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図面 (13)

課題

寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物の提供。

解決手段

寛容誘発抗原としてタンパク質ミモトープを含み、ペプチドリガンド、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物。

概要

背景

移植組織拒絶および自己免疫疾患は、外来生体分子抗原性質による外来生体分子の免疫拒絶を含む病態である。多くの薬物および臨床プロセスは、免疫拒絶の抑制または治療関与する。ワクチンは、抗病原性生体分子上の抗原に対する免疫応答刺激してその抗原を担持するタンパク質または他の生体分子に対する免疫系応答構築することによりこのプロセスに有利である。

概要

寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物の提供。寛容誘発抗原としてタンパク質のミモトープを含み、ペプチドリガンド、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物。なし

目的

これらは、赤血球に特異的に結合する配列を有するペプチド性リガンドとして、または赤血球への特異的結合を提供する

効果

実績

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請求項1

寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物であって、前記赤血球結合部分は、Band3(CD233)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/Rh50(CD241)、Rh(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)、Kell(CD238)、Duffy/DARCi(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、グロボシド、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRINニューロセリン(CD147)、JMHグリコシルトランスフェラーゼ、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139、およびH抗原(CD173)からなる群から選択される生体分子に特異的に結合する組成物。

請求項2

前記赤血球結合部分は、前記抗原に共有結合している、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記赤血球結合部分は、ペプチドリガンド、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。

請求項4

前記赤血球結合部分は、赤血球に対する抗体を産生するハイブリドーマ由来の抗体、抗体断片またはScFvを含み、前記ハイブリドーマは、BRIC4、BRIC5、BRIC6、BRIC10、BRIC14、BRIC18、BRIC39、BRIC66、BRIC68、BRIC69、BRIC87、BRIC108、BRIC110、BRIC111、BRIC125、BRIC126、BRIC128、BRIC145、BRIC155、BRIC157、BRIC163、BRIC170、BRIC198、BRIC203、BRIC216、BRIC220、BRIC221、BRIC222、BRIC229、BRIC230、BRIC231、BRIC235、BRIC256、BRAC17、BRAC18、BGRL1、BGRL2、BGRL11、BGRL100、BRAD3、BIRMAD6、BIRMAD10、BIRMAK3、BIRMAK3、BIRMA84B;6A7;COE;およびKZ1からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。

請求項5

前記寛容誘発抗原は、タンパク質ミモトープを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。

請求項6

前記寛容誘発抗原は、タンパク質、タンパク質の一部、ヒトタンパク質またはその一部、非ヒトタンパク質またはその一部、グリカン、非ヒトグリコシル化を含むタンパク質のグリカン、ヒト自己免疫抗原、ヒト用治療タンパク質またはその一部、およびヒト食物の一部からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。

請求項7

前記寛容誘発抗原は、遺伝性疾患により欠損しているタンパク質、非ヒトグリコシル化を有するタンパク質、非ヒトタンパク質、ヒト中で天然では見出されない合成タンパク質、ヒト食物抗原、ヒト移植抗原、およびヒト自己免疫抗原からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。

請求項8

前記寛容誘発抗原は、第VIII因子、第IX因子アデノシンデアミナーゼL−アスパラギナーゼラスブリカーゼ抗胸腺細胞グロブリン、L−アルギナーゼ、L−メチオナーゼ、プレプロインスリンプロインスリンインスリン、GAD65、GAD67、IA−2、IA−2β、サイログロブリン甲状腺ペルオキシダーゼサイロトロピン受容体ミエリン塩基性タンパク質ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質プロテオリピドタンパク質、コラーゲンII、コラーゲンIV、アセチルコリン受容体マトリックスメタロプロテイン1および3、分子シャペロン熱ショックタンパク質47、フィブリリン−1、PDGF受容体α、PDGF受容体β、核タンパク質SS−A、コンアラキン(Arah1)、アレルゲンII(Arah2)、ピーナッツアグルチニン(Arah6)、α−ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリングルテイン、低分子量グルテイン、α−グリアジン、γ−グリアジン、ホルデイン、セカリンおよびアベニンからなる群から選択される抗原を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。

請求項9

前記抗原は、ミモトープである、請求項8に記載の組成物。

請求項10

移植片拒絶自己免疫疾患食物アレルギー、および治療剤に対する免疫応答からなる群から選択される病態治療において使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。

請求項11

寛容誘発抗原ならびにBand3(CD233)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)およびグリコホリンD(CD235d)からなる群から選択される赤血球結合部分を含む分子融合物。

請求項12

免疫寛容の生成において使用される、請求項11に記載の分子融合物。

請求項13

タンパク質、タンパク質の一部、ヒトタンパク質またはその一部、非ヒトタンパク質またはその一部、グリカン、非ヒトグリコシル化を含むタンパク質のグリカン、ヒト自己免疫抗原、ヒト用治療タンパク質またはその一部、およびヒト食物の一部、遺伝性疾患により欠損しているタンパク質、非ヒトグリコシル化を有するタンパク質、非ヒトタンパク質、ヒト中で天然では見出されない合成タンパク質、ヒト食物抗原、ヒト移植抗原、およびヒト自己免疫抗原から選択される寛容誘発抗原;ならびにBand3(CD233)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)から選択される赤血球結合部分を含む分子融合物。

請求項14

免疫寛容を生成する方法であって、寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む組成物を投与することを含み、前記分子融合物を、前記寛容誘発抗原を含む物質に対する免疫寛容を生成するために有効な量で投与する方法。

請求項15

赤血球結合部分および物質の抗原を含む融合分子を含む物質に対する免疫応答の免疫反転において使用される薬学的に許容可能な組成物。

請求項16

前記寛容誘発抗原は、タンパク質、タンパク質の一部、ヒトタンパク質またはその一部、非ヒトタンパク質またはその一部、グリカン、非ヒトグリコシル化を含むタンパク質のグリカン、ヒト自己免疫抗原、ヒト用治療タンパク質またはその一部、およびヒト食物の一部からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。

請求項17

前記寛容誘発抗原は、遺伝性疾患により欠損しているタンパク質、非ヒトグリコシル化を有するタンパク質、非ヒトタンパク質、ヒト中で天然では見出されない合成タンパク質、ヒト食物抗原、ヒト移植抗原、およびヒト自己免疫抗原からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。

請求項18

前記赤血球結合部分は、Band3(CD233)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/Rh50(CD241)、Rh(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、グリコホリンA、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)、Kell(CD238)、Duffy/DARCi(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、グロボシド、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRIN/ニューロセリン(CD147)、JMH、グリコシルトランスフェラーゼ、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139、およびH抗原(CD173)からなる群から選択される生体分子に特異的に結合する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の組成物。

請求項19

前記赤血球結合部分は、ペプチドリガンド、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の組成物。

請求項20

前記赤血球結合部分は、赤血球に対する抗体を産生するハイブリドーマ由来の抗体、抗体断片またはScFvを含み、前記ハイブリドーマは、BRIC4、BRIC5、BRIC6、BRIC10、BRIC14、BRIC18、BRIC39、BRIC66、BRIC68、BRIC69、BRIC87、BRIC108、BRIC110、BRIC111、BRIC125、BRIC126、BRIC128、BRIC145、BRIC155、BRIC157、BRIC163、BRIC170、BRIC198、BRIC203、BRIC216、BRIC220、BRIC221、BRIC222、BRIC229、BRIC230、BRIC231、BRIC235、BRIC256、BRAC17、BRAC18、BGRL1、BGRL2、BGRL11、BGRL100、BRAD3、BIRMAD6、BIRMAD10、BIRMAK3、BIRMAK3、BIRMA84B;6A7;COE;およびKZ1からなる群から選択される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の組成物。

請求項21

前記寛容誘発抗原は、タンパク質のミモトープを含む、請求項15〜20のいずれか一項に記載の組成物。

請求項22

赤血球結合部分およびアスパラギナーゼの抗原を含む融合分子。

請求項23

前記赤血球結合部分は、ヒト赤血球に結合するscFvまたは配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、およびそれらの保存的置換物からなる群から選択されるペプチド性結合リガンドを含み、前記配列は、赤血球に特異的に結合する、請求項22に記載の融合分子。

請求項24

アスパラギナーゼに対する寛容の誘導に使用される、請求項22または23に記載の融合分子を含む組成物。

請求項25

赤血球結合部分およびクロモグラニン−Aの抗原を含む融合分子。

請求項26

前記赤血球結合部分は、ヒト赤血球に結合するscFvまたは配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、およびそれらの保存的置換物からなる群から選択されるペプチド性結合リガンドを含み、前記配列は、赤血球に特異的に結合する、請求項25に記載の融合分子。

請求項27

クロモグラニン−Aに対する寛容の誘導に使用される、請求項25または26に記載の融合分子を含む組成物。

請求項28

標的に特異的に結合するドメインに結合している赤血球結合部分を含む薬学的に許容可能な組成物。

請求項29

前記標的は、タンパク質を含み、前記タンパク質は、寛容誘発抗原をさらに含む、請求項28に記載の組成物。

請求項30

前記赤血球結合部分は、ペプチドリガンドを含む、請求項28または29に記載の組成物。

請求項31

前記赤血球結合部分は、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される、請求項28または29に記載の組成物。

請求項32

前記ドメインは、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)からなる群から選択される、請求項28〜31のいずれか一項に記載の組成物。

請求項33

分子融合物、タンデムscFv、ダイアボディ、およびタンデムscFv−IgG分子から選択される群のメンバーを含み、前記赤血球結合部分および前記ドメインは、前記メンバーの一部である、請求項28〜32のいずれか一項に記載の組成物。

請求項34

抗原に結合している赤血球結合部分を含む薬学的に許容可能な組成物。

請求項35

前記抗原は、ネイティブ自己抗原である、請求項34に記載の組成物。

請求項36

前記自己抗原は、全身性エリテマトーデス抗原からなる群から選択される、請求項34または35に記載の組成物。

請求項37

前記抗原は、治療タンパク質用である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の組成物。

請求項38

前記抗原は、第VIII因子抗原である、請求項37に記載の組成物。

請求項39

循環から不所望な抗体を除去するための、請求項34〜37のいずれか一項に記載の組成物の使用。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2012年2月15日に出願された米国特許出願第13/397,202号明細書の優先権を主張する。

0002

技術分野は、医薬組成物および赤血球に結合するリガンドまたは抗体の使用に関する。具体的な使用としては、免疫寛容化、薬物送達、および癌治療が挙げられる。

背景技術

0003

移植組織拒絶および自己免疫疾患は、外来生体分子抗原性質による外来生体分子の免疫拒絶を含む病態である。多くの薬物および臨床プロセスは、免疫拒絶の抑制または治療関与する。ワクチンは、抗病原性生体分子上の抗原に対する免疫応答刺激してその抗原を担持するタンパク質または他の生体分子に対する免疫系応答構築することによりこのプロセスに有利である。

課題を解決するための手段

0004

寛容導入は、物質に対する免疫学的寛容創成するプロセスである。物質の寛容を創成するために治療される患者、ヒトまたは非ヒトのいずれかは、低減した物質に対する適応免疫応答を有する。適応免疫応答の低減は、物質に反応性循環抗体の量を分析することにより、または物質および寛容化剤に対するT細胞反応を分析することにより計測することができる。寛容化のための組成物および方法が、本明細書において提供される。実施形態の多くは、赤血球結合部分と組み合わせた寛容化抗原を有する融合分子投与することを含む。融合分子は、赤血球に結合し、寛容化抗原を免疫系に寛容を創成する様式で提示するプロセスを開始させる。

0005

赤血球(赤血球細胞としても公知)に特異的に結合するペプチドは、発見されている。これらのペプチドリガンドは、血液中に存在する他の因子の存在下でも赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分である。これらのリガンドは、種々の手法で使用することができる。

0006

本発明の一実施形態は、寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む分子融合物を含む薬学的に許容可能な組成物であって、赤血球結合部分は、Band3(CD233)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/Rh50(CD241)、Rh(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)、Kell(CD238)、Duffy/DARCi(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、グロボシド、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRINニューロセリン(neurothelin)(CD147)、JMHグリコシルトランスフェラーゼ、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139、およびH抗原(CD173)からなる群から選択される生体分子に特異的に結合する組成物である。

0007

本発明の一実施形態は、標的、例えば、寛容誘発抗原を含むタンパク質に特異的に結合するドメインに結合している赤血球結合部分を含む薬学的に許容可能な組成物である。これらのドメインの一方または両方は、ペプチド性リガンドまたは抗体もしくは抗体断片であり得る。

0008

別の実施形態は、抗体枯渇またはそうでなければ患者中の循環からの抗体の除去において使用される薬学的に許容可能な組成物である。組成物は、抗原、例えば、ネイティブ自己抗原または治療タンパク質についての抗原に結合している赤血球結合部分を有する。

図面の簡単な説明

0009

ERY1およびオボアルブミン(OVA)の分子融合物についての実験スキームおよび結果を示し、ERY1−OVA融合物は、マウス赤血球の赤道周辺高親和性で結合する;パネル(a)赤血球表面グリコホリン−Aへの結合をもたらすオボアルブミン(OVA)へのERY1ペプチドのコンジュゲーション図解;パネル(b)フローサイトメトリーにより特徴決定されたそれぞれのOVAコンジュゲートおよび中間体の結合;黒塗りヒストグラム、ERY1−OVA;白抜きヒストグラム、SMCC−OVA;点線ヒストグラム、MIS−OVA;ERY1=赤血球結合ペプチドWMVLPLPGTLD(配列番号1)、MIS=ミスマッチペプチドPLLTGMLWPW(配列番号2)、SMCC=スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、ERY1をOVAにコンジュゲートするために使用;パネル(c)フローサイトメトリーにより測定された、ERY1−OVAの低解離定数(R2=0.97、単一部位結合)を実証する赤血球へのERY1−OVAの平衡結合。
赤血球結合が抗原チャレンジに対する寛容を誘導することを示す結果の図である:パネル(a)実験ならびにチャレンジおよび未処置対照群についての実験プロトコルを示すOTI CD8+T細胞養子移入寛容モデル(n=5);パネル(b)OTI CD8+T細胞集団(CD3ε+CD8α+CD45.2+)のフローサイトメトリー検出;パネル(c)CD45.1+マウスにおける抗原チャレンジ4日後の流入領域リンパ節鼠径および膝窩)中のOTI CD8+T細胞集団定量(**P<0.01);パネル(d)IFNγ発現OTI CD8+T細胞のフローサイトメトリー検出;パネル(e)抗原チャレンジおよびSIINFEKLペプチド(配列番号3)による再刺激4日後の流入領域リンパ節中のIFNγ発現OTI CD8+T細胞(**P<0.01);パネル(f)ELISAにより測定された、SIINFEKLペプチド(配列番号3)による再刺激4日後のリンパ節細胞培養培地中のIFNγ濃度(**P<0.01);パネル(g)ELISAにより測定された、OVAによる再刺激4日後のリンパ節細胞培養培地中のIL−10濃度(*P<0.05)。データは、中央値±最小〜最大値を表す;パネル(h)19日目におけるOVA特異的血清IgG力価、(*P<0.05)データは、平均値±SEを表す;パネル(i)実験および対照群(それぞれn=4、3)についての実験プロトコルを示す、OTIおよびOVA発現EL4胸腺腫(E.G7−OVA)組合せの腫瘍寛容モデル;パネル(j)養子移入5日後に血液中で循環する非増殖(0世代)OTI CD8+T細胞の定量;データは、中央値±最小〜最大値を表す(**P<0.01);パネル(k)OTI養子移入9日後に皮下注射されたE.G7−OVA腫瘍の成長プロファイル、データは、平均値±SEを表す(*P<0.05)。
赤血球結合がC57BL/6マウス中の抗原特異的液性応答をいかに減弱させるかを示す棒グラフである。C57BL/6マウスにおける6日間の間隔を置いた1μgのOVAまたは1μgのERY1−OVAの2回投与19日後の血清中のOVA特異的IgG検出(*P≦0.05)。
アームPEG−ERY1がインビトロおよびインビボで赤血球に結合する実験結果を表す;パネル(a)インビトロインキュベーション後、8アームPEG−ERY1(黒塗りヒストグラム)はマウス赤血球に結合するが、8アームPEG−MIS(灰塗りヒストグラム)も8アームPEG−ピリジルジスルフィドも結合しない;パネル(b)静脈内注射時、8アームPEG−ERY1(黒塗りヒストグラム)は循環赤血球に結合するが、8アームPEG−MIS(灰塗りヒストグラム)は結合しない。
フローサイトメトリーにより測定された、8アームPEG−ERY1(黒色丸)および8アームPEG−MIS(白抜き四角)の赤血球細胞表面半減期を示す実験結果を表す。
ヒト赤血球へのペプチド性リガンドの結合を示す棒グラフとしての実験結果を表す。
フローサイトメトリーヒストグラムとしての実験結果を表す。マウス赤血球をTER119−SIINFEKL(灰塗りヒストグラム)またはアルブミン(白抜きヒストグラム)とインキュベートした。蛍光シグナルは、scFvの検出において使用される抗6×His−PE抗体から生じる。
生理食塩水、OVA、ERY1−OVA、またはTER119−SIINFEKLの静脈内投与後の脾臓中の増殖OT−I CD8T細胞を示す実験結果のプロットである。**P<0.01、***P<0.001
養子移入および生理食塩水、OVA、ERY1−OVA、またはTER119−SIINFEKLの静脈内投与後のOTI CD8T細胞の表現型特徴決定を示す実験結果のプロットである。左パネル:フローサイトメトリーにおけるアネキシンV結合により標識されたアポトーシスOTI細胞誘導;右パネル:フローサイトメトリーにおけるPD−1の発現により標識された疲弊OTI細胞誘導。
フローサイトメトリーにより分析された、種々の注射配合物により寛容化されたマウスからのチャレンジの部位に流入するリンパ節中の炎症(IFNγ+)OTI T細胞の特徴決定を示す実験結果のプロットである。
ELISAにより測定された、2または6用量のERY1−ASNアーゼまたは野生型ASNアーゼを受けたマウスからの投与21日後のアスパラギナーゼ(ASNアーゼ)特異的血清IgG力価を示す実験結果のプロットである。
種々の培地添加剤を有する脾臓DCとの共培養物中のトランスジェニックODBDC2.5マウスからのCD4T細胞の増殖を示す実験結果のプロットである。
フローサイトメトリーにより測定された、養子移入およびTER119−ChrA、フリー1040−p31ペプチド、または生理食塩水の静脈内投与後の非増殖NODBDC2.5CD4T細胞の定量を示す実験結果のプロットである。

0010

寛容誘発についての分子設計が提供される。寛容が求められるタンパク質または他の分子抗原は、赤血球結合部分とのコンジュゲートとして形成される。この部分は、ペプチドリガンド、抗体、アプタマー、または抗体断片を含み得る。コンジュゲートは、分子融合物とも称され、融合タンパク質であり得、またはリンカー、例えば、ポリマーもしくはポリマーミセルもしくはポリマーナノ粒子コンジュゲートを含み得る。

0011

赤血球に特異的に結合するペプチドが本明細書において記載される。これらは、赤血球に特異的に結合する配列を有するペプチド性リガンドとして、または赤血球への特異的結合を提供する抗体もしくはその断片として提供される。ペプチドは、治療剤、寛容化抗原、または標的化ペプチドとの分子融合物として調製することができる。治療剤は、有利には、それらが融合物の一部である場合に増加したインビボ循環半減期を有し得る。免疫寛容は、融合物の使用および寛容が望まれる物質に基づく抗原の選択により創成することができる。これに関して、抗原という用語は、完全サイズの抗原、その抗原性断片、または寛容誘発抗原の模倣物を意味する。標的化ペプチドとの融合物は、融合物を標的、例えば、腫瘍に指向させ、赤血球結合リガンドは、赤血球を標的に動員することによる腫瘍への血流を低減させ、または完全に排除する。

0012

赤血球に特異的に結合するペプチド性配列
赤血球に特異的に結合するペプチドは、本出願人によりPCT米国特許出願公開第2011/047078号明細書において発見および報告されており、そのペプチドとしては、赤血球に特異的に結合するERY1と称されるペプチドが挙げられる。ヒト赤血球に特異的に結合する6つのペプチド(ERY19、ERY59、ERY64、ERY123、ERY141およびERY162)も報告された。実施例9は、ペプチド性リガンド(ERY64、ERY123、およびERY141)がいかに蛍光タンパク質レポーターとの融合タンパク質の一部とし、それらの特異的結合特性を保持したかを詳述する。本発明の一実施形態は、ERY1のアミノ酸配列、もしくはヒト赤血球結合ペプチドの1つ、もしくはそれらの保存的置換物を含む実質的に純粋なポリペプチド、またはそれらをコードする核酸である。そのようなポリペプチドは、赤血球に特異的に結合し、赤血球についてのリガンドである。リガンドは、標的分子への特異的結合を有する化学部分を指す用語である。標的は、使用者がリガンドとの結合を意図する所定の分子、組織、または局在部位を指す。したがって、組織への標的化された送達は、意図される標的組織への分子または他の材料、例えば、細胞の送達を指す。したがって、実施形態は、赤血球に結合させるために使用される本明細書に開示されるリガンドの少なくとも1つを含む分子または組成物を含む。赤血球へのポリペプチドの結合活性は、本明細書に記載の以下の実験プロトコルにより簡易に測定することができる。そのような方法を使用して、所与生理学的条件下でのERY1またはヒト赤血球結合ペプチドに対するポリペプチドバリアント、例えば、保存的置換フランキング基の付加もしくは除去、または水溶液中の配列溶解度を調整するための変化もしくは付加を使用して作製された配列の結合強度を測定することができる。ペプチド性リガンドは、以下の標的または標的群の1つ以上について特異的に生成することができる:赤血球表面分子(タンパク質、糖タンパク質)、Band3(CD233)、グリコホリン、より特定すると、グリコホリンA(CD235a)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)およびグリコホリンD(CD235d)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/Rh50(CD241)、Rh(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、Kell(CD238)、Duffy/DARC(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、グロボシド、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRIN/ニューロセリン(CD147)、JMH、グリコシルトランスフェラーゼ、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139、およびH抗原(CD173)。赤血球細胞表面タンパク質は、精製された調製物またはそれらの混合物のいずれかで、ペプチド性リガンドについてスクリーニングすることができる。赤血球細胞表面タンパク質は、それらの完全形態で、またはタンパク質の発現もしくは安定性を向上させるタグに融合している部分ドメインとして組換え発現させることができる。次いで、組換えタンパク質標的を、プレートまたはビーズ上で固定化し、ライブラリースクリーニングプロセスのための親和性標的として使用することができる。赤血球細胞表面タンパク質は、全血細胞調製物から単離することもでき、それから膜タンパク質の精製または複合体混合物固体マトリックス(ビーズ、プレートなど)上で固定化し、スクリーニングプロセスのための親和性標的として使用することができる。全スクリーニングプロセスは、高濃度血清アルブミン(例えば、50mg/mL)の存在下で37℃において実施して非特異的結合イベントを低減させ、血清中で好ましい結合特徴を有するペプチドを選択することができる。ペプチド性リガンドは、最も好ましくは、Band3(CD233)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)およびグリコホリンD(CD235d)から選択される。

0013

ペプチド性リガンドは、細胞形態を変化させず、細胞質移行なしで赤血球細胞表面に結合することが観察された。リガンドは、細胞表面にわたり分布し、クラスター化しなかった。グリコホリン−A(GYPA)は、ERY−1の標的として同定された特異的タンパク質である。ERY−1は、マウスおよびラット種とのみ反応性である。ヒト赤血球に特異的に結合するペプチド性リガンドは、ヒト赤血球に特異的であり、他の種には特異的でないことが決定された。マウス赤血球細胞表面に対する高親和性ペプチドWMVLPWLPGTLD(配列番号1 本明細書においてERY1と称される)を示すファージクローンが報告された。他の実験は、表1〜2に示されるヒト赤血球についての結合リガンドを同定した。6つの配列が、ヒト赤血球に特異的に結合した。ERY50と命名された第7の配列は、ヒト赤血球に結合し、上皮内皮細胞にも結合した。

0014

0015

0016

本発明の実施形態は、赤血球の表面に特異的に結合するペプチドを含む。配列は、最小長について最適化しなかった。そのような最適化は、当技術分野技能の範囲内であり、本明細書に記載の技術を使用して実施することができる。例えば、Kenrick et al.(Protein Eng.Des.Sel.(2010)23(1):9−17)は、15残基ライブラリーからスクリーニングし、次いで最小結合配列の7残基長を同定した。Getz(ACS Chem.Biol.,May 26,2011は、5残基長ほどの小さい最小結合ドメインを同定した。赤血球結合ペプチドは、同一配列リピート、例えば、2〜20リピート中に存在し得;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値が企図されることを直ちに認識する。さらに、ペプチドは、同一ペプチド中に存在し、または単一分子融合物の一部である2つ以上の区別される配列との組合せで存在し得る。

0017

特異的結合を提供する連続残基の数は、約4〜12残基であると予測される。したがって、表2に見出される4つの連続残基長の全てのペプチド、および例えば5、6、7、または8つの連続残基の全てのペプチドが開示される。この数は、他のペプチド性タンパク質−結合リガンドについての残基の数に基づく。本発明の実施形態は、本明細書、例として表1に記載の赤血球結合配列番号の1つについての最小長配列を含む。したがって、ある実施形態は、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号1、およびそれらの保存的置換物からなる群から選択される配列の4〜12の連続アミノ酸残基のいくつかの連続アミノ酸配列を含むペプチド、または単離された(または精製された)ペプチドを含む組成物であって、前記配列は、赤血球に特異的に結合する組成物を対象とする。あるいは、連続残基の数は、約5〜約18になるように選択することができ;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、7、8、9、10、または8〜18が企図されることを直ちに認識する。赤血球結合配列は、例えば、その配列の少なくとも1つおよび2つ以下のアミノ酸の保存的置換、または1、2、もしくは3つの置換、または1〜5つの置換を有し得る。さらに、発見された配列中のD−アミノ酸によるL−アミノ酸の置換は、Giordanoにおけるように高頻度で達成することができる。ペプチドまたは組成物は、一部の実施形態において、本質的に、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号1からなる群から選択される配列からなっていてよい。ペプチドは、長さを限定することができ、例えば、約10〜約100の残基の数を有し;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、約10〜約50または約15〜約80が企図されることを直ちに認識する。ペプチドと赤血球との間の平衡結合計測により測定された約10μM〜0.1μMの解離定数を有するペプチドリガンドを含むペプチド赤血球結合部分を提供することができ;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、約1μM〜約1nMが企図されることを直ちに認識する。ペプチドは、治療剤をさらに含み得る。治療剤は、例えば、タンパク質、生物製剤、抗体断片、ScFv、またはペプチドであり得る。ペプチドは、寛容誘発抗原、例えば、タンパク質を欠損しているヒトにおいて使用されるヒトタンパク質(例えば、血液因子、例えば、第VIII因子または第IX因子)、非ヒトグリコシル化を有するタンパク質、ヒト中で天然では見出されない合成タンパク質、ヒト食物アレルゲン、またはヒト自己免疫抗原をさらに含み得る。

0018

種々の長さのポリペプチドを、特定の用途に適宜使用することができる。一般に、ポリペプチドリガンド配列を含有するポリペプチドは、ポリペプチドがインビボでの赤血球との相互作用利用可能である場合、特異的結合を示す。フォールドする潜在性を有するペプチドは、本明細書に記載の方法を使用して試験することができる。したがって、ある実施形態は、天然では生じないポリペプチドリガンドを有するポリペプチドを対象とし、ある他の実施形態は、特定の長さ、例えば、6〜3000残基、または12〜1000、または12〜100、または10〜50を有するポリペプチドを対象とし;当業者は、明示される限度内の全ての値および範囲が企図されることを直ちに認識する。

0019

ある実施形態は、種々のポリペプチド配列および/または精製もしくは単離されたポリペプチドを提供する。ポリペプチドは、翻訳後修飾(例えば、リン酸化またはグリコシル化)ならびに/または追加のポリペプチドとの複合体化、核酸および/もしくは炭水化物、もしくは他の分子とのマルチサブユニット複合体への合成にかかわらず、アミノ酸残基の鎖を指す用語である。したがって、プロテオグリカンは、本明細書においてポリペプチドとも称される。本明細書において使用される「機能性ポリペプチド」は、示される機能を促進し得るポリペプチドである。ポリペプチドは、多数の方法により産生することができ、その多くが当技術分野において周知である。例えば、ポリペプチドは、抽出(例えば、単離された細胞から)により、ポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、または化学合成により得ることができる。ポリペプチドは、例えば、組換え技術、およびコードされるポリペプチドの発現のために宿主細胞中に導入(例えば、形質転換または形質移入により)されたポリペプチドをコードする発現ベクターにより産生することができる。

0020

活性を変化させずに一般にアミノ酸配列になすことができる種々の保存的変化が存在する。これらの変化は、保存的置換または突然変異と称され;すなわち、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸のグループに属するアミノ酸を別のアミノ酸と置換することができる。アミノ酸配列についての置換物は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性疎水性)アミノ酸としては、アラニンロイシンイソロイシンバリンプロリンフェニルアラニントリプトファンメチオニン、およびチロシンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニンシステイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。正荷電(塩基性)アミノ酸としては、アルギニンリジンおよびヒスチジンが挙げられる。負荷電(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。そのような変化は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または等電点により測定される見かけの分子量に実質的に影響しないと予測される。保存的置換としては、配列の光学異性体を他の光学異性体に、具体的には、配列の1つ以上の残基についてDアミノ酸をLアミノ酸に、置換することも挙げられる。さらに、配列中のアミノ酸の全ては、DからL異性体への置換を受け得る。例示的な保存的置換としては、限定されるものではないが、陽性電荷を維持するためのLysのArgへの置換およびその逆;陰性電荷を維持するためのGluのAspへの置換およびその逆;フリー−−OHが維持されるようなSerのThrへの置換;ならびにフリーNH2を維持するためのGlnのAsnへの置換が挙げられる。さらに、ポリペプチド配列または対応する核酸配列点突然変異欠失、および挿入を、一部の場合、ポリペプチドまたは核酸断片の機能の損失なしでなすことができる。置換は、例えば、1、2、3つ以上の残基を含み得る。本明細書に記載のアミノ酸残基は、一文字アミノ酸表記または三文字略記のいずれかを用いる。本明細書において使用される略記は、標準的なポリペプチド命名法、J.Biol.Chem.,(1969),243,3552−3559に従う。全てのアミノ酸残基配列は、慣用アミノ末端からカルボキシ末端方向で左右方向を有する式により本明細書において表される。

0021

一部の場合、本明細書に記載のペプチドと配列との同一性パーセントの決定が要求され得る。そのような場合、同一性パーセントは、ペプチド、またはペプチドの一部の残基の数に関して計測される。例えば、90%の同一性のポリペプチドは、より大きいペプチドの一部でもあり得る。

0022

ポリペプチドに関して本明細書において使用される精製されたという用語は、化学合成され、したがって他のポリペプチドにより実質的に汚染されておらず、または天然で付随する他のほとんどの細胞成分(例えば、他の細胞タンパク質、ポリヌクレオチド、または細胞成分)から分離もしくは精製されたポリペプチドを指す。精製されたポリペプチドの一例は、天然で会合するタンパク質および天然有機分子を有さない乾燥重量で少なくとも70%であるポリペプチドである。したがって、精製されたポリペプチドの調製物は、例えば、乾燥重量で少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%のポリペプチドであり得る。ポリペプチドは、ポリペプチドの精製または標識(例えば、親和性マトリックス上への捕捉顕微鏡下での可視化)を容易にするタグ配列(例えば、ポリヒスチジンタグ、mycタグ、またはFLAG(登録商標)タグ)を含有するようにエンジニアリングすることもできる。したがって、ポリペプチドを含む精製された組成物は、特に記載のない限り、精製されたポリペプチドを指す。単離されたという用語は、本発明のポリペプチドまたは核酸がそれらの天然環境中で存在しないことを示す。したがって、本発明の単離された産生物は、培養上清中で含有させ、部分濃縮し、異種源から産生し、ベクター中でクローニングし、またはビヒクルと配合などすることができる。

0023

ポリペプチドは、化学的改変を含み得;その用語は、それに関して、アミノ酸の天然化学構造の変化を指す。そのような改変は、例えば、アミノ末端またはカルボキシル末端を変化させて側鎖または末端になすことができる。一部の実施形態において、改変は、ポリペプチドを他の材料に結合させるため、または治療剤に結合させるために便利に使用することができる化学基の創成に有用である。

0024

生物学分野において一般に使用される用語の特異的結合は、非標的組織と比較して比較的高い親和性で標的に結合する分子を指し、一般に、複数の非共有相互作用、例えば、静電相互作用ファン・デル・ワールス相互作用、水素結合などを含む。特異的結合相互作用は、抗体−抗原結合、酵素基質結合、および特異的結合タンパク質受容体相互作用を特徴づける一方;そのような分子は、それらの標的の他の組織に随時結合し得、そのような結合は、特異性を欠き、特異的結合でないとされる。ペプチドERY1およびその誘導体ならびにヒト赤血球結合ペプチドおよびその誘導体は、一部の状況において非赤血球に結合し得るが、そのような結合は、他の細胞またはタンパク質とは対照的に赤血球へのペプチドのかなり大きい結合により証明されるとおり、非特異的であると観察されている。

0025

したがって、実施形態は、赤血球に特異的に結合し、他の血液成分、例えば、血液タンパク質、アルブミン、フィブロネクチン血小板白血球細胞、典型的なヒトから採取された血液試料中に見出される実質的に全ての成分の1つ以上に特異的に結合しないリガンドを含む。血液試料に関して、用語「実質的に全ての」は、典型的に存在する成分を指すが、他のバイオベイラブルなリガンドの力価を事実上低減させないような極めて低濃度の付随成分を排除する。

0026

抗体ペプチド
赤血球に結合するペプチドに加え、タンパク質、具体的には、抗体、特に単鎖抗体断片も本明細書に提示される。抗原に対する抗体を生じさせるための技術は、周知である。抗原という用語は、これに関して、抗原に対応する宿主免疫系により認識される部位を指す。抗原選択は、数ある分野のうち、抗体を生じさせる分野において公知である。実施形態は、本明細書に提示される分子融合物および他の方法におけるそれらのペプチドの使用を含む。抗原は、それらの完全形態で、またはタンパク質の発現もしくは安定性を向上させるタグに融合している部分ドメインとして組換え発現させることができる。次いで、組換えタンパク質抗原を、プレートまたはビーズ上で固定化し、ライブラリースクリーニングプロセスのための親和性標的として使用することができる。抗原は、全血の細胞調製物から単離することもでき、それから膜タンパク質の精製または複合体混合物を固体マトリックス(ビーズ、プレートなど)上で固定化し、スクリーニングプロセスのための親和性標的として使用することができる。

0027

本開示を精読する当業者は、赤血球に特異的に結合する抗体を創成することができる。実施例4〜6は、抗体またはその断片の作製に関する。多数の並行技術、例として、限定されるものではないが、ファージディスプレイ酵母ディスプレイ、および細菌ディスプレイが、新たな抗体もしくは抗体断片を発見するため、または赤血球に対して活性なそのような断片を含む組成物を作製するために使用される。追加の赤血球結合抗体もしくは抗体断片、またはscFvは、以下の標的または標的群(集合的に、本明細書において赤血球標的群と称される)の1つ以上について特異的に生成することができ、それは、Band3(CD233)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/Rh50(CD241)、Rh(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、グリコホリンA(CD235a)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)、Kell(CD238)、Duffy/DARC(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、グロボシド、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRIN/ニューロセリン(CD147)、JMH、グリコシルトランスフェラーゼ、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139、およびH抗原(CD173)からなる群から選択される。

0028

さらに、新たな赤血球特異的抗体は、インタクトなヒト赤血球またはそのタンパク質調製物によるマウスの免疫化により生成することができる。アジュバント中で配合された標的による免疫化後、マウスを所定の時点において屠殺し、それらの抗体レパートリーシーケンシングし、および/またはそれらのB細胞ハイブリドーマベーススクリーニングのために単離する。これらの抗体または抗体断片は、いくつかの上記のインビトロ技術により、改善された結合および/または安定性パラメーターについて最適化することができる。追加の赤血球結合抗体または抗体断片は、赤血球に結合することが既に発見されている抗体ハイブリドーマクローンを使用することにより生成することができる。これらは、例えば、TER119scFvを生成するために使用される方法を使用することにより生成することができる。テンプレートとして、または抗体源として、とりわけ、以下のハイブリドーマクローンを使用することができる:BRIC4、5、6、10、14、18、39、66、68、69、87、108、110、111、125、126、128、145、155、157、163、170、198、203、216、220、221、222、229、230、231、235、または256;BRAC17、18;BGRL1、2、11、100;BRAD3;BIRMA D6、D10、K3、84B;6A7;COE;またはKZ1。

0029

ペプチドという用語は、本明細書におけるポリペプチドという用語と互換的に使用される。抗体および抗体断片は、ペプチドである。抗体断片という用語は、抗体の抗原結合機能を保持する抗体の一部を指す。断片は、文字通り、より大きい抗体の一部から作製することができ、あるいは、デノボ合成することができる。抗体断片としては、例えば、単鎖可変断片(scFv)が挙げられる。scFvは、リンカーペプチド、例えば、約10〜約50アミノ酸と連結している免疫グロブリン重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端に、またはその逆のいずれかで連結し得る。scFvという用語は、二価scFv、ダイアボディトリアディテトラボディおよび他の抗体断片の組合せを含む。抗体は、パラトープと称される抗原結合部分を有する。ペプチドリガンドという用語は、パラトープの一部でないペプチドを指す。

0030

抗体およびその断片による、ペプチド性結合リガンドによる、およびアプタマーによる赤血球の結合は、赤血球への共有結合なしで実施することができる。結合は、インビボで、エクスビボ赤血球結合イベントなしで実施することができる。この結合イベント、例として、赤血球との抗原の得られる会合は、赤血球のアポトーシスを引き起こさずに実施することができる。このプロセスは、赤血球の表面分子が、架橋剤および/または結合イベントにより互いに架橋されないように、ならびに共有結合により架橋されないように実施することができる。

0031

抗原を赤血球に結合させるための二重特異的タンパク質構築物
赤血球に結合するタンパク質構築物を創成する場合、主な設計任意選択は、関心対象の抗原および赤血球結合部分の両方を含有する単一タンパク質または分子融合物を創成することである。

0032

産生および使用においてより有効であり得る代替的設計は、関心対象の抗原に直接的または間接的に結合する追加のドメインに融合している赤血球に結合する1つのドメインを含有する二重特異的タンパク質または分子構築物である。関心対象の実際の抗原は、この分子融合物中に含まれず、関心対象の抗原に直接的または間接的に結合する部分のみが含まれる。したがって、関心対象の抗原を改変することもエンジニアリングすることも要求されない。そのような設計の一例は、関心対象の抗原を有する生体分子に特異的に結合する第2の抗体ドメインに組換え融合している赤血球に特異的な1つの抗体ドメインを有する二重特異的抗体または抗体断片である。複数の異なる二重特異的抗体構築物、例として、限定されるものではないが、タンデムscFv、ダイアボディ、およびタンデムscFv−IgG分子を実現させることができる(62)。関心対象の抗原に結合するドメイン、および赤血球に結合する別のドメインを保有することにより二重特異性についてエンジニアリングされた他の非タンパク質性足場、例として、ポリマーナノ粒子または他の多価ポリマーコンジュゲートも使用される。

0033

二重特異的構築物の親和性部分は、ペプチドドメインおよび/または抗体断片ドメインの任意の組合せであり得る。赤血球または標的タンパク質抗原に結合するペプチドは、慣用のペプチドライブラリースクリーニング技術、例として、例えば、ビーズまたは多重化ペプチドライブラリースクリーニング、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、および酵母ディスプレイを用いて得られる。エンジニアリングされたペプチドは、標準的な生化学アッセイ、例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴、およびフローサイトメトリーベースの方法を使用してその結合標的に対する特異性および親和性について特徴決定される。赤血球または標的タンパク質抗原に結合する抗体または抗体断片は、慣用の技術、例えば、ハイブリドーマベース選択法、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、リボソームディスプレイ、または免疫化動物の直接抗体遺伝子もしくはプロテオミクスベースシーケンシング法を使用して得られる。エンジニアリングされた抗体または抗体断片は、標準的な生化学アッセイ、例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴、およびフローサイトメトリーベースの方法を使用してその結合標的に対する特異性および親和性について特徴決定される。

0034

それぞれの親和性部分(ペプチド、抗体、および/または抗体ドメイン)の発見および特徴決定後、それらを融合して標準的な組換えDNA技術、例えば、アセンブリーPCRまたは直接遺伝子合成を使用して二重特異的分子構築物を形成し、次いで融合タンパク質を好適な宿主中で発現させる。二重特異的構築物は、2つの個々の部分を、二重特異的結合に好適と考えられる任意の組合せ(ペプチド−ペプチド、ペプチド−抗体断片など)で一緒に化学的にコンジュゲートすることによっても創成される。2つの抗体ドメインは、種々の技術水準アーキテクチャーを使用して二重特異的抗体を創成するために使用される(1)。さらに、合成ポリマー足場(PEG、PPGなど)がそれぞれの結合部分間の安定的結合を創成し、構築物のフレキシビリティーを改善するために使用される。分枝鎖ポリマーも、アビディティー効果により赤血球への、タンパク質抗原への、またはその両方への結合の親和性を増加させるために使用される。

0035

二重特異的構築物の結合効力の特徴決定は、標準的なインビトロ生化学結合親和性アッセイ、例えば、ELISAおよび表面プラズモン共鳴を使用して実施される。二重特異的構築物のインビボ性能は、二重特異的構築物または二重特異的構築物および抗原を動物モデル、例えば、マウスまたはラット中に注射し、次いで血液をサンプリングし、同様のインビトロアッセイを使用して赤血球および抗原結合の両方について試験することにより実施される。

0036

実施形態は、標的に特異的に結合するドメインに結合している赤血球結合部分を含む薬学的に許容可能な組成物を含む。標的は、寛容誘発抗原をさらに含むタンパク質を有するタンパク質を含み得る。赤血球結合部分は、ペプチドリガンド、抗体、抗体断片、単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)またはアプタマーを含み得る。ドメインは、抗体、抗体断片、および単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)、ペプチドリガンド、およびアプタマーからなる群から選択することができる。一実施形態は、分子融合物、タンデムscFv、ダイアボディ、およびタンデムscFv−IgG分子から選択される群のメンバーを含み、赤血球結合部分およびドメインが前記メンバーの一部である組成物である。単一融合タンパク質またはそれをコードする核酸は、赤血球結合ドメインおよび標的に結合する他のドメインを含み得る。

0037

赤血球結合抗原を使用する抗原特異的抗体の治療的枯渇
抗原特異的抗体の誘導は治療に有害であり、タンパク質置換療法の間、自己免疫の発病において、および一般の生物製剤治療の間に危険な副作用を引き起こし得る(63〜68)。血液中の循環抗原特異的抗体を枯渇させ得る治療的介入は、そのような薬物特異的抗体の枯渇が、薬物−抗体複合体に起因する負の免疫学的副作用のリスク縮小させつつ、薬物による将来的な治療を可能とするという点で正の臨床的影響を有する。血友病Aの場合、患者の約30%は、標準的な治療タンパク質薬物第VIII因子に対する抗薬物抗体を誘導し、したがって、第VIII因子によるさらなる治療を危険および無効とする。そのような患者中の第VIII因子特異的循環抗体を枯渇させる治療的介入は、治療第VIII因子レジメンを再度可能とし、患者を他のより高価で有効でない治療代替物切り替える必要性を除く。全身性エリテマトーデスSLEループス)、主として体内のネイティブ自己抗原に対する抗体の誘導により媒介される自己免疫疾患の場合、血液中で循環する自己抗原特異的抗体を枯渇させ得る治療的治療は、疾患発症の発病および進行を大幅に減少させる。

0038

抗原特異的抗体を枯渇させるため、抗原は、投与後に循環赤血球に結合するようにエンジニアリングされる。関心対象の抗原に結合している赤血球結合部分の分子構築物が、赤血球結合抗原を形成するように創成される。あるいは、二重特異的構築物は、上記のとおり抗原の赤血球結合配合物を創成するように実現させることができる。この様式において、赤血球結合抗原の注射時、抗原に特異的なあらゆる循環抗体が、エンジニアリングされた抗原に結合し、したがって、インサイチューで循環赤血球と密接に会合する。天然循環細胞、例えば、赤血球への抗原特異的抗体の密接な物理的会合の間、危険な炎症免疫効果は、赤血球上に存在する制御性シグナルにより阻害される。赤血球は、それらの表面上でいくつかの制御性分子、とりわけ、例として、CD55およびCD59を発現する(67)。したがって、抗原特異的抗体は、赤血球に結合し、赤血球の天然クリアランス帯域トラフィックされたままであり、その間にそれらは同様にクリアランスされる。抗原装飾された赤血球は、抗原特異的抗体のための細胞保管庫および枯渇担体として機能する。

0039

抗原特異的抗体の枯渇は、エンジニアリングされた抗原構築物の投与後に、試験動物から血液を周期的にサンプリングし、抗原特異的抗体力価測定技術、例えば、ELISAを実施することによりインビボで特徴決定される。抗体分泌免疫細胞(B細胞、形質細胞など)の特異的欠失または不活化も、レシピエントマウスの血液、骨髄、脾臓、またはリンパ系からの免疫細胞の単離ならびに抗原特異的インビトロ再刺激B細胞ELISpotアッセイ、およびマルチパラメーターフローサイトメトリーの実施により特徴決定される。自己免疫関連試験において、自己免疫障害の関連マウスモデルが、自己抗原枯渇における赤血球結合抗原の効果を特徴決定するために使用される。

0040

組成物の使用は、循環から抗体を除去し、および/またはそれらを赤血球細胞に結合させることを含む。一実施形態は、抗原に結合している赤血球結合部分を含む薬学的に許容可能な組成物である。抗原は、ネイティブ自己抗原、例えば、全身性エリテマトーデス抗原であり得る。あるいは、抗原は、患者に投与される治療タンパク質用の抗原、例えば、第VIII因子抗原であり得る。

0041

赤血球の特異的結合のためのアプタマー
赤血球に結合するペプチドリガンドに加え、赤血球表面成分についてのヌクレオチドアプタマーリガンドが教示される。したがって、他の赤血球結合部分についてのアプタマーを本明細書に記載のとおり作製および使用することができる。DNAおよびRNAアプタマーは、非共有赤血球結合を提供するために使用することができる。アプタマーはヌクレオチドのみから構成されるため、それらはスクリーニング方法が十分に確立されており、それらが容易に化学合成され、それらの急速なインビボクリアランスに起因する限定された副作用毒性および/または免疫原性を有するという点で有望な生体分子標的化部分である(Keefe,Pai,et al.,2010)。さらに、ヌクレオチド−標的タンパク質相互作用の非カノニカル性質に起因して、インビボでの標的結合時のいかなるプロダクティブなアゴニストシグナリングも見込まれず、したがって、低い免疫原性および毒性に寄与する。したがって、多数のアプタマーベース分子が、現在、多数の臨床適応症、例として、白血病黄斑変性症血栓症、および2型糖尿病についてのヒト臨床試験中である(Keefe,Pai,et al.,2010)。アプタマーは、癌化学療法および蛍光または放射線腫瘍検出技術などの用途において薬物ペイロードを特異的組織にインビボで送達するための標的化剤としても使用されている(Rockey,Huang,et al.,2011;Savla,Taratula,et al.,2011)。

0042

アプタマーは、特異的標的分子に結合するオリゴ核酸またはペプチドである。アプタマーは、通常、大きいランダム配列プールからそれらを選択することにより関心対象の標的に結合するように創成される。アプタマーは、DNAアプタマー、RNAアプタマー、またはペプチドアプタマーとして分類することができる。核酸アプタマーは、標的、例えば、小分子、タンパク質、核酸、細胞、組織または器官に特異的に結合するようにインビトロ選択または指数関数的増加によるリガンドの系統展開(Systematic Evolution of Ligandsby Exponential Enrichment)(SELEX)法(Archemix,Cambridge,MA,USA)(Sampson,2003)の反復ラウンドを介してエンジニアリングされた核酸種である。ペプチドアプタマーは、典型的には、タンパク質足場に両末端において結合している短い可変ペプチドドメインを有する。ペプチドアプタマーは、細胞内の他のタンパク質相互作用干渉するように設計されるタンパク質である。それらは、タンパク質足場に両末端において結合している可変ペプチドループからなる。この二重の構造的拘束は、ペプチドアプタマーの結合親和性を抗体と匹敵するように大幅に増加させる。可変ループ長は、典型的には、約10〜約20アミノ酸から構成され、足場は、良好な溶解度を有する小型のタンパク質である。例えば、細菌タンパク質チオレドキシン−Aは足場タンパク質であり、可変ループは、野生型タンパク質中の−Cys−Gly−Pro−Cys−ループであり、2つのシステイン側鎖がジスルフィド架橋を形成し得る還元活性部位内に挿入されている。

0043

アプタマー作製するための一部の技術は、Lu et al.,Chem Rev 2009:109(5):1948−1998、ならびにさらに米国特許第7,892,734号明細書、米国特許第7,811,809号明細書、米国特許出願公開第2010/0129820号明細書、米国特許出願公開第2009/0149656号明細書、米国特許出願公開第2006/0127929号明細書、および米国特許出願公開第2007/0111222号明細書に詳述されている。実施例8は、本明細書に開示される実施形態について使用されるアプタマーを作製および使用するための材料および方法をさらに詳述している。

0044

分子融合物
分子融合物は、第1のペプチド性赤血球結合リガンドと第2のペプチドとの間で形成することができる。融合物は、直接的または間接的に互いにコンジュゲートしているペプチドを含む。ペプチドは、直接的に互いに、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートすることができる。リンカーは、ペプチド、ポリマー、アプタマー、核酸、または粒子であり得る。粒子は、例えば、マイクロ粒子ナノ粒子ポリマーソームリポソーム、またはミセルであり得る。ポリマーは、例えば、天然、合成、直鎖または分枝鎖であり得る。第1のペプチドおよび第2のペプチドを含む融合タンパク質は、ペプチドの分子融合物の一例であり、融合タンパク質は、直接的に互いに結合しており、または一方もしくは両方の端部における介在リンカー配列および/もしくはさらなる配列を有するペプチドを含む。リンカーへのコンジュゲーションは、共有結合を介し得る。他の結合としては、イオン結合が挙げられる。方法は、分子融合物または分子融合物を含む組成物を調製することを含み、分子融合物は、赤血球に特異的に結合するペプチドおよび治療剤、寛容誘発抗原、または他の物質を含む。

0045

分子融合物という用語、またはコンジュゲートされたという用語は、化学結合、例として、共有結合、静電イオン結合、電荷−電荷結合による直接的または間接的会合を指す。コンジュゲーションは、化学結合により支持される単位を創成する。直接的コンジュゲーションは、中間リンカーまたは化学基を有し、または有さない薬剤への化学結合を指す。間接的コンジュゲーションは、担体への化学結合を指す。担体は、概して、薬剤を封入し得、例えば、ポリマーソーム、リポソームもしくはミセルもしくは一部のタイプのナノ粒子であり、または薬剤をその表面上に有し得、例えば、金属ナノ粒子もしくはビーズ、もしくはその両方、例えば、薬剤の一部を内部中および外部上に含む粒子である。担体は、免疫寛容のための抗原も封入し得る。例えば、抗原を封入するポリマーソーム、リポソーム、または粒子を作製することができる。封入するという用語は、いかなる部分も露出させずに完全に、有効に被覆することを意味し、例えば、抗原または薬剤を封入するポリマーソームを作製することができる。治療剤の例は、単鎖可変断片(scFv)、抗体断片、小分子薬物生物活性ペプチド生物活性タンパク質、および生物活性生体分子である。

0046

コンジュゲーションは、リンカーを使用してまたは使用せずにペプチドを別の分子に共有結合させることにより達成することができる。そのようなコンジュゲートの形成は、当業者の技能の範囲内であり、コンジュゲーションを達成するための種々の技術が公知であり、特定の技術の選択は、コンジュゲートすべき材料により定められる。イオン化可能な側鎖、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、またはチロシンを含有し、ポリペプチド配列の活性部分中で含有されないポリペプチド(CまたはN末端)へのアミノ酸の付加は、強力な求核試薬としてそれらの非プロトン化状態で機能してポリマーに結合している反応性基、すなわち、ホモまたはヘテロ二官能性PEGとの種々のバイオコンジュゲーション反応に関与する(例えば、Lutolf and Hubbell,Biomacromolecules 2003;4:713−22,Hermanson,Bioconjugate Techniques,London.Academic Press Ltd;1996)。一部の実施形態において、可溶性ポリマーリンカーを使用し、患者に薬学的に許容可能な形態で投与することができる。または薬物をポリメロソーム(polymerosome)もしくはベシクル中で封入し、またはペプチドリガンドに共有結合させることができる。

0047

一実施形態は、非タンパク質治療剤および赤血球に特異的に結合するペプチドリガンド、抗体、抗体断片、またはアプタマーのコンジュゲーションである。赤血球結合ペプチド法の適用は、ポリペプチド治療剤に制限されず;むしろ、それを他の薬物配合物、例えば、小分子およびポリマー粒子転換することができる。小分子および医薬におけるそれらの適用の長い歴史において、短い循環半減期および不十分なバイオアベイラビリティーは、それらのインビボでの効力を一貫して妨げている。ポリマーミセルおよびナノ粒子は、比較的新しい世代の薬物クラスを表すが、それにもかかわらず、それらの薬物動態学的挙動は、細網内皮系の作用を介する高いクリアランス速度を含む理由のために準最適のままである(Moghimi and Szebeni,2003)。赤血球結合設計は、それらの他の薬物クラスに拡張させてそれらの循環半減期および臨床効力を増加させることができる。

0048

コンジュゲートは、粒子を含み得る。赤血球結合ペプチドは、粒子に結合させることができる。抗原、薬剤、または他の物質は、粒子中または粒子上に存在し得る。ナノ粒子、ミセル、および他の粒子の例は、例えば、米国特許出願公開第2008/0031899号明細書、米国特許出願公開第2010/0055189号明細書、米国特許出願公開第2010/0003338号明細書において見出され、それらの出願は、全ての目的、例として、それらを本明細書に記載のリガンドと合わせるために参照により本明細書に組み込まれ;しかしながら、矛盾する場合、本明細書が優先する。

0049

ナノ粒子は、約10nm〜約200nmの平均直径を有する粒子の集合物として調製することができ、明示される限界間の全ての範囲および値、例えば、調製法により生じる多分散性に応じて約20〜約200、および約20〜約40、約70、または約100nmを含む。種々のナノ粒子系、例えば、ポリエチレングリコール)およびポリ(乳酸)のコポリマーから形成されるもの、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(ベータアミノエステル)のコポリマーから形成されるもの、ならびにタンパク質、例えば、血清アルブミンから形成されるものを利用することができる。他のナノ粒子系は、当業者に公知である。Devalapally et al.,Cancer ChemotherPharmacol.,07−25−06;Langer et al.,International Journal of Pharmaceutics,257:169−180(2003);およびTobio et al.,Pharmaceutical Research,15(2):270−275(1998)も参照。

0050

軟骨組織結合リガンドを取り込む約200nmの平均直径を超えるより大きい粒子を調製することもでき、それらの粒子は、ミクロンスケールに接近し始め、光学分解能のほぼ限界内に収まるため、本明細書においてマイクロ粒子と称される。例えば、マイクロ粒子を作製するためのある技術は、米国特許第5,227,165号明細書、米国特許第6,022,564号明細書、米国特許第6,090,925号明細書、および米国特許第6,224,794号明細書に記載されている。

0051

標的化能力を用いるためのナノ粒子の機能化は、例えば、バイオコンジュゲーション技術を使用する共有結合による標的化ポリペプチドと粒子との会合を要求し、特定の技術の選択は、ポリペプチドを結合させるべき粒子もしくはナノ粒子、または他の構築物により定められる。一般に、ペプチドを他の材料に結合させるための多くのバイオコンジュゲーション技術が周知であり、ほとんどの好適な技術を特定の材料について選択することができる。例えば、追加のアミノ酸をポリペプチド配列に結合させることができ、例えば、ポリペプチドをチオール反応性分子に結合させる場合、システインを結合させることができる。

0052

複数の異なる生物活性分子をディスプレイし得るマルチマー分子を創成するため、市販の8アームPEGデンドリマーを、容易なコンジュゲーション反応のための反応性基を含むように化学修飾した。8アームPEG−ピリジルジスルフィドは、小分子および/またはシステイン含有ペプチドもしくはタンパク質からのチオレートと容易に反応するピリジルジスルフィド基を含有し、結合生物活性部分と8アームPEG足場との間のジスルフィド結合をもたらした。8アームPEGのマルチマーアーキテクチャーは、足場への異なるペプチドまたは分子のコンジュゲーションを可能とし、したがって、結合部分による複数の活性を有するヘテロ官能化生体分子を創成した。インビトロで(図4A)およびインビボで(図4B)赤血球に結合し得るヘテロ官能化蛍光8アームPEG構築物を創成した。この結合は、ERY1ペプチドに配列特異的であった。それというのも、非特異的MISペプチドを保有するコンジュゲートが赤血球への結合をほとんど実証せず、または全く実証しなかったためである。インビボ結合は長期であった。それというのも、蛍光8アームPEG−ERY1−ALEXAFLUOR647が、静脈内投与5時間後に循環赤血球上で検出され、2.2時間の細胞表面半減期を示したためである(図5)。自己免疫糖尿病マウスモデルにおける寛容の誘導を実証するため、ERY1および糖尿病抗原クロモグラニン−A(CrA)の両方とコンジュゲートしている8アームPEGを創成した。8アームPEG−ピリジルジスルフィド足場のモジュール性は、化学量論的に定義された量の分子を連続的に添加することにより異なるチオール含有分子を同時コンジュゲートすることを可能とした。

0053

分子融合物は、ポリマーを含み得る。ポリマーは、分枝鎖または直鎖であり得る。分子融合物は、デンドリマーを含み得る。一般に、コンジュゲートが可溶性であり、患者中への導入後にバイオアベイラブルであるように可溶性親水性生体適合性ポリマーを使用することができる。可溶性ポリマーの例は、少なくとも100、400、または100〜400,000(それらの明示される値間の全ての範囲および値が企図される)の分子量を有するポリビニルアルコールポリエチレンイミン、およびポリエチレングリコールポリエチレンオキシドを含む用語)である。これに関する溶解度は、1リットル当たり少なくとも1グラムの水または生理学食塩水中の溶解度を指す。生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリカプロラクトンポリヒドロキシ酪酸ポリオルトエステルポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ならびにポリシアノアクリレートのドメインを使用することもできる。

0054

一部の実施形態において、ポリペプチド−ポリマー会合物、例えば、コンジュゲートは、薬学的に許容可能な条件下の、または医薬賦形剤を有する精製された組成物として調製され、体内に導入される。導入部位は、例えば、全身、または組織もしくは移植部位であり得る。

0055

当業者は、当技術分野において公知の技術を使用して融合タンパク質を調製することができる。実施形態は、融合タンパク質を調製し、それらを単離し、それらを他の薬剤を有しまたは有さない薬学的に許容可能な形態で、例えば、TGF−ベータのインターロイキンとの組合せで投与することを含む。実施形態は、細胞を形質移入してそれにより細胞をエンジニアリングして融合タンパク質をインビボで作製するためのベクター、およびその方法を含み、細胞をインビトロ、エクスビボ、またはインビボで形質移入し、細胞は、組織移植片のメンバーまたはそれとは区別される。以下の米国特許出願は、全ての目的、例として、融合タンパク質を作製する目的のために参照により本明細書に組み込まれ、矛盾する場合は本明細書が優先する:米国特許第5227293号明細書、米国特許第5358857号明細書、米国特許第5885808号明細書、米国特許第5948639号明細書、米国特許第5994104号明細書、米国特許第6512103号明細書、米国特許第6562347号明細書、米国特許第6905688号明細書、米国特許第7175988号明細書、米国特許第7704943号明細書、米国特許出願公開第2002/0004037号明細書、米国特許出願公開第2005/0053579号明細書、米国特許出願公開第2005/0203022号明細書、米国特許出願公開第2005/0250936号明細書、米国特許出願公開第2009/0324538号明細書。

0056

分子融合物の実施形態は、例えば、寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合し、それにより抗原を赤血球に結合させる赤血球結合部分を含む分子融合物であって、寛容誘発抗原を含む物質に対する免疫寛容を生成するために有効な量で投与される分子融合物を含む。実施形態は、例えば、ポリマー、分枝鎖ポリマー、および粒子からなる群から選択される担体に結合している赤血球に特異的に結合する赤血球結合部分を含む組成物であって、担体は、治療剤に結合している組成物を含む。粒子は、例えば、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマーソーム、リポソーム、またはミセルであり得る。赤血球結合部分は、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号1、およびそれらの保存的置換物からなる群から選択される配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基を含むペプチドを含み得、前記配列は、赤血球に特異的に結合する。赤血球結合部分は、抗体、抗体断片、アプタマー、scFvまたはペプチドリガンドを含み得る。分子融合物の実施形態は、赤血球結合部分および寛容誘発抗原、抗体、抗体断片、ScFv、小分子薬物、粒子、タンパク質、ペプチド、またはアプタマーを含む。

0057

本発明の好ましい態様において、寛容誘発抗原およびBand3(CD233)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)およびグリコホリンD(CD235d)から選択される赤血球結合部分を含む分子融合物が提供される。分子融合物は、特に、免疫寛容の生成において使用される。好ましい分子融合物は、タンパク質、タンパク質の一部、ヒトタンパク質またはその一部、非ヒトタンパク質またはその一部、グリカン、非ヒトグリコシル化を含むタンパク質のグリカン、ヒト自己免疫抗原、ヒト用タンパク質治療剤またはその一部、およびヒト食物の一部、遺伝性疾患により欠損しているタンパク質、非ヒトグリコシル化を有するタンパク質、非ヒトタンパク質、ヒト中で天然では見出されない合成タンパク質、ヒト食物抗原、ヒト移植抗原、ならびにヒト自己免疫抗原から選択される寛容誘発抗原;ならびにBand3(CD233)、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)から選択される赤血球結合部分を含む分子融合物である。

0058

改善された薬物動態のための赤血球結合リガンド
多くの薬物が血液循環系全身送達されるため、有効な薬物送達の課題に対する解決策は、長時間の血液中の薬物の維持にフォーカスすることが多い。したがって、長時間にわたり血液中で生物学的に利用可能なままである長期循環(長期半減期)治療剤の開発は、効力、安全性、および経済実現性についてエンジニアリングされた新世代の薬物を表す。

0059

本発明の実施形態は、赤血球結合ペプチドおよび治療剤の分子融合物を含む。赤血球に特異的に結合するペプチドと治療剤または他の物質との間の分子融合物は、薬剤/物質についての増加した循環時間(インビボ血中循環半減期)を提供する。増加は、例えば、血清半減期の1.5倍〜20倍の増加であり得、当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、約3倍または約6倍または約3倍〜約6倍が企図されることを直ちに認識する。

0060

分子融合物は、例えば、ペプチドの組換え付加、またはペプチドを治療剤もしくは会合分子もしくは粒子上の反応性部位化学コンジュゲーションにより付加することにより達成することができる。固相ペプチド合成を使用し、種々の末端反応性基を有する高収量の純粋ペプチドを合成することができるため、治療剤上へのペプチドの結合のための複数のコンジュゲーション方針が存在する。この官能化法は、タンパク質について使用される組換え法と異なるが、効果(循環半減期の増加を起こす赤血球結合)は同一と仮定される。

0061

本発明の一実施形態は、治療剤の薬物動態パラメーターの改善のためのツールとしての赤血球に特異的に結合する短いペプチドリガンドによる治療剤の官能化を含む。この半減期延長法は、治療薬物設計における重要なパラメーター、すなわち、製造における簡易性、モジュール性、および延長効果を調整する能力を考慮する。標準的な組換えDNA技術を使用して、タンパク質は、新たなまたは変化した機能性を含有するようにアミノ酸レベルにおいて容易に変化される。一般に、機能のためのより短いペプチドドメインの使用の依存は、より長いポリペプチドドメインの使用よりも好ましい。その理由としては、製造の容易性、機能性治療タンパク質への正確なフォールディング、および元の治療剤自体の最小の生物物理学的変化が挙げられる。ポリペプチド、例えば、ERY1、ヒト赤血球結合リガンド、または抗体もしくは抗体断片は、赤血球に特異的に結合するようにエンジニアリングし、治療剤にコンジュゲートし、例えば、薬剤の循環半減期により計測されるバイオアベイラビリティーを延長させることができる。

0062

本明細書に報告される結果は、治療剤、例えば、インスリン酢酸プラムリンチド成長ホルモンインスリン様成長因子−1、エリスロポエチン1型アルファインターフェロンインターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンβ1a、インターフェロンβ1b、インターフェロンγ1b、β−グルコセレブロシダーゼアデノシンデアミナーゼ顆粒球コロニー刺激因子顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン1、インターロイキン2、インターロイキン11、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、エキセナチドL−アスパラギナーゼラスブリカーゼ腫瘍壊死因子受容体、およびエンビルチドの薬物動態パラメーターを改善するための分子融合物を作製する機会を提供する。

0063

受動的な半減期改善法を創成するための他の研究者らによる試みは、薬物の見かけの流体力学半径の増加にフォーカスする。腎臓糸球体濾過装置は、血液成分が濾過される体内の主要部位である。濾過の主な決定因子は、血液中の分子の流体力学半径であり;より小さい分子(<80kDa)が、より大きい分子よりも高い程度で血液外に濾過される。研究者らは、主として高分子量水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコシル(PEG)への化学コンジュゲーションを介して、この一般化規則を使用してより大きい流体力学半径およびしたがってより長期の半減期を示すように薬物を修飾させてきた。この方法の成功は、診療所において現在提供されている多数のPEG化タンパク質および小分子治療剤において明らかである(Pasut and Veronese,2009;Fishburn,2008)。多くの場合、特に、グラフトまたは融合物の流体力学半径が増加する場合、循環半減期の増加において有効であるが(Gao,Liu,et al.,2009)、それらの方法は、製造および生物学的エフェクター機能の維持における課題を提供する。コンジュゲーション反応における不均一性は、ほとんどが部位非特異的化学反応の利用に起因して種々の生物学的活性を有する複雑な産物混合物を引き起こし得る。広範な生化学的特徴決定が、均一な治療産物を保持するために厳密な精製法に続くことが多い(Huang,Gough,et al.,2009;Bailon,Palleroni,et al.,2001;Dhalluin,Ross,et al.,2005)。さらに、タンパク質の反応性帯域への大きい部分、例えば、分枝鎖PEGの結合は、受容体親和性の減少を起こし得る(Fishburn,2008)。

0064

他の研究者らによる他の研究は、薬物の循環増加のためのアルブミンに結合させる治療タンパク質を提供している(Dennis,2002;Walker,Dunlevy,et al.,2010)。腎臓濾過に関する上記と同一の一般的規則の考慮は、Dennisらは、血液中の別のタンパク質(例えば、血清アルブミン)に結合させるためのエンジニアリングによる治療剤の見かけのサイズの増加が、薬物クリアランス速度を減少させることを仮定した。この様式において、薬物は、血流中への投与後にのみその大きい分子サイズに達する。抗体断片への親和性成熟血清アルブミン結合ペプチドの付加は、マウスにおいてそれらの循環時間を24倍増加させた(Dennis,2002)。この方法は有効であるが、新生児Fc受容体(FcRn)によるアルブミン再循環動態および機能性のためのシステイン拘束環式ペプチドの使用により複雑化される。Walkerらは、2002年のDennisにより寄与された結果、すなわち、タンパク質への血清アルブミン親和性の付与がその半減期を増加させることを裏付けている。Walkerらにより記載された方法は、タンパク質薬物への大きい抗体断片の組換え付加を含み、それは、構造的および製造的複雑性を引き起こし得る。DennisおよびWalkerの方法は的確で有効であるが、機能性のための複雑な環式または大きいドメインの使用により複雑化される。Dennisらにより発見されたペプチドは、アルブミンについて高親和性を示すが、それらは、使用前に環式構造を正確に形成する物理的拘束を要求する。よりかさ高いアプローチの、より大きい抗体断片を融合するWalkerの方法は、既に複雑なフォールディング構造または低発現収量を有するタンパク質に修正することができない。

0065

単鎖抗体
本発明の一実施形態は、scFvと赤血球に特異的に結合するペプチドとの分子融合物である。scFvは、治療剤を使用することができ、赤血球結合ペプチドとのその組合せを使用してその循環半減期を延長させ、体内コンパートメントへの接近を提供することができる。組換え抗体および組換え抗体断片は、生物製剤産業における治療剤としての潜在性を有する(Sheridan,2010)。

0066

単鎖可変断片(scFv)抗体断片は、全長IgGの全抗原結合ドメインからなるが、ヒンジおよび定常断片領域欠く(Maynard and Georgiou,2000)。scFvの組換え構築は、可変重鎖(VH)ドメインと可変軽鎖(VL)ドメインをグリシンおよびセリンのタンデムリピートからなる短いポリペプチドリンカー(例えば、(GGGGS)4)(配列番号18)により融合させることを含む。scFvの簡易性は治療用途魅力的であるが、それらの主な欠点は、26〜28kDaのそれらの比較的小さい分子量によりそれらが示す短い循環半減期である(Weisser and Hall,2009)。

0067

scFv設計において一般に使用されるグリシン−セリンリンカーは天然では非機能性であり、むしろそれは正確なVH−VLフォールディングを確保するための物理的架橋として存在するため、本明細書において血液中の赤血球への結合の機能を示すリンカードメインを試験した。したがって、エンジニアリングされたscFvは、多機能性および二重特異的であり得、VH−VLドメインを介するネイティブ抗原に対する親和性、およびそのリンカードメインにおける赤血球に対する親和性を示す。赤血球への結合において、エンジニアリングされたscFvは、この同一の機能性を有する別のモデルタンパク質について実証されるとおり、より長い循環半減期を示す。scFv抗体断片は、本明細書に記載のリンカーを有し得、または当業者に公知の他のリンカーを提供することができる。代替的な実施形態は、scFvのリンカー領域中にエンジニアリングされたフリーシステイン基を提供し、このシステインチオールを使用して化学コンジュゲーションにより赤血球結合リガンドに結合させる。

0068

エンジニアリングされたscFv抗体の設計は、リンカードメイン長、および赤血球結合ペプチドの間隔の重要性にフォーカスした。野生型バリアントが設計され、(GGGGS)4リンカー(配列番号18)との抗原結合について検証されたため、20アミノ酸の最小リンカー長のリンカーを有する後続突然変異体が設計された。リンカードメインはscFvのその正確な四次構造への正確なフォールディングをモジュレートし得るため、2つのERY1含有突然変異体が設計された。REP突然変異体は、親20アミノ酸リンカー長を維持するために正確な数のGlyおよびSer残基によりフランキングされたリンカードメインの中央に配置されたERY1ペプチドを含有する。疎水性性質のERY1ペプチドが直線的に配列しないが、より短い集合したドメインにクラスター化すると考えられる場合、REPのリンカー長はより短く、それにより正確なフォールディングを妨害し得る。そのような理由のため、INS突然変異体が、親リンカードメインの中央に付加されたERY1ペプチドを含有し、リンカーを32アミノ酸に長くするように設計された。フリーN末端を有するERY1ペプチドが発見されたため、拘束されたポリペプチド立体構造中のその存在が赤血球結合に影響するか否かは不明であった。この潜在的な挙動に対処するため、scFvバリアントが合成ERY1ペプチドとの化学コンジュゲーションにより創成され、それによりペプチドのN末端はフリーであり、C末端はscFvにコンジュゲートしている。

0069

この様式において、赤血球結合ペプチドの数、およびしたがってscFvの赤血球結合能力を、コンジュゲーション反応の間に化学量論的に調整することができる。したがって、ScFvは、本明細書に教示される赤血球結合ペプチドを含むようにエンジニアリングすることができる。実施形態は、1〜20の範囲の数のリガンドを含むscFvを含み;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、2〜6つが企図されることを直ちに認識する。

0070

実施形態は、例えば、scFvに結合しているOVAに対する寛容の創成について例示される寛容の創成を詳述する実施例6におけるような、寛容を誘導する分子融合物を作製するための寛容誘発抗原にコンジュゲートしているscFvを含む。実施例6は、抗原の免疫認識エピトープに組換え融合しているscFvタンパク質構築物を作製するための材料および方法も詳述する。scFvは、赤血球の認識に指向される。抗原は、本明細書に記載の抗原、例えば、寛容誘発抗原である。本明細書に報告される実施例は、ネズミモデルを使用し、構築物中の抗体ドメインとして使用されるネズミTER119scFvを使用した結果を記載する。TER119は、マウス赤血球に結合する抗体である。TER119抗体ドメインは、他の抗体ドメイン、例えば、ヒトまたは他の動物中の赤血球に指向されるドメインにより置き換えることができる。例えば、10F7抗体ドメインを使用し、ヒト赤血球に結合し得る抗体−抗原構築物を創成することができる。実施例6に報告されるとおり、OVAの免疫優性MHC−Iエピトープ、クロモグラニン−Aミモトープ1040−p31、およびプロインスリンを含む3つの異なる抗原との、Ter−119からのscFvの追加の融合物を作製した。

0071

実施例13は、動物モデルにおいて試験するための実施形態およびヒトに反応性の実施形態を含む作製されたscFvの他の実施形態を記載する。これらは、タンパク質レベルに関するもの:TER119−SIINFEKL、TER119−ChrA、およびTER119−プロインスリンを含む。これらは、遺伝子レベルに関するもの:TER119−SIINFEKL、TER119−ChrA、TER119−プロインスリン、TER119−ウリカーゼ、TER119−InsB9−23、TER119−ISQAHAAHAEINEAGR(配列番号80)、TER119−H−2kb、TER119−H−2kd、10F7−SIINFEKL、10F7−ChrA、10F7−プロインスリン、および10F7−ウリカーゼも含む。

0072

特定部位、例えば、腫瘍血管系への赤血球の結合
薬物の半減期の増加に加え、赤血球に結合するエンジニアリングされた治療剤の能力は、赤血球を体内の特定部位に選択的に結合および局在させるために有用である。固形腫瘍の治療において、肝動脈化学塞栓術(TACE)を使用して腫瘍への血液供給を制限することができ、それにより成長に要求される栄養素へのその接近を妨害する。TACE治療は、腫瘍血液供給上流へのポリマー固体マイクロ粒子の外科的挿入を含む。マイクロ粒子が腫瘍血管床に到達すると、それらは血管網中で物理的に捕捉され、それにより腫瘍への血液供給の遮断が創成される(Vogl,Naguib,et al.,2009)。

0073

TACEの主題に従って、本明細書における実施形態は、赤血球結合ペプチドを含有するように腫瘍ホーミング治療剤をエンジニアリングすることにより腫瘍塞栓のための天然マイクロ粒子として血液中で循環する自己赤血球を使用することである。この様式において、治療剤は、腫瘍血管床に局在化し、血管への通過赤血球の結合を動員し、それにより、腫瘍塊への血流を制限および遮断する。そのような治療は、古典的なTACEよりも低侵襲性であり:薬物は、簡易に静脈内注射され、塞栓粒子として血液中に既に存在する天然赤血球を使用する。腫瘍結合または腫瘍ホーミングという用語は、腫瘍血管系中または腫瘍細胞上の血液コンパートメントからの接近可能な成分に結合するペプチドを指す。

0074

特異的腫瘍ホーミング治療剤の発見は、癌研究分野において公知である。腫瘍の生物活性標的化のパラダイムは、腫瘍環境中で特異的に発現されるタンパク質マーカーへの結合に依存する。これらとしては、限定されるものではないが:RGD指向性インテグリンアミノペプチダーゼ−Aおよび−N、エンドシアリン、細胞表面ヌクレオリン、細胞表面アネキシン−1、細胞表面p32/gC1q受容体、細胞表面プレクチン−1、フィブロネクチンEDAおよびEDB、インターロイキン11受容体α、テネイシン−C、エンドグリン/CD105、BST−2、ガレクチン−1、VCAM−1、フィブリン、および組織因子受容体が挙げられる。(Fonsatti,Nicolay,et al.,2010;Dienst,Grunow,et al.,2005;Ruoslahti,Bhatia,et al.,2010;Thijssen,Postel,et al.,2006;Schliemann,Roesli,et al.,2010;Brack,Silacci,et al.,2006;Rybak,Roesli,et al.,2007)。これらの分子のいずれかに対して標的化される治療剤は、赤血球結合ペプチドを腫瘍血管系に運搬して特異的閉塞を引き起こすためのベクターであり得る。

0075

一実施形態は、癌性細胞または腫瘍血管系もしくは腫瘍血管系の成分、例えば、内皮下層中のタンパク質(腫瘍中の血液に部分的に曝露される)または腫瘍内皮細胞の表面上のタンパク質に特異的に結合する第2のリガンドとコンジュゲートしている赤血球に特異的に結合する第1のリガンドである。リガンドは、患者中に、例えば、血流中に導入される薬学的に許容可能な組成物の一部であり得る。リガンドは赤血球に結合し、腫瘍ホーミングリガンドは、腫瘍もしくは腫瘍血管系の部位もしくはその近傍の部位、または癌性細胞に結合する。赤血球は、標的化された部位に集まり、例えば、血管を塞栓することにより栄養素への標的部位の接近を遮断する。塞栓が機械的であり、赤血球の物理的サイズにより決定されることを考慮すると、塞栓は迅速である。

0076

固形腫瘍は、その血管供給に強く依存し、その血管供給の成長を遮断するため、またはその血管供給の流れを遮断するための生体分子治療剤および材料治療剤が開発されてきた。一実施形態は、既知または未知の局在部位における原発腫瘍または転移において、固形腫瘍の血管系を急速に閉塞するために全身注射すべき生体分子配合物または生体分子−ナノ粒子配合物である。

0077

腫瘍塞栓術は、多数の手法、例として、粒子および生体分子ベースの方法の使用においてアプローチされている。生体材料粒子、例として、ポリビニルアルコールから作製されるものは、直径が腫瘍微小血管よりも大きく、例えば、直径50〜500マイクロメートルであり、経カテーテル動脈塞栓術、またはTACEにおける臨床使用のために開発されている(Maluccio,Covey,et al.,2008)。並行のアプローチとしては、主として肝細胞癌のための治療に使用される肝動脈化学塞栓術(TACE)において徐放のため粒子内に負荷される化学療法薬が挙げられる(Gadaleta and Ranieri,2010)。両方の場合において、通常、レントゲン透視下でインターベンショナルラジオロジストにより動脈循環中に粒子が注射される場合、それらの粒子は、腫瘍血管系中に流れ、それを閉塞し得、流れを遮断する(Maluccio,Covey et al.,2008)。これらの局所アプローチを用いる場合、カテーテル留置により直接標的化される腫瘍のみが治療され、粒子は血管中で容易に標的化されないため、他の腫瘍、例えば、既知または未知の局在部位における転移は治療されない。最近になって、例えば、正常な血管系中に存在しない血栓症因子および腫瘍血管内皮マーカーの両方を認識する二重特異的抗体を使用する生体分子アプローチが検討されている。抗体は、腫瘍血管系に特異的に結合した後、蓄積し、腫瘍血管内で血栓の形成を開始させて血管を遮断し;この効果は、抗体が腫瘍に標的化された場合のみ誘導された(Huang,Molema et al.,1997)。これらの生体分子アプローチは、特異的腫瘍血管の特徴(signature)を同定することができる場合に、点滴静注から原発腫瘍および二次腫瘍の両方を標的化する利益を有し;ただし、このアプローチは、腫瘍に対して迅速な機械的閉塞を提供しないという欠点を有する。

0078

本発明の実施形態は、標的化部分に結合している赤血球結合部分を含む組成物を患者に投与することを含む患者中の腫瘍を塞栓する方法であって、標的化部分は、腫瘍および腫瘍微小血管からなる群から選択される標的に指向される抗体、抗体断片またはペプチドであり、赤血球結合部分は、赤血球に特異的に結合するペプチド、抗体、抗体断片、またはアプタマーを含む方法を含む。ペプチドは、例えば、本明細書に記載の配列であり得る。

0079

抗原特異的免疫学的寛容
治療剤の薬物動態学的挙動の改善に加え、赤血球親和性を、抗原特異的寛容を創成する方法において使用することができることが発見されている。ある実施例および予測的実施形態を、実施例に記載する。本明細書において実証される寛容誘発は、抗原に対する循環抗体の排除、または少なくとも10倍、すなわち、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、または10,000倍を超えるだけの抗原に対する循環抗体の低減をもたらし得る。寛容誘発は、疾患進行を予防し、治癒し、もしくは遅延させ、または移植組織の拒絶を低減させ、もしくは排除し、物質に対するアレルギー反応を低減させ、もしくは排除し得る。

0080

実施例3および10〜12は、ヒト挙動を予測するマウス動物モデルにおいて寛容がいかに創成されたかを詳述する。実施例3は、赤血球表面に結合するペプチドリガンドに連結している試験抗原(オボアルブミン)を使用する寛容の創成を示した。実施例10〜12は、実施例3の結果を裏付け、scFvに結合しているオボアルブミンおよびペプチド性リガンドに結合しているアスパラギナーゼを使用する寛容の創成を示すさらなる実施例を提供する。既存の免疫拒絶を反転させる寛容の創成を示す実施例を実施例12に提供する。したがって、実施形態は、アスパラギナーゼ、アスパラギナーゼの抗原性ミモトープの抗原性アスパラギナーゼ断片、および赤血球結合部分を含み、赤血球結合部分は、例えば、グリコホリンAまたはBand3、グリコホリンB、グリコホリンCもしくは赤血球標的群の他のメンバーからなる群から選択される標的に特異的に結合する、寛容誘発のための融合分子を含む。赤血球結合部分は、例えば、抗体、抗体断片、scFv、ペプチドリガンドおよびアプタマーからなる群から、ならびに/またはERY19、ERY59、ERY64、ERY123、ERY141、ERY162、ERY19’、ERY59’、ERY64’、ERY123’、ERY141’、およびERY162’ならびにそれらの保存的置換物からなる群から選択することができる。これらの融合分子は、アスパラギナーゼの第1の投与前に、アスパラギナーゼによる治療過程の間に、および/またはアスパラギナーゼによる治療過程後に予防的に適用することができる。これらの融合分子は、アスパラギナーゼ薬物に対する免疫応答が観察される前に、またはそのような応答が観察された後に適用することができる。

0081

実施例3において、マウス赤血球に結合するペプチド、ERY1が発見された。ERY1と試験抗原、オボアルブミン(OVA)との分子融合物を作製した。この融合物はインビボで赤血球に特異的に結合し、他の分子、例として、血液または血管系中の分子には結合しなかった。長期の循環半減期が観察された。ERY1−OVAの赤血球結合は、抗原提示細胞APC)によるOVA免疫優性MHCIエピトープ(SIINFEKL)の有効なクロスプレゼンテーションおよび対応する反応性T細胞のクロスプライミングを起こすことが観察された。ERY1−OVAは、OVAよりもかなり多い数のアネキシン−V+増殖OT−I CD8+T細胞を誘導し、最終的にクローン欠失を起こすアポトーシスの運命示唆された。確立されたOT−Iチャレンジ対寛容モデル(challenge−to−tolerance model)(Liu,Iyoda et al.,2002)(図2)を使用して、ERY1−OVAが、極めて強力な細菌由来アジュバントを用いてもワクチン媒介性抗原チャレンジに対する後続の免疫応答を予防することが実証された。ERY1−OVAの静脈内投与は、LPSによる抗原チャレンジ前に非修飾OVAが投与されたマウスと比較して、流入領域リンパ節(図2図12bにゲーティング)および脾臓中のOT−I CD8+T細胞集団の顕著な減少をもたらし(図2c)、欠失性寛容が実証された。ERY1−OVAが投与されたマウスにおいて示されたこの有効なクローン欠失は、OT−I CD8+T細胞のクロスプライミングの向上という早期の観察結果を支持し、さらにクロスプライミングが共刺激分子のAPC提示の不存在下で起こり、欠失性寛容を起こしたことを示した。ERY1−OVAの静脈内投与は、第1の抗原投与から19日後、OVAにより処置されたマウスと比較して39.8倍低いOVA特異的血清IgGレベルを引き起こした(図3)。抗原特異的免疫寛容の誘導をさらに検証するため、OT−Iチャレンジ対寛容モデルをOVA発現腫瘍グラフトモデルと組み合わせ(図2)、好ましい結果が得られた。本実施例に詳述される結果は、ERY1−OVAによる赤血球結合が、抗原特異的免疫寛容を誘導することを実証する。これは、強力なアジュバントチャレンジ、および異種抗原を発現する移植細胞グラフトに応答して示された。さらに、寛容は、直接的なCD4+T細胞の調節に関係なく、循環赤血球上に存在する抗原との相互作用を介する反応性CD8+T細胞の機能的不活化および欠失により達成された。ERY1、マウス赤血球結合ペプチドを用いるこれらの詳細な実験は、いくつかは本明細書に教示されるヒト赤血球結合ペプチドを使用して、ヒトにおいて同様の結果を予測する。さらに、ペプチドリガンドを有することが有効であることが示されているため、他の赤血球結合リガンド、例えば、抗体、抗体断片、またはアプタマーとのコンジュゲートを使用して同様の結果が得られ得、それらの部分は、赤血球の表面分子、例えば、本明細書に記載の表面タンパク質または抗原の1つに結合する。

0082

実施例10は、寛容誘発抗原を、赤血球に結合するscFvに融合し、患者への投与のための医薬としての融合分子を調製することにより、寛容誘発抗原に対する寛容の創成をさらに実証した。実施例10は、ペプチドSIINFEKL(配列番号3)であるOVAのMHC−I免疫優性ドメインに対する寛容の誘導を実証する。この抗原を、マウス赤血球に結合することが既知であるscFvのTER−119に融合した。フローサイトメトリーにより計測された、蛍光CFSEの希釈により測定されたOT−I CD8+T細胞増殖は、ERY1−OVAまたはOVAと比較してTER119−SIINFEKLが投与されたマウスにおいて顕著に向上し(図8)、赤血球結合が、可溶性抗原SIINFEKLと比較して抗原特異的CD8+T細胞クロスプライミングを増加させたことが実証された。さらに、これらのデータにより、赤血球に結合し、免疫エピトープをディスプレイするように設計された抗体断片が、免疫細胞により有効に処理されて抗原特異的T細胞をクロスプライミングすることが実証される。クロスプレゼンテーションおよびクロスプライミングに関するこれらの結果は、アポトーシス細胞からの抗原を貪食するAPCによるMHC I上の寛容誘発抗原提示に関する他の研究と一致する(Albert 1998,Green 2009)。TER119−SIINFEKLおよびERY1−OVAは、OVAよりもかなり多い数のアネキシン−V+およびPD−1+増殖OT−I CD8+T細胞を誘導し(図13)、クローン欠失を起こす疲弊およびアポトーシス運命が示された。増殖CD8+T細胞のこの表現型は、APCによる抗原特異的T細胞受容体エンゲージメントの調節が炎症応答を誘導し得ない他の報告されたOT−I養子移入モデルと一致する(Bursch,Rich,et al.,2009)。

0083

実施例10を参照すると、ワクチン媒介性抗原チャレンジに対する後続の免疫応答を予防するTER119−SIINFEKLおよびERY1−OVAの能力が、極めて強力な細菌由来アジュバントによりチャレンジされた場合でも実証された。したがって、赤血球への結合のためのscFvまたはペプチドリガンドとの融合分子は、寛容を生成するために有効であった。

0084

実施例11は、治療タンパク質および治療潜在性を有するタンパク質に対する抗原特異的免疫寛容を誘導することが可能であることを示す。多くの治療タンパク質は、免疫反応を誘導し、それらの臨床的使用を危険または無効とする。アスパラギナーゼは、急性リンパ芽球性白血病を治療するために使用される細菌由来の治療酵素であるが、その反復使用を妨げる危険な免疫応答も誘導する。マウスモデルを使用した。アスパラギナーゼおよび赤血球結合部分(ペプチドERY1)の融合分子をマウスに投与し、臨床薬物アスパラギナーゼにより処置されたマウスと比較した。薬物アスパラギナーゼは抗体を産生したが、融合分子は産生せず;この試験は、抗体レベルを寛容の尺度として使用することができることを確立した。次いで、寛容は、融合分子をマウスに投与し、次いで臨床薬物アスパラギナーゼを反復投与し、薬物による反復投与による極めて侵襲的なチャレンジの後でも強力な抗体応答が存在しないことを観察することにより証明した。対照的に、薬物を受けたが融合分子を受けなかったマウスは、免疫反応性および危険な程度に過敏になった。

0085

実施例12は、免疫反転(immunoreversal)が可能であることを示す。タンパク質に対して免疫反応性であったマウスを、そのタンパク質に寛容になるように処置した。実施例11のアスパラギナーゼマウスモデルを使用した。薬物アスパラギナーゼに対して免疫反応性であったマウスを、融合分子(アスパラギナーゼおよび赤血球結合剤)により処置し、マウスは薬物アスパラギナーゼに寛容になった。

0086

これに対し、従来の報告は、赤血球の表面への抗原の結合により免疫拒絶が創成され、それによりワクチンを作製することを教示し、他の報告は、ワクチンを創成するために赤血球内に封入された抗原を使用している。例えば、抗原が赤血球内に封入された場合、それによりワクチンが作製される(Murray et al.,Vaccine 24:6129−6139(2006))。または、赤血球表面にコンジュゲートしている抗原は免疫原性であり、ワクチンとして提唱された(Chiarantini et al.,Vaccine 15(3):276−280(1997))。これらの参考文献は、赤血球送達アプローチがアジュバントを有する通常のワクチンについて得られるのと同様の免疫応答を示すことを示す。肝臓中のクッパー細胞によるクリアランスを向上させるように赤血球表面を変化させるためのいくつかの手段も教示する、特許出願の国際公開第2011/051346号パンフレットにおけるように、他の研究者らは、寛容を誘導するために赤血球内への配置が必要であると報告している。この同一出願は、赤血球表面タンパク質、例えば、グリコホリンAに結合する抗体も教示しているが、クッパー細胞によるそのクリアランスを向上させるために赤血球上に免疫複合体を作製することを目的としたものである。

0087

本明細書に記載の実施形態は、免疫寛容を生成する方法であって、寛容誘発抗原および患者中の赤血球に特異的に結合し、それにより抗原を赤血球に結合させる赤血球結合部分を含む分子融合物を含む組成物を投与することを含み、分子融合物を、寛容誘発抗原を含む物質に対する免疫寛容を生成するために有効な量で投与する方法を提供する。赤血球、および患者は、赤血球の他の変化を引き起こす治療を受けなくてよく、赤血球架橋、化学的共有結合コンジュゲーション、コーティング、およびペプチドの特異的結合以外の他の変化を受けなくてよい。分子融合物は、抗原に直接共有結合している赤血球結合部分を含み得、またはそれからなっていてよい。分子融合物は、抗原に結合している粒子に結合している赤血球結合部分を含み得る。粒子は、マイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、ポリマーソーム、またはミセルを含み得る。寛容誘発抗原は、治療タンパク質の一部、例えば、血液因子の産生欠如罹患する患者に投与される血液因子を含み得る。実施形態は以下の例を含む:患者がヒトであり、寛容誘発抗原が、患者が遺伝的に欠損しているヒトタンパク質である例;患者がヒトであり、寛容誘発抗原が、非ヒトタンパク質の一部を含む例;患者がヒトであり、寛容誘発抗原が、ヒト中で天然では見出されないエンジニアリングされた治療タンパク質の一部を含む例;患者がヒトであり、寛容誘発抗原が、非ヒトグリコシル化を含むタンパク質の一部を含む例;寛容誘発抗原がヒト自己免疫疾患タンパク質の一部を含む例;寛容誘発抗原が同種移植における抗原である例;寛容誘発抗原が、ヒト食物からなる群から選択される物質の一部を含む例;ならびに/または赤血球結合部分がペプチド、抗体および抗体断片からなる群から選択される例。実施形態は、赤血球結合部分が配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号1、およびそれらの保存的置換物からなる群から選択される配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基を含むペプチドを含み、前記配列は赤血球に特異的に結合する、寛容化の材料および方法を含む。

0088

分子融合物は、抗原を赤血球の内側または外側上で配置するように選択することができる。特定の作用機序に拘束されるものではないが、以下の理論を提示する。ヒトにおいて、赤血球の約1%がアポトーシス性(エリプトーシス性)になり、毎日クリアランスされ、多数の細胞およびそれらのタンパク質が、赤血球自己抗原に対する寛容を維持するように処理される。ERY1ペプチドまたはヒト赤血球結合ペプチド、赤血球結合単鎖抗体もしくは抗体、赤血球結合アプタマー、または別の赤血球結合剤の使用を介して赤血球に結合するようにエンジニアリングされた抗原も、同一の寛容誘発応答を誘発させ得る。Millerらにより開発された現在の技術水準の方法(上記参照)が、再投与のためドナー脾細胞回収し、反応させることを要求するという点で煩雑であることを考慮すると、本発明者らの非共有結合的赤血球結合法は、より簡易な代替法を提供する。ERY1−赤血球、もしくはヒト赤血球結合ペプチド−赤血球、または他の親和性生体分子(例えば、単鎖抗体、抗体、またはアプタマー)の相互作用は、インビボで抗原コンジュゲートまたは融合物を導入した後に自然に生じるため、エンジニアリングされた抗原は注射により簡易に投与され、結合はインサイチューで生じる。

0089

一部の場合において、寛容誘発抗原は、寛容が望まれる治療剤タンパク質に由来する。例は、野生型のタンパク質薬物、例えば、ヒト第VIII因子または第IX因子(患者がこれらのタンパク質を欠損していたため、中枢性寛容を確立できなかったもの);またはヒトにおいて使用される非ヒトタンパク質薬物である。他の例は、産生に起因して非ヒト形態でグリコシル化されるタンパク質薬物、またはエンジニアリングされたタンパク質薬物、例えば、不所望の免疫応答を誘起し得る非ネイティブ配列を有するものである。ヒト中で天然では見出されないエンジニアリングされた治療タンパク質である寛容誘発抗原の例としては、エンジニアリングされた突然変異、例えば、薬理学的特徴を改善させるための突然変異を有するヒトタンパク質が挙げられる。非ヒトグリコシル化を含む寛容誘発抗原の例としては、酵母または昆虫細胞中で産生されたタンパク質が挙げられる。

0090

実施形態は、タンパク質をある頻度Xまたは用量Yにおいて投与し、さらに、そのタンパク質からの抗原をより低い頻度および/または用量、例えば、0.2X以下の頻度、または0.2Y以下の用量において投与することを含み;当業者は、明示される範囲内の全ての範囲および値、例えば、0.01または005Xまたはその間のある範囲が企図されることを直ちに認識する。

0091

実施形態は、タンパク質が欠損しているヒトに投与されるそのタンパク質からの寛容誘発抗原を選択することを含む。欠損は、タンパク質を受ける患者が十分なそのタンパク質を天然では産生しないことを意味する。さらに、タンパク質は、患者が遺伝的に欠損しているタンパク質であり得る。そのようなタンパク質としては、例えば、アンチトロンビン−III、タンパク質C、第VIII因子、第IX因子、成長ホルモン、ソマトトロピン、インスリン、酢酸プラムリンチド、メカセルミン(IGF−1)、β−グルコセレブロシダーゼ、アルグルコシダーゼ−α、ラロニダーゼ(α−L−イズロニダーゼ)、イズルスファーゼ(イズロネート−2−スルファターゼ)、ガルスルファーゼ、アガルシダーゼ−β(α−ガラクトシダーゼ)、α−1プロテイナーゼインヒビターおよびアルブミンが挙げられる。したがって、実施形態は、赤血球結合部分および少なくとも1つの抗原、抗原性断片、またはそれらのタンパク質の1つ以上の抗原性ミモトープを含み、赤血球結合部分は、例えば、グリコホリンAまたはBand3、グリコホリンB、グリコホリンCもしくは赤血球標的群の他のメンバーからなる群から選択される標的に特異的に結合する、寛容誘発のための融合分子を含む。赤血球結合部分は、例えば、抗体、抗体断片、scFv、ペプチドリガンドおよびアプタマーからなる群から選択することができる。

0092

実施形態は、治療抗体および抗体様分子、例として、抗体断片ならびに抗体および抗体断片との融合タンパク質からの寛容誘発抗原を選択することを含む。これらとしては、非ヒト(例えば、マウス)抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体が挙げられる。ヒト化抗体に対する免疫応答もヒトにおいて観察されている(Getts,2010)。したがって、実施形態は、赤血球結合部分および少なくとも1つの抗原、抗原性断片、またはそれらのタンパク質の1つ以上の抗原性ミモトープを含み、赤血球結合部分は、例えば、グリコホリンAまたはBand3、グリコホリンB、グリコホリンCもしくは赤血球標的群の他のメンバーからなる群から選択される標的に特異的に結合する、寛容誘発のための融合分子を含む。赤血球結合部分は、例えば、抗体、抗体断片、scFv、ペプチドリガンドおよびアプタマーからなる群から選択することができる。

0093

実施形態は、非ヒトであるタンパク質からの寛容誘発抗原を選択することを含む。そのようなタンパク質の例としては、アデノシンデアミナーゼ、膵リパーゼ膵アミラーゼラクターゼ、A型ボツリヌス毒素B型ボツリヌス毒素、コラゲナーゼヒアルロニダーゼパパイン、L−アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、レピルジンストレプトキナーゼアニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体)、抗胸腺細胞グロブリンマムシ多価免疫Fabジゴキシン免疫血清Fab、L−アルギナーゼ、およびL−メチオナーゼが挙げられる。

0094

実施形態は、ヒト同種移植抗原からの寛容誘発抗原を選択することを含む。これらの抗原の例としては、種々のMHCクラスIおよびMHCクラスIIハプロタイプタンパク質のサブユニット、ならびにマイナー血液型抗原に関する単一アミノ酸多型、例として、RhCE、Kell、Kidd、DuffyおよびSsが挙げられる。

0095

一部の場合、寛容誘発抗原は、患者が自己免疫応答発達させており、または自己免疫応答を発達させ得る自己抗原である。例は、プロインスリン(糖尿病)、コラーゲン関節リウマチ)、ミエリン塩基性タンパク質多発性硬化症)である。

0096

例えば、1型糖尿病(T1D)は、膵島タンパク質を認識するT細胞が免疫調節から離脱し、膵臓組織破壊するように免疫系をシグナリングする自己免疫疾患である。そのような糖尿病誘発T細胞の標的である多数のタンパク質抗原、例として、とりわけ、インスリン、GAD65、クロモグラニン−Aが発見されている。T1Dの治療または予防において、規定の糖尿病誘発抗原に対する抗原特異的免疫寛容を誘導して糖尿病誘発T細胞クローンを機能的に不活化または欠失させることは有用である。実施例14は、他の実施例において予測因子として確立されたT細胞データに基づき、いかに寛容誘発抗原としてのクロモグラニン−A(ChrA)ミモトープを提示する融合分子が良好にChrAに対する寛容誘発を創成したかを詳述する。したがって、実施形態は、クロモグラニン−A、抗原もしくはその抗原部分、またはそのミモトープを赤血球結合部分とともに含み、赤血球結合部分は、例えば、グリコホリンAまたはBand3、グリコホリンB、グリコホリンCもしくは赤血球標的群の他のメンバーからなる群から選択される標的に特異的に結合する、寛容誘発のための融合分子を含む。赤血球結合部分は、例えば、抗体、抗体断片、scFv、ペプチドリガンドおよびアプタマーからなる群から、ならびに/またはERY19、ERY59、ERY64、ERY123、ERY141、ERY162、ERY19’、ERY59’、ERY64’、ERY123’、ERY141’、ERY162’およびそれらの保存的置換物からなる群から選択することができる。

0097

したがって、寛容および/または自己免疫疾患の発症もしくは進行の遅延は、ヒト自己免疫タンパク質である種々の多くのタンパク質について達成することができ、その用語は、疾患を引き起こす1つまたは複数のタンパク質が公知であり、定型試験により確定することができる種々の自己免疫疾患を指す。

0098

実施形態は、自己免疫タンパク質を同定するために患者を試験すること、および分子融合物において使用される抗原を創成すること、およびタンパク質に対する免疫寛容を創成することを含む。実施形態は、以下のタンパク質の1つ以上からの抗原、または以下のタンパク質の1つ以上からの抗原を選択することを含む。1型糖尿病において、以下のいくつかの主要な抗原が同定されている:インスリン、プロインスリン、プレプロインスリングルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65)、GAD−67、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、およびインスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β);他の抗原として、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、Imogen38、GLIMA38、クロモグラニン−A、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質再生遺伝子II(regenerating gene II)、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース−6−ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質、およびSSGタンパク質共役型受容体1〜5が挙げられる。甲状腺の自己免疫疾患、例として、橋本甲状腺炎およびグレーブス病において、主要な抗原としては、サイログロブリン(TG)、甲状腺ペルオキシダーゼTPO)およびサイロトロピン受容体TSHR)が挙げられ;他の抗原としては、ナトリウムヨウ共輸送体(NIS)およびメガリンが挙げられる。甲状腺関連眼疾患および皮膚症において、甲状腺自己抗原、例として、TSHRに加え、抗原は、インスリン様成長因子1受容体である。副甲状腺機能低下症において、主要な抗原は、カルシウム感受性受容体である。アジソン病において、主要な抗原としては、21−ヒドロキシラーゼ、17α−ヒドロキシラーゼ、およびP450側鎖開裂酵素(P450scc)が挙げられ;他の抗原としては、ACTH受容体、P450c21およびP450c17が挙げられる。早発閉経において、主要な抗原としては、FSH受容体およびα−エノラーゼが挙げられる。自己免疫性下垂体炎、または下垂体自己免疫疾患において、主要な抗原としては、下垂体特異的タンパク質因子(PGSF)1aおよび2が挙げられ;別の抗原は、2型ヨードチロニンデヨージナーゼである。多発性硬化症において、主要な抗原としては、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質およびプロテオリピドタンパク質が挙げられる。関節リウマチにおいて、主要な抗原はコラーゲンIIである。免疫胃炎において、主要な抗原は、H+,K+−ATPアーゼである。悪性貧血(pernicious angemis)において、主要な抗原は、内因子である。セリアック病において、主要な抗原は、組織トランスグルタミナーゼおよびグリアジンである。白斑において、主要な抗原は、チロシナーゼ、ならびにチロシナーゼ関連タンパク質1および2である。重症筋無力症において、主要な抗原は、アセチルコリン受容体である。尋常性天疱瘡および異型において、主要な抗原は、デスモグレイン3、1および4であり;他の抗原としては、ペムファシン(pemphaxin)、デスモコリンプラコグロビンペルプラキン(perplakin)、デスモプラキン、およびアセチルコリン受容体が挙げられる。水疱性類天疱瘡において、主要な抗原としては、BP180およびBP230が挙げられ;他の抗原として、プレクチンおよびラミニン5が挙げられる。デューリング疱疹状皮膚炎において、主要な抗原としては、筋内膜および組織トランスグルタミナーゼが挙げられる。後天性表皮水疱症において、主要な抗原は、コラーゲンVIIである。全身性硬化症において、主要な抗原としては、マトリックスメタロプロテイナーゼ1および3、コラーゲン特異的分子シャペロン熱ショックタンパク質47、フィブリリン−1、ならびにPDGF受容体が挙げられ;他の抗原としては、Scl−70、U1RNP、Th/To、Ku、Jo1、NAG−2、セントロメアタンパク質、トポイソメラーゼI、核小体タンパク質、RNAポリメラーゼI、IIおよびIII、PM−Slc、フィブリリン、ならびにB23が挙げられる。混合性結合組織病において、主要な抗原は、U1snRNPである。シェーグレン症候群において、主要な抗原は、核抗原SS−AおよびSS−Bであり;他の抗原としては、フォドリン、ポリ(ADPリボースポリメラーゼおよびトポイソメラーゼが挙げられる。全身性エリテマトーデスにおいて、主要な抗原としては、核タンパク質、例として、SS−A、ハイモビリティ・グループ・ボックス1(HMGB1)、ヌクレオソームヒストンタンパク質および二本鎖DNAが挙げられる。グッドパスチャー症候群において、主要な抗原としては、糸球体基底膜タンパク質、例として、コラーゲンIVが挙げられる。リウマチ性心疾患において、主要な抗原は心臓ミオシンである。多腺性自己免疫症候群1型において明らかにされた他の自己抗原としては、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼヒスチジンデカルボキシラーゼシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼフェニルアラニンヒドロキシラーゼ、肝臓P450チトクロームP4501A2および2A6、SOX−9、SOX−10、カルシウム感知受容体タンパク質、ならびに1型インターフェロンインターフェロンアルファ、ベータおよびオメガが挙げられる。実施例15は、そのようなタンパク質に対する寛容誘発のための詳細な指針を提供し、一例としてインスリンを用いるプロセスを具体的に記載する。

0099

一部の場合、寛容誘発抗原は、患者が不所望の免疫応答を発達させた外来抗原である。例は食物抗原である。実施形態は、外来抗原を同定するために患者を試験すること、および抗原を含む分子融合物を創成すること、および抗原または食品に対する免疫寛容を発達させるように患者を治療することを含む。そのような食品および/または抗原の例を提供する。例は、ピーナッツからのもの:コンアラキン(Ara h1)、アレルゲンII(Ara h2)、ピーナッツアグルチニン、コングルチン(Ara h6);リンゴからのもの:31kdaの主要アレルゲン/耐病性タンパク質ホモログ(Mal d2)、脂質転移タンパク質前駆物質(Mal d3)、主要アレルゲンMal d1.03D(Mal d1);乳からのもの:α−ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリンキウイからのもの:アクチニジン(Act c1、Act d1)、フィトシスタチンタウマチン様タンパク質(Act d2)、キウェリン(kiwellin)(Act d5);カラシナからのもの:2Sアルブミン(Sin a1)、11Sグロブリン(Sin a2)、脂質転移タンパク質(Sin a3)、プロフィリン(Sin a4);セロリからのもの:プロフィリン(Api g4)、高分子量糖タンパク質(Api g5);エビからのもの:Pen a1アレルゲン(Pen a1)、アレルゲンPen m2(Pen m2)、速筋トロポミオシンアイソフォームコムギおよび/または他の穀類からのもの:高分子量グルテニン低分子量グルテニンアルファ−およびガンマ−グリアジン、ホルデイン、セカリンアベニンイチゴからのもの:主要イチゴアレルギーFra a1−E(Fra a1)、バナナからのもの:プロフィリン(Mus xp1)である。

0100

ヒトおよび動物医薬において使用される多くのタンパク質薬物は免疫応答を誘導し、それは患者についてのリスクを創成し、薬剤の効力を限定する。これは、エンジニアリングされたヒトタンパク質、ヒトタンパク質産生の先天性欠損患者に使用されるヒトタンパク質、および非ヒトタンパク質について生じ得る。初回投与前にこれらのタンパク質薬物に対してレシピエントを寛容化することは有利であり、初回投与後、および免疫応答の発達後に、これらのタンパク質薬物に対してレシピエントを寛容化することは有利である。自己免疫を有する患者において、自己免疫が発達する自己抗原が公知である。これらの場合、自己免疫の発達前にリスクのある対象を寛容化することが有利であり、初期自己免疫の生体分子指標の発達時またはその後に、対象を寛容化することは有利である。例えば、1型糖尿病において、膵臓中のベータ細胞の広範な破壊前、およびグルコースホメオスタシスに関与する臨床疾患の発症前に自己免疫の免疫学的指標が存在する。臨床疾患の発症前、これらの免疫学的指標の検出後に対象を寛容化することは有利である。

0101

Millerらをリーダーとする最近の研究は、抗原をエクスビボで同種脾細胞に共有結合的にコンジュゲートし、マウス中に静脈内投与した場合、抗原特異的免疫寛容が創成されることを示している(Godsel,Wang,et al.,2001;Luo,Pothoven,et al.,2008)。このプロセスは、ドナー脾臓の抗原提示細胞を回収することおよびアミンカルボン酸架橋反応スキームにおいてそれらを化学的に反応させることを含む。この技術は、多発性硬化症(Godsel,Wang,et al.,2001)、初発1型糖尿病(Fife,Guleria,et al.,2006)、および同種膵島移植(Luo,Pothoven,et al.,2008)のマウスモデルに抗原特異的寛容を誘導するのに有効であることが証明されている。寛容誘発応答を担う正確な機序は不明であるが、主要な要件は、アポトーシスの抗原結合細胞上の共刺激分子の発現なしの抗原提示を含むことが提唱されている(Miller,Turley,et al.,2007)。国際公開第2011/051346号パンフレットにおけるように赤血球ゴースト内に抗原を封入し、赤血球をエクスビボで処理し、それを再注射することも企図されてきた。

0102

投与
本明細書に記載の本発明の多くの実施形態は、ヒトまたは他の動物患者に投与することができる組成物を記載する。本発明の実施形態は、例えば、赤血球または腫瘍または腫瘍血管系上の抗原、およびそれらの組合せを認識する分子融合物、融合タンパク質、ペプチドリガンド、抗体、scFvを含む。これらの組成物は、好適な薬学的に許容可能な担体または賦形剤とともに薬学的に許容可能な組成物として調製することができる。

0103

赤血球に結合する組成物は、特異的に結合し得る。この特異性は、組成物と赤血球とのインビボ結合、および代替のエクスビボプロセスを提供する。したがって、組成物は、患者の血管系中に直接注射することができる。代替例は、後続の赤血球接触および取り込みのための、組織、例えば、筋肉、皮膚または皮下中への注射である。本発明の実施形態は、寛容化抗原を赤血球結合部分との会合物で患者に投与してそれにより抗原を赤血球にインビボで結合させることを含む、患者中の寛容誘発を誘導する方法であり;したがって、インビボ結合は、赤血球のエクスビボ処理なしで実施することができる。赤血球をプロセスの結果としてアポトーシスにさせないこのプロセスを実施することができる。このプロセスは、赤血球を、架橋剤;赤血球の表面分子を架橋する架橋剤;少なくとも2つの官能基を含む架橋剤;赤血球との共有結合を形成する架橋剤;赤血球との共有結合を形成する官能基;ならびに赤血球に共有結合する抗原および/または抗原性物質の1つ以上に曝露させることを有さない(含まない)ように実施することができる。このプロセスは、赤血球および/または抗原が1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)(EDC;さらにはEDACまたはEDCI)を有さないように実施することができ、さらにはカルボジイミドとのいかなる反応も示し得ない。このプロセスは、自己赤血球を用いて実施することができ、同種赤血球を有さなくてよい。

0104

本明細書に記載の実施形態を送達するため、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用することができる。賦形剤は、治療剤に希釈剤またはビヒクルとして使用される不活性物質を指す。薬学的に許容可能な担体は、一般に、治療のためにまたは製品として化合物が有用となるように化合物とともに使用される。一般に、任意の物質について、薬学的に許容可能な担体は、動物に送達するためにその物質と組み合わせる材料である。慣用の医薬担体水性粉末または油性基剤増粘剤などが必要であり、または望ましいことがある。一部の場合、担体は、例えば、液体送達のために不溶性化合物可溶化するために送達に不可欠であり、活性を保存するために物質のpHを制御するための緩衝剤;または貯蔵容器中の物質の損失を防ぐための希釈剤である。しかしながら、他の場合、担体は便宜上、例えば、より便利な投与のための液体である。当業者に公知の方法により、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩を合成することができる。したがって、薬学的に許容可能な組成物は、汚染物質を有さないように高度に精製され、生体適合性であり、非毒性であり、患者への投与に適している。水が担体の場合、水は高度に精製され、汚染物質、例えば、エンドトキシンを有さないように処理される。

0105

本明細書に記載の化合物は、典型的には、意図される投与形態に関して好適に選択され、慣用の医薬実務に沿った好適な医薬希釈剤、賦形剤、増量剤または担体(本明細書において薬学的に許容可能な担体、または担体と称される)との混合物として投与することができる。したがって、送達可能な化合物は、経口投与直腸投与局所投与、静脈内注射、関節内注射、または非経口投与に好適な形態で作製することができる。担体は、固体または液体を含み、担体のタイプは、使用される投与のタイプに基づき選択される。例えば、丸剤について、担体として好適な結合剤滑沢剤崩壊剤着色剤着香剤流動化剤、および溶解剤を含めることができる。例えば、活性成分は、経口非毒性の薬学的に許容可能な不活性担体、例えば、ラクトースゼラチン寒天デンプンスクロース、グルコース、メチルセルロースステアリン酸マグネシウムリン酸二カルシウム硫酸カルシウムマンニトールソルビトールなどと組み合わせることができる。化合物は、固体剤形、例えば、カプセル剤錠剤および散剤で、または液体剤形、例えば、エリキシル剤シロップ剤、および懸濁剤で経口投与することができる。活性化合物は、滅菌液体剤形で非経口投与することもできる。生理学的pHまたはオスモル濃度を達成するための緩衝液を使用することもできる。

0106

実施例1
マウス赤血球に結合する分子標的の特徴決定
結果:ERY1ペプチドについての分子標的を探索するため、ビオチン化された可溶性ペプチドを使用する親和性プルダウン技術を用い;この方法により、赤血球膜上のERY1リガンドとしてグリコホリン−A(GYPA)が明らかになった。全赤血球を、ビオチンにより官能化されたERY1ペプチドおよび光活性化架橋剤とインキュベートした場合、ストレプトアビジンウエスタンブロットにより検出して単一の28kDaのタンパク質がペプチド−ビオチン複合体とコンジュゲートした。反応溶解物を十分に洗浄し、ストレプトアビジン磁気ビーズを使用して精製して赤血球溶解物からの非標識タンパク質が残留しないことを確保した。予測されるとおり、ミスマッチペプチドは、どの赤血球タンパク質ともコンジュゲートし得なかった。ミスマッチペプチドPLLTVGMDLWPW(配列番号2)は、ERY1と同一のアミノ酸残基を含有し、その疎水性分布と一致するように設計した。相互作用タンパク質の見かけのサイズの証拠により、考えられるリガンドとしていくつかのより小さい1回膜貫通タンパク質、すなわち、グリコホリンが示唆された。架橋反応から精製された同一の試料の抗GYPAウエスタンブロッティングにより、候補ビオチン化タンパク質がGYPAであることが確認された。

0107

ERY1ファージとGYPAとの共局在を、高解像度共焦点顕微鏡により分析した。GYPAは天然で発現され、いくつかの膜および細胞骨格タンパク質からなる複合体の一部として提示される(Mohandas and Gallagher,2008)。これは、GYPA染色において視覚的に明らかであり、それにより細胞の赤道周辺において不均一標識が認められた。ERY1ファージによる標識は、極端に類似する染色分布をもたらした。共局在分析におけるオーバーラップ係数が0.97と高いことから、ERY1ファージおよび抗GYPAが同一タンパク質に結合するという結論が裏付けられた。ライブラリーファージにより標識された赤血球中でGYPAクラスター化も認められたが、ファージ結合が明らかでなく、したがって共局在がないことが明らかであった。

0108

方法:TGR樹脂上の標準的な固相f−moc化学反応を使用して、ERY1(H2N−WMVLPWLPGTLDGGSGCRG−CONH2)(配列番号19)およびミスマッチ(H2N−PLLTVGMDLWPWGGSGCRG−CONH2)(配列番号20)ペプチドを合成した。ペプチドは、95%のトリフルオロ酢酸、2.5%のエタンジチオール、2.5%の水中で樹脂から開裂させ、氷冷ジエチルエーテル中で沈殿させた。精製は、C18逆相カラムを使用してWaters分取HPLC−MS上で実施した。

0109

ERY1およびミスマッチペプチドをMts−Atf−ビオチン(Thermo Scientific)に、製造業者により推奨されるとおりにコンジュゲートした。簡潔に述べると、ペプチドをPBSDMF中で可溶化し、1.05当量のMts−atf−ビオチンと4℃において一晩反応させた。反応物遠心分離により清澄化した後、PBSA−50中でビオチン化ペプチドを赤血球と37℃において1時間インキュベートし、細胞を新たなPBS中で2回洗浄し、365nmにおいて室温で8分間UV照射した。細胞を音波処理により溶解させ、溶解物を、ストレプトアビジンコート磁気ビーズ(Invitrogen)を使用して精製した。溶出液をSDS−PAGE上でランさせ、PVDF膜転写し、ストレプトアビジン−HRP(R&D Systems)または抗マウスGYPAによりイムノブロットした。

0110

実施例2
ヒト赤血球への結合の特徴決定
結果:ヒト赤血球に結合した選択されたペプチドを特徴決定するため、そのような個々のペプチドをディスプレイする細菌を、複数の細胞型を用いる結合アッセイに供した。7つのペプチドのうち6つ(ERY19、ERY59、ERY64、ERY123、ERY141およびERY162)が、ヒト上皮293T細胞およびヒト内皮HUVECに対する結合と比較してヒト赤血球に特異的に結合した。さらに、ペプチドは、ヒト血液型AおよびBに結合したが、マウス血液に結合せず、このことは、これらのペプチドがヒト血液に特異的であるが、共通の血液型抗原に依存しないことを示した。ペプチドは、標準的な固相f−moc化学反応を使用して合成し、ナノ粒子にコンジュゲートし、上記の個々の細胞型への結合について分析する。赤血球表面への結合は、顕微鏡観察およびフローサイトメトリーの両方を使用して試験した。

0111

実施例3
ERY1ペプチド−コンジュゲート抗原またはヒト赤血球結合ペプチド−コンジュゲート抗原との非共有結合的赤血球結合を介する抗原特異的免疫学的寛容の誘導
赤血球への抗原の強力で特異的な生物物理学的結合を得るため、本発明者らがファージディスプレイによりマウスグリコホリン−Aに特異的に結合することを発見した合成12アミノ酸ペプチド(ERY1)を使用した(Kontos and Hubbell,2010)。この調査において、モデル抗原OVAを、CD8+T細胞集団がMHCI免疫優性OVAペプチドSIINFEKL(配列番号3)に特異的なT細胞受容体を発現するトランスジェニックマウス株(OT−I)とともに使用した。ERY1ペプチドをOVAに化学的にコンジュゲートし、高い親和性および特異性でマウス赤血球に結合するOVAバリアント(ERY1−OVA)を創成した(図1a)。高解像度共焦点顕微鏡観察により、ERY1結合に関する早期の観察が確認され(Kontos and Hubbell,2010)、すなわち、細胞膜赤道周辺への局在が確認され、ERY1−コンジュゲートタンパク質の細胞内移行は確認されなかった。ERY1と同一のアミノ酸を含有するが、一次配列順序スクランブルしたミスマッチペプチド(MIS−OVA)とコンジュゲートしているOVAバリアントが無視可能な程度の結合を示したため、グリコホリン−AへのERY1媒介結合は配列特異的であった(図1b)。ペプチドをコンジュゲートするために使用された架橋分子のみとコンジュゲートしているOVAは、赤血球に対していかなる計測可能な親和性も示さず、ERY1−OVA結合が、ERY1ペプチドと赤血球表面上のグリコホリン−Aとの非共有結合性相互作用から生じることが確認された。さらに、ERY1−OVAは、高親和性で赤血球に結合し、平衡結合計測により測定して6.2±1.3nMという抗体様解離定数(Kd)が示された(図1c)。

0112

マウス中への静脈内投与後、循環赤血球に対するERY1−OVA結合をインビボで検証した。150μgのOVAまたはERY1−OVAのいずれかの注射から30分後に採取した全血試料により、血液の複雑で不均一な環境および血管系中でもERY1−OVAの特異的な赤血球結合能が確認された。ERY1−OVAは、グリコホリン−A会合と一致して、赤血球(CD45−)に結合するが、白血球(CD45+)には結合しなかった。ERY1−OVA結合は、赤血球のアポトーシス状態に関して偏ることなく、アネキシン−V+およびアネキシン−V−のCD45−集団の両方に強く結合した。OVAコンジュゲートの薬物動態試験により、ERY1−OVA赤血球結合がインビボで長く続き、17.2時間の細胞表面半減期が示されることが証明された。ERY1−OVAは投与後72時間ほど長く赤血球に結合したままであり;この時間枠の間、マウスにおいて赤血球の約13%がクリアランスされる(Khandelwal and Saxena,2006)。インビボで赤血球に結合したERY1−OVAの定量により、106個の赤血球当たり0.174±0.005ngのOVAという比較的高い負荷が示された。

0113

赤血球機能に対するOVAの負荷のいかなる潜在的な生理学的効果も排除するため、ERY1−OVAまたはOVAのいずれかの静脈内投与後の種々の時点において血液学的パラメーターを特徴決定した。ERY1−OVAによる赤血球結合はOVAの投与と比較して、ヘマトクリットの検出可能な差異も、赤血球容積の検出可能な差異も、赤血球ヘモグロビン含有量の検出可能な差異も誘発しなかった。これらの結果により、抗原とのグリコホリン−A媒介赤血球結合は、それらの血液学的パラメーターを変化させなかったことが実証される。

0114

投与時の赤血球結合抗原の細胞標的を明らかにするため、ERY1(ERY1−アロフィコシアニン)またはMISペプチド(MIS−アロフィコシアニン)のいずれかにコンジュゲートしている高蛍光性アロフィコシアニンタンパク質をマウスに静脈内注射した。投与から12および36時間後の脾臓DC集団のフローサイトメトリー分析により、MHCII+CD11b−CD11c+DCによるERY1−アロフィコシアニンの取り込みがMIS−アロフィコシアニンと比較して9.4倍向上するが、MHCII+CD11b+CD11c+DCによるERY1−アロフィコシアニンおよびMIS−アロフィコシアニンの取り込みは同様であることが示された。さらに、MHCII+CD8α+CD11c+CD205+脾臓DCは、MIS−アロフィコシアニンよりも3.0倍程度多くERY1−アロフィコシアニンを取り込むが、絶対量は、脾臓中の他のDC集団の場合より顕著に低いことが見出された。非活性化およびCD8α+CD205+脾臓DCに対する抗原のそのような標的化は、これらの集団が、アポトーシス細胞により駆動される寛容誘発に広く関与しているため、赤血球結合の寛容誘発の潜在性を強化し得る(Ferguson,Choi,et al.,2011;Yamazaki,Dudziak,et al.,2008)。肝臓において、ERY1−アロフィコシアニンは、MIS−アロフィコシアニンと比較して、肝細胞(CD45−MHCII−CD1d−;78.4倍だけ)および肝星細胞(CD45−MHCII+CD1d+;60.6倍だけ)による取り込みも大きく向上させ;両方の集団は、CD8+T細胞欠失性寛容を誘発する抗原提示細胞として報告されている(Holz,Warren,et al.,2010;Ichikawa,Mucida,et al.,2011;Thomson and Knolle,2010)。興味深いことに、そのような取り込みは、赤血球および補体被覆粒子のクリアランスを助ける細網内皮系のメンバーとして機能する肝臓DC(CD45+CD11c+)中でもクッパー細胞(CD45+MHCII+F4/80+)中でも認められなかった。寛容誘発脾臓DCおよび肝細胞集団による赤血球結合抗原の取り込みの増加により、非リンパ球肝細胞およびカノニカルな脾細胞のクロストークにより駆動される抗原特異的T細胞欠失の相互に関係する複雑な機序についての潜在性が示唆される。

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