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技術 光化学電極、光化学電極の製造方法、及び水の光分解装置

出願人 富士通株式会社
発明者 穴澤俊久今中佳彦眞鍋敏夫天田英之
出願日 2017年2月1日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2017-016827
公開日 2018年8月9日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2018-123378
状態 特許登録済
技術分野 非金属・化合物の電解製造;そのための装置 化合物または非金属の製造のための電極 その他の表面処理
主要キーワード 可視光型 カルシウムハイドロキシアパタイト エアロゾル室 光分解装置 直接還元反応 光励起層 透光性容器 アノード酸化
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

光の利用効率に優れる光化学電極などの提供。

解決手段

導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている光化学電極である。

概要

背景

近年、光エネルギーを用いた水分解が盛んに研究、開発されている。その中でも光励起材料アノードあるいはカソードとした光電気化学ステムは、水の酸化還元を独立して制御でき、さらに生成物もそれぞれ別個回収できるため、総合的な高効率化に有利である。

光励起材料に求められる要件として、バンドギャップが狭く太陽光スペクトルを有効に吸収できること、価電子帯/伝導帯の位置が水の酸化/還元に適切であること、電子又はホール易動度が大きいこと、などがある。しかし、全てを十分に満たす材料は今のところ見つかっていない。

バンドギャップが小さく、かつ価電子帯/伝導帯の位置が適切な位置にある材料であっても、電子の有効質量が大きかったり緩和時間が短かったりして易動度が小さい場合が多い。そのような高抵抗率の材料では、光励起材料内で光励起された電子が下地電極又は集電材に到達できずに正孔再結合して効率を落としたり、アノード周囲の水や水の部分酸化体を還元する逆反応を引き起こすなどの課題がある。
光励起材料を電極として構成するとき、粉体集合体からなる電極では粉体間の接触が十分でない場合が多く、これも薄膜電気抵抗を高める要因となる。

このような問題を解決するため、例えば、光化学電極において、光触媒粒子間又は光触媒粒子と支持体との間に、半導体又は良導体を付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

光の利用効率に優れる光化学電極などの提供。導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている光化学電極である。

目的

本発明は、光の利用効率に優れる光化学電極、及びその製造方法、並びに前記光化学電極を用いた水の光分解装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極

請求項2

前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である請求項1に記載の光化学電極。

請求項3

前記導電体の材質が、バルブメタルである請求項1又は2に記載の光化学電極。

請求項4

前記光励起層における前記光励起材料と前記導電性粒子との割合が、体積比で99:1〜80:20(光励起材料:導電性粒子)である請求項1から3のいずれかに記載の光化学電極。

請求項5

導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極の製造方法。

請求項6

前記光励起層を形成する工程が、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する処理を含む請求項5に記載の光化学電極の製造方法。

請求項7

対向電極と、前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、を有し、前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする水の光分解装置

技術分野

0001

本発明は、光化学電極、光化学電極の製造方法、及び水の光分解装置に関する。

背景技術

0002

近年、光エネルギーを用いた水分解が盛んに研究、開発されている。その中でも光励起材料アノードあるいはカソードとした光電気化学ステムは、水の酸化還元を独立して制御でき、さらに生成物もそれぞれ別個回収できるため、総合的な高効率化に有利である。

0003

光励起材料に求められる要件として、バンドギャップが狭く太陽光スペクトルを有効に吸収できること、価電子帯/伝導帯の位置が水の酸化/還元に適切であること、電子又はホール易動度が大きいこと、などがある。しかし、全てを十分に満たす材料は今のところ見つかっていない。

0004

バンドギャップが小さく、かつ価電子帯/伝導帯の位置が適切な位置にある材料であっても、電子の有効質量が大きかったり緩和時間が短かったりして易動度が小さい場合が多い。そのような高抵抗率の材料では、光励起材料内で光励起された電子が下地電極又は集電材に到達できずに正孔再結合して効率を落としたり、アノード周囲の水や水の部分酸化体を還元する逆反応を引き起こすなどの課題がある。
光励起材料を電極として構成するとき、粉体集合体からなる電極では粉体間の接触が十分でない場合が多く、これも薄膜電気抵抗を高める要因となる。

0005

このような問題を解決するため、例えば、光化学電極において、光触媒粒子間又は光触媒粒子と支持体との間に、半導体又は良導体を付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0006

特開2016−144804号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、上記提案の技術では、半導体又は良導体自体が酸化還元反応を起こしたり、半導体又は良導体によって光化学電極において励起電子直接還元反応を起こすため、光の利用効率が低いという問題がある。

0008

本発明は、光の利用効率に優れる光化学電極、及びその製造方法、並びに前記光化学電極を用いた水の光分解装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
1つの態様では、光化学電極は、
導電体と、
前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。

0010

また、1つの態様では、光化学電極の製造方法は、
導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。

0011

また、1つの態様では、水の光分解装置は、
対向電極と、
前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、
前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、
を有し、
前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。

発明の効果

0012

本発明の光化学電極によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、光の利用効率に優れる光化学電極を提供できる。
本発明の光化学電極の製造方法によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、光の利用効率に優れる光化学電極を提供できる。
本発明の水の光分解装置によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、光の利用効率に優れる水の光分解装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、光化学電極の一例を説明するための断面模式図である。
図2は、エアロゾルデポジション法による成膜に用いられる成膜装置の構造図である。
図3Aは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その1)。
図3Bは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その2)。
図3Cは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その3)。
図3Dは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その4)。
図4Aは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その5)。
図4Bは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である(その6)。
図5は、水の光分解装置の一例の模式図である。

実施例

0014

(光化学電極)
本発明の光化学電極は、導電体と、光励起層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、支持体などのその他の部材を有する。

0015

光化学電極において、光触媒粒子間又は光触媒粒子と支持体との間に、半導体又は良導体を付与する従来技術では、半導体又は良導体自体が酸化還元反応を起こしたり、半導体又は良導体によって光化学電極において励起電子が直接還元反応を起こすため、光の利用効率が低いという問題がある。

0016

本発明者らは、その原因について検討を行った。そのところ、半導体又は良導体が、電極表面に露出していることが原因であることを見出した。即ち、半導体又は良導体が水と接触した状態であると、半導体又は良導体自体が酸化還元反応を起こす。また、半導体又は良導体が水と接触した状態で光化学電極に光が照射された場合には、励起電子が、水と接触した半導体又は良導体に移動したときに、還元反応を起こす。これらの反応は、光の利用効率を低下させる。

0017

そこで、本発明者らは、光の利用効率を高めるために、鋭意検討を行った結果、光励起材料及び導電性粒子を有する光励起層において前記導電性粒子を前記光励起材料に包摂させることにより、光の利用効率が優れることを見出し本発明の完成に至った。
本発明の光化学電極では、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。
ここで、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されているとは、前記導電性粒子が前記光励起層の前記導電体側と反対側の表面に露出していないことを意味する。

0018

<導電体>
前記導電体としては、導電性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0019

前記導電体の材質としては、例えば、金属、合金金属酸化物などが挙げられる。
前記金属としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。
前記合金としては、例えば、前記金属の例示で挙げられた2以上の金属種からなる合金などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アンチモンドープ酸化スズATO)、酸化亜鉛酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などが挙げられる。

0020

前記導電体の材質は、バルブメタルであることが好ましい。そうすることにより、前記光励起層に前記導電体に達する孔が形成されていても、陽極としての機能が低下されない。
前記バルブメタルとは、アノード酸化により表面に不動態膜を形成する金属を指す。
前記バルブメタルとしては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウムジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。

0021

ここで、前記導電体の導電性は、例えば、体積抵抗率で102Ωcm以下であることが好ましい。

0022

前記導電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
前記導電体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0023

前記導電体としては、例えば、蒸着膜などが挙げられる。前記蒸着膜は、例えば、物理蒸着法化学蒸着法などにより形成される。前記物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法スパッタリング法などが挙げられる。

0024

<光励起層>
前記光励起層は、光励起材料、及び導電性粒子を有する。
前記光励起層は、前記導電体上に配される。
前記光励起層において、前記導電性粒子は前記光励起材料に包摂されている。

0025

<<光励起材料>>
前記光励起材料は、光を吸収して励起する材料である。
前記光励起材料としては、例えば、紫外光型光励起材料、可視光型光励起材料などが挙げられる。

0026

−紫外光型光励起材料−
前記紫外光型光励起材料としては、紫外線以下の波長の光を吸収して励起する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外光応答型光触媒などが挙げられる。
ここで、紫外線以下の波長とは、例えば、400nm以下の波長が挙げられる。

0027

前記紫外光応答型光触媒は、光の利用効率に優れる点から、バンドギャップが3.1eV〜3.6eVであることが好ましい。このバンドギャップは、光の波長として344nm〜400nmに相当する。
バンドギャップとは、バンド構造における電子に占有された最も高いエネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、最も低い空のバンド(伝導帯)の底までの間のエネルギーの差を指す。

0028

前記紫外光応答型光触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiO2(酸化チタン)(バンドギャップ3.2eV)、SrTiO3(バンドギャップ3.2eV)、ZnO(バンドギャップ3.4eV)、Ti−CaHAP(チタンカルシウムハイドロキシアパタイト)(バンドギャップ3.6eV)、Ti−SrHAP(チタンストロンチウムハイドロキシアパタイト)(バンドギャップ3.6eV)などが挙げられる。

0029

−可視光型光励起材料−
前記可視光型光励起材料としては、可視光線以下の波長の光を吸収して励起する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光応答型光触媒などが挙げられる。
ここで、可視光線以下の波長とは、例えば、800nm以下の波長が挙げられる。

0030

前記可視光型光励起材料は、前記紫外光励起型光材料とは異なる光吸収特性を有する。言い換えれば、前記可視光型光励起材料は、前記紫外光励起型光材料とは異なるバンドギャップを有する。

0031

前記可視光応答型光触媒は、光の利用効率に優れる点から、バンドギャップが2.5eV〜3.0eVであることが好ましい。このバンドギャップは、光の波長として413nm〜496nmに相当する。

0032

前記可視光応答型光触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、WO3(酸化タングステン)(バンドギャップ2.8eV)、BiVO4(バナジン酸ビスマス)(バンドギャップ2.5eV)、Ag3PO4(バンドギャップ2.5eV)、TiAg−CaHAP(チタン銀カルシウムハイドロキシアパタイト)(バンドギャップ2.8eV)、TiAg−SrHAP(チタン銀ストロンチウムハイドロキシアパタイト)(バンドギャップ2.8eV)、窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体(Ga1−xZnx)(N1−xOx)などが挙げられる。

0033

<<導電性粒子>>
前記導電性粒子としては、導電性を有する粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0034

前記導電性粒子の材質としては、例えば、金属、合金、金属酸化物などが挙げられる。
前記金属としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。
前記合金としては、例えば、前記金属の例示で挙げられた2以上の金属種からなる合金などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などが挙げられる。

0035

前記導電性粒子の仕事関数は、前記光励起材料の仕事関数以下であることが好ましい。そうすることにより、前記光励起材料と前記導電性粒子との界面にショットキー障壁が生じることを防ぐことができる。

0036

前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下が特に好ましい。

0037

ここで、前記導電性粒子の導電性は、例えば、体積抵抗率で102Ωcm以下であることが好ましい。

0038

前記光励起層における前記光励起材料と前記導電性粒子との割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積比で99:1〜80:20(光励起材料:導電性粒子)が好ましい。

0039

前記光励起層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましく、3μm以上10μm以下が特に好ましい。
なお、前記光励起層の平均厚みは、通常、前記導電性粒子の平均粒子径よりも大きい。

0040

<支持体>
前記支持体は、前記導電体、及び前記光励起層を支持する。
前記支持体は、例えば、前記導電体に接して配される。
前記支持体の材質としては、例えば、ガラス有機樹脂等の絶縁体などが挙げられる。

0041

前記光化学電極の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する製造方法が好ましい。

0042

ここで、光化学電極の一例を図を用いて説明する。
図1は、光化学電極の一例を説明するための断面模式図である。図1の光化学電極1では、支持体10と、導電体2と、光励起層3とがこの順で積層されている。光励起層3では、光励起材料3Aのマトリックス中に導電性粒子3Bが包摂されている。導電性粒子3Bは、光化学電極1の表面に露出していない。

0043

(光化学電極の製造方法)
本発明の光化学電極の製造方法は、光励起層形成工程を含み、更に必要に応じて、導電体形成工程などのその他の工程を含む。

0044

前述のとおり、本発明者らは、従来技術の問題を解決するために、光励起材料及び導電性粒子を有する光励起層において前記導電性粒子を前記光励起材料に包摂させることを発想した。
しかし、係る構造を実現することは、容易ではなく、例えば、従来技術のように、粉体のみを、一般的な塗布法電気泳動法基板上に成膜しても、係る構造を実現できない。
そこで、発明者らは鋭意検討を行った結果、係る構造の実現には、エアロゾルデポジション法が有効であることを見出し、本発明の光化学電極の製造方法の完成に至った。

0045

<導電体形成工程>
前記導電体形成工程としては、支持体上に導電体を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法などが挙げられる。

0046

前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光化学電極の説明において例示した前記支持体などが挙げられる。
前記導電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光化学電極の説明において例示した前記導電体などが挙げられる。

0047

前記蒸着法としては、例えば、物理蒸着法、化学蒸着法などが挙げられる。前記物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。

0048

<光励起層形成工程>
前記光励起層形成工程としては、導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光励起層は、開示の前記光化学電極における前記光励起層である。

0049

前記エアロゾルデポジション法とは、成膜対象となる基板に微粒子を含むエアロゾルを吹きつけることにより、基板に微粒子を堆積させて成膜を行う方法である。

0050

ここで、前記エアロゾルデポジション法の一例を図を用いて説明する。
図2は、エアロゾルデポジション法による成膜に用いられる成膜装置の一例の構造図である。
エアロゾルデポジション成膜装置は、エアロゾル室910及び成膜チャンバー920を有している。エアロゾル室910には成膜される材料の微粒子911が入れられており、He、N2、Ar等のキャリアガスが入れられたガスボンベ930が配管960を介して接続されている。また、エアロゾル室910と成膜チャンバー920とは、配管941により接続されており、成膜チャンバー920内における配管941の端部にはノズル921が設けられている。真空チャンバー920内においては、ノズル921の開口部と対向する側に、ステージ922が設けられており、ステージ922には、成膜がなされる基板923が設置されている。この成膜チャンバー920内は真空排気可能であり、配管942を介し、メカニカルブースターポンプ943及び真空ポンプ944が接続されている。尚、エアロゾル室910内を排気することができるように、エアロゾル室910は、配管945及び不図示のバルブ等を介し配管942と接続されている。また、エアロゾル室910が設置される領域には、エアロゾル室910において、成膜される材料の微粒子が固まる、もしくは、成膜中に粒子が偏ることを防ぐため、エアロゾル室910を振動させるための振動器950が設けられている。

0051

この成膜装置において、エアロゾルデポジション法による成膜を行う際には、成膜チャンバー920内をメカニカルブースターポンプ943及び真空ポンプ944により真空排気した後、ガスボンベ930よりキャリアガスをエアロゾル室910内に供給する。エアロゾル室910内では、供給されたキャリアガスにより成膜される材料の微粒子が巻き上げられ、成膜される材料の微粒子がキャリアガスとともに配管941を介し、成膜チャンバー920内のノズル921に運ばれる。この後、ノズル921から、キャリアガスとともに成膜される材料の微粒子が基板923に向けて噴出され、基板923の表面に向けてノズル921より噴出された微粒子が堆積することにより成膜が行われる。

0052

前記光励起層形成工程においては、光励起材料の粒子と、導電性粒子とを成膜するが、これらの粒子は、エアロゾル室910内で混合してもよいし、別途混合したものを、エアロゾル室910に投入してもよい。また、光励起材料の粒子と、導電性粒子とを異なるノズルから噴出させてもよい。

0053

成膜する際の前記光励起材料の粒子と、前記導電性粒子との割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積比で99:1〜80:20(光励起材料の粒子:導電性粒子)が好ましい。
前記光励起材料の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下が特に好ましい。
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下が特に好ましい。

0054

前記光励起層形成工程により、前記光励起材料を母体とし、前記光励起層において前記母体に前記導電性粒子が包摂されている光励起層が得られる。

0055

<<除去処理>>
前記光励起層形成工程においては、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する除去処理を含むことが好ましい。

0056

製造される前記光化学電極の前記光励起層においては、前記導電性粒子は前記光励起材料に包摂されている。そのため、前記光励起層における前記導電体側と反対側の表面には、前記導電性粒子は露出していない。
そのような光励起層を完成させるために、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に前記導電性粒子が露出している場合には、露出している前記導電性粒子を除去する処理を行う。
除去の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導電性粒子を溶解させて除去する方法などが挙げられる。

0057

本発明の光化学電極の製造方法の一例を、図を用いて説明する。
図3A図3Dは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
まず、支持体10を用意する(図3A)。
次に、支持体10上に導電体2の薄膜を形成する(図3B)。導電体2は、FTOの薄膜であり、スパッタリング法により形成できる。
次に、エアロゾルデポジション法により、光励起材料の粒子3AAであるZnO粒子(平均粒子径1μm)と、導電性粒子3BであるAl(アルミニウム)粒子(平均粒子径1μm)との混合粉をノズル921から導電体2に向けて噴射する(図3C)。この際、光励起材料の粒子3AAと、導電性粒子3Bとの混合割合を、体積比で95:5(光励起材料の粒子:導電性粒子)とする。この過程で、ZnO粒子はノズル内で相互に衝突することにより粉砕され、ノズルから噴出する際の粒径は数nmから数百nmとなっている。
そうすると、導電体2上に、光励起材料3Aと、導電性粒子3Bとから構成される光励起層3(平均厚み5μm)が形成される(図3D)。
以上により、光化学電極1が得られる。

0058

この際、図4Aに示すように、導電性粒子3Bの一部が、光化学電極の表面に露出している場合がある。この場合には、露出した導電性粒子3Bを除去することにより、本発明の光化学電極1が得られる(図4B)。導電性粒子がAl粒子の場合、例えば、エッチングにより除去することができる。

0059

上記方法により光化学電極を作製した場合、ZnOのマトリックスに、5体積%のAl粒子(平均粒子径1μm)が包摂された光励起層(平均厚み5μm)を有する光化学電極が得られる。この光化学電極の光電流は、ZnOのみからなる光励起層を有する光化学電極の光電流と比較して、20%高くなる。

0060

次に、他の光化学電極の一例を説明する。
この例は、導電体としてのTi(チタン)基板上に、10体積パーセントのAlを包摂したZnOからなる光励起層を形成する例である。
まず、Ti基板を用意する。
次に、エアロゾルデポジション法により、光励起材料の粒子であるZnO粒子(平均粒子径1μm)と、導電性粒子であるAl(アルミニウム)粒子(平均粒子径2μm)との混合粉をノズルからTi基板に向けて噴射する。この際、光励起材料の粒子と、導電性粒子との混合割合を、体積比で90:10(光励起材料の粒子:導電性粒子)とする。この過程で、ZnO粒子はノズル内で相互に衝突することにより粉砕され、ノズルから噴出する際の粒径は数nmから数百nmとなっている。
形成される光励起層の平均厚みは5μmとする。
この際、形成される光励起層において、導電性粒子の一部は、光化学電極の表面に露出している。また、導電性粒子は、その大きさ、及びその割合からして、連接している。そのため、露出する導電性粒子をエッチングにより除去すると、光励起層に、導電体に達する孔が形成される場合がある。そのような場合でも、導電体として、バルブメタルであるTiを用いることにより、前記孔に露出したTi基板では、不動態膜が形成されているため、光化学電極のアノードとしての機能に悪影響を与えることはない。なお、不動態膜は、アノード酸化により形成しても良いし、熱酸化空気酸化オゾン処理などにより形成してもよい。

0061

(水の光分解装置)
開示の水の光分解装置は、対向電極と、光化学電極と、透光性容器とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。

0062

前記対向電極は、陰極である。
前記光化学電極は、開示の前記光化学電極であり、陽極である。
前記光化学電極は、前記対向電極に導線を介して接続される。
前記透光性容器は、前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための容器である。前記透光性容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック、ガラス、石英などが挙げられる。

0063

図5を用いて、前記水の分解装置の一例を説明する。
前記水の分解装置は、陽極である光化学電極1と、陰極である対向電極4と、光化学電極1及び対向電極4を接続する導線5と、光化学電極1及び対向電極4を収容する透光性容器6とを有する。透光性容器6には、水7が入っており、光化学電極1及び対向電極4は水7に浸っている。
対向電極4には、例えば、水素の発生に高い触媒活性を示すPt金属電極が用いられる。

0064

水の光分解反応を生じさせる照射光8は、例えば、紫外光を含む混合光である。

0065

そして、光化学電極1に照射光8が照射されると、光化学電極1の光励起層3において、価電子帯の電子が励起されて伝導帯に遷移するとともに、価電子帯に正孔が形成される。照射光8によって励起された電子は導電体2方向へ、正孔は表面に向かう。そして、光励起層3の表面では、OH−イオンが水中に存在すると、正孔によって表面で酸化反応が起きて酸素O2が生成する。一方、電子は、導線5で接続された対向電極4に移動し、対向電極4表面では、H+イオンが水中に存在すると、電子によって還元反応が起きて水素H2が生成する。

0066

更に以下の付記を開示する。
(付記1)
導電体と、
前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極。
(付記2)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記1に記載の光化学電極。
(付記3)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記1又は2に記載の光化学電極。
(付記4)
前記光励起層における前記光励起材料と前記導電性粒子との割合が、体積比で99:1〜80:20(光励起材料:導電性粒子)である付記1から3のいずれかに記載の光化学電極。
(付記5)
導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極の製造方法。
(付記6)
前記光励起層を形成する工程が、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する処理を含む付記5に記載の光化学電極の製造方法。
(付記7)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記5又は6に記載の光化学電極の製造方法。
(付記8)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記5から7のいずれかに記載の光化学電極の製造方法。
(付記9)
対向電極と、
前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、
前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、
を有し、
前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする水の光分解装置。
(付記10)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記9に記載の水の光分解装置。
(付記11)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記9又は10に記載の水の光分解装置。

0067

1光化学電極
2導電体
3光励起層
3A光励起材料
3AA 光励起材料の粒子
3B導電性粒子
4対向電極
5導線
6透光性容器
7 水
8照射光
10 支持体

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