作ることができ、例えば熱安定性などそれらの安定性は、本
明細書に記載のように評価することができる。任意のアルブミン結合ドメイン(ABD)
を5つのN末端アミノ酸の追加により修飾して、ABD構造を安定化し、得られる分子の
熱安定性のような安定性を改善することができる。

0046

安定性の改善、免疫原性の減少、溶解性又は任意の他の適切な特性の向上などの目的の
ために、アルブミンとの結合に影響しない残基でABDCon及びその変異体を更に修飾
することができる。この目的を達成する一方法において、ABDCon及びその変異体は
、任意に、親配列及び改変配列三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的改変
産物の分析プロセスによって調製され得る。三次元モデルが一般的に利用可能であり、当
業者によく知られている。選択された候補配列の考えられる三次元立体構造を図示し表示
するコンピュータプログラム使用可能であり、潜在的な免疫原性を計測することができ
る(例えば、Xencor,Inc.(Monrovia,CA)のImmunofil
terプログラム)。これらの表示の検査は、例えばABDConドメインの安定性に影
響する残基など、候補配列の機能における残基の可能な役割の分析を可能にする。このよ
うに、残基は、改善された安定性などの所望の特徴が達成されるように、親配列及び基準
配列から選択及び組み合わされ得る。あるいは、又は上記の手順に加えて、他の好適な改
変方法が当該技術分野において既知であるように使用され得る。

0047

本発明のアルブミン結合ドメインの望ましい物理特性は、高い熱安定性並びに熱フォ
ディング及びアンフォールディングの可逆性を含む。タンパク質及び酵素見かけの熱
安定性を高めるため、極めて類似性の高い熱安定性配列との比較に基づく合理的設計、ジ
スルフィド架橋の安定化設計、α−ヘリックス傾向を増加させる変異、塩橋の改変、タン
パク質の表面電荷の変化、定方向進化、及び共通配列の組成物を含む、いくつかの方法が
適用されている(Lehmann及びWyss,Curr Opin Biotechn
ol,12:371〜375,2001)。高熱安定性は、発現したタンパク質の収率を
増加させ、溶解度又は活性を改善し、免疫原性を減少させ、製造におけるコールドチェ
ンの必要性を最小化することができる。

0048

本発明のアルブミン結合ドメインの任意の特徴を改善するように置換され得る残基は、
置換を行い、アルブミン結合ドメインの所望の特徴をアッセイすることによって決定され
得る。例えば、アルブミン結合ドメインの安定性に影響し得るABDCon及びその変異
体における位置を特定するために、アラニンスキャニングを採用することができる。

0049

安定性の消失に関しては、即ち、タンパク質が「変性する」又はタンパク質の「変性」
とは、タンパク質の機能特性を付与する三次元立体配座のうちのいくつか又は全てが、活
性及び/又は溶解度の付随損失と共に消失するプロセスを意味する。変性中に破壊される
力としては、分子内結合、例えば、静電力、疎水性力、ファン・デル・ワールス力水素
結合、及びジスルフィドが挙げられる。タンパク質の変性は、タンパク質、又はタンパク
質を含む溶液に加えられる力、例えば、機械力(例えば、圧縮力又は剪断力)、熱応力
浸透ストレス、pH、電界、又は磁界の変化、電離放射線照射紫外線放射及び脱水など
、並びに化学的変性剤によって引き起こされ得る。

0050

タンパク質安定性及びタンパク質不安定性の測定は、タンパク質完全性と同じ又は異な
る態様として見ることができる。タンパク質は、熱、紫外線又は電離放射線、溶液中の場
合には周囲の浸透圧モル濃度及びpHの変化、小さな孔寸法での濾過、紫外線放射、γ線
照射によるなどの電離放射線、化学的又は熱脱水、あるいはタンパク質構造の破壊を引き
起こす可能性のあるその他の任意の作用又は力によって引き起こされる変性に対して感受
性がある、つまり「不安定」である。分子の安定性は、標準方法を用いて決定することが
できる。例えば、分子の安定性は、標準方法を用いて、分子の半分がアンフォールディン
グされるセ氏(℃)での温度である、熱融解(「Tm」)温度を測定することによって決
定され得る。典型的には、Tmが高いほど、分子はより安定している。熱に加えて、化学
環境もまた、タンパク質が特有三次元構造を維持する能力を変化させる。

0051

化学変性も同様に、様々な方法によって測定することができる。化学的変性剤としては
グアニジン塩酸塩チオシアン酸グアニジニウム尿素アセトン有機溶媒DMF
ベンゼンアセトニトリル)、塩類硫酸アンモニウム臭化リチウム塩化リチウム
臭化ナトリウム塩化カルシウム塩化ナトリウム)、還元剤(例えば、ジチオスレイ
トール、βメルカプトエタノールジニトロチオベンゼン(dinitrothiobenzene)、及び
水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウム)、非イオン性及びイオン性洗剤酸類(例え
ば、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)、ハロゲン化酢酸)、疎水性分子(例えば
リン脂質)、並びに標的変性剤が挙げられる。変性の範囲の定量化は、標的分子に結合
する能力などの機能特性の消失、あるいは凝集する、これまで溶媒が到達しにくかった残
基が露出する、又はジスルフィド結合が破壊若しくは形成する傾向などの物理化学的性質
による消失に依存し得る。

0052

ABDCon結合ドメイン及びその変異体は、生物活性剤に操作可能に連結され得る。
代表的な生物活性剤は、周知のリンカーを使用してABDCon及びその変異体に操作可
能に連結され得るペプチド及びタンパク質であり、例えば、ポリ−グリシン、グリシンと
セリン(Gly−Serリンカー)、又はアラニンとプロリンなどである。天然発生的及
人工的なペプチドリンカーの使用は文献で周知である(Hallewellら、J B
iol Chem 264:5260〜5268,1989;Alfthanら、Pro
tein Eng.8:725〜731,1995;Robinson & Sauer
,Biochemistry 35:109〜116、1996;米国特許第5,856
,456号)。生物活性剤は、ABDCon又はその変異体にそのC末端又はN末端から
連結され得る。多重特異性生物活性剤もまた、ABDConに連結され得る。そのような
場合、ABDConは分子のN末端又はC末端に連結され得る。ABDConはまた、そ
れが1つの薬剤のC末端及び別の薬剤のN末端に連結されるように、そのような多重特異
性薬剤の内部に位置づけられてもよい。生物活性剤はまた、当該技術分野において周知の
化学的架橋を用いて、例えば、ヒドラゾン又はセミカルバゾン結合により、本発明のアル
ブミン結合ドメインに結合されてもよい。代表的な生物活性剤は、例えば、国際公開第2
011/137319A2号及び同第2010/093627A2号に記載されているT
encon25系のライブラリーなど、フィブロネクチンIII型(FN3)リピート
ンパク質ライブラリーから同定されたタンパク質などの標的抗原に特異的に結合するタン
パク質である。

0053

毒素複合体、PEG5000又はPEG20,000などのポリエチレングリコール
PEG)分子、異なる鎖長脂肪酸及び脂肪酸エステル、例えば、ラウレート、ミリス
ート、ステアレートアラダートベヘネートオレエート、アラキドナート、オクタ
ン二酸、テトラデカン二酸オクタデカン二酸、ドコサン二酸等、ポリリシンオクタン
炭水化物デキストランセルロースオリゴ又はポリサッカライド)など、追加の部
分が、所望の特性のために本発明のABDCon又はその変異体に組み込まれ得る。これ
らの部分は、ABDConコード配列との直接融合であってもよく、標準的なクローニン
グ及び発現技術によって生成できる。あるいは、組み換え技術によって産生された本発明
のABDConにその部分を付着させるために、よく知られている化学的結合方法を使用
することができる。

0054

ABDCon及びその変異体、並びに生物活性剤とABDConの融合タンパク質の半
減期は、インビボモデルにおいて、周知の薬物動態特性を用いて評価され得る。代表的な
ABDCon及びその変異体は、約1pM〜1μMの間、約75pM〜860nMの間、
100pM〜500nMの間、又は1nM〜100nMの間のKDでアルブミンと結合す
る。

0055

ABDCon及びその変異体の生成及び生産
本発明のアルブミン結合ドメインの生成は、典型的には、標準方法を用いて核酸レベル
で達成される。置換されたコドンを1つ以上の特定の残基に有するABDCon変異体は
、標準PCRクローニング法、又は、米国特許第6,521,427号及び同第6,67
0,127号に記載の方法による化学遺伝子合成、又はKunkel突然変異誘発(Ku
nkelら、MethodsEnzymol 154:367〜382、1987)を
用いることにより、合成され得る。ランダム化されたコドンを任意の残基の位置に使用す
る場合、ランダム化は、例えば、設計多様性に一致する縮重オリゴヌクレオチドなど周知
の方法を用いて、又は、20の全ての天然発生アミノ酸をコードするNNKコドンを用い
て、ランダム化を達成し得る。他の多様化スキームにおいて、アミノ酸Ala、Trp、
Tyr、Lys、Thr、Asn、Lys、Ser、Arg、Asp、Glu、Gly、
及びCysをコードするために、DVKコドンを使用することができる。あるいは、20
全てのアミノ酸残基を生じさせ、同時に停止コドン頻度を低減するために、NNSコド
ンを使用することができる。コドン指定は、周知のIUBコードによる。

0056

特定の位置において選択されたヌクレオチド「縮重」を有するオリゴヌクレオチドの合
成は当該分野でよく知られており、例えば、TRIM手法が知られている(Knappe
kら、J Mol Biol 296:57〜86,1999;Garrard & H
enner,Gene 128:103〜109,1993)。特定のコドンセットを有
するヌクレオチドのそのようなセットは、市販されているヌクレオチド又はヌクレオシド
試薬、及び装置を使用して合成することができる。

0057

標準のクローニング及び発現の技術は、ABDCon若しくはその変異体をベクターに
するか又はABDConの合成二本鎖cDNAにすることにより、そのタンパク質をイン
ビトロで発現又は翻訳するために使用される。生物活性剤は、周知の方法を用いてABD
Con又はその変異体に操作可能に連結することができる。

0058

核酸分子及びベクター
本発明は、インビトロ転写/翻訳に使用される線状DNA配列原核真核、若しくは
糸状ファージ発現、組成物の分泌及び/若しくは提示適合するベクターを含む、単離ポ
リヌクレオチドとして、又は発現ベクターの部分として、又は線状DNA配列の部分とし
て、本発明のABDCon又はその変異体をコードする核酸を提供する。特定の代表的な
ポリヌクレオチドを本明細書に開示するが、遺伝暗号の縮重又は所与の発現系におけるコ
ドン選択性を考慮して、本発明のABDCon又はその変異体をコードする他のポリヌ
クレオチドも本発明の範囲内に含まれる。

0059

本発明のポリヌクレオチドは、自動式ポリヌクレオチド合成装置での固相ポリヌクレオ
チド合成などの化学合成により製造され、完全一本鎖又は二本鎖分子構築され得る。別
の方法としては、本発明のポリヌクレオチドは、PCRに続いて慣用的なクローニングを
行うなどの他の手法により製造され得る。所与の既知の配列のポリヌクレオチドを製造す
る又は得るための手法は、当該技術分野において周知である。

0060

本発明のポリヌクレオチドは、プロモーター又はエンハンサー配列イントロン、ポリ
アデニル化シグナル等、少なくとも1つの非コード配列を含んでもよい。ポリヌクレオチ
ド配列はまた、シグナル配列、生物活性剤をコードするcDNAなど融合タンパク質パー
トナーなど、タンパク質の精製又は検出を容易にするために、例えば、ヘキサヒスチジン
又はHAタグなどのマーカー又はタグ配列などをコードする追加のアミノ酸をコードする
追加の配列も含むことができる。

0061

代表的なポリヌクレオチドは、ABDConをコードする配列、リボソーム結合部位
ための配列、プロモーター配列ターミネーター配列抗生物質耐性遺伝子、及び複製開
始点(ori)の細菌起源を含む。本発明のアルブミン結合ドメインをコードする代表的
なポリヌクレオチドは、配列番号35に示される。

0062

本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含むベクター
である。こうしたベクターは、プラスミドベクターウイルスベクターバキュロウイル
ス発現ベクター、トランスポゾンに基づいたベクター、又は任意の手段によって特定の生
物又は遺伝子的バックグラウンドに本発明のポリヌクレオチドを導入するのに適した他の
任意のベクターであってよい。かかるベクターは、かかるベクターによってコードされる
ポリペプチドの発現を制御、調整、誘発、又は許容することができる核酸配列因子を含む
発現ベクターであってもよい。このような因子は、転写エンハンサー結合部位、RNAポ
メラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、及び所与の発現系におけるコードされたポリ
ペプチドの発現を促進する他の部位を含んでよい。このような発現系は、当該技術分野に
おいて周知の、細胞を用いる、又は無細胞の系であってよい。

0063

宿主細胞選択又は宿主細胞工学
本発明のABDCon及びその変異体は、所望により、当該技術分野において周知の細
胞株、混合細胞株、不死化細胞又は不死化細胞のクローン集団によって産生することがで
きる。例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Mo
lecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,N
Y,NY(1987〜2001)、Sambrookら、Molecular Clon
ing:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold
Spring Harbor,NY(1989)、Harlow及びLane、Anti
bodies,a Laboratory Manual,Cold Spring H
arbor,NY(1989)、Colliganら編、Current Protoc
ols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.
,NY(1994〜2001)、Colliganら、Current Protoco
ls in Protein Science,John Wiley & Sons,
NY,NY,(1997〜2001)を参照のこと。

0064

発現のために選択される宿主細胞は、哺乳類起源であり得るか、又はCOS−1、CO
S−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP
2/0、HeLa、骨髄腫リンパ腫、酵母、昆虫若しくは植物細胞、又はその任意の誘
導体不死化若しくは形質転換細胞から選択され得る。あるいは、宿主細胞は、ポリペプ
チドをグリコシル化することが不可能な種又は生物、例えば、BL21、BL21(DE
3)、BL21−GOLD(DE3)、XL1−Blue、JM109、HMS174、
HMS174(DE3)、及び天然若しくは改変大腸菌種、クレブシエラ種、又はシュー
ドモナス種の菌株などの原核細胞又は生物、から選択され得る。

0065

本発明のアルブミン結合ドメインの用途
本発明の非天然アルブミン結合ドメインABDCon及びその変異体の組成物を使用し
て、ABDConと生物活性剤とを操作可能に連結することにより、動物の組織内での生
物活性剤の半減期及び/又は生体内分布を調節することが可能であり、動物へのこの組成
物の投与は、その生物活性剤の半減期及び/又は生体内分布を、生物活性剤のみの投与に
より得られる組織分布と異なるものにする。

0066

ABDCon又はその変異体を含む医薬組成物
生物活性剤に操作可能に連結されたアルブミンを結合するABDCon又はその変異体
は、捕獲固定化、分割、又は沈殿のための当該技術分野で周知の分離手順を用いて単離
し、商用適応性のために必要とされる範囲で精製することができる。

0067

治療用としての生物活性分子−ABDCon融合タンパク質は、医薬的に許容される担
体中の有効成分としての生物活性分子−ABDCon融合タンパク質の有効量を含有する
医薬組成物として調製することができる。用語「担体」は、活性化合物と共に投与される
希釈剤、助剤賦形剤、又は溶媒のことを指す。かかる溶媒は、落花生油大豆油鉱物
油、ゴマ油等の、石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む、水及び油等の液体
あってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用することができる
。これらの溶液は滅菌液であり、一般的に、粒子状物質を含まない。これらは、従来の公
知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物には、生理学的条
件に近づけるために必要とされるpH調整剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤潤滑剤及び着
色剤などの薬理学的に許容され得る補助物質を含有させることができる。こうした医薬製
剤に含まれる生物活性剤−ABDCon融合タンパク質の濃度は、重量にして約0.5%
未満、通常は約1%又は少なくとも約1%から、最大で15又は20%までと大きく異な
ってよく、選択される特定の投与方法に従って、主として、必要とされる用量、液体の体
積、粘度などに基づいて選択される。好適な媒体及び製剤は、例えば、Remingto
n:The Science and Practice of Pharmacy,2
1st Edition,Troy,D.B.編、Lipincott Williams
and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5
,Pharmaceutical Manufacturing pp 691〜109
2に記載され、特にpp.958〜989を参照されたい。

0068

生物活性剤−ABDCon融合タンパク質の治療的使用のための投与方法は、非経口
与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、若しくは皮下、経粘膜的(経口、鼻腔
内、内、直腸);タブレットカプセル、溶液、懸濁液、粉末ゲル粒子の製剤を使
用する;及びシリンジ、埋め込みデバイス浸透圧ポンプカートリッジマイクロポン
プに収容される;又は当該技術分野でよく知られているような、当業者によって理解され
る他の手段など、宿主に薬剤を送達する任意の好適な投与法であってもよい。部位特異的
投与は、例えば、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳
室内、結腸内、頚管内、胃内肝内心筋内骨内骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内
前立腺内肺内、直腸内、腎臓内網膜内、脊髄内滑液嚢内、胸郭内子宮内、血管内
膀胱内病巣内、膣内、直腸、口腔内下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され
得る。

0069

本発明は一般論として記述されてきているが、本発明の実施形態は、特許請求の範囲を
限定するように解釈されるべきではない以下の実施例で更に開示される。

0070

実施例1.非天然アルブミン結合ドメインの生成
非天然アルブミン結合ドメインコンセンサス(ABDCon)の設計
非天然アルブミン結合ドメイン(ABD)は、非冗長タンパク質データベースに寄託さ
れた3へリックスバンドルABD配列のコンセンサスアミノ酸配列を計算することにより
設計された。コンセンサス配列を決定するために、連鎖球菌sp.G148タンパク質G
(配列番号1)を、非冗長NCBIタンパク質データベース(http:_//blas
t_ncbi_nlm_nih_gov/Blast_cgi)に対するBLAST検索
のためのテンプレート配列として使用した。BLAST検索では、全て初期設定を使用し
た(期待しきい値=10、ワード長=3、マトリックス=BLOSUM62、ギャップ
スト=存在11、伸長1、組成調整=条件付き組成スコアマトリックス調整)。この検索
から、表1(配列番号1〜20)に記載した最も密に関係する20のタンパク質ドメイン
を選択して多重配列アラインメントに含め、コンセンサスを決定した。非冗長配列のみを
選択した。いくつかのタンパク質アクセッション番号が表1に複数回記載されており、い
くつかのタンパク質がいくつかの密に関係するABDドメインを含んでいることを示して
いる。配列番号4は、ファージディスプレイ及び遺伝子シャッフリングにより得られた非
天然ABDである(Heら、Protein Sci 16:1490〜1494、20
07)。

0071

0072

AlignXソフトウェアを(全て初期設定で)使用し、記載されている配列から、多
重配列アラインメントを生成した。表6に示す配列アラインメントは、アルブミン結合ド
メインコセンサス配列ABDCon(配列番号21、表6)を誘導するために、各配列
位置で最も優勢なアミノ酸を選択するために使用した。位置21については明確なコンセ
ンサスがなく、芳香族残基Tyr及びPheがよく表現されていたので、Ileではなく
Tyrをこの位置に選択した。ABDCon間のペアワイズ配列同一性は、45%(配列
番号3)から82%(配列番号8、13、14及び16)の範囲である。

0073

遺伝子合成
アルブミン結合ドメインコンセンサス(ABDCon)のアミノ酸配列を、以下のよう
に大腸菌発現についての好ましいコドンを用いて(配列番号35)、ABDConをコー
ドする核酸配列に逆翻訳し、合成遺伝子産出した(BlueHeron Biotec
hnologies)。サブクローニングのためのNdeI及びXhoI部位、並びにタ
ンパク質精製のためのN末端の8−HisタグをコードするDNA配列を加えるために、
配列番号34の合成遺伝子配列に5’及び3’DNA配列を追加した。T7プロモーター
配列によって駆動される発現のためにこの遺伝子をpET26ベクター(Novagen
)にクローニングし、大腸菌株BL21(DE3)(Novagen)に形質転換した。

0074

発現及び精製
ABDconの発現のために、30μg/mLのカナマイシンを添加した50mLのL
培地に1コロニー接種し、220rpmで振とうしながら37℃で一晩増殖させた。
翌日、その一晩置いた培養物10mLを、30μg/mLのカナマイシンを添加した10
0mLのTerrific Brothに添加し、220rpmで2.5時間、37℃で
増殖させた。IPTGを添加して1mMの最終濃度にし、タンパク質の発現を誘導するた
めに温度を30℃に下げた。14時間後に、4000Xgで20分間の遠心分離により細
胞を回収し、細胞ペレットを−20℃で保存した。凍結した細胞ペレットを、湿潤ペレッ
ト1グラムにつき5mLのBugBusterHT(Novagen)で再懸濁し、室
温で30分間やさしく混合した。ポリ−ヒスチジンタグ付きのABDCon分子を、pH
7.4の50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中で10〜250mMのイミダゾールの勾
配で500mMの塩化ナトリウムを溶出するNi−NTクロマトグラフィー(GE H
ealthcare)により精製した。ABDConを含む画分をプールし、PBSの移
動相とともにSuperdex75 16/60カラム(GE Healthcare)
を用いて、サイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。純度はSDS−PAG
解析図1)により評価した。質量分析は、6382 Da(図2)の理論質量と一致
する6383 Daの質量であることを決定した。Superdex 75 5/150
カラム(GE Healthcare)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー分析は、
ABDCon製剤に凝集体がなく、単量体タンパク質と一致するときに溶出することを示
している(図3)。

0075

実施例2.ABDConの特性評価
ABDConの熱安定性
ABDConをpH 7.4のPBS中に2.175mg/mLの濃度にし、示差走査
熱量計(DSC)により熱安定性を評価した。安定性データは、VP−DSC計器(Mi
croCal)で毎分1℃の走査速度で、ABDCon溶液400μLを25℃から10
0℃まで加熱することによって生成した。その試料で、熱によるフォールディング/アン
フォールディングの可逆性を評価するために、第2の同一の走査を行った。融解温度を計
算するために、データを2ステートのアンフォールディングモデルに適合させた。図4
、ABDConがPBS中で81.5℃の高い熱安定性を有し、そのフォールディングが
完全に可逆的であることを示している。

0076

アルブミンへのABDConの結合
GLCセンサーチップを用い、ProteOn(商標)XPR−36 Protein
Interaction Array System(Bio−Rad)で、ヒト血清
アルブミン及びマウス血清アルブミンへのABDConの結合の動態を測定した。ヒト(
配列番号36)、アカゲザル(配列番号37)、及びマウス(配列番号38)の血清アル
ブミンは、Sigma(カタログ番号A4327(ヒト)、番号A3559(マウス)、
番号A4297(アカゲザル))から購入し、異なる濃度でPBSに再懸濁した。500
〜1000共鳴単位のリガンド密度を有する表面を得るために、pH 5.0、2.1μ
g/mLで標準のアミンカップリングを介して、GLCチップ垂直方向において、各血
清アルブミンをリガンドチャネル上に直接固定化した。組換えABDConの結合は、固
定化された血清アルブミンの表面の上に水平方向に同時に分析物として5つの異なる濃度
(例えば、1μMを3倍濃度系列希釈)を流すことによって試験した。PBST(PB
S、0.005%のTween20)をランニング緩衝液として用いて、100μL/分
の流量で、全ての濃度に関して解離相を2時間モニターした。6つ目の試料(緩衝液のみ
)を注入して、ベースライン安定性をモニターした。1短パルス幅(18μL)の0.8
リン酸を用いて表面を再生した。

0077

0078

緩衝液のみの応答、及び分析物とチップとの間の非特異的結合を減算することにより、
未処理の応答データを最初に処理した。各リガンド表面について、5つの濃度全ての処理
されたデータを、1:1の単純ラングミュア結合モデルグローバルに適合させた。表2
は、アルブミンの各種について決定された結合動態を記述している。

0079

マウスにおけるABDCon融合の血清半減期
ABDConが融合タンパク質の血清半減期を延長する能力を、Tencon25のc
末端へのABDConの融合をコードする合成遺伝子を産生することにより、評価した。
Tencon25は、配列番号39の残基1−90に示される配列を有するフィブロネク
チンIII型(FN3)リピートタンパク質のコンセンサス配列に基づくタンパク質スカ
フォールドであり、米国特許第2011/0274623A1号に記載されている。Te
ncon25とABDConのタンパク質ドメインは、(G4S)2ペプチドリンカー(配
列番号40)により融合した。得られる融合タンパク質は、配列番号39に示されるポリ
ペプチド配列を有する。ポリ−ヒスチジンタグは、精製目的のためにC末端に組み込んだ
。69匹のBALB/c雌マウスを3群に分けた(N=3の無処置対照群1群、N=33
の2群〜3群)。1回の静脈注射で用量2mg/kgのTencon25−ABDCon
融合タンパク質をマウスに投与した。この用量は、投与の日の動物の体重に基づく。注射
後、10分後、30分後、1、4、6時間後、1、2、3、7、10、14日後の時点で
マウスを安楽死させた。各動物から心穿刺により血液検体を得た。血液検体は、30分間
(ただし1時間以下)、室温で凝固させた。次いで、血液検体を約3,500rpmで1
5分間、遠心分離した。Mesoscale Discoveryプラットホームで、均
質なサンドイッチELISAを用いて血液検体を分析した。Streptavidin−
Goldプレート(Mesoscale Discovery)をSuperblock
(TBS)Tween−20(Thermo)で1時間ブロックした。捕獲(ビオチン化
)及び検出(MSD Sulfo−Tag(Mesoscale Discovery)
の標識付き)の両方に、0.625μg/mLでポリクローナル抗Tencon25抗体
を用いた。抗原及び抗体をプレートに添加し、RT激しく振盪しながら2時間インキュ
ベートした。TBS−T(Sigma)でプレートを洗浄し、界面活性剤を有するMSD
Read Buffer(Mesoscale Discovery)を添加した。M
SD Sector Imager 6000を使用してプレートの読み取りを行った。
GraphPad Prismを用いてデータを解析した。以前の研究は、類似した未融
合のTencon分子が、マウスで約20分間の血清半減期で急速に血流からクリアされ
るのを示している。ABDConへのTencon25の融合は、血清半減期を60時間
以上延長した(図5)。

0080

実施例3:血清アルブミン親和性を変更するためのABDConの操作
血清アルブミンへの結合親和性は、治療タンパク質の血清半減期だけでなく、分子が結
合しその標的を中和させる能力もまた、支配することができる。例えば、血清アルブミン
との結合が弱すぎる分子は、アルブミンに結合されない間の腎臓濾過のために、短い血清
半減期を有することになる(Hoppら、Protein Eng Des Sel 2
3:827〜834、2010)。逆に、アルブミンとの結合が強すぎる分子は、好まし
い作用部位でアルブミンから解放されないために、場合によっては、所望の標的を中和す
ることができないことがある。したがって、所望の血清半減期を与えるためにちょうど
い強さでアルブミンと相互作用するようにアルブミン結合を介して半減期の延長を達成す
ることが好ましい。本明細書に記載のABDCon配列は、75pMの親和性及び3.0
2×10-5 1/sのオフレートでヒト血清アルブミンに結合するので(本明細書に記載
実験条件下で)、ABDConに融合された分子は、いったん動物又は患者に投与され
た後に、ほとんどがアルブミンに結合する。いくつかの標的及び融合に関しては、血清ア
ルブミンにより弱く結合することが望ましい場合がある。アルブミンへのABDConの
結合親和性を下げるために、10種類のABDConの突然変異バージョンを設計した。
表3は、それらの突然変異体をまとめたものである。

0081

*配列番号21に従ったアミノ酸番号

0082

ABDCon突然変異体の選択は、ヒト血清アルブミン(PDBコード1TF0)に結
合したGAモジュール(タンパク質G関連アルブミン結合モジュール)の結晶構造を調査
し(Lejonら、Acta Crystallogr Sect F Struct
Biol Cryst Commun 64:64〜69、2008)、ABDConが
GAと非常に類似したやり方でアルブミンに結合すると仮定することにより行った。突然
変異体は、疎水性接触の破壊、立体衝突の導入、塩橋の破壊、水素結合の破壊により、ア
ルブミンに対するABDConの親和性を減少するように設計した(表3)。導入した変
更は、結合を無効にするほど劇的に結合表面を変更せずに結合親和性を減少するように設
計した。各突然変異体は、ABDConについて説明したように大腸菌から発現し、精製
した。突然変異体ABDCon11は不溶性であることがわかったので、その後の分析に
は含めなかった。ヒト、マウス、及びアカゲザルの血清アルブミンに対する各変異体の親
和性は、表面プラズモン共鳴により決定し、表4に示した。表3に記載した位置の他に、
アルブミンとの直接接触を形成すると予測される残基L25、E33、G34、L38、
I42、及びA45を変異させて、アルブミンに対するABDConの親和性を加減して
もよい。

0083

0084

実施例4:ABDCon変異体融合タンパク質の血清半減期
アルブミンに対するABDCon親和性と半減期の延長との相関を評価するために、T
encon25(配列番号39のアミノ酸1〜90)をABDCon変異体3、5、7、
及び9(表3)に融合した。これらの分子は、先の研究において上述したように2mg/
kgの用量でマウスに投与し、Tencon25−ABDCon融合について説明したの
と同一の方法を用いて分析した。これらの分子について得られたPKパラメータの要約を
表5及び図6に示す。PKパラメータにおける大きな差が得られなくなる103nMの親
和性に達するまでは、アルブミンに対する親和性が増加するにつれてクリアランス速度
減少することが、ここで実証されている。表5のデータは、アルブミンに対するABDC
on分子の親和性の変更により、半減期、クリアランス速度、合計暴露(AUC)などの
特性を調製する能力を実証している。

0085

0086

0087

実施例5:アルブミン結合ドメインの安定化
様々なフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインとの融合タンパク質として産生さ
れたとき、ABDCon(配列番号21)の安定性を決定するための研究を完了した(例
えば、米国特許公開第2010/0216708号を参照)。標準のクローニング技術を
用い、FN3ドメイン−ABDCon融合タンパク質を生成した。融合タンパク質の1つ
であるTencon−ABDConのアミノ酸配列は配列番号41に示されている。産生
したその他のFN3ドメイン−ABDCon融合タンパク質は、Tencon25−AB
DCon、83−ABDCon及び71−ABDConであった。これらのタンパク質は
、C末端ポリヒスチジンタグを用いて産生し、ニッケル親和性とサイズ排除クロマトグラ
フィーとの組み合わせにより、標準的な方法を用いて精製した。それぞれの精製された分
子は、SDS−PAGE及び質量分析法による分析の前に28日間、37℃においてPB
S(pH 7.4)中でインキュベートした。図7Aは、SDS−PAGEゲル上での低
分子量のバンド出現によって証明されているように、各FN3ドメイン−ABDCon
融合タンパク質が、このインキュベーションの間に分解することが見出されたことを示し
ている。質量分析解析は、主要な分解パターンが、ABDCon配列(配列番号21)の
残基L1、K2、及びE3でのこれらの分子のクリッピングであることを確認した。更に
、FN3ドメインに融合された天然の連鎖球菌タンパク質G ABD(配列番号1)が、
6〜8ヶ月間、4℃でインキュベートした場合に(図示していない)、残基L1でのクリ
ピングを有する同様の分解パターンを示したことが観察された。最後に、天然ABD(
配列番号1)及びABDCon(配列番号21)のいくつかの精製ロットが4℃で数ヶ月
保存された後、溶液中で不活性かつ検出不能であることがSDS−PAGEにより観察さ
れたことは、深刻な劣化を示している。

0088

上記の観察は、血清半減期の延長のために使用されるABDCon及び天然ABD構造
のN末端のαヘリックスが不安定であることを示唆している。そのような融合タンパク質
のこの安定性の欠如は、研究及びに治療用のためのそのような分子の貯蔵寿命を制限する
可能性があるため、望ましくない。したがって、これらの分子の安定性を改善するための
戦略が開発された。タンパク質データバンクに寄託されたアルブミン結合ドメインの三次
元構造の分析は、天然ABD(配列番号1)の始まりのN末端に見出されるアミノ酸配列
TIDQWL(配列番号42)が、いくつかの結晶構造(例えば、PDB 2VDB、A
cta Cryst 2008 F64、64〜69)において、この分子の第1のαへ
リックスの一部として構造的順序づけられていることを示している。これは、ABDの
元のNMR構造とは対照的であり、この領域が溶液中で無秩序になったことを示している
(PDB 1GAB、Johanssonら、J.Mol.Biol.266:859〜
865、1997)。このように、αへリックスの伸長はそのようなへリックスの安定性
を高めることができるので、ABD及びABDCon配列のこの最初のαヘリックスを伸
長することは、この領域に高い安定性を付与することができると仮定した(Suら、Bi
ochemistry 33:15501〜15510、1994)。

0089

表1に示す天然アルブミン結合ドメインの多重配列アラインメントは、これらのN末端
残基に関しての明確なコンセンサス配列がないことを明らかにした。しかし、1つのペプ
チド配列、TIDEWL(配列番号43)は、これらのタンパク質ドメインのうち5つの
N末端に存在する。したがって、新しいABDConコンストラクトであるABDCon
12(配列番号44)は、ABDConのN末端にTIDEWL配列を付加することによ
って生成した。このタンパク質は、N末端ポリヒスチジンタグを用いて発現させ、ニッケ
親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーのための標準的な方法を
用いて均質に精製した。精製されたABDCon12は、28日間、PBS中で37℃に
おいてインキュベートし、SDS−PAGE及び質量分析によって安定性を評価した。S
DS−PAGEは、14日目の後に、分解を示すわずかにより速い移動パターンを示した
。しかしながら、総質量分析は、この分解が専らポリヒスチジンタグで生じ、ABDCo
n12配列では生じないことを実証しており、TIDEWL配列がABDConの安定性
を改善したことを示している。安定性の更なる証拠は、PBS中で28日間37℃におい
てインキュベートしたとき、元のFN3ドメインABDCon分子(図7A)と比較して
有意に少ない分解産物を示した、生成されたFN3ドメイン−ABDCon12融合タン
パク質(図7B)の安定性において実証された。

0090

この分子の安定化のメカニズムを調べるために、ABDCon12の融解温度を、上記
の実施例2で概説した手順を使用して示差走査熱量測定法によって測定した。PBS中で
、元のABDcon分子と比べて9.4℃高い、90.9℃の融解温度が得られたことは
、ABDCon12及びABDCon12融合タンパク質について観察されたタンパク質
分解/分解がN末端のαへリックスの伸長によりもたらされた立体配座の安定性の増加に
よるものであることを示唆している。

0091

配列番号41:Tencon−ABDCon
LPAPNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAFDSFIQYQES
EKVGEAINLTVPGERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGH
RSNPLAEFTTGGGGSGGGGSLKEAKEKAIEELKKAGITS
DYYFDLINKAKTVEGVNALKDEILKAGGHHHHHH

0092

配列番号42:Strep GのN末端配列ABD
TIDQWL

0093

配列番号43:ABDCon付属のN末端配列
TIDEWL

0094

配列番号44:ABDCon12
TIDEWLLKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKTVE
GVNALKDEILKA

0095

実施例6:ABDCon12の特性評価
ヒト及びマウスのアルブミンに結合する精製されたABDCon12の親和性は、実施
例2において上述したのと同じ方法を用いて表面プラズモン共鳴により決定した。ヒト及
びマウスのアルブミンに対するABDCon12の結合に関して、それぞれ、0.7nM
及び8.2nMの解離定数が得られた。融合分子の血清半減期を延長するABDCon1
2の能力は、抗原に特異的に結合するFN3ドメインのC末端にABDCon12を融合
することによって実証された。この分子を2mg/kgの腹腔内注射によってマウスに投
与し、実施例4において上述したように分析した。FN3ドメイン−ABDCon12融
合タンパク質については、55時間の末端半減期が測定された。

0096

実施形態7:アルブミン結合ドメインの安定
天然に生じるアルブミン結合ドメインの配列分析に基づいて、アルブミン結合ドメイン
のN末端に付加された他の配列は、それらをより安定にできる可能性があることが予想
れる。例えば、これらの天然アルブミン結合ドメインへのN末端に、例えばAPAVDV
(配列番号45)、IAKEKA(配列番号46)、TIDQWL(配列番号42)、V
PAADV(配列番号47)、TVKSIE(配列番号48)、TPAVDA(配列番号
49)、TLKSIK(配列番号50)、WEKAAA(配列番号51)、AVDANS
(配列番号52)、QLAAEA(配列番号53)、ALKAAA(配列番号54)、E
KLAAA(配列番号55)など、多くの異なる配列が見られる。これらの配列がより長
いαへリックスを産生する場合、これらの配列をアルブミン結合ドメインに添加すること
は、安定性を増す可能性がある。更に、αへリックスの長さ又は安定性を増す非天然ペプ
チドもまた、アルブミン結合ドメインを安定させると予測される。

0097

追加のN末端配列を有する変異体は、標準的な手法により生成することができ、それら
の特性は上述したように試験することができる。

実施例

0098

以上の記述及び実施例中で特に記されたものとは別な形で本発明を実施できることは明
白であろう。以上の教示に照らして、本発明の数多くの修正及び変形形態が可能であり、
したがってこれらは、添付の特許請求の範囲内に入るものである。

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