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課題
解決手段
効果
概要
背景
従来より、人および愛玩動物の排泄物による悪臭の抑制に対する要望は、生活と密着しているため非常に強い。そこで香料組成物による悪臭のマスキング、吸着剤による悪臭物質の除去、抗菌剤による原因菌の生育抑制などの手段がとられてきた。それらの一般的な消臭剤は、既に発生している悪臭に対して消臭する一時的なものである。従って、継続的に供給されないと十分な効果がえられない、悪臭物質が残存している場合、新たに悪臭が発生してしまうといった問題もある。
特に問題になる尿臭は、尿中の成分が微生物により分解されることにより生じることが知られている。その主たる悪臭の原因であるアンモニアは、微生物が産生したウレアーゼ(尿素分解酵素)により尿中の尿素がアンモニアと二酸化炭素に加水分解されて生じる。ウレアーゼ存在下では尿素は迅速に分解される。アンモニアによる急激なpH上昇は、人および愛玩動物の肌荒れやただれといった皮膚トラブルの原因になる。しかもpH上昇によってウレアーゼの効果が向上し、さらにアンモニアの生成が昂進することも知られている。
ウレアーゼを産生し尿中で繁殖する微生物として、プロテウス(Proteus)属、モルガネラ(Morganella)属、クレブシエラ(Klebsiella)属等のグラム陰性細菌、ジェオトガリコッカス(Jeotgalicoccus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属等の細菌類が知られている。また、哺乳類の尿成分においては、尿素が占める割合が高いことも知られている。したがって人または愛玩動物の尿由来の悪臭物質の消臭、防臭のためには、特にアンモニア臭抑制効果が重要である。例えば、ペット用リターの場合は、複数回ペットが排泄するので、その間に繁殖した微生物のウレアーゼにより、尿中の尿素が加水分解され継続的にアンモニアを発生する。従って活性炭などのアンモニアに対して有効な消臭成分を配合した組成物を動物リターに噴霧した場合でも、直後は有効性が認められるが、その後もアンモニアは生成され続けるので少し時間がたつと効果が薄れてしまい何度も噴霧する必要がある。
本発明で言うリターとは、愛玩動物のトイレに敷くセルロースや粘土鉱物の造粒物、砂などを指しており、トイレの見た目を良好にする、水分を吸収させ清潔に保つなどの目的で使用されるものである。
消臭剤にウレアーゼ阻害剤を配合することで、アンモニアの発生を抑制して、尿臭を抑制する試みがなされている。ポリアニオン性キレート剤と金属の錯体を含む組成物(特許文献1)、フラボン類、フラボノール類、ジヒドロフラボノール類およびカテキン類からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有するウレアーゼ阻害剤(特許文献2)等が開示されている。また、ウレアーゼ産生能を有する微生物の生育を抑制する技術として、抗菌性ビス第4級アンモニウム塩化合物を配合した組成物(特許文献3)等が開示されている。ウレアーゼが少ない環境下では、ウレアーゼ阻害剤のみでも充分な効力を発揮することができる。ところがウレアーゼ活性の強い微生物が増殖し、尿中のウレアーゼ活性が高くなると、所望の防臭効力が充分に発揮できない。さらに、ウレアーゼ阻害剤は、尿素の加水分解によるアンモニアの発生を抑制することはできるが、既に存在しているアンモニアを分解することはできない。しかも、代表的なウレアーゼ阻害剤である塩化亜鉛は、小核試験やAmes試験が陽性で変異原性があることが知られており、直接人や愛玩動物に接触することは好ましくない。
さらに、ペット用リターに処理するスプレー用組成物として使用できる組成物(特許文献4)が開示されている。この組成物は、アンモニア臭に対する総合的な消臭、防臭効果を得るためにウレアーゼ阻害剤、抗菌剤、pH調整剤、プロテアーゼの少なくとも1種の属性を含むリター処理用組成物である。動物リター専用の組成物であるため、開示された組成物の中には皮膚刺激やトラブルの原因になる成分も含まれる。さらに、処理後のアンモニアの発生は、対策されているが、既にできてしまったアンモニアの消臭に関しては、香料を用いる対策であるため動物の個体によっての好き嫌いが発生すると思われる。日常的に使用する消臭、防臭組成物の場合は、できるだけ臭いの少ない組成物の方が望ましい。さらにプロテアーゼを配合している場合は、排泄物中のタンパク質の分解により、硫黄、窒素系の悪臭物質が生成する可能性が否定できない。
また、排泄物のアンモニア以外の悪臭物質としては、有機酸(酢酸、酪酸、イソ吉草酸等)、アミン系成分(トリメチルアミンなど)、アルデヒド(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等)、硫黄系有機物(硫化水素、メルカプタン等)などの微生物の代謝で生成される成分が挙げられる。従って、ウレアーゼ阻害剤のみでは、排泄物の消臭、防臭効果は充分ではない。そこで抗菌性成分が有効であると思われるが、産業上利用されている抗菌性成分で、浸透圧が高く、かつ既にウレアーゼ活性を有する菌が繁殖してアルカリ性であるという尿に対しては、充分な抗菌活性を示すものは少ない。
一方、それぞれの有効成分を安定的に配合するため基材としてエタノールが使用されることが多い。例えば、特許文献5で開示されているβ−グルクロニダーゼを有効成分としたスプレー式尿臭生成抑制用組成物の実施例では、最低でも5重量%、多いものでは90重量%以上のエタノールが配合されている。エタノールは高い溶媒性能をもち、組成物の相溶性を向上させ低温での沈殿、分離を防ぐことで市場での安定性を確保するために用いられる。さらに良好な抗菌性を持つため組成物の防腐効果や、高濃度に配合して塗布部の殺菌を目的としても配合される。しかも揮発性が高く、乾燥したあとは残りが無くベタツキなどを残さずに良好な乾燥性が得られる。そのためほとんどの消臭、防臭組成物に配合されている。しかしながらエタノールは皮膚刺激性を持つことは良く知られており、直接皮膚に塗布する場合はできるだけ少量の配合が望ましい。また特有の臭いを持つため、使用濃度によっては香料などでマスキングしないと使用するのに差し支えることがある。さらに当然、子供や愛玩動物に高濃度のエタノールを含有する組成物を使用することは控えたい。
概要
排泄物から発生する悪臭に対し、即効性と持続性に優れ、基材としてエタノールを配合しなくとも、安定性が良好で、素早い乾燥性能を有し、乾燥後のベタツキを残さない消臭、防臭剤組成物の提供。(A)ウレアーゼ阻害剤、(B)柿、コーヒー、カカオ、ブドウ、グレープフルーツ、茶、リンゴから選ばれる1種以上の植物エキス、(C)カチオン系抗菌剤、(D)シクロデキストリン、(E)水、を含有する消臭、防臭組成物。前記組成物は、保存安定性および肌への感触が良好で、消臭、防臭効果の高い組成物である。なし
目的
特に尿素を起因とするアンモニア臭制御に優れる消臭、防臭組成物であり、その組成物を用いることで日常生活が快適になることを目的とした
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
次の成分(A)〜(E)を含む消臭、防臭用組成物。(A)ウレアーゼ阻害剤(B)柿、コーヒー、カカオ、ブドウ、グレープフルーツ、茶、リンゴから選ばれる1種以上の植物エキス(C)カチオン系抗菌剤(D)シクロデキストリン(E)水
請求項2
請求項3
請求項4
(C)カチオン系抗菌剤が塩化セチルピリジニウムおよびヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種または2種を含有する請求項1〜3に記載の消臭、防臭用組成物。
請求項5
(D)シクロデキストリンが、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、およびそれら誘導体から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1〜4に記載の消臭、防臭用組成物。
請求項6
さらに多価アルコールのエーテル誘導体型抗菌剤としてフェノキシエタノールまたは/およびグリセリンモノエチルヘキシルエーテルを含有する請求項1〜5に記載の消臭、防臭用組成物。
技術分野
0001
本発明は、人および愛玩動物の排泄物の消臭、防臭を目的とした組成物である。特に尿素を起因とするアンモニア臭制御に優れる消臭、防臭組成物であり、その組成物を用いることで日常生活が快適になることを目的としたものである。
背景技術
0002
従来より、人および愛玩動物の排泄物による悪臭の抑制に対する要望は、生活と密着しているため非常に強い。そこで香料組成物による悪臭のマスキング、吸着剤による悪臭物質の除去、抗菌剤による原因菌の生育抑制などの手段がとられてきた。それらの一般的な消臭剤は、既に発生している悪臭に対して消臭する一時的なものである。従って、継続的に供給されないと十分な効果がえられない、悪臭物質が残存している場合、新たに悪臭が発生してしまうといった問題もある。
0003
特に問題になる尿臭は、尿中の成分が微生物により分解されることにより生じることが知られている。その主たる悪臭の原因であるアンモニアは、微生物が産生したウレアーゼ(尿素分解酵素)により尿中の尿素がアンモニアと二酸化炭素に加水分解されて生じる。ウレアーゼ存在下では尿素は迅速に分解される。アンモニアによる急激なpH上昇は、人および愛玩動物の肌荒れやただれといった皮膚トラブルの原因になる。しかもpH上昇によってウレアーゼの効果が向上し、さらにアンモニアの生成が昂進することも知られている。
0004
ウレアーゼを産生し尿中で繁殖する微生物として、プロテウス(Proteus)属、モルガネラ(Morganella)属、クレブシエラ(Klebsiella)属等のグラム陰性細菌、ジェオトガリコッカス(Jeotgalicoccus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属等の細菌類が知られている。また、哺乳類の尿成分においては、尿素が占める割合が高いことも知られている。したがって人または愛玩動物の尿由来の悪臭物質の消臭、防臭のためには、特にアンモニア臭抑制効果が重要である。例えば、ペット用リターの場合は、複数回ペットが排泄するので、その間に繁殖した微生物のウレアーゼにより、尿中の尿素が加水分解され継続的にアンモニアを発生する。従って活性炭などのアンモニアに対して有効な消臭成分を配合した組成物を動物リターに噴霧した場合でも、直後は有効性が認められるが、その後もアンモニアは生成され続けるので少し時間がたつと効果が薄れてしまい何度も噴霧する必要がある。
本発明で言うリターとは、愛玩動物のトイレに敷くセルロースや粘土鉱物の造粒物、砂などを指しており、トイレの見た目を良好にする、水分を吸収させ清潔に保つなどの目的で使用されるものである。
0005
消臭剤にウレアーゼ阻害剤を配合することで、アンモニアの発生を抑制して、尿臭を抑制する試みがなされている。ポリアニオン性キレート剤と金属の錯体を含む組成物(特許文献1)、フラボン類、フラボノール類、ジヒドロフラボノール類およびカテキン類からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有するウレアーゼ阻害剤(特許文献2)等が開示されている。また、ウレアーゼ産生能を有する微生物の生育を抑制する技術として、抗菌性ビス第4級アンモニウム塩化合物を配合した組成物(特許文献3)等が開示されている。ウレアーゼが少ない環境下では、ウレアーゼ阻害剤のみでも充分な効力を発揮することができる。ところがウレアーゼ活性の強い微生物が増殖し、尿中のウレアーゼ活性が高くなると、所望の防臭効力が充分に発揮できない。さらに、ウレアーゼ阻害剤は、尿素の加水分解によるアンモニアの発生を抑制することはできるが、既に存在しているアンモニアを分解することはできない。しかも、代表的なウレアーゼ阻害剤である塩化亜鉛は、小核試験やAmes試験が陽性で変異原性があることが知られており、直接人や愛玩動物に接触することは好ましくない。
0006
さらに、ペット用リターに処理するスプレー用組成物として使用できる組成物(特許文献4)が開示されている。この組成物は、アンモニア臭に対する総合的な消臭、防臭効果を得るためにウレアーゼ阻害剤、抗菌剤、pH調整剤、プロテアーゼの少なくとも1種の属性を含むリター処理用組成物である。動物リター専用の組成物であるため、開示された組成物の中には皮膚刺激やトラブルの原因になる成分も含まれる。さらに、処理後のアンモニアの発生は、対策されているが、既にできてしまったアンモニアの消臭に関しては、香料を用いる対策であるため動物の個体によっての好き嫌いが発生すると思われる。日常的に使用する消臭、防臭組成物の場合は、できるだけ臭いの少ない組成物の方が望ましい。さらにプロテアーゼを配合している場合は、排泄物中のタンパク質の分解により、硫黄、窒素系の悪臭物質が生成する可能性が否定できない。
0007
また、排泄物のアンモニア以外の悪臭物質としては、有機酸(酢酸、酪酸、イソ吉草酸等)、アミン系成分(トリメチルアミンなど)、アルデヒド(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等)、硫黄系有機物(硫化水素、メルカプタン等)などの微生物の代謝で生成される成分が挙げられる。従って、ウレアーゼ阻害剤のみでは、排泄物の消臭、防臭効果は充分ではない。そこで抗菌性成分が有効であると思われるが、産業上利用されている抗菌性成分で、浸透圧が高く、かつ既にウレアーゼ活性を有する菌が繁殖してアルカリ性であるという尿に対しては、充分な抗菌活性を示すものは少ない。
0008
一方、それぞれの有効成分を安定的に配合するため基材としてエタノールが使用されることが多い。例えば、特許文献5で開示されているβ−グルクロニダーゼを有効成分としたスプレー式尿臭生成抑制用組成物の実施例では、最低でも5重量%、多いものでは90重量%以上のエタノールが配合されている。エタノールは高い溶媒性能をもち、組成物の相溶性を向上させ低温での沈殿、分離を防ぐことで市場での安定性を確保するために用いられる。さらに良好な抗菌性を持つため組成物の防腐効果や、高濃度に配合して塗布部の殺菌を目的としても配合される。しかも揮発性が高く、乾燥したあとは残りが無くベタツキなどを残さずに良好な乾燥性が得られる。そのためほとんどの消臭、防臭組成物に配合されている。しかしながらエタノールは皮膚刺激性を持つことは良く知られており、直接皮膚に塗布する場合はできるだけ少量の配合が望ましい。また特有の臭いを持つため、使用濃度によっては香料などでマスキングしないと使用するのに差し支えることがある。さらに当然、子供や愛玩動物に高濃度のエタノールを含有する組成物を使用することは控えたい。
先行技術
0009
特表2004−515292号公報
特開2004−91338号公報
特開2000−136315号公報
特表2002−514912号公報
特開2014−195696号公報
発明が解決しようとする課題
0010
排泄物から発生する悪臭に対し、即効性があり、かつ、持続的に効果のある消臭、防臭剤組成物を提供する。さらに基材としてエタノールを配合しなくとも、安定性が良好で、素早い乾燥性能を有し、乾燥後のベタツキを残さない組成物を得ることを課題とする。
課題を解決するための手段
0011
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、
(A)ウレアーゼ阻害剤
(B)柿、コーヒー、カカオ、ブドウ、グレープフルーツ、茶、リンゴから選ばれる1種以上の植物エキス
(C)カチオン系抗菌剤
(D)シクロデキストリン
(E)水
を含有する消臭、防臭組成物が高い保存安定性を有すると伴に、アンモニアを起因とする尿の臭いの消臭、防臭に有効であり、さらにアンモニア臭以外の悪臭にも広く効果を有し、人及び愛玩動物の消臭、防臭組成物として有用なものであった。
発明の効果
0012
本発明では、人及び愛玩動物の排泄物から発生する悪臭に対し優れた即効性の消臭効果があり、かつ持続的に防臭効果がある。特に尿素を起因とするアンモニアに対して有効であり、他の悪臭物質に対しても良好な効果を有している。消臭、防臭効果以外にも、アンモニアの生成が抑制されるので人や愛玩動物の「おむつカブレ」のような皮膚トラブルも緩和される。さらに高い溶媒性能や揮発性能および抗菌・殺菌性能をもつエタノールを基材として採用しなくても保存安定性に優れ、また充分な乾燥性を有し、乾燥後のベタツキを残さない。しかも肌に対する刺激性が低く安全性の高い消臭、防臭剤組成物が提供できる。
発明を実施するための最良の形態
0014
本明細書中の消臭とは、悪臭物質を臭わなくする効果を言う。防臭とは、悪臭物質を発生させない、または、悪臭物質を臭わなくした状態を維持することを言う。
0015
本発明に係る消臭、防臭組成物には、成分(A)ウレアーゼ阻害剤として、カプリルヒドロキサム酸誘導体や、ウレアーゼ阻害能を有する植物抽出物を使用できる。
0016
カプリルヒドロキサム酸は、オクタノヒドロキサム酸とも呼ばれ、金属キレート剤としてよく知られており、一般構造式は CH3-(CH2)6-C(=O)-NH-OH で表される。抗菌性を有していることも知られているが、その主たる効果は金属イオン、特に鉄イオンと錯体を形成することにある。前記市販品の具体例としては、商品名で、Zeastat、Spectrastat E、Gなど(カプリルヒドロキサム酸混合物、INOLEX社製)として化粧品用に販売されている。
0017
本発明の消臭、防臭剤に含有される成分(A)カプリルヒドロキサム酸の濃度は、組成物中0.001〜2.0重量%、好ましくは0.005〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。この範囲でウレアーゼ阻害効果が非常に良好であり、1.0重量%以上ではコストが高くなる。
0018
成分(A)ウレアーゼ阻害効果を有する植物エキスとして、月見草エキスが好適である。一般的に月見草としては、コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)、マツヨイグサ (Oenothera striata)、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)、オオマツヨイグサ(Oenothera erythrosepala)の4種を指すことが多い。北アメリカでは、ネイティブアメリカンが栽培をおこなっており、腫れ物や痔の治療に用いたり、体力増進を目的として使用していたことが知られている。ウレアーゼ阻害効果を目的にする月見草抽出エキスは、抽出溶媒を特に限定する必要はなく、水性溶媒および有機溶媒が用いられる。必要に応じて、有機溶媒および水の混合溶媒でも良く、用いる有機溶媒としては低級アルコールや多価アルコールが好ましい。抽出する植物体の部位を特に限定しないが、種子の抽出物が好ましく、市販品の具体例としては、商品名で、ルナホワイトB(一丸ファルコス社:エキス中乾燥固形分1.0重量%)などが化粧品用に販売されている。
0019
本発明の消臭、防臭剤に含有される月見草エキスの濃度は、乾燥固形分として0.001〜1.0重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%である。この範囲で、良好なウレアーゼ阻害効果が得られ、1.0重量%以上ではコスト的に高くなりすぎる。
0020
成分(B)の植物エキスは、消臭能を有することで知られている。成分(B)の植物エキスは、公知の方法により調製されたものを使用してもよいし、また市販のものを使用してもよい。植物部位は特に制限されないが、果実、種子または葉が好適である。特にタンニンまたはカテキンの類縁物質を含む植物部位が好ましく、特に柿ポリフェノールまたは、茶ポリフェノールを含むエキスが好適である。
0021
成分(B)の植物エキスは、植物単独あるいは複数の植物から植物抽出物を調製することができる。また、単独の植物抽出物を得、ついでそれら単独の植物抽出物を混合することもできる。植物エキスの製造方法は特に制限されない。また、植物エキスは、市販品を用いることができ、具体例としては、商品名で、PANCILCOS−17(柿抽出エキス、リリース科学工業株式会社製:エキス中乾燥固形分2.2%)などが挙げられる。
0022
成分(B)の植物エキスの濃度は、乾燥固形分として0.001〜2.0重量%、好ましくは0.005〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。この範囲では、悪臭物質の消臭効果が良好である。2.0重量%以上ではコストが高くなりすぎる。
0023
本発明の消臭、防臭剤に含有されるカチオン性の抗菌剤は、ウレアーゼを産生する微生物の繁殖を抑えることでアンモニアの発生を抑制する防臭効果を向上させる。さらにウレアーゼ産生微生物と同様に他の腐敗性微生物の繁殖も阻害するので、特に排泄物中のたんぱく質を起源とする硫黄、窒素を含有するメチルメルカプタン、トリメチルアミンなどの悪臭物質の生成も抑制する。さらに抗菌剤としてカチオン系と多価アルコールのエーテル誘導体型の2種類を併用すると、効率的に多種類の微生物の繁殖を抑制することができる。
0024
成分(C)カチオン性の抗菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、セトリモニウム、塩化ドファニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化ドミフェンなどが利用でき、特に塩化セチルピリジニウムまたは/およびヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩が好適である。
0025
塩化セチルピリジニウムは、細胞膜の破壊、酵素阻害による即効性の接触型の殺菌作用をもつ。水に溶解性が高いため本組成物での処方化が容易である。さらに、繊維や無機粉体など多くの固体に吸着されやすいため、二次加工用にも適する。安全性に関しては、早くから薬局方や化粧品原料基準に収載されており、マウスウォッシュや歯磨き用ペーストなどの口腔洗浄剤に利用されており、咽頭、外皮消毒剤などの医薬品、医薬部外品にも使用されている。また、シャンプーやボディソープなどにデオドラント効果をもつ化粧品などにも配合されており、高い安全性を有することはよく知られている。前記市販品の具体例としては、商品名で、塩化セチルピリジニウム(和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
0026
また、ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩は、L-アルギニンとDL-ピロリドンカルボン酸、脂肪酸などからつくったアミノ酸系カチオン界面活性剤である。 安全性が高く、殺菌性もあり、除菌製品などにも好適である。カチオン界面活性剤でありながら生分解性に優れている。 前記市販品の具体例としては、商品名で、CAE(ココイルアルギニンエチルPCA、味の素ヘルシーサプライ株式会社製)が挙げられる。
0027
カチオン性抗菌剤の配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、組成物全量に対し0.005〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、更に好ましくは0.03〜0.1重量%の範囲で用いられる。
0028
本発明で配合される成分(D)シクロデキストリンとしては、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンおよび/またはそれらの誘導体、あるいはそれらの混合物が挙げられる。シクロデキストリンの誘導体としては、例えば水酸基の一部がOR基に置換された分子が挙げられる。Rの例としては、メチル基、エチル基等の炭化水素、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基のようなヒドロキシアルキル基、マルトース、グルコースなどの糖(分岐シクロデキストリン)、アミン、カルボキシル基を除くアニオン性基、モノクロロトリアジノ基が挙げられる。
0029
シクロデキストリン分子の空洞は疎水性である、シクロデキストリンの空洞中に有機分子または有機分子の一部を吸着させた包接体を形成することができる。そのため消臭組成物に配合すると、悪臭物質を包摂することにより消臭する。悪臭物質、特に微生物の代謝によって発生する低極性の悪臭物質に対して有効である。例えば、特にα-シクロデキストリンはイソ吉草酸のような短鎖脂肪酸やメチルメルカプタンなどを捕捉し消臭することができることは良く知られている。シクロデキストリンは一般的に、アンモニアのような極性物質に対しては、有効性がほとんどないと知られている。しかし本発明の構成においては、意外にも非常に効果的に消臭・防臭の有効性が向上した。
前記市販品の具体例としては、商品名で、CAVAMAX W6、W7、W8、 CAVASOL W7 HP、W7 M(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン、メチル化βシクロデキストリン:WACKERCHEMICALS社製)などが挙げられる。
0030
本発明の消臭、防臭剤に含有されるシクロデキストリンの合計濃度は0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%、より好ましくは0.5〜3.0重量%である。この範囲では悪臭物質の消臭効果が非常に良好である。5.0重量%以下では、低温での保存安定性や、使用性が非常に良好である。
0031
多価アルコールのエーテル誘導体型抗菌剤としては、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリンが挙げられる。フェノキシエタノールは、エチレングリコールとフェノールがエーテル結合した構造である。パラベンよりも安全性が高いということで、多くの化粧品に防腐剤として配合されている。前記市販品の具体例としては、商品名で、NEOLON PH100(DOW CHEMICAL社製)などが挙げられる。エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンと2-エチルヘキシルアルコールからなる高い抗菌力と幅広い抗菌スペクトルを持つ安全性の高いポリオール成分である。腋臭原因菌を抑制するデオドラント効果のほか、エモリエント効果、可溶化補助、感触向上、香料の芳香性や持続性向上作用などの機能を発揮する多機能性成分として知られている。前記市販品の具体例としては、商品名で、SENSIVA SC−50(SCHULKE&MAYR社製)などが挙げられる。
0032
多価アルコールのエーテル誘導体型抗菌剤の配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、組成物全量に対し0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲で用いられる。
0033
本発明の消臭、防臭組成物は、pHを酸性域に調整することが好ましい。特にpHは3.5〜5.5の範囲で好適である。pHを調整するための成分としては、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウムが好適であった。pHを3.5以上にした場合は、皮膚に対しての刺激性が緩和であった。pHが5.5以下では、ウレアーゼの尿素分解速度が効果的に抑制でき、アンモニアの発生を抑制することができる。
0034
さらに、本消臭、防臭組成物にHLB12〜18の非イオン性界面活性剤を配合することで、安定性が向上すると共に浸透性も改善し、良好な防臭効果が得られる。非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明の非イオン性界面活性剤は、付加モル数によって限定されないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば付加モル数は50モル以上100モル以下のものが挙げられ、好ましくは60モルである。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)などが挙げられる。安定性を向上するには、水に対して可溶化力が高いものが望ましく、HLB12〜18の親水性のものが望ましい。また、これらの非イオン性界面活性剤を配合することで、表面張力が低下し繊維の空隙やリターの空孔などへの浸透性が向上し防臭効果が高まった。
0035
HLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスを表す数値であり、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。
本発明では下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
0036
本発明には、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の成分として一般的に水性組成物に用いられる成分を配合することができる。例えば、増粘剤、保湿剤、エモリエント剤、pH調整剤、香料、酸化防止剤、キレート剤、必須成分以外の植物エキス、褪色防止剤等をあげることができる。
0037
上記以外の成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールや1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール類も配合することができる。ただしこれらの多価アルコール類を多量に配合した場合は、乾燥が遅くなったり、ペットシーツやリターが湿ってしまう、乾燥後でもべたついて肌への感触が重たくなるといったことがあるため、組成物全量に対して20重量%以下の配合量で用いるのが好ましい。
0038
本発明の消臭、防臭組成物の具体例としては、人用であれば、直接肌に塗布するローションや、おむつ、成人失禁着衣のような吸収体の防臭処理製品、お尻拭き用のウェットティッシュのような含浸製品、便器周りの消臭、防臭スプレーなどに利用できる。また、愛玩動物用であれば、ペット用のリターやペットシートの吸収体を防臭処理する組成物。散歩をするときのマーキング用消臭スプレーや、排泄後のお尻拭きなどに用いることができる。
0039
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
0041
<保存安定性の評価>保存安定性は、実施例1、比較例1〜5により得られた組成物を1ヶ月、5℃に保存した後の溶存状態を目視により観察することにより、以下の基準にて評価した。結果を表1に併せて示す。
○:透明に溶解している。
×:白濁、又は沈殿物がある。
0042
<使用感触の評価>市販のペットシーツ(アイリスオーヤマ社製:ペットシーツ薄型レギュラー)の表面に一定量を均等にスプレーした後(1.5g:トリガータイプスプレー容器で5回スプレーした量)、10分後に表面を触って以下の基準にて評価した。スプレーするときに臭いも確認した。
○:後残り感が無く、サラッとしている。
×:べたつきが残り、不快感を感じる。
0043
0044
表1より、本発明の組成物は、良好な保存安定性と、良好な使用感を示していることがわかる。
0045
比較例5、6、7は、カチオン性抗菌剤の代わりに一般的な抗菌剤であるエチルパラベンを用いた組成物で保存安定性、使用感、臭いを比較したものである。エチルパラベンは本発明の組成物中において溶解性が悪く、剤の安定性を保持することができなかった。
参考例1はエタノール20%を配合することで保存安定性は良好であり本発明の効果を奏しているが、調製した組成物自体に強いアルコール臭を感じる傾向がある。比較例5はエタノールの代わりに1,3‐ブチレングリコールを実施例1と同量配合しているが保存安定性試験で白濁し沈殿してしまったため市場品質を確保することはできないと考える。比較例7のように、エチルパラベンを配合した場合の保存安定性向上を目指して1,3‐ブチレングリコールを増量したが、15%まで増量しても保存安定性を満たすことはできなかった。比較例6は多価アルコールを保存安定性試験に合格するまで増量したものである。保存安定性は問題なかったが多価アルコールの量が多いため、明らかに湿っており、ベタツキが強くなってしまい使用性が悪い。
0046
<消臭、防臭性の評価>得られた組成物を室内で飼育されている犬および猫のペットシーツ、またはリターにスプレーし、飼い主による官能評価を行った。
○:明確に消臭効果あり
×:消臭効果がない
以上の評価方法にて官能試験を行い、評価「○」の数を評価点とした。結果を表2にまとめた。
0047
0048
表2より実施例1と比較例1〜4の組成物について、消臭、防臭効果試験を行ったところ、実施例1が良好な消臭、防臭性を示していることが確認された。比較例1〜4については、評価が低い結果だった。
0049
0050
<実施例2〜9>表3に示す処方で組成物を製造した。製造方法は各成分を精製水に溶解させて製造する。なお、溶解に時間がかかる場合は、加温することも可能である。
得られた組成物は、優れた消臭、防臭効果が得られ、良好な保存安定性、使用感触を示した。