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技術 微細藻類における異種ポリペプチド、微細藻類細胞外体、組成物の産生、ならびにそれらの作製および使用の方法

出願人 サノフィワクチンテクノロジーズエス.エー.エス.
発明者 バインアン-セシルブイ.リップマイアージェイムズケーシーアプトカークエミルザークレロスエリック
出願日 2018年5月10日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-091280
公開日 2018年8月9日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 2018-121660
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 管状突起 ダスタ JIT 膜突起 一般型 機械製品 発酵施設 接プレ
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図面 (20)

課題

微細藻類を用いるウイルス血球凝集素HAタンパク質の産生のための方法。

解決手段

HA膜ドメインおよび活性調節制御要素を含むウイルスHAタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組み換え微細藻類細胞を用いた、ワクチンとしての全長インフルエンザHAタンパク質の製造方法であって、微細藻類細胞がシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属であり、HAタンパク質が培地分泌される様、培地中で前記組み換微細藻類を培養する、ウイルスHAタンパク質の製造方法。前記組み換えウイルスタンパク質がインフルエンザタンパク質であり、前記タンパク質を用いてワクチン組成物として制剤化する方法。

概要

背景

以前には多くがヒトおよび他の動物組織、血液または尿からの抽出によってのみ利用可能であった、微生物細胞植物細胞および動物細胞でのタンパク質の産生が、生物工学および分子生物学の進歩により可能になった。今日、市販されている生物製剤は典型的に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞において、または酵母もしくは大腸菌(E. coli)細胞株のような微生物細胞において製造される。

微生物発酵によるタンパク質の産生は、植物および動物細胞培養のような既存の系に比べていくつかの利点をもたらす。例えば、微生物の発酵に基づく工程は、以下を与えることができる:(i)高濃度のタンパク質の迅速産生;(ii)無菌の、十分に制御された産生条件(医薬品最適製造基準(Good Manufacturing Practice;GMP)条件のような)を使用できること;(iii)より単純な発酵およびより少ない不純物を可能にする単純で化学的に定義された増殖培地を使用できること;(iv)夾雑しているヒトまたは動物病原体が存在しないこと; および(v)タンパク質の回収(例えば、発酵培地からの単離による)が容易であること。さらに、発酵施設は典型的に、細胞培養施設よりも建設するのに費用がかからない。

微細藻類、例えばラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)のヤブレツボカビ科生物(thraustochytrid)などは、標準的な発酵装置を用いて、非常に短い培養サイクル(例えば、1〜5日)、安価な限定培地、およびあったとしても最小限の精製により、増殖させることができる。さらに、ある種の微細藻類、例えば、シゾキトリウム属(Schizochytrium)は、バイオマスおよびそれに由来する脂質の両方の食品用途に関して実証された安全性の歴史を有する。例えば、この微生物由来のDHA富むトリグリセリド油は、米国食品医薬品局からGRAS(安全食品認定)の地位を受けている。

微細藻類は、組み換えタンパク質発現できることが示されている。例えば、米国特許第7,001,772号(特許文献1)では、シゾキトリウム属の成員を含む、ヤブレツボカビ科生物を形質転換するのに適した最初の組み換え構築体が開示された。この刊行物では、とりわけ、アセト乳酸合成酵素、アセト乳酸合成酵素プロモーターおよびターミネーター領域、α-チューブリンプロモーター、ポリケチド合成酵素PKS)系由来のプロモーター、ならびに脂肪酸不飽和化酵素プロモーターに対するシゾキトリウム属の核酸およびアミノ酸配列が開示された。ともに参照により全体が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2006/0275904号(特許文献2)および同第2006/0286650号(特許文献3)では、その後、アクチン伸長因子1アルファ(ef1α)、ならびにグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(gapdh)プロモーターおよびターミネーターに対するシゾキトリウム属の配列が開示された。

微細藻類において異種ポリペプチドを発現するための方法および治療的用途のための代替組成物の特定が継続的に必要とされている。

概要

微細藻類を用いるウイルス血球凝集素(HA)タンパク質の産生のための方法。HA膜ドメインおよび活性調節制御要素を含むウイルスHAタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組み換え微細藻類細胞を用いた、ワクチンとしての全長インフルエンザHAタンパク質の製造方法であって、微細藻類細胞がシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属であり、HAタンパク質が培地へ分泌される様、培地中で前記組み換微細藻類を培養する、ウイルスHAタンパク質の製造方法。前記組み換えウイルスタンパク質がインフルエンザタンパク質であり、前記タンパク質を用いてワクチン組成物として制剤化する方法。なし

目的

効果

実績

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請求項1

以下の段階を含む、膜タンパク質を産生する方法;膜ドメインを含む異種膜タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む異種核酸分子を含む組み換え微細藻類宿主細胞を含む培養物を提供する段階、異種膜タンパク質を含む微細藻類細胞外体を産生するのに十分な条件下で該組み換え微細藻類宿主細胞を培養する段階、および微細藻類宿主細胞から該微細藻類細胞外体を分離する段階;ここで、該細胞外体は、宿主細胞原形質膜とつながっていない、かつ、さらにここで、該細胞外体は、小胞ミセル、膜断片、膜凝集体、またはそれらの混合物である。

請求項2

該細胞外体を実質的に純粋な形態で単離する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項3

単離された該細胞外体を水性液体担体再懸濁する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。

請求項4

微細藻類宿主細胞がヤブレツボカビ細胞であり、さらにここで、産生される異種膜タンパク質がヤブレツボカビ細胞における発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する、請求項1記載の方法。

請求項5

膜タンパク質がウイルスエンベロープタンパク質である、請求項1記載の方法。

請求項6

ウイルスエンベロープタンパク質が、血球凝集素HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(Env)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、および、これらの組み合わせから選択される、請求項5記載の方法。

請求項7

ウイルスエンベロープタンパク質が、HAタンパク質、NAタンパク質、およびHNタンパク質から選択される、請求項5記載の方法。

請求項8

ウイルスエンベロープタンパク質がインフルエンザHAタンパク質である、請求項5記載の方法。

請求項9

膜ドメインを含む異種膜タンパク質を含む単離された微細藻類細胞外体;ここで、該細胞外体は、宿主細胞の原形質膜とつながっていない、かつ、さらにここで、該細胞外体は、小胞、ミセル、膜断片、膜凝集体、またはそれらの混合物である。

請求項10

異種膜タンパク質が少なくとも一つの膜貫通ドメインを含む、請求項9記載の微細藻類細胞外体。

請求項11

微細藻類細胞外体がヤブレツボカビ細胞外体であり、さらにここで、異種膜タンパク質がヤブレツボカビグリコシル化パターンを有する、請求項9記載の微細藻類細胞外体。

請求項12

膜タンパク質がウイルスエンベロープタンパク質である、請求項9記載の微細藻類細胞外体。

請求項13

ウイルスエンベロープタンパク質が、血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(Env)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、および、これらの組み合わせから選択される、請求項12記載の微細藻類細胞外体。

請求項14

ウイルスエンベロープタンパク質が、HAタンパク質、NAタンパク質、およびHNタンパク質から選択される、請求項12記載の微細藻類細胞外体。

請求項15

ウイルスエンベロープタンパク質がインフルエンザHAタンパク質である、請求項12記載の微細藻類細胞外体。

請求項16

請求項9〜15のいずれか一項記載の微細藻類細胞外体を含む組成物であって、微細藻類細胞を含まない、組成物。

請求項17

少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項16記載の組成物。

請求項18

請求項9記載の微細藻類細胞外体を含むワクチン組成物であって、微細藻類細胞を含まない、ワクチン組成物。

請求項19

膜タンパク質がウイルスエンベロープタンパク質である、請求項18記載のワクチン組成物。

請求項20

ウイルスエンベロープタンパク質が、血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(Env)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、および、これらの組み合わせから選択される、請求項19記載のワクチン組成物。

請求項21

ウイルスエンベロープタンパク質が、HAタンパク質、NAタンパク質、およびHNタンパク質から選択される、請求項19記載のワクチン組成物。

請求項22

ウイルスエンベロープタンパク質がインフルエンザHAタンパク質である、請求項19記載のワクチン組成物。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、組み換え微細藻類細胞および異種ポリペプチドの産生におけるその使用、微細藻類細胞外体における異種ポリペプチドの産生の方法、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体、ならびにそれらを含む組成物に関する。

背景技術

0002

以前には多くがヒトおよび他の動物組織、血液または尿からの抽出によってのみ利用可能であった、微生物細胞植物細胞および動物細胞でのタンパク質の産生が、生物工学および分子生物学の進歩により可能になった。今日、市販されている生物製剤は典型的に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞において、または酵母もしくは大腸菌(E. coli)細胞株のような微生物細胞において製造される。

0003

微生物発酵によるタンパク質の産生は、植物および動物細胞培養のような既存の系に比べていくつかの利点をもたらす。例えば、微生物の発酵に基づく工程は、以下を与えることができる:(i)高濃度のタンパク質の迅速産生;(ii)無菌の、十分に制御された産生条件(医薬品最適製造基準(Good Manufacturing Practice;GMP)条件のような)を使用できること;(iii)より単純な発酵およびより少ない不純物を可能にする単純で化学的に定義された増殖培地を使用できること;(iv)夾雑しているヒトまたは動物病原体が存在しないこと; および(v)タンパク質の回収(例えば、発酵培地からの単離による)が容易であること。さらに、発酵施設は典型的に、細胞培養施設よりも建設するのに費用がかからない。

0004

微細藻類、例えばラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)のヤブレツボカビ科生物(thraustochytrid)などは、標準的な発酵装置を用いて、非常に短い培養サイクル(例えば、1〜5日)、安価な限定培地、およびあったとしても最小限の精製により、増殖させることができる。さらに、ある種の微細藻類、例えば、シゾキトリウム属(Schizochytrium)は、バイオマスおよびそれに由来する脂質の両方の食品用途に関して実証された安全性の歴史を有する。例えば、この微生物由来のDHA富むトリグリセリド油は、米国食品医薬品局からGRAS(安全食品認定)の地位を受けている。

0005

微細藻類は、組み換えタンパク質発現できることが示されている。例えば、米国特許第7,001,772号(特許文献1)では、シゾキトリウム属の成員を含む、ヤブレツボカビ科生物を形質転換するのに適した最初の組み換え構築体が開示された。この刊行物では、とりわけ、アセト乳酸合成酵素、アセト乳酸合成酵素プロモーターおよびターミネーター領域、α-チューブリンプロモーター、ポリケチド合成酵素PKS)系由来のプロモーター、ならびに脂肪酸不飽和化酵素プロモーターに対するシゾキトリウム属の核酸およびアミノ酸配列が開示された。ともに参照により全体が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2006/0275904号(特許文献2)および同第2006/0286650号(特許文献3)では、その後、アクチン伸長因子1アルファ(ef1α)、ならびにグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(gapdh)プロモーターおよびターミネーターに対するシゾキトリウム属の配列が開示された。

0006

微細藻類において異種ポリペプチドを発現するための方法および治療的用途のための代替組成物の特定が継続的に必要とされている。

先行技術

0007

米国特許第7,001,772号
米国特許出願公開第2006/0275904号
米国特許出願公開第2006/0286650号

0008

本発明は、培地中で組み換え微細藻類細胞を培養する段階を含む、血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、マトリックスタンパク質およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスタンパク質の産生のための方法を対象とし、該組み換え微細藻類細胞は、ウイルスタンパク質を産生するために、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んだ核酸分子を含む。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質は分泌される。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質は培地から回収される。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質は微細藻類細胞中に蓄積する。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質は微細藻類細胞の膜中に蓄積する。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はHAタンパク質である。いくつかの態様において、HAタンパク質はSEQID NO: 77と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、微細藻類細胞は外因性プロテアーゼ非存在下でHA1およびHA2ポリペプチドを産生するためにHAタンパク質の翻訳プロセッシング能力がある。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はNAタンパク質である。いくつかの態様において、NAタンパク質はSEQ ID NO: 100と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はFタンパク質である。いくつかの態様において、Fタンパク質はSEQ ID NO: 102と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はGタンパク質である。いくつかの態様において、Gタンパク質はSEQ ID NO: 103と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、微細藻類細胞はヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の一員である。いくつかの態様において、微細藻類細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列はHA膜ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、核酸分子は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列をさらに含む。

0009

本発明は、上記の方法のいずれかによって産生される単離されたウイルスタンパク質を対象とする。

0010

本発明は、血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、マトリックスタンパク質およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んだ核酸分子を含む組み換え微細藻類細胞を対象とする。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はHAタンパク質である。いくつかの態様において、HAタンパク質はSEQID NO: 77と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、微細藻類細胞は外因性プロテアーゼの非存在下でHA1およびHA2ポリペプチドを産生するためにHAタンパク質の翻訳後プロセッシングの能力がある。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はNAタンパク質である。いくつかの態様において、NAタンパク質はSEQ ID NO: 100と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はFタンパク質である。いくつかの態様において、Fタンパク質はSEQ ID NO: 102と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質はGタンパク質である。いくつかの態様において、Gタンパク質はSEQ ID NO: 103と少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、微細藻類細胞はヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の一員である。いくつかの態様において、微細藻類細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属である。いくつかの態様において、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列はHA膜ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、核酸分子は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列をさらに含む。

0011

本発明は、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生する方法を対象とし、本方法は、(a)膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階、および(b)宿主細胞原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む細胞外体を産生するのに十分な条件の下で、微細藻類宿主細胞を培養する段階を含む。

0012

本発明は、微細藻類細胞外体および異種ポリペプチドを含む組成物を産生する方法を対象とし、本方法は、(a)膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階、および(b)宿主細胞の原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む細胞外体を産生するのに十分な条件の下で、微細藻類宿主細胞を培養する段階を含み、該組成物は、細胞外体を含む培養上清として産生される。いくつかの態様において、本方法は、組成物から培養上清を取り出す段階および細胞外体を水性液体担体再懸濁する段階をさらに含む。本発明は、本方法によって産生される組成物を対象とする。

0013

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体および異種ポリペプチドを産生する方法、または微細藻類細胞外体および異種ポリペプチドを含む組成物を産生する方法は、ラビリンチュラ菌門の宿主細胞である宿主細胞を含む。いくつかの態様において、宿主細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属の宿主細胞である。

0014

本発明は、微細藻類細胞の原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を対象とする。いくつかの態様において、細胞外体は小胞ミセル、膜断片、膜凝集体、またはそれらの混合物である。いくつかの態様において、細胞外体は小胞および膜断片の混合物である。いくつかの態様において、細胞外体は小胞である。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは膜ドメインを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは糖タンパク質である。いくつかの態様において、糖タンパク質は高マンノースオリゴ糖を含む。いくつかの態様において、糖タンパク質はシアル酸を実質的に含まない。

0015

本発明は、上記の主張のいずれかの細胞外体および水性液体担体を含む組成物を対象とする。いくつかの態様において、水性液体担体は培養上清である。
[1]培地中で組み換え微細藻類細胞を培養する段階を含む、血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、マトリックスタンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスタンパク質の産生のための方法であって、該組み換え微細藻類細胞が、ウイルスタンパク質を産生するために、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んだ核酸分子を含む、前記方法。
[2] ウイルスタンパク質が分泌される、[1]記載の方法。
[3] ウイルスタンパク質を培地から回収する段階をさらに含む、[1]または[2]記載の方法。
[4] ウイルスタンパク質が微細藻類細胞中に蓄積する、[1]記載の方法。
[5] ウイルスタンパク質が微細藻類細胞の膜中に蓄積する、[1]〜[4]のいずれか一項記載の方法。
[6] ウイルスタンパク質がHAタンパク質である、[1]〜[5]のいずれか一項記載の方法。
[7] HAタンパク質がSEQID NO: 77と少なくとも90%同一である、[6]記載の方法。
[8] 微細藻類細胞が、外因性プロテアーゼの非存在下でHA1およびHA2断片を産生するためのHAタンパク質の翻訳後プロセッシングの能力をもつ、[6]または[7]記載の方法。
[9] ウイルスタンパク質がNAタンパク質である、[1]〜[5]のいずれか一項記載の方法。
[10] NAタンパク質がSEQ ID NO: 100と少なくとも90%同一である、[9]記載の方法。
[11] ウイルスタンパク質がFタンパク質である、[1]〜[5]のいずれか一項記載の方法。
[12] Fタンパク質がSEQ ID NO: 102と少なくとも90%同一である、[11]記載の方法。
[13] ウイルスタンパク質がGタンパク質である、[1]〜[5]のいずれか一項記載の方法。
[14] Gタンパク質がSEQ ID NO: 103と少なくとも90%同一である、[13]記載の方法。
[15] 微細藻類細胞がヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の一員である、[1]〜[14]のいずれか一項記載の方法。
[16] 微細藻類細胞がシゾキトリウム属(Schizochytrium)またはヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)である、[1]〜[15]のいずれか一項記載の方法。
[17] ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列がHA膜ドメインをさらに含む、[1]〜[16]のいずれか一項記載の方法。
[18] 核酸分子が、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列をさらに含む、[1]〜[17]のいずれか一項記載の方法。
[19] [1]〜[18]のいずれか一項記載の方法によって産生される、単離されたウイルスタンパク質。
[20] 血球凝集素(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、120 kDaの糖タンパク質(gp120)、41 kDaの糖タンパク質(gp41)、マトリックスタンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んだ核酸分子を含む、組み換え微細藻類細胞。
[21] 膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階と、
異種ポリペプチドを含む細胞外体を産生するのに十分な条件下で微細藻類宿主細胞を培養する段階であって、該細胞外体が宿主細胞の原形質膜と不連続である、段階と
を含む、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生する方法。
[22] 膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階と、
異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生するのに十分な条件下で微細藻類宿主細胞を培養する段階であって、該細胞外体が宿主細胞の原形質膜と不連続である、段階と
を含む、微細藻類細胞外体と異種ポリペプチドとを含む組成物を産生する方法であって、
該組成物が、細胞外体を含む培養上清として産生される、前記方法。
[23] 前記組成物から培養上清を取り出す段階および細胞外体を水性液体担体に再懸濁する段階をさらに含む、[22]記載の方法。
[24] 宿主細胞がラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)の宿主細胞である、[21]〜[23]のいずれか一項記載の方法。
[25] 宿主細胞がシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属の宿主細胞である、[21]〜[24]のいずれか一項記載の方法。
[26] [21]記載の方法によって産生される細胞外体。
[27] [22]記載の方法によって産生される組成物。
[28] 異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体であって、微細藻類細胞の原形質膜と不連続な微細藻類細胞外体。
[29]小胞、ミセル、膜断片、膜凝集体、またはそれらの混合物である、[28]記載の細胞外体。
[30] 小胞および膜断片の混合物である、[28]または[29]記載の細胞外体。
[31] 小胞である、[28]または[29]記載の細胞外体。
[32] 異種ポリペプチドが膜ドメインを含む、[28]〜[31]のいずれか一項記載の細胞外体。
[33] 異種ポリペプチドが糖タンパク質である、[28]〜[32]のいずれか一項記載の細胞外体。
[34] 糖タンパク質が高マンノースオリゴ糖を含む、[33]記載の細胞外体。
[35] 糖タンパク質がシアル酸を実質的に含まない、[33]または[34]記載の細胞外体。
[36] [28]〜[35]のいずれか一項記載の細胞外体と水性液体担体とを含む、組成物。
[37] 水性液体担体が培養上清である、[36]記載の組成物。

図面の簡単な説明

0016

シゾキトリウムATCC20888での発現のためにコドン最適化された、A型インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/34/マウントサイナイ(H1N1))の血球凝集素(HA)タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(SEQID NO: 76)を示す。
pCL0143のプラスミドマップを示す。
CL0143-9クローン分析に用いた手順を示す。
遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)によるHAタンパク質の分泌を示す。図4A: さまざまな温度(25℃、27℃、29℃)およびpH(5.5、6.0、6.5、7.0)での培養物の低速上清(すなわち、無細胞上清(「CFS」))から回収された組み換えHAタンパク質(矢印で示した通りの)を抗-H1N1免疫ブロットにおいて示す。図4B:非還元条件または還元条件下での60%スクロース画分から回収された組み換えHAタンパク質をクマシー染色ゲル(「クマシー」)および抗-H1N1免疫ブロット(「IB: 抗-H1N1」)において示す。
遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)由来の組み換えHAタンパク質の血球凝集活性を示す。図5A: 無細胞上清(「CFS」)における血球凝集活性を示す。図5B: 可溶性(「US」)および不溶性(「UP」)画分における血球凝集活性を示す。「[タンパク質]」は、サンプルの希釈の増大とともに左から右に減少していく、タンパク質の濃度を指す。「-」は、HAを欠く陰性対照を指す。「+」はインフルエンザ血球凝集素陽性対照を指す。「C」はシゾキトリウム種ATCC 20888の陰性対照の野生型株を指す。「HAU」は、左から右へのサンプルの倍希釈に基づく血球凝集活性単位を指す。「2」は最初のウェルにおけるサンプルの2倍希釈を指し; 左から右へとその後のウェルは前のウェルに対して2倍希釈に相当し、その結果、左から右へと最初から最後のウェルまでの倍希釈は2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048、および4096となった。
遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)に対する60%スクロース画分に存在するHAタンパク質の発現および血球凝集活性を示す。図6A: 60%スクロース画分から回収された組み換えHAタンパク質(矢印で示した通りの)がクマシー染色ゲル(「クマシー」)および抗-H1N1免疫ブロット(「IB: 抗-H1N1」)において示されることを示す。図6B: 対応する血球凝集活性を示す。「-」は、HAを欠く陰性対照を指す。「+」はインフルエンザHAタンパク質の陽性対照を指す。「C」はシゾキトリウム種ATCC 20888の陰性対照の野生型株を指す。「HAU」は、サンプルの倍希釈に基づく血球凝集活性単位を指す。
全HAタンパク質配列(SEQ ID NO: 77)の42%を網羅している、計27ペプチド(ペプチドと関連するアミノ酸太字体で強調されている)により特定された、回収組み換えHAタンパク質に対するペプチド配列分析を示す。HA1ポリペプチドは計17ペプチドにより特定され、HA2ポリペプチドは計9ペプチドにより特定された。
シゾキトリウム属におけるHAタンパク質グリコシル化例証するクマシー染色ゲル(「クマシー」)および抗-H1N1免疫ブロット(「IB: 抗-H1N1」)を示す。「EndoH」および「PNGase F」は、各酵素による遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9の60%スクロース画分の酵素処理を指す。「NT」は、酵素なしで、しかしEndoHおよびPNGase F処理と同じ条件の下でインキュベートされた遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9を指す。
経時(時間)的な全シゾキトリウム種ATCC 20888培養上清タンパク質(g/L)を示す。
レーン11〜15における全シゾキトリウム種ATCC 20888培養上清タンパク質のSDS-PAGEを示し、ここで上清は37〜68時間の間の図9に示した、52時間を除く、6つの時点のうちの5つの時点で回収された。アクチンおよびゲルゾリンとして(質量分析ペプチド配列決定により)特定されたバンドには矢印を付けてある。レーン11には総タンパク質2.4 μgをロードし; 残りのウェルには総タンパク質5 μgをロードした。
シゾキトリウム種ATCC 20888(「C: 20888」)および遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E: CL0143-9」)由来の陰性染色された小胞を示す。
シゾキトリウム種ATCC 20888(「C: 20888」)および遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E: CL0143-9」)由来の抗-H1N1免疫金標識小胞を示す。
SignalPアルゴリズムの使用に基づくシゾキトリウム属に固有推定シグナルアンカー配列を示す。例えば、Bendsten et al., J, Mol. Biol. 340: 783-795(2004); Nielsen, H. and Krogh, A. Proc. Int. Conf. Intell. Syst. Mol. Biol. 6:122-130(1998); Nielsen, H., et al., Protein Engineering 12: 3-9(1999); Emanuelsson, O. et al., Nature Protocols 2: 953-971(2007)を参照されたい。
他の生物由来の公知のI型膜タンパク質との相同性を有する、かつタンパク質の最C末端領域において膜貫通領域を有する遺伝子に対するゲノムおよびEST DNAシゾキトリウム属データベースBLAST検索に基づいたシゾキトリウム属における推定のI型膜タンパク質を示す。推定上の膜貫通領域は太字体で示されている。
pCL0120のプラスミドマップを示す。
シゾキトリウム属に対するコドン使用頻度表を示す。
pCL0130のプラスミドマップを示す。
pCL0131のプラスミドマップを示す。
pCL0121のプラスミドマップを示す。
pCL0122のプラスミドマップを示す。
シゾキトリウム種ATCC 20888での発現のために最適化された、GenBankアクセッション番号CAB76571に対応する、ピロマイセス(Piromyces)種E2キシロースイソメラーゼタンパク質「XylA」をコードするポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 92)を示す。
シゾキトリウム種ATCC 20888での発現のために最適化された、GenBankアクセッション番号AJ249910に対応する、ピロマイセス種E2キシルロースキナーゼタンパク質「XylB」をコードするポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 93)を示す。
pCL0132のプラスミドマップを示す。
pCL0136のプラスミドマップを示す。
図25A: pCL0140のプラスミドマップを示す、および図25B: pCL0149のプラスミドマップを示す。
図26A: シゾキトリウム種ATCC 20888での発現のために最適化された、A型インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/34/マウントサイナイ(H1N1))のノイラミニダーゼ(NA)タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 100)を示す。図26B: シゾキトリウム種ATCC 20888での発現のために最適化された、A型インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/34/マウントサイナイ(H1N1))のNAタンパク質、それに続くV5タグおよびポリヒスチジンタグをコードするポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 101)を示す。
CL0140およびCL0149クローンの分析に用いた手順のスキームを示す。
遺伝子導入シゾキトリウム属株CL0140-16、-17、-20、-21、-22、-23、-24、-26、-28由来の組み換えNAのノイラミニダーゼ活性を示す。活性は、シアリダーゼによる4-メチルウンベリフリル)-α-D-N-アセチルノイラミン酸(4-MUNANA)の加水分解の後に生じる4-メチルウンベリフェロン蛍光を測定することによって判定される(励起(Exc): 365 nm、発光(Em): 450 nm)。活性は、濃縮された無細胞上清(cCFS、各クローンについて最も左の棒線)および無細胞抽出物(CFE、各クローンについて最も右の棒線)におけるタンパク質1 μgあたりの相対蛍光単位(RFU)として表されている。遺伝子導入株と同じように増殖かつ調製された、シゾキトリウム種ATCC 20888の野生型株(「-」)およびpCL0140で形質転換されたシゾキトリウム属のPCR陰性株(「27」)を陰性対照として用いた。
遺伝子導入シゾキトリウム属株CL0140-26由来の組み換えNAタンパク質の部分的精製を示す。さまざまな画分のノイラミニダーゼ活性を図29Aに示す。「cCFS」は濃縮された無細胞上清を指す。「D」は洗浄用緩衝液で希釈されたcCFSを指し、「FT」は素通り画分を指し、「W」は洗浄液を指し、「E」は溶出液を指し、かつ「cE」は濃縮された溶出液画分を指す。各画分12.5 μLのクマシー染色ゲル(「クマシー」)を図29Bに示す。矢印は、NAタンパク質と特定されたバンドを指し示す。SDS-PAGEを用い、MOPS SDS泳動用緩衝液でNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)12%ビス-トリスゲル上にてタンパク質を分離した。
タンパク質配列(SEQ ID NO: 100)の25%を網羅している、計9ペプチド(太字赤で強調されている)により特定された、回収組み換えNAタンパク質に対するペプチド配列分析を示す。
遺伝子導入シゾキトリウム属株CL0149-10、-11、-12のノイラミニダーゼ活性ならびに対応するクマシー染色ゲル(「クマシー」)および抗-V5免疫ブロット(「免疫ブロット: 抗-V5」)を示す。図31A: シアリダーゼによる4-MUNANAの加水分解の後に生じる4-メチルウンベリフェロンの蛍光を測定することによって判定される、ノイラミニダーゼ活性(Exc: 365 nm、Em: 450 nm)を示す。活性は、無細胞上清(CFS)におけるタンパク質1 μgあたりの相対蛍光単位(RFU)として表されている。遺伝子導入株と同じように増殖かつ調製された、シゾキトリウム種ATCC 20888の野生型株(「-」)を陰性対照として用いた。図31B: 3つの遺伝子導入シゾキトリウム属CL0149株(「10」、「11」および「12」)に対するCFS 12.5 μLに対するクマシー染色ゲルおよび対応する抗-V5免疫ブロットを示す。Positope(商標)抗体対照タンパク質を陽性対照(「+」)として用いた。遺伝子導入株と同じように増殖かつ調製された、シゾキトリウム種ATCC 20888の野生型株(「-」)を陰性対照として用いた。
CL0140およびCL0143で同時に形質転換された遺伝子導入シゾキトリウム属の無細胞上清におけるインフルエンザHAおよびNAの酵素活性を示す。データはクローンCL0140-143-1、-3、-7、-13、-14、-15、-16、-17、-18、-19、-20について提示されている。図32A: シアリダーゼによる4-MUNANAの加水分解の後に生じる4-メチルウンベリフェロンの蛍光を測定することによって判定される、ノイラミニダーゼ活性(Exc: 365 nm、Em: 450 nm)を示す。活性は、CFS 25 μLにおける相対蛍光単位(RFU)として表されている。遺伝子導入株と同じように増殖かつ調製された、シゾキトリウム種ATCC 20888の野生型株(「-」)を陰性対照として用いた。図32B: 血球凝集活性を示す。「-」は、HAを欠く陰性対照を指す。「+」はインフルエンザHA陽性対照を指す。「HAU」は、サンプルの倍希釈に基づく血球凝集活性単位を指す。

0017

発明の詳細な説明
本発明は、微細藻類宿主細胞において異種ポリペプチドを産生するための方法を対象とする。本発明は同様に、本方法によって産生される異種ポリペプチドを対象とし、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞を対象とし、および異種ポリペプチドを含む組成物を対象とする。本発明は同様に、宿主細胞の原形質膜と不連続な微細藻類細胞外体と結び付いている異種ポリペプチドの、微細藻類宿主細胞における産生を対象とする。本発明は同様に、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体の産生、およびそれを含む組成物の産生を対象とする。本発明はさらに、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体、組成物、およびその使用を対象とする。

0018

微細藻類宿主細胞
微小藻類としても知られる微細藻類は、淡水および海洋系において見られることが多い。微細藻類は単細胞であるが、しかし鎖および群で増殖することもできる。個々の細胞はサイズが数マイクロメートルから数百マイクロメートルに及ぶ。それらの細胞は水性懸濁液中で増殖できるので、栄養素および水性環境に効率的にアクセスできる。

0019

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は不等毛藻またはストラメノパイルである。

0020

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞はラビリンチュラ菌門の一員である。いくつかの態様において、ラビリンチュラ菌門宿主細胞はヤブレツボカビ目またはラビリンチュラ目(Labyrinthulales)の一員である。本発明によれば、「ヤブレツボカビ科生物」という用語は、ヤブレツボカビ科(Thraustochytriaceae)を含む、ヤブレツボカビ目の任意の成員を指し、「ラビリンチュラ科生物(labyrinthulid)」という用語は、ラビリンチュラ科(Labyrinthulaceae)を含む、ラビリンチュラ目の任意の成員を指す。ラビリンチュラ科の成員は一時、ヤブレツボカビ目の成員であると考えられていたが、そのような生物の分類法のさらに最近の改訂により、ラビリンチュラ科は現在ではラビリンチュラ目の成員であると考えられている。ラビリンチュラ目およびヤブレツボカビ目は両方ともラビリンチュラ菌門の成員であると考えられている。分類学の理論家は現在は一般に、これらの微生物群の両方を、ストラメノパイルの系譜に属する藻類または藻類様原生生物位置づけている。ヤブレツボカビ科生物およびラビリンチュラ科生物の現在の分類法上の位置付けは以下のようにまとめることができる。
界: ストラメノパイル(クロミスタ
門: ラビリンチュラ菌門(不等毛藻)
網:ラビリンチュラ網(Labyrinthulomycetes)ラビリンチュラ網(Labyrinthulae)
目: ラビリンチュラ目
科: ラビリンチュラ科
目: ヤブレツボカビ目
科: ヤブレツボカビ科

0021

本発明の目的のために、ヤブレツボカビ科生物として記載した株には、以下の生物が含まれる: 目:ヤブレツボカビ目; 科:ヤブレツボカビ科; 属: ヤブレツボカビ属(種:アルメンタレ(arudimentale)、アウレウム(aureum)、ベンチコラ(benthicola)、グロボサム(globosum)、キネイ(kinnei)、モチバム(motivum)、マルチルジメンテール(multirudimentale)、パキデルマム(pachydermum)、プロリフェルム(proliferum)、ローゼウム(roseum)、ストリアツム(striatum))、ウルケニア属(Ulkenia)(種: アメーボイデア(amoeboidea)、ケルゲレンシス(kerguelensis)、ミヌタ(minuta)、プロファンダ(profunda)、ラジアタ(radiata)、サイレンス(sailens)、サルカリアナ(sarkariana)、シゾキトロプス(schizochytrops)、ビスルゲンシス(visurgensis)、ヨーケンシス(yorkensis))、シゾキトリウム属(種: アグレガツム(aggregatum)、リムナセウム(limnaceum)、マングロベイ(mangrovei)、ミヌツム(minutum)、オクトスポルム(octosporum))、ジャポノキトリウム属(Japonochytrium)(種: マリナム(marinum))、アプラノキトリウム属(Aplanochytrium)(種:ハリオチディス(haliotidis)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、プロファンダ(profunda)、ストッキノイ(stocchinoi))、アルトルニア属(Althornia)(種:クロウキイ(crouchii))、またはエリナ属(Elina)(種: マリサルバ(marisalba)、シノリフィカ(sinorifica))。本発明の目的のために、ウルケニア属のなかに記載された種は、ヤブレツボカビ属の成員であるとみなされる。オーラチオキトリウム属(Aurantiochytrium)、オブロンギキトリウム属(Oblongichytrium)、ボトリオキトリウム属(Botryochytrium)、パリエチキトリウム属(Parietichytrium)、およびサイコイドキトリウム属(Sicyoidochytrium)は、本発明においてラビリンチュラ菌門により包含されるさらなる属である。

0022

本発明においてラビリンチュラ科生物として記載した株には、以下の生物が含まれる: 目:ラビリンチュラ目、科: ラビリンチュラ科、属:ラビリンチュラ属(Labyrinthula)(種:アルジェリエンシス(algeriensis)、コエノシスチス(coenocystis)、シャトニイ(chattonii)、マクロシスチス(macrocystis)、マクロシスチス・アトランティカ(macrocystis atlantica)、マクロシスチス・マクロシスチス(macrocystis macrocystis)、マリナ(marina)、ミヌタ(minuta)、ロスコフェンシス(roscoffensis)、バルノビイ(valkanovii)、ビテリナ(vitellina)、ビテリナ・パシフィカ(vitellina pacifica)、ビテリナ・ビテリナ(vitellina vitellina)、ゾプフィイ(zopfii))、ラビリンチュロイデス属(Labyrinthuloides)(種:ハロチディス(haliotidis)、ヨルケンシス(yorkensis))、ラビリントミキサ属(Labyrinthomyxa)(種: マリナ(marina))、ディプロフリス属(Diplophrys)(種:アーケリ(archeri))、ピロソラス属(Pyrrhosorus)(種: マリヌス(marinus))、ソロジプロフリス属(Sorodiplophrys)(種: ステルレア(stercorea))またはクラミドミクサ属(Chlamydomyxa)(種: ラビリンチュロイデス(labyrinthuloides)、モンタナ(montana))(しかし、ピロソラス属、ソロジプロフリス属またはクラミドミクサ属の正確な分類法上の位置付けについては現時点合意は得られていない)。

0023

ラビリンチュラ菌門の微細藻類細胞には、寄託PTA-10212、PTA-10213、PTA-10214、PTA-10215、PTA-9695、PTA-9696、PTA-9697、PTA-9698、PTA-10208、PTA-10209、PTA-10210、PTA-10211、SAM2179として寄託された微生物(寄託者によって「Ulkenia SAM2179」と名付けられた)、任意のヤブレツボカビ種(U.ビスルゲンシス、U.アモエボイダ(U. amoeboida)、U.サルカリアナ、U.プロファンダ、U.ラジアタ、U.ミヌタおよびウルケニア種BP-5601のような元ウルケニア種を含む)、およびトラウストキトリウム・ストリアツム(Thraustochytrium striatum)、トラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)、トラウストキトリウム・ロゼウム(Thraustochytrium roseum)など; ならびに任意のジャポノキトリウム種が含まれるが、これらに限定されることはない。ヤブレツボカビ目の株には、ヤブレツボカビ種(23B)(ATCC20891); トラウストキトリウム・ストリアツム(Schneider)(ATCC 24473);スラウストキトリウム・アウレウム(Goldstein)(ATCC 34304); トラウストキトリウム・ロゼウム(Goldstein)(ATCC 28210);およびジャポノキトリウム種(L1)(ATCC 28207)が含まれるが、これらに限定されることはない。シゾキトリウム属には、シゾキトリウム・アグレガツム(Schizochytrium aggregatum)、シゾキトリウム・リマシヌム(Schizochytrium limacinum)、シゾキトリウム種(S31)(ATCC 20888)、シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889)、シゾキトリウム種(LC-RM)(ATCC 18915)、シゾキトリウム種(SR21)、寄託株ATCC 28209、および寄託されたシゾキトリウム・リマシヌム株IFO 32693が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属である。シゾキトリウム属は連続的な二分裂によっても、遊走子を最終的には放出する胞子嚢を形成することによっても複製することができる。しかしながら、ヤブレツボカビ属は、胞子嚢を形成し、これが次いで遊走子を放出することによってのみ複製する。

0024

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は、ラビリンチュラ網(Labyrinthulae)(Labyrinthulomycetesとも呼ばれる)である。ラビリンチュラ網は「外質ネット」と呼ばれる特異構造を産生する。これらの構造は、原形質膜の表面積の増大に大きく寄与する原形質膜の枝分かれ管状突起である。例えばPerkins, Arch. Mikrobiol. 84:95-118(1972); Perkins, Can. J. Bot. 51:485-491(1973)を参照されたい。外質ネットは、サゲノソーム(sagenosome)またはボスロソーム(bothrosome)といわれる特異な細胞構造から形成される。外質ネットは、ラビリンチュラ網の細胞を表面に付着させ、表面を貫通させる能力がある。例えば、それぞれ、Coleman and Vestal, Can. J. Microbiol. 33:841-843(1987)、およびPorter, Mycologia 84:298-299(1992)を参照されたい。例えば、シゾキトリウム種ATCC20888は、固体培地上で増殖させた場合に寒天へと伸びる外質ネットを産生することが観察されている(データは示されていない)。そのような場合の外質ネットは仮根(pseudorhizoid)として働くように見える。さらに、アクチンフィラメントは、ある種の外質ネット膜突起のなかに豊富にあることが分かっている。例えば、Preston, J. Eukaryot. Microbiol. 52:461-475(2005)を参照されたい。他の生物における細胞骨格構造内のアクチンフィラメントの重要性に基づき、アクチンのような細胞骨格要素が、外質ネット膜突起の形成および/または完全性関与していることが予想される。

0025

偽仮根突起を産生するさらなる生物には、ツボカビと呼ばれる生物が含まれ、これは、ツボカビ門(Chytridiomycota)またはヒゲカビ(Phycomyces)を含むさまざまな群に分類法上、分類される。属の例としては、ツボカビ属(Chytrdium)、ツボカビ属(Chytrimyces)、クラドキトリウム属(Cladochytium)、エダツボカビ属(Lacustromyces)、ポット属(Rhizophydium)、ポット属(Rhisophyctidaceae)、ロゼラ属(Rozella)、オルピディウム属(Olpidium)、およびロブロマイセス属(Lobulomyces)が挙げられる。

0026

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は膜突起を含む。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は偽仮根を含む。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は外質ネットを含む。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞はサゲノソームまたはボスロソームを含む。

0027

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞はヤブレツボカビ科生物である。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属の細胞である。

0028

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞はラビリンチュラ科生物である。

0029

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞は、シゾキトリウム属、ヤブレツボカビ属、および他のヤブレツボカビ科生物を含む、ラビリンチュラ菌門の成員のような、従来の分泌経路を通じてポリペプチドをプロセッシングできる真核生物である。例えば、ラビリンチュラ菌門の成員はCHO細胞よりも少ない大量分泌タンパク質を産生し、例えば、CHO細胞に比べて、シゾキトリウム属を用いることの利点をもたらすことが認識されている。さらに、大腸菌とは異なり、シゾキトリウム属のような、ラビリンチュラ菌門の成員は、ある種のタンパク質の生物学的活性に必要とされる、N-結合型グリコシル化のような、タンパク質グリコシル化を行う。シゾキトリウム属のようなヤブレツボカビ科生物によって示されるN-結合型グリコシル化は、酵母のグリコシル化よりも哺乳類グリコシル化パターンによく似ていることが確認されている。

0030

本発明の宿主細胞に有効な培養条件は、タンパク質の産生および/または組み換えを可能にする有効な培地、バイオリアクタ、温度、pH、および酸素条件を含むが、これらに限定されることはない。有効な培地とは、ヤブレツボカビ目の細胞、例えばシゾキトリウム属の宿主細胞のような微細藻類細胞が、典型的に培養される任意の培地を指す。そのような培地は典型的に、同化可能な炭素窒素、およびリン酸塩供給源、ならびに適切な塩、鉱物、金属、および他の栄養素、例えばビタミンを有する水性培地を含む。適当な培地および培養条件の非限定的な例は、実施例の項に開示されている。ヤブレツボカビ目の微生物に適した非限定的な培養条件はまた、全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,340,742号に記載されている。本発明の細胞は従来の発酵バイオリアクタ、振盪フラスコ試験管マイクロタイターディッシュ、およびペトリ皿において培養することができる。培養は組み換え細胞に適した温度、pH、および酸素含量で行うことができる。

0031

いくつかの態様において、本発明の微細藻類宿主細胞は、選択マーカーをコードする核酸配列を含んだ組み換えベクターを含む。いくつかの態様において、選択マーカーは形質転換された微生物の選択を可能にする。優勢な選択マーカーの例には、SEQID NO: 5によって表される「ブレオマイシン結合タンパク質」をコードする、例えば、ストレプトアロテイクス・ヒンダスタヌス(Steptoalloteichus hindustanus)由来のSh ble遺伝子のような、抗生物質活性または抗真菌活性を有する化合物を分解する酵素が含まれる。優勢な選択マーカーの別の例には、SEQ ID NO: 6のポリヌクレオチド配列の変異型のようなヤブレツボカビ科生物のアセト乳酸合成酵素配列が含まれる。アセト乳酸合成酵素は、スルホニル尿素化合物イミダゾリノンクラスの阻害剤、および/またはピリミジニルオキシ安息香酸による阻害耐性であるように修飾されても、変異されても、または別の方法で選択されてもよい。ヤブレツボカビ科生物のアセト乳酸合成酵素配列の代表例には、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10のようなアミノ酸配列、または以下の位置: 116G、117A、192P、200A、251K、358M、383D、592V、595Wもしくは599Fの1つもしくは複数でのアミノ酸の欠失、挿入もしくは置換によってSEQ ID NO: 7とは異なるアミノ酸配列、およびSEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 13のようなポリヌクレオチド配列、ならびに代表的な配列のいずれかと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を有する配列が含まれるが、これらに限定されることはない。微細藻類細胞の形質転換のために組み換えベクターに含まれてもよい選択マーカーのさらなる例には、ZEOCIN(商標)、パロモマイシンハイグロマイシンブラストサイジン、または任意の他の適切な耐性マーカーが含まれる。

0032

「形質転換」という用語は、外因性核酸分子(すなわち、組み換え核酸分子)を微生物細胞に挿入できる任意の方法を指すように用いられる。微生物系において、「形質転換」という用語は、微生物による外因性核酸の獲得に起因する遺伝性変化を記載するために用いられ、「トランスフェクション」という用語と本質的に同義である。外因性核酸分子を微細藻類宿主細胞に導入するのに適した形質転換技法には、粒子衝撃エレクトロポレーションマイクロインジェクションリポフェクション吸着、感染およびプロトプラスト融合が含まれるが、これらに限定されることはない。例えば、組み換えベクターを含む外因性核酸分子は、指数増殖期の間の、または微細藻類が600 nmで1.5〜2の光学密度に達した時の、静止期にある微細藻類に導入することができる。微細藻類宿主細胞はまた、エレクトロポレーションによる宿主細胞への核酸分子の導入の前にプロテアーゼ活性を有する酵素で前処理することもできる。

0033

いくつかの態様において、宿主細胞を遺伝的に改変して、グリコシル化に関わるものを含む、糖質輸送および/または合成と関連した生合成経路に関与する遺伝子を導入または欠失することができる。例えば、宿主細胞を、内因性グリコシル化遺伝子を欠失させることにより、および/またはヒトもしくは動物グリコシル化遺伝子を挿入することにより改変して、ヒトのものにさらによく似ているグリコシル化パターンを可能にすることができる。酵母におけるグリコシル化の改変は、例えば、米国特許第7,029,872号、ならびに米国特許出願公開第2004/0171826号、同第2004/0230042号、同第2006/0257399号、同第2006/0029604号および同第2006/0040353号のなかで見出すことができる。本発明の宿主細胞はまた、遺伝子発現を増大または調節するためにRNAウイルス要素が利用されている細胞を含む。

0034

発現系
微細藻類宿主細胞における異種ポリペプチドの発現のために使われる発現系は、微細藻類細胞において活性な調節制御要素を含む。いくつかの態様において、発現系は、ラビリンチュラ菌門の細胞において活性な調節制御要素を含む。いくつかの態様において、発現系は、ヤブレツボカビ科生物において活性な調節制御要素を含む。いくつかの態様において、発現系は、シゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属において活性な調節制御要素を含む。さまざまなプロモーターを含む多くの調節制御要素が、いくつかの多様な種において活性である。それゆえ、調節配列は、それらが単離された細胞と同一な細胞種において利用されてもよく、またはそれらが単離された細胞とは異なる細胞種において利用されてもよい。そのような発現カセットデザインおよび構築では、当業者に公知の標準的な分子生物学技法を用いる。例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd editionを参照されたい。

0035

いくつかの態様において、微細藻類細胞における異種ポリペプチドの産生に使われる発現系は、ラビリンチュラ菌門の配列に由来する調節要素を含む。いくつかの態様において、微細藻類細胞において異種ポリペプチドを産生するために使われる発現系は、ラビリンチュラ菌門以外の藻類配列に由来する配列を含む、ラビリンチュラ菌門以外の配列に由来する調節要素を含む。いくつかの態様において、発現系は、異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、このポリヌクレオチド配列は、微細藻類宿主細胞において機能的な、任意のプロモーター配列、任意のターミネーター配列、および/または任意の他の調節配列と関連している。誘導性の配列または構成的に活性な配列を用いることができる。適当な調節制御要素はまた、本明細書に記載する核酸分子と関連している調節制御要素のいずれかを含む。

0036

本発明は同様に、微細藻類宿主細胞における異種ポリペプチドの発現のための発現カセットを対象とする。本発明は同様に、宿主細胞における異種ポリペプチドの発現のための発現カセットを含む上記の宿主細胞のいずれかを対象とする。いくつかの態様において、発現系は、宿主細胞において機能するように機能的に連結されている、少なくともプロモーター、コード配列、およびターミネーター領域のような、遺伝要素を含んだ発現カセットを含む。いくつかの態様において、発現カセットは、本明細書に記載する本発明の単離された核酸分子の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、発現カセットの遺伝要素のすべてが、単離された核酸分子と関連している配列である。いくつかの態様において、制御配列は誘導性の配列である。いくつかの態様において、異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、宿主細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。

0037

いくつかの態様において、発現させようとする異種ポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、プロモーター配列および/またはターミネーター配列に機能的に連結され、その両方が宿主細胞において機能的である。発現させようとする異種ポリペプチドをコードする単離された核酸配列が機能的に連結されるプロモーターおよび/またはターミネーター配列は、本明細書において開示される核酸配列、米国特許第7,001,772号に開示されている調節配列、米国特許出願公開第2006/0275904号および同第2006/0286650号に開示されている調節配列、米国特許出願公開第2010/0233760号および国際公開公報第2010/107709号に開示されている調節配列、または異種ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列に機能的に連結されて、形質転換される宿主細胞において機能的な他の調節配列を含むが、これらに限定されない、任意のプロモーターおよび/またはターミネーター配列を含むことができる。いくつかの態様において、異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、翻訳効率最大化するために特定の微細藻類宿主細胞に向けてコドン最適化される。

0038

本発明は同様に、本発明の発現カセットを含む組み換えベクターを対象とする。組み換えベクターはプラスミド、ファージおよびウイルスを含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、組み換えベクターは線状化されたベクターである。いくつかの態様において、組み換えベクターは発現ベクターである。本明細書で用いる場合、「発現ベクター」という語句はコードされる産物(例えば、関心対象のタンパク質)の産生に適したベクターを指す。いくつかの態様において、産生させようとする産物をコードする核酸配列は、組み換え核酸分子を産生するための組み換えベクターに挿入される。産生させようとする異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、その核酸配列を、組み換え微生物内での核酸配列の転写および翻訳を可能にするベクター中の調節配列(例えば、ヤブレツボカビ目プロモーター)と機能的に連結させる形で、ベクターに挿入される。いくつかの態様において、本明細書に記載する選択可能なマーカーのいずれかを含む、選択可能なマーカーは、本発明の組み換え核酸分子が成功裏に産生されている組み換え微生物の選択を可能にする。

0039

いくつかの態様において、本発明の宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、商業規模で産生される。商業規模は、≧100 L、≧1,000 L、≧10,000 Lまたは≧100,000 Lのサイズの通気発酵槽中で増殖された微生物由来の異種ポリペプチドの産生を含む。いくつかの態様において、商業規模の産生は撹拌しながら通気発酵槽中で行われる。

0040

いくつかの態様において、本発明の宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、細胞内に蓄積する場合があり、または例えば可溶性異種ポリペプチドとして、細胞から培地の中に分泌される場合がある。

0041

いくつかの態様において、本発明により産生される異種ポリペプチドは、細胞から、細胞が増殖される培地または発酵培地から回収される。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、可溶性異種ポリペプチドとして培地から回収される分泌異種ポリペプチドである。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、シグナルペプチドを含む分泌タンパク質である。

0042

いくつかの態様において、本発明により産生される異種ポリペプチドは、小胞体にそれを留めるよう指令する標的化シグナル、その細胞外シグナルを指令する標的化シグナル、またはそれを他の細胞小器官もしくは細胞区画へ向かわせる標的化シグナルを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドはシグナルペプチドを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドはNa/Pi-IIb2輸送体シグナルペプチドまたはSec1輸送タンパク質を含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはSEQID NO: 1またはSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドを含む異種ポリペプチドは、培地中に分泌される。いくつかの態様において、シグナルペプチドは分泌過程の間にタンパク質から切断され、タンパク質の成熟型を生ずる。

0043

いくつかの態様において、本発明の宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、グリコシル化される。いくつかの態様において、本発明により産生される異種ポリペプチドのグリコシル化パターンは、酵母または大腸菌において産生されるタンパク質よりも哺乳類のグリコシル化パターンによく似ている。いくつかの態様において、本発明の微細藻類宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、N-結合型グリコシル化パターンを含む。治療目的に使われるグリコシル化タンパク質は、そのグリコシル化パターンが、対象の生物において見られるグリコシル化パターンと似ている場合に抗糖型の免疫反応を促進する可能性が低い。逆に、対象の生物に特有ではない結合または糖を有するグリコシル化タンパク質は、抗原性である可能性が高い。特定の糖型によってエフェクタ機能が調節されることもある。例えばIgGは、炎症促進性反応または抗炎症性反応を、Fc領域の糖型の末端シアル酸の非存在または存在と、それぞれ相関して媒介しうる(Kaneko et al., Science 313:670-3(2006))。

0044

本発明はさらに、組み換え異種ポリペプチドを産生する方法を対象とし、本方法は、異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現させるのに十分な条件の下で本発明の組み換え微細藻類宿主細胞を培養する段階を含む。いくつかの態様において、組み換え異種ポリペプチドは宿主細胞から分泌され、培地から回収される。いくつかの態様において、細胞から分泌される異種ポリペプチドは、分泌シグナルペプチドを含む。産生のために用いられるベクターおよび宿主系に依り、本発明の組み換え異種ポリペプチドは組み換え細胞内に残存してもよく、発酵培地の中に分泌されてもよく、2つの細胞膜間の空間の中に分泌されてもよく、または細胞膜外表面に保持されてもよい。本明細書で用いる場合、「タンパク質を回収する段階」という語句は、タンパク質を含有する発酵培地を収集することを指し、分離または精製のさらなる段階という意味を含む必要はない。本発明の方法により産生される異種ポリペプチドは、限定されるものではないが、アフィニティークロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィー、ろ過、電気泳動疎水性相互作用クロマトグラフィーゲルろ過クロマトグラフィー逆相クロマトグラフィーコンカナバリンAクロマトグラフィークロマト分画、および示差的可溶化のような、種々の標準的タンパク質精製技法を用いて精製することができる。いくつかの態様において、本発明の方法により産生される異種ポリペプチドは、「実質的に純粋な」形態で単離される。本明細書で用いる場合、「実質的に純粋な」とは、市販製品としての異種ポリペプチドの効果的な使用を可能にする純度を指す。いくつかの態様において、組み換え異種ポリペプチドは細胞内に蓄積し、細胞から回収される。いくつかの態様において、本方法の宿主細胞はヤブレツボカビ科生物である。いくつかの態様において、本方法の宿主細胞はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属である。いくつかの態様において、組み換え異種ポリペプチドは治療用タンパク質、食品用酵素、または工業用酵素である。いくつかの態様において、組み換え微細藻類宿主細胞はシゾキトリウム属であり、組み換え異種ポリペプチドは、分泌シグナル配列を含む治療用タンパク質である。

0045

いくつかの態様において、本発明の組み換えベクターは標的化ベクターである。本明細書で用いる場合、「標的化ベクター」という語句は、特定の核酸分子を組み換え細胞に送達するために用いられるベクターを指し、この核酸分子は、宿主細胞内で内因性遺伝子を欠失させるかまたは不活性化させるために用いられる(すなわち、標的化された遺伝子破壊またはノックアウト技法のために用いられる)。そのようなベクターは「ノックアウト」ベクターとしても公知である。いくつかの態様において、標的化ベクターの一部分は、宿主細胞における標的遺伝子(すなわち、欠失または不活性化されるように標的化される遺伝子)の核酸配列と相同な核酸配列を有する。いくつかの態様において、ベクター中に挿入される核酸分子(すなわち、挿入断片)は標的遺伝子と相同である。いくつかの態様において、ベクター挿入断片の核酸配列は、標的遺伝子に結合して標的遺伝子と挿入断片が相同組み換えを行い、それによって、内因性標的遺伝子が欠失され、不活性化され、または減弱化されるようにデザインされる(すなわち、内因性標的遺伝子の少なくとも一部分が突然変異または欠失されることによる)。

0046

単離された核酸分子
本発明によれば、単離された核酸分子はその自然環境から取り出された(すなわち、人的操作に供された)核酸分子であり、その自然環境はその核酸分子が本来見出されるゲノムまたは染色体である。したがって、「単離された」とは、必ずしも、その核酸分子が精製されたという程度までを反映しているとは限らず、その核酸分子が本来見出されるゲノム全体または染色体全体をその分子が含んでいないことを示す。単離された核酸分子は、DNA、RNA(例えば、mRNA)、またはDNAもしくはRNAのいずれかの誘導体(例えば、cDNA)を含みうる。「核酸分子」という語句はそもそも物質的な核酸分子を指し、「核酸配列」または「ポリヌクレオチド配列」という語句はそもそも核酸分子上のヌクレオチドの配列を指すが、これらの語句は、異種ポリペプチドをコードする能力がある核酸分子、ポリヌクレオチド配列、または核酸配列については特に、互換的に用いられる。いくつかの態様において、本発明の単離された核酸分子は、組み換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅クローニング)または化学的合成を用いて産生される。単離された核酸分子は、改変によってコードされる異種ポリペプチドの配列、機能および/または生物学的活性に望ましい効果を与えるような形でヌクレオチドが挿入、欠失、置換および/または反転されている改変された核酸分子ならびに天然対立遺伝子変種を含むが、これらに限定されない、天然の核酸分子およびその相同体を含む。

0047

プロモーター配列、ターミネーター配列、シグナルペプチド配列、または任意の他の配列の核酸配列相補体は、プロモーター配列、ターミネーター配列、シグナルペプチド配列、または任意の他の配列を有する鎖と相補的核酸鎖の核酸配列を指す。二本鎖DNAは、一本鎖DNAと、この一本鎖DNAに対して相補体である配列を有するその相補鎖とを含むことが理解されよう。したがって、核酸分子は、二本鎖または一本鎖のいずれであってもよく、「ストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件の下で本発明の配列と、および/または本発明の配列の相補体と、安定なハイブリッドを形成する核酸分子を含む。相補配列を推定するための方法は、当業者に公知である。

0048

「ポリペプチド」という用語は、単鎖ポリペプチド分子だけでなく、個々の構成ポリペプチドが共有結合または非共有結合的手段により連結している多ポリペプチド複合体も含む。本発明によれば、単離されたポリペプチドは、その自然環境から取り出された(すなわち、人的操作に供された)ポリペプチドであり、例えば、精製されたタンパク質、精製されたペプチド、部分的に精製されたタンパク質、部分的に精製されたペプチド、組み換えにより産生されたタンパク質またはペプチド、および合成により産生されたタンパク質またはペプチドを含むことができる。

0049

本明細書で用いる場合、組み換え微生物は、組み換え技術を用いてその通常の(すなわち、野生型または天然の)形態から改変され(すなわち、突然変異されまたは変えられ)ているゲノムを有する。本発明による組み換え微生物は、そのような改変が微生物内で所望の効果をもたらすような形で、核酸分子が挿入、欠失、または改変されている(すなわち、例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失、置換、および/または反転により、突然変異されている)微生物を含むことができる。本明細書で用いる場合、遺伝子発現の低下、遺伝子の機能の低下、または遺伝子産物(すなわち、遺伝子によりコードされるタンパク質)の機能の低下をもたらす遺伝的改変は、遺伝子の不活性化(完全もしくは部分的)、欠失、中断、妨害または下方制御ということができる。例えば、そのような遺伝子によりコードされるタンパク質の機能の低下をもたらす遺伝子における遺伝的改変は、遺伝子の完全な欠失(すなわち、遺伝子が組み換え微生物に存在せず、それゆえにタンパク質が組み換え微生物に存在しない)、タンパク質の不完全な翻訳をもたらすもしくは翻訳をもたらさない(例えば、タンパク質が発現されない)遺伝子における突然変異、またはタンパク質の本来の機能を低下させるもしくは消失させる(例えば、活性(例えば、酵素活性もしくは作用)が低下したまたは活性がないタンパク質が発現される)遺伝子における突然変異の結果でありうる。遺伝子発現または機能の増加をもたらす遺伝的改変は、遺伝子の増幅、過剰産生過剰発現、活性化、増強、付加、または上方制御を指すことができる。

0050

プロモーター
プロモーターは、関連しているコード領域の転写を指令するDNAの領域である。

0051

いくつかの態様において、プロモーターはラビリンチュラ菌門の微生物由来である。いくつかの態様において、プロモーターは、SAM2179として寄託された微生物(寄託者によって「Ulkenia SAM2179」と名付けられた)、ウルケニア属もしくはヤブレツボカビ属、またはシゾキトリウム属の微生物を含むが、これらに限定されない、ヤブレツボカビ科生物由来である。シゾキトリウム属には、シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシヌム、シゾキトリウム種(S31)(ATCC20888)、シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889)、シゾキトリウム種(LC-RM)(ATCC 18915)、シゾキトリウム種(SR21)、寄託されたシゾキトリウム株ATCC 28209、および寄託されたシゾキトリウム株IFO 32693が含まれるが、これらに限定されることはない。

0052

プロモーターは、少なくともヤブレツボカビ科生物においてプロモーター活性を持つことができ、全長プロモーター配列およびその機能的断片融合配列、ならびに天然プロモーターの相同体を含む。プロモーターの相同体は、少なくとも1つ、2つ、3つ、またはいくつかのヌクレオチドが欠失され、挿入され、反転され、置換され、および/または誘導体化されているという点で、天然プロモーターとは異なる。プロモーターの相同体は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、プロモーターとしての活性を保持しうるが、その活性はある種の刺激に依って増加され、減少され、または産生されうる。プロモーターは、発生的および組織特異的な調節制御または発現を付与する1つまたは複数の配列要素を含むことができる。

0053

いくつかの態様において、本明細書において記載の単離された核酸分子は、例えばSEQID NO: 3によって表されるポリヌクレオチド配列のようなPUFAPKS OrfCプロモーター(「PKS OrfCプロモーター」; PFA3プロモーターとしても公知)を含む。PKS OrfCプロモーターは、天然PKS OrfCプロモーター配列と十分に類似しているPKS OrfCプロモーター相同体を含み、この相同体の核酸配列は、例えば、SEQ ID NO: 3のような天然PKS OrfCプロモーターまたはATCCアクセッション番号PTA-9615に寄託されているpCL0001のOrfCプロモーターの核酸配列の相補体と、中等度の、高度の、または非常に高度のストリンジェンシー条件の下でハイブリダイズできる。

0054

いくつかの態様において、本発明の単離された核酸分子は、例えば、SEQID NO: 42によって表されるEF1ショートプロモーターまたはSEQ ID NO: 43によって表されるEF1ロングプロモーターのような、EF1ショートプロモーター(「EF1ショート」もしくは「EF1-S」プロモーター)またはEF1ロングプロモーター(「EF1ロング」もしくは「EF1-L」プロモーター)を含む。EF1ショートまたはEF1ロングプロモーターは、相同体の核酸配列が、それぞれ、例えば、SEQ ID NO: 42および/もしくはSEQ ID NO: 43のような天然EF1ショートおよび/もしくはロングプロモーター、またはATCCアクセッション番号PTA-9616に寄託されているpAB0018のEF1ロングプロモーターの核酸配列の相補体と、中等度の、高度の、または非常に高度のストリンジェンシー条件の下でハイブリダイズできる、それぞれ、天然EF1ショートおよび/またはロングプロモーター配列と十分に類似しているEF1ショートまたはロングプロモーター相同体を含む。

0055

いくつかの態様において、本発明の単離された核酸分子は、例えば、SEQID NO: 44によって表される60SショートプロモーターまたはSEQ ID NO: 45によって表されるポリヌクレオチド配列を有する60Sロングプロモーターのような、60Sショートプロモーター(「60Sショート」もしくは「60S-S」プロモーター)または60Sロングプロモーター(「60Sロング」もしくは「60S-L」プロモーター)を含む。いくつかの態様において、60Sショートまたは60Sロングプロモーターは、それぞれ、天然60Sショートまたは60Sロングプロモーター配列と十分に類似している60Sショートまたは60Sロングプロモーター相同体を含み、その相同体の核酸配列は、それぞれ、例えば、SEQ ID NO: 44および/もしくはSEQ ID NO: 45のような天然60Sショートおよび/もしくは60SロングプロモーターまたはATCCアクセッション番号PTA-9614に寄託されているpAB0011の60Sロングプロモーターの核酸配列の相補体と、中等度、高度、または非常に高度のストリンジェンシー条件の下でハイブリダイズできる。

0056

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、例えばSEQID NO: 46によって表されるポリヌクレオチド配列のようなSec1プロモーター(「Sec1プロモーター」)を含む。いくつかの態様において、Sec1プロモーターは、天然Sec1プロモーター配列と十分に類似しているSec1プロモーター相同体を含み、その相同体の核酸配列は、例えば、SEQ ID NO: 46のような天然Sec1プロモーターまたはATCCアクセッション番号PTA-9613に寄託されているpAB0022のSec1プロモーターの核酸配列の相補体と、中等度、高度、または非常に高度のストリンジェンシー条件の下でハイブリダイズできる。

0057

ターミネーター
ターミネーター領域は、転写のためにゲノムDNA中の遺伝子配列末端に印を付ける遺伝子配列の部分である。

0058

いくつかの態様において、ターミネーター領域は、ラビリンチュラ菌門の微生物由来である。いくつかの態様において、ターミネーター領域はヤブレツボカビ科生物由来である。いくつかの態様において、ターミネーター領域はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属由来である。シゾキトリウム属には、シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシヌム、シゾキトリウム種(S31)(ATCC20888)、シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889)、シゾキトリウム種(LC-RM)(ATCC 18915)、シゾキトリウム種(SR21)、寄託株ATCC 28209、および寄託株IFO 32693が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、ターミネーター領域は、例えば、異種SV40ターミネーター領域のような、異種ターミネーター領域である。

0059

ターミネーター領域は、少なくともヤブレツボカビ科生物においてターミネーター活性を持つことができ、全長ターミネーター配列およびその機能的断片、融合配列、ならびに天然ターミネーター領域の相同体を含む。ターミネーターの相同体は、1個または数個に限定されないが、少なくとも1個または数個のヌクレオチドが欠失され、挿入され、反転され、置換され、および/または誘導体化されているという点で、天然ターミネーターとは異なる。いくつかの態様において、ターミネーターの相同体は、少なくともヤブレツボカビ科生物においてターミネーター領域としての活性を保持しうるが、ある種の刺激に依って、その活性を増加させる、減少させる、または生じさせることができる。

0060

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、例えば、SEQID NO: 4によって表されるポリヌクレオチド配列のようなPUFAPKS OrfC遺伝子のターミネーター領域(PFA3ターミネーターとしても公知の「PKS OrfCターミネーター領域」)を含むことができる。SEQ ID NO: 4において開示されるターミネーター領域は、ヤブレツボカビ科生物の微生物由来の天然(野生型)ターミネーター配列であり、具体的には、シゾキトリウム属PKS OrfCターミネーター領域であり、「OrfCターミネーター要素1」と呼ばれる。いくつかの態様において、PKS OrfCターミネーター領域は、天然PUFA PKS OrfCターミネーター領域と十分に類似しているPKS OrfCターミネーター領域相同体を含み、その相同体の核酸配列は、例えば、SEQ ID NO: 4のような天然PKS OrfCターミネーター領域またはATCCアクセッション番号PTA-9614に寄託されているpAB0011のOrfCターミネーター領域の核酸配列の相補体と、中等度、高度、または非常に高度のストリンジェンシー条件の下でハイブリダイズできる。

0061

シグナルペプチド
いくつかの態様において、単離された核酸分子は、ラビリンチュラ菌門の微生物からの分泌タンパク質のシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの態様において、微生物はヤブレツボカビ科生物である。いくつかの態様において、微生物はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属である。

0062

シグナルペプチドは、ヤブレツボカビ科生物において分泌シグナル活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合配列、ならびに天然シグナルペプチドの相同体を含む。シグナルペプチドの相同体は、1個または数個に限定されないが、少なくとも1個または数個のアミノ酸が欠失され(例えば、ペプチドまたは断片のような、タンパク質の切断型)、挿入され、反転され、置換され、および/または誘導体化されている(例えば、グリコシル化、リン酸化アセチル化ミリストイル化プレニル化パルミチン酸化、アミド化、および/またはグリコシルホスファチジルイノシトールの付加により)という点で、天然シグナルペプチドとは異なる。いくつかの態様において、シグナルペプチドの相同体は、少なくともヤブレツボカビ科生物においてシグナルとしての活性を保持するが、ある種の刺激に依って、その活性を増加させる、減少させる、または生じさせることができる。

0063

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドは、少なくともヤブレツボカビ科生物において少なくともNa/Pi-IIb2輸送体タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドは、SEQID NO: 1によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドは、SEQ ID NO: 15によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともNa/Pi-IIb2輸送体タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 15の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 2を含む。

0064

本発明は同様に、Na/Pi-IIb2輸送体シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0065

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、α-1,6-マンノシルトランスフェラーゼALG12)シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。ALG12シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともALG12タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然ALG12シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、ALG12シグナルペプチドはSEQID NO: 59によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともALG12に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 59の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 60を含む。

0066

本発明は同様に、ALG12シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0067

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、結合免疫グロブリンタンパク質(BiP)シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。BiPシグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともBiPタンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然BiPシグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、BiPシグナルペプチドはSEQID NO: 61によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともBiPタンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 61の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 62を含む。

0068

本発明は同様に、BiPシグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0069

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、α-1,3-グルコシダーゼ(GLS2)シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。GLS2シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともGLS2タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然GLS2シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、GLS2シグナルペプチドはSEQID NO: 63によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともGLS2タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 63の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 64を含む。

0070

本発明は同様に、GLS2シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0071

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,3-1,6-マンノシダーゼ様タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様シグナルペプチドはSEQID NO: 65によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,3-1,6-マンノシダーゼ様タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 65の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 66を含む。

0072

本発明は同様に、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0073

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1シグナルペプチドはSEQID NO: 67によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 67の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 68を含む。

0074

本発明は同様に、α-1,3-1,6-マンノシダーゼ様#1シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0075

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、α-1,2-マンノシダーゼ様シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。α-1,2-マンノシダーゼ様シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,2-マンノシダーゼ様タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然α-1,2-マンノシダーゼ様シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、α-1,2-マンノシダーゼ様シグナルペプチドはSEQID NO: 69によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともα-1,2-マンノシダーゼ様タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 69の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 70を含む。

0076

本発明は同様に、α-1,2-マンノシダーゼ様シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0077

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、β-キシロシダーゼ様シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。β-キシロシダーゼ様シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともβ-キシロシダーゼ様タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然β-キシロシダーゼ様シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、β-キシロシダーゼ様シグナルペプチドはSEQID NO: 71によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともβ-キシロシダーゼ様タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 71の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 72を含む。

0078

本発明は同様に、β-キシロシダーゼ様シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0079

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、カロテン合成酵素シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。カロテン合成酵素シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともカロテン合成酵素タンパク質に対するシグナル標的化活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然カロテン合成酵素シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、カロテン合成酵素シグナルペプチドはSEQID NO: 73によって表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともカロテン合成酵素タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 73の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 74を含む。

0080

本発明は同様に、カロテン合成酵素シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0081

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、Sec1タンパク質(「Sec1」)シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。Sec1シグナルペプチドは少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともSec1タンパク質に対する分泌シグナル活性を持つことができ、全長ペプチドおよびその機能的断片、融合ペプチド、ならびに天然Sec1シグナルペプチドの相同体を含む。いくつかの態様において、Sec1シグナルペプチドはSEQID NO: 37によって表される。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、少なくともヤブレツボカビ科生物において、少なくともSec1タンパク質に対するシグナルペプチドとして機能するSEQ ID NO: 37の機能的断片を含む単離されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸分子は、SEQ ID NO: 38を含む。

0082

本発明は同様に、Sec1シグナルペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを対象とする。

0083

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、本明細書に記載するプロモーター、ターミネーター、および/またはシグナルペプチド配列のいずれかと、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるプロモーター配列、ターミネーター配列、および/またはシグナルペプチド配列を含むことができる。

0084

いくつかの態様において、単離された核酸分子は、異種ポリペプチドをコードする核酸配列の5'末端に機能的に連結されているOrfCプロモーター、EF1ショートプロモーター、EF1ロングプロモーター、60Sショートプロモーター、60Sロングプロモーター、Sec1プロモーター、PKS OrfCターミネーター領域、Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドをコードする配列、またはSec1輸送体タンパク質シグナルペプチドをコードする配列を含む。組み換えベクター(発現ベクターを含むがこれに限定されない)、発現カセット、および宿主細胞は同様に、異種ポリペプチドをコードする核酸配列の5'末端に機能的に連結されているOrfCプロモーター、EF1ショートプロモーター、EF1ロングプロモーター、60Sショートプロモーター、60Sロングプロモーター、Sec1プロモーター、PKS OrfCターミネーター領域、Na/Pi-IIb2輸送体タンパク質シグナルペプチドをコードする配列、またはSec1輸送体タンパク質シグナルペプチドをコードする配列を含むことができる。

0085

本明細書で用いる場合、別に明記されない限り、同一性の割合(%)(%同一)への言及は、以下のものを用いて行われる相同性の評価を指す。(1)アミノ酸検索についてはblastpおよび核酸検索についてはblastnを標準デフォルトパラメータで用いるBLAST2.0ベーシック(Basic)BLAST相同性検索、ここで問合せ配列デフォルトにより複雑性の低い領域についてフィルタリングされる(例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられる、Altschul, S., et al., Nucleic AcidsRes. 25:3389-3402(1997)を参照のこと);(2)下記のパラメータを用いるBLAST2アライメント;および/または(3)標準デフォルトパラメータでのPSI-BLAST(位置特異的反復BLAST)。BLAST2.0ベーシック(Basic)BLASTとBLAST2間の標準パラメータにおけるいくらか相違のせいで、2つの特定の配列がBLAST2プログラムを用いて有意な相同性をもつとして認識され得たとしても、問合せ配列としてその配列のうちの1つを用いるBLAST2.0ベーシック(Basic)BLASTにおいて行われた検索では二番目の配列を最上位の一致において同定しない場合があることを留意すべきである。さらに、PSI-BLASTは、「プロファイル」検索の自動化した使いやすいバージョンを提供しており、配列相同体を捜すための感度の高い方法である。そのプログラムは、まず、ギャップド(gapped)BLASTデータベース検索を行う。PSI-BLASTプログラムは、位置特異的スコアマトリックスを構成するために戻された任意の有意なアライメントからの情報も使用し、データベース検索の次のラウンドのためにその問合せ配列を取り換える。それゆえ、これらのプログラムのいずれか1つを使用することにより、同一性の割合を決定できることが理解されるはずである。

0086

2つの特定の配列は、例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられる、Tatusova and Madden, FEMS Microbiol. Lett. 174:247-250(1999)に記載されているように、BLAST2を用いて互いに整列させることができる。BLAST2配列アライメントは、その結果生じるアライメントにギャップの導入(欠失および挿入)を許してその2つの配列間でギャップドBLAST検索(BLAST2.0)を行うBLAST2.0アルゴリズムを用いるblastpまたはblastnにおいて行われる。いくつかの態様において、BLAST2配列アライメントは、以下の標準デフォルトパラメータを用いて行われる。
blastnの場合、以下の0 BLOSUM62マトリックスを用いる。
一致についての報酬= 1
不一致についてのペナルティ= -2
オープンギャップ(5)および伸長ギャップ(2)ペナルティ
ギャップx_ドロップオフ(50)期待(10)ワードサイズ(11)フィルタオン
blastpの場合、以下の0 BLOSUM62マトリックスを用いる。
オープンギャップ(11)および伸長ギャップ(1)ペナルティ
ギャップx_ドロップオフ(50)期待(10)ワードサイズ(3)フィルタ(オン)

0087

本明細書で用いる場合、ハイブリダイゼーション条件とは、類似した核酸分子を同定するために核酸分子が用いられる標準的なハイブリダイゼーション条件のことを指す。例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook J. and Russell D.(2001)Molecular cloning: A laboratory manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照されたい。さらに、ヌクレオチドのミスマッチの程度を変えることを可能にするハイブリダイゼーションを達成するための適切なハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を計算する式が、例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられる、Meinkoth et al., Anal. Biochem. 138:267-284(1984)に開示されている。当業者は、例えば、ヌクレオチドミスマッチの特定のレベルを達成するための適切なハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を計算するために、Meinkothらの式を使用することができる。そのような条件は、DNA:RNAまたはDNA:DNAのハイブリッドのいずれが形成されるかに応じて異なると考えられる。DNA:DNAハイブリッドに関して計算される融解温度は、DNA:RNAハイブリッドに関してよりも10℃低い。特定の態様では、DNA:DNAハイブリッドに関するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6XSSC(0.9 M Na+)のイオン強度で、20℃〜35℃の間の温度(低度のストリンジェンシー)、28℃〜40℃の間の温度(よりストリンジェント)、および35℃〜45℃の間の温度(さらによりストリンジェント)でのハイブリダイゼーションを、適切な洗浄条件とともに含む。特定の態様では、DNA:RNAハイブリッドに関するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6X SSC(0.9 M Na+)のイオン強度で、30℃〜45℃の間の温度、38℃〜50℃の間の温度、および45℃〜55℃の間の温度でのハイブリダイゼーションを、同様にストリンジェントな洗浄条件とともに含む。これらの値は、約100ヌクレオチドよりも大きい分子、0%ホルムアミドおよび約40%のG+C含有量についての融解温度の計算に基づいている。または、Tmを、Sambrookらに示されているように経験的に計算することもできる。一般に、洗浄条件は、可能な限りストリンジェントであるべきであり、選択されたハイブリダイゼーション条件に対して適切であるべきである。例えば、ハイブリダイゼーション条件は、特定のハイブリッドの算出Tmよりも約20℃〜約25℃低い塩および温度条件の組み合わせを含むことができ、洗浄条件は典型的には、その特定のハイブリッドの算出Tmよりも約12℃〜約20℃低い塩および温度条件の組み合わせを含む。DNA:DNAハイブリッドでの使用に適するハイブリダイゼーション条件の1つの例は、42℃で6X SSC(50%ホルムアミド)中での2時間〜24時間のハイブリダイゼーション、続いて室温で2X SSC中での1回またはそれ以上の洗浄を含む洗浄段階、続いてより高い温度およびより低いイオン強度での追加の洗浄(例えば、37℃で0.1X〜0.5X SSC中での少なくとも1回の洗浄、続いて68℃で0.1X〜0.5X SSC中での少なくとも1回の洗浄)を含む。

0088

異種ポリペプチド
本明細書で用いる「異種」という用語は、微細藻類宿主細胞において天然には見られない配列を指す。いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、治療用タンパク質を含むが、これに限定されることはない。本明細書で用いる「治療用タンパク質」は、動物およびヒトにおける疾患、病態または障害処置または予防に有用なタンパク質を含む。

0089

ある種の態様において、治療用タンパク質は、生物学的に活性なタンパク質、例えば、酵素、抗体または抗原タンパク質を含むが、これらに限定されることはない。

0090

いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、工業用酵素を含むが、これに限定されることはない。工業用酵素は、食品、医薬品、化学品機械製品、および他の工業製品を含む、製品の製造、調製、保存、栄養動員、または加工処理において用いられる酵素を含むが、これに限定されることはない。

0091

いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、栄養要求性マーカー、優性選択マーカー(例えば、抗生物質活性を低下させる酵素のような)または形質転換選択に関わる別のタンパク質、レポーターとして機能するタンパク質、タンパク質グリコシル化に関わる酵素、および細胞代謝に関わる酵素を含む。

0092

いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、HまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、およびgp41(41 kDaの糖タンパク質)からなる群より選択されるウイルスタンパク質を含む。いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、ウイルスマトリックスタンパク質である。いくつかの態様において、本発明の組み換え宿主細胞により産生される異種ポリペプチドは、M1、M2(膜チャネルタンパク質)、Gagおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスマトリックスタンパク質である。いくつかの態様において、HA、NA、F、G、E、gp120、gp41またはマトリックスタンパク質は、ウイルス源、例えばインフルエンザウイルスまたは麻疹ウイルス由来である。

0093

インフルエンザは、呼吸器系ウイルスに起因するヒトにおける主な死亡原因である。一般的な症状は熱、咽頭炎息切れおよび筋肉痛を特に含む。インフルエンザウイルスは、感染した哺乳類および鳥類細胞の原形質膜から出芽するエンベロープウイルスである。それらは、存在する核タンパク質およびマトリックスタンパク質抗原に基づいてA型、B型またはC型へと分類される。インフルエンザA型ウイルスは、表面の糖タンパク質が提示するHAおよびNAの組み合わせにしたがって亜型へとさらに分類することができる。HAは、抗原糖タンパク質であり、感染している細胞にウイルスを結合させるのに関与している。NAは宿主細胞およびウイルス表面タンパク質上のグリカン鎖から末端シアル酸残基を除去し、それによりウイルス凝集を妨害し、ウイルス移動性を促進する。

0094

インフルエンザウイルスHAタンパク質は、各単量体の球状頭部に受容体結合ポケットを有するホモ三量体であり、インフルエンザウイルスNAタンパク質は、各単量体の頭部に酵素活性部位を有する四量体である。現在、16種のHA(H1〜H16)および9種のNA(N1〜N9)亜型が認識されている。各A型インフルエンザウイルスは一種類のHAおよび一種類のNA糖タンパク質を提示する。一般的には、各亜型は種特異性を示し、例えば、すべてのHAおよびNA亜型は鳥類に感染することが公知であるが、亜型H1、H2、H3、H5、H7、H9、H10、N1、N2、N3およびN7のみがヒトに感染することが示されている。インフルエンザウイルスは、保有するHAおよびNAの種類、例えば、H1N1、H5N1、H1N2、H1N3、H2N2、H3N2、H4N6、H5N2、H5N3、H5N8、H6N1、H7N7、H8N4、H9N2、H10N3、H11N2、H11N9、H12N5、H13N8、H15N8、H16N3などによって特徴付けられる。亜型は株へとさらに分類され; 各遺伝的に異なるウイルス分離株別個の株、例えば、A型インフルエンザ/プエルトリコ/8/34/マウントサイナイ(H1N1)およびA型インフルエンザ/ベトナム/1203/2004(H5N1)であるものと通常考えられる。本発明のある種の態様において、HAはインフルエンザウイルス由来であり、例えば、HAはA型インフルエンザ、B型インフルエンザ由来であり、またはH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16からなる群より選択される、A型インフルエンザの亜型である。別の態様において、HAは、H1、H2、H3、H5、H6、H7およびH9からなる群より選択される、A型インフルエンザ由来である。1つの態様において、HAはインフルエンザ亜型H1N1由来である。

0095

インフルエンザウイルスHAタンパク質は単一のタンパク質として細胞内で翻訳され、これはシグナルペプチドの切断後、HA0(すなわち、血球凝集素前駆体タンパク質)といわれるおよそ62 kDaのタンパク質(概念的翻訳により)となる。ウイルス活性化のためには、血球凝集素前駆体タンパク質(HA0)は、タンパク質のHA1ポリペプチドとHA2ポリペプチドとの間の単一の塩基性アミノ酸(通常はアルギニン)により通常コードされる特定の部位で、トリプシン様セリンエンドプロテアーゼにより切断されなければならない。A/プエルトリコ/8/34株の具体例では、この切断はアミノ酸番号343のアルギニンとアミノ酸番号344のグリシンとの間で起こる。切断後、この二つのジスルフィド結合タンパク質ポリペプチドは、融合およびしたがってウイルス感染性に必要な立体構造変化の前提条件としてタンパク質サブユニットの成熟型を産生する。

0096

いくつかの態様において、本発明のHAタンパク質は切断され、例えば、本発明のHA0タンパク質はHA1およびHA2へ切断される。いくつかの態様において、シゾキトリウム属のような微細藻類宿主細胞におけるHAタンパク質の発現は、外因性プロテアーゼの添加なしに、機能的なHA1ポリペプチドおよびHA2ポリペプチドへのHA0タンパク質の適切な切断を引き起こす。外因性プロテアーゼの添加なしでの無脊椎動物発現系における血球凝集素のそのような切断は、これまでに実証されていない。

0097

ウイルスFタンパク質は、C末端の近くに1回膜貫通ドメインを含み得る。Fタンパク質はフリン切断部位(アミノ酸番号109)で二つのペプチドに分けることができる。F2と名付けられたタンパク質の最初の部分は、完全なFタンパク質のN末端部分を含む。Fタンパク質のC末端部分を含むウイルスFタンパク質の残部は、F1と名付けられている。F1および/またはF2領域が、例えば、異種シグナルペプチドをコードする配列のような異種配列に、個別に融合されてもよい。ウイルスFタンパク質のF1およびF2部分を含むベクターが、個別にまたは組み合わせで発現されてもよい。完全なFタンパク質を発現するベクターが、フリン切断部位でタンパク質を切断するフリン酵素と同時発現されてもよい。あるいは、Fタンパク質のフリン切断部位をコードする配列が、異なるプロテアーゼにより認識かつ切断される別のプロテアーゼ切断部位をコードする配列と置き換えられてもよい。別のプロテアーゼ切断部位を含むFタンパク質が、この別のプロテアーゼ切断部位を認識かつ切断する対応のプロテアーゼと同時発現されてもよい。

0098

いくつかの態様において、HA、NA、F、G、E、gp120、gp41またはマトリックスタンパク質は、全長タンパク質、その断片、変種、誘導体、または類似体である。いくつかの態様において、HA、NA、F、G、E、gp120、gp41またはマトリックスタンパク質は、各ウイルスタンパク質に対する公知の配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含んだポリペプチドまたはそのアミノ酸配列を含んだポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり、ここでポリペプチドは、該公知の配列に特異的に結合する抗体によって認識できる。HA配列は、例えば、細胞外(ECD)ドメイン膜貫通(TM)ドメイン、および細胞質(CYT)ドメインから本質的になる全長HAタンパク質; または、例えば、全HAの切断によって産生される、HA1ポリペプチドおよびHA2ポリペプチドから本質的になる全HAタンパク質の断片; またはHA1ポリペプチド、HA2ポリペプチド、およびTMドメインから本質的になる全HAタンパク質の断片; またはCYTドメインから本質的になる全HAタンパク質の断片; またはTMドメインから本質的になる全HAタンパク質の断片; またはHA1ポリペプチドから本質的になる全HAタンパク質の断片; またはHA2ポリペプチドから本質的になる全HAタンパク質の断片でありうる。HA配列はHA1/HA2切断部位を含むこともできる。HA1/HA2切断部位はHA1ポリペプチドとHA2ポリペプチドとの間にあってもよいが、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド構築体の他の配列に対して任意の順序で並べられてもよい。ウイルスタンパク質は病原性ウイルス株由来であってもよい。

0099

いくつかの態様において、本発明の異種ポリペプチドは、全長HA、NA、F、G、E、gp120、gp41もしくはマトリックスタンパク質、またはその断片、変種、誘導体もしくは類似体を含む融合ポリペプチドである。

0100

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、HA0ポリペプチド、HA1ポリペプチド、HA2ポリペプチド、TMドメイン、それらの断片、およびそれらの組み合わせを含む融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、インフルエンザウイルスの異なる亜型または株由来など、ウイルスの異なる亜型または異なる株由来のHA1ポリペプチド、HA2ポリペプチド、TMドメイン、またはそれらの断片の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、インフルエンザウイルスおよび麻疹ウイルス由来など、異なるウイルス由来のHA1ポリペプチド、HA2ポリペプチド、TMドメイン、またはそれらの断片の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む。

0101

血球凝集活性は赤血球凝集を測定することによって判定することができる。赤血球の凝集およびその後の沈殿は、赤血球の表面上に吸着されている血球凝集素から生じる。血球凝集の間に積み重なり(heaps)、塊(lumps)、および/または凝集塊(clumps)として肉眼識別可能な赤血球の塊が形成される。血球凝集は、赤血球に存在する凝集原と、凝集素を含有する血漿との相互作用によって引き起こされる。各凝集原は対応する凝集素を有する。血球凝集反応は、例えば、ウイルスの抗血清活性または種類を判定するために、用いられる。赤血球に及ぼす作用物質直接作用によって引き起こされる能動血球凝集と、赤血球によってあらかじめ吸着された抗原に対する特異的な抗血清によって引き起こされる受動血球凝集とは区別される。サンプルにおける血球凝集活性の量は、例えば、血球凝集活性単位(HAU)で測定することができる。血球凝集は、例えば、結核ペストおよび野兎病病原細菌多糖により、大腸菌(colon bacillus)の多糖により、ならびに白マウスのインフルエンザ、流行性耳下腺炎肺炎ブタおよびウマインフルエンザ、天然痘ワクチン黄熱病および他の血球凝集誘導性の疾患のウイルスにより引き起こされうる。

0102

微細藻類細胞外体
本発明は同様に、原形質膜と不連続な微細藻類細胞外体を対象とする。「原形質膜と不連続な」とは、微細藻類細胞外体が宿主細胞の原形質膜とつながっていないことを意味する。いくつかの態様において、細胞外体は膜である。いくつかの態様において、細胞外体は小胞、ミセル、膜断片、膜凝集体、またはそれらの混合物である。本明細書で用いる「小胞」という用語は、脂質二重層単位膜)を含む閉構造、例えば、細胞膜によって形成された泡様構造を指す。本明細書で用いる「膜凝集体」という用語は、単一の塊として結び付くようになる膜構造の任意の集まりを指す。膜凝集体は、限定されるものではないが、膜小胞の集まりのような単一種の膜構造の集まりであり得、または限定されるものではないが、小胞、ミセル、もしくは膜断片の少なくとも2つの集まりのような、単一種を超える膜構造の集まりであり得る。本明細書で用いる「膜断片」という用語は、本明細書に記載する異種ポリペプチドを含みうる膜の任意の部分を指す。いくつかの態様において、膜断片は膜シートである。いくつかの態様において、細胞外体は小胞および膜断片の混合物である。いくつかの態様において、細胞外体は小胞である。いくつかの態様において、小胞は崩壊した小胞である。いくつかの態様において、小胞はウイルス様粒子である。いくつかの態様において、細胞外体は、宿主細胞により産生される天然ポリペプチドおよび異種ポリペプチドを含む生物材料の凝集体である。いくつかの態様において、細胞外体は天然ポリペプチドおよび異種ポリペプチドの凝集体である。いくつかの態様において、細胞外体は異種ポリペプチドの凝集体である。

0103

いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞の外質ネットは微細藻類宿主細胞の培養中に断片になり、微細藻類細胞外体の形成を引き起こす。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、外質ネット膜突起を物理的に剪断する撹拌培地における流体力の結果として微細藻類宿主細胞の外質ネットの断片化により形成される。

0104

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、限定されるものではないが、微細藻類膜の押し出し、例えば原形質膜、外質ネット、偽仮根、またはそれらの組み合わせの押し出しよって形成され、ここで押出膜は原形質膜から分離されるようになる。

0105

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、異なる直径を有する小胞もしくはミセル、異なる長さを有する膜断片、またはそれらの組み合わせである。

0106

いくつかの態様において、細胞外体は、10 nm〜2500 nm、10 nm〜2000 nm、10 nm〜1500 nm、10 nm〜1000 nm、10 nm〜500 nm、10 nm〜300 nm、10 nm〜200 nm、10 nm〜100 nm、10 nm〜50 nm、20 nm〜2500 nm、20 nm〜2000 nm、20 nm〜1500 nm、20 nm〜1000 nm、20 nm〜500 nm、20 nm〜300 nm、20 nm〜200 nm、20 nm〜100 nm、50 nm〜2500 nm、50 nm〜2000 nm、50 nm〜1500 nm、50 nm〜1000 nm、50 nm〜500 nm、50 nm〜300 nm、50 nm〜200 nm、50 nm〜100 nm、100 nm〜2500 nm、100 nm〜2000 nm、100 nm〜1500 nm、100 nm〜1000 nm、100 nm〜500 nm、100 nm〜300 nm、100 nm〜200 nm、500 nm〜2500 nm、500 nm〜2000 nm、500 nm〜1500 nm、500 nm〜1000 nm、2000 nmもしくはそれ以下、1500 nmもしくはそれ以下、1000 nmもしくはそれ以下、500 nmもしくはそれ以下、400 nmもしくはそれ以下、300 nmもしくはそれ以下、200 nmもしくはそれ以下、100 nmもしくはそれ以下、または50 nmもしくはそれ以下の直径を有する小胞である。

0107

ヤブレツボカビ科生物の宿主細胞から微細藻類細胞外体を産生するための非限定的な発酵条件を以下、表1に示す。

0108

(表1)容器培地

0109

微細藻類細胞外体を産生するための一般的な培養条件は、以下を含む。
pH: 5.5〜9.5、6.5〜8.0、または6.3〜7.3
温度: 15℃〜45℃、18℃〜35℃、または20℃〜30℃
溶存酸素: 0.1%〜100%飽和、5%〜50%飽和、または10%〜30%飽和
グルコース制御: 5 g/L〜100 g/L、10 g/L〜40 g/L、または15 g/L〜35 g/L

0110

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体はラビリンチュラ菌門の宿主細胞から産生される。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体はラビリンチュラ網の宿主細胞から産生される。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体はヤブレツボカビ科生物の宿主細胞から産生される。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体はシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属から産生される。

0111

本発明は同様に、微細藻類宿主細胞の原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を対象とする。

0112

いくつかの態様において、本発明の微細藻類細胞外体は、また、微細藻類宿主細胞の原形質膜と結び付いているポリペプチドを含む。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞の原形質膜と結び付いているポリペプチドは、天然の膜ポリペプチド、異種ポリペプチド、およびその組み合わせを含む。

0113

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは微細藻類細胞外体のなかに含まれる。

0114

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは膜ドメインを含む。本明細書で用いる「膜ドメイン」という用語は、ポリペプチドを膜に標的化するおよび/またはポリペプチドに膜との結合を維持させるポリペプチド内の任意のドメインを指し、膜貫通ドメイン(例えば、単一のもしくは複数の膜貫通領域)、一回膜貫通型(integral monotopic)ドメイン、シグナルアンカー配列、ERシグナル配列、N末端または内部またはC末端輸送停止シグナル、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。膜ドメインは、ポリペプチドのN末端、C末端または中央を含めて、ポリペプチドにおける任意の位置にあることができる。膜ドメインは、膜とポリペプチドとの永続的または一時的付着で結び付くことができる。いくつかの態様において、膜ドメインは、膜タンパク質から切断されうる。いくつかの態様において、膜ドメインはシグナルアンカー配列である。いくつかの態様において、膜ドメインは、図13に示されるシグナルアンカー配列のいずれか、またはそれに由来するアンカー配列である。いくつかの態様において、膜ドメインはウイルスシグナルアンカー配列である。

0115

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、膜ドメインを天然に含むポリペプチドである。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、膜ドメインを天然に含むのではなく、組み換えにより膜ドメインに融合されている。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、膜ドメインに融合されている普通なら可溶性のタンパク質である。

0116

いくつかの態様において、膜ドメインは微細藻類の膜ドメインである。いくつかの態様において、膜ドメインはラビリンチュラ菌門の膜ドメインである。いくつかの態様において、膜ドメインはヤブレツボカビ科生物の膜ドメインである。いくつかの態様において、膜ドメインはシゾキトリウム属またはヤブレツボカビ属の膜ドメインである。いくつかの態様において、膜ドメインは、シゾキトリウム属α-1,3-マンノシル-β-1,2-GlcNac-トランスフェラーゼ-I-様タンパク質#1(SEQID NO: 78)、シゾキトリウム属β-1,2-キシロシルトランスフェラーゼ-様タンパク質#1(SEQ ID NO: 80)、シゾキトリウム属β-1,4-キシロシダーゼ-様タンパク質(SEQ ID NO: 82)、またはシゾキトリウム属ガラクトシルトランスフェラーゼ-様タンパク質#5(SEQ ID NO: 84)由来のシグナルアンカー配列を含む。

0117

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは膜タンパク質である。本明細書で用いる「膜タンパク質」という用語は、細胞膜と結び付いたまたは細胞膜に結合した任意のタンパク質を指す。例えば、Chou and Elrod, Proteins: Structure, Function and Genetics 34:137-153(1999)によって記載されているように、膜タンパク質はさまざまな一般型に分類することができる。
1)1型膜タンパク質: これらのタンパク質は成熟タンパク質において単一膜貫通ドメインを有する。N末端は細胞外にあり、C末端は細胞質にある。タンパク質のN末端は、ERへの移入に向けてタンパク質を指令する古典的なシグナルペプチド配列を特徴的に有する。このタンパク質はIa型(切断可能なシグナル配列を含む)およびIb型(切断可能なシグナル配列がない)に細分される。I型膜タンパク質の例としては、インフルエンザHA、インスリン受容体グリコホリンLDL受容体、およびウイルスGタンパク質が挙げられるが、これらに限定されることはない。
2)II型膜タンパク質: これらの単一膜ドメインタンパク質の場合、C末端は細胞外にあり、N末端は細胞質にある。N末端はシグナルアンカー配列を持ちうる。このタンパク質種の例としては、インフルエンザノイラミニダーゼ、ゴルジガラクトシルトランスフェラーゼ、ゴルジシアリルトランスフェラーゼスクラーゼイソマルターゼ前駆体、アシアロ糖タンパク質受容体、およびトランスフェリン受容体が挙げられるが、これらに限定されることはない。
3)複数回膜貫通タンパク質: I型およびII型膜タンパク質では、ポリペプチドは脂質二重層を一回横断するが、複数回貫通膜タンパク質では、ポリペプチドは膜を複数回横断する。複数回膜貫通タンパク質はまた、IIIa型およびIIIb型に細分される。IIIa型タンパク質は切断可能なシグナル配列を有する。IIIb型タンパク質は、そのアミノ末端が膜の外面に曝露されているが、切断可能なシグナル配列を持たない。IIIa型タンパク質は、光反応中心のMおよびLペプチドを含むが、これらに限定されることはない。IIIb型タンパク質は、チトクロムP450および大腸菌のリーダーペプチダーゼを含むが、これらに限定されることはない。複数回膜貫通タンパク質のさらなる例は、膜輸送体、例えば糖輸送体(グルコース、キシロース)およびイオン輸送体である。
4)脂質鎖アンカー膜タンパク質: これらのタンパク質は、1つもしくは複数の共有結合している脂肪酸鎖またはプレニル基と呼ばれる他の種類の脂肪鎖によって、膜二重層と結び付いている。
5)GPIアンカー膜タンパク質: これらのタンパク質は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって膜に結合される。
6)表在性膜タンパク質: これらのタンパク質は、他の膜タンパク質との非共有相互作用によって間接的に膜に結合される。

0118

いくつかの態様において、膜ドメインはHAタンパク質の膜ドメインである。

0119

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、異種ポリペプチドに対応する野生型ポリペプチド由来の天然シグナルアンカー配列または天然膜ドメインを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、天然シグナルアンカー配列または天然膜ドメインとは異なる異種シグナルアンカー配列または異種膜ドメインに融合される。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、異種シグナルアンカー配列または異種膜ドメインを含み、一方で異種ポリペプチドに対応する野生型ポリペプチドはいずれのシグナルアンカー配列または膜ドメインも含まない。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、シゾキトリウム属のシグナルアンカー配列を含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、HA膜ドメインを含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、治療用ポリペプチドである。

0120

いくつかの態様において、膜ドメインは、図14に示されるI型膜タンパク質のいずれか由来の膜ドメイン、またはそれに由来する膜ドメインである。いくつかの態様において、本発明の異種ポリペプチドは、図14に示される膜タンパク質のいずれかのC末端における膜貫通領域を含んだ融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、膜貫通領域のC末端側は、ウイルスタンパク質由来の類似の領域との置換によってさらに改変される。

0121

いくつかの態様において、異種ポリペプチドは糖タンパク質である。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、ラビリンチュラ菌門の細胞における発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、ヤブレツボカビ科生物の細胞における発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する。いくつかの態様において、微細藻類宿主細胞において発現される異種ポリペプチドは、酵母または大腸菌において産生されるタンパク質よりも哺乳類のグリコシル化パターンによく似ているグリコシル化パターンを持つ糖タンパク質である。いくつかの態様において、グリコシル化パターンはN-結合型グリコシル化パターンを含む。いくつかの態様において、糖タンパク質は高マンノースオリゴ糖を含む。いくつかの態様において、糖タンパク質はシアル酸を実質的に含まない。本明細書で用いる「シアル酸を実質的に含まない」という用語は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のシアル酸を意味する。いくつかの態様において、シアル酸は糖タンパク質が欠けている。

0122

いくつかの態様において、異種ポリペプチドを含む本発明の微細藻類細胞外体は、商業規模または工業規模で産生される。

0123

本発明は同様に、本明細書に記載する本発明の微細藻類細胞外体のいずれかおよび水性液体担体を含む組成物を対象とする。

0124

いくつかの態様において、異種ポリペプチドを含む本発明の微細藻類細胞外体は、微細藻類宿主細胞が増殖される培養培地または発酵培地から回収される。いくつかの態様において、本発明の微細藻類細胞外体は「実質的に純粋な」形態で単離されうる。本明細書で用いる場合、「実質的に純粋な」とは、市販製品または工業製品としての微細藻類細胞外体の効果的な使用を可能にする純度を指す。

0125

本発明は同様に、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生する方法を対象とし、本方法は、(a)膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階、および(b)宿主細胞の原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生するのに十分な培養条件の下で、宿主細胞を培養する段階を含む。

0126

本発明は同様に、微細藻類細胞外体および異種ポリペプチドを含む組成物を産生する方法を対象とし、本方法は、(a)膜ドメインを含む異種ポリペプチドを、微細藻類宿主細胞において発現させる段階、および(b)宿主細胞の原形質膜と不連続な異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を産生するのに十分な培養条件の下で、宿主細胞を培養する段階を含み、該組成物は、細胞外体を含む培養上清として産生される。いくつかの態様において、本方法は、培養上清を取り出す段階および細胞外体を水性液体担体に再懸濁する段階をさらに含む。いくつかの態様において、組成物はワクチンとして用いられる。

0127

ウイルスポリペプチドを含む微細藻類細胞外体
ウイルスエンベロープタンパク質は、ウイルス粒子外層を形成する膜タンパク質である。これらのタンパク質の合成では、タンパク質を原形質膜に向けるために、細胞標的化シグナルのような膜ドメインを利用する。エンベロープコートタンパク質は、いくつかの主要な群に分類され、これにはHまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、およびgp41(41 kDaの糖タンパク質)が含まれるが、これらに限定されることはない。「マトリックス」タンパク質とよくいわれる構造タンパク質は、ウイルスの安定化を補助する働きをする。マトリックスタンパク質はM1、M2(膜チャネルタンパク質)、およびGagを含むが、これらに限定されることはない。エンベロープもマトリックスタンパク質もウイルスの組織化および機能に関与しうる。例えば、単独でのまたはウイルスマトリックスタンパク質との関連でのウイルスエンベロープコートタンパク質の発現は、ウイルス様粒子(VLP)の形成をもたらしうる。

0128

ウイルスワクチンは、予防を目的とする疾患に対応するウイルス培養物不活化されまたは弱毒化された調製物から作出されることが多く、ウイルス遺伝物質のような遺伝物質を通常保持している。一般的に、ウイルスは、野生で感染しうるのと同じまたは似た細胞種から培養される。そのような細胞培養は費用がかかり、規模の調整が困難であることが多い。この問題に取り組むため、その代わりに、遺伝子導入宿主によってある種の特異的なウイルスタンパク質抗原が発現されており、この遺伝子導入宿主は培養するのにあまり費用がかからず、規模の調整にいっそう適しうる。しかしながら、ウイルスタンパク質は、通常、ウイルスエンベロープに存在する内在性膜タンパク質である。膜タンパク質は大量に産生することが非常に困難であるため、これらのウイルスタンパク質は、通常、タンパク質の可溶型を作出するように改変される。これらのウイルスエンベロープタンパク質は宿主免疫の樹立に重要であるが、それらの全部または一部を異種系で発現させる多くの試みは、おそらく、タンパク質が十分に免疫原性であるためにはウイルスエンベロープ膜との関連で免疫系に提示されなければならないために、大した成果を得ていない。したがって、拡大縮小でき、所望のウイルス抗原以外のウイルス遺伝物質のような、関連するウイルス物質を含まないまたは実質的に含まないウイルス抗原を提示できる、本発明のもののような新たな異種発現系が必要である。本明細書で用いる「関連するウイルス物質を実質的に含まない」という用語は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の関連するウイルス物質を意味する。

0129

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、HまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、gp41(41 kDaの糖タンパク質)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルス糖タンパク質である異種ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、ウイルスマトリックスタンパク質である異種ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、M1、M2(膜チャネルタンパク質)、Gag、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスマトリックスタンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、HまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、gp41(41 kDaの糖タンパク質)、およびウイルスマトリックスタンパク質からなる群より選択される2種またはそれ以上のウイルスタンパク質の組み合わせを含む。

0130

いくつかの態様において、本発明の微細藻類細胞外体は、タンパク質の蓄積または機能を普通なら妨害しうるシアル酸を欠いたウイルス糖タンパク質を含む。

0131

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体はVLPである。

0132

本明細書で用いる「VLP」という用語は、ウイルスタンパク質が過剰発現される場合にウイルスタンパク質の自発的な自己組織化によって形成されうる感染性ウイルス形態学的に類似した粒子を指す。VLPは酵母、昆虫、および哺乳類細胞において産生されており、それらは感染性遺伝物質を含むことなしにウイルス粒子の全体構造模倣しているので、効果的かつさらに安全な種のサブユニットワクチンであるものと思われる。この種のワクチン送達系は、細胞性および体液性応答の刺激において成功を収めている。

0133

パラミクソウイルスに関する研究は、複数のウイルスタンパク質が同時に発現された場合に、産生されたVLPはサイズおよび密度が本物のウイルス粒子と非常に似通っていたことを明らかにした。マトリックスタンパク質(M)だけの発現でVLPの形成には必要かつ十分であった。パラミクソウイルスにおいて、HNだけの発現は非常に低効率のVLP形成をもたらした。他のタンパク質だけではNDV出芽に十分ではなかった。HNは、四量体のスパイクとしてウイルス粒子および感染細胞表面に存在するII型膜糖タンパク質である。例えば、CollinsPLand Mottet G, J. Virol.(65:2362-2371(1991); Mirza AM et al., J. Biol. Chem. 268:21425-21431(1993); およびNg D et al., J. Cell. Biol. 109:3273-3289(1989)を参照されたい。Mタンパク質との相互作用はVLPへのタンパク質HNおよびNPの取り込みに関与していた。例えば、Pantua et. al., J. Virology 80:11062-11073(2006)を参照されたい。

0134

B型肝炎ウイルスHBV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)VLPは、無エンベロープでありかつ1つまたは2つのキャプシドタンパク質を発現させることにより産生される単純なVLPである。より複雑な無エンベロープVLPは、ブルータング病のために開発されたVLPのような粒子を含む。その場合には、ブルータングウイルスBTV、レオウイルス科)由来の主要な構造タンパク質のうちの4つが昆虫細胞において同時に発現された。脂質エンベロープを有するウイルス由来のVLPも産生されている(例えば、C型肝炎およびA型インフルエンザ)。抗原エピトープを繰り返し呈しうる自己組織化ポリペプチドナノ粒子SAPN)のようなVLP様構造も存在している。これらは潜在的なマラリアワクチンをデザインするために使われている。例えばKaba SA et al., J. Immunol. 183(11):7268-7277(2009)を参照されたい。

0135

VLPは、生菌弱毒化または不活化ウイルス匹敵する免疫を生み出す可能性を有するという点で重要な利点を有し、その粒子特性のため、およびそれらが表面エピトープを高密度に繰り返し並べて呈するため、免疫原性が極めて高いものと考えられる。例えば、B細胞外来として50オングストローム〜100オングストロームのエピトープ間隔で粒子状抗原を特異的に認識すると仮定されている。Bachman et al., Science 262:1448(1993)を参照されたい。VLPはまた、樹状細胞およびマクロファージによる取り込みを大いに促進するものと考えられる粒子サイズを有する。さらに、20 nm〜200 nmの粒子はリンパ節へ自由に拡散するが、500〜2000 nmの粒子はそうではない。ヒトでは少なくとも2つの承認済みVLPワクチン、つまりB型肝炎ワクチン(HBV)およびヒトパピローマウイルス(HPV)が存在している。しかしながら、バキュロウイルスに基づくVLPのようなウイルスに基づくVLPは、VLPからのさらなる精製を要する大量のウイルス物質を含むことが多い。

0136

いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、HまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、gp41(41 kDaの糖タンパク質)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルス糖タンパク質を含むVLPである。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、ウイルスマトリックスタンパク質を含むVLPである。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、M1、M2(膜チャネルタンパク質)、Gagおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるウイルスマトリックスタンパク質を含むVLPである。いくつかの態様において、微細藻類細胞外体は、HまたはHA(血球凝集素)タンパク質、NまたはNA(ノイラミニダーゼ)タンパク質、F(融合)タンパク質、G(糖タンパク質)タンパク質、Eまたはenv(エンベロープ)タンパク質、gp120(120 kDaの糖タンパク質)、gp41(41 kDaの糖タンパク質)、およびウイルスマトリックスタンパク質からなる群より選択される2種またはそれ以上のウイルスタンパク質の組み合わせを含むVLPである。

0137

微細藻類細胞外体を使用する方法
いくつかの態様において、本発明の微細藻類細胞外体は、タンパク質活性または機能のための媒体として有用である。いくつかの態様において、タンパク質活性または機能は細胞外体中にまたは細胞外体上に存在する異種ポリペプチドと関連している。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは膜タンパク質である。いくつかの態様において、タンパク質活性または機能は、細胞外体中に存在する膜タンパク質に結合するポリペプチドと関連している。いくつかの態様において、タンパク質は、可溶性の場合に機能的ではないが、本発明の細胞外体の一部の場合に機能的である。いくつかの態様において、糖輸送体(例えば、キシロース、スクロース、またはグルコース輸送体のような)を含んだ微細藻類細胞外体を用いて、ろ過または遠心分離を含むさまざまな方法によって分離できる小胞内に糖を捕捉することにより、糖または他の低分子量溶質の混合物を含有する培地から微量の糖を枯渇させることができる。

0138

本発明は同様に、疾患に対する予防的処置に及ぶ動物またはヒトでの治療的用途のための、異種ポリペプチドを含む本発明の微細藻類細胞外体およびその組成物のいずれかの使用を含む。

0139

「処置する」および「処置」という用語は、治療的処置と予防的(prophylactic)または予防的(preventative)措置の両方を指し、ここでこの目的は望ましくない生理学的状態、疾患もしくは障害を予防することもしくは減速させる(減少させる)こと、または有益なもしくは望ましい臨床結果を得ることである。本発明の目的のために、有益なまたは望ましい臨床結果は、病態、疾患もしくは障害と関連する症状もしくは症候緩和もしくは除去; 病態、疾患もしくは障害の程度の縮小; 病態、疾患もしくは障害の安定化(すなわち、この場合に病態、疾患もしくは障害は悪化していない); 病態、疾患もしくは障害の発症もしくは進行の遅延; 病態、疾患もしくは障害の改善; 病態、疾患もしくは障害の(部分的か全体的かに関わらず、および検出可能か検出不能かに関わらず)寛解; または病態、疾患もしくは障害の向上または改善を含むが、これらに限定されることはない。処置は過度副作用なしに臨床的に有意な応答を誘発することを含む。処置はまた、処置を受けていない場合に予想される生存期間と比べて生存期間を延長させることを含む。

0140

いくつかの態様において、異種ポリペプチドを含む本発明の微細藻類細胞外体のいずれも、動物またはヒト用ワクチンとしての直接的な使用のために培養上清中で回収される。

0141

いくつかの態様において、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体は、関心対象の使用の要件、例えばワクチンとしての投与にしたがって精製される。典型的なヒト用ワクチン適用の場合、低速上清には濃縮(例えば、接線流ろ過に引き続いて限外ろ過)、クロマトグラフィー分離(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー)、サイズ排除クロマトグラフィー、および滅菌(例えば、0.2 μmろ過)による初期精製が行われるであろう。いくつかの態様において、本発明のワクチンには、例えば、卵タンパク質のような潜在的にアレルギー誘発性の持込みタンパク質がない。いくつかの態様において、本発明の細胞外体を含むワクチンには、細胞外体と結び付いているウイルスポリペプチド以外のいずれのウイルス物質も含まれない。

0142

開示した方法にしたがって、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体またはその組成物は、例えば、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、または肺内経路により投与することができる。他の適当な投与経路には、気管内、経皮、眼内、内、吸入、腔内、管内(例えば、膵臓への)、および実質内(例えば、任意の組織への)投与が含まれるが、これらに限定されることはない。経皮送達には、皮内(例えば、真皮または表皮への)、経皮(例えば、経皮的)および経粘膜(例えば、皮膚または粘膜組織への、またはそれを経由した)投与が含まれるが、これらに限定されることはない。腔内投与には、口、直腸、鼻、腹膜および腸腔への投与、ならびにくも膜下腔内(例えば、脊柱管への)、室内(例えば、脳室または心室への)、心房内(例えば、心房への)、およびくも膜下(例えば、脳のくも膜下腔への)投与が含まれるが、これらに限定されることはない。

0143

いくつかの態様において、本発明は、異種ポリペプチドを含む微細藻類細胞外体を含んだ組成物を含む。いくつかの態様において、組成物は水性液体担体を含む。さらなる態様において、水性液体担体は培養上清である。いくつかの態様において、本発明の組成物は、当技術分野において公知の従来の薬学的に許容される賦形剤、例えば、限定されるものではないが、ヒト血清アルブミンイオン交換体アルミナレシチン緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸ソルビン酸カリウム、および塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、ならびに、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed.(2005)に記載されている賦形剤を含む。

0144

あるいは、微細藻類細胞外体を対象とする本明細書において記載の態様のいずれも、ツボカビ細胞外体を対象とすることができる。

0145

本発明の組成物のために最も効果的な投与方法および投与量計画は、疾患の重症度および経過、対象の健康状態および処置に対する応答ならびに処置に当たる医師の判断に依る。したがって、組成物の投与量は個々の対象に対して滴定されるべきである。そうではあるが、本発明の組成物の有効用量は1 mg/kg〜2000 mg/kg、1 mg/kg〜1500 mg/kg、1 mg/kg〜1000 mg/kg、1 mg/kg〜500 mg/kg、1 mg/kg〜250 mg/kg、1 mg/kg〜100 mg/kg、1 mg/kg〜50 mg/kg、1 mg/kg〜25 mg/kg、1 mg/kg〜10 mg/kg、500 mg/kg〜2000 mg/kg、500 mg/kg〜1500 mg/kg、500 mg/kg〜1000 mg/kg、100 mg/kg〜2000 mg/kg、100 mg/kg〜1500 mg/kg、100 mg/kg〜1000 mg/kg、または100 mg/kg〜500 mg/kgの範囲内でありうる。

0146

本発明について一般的に記載してきたが、本明細書において提供される実施例を参照することによってさらなる理解を得ることができる。これらの実施例は例示の目的のためだけであり、限定することを意図していない。

0147

実施例1
pCL0143発現ベクターの構築
pCL0143発現ベクター(図2)を合成し、DNA 2.0(Menlo Park, CA)によるSanger配列決定によりその配列を検証した。pCL0143ベクターは、HA導入遺伝子の発現を推進するためのシゾキトリウム属伸長因子-1遺伝子(EF1)由来のプロモーター、HA導入遺伝子の後のOrfCターミネーター(PFA3ターミネーターとしても公知)、および抗生物質パロモマイシンに対する耐性を与える選択マーカーカセットを含む。

0148

SEQID NO: 76(図1)は、A型インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/34/マウントサイナイ(H1N1))のHAタンパク質をコードする。このタンパク質配列はGenBankアクセッション番号AAM75158のそれに適合する。SEQ ID NO: 76の特異的核酸配列を、シゾキトリウム属での発現のために、図16に示されるシゾキトリウム属コドン使用頻度表によってガイドされるように、DNA 2.0によって、コドン最適化し、合成した。代わりのシグナルペプチドを用いて、SEQ ID NO: 76のシグナルペプチド(最初の51ヌクレオチド)を除去し、シゾキトリウム属Sec1シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 38)に置換した構築体も作出した。

0149

実施例2
シゾキトリウム属において産生されたHAタンパク質の発現および特徴付け
Biolistic(商標)パーティクルボンバーダー(BioRad, Hercules, CA)を用いたベクターpCL0143による形質転換用の宿主細胞としてシゾキトリウム種ATCC20888を用いた。手短に言えば、シゾキトリウム種ATCC番号20888の培養物を、10 g/Lグルコース、0.8 g/L(NH4)2SO4、5 g/L Na2SO4、2 g/L MgS04・7H2O、0.5 g/L KH2PO4、0.5 g/L KCl、0.1 g/L CaCl2・2H2O、0.1 M MES(pH 6.0)、0.1% PB26金属、および0.1% PB26ビタミン(v/v)からなるM2B培地中で増殖させた。PB26ビタミンは50 mg/mLビタミンB12、100 μg/mLチアミン、および100 μg/mLパントテン酸Caからなった。PB26金属はpH 4.5に調整され、3 g/L FeSO4・7H2O、1 g/L MnCl2・4H2O、800 mg/mL ZnSO4・7H2O、20 mg/mL CoCl2・6H2O、10 mg/mL Na2MoO4・2H2O、600 mg/mL CuSO4・5H2O、および800 mg/mL NiSO4・6H2Oからなった。PB26ストック溶液を別々にろ過滅菌し、加圧滅菌後に培養液に添加した。グルコース、KH2PO4、およびCaCl2・2H2Oはそれぞれ、塩沈殿および糖質のカラメル化反応を防ぐため、混合する前に培養液の成分の残りとは別に加圧滅菌した。全ての培地成分はSigma Chemical(St. Louis, MO)から購入した。シゾキトリウム属の培養物を対数期まで増殖させ、Biolistic(商標)パーティクルボンバーダー(BioRad, Hercules, CA)を用いて形質転換した。Biolistic(商標)形質転換手順は過去に記載されているのと本質的に同じものであった(Apt et al., J. Cell. Sci. 115(Pt 21):4061-9(1996)および米国特許第7,001,772号を参照のこと)。一次形転換体を、27℃で2〜6日のインキュベーションの後に20 g/L寒天(VWR, West Chester, PA)、10 μg/mLスルホメツロンメチル(SMM)(Chem Service, Westchester, PA)を含有する固形M2B培地上で選択した。

0150

pCL0143の一次形質転換体由来のgDNAを抽出し、精製し、導入遺伝子の存在を調べるためにPCRの鋳型として用いた。

0151

シゾキトリウム属のためのゲノムDNA抽出プロトコル
シゾキトリウム属形質転換体を培地50 ml中で増殖させた。培養物25 mlを50 mlのコニカルバイアルの中へ無菌的にピペッティングし、3000×gで4分間遠心分離してペレットを形成させた。上清を除去し、ペレットを使用まで-80℃で貯蔵した。ペレットを50 mlのコニカルバイアル中の、20 mM Tris pH 8、10 mMEDTA、50 mM NaCl、0.5% SDSおよび100 μg/mlのプロテイナーゼKからなる溶液およそ4〜5容量に再懸濁した。1時間穏やかに揺らしながらペレットを50℃でインキュベートした。溶解したら、100 μg/mlのRNaseAを添加し、溶液を37℃で10分間揺り動かした。次に、2容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを添加し、溶液を1時間室温で揺り動かし、その後、15分間8000×gで遠心分離した。上清をきれいな試験管の中に移し入れた。再度、2容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを添加し、溶液を1時間室温で揺り動かし、その後、15分間8000×gで遠心分離し、上清をきれいな試験管の中に移し入れた。得られた上清に等量のクロロホルムを添加し、溶液を30分間室温で揺り動かした。溶液を15分間8000×gで遠心分離し、上清をきれいな試験管の中に移し入れた。得られた上清に等量のクロロホルムを添加し、溶液を30分間室温で揺り動かした。溶液を15分間8000×gで遠心分離し、上清をきれいな試験管の中に移し入れた。0.3容量の3 M NaOAcおよび2容量の100% EtOHを上清に添加し、これを数分間穏やかに揺り動かした。DNAを無菌のガラス棒巻き取り、1〜2分間70% EtOHの中に浸した。DNAを1.7 mlの微量遠心管の中に移し入れ、10分間風乾させた。最大で0.5 mlまでの予洗されたEBをDNAに添加し、これを終夜4℃に置いた。

0152

遺伝子導入シゾキトリウム属(pCL0143で形質転換された)の冷凍保存ストックコンフルエントまでM50-20の中で増殖させ、その後、50 mLのバッフル付き振盪フラスコ中48時間(h)、27℃、200 rpmにて、他に指定のない限り、以下(1リットルあたり)を含有する培地中で繁殖させた。

0153

容量を脱イオンH2Oで900 mLにし、他に指定のない限り、35分間加圧滅菌する前に、pHを6.5に調整した。ろ過滅菌したグルコース(50 g/L)、ビタミン(2 mL/L)、および微量金属(2 mL/L)を次いで培地に添加し、容量を1リットルに調整した。ビタミン溶液は0.16 g/LビタミンB12、9.75 g/Lチアミン、および3.33 g/Lパントテン酸Caを含有していた。微量金属溶液(pH 2.5)は、1.00 g/Lクエン酸、5.15 g/L FeSO4.7H2O、1.55 g/L MnCl2.4H2O、1.55 g/L ZnSO4.7H2O、0.02 g/L CoCl2.6H2O、0.02 g/L Na2MoO4.2H2O、1.035 g/L CuSO4.5H2O、および1.035 g/L NiSO4.6H2Oを含有していた。

0154

シゾキトリウム属の培養物を50 mlのコニカル試験管に移し入れ、15分間3000×gまたは4500×gで遠心分離した。図3を参照されたい。「無細胞上清」(CFS)と呼ばれるこの遠心分離から得られた上清を、免疫ブロット分析および血球凝集活性のアッセイに用いた。

0155

無細胞上清(CFS)を1時間100,000×gでさらに超遠心分離した。図3を参照されたい。HAタンパク質を含有する得られたペレット(不溶性画分または「UP」)を、PBS、pH 7.4に再懸濁した。この懸濁液を、15〜60%のスクロース溶液を含有する不連続スクロース密度勾配にて遠心分離(120,000×g、18時間、4℃)した。図3を参照されたい。HAタンパク質を含有する60%スクロースの画分を、ペプチド配列分析、グリコシル化分析、および電子顕微鏡分析に用いた。

0156

免疫ブロット分析
遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)由来の組み換えHAタンパク質の発現を、標準的な免疫ブロッティング手順にしたがって、免疫ブロット分析により検証した。無細胞上清(CFS)由来のタンパク質を、他に指定のない限り、MOPS SDS泳動用緩衝液を用いた還元条件の下、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)12%ビス-トリスゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上にてドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分離した。タンパク質を次に、クマシーブルー(SimplyBlue Safe Stain, Invitrogen, Carlsbad, CA)で染色するか、またはポリフッ化ビニリデン膜上に転写し、ウサギ由来の抗インフルエンザA/プエルトリコ/8/34(H1N1)ウイルス抗血清(1000分の1希釈、Dr. Albert D.M.E. Osterhausからの寄贈; Fouchier R.A.M. et al., J. Virol. 79:2814-2822(2005))と、その後、アルカリホスファターゼと結合している抗ウサギIgG(Fc)二次抗体(2000分の1希釈、#S3731、Promega Corporation. Madison, WI)でHAタンパク質の存在を探索した。この膜を次に、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-リン酸/ニトロブルーテトラゾリウム溶液(BCIP/NBT)で製造元使用説明書(KPL, Gaithersburg, MD)にしたがって処理した。さまざまなpH(5.5、6.0、6.5および7.0)ならびにさまざまな温度(25℃、27℃、29℃)で増殖させた遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)に対する抗H1N1免疫ブロットを図4Aに示す。陰性対照(「C」)はシゾキトリウム種ATCC20888の野生型株であった。組み換えHAタンパク質はpH 6.5にて無細胞上清中で検出され(図4A)、検出された血球凝集活性はpH 6.5, 27℃で最も高かった(図4A)。pH 6.5, 27℃で増殖させたCL0143-9(「E」)に対するクマシーブルー染色ゲル(「クマシー」)および対応する抗H1N1免疫ブロット(「IB: 抗-H1N1」)を、非還元条件および還元条件の下で、図4Bに示す。陰性対照(「C」)は、シゾキトリウム種ATCC 20888の野生型株であった。

0157

HA活性
シゾキトリウム属において産生されたHAタンパク質の活性を血球凝集活性のアッセイにより評価した。機能的HAタンパク質は、標準的な血球凝集活性のアッセイによって容易に検出される血球凝集活性を示す。手短に言えば、低速上清のPBS2倍希釈液50 μLを96ウェルマイクロタイタープレート中で調製した。PBS, pH 7.4中およそ1%のニワトリ赤血球溶液(Fitzgerald Industries, Acton, MA)の等量を次に、各ウェルに添加し、その後、30分間室温でのインキュベーションを行った。凝集度を次いで、視覚的に分析した。血球凝集活性単位(HAU)は、ウェル中で可視的な血球凝集を引き起こす最も高い希釈度と定義される。

0158

典型的な活性は、遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(「E」)無細胞上清中、ほぼ512HAU程度であることが分かった(図5A)。PBS(「-」)または遺伝子導入株と同じように増殖させて調製したシゾキトリウム種ATCC20888の野生型株(「C」)を、陰性対照として用い、それらは何らの血球凝集活性も示さなかった。A型インフルエンザ/ベトナム/1203/2004(H5N1)由来の組み換えHAタンパク質(Protein Sciences Corporation, Meriden, CT,希釈はPBS中で1000分の1)を陽性対照(「+」)として用いた。

0159

血球凝集アッセイによる遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9株の無細胞上清の可溶性および不溶性画分の分析から、HAタンパク質が不溶性画分において主に見られることが示唆された(図5B)。典型的な活性は、可溶性画分(「US」)においてほぼ16HAU程度および不溶性画分(「UP」)においてほぼ256HAU程度であることが分かった。

0160

2 L培養物でのHAタンパク質の活性レベルは、6.5の一定pHにて同じ培地中で培養時の振盪フラスコ培養物と類似の活性を示した。

0161

別の実験では、HAの天然シグナルペプチドを除去し、シゾキトリウム属Sec1シグナルペプチド(SEQID NO: 38によってコードされる、SEQ ID NO: 37)に置き換えた。この代替の構築体で得られた遺伝子導入シゾキトリウム属は、pCL0143構築体を含有する遺伝子導入シゾキトリウム属で観察されたのと類似の血球凝集活性および組み換えタンパク質分布を示した(データは示されていない)。

0162

ペプチド配列分析
無細胞上清の100,000×gの遠心分離から得られた不溶性画分(「UP」)をスクロース密度勾配に対してさらに分画し、血球凝集活性のアッセイ(図6B)によって示されるように、HAタンパク質を含有する画分を、上記のように、SDS-PAGEによって分離し、クマシーブルーで染色するかまたはPVDFに転写し、ウサギ由来の抗H1N1抗血清で免疫ブロットした(図6A)。免疫ブロットにおいて交差反応に対応するバンド(HA1およびHA2)をクマシーブルー染色ゲルから切り出し、ペプチド配列分析を行った。手短に言えば、関心対象のバンドを洗浄し/50%エタノール、5%酢酸中で脱染した。ゲル片を次いで、アセトニトリル中で脱水し、SpeedVac(登録商標)(Thermo Fisher Scientific, Inc., Waltham, MA)中で乾燥させ、50 mM重炭酸アンモニウム中10 ng/μLのトリプシン5 μLを添加して室温で終夜インキュベートすることにより、トリプシンで消化した。形成されたペプチドを、ポリアクリルアミドから、5%ギ酸を含む50%アセトニトリル30 μLの2アリコット中に抽出した。これらの抽出物を混ぜ合わせ、SpeedVac(登録商標)中で10 μL未満まで蒸発させ、次に1%酢酸中に再懸濁してLC-MS分析用におよそ30 μLの終容量とした。LC-MSシステムは、FinniganTMLTQTM直線イオントラップ質量分析計(Linear Ion Trap Mass Spectrometer)(Thermo Electron Corporation, Waltham, MA)であった。HPLCカラムは、自己充填性の9 cm×75 μm Phenomenex JupiterTM C18逆相キャピラリークロマトグラフィーカラム(Phenomenex, Torrance, CA)であった。次いで、抽出物のμL容量を注入し、ペプチドを、0.25 μL/分の流速でアセトニトリル/0.1%ギ酸の勾配によってカラムから溶出し、オンラインの質量分析計の供給源へ導入した。マイクロエレクトロスプレイイオン源を2.5 kVで操作した。質量分析計によってLC実験の全過程にわたり一連のm/z比が細分化される選択反応(SRM)実験を用いて、消化物を分析した。次に関心対象のペプチドの断片化パターンを用いて、クロマトグラムを生成した。各ペプチドに対するピーク面積を決定し、内部標準物質に対して規準化した。この分析において用いた内部標準物質は、試験されているサンプル間で不変の存在量を有するタンパク質であった。2つのシステム間の最終の比較は、各ペプチドに対して規準化されたピーク比を比較することによって決定された。衝突誘起解離スペクトルを次に、NCBIデータベースに対して探索した。HAタンパク質は、タンパク質配列の42%を網羅する計27ペプチドによって特定された。配列決定された特異的ペプチドは図7に太字体で強調されている。より具体的には、HA1は計17ペプチドにより特定され、HA2は計9ペプチドにより特定された。これは、397位の前で切断されているHAN末端ポリペプチドと一致する。HA1およびHA2に対して特定されたペプチドの配置は、HAタンパク質の全アミノ酸配列内に示されている。HA内の推定切断部位はアミノ酸番号343と344の間に位置している(R^Gとして示されている)。アミノ酸番号402の位置で始まるイタリック体のペプチド配列はHA2ポリペプチドと関連しているが、HA1において特定されたペプチドで見られ、これはおそらく、HA1に対して切り出されたバンドにおけるHA2ペプチドの微量の持込みに起因する。例えば、Wright et al.,BMCGenomics 10:61(2009)の図3を参照されたい。

0163

グリコシル化分析
HAタンパク質上のグリカンの存在を酵素処理によって評価した。遺伝子導入シゾキトリウム属「CL0143-9」の60%スクロース画分をEndoHまたはPNGase Fにより製造元の使用説明書(New England Biolabs, Ipswich, MA)にしたがって消化した。次いで、MOPS SDS泳動用緩衝液を用いたNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)12%ビス-トリスゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上でのSDS-PAGEによりタンパク質を分離し、その後、クマシーブルー(「クマシー」)での染色を行うかまたは抗H1N1抗血清(「IB: 抗-H1N1」)での免疫ブロッティングを行った場合に予想される移動度の変化によって、グリカンの除去を特定した(図8)。酵素処理に対する陰性対照は、酵素なしでインキュベートされた(「NT」= 無処理)遺伝子導入シゾキトリウム属「CL0143-9」であった。少なくとも5つの異なる種を免疫ブロット上でHA1の位置に特定することができ、2つの異なる種を免疫ブロット上でHA2の位置に特定することができる。これは、文献において報告されているように、HA1上の複数のグリコシル化部位およびHA2上の単一のグリコシル化部位と一致している。

0164

実施例3
シゾキトリウム属培養上清由来のタンパク質の特徴付け
シゾキトリウム種ATCC20888を上記のように典型的な発酵条件の下で増殖させた。培養上清のサンプルを培養20時間から52時間まで4時間の間隔で収集し、68時間の時点で最後の収集を行った。

0165

各サンプルに基づく培養上清中の総タンパク質を標準的なBradford Assayによって決定した。図9を参照されたい。

0166

図3の方法を用いて37時間、40時間、44時間、48時間、および68時間の時点で培養上清のサンプルからタンパク質を単離した。タンパク質のSDS-PAGEゲルを図10に示す。レーン11には総タンパク質2.4 μgをロードし、残りのレーンには総タンパク質5 μgをロードした。アクチンまたはゲルゾリンと(質量分析ペプチド配列決定によって)特定された豊富なバンドは、図10中の矢印で示す。

0167

実施例4
培養上清材料の陰性染色および電子顕微鏡検査
シゾキトリウム種ATCC20888(対照)および遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9(実験)を上記のように典型的なフラスコ条件の下で増殖させた。培養物を50 mLのコニカル試験管に移し入れ、15分間3000×gまたは4500×gで遠心分離した。この無細胞上清を1時間100,000×gでさらに超遠心分離し、得られたペレットをPBS, pH 7.4に再懸濁した。この懸濁液を不連続の15%〜60%スクロース勾配にて遠心分離し(120,000×g、18時間、4℃)、60%の画分を陰性染色および電子顕微鏡法による検査に用いた。

0168

対照材料の陰性染色材料の電子顕微鏡観察では、直径が数百ナノメートルから<50 nmに及ぶ膜断片、膜凝集体、および小胞(まとめて「細胞外体」)の混合物が含まれていた。図11を参照されたい。小胞の形状は環状から細長(管状)にまで及び、小胞の縁は滑らかまたは不規則であった。小胞の内部はうっすらと染まっているように見え、有機材料が存在していることを示唆していた。より大きな小胞は肥厚した膜を有し、小胞の端が調製中に重なり合ったことを示唆していた。膜凝集体および断片は形状およびサイズがかなり不規則であった。超遠心分離によって精製された膜におけるアクチンとの強い相関関係によって示されるように、膜材料は外質ネットが起源であった可能性が高い。

0169

同様に、異種タンパク質を発現する遺伝子導入シゾキトリウム属CL0143-9の培養物の無細胞上清からの陰性染色材料の電子顕微鏡観察によって、この材料は直径が数百ナノメートルから<50 nmに及ぶ膜断片、膜凝集体、および小胞の混合物であることが示唆された。図11を参照されたい。

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