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技術 圧電素子、その製造方法、超音波探触子および超音波撮像装置

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 森田聖和
出願日 2017年1月6日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2017-001238
公開日 2018年7月19日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-113279
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置 高分子組成物 圧電、電歪、磁歪装置 超音波変換器
主要キーワード 二液硬化性 補強工 PT基板 ゴム系複合材料 PF3 超音波吸収体 変性シリコーンゴム デジタルフォースゲージ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

隣り合う圧電体間で生じる相互作用を抑制できるとともに、加工性および耐久性に優れるとともに上記対向電極が、上記反応生成物の上に直接配置されている場合には、接着性にも優れる圧電素子を提供する。

解決手段

圧電素子は、複数の圧電体、および反応生成物を有する圧電体コンポジットと、対向電極とを有する。複数の圧電体は、1〜10μmの間隔で並列している。圧電体のアスペクト比は、5以上である。反応生成物は、エラストマー成分架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物である。架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基の数と、架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。

概要

背景

医療分野において利用されている超音波撮像装置は、圧電素子を備えた超音波探触子を有する。当該圧電素子としては、例えば、複数の圧電体、および当該複数の圧電体の隙間に満たされている架橋性エポキシ樹脂組成物反応生成物硬化物)を有する圧電体コンポジットと、当該圧電体コンポジットに電圧印加するための対向電極と、を有する圧電素子が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。

従来の圧電素子では、圧電体のアスペクト比を高くし、かつ複数の圧電体の間隔を小さくしすぎると、隣り合う圧電体間で相互作用が生じて、圧電素子の電気機械結合係数が低下することがある。

隣り合う圧電体間の相互作用に起因する上記電気機械結合係数の低下を抑制する観点から、柔軟な変性シリコーンゴム粒子が、上記反応生成物に含有されている圧電素子が知られている(例えば、特許文献3参照)。

しかしながら、上記反応生成物が、シリコーンゴムのように柔軟なエラストマーを含有している場合、上記圧電体および上記反応生成物の接着性が不十分となり、圧電素子の製造時に、上記反応生成物が上記圧電体コンポジットから剥離して、加工性が不十分となることがある。また、上記反応生成物の両端面に上記対向電極が直接配置されている場合には、上記対向電極および上記反応生成物の接着性が不十分となり、上記対向電極が上記圧電体コンポジットから剥離することがある。さらに、消毒液などの薬品、および人の皮膚に含まれる脂肪酸の影響により、エポキシ樹脂膨潤し、超音波探触子の感度が低下することがある。

以上のように、従来の圧電素子では、電気機械結合係数と、上記圧電体コンポジットの加工性と、上記反応生成物および上記電極の接着性と、化学的耐久性とのいずれをも満足させる観点から検討の余地がある。

概要

隣り合う圧電体間で生じる相互作用を抑制できるとともに、加工性および耐久性に優れるとともに上記対向電極が、上記反応生成物の上に直接配置されている場合には、接着性にも優れる圧電素子を提供する。圧電素子は、複数の圧電体、および反応生成物を有する圧電体コンポジットと、対向電極とを有する。複数の圧電体は、1〜10μmの間隔で並列している。圧電体のアスペクト比は、5以上である。反応生成物は、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物である。架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基の数と、架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。なし

目的

本発明の第1の課題は、隣り合う圧電体間で生じる相互作用を抑制できるとともに、加工性および耐久性に優れるとともに上記対向電極が、上記反応生成物の上に直接配置されている場合には、接着性にも優れる圧電素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

圧電体コンポジットと、前記圧電体コンポジットを挟むように配置され、前記圧電体コンポジットに電圧印加するための対向電極と、を有する圧電素子であって、前記圧電体コンポジットは、前記対向電極の対向方向に直交する方向において1〜10μmの間隔で並列し、並列方向における長さに対する前記対向方向における長さの比が5以上である複数の圧電体と、前記複数の圧電体の隙間に満たされている、エラストマー成分架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物反応生成物と、を有し、前記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、前記架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である、圧電素子。

請求項2

前記対向電極は、前記圧電体の両端面と前記反応生成物の両端面とに配置されている、請求項1に記載の圧電素子。

請求項3

前記エラストマー成分は、数平均一次粒径が1μm以下のエラストマー粒子である、請求項1または2に記載の圧電素子。

請求項4

前記エラストマー成分は、シリコーンエラストマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項5

前記架橋性エポキシ樹脂は、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂を含み、前記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂は、エポキシ基を含む構成単位を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項6

前記架橋性エポキシ樹脂は、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂を含み、前記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂は、構成単位を有しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項7

前記架橋性エポキシ樹脂は、その分子構造中に芳香族環を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項8

前記架橋剤は、チオール基を有し、前記反応生成物および前記圧電体は、前記チオール基の硫黄原子を介して互いに結合している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項9

前記架橋性エポキシ樹脂組成物は、金属アルコキシド化合物をさらに含有し、前記反応生成物および前記圧電体は、前記金属アルコキシド化合物の残基を介して互いに結合している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧電素子。

請求項10

請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧電素子を有する、超音波探触子

請求項11

請求項10に記載の超音波探触子を有する、超音波撮像装置

請求項12

1〜10μmの間隔で並列し、並列方向における長さに対する、前記並列方向に沿う平面を横断する高さ方向における長さの比が5以上である複数の圧電体の隙間に、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂、および架橋剤を含有し、前記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、前記架橋剤の価数との一方または両方が3以上である架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する工程と、前記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基と前記架橋剤の架橋性官能基とを互いに反応させることで、前記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物を形成して、圧電体コンポジットを得る工程と、前記高さ方向における前記圧電体コンポジットの両端面に、前記圧電体に電圧を印加するための対向電極を形成する工程と、を含む、圧電素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、圧電素子、その製造方法、超音波探触子および超音波撮像装置に関する。

背景技術

0002

医療分野において利用されている超音波撮像装置は、圧電素子を備えた超音波探触子を有する。当該圧電素子としては、例えば、複数の圧電体、および当該複数の圧電体の隙間に満たされている架橋性エポキシ樹脂組成物反応生成物硬化物)を有する圧電体コンポジットと、当該圧電体コンポジットに電圧印加するための対向電極と、を有する圧電素子が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。

0003

従来の圧電素子では、圧電体のアスペクト比を高くし、かつ複数の圧電体の間隔を小さくしすぎると、隣り合う圧電体間で相互作用が生じて、圧電素子の電気機械結合係数が低下することがある。

0004

隣り合う圧電体間の相互作用に起因する上記電気機械結合係数の低下を抑制する観点から、柔軟な変性シリコーンゴム粒子が、上記反応生成物に含有されている圧電素子が知られている(例えば、特許文献3参照)。

0005

しかしながら、上記反応生成物が、シリコーンゴムのように柔軟なエラストマーを含有している場合、上記圧電体および上記反応生成物の接着性が不十分となり、圧電素子の製造時に、上記反応生成物が上記圧電体コンポジットから剥離して、加工性が不十分となることがある。また、上記反応生成物の両端面に上記対向電極が直接配置されている場合には、上記対向電極および上記反応生成物の接着性が不十分となり、上記対向電極が上記圧電体コンポジットから剥離することがある。さらに、消毒液などの薬品、および人の皮膚に含まれる脂肪酸の影響により、エポキシ樹脂膨潤し、超音波探触子の感度が低下することがある。

0006

以上のように、従来の圧電素子では、電気機械結合係数と、上記圧電体コンポジットの加工性と、上記反応生成物および上記電極の接着性と、化学的耐久性とのいずれをも満足させる観点から検討の余地がある。

先行技術

0007

特開平6−224487号公報
特開2015−015343号公報
特開2016−025611号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の第1の課題は、隣り合う圧電体間で生じる相互作用を抑制できるとともに、加工性および耐久性に優れるとともに上記対向電極が、上記反応生成物の上に直接配置されている場合には、接着性にも優れる圧電素子を提供することである。

0009

本発明の第2の課題は、長期に亘って高い感度を有する超音波探触子を提供することである。

0010

本発明の第3の課題は、高い空間分解能で被検体超音波画像を長期に亘って得ることができる超音波撮像装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明に係る上記第1の課題を解決するための圧電素子は、圧電体コンポジットと、上記圧電体コンポジットを挟むように配置され、上記圧電体コンポジットに電圧を印加するための対向電極と、を有する。上記圧電体コンポジットは、上記対向電極の対向方向に直交する方向において1〜10μmの間隔で並列し、並列方向における長さに対する上記対向方向における長さの比が5以上である複数の圧電体と、上記複数の圧電体の隙間に満たされている、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物と、を有する。上記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。

0012

本発明に係る上記第2の課題を解決するための超音波探触子は、上記圧電素子を有する。

0013

本発明に係る上記第3の課題を解決するための超音波撮像装置は、上記超音波探触子を有する。

0014

本発明に係る上記第1の課題を解決するための圧電素子の製造方法は、1〜10μmの間隔で並列し、並列方向における長さに対する、上記並列方向に沿う平面を横断する高さ方向における長さの比が5以上である複数の圧電体の隙間に、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂、および架橋剤を含有し、上記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数との一方または両方が3以上である架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する工程と、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基と上記架橋剤の架橋性官能基とを互いに反応させることで、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物を形成して、圧電体コンポジットを得る工程と、上記高さ方向における上記圧電体コンポジットの両端面に、上記圧電体に電圧を印加するための対向電極を形成する工程と、を含む。

発明の効果

0015

本発明によれば、隣り合う圧電体間で生じる相互作用を抑制できるとともに、加工性および耐久性に優れる圧電素子を提供することができる。また、上記対向電極が、上記反応生成物上に直接配置されている場合には、上記反応生成物および上記対向電極の接着性にも優れる圧電素子を提供することができる。また、長期に亘って高い感度を有する超音波探触子を提供することもできる。さらに、高い空間分解能で被検体の超音波画像を長期に亘って得ることができる超音波撮像装置を提供することもできる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、実施の形態に係る圧電素子の構成の一例を示す斜視図である。
図2A〜Eは、実施の形態に係る圧電素子の第1の製造方法を説明するための模式図である。
図3A〜Fは、実施の形態に係る圧電素子の第2の製造方法を説明するための模式図である。
図4A、Bは、変形例に係る圧電体の形状を示す図である。
図5は、圧電体基板から柱状の圧電体を有する圧電素子を製造する工程の一例の前半部を模式的に示す図である。
図6は、圧電体基板から柱状の圧電体を有する圧電素子を製造する工程の一例の後半部を模式的に示す図である。
図7は、本実施の形態に係る超音波探触子の構成の一例を示す断面模式図である。
図8Aは、実施の形態に係る超音波撮像装置の構成の一例を模式的に示す図であり、図8Bは、超音波撮像装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。

0017

[圧電素子の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧電素子130の構成の一例を示す斜視図である。本実施の形態に係る圧電素子130は、圧電体コンポジット10と、圧電体コンポジット10に電圧を印加するための対向電極30と、を有する。なお、図1において、X方向を圧電体11の高さ方向とし、Y方向を圧電体11の長さ方向とし、Z方向を圧電体11の厚み方向とした。X方向は、対向電極30の対向方向と一致している。Z方向は、圧電体11の並列方向と一致している。なお、圧電体11の高さ方向(X方向)は、圧電体11の並列方向に沿う平面(YZ平面)を横断する方向である。また、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交している。

0018

(圧電体コンポジット)
本実施の形態に係る圧電体コンポジット10は、複数の圧電体11と、架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12とを有する。本実施の形態では、複数の圧電体11と、複数の反応生成物12とは、Z方向において交互に配列されている。複数の圧電体11は、Z方向において、反応生成物12を介して互いに離間して配列されている。

0019

なお、本明細書中、「圧電体コンポジット」とは、複数の微細化された圧電体と、隣り合う圧電体の隙間に満たされている架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物(硬化物)と、を有する圧電部材を意味する。微細化された圧電体とは、X方向における長さが、50〜600μmであり、Y方向における長さが、2〜300μmであり、Z方向における長さが、0.002〜30mmである圧電体を意味する。

0020

上記対向方向(X方向)に直交する方向(Z方向およびY方向)における、隣り合う圧電体11の間隔は、1〜10μmである。当該間隔が小さすぎると、圧電素子130の製造が困難となるとともに、隣り合う圧電体11間で相互作用が生じて、圧電素子130の電気機械結合係数が不十分となることがある。上記間隔が大きすぎると、超音波に対する感度が不十分となることがある。このような観点から、上記間隔は、2〜8μmであることが好ましく、3〜6μmであることがより好ましい。

0021

圧電体11の並列方向(Z方向)における圧電体11の長さに対する、上記対向方向における圧電体11の長さの比(以下、「アスペクト比」ともいう)は、5以上である。上記アスペクト比が小さすぎると、X方向以外の方向における圧電体11の不要な振動が大きくなり、隣り合う圧電体11に振動が伝わって、結果として、電気機械結合係数が不十分となることがある。圧電体11が板形状である場合、圧電体11の長さ方向(Y方向)における圧電体11の長さに対する、上記対向方向における圧電体11の長さの比も、5以上であることが好ましい。上記アスペクト比の上限値は、所期の電気機械結合係数が得られればよく、例えば、100である。このような観点から、上記アスペクト比は、10〜20であることが好ましい。

0022

圧電体11の形状は、圧電体コンポジット10の形状に応じて適宜変更されうる。圧電体11の形状の例には、柱形状および板形状が含まれる。本実施の形態に係る圧電体11の形状は、板形状である。

0023

圧電体11の材料は、圧電体11の材料として使用されうる公知の圧電材料が含まれる。圧電体11の材料の例には、チタン酸ジルコン酸鉛PZT)、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)、亜鉛ニオブ酸チタン酸鉛(PZN−PT)、スカンジウムニオブ酸チタン酸鉛(PSN−PT)、インジウムニオブ酸チタン酸鉛(PIN−PT)、インジウムマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PIN−PMN−PT)、水晶ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、およびタンタル酸リチウム(TaTiO3)が含まれる。

0024

圧電体11の大きさは、圧電体コンポジット10の大きさや、所期の比誘電率、超音波の周波数、圧電体11の材料の共振周波数フォーカス距離などに応じて適宜変更されうる。たとえば、上記対向方向における圧電体11の長さは、50〜600mmであることが好ましい。たとえば、圧電体11の配列方向であって、X方向に直交する方向における圧電体11の長さの最小値(Z方向における圧電体11の長さ)は、0.002〜30mmであることが好ましく、0.005〜20mmであることがより好ましい。圧電体11の配列方向であって、X方向に直交する方向における圧電体11の長さの最大値(Y方向における圧電体11の長さ)は、2〜300μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましい。

0025

反応生成物12は、隣り合う圧電体11を所定の間隔で固定する。反応生成物12は、複数の圧電体11の隙間に満たされている。反応生成物12は、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物である。より具体的には、反応生成物12は、架橋性エポキシ樹脂組成物において、架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基と、架橋剤の架橋性官能基とが互いに反応することにより得られる反応生成物である。以下、反応生成物12を構成する各成分について説明する。当該架橋性エポキシ樹脂組成物において、上記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。

0026

上記エラストマー成分は、弾性を有する樹脂またはゴムである。上記エラストマー成分が、反応生成物12に含有されることにより反応生成物12に弾性が付与されて、隣り合う圧電体11間の相互作用による電気機械結合係数の低下が抑制されうる。上記エラストマー成分は、エラストマー粒子として反応生成物12に含有されていてもよいし、架橋性エポキシ樹脂の骨格成分として反応生成物12に含有されていてもよい。

0027

上記エラストマー成分は、反応生成物12において、ある程度相分離した状態で含有されていることが好ましい。これにより、反応生成物12における所期の弾性が付与されうる。このような観点から、上記エラストマー成分は、エラストマー粒子として反応生成物12に含有されていることが好ましい。また、上記エラストマー成分がエラストマー粒子である場合、上記エラストマー粒子の数平均一次粒径は、0.05〜3μmであることが好ましく、0.1〜1μm以下であることがより好ましい。上記エラストマー粒子の数平均一次粒径は、隣り合う圧電体11の間隔に応じて適宜調整されうる。上記エラストマー粒子の数平均一次粒径は、例えば、反応生成物12の電子顕微鏡観察によって、測定されうる。

0028

上記エラストマー粒子を構成するエラストマーは、所期の弾性に応じて適宜選択されうる。上記エラストマー粒子を構成するエラストマーの例には、シリコーンゴム、アクリルゴムウレタンゴムニトリルゴムおよびブタジエンゴムが含まれる。上記エラストマー成分を適度に相分離させる観点からは、上記エラストマー粒子を構成するエラストマーは、シリコーンエラストマーであることが好ましい。

0029

また、上記エラストマー成分が、上記架橋性エポキシ樹脂の骨格成分として反応生成物12に含有されている場合、上記架橋性エポキシ樹脂におけるエラストマー骨格部分の数平均分子量は、50〜10000であることが好ましい。当該数平均分子量が小さすぎると、反応生成物12の所期の弾性が得られないことがある。また、上記数平均分子量が大きすぎると、所期の加工性、接着性および耐久性が得られないことがある。反応生成物12の柔軟性および接着性の観点から、上記エラストマー骨格部分の数平均分子量は、100〜2000であることがより好ましい。なお、エラストマー骨格部分のガラス転移温度は、例えば、25℃以下である。

0030

上記エラストマー骨格部分を構成するエラストマーは、所期の弾性に応じて適宜選択されうる。上記エラストマー骨格部分を構成するエラストマーは、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、プロピレンオキサイドポリエチレンオキサイド、アクリルゴム、およびこれらの水添加物であることが好ましい。中でも、上記エラストマー骨格部分を構成するエラストマーは、シリコーンゴム、ブタジエンゴムおよびこれらの水添加物であることがさらに好ましい。

0031

反応生成物12における上記エラストマー成分の含有量は、100質量部の反応生成物12に対して5〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。当該含有量が小さすぎると、電気機械結合係数が不十分となることがある。上記含有量が多すぎると、反応生成物12の硬さが低下し、反応生成物12および圧電体11間の接着性と、反応生成物12および対向電極30間の接着性とが不十分となったり、圧電素子130の耐久性が不十分となったりすることがある。上記含有量は、エラストマー成分の種類に応じて適宜調整されうる。

0032

上記架橋性エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する。前述のとおり、上記架橋性エポキシ樹脂組成物は、三官能以上の上記架橋性エポキシ樹脂と、三価以上の上記架橋剤との一方または両方を含有する。三官能未満の架橋性エポキシ樹脂としては、公知の架橋性エポキシ樹脂が使用されうる。

0033

上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、80〜6000g/molであることが好ましく、100〜5000g/molであることがより好ましく、150〜3000g/molであることがさらに好ましい。上記エポキシ当量が小さいほど、単位体積あたりのエポキシ基の数が多くなりすぎ、反応生成物12において残存する未反応のエポキシ基の数が多くなる傾向がある。この結果として、残存したエポキシ基が、分解したり、反応したりすることによって、反応生成物12の物性が経時に変化して、圧電素子130の耐久性が低下することがある。一方で、上記エポキシ当量が大きすぎると、単位体積あたりのエポキシ基の数が不十分となることがある。この結果として、反応生成物12における架橋密度が小さくなり、反応生成物12の強度が不十分となって、所期の加工性、接着性および耐久性が得られないことがある。

0034

上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、150〜50000であることが好ましく、200〜30000であることがより好ましい。当該重量平均分子量が小さすぎると、上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂の揮発性が高くなり、上記架橋性エポキシ樹脂組成物から上記架橋性エポキシ樹脂が揮発し、結果として、反応生成物12の強度が不十分となって、所期の加工性、接着性および耐久性が得られないことがある。上記重量平均分子量が大きすぎると、上記架橋性エポキシ樹脂の溶解性が低下して、上記架橋性エポキシ樹脂組成物に十分な量の上記架橋性エポキシ樹脂を含有させることが困難になり、結果として、反応生成物12の強度が不十分となって、所期の加工性、接着性および耐久性が得られないことがある。また、上記重量平均分子量が大きすぎると、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、高いアスペクト比を有する圧電体11の隙間に、上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填することが困難になることもある。

0035

上記架橋性エポキシ樹脂の種類は、上記架橋性エポキシ樹脂の反応性、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の保存安定性耐薬品性、および架橋剤の種類に応じて適宜選択されうる。上記架橋性エポキシ樹脂の種類の例には、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂フェノールノボラック型エポキシ樹脂クレゾールノボラック型エポキシ樹脂ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂シアヌル酸型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、および長鎖脂肪族型エポキシ樹脂が含まれる。上記架橋性エポキシ樹脂組成物の保存安定性を高める観点からは、上記架橋性エポキシ樹脂の種類は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、またはグリシジルエステル型エポキシ樹脂であることが好ましい。

0036

上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、下記式(1)で表される化合物との反応生成物と同じ構造を有することが好ましい。より具体的には、上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、下記式(1)で表される化合物の水酸基とが付加反応して得られるクロロヒドリン水酸化ナトリウムなどの塩基閉環することによって得られる反応生成物と同じ構造を有することが好ましい。なお、上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が有するエポキシ基の一部は、開環されていてもよい。
R1(OH)m (1)

0037

上記式(1)において、mは、3〜30の整数であり、R1は、炭素原子数2〜200の炭化水素基、炭素原子数2〜300の、オキシ基を含む炭化水素基、または炭素原子数3〜50の、イソシアヌレート環を含む炭化水素基である。溶解性の観点からは、mは、3〜20であり、かつR1は、炭素原子数2〜150の炭化水素基であることが好ましく、またはmは、2〜20であり、かつR1は、炭素原子数2〜150の、オキシ基を含む炭化水素基であることが好ましい。

0038

上記式(1)で表される化合物のうち、R1が炭素原子数2〜150の炭化水素基である化合物の例には、グリセリンペンタエリスリトールフェノールノボラッククレゾールノボラックトリメチロールプロパンおよびビスフェノールAが含まれる。

0039

上記式(1)で表される化合物のうち、R1が、炭素原子数2〜150の、オキシ基を含む炭化水素基である化合物の例には、ジペンタエリスリトールが含まれる。

0040

上記グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、エポキシ基を有するグリシジルメタアクリレートなどの化合物同士の反応生成物と同じ構造を有するか、または当該化合物と、炭素原子数4〜25のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合反応による反応生成物(重合平均分子量は500〜20000)と同じ構造を有することが好ましい。なお、本明細書中、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味する。

0041

また、上記グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、下記式(2)で表される化合物との反応生成物と同じ構造を有することが好ましい。より具体的には、上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、下記式(2)で表される化合物のカルボキシル基とが付加反応して得られるクロロヒドリンを水酸化ナトリウムなどの塩基で閉環することで得られる反応生成物と同じ構造を有することが好ましい。なお、上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が有するエポキシ基の一部は、開環されていてもよい。
R2(COOH)n (2)

0042

上記式(2)において、nは、2〜8の整数であり、R2は、炭素原子数2〜20の炭化水素基、炭素原子数2〜30の、オキシ基を含む炭化水素基、または炭素原子数3〜50の、イソシアヌレート環を含む炭化水素基である。溶解性の観点からは、nは3〜4であり、かつR2は、炭素原子数2〜10の炭化水素基であることが好ましく、nは3〜6であり、かつR2は、炭素原子数2〜30の、オキシ基を含む炭化水素基であることが好ましく、またはnは3であり、かつR2は、炭素原子数9〜50の、イソシアヌレート環を含む炭化水素基であることが好ましい。

0043

上記式(2)で表される化合物のうち、nが3〜4であり、かつR2が、炭素原子数2〜10の炭化水素基である化合物の例には、トリメリット酸およびピロメリット酸が含まれる。

0044

上記式(2)で表される化合物のうち、nが3〜6であり、かつR2が、炭素原子数2〜30のオキシ基を含む炭化水素基である化合物の例には、ペンタエリスリトールおよび無水トリメリット酸の反応生成物が含まれる。

0045

上記式(2)で表される化合物のうち、nが3であり、かつR2が、炭素原子数9〜50の、イソシアヌレート環を含む炭化水素基である化合物の例には、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチルイソシアヌレートが含まれる。

0046

上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂および上記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例には、下記一般式(1)で表される化合物が含まれる。

0047

0048

上記一般式(1)において、nは、1以上の整数であり、R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子またはメチル基である。

0049

上記ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の例には、下記式(3)で表される化合物が含まれる。

0050

0051

上記化学式(3)において、nは、1〜10の整数である。

0052

上記シアヌル酸型エポキシ樹脂の例には、下記一般式(2)で表される化合物が含まれる。

0053

0054

上記一般式(2)において、n1、n2およびn3は、それぞれ2〜6の整数であり、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。当該アルキル基の例には、メチルエチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピルn−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、1−メチル−シクロプロピル、2−メチル−シクロプロピル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、1,2−ジメチル−n−プロピル、2,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−n−ブチル、シクロペンチル、1−メチル−シクロブチル、2−メチル−シクロブチル、3−メチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロプロピル、2,3−ジメチル−シクロプロピル、1−エチル−シクロプロピル、2−エチル−シクロプロピル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1,2−ジメチル−n−ブチル、1,3−ジメチル−n−ブチル、2,2−ジメチル−n−ブチル、2,3−ジメチル−n−ブチル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、1−エチル−1−メチル−n−プロピル、1−エチル−2−メチル−n−プロピル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロペンチル、2−メチル−シクロペンチル、3−メチル−シクロペンチル、1−エチル−シクロブチル、2−エチル−シクロブチル、3−エチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロブチル、1,3−ジメチル−シクロブチル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2,3−ジメチル−シクロブチル、2,4−ジメチル−シクロブチル、3,3−ジメチル−シクロブチル、1−n−プロピル−シクロプロピル、2−n−プロピル−シクロプロピル、1−i−プロピル−シクロプロピル、2−i−プロピル−シクロプロピル、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル、および2−エチル−3−メチル−シクロプロピルが含まれる。

0055

上記一般式(2)で表される化合物の具体例には、下記式(2−1)〜(2−5)で表される化合物が含まれる。

0056

0057

加工性、接着性および耐久性を高める観点からは、上記架橋性エポキシ樹脂は、芳香族環を有することが好ましい。これは、反応生成物12における芳香族環が、互いに相互作用することによって、反応生成物12における架橋密度が高まり、十分な強度の反応生成物12が得られるためである。

0058

加工性、接着性および耐久性を高める観点からは、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂は、エポキシ基を含む構成単位を有することが好ましい。すなわち、架橋性エポキシ樹脂は、三官能以上の多量体型架橋性エポキシ樹脂であることが好ましい。これにより、末端部にのみエポキシ基を有する、二官能の多量体型架橋性エポキシ樹脂と比較して、架橋生生物12における架橋密度が高まり、十分な強度の反応生成物12が得られるためである。

0059

また、同様の観点から、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂は、構成単位を有しないことが好ましい。すなわち、架橋性エポキシ樹脂は、三官能以上の単量体型架橋性エポキシ樹脂であることが好ましい。これにより、末端部にのみエポキシ基を有する二官能の多量体型架橋性エポキシ樹脂と比較して、架橋生生物12における架橋密度が高まり、十分な強度の反応生成物12が得られるためである。

0060

上記架橋性エポキシ樹脂は、合成されてもよいし、市販品であってもよい。たとえば、上記架橋性エポキシ樹脂は、二重結合を含有する化合物を過酸化物酸化することによって合成されうる。

0061

上記三官能未満の架橋性エポキシ樹脂の市販品の例には、三菱化学株式会社製のjER152(二官能、「jER」は、同社登録商標、以下省略)、154、および180Sが含まれる。上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂の市販品の例には、DIC株式会社製のエピクロンN−740(「エピクロン」は、同社の登録商標、以下省略)、N−770、N−775、N−660、N−665、N−680、およびN−695;東都化成株式会社製のYDPN638、YDPN638P、YDCN701、YDCN702、YDCN703、およびYDCN704;、ダウケミカル社製のDEN431、DEN438、およびDEN439;日本化薬株式会社製のNC3000、NC3000−FH、NC3000−H、NC3000−L、およびNC3100;株式会社プリンテック社製のTECHMORE VG3101(三官能、「TECHMORE」は、同社の登録商標);四国化成工業株式会社製のTG−G(四官能);ならびに、日産化学工業株式会社製のTEPIC−UC(六官能、「TEPIC」は、同社の登録商標)、TEPIC−VL(三官能)、TEPIC−L(三官能)、TEPIC−FL(三官能)およびTEPIC−PAS(三官能)が含まれる。

0062

前述のとおり、上記エラストマー成分は、エラストマー粒子として反応生成物12に含有されていてもよい。この場合、上記エラストマー成分をエラストマー粒子として含有している上記架橋性エポキシ樹脂の市販品の例には、株式会社日本触媒製のアクリセットBPA328(二官能、「アクリセット」は、同社の登録商標、以下省略)およびBPF307(二官能);株式会社カネカ製のカネエースMX−136(二官能、「カネエース」は、同社の登録商標、以下省略)、MX−153(二官能)、MX−154(二官能)、MX−217(三官能以上)、MX−227M75(三官能以上)、MX−257(二官能)、MX−334M75、MX−416(四官能)、MX−451(三官能)、MX−960(二官能)およびMX−965(二官能);ならびにEvonik社製のALBIPOX1000(「ALBIPOX」は登録商標、以下省略)、1005、1006、2000、2002、3001、ALBIDURE EP2240(二官能、「ALBIDURE」は登録商標、以下省略)およびEP5340(二官能)が含まれる。

0063

前述のとおり、上記エラストマー成分は、架橋性エポキシ樹脂の骨格成分として反応生成物12に含有されていてもよい。この場合、上記エラストマー成分を骨格成分として含有している架橋性エポキシ樹脂であるエラストマー型エポキシ樹脂は、上記エラストマー骨格部分の両末端にエポキシ基を有する。当該エラストマー型エポキシ樹脂の例には、1,2−ポリブタジエン変性ビスフェノールグリシジルエーテル、1,4−ポリブタジエン変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、ポリプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、ポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、アクリルゴム変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、ウレタン樹脂変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、ポリエステル樹脂変性ビスフェノールAグリシジルエーテル、1,2−ポリブタジエン変性グリシジルエーテル、1,4−ポリブタジエン変性グリシジルエーテル、ポリプロピレンオキサイド変性グリシジルエーテル、ポリエチレンオキサイド変性グリシジルエーテル、アクリルゴム変性グリシジルエーテル、ウレタン樹脂変性グリシジルエーテル、ポリエステル樹脂変性グリシジルエーテル、およびこれらの水添加物が含まれる。

0064

上記エラストマー型エポキシ樹脂の市販品の例には、DIC株式会社製のEPICLON EXA−4816(「EPICLON」は、同社の登録商標、以下省略)、EXA−4822、EXA−4850−150、EXA−4850−1000、TSR−601、およびTSR−960;株式会社ADEKA社製のアデカレジンEBRシリーズ(「アデカレジン」は、同社の登録商標、以下省略)、およびEPUシリーズ、;株式会社テスク社製のC−1116A/B;コトロクス社製のデュルコ4583;Evonic社製のAlbiflex296、348、XP544、および712;株式会社ダイセル製のエポフレンドAT501、およびCT310;ダウ・ケミカル社製のD.E.R.732;ならびに日本曹達株式会社製のEPB−13が含まれる。

0065

上記架橋性エポキシ樹脂は、一種であってもよいし、それ以上であってもよい。上記架橋性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ当量および反応生成物12における架橋密度を調整したり、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の粘度を調整したりする観点からは、上記架橋性エポキシ樹脂は、二種以上であることが好ましい。たとえば、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が、上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂および三官能未満の架橋性エポキシ樹脂を含有する場合、上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ当量で、5〜80%であり、10〜60%であることが好ましい。

0066

上記架橋剤は、反応生成物12において、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基を架橋している。当該架橋剤は、架橋性官能基を有する。当該架橋性官能基とは、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基と反応しうる基である。たとえば、上記架橋剤が、チオール基を有するメルカプト系架橋剤である場合、上記架橋性官能基は、チオール基である。また、上記架橋剤の価数とは、1つの上記架橋剤が反応しうるエポキシ基の数をいう。たとえば、上記架橋剤がメルカプト系架橋剤である場合、上記架橋剤の価数は、チオール基の数と同じである。

0067

上記架橋剤としては、架橋性エポキシ樹脂の架橋剤として使用されうる公知の架橋剤が使用されうる。上記架橋剤の種類の例には、メルカプト系架橋剤、酸無水物系架橋剤、およびアミン系架橋剤が含まれる。加工性および接着性を高める観点からは、上記架橋剤の種類は、メルカプト系架橋剤であることが好ましい。メルカプト系架橋剤のチオール基の硫黄原子が、圧電体10および対向電極30にそれぞれ結合して、反応生成物12および対向電極30間の接着性と、反応生成物12および圧電体10間の接着性とが高まるためである。

0068

上記架橋剤の例には、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオントリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(TEMB)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(TPMB)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)(DPMP)、およびテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(EGMP−4)が含まれる。上記架橋剤の他の例には、特開平9−40758号公報、特開平10−77334号公報、および特開平11−209459号公報に記載されているような架橋剤が含まれる。

0069

上記架橋剤は、合成されてもよいし、市販品であってもよい。上記架橋剤の市販品の例には、昭和電工株式会社製のカレンMTPE1(四価、「カレンズMT」は、同社の登録商標、以下省略)、カレンズMT NR1(三価)、TEMB(三価)およびTPMB(三価);四国化成工業株式会社製のTS−G(四価);ならびにSC有機化学株式会社製のTMMP(三価)、TEMPIC(三価)、PEMP(四価)、DPMP(六価)、EGMP−4(二価)および三菱化学株式会社製のST12(二価)が含まれる。上記架橋剤は、一種であってもよいし、それ以上であってもよい。

0070

上記架橋性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて添加剤をさらに含有していてもよい。当該添加剤の例には、金属アルコキシド化合物が含まれる。

0071

加工性および接着性を高める観点からは、架橋性エポキシ樹脂組成物は、上記金属アルコキシド化合物をさらに含有することが好ましい。上記架橋性エポキシ樹脂組成物が、上記金属アルコキシド化合物をさらに含有する場合、上記金属アルコキシド化合物の残基が、反応生成物12、圧電体11および対向電極30にそれぞれ結合して、反応生成物12および圧電体11間の接着性と、反応生成物12および対向電極30間の接着性とが高まるためである。

0072

上記金属アルコキシド化合物の種類は、本発明の効果が得られる範囲内において、適宜選択されうる。上記金属アルコキシド化合物の金属原子の例には、アルミニウムジルコニウムチタンケイ素、スズおよびバリウムが含まれる。

0073

上記金属アルコキシド化合物の例には、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリプロポキシジルコニウム、2−イソシアネートエチルトリブトキシスズなどのモノイソシアネートトリアルコキシメタル;3−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジイソプロポキシチタン、2−イソシアネートエチルエチルジプロポキシジルコニウム、2−イソシアネートエチルメチルジブトキシスズ、イソシアネートメチルジブトキアルミニウムなどのモノイソシアネートジアルコキシメタル;3−イソシアネートプロピルジエチルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルイソプロポキシチタン、2−イソシアネートエチルジエチルプロポキシジルコニウム、2−イソシアネートエチルジメチルブトキシスズ、イソシアネートメチルメチルメトキシアルミニウムなどのモノイソシアネートモノアルコキシメタル;ジ(3−イソシアネートプロピル)ジエトキシシラン、ジ(3−イソシアネートプロピル)メチルイソプロポキシチタンなどのジイソシアネートアルコキシメタル類;ならびに、エトキシシラントリイソシアネートなどのトリイソシアネートアルコキシメタルが含まれる。

0074

上記金属アルコキシド化合物の他の例には、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシチタン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロポキシチタン、γ−グリシドキシプロピルジメチルイソプロポキシチタン、3,4−エポキシブチルトリプロポキシジルコニウム、3,4−エポキシブチルメチルジプロポキシジルコニウム、3,4−エポキシブチルジメチルプロポキシジルコニウム、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシスズなどのエポキシ基を有する金属アルコキシド化合物;メチルトリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラントリエチルエトキシシラン、トリイソプロピルイソプロポキシシランなどのアルキルアルコキシシラン;3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピルコハク酸無水物などの酸無水物型の金属アルコキシド;2−(4−クロスルフォニルフェニル)エチルトリエトキシシランなどの酸ハロゲン化物型の金属アルコキシド;ならびに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基またはメルカプト基を有するアルコキシシランが含まれる。

0075

上記金属アルコキシド化合物は、一種であってもよいし、それ以上であってもよい。

0076

反応生成物12の含有成分は、熱分解GC−MSや示差走査熱量測定DSC)、膨潤度測定、元素分析などの公知の機器分析技術による分析によって確認されうる。たとえば、熱分解MSスペクトル分析によって反応生成物12の含有成分の分子構造推定されうる。また、DSCによって測定されるガラス転移温度Tgと、膨潤度測定によって測定される膨潤度とによって、反応生成物12の含有成分が推定されうる。

0077

また、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数とは、Tgや膨潤度などの物性値と、検量線または理論値とを互いに比較することによって推定されうる。上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数とが増えると、反応生成物12における架橋密度が高くなるため、膨潤度は低くなり、かつTgは高くなる傾向にある。すなわち、上記エポキシ基の数および上記価数と、膨潤度やTgなどの物性値との関係を示す検量線、または当該物性値の理論値に基づいて、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数とを推定することができる。

0078

対向電極30は、圧電体コンポジット10を挟むように配置されている、圧電体コンポジット10に電圧を印加するための一対の電極である。対向電極30は、少なくとも圧電体11の両端面に配置されている。本実施の形態では、対向電極30は、圧電体11の両端面と反応生成物12の両端面とに配置されている。対向電極30の材料は、公知の材料から適宜選択されうる。対向電極30の材料の例には、金、銀、白金パラジウムニッケルおよび銅が含まれる。

0079

[圧電素子の製造方法]
次いで、圧電素子130の製造方法について説明する。たとえば、圧電素子130は、下記の第1の製造方法または第2の製造方法によって製造されうる。

0080

(第1の製造方法)
図2A〜Eは、圧電素子130の第1の製造方法を説明するための模式図である。図2Aは、圧電体基板の形状を示す模式図であり、図2Bは、ダイシングされた圧電体基板(以下、単に「ダイシング基板1d」ともいう)の形状を示す模式図であり、図2Cは、エッチング後のイシング基板1d(以下、単に「エッチング基板1e」ともいう)の形状を示す模式図であり、図2Dは、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が複数の圧電体11の隙間に充填され、硬化された状態を示す模式図であり、図2Eは、製造された圧電素子130を示す模式図である。

0081

第1の製造方法は、圧電体基板1をダイシングするダイシング工程と、ダイシング基板1dをエッチングするエッチング工程と、エッチング基板1eにおいて、複数の圧電体11の隙間に上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する充填工程と、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する架橋工程と、対向電極30を形成する電極形成工程と、を含む。

0082

1)ダイシング工程
まず、圧電体基板1を準備する(図2A参照)。圧電体基板1には、ダイシングによってY方向に沿う複数の切れ込みが形成される(図2B参照)。ダイシングにより、複数の板状の圧電体切片2が形成される。圧電体切片2は、それぞれが切り離されていてもよいが、並立する複数の圧電体切片2のいずれもが圧電体基体1から一体的に接続していることが、圧電体切片2の取り扱いを容易にする観点から好ましい。本実施の形態では、圧電体切片2は、圧電体基板1から一体的に接続されている。このような圧電体切片2群は、圧電体基板1のX方向における一端部を残して切れ込みを入れることで形成される。これにより、ダイシング基板1dが得られる。

0083

圧電体切片2のX方向における長さ(高さ)は、ダイシングによる切れ込み長さによって決定される。圧電体切片2の高さは、所望の高さの圧電体11を形成する観点から、適宜変更されうる。たとえば、圧電体切片2の高さは、120〜425μmである。

0084

圧電体切片2のZ方向における長さ(厚み)は、ダイシングによる切れ込みの間隔(ピッチ)によって決定される。圧電体切片2の厚みは、所望の厚みの圧電体11を形成する観点から、適宜変更されうる。圧電体切片2の厚みは、圧電素子130における圧電体11の厚みよりもエッチング工程でエッチングさける分だけ厚い。たとえば、圧電体切片2の厚みは、40〜110μmである。

0085

2)エッチング工程
次いで、ダイシング基板1dは、エッチング液に浸漬され、エッチングされる(図2C参照)。エッチングにより、複数の圧電体切片2は、いずれも実質的に一定なエッチングに供され、圧電体切片2において、一定の所期の高さおよび厚みを有するように成形される。これにより、エッチング基板1eが得られる。

0086

上記エッチング液は、調製されてもよいし、市販品であってもよい。上記エッチング液は、例えば、0.1〜20質量%のフッ化アンモニウムと、0.1〜20質量%の硝酸とを含有する。上記エッチング液の残りの成分は、通常、水である。上記エッチング液の市販品の例には、林純薬工業株式会社製のPure Etch PT303が含まれる。

0087

フッ化アンモニウムは、鉛成分以外を溶解させるとともに、不溶性不動態(フッ化鉛)を生成する。上記エッチング液におけるフッ化アンモニウムの含有量が0.1質量%未満であると、エッチングが不十分となることがあり、20%超であると、不動態の生成が速すぎて、均一なエッチングが行われなくなることがある。このような観点から、上記エッチング液におけるフッ化アンモニウムの含有量は、4〜10質量%であることが好ましい。

0088

硝酸は、フッ化アンモニウムおよび鉛成分に起因する不動態を溶解させる。上記エッチング液における硝酸の含有量が0.1質量%未満であると、不動態の除去が均一に行われずエッチングが不十分となることがあり、20%超であると、光に晒されたときに硝酸が分解し、失活してしまうことがある。このような観点から、上記エッチング液における硝酸の含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましい。

0089

上記エッチング液は、本実施の形態の効果を奏する範囲において、フッ化アンモニウムおよび硝酸以外の他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分の例には、フッ化ナトリウムおよびヘキサフルオロケイ酸が含まれる。上記他の成分は、一種でもよいし、それ以上であってもよい。フッ化ナトリウムは、上記エッチング液によるエッチングを促進させる。上記エッチング液におけるフッ化ナトリウムの含有量は、例えば、0.1〜19.9質量%である。また、ヘキサフルオロケイ酸は、複数の圧電体切片2間のエッチング速度を均一にする作用を呈する。上記エッチング液におけるヘキサフルオロケイ酸の含有量は、例えば、0.1〜19.9質量%である。

0090

エッチングは、ガラス製の容器(例えば、ガラスシャーレ)を用いて行われることが好ましい。これにより、フッ化アンモニウムおよび鉛成分に起因する不動態の生成をより効果的に抑制することができる。

0091

上記エッチング工程は、圧電体切片2の表面を上記エッチング液に十分に接触させることによって行うことができる。たとえば、上記エッチング工程は、適度に撹拌されている上記エッチング液に圧電体切片2を浸漬させることによって行うことができる。「適度な撹拌」とは、例えば、圧電体切片2の表面近傍におけるエッチング液の滞留を防止する(圧電体切片2の表面にエッチング液が供給され続ける)のに十分な撹拌速度での撹拌である。

0092

上記エッチングする工程におけるエッチング速度は、速すぎると複数の圧電体切片2間でのエッチングの進行が不均一となることがある。圧電体切片2同士の均一なエッチングの観点から、上記エッチング速度は1μm/分未満であることが好ましい。なお、上記エッチング速度の下限は、圧電素子130の生産性の観点から決めることができ、このような観点から、上記エッチング速度は、0.04μm/分以上であることが好ましい。

0093

上記エッチング速度は、エッチング液中の上記エッチング成分の含有量によって調整することが可能であり、例えば、当該含有量を多くすることによって上記エッチング速度を高めることができる。

0094

また、上記エッチング速度は、エッチング液の温度によって調整することが可能であり、例えば、エッチング液の温度を高くすることによって上記エッチング速度を高めることができる。エッチング液の温度は、上記のエッチング速度(1μm/分)を実現する観点から35℃以下であることが好ましい。エッチング液の温度の下限は、エッチング液が液体の状態を保てる範囲であればよいが、温度制御の簡略化の観点から常温(例えば25℃)であることが好ましい。

0095

さらに、上記エッチング速度は、エッチング液の撹拌の有無または撹拌速度によって調整することが可能であり、例えば、エッチング液の撹拌を強くすることによって上記エッチング速度を高めることができる。エッチング液の撹拌速度は、前述したように、圧電体切片2の表面近傍でのエッチング液の滞留を防止することができ、かつ、エッチング工程中に圧電体切片2のそれぞれが折れない程度であればよく、例えば、ガラスシャーレに収容されたエッチング液でエッチング工程を行う場合には、マグネティックスターラーで150rpm程度とすることができる。

0096

上記エッチング工程は、圧電体11の形状、表面粗さ、および配置の精密な制御に適している。たとえば、上記エッチング工程は、30μm以下の幅と80μm以上の高さとを有する圧電体切片2の形成に適している。

0097

なお、上記不動態を確実に除去する観点から、必要に応じて、エッチング後に熱水による洗浄希硝酸による洗浄、超音波洗浄またはこれらの組み合わせを行ってもよい。また、上記エッチング工程は、所期の大きさの圧電体11を得る観点から、複数回行われてもよい。

0098

3)充填工程
次いで、エッチング基板1eにおける複数の圧電体切片2の隙間に、上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する。複数の圧電体切片2の隙間に、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が充填された状態で、エッチング基板1eを放置するか、圧電体切片2群をZ方向において適度な圧力で挟むことによって、隣り合う圧電体切片2の間隔が調整されうる(図2D参照)。

0099

エッチング基板1eを放置する場合、当該間隔は、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の表面張力および粘度に応じて決定されうる。たとえば、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の粘度を高くすることによって、圧電体切片2の表面における上記架橋性エポキシ樹脂組成物の付着量をより多くする(上記表面に上記架橋性エポキシ樹脂組成物をより厚く付着させる)ことができる。このように、圧電体切片2間の間隔は、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の付着量に応じた特定の間隔に調整されうる。したがって、上記間隔は、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の含有成分に応じて調整されうる。

0100

また、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が、その粒径が調整された樹脂粒子を含有する場合には、圧電体切片2間に上記樹脂粒子が隣り合う圧電体切片2によって挟持されるように配置される。この結果として、隣り合う圧電体切片2の間隔は、上記樹脂粒子の粒径と同じ大きさに調整されうる。

0101

圧電体切片2が外力により歪む程度に圧電体切片2の幅が小さい場合には、エッチング基板1eにおける圧電体切片2の隙間に、硬化前の樹脂12が充填された状態で、外力により隣り合う圧電体切片2間の距離を小さくしてもよい。この場合、外力の大きさによって、上記間隔は、所期の長さに調整されうる。

0102

4)架橋工程
次いで、上記架橋性エポキシ樹脂のエポキシ基と上記架橋剤の架橋性官能基とを互いに反応させる。これにより、当該エポキシ基が当該架橋剤を介して架橋されて、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成することができる。たとえば、反応生成物12は、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が充填されたエッチング基板1eを室温(例えば、22〜26℃)の環境下に12時間放置した後、さらに50℃の環境下に3時間放置することで形成されうる。

0103

5)電極形成工程
最後に、圧電体切片2(圧電体11)と反応生成物12とが交互に配列されている圧電体コンポジット10以外の部分をX方向において切断し、X方向における圧電体コンポジット10の両端面に対向電極30を配置する(図2E参照)。対向電極30を形成する方法は、公知の方法から適宜に選択されうる。対向電極30を形成する方法の例には、スパッタリング真空蒸着、およびメッキが含まれる。たとえば、上記両端面上にクロムおよび金をこの順にスパッタリングによって形成すればよい。

0104

上記両端面は、対向電極30を配置する前に、その表面粗さを調整するため、あるいは、圧電体コンポジット10のX方向における厚さを調整するために研磨される。たとえば、その粒径が0.5μmまたは1、2μmの各種砥粒を用いるブラスト処理などの公知の方法によって行うことができる。上記端面の表面粗さは、例えば、形成される対向電極30の密着性(圧電体コンポジット10によるアンカー効果)を高める観点から、算術平均粗さRaで150〜250nmであることが好ましい。

0105

(第2の製造方法)
図3A〜Fは、圧電素子130の第2の製造方法を説明するための模式図である。図3Aは、圧電体基板の形状を示す模式図であり、図3Bは、1回目のダイシングをされた圧電体基板(以下、単に「第1のダイシング基板1d1」ともいう)の形状を示す模式図であり、図3Cは、補強剤13により補強された第1のダイシング基板1d1を示す模式図であり、図3Dは、2回目のダイシングをされた圧電体基板(以下、単に「第2のダイシング基板1d2」ともいう)の形状を示す模式図であり、図3Eは、上記架橋性エポキシ樹脂組成物が複数の圧電体11の隙間に充填され、硬化された状態を示す模式図であり、図3Fは、製造された圧電素子130を示す模式図である。

0106

第2の製造方法は、圧電体基板1をダイシングする第1のダイシング工程と、第1のダイシング基板1d1の切れ込みに補強剤13を充填する補強工程と、補強剤13が充填されたダイシング基板1d1をさらにダイシングする第2のダイシング工程と、第2のダイシング基板1d2における複数の圧電体切片2(圧電体11)の隙間に上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する充填工程と、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する架橋工程と、対向電極30を形成する電極形成工程と、を含む。

0107

1)第1のダイシング工程
まず、圧電体基板1を準備する(図3A参照)。第1の製造方法におけるダイシング工程と同様に、ダイシングによる切れ込みを圧電体基板1に形成して、第1のダイシング基板1d1を得る(図3B参照)。第1のダイシング工程により形成される圧電体切片2の厚みは、所望の厚みの圧電体11を形成する観点から、適宜変更されうる。

0108

2)補強工程
次いで、第1のダイシング基板1d1における切れ込みに補強剤13を充填し、硬化させる(図3C参照)。これにより、第1のダイシング基板1d1を補強するとともに、第1のダイシング基板1d1の外形をダイシングされる前の状態にすることができる。補強剤13の例には、フォトレジスト紫外線硬化性樹脂熱硬化性樹脂二液硬化性樹脂、およびワックスが含まれる。

0109

3)第2のダイシング工程
次いで、第1のダイシング基板1d1における切れ込みに硬化後の補強剤13が満たされた状態で、第1のダイシング基板1d1に、ダイシングによる切れ込みをさらに形成して、第2のダイシング基板1d2を得る(図3D参照)。より具体的には、第1のダイシング工程で形成された切れ込みと平行な切れ込みを一定の間隔で形成する。これにより、所期の厚みを有する複数の圧電体切片2が形成される。

0110

4)充填工程
次いで、第2のダイシング基板1d2における切れ込みの補強剤13を除去する。補強剤13は、例えば、補強剤13を溶解しうる有機溶剤である。補強剤13は、当該有機溶剤に第2のダイシング基板1d2を浸漬することにより除去されうる。次いで、第1の製造方法における充填工程と同様にして、第2のダイシング基板1d2の複数の圧電体切片2の隙間に、上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する。

0111

5)架橋工程
第1の製造方法における架橋工程と同様にして、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する(図3E参照)。

0112

6)電極形成工程
最後に、第1の製造方法における電極形成工程と同様にして、圧電体切片2(圧電体11)と反応生成物12とが交互に配列されている圧電体コンポジット10以外の部分をX方向において切断し、X方向における圧電体コンポジット10の両端面を研磨した後、当該両端面に対向電極30を配置する(図3F参照)。

0113

以上の手順により、圧電素子130は、作製されうる。なお、上記第1の製造方法および上記第2の製造方法では、1つの圧電体基板1から圧電素子130を製造する場合について説明したが、圧電素子130の製造方法は、上記態様に限定されない。たとえば、特開平6−224487号公報に記載されているように、複数の圧電体切片が形成された2つの圧電体基板を、圧電体切片が互い違いにかみ合う配置となるように互いに重ね合わせた状態で、圧電体切片の隙間に上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填してもよい。

0114

本実施の形態に係る圧電素子130における複数の圧電体11は、1〜10μmの間隔で並列している。圧電素子130は、複数の圧電体11の間隔が小さいため、圧電素子130の超音波に対する感度が高い。また、圧電体11の並列方向における長さに対する上記対向方向における長さの比(アスペクト比)は、5以上である。これにより、上記対向方向における特定の振動のみを、主として発生させることができる。この結果として、十分な電気機械結合係数を得ることができる。

0115

さらに、対向電極30と比較して、反応生成物12が、より軟らかい場合には、反応生成物12に伝わる応力が、圧電体11に集中しうるため、当該応力を圧電体11に集中させて、圧電素子130の感度を高めることができる。このような観点からも、柔軟なエラストマー成分が、反応生成物12に含有されていることは好ましい。

0116

一方で、一般に、上記アスペクト比が大きく、かつ複数の圧電体の間隔が小さすぎると、隣り合う圧電体の間で相互作用が生じて、電気機械結合係数が低下することがある。しかしながら、本実施の形態に係る圧電素子130における反応生成物12は、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の硬化物により形成されており、かつ当該架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、当該架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。柔軟なエラストマー成分が、反応生成物12に含有されていることにより、隣り合う圧電体11間の相互作用に起因する電気機械結合係数の低下が抑制されうる。

0117

一方で、一般に、反応生成物に柔軟なエラストマー成分が含有されていると、反応生成物および圧電体間の接着性が低下し、圧電体コンポジットの両端面を研磨する工程において、反応生成物が、圧電体から剥離することがある。すなわち、圧電体コンポジットの加工性が不十分となることがある。また、加工性が十分であっても、圧電体の両端面と反応生成物の両端面とに対向電極が形成されている場合には、反応生成物および対向電極間の接着性が低下し、対向電極が圧電体コンポジットから剥離することがある。しかしながら、本実施の形態に係る圧電素子130における反応生成物12は、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂と、三価以上の架橋剤との一方または両方を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の硬化物により形成されている。このため、反応生成物12は、柔軟な上記エラストマー成分を含有しつつも、反応生成物12および圧電体11間の接着性を高めることができる。結果として、圧電体コンポジット10の加工性を高めることができる。

0118

また、一般に、反応生成物に柔軟なエラストマー成分が含有されていると、反応生成物および電極間の接着性も低下する。このため、電極が、圧電体コンポジットから剥離することがある。しかしながら、本実施の形態に係る圧電素子130では、反応生成物12および対向電極30間の接着性を高めることができるため、対向電極30の圧電体コンポジット10からの剥離が抑制されうる。

0119

[変形例]
図4A、Bは、変形例に係る圧電体21の形状を示す図である。上記実施の形態では、圧電体11の形状が板状である場合について説明したが、本発明に係る圧電体の形状は、板状に限定されない。たとえば、圧電体の形状は、図4A、Bに示されるように、柱状であってもよい。この場合、複数の圧電体21の並列方向は、Y方向およびZ方向であり、複数の圧電体21は、平面方向(YZ方向)において、互いに離間して配列されている。圧電体21の高さ方向(X方向)は、圧電体21の並列方向に沿う平面(YZ平面)を横断する方向である。

0120

なお、上記の「柱状」の断面の形状は、一般に矩形であり、図4Aに示されるように正方形であってもよいし、図4Bに示されるように長方形であってもよい。当該断面の形状における縦横比は、1:1〜1:5であることが好ましく、1:1〜1:1.5であることがより好ましい。また、圧電体21の断面の形状は、円形状であることがさらに好ましい。

0121

柱状の圧電体21を有する圧電素子は、例えば、エッチング工程を含む上記第1の製造方法、およびは、複数のダイシング工程を含む上記第2の製造方法により製造されうる。

0122

柱状の圧電体21を有する圧電素子を上記第1の製造方法により製造する場合、上記ダイシング工程では、ダイシングによってY方向に沿う複数の切れ込みを形成するとともに、Z方向に沿う複数の切れ込みをさらに形成する。これにより、Y方向およびZ方向において、所期の大きさを有する複数の柱状の圧電体切片2が形成されうる。

0123

柱状の圧電体21を有する圧電素子を上記第2の製造方法により製造する場合、第2のダイシング工程および充填工程の間に、第2のダイシング基板1d2の切れ込みに補強剤13を充填し、硬化させる第2の補強工程と、第2のダイシング基板1d2における切れ込みに、硬化後の補強剤13が満たされている状態で、上記面内方向(YZ方向)において第2のダイシング基板1d2の切れ込みに直交する方向(Z方向)の切れ込みをさらに形成する第3のダイシング工程とがさらに行われる。これにより、Y方向およびZ方向において、一定の所期の幅を有する複数の柱状の圧電体切片2が形成される。

0124

また、柱状の圧電体21を有する圧電素子は、下記の製造方法によっても製造されうる。図5は、柱状の圧電体21を有する圧電素子の製造する工程の前半部を模式的に示す図であり、図6は、柱状の圧電体21を有する圧電素子の製造する工程の後半部を模式的に示す図である。

0125

柱状の圧電体21を有する圧電素子を製造する場合、ダイシング工程において、圧電体基板1には、Y方向およびZ方向に切れ込みが形成される。これにより、Y方向およびZ方向を幅方向とし、Y方向を高さ方向とする柱状の圧電体切片22が形成される。上記切れ込みは、X方向における一端部を残して形成され、並列する複数の圧電体切片22は、いずれも一端で圧電体基板1の一端部に一体的に接続している。上記切り込みの深さ(圧電体切片22のX方向における長さ)は、例えば、120〜425μmである。

0126

柱状の圧電体21を有する圧電素子を製造する場合も、上記の第1の製造方法と同様に、圧電体切片22は、前述したエッチング液によりエッチングされる。これにより、並列する複数の圧電体切片22は、いずれも実質的に一定なエッチングに供され、実質的に一定の所期の幅を有するように成形される。

0127

次いで、エッチングされた隣り合う圧電体切片22の間に上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する(第1の充填工程)。次いで、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する(第1の架橋工程)。こうして、エッチング後のYZ方向における位置関係が実質的に維持された状態で、圧電体切片22が反応生成物12に封入される。圧電体切片22を封入している反応生成物12の部分を圧電体基板1の一端部から切り離して、一次封入体23とする。

0128

次いで、一次封入体23における樹脂の部分をX方向に沿って切断して第1の樹脂板部24を作製する(第1の配列工程)。第1の樹脂板部24は、Y方向における一端部を残して樹脂の部分を切断することで形成されており、Z方向に沿って一列に配列する複数の圧電体切片22を封入する板状の樹脂塊である。

0129

次いで、一次封入体23における複数の並列する第1の樹脂板部24を、前述の球状樹脂粒子を有するスラリーに浸漬し、次いで乾燥させる。こうして、隣り合う第1の樹脂板部24間に上記樹脂粒子が導入され、第1の樹脂板部24間の間隔が一定に調整される(第1のギャップ調整工程)。

0130

次いで、間隔が調整された複数の第1の樹脂板部24の間には、上記架橋性エポキシ樹脂組成がさらに充填される(第2の充填工程)。次いで、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する(第2の架橋工程)。これにより、圧電体切片22が、Z方向における所期の間隔で固定された圧電体切片22を封入する二次封入体25が作製される。二次封入体25は、その後のY方向のギャップ調整の作業を容易にするために、Z方向における一端側に反応生成物12の部分を有している。

0131

次いで、二次封入体25における圧電体切片22間の樹脂の部分をZ方向に沿って切断して第2の樹脂板部26を作製する(第2の配列工程)。第2の樹脂板部26は、Z方向における一端部を残して反応生成物12の部分を切断することで形成されており、Z方向に沿って一列に配列する複数の圧電体切片22を封入する板状の樹脂塊である。

0132

次いで、二次封入体25における第2の樹脂板部26を上記スラリーに浸漬し、次いで乾燥させる。こうして、隣り合う第2の樹脂板部26間に上記樹脂粒子が導入され、第2の樹脂板部26間の間隔が一定に調整される(第2のギャップ調整工程)。

0133

次いで、二次封入体25における、間隔が調整された複数の第2の樹脂板部26の間に上記架橋性エポキシ樹脂組成物を充填する(第3の充填工程)。次いで、上記架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物12を形成する(第3の架橋工程)。これにより、圧電体切片22は、Z方向に加えてY方向においても所期の間隔で固定される。Y方向における間隔が調整された第2の樹脂板部26群を二次封入体25から切り離し、最終封入体を得る。

0134

当該最終封入体は、そのまま、あるいはX方向における所期の長さ(例えば100〜300μm)に切断されて、圧電体21と反応生成物12とが交互に配列してなる圧電体コンポジット20となる。圧電体コンポジット20のX方向における両端面を必要に応じて研磨してその表面粗さを調整し、当該両端面に対向電極30を形成する。こうして、柱状の圧電体21と反応生成物12とがY方向およびZ方向の両方向において交互に配置してなる圧電体コンポジット20を有する圧電素子が作製される。

0135

上記製造方法は、反応生成物12部分をダイシングして第1の樹脂板部24を作製する第1の配列工程と、反応生成物12部分をダイシングして第2の樹脂板部26を作製する第2の配列工程とを含む。前述のとおり、反応生成物12および圧電体21(圧電体切片22)間の接着性は高く、圧電体コンポジットの加工性が十分であるため、反応生成物12部分のダイシング時に、反応生成物12が、圧電体21(圧電体切片22)から剥離するのを抑制することができる。

0136

圧電素子130は、超音波探触子に適用可能である。当該超音波探触子は、例えば、複数の圧電素子130が配列してなる超音波トランスデューサーを有しうる。圧電素子130は、圧電特性に優れていることから、それを有する超音波プローブは、送受信感度に優れるとともに高空間分解能長距離測定との両方を実現可能である。

0137

[超音波探触子の構成]
図7は、本実施の形態に係る超音波探触子100の構成を示す断面模式図である。本実施の形態に係る超音波探触子100は、背面層110、音響反射層120、圧電素子130、音響整合層140および不図示のフレキシブルプリント基板FPC)を有する。

0138

背面層110は、圧電素子130の音響インピーダンスより大きい音響インピーダンスを有し、不要な超音波を吸収するための超音波吸収体である。本実施の形態では、背面層110は、音響反射層120を支持している。背面層110は、圧電素子130における被検体(例えば生体)に超音波を送受信する方向と反対側の面(裏面)に装着され、被検体の方向の反対側に発生する超音波を吸収する。

0139

背面層110の材料の例には、天然ゴムフェライトゴム、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂熱可塑性樹脂、および、これらの材料の少なくともいずれかと酸化タングステン酸化チタン、フェライトなどの粉末との混合物プレス成形した樹脂系複合材が含まれる。また、背面層110の材料の他の例には、当該樹脂系複合材を粉砕し、上記熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂などの他の材料と混合し、硬化させた材料が含まれる。

0140

上記熱可塑性樹脂の例には、塩化ビニルポリビニルブチラールABS樹脂ポリウレタンポリビニルアルコールポリエチレンポリプロピレンポリアセタールポリエチレンテレフタレートフッ素樹脂ポリエチレングリコール、および、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体が含まれる。背面層110の材料としては、中でも樹脂系複合材、その中でも特にゴム系複合材料またはエポキシ樹脂系複合材が好ましい。

0141

また、背面層110には、必要に応じて他の配合剤が添加されていてもよい。たとえば、背面層110の音響インピーダンスを調整する観点から、マコールガラスやガラスなどの無機材料、空隙を有する多孔質材料が背面層110に添加されていてもよい。

0142

背面層110の形状は、圧電素子130や、圧電素子130を有する超音波探触子100などの形状に応じて、適宜決定されうる。

0143

背面層110の厚みは、1〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。

0144

なお、背面層110および後述のFPCは、例えば、当該技術分野で通常使用される接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)で互いに接着されうる。

0145

音響反射層120は、圧電素子130の音響インピーダンスより大きい音響インピーダンスを有する。音響反射層120は、圧電素子130における被検体に超音波を送受信する方向と反対側の面(裏面)に装着され、被検体の方向の反対側に送信された超音波を反射する。超音波に対する感度を高める観点から、超音波探触子100は、音響反射層120を有していることが好ましい。

0146

音響反射層120の材料の例には、タングステンおよびタンタルが含まれる。中でも、音響反射層120の材料としては、タングステンカーバイドであることが好ましい。音響反射層120には、必要に応じて他の配合剤が添加されていてもよい。

0147

音響反射層120の厚みは、50μm〜1mmであることが好ましく、150μm〜250μmであることがより好ましい。

0148

圧電素子130は、電気信号機械的な振動に変換することができ、機械的な振動を電気信号に変換することもできる。圧電素子130および音響反射層120の接着性を高める観点から、圧電素子130および音響反射層120の少なくとも一部は、接着層で互いに接着されていることが好ましい。接着層の材料としては、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤などが使用されうる。

0149

音響整合層140は、圧電素子130および被検体の間の音響インピーダンスを整合させて、境界面での超音波の反射を抑制するための層である。このために、音響整合層140は、圧電素子130と被検体との概ね中間の音響インピーダンスを有する。音響整合層140は、圧電素子130の上記被検体側(表面側)に、例えば、前述の他方の電極を介して配置されている。

0150

音響整合層140は、単層でも積層でもよいが、音響特性の調整の観点から、音響インピーダンスが異なる複数の層の積層体であることが好ましく、例えば2層以上、より好ましくは4層以上である。音響整合層140の厚みは、λ/4であることが好ましい。λは、超音波の波長である。

0151

音響整合層140は、例えば、種々の材料で構成することが可能である。音響整合層140の音響インピーダンスは、音響レンズに向けて被検体の音響インピーダンスに、段階的または連続的により近づくように設定されていることが好ましく、例えば、当該材料に添加する添加剤の種類および含有量によって調整することが可能である。

0152

音響整合層140の材料の例には、アルミニウム、アルミニウム合金(例えばAl−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイトおよび樹脂が含まれる。当該樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AAS樹脂AES樹脂、ナイロン6ナイロン66などのナイロンポリフェニレンオキシドポリフェニレンスルフィドポリフェニレンエーテルポリエーテルエーテルケトンポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂およびウレタン樹脂が含まれる。

0153

上記添加剤の例には、亜鉛華、酸化チタン、シリカアルミナベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデンガラス繊維およびシリコーン粒子が含まれる。

0154

FPCは、例えば、圧電体11に電圧を印加するための対向電極30と接続される、圧電素子130に対応したパターン配線を有する。たとえば、特に図示しないが、FPCは、対向電極30の一方に接続される信号引き出し配線と、対向電極30の他方に接続されるグランド引き出し配線とを有する。FPCは、上記の適当なパターンを有していれば、市販品であってもよい。

0155

超音波探触子100は、上記の圧電素子130を有する。よって、超音波探触子100は、超音波に対して高い感度を得ることができる。

0156

一方で、一般に、反応生成物12に柔軟なエラストマー成分が含有されていると、消毒液などの薬品および人の皮膚に含まれる脂肪酸の影響によってエポキシ樹脂が膨潤する。これにより、超音波探触子の感度は経時に低下していくことがある。しかしながら、本実施の形態に係る圧電素子130の反応生成物12は、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂と、三価以上の架橋剤との一方または両方を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の硬化物により形成されている。これにより、反応生成物12の硬度が高まり、上記エポキシ樹脂の膨潤を抑制することができる。結果として、超音波探触子100は、優れた耐久性を得ることができる。

0157

超音波探触子100は、超音波撮像装置に好適に用いられる。当該超音波撮像装置は、超音波探触子100の圧電素子130以外の部分は、公知の超音波撮像装置と同様に構成しうる。当該超音波撮像装置は、例えば、医療用超音波診断装置非破壊超音波検査装置などに好適である。

0158

[超音波撮像装置の構成]
図8Aは、本実施の形態に係る超音波撮像装置200の構成を模式的に示す図であり、図8Bは、超音波撮像装置200の電気的な構成を示すブロック図である。

0159

超音波撮像装置200は、図8Aに示されるように、装置本体201と、装置本体201にケーブル202を介して接続されている超音波探触子100と、装置本体201上に配置されている入力部203および表示部208と、を有する。

0160

装置本体201は、図8Bに示されるように、入力部203に接続されている制御部204と、制御部204およびケーブル202に接続されている送信部205および受信部206と、受信部206および制御部204のそれぞれと接続されている画像処理部207と、を有する。なお、制御部204および画像処理部207は、それぞれ表示部208と接続されている。

0161

ケーブル202は、超音波探触子100および送信部205と、超音波探触子100および受信部206とをそれぞれ接続し、信号を伝達する。

0162

入力部203は、例えば、診断開始などを指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータを入力するための装置であり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルキーボードなどである。

0163

制御部204は、例えば、マイクロプロセッサ記憶素子、その周辺回路などを備えて構成されている。制御部204は、超音波探触子100、入力部203、送信部205、受信部206、画像処理部207および表示部208を、それぞれの機能に応じて制御することによって超音波診断装置200の全体の制御を行う回路である。

0164

送信部205は、例えば、制御部204からの信号を、ケーブル202を介して超音波探触子100に送信する。

0165

受信部206は、例えば、超音波探触子100からの信号を、ケーブル202を介して受信して制御部204または画像処理部207へ出力する。

0166

画像処理部207は、例えば、制御部204の制御に従い、受信部206で受信した信号に基づいて被検体内内部状態を表す画像(超音波画像)を形成する回路である。たとえば、画像処理部207は、被検体の超音波画像を生成するDigital Signal Processor(DSP)、および、当該DSPで処理された信号をディジタル信号からアナログ信号へ変換するディジタルアナログ変換回路DAC回路)などを有している。

0167

表示部208は、例えば、制御部204の制御に従って、画像処理部207で生成された、被検体の超音波画像を表示するための装置である。表示部208は、例えば、CRTディスプレイ液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイプラズマディスプレイなどの表示装置や、プリンタなどの印刷装置などである。

0168

超音波撮像装置200では、制御部204が入力部203からの信号を受信し、生体などの被検体に対して超音波(第1の超音波信号)を送信させる信号を送信部205に出力するとともに、当該第1超音波信号に基づく被検体内から来た超音波(第2の超音波信号)に応じた電気信号を受信部206に受信させる。

0169

受信部206で受信した電気信号は、画像処理部207に送られて当該電気信号に応じた画像信号に処理される。当該画像信号は、表示部208に送られて、当該画像信号に応じた画像が表示部208に表示される。表示部208は、また、入力部203から入力された、制御部204を介して送られる情報に基づき、当該情報に応じた画像および操作(文字の表示、表示された画像の移動や拡大など)も表示する。

0170

超音波撮像装置200は、超音波探触子100を有する。よって、超音波撮像装置200は、高い空間分解能で被検体の超音波画像を得ることができる。

0171

以上の説明から明らかなように、圧電体コンポジットと、上記圧電体コンポジットを挟むように配置され、上記圧電体コンポジットに電圧を印加するための対向電極と、を有する。上記圧電体コンポジットは、上記対向電極の対向方向に直交する方向において1〜10μmの間隔で並列し、並列方向における長さに対する上記対向方向における長さの比が5以上である複数の圧電体と、上記複数の圧電体の隙間に満たされている、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物と、を有し、上記架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、上記架橋剤の価数との一方または両方は、3以上である。

0172

このため、上記圧電素子では、圧電体のアスペクト比が高く、かつ複数の圧電体の隙間が小さくても、隣り合う圧電体間で生じる相互作用が抑制される。また、上記圧電素子は、上記圧電体コンポジットの加工性、上記圧電体と上記反応生成物との接着性、および化学的耐久性に優れる。

0173

上記対向電極が、上記圧電体の両端面と反応生成物の両端面とに配置されていることは、圧電素子の生産性の観点から、効果的である。上記圧電素子では、上記反応生成物および上記電極の接着性に優れるため、上記対向電極が、圧電体コンポジットから剥離するのを抑制しうる。

0174

上記エラストマー成分が、数平均一次粒径が1μm以下のエラストマー粒子であることは、加工性と、圧電体コンポジットおよび上記対向電極の接着性との観点から、より一層効果的である。

0175

上記エラストマー成分が、シリコーンエラストマーであることは、十分な電気機械結合係数を得る観点から、より一層効果的である。

0176

上記架橋性エポキシ樹脂が、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂を含み、かつ上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂が、エポキシ基を含む構成単位を有することは、反応生成物における架橋密度を高めて、十分な電気機械結合係数を得る観点から、より一層効果的である。

0177

上記架橋性エポキシ樹脂が、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂を含み、上記三官能以上の架橋性エポキシ樹脂が、構成単位を有しないことは、反応生成物における架橋密度を高めて、加工性、接着性および耐久性を高める観点から、より一層効果的である。

0178

上記架橋性エポキシ樹脂が、その分子構造中に芳香族環を有することは、芳香族環同士の相互作用により、反応生成物における架橋密度を高めて、加工性、接着性および耐久性を高める観点から、より一層効果的である。

0179

上記架橋剤が、チオール基を有し、上記反応生成物および上記圧電体が、上記チオール基の硫黄原子を介して互いに結合していることは、加工性および接着性を高める観点から、より一層効果的である。

0180

上記架橋性エポキシ樹脂組成物が、金属アルコキシド化合物をさらに含有し、上記反応生成物および上記圧電体が、上記金属アルコキシド化合物の残基を介して互いに結合していることは、加工性および接着性を高める観点から、より一層効果的である。

0181

超音波探触子が、上記圧電素子を有する。このため、超音波に対する高い感度を得ることができる。

0182

本実施の形態に係る超音波撮像装置は、上記超音波探触子を有する。このため、高い空間分解能で被検体の超音波画像を得ることができる。

0183

以下、本発明に関して実施例を用いてさらに詳細に説明する。

0184

[圧電素子1の作製]
20mm、20mm、厚み5mmのPMN−PT基板(JFEミネラル株式会社製)を準備した。次いで、当該PMN−PT基板のダイシングを行った。具体的には、上記PMN−PT基板の長手方向(Y方向)および厚み方向(Z方向)において貫通し、高さ方向(X方向)に開口している複数の切れ込みをオートマチクダイシングソー(DAD3350;株式会社ディスコ製)によって形成した。これにより、上記基板の他端部に一体的に結合している柱状の圧電体切片群を有するダイシング加工基板を作製した。このとき、ブレード(Z09−SD4000−Y1−90 72×0.05A1×40、Z09−SD4000−Y1−90 72×0.025A1×40)を30000rpmで回転させ、5mm/秒で移動させつつダイシングを行った。ダイシング加工基板における各圧電体切片の幅(Y方向およびZ方向における長さ)は50μmであり、高さ(X方向における長さ)は、4.5mmである。また、ダイシングによる切り込みの幅は、25μmである。

0185

次いで、上記ダイシング加工基板のエッチングを行った。ここでは、4回のエッチングを行った。まず、第1のエッチング用のエッチング液として、Pure Etch PT303(林純薬工業株式会社製)を準備した。次いで、ガラスシャーレに10mLの上記エッチング液を撹拌子とともに収容し、マグネティックスターラーによって150rpmの速度で上記エッチング液を撹拌した。エッチング液1の温度は30℃である。次いで、上記ダイシング加工基板を上記エッチング液に40分間浸漬させて、第1のエッチングを行った。次いで、上記ダイシング加工基板を温度80℃の熱水に40分間浸漬させた。次いで、上記ダイシング加工基板を温度30℃の水に浸漬させた状態で、10秒間、周波数45kHzで超音波洗浄を行った。

0186

次いで、第2のエッチング用のエッチング液として、上記手順と同様にして、ガラスシャーレに収容された10mLの上記エッチング液を新たに準備した。当該エッチング液の温度は30℃である。次いで、上記ダイシング加工基板を上記エッチング液に55分間浸漬させた。次いで、上記ダイシング加工基板を温度80℃の熱水に35分間浸漬させて、第2のエッチングを行った。次いで、上記ダイシング加工基板を温度30℃の水に浸漬させた状態で、10秒間、周波数45kHzで超音波洗浄を行った。

0187

次いで、第3のエッチング用のエッチング液として、上記手順と同様にして、ガラスシャーレに収容された10mLの上記エッチング液を新たに準備した。当該エッチング液の温度は30℃である。次いで、上記ダイシング加工基板を上記エッチング液に65分間浸漬させて、第3のエッチングを行った。

0188

次いで、第4のエッチング用のエッチング液として、上記手順と同様にして、ガラスシャーレに収容された10mLの上記エッチング液を新たに準備した。当該エッチング液の温度は38℃である。次いで、上記ダイシング加工基板を上記エッチング液に14時間浸漬させて、第4のエッチングを行った。次いで、上記ダイシング加工基板を温度80℃の熱水に30分間浸漬させた。次いで、上記ダイシング加工基板を温度30℃の水に浸漬させた状態で、10秒間、周波数45kHzで超音波洗浄を行った。

0189

こうして、圧電体切片の幅が20μmであるエッチング加工基板を作製した。

0190

次いで、下記成分を下記の量で混合し、架橋性エポキシ樹脂組成物1を調製した。
エラストマー型エポキシ樹脂1 95質量部
三官能以上のエポキシ樹脂1 5質量部
架橋剤1 12質量部

0191

エラストマー型エポキシ樹脂1としては、ALBIDUR EP2240 A(二官能、EVONIK社製;「ALBIDUR」は、同社の登録商標)を使用し、三官能以上のエポキシ樹脂1としては、TEPIC−VL(三官能、日産化学工業株式会社製、「TEPIC」は、同社の登録商標)を使用し、架橋剤1としては、ST12(二価、三菱化学株式会社製)を使用した。

0192

次いで、上記エッチング加工基板における複数の圧電体切片間の隙間に、調製した架橋性エポキシ樹脂組成物1を供給し、上記隙間に架橋性エポキシ樹脂組成物1を充填させた。次いで、室温でエッチング加工基板を12時間静置し、50℃の環境下にエッチング加工基板を3時間静置することで、架橋性エポキシ樹脂組成物1の反応生成物を形成した。このとき、Z方向およびY方向における隣り合う圧電体の間隔は、2μmであった。

0193

次いで、圧電体切片と反応生成物とが交互に配置されている圧電体コンポジット以外の部分を除去するために、YZ平面において上記エッチング加工基板を切断した。これにより、圧電体と樹脂とが交互に配置されてなる圧電体コンポジットを得た。

0194

次いで、圧電圧コンポジットのX方向における両端面を、ムサシノ電子株式会社製の研磨機MA−200eと9μm砥粒とを用いて研磨して圧電体コンポジットの高さ(X方向における長さ)を150μmに調整した。次いで、3μm砥粒で研磨して圧電体コンポジットの高さ(X方向における長さ)を130μmに調整した。次いで、0.5μm砥粒で研磨して圧電体コンポジットの高さ(X方向における長さ)を120μmに調整するとともに、当該端面表面粗さを調整した。

0195

次いで、圧電体コンポジットのX方向における両端面に、スパッタを用いて対向電極を形成した。当該対向電極は、圧電体コンポジット側に配置された、厚さ50nmのクロムの層と、その上に配置された、厚さ200nmの金の層とによって構成されている。以上の手順により、圧電素子1を作製した。

0196

[圧電素子2の作製]
上記第3のエッチングにおけるエッチング時間を90分に変更し、上記第4のエッチングにおけるエッチング時間を21時間に変更し、かつ三官能以上のエポキシ樹脂1の代わりに三官能以上のエポキシ樹脂2を用い、架橋剤1の含有量を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子1と同様にして、圧電素子2を作製した。三官能以上のエポキシ樹脂2としては、TEPIC−L(日産化学工業株式会社製、「TEPIC」は、同社の登録商標)をさらに使用した。

0197

[圧電素子3〜13の作製]
架橋性エポキシ樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子2と同様にして、圧電素子3〜13を作製した。

0198

三官能未満のエポキシ樹脂としては、JER828(二官能、三菱化学株式会社製)を使用した。

0199

エラストマー型エポキシ樹脂2としては、ALBIFLEX 296(二官能、Evonik社製、「ALBIFLEX」は登録商標)を使用し、エラストマー型エポキシ樹脂3としては、カネエースMX−217(三官能以上、株式会社カネカ製、「カネエース」は、同社の登録商標)を使用し、エラストマー型エポキシ樹脂4としては、カネエースMX−451(三官能、株式会社カネカ製、「カネエース」は、同社の登録商標)を使用した。

0200

三官能以上のエポキシ樹脂3としては、TEPIC−UC(六官能、日産化学工業株式会社製、「TEPIC」は、同社の登録商標)を使用し、三官能以上のエポキシ樹脂4としては、EPICLON EXA−4700(四官能、DIC株式会社製、「EPICLON」は、同社の登録商標)を使用した。

0201

架橋剤2としては、カレンズMTPE1(四価、昭和電工株式会社製、「カレンズMT」は、同社の登録商標)を使用し、架橋剤3としては、無水メチルハイミック酸MHAC−P、二価、日立化成株式会社製)を使用し、架橋剤4としては、リカシッドMTA−15(四価、新日本理化株式会社製、「リカシッド」は、同社の登録商標)を使用した。

0202

架橋促進剤としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチルフェノール(TAP、東京化成工業株式会社製)を使用した。

0203

添加剤(金属アルコキシド化合物)としては、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(C−1、和光純薬工業株式会社製)を使用した。

0204

[圧電素子C1の作製]
5mm、5mm、厚み0.12mmのPMN−PT基板に対して、ダイシング、エッチングおよび架橋性エポキシ樹脂組成物の充填を行うことなく、上記対向電極のみを形成して、圧電素子C1を作製した。

0205

[圧電素子C2の作製]
20mm、20mm、厚み300μmのPMN−PT基板(JFEミネラル株式会社製)を準備し、ダイシング加工基板における各圧電体切片の幅が80μm、高さが250μm、ダイシングによる切れ込みの幅が20μmとなるようにダイシングを行う以外は、圧電素子1のためのダイシング加工基板と同様にして、圧電素子C2用のダイシング加工基板を得た。ダイシング工程の後の工程については、当該ダイシング加工基板のエッチングを行わず、かつ架橋性エポキシ樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子1と同様にして、圧電素子C2を作製した。

0206

[圧電素子C3の作製]
エッチング加工基板を、0.1gのミクロパールSP(粒径10μm、積水化学工業株式会社製)を200mLの水に分散させて調製した分散液に浸漬して、エッチング加工基板の表面にギャップ制御用粒子を付着させ、かつ架橋性エポキシ樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子2と同様にして、圧電素子C3を作製した。

0207

[圧電素子C4の作製]
架橋性エポキシ樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子2と同様にして、圧電素子C4を作製した。

0208

[圧電素子C5の作製]
架橋性エポキシ樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、圧電素子C4と同様にして、圧電素子C5を作製した。

0209

圧電素子No.、圧電体の幅(Y方向およびZ方向における長さ)、圧電体の間隔(上記反応生成物の幅)、圧電体のアスペクト比、架橋性エポキシ樹脂の種類、含有量およびエポキシ基の数、架橋剤の種類、含有量および架橋性官能基の数(架橋剤の価数)、架橋促進剤の種類および含有量、ならびに添加剤の種類および含有量を表1に示す。なお、表1において、アスペクト比とは、圧電体の幅に対する、圧電体の高さ(X方向における長さ)の比である。なお、表1において、「AR」は、圧電体のアスペクト比を表し、「m」は、架橋性エポキシ樹脂の官能基の数を表し、「n」は、架橋剤の価数を表す。また、架橋性エポキシ樹脂の種類において、「A」は、三官能未満の架橋性エポキシ樹脂を表し、「B」は、エラストマー型の架橋性エポキシ樹脂を表し、「C」は、三官能以上の架橋性エポキシ樹脂を表す。

0210

0211

[評価]
(加工性)
圧電素子の製造工程において、圧電体コンポジットの端面を研磨するときに、圧電体コンポジットに98.1kPaの応力が加わるようにして、研磨を行った。次いで、電子顕微鏡を用いて研磨後の圧電体コンポジットを観察した。100個の圧電体を観察し、圧電体および反応生成物の剥離の発生と、圧電体のクラックの発生とを観察した。下記評価基準に基づいて、圧電体コンポジットの加工性を評価した。評価結果がAおよびBのときを合格と判定した。
(評価基準)
A:上記剥離および上記クラックの合計数が、1以下である。
B:上記剥離および上記クラックの合計数が、2以上5未満である。
C:上記剥離および上記クラックの合計数が、5以上である。
D:上記剥離が著しく、評価不能である。

0212

(接着性)
各圧電素子について、補強用に幅8mmのカプトンテープ(日東電工株式会社製、「カプトン」は、イー・アイデュポン・ド・ヌムール・アンドカンパニー社の登録商標)を一方の電極に圧着し、他方の電極にエポキシ系接着剤を塗布した。エポキシ系接着剤が塗布された状態で、他方の電極とガラス基板とが互いに当接するように、圧電素子およびガラス基板を、加圧治具を用いて15×105Paの圧力を加えて圧着した。次いで、50℃の環境下にてエポキシ系接着剤を硬化させた。次いで、カプトンテープとともに一方の電極を剥離した。このとき、当該一方の電極の剥離に要する力(圧電体コンポジットおよび電極の接着力)をデジタルフォースゲージZP−20N(株式会社イマダ製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて、接着力を評価した。評価結果がAおよびBのときを合格と判定した。
(評価基準)
A:5N以上
B:4N以上5N未満
C:3N以上4N未満
D:3N未満

0213

(電気機械結合係数)
各圧電素子について、インピーダンスアナライザ(Agilent 4294A;アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて共振反共振法により、電気機械結合係数ktを測定した。ktが、0.75以上のときを合格と判定した。

0214

(耐久性)
試験液として、オレイン酸および5質量%グルタルアルデヒド水溶液を準備した。40℃に調整された各試験液に、幅1mm(Y方向およびZ方向における長さ)とした圧電素子をそれぞれ24時間浸漬させた。各試験液に圧電素子を浸漬させたときの、浸漬前の反応生成物の質量と、浸漬後の反応生成物の質量との変化率を測定した。当該変化率は、下記式に基づいて算出した。下記表2に示される評価基準に基づいて、耐久性を評価した。評価結果がAおよびBのときを合格と判定した。
変化率=(wa−wb)/{wb×(1−X2)}
X=a/(a+b)
[上記式において、waは、浸漬後の圧電素子の質量であり、wbは、浸漬前の圧電素子の質量であり、aは、圧電体の幅であり、bは、圧電体の間隔である。]

0215

0216

圧電素子No.、加工性、接着性、電気機械結合係数ktおよび耐久性の評価結果を表3に示す。

0217

0218

表3から明らかなように、圧電素子1〜13については、いずれも、加工性、接着性、電気機械結合係数ktおよび耐久性が十分であった。これは、反応生成物が、エラストマー成分、架橋性エポキシ樹脂および架橋剤を含有する架橋性エポキシ樹脂組成物の反応生成物であり、架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、架橋の価数との一方または両方が3以上であるためと考えられる。

実施例

0219

一方、圧電素子C1〜C5については、加工性、接着性、電気機械結合係数ktおよび耐久性の少なくとも一つが不十分であった。これは、圧電素子C1〜C5は、架橋性エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数と、架橋剤の価数との一方または両方が3以上である反応生成物を有さないためと考えられる。なお、圧電素子C5については、圧電体コンポジットの端面を研磨するときに、反応生成物および圧電体の剥離が過度に生じ、接着性、電気機械結合係数および耐久性の評価を行うことができなかった。

0220

本発明によれば、超音波に対して高い感度を有する超音波探触子を構成することが可能となる。したがって、本発明によれば、超音波撮像装置のさらなる普及が期待される。

0221

1圧電体基板
1dダイシング基板
1d1 第1のダイシング基板
1d2 第2のダイシング基板
1eエッチング基板
2、22圧電体切片
23 一次封入体
24 第1の樹脂板部
25 二次封入体
26 第2の樹脂板部
10、20 圧電体コンポジット
11、21 圧電体
12反応生成物
13補強剤
30対向電極
100 超音波探触子
110背面層
120音響反射層
130圧電素子
140音響整合層
200超音波撮像装置
201 装置本体
202ケーブル
203 入力部
204 制御部
205 送信部
206 受信部
207画像処理部
208 表示部

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