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技術 改質剤及びその使用方法、改質剤の製造方法並びに添加材用担体

出願人 トヨタ紡織株式会社
発明者 鬼頭雅征高橋吾朗鈴木利洋酒向慎貴
出願日 2018年6月1日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-106495
公開日 2018年10月4日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2018-154843
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 高分子成形体の製造
主要キーワード センターボックス シューズボックス 浮き具 メータベース 電気関係部品 サーモスタッド 航空機機体 駐車ガレージ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

ポリオレフィン樹脂に配合することによって、優れた耐衝撃性を備えた成形体を得ることができる改質剤、その使用方法並びに製造方法の提供。

解決手段

本改質剤は、第2ポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、分散相(B)は、ポリアミド樹脂と反応性基を有した変性エラストマーとの溶融混練物からなり、連続相(A)と分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、分散相(B)が80質量%以下である。本使用方法は、第1ポリオレフィン樹脂を100質量部とした場合に、改質剤を0.5質量部以上70質量部以下混合する。本製造方法は、第2ポリオレフィン樹脂と、ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーの溶融混練物と、を溶融混練する工程を備える。

概要

背景

従来、異種の樹脂を混合して各々の樹脂が単独で発揮できる特性を超える混合樹脂を得ようとする工夫がなされており、例えば、ポリアミド樹脂ポリオレフィン樹脂とを併用して混合樹脂における特性を改良しようとする技術が、本発明者らによる下記特許文献1−4において知られている。

概要

ポリオレフィン樹脂に配合することによって、優れた耐衝撃性を備えた成形体を得ることができる改質剤、その使用方法並びに製造方法の提供。本改質剤は、第2ポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、分散相(B)は、ポリアミド樹脂と反応性基を有した変性エラストマーとの溶融混練物からなり、連続相(A)と分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、分散相(B)が80質量%以下である。本使用方法は、第1ポリオレフィン樹脂を100質量部とした場合に、改質剤を0.5質量部以上70質量部以下混合する。本製造方法は、第2ポリオレフィン樹脂と、ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーの溶融混練物と、を溶融混練する工程を備える。

目的

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とを含んだ改質剤であって、ポリオレフィン樹脂に配合することによって、優れた耐衝撃性を備えた成形体を得ることができる改質剤及びその使用方法並びに改質剤の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1のポリオレフィン樹脂に対する添加により、得られる成形体耐衝撃性を向上させることができる改質剤であって、第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを特徴とする改質剤。

請求項2

前記変性エラストマーは、エチレン若しくはプロピレン炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体骨格としたオレフィン系熱可塑性エラストマー、又は、スチレン骨格を有するスチレン系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の改質剤。

請求項3

前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、前記ポリアミド樹脂は10質量%以上80質量%以下である請求項1又は2に記載の改質剤。

請求項4

前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂を含む連続相(B1)と、前記連続相(B1)中に分散された変性エラストマーを含む微分散相(B2)と、を有する請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の改質剤。

請求項5

前記第1のポリオレフィン樹脂は、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の改質剤。

請求項6

請求項1に記載の改質剤の使用方法であって、前記第1のポリオレフィン樹脂を100質量部とした場合に、前記改質剤を、前記第1のポリオレフィン樹脂に対して0.5質量部以上70質量部以下混合することを特徴とする改質剤の使用方法。

請求項7

請求項1に記載の改質剤の製造方法であって、前記第2のポリオレフィン樹脂と、前記ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーの溶融混練物と、を溶融混練する溶融混練工程を備えることを特徴とする改質剤の製造方法。

請求項8

第1のポリオレフィン樹脂に対し、添加材を添加するための添加材用担体であって、第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを特徴とする添加材用担体。

請求項9

前記添加材が、難燃剤難燃助剤充填剤着色剤抗菌剤帯電防止剤、及び、発泡剤のうちの少なくとも1種である請求項8に記載の添加材用担体。

技術分野

0001

本発明は、改質剤及びその使用方法、改質剤の製造方法並びに添加材担体に関する。更に詳しくは、本発明は、ポリオレフィン樹脂に対する添加により、得られる成形体耐衝撃性を向上させることができる改質剤及びその使用方法、改質剤の製造方法並びに添加材用担体に関する。

背景技術

0002

従来、異種の樹脂を混合して各々の樹脂が単独で発揮できる特性を超える混合樹脂を得ようとする工夫がなされており、例えば、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とを併用して混合樹脂における特性を改良しようとする技術が、本発明者らによる下記特許文献1−4において知られている。

先行技術

0003

特開2013−147645号公報
特開2013−147646号公報
特開2013−147647号公報
特開2013−147648号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記特許文献1には、相容化剤として、ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与された変性エラストマーを利用することによって得られた、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とのポリマーアロイ熱可塑性樹脂組成物)が開示されている。
上記特許文献2には、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とを含むポリマーアロイにおいて、ポリアミド樹脂として、植物由来ポリアミド樹脂を利用できることが開示されている。
上記特許文献3には、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とを含むポリマーアロイにおいて、連続相とその連続相内に分散された分散相と、その分散相の中に更に分散された微分散相を有した樹脂相分離構造を有するポリマーアロイが開示されている。
上記特許文献4には、ポリアミド樹脂と相容化剤とを、まず、溶融混合したのち、得られた混合樹脂とポリオレフィン樹脂とを更に溶融混合することにより、耐衝撃性に優れたポリマーアロイが得られることが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1−4には、これらのポリマーアロイを単独で製造及び利用することについては検討されているが、このようなポリマーアロイを、他の樹脂に対して利用することに関して検討されていない。

0005

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とを含んだ改質剤であって、ポリオレフィン樹脂に配合することによって、優れた耐衝撃性を備えた成形体を得ることができる改質剤及びその使用方法並びに改質剤の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は以下の通りである。
本発明の改質剤は、第1のポリオレフィン樹脂に対する添加により、得られる成形体の耐衝撃性を向上させることができる改質剤であって、
第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、
前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、
前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを要旨とする。
請求項2に記載の改質剤は、請求項1に記載の改質剤において、前記変性エラストマーは、エチレン若しくはプロピレン炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体骨格としたオレフィン系熱可塑性エラストマー、又は、スチレン骨格を有するスチレン系熱可塑性エラストマーであることを要旨とする。
請求項3に記載の改質剤は、請求項1又は2に記載の改質剤において、前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、前記ポリアミド樹脂は10質量%以上80質量%以下であることを要旨とする。
請求項4に記載の改質剤は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の改質剤において、前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂を含む連続相(B1)と、前記連続相(B1)中に分散された変性エラストマーを含む微分散相(B2)と、を有することを要旨とする。
請求項5に記載の改質剤は、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の改質剤において、前記第1のポリオレフィン樹脂は、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂であることを要旨とする。
本発明の改質剤の使用方法は、請求項1に記載の改質剤の使用方法であって、
前記第1のポリオレフィン樹脂を100質量部とした場合に、前記改質剤を、前記第1のポリオレフィン樹脂に対して0.5質量部以上70質量部以下混合することを要旨とする。
本発明の改質剤の製造方法は、請求項1に記載の改質剤の製造方法であって、
前記第2のポリオレフィン樹脂と、前記ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーの溶融混練物と、を溶融混練する溶融混練工程を備えることを要旨とする。
本発明の添加材用担体は、第1のポリオレフィン樹脂に対し、添加材を添加するための添加材用担体であって、
第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、
前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、
前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを要旨とする。
請求項9に記載の添加材用担体は、請求項8に記載の添加材用担体において、前記添加材が、難燃剤難燃助剤充填剤着色剤抗菌剤帯電防止剤、及び、発泡剤のうちの少なくとも1種であることを要旨とする。

発明の効果

0007

本発明の改質剤によれば、第1のポリオレフィン樹脂に本改質剤を配合することで、優れた耐衝撃性を備えた熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体を得ることができる。
変性エラストマーが、エチレン若しくはプロピレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体を骨格としたオレフィン系熱可塑性エラストマー、又は、スチレン骨格を有するスチレン系熱可塑性エラストマーである場合には、特定の相構造をより確実に得ることができるため、優れた耐衝撃性を発揮できる熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体とすることができる。
ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、ポリアミド樹脂が10質量%以上80質量%以下である場合には、特定の相構造をより安定して得ることができるため、優れた耐衝撃性を発揮できる熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体とすることができる。
分散相(B)が、ポリアミド樹脂を含む連続相(B1)と、連続相(B1)中に分散された変性エラストマーを含む微分散相(B2)と、を有する場合は、多重の相構造となり、より優れた耐衝撃性を有した熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体とすることができる。
第1のポリオレフィン樹脂が、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂である場合は、エチレンブロックの少なくとも一部が、連続相(A)と分散相(B)との界面に凝集された多重の相構造となり、より優れた耐衝撃性を有した熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体とすることができる。
本発明の改質剤の使用方法、及び、本発明の改質剤の製造方法によれば、第1のポリオレフィン樹脂を改質して、優れた耐衝撃性を備えた熱可塑性樹脂組成物、ペレット混合物、更には、これらを用いた成形体を得ることができる。また、耐衝撃性を付与する成分を、第1ポリオレフィン樹脂とは別に用いるため、第1ポリオレフィン樹脂に対しては、成形時の1回のみの熱負荷によって、成形体を得ることができるため、熱履歴が抑制された成形体を得ることができる。
本発明の添加材用担体によれば、第1のポリオレフィン樹脂に対して、正確な割合で添加材を配合できることに加えて、得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体の耐衝撃性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0008

実施例1〜3及び比較例1〜3の各評価用試験片におけるシャルピー衝撃強度曲げ弾性率との相関を示すグラフである。
実施例3の評価用試験片から切り出した薄片試料透過型電子顕微鏡により観察して得られた画像である。

0009

ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。

0010

本発明の改質剤は、第1のポリオレフィン樹脂に対する添加により、得られる成形体の耐衝撃性を向上させることができる改質剤であって、
第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、
前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、
前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを特徴とする。

0011

また、本改質剤は、第1のポリオレフィン樹脂に対して配合することによって、改質されたポリオレフィン樹脂系組成物である熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。更に、この熱可塑性樹脂組成物を成形することによって改質された成形体を得ることができる。また、本改質剤を第1のポリオレフィン樹脂と共に用いて(例えば、ペレットドライブレンド物を)成形することによって、改質された成形体を得ることができる。このように、いずれにしても、最終的には、得られる成形体を改質することができる。
本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた成形体は、第1のポリオレフィン樹脂及び第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A’)と、
前記連続相(A’)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、
前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなる、熱可塑性樹脂組成物及び成形体となる。

0012

[1]改質剤について
(1)第2のポリオレフィン樹脂について
上記「第2のポリオレフィン樹脂」(以下、単に「第2ポリオレフィン」ともいう)は、オレフィン単独重合体、及び/又は、オレフィンの共重合体である。この第2のポリオレフィン樹脂は、本改質剤では、連続相(A)に含まれ、連続相(A)を形成している成分である。また、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体においては、第1のポリオレフィン樹脂とともに連続相(A’)に含まれ、連続相(A’)を形成することとなる成分である。

0013

第2ポリオレフィンを構成するオレフィンは特に限定されないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン1−オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これら重合体は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。即ち、ポリオレフィン樹脂は上記重合体の混合物であっても良い。

0014

上記ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、及び、エチレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。後者としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる(但し、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位である)。

0015

また、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、及び、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。
一方、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体を構成するは、他のオレフィンとしては、前述の各種オレフィン(但し、プロピレンを除く)が挙げられる。このうち、エチレン及び1−ブテン等が好ましい。即ち、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体が好ましい。
また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。これらのうちでは、耐衝撃性に優れるという観点からブロック共重合体が好ましい。とりわけ、他のオレフィンがエチレンであるプロピレン・エチレンブロック共重合体であることが好ましい。このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、エチレンブロックを分散相として有するブロック共重合ポリプロピレンである。即ち、ホモポリプロピレンを連続相として、この連続相内にポリエチレンを含んだ分散相が存在するポリプロピレン樹脂である。このようなエチレンブロックを分散相として有するブロック共重合ポリプロピレンは、例えば、インパクトコポリマーポリプロピレンインパクトコポリマー、ヘテロファジックポリプロピレン、ヘテロファジックブロックポリプロピレン等とも称される。このブロック共重合ポリプロピレンは、耐衝撃性に優れるという観点において好ましい。
尚、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位である。

0016

第2ポリオレフィン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量ポリスチレン換算)は特に限定されないが、例えば、10,000以上500,000以下とすることができ、100,000以上450,000以下が好ましく、200,000以上400,000以下がより好ましい。
尚、第2ポリオレフィン樹脂は、後述するポリアミド樹脂に対して親和性を有さないポリオレフィンであり、且つ、ポリアミド樹脂に対して反応し得る反応性基も有さないポリオレフィンである。この点において、後述する変性エラストマーとしてのオレフィン系成分とは異なっている。

0017

(2)ポリアミド樹脂について
上記「ポリアミド樹脂」は、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体重合されてなる鎖状骨格を有する重合体である。このポリアミド樹脂は、本改質剤では、分散相(B)に変性エラストマーとともに含まれる成分である。また、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体においては、第1及び第2の両ポリオレフィン樹脂が含まれた連続相(A’)内で分散相(B)を形成することになる。

0018

ポリアミド樹脂を構成する単量体としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタムウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタムなどのラクタムなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0019

更に、ポリアミド樹脂は、ジアミンジカルボン酸との共重合により得ることもできる。この場合、単量体としてのジアミンには、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミンシクロヘキサンジアミンビス−(4−アミノシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミンキシリレンジアミンp−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミンなど)等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0020

更に、単量体としてのジカルボン酸には、シュウ酸マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸ウンデカン二酸ドデカン二酸ブラリン酸テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸フタル酸テレフタル酸イソフタル酸ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0021

即ち、ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド614、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M−5T、ポリアミド9T/2M−8T等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。

0022

また、本発明では、上述の各種ポリアミド樹脂のうち、植物由来ポリアミド樹脂を用いることができる。植物由来ポリアミド樹脂は、植物油等の植物に由来する成分から得られた単量体を用いる樹脂であるため、環境保護の観点(特にカーボンニュートラルの観点)から望ましい。
植物由来ポリアミド樹脂としては、ポリアミド11(以下、単に「PA11」ともいう)、ポリアミド610(以下、単に「PA610」ともいう)、ポリアミド612(以下、単に「PA612」ともいう)、ポリアミド614(以下、単に「PA614」ともいう)、ポリアミド1010(以下、単に「PA1010」ともいう)、ポリアミド1012(以下、単に「PA1012」ともいう)、ポリアミド10T(以下、単に「PA10T」ともいう)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0023

上記のうち、PA11は、炭素原子数11である単量体がアミド結合を介して結合された構造を有する。PA11には、単量体として、ヒマシ油原料とするアミノウンデカン酸を用いることができる。炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位は、PA11内において全構成単位のうちの50%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
PA610は、炭素原子数6である単量体と、炭素原子数10である単量体と、がアミド結合を介して結合された構造を有する。PA610には、単量体として、ヒマシ油を原料とするセバシン酸を用いることができる。炭素原子数6である単量体に由来する構成単位と、炭素原子数10である単量体に由来する構成単位とは、PA610内においてその合計が、全構成単位のうちの50%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
PA1010は、炭素原子数10であるジアミンと、炭素原子数10であるジカルボン酸と、が共重合された構造を有する。PA1010には、単量体として、ヒマシ油を原料とする1,10−デカンジアミン(デカメチレンジアミン)及びセバシン酸を用いることができる。これらの炭素原子数10であるジアミンに由来する構成単位と、炭素原子数10であるジカルボン酸に由来する構成単位とは、PA1010内においてその合計が、全構成単位のうちの50%以上であることが好ましく、100%であってもよい。

0024

PA614は、炭素原子数6である単量体と、炭素原子数14である単量体と、がアミド結合を介して結合された構造を有する。PA614には、単量体として、植物由来であり炭素原子数14のジカルボン酸を用いることができる。これらの炭素原子数6である単量体に由来する構成単位と、炭素原子数14である単量体に由来する構成単位とは、PA614内においてその合計が、全構成単位のうちの50%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
PA10Tは、炭素原子数10であるジアミンと、テレフタル酸と、がアミド結合を介して結合された構造を有する。PA10Tには、単量体として、ヒマシ油を原料とする1,10−デカンジアミン(デカメチレンジアミン)を用いることができる。これらの炭素原子数10であるジアミンに由来する構成単位と、テレフタル酸に由来する構成単位とは、PA10T内においてその合計が、全構成単位のうちの50%以上であることが好ましく、100%であってもよい。

0025

上記5種の植物由来ポリアミド樹脂のなかでも、PA11は、他の4種の植物由来ポリアミド樹脂に対し、低吸水性低比重及び植物化度の高さの観点においてより優れている。
ポリアミド610は、吸水率耐薬品性、及び衝撃強度の点ではPA11よりも劣るが、耐熱性融点)及び剛性(強度)の観点において優れている。更には、ポリアミド6やポリアミド66と比べ、低吸水性で寸法安定性が良いため、ポリアミド6やポリアミド66の代替材として使用することができる。
ポリアミド1010は、PA11に比べて、耐熱性及び剛性の観点において優れている。更には、植物化度もPA11と同等であり、より耐久性の必要な部位に使用することができる。
ポリアミド10Tは、分子骨格芳香環を含むため、ポリアミド1010に比べて、より融点が高く高剛性である。そのため、過酷環境下での使用(耐熱部位、強度入力部位)が可能である。

0026

(3)変性エラストマーについて
上記「変性エラストマー」は、ポリアミド樹脂に対する反応性基を有するエラストマーである。この変性エラストマーは、本改質剤では、分散相(B)に、ポリアミド樹脂とともに含まれる成分である。また、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体においては、第1及び第2の両ポリオレフィン樹脂が含まれた連続相(A’)内で分散相(B)を形成することになる。
更に、この変性エラストマーは、第2ポリオレフィン樹脂に対して親和性を有する成分であることが好ましい。即ち、ポリアミド樹脂と第2ポリオレフィン樹脂とに対する相容化作用を有する成分であることが好ましい。更に換言すれば、ポリアミド樹脂と第2ポリオレフィン樹脂との相容化剤であることが好ましい。

0027

この反応性基としては、酸無水物基(−CO−O−OC−)、カルボキシル基(−COOH)及びエポキシ基{−C2O(2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる三員環構造)}、オキサゾリン基(−C3H4NO)及びイソシアネート基(−NCO)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
変性エラストマーの変性量は限定されず、変性エラストマーは1分子中に1以上の反応性基を有すればよい。更に、変性エラストマーは1分子中に1以上50以下の反応性基を有することが好ましく、3以上30以下がより好ましく、5以上20以下が特に好ましい。

0028

変性エラストマーとして、反応性基を導入できる各種単量体を用いた重合体(反応性基を導入できる単量体を用いた重合に得られた変性エラストマー)、各種重合体の酸化分解物(酸化分解により反応性基が形成された変性エラストマー)、各種重合体に対する有機酸グラフト重合物(有機酸のグラフト重合により反応性基が導入された変性エラストマー)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0029

反応性基を導入できる単量体としては、重合性不飽和結合と酸無水物基とを有する単量体、重合性不飽和結合とカルボキシル基とを有する単量体、重合性不飽和結合とエポキシ基とを有する単量体などが挙げられる。
具体的には、無水マレイン酸無水イタコン酸無水コハク酸無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸テトラヒドロ無水フタル酸ブテニル無水コハク酸等の酸無水物、及びマレイン酸イタコン酸フマル酸アクリル酸メタクリル酸等のカルボン酸が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの化合物のうちでは、酸無水物が好ましく、無水マレイン酸及び無水イタコン酸がより好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。

0030

更に、変性エラストマーの骨格を構成する樹脂(以下、「骨格樹脂」という。)の種類は特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。この骨格樹脂としては、ポリオレフィン樹脂として先に例示した各種の樹脂の1種又は2種以上を用いることができる。
加えて、骨格樹脂としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及び、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0031

このうち、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、2種以上のオレフィンを共重合してなるものが挙げられる。
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、及び炭素数4〜8のα−オレフィン等が挙げられる。このうち炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらのなかでも、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、及び、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。

0032

即ち、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体EPR)、エチレン・1−ブテン共重合体(EBR)、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体(EOR)が挙げられる。また、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体としては、プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体(POR)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0033

一方、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及びその水添体が挙げられる。
上記スチレン系化合物としては、例えば、スチレンα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン、p−メトキシスチレンビニルナフタレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエンイソプレンピペリレンメチルペンタジエンフェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0034

即ち、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、SEBSが好ましい。

0035

変性エラストマーの分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が、10,000以上500,000以下であることが好ましく、35,000以上500,000以下であることがより好ましく、35,000以上300,000以下であることが特に好ましい。尚、重量平均分子量はGPC法標準ポリスチレン換算)により測定される。

0036

(4)改質剤に含まれ得る他の成分について
本改質剤には、第2ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び変性エラストマー以外に、他の熱可塑性樹脂等を併用することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂ポリブチレンテレフタレートポリエチレンテレフタレートポリカーボネートポリブチレンサクシネートポリエチレンサクシネートポリ乳酸)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0037

(5)改質剤の相構造について
本改質剤では、第2のポリオレフィン樹脂が連続相(A)を形成している。また、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーが分散相(B)を形成している。そして、分散相(B)は、連続相(A)中に分散されている。この相構造は、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーとの溶融混練物と、第2のポリオレフィン樹脂と、を溶融混練した熱可塑性樹脂として得ることができる。
更に、本改質剤では、分散相(B)を構成しているポリアミド樹脂及び変性エラストマーのうち、ポリアミド樹脂が、分散相(B)内で連続相(B1)を形成し、且つ、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーのうちの少なくとも変性エラストマーが、分散相(B)内で微分散相(B2)を形成することができる。このような分散相(B)内に、更に、微分散相(B2)を有する多重の相構造を有する場合には、より優れた耐衝撃性を付与した熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。

0038

また、本改質剤では、第2ポリオレフィン樹脂が、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂である場合には、ブロック共重合ポリオレフィン樹脂を構成するエチレンブロックの少なくとも一部を、連続相(A)と分散相(B)との界面に凝集させることができる。このような相構造を有する場合にも、より優れた耐衝撃性を付与した熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。

0039

本改質剤の連続相(A)内に含まれた分散相(B)の大きさは特に限定されないが、その平均径平均粒子径)は、10000nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以上8000nm以下、更に好ましくは100nm以上4000nm以下である。この分散相(B)の平均径は、電子顕微鏡を用いて得られる画像において、無作為に選択された50個の分散相(B)の最大長さの平均値(nm)である。

0040

本改質剤の分散相(B)内に含まれた微分散相(B2)の大きさは特に限定されないが、その平均径(平均粒子径)は、5nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上600nm以下、更に好ましくは10nm以上400nm以下、特に好ましくは15nm以上350nm以下である。この微分散相(B2)の平均径は、電子顕微鏡を用いて得られる画像において、無作為に選択された100個の微分散相(B2)の最大長さの平均値(nm)である。

0041

(6)配合割合について
本改質剤において、連続相(A)と分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、分散相(B)は80質量%以下である。即ち、通常、第2ポリオレフィン樹脂をWAとし、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計量をWBとした場合に、WAとWBとの合計を100質量%とすると、WBの割合は、80質量%以下(通常0.5質量%以上)である。この範囲では、優れた耐衝撃性、剛性及び成形性をバランスよく得ることができる。この割合は、5質量%以上78質量%以下が好ましく、10質量%以上77質量%以下がより好ましく、23質量%以上76質量%以下が更に好ましく、30質量%以上75質量%以下がより更に好ましく、33質量%以上72質量%以下が特に好ましく、35質量%以上67質量%以下がより特に好ましく、37質量%以上63質量%以下がとりわけ好ましい。

0042

加えて、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、ポリアミド樹脂の含有割合は、10質量%以上80質量%以下とすることができる。この範囲では、第2ポリオレフィン樹脂を連続相(A)とし、ポリアミド樹脂を分散相(B)とする相構造を得ることができる。これにより、優れた耐衝撃特性とともに、優れた剛性を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。この割合は、12質量%以上78質量%以下が好ましく、14質量%以上75質量%以下がより好ましく、25質量%以上73質量%以下が更に好ましく、30質量%以上71質量%以下がより更に好ましく、34質量%以上68質量%以下が特に好ましく、40質量%以上64質量%以下がより特に好ましい。この範囲では、連続相(A)内に、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーを、分散相(B)としてより小さく分散させることができる。更に、比重の大きなポリアミド樹脂の使用量を減じて熱可塑性樹脂組成物及び成形体の比重を低下させることができる。これにより、軽量でありながら、優れた耐衝撃特性及び剛性を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。
更に、このような機械的特性を十分に維持しながら、ポリアミド樹脂の含有量を減じることができることにより、熱可塑性樹脂組成物及び成形体の表面のを抑えて落ち着いた外観を得ることができる。従って、直接視認される外装材内装材への適用ができ、優れた意匠性を発揮できる。
尚、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、ポリアミド樹脂の含有割合を50質量%以上とした高ポリアミド樹脂タイプの改質剤にするという観点では、50質量%以上80質量%以下とすることができる。

0043

また、第2ポリオレフィン樹脂及びポリアミド樹脂の合計を100質量%とした場合におけるポリアミド樹脂の含有割合は、60質量%以下(通常、1質量%以上)とすることができる。この割合は、5質量%以上55質量%以下が好ましく、15質量%以上53質量%以下がより好ましく、19質量%以上50質量%以下が更に好ましく、21質量%以上48質量%以下がより更に好ましく、23質量%以上46質量%以下が特に好ましく、25質量%以上44質量%以下がより特に好ましく、28質量%以上43質量%以下がとりわけ好ましい。

0044

また、第2ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、及び、変性エラストマーの合計を100質量%とした場合におけるポリアミド樹脂の含有量は、1質量%以上60質量%以下とすることができる。この割合は、3質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、7質量%以上40質量%以下が更に好ましく、9質量%以上35質量%以下がより更に好ましく、12質量%以上30質量%以下が特に好ましい。

0045

更に、第2ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、及び、変性エラストマーの合計を100質量%とした場合における変性エラストマーの含有量は、1質量%以上70質量%以下とすることができる。この範囲では、優れた耐衝撃特性とともに、優れた剛性を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。この割合は、2質量%以上65質量%以下が好ましく、3質量%以上60質量%以下がより好ましく、5質量%以上55質量%以下が更に好ましく、7質量%以上50質量%以下がより更に好ましく、13質量%以上47質量%以下が特に好ましく、17質量%以上45質量%以下がとりわけ好ましい。

0046

[2]熱可塑性樹脂組成物及び成形体について
本改質剤は、第1ポリオレフィン樹脂に対して添加して熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができる。そして、このようにして得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体の耐衝撃性を向上させることができる。
(1)第1のポリオレフィン樹脂について
上記「第1のポリオレフィン樹脂」(以下、単に「第1ポリオレフィン」ともいう)は、オレフィンの単独重合体、及び/又は、オレフィンの共重合体である。この第1ポリオレフィン樹脂は、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体において、第2のポリオレフィン樹脂とともに連続相(A’)に含まれ、連続相(A’)を形成する成分である。
第1ポリオレフィンを構成するオレフィンは特に限定されず、第2ポリオレフィンの場合と同様のオレフィンを例示できる。

0047

第1ポリオレフィン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は特に限定されないが、例えば、10,000以上500,000以下とすることができ、100,000以上450,000以下が好ましく、200,000以上400,000以下がより好ましい。
尚、第1ポリオレフィン樹脂は、前述したポリアミド樹脂に対して親和性を有さないポリオレフィンであり、且つ、ポリアミド樹脂に対して反応し得る反応性基も有さないポリオレフィンである。この点において、前述した変性エラストマーとしてのオレフィン系成分とは異なっている。

0048

また、第1ポリオレフィンと第2ポリオレフィンとは、同じ樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。
第1ポリオレフィンと第2ポリオレフィンとが異なる樹脂である場合としては、例えば、第1ポリオレフィン及び第2ポリオレフィンのうちのいずれか一方が、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂(ブロック共重合ポリプロピレン樹脂等)であり、他方が非ブロック共重合ポリオレフィン樹脂である場合が挙げられる。
これらのうちでは、第1ポリオレフィンが、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリプロピレン樹脂であり、第2ポリオレフィンが非ブロック共重合ポリオレフィン樹脂である形態が、耐衝撃性の観点から好ましい。更に、非ブロック共重合ポリオレフィン樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂が好ましい。

0049

上述のうち、第1ポリオレフィンが、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリプロピレン樹脂であり、第2ポリオレフィンが非ブロック共重合ポリプロピレン樹脂である形態を用いた場合、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、第1ポリプロピレン樹脂及び第2ポリプロピレン樹脂を構成したホモポリプロピレンによって形成された連続相(A’)と、この連続相(A’)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、第1ポリプロピレン樹脂を構成したエチレンブロックからなる分散相(B’)とを有することとなる。加えて、エチレンブロックの少なくとも一部は、連続相(A’)と分散相(B)との界面に凝集される。これによって、特に優れた耐衝撃性を発揮させることができる。

0050

(2)熱可塑性樹脂組成物及び成形体に含まれ得る他の成分について
本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体には、第1ポリオレフィン樹脂、第2ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び変性エラストマー以外に、他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤等の各種添加材を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0051

他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤窒素含有リン酸塩化合物リン酸エステル等)、窒素系難燃剤グアニジントリアジンメラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤シリコーン系難燃剤硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
難燃助剤としては、各種アンチモン化合物亜鉛を含む金属化合物ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム粘土質珪酸塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、ガラス成分(ガラス繊維ガラスビーズガラスフレーク等)、シリカ無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維カーボン繊維)、黒鉛珪酸化合物珪酸カルシウム珪酸アルミニウムカオリンタルククレー等)、金属酸化物酸化鉄酸化チタン酸化亜鉛酸化アンチモンアルミナ等)、カルシウムマグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維芳香族ポリエステル繊維芳香族ポリアミド繊維フッ素樹脂繊維ポリイミド繊維植物性繊維等)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0052

(3)熱可塑性樹脂組成物及び成形体の相構造について
本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体では、第1ポリオレフィン樹脂及び第2のポリオレフィン樹脂が連続相(A’)を形成する。即ち、改質剤は、第2ポリオレフィンが含まれた連続相(A)が有するが、熱可塑性樹脂組成物及び成形体においては、第1ポリオレフィンがこの連続相(A)と統合されて、連続相(A’)を形成することとなる。
一方、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーは、通常、改質剤内と同様に、分散相(B)を形成している。即ち、分散相(B)は、連続相(A’)中に分散されている。この相構造は、本改質剤と、第1のポリオレフィン樹脂と、の混合物である熱可塑性樹脂を成形することによって得られる。
更に、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体では、分散相(B)を構成しているポリアミド樹脂及び変性エラストマーのうち、ポリアミド樹脂が、分散相(B)内で連続相(B1)を形成し、且つ、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーのうちの少なくとも変性エラストマーが、分散相(B)内で微分散相(B2)を形成することができる。このような分散相(B)内に、更に、微分散相(B2)を有する多重の相構造を有する場合には、より優れた耐衝撃性を有した熱可塑性樹脂組成物及び成形体とすることができる。この多重の相構造は、本改質剤内において既に形成されている場合には、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体内でも基本的に維持される。

0053

また、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体では、第1ポリオレフィン樹脂が、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂である場合に、ブロック共重合ポリオレフィン樹脂を構成するエチレンブロックの少なくとも一部を、連続相(A’)と分散相(B)との界面に凝集させることができる。このような相構造を有する場合にも、より優れた耐衝撃性を有した熱可塑性樹脂組成物及び成形体とすることができる。

0054

本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体の連続相(A’)内に含まれた分散相(B)の大きさは特に限定されないが、通常、前述した改質剤内における分散相(B)の場合と同様である。
また、本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体の分散相(B)内に微分散相(B2)が含まれる場合、その大きさは特に限定されないが、通常、前述した改質剤内における微分散相(B2)の場合と同様である。

0055

(4)配合割合について
本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体において、連続相(A’)と分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、分散相(B)は80質量%以下である。即ち、通常、第1ポリオレフィン樹脂と第2ポリオレフィン樹脂との合計量をWA’とし、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計量をWBとした場合に、WA’とWBとの合計を100質量%とすると、WBの割合は80質量%以下(通常0.5質量%以上)である。この範囲では、優れた耐衝撃性、剛性及び成形性をバランスよく得ることができる。この割合は、5質量%以上78質量%以下が好ましく、10質量%以上77質量%以下がより好ましく、23質量%以上76質量%以下が更に好ましく、30質量%以上75質量%以下がより更に好ましく、33質量%以上72質量%以下が特に好ましく、35質量%以上67質量%以下がより特に好ましく、37質量%以上63質量%以下がとりわけ好ましい。

0056

更に、第1ポリオレフィン樹脂及び第2ポリオレフィン樹脂の含有割合は特に限定されないが、第1ポリオレフィン樹脂と第2ポリオレフィン樹脂との合計を100質量%とした場合に、第2のポリオレフィン樹脂の含有割合が40質量%以下であることが好ましい。この第2のポリオレフィン樹脂の含有量は、更に、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、3質量%以上25質量%以下が特に好ましい。

0057

本改質剤を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物及び成形体の比重は特に限定されないが、通常、1.05以下とすることができる。この比重は、熱可塑性樹脂組成物及び成形体におけるポリアミド樹脂の含有量が1質量%以上40質量%以下、ポリプロピレン樹脂の含有量が50質量%以上75質量%以下、且つ、無水マレイン酸変性されたオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が5質量%以上30質量%以下である場合に、特に0.89以上1.05以下とすることができ、更には0.92以上0.98以下とすることができる。即ち、熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂と同等の比重であっても、これらの樹脂よりも格段に優れた耐衝撃性及び剛性を得ることができる。

0058

(5)成形体の種類について
本成形体の形状、大きさ及び厚さ等も特に限定されず、その用途も特に限定されない。
本成形体は、自動車鉄道車両(車両全般)、航空機機体機体全般)、船舶船体(船体全般)、自転車(車体全般)等の乗物に利用される各種用品等として用いられる。
このうち自動車用品としては、外装部品内装部品エンジン部品電装部品等が挙げられる。具体的には、自動車用の外装部品としては、ルーフレールフェンダーフェンダーライナーガーニッシュバンパードアパネルルーフパネルフードパネルトランクリッドフューエルリッドドアミラーステースポイラーフードルーバーホイールカバーホイールキャップグリルエプロンカバーフレームランプベゼルドアハンドルプルハンドル)、ドアモールリアフィニッシャーワイパーエンジンアンダーカバーフロアーアンダーカバーロッカーモールカウルルーバーカウル自動二輪車)、自動車部品フィルムシート等が挙げられる。

0064

おもちゃ等の娯楽品;
草刈り機の筐体、カバー、電動工具の筐体、カバー、各種クリップ等の工作一般機械・部品;
テニスラケットストリングスキー板・ボード、プロテクタ野球サッカーモータスポーツ)、シューズシューズソール靴底スポーツシューズ用ソール)、アウトドア・登山用具等のスポーツ用品
衣装ケース、テーブル、椅子チェアー)、シューズボックス台所用具トイレ用具入浴用具カーテン布団側地毛布等の家具関係用品;
内外壁・屋根断熱材、ドア・扉関連部品、窓材関連部品、床材関連部品、免震制振部品、雨戸雨どい上水下水関係部品(ライフライン関連)、駐車ガレージガス電気関係部品(ライフライン関連)、土木関係部品、土木・住宅用フィルム・シート、信号機器道路標識パイロンセンターポールガードレールガードワイヤ)、工事用器材等の住宅、土木関係用品;
マウスピース医療機器医薬品容器医療用フィルム等の医療関係用品;
ユニフォームワーキングウェアスポーツウェアシャツ下着下含)、ズボン、靴、防寒具等の衣料関係用品、
農業用フィルムビニールハウス漁網浮き具農機具、農耕用具、植木鉢プランタ)、漁具養殖関係器具林業具等の農業・林業・水産業関係用品;などが挙げられる。
更に、各種ペレット形状に成形されたペレットも挙げられる。

0065

[3]改質剤の製造方法について
本発明の改質剤の製造方法は、第2のポリオレフィン樹脂と、ポリアミド樹脂及び変性エラストマーの溶融混練物と、を溶融混練する溶融混練工程を備えることを特徴とする。

0066

上記「溶融混練物」は、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの溶融混練によって得られる熱可塑性樹脂組成物である。この際に利用できるポリアミド樹脂及び変性エラストマーの各々の種類等については前述の通りである。
この溶融混練物は、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、ポリアミド樹脂の配合割合が、10質量%以上80質量%以下となるように、両樹脂を溶融混練して得ることができる。これにより、溶融混練物と第2のポリオレフィン樹脂と混合した際に、第2ポリオレフィン樹脂中にポリアミド樹脂を分散されて改質剤を得ることができる。即ち、改質剤中で、第2ポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)を形成し、この連続相(A)中にポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)を分散させた相構造を得ることができる。更には、分散相(B)が、ポリアミド樹脂を含む連続相(B1)と、連続相(B1)中に分散された変性エラストマーを含む微分散相(B2)と、を有する多重の相構造を得ることができる。
この割合は、この割合は、12質量%以上78質量%以下が好ましく、14質量%以上75質量%以下がより好ましく、25質量%以上73質量%以下が更に好ましく、30質量%以上71質量%以下がより更に好ましく、34質量%以上68質量%以下が特に好ましく、40質量%以上64質量%以下がより特に好ましい。この範囲では、第2ポリオレフィン樹脂中にポリアミド樹脂をより小さく分散させた改質剤を得ることができる。
尚、ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、ポリアミド樹脂の含有割合を50質量%以上とした高ポリアミド樹脂タイプの改質剤にするという観点では、50質量%以上80質量%以下とすることができる。

0067

溶融混練物を得る際の混練方法は特に限定されないが、例えば、押出機一軸スクリュー押出機及び二軸混練押出機等)、ニーダ及びミキサ高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いて行うことができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を用いる場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。また、各成分は一括して混合してもよしい、複数回に分けて添加投入多段配合)して混合してもよい。

0068

更に、溶融混練物を得る際の混練温度は特に限定されず、溶融混練を行うことができる温度であればよく、各成分の種類により適宜調整することができる。特に、いずれもの樹脂が溶融された状態で混練されることが好ましい。具体的には、この混練温度は、190〜350℃とすることができ、好ましくは200〜330℃、更に好ましくは205〜310℃である。

0069

上記「溶融混練工程」は、第2のポリオレフィン樹脂と、溶融混練物と、を溶融混練する工程である。この際に利用できる第2ポリオレフィン樹脂の種類及び配合については前述の通りである。
改質剤を得る際の混練方法は特に限定されず、前述の溶融混練物を得る場合と同様の装置、運転方法、混練温度を挙げることができる。

0070

[4]改質剤の使用方法について
本発明の改質剤の使用方法は、第1のポリオレフィン樹脂を100質量部とした場合に、本改質剤を、第1のポリオレフィン樹脂に対して0.5質量部以上70質量部以下混合することを特徴とする。
通常、このように、第1のポリオレフィン樹脂と本改質剤とを混合した成形体原料は、その後、成形して成形体とされる。これにより、第1ポリオレフィン樹脂に対する熱履歴の負荷を抑制しながら、耐衝撃性に優れた成形体を得ることができる。上述の第1ポリオレフィン樹脂に対して配合する改質剤の割合は、1質量部以上50質量部以下とすることが好ましく、2質量部以上48質量部以下とすることがより好ましく、3質量部以上43質量部以下とすることが更に好ましく、4質量部以上40質量部以下とすることがより更に好ましく、5質量部以上35質量部以下とすることが特に好ましい。
上記混合方法及びそのための手段は特に限定されないが、例えば、ブレンダーを用いて、ドライブレンドすることによって成形体原料を得ることができる。

0071

また、前述のように、本改質剤を用いて得られる成形体には、第1ポリオレフィン樹脂、第2ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び変性エラストマー以外に、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤等の各種の添加材を含有できる。これらの添加材を成形体に添加する場合、これらの添加材を担持する担体として、本改質剤を用いることができる。更に、発泡剤を配合するための担体としても利用することができる。

0072

尚、成形体原料の成形方法は特に限定されない。成形方法としては、射出成形押出成形シート押出異形押出)、Tダイ成形ブロー成形射出ブロー成形インフレーション成形中空成形真空成形圧縮成形プレス成形スタンピングモールド成形トランスファ成形等が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0073

尚、上述の成形体原料を用いて成形を行うことによって、第1のポリオレフィン樹脂及び第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A’)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、前記連続相(A’)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が70質量%以下であり、前記第1のポリオレフィン樹脂と第2のポリオレフィン樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第2のポリオレフィン樹脂が70質量%以下であり、前記第1のポリオレフィン樹脂に対する熱履歴が、前記第2のポリオレフィン樹脂よりも低いことを特徴とする成形体を、得ることができる。即ち、前記熱可塑性樹脂が、前記第2のポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーを含んだ改質剤と、前記第1のポリオレフィン樹脂と、の混合物を成形してなる成形体を得ることができる。
この成形体は、上述の使用方法によって、第1ポリオレフィンが元来有する剛性を十分に維持しながら、耐衝撃性には著しく優れた特性を得ることができる。更に、ポリオレフィンの一部を第1ポリオレフィン樹脂として利用することによって、第1ポリオレフィン樹脂に対する熱履歴が抑制された成形体とすることができる。即ち、前記熱可塑性樹脂が、前記第2のポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーを含んだ改質剤と、前記第1のポリオレフィン樹脂と、の混合物を成形してなる成形体を得ることができる。
但し、本願出願時において、第1ポリオレフィン樹脂に対する熱履歴が、第2ポリオレフィン樹脂に対する熱履歴よりも小さいという特性を直接特定することは不可能である。また、仮にできるとしても、現在の分析技術をもってしても、特許出願の性質上、迅速性等を必要とすることに鑑みて、このような特性を特定する作業を行うことに著しく過大な経済支出や時間を要するものであり、非実際的事情が存在する。

0074

[5]添加材用担体について
本発明の添加材用担体は、第1のポリオレフィン樹脂に対し、添加材を添加するための添加材用担体であって、
第2のポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)と、を有し、
前記分散相(B)は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリアミド樹脂に対する反応性基を有した前記変性エラストマーとの溶融混練物からなり、
前記連続相(A)と前記分散相(B)との合計を100質量%とした場合に、前記分散相(B)が80質量%以下であることを特徴とする。

0075

この添加材用担体については、前述の改質剤における各々成分及び配合をそのまま適用できる。
成形体を得る際には、ベース樹脂(本発明では、第1ポリオレフィン)に対して、各種の添加材を配合することができる。この添加材としては、例えば、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤、及び、発泡剤等が挙げられる。これらの添加材の詳細については、改質剤の説明における記載をそのまま適用できる。
通常、添加材の配合は、ベース樹脂より少ない量を配合するため、ハンドリング性を向上させたり、添加材の配合量をより正確に量する等の目的で、添加材を担体(添加材用担体)に担持させて、担体と共にベース樹脂に対して配合することができる。この添加材用担体は、ベース樹脂が、例えば、ポリオレフィン樹脂である場合には、ポリオレフィン樹脂と相容可能な樹脂を利用することが好ましい。本発明の添加材用担体は、少量の添加によって、ベース樹脂がポリオレフィン樹脂である場合には、高い耐衝撃性付与効果を得ることができる。
尚、用いる添加材の種類や形状に応じて適宜の配合で担持させることができる。

0076

以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]評価用成形体の製造
〈1〉改質剤
得られる改質剤の全体を100質量%とした場合に、第2ポリオレフィンが55質量%、ポリアミド樹脂が25質量%、変性エラストマーが20質量%の割合で含まれる改質剤を以下の手順で調製した。

0077

(1)溶融混合物の調製
下記ポリアミド樹脂のペレットと下記変性エラストマーのペレットとをドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で溶融混練を行い、ペレタイザーを介して、溶融混練物のペレットを得た。
・ポリアミド樹脂:ナイロン11樹脂、アルケマ株式会社製、品名「Rilsan BMN O」、重量平均分子量18,000、融点190℃
・変性エラストマー:無水マレイン酸変性エチレン・ブテン共重合体(変性EBR)、三井化学株式会社製、品名「タフマーMH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分

0078

(2)改質剤の調製
上記(1)で得られた溶融混合物のペレットと、下記第2ポリオレフィン樹脂のペレットと、をドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、ペレタイザーを介して、改質剤(ペレット形状)を得た。
・第2ポリオレフィン樹脂:ポリプロピレン樹脂、ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテックMA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃

0079

〈2〉実施例1−3の成形体の作製
得られる成形体の全体を100質量%とした場合に、第1ポリオレフィンが90質量%、改質剤が10質量%の割合で含まれる成形体(実施例1)、第1ポリオレフィンが80質量%、改質剤が20質量%の割合で含まれる成形体(実施例2)、第1ポリオレフィンが60質量%、改質剤が40質量%の割合で含まれる成形体(実施例3)、を各々以下の手順で作製した。

0080

上記[1](2)で得られた改質剤と、下記第1ポリオレフィン樹脂のペレットと、をドライブレンドして、成形体原料を得た。得られた成形体原料を、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件物性測定試験片を射出成形した。
・第1ポリオレフィン樹脂(1):エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂、サンアロマー株式会社製、品名「YS559N」、融点165℃

0081

〈3〉実施例4−6の成形体の作製
得られる成形体の全体を100質量%とした場合に、第1ポリオレフィンが80質量%、改質剤が20質量%の割合で含まれる成形体(実施例4)、第1ポリオレフィンが60質量%、改質剤が40質量%の割合で含まれる成形体(実施例5)、第1ポリオレフィンが40質量%、改質剤が60質量%の割合で含まれる成形体(実施例6)、を各々以下の手順で作製した。

0082

上記[1](2)で得られた改質剤と、下記第1ポリオレフィン樹脂のペレットと、をドライブレンドして、成形体原料を得た。得られた成形体原料を、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
・第1ポリオレフィン樹脂(2):エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂、SKchem社製、品名「BH3820」

0083

〈4〉比較例の成形体の作製
(1)比較例1の成形体の作製
下記ポリオレフィン樹脂(実施例1−3の成形体における第1ポリオレフィン樹脂(1)と同じ)を、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
・ポリオレフィン樹脂(1):エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂、サンアロマー株式会社製、品名「YS559N」、融点165℃

0084

(2)比較例2−3の成形体の作製
従来より耐衝撃性付与を目的として利用されている下記耐衝撃性付与剤のペレットと、下記ポリオレフィン樹脂のペレットと、をドライブレンドして得た成形体原料を、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
・ポリオレフィン樹脂(1):エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂、サンアロマー株式会社製、品名「YS559N」、融点165℃
耐衝撃付与剤:三井化学株式会社製、品名「タフマーDF810」

0085

[2]評価用成形体の評価
(1)シャルピー衝撃強度の測定
上記[1]で得られた実施例1〜6及び比較例1〜3の各評価用試験片を用いて、JIS K7111−1に準拠してシャルピー衝撃強度の測定を行った。その結果を表1及び表2に示す。尚、このシャルピー衝撃強度の測定では、ノッチ(タイプA)を有する試験片を用い、温度23℃において、エッジワイズ試験法による衝撃の測定を行った。

0086

(2)モルフォルジー観察
上記(1)のシャルピー衝撃強度測定に供した実施例1〜6及び比較例1〜3の各試験片から切り出した試料を、樹脂包埋した。その後、ダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームにてトリミング断面作製を行い、金属酸化物による蒸気染色を施した。得られた染色後の断面から採取した超薄切片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式HT7700」)を用いて観察することにより、相構造を確認した。その結果を表1及び表2に示した。
尚、実施例3については、得られた画像を図2に示した。この図2には、第1ポリオレフィン樹脂及び第2ポリオレフィン樹脂を含む連続相(A)、連続相(A)中に分散されたポリアミド樹脂及び変性エラストマーを含む分散相(B)、ポリアミド樹脂を含む連続相(B1)、連続相(B1)中に分散された変性エラストマーを含む微分散相(B2)、第1ポリオレフィン樹脂が有したエチレンブロックが連続相(A)と分散相(B)との界面に凝集された凝集相(D)、が各々認められた。
尚、凝集相(D)は、第1ポリオレフィン樹脂中のエチレンブロックのみでなく、変性エラストマーを含む。

0087

(3)曲げ弾性率の測定
上記[1]で得られた実施例1〜6及び比較例1〜3の各評価用試験片を用いて、JIS K7171に準拠して曲げ弾性率の測定を行った。その結果を表1及び表2に示した。尚、この曲げ弾性率は、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行い測定した。
また、図1にシャルピー衝撃強度と曲げ弾性率との相関をグラフに示した。

0088

0089

0090

[3]効果
表1、表2及び図1の結果から、第1ポリオレフィン(比較例1)の耐衝撃性を向上させるために、従来から利用されてきた耐衝撃性付与剤を用いた場合には、10質量%添加(比較例2)で、シャルピー衝撃強度は8.3%の向上であるのに対して、本改質剤を用いて得られた成形体では、10質量%の添加(実施例1)でシャルピー衝撃強度は91.6%の向上となっている。即ち、少ない配合によって著しく高い耐衝撃性付与効果が得られていることが分かる。加えて、従来から利用されてきた耐衝撃性付与剤を用いた場合には、10質量%添加(比較例2)で、曲げ弾性率が15.6%低下しているのに対して、本改質剤を用いて得られた成形体では、10質量%の添加(実施例1)で曲げ弾性率は8.5%の低下に抑制されている。即ち、著しく高い耐衝撃性を得ながらも、剛性の低下は極めて低く抑えることができることが分かる。この傾向は、実施例1−3のいずれにおいても一貫して認められた。また、実施例4−6のいずれにおいても一貫して認められた。このことから、第1ポリオレフィンの種類に拠らず、効果を発揮できることが分かる。
更に、図2の結果から、本改質剤を用いて得られる成形体では、連続相(A’)と分散相(B)とが形成されていることが分かる。更に、分散相(B)内には、微分散相(B2)が形成されていることが分かる。加えて、第1ポリオレフィン樹脂として、エチレンブロックの分散相を有するブロック共重合ポリオレフィン樹脂を用いることで、エチレンブロック(EPR)の少なくとも一部が、連続相(A)と分散相(B)との界面に凝集されていることが分かる。このような凝集によって、より優れた耐衝撃性が得られているものと考えられる。

0091

尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に記載されたものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
即ち、例えば、上述の実施例では、改質剤のペレットと第1ポリオレフィン樹脂のペレットとをドライブレンドして得られた成形体原料を成形して成形体を得ているが、当然ながら、改質剤のペレットと第1ポリオレフィン樹脂のペレットとを溶融混練して得られたペレットを成形体原料として利用することができる。

実施例

0092

前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。

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