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図面 (4)

課題

癌、感染性疾患、GVHD、移植拒絶、1つ以上の自己免疫障害、又は放射線疾患等の疾患又は病態を低減、若しくは寛解、又は予防若しくは治療するための修飾されたT細胞を含む、組成物及び方法の提供。

解決手段

T細胞受容体(TCR)複合体を不安定にするTCR抑制分子をT細胞中発現させることによって、TCR複合体の要素の発現を減少又はブロックし、さらにキメラ腫瘍標的受容体を発現するように操作された場合を含む、修飾されたTCR欠損T細胞。

概要

背景

癌の世界的な負担は1975年から2000年の間に2倍になり、癌は2010年までに死亡の主因になると予想される。アメリカがん協会によると、2020年までに再度2倍、2030年までに3倍になることが予想される。そのため、様々な形式の癌を治療するためのより効果的な療法が必要とされる。理想的には、どんな癌療法も、(癌細胞殺すことに)効果的であり、標的化され(いわゆる健康な細胞を殺すことを回避するために選択的)、(再発および転移を避けるために)持続的であり、誰でも受け易くあるべきである。大部分の癌ケアの今日の標準は、これらの基準のいくつかまたは全てにおいて、不足している。

細胞免疫療法は特定の腫瘍死滅をもたらすことを示しており、特定のおよび効果的な癌療法を提供する可能性がある(Ho、W.Y.ら2003.Cancer Cell 3:1318−1328;Morris、E.C.ら2003.Clin.Exp.Immunol.131:1−7;Rosenberg、S.A.2001.Nature 411:380−384;Boon、T. and P.van der Bruggen.1996.J.Exp.Med.183:725−729)。T細胞は、選択的認識および強力なエフェクター機序があるため、癌免疫療法に一般的に好まれるエフェクター細胞であることが多い。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を使用して、自己主要組織適合性複合体MHC)の文脈で、内部の分子タンパク質から生じる特定のペプチドを認識する。

当該技術分野では、二量体の形成、およびこれらの二量体(TCR-アルファベータ、CD3-ガンマ/エプシロン、CD3-デルタ/エプシロン、およびCD3-ゼータ二量体)を細胞表面に輸出することのできる1つのTCR複合体に関連することによって、TCR複合体が正確に恊同していることを認識している。これらの複合体を適切に形成できないことにより、TCR構築および発現が抑制される(Call、M.E.ら、(2007)Nature Rev.Immunol.,7:841−850;Call、M.E.ら、(2005)Annu.Rev.Immunol.,23:101−125)。

個々のTCR鎖の特定のアミノ酸残基は、適切な二量体形成およびTCR構築に重要なものとして認められている。具体的には、TCR-アルファについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸アルギニン(CD3-ゼータに結合して)およびリジン(CD3-エプシロン/デルタ二量体に結合して)である。TCR-ベータについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はリジン(CD3-エプシロン/ガンマ二量体に結合して)である。CD3-ガンマについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はグルタミン酸である。CD3-デルタについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である。CD3-エプシロンについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である。CD3-ゼータについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である(Call、M.E.ら、(2007)Nature Rev.Immunol.,7:841−850;Call、M.E.ら.,(2005)Annu.Rev.Immunol.,23:101−125)。

腫瘍内の改変または変異したタンパク質から生じるペプチドは、特定のTCRによって認識することができる。いくつかの重要な研究が、患者に効果的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の反応を誘導することのできる特定の腫瘍に関連する抗原を同定した(Ribas、A.ら2003.J.Clin.Oncol.21:2415−2432)。T細胞エフェクターの機序として、腫瘍細胞を直接殺す能力、およびその他の宿主免疫細胞活性化し、局所的な腫瘍の微小環境を変化させるサイトカインの生成が挙げられる。理論的には、T細胞は単一変異ペプチドを発現する腫瘍細胞を識別し、破壊することができると思われる。低用量のIL−2でMART1またはgp100に特異的なCTLクローンによる養子免疫療法は、ある患者では腫瘍量が減少し、または安定させるのに効果的である(Yee、C.ら2002.Proc.Natl.Acad.Sci.USA99:16168−16173)。その他のアプローチは定義された抗腫瘍受容体と共にT細胞を使用することである。これらのアプローチとして、腫瘍ペプチドおよびMHCを認識する新しい抗原特異的T細胞受容体でCTLを遺伝学的に修飾すること、適切なシグナリング要素と結合された単一鎖抗体フラグメント(scFv)から生じるキメラ抗原受容体(CARS)、またはキメラNK細胞受容体の使用が挙げられる(Ho、W.Y.ら2003.Cancer Cell 3:431−437;Eshhar、Z.ら1993.Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:720−724;Maher、J. and E.T.Davies.2004.Br.J.Cancer 91:817−821;Zhang、T.ら2005.Blood 106:1544−1551)。

通常の化学療法または放射線治療に失敗し、または再発し、1種類以上の療法を試したことのある患者に、細胞療法を使用する。ひと通りの化学療法を受けていたかもしれない進行した癌を持つ患者の免疫細胞は、健康な個体ほど強く反応しない。さらに、癌患者高齢であることが多く、in vitro活性化および増殖後であっても、免疫細胞が刺激されたエフェクター細胞になる能力に限界があり得るその他の疾患を罹患している場合がある。さらに、免疫細胞が新しい免疫受容体を発現するように操作するために、個々の癌患者は十分な数の自分の免疫細胞を提供しなければならない。各療法を患者にカスタムメイドしなければならないため、このプロセスは、当該療法を受けると決心してから数週間を要することになり、その間も癌は増殖し続ける。米国特許出願第US2002/0039576号は、T細胞活性を調節する方法を開示し、使用するT細胞はCD3+−αβ−TcR+CD4−CD8−CD28−NK1.1−の表現型を有する。米国特許出願第US2006/0166314号は、癌を治療するために、変異したT細胞の使用を開示し、そのT細胞はT細胞反応媒介性MDM2タンパク質特異的αβ−T細胞受容体を伴うものである。

T細胞の操作が効果的な療法に成り得るのは癌だけではない。T細胞のT細胞受容体を活性化することは、免疫系の活動を刺激する身体の反応に欠かせないことが知られている。例えば、T細胞受容体の多様性が、移植片対宿主病(GVHD)、特に慢性GVHDに役割を似合うことが示されている(Andersonら(2004)Blood 104:1565−1573)。事実、T細胞受容体抗体を投与すると、急性GVHDの症状が軽減することが示された(Maedaら(2005)Blood 106:749−755)。

特定の疾患および障害を治療するためにもっと効果的なT細胞に基づく療法、および新しい種類のT細胞の設計に基づく治療方法が必要とされている。

概要

癌、感染性疾患、GVHD、移植拒絶、1つ以上の自己免疫障害、又は放射線疾患等の疾患又は病態を低減、若しくは寛解、又は予防若しくは治療するための修飾されたT細胞を含む、組成物及び方法の提供。T細胞受容体(TCR)複合体を不安定にするTCR抑制分子をT細胞中で発現させることによって、TCR複合体の要素の発現を減少又はブロックし、さらにキメラの腫瘍標的受容体を発現するように操作された場合を含む、修飾されたTCR欠損T細胞。

目的

細胞免疫療法は特定の腫瘍の死滅をもたらすことを示しており、特定のおよび効果的な癌療法を提供する

効果

実績

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請求項1

単離されたT細胞受容体(TCR)欠損細胞を生成させる方法であって、TCR複合体の要素の発現を減少し、またはブロックすることによって、TCR複合体を不安定にするTCR抑制分子TIM)をT細胞中で発現させることを含み、当該細胞はさらに操作されて、キメラ腫瘍標的受容体を発現するものであってもよい、方法。

請求項2

前記TCR欠損T細胞は、TCR複合体の少なくとも1つの要素の細胞表面発現を欠いている、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記TCR欠損T細胞は、TCR複合体の全要素の細胞表面発現を欠いている、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記TCR欠損T細胞は、機能的TCRを発現しない、請求項1に記載の方法。

請求項5

TCR欠損T細胞中で少なくとも1つの機能的非TCR受容体を発現させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項6

少なくとも1つの機能的非TCR受容体は、シグナリングドメインに結合されるリガンド結合ドメインを含むキメラ受容体である、請求項5に記載の方法。

請求項7

リガンド結合ドメインはNKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、またはNKp80から得られる、請求項6に記載の方法。

請求項8

リガンド結合ドメインは抗腫瘍キメラ抗原受容体または抗腫瘍抗体から得られる、請求項6に記載の方法。

請求項9

抗腫瘍抗体は、抗Her2neu抗体または抗EGFR抗体から得られる、請求項8に記載の方法。

請求項10

シグナリングドメインはCD3ゼータ、Dap10、CD28、41BB、またはCD40Lから得られる、請求項6に記載の方法。

請求項11

少なくとも1つの機能的非TCR受容体はMIC−A、MIC−B、Her2neu、EGFRメソテリン、CD38、CD20、CD19、PSA、MUC1、MUC2、MUC3A、MUC3B、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC6、MUC7、MUC8、MUC12、MUC13、MUC15、MUC16、MUC17、MUC19、MUC20、エストロゲン受容体プロゲステロン受容体、RON、またはULBP/RAET1ファミリーの1つ以上のメンバーを結合する、請求項5に記載の方法。

請求項12

ULBP/RAET1ファミリーの1つ以上のメンバーは、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5、およびULBP6を包含する、請求項11に記載の方法。

請求項13

少なくとも1つの機能的非TCR受容体は、感染された細胞の表面に認められるウイルス抗原またはウイルス誘導抗原に結合する、請求項5に記載の方法。

請求項14

ウイルスは、HCMV、HIVEBVHBV、HCVエボラウイルスハンタウイルス、またはVSVから選択される、請求項13に記載の方法。

請求項15

T細胞はヒトT細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項16

前記T細胞中で優性選択マーカーを発現させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項17

TIMは低分子ヘアピン型RNAである、請求項1に記載の方法。

請求項18

TIMはドミナントネガティブ阻害タンパク質である、請求項1に記載の方法。

請求項19

ドミナントネガティブ阻害タンパク質は、シグナルモチーフを欠損し、その他のTCR要素との結合を妨害し、リガンド結合を妨害し、または抑制性シグナルモチーフを含むように修飾される少なくとも1つの全長または短縮TCR要素をコードするポリヌクレオチドを組み込んだミニ遺伝子によってコードされる、請求項18に記載の方法。

請求項20

キメラ受容体はNKG2Dからのリガンド結合ドメイン、およびCD3-ゼータからのシグナリングドメインを含む、請求項6に記載の方法。

請求項21

キメラ受容体はchNKG2Dである、請求項20に記載の方法。

請求項22

異なるHLAハプロタイプを有するバンクTCR欠損T細胞を生成させる方法であって、特定のHLAハプロタイプを有する単離されたT細胞のプールを得て、TCR複合体の要素の発現を減少させ、またはブロックすることによって、TCR複合体を不安定にする特定のHLAハプロタイプを有するT細胞中でTCR抑制分子(TIM)を発現させ、および特定のHLAハプロタイプを有するTCR欠損T細胞のプールと、別の特定のHLAハプロタイプを有するTCR欠損T細胞の別のプールと組み合わせることを含み、当該T細胞バンクは、特定のHLAタイプのTCR欠損T細胞をそれぞれ含む、異なるT細胞プールを含む、方法。

請求項23

T細胞バンクは少なくとも10個の異なるHLA組織タイプのT細胞を含む、請求項22に記載の方法。

請求項24

T細胞バンクは少なくとも100個の異なるHLA組織タイプのT細胞を含む、請求項22に記載の方法。

請求項25

T細胞は、T細胞受容体複合体の少なくとも1つの要素の細胞表面発現を安定に欠損する、請求項22に記載の方法。

請求項26

TCR抑制分子は、TIM1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19またはその組み合わせの1つである、請求項21に記載の方法。

請求項27

前記TCR抑制分子は、配列番号80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100若しくは101、またはその断片若しくは変異体の1つから選択される配列を有する、請求項26に記載の方法。

請求項28

抑制性シグナルモチーフはKIRポリペプチドを含む、請求項1または22に記載の方法。

請求項29

KIR2DL1からの抑制シグナルを含むように改変されたCD3-ゼータを含むドミナントネガティブ阻害タンパク質を使用して、TCR発現が抑制される、請求項1または22に記載の方法。

請求項30

少なくとも2つのTCR抑制分子の組み合わせを使用して、TCR発現が抑制される、請求項1または22に記載の方法。

請求項31

TIM7およびTIM8の組み合わせを使用して、TCR発現が抑制される、請求項1または22に記載の方法。

請求項32

得られるT細胞を患者投与する、請求項1〜29のいずれか1つに記載の方法。

請求項33

治療を受ける患者は癌またはウイルス感染症である、請求項30に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、国立保健研究機構によって授与された契約番号CA130911の下、政府援助を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。

0002

関連出願の相互参照
本出願が2012年4月19日に提出された米国特許出願第13/502,978号の一部継続出願であり、2010年10月29日に提出された国際特許出願第PCT/US2010/54846号の国内段階の出願であり、2009年10月29日に提出された米国特許仮出願番号第61/255,980号の優先権の利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。

0003

本発明は、TCR欠損細胞、TCR欠損T細胞の作製および使用方法、並びに疾患おより障害対処するためにこれらのTCR欠損T細胞を使用する方法に関するものである。ある実施形態では、本発明は、広く、TCR欠損T細胞、その単離された個体群、および同細胞を含む組成物に関する。本発明の別の実施形態では、当該TCR欠損T細胞は、機能的非TCR受容体発現させるためにさらに設計される。本発明はまた、当該TCR欠損T細胞の作製方法、並びに当該TCR欠損T細胞、その個体群、または同細胞を含む組成物を使用して、疾患および障害を軽減し、寛解させ、または予防し、若しくは治療する方法に関する。

背景技術

0004

癌の世界的な負担は1975年から2000年の間に2倍になり、癌は2010年までに死亡の主因になると予想される。アメリカがん協会によると、2020年までに再度2倍、2030年までに3倍になることが予想される。そのため、様々な形式の癌を治療するためのより効果的な療法が必要とされる。理想的には、どんな癌療法も、(癌細胞殺すことに)効果的であり、標的化され(いわゆる健康な細胞を殺すことを回避するために選択的)、(再発および転移を避けるために)持続的であり、誰でも受け易くあるべきである。大部分の癌ケアの今日の標準は、これらの基準のいくつかまたは全てにおいて、不足している。

0005

細胞免疫療法は特定の腫瘍死滅をもたらすことを示しており、特定のおよび効果的な癌療法を提供する可能性がある(Ho、W.Y.ら2003.Cancer Cell 3:1318−1328;Morris、E.C.ら2003.Clin.Exp.Immunol.131:1−7;Rosenberg、S.A.2001.Nature 411:380−384;Boon、T. and P.van der Bruggen.1996.J.Exp.Med.183:725−729)。T細胞は、選択的認識および強力なエフェクター機序があるため、癌免疫療法に一般的に好まれるエフェクター細胞であることが多い。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を使用して、自己主要組織適合性複合体MHC)の文脈で、内部の分子タンパク質から生じる特定のペプチドを認識する。

0006

当該技術分野では、二量体の形成、およびこれらの二量体(TCR-アルファベータ、CD3-ガンマ/エプシロン、CD3-デルタ/エプシロン、およびCD3-ゼータ二量体)を細胞表面に輸出することのできる1つのTCR複合体に関連することによって、TCR複合体が正確に恊同していることを認識している。これらの複合体を適切に形成できないことにより、TCR構築および発現が抑制される(Call、M.E.ら、(2007)Nature Rev.Immunol.,7:841−850;Call、M.E.ら、(2005)Annu.Rev.Immunol.,23:101−125)。

0007

個々のTCR鎖の特定のアミノ酸残基は、適切な二量体形成およびTCR構築に重要なものとして認められている。具体的には、TCR-アルファについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸アルギニン(CD3-ゼータに結合して)およびリジン(CD3-エプシロン/デルタ二量体に結合して)である。TCR-ベータについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はリジン(CD3-エプシロン/ガンマ二量体に結合して)である。CD3-ガンマについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はグルタミン酸である。CD3-デルタについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である。CD3-エプシロンについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である。CD3-ゼータについては、膜貫通部分の重要なアミノ酸はアスパラギン酸である(Call、M.E.ら、(2007)Nature Rev.Immunol.,7:841−850;Call、M.E.ら.,(2005)Annu.Rev.Immunol.,23:101−125)。

0008

腫瘍内の改変または変異したタンパク質から生じるペプチドは、特定のTCRによって認識することができる。いくつかの重要な研究が、患者に効果的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の反応を誘導することのできる特定の腫瘍に関連する抗原を同定した(Ribas、A.ら2003.J.Clin.Oncol.21:2415−2432)。T細胞エフェクターの機序として、腫瘍細胞を直接殺す能力、およびその他の宿主免疫細胞活性化し、局所的な腫瘍の微小環境を変化させるサイトカインの生成が挙げられる。理論的には、T細胞は単一変異ペプチドを発現する腫瘍細胞を識別し、破壊することができると思われる。低用量のIL−2でMART1またはgp100に特異的なCTLクローンによる養子免疫療法は、ある患者では腫瘍量が減少し、または安定させるのに効果的である(Yee、C.ら2002.Proc.Natl.Acad.Sci.USA99:16168−16173)。その他のアプローチは定義された抗腫瘍受容体と共にT細胞を使用することである。これらのアプローチとして、腫瘍ペプチドおよびMHCを認識する新しい抗原特異的T細胞受容体でCTLを遺伝学的に修飾すること、適切なシグナリング要素と結合された単一鎖抗体フラグメント(scFv)から生じるキメラ抗原受容体(CARS)、またはキメラNK細胞受容体の使用が挙げられる(Ho、W.Y.ら2003.Cancer Cell 3:431−437;Eshhar、Z.ら1993.Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:720−724;Maher、J. and E.T.Davies.2004.Br.J.Cancer 91:817−821;Zhang、T.ら2005.Blood 106:1544−1551)。

0009

通常の化学療法または放射線治療に失敗し、または再発し、1種類以上の療法を試したことのある患者に、細胞療法を使用する。ひと通りの化学療法を受けていたかもしれない進行した癌を持つ患者の免疫細胞は、健康な個体ほど強く反応しない。さらに、癌患者高齢であることが多く、in vitro活性化および増殖後であっても、免疫細胞が刺激されたエフェクター細胞になる能力に限界があり得るその他の疾患を罹患している場合がある。さらに、免疫細胞が新しい免疫受容体を発現するように操作するために、個々の癌患者は十分な数の自分の免疫細胞を提供しなければならない。各療法を患者にカスタムメイドしなければならないため、このプロセスは、当該療法を受けると決心してから数週間を要することになり、その間も癌は増殖し続ける。米国特許出願第US2002/0039576号は、T細胞活性を調節する方法を開示し、使用するT細胞はCD3+−αβ−TcR+CD4−CD8−CD28−NK1.1−の表現型を有する。米国特許出願第US2006/0166314号は、癌を治療するために、変異したT細胞の使用を開示し、そのT細胞はT細胞反応媒介性MDM2タンパク質特異的αβ−T細胞受容体を伴うものである。

0010

T細胞の操作が効果的な療法に成り得るのは癌だけではない。T細胞のT細胞受容体を活性化することは、免疫系の活動を刺激する身体の反応に欠かせないことが知られている。例えば、T細胞受容体の多様性が、移植片対宿主病(GVHD)、特に慢性GVHDに役割を似合うことが示されている(Andersonら(2004)Blood 104:1565−1573)。事実、T細胞受容体抗体を投与すると、急性GVHDの症状が軽減することが示された(Maedaら(2005)Blood 106:749−755)。

0011

特定の疾患および障害を治療するためにもっと効果的なT細胞に基づく療法、および新しい種類のT細胞の設計に基づく治療方法が必要とされている。

0012

ある実施形態では、本発明は、広く、機能的T細胞受容体(TCR)を発現しない単離され、修飾されたT細胞に関する。当該実施形態では、T細胞は、機能的TCRの発現にTCRが欠損している。本発明の別の実施形態では、例えば、キメラ受容体等の機能的非TCR受容体を発現させるように、TCR欠損T細胞を操作する。これらの細胞はプラットホームとしても機能し、機能しているTCRがなくとも、T細胞のエフェクター機能を保持しながら、その他の標的受容体、例えば、特定の疾患に有用であり得る受容体を発現する。

0013

本発明はTCR欠損T細胞の個体群、および同細胞を含む組成物を考慮する。本発明は、当該TCR欠損T細胞の作成方法、および当該TCR欠損T細胞、その個体群、または同細胞を含む治療的組成物を使用して、疾患および障害を低減し、寛解し、または予防し、若しくは治療する方法も考慮する。ある実施形態では、当該組成物は癌、感染症、1つ以上の自己免疫障害放射線疾患を治療するために、または移植手術を受けている対象の移植片対宿主病(GVHD)または移植拒絶反応を予防するために使用することができる。

図面の簡単な説明

0014

本明細書に記載のキメラのNK受容体を説明する。細胞外(EC)、膜貫通(TM)、および細胞質(Cyp)部分を示す。受容体の野生型(WT)およびキメラ(CH)形態を示し、NH2はN末端を示し、COOHはC末端を示す。
TIMが、同種異系BMCで培養中のヒトT細胞のTCR認識および機能を減少させることを説明する。パネル(A)は、同種異系PBMCで培養されたTIMが形質導入されたT細胞が、IFN−γ生成を減少させることを示す。全IFN−γの生成を示す。パネル(B)は自家のIFN−γの量を減算した後のIFN−γの量を示す。この値は同種異系PBMCの認識によって生成された特定のIFN−γを表す。
癌についての組換え標的受容体を使用してTIM発現T細胞の活性化を説明する。多くの種類の腫瘍細胞で特定のリガンドを認識するキメラNKG2D受容体(chNKG2D)を共発現したTIM発現T細胞は、RPMI8226骨髄腫腫瘍細胞と共培養すると、増加した量のIFN−γを生成した。いくつかのウェルでは、chNKG2Dが腫瘍細胞のリガンドを認識するのを防ぐために、ブロッキングNKG2DmAbを含み、このことは、これらのT細胞のchNKG2D受容体の特定の反応を証明する。

0015

定義
本発明は、それ自体として変化するように、特定の方法論プロトコル細胞株動物種または属、および記載の試薬に限定されないことを理解されたい。本明細書に使用する用語は、特定の実施形態を記述する目的のためだけにあり、添付の請求項によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。

0016

本明細書に使用される単数形(英語の「a」)、「および」および「その」(英語の「the」)は、明白な断りが他にない限り、複数も含む。したがって例えば、「(1つの)細胞」は、その細胞の複数を含み、「(その)タンパク質」は1つ以上のタンパク質および当業者に周知の等価物を含む。本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、他に明白な断りがない限り、本発明が帰属する当該技術分野の当業者に多く理解される意味と同じ意味を有する。

0017

本発明の文脈で、「TCR欠損T細胞」、または同様のフレーズによって、機能的TCRの発現を欠いている単離されたT細胞が、内部で自身のTCR生成を抑制することができ、さらに、当該T細胞の後代も、内部で自身のTCR生成を抑制することを当然期待してもよいことを意図する。内部の能力は、TCRの代謝回転タイムスケール(約〜時間)が、論証可能な有効なタイムスケール(日〜月)よりもっと速い治療法の文脈で重要であり、すなわち、治療期間中に望ましい表現型を保持するために、内部の能力は必要とされる。このことは、下に記載の通り、異なる方法によって達成されてもよく、例えば、細胞表面にいかなる機能的TCRも発現しないT細胞を操作することによって、または機能的TCRを含む1つ以上のサブユニットを発現せず、したがって機能的TCRを生成しないように、T細胞を操作することによって、または表面に機能的TCRを皆無といってよいほど生成しないように、若しくは実質的に損なわれたTCRを発現するT細胞を操作することによって、例えば、TCRを含む1つ以上のサブユニットの変異した、若しくは短縮された形態を発現するT細胞を操作することによって、T細胞が機能的TCRを発現することができないようにする、若しくは実質的に損なわれたTCRを発現する細胞にする。機能的TCRを含む異なるサブユニットについては以下に記載する。細胞が機能的TCRを発現するかどうかは、本明細書に記載の技術分野に周知のアッセイ方法を使用して決定してもよい。「実質的に損なわれたTCR」によって、出願人は、当該TCRが宿主内の有害な免疫反応、例えば、GVHD反応を実質的に誘発しないことを意味する。

0018

下に詳細に記載するように、その他の変異または導入遺伝子を含むようにこれらのTCR欠損細胞を操作してもよく、例えば、T細胞の成長または増殖に影響を与える変異または導入遺伝子は、例えば、別の受容体またはサイトカインまたはその他の免疫調節性若しくは治療的ポリペプチド、または優性選択マーカー遺伝子(例えばDHFRまたはネオマイシントランスフェラーゼ)といった望ましい遺伝子または遺伝子構築物を発現する、若しくは発現しない。

0019

「同種異系T細胞」は、レシピエント適合する組織HLAタイプを有するドナーからのT細胞を意味する。典型的には、HLA遺伝子の3つ以上の座の可変性に基づいて適合を行い、これらの座での完全適合が好ましい。いくつかの例では、同種異系の移植ドナーは、親類(たいてい、HLA適合が近い兄弟)であっても、同一遺伝子(患者の一卵性「同一」双生児)であっても、または親類でなくても(親類ではないが、HLA適合が極めて近いことが認められるドナー)よい。HLA遺伝子は2つのカテゴリーに分けられる(I型またはII型)。一般的に、I型遺伝子のミスマッチ(すなわちHLA−A、HLA−B、またはHLA−C)は、移植片拒絶リスクが増加する。HLAII型遺伝子のミスマッチ(すなわちHLA−DRまたはHLA−DQB1)は、移植片対宿主病のリスクが増加する。

0020

本発明の文脈で、「組織適合TCR欠損T細胞のバンク」は、本発明に従いTCRを欠損させる特定のHLAアロタイプのT細胞をそれぞれ含む異なる組成物を意味する。理想的には、このバンクは、ヒト個体群を代表する広範囲の異なるHLAタイプのT細胞を含む組成物を含む。操作されたTCR欠損T細胞のこのようなバンクは、例えば、癌患者等の異なるレシピエントに使用するのに適したT細胞の利用可能性を促すときに役に立つ。
本発明は、異なるHLAハプロタイプを有するTCR欠損T細胞のバンクの生成方法を提供する。方法は、標準的なタイピング手順(例えば、抗体、PCR、またはDNA配列)によって特定された、定められたHLAハプロタイプを有する単離されたT細胞のプールを得ること、およびTCR複合体の要素の発現を減少し、ブロックすることによってTCR複合体を不安定にするこれらのT細胞のTCR抑制分子(TIM)を発現させることを含む。異なるHLAハプロタイプを持つ多様な異なる個体から得られるT細胞について行われる。TIMを発現する異なるドナーT細胞の収集は、TCR欠損T細胞バンクを含む。T細胞バンクは、特定のHLAタイプのTCR欠損T細胞をそれぞれ含む異なるT細胞プールを含む。好ましくは、T細胞バンクは、多様な異なるHLAタイプ、例えば、少なくとも10個の異なるHLA組織タイプ、少なくとも50個の異なるHLA組織タイプ、少なくとも100個の異なるHLA組織タイプを含む。ある実施形態では、T細胞バンクは、少なくとも10個の異なるHLA組織タイプのT細胞を含む。別の実施形態では、T細胞バンクは、少なくとも100個の異なるHLA組織タイプのT細胞を含む。

0021

本発明の文脈で、「治療有効量」は、TCR欠損T細胞を患者に投与したときに、疾患(例えば、癌、感染症またはGVHD)の徴侯または症状を軽減するようなTCR欠損T細胞の量であるとして、当業者によって認められる。投与されるべき実際量は、機能的TCR欠損T細胞が、疾患に対して薬理学的活性を表すin vitroまたはin vivoのいずれかで実施される試験に基づいて決定することができる。例えば、機能的TCR欠損T細胞は、in vitroまたはin vivoのいずれかで腫瘍細胞の増殖を抑制し得、当該増殖を抑制する機能的TCR欠損T細胞の量は、治療有効量として認められる。

0022

医薬組成物」は、哺乳動物に投与するのに適した化学的または生物学的組成物を意味する。当該組成物は、特に、限定されないが、バッカル動脈内、心腔内、脳室内、皮内、筋肉内、眼内、腹腔内、髄腔内(intraspinal)、髄腔内(intrathecal)、静脈内、経口、非経口浣腸または座薬によって直腸に、皮下、真皮下、下、経皮、および経粘膜的1つ以上の経路によって投与してもよい。さらに、注射、液剤ゲル剤滴剤、またはその他の方法によって投与することができる。

0023

核酸構築物または核酸配列は、本明細書に使用するとき、T細胞に形質移入または誘導することができ、生成物(例えば、キメラ受容体または自殺タンパク質)を生成させるために転写および翻訳することのできるDNA分子を意味する。

0024

核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれるとき、「操作可能に結合される」。例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに操作可能に結合され、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響する場合、コード配列に操作可能に結合される。一般的に「操作可能に結合される」は、結合されているDNA配列が隣接している、および分泌性リーダーの場合には、読み枠に隣接している。しかしながら、エンハンサーは隣接する必要はない。都合のよい制限酵素部位に、または、あるいは当業者に周知のPCR/組換え方法(Gateway(登録商標)Technology;Invitrogen、カールスバッドカリフォルニア)によって連結することによって結合は達成される。当該部位が存在しない場合、通常の実践に従い、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。

0025

本発明は、癌、感染性疾患、GVHD、移植拒絶、1つ以上の自己免疫障害、または放射線疾患等の疾患または病態を低減、若しくは寛解、または予防若しくは治療するための組成物および方法を考慮する。非限定的な実施形態では、組成物は、単離されたヒトT細胞、すなわちTCR欠損T細胞の同種異系の源を提供する概念に基づいており、患者の必要性に先立ち、安価に製造することができる。良好に制御されるプロセスを使用して単一の部位に単一の治療生成物を作製する能力は、コストにおいても、品質考慮事項において魅力がある。T細胞について自家から同種異系の源へ変化することは、大きな長所をもたらす。例えば、一人の健康なドナーが、形質導入および増殖後に何十もの患者を治療するのに十分なT細胞を供給することができると予想されている。

0026

本発明に従い、機能的T細胞受容体(TCR)を発現しない修飾された同種異系のT細胞を生成させる。TCRサブユニット/二量体のいくつか、またはそのすべてが細胞表面に発現し得るが、T細胞は、宿主に望ましくない反応を誘導するほどの機能的TCRを発現しないことを理解されたい。表面に機能的TCRがないと、同種異系T細胞は、宿主細胞への望ましくない免疫応答を開始することができない。その結果、これらのTCR欠損T細胞は、例えば、宿主MHC分子を認識することができないように、GVHDを引き起こすことができない。さらに、これらのTCR欠損T細胞は、機能的、非TCR、疾患特異的受容体を同時に発現させるように操作することができない。

0027

当業者に周知のように、対象から同種異系T細胞を単離するために、様々な方法が容易に利用可能である。例えば、細胞表面マーカー発現を使用して、または市販されているキット(例えば、ISOCELL(商標)、Pierce、ロックフォードイリノイ州)を使用する。

0028

癌治療について、投与時に(GVHD等の)免疫応答を誘発しないように、しかし、代わりに、腫瘍細胞を認識する機能的、非TCR受容体を発現する、または非疾患の関連細胞(例えば、腫瘍特異的受容体によって認識される前記抗原またはリガンドを、腫瘍細胞より低いレベルでしか発現しない正常な(非腫瘍形成性)細胞)をあからさまには攻撃しない、若しくは全く攻撃しない別のポリペプチドを発現するように、内因性TCRの機能的形態を発現しない、または野生型T細胞に比べ、実質的に低レベルの内因性TCRしか発現しない望ましい組織アロタイプのTCR欠損Tエフェクター細胞の単離されたプールを生成させることを、アプローチは含む。ある腫瘍関連性抗原は、非癌性組織に発現するが、担腫瘍宿主に実行可能な治療ターゲットであることを当業者は理解している。本明細書に関して、通常、特定の非TCR、腫瘍特異的受容体は、非癌性組織に発現するが、腫瘍細胞より正常細胞でかなり低下したレベルで発現し得るときに、担腫瘍宿主内で実行可能な治療ターゲットであることを、当業者は理解している。

0029

対象のTCR欠損T細胞の大部分の治療的使用に必要でないが、いくつかの例では、抗腫瘍効果仲介した後直ちに、宿主からドナーT細胞のいくつかまたは全てを取り除くことが望ましい。これは、GFP等の宿主における除去および/または同定を促進する追加の受容体またはマーカーを発現するように、T細胞を操作することによって、容易になされる。本発明は、レシピエントのGVHDまたはその他の有害な免疫応答のいかなる可能性も実質的に取り除くはずであり、このことがいくつかの個体に望まれ得る。ドナーT細胞が開始される長期の抗腫瘍効果のために宿主に長く留まる必要がないことが既に示されているため、このことによって効能が損なわれるはずはない(Zhang、T.ら.2007.Cancer Res.67:11029−11036;Barber、A.ら2008.J.Immunol.180:72−78)。

0030

本発明のある実施形態では、操作されたT細胞に誘導された核酸構築物は、I型HSVウイルスヘルペスウイルス)のチミジンキナーゼ(TK)等の自殺遺伝子(Bonini、ら(1997)Science 276:1719−1724)、Fasに基づく「人工自殺遺伝子」(Thomis、ら(2001)Blood97:1249−1257)、またはそれぞれガンシクロビルAP1903、または5−フルオロイトシンによって活性化される大腸菌シトシンデアミナーゼ遺伝子等の自殺遺伝子をさらに含む。自殺遺伝子は有利に本発明の核酸構築物に含まれ、毒性がある場合には形質導入されたT細胞を切除し、および腫瘍が除去されまたは取り除かれると、キメラ構築物を破壊する機会を提供する。形質移入され、または形質導入された細胞を取り除くために自殺遺伝子を使用することは当該技術分野に周知である。例えば、Bonini、ら((1997)Science 276:1719−1724)は、HSV−TK自殺遺伝子を形質導入されたドナーのリンパ球は、最大1年間、患者に抗腫瘍活性をもたらし、ガンシクロビルを使用して形質導入された細胞を取り除くことを教示する。さらに、Gonzalez、ら((2004)J.Gene Med.6:704−711)は、L1−CAM上のエピトープに特異的なキメラscFvFc:zet免疫受容体を発現するために遺伝学的に修飾された細胞傷害性Tリンパ球クローンで神経芽細胞腫ターゲティングを説明し、構築物はさらに、トランスジェニッククローンを取り除くためにハイグロマイシンチミジンキナーゼ(HyTK)自殺遺伝子を発現する。

0031

shRNA、ミニ遺伝子、若しくは非TCR受容体として同プロモーターから、または異なるプロモーターから自殺遺伝子を発現することができることが考慮される。しかしながら、通常、自殺タンパク質およびshRNA、ミニ遺伝子、若しくは非TCR受容体の残基をコードする核酸配列は、同構築物またはベクターに帰属する。shRNA、ミニ遺伝子、または非TCR受容体として同プロモーターからの自殺遺伝子の発現は、周知の配列内リボソーム進入部位(IRES)を使用して達成することができる。本発明の核酸構築物に使用することができる適切なIRES配列として、限定されないが、EMCVからのIRES、c−myc、FGF−2、ポリオウイルスおよびHTLV−1が挙げられる。例証だけとして、キメラ受容体を発現するための核酸構築物は、以下の構造を有することができる:プロモーター−>キメラ受容体−>IRES−>自殺遺伝子。あるいは、キメラ受容体とは異なるプロモーターから自殺遺伝子を発現することができる(例えば、プロモーター1−>キメラ受容体−>プロモーター2−>自殺遺伝子)。

0032

細胞療法のためのT細胞、および本発明のT細胞の改良した性質を広く適用するため、本発明は、T細胞が治療的に望まれる方法または組成物を含む。当該組成物および方法は、癌、GVHD、移植拒絶、感染症、1つ以上の自己免疫疾患、放射線疾患、または機能的TCRの発現を欠いている同種異系の源から生じるT細胞の使用に基づくその他の疾患または病態を低減、若しくは寛解、または予防若しくは治療する方法を含む。

0033

示されるように、本発明の更なる実施形態は、キメラNKG2D、キメラFvドメイン、NKG2D、またはT細胞に対するシグナルを開始するその他の受容体等の前記TCR欠損T細胞に受容体の組換発現を含み、それにより潜在能があり、特定のエフェクターT細胞を作製する。当業者は、治療対象の疾患に基づき、TCR欠損T細胞によって発現される適切な受容体を選択することができる。例えば、癌治療のためにTCR欠損T細胞によって発現することのできる受容体は、癌細胞上で同定されたリガンドに対する任意の受容体を含む。当該受容体として、限定されないが、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80が挙げられる。

0034

本発明の別の実施形態では、当該受容体は、限定されないが、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80から得られるリガンド結合ドメインを含むキメラ受容体、または抗Her2neu若しくは抗EGFR等の抗腫瘍抗体、並びにCD3-ゼータ、Dap10、CD28、41BB、およびCD40Lから得られるシグナリングドメインが挙げられる。例示的なキメラ受容体はchNKG2Dであり、NKG2DはCD3ゼータの細胞質内ドメインに結合し、Dap10と付随してT細胞に対する一次および二次活性化シグナルの両方を提供する(Zhang、T.ら2006.Cancer Res.66(11):5927−5933)。本発明のある実施形態では、キメラ受容体はMIC−A、MIC−B、Her2neu、EGFR、メソテリン、CD38、CD20、CD19、PSA、MUC1、MUC2、MUC3A、MUC3B、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC6、MUC7、MUC8、MUC12、MUC13、MUC15、MUC16、MUC17、MUC19、MUC20、エストロゲン受容体プロゲステロン受容体、RON、またはULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5、およびULBP6を包含するULBP/RAET1ファミリーの1つ以上のメンバーを結合する。

0035

本発明の方法では、癌、GVHD、移植拒絶、感染症、1つ以上の自己免疫疾患、または放射線疾患を罹患している患者に、前記TCR欠損T細胞を含む治療有効量の組成物を投与する。本発明の別の実施形態では、GVHD、移植拒絶、または癌を予防し、治療し、または低減するために、前記TCR欠損T細胞を含む治療有効量の組成物を投与する。

0036

TCR欠損T細胞の生成方法
様々なアプローチを使用して、本発明の機能的TCRの発現を安定的に欠損しているT細胞を生成してもよい。T細胞を内部移行し、ソートし、複合体としてのT細胞受容体全体を、休止しているT細胞内で約10時間の半減期、刺激を受けたT細胞内で3時間の半減期で、分解する(von Essen、M.ら2004.J.Immunol.173:384−393)。TCR複合体の適切な機能は、TCR複合体を構成するタンパク質の適切な化学量論比を必要とする。TCR機能はまた、ITAMモチーフを伴う2つの機能性TCRゼータタンパク質も必要とする。MHCペプチドリガンド会合のときのTCRの活性化は、同T細胞上のいくつかのTCRの会合を必要とし、全てが適切にシグナル伝達をする。そのため、TCR複合体は適切に付随しないタンパク質で不安定になり、または適切にシグナル伝達しない場合、T細胞は、分子応答を開始するのに十分なだけ活性化しない。

0037

本発明の方法は、TCR複合体の主要要素の発現をブロックすることによって、および/またはTCRの発現または機能を妨害することによって、TCR複合体を不安定にするために、T細胞内にTCR欠損分子(TIM)の発現を含む。様々なクラスのTIMがあり、限定されないが、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)およびドミナントネガティブ阻害タンパク質、例えば、重要なシグナルモチーフを欠いている短縮タンパク質;抑制シグナルを促進するタンパク質;およびその他のTCR要素との適切な結合、および/または適切なシグナル伝達を破壊させる変異を伴うタンパク質が挙げられる。一般的に、TIMを使用して、細胞表面上のいくつかのまたは極めて少ない機能性のTCRの発現を防ぐことによって、TCR欠損T細胞を産生し、および/または細胞表面に実質的に損なわれたTCRの発現を促進することができる。

0038

下の実験例の結果によって示されるように、本発明の発明者は、TCR発現または機能がTIM、例えばshRNAおよび/またはドミナントネガティブ抑制因子を使用して妨害され、または取り除かれ、したがってTCR欠損T細胞が生成され得ることを証明した。当該TCR欠損細胞株は、以下に記述の癌並びにその他の疾患および障害を治療するためのT細胞に基づく治療に使用するのに良く適している。

0039

本発明のある実施形態では、一次T細胞に、特定のTCR(例えば、TCR-αおよびTCR-β)および/またはCD3鎖(例えばCD3ゼータ)をコードする核酸を標的にする低分子ヘアピン型RNA(shRNA)を使用して、TCR発現を取り除く。これらのタンパク質の1つ以上をブロックすることによって、T細胞はTCR複合体の1つ以上の主要要素を生成せず、それによってTCR複合体を不安定にし、機能的TCRの細胞表面発現を防ぐ。いくつかのTCR複合体は細胞表面に対して再循環することができるが、shRNAはTCRタンパク質の新しい生成を防ぎ、TCR複合体全体を分解および除去し、機能的TCR発現において安定的な欠損を有するT細胞を生成する。

0040

一次T細胞のshRNAの発現は、任意の通常の発現系、例えば、レンチウイルス発現系を使用して達成することができる。レンチウイルスは休止している一次T細胞を標的にするのに有用であるが、全てのT細胞がshRNAを発現しない。これらのT細胞のいくつかは、TCR発現を十分に抑制することによって、T細胞の機能的活性を改変するのに十分な量のshRNAを発現しないかもしれない。したがって、残っているT細胞が細胞表面TCRまたはCD3内で欠損しているように、例えば、セルソーティングまたは分割手法によって、ウイルス形質導入後の高いTCR発現を中程度にするT細胞を取り除くことができ、機能的TCRまたはCD3の発現が欠損しているT細胞の単離された個体群を増殖させることができる。

0041

本発明の非限定的な実施形態では、以下のように(表1)、TCR複合体の主要要素について例示的な標的shRNAを設計した。
表1

0042

様々な標的shRNAを使用して、TCR-アルファ、TCR-ベータ、TCR-ガンマ、TCR-デルタ、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、CD3-エプシロン、またはCD3-ゼータmRNAを個別にまたは一緒に標的にすることができる。TCR-βおよびTCR-α鎖は、可変のおよび定常部分から成る。これらのTCR/CD3配列の定常部分について、いくつかの標的shRNAを設計した。各分子標的について、shRNAの1つまたは組み合わせを使用して、TCR発現の最も効率的な抑制因子を同定することができる。確立されたプロトコルを使用して、各shRNA構築物を、例えば、pLko.1プラスミドまたはpSMc2ベクターにクローンし、当該技術分野で通常使用されるプロモーター、例えばU6pプロモーターによって発現を制御する。得られる構築物をスクリーニングし、シークエンシングによって正確度を確認した。shRNA発現プラスミドをその後、パッケージングプラスミドおよびパッケージングのためのエンベローププラスミドと一緒に、任意の適切な宿主細胞(例えば、293T)に形質移入した。健康なドナーから一次ヒト末梢血由来単核細胞(PBMC)を単離し、低用量の可溶性抗CD3、および例えば、25U/ml〜50U/ml、rhulL−2で72時間活性化する。レトロウイルスの形質導入についてT細胞を活性化する必要はないが、形質導入がもっと効率的に働き、IL−2内で細胞を増やし続けることができる。活性化された細胞を洗浄し、例えば、30℃で1時間のspin−fection使用し、次に7時間の静止期間をおくことによって形質導入する。

0043

本発明の別の実施形態では、ドミナントネガティブの阻害タンパク質の過剰発現は、TCR発現または機能を妨害することができる。本発明のこの実施形態では、TCR要素の1つ(例えば、TCR-アルファ、TCR-ベータ、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、CD3-エプシロン、またはCD3-ゼータ)をコードするポリヌクレオチドの部分または全てを組み込むミニ遺伝子を調製するが、以下のように改変する。(1)タンパク質機能に必要とされる主要なシグナルモチーフ(例えば、ITAM)を欠損する、(2)その他の実のTCR要素と適切に付随しないように改変する、または(3)適切には付随するが、リガンド(例えば、短縮TCRベータミニ遺伝子)を結合しない。さらに、KIRタンパク質から抑制性シグナルモチーフ、例えば細胞質内ドメインを含むように、ミニ遺伝子を変更させてもよく、細胞シグナル伝達を変化させ、ホスファターゼ、例えばSHP1およびSHP2を補充することによって、抑制性シグナルを促進する。

0044

これらのミニ遺伝子はまた、過剰発現したミニ遺伝子を同定する方法として役立つタンパク質の部分をコードしてもよい。例えば、短縮CD19タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、抗CD19mAbについて結合部位を含むが、ミニ遺伝子を発現する得られる細胞が、コードされたタンパク質を発現し、抗CD19mAbで同定できるように、操作可能に結合することができる。この同定によってミニ遺伝子の発現の程度を決定し、当該タンパク質を発現する細胞を単離することができる(したがって機能的TCRを欠損する)。

0045

本発明のある実施形態では、シグナルモチーフを欠損しているミニ遺伝子の過剰発現によって、TCRが対立する細胞上のMHCペプチドリガンドによって結合するとき、適切にシグナル伝達ができないTCR複合体が導かれる。本発明の非限定的な実施形態では、ミニ遺伝子(およびコードされたポリペプチド)の高発現は、TCR要素が付随するとき、実の完全なタンパク質を打ち負かしてしまい、シグナル伝達ができないTCR複合体になる。本発明の別の実施形態では、ミニ遺伝子は、全体または部分的なCD3-ゼータ、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、またはシグナル伝達に必要とされるITAMモチーフを欠いているCD3-エプシロンポリペプチドを含む、または、あるいは、から成る。CD3-ゼータタンパク質は、細胞質部分に3つのITAMモチーフを含み、本発明のある実施形態では、切り詰めによってこれら全てを取り除くことによって、当該改変されたタンパク質が組み込まれている任意の複合体中で適切なTCRシグナル伝達が抑制される。例えば、表2、配列番号72〜79に対応するTIM5−8を参照のこと。構築物はITIMまたはその他のシグナルモチーフを組み込んでもよく、SHP1およびSHP2等のホスファターゼを補充することによって、細胞シグナル伝達を変化させ、抑制性シグナルを促進することは周知である。表2、配列番号80〜89に対応するTIM9−13を参照のこと。

0046

本発明のある実施形態では、ミニ遺伝子は、全体または部分的なCD3-ゼータ、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、または変異、例えば、一塩基の変化を伴うCD3-エプシロンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドによって分類されるアミノ酸が変化する。例えば、表2、配列番号90〜101に対応するTIM14−19を参照のこと。

0047

本発明の別の実施形態では、コードされたポリペプチドが、全てではないがいくつかの実のパートナーと付随することができるように、ミニ遺伝子の過剰発現を改変し、付随しているタンパク質について正常なタンパク質と競争する。本発明の非限定的な別の仮説では、ミニ遺伝子(およびコードされたポリペプチド)の高レベルの発現は、実のパートナーのタンパク質を打ち負かし、機能的TCR複合体の構築を防ぎ、適切な比およびタンパク質-タンパク質相互関係に付随する全要素を必要とする。本発明の別の実施形態では、ミニ遺伝子は、全長タンパク質(例えば、TCR-アルファ、TCR-ベータ、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、CD3-エプシロン、またはCD3-ゼータ)をコードするが、その他のTCR/CD3タンパク質との構築に必要であることが周知のタンパク質の膜貫通部分内のアミノ酸をコードする配列を選択的に欠失することを含む、全体または部分的なポリヌクレオチドを含む、または、あるいは、から成る。

0048

本発明の好ましい実施形態では、その他のTCR/CD3タンパク質との構築に必要であることが周知のタンパク質の膜貫通部分内のアミノ酸をコードする配列の選択的欠失として、限定されないが、TCR-アルファ膜貫通領域の第5位のアルギニン残基、TCR-アルファ膜貫通領域の第10位のリジン残基、TCR-ベータ膜貫通の第9位のリジン残基、CD3-ガンマの膜貫通領域のグルタミン酸残基、CD3-デルタ−エプシロンの膜貫通領域のアスパラギン酸残基、CD3-エプシロンの膜貫通領域のアスパラギン酸残基、およびCD3-ゼータの膜貫通領域のアスパラギン酸残基が挙げられる。

0049

短縮TCR-アルファ、TCR-ベータ、TCR-ガンマ、またはTCR-デルタタンパク質の過剰発現は、TCR複合体をMHCペプチドリガンドと結合することができないようにし、そのためT細胞を活性化するように機能しない。図2のパネル(A)および(B)を参照のこと。本発明の別の実施形態では、ミニ遺伝子は、これらのタンパク質の細胞質全体および膜貫通部分、並びに細胞外領域の部分をコードするポリヌクレオチドを含む、または、あるいは、から成るが、第一の細胞外ドメイン(すなわちリガンド結合部位を含む最も外側のドメイン)の全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドを欠損している。好ましい実施形態では、当該ミニ遺伝子ポリヌクレオチドは、TCR-アルファおよびTCR-ベータ鎖のVアルファおよびVベータポリペプチドをコードしない。ある実施形態では、ミニ遺伝子ポリヌクレオチドは、タンパク質エピトープのタグ(例えばCD19)をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合してもよく、それによりこれらの遺伝子に発現する細胞のmAbの同定が可能になる。

0050

別の実施形態では、レトロウイルスの5’LTR、またはCMV若しくはSV40プロモーター等の強力なウイルス性プロモーターを使用して、これらのミニ遺伝子を発現することができる。典型的には、このプロモーターはミニ遺伝子の直ぐ上流であり、ミニ遺伝子mRNAを高発現する。別の実施形態では、構築物は、同プロモーター(例えば、間のIRESDNA配列を使用して)または別のプロモーター下で、第二のポリヌクレオチド配列をコードする。この第二のポリヌクレオチド配列は、T細胞に特異性を提供する機能的非TCR受容体についてコードしてもよい。当該ポリヌクレオチドの例として、限定されないが、キメラNKG2D、キメラNKp30、キメラNKp46、またはキメラ抗−Her2neuが挙げられる。さらなる実施形態では、レトロウイルスまたはその他の適切な発現プラスミドに、プロモーター−ミニ遺伝子を構築し、標準的方法を使用して、T細胞に直接的に形質移入または形質導入する(Zhang、T.ら、(2006)Cancer Res.,66(11)5927−5933;Barber、A.ら、(2007)Cancer Res.,67(10):5003−5008)。

0051

上で検討した方法を使用して、ウイルスの形質導入および増殖後に、前述したMiltenyi選択カラムを使用して、抗CD3mAbおよび磁気ビーズを使用して、依然としてTCR/CD3を発現するT細胞を取り除く(Barber、A.ら、(2007)Cancer Res.,67(10):5003−5008)。T細胞を次に洗浄し、3〜7日間、IL−2(25U/ml)に培養し、in vivoの細胞を使用するときと同様の様式でエフェクター細胞を増殖させる。

0052

フローサイトメトリーおよび定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)によって、TCRαβおよびCD3の発現を評価することができる。Sentman、C.L.ら((2004)J.Immunol.173:6760−6766)で使用したものと同様の方法を用いて、ABI7300リアルタイムPCR装置および遺伝子特異的TAQMAN(登録商標)プライマーを使用して、qRT−PCRによって、TCR-α、TCR-β、CD3ε、CD3-ζ、およびGAPDH(対照として)mRNAを、分析することができる。細胞表面の変化は、TCR-α、TCR-β、CD3ε、CD8、CD4、CD5、およびCD45に特異的な抗体を使用して決定することができる。

0053

単一shRNA種は細胞表面のTCR発現を十分に抑制しない可能性がある。この場合、複数のTCRshRNAを同時に使用してTCR複合体の複数要素を標的にしてもよい。細胞表面でのTCR複合体の構築に各要素が必要とされ、これらのタンパク質の1つでも欠いていると、細胞表面のTCR発現を欠損する可能性がある。TCR発現のいくつかまたは全てが残っていても、受容体が免疫応答を誘導するかどうかを決定するのは受容体の機能である。細胞表面が完全にないことよりも機能的欠損のほうが、程度が重大である。一般的に、TCR発現が低いほど、TCR架橋結合が十分でなく、そのことがTCR複合体を経由してT細胞の活性化を引き起こす可能性がある。特定の実施形態は、TCR-アルファ、TCR-ベータ、およびCD3-エプシロンのターゲティングを含むが、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、またはCD3-ゼータ等のTCR複合体のその他の要素も標的にできる。

0054

TCRを細胞表面から取り除く主な目的は、不適合性のMHC対立遺伝子に対してT細胞が活性化することを防ぐことにある。各shRNAまたはミニ遺伝子構築物とのTCR発現の減少がT細胞機能を変化させるのに十分であるかどうかを決定するために、以下についてT細胞を試験することができる。(1)in vitroの細胞生存、(2)マイトマイシンC処理された同種異系PBMCの存在下での増殖、および(3)同種異系PBMC、抗CD3mAb、または抗TCRmAbに反応したサイトカインの生成。

0055

細胞生存を試験するために、形質導入されたT細胞を、rhuIL−2(例えば25U/ml〜50U/ml)を伴う完全RPMI培地で増殖する。培養の開始時に同様の密度で細胞を播種し、細胞を数えるために、および生存率を確かめるために、試料を7日以上取り除いてもよい。T細胞が同種異系細胞に対する反応を誘発するのに十分なTCRを発現するかどうかを決定するために、形質導入され、または対照のT細胞を、マイトマイシンC処理された同種異系または同一遺伝子のPBMCで、例えば4:1の比で培養する。分離後娘細胞を均一に分解する細胞膜透過性染色であるCFSEで、T細胞を前処置する。細胞分割の程度は、フローサイトメトリーによって容易に決定することができる。T細胞の別の特徴はサイトカインの生成である。各shRNA構築物がT細胞機能を抑制するかどうかを決定するために、形質導入されたT細胞を異なる量の抗CD3mAb(1.6〜5000ng/ml)と培養する。24時間後、細胞のない上清を収集し、生成されたIL−2および/またはIFN−γの量をELISAによって定量化する。正対照としてPMA/イオノマイシンを使用してT細胞を刺激し、負対照としてT細胞単独を使用する。

0056

例示的なTIM、例えばshRNA、短縮ドミナントネガティブタンパク質、KIR融合ドミナントネガティブタンパク質、およびTCR複合体、例えば、CD3-エプシロンまたはCD3-ゼータの主要要素について設計された、一塩基の変更の結果として改変されたアミノ酸配列を伴うドミナントネガティブタンパク質が、エフェクターT細胞の機能に及ぼす影響を評価し、その結果を以下の表2に記す。これらの結果は、TCR欠損T細胞がTIMを使用して生成され得ることを証明する。

0057

TCR-アルファまたはTCR-ベータ要素を除去することによって、TCR-ガンマ/デルタT細胞を優先的に増殖させることが可能である。これらのT細胞は血液中では稀少であるが、これらの細胞の存在が抗TCR-ガンマ/デルタ抗体で確かめることができる。これらの細胞が増殖する場合、細胞表面でのTCR-アルファ/ベータとTCR-ガンマ/デルタの両方の細胞表面発現に必要とされるCD3-エプシロンのターゲティングを使用することができる。IL−2もIFN−γも、T細胞の増殖およびマクロファージ活性化を駆動する主要エフェクターサイトカインである。したがって、これらのサイトカインの欠失が機能的不活性化の徴侯である。TNF−α等のその他のサイトカインの変化を測定することも可能である。TCR発現の消失時のT細胞の生存の減少は、PBMCでTCR欠損T細胞を培養することによって決定することができ、in vivo環境を上手く反映し、T細胞の生存を補助する。

0058

機能的非T細胞受容体を発現するTCR欠損T細胞の生成方法
本発明の別の実施形態では、機能的TCR発現が安定的に欠損しているT細胞は、機能的、非TCR受容体を発現する。当該実施形態では、(前述のように)TCR機能の除去は、1つ以上の外因性非TCR標的受容体(例えば、キメラNKG2D(chNKG2D)またはFv分子等)とさらに組み合わされる。当該実施形態は、適切な標的受容体が使用された場合に、任意の種類の癌である患者を将来、治療するために保存することのできる「普遍的な」細胞生成物を提供する。

0059

本発明のさらなる実施形態は、chNKG2D、キメラFvドメイン、NKG2D、または任意のその他の受容体等の当該TCR欠損T細胞中での受容体の組換え発現を含み、T細胞にシグナル伝達を惹起し、それによって潜在能のある特定のエフェクターT細胞を作製する。当業者は、治療対象の疾患に基づき、TCR欠損T細胞によって発現される適切な受容体を選択することができる。例えば、癌治療のためにTCR欠損T細胞によって発現することができる受容体は、癌細胞で同定されたリガンドに対する任意の受容体を含む。当該受容体として、限定されないが、NKG2D(GENBANK受託番号BC039836)、NKG2A(GENBANK受託番号AF461812)、NKG2C(GENBANK受託番号AJ001684)、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30(例えば、GENBANK受託番号AB055881)、NKp44(例えば、GENBANK受託番号AJ225109)、NKp46(例えば、GENBANK受託番号AJ001383)、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80が挙げられる。

0060

本発明の別の実施形態では、当該受容体として、限定されないが、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80から得られるリガンド結合ドメインを含むキメラ受容体、または抗Her2neuおよび抗EGFR等の抗腫瘍抗体、CD3-ゼータ(CD3z)(例えば、GENBANK受託番号ヒトNM__198053)(配列番号:62)、Dap10(例えば、GENBANK受託番号AF072845)、CD28、41BB、および/またはCD40Lから得られるシグナリングドメインが挙げられる。

0061

本発明のさらなる実施形態では、キメラ受容体はMIC−A、MIC−B、Her2neu、EGFR、メソテリン、CD38、CD20、CD19、PSA、MUC1、MUC2、MUC3A、MUC3B、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC6、MUC7、MUC8、MUC12、MUC13、MUC15、MUC16、MUC17、MUC19、MUC20、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、RON、またはULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5、およびULBP6を包含するULBP/RAET1ファミリーの一つ以上のメンバーを結合する。

0062

例証だけとして、TCR複合体の細胞表面発現を消失することが示されるshRNAまたはミニ遺伝子は、1つ以上のウイルス性ベクターによって、chNKG2D受容体と共発現する。1つのベクター内で共発現を達成するために、U6プロモーターによってshRNAを駆動することができ、PGKプロモーターによってchNKG2Dを駆動することができる。別の実施形態では、IRES配列を使用して遺伝要素を分離する場合、たった1つのプロモーターを使用する。

0063

キメラ受容体を使用するのに特に適したC型レクチン様NK細胞受容体タンパク質は、ナチュラルキラー細胞の表面で発現される受容体を含み、認識リガンドと結合すると、NK細胞活性化を変化させる。受容体は、単独で働くこともできるし、その他の分子と恊働することもできる。これらの受容体についてのリガンドは、通常、1つ以上の腫瘍細胞対応の表面で発現し、例えば、結腸乳房腎臓卵巣子宮頸部、および前立腺の癌に関連する腫瘍;メラノーマ;骨髄腫;白血病;並びにリンパ腫があり(Wu、ら(2004)J.Clin.Invest.114:60−568;Groh、ら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:6879−6884;Pende、ら(2001)Eur.J.Immunol.31:1076−1086)、正常な組織の細胞の表面ではそれほど広くは発現しない。

0064

当該リガンドの例として、限定されないが、MIC−A、MIC−B、熱ショックタンパク質、ULBP結合タンパク質(例えば、ULPB1〜4)、並びにHLA−EおよびHLA−G等の古典的ではないHLA分子が挙げられ、HLA−A、HLA−B、またはHLA−Cおよびその対立遺伝子等の古典的なMHC分子は、本発明のC型レクチン様NK細胞受容体タンパク質の強力なリガンドとは通常は考えられない。通常これらのリガンドを結合するC型レクチン様NK細胞受容体は、II型タンパク質構造を有し、タンパク質のN末端は細胞内である。上に上げたNK細胞受容体の他に、このタイプの例示的なNK細胞受容体として、限定されないが、デクチン−1(GENBANK受託番号AJ312373またはAJ312372)、肥満細胞機能関連抗原(GENBANK受託番号AF097358)、HNKR−P1A(GENBANK受託番号U11276)、LLT1(GENBANK受託番号AF133299)、CD69(GENBANK受託番号NM__001781)、CD69相同体、CD72(GENBANK受託番号NM__001782)、CD94(GENBANK受託番号NM__002262またはNM__007334)、KLRF1(GENBANK受託番号NM__016523)、酸化されたLDL受容体(GENBANK受託番号NM__002543)、CLEC−1、CLEC−2(GENBANK受託番号NM__016509)、NKG2D(GENBANK受託番号BC039836)、NKG2C(GENBANK受託番号AJ001684)、NKG2A(GENBANK受託番号AF461812)、NKG2E(GENBANK受託番号AF461157)、WUGSC:H_DJ0701016.2、または骨髄性DAP12関連レクチン(MDL−1;GENBANK受託番号AJ271684)が挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、NK細胞受容体は、ヒトNKG2D(配列番号:58)またはヒトNKG2C(配列番号:59)である。

0065

キメラ受容体に有用な同様のI型受容体として、NKp46(GENBANK受託番号AJ001383)、NKp30(GENBANK受託番号AB055881)、またはNKp44(GENBANK受託番号AJ225109)が挙げられる。

0066

C型レクチン様NK細胞受容体タンパク質の代わりとして、C型レクチン様NK細胞受容体タンパク質と付随したタンパク質をキメラ受容体タンパク質に使用することができる。一般的に、C型レクチン様NK細胞受容体と付随したタンパク質を、受容体と相互作用があり、そこからシグナルを形質導入するタンパク質として定義する。この様式で機能する適切なヒトタンパク質として、さらに、限定されないが、DAP10(例えば、GENBANK受託番号AF072845)(配列番号:60)、DAP12(例えば、GENBANK受託番号AF019562)(配列番号:61)およびFcRガンマが挙げられる。

0067

C型レクチン様NK細胞受容体のN末端に、免疫受容体を経由して細胞反応を活性化することに関与する免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)、(Asp/Glu)−Xaa−Xaa−Tyr*−Xaa−Xaa−(Ile/Leu)−Xaa6−8−Tyr*−Xaa−Xaa−(Ile/Leu)(S配列番号:55〜57)を有する免疫シグナル伝達受容体を融合する。同様に、C型レクチン様NK細胞受容体と付随したタンパク質を使用すると、免疫シグナル伝達受容体は、当該タンパク質のC末端に融合させることができる(図1)。本発明のキメラ受容体に使用される適切な免疫シグナル伝達受容体として、限定されないが、T細胞受容体のゼータ鎖、ゼータmRNAの選択的スプライシングの結果としてC最末端エキソンのゼータ鎖だけが異なるエータ鎖、T細胞受容体のデルタ、ガンマおよびエプシロン鎖(CD3鎖)並びにFcR1受容体のガンマサブユニットが挙げられる。特定の実施形態では、前述で同定された免疫シグナル伝達受容体の他に、免疫シグナル伝達受容体は、CD3-ゼータ(CD3z)(例えば、GENBANK受託番号ヒトNM_198053およびNM−000734)(それぞれ、配列番号:62および配列番号:64)、またはヒトFcエプシロン受容体−ガンマ鎖(例えば、GENBANK受託番号M33195)(配列番号:63)または細胞質内ドメイン若しくはそのスプライシング変異体である。特に、例えば、CD3-ゼータは、固有アイソフォームをコードする2つの選択的にスプライスされた転写変異体、すなわち、転写変異体1(配列番号:62)、および転写変異体2(配列番号:64)を有する。変異体2のコードされたアイソフォーム(配列番号:65)は、変異体1に比べ、内部のアミノ酸を失っている。

0068

特定の実施形態では、本発明のキメラ受容体は、NKG2DとCD3-ゼータの間、またはDap10とCD3-ゼータの間の融合物である。

0069

本発明の核酸構築物では、プロモーターは、本発明のキメラ受容体をコードする核酸配列と操作可能に結合し、すなわち、キメラ受容体をコードするDNAからメッセンジャーRNAの転写を促進するように、配置される。プロモーターは、ゲノム起源または、合成的に産生されてもよい。T細胞に使用される様々なプロモーターは当該技術分野で周知である(例えば、Marodon、ら(2003)Blood101(9):3416−23によって開示されたCD4プロモーター)。プロモーターは構成的または誘導的であることが可能であり、誘導は特定の細胞型または特定のレベルの成熟と付随している。あるいは、いくつかの周知のウイルス性プロモーターも適している。対象のプロモーターとして、β−アクチンプロモーター、SV40初期および後期プロモーター免疫グロブリンプロモーター、ヒト‐サイトメガロウイルスプロモーター、レトロウイルスプロモーター、およびフォーカス形成ウイルスプロモーターが挙げられる。プロモーターはエンハンサーと付随しても、付随していなくてもよく、エンハンサーは、特定のプロモーターと自然に付随し、または異なるプロモーターと付随してもよい。

0070

キメラ受容体をコードするオープンな読み枠の配列は、ゲノムDNA源、cDNA源、またはその組み合わせから得ることができ、または、(PCRによって)合成することができる。ゲノムDNAの大きさおよびイントロンの数に依存して、イントロンがmRNAを安定させ、またはT細胞特異的発現を提供することが認められるとき、cDNAまたはその組み合わせを使用することが望ましい(Barthel and Goldfeld(2003)J.Immunol.171(7):3612−9)。また、mRNAを安定させるために、内因性または外因性非コード領域を使用することもさらに有利になり得る。

0071

本発明のキメラ受容体の発現について、キメラ受容体のN末端要素をコードする核酸配列の自然発生、または内因性の転写開始領域を使用して、標的宿主にキメラ受容体を産生することができる。あるいは、構成的または誘導的発現を可能にする外因性転写開始領域を使用することができ、標的宿主、望まれる発現のレベル、標的宿主の性質等に依存して、発現を制御することができる。

0072

同様に、キメラ受容体を表面膜に向けるシグナル配列は、キメラ受容体のN末端要素の内因性シグナル配列になることができる。任意に、いくつかの例では、当該配列を異なるシグナル配列と交換することが望ましい。しかしながら、選択されるシグナル配列は、キメラ受容体がT細胞の表面に現れるように、T細胞の分泌経路に適合するはずである。

0073

同様に、キメラ受容体のC末端要素をコードする核酸配列の自然発生の、または内因性の転写終結領域によって、終結領域を提供することができる。あるいは、終結領域を異なる源から得ることができる。大部分について、終結領域の源は、通常、組換えタンパク質の発現に重要であるとは考えられず、発現に悪影響を与えることなく広範囲の終結領域を使用することができる。

0074

当業者によって明らかにされるように、いくつかの例では、C型レクチン様ナチュラルキラー細胞受容体の末端の2、3のアミノ酸(または付随したタンパク質)または免疫シグナル伝達受容体を、通常はせいぜい10個、さらに通常はせいぜい5個の残基を削除することができる。また、境界少数のアミノ酸、通常はせいぜい10個、さらに通常はせいぜい5個の残基を導入することが望ましい。通常、便利な制限部位、操作の簡易性、発現レベルの向上等をもたらす、構成の必要性の結果として、アミノ酸の削除または挿入がある。さらに、同様の理由で、1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸に置換し、通常は任意の1つのドメインのアミノ酸を約5個以上、置換しない。

0075

キメラ構築物は、キメラ受容体をコードするが、通常の方法で調製することができる。大部分について、天然の配列を使用するため、適宜(例えば、II型受容体を使用するときに、免疫シグナル伝達受容体要素反転させなければいけない)、様々な要素を適切に結合することができるように、天然の遺伝子を単離し、操作する。したがって、遺伝子の望ましくない部分を削除する適切なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによって、キメラ受容体のN末端およびC末端タンパク質をコードする核酸配列を単離することができる。あるいは、クローン遺伝子の制限消化物を使用してキメラ構築物を産生することができる。どちらの場合も、平滑断端した、または相補的重なり部分を有する制限部位を提供するために、配列を選択することができる。

0076

キメラ構築物を調製するための様々な操作をin vitroで実行し、特定の実施形態では、標準的な形質転換または形質移入手法を使用して、適切な宿主にクローニングまたは発現させるために、ベクターに、キメラ構築物を導入する。したがって、各操作の後に、DNA配列の結合から得られる構築物をクローンし、ベクターを単離し、望ましいキメラ受容体を配列が確実にコードするように配列をスクリーニングする。限定解析配列決定等を行うことによって、配列をスクリーニングすることができる。

0077

のDNAとしてT細胞に、または適切なベクターに、キメラ構築物を導入することができることが考慮される。裸のDNAを使用して、電気穿孔によってT細胞を安定して形質移入する方法は、当該技術分野で周知である。米国特許第6,410,319号を参照のこと。裸のDNAは、一般的に、発現に適切な方向でプラスミド発現ベクターに含まれる本発明のキメラ受容体をコードするDNAを意味する。有利なことに、裸のDNAを使用すると、本発明のキメラ受容体を発現するT細胞を生成させるのに必要な時間が減少する。

0078

あるいは、ウイルス性ベクター(例えば、レトロウイルス・ベクター、アデノウイルスベクターアデノ結合型ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を使用して、キメラ構築物をT細胞に導入することができる。本発明の方法に従って使用される適切なベクターは、対象のT細胞で非複製的である。ウイルスに基づく多くのベクターは周知であり、細胞内で保持されるウイルスのコピー数は、細胞の生存能を保持するのに十分なほど少ない。例証のベクターとして、pFB−ネオベクター(STRATAGENE(商標))およびHIV、SV40、EBV、HSVまたはBPVに基づくベクターが挙げられる。形質移入された、または形質導入されたT細胞が、望ましい制御および望ましいレベルで、表面膜タンパク質として、キメラ受容体を発現することができることが確立されると、望ましいシグナル誘導(例えば、適切なリガンドで刺激したときに、ランテス、Mip1−アルファ、GMCSFが生成されること)を提供するために、キメラ受容体が宿主細胞内で機能的であるかどうかを決定することができる。

0079

上述のように、一次ヒトPBMCは、健康なドナーから単離され、低量の可溶性抗CD3(例えば40ng/ml)およびrhulL−2(例えば50U/ml)、抗CD3/抗CD28ビーズ並びにrhuIL−2、または照射された抗原提示細胞およびrhuIL−2で活性化される。その後、活性化されたT細胞を洗浄し、例えば、32℃で1時間のspinoculationで、レトロウイルスで形質導入し、次に7時間の静止期間におく。レンチウイルスの形質導入についてT細胞を活性化する必要はないが、形質導入はより効果的に作用し、細胞をIL−2内で増やし続けることができる。本明細書に記述されるように、活性化された細胞を洗浄し、形質導入し、次に静止期間におき、3日間、例えばG418で選択する。選択後、細胞を洗浄し、IL−2で2〜7日間培養し、in vivoの細胞に使用するのと同様の様式で、エフェクター細胞を増殖させる。CD3、CD4、NKG2D、またはCD5に特異的な抗体を使用して、受容体の細胞表面発現の変化を分析する。外因性、非TCR受容体が、特定の受容体を発現するように形質導入されている細胞を増加させることが期待され、例えば、chNKG2D発現レトロウイルスで形質導入されたT細胞が、chNKG2Dの表面発現レベルを増加させることが期待される。

0080

TCRαβ、CD3、およびNKG2Dの発現は、本明細書で検討したように、フローサイトメトリーおよび定量的qRT−PCRによって評価することができる。CD4+およびCD8+T細胞の数も決定することができる。全体の細胞数、並びにTCR複合体欠損、TCRコンピテント、およびchNKG2Dを発現するT細胞の割合は、フローサイトメトリーによって決定することができる。これらの数を、shRNAまたはchNKG2D遺伝子単独(対照として)で形質導入されたPBMCと比較することができる。ベクターのみを形質導入された細胞を対照として含むこともできる。

0081

ウイルスの形質導入および増殖の後、Miltenyiカラムの磁気ビーズで、TCR+およびTCR細胞をmAbによって分離し、chNKG2D受容体を発現するTCR欠損T細胞を同定し、単離する。例えば、chNKG2D発現をchNKG2D受容体に特異的なプライマーを使用して、QRT−PCRによって検証できる(Zhang、T.ら(2007)Cancer Res.67:11029−11036;Barber、A.ら(2008)J.Immunol.180:72−78)。これらのTCR欠損chNKG2D+細胞の機能は、同種異系PBMCまたはNKG2Dリガンドを発現する腫瘍細胞で細胞を培養することによって、決定することができる。T細胞の増殖およびサイトカインの生成(例えば、IFN−γおよび/またはIL−2)は、それぞれ、フローサイトメトリーおよびELISAによって決定することができる。T細胞がTCR機能を失い、chNKG2D機能を保持しているかどうかを決定するために、抗CD3(1.6〜5000ng/ml)、マイトマイシンC処理された同種異系PBMC、または同一遺伝子PBMCで、形質導入された、または制御T細胞を培養する。細胞の上清を収集し、サイトカイン(例えば、IFN−γおよび/またはIL−2)の生成の程度をELISAによって決定する。分離後に娘細胞間を等しく分割する細胞膜透過性染色であるCFSEで、T細胞を前処置する。細胞分割の程度は、フローサイトメトリーによって容易に決定することができる。

0082

T細胞活性化の別の顕著な特徴はサイトカインの生成である。TCR欠損chNKG2D+細胞が、T細胞活性化を誘導するかどうかを確かめるために、マイトマイシンC処理された同種異系PBMC、同一遺伝子PBMC、または腫瘍細胞:P815−MICA(ヒトMICAを発現するマウスの腫瘍、NKG2Dのリガンド)、P815、A2008(ヒト卵巣腫瘍細胞、NKG2Dリガンド+)、およびU266(ヒト骨髄腫細胞株、NKG2Dリガンド+)と、T細胞を共培養する。24時間後、細胞のない上清を収集し、生成されたIL−2およびIFN−γの量をELISAによって定量化する。T細胞単独および同一遺伝子PBMCでの培養を、負対照として使用する。chNKG2Dも共発現するTIM7およびTIM8発現T細胞に、IFN−γ生成の減少が40%超観察された。

0083

次に、形質導入されたT細胞を対象に再導入し、または投与し、当該対象の抗腫瘍反応を活性化する。容易に投与できるように、本発明の形質導入されたT細胞を医薬組成物にし、または、さらに薬剤的にも許容可能である適切な担体または希釈剤と共に、in vivo投与に適切な移植を行うことができる。当該組成物または移植の作製方法は当該技術分野に述べられている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、16th Ed.,Mack、ed.(1980)を参照のこと)。適宜、形質導入されたT細胞を、個別の投与経路定常の方法で、カプセル溶剤注入剤吸入剤、またはエアロゾル等の半固体若しくは液体の形態の製剤に処方することができる。当該技術分野に周知の方法を使用して、組成物が標的組織若しくは臓器に達するまで、放出および吸収を防ぐ若しくは最小限にする、または確実に組成物を徐々に放出する。しかしながら、望ましくは、キメラ受容体を発現する細胞を無駄にしない薬剤的に許容可能な形態を使用する。したがって、望ましくは、形質導入されたT細胞を、調和のとれた塩類液、好ましくは、ハンクス平衡塩類溶液、または普通の生理食塩水を含む医薬組成物に作製できる。

0084

TCR欠損T細胞を使用して、疾患および障害の症状を寛解若しくは低減する、または治療、または予防する方法
本発明は、また、本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物を使用して、疾患および障害を低減若しくは寛解、または予防若しくは治療する方法に関する。ある実施形態では、本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物を使用して、癌、感染症、1つ以上の自己免疫障害、放射線疾患を低減若しくは寛解、または予防若しくは治療し、または移植手術を受けている対象の移植片対宿主病(GVHD)または移植拒絶を予防若しくは治療する。

0085

本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物は、発現中にエフェクター細胞がTGF−β中に増殖でき、導入された調節性T細胞になるように分化するため、自己免疫または移植拒絶を変化させるのに有用である。ある実施形態では、機能的非TCRを使用して、疾患の組織部位で、抑制機能を働かせるのに必要な機能的特異性を、これらの誘導された調節性T細胞に与える。そのため、対象に使用するために多数の抗原特異的調節性T細胞が増殖する。調節性T細胞の分化に欠くことのできないFoxP3の発現は、フローサイトメトリーによって分析することができ、これらの調節性T細胞によるT細胞の増殖の機能的抑制は、共培養に抗CD3刺激を与えた後に、T細胞の増殖の減少を検査することによって分析することができる。

0086

本発明の別の実施形態は、放射線疾患を予防または治療するために、本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物を使用することに関する。放射線治療または曝露(例えば、汚い爆弾暴露放射線漏れ)または骨髄細胞を切除する(特定の薬物療法)その他の条件の後の課題の1つは、造血系再構成することである。骨髄移植を受けている患者では、移植後第15日目のリンパ球の絶対数は、転帰成功相関する。リンパ球が多い患者は良好に回復するため、良好なリンパ球再構成を有することが重要である。この影響の理由は明らかではないが、増殖因子の感染および/または生成から、造血再構築好むリンパ球を保護することに起因し得る。

0087

当該実施形態では、本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物は、同種異系MHC抗原に反応することができない多数のT細胞を生成させる。そのため、これらのT細胞を使用して、人々を回復させ、感染から守り放射線曝露による全体または部分的骨髄切除を罹患している人々の速い自己再構成を導き得る。破壊的または予期せずに高用量の放射線に曝露される事象では、別の機能的受容体を有する本明細書に記載のTCR欠損T細胞、その単離された個体群、または同細胞を含む治療的組成物を患者に迅速に注入し、自身の造血細胞を自身で再構成し、または造血幹細胞源の追加で(例えば、骨髄移植)治療されるまで、数日から数週間、免疫応答および増殖因子の生成の何らかの再構成を提供することができる。

0088

当業者は、癌、感染症、移植拒絶、1つ以上の自己免疫障害、放射線疾患、またはその他の種類のT細胞を使用した経験に基づくGVHDの治療方法を理解している。

0089

本明細書に記載の例証のTCR欠損chNKG2D+T細胞の他に、TCR欠損T細胞を改変、または発現させ、前述の癌または感染症等の疾患を治療するのに有用なその他の機能的受容体を発現することができる。端的には、本発明の治療方法は、chNKG2D、キメラのFvドメイン、NKG2D、またはT細胞へのシグナルを惹起する任意のその他の受容体等の機能的非TCR受容体の使用を考慮し、それによって、潜在能があり、特定のエフェクターT細胞を作製する。当業者は、治療対象の疾患に基づき、TCR欠損T細胞によって発現される適切な受容体を選択することができる。例えば、癌を治療するためのTCR欠損T細胞によって発現することができる受容体は、癌細胞上で同定されたリガンドに結合する任意の受容体を含む。当該受容体として、限定されないが、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80が挙げられる。

0090

本発明の別の実施形態では、当該受容体として、限定されないが、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、NKp30、NKp44、NKp46、CD244(2B4)、DNAM−1、およびNKp80から得られるリガンド結合ドメインを含むキメラ受容体、または抗Her2neuおよび抗EGFR等の抗腫瘍抗体、並びにCD3zeta、Dap10、CD28、41BB、およびCD40Lから得られるシグナリングドメインが挙げられる。

0091

本発明のさらなる実施形態では、キメラ受容体はMIC−A、MIC−B、Her2neu、EGFR、メソテリン、CD38、CD20、CD19、PSA、MUC1、MUC2、MUC3A、MUC3B、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC6、MUC7、MUC8、MUC12、MUC13、MUC15、MUC16、MUC17、MUC19、MUC20、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、RON、またはULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5、およびULBP6を包含するULBP/RAET1ファミリーの一つ以上のメンバーを結合する。

0092

非TCR病原体結合型受容体を発現するTCR欠損T細胞、および感染性疾患を治療または予防するための病原体受容体を発現するTCR欠損T細胞も、本発明によって含まれる。当該実施形態では、非TCR受容体は、感染された細胞の表面に認められるウイルス抗原またはウイルス誘導抗原に結合する。予防または治療される感染症は、例えば、ウイルス、細菌、原生動物,または寄生虫によって引き起こされ得る。治療することのできるウイルスとして、限定されないが、HCMV、EBV、A型肝炎B型肝炎HBV)、C型肝炎(HCV)、エボラウイルス、VSV、インフルエンザ水痘アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV−1)、2型単純ヘルペス(HSV−2)、牛疫ライノウイルスエコーウイルスロタウイルス呼吸器合抱体ウイルス、パピローマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エチノウイルス、アルボウイルスハンタウイルスコクサッキーウイルスムンプスウイルス麻疹ウイルス風疹ウイルス、ポリオウイルス、および/または1型若しくは2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1、HIV−2)が挙げられる。TCR欠損T細胞を使用して、治療することのできる非ウイルス性感染症として、限定されないが、感染性スタフィロコッカス属一種腸球菌属の一種、炭疽菌乳酸桿菌属の一種、リステリア属の一種、ジフテリア菌ノカルジア属の一種、連鎖球菌属の一種、シュードモナス属の一種、ガードネレラ属の一種、ストレプトミセス属の一種、テルモアクチノミセス‐ブルガリストレポネーマ属の一種、カンピロバクター属の一種、Raeruginosa属の一種、レジオネラ属の一種、淋菌髄膜炎菌、F.メニンゴゼプチクム、F.オドラタム、ブルセラ属の一種、百日咳菌ボルデテラブロンキセプチカ、大腸菌、クレブシエラエンテロバクター霊菌セラチア・リクファエンス、エドワージエラ属、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、ストレプトバチルス属、R.fickettsfi、オウム病クラミジア、C.trachornatis、結核菌マイコバクテリウムイントラセルラーレ、M.folluiturn、ライ菌、マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、カンサシ菌、M.lepraernurium、トリパノソーマクラミジア属、またはリケッチアが挙げられる。

0093

本発明の組成物の効果は、開発されている薬剤の種類に依存して、最も適切なin vivoモデル系で証明することができる。医学文献は、様々な当該モデルの利点および使用の詳細な開示を提供する。例えば、異種移植片マウスモデル等の癌に対する薬剤の薬理学的活性を検討するために通常に使用される多くの異なる種類の癌モデル(例えば、Mattern、J.ら1988.Cancer Metastasis Rev.7:263−284;Macor、P.ら 2008.Curr.Pharm.Des.14:2023−2039)があり、またはin vitroの腫瘍増殖の抑制に関するものもある。GVHDでは、急性GVHD(例えば、He、S.ら2008.J.Immunol.181:7581−7592)と慢性GVHD(例えば、Xiao、Z.Y.ら 2007.Life Sci.81:1403−1410)の両方のマウスモデルがある。

0094

本発明の組成物の効果が動物でin vivoで示されると、動物において安全で効果的であると示された用量に基づき、臨床研究が設計され得る。当業者は、Spilker(2000.Guide to Clinical Trials.Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia)等のテキストに記載の標準的なプロトコルを使用して当該臨床研究を設計することができる。

0095

投与
本発明のある実施形態では、TCR欠損T細胞を約106〜1011細胞個の量で、レシピエントの対象に投与する。本発明の好ましい実施形態では、TCR欠損T細胞を約108〜109細胞個の量で、レシピエントの対象に投与する。本発明の好ましい実施形態では、TCR欠損T細胞を、16週間未満毎に1回、8週間未満毎に1回、4週間未満毎に1回等の26週間未満毎に1回の頻度で、レシピエントの対象に投与する。

0096

これらの値は、本発明を実践するために、本発明の方法を最適化するときに、実施者によって使用される形質導入されたT細胞の範囲の一般的な手引きを提供する。本明細書でこのような範囲を列挙することによって、特定の適用で保証されるように、要素のより高いまたは低い量を使用することを妨げることは決してない。例えば、組成物がその他の組成物と併用して投与されるかどうか、薬物動態個体差、薬物消長、および代謝に依存して、実際の用量およびスケジュールは変化する可能性がある。当業者は、特定の状況の緊急性に従って、容易にいかなる必要な調整もすることができる。

0097

当該技術分野の教授に基づき、または通常の実験、例えば、本明細書の開示、およびGoodman、L.S.,Gilman、A.,Brunton、L.L.,Lazo、J.S.,&Parker、K.L.(2006)の教授によって、当業者は、効果的な用量および投与頻度を決定することができる。Goodman&Gilman’sthe pharmacological basis of therapeutics.New York:McGraw−Hill;Howland、R.D.,Mycek、M.J.,Harvey、R.A.,Champe、P.C.,& Mycek、M.J.(2006)。薬理学。Lippincott’s illustrated reviews。Philadelphia,Pa.,[etc.]:Lippincott Williams&Wilkins;およびGolan, D. E. (2008)。Principles of pharmacology:the pathophysiologic basis of drug therapy。Philadelphia、Pa.,[etc.]:Lippincott Williams&Wilkins。投与スケジュールは、良く確立され、細胞ベースの治療法に基づくことができ(例えば、Topalian and Rosenberg(1987)Acta Haematol.78 Suppl 1:75−6;米国特許第4,690,915号)に基づくことができ、交互の連続注入戦略を使用することができる。

0098

本発明の別の実施形態では、TCR欠損T細胞を医薬製剤で対象に投与することができる。

0099

本発明のある実施形態では、1つ以上の活性剤と併用してTCR欠損T細胞を投与してもよい。当該活性剤として、鎮痛剤解熱剤抗炎症剤抗生物質抗ウイルス薬、および抗サイトカイン剤が挙げられる。活性薬剤として、アゴニストアンタゴニスト、およびTNF−αの修飾薬、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、IFN−α、IFN−γ、BAFF、CXCL13、IP−10、VEGF、EPO、EGF、HRG、肝細胞増殖因子HGF)、前述のいずれかに反応性のある抗体を含むヘプシジン、およびそれらの受容体のいずれかに対して反応性のある抗体が挙げられる。活性剤として、また、2−アリールプロピオン酸アセクロフェナクアセメタシンアセチルサリチル酸アスピリン)、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アモキシプリンアンピロンアリールアルカン酸アザプロパゾン、ベノリレート/ベノリラート、ベノキサプロフェンブロムフェナクカルプロフェンセレコキシブコリンマグネシウムサリチル酸塩クロフェゾンシクロオキシゲナーゼ−2阻害薬デクスイブプロフェンデクスケトプロフェンジクロフェナクジフルニサール、ドロキシカムエテンザミドエトドラクエトリコキシブファイスラミン、フェナム酸、フェンブフェンフェノプロフェンフルフェナム酸、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェンイブプロフェンイブプロキサムインドメタシンインドプロフェン、ケブゾンケトプロフェンケトロラックロルノキシカムロキソプロフェンルミラコキシブサリチル酸マグネシウムメクロフェナム酸メフェナム酸メロキシカムメタミゾールサルチル酸メチルモフェブタゾンナブメトンナプロキセン、N−アリールアントラニル酸神経成長因子(NGF)、オキサメタシン、オキサプロジンオキシカムオキシフェンブタゾンパレコキシブ、フェナゾン、フェニルブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカムピルプロフェン、プロフェン、プログルメタシンピラゾリジン誘導体ロフェコキシブサリチル酸サリチルサリチルアミド、サルチル酸塩、スルフィンピラゾンスリンダクスプロフェンテノキシカムチアプロフェン酸トルフェナム酸トルメチン、およびバルデコキシブが挙げられる。

0100

抗体として、アミカシンアミノグリコシドアモキシシリンアンピシリンアンサマイシンアルスフェナミンアジスロマイシン、アズロシリンアズトレオナムバシトラシンカルバセフェムカルバペネムカルベニシリンセファクロルセファドロキシルセファレキシンセファロチン、セファロチン、セファマンドールセファゾリンセフジニルセフジトレンセフェピムセフィキシムセフォペラゾンセフォタキシム、セホキシチン、セフポドキシムセフプロジルセフタジジムセフチブテンセフチゾキシムセフトビプロール、セフトリアソンセフロキシムセファロスポリン類、クロラムフェニコールシラスタチンシプロフロキサシンクラリスロマイシンクリンダマイシンクロキサシリンコリスチン、コトリモキサゾール、ダルホプリスチンデメクロサイクリンジクロキサシリン、ジリスマイシン、ドリペネム、ドキシサイクリンエノキサシンエルタペネムエリトロマイシンエタンブトールフルクロキサシリンホスホマイシンフラゾリドンフシジン酸ガチフロキサシンゲルダナマイシンゲンタマイシングリコペプチドハービマイシンイミペネムイソニアジドカナマイシンレボフロキサシンリンコマイシンリネゾリドロメフロキサシン、ロラカルベフ、マウロライドマフェニドメロペネムメチシリンメトロニダゾールメズロシリンミノサイクリンモノバクタムモキシフロキサシンムピロシンナフシリン、ネオマイシン、ネチルマイシンニトロフラントインノルフロキサシンオフロキサシンオキサシリンオキシテトラサイクリンパロモマイシンペニシリン、ペニシリン、ピペラシリンプラテンシマイシン、ポリミキシンB、ポリペプチド、プロントジル、ピラジナミドキノロンキヌプリスチンリファンピシンリファンピンロキシスロマイシンスペクチノマイシンストレプトマイシンスルファセタミドスルファメチゾールスルファニルイミドスルファサラジンスルファフラゾール、スルホンアミドテイコプラニンテリスロマイシンテトラサイクリンテトラサイクリン類チカルシリンチニダゾールトブラマイシン、トリメトプリン、トリメトプリムスルファメトキサゾールトロレアンドマイシントロバフロキサシン、およびバンコマイシンが挙げられる。

0102

「薬剤的賦活剤」または「薬剤的に許容可能な賦形剤」は、担体、通常は液体であり、活性治療剤が処方される。本発明のある実施形態では、活性治療剤は、TCR欠損T細胞の個体群である。本発明のある実施形態では、活性治療剤は、機能的非TCR受容体を発現するTCR欠損T細胞の個体群である。賦形剤は、化学的および/または生物学的安定性を与え得るが、製剤に薬理学的活性は与えない。例示的な製剤として、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、19thEd.,Grennaro、A.,Ed.,1995に認めることができ、参照により本明細書に取り込まれる。

0103

「薬剤的に許容可能な担体」または「賦形剤」は、本明細書に使用するとき、任意のおよび全ての溶媒、分散培地、コーティング剤、抗細菌および抗真菌剤生理学的に適合性のある等張剤および吸収遅延剤を含む。ある実施形態では、担体は、非経口投与に適している。あるいは、担体は静脈内、腹腔内、筋肉内、または舌下投与に適することができる。薬剤的に許容可能な担体は、無菌注入液または分散液を即座に調製するために、無菌の水溶液、または分散液を含む。薬剤的に活性の物質について当該培地および薬剤を使用することは当該技術分野で周知である。任意の通常の培地または薬剤において活性化合物と適合性がなくても、本発明の医薬組成物にそれを使用することは考慮される。補助活性化合物もまた、組成物に組み込むことができる。

0104

本発明の特に好ましい実施形態では、適切な担体として、限定されないが、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、リン酸緩衝塩類溶液PBS)、または例えば、10%のDMSOおよび90%のヒト血清を有する任意の凍結媒体が挙げられる。

0105

医薬組成物は、製造および保管条件下で、典型的には無菌で安定的でなければいけない。本発明は、医薬組成物が凍結乾燥した形態で存在することを考慮する。組成物は溶液として処方することができる。担体は、例えば、水を含む分散培地であってもよい。

0106

列挙した実施形態のそれぞれについて、様々な剤形化合物を投与することができる。当業者に周知の任意の生物学的に許容可能な剤形およびその組み合わせが考慮される。当該剤形の例として、限定されないが、液体、溶液、懸濁液、乳状液、注入液(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、注入、およびその組み合わせが挙げられる。

0107

本発明の様々な説明された実施形態の上の記述は、本発明を、開示される正確な形態に余すところなく示すこと、または限定することを意図しない。本発明の特定の実施形態および実施例は、説明する目的で記述しており、関連技術分野の当業者が認識するように、様々な同等の修正が本発明の範囲で可能である。本発明の明細書に提供される教授は、その他の目的、上述の実施例と異なるものに適用することができる。

0108

上述の詳細な記述の観点から、本発明にこれらおよびその他の変更を施すことができる。一般的に、以下の請求項では、使用される用語が、本発明を、明細書および請求項に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではない。したがって、本発明は、開示物によって制限されるものではないが、本発明の範囲が以下の請求項によって全体的に特定される。

0109

本発明は、以下の記述および実施例に具体的に記載されるもの以外の方法で、実施してもよい。本発明の多くの修正および変形例は、上述の教授の観点から可能であり、したがって、添付の請求項の範囲にある。

0110

T細胞受容体欠損T細胞組成物に関する特定の教授およびその使用方法は、2009年10月29日に提出された米国特許仮出願第61/255,980号に開示され、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。

0111

キメラ受容体を発現するT細胞の生成およびその使用法に関する教授は、2010年2月4日に提出された米国特許仮出願第US2010/0029749号に開示され、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。

0112

本発明のT細胞受容体欠損T細胞の生成に有用な特定のポリヌクレオチド配列は、当該特許出願の提出に付随して、配列一覧表に開示し、当該配列一覧表の開示は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。

0113

背景技術、発明を実施するための形態、および実施例中に列挙された各書類(特許、特許出願、雑誌論文、要約、マニュアル書物、またはその他開示物)の全体の開示は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。

0114

以下の実施例は、本発明の作製および使用方法を完全に開示し記述したものを当業者に提供するために記述しており、本発明としてみなされるものの範囲を制限することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度、濃度等)に関して、正確性を期すために努力をしているが、いくつかの実験誤差および偏差があることは許容されるものである。他に断りがない限り、部は重量部であり、分子量は平均の分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気またはそれに近い圧力である。

0115

実施例1:T細胞受容体(TCR)欠損T細胞の生成

0116

ミニ遺伝子を5’および3’LTR配列を含むレトロウイルス発現プラスミド(例えば、pFB−ネオまたはpSFG)にコードする。プラスミドをPT67またはPG13等のレトロウイルスパッケージング細胞株パッケージし、パッケージングがコンフルエンスになったら、ウイルス粒子を収集する。その後、完全培地(または血清のない培地)とrIL−2(25U/ml)中で、1〜3日間、PHA、抗CD3、または抗CD3/28mAbによって、T細胞を活性化させ、レトロネクチンまたはポリブレンの存在下で、32℃でspinoculationを実施することによって、T細胞を形質導入した。約5〜7時間休ませた後に、細胞を洗浄し、新鮮な培地+IL−2に2〜7日間置く。過剰な細胞濃度を避けるために(すなわち、>2x106細胞個/ml)、周期的に細胞を数え、7x105細胞個/mlで再播種する。形質導入されなかったT細胞を取り除くために、選択培地を2日後、3〜5日の期間、使用してもよい。生きている細胞をLymphoprep(登録商標)(Sentinel、ミラン、イタリア)勾配によって収集し、さらに1〜3日間増殖させる。

0117

インキュベーションの後、TCRの発現および機能について、細胞を分析した。適宜、この時点で、機能的非TCR受容体の発現も分析してもよい。フローサイトメトリーを使用し、蛍光色素標識抗体を使用して、TCR/CD3発現について試験する。生きている細胞をCD3ε、TCRα、TCRβ、TCRγ、またはTCRδに対する抗体と組み合わせて、CD5、CD8、およびCD4に対する抗体と染色した。CD3またはTCR遺伝子のいずれかの発現を使用する場合、TCRタンパク質とCD3タンパク質の両方の発現は、対照ベクター処理されたT細胞に比べ、激しく減少するはずである。アイソタイプの対照抗体を使用して背景蛍光を制御する。T細胞を同定するために、細胞をCD5でゲート開閉し、その後、CD4、CD8、CD3、およびTCRの発現を決定する。各処理について複数の試料を使用し、蛍光色素発光スペクトルの適切な補正を使用する。前述した(Zhang、T.ら、(2006)Cancer Res.,66(11)5927−5933;Barber、A.ら、(2007)Cancer Res.,67(10):5003−5008のように、特異抗体およびフローサイトメトリーを使用して、別
の受容体(例えば、chNKG2D)の発現を決定する。

0118

TCRの機能的欠損について試験するために、エフェクター細胞の抗CD3刺激を培養の最後に使用して、24時間後にインターフェロン(IFN)−ガンマの生成を測定する。T細胞(2x105)を可溶性抗CD3(OKT3)mAbと完全培地中で培養する。24時間後、細胞のない馴化培地を収集し、IFN−ガンマについてELISAによって分析する。TCR発現または機能の変化は、IFN−ガンマ生成の減少に反映されるはずである。

0119

機能的非TCRの機能について試験するために、特定のリガンドを発現する、または発現しない腫瘍細胞でインキュベートされるT細胞による特定のサイトカインの生成を使用する。例えば、chNKG2Dの機能を試験するために、105T細胞を、105P815−MICA腫瘍細胞(リガンド+)、105P815(リガンド−)細胞、105RPMI8226細胞(リガンド+)またはT細胞単独とインキュベートする。24時間後、細胞のない馴化培地を収集し、ELISAによってIFN−gを測定する。リガンド発現腫瘍細胞との培養後、キメラNKG2DT細胞はIFN−γを生成する(Zhang、T.ら、(2006)Cancer Res.,66(11)5927−5933;Barber、A.ら、(2007)Cancer Res.,67(10):5003−5008)。前述した(Zhang、T.ら、(2006)Cancer Res.,66(11)5927−5933)のように、リガンド+腫瘍細胞に対する細胞傷害活性を試験することも可能である。リガンド−腫瘍細胞または特定の受容体ブロッキングmAbを使用して、特異性が示される。

0120

実施例2:chNKG2Dを発現するT細胞受容体(TCR)欠損T細胞の生成

0121

当該実施例では、chNKG2D受容体の同時発現および内因性TCR発現の抑制を実施する。当該実施例では、マウスのchNKG2D受容体をN末端に結合されたCD3-ゼータと組み合わせたNKG2Dから成るマウスのchNKG2D受容体を使用する。マウスT細胞にchNKG2D受容体を生成させ、発現させる。NKG2DはII型タンパク質であり、N末端は細胞内に位置し(Raulet(2003)Nat.Rev.Immunol.3:781−790)、CD3-ゼータは、細胞質中でC末端を伴うI型タンパク質である(Weissman、ら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:9709−9713)。キメラNKG2D−CD3-ゼータ融合タンパク質を産生させるために、開始コドンATGは、CD3-ゼータ鎖(停止コドンTAAなし)の細胞質領域についてコーディング配列の前方、次に野生型NKG2D遺伝子に位置している。発現と同時に、CD3-ゼータ部分の方向が細胞内で反転する。細胞外および膜貫通ドメインはNKG2Dから生じる。Dap10遺伝子、次にCD3-ゼータ細胞質内ドメインについてコードする断片をコードする第二のキメラ遺伝子も構築する。図1はキメラおよび野生型受容体の構築物を表す。

0122

レンチウイルスベクター内で、shRNAをchNKG2D受容体と操作的に結合させる。両遺伝子の発現を達成するために、U6プロモーターによってshRNAを駆動し、PGKプロモーターによってchNKG2D受容体を駆動する。一次ヒトPBMCを健康なドナーから単離し、低用量の可溶性抗CD3および25U/mlのrhuIL−2で48時間活性化させる。レンチウイルスの形質導入にT細胞を活性化させる必要はないが、形質導入がより効果的に作用し、IL−2内で細胞を増殖させ続けることができる。活性化した細胞を洗浄し、30℃でspin−fectionを1時間使用し、次に7時間の静止期間をおくことによって形質導入する。細胞を洗浄し、3〜7日間25U/mlのIL−2内で培養し、in vivoで細胞を使用して行うのと同様の様式で、エフェクター細胞を増殖させる。TCRαβ、CD3、およびNKG2Dの発現を、フローサイト
トリーおよび定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)によって評価する。CD4+およびCD8+T細胞の数は、フローサイトメトリーによって決定する。全体の細胞数およびTCR複合体の欠損の割合はフローサイトメトリーによって決定する。shRNAまたはchNKG2D遺伝子単独(対照として)で形質導入されるPBMCと比較する。ベクターのみが形質導入された細胞も対照として含まれる。

0123

chNKG2D受容体が共発現するため、細胞表面のTCR発現がない、またはほとんどない細胞が、より高い量の細胞表面NKG2Dを発現することが予想される。

0124

代わりに、1つはshRNA構築物であり、もう1つはchNKG2D受容体である2つのウイルスと同時に形質導入を発生させてもよい。TCR発現を欠損するT細胞中に、確実にchNKG2Dを高発現させるために、多量のchNKG2Dウイルスを使用する。残っているTCR+T細胞を取り除き、TCR-、chNKG2D+T細胞を得る。

0125

ウイルスの形質導入および発現の後、Miltenyiカラムの磁気ビーズで、TCR+およびTCR細胞をmAbによって分離する。chNKG2D受容体に特定のプライマーを使用して、QRT−PCRによって、chNKG2D発現の検証を実施する。

0126

T細胞がTCR機能を失い、chNKG2D機能を保持しているのかを確かめるために、形質導入された、または制御T細胞を、マイトマイシンC処理された同種異系PBMCまたは同一遺伝子PBMCと培養する。分離後に娘細胞間を等しく分割する細胞膜透過性染色であるCFSEで、T細胞を前処置する。細胞分割の程度は、フローサイトメトリーによって容易に決定できる。

0127

shRNA構築物がTCR機能を抑制し、chNKG2D受容体を機能させることができるかどうかを確かめるために、形質導入されたT細胞をマイトマイシンC処理された同種異系PBMC若しくは同一遺伝子PBMC、または腫瘍細胞:P815−MICA(ヒトMICAを発現するマウス腫瘍、NKG2Dについてのリガンド)、P815、A2008(ヒト卵巣腫瘍細胞、NKG2Dリガンド+)、およびU266(ヒト骨髄腫細胞株、NKG2Dリガンド+)と培養する。48時間後、細胞のない上清を収集し、生成されたIL−2およびIFN−γの量をELISAによって定量化する。T細胞単独を負対照として使用する。

0128

実施例3:chNKG2Dを発現するT細胞受容体(TCR)欠損T細胞のin vivo投与

0129

当該実施例では、実施例2で生成されるように、マウスchNKG2D受容体を発現するTCR欠損T細胞をマウスに投与し、特定の癌の当該T細胞のin vivoの治療能力を評価する。C57BL/6マウスに、キメラNKG2Dを保有するT細胞(106)をRMA/Rae−1β腫瘍細胞(105)と共に、皮下に同時投与する。30日後に、腫瘍がない、またはRMA/Rae−1β腫瘍が腫瘍抑制的に増殖する、キメラNKG2Dを保有するTCR欠損T細胞で治療されたマウスは、これらのマウスの中で治療的な抗腫瘍活性を反映する。

0130

第二の、もっとストリンジェントなモデルでは、右側にRMA/Rae−1β腫瘍を皮下に接種する1日前に、B6マウスに形質導入されたT細胞(107)を養子性に静脈内に移す。対照ベクターを修飾したT細胞に比べ、RMA/Rae−1β腫瘍(皮下)の増殖の抑制は、これらのマウスに治療的な抗癌作用を反映する。キメラNKG2Dを修飾したT細胞での治療の毒性について、キメラNKG2Dを保有するT細胞で治療する場合、炎症性損傷(すなわちひだ状の毛、せむし様または下痢等)の明らかな証拠は認められず
、明らかな毒性がないことを反映する。

0131

確立された卵巣腫瘍(ID8)のよりストリンジェントなモデルでは、5週間腫瘍を持っているマウスに、形質導入されたchNKG2DT細胞(5x106T細胞、静脈内)を注射する。腫瘍曝露から7および9週で、マウスにT細胞をさらに注射する。これらの条件下で、chNKG2DT細胞で治療を受けたマウスは、250日以上の間、腫瘍のない状態が続き、同じ計画で対照T細胞の治療を受けたマウスは、100日以内に腫瘍増殖のため死亡する。キメラNKG2D修飾T細胞での治療の毒性について、キメラNKG2Dを修飾したT細胞で治療する場合、炎症性損傷の明らかな証拠は認められず、明らかな毒性がないことを反映する。

0132

多発性骨髄腫のモデルでは、5T33MM腫瘍細胞を持っているマウスを、腫瘍細胞注入後の第12日目に、chNKG2DT細胞(5x106細胞個、静脈内)で治療する。この治療によって、全マウスの寿命が増加し、これらのマウスの半数は、長期間の無腫瘍生存である。対照T細胞で治療を受けたマウスは、30日以内に腫瘍のため死亡する。chNKG2DT細胞で治療することによる毒性の明らかな証拠は観察されない。

0133

免疫系は腫瘍変異体について選択することができるため、癌に最も効果的な免疫療法は、複数の腫瘍抗原に対する免疫性を誘発するものになる可能性がある。3番目の実験では、キメラNKG2Dを保有するT細胞で治療することが、野生型腫瘍細胞に対する宿主免疫を誘発するかどうかを試験する。キメラNKG2Dを保有するT細胞およびで治療を受ける5T33MM腫瘍細胞を有するマウスは、5T33MM腫瘍細胞に曝露されてから80日後も無腫瘍である。無腫瘍生存マウスは、平均27日以内に腫瘍により死亡する対照ナイーブマウスに比べ、その後の5T33MM細胞個(3x105)の曝露に抵抗性がある。しかしながら、無腫瘍生存マウスは、RMA−Rae1腫瘍細胞(3x105)のその後の曝露には抵抗性がなく、ナイーブマウスと同様のタイムスパンで腫瘍により死亡する(20日)。このことは、キメラNKG2Dを保有するT細胞の養子移入が、宿主に腫瘍特異的T細胞記憶を産生することを示す。

0134

当該発明では、T細胞の機能に影響を与える4つのクラスのTCR抑制分子(TIM)を提供する。表2は、19個の異なるTIMが、可溶性抗CD3(OKT3(200ng/ml))刺激(CD3)への反応、または同種異系PBMC(Allo)での培養のいずれかのエフェクターT細胞機能に及ぼす影響をまとめたものである。左の名称はTIMのクラスを意味する。数値は、対照pFBベクターを形質導入されたT細胞に比例したTCR抑制のパーセント減少を示す。NI:抑制なし。ND:なされていない。

0135

実施例4:CD3-エプシロンまたはCD3-ゼータをコードするshRNA標的核酸を使用したT細胞受容体(TCR)欠損T細胞の生成

0136

当該実施例では、CD3-エプシロンまたはCD3-ゼータをコードする核酸を標的にするshRNA配列を使用して、内因性TCR発現を抑制した。

0137

U6プロモーターによって制御された発現を伴うレトロウイルス・ベクターpSM2c(Open Biosystems)にクローンされたshRNA配列を購入した。T細胞がTCR複合体の主要要素を1つも生成しないように、これらのshRNA構築物を使用してCD3-エプシロンおよび/またはCD3-ゼータタンパク質の発現をブロックした。その結果、TCR複合体は不安定になり、機能的TCRの細胞表面発現が防がれ、TCR複合体によるT細胞機能が減少した。CD3-エプシロンまたはCD3-ゼータに対するshRNAの配列を表1に記載し、それぞれ、配列番号9〜26および68〜71に対応する。

0138

shRNAがTCR機能を変質させるかどうかを確かめるために、(i)可溶性抗CD3刺激(CD3)に反応して、または(ii)同種異系PBMC(Allo)での培養に反応して、IFN−ガンマ生成を測定した。具体的には、200ng/mlの抗CD3モノクロナール抗体で刺激した後に、TIM1またはTIM3で処理されたT細胞のTCR抑制は、それぞれ、22.6%または14.9%減少した。上の表2を参照のこと。

0139

実施例4:CD3-ゼータのドミナントネガティブ抑制因子を使用したT細胞受容体(TCR)欠損T細胞の生成

0140

当該実施例では、ドミナントネガティブな阻害タンパク質、すなわちTIMの過剰発現が、TCR発現および機能を妨げた。KIR2DL1から抑制シグナルを含むように変質されたCD3-ゼータを含むドミナントネガティブ阻害タンパク質を使用して、内因性TCR発現を抑制し、得られるT細胞はTCR刺激に反応して活性化されなかった。

0141

CD3-ゼータをコードする修飾ポリヌクレオチドの全て、または部分を組み込んだミニ遺伝子構築物を、CD3-ゼータおよびKIR2DL1cDNAテンプレート(それぞれ、配列番号64および配列番号66に対応し、Open Biosystems(ハンツビルアラバマ州)から購入した)を使用して、PCRによって産生した。High−Fidelity DNA Polymerase Phusion(New England Biolabs、イプスウィッチマサチューセッツ州)を使用して全PCRを実施し、プライマーはIntegrated DNA Technologies(コーラルビル、アイオワ州)によって合成した。確立された実験計画を用いて、各構築物を、5’LTRによって制御された発現で、レトロウイルス・ベクターpFB−ネオ(ストラタジーン)にクローンした。得られる構築物をスクリーニングし、シークエンシングによって正確度を確認し、DNAdynamo(Blue Tractor Software Ltd)によって分析した。DNA配列およびその予測されるタンパク質配列は、配列番号68〜101に対応する。

0142

レトロウイルス発現系を使用して、一次T細胞にTIMを発現させた。2つの異なるパッケージング細胞株を使用して低力価または高力価のいずれかのウイルスを生成した。低力価のウイルスは、パッケージングプラスミドおよびエンベローププラスミドで一過性に形質移入されたGP2−293T細胞によって生成した。72時間後、ウイルスの上清を集め、G418で選択した後にNIH−3T3細胞を感染させることによって力価を測定した。当該系によって生成されたウイルスの力価は5x105と1x107CFU/mlの間であった。高力価のウイルスを生成させるために、GP2−293T系によってウイルスを生成し、PT67パッケージング細胞を形質導入した。G418での処理下、ウイルス粒子に感染されたPT67細胞を5日間選択した。TIM発現PT67細胞を増殖させ、ウイルス生成に使用した。細胞がコンフルーエントに達してから72時間後、ウイルスの上清を集め、NIH−3T3で力価を測定した。当該系によって得られるウイルスの力価は、7x107〜2x108CFU/mlの範囲にあった。

0143

ヒトT細胞を形質導入するために、一次ヒトPBMCを健康なドナーから単離し、40ng/mlの可溶性抗CD3および50U/mlのrhuIL−2で、72時間活性化した。活性化されたT細胞を洗浄し、32℃でspin−infectionを1時間使用し、次に6時間の静止期間をおいて、低力価または高力価のいずれかのウイルスによって生成されたレトロウイルスで形質導入した。細胞を洗浄し、50U/mlのIL−2に48時間培養し、その後、3日間選択した。選択後、Lymphoprep(Mediatech)を使用して生きている細胞を単離し、細胞を機能的アッセイに使用する場合、エフェクター細胞を50U/mlのIL−2に48時間増殖させた。shRNAで形質導入された細胞中のCD3-エプシロンおよびCD3-ゼータの内因性細胞発現、およびshRNAによる遺伝子発現の減少を、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)によって分析した。端的には、RNAを形質導入されたT細胞から抽出し、QuantiTect Rev.Transcription Kit(Qiagen)を使用して0.5〜1μgの全RNAを逆転写した。qRT−PCR分析のために、得られるcDNAをSYBR green(Applied Biosystems)と共に使用し、データは、グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素(GAPDH)レベルに正規化した。CD3、CD8、CD4、およびCD5に特異的な抗体を使用して、細胞表面発現の変化を分析し、TIM発現T細胞では、ベクター対照と比較して、これらの細胞表面分子の発現に差は観察されなかった。

0144

各shRNAまたはミニ遺伝子構築物(TCRを細胞表面で除去するか破壊した)でのTCR発現の減少が、TCR刺激に対するT細胞の活性化を防ぐのに十分であるかどうかを確かめるために、(1)in vitroの細胞生存および(2)同種異系PBMCおよび/または抗CD3mAbに反応したサイトカイン生成について、T細胞を試験した。

0145

細胞生存を試験するために、rhuIL−2(50U/ml)を含む完全RPMI培地で形質導入されたT細胞を増殖させた。培養開始時と同様の密度で細胞を播種し、細胞数をカウントするために、および生存度を確かめるために、7日またはそれ以上の間、毎日、試料を除去した。対応するベクター対照発現T細胞と比較して、TIM発現T細胞の増殖に、差は観察されなかった。T細胞が同種異系の細胞に対する反応を誘発するために十分なTCRを発現したかどうかを確かめるために、4:1の比で、同種異系または自家PBMCで、形質導入されたまたは対照のT細胞を培養した。24時間後、細胞のない上清を集め、生成されたIFN−γの量をELISAで定量した。PBMCおよび形質導入された細胞を含むT細胞単独を負対照として使用した。分析されたTCR抑制分子のうち、2つのミニ遺伝子(TIM7およびTIM8)が、T細胞内のTCR機能を有意に低下させることができることを識別した。図2を参照のこと。TIM7またはTIM8を発現する19個の異なるドナーを使用して、同種異系アッセイを実施し、各ドナーを3個の異なる同種異系PBMCと共に培養した。IFN−γ生成の平均減少が、TIM7発現T細胞では49%であり、TIM8発現T細胞では60%であることを観察した。

0146

TCR複合体の直接的な抗体刺激によって、各TIMがT細胞機能を抑制するかどうかを確かめるために、TIMを形質導入したT細胞を、異なる濃度範囲の抗CD3mAb(1.6〜5000ng/ml)で処理した。24時間後、細胞のない上清を集め、生成されたIFN−γの量をELISAで定量した。T細胞単独を負対照として使用した。200ng/mlの抗CD3mAbで細胞を24時間刺激すると、IFN−γ生成の最大減少が、それぞれ、TIM7を発現するT細胞では44%、TIM8を発現するT細胞では58%であることを観察した。まとめると、このことは、例えば、TCRを除去するまたは破壊させるためにTIMを使用して、TCR発現を減少させることは、T細胞機能を変化させるのに十分であることを示す。

0147

実施例5:chNKG2Dを発現するT細胞受容体(TCR)欠損T細胞の生成

0148

当該実施例では、ドミナントネガティブのTCR阻害タンパク質、すなわちTIMの同時過剰発現、およびキメラ腫瘍標的受容体の発現を実施した。具体的には、TIMを使用して内因性TCR発現を抑制し、CD3-ゼータの細胞質内ドメインに結合されたchNKG2Dキメラ受容体、すなわちNKG2Dを発現させた。NKG2DはDap10と付随し、T細胞に一次および二次活性化シグナルの両方を提供する。Zhang、T.ら.2006.Cancer Res.66(11):5927−5933を参照のこと。NKG2Dについてのリガンドは、大部分のヒト腫瘍細胞によって発現されるが、大部分の正常な細胞には発現されない。

0149

TIMとキメラ腫瘍標的受容体の両方の発現を試験するために、一次ヒトPBMCを健康なドナーから単離し、40ng/mlの可溶性抗CD3および50U/mlのrhuIL−2で72時間活性化した。活性化されたT細胞を洗浄し、32℃で1時間のspinoculationを使用し、次に7時間の静止期間をおくことによって、高力価のレトロウイルスで形質導入した。TIMとchNKG2Dの等量を形質導入に使用した。細胞を洗浄し、50U/mlのIL−2に48時間培養し、その後、3日間、G418選択を行った。選択後、Lymphoprep(Mediatech)を使用して生きている細胞を単離し、細胞を機能的アッセイに使用するときに、エフェクター細胞を50U/mlのIL−2中に48時間増殖させた。CD3、CD4、NKG2DおよびCD5に特異的な抗体を使用して、細胞表面発現の変化を分析した。ベクター対照と比較して、TIM発現T細胞内のこれらの表面分子の発現に有意差は観察されなかったが、但し、予想したように、chNKG2Dウイルスで形質導入された細胞内のNKG2D受容体に高い発現が観察された。

0150

TIM+chNKG2D+細胞が同種異系細胞への反応を減少するが、腫瘍細胞には反応を増加させるかどうかを確かめるために、T細胞を同種異系PBMC、同一遺伝子PBMC、または腫瘍細胞:PMI8226(ヒト骨髄腫細胞株、NKG2Dリガンド+)、PANC−1(ヒト膵臓細胞株、NKG2D+)、若しくは負対照としてNIH−3T3(正常マウスの線維芽細胞株、NKG2Dリガンド−)と同時に培養した。24時間後、細胞のない上清を集め、生成されたIFN−γの量をELISAによって定量した。T細胞単独、および同一遺伝子PBMCとの培養を負対照として使用した。

実施例

0151

同種異系アッセイでは、TIM7発現T細胞ではIFN−γ生成が45%減少し、ベクター対照を発現する細胞に比べ、chNKG2Dを同時発現するTIM8−発現T細胞では、IFN−γ生成が44%減少することを観察した。腫瘍細胞と培養したとき、TIMのみを発現する細胞と比較して、腫瘍細胞がNKG2Dリガンド(RPMI8226およびPANC−1)を発現したとき、TIM+chNKG2D+細胞内の腫瘍細胞に反応してIFN−γ生成量が有意に増加することが観察されたが、リガンド欠損腫瘍細胞(NIH−3T3)と培養したときは、増加は観察されなかった。RPMI8226を使用した代表的な実験を示す図3を参照のこと。同実験はまた、NKG2DについてブロッキングmAbとのインキュベーションはIFN−γ生成を増加させないため、高いIFN−γ生成はNKG2D依存的であることも証明した。

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