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技術 カレントトランス及びその製造方法

出願人 株式会社エス・エッチ・ティ
発明者 中嶋浩二今里雄一今西恒次
出願日 2017年2月15日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2017-025797
公開日 2018年8月23日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2018-133430
状態 拒絶査定
技術分野 計器用変成器
主要キーワード 側隙間 インダクタンス変化率 電力メーター コアケース ショア硬さ 緩衝材料 ゲル原料 落下衝撃試験
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年8月23日)のものです。
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図面 (10)

課題

本発明は、衝撃を受けても磁気特性変化を抑えることのできるカレントトランス及びその製造方法を提供する。

解決手段

本発明のカレントトランスは、磁性材料を含む環状のコア20と、環状凹部34を有する第1半体32と、第1半体の環状凹部を塞ぐ第2半体33から構成され、第1半体の環状凹部にコアを挿入し、第1半体と第2半体を係合することにより、環状凹部にコアを収容するコアケース30と、コアケースに巻回される巻線と、を含む。第1半体の環状凹部と、コアとの間には、ゲル材料50が介在している。

概要

背景

磁性材料からなる環状のコア巻線を施してなるカレントトランスが知られている(たとえば特許文献1参照)。また、コアを電気絶縁性コアケースに収容し、巻線を施したカレントトランスも提案されている。この種のカレントトランスは、たとえば電力メーターセンサーなど、交流機器に流れる電流の検出に用いられる。

コアに用いられる磁性材料として、パーマロイ合金Co基アモルファス合金、また、近年では、Fe基ナノ結晶合金などが知られている。これらの材料に共通の課題は、材料コストが非常に高価である点である。このため、磁性材料として、比較的安価なFe基アモルファス合金を採用することが望まれる。

概要

本発明は、衝撃を受けても磁気特性変化を抑えることのできるカレントトランス及びその製造方法を提供する。本発明のカレントトランスは、磁性材料を含む環状のコア20と、環状凹部34を有する第1半体32と、第1半体の環状凹部を塞ぐ第2半体33から構成され、第1半体の環状凹部にコアを挿入し、第1半体と第2半体を係合することにより、環状凹部にコアを収容するコアケース30と、コアケースに巻回される巻線と、を含む。第1半体の環状凹部と、コアとの間には、ゲル材料50が介在している。

目的

本発明の目的は、衝撃を受けても磁気特性変化を抑えることのできるカレントトランス及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

磁性材料を含む環状のコアと、環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、前記コアケースに巻回される巻線と、を含むカレントトランスであって、前記第1半体の環状凹部と、前記コアとの間には、ゲル材料が介在している、カレントトランス。

請求項2

前記ゲル材料は、シリコーンゲルである、請求項1に記載のカレントトランス。

請求項3

前記ゲル材料は、ゲル化後針入度が50以上である、請求項1又は請求項2に記載のカレントトランス。

請求項4

前記第2半体は、前記コアが挿入される環状凹部を有する形状、または、板状である、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカレントトランス。

請求項5

前記環状のコアは断面略矩形であって、前記ゲル材料は、前記環状凹部と前記コアが対向する4面の各々の少なくとも一部に介在している、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のカレントトランス。

請求項6

磁性材料を含む環状のコアと、環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、前記コアケースの外周に巻回される巻線と、を含むカレントトランスの製造方法であって、前記第1半体の前記環状凹部の内面と、前記第2半体の内面に液状のゲル原料を配置するステップ、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、前記コアケースに巻線を施すステップ、とを含んでいる、カレントトランスの製造方法。

請求項7

磁性材料を含む環状のコアと、環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、前記コアケースの外周に巻回される巻線と、を含むカレントトランスの製造方法であって、前記第1半体の前記環状凹部の内面に液状のゲル原料を配置するステップ、前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、前記ゲル原料がゲル化する前に、前記コアの上面に液状のゲル原料を配置するステップ、前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、前記コアケースに巻線を施すステップ、とを含んでいる、カレントトランスの製造方法。

請求項8

前記ゲル状料を配置するステップは、前記第1半体に前記ゲル原料を塗布又は滴下することにより行なわれる、請求項6又は請求項7に記載のカレントトランスの製造方法。

請求項9

磁性材料を含む環状のコアと、環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、前記コアケースの外周に巻回される巻線と、を含むカレントトランスの製造方法であって、前記コアの少なくとも一部にゲル原料を配置するステップ、前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、前記コアケースに巻線を施すステップ、とを含んでいる、カレントトランスの製造方法。

請求項10

前記ゲル材料は、シリコーンゲルである、請求項6乃至請求項9の何れかに記載のカレントトランスの製造方法。

請求項11

前記ゲル材料は、ゲル化後の針入度が50以上である、請求項6乃至請求項10の何れかに記載のカレントトランスの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、各種交流機器出力制御過電流検出による安全保護動作のために、機器に流れる電流を検出するカレントトランスに関するものであり、より具体的には、衝撃を受けても磁気特性変化を抑えることのできるカレントトランス及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

磁性材料からなる環状のコア巻線を施してなるカレントトランスが知られている(たとえば特許文献1参照)。また、コアを電気絶縁性コアケースに収容し、巻線を施したカレントトランスも提案されている。この種のカレントトランスは、たとえば電力メーターセンサーなど、交流機器に流れる電流の検出に用いられる。

0003

コアに用いられる磁性材料として、パーマロイ合金Co基アモルファス合金、また、近年では、Fe基ナノ結晶合金などが知られている。これらの材料に共通の課題は、材料コストが非常に高価である点である。このため、磁性材料として、比較的安価なFe基アモルファス合金を採用することが望まれる。

先行技術

0004

特開平01−235213号公報

発明が解決しようとする課題

0005

一方で、Fe基アモルファス合金製のコアは、特許文献1の第2頁右上欄7〜12行目で指摘されているように、変形した場合には磁気特性が劣化し易い問題がある。すなわち、Fe基アモルファス合金製のコアは、カレントトランスの製造過程、機器への組込過程流通過程、使用中などに落下等による衝撃を受けても磁気特性が劣化しないようにする必要がある。

0006

本発明の目的は、衝撃を受けても磁気特性変化を抑えることのできるカレントトランス及びその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係るカレントトランスは、
磁性材料を含む環状のコアと、
環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、
前記コアケースに巻回される巻線と、
を含むカレントトランスであって、
前記第1半体の環状凹部と、前記コアとの間には、ゲル材料が介在している。

0008

前記ゲル材料は、シリコーンゲルとすることができる。

0009

前記ゲル材料は、ゲル化後針入度が50以上であることが望ましい。

0010

前記第2半体は、前記コアが挿入される環状凹部を有する形状、または、板状とすることができる。

0011

前記環状のコアは断面略矩形であって、
前記ゲル材料は、前記環状凹部と前記コアが対向する4面の各々の少なくとも一部に介在していることが望ましい。

0012

本発明に係るカレントトランスの製造方法は、
磁性材料を含む環状のコアと、
環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、
前記コアケースの外周に巻回される巻線と、
を含むカレントトランスの製造方法であって、
前記第1半体の前記環状凹部の内面と、前記第2半体の内面に液状のゲル原料を配置するステップ
前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、
前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、
前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、
前記コアケースに巻線を施すステップ、
とを含んでいる。

0013

また、本発明に係るカレントトランスの製造方法は、
磁性材料を含む環状のコアと、
環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、
前記コアケースの外周に巻回される巻線と、
を含むカレントトランスの製造方法であって、
前記第1半体の前記環状凹部の内面に液状のゲル原料を配置するステップ、
前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、
前記ゲル原料がゲル化する前に、前記コアの上面に液状のゲル原料を配置するステップ、
前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、
前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、
前記コアケースに巻線を施すステップ、
とを含んでいる。

0014

前記ゲル状料を配置するステップは、前記第1半体に前記ゲル原料を塗布又は滴下することにより行なうことができる。

0015

さらに、本発明に係るカレントトランスの製造方法は、
磁性材料を含む環状のコアと、
環状凹部を有する第1半体と、前記第1半体の前記環状凹部を塞ぐ第2半体から構成され、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを挿入し、前記第1半体と前記第2半体を係合することにより、前記環状凹部に前記コアを収容するコアケースと、
前記コアケースの外周に巻回される巻線と、
を含むカレントトランスの製造方法であって、
前記コアの少なくとも一部にゲル原料を配置するステップ、
前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第1半体の前記環状凹部に前記コアを配置するステップ、
前記ゲル原料がゲル化する前に、前記第2半体を前記第1半体と係合させて前記コアを収容したコアケースを形成するステップ、
前記コアと前記コアケースとの間に配置された前記ゲル原料をゲル化させてゲル状のゲル材料とするステップ、及び、
前記コアケースに巻線を施すステップ、
とを含んでいる。

発明の効果

0016

本発明に係るカレントトランスによれば、コアとコアを収容するコアケースとの間にゲル材料が介在していることで、カレントトランスが落下等による衝撃を受けてもゲル材料が緩衝材料となってその衝撃を吸収し、コアの変形等を防止し、磁気特性の変化を抑えることができる。従って、耐衝撃性にすぐれたカレントトランスを提供できる。

0017

また、本発明に係るカレントトランスの製造方法によれば、コアをコアケースに封入する際に、コアとコアケースとの間にゲル化するとゲル材料となるゲル原料を塗布、滴下等により配置する、或いは、コアにゲル原料を配置するという比較的簡便な工程で、カレントトランスの耐衝撃性を高めることができ、製造工程の複雑化を防止できる。

0018

本発明に係るカレントトランスは耐衝撃性にすぐれるから、コアの磁性材料として比較的安価ではあるが変形等によって磁気特性変化し易いFe基アモルファス合金を採用することができ、コスト低減に貢献できる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の一実施形態に係るカレントトランスの斜視図である。
図2は、コア収容体を形成するコアとコアケースの分解斜視図である。
図3は、コア収容体の斜視図である。
図4は、図3のコア収容体を線IV−IVに沿って断面した端面図である。
図5は、図3のコア収容体を線IV−IVに沿って断面した端面図であって、コアとコアケースの隙間の一部にゲル材料が配置されている状態を示している。
図6は、本発明の一実施形態に係るカレントトランスの製造過程の一部を示す断面図である。
図7は、図6(a)のコアケースを環状凹部側から見た図である。
図8は、カレントトランスの製造過程においてコアの上面にゲル原料を配置した実施形態を示す断面図である。
図9は、実施例に採用したコア収容体の端面図である。

0020

以下、本発明の一実施形態に係るカレントトランス10について、図面を参照しながら説明を行なう。

0021

図1は、本発明の一実施形態に係るカレントトランス10の斜視図、図2は、コア20とコアケース30の分解斜視図、図3は、コアケース30にコア20(図3には示されず)を収容したコア収容体12の斜視図、図4は、図3のコア収容体12を線IV−IVに沿って断面した端面図である。カレントトランス10は、コア20を第1半体32と第2半体33からなるコアケース30に収容したコア収容体12に、図1に示すように巻線40を施して構成される。なお、図1において巻線40は説明を判り易くするために太め且つ疎に巻回している。

0022

コア20は、磁性材料を環状に形成したものを例示できる。磁性材料として、Fe基アモルファス合金、パーマロイ合金(鉄−Ni系)、Co基アモルファス合金、Fe基ナノ結晶合金、その他、鉄系、鉄−ケイ素系センダスト(鉄−アルミニウム−ケイ素系)、ニッケル−鉄−モリブデン系のものを採用できる。なお、本発明は、カレントトランス10の耐衝撃性を高め、コア20の変形等を抑える構造を提供するものであるから、これら磁性材料のうち、過去の知見において耐衝撃性に劣るとされていたFe基アモルファス合金を採用することが特に好適である。

0023

コア20は、上記磁性材料からなる帯板を環状に巻回して作製したり、上記磁性材料からなる粉末圧粉成形することで作製することもできる。また、磁性材料の加圧成形体焼結して作製したり、磁性材料からなる環状の板体を複数積層して作製してもよい。コア20は、環状体であれば断面形状は限定しない。図示の実施形態では、コア20は、Fe基アモルファス合金の帯板を環状に巻回した構成であり、その断面は略矩形である。

0024

コア20は、電気絶縁性の樹脂等から形成されたコアケース30に収容されてコア収容体12を構成する。コアケース30は、図2乃至図4に示すように、係合することでコア20を収容する第1半体32と第2半体33から形成することができる。図示の実施形態では、第1半体32及び第2半体33は、夫々環状凹部34,35(35は図4参照)を有する同一形状の半体である。第1半体32と第2半体33を係合した状態で環状凹部34,35によって構成されるコア20の収容空間は、コア20を僅かに余裕をもって収容できる断面を有する。以下に示すコア材料50を配置すると共に、コア20がコアケース30と直接接触することを防止するためである。

0025

図4に示すようにコア20とコアケース30との間に形成される隙間について、コア20の内周側隙間を符号71、外周側隙間を72、上下の隙間を73,74としたときに、隙間71〜74を大きく採ると、ゲル材料50を十分配置でき、コア20とコアケース30の当接も防止できるが、カレントトランス10の大型化に繋がる。一方で、隙間71〜74が小さいと、カレントトランス10の小型化は達成されるが、ゲル材料50が十分に配置されず、ゲル材料50による耐衝撃性向上効果が低減し、また、コア20とコアケース30が直接当接してしまう虞がある。そこで、各隙間71〜74は、各々0.1mm〜1.0mm、より好適には0.2mm〜0.6mmとする。

0026

樹脂製のコアケース30の線膨張率は、コア20よりも大きいから、コアケース30はコア20よりも熱膨張の影響を受け易い。この熱膨張により、コアケース30は、内周側、外周側が共に外向きに膨れるが、コアケース30の内周側が外向きに膨れると、コア20に応力が作用してしまうことがある。そこで、これを防止するために、内周側隙間71は、外周側隙間72に比べて大きく採ることが望ましい。具体的には、内周側隙間71は0.3mm〜0.6mm、より好適には0.4mm〜0.5mm、外周側隙間72は0.1mm〜0.4mm、より好適には0.2mm〜0.3mmである。

0027

コア20とコアケース30間の上下の隙間73,74はコアケース30による熱膨張の影響をコア20に及ぼし難いから、少なくともゲル材料50が配置できる空間であればよく、比較的大きくしても構わない。

0028

なお、本実施形態では、第1半体32と第2半体33は、夫々環状凹部34,35を有する形状として説明するが、たとえば、第1半体32に前記収容空間に相当する大きさの環状凹部34を形成しておき、他方第2半体33は、環状凹部34を塞ぐ板状の蓋体であってもよい。

0029

然して、第1半体32又は第2半体33の環状凹部34,35にコア20を収容し、第1半体32と第2半体33を係合することで、コア20を収容したコア収容体12が作製される。

0030

このとき、本発明では、第1半体32及び/又は第2半体33とコア20との間に緩衝材料としてゲル材料50を介在させることを特徴としている。より詳細には、図4に示すように、コア20とコアケース30との間の空隙に、ゲル材料50が封入されている。

0031

ゲル材料50は、ゲル化(固体化)することでゲル状となる液体状のゲル原料52を図2図4及び後述する図6図7に示すように第1半体32及び/又は第2半体33の環状凹部34,35に塗布、滴下等して、コア20をコアケース30に収容することでコア20とコアケース30との間に配置できる。

0032

ゲル材料50は、熱硬化型のもの、2液混合型のものを例示できる。ゲル材料50としてシリコーンゲルを挙げることができるが、これに限定されるものではない。なお、本実施形態では、ゲル材料50は、熱硬化型のシリコーンゲルである。ゲル材料50がコア20とコアケース30の間に介在することで、カレントトランス10、或いは、カレントトランス10に巻線40を施す前のコア収容体12が落下等によって衝撃を受けても、コアケース30がコア20に衝突せず、また、ゲル材料50がコア20への衝撃を吸収する。これにより、コア20の変形を抑えることができ、コア20の変形による磁気特性の劣化を防止できる。

0033

なお、ゲル材料50は、ゲル化状態で針入度50以上(測定方法:JIS K 2220ちょう度試験法)のものを採用することがより望ましい。ゲル材料50として針入度50以上のより柔らかい材料を用いることで、コア20に対する衝撃吸収効果をさらに高めることができ、コア20の変形による磁気特性の劣化を可及的に抑えることができる。

0034

ゲル材料50は、図4に示すように、コア20とコアケース30の間の隙間71〜74を完全に埋めるように配置されることが衝撃吸収効果を高める上で最も望ましい。しかしながら、ゲル材料50の使用量を減らすために、図5(a)〜図5(d)に示すように、コア20とコアケース30が対向する4面の各隙間71〜74の少なくとも一部にでもゲル材料50が侵入、介在していれば、衝撃吸収効果は十分に確保されることが実験によって確認されている。なお、ゲル材料50は、少なくともコア20とコアケース30の間の一部、たとえば、コア20の角、コア20の上下、或いは、コア20の内外周に配置する構成であっても構わない。

0035

上記したコア収容体12の製造方法を、図6を参照しながら説明する。

0036

まず、図6(a)に示すように、環状凹部34,35が上向きに開口するよう第1半体32及び第2半体33を載置し、図6(a)中矢印Aで示すようにゲル原料52を環状凹部34,35に滴下等により配置する。たとえば、図7に示すように、環状凹部34,35の1又は複数箇所にゲル原料52を滴下すればよい。

0037

続いて、一方の半体、図6(b)及び図6(c)では第1半体32の環状凹部34にコア20を挿入する(図6(b)中矢印Bで示す)。このとき、環状凹部34に配置されていたゲル原料52は、液体状態であるため、ゲル原料52は、コア20の重みによって一部が押し退けられて、コア20と環状凹部34の隙間71、72及び74に広がる(図6(c)参照)。

0038

そして、図6(c)中矢印Cで示すように、他方の半体、すなわち第2半体33を臨出しているコア20に被せ、図6(d)に示すように、第1半体32と第2半体33を係合や接着等により接合させてコアケース30にコア20が収容されたコア収容体12が作製される。第2半体33を被せることで、図4及び図6(d)に示すように、コア20とコアケース30との隙間73から隙間71と72を埋めるようにゲル原料52が押し広げられる。使用するゲル原料52が少ない場合には、図5に示すように、コア20とコアケース30が対向する4面の各隙間71〜74の少なくとも一部にゲル原料52が介在することになる。

0039

この後、コア収容体12に、ゲル原料52のゲル化に必要な加熱を施し、冷却することで、コア20とコアケース30の隙間71〜74にゲル化したゲル材料50が介在したコア収容体12が得られる。

0040

コア収容体12は、図4図5に示すように、コア20とコアケース30の隙間71〜74に緩衝材料としてゲル材料50が介在することで、落下等の衝撃を受けても、コアケース30がコア20に衝突せず、また、ゲル材料50がコア20への衝撃を吸収する。これにより、コア20の変形を抑えることができ、コア20の変形による磁気特性の劣化を防止できる。従って、カレントトランス10の製造段階におけるコア20の磁気特性の変化を抑えることができる。

0041

得られたコア収容体12は、図1に示すように巻線40を施すことで、カレントトランス10が作製される。作製されたカレントトランス10は、コア20とコアケース30との間にゲル材料50が介在しているから、カレントトランス10の製造過程、機器への組込過程、流通過程、使用中などに落下等の衝撃を受けても、コアケース30がコア20に衝突せず、また、ゲル材料50がコア20への衝撃を吸収する。これにより、コア20の変形を抑えることができ、コア20の変形による磁気特性の劣化を防止できる。

0042

上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。

0043

たとえば、ゲル原料52として2液混合硬化型のものを採用する場合には、常温で経時によりゲル原料52はゲル化するから、ゲル化のための加熱ステップは不要である。

0044

また、第2半体33にゲル原料52を配置することに代えて、第1半体32にコア20を配置した後、図8に示すように、コア20の露出している上面にゲル原料52aを滴下等により配置しても構わない。この方法は、第2半体33として板状の蓋体(図8)を採用した場合にとくに有効である。

0045

さらに、ゲル原料52は、第1半体32、第2半体33ではなく、コア20に直接滴下や塗布し、また、ゲル原料52にコア20を浸漬させることで配置しても構わない。

0046

緩衝材料となるゲル材料50の種類を変えた発明例1、発明例2のコア収容体12(図9(a))に巻線40を施したカレントトランス10を作製し、落下衝撃を加えた後、その磁気特性の変化を測定した。また、比較のため、緩衝材料としてゲル材料に変えて、コア20の上下と外周の3面にスポンジ発泡フォーム)60を配置した比較例1(図9(b)))、コア20の上下と内外周の4面にシリコーンゴム62を配置した比較例2(図9(c))、コア20の上下の2面に不織布64を配置した比較例3を作製し(図9(d))、同様に試験と磁気特性の変化を測定した。

0047

供試例の緩衝材料とその配置箇所を表1に示す。なお、発明例1は熱硬化型ゲル材料であり、その針入度は90、発明例2は2液混合型の常温硬化のゲル材料であり、その針入度は65である。

0048

0049

供試例の緩衝材料の物性は、針入度、弾性率、硬度ショア硬さ)のうち、測定可能なもののみを表1に示している。また、参考のため、緩衝材料を柔らかい順に数値化した。表1を参照すると、発明例1の緩衝材料が最も柔らかく、次いで発明例2、以降、比較例1、2、3の順に硬くなっていることがわかる。

0050

供試例は2個ずつ作製し、磁気特性として、個々の供試例のインダクタンスL値)を測定した。また、2個の供試例のB−Hカーブに基づく振幅比透磁率(μa)と角形比(Br/Bm)を常温(25℃)測定し、供試例毎の平均値を算出した。

0051

続いて、供試例を50cmの高さからラワン材製の木台自由落下させて衝撃を加える落下衝撃試験を12回ずつ行なった。

0052

落下衝撃を加えた供試例に対し、上記した磁気特性(インダクタンス、μa、Br/Bm)の変化を再度同様の要領で測定し、その変化率を算出した。結果を表2に示している。

0053

0054

<インダクタンスの変化率>
表2より、インダクタンス(L値)は、発明例1、発明例2及び比較例3は、その変化率ΔLが比較例2及び比較例3に比べて小さく抑えられていることがわかる。インダクタンスの変化率ΔLは、カレントトランスの誤差規格満足させるための判断基準として上限を5%とした。このとき、個々の供試例がその上限以下である場合に個別判定「A」、5%を越える場合に個別判定「B」として評価すると共に、発明例、比較例について、各供試例の個別判定が何れも「A」であるものを判定「A」、何れか又は両方が「B」であるものを判定「B」として評価した。判定結果を合わせて表2に示している。

0055

表2を参照すると、発明例1、発明例2及び比較例1は、判定が「A」であった。

0056

<振幅比透磁率(μa)と角形比(Br/Bm)の変化率>
表2より、μaについて、発明例1、発明例2、比較例1及び比較例2は、変化率が比較例3に比べて小さく抑えられていることがわかる。μaの変化率の上下限をカレントトランスの規格誤差を満足させるための判断基準として±5%とした。このとき、個々の供試例がその当該範囲内である場合に個別判定「A」、当該範囲外の場合に個別判定「B」として評価した。

0057

Br/Bmの変化率は、発明例1、発明例2及び比較例2が、比較例1及び比較例3に比べて小さく抑えられていることがわかる。Br/Bmの変化率は、カレントトランスの規格誤差を満足させるための判断基準としての上下限を50%とした。このとき、個々の供試例がその当該範囲内である場合に個別判定「A」、当該範囲外の場合に個別判定「B」として評価した。

0058

また、発明例、比較例について、各供試例のμa、Br/Bmの判定が何れも「A」であるものを判定「A」、何れか又は両方が「B」であるものを判定「B」として評価した。判定結果を合わせて表2に示している。

0059

表2を参照すると、発明例1、発明例2及び比較例2は、判定が「A」であった。一方、比較例1及び比較例3は、判定が「B」であった。

0060

温度特性
続いて、各供試例について、−40℃と90℃におけるインダクタンス(L値)を測定し、落下衝撃試験前に測定した常温(25℃)のインダクタンスに対する変化率ΔLを算出し、温度特性を評価した。結果を表3に示す

0061

0062

表3を参照すると、−40℃におけるインダクタンスの変化率ΔLは、発明例1、発明例2、比較例3は何れも小さく抑えられていることがわかる。−40℃のインダクタンス変化率ΔLは、カレントトランスの温度特性を満足させるための判断基準として、−40℃の変化率ΔLの下限を−16%、90℃の変化率ΔLの下限を16%とした。このとき、個々の供試例がその判断基準を越えた場合に個別判定「A」、判断基準以下の場合に個別判定「B」として評価した。

0063

そして、発明例、比較例について、各供試例の変化率ΔLの判定が何れも「A」であるものを判定「A」、何れか又はすべてが「B」であるものを判定「B」として評価した。判定結果を合わせて表3に示している。

0064

表3より、発明例1、発明例2及び比較例3は、判定が「A」であった。一方、比較例1及び比較例2は、判定が「B」であった。

0065

総合判定
得られた各磁気特性に関する判定(表2及び表3参照)が何れも「A」であるものを総合判定「A」、何れか又はすべてが「B」であるものを総合判定「B」として総合判定を行なった。結果を表3「総合判定」に示す。

0066

表3を参照すると、発明例は総合判定「A」であり、落下衝撃を受けた場合であっても、その磁気特性の変化が小さいことがわかる。一方、比較例は落下衝撃により、何れかの磁気特性が大きく変化していることがわかる。

0067

このような結果となったのは、発明例1、発明例2について、コア20とコアケース30の間の隙間71〜74に、緩衝材料として針入度50以上の非常に柔らかいゲル材料50を適用したことで、落下衝撃試験の際に、コア20に加わる衝撃がゲル材料50によって可及的に吸収され、コア20に衝撃或いは変形等が生じなかったためである。また、発明例1及び発明例2は、コア20がコアケース30と対向する4面すべての隙間71〜74にゲル材料50を配置したことで、何れの方向からの落下衝撃に対してもコア20への衝撃或いは変形等を抑えられたためである。

0068

一方、比較例2及び比較例3は、緩衝材料として採用したシリコーンゴム62、不織布64が発明例に比べて硬いため、落下衝撃を受けた際の緩衝効果が十分ではなく、これら緩衝材料を介してコア20に衝撃が加わり、コア20の衝撃或いは変形等により磁気特性(インダクタンス:L値)が変化したと考えられる。また、比較例1及び比較例3は緩衝材料をコア20の上下の2面、或いは、上下と外周側のみの3面に配置した構成であるから、落下衝撃試験の際にコア20が円周方向にずれてコアケース30と衝突し、コア20が衝撃或いは変形等を受けたため磁気特性(Br/Bm)の変化が大きくなったと考えられる。一方で、比較例3について、−40℃/90℃のインダクタンス変化率ΔLが確保できたのは、緩衝材料である不織布64は比較的硬い材料であるが、コアケース30の熱収縮膨張方向である内周側、外周側に不織布64を配置していない、つまり、空気しか介在していないので熱応力がコア20に伝わらなかったためであると考えられる。

実施例

0069

また、発明例1、発明例2の緩衝材料であるシリコーンゲルは表1に示すとおり非常に柔らかい材料である。このため、カレントトランスを冷却、加熱してコアとコアケース間に生じた熱応力を隙間71〜74内のシリコーンゲルが吸収、緩和することになり、−40℃/90℃におけるインダクタンスの変化率ΔLの温度特性を確保できたと考えられる。一方、比較例1や比較例2の緩衝材料は、シリコーンゲルに比べて硬いため、コアケース30が収縮、膨張したときの応力がコア20に伝わるため、−40℃/90℃におけるインダクタンスの変化率ΔLの温度特性が確保できなかったものと考えられる。

0070

10カレントトランス
12コア収容体
20コア
30コアケース
32 第1半体
33 第2半体
34環状凹部(第1半体)
35 環状凹部(第2半体)
50ゲル材料
52 ゲル原料

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