図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
いわゆる多管円筒式熱交換器は、伝熱面積を大きくし、小型化するために多管式を採用しているが、その伝熱性能は伝熱管の内外の境膜伝熱抵抗と厚み方向の熱伝導抵抗によって決まることは基本の理論である。
この流体境膜伝熱抵抗は流体のレイノルズ数に比例して小さくなり、管内外流体の圧力損失の増大とトレードオフにあることはよく解明されており、管内部流体の伝熱促進を図る方法としては、管内に疑似乱流を形成するようなエレメント(素子)を挿入することが実用化されている。
ハイトランは芯ワイヤーに管内壁に接触するループワイヤーを固定した3次元立体素子であり、これらは多管円筒式熱交換器において、管側のパス数を大きくして流速を上げるよりも、この素子の挿入によって大きな伝熱促進効果を与える。
一方胴側の境膜伝熱抵抗を小さくする方法として、胴内を多数のバッフルで区切り、いわゆるクロスパスを大きくする方法と、胴内への管の充填本数密度を大きくする方法があり、後者は同一胴径で伝熱面積を大きくなるため、より効果的な方法である。
しかし管の充填密度を大きくする方法は、伝熱管内外の流体を隔離するための管板に、管を固着するための管周囲面積が小さくなり、溶接等に必要な面積を小さくするため限度がある。
特に伝熱面積を大きくとるために管径を小さくした場合、たとえば管径に対するピッチ比を1.25とし、外径26mmφと12mmφを充填した場合、管板で隣接する管間の幅は6.5mmと3mmとなり、後者の場合、管板と管との溶接加工は著しく困難となり、さらにピッチ比を小さくすることは現実的でない。
また胴円筒内を多数のバッフルで区切る方法は、胴側流体を管側流体とクロスフローで接するために、温度差では完全向流よりは小さくなり、いたずらに胴側の圧力損失を大きくすることになる。
概要
伝熱促進素子を装着した1パス伝熱管を高密度に胴円筒に設置し、管密度の高い高性能の多管円筒式1パス熱交換器を提供する。高密度な管束の管本数を上回る網穴をもち、胴円筒の内径に丁度入る直径である2枚以上の網板で保持したのち胴円筒に挿入し、管板に変えて両端部を硬化性樹脂で固めて両流体を遮断する。また伝熱管内に、芯ワイヤーに多数のループ状のワイヤーが取り付けられ、ループの先端が伝熱管内壁に接触している3次元立体ワイヤー素子を装着する。
目的
本発明の課題は、高密度に束ねた伝熱管を胴円筒に装着し、簡単確実に管内外の流体を隔離する方法を提供することにより、外側の境膜伝熱係数を大きくし、管内側の3次元ワイヤー素子と組み合わせることにより、小型高性能の多管円筒式熱交換器とその製造方法を提供するものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
いわゆる多管円筒式熱交換器は、伝熱面積を大きくし、小型化するために多管式を採用しているが、その伝熱性能は伝熱管の内外の境膜伝熱抵抗と厚み方向の熱伝導抵抗によって決まることは基本の理論である。
0003
この流体境膜伝熱抵抗は流体のレイノルズ数に比例して小さくなり、管内外流体の圧力損失の増大とトレードオフにあることはよく解明されており、管内部流体の伝熱促進を図る方法としては、管内に疑似乱流を形成するようなエレメント(素子)を挿入することが実用化されている。
0004
ハイトランは芯ワイヤーに管内壁に接触するループワイヤーを固定した3次元立体素子であり、これらは多管円筒式熱交換器において、管側のパス数を大きくして流速を上げるよりも、この素子の挿入によって大きな伝熱促進効果を与える。
0005
一方胴側の境膜伝熱抵抗を小さくする方法として、胴内を多数のバッフルで区切り、いわゆるクロスパスを大きくする方法と、胴内への管の充填本数密度を大きくする方法があり、後者は同一胴径で伝熱面積を大きくなるため、より効果的な方法である。
0007
特に伝熱面積を大きくとるために管径を小さくした場合、たとえば管径に対するピッチ比を1.25とし、外径26mmφと12mmφを充填した場合、管板で隣接する管間の幅は6.5mmと3mmとなり、後者の場合、管板と管との溶接加工は著しく困難となり、さらにピッチ比を小さくすることは現実的でない。
0010
特開2016−217540
先行技術
発明が解決しようとする課題
0012
本発明の課題は、高密度に束ねた伝熱管を胴円筒に装着し、簡単確実に管内外の流体を隔離する方法を提供することにより、外側の境膜伝熱係数を大きくし、管内側の3次元ワイヤー素子と組み合わせることにより、小型高性能の多管円筒式熱交換器とその製造方法を提供するものである。
課題を解決するための手段
0013
本発明は伝熱管の直径は16mm以下で、管のピッチ比は1.25以下で胴円筒に装着される場合に適用され、胴円筒は 50Aから500Aが好適であり、たとえば50A(内径52mm)の胴円筒には外径7mmφの伝熱管をピッチ比1.19、千鳥格子で26本配置できるが、伝熱管同士の間隔が小さいため、管板への溶接による接合は非常に困難である。
0015
本発明に用いる3次元立体ワイヤー素子は、挿入と固定のため、伝熱管長さよりもその先端が出るような長さとなっていることが多いので、この端部の注型のあとに挿入することが好ましい。
図面の簡単な説明
0018
内径52mmの塩ビ製胴円筒にピッチ比1.15、千鳥格子でレイアウトした伝熱管配置図と、それを保持する網板の組み込みと管配置の輪切り断面図である。
本発明の熱交換器の外見図であり、胴内の8枚の網板を点線で、内部伝熱管と、注型両端部を透視縦断面図である。
熱交換器端部注型時のシールと注型樹脂の注入方法の図である。
0019
以下発明を実施するための形態を具体的に説明する。
0022
図3は図2の注型部の片側の縦割り断面図で、端部に硬化性樹脂を注入して硬化する様子をモデル化したものであり、胴に挿入された伝熱管端面はシールされ、胴側の流体ノズル位置から液状の硬化性樹脂を注入し、硬化させる様子を示している。
0024
この管側に伝熱促進素子として3次元立体ワイヤー素子(ハイトラン)を用いた、本発明の熱交換器の胴側に15℃の冷水、管側に40℃の温水をそれぞれ120リットル毎分で向流熱交換を実施した結果、それぞれの出入り口温度差は9.5℃であった。
0025
一方、同じ条件で3次元立体ワイヤー素子の挿入されていない場合の出入り口温度差は5.5℃と約半分の能力であった。
実施例
0026
実施例と同じ胴円筒の熱交換器には、ピッチ比1.25で19本の伝熱管が配置可能であるが、薄肉管と管板の溶接は非常に困難となり、仮に出来たとしても伝熱面積は61%に低下するため、同じ大きさで本発明と同じ効果を達成することは出来ない。