図面 (/)

技術 ミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システムおよび位相特性校正方法

出願人 アンリツ株式会社
発明者 木村幸泰森隆待鳥誠範布施匡章
出願日 2017年3月28日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2017-063396
公開日 2018年10月25日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2018-165685
状態 特許登録済
技術分野 測光及び光パルスの特性測定 周波数測定,スペクトル分析
主要キーワード ヘテロダイン変換 スタート周波数 位相基準値 所定周波数領域 校正用信号 ミリ波帯信号 周波数設定情報 周波数変更処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年10月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題

ミリ波帯信号測定回路位相特性校正を高精度に行えるようにする。

解決手段

校正用信号生成部40は、短パルス光P0の繰り返し周波数整数倍周波数電気高調波信号周波数同期し、ミリ波帯周波数領域内で異なる周波数の複数の連続波が合成された校正用信号Erを生成する。校正用信号波形取得部60は、サンプリング光Psによりその遅延時間を変化させつつ校正用信号Erをサンプリングし、校正用信号の時間領域の波形を取得する。位相情報算出手段70は、連続波の周波数が変更される毎に得られる校正用信号の波形から、複数の連続波についての位相を算出し、校正対象の周波数領域内の位相特性Δφ(f)を求める。校正処理部90は、得られた位相特性Δφ(f)と、校正用信号Erに対してミリ波帯信号測定回路1で測定された位相特性ΔΦ(f)′との差から、ミリ波帯信号測定回路1自身の位相特性ΔΦ(f)を求める。

概要

背景

近年、モバイルデータトラフィック飛躍的に増大し、今後もさらに増大することが予想されており、通信容量の確保は喫緊の課題となっている。

これらの課題を解決し、増大するモバイルデータトラフィックの要求に応えるため、数10Gbps級の伝送速度の実現が可能なミリ波帯サブミリ波帯テラヘルツ帯を含む)の利用が強く求められている。なお、以下の説明では、ミリ波帯およびサブミリ波帯を総称してミリ波帯と呼ぶ。

また、ミリ波帯の通信ではQPSK変調信号等の周波数効率が高い変調方式採用が予想されるものの、現状ではこれら周波数帯におけるQPSK等の位相変調に対応する測定手法未検討であり、送信系を評価するための測定環境も実現されていない。

このミリ波帯における変調信号の測定を行なうためには、これらの周波数帯の被測定信号デジタル処理(A/D変換処理)が可能な周波数帯に変換するための測定回路としてダウンコンバータが必要となるが、ダウンコンバータの出力から得られた測定値には、被測定信号の真の特性とダウンコンバータを含む測定系の特性とが分離されず含まれ、測定系の周波数特性などを補償しない限り、正しい測定結果を得ることができない。

特に、10Gbsを超えるような広帯域変調信号の場合、従来からの振幅特性だけでなく位相特性も補償する必要がある。

ダウンコンバータ等の回路の位相特性を校正するための方式として、予め位相特性(位相に関する周波数特性)が既知校正用信号を、校正対象回路に入力し、その校正対象回路の出力から校正用信号の位相特性の影響を取り除くことで、校正対象回路自体の位相特性を取得する方式が知られている。

この方式のうち、ミリ波のような高い周波数帯でダウンコンバータを含む測定回路の位相特性を校正するための方式として、時間領域分光測定の一種である電気光学サンプリング法を用いて、パルス光励起されたO/E変換デバイス(例えばフォトダイオードフォトコンダクタなどの光電変換素子)から出力される電気パルス信号の時間領域の波形を測定し、これをフーリエ変換等の信号処理により周波数領域に変換し、位相特性を求めるものが知られている。

図8は、上記電気光学サンプリング法を用いた校正システム10の概略構成を示すものである。この校正システム10は、短パルス光源11、分岐手段12、O/E変換デバイス13、電気光学結晶14、光可変遅延器15および偏光測定器16を含んでいる。

この校正システム10は、図9の(a)に示すように、短パルス光源11から所定周期Ts(繰り返し周波数fs)で出射される短パルス光レーザ光)P0を分岐手段12により、ポンプ光P1とプローブ光P2に分け、ポンプ光P1をO/E変換デバイス13に入力して、O/E変換デバイス13を励起する。

ポンプ光P1で励起されたO/E変換デバイス13は、図9の(b)に示すような電気パルス信号E1を発生する。この電気パルス信号E1は、電気光学結晶14に構成したコプレナー導波路マイクロストリップ線路等にプローブヘッド等(図示せず)を介して印可され、電気光学結晶14中に信号電界を発生させる。

一方、分岐手段12で分岐されたプローブ光P2は光可変遅延器15に入射し、可変遅延器15によって遅延を受けたプローブ光P2′が電気光学結晶14に入射し、電気光学結晶14を透過する。ここで、電気光学結晶14を透過したプローブ光P2″の偏光角θは、プローブ光P2′が入射したタイミングにおける電気光学結晶14中の電界強度に比例して変化する。電気光学結晶14を透過したプローブ光P2″の偏光角θは、偏光測定器16によって測定される。

この偏光測定器16で測定される偏光角θから、プローブ光P2′の入射タイミングにおける電界強度を特定できる。つまり、電気パルス信号E1の電界の強さを、プローブ光P2′の入射タイミングでサンプリングしていることになり、図9の(c)に示しているように、光可変遅延器15の遅延時間をΔt1、Δt2、……と順次変化させて、プローブ光P2′の入射タイミングをずらしながら、図9の(d)のように、遅延時間に対応して変化する偏光角θ1、θ2、……を測定し、その偏光角からプローブ光P2′入射時の電気パルス信号E1の電界強度e1、e2、……を求めれば、電気パルス信号E1の時間領域波形が得られる。

そして、この電気パルス信号E1の時間領域波形に対し、フーリエ変換等の信号処理を行なうことで、周波数領域に変換し、振幅・位相特性を算出でき、算出した振幅・位相特性から、O/E変換デバイス13の出力特性を求めることができる(なお、これらの演算を行なう手段は省略している)。

そして、校正時には、O/E変換デバイス13の出力を、校正対象であるミリ波帯信号測定回路1に接続する。この例では校正対象のミリ波帯信号測定回路1が、ミキサ2aに対する入力信号ローカル信号発生器2bから出力されるローカル信号により低い周波数帯にヘテロダイン変換するダウンコバータ2と、そのダウンコンバータ2の出力信号に対してA/D変換処理および測定に必要な各種演算処理を実行する信号処理部(デジタイザ)3とで構成されており、実質的な校正対象は、アナログ回路構成のダウンコンバータ2の振幅特性、位相特性となる。

この構成の場合、O/E変換デバイス13の出力をミリ波帯信号測定回路1に与えたときに、信号処理部3でフーリエ変換処理等を行って周波数領域に変換し、入力信号の振幅・位相の特性を求め、予め求めたO/E変換デバイス13の出力信号E1の振幅・位相特性と比較することで、アナログ回路構成のダウンコンバータ2の振幅・位相に関する周波数特性を把握でき、その周波数特性を用いて、実際に被測定信号がミリ波帯信号測定回路1に入力したときに得られる測定結果を補償することで、被測定信号に対する正確な測定結果が得られる。

上記した電気光学サンプリング法を用いた校正システムの基本構成は、例えば非特許文献1に開示されている。

概要

ミリ波帯信号測定回路の位相特性の校正を高精度に行えるようにする。校正用信号生成部40は、短パルス光P0の繰り返し周波数の整数倍の周波数の電気高調波信号周波数同期し、ミリ波帯の周波数領域内で異なる周波数の複数の連続波が合成された校正用信号Erを生成する。校正用信号波形取得部60は、サンプリング光Psによりその遅延時間を変化させつつ校正用信号Erをサンプリングし、校正用信号の時間領域の波形を取得する。位相情報算出手段70は、連続波の周波数が変更される毎に得られる校正用信号の波形から、複数の連続波についての位相を算出し、校正対象の周波数領域内の位相特性Δφ(f)を求める。校正処理部90は、得られた位相特性Δφ(f)と、校正用信号Erに対してミリ波帯信号測定回路1で測定された位相特性ΔΦ(f)′との差から、ミリ波帯信号測定回路1自身の位相特性ΔΦ(f)を求める。

目的

本発明は、この問題を解決して、ミリ波帯信号測定回路の位相特性の校正を高精度に行えるミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システムおよび位相特性校正方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ミリ波帯またはサブミリ波帯所定周波数領域被測定信号を受け、該被測定信号をデジタル処理が可能な周波数帯に変換するダウンコンバータ(2)を含むミリ波帯信号測定回路(1)を校正対象とする位相特性校正システムであって、短パルス光を所定の繰り返し周波数で出力する短パルス光源(21)と、前記短パルス光を第1短パルス光と第2短パルス光に分岐する分岐手段(22)と、前記所定周波数領域内で周波数が異なる複数の連続波が合成された校正用信号を生成する校正用信号生成部(40)と、前記第1短パルス光を受けて、前記所定の繰り返し周波数の整数倍電気高調波信号を抽出し、該抽出した高調波信号を基準として、前記校正用信号生成部が出力する校正用信号の同期処理を行なう同期処理部(30)と、前記第2短パルス光を受け、該第2短パルス光に所定の遅延時間を与えてサンプリング光として出力する光可変遅延器(50)と、前記校正用信号と前記サンプリング光とを受け、前記光可変遅延器の遅延時間を変化させつつ前記校正用信号を前記サンプリング光に同期したタイミングでサンプリングし、前記校正用信号の時間領域の波形を取得する校正用信号波形取得部(60)と、前記校正用信号生成部が生成する校正用信号に含まれる複数の連続波の周波数を、前記所定周波数領域内で順次変更させる連続波周波数変更手段(80)と、前記連続波周波数変更手段による周波数変更毎に前記校正用信号波形取得部で得られる各校正用信号の時間領域の波形から、前記各校正用信号に含まれる複数の連続波の位相を求め、該位相から前記連続波の周波数間位相差の特性を前記所定周波数領域全体に渡って求める位相情報算出手段(70)とを含み、前記校正用信号を、前記校正対象のミリ波帯信号測定回路に与えたときの測定結果と、前記校正用信号について予め得られた位相差の特性とを比較して、前記ミリ波帯信号測定回路の前記ダウンコンバータを含めた位相特性を校正することを特徴するミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システム。

請求項2

ミリ波帯またはサブミリ波帯の所定周波数領域の被測定信号を受け、該被測定信号をデジタル処理が可能な周波数帯に変換するダウンコンバータ(2)を含むミリ波帯信号測定回路(1)を校正対象とする位相特性校正方法であって、所定の繰り返し周波数で出力される短パルス光を、第1短パルス光と第2短パルス光に分岐し、該第1短パルス光を基に、前記所定の繰り返し周波数の整数倍の電気の高調波信号を抽出する段階と、前記所定周波数領域内で周波数が異なる複数の連続波が合成された校正用信号を、前記抽出した高調波信号を基準として周波数同期された状態で生成する段階と、前記第2短パルス光に所定の遅延時間を与えてサンプリング光として出力する段階と、前記サンプリング光の遅延時間を変化させつつ前記校正用信号を前記サンプリング光に同期したタイミングでサンプリングし、前記校正用信号の時間領域の波形を取得する段階と、前記校正用信号に含まれる複数の連続波の周波数を、前記所定周波数領域内で順次変更させ、該周波数変更毎に得られる各校正用信号の時間領域の波形から、前記各校正用信号に含まれる複数の連続波の位相を求め、該位相から前記連続波の周波数間の位相差の特性を前記所定周波数領域全体に渡って求める段階と、前記校正用信号を、前記校正対象のミリ波測定回路に与えたときの測定結果と、前記校正用信号について予め得られた位相差の特性とを比較して、前記ミリ波帯信号測定回路の前記ダウンコンバータを含めた位相特性を校正する段階とを含むことを特徴するミリ波帯信号測定回路の位相特性校正方法。

技術分野

0001

本発明は、ミリ波帯サブミリ波帯で使用されるミリ波帯信号測定回路位相特性校正を高精度に行えるようにするための技術に関する。

背景技術

0002

近年、モバイルデータトラフィック飛躍的に増大し、今後もさらに増大することが予想されており、通信容量の確保は喫緊の課題となっている。

0003

これらの課題を解決し、増大するモバイルデータトラフィックの要求に応えるため、数10Gbps級の伝送速度の実現が可能なミリ波帯やサブミリ波帯(テラヘルツ帯を含む)の利用が強く求められている。なお、以下の説明では、ミリ波帯およびサブミリ波帯を総称してミリ波帯と呼ぶ。

0004

また、ミリ波帯の通信ではQPSK変調信号等の周波数効率が高い変調方式採用が予想されるものの、現状ではこれら周波数帯におけるQPSK等の位相変調に対応する測定手法未検討であり、送信系を評価するための測定環境も実現されていない。

0005

このミリ波帯における変調信号の測定を行なうためには、これらの周波数帯の被測定信号デジタル処理(A/D変換処理)が可能な周波数帯に変換するための測定回路としてダウンコンバータが必要となるが、ダウンコンバータの出力から得られた測定値には、被測定信号の真の特性とダウンコンバータを含む測定系の特性とが分離されず含まれ、測定系の周波数特性などを補償しない限り、正しい測定結果を得ることができない。

0006

特に、10Gbsを超えるような広帯域変調信号の場合、従来からの振幅特性だけでなく位相特性も補償する必要がある。

0007

ダウンコンバータ等の回路の位相特性を校正するための方式として、予め位相特性(位相に関する周波数特性)が既知校正用信号を、校正対象回路に入力し、その校正対象回路の出力から校正用信号の位相特性の影響を取り除くことで、校正対象回路自体の位相特性を取得する方式が知られている。

0008

この方式のうち、ミリ波のような高い周波数帯でダウンコンバータを含む測定回路の位相特性を校正するための方式として、時間領域分光測定の一種である電気光学サンプリング法を用いて、パルス光励起されたO/E変換デバイス(例えばフォトダイオードフォトコンダクタなどの光電変換素子)から出力される電気パルス信号の時間領域の波形を測定し、これをフーリエ変換等の信号処理により周波数領域に変換し、位相特性を求めるものが知られている。

0009

図8は、上記電気光学サンプリング法を用いた校正システム10の概略構成を示すものである。この校正システム10は、短パルス光源11、分岐手段12、O/E変換デバイス13、電気光学結晶14、光可変遅延器15および偏光測定器16を含んでいる。

0010

この校正システム10は、図9の(a)に示すように、短パルス光源11から所定周期Ts(繰り返し周波数fs)で出射される短パルス光レーザ光)P0を分岐手段12により、ポンプ光P1とプローブ光P2に分け、ポンプ光P1をO/E変換デバイス13に入力して、O/E変換デバイス13を励起する。

0011

ポンプ光P1で励起されたO/E変換デバイス13は、図9の(b)に示すような電気パルス信号E1を発生する。この電気パルス信号E1は、電気光学結晶14に構成したコプレナー導波路マイクロストリップ線路等にプローブヘッド等(図示せず)を介して印可され、電気光学結晶14中に信号電界を発生させる。

0012

一方、分岐手段12で分岐されたプローブ光P2は光可変遅延器15に入射し、可変遅延器15によって遅延を受けたプローブ光P2′が電気光学結晶14に入射し、電気光学結晶14を透過する。ここで、電気光学結晶14を透過したプローブ光P2″の偏光角θは、プローブ光P2′が入射したタイミングにおける電気光学結晶14中の電界強度に比例して変化する。電気光学結晶14を透過したプローブ光P2″の偏光角θは、偏光測定器16によって測定される。

0013

この偏光測定器16で測定される偏光角θから、プローブ光P2′の入射タイミングにおける電界強度を特定できる。つまり、電気パルス信号E1の電界の強さを、プローブ光P2′の入射タイミングでサンプリングしていることになり、図9の(c)に示しているように、光可変遅延器15の遅延時間をΔt1、Δt2、……と順次変化させて、プローブ光P2′の入射タイミングをずらしながら、図9の(d)のように、遅延時間に対応して変化する偏光角θ1、θ2、……を測定し、その偏光角からプローブ光P2′入射時の電気パルス信号E1の電界強度e1、e2、……を求めれば、電気パルス信号E1の時間領域波形が得られる。

0014

そして、この電気パルス信号E1の時間領域波形に対し、フーリエ変換等の信号処理を行なうことで、周波数領域に変換し、振幅・位相特性を算出でき、算出した振幅・位相特性から、O/E変換デバイス13の出力特性を求めることができる(なお、これらの演算を行なう手段は省略している)。

0015

そして、校正時には、O/E変換デバイス13の出力を、校正対象であるミリ波帯信号測定回路1に接続する。この例では校正対象のミリ波帯信号測定回路1が、ミキサ2aに対する入力信号ローカル信号発生器2bから出力されるローカル信号により低い周波数帯にヘテロダイン変換するダウンコバータ2と、そのダウンコンバータ2の出力信号に対してA/D変換処理および測定に必要な各種演算処理を実行する信号処理部(デジタイザ)3とで構成されており、実質的な校正対象は、アナログ回路構成のダウンコンバータ2の振幅特性、位相特性となる。

0016

この構成の場合、O/E変換デバイス13の出力をミリ波帯信号測定回路1に与えたときに、信号処理部3でフーリエ変換処理等を行って周波数領域に変換し、入力信号の振幅・位相の特性を求め、予め求めたO/E変換デバイス13の出力信号E1の振幅・位相特性と比較することで、アナログ回路構成のダウンコンバータ2の振幅・位相に関する周波数特性を把握でき、その周波数特性を用いて、実際に被測定信号がミリ波帯信号測定回路1に入力したときに得られる測定結果を補償することで、被測定信号に対する正確な測定結果が得られる。

0017

上記した電気光学サンプリング法を用いた校正システムの基本構成は、例えば非特許文献1に開示されている。

先行技術

0018

D.F.Williams,P.D.Hales,T.S.Clement,and J.M.Morgan, "Calibrating electro-optical sampling systems,"inIEEEMTT-S Int. Microwave Symp.Dig.,vol.3,pp.1527-1530,May 2001

発明が解決しようとする課題

0019

前記したように、電気光学サンプリング法を用いた校正システムでは、O/E変換デバイスから出力される電気パルス信号の時間領域波形を求め、これを周波数領域に変換して、振幅および位相の特性を求めていたが、電気パルス信号の時間領域波形を周波数領域に変換するため、周波数領域での1波当たりの信号レベルが低下し、高精度な測定が困難となる問題があった。

0020

例えば、ミリ波帯で電気パルス信号は数100GHzの帯域を持つが、校正対象の周波数帯の帯域幅を100GHzとすると、この周波数領域での1波当たりの信号レベルは、元の電気パルス信号のレベルに対して110dBも低下してノイズレベルに近くなり、測定精度が著しく低下してしまう。なお、振幅の周波数特性に関しては、上記したミリ波帯の領域でもパワー測定等で正確な特性を得ることができるので、位相特性の校正を高精度に行なえるシステムが要求される。

0021

本発明は、この問題を解決して、ミリ波帯信号測定回路の位相特性の校正を高精度に行えるミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システムおよび位相特性校正方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0022

前記目的を達成するために、本発明の請求項1のミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システムは、
ミリ波帯またはサブミリ波帯の所定周波数領域の被測定信号を受け、該被測定信号をデジタル処理が可能な周波数帯に変換するダウンコンバータ(2)を含むミリ波帯信号測定回路(1)を校正対象とする位相特性校正システムであって、
短パルス光を所定の繰り返し周波数で出力する短パルス光源(21)と、
前記短パルス光を第1短パルス光と第2短パルス光に分岐する分岐手段(22)と、
前記所定周波数領域内で周波数が異なる複数の連続波が合成された校正用信号を生成する校正用信号生成部(40)と、
前記第1短パルス光を受けて、前記所定の繰り返し周波数の整数倍電気高調波信号を抽出し、該抽出した高調波信号を基準として、前記校正用信号生成部が出力する校正用信号の同期処理を行なう同期処理部(30)と、
前記第2短パルス光を受け、該第2短パルス光に所定の遅延時間を与えてサンプリング光として出力する光可変遅延器(50)と、
前記校正用信号と前記サンプリング光とを受け、前記光可変遅延器の遅延時間を変化させつつ前記校正用信号を前記サンプリング光に同期したタイミングでサンプリングし、前記校正用信号の時間領域の波形を取得する校正用信号波形取得部(60)と、
前記校正用信号生成部が生成する校正用信号に含まれる複数の連続波の周波数を、前記所定周波数領域内で順次変更させる連続波周波数変更手段(80)と、
前記連続波周波数変更手段による周波数変更毎に前記校正用信号波形取得部で得られる各校正用信号の時間領域の波形から、前記各校正用信号に含まれる複数の連続波の位相を求め、該位相から前記連続波の周波数間位相差の特性を前記所定周波数領域全体に渡って求める位相情報算出手段(70)とを含み、
前記校正用信号を、前記校正対象のミリ波帯信号測定回路に与えたときの測定結果と、前記校正用信号について予め得られた位相差の特性とを比較して、前記ミリ波帯信号測定回路の前記ダウンコンバータを含めた位相特性を校正することを特徴する。

0023

また、本発明の請求項2記載のミリ波帯信号測定回路の位相特性校正方法は、
ミリ波帯またはサブミリ波帯の所定周波数領域の被測定信号を受け、該被測定信号をデジタル処理が可能な周波数帯に変換するダウンコンバータ(2)を含むミリ波帯信号測定回路(1)を校正対象とする位相特性校正方法であって、
所定の繰り返し周波数で出力される短パルス光を、第1短パルス光と第2短パルス光に分岐し、該第1短パルス光を基に、前記所定の繰り返し周波数の整数倍の電気の高調波信号を抽出する段階と、
前記所定周波数領域内で周波数が異なる複数の連続波が合成された校正用信号を、前記抽出した高調波信号を基準として周波数同期された状態で生成する段階と、
前記第2短パルス光に所定の遅延時間を与えてサンプリング光として出力する段階と、
前記サンプリング光の遅延時間を変化させつつ前記校正用信号を前記サンプリング光に同期したタイミングでサンプリングし、前記校正用信号の時間領域の波形を取得する段階と、
前記校正用信号に含まれる複数の連続波の周波数を、前記所定周波数領域内で順次変更させ、該周波数変更毎に得られる各校正用信号の時間領域の波形から、前記各校正用信号に含まれる複数の連続波の位相を求め、該位相から前記連続波の周波数間の位相差の特性を前記所定周波数領域全体に渡って求める段階と、
前記校正用信号を、前記校正対象のミリ波測定回路に与えたときの測定結果と、前記校正用信号について予め得られた位相差の特性とを比較して、前記ミリ波帯信号測定回路の前記ダウンコンバータを含めた位相特性を校正する段階とを含むことを特徴する。

発明の効果

0024

このように、本発明では、短パルス光を基に、その繰り返し周波数の整数倍の周波数の電気の高調波信号を抽出し、この高調波信号を基準として周波数同期し、且つ校正対象となる周波数領域内で異なる周波数の複数の連続波が合成された校正用信号を生成し、短パルス光から得られるサンプリング光の遅延時間を変化させつつ校正用信号をサンプリング光に同期したタイミングでサンプリングし、校正用信号の時間領域の波形を取得するという処理を、校正用信号に含まれる連続波の周波数を順次変更しながら行い、得られた各校正用信号の波形から、その校正用信号に含まれる複数の連続波についての位相を算出し、校正対象の周波数領域内の位相差の特性を求めている。

0025

つまり、校正用信号として、短パルス光の繰り返し周波数の整数倍に周波数同期され、ミリ波帯の周波数領域で周波数が異なる複数の連続波が合成されたものを用い、その連続波の周波数を順次変更して、校正対象のミリ波帯の周波数領域全体の位相特性を求めているので、従来のパルス信号を校正用信号として用いる方式に比べて、格段に高いレベルの信号により位相情報を高精度に取得でき、校正精度を格段に高くできる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施形態の全体構成図
本発明の実施形態の要部の構成例を示す図
本発明の実施形態の動作説明図
本発明の実施形態の要部の別の構成例を示す図
本発明の実施形態の動作説明図
本発明の実施形態の動作説明図
本発明の実施形態の動作説明図
従来の校正システムの概略構成図
従来の校正システムの動作説明図

実施例

0027

以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用したミリ波帯信号測定回路の位相特性校正システム(以下、単に校正システムと記す)20の全体構成を示している。

0028

この校正システム20は、前記したように、ミキサ2aとローカル信号発生器2bを含み、ミリ波帯の所定周波数領域の被測定信号を受けて、デジタル処理が可能な周波数帯に変換するダウンコンバータ2と、ダウンコンバータ2の出力信号に対するA/D変換処理およびデジタル演算処理を行なう信号処理部3とを含むミリ波帯信号測定回路1を校正対象とするものであり、短パルス光源21、分岐手段22、同期処理部30、校正用信号生成部40、光可変遅延器50、校正用信号波形取得部60、位相情報算出手段70、連続波周波数変更手段80および校正処理部90を含んでいる。

0029

短パルス光源21は、例えば半導体レーザパルス変調して、短パルス光P0を所定の繰り返し周期Ts(=1/fs:fsは例えば100MHz)で出射する。分岐手段22は、この短パルス光P0を受けて、第1短パルス光P1と第2短パルス光P2に分岐する。

0030

第1短パルス光P1を受けた同期処理部30は、校正用信号発生部40が出力する校正用信号Erに含まれる複数(ここでは3つとして説明するが2つあるいは4つ以上でもよい)の連続波の周波数を、短パルス光P0の繰り返し周波数の高調波に同期させるための処理を行なうものであり、その構成は校正用信号生成部40の構成に対応している。

0031

この実施形態では、校正用信号生成部40は、前記所定周波数領域より低い中間周波数領域で周波数が異なる複数の連続波が合成された合成信号SUM(if)を生成出力する合成信号発生器41と、ローカル信号LOCを出力するローカル信号発生器42と、合成信号SUM(if)とローカル信号LOCを受けて、中間周波数領域の合成信号SUM(if)を前記ミリ波帯の所定周波数領域の校正用信号Erに変換するミキサ43と、ミキサ43の出力を増幅するアンプ44からなるアップコンバータ構成(和のヘテロダインとする)としている。

0032

なお、合成信号発生器41としては、外部から入力されるクロック信号に同期して内部の信号合成処理を行なう任意波形発生器で構成することができる。また、ローカル信号発生器42としては、合成信号SUM(if)の周波数をミリ波帯に変換するためにミリ波帯に近い周波数(数100GHz)のローカル信号LOCを生成する必要があるが、これを実現するために、例えば、外部から入力される基準信号リファレンス信号)REF(一般的に10MHzや100MHz)で周波数の同期制御が可能な10〜数10GHz帯信号発生器42a、その信号発生器42bの出力信号SGout をN逓倍(例えばN=18)して、ミリ波帯に近い周波数のローカル信号LOCに変換する逓倍器42bとで構成することができる。

0033

具体的な数値例をあげれば、合成信号発生器41は、2.6GHzのクロック信号CLKを受けて、例えばスタート周波数f0=24GHz、周波数間隔Δf=100MHzとし、f1=f0、f2=f1+Δf、f3=f1+2Δfの3つの連続波が合成された合成信号SUM(if)を生成する。なお、この連続波の周波数f1〜f3は、後述する連続波周波数変更手段80の制御で、スタート周波数f0の例えば200MHzステップ変化により順次高い方にシフトするが、3つ一組の連続波の周波数間隔Δf=100MHzに対し、スタート周波数f0を200MHzステップで変化させることで、ある一組の3つの周波数f1〜f3の高い方の周波数f3と、次の組の3つの周波数f1′〜f3′の低い方の周波数f1′とを重複させて、校正用信号Erに含まれる連続波の各周波数間の位相差の連続性を維持する。

0034

また、ローカル信号発生器42の信号発生器42aは、例えば15±2.5GHzの範囲の信号SGout を100MHz間隔で出力し、逓倍器42bは、信号発生器42aの出力信号SGout を18逓倍して、これをローカル信号LOCとして出力する。

0035

したがって、信号発生器42aの出力信号SGout の周波数が100MHzステップで、12.5GHz〜17.5GHzに変化する場合、ローカル信号LOCの周波数は225GHz〜315GHzの間を1.8GHzステップで変化することになる。この1.8GHzの間を100MHz間隔で埋めるために、前記したように、合成信号SUM(if)に含まれる3つの連続波の周波数f1〜f3は、初期値から200MHステップで8回変更される。これにより、校正用信号Erに含まれる連続波の周波数は、前の組のf3と次の組f1の重複を許しながら、(225+24)GHz〜(315+24+1.7)GHzの範囲内で100MHzステップで埋められることになる。

0036

上記構成の校正用信号生成部40に対し、同期処理部30は、第1短パルス光P1を受け、その第1短パルス光P1の繰り返し周波数の整数倍の高調波信号を抽出し、その抽出した高調波信号を基準として、合成信号発生器(任意波形発生器)41が出力する合成信号に含まれる複数の連続波の周波数の同期に必要な所定周波数(例えば2.6GHz)のクロック信号CLKと、ローカル信号発生器42の信号発生器42aの出力信号SGout の周波数を同期制御するための基準信号REFを生成して、校正用信号生成部40が出力する校正用信号Erに含まれる複数の連続波に対する同期処理を行ない、校正用信号の波形が第1短パルス光P1に対してずれないようにしている。

0037

図2は、この同期処理部30の構成例を示すものであり、第1短パルス光P1を例えばフォトダイオードのような光電変換素子31で受け、図3の(a)に示すように第1短パルス光P1に同期した電気パルス信号E1を出力させ、これを2つの帯域通過フィルタ(以下、BPF)32、33に入力する。

0038

PF32は、図3の(b)に示す電気パルス信号E1に含まれる高調波から、クロック信号CLKを周波数同期させるための基準信号として2.6GHzの高調波信号E2を図3の(c)のように抽出する。また、BPF33は電気パルス信号E1に含まれる高調波のうち、ローカル信号発生器42の信号発生器42aの出力信号SGout の周波数を同期させるための基準となる15GHz近傍の高調波信号E3を図3の(d)のように抽出する。

0039

ここで、ローカル信号発生器42の信号発生器42aの出力信号SGout の周波数は、例えば100MHzステップで変更されるため、電気パルス信号E1から抽出される高調波信号E3の周波数も100MHzステップで抽出する必要がある。したがって、このBPF33としては、例えばYTF(YIG周波数可変フィルタ)等の通過中心周波数可変型のものを用いる。

0040

BPF32で抽出された周波数2.6GHzの高調波信号E2は、PLL同期処理を行なうための基準信号として同期回路34に入力される。同期回路34は、発振器34a、位相比較器34b、ループフィルタ34cからなり、位相比較器34bは、高調波信号E2と、発振器34aが出力する2.6GHzのクロック信号CLKとの位相比較を行い、その位相差と所定の位相基準値(例えば0あるいはπ/2)との差に応じた制御信号がループフィルタ34cにより抽出されて発振器34aに与えられ、位相差が位相基準値に一致するように発振器34aが制御される。

0041

この同期回路34の作用により、発振器34aから出力されるクロック信号CLKの周波数は、電気パルス信号E1の繰り返し周波数(100MHz)に同期した状態が維持される。なお、上記2.6GHzの周波数帯では、発振器34aとして汎用的なVCO(電圧制御発振器YIG発振器等も含む)が使用可能である。

0042

一方、BPF33で抽出される高調波信号E3もPLL同期処理を行なうための基準信号として同期回路35に入力される。同期回路35は、発振器35a、位相比較器35bおよびループフィルタ35cからなり、位相比較器35bは、高調波信号E3と、校正用信号生成部40の信号発生器42aの出力信号SGout との位相比較を行い、その位相差と所定の位相基準値との差に応じた制御信号がループフィルタ35cにより抽出されて発振器35aに与えられ、位相差に応じた基準信号REFが生成されて信号発生器42aに与えられ、位相差が位相基準値に一致するように発振器35aが制御される。これにより、信号発生器42aの出力信号SGout の周波数が高調波信号E2に同期制御される。なお、発振器35aとしては、10MHzや100MHzで周波数安定度が極めて高い周波数可変型の水晶発振器等を用いることができる。

0043

この同期回路35の作用により、高調波信号E3に周波数同期された信号発生器42aの出力信号SGout は、逓倍器42bにより、例えば18逓倍されて、ローカル信号LOCとなり、ミキサ43に入力される。なお、信号発生器42aの出力信号SGout の周波数変更(例えば100MHzステップの周波数変更)は、連続波周波数変更手段80からの周波数設定信号より行なわれる。

0044

したがって、校正用信号生成部40からは、電気パルス信号E1の繰り返し周波数(100MHz)の整数倍の周波数をもつ高調波信号に同期した複数の連続波が合成された校正用信号Erが生成されることになり、短パルス光P1に対して、校正用信号Erの波形が同期することになり、後述するサンプリング光Psによる波形のサンプリングを安定に行なうことができる。

0045

なお、上記のように生成された校正用信号Erは、校正対象のミリ波帯信号測定回路1および校正に必要な後述する電磁波検出器への信号供給を等価な環境で行なえるように、ホーンアンテナ45を介して放射されるものとする。

0046

ここで、校正用信号Erの位相変動は、校正用信号Er生成のための基準となる信号の位相変動の周波数比に比例する。例えば300GHzで位相変動を10度以内とする場合、基準の信号が100MHzとすると、3000分の1、すなわち、0.0033度以下の位相変動となり、VCO等で調整する場合、電圧微小となり、実現困難であるが、本実施例のように、校正用信号Er生成のための基準となる信号を、短パルス光の繰返し周波数の整数倍の高調波信号を用いることで、実現を容易にしている。

0047

上記した同期処理部30および校正用信号生成部40の構成は、一例であって、これ以外に種々の構成例が考えられる。例えば、上記同期処理部30では、第1短パルス光P1の繰り返し周波数の整数倍の高調波信号を抽出するために、二つのBPF32、33を用いていたが、クロック信号CLKおよび出力信号SGoutが繰返し周波数(100MHz)未満の精度で設定できる場合、同期回路34、35の位相比較器34b、35bの検波作用を用いることで、特定の高調波信号の抽出が可能であり、この場合、BPF32、33を省略できる。また、校正用信号に含まれる連続波の周波数およびその可変方法についても上記例に限らないことは勿論である。

0048

一方、分岐手段22で分岐された第2短パルス光P2は、光可変遅延器50に入力され、所定の遅延時間Δtが与えられて、サンプリング光Psとして出力される。この光可変遅延器50は、例えば、ミラーを用いて形成した光路の一部の長さを、ミラーの移動などにより遅延時間Δtを可変する機構を用いて構成することができる。

0049

光可変遅延器50から出力されるサンプリング光Psは、校正用信号波形取得部60に入射される。校正用信号波形取得部60は、光可変遅延器50の遅延時間Δtを変化させつつ校正用信号生成部40から出力された校正用信号Erを受信し、その受信した校正用信号Er′をサンプリング光Psに同期したタイミングでサンプリングし、校正用信号Er′の時間領域の波形を取得する。このサンプリング方式は、基本的に前記した従来システムと同様であり、従来から提案されている種々の構成が採用できる。

0050

なお、校正用信号生成部40から出力された校正用信号Erの特性と、校正用信号波形取得部60で受信される校正用信号Er′の特性は、校正用信号生成部40から校正用信号波形取得部60までの電磁波の伝搬経路等の測定系の影響を受けて一致しないが、校正用信号Erを校正対象のミリ波帯信号測定回路1に与える際に、校正用信号生成部40から校正対象のミリ波帯信号測定回路1に至る電磁波の伝搬経路等を測定系に合わせておけばその影響を相殺できるので、ここではEr=Er′として説明する。

0051

校正用信号波形取得部60は、校正用信号Erを電磁波検出器で受けるが、この電磁波検出器としては、例えば図1に示しているように、電気光学結晶61(E/0結晶)を用いることができる。前記したように、電気光学結晶61は、所定の光路に電界が発生しているとその光路を進む光の偏光角を電界強度に比例して変化させる作用を有するものである。この場合、光可変遅延器50から出力されたサンプリング光Psを、偏光ビームスプリッタ(以下、PBS)62を通過させて電気光学結晶61に入射させ、その結晶端面の反射膜反射してPBS62に戻るように構成している。ここで、電気光学結晶61中に校正用信号Erによる電界が発生していると、電気光学結晶61から戻ってきたサンプリング光Ps′の偏光角θが電界強度に比例して変化するので、PBS62に戻ったサンプリング光Ps′のうち偏光方向が変化した光成分が分離されて偏光測定器63に入射され、その偏光角θが検出される。

0052

そして、波形取得手段64は、偏光測定器63で測定された偏光角θから校正用信号Erによって電気光学結晶61中に発生している電界強度eを求め、これを光可変遅延器50の遅延時間Δtを変化させつつ連続的に行なうことで、校正用信号波形を求める。

0053

なお、校正用信号波形取得部60の構成は、上記構成例の他に、図4のように、電磁波検出器として、ダイポール型光伝導アンテナ61′を用いることもできる。光伝導アンテナ61′は、GaAs等の半導体基板65の表面に平行伝送路66、67が形成され、その中間部から互いに近づくように突出部(ダイポールアンテナ素子)66a、67aが形成されており、その突出部66a、67aの先端間の隙間である光伝導ギャップGに電界が発生しているとその光伝導ギャップGに光が入射したときの電界強度に比例した電流が平行伝送路66、67に流れるという作用を有するものである。

0054

図4に示しているように、校正用信号Erを受信している状態で、サンプリング光Psを光伝導アンテナ61′の光伝導ギャップGに照射して平行伝送路66、67に流れる電流Iを電流測定器68により測定して波形取得手段64′に与え、その電流Iからサンプリング光Psが入射したタイミングにおける校正用信号Erの電界を求めて、その波形情報を取得する。なお、光伝導アンテナの実現手段としては、上記ダイポール型の他に従来から提案されている種々の構成が採用できる。

0055

位相情報算出手段70は、校正用信号波形取得部60で取得された校正用信号波形から、その校正用信号に含まれる複数の連続波についての位相φ(fa)〜φ(fc)を算出し、これに基づいて各周波数間の位相差の特性を求める。この位相φ(fa)〜φ(fc)の算出処理は、時間領域の校正用信号波形に対するフーリエ変換処理により、その複数の連続波の周波数についての位相を算出するものであり、前記したように、周波数が異なる複数の連続波が合成された信号波形に対するフーリエ変換処理であるので、その位相φ(fa)〜φ(fc)を正確に求めることができる。

0056

また、位相差の算出処理は、例えば1つの校正用信号の波形から得られた1組の位相をφ(fa1)〜φ(fc1)とすると、周波数fa1、fb1における位相差Δφ(fa1)、Δφ(fb1)を、次の演算で求める。

0057

Δφ(fa1)=φ(fb1)−φ(fa1)
Δφ(fb1)=φ(fc1)−φ(fb1)

0058

そして、次の組の位相をφ(fa2)〜φ(fc2)とすると、fa2=fc1であるから、周波数fa2(=fc1)、fb2における位相差Δφ(fa2)、Δφ(fb2)を、次の演算で求める。

0059

Δφ(fa2)=Δφ(fc1)=φ(fb2)−φ(fa2)
Δφ(fb2)=φ(fc2)−φ(fb2)

0060

以下同様の処理を行なうことで、校正対象領域全体で周波数的に連続性を維持した位相差の特性を求めることができる。

0061

なお、以下の説明では、位相および位相差の算出処理を、校正用信号Erの波形が取得される毎に毎回行なう場合について説明するが、ミリ波帯の所定周波数領域全体をカバーする全ての校正用信号についての波形が取得されてから位相および位相差の算出処理をまとめて行なう方法や、校正用信号Erの波形が取得される毎に各連続波についての位相だけ求めておき、ミリ波帯の所定周波数領域全体をカバーする全ての校正用信号について全ての位相が得られてから、領域全体の位相差の算出処理をまとめて行なってもよい。

0062

連続波周波数変更手段80は、前記したように、校正用信号生成部40が生成する校正用信号Erに含まれる複数の連続波の周波数fa〜fcを、ミリ波帯の所定周波数領域内で順次変更させ、位相情報算出手段70に、連続波の各周波数毎の位相と、所定周波数領域全体の位相差の特性Δφ(f)を算出させる。この周波数変更は、前記したように、校正用信号生成部40の合成信号発生器41および信号発生器42aの周波数設定情報切替によって行なう。

0063

次に、この周波数変更処理と位相の算出処理の一例について説明する。
始めに、信号発生器42aの出力信号SGout の周波数を12.5GHzに設定し、それに合わせて同期処理部30のBPF33の通過中心周波数を12.5GHzに設定した状態で、合成信号発生器41で合成される連続波の周波数f1〜f3のスタート周波数f0を24GHzに設定する。

0064

この状態で、図5の(a)のように、fa1=(225+24)GHz、fb1=(225+24+0.1)GHz、fc1=(225+24+0.2)GHzの連続波が合成された校正用信号Er1が生成出力され、サンプリング光Psの遅延時間ΔtをΔTずつ変更することにより、校正用信号Erの波形が取得され、その波形に対する演算処理により、例えば図5の(b)のように、各連続波の周波数fa1〜fc1についての位相φ(fa1)〜φ(fc1)が算出される。また、この位相から図5の(c)のように、周波数間の位相差Δφ(fa1)、Δφ(fb1)が求められる。

0065

そして、合成信号発生器41で合成される連続波のスタート周波数f0を200MHz高く設定して、図6の(a)のように、周波数がそれぞれfa2=(225+24+0.2)GHz、fb2=(225+24+0.3)GHz、fc2=(225+24+0.4)GHzの連続波が合成された校正用信号Er2が生成されて、その波形が取得され、図6の(b)のように、これらの連続波の周波数についての位相φ(fa2)〜φ(fc2)が算出され、その位相から、図6の(c)のように、周波数間の位相差Δφ(fa2)=Δφ(fc1)、Δφ(fb2)が求められる。

0066

以下同様に、合成信号発生器41で合成される連続波のスタート周波数f0を200MHステップで8回増加させることで、(225+24)〜(225+24+1.7)GHzの範囲を100MHzステップで埋める連続波についての位相とその周波数間の位相差を求めることができ、この合成信号発生器41の周波数変更と、信号発生器42aの出力信号SGoutの周波数およびBPF33の通過中心周波数の100MHzステップの周波数変更とを組合せることで、図7に示すように、およそ245〜340GHzまでのミリ波帯の範囲で、100MHz周波数間隔での位相特性Δφ(f)を取得することができる。図7は、3つの連続波の最終のM組目の周波数をfaM〜fcMで表したものである。

0067

このようにして得られた校正用信号Erについての位相特性Δφ(f)は、校正処理部90に与えられる。

0068

校正処理部90は、ミリ波帯信号測定回路1の位相特性の校正に必要な処理を行なうものであり、校正用信号生成部40に対して、波形取得部60の電磁波検出器と等価な環境に配置(具体的には電磁波検出器と置換する)されたミリ波帯信号測定回路1に対して校正用信号Erを送信させるとともに、ミリ波帯信号測定回路1に対して校正モードを指定する。

0069

校正モードが指定されたミリ波帯信号測定回路1は、受信した校正用信号Erをダウンコンバータ2によりデジタル処理可能な中間周波数帯の信号Er(if)に変換し、フーリエ変換等の処理を行い、校正用信号Erに含まれる複数の連続波の位相情報を取得する。なお、ここでは、ダウンコンバータ2が、校正用信号Erをホーンアンテナ2cにより受信する構成としている。

0070

そして、校正処理部90は、連続波周波数変更手段80により、校正用信号Erに含まれる連続波の周波数を、校正対象のミリ波帯の周波数領域内で変化させて、校正用信号Erを受けたミリ波帯信号測定回路1の位相特性Δφ(f)′を取得させる。

0071

校正処理部90は、ミリ波帯信号測定回路1で検出された位相特性Δφ(f)′と、校正用信号Erについて予め得られた位相特性Δφ(f)とを比較し、例えばその差分を求めることで、ミリ波帯信号測定回路1のみの位相特性ΔΦ(f)を求め、この位相特性ΔΦ(f)の情報を、ミリ波帯信号測定回路1の信号処理部3に設定する。

0072

なお、ミリ波帯信号測定回路1の位相特性ΔΦ(f)は、アナログ回路のダウンコンバータ2部分の位相特性が支配的となるから、実質的にダウンコンバータ2の位相特性とみなすことができる。

0073

このようにして、ミリ波帯信号測定回路1の位相特性ΔΦ(f)が得られれば、校正用信号の代わりに被測定信号をミリ波帯信号測定回路1に入力してその測定を行う際に、信号処理部3において、位相に関する情報を位相特性ΔΦ(f)で補償することで、被測定信号についての正確な測定結果を得ることができる。

0074

なお、上記説明では、校正対象を位相に限定して説明したが、校正用信号波形取得部60で取得された時間領域の波形から、校正用信号に含まれる連続波の振幅も正確に把握できるので、振幅に関する校正も同様に行なうことができる。

0075

1……ミリ波帯信号測定回路、2……ダウンコンバータ、20……位相特性校正システム、21……短パルス光源、22……分岐手段、30……同期処理部、31……光電変換素子、32、33……BPF、34、35……同期回路、40……校正用信号生成部、41……合成信号発生器、42……ローカル信号発生器、42a……信号発生器、42b……逓倍器、43……ミキサ、50……光可変遅延器、60……校正用信号波形取得部、61……電気光学結晶、61′……光伝導アンテナ、62……PBS、63……偏光測定器、64、64′……波形取得手段、68……電流測定器、70……位相情報算出手段、80……連続波周波数変更手段、90……校正処理部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ