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技術 圧電素子およびそれを用いたデバイス

出願人 帝人株式会社学校法人関西大学
発明者 田實佳郎小野雄平山本智義兼松俊介吉崎さと子小澤優
出願日 2018年2月26日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-031535
公開日 2018年8月16日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2018-129516
状態 特許登録済
技術分野 力の測定一般 圧電、電歪、磁歪装置 位置入力装置
主要キーワード 応力検出器 飛び数 電気的外乱 各導電性繊維 水のり 接点面積 巻付け張力 丸打組物
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

比較的小さな変形で生じる応力によって大きな電気信号を取り出すことが可能な繊維状の圧電素子を提供すること。

解決手段

導電性繊維および圧電性繊維からなる組物を含み、該組物は該導電性繊維が芯であり、該圧電性繊維が該導電性繊維の周囲を被覆した被覆繊維である圧電素子。

概要

背景

近年、いわゆるタッチパネル方式を採用した入力装置、すなわちタッチ式入力装置が大幅に増加している。銀行ATM券売機のみならず、携帯電話機携帯ゲーム機携帯音楽プレーヤなどにおいて、薄型ディスプレイ技術の発展と相まって、入力インターフェースとしてタッチパネル方式が採用される機器が大幅に増加している。

最近の携帯電話スマートフォンにおいては、液晶有機エレクトロルミネッセンスなどを用いた表示装置の上にタッチ式入力装置を設置し、画面上に直接的に入力することができる方式が多く採用されている。高度化が進むスマートフォンなどの携帯機器の一層の利便性を向上させるためには、画面上にのみ入力装置を設置しているだけではなく、複数のタッチ式入力手段があることが好ましい。

例えば、スマートフォンにおいて、表示画面に指などで入力しようとした場合、片方の手でスマートフォンを持ち、もう一方の手の指で入力をすることになるため、両手を使用しての操作とならざるを得ない。一方、スマートフォンの筐体にもタッチセンサーなどが組み込まれていれば、片手での操作が可能になるといった利点がある。

その一例として、通常はセンサーとして使用されていない表示画面裏などの非表示画面部分筐体部分にタッチセンサーなどを組み込み、このセンサーで画面情報の中の項目上又はアンカーポイントを選択する方式が、特許文献1に開示されている。特許文献1のようなタッチセンサーを実現する入力装置としては、静電容量方式抵抗膜式光学式電磁誘導方式圧電シートを用いる方式などがある。

圧電シートを用いる方式の例としては、特許文献2に開示がある。圧電シート方式は、静電容量方式や抵抗膜方式のタッチセンサーとは異なり、それ単体でセンサーに加えられる圧力と位置情報の両方を同時に検出可能であり、入力情報多様性に貢献することができる。また、特許文献2においては、圧電シートの部材の具体例として、圧電性高分子であるポリ乳酸を利用した例が開示されている。

特許文献2で開示されているようにポリ乳酸からなる圧電シートは、フレキシブル化が可能であり、また、1つの素子で位置情報と応力を同時に検出できる優れた素子であるが、十分な電気出力を得るためには、入力時に圧電シートをその応力によってある程度撓ませる必要がある。ポリ乳酸からなる圧電シートは、シートに対するせん断応力によって電気出力を発生するが、引張や圧縮では十分な電気出力が得られない。したがって、大きな電気出力を得るには圧電シート平面の垂直方向からの押圧力によってシートを撓ませる必要がある。例えば、この圧電シートをスマートフォンの裏側の筐体に貼合あるいは筐体と一体にして使用することを考えると、シートに垂直方向に加えられる押し圧力によって、シートを撓ませることは空間的に難しく、圧電素子の表面を擦るだけで十分な電気出力を発生させるものが望まれていた。また、スマートフォン等の筐体表面は必ずしも平面とは限らず、意匠性確保などの理由で、その形状には三次元的な凹凸が多く、そこに用いられる圧電素子はフレキシブルであることが望まれていた。

さて、圧電繊維技術として、圧電性高分子にねじりを加えた配向させたものが特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の圧電繊維は、繊維を特殊な製造方法であらかじめ捩じらせておくことで、繊維に対する引張や圧縮に対しては電気出力が得られる。しかし特許文献3には、繊維表面を擦ることによるせん断応力に対して十分な電気出力を発生させ、それを取り出すことに対する技術は全く示されていない。したがって、このような圧電繊維素子を、スマートフォンの筐体などに組み込んで、表面を指などで擦るといった比較的小さい印加応力だけで十分な電気出力を取り出すことは、極めて困難である。

一般に、一軸延伸配向したポリ乳酸繊維は、延伸軸及びその垂直方向に対する延伸圧縮応力に対してほとんど分極が生じず、そのため、このような繊維の表面を指などで擦ることで発生する比較的小さな印加応力では電気出力はほとんど得られないことが知られている。一方、ポリ乳酸圧電繊維の延伸軸に平行でも垂直でもない方向から力を加える、すなわち、せん断応力を与えることで分極が生じ、圧電体としての機能を発現することが知られている。

特許文献4では、表面を指などで擦るといった比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子が開示されている。特許文献4では、この繊維状圧電素子の構成要素である導電繊維として炭素繊維を用いている。しかし、繰り返し耐久性が要求される用途にこの繊維状圧電素子を適用した場合、炭素繊維は曲げ剛性が弱いため、徐々に繊維が折れて定量的な圧電性が得られず、徐々に圧電性能落ちていくおそれがある。また、組紐状の圧電素子を接触式プローブとして用い、被計測物の高さや形状情報を得ようとする場合には、炭素繊維が折れて先端が鋭くなり、また炭素繊維固有剛性ゆえ、被計測物の表面を傷つけるおそれがある。

また近年、いわゆるウェアラブルセンサーが注目を浴びており、眼鏡型や腕時計といった形状の商品が世に出始めた。しかし、これらのデバイスは、装着しているという感覚があり、究極ウェアラブルである、布状、つまり衣類のような形状のものが望まれている。そのようなセンサーとして、圧電性繊維の圧電効果を用いた圧電素子が知られている。例えば、特許文献4には、2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子が開示されている。また、特許文献3には、圧電高分子からなる繊維状物、または成形物であり、これの軸方向に付加される張力によって圧電性を発生させるために、かかる張力の付加方向と異なる方向に捩りを加えて構成したことを特徴とする圧電材が開示されている。

一方、近年、いわゆるタッチパネル方式を採用した入力装置、すなわちタッチ式入力装置が大幅に増加している。銀行ATMや駅の券売機のみならず、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤなどにおいて、薄型ディスプレイ技術の発展と相まって、入力インターフェースとしてタッチパネル方式を採用した機器が大幅に増加している。そのようなタッチパネル方式を実現する手段として、圧電シートや圧電性繊維を用いる方式が知られている。例えば、特許文献2には、所定方向に向く延伸軸を有するL型ポリ乳酸からなる圧電シートを用いるタッチパネルが開示されている。

これらウェアラブルセンサーやタッチパネル方式のセンサーでは、圧電材料印加される小さな変形により圧電材料内に生じる小さな応力に対しても、大きな電気信号を取り出すことが望まれる。例えば、指の曲げ伸ばし動作や指などで表面を擦る行為により圧電材料に生じる比較的小さな応力によっても大きな電気信号を安定的に取り出すことが望まれる。

特許文献4の圧電性繊維は、様々な用途に適用可能な優れた素材であるが、比較的小さな変形で生じる応力に対して大きい電気信号を出力できるとは必ずしもいえず、大きな電気信号を得る技術についても明示していない。

特許文献3の圧電性繊維は、特殊な製造方法で圧電性繊維をあらかじめ捩じらせておくことにより、圧電性繊維への引張や圧縮に対して電気信号を出力できる。しかし、特許文献3には、圧電性繊維を曲げたり伸ばしたりする屈曲や、圧電性繊維の表面を擦る行為によるせん断応力に対して十分な電気信号を発生させる技術は開示されていない。したがって、このような圧電性繊維を用いた場合、表面を擦るような比較的小さい変形で生じる応力だけで十分な電気信号を取り出すことは困難である。

特許文献2の圧電シートは、圧電シートに対する変形(応力)によって電気信号を出力できる。しかしながら、そもそもシート状であるために柔軟性に乏しく布のように自由に屈曲できるような使い方は不可能である。

また、特許文献4に記載の圧電素子は、信号線となる導電性繊維がむき出しであり、それゆえノイズ信号を抑制するためには、別途ノイズシールド構造を構築する必要がある。したがって、特許文献4に記載の圧電素子では、実用化に対して依然として改善の余地があった。

また、ウェアラブルセンサーとして、布に圧電素子を装着し、そこから信号を取り出すものが開示されている(特許文献5、6)。しかしこれらは織編物の表面上に別の構造体を必要とすることから、自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性欠ける。また、圧電性材料導電性材料フィルム状にしたもので布状の構造体を形成するもの(特許文献7)もあるが、これも自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性、施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性に欠ける。

さらに、繊維のみからなる布帛状センサーとして導電繊維間の抵抗を検出するもの(特許文献8)も提案されているが、布帛上の圧力を検出するものであり直接的に形状変化を検出するものではなかった。

さらに特許文献4には、2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子が開示され、平面上に複数の圧電単位を並列させる技術について開示されている。しかし、特定位置あるいは特定方向の応力に対して選択的に電気信号を応答させること、および素子の厚み方向に圧電単位を複合化させることによる高機能化に関しては、一切示唆がなく、さらなる技術向上が課題であった。

また、人体に直接触れている場合や帯電している物体に接触した場合に、本来目的としていない信号を出力してしまうという課題があった。

概要

比較的小さな変形で生じる応力によって大きな電気信号を取り出すことが可能な繊維状の圧電素子を提供すること。導電性繊維および圧電性繊維からなる組物を含み、該組物は該導電性繊維が芯であり、該圧電性繊維が該導電性繊維の周囲を被覆した被覆繊維である圧電素子。

目的

例えば、この圧電シートをスマートフォンの裏側の筐体に貼合あるいは筐体と一体にして使用することを考えると、シートに垂直方向に加えられる押し圧力によって、シートを撓ませることは空間的に難しく、圧電素子の表面を擦るだけで十分な電気出力を発生させるものが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導電性繊維および圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である、圧電素子

請求項2

前記導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m2/m以下である、請求項1記載の圧電素子。

請求項3

前記導電性繊維が金属コートされた有機繊維である、請求項1記載の圧電素子。

請求項4

前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項5

前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のL—ポリ乳酸又はD−ポリ乳酸を含む、請求項4記載の圧電素子。

請求項6

前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項7

前記被覆繊維に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項8

検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面と被接触物の表面との間の摩擦力である、請求項7記載の圧電素子。

請求項9

検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面または先端部に対する垂直方向抵抗力である、請求項7記載の圧電素子。

請求項10

請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧電素子を使った圧電センサー

請求項11

請求項10に記載の圧電センサーと、印加された圧力に応じて前記圧電センサーから出力される電気信号増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス

請求項12

前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、請求項11記載のデバイス。

請求項13

請求項10に記載の圧電センサーと、印加された圧力に応じて前記圧電センサーから電気信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、を備えるデバイス。

請求項14

導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された部と、を備え、前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含み、前記導電性繊維に対する前記圧電性繊維の巻きつけ角度は15°以上、75°以下である、組紐状圧電素子

請求項15

前記圧電性繊維の総繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/2倍以上、20倍以下である、請求項14記載の組紐状圧電素子。

請求項16

前記圧電性繊維の一本あたり繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/20倍以上、2倍以下である、請求項14記載の組紐状圧電素子。

請求項17

請求項14〜16のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子を含む布帛を備える、布帛状圧電素子。

請求項18

前記布帛は、前記組紐状圧電素子の少なくとも一部と交差して接触する導電性繊維を更に含む、請求項17記載の布帛状圧電素子。

請求項19

前記布帛を形成する繊維であり且つ前記組紐状圧電素子と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維である、請求項18記載の布帛状圧電素子。

請求項20

請求項14〜16のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記組紐状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項21

請求項17〜19のいずれか一項に記載の布帛状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記布帛状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項22

導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された鞘部と、前記鞘部の周囲に設けられた導電層とを備えた、組紐状圧電素子。

請求項23

前記導電層による前記鞘部の被覆率が25%以上である、請求項22記載の組紐状圧電素子。

請求項24

前記導電層が繊維で形成されている、請求項22または23記載の組紐状圧電素子。

請求項25

前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含み、前記導電性繊維に対する前記圧電性繊維の巻きつけ角度は15°以上、75°以下である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。

請求項26

前記圧電性繊維の総繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1倍以上、20倍以下である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。

請求項27

前記圧電性繊維の一本あたり繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/20倍以上、2倍以下である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。

請求項28

請求項22〜27のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子を含む布帛を備える、布帛状圧電素子。

請求項29

前記布帛は、前記組紐状圧電素子の少なくとも一部と交差して接触する導電性繊維を更に含む、請求項28記載の布帛状圧電素子。

請求項30

前記布帛を形成する繊維であり且つ前記組紐状圧電素子と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維である、請求項29記載の布帛状圧電素子。

請求項31

請求項22〜27のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記組紐状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項32

請求項28〜30のいずれか一項に記載の布帛状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記布帛状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項33

少なくとも2層のシートあるいは布帛から構成されるトランスデューサーであって、該シートあるいは該布帛のうち少なくとも1層が下記のA層からなり、該A層以外の層のうち少なくとも1層が下記のB層からなるトランスデューサー。A層:導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む、電気信号を出力または入力とする平面状のトランスデューサーであって、特定の位置または方向における応力と、選択的な出力または入力としての電気信号とを相互に変換する機能を有するトランスデューサーB層:電気信号を出力または入力とする平面状のトランスデューサーであって、該A層とは異なる特定の位置または方向における信号と、あるいは該A層と異なる種類の信号と、選択的な出力または入力としての電気信号とを相互に変換する機能を有するトランスデューサー

請求項34

前記A層及び前記B層の間に、下記のC層を少なくとも1層含む、請求項33記載のトランスデューサーC層:前記A層と前記B層との間の電気干渉によるノイズを低減する機能を有する層

請求項35

前記圧電単位は2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、導電性繊維、圧電性繊維および導電性繊維がこの順序に配置されている、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項36

前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項37

前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項38

前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項39

前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリL−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項40

前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項41

前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項42

複数の前記圧電単位を含有する織編物である、請求項33または34に記載のトランスデューサー。

請求項43

複数の前記圧電単位を含有する織物であって、その織組織平織綾織サテン織およびそれらの複合組織である、請求項42記載のトランスデューサー。

請求項44

複数の前記織編物を組み合わせて用いる、請求項43記載のトランスデューサー。

請求項45

請求項33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項46

前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、請求項45に記載のデバイス。

請求項47

請求項33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから電気信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、を備えるデバイス。

請求項48

電気信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した電気信号が印加される、請求項33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、を備えるデバイス。

請求項49

少なくとも2層のシートまたは布帛からなる積層トランスデューサーであって、該シートまたは該布帛のうち少なくとも1層が下記のA層からなり、該A層以外の層のうち少なくとも1層が下記のB層からなるトランスデューサー。A層:導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む、電気信号を出力または入力とするトランスデューサーB層:シート抵抗が104Ω/□(Ω/sq.)以下である導電性シートまたは導電性布帛

請求項50

前記A層と前記B層の間に下記のC層がさらに積層されてなる、請求項49記載のトランスデューサー。C層:シート抵抗が106Ω/□(Ω/Sq.)以上である絶縁性シートまたは絶縁性布帛

請求項51

前記圧電単位は2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、前記導電性繊維、前記圧電性繊維および前記導電性繊維が、この順序に配置されている、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項52

前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項53

前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項54

前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項55

前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項56

前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項57

前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項58

複数の前記圧電単位を含有する織編物である、請求項49または50記載のトランスデューサー。

請求項59

複数の前記圧電単位を含有する織物であって、その織組織が平織、綾織、サテン織およびそれらの複合組織である、請求項58記載のトランスデューサー。

請求項60

複数の前記織物を組み合わせて用いる、請求項59記載のトランスデューサー。

請求項61

請求項49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

請求項62

前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、請求項61記載のデバイス。

請求項63

請求項49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから電気信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、を備えるデバイス。

請求項64

電気信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した電気信号が印加される、請求項49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、を備えるデバイス。

技術分野

0001

本発明は、タッチ式入力装置ポインティングデバイス表面形状計測などに用いられる繊維状圧電素子に関する。さらに詳しくは、繊維状圧電素子の表面を擦るだけでタッチセンサーなどとして十分な電気出力を発生することができ、また、繊維状圧電素子で被計測物の表面を擦ることによって被計測物の高さ方向の位置情報形状情報を得ることができるセンサーに関する。

0002

本発明はまた、圧電性繊維を用いた組紐状圧電素子、組紐状圧電素子を用いた布帛状圧電素子およびそれらを用いたデバイスに関する。

0003

本発明はさらに、圧電性繊維を用いた組紐を導電層被覆した組紐状圧電素子、組紐状圧電素子を用いた布帛状圧電素子およびそれらを用いたデバイスに関する。

0004

本発明はまた、外力による形状変化により電気信号を出力および/または電気信号の入力により形状変化するトランスデューサーに関する。さらに詳しくは、柔軟かつ三次元的に形状変化できることを特徴とする布帛状のトランスデューサーに関する。

背景技術

0005

近年、いわゆるタッチパネル方式を採用した入力装置、すなわちタッチ式入力装置が大幅に増加している。銀行ATM券売機のみならず、携帯電話機携帯ゲーム機携帯音楽プレーヤなどにおいて、薄型ディスプレイ技術の発展と相まって、入力インターフェースとしてタッチパネル方式が採用される機器が大幅に増加している。

0006

最近の携帯電話スマートフォンにおいては、液晶有機エレクトロルミネッセンスなどを用いた表示装置の上にタッチ式入力装置を設置し、画面上に直接的に入力することができる方式が多く採用されている。高度化が進むスマートフォンなどの携帯機器の一層の利便性を向上させるためには、画面上にのみ入力装置を設置しているだけではなく、複数のタッチ式入力手段があることが好ましい。

0007

例えば、スマートフォンにおいて、表示画面に指などで入力しようとした場合、片方の手でスマートフォンを持ち、もう一方の手の指で入力をすることになるため、両手を使用しての操作とならざるを得ない。一方、スマートフォンの筐体にもタッチセンサーなどが組み込まれていれば、片手での操作が可能になるといった利点がある。

0008

その一例として、通常はセンサーとして使用されていない表示画面裏などの非表示画面部分筐体部分にタッチセンサーなどを組み込み、このセンサーで画面情報の中の項目上又はアンカーポイントを選択する方式が、特許文献1に開示されている。特許文献1のようなタッチセンサーを実現する入力装置としては、静電容量方式抵抗膜式光学式電磁誘導方式圧電シートを用いる方式などがある。

0009

圧電シートを用いる方式の例としては、特許文献2に開示がある。圧電シート方式は、静電容量方式や抵抗膜方式のタッチセンサーとは異なり、それ単体でセンサーに加えられる圧力と位置情報の両方を同時に検出可能であり、入力情報多様性に貢献することができる。また、特許文献2においては、圧電シートの部材の具体例として、圧電性高分子であるポリ乳酸を利用した例が開示されている。

0010

特許文献2で開示されているようにポリ乳酸からなる圧電シートは、フレキシブル化が可能であり、また、1つの素子で位置情報と応力を同時に検出できる優れた素子であるが、十分な電気出力を得るためには、入力時に圧電シートをその応力によってある程度撓ませる必要がある。ポリ乳酸からなる圧電シートは、シートに対するせん断応力によって電気出力を発生するが、引張や圧縮では十分な電気出力が得られない。したがって、大きな電気出力を得るには圧電シート平面の垂直方向からの押圧力によってシートを撓ませる必要がある。例えば、この圧電シートをスマートフォンの裏側の筐体に貼合あるいは筐体と一体にして使用することを考えると、シートに垂直方向に加えられる押し圧力によって、シートを撓ませることは空間的に難しく、圧電素子の表面を擦るだけで十分な電気出力を発生させるものが望まれていた。また、スマートフォン等の筐体表面は必ずしも平面とは限らず、意匠性確保などの理由で、その形状には三次元的な凹凸が多く、そこに用いられる圧電素子はフレキシブルであることが望まれていた。

0011

さて、圧電繊維技術として、圧電性高分子にねじりを加えた配向させたものが特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の圧電繊維は、繊維を特殊な製造方法であらかじめ捩じらせておくことで、繊維に対する引張や圧縮に対しては電気出力が得られる。しかし特許文献3には、繊維表面を擦ることによるせん断応力に対して十分な電気出力を発生させ、それを取り出すことに対する技術は全く示されていない。したがって、このような圧電繊維素子を、スマートフォンの筐体などに組み込んで、表面を指などで擦るといった比較的小さい印加応力だけで十分な電気出力を取り出すことは、極めて困難である。

0012

一般に、一軸延伸配向したポリ乳酸繊維は、延伸軸及びその垂直方向に対する延伸圧縮応力に対してほとんど分極が生じず、そのため、このような繊維の表面を指などで擦ることで発生する比較的小さな印加応力では電気出力はほとんど得られないことが知られている。一方、ポリ乳酸圧電繊維の延伸軸に平行でも垂直でもない方向から力を加える、すなわち、せん断応力を与えることで分極が生じ、圧電体としての機能を発現することが知られている。

0013

特許文献4では、表面を指などで擦るといった比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子が開示されている。特許文献4では、この繊維状圧電素子の構成要素である導電繊維として炭素繊維を用いている。しかし、繰り返し耐久性が要求される用途にこの繊維状圧電素子を適用した場合、炭素繊維は曲げ剛性が弱いため、徐々に繊維が折れて定量的な圧電性が得られず、徐々に圧電性能落ちていくおそれがある。また、組紐状の圧電素子を接触式プローブとして用い、被計測物の高さや形状情報を得ようとする場合には、炭素繊維が折れて先端が鋭くなり、また炭素繊維固有剛性ゆえ、被計測物の表面を傷つけるおそれがある。

0014

また近年、いわゆるウェアラブルセンサーが注目を浴びており、眼鏡型や腕時計といった形状の商品が世に出始めた。しかし、これらのデバイスは、装着しているという感覚があり、究極ウェアラブルである、布状、つまり衣類のような形状のものが望まれている。そのようなセンサーとして、圧電性繊維の圧電効果を用いた圧電素子が知られている。例えば、特許文献4には、2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子が開示されている。また、特許文献3には、圧電高分子からなる繊維状物、または成形物であり、これの軸方向に付加される張力によって圧電性を発生させるために、かかる張力の付加方向と異なる方向に捩りを加えて構成したことを特徴とする圧電材が開示されている。

0015

一方、近年、いわゆるタッチパネル方式を採用した入力装置、すなわちタッチ式入力装置が大幅に増加している。銀行ATMや駅の券売機のみならず、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤなどにおいて、薄型ディスプレイ技術の発展と相まって、入力インターフェースとしてタッチパネル方式を採用した機器が大幅に増加している。そのようなタッチパネル方式を実現する手段として、圧電シートや圧電性繊維を用いる方式が知られている。例えば、特許文献2には、所定方向に向く延伸軸を有するL型ポリ乳酸からなる圧電シートを用いるタッチパネルが開示されている。

0016

これらウェアラブルセンサーやタッチパネル方式のセンサーでは、圧電材料印加される小さな変形により圧電材料内に生じる小さな応力に対しても、大きな電気信号を取り出すことが望まれる。例えば、指の曲げ伸ばし動作や指などで表面を擦る行為により圧電材料に生じる比較的小さな応力によっても大きな電気信号を安定的に取り出すことが望まれる。

0017

特許文献4の圧電性繊維は、様々な用途に適用可能な優れた素材であるが、比較的小さな変形で生じる応力に対して大きい電気信号を出力できるとは必ずしもいえず、大きな電気信号を得る技術についても明示していない。

0018

特許文献3の圧電性繊維は、特殊な製造方法で圧電性繊維をあらかじめ捩じらせておくことにより、圧電性繊維への引張や圧縮に対して電気信号を出力できる。しかし、特許文献3には、圧電性繊維を曲げたり伸ばしたりする屈曲や、圧電性繊維の表面を擦る行為によるせん断応力に対して十分な電気信号を発生させる技術は開示されていない。したがって、このような圧電性繊維を用いた場合、表面を擦るような比較的小さい変形で生じる応力だけで十分な電気信号を取り出すことは困難である。

0019

特許文献2の圧電シートは、圧電シートに対する変形(応力)によって電気信号を出力できる。しかしながら、そもそもシート状であるために柔軟性に乏しく布のように自由に屈曲できるような使い方は不可能である。

0020

また、特許文献4に記載の圧電素子は、信号線となる導電性繊維がむき出しであり、それゆえノイズ信号を抑制するためには、別途ノイズシールド構造を構築する必要がある。したがって、特許文献4に記載の圧電素子では、実用化に対して依然として改善の余地があった。

0021

また、ウェアラブルセンサーとして、布に圧電素子を装着し、そこから信号を取り出すものが開示されている(特許文献5、6)。しかしこれらは織編物の表面上に別の構造体を必要とすることから、自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性欠ける。また、圧電性材料導電性材料フィルム状にしたもので布状の構造体を形成するもの(特許文献7)もあるが、これも自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性、施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性に欠ける。

0022

さらに、繊維のみからなる布帛状センサーとして導電繊維間の抵抗を検出するもの(特許文献8)も提案されているが、布帛上の圧力を検出するものであり直接的に形状変化を検出するものではなかった。

0023

さらに特許文献4には、2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子が開示され、平面上に複数の圧電単位を並列させる技術について開示されている。しかし、特定位置あるいは特定方向の応力に対して選択的に電気信号を応答させること、および素子の厚み方向に圧電単位を複合化させることによる高機能化に関しては、一切示唆がなく、さらなる技術向上が課題であった。

0024

また、人体に直接触れている場合や帯電している物体に接触した場合に、本来目的としていない信号を出力してしまうという課題があった。

先行技術

0025

特開2001-189792号公報
特開2011−253517号公報
特許第3540208号公報
国際公開第2014/058077号
特表2007−518886号公報
特開平6−323929号公報
特開2002−203996号公報
特開2006−284276号公報

発明が解決しようとする課題

0026

本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、第1の目的は、表面を指などで擦るといった比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子を提供することにあり、さらには、圧電素子の表面や先端部への繰り返しの摩擦に耐えることができる繊維状圧電素子を提供することにある。

0027

また第2の目的は、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能な繊維状の圧電素子を提供することにある。

0028

さらに第3の目的は、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能で、ノイズ信号を抑制可能な繊維状の圧電素子を提供することにある。

0029

また第4の目的は、繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで特定位置あるいは特定方向の応力に対して選択的に電気信号を応答させることができる平面状のトランスデューサーを提供することにあり、さらには、そのトランスデューサーからの信号を用いたデバイスおよび/または電気信号を入力することにより機能するデバイスを提供することにある。

0030

さらに第5の目的は、繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで誤動作しにくい実用性の高い柔軟性にとんだ布帛状のトランスデューサーを提供することにあり、さらには、そのトランスデューサーからの信号を用いたデバイスおよび/または電気信号を入力することにより機能するデバイスを提供することにある。

課題を解決するための手段

0031

本発明者らは上記第1の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性高分子との組み合わせとして、芯となる導電性繊維の表面を圧電性高分子で被覆した組紐状圧電素子により効率よく電気を取り出せることを発見し、本発明に到達した。

0032

すなわち本発明によると、上記第1の目的を達成するための手段(第1発明)として、下記1〜13が提供される。
1.導電性繊維および圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である、圧電素子。
2.前記導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m2/m以下である、上記1記載の圧電素子。
3.前記導電性繊維が金属コートされた有機繊維である、上記1記載の圧電素子。
4.前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、上記1〜3のいずれか一項に記載の中敷き。
5.前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のL—ポリ乳酸又はD−ポリ乳酸を含む、上記4に記載の圧電素子。
6.前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、上記1〜5のいずれか一項に記載の圧電素子。
7.前記被覆繊維に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出する、上記1〜6のいずれか一項に記載の圧電素子。
8.検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面と被接触物の表面との間の摩擦力である、上記7記載の圧電素子。
9.検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面または先端部に対する垂直方向の抵抗力である、上記7記載の圧電素子。
10.上記1〜9のいずれか一項に記載の圧電素子を使ったセンサー。
11.上記10に記載の圧電センサーと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサーから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、
を備えるデバイス。
12.前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、上記11記載のデバイス。
13.上記10に記載の圧電センサーと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサーから電気信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、
を備えるデバイス。

0033

また、本発明者らは上記第2の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせとして、芯となる導電性繊維の表面を組紐状の圧電性繊維で被覆した組紐状圧電素子により効率よく電気を取り出せることを発見し、本発明に到達した。

0034

すなわち、本発明によると、上記第2の目的を達成するための手段(第2発明)として、下記14〜21が提供される。
14.導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された部と、を備え、前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含み、前記導電性繊維に対する前記圧電性繊維の巻きつけ角度は15°以上、75°以下である、組紐状圧電素子。
15.前記圧電性繊維の総繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/2倍以上、20倍以下である、上記14記載の組紐状圧電素子。
16.前記圧電性繊維の一本あたり繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/20倍以上、2倍以下である、上記14記載の組紐状圧電素子。
17.上記14〜16のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子を含む布帛を備える、布帛状圧電素子。
18.前記布帛は、前記組紐状圧電素子の少なくとも一部と交差して接触する導電性繊維を更に含む、上記17記載の布帛状圧電素子。
19.前記布帛を形成する繊維であり且つ前記組紐状圧電素子と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維である、上記18記載の布帛状圧電素子。
20.上記14〜16のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記組紐状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。
21.上記17〜19のいずれか一項に記載の布帛状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記布帛状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

0035

さらに、本発明者らは上記第3の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせとして、芯となる導電性繊維の表面を組紐状の圧電性繊維で被覆し、更にその周囲に導電層を設けた組紐状圧電素子により効率よく電気信号を取り出すことが可能で、更にノイズ信号を抑制できることを発見し、本発明に到達した。

0036

すなわち、本発明によると、上記第3の目的を達成するための手段(第3発明)として、下記22〜32が提供される。
22.導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された鞘部と、前記鞘部の周囲に設けられた導電層とを備えた、組紐状圧電素子。
23.前記導電層による前記鞘部の被覆率が25%以上である、上記22記載の組紐状圧電素子。
24.前記導電層が繊維で形成されている、上記22または23記載の組紐状圧電素子。
25.前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含み、前記導電性繊維に対する前記圧電性繊維の巻きつけ角度は15°以上、75°以下である、上記22〜24のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。
26.前記圧電性繊維の総繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1倍以上、20倍以下である、上記22〜25のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。
27.前記圧電性繊維の一本あたり繊度は、前記導電性繊維の総繊度の1/20倍以上、2倍以下である、上記22〜25のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子。
28.上記22〜27のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子を含む布帛を備える、布帛状圧電素子。
29.前記布帛は、前記組紐状圧電素子の少なくとも一部と交差して接触する導電性繊維を更に含む、上記28記載の布帛状圧電素子。
30.前記布帛を形成する繊維であり且つ前記組紐状圧電素子と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維である、上記29記載の布帛状圧電素子。
31.上記22〜27のいずれか一項に記載の組紐状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記組紐状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。
32.上記28〜30のいずれか一項に記載の布帛状圧電素子と、印加された圧力に応じて前記布帛状圧電素子から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。

0037

また、本発明者らは上記第4の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせ配置により、圧電素子として機能することを見出し、さらにこの圧電素子等からなる平面状のトランスデューサーを積層し複合化することで、特定位置あるいは特定方向の応力に対して選択的に電気信号を応答させることができることを発見し、本発明を完成した。

0038

すなわち、本発明によると、上記第4の目的を達成するための手段(第4発明)として、下記33〜48が提供される。
33.少なくとも2層のシートあるいは布帛から構成されるトランスデューサーであって、該シートあるいは該布帛のうち少なくとも1層が下記のA層からなり、該A層以外の層のうち少なくとも1層が下記のB層からなるトランスデューサー。
A層:導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む、電気信号を出力または入力とする平面状のトランスデューサーであって、特定の位置または方向における応力と、選択的な出力または入力としての電気信号とを相互に変換する機能を有するトランスデューサー
B層:電気信号を出力または入力とする平面状のトランスデューサーであって、該A層とは異なる特定の位置または方向における信号と、あるいは該A層と異なる種類の信号と、選択的な出力または入力としての電気信号とを相互に変換する機能を有するトランスデューサー
34.前記A層及び前記B層の間に、下記のC層を少なくとも1層含む、上記33記載のトランスデューサー
C層:前記A層と前記B層との間の電気的干渉によるノイズを低減する機能を有する層
35.前記圧電単位は2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、導電性繊維、圧電性繊維および導電性繊維がこの順序に配置されている、上記33または34に記載のトランスデューサー。
36.前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、上記33または34に記載のトランスデューサー。
37.前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、上記33または34に記載のトランスデューサー。
38.前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、上記33または34に記載のトランスデューサー。
39.前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリL−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、上記33または34に記載のトランスデューサー。
40.前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、上記33または34に記載のトランスデューサー。
41.前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、上記33または34に記載のトランスデューサー。
42.複数の前記圧電単位を含有する織編物である、上記33または34に記載のトランスデューサー。
43.複数の前記圧電単位を含有する織物であって、その織組織平織綾織サテン織およびそれらの複合組織である、上記42記載のトランスデューサー。
44.複数の前記織編物を組み合わせて用いる、上記43記載のトランスデューサー。
45.上記33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。
46.前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、上記45に記載のデバイス。
47.上記33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから電気信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、を備えるデバイス。
48.電気信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した電気信号が印加される、上記33〜44のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、を備えるデバイス。

0039

さらに、本発明者らは上記第5の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性繊維の組み合わせ配置により、圧電素子として機能することを見出し、さらにこの圧電素子に導電性シートまたは導電性布帛を積層することで、誤動作しにくい実用性の高いトランスデューサーを提供できることを発見し、本発明を完成した。

0040

すなわち、本発明によると、上記第5の目的を達成するための手段(第5発明)として、下記49〜64が提供される。
49.少なくとも2層のシートまたは布帛からなる積層トランスデューサーであって、該シートまたは該布帛のうち少なくとも1層が下記のA層からなり、該A層以外の層のうち少なくとも1層が下記のB層からなるトランスデューサー。
A層:導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む、電気信号を出力または入力とするトランスデューサー
B層:シート抵抗が104Ω/□(Ω/sq.)以下である導電性シートまたは導電性布帛
50.前記A層と前記B層の間に下記のC層がさらに積層されてなる、上記49記載のトランスデューサー。
C層:シート抵抗が106Ω/□(Ω/sq.)以上である絶縁性シートまたは絶縁性布帛
51.前記圧電単位は2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、前記導電性繊維、前記圧電性繊維および前記導電性繊維が、この順序に配置されている、上記49または50記載のトランスデューサー。
52.前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、上記49または50記載のトランスデューサー。
53.前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、上記49または50記載のトランスデューサー。
54.前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、上記49または50記載のトランスデューサー。
55.前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、上記49または50記載のトランスデューサー。
56.前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、上記49または50記載のトランスデューサー。
57.前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、上記49または50記載のトランスデューサー。
58.複数の前記圧電単位を含有する織編物である、上記49または50記載のトランスデューサー。
59.複数の前記圧電単位を含有する織物であって、その織組織が平織、綾織、サテン織およびそれらの複合組織である、上記58記載のトランスデューサー。
60.複数の前記織物を組み合わせて用いる、上記59記載のトランスデューサー。
61.上記49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、を備えるデバイス。
62.前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、上記61記載のデバイス。
63.上記49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、印加された圧力に応じて前記トランスデューサーから電気信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、を備えるデバイス。
64.電気信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した電気信号が印加される、上記49〜60のいずれか一項に記載のトランスデューサーと、を備えるデバイス。

発明の効果

0041

上記第1発明により、表面を指などで擦るといった比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子を得ることができる。さらには、圧電素子の表面や先端部への繰り返しの摩擦に耐えることができる繊維状圧電素子を得ることができる。

0042

また上記第2発明により、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能な繊維状の圧電素子を提供できる。

0043

さらに上記第3発明により、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能で、更にノイズ信号を抑制できる繊維状の圧電素子を提供できる。

0044

また上記第4発明により、繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで柔軟性に富む布帛状のトランスデューサーを得ることができる。本発明のトランスデューサーは、フレキシブルであるため、ハンカチのような折り畳み可能な布帛状、さらには着衣状など布帛で実現できるあらゆる形状の電気信号を入出力とするトランスデューサーを実現することができる。

0045

さらに上記第5発明により、繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで柔軟性に富む布帛状のトランスデューサーを得ることができる。本発明のトランスデューサーは、フレキシブルであるため、ハンカチのような折り畳み可能な布帛状、さらには着衣状など布帛で実現できるあらゆる形状の電気信号を入出力とするトランスデューサーを実現することができる。

図面の簡単な説明

0046

導電性繊維と圧電性繊維との組合せにおける電気信号の発生原理を説明する模式的な断面図である。
第1発明の圧電素子の構成の一例であって、実施例1に記載の圧電素子の模式図である。
実施例1の圧電素子の評価システムの概略図である。
第1発明の圧電素子を備えるセンサーを示すブロック図である。
第1発明に係る圧電素子を備えるセンサーにおける圧電素子と増幅手段とのの接続例を示す模式図である。
第2発明に係る組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。
第2発明に係る布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。
第2発明に係る圧電素子を備えるデバイスを示すブロック図である。
第2発明に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。
第2発明に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの他の構成例を示す模式図である。
比較例1に係る圧電繊維を含む織物の構成例を示す模式図である。
第3発明に係る組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。
第3発明に係る布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。
第3発明に係る圧電素子を備えるデバイスを示すブロック図である。
第3発明に係る組紐状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。
第3発明に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。
第3発明に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの他の構成例を示す模式図である。
第3発明に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの他の構成例を示す模式図である。
比較例3に係る圧電繊維を含む織物の構成例を示す模式図である。
A層の織組織で、特定方向の曲げを選択的に検出する構造である。
A層の織組織で、ねじりを選択的に検出する構造である。
A層の織組織で、ずり変形を選択的に検出する構造である。
平織物を積層したセンサーの模式図である。
平織物と朱子織物を積層したセンサーの模式図である。
朱子織物と静電容量方式の伸縮センサーを積層したセンサーの模式図である。
第4発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第1の具体例を示すブロック図である。
第4発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第2の具体例を示すブロック図である。
第4発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第3の具体例を示すブロック図である。
実施例7、および比較例4の平織物の模式図である。
第5発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第1の具体例を示すブロック図である。
第5発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第2の具体例を示すブロック図である。
第5発明のトランスデューサーを用いたデバイスの第3の具体例を示すブロック図である。
曲げ復元率を測定する装置を示す図である。
布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。
布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。
実施形態に係る布帛状素子を備えるデバイスを示すブロック図である。
実施形態に係る平組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。

0047

はじめに、第1発明乃至第5発明に共通する、導電性繊維と圧電性繊維との組合せにおける電気信号の発生原理について説明する。

0048

図1は、導電性繊維と圧電性繊維との組合せにおける電気信号の発生原理を説明する模式的な断面図である。増幅手段12の入力端子には、導電性繊維Bからの引出し線を接続する。図1(A)において、導電性繊維B及び圧電性繊維Aが折り曲げられておらず伸びた状態では、導電性繊維B及び圧電性繊維Aにおいて、正負電荷は均一に分布している。圧電性繊維Aの折り曲げが始まると、図1(B)に示すように、圧電性繊維Aにおいて分極が発生し、電荷の正負が一方向に配列された状態になる。圧電性繊維Aの分極により発生した正負各電荷の配列につられて、導電性繊維Bから負の電荷が流出する。この負の電荷の移動は微小な電気信号の流れ(すなわち電流)として現れ、増幅手段12はこの電気信号を増幅し、出力手段13は、増幅手段12で増幅された電気信号を出力する。図1(B)に示す分極状態は、圧電性繊維Aの折り曲げが維持(固定)される限り継続する。

0049

圧電性繊維Aの折り曲げ形状が維持(固定)された状態(図1(B))から圧電性繊維Aを伸ばす動作が始まると、図1(C)に示すように圧電性繊維Aにおいて分極は解消し、圧電性繊維Aにおいて正負各電荷が均一に分布した状態になる。圧電性繊維Aにおける正負各電荷の均一分布につられて、導電性繊維Bへ負の電荷が流入する。この負の電荷の移動は微小な電気信号の流れ(すなわち電流)として現れるが、増幅手段12ではこの電気信号を増幅し、増幅された電気信号を出力手段13にて出力する。なお、圧電性繊維Aの折り曲げ動作中の状態(図1(B))と折り曲げ動作から伸ばす動作に遷移している状態(図1(C))とでは、負の電荷の移動の向きは逆向きになるので、折り曲げ動作と伸ばし動作とでは逆極性の電気信号が発生する。例えば、圧電性繊維Aの折り曲げ動作時には正の電気信号が発生し、圧電性繊維Aの伸ばし動作時には負の電気信号が発生する。

0050

本発明では、圧電性繊維Aに対する折り曲げ動作及び伸ばし動作に伴い発生する微小な電気信号を、増幅手段12によって増幅して出力手段12によって出力し、外部機器(図示せず)における演算処理により、増幅電気信号が正か負かを切り分け、圧電性繊維Aの折り曲げの有無及び折り曲げの度合いを検出する。例えば、外部機器(図示せず)において、増幅手段12にて増幅され出力手段13から出力された増幅電気信号を時間積分し、そして、この積分値が、所定の上限値以上になったときは「折り曲げ動作」と判定し、所定の下限値未満となったときは「伸ばし動作」と判定する演算処理を実行することができる。なお、本明細書において、圧電性繊維Aに印加された応力に応じて電気信号が発生するとの記載は、圧電性繊維Aの歪みに応じて電気信号が発生することと同義である。

0051

以下、第1発明について詳細に説明する。
(被覆繊維)
第1発明の圧電素子は、導電性繊維の表面を圧電性高分子の繊維、すなわち圧電性繊維で被覆した被覆繊維を含む。図2は、第1発明の実施の形態に係る圧電素子の構成の一例を表す模式図である。図2に示すように、圧電素子の被覆繊維1003は圧電性繊維100Aが導電性繊維100Bの表面を被覆している。

0052

圧電素子の被覆繊維1003の長さは特に限定はないが、製造において連続的に製造され、その後に好みの長さにカットして利用してもよい。実際の圧電素子としての利用においては、被覆繊維1003の長さは1mm〜10m、好ましくは、5mm〜2m、より好ましくは1cm〜1mである。長さが短いと繊維形状である利便性が失われ、また、長いと導電性繊維100Bの抵抗値の問題等で電気出力が低下する等の問題がある。

0053

(導電性繊維)
導電性繊維としては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられ、例えば、金属繊維導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着スパッタ電解メッキ無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。

0054

金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維ナイロン繊維アクリル繊維ポリエチレン繊維ポリプロピレン繊維塩化ビニル繊維アラミド繊維ポリスルホン繊維ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、等の天然繊維アセテート等の半合成繊維レーヨンキュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。

0055

ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛パラジウ酸化インジウム錫硫化銅など、およびこれらの混合物合金などを用いることができる。

0056

導電性繊維に屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電素子を用いたセンサーとしての耐久性や安全性に優れる。

0057

導電性繊維はフィラメント複数本束ねたマルチフィラメントを用いても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントを用いてもよい。マルチフィラメントとして用いる方が電気特性長尺定性の観点で好ましい。モノフィラメントの径としては1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。

0058

直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性犠牲になる。導電性繊維の断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。

0059

また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、信号検出に強度が得られるのであれば導電性繊維の抵抗率はこの限りではない。

0060

導電性繊維は、本発明の用途から、繰り返しの曲げやねじりといった動きに対して耐性がなければならない。その指標としては、曲げ剛性が、より小さいものが好まれる。曲げ剛性は、カトーテック社製KES—FB2純曲げ試験機などの測定装置で測定されるのが一般的である。本発明に適当な曲げ剛性の程度としては、東邦テナックス(株)製の炭素繊維マルチフィラメントである品名『HTS40 3K』よりも小さいほうが好ましい。具体的には、導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m2/m以下であることが好ましく、0.02×10−4N・m2/m以下であることがより好ましく、0.01×10−4N・m2/m以下であることがさらに好ましい。

0061

(圧電性高分子)
圧電性高分子としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリ乳酸など圧電性を示す高分子であれば利用できるが、主としてポリ乳酸を含むことが好ましい。ポリ乳酸は溶融紡糸後に延伸によって容易に配向して圧電性を示し、ポリフッ化ビニリデンなどで必要となる電界配向処理が不要な点で生産性に優れている。さらに、圧電性繊維は圧電性高分子から形成されるが、ポリ乳酸からなる圧電性繊維はその軸方向への引張や圧縮応力では、分極が小さく、圧電素子として機能させることが困難であるが、せん断応力によっては比較的大きな電気出力が得られ、せん断応力を圧電性高分子に付与しやすい構成体を有する本発明の圧電素子においては好ましい。

0062

圧電性高分子は、主としてポリ乳酸を含むことが好ましい。「主として」とは、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上のことを言う。

0063

ポリ乳酸としては、その結晶構造によって、L−乳酸、L−ラクチド重合してなるポリ−L−乳酸、D−乳酸、D−ラクチドを重合してなるポリ−D−乳酸、さらに、それらのハイブリッド構造からなるステレオコンプレックスポリ乳酸などがあるが、圧電性を示すものであればいずれも利用できる。圧電率の高さの観点で好ましくは、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸である。ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸はそれぞれ、同じ応力に対して分極が逆になるために、目的に応じてこれらを組み合わせて使用することも可能である。ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、より好ましくは99.3%以上、さらに好ましくは99.5%以上である。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維の形状変化よって十分な電気出力を得ることが難しくなる場合がある。圧電性高分子が、主としてポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度は99%以上であることが好ましい。

0064

圧電性高分子から形成される圧電性繊維は被覆繊維の繊維軸方向に一軸配向しかつ結晶を含むものであることが好ましく、より好ましくは結晶を有する一軸配向ポリ乳酸である。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶状態および一軸配向において大きな圧電性を示すためである。

0065

ポリ乳酸は加水分解が比較的早いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物オキサゾリン化合物エポキシ化合物カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤可塑剤光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。

0066

また、ポリ乳酸は他のポリマーとのアロイとして用いてもよいが、ポリ乳酸を主たる圧電性高分子として用いるならば、アロイの全重量を基準として少なくとも50重量%以上でポリ乳酸を含有していることが好ましく、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。

0067

アロイとする場合のポリ乳酸以外のポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレートポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタレート共重合体ポリメタクリレート等が好適な例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、本発明で目的とする圧電性を奏する限り、どのようなポリマーを用いてもよい。

0068

このような圧電性高分子を圧電性繊維とするためには、高分子を繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができ、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法等を採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。

0069

なお、上述の通りに、圧電性高分子がポリ乳酸である場合には、一軸延伸配向し、かつ結晶を含むとより大きな圧電性を示すことから、繊維は延伸することが好ましい。

0070

(被覆)
各導電性繊維は、圧電性高分子から形成される圧電性繊維で表面が被覆されている。導電性繊維を被覆する圧電性繊維層の厚みは1μm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは5μm〜5mm、さらに好ましくは10μm〜3mm、最も好ましくは20μm〜1mmである。薄すぎると強度の点で問題となる場合があり、また、厚すぎると電気出力を取り出すことが困難となる場合がある。

0071

圧電性繊維と導電性繊維はできるだけ密着していることが好ましいが、密着性を改良するために、導電性繊維と圧電性繊維の間にアンカー層接着層などを設けてもよい。

0072

被覆の方法は導電性繊維の周りに圧電性繊維を巻きつける方法が取られる。一方、圧電性繊維層の形状は、印加された応力に対して電気出力を出すことが出来れば特に限定されるものではない。

0073

この圧電性高分子の導電性繊維の被覆状態であるが、導電性繊維と圧電性繊維の形状としては特に限定されるものではないが、できるだけ同心円状に近いことが、好ましい。なお、導電性繊維としてマルチフィラメントを用いる場合、圧電性繊維は、マルチフィラメントの表面(繊維周面)の少なくとも一部が接触しているように被覆していればよく、マルチフィラメントを構成するすべてのフィラメント表面(繊維周面)に圧電性繊維が被覆していても、また、していなくともよい。導電性繊維のマルチフィラメントを構成する内部の各フィラメントへの圧電性繊維の被覆状態は、圧電性素子としての性能、取扱い性等を考慮して、適宜設定すればよい。

0074

本発明の圧電素子は少なくとも1本の導電性繊維を含むが、導電性繊維は1本に限定されず、より多くても良い。

0075

本発明の圧電素子はその表面に電極を存在させる必要が無いため、圧電素子自体をさらに被覆する必要がなく、また、誤動作しにくいという利点がある。

0076

(製造方法)
本発明の圧電素子は、1本の導電性繊維の表面を圧電性繊維で被覆した被覆繊維を含む。この被覆繊維の製造方法として以下の方法が挙げられる。
(i)導電性繊維と延伸した圧電性繊維を別々の工程で作製し、導電性繊維に圧電性繊維を巻き付けるなどして被覆する方法が好ましい。この場合には、できるだけ同心円状に近くなるように被覆することが好ましい。

0077

この場合、圧電性繊維を形成する圧電性高分子としてポリ乳酸を用いる場合の好ましい紡糸延伸条件として、溶融紡糸温度は150〜250℃が好ましく、延伸温度は40〜150℃が好ましく、延伸倍率は1.1倍から5.0倍が好ましく、結晶化温度は80〜170℃が好ましい。

0078

巻き付ける圧電性繊維としては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメントを用いても良い。

0079

巻き付けて被覆する形態としては、例えば、圧電性繊維を編組チューブのような形態とし、導電性繊維を芯として当該編組チューブに挿入することで被覆してもよい。また、導電性繊維を芯糸とし、その周囲に圧電性繊維を製して、丸打組物(Tubular Braid)を作製することで、被覆してもよい。圧電性繊維をモノフィラメントとして用いる場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μ〜1mmである。マルチフィラメントとして用いる場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。

0080

以上のような方法で製造した、導電性繊維の表面を圧電性繊維で被覆した繊維により本発明の圧電素子を得ることができる。

0081

本発明の圧電素子は、表面に導電層の形成を必要としないため、比較的簡単に製造することができる。

0082

(保護層)
本発明の圧電素子の最表面には保護層を設けてもよい。この保護層は絶縁性であることが好ましく、フレキシブル性などの観点から高分子からなるものがより好ましい。もちろん、この場合には保護層上を擦ることになるが、この擦りによるせん断応力が圧電性繊維まで到達し、その分極を誘起できるものであれば特に限定はない。保護層としては、高分子などのコーティングによって形成されるものに限定されず、フィルムなどあるいは、それらが組み合わされたものであってもよい。保護層としては、エポキシ樹脂アクリル樹脂などが好適に用いられる。

0083

保護層の厚みとしては出来るだけ薄い方が、せん断応力を圧電性高分子に伝えやすいが、薄すぎると保護層自体が破壊される等の問題が発生しやすくなるため、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは50nm〜50μm、さらに好ましくは70nm〜30μm、最も好ましくは100nm〜10μmである。この保護層により圧電素子の形状を形成することもできる。

0084

(作用)
本発明の圧電素子は、圧電素子の表面を擦るなどして、圧電素子に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出するセンサーとして利用することができる。なお、本発明の圧電素子は、擦る以外の押圧力などによっても圧電性高分子にせん断応力が与えられるならば、電気出力を取り出すことはもちろん可能である。例えば、「印加された応力」としては、圧電素子の表面、すなわち被覆繊維(の圧電性繊維)の表面と指のような被接触物の表面との間の摩擦力や、被覆繊維(の圧電性繊維)の表面または先端部に対する垂直方向の抵抗力が挙げられる。特に、本発明の圧電素子は、導電性繊維に対して平行方向に屈曲させた場合及び擦った場合に大きな電気出力を効率的に取出しやすくなる。

0085

ここで、「印加された応力」とは、表面を指で擦る程度の大きさの応力を意味しており、この、表面を指で擦る程度の大きさの応力の目安としては、おおよそ1〜1000Paである。もちろん、これ以上であっても印加された応力の大きさ及びその印加位置を検出することが可能であることはいうまでもない。指などで入力する場合には、1Pa以上500Pa以下の荷重であっても動作することが好ましく、さらに好ましくは1Pa以上100Pa以下の荷重で動作することが好ましい。もちろん、500Paを超える荷重であっても動作することは、上述の通りである。

0086

(複数の圧電素子)
また、本発明の圧電素子を複数並べて用いることも可能である。並べ方としても一次元的に一段で並べても、二次元的に重ねて並べても良く、さらには布状に編織して用いたり、組み紐に製紐したりしてもよい。それによって布状、紐状の圧電素子を実現することも可能となる。布状、紐状にするにあたっては、本発明の目的を達成する限り、圧電素子以外の他の繊維と組み合わせて、混繊、交織、交編等を行ってもよく、また、スマートフォンの筐体の樹脂などに組み込んで使ってもよい。

0087

このように本発明の圧電素子を複数本並べて使用する際においては、本発明の圧電素子は表面に電極を有さないため、その並べ方、編み方が広範に選択することができるという利点がある。

0088

本発明の圧電素子を複数並べて用いる場合、導電性繊維間の距離が短いため電気出力の取り出しにおいて効率的である。また導電性繊維間の距離を一定に保つことで、電気出力の場所によるばらつきを抑制することができる。

0089

(絶縁性繊維)
本発明では、圧電素子における被覆繊維以外の部分には、例えば絶縁性繊維を使用することもできる。この際、絶縁性繊維は圧電素子の柔軟性を向上する目的で伸縮性のある素材、形状を有する繊維を用いることができる。

0090

被覆繊維部分以外にこのように絶縁性繊維を配置することで、圧電素子の操作性(例えば圧電素子を用いた接触式プローブの動きの補助)としての性能を向上させることが可能である。

0091

このような絶縁性繊維としては、体積抵抗率が106Ω・cm以上であれば用いることができ、より好ましくは108Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上がよい。

0092

絶縁性繊維として、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。これらに限定されるものではなく、公知の絶縁性繊維を任意に用いることができる。さらに、これらの絶縁性繊維を組み合わせて用いてもよく、絶縁性を有しない繊維と組み合わせ、全体として絶縁性を有する繊維としてもよい。

0093

また、柔軟性を持たせる目的で、公知のあらゆる形状の繊維も用いることができる。

0094

(圧電素子の適用技術)
本発明の圧電素子はいずれの様態であっても、表面への接触、圧力、形状変化を電気信号として出力することができるので、圧電素子に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出するセンサーとして利用することができる。図4は、本発明の圧電素子を備えるセンサーを示すブロック図である。本発明の圧電素子1011と、印加された圧力に応じて圧電素子1011から出力される電気信号を増幅する増幅手段1012と、増幅手段1012で増幅された電気信号を出力する出力手段1013と、出力手段1013から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ送信する送信手段1014とからなるセンサー1101を構成すれば、圧電素子1011の表面への接触、圧力、形状変化により出力された電気信号に基づき、外部機器(図示せず)における演算処理にて、圧電素子1011に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を検出することができる。あるいは、センサー1101内に、出力手段1013から出力された電気信号に基づき圧電素子1011に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を演算する演算手段(図示せず)を設けてもよい。

0095

増幅手段1012は、例えば各種電子回路で構築されてもよく、あるいはプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムにより実装される機能モジュールとして構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等がある。また、出力手段1013は、例えば各種コネクタにて単独に構築されてもよく、あるいは送信手段2014と一体化した通信装置として構築されてもよい。またあるいは、増幅手段1012、出力手段1013および送信手段1014の機能をまとめて、ソフトウェアプログラムを書き込んだ集積回路もしくはマイクロプロセッサなどで実現してもよい。なお、送信手段1014による送信方式無線によるもの有線によるものにするかは、構成するセンサーに応じて適宜決定すればよい。また、接触式プローブを上記センサーと同様の構成で実現することもできる。

0096

また、増幅手段だけではなく、ノイズを除去する手段や他の信号と組み合わせて処理する手段などの公知の信号処理手段を組み合わせて用いることができる。これらの手段の接続の順序は目的に応じて適宜変えることができる。もちろん、圧力素子1011から出力される電気信号をそのまま外部機器へ送信した後で信号処理してもよい。

0097

図5は、第1発明に係る圧電素子を備えるセンサーにおける圧電素子と増幅手段との接続例を示す模式図である。図5の増幅手段1012は、図4を参照して説明したものに相当するが、図4の出力手段1013および送信手段1014については図5では図示を省略している。圧電素子1011を備えるセンサーを構成する場合、例えば、増幅手段1012の入力端子には、圧電素子1011の導電性繊維100Bからの引出し線を接続し、接地アース端子には、圧電性繊維100Aを接続する。

0098

以下、第2発明について詳細に説明する。
(組紐状圧電素子)
図6は、第2発明に係る組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。
組紐状圧電素子2001は、導電性繊維200Bで形成された芯部2003と、芯部2003を被覆するように組紐状の圧電性繊維200Aで形成された鞘部2002とを備えている。圧電性繊維200Aは主成分としてポリ乳酸を含むことができる。導電性繊維200Bに対する圧電性繊維200Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である。

0099

組紐状圧電素子2001では、少なくとも一本の導電性繊維200Bの外周面を多数の圧電性繊維Aが緻密に取り巻いている。特定の理論に束縛されるものではないが、組紐状圧電素子2001に変形が生じると、多数の圧電性繊維200Aそれぞれに変形による応力が生じ、それにより多数の圧電性繊維200Aそれぞれに電場が生じ(圧電効果)、その結果、導電性繊維200Bを取り巻く多数の圧電性繊維200Aの電場を重畳した電圧変化が導電性繊維200Bに生じるものと推測される。すなわち圧電性繊維200Aの組紐状の鞘部2002を用いない場合と比較して導電性繊維200Bからの電気信号が増大する。それにより、組紐状圧電素子2001では、比較的小さな変形で生じる応力によっても、大きな電気信号を取り出すことが可能となる。なお、導電性繊維200Bは複数本であってもよい。

0100

ここで、圧電性繊維200Aは主成分としてポリ乳酸を含むことが好ましい。「主成分として」とは、圧電性繊維200Aの成分のうち最も多い成分がポリ乳酸であるとの意味である。ポリ乳酸中の乳酸ユニットは90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。

0101

また、導電性繊維200Bに対する圧電性繊維200Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である。すなわち、導電性繊維200B(芯部2003)の中心軸CLの方向に対して、圧電性繊維200Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である。ただし、本実施形態では、導電性繊維200Bの中心軸CLは、圧電性繊維200Aの組紐(鞘部2002)の中心軸(以下、「組紐軸」ともいう。)と重なることから、圧電性繊維200Aの組紐軸の方向に対して、圧電性繊維200Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である、ということもできる。より大きな電気信号を取り出す観点からは、角度αは25°以上、65°以下であることが好ましく、35°以上、55°以下であることがより好ましく、40°以上、50°以下であることがさらに好ましい。角度αがこの角度範囲外れると、圧電性繊維200Aに生じる電界が著しく低下し、それにより導電性繊維200Bで得られる電気信号が著しく低下してしまうからである。
なお、上記角度αについては、鞘部2002を形成する圧電性繊維200Aの主方向と導電性繊維200Bの中心軸CLとのなす角ともいうことができ、圧電性繊維200Aの一部が弛んでいたり、毛羽だっていてもよい。

0102

ここで、圧電性繊維200Aに生じる電界が著しく低下する理由は以下のとおりである。圧電性繊維200Aはポリ乳酸を主成分とし、圧電性繊維200Aの繊維軸の方向に一軸配向している。ここで、ポリ乳酸は、その配向方向(この場合には圧電性繊維200Aの繊維軸の方向)に対してせん断応力が生じた場合に電界を生じるが、その配向方向に対して引張応力や圧縮応力が生じた場合に電界をあまり生じない。したがって、組紐軸の方向に平行に変形したときに圧電性繊維200Aにせん断応力が生じるようにするためには、圧電性繊維200A(ポリ乳酸)の配向方向が組紐軸に対して所定の角度範囲にあることがよいと推測される。

0103

なお、組紐状圧電素子2001では、本発明の目的を達成する限り、鞘部2002では圧電性繊維200A以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよいし、芯部2003では導電性繊維200B以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよい。

0104

導電性繊維200Bの芯部2003と組紐状の圧電性繊維200Aの鞘部2002とで構成される組紐状圧電素子の長さは特に限定はない。例えば、その組紐状圧電素子は製造において連続的に製造され、その後に必要な長さに切断して利用してもよい。組紐状圧電素子の長さは1mm〜10m、好ましくは、5mm〜2m、より好ましくは1cm〜1mである。長さが短過ぎると繊維形状である利便性が失われ、また、長さが長過ぎると導電性繊維200Bの抵抗値を考慮する必要が出てくるであろう。

0105

以下、各構成について詳細に説明する。
(導電性繊維)
導電性繊維200Bとしては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられる。導電性繊維200Bとしては、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。

0106

金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。

0107

ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウム、酸化インジウム錫、硫化銅など、およびこれらの混合物や合金などを用いることができる。

0108

導電性繊維200Bに屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電素子を用いたセンサーとしての耐久性や安全性に優れる。

0109

導電性繊維200Bはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。マルチフィラメントの方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントの場合、フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。ただし、導電性繊維200Bの繊度・本数とは、組紐を作製する際に用いる芯部2003の繊度・本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の導電性繊維200Bと数えるものとする。ここで芯部2003とは、導電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。

0110

繊維の直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維200Bの断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。

0111

また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、電気信号の検出で十分な強度が得られるのであれば導電性繊維200Bの抵抗率はこの限りではない。

0112

導電性繊維200Bは、本発明の用途から、繰り返しの曲げやねじりといった動きに対して耐性がなければならない。その指標としては、結節強さが、より大きいものが好まれる。結節強さはJIS L1013:2010 8.6の方法で測定することができる。本発明に適当な結節強さの程度としては、0.5cN/dtex以上であることが好ましく、1.0cN/dtex以上であることがより好ましく、1.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、2.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。また、別の指標としては、曲げ剛性が、より小さいものが好まれる。曲げ剛性は、カトーテック(株)製KES—FB2純曲げ試験機などの測定装置で測定されるのが一般的である。本発明に適当な曲げ剛性の程度としては、東邦テナックス(株)製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)HTS40−3Kよりも小さいほうが好ましい。具体的には、導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m2/m以下であることが好ましく、0.02×10−4N・m2/m以下であることがより好ましく、0.01×10−4N・m2/m以下であることがさらに好ましい。

0113

(圧電性繊維)
圧電性繊維200Aの材料である圧電性高分子としてはポリフッ化ビニリデンやポリ乳酸のような圧電性を示す高分子を利用できるが、本実施形態では上記のように圧電性繊維200Aは主成分としてポリ乳酸を含むことが好適である。ポリ乳酸は、例えば溶融紡糸後に延伸によって容易に配向して圧電性を示し、ポリフッ化ビニリデンなどで必要となる電界配向処理が不要な点で生産性に優れている。しかしこのことは、本発明を実施するに際してポリフッ化ビニリデンその他の圧電性材料の使用を排除することを意図するものではない。

0114

ポリ乳酸としては、その結晶構造によって、L−乳酸、L−ラクチドを重合してなるポリ−L−乳酸、D−乳酸、D−ラクチドを重合してなるポリ−D−乳酸、さらに、それらのハイブリッド構造からなるステレオコンプレックスポリ乳酸などがあるが、圧電性を示すものであればいずれも利用できる。圧電率の高さの観点で好ましくは、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸である。ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸はそれぞれ、同じ応力に対して分極が逆になるために、目的に応じてこれらを組み合わせて使用することも可能である。

0115

ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維Aの形状変化よって十分な電気信号を得ることが難しくなる場合がある。特に、圧電性繊維Aは、主成分としてポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度が99%以上であることが好ましい。

0116

ポリ乳酸を主成分とする圧電性繊維200Aは、製造時に延伸されて、その繊維軸方向に一軸配向している。さらに、圧電性繊維200Aは、その繊維軸方向に一軸配向しているだけでなく、ポリ乳酸の結晶を含むものであることが好ましく、一軸配向したポリ乳酸の結晶を含むものであることがより好ましい。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶性が高いことおよび一軸配向していることでより大きな圧電性を示すためである。

0117

結晶性および一軸配向性ホモPL結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)で求められる。本発明の圧電性繊維Aとしては、ホモPLA結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
Xhomo×Ao×Ao÷106≧0.26 (1)
上記式(1)を満たさない場合、結晶性および/または一軸配向性が十分でなく、動作に対する電気信号の出力値が低下したり、特定方向の動作に対する信号の感度が低下したりするおそれがある。上記式(1)の左辺の値は、0.28以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。ここで、各々の値は下記に従って求める。

0118

ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo:
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求める。広角X線回折分析(WAXD)では、リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形イメージングプレートに記録する。
X線源: Cu−Kα線コンフォーカルミラー
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする。
得られるX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する各回折ピーク積分強度の総和ΣIHMiを求める。これらの値から下記式(2)に従い、ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoを求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (2)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出する。

0119

(2)結晶配向度Ao:
結晶配向度Aoについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られるX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイル半値幅総計ΣWi(°)から次式(3)より算出する。
結晶配向度Ao(%)=(360−ΣWi)÷360×100 (3)

0120

なお、ポリ乳酸は加水分解が比較的速いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤、可塑剤、光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。

0121

また、ポリ乳酸は他のポリマーとのアロイとして用いてもよいが、ポリ乳酸を主たる圧電性高分子として用いるならば、アロイの全質量を基準として少なくとも50質量%以上でポリ乳酸を含有していることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。

0122

アロイとする場合のポリ乳酸以外のポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート共重合体、ポリメタクリレート等が好適な例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、本発明で目的とする圧電性を奏する限り、どのようなポリマーを用いてもよい。

0123

圧電性繊維200Aはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μm〜1mmである。マルチフィラメントの場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。ただし、圧電性繊維200Aの繊度や本数については、組紐を作製する際のキャリア1つあたりの繊度、本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の圧電性繊維200Aと数えるものとする。ここで、キャリア1つの中に、圧電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。

0124

このような圧電性高分子を圧電性繊維200Aとするためには、高分子から繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができる。例えば、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法、フィルムを形成した後に細くカットする手法、などを採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。さらに、繊維を形成後には形成された繊維を延伸する。それにより一軸延伸配向しかつ結晶を含む大きな圧電性を示す圧電性繊維200Aが形成される。

0125

また、圧電性繊維200Aは、上記のように作製されたものを組紐とする前に、染色、撚糸合糸熱処理などの処理をすることができる。

0126

さらに、圧電性繊維200Aは、組紐を形成する際に繊維同士が擦れ断糸したり、毛羽が出たりする場合があるため、その強度と耐摩耗性は高い方が好ましく、強度は1.5cN/dtex以上であることが好ましく、2.0cN/dtex以上であることがより好ましく、2.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、3.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。耐摩耗性は、JIS L1095:2010 9.10.2 B法などで評価することができ、摩擦回数は100回以上が好ましく、1000回以上であることがより好ましく、5000回以上であることがさらに好ましく、10000回以上であることが最も好ましい。耐摩耗性を向上させるための方法は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を用いることができ、例えば、結晶化度を向上させたり、微粒子を添加したり、表面加工したりすることができる。また、組紐に加工する際に、繊維に潤滑剤を塗布して摩擦を低減させることもできる。

0127

また、圧電性繊維の収縮率は、前述した導電性繊維の収縮率との差が小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を後述の沸水収縮率定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および導電性繊維の沸水収縮率S(c)が下記式(4)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(c)|≦10 (4)
上記式(4)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。

0128

また、圧電性繊維の収縮率は、導電性繊維以外の繊維、例えば絶縁性繊維の収縮率との差も小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および絶縁性繊維の沸水収縮率S(i)が下記式(5)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(i)|≦10 (5)
上記式(5)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。

0129

また、圧電性繊維の収縮率は小さい方が好ましい。例えば収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の収縮率は15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。収縮率を下げる手段としては、公知のあらゆる方法を適用することができ、例えば、熱処理により非晶部の配向緩和や結晶化度を上げることにより収縮率を低減することができ、熱処理を実施するタイミングは特に限定されず、延伸後、撚糸後、組紐化後、布帛化後などが挙げられる。なお、上述の沸水収縮率は以下の方法で測定するものとする。枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの荷重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定した。その後、このカセを100℃の沸騰水浴中で30分間処理後、放冷し再び上記荷重を掛けてスケール板に吊るし収縮後のカセ長Lを測定した。測定されたL0およびLを用いて下記式(6)により沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%) (6)

0130

(被覆)
導電性繊維200B、すなわち芯部2003は、圧電性繊維200A、すなわち組紐状の鞘部2002で表面が被覆されている。導電性繊維200Bを被覆する鞘部2002の厚みは1μm〜10mmであることが好ましく、5μm〜5mmであることがより好ましく、10μm〜3mmであることがさらに好ましい、20μm〜1mmであることが最も好ましい。薄すぎると強度の点で問題となる場合があり、また、厚すぎると組紐状圧電素子2001が硬くなり変形し難くなる場合がある。なお、ここで言う鞘部2002とは芯部2003に隣接する層のことを指す。

0131

組紐状圧電素子2001において、鞘部2002の圧電性繊維200Aの総繊度は、芯部2003の導電性繊維200Bの総繊度の1/2倍以上、20倍以下であることが好ましく、1倍以上、15倍以下であることがより好ましく、2倍以上、10倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維200Aの総繊度が導電性繊維200Bの総繊度に対して小さ過ぎると、導電性繊維200Bを囲む圧電性繊維200Aが少な過ぎて導電性繊維200Bが十分な電気信号を出力できず、さらに導電性繊維200Bが近接する他の導電性繊維に接触するおそれがある。圧電性繊維200Aの総繊度が導電性繊維200Bの総繊度に対して大き過ぎると、導電性繊維200Bを囲む圧電性繊維200Aが多過ぎて組紐状圧電素子2001が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子2001がセンサーとして十分に機能しなくなる。
ここでいう総繊度とは、鞘部2002を構成する圧電性繊維200A全ての繊度の和であり、例えば、一般的な8打組紐の場合には、8本の繊維の繊度の総和となる。

0132

また、組紐状圧電素子2001において、鞘部2002の圧電性繊維200Aの一本あたりの繊度は、導電性繊維200Bの総繊度の1/20倍以上、2倍以下であることが好ましく、1/15倍以上、1.5倍以下であることがより好ましく、1/10倍以上、1倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維200A一本あたりの繊度が導電性繊維200Bの総繊度に対して小さ過ぎると、圧電性繊維200Aが少な過ぎて導電性繊維200Bが十分な電気信号を出力できず、さらに圧電性繊維200Aが切断するおそれがある。圧電性繊維200A一本あたりの繊度が導電性繊維200Bの総繊度に対して大き過ぎると、圧電性繊維200Aが太過ぎて組紐状圧電素子2001が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子2001がセンサーとして十分に機能しなくなる。

0133

なお、導電性繊維200Bに金属繊維を用いた場合や、金属繊維を導電性繊維200Bあるいは圧電性繊維200Aに混繊した場合は、繊度の比率は上記の限りではない。本発明において、上記比率は、接触面積や被覆率、すなわち、面積および体積の観点で重要であるからである。例えば、それぞれの繊維の比重が2を超えるような場合には、繊維の平均断面積の比率が上記繊度の比率であることが好ましい。

0134

圧電性繊維200Aと導電性繊維200Bとはできるだけ密着していることが好ましいが、密着性を改良するために、導電性繊維200Bと圧電性繊維200Aとの間にアンカー層や接着層などを設けてもよい。

0135

被覆の方法は導電性繊維200Bを芯糸として、その周りに圧電性繊維200Aを組紐状に巻きつける方法が取られる。一方、圧電性繊維200Aの組紐の形状は、印加された荷重で生じる応力に対して電気信号を出力することが出来れば特に限定されるものではないが、芯部2003を有する8打組紐や16打組紐が好ましい。

0136

導電性繊維200Bと圧電性繊維200Aの形状としては特に限定されるものではないが、できるだけ同心円状に近いことが、好ましい。なお、導電性繊維200Bとしてマルチフィラメントを用いる場合、圧電性繊維200Aは、導電性繊維200Bのマルチフィラメントの表面(繊維周面)の少なくとも一部が接触しているように被覆していればよく、マルチフィラメントを構成するすべてのフィラメント表面(繊維周面)に圧電性繊維200Aが被覆していてもよいし、被覆していなくともよい。導電性繊維200Bのマルチフィラメントを構成する内部の各フィラメントへの圧電性繊維200Aの被覆状態は、圧電性素子としての性能、取扱い性等を考慮して、適宜設定すればよい。

0137

本発明の組紐状圧電素子2001は、その表面に電極を存在させる必要が無いため、組紐状圧電素子2001自体をさらに被覆する必要がなく、また、誤動作しにくいという利点がある。

0138

(製造方法)
本発明の組紐状圧電素子2001は少なくとも1本の導電性繊維200Bの表面を組紐状の圧電性繊維200Aで被覆しているが、その製造方法としては例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、導電性繊維200Bと圧電性繊維200Aを別々の工程で作製し、導電性繊維200Bに圧電性繊維200Aを組紐状に巻きつけて被覆する方法である。この場合には、できるだけ同心円状に近くなるように被覆することが好ましい。

0139

この場合、圧電性繊維200Aを形成する圧電性高分子としてポリ乳酸を用いる場合の好ましい紡糸、延伸条件として、溶融紡糸温度は150℃〜250℃が好ましく、延伸温度は40℃〜150℃が好ましく、延伸倍率は1.1倍から5.0倍が好ましく、結晶化温度は80℃〜170℃が好ましい。

0140

導電性繊維200Bに巻きつける圧電性繊維200Aとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。また、圧電性繊維200Aを巻きつけられる導電性繊維200Bとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。

0141

被覆の好ましい形態としては、導電性繊維200Bを芯糸とし、その周囲に圧電性繊維200Aを組紐状に製紐して、丸打組物(Tubular Braid)を作製することで被覆することができる。より具体的には芯部2003を有する8打組紐や16打組紐が挙げられる。ただし、例えば、圧電性繊維200Aを編組チューブのような形態とし、導電性繊維200Bを芯として当該編組チューブに挿入することで被覆してもよい。

0142

以上のような製造方法により、導電性繊維200Bの表面を組紐状の圧電性繊維200Aで被覆した組紐状圧電素子2001を得ることができる。

0143

本発明の組紐状圧電素子2001は、表面に電気信号を検出するための電極の形成を必要としないため、比較的簡単に製造することができる。

0144

(保護層)
本発明の組紐状圧電素子2001の最表面には保護層を設けてもよい。この保護層は絶縁性であることが好ましく、フレキシブル性などの観点から高分子からなるものがより好ましい。保護層に絶縁性を持たせる場合には、もちろん、この場合には保護層ごと変形させたり、保護層上を擦ったりすることになるが、これらの外力が圧電性繊維200Aまで到達し、その分極を誘起できるものであれば特に限定はない。保護層としては、高分子などのコーティングによって形成されるものに限定されず、フィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよく、あるいは、それらが組み合わされたものであってもよい。

0145

保護層の厚みとしては出来るだけ薄い方が、せん断応力を圧電性繊維200Aに伝えやすいが、薄すぎると保護層自体が破壊される等の問題が発生しやすくなるため、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは50nm〜50μm、さらに好ましくは70nm〜30μm、最も好ましくは100nm〜10μmである。この保護層により圧電素子の形状を形成することもできる。

0146

また、ノイズ低減を目的として電磁波シールド層組紐構造取り入れることも可能である。電磁波シールド層は特に限定されるものではないが、導電性の物質をコーティングしてもよいし、導電性を有するフィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよい。電磁波シールド層の体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、電磁波シールド層の効果が得られるのであれば抵抗率はこの限りではない。この電磁波シールド層は、鞘の圧電性繊維200Aの表面に設けてもよく、前述の保護層の外側に設けてもよい。もちろん、電磁波シールド層と保護層が複数層積層されていてもよく、その順番も目的に応じて適宜決められる。

0147

さらには、圧電性繊維からなる層を複数層設けたり、信号を取り出すための導電性繊維からなる層を複数層設けたりすることもできる。もちろん、これらの保護層、電磁波シールド層、圧電性繊維からなる層、導電性繊維からなる層は、その目的に応じて、その順番および層数は適宜決められる。なお、巻付ける方法としては、鞘部2002のさらに外層に組紐構造を形成したり、カバーリングしたりする方法が挙げられる。

0148

(作用)
本発明の組紐状圧電素子2001は、例えば組紐状圧電素子2001の表面を擦るなどで、組紐状圧電素子2001に荷重が印加されて生じる応力、すなわち組紐状圧電素子2001に印加される応力について、その大きさおよび/又は印加位置を検出するセンサーとして利用することができる。また、本発明の組紐状圧電素子2001は、擦る以外の押圧力や曲げ変形などによっても圧電性繊維200Aにせん断応力が与えられるならば、電気信号を取り出すことはもちろん可能である。例えば、組紐状圧電素子2001に「印加される応力」としては、圧電素子の表面、すなわち圧電性繊維200Aの表面と指のような被接触物の表面との間の摩擦力や、圧電性繊維200Aの表面または先端部に対する垂直方向の抵抗力、圧電性繊維200Aの曲げ変形に対する抵抗力などが挙げられる。特に、本発明の組紐状圧電素子2001は、導電性繊維200Bに対して平行方向に屈曲させた場合や擦った場合に大きな電気信号を効率的に出力することができる。

0149

ここで、組紐状圧電素子2001に「印加された応力」とは、例えば表面を指で擦る程度の大きさの応力の場合、その目安としては、おおよそ1〜1000Paである。もちろん、これ以上であっても印加された応力の大きさおよびその印加位置を検出することが可能であることはいうまでもない。指などで入力する場合には、1Pa以上500Pa以下の荷重であっても動作することが好ましく、さらに好ましくは1Pa以上100Pa以下の荷重で動作することが好ましい。もちろん、500Paを超える荷重であっても動作することは、上述の通りである。

0150

(布帛状圧電素子)
図7は、第2発明に係る組紐状圧電素子を用いた布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。
布帛状圧電素子2005は、少なくとも1本の組紐状圧電素子2001を含む布帛2006を備えている。布帛2006は、布帛を構成する繊維(組紐を含む)の少なくとも1本が組紐状圧電素子2001であり、組紐状圧電素子2001が圧電素子としての機能を発揮可能である限り何らの限定は無く、どのような織編物であってもよい。布状にするにあたっては、本発明の目的を達成する限り、他の繊維(組紐を含む)と組み合わせて、交織、交編等を行ってもよい。もちろん、組紐状圧電素子2001を、布帛を構成する繊維(例えば、経糸緯糸)の一部として用いてもよいし、組紐状圧電素子2001を布帛に刺繍してもよいし、接着してもよい。図7に示す例では、布帛状圧電素子2005は、経糸として、少なくとも1本の組紐状圧電素子2001および絶縁性繊維2007を配し、緯糸として導電性繊維2008および絶縁性繊維2007を交互に配した平織物である。導電性繊維2008は導電性繊維200Bと同一種であっても異種の導電性繊維であってもよく、また絶縁性繊維2007については後述される。なお、絶縁性繊維2007及び/又は導電性繊維2008の全部又は一部が組紐形態であってもよい。

0151

この場合、布帛状圧電素子2005が曲げられるなどして変形したとき、その変形に伴い組紐状圧電素子2001も変形するので、組紐状圧電素子2001から出力される電気信号により、布帛状圧電素子2005の変形を検出できる。そして、布帛状圧電素子2005は、布帛(織編物)として用いることができるので、例えば衣類形状のウェアラブルセンサーに適用することができる。

0152

また、図7に示す布帛状圧電素子2005では、組紐状圧電素子2001に導電性繊維2008が交差して接触している。したがって、導電性繊維2008は、組紐状圧電素子2001の少なくとも一部と交差して接触し、それを覆っており、外部から組紐状圧電素子2001へ向かおうとする電磁波の少なくとも一部を遮っている、と見ることができる。このような導電性繊維2008は、接地(アース)されることにより、組紐状圧電素子2001への電磁波の影響を軽減する機能を有している。すなわち導電性繊維2008は組紐状圧電素子2001の電磁波シールドとして機能することができる。それにより、例えば布帛状圧電素子2005の上下に電磁波シールド用の導電性の布帛を重ねなくても、布帛状圧電素子2005のS/N比を著しく向上させることができる。この場合、電磁波シールドの観点から組紐状圧電素子2001と交差する緯糸(図7の場合)における導電性繊維2008の割合が高いほど好ましい。具体的には、布帛2006を形成する繊維であり且つ組紐状圧電素子2001と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。このように布帛状圧電素子2005において、布帛を構成する繊維の少なくとも一部として導電性繊維を入れることで、電磁波シールド機能付の布帛状圧電素子2005とすることができる。

0153

織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織変化組織たて二重織よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。編物の種類は、丸編物(緯編物)であってもよいし経編物であってもよい。丸編物(緯編物)の組織としては、平編ゴム編、両面編、パール編タック編浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示される。経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編ダブルコード編ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。更には、カットパイルおよび/またはループパイルからなる立毛部と地組織部とで構成される立毛織物、立毛編み物であってもよい。

0154

(複数の圧電素子)
また、布帛状圧電素子2005では、組紐状圧電素子2001を複数並べて用いることも可能である。並べ方としては、例えば経糸または緯糸としてすべてに組紐状圧電素子2001を用いてもよいし、数本ごとや一部分に組紐状圧電素子2001を用いてもよい。また、ある部分では経糸として組紐状圧電素子2001を用い、他の部分では緯糸として組紐状圧電素子2001を用いてもよい。

0155

このように組紐状圧電素子2001を複数本並べて布帛状圧電素子2005を形成するときには、組紐状圧電素子2001は表面に電極を有さないため、その並べ方、編み方が広範に選択することができるという利点がある。

0156

また、組紐状圧電素子2001を複数並べて用いる場合、導電性繊維B間の距離が短いため電気信号の取り出しにおいて効率的である。

0157

(絶縁性繊維)
布帛状圧電素子2005では、組紐状圧電素子2001(及び導電性繊維2008)以外の部分には、絶縁性繊維を使用することができる。この際、絶縁性繊維は布帛状圧電素子2005の柔軟性を向上する目的で伸縮性のある素材、形状を有する繊維を用いることができる。

0158

このように組紐状圧電素子2001(及び導電性繊維2008)以外にこのように絶縁性繊維を配置することで、布帛状圧電素子2005の操作性(例示:ウェアラブルセンサーとしての動き易さ)を向上させることが可能である。

0159

このような絶縁性繊維としては、体積抵抗率が106Ω・cm以上であれば用いることができ、より好ましくは108Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上がよい。

0160

絶縁性繊維として、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。これらに限定されるものではなく、公知の絶縁性繊維を任意に用いることができる。さらに、これらの絶縁性繊維を組み合わせて用いてもよく、絶縁性を有しない繊維と組み合わせ、全体として絶縁性を有する繊維としてもよい。

0161

また、公知のあらゆる断面形状の繊維も用いることができる。

0162

(圧電素子の適用技術)
本発明の組紐状圧電素子2001や布帛状圧電素子2005のような圧電素子はいずれの様態であっても、表面への接触、圧力、形状変化を電気信号として出力することができるので、その圧電素子に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を検出するセンサー(デバイス)として利用することができる。また、この電気信号を他のデバイスを動かすための電力源あるいは蓄電するなど、発電素子として用いることもできる。具体的には、人、動物ロボット機械など自発的に動くものの可動部に用いることによる発電靴底敷物、外部から圧力を受ける構造物の表面での発電、流体中での形状変化による発電、などが挙げられる。また、流体中での形状変化により電気信号を発するために、流体中の帯電性物質吸着させたり付着を抑制させたりすることも可能である。

0163

図8は、本発明の圧電素子を備えるデバイスを示すブロック図である。デバイス2010は、圧電素子2011(例示:組紐状圧電素子2001、布帛状圧電素子2005)と、印加された圧力に応じて圧電素子2011から出力される電気信号を増幅する増幅手段2012と、増幅手段2012で増幅された電気信号を出力する出力手段2013と、出力手段2013から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ送信する送信手段2014とを備える。このデバイス2010を用いれば、圧電素子2011の表面への接触、圧力、形状変化により出力された電気信号に基づき、外部機器(図示せず)における演算処理にて、圧電素子に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を検出することができる。あるいは、デバイス2010内に、出力手段2013から出力された電気信号に基づき圧電素子2011に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を演算する演算手段(図示せず)を設けてもよい。

0164

増幅手段2012は、例えば各種電子回路で構築されてもよく、あるいはプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムにより実装される機能モジュールとして構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等がある。また、出力手段2013は、例えば各種コネクタにて単独に構築されてもよく、あるいは送信手段2014と一体化した通信装置として構築されてもよい。またあるいは、増幅手段2012、出力手段2013および送信手段2014の機能をまとめて、ソフトウェアプログラムを書き込んだ集積回路もしくはマイクロプロセッサなどで実現してもよい。なお、送信手段2014による送信方式を無線によるもの有線によるものにするかは、構成するセンサーに応じて適宜決定すればよい。

0165

また、増幅手段だけではなく、ノイズを除去する手段や他の信号と組み合わせて処理する手段などの公知の信号処理手段を組み合わせて用いることができる。これらの手段の接続の順序は目的に応じて適宜変えることができる。もちろん、圧電素子2011から出力される電気信号をそのまま外部機器へ送信した後で信号処理してもよい。

0166

図9および図10は、実施の形態に係る組紐布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。図9および図10の増幅手段2012は、図8を参照して説明したものに相当するが、図8の出力手段2013および送信手段2014については図9および図10では図示を省略している。布帛状圧電素子2005を備えるデバイスを構成する場合、増幅手段2012の入力端子に組紐状圧電素子2001の芯部2003からの引出し線を接続し、接地(アース)端子には、増幅手段2012の入力端子に接続した組紐状圧電素子2001とは別の組紐状圧電素子または導電性繊維2008を接続する。例えば、図9に示すように、布帛状圧電素子2005において、組紐状圧電素子2001の芯部2003からの引出し線を増幅手段2012の入力端子に接続し、組紐状圧電素子2001に交差して接触した導電性繊維2008を接地(アース)する。また例えば、図10に示すように、布帛状圧電素子2005において組紐状圧電素子2001を複数並べている場合、1本の組紐状圧電素子2001の芯部2003からの引出し線を増幅手段2012の入力端子に接続し、当該組紐状圧電素子2001に並んだ別の組紐状圧電素子2001の芯部2003からの引出し線を、接地(アース)する。

0167

本発明のデバイス2010は柔軟性があり、紐状および布帛状いずれの形態でも使用できるため、非常に広範な用途が考えられる。本発明のデバイス2010の具体的な例としては、帽子手袋、靴下などを含む着衣、サポーター、ハンカチ状などの形状をした、タッチパネル、人や動物の表面感圧センサー、例えば、手袋やバンド、サポーターなどの形状をした関節部の曲げ、捩じり、伸縮感知するセンサーが挙げられる。例えば人に用いる場合には、接触や動きを検出し、医療用途などの関節などの動きの情報収集アミューズメント用途、失われた組織やロボットを動かすためのインターフェースとして用いることができる。他には、動物や人型を模したぬいぐるみやロボットの表面感圧センサー、関節部の曲げ、捩じり、伸縮を感知するセンサーとして用いることができる。他には、シーツなどの寝具、靴底、手袋、椅子、敷物、袋、などの表面感圧センサーや形状変化センサーとして用いることができる。

0168

さらに、本発明のデバイス2010は組紐状あるいは布帛状であり、柔軟性があるので、あらゆる構造物の全体あるいは一部の表面に貼付あるいは被覆することにより表面感圧センサー、形状変化センサーとして用いることができる。

0169

さらに、本発明のデバイス2010は、組紐状圧電素子2001の表面を擦るだけで十分な電気信号を発生することができるので、タッチセンサーのようなタッチ式入力装置やポインティングデバイスなどに用いることができる。また、組紐状圧電素子2001で被計測物の表面を擦ることによって被計測物の高さ方向の位置情報や形状情報を得ることができるので、表面形状計測などに用いることができる。

0170

以下、第3発明について詳細に説明する。
(組紐状圧電素子)
図12は実施形態に係る組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。
組紐状圧電素子3001は、導電性繊維300Bで形成された芯部3003と、芯部3003を被覆するように組紐状の圧電性繊維300Aで形成された鞘部3002と、鞘部3002を被覆する導電層3004とを備えている。

0171

導電層3004による鞘部3002の被覆率は25%以上が好ましい。ここで被覆率とは、導電層3004を鞘部3002へ投影した際の導電層3004に含まれる導電性物質3005の面積と鞘部3002の表面積の比率であり、その値は25%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。導電層3004の被覆率が25%を下回るとノイズ信号の抑制効果が十分に発揮されない場合がある。導電性物質3005が導電層3004の表面へ露出していない場合、例えば導電性物質3005を内包する繊維を導電層3004として使用して鞘部3002を被覆している場合は、その繊維の鞘部3002へ投影した際の面積と鞘部3002の表面積の比率を被覆率とすることができる。

0172

導電性物質3005とは、導電層3004に含まれる導電性物質のことであり、公知のあらゆるものが該当する。

0173

組紐状圧電素子3001では、少なくとも一本の導電性繊維300Bの外周面を多数の圧電性繊維300Aが緻密に取り巻いている。特定の理論に束縛されるものではないが、組紐状圧電素子3001に変形が生じると、多数の圧電性繊維300Aそれぞれに変形による応力が生じ、それにより多数の圧電性繊維300Aそれぞれに電場が生じ(圧電効果)、その結果、導電性繊維300Bを取り巻く多数の圧電性繊維300Aの電場を重畳した電圧変化が導電性繊維300Bに生じるものと推測される。すなわち圧電性繊維300Aの組紐状の鞘部3002を用いない場合と比較して導電性繊維300Bからの電気信号が増大する。それにより、組紐状圧電素子3001では、比較的小さな変形で生じる応力によっても、大きな電気信号を取り出すことが可能となる。なお、導電性繊維300Bは複数本であってもよい。

0174

ここで、圧電性繊維300Aは主成分としてポリ乳酸を含むことが好ましい。「主成分として」とは、圧電性繊維300Aの成分のうち最も多い成分がポリ乳酸であるとの意味である。ポリ乳酸中の乳酸ユニットは90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。

0175

また、導電性繊維300Bに対する圧電性繊維300Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である。すなわち、導電性繊維300B(芯部3003)の中心軸CLの方向に対して、圧電性繊維300Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である。ただし、本実施形態では、導電性繊維300Bの中心軸CLは、圧電性繊維300Aの組紐(鞘部3002)の中心軸(以下、「組紐軸」ともいう。)と重なることから、圧電性繊維300Aの組紐軸の方向に対して、圧電性繊維300Aの巻きつけ角度αは15°以上、75°以下である、ということもできる。より大きな電気信号を取り出す観点からは、角度αは25°以上、65°以下であることが好ましく、35°以上、55°以下であることがより好ましく、40°以上、50°以下であることがさらに好ましい。角度αがこの角度範囲を外れると、圧電性繊維300Aに生じる電界が著しく低下し、それにより導電性繊維300Bで得られる電気信号が著しく低下してしまうからである。
なお、上記角度αについては、鞘部3002を形成する圧電性繊維300Aの主方向と導電性繊維300Bの中心軸CLとのなす角ともいうことができ、圧電性繊維300Aの一部が弛んでいたり、毛羽だっていてもよい。

0176

ここで、圧電性繊維300Aに生じる電界が著しく低下する理由は以下のとおりである。圧電性繊維300Aはポリ乳酸を主成分とし、圧電性繊維300Aの繊維軸の方向に一軸配向している。ここで、ポリ乳酸は、その配向方向(この場合には圧電性繊維300Aの繊維軸の方向)に対してせん断応力が生じた場合に電界を生じるが、その配向方向に対して引張応力や圧縮応力が生じた場合に電界をあまり生じない。したがって、組紐軸の方向に平行に変形したときに圧電性繊維300Aにせん断応力が生じるようにするためには、圧電性繊維300A(ポリ乳酸)の配向方向が組紐軸に対して所定の角度範囲にあることがよいと推測される。

0177

なお、組紐状圧電素子3001では、本発明の目的を達成する限り、鞘部3002では圧電性繊維300A以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよいし、芯部3003では導電性繊維300B以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよい。

0178

導電性繊維300Bの芯部3003と、組紐状の圧電性繊維300Aの鞘部3002と、鞘部3002を被覆する導電層3004とで構成される組紐状圧電素子の長さは特に限定はない。例えば、その組紐状圧電素子は製造において連続的に製造され、その後に必要な長さに切断して利用してもよい。組紐状圧電素子の長さは1mm〜10m、好ましくは、5mm〜2m、より好ましくは1cm〜1mである。長さが短過ぎると繊維形状である利便性が失われ、また、長さが長過ぎると導電性繊維300Bの抵抗値を考慮する必要が出てくるであろう。

0179

以下、各構成について詳細に説明する。
(導電性繊維)
導電性繊維300Bとしては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられる。導電性繊維300Bとしては、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。

0180

金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。

0181

ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウム、酸化インジウム錫、硫化銅など、およびこれらの混合物や合金などを用いることができる。

0182

導電性繊維300Bに屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電素子を用いたセンサーとしての耐久性や安全性に優れる。

0183

導電性繊維300Bはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。マルチフィラメントの方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントの場合、フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。ただし、導電性繊維300Bの繊度・本数とは、組紐を作製する際に用いる芯部3003の繊度・本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の導電性繊維300Bと数えるものとする。ここで芯部3003とは、導電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。

0184

繊維の直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維300Bの断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。

0185

また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10-1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10-2Ω・cm以下、さらに好ましくは10-3Ω・cm以下である。ただし、電気信号の検出で十分な強度が得られるのであれば導電性繊維300Bの抵抗率はこの限りではない。

0186

導電性繊維300Bは、本発明の用途から、繰り返しの曲げやねじりといった動きに対して耐性がなければならない。その指標としては、結節強さが、より大きいものが好まれる。結節強さはJIS L1013:2010 8.6の方法で測定することができる。本発明に適当な結節強さの程度としては、0.5cN/dtex以上であることが好ましく、1.0cN/dtex以上であることがより好ましく、1.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、2.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。また、別の指標としては、曲げ剛性が、より小さいものが好まれる。曲げ剛性は、カトーテック(株)製KES—FB2純曲げ試験機などの測定装置で測定されるのが一般的である。本発明に適当な曲げ剛性の程度としては、東邦テナックス(株)製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)HTS40−3Kよりも小さいほうが好ましい。具体的には、導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10-4N・m2/m以下であることが好ましく、0.02×10-4N・m2/m以下であることがより好ましく、0.01×10-4N・m2/m以下であることがさらに好ましい。

0187

(圧電性繊維)
圧電性繊維300Aの材料である圧電性高分子としてはポリフッ化ビニリデンやポリ乳酸のような圧電性を示す高分子を利用できるが、本実施形態では上記のように圧電性繊維300Aは主成分としてポリ乳酸を含むことが好適である。ポリ乳酸は、例えば溶融紡糸後に延伸によって容易に配向して圧電性を示し、ポリフッ化ビニリデンなどで必要となる電界配向処理が不要な点で生産性に優れている。しかしこのことは、本発明を実施するに際してポリフッ化ビニリデンその他の圧電性材料の使用を排除することを意図するものではない。

0188

ポリ乳酸としては、その結晶構造によって、L−乳酸、L−ラクチドを重合してなるポリ−L−乳酸、D−乳酸、D−ラクチドを重合してなるポリ−D−乳酸、さらに、それらのハイブリッド構造からなるステレオコンプレックスポリ乳酸などがあるが、圧電性を示すものであればいずれも利用できる。圧電率の高さの観点で好ましくは、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸である。ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸はそれぞれ、同じ応力に対して分極が逆になるために、目的に応じてこれらを組み合わせて使用することも可能である。

0189

ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維300Aの形状変化よって十分な電気信号を得ることが難しくなる場合がある。特に、圧電性繊維300Aは、主成分としてポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度が99%以上であることが好ましい。

0190

ポリ乳酸を主成分とする圧電性繊維300Aは、製造時に延伸されて、その繊維軸方向に一軸配向している。さらに、圧電性繊維300Aは、その繊維軸方向に一軸配向しているだけでなく、ポリ乳酸の結晶を含むものであることが好ましく、一軸配向したポリ乳酸の結晶を含むものであることがより好ましい。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶性が高いことおよび一軸配向していることでより大きな圧電性を示すためである。

0191

結晶性および一軸配向性はホモPLA結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)で求められる。本発明の圧電性繊維Aとしては、ホモPLA結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
Xhomo×Ao×Ao÷106≧0.26 (1)
上記式(1)を満たさない場合、結晶性および/または一軸配向性が十分でなく、動作に対する電気信号の出力値が低下したり、特定方向の動作に対する信号の感度が低下したりするおそれがある。上記式(1)の左辺の値は、0.28以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。ここで、各々の値は下記に従って求める。

0192

ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo:
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求める。広角X線回折分析(WAXD)では、リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形をイメージングプレートに記録する。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカルミラー)
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする。
得られるX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣIHMiを求める。これらの値から下式(2)に従い、ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoを求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (2)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出する。

0193

(2)結晶配向度Ao:
結晶配向度Aoについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られるX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅の総計ΣWi(°)から次式(3)より算出する。
結晶配向度Ao(%)=(360−ΣWi)÷360×100 (3)

0194

なお、ポリ乳酸は加水分解が比較的速いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤、可塑剤、光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。

0195

また、ポリ乳酸は他のポリマーとのアロイとして用いてもよいが、ポリ乳酸を主たる圧電性高分子として用いるならば、アロイの全質量を基準として少なくとも50質量%以上でポリ乳酸を含有していることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。

0196

アロイとする場合のポリ乳酸以外のポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート共重合体、ポリメタクリレート等が好適な例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、本発明で目的とする圧電性を奏する限り、どのようなポリマーを用いてもよい。

0197

圧電性繊維300Aはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μm〜1mmである。マルチフィラメントの場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。ただし、圧電性繊維300Aの繊度や本数については、組紐を作製する際のキャリア1つあたりの繊度、本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の圧電性繊維300Aと数えるものとする。ここで、キャリア1つの中に、圧電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。

0198

このような圧電性高分子を圧電性繊維300Aとするためには、高分子から繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができる。例えば、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法、フィルムを形成した後に細くカットする手法、などを採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。さらに、繊維を形成後には形成された繊維を延伸する。それにより一軸延伸配向しかつ結晶を含む大きな圧電性を示す圧電性繊維300Aが形成される。

0199

また、圧電性繊維300Aは、上記のように作製されたものを組紐とする前に、染色、撚糸、合糸、熱処理などの処理をすることができる。

0200

(3)
さらに、圧電性繊維300Aは、組紐を形成する際に繊維同士が擦れて断糸したり、毛羽が出たりする場合があるため、その強度と耐摩耗性は高い方が好ましく、強度は1.5cN/dtex以上であることが好ましく、2.0cN/dtex以上であることがより好ましく、2.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、3.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。耐摩耗性は、JIS L1095:2010 9.10.2 B法などで評価することができ、摩擦回数は100回以上が好ましく、1000回以上であることがより好ましく、5000回以上であることがさらに好ましく、10000回以上であることが最も好ましい。耐摩耗性を向上させるための方法は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を用いることができ、例えば、結晶化度を向上させたり、微粒子を添加したり、表面加工したりすることができる。また、組紐に加工する際に、繊維に潤滑剤を塗布して摩擦を低減させることもできる。

0201

また、圧電性繊維の収縮率は、前述した導電性繊維の収縮率との差が小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を後述の沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および導電性繊維の沸水収縮率S(c)が下記式(4)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(c)|≦10 (4)
上記式(4)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。

0202

また、圧電性繊維の収縮率は、導電性繊維以外の繊維、例えば絶縁性繊維の収縮率との差も小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および絶縁性繊維の沸水収縮率S(i)が下記式(5)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(i)|≦10 (5)
上記式(5)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。

0203

また、圧電性繊維の収縮率は小さい方が好ましい。例えば収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の収縮率は15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。収縮率を下げる手段としては、公知のあらゆる方法を適用することができ、例えば、熱処理により非晶部の配向緩和や結晶化度を上げることにより収縮率を低減することができ、熱処理を実施するタイミングは特に限定されず、延伸後、撚糸後、組紐化後、布帛化後などが挙げられる。なお、上述の沸水収縮率は以下の方法で測定するものとする。枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの荷重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定した。その後、このカセを100℃の沸騰水浴中で30分間処理後、放冷し再び上記荷重を掛けてスケール板に吊るし収縮後のカセ長Lを測定した。測定されたL0およびLを用いて下記式(6)により沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%) (6)

0204

(被覆)
導電性繊維300B、すなわち芯部3003は、圧電性繊維300A、すなわち組紐状の鞘部3002で表面が被覆されている。導電性繊維300Bを被覆する鞘部3002の厚みは1μm〜10mmであることが好ましく、5μm〜5mmであることがより好ましく、10μm〜3mmであることがさらに好ましい、20μm〜1mmであることが最も好ましい。薄すぎると強度の点で問題となる場合があり、また、厚すぎると組紐状圧電素子3001が硬くなり変形し難くなる場合がある。なお、ここで言う鞘部3002とは芯部3003に隣接する層のことを指す。

0205

組紐状圧電素子3001において、鞘部3002の圧電性繊維300Aの総繊度は、芯部3003の導電性繊維300Bの総繊度の1/2倍以上、20倍以下であることが好ましく、1倍以上、15倍以下であることがより好ましく、2倍以上、10倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維300Aの総繊度が導電性繊維300Bの総繊度に対して小さ過ぎると、導電性繊維300Bを囲む圧電性繊維300Aが少な過ぎて導電性繊維300Bが十分な電気信号を出力できず、さらに導電性繊維300Bが近接する他の導電性繊維に接触するおそれがある。圧電性繊維300Aの総繊度が導電性繊維300Bの総繊度に対して大き過ぎると、導電性繊維300Bを囲む圧電性繊維300Aが多過ぎて組紐状圧電素子3001が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子3001がセンサーとして十分に機能しなくなる。
ここでいう総繊度とは、鞘部3002を構成する圧電性繊維300A全ての繊度の和であり、例えば、一般的な8打組紐の場合には、8本の繊維の繊度の総和となる。

0206

また、組紐状圧電素子3001において、鞘部3002の圧電性繊維300Aの一本あたりの繊度は、導電性繊維300Bの総繊度の1/20倍以上、2倍以下であることが好ましく、1/15倍以上、1.5倍以下であることがより好ましく、1/10倍以上、1倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維300A一本あたりの繊度が導電性繊維300Bの総繊度に対して小さ過ぎると、圧電性繊維300Aが少な過ぎて導電性繊維300Bが十分な電気信号を出力できず、さらに圧電性繊維300Aが切断するおそれがある。圧電性繊維300A一本あたりの繊度が導電性繊維300Bの総繊度に対して大き過ぎると、圧電性繊維300Aが太過ぎて組紐状圧電素子3001が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子3001がセンサーとして十分に機能しなくなる。

0207

なお、導電性繊維300Bに金属繊維を用いた場合や、金属繊維を導電性繊維300Bあるいは圧電性繊維300Aに混繊した場合は、繊度の比率は上記の限りではない。本発明において、上記比率は、接触面積や被覆率、すなわち、面積および体積の観点で重要であるからである。例えば、それぞれの繊維の比重が2を超えるような場合には、繊維の平均断面積の比率が上記繊度の比率であることが好ましい。

0208

圧電性繊維300Aと導電性繊維300Bとはできるだけ密着していることが好ましいが、密着性を改良するために、導電性繊維300Bと圧電性繊維300Aとの間にアンカー層や接着層などを設けてもよい。

0209

被覆の方法は導電性繊維300Bを芯糸として、その周りに圧電性繊維300Aを組紐状に巻きつける方法が取られる。一方、圧電性繊維300Aの組紐の形状は、印加された荷重で生じる応力に対して電気信号を出力することが出来れば特に限定されるものではないが、芯部3003を有する8打組紐や16打組紐が好ましい。

0210

導電性繊維300Bと圧電性繊維300Aの形状としては特に限定されるものではないが、できるだけ同心円状に近いことが、好ましい。なお、導電性繊維300Bとしてマルチフィラメントを用いる場合、圧電性繊維300Aは、導電性繊維300Bのマルチフィラメントの表面(繊維周面)の少なくとも一部が接触しているように被覆していればよく、マルチフィラメントを構成するすべてのフィラメント表面(繊維周面)に圧電性繊維300Aが被覆していてもよいし、被覆していなくともよい。導電性繊維300Bのマルチフィラメントを構成する内部の各フィラメントへの圧電性繊維Aの被覆状態は、圧電性素子としての性能、取扱い性等を考慮して、適宜設定すればよい。

0211

本発明の組紐状圧電素子3001は、その表面に電極を存在させる必要が無いため、組紐状圧電素子3001自体をさらに被覆する必要がなく、また、誤動作しにくいという利点がある。

0212

(導電層)
導電層3004の様態としては、コーティングの他、フィルム、布帛、繊維の巻き付けが考えられ、またそれらを組み合わせてもよい。

0213

導電層3004を形成するコーティングには導電性を示す物質を含むものが使用されていればよく、公知のあらゆるものが用いられる。例えば、金属、導電性高分子、導電性フィラーを分散させた高分子が挙げられる。

0214

導電層3004をフィルムの巻き付けにより形成する場合は、導電性高分子、導電性フィラーを分散させた高分子を製膜して得られるフィルムが用いられ、また表面に導電性を有する層を設けたフィルムが用いられてもよい。

0215

導電層3004を布帛の巻き付けにより形成する場合は、後述する導電性繊維3006を構成成分とする布帛が用いられる。

0216

導電層3004を繊維の巻き付けにより形成する場合、その手法としては、カバーリング、編物、組物が考えられる。また、使用する繊維は、導電性繊維3006であり、導電性繊維3006は、上記導電性繊維300Bと同一種であっても異種の導電性繊維であってもよい。導電性繊維3006としては、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。

0217

金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。

0218

ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウム、酸化インジウム錫、硫化銅など、およびこれらの混合物や合金などを用いることができる。

0219

導電性繊維3006に屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電素子を用いたセンサーとしての耐久性や安全性に優れる。

0220

導電性繊維3006はフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。マルチフィラメントの方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントの場合、フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。

0221

繊維の直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維3006の断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。

0222

また、ノイズ信号の抑制効果を高めるため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10-1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10-2Ω・cm以下、さらに好ましくは10-3Ω・cm以下である。ただし、ノイズ信号の抑制効果が得られるのであれば抵抗率はこの限りではない。

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