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図面 (20)

課題

創傷治癒の方法と組成物の提供。

解決手段

ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを製造するプロセスであって、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することと、b)生物活性ナノスケールポリマー層をもたらすように前記ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入することと、c)前記生物活性ナノスケールポリマー層上に第2のポリマー層を形成することと、d)前記生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した第2のポリマー層を含む前記ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを前記基材から取り外すことと、を含む、プロセス。

概要

背景

創傷治療主要目的は、創傷閉鎖を完了させることである。開放皮膚創傷は、創傷の一主要範疇を成し、例えば、熱創傷、化学的(特にアルカリ性)熱創傷から生じる創傷、肉体外傷から生じる創傷、神経障害性潰瘍褥瘡静脈うっ血性潰瘍、及び糖尿病性潰瘍が挙げられる。開放皮膚創傷は、通常、次の6つの主要構成要素を含む過程によって治癒する:i)炎症、ii)線維芽細胞増殖、iii)血管増殖、iv)結合組織合成、v)上皮化、vi)創傷収縮創傷治癒は、これらの構成要素が、個別的にか全体的にか、いずれにしても適正に機能しないときに、障害される。例えば、栄養障害、様々な原因による全身衰弱創傷感染前駆細胞局所性欠乏、局所性及び/又は全身性薬剤(例えば、多くの化学療法剤アクチノマイシン、及びステロイド)、反復性局所性外傷、糖尿病及び他の内分泌代謝性疾患(例えば、クッシング病)、並びに高齢等、但し、それに限定されない多くの要因が創傷治癒に影響を与え得る(Hunt and Goodson,1988,Current Surgical Diagnosis & Treatment,Appleton & Lange,pp.86−98)。加えて、惹起の原因にかかわらず、大きさの広がった創傷は、表面の完全性復元するために再上皮化しなければならない表面積が大きいため、特別な困難を呈する。

創傷治癒が遅れると、糖尿病をもった対象に相当の罹患を引き起こす。糖尿病は、多くの器官に損傷を与える、グルコース代謝及びホメオスタシス慢性疾患である。それは、米国では主要死亡原因の第8位である(Harris et al.,1987,Diabetes 36:523)。糖尿病をもった個人では、血管性疾患神経障害、感染、及び反復性外傷によって四肢、特に足に病的変化が生じやすくなる。これらの病的変化は、最終的に慢性潰瘍つながり、切断を必要とする可能性がある。慢性創傷、及び病的又は調節不全となった治癒での創傷は、健康上の大きな負担及び医療財源の消耗を意味する。慢性創傷は、患者の肉体的及び精神的健康生産性罹患率死亡率、及び治療費に大きな影響を与える。最も一般的なタイプの慢性創傷は、全身性疾患、例えば、糖尿病や、静脈性高血圧等の血管性障害によって、また、動かないことによって誘発される褥瘡によって引き起こされ、これらで全慢性創傷の70%を占める。慢性創傷の罹患率に関する統計は種々あるが、複数の研究の報告によると、人口の0.2%〜1%が静脈性潰瘍を、0.5%が圧迫潰瘍を患っており、糖尿病をもつ人々の5%〜10%が神経障害性潰瘍を経験している、とのことである。米国における慢性創傷の経済的影響は、こういった状況に関してだけでも、年間150億ドルを優に超えると見積もられている。人口が高齢化するにともない、糖尿病の症例は増加し、これら患者の慢性創傷に付随する問題の重大さも増すであろう。

通常の創傷治癒は、線維芽細胞、血管性細胞細胞外マトリックス、及び上皮細胞の間の調和相互作用を含む極めて複雑な過程であり、その結果、炎症性反応、創傷修復拘縮、及び上皮性関門による被覆を経る途切れない進行のようなものとなっている。しかしながら、多くの患者においては、局所性創傷環境又は全身性疾患又は他の要因のいずれかにより、創傷治癒過程が、非同時性(即ち、前の細胞的事象に付随する引き金機構との接続性喪失)になり得て、閉鎖にまで進行することができず、慢性潰瘍という結果になる。

容易に治癒しない創傷は、多額の財務費用だけでなく、相当な肉体的、感情的、及び社会的苦悩を対象に引き起こす(Richey et al.,1989,Annals of Plastic Surgery 23:159)。正しく治癒できず、感染する創傷は、実際、患部組織切除を必要とすることがある。創傷及び創傷治癒機序に対する科学者の基本的な理解が進むに従い、多くの治療法が開発されてきた。

創傷治癒の助けとなる最も一般的に用いられる従来方法は、創傷被覆材の使用を伴う。1960年代に、湿潤閉鎖性被覆材を使った創傷治癒が、概して、乾燥した非閉鎖性被覆材よりも効果的であるということが発見された時に、創傷の手当てにおける主要な飛躍進展が起こった(Winter,1962,Nature 193:293)。今日、多くの種類の被覆材日常的に用いられ、例えば、フィルム(例えば、ポリウレタンフィルム)、親水コロイドポリウレタン発泡体に結合した親水性コロイド性粒子)、ハイドロゲル(少なくとも約60%の水分を含有する架橋ポリマー)、発泡体親水性又は疎水性)、アルギン酸カルシウム(アルギン酸カルシウム由来繊維の不織複合物)、及びセロファン可塑剤を使ったセルロース)が挙げられる(Kannon and Garrett,1995,Dermatol.Surg.21:583;Davies,1983,Burns 10:94)。残念ながら、或る種の創傷(例えば、糖尿病性潰瘍、褥瘡)と、或る種の対象(例えば、外因性副腎皮質ステロイド使用者)の創傷は、かかる被覆材の使用では、適時性をもって治癒しない(又は全く治癒しない)。

また、いくつかの薬物療法が、創傷治癒を改善する試みの中で利用されてきた。例えば、医師の中には、硫酸亜鉛を伴う治療計画を利用したものもいる。しかしながら、これらの治療計画の有効性は、それが亜正常血清亜鉛ベルの効果(例えば、宿主抵抗性の減少や細胞内殺菌力の変化)を逆転させることに主に因るものとされてきた(Riley,1981,Am.Fam.Physician 24:107)。他のビタミン及びミネラル欠乏症状もまた創傷治癒の低下に関連づけられてきたが(例えば、ビタミンA、C、D、並びにカルシウムマグネシウム、銅、及び鉄の欠乏症)、これらの物質血清レベルをその通常のレベルよりも上に増加させることが創傷治癒を実際に向上させるという有力な証拠はない。こうして、非常に限られた状況において以外、これらの剤を用いた創傷治癒の促進は、殆ど成功を見ていない。

調節不全創傷の治癒を促進するために用いられる現行臨床的方法としては、機械的外傷からの創傷床の保護(例えば、副子固定包帯法)、表面微生物負荷創傷病原体(例えば、スルファジアジン銀)を広く阻害する抗生物質抗菌ペプチドバクテリオファージ防腐剤、及び他の抗菌性化合物)の細かい調節と可溶性細胞活性因子上皮成長因子−EGF、外因性細胞マトリックス成分、例えばフィブロネクチンを例として、但し、それに限定されない成長因子等)の局所的適用との組合せ、創縁又は創傷床全体の外科的切除、並びに、組織皮弁及び/又は自家移植片同種移植片、及び異種移植片の外科的配置、が挙げられる。これらの方法の全ては、最も難易度の高い創傷の多くでは、最適治癒条件を促進するまでに至らない。これらの伝統的方法の失敗の原因となっている主な要因は、多くの症例で症状が長引いた大きな原因であると示されてきた、創傷床自体の内因性化学/構造を、伝統的方法は変化させないという事実である。加えて、全ての創傷を治療するのに単一の要因又は一連の要因を用いる伝統的な方法は、創傷床自体に見られる大きな不均一性と、個々の分子活性を頻繁に調節する一群シグナル分子を含有する創傷自体の複雑な環境とのために、しばしば不充分である。

広域スペクトル殺菌剤のうち、銀は、銀に対する菌耐性を発生させる可能性が非常に低いと考えられ、したがって、殺菌剤として継続的に使用することができるので、特に好都合であると考えられる。しかしながら、銀を殺菌剤として創傷治療に応用する現在利用可能な方法は、充分ではない。例えば、0.5%硝酸銀溶液は、創傷表面炎症を低減する有利な効果を提供する、局所的熱創傷治療法に標準的で人気のある剤である。しかしながら、かかる製剤は高濃度の銀を有し、残効性がなく、頻繁な適用(例えば、1日に12回まで)を必要とし、臨床の諸設定において物資調達業務上厳しい負担を強いる。0.5%硝酸銀溶液の使用を通して放出される銀イオンは、2時間以内に、塩化物によって化学複合体を形成し、急速に不活性となる。頻繁に被覆材を用いることはまた、多量に過剰な銀が創傷に送られる結果となり、創傷変色及び有毒作用を引き起こす(Dunn et al.,2004,Burns 30(supplement 1):S1;なお、この文献はその全体が参照によって本明細書に援用されるものとする)。加えて、硝酸は、創傷及び哺乳類細胞に有毒である。硝酸の亜硝酸塩への還元はさらに、酸化誘導性の損傷を細胞に引き起こし、これは、中間層熱傷又はドナー部位における硝酸銀溶液の使用に伴う再上皮化障害の、最も可能性の高い原因として言及される。

クリーム製剤(例えば、フラジン(Flammazine)(登録商標)、シルバデン(silvadene)(登録商標))におけるスルファジアジン銀等、銀化合物はまた、創傷治療に用いられてきた。しかしながら、かかる製剤もまた残効性を制限してきたということがあり、1日に2回適用しなければならない。かかる製剤に対しては菌耐性が発生し、再上皮化障害も観察されている。スルファジアジン銀には、主としてそのプロピレングリコール成分により、骨髄毒性が観察されている。

加えて、いくつかの方法においては、銀自体が、別個の製剤として適用されるのではなく、被覆材の中に組み込まれる。銀を制御して持続的に創傷へ放出することにより、被覆材交換頻度低下が可能となる。しかしながら、被覆材には大量の銀を含浸させなければならず、この結果、哺乳類細胞に細胞傷害が生じる。ナノ結晶銀を含有する市販の創傷被覆材(アクチコート(Acticoat)(商標))から放出される銀(Dunn et al.,2004,Burns 30(supplement 1):S1;なお、この文献はその全体が参照によって本明細書に援用されるものとする)は、角化細胞及び線維芽細胞のin vitro単層細胞培養物に対して有毒である(Poon et al.,2004,Burns 30:140;Trop et al.,2006,J.Trauma 60:648;尚、各文献はその全体が参照により本明細書に援用されるものとする)。

病的創傷の複雑な性質、及び、現行の治療法に基づく臨床面での有意義な進歩の欠如は、新しい従来にない方法に対する喫緊の必要性を示す。必要とされるのは、慢性重症創傷の治癒を向上させる安全で効果的で相互作用的な手段である。その方法は、創傷の種類、又は、対象が属する患者集団の性質にかかわらず適合可能であるべきである。

概要

創傷治癒の方法と組成物の提供。ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを製造するプロセスであって、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することと、b)生物活性ナノスケールポリマー層をもたらすように前記ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入することと、c)前記生物活性ナノスケールポリマー層上に第2のポリマー層を形成することと、d)前記生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した第2のポリマー層を含む前記ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを前記基材から取り外すことと、を含む、プロセス。なし

目的

例えば、0.5%硝酸銀溶液は、創傷表面炎症を低減する有利な効果を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを製造するプロセスであって、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することであって、ナノスケールポリマー層は、少なくとも1つの正電荷高分子電解質の層と少なくとも1つの負電荷の高分子電解質の層とを交互にすることによって形成され、前記少なくとも1つの正電荷の高分子電解質は、ポリアリルアミン塩酸塩)(PAH)、ポリL−リジンPLL)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(N,N−ジメチルアミノアクリレート)、ポリ(N,N,N−トリメチルアミノアクリレートクロライド)、ポリ(メチアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、及びキトサン等の天然又は合成多糖からなる群より選択され、前記少なくとも1つの負電荷の高分子電解質は、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、アルギネートヒアルロン酸ヘパリンヘパランスルフェートコンドロイチンスルフェート、デキストランスルフェート、ポリ(メタ)アクリル酸、酸化セルロースカルボキシメチルセルロースポリアスパラギン酸、及びポリグルタミン酸からなる群より選択される、形成することと、b)生物活性ナノスケールポリマー層をもたらすように前記ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入することと、c)前記生物活性ナノスケールポリマー層上に第2のポリマー層を形成することであって、前記第2のポリマー層は、前記ナノスケールポリマー層とは異なるポリマーから形成され、ポリビニルアルコールPVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレートPMMA)及びポリビニルアセテート(PVAc)からなる群より選択されるポリマーを含む、形成することと、d)前記生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した犠牲的ポリマー層を含む前記ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートの90%より多く、95%より多く、97%より多く、98%より多く、又は99%より多くが前記基材より取り外されるように、前記生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した第2のポリマー層を含む前記ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを前記基材から取り外すことと、を含む、プロセス。

請求項2

前記生物活性剤は、銀イオン、銀イオン塩、及び銀イオンナノ粒子からなる群、又は小分子抗菌剤より選択され、前記小分子抗菌剤は、銀、クロルヘキシジン抗生物質ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ヨウ素、カデキソマーヨウ素、及びポビドンヨウ素(PVI)からなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。

請求項3

前記生物活性剤は、ガリウムイオン、ガリウムイオン塩、ガリウムイオンナノ粒子、ガリウム合金、又はガリウム及び銀の合金から選択される、請求項1に記載のプロセス。

請求項4

前記創傷活性剤は、前記創傷活性剤が5、10、20、25、又は30日間まで、1日当り約0.01〜100μg/cm2の率で放出されるような量で前記ナノスケールポリマー層に提供される、請求項1に記載のプロセス。

請求項5

前記マイクロシートが表面に適用された場合、前記第2のポリマー層が水分に曝されると溶解し、前記表面上に前記ナノスケールポリマー層を残す、請求項1に記載のプロセス。

技術分野

0001

本発明は、創傷治癒を調節する方法と組成物に関する。詳しくは、本発明は、生物活性剤を含むナノスケールポリマー層と、犠牲的ポリマー層上に担持されるナノスケールポリマー層を含むマイクロシートとに関する。

背景技術

0002

創傷治療主要目的は、創傷閉鎖を完了させることである。開放皮膚創傷は、創傷の一主要範疇を成し、例えば、熱創傷、化学的(特にアルカリ性)熱創傷から生じる創傷、肉体外傷から生じる創傷、神経障害性潰瘍褥瘡静脈うっ血性潰瘍、及び糖尿病性潰瘍が挙げられる。開放皮膚創傷は、通常、次の6つの主要構成要素を含む過程によって治癒する:i)炎症、ii)線維芽細胞増殖、iii)血管増殖、iv)結合組織合成、v)上皮化、vi)創傷収縮。創傷治癒は、これらの構成要素が、個別的にか全体的にか、いずれにしても適正に機能しないときに、障害される。例えば、栄養障害、様々な原因による全身衰弱創傷感染前駆細胞局所性欠乏、局所性及び/又は全身性薬剤(例えば、多くの化学療法剤アクチノマイシン、及びステロイド)、反復性局所性外傷、糖尿病及び他の内分泌代謝性疾患(例えば、クッシング病)、並びに高齢等、但し、それに限定されない多くの要因が創傷治癒に影響を与え得る(Hunt and Goodson,1988,Current Surgical Diagnosis & Treatment,Appleton & Lange,pp.86−98)。加えて、惹起の原因にかかわらず、大きさの広がった創傷は、表面の完全性復元するために再上皮化しなければならない表面積が大きいため、特別な困難を呈する。

0003

創傷治癒が遅れると、糖尿病をもった対象に相当の罹患を引き起こす。糖尿病は、多くの器官に損傷を与える、グルコース代謝及びホメオスタシス慢性疾患である。それは、米国では主要死亡原因の第8位である(Harris et al.,1987,Diabetes 36:523)。糖尿病をもった個人では、血管性疾患神経障害、感染、及び反復性外傷によって四肢、特に足に病的変化が生じやすくなる。これらの病的変化は、最終的に慢性潰瘍つながり、切断を必要とする可能性がある。慢性創傷、及び病的又は調節不全となった治癒での創傷は、健康上の大きな負担及び医療財源の消耗を意味する。慢性創傷は、患者の肉体的及び精神的健康生産性罹患率死亡率、及び治療費に大きな影響を与える。最も一般的なタイプの慢性創傷は、全身性疾患、例えば、糖尿病や、静脈性高血圧等の血管性障害によって、また、動かないことによって誘発される褥瘡によって引き起こされ、これらで全慢性創傷の70%を占める。慢性創傷の罹患率に関する統計は種々あるが、複数の研究の報告によると、人口の0.2%〜1%が静脈性潰瘍を、0.5%が圧迫潰瘍を患っており、糖尿病をもつ人々の5%〜10%が神経障害性潰瘍を経験している、とのことである。米国における慢性創傷の経済的影響は、こういった状況に関してだけでも、年間150億ドルを優に超えると見積もられている。人口が高齢化するにともない、糖尿病の症例は増加し、これら患者の慢性創傷に付随する問題の重大さも増すであろう。

0004

通常の創傷治癒は、線維芽細胞、血管性細胞細胞外マトリックス、及び上皮細胞の間の調和相互作用を含む極めて複雑な過程であり、その結果、炎症性反応、創傷修復拘縮、及び上皮性関門による被覆を経る途切れない進行のようなものとなっている。しかしながら、多くの患者においては、局所性創傷環境又は全身性疾患又は他の要因のいずれかにより、創傷治癒過程が、非同時性(即ち、前の細胞的事象に付随する引き金機構との接続性喪失)になり得て、閉鎖にまで進行することができず、慢性潰瘍という結果になる。

0005

容易に治癒しない創傷は、多額の財務費用だけでなく、相当な肉体的、感情的、及び社会的苦悩を対象に引き起こす(Richey et al.,1989,Annals of Plastic Surgery 23:159)。正しく治癒できず、感染する創傷は、実際、患部組織切除を必要とすることがある。創傷及び創傷治癒機序に対する科学者の基本的な理解が進むに従い、多くの治療法が開発されてきた。

0006

創傷治癒の助けとなる最も一般的に用いられる従来方法は、創傷被覆材の使用を伴う。1960年代に、湿潤閉鎖性被覆材を使った創傷治癒が、概して、乾燥した非閉鎖性被覆材よりも効果的であるということが発見された時に、創傷の手当てにおける主要な飛躍進展が起こった(Winter,1962,Nature 193:293)。今日、多くの種類の被覆材日常的に用いられ、例えば、フィルム(例えば、ポリウレタンフィルム)、親水コロイドポリウレタン発泡体に結合した親水性コロイド性粒子)、ハイドロゲル(少なくとも約60%の水分を含有する架橋ポリマー)、発泡体親水性又は疎水性)、アルギン酸カルシウム(アルギン酸カルシウム由来繊維の不織複合物)、及びセロファン可塑剤を使ったセルロース)が挙げられる(Kannon and Garrett,1995,Dermatol.Surg.21:583;Davies,1983,Burns 10:94)。残念ながら、或る種の創傷(例えば、糖尿病性潰瘍、褥瘡)と、或る種の対象(例えば、外因性副腎皮質ステロイド使用者)の創傷は、かかる被覆材の使用では、適時性をもって治癒しない(又は全く治癒しない)。

0007

また、いくつかの薬物療法が、創傷治癒を改善する試みの中で利用されてきた。例えば、医師の中には、硫酸亜鉛を伴う治療計画を利用したものもいる。しかしながら、これらの治療計画の有効性は、それが亜正常血清亜鉛ベルの効果(例えば、宿主抵抗性の減少や細胞内殺菌力の変化)を逆転させることに主に因るものとされてきた(Riley,1981,Am.Fam.Physician 24:107)。他のビタミン及びミネラル欠乏症状もまた創傷治癒の低下に関連づけられてきたが(例えば、ビタミンA、C、D、並びにカルシウムマグネシウム、銅、及び鉄の欠乏症)、これらの物質血清レベルをその通常のレベルよりも上に増加させることが創傷治癒を実際に向上させるという有力な証拠はない。こうして、非常に限られた状況において以外、これらの剤を用いた創傷治癒の促進は、殆ど成功を見ていない。

0008

調節不全創傷の治癒を促進するために用いられる現行臨床的方法としては、機械的外傷からの創傷床の保護(例えば、副子固定包帯法)、表面微生物負荷創傷病原体(例えば、スルファジアジン銀)を広く阻害する抗生物質抗菌ペプチドバクテリオファージ防腐剤、及び他の抗菌性化合物)の細かい調節と可溶性細胞活性因子上皮成長因子−EGF、外因性細胞マトリックス成分、例えばフィブロネクチンを例として、但し、それに限定されない成長因子等)の局所的適用との組合せ、創縁又は創傷床全体の外科的切除、並びに、組織皮弁及び/又は自家移植片同種移植片、及び異種移植片の外科的配置、が挙げられる。これらの方法の全ては、最も難易度の高い創傷の多くでは、最適治癒条件を促進するまでに至らない。これらの伝統的方法の失敗の原因となっている主な要因は、多くの症例で症状が長引いた大きな原因であると示されてきた、創傷床自体の内因性化学/構造を、伝統的方法は変化させないという事実である。加えて、全ての創傷を治療するのに単一の要因又は一連の要因を用いる伝統的な方法は、創傷床自体に見られる大きな不均一性と、個々の分子活性を頻繁に調節する一群シグナル分子を含有する創傷自体の複雑な環境とのために、しばしば不充分である。

0009

広域スペクトル殺菌剤のうち、銀は、銀に対する菌耐性を発生させる可能性が非常に低いと考えられ、したがって、殺菌剤として継続的に使用することができるので、特に好都合であると考えられる。しかしながら、銀を殺菌剤として創傷治療に応用する現在利用可能な方法は、充分ではない。例えば、0.5%硝酸銀溶液は、創傷表面炎症を低減する有利な効果を提供する、局所的熱創傷治療法に標準的で人気のある剤である。しかしながら、かかる製剤は高濃度の銀を有し、残効性がなく、頻繁な適用(例えば、1日に12回まで)を必要とし、臨床の諸設定において物資調達業務上厳しい負担を強いる。0.5%硝酸銀溶液の使用を通して放出される銀イオンは、2時間以内に、塩化物によって化学複合体を形成し、急速に不活性となる。頻繁に被覆材を用いることはまた、多量に過剰な銀が創傷に送られる結果となり、創傷変色及び有毒作用を引き起こす(Dunn et al.,2004,Burns 30(supplement 1):S1;なお、この文献はその全体が参照によって本明細書に援用されるものとする)。加えて、硝酸は、創傷及び哺乳類細胞に有毒である。硝酸の亜硝酸塩への還元はさらに、酸化誘導性の損傷を細胞に引き起こし、これは、中間層熱傷又はドナー部位における硝酸銀溶液の使用に伴う再上皮化障害の、最も可能性の高い原因として言及される。

0010

クリーム製剤(例えば、フラジン(Flammazine)(登録商標)、シルバデン(silvadene)(登録商標))におけるスルファジアジン銀等、銀化合物はまた、創傷治療に用いられてきた。しかしながら、かかる製剤もまた残効性を制限してきたということがあり、1日に2回適用しなければならない。かかる製剤に対しては菌耐性が発生し、再上皮化障害も観察されている。スルファジアジン銀には、主としてそのプロピレングリコール成分により、骨髄毒性が観察されている。

0011

加えて、いくつかの方法においては、銀自体が、別個の製剤として適用されるのではなく、被覆材の中に組み込まれる。銀を制御して持続的に創傷へ放出することにより、被覆材交換頻度低下が可能となる。しかしながら、被覆材には大量の銀を含浸させなければならず、この結果、哺乳類細胞に細胞傷害が生じる。ナノ結晶銀を含有する市販の創傷被覆材(アクチコート(Acticoat)(商標))から放出される銀(Dunn et al.,2004,Burns 30(supplement 1):S1;なお、この文献はその全体が参照によって本明細書に援用されるものとする)は、角化細胞及び線維芽細胞のin vitro単層細胞培養物に対して有毒である(Poon et al.,2004,Burns 30:140;Trop et al.,2006,J.Trauma 60:648;尚、各文献はその全体が参照により本明細書に援用されるものとする)。

0012

病的創傷の複雑な性質、及び、現行の治療法に基づく臨床面での有意義な進歩の欠如は、新しい従来にない方法に対する喫緊の必要性を示す。必要とされるのは、慢性重症創傷の治癒を向上させる安全で効果的で相互作用的な手段である。その方法は、創傷の種類、又は、対象が属する患者集団の性質にかかわらず適合可能であるべきである。

0013

本発明は、創傷治癒の調節、生物医学デバイス表面特性の調節、及び、皮膚を含む組織の表面特性の調節の方法及び組成物に関する。詳しくは、本発明は、創傷床の内因性化学的組成物及び/又は物理的属性を変化させることによって創傷治癒を促進し向上させることに関する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、物理的な属性コンプライアンス組織分布電荷)を変化させる製剤と、抗菌性化合物並びに細胞外マトリックスやその他の足場材料及び細胞活性剤を結合して創傷に送達する架橋共有結合性修飾分子と、を提供する。加えて、本発明は、創傷表面に高分子電解質層(例えば、多層)を形成する逆帯電高分子電解質を利用する方法及び組成物を提供する。本発明は、水素結合等、但し、これに限定されない相互作用を通して創傷床に非帯電ポリマーを組み込むことにさらに関する。本発明の範囲は、ナノ粒子及びマイクロ粒子を創傷床に組み込んで創傷床の物理特性及び化学組成を操作することを含む。本発明は、創傷活性剤を高分子電解質層(例えば、多層)、ナノ粒子、又はマイクロ粒子に組み込んで創傷に送達することにさらに関する。いくつかの実施形態では、本発明は製剤を提供し、この製剤は、好ましくて安定したpH、表面電荷表面エネルギー浸透圧環境、創傷治癒に対する良好な電流電磁効果を高める表面官能性、一酸化窒素の供給、を促進し、細胞にエネルギー源を供給し、及び/又は、MMP/他のペプチダーゼプロテアーゼ活性均衡を提供する。

0014

本発明は、殺菌性の高い、しかし、哺乳類細胞(角化細胞、神経細胞血管内皮細胞、及び線維芽細胞)の成長生存能力支える選択的有毒性創傷活性剤、を含む組成物、方法、及びキットを提供することにさらに関する。好適実施形態では、創傷活性剤は、例えば、銀ナノ粒子等、但し、これに限定されない銀である。特に好適な実施形態では、本発明のいくつかの実施形態の銀担持量は、0.35〜0.4μg/cm2である。銀(例えば、銀ナノ粒子)を含む本発明の高分子電解質多層薄膜は、対象(例えば、ヒト患者)の身体に部分的、直接的、間接的、又は完全に接触するデバイスへのコーティング等、但し、それに限定されない創傷治療及び感染予防に用途がある。
一実施形態では、本発明の組成物及び方法は、特定の患者の健康創傷の種類及び対象中の解剖学的位置に合わせてカスタマイズ可能な主要細胞要素示差的調節を最終的に可能とするために、病的創傷床自体の界面化学及び構造を変化させることによって病的創傷の治癒を促進する方法を提供する。

0015

一実施形態では、本発明は、創傷床に因子共有結合固定化することを可能とする。いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を有する対象に、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと、少なくとも1つの創傷活性剤が創傷に共有結合するような条件下で創傷を少なくとも1つの共有結合性修飾剤及び少なくとも1つの創傷活性剤に接触させることと、を含む治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト脊椎動物である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、均質二官能性(homobifunctional)架橋剤である。他の実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、異質二官能性(heterobifunctional)架橋剤である。例えば、いくつかの実施形態では、均質二官能性架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、ジスクシンイミジルスベレートビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、ジスクシンイミジルタルタレート、ジスルホスクシンイミジルタルタレート、ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシエチルスルホン、ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、エチレングリコールビス(スクシンイミジルサクシネート)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジル−サクシネート)、ジスクシンイミジルグルタレート、及びN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、均質二官能性架橋剤は、1ナノモル〜10ミリモルの濃度である。いくつかの好適実施形態では、均質二官能性架橋剤は、10マイクロモル〜1ミリモルの濃度である。他の実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、異質二官能性架橋剤(例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミドヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6−(3’−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル−6−[α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチルアミノベンゾエート、スルホ−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニルブチレート、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル、スクシンイミジル6−((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル6−(6−(((4−ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル6−((((4−ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノ)−ヘキサノエート、及びp−ニトロフェニルヨードアセテートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、異質二官能性架橋剤は官能基で修飾され、水性溶媒中に可溶性となり、水性溶液として送達できるようになる。さらに、いくつかの実施形態では、水性溶液は、添加剤(例えば、界面活性剤及びブロックコポリマーが挙げられ、但し、これに限定されない)を含有する。他の実施形態では、多くの異質二官能性架橋剤は、分子、ポリマー、又は粒子に結合させて、架橋剤として用いることができる。他の実施形態では、異質二官能性架橋剤は、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられ、但し、これに限定されない)に溶解する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は、栄養素、細胞外マトリックス、酵素酵素阻害剤ディフェンシンポリペプチド抗感染剤緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤抗凝固剤凝固因子抗炎症剤血管収縮剤血管拡張剤利尿剤、及び抗癌剤が挙げられ、但し、これに限定されない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は1つ又は複数の遊離SH基を含有する。

0016

本発明はまた、創傷を有する対象を治療するためのキットを提供し、キットは、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、少なくとも1つの創傷活性剤、及び、少なくとも1つの創傷活性剤を創傷に共有結合させるように使用するためのキットの説明書を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、均質二官能性架橋剤である。いくつかの実施形態では、均質二官能性架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、ジスクシンイミジルスベレート、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、ジスクシンイミジルタルタレート、ジスルホスクシンイミジルタルタレート、ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、エチレングリコールビス(スクシンイミジルサクシネート)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジル−サクシネート)、ジスクシンイミジルグルタレート、及びN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、異質二官能性架橋剤(例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6−(3’−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル−6−[α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホ−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル、スクシンイミジル6−((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル6−(6−(((4−ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル6−((((4−ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノ)−ヘキサノエート、及びp−ニトロフェニルヨードアセテートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は、例えば、限定するものではないが、栄養素(例えば、ポリペプチド成長因子、神経ペプチドニューロトロフィン、細胞外マトリックス、及びそれらの個々の天然成分(例えば、限定するのものではないが、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンコラーゲン、また、創傷治癒に好ましい細胞挙動を促進すると知られているこれらのタンパク質に見い出される選ばれたアミノ酸配列、例えば、インテグリン結合配列、例えば、限定するものではないがRGDEILDVVCAM−1、及びその再結合又は合成類似体、酵素、酵素阻害薬、ポリペプチド、抗菌ペプチド(例えば、限定するものではないが、ディフェンシン、マガイニン(magaignins)、カテリシジン(cathelocidins)、バクテネシン(bactenicin))銀含有化合物(例えば、イオンの銀、元素の銀、銀ナノ粒子、及びその製剤)を含む抗感染剤、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、一酸化窒素の生成/安定化を促進する化合物、細胞のエネルギー源、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、及び抗癌剤が挙げられる。他の実施形態では、キットは、創傷治癒プロセスに資する細胞挙動を促進できる低分子干渉RNA(siRNAはまた、マイクロRNAとも称す)を含む。他の実施形態では、キットは、好ましいpH、浸透圧環境、表面エネルギー、表面電荷、創傷治癒に対する良好な電流電磁効果を高める表面機能性、又はMMP/他のペプチダーゼ/プロテアーゼ活性の均衡、を促進/安定化する化合物を含む。

0017

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を有する対象に、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと、少なくとも1つの創傷活性剤が、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質及び少なくとも1つのアニオン性高分子電解質によって形成される高分子電解質層に組み込まれることによって創傷に共有結合するように、創傷を少なくとも1つのカチオン性高分子電解質及び少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、並びに少なくとも1つの創傷活性剤に接触させることと、を含む治療方法を提供する。いくつかの好適実施形態では、高分子電解質は、創傷上に連続的で反復的な層を成し、次いで、少なくとも1つの共有結合性修飾剤と少なくとも1つの創傷活性剤が添加される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質(例えば、ポリ(L−リジン)、ポリ(エチレンイミン)、及びポリ(アリルアミン塩酸塩、並びに種々のアミン基を提供する、デンドリマー及び分岐ポリマー等、但し、これに限定されない)が高分子電解質層の最上層である。さらに、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質は、少なくとも1つの共有結合性修飾剤が少なくとも1つのカチオン性高分子電解質に結合することを可能にする第1級アミン基を含む。例えば、いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質はポリリジンであり、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質はポリグルタミン酸である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質(例えば、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸−コ−プロピレン)、ヒアルロン酸コンドロイチン、及びポリ(ビニルスルフェート)が挙げられ、但し、これに限定されない)は、高分子電解質層の最上層である。一好適実施形態では、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質はポリグルタミン酸である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、異質二官能性架橋剤(例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6−(3’−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル−6−[α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホ−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル、スクシンイミジル6−((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル6−(6−(((4−ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル6−((((4−ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノ)−ヘキサノエート、及びp−ニトロフェニルヨードアセテートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は均質二官能性架橋剤である。いくつかの実施形態では、均質二官能性架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジル−プロピオネート)、ジスクシンイミジルスベレート、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、ジスクシンイミジルタルタレート、ジスルホスクシンイミジルタルタレート、ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、エチレングリコールビス(スクシンイミジルサクシネート)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルサクシネート)、ジスクシンイミジルグルタレート、及びN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、1ナノモル〜10ミリモルの濃度であり得る。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、10マイクロモル〜1ミリモルの濃度である。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(例えば、1nM〜10mMの濃度の水性溶液中)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの修飾剤は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルを含む。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は、ペプチド配列gly−arg−gly−asp−ser−pro−lysを含有する。

0018

いくつかの実施形態では、第1の少なくとも1つのアニオン性又はカチオン性高分子電解質を、創傷床及び逆帯電した少なくとも1つのカチオン性又はアニオン性高分子電解質と接触させる前に、少なくとも1つの共有結合性修飾剤及び少なくとも1つの創傷活性剤と接触させる。いくつかの好適実施形態では、第1の少なくとも1つのアニオン性高分子電解質はポリグルタミン酸であり、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルであり、少なくとも1つの創傷活性剤は第1級アミン(例えば、ペプチド配列gly−arg−gly−asp−ser−pro−lysが挙げられ、但し、これに限定されない)を含有する。いくつかの好適実施形態では、第1の少なくとも1つのカチオン性高分子電解質は、ポリリジンであり、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネートであり、少なくとも1つの創傷活性剤はペプチド配列gly−arg−gly−asp−ser−pro−cysを含有する。

0019

本発明は、創傷を有する対象を治療するキットをさらに提供し、キットは、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、少なくとも1つの創傷活性剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤を少なくとも1つのカチオン性高分子電解質とアニオン性高分子電解質によって形成される高分子電解質層に組み込むことによって創傷に共有結合させるようにキットを使用するための使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤の組み込みは、高分子電解質の連続的で反復的な層を成し、続いて、少なくとも1つの共有結合性修飾剤及び少なくとも1つの創傷活性剤を添加することによって、達成する。他の実施形態では、第1の少なくとも1つのアニオン性又はカチオン性高分子電解質を、創傷床及び逆帯電した少なくとも1つのカチオン性又はアニオン性高分子電解質と接触させる前に、少なくとも1つの共有結合性修飾剤及び少なくとも1つの創傷活性剤と接触させる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質としては、ポリ(L−リジン)、ポリ(エチレンイミン)、及びポリ(アリルアミン塩酸塩)が挙げられ、但し、これに限定されない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質としては、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸−コ−プロピレン)、及びポリ(ビニルスルフェート)が挙げられ、但し、これに限定されない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は均質二官能性架橋剤である。いくつかの実施形態では、均質二官能性架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、ジスクシンイミジルスベレート、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、ジスクシンイミジルタルタレート、ジスルホスクシンイミジルタルタレート、ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、エチレングリコールビス(スクシンイミジルサクシネート)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジル−サクシネート)、ジスクシンイミジルグルタレート、及びN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。他の実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤は異質二官能性架橋剤(例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6−(3’−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル−6−[α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホ−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル、スクシンイミジル6−((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル6−(6−(((4−ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ)ヘキサノエート、スクシンイミジル4−(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル6−((((4−ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノ)−ヘキサノエート、及びp−ニトロフェニルヨードアセテートが挙げられ、但し、これに限定されない)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤としては、栄養素、細胞外マトリックス、酵素、酵素阻害剤、ディフェンシン、ポリペプチド、抗感染剤(例えば、銀(例えば、イオンの銀、元素の銀、銀ナノ粒子、及びその製剤)が挙げられ、但し、これに限定されない)、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、並びに抗癌剤が挙げられ、但し、これに限定されない。

0020

本発明はまた、創傷を有する対象に、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つのDNA送達剤、及び少なくとも1つのDNA種を提供することと、少なくとも1つのDNA種が創傷に送達されるような条件下で創傷を少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つのDNA送達剤、及び少なくとも1つのDNA種に接触させることとを含む、治療方法を提供する。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つのDNA種としては、血管内皮成長因子及び/又は上皮成長因子をコードするDNAが挙げられ、但し、これに限定されない。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質はポリリジンである。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷を追加的創傷活性剤(例えば、限定するものではないが、抗感染剤(例えば、イオンの銀、元素の銀、銀ナノ粒子、及びその製剤))に接触させることをさらに含む。

0021

本発明は、創傷を有する対象を治療するキットをさらに提供し、キットは、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つのDNA送達剤、少なくとも1つのDNA種、及び少なくとも1つのDNA送達剤と、少なくとも1つのカチオン性及びアニオン性高分子電解質によって形成される高分子電解質層とを用いて少なくとも1つのDNA種を創傷に送達するようにキットを使用するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、追加的創傷活性剤(例えば、抗感染剤(例えば、イオンの銀、元素の銀、銀ナノ粒子、及びその製剤)が挙げられ、但し、これに限定されない)をさらに含む。

0022

本発明はまた、治療方法を提供し、方法は、創傷を有する対象に、カチオン性及びアニオン性高分子電解質混合物脱保護剤、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;創傷を高分子電解質混合物と接触させて創傷上に高分子電解質層を形成することと;脱保護剤を高分子電解質層に適用して、脱保護された高分子電解質層を形成することと;少なくとも1つの共有結合性修飾剤を、脱保護された高分子電解質層に適用して、脱保護され修飾された高分子電解質層を形成することと;少なくとも1つの創傷活性剤が創傷に共有結合するような条件下で少なくとも1つの創傷活性剤を、脱保護され修飾された高分子電解質層に適用することと、を含む。いくつかの好適実施形態では、アニオン性及びカチオン性高分子電解質混合物は、ポリ乳酸及びポリ(イプシロン−CBZ−L−リジン)を80:20の比率で混合したものからなる。いくつかの実施形態では、脱保護は酸加水分解によって起こる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はSP3である。本発明はまた、少なくとも1つの創傷活性剤に曝すことが可能な活性基を含有する少なくとも1つの共有結合性修飾剤で官能化した脱保護された高分子電解質を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、脱保護された高分子電解質は、ポリ乳酸及びポリ(イプシロン−CBZ−L−リジン)を80:20の比率で混合したものからなる。一好適実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はSP3である。

0023

本発明はまた、治療法を提供し、方法は、創傷を有する対象に、カチオン性及びアニオン性高分子電解質混合物、脱保護剤、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、第1のポリペプチド、及び、第2のポリペプチドに結合した少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;創傷を高分子電解質混合物に接触させて、創傷上に高分子電解質層を形成することと;脱保護剤を高分子電解質層に適用して、脱保護された高分子電解質層を形成することと;少なくとも1つの共有結合性修飾剤を、脱保護された高分子電解質層に適用して、脱保護され修飾された高分子電解質層を形成することと;第1のポリペプチドを、脱保護され修飾された高分子電解質層に適用して、第1のポリペプチドを、脱保護され修飾された高分子電解質層に共有結合させることと;少なくとも1つの創傷活性剤が第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの間の特異的なタンパク質結合によって創傷に結合するような条件下で、第2のポリペプチドに結合した少なくとも1つの創傷活性剤を、第1のポリペプチドに共有結合した脱保護され修飾された高分子電解質層に適用することと、を含む。いくつかの好適実施形態では、特異的なタンパク質結合は、ビオチンとポリペプチド(例えば、アビジンニュートラアビジン、及びストレプトアビジンが挙げられ、但し、これに限定されない)の間で起こる。他の好適実施形態では、特異的なタンパク質結合は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとグルタチオンの間で起こる。さらに他の好適実施形態では、特異的なタンパク質結合はニッケルニトリロ三酢酸及びポリヒスチジンの間で起こる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はSP3である。

0024

本発明は、脱保護された高分子電解質を含む組成物をさらに提供し、この高分子電解質は少なくとも1つの共有結合性修飾剤で官能化したものであり、この修飾剤は第1のポリペプチドに結合したものであり、この第1のポリペプチドは、少なくとも1つの創傷活性剤に結合した第2のポリペプチドと特異的な結合によって相互作用するものである。いくつかの好適実施形態では、特異的な結合は、ビオチンとポリペプチド(例えば、アビジン、ニュートラアビジン、及びストレプトアビジンが挙げられ、但し、これに限定されない)の間で起こる。他の好適実施形態では、特異的な結合は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとグルタチオンの間で起こる。さらに他の好適実施形態では、特異的なタンパク質結合は、ニッケル−ニトリロ三酢酸とポリヒスチジンの間で起こる。

0025

本発明はまた、治療方法を提供し、方法は、創傷を有する対象に、カチオン性及びアニオン性高分子電解質混合物、脱保護剤、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、アジド基を含有する少なくとも1つの分子、並びに、アルキン基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;創傷を高分子電解質混合物に接触させて、創傷上に高分子電解質層を形成することと;高分子電解質層に脱保護剤を適用して、脱保護された高分子電解質層を形成することと;脱保護された高分子電解質層に少なくとも1つの共有結合性修飾剤を適用して、脱保護され修飾された高分子電解質層を形成することと;脱保護され修飾された高分子電解質層に、アジド基を含有する少なくとも1つの分子を適用して、アジド基を含有する少なくとも1つの分子を、脱保護され修飾された高分子電解質層に共有結合させることと;アジド基を含有する少なくとも1つの分子に共有結合した脱保護され修飾された高分子電解質層に、アルキン基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤を適用して、少なくとも1つの創傷活性剤がクリック化学によって創傷に結合するようにすることと、を含む。いくつかの好適実施形態では、アジド基を含有する少なくとも1つの分子は、式H2N(CH2CH2O)2N3を有する。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤はL−プロパルギルグリシンである。いくつかの好適実施形態では、反応はCu(I)の存在下で実施する。

0026

本発明は、アルキン基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤にクリック化学によって結合する少なくとも1つのアジド基含有分子に結合した少なくとも1つの共有結合性修飾剤で官能化した脱保護された高分子電解質を含む組成物をさらに提供する。

0027

本発明は、創傷を有する対象を治療するキットをさらに提供し、キットは、カチオン性及びアニオン性高分子電解質混合物、脱保護剤、少なくとも1つの共有結合性修飾剤、少なくとも1つの創傷活性剤、及び創傷に接触した高分子電解質混合物の脱保護と、続く、少なくとも1つの共有結合性修飾剤及び少なくとも1つの創傷活性剤の添加によって、少なくとも1つの創傷活性剤を創傷に共有結合させるようにキットを使用するための説明書を含む。いくつかの好適実施形態では、高分子電解質混合物は、ポリ乳酸及びポリ(イプシロン−CBZ−L−リジン)を含む。いくつかの好適実施形態では、脱保護剤は、高分子電解質混合物の酸加水分解によって脱保護を引き起こす。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの共有結合性修飾剤はSP3である。いくつかの実施形態では、キットはまた、特異的なタンパク質結合によってお互いと相互作用する第1及び第2のポリペプチドを含有する。いくつかの好適実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも1つの共有結合性修飾剤又は少なくとも1つの創傷活性剤のいずれかに結合し、第2のポリペプチドは他方の少なくとも1つの共有結合性修飾剤又は少なくとも1つの創傷活性剤に結合する。いくつかの好適実施形態では、第1のポリペプチドはビオチンであり、第2のポリペプチドはアビジン、ニュートラアビジン、又はストレプトアビジンである。いくつかの他の好適実施形態では、第1のポリペプチドはグルタチオン−S−トランスフェラーゼであり、第2のポリペプチドはグルタチオンである。さらに他の好適実施形態では、第1のポリペプチドはニッケル−ニトリロ三酢酸であり、第2のポリペプチドはポリヒスチジンである。いくつかの実施形態では、キットは、アルキン基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤がクリック化学によって創傷に結合できるように、脱保護の後に高分子電解質混合物に結合する、アジド基を含有する少なくとも1つの分子を含有する。

0028

本発明は、治療方法をさらに提供し、方法は、創傷を有する対象に、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つの修飾剤、及び、アミノ末端システイン残基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;少なくとも1つの創傷活性剤が天然型化学的ライゲーションによって創傷に結合するように、創傷を高分子電解質、少なくとも1つの修飾剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤に接触させることと、を含む。いくつかの好適実施形態では、高分子電解質は、創傷上に連続的で反復的な層を成す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質(例えば、ポリグルタミン酸が挙げられ、但し、これに限定されない)は高分子電解質層の最上層である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの修飾剤は二塩化エチレン及びHSCH2Phである。

0029

本発明はまた、アミノ末端システイン残基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤との天然型化学的ライゲーションに曝すことのできる少なくとも1つの修飾剤で官能化される高分子電解質層を含む組成物を提供する。

0030

本発明はまた、創傷を有する対象を治療するためのキットを提供し、キットは、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質、少なくとも1つの修飾剤、アミノ末端システイン残基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤、及び創傷上に高分子電解質層を形成し、続いて、少なくとも1つの修飾剤と、天然型化学的ライゲーションによる少なくとも1つの創傷活性剤の結合とで治療を行うようにキットを使用するための説明書を含む。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質はポリグルタミン酸である。いくつかの好適実施形態では、少なくとも1つの修飾剤は二塩化エチレン及びHSCH2Phである。

0031

いくつかの実施形態では、本発明は、a)創傷を有する対象に、少なくとも1つの創傷修飾剤、及び少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;b)少なくとも1つの創傷修飾剤に創傷を接触させて、修飾された創傷床を提供することと;c)修飾された創傷床に少なくとも1つの創傷活性剤が組み込まれて創傷治癒が向上するような条件下で、修飾された創傷床を少なくとも1つの創傷活性剤に接触させることと、を含む治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、修飾された創傷床は、少なくとも1つの創傷活性剤に対して反応性のある官能化表面を提供するよう修飾される。いくつかの実施形態では、修飾された創傷床に創傷活性剤を適用して、勾配を形成する。いくつかの実施形態では、創傷修飾剤は、コンプライアンス、pH、アルカリ度、酸化的又は還元的力、正味電荷、親水性、浸透力、ナノスケール又はサブミクロン組織分布的特徴、電気伝導度、MMP産生、食作用、及びトランスグルタミナーゼ活性からなる群より選択される創傷床の特性を変化させる。いくつかの実施形態では、コーティング、スプリンクリングシーディングエレクトロスピニングスパッタリングスタンピングスプレーイングポンピングペインティングスミアリング、及びプリンティングからなる群より選択される方法によって創傷修飾剤を創傷に適用する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷修飾剤は少なくとも1つの架橋剤である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの架橋剤は、均質二官能性架橋剤、異質二官能性架橋剤、異質及び均質の多官能性架橋剤、及び光活性化可能架橋剤、及びその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、異質二官能性架橋剤はアルキン基を含む。いくつかの実施形態では、創傷修飾剤は少なくとも1つのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリマーを創傷床に適用してポリマー多層を形成する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、カチオン性ポリマーアニオン性ポリマー非イオン性ポリマー両性ポリマー、及びその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、上記方法は、ポリマー多層を架橋剤に接触させて、少なくとも1つの創傷活性剤に対して反応性のある官能化表面を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、担体上に予め形成した高分子電解質多層であり、高分子電解質多層を担体から創傷床へ移して、修飾された創傷床を形成することができるようにする。いくつかの実施形態では、担体はエラストマー担体である。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、厚さ1nm〜250nmである。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、3〜500kPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、創傷修飾剤は、ナノ粒子及びマイクロ粒子からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ナノ粒子及びマイクロ粒子を官能化する。いくつかの実施形態では、官能化されたビーズメゾスコピック架橋剤である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は、栄養素、細胞外マトリックス、酵素、酵素阻害剤、ディフェンシン、ポリペプチド、抗感染剤、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、及び抗癌剤からなる群より選択される。

0032

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を有する対象を治療するキットを提供し、キットは、a)少なくとも1つの創傷修飾剤と、b)少なくとも1つの創傷活性剤と、c)創傷床を少なくとも1つの創傷修飾剤で処理して、修飾された創傷床を準備し、修飾された創傷床に創傷活性剤を組み込むようにキットを使用するための説明書とを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷修飾剤は、共有結合性修飾剤、少なくとも1つの高分子電解質、マイクロ粒子、ナノ粒子、及びその組合せからなる群より選択される。

0033

いくつかの実施形態では、本発明は治療方法を提供し、方法は、a)創傷を有する対象に、i)カチオン性及びアニオン性高分子電解質混合物、ii)脱保護剤、iii)少なくとも1つの共有結合性修飾剤、iv)アジド基又はアルキン基を含有する少なくとも1つの分子、及びv)アジド基又はアルキン基のうち上記とは別のほうを含有する少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと;b)創傷を高分子電解質混合物に接触させて、創傷上に高分子電解質層を形成することと;c)高分子電解質層に脱保護剤を適用して、脱保護された高分子電解質層を形成することと;d)脱保護された高分子電解質層に少なくとも1つの共有結合性修飾剤を適用して、脱保護され修飾された高分子電解質層を形成することと;e)脱保護され修飾された高分子電解質層に、アジド基又はアルキン基を含有する少なくとも1つの分子を適用して、アジド又はアルキン基を含有する分子を、脱保護され修飾された高分子電解質層に共有結合させることと;f)少なくとも1つの創傷活性剤がクリック化学によって創傷に結合するような条件下で、アジド基を含有する分子に共有結合した脱保護され修飾された高分子電解質層に、アジド基又はアルキン基のうち上記とは別のほうを含有する少なくとも1つの創傷活性剤を適用することと、を含む。

0034

いくつかの実施形態では、本発明は、脱保護された高分子電解質を含む組成物を提供し、この電解質は少なくとも1つの共有結合性修飾剤で官能化したものであり、この修飾剤は、アジド基を含有する少なくとも1つの分子に結合したものであり、この分子は、アルキン基を含有する少なくとも1つの創傷活性剤にクリック化学によって結合したものである。

0035

いくつかの実施形態では、本発明は、a)創傷を有する対象に、複数の官能化されたビーズ、及び少なくとも1つの細胞活性因子を提供することと、b)少なくとも1つの細胞活性因子が少なくとも1つの官能化された生体適合性ビーズに結合するように、少なくとも1つの細胞活性因子を少なくとも1つの官能化された生体適合性ビーズに接触させることと、c)少なくとも1つの細胞活性因子に結合した少なくとも1つの官能化された生体適合性ビーズを、対象の創傷床に適用することと、を含む方法を提供する。

0036

いくつかの実施形態では、本発明は治療方法を提供し、方法は、a)創傷を有する対象に、少なくとも1つのポリマー、及び少なくとも1つの創傷活性剤を提供することと、b)ポリマー多層が創傷上に形成されるように少なくとも1つのポリマーを創傷に適用することと、c)少なくとも1つのポリマーの適用中に少なくとも1つの創傷活性剤をポリマー多層に組み込むことであって、少なくとも1つの創傷活性剤がポリマー多層の中に勾配を形成する、ことと、を含む。

0037

いくつかの実施形態では、本発明は、生体適合性材料から形成されるマトリックスを含む物品を提供し、マトリックスは少なくとも1つの創傷活性剤を含み、マトリックスは厚さが1〜500nmであり、3〜500kPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは官能化される。いくつかの実施形態では、生体適合性材料は、タンパク質及びポリマーからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリアニオン性ポリマーポリカチオン性ポリマー無電荷ポリマー、両性ポリマー、及びその組合せからなる群より選択され、ポリマーは多層を形成する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、コラーゲン、及びその組合せからなる群より選択される細胞外マトリックスタンパク質である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、シリコーンシロキサンエラストマーラテックスナイロンナイロンメッシュ生物組織ポリウレタンテフロンポリビニルアルコール膜、及びポリエチレンオキシド膜からなる群より選択される固体担体によって担持される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤を、勾配が形成されるようにマトリックス上に分布させる。いくつかの実施形態では、マトリックスは少なくとも部分的にペグ化される。いくつかの実施形態では、本発明は、上述の物品を対象の創傷に適用することを含む方法を提供し、物品は創傷の治癒を向上させるものである。いくつかの実施形態では、本発明は、上述の物品を無菌包装の中に含むキットを提供する。

0038

本発明のいくつかの実施形態では、上述の組成物及び方法は創傷治癒を向上させる。本発明は、創傷治癒は種々の方法で向上させ得ることを企図する。いくつかの実施形態では、本組成物及び方法は、機能及び美容術に最も好都合となるよう、創傷の拘縮を最小にする。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は、機能及び美容に最も好都合となるよう、創傷の拘縮を促進する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は血管新生を促進する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は血管新生を阻害する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は線維症を促進する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は線維症を阻害する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は上皮被覆を促進する。いくつかの実施形態では、本発明組成物及び方法は上皮被覆を阻害する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、創傷の環境又は創傷の直近において細胞の1つ又は複数の特性を調節する。調節、例えば、増強又は低減をする特性としては、接着、移動、増殖、分化、細胞外マトリックス分泌、食作用、MMP活性、収縮、及びその組合せが挙げられ、但し、これに限定されない。

0039

いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で上又は他に記載する組成物のいずれをも用いて、創傷治癒を向上させ、あるいは、創傷の環境又は創傷の直近において細胞の1つ又は複数の特性を調節することができるようにする。いくつかの実施形態では、本発明は、創傷修飾剤及び創傷活性剤の組合せを用いて、創傷治癒を向上させ、創傷治癒を向上させ、あるいは、創傷の環境又は創傷の直近において細胞の1つ又は複数の特性を調節することができるようにする。いくつかの実施形態では、本発明は、上述の物品を用いて、創傷治癒を向上させ、あるいは、創傷の環境又は創傷の直近において細胞の1つ又は複数の特性を調節することができるようにする。

0040

いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つのポリマーを含むポリマー多層を含む物品又は組成物を提供し、ポリマー多層には、ナノスケール粒子及びマイクロスケール粒子からなる群より選択される粒子が会合している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、両性ポリマー、及びその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は厚さが1nm〜500nm、好ましくは1nm〜250nmである。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、3kPa〜500kPa、3kPa〜10MPa、又は3kPa〜5GPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は、球形、卵形、及び円筒形の粒子からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、粒子の直径は、ポリマー多層の厚さよりも大きい。

0041

いくつかの実施形態では、物品又は組成物は、少なくとも1つの創傷活性剤を組成物に会合させて含む。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、抗菌、栄養素、細胞外マトリックス、酵素、酵素阻害剤、ディフェンシン、ポリペプチド、抗感染剤、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、及び抗癌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、ポリマー多層の中に分散する。いくつかの実施形態では、創傷活性剤はポリマー多層に共有結合的に会合する。いくつかの実施形態では、粒子は官能化される。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は粒子に結合する。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は粒子内に含有される。

0042

いくつかの実施形態では、ポリマー層は担体上に配置される。いくつかの実施形態では、担体はポリマー担体である。いくつかの実施形態では、ポリマー担体は、ポリマー多層とは異なるポリマー組成物である。いくつかの実施形態では、ポリマー担体はエラストマーポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマー担体とポリマー多層は、水溶性材料によって分離される。いくつかの実施形態では、ポリマー担体は水溶性である。いくつかの実施形態では、水溶性担体ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、担体は創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、担体は生物創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、溶液からの吸着スピンコーティング、及びスプレーコーティングからなる群より選択される方法によって担体上に堆積する。

0043

いくつかの実施形態では、粒子は約0.5〜約10GPaの弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層の中に散在又は分散する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層の表面上に表れる。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層の下にある。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層と担体の間にある。いくつかの実施形態では、粒子は、ポリマー多層の表面上にあり、ポリマー多層の厚さよりも大きい直径を有し、物品はさらに抗菌性銀組成物を含む。

0044

いくつかの実施形態では、本発明は、表面を修飾する方法を提供し、方法は、少なくとも1つのポリマーを含むポリマー多層に表面を接触させることを含み、ポリマー多層には、ナノスケール粒子及びマイクロスケール粒子からなる群より選択される粒子が、ポリマー多層が表面に移されるような条件下で会合する。いくつかの実施形態では、表面への移行を生じさせるために圧力をポリマー多層に適用する。いくつかの実施形態では、圧力は約10〜約500kPaである。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は担体上に配置される。いくつかの実施形態では、担体は、厚さ約1マイクロメーター〜約10mmである。いくつかの実施形態では、表面は創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は生物創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、溶液からの吸着、スプレーイング、及びスピンコーティングからなる群より選択される方法によって担体上に堆積する。いくつかの実施形態では、担体はエラストマー担体である。いくつかの実施形態では、表面は、軟質又は柔軟な表面である。いくつかの実施形態では、軟質表面は約10〜約100kPaの弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、軟質表面は生物表面である。いくつかの実施形態では、生物表面は、皮膚、創傷床、毛髪組織表面、及び器官表面からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、生物表面は、タンパク質、脂質、炭水化物、及びその組合せからなる群より選択される分子を含む。いくつかの実施形態では、表面は、グリコサミノグリカン、コラーゲン及び/又はヒアルロン酸を含む(例えば、これで被覆されるかこれを呈する)。いくつかの実施形態では、表面は生物医学デバイス上の表面である。いくつかの実施形態では、表面はシリコーン表面である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、両性ポリマー、及びその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、厚さ1nm〜500nmである。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、3kPa〜500kPa、3kPa〜10MPa、又は3kPa〜5GPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー粒子である。いくつかの実施形態では、粒子の直径は、ポリマー多層の厚さよりも大きい。いくつかの実施形態では、粒子は、球形、卵形、及び円筒形の粒子からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は少なくとも1つの創傷活性剤を含む。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、栄養素、細胞外マトリックス、酵素、酵素阻害剤、ディフェンシン、ポリペプチド、抗感染剤、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、抗菌剤、成長因子、オリゴペプチド、糖、多糖生物成分を含む合成分子、金属粒子電極磁性粒子ハチミツ、及び抗癌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、創傷活性剤はポリマー多層の中に分散する。いくつかの実施形態では、創傷活性剤はポリマー多層に共有結合的に会合する。いくつかの実施形態では、粒子は官能化される。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は粒子に結合する。いくつかの実施形態では、粒子は約0.5〜約10GPaの弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層の中に分散する。いくつかの実施形態では、粒子はポリマー多層の表面に表れる。

0045

いくつかの実施形態では、移行は、溶液又は液体溶媒の実質的不存在下で行われる。いくつかの実施形態では、移行は、実質的又は完全に乾燥下での移行である。いくつかの実施形態では、移行は気相中で行われる。いくつかの実施形態では、移行は、湿度が100%の飽和より少ない環境で行われる。いくつかの実施形態では、移行は、液体水の不存在下で行われる。

0046

いくつかの実施形態では、本発明は、ポリマー多層1cm2当り約100〜約500μgの量で抗菌性銀組成物を充填したポリマー多層、又は、放出可能抗菌性銀組成物を中に組み込んだポリマー多層を含む物品又は組成物を提供し、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.01及び100μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.05及び100μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.05及び20μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.05及び5μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.05及び2μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.05及び1μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、ポリマー多層1日1cm2当り約0.1〜0.5μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は銀ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、銀ナノ粒子はゼロ価銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも99.99%の皮膚常在菌(Staphylococcus epidermis)の死滅を提供する。いくつかの実施形態では、物品は創傷治癒を実質的に障害しない。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は、NIH−3T3細胞の少なくとも90%の生存率を可能にする。いくつかの実施形態では、生存率は、増殖培地の存在下、組成物上でNIH−3T3細胞を24時間インキュベーションにかけた後、評価される。いくつかの実施形態では、物品はフィルムである。いくつかの実施形態では、物品は3次元物体であり、その少なくとも一部はポリマー多層で被覆される。いくつかの実施形態では、3次元物体は医療デバイスである。

0047

いくつかの実施形態では、物品は、ポリマー担体、エラストマー担体、創傷ケアデバイス、創傷被覆材、及び生物創傷被覆材からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、医療デバイスは対象に部分的に接触する。いくつかの実施形態では、医療デバイスは対象に完全に移植される。いくつかの実施形態では、ポリマーの少なくとも1つはポリ(アリルアミン塩酸塩)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーの少なくとも1つはポリ(アクリル酸)を含む。いくつかの実施形態では、物品又は組成物は少なくとも1つの追加的抗菌剤をさらに含む。

0048

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を有する対象を提供することと、創傷を上述のような物品又は組成物に接触させることとを含む、創傷の治療方法を提供する。

0049

いくつかの実施形態では、本発明は、上述のような物品又は組成物と、物品を創傷に適用する要領とを含む、対象の創傷を治療するキットを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、キットは、追加的創傷被覆材材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、創傷被覆材材料は生物創傷被覆材である。

0050

いくつかの実施形態では、本発明は、放出可能抗菌性銀組成物を含む固体担体を含む物品又は組成物を提供し、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1cm2当り1〜約500μgの量で充填され、及び/又は、固体担体1日1cm2当り約0.01及び100μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、固体担体は、ポリマー担体、エラストマー担体、ナノ粒子、マイクロ粒子、創傷被覆材、及び生物創傷被覆材からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、1固体担体1日1cm2当り約0.05及び100μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1日1cm2当り約0.05及び20μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1日1cm2当り約0.05及び5μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1日1cm2当り約0.05及び2μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1日1cm2当り約0.05及び1μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、放出可能抗菌性銀組成物は、固体担体1日1cm2当り約0.1〜0.5μgの量で放出可能である。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は銀ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、銀ナノ粒子はゼロ価銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、物品は創傷治癒を実質的に障害しない。いくつかの実施形態では、物品又は組成物は少なくとも1つの追加的抗菌性剤をさらに含む。

0051

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を有する対象を提供することと、創傷を上述のような物品又は組成物に接触させることとを含む、創傷を治療する方法を提供する。

0052

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を治療する組成物を合成する方法を提供し、方法は、a)ポリマーの交互層を組み立ててフィルム又はコーティングを形成することと、b)組み立ての間に抗菌性銀組成物をポリマーの交互層に組み込むことと、を含む。

0053

いくつかの実施形態では、本発明は、創傷を治療する組成物を合成する方法を提供し、方法は、a)ポリマーの交互層を組み立ててフィルム又はコーティングを形成することと、b)フィルム又はコーティングを銀塩バルク溶液中でインキュベートすることと、c)フィルム又はコーティングを還元剤に曝すことと、d)0.01及び100μg/cm2の銀担持量レベルを有するフィルム又はコーティングを使用のために選択することと、を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーの少なくとも1つは、ポリ(アリルアミン塩酸塩)を含有する溶液を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーの少なくとも1つは、ポリ(アクリル酸)を含有する溶液を含む。いくつかの実施形態では、銀塩のバルク溶液は硝酸銀を含む。いくつかの実施形態では、硝酸銀溶液中Ag+の濃度は、0.005mM〜5mMである。いくつかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)溶液のpHは2.5〜7.5である。

0054

いくつかの実施形態では、本発明は、固体担体と、固体担体によって担持されるポリマー多層とを提供し、ポリマー多層は少なくとも1つの創傷活性剤を含む。いくつかの実施形態では、物品は、固体担体とポリマー多層の間に水溶性材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、固体担体はポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはエラストマーポリマーである。いくつかの実施形態では、エラストマーポリマーはシリコンポリマーである。いくつかの実施形態では、シリコンポリマーは、ポリジメチルシロキサン及び医療グレードシリコーンからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、約1nm〜500nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、約3kPa〜5GPa、好ましくは約3kPa〜500kPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、ナノスケール〜マイクロスケール粒子を中に組み込んで含む。いくつかの実施形態では、粒子は、ポリマー多層の厚さより大きい直径を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は抗菌性銀組成物である。いくつかの実施形態では、高分子電解質多層の銀担持量は抗菌性銀組成物cm2当り約0.01〜500μgである。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は銀ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、銀ナノ粒子はゼロ価銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は、リン酸ジルコニウムに担持される多価銀イオンを含む。いくつかの実施形態では、固体担体は、発泡体、透明薄膜、ハイドロゲル、ハイドロファイバー(hydrofiber)、親水コロイド、アルギネート繊維、及びその組合せからなる群より選択される材料を含む。いくつかの実施形態では、固体担体は、高吸水性ポリマーSAP)、シリカゲル、ナトリウムポリアクリレートカリウムポリアクリルアミド、及びその組合せからなる群より選択される材料を含む。いくつかの実施形態では、固体担体は吸収材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、溶媒の実質的な不存在下で担体に移される。いくつかの実施形態では、吸収材料は織物、例えば、綿又はナイロンガーゼ、及びポリマー発泡体からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、吸収材料は、抗接着性材料を含む第1の表面を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、抗接着性材料を含む第1の表面に堆積する。いくつかの実施形態では、吸収材料は、粘着性材料に固定された第2の表面を含む。いくつかの実施形態では、粘着性材料は、吸収材料の1つ又は複数の縁部から延在するような大きさとされ、吸収材料が対象の皮膚に曝されるようにされる。いくつかの実施形態では、物品は取り外し可能シートをさらに含み、物品は取り外し可能シートに取り外し可能に添付される。いくつかの実施形態では、物品は無菌包装に包装される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は約1nm〜500nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、約3〜500kPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、中にナノスケール〜マイクロスケール粒子を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は抗菌性銀組成物である。いくつかの実施形態では、高分子電解質多層の銀担持量は、抗菌性銀組成物cm2当り約0.01〜500gである。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は銀ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、銀ナノ粒子は、ゼロ価銀ナノ粒子及び多価銀イオン(リン酸ジルコニウムで担持された)からなる群より選択される。

0055

いくつかの実施形態では、固体担体は生物創傷被覆材を含む。いくつかの実施形態では、生物創傷被覆材には、コラーゲン、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、ケラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、及びその組合せ又は断片からなる群より選択される生物分子を含む(例えば、これで被覆されるかこれを呈する)。いくつかの実施形態では、バイオポリマーシリコーンフィルム上に担持される。いくつかの実施形態では、シリコーンフィルムは織物担体を含む。いくつかの実施形態では、織物担体はナイロン織物担体である。いくつかの実施形態では、ポリマー多層はシリコーンフィルム上に堆積する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は約1nm〜500nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は約3〜500kPaのコンプライアンスを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、中にナノスケール〜マイクロスケール粒子を組み込んで含む。いくつかの実施形態では、粒子は、ポリマー多層の厚さより大きい直径を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの創傷活性剤は抗菌性銀組成物である。いくつかの実施形態では、高分子電解質多層の銀担持量は、抗菌性銀組成物cm2当り約0.01〜500μgである。いくつかの実施形態では、抗菌性銀組成物は銀ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、銀ナノ粒子は、ゼロ価及び多価銀ナノ粒子からなる群より選択される。

0056

いくつかの実施形態では、本発明は、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートの製造方法を提供し、方法は、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することと、b)ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入して生物活性ナノスケールポリマー層を提供することと、c)生物活性ナノスケールポリマー層上に犠牲的ポリマー層を形成することであって、犠牲的ポリマー層は溶解可能であることと、を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートの製造方法を提供し、方法は、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することと、b)ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入して生物活性ナノスケールポリマー層を提供することと、c)生物活性ナノスケールポリマー層上に第2のポリマー層を形成することであって、第2のポリマー層は、ナノスケールポリマー層とは異なるポリマーから形成されることと、を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートの製造方法を提供し、方法は、a)基材上に厚さ約0.5nm〜1000nmのナノスケールポリマー層を形成することと、b)ナノスケールポリマー層上にスピンコーティングによって第2のポリマー層を形成することであって、第2のポリマー層は、ナノスケールポリマー層とは異なるポリマーから形成されることと、を含む。

0057

いくつかの実施形態では、生物活性剤は創傷活性剤である。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマーマトリックスはポリマー多層である。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマーマトリックスは、少なくとも1つの正電荷の電解質の層と少なくとも1つの負電荷の高分子電解質の層を交互にすることによって形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの正電荷の高分子電解質は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、ポリL−リジン(PLL)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(N,N−ジメチルアミノアクリレート)、ポリ(N,N,N−トリメチルアミノアクリレートクロライド)、ポリ(メチアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、及び、キトサン等の天然又は合成多糖からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの負電荷の高分子電解質は、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、アルギネート、ヒアルロン酸、ヘパリンヘパランスルフェート、コンドロイチンスルフェート、デキストランスルフェート、ポリ(メタクリル酸)、酸化セルロースカルボキシメチルセルロースポリアスパラギン酸、及びポリグルタミン酸からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー多層は、ポリマー溶液を基材上にスプレーすること、基材をポリマー溶液に浸漬コーティングすること、又は、基材上にポリマー溶液をスピンコーティングすることからなる群より選択される方法によって、少なくとも1つの正電荷の電解質及び少なくとも1つの負電荷の高分子電解質を適用することによって形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの正電荷の電解質及び少なくとも1つの負電荷の高分子電解質は合成高分子電解質である。

0058

いくつかの実施形態では、生物活性剤は、生物活性剤がナノスケールポリマー層の3次元構造内に散在するように、ナノスケールポリマー層に組み込まれる。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、生物活性剤が層即ちポリマー多層内に散在するようにナノスケールポリマー多層に組み込まれる。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、抗菌剤、抗バイオフィルム剤、成長因子、止血剤生物活性ペプチド生物活性ポリペプチド、鎮痛剤、抗凝固剤、抗炎症剤、及び薬物分子又は薬物化合物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、荷電小分子抗菌剤、抗菌性ポリペプチド、金属粒子、及び金属イオン抗菌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、金属イオン抗菌剤は、金属イオン金属イオン塩、又は金属イオンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属イオンナノ粒子は銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、荷電小分子抗菌性剤は、クロルヘキシジン、抗生物質、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ヨウ素、カデキソマーヨウ素、ポビドンヨウ素(PVI)、過酸化水素、及び酢(酢酸)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、金属イオン抗バイオフィルム剤は、金属イオン、金属イオン塩、又は金属イオンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属イオン抗バイオフィルム剤は、ガリウム塩ガリウムナノ粒子、ガリウム合金、又はガリウムと銀の合金である。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、ナノスケールポリマー層の形成の間にナノスケールポリマー層に導入される。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、ナノスケールポリマー層の形成の後にナノスケールポリマー層に導入される。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入して生物活性ナノスケールポリマー多層を提供することは、銀イオンをナノスケールポリマー多層に導入することと、銀イオンを生体内原位置で還元して銀ナノ粒子を提供することと、を含む。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層に生物活性剤を導入して生物活性ナノスケールポリマー多層を提供することは、異なる電荷を有する高分子電解質層の間に荷電小分子抗菌性剤を導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、ナノスケールポリマー層に導入される生物活性剤の量の制御及び/又は増加のために、導入ステップの1〜20回の反復を含む。いくつかの実施形態では、方法は、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートにおける生物活性剤の量を、ナノスケールポリマー層の数の制御、ナノスケールポリマー層を形成するpHの制御、及び/又は導入サイクルの数の制御によって制御することを含む。

0059

いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、厚さが約0.1μm〜約100μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、厚さが約0.1μm〜約50μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、厚さが約1μm〜約20μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、厚さが約1μm〜約10μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性犠牲的ポリマー層は、ポリビニルアルコール(PVA)からできており、かつ/又はそれを含む。いくつかの実施形態では、可溶性ポリマーは、22kDaより大きい分子量を有する。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは腎臓ろ過によって除去可能である。

0060

いくつかの実施形態では、水溶性犠牲的ポリマー層は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレートPMMA)、又はポリビニルアセテート(PVAc)でできている。いくつかの実施形態では、生物活性ナノスケールポリマー多層が表面に堆積するように、水溶性ポリマーを含む犠牲的ポリマー層は、表面上の水分に曝されたとき溶解する。いくつかの実施形態では、方法は、生物活性剤を犠牲的ポリマー層に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、犠牲的ポリマー層にマイクロ粒子又はナノ粒子を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層のマイクロ粒子又はナノ粒子には、生物活性剤が充填される。いくつかの実施形態では、方法は、犠牲的ポリマー層に磁性マイクロ粒子又はナノ粒子を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、抗菌剤、成長因子、止血剤、生物活性ペプチド、生物活性ポリペプチド、鎮痛剤、抗凝固剤、抗炎症剤、及び薬物分子又は薬物化合物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、荷電小分子抗菌剤、抗菌性ポリペプチド、金属粒子、及び金属イオン抗菌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、金属イオン抗菌試薬は、金属イオン、金属イオン塩、又は金属イオンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属イオンナノ粒子は銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、小分子抗菌剤は、クロルヘキシジン、抗生物質、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ヨウ素、カデキソマーヨウ素、ポビドンヨウ素(PVI)、過酸化水素、酢(酢酸)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、基材は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基材、ガラス基材プラスチック基材金属基材、及びテフロン基材からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、基材は、官能化されて低エネルギー表面を提供する。いくつかの実施形態では、基材はオクタデシルトリクロロシランで官能化される。

0061

いくつかの実施形態では、本方法は、生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した犠牲的ポリマー層を含むナノスケールポリマー層マトリックスマイクロシートを基材から取り外すステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、生物活性ナノスケールポリマー層及び会合した犠牲的ポリマー層を含むナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートの90%より多く、95%より多く、97%より多く、98%より多く、又は99%より多くが前述の基材から除去される。いくつかの実施形態では、方法は、ナノスケールポリマー層にナノスケール又はマイクロスケール粒子又はビーズを組み込むことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ナノスケールポリマー層に磁性ナノ粒子又はマイクロ粒子を組み込むことをさらに含む。

0062

いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層は、高分子電解質、脂質、タンパク質、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ケラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、多糖、ポリ酸無水物、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、及びその組合せ又はその断片からなる群より選択されるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、スピンコーティング、浸漬コーティング、又はスプレーコーティングによってナノスケールポリマー層に適用される。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートは、基材からの除去の後、約0.1GPa〜約10GPaのヤング率を有する。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層を形成することは、正電荷の電解質及び負電荷の高分子電解質を堆積させて二層を形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は2〜50の堆積ステップを含む。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層を形成することは、1.5〜2.5のpH、6.5〜8.5のpH、及び/又は4.5〜6.5のpHを含む溶液条件を提供するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを乾燥させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ナノスケールポリマー層に第2又はそれより多くの生物活性剤を導入することをさらに含む。

0063

いくつかの実施形態では、本発明は、上述の方法によって作製されたナノスケールポリマー層マトリックスマイクロシートを提供する。

0064

いくつかの実施形態では、厚さが約0.5nm〜1000nmの創傷活性ナノスケールポリマー層を含んで、ナノスケール創傷活性ポリマー層の中には創傷活性剤を組み込んで有し、創傷活性ナノスケールポリマー層に隣接した犠牲的ポリマー層を含んで、犠牲的ポリマー層は水分表面に曝されたときに溶解可能であるものである、創傷活性ナノスケールポリマーマトリックスマイクロシートを、本発明は提供する。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層はポリマー多層である。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー多層は、少なくとも1つの正電荷の電解質の層と少なくとも1つの負電荷の高分子電解質の層を交互にすることによって形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの正電荷の高分子電解質は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、ポリL−リジン(PLL)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(N,N−ジメチルアミノアクリレート)、ポリ(N,N,N−トリメチルアミノアクリレートクロライド)、ポリ(メチアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、及びキトサン等の天然又は合成多糖からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの負電荷の高分子電解質は、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、アルギネート、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパランスルフェート、コンドロイチンスルフェート、デキストランスルフェート、ポリ(メタ)アクリル酸、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアスパラギン酸、及びポリグルタミン酸からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの正電荷の電解質及び少なくとも1つの負電荷の高分子電解質は合成高分子電解質である。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、創傷活性剤がナノスケールポリマー層の3次元構造内に散在するように、ナノスケールポリマー層に組み込まれる。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、ナノスケールポリマー多層の各層内に創傷活性剤が散在するように、ナノスケールポリマー多層に組み込まれる。

0065

いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、抗菌剤、成長因子、止血剤、生物活性ペプチド、生物活性ポリペプチド、鎮痛剤、抗凝固剤、抗炎症剤、及び薬物分子又は薬物化合物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、小分子抗菌剤、荷電小分子抗菌性剤、抗菌性ポリペプチド、金属粒子、及び金属イオン抗菌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、金属イオン抗菌性試薬は金属イオン、金属イオン塩、又は金属イオンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属イオンナノ粒子は銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、荷電小分子抗菌剤又は小分子抗菌剤は、クロルヘキシジン、抗生物質、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ヨウ素、カデキソマーヨウ素、ポビドンヨウ素(PVI)、過酸化水素、酢(酢酸)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は厚さが約0.1μm〜約100μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は厚さが約0.1μm〜約50μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は厚さが約1μm〜約20μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は厚さが約1μm〜約10μmである。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は創傷活性剤を含む。いくつかの実施形態では、創傷活性剤は、抗菌剤、成長因子、止血剤、生物活性ペプチド、生物活性ポリペプチド、鎮痛剤、抗凝固剤、抗炎症剤、及び薬物分子又は薬物化合物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、小分子抗菌剤、抗菌性ポリペプチド、金属粒子、及び金属イオン抗菌剤からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、金属イオン抗菌性試薬は金属イオン、金属イオン塩、又は金属イオンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属イオンナノ粒子は銀ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、小分子抗菌剤はクロルヘキシジン、抗生物質、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ヨウ素、カデキソマーヨウ素、ポビドンヨウ素(PVI)、過酸化水素、及び酢(酢酸)からなる群より選択される。

0066

いくつかの実施形態では、マイクロシートは、ナノスケールポリマー層に組み込まれたナノスケール又はマイクロスケール粒子をさらに含む。

0067

いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層は、高分子電解質、脂質、タンパク質、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ケラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、多糖、ポリ酸無水物、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、及びその組合せ又はその断片からなる群より選択されるポリマーを含む。

0068

いくつかの実施形態では、マイクロシートは、創傷活性剤を約0.01〜100μg/cm2の濃度で含む。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、創傷活性剤が1日当り約0.01及び100μg/cm2の率で放出されるような量で提供される。いくつかの実施形態では、マイクロシートは約0.2〜600cm2の面積を有する。

0069

いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、均一な厚さを有し、断面で測定した場合に平均厚さの500、400、300、200、100、50、20、又は10%未満の変動を伴う。いくつかの実施形態では、マイクロシートは、例えば、基材からの除去の後、約0.1GPa〜約10GPaのヤング率を有する。

0070

いくつかの実施形態では、物品が表面に適用される場合、犠牲的ポリマー層は、水分に曝されると溶解し、表面上にナノスケールポリマー層を残す。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層は、湿潤表面に適用されたとき、外因性病原体に対するバリアを形成する。いくつかの実施形態では、マイクロシートは、第2又はそれより多くの創傷活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、マイクロシートは半透明及び/又は透明である。

0071

いくつかの実施形態では、本発明は、上述のマイクロシートを含む医療デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、デバイスは、マイクロシートに接触した表面を含む。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、医療デバイス、創傷被覆材、移植可能医療デバイス、皮膚に接触する医療デバイス、カテーテルステント、膜、コンタクトレンズ、及び外科用メッシュからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、生物創傷被覆材、非生物創傷被覆材、吸収材料、発泡体、透明薄膜、ハイドロゲル、ハイドロファイバー、親水コロイド、アルギネート繊維、シリカゲル、ナトリウムポリアクリレート、カリウムポリアクリルアミド、及びその組合せからなる群より選択される。

0072

いくつかの実施形態では、本発明は、上述のマイクロシートと医療デバイスを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、医療デバイス、創傷被覆材、移植可能医療デバイス、皮膚に接触する医療デバイス、カテーテル、ステント、膜、コンタクトレンズ、及び外科用メッシュからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、生物創傷被覆材、非生物創傷被覆材、吸収材料、発泡体、透明薄膜、ハイドロゲル、ハイドロファイバー、親水コロイド、アルギネート繊維、シリカゲル、ナトリウムポリアクリレート、カリウムポリアクリルアミド、及びその組合せからなる群より選択される。

0073

いくつかの実施形態では、本発明は、上述のマイクロシートを対象の生物表面に適用することを含む、対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、生物表面は湿潤な表面である。いくつかの実施形態では、表面は、外部表面及び内部表面からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、表面は創傷である。

0074

いくつかの実施形態では、方法は、創傷被覆材をマイクロシートの上に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、医療デバイスをマイクロシートの上に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、外科用メッシュをマイクロシートの上に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態では、犠牲的ポリマー層は、創傷活性ナノスケールポリマー層物品が表面に適用されると溶解して、創傷活性ナノスケールポリマー層を表面に残す。いくつかの実施形態では、ナノスケールポリマー層は、外因性病原体に対してバリアとして作用する。いくつかの実施形態では、対象は創傷を有し、マイクロシートの適用は創傷の閉鎖を向上させる。いくつかの実施形態では、創傷活性ナノスケールポリマー層は、創傷活性剤の徐放を可能にする。いくつかの実施形態では、方法は、マイクロシートを対象の創傷床の微細輪郭(microcontours)に適合させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、犠牲的ポリマー層を溶解させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、犠牲的ポリマー層を溶解させた後30秒〜1時間の時間内にマイクロシートを対象の創傷床の微細輪郭(microcontours)に適合させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、溶解は、30秒〜1時間の時間の間に犠牲的ポリマー層の90%より多く、95%より多く、97%より多く、又は98%より多くを溶解させる。いくつかの実施形態では、マイクロシートの90%より多く、95%より多く、97%より多く、又は98%より多くが対象の生物表面に移される。いくつかの実施形態では、マイクロシートの80%より多く、85%より多く、90%より多く、又は95%より多くは、マイクロシートを被覆材で擦った後に対象の生物表面に適用された状態のままである。いくつかの実施形態では、創傷床の80%より多く、85%より多く、又は90%より多くは、1日後、2日後、3日後、4日後、又は5日後にマイクロシートによって被覆される。いくつかの実施形態では、マイクロシートを対象の生物表面に適用することは、対象の生物表面上の細菌数を少なくとも1、2、3、4、5、又は6log10減少させる。いくつかの実施形態では、マイクロシートを対象の生物表面に適用することは、対象の生物表面上のグラム陰性及び/又はグラム陽性細菌数を少なくとも5log10減少させる。

0075

いくつかの実施形態では、方法は、マイクロシートを前述の生物表面に適用した後にマイクロシートを通して創傷を観察することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象を創傷治癒及び/又は創傷感染について試験することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、第2又はそれより多くのマイクロシートを前述の対象の生物表面に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のマイクロシートは、試験ステップの結果に基づいた創傷活性剤の量を含む。

0076

いくつかの実施形態では、マイクロシートを対象の生物表面に適用することは、対象の上皮の細胞の正常な成長及び増殖に影響しない。いくつかの実施形態では、マイクロシートを適用することは創傷治癒を障害しない。いくつかの実施形態では、マイクロシートを適用することは創傷の過度の炎症を引き起こさない。

0077

いくつかの実施形態では、本発明は、所望の生物活性を医療デバイスに付与するプロセスを提供し、プロセスは、創傷活性ナノスケールポリマー物品を医療デバイスの表面に適用することを含む。

0078

いくつかの実施形態では、本発明は、基材上で中に生物活性剤を組み込んだ厚さ約0.5nm〜500nmの第1のナノスケールポリマー層と、生物活性ナノスケールポリマー層上の第2のポリマー層とを含むナノスケールポリマーマイクロシートを提供し、第2のポリマー層は、ナノスケールポリマー層とは異なるポリマーから形成される。いくつかの実施形態では、本発明は、基材上の厚さ約0.5nm〜500nmの第1のナノスケールポリマー層と、ナノスケールポリマーマトリックス層上にスピンコーティング又は浸漬コーティングされた第2のポリマー層とを含むナノスケールポリマーマイクロシートを提供する。

図面の簡単な説明

0079

高分子電解質多層を用いて修飾した創傷床の概略図である。
共有結合修飾剤を用いて修飾された創傷床の概略図である。
アミン末端処置されたガラス表面のモデルを作製するためのタンパク質共有結合固定の例示である。
高分子電解質のポリスチレンスルホネート(PSS)およびFITC標識ポリ(アリルアミン塩酸塩)(FITC−PAH)の多層堆積に対するex vivoの結果を示す。
対照野生型マウスと比較した、糖尿病(db/db)マウスにおける全層皮膚創傷治癒における差異を示す。
創傷床の治癒に対する、ビーズ使用の例である。この例において、カルボン酸末端化ビーズは、NHSおよびEDCを用いることによって、創傷床の外側で活性化される。活性化されたビーズは、創傷床に導入され、および、ビーズの活性化表面と、創傷床中に存在するアミン基との反応を介して、創傷床に固定される。成長因子は創傷床に導入され、および、活性化ビーズ露出面との反応を介して固定される。
名称およびAMSDbデータベースID番号により特定される、抗菌性ポリペプチドのリストを示す。
図7−1の続きの図である。
図7−2の続きの図である。
図7−3の続きの図である。
図7−4の続きの図である。
図7−5の続きの図である。
図7−6の続きの図である。
図7−7の続きの図である。
図7−8の続きの図である。
図7−9の続きの図である。
図7−10の続きの図である。
図7−11の続きの図である。
図7−12の続きの図である。
図7−13の続きの図である。
図7−14の続きの図である。
図7−15の続きの図である。
図7−16の続きの図である。
銀を担持した高分子電解質多層(PEM)上で、増殖培地中で24時間インキュベートした後の、NIH−3T3マウス線維芽細胞の生存率を示す(実施例13)。
緩衝液中で、108cfu/mlの表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)と共に8時間インキュベートした後で、銀担持PEM上で検出された生菌を示す。バルクAg+溶液を連続10倍希釈したものとインキュベートすることにより、様々な銀担持量のPEMを調製した。この図において示されるように、5mMのAg+(硝酸銀)溶液とインキュベートしたPEMは、約0.38μg/cm2を含有し(図8において、NIH−3T3細胞に対する細胞毒性は観察されなかった)、残りのPEMの銀担持量は、元素分析分光器検出限界未満であった。
銀担持無し(a、c、e)および銀ナノ粒子有り(濃度は、(b)0.62、(d)0.48、または、(f)0.39μg/cm2)のPEM(PAH7.5/PAAXの10.5二層)でコートしたガラス表面上で24時間インキュベートした後のNIH−3T3細胞を示す。PEMは、pH5.5(a、b)、または、6.5(c、d)、または、7.5(e、f)のPAA溶液で調製した。
マイクロスケールビーズを用いたポリマー多層の1つの実施形態の概略図を示す。
マイクロスケールビーズが無いポリマー多層の移行と比較した、マイクロスケールビーズ含有ポリマー多層の軟表面への移行を表すグラフを示す。
ポリマーナノフィルムおよび犠牲的キャストから構成されるマイクロシートの製造に関する図を示す。
マイクロフィルム創傷被覆材としての、マイクロフィルムの適用に関する図を示す。マイクロフィルム被覆材の犠牲的キャストは、湿った傷で素早く溶け、創傷表面にポリマーナノフィルムを固定する。
PVAの犠牲的水溶性キャストおよび、銀ナノ粒子を含有するPEMから作製されたナノフィルムから構成されるマイクロシートの画像を示す。(a)ガラスディッシュ上に置かれたマイクロシート(1″x1″)。(b)溶液中でマイクロシートの犠牲的キャストが溶解した後、水表面を浮遊するポリマーナノフィルム(1″x1″)。
PAHおよびPAAのPEMとして基材上に堆積したポリマーナノフィルムのアセンブリーを示す略図を示す。PEMは、銀イオン(Ag+)および銀ナノ粒子(AgNP)を含浸している。
酢酸クロルヘキシジンと共に、PAAおよびPAHのPEMとして基材上に堆積したポリマーナノフィルムのアセンブリーの略図を示す。
11±2.1ug/cm2の銀ナノ粒子を含有する、PAHおよびPAAのPEMとしてアセンブリーされたポリマーナノフィルムからの、PBS中への銀イオンの徐放を示すグラフである。
酢酸クロルヘキシジン分子を含有するPEMとして製造されたポリマーナノフィルムからの、PBS中へのクロルヘキシジン(CX)の徐放を示すグラフである。
図20AおよびBは、マウスにおける切除創傷に対する銀マイクロフィルム創傷被覆材の適用を示す画像を提示する。(A)マウス脇腹上の、6mm直径の全層に副子をされた創傷。(b)銀を含浸させたマイクロフィルム創傷被覆材による、傷の被覆。犠牲的キャストは、創傷面上の銀ナノフィルムを固定するために、湿った傷で溶解した。
銀ナノ粒子を含有する銀マイクロフィルム創傷被覆材による、外科処置後3日目の、マウスにおける切除創傷の細菌のコロニー形成における減少を示すグラフを提示する。全ての創傷は、0日目で黄色ブドウ球菌(S. aureus)を接種され、Integra創傷被覆材で、または、Integra被覆材と共に銀マイクロフィルム創傷被覆材で、覆われた。
銀マイクロフィルム創傷被覆材は、マウスにおいて、感染を阻害し、汚染された創傷の閉鎖を促進することを示す。2つの外科的創傷(6mm直径)を、各balb/cマウスの脇腹に作製し、2x105CFUの黄色ブドウ球菌(S. aureus)を接種し、(A)は、1群において生合成被覆材−Biobraneで覆い、または、(B)は、創傷にBiobraneを置く前に銀マイクロフィルム創傷被覆材で覆った。図は、外科処置後、9日目のA群およびB群における創傷画像の代表的なものを示す。図22Cは、Biobrane被覆材のみ、または、銀マイクロフィルム創傷被覆材とBiobrane、のいずれかで処置されたマウスの創傷における、外科処置後9日目の(元々の創傷サイズのパーセンテージとしての)創傷の面積(平均±SEM)を示す(n=10匹のマウス/群、p<0.05)。
図22Dは、外科処置後9日目における、2群のマウスから採取された創傷生検における、黄色ブドウ球菌(S. aureus)の微生物負荷量(平均±SEM)を示す。創傷の微生物コロニー形成は、銀マイクロフィルム被覆材で処置された群において、有意により少なかった(n=10匹のマウス/群、p<0.05;マンホイットニーU検定)。図22Eは、外科処置後9日目における、(元々の創傷サイズのパーセンテージとしての)創傷閉鎖のパーセンテージを示す(平均±SEM)。創傷閉鎖は、銀マイクロフィルム被覆材で処置された群において、有意により高かった(n=10匹のマウス/群、p<0.05;マン−ホイットニーU検定)。
たとえば外科用メッシュ、コンタクトレンズ、または創傷被覆材等の医療デバイスの表面修飾に対する、マイクロシート応用の略図である。マイクロシートの犠牲的キャストは、湿った表面上で素早く溶け、その上にポリマーナノフィルムを固定する。
Integra創傷被覆材の湿潤コラーゲンマトリックスの表面上のマイクロシートによる、ポリマーナノフィルムの固定を示す画像を提示する。(A)Integra創傷被覆材のコラーゲンマトリックスの表面の顕微鏡写真。(B)マイクロシートの犠牲的キャスト溶解後の、Integra創傷被覆材のコラーゲンマトリックス上に固定された蛍光ポリマーナノフィルムの顕微鏡写真。スケールバーは、200um。
Integra創傷被覆材の湿潤コラーゲンマトリックス上のマイクロシートによる、ミクロスフィア含有ポリマーナノフィルムの固定を示す画像を提示する。(A)エラストマーシート上でアセンブリーされた、2umサイズの蛍光ミクロスフィアを含有するポリマーナノフィルムを有するマイクロシートの顕微鏡写真。(B)マイクロシートの犠牲的キャスト溶解後に、Integra創傷被覆材の湿潤コラーゲンマトリックス上で固定されたポリマーナノフィルム(蛍光ミクロスフィアを有する)の顕微鏡写真。スケールバーは、20um。
PVAの水溶性犠牲的キャストを有するマイクロシートを用いて、銀ナノフィルム(AgNP)により修飾されたIntegra創傷被覆材の表面上でインキュベートされた、溶液中の細菌コロニー形成の減少を示すグラフを提示する。検証被覆材上の溶液は、24時間毎に、繰り返し、107CFU/mlの黄色ブドウ球菌(S. aureus)を接種された。
銀マイクロシートの機械的強度を示す、応力ひずみ曲線を提示する。
本明細書に記述される技術の実施形態に従う、略図を示す。図28aは、ナノメーターの厚さのPEMの多層アセンブリーに用いられた高分子電解質を示す。図28bは、PEM/PVAマイクロフィルムの製造および創傷床への適用に用いられた手順の概略図である;(1)PEMは、PDMSシート上にアセンブリーされ、(2)製造後、PEMは銀イオンに含浸され、次いで、銀イオンは銀ナノ粒子に還元され、(3)PVA溶液は、銀担持PEM上にスピンコートされ、(4)PEM/PVAマイクロフィルムはPDMSシートから剥がされ、および(5)湿潤創傷床上に置かれる。(6)湿潤創傷中でのPVA層の溶解により、(7)創傷床上にPEMが固定される。
シリコンウエハ上でアセンブリーされた、二層(n)の数の増加に従う、(FITC−PAH/PAA)のPEMの偏光解析による厚さを示すプロットである。データは、平均±SEM(n=12)として表されている。図で示されるように、PAA溶液(pH=2.5)を用いてアセンブリーされたPEMは、PAA溶液(pH=5.5)を用いて製造されたものよりも厚い。PAAのpHが低いと、電荷を帯びたポリカチオンとの静電結合利用可能なイオン化カルボキシル基が少なくなる。ポリマーセグメント間のこの弱い静電相互作用により、ポリカチオン上の電荷を補うために、より多くのポリアニオンの堆積が必要となり、それによって、より厚い多層が形成される。PAA pH2.5でのポリマー多層は、直線的な増殖傾向(平均の厚さは、10.5二層に対し約1200Å)を示す一方で、PAA pH5.5での場合は、指数関数的な増殖傾向(平均の厚さは、10.5二層に対し約800Å)を示す。
PEM/PVAのマイクロフィルムは、それらが組み立てられたPDMSシートから均一に剥がされ、銀担持を保持することを示す一連の蛍光顕微鏡画像である。図30a、図30b、および図30bは、(FITC−PAH/PAA5.5)10.5のPEMを有する6mm直径のPEM/PVAマイクロフィルムの代表的な蛍光顕微鏡写真を示す。図30aは、剥がす前のPDMSシート上のPEMを示し;図30bは、剥がした後のPDMSを示し;および、図30cは、撮像のためにガラススライド上に置かれたPEMを示す。
AF−PAH/PAA5.5)10.5(Alexa Fluor 560で標識されたPAHを用いてアセンブリーされた)のPEMは、非OTS官能基化シリコンウエハからは、PEM/PVAマイクロフィルムのように剥がすことができないが(図31a、図31b、および図31c)、OTS官能基化シリコンウエハからは均一に剥がすことができる(図31d、図31e、および図31f)ことを示す一連の蛍光顕微鏡写真である。図31aおよび図31dは、それぞれ、OTSで官能基化されていない、およびOTSで官能基化されている、Siウエハー基材上で組み立てられたAF−PEMを示す。図31bおよび図31eは、PEM/PVAマイクロフィルムとして剥がされた後の、それぞれ、OTSで官能基化されていない、およびOTSで官能基化されている、Siウエハー上に残されたPEMを示し、図31cおよび図31fは、それぞれ、OTSで官能基化されていない、およびOTSで官能基化されている、Siウエハー基材から剥がされ、撮像のためにガラススライド上に置かれたPEM/PVAマイクロフィルムを示す。
PDMSシートからPEMを剥がす前後の、PEM/PVAマイクロフィルムの銀担持量を示すプロットであり、異なる銀担持量を有するPEMを用いて解説されている。データは、平均±SEM(n≧4)として表されている。
大気温度で3か月間保存されたPEM中の銀担持量は、アセンブリーしたばかりのPEMと有意差が無いことを示すプロットである。データは、平均±SEM(n≧3)として表されている。
ヒトの死体皮膚真皮(GammmaGraft)上のPEM/PVAマイクロフィルムから固定されたPEMの一連の蛍光顕微鏡画像、およびPEMの特徴を示すプロットである。図34aは、PDMSシート上に、(FITC−PAH/PAA2.5)40.5のPEMを有するマイクロフィルムを示し、図34bは、組織表面に面しているPEMを有する、皮膚真皮上に置かれたPEM/PVAマイクロフィルムを示し、図34cは、1mLのPBSで繰り返しリンスされた後の、皮膚真皮上に固定されたPEMを示し、および、図34dは、振とうプレート上で、過剰量のPBSに浸され、3日間継続的にインキュベートした後のヒト皮膚真皮上に保持されたPEMを示す。図34eのプロットは、様々な銀担持量で含浸されたPEMで修飾された皮膚真皮から、PBS中への銀イオンの徐放を示す。データは、平均±SEM(n≧4)として表されている。
PEM/PVAマイクロフィルム中のPVAキャストが10分以内に水溶液中で完全に溶解することを示すプロットである。プロットは、PVAに組み込まれ、および、3mLのPBS緩衝液でPVAキャストが溶解するに伴い放出されたマラカイトグリーン色素の、異なる時点での吸光度を表す。PBS中のマラカイトグリーン色素の吸光度は、595nmの波長で、UV−bis分光光度計で測定された。データは、平均±SEM(n≧5)として表されている。
機械的圧力および摩耗に対する、皮膚真皮上に固定されたFITC−PEM(たとえば、(FITC−PAH/PAA2.5)40.5)の持続性を示す、一連の蛍光顕微鏡画像である。図36aは、皮膚真皮上に固定されたFITC−PEMを示し、図36は、約8kPaの機械的圧力を垂直にかけた後の、皮膚真皮上の無傷のFITC−PEMを示し、図36cは、図36bに記述される機械的圧力処置後に、Telfa被覆材を用いた側面摩耗(1mm/s)後の、皮膚真皮上に保持されたFITC−PEMを示す。
40.5二層の(PAH/PAA2.5)のPEMにひびが形成されたことを示す一連の蛍光顕微鏡画像である。図37aは、5.5二層がエラストマーPDMSシート上に形成された(FITC−PAH/PAA2.5)のPEMの蛍光顕微鏡画像である。図37bは、10.5二層がエラストマーPDMSシート上に形成された(FITC−PAH/PAA2.5)のPEMの蛍光顕微鏡画像である。図37cは、40.5二層がエラストマーPDMSシート上に形成された(FITC−PAH/PAA2.5)のPEMの蛍光顕微鏡画像である。
様々な量の銀を有するPEM/PVAマイクロフィルムで修飾された、皮膚真皮上で、24時間または48時間、インキュベートされた黄色ブドウ球菌(S. aureus)の懸濁液中抗菌活性を示すプロットである。修飾皮膚真皮は、37℃で、振とうプレート(150rpm)上において、100mLのHBSS緩衝液中、107CFUの黄色ブドウ球菌(S.aureus)とともに96ウェルプレート中でインキュベートされた。データは、平均±SEM(n≧4)として表されている。
PEM/PVAマイクロフィルムを用いて、銀/PEM(2.9±0.1μg cm−2の銀担持量を有する)で修飾された皮膚真皮上で24時間、インキュベートされた緑膿菌(Ps. aeruginosa)の懸濁液中の抗菌活性を示すプロットである。修飾皮膚真皮は、96ウェルプレート中に置かれ、37℃で、24時間、振とう(150rpm)させながら、100mLPBS緩衝液中で、107CFUの緑膿菌(Ps. aeruginosa)と共にインキュベートされた。インキュベートの後、細菌をリンスして流し、テストウェルから回収して、連続希釈を行い、血液寒天プレート上に置いた。データは、平均±SEM(n≧4)として表されている。
マイクロフィルムを用いた銀/PEMでの、全層に副子をされたマウス創傷の修飾を示す一連の画像である。図40aの写真は、ピンセットにより保持されたPEM/PVAマイクロフィルムと、副子をされたマウス創傷を示す。図40bは、マウス創傷に付着したPEMを示す。図40c、図40d、および図40eは、切除全層の表面に固定された、蛍光標識されたPEMの持続性を示す。図40cは、移行前の、PDMSシート上で(FITC−PAH/PAA2.5)40.5のPEMを含有するPEM/PVAマイクロフィルムを示す蛍光顕微鏡画像である。図40dは、1時間後、マウスから回収した創傷床上で(FITC−PAH/PAA2.5)40.5のPEMを含有するPEM/PVAマイクロフィルムを示す蛍光顕微鏡画像である。図40eは、外科処置3日後のマウスから回収した創傷床上に(FITC−PAH/PAA2.5)40.5のPEMを含有するPEM/PVAマイクロフィルムを示す蛍光顕微鏡画像である。
銀イオン交換および、銀ナノ粒子へのそれらの生体内原位置還元を3サイクル繰り返すことにより、16.8±0.5μg cm−2まで調整された(PAH/PAA2.5)10.5のPEM中の銀担持量を示すプロットである。データは、平均±SEM(n≧4)として表されている。
16.8±0.5μg cm−2の銀担持量を有する(PAH/PAA2.5)10.5のPEMから、PBS中への銀イオンの徐放を示すプロットである。PEM中の銀担持量は、銀イオン交換と還元を3サイクル繰り返すことにより得られた。このPEM構築物を用いて、マウスの汚染創を処置した。データは、平均±SEM(n=3)として表されている。
PEM/PVAマイクロフィルム(16.8±0.5μg cm−2の銀担持量を有する)で処置された汚染マウス創傷における、微生物コロニー形成の阻害を示すプロットである。3.0x106CFU/cm2の黄色ブドウ球菌(S. aureus)を局所的に接種された、6mm直径の副子を施された切除創傷は、PEM/PVAマイクロフィルムで処置され、生合成創傷被覆材Biobrane(登録商標)で覆われた。プロットは、外科処置の3日後に(Biobrane(登録商標)と共に)回収、およびホモジナイズされた創傷から採取された細菌数を示す(*、P>0.05、**、P<0.001、***、P<0.03)。データは、平均±SEM(各群に対し、n=8匹のマウス(=16の創傷))を表している。
PEM/PVAマイクロフィルム(17.63±3.13μg cm−2の銀担持量を有する)で処置された汚染マウス創傷における、微生物コロニー形成の阻害を示すプロットである。2.71x106CFU/cm2の黄色ブドウ球菌(S. aureus)を局所的に接種された、6mm直径の副子を施された切除創傷は、PEM/PVAマイクロフィルムで処置され、生合成創傷被覆材Biobrane(登録商標)で覆われた。プロットは、外科処置の3日後に(Biobrane(登録商標)と共に)回収、およびホモジナイズされた創傷から採取された細菌数を示す。データは、平均±SEM(各群に対し、n=10(=20の創傷))を表している(P<0.001)。
PEM/PVAマイクロフィルムは、副子をされたマウス切除創傷における、正常な創傷治癒を促進することを示す一連の画像およびプロットである。図45a、図45b、および図45cは、それぞれ、外科処置後0日目、7日目、および14日目における、銀/PEM(16.8±0.5μg cm−2の銀担持量を有する)を用いた外科処置後に修飾された創傷の全体画像を示す。スケール上の各線は、1mmを表す。図45dは、PEM処置を受けていない創傷および銀を含有しないPEMまたは16.8±0.5μg cm−2の銀を含有するPEMのいずれかで修飾された創傷における、外科処置3、5、7、10および14日後の元々の創傷サイズのパーセンテージを示す。各データポイントは、相対創傷サイズの平均±SEMを表す。3、5、および7日目に対する試料サイズ(n)は、それぞれ、各群に対し、n=8、16および16であった。7日目に、組織病理学的検査のために一部の創傷を採取した。10日目および14日目における3群に対する試料サイズは、それぞれ、n=4、6および6であった。
PEM/PVAマイクロフィルムは、副子をされたマウス切除創傷における正常な創傷治癒を促進することを示す一連の画像である。図46a、図46bおよび図46cの顕微鏡写真は、それぞれ、PEMが無い創傷の全体画像であり、および、図46d、図46e、および図46fの顕微鏡写真は、銀を含有しないPEMで修飾された創傷の全体画像である。図46aおよび図46dは、外科処置後0日目の画像であり、図46bおよび図46eは、外科処置7日後の画像であり、ならびに、図46cおよび図46fは、外科処置14日後の画像である。スケール上の各線は、1mmを表す。
PEM/PVAマイクロフィルム(16.8±0.5μg cm−2の銀を有する)は、副子をされたマウス切除創傷における未処置創傷と類似した上皮形成を促進する(組織病理学的に測定)ことを示す一連の画像およびプロットである。図47aおよび図47bは、それぞれ、銀/PEMで修飾された創傷における、外科処置後7日目および14日目の創傷の代表的なH&E染色切片を示す。元々の創傷の辺縁(矢印)、上皮突端の移動(矢頭)、肉芽組織(G)、および創傷マトリックス(W)に印をつけている。図47cは、PEM処置を受けていない創傷の、外科的処置7日後および4日後の元々のサイズと、銀を含まないPEMで、または銀を含有するPEMで修飾された創傷のサイズのパーセンテージを示す。各データポイントは、相対創傷サイズの平均±SEMを表す。PEMが無い群、Agを有さないPEM/PVAを有する群、および、Agを有するPEM/PVAを有する群に対する、7日目の試料サイズ(n)は、それぞれ、n=4、9および7であった。14日目に対しては、各群に対し、n=3であった。
PEM/PVAマイクロフィルムは、副子をされたマウス切除創傷における未処置創傷と類似した上皮形成を促進する(組織病理学的に測定される)ことを示す。図48aおよび図48bは、それぞれ、外科的処置の7日後および14日後における、PEMを伴わない創傷由来のH&E染色切片を示す顕微鏡写真である。図48cおよび図48dはそれぞれ、外科的処置の7日後および14日後における、銀を含有しないPEMで固定された創傷由来のH&E染色切片を示す顕微鏡画像である。元々の創傷の辺縁(矢印)、上皮突端の移動(矢頭)、肉芽組織(G)、および創傷マトリックス(W)に印を付けている。
本明細書に提示されるマイクロフィルム銀被覆材の実施形態による創傷の被覆と、従来的な被覆材による創傷の被覆を比較する図である。図49Aは、従来的な被覆材で覆われた創傷を示し、図49Bは、本明細書に記述されるマイクロフィルム被覆材で覆われた創傷を示す。
balb/cマウスの脇腹に作製され、2x105CFUの黄色ブドウ球菌(S. aureus)を接種された外科的処置後12日目のヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した創傷の顕微鏡写真を示す。図50Aは、生合成Biobrane被覆材で覆われた創傷を示す。図50Bは、創傷にBiobraneを置く前に、銀マイクロフィルム創傷被覆材で覆われた創傷を示す。図50において、スケールは0.5mmを表す。
Ga(NO3)3を有するTSB培地中における、48ウェルプレートの底にある緑膿菌(P. aeruginosa)のバイオフィルムの阻害を示すプロットである。データは、クリスタルバイオレット染色されたバイオフィルムの吸光度として表されている(n=4、平均±標準偏差)。
創傷床上で、銀ナノ粒子を含有するポリマー多層ナノフィルム(PEM)に付着する、水溶性ポリマーキャスト(抗バイオフィルムGaを有する)を含有するマイクロフィルム被覆材の実施形態を示す図である。
16.1±0.8μg/cm2のガリウムを含有する(PAA/PAH)10のPEMから、PBS中への、Ga3+の徐放を示すプロットである。
シリコーンフィルム被覆材上にスタンピングすることによる、ガリウム(Ga)または銀のナノ粒子(AgNP)を含有するPEMのナノコーティングの連続的な移行を示す図である。図54Aは、シリコーンフィルム上への、ナノコーティングの連続的な堆積を示し、図54Bは、スタンプを除去し、シリコーンフィルム上にナノコーティングが残ることを示す。

0080

定義
この後の開示で説明する本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を下に定義する。

0081

「創傷」という用語は、様々な状態で惹起され(例えば、床上安静が長引いたことによる褥瘡、外傷が誘発した創傷)種々の特性をもった、皮膚及び皮下組織への損傷を広く指す。本明細書に記載する方法と組成物は、内部及び外部組織の創傷を含め、全ての種類の創傷の治療に有用である。創傷は、創傷の深さによって4つのグレードの1つに分類することができる:i)グレードI:上皮に限られた創傷;ii)グレードII:真皮の中に及ぶ創傷;iii)グレードIII:皮下組織の中に及ぶ創傷;iv)グレードIV(即ち、全層創傷):骨(例えば、大転子又は仙骨等、骨圧点)が露出した創傷。

0082

「中間層創傷」という用語は、グレードI〜IIIを包含する創傷を指し、中間層創傷の例としては、熱創傷、褥瘡、静脈うっ血性潰瘍、及び糖尿病性潰瘍が挙げられる。「深い創傷」という用語は、グレードIIIとグレードIVの創傷の両方を含むことを意図する。本発明は、深い創傷や慢性の創傷も含め、全ての種類の創傷を治療することを企図する。

0083

「慢性の創傷」という用語は、30日以内に治癒していない創傷を指す。

0084

「創傷治癒を促進する」、「創傷治癒を向上させる」、及び類似の語句は、創傷収縮の肉芽組織の形成の誘導、及び/又は上皮化の誘導(上皮における新しい細胞の生成)を指す。創傷治癒は、創傷面積縮小によって簡便に測定される。

0085

「創傷活性剤」という用語は、創傷の治療及び治癒において有用な所望の薬理的、生理的効果を誘導する既知又は有望性化学的化合物を指し、効果は予防的であっても治療的であってもよい。用語はまた、本明細書に詳しく述べる活性剤の薬剤的許容できる薬理学的活性誘導体を包含し、例としては、栄養素、細胞外マトリックス、酵素、酵素阻害剤、ディフェンシン、ポリペプチド、抗感染剤(例えば、イオンの銀、元素の銀、及び銀ナノ粒子が挙げられ、但し、これに限定されない)、緩衝剤、ビタミン及びミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固因子、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、並びに抗癌剤が挙げられ、但し、これに限定されない。

0086

「ポリマー多層」という用語は、多層構造を形成するようにポリマー(複数含む)を連続的反復的に適用することによって形成する組成物を指す。例えば、高分子電解質多層は、アニオン性高分子電解質とカチオン性高分子電解質を創傷又は担体に交互に加えることによって形成するポリマー多層である。「ポリマー多層」という用語はまた、創傷又は固体担体にポリマー(複数含む)を連続的反復的に適用することによって形成する組成物を指す。加えて、「ポリマー層」という用語は、アニオン性又はカチオン性高分子電解質分子等のポリマー分子で構成され、多層内の1つの層として、又は創傷若しくは担体上ただ一種類の高分子電解質分子の単層として存在する、単層を指すことがある。創傷床又は担体へのポリマーの送達は、好適実施形態では連続的なものである一方、「ポリマー多層」という用語の使用は、得られるコーティングの構造の点で限定的ではない。高分子電解質等のポリマーの相互拡散が生じて、構造がアニオン性及びカチオン性高分子電解質の分布の点で充分に混合されたものとなる可能性がある、ということが当業者には充分理解される。高分子電解質という用語は、ポリマー種及びナノ粒子種を包含すること、及び、種が複数の荷電基又は部分的荷電基を有すると示すよりほかに範囲を限定するものではないこと、も理解される。多層構造は、例えば、静電気的相互作用やその他水素結合等、種々の相互作用によって形成することができる、ということも当業者によって充分に理解される。このようにして、「高分子電解質」という用語は、創傷床構築物の形成を生じさせる相互作用の点で限定的ではない。

0087

本明細書において「架橋結合の」という用語は、共有結合の形成から生じる、分子間架橋結合及び任意で分子内架橋結合を含有する組成物を指す。2つの架橋結合性成分間の共有結合は直接的でもよく、この場合、1つの成分の原子が他方の成分の原子に直接結合するか、結合は連結基を介して間接的でもよい。共有結合に加えて、架橋結合構造としてはまた、水素結合及び静電気(イオン)結合等、分子間及び/又は分子内非共有結合も挙げられ得る。

0088

「共有結合性修飾剤」という用語は、分子を互いに共有結合させるいずれの分子をも指す。共有結合性修飾剤としては、均質二官能性及び異質二官能性架橋剤並びに光活性化可能架橋剤が挙げられる。

0089

「均質二官能性架橋剤」という用語は、同一又は類似の分子を相互に共有結合させるために用いられる分子を指す。均質二官能性架橋剤は2つの同じ反応基を有し、そのため、均質二官能性架橋剤は同じ種類の分子のみを互いに結合させることができる。逆に、「異質二官能性架橋剤」は、異なる分子を互いに共有結合させるために用いられる分子を指し、それは、種類の異なる種々の分子と相互作用できる2つ以上の異なる反応基を有するためである。異質及び均質多官能性架橋剤は、異質及び均質架橋結合官能基の両方をもった多価架橋剤を指す。活性化デンドリマーは多官能性架橋剤の一例である。

0090

「対象」という用語は、特定の治療を受けることになる任意の動物(例えば、哺乳類)を指し、例えば、ヒト、非ヒト霊長類げっ歯類イヌネコ、及び類似のものが挙げられ、但し、これに限定されない。本明細書では、通常、「対象」及び「患者」という用語は互換的に用いられる。

0091

「界面活性剤」という用語は、液体又は固体の表面特性及び界面特性を修飾する両親媒性材料を指す。界面活性剤は、2つの液体間の表面張力を低減させることができる。洗浄剤湿潤剤乳化剤分散剤、及び抑泡剤は全て界面活性剤である。

0092

「ブロックコポリマー」という用語は、少なくとも2つのモノマーからなるポリマーを指す。ブロックコポリマーにおいて、隣接するブロックは構造上異なる、即ち、隣接するブロックは、異なる種のモノマーから又は同じ種のモノマーではあるが構成単位組成又は連鎖分布が異なるものから誘導される構成単位を含む。ブロックコポリマーは、2つのホモポリマー末端で結合されたものと考えることができる。

0093

「溶媒」という用語は、物質を溶解させることのできる液体を指す。「有機溶媒」という用語は、石油生成物から誘導される溶媒を指す。

0094

「高分子電解質」という用語は、カチオン及びアニオン等、多くの反復イオン構成単位を含有する水溶性高分子ポリマー物質を指す。

0095

「第1級アミン」という用語は、水素炭化水素ユニット置換された、アンモニアの誘導体を指す。第1級アミンは一般式RNH2を有し、例としては、アニリンメチルアミン、及び1−プロピルアミンが挙げられ、但し、これに限定されない。

0096

「DNA送達剤」という用語は、特定した標的にDNAを接触させることのできるどのような分子をも指す。場合によっては、DNA送達剤は、in vitro又はin vivoで、1つ又は複数の細胞へのDNAの取り込みを起こす。DNA送達剤はウイルスの可能性もあり、例として、アデノウイルス及びレトロウイルスが挙げられ、但し、これに限定されない。DNA送達剤はまた、非ウイルス性剤の可能性もあり、例として、プラスミド、脂質、リポソーム、ポリマー、及びペプチドが挙げられ、但し、これに限定されない。

0097

「曝すことのできる」という用語は、曝すことのできるどのようなものをも指す。曝すことのできる表面又は分子とは、他の表面又は分子との相互作用に利用できるものである。例えば、本発明との関連でいえば、共有結合性修飾剤は創傷活性剤に曝すことができ、そうして、2つの剤はお互いと相互作用して共有結合を形成することができる。

0098

「官能化」という用語は、他の官能基(例えば、スルフヒドリル基)と反応して共有結合を形成することのできる新しい反応性官能基(例えば、マレイミド又はスクシンイミジル基)を生成又は導入する、既存の分子セグメントの修飾を指す。例えば、カルボン酸(−−COOH)基を含有する成分は、既知の手順を用いてN−ヒドロキシ−スクシンイミド又はN−ヒドロキシスルホスクシンイミドと反応させることによって官能化し、活性化カルボキシレート(これは反応性求電子性基である)の形の新しい反応性官能基、即ち、それぞれN−ヒドロキシスクシンイミドエステル又はN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステルを形成することができる。別の例では、カルボン酸基は、やはり既知の手順を用いて、ハロゲン化アシル、例えば、塩化アシルと反応させることによって官能化し、新しい反応性官能基を無水物の形で得ることができる。

0099

本明細書で使用する場合、「水溶液」という用語は、溶液、懸濁液、分散物コロイド、及び、水を含有する類似のものを含む。

0100

本明細書で使用するとき、「クリック化学」という用語は、高エネルギー含量を内蔵した化学的構成要素を使用して、他の要素の適切な相補的部位との自発的及び不可逆結合反応推進することを指す。これらの化学反応(例えば、互いと容易に化合するアジド基及びアセチレン基の間の反応が挙げられ、但し、これに限定されない)は特異的で、2つの分子間に共有結合を生じる。

0101

「天然型化学的ライゲーション」という用語は、2つの無保護ペプチドセグメントの化学選択的反応を指す。反応は最初にチオエステル結合種を生じさせ、次いで、この過渡中間体の自発的転位が起こり、連結部位天然ペプチド結合をもった完全長生成物が得られる。

0102

特異的タンパク質結合」という用語は、互いに高い親和性と特異性を有する2つ以上のタンパク質間の相互作用を指す。タンパク質は、機能するためには、それに特異的な他のタンパク質とin vivoで結合しなければならない。タンパク質は、通常in vivoに存在する数千のタンパク質の中のたった1つ又は数種の他のタンパク質に結合することを要求され、本発明ではこの相互作用を用いてin vitroで創傷活性剤を創傷に結合させる。本発明との関連においては、特異的なタンパク質結合相互作用としては、ビオチンとアビジン、ニュートラアビジン、又はストレプトアビジンとの間のもの;グルタチオン−S−トランスフェラーゼとグルタチオンの間のもの;ニッケル−ニトリロ三酢酸とポリヒスチジンの間のもの、が挙げられ、但し、これに限定されない。

0103

「デバイス」という用語は、治療的又は予防的目的のために対象の身体又は体液に接触する物体を指す。デバイスには、対象の身体又は体液に部分的又は間接的に接触するもの(例えば、カテーテル、透析管、診断センサー、薬物送達デバイス)もあるが、対象の身体に完全に吸収されるか取り込まれるかするもの(例えば、ステント、ペースメーカー体内埋め込み除細動器血管形成術用バルーン整形外科デバイス脊椎ケージ(spinal cage)、移植可能薬剤ポンプ人工椎間板ディスク(ear disc))もある。

0104

選択毒性」という用語は、微生物細胞と対比した哺乳動物細胞が受ける特異的有毒性作用の特性を指す。例えば、選択毒性剤は、細菌細胞を効果的に殺菌し、同時に哺乳類細胞の成長及び生存を可能とする。

0105

「毒性」という用語は、対象、細胞、又は組織を、毒性物質投与前の同じ細胞又は組織と比較した場合の、それに対するどのような有毒又は有害な影響をも指す。

0106

本明細書で使用する場合、「ナノ粒子」及び「ナノスケール粒子」という用語は、互換的に用い、ナノメートル単位で測定されるサイズをもったナノスケール粒子、例えば、約1000未満、500未満、又は100nm未満の少なくとも1つの寸法を有するナノスケール粒子を指す。ナノ粒子の例としては、ナノビーズナノファイバーナノホーンナノオニオンナノロッド、及びナノロープが挙げられる。

0107

本明細書で使用する場合、「マイクロ粒子」及び「マイクロスケール粒子」は、互換的に用い、マイクロメーター単位で測定されるサイズをもったマイクロスケール粒子、例えば、約10マイクロメーター未満、5マイクロメーター未満、又は2マイクロメーター未満の少なくとも1つの寸法を有するマイクロスケール粒子を指す。

0108

「創傷被覆材」という用語は、吸収性、粘着性保護性浸透圧調節性pH調節性、又は圧力誘起性の特性を有する創傷に隣接して置かれた材料を指す。創傷被覆材は、創傷に直接的又は間接的に接触してもよい。創傷被覆材はサイズ又は形状によって限定されない。実際、多くの創傷被覆材料は、創傷の寸法に合わせて切断又は構成してもよい。創傷被覆材料の例としては、ガーゼ、粘着テープ、包帯、及び市販の創傷被覆材が挙げられ、但し、これに限定されず、市販の創傷被覆材としては、Band−Aid(登録商標)系列の創傷被覆材の粘着包帯及びパッド、Nexcare(登録商標)系列の創傷被覆材の粘着包帯及びパッド、Kendall Curity Tefla(登録商標)系列の創傷被覆材の粘着包帯及び非粘着パッド、Tegaderm(登録商標)系列の創傷被覆材の粘着包帯及びパッド、Steri−Strip(登録商標)系列の創傷被覆材の粘着包帯及びパッド、COMFEEL(登録商標)系列の創傷被覆材、粘着包帯及びパッド、Duoderm(登録商標)系列の創傷被覆材、粘着包帯及びパッド、TEGADERM(商標)系列の創傷被覆材、粘着包帯及びパッド、OPSITE(登録商標)系列の創傷被覆材、粘着包帯、及びパッド、及び生物創傷被覆材が挙げられ、但し、これに限定されない。「生物創傷被覆材」は、創傷表面に接触するように置くことのできる細胞及び/又は1つ若しくは複数の生体分子若しくは生体分子の断片を含む、例えば、それで被覆されるかそれを組み込む、一種の創傷被覆材である。生体分子は、人工組織マトリックスの形式で提供してもよい。かかる生体分子の例としては、コラーゲン、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、抗菌性ポリペプチド、及びその組合せが挙げられ、但し、これに限定されない。適切な生物創傷被覆材の例としては、BIOBRANE(商標)、Integra(商標)、Apligraf(登録商標)、Dermagraft(登録商標)、Oasis(登録商標)、Transcyte(登録商標)、Cryoskin(登録商標)、及びMyskin(登録商標)が挙げられ、但し、これに限定されない。

0109

本明細書で使用する場合、「抗菌性銀組成物」という用語は、銀を活性抗菌性剤として含む組成物を指す。「抗菌性銀組成物」の例としては、銀ナノ粒子、元素の銀、ゼロ価銀、リン酸ジルコニウムに担持された多価銀イオン(ZP−Ag)(例えば、Wound Repair and Regeneration,16:800−804参照)、及びスルファジアジン銀等の銀含有化合物、並びに関連化合物が挙げられ、但し、これに限定されない。「放出可能抗菌性銀組成物」という用語は、抗菌活性が観察できるように、材料、例えば、ポリマー多層固体担体から放出できる抗菌性銀組成物を指す。抗菌性銀組成物の放出は、材料に画定された領域又は空間から放出される組成物の量として定義できる。

0110

〔発明を実施するための形態〕
創傷は複雑な性質を有しており、および、最新の医療に基づいた著しい臨床技術的進歩欠落しているため、新たな、従来とは異なるアプローチが早急に必要とされている。病的/慢性的な創傷床の微小環境は、細胞外マトリックスの構成物質分解酵素、成長因子および他の細胞活性因子の活性変化により制御不全の状態にある。本発明により、たとえば、創傷治癒を加速するような好ましい細胞挙動を促進するよう、創傷床の界面化学/構造を変化させることにより、創傷床それ自身を操作する組成物および方法が提示される。一部の実施形態において、創傷床は、第一に、創傷面に、均一で反応性のある床をもたらすプライミング剤(すなわち、プライマー)を用いて処理される。プライムされた創傷床は、次いで、所望される剤(たとえば、創傷活性化剤)を用いて処置される。

0111

正常な創傷治癒においては、線維芽細胞、血管細胞細胞外マトリックス成分、および上皮細胞の間の協調的な相互作用により、炎症反応、創傷修復、拘縮および上皮バリアによる被覆を介した、途切れない進行がもたらされる。しかしながら、制御不全の状態にある創傷微小環境、全身性の疾患、または他の交絡的な状況を有する対象の多くにおいては、創傷治癒プロセスは、非同期的なものとなり、無痛性の潰瘍が発生する(Pierce, 2001, Am. J. Pathol. 159:399)。他の対象においては、治癒の間の細胞の挙動を適切に調節するための制御応答が喪失または欠落することにより、実質的に当該対象にとって有害となる、過増殖応答が発生する。これは特に、ケロイドを形成する傾向を有する患者、または火傷を負った患者に当てはまり、過剰な線維芽細胞増殖とコラーゲン生成によって、外観を損ない、機能障害をもたらす瘢痕の形成が生じる。

0112

広範な非治癒創傷全体にわたり、様々な誘発メカニズムおよび創傷微小環境があることが明確である。これらの創傷は、閉鎖に向けた進行において、多くの接合点病的状態を示す。血管新生の欠落、線維芽細胞の応答、および再度の上皮形成はすべて、慢性的な創傷において重要な役割を果たす。ゆえに、慢性的な創傷に対し、ただ1つの因子で処置を行っても、臨床環境中に存在する多くの異なる創傷全体に対する有益なアプローチとなる可能性は低い。そのような異種環境において、より良い戦略としては、細胞応答の特定の性状、創傷環境における反応を調節することができる成分の特定が挙げられ、それにより、個々の創傷および患者に適してカスタム化された治癒応答をもたらすことができる可能性がある。

0113

創傷環境域が異種であるため、創傷内の細胞応答を特異的に調節することによって、「望ましい」治癒応答が刺激されることを最良に実現することが企図される。本発明により、創傷応答内で内皮、線維芽細胞、および上皮の成分を特異的に調節するための、創傷床への固定候補リストからの、細胞活性成分のサブセットの選択が提示される。ゆえに、本発明により、様々な臨床状態における、高質な創傷応答を得ることができ、それによって、臨床医が直面する個別の創傷治癒の課題に対する、個別化された治療法のための創傷床の操作戦略が提示される可能性が提示される。創傷内の細胞応答を特異的に調節することにより、相当な利益を得ることができる具体的な例としては、糖尿病における慢性創傷または静脈うっ滞性の潰瘍が挙げられ、それらは細胞全体的な治癒応答の促進が望ましいが、特に、活発血管新生応答が、創傷治癒の他の面の全てをサポートするためには必要とされる。言い換えれば、治癒した創傷の強度が重要な懸念事項である場合においては、正常な血管新生および上皮成分を伴う線維芽細胞の応答を促進するような調節が、望ましい。

0114

対照的に、一部の火傷(たとえば、深刻な第二度の熱傷であり、真皮および毛幹上皮の成分が、失われた組織を置換し続けている)においては、活発な血管新生および上皮応答が必要とされるが、瘢痕肥大、拘縮および外観の変形を減少させるためには、線維芽細胞反応は軽減されていることが望ましい。ケロイドを形成する傾向のある対象の治癒においても、同様に軽減されていることが望ましく、それらの創傷においては、増殖性の線維芽細胞応答は抑制されていなければならない。また、関節または開口部付近の創傷においては、急速な治癒が促進され、上皮で覆われることが望ましいが、組織の柔軟性の改善が維持されるよう、線維芽細胞の応答は調節されていることが望ましい。このように、線維芽細胞の応答を調節することにより、より良い臨床転帰が得られ、それにより、手足または他の重要な身体機能回復を目的とした再建法は必要としなくなる可能性がある。そのような方法の実施可能性は従前に示されており、たとえば、切開創傷に対するトレチノインの効果に関する、Muehlbergerらによる報告がある(Muehlberger et al., 2005, J. Am. Acad. Derm. 52:583)。この実験において、トレチノインの適用により、線維芽細胞増殖が増加する一方で、コラーゲンの産生は減少していた。

0115

表面修飾は、ここ10年ほど、移植、人工装具および人工臓器における応用に関して重要な課題となっており、それにより、移植および組織工学に対する幅広医療応用が可能となる(Langer and Vacanti, 1993, Science 260:920);Peppas and Langer, 1994, Science 263:1715; Angelova and Hunkeler, 1999, TrendsBiotechnol. 17:409)。移植の融合効率の改善に対しては、適切な骨−移植片インターフェースを得ることを目的とした、デバイス表面物理化学的形態学的、および生化学的な特性の改変を含む、いくつかの方法が研究されている。自己アセンブリー単分子層(SAM)または、Langmuir−Blodgett技法が、新たなインターフェースを生成するために普遍的に用いられている(Mrksich, 1997, Curr. Opin. Colloid Interface Sci. 2:83;Loesche, 1997, Curr. Opin. Solid State Mater. Sci. 2:546)。

0116

最近では、多層化された高分子電解質フィルム集積のために、ポリアニオンおよびポリカチオンの交互堆積に基づいた、自己アセンブリー構造の新たな汎用方法が開発されている(Decher, 1997, Science 277:1232)。様々なフィルムの厚さ、粗度、および多孔性に加え、官能基化された高分子フィルム構造に組み込むことも可能である(Caruso et al., 1997, Langmuir 13:3427;Cassier et al.,1998, Supramol. Sci. 5:309)。また、多層堆積プロセスは、高分子電解質への適用性に限定されず、ウイルス、ナノ粒子、非イオン性ポリマー、タンパク質および他の微小物質(マイクロおよびナノレベル)の形態にも適用することができることが示されている。最近では、多層堆積方法により形成することができる、広範な種および界面構造に関する情報が報告されている。本明細書に記述される本発明の範囲は、高分子電解質に限定されず、多層堆積プロセスにより界面構造に組み込まれることが示されている全ての種が含まれる。

0117

本発明により、創傷床の組成を変化させるための様々な実施形態が提示される。一部の実施形態において、創傷修飾剤は、創傷床をプライムするのに適用される。以下に詳述されるように、創傷修飾剤は、創傷床に適用され、共有結合的に、または非共有結合的のいずれかで、創傷床を修飾する剤である。創傷修飾剤の例としては、均質二官能性リンカーおよび異質二官能性リンカー、高分子電解質、非イオン性ポリマー、高分子電解質と非イオン性ポリマーの組み合わせ、ならびに、ビーズと針を含むナノ粒子およびマイクロ粒子が挙げられる。一部の実施形態において、創傷修飾剤は、コンプライアンス、pH、アルカリ度、および、酸化強度または還元強度、正味荷電、親水性、浸透力、ナノスケールまたはサブミクロンの組織分布、導電率、MMP産生、食作用、および、トランスグルタミナーゼ活性からなる群から選択される、創傷床の特性を変化させる。好ましい実施形態においては、創傷修飾剤を用いて、創傷活性剤を組みこみ、創傷活性剤を創傷床に位置づける。創傷活性剤は、創傷修飾剤に共有結合的、または非共有結合的に結合されていても良い。さらに、創傷活性剤は、創傷修飾剤を介して、勾配を形成していてもよい。さらなる実施形態において、創傷修飾剤は、創傷床のコンプライアンスを変化させる。これらの実施形態において、ポリマーまたはナノ粒子またはマイクロ粒子は、既定硬度を有している。さらなる実施形態において、ポリマー、ナノ粒子、またはマイクロ粒子により、異なるレベルの硬度でコンプライアンス勾配が形成されても良い。

0118

本発明の一部の実施形態において、創傷活性剤は、銀または銀の形態である。銀は、広範囲細菌種(Yin et al., 1999, J. Burn Care Rehabil. 20:195。その全体において、参照により本明細書に援用される)、酵母種、真菌種(Wright et al., 1999, Am. J Infect. Control 27:344。その全体において、参照により本明細書に援用される)、およびウイルス類(Hussain et al., 1991, Biochem. Biophys. Res. Comm. 189:1444。その全体において、参照により本明細書に援用される)(いくつかの抗生物質耐性株を含む(Wright et al., 1998, Am. J. Infect. Control 26:572。その全体において、参照により本明細書に援用される))に対して作用する、非特異的な殺生剤として広く用いられている。しかしながら、銀イオンが非常に反応性に富んだ性質であるために、局所適用された銀剤は創傷中ですばやく不活化されてしまう。頻繁に創傷に塗布すれば、創傷に過剰量の銀イオンがもたらされてしまい、過剰摂取による毒性が現れる。in vitroの実験により、線維芽細胞(Poon et al., 2004, Burns 30:140;Hildago et al., Skin Pharmacol. Appl. Skin Physiol. 11:140。各々、その全体において参照により本明細書に援用される)、角化細胞(Poon et al., 2004, Burns 30:140。参照により、その全体において本明細書に援用される)、肝細胞(Baldi et al., 1988, Toxicol. Lett. 41:261。参照により、その全体において本明細書に援用される)およびリンパ球(Hussain et al., 1991, Biochem. Biophys. Res. Comm. 189:1444。参照により、その全体において本明細書に援用される)に対する銀イオンの細胞毒性効果が示されている。

0119

銀イオンの高度な反応性によって、創傷床への送達が困難となっている。放出された銀イオンは、複雑な創傷液内のタンパク質および塩化物と容易に結合し、急速に不活化され(Mooney et al., 2006, Plastic and Reconstr. Surg. 117:666。各々、その全体において参照により本明細書に援用される)、上皮細胞および汗腺に望ましくない銀イオンの吸着が発生する(Klasen, 2000, Burns 26:117。その全体において参照により本明細書に援用される)。創傷治癒のために臨床で現在用いられている、0.5%の硝酸銀等の銀ベース局所用溶液、または1%のスルファジアジン銀クリーム等の軟膏は、最大3200ppmの濃度の銀を放出するが、これらの大部分は創傷中で化学的複合体を形成して速やかに不活化されるため(Dunn et al., Burns, 2004, 30(supplement 1):S1、その全体において参照により本明細書に援用される)、頻繁に塗布する必要がある(硝酸銀溶液については1日に最大12回、および、スルファジアジン銀クリームは1日に少なくとも2回)。頻繁に塗布することにより、創傷に過剰量の銀イオンがもたらされ、それによって、過剰摂取から生じる有毒作用および変色が生じる(Atiyeh et al., 2007, Burns 33:139;Trop et al., 2006, J. Trauma 60:648。各々、その全体において参照により本明細書に援用される)。被覆材に組み込まれた銀を用いて創傷を被覆することは、近年になって導入された。それにより、創傷への銀の放出が延長され、被覆材を交換する頻度は減った。しかしながら、これらの保有被覆材は、多量の銀イオンに含浸させなければならず、それによって、細胞毒性が生じる。主要な市販の創傷被覆材であるActicoat(登録商標)(ナノ結晶の銀を含有する)(Dunn et al., Burns, 2004, 30(supplement 1):S1。その全体において、参照により本明細書に援用される)から放出される銀は、角化細胞および線維芽細胞のin vitro単層細胞培養に対して毒性があることが示されている(Poon et al., 2004, Burns 30:140;Trop et al., 2006, J. Trauma 60:648。各々、その全体において参照により本明細書に援用される)。ゆえに、現在の局所適用銀抗菌物質に関する課題は、銀放出レベルの低さ、浸透性の欠落、銀イオンの急速な滅失、および、硝酸銀の存在または、炎症促進性であり、創傷治癒に負の影響を与えるクリーム基材にある。創傷汚染、電解質の不均衡、および患者の不快症状等の課題もまた存在している。

0120

ある実施形態において、本発明には、過剰量の銀を創傷に使用することを回避しつつ、抗菌活性を維持し、細胞毒性を減少させる、非細胞毒性レベルの抗菌性銀組成物を制御し、表面へ局所塗布するための新規方法が含まれる。本発明のある実施形態を開発する経過中に行われた実験において(実施例13)、ナノメーターの厚さのポリマーフィルムがアセンブリーされ、それらは細菌を殺傷する効果をもたらすレベルで銀ナノ粒子を組み込まれているが、当該フィルム上のマウス線維芽細胞の付着および増殖に対し細胞毒性作用が生じなかった。一部の実施形態において、ポリマーフィルムは、実施例13に記述される抗菌性銀組成物中で当該フィルムをインキュベートすることにより、抗菌性銀組成物が組み込まれている。他の実施形態において、抗菌性銀組成物は、多層の合成の間に、当該ポリマー多層に直接組み込まれる。たとえば、Langmuir. 2005 Dec 6;21(25):11915−21を参照のこと。

0121

本発明の一部の実施形態における、銀ナノ粒子含浸薄層フィルムは、創傷マトリックスへの銀の送達のために、異なる原理活用している。フィルムは、露出した創傷床に直接適用することができ、それにより、銀イオンが創傷内に局所的に放出される。これにより、銀局所送達剤と比較して、フィルムに組み込む必要のある殺菌性銀の量が数桁減少し、銀イオンによる毒性が著しく減少する。本発明は任意の特定のメカニズムに限定されず、当該メカニズムの理解は本発明の実施に必ずしも必要ではないが、銀含浸被覆材および軟膏が、放出された銀の浸透を制限する創傷液中の銀イオンの急速な滅失を克服するため、高レベルの銀イオンを創傷床内に送達しなければならない一方で、本明細書に提示される、一部のポリマー薄層フィルム実施形態による創傷マトリックスへの銀の局所放出は、銀の多量担持の使用を回避することができることが企図される。

0122

本発明の実施形態の、一部の分子的に薄い合成フィルムは、0.4μg/cm2もの低さの可溶性銀を含有するよう調整することができ、緩衝液に総計で1ppm未満の銀イオンを放出することができる。そのようなフィルムは、哺乳類細胞に対し測定可能な細胞毒性をいずれも示すことなく、99.9999%の殺菌効果を示す。さらに、これらのレベルの銀を含有するフィルムは、哺乳類細胞(たとえば、NIH−3T3マウス線維芽細胞)の付着および増殖が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の1または10〜約50、100、200、300、400、500または1000μg/cm2の量で担持され、および/または1日当たり、ポリマー多層の約0.01〜100μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.05〜100μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.05〜20μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.05〜5μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.05〜2μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.05〜1μg/cm2の量で放出が可能である。一部の実施形態において、放出可能な抗菌性銀組成物は、ポリマー多層の約0.1〜0.5μg/cm2の量で放出が可能である。

0123

本発明の一部の実施形態を開発する経過中に実施された実験において、フィルム中の銀濃度の体系的変化が可能であり、その細胞毒性および抗菌効果は銀担持量に依存していることが示された。比較すると、市販の創傷被覆材であるActicoat(登録商標)中の可溶性銀の量は約100μg/cm2である(Dunn et al., 2004, Burns 30(supplement 1):S1。その全体において、参照により本明細書に援用される)。Acticoat(登録商標)は、24時間で総量で120ppm超の水に溶解した銀を放出し(Taylor et al., 2005, Biomaterials 26:7221。その全体において、参照により本明細書に援用される)、角化細胞および線維芽細胞に対し細胞毒性があることが示されている(Poon et al., 2005, Burns 30:140;Trop et al., 2006, J. Trauma 60:648。各々、その全体において、参照により本明細書に援用される)。

0124

銀を含有し、溶液中に銀を放出することにより抗菌活性を示す高分子電解質合成フィルムに関するいくつかの報告がある(Lee et al., 2005, Langmuir 21:9651;Li et al., 2006, Langmuir 22:9820;Grunlan et al., 2005, Biomacromolecules 6:1149;Yu et al., 2007, Bioconj. Chem. 18:1521; Shi et al., 2006, J. Biomed. Mat. Res. Part A 76A:826。各々、その全体において、参照により本明細書に援用される)。しかしながら、これら実験のすべては、フィルム中の銀の体積率および濃度の制御に焦点が当てられていた。高い銀担持量を含有するフィルム(約5.5μg/cm2以上)が、抗菌活性を示すことが報告されている(Wang et al., 2002, Langmuir 18:3370;Logar et al., 2007, Nanotechnol. 18:325601。各々、その全体において参照により本明細書に援用される)。そのような高分子電解質フィルムは、それら銀レベルで担持された場合、強い細胞毒性を示し、それらの上に播種されたNIH−3T3細胞を100%殺傷した(たとえば、実施例13)。

0125

本発明のある実施形態を開発する過程で行われた実験において(たとえば、実施例13)、細胞毒性を示すことなく、哺乳類細胞の付着を可能とする銀含浸抗菌分子薄層フィルムにつながるPEM中の銀担持レベルが特定され、および、得られた。当該フィルムには、他の局所送達剤で見られるような銀過剰摂取による毒性のリスクを軽減させ、創傷に殺菌性の銀を局所送達するための用途が見出される。一部の実施形態において、埋め込み型医療デバイスを、これら銀含浸薄層フィルムでコートし、最初にこれら表面に付着する間に殺菌され、移植失敗の主要な原因となる細菌のコロニー形成を阻害する。

0126

ゆえに、本発明の一部の実施形態の銀放出分子薄層混合フィルムは、1)臨床で現在用いられている他の局所銀送達剤、2)多量の銀を含有する創傷被覆材、および、3)多量の銀を含有する他の殺菌混合薄層フィルム(それらは、哺乳類細胞に対して細胞毒性があり、それらの上に哺乳類細胞は付着し、増殖することはできない)を超える利点を有する。

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  • 王子ホールディングス株式会社の「 シート」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】本発明は、使用時に扱いやすく、肌に対する密着性に優れた微細繊維状セルロース含有湿潤シートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、水と、を... 詳細

  • 株式会社天真堂の「 オートファジー調節剤」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】新たなオートファジー調節剤の提供。【解決手段】発酵ニンニク又はその抽出物を有効成分とするオートファジー調節剤。... 詳細

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