図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
従来、自動車等のエンジンから排出される排ガス中に含まれるHC、CO、NOx等の有害物質の浄化処理のため、ハニカム構造体を用いた排ガス浄化装置が用いられる。例えば、ディーゼルエンジン用の排ガス浄化装置として、排気通路に配置されたディーゼル酸化触媒(以下、「DOC」ともいう)と、このDOCの下流に配置されたディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」ともいう)とを備えた排ガス浄化装置を挙げることができる。「DOC」は、「Diesel Oxidation Catalyst」の略である。「DPF」は、「Diesel Particulate Filter」の略である。
上述したような排ガス浄化装置に用いられるDOCとして、例えば、触媒担体としてのハニカム構造体に、HC、CO、NOxを酸化するための酸化触媒を担持したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、DOCは、HC、CO、NOx等の有害物質の浄化処理だけでなく、DPFの強制再生の際に、DPFに流入する排ガスの温度を上昇させるためにも使用されている。ここで、DPFの強制再生とは、DPFに捕集されて堆積している粒子状物質を燃焼除去し、DPFのフィルタ機能を再生するための操作である。例えば、DPFの強制再生の際には、エンジンのメイン燃焼噴射時期より遅れて燃料を噴射するポスト噴射を行い、排ガス浄化装置内に未燃焼の燃料を供給する。そして、この未燃燃料を、DPFの上流側に配置されたDOCによって酸化発熱させることで、排ガスの温度を強制的に昇温し、DPFの強制再生が行われる。
DOCは、フィルタ機能を有するDPFよりも排気系の上流側に配置されているため、DOCの流入端面側に粒子状物質が堆積し、当該DOCの流入端面側のセルが閉塞してしまうことがあった。例えば、触媒担体として使用するハニカム構造体として、流入端面側における境膜の発生を抑制する技術として、ハニカム構造体の流入端面を、ガス流入方向に対して垂直以外の角度を有する面とする技術などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
概要
排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面側のセルの閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することが可能なハニカム構造体を提供する。多孔質の隔壁1を有する柱状のハニカム構造部4を備え、ハニカム構造部4の流入端面11において格子状に配設された隔壁1が交差する交点7は、一の交点である第一交点7aと、当該第一交点7aを含む隔壁1における他の交点7であって、第一交点7aと隣り合う複数の第二交点7bと、を含み、流入端面11は、第一交点7aを底部とし且つ当該第一交点7aの周囲の第二交点7bを頂部とする、又は、第一交点7aを頂部とし且つ当該第一交点7aの周囲の第二交点7bを底部とする、凹凸部8を有する。
目的
本発明は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として用いた際に、排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面側のセルの閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することが可能なハニカム構造体を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部を備え、前記隔壁は、前記ハニカム構造部の流入端面から流出端面まで延びる複数のセルを取り囲むように配設されたものであり、前記流入端面において格子状に配設された前記隔壁が交差する交点は、一の交点である第一交点と、当該第一交点を含む前記隔壁における他の交点であって、前記第一交点と隣り合う複数の第二交点と、を含み、前記流入端面は、前記第一交点を底部とし且つ当該第一交点の周囲の前記第二交点を頂部とする、又は、前記第一交点を頂部とし且つ当該第一交点の周囲の前記第二交点を底部とする、凹凸部を有する、ハニカム構造体。
請求項2
前記凹凸部の、前記セルの延びる方向における高低差が、0.3〜1.2mmである、請求項1に記載のハニカム構造体。
請求項3
前記第一交点と前記第二交点とを結ぶ前記隔壁は、前記流入端面側の端部が、前記凹凸部の形状に沿って、前記セルの延びる方向に傾斜する傾斜面を有する、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
請求項4
前記隔壁が交差する交点は、前記第二交点を含む前記隔壁における、前記第一交点以外の更に他の交点であって、前記第二交点と隣り合う複数の第三交点と、を含み、前記流入端面において、前記第一交点と、少なくとも1の第三交点とが、前記セルの延びる方向において同位置に存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
請求項5
前記流入端面における前記セルの形状が四角形であり、前記流入端面における前記隔壁が交差する交点の総個数に対する、前記第一交点となる交点の個数の比の百分率が、12〜25%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
請求項6
前記流入端面における前記セルの形状が六角形であり、前記流入端面における前記隔壁が交差する交点の総個数に対する、前記第一交点となる交点の個数の比の百分率が、25〜50%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
請求項7
前記流出端面において、前記隔壁が交差するそれぞれの交点は、前記セルの延びる方向において同位置に存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
技術分野
0001
本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として用いた際に、排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面側のセルの閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することが可能なハニカム構造体に関する。
背景技術
0002
従来、自動車等のエンジンから排出される排ガス中に含まれるHC、CO、NOx等の有害物質の浄化処理のため、ハニカム構造体を用いた排ガス浄化装置が用いられる。例えば、ディーゼルエンジン用の排ガス浄化装置として、排気通路に配置されたディーゼル酸化触媒(以下、「DOC」ともいう)と、このDOCの下流に配置されたディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」ともいう)とを備えた排ガス浄化装置を挙げることができる。「DOC」は、「Diesel Oxidation Catalyst」の略である。「DPF」は、「Diesel Particulate Filter」の略である。
0003
上述したような排ガス浄化装置に用いられるDOCとして、例えば、触媒担体としてのハニカム構造体に、HC、CO、NOxを酸化するための酸化触媒を担持したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
0004
また、DOCは、HC、CO、NOx等の有害物質の浄化処理だけでなく、DPFの強制再生の際に、DPFに流入する排ガスの温度を上昇させるためにも使用されている。ここで、DPFの強制再生とは、DPFに捕集されて堆積している粒子状物質を燃焼除去し、DPFのフィルタ機能を再生するための操作である。例えば、DPFの強制再生の際には、エンジンのメイン燃焼噴射時期より遅れて燃料を噴射するポスト噴射を行い、排ガス浄化装置内に未燃焼の燃料を供給する。そして、この未燃燃料を、DPFの上流側に配置されたDOCによって酸化発熱させることで、排ガスの温度を強制的に昇温し、DPFの強制再生が行われる。
0005
DOCは、フィルタ機能を有するDPFよりも排気系の上流側に配置されているため、DOCの流入端面側に粒子状物質が堆積し、当該DOCの流入端面側のセルが閉塞してしまうことがあった。例えば、触媒担体として使用するハニカム構造体として、流入端面側における境膜の発生を抑制する技術として、ハニカム構造体の流入端面を、ガス流入方向に対して垂直以外の角度を有する面とする技術などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
先行技術
0006
特開2003−33664号公報
特開平9−75750号公報
発明が解決しようとする課題
0007
従来、触媒担体として使用するハニカム構造体の流入端面側のセルの閉塞を防止するための方法として、隔壁の厚さやセル密度を調整し、流入端面側のセルの開口面積を大きくする方法等が検討されている。しかしながら、このような方法では、浄化性能などとの両立から調整範囲が限定され、セルの閉塞を十分に抑制することは困難であるという問題があった。また、このような方法は、ハニカム構造体に対する構造的な制約が大きいため、使用条件に合致した構造の実現が困難になることもあった。
0008
また、特許文献2に記載されたようなハニカム構造体では、排ガスの分子拡散レベルの境膜の発生は抑制できたとしても、固形物である粒子状物質の堆積によるセルの閉塞を十分に抑制することは困難であるという問題があった。例えば、特許文献2に記載されたようなハニカム構造体は、ハニカム構造体の流入端面が一方向に沿って波型を呈している。このため、上記した「波型」の進行方向においては、セルの閉塞を抑制するという効果が得られるものの、「波型」の進行方向に直交する方向については、セルの閉塞を抑制することは困難である。
0009
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされてものである。本発明は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として用いた際に、排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面側のセルの閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することが可能なハニカム構造体を提供する。
課題を解決するための手段
0010
本発明によれば、以下に示すハニカム構造体が提供される。
0011
[1]多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部を備え、
前記隔壁は、前記ハニカム構造部の流入端面から流出端面まで延びる複数のセルを取り囲むように配設されたものであり、
前記流入端面において格子状に配設された前記隔壁が交差する交点は、一の交点である第一交点と、当該第一交点を含む前記隔壁における他の交点であって、前記第一交点と隣り合う複数の第二交点と、を含み、
前記流入端面は、前記第一交点を底部とし且つ当該第一交点の周囲の前記第二交点を頂部とする、又は、前記第一交点を頂部とし且つ当該第一交点の周囲の前記第二交点を底部とする、凹凸部を有する、ハニカム構造体。
0012
[2] 前記凹凸部の、前記セルの延びる方向における高低差が、0.3〜1.2mmである、前記[1]に記載のハニカム構造体。
0013
[3] 前記第一交点と前記第二交点とを結ぶ前記隔壁は、前記流入端面側の端部が、前記凹凸部の形状に沿って、前記セルの延びる方向に傾斜する傾斜面を有する、前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
0014
[4] 前記隔壁が交差する交点は、前記第二交点を含む前記隔壁における、前記第一交点以外の更に他の交点であって、前記第二交点と隣り合う複数の第三交点と、を含み、
前記流入端面において、前記第一交点と、少なくとも1の第三交点とが、前記セルの延びる方向において同位置に存在する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
0015
[5] 前記流入端面における前記セルの形状が四角形であり、
前記流入端面における前記隔壁が交差する交点の総個数に対する、前記第一交点となる交点の個数の比の百分率が、12〜25%である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
0016
[6] 前記流入端面における前記セルの形状が六角形であり、
前記流入端面における前記隔壁が交差する交点の総個数に対する、前記第一交点となる交点の個数の比の百分率が、25〜50%である、前記[1]〜[3]のいずれか記載のハニカム構造体。
0017
[7] 前記流出端面において、前記隔壁が交差するそれぞれの交点は、前記セルの延びる方向において同位置に存在する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
発明の効果
0018
本発明のハニカム構造体は、その流入端面に、第一交点を底部とし且つ当該第一交点の周囲の第二交点を頂部とする、又は、第一交点を頂部とし且つ当該第一交点の周囲の第二交点を底部とする、凹凸部を有する。このため、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として用いた際に、排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面側のセルの閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することができる。
0019
即ち、本発明のハニカム構造体は、その流入端面が、「第一交点がその周囲の交点よりも窪んだすり鉢状」、又は「第一交点がその周囲の交点よりも隆起した突起状」となるように構成されている。したがって、第一交点を含む隔壁によって取り囲まれたセルは、流入端面側において、当該セルを取り囲む隔壁の端部に段差が付いている。このため、当該セルの開口面積等を広げることなく、当該セルを取り囲む隔壁の相互間距離を大きくすることができる。これにより、ハニカム構造体の流入端面側のセルの開口部に、粒子状物質による架け橋(ブリッジ:bridge)ができ難くなり、当該セルの閉塞を有効に防止することができる。
図面の簡単な説明
0020
本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図1に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。
図2のA−A’断面を模式的に示す、断面図である。
図2のB−B’断面を模式的に示す、断面図である。
図1に示すハニカム構造体の流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図5のC−C’断面を模式的に示す、断面図である。
図5のC−C’断面の他の例を模式的に示す、断面図である。
本発明のハニカム構造体の他の実施形態の流入端面を模式的に示す平面図であって、当該流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の流入端面を模式的に示す平面図であって、当該流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
0021
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。
0022
(1)ハニカム構造体:
図1〜図6に示すように、本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、多孔質の隔壁1を有する柱状のハニカム構造部4を備えたハニカム構造体100である。本実施形態のハニカム構造体100は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として好適に用いることができる。ハニカム構造部4は、その外周部分に、隔壁1を囲繞するように配設された外周壁3を更に有していてもよい。
0023
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。図3は、図2のA−A’断面を模式的に示す、断面図である。図4は、図2のB−B’断面を模式的に示す、断面図である。図5は、図1に示すハニカム構造体の流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。図6は、図5のC−C’断面を模式的に示す、断面図である。
0024
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4を構成する隔壁1は、ハニカム構造部4の流入端面11から流出端面12まで延びる複数のセル2を取り囲むように配設されたものである。したがって、ハニカム構造部4は、流入端面11及び流出端面12を両端面とする柱状を呈し、隔壁1によって、上述した複数のセル2が区画されたハニカム構造を有している。
0025
ハニカム構造部4の流入端面11において、格子状に配設された隔壁1が交差する交点7は、以下のような、第一交点7aと、第二交点7bと、を含んでいる。第一交点7aは、複数の交点7のうち、任意の一の交点7aである。第二交点7bは、第一交点7aを含む隔壁1における他の交点7であって、第一交点7aと隣り合う複数の交点7bである。なお、「第一交点7aを含む隔壁1」とは、この隔壁1の両側に2つの交点7を有し、その片側の交点7が、第一交点7aである隔壁1のことをいう。したがって、「第一交点7aを含む隔壁1における他の交点7」とは、隔壁1の両側の2つの交点7のうち、第一交点7a以外の交点7のことをいう。「第一交点7aと隣り合う複数の交点7b」とは、第一交点7aで交差する各隔壁1の流入端面11上の他の交点であって、流入端面11上において、第一交点7aから最も近い位置に存在する各隔壁1の交点7のことを意味する。
0026
本実施形態のハニカム構造体100は、その流入端面11が、第一交点7aを底部とし且つ当該第一交点7aの周囲の第二交点7bを頂部とする、凹凸部8を有することを、特に主要な特徴とする。即ち、本実施形態のハニカム構造体100は、その流入端面11が、「第一交点7aがその周囲の交点7よりも窪んだすり鉢状」となるように構成されている。このため、本実施形態のハニカム構造体100は、排ガス中に含まれる粒子状物質による、流入端面11側のセル2の閉塞を有効に防止し、圧損の上昇を抑制することができる。
0027
より具体的には、「第一交点7aがその周囲の交点7よりも窪んだすり鉢状」となるように構成されていることにより、第一交点7aを含む隔壁1によって取り囲まれたセル2は、流入端面11側において、当該セル2を取り囲む隔壁1の端部に段差が付いている。このため、当該セル2の開口面積等を広げることなく、当該セル2を取り囲む隔壁1の相互間距離を大きくすることができる。これにより、ハニカム構造体100の流入端面11側のセル2の開口部に、粒子状物質による架け橋(ブリッジ)ができ難くなり、当該セル2の閉塞を有効に防止することができる。
0028
なお、図2及び図5において、隔壁1が交差する交点7のうち、周囲の交点7よりも窪んだ交点7(図5における第一交点7a)が存在する箇所については、右下がりの実線のハッチング(即ち、実線の線影)で示している。また、図5において、隔壁1が交差する交点7のうち、第一交点7aよりも隆起した交点7(図5における第二交点7b)が存在する箇所については、右上がりの破線のハッチング(即ち、破線の線影)で示している。
0029
なお、本発明において、ハニカム構造体は、その流入端面が、「第一交点がその周囲の交点よりも隆起した突起状」となるように構成されていてもよい。即ち、図8に示すように、ハニカム構造部4の流入端面11が、第一交点7aを頂部とし且つ当該第一交点7aの周囲の第二交点7bを底部とする、凹凸部8を有していてもよい。ここで、図8は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態の流入端面を模式的に示す平面図であって、当該流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。図8に示すハニカム構造体200は、凹凸部8の構成が異なること以外は、図1〜図6に示すハニカム構造体100と同様に構成されていることが好ましい。
0030
なお、図8において、隔壁1が交差する交点7のうち、周囲の交点7よりも隆起した交点7(図8における第一交点7a)が存在する箇所については、右上がりの破線のハッチング(即ち、破線の線影)で示している。また、図8において、隔壁1が交差する交点7のうち、第一交点7aよりも内側に窪んだ交点7(図8における第二交点7b)が存在する箇所については、右下がりの実線のハッチング(即ち、実線の線影)で示している。
0031
図8に示すハニカム構造体200は、凹凸部8の頂部及び底部を構成するそれぞれの交点7が、図1〜図6に示すハニカム構造体100に対して、反転した位置関係となっている。なお、図8に示すハニカム構造体200は、上述したように凹凸部8の頂部及び底部を構成するそれぞれの交点7が反転した位置関係となっていること以外は、図5に示すハニカム構造体100と同様に構成されていることが好ましい。以下、本発明のハニカム構造体について、図1〜図6に示すハニカム構造体100を例に更に詳細に説明する。
0032
図3及び図4に示すように、凹凸部8の、セル2の延びる方向における高低差Tが、0.3〜1.2mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることが更に好ましく、0.7〜1.0mmであることが特に好ましい。上記高低差Tが0.3mm未満であると、流入端面11におけるセル2の開口部が、排ガス中に含まれる粒子状物質によって閉塞し易くなることがある。上記高低差Tが1.2mmを超えると、ハニカム構造体100の強度が低下し、例えば、流入端面11側の隔壁1がカケやすくなることがある。
0033
図3及び図4に示すように、第一交点7aと第二交点7bとを結ぶ隔壁1は、流入端面11側の端部が、凹凸部8の形状に沿って、セル2の延びる方向に傾斜する傾斜面を有することが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造部4の流入端面11側において、隔壁1の端面に粒子状物質が堆積し難くなり、セル2の開口部に、粒子状物質による架け橋(ブリッジ)がよりでき難くなる。
0034
図5及び図6に示すように、第二交点7bを含む隔壁1における、第一交点7a以外の更に他の交点であって、第二交点7bと隣り合う複数の第三交点7cと、を含んでいる場合には、この第三交点7cは、以下のように構成されていることが好ましい。即ち、ハニカム構造部4の流入端面11において、第一交点7aと、少なくとも1の第三交点7cとが、セル2の延びる方向において同位置に存在することが好ましい。更に、この第三交点7cは、その周囲の交点7よりも窪んだすり鉢状の底部、又は、その周囲の交点7よりも隆起した突起状の頂部として存在することが更に好ましい。このような形態においては、この第三交点7cは、ハニカム構造体100における「別の第一交点7a」と見做すことができる。
0035
隔壁1が交差する交点7は、例えば、図6に示すように、流入端面11において、セル2の延びる方向に直交する端面を有していてもよい。ただし、図7に示すように、隔壁1が交差する交点7は、流入端面11において、セル2の延びる方向に対して傾斜する傾斜面を有していてもよい。図7に示すように、隔壁1が交差する交点7が傾斜面を有していると、隔壁1が交差する交点7に粒子状物質が堆積し難くなり、セル2の開口部に、粒子状物質による架け橋(ブリッジ)がよりでき難くなる。ここで、図7は、図5のC−C’断面の他の例を模式的に示す、断面図である。
0036
流入端面11において、隔壁1が交差する交点7が傾斜面を有する場合、その傾斜角については特に制限はない。例えば、図7に示すような「交点7の傾斜面の傾斜角θ1」は、0〜60°であることが好ましく、45〜60°であることが好ましい。このように構成することによって、交点7への粒子状物質の堆積をより有効に抑制することができる。なお、「交点7の傾斜面の傾斜角θ1」は、セル2の延びる方向に直交する面と平行な面を0°とした場合における、傾斜面の傾斜角θ1のことである。
0037
隔壁1の厚さについては、特に制限はない。例えば、隔壁1の厚さは、0.05〜0.3mmであることが好ましく、0.06〜0.25mmであることが更に好ましく、0.09〜0.17mmであることが特に好ましい。例えば、隔壁1の厚さが0.05mm未満であると、ハニカム構造体100の強度が低下し、例えば、流入端面11側の隔壁1がカケやすくなることがある。隔壁1の厚さが0.3mmを超えると、ハニカム構造体100の圧損が増大することがある。
0038
ハニカム構造部4のセル密度については、特に制限はない。例えば、セル密度は、31〜140個/cm2であることが好ましく、39〜93個/cm2であることが更に好ましく、46〜62個/cm2であることが特に好ましい。例えば、セル密度が31個/cm2未満であると、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。セル密度が140個/cm2を超えると、ハニカム構造体100の圧損が増大することがある。
0039
ハニカム構造部4の隔壁1は、セラミックスを含む材料からなるものであることが好ましい。更に、隔壁1を構成する材料は、下記、「材料群」から選択される少なくとも一種のセラミックスを含むものであることが好ましい。「材料群」とは、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートを含む群である。
0040
本実施形態のハニカム構造体100において、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状については、特に制限はない。本発明において、セル2とは、隔壁1によって取り囲まれた空間のことを意味する。以下、単に「セル2の形状」という場合には、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状のことを意味する。
0041
セル2の形状として、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等の多角形を挙げることができる。また、これらの形状の複数を組み合わせた態様も、好ましい態様である。また、四角形の中では、正方形又は長方形が好ましい。また、セル2の形状が多角形である場合、当該多角形の少なくとも1つの角部が曲線状に形成された、又は少なくとも1つの角部が直線状に面取りされた形状であってもよい。
0042
流入端面11におけるセル2の形状が四角形である場合は、流入端面11における隔壁1が交差する交点7の総個数に対する、第一交点7aとなる交点の個数の比の百分率が、12〜25%であることが好ましい。このように構成することによって、圧損の上昇をより有効に抑制することができる。セル2の形状が四角形である場合、第一交点7aとなる交点の個数の比の百分率が25%ということは、ハニカム構造部4の流入端面11の全域に、第一交点7aと第二交点7bによって構成された凹凸部8を有することとなる。以下、「流入端面11における隔壁1が交差する交点7の総個数に対する、第一交点7aとなる交点の個数の比の百分率」を、単に、「第一交点の比率」ということがある。セル2の形状が四角形である場合、第一交点の比率は、20〜25%であることが更に好ましい。
0043
図8に示すように、流入端面11におけるセル2の形状が六角形である場合は、流入端面11における隔壁1が交差する交点7の総個数に対する、第一交点7aとなる交点の個数の比の百分率が、25〜50%であることが好ましい。このように構成することによって、圧損の上昇より有効に抑制することができる。ここで、図9は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の流入端面を模式的に示す平面図であって、当該流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。セル2の形状が六角形である場合、第一交点7aとなる交点の個数の比の百分率が50%ということは、ハニカム構造部4の流入端面11の全域に、第一交点7aと第二交点7bによって構成された凹凸部8を有することとなる。セル2の形状が六角形である場合、第一交点の比率は、40〜50%であることが更に好ましい。
0044
図9に示すハニカム構造体300は、隔壁1によって取り囲まれたセル2の形状が六角形であるため、隔壁1の交点7は、3本の隔壁1が交差するY字状となっている。このため、1つの凹凸部8は、1つの第一交点7aと、その周囲の3つの第二交点7bによって構成される。
0045
一方、図5に示すハニカム構造体100は、隔壁1によって取り囲まれたセル2の形状が四角形であるため、隔壁1の交点7は、4つの隔壁1が交差する十字状となっている。このため、1つの凹凸部8は、1つの第一交点7aと、その周囲の4つの第二交点7bによって構成される。ただし、ハニカム構造体100のように、セル2の形状が四角形である場合には、1つの第一交点7aと、この第一交点7aを取り囲むように配置された8つの第二交点7bとによって、1つの凹凸部8が構成されていることがより好ましい。
0046
図1〜図6に示すような本実施形態のハニカム構造体100は、流出端面12において、隔壁1が交差するそれぞれの交点は、セル2の延びる方向において同位置に存在していることが好ましい。即ち、ハニカム構造体100は、流出端面12において、隔壁1の所定の交点を底部又は頂部とする凹凸部8を有していないことが好ましい。このように構成することによって、流出端面12の構造がより簡素なものとなり、例えば、ハニカム構造体100の生産性を向上させることができる。
0047
ハニカム構造体100の外形(別言すれば、ハニカム構造体100の全体形状)については、特に制限はない。ハニカム構造体100の外形として、例えば、円柱状、楕円柱状、角柱状、「底面が不定形の柱状」等を挙げることができる。また、ハニカム構造体100の大きさは、特に限定されないが、セル2の延びる方向の長さが45〜254mmであることが好ましい。また、例えば、ハニカム構造体100の外形が円柱状の場合、その底面の直径が55〜355mmであることが好ましい。
0048
本実施形態のハニカム構造体100は、内燃機関の排ガス浄化用の触媒担体として好適に用いることができる。触媒担体とは、触媒の微粒子を支える多孔性の構造物のことである。したがって、ハニカム構造部4に形成された各セル2は、流入端面11側及び流出端面12側の端部が、目封止部などによって封止されていないことが好ましい。
0049
本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の隔壁1の表面及び隔壁1の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒(図示せず)が担持されていてもよい。触媒としては、従来公知の自動車排ガス用の触媒を挙げることができる。特に、触媒として、酸化触媒を好適例として挙げることができる。
0050
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
0052
成形原料に含有されるセラミックス原料としては、例えば、以下の「原料群」から選択される少なくとも一種のセラミックスが好ましい。「原料群」とは、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートを含む群である。これらの原料を用いることにより、強度及び耐熱性に優れたハニカム構造体を得ることができる。なお、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料である。そして、コージェライト化原料は、焼成されてコージェライトになるものである。
0056
坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法としては特に制限はなく、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等の成形方法を用いることができる。連続成形が容易であり、例えば、コージェライト結晶を配向させることができることから、押出成形法を採用することが好ましい。押出成形法は、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー連続押出成形機等の装置を用いて行うことができる。また、押出成形に用いる装置に、所望の隔壁厚さ、セルピッチ、セル形状等のハニカム成形体となるような口金を装着して、押出成形を行うことが好ましい。
0057
次に、以下の方法により、ハニカム成形体の一方の端面に凹凸部を形成してもよい。まず、隔壁の交点の間隔(別言すれば、隔壁の交点のピッチ)に応じた、凹凸部材を用意する。次に、用意した凹凸部材を、ハニカム成形体の一方の端面に押し付ける。このようにして、ハニカム成形体の一方の端面を凹凸部材の反転形状となるように変形させて、当該一方の端面に凹凸部を形成する。なお、上述したように、凹凸部の形成は、このような方法に限定されることはない。例えば、ハニカム成形体においては、凹凸部の形成を行わず、ハニカム成形体を乾燥した後、又はハニカム成形体を焼成した後に、凹凸部の形成を行ってもよい。
0058
ハニカム成形体を成形した後に、得られたハニカム成形体を乾燥することが好ましい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。これらのなかでも、ハニカム成形体全体を、迅速且つ均一に乾燥することができることから、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件は、乾燥方法によって適宜決定することができる。
0059
次に、ハニカム成形体を本焼成して、ハニカム構造体を作製する。「本焼成」とは、ハニカム成形体を構成する成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するための操作を意味する。
0060
次に、以下の方法により、焼成して得られたハニカム構造体の一方の端面に凹凸部を形成してもよい。凹凸部を形成する方法として、凹凸を有した研磨面を有する研磨機を使用して、ハニカム構造体の一方の端面を研磨することによって、ハニカム構造体の一方の端面に凹凸部を形成する方法を挙げることができる。なお、焼成前のハニカム成形体(別言すれば、乾燥したハニカム成形体)に対して、一方の端面を、上記した研磨機によって研磨し、凹凸部を形成してもよい。
0061
ハニカム成形体を本焼成する前には、ハニカム成形体を仮焼することが好ましい。仮焼は、脱脂のために行うものであり、その方法については特に制限はなく、ハニカム成形体中の、バインダ、分散剤、造孔材等の有機物を除去することができればよい。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度である。造孔材の燃焼温度は、種類によって異なるが、200〜1000℃程度である。そのため、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、3〜100時間程度加熱することが好ましい。
0062
本焼成における焼成条件については、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。ここで、焼成条件とは、焼成温度、焼成時間、焼成雰囲気等の焼成を行う際の諸条件である。例えば、コージェライト化原料を使用している場合には、焼成最高温度は、1410〜1440℃が好ましい。また、焼成時の最高温度の保持時間は、3〜15時間が好ましい。
0063
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
0064
(実施例1)
タルク、カオリン、アルミナ、シリカ、及び水酸化アルミニウムを用意し、これらを混合してコージェライト化原料を得た。コージェライト化原料は、その化学組成が、SiO2が42〜56質量%、Al2O3が30〜45質量%、及びMgOが12〜16質量%となるように、タルク、カオリン、アルミナ、シリカ、及び水酸化アルミニウムを、所定の割合で調合したものである。
0065
次に、得られたコージェライト化原料に、造孔材、バインダとしてのメチルセルロース、及び分散媒としての水を添加し、これらを混合して成形原料を得た。造孔材は、コージェライト化原料100質量部に対して、5質量部添加した。バインダは、コージェライト化原料100質量部に対して、5質量部添加した。分散媒は、コージェライト化原料100質量部に対して、37質量部添加した。
0066
次に、得られた成形原料を混練して、ハニカム成形体を成形するための坏土を得た。
0067
次に、所定の口金を用いて坏土を押出成形し、複数のセルを取り囲むように配設された隔壁を有するハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は、セルの形状が正方形で、全体形状が円柱状であった。
0068
次に、得られたハニカム成形体を120℃で熱風乾燥させ、その後、1400〜1430℃で10時間焼成して、ハニカム焼成体を作製した。次に、凹凸を有した研磨面を有する研磨機を使用して、ハニカム焼成体の一方の端面を研磨することによって、ハニカム焼成体の一方の端面に凹凸部を形成した。このようにして、実施例1のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体は、セルの延びる方向に直交する面の直径が144mm、セルの延びる方向の長さが155mmの円柱状であった。ハニカム構造体は、隔壁の厚さが0.165mm、セル密度が62個/cm2であった。表1に、実施例1のハニカム構造体について、「隔壁の厚さ」及び「セル密度」を示す。
0070
実施例1のハニカム構造体は、一方の端面に、隔壁が交差する一の交点を底部とし且つその周囲の他の交点を頂部とする、すり鉢状の凹凸部を有するものであった。表1の「凹凸部の有無」及び「凹凸部の形状」の欄に、実施例1のハニカム構造体における凹凸部の構成を示す。なお、実施例1のハニカム構造体において、凹凸部を有する一方の端面を、排ガス等の流体が流入する流入端面とした。
0071
ハニカム構造体の一方の端面において、凹凸部は、この一方の端面全域に亘って存在していた。凹凸部の底部となる一の交点を第一交点とし、凹凸部の底部となる他の交点を第二交点とした場合に、交点の総個数に対する、第一交点となる交点の個数の比の百分率は、25%であった。表1の「第一交点の比率(%)」の欄に、上記した第一交点となる交点の個数の比の百分率の値を示す。また、凹凸部は、第一交点と第二交点との高低差が、1.0mmであった。結果を、表1に示す。
0072
0073
実施例1のハニカム構造体に酸化触媒を担持し、酸化触媒を担持したハニカム構造体に対して、以下の方法で、「圧損評価」を行った。結果を、表1に示す。
0074
[圧損評価]
軽油を燃料とするバーナーを用いて、煤を含む燃焼ガスを発生させた。発生させた燃焼ガスに所定量の空気を混合し、ガス全体の流量が1.5Nm3/minとなるようにして混合ガスを調製した。そして、このようにして調製した混合ガスを、ハニカム構造体に導入した。混合ガスの温度は、200℃とした。混合ガスの導入開始時に、ハニカム構造体の流入端面側と流出端面側とで圧力を測定した。測定された流入端面側における圧力と流出端面側における圧力との圧力差を求め、求めた圧力差を、ハニカム構造体の「初期圧損A」とした。そして、混合ガスを、ハニカム構造体に6時間流入させ続け、ハニカム構造体の流入端面側と、流出端面側とで圧力を測定した。測定された流入端面側における圧力と流出端面側における圧力との圧力差を求め、求めた圧力差を、測定したハニカム構造体の「圧損B」とした。そして、初期圧損A及び圧損Bの値から、下記式(1)に基づいて「圧損上昇率(%)」を求めた。
式(1):圧損上昇率(%)=(圧損B−初期圧損A)/初期圧損A×100
0075
また、圧損評価においては、評価対象のハニカム構造体の「圧損上昇率(%)」の値を、基準となるハニカム構造体の「圧損上昇率(%)」の値と比較し、圧損上昇率に関する評価を行った。具体的には、評価対象のハニカム構造体の「圧損上昇率(%)」の値を、基準となるハニカム構造体の「圧損上昇率(%)」の値で除算した「評価比率」を求め、この「評価比率」について、以下の評価基準に基づき評価を行った。なお、実施例1〜3,9,10及び比較例4においては、比較例1を基準とした。実施例4,5,11,12においては、比較例2を基準とした。実施例6〜8,13,14においては、比較例3を基準とした。
評価A:評価比率が0.8未満である場合を、優とし、評価Aとする。
評価B:評価比率が0.8以上、0.95未満である場合を、良とし、評価Bとする。
評価C:評価比率が0.95以上である場合を、不可とし、評価Cとする。
0076
(実施例2〜8)
表1に示すように、セル形状、隔壁の厚さ、セル密度、及び凹凸部の構成を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8のハニカム構造体を作製した。
0077
(実施例9〜14)
実施例9〜14においては、一方の端面に、隔壁が交差する一の交点を頂部とし且つその周囲の他の交点を底部とする、突起状の凹凸部を有するハニカム構造体を作製した。具体的な、セル形状、隔壁の厚さ、セル密度、及び凹凸部の構成は、表1に示す通りである。
0078
(比較例1〜3)
比較例1〜3においては、ハニカム構造体の一方の端面に凹凸部を形成せずに、ハニカム構造体を作製した。即ち、比較例1のハニカム構造体は、流入端面及び流出端面のそれぞれが平坦となるように構成されたハニカム構造体である。具体的な、セル形状、隔壁の厚さ、セル密度、及び凹凸部の構成は、表1に示す通りである。
0079
(比較例4)
比較例4においては、ハニカム構造体の一方の端面に対し、格子状に配置された隔壁の一方向に延びる列について、一列おきに隔壁の端部に段差を設ける加工を行った。即ち、比較例4のハニカム構造体は、一方の端面において、一方向に延びる隔壁の一の列が「谷」となり、当該一の列と隣り合う2つの列が「山」となる、波型の端面を有するハニカム構造体を作製した。波型の端面は、上述したように、一の列と隣り合う2つの列とで、1周期の波型を構成している。比較例4のハニカム構造体において、上述したように波型に加工した一方の端面を、排ガス等の流体が流入する流入端面とした。
0080
実施例2〜14、及び比較例1〜4のハニカム構造体についても、実施例1と同様の方法で、酸化触媒を担持し、以下の方法で、「圧損評価」を行った。結果を、表1に示す。
実施例
0081
(結果)
実施例1〜3,9,10のハニカム構造体は、比較例1のハニカム構造体に比して、圧損上昇率が小さいものであった。実施例4,5,11,12のハニカム構造体は、比較例2のハニカム構造体に比して、圧損上昇率が小さいものであった。実施例6〜8,13,14のハニカム構造体は、比較例3のハニカム構造体に比して、圧損上昇率が小さいものであった。したがって、実施例1〜14のハニカム構造体は、圧損評価において、全て、評価A又は評価Bの結果となった。一方、比較例4のハニカム構造体は、基準となる同一の比較例1のハニカム構造体に対して、圧損上昇率の低減が極めて僅かなものであった。このため、比較例4のハニカム構造体は、圧損評価において、評価Cの結果となった。
0083
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、7:交点(格子状に配設された隔壁が交差する交点)、7a:交点(第一交点)、7b:交点(第二交点)、7c:交点(第三交点)、8:凹凸部、8a:すり鉢状の凹凸部、8b:突起状の凹凸部、11:流入端面、12:流出端面、100,200,300:ハニカム構造体。