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技術 医薬品の製造工程の工程分析方法

出願人 全星薬品工業株式会社
発明者 中野善夫交久瀬善三畦地靖隆山崎淳治樋崎雅也
出願日 2017年3月14日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2017-048401
公開日 2018年9月27日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2018-151285
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析
主要キーワード マスクコーティング 累積カウント数 カウント測定 波長分散形 有機元素 コーティング状 アットライン 中間スケール
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図面 (7)

課題

検査粒子群コーティング状態を、バルクの状態で、再現性よく、精度よく知ることができる工程分析方法を提供する。

解決手段

工程分析方法は、核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群の蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも核粒子とコーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む。

概要

背景

近年、製剤技術が進歩するに従って、比較的小さな粒子を用いた製剤が多く開発されてきた。比較的小さな粒子を用いた製剤には、例えばスパンスルカプセル剤口腔内崩壊剤、細粒剤顆粒剤等がある。このような小さな粒子に薬物を付加したり、苦味マスキングあるいは徐放腸溶コーティング等の機能を付与することで、新規付加価値製剤が設計されている。

実際に、粒子径が100〜500μmの核粒子(球形結晶セルロース精製白糖結晶乳糖、球形マンニトール等)に薬物や高分子等の種々のコーティングを施して製せられた粒子を用いた口腔内崩壊錠が多く市場に出回っている。特に口腔内ザラツキ感が出にくい粒子サイズとして300μm以下のものが汎用されている。

これらのコーティングされた粒子は、基本的には、核粒子に薬物等をコーティングすることで、核粒子に薬物を担持させ、その上から機能化等を目指してマスクコーティングを施す。さらに製せられた粒子の強度を増すために、あるいは表面の状態を最適化するために、さらに多くのコーティング層を施す場合もある。

特に口腔内崩壊錠の普及につれて、このような粒子コーティングは必要な技術の一つになってきている。

粒子コーティングに使われる装置も種々開発されている。例えば、通常のトップスプレー流動層造粒コーティング機ボトムスプレーのワースター型流動層造粒機遠心造粒機、転動流動層コーティング機等いろいろなものがある。粒子同士の衝突による凝集防止状態を保ちながらコーティングを行う転動流動層コーティング機等は日本の医薬品企業で多く採用されてきている。

医薬品の製造における各工程では、例えば、原料および薬物の同定や、混合性造粒工程を分析するために、近赤外分光分析(NIR)やラマン分光分析が用いられている。

また、どのような装置を用いて医薬品のコーティング工程を行うとしても、コーティング量マスキング量を知る必要のある場合がある。経口固形製剤の製造工程では、粉体を扱うという難しさがあるが、徐々に種々の分析方法が導入されつつある。従来、コーティングの膜厚や量は、個々の粒子の微視的な測定値あるいは粒度分布の測定から評価する場合が一般的であった。またコーティング工程においても、工程中の中間製品である粒子群品質非破壊的モニターする工程分析方法があった。

例えば、特表2012−517013号公報(特許文献1)には、サーモグラフィ画像を使用して、製造プロセスにおける薬剤品質パラメータモニタリングする方法とシステムが記載されている。薬剤の品質パラメータとしては、例えばコーティングの質が挙げられている。この方法は、材料の中波長から非常に長いIR波長の放射線IR検出器に検知させ、材料のIR画像を生成するステップと、IR画像を処理しえ材料の品質を示す出力を生成するステップと、出力を表示し、又は出力を使用して製造プロセスを変更し又はそれを組み合わせるステップを含む。

また、特開2013−029323号公報(特許文献2)には、医薬品の品質維持を、高い信頼性で実現することを課題とした医薬品製造制御装置等が記載されている。この医薬品製造制御装置では、医薬品の状態を非破壊かつリアルタイム測定可能測定機器、例えばレーザー回折粒子径測定装置から測定データを取得し、取得されたデータに基づいて医薬品の粒子径等の中間製品重要品質特性推定する。

また、特表2005−520152号公報(特許文献3)には、薬剤試料中にある自由ガス量を分析するための薬剤試料分析方法が記載されている。この方法では、例えば、赤外線近赤外線可視光線紫外放射線のような電磁波を試料照射して、試料から放射された放射線を検出して、試料中の自由ガス量を分析し、自由ガス量を試料の硬さや密度といった固体状態パラメータ相関させている。

また、特表2003−519793号公報(特許文献4)には、医薬製品の製造の間に粒子上のコーティングをモニターするための方法および装置が記載されている。この方法および装置では、コーティングの形成の間に近赤外分光法ラマン散乱分光法等による分光測定を実施し、分光測定の結果に基づいて、厚さや厚さの成長速度をモニターすることを目的としている。

概要

検査粒子群コーティング状態を、バルクの状態で、再現性よく、精度よく知ることができる工程分析方法を提供する。工程分析方法は、核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群の蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも核粒子とコーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む。

目的

また、特開2013−029323号公報(特許文献2)には、医薬品の品質維持を、高い信頼性で実現することを課題とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、前記蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて前記被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも前記核粒子と前記コーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む、医薬品製造工程の工程分析方法。

請求項2

前記蛍光X線測定工程は、少なくとも、第1のコーティング時間または第1のコーティング量と、第2のコーティング時間またはコーティング量とにおいて行われる、請求項1に記載の工程分析方法。

請求項3

核粒子上にコーティング層を形成するコーティング工程を含み、前記蛍光X線測定工程は、前記コーティング工程の間に複数回行われる、請求項1または請求項2に記載の工程分析方法。

請求項4

前記蛍光X線測定工程は、前記コーティング工程の間に連続して行われる、請求項3に記載の工程分析方法。

請求項5

前記評価工程における評価に基づいて前記コーティング工程におけるコーティング層の形成を制御する、請求項3または請求項4に記載の工程分析方法。

請求項6

前記評価工程における評価はコーティング量の評価である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項7

前記コーティング層は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項8

前記コーティング層は少なくとも第1の層と第2の層とを含み、前記第1の層は蛍光X線を発する第1の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、前記第2の層は蛍光X線を発する第2の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、前記第1の元素と前記第2の元素は互いに異なる、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項9

前記コーティング層は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項10

前記核粒子は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項11

前記核粒子は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されている、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項12

前記蛍光X線を発する元素は原子番号が11以上の元素である、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の工程分析方法。

請求項13

前記蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素は原子番号が10以下の元素である、請求項9または請求項11に記載の工程分析方法。

技術分野

0001

本発明は、一般的には工程分析方法に関し、特定的には医薬品の製造工程、特に、核粒子コーティングの工程における工程分析方法に関する。

背景技術

0002

近年、製剤技術が進歩するに従って、比較的小さな粒子を用いた製剤が多く開発されてきた。比較的小さな粒子を用いた製剤には、例えばスパンスルカプセル剤口腔内崩壊剤、細粒剤顆粒剤等がある。このような小さな粒子に薬物を付加したり、苦味マスキングあるいは徐放腸溶コーティング等の機能を付与することで、新規付加価値製剤が設計されている。

0003

実際に、粒子径が100〜500μmの核粒子(球形結晶セルロース精製白糖結晶乳糖、球形マンニトール等)に薬物や高分子等の種々のコーティングを施して製せられた粒子を用いた口腔内崩壊錠が多く市場に出回っている。特に口腔内ザラツキ感が出にくい粒子サイズとして300μm以下のものが汎用されている。

0004

これらのコーティングされた粒子は、基本的には、核粒子に薬物等をコーティングすることで、核粒子に薬物を担持させ、その上から機能化等を目指してマスクコーティングを施す。さらに製せられた粒子の強度を増すために、あるいは表面の状態を最適化するために、さらに多くのコーティング層を施す場合もある。

0005

特に口腔内崩壊錠の普及につれて、このような粒子コーティングは必要な技術の一つになってきている。

0006

粒子コーティングに使われる装置も種々開発されている。例えば、通常のトップスプレー流動層造粒コーティング機ボトムスプレーのワースター型流動層造粒機遠心造粒機、転動流動層コーティング機等いろいろなものがある。粒子同士の衝突による凝集防止状態を保ちながらコーティングを行う転動流動層コーティング機等は日本の医薬品企業で多く採用されてきている。

0007

医薬品の製造における各工程では、例えば、原料および薬物の同定や、混合性造粒工程を分析するために、近赤外分光分析(NIR)やラマン分光分析が用いられている。

0008

また、どのような装置を用いて医薬品のコーティング工程を行うとしても、コーティング量マスキング量を知る必要のある場合がある。経口固形製剤の製造工程では、粉体を扱うという難しさがあるが、徐々に種々の分析方法が導入されつつある。従来、コーティングの膜厚や量は、個々の粒子の微視的な測定値あるいは粒度分布の測定から評価する場合が一般的であった。またコーティング工程においても、工程中の中間製品である粒子群品質非破壊的モニターする工程分析方法があった。

0009

例えば、特表2012−517013号公報(特許文献1)には、サーモグラフィ画像を使用して、製造プロセスにおける薬剤品質パラメータモニタリングする方法とシステムが記載されている。薬剤の品質パラメータとしては、例えばコーティングの質が挙げられている。この方法は、材料の中波長から非常に長いIR波長の放射線IR検出器に検知させ、材料のIR画像を生成するステップと、IR画像を処理しえ材料の品質を示す出力を生成するステップと、出力を表示し、又は出力を使用して製造プロセスを変更し又はそれを組み合わせるステップを含む。

0010

また、特開2013−029323号公報(特許文献2)には、医薬品の品質維持を、高い信頼性で実現することを課題とした医薬品製造制御装置等が記載されている。この医薬品製造制御装置では、医薬品の状態を非破壊かつリアルタイム測定可能測定機器、例えばレーザー回折粒子径測定装置から測定データを取得し、取得されたデータに基づいて医薬品の粒子径等の中間製品重要品質特性推定する。

0011

また、特表2005−520152号公報(特許文献3)には、薬剤試料中にある自由ガス量を分析するための薬剤試料分析方法が記載されている。この方法では、例えば、赤外線近赤外線可視光線紫外放射線のような電磁波を試料照射して、試料から放射された放射線を検出して、試料中の自由ガス量を分析し、自由ガス量を試料の硬さや密度といった固体状態パラメータ相関させている。

0012

また、特表2003−519793号公報(特許文献4)には、医薬製品の製造の間に粒子上のコーティングをモニターするための方法および装置が記載されている。この方法および装置では、コーティングの形成の間に近赤外分光法ラマン散乱分光法等による分光測定を実施し、分光測定の結果に基づいて、厚さや厚さの成長速度をモニターすることを目的としている。

先行技術

0013

特表2012−517013号公報
特開2013−029323号公報
特表2005−520152号公報
特表2003−519793号公報

発明が解決しようとする課題

0014

しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法や従来の方法では、粒度分布を測定したり、個々の粒子を微視的に観察してコーティング状態を知ることはできても、粒子群全体をバルクなものとして捉え、粒子群のコーティング状態を測定することはできない。

0015

コーティング工程やマスキング工程において、粒度分布のみに基づいては、コーティング量やマスキング量を正確に知ることができない。

0016

また、コーティング工程やマスキング工程において、個々の粒子を抽出して微視的に観察してコーティング状態を知る方法では、コーティング状態に応じてコーティング工程やマスキング工程をその場で制御することができない。また、再現性も精度もよくない。

0017

また、特許文献1〜4で用いられている可視光線、赤外線、近赤外線は、照射された被検査対象粒子の内部まで浸入できないため、粒子の表面近くの情報しか得られない。さらに、特許文献2,4に記載の方法では、高次微分や多変量解析といった測定結果解析に時間がかかり、コーティング工程にフィードバックするのが遅れる。

0018

そこで本発明の目的は、粒子群のコーティング状態をバルクの状態で、再現性と精度よく知ることが可能な医薬品の製造工程の分析方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0019

本発明に従った工程分析方法は、核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも核粒子とコーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む。

0020

蛍光X線は、物質X線電子線あるいはγ線を照射することで、その物質に含有されている元素(原子)の電子を上のレベル励起させて、その電子が下のレベルへ落ちる時に発生するものである。物質から発せられた蛍光X線を検出することで、その物質に存在する元素の同定をすることが可能であり、検出された蛍光X線の強度から元素の定量化が可能である。

0021

蛍光X線分析装置としては、照射するX線、電子線あるいはγ線および発生する蛍光X線の検出方法等の違いで、波長分散形蛍光X線分析装置およびエネルギー分散形蛍光X線分析装置がある。従来、それぞれの装置や検出方法の特徴に応じて、無機材料の分析、ガソリン等のオイル中の微量元素硫黄等)の分析、金属、非鉄金属等の同定および定量分析、考古物に含有される微量物質の同定などに使われてきている。

0022

本発明者らは、被検査粒子群の粒子がほぼ一定の大きさの粒子径上にコーティングされて形成される場合、コーティングの途中であっても、被検査粒子群は同じような大きさの粒子の集まりであり、また、同じような構造(多重構造等)の粒子の集まりであって、バルクの状態で蛍光X線のレスポンスが再現性よく得られることを見出した。そして、蛍光X線分析を被検査粒子群のコーティング層の分析に用いることによって、被検査粒子群のコーティング状態を、被検査粒子群中の粒子を個々に微視的に観察することなく、バルクの状態で知ることが可能であることを見出した。

0023

同じような大きさの粒子の集まりである被検査粒子群に電磁波を照射すると、被検査粒子群のモルフォロジーの特性を反映した蛍光X線のシグナルが得られる。

0024

ところで、被検査粒子群への電磁波の侵入深さは通常、被検査粒子群の組成と、照射される電磁波の強度とに依存する。電磁波として例えばX線の侵入深さは一般的には、プラスチックのような有機物質で数mm、金属で数μmであると考えられる。

0025

医薬品製剤は有機物質等から構成されることが多い。そのため、医薬品製剤の使用原料あるいは薬物に特別な元素が多く含有されていない限り、X線は、被検査粒子の大きさ(100〜500μm)を十分に通り抜けると考えられる。従って、例えばX線を電磁波として蛍光X線を発する被検査粒子群に照射して、蛍光X線を測定し分析すれば、コーティング工程中に被検査粒子の大きさがX線の侵入深さを超えるまでは、蛍光X線の変化に基づいて、コーティング量の変化を測定することができる。

0026

また、得られる蛍光X線のプロファイルから、被検査粒子の粒子構造を推定することも可能である。

0027

このように、本発明に従った工程分析方法によって、被検査粒子群のコーティング状態をバルクの状態で、再現性よく、また、精度よく知ることができる。

0028

本発明に従った工程分析方法においては、蛍光X線測定工程は、少なくとも、第1のコーティング時間または第1のコーティング量と、第2のコーティング時間またはコーティング量とにおいて行われることが好ましい。

0029

本発明に従った工程分析方法は、核粒子上にコーティング層を形成するコーティング工程を含み、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に複数回行われることが好ましい。

0030

本発明に従った工程分析方法においては、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に連続して行われることが好ましい。

0031

本発明に従った工程分析方法においては、評価工程における評価に基づいてコーティング工程におけるコーティング層の形成を制御することが好ましい。

0032

本発明に従った工程分析方法においては、評価工程における評価はコーティング量の評価であることが好ましい。

0033

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0034

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は少なくとも第1の層と第2の層とを含み、第1の層は蛍光X線を発する第1の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第2の層は蛍光X線を発する第2の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第1の元素と第2の元素は互いに異なることが好ましい。

0035

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0036

本発明に従った工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0037

本発明に従った工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0038

本発明に従った工程分析方法においては、蛍光X線を発する元素は原子番号が11以上の元素であることが好ましい。

0039

本発明に従った工程分析方法においては、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素は原子番号が10以下の元素であることが好ましい。

発明の効果

0040

以上のように、本発明によれば、被検査粒子群のコーティング状態をバルクの状態で、再現性よく、精度よく知ることができる工程分析方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0041

種々の大きさのセルフィア(球状結晶セルロース)にDL−メチオニンをコーティングした時の硫黄Sの蛍光X線強度推移を示す図である。
種々の大きさのコーティング顆粒にマスクコーティングした時の硫黄とケイ素の蛍光X線強度の推移を示す図である。
種々の大きさのコーティング顆粒にマスクコーティングした時のマグネシウムMgの蛍光X線強度の推移を示す図である。
乳糖水和物炭酸カルシウム系(中スケール)でコーティングした時のカルシウムの蛍光X線シグナル推移を示す図である。
乳糖水和物−炭酸カルシウム系(中スケール)でマスクコーティングした時のカルシウムの蛍光X線シグナル推移を示す図である。
マスクコーティング工程における色素濃度推移顆粒に対する色素濃度)を示す図である。

0042

本発明に従った工程分析方法は、核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群の蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも核粒子とコーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む。

0043

本発明の工程分析方法で用いられる蛍光X線を発する元素は、蛍光X線の原理および装置から考えると、ベリリウムBeよりも大きな原子量の元素であればよい。特に、薬物あるいは製剤製造に汎用される原料に含有されるナトリウムNa、マグネシウムMg、アルミニウムAl、ケイ素Si、リンP、硫黄S、塩素Cl、カリウムK、カルシウムCa、チタンTi、バナジウムマンガンMn、鉄Fe、コバルトCo、銅Cu,亜鉛Zn、ガリウムGa、ゲルマニウムGe、ヒ素As、セレンSe、臭素Br、テクネチウムTe、銀Ag、アンチモンSb、ヨウ素I、バリウムBa、ランタンLa、白金Pt、金AuおよびビスマスBiが好ましい。蛍光X線を発する元素は他の元素であってもよい。一方、有機元素である炭素C、酸素Oおよび窒素Nの蛍光X線は弱く、空気等の影響を強く受けるので、蛍光X線が弱い元素である。

0044

蛍光X線を発する元素としては原子番号が11以上の元素を用いることが好ましく、蛍光X線を発するがその強度が弱い軽元素としては原子番号が10以下の元素を用いることが好ましい。

0045

また、蛍光X線を発する元素は複数種類含まれていてもよい。蛍光X線を発する元素が複数種類含まれている場合には、複数の蛍光X線のシグナルを同時に測定することによって、1種類のみの蛍光X線を測定する場合よりも多くの情報が得られ、コーティング状態を定性的、定量的に、より短時間でより正確に分析できる場合がある。さらに、薬物と添加物に含まれる蛍光X線を発する元素は、同一種類の元素でもよく、異なる種類の元素でもよい。

0046

薬物および/または添加物は、他の元素を含んでいても構わない。

0047

蛍光X線測定工程では、例えばコーティング工程の間に、または、コーティング工程の所定の段階でコーティング工程を一時停止して、あるいは、コーティング工程の終了後に、被検査粒子群に電磁波が照射されて蛍光X線が測定される。電磁波としてはX線、電子線、γ線が好ましい。電磁波は用途に応じて適宜選択される。

0048

被検査粒子群に電磁波としてX線を照射する場合には、X線は、例えば15kVで励起されたX線管から放射されるX線であることができる。また、さらに強力な照射X線を用いることも可能である。周辺環境へのX線の影響を考慮すれば、X線は弱いことが好ましく、コーティング状態の分析の精度を高める場合には、エネルギーの高いX線を用いることが好ましい。

0049

蛍光X線の測定装置としては、目的や用途に応じて公知のものを適宜用いることができる。近年は、屋外で測定できるようなハンディエネルギー分散型蛍光X線測定装置がいくつか販売されている。このような装置には、蛍光X線の検出器液体窒素で冷却する必要がないものもある。また、定性分析では特に測定精度のよいものもある。このような装置は、近赤外線分光法ラマン分光法が採用されている工程分析方法と同じように、他の機器に取り付けてインラインあるいはオンラインで使うことも可能である。

0050

コーティング状態の評価は次のようにして行われる。例えば、コーティング量を評価する場合には、蛍光X線の強度をモニターすることで、スプレー量に比例してコーティングがされているかどうかを評価することができる。スプレー量に比例してコーティングがされていない場合には、蛍光X線強度は低くなる。また例えば、粒子の構造を評価する場合は、蛍光X線強度のばらつきが大きいかどうか等をモニターする。例えば被検査粒子群の表面の凹凸が大きい場合、蛍光X線の強度のばらつきが大きくなる傾向があったり、再現性が劣ったりする。

0051

コーティング工程の所定の段階で、コーティング工程を一時停止して、コーティングの状態を分析する場合には、蛍光X線測定工程は、少なくとも、第1のコーティング時間または第1のコーティング量と、第2のコーティング時間またはコーティング量とにおいて行われることが好ましい。

0052

コーティング工程の間にコーティング状態を分析する場合には、工程分析方法は、核粒子上にコーティング層を形成するコーティング工程を含み、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に複数回行われることが好ましい。この場合、さらに、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に連続して行われることが好ましい。このようにすることにより、コーティング状態の変化をより正確に分析することができる。

0053

本発明に従った工程分析方法においては、評価工程における評価に基づいてコーティング工程におけるコーティング層の形成を制御することが好ましい。

0054

粒子のコーティング工程において、粒子群の蛍光X線を試料の特別な処理なしで測定することで、コーティング粒子の状態が短時間でわかることから、製造工程の進捗がわかり、条件の調整することにより所定の品質の粒子が得られる。本発明の蛍光X線を工程分析方法として用いることで品質の一定した粒子群およびそれを含有した製剤を提供することができる。

0055

本発明に従った工程分析方法においては、評価工程における評価はコーティング量の評価であることが好ましい。

0056

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0057

コーティング層が蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことによって、被検査粒子群の蛍光X線は、コーティングの量またはコーティング層の厚みに比例した強度が得られる。

0058

なお、上述のように、コーティングされた被検査粒子の大きさが、被検査粒子に照射される電磁波の侵入深さを超えると、その後のコーティングによるコーティング量や厚みの増加は蛍光X線には表れにくい。

0059

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は少なくとも第1の層と第2の層とを含み、第1の層は蛍光X線を発する第1の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第2の層は蛍光X線を発する第2の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第1の元素と第2の元素は互いに異なることが好ましい。

0060

コーティング層が多層である場合、各層がそれぞれ蛍光X線を発する薬物および/または添加物を含んでいることによって、内側のコーティング層から発せられて測定される蛍光X線は、外側のコーティング層の増加に伴って指数関数的に強度が弱くなる。一方、外側のコーティング層から発せられて測定される蛍光X線は、外側のコーティング層の増加に伴って強度が増加する。このようにして、多層のコーティングの状態をより正確に知ることができる。

0061

本発明に従った工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0062

本発明に従った工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0063

本発明に従った工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0064

以上のように、本発明によれば、被検査粒子群のコーティング状態をバルクの状態で、再現性よく、精度よく知ることができる工程分析方法を提供することができる。

0065

以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0066

<実施例1 球形結晶セルロース(セルフィア)−DL−メチオニン系のコーティング>
表1に示す4種の球形結晶セルロース(セルフィア:旭化成ケミカルズ社製)を核粒子として用い、その上に第1のコーティング、さらにその上へ第2のコーティングを施した。第1のコーティング工程と第2のコーティング工程のそれぞれにおいて蛍光X線を測定し、コーティング状態を評価した。

0067

0068

モデル薬物として、蛍光X線で検出できる硫黄Sを含有するDL−メチオニンを用を用いて表2の処方で溶液を調製した。得られた溶液を、転動流動層造粒コーティング機(MP−01:パウレック社製)のトップスプレーの流動層モードで、表3に示す条件で表1に示す粒子にコーティングした。スプレー液濃度はコーティング液固形分15%とした。スプレー速度給気および排気温度等はスケールおよび機種に合わせて設定した。凝集や双子粒ができにくい条件系を選んだ。

0069

0070

0071

上記コーティング条件でスプレーを行い蛍光X線測定用のコーティング顆粒を得た。サンプリングは予め決められた時点(スプレー液の33%、66%および100%量をスプレーした3時点)で行い、その際、蛍光X線測定が可能な量(約5g)を採取した。

0072

得られたサンプルを堀場製作所製のMESA−500(あるいはMESA−500W)での蛍光X線の測定に供した。MESA−500専用の測定セルに工程途中でサンプリングされた顆粒(約5g)を充填し、蛍光X線の影響を受けないフィルムシールしたものを、フィルム面を下にしてセットし、真空にした後、斜めからの照射X線(5mm径)に対して反対側に発生した蛍光X線を測定した。

0073

測定は、真空下で検出器の高純度シリコンを液体窒素で冷却し、15kVのエネルギーで発生させたX線を照射し、主に100秒の累積カウント数でデータ取りを行った。測定は繰り返して再現性を確認しながら行ったデータであるが、カウント時間が短いと標準偏差(SD)が大きくなる傾向があるかどうかの確認を行った。

0074

蛍光X線の測定データを測定時間(50秒〜200秒)によるカウント測定値のバラツキでは、十分にSDが小さな条件であったことから、カウント時間は主に100秒とした。

0075

蛍光X線の測定対象としては、硫黄Sのシグナルを測定した。また、同時にマスクコーティング工程では、タルクに起因するケイ素SiおよびマグネシウムMgのシグナルも測定した。実施例3および実施例4ではモデル薬物である炭酸カルシウムのカルシウムCaのシグナルを主に測定した。

0076

MESA−500では、ロジウム(Rh)ターゲットからのシグナルが3keVあたりに大きく表れる。入射X線に起因する蛍光X線に付随して、サンプルに含有されている硫黄SのKα線スペクトルが2.31keVに検出される。そのシグナルの大きさを一定時間(100秒)測定し、その蛍光X線のカウント数cps/μAという単位で計測した。

0077

このように測定される蛍光X線のデータの特性のバラツキおよび再現性については、繰り返し測定することで、照射X線および蛍光X線に起因するバラツキ(ゆらぎ)の割に、再現性およびバラツキの少ない測定法であることがわかった。

0078

今回の測定は、デスク置型の蛍光X線測定装置(MESA−500)を用いて行われたものである。工程から得られたサンプルについて、蛍光X線を測定した。サンプルの調製・測定装置への設置あるいは、サンプル室真空状態にするのに若干時間がかかるが、実際は、粒子のコーティング工程は、流動層造粒機、転動流動層造粒コーティング機、ワースター等の機械を用いて行われ、一つの工程においてもスプレー時間のかかるものであるため、アットラインで測定に数分かかっても十分モニターすることと同じ結果が得られる。

0079

さらに、実施例3および実施例4で使用した色素はコーティング量および率を見積るために処方しているが、抽出液吸光度を、島津製作所製の紫外可視分光光度計UV−2500PCを用いて426nmにおける吸光度を測定することで含量を見積もった。

0080

図1に示すように、コーティング時間が長くなればなるほど、DL−メチオニンによる硫黄Sの蛍光X線が増加した。蛍光X線の増加の程度は、核粒子が大きくなるにつれて大きくなる。

0081

コーティング工程の常識として、同じ量のコーティング液を表面積の異なる核粒子にコーティングしていく場合、大きな粒子(表面積が小さい粒子)程多くコーティングされるため、DL−メチオニンの濃度(シグナル強度)が大きくなると考えられる。これは大きな錠剤と小さな錠剤を混合してフィルムコーティングを行った場合、大きな錠剤の方に多くコートされる現象からも理解できる。

0082

また、図1に示す蛍光X線の強度の推移の傾き(増加量)は小さな核粒子程小さく、大きな核粒子程大きくなる。セルフィアの大きさ及び重さから換算した表面積の比と、この傾きの比をプロットすると良い相関が得られる。さらに、粒径の大きくなるほど直線性がなくなり、上に凸になる傾向がある。

0083

これは粒子のコート厚みの影響であり、ある一定の厚み(限界厚)以上でこのような影響がある。但し、入射X線の強度(今回は15kVで印加)を強くすれば限界厚は厚くなると考えられる。しかしながら、粒度が小さくコート厚みが小さい場合は十分に直線性があり、蛍光X線の値からコーティング量を推し量ることができる。

0084

蛍光X線を発する元素を含有するコーティング液をスプレーすることで、微粒子上にコートされた層の評価をするのであるが、蛍光X線の値がコーティング量に比例していることから、どれぐらいコーティングされたのかが判る。実施例1では、種々の大きさの粒子にコーティングしていくにつれて硫黄Sの蛍光X線強度が強くなり、厚みに比例した蛍光X線の値が得られる。

0085

<実施例2マスクコーティング工程の例>
実施例1で得られたコーティング粒子の上に、さらにマスクコーティングを施した。

0086

コーティング顆粒の100%スプレーしたサンプル1320gに対して、タルク中心の表4の処方のスプレー液をコーティングに使用した。スケールは約1.9kgの小スケールであった。コーティング液濃度は固形分19%とした。スプレー条件を表5に示す。

0087

0088

0089

核粒子へのコーティングは実施例1と同じ装置と条件で行った。蛍光X線測定用のコーティング顆粒を、予め決められた時点(スプレー液の33%、66%および100%量をスプレーした3時点)で行い、その際蛍光X線測定が可能な量(約5g)を採取した。

0090

得られたサンプルについて、実施例1と同様に蛍光X線を測定した。蛍光X線の強度の時間変化図2に示す。蛍光X線の測定対象としては、硫黄Sのシグナルと、マスクコーティング中のタルクに起因するケイ素SiおよびマグネシウムMgのシグナルを測定した。実施例3および実施例4ではモデル薬物である炭酸カルシウムのカルシウムCaのシグナルを主に測定した。

0091

図2に示すように、マスクコーティングが進むにつれて、タルクに含有されているケイ素Si等により、DL−メチオニンの硫黄Sの蛍光X線が遮蔽されて減衰していく。

0092

種々のサイズの核粒子のコーティング顆粒にタルク(ケイ素とマグネシウムを含有)をコーティングすると、中のDL−メチオニンの硫黄Sに起因する蛍光X線が指数関数的に減衰する。その減衰の程度は粒子が大きくなる程コーティング(マスキング)効果が大きいため大きくなる。すなわち、粒度が大きいものほど表面積が小さくなり、コーティング量(厚)が大きくなるため容易に遮蔽されて減衰が強くなる。

0093

一方、タルクに含有されているケイ素Siの蛍光X線の強度は、マスクコーティング量が増加するにつれて増加する。

0094

遮蔽効果とコーティング量の関係が如実にわかる。一方、図3に示すように、マグネシウムMgのシグナルもケイ素Siと同じ挙動を示すが、ケイ素Siに比べてマグネシウムMgの量が少なく、シグナル強度は弱いものであった。

0095

DL−メチオニンの硫黄Sに起因する蛍光X線は、タルク等のコーティングによって遮蔽される。その遮蔽によって硫黄Sのシグナルは指数関数的に減衰し、所定のコーティングによって小さな値となる。一方コーティングするタルクに起因する蛍光X線は増加して頭打ちになる。その微粒子表面へのコーティング量は、一つはシグナルの減衰で、その値は遮蔽の程度(コーティング量)に依存するので、その結果からコーティング量を見積もることが可能となる。

0096

<実施例3乳糖水和物−炭酸カルシウム系の中スケールのコーティング>
実施例3および実施例4では、実施例1および実施例2の核粒子として使用した球形結晶セルロースのような球形度のよいものではなく、結晶乳糖水和物(80M)の微粉を除いたものを核粒子として使用した。この核粒子はDMV社の乳糖水和物の粒度の大きなもの(80メッシュグレード)であるが、米粒のような形をしている。粒度はレーザー式粒度測定機(LA−910およびLA−950:堀場製作所製)で測定した。平均粒径(D50%)は約200μmであった。

0097

この核粒子へ、炭酸カルシウムをモデル薬物として用いて、表6に示す処方でコーティングを行った。スケールは20kgの中スケールであった。スプレー液濃度はコーティング液で固形分約13%とした。スプレー条件を表7に示す。

0098

0099

0100

サンプリングは3kgのスプレー毎に行い、得られたサンプルを蛍光X線の測定に供した。すなわち、5時点のサンプリングを行った。

0101

得られたサンプルについて、実施例1と同様に蛍光X線を測定した。蛍光X線の強度の時間変化を図4に示す。蛍光X線の測定対象としては、モデル薬物である炭酸カルシウムのカルシウムCaのシグナルを測定した。

0102

実施例3において炭酸カルシウムをコーティングし調製したサンプルについて、蛍光X線を測定した。カルシウムCaのシグナル推移を測定した結果、良好な直線性が3ロットについて得られていることがわかる。

0103

これは、粒子の大きさが実施例1および実施例2で用いた粒径200μmに相当するCP−102およびCP−203レベルのものであり、表面積があまり小さくないので、良好な直線性が得られたものである。3ロットの間の乖離もあまりないことから、この中間スケールの検討においても、本発明の手法は十分に適用できることがわかった。

0104

この場合も、コーティング量に比例した蛍光X線が得られ、その量は蛍光X線の強度で見積もることができる。一定の処方および条件で製造され、同じものができている限りこの結果から乖離した値は得られない。また、コーティング量が限界厚に近づくにつれて頭打ちのプロファイルになる。実施例3の場合は、限界厚以下のコーティング量になっている。

0105

<実施例4乳糖水和物—炭酸カルシウム系の中スケールでのマスクコーティング>
実施例3で15kgのスプレー液をコーティングした顆粒の上にタルク主体処方液をマスクコーティングした。表8に実施例4のマスクコーティングの処方を支援す。スケールは中スケール(約29kg)であった。スプレー液濃度は固形分19%とした。

0106

0107

このマスクコーティングでは、約44kgのコーティング液をスプレーした。

0108

タルク主体のマスクコーティング液を用いて、以下の表9の条件でコーティングを行った。コーティング終了時の収量が約29kgとなる。

0109

0110

サンプリングは30分毎に行い、210分のサンプルはスキップして最終の225分のサンプリングとしたので合計7時点となる。

0111

得られたサンプルについて、実施例1と同様に蛍光X線を測定した。蛍光X線の強度の時間変化を図5に示す。蛍光X線の測定対象としては、モデル薬物である炭酸カルシウムのカルシウムCaのシグナルを測定した。

0112

図5に示すように、マスクコーティング量が増加するにしたがって、カルシウムCaの蛍光X線シグナルが減少していくのがわかる。3ロットの結果を見ても再現性があり、同様の指数関数的な減衰が起こっていることがわかる。

0113

ここで得られた結果は、実施例2の硫黄Sに比べて減衰の程度が大きくはないものであるが、これは硫黄SとカルシウムCaの蛍光X線のシグナルに対する、タルクのケイ素Siの影響が、異なるためであることがわかる。従って、選択する元素の性質が大きく影響していることがわかる。

0114

以上の結果から、中スケールの検討においても、蛍光X線が粒子コーティング工程の、適時で詳細なモニターに十分適応できることがわかった。さらに顆粒にいくつか他の元素が含まれてあり、それらも同時にモニターできれば、より有力な工程情報が得られるものと考える。

0115

この場合も、カルシウムCaに起因する蛍光X線が指数関数的に減衰し、その近似曲線の指数関数の数値から、厚みあるいはコーティング量の見積もりができる。補足にある情報からコーティング量とか厚みに関する情報が得られる。

0116

<比較例1>

0117

実施例3で作製されたコーティング溶液には食用黄色4号が含まれている(表6)。実施例4のマスクコーティング工程における蛍光X線測定に用いたサンプルについて、色素の濃度の推移を測定した。色素濃度は、1gのサンプルを100mLの水に分散し、抽出した液を0.45μmのフィルターでろ過後、島津UV−2500PCを用いて波長426nmで測定した。

0118

図6に示すように、図5に示すカルシウムCaの蛍光X線強度の減少に比べて、マスクコーティング量の増加による濃度分の減少しか示さない。すなわち、図5の蛍光X線の結果では、マスクコーティング終了時に、初期の50%程度強度が落ちているが、図6では、色素である食用黄色4号の量は単純にコーティングによって増加する処方の減少のみを反映しており、初期の30%ぐらいしか減少していない。この20%の差は粒子上でのコーティングのモルフォロジー(試料の構造)の違いによるシグナルを反映している。

0119

通常、均一に配合された物質の蛍光X線の強度は、その混合物中の蛍光X線を発する物質の濃度(マトリックス効果等の共存する他元素の影響がなければ)に起因する強度になる。しかしながら、同じ構造の微粒子のコーティング層にある物質が蛍光X線を発する場合は、その一部分の元素に起因する図5図6の値の違いにより、単純にコーティングに伴う処方量の増加あるいは減少以外の、その被検査粒子群の個々の粒子の状態を反映したために起こる蛍光X線の変化から、粒子にコーティングされた物質のコーティング状態が判る。すなわち、コーティングが十分に為されていない場合は、コーティング量が少ないあるいは膜厚が薄いために起こる蛍光X線の減少が起こり、逆の場合は増加が起こる。

0120

<比較例2>
実施例4のマスクコーティング工程における蛍光X線測定に用いたサンプルについて、モデル薬物である炭酸カルシウムを近赤外分光法(NIR)で測定した。得られた近赤外スペクトルブロードな吸収を示した。通常、炭酸カルシウムの近赤外における吸収が弱くブロードなので、そのスペクトルを解釈するにはケモメトリックス等の処理を施す必要がある。実施例4の検査対象粒子群に含まれる炭酸カルシウムの含有量は、マスクコーティングの初期であっても数%であるので、十分にNIRで検出できる濃度ではなかった。

0121

さらに、NIRあるいはRamanの測定では、粒子の大きさによる効果、照射光による影響、ラマン散乱が強いもの、蛍光の弱いものとか種々の制限がある。また、有機化合物で原子間の結合に起因する振動の吸収がある場合に容易に導入できる工程分析方法であるので蛍光X線で検出できないものも検出できる反面、NIR、ラマンおよびテラヘルツで検出できないものも蛍光X線では検出できるものがある。

0122

このように蛍光X線で測定できるものは、蛍光X線を発光する元素がある限り、かなりの感度で再現性良く測定できる。この感度および特異性のよさがこの方法の利点の一つであり、考古学等の貴重な試料の小さなポイントでの元素分析(定性・定量)を可能にしている。

0123

以上のように、蛍光X線によって粒子コーティング工程で製せられた粒子を粒子群(同じ構造の集合体)のようなバルクの形で測定でき、その粒子の構造に起因するシグナルが得られることがわかった。

0124

本発明を要約すれば、以下の通りである。

0125

(1)本発明に従った工程分析方法は、核粒子上にコーティング層が形成された被検査粒子群の蛍光X線を測定する蛍光X線測定工程と、蛍光X線測定工程において測定された蛍光X線に基づいて被検査粒子群のコーティング状態を評価する評価工程とを含み、少なくとも核粒子とコーティング層のいずれか一方は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含む。

0126

(2)本発明に従った上記(1)の工程分析方法においては、蛍光X線測定工程は、少なくとも、第1のコーティング時間または第1のコーティング量と、第2のコーティング時間またはコーティング量とにおいて行われることが好ましい。

0127

(3)本発明に従った上記(1)または(2)の工程分析方法は、核粒子上にコーティング層を形成するコーティング工程を含み、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に複数回行われることが好ましい。

0128

(4)本発明に従った上記(1)から(3)の工程分析方法においては、蛍光X線測定工程は、コーティング工程の間に連続して行われることが好ましい。

0129

(5)本発明に従った上記(1)から(4)の工程分析方法においては、評価工程における評価に基づいてコーティング工程におけるコーティング層の形成を制御することが好ましい。

0130

(6)本発明に従った上記(1)から(5)の工程分析方法においては、評価工程における評価はコーティング量の評価であることが好ましい。

0131

(7)本発明に従った上記(1)から(6)の工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0132

(8)本発明に従った上記(1)から(7)の工程分析方法においては、コーティング層は少なくとも第1の層と第2の層とを含み、第1の層は蛍光X線を発する第1の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第2の層は蛍光X線を発する第2の元素を含有する薬物および/または添加物を含み、第1の元素と第2の元素は互いに異なることが好ましい。

0133

(9)本発明に従った上記(1)から(6)の工程分析方法においては、コーティング層は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0134

(10)本発明に従った上記(1)から(8)の工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を発する元素を含有する薬物および/または添加物を含むことが好ましい。

0135

(11)本発明に従った上記(1)から(8)工程分析方法においては、核粒子は、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素で構成されていることが好ましい。

0136

(12)本発明に従った上記(1)から(11)の工程分析方法においては、蛍光X線を発する元素は原子番号が11以上の元素であることが好ましい。

0137

(13)本発明に従った上記(9)または(11)の工程分析方法においては、蛍光X線を実質的に発しない、または、弱い蛍光X線を発する軽元素は、原子番号が10以下の元素であることが好ましい。

実施例

0138

以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。

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